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1997-01-24 第140回国会 参議院 本会議 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成九年一月二十四日(金曜日)    午前十時一分開議     ━━━━━━━━━━━━━議事日程 第三号   平成九年一月二十四日    午前十時開議  第一 国務大臣演説に関する件(第三日)  第二 平成六年度一般会計歳入歳出決算平成   六年度特別会計歳入歳出決算平成六年度国   税収納金整理資金受払計算書平成六年度政   府関係機関決算書  第三 平成六年度国有財産増減及び現在額総計   算書  第四 平成六年度国有財産無償貸付状況計算   書     ━━━━━━━━━━━━━ ○本日の会議に付した案件  一、裁判官弾劾裁判所裁判員、同予備員裁判   官訴追委員及び同予備員辞任の件  一、裁判官弾劾裁判所裁判員等各種委員選挙  以下 議事日程のとおり      ——————————
  2. 斎藤十朗

    議長斎藤十朗君) これより会議を開きます。  この際、お諮りいたします。  遠藤要君及び一井淳治君から裁判官弾劾裁判所裁判員を、長谷川清君から同予備員を、荒木清寛君から裁判官訴追委員を、南野知恵子君及び山崎順子君から同予備員を、それぞれ辞任いたしたいとの申し出がございました。  いずれも許可することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 斎藤十朗

    議長斎藤十朗君) 御異議ないと認めます。  よって、いずれも許可することに決しました。      ——————————
  4. 斎藤十朗

    議長斎藤十朗君) この際、欠員となりました  裁判官弾劾裁判所裁判員二名、同予備員一名、  裁判官訴追委員一名、同予備員二名の選挙を行います。  つきましては、これら各種委員選挙は、いずれもその手続を省略し、議長において指名することとし、また、裁判官弾劾裁判所裁判員予備員裁判官訴追委員予備員職務を行う順序は、これを議長に一任せられたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 斎藤十朗

    議長斎藤十朗君) 御異議ないと認めます。  よって、議長は、  裁判官弾劾裁判所裁判員井上裕君及び照屋寛徳君を、  同予備員菅野久光君を、  裁判官訴追委員久保亘君を、  同予備員竹村泰子君及び小島慶三君を、 それぞれ指名いたします。  なお、裁判官弾劾裁判所裁判員予備員職務を行う順序は、菅野久光君を第四順位といたします。  また、裁判官訴追委員予備員職務を行う順序は、第二順位矢野哲朗君を第一順位に、第三順位鈴木栄治君を第二順位に、竹村泰子君を第三順位に、小島慶三君を第四順位といたします。      ——————————
  6. 斎藤十朗

    議長斎藤十朗君) 日程第一 国務大臣演説に関する件(第三日)  昨日に引き続き、これより順次質疑を許します。竹山裕君。    〔竹山裕登壇拍手
  7. 竹山裕

    竹山裕君 私は、自由民主党を代表して、経済構造改革金融システム改革農林漁業沖縄問題を中心に、総理初め関係大臣質問をいたします。  我が国経済は、緩やかな回復基調にあるものの、中小企業経営雇用状況は依然厳しく、最近は、株価の下落低迷為替相場円安傾向に見舞われております。これは超低金利政策にもかかわらず産業空洞化など経済の先行き不透明のため、景気の自律回復力が弱いことが背景にあるからであります。こうした状況を打破するには、従来型の経済政策では対応不可能と考えるところであります。  世界経済は、社会主義経済の崩壊に伴い、市場経済圏が十億人規模から四十億人へ急膨張をしつつあり、大競争時代に突入したと言われております。そして、二十一世紀の新世界秩序は、企業が国を選ぶと言われており、そこに求められるものは、成長改革中心とした本質的な変革が必要とされております。  こうした環境変革対応して、政府は、規制緩和産業空洞化対策、高コスト構造是正などを含む経済構造改革を発表したのでありますが、まず第一にお伺いしたいのは、こうした改革によってどのような産業構造雇用状況になるのか、我が国経済の姿を総理からお聞かせ願いたいのであります。  改革は、絶えず既得権との闘いと言われております。改革が大きければ大きいほど未来への処方せんとしての意義は大きくなりますが、一方では、事業転換に伴うあつれきにより新たな問題が生じることも考えられます。殊に、規制緩和や高コスト構造是正によって中小企業者消費者に大きな痛みが生じるとすれば、経済活性化を目指す構造改革意義は薄れると思うのでありますが、これらの変革に伴う対策はどうなっているか、総理にお伺いします。  経済構造改革によって生み出される大きな経済的な効果で、いかにこのような構造摩擦を少なくし痛みを包みいやしていくか、政治の大きな課題であります。そのためには、新産業分野への事業転換、円滑な労働力移動などに十分な対策が講じられていくべきでありますが、あわせて方針を御説明願います。  次に、今後、我が国経済の動向を大きく左右する金融システム改革について伺います。  昨年、国民の大きな批判を浴びた金融機関の不祥事や住専の乱脈不良債権問題を契機に、金融行政金融機関あり方を根本的に見直して信用回復を図るとともに、市場規律の確立、市場活性化のため、金融システム改革を図ることが急務であります。このことは、表示市場がニューヨーク、ロンドンに取引高で大きくおくれをとっていることにあらわれております。このままでは金融資本市場空洞化し、産業高度化あるいはベンチャー企業などへの円滑な資金供給ができなくなるとの懸念が生じかねません。  このため、新世紀入りの二〇〇一年、平成十二年を目指して、規制緩和中心金融機関国際競争力の強化などを図る金融制度改革、いわゆる日本版ビッグバン推進することが日本経済発展の不可欠の条件整備であります。これには、銀行と証券などの相互乗り入れ金融持ち株会社の導入、業務規制株式委託売買手数料自由化などをできるだけ集中的に実施し、大きな相乗効果を生み出すことが望まれます。業務規制自由化などは二段階で実施すると伝えられていますが、ばらばら、五月雨的な対応にならないように、まさにビッグバン的な効果を期待しているのであります。  そこで伺うのでありますが、大蔵大臣は、日本版ビッグバンを実施するに当たって我が国の目指すべき金融システムをどのように認識されておられるのか、また、この改革によって利用者は具体的にどのような利益を享受することができるのか、御答弁をいただきたいのであります。  しかも、現下の経済情勢をおもんぱかりますと、できるだけ早く前倒しして実施すべきと考えますが、この点もあわせてお答え願います。  行政改革の試金石であり、金融システム改革のスタートでもある大蔵省改革は、金融機関検査監督一体のものとして大蔵省から分離し、総理府外庁を新設する与党案が昨年末にまとまりました。できるだけ大蔵省からの独立性確保していくことは大切でありますが、それにしても、業務停止命令などの緊急の事態やG7などにおける金融問題の協議において、金融全体の安定性信頼性確保のために金融企画立案を所管する大蔵大臣はどのような役割を担ったらよいのか、大蔵大臣の見解をお伺いいたします。  金融システム健全化を図るためには、日本銀行独立性政策運営透明性確保が重要と考えますが、目下、大蔵省金融制度調査会日銀法改正について検討中であると伺っております。日本銀行に対する政府監督あり方等について日本銀行との間に調整すべき事項が残っており、例えば日本銀行最高意思決定機関である政策委員会政府意見が異なった場合、政府議決延期請求権を認める等の案も検討されているようであります。政府中央銀行との関係をどうするかは日銀法改正の根幹にかかわる重要なことでありますので、この点いかがお考えか〉総理大臣にお伺いいたします。  次に、地域経済社会国土保全、そして国民生活に重要なかかわりを持つ農林漁業振興食糧安定供給課題について言及したいと思います。  ことしの新春宮中行事歌会始での天皇陛下のお歌は、「うち続く田は豊かなる緑にて実る稲穂の姿うれしき」、これこそが豊葦原瑞穂の国の本来の姿なのであります。  農林業多面的機能は、民族の生命線である食糧の生産はもとより、災害防止水資源酒養を初めとする国土保全基本をなすものであり、広い意味での地方の振興都市国民生活を守ることにつながるものであります。また、先般発表になった総理府の「食料農業農村役割に関する世論調査」では、食糧は外国産より高くついても国内産がよいとする層が前回の三年前の調査より多く、八三・四%を占め、食糧自給志向が強まっております。  世界人口は二〇五〇年に九十八億人と現在の一・七倍になり、厳しさを増す環境制約問題等を考慮すると、食糧問題がますます深刻化していく心配が大であります。このように長期的な展望に立って、発想を転換し、国土環境保全を含む農林業多面的機能を適正に評価するとともに、先進的な農業経営を展開し、食糧自給力を高めるための画期的な政策を新しい基本法の中に打ち出すべきと考えますが、総理大臣農林水産大臣の御所見を伺います。  昨年の通常国会において、海の憲法とも言われる国連海洋法条約の締結を承認し、関連法規制定され、昨年春以来、政府日韓・日中の漁業交渉を粘り強く重ねられております。  新たな海洋秩序形成対応していくためには、我が国水産業全般に対する施策あり方について抜本的に見直す段階に来ております。漁獲量の減少、魚価の低迷等の厳しい状況が続く中で日本水産業をどのように展望振興されようとしているのか、水産基本法制定をも含め、農林水産大臣基本的な方針お答えを願います。  また、本年十二月には京都において、二十一世紀における地球温暖化防止のための重要な国際会議が開催されることになっております。今国会環境アセスメント制度についての法案提出予定と伺っております。環境破壊が深刻化する中、地球規模の視点で環境保全に真剣に取り組み国民的合意形成を図っていくときでありますので、環境庁長官方針をお聞かせ願います。  最後に、沖縄の基地問題と沖縄振興策についてお尋ねいたします。  昨年一月、橋本内閣が発足して以来、この一年、総理が並々ならぬ決意を持って沖縄基地問題に取り組み、昨年十二月には沖縄に関する特別行動委員会いわゆるSACO最終報告日米間で合意され、特に普天間飛行場全面返還総理の強力なリーダーシップによって実現に至ったことに対し、心から敬意を表するところであります。  しかし、最終報告に盛り込まれた沖縄米軍基地の約二一%、五千二ヘクタールの返還について、既に反発が生じている移転先自治体などの理解を得ながら政府みずからが設けた期限内返還実現するには相当困難な作業が予想されます。また、総理の強い意向で最終報告に明記されたと言われる普天間飛行場代替ヘリポート海上建設案についても、地元経済界中心に、沖縄経済により効果が大きく、北部地域振興をも視野に入れた案が提唱されているようであります。これらの問題を含め、今後の返還作業に向けた橋本総理の御決意をお伺いしたいと思います。  ことしは沖縄本土復帰二十五周年に当たります。この四半世紀の間、米軍基地等の事情から、沖縄効果的な自立的産業振興が困難な状況にありました。総理御自身、沖縄県民の心のわだかまりに本土の我々が鈍感であったことをおわびしたいとの発言をされておられます。米軍基地整理・縮小を進める一方で跡地利用を含めた沖縄振興策を着実に推進することは、沖縄県民に対する重大な政治責任であります。  沖縄県は、日本アジア太平洋地域とを結ぶ経済交流協力の拠点となる国際都市形成構想のもとで、自由貿易地域活性化航空運賃の値下げやノービザ制度などの観光振興情報産業振興を求めております。政府はこれまで合計八十八件の振興事案を三十四件にまで絞り込んでいると承知していますが、今後、沖縄県との協議をさらに進めながら、政府としていかなる方針のもと具体的な沖縄振興策推進していくかが大きな課題であります。この課題に国を挙げて取り組んでいくことが沖縄県民との信頼関係を一層強め、二十一世紀アジア太平洋時代とも言われる中、日本の新たな展望を切り開くことになります。  総理沖縄振興基本方針を伺って、私の質問を終わります。(拍手)    〔国務大臣橋本龍太郎登壇拍手
  8. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 竹山議員お答えを申し上げます。  まず冒頭、経済構造改革を実行した場合の産業構造雇用状況についてのお尋ねがございました。  「経済構造変革創造のためのプログラム」は、空洞化懸念、急速な高齢化の進展の中マ豊かな国民生活を支えながら経済活力を維持するために策定したものでございます。このプログラムに従いまして経済構造改革を着実に実行していくことによりまして、経済効率性柔軟性を高めながら、産業競争力を伴った高付加価値型の産業構造実現され、その結果、質の高い雇用機会確保できるものと、そのように考えております。  なお、経済社会のニーズの変化に伴いまして今後成長が期待される情報通信環境関連バイオ関連などの十五分野におきまして、今後二〇一〇年までに七百四十万人程度の雇用の増大を見込んでおります。  また、経済構造改革に伴う痛みについて御意見をいただきました。  私は、その痛みを恐れて改革の歩みを緩めたりあるいは先延ばしをする、そうした考え方に立つのではなく、現在及び将来の豊かな国民生活実現するという観点から、強い決意を持って経済構造改革に取り組んでまいる決意でございます。  しかしながら、改革を進める、その結果一部の方々に現実に痛みを生じる、これは事実でありまして、こうした痛みへの適切な対応を欠けば、国民の間にいたずらな不安を招くことにもなりかねません。こうした観点から、「経済構造変革創造のためのプログラム」におきましても、規制緩和によって重大な影響を受ける事業者に対する構造改善あるいは新分野進出のための支援などの環境整備、さらに労働力移動円滑化に資する「参入しやすく転出しやすい労働市場」の構築のためのさまざまな制度の見直しを行うことをあわせて明らかにしているところでありまして、こうした点も踏まえながら、国民各位の御理解をいただき、円滑に経済構造改革を進めてまいりたいと考えております。  次に、政府中央銀行との関係について御意見がございました。昨年の中央銀行研究会報告におきまして、「日本銀行には様々な業務があり、政府との関係についても業務に応じて自ずと違いがある」と指摘されております。そのうち、金融政策分野での政府中央銀行関係につきましては、「日本銀行金融政策政府経済政策との整合性確保するための明確な仕組みを用意する必要がある」と指摘されておりまして、お尋ねのありました議決延期請求権につきましてもこれらの関係議論をされているものでございます。  いずれにいたしましても、日本銀行改革につきましては、中央銀行研究会報告基本方針に沿いながら、現在、金融制度調査会で御審議をいただいているところでありまして、政府日本銀行関係等も含めまして、その御審議を踏まえ検討してまいりたいと考えているところでございます。  次に、農林業の多面的な機能を適正に評価し、食糧自給力を高めるための施策という御指摘がございました。  たしか本院でも御答弁を申し上げた記憶がございますけれども、議員御承知のように、一昨年のAPECの議長国として日本は、二十一世紀におけるアジア成長制約要因一つとしてこの食糧の問題を世界的にも打ち出しております。そして、そうした情勢を踏まえまして新しい基本法について、農業農村というものをめぐる情勢変化にかんがみながら、農林業の有する多面的機能の位置づけ、先進的な農業経営の育成、食糧自給力確保等、まさに議員指摘の点も踏まえながら、新たな基本法制定に向けて本格的な検討を進めてまいりたいと考えております。  次に、SACO最終報告に関連してのお尋ねをいただきました。  沖縄米軍基地につきましては、この問題を政府が抱える最重要課題一つとして位置づけながら、普天間飛行場返還を初めSACO最終報告に盛り込まれました措置を着実に実施していくため、地元皆様方の御理解、御協力を求めながら、あらゆる努力を払ってまいろうといたしております。  その沖縄振興策につきましては、現在、大田沖縄県知事もメンバーに入っていただいております沖縄政策協議会において、沖縄振興策を具体的に検討していただいておるさなかでございます。また、先般、沖縄米軍基地所在市町村懇談会から提言がなされました。内閣として、その実現のために最大限の努力をする決意でありますし、いずれもその推進のために平成八年度補正予算及び平成九年度予算において所要の手当てを行っております。  今後とも、懇談会提言あるいは政策協議会における検討の結果、当然のことながら、県知事さんがおられて沖縄の声というものはここに反映されていくわけでありますが、この検討の結果を踏まえ、沖縄振興内閣を挙げて取り組んでまいります。  残余の質問につきましては、関係大臣より御答弁を申し上げます。(拍手)    〔国務大臣三塚博登壇拍手
  9. 三塚博

    国務大臣三塚博君) 竹山議員お答えを申し上げます。  いわゆる日本版ビッグバン天地創造言葉ビッグバンでありますが、十年前、英国経済低迷の中でサッチャー主導による金融改革が大胆に行われ、その成功が今日にあります。それをたたえる言葉としてビッグバンと言われておるわけでございますが、御案内のとおり、内容は金融システム改革についてであり、そのお尋ね、三点ございます。  我が国金融市場をこの改革により、国民資産運用の場としても、また企業、特に新規産業資金源の場としても、さらに国際金融センターといたしましても十分な機能を持つものにすることを目指しておるところであります。この改革実現をいたしますと、多様な商品やサービスの中から幅広い選択をすることが可能になるなど、先進国の中でも国民の側から見まして使い勝手のよい金融市場実現するものと考えておるところでございます。  本改革は、遅くとも二〇〇一年までに完了するという明確な期限を示しております。今後、各方面において精力的に検討を進め、結論の得られるものから速やかに実施をしてまいる所存でございます。まず、外為法につきましては、改革フロントランナーとして改正法案を今国会に提出するべく鋭意準備を進めておるところでございます。  第二点の御質問でございます。金融危機管理体制について、業務停止命令など、G7等における金融問題協議など、まさに金融全体の安定性信頼確保するためにはどういう役割を果たすべきかという御質疑でございます。  金融危機管理体制につきましては、金融検査監督庁大蔵省との間の連携あり方を含めまして、与党合意の御趣旨を踏まえつつ、万般の詰めを行ってまいる所存であります。また、G7蔵相会議などの国際会議を通じて各国の蔵相と引き続き緊密に連携協力をし、国際金融市場の安定に努力をしてまいる所存であります。(拍手)    〔国務大臣藤本孝雄登壇拍手
  10. 藤本孝雄

    国務大臣藤本孝雄君) 新しい基本法につきましては、その制定に向けまして、現在、本格的な検討を進めているところであります。  いろいろな検討課題がございますが、その中でも先般総理府が実施いたしました「食料農業農村役割に関する世論調査」などにあらわれております国民方々意識や、先ほどの竹山議員が御指摘の点をも踏まえつつ検討を深めまして、二十一世紀における我が国農業農村発展国民生活の向上のための新たな農政の指針をつくり上げていきたいと考えております。  次に、水産政策に関する基本的な方針についてのお尋ねでございますが、我が国水産業を取り巻く厳しい状況の中で、その振興を図り、水産物を安定的に供給していくため、関係者及び有識者から成る水産政策検討会におきまして、現在、新たな基本法制定という問題をも念頭に置きつつ、我が国水産業が直面する課題中心検討を行っているところであります。(拍手)    〔国務大臣石井道子登壇拍手
  11. 石井道子

    国務大臣石井道子君) 竹山議員環境問題に対します御質問お答えさせていただきます。  今日、環境問題は、国内的にもまた地球的に見ましても極めて重要な政策課題でございます。特に、ことしの十二月には地球温暖化防止京都会議が行われます。二十一世紀地球温暖化対策の国際的な枠組みを定めることとなります重要な会議でございまして、開催国といたしまして積極的にリーダーシップを発揮してまいる所存でございます。  我が国は、世界第四位の二酸化炭素排出国でございます。会議を成功させるためにも排出削減を着実に進めていく必要がございます。このため、政府一体となっての省エネルギー・新エネルギー対策推進いたしまして、環境保全に向けた政府みずからの取り組みとして率先実行計画を実施いたしまして国民意識の高揚を図りますとともに、地方自治体の御協力もいただきながら、国民総ぐるみ取り組みを広く推進してまいりたいと思っております。  また、御指摘のありました環境アセスメント制度は、環境汚染を未然に防止し、総合的な環境保全を図る上で極めて重要な施策でございます。その的確な推進を図る必要があると存じております。  環境庁といたしましては、国民の期待にこたえるとともに、地球温暖化防止京都会議を控えまして、国際的にも我が国環境保全に取り組む積極的な姿勢を示すために、近く取りまとめられます予定中央環境審議会の答申を踏まえまして、環境影響評価法案を今国会に提出する考えでございます。(拍手)     —————————————
  12. 斎藤十朗

