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1997-04-22 第140回国会 参議院 文教委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成九年四月二十二日(火曜日)    午後三時三十分開会     —————————————    委員異動  四月十五日     辞任         補欠選任      小林  元君     菅川 健二君      西川 玲子君     山下 栄一君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         清水嘉与子君     理 事                 小野 清子君                 鹿熊 安正君                 石田 美栄君                日下部禧代子君     委 員                 井上  裕君                 釜本 邦茂君                 世耕 政隆君                 田沢 智治君                 馳   浩君                 菅川 健二君                 林 久美子君                 山下 栄一君                 山本 正和君                 本岡 昭次君                 阿部 幸代君                 江本 孟紀君                 長谷川道郎君    国務大臣        文 部 大 臣  小杉  隆君    政府委員        文部大臣官房長  佐藤 禎一君        文部大臣官房総        務審議官     富岡 賢治君        文部省初等中等        教育局長     辻村 哲夫君        文部省教育助成        局長       小林 敬治君        文部省高等教育        局長       雨宮  忠君    事務局側        常任委員会専門        員        青柳  徹君    説明員        文部省高等教育        局私学部長    御手洗 康君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○日本私立学校振興共済事業団法案内閣提  出、衆議院送付)     —————————————
  2. 清水嘉与子

    委員長(清水嘉与子君) ただいまから文教委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  去る十五日、小林元さん、西川玲子さんが委員を辞任され、その補欠として菅川健二さん、山下栄一さんが選任されました。     —————————————
  3. 清水嘉与子

    委員長(清水嘉与子君) 日本私立学校振興共済事業団法案を議題といたします。  本案の趣旨説明は既に聴取しておりますので、これより直ちに質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  4. 菅川健二

    菅川健二君 平成会菅川健二です。どうぞよろしくお願いいたします。  まず、本題に入る前に一つだけ問題提起をさせていただきたいと思います。  教育分野におきます行政改革財政構造改革についての基本的な見解並びに具体的な例を一つだけ挙げさせていただきたいと思います。  行政改革財政構造改革は聖域なく教育分野においても該当することになるわけでございますが、私自身、先般の本委員会で御質問申し上げましたように、こういった改革の名のもとに教育水準の低下を絶対招いてはならない、むしろ教育水準質的向上を図りつつ事業効率化、経費の節減を図らなければならないのではないかということを申し上げたわけでございます。  そこで、その具体の一例といたしまして、私は小中学校学校規模適正化について申し上げたいと思います。  現在、ごく少人数学校、例えば五十人未満の学校を見てみますと、小学校では三千五百九十四校、約一五%でございます。それから、中学校では千四十五校、約一〇%でございます。また、複式学級を持っておる学校について調べてみますと、小学校では六千八百九十八校、中学校では二百三十八校と多数存在いたしておるわけでございまして、必ずしも学校教育としての効果が上がっているかどうか疑わしいものもあるわけでございます。  そこで、私の地元の呉市では平成七年に適正規模適正配置検討会議を設けまして、集団による教育活動効果的な学習指導観点から、一定程度学校規模が必要であり、小学校では各学年複数学級中学校では全学年で九学級以上の学校が望ましいとしまして、それ以下となる学校についてはことしの二月の適正規模適正配置推進委員会適正配置計画を立てるよう報告されておるわけでございます。  文部省におかれましても、学校規模適正化について早急にガイドラインを策定していただき、その促進策を含め関係自治体をバックアップしていただきたいと考えておるわけでございますが、文部大臣の御見解をお聞きしておきたいと思います。
  5. 小杉隆

    国務大臣小杉隆君) 学校規模につきましては、学校教育法施行規則で「十二学級以上十八学級以下を標準とする。」というふうに決められております。ただ、実際には、少子化に伴いまして、その規模に達しない学校小学校中学校とも約五〇%、約半数に達しているというのが実情であります。しかし、この学校規模につきましては各市町村あるいは県の設置者の判断によるものでございます。  過去、こうした学校規模につきまして、例えば学校統廃合というようなことがありましたけれども、これはなかなか政治的にも難しい点がありますし、また、特に山村、僻地等におきましては、通学時間とかあるいは通学距離、児童の安全あるいは学校教育活動その他の影響、そういうことを考えますと、その規模を下回っている寡少の学級数だということで直ちに統廃合を進めるということは非常に難しい点があります。しかし、この辺は私ども非常に勉強していかなければいけない点だと思っております。  いずれにしても、地域実情に応じて各設置者が判断していただくべき問題でございますが、私ども文部省として、十分こうした問題、少子化の中で学校規模をどうするかということは今後とも勉強していきたいと思っております。
  6. 菅川健二

    菅川健二君 この問題はきょうの本題でございませんので、一応問題提起にとどめておきますので、何分ひとつ前向きにぜひ御検討をいただきたいと思うわけでございます。  それでは、本題私立学校振興共済事業団法案についてでございますけれども法案の提出の背景を見ますと、村山内閣当時、平成七年の二月に特殊法人整理合理化閣議決定されたわけでございまして、文部省は、その間の経緯につきまして「私学共済」の中にいろいろその背景経過を述べておるわけでございますが、そこの一部を読ませていただきますと、「文部省特殊法人は、いずれも文教行政の各分野で必要かつ重要な事業を実施しており、廃止など抜本的な改革を行うべき法人は見いたし難かったが、特殊法人の見直しが内閣の最重要課題であり、重い政治的な意味をもつことを考慮し、」「統合することとした。」というような解説がなされておるわけでございます。  これを平たく申し上げますと、文部省としては、統合しても全然効果がないと思ったけれども内閣が大変うるさく特殊法人数減らしを言うのでやむなくこの法人統合をすることとしたというような苦悩の跡が行間ににじみ出ておると思うわけでございますが、統合の真意はどこにあるのか、その後文部大臣に新たになられたわけでございますので、ひとつ率直な御意見をお聞きいたしたいと思います。
  7. 小杉隆

    国務大臣小杉隆君) 率直なところは今読み上げられたような気持ちが大きいわけでありますが、しかし、閣議決定特殊法人整理合理化ということを強く打ち出したものですから、それをやはり一つ根拠として今回の法案を提出したわけであります。それからもう一つの大きな根拠は、私学振興という観点からしますと、振興財団にしても共済組合にしても同じ私学振興という観点から見れば同一線上にあるということでもあります。  また、もう少し具体的なことを言いますと、例えば私学振興財団の原資を共済組合からかなりいただいている、こういう面もありますし、また、今後統合しますと、例えば私学共済が全国に二十四カ所いろいろな宿泊所とか会館を持っておりますが、そういう場所でそれぞれの地域私学の相談所的な役割も果たし得るのではないか、こういうようなことから考えて、私学振興という業務を総合的に行うことによってより機動的、効率的な業務運営ができる、こういう観点も今回の統合にはあるということを御理解いただきたいと思います。
  8. 菅川健二

