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1997-05-30 第140回国会 参議院 本会議 第30号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成九年五月三十日(金曜日)    午後零時一分開議     ━━━━━━━━━━━━━議事日程第三十号   平成九年五月三十日    正午開議  第一 航空業務に関する日本国政府香港政府   との間の協定締結について承認を求めるの   件(衆議院送付)  第二 航空業務に関する日本国とパプア・   ニューギニアとの間の協定締結について承   認を求めるの件(衆議院送付)  第三 所得に対する租税に関する二重課税の回   避及び脱税防止のための日本国政府と南ア   フリカ共和国政府との間の条約の締結につい   て承認を求めるの件(衆議院送付)  第四 商法等の一部を改正する法律案内閣提   出、衆議院送付)  第五 商法等の一部を改正する法律施行に伴   う関係法律の整備に関する法律案内閣提   出、衆議院送付)  第六 暴力団員による不当な行為の防止等に関   する法律の一部を改正する法律案内閣提   出、衆議院送付)  第七 日本国有鉄道清算事業団の債務の負担の   軽減を図るために平成九年度において緊急に   講ずべき特別措置に関する法律案内閣提   出、衆議院送付)     ━━━━━━━━━━━━━ ○本日の会議に付した案件  一、私的独占禁止及び公正取引確保に関す る法律の一部を改正する法律案及び私的独占禁止及び公正取引確保に関する法律の適 用除外制度整理等に関する法律案趣旨説 明)  一、電気通信事業法の一部を改正する法律案国際電信電話株式会社法の一部を改正する法 律案及び日本電信電話株式会社法の一部を改 正する法律案趣旨説明) 以下 議事日程のとおり      —————・—————
  2. 斎藤十朗

    議長斎藤十朗君) これより会議を開きます。  この際、日程に追加して、 私的独占禁止及び公正取引確保に関する法律の一部を改正する法律案及び私的独占禁止及び公正取引確保に関する法律適用除外制度整理等に関する法律案について、提出者趣旨説明を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 斎藤十朗

    議長斎藤十朗君) 御異議ないと認めます。梶山国務大臣。    〔国務大臣梶山静六登壇拍手
  4. 梶山静六

    国務大臣梶山静六君) ただいま議題となりました私的独占禁止及び公正取引確保に関する法律の一部を改正する法律案及び私的独占禁止及び公正取引確保に関する法律適用除外制度整理等に関する法律案について、その趣旨を御説明申し上げます。  初めに、私的独占禁止及び公正取引確保に関する法律の一部を改正する法律案について御説明申し上げます。  私的独占禁止及び公正取引確保に関する法律、いわゆる独占禁止法は、公正かつ自由な競争維持促進することにより、一般消費者の利益を確保するとともに、国民経済の民主的で健全な発展を図るものでありますが、持ち株会社設立等については、現在これを全面的に禁止しているところであります。この規制につきましては、事業者活動をより活発にする等の観点から、平成八年十二月十七日の「経済構造の変革と創造のためのプログラム」を初めとする累次の閣議決定において、独占禁止法目的を踏まえて見直すべきものとされたところであります。  今回は、これらの閣議決定を踏まえ、事業支配力過度集中防止という独占禁止法目的に留意しつつ、持ち株会社の全面的な禁止を改めること等の改正を行うべく、ここに法律案提出した次第であります。  次に、法律案内容について、その概要を御説明申し上げます。  第一に、現行法では設立等が全面的に禁止されている持ち株会社について、事業支配力過度集中することとなるものの設立等禁止することに改めることとしております。  第二に、これに伴い、一定規模を超える規模持ち株会社による事業年度ごと当該持ち株会社及びその子会社事業に関する報告制度及び新たに設立された一定規模を超える規模持ち株会社による設立後の届け出制度を設けることとしております。  第三に、大規模会社株式保有総額制限について、この株式保有総額制限の対象から除外する株式を新たに追加することとしております。  第四に、事業者による一定国際的協定または国際的契約に係る届け出義務を廃止することといたしております。  なお、これらの改正は、一部を除き、公布の日から起算して六月を超えない範囲内において政令で定める日から施行することとしております。  続きまして、私的独占禁止及び公正取引確保に関する法律適用除外制度整理等に関する法律案について御説明を申し上げます。  本法律案は、公正かつ自由な競争を一層促進することにより、我が国市場をより競争的かつ開かれたものとするためには、規制緩和推進とともに競争政策積極的展開を図ることが不可欠であることにかんがみ、個別法による適用除外カルテル等制度について、原則廃止する観点から見直しを行い、平成八年三月二十九日の閣議決定「規制緩和推進計画改定について」において得られた見直しの結果を実施するため、次のような二十法律、三十五制度にわたる改正を行うものであります。  第一に、個別法による適用除外を継続する必要性が認められない二十九制度については、これを廃止・法整備し、第二に、個別法による適用除外過度に定められている六制度については、その限定・明確化等を行うこととするものであります。  なお、これらの改正は、公布の日から一月を経過した日から施行することといたしております。  以上、二つの法律案について、その趣旨を御説明申し上げた次第であります。(拍手
  5. 斎藤十朗