    議長斎藤十朗君) 小野清子君。    〔小野清子登壇拍手
  13. 小野清子

    小野清子君 私は、自由民主党を代表して、社会保障構造改革、女性問題、教育改革及び内外価格差等について、総理並びに関係大臣にお伺いいたします。  我が国は、戦後、目覚ましい経済成長を遂げ、その中で私たちは豊かな国民生活実現し、社会保障充実を図ってまいりました。今や世界一の長寿国家であり、それを支える社会保障制度も、年金医療制度など世界の国々と比べても見劣りのしないものとなっております。  一方で、寝たきりの高齢者の増加に対応いたしまして介護保険制度早期創設が求められ、また、急速な少子化の進行に対し、働く女性に対する支援策充実など子育て環境整備急務となっております。社会保障国民生活の基盤を支えるものであり、私たちは二十一世紀の少子・高齢社会を健やかに安心して暮らせる社会とするため、社会保障に対する国民の要望に的確に対応していかなければなりません。  近年、経済の低成長や危機的な財政状況など、我が国経済社会は非常に厳しい状態に直面しております。特に、社会保障に要する費用は人口高齢化に伴って増加していかざるを得ませんが、だからといって将来を担う子供たち財政赤字のツケや過重な負担を課すことは許されません。今こそ、私たち経済状況と調和した社会保障制度を構築していかなければならないのであります。  例えば、福祉国家と言われるスウェーデンにおいても年金の抜本的な改革検討されており、日本においても、積極的に構造改革取り組み国民的な議論合意のもとに、我が国の実情に即した改革を断行していくことが必要であります。  そして、介護保険創設契機として、さらに医療保険制度、あるいは医療福祉年金等社会保障全般にわたる制度横断的な構造改革を行うことにより、効率的で公平公正な社会保障制度を再構築していく必要があると思います。総理の御所見と御決意をお伺いしたいと思います。  次に、いまだに男女差の大きい女性問題についてお伺いをいたします。  昭和六十一年に男女雇用機会均等法が施行されまして十年が過ぎ、法律の見直しの審議が行われました。この均等法の取り扱いをさらに進める上での具体的な方策について論点が整理をされ、去る十二月十七日に、雇用分野における男女の均等な機会及び待遇の確保のための法的整備について労働大臣に建議が出されました。  全労働力人口総数に占める女性の割合は四〇・五%、二千七百一万人、女性労働力率は五〇%であり、女性の労働界に果たす役割は大変大きなものがあります。しかしながら、女性平均賃金は男性に比べ平成七年は六二・五%にすぎません。職域の拡大や女性の管理職の登用についても十分とは言える状態ではなく、女性自身が男性と対等に職場の基幹的労働力として働いていくのだという意識を一層強め、固定的な性別役割分担意識にとらわれることなく実力をつけていく努力も必要であります。  また、新卒女子学生の就職状況は、超氷河期という言葉が示しますように大変厳しく、男性と比べてその差は歴然としたものがあります。この差をいかに平等に近づけるのか、いかなる方法でこの氷河を解かされるのか、労働大臣にお伺いをいたします。  また、女性は家庭と育児、人によっては介護、そして仕事と、何役かを受け持って生活をしております。男性も家事労働への参加が進んでおりますが、仕事を持つ女性の家事労働時間が、欧米が平均三時間二十分なのに対し、日本は三時間二十九分。男性の有職者を比較しますと、欧米が平均一時間五十三分に対し、日本は三十一分と際立って短く、日本は家庭生活の中でも男女共同参画社会としての、バランスがとれた状態ではありません。  ともに意見を出し合い協力して家庭生活社会生活、そして暮らしやすい世の中をつくっていくためには、女性の意見がさまざまな場所で生かされ、その基となる女性基本法制定急務であります。特に、審議会において女性の割合をふやす等、発言や政策決定への機会を得られるよう配慮されなければならないと思うのですが、総理の御所見をお伺いいたします。  次に、二十一世紀の次世代を担う教育改革についてお伺いいたします。  いついかなる時代においても国づくりのもとは人づくりにありと、常に教育は国政の重要課題であります。総理は、五つの改革に、一月一日、新たに六つ目の改革として教育をつけ加えられましたが、教育の成果は歳月を経てあらわれてくるものだけに、その改革に取り組むに当たっては、未来を見通した先見性とともに、勇気と決断と努力とその積み重ねによる歳月が必要であり、その成否が二十一世紀我が国発展に大きな影響を及ぼしてくるものと考えられます。  地球市民時代と言われるこれから、コミュニケーション能力一つとっても、何年も教育を受けながら会話一つできない英語教育、また、論理的議論を闘わすディベート能力など、自分の意見効果的に表現する力不足が国際比較でもはっきり指摘されております。さらに、国際社会に生きていく上で自国の文化や歴史を正しく認識することが大切であり、その基盤があってこそ他国の歴史や文化に対する正しい態度が育成されるものだと思います。  慰安婦問題に関する歴史教科書の記述も、思春期というこの時期に教科書の中で教えなければならないのか、次代を担う子供たちが母国である日本という国に誇りが持てるような教育が行われているのか、疑問を持つ一人でもあります。アトランタ・オリンピックの帰りにこの夏ボストンへ寄りまして、日本からの留学生たちと会食をした折に、僕たちは自分の国に誇りを持つ教育を教わらなかったと言われ、私はその言葉に胸をつかれました。このような状況を踏まえますと、教科書検定制度見直しの検討も必要ではないかと考えております。  また、いじめの問題は、かけがえのない若者の命さえ奪う深刻な事態となっております。従来よりさまざまな対策がとられておりますが、一向に改善の兆しが見えません。さらに、薬物乱用の問題、援助交際に見られるような性の問題など、青少年を取り巻く環境は健全なものとはほど遠いものとなっており、激動の時代を生き抜いていく若者の育つ環境を健全なものにしていくことは私たち大人の責務であります。  六三三制度改革や中高一貫教育等とあわせて、これからの教育には、人間としてどう生きるべきかという哲学や、ともに生きていく上での倫理観というものをまず家庭で教え、はぐくみ、そして地域社会で、それから学校でと連携しながら取り組んでいくべきであると思います。総理はどのような人づくりを念頭に教育改革に取り組まれるのか、御所見をお伺いしたいと思います。  次に、日本版フルブライトについて伺います。  国際社会に積極的な貢献をしていく意味でも、アジア等の諸国からの留学生の受け入れを進めていくことは重要なことであります。今から十年余り前に出されました二十一世紀初頭の留学生受け入れ十万人計画の達成が困難な状態にあるとの報道がなされております。アメリカのフルブライト制度では、学んだ学生がアメリカが好きになり、帰国をしてからその技術、知識、考え方を自国の発展に有効に役立てていると聞きますが、日本の大学に留学したアジア地域の学生の中には、逆に日本嫌いになって帰国する者さえいると言われております。このたびの教育改革の中で、この問題についてどのように取り組んでいかれるのか、文部大臣のお考えを伺いたいど思います。  次に、我が国のスポーツの振興について触れたいと思います。  昨年夏に開催されましたアトランタ・オリンピック大会は、近代オリンピック百周年に当たる記念すべき大会でありました。しかしながら、IOCに加盟する全世界百九十七カ国・地域すべてが参加をいたしましたこの大会において、我が国は、個々の選手の健闘はあったものの、金メダル三個、銀メダル六個、銅メダル五個と合計十四個のメダルを獲得するにとどまりました。これは世界各国の中で二十一番目に位置し、先進七カ国、G7の中では最下位であり、アジアでも競技力の向上に力を注いでおります中国、韓国に大きく水をあけられるという残念な結果に終わりました。  そうした状況の中で、オリンピックでメダルがとれなくてもいいのではないかという、いわばあきらめにも似た声が聞かれますが、オリンピックは聖火に象徴されますように、スポーツを通じて人間の尊厳と平和のとうとさを希求する場であり、もとよりメダルを獲得することがすべてではありません。しかし、他方において、オリンピックは、人種、民族、国家、宗教を超えて世界各国の選手が一堂に会し、世界共通のルールのもとに互いの競技水準を競い合うことを通じ、喜びと感動、友情を分かち合う世界的な祭典であり、それゆえにこそ各国の選手がメダルを目指して全力を尽くし、また、国民も自国の選手を心から応援し、期待をかけるというものです。  現在、子供たちの体力、運動能力が調査を始めました昭和三十九年以来最低値であるということと相まって、我が国の国際競技力が低下傾向にあるということは、我が国社会が活力を失っている一つのあらわれとさえ思えてならないのであります。  総理は、年頭の所信として、我が国社会に活力を取り戻し、日本を本当の意味で豊かで自分の国としてプライドの保てる国にしていくために行動を起こすべきであると述べられました。国際社会において政治的にも経済的にも重要な地位を占めている今、政治経済のみならず、スポーツ、文化、科学等あらゆる面でバランスのとれた国として国際社会における役割を果たしていくことが世界の人々から理解され評価されることにつながっていくのではないでしょうか。  我が国の選手が世界的レベルで活躍することは、次代を担う青少年を初めとする国民に夢や感動を与えるとともに、スポーツヘの関心を高め、国民が健康で活力ある長寿社会を築くことにもつながることであり、このことの重要さは今さら申すまでもありません。  政府としても、スポーツの国際競技力の向上と国民のコミュニティースポーツの振興を重要な政策としてこれまで以上に積極的に取り組むべきであると考えますが、総理はいかがお考えでしょうか。  また、そのための具体的諸施策を早急に講じる必要があると考えますが、スポーツを所管する文部大臣のお考えをお聞かせ願いたいと存じます。  終わりに、いつも財布の中身を気にいたします生活者の立場で一言触れたいと思います。  毎日の家計に響く消費者物価は、昨年度マイナス〇・一%とわずかに下落し、安定的に推移いたしました。しかしながら、内外価格差を見ますと、我が国の物価水準は総じて高く、東京はニューヨーク、ロンドンの一・五、六倍であり、エネルギー関係食料品などは二倍前後、品物によってはそれ以上の差があります。  特に、電気、ガス、水道などの公共料金は家計支出に二八%と大きなウエートを占め、四月から公共料金の値上げが伝えられていますが、特別減税の廃止も含め国民負担が増大いたしますとき、公共料金の値上げについては消費税のアップ分とそれ以外のコスト増加を明確にし、コスト増は効率化によって吸収をして、値上げを極力抑制していくことが重要ではないでしょうか。総理大臣に、公共料金のあり方、値上げの抑制についてお考えを伺いたいと思います。  特に、規制緩和が進展する中で、生活の利便性あるいは安全性の確保日本特有の非常に複雑な流通の改革等も含めて内外価格差の是正が大いに期待され、我が国の物価水準を地球家族と言われます二十一世紀には国際的なレベルへ近づけることが何よりも強く望まれるところでございます。政府は、そのために何をどのように改革しようとしているのか、具体的にわかりやすく示し、理解しやすいように広報活動をしていく必要があると思います。  国民の目線で生活の質的な向上安定を図る新感覚の政策について、最後に総理にお伺いし、橋本総理の勇気あるリーダーシップに期待をし、私の質問を終わります。(拍手)    〔国務大臣橋本龍太郎登壇拍手
  14. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 小野議員お答えを申し上げます。  まず、社会保障構造改革についての御意見がございました。  急速な少子・高齢化の進展に伴う国民の需要は、当然のことながら変化をいたします。これに適切にこたえると同時に、医療年金福祉などを通じて給付と負担のバランスがとれ、かつ経済活動と両立し得るサービスの選択、民間活力の発揮といった考え方に立った効率的で安定した社会保障制度を確立しなければならない、これは御指摘のとおりでありまして、そうした視点に立って社会保障構造改革を進めてまいります。その第一歩として、介護保険制度創設及び医療保険制度改革について今国会で御審議をお願いしたいと申し上げておるところでございます。  次に、女性基本法審議会への女性の参画促進について御意見をいただきました。  基本法につきましては、男女共同参画審議会の答申の中におきまして、男女共同参画社会実現を促進するための基本的な法律について御提言をいただき、政府としても検討すべき重要な課題と受けとめております。  また、審議会への女性の参画の促進につきましては、従来までも目標を設けて努力をしてまいりました。昨年五月に男女共同参画推進本部で新たな目標を決定いたしましたが、この目標の達成に向けて一層の努力を傾注していきたいと考えております。  次に、例えば自分の意見効果的に表現する力の向上、文化や歴史の正しい認識、教科書検定の制度の見直しの検討、こうした御意見も踏まえながら教育改革についてのお尋ねがございました。  まさに、これからの教育、そこで必要なものは、みずから課題を見つけ、みずから考え表現する力と同時に、正義感あるいは他人に対する思いやりの心など豊かな人間性と我が国の伝統や文化についての深い理解をはぐくんでいくことが重要である、私も御指摘のとおりだと思います。同時に、個々人の多様な能力を伸ばしながら、創造性あるいはチャレンジ精神、こうしたものを重視した教育への転換も必要だと考えております。その中において、自分のふるさと、自分の国というものを愛する気持ちも当然養われていかなければなりません。  御指摘のとおりに、学校、家庭、地域社会連携も重要な視点であり、教育はこの国のすべてのシステムの基盤である、どうした認識のもとに、教育制度改革、弾力化など、教育改革の積極的な推進に取り組んでまいりたいと思います。  また、御自身のすばらしいスポーツ選手としての経歴、現在のスポーツ指導者としての立場を踏まえられながら、我が国のスポーツについての御提言がございました。  我が国の選手が国際的に活躍をし、また、国民の多くがスポーツに親しむ。それは御指摘のように、我が国社会に活力を取り戻す、そして我が国を本当の意味で豊かな、プライドを保てる国にしていくという上でも極めて大切なことでありますし、青少年の健全育成という観点からもこうした点についての努力を一層払っていくことは我々も当然のことと思います。  そうした場合に、従来、議員ともしばしば議論をさせていただいてきたことでありますが、いかにしてボランティアの方々を含めて地域における優秀なリーダーを確保するか、そしてその方々に、例えばみずからの仕事と両立をさせながら活動を続けていただける環境をどうっくるか、こうした点について従来から議論をさせていただいてまいりました。こうした.ことも視野に入れながら、今後ともスポーツの国際競技力の向上あるいは国民のコミュニティースポーツの振興というものに積極的に取り組んでまいりたいと考えております。  また、消費税の税率の引き上げに伴う公共料金の取り扱いについての御質問がございました。  改定申請がなされます場合には、円滑かつ適正な転嫁を基本とし、物価などに及ぼす影響に十分配慮し、厳正に取り扱ってまいるつもりであります。その際には、可能な限り税負担の転嫁分とそれ以外の部分とを区別して公表するなど、利用者方々の十分な理解が得られるよう努めてまいるつもりであります。  次に、内外価格差の是正縮小など、生活の質的向上を図るための施策について御意見がございました。  特に、内外価格差問題は、国民生活の豊かさを実感できない大きな原因、そして企業にとってもその活動における高コスト構造をもたらす、まさに現在の日本経済が直面する構造問題のあらわれでございます。このために、政府としては、引き続き生活費などについて内外価格差の実態把握に努めますとともに、高度情報通信、物流、金融、土地・住宅、雇用・労働、医療福祉などの分野中心とする規制の撤廃緩和推進するなど、経済構造改革を大胆に実行し、その効果をもってこれにこたえたいと考えております。  残余の質問につきましては、関係大臣から御答弁を申し上げます。(拍手)    〔国務大臣岡野裕君登壇拍手
  15. 岡野裕

    国務大臣(岡野裕君) ただいま小野清子先生からは、職場におきますところの男女の差別、この問題について非常に厳しいおしかりと、はたまた温かいお励ましとをちょうだいいたしました。  先生もおっしゃいましたとおり、男女雇用機会均等法、施行されまして十年の歳月を費やしたところでございます。職場におきましても、その服務管理においてある程度の前進は見たもの、そしてまた、一般社会意識、これも男女は均等な扱いをすべきだというような観念が相当前進をしてまいった、こう思っておりますが、企業は極めて数多い、そしてなおかつ多様であります。先生がおっしゃったような、まだまだという面があちらこちらにありますことを十分私どもも肝に銘じているところでございます。  したがいまして、今般、先生がおっしゃいました婦人少年問題審議会、諸先生にお諮りをいたしまして、一歩前進するという法律案を準備し、今国会で御審議をちょうだいいたしたい、こう思っております。  この一歩前進と私が申し上げましたのは、在来は、職場においては男女の差別をしないように努力をしようという努力規定ということでございました。しかし、十年やってまいったその経験を踏まえまして、これからは男女の差別をしてはならないという禁止規定に変えてまいろうということであります。  同時にまた、私どもがいろいろ勧告を申し上げても、いかんせんそのとおり直していただけないというところには、制裁的な規定でございますけれども、その企業名を公表することによって当該企業の反省を促してまいろうということ。あるいは、在来は、そういった差別扱いを受けたというその女性雇用者の方が調停申請しようと思いましても一方的にはできなかったのであります。それを今度は、そういった受けた方が一方的に調停申請ができるというふうに改めたい。  加えてまた、それぞれの企業に応じまして、差別を絶対しない、そして女性の皆さんが均等に扱われるようなもろもろの積極的な施策というものを講じられるところにおきましては、政府の方から雇用保険の資金等を通じましてこれを助成するというような措置をやってまいる傍ら、労働基準法上、女性雇用者の皆さんに課せられた規制というものもひとつこの際緩和をしてまいろう。  あれやこれやの施策を講ずることによりまして、やはり女性の皆さんが職場においても持てる力を十分的に発揮ができ、そしてかつそれが正当に評価ができるようになり、先ほど総理からもお話がございましたが、家庭生活と職場生活とを両立し、よってもって男女共同参画型社会に私どもとしてもさおを差してまいりたい、こう思っている次第でございます。よろしくまたお願いをいたします。ありがとうございました。(拍手)    〔国務大臣小杉隆君登壇拍手
  16. 小杉隆

    国務大臣(小杉隆君) 小野議員から教育改革につきまして貴重な御意見また御提言をいただきました。ただいま総理の総括的な御答弁がございましたので、私からは具体的に留学生問題とスポーツの振興に絞ってお答えをしたいと思います。  留学生の問題につきましては、我が国の国際貢献という立場から極めて重要な問題であり、同時に私たち日本の国際化にも寄与するものであるということで、教育改革の一環として取り組んでまいりたいと考えております。  御指摘のように、現在、外国人留学生が五万四千人、目標の半分を超えたところでありますが、伸び悩んでいる状況を踏まえまして、文部省としても、このたび各方面の有識者から成る留学生政策懇談会というものを設けまして、本日その第一回会合を開催することになっております。今後、この懇談会において、より多くの留学生が日本の知識や技術を学んで自国の発展に役立てると同時に、御指摘のように、日本との友好のかけ橋となるようなそういった観点からの我が国がとるべき政策に関して、文部省として政策を精力的にやってまいりたいと思っております。  次に、スポーツの振興についてのお尋ねであります。  現在、具体的に申し上げますと、平成九年度予算におきまして、国際競技力の向上のためのスポーツ科学センター、この建設を具体的に進めることになりました。また、いわゆるナショナルトレーニングセンターのあり方に関する調査研究にも着手することにしております。また、各地域における強化拠点を整備するための事業などの施策を新たに盛り込んでおります。また、地域におけるいわゆるコミュニティースポーツの振興のために、地域住民のニーズにこたえたスポーツ環境整備するためのスポーツタウン推進事業等の施策を新たに盛り込んだところであります。  さらに、昨年の十二月に保健体育審議会に対しまして諮問を行いまして、人々がライフステージに応じたさまざまなスポーツに親しめるように、スポーツプランの策定とそのための条件整備とともに、今後の我が国の国際競技力の向上方策について検討をお願いしたところであります。  今後とも、国民のコミュニティースポーツの振興を初め、国際競技力の向上のために積極的に取り組んでまいりたいと存じます。  以上であります。(拍手)     —————————————
  17. 斎藤十朗

