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1997-03-27 第140回国会 参議院 農林水産委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成九年三月二十七日(木曜日)    午後一時三分開会     —————————————    委員異動  三月二十六日     辞任         補欠選任      川橋 幸子君     国井 正幸君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         真島 一男君     理 事                 浦田  勝君                 高木 正明君                 阿曽田 清君                 谷本  巍君                 一井 淳治君     委 員                 井上 吉夫君                 岩永 浩美君                 松村 龍二君                 三浦 一水君                 石井 一二君                 及川 順郎君                 高橋 令則君                 都築  譲君                 常田 享詳君                 村沢  牧君                 国井 正幸君                 須藤美也子君                 島袋 宗康君    国務大臣        農林水産大臣   藤本 孝雄君    政府委員        農林水産大臣官        房長       堤  英隆君        農林水産省経済        局長       熊澤 英昭君        農林水産省構造        改善局長     山本  徹君        農林水産省農産        園芸局長     高木  賢君        食糧庁長官    高木 勇樹君        林野庁長官    高橋  勲君        水産庁長官    嶌田 道夫君    事務局側        常任委員会専門        員        秋本 達徳君    説明員        農林水産大臣官        房審議官     竹中 美晴君        運輸省運輸政策        局観光部観光地        域振興課長    増井 健人君     —————————————   本日の会議に付した案件平成九年度一般会計予算内閣提出衆議院送  付)、平成九年度特別会計予算内閣提出、衆  議院送付)、平成九年度政府関係機関予算(内  閣提出、衆議院送付)について  (農林水産省所管及び農林漁業金融公庫)     —————————————
  2. 真島一男

    委員長真島一男君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  昨二十六日、川橋幸子君が委員を辞任され、その補欠として国井正幸君が選任されました。     —————————————
  3. 真島一男

    委員長真島一男君) 昨二十六日、予算委員会から、三月二十七日午後の半日間、平成九年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、農林水産省所管及び農林漁業金融公庫について審査の委嘱がありました。  この際、本件を議題といたします。  まず、藤本農林水産大臣から説明を求めます。藤本農林水産大臣
  4. 藤本孝雄