    菅川健二君 かなり御無理をされましてメリットを探しておられるのではないかと思うわけでございますが、組織というものは、一つ共通目的を持ちまして、それに向かって各種の施策を総合的に推進するところに意味があるわけでございます。  この両特殊法人統合でございますが、単に対象私立学校ということだけが共通項でございまして、御案内のように、そもそも私学振興財団というのは、私学振興という文教政策と一体的に推進しなければならないということでございますけれども私学共済というのは私学従事者福利厚生観点から他の共済、例えば教職員共済とか警察共済といろいろ共済がございますが、それとか健保組合厚生年金等とのバランス観点においてこのあり方を検討すべきではないかと思うわけでございまして、当時の閣議決定におきましても、「公的社会保険制度における役割に配慮しつつ、」、わざわざこういった文言まで入れておるわけでございます。  この点につきまして、また財務の面からそれを見てみますと、財務諸表にも明らかに示されておりますように、私学振興財団というのはその財源の大半を国庫補助金に頼っておるわけでございまして、私学共済の場合は主として事業主及び従業者掛金等によって賄われておるわけでございます。前者はまさに国庫財政に完全に依存しておる体制に対しまして、後者は事業体として自主的な運営が可能でございまして、こういったものが行革対象になること自身やや問題があるんではないかと思うわけでございます。  そこで、「私学時代」という雑誌があるわけでございますが、そこで浅田共済理事長が、先ほど申し上げましたような感じで、統合メリットがあるとかないとかというより、国会情勢の中でいわゆる行革のあらしが吹いている。形の上の簡素化が必要だということで、各省一つ削れという空気になっておる。各省一つずつ喚問してつるし上げですな。すごかったらしい。本当は水と油しか残っていないんですよと。  まさに水と油の関係でございまして、看板を一枚にするだけでございまして、執務する場所も違いますし、仕事も別々にやるというような形が続くんではないかと思うわけでございます。そこで組織としての一体的、効率的な運営は全然期待できませんし、責任の所在もあいまいになるだけだと考えるわけでございます。これが本当の行政改革の名に値するものかどうか、余りにもいわば軽率な統合ではないかと思うわけでございます。同じような答弁になるかと思いますが、文部大臣、再度この点いかがお考えでございますか。
  9. 小杉隆

    国務大臣小杉隆君) この法案に反対というお立場からかなりそうした御意見を出されたと思うんですが、歴史的に見ますと、この私学振興財団私学共済組合はもともと一つ団体でございまして、私学振興会というのが共通の母体でございました。そういう経過もあるということと、それから、先ほど私が申し上げたように、私学共済から振興財団に貸し付けを行うというようなことで連携の、あるいは協力関係にあるということ。それからもう一つは、これが一番の原点ですけれども、教員の福利厚生ということを通じて私学振興の基盤を整備するという点では共通目的を持っている。こういう三つの理由というものを申し上げたいと思います。
  10. 菅川健二

    菅川健二君 それぞれまた意見があるわけでございますが、仮に行政改革という観点があるとすれば、どのような効果を上げようとしておるのか具体的に御指摘をお願いいたしたいと思います。
  11. 御手洗康

    説明員御手洗康君) 今回の両法人統合によりまして役職員の縮減を行うこととしております。役員数につきましては、常勤役員二人、非常勤役員三人、合計五人を削減いたしまして、現在両法人合わせまして二十人の役員を十五人といたしているところでございます。また、職員数につきましては、本部職員合計三百七十三人ございますけれども、これにつきまして本年度におきまして三人の削減を行うこととしておりますが、さらに引き続きまして、これを含めて平成十三年度までの五年間で合計十一人の合理化減を行いたいと考えているところでございます。  なお、統合後の新法人におきましても、引き続きさまざまな側面での経営効率化に努めてまいりたいと考えているところでございます。
  12. 菅川健二

    菅川健二君 今、役職員の数の減だけ申されたわけでございますが、この中でも役員というのは四分の三になるという、これは他の法人統合を見ましても大体横並びで四分の三になっておるということでございまして、それなりの一つの対応をされておるのかなというふうに思うわけでございますが、職員につきまして管理部門事業部門というふうに分けてみますと、先般衆議院でもこれが議論になっておるわけでございますが、管理部門だけでも両方合わせますと百七名ほどおられるわけでございます。いずれにしましても、組織統合した場合に管理部門統合するということになりますと、半分にはならぬにしても、いずれにしても三分の一程度減るということが最低あり得るんじゃないかと思うわけでございまして、その辺の合理化努力ということがやや欠けておるんではないかと思うわけでございますが、いかがでございますか。
  13. 御手洗康

    説明員御手洗康君) 御指摘ございましたように、現在、本部職員両方合わせまして三百七十三人いるわけでございますけれども、その中で私学振興財団管理部門が三十二人、それから私立学校教職員共済組合管理部門七十五人ということで百七人、三百七十三人中の百七人というのが両方の管理部門でございます。  これを両方合わせて三分の一とか半分とか削れるじゃないかという御指摘であろうかと思いますけれども、何分にも両法人一つ共済掛金を元にいたしまして年金給付あるいは保険給付ということで、金額的には三兆円というようなお金を出し入れしておりますし、また私学振興財団におきましても私大経常費を中心にいたしまして三千億に及びますお金を出し入れしているということで、経理部門等についてはかなり相当な部分でこれを、事業そのものが減るというわけでございませんので、減らしていくということは非常に難しいわけでございます。  そういう観点から、この組織管理部門につきまして二つの部と四つの課を削減いたしまして、百七人を九十人ということで十七人を削減するということにしているわけでございますけれども、一方で今後の私立学校に対するいろんな情報提供経営相談等事業を充実してほしいという私学関係者の御要望等も前々からございますので、今回の統合を機会に、そういった私学活性化促進支援センターなどの情報提供相談部門整備充実を図るということにその一部を充てまして、結果としては本部職員で五年間で十一人の削減ということにとどまったわけでございます。
  14. 菅川健二

    菅川健二君 その場合に、やはり行政改革と言う以上、管理部門削減する人数はこれだけ削減する、それから充実する部門についてはこれだけ増にするというような形で、きちっとその辺は整理をしてぜひお願いいたしたいと思うわけでございます。  またあわせて、役職員給与とか退職金の問題でございますが、例えば理事長給与というのはそれぞれ事業団組合かなり差があるわけでございまして、それから職員給与体系も全く準拠しておる体系給料表が違うわけでございまして、全然違った体系になっておるわけでございます。そうした場合に、とかく統合いたしますと役員給与も高い方に合わせるし職員給与も高い方に合わせる、したがって非常にコスト高につくということになりがちでございますが、その点についてどのようにお考えでございますか。
  15. 御手洗康

    説明員御手洗康君) 御指摘のとおり、現在、日本私学振興財団役員報酬共済組合役員報酬につきましては相当の開きがあるところでございます。これにつきましては、新事業団におきまして当然一本化をして設定するということを考えているわけでございますけれども具体的には新事業団規模業務量あるいは業務性格等を勘案いたしまして適正に定められるよう今後対応してまいりたいと考えているところでございます。  また、職員給与につきましては、俸給表体系が異なるという点がございますが、本俸並びに調整手当相当額というところで見てみますと、給与水準そのものにつきましては実質的に両者はほぼ均衡したものにあるかと思っております。  なお、退職手当等につきましてはなお差がございます。これらの点につきましても、基本的には今後両法人職員団体との労使交渉を受けまして適正に対応するということであろうかと思いますけれども、いずれにしても、行革趣旨並びに他の特殊法人とのバランス、そういったものを総合的に勘案いたしまして適切な労働条件が定められるよう文部省としても十分配慮してまいりたいと考えているところでございます。
  16. 菅川健二

    菅川健二君 給与問題につきましてはやはりそれぞれ個別具体のことがございますので個別具体のことは申し上げませんけれども、トータルとして役職員給与費一定程度削減されるという一つ効果というものを明確に出していただきたいと思うわけでございます。  それから、共済事業につきまして、これは主要には掛金等で自主的におやりになっておることでございますので余り細かい指摘はしたくないわけでございますが、いずれにいたしましても、先ほど話がございましたように二十四施設を持っておられるわけでございまして、その中で宿泊施設も幾つか持っておられて、我々もその便宜にあずかっておるときもあるわけでございますが、いずれにしても宿泊施設はかなり経営状況が悪い宿泊施設が多いようでございます。  特に、平成七年二月の閣議決定におきまして、民間と競合する会館宿泊施設新設原則として行わないという決定があるわけでございますが、その後いろいろな計画等をお持ちやに聞いておるわけでございますが、この原則はきちっと守られておると見ていいのでございましょうか。その辺の状況はどうなっておりますか。
  17. 富岡賢治