    議長斎藤十朗君) 山本正和君。    〔山本正和君登壇拍手
  18. 山本正和

    ○山本正和君 私は、社会民主党・護憲連合を代表し、さきに行われた橋本総理の施政方針演説に関して、総理を初め関係大臣質問いたします。  質問に先立って、ペルー大使公邸占拠・人質事件の解決と、ロシア船籍タンカー・ナホトカ号の沈没に伴う重油流出問題の解決のための一層の取り組み政府に要望しておきます。  総理は、所信において、政治の使命を強調され、改革には痛みが伴うことを指摘されました。そして、六つの改革に不退転の決意で取り組むことを表明されました。私は、今国会を明るく活力のある、そして思いやりに満ちた二十一世紀日本をつくるための大切な議論の場といたしたいと考え、以下の質問を行います。  まず最初にお伺いしたいのは、六つの改革の前提としての理念の問題であります。  大きな政府を効率的な小さな政府にという声があります。社会保障の中で自己責任分をふやせという意見もあります。そして、ついには学校教育の自由化の声すら聞こえてまいります。端的にお伺いしたいのは、経済規制社会規制を混同した議論に対する総理の見解であります。社会の活力を増すためにさまざまな規制を撤廃することと、社会的弱者を守り国民の安全と人権を保障することとのけじめをどうつけるかということであります。総理の言う六つの改革には弱者への配慮が前提でなければならないと思いますが、改めて御所信を問いたいのであります。  次にお伺いしたいのは、我が国が迎えようとしている二十一世紀世界における役割であります。  地球社会は、発展途上国に示されるように、その人口の増大と消費するエネルギー資源問題が解決されなければならない課題となっております。また、民族、宗教の違いなどから生まれる局地紛争が絶えません。  私は、我が国がこの地球から戦争と貧困をなくすためのさまざまな役割を背負うべきだと考えます。その意味から、国際社会における我が国固有の主張をもっと強調するべきであります。例えば政府開発援助にしても、日本の援助の基本理念を示すものとして一九九二年に閣議決定されたODA大綱の四原則を世界に明示し、武器輸出国に対しては援助しないこと等を徹底すべきではないでしょうか。総理の御所見を伺います。  次に、世界のエネルギー問題についての我が国役割であります。  地球規模環境危機と資源問題に直面している今日、クリーンな再生可能エネルギーの導入は焦眉の急であります。政府は、九四年十二月の総合エネルギー対策推進閣僚会議で新エネルギー導入大綱を決定しておりますが、コスト高などから普及が進んでいないのが現状ではありませんか。  敗戦によってすべてが失われた我が国は、石炭から石油、そして原子力へとエネルギー問題に対応してきた経験を持っております。そして今、政府はエネルギー問題を二〇三〇年を目途とした検討に取り組んでおります。化石燃料を超えて、太陽光、風力等を含めた新エネルギー開発の展望が開けつつあるのであります。戦後、我が国がエネルギーとしての石炭、石油、そして原子力を国策として研究開発したその取り組みを新エネルギーの開発に向け、地球社会のクリーンエネルギー先進国として貢献すべきだと考えますが、総理並びに通産大臣の御見解を伺います。  次に、財政構造改革についてお伺いいたします。  その前に、先ほど総理から御答弁がありました日銀法の問題で要望しておきます。  総理大蔵大臣、三重野さんが日銀総裁のときにも予算委員会で申し上げましたが、いやしくも日銀の独立性については十分尊重されるように対応されることをこの際申し上げておきたいと思います。  財政構造を改革するに当たって忘れてはならない視点を幾つか申し上げます。  大変乱暴な意見を耳にいたします。財政悪化を招いた原因が社会保障であるかのような議論、そして削減せよというふうな議論であります。そして、ヨーロッパにおいても福祉が削減されているではないかという議論であります。しかし、この議論は、日本とヨーロッパにおけるもともとの社会保障水準の違いを軽視したものであります。ヨーロッパでは高齢者ケアなど社会サービス分野に関する削減は行われていないことは、同僚議員の皆様のっとに御承知のことでございます。  もとより、少子・高齢社会対応した社会保障の新規ニーズにこたえ得る構造改革は必要であります。そして、時代の要請に沿った社会保障制度の確立に力を尽くさなければなりません。確かにこれまでの社会保障は、所得の平等という観点、弱者救済という観点で強く支えられてきたのでございますが、今後は低所得者等の限られた人々だけが対象ではなく、必要な人が必要なサービスを権利として享受できる普遍主義の定着が必要であります。おくれが目立っている高齢者介護、育児、障害者ケアなどの社会サービスの充実を図るとともに、そのための大胆な財政シフトが必要であります。  以上の見解を申し上げた上で、大蔵大臣お尋ねいたします。  従来、我が国は、一律抑制を原則とするシーリング方式をとってまいりました。これは総量規制においては成果を上げましたが、多くの例外事項を設けたために、財政の膨張体質を国民生活の向上という立場から見直す、この点では力不足だったことを認めざるを得ないと思うのであります。それはシーリングが財政危機の負担を均等に受けとめることについては有用であっても、縦割り行政の壁は打ち破り得ないからであります。    〔議長退席、副議長着席〕  したがって、シーリング方式そのものの見直しだけではなく、シーリング方式が有効に機能し得なかった予算の編成過程それ自体に対しても、国民の目に見える情報公開を前提にしてメスを入れなければなりません。  国民の視点に立った新たな財政構造を構築するためには、従来の常識ではできません。しかし、例えば水増し要求を防止できる措置を講じた上で、当初予算額に対し節約された額は各省庁が次年度みずからの判断で優先する施策に歳出できるいわゆるメリット型予算、この導入も検討に値するのではないでしょうか。  また、非効率や地域的なばらつきとともに、その高コスト体質がっとに指摘されている公共事業費の見直しにも早急に着手しなければなりません。その際、効果が期待できると思われる一つの例でありますが、欧米諸国で法律上公表が義務づけられている費用便益分析の採用であります。費用、便益ともに計算が難しく、場合によっては過大評価となる危険性も存在します。しかし、公表して衆目にさらされることにより、コストに見合った投資であるかどうかについて適正な市場原理や国民判断が働く余地は格段に大きくなります。  メリット型予算あるいは費用便益分析、こういったさまざまな観点からの新しい見地について、そして今後の財政改革展望についての大蔵大臣の御所見をお伺いしたいのであります。  次に、財政構造改革と同様に去る国政選挙においても大変大きな国民の関心事となりました消費税率の引き上げ問題、なかんずく逆進性緩和に係る課題についてお尋ねいたします。  ことし四月からの消費税率アップに伴う措置としていわゆる社会的弱者対策が、厳しい財政状況にもかかわらず一千五百億円増額されました。これは与党三党の真剣な協議の中ででき上がったことであります。また、消費税の持つ逆進性の抜本的な緩和策として、EC型のインボイス方式を前提とした軽減税率採用に関し、引き続き取り組みを進めることも与党三党で合意されたのでございます。国民的な要請にこたえようとする与党の真摯な姿勢のあらわれとして評価できると考えております。  しかしながら、成案に達したとはいえ、このような限定的な所得保障の手法では限界があることについては、与党税制協議会の一員であった私のみならず、与党全体の共通認識になっております。  改めて言葉を重ねるまでもないのでありますが、消費税の持つ逆進性とは、適正な所得把握が実現できた段階で初めて確定するのであります。幾ら創意工夫に満ちた逆進性緩和策を講じようと、適正な所得把握が前提とならない限り機能いたしません。したがって、納税者番号制の早期導入によってまず所得を正確に捕捉するべきであります。個人所得課税における応能負担原則の重要性、資産課税の適正化のみならず、総合的な逆進性緩和策がその期待された役割を果たしていくためには、納番制の導入は不可欠であります。今後の税制改革の最優先の課題となるべき重みを持っております。  そもそも納番制の導入は、現下の厳しい財政上の制約とは無縁であります。政治の決断さえあれば実現できるのであります。一九九四年九月に自由民主党、新党さきがけ、日本社会党がまとめた与党税制改革大綱において、二十一世紀初頭の導入に向けて積極的に取り組むとの合意が得られております。懸念されているプライバシーの保護には万全を期すこととし、国民議論を踏まえて民主的な積み上げを行うのであれば、納番制導入について消極的である理由は全くないはずであります。  消費税に対するいまだ根強い国民的なアレルギーは、単に負担がふえるからということよりも、実は現行税制の所得捕捉機能のゆがみから生ずる不公平感が大きく影響しているからとも言えます。この現実にも思いをはせていただき、消費税について今後検討されるべき課題と納税者番号制度についての大蔵大臣の見解をお示しいただきたいのであります。  次に、医療保険制度改革についてお尋ねいたします。  我が国医療保険制度は、一九六一年に国民皆保険体制が整って以来たび重なる改正を経て国民生活の間に定着いたしております。しかしながら、国民医療費は今日、年間二十七兆円に達し、人口高齢化等によって毎年一兆円を超えるペースで増加し続けております。財政は深刻かつ構造的な赤字に陥っております。私は、この際、医療費のあり方とその改革に本格的に取り組むべき時期に来ていると考えるのであります。  国民医療費の増大に対し、しかしながら行政の側もまた汗を流す努力が不可欠であります。国民理解と納得が得られるような医療提供体制と医療保険体制を示すことなく安易に患者の負担増だけを先行させては単なる赤字対策にすぎません。国民に負担増の理解を求めるためには、現行制度の欠陥を正す努力がまず必要であります。  平成九年度においても、薬価基準の見直し等の徹底した効率化及び診療報酬における技術の質の適正な評価等の制度改革を行う必要があります。そのことによって生ずる負担の軽減を国民に明示すべきであると考えます。総理並びに厚生大臣の御見解を伺います。  また、医療保険制度改革は、今国会の重要法案一つである公的介護保険法案と同様、国民の要望を十分に取り入れながら、国会審議を通じ国民合意を得られるものとしなければなりません。総理並びに厚生大臣の御見解をお尋ねいたします。  次に、沖縄における米軍基地問題についてお伺いいたします。  総理は、昨年就任された直後、直ちにこの問題に取り組まれ、普天間基地返還の道を開かれました。また、沖縄県の新たなる開発発展に着手されました。私はこのことを高く評価いたします。しかしながら、この問題の根本的な問題解決とはなっておりません。沖縄問題の解決は、基地の整理・縮小の展望が示されることなくしてはあり得ないからであります。沖縄基地の整理・縮小についての展望と問題解決についての総理の御決意をお聞かせ願いたいのであります。  次に、農林水産問題についてお伺いいたします。  今、地球の砂漠化・温暖化、耕地の減少によって、人口環境食糧問題の将来が懸念されております。我が国としては、国際的には、世界食糧サミットのローマ宣言への具体的な対応と、森林保全など環境問題への新たな国際貢献が重要な課題であります。また、国内的には、農林業の持つ社会的、公益的役割を抜本的に見直し、国民合意のもとで新たな農業基本法により、食糧自給の向上と安全な食糧安定供給、農山村の活性化を図るとともに、国産材時代展望した森林資源再牛とその活用によって環境問題に対応するべきだと考えます。総理の御所見を伺いたいと存じます。  以上、概括的に申し上げてまいりましたが、重ねて、当面する問題を幾つか提起いたしたいと思います。  その一つは、国民の中で多くの懸念議論が心わされております整備新幹線についての対応であります。  総理が所信の中で申された四つの条件、これを厳密に守り、必要とあらば再検討し凍結することも含めて提案をいたします。総理の御所見を伺います。  その二つは、公共事業の見直しであります。  事業の必要性、緊急性のあるもの、また、将来の社会資本に有用なものを省くことはしてはなりませんが、事業予算の積算を個々の単価の厳密な検討により、例えば一〇%カットの目標を定めて見直すべきであり、入札に当たっては厳しい公正の確保を期さなければならないと考えます。総理のお考えをお聞かせください。  第三に、重ねて申し上げたいのは医療費の問題であります。  OECD加盟各国の中で、我が国医療費に対する公的負担が群を抜いて大きいのはなぜでありましょうか。  その一つに薬価の問題があります。薬価に依存しなければ病院の経営が成り立たないというこの制度を置いてよろしいのでありましょうか。医薬を分業することによって病院の経営を薬価に頼らないようにすることは、解決の一つの方途ではないでしょうか。  点数制の持つ欠陥が今日の病院経営にあらわれていることはっとに指摘されたことであり、医師の患者への接する時間数などがほとんど加味されていないことの弊害は既に大きく指摘されているところであります。点数制について、量から質への抜本的解決を早急に図るべきであります。  あわせて、責任ある仕事としての薬剤師の力量が求められます。薬剤師の業務をより質の高いものとするためには欧米と並ぶ大学六年の修学が必要であり、そのための改革を早急に図らなければなりません。厚生大臣並びに文部大臣の御所見を伺います。  第四に、教育改革について申し上げたいと思います。  教育の抱える問題点は、先ほど小野議員からも御発言がありました。さまざまな角度からの議論が行われ、そして教育現場で働く人々は父母とともに懸命な努力を行っているのであります。しかしながら、学びたい者が学ぶという教育の原点が忘れられていることが今日の教育の問題ではないでしょうかということであります。  入学すればほとんどが卒業できる今日の制度では、入試が学習の目的となります。入試のために費やされる子供と青年のエネルギーは本当に必要なものと言えるのでありましょうか。学びたいという意欲を持たせることは必要であります。しかし、学歴を得るための競争では教育の本旨から外れたものと言わざるを得ません。  子供は産んでくれる親を選ぶことはできません。また、その育つ環境をみずから選ぶこともできません。しかし、その中で生きる力をっけ、みずからのアイデンティティーを確立しなければならないのであります。教育はその営みを助けること、すなわちみずから考える力をっけ、哲学する人となることを援助するのが教育であります。そして、この教育は国民すべてに保障されるべきものであります。  この観点から、総理が第六の改革として教育改革を取り上げたことにつきまして十分な議論をされることを要望したいのであります。教育を経済的効率の観点と現象面からのみ論ずることがあっては断じてならないことを私は申し上げておきたいのであります。  しかしながら、我が国の文部行政の中で大きく取り上げられ、多くの国民からの共感を得ている事業もあるのであります。ぜひともこれを伸ばしていただきたい。それは放送大学の整備であります。全国すべての地域が学習可能となるような条件の整備であります。また、学習のための援助の確保であります。そして、働く人々への学習の奨励と保障であります。このための検討を早急になされることを要望したいと思います。  以上を踏まえて、総理並びに文部大臣に教育改革に臨む御決意のほどを伺いたいのであります。  終わりに、内閣総理大臣橋本龍太郎氏に申し上げます。  我が国は、まさに明治以来の二十世紀の歴史を終えようとしております。そして、戦後五十年を超え、社会の構造的改革を迫られております。政治世界も多様な国民の価値観の中で連立の時代を迎えております。経済アジア各国の発展とアメリカの活力の再生に挟まれ、進むべき道を模索している状態であります。  この時期に、我が国政治が混迷し、政党や政治家が党利党略に走ったり個利個略に走っては、まさに日本丸は沈没の憂き目に遭うのは必至であります。政治に携わる者の自己改革、政党の自己改革をみずから厳しく問い直す必要があります。総理の言う六つの改革は、まさに百万人といえども我行かんとの決意なくしてはなし得ないと考えます。  また、戦後五十年の苦難を背負った沖縄県民の願いを我が国民全体の願いとして解決するためには、文字どおり政治生命をかけた決断が要請されます。  総理政治の場にある者にとって今日なさなければならないものは何でありましょうか。それは政治への国民の不信を取り除くことではないでしょうか。政治がどうであろうと私には関係がない、政治には関心がない、投票には行かない、政治信頼できないという多くの国民のこの状況は、まさに国家が有機体としての機能を喪失し始めたことになりはしないでしょうか。  「帝力何ぞ我にあらんや」と中国の古き時代に民が鼓腹撃壌したことを、孔子はよき政治時代とたたえました。しかし、我が国国民は、政治に無関心ではあっても真に太平を謳歌していると言えるでしょうか。心の不安を消すのに、異常な風俗やせつな的な娯楽やギャンブルに走っているのではないでしょうか。政治の場にある者の一人として、じくじたる思いに駆られてなりません。  橋本総理が、我が国の置かれている困難な状況を率直に国民に語りかけ、その克服のために全身をささげる決意改革実現に取り組まれることを強く期待いたします。我が党も改革のために力を合わせて取り組む決意を申し上げて、質問を終わります。(拍手)    〔国務大臣橋本龍太郎登壇拍手
  19. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 山本議員お答えを申し上げます。  まず、改革に当たって弱者への配慮を必要とする、その点を忘れぬようにという御意見をいただきました。  私は、戦後五十年の間に形づくられました経済社会システムというものを本当に変えていこう、そして改革をなし遂げようといたしますと、かなりの痛みを伴うことが当然出てまいりますし、事業者及び利用者の双方にいわゆる自己責任が求められると考えております。  しかし、同時に、御指摘のとおり、真に手を差し伸べなければならない方々に必要な手だてを講じる、当然のことであろうと私も思います。例えば今回の税制改革に当たりましても、六十五歳以上の低所得者層、影響の大きい方には必要な措置を講ずることとしてまいりました。御意見は十分に心にとめてまいりたいと思います。  また、武器輸出国に対する援助についての御意見がございました。  我が国は、一九九二年六月に閣議決定をいたしましたODA大綱において、開発途上国の武器の輸出入などの動向に十分注意を払いながら、二国間関係等を総合的に判断の上、援助を実施することを原則として掲げております。  右を開発途上国との政策対話などのさまざまな機会に表明してまいっておりますが、今後ともこうした原則に基づいてODAを実施していく所存であります。  また、石炭、石油、原子力を国策として進めてきた取り組みを新エネルギーの開発に振り向ける、そしてクリーンエネルギー先進国として地球社会に貢献すべきという御指摘をいただきました。  私は、エネルギーセキュリティーの確保と同時に地球温暖化問題への適切な対応などを図っていきます上で、原子力の安全というものをあくまでも前提としてでありますが、原子力の開発利用とともに新エネルギーの開発の推進は極めて大事なものだと思います。問題は、残念ながら、あるいは石油等にかわるだけのものが現在まだつくり上げられておりません。  エネルギー問題は世界の国々の直面する人類共通の課題、こうした問題意識を持ちながら、地球規模での開発の取り組みに対して積極的に貢献していくべく、我が国としても新エネルギーの開発を推進してまいりたいと考えております。  なお、日銀法改正につき御注意をいただきました。十分心にとめたいと存じます。  次に、医療保険制度改革に関連して御指摘をいただきました。  薬価基準あるいは診療報酬等、国民に対して質の高い効率的な医療を提供していくためには、診療報酬や薬価基準の見直しを含めた医療保険制度全般の改革を行っていくことが必要であると思います。このため、平成九年度におきましても薬剤使用の適正化や薬価基準の見直しなどに着手いたしますとどもに、技術の適正な評価などに取り組み医療の効率化を図ってまいりたいと考えております。  しかし、医療保険制度改革というもの全体を眺めますとき、これはまさに二十一世紀に向けて、医療の提供体制及び医療保険制度の両面にわたる改革を総合的にまた段階的に実施していかなければなりません。こうした改革を進めていくためにも、現行の医療保険制度の財政の安定を確保していくことが喫緊の課題でありますことから、平成九年度に給付と負担の見直しなどの制度改正を実施することにいたしました。  議員もお触れをいただきましたけれども、介護保険制度創設及び医療保険制度改革というものは、効率的で安定した社会保障制度を確立していくために社会保障構造改革を進めるその第一歩だと考えております。今国会におきまして幅広い観点から御検討をいただき、早期の成立をお願い申し上げたいと存じます。  次に、沖縄米軍基地についてのお尋ねがございました。  政府としては、この問題は我々の抱える最重要課題一つだと位置づけながら、普天間飛行場返還を初めとするSACO最終報告に盛り込まれました措置を着実に実施していくために、地元の皆様の御理解、御協力を求めながら、あらゆる努力を払ってまいりたいと考えております。当然のことながら、県の皆さんにもお力をかしていただかなければなりません。  また、世界食糧サミットのローマ宣言などへの具体的な対応という点を御指摘いただきました。食糧環境ともに人類の生存基盤に影響を与え得る極めて重要な問題であります。このASEANを含めましたAPECという会議の席上、一昨年、日本は、人口の急増と食糧、エネルギー、これに伴う環境の悪化、これが二十一世紀におけるアジア成長制約要因という問題を提起し、今その議論が進められております。これはアジアだけでなく世界に共通する、御指摘のとおりでありまして、食糧問題については、世界食糧安全保障の達成、また、二〇一五年までの栄養不足人口の半減を目指し、環境問題に向けましては、本年開催予定の国連特別総会、また、気候変動枠組み条約締約国会議などに向けまして、国際ルールに従って各国と協調しつつ積極的に取り組んでまいります。  また、農業農村をめぐる情勢変化にかんがみまして、食糧自給の向上と食糧安定供給、農山漁村の活性化など御指摘の点も踏まえながら、新たな基本法制定に向けて本格的な検討を進めてまいりたいと考えております。  森林につきましても、昨年改定いたしました森林資源に関する基本計画などに基づきまして、多様で質の高い森林の整備に努めてまいります。これは当然のことながら環境問題に資するものであり、この視点も我々として持っていきたいと思います。  次に、整備新幹線についてお尋ねがございました。  整備新幹線の未着工区間につきましては、整備区間ごとに、収支採算性、並行在来線の経営分離についての地方公共団体の同意、JRの同意などの基本条件が整えられていることを確認した上で、その取り扱いを厳正に判断してまいります。  また、公共事業の積算と入札について御意見をいただきました。  これらの厳正公正を確保するために制度改革に取り組んでおりますが、特に公共工事のコスト縮減は大変重要な課題だと、私どももそう受けとめております。先日、公共工事コスト縮減対策関係閣僚会議を発足させまして、工事の各段階での制度や手続の改善合理化のために関係各省庁で広く検討し、今年度末を目途に政府全体の行動指針を策定することを指示いたしました。これとあわせて、コスト縮減の具体的な数値目標の設定も指示いたしております。  次に、教育改革について御意見をちょうだいいたしました。  教育というものを考えるときに経済効率からのみこれを論ずることはできないというのは、私も御意見のとおりだと思います。当然、子供たちの個性あるいは創造性をいかに伸ばしていくか、そしてみずから考える力などの生きる力をはぐくむ、こうしたことを目指しながら教育改革は進めていきたいと考えます。  また、放送大学につきまして、放送対象地域の全国への拡大などを図る、こうした整備を通じまして職業人の生涯学習活動の支援を行っていきたいと考えております。  最後に、政治への信頼回復と改革への決意などに私に対して強い言葉をちょうだいいたしました。  長々と申し上げるつもりはありませんが、そこに込められましたお気持ちというものを私は真剣に受けとめながら全力を尽くしてまいりたい、そう申し上げて答弁を終わります。(拍手)    〔国務大臣佐藤信二君登壇拍手
  20. 佐藤信二

    国務大臣(佐藤信二君) 山本議員から私に対する質問は、新エネルギーについてでございます。  エネルギーセキュリティーの確保及び地球温暖化防止への対応観点から、省エネルギーの推進、新エネルギーの導入、また、原子力の開発利用など強靱でかつ環境への負荷の少ないエネルギー需給構造の構築に努めていることは、議員既に御存じのとおりであります。  しかし、現状において、新エネルギーはその他のエネルギーに比べてコストが高いということからなかなか普及をいたしませんで、現在のところその割合は一%強にとどまっております。そのため、当省としては、新エネルギーの開発を今後とも積極的に進めていくとともに、住宅用太陽光発電システムや廃棄物発電システムで実用化段階に至っているものから順次その導入を促進してまいりたいと思っております。  当省としては、二〇三〇年三%の達成、この目標に向かってこれからもこの新エネルギーの開発及び導入の促進に努めてまいる所存でございます。よろしくお願いいたします。(拍手)    〔国務大臣三塚博登壇拍手
  21. 三塚博

    国務大臣三塚博君) 山本議員の四問にお答えを申し上げます。  最初は、メリット型予算の導入についてのお尋ねでございます。議員のかねがねの見識であることも承っております。  これまでも概算要求基準によりまして、各省庁がその枠内で施策の緊急性、優先度を吟味し、効率的な要求を行い、その上で財源の重点的、効率的な配分を行ってまいりましたことは御承知のとおりでございます。  財政構造改革についていろいろな提言考え方があろうかと存じますけれども、山本議員の御提言を私どもは三党の協議の中で承っておるわけでございますが、歳出改革・縮減の具体的方策の検討を行う財政構造改革会議が二十一日、三党の提言でスタートを切らせていただきました。その場面で幅広い御論議をいただき、取り組んでまいりたいと存じます。  公共事業の費用便益分析についてのお尋ねでございます。  公共事業の箇所採択を行うに際しましては、当該箇所に投入する費用と社会資本の整備によってもたらされる便益とを比較する費用便益分析等、可能な限り客観的な評価を行った上で、投資の優先順位をっけ、箇所採択をしてまいりますのが基本であることは御承知のとおりであります。  さらに、平成九年度予算編成におきましては、公共事業の実施の効率化、透明化等について検討を進めた中で、投資効果を高め、事業実施過程の透明性確保するため、各事業において可能な限り費用効果分析を実施し、結果を公表することといたしたところでございます。  公共事業のあり方に際しましては、財政構造改革観点からも国民の関心が高まっておる中でございますので、今後なお一層御提言の節も踏まえながら努力をしてまいるつもりでございます。  財政構造の上に立った今後の改革、また、その展望についての御質問でございますが、現在の財政構造を放置すれば、超高齢化社会のもとで財政赤字の拡大を招きますこと必至であるわけでございます。経済国民生活が破綻することであってはならぬわけでございますから、手だてを講じなければなりません。  このような事態を回避し、二十一世紀我が国経済社会の活力を維持するため、二〇〇五年までのできるだけ早期に国及び地方の財政赤字対GDPの比率を三%以下とし、また、国の一般会計におきましても特例公債依存から脱却するとともに公債依存度の引き下げを図るなど、先般閣議決定された財政健全化目標の達成に向け、財政構造改革を強力に推進してまいりたいと思います。  消費税について今後検討さるべき問題についてのお尋ねでございます。  消費税につきましては、平成六年秋に思い切った改正を決定し、本年四月から実施されるところでございますが、今後とも事業者の納税事務への習熟度合いを踏まえながら、これまで進めてまいりました方向に沿って検討を深めていくべきものと考えておるところであります。  また、今後とも少子・高齢社会の姿に対応して、御指摘のような所得、消費、資産等に対する課税のメリット・デメリットを勘案し、その適切な組み合わせを考えていく必要があることは御案内のとおりであります。  納税者番号についての見解いかんということでございますが、既に本件も、御指摘のとおり、三党の税制協議の中で論議を進められておるところでございます。本件は、税務行政の効率化の観点から、また、納税者の所得等の把握に利用し得る仕組みの一つとして行われてきておるわけで、税制調査会等の場で検討がされてきておることも御承知のとおりであります。  こうした中で、同制度効果には一定の限界があることのほか、特に御指摘のようなプライバシーの問題や、資金シフト等の国民生活への影響なども指摘をされておるところであり、論議を高めていかなければならぬところであろうかと存じます。  今後とも納税者番号制度については、国民各位の受けとめ方を十分に把握しつつ、幅広い視点からさらに議論を深めてまいりたいと考えております。  答弁を終わります。(拍手)    〔国務大臣小泉純一郎君登壇拍手
  22. 小泉純一郎

