運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1997-06-10 第140回国会 参議院 法務委員会民事訴訟法改正に伴う情報開示に関する小委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成九年六月十日(火曜日)    午前十時開会     ————————————— 平成九年二月二十日法務委員長において本小委員 を左のとおり指名した。                 岡部 三郎君                 久世 公堯君                 志村 哲良君                 中原  爽君                 浜四津敏子君                 山崎 順子君                 照屋 寛徳君                 菅野 久光君                 橋本  敦君 同日法務委員長は左の者を小委員長に指名した。                 岡部 三郎君     —————————————    小委員異動  三月十四日     辞任          菅野 久光君     辞任          橋本  敦君  三月二十七日     辞任          照屋 寛徳君  四月七日     辞任          中原  爽君  六月四日     辞任          山崎 順子君  六月六日     補欠選任        中原  爽君     補欠選任        照屋 寛徳君     補欠選任        菅野 久光君     補欠選任        橋本  敦君  同日     辞任         補欠選任      志村 哲良君     長尾 立子君   六月九日     補欠選任        星野 朋市君     —————————————   出席者は左のとおり。     小委員長        岡部 三郎君     小委員                 久世 公堯君                 中原  爽君                 長尾 立子君                 浜四津敏子君                 星野 朋市君                 照屋 寛徳君                 菅野 久光君                 橋本  敦君    政府委員        法務省民事局長  濱崎 恭生君    事務局側        常任委員会専門        員        吉岡 恒男君    説明員        総務庁行政管理        局行政情報シス        テム企画課長   藤井 昭夫君    参考人        法制審議会民事        訴訟法部会長   竹下 守夫君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○参考人出席要求に関する件 ○民事訴訟法改正に伴う情報開示に関する件     —————————————
  2. 岡部三郎

    ○小委員長岡部三郎君) ただいまから法務委員会民事訴訟法改正に伴う情報開示に関する小委員会を開会いたします。  まず、小委員異動について御報告いたします。  去る六日、志村哲良君が小委員辞任され、その補欠として長尾立子君が選任されました。  また、委員異動に伴い欠員となっております小委員補欠として、昨九日、星野朋市君が選任されました。     —————————————
  3. 岡部三郎

    ○小委員長岡部三郎君) 参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  民事訴訟法改正に伴う情報開示に関する調査のため、本日の小委員会参考人として法制審議会民事訴訟法部会長竹下守夫君の出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 岡部三郎

    ○小委員長岡部三郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  5. 岡部三郎

    ○小委員長岡部三郎君) 民事訴訟法改正に伴う情報開示に関する件について調査を行います。  本日は、本件について、参考人として法制審議会民事訴訟法部会長竹下守夫君から御意見を承る  ことといたします。  本日の議事の進め方でございますが、まず、法制審議会における民事訴訟法改正に係る検討状況について参考人から二十分程度で御説明をいただき、その後、小委員からの質疑にお答えいただきたいと存じます。  なお、念のため申し添えますが、御発言の際は、その都度、小委員長の許可を得ることとなっております。また、各小委員質疑時間が限られておりますので、御答弁は簡潔にお願いいたしたいと存じます。  なお、御発言はすべて着席のままで結構でございます。  それでは、竹下参考人にお願いいたします。竹下参考人
  6. 竹下守夫