    議長斎藤十朗君) ただいまの趣旨説明に対し、質疑の通告がございます。発言を許します。木庭健太郎君。    〔木庭健太郎登壇拍手
  6. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 私は、参議院平成会を代表して、ただいま議題となりました私的独占禁止及び公正取引確保に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、総理大臣並びに関係大臣質問をいたします。  今日、国際化高齢化情報化など、我が国を取り巻く社会経済状況は激変しており、かつてないほどの変革期に差しかかっております。  我が国産業企業活動を取り巻く環境も同様に厳しく、乱高下する為替相場に伴うリスクの増大、東南アジア諸国の急速な発展、さらにアメリカ経済再生等背景に、国際競争力ある企業は次々に拠点を海外に移し、国内には規制で守られた国際競争力のない産業が残されるという国内産業空洞化傾向が一層懸念されております。  今日、我が国産業国際競争力維持強化するためには、新規産業の育成や自由競争促進による企業競争力強化など、産業構造抜本的改革が求められております。その中で、本法案における持ち株会社規制緩和措置は大きな意味を持つものであり、この制度を適切に活用することができれば、今後、我が国企業持ち株会社利用により経営効率化国際化を戦略的、総合的に大きく前進させていくことが可能であり、ひいては国際的大競争時代に打ちかつ競争力を身につけ、我が国産業空洞化防止につながるものと考えるものであります。  しかし、最も懸念されるのは橋本内閣姿勢であります。理念あって実行が乏しく、総論賛成各論反対など、抜本改革が次々に先送りされつつあるのが現状であります。  本案についても、提出に至る経過や、政府連立与党の今までの対応持ち株会社解禁を大合唱してきた業界実態を見ると、果たしてこうした制度改正が、その目的とする自由競争促進企業競争力強化に本当に役立つものとして運用されていくかどうか、かなり疑問があるのであります。  そこで、以下、基本的な点について何点か質問をいたしたいと思います。  第一に、持ち株会社解禁意義について伺います。  今回の改正案契機となった公正取引委員会独禁法第四章改正問題研究会報告、いわゆる四章研報告では、持ち株会社禁止制度は基本的には維持しつつ、過剰な規制については緩和する必要があるからとの見地から、分社化ベンチャーキャピタルのための持ち株会社設立等に限って認めるというものでありました。  そこでは、こうした部分解禁独占禁止法による過剰規制を改めるという見地から行うべきものであるということが示されているのであります。しかるに、本法案はそれよりも大幅な解禁となり、むしろ原則解禁と言っていいほどの内容となっております。その意味では、本法案独禁政策規制緩和というよりは、産業政策的見地からの競争政策軌道修正ではないかとの指摘もありますが、いかがでしょうか。  本法案は、従来のいわゆる純粋持ち株会社禁止を緩和し、事業支配力過度集中を招かない限りは持ち株会社を認めるというものでありますが、政府部内においては、第九条を思い切って撤廃し、持ち株会社を全面的に認めることが国際的ハーモナイゼーション規制緩和観点からも適切とする意見があったやに聞いております。一方、今回の措置我が国独特の企業風土背景に、いわゆる企業系列強化による閉鎖的市場形成につながるのではないかという懸念を示す向きもあります。  本法案系列内取引強化閉鎖的市場形成をもたらし、とりわけ中小企業などに不利益を及ぼす懸念はないのかを、まず総理にお伺いしたいと思います。  また、独占禁止法はあくまでも自由競争維持促進がその規制目的であり、いやしくも特定産業企業の非競争的な保護のために規制を緩和したり、運用をねじ曲げたりすることがあってはならないと思うのでありますが、この点についても総理見解を伺いたいと思います。  さらに、本法案では施行後五年における見直し条項導入されておりますが、この条項についても、変化の激しい現在、五年後では余りにも長過ぎるのではないかと思いますが、五年とした根拠は何なのか。それまでは持ち株会社に関する規定の九条はもちろん、大規模会社株式保有制限に関する規定第九条の二や金融会社株式保有制限十一条を見直すことはないのかどうか、明確な答弁を求めます。  その場合、法律自体を変えるのでなく、ガイドラインレベル改定にとどめ、独禁法の不透明な運用を許す考えがあるのかないのか、この点も総理に伺いたいと思います。  第二に、金融持ち株会社金融ビッグバンについて伺います。  総理は、経済構造改革と並んで金融制度改革、いわゆる日本版金融ビッグバンを提唱しており、これを受けて金融制度調査会等で、現在、金融自由化に向けた制度改革案検討されております。この六月には銀行証券業相互参入連結納税制度など、金融持ち株会社とそれに関連する金融制度改革案が打ち出されることとなっておりますが、重要なことは、この金融持ち株会社を初めとする金融制度改革は単なる関係業界利害調整や目先の税収減回避という視点からの制度改革であってはならないということであります。銀行不良債権保険会社破産等競争力信用が極端に低下した我が国金融業を透明かつ自由な競争によって活性化し、国際競争力信用ある産業に再生させることがこの金融ビッグバン意義であると思います。  しかるに、最近の動きを見ると、金融債自由化についても長期信用銀行系保護のために解禁を見送るなど、預金者投資家をそっちのけにした、相変わらずの業者間のすみ分けに終始しているかのごとき印象を受けるのであります。  さらに、業界トップ野村証券、第一勧業銀行不祥事は不公正な業界体質を浮き彫りにし、国民の不信と怒りを募らせております。こんなことでは、金融ビッグバンなどと称して国際的に胸を張れるような改革を果たすことは難しいと言わざるを得ません。  そのような金融制度改革では、金融持ち株会社解禁しても、それは全く自由な競争を通じて金融業国際競争力を高めるために利用される制度だとは到底思えません。  そこで、まず、相次ぐ証券銀行不祥事に対する認識金融ビッグバンについての基本姿勢総理に伺いたいのと、この金融持ち株会社意義について、それがあくまでも金融サービスの多様かつ効率的な実現、それに伴う国際競争力強化などが目的であることを改めて総理に確認いたしたいと思います。  また、大蔵大臣には、まず、金融持ち株会社金融制度改革上の位置づけ、競争政策上十分な検討がなされているのかどうか。次に、金融制度調査会等における検討進捗状況、また、報告提出される時期について、それが当初どおり六月を目途に提出されるのかどうか。三番目に、今日国際公約ともなった我が国ビッグバンがスケジュールどおり進み、おくれることがないのか、国際的な物笑いとなるような代物に終わることがないかについて伺いたいと思います。  第三に、持ち株会社関連制度改革について伺います。  持ち株会社については、設立自体は本法案で一応認められていますが、持ち株会社が実際に設立され、その機能を十分発揮するためには、連結納税制度子会社設立に伴う譲渡益課税改善措置など、税制上の課題を解決しなければならないことは言うに及ばず、その他にも、連結財務諸表あり方持ち株会社たる親会社子会社あるいは親会社株主債権者子会社との関係子会社労働組合持ち株会社たる親会社との労使関係など、関連する諸制度についても議論していく必要があることは各方面からも指摘されております。  このうち、金融関連の諸制度については、先ほど申し上げた金融ビッグバンの一環として金融制度調査会等検討中であるということでありますが、労使関係及び親会社やその株主債権者子会社との関係など商法関係制度については、検討するという姿勢余り関係者に見受けられないというのが今のところの印象であります。  これらは、持ち株会社特有の問題ではなく、一般的な問題として検討していかなければならないことは言うまでもありませんが、持ち株会社解禁契機外資系企業が参入することなどが一層促進され、我が国労働法商法等国際的ハーモナイゼーションの要請が強まることが予想されます。問題が生じたとき泥縄式検討すればよい問題ではありません。  さきに、国会では与野党協力してストックオプション制度一般的導入を図るべく商法改正案議員立法として提出いたしました。これについては、法務省の一審議機関にすぎない法制審議会学者メンバーが抗議したりとか、法務省大蔵省の役人が法案作成下請作業をしたとか、いろんなことが言われておりますが、ともかく立法府が、本来の意味立法時代変化に合わせて迅速に行ったという点で評価できるものであると思うのであります。  こうした点を考えても、政府、特に審議会を隠れみのにした役人任せ制度検討では、今日の時代の流れに適切に対応することはできません。持ち株会社にかかわる制度検討一つを見ても、関係当局我が国が直面している経済環境への認識は極めて鈍いと言わざるを得ません。  総理には迅速かつ積極的な対応必要性についての見解を、大蔵大臣、法務大臣、労働大臣には持ち株会社制度を含めた経済構造改革への対応及びそれに対する必要性認識についてお伺いしたいと思います。  さらに、通産大臣には、経済構造改革所管大臣として、今申し上げた商法会社法独占禁止法九条の二、十一条など持ち株会社関連制度のさらなる検討ベンチャービジネス支援制度改革のため、他省庁への働きかけをどのように行っていくか、伺いたいと思います。  最後に、持ち株会社利用するのはだれかについて伺いたい。  持ち株会社解禁されても、今のような政府姿勢では、これを実際利用するのは当初のもくろみとは違い、外資系企業やいわゆる六大企業集団と言われる企業グループ、一部の新興勢力ではないかという予想があります。また、持ち株会社利用目的も、専らリストラ、首切りの前段階手段として使われるのではないかと憂慮する声もあります。  さらに、この持ち株会社は、遺産対策事業承継の有力な手段として中小企業経営者都合のいい制度であるとも言われています。持ち株会社解禁によって、とかく中小企業への影響懸念される一方、持ち株会社中小企業経営者の節税に有利ではないかということも言われています。  このように、九条の解禁が今後どのような影響を与えるかについてはまだ予想がつきません。その時点になって慌てることのないよう、関係当局はこの制度運用状況について十分目配りをしていただきたいと思うのでありますが、総理見解を伺い、私の質問を終わります。(拍手)    〔国務大臣橋本龍太郎登壇拍手
  7. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 木庭議員お答えを申し上げます。  まず冒頭、今回の改正産業政策的な見地からの競争政策軌道修正ではないか、そのような御意見をいただきました。  しかし、今回の改正は、国際競争対応しながら、我が国経済構造改革を進めていく上で持ち株会社形態利用が必要とされますために、独占禁止法目的に反しない範囲持ち株会社解禁するものでありまして、従来の競争政策を変更するものではないと考えております。  次に、この規制緩和強化に役立つか、あるいはより一層の強化が必要となりはしないか、反対中小企業などに不利益を及ぼすことはないかど、さまざまな角度の御指摘がありました。  持ち株会社規制緩和の効果、影響につきましては、我が国における公正かつ自由な競争確保促進を図りますために、事業支配力過度集中することとなる持ち株会社は引き続き禁止する必要があると考えております。また、中小企業に対する御懸念につきましては、独占禁止法等の適切な運用により対応してまいることといたします。  次に、独占禁止法規制目的についてお尋ねがございました。  これは、御指摘のとおり、独占禁止法目的は公正かつ自由な競争促進することにあり、持ち株会社解禁によってこのような目的が変更されるものではありません。すなわち、今回の改正におきましても、事業支配力過度集中防止という独占禁止法目的に反しない範囲持ち株会社解禁することといたしております。  次に、見直し条項があるが五年後では長過ぎるのではないか、あるいは見直しを行うまで幾つかの点についての規定見直しは必要ないのか、あるいはガイドライン改定等についてもどう考えるのか、こうした御指摘をいただきました。  今回の独占禁止法は過去五十年間続いてまいりました持ち株会社全面禁止を改めるものであります。制度の定着にはある程度の時間がかかるもの、そう考えましたところから五年後に見直しを行うことにいたしました。その場合どのような改定になるか、これは現時点において想定できることではなく、見直しの結果として決まるものであります。  なお、金融会社株式保有制限については、現段階見直しを決めておりません。ただ、一般論として、他の制度と同様に検討していくことはあり得る、そのように思います。  次に、今回の野村証券及び第一勧銀をめぐる問題、これは当初から私ども、大変な事態を起こしたもの、そしてそれが、例えば大蔵省当局の検査によって見逃されたものであるのか、あるいは例えば銀行によって偽りの報告がなされたものであるのか、それによっても状況が全く違うということを考えてまいりました。  関係当局におきまして、当然のことながら、厳正に対処するものと考えておりますし、今後ともに不正があればこれに必ず厳正に対応していくこと、及びこの事件もきちんと解明していくことによって金融システム改革全力を挙げて取り組んでいくことが国民の信頼にこたえる道だと考えております。  次に、その基本姿勢というお尋ねがございました。  この金融システム改革の進行というものは大変多くの分野にまたがるものでございます。それだけに、法制度なども含めまして総合的にこれを進める必要がありますことから、私自身が強い決意を持って果断にこれを進めていかなければならない。そして、二〇〇一年までに我が国金融市場をニューヨーク、ロンドンに肩を並べ得る国際金融市場として太刀打ちができるところに持っていきたい、そのように考えているところであります。  次に、金融持ち株会社意義についてのお尋ねがございました。  持ち株会社活用は、金融分野での競争促進金融機関経営効率化、多様な金融サービスの提供を通じ利用者利便向上等に資するものであります。金融システム改革の中において重要な意義を有するものと考えておりますし、このようなことを通じ我が国金融機関国際競争力向上にもつながるもの、そういう期待をかけております。  次に、持ち株会社解禁契機とする関連法制対応についてのお尋ねをいただきました。  関連法制について必要に応じ検討を進めていく必要があることは議員指摘のとおりであり、今後この実際の活用状況等を見ながら適切な対応に努めてまいります。  次に、持ち株会社解禁は、中小企業への影響懸念される一方で、中小企業経営者都合のよい制度とも言われる、制度運用状況十分目配りをしろという御注意をいただきました。  今回の改正案では、一定規模を超える持ち株会社につきましては毎年状況報告を求めることとしておりまして、独占禁止法上問題となる持ち株会社には適切に対応することとしております。  また、御指摘のような点を含めまして、もし持ち株会社解禁によって影響を受ける問題があるといたしましたなら、関係する諸法制についても必要に応じて関係部門において適切に対処してまいります。  残余の質問につきましては、関係大臣からお答えを申し上げます。(拍手)    〔国務大臣三塚博登壇拍手
  8. 三塚博