    政府委員富岡賢治君) 先生指摘平成七年の閣議決定で、「民間と競合する会館宿泊施設等施設新設原則として行わないこととする」という閣議決定がございます。  現在、私学共済におきましては東京都の渋谷区に第二湯島会館という会館を設置する計画を有しているわけでございますが、これは先生案内かと思いますけれども、現在の湯島会館大変満室状態が多くて予約がとれないこと等もございまして組合員の非常に強い要望が従前からございまして、この閣議決定の行われる以前から、特に平成三年十二月には運営審議会設置方針が決まりまして、平成六年に土地取得が行われ、また地元とも、特に民間ホテルあるいは旅館等との競合が生じないように、地元ホテル旅館組合とか個別のホテル等との了解を得ることとか、渋谷区の協力を得ることなどいろんな準備が進められてまいったわけでございます。このような経緯もございますので、この閣議決定そのもの趣旨に反するということはないと考えてございまして、そういう準備が進められているところでございます。  それからまた、直営医療機関がございますけれども、この場合移転、改築という問題を抱えているものでございますけれども、これについても現在いろいろ計画を詰めているところでございます。  なお、それ以外につきましては、この閣議決定趣旨を踏まえまして現在のところ宿泊施設を新たに設ける計画は立てていないところでございます。
  18. 菅川健二

    菅川健二君 今申されましたように、私が調べた範囲内でも、渋谷の第二会館、病院、それからもう一つ新小岩運動場計画等もお持ちのようでございますが、いずれにしても役所に準じた機関がこういったものをつくりますと大変赤字体質を持つことが考えられますので、施設建設に当たっては、閣議決定はきちんと厳守していただくことはもちろんのこと、今後の他の施設建設につきましても慎重に対処していただきたいと思うわけでございます。  いずれにいたしましても、全般的にこの両法人につきましては水と油の関係皆さん方議論がかみ合わないということを申し上げて、一応私の質問を終わりたいと思います。
  19. 山本正和

    山本正和君 きょう、実はいろいろと他の関連も準備したのでございますが、法案に絡んでの要望を中、心に一点だけ、これはこの法案だけに絞って質問要望を申し上げておきたいと思います。  まず、統合をしていくんですが、懸念されておりますのは、これからの私学教育の方向、そういうものに対してこれで大丈夫か、障害にならないかと、こういう懸念が言われております。というのは、この事業団になった場合、従来のような形での私学運営、特に補助金の問題のなかなか難しいいろいろな操作がある、さらには共済組合運営についてもたくさんまだいろいろな難しい課題を抱えておる、さらには新しく私学がふえてきた段階における受け入れ体制、そういうようなものを含めた場合、二つを一緒にして大丈夫かと、こういう懸念があるんですが、そこのところはどうですか。
  20. 御手洗康

    説明員御手洗康君) 新しい事業団につきましては、現在私学振興財団が行っております私学振興のための助成業務並びに私立学校教職員共済組合が行っております公的社会保険制度としての年金あるいは医療保険、こういった二つ事業はそっくりそのまま引き継ぐことといたしているわけでございまして、その点につきましてはこの法律の第二十二条に業務内容を列記しているところでございます。  私ども、両法人統合いたしました後におきましても、私学振興助成あるいは私学共済につきまして、現在の予算措置あるいは現在の私学共済組合制度の仕組み、それをそのまま新しい事業団が適切に運営してまいるというような構えで臨みたいと考えているところでございます。
  21. 山本正和

    山本正和君 いずれにしても、新しく統合いたしますとそれに伴ういろいろなトラブルが出るんじゃないかということを私も心配いたします。したがいまして、当面、今まで取り組んできている課題があるわけですから、その部分は大切にする、したがって形は統合しているけれども運営では今までと何ら変わらずに支障なくやれるという体制をつくると、ここのところは確認しておいてよろしいですね。
  22. 御手洗康

    説明員御手洗康君) 御指摘趣旨に沿いまして、法案が成立いたしましたら諸準備に取りかかり、新しい事業団におきましても各職員も含めましてそのような体制で取り組んでまいるよう私どもとしても十分配慮してまいる所存でございます。
  23. 山本正和

    山本正和君 それからもう一つは、年金制度、特に被用者年金制度の一元化の問題が今ずっと議論されておる。これが恐らく私学年金の問題をどういうふうに移行するかについてもさまざまな問題が出てくると思うんですけれども、その辺の懸念についてはどうですか。
  24. 富岡賢治

    政府委員富岡賢治君) 今回の統合につきましては、行政改革ということの趣旨を踏まえまして進めたものでございまして、年金の一元化問題ということに関しましては特に変更があるものではございません。この問題につきましては、私立学校教職員共済組合につきましては、その成熟化進展等を踏まえながら、財政再計算時ごとに将来のいろんな見通しを立てまして、被用者年金制度全体の中における制度について検討を行うという閣議決定平成八年にございますが、これと今回の統合につきましては直接的に関係がないというふうに考えております。
  25. 山本正和

    山本正和君 そこで、私が最も懸念しておりますのは、この二つ団体というのは、いろんな過程の中で今日こういうふうになってきたと。そのために働いてこられた役職員の方々、大変な苦労の中で来ているわけですね。役員の方については、これはやっぱり管理職という立場ですから若干違うにいたしましても、職員の場合はまさに生活に絡んでいる。一番厳しい問題が出てくるわけですが、職員団体とのこの問題についての話し合い並びに今後の流れについてはどういうふうにお考えになっていますか。
  26. 御手洗康

    説明員御手洗康君) 両法人統合が決まりました平成七年二月以降、私どもといたしましては、両法人につきまして統合の方針をお伝えいたしますとともに、法人からも何度も定期的にいろいろなところに伴う御意見等を承りながら、統合のための関係予算あるいは本案の作成に当たってきたわけでございます。その間におきまして、それぞれの法人におきましては、職員団体とも労使交渉を行いながら、そのような意見は逐次私どものもとへも届けられてきているところでございます。  なお、特に職員団体関係で申し上げますと、身分あるいは今後の労働条件の問題は非常に大きな課題でございますけれども、特に身分につきましては、本法案の附則第八条におきまして、新しい事業団は、統合に伴って解散いたします両法人職員を「引き続き事業団職員としての身分を取得するように措置しなければならない。」ということを明記しておりますので、この点につきましては特に問題が生じることはなかろうかと思っているところでございます。  また、労働条件につきましては、基本的には労使間の協議を踏まえながら今後決定されていくということになりますので、新事業団発足のための準備の段階では、具体的な給与のあり方あるいは退職手当のあり方等々を含めまして、他の特殊法人とのバランスやあるいは行革趣旨等を踏まえまして、適切な労使協議が行われますよう文部省としても十分留意してまいりたいと考えているところでございます。
  27. 山本正和

    山本正和君 それでは、特にその点をもっと私の方から念を押しておきたいんですけれども、少なくとも雇用については絶対に問題を起こさないということが一点、それから従来の処遇、これを下回ることは絶対あり得ない、この二つのことを前提にしながら十分対応していただく、こういうことについては、これはひとつ大臣、その辺ちょっと御見解を承っておきたいと思うんです。
  28. 小杉隆

    国務大臣小杉隆君) 今、私学部長からの答弁に尽きるわけでありますが、これはやはり今までの経過というものは十分尊重しながら、労働組合等との協議も整えた上でやると、こういうことでやってまいりたいと思います。
  29. 山本正和