    参考人竹下守夫君) 昨年七月より法制審議会民事訴訟法部会長をお引き受けしております駿河台大学の竹下でございます。  本日は、昨年の国会で成立いたしました新しい民事訴訟法附則二十七条におきまして、いわゆる行政文書提出命令制度につき検討を課されておりますのを受けまして、法制審議会民事訴訟法部会及びそのもとに設けられております研究会において検討を続けております。その状況を御報告したいと思います。  御報告の順序といたしまして、まず最初に法制審議会民事訴訟法部会における検討方法決定の経過を申し上げ、それから小委員会及び研究会における検討状況についてお話しをして、最後に今後の予定について申し上げたいと思います。  まず第一に、民事訴訟法部会における検討方法決定でございますが、民事訴訟法部会は昨年二月二日に民事訴訟手続に関する要綱案というものを採択いたしました。これが法制審議会の総会にかかりまして民事訴訟手続改正要綱となり、以後、政府におきまして法案を作成し、国会に提出して新しい民事訴訟法が制定されたということは御承知のとおりでございます。  民事訴訟法部会は、この二月二日の要綱案の採択をしまして後、しばらく活動を休止して、新しい民事訴訟法案国会における審議状況を眺めていた、見ていたわけでございます。しかし、六月十八日に第百三十六回国会におきまして、いわゆる行政文書対象とする文書提出命令に関しては政府原案の一部修正がございましたけれども、新しい民事訴訟法が制定され、同月二十六日に公布されましたので、それを受けて七月二十二日に部会を開催いたしました。この部会におきまして、事務当局より次の点について報告がございました。  第一は、新法の立案、国会提出経緯、それから第二は、国会における審議、先ほど申しました政府原案の一部修正及び成立の経緯でございます、それから三番目は、衆議院及び参議院の各法務委員会における附帯決議内容、そして第四番目に、特に新法附則二十七条の趣旨、それから行政文書対象とする文書提出命令制度を新たに検討するに際しての各法務委員会附帯決議に示された指針、こういうようなことについて事務当局より報告を受けたわけでございます。  なお、この民事訴訟法部会におきまして、新しい民事訴訟法が成立したということを契機といたしまして部会長の交代をいたしまして、このときから私が部会長をお引き受けしたわけでございます。  このようにして、一部課題が残されましたけれども、新しい民事訴訟法が成立いたしましたので、夏明けの九月六日に再び民事訴訟法部会を開催いたしまして、部会長も交代したもとで今後の審議事項それから審議方法決定するということになりました。  今後の審議事項といたしましては、ただいまの行政文書にかかわる文書提出命令制度改正が当然課題となるわけでございますが、そのほかに、やや長期的な立法課題といたしまして、一つは、前々から経済界及び学界等から要望の強かった倒産法制見直しをするということになりました。それからさらに、これも国際取引関係方面から要望の強かった仲裁法制見直しをするということにいたしました。  したがいまして、当面、民事訴訟法部会における立法課題といたしましては、行政文書にかかわる文書提出命令制度改正と、倒産法制見直し仲裁法制見直しという、この三つがあるということになったわけでございます。  しかし、第一の行政文書にかかわる文書提出命令制度改正が、新民事訴訟法制定経緯及び同附則二十七条から見まして喫緊かつ最優先の課題であるということにつきましては、部会委員の間で意見の一致を見たところでございます。  そこで、この行政文書にかかわる文書提出命令制度改正という審議事項につきまして、今後どのように審議をしていくかということをこの部会検討いたしました。その結果、まず文書提出命令制度を、附帯決議趣旨をも踏まえて、情報公開制度検討状況や公務員の証人尋問に関する規定等をも視野に入れながら、新法公布後二年をめどに成案を得るという方針を立てますと、やはり特別の小委員会を設けて、そこでまず検討をすることが適当であろうということになりまして、文書提出命令制度小委員会というものをつくることになりました。  しかし、同時に、参議院及び衆議院附帯決議の中で、新しい行政文書文書提出命令制度をつくるに当たりましては、広く国民の意見を反映させつつ検討するようにということになっておりますので、そこで民事訴訟法研究者実務家等いわゆる専門家以外の有識者並びに情報公開制度等について造詣の深い行政法学者参加も得て検討を進めていくためには、小委員会とは別に研究会を設けて、そちらで調査研究並び問題点整理をすることが適当であろうということになりました。  この研究会課題は、ただいまも申しましたように、内外の行政情報公開制度調査研究、それから諸外国行政文書提出命令制度調査研究、それからこれらについて関係方面からのヒアリング、さらに以上を踏まえて行政文書提出命令制度に関する問題点整理を行うということでございます。これらの調査研究成果随時小委員会報告をして、小委員会の方でも検討を進めるという形で、小委員会とこの研究会との検討並びに審議を並行して行うということにいたしました。そして、最終的には、研究会調査研究成果並び問題点整理を基礎といたしまして、小委員会民事訴訟法部会審議にかける原案を作成するということにしたわけでございます。  したがいまして、要約いたしますと、今後の審議の方法といたしましては、民事訴訟法部会の中に特別の小委員会を設ける、そしてそれとは別に民事訴訟法専門家以外の有識者参加をしてもらうために研究会を設けて、小委員会研究会との審議検討を並行して行う。それで、研究会の方で得られた成果を小委員会に上げて、最終的には小委員会の方で原案を作成してこれを部会にかける、そういうことになったわけでございます。  次に、その小委員会並び研究会における検討状況でございますが、第一回の小委員会文書提出命令制度小委員会でございますが、これを平成八年十月二十四日に開催いたしました。この民事訴訟法部会及び小委員会委員は、お手元にお届けしてございます資料の一及び二に記載してあるとおりでございます。このほかに若干の幹事が配置されております。第一回目の小委員会におきましては、調査審議進め方につきましてフリートーキングの形で審議を行いました。そして、ここで、先ほどの部会決定を受けて、小委員会としても並行的に調査検討を進めるために研究会を設けるということを改めて決定いたしました。  この研究会文書提出命令制度研究会という名称でございますが、この小委員会決定を受けまして、平成八年十一月二十二日に第一回目の研究会を開催いたしました。研究会メンバーはお手元資料三に記載してあるとおりでございます。この第一回目の研究会では、研究会発足に至る経緯、それから研究会課題等につきまして法務省側メンバーより説明がございました。さらにその上で、この研究会メンバー相互間で調査審議進め方について協議をいたしまして、今後の調査研究スケジュール決定いたしました。  その後の小委員会研究会開催状況及び審議研究状況はお手元資料の四にございますので、四に即して御説明申し上げたいと思います。  資料四をごらんいただきますと、一番初めに平成八年のところで十月二十四日の第一回文書提出命令制度小委員会、それから十一月二十二日に第一回の研究会というのが書いてございまして、これはただいま申し上げたとおりでございます。平成九年になりまして、まず一月十四日に第二回の研究会を行いまして、この際は情報公開制度に関するヒアリングをいたしました。出席をしていただきましたのは、本日も御出席行政改革委員会事務局主任調査員であられました藤井昭夫さんと、それから行政改革委員会情報公開部会専門委員でもありましたこの研究会メンバーである秋山弁護士、このお二人からそれぞれそこに書いてあるような問題につきまして御意見を伺って質疑応答をし、研究会としての理解を深めたわけでございます。  次いで、二月十九日に第三回の研究会を行いまして、これは情報公開制度に関する諸外国制度についてヒアリングをいたしました。一つは、アメリカを中心としてカナダ等も含めた北米諸国情報公開制度につきまして、情報公開部会専門委員ではございませんが、部会運営要綱に基づいて出席をされていた東京大学教授宇賀研究員から御意見を伺い、それから同じく情報公開部会運営要綱に従いまして出席をしておられた国学院大学の藤原静雄教授からヨーロッパ各国情報公開制度についての報告を受けたわけでございます。  三回研究会をいたしましたところで、三月七日に第二回の文書提出命令制度小委員会を開催いたしまして、これまでの研究会成果報告し、委員幹事相互間で検討を進めました。  四月になりまして、四月八日に第四回研究会を行いました。このときは広く一般階層から意見を伺うということで、マスコミ関係とそれから消費者団体関係の方々から御意見を伺いました。出席されて意見を述べてくださった方はそこに書いてあるとおりでございまして、それぞれ八名ずつでございます。  それから、五月十三日に第五回の研究会を行いましてヒアリングを続けまして、このときは経済界及び労働団体関係の方から御意見を伺いました。御意見を伺った方はそこに書いてあるとおりでございまして、経済関係は経団連の御推薦によるもので、トヨタ自動車株式会社法務部高瀬由紀夫氏、それから東京電力株式会社工藤健二氏でございます。それから、労働関係の方は連合に推薦をしていただきまして、全国一般労働組合書記次長田島恵一氏、それからゼンセン同盟常任中央執行委員達見直人氏のお二人でございます。  ここまでがこれまでの小委員会並び研究会における審議検討状況でございます。  第三は今後の予定でございますが、今後の予定といたしましては、この夏までのスケジュールと夏以後のスケジュールに分けることができます。夏までのスケジュールはただいまの資料四に続きとして書かれているところでございまして、あと三回会合を予定しております。研究会が二回、小委員会が一回でございまして、第六回の研究会は六月十日、ちょうど本日の午後開催する予定といたしております。  第六回、第七回は諸外国行政文書文書提出命令制度について調査研究を行う予定でございまして、本日はイギリスとドイツ文書提出命令制度についてそれぞれ成蹊大学の長谷部教授、これはこの研究会メンバーでもございますが、長谷部教授から報告をいただき、ドイツの方につきましては筑波大学の春日偉知郎教授から御報告をいただく予定にいたしております。  次いで、第七回の研究会は七月八日に予定をしておりまして、この場合にはアメリカフランス文書提出命令制度について研究をするということで、東京大学伊藤眞教授伊藤教授もこの研究会メンバーでございますけれども、伊藤教授から報告をしていただき、それからフランスの方につきましては一橋大学の山本和彦助教授、この山本和彦助教授も当研究会メンバーでございますけれども、このお二人から報告をしていただくということになっております。  そして、七月十八日には第三回の文書提出命令制度小委員会を開催いたしまして、第四回から第七回の研究会調査研究の結果を報告いたしまして、フリートーキングの形式で小委員会としての検討を行うという予定でございます。  夏以後のスケジュールは、ただいまの第六回、第七回の研究会及び第三回の小委員会の席上、それぞれ協議の上決定をいたす予定でございますが、現在のところ、まず研究会問題点の分析、整理をいたしまして、次いで小委員会改正案審議に入るということになろうと考えております。  以上、御報告しましたとおり、新しい民事訴訟法附則二十七条において求められております行政文書対象とする文書提出命令制度に関する必要な措置につきましては、現在、文書提出命令制度研究会及び文書提出命令制度小委員会で鋭意検討を行っているところでございます。  今後とも、両議院の法務委員会附帯決議趣旨を踏まえ、情報公開法制定作業をも視野に入れながら、可及的速やかに適切な成案を得るように努力したいと考えております。  以上でございます。
  7. 岡部三郎

    ○小委員長岡部三郎君) ありがとうございました。  以上で参考人からの説明の聴取は終わりました。  これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  8. 久世公堯

    久世公堯君 竹下先生、ただいまの御説明によりまして、民事訴訟法附則二十七条に基づく文書提出命令制度に関する検討につきまして小委員会を設置され、特に研究会においてあらゆる角度からあるいは外国の諸制度について非常に詳しくお調べになり、また関係者でありますマスコミなり消費者なり経済界労働界と非常に多方面にわたって御意見を聞いておられる、御審議状況はよくわかった次第でございます。  ただ、私、この民事訴訟法部会とそれから文書提出命令制度小委員会、そしてこの研究会と三段階制度、しかも期間をある程度置いてでなくて、全く同じ時期に同時並行的にやっておられる。  これは各省庁におきましても、いろんな新しい制度をつくるときに、まず省内の局単位ぐらいで研究会を設けて、そしていろいろな人を呼んで構想を固めて、それを審議会の方に持ち込むというケースは各省を通じてかなりあることでございます。私はそれはそれなりに、一年間ぐらいあるいは二年間ぐらい十分に自由に研究をした上でひとつ政策として取り上げるというような意義は結構なことだと思うわけです。しかし、この場合は全く同時並行的であり、かつその民訴部会と小委員会メンバーを見ますと、十七名の民訴部会委員のうち十三名がこの小委員会メンバーになっておられます。  それから、両方ともにおかしいのは、関係行政機関委員というところへ書いてありますから委員なんだろうと思いますが、充て職だということはわかるんですが、名前がない。普通の委員会でございますと、やはり幾ら充て職でも個人の名前があると思うんですけれども、これは法務省らしいと申しますか、充て職でお名前がないんですが、それにしても十七名中十三名がダブっております。  そして、研究会の方は、おっしゃるとおり、幅広くということであらゆる学者あるいは御婦人の方も入っておられるわけですが、そこで私は、こういう三段階構成にする必要があったんだろうかと。  民訴部会は従来の法制審議会の歴史のある部会ですから、それはおいでおいでも、法制審議会の正式の小委員会とそれから研究会とを同時並行でこうやっておられるだけの実益があるんだろうか。今お話内容はわかりましたけれども、そういう二段階制にする必要が一体あるのかということでございまして、どっちかが省略できるんじゃないか。  特に私が御提案申し上げたいのは、少なくともこのために小委員会をおつくりになったならば、そこに広くいろんな専門家を入れてこの問題を検討することこそ大事なことなんでございますから、そこにこの研究会のようなメンバー、すべてとは申しませんけれども、ある程度お入れになった機構というのは考えられるんじゃなかろうか。  各省庁の所管をいたしております、あるいは内閣が所管しております政府調査会審議会などを見ますと、臨時委員とか特別委員という制度をつくっている審議会は幾らでもございます。そして、それがまさに常時の民訴部会ではどっちかというと民事訴訟法自身のことを検討するんだけれども、しかし、こういう特別の問題のときには、今のように十七委員中十三人まで同じメンバーであるならば、その部会に例えば臨時委員とか特別委員でこの研究会メンバーというのを入れて審議した方が国民に対しても明らかになるでしょうし、また、そういう権威の高いものでやるんなら、研究会報告だけをほとんど同じメンバー民訴部会でやるくらいなら、どっちかを省略されたらいいかと思うんですが、いかがでございますか。
  9. 竹下守夫