    国務大臣(小泉純一郎君) 山本議員お答えいたします。  医療保険制度についてのお尋ねについては、既に総理答弁されておりますので省略させていただきます。  医薬分業の推進についてですが、医薬分業は平成七年度には二〇%を超えたものと推計されております。これからも着実に進展していかなければならないと思っておりますし、これをさらに拡大していくことが重要であると厚生省は考えております。このため、厚生省としては、医薬品の備蓄、休日・夜間の処方せん応需体制の整備、健康保険における調剤報酬上の評価等を行ってまいりましたが、今後とも計画的な医薬分業を推進していきたいと思っております。  それから、診療報酬に関するお尋ねでありますが、単に診療時間が長いことをもって一律に時間数を加味して診療報酬額を設定することは困難な面があると思います。しかしながら、現行においても、精神療法や理学・作業療法のように診療時間を長くとることに意味のある医療行為については、診療時間を加味して診療報酬額を設定しているところであります。今後とも、患者に対する良質な医療確保する観点から、医療行為に対する適切な診療報酬額の改定に努めてまいりたいと考えております。  薬剤師の修学年限についてのお尋ねでございますが、厚生省ではこれまで、薬学教育における医療薬学の充実や大学における修学年限の六年への延長等について、文部省を初め関係者協議を行ってきたところであります。しかしながら、修学年限の六年への延長については、その前提となる大学院の拡充等、解決すべき課題があることから、当面、医療現場での実務研修の受け入れ体制の整備等について厚生省として検討を進めるとともに、引き続き関係者との合意形成を図ってまいりたいと思います。  以上でございます。(拍手)    〔国務大臣小杉隆君登壇拍手
  23. 小杉隆

    国務大臣(小杉隆君) まず、薬剤師の業務をより質の高いものとするためには欧米と並ぶ六年制の修学が必要である、こういうお話でございます。  文部省としては、薬剤師の資質向上を図るために薬学教育の改善を進めることが重要であると認識しております。このために、薬学系大学院の量的質的整備を進めるとともに、各大学における学部段階での抜本的なカリキュラム改革などを促しているところであります。また、病院等での実務実習あるいは生涯研修の充実方策についても、現在、厚生省や関係団体との間で協議を進めております。薬剤師の職につく方々に対する専門教育の内容及び期間の充実を総合的な形で推進してまいりたいと考えております。今後とも薬剤師の質の向上のために積極的に取り組んでまいります。  次に、放送大学の整備についての御提言教育改革に臨む決意についてのお尋ねであります。  ラジオやテレビを通じてだれでも学ぶことのできる放送大学については、一日も早く全国のどこでも学べるようにすることが重要な課題だと考えております。このため、学習拠点の整備など条件整備を進めるとともに、平成九年度から通信衛星CSを利用した全国放送を開始する予定にしております。放送大学の整備などを通じて、職業人を含めあらゆる人々の生涯学習活動の支援を図ってまいりたいと思います。  また、教育改革につきましては、先ほど小野議員からも多面的な御指摘がございました。総理からも基本的なお話をいただきました。現在、総理からの指示に基づいて教育プログラムあるいはそのスケジュールを検討中であります。  とにかく、我が国の唯一の資源である人材を育成するために、一人一人の子供の個性、正義感、創造性をはぐくんで、一人一人が生涯にわたって能力を最大限発揮できる、そういう観点に立って、今後、中央教育審議会等ともよく相談をしながら、全力を挙げて考えてまいりたいと存じております。  以上でございます。(拍手
  24. 松尾官平

    ○副議長(松尾官平君) これにて午後一時十分まで休憩いたします。    午後零時一分休憩      ——————————    午後一時十一分開議
  25. 松尾官平

    ○副議長(松尾官平君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。  国務大臣演説に対する質疑を続けます。菅野久光君。    〔菅野久光登壇拍手
  26. 菅野久光

    菅野久光君 第百四十回国会の開会に当たり、民主党・新緑風会を代表して、橋本総理大臣の施政方針演説に対し質問いたします。  まず、昨年暮れに発生した在ペルー日本大使公邸占拠事件によって、今なお多数の方々が人質として苦悩の日々を送られ、御家族や関係者方々もまたつらい思いをされておられることに本当に心が痛みます。私は、質問を始める前に、本院における決議にあるとおり、人命尊重を第一として事態の平和的解決を図り、すべての人質の方々が安全に解放されるように政府が全力を挙げることを強く要請するものであります。  まず初めに、重油流出事故対策と再発防止策についてお伺いをいたします。  ナホトカ号重油流出事故に関し、政府対策が後手に回っているとの批判が多く、また、総理もさきに判断の誤りがあったことを認めておられます。まさに政府の危機管理能力が問われている問題であり、今後、流出油、漂着油の回収、船首部の油抜き取りは当然ですが、沈没した本体部からの流出に備え、近隣諸国に油回収船の派遣を要請するなど先手に立った措置が必要と考えますが、いかがでしょうか。  また、日本海は老朽船舶の航行が多く、老朽船舶運航の安全確保の国際ルール確立、油回収船の日本海配置に取り組むべきであると考えますが、総理並びに外務大臣のお考えをお聞かせください。  また、当初は五百数十億円と言われていた船主の保険金が実際は三億円弱にすぎず、国際条約による基金からの二百三十億円と合わせても被害額には遠く及ばないものと予想されます。また、被害自治体も多額の対策費を支出しています。政府としていかなる責任ある対応策をお持ちか、総理の見解をお尋ねいたします。  次に、歴史認識と外交政策について伺います。  総理は、施政方針演説において、日本を「歴史的にも地理的にもアジア太平洋国家」であると位置づけ、アジア外交の重要性を再確認されました。しかし、残念なことに、先般の総理の東南アジア歴訪からはアジア外交に対する積極的姿勢が伝わってくるとは言いがたく、アジア太平洋国家である日本がいかにアジアの近隣諸国と真の友好協力関係を築いていくかの具体的ビジョンが見えてこないのであります。  他方、民主党が派遣した鳩山代表を団長とする訪中・訪韓団は、政府レベルにとどまらず、市民との真の信頼関係の構築という点においても大きな成果を上げることができたど自負しているところであります。特に、このたびの韓国訪問で鳩山代表は、歴史認識の必要性、そして歴史の痛みを乗り越えて自立と共生の友愛社会を築いていくことの重要性を韓国国民に率直に訴えたのであります。  ところが、同じ時期に東南アジア諸国を歴訪した総理は、シンガポールでの演説アジアに対する歴史認識には言及されませんでした。総理が強調するアジア諸国との地球規模課題への協力に取り組むためにも、日本が過去において犯した過ちについて率直に向き合い、そのような姿勢のもとにアジア太平洋の平和と繁栄を目指す具体的なビジョンを提示することが重要であると考えますが、総理と外務大臣の考えをお聞かせください。  今回、民主党の訪韓団が最も感銘を受けたのは、日韓共同授業研究会の韓国の高校生との懇談であったと聞いています。両国間の歴史認識の溝を埋め、若い世代に共生の道を開こうと両国の教師や市民のイニシアチブで始まった活動ですが、まず歴史教育にともに取り組んでいく中で次第に環境問題にまで研究の対象が広がっていくことができたという話に、日本と韓国の未来を見るような頼もしい思いがしたということであります。  過去を見詰めることは歴史を回顧することにとどまるものではありません。それは未来へのかぎを手に入れる行為であります。その意味において、村山総理のときに発表されたアジア歴史資料センターの設立構想は、二十一世紀に向けてアジア太平洋の協調と共生の時代をつくり上げていく大きな力となると確信するものであります。アジア歴史資料センターの設立について、総理並びに外務大臣の見解をお伺いいたします。  次に、今国会の最重要課題一つである行政改革に対する基本姿勢について伺います。  さきの衆議院本会議において我が党の菅直人代表が指摘しましたように、行革政権を自称する橋本内閣は、屋上屋とも言える会議の設定に追われ、いわゆる審議政治に陥っているのではないかと心配しているところであります。問題は、作文を何重にも積み上げることではなく、総理御自身のリーダーシップによって実行できるところから着実に改革実現してみせることだと思います。  私は、当面力点を置くべき政治行政改革のポイントは、およそ三つに絞ることができるのではないかと考えます。すなわち、行政監視院の設置、情報公開制度の確立、そして地方分権の推進です。  第一は、我が党が提案している行政監視院の設置です。  行政監視のあり方については、参議院行財政機構及び行政監察に関する調査会においても早くから多様な角度から検討を重ねてきたものです。調査会では、立法府と行政府との新しい関係についての調査活動を行い、立法府による行政監査のあり方に係る中間的な提言をまとめ、立法府に議会オンブズマンを設置する憲法上の可能性についてまで詰めた作業を行ってきたところであります。  民主党が提案している日本版GAOすなわち行政監視院は、さらに広範囲な調査に基づいて提案しているものであります。この新たな制度は、行政改革を確実に進める上で不可欠な機構としてその役割が期待されているものでもあります。ぜひとも、今国会中にこの日本版GAOを実現するとの総理決意をお示しいただきたいと思います。  第二は、行政情報の公開です。  地方自治体における盲官接待や不当な予算の流用などが明らかにされ、その体質改善を求める声が着実に強まったのは、専ら情報公開制度整備が進んだためであります。行政が繰り出す何百枚、何千枚もの報告書や提言よりもはるかに行政改革のための威力を発揮しているわけでございます。また、今日、都道府県を初め地方自治体においては、既に行政情報の公開が当然となっていますし、ヨーロッパやアメリカなどの主要先進国では情報公開法が整備されております。行政情報の公開は今や民主主義の装置として定着しているのです。  そこでお尋ねします。行革政権を自称する橋本総理のイニシアチブで今国会にも情報公開法の制定を進めて、国民、市民に開かれた行政に転換することが必要だと考えますが、いかがでありましょうか。  第三は、地方分権の推進です。  昨年末、地方分権推進委員会の第一次勧告が提案されています。今日求められる行政改革を単なる省庁の数合わせに終わらせないためにも、地方分権、地域主権の確立に基礎を置いた大胆な行政システムの転換を進めていく必要があります。しかし、各種の報道などによりますと、依然省庁の抵抗が強く、機関委任事務の廃止に伴う事務区分の作業は厳しい攻防の中で行われたと聞いております。  その勧告の直前、総理は二度ほど分権推進委員会の責任者を官邸に呼んで、実現可能なものにしてほしいと、あたかも官僚との調整を求めるかのような発言をしたと聞いておりますが、それは事実でありましょうか。また、その真意をお尋ねいたします。あわせて、地方分権の実現に向けて今後どのような形で取り組んでいかれるつもりなのか、総理基本的な考え方をお伺いいたします。  次に、平成八年度補正についてお尋ねいたします。  今日、二百四十兆円に達する財政赤字に直面し、行政改革を伴う歳出の見直し削減による財政再建が大きな課題となっています。にもかかわらず、本補正予算は、相変わらずの公共土木事業中心の歳出と一兆六千億円もの建設国債の発行という、まことに緊張感に欠ける旧態依然たる内容となっています。消費税率五%への引き上げという多大な負担増を国民にお願いしたばかりだというのに、一体どのような財政哲学に基づいてこうした補正予算を組むことができたのか、私には理解ができないのであります。この際、住宅・都市整備公団への補給金の凍結、緊急防災対策費についても、中身を検証してその削減を図らなければなりません。ガット・ウルグアイ・ラウンド対策費も内容を見直すなど、大胆な組み替えを行い、国民の納得が得られる補正にすべきだと考えますが、総理及び大蔵大臣の所見をお伺いいたします。  次に、社会保障制度改革課題についてお尋ねします。  これまで高齢化社会政策といえば高齢者ばかりに目を向けたものでしたが、今後は将来の日本を背負う子供、特に育児を応援する政策に主軸を移さなければならないと考えます。保育所整備だけでなく、教育、住宅、雇用、税制など、育児支援のため早急に検討すべき多くの課題があります。九四年十二月に策定されたエンゼルプランを充実させ、緊急保育対策事業の推進はもとより、政府一体となった育児支援体制をつくるべきと考えますが、総理の御所見を伺います。  医療保険制度改革については、医療の効率化、医療費の抑制が重要な課題であります。かかりっけ医制度導入による初期医療体制の整備、介護施設充実による長期・社会的入院の是正など医療提供体制を見直すこと、そして医療費の三割を占める薬剤費を抑えるためには、薬価とペースメーカーなど医療材料費のあり方に思い切ってメスを入れ、市場原理を導入することが必要だと考えます。市民の立場に立った医療構造改革に対する総理の見解を伺います。  将来の社会保障制度再構築の第一歩と位置づけられる介護保険制度は、介護を必要とするすべての市民に役立ち、市民参加と利用者の選択権に基づく地域介護システムとして確立しなければなりません。よりよい制度創設のため必要な補強、修正があれば、それを組み入れ、介護保険法案を今国会で成立させ、二〇〇〇年度からの導入を図るべきと考えますが、総理の見解を伺います。  次に、農業問題についてお伺いいたします。  まず、食糧の自給率の問題であります。  我が国食糧自給率は、九四年段階でのカロリーベースは四六%となっています。欧米先進国が軒並み七〇%から一〇〇%を超えているのを見れば、これは極めて低い数値と言わなければなりません。食糧の自給率をどう高めるかは農業政策の重要な柱であると思いますが、この問題が重要なテーマの一つであるはずの新農業基本法論議も遅々として進む気配が感じられないのであります。このような状況で、国が食糧安定供給に責任を持つことができるのか、憂慮の念を禁じ得ません。農林水産大臣として、食糧の自給率の向上をいかに具体的に進めるのか、ぜひお考えを承りたいのであります。  次に、ガット・ウルグアイ・ラウンド対策についてお尋ねいたします。  我が国は、苦渋の選択として農産物の輸入自由化を受け入れるに当たり、六年間で六兆百億円の巨費を投じて自由化対策を講じることとし、既に二年を経過しました。しかし、現在行っている対策自由化対応できる足腰の強い農業をつくり出すのに本当に役立っているのであろうかと多くの人が疑問を持っています。ラウンド対策三年目に入るに当たり、まず過去二年間の対策の検証が必要であります。投じられた対策費がどこでどう使われ、どのような成果が上がっているのか、むだな部分はなかったのかといった面を農業関係者による意見集約とあわせて行い、手直しするものは手直しをして所期の目的達成に努力すべきと思いますが、総理並びに農林水産大臣の見解を伺います。  次に、林業問題であります。  森林は、国土保全、空気の浄化、水資源の酒養、生物多様性の保全など、人類の生存に必要な環境に果たす役割は極めて大きいことは申し上げるまでもありません。しかしながら、今日における森林経営は、国有林、公有林、民有林を問わず、林業、林産業の長期不振により森林からの収益では森林を守り育てることはできなくなっており、加えて過疎・高齢化などで森林の管理・経営は危機的状況に追い込まれています。  総理も御承知のとおり、国際的にも既に持続可能な森林経営についてブラジル地球サミット以降政治問題化し、本年六月、国連特別総会において、その指標、基準について決議されると伺っています。このような中、我が国においても一部の自治体などから、公有林の独立採算制の見直しや森林税導入などによる国民的財政負担が必要であるとの声が上がっております。こうした内外の動きに対し、農林水産大臣としてどのように対応されるのか、御意見を伺いたいと思います。  次に、漁業問題であります。  昨年、海の憲法であります国連海洋法条約が批准され、関連の国内法が整備されました。これに伴って、韓国、中国と漁業協定締結のための交渉が始まったわけでありますが、これまでのところ、日韓漁業協定の改定についての交渉は一向に進んでおらず、昨年与党三党で意思統一した一年以内に決着するということが困難な情勢であることが報ぜられています。明二十五日、別府において日韓首脳会談が開かれることになっておりますが、この会談において日韓漁業問題解決の道筋をつけてもらいたいと思いますが、総理決意をお伺いいたします。  次に、環境問題について伺います。  人類は、地球環境の大きな恵みに支えられて生活しております。しかしながら、この地球環境が人類の営みによって大きく変化し、健全な地球環境が私たちの子孫に引き継げなくなる危険性が日ごとに高まっております。地球レベルの環境問題を国際的に考え、身近な環境保全されるように一人一人が努力することが今、必要とされていることだと考えます。  そこで、今、政府が今国会に提出を予定している環境影響評価法、いわゆる環境アセスメント法でありますが、生態系などの環境保全と開発の調和を図るために、社会に開かれた形で代替案を検討するための統一的なルール、手続を策定するという意味で極めて重要な法律であると認識しております。  ところが、その統一的なルールを定めるべき環境影響評価法とは別に、発電所については環境影響評価法の対象とせず、電気事業法においてアセスメントの手続を定めることが検討されているようです。総理中央環境審議会に昨年の八月に環境影響評価制度につき諮問したにもかかわらず、別のアセス手続の検討を認めるということは、政府全体として矛盾した行動であり、省庁の権限争い的な行動をとめられないとすれば橋本政権の行政改革に対する姿勢をも問われかねないと考えますが、いかがでしょうか。統一的な手続での環境アセスメント制度創設を行うか否かにつき、総理の明確な御答弁をいただきたいと思います。  次に、地球環境問題として特に緊急を要するのがオゾン層の破壊の問題であります。  オゾン層の破壊は年々進行し、南極のオゾンホールは毎年規模が大きくなり、日本上空でもオゾン量の減少が続いております。ところが、日本世界第二位のフロン生産・消費国であり、科学技術にすぐれた国であるにもかかわらず、フロンの放出を野放しにし、何らの規制も行っておりません。国際社会における日本の責務を考えるとき、フロンの放出を一日も早く禁止し、国際的な生産規制のスケジュールをさらに前倒しして行うべきであります。私たちは、そのような趣旨でオゾン層保護法の改正議員立法で準備中ですが、フロン回収を市場原理で行うことがもはや不可能であり、回収のルールづくりが必要であるということについての環境庁長官の見解を伺いたいと思います。  次に、市民活動促進法の制定についてお伺いします。  民主党は、NPO法案を策定するに当たって、非営利団体一般を対象にすること、準則主義によること、法人格取得と税制上の優遇措置の分離、行政裁量の最小化、情報公開の徹底の五つの原則を提示したところであります。与党三党で取りまとめられ国会に提出されている市民活動促進法案は、その原則を完全に満たしているとは言いがたいとはいうものの、さまざまな意見を調整してっくられたものでもあります。これをもとにしてよりよいものをつくるために議論を尽くすこと、理のあることについてはこれを取り入れて、早期に成立を図ることを総理にお約束いただきたいと思いますが、いかがですか。お伺いいたします。  次に、民法の改正問題であります。  女性の社会進出が目覚ましい今日、女性が結婚してからも働きやすい、生活に支障がない社会的な制度整備することが必要となっております。その意味で、結婚した場合に、夫婦の姓を同一にしなければならない現行法のもとでは、事実上、夫婦の九〇%以上が夫の姓を名乗っており、女性は通称として旧姓を使うという不便を強いられております。以前から政府において夫婦別姓制度実現するための民法改正案が用意されており、提出寸前までこぎつけられたことは御承知のことかと思います。ところが、与党内調整ができず、選択的夫婦別姓を含む民法改正案はいまだに提出を見ておりません。  民主党は、政府自身が選択的夫婦別姓を含む民法改正法案を提出すべきであると考えるものですが、もしそれができないのであれば、賛同できる方を募り、議員立法として提出する所存であります。政府として民法改正法案をどのようなスケジュールで出す予定なのか、提出できないとすればそれはどうしてなのかを総理にお伺いしたいと思います。  次に、男女雇用機会均等法の改正雇用確保についてお尋ねします。  民主党は、雇用の全段階で差別を禁止し、実効性を確保できる救済機関の設置など抜本的な見直しを求めてきたところであります。女性も男性も仕事と家庭を両立し、ゆとりのある生活ができるように、均等法の改正強化を早急に実現するとともに、時間外労働や休日労働、深夜業については男女共通の規制を図るなど、労働時間短縮を促進すべきだと考えますが、総理の見解をお聞かせください。  また、勤労者、特にリストラの危機にさらされている中高年世代や、いまだに就職先が決まらない新規学卒者など、雇用情勢は厳しいものがあります。景気の動向を注視しながら機動的な雇用対策の実施が特に求められていると考えますが、総理考えをお伺いいたします。  次に、いわゆるアイヌ新法について質問します。  日本社会にあっては、戦後の民主憲法の制定以降もなお、明治三十一年、つまり一八九八年に公布された北海道旧土人保護法が存在し続け、その差別的な法律が国際的なひんしゅくの的となってきたことは総理も御承知のとおりであります。ことしはその百年目に当たり、これを機会にぜひともこうした法律を廃止し、人権と生活保障に裏づけられたアイヌ新法を実現したいと考えております。  政府内でも既に検討が行われており、仮称ではあるものの、アイヌに関する文化の振興及び理解の促進に関する法律案が準備されていることが明らかになっています。  また、今国会冒頭の所信表明演説で、総理みずからアイヌ文化への理解の促進について言及されたことについては高く評価をしたいと思います。この表明を基礎に据え、今国会中にもアイヌ新法を提出され、その実現総理みずからが指揮をとられることを強くお願いいたします。アイヌ新法一提出についての総理の御所見をお尋ねいたします。  次に、阪神・淡路大震災被災者への支援の問題であります。  六千四百余名もの命を奪い、大都市のもろさを見せつけた阪神・淡路大震災発生から二年がたちました。国や自治体の予算措置によって道路や港湾、鉄道などの社会的なインフラはほぼ復旧しましたが、人々の生活については、今も仮設住宅に三万八千世帯が暮らすなど、いまだに震災前の状態とはほど遠い状態にあります。  民主党としては、被災者の方々が自立して生活ができるよう被災者の生活再建のために一定規模の公的支援を行うべきであると考え議員立法で今国会に提出を予定しているところでありますが、政府においても被災者への経済支援についてどのような具体策を考えておられるのか、総理の御所見をお伺いいたします。  終わりに、参議院はことし五十年を迎えます。女性国会の話が進んでおります。また、子供国会をという声もあります。ぜひこれを、参議院一同、成功させるために努力をしたい、努力をしようではありませんかということを呼びかけさせていただきます。  日本は今、国家的危機のふちに立たされています。果たして我が国はこの危機を乗り越え新しい国をつくり出していくことができるのか、それとも無為無策のゆえに奈落の底へ突き落とされてしまうのか、私たち一人一人を含めた政治家の指導力こそが問われているのであります。今や、政治家の価値をはかる尺度は、言葉を操る巧みさではなく、緻密で断固とした行動力でなければなりません。総理御自身が今国会において、あらゆる困難を排して行財政改革の諸課題実現に向けて勇気を持って果敢な行動をとられることを強く要望して、私の質問を終わります。(拍手)    〔国務大臣橋本龍太郎登壇拍手
  27. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 菅野議員お答えを申し上げます。冒頭、在ペルー日本大使公邸占拠事件につきまして御発言をいただきました。本院決議の趣旨を体し、これからも全力で努力をしてまいります。  次に、ナホトカ号の重油流出事故に関し、沈没いたしました船体につきましては、船体位置確認調査などの結果も踏まえながら、官民の技術的知見を結集し、他国への協力要請も含めましてどのような対策をとり得るか検討いたしておるところであります。  なお、現在、沈没部からのものと思われる湧出油が認められるところでありますが、これにつきましては、現在、巡視船及び航空機により監視をするとともにその防除に努めておりますが、この問題の重要性にかんがみ、全力で取り組んでまいります。  老朽船舶の安全確保と油回収船の配備につきましては、政府としては、国際海事機関等を通じ、旗国による検査の徹底と外国船舶の監督の強化などに取り組みますとともに、本件事故の重大さにかんがみまして、このような事態にも対応可能な今後の油防除体制のあり方について、総合的な検討と適切な対応をしていきたいと努力をいたしております。  次に、今回の事故に対する損害補償についての御意見をいただきました。  油濁損害に対する補償につきましては、油濁関係条約及び国内法に基づいて、民事上の手続により、船舶所有者に故意または過失がない場合には、最大約二百二十五億円の船舶所有者からの賠償及び国際油濁補償基金からの補償がなされることになっております。  今回の事故による被害総額につきましては、現時点におきましては、まだ相当の量の油が海上に浮遊している、さらなる被害の拡大が心配されている状況であり、被害を受けた沿岸住民の方々もむしろ油の除去作業に全力を尽くしておられる状況にあり、被害の総額は把握し切れておりません。今後、その把握に努めながら、政府として的確に対応してまいる所存であります。  次に、アジア太平洋の平和と繁栄を目指したビジョンの提示についてお尋ねがありました。  政府としては、さきの村山内閣総理大臣談話を基本としながら、アジア太平洋地域関係諸国との友好関係の増進や各種の地域協力への参画を通じ、この地域の発展に対し積極的な役割を果たしております。先般のASEAN諸国訪問に際するシンガポールでの政策演説でも述べましたとおり、このような基本政策我が国としてさまざまな形で説明してきており、引き続き明確な形で示したいと考えております。  アジア歴史資料センターにつきましては、平成七年六月末に有識者会議でその設立についての提言をおまとめいただきました。この提言では、本構想は「来るべき二十一世紀における日本世界との共生の基盤を構築する上できわめて重要な意義を有する」とされておりまして、この提言の趣旨を踏まえながら本構想の具体化に向けて取り組んでおります。  次に、行政監視院法案についてのお尋ねがございました。  私は、国会が行政監視機能を強化される観点から憲法の諸規定を踏まえて活動されることは大切である、そのあり方国会で御判断をなされるべきであるということとともに、政府の中の行政監察業務というものを全くなくしてしまう、これは不適切ではないだろうか、そう申し上げてまいりました。今後、参議院の調査会における御活動も含め、行政監視機能あり方につき十分御検討されることを期待しております。  また、情報公開、これは仰せられるまでもなく、国民に開かれた信頼される行政というものを実現するための重要な課題であります。現在、法文化、多数の既存法律との調整などの膨大な立案作業に着手しておりますが、いずれにしても、平成九年度内に所要の法律案の国会提出を図るという行政改革プログラムに沿い、できるだけ早い機会に法案を提出できるよう立案当局を督励してまいりたいと考えております。  次に、地方分権推進委員会の第一次勧告に関するお尋ねがございました。  勧告の前に委員会から事前に説明したいというお話があり、確かに二回お話を伺っております。その際、私から申し上げましたことは、漠然としたものではなく、具体的にすぐ使える実現可能でしっかりした内容のものを勧告していただきたい、そのようにお願いを申し上げたところであります。これは地方分権が、現在推進しております行政改革との関係でも大変重要な改革でありますことから、速やかに地方分権の成果を上げるために充実した内容にしていただきたいという趣旨でございます。  こうした御努力をいただきました結果、その提出をされました地方分権推進委員会の第一次勧告を最大限に尊重しながら、地方分権推進計画作成のための所要の作業に着手しております。  さらに、今年の前半に予定されております勧告とあわせて、地方分権推進法の趣旨に沿いながら、平成十年の通常国会が終了するまでのできるだけ早い時期に推進計画を作成し、総合的かつ計画的に地方分権を推進してまいります。なお、計画の策定を待たずとも措置できますものについては早期に実行に移し、着実に地方分権を進めてまいるつもりであります。  次に、八年度補正予算についてのお尋ねでございますが、この補正予算は、阪神・淡路大震災の復興対策費、緊急防災対策費、ウルグアイ・ラウンド農業合意関連対策費など緊急かつ真に必要な経費を計上する一方で、剰余金を国債の償還等に充てるなど、財政健全化にも配慮したものになっております。また、八年度補正予算は、八年度末から九年度当初にかけての需要下支えの効果もありまして、自律的回復への基盤が整いっっあります我が国経済への信認を高める上で、補正予算の速やかな成立をお願い申し上げたいと思います。  次に、育児支援体制の充実という御指摘がございました。  少子・高齢化が進む中で、次代を担う子供たちが健やかに育っていくように支援していくことは重要な課題でありますし、私自身、高齢化社会の到来ということが言い出された当時から、お年寄りに対する対策とともに、子供たちへの対策を訴えてきた一人であります。このため、関係省庁におきまして、エンゼルプランを策定し、保育、住宅、雇用、教育、こうした面それぞれを含めました総合的な子育て支援策を実施しておりますが、今後とも関係省庁の十分な連携のもとに各般の子育て支援策を着実に実施してまいります。  また、プライマリーケア体制の整備等、医療の効率化、医療費の抑制という御意見がございました。  質の高い医療を効率的に提供する観点から、かかりっけ医機能活性化などによるプライマリーケア体制の整備、新ゴールドプランの着実な推進などによる社会的入院の是正、薬価及び治療材料価格の適正化などを推進してまいりたいと考えております。  また、介護保険について御意見をいただきました。  この制度は、利用者の多様な選択が可能になりますように、住民参加型組織など地域の資源を活用しつつ、介護を社会全体で支える仕組みを構築しようとするものでございます。  この介護保険法案は十分な検討を経まして取りまとめたものでありまして、今国会におきまして幅広い観点から御審議をいただきますとともに、平成十二年度の実施に向けて早期の成立に全力を尽くしてまいりたいと思います。  また、ウルグアイ・ラウンド農業合意関連対策について御意見をいただきました。  この対策は、農業合意の実施に伴う影響を最小限に食いとめるとともに、農業の将来展望を切り開いていくために真に必要な事業として、農業団体などの意見も聞きながら、政府・与党が責任を持って決定したものであり、これを着実に実施していくことが重要だと考えております。今後とも本対策の所期の目的の達成に向け全力で取り組んでまいりたいと考えております。  次に、韓国との漁業協定について御質問をいただきました。  国連海洋法条約の趣旨を十分に踏まえた新たな漁業協定が早期に締結されることになるよう鋭意努力をいたしたいと思います。この問題につきましては、従来から韓国との首脳会談においても取り上げてまいりましたが、明日の首脳会談におきましても、金泳三大統領に対し、協定の早期締結のため努力していくことを働きかけてまいりたいと思います。  また、環境アセスメント制度につきましては、現在、中央環境審議会に諮問し御検討をいただいておりますが、同審議会の答申をいただき、所要の法案を今国会に提出したいと思います。私としては、実効の上がるアセスメントをいかに実現するか、そうした観点からその準備を指示したいと思います。  次に、NPO活動の促進について、市民活動促進法案の早期成立を約束しろという御質問がございました。  御指摘のとおり、国際化や高齢化の進展など我が国経済社会を取り巻く環境変化に適切に対応してまいる上で、市民活動の活性化が不可欠であることは言うまでもありません。こうした趣旨から、現在、いわゆるNPO法案議員立法として検討が進められておりますが、政府としてもこの重要性は十分認識しているつもりでございます。  次に、選択的夫婦別姓を含む民法改正法案についてであります。  民法の改正につきましては、国民生活に大きな影響がありますことから、国民の皆様の御意見が分かれておりまして、各方面でさまざまな御議論がなされておるところであります。政府といたしましては、国民各層の御意見を幅広く伺いながら、この問題に適切に対処していきたいと考えております。  また、男女雇用機会均等法の改正についての御意見がございました。  雇用分野における男女の均等な取り扱いを一層促進し、女性の職域の拡大を図るため、雇用管理の各ステージにおける女性に対する差別を禁止することなどを内容とする改正法案を今国会に提出いたします。  また、健康でバランスのとれた職業生活と家庭生活を送ることができるような環境整備が重要であり、今後とも労働時間短縮に向けて積極的に取り組んでまいります。  なお、時間外労働等につきまして直接的な規制をすること、これにつきましては慎重な対応が必要だと思います。  また、機動的な雇用対策の実施について御意見をいただきました。  雇用情勢は改善の動きが見られるものの、なお厳しい状況にあることは御指摘のとおりであります。このため、雇用情勢の改善が引き続きますように、新たな雇用創出への支援、失業なき労働移動に対する支援、新規学卒者等の就職支援などの対策を強力に推進しているところであります。今後とも景気の動向などに十分注意を払いながら機動的な雇用対策を進めてまいります。  また、いわゆるアイヌ新法についての御意見がございました。  昨年四月にウタリ対策あり方に関する有識者懇談会から報告書の提出を受け、これに基づく新たな施策の具体化に向けて検討を深めてきたところであります。昨年十二月には、北海道開発庁を中心に文部省及び総理府が新法の共管官庁として対応することを定めまして、これに基づいて、現在、政府部内におきまして法案の取りまとめ作業を進めておりまして、今通常国会関係法案を提出できるよう努力してまいりたいと思っております。  また、最後に、阪神・淡路大震災に関連してお尋ねをいただきました。  政府は、これまで被災者向け公営住宅の家賃の大幅引き下げなどさまざまな支援策を講じてまいりましたが、さらに今後、地元自治体が阪神・淡路大震災復興基金の活用により実施を予定しておられる生活再建支援金の給付などに対し地方財政措置による支援を行うとともに、健康・福祉サービスや生きがい対策雇用確保など、生活再建策の充実を図ることといたしております。  今後とも政府としては、被災者の自立を支援するために最大限の支援を続けてまいるつもりであります。  残余の質問につきましては、関係大臣から御笠弁を申し上げます。(拍手)    〔国務大臣池田行彦君登壇拍手
  28. 池田行彦