    山本正和君 それでは質問を終わります。
  30. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 私の知っている限りで、文部省特殊法人統合ということについては学校安全会、国立競技場、学校給食というふうなところでおやりになった。しかし、文部省が他の省庁と何かつき合い上、余り意味のない統合を数合わせの上だけでさせられているんじゃないかと僕は思えて仕方がない。だから余り賛成したくないんですけれども、反対する理由もないだろうと思って賛成しようと思っているんですが、どうもこういう行革で数合わせだけをやるというのはよくないと思うんですよ。  特殊法人一つにまとめるというのは、これは改革一つで、改革というのはやはりその改革をしたことによって働いている職員もやる気を起こし、そしてまたその受益者もより大きな受益を受けると、サービスを受けるということであるから統合するんであって、数だけを考えてやるというのは主客転倒だと思って釈然としません。だけれども反対はしません。  それで、今も労働条件の問題が出ましたけれども私学部長はこの両団体一つ団体になっても賃金水準はほぼ均衡するとおっしゃいましたが、本当に均衡しているんですか。共済の方は、これは国公立準拠の行政職(一)表を使ってやっているんでしょう。それから事業団体の方は、これは特殊法人なんか全般がやっている公庫、公団ベースですか、公団ベースというんですか、そういうもので別のベースをこうやっているわけで、これがほぼ本当にあなたおっしゃるように均衡しているのかどうか、私はこれは相当な違いがあるというふうに思っているんですが、いかがですか。
  31. 御手洗康

    説明員御手洗康君) 御指摘のとおり、俸給表の構成につきましては、委員指摘のように私学振興財団がいわゆる公庫、公団方式と、それから私立学校教職員共済組合が国家公務員準拠方式と言われておりますけれども、その具体的な内容は、いわゆる都市手当であります調整手当を俸給表の中に含めておりますのが私学振興財団の方式でございますし、調整手当分を別途調整手当という形で本給とは別建てで俸給表をつくっているというのが私学共済組合の方式でございます。  現実に現在の職員の平均給与を見てみますと、私学振興財団が平均年齢三十八・六歳で八百六十万八千円ほど、それから私立学校教職員共済組合が三十七・三歳、丁三歳ほど低うございますけれども、これは八百五十八万八千円ほどということで、調整手当を含めました給与水準につきましてはほぼ均衡がとれているというぐあいに私ども理解しているところでございます。
  32. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 そうすると、将来は一本化するということを望んでおられるんですか。
  33. 御手洗康

    説明員御手洗康君) 新しい一つ事業団になるわけでございますので、そこにおきます職員労働条件というのは基本的に一つということで、新しい俸給表労使交渉も踏まえながら一本化で設定していくべきだろうと、こう考えているところでございます。
  34. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 その一本化するときに、今も山本委員の方からありましたように、現在の賃金、いわゆる既得権だと思うんですが、その既得権を下回るというふうな形での一本化は、個々の職員において新しい給料の表に移行させていく場合に、それは絶対ないということの確認はできますか。
  35. 御手洗康

    説明員御手洗康君) 基本的には二つの問題があろうかと思います。  一つは、新しい俸給表を一本化してつくるという作業、これは他の特殊法人とのバランス行革趣旨等を踏まえまして、労使間の協議によりまして基本的には決定されていくということであろうかと思います。それが一つと、具体的に個々の職員事業団の新しい俸給表の適用を受けるという際に、現にそれぞれの法人で受けております給与と比べてどうなるかという問題があろうかと思います。  後者の問題につきましては、基本的には、現在の職員が受けております給与等について、それを下回ることがないということを基本に労使交渉が行われ、場合によっては、必要な経過的な措置あるいは具体的な職員の当てはめといったようなことは今後具体課題になってこようかと考えているところでございます。
  36. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 労使交渉ですから、そこへ文部省があれこれと立ち入るべきでないと思います。しかし、両事業団体が事業の必要性で統合するというふうになればいいんですけれども、両事業団体が格別そう思っていないのを無理やりに文部省がひっつけるんですから、それは責任を持たないかぬと思うんですよ。だから、今私の言ったことに対して文部省は責任を持つと。そこに働いている人たちの賃金、労働条件が低下するというふうなことは絶対させないといういわば保障が要ると思うんです。文部省は保障すべきだと思うんです、この場合。どうですか。
  37. 御手洗康

    説明員御手洗康君) 今後の新しい俸給表等を含めました勤務条件につきましてどのように決まっていくかということは、あくまでも他の特殊法人とのバランス、あるいは行革趣旨等を踏まえまして、今後適切な水準、内容のものが労使交渉の結果を踏まえまして決定されるよう文部省としても十分留意してまいりたいと考えておりますが、具体的な個々の職員統合後に受けます給与等が下回るということのないよう、これも十分私ども留意をしてまいりたいと考えているところでございます。
  38. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 今、あなたが留意ということをおっしゃいましたが、留意というのは、私は保障すべきだと言っていることと同じ言葉だと受け取っていいんですか。
  39. 御手洗康

    説明員御手洗康君) 委員もう十分御承知のとおり、まず労使交渉が行われまして、それを踏まえた上で、新しい事業団の成立後、給与等の支給基準につきまして文部大臣の承認申請がなされるという点で、文部省があらかじめ大蔵大臣と協議した上で特に問題がなければこれを承認するという立場でございますので、その点を十分留意しながら労使交渉を見守ってまいるということでございます。
  40. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 今、気になることをおっしゃったわけで、大蔵省と言いましたね。なぜ大蔵省が新しい事業団体の職員の賃金の問題について高いとか低いとか適切であるとかいうふうなことを言及しなければならないのか。僕はそういうことになると思ったから今の発言をしているんですよ。  これは文部大臣行革だから全体として役職員の人件費が下がらなければならない、下げなければならないというふうな、そういう形で来ておるとすれば私は大問題だと、それだったら私は反対します。そうではないのならば、やはりそこのところは文部大臣として、両事業団体の職員一つになると、安心してしっかり私学振興のために共通目的を持ってやってくれと言ってあなたがきちっとした保障を与えて、それでスタートする。その後はいろんなことが労働組合とこの事業団体との労使交渉の間で行って当たり前だと思うんです。その後々まで大蔵省が高いとか低いとか、やれ文部省がどうとかこうとか言うのは僕は介入、干渉だと思うんで、すべきでないけれども統合の時点だけはやっぱり文部大臣が保障してやらぬとまずいんじゃないですか。
  41. 小杉隆

    国務大臣小杉隆君) この問題は、基本的には新事業団の労使間の協議によって自主的に決めるべき性格のものだと思います。  ただ、個々の職員統合の結果給与が切り下げられるとか、そういうことがあってはならないと思いますから、その辺は保障とかなんとかというそういうかたい言葉じゃなくて、文部大臣としても十分その辺は配慮してやっていきたい、こう思っております。それ以上は、あうんの呼吸でやりますので、ひとつ。
  42. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 あうんの呼吸で間違いのないようにやってください。  それで、共済の場合は、そこの職員が千二百四十六人いるけれども、ほとんどが病院と宿泊施設ですか、そこに九百八十七人、私の持っている資料では働いているわけで、そのいわゆる施設、病院に働いている職員も、法の附則第八条ですか、ここのところにかかわって心配のないような措置ができるというふうに理解していいですか。
  43. 御手洗康