    国務大臣三塚博君) 木庭議員お答えを申し上げます。  私に対して五問でございます。  まず、金融持ち株会社金融システム改革上の位置づけ等についてのお尋ねでございますが、持ち株会社活用金融効率化利用者利便向上等に資するものでございまして、今回の改革の中で極めて重要な意義を有するものと考えております。  なお、競争政策上の観点からは、基本的には独占禁止法改正法案において手当てされるものと承知いたしており、大蔵省としては、それを踏まえつつ、金融機関経営健全化確保等金融上の観点から必要な措置について鋭意検討をいたしておるところでございます。  次に、金融持ち株会社に関する金融制度調査会等における検討状況についてのお尋ねでございますが、現在、同調査会等におきましては金融システム改革に関する活発な御論議がなされており、持ち株会社解禁に伴う金融上の観点からの必要な措置等はその中でも重要な検討項目一つになっております。  なお、同調査会等では、持ち株会社に関する項目を含め、六月中旬には報告を取りまとめるよう全力を挙げて取り組んでいるところと承知をいたしております。  次に、金融システム改革のスケジュールについてのお尋ねでございます。  改正外為法改革フロントランナーとして先般成立させていただいたところでございます。その他の分野についても、二〇〇一年までに改革が完了するプランをまとめるべく関係審議会最後の詰めの議論に鋭意取り組んでおりまして、来月にはプランの全貌を明らかにすることができるものと考えております。  次に、連結納税制度についてのお尋ねでございます。  他社の事業活動支配のみを専ら行う持ち株会社に係る独禁法改正連結納税制度等の税の議論とは直接関係するものと考えてはおりませんが、いずれにいたしましても、連結納税制度導入の是非につきましては、企業経営実態商法等関連制度、さらには租税回避税収減の問題といった諸点について、慎重な検討が必要とされる研究課題であると認識をいたしております。  また、土地などの資産を現物出資して子会社設立する場合に生ずる譲渡益課税あり方につきましては、課税ベースを含む法人税の見直しの中で、資産に関する課税の公平の観点も踏まえ議論していくものと考えております。  次に、連結財務諸表あり方についてのお尋ねでございますが、持ち株会社の業績が一般事業会社に比べまして傘下の子会社の業績に左右されることになるため、連結ベースの情報、特に事業の種類・地域別の情報の重要性が高まるものと考えられます。  このような観点から、現在、企業会計審議会において検討が進められており、この六月を目途に最終報告を取りまとめる予定ということになっております。  以上でございます。(拍手)    〔国務大臣松浦功君登壇拍手
  9. 松浦功

