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1997-05-07 第140回国会 参議院 本会議 第22号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成九年五月七日(水曜日)    午前十一時三十二分開議     ━━━━━━━━━━━━━議事日程 第二十二号   平成九年五月七日    午前十一時三十分開議  第一 平成六年度一般会計予備費使用調書及   び各省庁所管使用調書(その2)(第百三   十九回国会内閣提出、第百四十回国会衆議院   送付)  第二 平成六年度特別会計予備費使用調書及   び各省庁所管使用調書(その2)(第百三   十九回国会内閣提出、第百四十回国会衆議院   送付)  第三 平成六年度特別会計予算総則第十四条に   基づく経費増額調書及び各省庁所管経費   増額調書(その2)(第百三十九回国会内閣   提出、第百四十回国会衆議院送付)  第四 平成七年度一般会計予備費使用調書及   び各省庁所管使用調書(第百三十九回国会   内閣提出、第百四十回国会衆議院送付)  第五 平成七年度特別会計予備費使用調書及   び各省庁所管使用調書(第百三十九回国会   内閣提出、第百四十回国会衆議院送付)  第六 平成七年度特別会計予算総則第十四条に   基づく経費増額調書及び各省庁所管経費   増額調書(第百三十九回国会内閣提出、第百   四十回国会衆議院送付)     ━━━━━━━━━━━━━ ○本日の会議に付した案件  一、永年在職議員表彰の件  一、外国為替及び外国貿易管理法の一部を改正   する法律案趣旨説明)  以下 議事日程のとおり      ——————————
  2. 松尾官平

    ○副議長松尾官平君) これより会議を開きます。  この際、永年在職議員表彰の件についてお諮りいたします。  議員斎藤十朗君は、国会議員として在職すること二十五年に達せられました。  つきましては、院議をもって同君の永年の功労表彰することといたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 松尾官平

    ○副議長松尾官平君) 御異議ないと認めます。  同君に対する表彰文を朗読いたします。    〔斎藤十朗君起立〕  議員斎藤十朗君 君は国会議員としてその職にあること二十五年に及び常に憲政のために力を尽くされました  参議院は君の永年の功労に対しここに院議をもって表彰します    〔拍手〕     —————————————
  4. 松尾官平

    ○副議長松尾官平君) 坂野重信君から発言を求められました。発言を許します。坂野重信君。    〔坂野重信登壇拍手
  5. 坂野重信

    坂野重信君 皆様お許しをいただき、私は、本院議員一同を代表して、ただいま永年在職のゆえをもって表彰されました議長斎藤十朗君に対しまして、一言お祝い言葉を申し上げます。  斎藤十朗君は、昭和四十七年十月、参議院議員に当選され、政界に入られました。その後、参議院議員通常選挙に四回連続当選され、今日まで、二十五年の長きにわたり本院議員として御活躍をされてまいりました。  本院において、君は、商工委員長議院運営委員長など枢要な役職を務められ、また、参議院自由民主党におきましては、国会対策委員長幹事長及び議員会長等の要職を歴任され、平成七年八月に、五十五歳という衆参両議院を通じ戦後史上最年少の若さで第二十一代の参議院議長に当選されたのであります。  この間、君は、参議院改革協議会座長として幾多の改革を取りまとめられ、また、議長御就任直後には参議院制度改革検討会の設置を提唱されるなど、参議院改革に並々ならぬ情熱を傾けてこられたことは、既に皆さん御承知のとおりであります。  現在、参議院改革においては、既に本会議表決における押しボタン方式導入を初め数項目にわたる具体策実現に向けて着々と進行中であります。  そして、君が、その卓越した御見識と円満なるお人柄により、議長として本院の円滑な運営に努められますとともに、議会制民主主義の確立と本院の使命達成のために文字どおり指導的な役割を果たしておられることは、衆目の一致するところであります。  一方、この間に、君は、第二次三木内閣及び福田内閣大蔵政務次官として、また第三次中曽根内閣におきましては、かつて本院議員でもありました亡き父君と同じ厚生大臣として、国政の枢機に参画し、老人保健制度改革に取り組むなど、その卓越した政治手腕を遺憾なく発揮され、我が国民主政治発展のため多大の貢献をされてこられたのであります。  ここに、我々議員一同は、君の二十五年の御功績に対しまして深甚なる敬意を表しますとともに、参議院五十周年を迎える記念すべきこの年、この月に、君が議長在任中に栄えある表彰を受けられましたことはまことに意義深いことであり、心から祝意を表す次第であります。  今日、我が国は、二十一世紀を目前に控え、経済グローバル化や少子・高齢化の急速な進展等により、行財政社会保障等々、各般にわたる改革の必要に迫られております。とりわけ「政策の府」を目指すべき参議院役割は重く、その独自性の発揮がまさに求められているところであります。  参議院五十周年の節目の年に当たりまして我々議員一同は、国民の負託にこたえ、本院が真に果たすべき使命を達成し得るよう改革を続けていく決意を新たにするものであります。  どうか、斎藤議長こおかれましては、この上とも健康に御留意され、豊かな政治経験を踏まえて、今後とも、国民のため、我が国議会制民主主義発展のため、さらには参議院の新たなる歴史を切り開いていくため、我々の先頭に立って、なお一層の御尽力を賜りますよう切にお願い申し上げまして、簡単ではございますが、お祝い言葉といたします。(拍手
  6. 松尾官平