    国務大臣藤本孝雄君) 平成九年度農林水産予算概要を御説明申し上げます。  平成九年度一般会計予算における農林水産予算総額は、関係省庁計上分を含めて三兆五千九百二十二億円となっております。その内訳は、公共事業費が一兆九千六百四億円、非公共事業のうちの一般事業費が一兆三千六百二十七億円、主要食糧関係費が二千六百九十二億円であります。  以下、予算重点事項について御説明します。  第一は、ウルグアイ・ラウンド農業合意関連対策の着実な推進であります。  ウルグアイ・ラウンド農業合意後の新たな国際環境に対応し、農業の将来展望を切り開くこと等を目的とする同対策の三年目として、高生産性農業基盤整備等に要する経費として公共事業を六百億円、農地流動化対策新規就農対策等に要する経費として非公共事業を三百九十三億円、合計九百九十三億円を計上し、事業の着実な推進を図ります。  第二は、中長期的な食糧需給の動向にも対応し得る足腰の強い農業生産確立てあります。  経営感覚にすぐれた効率的かつ安定的な農業経営を実現するため、農地保有合理化法人が買い入れた農地長期貸し付け実施農業金融充実等により担い手経営基盤強化を図ります。また、農業機械の効率的な利用体制確立するとともに、担い手補完的農作業高齢農家農作業の受託を行うファームサービスグループを育成し、地域全体での役割分担に基づく生産性の高い営農体制を構築いたします。  また、市町村農協が設置する研修農場における技術研修等を通じて現場実践方式により新規就農者を育成するほか、農協等による農用地や施設貸し付け等を通じた畜産後継者就農支援を行います。また、農山漁村における女性と男性のパートナーシップを確立するために必要な経営知識技術を習得するための研修実施します。  さらに、環境保全に配慮した生産体制確立するため、土づくりを初めとする環境保全型農業推進するとともに、家畜排せつ物処理施設計画的な整備等により畜産環境対策充実します。  このほか、消費者ニーズに対応して高品質な農産物を安定的に供給する体制確立するため、主要作目生産流通対策強化します。特に、米については、需要流通多様化に対する産地の取り組みを強化するため、産地流通拠点整備します。また、国産野菜競争力強化するため、先導的施設園芸団地の育成やニンニク・ショウガ産地体質強化のほか、出荷規格簡素化等による低コスト・高鮮度流通促進原産地表示適正化を図ります。  また、飼料等生産資材を安定的かつ低コストで確保することを通じ、農業経営安定化を図ります。  第三は、活力にあふれた住みやすい農山漁村の創造であります。  各地域創意工夫を生かした美しい村づくり推進するため、市町村が策定する計画に基づいて、農業林業水産業関係の各事業を一体的かつ集中的に実施する美しい村づくり対策を創設します。  また、都市農村交流の多様な展開を図るため、文部省と連携し、山村地域子供たち学習情報を提供するとともに、都市子供たちとの交流の場を整備します。さらに、都市に比べて立ちおくれている農山漁村生活環境整備するため、関係省庁連携し、汚水処理施設計画的に整備するとともに、農村型CATV整備等により情報化を進めます。  第四は、食品流通消費対策充実であります。  食品産業振興を図るため、情報化推進による流通コスト低減等に取り組むこととし、生鮮食品等取引における電子化促進地域食品販売業者が共同で消費者との在宅取引を行うシステム開発等推進します。  また、衛生管理施設整備、厚生省との連携による病原性大腸菌汚染防除に関する研究実施消費者への情報提供体制確立等により食品品質安全性の確保を図ります。  第五は、農林水産分野における新技術、新分野創出等であります。  まず、産学官及び関係省庁連携のもとに、農林水産業及び関連産業構造改革を図り、二十一世紀における食糧安定供給等に資するための研究開発推進します。また、農林水産公共事業コスト低減に資する新技術開発普及等推進します。  さらに、世界の安定的な食糧供給の実現に向けた研究協力強化中心として、効率的かつ効果的な国際協力展開を図ります。  第六は、林業木材産業活性化と緑豊かな森林山村整備であります。  林野公共事業を再編するとともに、第二次森林整備事業計画及び第九次治山事業五カ年計画を策定し、各事業計画的な推進を図ります。  また、森林病害虫等防除制度を見直し、新たな松林保全対策推進するほか、合併促進等による森林組合経営基盤強化や、均質な製材品の大ロットでの供給を可能とする拠点的加工流通施設整備による木材安定供給体制確立を図ります。  さらに、国有林野事業については、一般会計からの繰り入れ等財政措置を講じ、経営改善推進するとともに、林政審議会における論議、検討を踏まえ、経営健全化のための抜本的改善策について、関係省庁の密接な連携のもとに政府一体となって検討、策定を行うこととしています。  第七は、新海洋秩序のもとにおける活力ある水産業漁村の形成であります。  漁獲可能量制度の円滑な定着を図るため、漁獲可能量協定に参加する漁業者等に対する長期低利資金融通等経営対策充実するとともに、実効ある協定の締結とあわせて減船実施する場合に高率の助成を実施します。  また、つくり育てる漁業を一層推進するほか、高性能の取り締まり船建造等により取り締まり体制充実します。  さらに、合併促進等により漁協の経営基盤強化するほか、産地における漁獲物の直接販売等供給体制強化等を通じ水産物の新たな供給システム開発を図ります。このほか、漁業生産基盤及び漁村生活環境整備実施します。  次に、特別会計について御説明します。  食糧管理特別会計におきましては、管理経費節減等に努めつつ、一般会計から調整勘定所要額繰り入れを行うとともに、その他の各特別会計についてもそれぞれ所要予算を計上しております。  最後に、財政投融資計画については、農林漁業金融公庫による資金運用部資金等借り入れ等総額六千二百四十一億円を予定しております。  これをもちまして、平成九年度農林水産予算概要説明を終わります。
  5. 真島一男

    委員長真島一男君) 以上で説明の聴取は終わりました。  これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  6. 松村龍二