    参考人竹下守夫君) 先生指摘の点は確かにごもっともでございますが、法制審議会におきましては、従来とも大きな懸案につきましては、部会議論をするというよりも、むしろ小委員会を設けてそこでまずかなり詰めた議論をいたしまして、原案をつくりましてそれを部会にかけるという審議のやり方をいたしております。そうでない部会刑事法部会のようにございますけれども、一般的にはそうであるかと思います。  もっとも、一般的にはそうであっても、今回の場合、新法施行後二年をめどとしてということで迅速性要求されておりますので、小委員会の設置を省略いたしまして部会議論をするということも考えられたところでございます。  しかしながら、今御指摘のように、確かに数から申しますと、部会委員の数と小委員会委員の数とそれほど大きな違いはないというふうにも申せます。ただ、部会の方の委員と申しますのは全国的な組織でございますので、部会をそうたびたび開くということになりますとどうしても委員事情等で差し支えもございますので、やはりむしろ私どもといたしましては、小委員会を設けまして小委員会で鋭意審議を進める方が迅速性要求にかなうのではないかというふうに考えた次第でございます。  小委員会をつくりましたのはそういう事情でございますが、さらに研究会を別につくって、しかも小委員会研究会とを並行的に進めるということについての御疑念がおありになったと思います。これは既に先生承知のとおり、先ほども申しましたが、研究会の方には各方面有識者参加をしていただいて、むしろ情報公開問題とかあるいは外国事情等について造詣の深い人が加わってその研究会メンバー自身が十分に検討調査をするというねらいを持っておりますために、小委員会とは別につくったわけでございます。  そして、まず研究会の方だけを進めまして、それが終わりましてから小委員会ということになりますとかえって調査研究が重複する可能性がございますので、研究会で一定の程度調査研究が進みましたらそれをすぐに小委員会の方に上げて、小委員会メンバーも十分その内容を継続的に承知している、そういうことが望ましいというふうに考えたわけでございます。
  10. 久世公堯

    久世公堯君 今のお話でございますが、迅速性ということをおっしゃいましたが、これだけ交通が発達をして、それこそ多くの調査会審議会では、迅速性のために東京の委員に限定するなんということをやっているのは、こういう大事な調査会では余りないと思います。やはり全国的な権威有識者というのを集めるのは当然のことだと思います。  それから、今お話しの中に、小委員会研究会関係は、設けた以上は、研究会が全部終わってから小委員会ではなくて中間報告をやっていくのは当たり前のことでございますから、そういうことを私は御質問しているのではないわけでございます。  これは、先生にお聞きするよりはむしろ法務省自身にお聞きをした方がいいのかもしれませんが、またきょうは民事局長だけでいらっしゃいますが、この法制審議会そのもののあり方、あるいは部会のあり方、そのもとにおける小委員会のあり方、これに関する問題になるのではなかろうかと。  私は、当委員会におきましてもたびたび御質問申し上げましたのは、最近の社会経済情勢の変化に伴って、民事、刑事にわたっていろいろこういう法制も国民生活と密着したものである。そういう意味においては、国民生活に広く関係するような立場から法制度も考えていかなければならないし、法の運用というものを図っていかなきゃいけない。こういう立場を基本として今までも御質疑を申し上げてきたわけでございますが、まさに民事訴訟法や刑事訴訟法というような手続法でありましても国民生活との関係が非常に深い。特に今回の行政情報公開などという問題は、一般的な法律の制定も今明年中というような課題になっているわけでございます。  したがって、先ほどから申しておりますように、この三段階にする、伺っておりますと、法制審議会というのは象牙の塔とまでは申しませんけれども、いわば法曹のやかたと申しますか、ちょっと普通と離れた高い存在なんだからそういう一般的な人ははいれない。私がさっき、特別委員とか臨時委員とかというのは、民訴部会ではないんですよ、小委員会をつくるんだったら、もしその小委員会の中心を民事訴訟法関係の人で固めるというならば、臨時委員とか特別委員でも構わないから一緒に審議したらどうだろうかという提案をしているので、民訴部会云々を言っているのではありません。小委員会をつくるんだったら、そこに研究会メンバーを入れたらいいし、そうでなかったら研究会の方で民訴部会と直結したらいいんじゃなかろうかと、こういう気がするのでございます。そういう法制審議会そのもののあり方、これからの社会情勢とかそういうものにかんがみたあり方について、いかがでございますか。
  11. 濱崎恭生

    政府委員(濱崎恭生君) 法制審議会の一般のあり方ということにつきましては、民事局は直接の所管でございませんので、そういうことを前提としてお答えをお聞きいただきたいと存じます。  法制審議会というのは、民事及び刑事等基本法の法案の立案をするに当たって、役所の人間だけが立案するのではなくて広く一般の有識者に参画いただいて共同で立案作業をする、そういった考え方で設置されているものというふうに承知をいたしております。  そういうことでございますし、一般的に申しますと、対象国民一般に広くかかわる問題でありますことから、そのメンバーというのは、要するにその場面における特別の関係のある方というような観点からではなくて一般的な有識者を構成員とする、そういう考え方で運営されているものというふうに承知しているわけでございます。  そして、その運営の仕方といたしまして、部会、小委員会というやり方が行われておりますが、この部会と小委員会部会の下に小委員会をつくるかどうかということは、これは専ら審議を有効かつ効率的に行う方法として小委員会をつくった方がいいだろう、つくるまでもないだろうと、そういう判断に基づいて選別されているわけでございまして、私どもとしては小委員会を別につくったから審議の時間がより長くなるということではないのではないかと。  今回の審議で特色があるのは、その法制審議会ルートの会議とは別に、並行的に研究会を設けているということにあるものというふうに思っております。その理由はただいま竹下参考人が申されたとおりでございますが、御指摘は、そんなことをするよりも小委員会の中に今研究会に参画しているような方に入っていただいてやったらいいではないかと、こういう御意見かと思います。  ただ、その点につきましては、法制審議会の現在の制度として、今申しましたような考え方から、小委員会を設ける場合には、その小委員会メンバー部会メンバーの中から部会長が選任する、こういうことになっておる。そういう現在の法制審議会制度のもとで、しかしながら、今御指摘のような実質的なこの問題にかかわりの深い方の参画を得る方法として研究会というものを設置しているわけでございます。そして、その小委員会研究会というものを二つ設けることによって審議にロスが出るという懸念は当然おありかと思いますが、そういうロスが出ないようにその辺は事務当局でも十分配意して、二つつくったがために審議がおくれるということがないように配慮し、また小委員会研究会の皆さん方にもお願いしてまいっているところでございます。  そういうことでございますので、将来の法制審議会のあり方ということになりますと、私、担当外でございますので直接御答弁する立場にはございませんが、現在の制度のもとで最も有効かつ適切な審議方法を選ばせていただいているものだというふうに考えているところです。
  12. 久世公堯

    久世公堯君 今の局長の御答弁でございますが、いみじくもお言葉の中に法制審議会のルートとかあるいは現在の法制審議会においてはと、こういうお話がございました。私は、法制審議会のルートである限りは、そういう方は入るべからず、こういうような感覚、考えがあるんじゃなかろうかと、これは推察をするわけでございます。したがいまして、ひとつ法制審議会自身の問題として今後において御検討を賜りたいと思います。  時間がございませんが一言だけ。  参議院法務委員会では、民訴法の審議におきまして、先ほど参考人もお述べになりましたように、政府に対する附帯決議がつけられております。「その経過を広く開示し、国民意見が十分反映されるように格段の配慮をすべきである。」という旨の附帯決議が何項目かの中にあるわけでございます。これについて参考人といっても、政府に対してでございますから民事局長の方が適当なのかもしれませんが、この附帯決議趣旨を踏まえてどういう配慮をしてきておられるのか、一言御答弁を願いたいと思います。
  13. 濱崎恭生