    国務大臣(池田行彦君) 菅野議員から私への御質問は三つございましたが、そのうち、アジア太平洋地域の平和と繁栄へ向けてのビジョン並びにアジア歴史資料センターについての御質問に対しては、総理から御答弁のあったとおりに進めてまいりたいと存じます。  また、ナホトカ号重油流出事故に関する御質問についても総理から御答弁ございましたけれども、私からは他国の協力に関して若干補足させていただきます。  現在、ロシアの油回収船が活動中でございますが、そのほかに韓国並びにシンガポールの民間企業からも油の回収装置等を借り受けて作業に使っている、このように承知しております。そのほか、近隣諸国並びに欧米各国、二十カ国余りでございますが、それに対しまして、提供可能な油の回収船や資機材などを含むいろいろな協力の可能性について、外交ルートで照会いたしまして情報はそろえております。  今後、対策本部におきまして、現場における回収作業状況等を踏まえて検討の上、協力を求める必要がある、こういうことになりましたら、直ちにその要請をする体制を整えておるところでございます。(拍手)    〔国務大臣三塚博登壇拍手
  29. 三塚博

    国務大臣三塚博君) 菅野議員の御質問は二点でございます。  八年度補正予算についてのお尋ねでございますが、この補正予算では、追加の内容について十二分に検討をいたし、阪神・淡路大震災復興対策費、緊急防災対策費、ウルグアイ・ラウンド農業合意関連対策費、住宅・都市整備公団補給金など、緊急かつ真に必要な経費を計上いたしたところでございます。  その財源としては建設公債を発行することとしておりますが、特例公債の減額を行うとともに、剰余金については、国債の償還のほか、過去に実施した政管健保の繰入特例や自賠責特会からの繰り入れの返済に充てるなど、過去の債務の清算を行ったところでございます。  このように、八年度補正予算では、追加の内容について十分吟味をいたしますとともに、財政健全化措置を織り込んでおります。自律的回復への基盤が整いつつある我が国経済への信認を高めるためにも、この補正予算の速やかな成立をお願い申し上げるところであります。(拍手)    〔国務大臣藤本孝雄登壇拍手
  30. 藤本孝雄

    国務大臣藤本孝雄君) まず、食糧の自給率向上についてのお尋ねにつきましては、今後の国際的な人口食糧需給の動向、また、先進国の中で我が国食糧自給率が低いことなどから、今後、食糧自給率の低下傾向に歯どめをかけることを基本としているところでございます。  具体的な施策といたしましては、農業におきまして、他産業従事者並みの年間労働時間と生涯所得を実現できる農業経営体が相当部分を占める農業構造の実現などを目指し、必要な施策を総合的に講じていくことといたしております。  次に、ウルグアイ・ラウンド農業合意関連対策につきましては、総理からの御答弁がございましたので省略をいたします。  最後に、森林・林業についてのお尋ねでありますが、昨年十一月に閣議決定をいたしました森林資源に関する基本計画等に基づき、必要な各種の施策を展開いたしております。そして、持続可能な森林経営を一層推進し、いろいろな機能を有する森林の整備に努めているところであります。  さらに、現在、林政審議会におきまして幅広く御論議いただいているところでございまして、今後、その御論議を踏まえまして、我が国森林・林業のあり方について検討を進めてまいる所存であります。(拍手)    〔国務大臣石井道子登壇拍手
  31. 石井道子

    国務大臣石井道子君) 菅野議員お答え申し上げます。  オゾン層の破壊によります人間の健康への影響懸念をされているところでございまして、環境庁といたしましても、フロンの回収・破壊の重要性については十分認識しております。これまでも関係十八省庁から成りますオゾン層保護対策推進会議において、フロンの回収・再利用・破壊の促進方策を取りまとめるとともに、啓発事業やフロン破壊モデル事業の実施などさまざまな取り組みを進めてきたところでございます。  この結果、多くの市町村や都道府県によりますフロンの回収に向けた取り組みが進みつつありまして、環境庁といたしましても、これまでの取り組みをさらに推進をいたしますとともに、今後のフロンの回収・破壊の一層の促進方策のあり方について関係省庁と検討を進めているところでございまして、その結果を踏まえて、今後、実効ある対策を展開したいど考えております。(拍手
  32. 松尾官平

