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国務大臣(
小杉隆君) 先ほど学術国際
局長から答弁したとおり、グラフにいたしますと、ここ遠くて見えないかもしれませんが、
昭和五十八年から予想を上回る急ピッチの増加をしてきたのですが、
平成五年から少しこれが鈍化しまして、
平成七年にはついに目標を下回る、
平成八年も一万人以上予想を下回る、こういうことで、この趨勢が続きますと恐らく十万人計画は達成不可能と、こういう見通してございます。
これにはいろいろの原因がありますが、まず一つは
日本に対する魅力が失われたということではないかと思います。バブルのときまでは
日本の経済はもう非常に好調でして、
日本の先進技術を学ぼうあるいは
日本の経営を学ぼう、こういう学生がもうメジロ押しで来たわけですけれども、バブルの崩壊とともに
日本から学ぶべきものは少なくなった、こういうような一つの魅力の喪失ということが根本にあると思います。
もう少し具体的に言いますと、
生活上の問題と教育上の問題と二つに分けられると思います。
まず、
生活上の問題ですが、
日本で勉強すると大変
お金がかかると。最近、オーストラリアが留学生誘致
運動を活発にやっておりますが、外国の学生に聞きますと、オーストラリアで
生活するよりも
日本の
生活費は二倍かかる、こういうことをよく言われるわけです。これは宿舎の問題が一番大きいと思いますけれども、そういう
生活上の問題。
それからもう一つ、教育上の問題は、
日本へ留学をすると最初の一年間、二年間は
日本語の習得に時間をとられてしまって、それだけ
学校を出るのがおくれるというようなことで、そういう話学上の問題点。それから、
日本へ来ると学位がなかなか取れない、こういうような問題。さらに、
施設が非常にお粗末だ、留学生一人一人の
研究スペースなんかも諸外国に比べて劣ると、こういったようなことが理由でだんだん減ってきたと思います。
そこで、私ども、私が
文部大臣になりまして日下部
委員と同じ問題意識を持ちまして、これを何とか打開しなきゃいけない、こういうことから留学生政策懇談会というものを設けまして今協議をしていただいているんです。今当面
考えられることはやはり
生活上の問題、これは、
日本も今六大改革を進めているわけで、その中で高コスト構造の是正ということが入っておりますので、そういった面を通じてできるだけ
日本での
生活費がもっと安く済むようにということ、あるいは宿舎の問題にしても、もちろん
文部省として留学生会館とかその他
整備しておりますし、また各
団体もやっておりますし、また諸大学におきましても
学校の宿泊
施設を
充実させております。そういった努力を重ねていかなきゃいけないと思っております。
それから、教育上の問題にしても、
日本でも学位授与機構なんというのをつくったり、あるいは、やっぱり留学生が国へ帰ってこういう学位を取ってきたよと、こういうのが一つの大きなインセンティブになりますので、できる限り学位が取りやすいようなことも
考えていかなきゃいけないと思います。また、
施設の
充実につきましても、努力しているんですが、ぜひ文教
委員の皆様に国立大学その他の
施設を見ていただきたいんですが、建築してから二十年以上の老朽
施設が五〇%以上まだ残っていると、こんなことで非常にその
施設の
充実というのが急がれるわけでございます。
もう一つ、語学の問題ですが、例えば今度短期留学
制度というものを設けまして、一年間だけで向こうの大学に在学したまま
日本で勉強して帰ってこれるという
制度も導入しましたけれども、ここで問題になるのは、やっぱり一年間ですからそこで
日本語を勉強している暇がありませんので、できたら英語で授業を受けたいと、こういうことで今各大学でも一生懸命英語による講義というものをふやしていただいております。
今後どういう政策をとるべきか、今一生懸命さっき申し上げた懇談会等を通じまして我々としても一層この留学生を何とか増加するように各種の努力をしていきたいと思っておりますので、またひとつ各
委員のいろいろ提言などもいただければ大変ありがたいと思います。