    国務大臣(松浦功君) 木庭議員お答えを申し上げます。  持ち株会社解禁に伴う商法等対応についてのお尋ねでございますが、持ち株会社の運営の実情等に重大な関心を払いながら、今後、必要に応じ適切に対処してまいりたいと存じております。(拍手)    〔国務大臣岡野裕君登壇拍手
  10. 岡野裕

    国務大臣(岡野裕君) 木庭健太郎先生御質問の第一は、持ち株会社子会社との間の労使関係について、かような問題だったと存じます。  本件につきましては、労使間で話し合いが行われまして、二年間を目途として検討をして必要な措置を考えようと、こういうふうに相なったと利は存じております。  したがいまして、労働省といたしましては、この趣旨にのっとり、加えて国会におきますところの御論議、これを踏まえまして適切な対処をしてまいりたい、かように存じているところであります。  二番目の問題であります。これは、経済構造改革が行われる、そういう中において労働省の施策はいかが考えているか、こういう問題だと存じます。  経済・産業構造改革が行われ、各省庁の行政の規制緩和が大幅に行われるというようなことに相なります場合には、在来規制によって保護されておりました産業分野、やっぱり日が陰ってまいるということはいたし方がないことだと存じます。そうしますと、雇用調整というような必要が出てまいります。しかし、幸いなことに、規制緩和によりまして新しくビジネスチャンスが広げられ、ベンチャービジネス等を中心とした言いますならば今度は日が当たる産業分野、これが出てまいります。  したがいまして、日が陰った、そういうようなところの言いますならば雇用調整を必要とする皆さんも新しく発展をします産業分野に移動していただくということが労働行政の中心になろうかと。そのためには、技能、新しい技術というようなものを身につけていただく意味での職業訓練、これを大いにやってまいりたい。私どもは、職業紹介制度あるいは人材派遣事業規制緩和、これを施策として講じようとしているわけでありますが、そんなことで対処をいたしてまいろう。  以上であります。(拍手)    〔国務大臣佐藤信二君登壇拍手
  11. 佐藤信二

    国務大臣(佐藤信二君) 木庭議員お答えいたします。  私に対する質問は、持ち株会社関連制度のさらなる検討ベンチャービジネス支援制度改革についての質問でございました。  持ち株会社を取り巻く諸問題は、新規産業の創出、魅力ある事業環境の整備を柱とする経済構造改革の重要な課題一つでございます。  通商産業省といたしましても、持ち株会社解禁を一層実効あらしめるため、また、企業の新規事業への進出を推進する観点から、税制、会社法制等関連する諸制度見直しについて幅広い検討を行い、他省庁の協力を得て必要な改革をさらに推し進めてまいる所存でございます。  以上です。(拍手
  12. 斎藤十朗

    議長斎藤十朗君) これにて質疑は終了いたしました。      —————・—————
  13. 斎藤十朗

    議長斎藤十朗君) この際、日程に追加して、電気通信事業法の一部を改正する法律案国際電信電話株式会社法の一部を改正する法律案及び日本電信電話株式会社法の一部を改正する法律案について、提出者趣旨説明を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  14. 斎藤十朗