    松村龍二君 自由民主党の松村であります。  三兆五千九百二十二億円の平成九年度の予算審査に当たりまして、幾つか御質問をしたいと思います。  その前にまず、先ほど、一月二日に島根県沖で沈没いたしましたロシア船籍タンカーナホトカ号がその場で五千キロリットルの重油を漏出いたしまして、後の調査によってさらに三千キロリットルの油が漏れておったということでございますけれども、御承知のとおり、折からの冬の日本海荒天によりまして、あれよあれよといううちに日本海を横切りまして、福井県の安島に船首部が漂着したことは皆様の記憶に新しいところでございます。そして、これが我が国漁業に対して大変なダメージをこの一月、二月と与えていたのであります。地方自治体、漁民、住民、ボランティア、海上保安庁、また海上自衛隊あるいは陸上自衛隊隊員等の献身的な努力ひしゃく作戦で大方回収したという状況でございます。  この間、漁業に対する被害は、岩ノリ、アワビ、サザエ、ワカメ等のいわゆる採貝藻漁業に対して一部致命的な打撃を与えた。また、折から日本海荒天の中で、操業の際には大量の収穫のありますカニ、甘エビ等に出漁ができないで油の回収に努めなければならないといった漁民に対する休業被害、あるいは定置網を畳んでしまうというようなことによります日本海沿岸、特に福井県を中心といたします漁民に対して大変な被害を与えたところでございます。マスコミの報道は、繰り返し繰り返し一番ひどい印象のところをテレビに乗せますので、国民全般に大変増幅したイメージを与えている面があろうかと思います。  そこで、水産庁長官にお伺いしたいわけでございますが、今振り返りまして、油の回収が一段落いたしました現時点におきまして全体を振り返り、今回の油の漁業に対して与えた損害はどうであったか。また、現時点において漁場漁業に対してどのような後遺症を残しているのか。科学調査船等は絶えず出して調査していると思いますが、意外にダメージが小さかったというふうにも評価できるのではないか。日本海の海あるいは漁に対して安全宣言といったようなものを出してもいいのではないかというふうにも思うわけでございますが、数量的に被害を出すということは大変困難のようでございますけれども、現時点におきましてこの漁業に対する被害についてどのように評価しているのか、お伺いします。
  7. 嶌田道夫

    政府委員嶌田道夫君) 今回のナホトカ号によります重油流出事故に伴います漁業被害現状でございますが、今、先生の方からもお話がございましたように、採貝藻漁業におきましては既に被害が生じておりますし、底びき網漁業などの漁船漁業におきましては操業海域に制約を受けたと。それから、一部の定置網漁業におきましては、油を避けるために網揚げが行われたというような事実がございます。また、その油処理のために休漁が生じたということでありますとか、また操業を再開する場合におきましても、油に汚れました漁船洗浄作業に日数を要したというようなそういう事実がございます。  このようにもう既に被害が判明しているものもございますけれども、今後操業が本格化いたします漁業種類も多うございます。そういうことで、現段階では漁業被害全容はまだ把握できていない状況でございます。  ただ、漁業被害を取りまとめております全漁連におきましても現在鋭意作業を進めているところでございまして、できるだけ早い段階実態把握できますように努めていきたいというふうに考えております。
  8. 松村龍二

    松村龍二君 最近もサヨリの漁が行われまして、このサヨリに対して何ら油の被害がなかったというような話も聞くわけでございます。事故後一カ月して船首部周り潜水夫が潜りますと、水は完全に澄んでいて、魚が船首部周りを泳いでいるといった話も聞いたことがありますし、この事故後、いわゆるカニ等について何ら油に関連した苦情は聞いていないといったような状況でございます。詳細の調査が必要かと思いますけれども、この被害の問題は、大変でなかったということになりますと今後の補償の問題に響きますし、大変であったということになりますと風評被害に結びつくということで、どちらとも言いにくい部分があろうかと思いますけれども、正しい姿を水産庁もよく見定めていただきまして、適切なPR等をお願いしたいと思います。  そこで、このたびの被害でございますけれども、海岸、漁港施設港湾施設等に漂着した油の除去、洗浄及び油の浸透した砂の置きかえ、あるいは漁場環境回復のための復旧対策、いろいろな面の復旧対策がございます。直接的にはノリ場再生、磯をつくる築磯、漁礁を設置する、水産資源状況調査をしっかり行う、このような復旧対策につきまして、水産庁といたしましてもしっかり取り組む計画をお持ちと思います。そして、この復旧対策とあわせて、何よりも直接漁場を奪われた海女さんが一番の典型でございますけれども、稼ぎどきに休業を余儀なくされた漁民、あるいは経営が困難となる零細漁民等、これに対する救済に農林省としても細心の配意をしていただくということが必要かと存ずる次第でございます。  復旧対策及び被害漁民に対する対策漁業被害に対する対策につきまして、農林水産大臣、どのように対応をしておられるのか、また今後の決意をお伺いしたいと思います。
  9. 藤本孝雄