    政府委員(濱崎恭生君) 御指摘附帯決議は二点にわたるかと思います。一つ国民意見が十分に反映されるようにということであり、一つ審議経過を広く開示しということでございます。国民意見が十分反映されるようにという観点からは、ただいま異例であるという御指摘をいただきましたけれども、部会のもとにおける小委員会とは別に研究会という場を設けまして、そこに民事訴訟法学者のほかに、行政情報公開制度一般に造詣が深くまたその審議にも関与されました行政法学者の方々あるいは経済界あるいは労働界の代表の方々、そういった方々の参画をいただいてそういった立場の御意見を反映するということと、それから研究会審議経過の中で竹下参考人の方から御説明がありましたとおり、幅広い立場の方々からの生の御意見をお聞きするという機会を既に設けてきたところでございます。そういったことで、国民意見が十分反映されるような配慮をしていただいているところであります。  それから、審議経過の開示という面につきましては、ただいまの小委員会関係でございますけれども、法制審議会審議経過については一般には総会及び部会の会議について議事要録を作成して公開するということといたしております。  これは、平成七年九月の閣議決定を受けて平成八年二月に改めて法制審議会の会議の公開のあり方について検討を行った結果、そういう取り扱いをすることになったわけでございます。  その下の小委員会については、一般的には部会のための準備作業という性格のものでありますので、その対象とはしないということにされているわけでございますが、この問題の審議につきましては、御指摘附帯決議趣旨を踏まえ、小委員会の会議の議事につきましてもその議事要旨を作成して公表する、それと同時に委員の氏名も公表するということにしております。また、研究会につきましても同様に、メンバーを公表するとともに、議事内容についても事務当局である私どもの方において議事要旨を作成して公表すると、こういう取り扱いをしているところでございます。  そういう形で、この問題の検討については、一般の場合より特に議事の経過の開示ということに力点を置いて対応しているところでございます。
  14. 久世公堯

    久世公堯君 終わります。
  15. 浜四津敏子

    浜四津敏子君 平成会の浜四津でございます。  竹下先生、本日は御多忙の中、大変ありがとうございます。私も竹下先生民事訴訟法を学ばせていただいた一人でございます。  小委員会では、精力的に検討議論あるいは審議を進めてこられているという御報告をいただきました。この検討議論あるいは審議の方向性につきましては、当然のことといたしまして、昨年四月から六月にかけて行われました国会審議の経過を十分に踏まえること、具体的に言いますと、附則の二十七条また附帯決議内容を尊重したものとされていると思います。  この経過あるいは内容を当然の前提として、部会、小委員会あるいは研究会メンバーの方々はほとんどが専門家の方々でいらっしゃいますから、共通の認識のもとに議論されているというふうには思いますけれども、ヒアリング対象とされている方々、意見を述べられている方々につきましても、こういう殊に附則附帯決議内容議論の前提あるいは出発点と、こういう共通認識を持たれていらっしゃるんでしょうか。その附則あるいは附帯決議に至った点より後退したところからの議論ではないというふうに理解してよろしいでしょうか。
  16. 竹下守夫

    参考人竹下守夫君) ただいまの点でございますが、これまでヒアリングをいたしましたのは、先ほど御説明いたしましたように、マスコミ関係の方々、それから消費者団体の方々並びに経済界労働界の方々でございます。それぞれお立場が違いまして、附則二十七条の趣旨並びに附帯決議趣旨等をどの程度理解しておられるかということは必ずしもはっきりいたしませんが、ただ述べられた御意見から推察いたしますと、昨年の国会審議の経過をも踏まえて、そこについては少なくとも一定程度以上の御理解を得た上での御発言だというふうに思いました。
  17. 浜四津敏子

    浜四津敏子君 この附帯決議は、要約しますと五点について明確な指針を示しているわけです。第一点が公文書の提出命令の一般義務化、二点が官民格差の禁止、それから三点目が司法権の尊重、そして四点目が公務員の証人尋問規定の再検討、そして五点目が法制審の審議の公開と、要約するとこの五点になるかと思います。  まず、公文書の提出命令一般義務化が検討されているということは、これは当然のことだと思います。問題のないところだと思います。官民格差の禁止について、どういう議論がなされ、考慮がなされているんでしょうか、その点についてお伺いしたいと思います。
  18. 竹下守夫

    参考人竹下守夫君) ただいまの御質問は、これから作成いたします改正案内容について、現在までの審議状況から見てどういうことになるであろうかという点だと思います。  この点につきましては、先ほどの経過説明の中でも申しましたように、事務当局から附帯決議趣旨内容については十分説明をいただきましたので、法制審議会委員幹事並びにその研究会メンバーはいずれも十分よく承知しておりますけれども、まだ具体的にどういう内容の案にするかということについてまでは審議が進んでおりませんので、ただいまのところは今の御質問に直接お答えできるような状況ではございません。
  19. 浜四津敏子

    浜四津敏子君 文書提出義務の有無についての判断権につきましては、従来、判例はその判断権は裁判所にあるというふうにしてきたわけでございます。この判例の示してきた基準を後退させるような内容では情報公開の大きな潮流に逆行する、あるいは三権分立の原則に反するというふうに考えておりますが、民訴法の第一人者でおられる竹下先生、お差し支えなければ竹下先生はどのようにお考えでいらっしゃるか、お聞かせいただければと思います。
  20. 竹下守夫

    参考人竹下守夫君) ただいま私の個人的な意見をという御趣旨かと思いますが、本日は法制審議会民事訴訟法部会長という立場でこちらへ伺っておりますので、私の個人的な意見を申し上げることは遠慮させていただければ大変ありがたいと思います。
  21. 浜四津敏子

    浜四津敏子君 それでは、この官民格差あるいは審理方式についても司法権を尊重するという立場で再検討を加えることと、こういう内容附帯決議がなされております。  これは、この修正案を提出した方の答弁が平成八年六月十三日、参議院法務委員会でなされております。この内容につきましては、審理方式については、インカメラ手続がいいのか、それともボーンインデックス方式の方がより司法権の尊重になるのではないかと、人によって若干意見が異なっているので、「インカメラ手続を含む」という言い方をしたんだと、こういう御答弁がありました。その経過の内容、そしてこの附帯決議の中でも司法権尊重、官民格差を設けないと、こういう決議の内容になっておりますので、ぜひそういう方向で十分御配慮いただきたいと思います。  また、司法権の尊重の方針の一つで、秘密の要件については、これは法律実務家の方々も大変大きな関心を、殊に大きな関心を持っておられます。新民訴法の原案では公務秘密文書の提出が官庁の承認にかかっておりまして、その承認の要件として百九十一条二項、証人尋問規定、「公共の利益を害し、又は公務の遂行に著しい支障を生ずるおそれがある場合」と、この規定が準用されておりました。国会審議の中で、官庁の承認にかからしめることと証人尋問規定の要件を準用することが否定されて今回の再検討に至ったわけでございます。  そこで、今回新たに規定を設けるとしましたら、公務秘密文書の秘密性の判断は官庁ではなく裁判所が行うことはもとより、秘密性の要件につきましても、証人尋問規定のような広いものではなく、公文書の秘密性についてこれまでの判例が積み重ねてきた、公表することによって国家利益または公共の福祉に重大な損失、重大な不利益を及ぼすような秘密、東京高裁あるいは高松高裁の決定でそのように示されております。そういう要件にすべきというのが司法権を尊重するという意味であると考えておりますが、これにつきましても、このことを十分関係者の皆様、審議される皆様に御理解いただいた上で文書提出命令規定のあり方を検討していただきたいと思います。  秘密の要件についても、研究会の皆様あるいは御意見をお述べいただく皆様の共通認識はどうなっていらっしゃいますでしょうか、今のこういう方向で共通認識を持っていらっしゃるんでしょうか。
  22. 竹下守夫

