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1997-06-10 第140回国会 参議院 文教委員会 第17号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成九年六月十日(火曜日)    午前十時二分開会     ―――――――――――――    委員異動  六月五日     辞任         補欠選任      林 久美子君     益田 洋介君      小島 慶三君     本岡 昭次君  六月六日     辞任         補欠選任      益田 洋介君     林 久美子君     ―――――――――――――   出席者は左のとおり。     委員長         清水嘉与子君     理 事                 小野 清子君                 鹿熊 安正君                 石田 美栄君                日下部禧代子君     委 員                 井上  裕君                 釜本 邦茂君                 世耕 政隆君                 田沢 智治君                 馳   浩君                 菅川 健二君                 林 久美子君                 山下 栄一君                 山本 正和君                 本岡 昭次君                 阿部 幸代君                 江本 孟紀君                 堂本 暁子君                 長谷川道郎君    衆議院議員        発  議  者  田中眞紀子君        発  議  者  河村 建夫君        発  議  者  住  博司君        発  議  者  中谷  元君        発  議  者  栗原 博久君        発  議  者  秋葉 忠利君        発  議  者  藤村  修君        発  議  者  山元  勉君        発  議  者  粟屋 敏信君    国務大臣        文 部 大 臣  小杉  隆君    政府委員        文部大臣官房長  佐藤 禎一君        文部省生涯学習        局長       草原 克豪君        文部省初等中等        教育局長     辻村 哲夫君        文部省教育助成        局長       小林 敬治君    事務局側        常任委員会専門        員        青柳  徹君    説明員        厚生省社会・援        護局施設人材課        長        井上 恒男君     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○小学校及び中学校教諭普通免許状授与に係  る教育職員免許法特例等に関する法律案(衆  議院提出)     ―――――――――――――
  2. 清水嘉与子

    委員長(清水嘉与子君) ただいまから文教委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  去る五日、小島慶三さんが委員辞任され、その補欠として本岡昭次さんが選任されました。     ―――――――――――――
  3. 清水嘉与子

    委員長(清水嘉与子君) 小学校及び中学校教諭普通免許状授与に係る教育職員免許法特例等に関する法律案を議題といたします。  本案の趣旨説明は既に聴取しておりますので、これより直ちに質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  4. 小野清子

    小野清子君 自由民主党小野清子でございます。どうぞよろしくお願いをいたします。  今回の法律案は、義務教育に従事をいたします教員が個人の尊厳及び社会連帯の理念に関する認識を高めるために大変重要なものであると私自身認識しておりますし、これからの高齢化の進展、あるいは障害をお持ちの方々のためにも理解を深めていく、またそういう教育ができていかなければならないという、そういう観点から大変意義あるものと考えられますので、賛成の立場ではございますけれども、まずは幾つかの疑問点についてこれから御質問させていただきたいと思います。  改めまして、提案者の方から立法趣旨をお伺いしたいと思います。
  5. 田中眞紀子

    衆議院議員田中眞紀子君) お尋ねありがとうございます。  今までもるる提案理由等でも申し上げておりますし、自由民主党部会でもお話を申し上げておりますけれども、私は基本的に今の日本社会はどういう国かということをずっと考えてきておりますが、品物はたくさんありますけれども、日本の国が果たして強靱な社会であるかどうか。国民性も含めて、将来の見通しも含めてでございます。そういうときに、本当に人の心の痛みを理解して、そうして、自分一人ではなくて社会全体で連帯の意識を持って人づくりをしていくというような視点を持って本当に強い社会をつくっていかないことには、この国際化の中においても日本の将来はなかなか厳しいものになるのではないかというふうに思っています。  では、強い社会とは何かといいましたら、強さと優しさというものは表裏一体の関係にあるというふうに思うんです。そういう優しさを学ぶためには、人がそれぞれ違った資質を持っている、考え方、バックグラウンドを持っているということを学ぶには、いろいろなフィールドがあると思いますけれども、高齢者でありますとか障害者ですとか、心の面で、もちろんフィジカルな面は当然ですけれども、そういう面で弱さといいますか、つらい思いをしていらっしゃる方にじかに接することによって多くのことを学ぶことができて、結果的には優しさといたわりのある、ゆとりのある社会がつくれるのではないかということに考えが至ったわけでございます。  ですから、簡単に申しますれば、質の高い人材教育現場に送り込むというのは、これは国家の義務でございますし、そういうふうな制度というものを構築していくように我々国会議員は努めていく義務があるというふうに思います。まず若い世代の人から、社会連帯とは何か、自分は何によって生かしてもらっているのか、日本はどうあるべきなのかということを学ぶためのインセンティブを与えるための一つ法案になればいいというふうに考え立法いたしました。  以上です。
  6. 小野清子

    小野清子君 まさにおっしゃるとおりで、教育の問題を語るときに教員資質という問題が非常に言われるわけでございまして、これは高齢者とか、それから体に障害を持った方以上に、健常者であってもお互いの気持ちを推しはかるということが大変欠けているこのごろでございますので、そういった点でも大変いい一助になろうかと思います。  ただし、教職免許状取得希望者介護等体験義務づけるということになりますと、これは相当な数になるわけですね、免許状取得する者が。そしてまた、実際に教職につく者にしても一万を超える数になるわけでございます。そういった意味におきまして、これが実際に社会の中での受け手の問題という観点からしまして、御議論の中に、免許状取得できた者がこれを行うというふうな観点議論はならなかったんでしょうか。  要するに、免許を受けたい者、例えば七万人以上の者がどっとこういう施設に行くということは非常に難しいのではないか。そういった意味では、現実に一万を超す皆様方、そういう就職の決まった方々が春休みとかそういう時期を使ってこういうことをやるという方がより実効的ではないかという観点をいかがお考えでしょうか。
  7. 河村建夫

    衆議院議員河村建夫君) ただいま御指摘あった点、立法をする段階でいろんな角度から出た議論でございまして、我々としてもその辺も考えたわけであります。先ほど田中眞紀子議員の方から趣旨説明立法趣旨がございましたが、これはまさに国民介護時代を迎えるときに当たって、まず先生になる方々にということでありますが、先生になろうと決意をされたといいますか、そういう方々に広くこれは体験をしていただくことが必要ではないか、そして受け入ればどうかということについてもいろんな角度から考えて、教員志願者に広くやっていただくことが適当であるというふうな結論に達して立法化したものであります。
  8. 小野清子

    小野清子君 ですから、これは要するに受け手福祉関係者皆様方がいかにこのことを御理解くださり、現実現場でこれがうまく執行できるかどうかということが、私はこの制度を定着させていく上で非常に大きな観点になってくるのではないかと、そんなふうに考えさせられます。  円滑に施行するために、学生を送り出す学校の側と、それを受けます社会福祉施設両方協力が私は不可欠であると、そんなふうに考えさせられますけれども、この点に関しましての双方の話し合いというものはうまくできた状況にあるのでしょうか。
  9. 粟屋敏信

    衆議院議員粟屋敏信君) 今、小野委員お話の点は一番大事な点であろうと思っております。大学側もそうでございますが、特に受け入れ施設の方が問題があろうかと思うわけでございます。構想の段階におきましてはいろいろと心配の声も聞かれたわけでございますけれども、その立法作業の過程におきまして、受け入れ施設、また大学側とも十分意見の交換をいたしまして、両方とも御理解を得ることになったと確信をいたしておるところでございます。  いずれにいたしましても、今後ともその努力はさらに続けていかなければならないと考えております。
  10. 小野清子

    小野清子君 細かいことですけれども、例えば一人一人が個人的に施設にお邪魔をするのか、あるいはグループをつくってお邪魔するのか。それは例えば受け手方々は、ちらほらと学生さんたちにしょっちゅう来られますと、やはり現場指導というのがあるわけですね、来ました、どうぞというわけにはいかないんで、説明をして、例えばこういうふうにやるんですよとやってみせて、それからやらせてみせて、さらに指導をする。こういうことを何万の学生たちがしょっちゅう来てやりますと現場は大変なんじゃないかということを、きょう質問させていただくに当たりまして夕べいろいろ考えたら、両方とも気持ちの上では非常に理解できるすばらしい法律であるという認識は持ちつつも、いざ現実になったときに、個人的に動くということになったらこれは大変なことになるのではないかと。例えば何人かずつグループ制にするとか、その辺のお話し合いはついていたのでしょうか、どうでしょうか。
  11. 田中眞紀子

    衆議院議員田中眞紀子君) 一年半、今、小野先生が御指摘のところは一番私どもも懸念をしておりました。それで、厚生省文部省もそうですけれども、あらゆる関係者の方に実際に来ていただきまして、随分具体的な数字を挙げながらシミュレーションいたしました。  八万人を超える生徒さんがこうした施設を訪れるようになります。そして一万一千以上の受け入れ施設があるということですけれども、それが一極に集中してグループでどっと行くのではなくて分散して、例えば四年間、後ほどの質問にもあると思いますが、短大の場合は二年間ですけれども、その中でもって、できるだけ受け入れ施設の都合を聞きながら、自分で自主的に参加をしていくという形であれば施設受け入れられるという結果を得ましたことを御報告申し上げます。
  12. 小野清子

    小野清子君 おっしゃるとおりだと思いますけれども、八万人の希望者が一学年、二学年、三学年、四学年というと、結局三十二万人いるということにもなっていくわけですね。いずれにしろ、その方々が順次その四年間の中でそういうところにお邪魔するということになるわけです。  厚生省の方にちょっとお伺いをしたいと思いますけれども、厚生省の方といたしましては、社会福祉施設での受け入れという問題に関しましては、現実的な問題としてどのように受けとめていらっしゃるのか伺いたいと思います。
  13. 井上恒男

    説明員井上恒男君) この法律案によりまして年間約八万人の学生社会福祉施設介護等体験を行うことになるわけでございますが、現に社会福祉施設では、社会福祉士それから介護福祉士、そういった福祉専門職の養成の一環といたしまして多数の実習生受け入れているのが実態でございます。  この法律案で言います介護等体験施設実習とはやや趣旨を異にするものでございますが、いずれにしましても、今まで以上に多数の学生受け入れるということになりますと、これを円滑に進めるためには、学生自主性を尊重しながらも、特定の施設に偏らないような、学生施設の要望をうまく調整する仕組みを整備するなど、施設の負担をできるだけ軽減していただくような配慮が必要ではないかというふうに考えております。  いずれにいたしましても、この法律案は、教育職員資質の向上とともに、介護に対する理解を広めていただく意味で大変有意義であるというふうに思っておりますので、厚生省といたしましても、学生受け入れが円滑に実施できるよう、都道府県などを通じまして関係の機関、施設に対しまして協力を求めるようできるだけ努力をしてまいりたい、このように考えております。
  14. 小野清子