    国務大臣藤本孝雄君) このたびの災害によりまして被害を受けました漁業者に対しましては、農林水産省といたしましてもできる限りの対策を講じる必要があろうと、そういうふうに考えております。  具体的な幾つかの点についてもお触れになったわけでございますが、この被害漁業者経営生活資金の問題がございまして、これはもう既に制度的な融資を活用いたしまして、そのような経営生活資金の円滑な融通が可能になるようにいたしております。  それから、先ほど長官から御答弁いたしましたように、漁業被害は、まだ漁業種類におきましてはこれから本格的な操業に入る漁業種類があるわけでございまして、まだ大分先になりませんと漁業被害の全体はなかなか把握できない、こういう状況でございます。この漁業被害実態把握漁連等を通じまして今集めておるところでございますけれども、そういう情報が集まり次第、これに対して適切な対策は立てなきゃならぬ、これはもう申し上げるまでもないことでございます。  それから、風評被害防止、また水産資源にどのような影響が及んでいるかということにつきましては、現在調査を行っているところでございまして、その報告も聞きまして、よく状況把握したいと思っております。  それから、私も現地へ参りまして、関係者皆様方から特に強く言われましたことは漁場再生漁港機能回復漁港再生、こういう点でございました。その点につきましては、これからそれぞれの地域の実情に対応いたしまして必要な、いろいろな制度があるわけでございますので、そういう制度を十分に活用して、それぞれの地域被害状況に応じた対策を講じていきたいと  いうふうに思っております。  それから、油防除に係ります経費につきましては、漁業者に対しましてその支払いが円滑に行われますように、国から海上災害防止センターに対しまして資金融通実施されております。この金は約九十億円でございまして、融資されましたこの九十億円を海上災害防止センターがこの油防除に係る経費として漁業者防除事業者等にお支払いをする、こういうことで三月三十一日には一部この海上災害防止センターから仮払いがされると、そういうふうに聞いております。  それから、補償問題でございます。これも民事上の問題でございますけれども、農林水産省といたしましては、関係省庁連携をしながらこの補償が円滑に実施されますように今努力をしておる、そういうところでございます。
  10. 松村龍二

    松村龍二君 ぜひよろしくお願いします。  せっかく運輸省に来ていただいておりますので、漁業被害とあわせて、このたび観光業に対する被害が大変大きかったということでございます。売り上げ減少あるいは予約が思うように入ってこないといった被害であったかと思いますけれども、その被害状況をどのように掌握しておられるか、また観光振興策を今後どのように計画しておられるのか、お伺いします。
  11. 増井健人

    説明員増井健人君) 観光関係被害につきましては政府として把握に努めているところでございますが、被害全容現時点では把握するには至っておりませんけれども、運輸省が関係いたします宿泊団体などからヒアリングしておりますところでは、宿泊施設予約キャンセルなどが生じまして、一部地域宿泊施設について相当程度の減収が見込まれるものもあったということを承知しております。最近の状況といたしましては、キャンセル自体につきましてはなくなりつつありますけれども、夏場のシーズンに向けて予約の入りが懸念されている状況と承っております。  こうした状況から、被害地域観光地振興につきましては今後の需要回復促進が図られることが何よりも重要でございまして、地元関係者によるキャンペーン等需要回復促進のための方策などにつきまして、旅行業界などとも連携しながら協力していくことが必要と考えております。このため、運輸省関係地域観光関係者で構成しました流出事故関係地域観光事業連絡協議会を三月十九日に設置いたしまして、同日第一回会合を開催いたしまして、各シーズンなどに向けまして情報交換等により連携を密にし、キャンペーン展開等につきまして関係者が協力することとしている次第でございます。
  12. 松村龍二