    説明員御手洗康君) 御指摘ございました法附則八条の解釈につきましては、当然、施設職員も含んでこういう措置をとらなければならないというぐあいに理解すべきものと考えております。
  44. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 あと一点だけ、大臣にこのこととは別のことでお伺いしたいと思います。今の答弁で私賛成しますから。  それで、実は非常に気になっておるのが、この間の財政構造改革会議での、文部大臣も出てきなさいと言われてお行きになって、何かそこで文教予算はどうすべきかという議論があったかに聞いております。  新聞の報道によると、義務教育費国庫負担法のところをやはりさわるべきだということで、さわるなんてちょっと表現まずいですが、はっきり言えば、教職員の定数改善の第六次、来年度はこれのいよいよ最終年次になるわけですよね。その最終年次の約五千人近い者が残っていると思うんです、三万人の。これを全員カットしてしまえというふうなことが出てきていると聞くんですね。公共事業の第何年次計画のその最後を削れとかいうことと、この教職員の定数改善の最終年次のその計画しているのを全部削れというのは、いかにも私は乱暴だと思うんですよね。  なぜなら、それは教育現場でそれぞれそういうことを念頭に置きながら地方教育委員会なり学校なりがやっているわけで、一方、中教審は、生きる力を育てろ、個性豊かな子供を育てようと言って義務教育に対して非常に大きな期待、そして課題を与えようとする。一方、その条件をつくるべき教職員の数はふやすなと、こう来る。その次に来るのは減らせと必ず来ると思うんですね。そういうことは果たして構造改革なのかね。予算を減らせと言うんなら、それは別の言い方がある。文教予算の構造改革ということの中で、なぜ第六次教職員定数の配当の改善計画なるものを最終年次をアウトにしなければならぬのか、こんな乱暴な話はないと私は思うんですよ。  文部大臣、体を張ってこれだけはとめてもらわなければいけないと思うんですが、この決意のほどをお願いいたします。
  45. 小杉隆

    国務大臣小杉隆君) 財政構造改革ではまさにそこら辺が一番議論が出たところであります。私は、この件に関しては、全会一致でこの標準法に基づく定員の計画ができているということ。それから、少子化に伴って減らないじゃないかと言われるけれども、改善増を差し引いても三万人の純減になっているんだということ。それから、ここで計画を中断とか凍結をすると、将来、教員の年齢構成のアンバランスが起こるということ。あと、今一番いじめとか個性に応じた教育ということを進めているときに、ここで教員の計画を挫折させるということはそういった趣旨に沿わないと。主としてこの四点を強く申し上げたところでありまして、何とか私としては平成十年度にこの第六次改善計画を完結させたいと、こういうことを強く申し上げてきたところであります。
  46. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 いや、申し上げてもらわないかぬのですが、決意をしっかりしてくださいよ。断固守るとか、絶対にそういうことは認めさせないとか、もうちょっと強い決意を一言聞かせてください、それで終わりますから。
  47. 小杉隆

    国務大臣小杉隆君) そういう決意でやってまいりますから、ぜひ文教委員の皆様の御支援もお願いをしたいと、こういうことでございます。  私は、かなり協力するところは協力したと思っております。例えば、育英資金の返済免除をなくしたり、それから大学のいろんな事務職員削減とか、具体的な数字を挙げてこういうことを具体的にやりますと言ったのは、私は文部大臣は一番積極的だったと自負しているくらいであります。しかし、主張すべきところは断固として主張していくと、そういうスタンスでやってまいりたいと思いますから、よろしくお願いしたいと思います。
  48. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 終わります。
  49. 阿部幸代

    ○阿部幸代君 私学振興策にかかわる私立高校の四十人学級推進策について質問します。  先日、中教審の有馬会長との意見交換の中でも、一人一人の能力や個性を生かす教育がなかなかできない、いわば諸悪の根源が多人数の一斉授業方式にあるんではないかということを私強調しましたところ、有馬会長もそうだと。中教審も基本的にそういう認識を示していて、一刻も早く欧米並みの少人数学級を実現してほしいということでしたが、これにかかわる質問になります。  公立の小中高校でやっと四十人学級が実現しましたが、私立の場合どうなっているかということです。特に私立の高等学校の場合どうなっているかということを埼玉県を例に調べてみました。平均して一学級当たり四十二人以下の学校で、しかもより少人数学級編制を行っている学校に対して、埼玉県では加算配分するという形で四十人学級編制促進の助成を行っています。私立高校四十五校中二十一校で実施されています。四十五の高校中二十一校しか四十人学級実現に向かっていないということ自体大変問題だと思うんですが、具体的に見るともっと大変で、学校によっては一年生の一学級当たり平均生徒数が四十五・六人、二年生が四十九・九人、三年生が四十七・二人というふうに四十人学級には遠く及ばない学校があるわけです。今どきこういう劣悪な教育条件は子供の立場、保護者の立場、国民の立場に立ったときに放置しておけないと思うんです。  そこで伺うんですが、文部省は全国的な状況をつかんでいるでしょうか。
  50. 御手洗康

    説明員御手洗康君) 私立の高等学校におきます収容人員別の学級数ということで全国的な状況を申し上げますと、平成八年度で四十人以下となっている学級数が一万三千百四十九ということで、全体の三万三千五百八十七の学級数のうち三九・二%、ほぼ四割近くということでございまして、残りの六割強が四十一人以上ということになっているところでございます。
  51. 阿部幸代

    ○阿部幸代君 平均した数というのはなかなか実態が見えるようで見えないものなんですけれども、私の調べでは、私立高校の一学級当たりの平均生徒数を比べてみますと、徳島県の三十二・八三人から秋田県の四十三・九五人、平均ですよ、それでもこれだけ大きな開きがあるわけです。個別学級単位に見ると、先ほど埼玉の例で述べましたけれども四十九・九人、つまり五十人学級というのもあるんですね。一学級当たりの生徒数というのは、中教審の答申ではありませんが、最も基本的な教育条件の一つだと思うんです。  私学の生徒だからということで放置されてもよいということはあり得ないわけですから、もっと実態をよくつかんでいただきたいと思うんです。そのことが文部省が本気で私立高校四十人学級編制推進の立場に立ついわばあかしになるんだと思うんですけれども、調べていただけるでしょうか。
  52. 御手洗康

    説明員御手洗康君) 先ほど申し上げましたように、私どもといたしましては、一応全国的な状況については把握しながら、公立学校の四十人学級の実施のタイミングにできるだけおくれないようにということで平成七年度から年次計画で、四十人学級に少しでも近づけようというための経常費補助を実施する都道府県に対しまして国が補助を行うということで、平成七年度、八年度、九年度とそのための予算措置にも努力をしてきたところでございます。
  53. 阿部幸代

    ○阿部幸代君 私が私立高校の四十人学級編制推進にこだわるのは、私学に通う子供たち、その保護者たちの学費の負担が非常に大きくて、公立との格差が大きく開いているということがあるからなんです。学費は高いし基本的な教育条件は悪いしというのでは、余り表現はよくありませんけれども、踏んだりけったりだと思うんですね。  これも埼玉県の例なんですけれども、県立高校の場合は、初年度の入学金と授業料、施設・設備費その他合わせて大体十五万五千円です。一方、私立高校の場合は、平均して七十六万五千円、最高で百二十万円、百万円を超える学校が五校ありました。中にはこういう例があるんです。県内で三番目に高い初年度納入金を取りながら、その年、九六年度の一学級当たりの生徒数は四十八・五人と、こういう例もあるわけです。  私立高校に通う子供たちがひとしく四十人学級編制のもとで学ぶことができるように、私学助成の拡充、特に四十人学級編制をしても経営上大丈夫だという推進策が必要だと思うのですが、どのように今後進めていきますか。
  54. 御手洗康