    ○副議長(松尾官平君) 立木洋君。    〔立木洋君登壇拍手
  33. 立木洋

    ○立木洋君 私は、日本共産党を代表して、橋本首相並びに関係閣僚に質問いたします。  まず初めに、国民に対する不当きわまりない過重な負担を押しつける予算の問題についてです。  政府は、九七年度予算で消費税率の五%への引き上げと特別減税二兆円の打ち切りを計上しています。それは合わせて七兆円、乳幼児から高齢者まで国民一人当たり年間五万八千円にも上り、消費税導入以来最大規模の負担増であつく年金生活者や低所得者にとって死活の問題であります。  また、中小企業向けの特別措置であった限界控除制度が廃止されると大幅な増税になるケースも続出しますし、特に大手との販売競争で消費税を商品・サービス価格に転嫁できない中小零細企業は、自腹を切ってその税金分を負担せざるを得ません。  さらに、この増税によって国内総生産の六割を占める家計消費は冷え込み、現に、長引く不況のもとで景気回復の一層の鈍化をもたらすとの不安から生じた東京株式市場下落低迷と相まって、日本経済を一層困難に陥れようとしております。  既に、民間の五十六調査機関の九七年度の経済見通しによりますと、物価上昇を差し引いた実質経済成長は平均で一・四一%にとどまり、こうした株価全面安に象徴される日本経済の陰りが引き金どなって、政界、経済界からも四月一日の消費税引き上げを見送るべきだとの議論が出ているのは当然ではありませんか。  世論調査では消費税率引き上げ反対と廃止を合わせて六四%の多数の国民が反対し、今日、日本共産党を通じて既に七百万以上の請願署名が国会に提出されています。この国民の声にこたえて、今回の通常国会において消費税問題を徹底して議論し、国民生活を脅かすだけではなく、景気を一層悪化させ、国民経済を停滞させる消費税率五%引き上げを中止すべきではありませんか。明確にお答えいただきたい。  首相、代替の財源は十分あるのであります。首相も演説で、「公共事業に対する批判を重く受けとめ、建設コストを大幅に縮減する」と述べていますが、実施しようとはしていません。肝心なことはむだと浪費をなくすことです。  そのためにも、まず十年間で六百三十兆円もの金を注ぎ込む公共投資基本計画に固執することは改めるべきです。日米構造協議で公共投資の四百三十兆円拡大が問題になったとき、当時大蔵大臣だった首相は、干渉ではないかと批判したではありませんか。昨年の臨時国会での日本共産党の不破委員長のこの質問に対して、首相は、あくまで自主的に取り決めたものと答弁をいたしましたが、それなら、初めに六百三十兆円ありきのこの計画は、この際、根本的に見直すべきであります。明確な答弁を求めます。  公共事業では、三千六百億円投入した北海道の苫小牧東部開発のように明らかに失敗した企業誘致の事業や、一方で減反を進めながら大規模な農地を造成する中海干拓事業に既に七百五十九億円も投じるなど、浪費とも言うべき投資にさらに巨額の国費をつぎ込もうとして、どうして財政再建を真剣に考えている姿勢と言えるのでしょうか。この予算のどこに改革があるかとの厳しい批判が浴びせられていましたが、九七年度予算案は、公共事業のむだを総点検し、高いコストにメスを入れ、徹底した削減を行うことを強く求めるものであります。  軍事費について言えば、戦車、護衛艦などの正面装備や、さらに米軍への思いやり予算沖縄米軍基地移転などに投じる費用も含めるならば、抑制どころか、一般歳出の平均一・五%を上回る二・一%増という実質的伸びは際立ったものになっております。世界が軍備縮小の道を進めている今日、軍事費こそ大幅に削減のメスを入れるべきではありませんか。はっきりとした答えをいただきたい。  さらに、最も肝要な大企業を優遇する不公平税制の見直しも放置したままであります。  税金のかからない引当金、準備金や租税特別措置法、さらに外国税額控除などの大企業に対する我が国の優遇税制の現状については、他国に例を見ないものであります。政府税制調査会の法人課税小委員会でも、課税ベースをあわせて考えると法人課税の税負担の水準の高低は容易に判断できないと、大企業の税負担が欧米諸国に比較して大きいとは言えず、全般的な見直しを求めたのであります。  ところが、自民党がさきの総選挙で、法人税の税率を引き下げるという方向で検討を進めますと述べていましたが、首相は、欧米諸国に比べても高くない法人の税負担を財界の要求に応じてさらに軽減を行うのかどうか、答弁を求めます。  首相は、二〇〇五年には赤字国債の依存からの脱却を述べていますが、浪費の構造をそのままにして法人税を引き下げて財政再建を行うというのであるならば、将来ともさらなる消費税率の引き上げ、福祉医療、教育など国民の必要な分野を切り捨てて過酷な国民の負担増を求めること以外に道はないではありませんか。  この際、政府は、真にむだを省き国民生活を守る立場に立って、所要の手続を踏み、異常な国民負担増の九七年度予算案を組み替えるべきであります。このことを強く要求いたします。  首相は、行政改革については内政の最大課題とまで述べています。それならば、行政改革の原点である政官財の癒着を打破するという根本問題こそやるべきではないでしょうか。  さきの臨時国会で、病院向け寝具や医療食の一つの業界団体からこれまで自民党などの政党や政治家に対して四億二千万円に上る巨額の政治献金が行われていたことが明らかになっています。この問題で、橋本首相も小泉厚生大臣も、この業界から受け取った政治献金は届け出がしてあるからとか、よくなかったので返却したとかでは問題は済みせん。  橋本首相は、七五年五月のこの業者総会の懇談会で、病衣は近い将来に基準寝具の中に入れなければならない、私はこの制度実現のために大いに努力したいとあいさつをしていますが、翌年二月、病衣に初めて二点の診療報酬がついたのであります。  小泉厚生大臣も、八八年十二月、大臣になったとき、当時の寝具協会会長であった安倍晋太郎氏から、よく気をつけておいてくれよと言われたとみずから述べています。同協会は寝具診療報酬引き上げの要望を行い、点数は十四点から十五点に引き上げられました。このように協会加盟の業者は、業務代行保証制度という厚生省から与えられた特権を悪用して新規業者の参入を排除するという、独占禁止法に違反する悪徳商法を繰り返して行う一方、加算点数の引き上げで一点で年間六十億円の報酬増という暴利をむさぼってきたのであります。  業界の要求に沿って病衣を診療報酬に入れ、さらに点数を引き上げたことがこの業界の政治献金と無関係だとどうして言えるのでしょうか。こうした政治家と業界との政治献金による癒着関係は明確に断ち切り、責任を明らかにすべきではありませんか。改めて、首相、厚生大臣にはっきりとした答弁を求めるものであります。  国民の求めている行政改革は、何よりも企業・団体献金の禁止を実行することであります。口では行革を言いながら、資金を財界に求める。これでどうして政官財の癒着を断ち切り国民のための本格的な行政改革ができるというのでしょうか。  さらに、政治家が身を切る覚悟というのであるならば、三百十億円もの巨額の国民の税金を使い放題にしている政党助成金も即刻禁止すべきではありませんか。あわせて答弁を求めます。  第二に、高級官僚の天下りの禁止の実行であります。  首相が大蔵大臣在任時の一九九一年八月、証券不祥事の厳しい批判を受けて大蔵省の天下りの自粛を取り決めましたが、その後も大蔵省を初め他省庁でも天下りは後を絶っていません。例えば、日本医療食協会への厚生官僚の天下りは十五人に上り、建設業界への建設官僚の天下りは六百二十三人の多数を占めています。国民を憤激させた運輸省元次官の今回の事件は、関西国際空港会社への天下りであります。真の行革を断行する上で、特殊法人をも含めることを初め、徹底した天下り禁止を行うことは重要な措置ではありませんか。  第三には、情報の公開であります。  地方自治体による空出張あるいは官官接待などで、住民の強い情報公開の要求によって、昨年十二月までの一年間に不正支出として二十の都道府県で総計百三十七億円が明らかになっております。これは国民の監視によって行政を正していく上で不可欠のものであります。この情報公開は、憲法に由来する国民の知る権利を具体的に保障し、情報公開の範囲を狭める行政当局の恣意的な解釈が入り込む余地のないように厳密に規定することが求められています。首相は、これらの基本的な内容を明らかにした情報公開の重要性をどう認識しておられるのか、その実現の計画について見解を求めるものであります。  今回の予算案で国民痛みの最たるものの一つは、社会保障負担に向けられている医療保険の改悪であります。  政府は、医療保険の赤字等を理由に被用者保険の本人負担も一割から二割に引き上げ、お年寄りについても、薬価負担を合わせればこれまでの三倍に近い負担増になるわけであります。厚生年金受給者ですら五百九十二万人のうち四五%の人々が年金月額十五万円以下で生活しています。それに医療費が三倍にもなるという自己負担増は、高齢者が病院に行くこともできないようにする極めて冷酷なものではありませんか。  健康保険の赤字の最大の原因は、国民医療費の三割を占める薬剤費にあります。日本の薬代、とりわけ新薬などは、同じ効用を持つ薬でも欧米諸国と比べて一・五倍から三倍という異常な高さであります。政府はどうしてこの新薬の不当に高い薬価にメスを入れないのでしょうか。不当な薬価のつり上げのシステムを是正すれば数兆円も負担が軽くなり、国民への医療費の負担増は必要がなくなるのであります。  問題の製薬業界からの自民党やいわゆる厚生族議員への献金は巨額なものになっていますが、こうした政治家に対する献金が高い薬価の構造を温存する目的のためのものとして薬価行政のゆがみをもたらしたのではないでしょうか。明確にしていただきたい。  阪神・淡路大震災から既に二年を迎えました。今日も仮設住宅で生活を余儀なくされている人は七万人にも上り、その人たちの多くが高齢者であります。交通の便も悪く、病院に行くのもままならない。調査によりますと、六百五十八人の方に生命の危険があると言われています。また、中小商工業者で営業が再開できても住民が町に戻らないため売り上げは落ち込み、被災者の生活再建のおくれは最大の問題であります。  憲法が保障している生存権や災害救助法の規定に基づくならば、個人補償は政府努力によって可能なことであり、しかも緊急な課題であります。今、生活再建のための援助金を支給する法案を作成し、超党派の議員の賛同で実現を目指す市民グループなど、公的支援を求めるさまざまな活動の広がりに大きな期待が寄せられているのは当然のことであります。  首相は、被災地の生活再建のためなどに最大限の努力を払うと述べましたが、個人補償を含め具体的施策について明確な答弁を求めるものであります。  国民の命や安全がないがしろにされてきたことが悲惨な形で示されたのがロシアのタンカーからの重油流出事故であります。漁業関係者や多くのボランティアの方々の必死の努力にもかかわらず、依然として被害は拡大を続けて、犠牲者まで生じ、最大規模のものになりつつあります。  昨日、我が党の不破委員長はこの対策基本について詳しく質問をしたのに対し、首相は、対応のおくれを反省するとともに、今後総合的に検討すると答弁されました。首相は、国民の生命と財産を守るべき政府の責任を深く認識され、今後への教訓としてどういう対策を具体的に考えておられるのか、首相及び運輸大臣に答弁を求めたいのであります。  いま一つは、既に甚大な被害への補償であります。運輸省によりますと、保険から出るのはわずか二億円、国際油濁補償基金を合わせても最大二百二十五億円ということであります。これでは到底拡大する損害補償を賄うことはできません。  我が党は、去る二十日、ロシア大使に対し厳重に抗議するとともに、損害補償についてロシア政府としても最善を尽くすよう強く申し入れを行いました。政府としても、損害補償について速やかに最善を尽くすよう強く求めるものであります。  首相は、経済構造改革で、規制の撤廃や緩和を通じて経済効率性柔軟性産業競争力を高めることが不可欠と述べたことは、大企業の海外進出、大型公共事業の増加、規制緩和による新しいもうけ口の拡大、さらに企業の負担の軽減とリストラによる大企業競争力の強化に力を集中しようとするものではありませんか。これでは国民との矛盾を深め、経済の一層の行き詰まりをつくり出すものと言わざるを得ません。  日経連は、昨年来、規制緩和の名のもとに、八時間労働制の規定の削除、残業の労使協定の届け出廃止、罰則規定の廃止、深夜業などを規制した女子保護規定の撤廃など、人間らしい生活と労働のために最低の基準を定めた労働基準法そのものの大幅な改悪を執拗に求め、首相も改悪の意図を隠していません。  昨年十二月、横浜郵便集中局で、夕方五時から明朝九時まで事実上仮眠時間をとれなくされた悪名高いニュー夜勤についていた四十一歳の職員が、体調を崩して仮眠室に行ったまま死亡し、四日間も発見されないで放置されていたという痛ましい事件が起きたではありませんか。全国の郵便局にこの勤務体制が導入されて三十二人目の在職死であります。首相はこの過酷な事態をどう考えますか。  さらに、今、厚生省が強行しようとしている国立病院・療養所看護婦の二交代制十六時間拘束勤務の導入は、今述べた郵政労働者の悲劇を看護婦に拡大するものであります。そのことは、導入に当たって行われた研究結果が、患者に対するサービスの低下はもちろん、看護婦本人の健康に悪影響を与えることを示していることからも明らかであります。これは看護婦不足を一層深刻にし、病院の存立にもかかわる根本問題であります。ところが、厚生省は、全国十の病院・療養所の看護部長がまとめた九十二ページにわたる試行結果報告書を、都合の悪い多くの事実を隠ぺいし、わずか十数ページにしてしまったのであります。  厚生大臣、長時間夜勤の二交代制の導入は中止すべきではありませんか。強く求めるものであります。  以上のように、大企業の横暴やリストラで多くの労働者が苦しめられているとき、勤労者の生活権、勤労権を定め、労働基準の向上を図ることを目的とした労基法の改悪は絶対に許されません。幕、労働大臣、明確な回答を求めるものであります。  今、農村では、米を輸入しながら減反せよとは何事か、許せないという怒りの声が広がっています。ことしになって橋本高知県知事は、行政が減反の強制を行うことを中止することを明らかにし、大きな反響を呼んでいます。これは減反政策の行き詰まりを示しており、その抜本的な転換が求められているのではありませんか。  また、昨年発表された総理府世論調査では、食糧は外国産より高くとも国内でつくる方がよいという調査の結果が八三・四%にも達しており、食糧自給率の向上は緊急の国民課題となりています。  幕、WTOから農産物輸入の自由化を排除するための交渉を開始すべきではありませんか。  さらに、今、農業者が最も望んでいることは、農産物の価格保証の問題であります。さらに、中山間地の所得保障、輸入農産物の規制、これこそが食糧自給率を引き上げ、担い手を育てていくことができることになるのであります。首相並びに農水大臣にあわせて見解を求めるものであります。  日米政府は、十二月二日、日米特別行動委員会沖縄基地の返還計画の最終報告を発表しましたが、これは基地のない平和な沖縄を求める県民の願いに背を向けるいわゆる基地のたらい回しにほかなりません。そこでは普天間基地のほか十施設が返還されるとしていますが、返還の対象のほとんどが県内のほかの基地内への移設条件つきではありませんか。とりわけ海兵隊普天間基地の海上基地への移設は、世界に向けた殴り込みの海兵隊をこれまでどおり沖縄に居座らせるだけではなく、侵略出撃基地を一段と強化することになるのであります。  沖縄に駐留する第三海兵遠征軍司令部の資料によっても、海兵隊は太平洋などのすべての地域への出撃を任務とする部隊で、九一年の湾岸戦争のときも、また、九五年のソマリア出兵にも見られるように、日本防衛とは無関係な、文字どおり沖縄を本拠とする遠征軍そのものであります。  政府閣僚は、米軍は現在の水準を維持する方針であり、日本もそれを支持していると述べていますが、アメリカの国防総省は国防計画見直しを行っていますが、元太平洋米海兵隊司令官クルーラック氏は、沖縄に巨大基地はもう必要ないとの見解を表明しております。また、アーミテージ及びナイ元国防次官補でさえ、朝鮮半島に変化が生じれば沖縄からの海兵隊撤退が可能だと述べているわけです。  そういう状況がアメリカで問題になっているのに、これから七年間も八年間もかかって海上にヘリポートをつくるなどというようなことがどうして必要になるのでしょうか。なぜ日本は、アメリカがそういう状態になっているときに、日本政府こそこれを中止することを要求すべきではありませんか。沖縄の海兵隊の撤退こそ米側に要求することを強く求めるものであります。  次に、日米防衛協力指針の見直しに関連して質問を行います。  九六年七月二十三日の米議会調査局報告書に、この見直しについては次のように述べています。地域の突発事変に備えた米日共同の計画立案の強化や、地域軍事紛争において米軍を支援するための最も具体的な約束の取りつけに導くはずである、こういうのであります。このことはさきのクリントン米大統領の就任演説でも、「全世界に自由の灯を広げ」として、とりわけ強力な防衛力の維持を強調したように、強大な軍事力を背景にしてアメリカの国益のために他国を従わせ、世界の憲兵的立場を示したものにほかなりません。アメリカの覇権主義に基づく国益のために行う地域軍事紛争に自衛隊が協力していくなど、事実上の参戦計画の段取りをつくるのがこの見直しの基本ではありませんか。はっきりしていただきたい。  最後に、我が国は、憲法前文と第九条から、国際紛争の解決の手段として戦争へ武力の威嚇・行使は永久に放棄しています。これは厳然とした我が国の最高法規に基づく禁止規定であります。口では我が国の憲法の枠内と言いながら、さらにアメリカの軍事紛争に協力を拡大しようとするガイドラインの見直しなるものは、いかなる口実をつけようとも憲法に真っ向から反する道を一層拡大するものであることは明らかではありませんか。明確に説明をしていただきたい。  憲法制定五十年を迎える今年、憲法の原点に立ち戻ってガイドライン見直し作業を中止することを強く求めて、質問を終わるものであります。(拍手)    〔国務大臣橋本龍太郎登壇拍手
  34. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 立木議員お答えを申し上げます。  まず、景気の観点から消費税の引き上げ及び特別減税の打ち切りを中止せよというお尋ねであります。  最近の景気動向を見ると、民間需要は堅調さを増しており、景気は回復の動きを続けております。九年度につきましても、消費税率の引き上げなどを盛り込んだ上で、政府経済見通しでお示しをいたしましたとおり、規制緩和などの経済構造改革の実施等と相まって、次第に民間需要を中心とした自律的回復が実現するとともに、持続的成長への道が開かれていくと考えております。  次に、公共投資基本計画につきましては、本格的な高齢化社会の到来を間近に控えて、豊かで質の高い生活を支える発展基盤を構築するとの見地から、社会資本整備基本的な方向を取りまとめたものであります。他方、その具体的実施に際しては、財政の健全性を確保しつつ、各時点での経済財政情勢を踏まえ、機動的、弾力的に対応するものでありまして、こうした考え方に基づいて効果的、効率的に進めてまいりたいと考えております。  また、公共事業につきましては、各省の枠を超えた連携、建設コストの縮減、費用効果分析などの活用を通じ、一層効率的かつ効果的な実施に努めてまいる所存であります。なお、建設コストの縮減につきましては、先日、関係閣僚会議を発足させ、今年度末を目途に政府全体の行動指針を策定するよう、私から広範な取り組みを指示したところであります。  平成九年度の防衛予算につきましては、国際情勢変化や厳しい財政事情を踏まえて、合理化、効率化、コンパクト化を目指すこととして、一昨年に策定された防衛大綱のもと、中期防の二年目として最小限必要な事業を盛り込みっつその抑制に努めたものでありまして、これ以上の削減は困難であると考えております。  また、法人課税につきましては、税の公平中立などの基本的な視点に加え、企業の活力、新規産業の創出、我が国産業構造変化などの観点も踏まえ、課税ベースを適正化しながら税率を引き下げるという基本的な方向に沿って検討を続けていきたいと考えております。  消費税率のさらなる引き上げなどについて御意見がありました。  財政の健全化につきましては、平成十七年度までのできるだけ早い時期での特例公債依存からの脱却などを目標として、その実現に向けて財政構造改革を進めていく考えであります。九年度予算は、歳出全般についての徹底した洗い直しなどにより四兆三千億円の公債減額を実現するなど、財政構造改革の第一歩を踏み出したものでありまして、その速やかな成立をお願いしたいと考えております。今後の消費税率につきましては、こうした改革の実行によって、現在及び将来の世代の負担の抑制に最大限努力する中で、財政需要の動向、税制全体としての負担のあり方などを踏まえて、国民的な議論によって検討するべき課題だと考えております。  また、診療報酬の病衣貸与加算についてのお尋ねがございました。  昭和五十一年に院内感染防止の観点から、医療機関が清潔な病衣を患者に貸与することに着目して導入されたものであります。政治献金といった問題ではございません。  次に、企業・団体献金の禁止についてのお尋ねがございましたが、先般の三党政策合意におきまして、政治資金規正法の平成六年改正法附則第九条及び第十条の規定を踏まえ、「政治資金のあり方について今後、さらに協議を進める」旨明記をされているところでありまして、各党各会派におかれても十分御論議をいただきたいと思います。  次に、政党助成金について御意見がございました。  政党助成制度は、政治改革について議論を積み重ねた結果成立を見ました政党助成法に基づいて、いわば民主主義のコストとも言うべき政党の政治活動の経費を国民全体にも負担していただこうというものでありまして、民主主義の発展のために重要な意義を持つ制度だと考えております。  また、天下りの禁止について御意見がございました。  公務員の再就職を禁止する、これは職業選択の自由との関係や知識経験の有効活用という面からの問題があることなど、適当ではないと思います。むしろ、公務員の再就職の問題につきましては、行政への国民信頼回復の観点にも配慮をしながら、公務員のライフサイクル全体にわたる制度・運用の問題として、国家公務員制度全体の見直しの中で検討していく必要のあることだと思います。  また、情報公開は、国民信頼された行政というものを実現するために重要な課題であると思っております。  平成九年度内に所要の法律案の国会提出を図るという行政改革プログラムに沿い、できるだけ早い機会に法案国会に提出できるよう立案当局を督励しているところでありますが、法制化に当たりましては、不開示情報の範囲についてできる限り明確かつ合理的に定めるなど、行政改革委員会の意見を最大限尊重し、的確な立案を行っていきたいと考えております。  次に、高齢者の患者負担引き上げについての御意見がございました。  深刻な赤字構造に陥っております我が国医療保険財政の安定を図りますために、高齢者経済状況も踏まえながら、今回、若年者とともに高齢者にも給付と負担の公平の見地から応分の負担を求めることといたしましたが、高齢者の患者負担につきましては、外来負担上限、入院についての低所得者特例など、きめ細かく配慮をいたしております。  薬価につきましては、これまでも中央社会保険医療協議会において定められました明確なルールに従って設定をし、そのルールも必要に応じて見直しを行うなど、薬価の適正化に努めてきたところでありますが、医療費において薬剤費が占める割合が高いなどの実態があることから、薬剤使用の適正化、薬剤費の効率化を図る観点から、薬価基準の見直しなど総合的な対策に今後とも取り組んでまいります。  次に、阪神・淡路大震災の関連についてお尋ねがございました。  これまで政府は、被災者向けの公営住宅の家賃の大幅引き下げなどさまざまな支援策を講じてまいりましたが、さらに今後、地元自治体が阪神・淡路大震災復興基金の活用により実施を予定して、おられる生活再建支援金の給付などに対して地方財政措置による支援を行いますとともに、健康・福祉サービスや生きがい対策などきめ細かな生活再建策の充実を図ることといたしており、今後とも政府としては、被災者の自立を支援するために最大限の努力をしてまいります。  次に、重油流出事故につきましてお尋ねがございました。  現在、被害の拡大を防ぎますため、石油業界など関係業界、また、多くの民間のボランティアの方々協力を仰ぎながら、関係機関の総力を挙げて取り組んでおるところでありますが、現段階で反省点として申し上げますならば、政府対応体制のより迅速な確立てありますとか、あるいは油防除に関しまして領海内のみを想定し、公海上等、外洋における事故に対する対応体制がおくれていた点などが挙げられます。  いずれにいたしましても、本件事態が一段落いたしました段階であらゆる角度から検討を加え、油防除体制の強化、再発防止について全力で取り組んでまいりたいと思います。  次に、油濁損害に対する補償につきましては、油濁関係条約及び国内法に基づきまして、民事上の手続により、船舶所有者に故意または過失がない場合、最大約二百二十五億円の船舶所有者からの賠償及び国際油濁補償基金からの補償がなされることになっております。  今回の事故による被害総額につきましては、現時点においてなお相当量の油が海に浮かんでいる、さらなる被害の拡大が本当に心配されているところでありますが、被害を受けられた沿岸住民の方々も油の防除に全力を尽くしておられる状況にあり、被害の総額は把握できておりません。今後、その把握に努め、政府として的確に対応してまいる所存であります。  次に、経済構造改革プログラムにつきましては、産業空洞化懸念、急速な高齢化の進展などの問題に対応し、豊かな国民生活を支え得る経済活力を維持していくために策定したもので、このプログラムに従って、今後、経済構造改革を強力に推進し強靱な経済基盤を中長期的に確立することによって、良質な雇用機会確保や質の高い福祉の維持が可能となり、労働者を含めた国民の豊かな生活を将来にわたって実現し得るものと考えております。  郵便局のニュー夜勤において在職死が起きている実態をどう考えるかという御指摘であります。  ニュー夜勤は労働関係法令を遵守して実施されているものでございます。また、この導入により、完全週休二日制の実施など労働条件総体として改善が図られております。  労働基準法制の見直しにつきましては、政府としては、働く方々が意欲を持って働き、その能力を十分に発揮され評価されるような環境形成していくという観点から見直しや検討を進めることが必要であると考えております。この問題につきましては、現在、公労使三者から成る関係審議会において御議論をいただいておるところであり、その結果を踏まえて対処してまいろうと考えております。  次に、米の生産調整と農産物価格保証などについて御意見がありました。  主食である米につきその需給と価格の安定を図ることは極めて重要であり、そのため、食糧法に基づいて生産調整の円滑な推進を図ってまいる必要があると思います。  また、食糧自給率の低下傾向に歯どめをかけ、農業の担い手の育成に努めるとともに、農産物価格制度については、需給動向等を見きわめっつ、今後とも適正な運用に努めてまいります。  WTO協定を再交渉すべきだという御意見につきましては、確かにWTO協定のうちで農業部分につきましては我が国にとって大変厳しいものであるということは異論のないことでありますが、協定全体は、多角的自由貿易体制の維持強化、国際経済秩序に対する信頼確保という観点から極めて重要であり、この協定は貿易立国である我が国にとりまして極めて意義深いものでありますので、再交渉を求めるという考えは持っておりません。  次に、SACO最終報告に盛り込まれた返還案件についてのお尋ねでありますが、最終報告には、米軍の能力、即応性などを維持しながら返還実現するためには県内移設が不可欠であるなどの状況のもとに、沖縄県の方々の御負担を軽減するために日米政府が最大限の努力を行った結果であることをぜひとも御理解いただきたく、今後、最終報告の措置を着実に実施するために、地元の皆様の御理解、御協力を求めながら、あらゆる努力を行ってまいる所存であります。  海兵隊の駐留につきましては、政府は、在日米軍の存在は日米安保条約の目的達成にとって不可欠でありますし、また、我が国に駐留する海兵隊につきましても、その有する高い機動力、即応性などを通じ、在日米軍の重要な一翼を担っていると考えており、現時点では海兵隊の削減や撤去を求めることは考えておりません。  最後に、日米防衛協力のための指針の見直しにつきましては、これまで進めてまいりました日米間の防衛協力というものを基礎として、新しい時代におけるより効果的な日米の防衛協力関係を構築することを目的としており、あくまで日本国憲法の枠の中で行うものでありますし、我が国の憲法に関する政府の解釈を変更するものでもありません。  残余の質問につきましては、関係大臣から御答弁を申し上げます。(拍手)    〔国務大臣小泉純一郎君登壇拍手
  35. 小泉純一郎