    参考人竹下守夫君) ただいまの御質問でございますが、附帯決議趣旨等につきましては、ヒアリングをした対象の皆さん方の中でも例えばマスコミ関係の皆さん方等におかれましては、かなり情報公開問題一般について関心が深いものでございますから、今のような点についてもかなり立ち入った御意見が述べられました。それに対しまして、やはり経済界労働界の皆さん方は、御自分の関心の強い面について御意見を述べておられますので一秘密の要件については司法権を尊重する立場で考えるようにという参議院の当法務委員会附帯決議趣旨をどこまで踏まえておられるかということは必ずしも明らかではございません。  しかし、私ども部会委員、それから研究会メンバー等はその点については十分理解をしておりますので、先生指摘のような理解を前提とした議論をこれから進めていくということになると思います。
  23. 浜四津敏子

    浜四津敏子君 ありがとうございます。  本当は秘密の要件についても民訴法第一人者としての竹下先生の御意見を伺いたかったところでございますけれども、先ほどお立場上というお話がございましたので遠慮させていただきます。  それでは次に、証人尋問規定のあり方についても検討を加えるべきである、こういう附帯決議になっております。この点については、これまでの議論の中では出てきているんでしょうか、どういう議論になっているんでしょうか。
  24. 竹下守夫

    参考人竹下守夫君) その点につきましては、ヒアリング対象となった方々の中の一部の方々からは取り上げられまして、証人尋問の方の監督官庁の承認という要件についても再検討すべきではないかというような意見が述べられました。  それから、小委員会研究会での議論はこれからでございますが、先ほどから繰り返し申しておりますように、この附帯決議趣旨は十分理解しておりますので、必要に応じて、文書提出命令制度を考えていく上で関連する場合にはその問題にも立ち入ることになるかと思います。
  25. 浜四津敏子

    浜四津敏子君 ありがとうございます。  先ほども出ましたが、法制審の審議の経過、内容、あるいは司法権尊重、公務員の証人尋問検討に当たっては、その経過を広く開示し、国民意見が十分に反映されるように格段の配慮をされるようにと、こういうことになっておりますが、特にヒアリング内容、またそれの成果を受けての研究会での検討内容というのは具体的にどのような形で開示されることに予定されているんでしばうか。これは法務省の方からお伺いした方がよろしいでしょうか。
  26. 濱崎恭生

    政府委員(濱崎恭生君) 先ほども申しましたように、研究会審議につきましては、事務当局で議事要旨をつくって、それを具体的には法務省の窓口に備え置いて閲覧に供するということにいたしております。  議事要旨につきましては、この問題の性質、それから附帯決議趣旨に照らしまして、議論の中で登場をしてきた意見というものは漏らさず摘示するという方針で相当詳細なものを作成しております。ヒアリングにつきましても、出された意見についてはその要点は漏らさず記載するという方法で作成をしております。例えば、今御指摘のありましたマスコミ等からのヒアリングを行いました際の議事要旨は全部で二十七ページにわたるものになってございます。
  27. 浜四津敏子

    浜四津敏子君 この附則では、早期に文書提出命令についての成案化を図る、こういうことになっております。これも平成八年六月十三日、参議院法務委員会で、修正案提出者の方の答弁では、二年間で再検討して整備をするということであるから、二年後までにその部分、つまり公務秘密文書についての部分の成案を得たいと思っていると、こういう答弁がございました。また、法務省の方からも、民事局長から同様の答弁がございました。  この早期の成案化というのは大体いつごろをめどになされるのか、また現実に成案化に向けての作業は進んでおるのか、ちょうど二年の半分来たわけでございますけれども、どの程度進んでおるのか、お答えいただけますでしょうか。
  28. 濱崎恭生

    政府委員(濱崎恭生君) 小委員会及び研究会審議状況は、先ほど竹下参考人から御説明されたとおりでございます。  具体的な中身の詰めの作業というのはこれからということでございますが、私どもといたしましては、附帯決議趣旨を受けて二年内には成案を得たいと。来年の六月末ごろということでございますので、そういうことで成案を得たいというふうに考えておりますし、また法制審、研究会にもそういう方針でお願いをしているところでございます。  ただ、この問題は、行政情報公開法に向けての検討と並行して行うということで、今まさに並行して検討を行っているわけでございます。その最終的な法案の中身ということについては、やはりその制度の目的は違いこそすれ、行政が保有する秘密にかかわるものの開示という面では関連性がございますので、その法案の方向というものを踏まえながら最後の詰めをしなければならないというふうに考えているところでございます。
  29. 浜四津敏子

    浜四津敏子君 情報公開法の準備と並行してこの民訴法の関係成案化を進めるという御答弁がたしか昨年の法務委員会であったと思いますが、情報公開法ができるということを条件とするわけではないわけですから、そちらの方がどうもおくれるということであれば、民訴法は民訴法独自として成案を得るという方向で検討をなされるんでしょうか。
  30. 濱崎恭生

    政府委員(濱崎恭生君) これは法案審議の際にもお答えしたかと思いますが、私どもとしては、行政情報公開法の制定に向けての議論状況から考えて、この新しい民訴法の公布から二年内にはそちらの方も成案が得られるのであろうと、そういうことを念頭に置いて、それと並行的に審議をして、その時期に著しくおくれることなくこちらも成案を得たいというふうに考えてきたところでございます。行政情報公開法の制定がおくれるということをまだ私ども念頭に置いておりませんが、現在はそういうことを前提に努力をしているところでございます。
  31. 浜四津敏子

    浜四津敏子君 昨年の民訴法改正の大きな柱が二つあったと思います。一つは争点整理の手続、そしてもう一つが証拠収集手続の拡充で、この二つが車の両輪として、真実公正あるいは迅速的確な裁判を実現するためにどうしても必要ということで改正に取り組まれたわけですが、この証拠収集手続の拡充のうちで公の文書に関する文書提出命令制度のあり方等については積み残しになったわけで、そういう意味では大変残念な思いがしております。いずれにいたしましても、特に証拠が偏在する分野である行政文書、その文書提出命令の手続につきましては、ぜひとも先進国と肩を並べる成案内容が得られますように期待させていただきたいと思います。  きょうは大変ありがとうございました。以上で終わらせていただきます。
  32. 照屋寛徳

    照屋寛徳君 どうも竹下先生、朝早くから大変御苦労さまでございます。社会民主党・護憲連合の照屋寛徳でございます。私の方からも一、二点お教えいただきたいというふうに思っております。  先生の先ほどの御報告を聞きまして、文書提出命令制度小委員会あるいはその研究会を設置されて精力的に成案を得るべく頑張っておられることに敬意を表したいというふうに思っております。  実は、私も県議会におるときに、沖縄県の情報公開条例を議員立法でつくったことがございます。また、沖縄県の那覇市の情報公開条例というのがございまして、その那覇市の情報公開条例に基づく情報開示をめぐって国との間に裁判があったりしていることは先生承知だというふうに思います。その那覇市の件は、那覇市内に建設しょうとした自衛隊のP3C基地の設計図をめぐっての争いでございます。  先ほど竹下先生の御報告を受けて、研究会マスコミ関係者だとかあるいはまた労働運動団体とか消費者団体とか、それらの方々からヒアリングをしていろんな検討を重ねているということはよくわかりました。  はたと気づいたのは、全国に情報公開条例を制定しておられる都道府県とか市町村とか、いわゆる自治体の関係者、現にその情報公開条例を制定している自治体の情報開示をめぐってさまざまな訴訟が幾つも提起をされ、係属をしていると、こういうふうに私は思っているわけです。研究会でこの情報公開条例を制定している自治体などからのヒアリングというのも私は必要ではないんだろうかと思うんですが、そこら辺どういうふうになっているのか、今後どういうふうな計画があるのか、あるいはもともとそういうところの市町村や都道府県からのヒアリングは必要ないというふうなお考えなのか、そこら辺お教えいただけたらありがたいなと思います。
  33. 竹下守夫

    参考人竹下守夫君) ただいまの御指摘は、我が国で全国的に自治体の情報公開条例というものができているので、その点についてもヒアリングをする必要があるのではないかということかと思います。  自治体を初めとして我が国の情報公開制度につきましては、先ほども申しましたように、第二回の研究会におきまして、これはヒアリングではございませんけれども、お隣においでの行革委員会事務局の藤井昭夫調査委員、それから研究会メンバーである秋山弁護士から十分な説明をいただきました。それから、あわせてこのときに大変詳細な資料もいただきまして、その中には自治体の情報公開条例並びにそれをめぐるいろいろな訴訟が御指摘のようにたくさんございますので、そういうものも全部入っております。研究会メンバー、それから小委員会メンバーにもこの資料は配付されておりますので、それぞれ十分その資料を通じて理解を深めていることというふうに存じます。  したがいまして、ただいまのところヒアリング予定は立てておりませんけれども、場合によればその点も検討するということも考えられるかと思います。  以上でございます。
  34. 照屋寛徳