    説明員御手洗康君) 委員指摘ございましたように、公立高等学校と私立高等学校との教育条件の格差というのはまだまだあるわけでございます。全国平均で申し上げますと、授業料で三倍、入学金等を含めました初年度納付金で五・七倍、あるいはまた教員一人当たりの生徒数について見ましても、公立学校が十四・八人に対しまして私立学校は二十一・〇人と、一・四倍の開きがございます。  私ども文部省といたしましても、全国的なこういう教育水準の維持向上を図るという観点と、それから父兄の教育費負担の軽減を図る、さらには私学経営の健全化を図るというような観点から、国の補助金並びに地方交付税におきまして、各都道府県が私立高等学校以下の経常費助成を行いますための財源措置につきましては、厳しい財政事情の中でございますけれども、逐次ふやしてきているところでございます。  今後とも、四十人学級推進策を含めまして、引き続き厳しい財政事情の中でございますけれども努力をしてまいりたいと考えているところでございます。
  55. 阿部幸代

    ○阿部幸代君 私学助成金が子供たちの教育条件改善につながるような助成策をぜひ推進していただきたいというふうに思うんですね。そういう意味では、この四十人学級編制推進事業ですか、これをぜひ継続していただきたいというふうに強く要望いたします。  そこで、日本の公的な教育の重要な部分を担っている私学に対する助成の拡充についての大臣の見解を伺いたいと思います。
  56. 小杉隆

    国務大臣小杉隆君) 公私格差を是正して私学の充実を図るということは重要な政策課題であると、こう受けとめて、毎年私学助成の増額については全力で取り組んできたところであります。特にきょう御指摘のこの四十人学級を維持、推進していく、そういうための補助制度平成七年度から三年計画で、初年度は十八億円、次年度が三十六億円、そして平成九年度が五十四億円ですか、こういうふうに急ピッチでふやしてきているんですが、今、私学部長からるるお話ししたように、大変来年度予算編成厳しい中で、何とか私どもとしてはこれを継続して四十人学級の維持のための施策をさらに続行していきたいと、こういうことで臨んでいきたいと思っております。
  57. 阿部幸代

    ○阿部幸代君 次に、日本私学振興財団からの融資の繰り上げ償還ないしは借りかえ問題について伺いたいと思うんですが、かつて五ないし六%の金利で融資を受けた学校法人民間金融機関に借りかえをすれば二%余の金利の変更が可能になるわけです。三%の金利差は各法人にとってみると数千万円の負担の軽減になるわけですから、経営上、繰り上げ償還や借りかえを要望する法人が出るのは当然だと思いますし、実際、私もそういう事例を何例か直接聞いています。そうした場合、どのような対応をしているのか伺いたいと思うんです。
  58. 御手洗康

    説明員御手洗康君) 私学振興財団が行っております主として施設・設備等の整備にかかわります私立学校に対します融資につきましては、長期でかつ固定金利で、低利で貸し付けるということを基本としているところでございます。したがいまして、基本的には当初定めました金利というものはそのままで、二十年間で返済していただくということになるわけでございますけれども、近年、市中金利が超低金利という状況の中におきまして、各学校法人からの私学振興財団への繰り上げ償還要望ということが増加してきているということも事実でございます。私学振興財団におきましては、財団自身の長期的な経営の健全性を確保するという観点も必要でございますので、先ほど申し上げましたような観点から、基本的にはお借り入れをいただいた当初の約定どおりの金利で返済いただくというように各学校法人に理解と協力を求めているところでございます。  しかしながら、現実の問題といたしまして、学校法人の深刻な経営悪化、あるいは極めて小規模経営基盤が脆弱であるといったようなところにつきましては、真にやむを得ないというような状況も見受けられますので、そういった場合に限りまして、私学振興財団経営の健全性を損なわない範囲内で、現実問題として一定割合について繰り上げ償還要望を受け入れてきたところでございますので、今後ともそういった実情を踏まえつつ適切に対処してまいりたいと考えているところでございます。
  59. 阿部幸代

    ○阿部幸代君 私学振興財団事業の中には、私立学校に対する経営相談、指導というのがあり、この事業が今度、日本私立学校振興共済事業団に継承されるわけですね。ですから、良心的な経営をしていて資金繰りに苦労しているような学校法人の援助策として繰り上げ償還の相談にぜひ乗っていただきたいというふうに思います。いわば財団の運営経費のためにかつての高金利の分の金利分が当てにされているわけです。それで、できるならば補助金等を増額させるなどして、良心的な経営をしていて資金繰りに苦労している法人要望にできるだけこたえるようにしていただきたい。それが私学振興策だというふうに私は思うんですけれども、どうでしょうか。
  60. 御手洗康

    説明員御手洗康君) 私学振興財団の融資の原資は、基本的には財政投融資資金と私立学校教職員共済組合の長期経理からの借り入れという二つのもので賄っているわけでございます。したがいまして、私立学校に財団から貸しつけました金額につきましては、その分私学振興財団はこの両方から借り入れをいたしまして、そこに〇・一%、その時々の金利に対しまして〇・一%、したがいまして、今財投の借入利率が二・七〇%でございますので、現在で申し上げますと二・八〇%というところでお貸しをいたしまして、金利の高低にかかわらず〇・一%の利ざやをいただく。  それともう一つは、平成八年度末で四百七十五億円に上ります長年の政府の出資金がございます。これを自己資金としてその時々の金利で、財投金利プラス〇・一%の金利でお貸しできる。この二つの利ざやでもって運営をしているわけでございまして、決して高金利で貸しているから利ざやをたくさん稼いでいるということではございません。  財投や共済組合にはそれぞれの利回りで借りておるわけでございますから、これは約定どおり二十年間で払っていく義務が私学振興財団にございまして、逆に、繰り上げ償還を受け入れることによりまして利ざや、例えば昨年度の例でいきますとおよそ三%近い利ざやを私学振興財団が今後負担しなければならないということがございまして、そういった点で、決して私学振興財団がお返ししないというのは私学振興財団の経費を賄うためではないということは御理解いただきたいと思うわけでございます。  また、平成七年度につきましては利率の軽減措置というようなこともいたしまして、当時貸付利率が五%を超える貸付金につきまして、経営状況が大変厳しい学校等につきましてはそれを五%まで軽減するというような新たな措置もとったわけでございますけれども、こういった際には、平成七年度の二次補正予算におきまして、出資金三十一億円をいただくということによって私学振興財団のこういった利ざやの負担を軽減するというようなことも財政的に努力をさせていただいておりますので、御理解いただきたいと思います。
  61. 清水嘉与子

    委員長(清水嘉与子君) 阿部さん、時間になっておりますので、まとめてくださいませ。
  62. 阿部幸代

    ○阿部幸代君 時間がないので、最後、お願いということで一言。  日本私立学校振興共済事業団内に置かれる共済運営委員会委員についてなんですけれども委員は加入者と私立学校法の学校法人または法人役員と学識経験者から選ばれることになっているんですけれども、ぜひ加入者代表の中に労働組合の代表も含めていただきたい、含められるようにしていただきたいということを要望して、終わりといたします。  どうもありがとうございました。
  63. 江本孟紀

    ○江本孟紀君 私は、ちょっとこれは先ほどの平成会菅川先生と多少ダブるかもしれませんので、少し簡単にはしょらせていただきます。  いずれにせよ、二つ団体一つになるということでありますから、その中には、民間との競合分野での委託、自立の道への模索をし、それから具体的なそういった行革の中での措置というものが盛り込まれているんじゃないかというふうに思っておりましたけれども、実際にはこの中身は、別の団体が単に一緒になっただけで、名称を事業団に変えたというだけではないかなという疑問があります。  この統合案と非常によく似たのが、蚕糸砂糖類価格安定事業団というものがありまして、これも実際、統合した後で一応役員のポストを五つ減らしてそして職員を一名減らしたというんですが、補助金の額は逆にふえているというような大変わかりやすい例がありますので、そういったことにならないようにということです。  その中で、この法案がどういった部分を指して整理合理化趣旨に沿ったものであるかということなんですが、普通なら役員の数を減らして、役員の報酬掛ける人数分というのは普通は減るわけですね。しかし、これは先ほどもお話が出ましたけれども、片方が高い給与水準ですからそれに合わせていくというようなことを考えた場合に、どうも先ほども申しましたように蚕糸砂糖類価格安定事業団と同じような団体になるんではないかなというような気がするんです。人件費のところで逆に増加するんじゃないかなというふうに思いますけれども、その点はいかがでしょうか。
  64. 御手洗康

