○西川玲子君
平成会の松あきらこと西川玲子でございます。
私は、
平成会を代表して、ただいま
議題となりました
電気通信事業法の一部を
改正する
法律案、
日本電信電話株式会社法の一部を
改正する
法律案及び
国際電信電話株式会社法の一部を
改正する
法律案につき、
総理大臣及び郵政大臣に対し
質問をいたします。
郵政省がことし二月二十八日にまとめた電気通信に関するアンケートによりますと、日本の市外通話、携帯電話などの電話料金を高いと感じる人が実に七四・九%で、多くの
利用者が電話料金に不満を持っていることがわかりました。また、割引料金サービスの多様化についても、多様化で
利用者の選択幅が広がるのは好ましいが、一方、多様化よりも一般の電話料金を値下げしてほしいという結果が
報告されております。このように電話料金は
国民の大きな関心事でございます。
ところで、日本電信電話会社の分離・分割問題は十四年間にわたり懸案とされてまいりましたが、昨年十二月六日に、分離・分割すべしと主張していた郵政省と分離・分割
反対のNTTとの間で、
国民には突如と思われる形で合意がなされました。いわゆる
純粋持ち株会社の一〇〇%
子会社の形で長距離会社を民間会社として分離し、市内電話を扱う地域会社を特殊会社として東西二社に分割することになり、また、長距離会社は国際通信にも進出できるように再編成するということです。
この十四年間、各方面からNTT分離・分割につき賛成
反対の綱引きが行われてまいりました。電気通信
審議会の答申も二度にわたり出された経緯がございます。しかし、結局、電気通信
審議会の答申にもなかった
純粋持ち株会社制ということで決着がなされようとしておりますむこの再編により、NTTは世界最大
規模の一社体制を実質的に守り、郵政省は
規制と権限を従前どおり
維持するという形での妥協の産物ができ上がったと言ってよいと思われます。
NTTの民営化は、一九八三年、当時、橋本
総理が自民党行財政調査会長であったときに決着したということでございますが、それ以来、世界の電気通信が日々大きな
変化を続け、電話料金値下げに対する強い
国民の世論にこたえるべく迅速にNTTを再編すべきであったのに、なぜ十四年も時をずるずるかけなければならない必然性があったのでしょうか。
そこで、まず第一に、NTT再編のために
政府の決断が十四年間もの長時間を要したことに対し、
総理はどのように責任を感じておられるのか、まずお伺いをいたします。
第二に、今回の再編成の理由としては、全国あまねく電話サービスの
確保、東西地域会社の電話サービスの安定的提供、適正な
経営、公共性の
確保等が挙げられておりますが、このような
目的を達成するために、
持ち株会社を特殊法人とし、東西の地域会社を特殊会社とする等の今回の再編成案が、他の完全民営化等の手法に比較してどうしてこの手法が最良の手法であるのか、論理的な
説明を
総理にお願いいたします。
第三に、NTT民営化の際、既存の電電公社法を
改正してNTT
会社法が
公布されたわけですが、民営化とは名ばかりで、NTTは
電気通信事業法等の業法とNTT
会社法による二重の
規制を受けてがんじがらめの
政府干渉を受ける仕組みになっております。すなわち、
株主総会以上に郵政省に実質上の決定権が
集中しております。したがって、民営化されているNTTの大事に行政官庁の干渉が容易に入るシステムとなっており、その
実態は今回の
改正でも基本的に変更がありません。
国はNTTの三分の二の株を持つ大
株主なのですから、
持ち株会社、東西地域会社を特殊会社として特別法で
規制する必要はなく、
株主の権利を正当に行使することにより、また、
電気通信事業法等の業法の適正なる適用で十分NTTの業務を
規制することができると思いますが、この点に関する
総理の御
見解はいかがでしょうか。
第四に、今回の
改正で特殊法人が新しく二社
設立されるということになりますが、行政
改革の
観点から、そのかわりに既存の特殊法人の廃止か統合をお考えなのでしょうか。具体的にその時期と対象になっている特殊法人名をお聞かせいただきたいと思います。
第五に、女性の雇用
確保の立場より
総理にお伺いをいたします。
この十年間、NTTではリストラを続けてまいりました。リストラに関する男女の比率を
平成七年度のデータで比較しますと、この十年で男性は三〇%減、女性は四三%減というリストラが行われてきました。今国会でも白熱した
議論がなされた男女雇用機会均等の
観点から見ても、この数字は女性を安易にリストラの対象としていることをあらわし、極めて問題です。
二十一世紀への視点として、男女平等に配慮し、男女が共生していく社会が目指されます。また、到来する高度情報社会にあって、インターネット
時代はまさに女性が活躍する
時代でもあります。今後のNTT再編に当たって、安易に女性がリストラの対象とならないよう慎重な
対応を要望いたしたいと思いますが、この点を
総理に御確認をお願い申し上げます。
第六に、
持ち株会社の研究開発について
総理に
お尋ねをいたします。
