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政府委員(
濱崎恭生君) 欧米の
法制といたしまして、ドイツ、フランス、それから欧州連合のディレクティブ、それからアメリカの
法制を拾って比較して申し上げたいと思います。
まず、
合併の
承認総会でございますが、これはいずれの国においても承認のための
株主総会が必要であるという点は変わりはございません。それに対して、
合併の
手続が全部終わった後の
報告総会あるいは
創立総会といったもの、これを必要としているのは今の
法制では
我が国の現行
商法だけでございます。
それから、
合併に反対する反対
株主の株式買い取り請求権、これは
我が国の
商法、これは現行も
改正案も同様でございますが、それからドイツ、アメリカにはこういう
制度がございますが、フランス及びEUにはないということでございます。
それから、事前の開示書面についても今回
改正をさせていただいておりますが、現行
商法では貸借対照表だけというものを今回の
改正で
充実することにしておりますが、ドイツ法では
合併契約書、貸借対照表等を備え置くべきこととされております。フランスでは
合併契約書、貸借対照表、営業報告書等、EUでは
合併契約書、その
説明書、貸借対照表、営業報告書等、アメリカでは
合併契約書またはその要旨ということになっております。
それから、特別に簡易な
合併手続でございますが、今回
改正法案で新たに導入することとしておりますが、この
法制はドイツ、EU及びアメリカにおきまして、一定の場合には存続
会社における
承認総会も必要としないという
制度が設けられております。
なお、
債権者保護手続もかなり重要な相違点がございますが、これについてもあわせて申し上げさせていただきます。
債権者保護手続につきましても今回の
改正案を提出させていただいておりますが、現行
商法におきましては、先ほど来御
指摘がありましたように、事前の救済
手続ということになっておりまして、一定期間内に異議を述べた場合には、異議を述べた
債権者に対しては弁済もしくは担保の提供あるいは信託
会社への財産の信託を要するということにされており、しかも
債権者に対して個別に
催告をしなければならないということになっているわけでございます。しかも現行
商法におきましては、これは
合併をする前の事前の
手続として要求されておりますので、弁済等の措置を講じなければ
合併手続が前に進まないという形になっているわけでございます。
これを他国の
法制と比較してみますと、まずドイツでは、これは
合併登記をしてその
公告をした後、すなわち
合併手続がすべて終わった後、六カ月内に弁済、担保の提供を請求することができるという、いわば事後
手続になっております。また、
債権者に対する各別の
催告ということは要求されておりません。
フランス法でございますが、これは
合併契約書の
公告後三十日内に裁判所に対して異議を述べることができるということになっております。裁判所はその異議の理由の有無を判断して、弁済または担保提供を命じるかどうかを判断するということでございます。これは
合併手続が完結する前に異議の申し出ができるわけですが、異議を述べても
手続の進行はとまらないという
制度になっております。また、
債権者に対する各別の
催告は必要がないということになっております。
それからEUでは、これはディレクティブということでございますので、抽象的に合理的な
債権者保護手続を設けなければならないという指令になっております。
アメリカ法においては、一般的に
債権者保護手続が設けられておらないという
状況でございます。
以上、少し長くなりましたが、御
説明させていただきました。