    国務大臣(小泉純一郎君) 立木議員お答えいたします。  寝具の診療報酬引き上げについてでありますが、診療報酬上の基準寝具加算については、昭和三十三年の創設以来、物価や賃金の動向や診療報酬全体の引き上げ幅等を勘案し、中央社会保険医療協議会の審議を踏まえ、必要に応じ引き上げを行ってきたところであります。平成元年四月の診療報酬改定において基準寝具加算の点数を引き上げたのは、同年の消費税導入に伴うものであり、適切な改定であったと考えております。  次に、高齢者の患者負担引き上げが人命軽視ではないかということでありますが、これはとんでもない。今回の改定においては、外来、月千二十円を一回五百円にして、上限は四回に設定しております。これからの医療考えますと、働く世代ばかりに負担をおかけするわけにはいかない。適切な医療給付とその負担をどこに求めるか、給付と負担の適正な見直しが必要だと思います。そして、医療保険制度を安定的に運営、発展させるためには、それぞれがお互い給付と負担を考えていただきまして、適切な負担ということで、今回千二十円を一回五百円、四回限度ということで、さらに入院については、低所得者に対しては特例の枠を設けるなどきめ細かい配慮をしておりまして、私は、今回の改定は医療保険制度を安定的に発展させるためにぜひとも必要だと思っておりますので、御理解をお願いしたいと思います。  国立病院・療養所の二交代制勤務についてのお尋ねであります。  これは患者に対してより質の高い看護を提供するとともに看護婦にとってもより働きやすい勤務環境を整えるため、二交代制勤務を取り入れた方が望ましいという病棟において選択肢の一つとして導入しているものでありまして、中止する考えはありません。  なお、国立病院・療養所の二交代制勤務はすべての施設や病棟で一律に行うものではありません。患者や看護婦の状況を勘案して、各施設長の判断において決定されるものであります。  以上であります。(拍手)    〔国務大臣古賀誠君登壇拍手
  36. 古賀誠

    国務大臣(古賀誠君) 立木議員お答えを申し上げます。  御案内のとおり、今回の重油流出事故に関しましては、外国の老朽タンカーが事故を起こしました。荒天下の外洋において、今日、今なお防除作業が大変難航していることにつきまして、私といたしましても今後の対策の十分の教訓にしたいと考えております。  まず、対策検討するに当たりましては事故原因を明らかにする必要がありますので、一刻も早く事故の究明のための共同調査をロシア政府に申し入れさせていただいているところでございます。同時に、本日、運輸省に学識経験者を加えました事故原因調査委員会を設け、原因調査を早急に進めてまいるところでございます。  また、老朽タンカーへの対策につきましては、国際海事機関等を通じまして、各国政府協力し、旗国による船舶検査の徹底、また、寄港国による外国船舶への立入検査の強化等にこれから取り組んでまいりたいと思います。  次に、今回の教訓に学びまして、被害拡大を防ぐための油防除体制につきましては、荒天下の外洋にも対応し得る資機材の開発整備等総合的に検討し、適切に対処してまいりたいと考えております。(拍手)    〔国務大臣岡野裕君登壇拍手
  37. 岡野裕

    国務大臣(岡野裕君) 立木議員からお話がありました労働基準法の一部見直しについては、先ほどの総理のお言葉で全部尽きている、こう存ずるところでございますが、二、三、それではつけ加えさせていただきます。  まず、日経連云々というお話がございましたが、現に労働省が考えております見直しは、女子の時間外労働、休日労働あるいは深夜勤労働、これの規制緩和中心でございます。そして、私どもはこれの規制緩和を単独で取り上げるわけではございませんで、今朝来ここでもお話が出ております男女雇用機会均等法、これの見直しとの絡みで、女子の皆様の職域の範囲、こういうものを大きく広げようということとの絡みで関係審議会からも御建議がございまして、それを労働省におきまして検討をしました結果、今通常国会においてぜひ御審議を賜りたいということでお願いをしているものであります。  それからまた、そのほかの点につきましては、やはり産業構造改革の中で、労働に従事される皆さんがなるべく自律的に柔軟な働き方をすることによりましてそれぞれの能力を十二分に発揮できるようなそういう構えをとりたいというようなことで、あるいは裁量労働制でありますとか、あるいは一斉休憩の問題でありますとか、あるいは今の労働契約は一年間だと、こうなっているが、現下の体制の中でこれはいかがなものであろうかというようなことでございます。  なお、横浜の郵便局の関係につきましては、総理のお言葉のとおりでございます。(拍手)    〔国務大臣藤本孝雄登壇拍手
  38. 藤本孝雄

    国務大臣藤本孝雄君) 米の生産調整につきましてのお尋ねでございます。  総理からお答えがございましたので、若干補足をさせていただきます。  現在、米の需要は一千万トンでございまして、潜在的な生産力は千三百五十万トン、約三割の需給ギャップがございます。そういう需給ギャップがございます以上は、この生産調整を円滑に推進することによりまして米の供給過剰による価格の大幅な低落を防ぎ稲作経営の安定を図るということを主眼にして、今、生産調整を行っておるわけでございます。同時にまた、この生産調整を通じまして主食である米を消費者に対して安定的に供給する、そういう利点もあるわけでございます。  このような重要な役割を果たす生産調整でございますので、政府といたしましては、引き続き行政と生産者団体の一体的な取り組みのもとにその推進を努めてまいる考えでございまして、減反政策の抜本的な転換につきましては現在は考えておりません。  それから、農産物の価格保証等についてのお尋ねでございますが、これは総理からお答えがございましたので省略をいたします。(拍手)     —————————————
  39. 松尾官平

    ○副議長(松尾官平君) 大久保直彦君。    〔大久保直彦君登壇拍手
  40. 大久保直彦

    ○大久保直彦君 私は、さきの政府演説に対しまして、平成会を代表し、専ら橋本総理質問を申し上げたいと存じます。  質問に先立ちまして総理に申し上げますが、私の質問に対し、できましたら総理御自身の言葉で御答弁をいただきたいと思います。総理の閣僚時代の御答弁は胸打っものがございましたが、今回はメモを棒読みされておりますことは余り歓迎できません。私たちは、総理の御答弁拍手をしないことを決めたわけではありません。与党席から野党席から、拍手が鳴り響くような御答弁をぜひともお願いいたしたいと思います。  私は、代表質問のラストバッターでありますのでいろいろお尋ねいたしますが、昨日に続きまして、総理政治姿勢について重ねてお尋ねをいたします。  総理は、施政方針演説において六つの改革を明らかにされました。そして、総理みずから改革推進の核となり、「そのためにすべてをささげる」との決意を表明されました。しかし、残念ながら国民には総理の思いは届いていないようであります。いかに決意を述べられましても、国民の目には橋本総理の力みとパフォーマンスが必要以上に感じられてならないのであります。  昨年末、予算編成が山場を迎えている重要なときに、在ペルー日本国大使公邸の占拠事件が勃発いたしました。一カ月を超えた今日、いまだ解決されておりません。私は、一日も早く人質となっている方々全員が無事解放され、平和的解決が図られることを心より願うものであります。  このペルー事件以降の総理の行動は、国民から、本当に信頼できるのかとの疑問を呼び起こしておるのでございます。総理は、危機管理の問題であの村山政権の二の舞をしてはならないと思う余りでありましょうか、みけんにしわを寄せ、険しい顔をして、毎日二時間も外務省のオペレーションルームに入り込み、情勢の掌握に努めたようでありますが、何か適切な手を打ったという話も聞こえてまいりません。むしろ外務省の仕事の邪魔になっていたのではという声すらあります。(発言する者多し)  また、総理は、ASEAN諸国歴訪から帰ってこられた後はばったりと外務省のオペレーションルームに足を運ばれなくなったようでありますが、これは何かわけでもあるのでしょうか。お尋ねしておきたいと思います。  総理、私のところに次のような投書が届きました。この投書は申しております。  橋本総理は、銀座にアンパンを買いに出かけて、自分で百三十個も買って外務省に差し入れた、ということですが、これは総理のなさることでしょうか。このようなパフォーマンスをして見せても誰も「気配り」があるとは思いません。むしろオペレーションルームの仕事は外務省に任せて、総理たる者「国政全般」に目を光らせるべきではありませんか。というものであります。私も全く同感であります。総理の御感想と御所見をお伺いいたします。  また、総理は、記者団から大蔵原案について質問をされたときに、「すまん、頭がペルーで飛んでいる。おれの頭は単線で複線ではないんだ」と言ったことが報道されました。総理、これは本当ですか。もしそうだとすれば、これは大変なことであります。国のかじ取りである総理が舞い上がってしまったならば、日本政治はだれが責任をとるのでありましょうか。総理、あなたの総理としての器量が今、問われているのであります。この際、一国の宰相、総理はかくあるべしという、橋本総理の宰相論を国民の前に示していただきたいと思うのであります。  次に、今月二日以来今まで数々議論してまいりましたが、ロシアのタンカー重油流出事故は日本海沿岸の各府県に甚大な被害を及ぼしております。政府対応の問題点が繰り返し指摘されております。総理政府は事故発生後一週間もたってからようやく対策本部を設置した状況でありますが、OPRC条約に基づく油汚染事件への準備及び対応のための国家的な緊急時計画を閣議決定したと聞いております。  今回のようなタンカー沈没事故は、閣議で決めた典型的な油汚染事故であります。にもかかわらず、その効果対応がおくれるということはどこに問題があったのでしょうか。総理も反省されているようでありますが、初動の対応がおくれた理由をこの際明らかにしていただきたいと思います。総理リーダーシップの問題でしょうか。これは総理官邸の危機管理について極めて重要な問題であります。明確な御答弁を求めます。  さらに、この油汚染の被害は拡大する傾向にございます。総理は過日、日本海のカニを召し上がったようでありますが、カニを食べただけではなく、まずみずからが現地へ急行すべきではないでしょうか。現地は各省庁の出先や地方自治体がそれぞれ別々の対応をしております。総理、現地に内閣全体の対策本部を設置すべきではありませんか。明確な御答弁を求めておきたいと思います。  また、昨日もお尋ねいたしましたが、ボランティアの方が三人亡くなっております。まことに無念であります。この御遺族や関係者の皆様に、総理、この議場からでも結構でございますが、一言お見舞いなりお悔やみを申し上げていただくわけにはいかないのでしょうか。総理の御配慮をいただきたいと思います。  ロシアの油回収船がようやく来ておりますが、余りにも遅過ぎます。一体橋本内閣はロシア当局にいっどのような態度で臨まれたのか、御報告をいただきたいと思います。  我が国は年間三億キロリットルを超す石油の輸入大国であり、その大部分を海上輸送に依存しております。ところが、運輸省所属の油回収船は何と一隻のみで、それも太平洋にあり、日本海沿岸への配備はゼロであります。これら危機管理の抜本対策も含めて今後の対応をお伺いいたします。  また、環日本海沿岸五カ国及び近隣諸国に対し、環境汚染防止に対する対策連絡機関の設置も提唱すべきであると思いますが、総理の御所見を求めます。  次に、平成九年度予算について伺います。  行革推進の第一歩になるはずであった平成九年度予算の編成では、ばらまき予算と批判された整備新幹線の取り扱いなど、各方面から失望の声が出ております。自民党の長老議員の中からも、「予算案のどこに改革が見えるのか。橋本君は財政再建と言っているが、実際の政治は余りにも違う」、また、「予算編成では橋本君の声や指示が聞こえなかった。整備新幹線で族議員が復活したとの批判に橋本君の反省が見えない。これでいいのか」との批判の声が出ているようであります。これは先輩の批判にとどまりません。まさに国民の批判でもあります。  総理、反論があればお伺いしておきたいと思います。    〔副議長退席、議長着席〕  消費税の増税、特別減税の打ち切り、医療費負担の引き上げなどで国民負担は九兆円近くもふえております。国債の減額は前年度当初に比べ四兆円余りであり、ネットの減額はゼロであります。今まで議論のあったところであります。既定経費をどこまで削ったのでしょうか。公共事業の配分比率を見ても旧態依然としており、族議員がばっこする中でどれだけ実効ある補助金カットができたのでしょうか。まさに財政再建なき増税予算であります。しかも、消費税増税を強行する中で、保険料引き上げ等で生活者にむち打つ国民生活破壊予算でもあります。  我々は、このような予算を容認することはできません。断固反対いたします。この予算は粉砕いたさねばなりません。総理、この予算をどのように自己評価されておるのか、御所見を伺っておきたいと思います。  さて、私はこの新年、兜町の証券取引所に行ってまいりました。現在、手振りの商いが売買全体の一割になり、大勢はコンピューターでの取引が行われているとはいえ、株価は下げ相場一色で惨たんたる気配でありました。  総理、この株価の低迷、この大暴落をどのように受けとめておられますか。四日間で二千百円も下げました。きのうも百四円、本日午前も二百六十五円下げております。株式相場は経済のバロメーターであり、景気の先取りであることは申すまでもありません。株価が一万八千円を割り込み一万七千三百円になりますと、主要銀行で含み益がなくなる銀行が四行出てまいります。一万四千円を切るようなことになりますれば、ほとんどの銀行が赤字決算になり、倒産する銀行も出てまいります。  総理、海外の資本が引き揚げ始めております。国内の一般投資家も不安を募らせております。機関投資家も売りに出ざるを得ない状況にあることは総理が一番よく御存じであると思います。  この泥沼に引き込まれていくような日本経済の現状に対して、総理はどのように認識を持っておられるのか、また、どのような歯どめを用意されておられるのか、明確な御答弁を求めたいと思います。  総理、重ねて申し上げますが、今日の株式市場の急落は橋本政権に対する不信感のあらわれであります。消費税アップと特別減税打ち切りによる七兆円の大増税、法人税改革も地価税や有価証券取引税廃止も見送られ、ベンチャー投資減税も繰越控除に後退してしまいました。整備新幹線に至っては、まさに族議員誘導予算でしかないのであります。  皮肉なごとに、年明けの初閣議で橋本総理が六っの改革内閣の最重要課題との決意を表明したときから株価は急落しているのであります。国内外の投資家が、橋本行革は口先だけで実行がないということを市場で表明しているのであります。そして、政府経済政策が失敗であり、直ちに見直せと警告を発していると言わざるを得ません。  総理、御所見をしかとお伺いいたします。  景気が悪いときに増税するとはいかなる発想でありましょうか。総理、今こそ勇気を持って経済政策の見直しに取り組むべきであります。  現今の経済状況を回復させるために、私は平成九年度予算案の組み替えを行うべきであると強く主張いたすものであります。主なものを挙げれば、第一に消費税三%の据え置き、第二に特別減税の継続、第三に土地税制の抜本的見直しなどであります。この予算案の組み替えを行うことにより、政治の実行力を国民に示すべきであります。そして、これを国民政治への信頼回復の第一歩とすべきであります。総理の御答弁を求めたいと思います。  次に、住宅金融債権管理機構が住専からの大口借り手である大阪の末野興産の破産を申請いたしました。昨年、私がこの壇上で言及したとおり、結局、法的処理をするしかないことは前からわかり切っていたのであります。どうして住専問題が大きくなったときに、すぐさま同じ法的処理をしなかったのか。住専各社に当たり前の法的処理をさせていれば、六千八百五十億円などという国費を出す必要はなかったのであります。総理はこの点についてどのように認識されているのか、お伺いいたしたいと思います。  さらに、昨年二月、自民党は、住専問題で財政投入に対する国民の反発から、銀行業界からの政治献金を受け取らないと表明したはずであります。ところが、その舌の根も乾かぬうちに、昨年末に銀行業界から二億四千万円もの政治献金を受け取ったことが報道されました。さらに、大手信託銀行から六千万円の献金を受け、全国地方銀行協会には一億円の献金要請をしたことが報道されております。  総理、あのときの反省はどこへ行ったのでありましょうか。自民党総裁として、銀行業界に再び献金を申し入れた経緯を明らかにしていただきたいと存じます。  次に、高齢社会の問題について伺います。  初めに、今回、政府・与党が決定した医療保険制度改革案は、本人負担分を一割から二割に一挙に倍に引き上げ、高齢者の負担も三倍近くに引き上げるというものであります。年々膨らみ続ける医療費が医療保険財政を圧迫し、医療保険制度の存続自体が危ぶまれる現状にあることは明らかであります。  しかし、総理医療費のむだや非効率性に何らメスを入れることなく、安易にその対応高齢者など患者の負担増と診療抑制に求めることは容認できません。国民にのみ負担増を求める前に、国民が安心して医療社会保障を受けられるよう二十一世紀福祉ビジョンを示すべきではないでしょうか。総理の御所見をお伺いいたしたいと存じます。  次に、介護保険制度について、総理は昨日、我が会派の平井議員質問に対し、制度の必要性を強調されました。  では、お伺いいたしますが、この法案の作成にどこまで介護の現場の実態や声を掌握されたのか、問題が多過ぎるのであります。私どもは、昨年、実際に介護が必要な高齢者を抱える約四千五百軒の御家庭に実態調査を行い、その調査内容を政府に申し入れをいたしております。今国会で論議してまいりますが、ここでは次の二つについてお伺いしておきたいと思います。  第一は、この制度が本来目指していたものは、すべての国民がいつでもどこでも必要なときに必要な介護サービスを受けられる制度であったはずであります。ところが、提案されている法案は、その理念を実現しようとするとき、高齢者に大きな負担を求めざるを得ないという矛盾が含まれております。  第二には、この制度の財源設定には無理があるということであります。多くの市町村が危惧しているように、第二の国保となれば、財政破綻のみでなく、保険制度そのものを危うくする危険さえあります。  この二つの抜本的な問題に対する総理の御答弁を求めます。  総理国民は今、厚生省に不信感を持っております。厚生省の汚職問題で、岡光前次官については辞職願を受け取り、ボーナスを支給し、和田審議官については懲戒免職にしておりますが、この人事は不公正ではないのでしょうか。この処分け逆ではないかとの意見もあります。総理国民の納得いく釈明を求めておきたいと思います。  また、関連して伺いますが、泉井事件が広がりっっあります。運輸省の元最高幹部が逮捕されました。政府は通産幹部を軽い処分で済ませておりますが、これは将来改めて問題になります。総理の御所見を伺っておきたいと思います。  次に、沖縄駐留米軍の県道一〇四号越え実弾射撃訓練の本土移転について伺います。  現在、政府は受け入れ周辺自治体とその条件等についての交渉が難航していると伝えられておりますが、沖縄に所在する施設及び区域に関する特別行動委員会最終報告どおり、平成九年度中の移転は可能なのかどうか、周辺自治体が受け入れやすくするために政府としてどのような対応をとるつもりか、お伺いいたしておきたいと思います。  また、普天間飛行場にかわる新たな海上ヘリポートについても交渉の難航が伝えられております。これらの点につきましても、進め方の具体的なタイムテーブルも含め、総理の認識と御決意をお伺いいたしておきたいと思います。  さらに、沖縄の米軍用施設について、嘉手納飛行場など十二の施設が本年五月に使用期限が切れ、このままでは国が不法占拠する事態を迎えることになります。これに対してどのように対処されるおつもりか、総理の御見解をお伺いしておきたいと存じます。次に、阪神大震災から二年が過ぎました。復旧が進められている一方、仮設住宅では何と三万七千世帯、約六万七千人もの方々が不自由な生活序余儀なくされております。しかも、そのうち高齢者でひとり暮らしや養護が必要な方々が一万人を超えております。手厚い心の通った政策、市民生活を再建するために、個人補償も含めて公的支援のさらなる充実を図るべきであります。また、住宅の再建などで、親子二代にわたる無利子の融資制度等を検討すべきではないでしょうか。総理の御所見をお伺いいたしたいと存じます。  最後に、報道と人権侵害の問題について伺います。  私は先日、「松本サリン事件報道の罪と罰」という本を読みました。松本サリン事件の被害者でありながら犯人に仕立てられた河野義行さんは、その本の中で、「一般市民が報道被害に遭った場合、報道の嵐が過ぎ去るまで、息を潜めてただ待つことしか出来ない。また、仮に裁判で勝てたとしても得られるものはわずかである」と述べております。さらに、報道がまるで凶器となって河野さんを襲ったことが切々と述べられております。河野さんの人権を傷つけ名誉を踏みにじった一部週刊誌を初め、各報道メディアの反省も極めて不十分であると指摘されております。  一方、アメリカでは、アトランタ・オリンピックの開催場近くで公園爆破事件がありました。犯人のぬれぎぬを着せられた被害者に対して、その疑いが晴れた後、人権を侵害し個人の名誉を著しく傷つけたことに対し、メディア側であるアメリカ三大ネットワークの一つNBCが五十万ドル、約五千八百万円以上の和解金を支払ったことが報道されました。  このこと一つを見ましても、個人の人権や名誉毀損について日本とアメリカでは余りにも意識に違いがあり過ぎます。我が国では人権に対する認識がまことに軽く扱われております。  二十一世紀は人間の世紀、人権の世紀であります。総理はこの人権の問題についてどのように認識しておられますか、御所見を伺いたいと思います。  もちろん、報道の自由は守られねばなりません。マスコミ関係者等から、報道から国民の人権を守る報道評議会、プレスオンブズマンを中心としたメディア責任制度検討すべきだとの声もあります。  総理の御所見を求めまして、私の質問を終わりたいと思います。(拍手)    〔国務大臣橋本龍太郎登壇拍手
  41. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) まず、今回の重油流出に際し、ボランティアとして駆けつけていただいている多くの方々の中で亡くなられた方々に心から改めて弔意を表します。内閣といたしましては、既に官房長官記者会見等で内閣としての弔意を表しておりましたが、改めてこの場をかり心から弔意を表しますとともに、現在なおボランティア活動に一生懸命に努力していただいております皆さんにも心から感謝を申し上げたいと存じます。  また、自分の言葉で答えろと。できるだけそうするつもりでありますけれども、二十問もございますととても一つ一つを覚え切れませんので、ある程度資料を拝見いたします。  まず、ペルー事件について、私の対応に御批判をいただきました。  御批判は甘んじてちょうだいをいたしますが、当初、その刻々に動いております時期において、私なりに、過ちを犯してはならない、そしてこの事件を無事に解決するために努力しなければならない、その気持ちは今も同じであります。  次に、宰相論というお尋ねがありました。  私は、この日本という国を愛し、みずからのふるさとを愛するとともに、これから次の世代を担っていくべき若い人々に夢と希望を与え得るような、また、みずからの人生にチャレンジのできるような国をつくっていくために、自分の全力を尽くしていくことが使命だと考えております。  次に、今回の海難事故発生以降、まず冬の日本海の荒天下にもかかわりませず、海上保安庁の巡視船及び航空機により、タンカーの乗組員の人命救助と行方不明者の捜索に全力を尽くしました。その後、漂流しております船首部の沖合曳航などの作業に海上保安庁を中心に必死で取り組んでくれたわけであります。また、流出油の監視・防除にも取り組みましたが、荒天の結果、残念ながら船首部の曳航は成功せず、福井県の沿岸に着底し、また、その被害が拡大をいたしております。結果として政府対応に反省すべき点があったことは率直に認めます。  政府といたしましては、この事態の重大さにかんがみ、被害状況の把握、環境に与える影響調査、賠償問題などの被害対策、さらには再発防止策等、内閣を挙げて取り組んでいるところでございます。  現地に内閣全体の対策本部を設置すべきだという御提案をいただきましたが、既に各府県が現地対策本部を設置しておりまして、国の機関もこれに協力する体制をとっております。新たな対策本部を現地レベルで設置することは適当ではない、むしろ各府県の現地対策本部により一層積極的に協力をする形で対応していきたいと考えております。  次に、この事件が発生いたしました後、五日、まず在京のロシア大使館に、続いて十日、小倉外務審議官から、イリューシン第一副首相とモスクワにおいて面談をし、申し入れ、累次にわたり外交ルートを通じ、流出した重油による汚染防除にかかわるロシア側からの協力、事故の徹底した原因究明、再発防止及び補償問題について適切な対応を求めるための申し入れを行ってまいりましたが、今後ともにこれらの課題につきロシア側に働きかけてまいります。  また、回収船の配備充実を含む危機管理体制の整備についての御提言をいただきました。  この事件を振り返ってみましても、確かに領海内における事故、また、静ひつな、交通の非常に複雑な海峡等を中心にした防除体制になっておりましたことは我々としても反省いたさなければなりません。殊に、荒天の日本海における操業ということを考えましたどき、現有の回収船等の能力では足りません。今回の事故の重大さにもかんがみまして、このような事態にも対応可能な油防除体制、危機管理体制のあり方について総合的に検討し、適切に対処をしてまいりたいと考えております。  また、今回のような事故に対し、近隣諸国との連携協力というものは極めて重要であると考えておりまして、今後さらに近隣諸国とどのような協力が可能かについても検討してまいりたいと思います。本年夏、我が国とロシア、中国及び韓国から成る北西太平洋地域海計画に基づいて、日本海の海洋汚染防止対策に関する会合を我が国で開催する準備を、今、進めております。この会合におきまして、同様事故への緊急の対応についても検討してまいりたいと思います。  次に、予算編成に対してリーダーシップがない、また、予算をどう評価しているかという御指摘がございました。  私自身、機会をとらえまして、例えば一般歳出の抑制あるいは公債減額幅に対する指示、さらに個々の制度改革、歳出の合理化の取り組み等に対して各閣僚に対する指示等を行いながら、全体としての歳出規模の圧縮に努めてきたつもりであります。  御評価がいただけるかどうかは別として、九年度予算におきましては、医療保険制度改革を初めとする各般の制度改革実現するとともに、一般歳出の伸び率は一・五%、九年度物価上昇率見通しを下回る実質伸びゼロの予算になっております。また、四兆三千億円の公債減額を実現すると同時に、国債費を除く歳出を租税収入で賄える範囲内にとどめてまいりました。  こうした努力の上で、九年度予算は財政構造改革の第一歩を踏み出すことになりますが、今後もさらに思い切った財政構造対策を進めていく必要があることは当然のことであります。  次に、株式相場について御意見をいただきました。  株式の動向につきましては、その原因についていろいろな見方もございます。巷間、企業業績や景気の不透明感などが指摘されます一方で、海外の論調の中に、むしろ日本政府が真剣に改革取り組み始めた結果が逆にこうした痛みを短期的に生じている、こうした見方も出ております。  また、政府としては、八年度補正予算また九年度予算、それぞれの年度内成立を図りますと同時に、これによって切れ目のない経済運営に努めていくことによりまして、これからの構造改革を確実に実行してまいります。  いずれにいたしましても、株式市場の動向について今後ともに注意深く見守ってまいらなければなりません。次に、我が国経済の現状と今後の経済運営をどう見るのだというお話がございました。我が国経済の現況、もう私が申し上げるまでもなく数字が示しておりますけれども、景気の回復の動きは緩やかでありますけれども続いておりますし、民間需要も堅調さを増しております。雇用情勢は確かにまだ厳しい状況にありますが、改善の動きも見えております。  九年度につきましても、政府経済見通しでお示ししましたように、確かに消費税率の引き上げなどによりまして年度の前半が景気の足取りは緩やかになるわけでありますから、だからこそ八年度補正予算はぜひ早期に成立をさせていただきたい、この効果も使いたいということを申し上げているわけでありまして、規制緩和などの経済構造改革の実施などと相まちまして、次第に民間需要を中心とした自律的回復が実現される、持続的成長への道が開かれると思っております。  こうした認識のもとに、私は、適切な経済運営に努めながら、六つの改革一体的に進めていきたいと考えております。  予算の組み替え、具体的に消費税率三%据え置きといった御意見をいただきました。  しかし、消費税率の引き上げ及び地方消費税の導入は、活力ある福祉社会を目指し、少子・高齢化の進展という構造変化対応した税制改革の一環として、法律に定めたとおり四月に実施させていただくつもりであります。  特別減税は、我が国経済回復基調にあること、また、この危機的な財政状況の中にこれを存続することによってその財源が非常に困難を生じる、こうしたことを踏まえて、実施をいたさないことにいたしました。  御意見の中には土地税制についてもお触れをいただきましたが、平成八年度税制改正におきまして既に地価税の税率を半減いたしておりますし、九年度におきましても固定資産税などの見直しを所要のものを行うことにいたしておりまして、私どもが九年度予算にあわせまして八年度補正予算の円滑な執行に努めるなど、こうした努力をとることにより、我が国経済を安定させていきたいと考えております。  また、住専処理について御意見をいただきました。  しかし、財政支出を含む住専処理策は、我が国の不良債権問題への取り組みの突破口として、経済の動脈である金融システム安定性確保するために必要だと認識をしております。これによりまして、法的処理を含めた悪質な債務者への厳格な責任追及が行われているものと受けとめております。  次に、政治献金についてのお尋ねがございました。  議員から御指摘をいただきましたものは、我が党の過去の借入金返済に充当することに限定をいたした上で、平成七年から計画として各方面から御協力をいただいております。  他方、住専母体行からの寄附につきましては、昨年の二月、当面自粛することを党として決定したところでありまして、その決定に基づき、現在も寄附の要請は行っておりません。  また、二十一世紀福祉ビジョンについてお尋ねがございました。  国民の需要の変化に適切にこたえるとともに、給付と負担の均衡がとれ、かつ経済活動と両立し得るサービスの選択、民間活力の発揮といった考え方に立ちながら、効率的で安定した社会保障制度を構築しなければなりません。  社会保障関係審議会の会長会議におきましても、昨年十一月、社会保障構造改革の方向が示されておりまして、その第一歩として、介護保険創設及び医療保険改革について今国会で御審議をお願いしたいと考えておるわけであります。  次に、介護保険制度の費用負担につきまして御意見をいただきました。  費用の二分の一を公費負担とするとともに、広く四十歳以上の方々に負担を求めることにより、安定的に介護費用を賄える仕組みといたしております。  また、高齢者の保険料につきましては、負担能力に応じて段階的に設定することなどにより、無理のない範囲の負担といたしております。  次に、厚生省における大事について御意見をいただきました。  前厚生事務次官の辞職の承認につきましては、本人が疑惑を否定しておりました中で、懲戒処分を行うためには相当な時間を要する、山積する重要課題に取り組む体制を整えるためにも、小泉厚生大臣が辞職の承認を政治的に決断をされたことであります。  一方、和田元厚生省大臣官房審議官につきましては、本人が報道された現金の受け取りを認めていたことから、一たん大臣官房付とし、全体の事実関係を確認した上で懲戒免職としたと承知をしております。  こうした処分というものは、それぞれの時点において任命権者が知り得た範囲内でその事実関係に基づいて国家公務員法等の規定によって行われるものでありまして、私は御指摘は当たらないと思っております。  また、泉井事件について、通産幹部の処分が軽いのではないかという御指摘がございました。  通産省は、泉井氏と職員の接触の状況に関する調査の結果を踏まえて、綱紀に問題があったという率直な反省のもとにおいて、二度とこうした問題を起こさないよう厳しい立場に立って処分を実施したものと承知をしております。  いずれにせよ、政府全体として、先般、新たな綱紀粛正策を定めたばかりでありますから、この措置に基づいて綱紀粛正の徹底になお万全を期していきたいと思います。  次に、米軍訓練の本土移転についてお尋ねがございました。  この県道一〇四号線越え実弾射撃訓練、基地周辺の市町村によってまだ対応は一致したものではございません。しかし、既に、条件はありますけれども、協力してもよいと言っていただいているところも出てきております、そして、関係自治体などに御理解と御協力をお願いいたしておりますし、これに関しての地元からの御要望につきましては、平成八年度補正予算及び九年度予算におきまして所要の手当てを行うなど誠意を持って対応しながら、平成九年度から訓練が実施できますように最大限の努力をしてまいりたいと考えており、ぜひ御協力を賜りたいと考えております。  次に、普天間飛行場を代替する海上施設についてのお尋ねがございました。  政府としては、先般、キャンプ・シュワブ水域に関係する名護市などに対しまして、現地状況序十分に把握するため調査の実施について協力のね願いを申し上げました。残念ながらまだそれは実っておりませんけれども、今後、本年十二月までに候補水域選定を含め詳細な実施計画を策定するに当たり、地元の御理解を得ることが何より先決であります。私自身、関係市町村長にお目にかかりましたときにも、地元を飛び越えて強行するようなことはしない、ぜひ御協力をいただきたいということも申し上げてまいりました。  これから先も、詳細な実施計画を策定するに当たり地元の御理解を得ることが重要であると考えておりまして、政府としては、そのために引き続き地元方々との協議に最大限の努力を払っていきたいと考えております。  また、駐留軍用地特措法に基づきます使用権原取得手続のお尋ねにつきましては、国と沖縄県の信頼関係のもとに知事から公告・縦覧手続に御協力をいただいたところでありますが、今後、沖縄県収用委員会の公開審理が開始される予定でありますけれども、このような状況などを踏まえて、裁決に至る手続が円滑かつ迅速に行われることを心から願っております。また、政府としても、関係者の御協力が得られるように最大限の努力をしてまいる所存であります。  次に、阪神・淡路大震災に関連いたしました云尋ねがございました。  政府は、これまで被災者向け公営住宅の家賃の大幅引き下げなどさまざまな支援策を講じてまいりましたが、さらに、個人補償という形ではありませんけれども、今後、地元自治体が阪神・淡脈大震災復興基金を活用されることによりまして実施を予定しておられる生活再建支援金の給付などに対しまして地方財政措置による支援を行うなど、被災者の生活再建策を一層充実させていこうとしております。今後とも政府としては、被災者の自立を支援するために最大限の努力をしてまいります。  次に、住宅の再建についてお尋ねをいただきました。  住宅金融公庫融資におきましては、親子二代にわたる返済も可能といたしておりますし、さらに阪神・淡路大震災の被災者に対し災害復興住宅貸し付けの特例措置を講じております。また、これに加え、被災住宅再建対策事業によりまして、住宅を再建される被災者の初期負担の軽減も図っておるわけであります。  最後に、松本サリン事件を例にどられ、報道における人権問題というものについての御提起がありました。  御指摘のように、報道の場面で人権に関し問題が発生するケースもありますが、個人の人権がより一層尊重される社会実現を目指して今後とも人権擁護の施策推進してまいりたいと考えております。  メディア責任制度につきましては、御指摘のような制度が諸外国において設けられているところがある、これは承知をいたしておりますけれども、この種の問題は、本来、報道の自由、表現の自由と人権の保護、保障との調整に関する問題でありますし、公的な機関が関与する形よりは、マスコミ自身が自主的に取り組まれ、良識を持った取り扱いをなされることが望ましい、私はそのように考えております。(拍手
  42. 斎藤十朗