    説明員御手洗康君) 御指摘ございました人件費でございますが、役員につきましては常勤役員を含めまして五人を減らす、平成九年度におきましては統合が一月一日ということになってございますので三カ月分ということでございます。これに伴いまして役員給与については約一千万円縮減をいたすかと考えているところでございます。また、平成十年度になりますと、年間にならしますので、約五千万円ほどの役員の報酬につきましては縮減が立つ見込みでございます。  しかしながら、職員につきましては、御案内のとおり、何分にも大勢の中で平成九年度は三人、五年間で十一人ということでございますので、縮減の効果といたしましては、平成九年度におきましては職員三人分約三千万程度でございますけれども委員指摘のとおり、職員給与等の人件費につきましては、こういった人員の減という合理化減を行いましても、内部におきます定期昇給、あるいは毎年の民間給与水準に伴いますベースアップ、あるいはその年々の退職者の数等によります影響によりまして、平成九年度におきましても増加をするという要素が出ているところでございます。  なお、私立学校教職員共済組合並びに私学振興財団につきましては、こういった人件費につきましての国の補助金というのは出ておりません。  それぞれ、先ほど申し上げましたように、私学振興財団につきましては利ざや並びに出資金の利益によりまして運営経費を賄うという仕組みにしてございますし、また私立学校教職員共済組合におきましては、長期、短期あるいは福祉事業ごとに組合員からの掛金並びに学校法人からの掛金によりまして経理を賄うということになってございます。  それぞれに出します補助金につきましては、私学振興財団につきましては、例えば私大等への経常費の補助金が来年度は二千九百五十・五億円ということで本年度よりもふえてございますし、また、私立学校教職員共済組合につきましても基礎年金拠出金等の国庫支出金というものがふえておりまして、八年度で合計三千五百二億円ございましたけれども平成九年度は三千六百十億円ということでふえることになりますけれども、いずれもこれは事業経費、私学振興並びに共済年金等を実施するための事業費に伴うものでございます。
  65. 江本孟紀

    ○江本孟紀君 とにかく、悪い例と言ったらいけませんけれども、こういった整理統合した場合の効果というものを認められにくいようなものにしないでいただきたいと思います。  そういう中で、特殊法人業務の中で民間と競合するものについては、閣議決定でも極力民間に委託をした方がいいんじゃないかという指導をしておりますが、この中に、二十三ある施設というのが利用率が大体七〇%ぐらいじゃないか、十四が赤字経営をしているというような施設の問題がありますけれども、少し民間への委託というようなことについてはどうお考えでしょうか。
  66. 富岡賢治

    政府委員富岡賢治君) 先生指摘のように、二十四カ所の一カ所があの阪神・淡路大震災で今大変な状況になりましたので、二十三カ所が運営いたしているわけでございますが、御指摘のように七〇%が利用率でございます。  収支状況ということでございますが、平成七年度の収支決算上では約十六億円の赤字ということでございますけれども、これは損益計算上でございまして、減価償却ということをやっておりますので、その前の実質的な収支ということで見ますと必ずしも赤字というわけではございませんが、ただ、最近婚礼の減少というふうなことがございまして、地味婚というような状況がございまして、なかなか厳しい状況だという現状でございます。  しかし、先生案内のように、減価償却費も含めまして基本的に黒字で運営することが理想の姿でございますので、先生指摘のように民間委託できますもの、例えばいろんな運営につきまして委託できるものにつきましては逐次努力を進めてきているところでございますし、今後もそういう点は最大の努力をしていかなくちゃいけないというふうに私ども考えておるところでございます。
  67. 江本孟紀

    ○江本孟紀君 この事業団の中にいろいろ人事の問題とかもありますけれども、俗に言う天下りといいますか、こういったものをすべて悪いものだ、諸悪の根源だみたいな最近の世間の風潮がありますけれども、私は決してそう思っていません。むしろ、そういう団体にきちっとした専門の官庁OBの方が行って、官が民を補完するというような意味で言えば、それはそれで私は意義があると思います。  実際に、法人というものは特殊法人を含めて、大体国民は、一体何をするところかというような意味で言いますと非常に理解が薄い。そんな中で、むしろこういった事業団ができたときに国民にその存在価値をアピールする、こういう事業団になりましたよというようなことをやっぱり文部省としては大いにアピールすべきじゃないか。そういう意味でも、人事と運営というようなところに関しては私学人の意向といったものを十分配慮された方がいいんじゃないかと思いますけれども、その点について大臣にお伺いしたいと思います。
  68. 小杉隆

    国務大臣小杉隆君) この二つ法人が一緒になって新事業団ができますと、この法人私学振興の中心的な役割を果たすことになるわけですから、私はこの役員等の選出についても非常に重要だと思っております。  私ども特殊法人役員の選考に関する閣議決定というのがありまして、できるだけ民間人を登用するとか七十歳までにするとか、あるいは八年を限度とするとか、そういったいろんな取り決めがありますけれども、とにかく今度の新事業団の主な仕事である私学振興と社会保険、そういった両面について造詣が深いといいますか、学識経験のあるそういう人を選ぶ。両法人、決して今までもそんなに役所からの天下りが多かったわけではありませんで、こういった趣旨でこれからも、要するにこの新事業団がより有効に目的に沿った活動ができるような有能な識見を有する人を選任する必要があると考えています。
  69. 江本孟紀

    ○江本孟紀君 ちなみに、我々の歳費等もすぐ公表されますからあれですけれども特殊法人理事長さんの給料は百三十二万五千円ですが、これは日本私学振興財団の方ですけれども、こういったことも含めますと、国民は行革の中でどういった形でこの新しい事業団ができたかといったことに対しては非常に今後関心が深まると思います。やはり国として国民に対して、この新事業団の設立後の行革の進捗状況、先ほどの経緯も含めてそうですが、こういったものを明らかにしていくべきではないかということを要望したいと思います。  最後にその辺の御見解をお願いをいたします。
  70. 小杉隆

    国務大臣小杉隆君) 新事業団がどのくらい有益な仕事をしているかということの啓蒙というかPRというものはしっかり、これは法人自身もやると思いますし、文部省としてもやっていきたいと思います。またこの法人が健全な運営、効率的な運営ができますように一層私どもとしても努力をしていきたいと考えております。
  71. 長谷川道郎

    長谷川道郎君 先ほど山本委員からの御質問に対する答弁の中で、本法案年金一元化を念頭に置いたものではないというような答弁がありました。先ほど大臣の御答弁でも、もともと私学協会として一体であったものを今回一つにするという御答弁がございました。しかし私は、本法案は、やはり年金の一元化という観点で取り扱うのが行政改革の推進に結びつくことではないかというふうに考えるわけであります。  年金の一元化については、先般、JTとJRとNTTが厚生年金と一体になり、残りますのは私学共済と農林共済、それから二つの公務員共済なわけであります。  私学共済につきましては、受給者比率が一〇%になりますので、九人の加入者で一人の受給者を支える。かつ保険料率も一二・八%という一番優秀な共済、現在最も優秀な共済であるわけであります。したがって、今回、年金の一元化という点に関しては、私学共済は極めて消極的であるというふうな新聞報道がございます。しかし、私学共済はまさに少子化の波を今後もろに受ける共済でありまして、今後ともこのような運用状態が続けられるかどうかというのは私は極めて疑問である。疑問であると言うよりはむしろ将来は極めて苦しい運営に立たざるを得ないのではないかと思うわけであります。  したがいまして、本法案法案として、私学共済年金の一元化という中でとらえるべきではないかというふうに考えるわけでありますが、いかがでありましょうか。
  72. 富岡賢治