    小野清子君 社会福祉士等々は、一応そういう授業を受け、ある程度の理解を持った方々が入っていかれるわけですけれども、八万人を超す方々ということになりますと、その辺がどこまで勉強していらっしゃるのかなということを感じざるを得ないわけなんです。  私は基本的には賛成なんですけれども、心配をしながら今質問をさせていただいているわけですけれども、非常に介護の問題というのは専門的知識が必要であり、そして技能もやはり必要であり、若い者が普通に体を動かしてもそれが強かったりけがをさせてしまったり、いろんなことが現場ではあるんですね。  それと同時に、受け手側の方の意見というものはどのようにお聞きになられているのか。例えば、自分の体のぐあいが悪いときに、だれでもいいから来る人がなにをしてくれればいいというものではなくて、非常にナーバスな精神状態の中で、やはりこの人でなきやとても自分の世話はしてもらいたくないとか、非常に難しい精神構造時代を迎えるわけですね。そういうときに、床ずれの方もいれば、そうでない方もいれば、いろんな条件の方がいるところに、どういうあたりまでの内容の介護を御認識していらっしゃるのか、その辺はいかがなものでしょうか。
  15. 田中眞紀子

    衆議院議員田中眞紀子君) 交流体験ということを考えておりますけれども、介護というのは、介護福祉士さんとか、かなりやはり専門的な技能を要するものです。そういうときには、今、小野先生が危惧を示されたようなことが受け入れ側も、それから本人も、それから生徒さん自身も非常に負荷がかかると思いますので、そういうことではなくて、具体的には例えば本を読み聞かせてさしあげるとか、話し相手になるとか、配ぜんの手伝いをするとか、お花を生けるのでもいいですし、おむつをたたむというふうなことでもいいと思うんですね。  要するに、自分自身参加をしていくことによって、相手に迷惑をかけない範囲内で自分が何ができるかということに自発的に参加をしていくことでありまして、じかに資格もない人が突然わあっと迷惑も考えずに行って、患者さんを起こしたり引っ張ったりしょうとか、そういうことでは決してありません。車いすの動かし方一つにしましても、リフトアップするとかいろんなやり方がありますし、ベッドも、ギャッジアップをするとかいろいろ専門的なものが必要ですから、そういうことではなくて、自分のできる範囲でもって何をするか、これがいわゆる何度も言っている社会連帯パブリックマインドでございまして、役所も、文部省だけではなくて、厚生省だけではなくて、学生も自治体も福祉施設もみんなが全員で、自分が何ができるか、そういう日本人をつくるために自分が何ができるかという志をみんなが持つ、啓発するきっかけにしたいということでありまして、危険な状態にしようというふうなことを毛頭思っておりません。  それから、現実に教師にならなくても、こういう体験をした方が社会の底辺に広がっていくということが理想でございます。  ですから、要は国民介護であるわけですけれども、ちょっと質問からずれますけれども、やっぱり学校先生になる人はその影響力は大きいわけですし、本来でしたら、弁護士さんもお医者様も国会議員も、先生と言われる人がそれにふさわしい資質を持っているかどうかというのは大変大きな問題なわけですから、国民介護なんですけれども、まずやはり教職、特に心のやわらかい子供たちに接触をする先生は、先生を志す人たちは、せめてそういうことを自分で、人に迷惑をかけずに、自分なら何ができるかということを自分から積極的に能動的に働きかけていく、そういう心も自然に涵養されていくべきものではないかというふうに考えます。
  16. 小野清子

    小野清子君 ボランティア活動を今回は入れずに介護だけをお入れになられたというのは、ボランティアというのは人対の場合もあれば、自然との、例えば重油の流出の場合のときとか、ボランティアというのは非常に幅広く、人対人じゃない部分もあるわけですね。それをあえて介護の問題に絞られたというのは、まさに人対人を通してこの問題を認識させるためだと、私はそのように理解をさせていただいたんです。  今おっしゃられた周辺の、おしめをたたむとかリフティングに協力するとかというあたりで、何かしらちょっとボランティア的なニュアンスが強いのかなという気がしないでもないわけですけれども、やはりこういうところに出かけるときには前もって研修がひとつ必要なんじゃないかという気持ちを強くさせていただいているんですけれども、その辺の議論はいかがだったのでしょうか。
  17. 秋葉忠利

    衆議院議員秋葉忠利君) おっしゃるとおりだと思います。  研修というフォーマルな形をとるかどうかは別として、やはり事前にほとんど知識がない学生ということを前提にしておりますので、どういった状況の中で自分がどういう役割を果たせばいいのかということを、例えば一つには、最初から完璧なことができるわけではありませんけれども、この制度によって経験を積み重ねることによってある程度基礎的なマニュアルといったようなものが出てくることを期待しております。  そのために福祉関係者あるいは教育関係者の皆さんに御苦労をおかけしなくてはいけないことになると思いますけれども、そういったマニュアルが基礎になって、それをもとにして事前の、今、小野委員がおっしゃった研修のような形、それも集中的に例えば一日二日やるということではなくても、例えば教職課程のガイダンスといったようなものが大学の中でありますけれども、その一環として行っていくというような形で、徐々にこの制度全体が教職課程大学教育全体の中にうまく組み込まれていくのではないかということを期待しております。
  18. 小野清子

    小野清子君 介護の問題というのは、核家族になりますと家庭の中でチャンスがなくなりますし、また非常に個の時代になってきますと余計そのチャンスがなくなりますから、学校の中で幾ら教育的に理解を受けても、現場に行かなければやっぱり理解できないところが大変大きい。そういう意味では、こういう機会があるということは大変理解をするわけですが、片や学校空き教室の問題が大変このごろ多く出てまいりまして、空き教室福祉施設を併設していくという時代も今迎えつつあるわけでございます。そういった意味では、学校の中でそういうチャンスが逆にふえていく時代に入ってくるのではないかと、そんなふうに一方で考えさせられます。  たまたま、家に帰ります途中にありました戸越台という中学校を取り壊しをしておりまして、建て直しをするのかなと思っておりましたら、すばらしいビルが建ったんですね。中学校はどこへ行っちゃったんだろうと思っておりましたら、暗がりでよく見ましたらそれが中学でありまして、こんなすごい中学かと思いまして、横の看板を見ましたら高齢者福祉施設及び戸越台中学校というものが併設されてつくられていたわけで、今回質問するので改めてよく見てみましたら、戸越台特別養護老人ホーム在宅介護支援センター在宅サービスセンター戸越台中学校一つ施設としてできておりまして、これはきのうちょっと区役所の方に問い合わせをさせていただきましたら、平成八年に総合施設としてつくられたということでございます。  さっき空き教室の問題もお話しさせていただきましたけれども、東京などは土地を取得するのが大変高うございますし、また遠いところではなかなか大変だということで、福祉施設用地取得が困難なことから既存の区有地有効活用を図ったものであるということですけれども、こういう中で、まさに二十一世紀にふさわしい多目的な要求に応じられるような教育施設にして改築するということが決まったと。これは教育的にも非常に多目的でありすばらしい施設であると同時に、社会福祉という両方が相まってこういうものを昨年つくったということでございます。余り時間がなくて詳しくは伺えなかったんですけれども、中学生がやはり日々の営みの中で交流を行い、高齢者中学生との温かい触れ合いが生まれることを期待しているというのがこの施設をつくった中心になっているんだそうでございます。  具体的にどういうことをされるのかと伺いましたら、ボランティア部という部活があるんだそうでございます。その部活でもって、毎週金曜日に放課後に一ないし二時間、そういう皆様との触れ合いを行う。それから、交流部会というのが社会福祉施設の方にもできておりまして、中学生ばかりでなくて地域の方々との触れ合いを行う。他の中学生体験学習というものをやり、教職員は年間四回、介護実習を行うということが何か義務づけられているということを伺いました。  まさに今出される法案の先導的な役割を担って、いいものがたまたま私の家に帰る途中にできていたわけですけれども、先生たち見通しの中に、こういう複合施設とかあるいは空き教室の問題との関連というお話し合いは出なかったのでしょうか。
  19. 河村建夫

    衆議院議員河村建夫君) 今、小野先生おっしゃったことは大変すばらしいことだというふうに思います。  議論の中で空き教室活用して云々ということは、この立法化段階では特に出ませんでしたが、ただ、今行革の時代でありまして、まさに行政改革財政改革をやる中で、空き教室福祉施設への転用ということは我々としても取り上げておりまして、これからそういう活用をしていくべきであろうと、こういう方向でおります。  今、先生指摘があったことは、まさにもう先を見越したことでありまして、そういうふうになっていけば、まさに国民介護時代が来るわけでありまして、このような法律がなくても当然のことのようにして、先生になる人あるいは一般に公務員になる人、そういう方々体験をしていただけることになるんではないか、大いに歓迎すべきことだ、すばらしいことだというふうに理解をいたしました。
  20. 小野清子

    小野清子君 やはり法律というものは非常に大きく、新しい時代に対する牽引力といいますかリーダーシップを発揮するわけでございますけれども、今ちょうど、少子化の問題とあわせて高齢化社会が、今年度は十五歳未満と六十五歳以上がちょうど同数になる。そしてこれからますます高齢化時代が進んでいく、こう言われますときに、若い世代高齢者方々が一緒になって、お持ちになっているすばらしい知識や知恵を、若い方々との伝承をしていくその場が触れ合いとして生まれていくということは大変すばらしいことであり、まさに家の中に両親しかいない家族の場合にはこういう高齢者とのつながりというものが、お考え以上の私はすばらしいこれからの時代に対する日本伝承にもつながっていくのではないかと思いますし、今、河村先生おっしゃいましたように、この免許法がなくてもいいほど中学校時代から教育現場の中にきちんとしたこういうものが付されていった場合に、果たしてこういう実績を取得のための条件にする必要があるのかどうかということを問われるような時代になることを、私は大変期待をしながら質問をさせていただいているところでございます。  最後に、この法案をおつくりになりました皆様方の御決意を伺いまして、私の質問を終わらせていただきます。
  21. 田中眞紀子

    衆議院議員田中眞紀子君) 要するに、この法律施行後は、結論だけ申しますけれども、この立法の精神があまねく日本社会に速やかに浸透をするように、そのために最大の努力、関心を払ってまいりますし、また先生方の御協力をぜひ仰いでいきたいというふうに考えます。そして、今先生がおっしゃったように、こんなことが義務化なんかしなくていい社会、みんながパブリックマインドを持っている社会ができるように、その第一歩になるように願っております。
  22. 小野清子

    小野清子君 ありがとうございました。
  23. 林久美子

    ○林久美子君 平成会の林久美子でございます。  このたび提案されていらっしゃいますこの教職免許法の特例法には、私も全般的には本当に賛成いたしております。先ほどからお話を伺っておりまして、本当に大事な法案であるなということも痛切に感じております。それは、私自身も議員になる前に舞台を踏んでおりましたときに、身障者の養護施設に行ったり、また老人ホームにボランティアでたびたび行かせていただきまして、いろんな体験をさせていただきました。そのときに、本当に見えない部分、心のひだというか、そういうものを感じ取ることもできましたし、またそういう方と接するということは、やはり人間というのはいろんな個性を持っている、いろんな能力を持っているんだということを感じるといいますか、そういうやはり心のひだをしっかりと植えつける、そのような私は体験をさせていただきました。  そういう意味で、今回のこの教職員に対してのこういう義務づけをするということは、先ほどからお話がありますけれども、義務づけることは本当にこれでいいのかなと思いますけれども、でも今の段階では本当にこういうことが必要だなということを感じまして、今回のこの法案に対して二問まず質問させていただきます。  まず、制度の対象者ですけれども、その中で特に短大生についてでありますが、短大生は四年制の学生の修得する単位を二年なり三年なりで修得します。極めて時間的に過重になっております。何かそれに対して考慮すべき点をお聞かせください。  また、これはちょっとダブりますけれども、ボランティア活動をする場合、問題になるのは不慮の事故ですね。例えば自分がけがをする場合、また相手をけがさせてしまう、そういうような対応の仕方に対してどういうようなことを考えていらっしゃるか、まずこの二点をお聞かせください。
  24. 秋葉忠利