    ○副議長松尾官平君) 斎藤十朗君から発言を求められました。発言を許します。斎藤十朗君。    〔斎藤十朗登壇拍手
  7. 斎藤十朗

    斎藤十朗君 お許しを得まして、一言御礼を申し上げたいと存じます。  ただいまは、在職二十五年のゆえをもちまして、院議をもって表彰を賜り、さらにその上、坂野重信先生より過分なる御祝辞をちょうだいし、感激で胸がいっぱいでございます。  顧みますと、私の父、斎藤昇の急逝による補欠選挙参議院の末席に加えていただいて以来二十五年、もとより浅学非才、若輩の身でありまして、国権の最高機関であるこの参議院の権威を汚さぬよう、皆様方の御指導、御叱正をいただきながら、何とか今日まで議員活動を続けてまいることができました。  ここに、当選以来、時に厳しく、また時に温かく導いてくださった諸先輩並びに同僚先生方に、そして長きにわたって御支援くださった選挙三重県民皆様に、心からの感謝の念をささげたいと存じます。  この五月二十日には、参議院が創設されて五十年という記念すべき節目を迎えます。また、現在、皆様の御推挙をいただき、まことに微力ながら議長の重責につかせていただいております。このときに栄誉ある表彰に浴しましたことは、身に余る光栄、これに過ぐることなく、終生忘れ得ないことであります。  ここに重ねて、皆様から寄せられました数々の御厚情に衷心より感謝申し上げます。  私が初めて議席を与えられましたときは、河野謙三先生議長の時代でありました。以来二十五年、参議院世紀歴史、なかんずく後半のこの二十五年の歴史は、参議院改革歴史と言っても過言でないと存じます。  健全な二院制が機能することが、議会制民主主義充実、そして国民生活の安定と豊かさにつながるという確信のもとに、いかに政府及び衆議院に対する独自性を発揮し、抑制、均衡、補完という参議院本来の役割を果たすことができるかという試行錯誤の連続でありました。  その間、正副議長党籍離脱に始まり、総予算委嘱審査、常会の一月召集、調査会制度導入国会テレビ中継など、さまざまな改革が実施され、一定評価を受けてまいりました。  現在、各会派、同僚議員の方々のお骨折りによって、昨年暮れの参議院制度改革検討会の答申に基づき、押しボタン式投票装置導入が正式に決定し、また委員会再編問題等につきましても取り組みが進んでいることは、まことに喜ばしいことであります。  ここに、関係各位の御努力に対し、深甚なる敬意を表する次第であります。  この二十五年、私にとりまして、私が社会人となってその大半の期間をこの参議院で過ごさせていただいたことになります。まことに僭越でありますが、参議院とは切っても切れない人間、最も愛着を持った人間と私自身思っております。  本日の表彰を機に、二院制のもとにおいて参議院役割を真に果たせる参議院へ向かって、一層力強く皆様方とともに歩んでまいる決意を新たにいたしております。  ここに、皆様方の一層の御指導、御鞭撻を心からお願い申し上げ、御礼のごあいさつとさせていただきます。  本日はまことにありがとうございました。(拍手)      ——————————
  8. 松尾官平

    ○副議長松尾官平君) この際、日程に追加して、  外国為替及び外国貿易管理法の一部を改正する法律案について、提出者趣旨説明を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  9. 松尾官平