    議長斎藤十朗君) 御異議ないと認めます。堀之内郵政大臣。    〔国務大臣堀之内久男君登壇拍手
  15. 堀之内久男

    国務大臣(堀之内久男君) 電気通信事業法の一部を改正する法律案国際電信電話株式会社法の一部を改正する法律案日本電信電話株式会社法の一部を改正する法律案、以上三件につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。  初めに、電気通信事業法の一部を改正する法律案につきまして御説明申し上げます。  この法律案は、我が国の電気通信事業分野における新規参入の一層の円滑化及び電気通信事業者間の公正な競争促進に資するため、第一種電気通信事業の許可の基準である過剰設備防止条項等を撤廃するとともに、電気通信事業者間の電気通信設備の接続に関する制度の充実を図る等の改正を行おうとするものであります。  次に、この法律案の概要について御説明申し上げます。  第一に、第一種電気通信事業の許可の基準のうち、過剰設備防止条項等を撤廃することとしております。  第二に、郵政大臣が指定する電気通信設備を設置する第一種電気通信事業者は、当該電気通信設備と他の電気通信事業者の電気通信設備との接続に関し、接続料及び接続の条件に関する接続約款を定め、郵政大臣の認可を受けなければならないこととしております。  第三に、第一種電気通信事業者は、他の電気通信事業者から当該他の電気通信事業者の電気通信設備を接続すべき旨の請求を受けたときは、電気通信役務の円滑な提供に支障が生ずるおそれがあるとき等の場合を除き、これに応じなければならないこととしております。  第四に、電気通信事業者は、電気通信番号を用いて電気通信役務を提供する場合においては、その電気通信番号が郵政省令で定める基準に適合するようにしなければならないこととしております。  その他所要の規定の整備を行うこととしております。  なお、この法律は、公布の日から起算して六月を超えない範囲内において政令で定める日から施行することとしております。  次に、国際電信電話株式会社法の一部を改正する法律案につきまして御説明申し上げます。  この法律案は、電気通信分野における技術の進展とそれを利用した新たな役務に対する需要に対応し、国際電信電話株式会社が保有する設備及び技術の有効な活用を図る観点から、その業務として、国内における電気通信業務その他の業務を行うことができるようにする等の改正を行おうとするものであります。  次に、この法律案の概要について申し上げます。  国際電信電話株式会社の業務として、国際電気通信業務の円滑な遂行に支障のない範囲内において、同社が保有する設備及び技術を活用した国内電気通信業務等を追加することとしております。  なお、この法律は、公布の日から施行することとしております。  最後に、日本電信電話株式会社法の一部を改正する法律案について御説明申し上げます。  この法律案は、日本電信電話株式会社を日本電信電話株式会社、東日本電信電話株式会社、西日本電信電話株式会社及び長距離会社に再編成し、公正有効競争促進を図るとともに、日本電信電話株式会社の国際通信業務への進出を実現することにより、国民の電気通信役務に対する多様な需要への対応が可能となるようにする等の改正を行おうとするものであります。  次に、この法律案の概要について御説明申し上げます。  第一に、日本電信電話株式会社、以下単に会社と申します、は、東日本電信電話株式会社及び西日本電信電話株式会社がそれぞれ発行する株式の総数を保有し、これらの株式会社による適切かつ安定的な電気通信役務の提供の確保を図ること並びに電気通信の基盤となる電気通信技術に関する研究を行うことを目的とする株式会社とすることとしております。  第二に、東日本電信電話株式会社及び西日本電信電話株式会社、以下単に地域会社と申します、は、地域電気通信事業経営することを目的とする株式会社とすることとしております。  第三に、会社は、その目的を達成するため、地域会社が発行する株式の引き受け及び保有並びに当該株式株主としての権利の行使をする等の業務を営むほか、郵政大臣の認可を受けて、その目的を達成するために必要な業務を営むことができることとしております。  第四に、地域会社は、その目的を達成するため、地域電気通信業務及びこれに附帯する業務を営むほか、郵政大臣の認可を受けて、地域会社の目的を達成するために必要な業務等を営むことができることとしております。  第五に、会社及び地域会社は、それぞれその事業を営むに当たっては、常に経営が適切かつ効率的に行われるように配意し、国民生活に不可欠な電話の役務のあまねく日本全国における適切、公平かつ安定的な提供の確保に寄与するとともに、今後の社会経済の進展に果たすべき電気通信の役割の重要性にかんがみ、電気通信技術に関する研究の推進及びその成果の普及を通じて我が国の電気通信の創意ある向上発展に寄与し、もって公共の福祉の増進に資するよう努めなければならないこととしております。  第六に、会社は、新株等の発行、取締役及び監査役の選任等の決議、定款の変更等の決議、事業計画等について、地域会社は、新株等の発行、定款の変更等の決議、事業計画等について、郵政大臣の認可を受けなければならないものとする等それぞれの監督について所要の規定を設けることとしております。  第七に、附則において、会社は、施行日前において、郵政大臣の認可を受けて、国際電気通信事業を営む法人に出資することができることとしております。  その他所要の規定の整備を行うこととしております。  なお、この法律は、公布の日から起算して二年六月を超えない範囲内において政令で定める日から施行することとしております。  以上が、これら三法律案趣旨であります。(拍手)     —————————————
  16. 斎藤十朗