    政府委員富岡賢治君) 先生の御指摘は大変大事な御指摘だと私どもも思っております。  御案内のように、公的年金制度の再編成の推進ということにつきましては、平成八年三月八日の閣議決定におきまして、各制度目的、機能、過去の運営努力等についても配慮しつつ、各制度が二十一世紀にかけて成熟化する段階において漸進的に対応を進めることが必要であるということを基本としているわけでございます。そういう観点からいたしますと、今回の統合そのものは直接その問題のあり方の検討に影響を及ぼすものとは考えてない旨、先ほど答弁させていただきましたが、私どもの側からいたしますと、各制度がそれぞれの異なる歴史や沿革を有しているということもございます。  私学共済につきましては、独自の自助努力によりまして費用負担、積立金の管理運用などの制度運営に努めてまいりまして、今先生が御指摘いただきましたような状況でございます。また、共済制度につきましては、年金制度だけでなく医療・福祉事業も一体的に行っているということ、それから一元化の最終的な姿が現時点では必ずしも明確でないということもございまして、直ちに結論を出すということは困難な面もあるわけでございますが、文部省としては、この問題は当然重い問題だというふうに認識してございます。  平成八年三月八日の閣議決定におきましても、「私立学校教職員共済組合については、その成熟化進展等を踏まえつつ、財政再計算時ごとに将来の財政見通し等について分析を行い、被用者年金制度全体の中におけるそれぞれの制度の位置付けについて検討を行う。」というふうにされているわけでございます。私ども重い問題だという認識は持っておるわけでございます。
  73. 長谷川道郎

    長谷川道郎君 独自の自助努力により現在の優秀な成績を続けられているという話でありますが、先ほど申し上げましたように、私はいずれ極めて近い将来に運用が極めて困難な状況に陥る可能性が大であるというふうに思うわけであります。  先般統合されましたJRは、加入者と受給者の比率が一六〇%、旧国鉄は二人で三人の受給者を支えておる、厚生年金は今一七%で六人で一人の受給者を支える、私学共済は先ほど申し上げましたように九人で一人の受給者を支えるということなんですが、先ほど申し上げましたように少子化社会の波をもろに受けるわけです。  今、私学共済の成績が大変すばらしいというお話がありましたが、今後ともこのような状況が当分続けられる見通しでありましょうかどうか。
  74. 富岡賢治

    政府委員富岡賢治君) 現状につきましては今先生がお触れいただきましたようなことでございます。しかし、将来見通しということでございますけれども、前回の財政再計算時におきましては、他の年金制度共通の条件、例えば年金の運用利率を五・五%に置く、ベースアップ率を四%に置く、消費者物価上昇率を二%等に置くというような条件でやった場合の安定的な将来の見通しというようなものは立ったわけでございますが、先生案内のように、そのような条件が現在あるというわけでは必ずしもございません。それから一つ少子化という問題もございます。  ただ、それぞれの要因、例えば積立金の運用利率や消費者物価上昇率が、その後の経済情勢から現時点では必ずしも実情に沿っていないんですが、それが例えば平成六年のときの見積もりに比べまして下回るということになりますと年金財政にとって厳しい条件になるということでございますが、逆にベースアップ率や消費者物価上昇率がむしろその見通しを下回るということになりますと、年金財政の将来にとっては好ましい条件ということになるわけでございます。  ここら辺の将来見通しを行うに当たっては、さまざまな相関関係を慎重に見きわめて検討を行う必要があるわけでございますので、次期再計算時にはその点を非常に慎重に検討しなくちゃいかぬかと思っておりますが、御案内のように年金財政全体が非常に大きな課題を抱えているということから、当然私どももその問題とは直面していかなくちゃいかぬという認識を持っております。
  75. 長谷川道郎

    長谷川道郎君 将来の経済状況の推移により変動するというのは、それは当然の話でありますが、再三申し上げますが、いずれ極めて近い将来大変な事態になるというのはJR共済を見てもわかるわけであります。  先般の新聞の報道でありますが、私学共済理事長さんがこのようにおっしゃっておりました。二十一世紀は多様性の時代である、お互いに切磋琢磨する競争原理を導入しないで、何がなんでも統合するというのはおかしい、というふうに共済理事長さんがおっしゃっていたようでありますが、失礼ながら、いささか私は認識としては甘いなという感じがいたすわけであります。同様の言葉を農林中金の理事長さんもおっしゃっていましたが、農林中金は私学共済よりももっとはるかに早い時期に困難な状況に直面するのではないかというふうに思うわけであります。今直ちに私学共済年金一元化の中で議論されるかどうかわかりませんが、いずれ極めて近い将来そういう事態が私はあり得ると思うわけです。  JRのように将来の若い世代にツケを回さないためにも今この時点の決断が、判断が必要ではないかというふうに考えるわけでありますので、ぜひ積極的なお取り組みをお願い申し上げまして、質問を終わります。
  76. 清水嘉与子

    委員長(清水嘉与子君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  77. 清水嘉与子

    委員長(清水嘉与子君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
  78. 菅川健二

    菅川健二君 私は、平成会を代表して、本日議題となりました日本私立学校振興共済事業団法案について、反対の討論を行います。  平成会は、現在の特殊法人は全面的にゼロベースから見直すべきであり、既に役割を終えたもの等は廃止し、民間と競合するもの等は民営化すること。また、業務の性格上どうしても必要な特殊法人については一定期間に改めて見直しを行い、復活を考えるなどのサンセット方式をとることを原則として、抜本的な改革を推進しております。  この原則に基づき、類似の業務を行うものを統合することにより、組織、人員を簡素化し、経費の節減を図りつつ、より効率的な業務運営を行うこととなる場合には、これを容認することにやぶさかではありません。  ところで、平成会は、これからの日本の教育再建の方途は、私学教育の抜本的な振興、発展にあるとの文教政策の基本認識のもとに、今回対象となっている日本私学振興財団及び私立学校教職員共済組合が行っている私学の基盤整備と教職員初め私学関係者福利厚生事業役割の重要性については、他党や他会派にまさるとも劣らないと認識しており、今後ともこの充実に向けて最大限の努力をすることを明言するものです。  その上で、日本私学振興財団私立学校教職員共済組合統合といういわば水と油をまぜ合わせるがごとき本法案に反対するものです。  その第一の理由は、統合のねらい、目的行政改革という名に値しないということです。行政改革は、一定の政策目標に対し最も効率的な政策手段が用意されるべきであるが、両特殊法人目的業務は全く異質のものであり、この統合によりかえって政策目標はあいまいとなり、業務評価もおざなりとなり、責任体制も不明確となります。  第二に、統合による組織役職員効率化、経費の削減にほどんど効果が期待できず、単なる特殊法人の数合わせの手段として利用されたにすぎないと断ぜざるを得ません。  第三に、将来の行政改革を展望するとき、私学振興のあるべき姿とその具体的手段、組織に従事する職員福利厚生のあり方など、グローバルな観点からの視点が全く欠けており、今後の行政改革のあり方の進展により、再度見直されることが必須であり、今回の統合は拙速のそしりを免れません。  以上がこの法律案に反対する理由であります。
  79. 清水嘉与子

    委員長(清水嘉与子君) 他に御意見もなければ、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  80. 清水嘉与子

    委員長(清水嘉与子君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより採決に入ります。  日本私立学校振興共済事業団法案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  81. 清水嘉与子

    委員長(清水嘉与子君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  82. 清水嘉与子

    委員長(清水嘉与子君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時五十九分散会