    ○副議長松尾官平君) 御異議ないと認めます。三塚大蔵大臣。    〔国務大臣三塚博登壇拍手
  10. 三塚博

    国務大臣三塚博君) ただいま議題となりました外国為替及び外国貿易管理法の一部を改正する法律案趣旨を御説明申し上げます。  最近における我が国国際金融取引を取り巻く環境は、金融資本取引グローバル化エレクトロニクス化進展、欧州における通貨統合動きアジア市場台頭等背景として急速な変化を遂げております。  政府といたしましては、こうした変化対応して、我が国金融資本市場を一層活性化させるため、内外資本取引等を自由に行えるようにするとともに、外国為替公認銀行に限られている外国為替業務を完全に自由化する等、より自由な対外取引のための環境整備等を行う必要があることから、本法律案提出することといたした次第であります。  また、本法律案は、今後の金融システム改革の円滑な実現に資するものと確信いたしております。  以下、その大要を申し上げます。  第一に、法律の題名から「管理」を削除し、「外国為替及び外国貿易法」とすることといたしております。  第二に、対外取引自由化を行うため、海外預金対外貸借等資本取引及び対外支払い等に係る許可届け出制度原則として廃止することといたしております。  第三に、外国為替業務に着目した規制撤廃し、徹底した自由化を行うため、外国為替公認銀行及び両替商認可制度を廃止し、同時に指定証券会社制度も廃止することとしております。  第四に、国際収支統計作成市場動向の的確な把握等を行うため、資本取引等に関する効率的かつ実効性のある事後報告制度整備することといたしております。  第五に、我が国国際的責務を的確に果たすため、国際情勢対応して経済制裁等を機動的かつ効果的に実施できるよう所要の規定の整備を行うことといたしております。  その他、所要の措置を講ずることといたしております。  以上、外国為替及び外国貿易管理法の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げた次第であります。(拍手)     —————————————
  11. 松尾官平