    衆議院議員秋葉忠利君) 最初の点について答えさせていただきますけれども、まず最初に、この法案について全体的に非常に配慮のきいた評価をしていただいたことを感謝したいと思います。  短期大学学生についてですけれども、御指摘のように、二年間という短い期間に教育実習を初めその他さまざまな実習、それから教職課程のさまざまな科目を取得するということで、確かに非常に忙しい二年間であることは御指摘のとおりだと思います。  ただ、私たち考えておりますのは、この実際の研修は、例えば一週間なら一週間まとめて時間をとってということを考えてはおりません。土曜、日曜を使ったり、あるいは休暇を使ったりといった形で分散して行うことも可能ですので、当面はそういった形で柔軟な実施をしていただきたいというふうに考えております。  ただ、これはやはり人間対人間のことですから、実際にこの研修を行ってみた時点で二年間の短期大学については非常に大きな問題があるというような結論になれば、その時点でまたきちんとした対応をすべきであるというふうに考えておりますけれども、当面、例外を設けずに二年間の中で柔軟に対応していただくということでできるんではないかというふうに考えております。
  25. 粟屋敏信

    衆議院議員粟屋敏信君) 今お話しの、体験実習中にお年寄りにけがをさせたり、また自分がけがをしたり、こういうことは本当にあってはならないことであろうと思いますけれども、不時の事故というものはいつ襲ってくるかもわからないわけでございます。  そのためにはまず、先ほど小野先生の御質問に対して秋葉議員が御答弁申し上げましたように、事前研修に相当するものを丹念にやっておく必要があると思いますし、その中において、今先生心配のような点を含めて安全の問題についてよく注意を払うような、そういうことを十分納得させておく必要があるんでないかと思っております。  ただ、不時の事故が起こった場合にどう対応をするかという問題でございますが、社会保険に加入している人につきましてはその範囲内である程度の措置がなされるわけでございますけれども、学生がお年寄りを傷つけたら、いわば損害賠償というような問題にも発展をするかと思うわけでございます。現在、ボランティア保険というものもあるようでございますけれども、新しい仕組みを考える必要もあるんでないかと思うわけでございまして、この点につきましては文部省を中心に今検討をしてもらっておるところでございます。いずれにしましても、制度を充実させて、こういう不時の事故に対する対応に遺憾のないようにする必要があると思っておるところであります。
  26. 林久美子

    ○林久美子君 ちょっと心配になってくるんですけれども、やはりこの点はきちっと文部省の方で対応をとっていただいて、早急に、この法案が立つに当たってよろしくお願いいたします。  それでは、学生がこのボランティア活動をするに際して、活動をスムーズに行えるように環境整備が要求されると思います。この法律には「関係者の責務」として第三条に規定されておりますけれども、国、地方自治体及びその他の関係団体は具体的にどういう環境整備を行うのか、お聞かせください。
  27. 藤村修

    衆議院議員(藤村修君) お答えします。  議論の過程では、学生がある意味では自分介護体験をする施設などもある程度苦労しながら探していく、こういうことも非常に重要かという議論もございました。しかし、義務づけるということでこの三条関係、「関係者の責務」ということで関係者にも十分環境整備をしてもらおうという規定を盛り込んだところでございます。  具体的には、国によるということでは、まず一つは省令の制定等の制度的な措置。二番目に、施行通達の発出やら関係資料の作成、配布による制度趣旨徹底をすること。三番目には、施設の所在情報の提供や受け入れについて関係者への協力を要請すること。四番目には保険制度、今ちょっと議論になりました、これも早く構築するということ。  それから自治体による対応としては、一つは、管内の特殊教育学校やあるいは社会福祉施設等に対する指導、助言を行っていただくこと。二つ目には、必要な情報を提供すること。三つ目には、特殊教育学校あるいは社会福祉施設等の設置者としての積極的な学生受け入れをお願いすること。  そしてまた、その他関係団体による対応といたしまして、国や地方公共団体と連携を密にしつつ、場合によってはその地元での協力体制を整備していただく、そして学生介護体験受け入れを円滑に進めていただく、こういう措置を考えております。
  28. 林久美子

    ○林久美子君 ありがとうございます。  地方自治体は本当に忙しくなるんですけれども、ある学校ではこのボランティアの情報、どこで、どういうときに、どんなものが情報として相手に与えられるかと、今そういうような学校もありますので、そういう細かい面をぜひきちっと整備していただきたいと思っております。  それでは、文部省の方、きょうは来てくださっていらっしゃいますね。この法案に対して対案を出されていると伺っております。なぜこの対案を出すようになったのか、そのことについて御説明お願いします。
  29. 小林敬治

    政府委員(小林敬治君) お答えいたします。  法律案の構想段階には幾つかの変遷があったわけでありますが、比較的初期の段階だったかと思いますが、その段階では、構想として一つは、大学のカリキュラム上の位置づけが二週間の実習となっていたということ、授業科目として開設をして、教員を配置して単位を認定する、こういうふうなことが果たして大学で可能なのかどうかという点。それからもう一つは、やはり先ほどから御議論がございますように、受け入れ施設の確保ができるのかどう女特に、この場合に二週間ということでございましたので私どもは懸念を持っていたわけであります。  しかしながら、その後、立法作業の過程で期間の短縮がございましたし、それからカリキュラムの内にするのか外にするのかは大学の裁量に任せると、この法案では外にしてもよろしいということになっておりますし、それから内容も弾力的になりました。つまり、実習といういわば専門的な技術を持たないとできないのではないかと思われることから、介護、介助あるいは交流等の体験という形になったわけでございます。  それと、もう一つ疑問点でございました受け入れ施設関係でございますが、これは厚生省の御協力によりまして受け入れ先の確保のめどが立ったと、こういうふうなことがございまして、現在におきましては法律案の内容を行政的に十分実現可能なものというふうに認識いたしておるところでございます。
  30. 林久美子

    ○林久美子君 どうもありがとうございました。  今度は大臣にお伺いいたします。  教育職員養成審議会は、ことしの七月をめどに、新しい時代に向けて教員養成課程のカリキュラムの改革を行うべくその結論を出そうとしているようですけれども、この中で、養成カリキュラムにボランティア活動や福祉活動、さらに自然体験などを導入することを検討していると言われております。このたびの教育職員免許法の特例法は、それを先取りしたものなのか、それとも別のものになるのか御見解をお願いします。
  31. 小杉隆

    ○国務大臣(小杉隆君) 近年、介護等社会福祉の分野のみならず、教育やスポーツあるいは文化、自然環境保護、国際交流など幅広い分野でボランティア活動は行われております。ボランティア活動参加することは、他人を思いやる心とか命のとうとさを学んだり、またそれによって自己実現を図るということができる、また活動を通じて社会に広く貢献することができる、その意義は非常に大きいものがあります。現在、学校の入学者選抜や企業の採用など、社会のさまざまな場面でボランティア活動の経験というものを評価項目の一つに取り上げているところでございます。  そういうことから、教養審におきましても、昨年文部大臣から諮問した「新たな時代に向けた教員養成の改善方策について」、こういうことで去る五月二十六日に審議経過報告が行われました。その中では、今御指摘のように、教員志願者ボランティア体験や福祉活動や、あるいは自然体験を促進する授業科目の開設を積極的に奨励すべき旨が提言されております。  こうした審議経過報告の提言というのは、今回この議員提案で出された法案趣旨と合致するものであって、図らずもこの法律案の審議と軌を一にした審議会報告が出されたわけですが、私は非常に時宜を得たものと認識しております。七月にこの第一次答申が出るわけですが、それに適切に対応していきたいと考えております。
  32. 林久美子

    ○林久美子君 ぜひよろしくお願いいたします。  一般論としてですけれども、この特例法は資格取得のための条件として介護ボランティア活動義務づけております。これが可決されれば各分野に影響が出てくることはもう必然のような気がいたします。既にことしの道路交通法の改正で交通違反の罰則にかえてボランティア活動を取り入れております。例えば、医師免許証や、それからまた公務員、弁護士などの資格取得に新たな条件として取り入れられるようになるのではないでしょうかということを私は思うんですけれども、もちろんこれを望むんですけれども、海外では犯罪刑罰の代替としてボランティア活動を強制もしくは選択的、あるいは徴兵制の代替として活用されております。このような活用の仕方に大臣はどのような御見解をお持ちでしょうか。
  33. 小杉隆

    ○国務大臣(小杉隆君) 先ほど申し上げたように、ボランティア活動の意義というものは非常に大きなものがあります。ただ、ボランティア活動というのはあくまでも自発的でなければいけないし、また無償、要するに報酬を求めない、無償性とか公共性というものが基本理念でなければならないと思います。そういうことからいたしますと、例えばボランティア活動を各種試験の取得要件とか犯罪刑罰の代替として活用することについては、こうした本来のボランティア活動の意義やその目的等を踏まえて果たしてどんなものか、これはそれぞれの関係の機関や団体が検討されるべきものと考えております。  ちなみに、ドイツなどでは兵役を代替するというような制度があるようでありますが、我が国でも警察等で、軽微な道路交通違反については、講習の受講にかえて一定の社会参加活動を選択することによって免許の停止処分等の行政処分を科さない制度が検討されているというふうに聞いております。
  34. 林久美子

    ○林久美子君 社会参加活動という意味においては、やはりこういうことは一つの規定をくくっていかないと、まだ今の日本状態ではなかなか難しい部分があるのじゃないかなということも私は感じる一人でございます。  関連してもう一点。中央教育審議会の第一次答申で「高等学校における改善」として、先ほどお話がありましたように、ボランティア活動や文化、スポーツ、生徒の課外活動や生徒みずからのあり方、生き方を考える、そういう結果を今度高等学校の単位として認定できる道を積極的に開いていくことを提言しております。私も阪神・淡路大震災におけるボランティア活動を通しましていろんなことを感じてまいりました。  そういう中で、大臣としてはこういう活動のことに関してどういうお考えをお持ちでしょうか。
  35. 小杉隆

    ○国務大臣(小杉隆君) 今御指摘のように、昨年七月の中教審第一次答申においてそういった提言がなされております。そしてまた規制緩和推進計画、政府の計画でも、これは三月に発表したんですが、その中でも取り上げておりまして、単位認定については、生徒のみずから学ぶ意欲の向上等の生涯学習の基礎を培うということと、生徒学習の選択幅を拡大していくという観点から有益である、こういうことが言われております。  今、こうした提言やらあるいは報告を踏まえて文部省としても有識者による検討を行っているところでありまして、これらの検討の結果を踏まえて、平成九年度じゆうに所要の制度の整備を行って、平成十年度から各学校の判断で実施できることを目指しております。
  36. 林久美子