    松村龍二君 それから、これは要望だけいたしておきますけれども、私、過般、造船会社に勤めておりましたある友人に会いましたところ、やはりイギリス等では北海油田の採取をやっておりますので、絶えず事故が起きるということで油回収船が発達しておると、そういうようなものについて日本造船会社にもかなり昔から売り込みに来ておったというふうな話を聞いたところでございます。日本海におきます油回収船の配置あるいは回収船の採用ということについて、さき衆議院委員会でも話題になっておったようでございますが、ぜひ前向きに御検討いただきたいというふうに思います。  次に、米を初めといたします基本的な問題についてお聞きいたします。  昨年、食糧サミット世界の国々が集まりまして、二十一世紀に入っての食糧危機克服を初めいろいろの問題が討議、討論されまして、大臣も御出席になったわけでございます。日本からは、家族によって支えられる各国の農業重要性、また農業の持つ多面的機能の本質を強調し、能率的に食糧生産するという自由化論者ケアンズ諸国を一本やり込めたというか、日本の主張を鋭くお話しされたということを伺っておるわけでございます。二十一世紀食糧危機克服、あるいは四二%に落ち込んだ我が国食糧自給率、五百万ヘクタールを割ってなお減少を続ける我が国農地現状高齢化が進み後継者問題が重要となっております担い手問題、依然として戦後の米一本やりで進んできた日本農政がうまく転換できないでいるといった、これらのいろいろな諸問題があると思います。  農業基本法を見直すということが言われて、これがすべての救い主であるかのような話もあるわけでございますけれども、農業基本法見直しポイントは何か、お伺いします。
  13. 堤英隆

    政府委員堤英隆君) 農業基本法につきましては三十六年に制定されましてちょうど三十六年間経過いたしております。その間、やはり御案内のように農業農村は大きく変わってきておりますし、それから国際化の進展も非常に著しいものがございます。そういう中で、やはり二十一世紀に通用する新しい食料農業農村につきましての考え方を整理して、その整理の結果として新しい食料農業農村基本法みたいなものをつくるべきだという御指摘も大変強くなっているというふうに認識をいたしております。  そういう中で、私どもとしましては、来月から新しい食料農業農村調査会というものを発足させまして、国民各界各層方々の御参加をいただきまして幅広い議論をしていただきたいということで現在準備を進めているところでございます。  そういう中で、今御指摘のように、世界食糧需給の問題でありますとか担い手の問題、それから我が国食糧自給率の問題等々、たくさんの課題がございますが、そういう状況でございますので、この基本法検討に当たりましても、一つにはやはり世界食糧需給が非常に不安定な中で国民に対します食糧安定供給をどういう形で図っていくのかということが一つポイントになろうかと思います。それから二つ目には、生産者方々に対しますさまざまな対策ということと同時に、それを消費していただきます消費者視点といいますか、そういう視点をどういうふうにこの中に盛り込んでいくのか。それから三番目には、今おっしゃいましたように、生産性の向上、コストダウンということはこれからも重要でございますけれども、農業農村が持っております多面的な機能というものをどういうふうに評価してこれを農業農政の中に位置づけていくかといったことも非常に重要というふうに思っています。さらに中山間地域対策といった地域対策といいますか、そういう視点もこの中に入れていきたい。  そんなことで、幅広い御議論国民の間にちょうだいいたしたいというふうに思っております。
  14. 松村龍二