    ○副議長松尾官平君) ただいまの趣旨説明に対し、質疑の通告がございます。発言を許します。海野義孝君。    〔海野義孝登壇拍手
  12. 海野義孝

    海野義孝君 ただいま議題となりました外国為替及び外国貿易管理法の一部を改正する法律案に対し、私は平成会を代表して、橋本総理並びに三塚大蔵大臣質問をさせていただきます。  初めに、先般行われた日米首脳会談についてお聞きします。  同会談に先立ち、クリントン米大統領橋本総理に対し、我が国最大目標として取り組んでいる財政構造改革に再考を促すかのような親書を届けてきました。その趣旨は、来年度の急激な財政赤字削減計画が強力な内需主導景気回復の見通しを阻害し、相当程度経常黒字増大につながりかねず、したがって、その場合は財政再建のペースに柔軟性をといった内容のものと聞いております。  これに対して橋本総理は、日米首脳会談において、財政経済など一連の構造改革を推し進めることにより、内需主導型の景気回復を確固たるものとし、現在拡大中の我が国の対米貿易黒字抑制され得ることを強調されました。  差し当たり米国政府は、我が国政府政策経済貿易動向を見守ることになりますが、緊縮財政政策や超低金利政策による消費、投資などへのデフレ効果は軽視できません。金融制度改革への悪影響も出始めております。  財政構造改革など諸改革を本格的に進めようとする重大な局面での日米首脳会談によって、総理改革に対する今後の取り組みに何らかの影響があったのかどうかをまずお伺いいたします。  次に、本改正案に入る前に、幾つかの関連質問をいたします。  まず、金融制度改革、すなわち日本版ビッグバン目的取り組みについてであります。  橋本総理金融システム改革の指示により、昨年十一月、日本版ビッグバンヘの行動が開始されてから六カ月が経過しました。今通常国会において、外為法改正大蔵省改革日銀法改正など、金融関連重要法案の審議が相次いでおります。しかし一方では、昨年の住宅金融専門会社倒産に始まり、最近の大手金融機関二十行の一角の経営再建中型生命保険会社倒産など、金融機関経営破綻が続出しております。  日本版ビッグバンヘ動きが始まったことによりこうした動きが速まったのか、あるいはビッグバンのねらいであるのか、国民一般には大変わかりにくいことであります。  バブル崩壊後の日本経済の長い閉塞状態の中にあって、我が国金融市場活性化を図り、今後四年間をかけて欧米先進諸国におくれをとった我が国金融市場の再生を目指すことは、むしろ遅きに失したと言わざるを得ません。  そこで、日本版ビッグバンの目指す目的は何であるのか、さらに目的達成のための具体的手段は何かを含めて、総理取り組みへの姿勢、御決意をお述べいただきたい。  次に、金融制度改革経済及び財政構造改革との関連についてお聞きいたします。  金融制度改革、すなわち日本版ビッグバンは、世界金融市場制度の潮流から完全に立ちおくれてしまった我が国金融システムグローバルスタンダードに近づけ、競争力を回復しようというのがねらいであります。  日本版ビッグバン自体米国英国先例とは比較にならない広範囲に及ぶ改革であります。と同時に、二十一世紀に向け進められている諸改革と相互に関連し合い影響を及ぼし合う性格のものであります。  そこで、次の二点について、総理並びに大蔵大臣のお考えをお聞きいたします。  第一点は、経済構造改革との関連であります。日本版ビッグバンの推進により、金融自由化国際競争が激化し、関連外資系製造企業などの我が国への攻勢が強まることが予想されます。その結果、高度技術産業やニュービジネスなど、我が国の将来をリードする産業発展が阻害されるのではないかという心配であります。  第二点は、財政構造改革との関連でありますが、郵便貯金及び財政投融資での公的ないし政策金融改革ができず、民間部門だけの改革に終われば、市場ルール自己責任原則に基づくグローバルスタンダードに整合した日本版ビッグバン実現できないことになります。  以上、明確な御答弁を願います。  次に、米国英国金融改革先例として、我が国金融制度改革上の留意点についてお聞きいたします。  日本版ビッグバンに踏み切らざるを得なかった最大背景は、我が国金融制度国際標準に対する後進性であり、それが国際競争力で劣勢を余儀なくされたことであります。日本版ビッグバンを推進する上で、イギリスのビッグバンやアメリカの金融自由化一定の成功をおさめた金融制度上の体制整備我が国でも急務であると考えます。  すなわち、日本版ビッグバンが推進されますと、金融機関の優勝劣敗、顧客獲得競争の激化、自己責任原則情報開示行政指導から市場原理遵守といった方向が考えられます。  こうした状況変化対応して、顧客を保護するための預金保険機構や検査監督体制など安全機構整備充実、公平な立場でトラブルを解決する顧客保護機構顧客金融機関を選定するのに資する金融機関評価機構、複数の独立した検査監督機構金融業界自主規制機構等であります。  ビッグバンを推し進める前か、あるいは推し進めるのと並行してこうした体制整備をする必要があると考えますが、橋本総理はどのようにお考えでしょうか。  さて、最近、我が国金融業界を震撼せしめるような金融機関経営をめぐる大事件が続発いたしました。一昨年以来、金融機関経営破綻が続き、その都度金融当局対応に苦慮してきましたが、いまだ統一された破綻処理ルールが確立されたとは受けとめられません。  昨年六月に金融三法がおくればせながらも成立し、金融行政透明性は前進しましたが、金融業界経営破綻の速度の方が速く、とりわけ生保業界では新保険業法に基づく保険者保護対策は後手に回っている状態であります。  このような我が国金融行政対応の未整備は、顧客投資家日本版ビッグバンに対する不信の念を高め、国際金融市場からも我が国金融行政に対する評価を低下させることが危惧されるのであります。  