持ち株会社制度を今回のNTT再編成で
導入した大きな理由の
一つは、旧電電公社、NTTの持っている基盤的研究開発機能を低下させず存続させるために、これを一元的にNTT
持ち株会社に保有させる必要があるとされています。
しかし、この
目的を達成するために、これは特別に今回のような再編形態をとらなくても、例えばNTT研究機関と長距離会社、各地域会社との間で技術提携、研究開発委託契約を結ぶ等の
手段により十分達成可能だと思われます。なぜこのような手法ではNTTの研究開発機能を
維持できないのか、その理由をお伺いいたします。
また、
国内通信はNTT、国際通信はKDDという役割が、
改正案では、NTT長距離会社に国際進出を認め、KDDも
国内通信業務を行えるようになっております。NTTの国際進出は
総理の強い意向によるものと言われておりますが、NTTの国際進出を急ぐ余り、KDDの
あり方等については十分
検討されたとは思えません。
NTTの長距離国際会社が民間会社になるのですから、公正な
競争の上からもKDDをいつまでも特殊法人にしておいてはならないと考えます。
政府は、KDDが世界各国に二百三十二対地という国際通信のネットワークを持っているのだから、緊急
対応などに必要であるので当分の間特殊会社にするということです。しかし、他の国際通信会社の国際デジタル通信IDCは百八十六対地、
日本国際通信ITJは百五十五対地というぐあいに、この一年でKDDに引けをとらないくらいの対地を結んでおります。KDDでなければ緊急の役に立たないという理由は成り立ちません。
NTTが再編成する二年六カ月の間に、KDD法を廃止して、公正な
競争ができるようにすべきと考えますが、
総理の御
見解をお伺いいたします。
次に、郵政大臣にお伺いをいたします。
まず第一に、東日本会社から、三年間、西日本会社に非
課税の赤字補てんが認められるようですが、東日本会社に比べて西日本会社になぜ非効率な
経営体質が残っていて今まで改善がなされなかったのでしょうか。その主な原因、理由を具体的に御
説明ください。
第二に、東日本会社よりも約一万人多い従業員の雇用を
確保しつつ、どのようにして西日本会社の
経営を改善していくつもりか、具体的にその方策をお示し願います。
第三に、NTTはその利益の大部分を市外通話サービスより得てまいりました。それゆえ市外通話料金を下げることは十分可能だと思いますが、今回の再編成により具体的に、いつ、どの程度市外通話料金が下がるのか、お示しください。
また、これに関し、いわゆる東西地域会社間の比較
競争の実効性につき、お伺いをいたします。
東日本及び西日本会社が共通のマーケットで自由に
競争することが実質的に可能であれば、電話料金の低減を招く等
競争原理が働くことになります。しかしながら、西日本及び東日本会社がいわゆるテリトリーを実質上決定、配分してしまっている現状では、
競争原理は働かないのではないかと考えます。
平成七年度でも二百九十一億円の経常収支の赤字を有する西日本会社と千五百五十一億円の黒字を有する東日本会社との間で果たして
自由競争がなされ得るのか、特に西日本会社は赤字補てんを東日本会社より受けるような状態で本当に
競争原理が働くのか、極めて疑わしいと思われます。この点についての郵政大臣の御
見解をお伺いいたします。
第四に、NTTとKDDのアメリカ
子会社が、ことし一月に、いわゆる回線リセールと呼ばれる国際通信サービスのビジネスを申請したところ、アメリカFCCは認証を保留したとのことであります。ことし九月期限のNTT調達取り決めの延長と、NTTとKDDの外資
規制の年内撤廃を理由としているようです。
ところで、
平成七年度のNTTの海外
企業からの調達額は千五百二十億円となっております。前年より百七十億円ほど増加をしております。また、調達した製品は、主なものは電気通信設備とその
関連システムとなっております。
今、NTT東西会社にとって、優秀な交換機を内外問わず調達してコストを削減することは、電話料金の低下を促す
意味からも極めて重要なことだと思います。性能がよくてコスト削減に役立つのでしたら今後もどしどし調達すべきだし、国際通信に進出するについて海外調達の
あり方はより積極的に
検討すべきではないかと考えますが、今後、交換機その他の電気通信設備に関し具体的にどのような海外調達の計画があるのか、郵政大臣の御
見解を伺います。
最後に、NTTの今回の再編成は、国際的にも高いとされている電話料金を、
国民の世論、要望を考慮し、低減させるという
目的に合致した
国民のための
改革でなければなりません。
国民に低価格で質の高い情報サービスを提供することができるNTT、KDDその他の電話通信会社を育成していかなければ、今後の
国際競争に
対応していくことができないと考えます。
NTT及びKDDをともに特殊会社から民営化し、
規制緩和のもと、
国民に多種広範な安価で高質なサービスが提供される
時代が近い将来到来することを希望して、私の
質問を終わります。(
拍手)
〔
国務大臣橋本龍太郎君
登壇、
拍手〕