    ○林久美子君 また、ことしに入って文部省教育改革プログラムを発表されておりますけれども、その中に教員資質向上を目指して長期社会体験研修を進めております。その研修カリキュラムにボランティア活動や福祉活動等の体験を導入するお考え、今もお話がありましたけれども、実際に現場先生はどういうふうに実行されていくのか、お伺いいたします。
  37. 小林敬治

    政府委員(小林敬治君) 子供たちが思いやりの心や社会に奉仕する精神を養う、そのためには、教育指導に当たる先生がみずからさまざまな体験を通してその意義を実感して実際のあり方を知るということが極めて大事だというふうに考えております。  こうした観点から、さきの教育改革プログラムにおきまして、長期にわたる社会体験研修を進めるなどの研修プログラムの改善を盛り込みまして、その際、ボランティア活動や福祉活動等の体験を導入することとしているところでございます。  具体的には、平成八年度から長期にわたる社会体験研修につきまして調査研究を進めておりまして、現在、昨年五月に出されました協力者会議の取りまとめを踏まえまして、八府県市に委嘱して、実際に社会福祉施設等に教員を派遣しつつ実践的な調査研究を進めていただいているところでございます。  また、研修の実施主体でございます各都道府県教育委員会に対しまして、初任者研修を初めとする各種の研修におきまして学校以外の施設等における体験的な研修を取り入れるよう指導してきておりまして、多くの県市におきまして社会福祉施設におけるボランティア活動等を積極的に研修に取り入れつつあるところというふうに承知をいたしております。  文部省といたしましては、長期社会体験研修の調査の結果でありますとか各県市での取り組み状況等を踏まえまして、今後ともボランティア活動あるいは社会福祉活動等の体験を内容とする研修の普及、充実に積極的に取り組んでいく考えでございまして、多くの先生方がこうした研修に積極的に参加をしていただくことを期待しているところでございます。
  38. 林久美子

    ○林久美子君 ありがとうございました。
  39. 日下部禧代子

    日下部禧代子君 将来教員を希望する学生たち介護等の実体験を通しまして人の命の大切とか個人の尊厳、また人の心の痛み、あるいは価値観の違いを理解する、そのような御趣旨のための法案でございます。大変御趣旨には賛成でございます。  私自身のことを申し上げますけれども、学生時代、これはイギリスでございましたけれども、実際にイギリスのお年寄りに対するボランティア活動をいたしまして、そのことが私の人生にとりまして大変大きな意味を持っていたということを今改めて感じる次第でございます。  そしてまた、私、帰国いたしまして社会福祉学科の教員をしておりましたけれども、そこで私の学生たちに、私の講義を聞くときには実際にぜひともボランティア体験、夏休みにでも実際に地元でお年寄りに接する、あるいは給食サービスをやってみる、そういうふうな体験を必ずするということを私は彼女たち、女子学生でございましたが、言っておりましたけれども、実際の体験を通して今度秋に私の講義を聞くときには学生たちの目が違う、私の話を聞くときの目の色が違うということを本当に私それこそ体験的に知りまして、今度の法案、いい結果が出ることを心から期待しているところでございます。  ところで、実際にそのような期待を込めながらでございますが、二、三問質問もさせていただきたいというふうに思います。  実際に体験をするというその場所でございますが、介護等体験施設、盲・聾・養護学校または社会福祉施設その他の施設となっておりますけれども、御承知のように、現在ノーマライゼーションあるいはインテグレーションという意識が非常に高まる中で、お年寄りあるいは障害を持った方々が在宅でなるべく御自分たちの生活を長く維持したいというような傾向が強いことは御承知のとおりだというふうに思います。そしてまた、実際にボランティアというような人手を必要としているのは、もちろん施設もそうでございますが、より在宅サービスの分野にそのようなニーズが高いということも御承知のとおりだと思いますが、ここで体験の場所を施設というものに限られていらっしゃるのは、これはどういうことからでございましょうか。
  40. 住博司

    衆議院議員(住博司君) 日下部先生の御体験に基づく御意見、大変貴重だというふうに思っております。  教員を志す高い意思を持っている人たち介護、介助それから交流等の体験をしていただこうという今回の法律案ですけれども、いろいろと検討いたしまして、全体の受け入れ規模であるとかあるいは受け入れ施設指導能力等を勘案いたしましたところ、当面、受け入れ施設社会福祉施設あるいは特殊教育施設、そういうふうに限定したものでございます。  ただ、今、介護保険法の議論も盛んにされております。在宅介護というものにつきましては、これからも社会全体として取り組まなければいけない問題でございますし、これからそういう問題についてもこの法律範囲の中で議論できるかどうか、もう一度私どもはそういう実態を通じながら考えていかなければいけないというふうに考えております。
  41. 日下部禧代子

    日下部禧代子君 ぜひ私は、やはり在宅サービスの方にも広げていただけるような、これ修正になるんでしょうか、そういう方向も考えていただきたいなということを申し上げておきたいと思います。  体験ということの重要性というのは、例えば私非常に自分の記憶にありますのは、親切ということの意味を私は自分ボランティア活動を通して非常に軌道修正させられたことがございます。親切というのは、私は自分がしてもらいたいことを相手にというふうに思っておりました。ところが、例えばイギリスの、これは日本のお年寄りもそうだと思いますけれども、私たち世代が違うということもあって、そしてまた置かれている立場が違うということもあって、つい親切の押し売りになってしまう。相手の気持ち、今何してほしいのかというのは、自分の心を無にしなければならない、相手の立場に立たなきゃならないということの経験を何度かして、大変な失敗を繰り返しながら私は体験したところでございました。  ところで、施設といいますと、これはお年寄りでもやはり体の御不自由なお年寄り、あるいはまた障害者施設でございますと障害を持つ方々でございます。そうなると、施設に入所していらっしゃる方々のプライバシーとか尊厳、そしてまた入所者の選択権というものがとても重要なことになってくると思います。そういった方々に対する今申し上げましたような配慮というのがどのように尊重されるかということは、これは言うまでもなく重要なことでございますが、その福祉施設とのお話し合いの中で、この法律を実施するに当たりまして施設側からの御要望というのはどういうものがあったのでございましょうか。これは提案者と、そしてまた厚生省にもお伺いしたいと存じます。
  42. 井上恒男

    説明員井上恒男君) 本法案に基づきます介護等体験を円滑に行っていくためには、特に大学におきまして学生さんに対する事前のオリエンテーションを十分行っていくことが極めて重要ではないかというふうに考えております。その際、御指摘がありましたような、介護を実際に行う場合の施設利用者に対するプライバシーに十分配慮をする、あるいは体験に先立ちまして、そのようなことも含めまして学生さんみずからが制度趣旨を十分理解するということが大変重要かと思います。これらのことにつきましては関係の団体からも指摘あるいは要望をいただいているところでございますので、これから法律案の施行準備に向けまして、このような趣旨大学関係方面に十分徹底されるよう文部省にもお願いをしてまいりたいと思います。
  43. 住博司

    衆議院議員(住博司君) そこのところは社会福祉施設等々は当然心配をするところでございます。そういうことを配慮をした上で、そして受け入れ施設関係の間で盛んに協議をしていただいた上で受け入れをしていただきたい。当然受け手の方は千差万別でございますから、そういうことを十分に配慮できる気持ちを持った人が教員になっていただきたい。そして、それが社会全体に敷衍していくことが望ましいと私ども考えておりますので、そういったことも頭の中に常に入れてこういう教員を志望することを私たちは期待をしているところでございます。
  44. 日下部禧代子

    日下部禧代子君 厚生省にお尋ねしますけれども、この法案の施行に当たりましての施設側とのお話し合いというのは何回ぐらい、どのような形で持たれたのでございますか。
  45. 井上恒男

    説明員井上恒男君) お答えいたします。  具体的に何回という数字は直ちに出てまいりませんが、過去一年間、この法案の準備作業が進む中で随時施設方々意見を聞きながら、私どもといたしましても、いかに円滑に受け入れが進んでいくか、この法律趣旨を踏まえながら対応が可能か、このような観点から検討をしてまいったものでございます。  特に、約八万人の学生さんを受け入れるためには、特定の施設あるいは地域に偏らないような仕組みが必要でございますので、その点を中心に、さらに施設の負担をできるだけ軽くすることがまた幅広く学生さんを受け入れるということにつながるわけでございますので、そのようなことも含めまして施設側と打ち合わせをしてまいりました。
  46. 日下部禧代子

    日下部禧代子君 今もおっしゃいましたけれども、介護等体験というのが円滑に実施されるには、大学側とそれから施設側、そしてまた自治体などの関係諸団体が入念な受け入れ方法についての研修プログラムというものを調整しなければならないというふうに思うんですね。例えば、地域にはそれぞれに社会福祉協議会がございますが、そういった団体などとも連携をとりながら具体的には研修プログラムが組まれていくだろうというふうに思いますが、どのような体制づくりというものを今お考えになっていらっしゃるのでしょうか。
  47. 小林敬治

    政府委員(小林敬治君) 御指摘のように、今回の介護等体験を円滑に実施していくためには特に大学社会福祉施設協力が不可欠でございます。そのための条件を整備するためには、また文部省とか厚生省とか、あるいは地方へ参りますと都道府県の教育委員会、首長部局の福祉関係部局、こういったところが協力をしなくてはうまくいかないのではないかなというふうに思っている次第でございます。  具体的な対応の措置といたしましては、大学学生はもとより、社会福祉施設等の受け入れ施設、それから都道府県教育委員会、福祉担当部局、そういった関係者に対するまず趣旨徹底が大事でございます。  それから、大学受け入れ施設等の関係機関、団体等により組織される協議組織といったものがつくられて、そこで常時必要に応じて連携協力の仕組みを整えていくというふうなことが必要だろうというふうに思います。  それから、学生の側から見ましても、例えばどこでそういう体験をやりたいかといったこともありますし、また受ける側におきましても、先ほど先生がおっしゃられたような具体的な受け手側の御希望というふうなものもございますので、そういったことに関する調整をそうした機関を通じてやっていく。要は、その体験をさせてもらう学生側、あるいは大学側も、それから受ける側も、最終的には個々具体にどんなプログラムが最もいいのかということを判断する必要があるわけでございますので、その両者の間をどうやってうまく調整をしていくかというのが私どもの当面の課題だろうなというふうに考えている次第でございます。
  48. 日下部禧代子

    日下部禧代子君 ぜひその調整のプログラムというのは入念に、両者の要望に対してそれぞれ個々でかなり違うんじゃないかというふうにも思いますので、その辺のところをぜひともプログラムの作成に当たりましてはさまざまな配慮をしていただきたいということを希望しておきます。  受け入れ側の方もやはり人的なそして物的な負担というのが全くないというわけにはいかないと思うんですね。私どもが学生施設にお願いするときにはかなりいろいろな配慮を大学側もしてまいりました。これからまたさらに教員志望の方々をお願いすることになるわけでございますから、その点の配慮ということもぜひともお願いをしておきたいというふうに思います。  時間がなくなってしまいましたが、ボランティア活動というのは、これは継続することにまた意味があるというふうに思います。ですから、教員志望の学生たちがこの法律によって義務的に経験したことをさらに今度は本当の意味でのボランティア、自発的に継続していく、そのようなインセンティブを持つ法律になりますように心から願いまして、質問を終わります。ありがとうございました。
  49. 本岡昭次