大蔵大臣は、さきの生命保険会社倒産に当たり「最初で最後にしたい」と発言されましたが、その後、生命保険を含む金融業界経営者に対していかなる指導をされましたか。さらに、今後の金融機関破綻に対する対応策をどのように考えておられるでしょうか。  次に、外為法改正についてお尋ねいたします。  外為法の一九四九年制定時には外為取引原則禁止、八〇年十二月の法改正では原則自由となりましたが、実際には微細にわたる事前許可届け出が義務づけられ、原則自由は名ばかりでありました。今回の法改正こそが外為管理完全自由化への抜本的改革ととらえてよいと考えます。  先ほど、大蔵大臣の本法律案趣旨説明にありましたとおり、世界金融情勢の大変化の中にあって我が国金融資本市場はひとり取り残され、金融空洞化という言葉が示すように日本市場のシェアは低下しております。そうした意味からも、このたびの外為法改正は、我が国金融空洞化を阻止し、日本市場ニューヨークロンドンと並ぶ国際金融センターに再生させるため喫緊の対策であり、むしろ改正は遅きに失したものと考えます。  そこで一つ気にかかるのは、外為法改正日本版ビッグバンフロントランナーに位置づけされていることであります。私は、本法律案が来年四月に施行されることになれば、金融空洞化をむしろ促進することになることを懸念いたします。  なぜかと申しますと、我が国の場合、外為法完全自由化以前に整備することが数多くあるからであります。例えば、株式委託手数料自由化等規制緩和撤廃税制国際標準化などを整備し、国際金融市場で対抗できる体制がなければ、外為法改正により資本の交流よりも流出が先行してしまうからであります。  本法律案施行予定の来年四月までの一年間に規制緩和税制改革等総理大蔵大臣は具体的にいかなる考えをお持ちでしょうか。  次に、外為法改正影響は多岐にわたるものと考えますが、ごく簡単に総括すれば、自由に移動する資本によって内外評価が明確になります。日本グローバル化して世界評価にたえ得るマーケットをつくらなければ、世界から取り残されてしまうリスクがあることを意味します。つまり、制度及びマーケット内外魅力の差が明確になることで資本海外流出に拍車をかける可能性があります。  マーケットヘの影響として、第一は、為替相場で円資産売り、外貨資産買いによる円安圧力が高まる。第二は、国内貯蓄流出による貯蓄投資バランス悪化を回避するため金利水準が上昇する必要がある。さらに、外為法改正財政悪化要因にもなり得ることであります。例えば、内外制度統一化のための有価証券取引税撤廃課税申告漏れによる源泉利子収入の減少などであります。  このように、外為法改正国内経済金融市場にさまざまな影響があります。大蔵大臣はこうした点についてどのように認識しておられるか、お聞きいたします。  次に、外為法改正に伴う問題点についてお尋ねいたします。  第一は、この外為法改正による金融政策への影響懸念されることであります。  改正法が実施されますと、日本企業海外外貨建て決済口座を開設し、日本国内取引決済外国にある外貨建て決済口座間の振替で行うことが可能になります。したがって、将来、日本国内金融引き締め政策が実施され、マネーサプライ抑制金利上昇が生じたとき、企業海外で低利の外貨建て資金を調達し、外貨建て決済口座に入れ、その口座振替日本国内取引決済でき、日本金融引き締め政策がしり抜けとなるおそれがあります。  今後の国内金融政策実効性について、大蔵大臣の見解をお伺いいたします。  第二は、内外資本取引等事後報告制度についてであります。  これは統計作成市場動向把握のために整備するものでありますが、具体的な内容政省令で定めることとされ、この法案には示されておりません。問題は、この事後報告制度が煩瑣なものになりますと、外為取引自由化されても金融資本取引コスト高となり、自由化効果は上がりません。このように、法律実効性を左右するような制度創設政省令に任せることについて、大蔵大臣はどのようにお考えでしょうか。  第三は、外為法改正で始まる金融の大幅な自由化は、資金の流れを多様かつ複雑にし、また資金の出所の特定、送金人の本人の確認が現在の体制に比べ非常に難しくなることが予想されます。政府として、日本金融市場がマネーロンダリングの温床にならぬような効果的な対策が必要であります。諸方策の必要性について、大蔵大臣の御所見をお伺いいたします。  第四は、有事規制の確保についてであります。  国際的責務を果たすため、国際情勢対応して経済制裁等を機能的かつ効率的に実施し得るメカニズムを確保する必要があります。さらに、国際金融上の予期せざる事態が起こり、円が危機的状態に陥った場合など、経済的有事における国益保持の観点から、為替管理の統制、危機管理をいかに行うお考えか、総理の御所見をお伺いいたします。  金融制度改革、すなわち日本版ビッグバンは、我が国金融資本市場における未曾有の壮大な実験であります。しかし、この実験は、金融資本市場活性化し、ニューヨークロンドンと比肩する東京市場を再生し、日本経済再建への骨格とするためにも必ず成功させなければなりません。外為法改正がその意図に逆らって日本金融空洞化の促進と金融不安を招かないように、橋本総理の御決意を伺って、私の質問を終わります。(拍手)    〔国務大臣橋本龍太郎登壇拍手
