○山本正和君 私は、社会民主党・
護憲連合を代表して、ただいま
議題となりました
政府提出の
平成九
年度予算三案に
賛成、
平成会提出の修正三案に
反対する立場から
討論を行うものであります。
橋本内閣がその命運をかけて取り組んでいるのが、
行政改革、
財政構造改革を初めとする六大
改革であります。二十一
世紀の到来を間近に控え、世界各国は大競争時代に向けた準備を着々と進めております。
我が国も新しい時代に
対応していくためには、痛みを恐れることなく、既存の社会
経済システムに大胆にメスを入れていかねばなりません。その意味からも、この六大
改革を成功させなければなりません。
とりわけ、六大
改革の骨格をなす
財政構造改革では、昨年末に決定した
財政健全化目標を二年前倒しするとともに、十
年度はマイナス
予算編成を目指すなど、まさに不退転の決意も表明されたところであります。
政府三案は、このように
歳出全般にわたり厳しく抑制する中で
経済構造改革や
福祉等必要な分野には相応の配慮が行われるなど、限られた財源の中で効率的、重点的な
予算配分が行われておるのであります。
以下、
政府三案に対する
賛成の主な
理由を申し述べます。
賛成する第一の
理由は、
政府案が
財政健全化への取り組みを反映し、
歳出抑制の
努力や
予算の重点配分が随所に見られる点であります。
四兆円を超える大幅な公債減額を受け、一般
歳出の伸びは、
消費税率
引き上げを見込んだ物価上昇率一・六%を下回る一・五%に据え置かれており、
平成元
年度以降最も低い伸びとなっております。これは九
年度を
財政構造改革元年と位置づけ、
財政構造改革に真摯に取り組む橋本内閣の不退転の決意のあらわれであります。
また、防衛
関係費については、十分ではないにしろ、総額では前
年度を下回る二・一%の伸びにとどめております。
賛成する第二の
理由は、
経済構造改革に対する積極的な取り組みが見られる点であります。
国際的競争が激化する中で、
我が国の
経済構造改革を進めるため、科学技術振興費は前
年度当初比一一・九%増と二けた増の
予算が計上されております。
また、中小企業対策では、
我が国経済の活力の源である中小企業が現在の
構造改革の流れに積極的に
対応し創造性に富んだ
発展を遂げていくために、
情報化や産業の集積
活性化対策に新たな
予算が計上されるなど、総額では五年ぶりにプラスの伸びに転じております。
賛成する第三の
理由は、新ゴールドプラン、緊急保育対策及び障害者対策等、
国民に身近な施策についてきめ細かな配慮がなされている点であります。
在宅・施設サービス基盤の
整備を着実に
推進するため、ホームヘルパーの大幅な増員が
確保されているほか、サテライト型デイサービス
事業の実施が盛り込まれ、さらにエイズ総合対策や感染症対策の
推進にも配慮された
予算が計上されております。
ここで、
政府案の執行に対する我が党の基本的立場について申し上げます。
昨年末に
政府案が発表されて以降、
国民各層から、
歳出構造の
見直しが不十分であることや、暑気の先行きが不透明の中で
負担増を強いられることへの批判をちょうだいしてまいりました。私たちは、
国民のこうした声に対し、率直に耳を傾けていかなくてはならないと
考えます。
政府におかれましては、
予算の執行段階で、従来の既定
経費の節減額を大幅に上回る取り組みを進め、その節減分は
国民の
負担増への対策や中堅所得者救済策に充当すること、軽減税率の導入を含めた
消費税の抜本
改革に着手すること、
医療保険制度改革に対しては安易に患者
負担や保険料
負担に訴えるのではなく構造的な赤字を生む制度そのものの根本的な
改革に取り組むことの三点を強く要望いたします。
以上が
政府三案に
賛成する
理由でありますが、
平成会提出の修正三案は我が党の意と異なるものがあり、
財政再建の立場から
反対せざるを得ません。
沖縄県は、第二次大戦において、
我が国唯一の激烈、酸鼻をきわめた地上戦によって、県民十二万二千二百二十八人の戦没者、
米軍一万二千五百二十人を含む二十万人を超える戦没者を出したのであります。そして、この犠牲が結果的に
米軍の本土上陸を妨げたことは記録に明らかであります。
戦後五十年、今日、
沖縄の
米軍基地は全国の七五%を占め、
沖縄本島においてはその面積の約二〇%を占めているのであります。これは
我が国が
締結した日米安保
条約に基づくものであり、
我が国の安全がこの
条約によって守られているとするならば、重ね重ねの犠牲を
沖縄県民に強いながら、本土は安寧をむさぼっていると言わなければなりません。
一方、
沖縄の県民所得は全国最下位、東京の半分強、また、失業率は
平成八年五月で七・四%と、全国平均の二倍をはるかに上回っているのであります。
基地は、かつて銃剣によって奪われた住民の歴史の重みをまざまざと示しているのであります。
今、期限切れとなろうとしている
基地の使用継続をめぐって、特措法の改定に大田
沖縄県知事や
沖縄県議会は
反対の意思表明をされています。私は、
我が国の
政府が
一つの県の知事と議会の
意見を顧みず、また、
法律上の問題を指摘されているにもかかわらず、
国会の多数の同意が得られるからといって法改正を行い問題を
解決したとするならば、
我が国の
政治史上の一大汚点となることを危惧いたします。また、日米安保
条約の有効な運用、ひいては日米両国の提携にも問題が生じないかを懸念いたします。
沖縄県民の
反対の
理由を
政府はさらに聞くべきであります。
沖縄県民に対し犠牲を強いていることをわび、
条約上の義務を果たすことと
沖縄県民の理解を得られることを相対峙したものとしないための
努力をすることであります。
アメリカ下院は、本月十一日、四百三対十六という圧倒的多数で
沖縄県民への感謝決議を上げ、アメリカ上院でも近く行われようとしております。
我が国会が
沖縄県民への犠牲についておわびやねぎらいの決議を行ったことがあったでありましょうか。
沖縄の
基地問題は、単に
基地の問題ととらえるべきではないと思うのであります。三十年前、
米軍政下の中で本土復帰を訴えた
沖縄の皆様が、日の丸の小旗と
日本国憲法の小冊子を力の限り振っておったその姿を私は忘れられないのであります。
総理に申し上げたい。
沖縄振興のための施策を
沖縄県の要請にこたえて決断を持って示していただきたい。また、県が示したアクションプログラムを取り上げ、真剣に
検討することを表明していただきたい。さらに、特措法の改正を論ずる前にあらゆる手段を尽くしていただきたい。
私は、以上申し上げたことが当面の
基地問題
解決への道筋を示すものであり、そのために我が党も力を尽くすことを表明し、
討論を終わります。ありがとうございました。(
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