    照屋寛徳君 それから、昨年の民訴法の審議の過程で、「公務員の証人尋問についても、」「検討を加えるべきである。」と、こういうふうな附帯決議がなされていることは先生も御承知だと思います。そもそもの民訴法の改正に際しての法制審の民訴法部会では、この公務員の証人尋問のあり方というか、そういう制度的な面についてはどのような御論議があったのか、具体的な論点等がもしおありであったならお教えいただきたいと思いますが、それともそれは全くなかったのか。
  35. 竹下守夫

    参考人竹下守夫君) ただいまの公務員の証人尋問の場合に監督官庁の承認を得る必要があると、そのための要件等につきましては法制審議会審議の過程でも議論がございました。  いろいろな意見が述べられたわけでございますけれども、刑事訴訟法の規定の仕方が違っておりますし、それからまた議院証言法も違っておりますので、そういうものとの比較検討もいたしたわけでございます。その中で、最終的にはやはり国会における議院証言法の場合、それから刑事訴訟法の場合、民事訴訟法の場合、それぞれの性格の違いということがございますので、御承知の、公共の利益を害し、または公務の執行を妨げるおそれがあるという、そういう要件を課して承認を得るということに落ちついたわけでございます。
  36. 照屋寛徳

    照屋寛徳君 法務省に一点お伺いいたしますけれども、先ほど浜四津委員からも御質問がございましたけれども、附帯決議の中で、「公文書についても、文書提出を一般義務化し、不合理な官民格差を生じない方向で、早期に成案を得るよう努めるべきである。」と、こういうふうな附帯決議をしておるわけでございます。この中で、官民格差を生じないように、あるいは文書提出を一般義務化するんだと、そういうことについて附帯決議が付されたわけです。それを法務省はどのように受けとめて、成案を得る作業の中で国会での附帯決議趣旨を生かそうというふうにお考えになっているのか、まず法務省の基本的な考え方を聞かせてください。
  37. 濱崎恭生

    政府委員(濱崎恭生君) 昨年提出いたしました民事訴訟法改正政府原案におきましては、法制審議会における審議を踏まえて、私どもは私どもなりに現行の制度のもとで政府原案は正当性を有するものだというふうに考えて国会に提出させていただいたわけですが、御案内のとおりの審議の経過を踏まえまして、その政府原案では官民の違い、あるいは司法権と行政権との権限の配分という観点から適当でないという御指摘をいただいて、国会修正をされ、あわせて附帯決議をいただいたわけであります。  したがいまして、私どもとしてもその附帯決議趣旨を踏まえて、要するに政府原案ではだめであると、附帯決議趣旨に沿って違うものを構築していかなければならないという認識を持っておりまして、そういう認識のもとに、現在、法制審議会の小委員会及び研究会での御研究をいただいているところであります。
  38. 照屋寛徳

    照屋寛徳君 竹下先生にあと一、二点お教えいただきたいのでございますが、民訴法の二百二十条の文書提出義務との関係で、いわゆる四号のロの規定ですね、秘密性の判断をする監督官庁の定めてございますけれども……
  39. 竹下守夫

    参考人竹下守夫君) 政府原案のときのですか。
  40. 照屋寛徳

    照屋寛徳君 はい。その監督官庁の考え方なんですけれども、例えば諸外国での立法事例なんかでは、監督官庁というのはどういうふうに規定をされておるのか、そこら辺おわかりでございましたらお伺いいたします。
  41. 竹下守夫

    参考人竹下守夫君) 我が国のこの民事訴訟法証人尋問に関する規定は、御承知のように、ドイツ民事訴訟法を参考にしてつくられたものでございますけれども、ドイツにおきましては、ここで言う監督官庁というのは最上級レベルの監督者を指すのであるという理解が一般であると思います。したがいまして、恐らく各省庁の長、最高責任者ということになりますから大臣ということになるのだというふうに私は理解をしております。  実際にドイツで問題になったときに、監督官庁としてどういう人が承認を与えているかというところまでは存じませんけれども、注釈書等ではそのようなことが書かれております。
  42. 照屋寛徳

    照屋寛徳君 昨年の改正法を審議する段階では私は法務委員ではございませんでしたが、記録を見ますと、政府原案の民訴法の二百二十条の四号については、私ども社民党は四号を削除すべしというような修正案を出したというふうに聞いております。  また、四号のロについては、それぞれ各党から、あるいは日弁連あたりからもいろんな修正案が提出されたように聞いておりますけれども、要は、国家公務員法の規定する公務員の守秘義務と、それから民訴法上の文書提出義務との関係というか、その調和というか、それをどこに求めて実定法上の規定に仕上げていくかということが大変大きな問題ではないかというふうに思うわけであります。  その場合に、秘密性の判断をするときには形式的な秘密、実質的な秘密、いろんな考え方があるように聞いておりますけれども、その調和のあり方ですね、今後附帯決議趣旨が十分反映されるような、またその審議経過も国民に開示されるような形で早い時期に成案が得られることを希望して、私の質問は終わります。これは要望だけ申し上げておきます。
  43. 菅野久光

    菅野久光君 きょうは大変お忙しいところを本当にありがとうございました。私も端的に幾つかの点についてお尋ねをしたいというふうに思います。  先ほどからもちょっとお話がありましたけれども、文書提出命令制度についての研究会でございます。広く各界の意見を聞くということでございますけれども、メンバーを見ますと法曹三者と法律学者以外では経団連と日本労働組合総連合の代表だけなわけです。この問題に強い関心を持っているマスコミあるいは市民団体などの参加がもっとあってもいいのではないかというふうに思います。研究会状況を見ますと、こういったような方々からのヒアリングはなさっているようでございますけれども、ここではヒアリングですから意見を一方的に言うだけであって、実際に研究会でいろいろそれらの点について論議をするということではないというふうに思うんです。  そういう意味で、この構成そのものも偏り過ぎているんではないかと、私は全くの素人でございますけれども、そう思うんですが、いかがでしょうか。
  44. 濱崎恭生

    政府委員(濱崎恭生君) 研究員の方々にお願いをいたしましたのは私ども事務当局の方でございますので、私どもの方からお答えさせていただきたいと思います。  やはりこの問題は、せんじ詰めれば国民すべての方々に関係がある問題であるというふうに思っております。それは、マスコミの方々はそういった国民の考え方をいわば代表する、代弁するという形でおっしゃっているんだろうと思いますし、また消費者団体の方々はこの問題に大変利害関係を持っておられることは間違いございませんが、それはまた国民のすべてであるというわけでもないという面もあろうかと思います。  そういうことでございますので、こういう研究会にどういう方々に参加していただくかということは、これは幅広くやれば際限がないということになってしまうという面があることは御理解を賜りたいと思うわけでございます。  そういうことを踏まえた上で、またもちろんこのメンバーには弁護士の方々が相当数参画しておられるわけですし、弁護士の方々はまたそういった関係の訴訟をみずからやっておられるという方々の御意向も踏まえて、日弁連、弁護士会各単位会としてもこの問題については大変大きな関心を持っておられ意見を持っておられる。そういうことをいわばバックに持っておられる弁護士の方々も参画しておられる。そういうことでございますので、このメンバーによって意見が偏るとか、国民の一部の考え方に偏っていくということは決してないものというふうに私ども考えておるところでございます。
  45. 菅野久光

    菅野久光君 一般的にメンバーだけを見たときにはちょっとそういうような感想を持たざるを得ないなと、こう思いました。  研究会では、今お話しのように、マスコミだとかあるいは消費者団体、経済界労働界からヒアリングをされたわけですけれども、この中で主にどのような意見が出されたか、時間も余りありませんけれども、要点的にお話しをいただければありがたいと思います。
  46. 竹下守夫