  13. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 海野議員にお答えを申し上げます。  まず、日米首脳会談における論議についてお触れをいただきました。我が国財政構造改革等を進めることによって高齢化社会対応しようとしている現状について、まず理解を得たところであります。  大統領から、御指摘のように、我が国経常収支黒字拡大に関する懸念の表明がございました。これにつきましては、必ずしも経常収支黒字議論することは適切ではないのではないか。なぜなら、資本取引等配当利益等がここに入ってくる。それよりも、貿易サービス収支でこそ議論すべきという論議を一つ柱立ていたしながら、我が国各般構造改革努力を進めている中で内需主導型の成長を確かなものにしていく、瞬間的にさまざまなことはあっても中長期的に御懸念のようなことはない、こうしたことを御説明し、我々としてはその後の議論をG7における大蔵大臣会合議論に移しました。そして、私は、今回の論議財政構造改革などの取り組み影響の出るようなものではないと考えております。  次に、「日本版ビッグバン」という言葉を使われましたが、私が金融システム改革皆様方にお願い申し上げております最大の理由の一つは、欧州で新通貨ユーロが誕生じようとしている、国際基軸通貨が二本立てになる、そうした中において円をローカルカレンシーにしたくないという思いがまずございます。  そして、欧米の金融システムが非常にダイナミックに変革している中におきまして、国際通貨としての円の地位向上を図りますためにも、また国民の資産の有利な運用などが重要という観点からも、自由化ルールの明確化、法制度整備などによりまして、強い決意を持って我が国金融市場が国際的なレベルの市場として台頭できるよう取り組んでまいりたいと考えております。  次に、日本金融システム改革の推進に伴い、我が国の新規産業等の発展への影響についてのお尋ねがございました。  イギリスにおけるいわゆるビッグバンが行われました結果、金融市場関係だけをとらえましても雇用が非常に拡大していった状況は御承知のとおりであります。そして、金融システム改革の推進は、新規産業等に対しリスクマネーが円滑に供給されるような環境整備にも私は資するものと考えております。  今後、資本市場整備のための店頭登録市場、未登録・未上場株式市場の改革等を進めることによりまして、リスクマネーがより円滑に供給され、新規産業等の発展に大いに寄与することを期待いたしております。  次に、郵便貯金政策金融及び財政投融資についてお尋ねがございました。  郵便貯金は、高齢化進展がとりわけ顕著な地域の住民などを含めまして、基礎的な金融サービスをあまねく公平に提供するといった意義があり、また金融自由化対応した金利設定なども行われてきている、そう考えております。  ただ、その上で、いずれにいたしましても、今後国がどのような機能を果たすべきなのか、そうした視点から聖域なく検討すべきものと考え、現在行政改革会議で検討を行っているテーマの一つであります。  また、政府金融機関が行っております政策金融につきましては、時代のニーズに合った政策課題に対応する一方で、必要性の薄くなったものあるいは民間金融で十分対応できるようになったものは除外する等、不断の見直しが必要であることは御指摘のとおりであります。  金融システム改革が進むことによりまして民間金融の機能が拡充強化されますなら、当然のことながら政府金融機関の守備範囲についてもさらに見直していくことになると思います。  なお、財政投融資自体につきましては、改革を推進するという基本方針のもとに、資金運用審議会の懇談会において本格的な検討、研究を進めていくことといたしております。  次に、顧客保護のあり方についてのお尋ねがございました。  預金者保護につきましては、昨年成立をさせていただきました金融三法において預金保険制度の拡充を既に措置いたしておりますほかに、検査監督体制につきましても、今般、金融監督庁設置法案等を提出いたしております。  また、金融取引に係る苦情・紛争処理体制など、その他の金融機関の利用者の保護のための措置につきましては、今後、金融システム改革におきまして所要の措置を講じてまいります。  なお、御意見にありました金融機関の格付を公権力の行使を責務とする監督当局が行う、これは私は必ずしも適当ではないように思いますが、その一層の定着は必要だと思います。  また、金融関係の規制緩和等についてのお尋ねがございました。  先般の規制緩和推進計画の再改定に際しまして、金融システム改革の一環として規制緩和策を最大限盛り込んできたところでありまして、その他の事項につきましても結論の得られましたものから速やかに実施していく所存であります。金融分野における税制につきましては、例えば海外送金等に係る実効性のある資料情報制度整備有価証券取引税のあり方などについて適切に対応してまいりたいと考えております。  さらに、経済制裁やいわゆる経済的有事為替管理についてお尋ねがございました。  今回の改正におきましては、国際情勢対応いたしまして経済制裁を機動的かつ効果的に実施し得る仕組みを確保いたしますとともに、御指摘のような経済的有事において資本取引等について許可を受ける義務を課す、こうしたことができる旨の規定を現行法どおり維持することとしておりまして、今後とも適切に対応してまいりたいと考えております。  最後に、外為法改正及び金融制度改革に関する決意についてのお尋ねがございました。  我が国金融市場資本市場が一層活性化をしていくこと、そのために行われる今回の外為法改正は、まさに東京市場の再生に向けた我が国金融システム改革の中において文字どおりフロントランナーの位置を占めるものであります。そして、これが成功裏に実施されることによりまして、後に続く金融システム改革全体の流れに好ましい影響を与え得るもの、そのように位置づけておりまして、一日も早い御審議と通過、成立を心から願っております。  残余の質問につきましては、関係大臣から御答弁を申し上げます。(拍手)    〔国務大臣三塚博登壇拍手
  14. 三塚博