    本岡昭次君 民主党・新緑風会の本岡です。賛成の立場から質問いたします。  まず、提案者田中眞紀子議員にお聞きします。  田中議員のお父さんが総理大臣のときに、学校教育の水準の維持向上のための義務教育学校教育職員人材確保に関する特別措置法が制定されました。教員人材確保法です。私もそのときは学校教員でございましたから、田中総理大臣のある種の英断のようなものに対して敬意を払ったという記憶もあります。そして、「この法律は、学校教育が次代をになう青少年の人間形成の基本をなすものであることにかんがみ、義務教育学校教育職員の給与について特別の措置を定めることにより、すぐれた人材を確保し、もって学校教育の水準の維持向上に資すること」と、こういうことで制定されたんですね。  ところが、当時より現在はこの人材確保法が確保していた優位性というものが低下して、初任給ベースでも二%近く低下しているという実態もあります。そういうところに今この小中学校教諭の普通免許状に係る特例の法律が出たんです。その提案の理由は人材確保法と同じような形で、人材育成に携わる立場である教員資質向上、そして高い質を持った人材教育現場に提供すると、こういうことになっているんですね。  そこでお伺いしたいのは、自民党の平成九年五月十六日、行政改革推進本部財政改革委員会の財政構造改革案によりますと、この中の「文教」というところの⑧に、「教職員の給与水準については、公務員給与見直しのなかでその適正化を図る。」というような項目があるわけで、私はひがみつぼく言うわけではありませんが、人材確保法で得られた優位性をこの際なくしてしまおうという試みが自民党の中にあるというふうに見ています。一方でこういうふうに、資質の高い人材を確保するために福祉のこういうものを受けよと、こうおっしゃっているわけで、自民党に間違ってもそういう考え方はありませんということを田中さんの方からおっしゃっていただきたいと思います。
  50. 田中眞紀子

    衆議院議員田中眞紀子君) 二十三年前の父がつくった法律、もちろんたくさん同志がいたわけでございましょうけれども、それを今ごろ出していただいて、本当にその精神は同じでございますし、そうした精神が忘れ去られないように意識を喚起していただいたただいまのお尋ねは大変貴重なものだというふうに思います。ありがたく存じます。  ですが、実際に自民党は、自民党の中で今先生がおっしゃったような方向で行きまして、要するに教職員といえども公務員であるから、当然財源難という問題があるわけですけれども、全体の国家公務員の水準の中でもってやっぱり同じようにしていかなきゃいかぬというふうな判断をしたと思いますが、私はそうではなくて、これは私見になりますから、自民党全体の話は河村部会長がおられますので、そごを生じてまた内部でもめてもいけませんので二人で答弁させていただきますが、私の私見でいきますと、国防ですとか教育、エネルギー、食糧、これらはどんな財源難でありましても、どのような状態にあっても国家の総理、内閣というものはしっかり確保していくべきだと思うんですね。  要するに、教育は国家百年の将来を保障するものでありますから、そういう視点を政治家が、為政者がしっかり持っているかどうかと。これ内閣批判になるといけないんですが、ちょっと批判もしておりますから言っておきますけれども、そういうふうな視点がないと、何でも押しなべて一律にやっていくというようなことは国家を誤ると思っております。  たまたま私は無口なこともありますし、なかなか時間がとれないものですからこういう発言を内閣に対してまだ言っておりませんけれども、時代にどのように対応した政策を立案していくか、これが政治家なんですね。時代を見て、国家百年のためにどのような政策をつくるかということじゃないんでしょうか。それを二十三年間ほっておかれて、そして今お金がないからみんなと同じように公務員でやろうというのであれば、いい人材教育界には集められない。私の私見です。党の見解は部会長がおっしゃいます。
  51. 河村建夫

    衆議院議員河村建夫君) 田中眞紀子議員の言葉に私も尽きているように思いますが、本岡先生の御懸念は無理なからぬものがあると思います。ただ、我々党の方の行革推進本部の中の財政改革委員会で討議をいたしましたときに、人確法によって教員の給与が高いんだと、これを一緒にしたらどうかという乱暴な意見もございましたが、そういうわけにいかない、これは人材確保の点からこの精神を失うわけにいかないということで、この適正化については、むしろ今人確法による精神が形骸化している傾向がある、それをもとへ戻そうと、しかし公務員の給与をどうこうというなら全体で考えてくれ、先生のことだけを取り上げて言ってもらっては困るということでそのような表現になったものであります。  どうぞひとつ、一緒にこの問題については共闘しなきゃいかぬ問題であるので、よろしくお願いします。
  52. 本岡昭次

    本岡昭次君 ありがとうございました。安心いたしました。  それで、山元議員の方にあと残りの時間質問します。  まず、本法案によりますと、小中学校の普通免許を取る人たちだけに義務づけている。なぜ高等学校教員にこれをやらせないんですか。
  53. 山元勉

    衆議院議員(山元勉君) 御案内のように、小学校中学校学校教育の一番基礎的な段階教育でございます。法案の第一条にも書いてありますように、この大事な義務教育、すべての子供に就学義務が課せられている重要な義務教育段階教員資質として、個人の尊厳及び社会連帯の理念に関する認識を深めることが大事だと。特に小中学校義務教育教員にそういう資質が求められるということで、今回小中学校というふうに限ったわけでございます。  もとより、高等学校あるいは幼稚園の教員の皆さんにもそういう体験も、あるいはそういう資質も持っていただきたいというふうに思いますけれども、これから検討しなきゃならぬと思いますが、何しろ来年四月一日からの入学生に該当していくわけですので、受け入れの体制が先ほどもありましたようにどのような形になっていくのか、八万人という小中学校の志望者だけでも受け入れに大変危惧を持っていますから、当面の措置として高等学校、幼稚園については後にしました、こういうことです。
  54. 本岡昭次

    本岡昭次君 そこで、普通免許状ですが、中学校免許状所有者、これ中高一つ免許状でいけるんじゃないですか。中学校の一級か高校の二級ということで、その場合に高校の方に勤めている者が中学校に来るときに、介護経験を受けていないということは、高校の教諭であった者が中学校には行けないということになるんですか。
  55. 山元勉

    衆議院議員(山元勉君) 免許状の取り方はいろいろありまして、小中の免許を持っている人も中高の免許を持っている人もさまざまございます。中だけを持っている人もございますけれども。いずれにしても、そこのところの線引きとしては、小学校免許状を受け取ろうとする者、中学校免許状を受け取ろうとする者、こういうことになっています。ですから、ダブっているわけですけれども、合わせて八万人ほどになるということです。
  56. 本岡昭次

    本岡昭次君 そのところはひとつ整理をしていただきたいと思います。  次に、この法律の中の採用者の責務というところで、採用に当たり、教員となろうとする者の介護等体験を勘案するよう努めるものとするというところがありますね。ということは、介護の経験を免除されるものが三つほど書いてあります。そうすると、それ以外の者は皆義務づけられているんですから介護体験してくるんですね。それをさらに勘案するということは、どういう介護をどこでどのように受けたかということを採用者が評価をするということになるのかなと私は見るわけです。  そうすると、何か簡単な確認書というものがあって、ここにどこで受けたかということと体験の概要というのがあるわけで、この体験の概要というところにどういうことが書かれるかということが勘案の対象になるとしたら、私は少し問題が出てくるのではないかと思うので、そこのところは法律との関係で検討される余地があるのではないか。  それからもう一つ、証明書のこれは例でしょうけれども、本籍地というのが入っておるんですね。本籍地、氏名、生年月日。こういうところに本籍地なるものが必要なのかということも私は考えるんだが、いかがでしょうか。
  57. 河村建夫

    衆議院議員河村建夫君) 今御指摘あった点は十分検討しなきゃいかぬ問題だと思います。あれは例えばという例で出したものでございまして、文部省の省令あるいは指導要綱等の中でさらに確定をしていかなきゃいかぬと思います。ただ、勘案するというのは、採用の時点で、どういう体験をしてきたかというのは面接等で確認をしていただくということでどうであろうかというふうに考えておるわけであります。
  58. 本岡昭次

    本岡昭次君 そうすると、確認なら確認というふうに、ここにその証明書もあるわけですから、これを確認する程度にとどめなければ、中身に入っていきますとこれは評価、評定になってくるので、そこのところは政令かどこかにきちっと勘案とは何かということを押さえておいていただきたいと私は思います。  それから、山元さんにもう一点質問します。  体験を七日以上するのを十八歳以上と書いてありますね。そうすると、大学に入学して、四年制大学で一年、二年、三年、四年とありますが、そうしたら一年生のときにこれをとるということも可能であるし、また、二年生のときに二日間とって三年生のときにまた五日間とってというふうに継続的にとって、最終的に教育課程の単位を取り、そして免許状取得する、こういうことがあってもいいし、一番最後に全部七日間とってもいいと、十八歳以上であれば在学中どの期間にどのように介護体験をしてもいいというふうにとっていいのかどうか。どうですか。
  59. 山元勉

    衆議院議員(山元勉君) 御指摘のとおりでございます。できるだけ身近なところで最も適切な時期に体験を、例えば四年間、短大の場合は二年間のうちに七日間の経験をしていただく、こういうことでございます。
  60. 本岡昭次

    本岡昭次君 そうすると、先ほどから再々質問が出ているように、大学、それから施設と養護学校等々の連携プレーで相当綿密に練り上げられたシステムをつくっていかなければ非常に困難なことが起こってくるのではないかと思いますので、そのシステムづくりについてはどうですか。
  61. 山元勉

    衆議院議員(山元勉君) 確かに、混乱が起こらないためにも、あるいはいい実習経験をしてもらうためにも大事なことだというふうに思います。  ですから、この法案を成立させていただいたら、来年の四月から始まるわけですけれども、例えば盲・聾・養護学校でございますとほとんどが都道府県立てす。県の教育委員会と十分な話し合いをする必要があるだろうと思うんですね、そこの校長会の皆さんとも話し合う必要がある。あるいは老人施設だとか障害者施設の団体それぞれありますから、皆さんの意見を聞かせていただきながら協議をしていく、こういうことになろうというふうに思います。  そして、一方では大学学生の皆さんにも資料を十分配るなどして、事前指導、こういうものだということについては教育をする必要はあるだろうと、こういうふうに思っています。
  62. 本岡昭次