    参考人竹下守夫君) 御意見を述べていただきました方、かなり大勢でございますので、なかなか要約ということは申し上げにくいのでございますけれども、一つかなり共通に出てまいりました問題はやはり情報公開部会要綱案でございます。あれとの関係で、あちらで不開示情報ということになっているものについて文書提出命令制度の方ではどうあるべきかというようなことについてかなり御意見が出されました。    〔小委員長退席、中原爽君着席〕  それから、これも情報公開法要綱の方に出てくることでございますけれども、とりわけ経済界の方々からは、企業から行政庁に提供した情報が外部に出される場合に、あちらの方では提供した企業なりなんなりの第三者の意見を聞くという手続がございますけれども、これまで文書提出命令制度の方にはそういう手続はないものでございますので、そういう点についても十分配慮すべきではないかというような御意見が出されました。  全体としまして、情報公開部会の方の要綱案との関係でいろんな御意見が出てきたというふうに申し上げることができるかと思います。
  47. 菅野久光

    菅野久光君 ありがとうございました。  総務庁がおいでですが、情報公開法ですが、大体時期的にはどういうようなことになるのか、ちょっとお話をいただければと思います。
  48. 藤井昭夫

    説明員藤井昭夫君) 情報公開法の今後の動向についての御照会かと思うんですが、御案内のとおり、昨年十二月に行政改革委員会から「情報公開法制の確立に関する意見」というのが内閣総理大臣に提出されております。お手元関係資料ということでお配りしてあると思うんですが、それが昨年の十二月十六日に御提出いただきました。  これも実はこの資料の六十六ページにありますので、お時間があったらごらんになっていただきたいんですが、政府は直ちに行革プログラムの閣議決定というのをやっておりまして、その中で、「「情報公開法制の確立に関する意見」を最大限に尊重し、できる限り早期に法律案をまとめるべく作業を進め、平成九年度内に所要の法律案の国会提出を図る。」、こういう方針をつくっております。  それで、現在、まさに要綱案に沿って、いかにこれを法律用語につくるか、あるいは若干論理的な乱れがないかということと、あと、先ほどちょっと御指摘にもありましたが、要綱案ではある程度政府に具体的検討をゆだねている部分もございます。そういったものの検討というものを、これは全省庁調査しながら今鋭意作業を進めているところでございます。  したがいまして、現在のところは、平成九年度内に国会に法律案を御提出申し上げるというような方向で最大限努力しているところでございます。
  49. 菅野久光

    菅野久光君 それでは、今後の研究会あるいは小委員会の、審議予定は先ほどちょっとまだ何点かありましたけれども、法案ないし法案要綱の作成のめどでございますけれども、一体どのようにお考えになっておられるか、もしも差し支えなければお聞かせいただければと思いますが。
  50. 竹下守夫

    参考人竹下守夫君) その点につきましては、先ほど概括的に申し上げたとおりでございますが、これから夏前に二回行われます研究会、それから一回の小委員会で今後の方針を具体的には決めるところでございますけれども、私の腹づもりといたしましては、研究会でこれだけ調査研究を進め各方面からの意見を伺いましたので、九月以降は、新しい行政文書文書提出命令制度をつくるに際しての問題点整理あるいは留意点の整理というようなことを研究会の方でやりまして、それを小委員会に上げて、小委員会の方で秋のそう遅くならない時点から具体案の作成審議に入ることになるかなというふうなことを考えております。  しかし、これは全く私一個の考えでございまして、事務当局と十分打ち合わせをしているわけでもございませんし、それから研究会や小委員会のメンバトとまだ協議しているわけでもございません。    〔小委員長代理中原爽君退席、小委員長着    席〕
  51. 菅野久光

    菅野久光君 民事裁判における文書提出命令、これは裁判における真実を発見する公益的な目的のためにはどうしても必要なことで、公務文書の提出拒絶事由というのは、これは情報公開法の非公開情報よりも厳格に、また限定的に定められる必要があるというふうに思っているわけですけれども、この点についてはどのようにお考えでしょうか。
  52. 竹下守夫

    参考人竹下守夫君) 先生もう御承知のように、情報公開制度そのものとそれから文書提出命令制度というものとは趣旨としては異なるわけでございまして、情報公開制度の方は、先ほどの要綱案についての考え方の中でも示されておりますように、国民に対する説明責任というようなことを根拠にしているわけでございます。一方、民事訴訟法上の文書提出命令は、ただいま御指摘のように、実体的真実の発見といいますか、実体的真実に即した裁判の実現というところにございますので、一応別個の制度でございます。  関連いたしますのは、情報公開制度のもとで一般の国民が得られる情報というものは、当然これは文書提出命令を出さなくても当事者が入手できるわけでございます。そうなりますと、文書提出命令対象になってくるというのはやはりそういうルートでは得られない情報ということになるかと思います。そういう点からいいますと、どの程度というようなことはなかなか申し上げにくいと思いますけれども、情報公開の場合よりは少し、何といいますか、公開されない、提出される範囲というのは狭くなるかなというふうに申せるかと思います。  以上でございます。
  53. 菅野久光

    菅野久光君 終わります。
  54. 橋本敦

    橋本敦君 きょうは竹下先生ありがとうございます。  衆参の附帯決議をしっかり踏まえて議論をするという方向をおっしゃっていただきまして、大変私どももありがたいと思っておるんです。この衆参の附帯決議を小委員会の皆さんはもちろん、研究会の皆さんもきちっとお持ちになってよく御存じいただいていると思うんですが、研究会でたくさんの方にヒアリングをなさいますね。その場合の資料としても、国会のこの問題についての一定の公的見解としてお渡しをいただいてよく理解をしていただくということをぜひ手続的にお願いしたいと思うんですが、その点はいかがでしょうか。
  55. 濱崎恭生

    政府委員(濱崎恭生君) ちょっと事務作業の状況ということで申し上げさせていただきます。  ヒアリングということで意見を述べていただくに当たっては、やはり問題点を十分御理解いただいた上でお考えおきいただきたいという趣旨から、あらかじめ事務当局の方で事前にこういうことが問題になっておりますということを御説明するということを原則にしております。その際には、附帯決議でこういう議がされているということもあわせて附帯決議をお渡しして説明をしておりますので、その点は十分御承知いただいていると思います。
  56. 橋本敦

    橋本敦君 わかりました。結構でございます。  民事局長、この問題で政府原案修正されたというのは、これは大変な大きな重みを持つことでございます。そういう意味で、この問題について国会政府原案修正され、研究課題として大きな問題として残されたということについては、これは私はそれなりに国会の論議を踏まえて、法案提出をした責任の当局として、法務省としてしっかりと点検あるいは問題の所在について謙虚に受けとめていただく検討が必要かと私は思っておりますが、そういう点についてはいかがでしょうか。
  57. 濱崎恭生

    政府委員(濱崎恭生君) 私ども、まさに御指摘のとおり受けとめております。  したがいまして、先ほども申し上げましたけれども、政府原案は当時は私どもとしてはそれなりの合理性を持つものとして提出いたしましたけれども、それは否定されたということでございまして、あの方法では要するに民事訴訟における審理の適正と、それから守られるべき行政の秘密は守られなければならないという要請とのバランスが十分でないということであろうと思っております。附帯決議趣旨を踏まえた、どこにバランスを求めるかという観点から、研究会、小委員会で御検討いただくと同時に、私どもとしてもそういう心組みで取り組んでいきたいと思っております。
  58. 橋本敦

    橋本敦君 今おっしゃったバランスということの具体的な方向づけが大事なんで、言ってみれば政府原案は公文書の開示と提出ということを一般義務化して、裁判の実体的真実発見や裁判を受ける国民の権利にウエートを置いて考えるという考え方が不足していた面がやっぱりあったというように私は思っているんです。だから、単なるバランス感覚というよりも、そこに具体的にウエートを置いた考え方ということで今後取り組んでいただくことが必要だろうというように私は基本的には思っております。  そこで、一つの問題として、公文書の提出の拒絶の事由をどのように合理的に限定していくかということが一番大きな問題になるわけです。この場合には、先ほども議論がありましたが、公務員の証人尋問に関して、「公共の利益を害し、又は公務の遂行に著しい支障を生ずるおそれがある場合を除き、拒むことができない。」ということですが、実際はこの規定が合理的に運用されませんと拒絶範囲が事実上広がっていく。ここが判例でも裁判所が御苦労なさってきたところなんです。だから、ここのところで、一体ここで言う「公共の利益」あるいは「公務の遂行に著しい支障を生ずる」という、そういう規定そのものが運用の面において規範性をなかなか持たないし、解釈によって左右されるし、それから行政当局は可能な限りこの規定によって出さないようにしたいという、そういうディレクションが働くことも、これも社会通念としてあるわけですから、ここのところの規定を合理的にどう決めていくかということは今後の重大な課題だと私は思っておるんですが、そういう問題意識について竹下先生の御意見はいかがでしょうか。
  59. 竹下守夫