    議長斎藤十朗君) ただいまの趣旨説明に対し、質疑の通告がございます。発言を許します。西川玲子君。    〔西川玲子君登壇拍手
  17. 西川玲子

    ○西川玲子君 平成会の松あきらこと西川玲子でございます。  私は、平成会を代表して、ただいま議題となりました電気通信事業法の一部を改正する法律案日本電信電話株式会社法の一部を改正する法律案及び国際電信電話株式会社法の一部を改正する法律案につき、総理大臣及び郵政大臣に対し質問をいたします。  郵政省がことし二月二十八日にまとめた電気通信に関するアンケートによりますと、日本の市外通話、携帯電話などの電話料金を高いと感じる人が実に七四・九%で、多くの利用者が電話料金に不満を持っていることがわかりました。また、割引料金サービスの多様化についても、多様化で利用者の選択幅が広がるのは好ましいが、一方、多様化よりも一般の電話料金を値下げしてほしいという結果が報告されております。このように電話料金は国民の大きな関心事でございます。  ところで、日本電信電話会社の分離・分割問題は十四年間にわたり懸案とされてまいりましたが、昨年十二月六日に、分離・分割すべしと主張していた郵政省と分離・分割反対のNTTとの間で、国民には突如と思われる形で合意がなされました。いわゆる純粋持ち株会社の一〇〇%子会社の形で長距離会社を民間会社として分離し、市内電話を扱う地域会社を特殊会社として東西二社に分割することになり、また、長距離会社は国際通信にも進出できるように再編成するということです。  この十四年間、各方面からNTT分離・分割につき賛成反対の綱引きが行われてまいりました。電気通信審議会の答申も二度にわたり出された経緯がございます。しかし、結局、電気通信審議会の答申にもなかった純粋持ち株会社制ということで決着がなされようとしておりますむこの再編により、NTTは世界最大規模の一社体制を実質的に守り、郵政省は規制と権限を従前どおり維持するという形での妥協の産物ができ上がったと言ってよいと思われます。  NTTの民営化は、一九八三年、当時、橋本総理が自民党行財政調査会長であったときに決着したということでございますが、それ以来、世界の電気通信が日々大きな変化を続け、電話料金値下げに対する強い国民の世論にこたえるべく迅速にNTTを再編すべきであったのに、なぜ十四年も時をずるずるかけなければならない必然性があったのでしょうか。  そこで、まず第一に、NTT再編のために政府の決断が十四年間もの長時間を要したことに対し、総理はどのように責任を感じておられるのか、まずお伺いをいたします。  第二に、今回の再編成の理由としては、全国あまねく電話サービスの確保、東西地域会社の電話サービスの安定的提供、適正な経営、公共性の確保等が挙げられておりますが、このような目的を達成するために、持ち株会社を特殊法人とし、東西の地域会社を特殊会社とする等の今回の再編成案が、他の完全民営化等の手法に比較してどうしてこの手法が最良の手法であるのか、論理的な説明総理にお願いいたします。  第三に、NTT民営化の際、既存の電電公社法を改正してNTT会社法公布されたわけですが、民営化とは名ばかりで、NTTは電気通信事業法等の業法とNTT会社法による二重の規制を受けてがんじがらめの政府干渉を受ける仕組みになっております。すなわち、株主総会以上に郵政省に実質上の決定権が集中しております。したがって、民営化されているNTTの大事に行政官庁の干渉が容易に入るシステムとなっており、その実態は今回の改正でも基本的に変更がありません。  国はNTTの三分の二の株を持つ大株主なのですから、持ち株会社、東西地域会社を特殊会社として特別法で規制する必要はなく、株主の権利を正当に行使することにより、また、電気通信事業法等の業法の適正なる適用で十分NTTの業務を規制することができると思いますが、この点に関する総理の御見解はいかがでしょうか。  第四に、今回の改正で特殊法人が新しく二社設立されるということになりますが、行政改革観点から、そのかわりに既存の特殊法人の廃止か統合をお考えなのでしょうか。具体的にその時期と対象になっている特殊法人名をお聞かせいただきたいと思います。  第五に、女性の雇用確保の立場より総理にお伺いをいたします。  この十年間、NTTではリストラを続けてまいりました。リストラに関する男女の比率を平成七年度のデータで比較しますと、この十年で男性は三〇%減、女性は四三%減というリストラが行われてきました。今国会でも白熱した議論がなされた男女雇用機会均等の観点から見ても、この数字は女性を安易にリストラの対象としていることをあらわし、極めて問題です。  二十一世紀への視点として、男女平等に配慮し、男女が共生していく社会が目指されます。また、到来する高度情報社会にあって、インターネット時代はまさに女性が活躍する時代でもあります。今後のNTT再編に当たって、安易に女性がリストラの対象とならないよう慎重な対応を要望いたしたいと思いますが、この点を総理に御確認をお願い申し上げます。  第六に、持ち株会社の研究開発について総理お尋ねをいたします。  持ち株会社制度を今回のNTT再編成で導入した大きな理由の一つは、旧電電公社、NTTの持っている基盤的研究開発機能を低下させず存続させるために、これを一元的にNTT持ち株会社に保有させる必要があるとされています。  しかし、この目的を達成するために、これは特別に今回のような再編形態をとらなくても、例えばNTT研究機関と長距離会社、各地域会社との間で技術提携、研究開発委託契約を結ぶ等の手段により十分達成可能だと思われます。なぜこのような手法ではNTTの研究開発機能を維持できないのか、その理由をお伺いいたします。  また、国内通信はNTT、国際通信はKDDという役割が、改正案では、NTT長距離会社に国際進出を認め、KDDも国内通信業務を行えるようになっております。NTTの国際進出は総理の強い意向によるものと言われておりますが、NTTの国際進出を急ぐ余り、KDDのあり方等については十分検討されたとは思えません。  NTTの長距離国際会社が民間会社になるのですから、公正な競争の上からもKDDをいつまでも特殊法人にしておいてはならないと考えます。  政府は、KDDが世界各国に二百三十二対地という国際通信のネットワークを持っているのだから、緊急対応などに必要であるので当分の間特殊会社にするということです。しかし、他の国際通信会社の国際デジタル通信IDCは百八十六対地、日本国際通信ITJは百五十五対地というぐあいに、この一年でKDDに引けをとらないくらいの対地を結んでおります。KDDでなければ緊急の役に立たないという理由は成り立ちません。  NTTが再編成する二年六カ月の間に、KDD法を廃止して、公正な競争ができるようにすべきと考えますが、総理の御見解をお伺いいたします。  次に、郵政大臣にお伺いをいたします。  まず第一に、東日本会社から、三年間、西日本会社に非課税の赤字補てんが認められるようですが、東日本会社に比べて西日本会社になぜ非効率な経営体質が残っていて今まで改善がなされなかったのでしょうか。その主な原因、理由を具体的に御説明ください。  第二に、東日本会社よりも約一万人多い従業員の雇用を確保しつつ、どのようにして西日本会社の経営を改善していくつもりか、具体的にその方策をお示し願います。  第三に、NTTはその利益の大部分を市外通話サービスより得てまいりました。それゆえ市外通話料金を下げることは十分可能だと思いますが、今回の再編成により具体的に、いつ、どの程度市外通話料金が下がるのか、お示しください。  また、これに関し、いわゆる東西地域会社間の比較競争の実効性につき、お伺いをいたします。  東日本及び西日本会社が共通のマーケットで自由に競争することが実質的に可能であれば、電話料金の低減を招く等競争原理が働くことになります。しかしながら、西日本及び東日本会社がいわゆるテリトリーを実質上決定、配分してしまっている現状では、競争原理は働かないのではないかと考えます。平成七年度でも二百九十一億円の経常収支の赤字を有する西日本会社と千五百五十一億円の黒字を有する東日本会社との間で果たして自由競争がなされ得るのか、特に西日本会社は赤字補てんを東日本会社より受けるような状態で本当に競争原理が働くのか、極めて疑わしいと思われます。この点についての郵政大臣の御見解をお伺いいたします。  第四に、NTTとKDDのアメリカ子会社が、ことし一月に、いわゆる回線リセールと呼ばれる国際通信サービスのビジネスを申請したところ、アメリカFCCは認証を保留したとのことであります。ことし九月期限のNTT調達取り決めの延長と、NTTとKDDの外資規制の年内撤廃を理由としているようです。  ところで、平成七年度のNTTの海外企業からの調達額は千五百二十億円となっております。前年より百七十億円ほど増加をしております。また、調達した製品は、主なものは電気通信設備とその関連システムとなっております。  今、NTT東西会社にとって、優秀な交換機を内外問わず調達してコストを削減することは、電話料金の低下を促す意味からも極めて重要なことだと思います。性能がよくてコスト削減に役立つのでしたら今後もどしどし調達すべきだし、国際通信に進出するについて海外調達のあり方はより積極的に検討すべきではないかと考えますが、今後、交換機その他の電気通信設備に関し具体的にどのような海外調達の計画があるのか、郵政大臣の御見解を伺います。  最後に、NTTの今回の再編成は、国際的にも高いとされている電話料金を、国民の世論、要望を考慮し、低減させるという目的に合致した国民のための改革でなければなりません。国民に低価格で質の高い情報サービスを提供することができるNTT、KDDその他の電話通信会社を育成していかなければ、今後の国際競争対応していくことができないと考えます。  NTT及びKDDをともに特殊会社から民営化し、規制緩和のもと、国民に多種広範な安価で高質なサービスが提供される時代が近い将来到来することを希望して、私の質問を終わります。(拍手)    〔国務大臣橋本龍太郎登壇拍手
  18. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 西川議員お答えを申し上げます。  まず、NTTの経営形態問題の解決になぜ十四年を要したのかという御指摘がございました。  NTTの場合、旧国鉄を改組していきますのとは違い、民営化そのものに反論があったことを議員もあるいは御承知かもしれません。電電公社の経営は財政的にマイナスではない、このままでいいんだという議論からこの当時の論議は始まっておりました。  そして、当時既に分割化の議論もございましたが、一つは、東京という都市の通信機能が余りに巨大でありましたためにバランスのとれた分割案ができなかったこと、同時に、当時の電電公社の持ちます研究開発機能、特に基礎研究部門の低下を来さないような形がいかなる形態があるのか、こうした点に問題が残り、そのままの形で現在のNTTに移行をしたというプロセスがございます。そして、それ以来この問題についてはさまざまな御意見がございました。  今回の改革につきましては、情報通信のグローバル化、マルチメディア化といった大きな環境変化対応する必要があるという関係者の共通の認識の上に立ち結論が得られたものでありました。この分野の将来の発展に適切に対応できる体制がようやく整った、そのような思いでこれを受けとめております。  次に、これが最良である理由を言えという御指摘であります。  今回の再編成は、競争環境を整備するとともに、NTT自身を活性化することによって、我が国の情報通信産業全体の発展を図ろうと考えております。その際、全国あまねく電話サービスの確保あるいは電気通信に関する研究開発力の維持といった観点から、持ち株会社及び東西の地域会社を特殊会社とするものでありまして、現時点においてはこれが最良の手法と考えております。  次に、NTTを特殊会社として規制する必要性についてのお尋ねがございました。  NTTは、今申し上げましたような、例えば全国あまねく電話サービスの確保あるいは基盤的研究、こうしたものを推進していく責務を有し、重要な公共的な役割を担っていることから、特殊会社とすることが必要だと考えております。  なお、国はNTTの株式を保有しておりますが、株主権の行使によってNTTの業務を積極的に指導監督することを予定しているものではない点にぜひ御留意を賜りたいと思うのであります。  次に、行政改革観点から、そのかわりに特殊法人の廃止か統合を考えているかという御指摘がありました。  今回の改正は、NTTの再編成によりまして、競争条件を整備し、国際通信への展開を可能とすることを通じ、NTTの活性化、同時にこれは我が国の電気通信市場の発展を図ろうとするものでありまして、これ自体、行政改革としての意義を有するものであります。  なお、この改革との関連で個別の特殊法人の廃止、統合を行うことは考えておりません。  それから、女性が安易にリストラの対象とならないようにという御意見をいただきました。  女性であることのみを理由とした解雇あるいは退職の強要は、男女雇用機会均等法に違反するものでありますし、再編に当たり、法に違反することのないよう十分留意することが必要であると考えます。  また、基盤的な研究開発機能の維持は、そのほかのさまざまな、幾つか委員も例示に挙げられましたけれども、やり方で十分達成ができるのではないかという御意見をいただきました。  しかし、過去論議をいたしましたときに、私ども自身、当初の分割・民営を選択するかどうかの岐路に立たされたとき、海外の同様のケースを調査いたしました。そして、例えば論文数は同じぐらい提出をされていても、従来は基礎の分野において大きな業績を上げていた研究機関が、その後、経営形態を変更することによって応用分野の論文にシフトし、基礎研究からの優秀な研究が出なくなる、そうしたケースを幾つか我々は実際に見てまいりました。  今回、我々は、NTTのすぐれた研究開発のリソースの分散を避けながら、直ちには採算に乗らない基盤的研究開発というものをNTTグループ全体として円滑に推進することを担保するには今回の体制が最も適切だと、そのように考えております。  最後に、KDD法の廃止についてのお尋ねがございました。  我が国国民の利益を守る上で、常に全世界と安定的につながるネットワークを有する通信事業者が必要であります。現時点におきましては、この役割はKDDに期待せざるを得ないことから、KDDを引き続き特殊法人としているものでありますが、将来のあり方につきましては、国際通信市場の動向等を踏まえながら、時期を逸することなく検討してまいりたいと考えております。  残余の質問につきましては、関係大臣からお答えを申し上げます。(拍手)    〔国務大臣堀之内久男君登壇拍手
  19. 堀之内久男