    本岡昭次君 終わります。
  63. 阿部幸代

    ○阿部幸代君 日本共産党の阿部幸代でございます。  立法趣旨やお気持ちは私も大変よくわかります。同時に、ほかの委員先生方もお話しになっていたような心配を持つものです。なくべくかち合わないようにということで質問を三つ用意しましたのぐさせていただきたいと思います。  障害者高齢者等の介護や介助、またはこれらの方々との交流体験義務づけることによって教員資質の向上を図るということですけれども、一般にこうした実習的内容にはその裏づけあるいは準備としての理論的学習が不可欠ではないかというふうに思われます。  例えば、既に話題になっていますが、入浴や排せつ、食事、その他の介護やあるいは介護指導を仕事とする介護福祉士の場合でも、介護実習を中心に家政学とか看護学、社会福祉学、介護技術などを理論的に学んで養成されています。もちろん、教員介護福祉士を同列視するということではないんですけれども、七日を下らない範囲内の介護等体験に伴う教科学習をどうするのか。教員養成課程のカリキュラムの改善ともかかわると思うんですけれども、どのように考えておられるか伺いたいと思います。
  64. 田中眞紀子

    衆議院議員田中眞紀子君) 必要最小限のオリエンテーションは欠かせないというふうに思っております。ただし、今の教科は先生御案内のとおり非常に過密でございますから、その中にさらに負荷をかけていくということはちょっと今の段階では大変だと思います。これは子供を指導する、生徒指導する先生にという間接的な手法ですが、本来であれば教科の中に入れて、そしてじかに学生たちが、子供たち体験できれば一番いいわけですけれども、そこまで行きませんので、今のこのカリキュラムの見直しは、今おっしゃったように私どもはやっぱりやっていく義務があるだろうというふうに思っております。しかし、今それを待っていると、何にプライオリティーを持ってやっていくかというふうな議論ばかりになってしまいますので、まず実現可能なことからやっていこうということであります。  ただし、事故等も考えたり、受け入れ施設、それから送り出す方の側、本人の状態考えますと、最小限のオリエンテーションは当然必要だろうというふうに考えます。
  65. 阿部幸代

    ○阿部幸代君 高齢者障害者のいわば生活と学習の場、また職員の仕事の中に教員になろうとする若い人たちをいわば入らせていくわけですね、今度の立法措置で。ですから、やはり教育的な責任が必要なんだろうなというふうに思うんです。  具体的に、現在でも養護学校などでは、本来は免許法上、「心身に障害のある幼児、児童又は生徒についての教育の本質及び目標に関する科目」などを修得した養護学校教員免許を持つ者が養護学校教諭になるのが望ましいわけですね。必ずしもそれが行われていなくて、実際には大変困難を来している例もあるということを聞いているんですね。ですから、介護等体験だからまあそこそこというのは、やはり私はとても心配が大きいわけなんですね。教育的な責任がやっぱり必要だろうというふうに思います。  では、次の質問に入ります。  私は、昨年五月にこの委員会で養護学校教職員の腰痛問題というのを取り上げました。教育現場に今求められていることは、教員資質の向上とあわせて、もう一つ教育条件の整備だというふうに痛感しているんです。養護学校の肢体不自由校とか、あるいは知的障害と肢体不自由の併置校では腰痛の多発職場になっていて、特に後者の場合、併置校ですね、滋賀医科大学の予防医学講座の調査によりますと、一年間に男性教員の四〇%が腰痛で学校を休んでいるんです。移動やバスの乗降時の抱きかかえ、学習場面での抱きかかえ全面介助、排せつ時または体を洗ってあげるときの抱きかかえ介助、衣服の着脱ぎ、食事の全面介助等、腰痛を発生させる要因が非常に多いわけです。そして、担任する児童生徒が多くなればなるほど腰痛有症率も当然高くなるわけなんです。  教員免許を取ってこうした職場に行くことになる若い人たちのことを考えますと、介護等体験をして資質を高めてもらうと同時に、その若い人たちがやがて行く職場、そこが人間らしく健康に働き続けられる職場にしていきたいというふうに思うわけです。そのための人員増など条件整備をするのも私は文部行政の重要な仕事だと思うんですけれども、どのようにお考えになっておられるか伺いたいと思います。
  66. 河村建夫

    衆議院議員河村建夫君) 教職員の方が健康でそして快適で安全な職場で働いていただく、これは当然のことで大変大事なことだというふうに思うわけでありますが、特に養護学校については一般の教諭と違ってそうした負担がかかりやすいということは私も承知をいたしておりまして、もっとそういう実態を調査するなりして適当な対応は考えていかなきゃいかぬだろうと思います。  そしてまた、特に養護教諭については、定数改善等でもうたわれているように、兼務者はまだたくさんあるわけですね。そういうものは解消していかなければいけないんではないか、このように考えておりまして、今の先生の御指摘は非常に大事な視点だというふうに考えております。
  67. 阿部幸代

    ○阿部幸代君 私は埼玉が地元なんですけれども、地元の養護学校を実際に見てきて、先生たちの話もつぶさに聞いてきたんですけれども、昼食のときにも自分が食事をしながら子供の食事の介助をするとか、それから自分がトイレに行くときにも子供を背負って行くとか、絶えず一緒に行動しているわけですね。朝の登校時九時十分から午後二時十分まで空き時間がないと言うんです。せめて交代でも休憩がとれるような人員の確保が必要だということを訴えられたんですね。立法提案者の皆さんにはぜひこのあたりを御理解していただきたいなというふうに心から願っています。  三つ目の質問になりますが、二十一世紀を展望して、国民の信頼にこたえ得る生き生きした学校教育を実現していくと称して一方で教員資質、能力の向上を図るための教員養成改善策を図りながら、一方でその趣旨に反する動きがあるのは大変残念なことだというふうに私は今考えているんです。  大変厳しい質問になりますが、財政構造改革会議の最終報告が発表されて、第六次の公立義務教育学校教職員定数改善計画を九八年度までの計画期間を二年延長するというふうになりました。また、報道によりますと、与党の行政改革会議は、教員養成は教員採用減によりその目的を果たしていないということで、教員養成の見直しを検討課題にするということで文部大臣が、平成十年から十二年の三年間教育学部の教員養成課程学生定員を五千名削減、こういうことを打ち出したというふうにあるんですね。中教審が答申の中で、「今後、教員配置の改善を進めるに当たっては、当面、教員一人当たりの児童生徒数を欧米並みの水準に近づけることを目指して改善を行うこと」、こういう提言をしているのは御存じのとおりだと思うんですけれども、これにもこたえない。教育改革と取り組み始めている今現在にしては随分ちぐはぐな姿勢だなというふうに思うんですけれども、そのあたりどう考えておられるか、伺います。
  68. 河村建夫

    衆議院議員河村建夫君) 橋本内閣が六つの改革の中に教育改革を入れました。今日のいわゆる財政構造改革がいわゆる改革つぶしになるようなものであってはならないというのが我々の強い願いでありますし、またそうでなきゃいかぬと、こう思っておるわけでございます。  今御指摘があった点は、教職員の定数改善、第六次が平成五年から十年の間で六万人の先生が実際定年等でおやめになっていく。しかしそれは定数改善で三万人ふやすという計画で、平成十年が最後の年度になっておるわけであります。しかし、確かに聖域なしで今回やっていくという構造改革の計画については、日本の今日の危機的な財政状況から考えればこれに協力せざるを得ないんではないかという観点から、二年先送りの問題についても、この第六次の定数改善計画が実施されるということを前提として、完全実施ということを前提として、今日の財政状況からしてこれに協力をすべきものであろうという判断をいたしておるところであります。
  69. 阿部幸代

    ○阿部幸代君 田中先生にお伺いしたいと思うんですけれども、財政構造改革にはやはり哲学というか思想が求められるんだと思うんですね。今のところわかるのは、とにかく聖域なしと、それだけなんですね。それで、先ほどのお話の中にも、教育は国家百年の計、それも、ほかのものも何もかも押しなべて考えるのはおかしいということをおっしゃっていましたけれども、先生のお考えを伺いたいと思います。
  70. 田中眞紀子

    衆議院議員田中眞紀子君) いいお尋ねありがとうございました。言いたくてむずむずしておりましたんですけれども。  要するに私は、内閣というのは政策のプライオリティーを持たなきゃいけないと思うんですよ。どういう方向に日本を持っていくかというような考え方、哲学とか理念がなきゃならないわけですから、お金がないから全部押しなべて一律に縮小するとか膨らますとか、そういうものではないというふうに私は思っておりますが、なかなかそういうことを内閣だか政府の要人に申し上げるチャンスがないんでございます。  この法案に関して申しますれば、先ほど来ずっとどの先生からもお尋ねがあるように、受け入れ側もそれから送り出す学校側もいろいろ経費負担も必要かもしれないし、子供たちの方でも弁当代、交通費もあるかもしれない。ちょっと話が具体的な問題に特化して申し上げますけれども、そういうことを考えますと、予算措置が必要ではないか、けがの問題もあって。大蔵省とも折衝いたしまして一人幾らというふうにいろいろシミュレーションやった結果、五億数千万円あれば大丈夫であろうというふうな数字まで出まして、それも踏まえて大蔵省からもほぼオーケーをとりながら、この法案先生皆様で御議論していただく中でどうしても予算措置が必要であればそれはやりましょうということでしたから、大蔵省はむしろそういうことについては理解があって、その程度のことでこういう法案が通るのはいいじゃないかということなわけですけれども、全体の中でもってなかなかそういうふうな雰囲気が醸成されないのはどういうことなのかなと思っております。ですから、結論から申し上げますと、この法案に関しましては予算措置は講じておりません。  それから、トータルのことについて政治家として申し上げるのであれば、今のようなやり方というのは最もイージーであって、どうやってリストラクチャしていくのか、どこから財政再建をするためのむだの見直しをやってくるのか、どういう順番でプライオリティーをつけ財政再建しょうとしているのか、金融の問題も含めて、ビッグバンも含めて、私は聞きたいことが山ほどあるんですが、ちょっと場が違っておりますので、このぐらいにさせていただきます。
  71. 江本孟紀

    ○江本孟紀君 自由の会の江本です。よろしくお願いします。  私は、この法案の前にサッカーくじの方をずっと質問つくっておりましたので余り質問するあれがないんですが、少し御質問させていただきたいと思います。  まず、この法案自体は、精神というか、こういったものについては異論のある人はいないと思います。しかし、こういう法案をつくる以上は、提案者皆様先生方は一応介護ボランティア等を当然体験されたと思うんですね。私は、中谷先生は防大ですからやっておると思いますけれども、その他の各先生方は余りよく知らないので、ちょっと暇そうですので、できたらお一人ずつ御体験を順次、短くで結構でございますので、よろしくお願いします。
  72. 粟屋敏信

    衆議院議員粟屋敏信君) 体験はございませんが、私の母親が相当長く長寿を保っておりまして、終わりごろはやや寝たきり状態になっておりましたので、家内と二人で介護をいたした経験はございます。
  73. 山元勉

    衆議院議員(山元勉君) 私は、小学校の教師を二十年間しておりまして、障害児学級も担任したことがございますし、教育の面ででございますけれども、経験ございます。
  74. 藤村修

    衆議院議員(藤村修君) 私は、介護体験そのものではございませんが、学生時代より二十数年間いわゆる市民活動の中のボランティアという問題にずっと取り組んできている一人でございます。
  75. 秋葉忠利