    国務大臣三塚博君) 海野議員にお答えを申し上げます。  まず、政策金融についてのお尋ねでございます。  政府金融機関が行っております政策金融は、政策的意義が高い、よって政府による公的関与が求められる分野のうち、民間金融のみでは対応のできない分野に長期の資金を提供するものでありますことは御案内のとおりであります。先ほど総理も述べられましたとおり、不断の見直しを行っているところでございます。  財政投融資につきましては、改革を推進するとの基本的方針のもと、資金運用審議会の懇談会において本格的な検討、研究が進められているところでございます。  生命保険会社を含む金融機関に対する指導についてのお尋ねでございます。  預金者及び保険契約者を保護していくには金融機関の健全性の確保が不可欠でございます。各経営者には、そのため最大限の努力を引き続き行うよう指導いたしておるところでございます。  さらに、金融機関の破綻に対する対応策についてのお尋ねでございますが、大蔵省としては、今後とも、保険契約者、預金者保護及び保険業への信頼性の維持、信用秩序の維持を基本として、その時々のさまざまな状況を総合的に勘案いたしながら適切な対応に努めてまいりたいと存じます。  金融分野の規制緩和等について、総理からも答弁いたしたところでございますが、金融システム改革が二〇〇一年までに完了するプランをまとめるべく、本年六月を目途に関係審議会等で審議を行っておるところでございます。  金融分野の税制については、資料情報制度整備に加え、金融システムの抜本的な改革対応し、適切公平な課税の観点から見直してまいりたいと存じます。  外為法改正経済界への影響についてでございますが、今回の改正は、我が国金融資本市場の一層の活性化に資するのみならず、広く我が国経済全般に好ましい影響を与えるものと考えております。  なお、為替相場金利水準、税収等については、さまざまな要因により決定されるものでございまして、今回の外為法改正による影響を一概に論じられるものではないと考えておるところでございます。御理解を賜りたいと存じます。  外為法改正国内金融政策実効性との関係についてのお尋ねでございますが、これまでも相当程度資本取引自由化を行ってきておるところでございます。今回の改正が直ちに金融政策の有効性に大きな影響を与えるものとは考えておらないところであります。  また、外為法改正は効率的で厚みのある金融市場の構築を目指すものでございます。金融政策を含め、さまざまな面で望ましい環境の形成につながるものと考えておるところでございます。  事後報告制についてのお尋ねでございます。  効率的かつ実効性のある制度整備することといたしており、改正案では、新たな報告の章を設け、報告の対象を可能な限り法律上明示いたしたところでございます。  政省令では報告の不要な場合や具体的な手続等について定めることといたしておりますが、その制定に当たりましては報告者の負担軽減に十分配慮してまいりたいと考えておるところであります。  最後になりましたが、マネーロンダリング防止のための方策についてのお尋ねであります。  改正法案においては、近時の国際的な議論動向も踏まえつつ、両替業務を行う者等に対する本人確認義務や現金等の支払い手段の輸出入に係る事前届け出制度を規定し、適切に対応することといたしております。  以上であります。(拍手
  15. 松尾官平