    議長斎藤十朗君) このまましばらくお待ちください。  先ほどの大久保直彦君の発言につきましては、速記録を調査の上、議長において適切に措置いたしたいと存じます。  これにて質疑は終了いたしました。      ——————————
  43. 斎藤十朗

    議長斎藤十朗君) 日程第二 平成六年度一般会計歳入歳出決算平成六年度特別会計歳入歳出決算平成六年度国税収納金整理資金受払計算書平成六年度政府関係機関決算書  日程第三 平成六年度国有財産増減及び現在額総計算書  日程第四 平成六年度国有財産無償貸付状況計算書  以上三件を一括して議題といたします。  まず、委員長の報告を求めます。決算委員長野沢太三君。     —————————————    〔審査報告書は本号末尾に掲載〕     —————————————    〔野沢太三君登壇拍手
  44. 野沢太三

    ○野沢太三君 ただいま議題となりました平成六年度決算外二件につきまして、決算委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。  平成六年度決算は、平成八年一月二十二日に提出され、同年五月十五日、委員会に付託となり、また、国有財産関係二件は、同年一月二十二日に提出され、同日、委員会に付託となりました。  委員会におきましては、国会が議決した予算及び関係法律が適正かつ効率的に執行されたかどうかを審査し、あわせて、政府施策の全般について広く国民的視野から実績批判を行い、その結果を将来の予算策定及びその執行に反映させるべきであるとの観点に立って審査を行ってまいりました。  全体で十二回に及んだ委員会質疑では、後で述べるような内閣に対する警告にかかわる質疑のほか、決算の早期提出、検査官の任命同意に関する衆議院優越規定の見直し、財政状況に関する実態開示の必要性、行政監察及び会計検査院の指摘事項に関連した質疑など、行財政全般について熱心な論議が交わされましたが、それらの詳細は会議録によって御承知願います。  去る十六日に質疑を終局し、討論に入りました。  平成六年度決算に対する議決案の第一は本件決算の是認、第二は内閣に対する十項目の警告であります。  討論では、日本共産党を代表して筆坂理事から、決算並びに国有財産増減及び現在額総計算書について是認することに反対し、国有財産無償貸付状況計算書及び内閣に対する警告案については賛成する旨の意見が述べられました。  次に、自由民主党を代表して塩崎理事、民主党・新緑風会を代表して今井委員より、それぞれ決算外二件を是認することに賛成するとともに、内閣に対する警告案について賛成する旨の意見が述べられました。  討論を終わり、平成六年度決算を採決に付しましたところ、本件決算は多数をもって是認すべきものと議決され、次いで、内閣に対する警告案については、全会一致をもって警告すべきものと議決された次第であります  内閣に対する警告は次のとおりであります。  一、厚生省の前事務次官が収賄容疑で逮捕・起訴されたのを初め、大蔵省、厚生省及び通商産業省の幹部職員が関係業界及び業者との過度の癒着を指摘されるなど、最近の公務員をめぐる一連の不祥事により、行政に対する国民信頼を失墜させたことは極めて遺憾である。  政府は、国民の行政及び公務員に対する信頼が早急に回復されるよう、行政と関係業界との癒着の防止に努めるとともに、公務員に関する具体的行為規範の遵守を図るなど、綱紀粛正の徹底が図られるよう諸般の方策を講じるべきである。  二、消費税の納付について、その新規発生滞納額が近年多額で推移しており、平成六年度末の滞納額も三千三百五十九億円に上っていることは遺憾である。  政府は、消費者が負担した消費税の一部が国庫に納入されていない事態となっていることを重く受けとめ、消費税に対する国民信頼を損なわないよう、滞納の未然防止及び滞納整理の促進に一層努力すべきである。  三、病原性大腸菌O157による食中毒が全国的に発生する中で、学校給食においても集団食中毒が相次いで発生し、死者が出る事態となったことは遺憾である。  政府は、O157に対する総合的な対策を着実に進めるとともに、安全な学校給食が提供されるよう、衛生管理の徹底や施設設備の充実を促進するなど、学校給食における食中毒の再発防止に一層努めるべきである。  四、健康保険または厚生年金保険に関し、特定の国民健康保険組合に加入している土木建築業の従業員や地方公共団体に雇用されている嘱託職員等について適用漏れの事態が生じ、平成六年度決算検査報告において百十三億円を超える保険料の徴収不足が指摘されたことは遺憾である。  政府は、社会保険の公平適正な適用の重要性にかんがみ、社会保険事務所における調査確認及び指導の徹底を図るなど、健康保険及び厚生年金保険の適用の適正化に格段の努力をすべきである。  五、医療費について、支払いの不適切等に係る指摘が決算検査報告において昭和六十一年度以降毎年続いており、それに係る国庫負担額も平成六年度までに七十八億円に上っていることは遺憾である。  政府は、今後も高齢化の進展等により医療費の増加が見込まれるとともに、医療保険財政の状況も深刻化していることにかんがみ、審査支払い機関及び保険者等による審査点検の徹底を図るなど、医療費の請求・審査の適正化に一層努力すべきである。  六、国庫補助事業である特別養護老人ホームの施設整備等をめぐり贈収賄事件が発覚するなど、その国庫補助金の適正な支出等に関し疑惑が持たれる事態が生じていることは遺憾である。  政府は、今後の高齢化対応した新ゴールドプランの強力な推進が求められている中で、こうした事態が生じたことを厳しく認識し、特別養護老人ホームの施設整備等に関し早急に必要な実態の把握を行うとともに、補助金交付や社会福祉法人の認可等について制度の全般にわたる見直し、再点検を行い、社会福祉事業の適正な実施が確保されるよう万全の対策を講じるべきである。  七、農業構造の改善に寄与すること等を目的とした農業年金事業における経営移譲年金について、不適正支給の事例が見られることは遺憾である。  政府は、農業年金制度が多額の国庫助成を行わざるを得ない状況となっていることにもかんがみ、その支給の適正化に万全を期するとともに、年金財政の健全化、情報開示に向けて今後ともさらに努力すべきである。  八、労働者災害補償保険の診療費の算定について、全国的な統一基準が定められているにもかかわらず、これと異なる割高な料金を設定したいわゆる地域特掲料金がなお一部の都県において解消されていないことは遺憾である。  政府は、地域特掲料金の解消について、平成元年度決算検査報告で指摘されて以来既に六年が経過していることにかんがみ、その完全解消の早期実現努力すべきである。  九、国庫補助事業に係る食糧費の使用について、補助事業との関連性が明確でなく、また、その経理関係書類が不備である等の不適切な事態が見られたことは遺憾である。  政府は、食糧費の使用について、今後国民の疑念を生じさせないよう、補助事業者である地方公共団体に対し一層の指導に努めるとともに、食糧費を含む事務費の支出状況を的確に把握し、不適正な使用が明らかになった場合には返還を命じる等、厳正な措置を講じるべきである。  十、各地の地方公共団体において、いわゆる食糧費の不正使用や、空出張、空飲食等による不適正な公費支出が相次いで明らかとなり、しかも公正な行財政執行を確保すべき監査委員及び同事務局においても同様な公費支出が見られたことは遺憾である。  政府は、公正で能率的な行政の確保という監査委員制度本来の機能が発揮されるよう必要な指導等に努めるとともに、地方分権の推進に伴う監査機能充実方策について検討すべきである。  以上であります。  次に、国有財産関係二件については、採決の結果、いずれも多数をもって是認すべきものと議決された次第であります。  以上、御報告申し上げます。(拍手)     —————————————
  45. 斎藤十朗

    議長斎藤十朗君) これより採決をいたします。  初めに、日程第二の平成六年度決算について採決をいたします。  本件の委員長報告は、本件決算を是認すること及び内閣に対し警告することから成っております。  まず、本件決算を委員長報告のとおり是認することに賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  46. 斎藤十朗

    議長斎藤十朗君) 過半数と認めます。  よって、本件決算は委員長報告のとおり是認することに決しました。  次に、委員長報告のとおり内閣に対し警告することに賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  47. 斎藤十朗

    議長斎藤十朗君) 総員起立と認めます。  よって、全会一致をもって委員長報告のとおり内閣に対し警告することに決しました。  次に、日程第三の国有財産増減及び現在額総計算書について採決をいたします。  本件を是認することに賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  48. 斎藤十朗

    議長斎藤十朗君) 過半数と認めます。  よって、本件は是認することに決しました。  次に、日程第四の国有財産無償貸付状況計算書について採決をいたします。  本件を是認することに賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  49. 斎藤十朗

    議長斎藤十朗君) 過半数と認めます。  よって、本件は是認することに決しました。  本日はこれにて散会いたします。    午後三時五十八分散会