    衆議院議員秋葉忠利君) 日本ではありませんけれども、アメリカで何度か介護その他の体験があります。それから、今家族の中に老人がおりますので、現実問題として取り組んでおります。
  76. 栗原博久

    衆議院議員(栗原博久君) 私は、地元で特養とそれから老人保健施設を併設している病院の理事をしておりますので、いつも病院に行ってその体験をいたしております。
  77. 中谷元

    衆議院議員(中谷元君) 私は、九十になる祖母がいますが、兄が老人病院を経営していますのでいろいろとそういう体験もありますし、せんだって自宅の方が火事になったんですけれども、そのとき九十の寝たきりのおばあちゃんを運ぶのが大変でありまして、そういう危機管理の面からも考えていかなきゃいけないと思います。
  78. 住博司

    衆議院議員(住博司君) 私は、国会議員になりましてから七年余りですけれども、ずっと社会福祉関係議論参加させていただく機会が多くて、そのために病院に行きましたり、あるいは老人保健施設に行きましたり、特別養護老人ホームに行って、長いときでは一週間ほどそこに寝泊まりをさせていただきまして、いろいろな体験をさせていただいております。
  79. 河村建夫

    衆議院議員河村建夫君) 私は、二十年前、地方議員のころに選挙区で福祉マップをつくりまして、そして福祉映画を見る会というのをつくりました。やる以上は体験をしなきゃいかぬということで、車いすを実際にどういうふうに押したらいいのかという、そういう体験をさせていただきました。  うちも年寄りがおるわけでありますが、息子におばあちゃんをふろに入れるように指導もいたしております。
  80. 田中眞紀子

    衆議院議員田中眞紀子君) 十六歳で初めて外国に行ったときから、なぜか私はお年寄りだとか子供とか体にハンディキャップのある人を見るとすごく気になる、そういう人間なものですから、子供のときからずっと、海外に行きますとそういう施設を必ず訪問しておりました。  それから二点目には、先ほどの人材確保法案をつくった人を面倒見たこともあります。  三点目は、今は私議員になってから連休とか休みの日、障害者施設とか特養に預けちゃうと家族が行かないんですよね、そういうときには必ず行っています。行って何をしているかというと、おしゃべりをしたり配ぜんをしたりしております。当然のことと思ってやっています。
  81. 江本孟紀

    ○江本孟紀君 ちなみに私はボランティア介護もしたことがありません。これを機会に気をつけるように、なるべくそういうものに参加したいなと思っております。  それで、私のところにも一応こういうことについて調べる者がいまして、ちょっと限定して言いますけれども、老人医療の中で看護婦が一番嫌がっているものは何か、これは御存じですか。田中先生、何が一番だと思いますか。
  82. 田中眞紀子

    衆議院議員田中眞紀子君) 下の世話ではないでしょうか。
  83. 江本孟紀

    ○江本孟紀君 全くそのとおりでして、前に国立学校設置法の一部を改正する法律案のときにもこの委員会で私はその質問させていただいたんですけれども、むしろ国公立すべてこういったボランティア活動等についての体験をさす、または教育のカリキュラムの中に入れるとかいったことを強制、強制という言葉はおかしいですね、入れるべきじゃないか。それをもっと拡大すれば、言葉は悪いですけれども、福祉徴兵というようなものを行く行く取り入れるべきじゃないか。  私は、そうやって介護も含めたボランティアといったものを体験さすのをやるんであれば、今いろいろやりとり聞いていましても多少あいまいなところもあります。じゃ期間をどの程度やればそれが本当に教育として受け入れられるのか、その得たものを子供に例えばどうやって教えるのか、その効果はどの程度あるのかというのは全然わかっていないわけですね。  そういうことで言うならば、お強い先生方いっぱいいらっしゃいますから、もういっそどうせなら福祉徴兵ぐらいして大学の一年間はそれに没頭させる。徴兵というのは物すごく言葉は悪いですけれども、それぐらい人の心とか、先ほど田中先生は強さと優しさと言われました。強さというのはある面そういった厳しい中で教育するというふうなことに私はつながるんじゃないかと思うんですね。そういう意味でこれは大いに啓蒙していただいて、この法案の持つ意味をもっと多くの方に理解していただきたい。  ただ、今の状態ですと多少いろいろ問題もありますから、これをどうやって広めていくかというのは、先生方が先ほど御体験お話しされましたように、もっと広く宣伝をしていただきたい。私は、ここで聞くまではほとんど何にもしていないんじゃないかなと思っていたんです。それがやはりされているというのはすばらしいことだと思いましたので、私もこれから気をつけてやるようにいたします。  質問は以上です。ありがとうございました。
  84. 堂本暁子

    ○堂本暁子君 新党さきがけの堂本暁子です。  大変いい法案と申し上げさせていただきますけれども、お出しいただいて喜んでおります。今までいろいろ心配事、予算の問題、いろいろ出ていましたけれども、私は心配事があればそれは乗り越えればいいんだと、そんなものを恐れていたら何にもできない。この法案を出すことの方に意味を大きく感じていますので、心配事はここにいらっしゃる先生方がその迫力と気迫でやっていただくということで、そういうことはもう一切質問する気はありません。むしろ、これからどう前向きに取り組んでいかれるかということを伺いたいと思っています。  一番大事だと思っていることは、人の心の痛みがわかることも大事ですけれども、やはり障害者を差別したり高齢者を差別したり、そういうことが一番私は腹が立つことで、やはり障害もその人の個性なんだ、年をとらない人はいないということをとことん学校先生になる人たちが肝に銘じて教育に当たってくれない限り、今の子供は大変、横浜で例えば道にいる人たちを差別したり、いろんな差別があります。その差別の原因はそういうところにあると思うので、すばらしい法律を出していただいたというふうに認識しております。  その中で大事なことは、多様な価値観を認めていくという、そういう人生観を子供たちに教える教師をぜひ養成してほしい。唯一私が思いますのは、余り私は秋葉先生や田中先生のようにアメリカに住んだことはないんですが、アメリカに旅行で行って保育のことをずっと視察して歩いているときに、保育園に高校生とかアルバイトやボランティアで来ていました。どうしてこういうところに来ているのと言ったらば、兄弟が少ないのでうちで赤ちゃんを見ることがないからと。  私は、高齢者介護とか障害者介護も必要ですけれども、少子化の時代にこれから教師になる人たちが、男の先生も特に保育や何かの経験を勇気を持ってするということが大変大事だと思っています。その意味では、特別のその方たちが福祉の大学の方じゃない限り、これから学校先生になるのであれば、私は三日ぐらい高齢者施設へ泊まったことありますけれども、そう長くいる必要はない。むしろ邪魔になるんじゃないかとすら思いますから、三日高齢者のところへ行ったら二日子供のところ、あと障害者のところというふうになってもいいんではないか。あるいは週に一回ずつ七週間通ってもいいんじゃないか。それから、施設ではなくて在宅の高齢者の方を見てもいいんではないか。そういった意味で、システムをつくるべきだというお話がありましたけれども、私はシステムをつくらないで、それぞれの教育委員会に逆に自由闊達に考えさせるというのも教育委員会を教育する意味ではいいんじゃないかとすら思っています。  それで質問ですけれども、実際にこれからそういった多様な、単に障害者高齢者でくくっていただきたくないという思いが非常に強うございますので、その点について発議者でいらっしゃる田中先生に伺いたい。
  85. 田中眞紀子

    衆議院議員田中眞紀子君) 大変すばらしい御発言をいただきまして勇気づけられました。高齢者障害者だけに絞っていこうというふうに思っておりません。ただ、堂本先生がおっしゃったように、一人一人が違った資質、違ったものを持っているんだということを一番わかりやすく学べる相手でも人間同士でございますから、そうすると、人間同士のかかわり合いの中でもって一番発見していきやすい場所がそのような障害者やら高齢者であるのではないか。  なぜかというと、心の痛み、目に見えない痛みを持っているからでして、健常者、強い立場、リッチであるとか社会的に発言できるとかそういう状態ではなくて、であるけれどもやっぱりすばらしいものを持っていて悩みも持っている、そういう個々違う状態の人間をよく知るということが教育者に一番求められていることで、教育者は柔軟な対応が求められているんじゃないでしょうか。  余りにも硬直した教師が現場に送り込まれることに問題があるのであって、柔軟で優秀な、本当にいわゆる先生と言われるにふさわしい人間が来たのであれば、やっぱりもっともっと給料もふやさなきゃいけないですし、優遇しなきゃいけないし、なるほどねと思われるような人材が行くようにならなきゃいけない。そのためにたくさんいろんな切り口はあると思いますが、とりあえずこのことからというふうに思って始めさせていただいていますし、ほかの先生方の御意見も同じだろうというふうに考えております。
  86. 堂本暁子

    ○堂本暁子君 ちょっと追って伺いますが、私が伺いたいのは、高齢者障害者で始めたと。しかし、障害者といっても、それから養護施設なんかも法律の方に書いてありますけれども、例えば教護院が今度はこの間の児童福祉法の改正で自立支援センターというふうになりましたけれども、そういったところにこそ一番差別され、心病んでいる子供たちがいます。学校に行かない子供たちがそういうところにいるわけですね。そういったところこそ私は学校先生になる人に見てほしいということで、今回はこういう書き方で社会福祉施設と書いてあるわけですから、当然そういうところも入るわけで、そういうところを排除してほしくないという意味で伺ったんですが、いかがでしょうか。
  87. 住博司

    衆議院議員(住博司君) 今回の児童福祉法の改正もそういうことで自立支援センター、教育の面も当然考えていただかなきゃいかぬということで、厚生省文部省との間で協議をしていただくことになっております。当然そういう対象になるというふうに考えております。
  88. 堂本暁子

    ○堂本暁子君 これは答弁ですから必ず守っていただきたいというふうにお願いいたします。  次の質問に移ります。  この法律が出たことは、多分文部省はこういう法律は出さないと思うんですね、その意味で大変意味があると。小さい穴ですがその小さい穴を、ちょうど大臣いらっしゃるから大変うれしいですけれども、ぐっと大きくしていただいて、今日の教育改革までつなげるぐらいの勢いでこの風穴を台風にまでしていただけたらというふうな願いを持って伺いますけれども、同時にそれは受け入れる方の施設、そちらに対しての風穴をあけることだというふうに思っています。  私も厚生関係施設の調査をいろいろいたしましたけれども、大変拒否するところがある。だから、今回はどこも拒否させないということをまず決めてほしい。それから、レポートを出さないことになっているということを伺ったんですが、これは私は違うと思います。行った学生たちは、そこで日記でもいい、七日間なりなんなり何をやり何を見たか、その感想を必ず書かせる。そしてそれを点検させない。この点が非常に大事だと思うんです。  それを発議者の田中先生にまた伺いたいんですが、レポートはぜひとも書かせてほしい。それから、教員養成の大学なりなんなりに行っている人たちがどこの施設に行きたいと言ったときに相手の施設に拒否させない。それからレポートは点検しない。レポートは書かせる。そのことについてはいかがでしょうか。
  89. 田中眞紀子