    国務大臣(堀之内久男君) 西川議員お答え申し上げます。  NTT再編成後の東会社と西会社の効率性に関するお尋ねでありますが、両社の業務区域には、地理的条件、東京というマーケットの存在、職員数などの条件に違いがございますが、両社間の収益構造が異なる要因については、今後、分析検討を要するものと考えております。  次に、再編後の西会社の経営改善の見通しについてのお尋ねでありますが、西会社については、東会社との比較競争を通じて経営効率化が図られることが期待されておるところであります。また、新たな収益の機会を生かした増収努力なども期待されておるところであります。経営改善がそうした意味で図られるものと考えております。  次に、市外通話料金の低下の見通しについてのお尋ねでありますが、料金の引き下げは事業者の努力にまたなければならないものであります。行政が具体的な数値を申し上げることは適当でないと考えますが、今回の再編成による公正競争条件の整備を通じた競争の活性化によりまして、料金の低廉化が進むものと期待をいたしておるところであります。  次に、東会社と西会社との間の競争についてのお尋ねでありますが、今回の改正案では、東会社と西会社との間で経営成果の比較による競争を可能とし、さらに両社の相互参入も可能な制度としておることでありますので、長期的には相互の有接競争も生じ得るものと期待をいたしておるところであります。  最後に、NTTの海外からの資材調達の将来計画についてのお尋ねでありますが、海外からの資材調達額は、委員も御指摘ありましたように、立成七年度で約千五百二十億円に及んでおります。これまで順調に増加してきております。NTTにおける将来の調達計画については承知いたしておりませんが、内外を問わず、品質、価格などを総合的に勘案して適切に決定されていくものと考えております。(拍手
  20. 斎藤十朗

    議長斎藤十朗君) これにて質疑は終了いたしました。      —————・—————
  21. 斎藤十朗

    議長斎藤十朗君) 日程第一 航空業務に関する日本国政府香港政府との間の協定締結について承認を求めるの件  日程第二 航空業務に関する日本国とパプア・ニューギニアとの間の協定締結について承認を求めるの件  日程第三 所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税防止のための日本国政府と南アフリカ共和国政府との間の条約の締結について承認を求めるの件   (いずれも衆議院送付)  以上三件を一括して議題といたします。  まず、委員長の報告を求めます。外務委員長寺澤芳男君。     —————————————    〔審査報告書及び議案は本号末尾に掲載〕     —————————————    〔寺澤芳男君登壇拍手
  22. 寺澤芳男