    ○副議長松尾官平君) これにて質疑は終了いたしました。      ——————————
  16. 松尾官平

    ○副議長松尾官平君) 日程第一 平成六年度一般会計予備費使用調書及び各省庁所管使用調書(その2)  日程第二 平成六年度特別会計予備費使用調書及び各省庁所管使用調書(その2)  日程第三 平成六年度特別会計予算総則第十四条に基づく経費増額調書及び各省庁所管経費増額調書(その2)  日程第四 平成七年度一般会計予備費使用調書及び各省庁所管使用調書  日程第五 平成七年度特別会計予備費使用調書及び各省庁所管使用調書  日程第六 平成七年度特別会計予算総則第十四条に基づく経費増額調書及び各省庁所管経費増額調書   (いずれも第百三十九回国会内閣提出、第百   四十回国会衆議院送付)  以上六件を一括して議題といたします。  まず、委員長の報告を求めます。決算委員長野沢太三君。     —————————————    〔審査報告書は本号末尾に掲載〕     —————————————    〔野沢太三君登壇拍手
  17. 野沢太三

    ○野沢太三君 ただいま議題となりました平成六年度一般会計予備費使用調書及び各省庁所管使用調書(その2)外五件につきまして、決算委員会における審査の経過と結果について御報告申し上げます。  予備費関係六件は、憲法及び財政法の規定に基づき、平成七年二月から平成八年三月までの間の予備費の使用等について、国会の事後承諾を求めるため提出されたものであります。  それらの主な費目について申し上げますと、まず一般会計の予備費使用は、老人医療給付費負担金の不足を補うために必要な経費、水俣病対策に必要な経費、災害救助負担金の不足を補うために必要な経費、特定原料用カンショ集荷特別対策に必要な経費などであります。  次いで、特別会計の予備費使用は、食糧管理特別会計輸入食糧管理勘定における調整勘定へ繰り入れに必要な経費、及び外国為替資金特別会計における外国為替等売買差損の補てんに必要な経費であります。  また、特別会計予算総則の規定に基づく経費の増額は、郵便貯金特別会計一般勘定における支払い利子に必要な経費、道路整備特別会計における道路事業及び街路事業の調整に必要な経費などであります。  委員会におきましては、第百三十九回国会閉会後において、既に平成六年度予備費関係三件について、これらを一括議題とし、大蔵大臣から説明を聴取し、予備審査を行っております。  今国会においては、本年四月十一日、予備費関係六件の衆議院からの送付を受けて、去る五月一日の委員会において、平成七年度予備費関係三件について大蔵大臣から説明を聴取した後、平成六年度及び七年度の予備費関係六件を一括して議題とし、予備費の当初予算計上額の減額についての考え方、老人医療給付費負担金等、連年続く義務的経費への予備費使用、予備費案件の提出区分等について質疑が行われましたが、その詳細は会議録に譲ります。  質疑を終わり、討論に入りましたところ、平成会の山下理事より平成六年度一般会計予備費(その2)及び平成七年度一般会計予備費に反対、その他の予備費関係四件には賛成、自由民主党の吉川理事より予備費関係六件に賛成、日本共産党の緒方理事より平成七年度一般会計予備費及び平成七年度特別会計予備費に反対、その他の予備費関係四件には賛成の意見がそれぞれ述べられました。  討論を終わり、採決の結果、平成六年度一般会計予備費(その2)、平成七年度一般会計予備費並びに平成七年度特別会計予備費はいずれも多数をもって、その他の予備費関係三件はいずれも全会一致をもって、それぞれ承諾を与えるべきものと議決されました。  以上、御報告申し上げます。(拍手)     —————————————
  18. 松尾官平

    ○副議長松尾官平君) これより採決をいたします。  まず、日程第一の予備費使用総調書について採決をいたします。  本件を承諾することに賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  19. 松尾官平

    ○副議長松尾官平君) 過半数と認めます。  よって、本件は承諾することに決しました。  次に、日程第二、第三及び第六の予備費使用総調書等三件について採決をいたします。  本件を承諾することに賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  20. 松尾官平

    ○副議長松尾官平君) 総員起立と認めます。  よって、三件は全会一致をもって承諾することに決しました。  次に、日程第四の予備費使用総調書について採決をいたします。  本件を承諾することに賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  21. 松尾官平

    ○副議長松尾官平君) 過半数と認めます。  よって、本件は承諾することに決しました。  次に、日程第五の予備費使用総調書について採決をいたします。本件を承諾することに賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  22. 松尾官平

    ○副議長松尾官平君) 過半数と認めます。  よって、本件は承諾することに決しました。  本日はこれにて散会いたします。    午後零時二十六分散会      ——————————