    参考人竹下守夫君) ただいま先生指摘の規定は、新しい民事訴訟法の百九十一条二項であると思いますけれども、この点につきましてはただいまも御指摘いただいたような問題があるということは私どもも承知いたしております。  ただ、先ほども申しましたが、同種の規定が議院証言法とか刑事訴訟法とかございますので、それらの他の法律の規定との調和の中で民事訴訟法の規定を定めなければならないということもまた確かでございますので、そのような考慮の上で、今回、文書提出命令制度改正するに当たり、この点も考慮に入れたいと考えております。
  60. 橋本敦

    橋本敦君 例えば、これは刑法的感覚の話ですが、公共の重大な利益の侵害という場合でも、一般的にそうは言えなくて、明白かつ現実の危険という、こういう原理的な考え方がございます。したがって、法的規制の場合でも、公共の利益を害するということが明白に客観的にある場合という、そういうことに向けた規定の仕方の工夫も一つは解決方法としてあろうかと思うんです。だから、そういった点は、先生のおっしゃるほかの法制や法理との整合性の中で検討していただきたいというように思うんです。  もう一つの問題は、浜四津先生指摘されたんですが、いわゆる秘密の概念の問題、これもまた大変な問題です。つまり、形式秘で足りるかあるいは実質秘でなくてはならないか、これはもう大問題でございます。今までの刑事裁判では、裁判所では大体形式秘で足らない、実質秘でなきゃならぬということは、これは人権保障の観点から言ってまいりました。では、民事訴訟法の観点から一体その法理がどれだけここで生かされていくのかという問題も非常に大事な問題です。  だから、こういった秘密の定義と実質的な判断についてどう規定するかという問題と、それを今度は審査手続で、この附帯決議が言っておりますように、裁判所の司法判断を尊重する立場で手続規定としてその判断を保障する方法としてどうやっていくかという問題が非常に大事な問題として残されていくわけです。こういった大事な問題の整合性を今後研究検討していただく必要があるので、諸外国の法制の検討も結構ですけれども、具体的に今後こういった課題はどういうところでどのように検討されていく御予定なんでしょうか。
  61. 竹下守夫

    参考人竹下守夫君) ただいまの秘密の要件並びにその審査のあり方の点でございますが、秘密の意味につきましては、民事訴訟法の分野でもこれまでの判例では実質秘の考え方がとられているというふうに承知いたしております。ですから、その点におきましては刑事訴訟法の方と変わりがないということになるかと思います。  そこで、その秘密に当たるかどうかの審査のあり方でございますが、これは再三先ほどから申し上げております参議院法務委員会附帯決議の中にもあるわけでございまして、司法権を尊重する立場から検討せよということでございますので、先ほど申しましたように、この秋から具体案の作成に取りかかる過程で、その点を十分踏まえて、議院証言法のように疎明を要求するというのも一つの考え方だと思いますし、あるいはアメリカの情報自由法にございましたボーンインデックスというような考え方もあり得るかと思いますので、それらを視野に入れて検討してまいりたいと思っております。
  62. 橋本敦

    橋本敦君 その点は、ぜひインカメラ手続も含めながら御検討いただきたいという私どもの要望をお願いしておきたいと思います。  それで、各地方自治体の条例による情報公開等もかなり進んでおりますし、それから市民オンブズマンの活動によってかなり国民の知る権利が広められていくという、こういう民主社会の方向性も我が国でも出てまいっておりますので、それとの関係でも非常にこれからの検討課題として大事になってくるだろうと思うんです。  そこで、研究会でもこの問題については、市民オンブズマン的な制度とは言いませんが、自治体の情報公開問題について関係の事務局から御説明があったという話もございましたが、今後は具体的な市民オンブズマン制度を実際にやっている当事者の経験なり、あるいは地方自治体でいろんな違いがございますから、そこらあたりも含めて、照屋先生も言われましたが、各地方の公開条例の検討だけでなく、実際の経験を聞いていただくというヒアリングもぜひお願いする方がいいのではないかというように思っておりますが、いかがでしょうか。
  63. 竹下守夫

    参考人竹下守夫君) 御指摘趣旨はよくわかりました。ただ、私ども、先ほど申し上げましたように消費者団体関係者からヒアリングをいたしましたが、この中には先生指摘のような運動に関係をしておられる方も何人か含まれていたと思います。そういう方々から御意見を既にちょうだいしております。当然、その御意見も今後の審議の中で考慮していかれるということになります。
  64. 橋本敦

    橋本敦君 こういった研究会はそれなりに本当に貴重な御意見もそれぞれあると私は思うんですけれども、二点、民事局長にお尋ねをしておきたいんですが、今までの法制審のあり方と違って、今度の場合は、附帯決議を受けて小委員会なり研究会審議要録も公表するという方向でやっているんだというお話がございました。それはどの程度審議要録なり内容なりをまとめていらっしゃるのかということが一つ。それから、それを公開ということですが、もらいに行ったらいただけるということではなくて、衆参のこの問題の小委員会メンバーにはそれは適宜配付をしていただくということで、こちらも勉強させていただくというようにしていただきたいなと思っておるんですが、この点はいかがですか。
  65. 濱崎恭生

    政府委員(濱崎恭生君) 先ほども申しましたように、議事要旨は公開しているものでございますので、気がつきませんでしたけれども、この小委員会先生方に御配付するということについては前向きに検討させていただきたいと思います。
  66. 橋本敦

    橋本敦君 ぜひお願いいたします。  それから、もう一つ民事局長附帯決議の第四項で、政府に対する要望として、「政府は、前二項の検討に当たっては、その経過を広く開示し、国民意見が十分反映されるように格段の配慮をすべきである。」ということを申し上げております。これは先ほども受けとめていただいておるんですが、「国民意見が十分反映されるように格段の配慮」という、ここのところを政府としては具体的にどうなさるか。これは先ほどの小委員会のもとの研究会にいろんなヒアリングという一つ方法がありますね。しかし、これは法制審の話です。政府として国民意見が十分反映されるよう格段の配慮をというのは具体的に今何をなさっているか、どういうことをお考えになっているか。  私の一つの提案で言うならば、まさにこの問題について大方の成案が出てくるという状況になってくれば、これは国民に対して周知徹底を図るための広報活動があり、シンポジウムをやるということもあり、各界の意見をそれについて聞くという手続を今後とることもあり、いろいろあると思うんです。  この点は、政府として今後国民意見が十分反映されるような格段の配慮の工夫と保障をどうお考えなのか、今すぐ考えていらっしゃらなければ今後考えていただきたいという希望を込めて御質問をさせていただきます。
  67. 濱崎恭生

    政府委員(濱崎恭生君) これまで考えておりますところは、私どもとしては、この研究会の場を通じてできるだけ幅広い方々の御意見を伺う、もちろんそのメンバーに私どもの担当者も入っておりますので、そういう形で聞かせていただくということを直接念頭に置いておるわけであります。もちろんこの問題については、既に前国会国会議論を通じまして大変幅広い国民の各層の意見、それを踏まえたマスコミ意見なども伺ったと思いますし、今回もマスコミの御意見を伺うということは幅広い国民の意思を間接的な形で聞いたということであろうというふうに思っております。  この検討につきましては期間の制約がございますものですから、一般の法制審議会審議のように意見を公表して、その意見を踏まえてまた見直しをするというような時間があるかどうかということはなかなか難しい問題でございますが、その成案ができた段階でのいろんな広報の方法については、またその段階検討させていただきたいというふうに思っております。
  68. 橋本敦

    橋本敦君 最後にしますが、今おっしゃっていただいた最後のところが非常に大事なんで、一定の検討と小委員会の一定の方向づけが出てきて、そして法務省として一定の成案が得られる方向になってきた段階で、その中身について、研究会で集まっていただいた人全部とは言いませんが、各界の意見を改めて徴するというそういう手続も私は必要ではないか、こう思っておりますので、もしそういうことが可能であれば考えていただきたいということをお願いして、質問を終わります。
  69. 岡部三郎

    ○小委員長岡部三郎君) 以上で質疑は終了いたしました。  竹下参考人におかれましては、本日は御多用のところ当小委員会に御出席をいただき、ありがとうございました。  本日はこれにて散会いたします。    午前十一時四十八分散会