    衆議院議員田中眞紀子君) 御本人の意思でレポートをお出しになるのは構わないと思いますけれども、そういうふうなことを余りにハードな義務づけをしていきますとやはり混乱も起こると思っております。ですから、最初はまず軟着陸して、評価はしないんですけれども、参加をしたという証明書といいますか、それが果たしてベストであるとは思いませんが、まず緩やかな形でもってどういうことをやったんだということを示してもらう。  それから、教師になるためにといいますか、あるいはそういう施設に行くにふさわしくない人が、私どももいろんな想定質問を一年半やってきておりますけれども、そういう人が教師になるために義務で嫌々しいしい行って、嫌がらせとか、適性がない人が来た場合はやはり受け入れ施設も断っていいと思いますし、変だったら判こを押す必要もないわけです。  また逆に、教員にならなくても、ライフワークで教職を取っている学生さんも今おられるんですけれども、ずっとやりたいし今もずっと黙ってやっていますという方も、信頼できる若い方もたくさんおられますから、そういう方たちはレポートも出されるでしょう。ですから、まず今入り口でございますから少し弾力的に、間口が広くて何かわかりづらいと思われるかもしれませんが、そういうことからだんだんと歩を進めていくきっかけになればというふうに思っております。  ただ、もちろんレポートを出すことを義務づけるような施設もあるかもしれませんし、今後いろんな試行錯誤があると思いますが、そのときにはまたそれぞれの専門の方と御相談しながら対応していきたい、かように考えております。
  90. 秋葉忠利

    衆議院議員秋葉忠利君) 簡単に補足いたします。  これは教育プログラムの一環ですから、レポートを出す出さないというのは学生を送り出す大学側の責任です。その責任において、例えば個々の指導教官なりあるいは大学としての方針を適正な教育が行われるようにきちんとやってくださるものと期待しております。
  91. 堂本暁子

    ○堂本暁子君 今、秋葉さんがおっしゃったようなお答えをぜひいただきたいと思っていました。  というのは、教育一環でやる以上は、単に行けばいいというものではなくて、そこで何を考え何を発想したかと、そして逆に施設の側の透明性を確保するという意味大学の方がそういったきちっとした対応をすることが大変大事だと思っていますので、よろしくお願いしたいと思います。  続いて大臣に、それから厚生省にも確認させていただきたいんですが、田中先生のおっしゃった意味で拒否するのではなくて、今まで社会福祉大学なんかでも申し入れても受け入れてくれない施設があるわけです。これは大変私は遺憾だと思っています。社会福祉大学は数が少ないからそれでも済んでいるわけですけれども、今度は全教員志望者になるわけですから、どこの施設受け入れるということをぜひとも厚生省としては担保していただきたいということが一つです。  それから文部大臣に伺いたいのは、これだけの先生たちの、これはある種の殴り込みだと思いますけれども、きょうが終わりなのではなくて、きょうが先生たちにとって私たちにとってのスタートだと思います。ですから、文部省にその困難を全部乗り越えてより大きく育てていただくというお願いを、先生たちにもしたいし、それから文部大臣には、単にこれが高齢者障害者というようなことにとどまらずに、環境のボランティアもございますでしょう、それからいろんな学校の外で学校先生になる人たちが学ぶ機会をもっともっと広げていただきたい。  その二点を、まず厚生省そして文部大臣に伺いとうございます。
  92. 井上恒男

    説明員井上恒男君) お答えいたします。  社会福祉などの福祉専門職の養成課程における施設実習につきましては、受け入れをいたします施設において実習効果を上げるために一定の要件を備えているというようなことから、学校側と受け入れ施設側の間でいろいろ調整を要する場面があるということはよく承知をしておるところでございます。  本法案受け入れ施設は、伺いますところ、社会福祉施設ということでございますので約九千カ所ございますが、いずれにいたしましても約八万人の学生法律趣旨に沿いましてスムーズに受け入れる必要があるわけでございますので、施設側の要望、実態もよく受けとめながら、文部省と相談をして円滑に制度が実行されるように努めてまいりたいと思います。
  93. 小杉隆

    ○国務大臣(小杉隆君) 我々の問題意識は今度提案された方々と全く同じです。しかし、今までは、今厚生省からお答えがあったように、これだけ大量の教員志望者を受け入れ施設受け入れ体制とか、あるいはその期間とか、そういう詰めるべき問題点が多々あったということで今日まで来たと。今回はようやく実現可能性のある案になったということで、我々としても歓迎をしているところでございます。  今、堂本委員が言われたように、介護とか福祉だけではなくて、さまざまなボランティア活動あるいは学校外の活動にもっと積極的に教員の志望者なりまた現に教員になっている人もそういう体験をすべきだと。ただ、そういうものを証明する手だてが難しいわけですね。今回、福祉の場ではそういう福祉施設とかあるいは養護学校等で証明する手だてがありますけれども、例えばボランティア活動、この間のナホトカ号なんかの場合にはそこの市町村が証明を押せるなんという場合もあり得ると思うんですが、いずれにしても、今実現可能性という点から考えると、まずは福祉という面に絞って実施をする、そしてそれを徐々に広げていくということも考えていくべきだと思っております。
  94. 長谷川道郎

    長谷川道郎君 私は賛成の立場でありますが、二、三お伺いをさせていただきます。  まず第一点は、体験の対象となる介護者の負担にならないかといういささかの懸念がございます。  実は私の中学生の娘が特養のボランティアをやっておりまして、私はそこのPTAをやっておりましたのでその内容をちょっと見せていただいたのです。子供たちの感想文、作文を見ますと、まさに子供たちが目を輝かせてそれに取り組んでいるというのがひしひしと伝わってきている。ところが、指導した教官の報告の欄を見ますと、施設の管理者のコメントとして、子供たちがいる間は非常にお年寄りは喜ぶ、うれしそうにしていらっしゃる。ところが、帰った後あのしょんぼりした姿を見るのは私たちは大変つらい。翌朝になると朝の会話も少なくなるというような報告を私は目にいたしました。  これは大変難しい問題でありますが、今回のこの措置で実習体験対象となる、特に高齢者の心理的な負担についてメンタル的なケアが、これは難しい問題でありますが必要であると思うのでありますが、この点いかがでございましょうか。
  95. 栗原博久

    衆議院議員(栗原博久君) この法律の主たる目的は、先ほど田中先生からその趣旨の中で人の心の痛みを理解することだというふうに申し上げているわけですから、この実習に当たりまして、介護される方々が少しでもそのような心の痛みを感ずるようであってはならないことを十二分に留意してやらねばならないと思っております。  ですから、そういうことを想定しながら、学生を送り出します大学側がこの体験というものについて可能な限り事前指導して、ケース・バイ・ケースに答えるようなそういう指導をしなければならないと思うし、あるいはまた、学生に対しまして十二分に資料をいろいろ提供して理解させるということも必要だと思っております。  あるいはまた、受け入れ側も、介護を受けている方々も、特に先生の場合はお年寄りの方を想定しているんですが、そういう方々の心理状況も十二分に理解して、そして学生をそれに接するように、むしろ逆に、接することによって介護を受けている高齢者が負担になってはならない、あるいはまた今のような御心配があってはならない。そういうような介護者に対しては、職員がやっておりますおむつ洗いとか掃除とか、むしろそういうことをして、そういう方々に心理的な圧迫を与えないような、そういうことを十二分に検討してこの制度を行うべきだと思っております。
  96. 長谷川道郎

    長谷川道郎君 申し上げましたようなことは極めてレアなケース、杞憂かもわかりませんが、そういうこともあるということで頭の隅に置いていただきたいと思うわけであります。  続きまして、先ほど本岡先生の御質問にもありましたが、第四条の「勘案」という問題で私も少々引っかかったわけであります。介護福祉士社会福祉士実習でありますが、これについては当該施設から実習計画、現場指導、評価ということがなされるわけです。今のこの体験、これは実習ではありません、体験ということでありますので、特に評価、分析という点では厳密な評価、分析はしないというお話ではございました。証明書のフォーマットを拝見いたしましてもそういうことではないと思うんですが、ただ、さっき田中先生のおっしゃった、変だったら判こも押さないというお話がありましたが、そういうものも含めて評価、分析というものを施設に期待されないのかという点が第一点。  それからもう一点は、これは介護福祉士社会福祉士での問題でありますが、実習指導費を学生施設に払う。これはある統計によりますと、実習指導費は平均一人一日九百三十三円の負担があるという報道でありますが、地方の場合は実習の対象施設が少ない、そして関東近辺ですと自然と東京の施設実習に入る。東京の施設だと、事によると一日三千円の実習費を取るという施設もあるということでありますが、今回の教員の問題は七日間でありますので経費的にはさほど負担ということにはならぬと思うのでありますが、この実習指導費について、二点目でお伺いいたします。
  97. 中谷元

    衆議院議員(中谷元君) 学生受け入れるわけでありますので、それなりの計画とか管理等も必要でありますし、また、証明書を発行するという事務手続上もあって施設側にも負担をかけるわけですけれども、それがあくまでも過度の負担にならないように、できるだけ簡便な、お金のかからないことで実施をお願いしたいと思いますし、実費等につきましては、確かに介護福祉士については実費でやっておりますけれども、これはあくまでも福祉マインドを持ってもらうというのが趣旨でありまして、そんなに専門的なことを教えていただかなくても結構でございます。  ですから、そういう意味で、先ほど他の先生方から風穴をあけるという発言がありましたけれども、単に学生だけのボランティアではなくて、これは介護者、介護施設側とか大学側にも、今までは日本社会全体がすべてお金とか対価を求めるような風潮でしたけれども、ある程度社会全体がボランティア高齢化社会を支えていくという発想に立って、多少お金のかかるところも我慢していただいて、しかし現実にかかるところはかかるわけですから、必要最小限の実費という点で、この方針については、学生側に施設設置者の判断によって負担させるということも考えられるわけでございます。
  98. 長谷川道郎

    長谷川道郎君 先ほどの実費という点、施設の判断でということでありますが、それは文字どおり各地方それぞれ別個に全く単独でやるということでありますか。
  99. 中谷元

    衆議院議員(中谷元君) 特に予算措置等は現在のところ考えておりませんので、それぞれの箇所においてということですが、反対に施設側も、人手がないところなんかは学生が来ることによってメリットがあるケースもあるわけですから、そういう痛み分けという意味では、できましたらお金のかからないようなやり方でやっていただきたいというふうに思います。
  100. 長谷川道郎

    長谷川道郎君 受け入れ施設側のキャパシティーの問題、いろいろもう既に議論が終わっておりますのでこれについては触れませんが、申し上げましたように、極めて高額の実習指導費を取るというようなケースもあるようでございますので、そこら辺もぜひ御勘案をいただきたいと思いまして、申し上げて質問を終わります。
  101. 清水嘉与子

    委員長(清水嘉与子君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  102. 清水嘉与子

    委員長(清水嘉与子君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより討論に入ります。――別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。  小学校及び中学校教諭普通免許状授与に係る教育職員免許法特例等に関する法律案賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  103. 清水嘉与子

    委員長(清水嘉与子君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  104. 清水嘉与子

    委員長(清水嘉与子君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午前十一時五十七分散会      ―――――・―――――