    ○寺澤芳男君 ただいま議題となりました条約三件につきまして、外務委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。  まず、我が国と香港及び我が国とパプア・ニューギニアとの間の両航空協定は、それぞれ我が国と先方との間に定期航空業務を運営ないし開設することを目的とするものでありまして、そのための権利の相互許与、業務の運営についての手続、条件等を取り決めるとともに、指定航空企業が業務を行うことができる路線等を定めるものであります。  委員会におきましては、中国返還後の香港情勢、我が国とロシアとの航空交渉等について質疑が行われましたが、詳細は会議録によって御承知願います。  質疑を終え、順次採決の結果、両件はいずれも全会一致をもって承認すべきものと決定いたしました。  次に、南アフリカとの租税条約は、経済的交流、人的交流等に伴って発生する国際約二重課税回避目的として、南アフリカとの間で課税権を調整するものでありまして、事業所得に対する課税基準、国際運輸業所得に対する相互免税、投資所得に対する源泉地国の限度税率、外国税額控除方式による二重課税の排除等について規定しております。  委員会におきましては、我が国における外国税額控除制度に係る問題等について質疑が行われましたが、詳細は会議録によって御承知願います。  質疑を終え、討論に入りましたところ、日本共産党の立木委員より反対する旨の意見が述べられました。  次いで、採決の結果、本件は多数をもって承認すべきものと決定いたしました。  以上、御報告申し上げます。(拍手)     —————————————
  23. 斎藤十朗

    議長斎藤十朗君) これより採決をいたします。  まず、航空業務に関する日本国政府香港政府との間の協定締結について承認を求めるの件及び航空業務に関する日本国とパプア・ニューギニアとの間の協定締結について承認を求めるの件を一括して採決いたします。  両件を承認することに賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  24. 斎藤十朗

    議長斎藤十朗君) 総員起立と認めます。  よって、両件は全会一致をもって承認することに決しました。  次に、所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税防止のための日本国政府と南アフリカ共和国政府との間の条約の締結について承認を求めるの件の採決をいたします。  本件を承認することに賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  25. 斎藤十朗

    議長斎藤十朗君) 過半数と認めます。  よって、本件は承認することに決しました。      —————・—————
  26. 斎藤十朗

    議長斎藤十朗君) 日程第四 商法等の一部を改正する法律案  日程第五 商法等の一部を改正する法律施行に伴う関係法律の整備に関する法律案   (いずれも内閣提出、衆議院送付)  以上両案を一括して議題といたします。  まず、委員長の報告を求めます。法務委員長続訓弘君。     —————————————    〔審査報告書及び議案は本号末尾に掲載〕     —————————————    〔続訓弘君登壇拍手
  27. 続訓弘

    ○続訓弘君 ただいま議題となりました両法律案につきまして、法務委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。  まず、商法等の一部を改正する法律案は、会社をめぐる最近の社会経済情勢にかんがみ、会社の合併手続の簡素合理化を図るとともに、株主及び会社の債権者に対する合併に関する情報の開示を充実するため、商法、有限会社法及び株式会社の監査等に関する商法の特例に関する法律の一部を改正しようとするものであります。  次に、商法等の一部を改正する法律施行に伴う関係法律の整備に関する法律案は、商法等の一部を改正する法律施行に伴い、非訟事件手続法外四十一の関係法律について規定の整備をしようとするものであります。  委員会におきましては、両法律案を一括して議題とし、合併手続を簡素化する理由、合併における株主及び債権者保護法制審議会の審議のあり方等について質疑が行われましたが、その詳細は会議録により御承知願います。  質疑を終わり、順次採決の結果、両法律案はいずれも全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  以上、御報告申し上げます。(拍手)     —————————————
  28. 斎藤十朗

    議長斎藤十朗君) これより両案を一括して採決いたします。  両案に賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  29. 斎藤十朗

    議長斎藤十朗君) 総員起立と認めます。  よって、両案は全会一致をもって可決されました。      —————・—————
  30. 斎藤十朗

    議長斎藤十朗君) 日程第六 暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律の一部を改正する法律案内閣提出、衆議院送付)を議題といたします。  まず、委員長の報告を求めます。地方行政委員長峰崎直樹君。     —————————————    〔審査報告書及び議案は本号末尾に掲載〕     —————————————    〔峰崎直樹君登壇拍手
  31. 峰崎直樹

    ○峰崎直樹君 ただいま議題となりました法律案につきまして、地方行政委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。  本法律案は、指定暴力団の業務等に関して行われる暴力的要求行為の防止、準暴力的要求行為等の規制、指定暴力団員の集団相互間の対立抗争時における事務所の使用制限に関する規定を整備するとともに、暴力的要求行為の類型として不当債権取り立て行為を追加しようとするものであります。  委員会におきましては、暴力団対策法の施行状況とその効果、来日外国人犯罪組織の実態と対策、不法収益の実態と被害者救済策等について質疑が行われましたが、その詳細は会議録に譲ります。  質疑を終局し、採決の結果、本法律案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、本法律案に対して、附帯決議が付されております。  以上、御報告申し上げます。(拍手)     —————————————
  32. 斎藤十朗

    議長斎藤十朗君) これより採決をいたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  33. 斎藤十朗

    議長斎藤十朗君) 総員起立と認めます。  よって、本案は全会一致をもって可決されました。      —————・—————
  34. 斎藤十朗

    議長斎藤十朗君) 日程第七 日本国有鉄道清算事業団の債務の負担の軽減を図るために平成九年度において緊急に講ずべき特別措置に関する法律案内閣提出、衆議院送付)を議題といたします。  まず、委員長の報告を求めます。運輸委員長直嶋正行君。     —————————————    〔審査報告書及び議案は本号末尾に掲載〕     —————————————    〔直嶋正行君登壇拍手
  35. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 ただいま議題となりました法律案につきまして、運輸委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。  本法律案は、日本国有鉄道清算事業団の処理すべき債務が累増している状況にかんがみ、平成九年度において緊急に講ずべき措置として、政府による事業団債券に係る債務の承継その他事業団の債務に係る負担の軽減を図るための特別措置を定めようとするものであります。  委員会におきましては、平成十年度から実施することとされている国鉄長期債務等の本格的処理方策のあり方のほか、約二十八兆円に及ぶ国鉄長期債務等の内容及び累増要因、総合交通体系創設の必要性、JRが承継した鉄道事業の用に供しない土地の取り扱い、事業団整理に向けての職員の雇用確保対策等について、各般にわたる質疑が行われました。さらに、三名の参考人から具体的処理方策等についての意見を聴取いたしましたが、これらの詳細は会議録によって御承知願います。  質疑を終局し、討論に入りましたところ、日本共産党筆坂委員より反対である旨の意見が述べられ、採決の結果、本法律案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、本法律案に対し、三項目の附帯決議を行いました。  以上、御報告申し上げます。(拍手)     —————————————
  36. 斎藤十朗

    議長斎藤十朗君) これより採決をいたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  37. 斎藤十朗

    議長斎藤十朗君) 過半数と認めます。  よって、本案は可決されました。  本日はこれにて散会いたします。    午後一時二十八分散会     —————・—————