    松村龍二君 次に、ウルグアイ・ラウンド対策費についてお伺いします。  さき井上吉夫先生予算委員会におきましてこのウルグアイ・ラウンド交渉のときのいきさつについてただされまして、日本が米についてミニマムアクセスをのむという保証として六兆百億円のUR対策費政府に認めさせ、六年間に足腰の強い日本農業をつくるということで、このUR対策費重要性といいますか、必然性について御質問があったわけでございます。  しかし、御承知のように、今、日本は大変な国債の累積残高あるいは地方債の膨大な累積というようなことで、財政再建に聖域なしというようなことも言われておりまして、見直しが求められているのも事実でございます。今ちょうど三年たちましたところで、いずれにせよこの六兆百億円のUR対策費を有効に使う、また農民の多くの方がこれによって足腰が強くなったという自覚を持っていただくということが大変に必要かと思うわけでございます。  実は私、福井県出身でございまして、福井県は第二種兼業農家が非常に多い米づくりのところでございます。このUR対策費が、認定農業者を育てて圃場を大きくし、大規模水田担い手農家の規模拡大ということに中心を置いているために、私のところのような県ですと農地の相続の際に税制優遇がございますので、簡単に農地が流動化できないといった問題、あるいは認定農業者が入らない受託組織がこのウルグアイ・ラウンド対策の対象にならないといったことから、どうも十分にウルグアイ・ラウンド対策の恩恵にあずかれない構造的な仕組みがあるのではないかというふうに思うわけです。  それから、御承知のとおり、北陸は雪国でございまして、しかし雪国と申しましても最近は雪が少なくて、私の豪雪地帯ですけれども、ことしは一度も屋根の雪おろしをしないで済んだといったように、雪が非常に軽い年も最近多いわけでございます。しかし、ハウス等をつくりますと、九州等では、せっかくつくったハウスにたまにどか雪が来てハウスがつぶれるといったことからハウスを強化するといった必要が出るかと思いますけれども、私のようなところでは最初からあきらめてしまってハウスをそもそもつくらない。毎週東京と地元を往復するにつけましても、本当に表日本に出てまいりますとハウスがそろっている、北陸の方へ行きますとハウスがないというような歴然とした差を見るわけでございます。  このようなハウスに対しても、強化した高強度のハウス等に対して支援策をUR対策費等でやりますならば、また園芸作物に挑戦した新たな農業展開されるのではないか。まさにそのことがUR対策費にふさわしい事業ではないかというふうにも思うわけでございますが、このようなきめの細かい見直しについても十分に配意をしていただきたいというふうに思うわけです。
  15. 山本徹

    政府委員(山本徹君) 先生ただいま福井県の農業の実情として第二種兼業農家が大変多いという御紹介がございました。私どもは、こういった地域についても農地の利用集積が進み農業生産の高度化が図られるように、現在実施しております農用地の利用集積のための助成制度におきましても、平成九年度予算案におきまして、この促進費の交付対象先として兼業農家から成る農作業の受託組織についてもこれを交付対象として新しく追加させていただくことにしたところでございます。
  16. 高木賢

    政府委員高木賢君) 農業用機械・施設整備につきましては、一般的に地域農業生産体質強化とか農業経営の改善を図る上で重要でございますが、一方では、限られた財政事情のもとでどのように効果的に施策を推進していくかということを考える必要があると思っております。  そこで、補助対象につきましては、先駆性のあるもの、モデル性の高い機械・施設ということで整理をいたしまして、その他のものは無利子の農業改良資金なり、あるいは中山間地域であれば特定地域新部門導入資金なりの御活用ということで整理をしているわけでございます。  このうち、園芸ハウスにつきましては、石油代替エネルギー利用型の共同利用温室、それから育苗用の共同利用温室を補助対象としております。この場合には、温室の構造は積雪量に耐えられる強度計算がなされたものが対象ということにしております。その他のものは無利子の融資あるいは農林漁業金融公庫の融資というようなことで整理をしておるわけでございます。
  17. 松村龍二

    松村龍二君 それでは最後に、一番大事な質問をひとつ大臣にお伺いします。  私どもの県は生産調整が全国でも少ない方でございまして、大変ありがたいと、それだけに米どころ、米しかとれないといったところでございます。しかし、農民にとりまして、四十万トンから将来は八十万トン近いミニマムアクセス米を輸入しながら生産調整をする、しかも米余りで米価が安くなっていくということは、頭では理解できても体ではどうしても理解できない大きな矛盾であるということでございます。  三年後のWTO交渉で、米問題について農民はどうなるのであろうかというような不安を持っておるわけでございますが、大臣のこの問題についての御所見、御決意をお伺いさせていただきたいと思います。
  18. 藤本孝雄

    国務大臣藤本孝雄君) 委員承知のように、米につきましては関税化を行わずに輸入数量制限と国家貿易を維持したところでございまして、これによりましてミニマムアクセスを超える輸入は回避できたと、こういうことでございます。国内産米と輸入米を通じました全体的な数量調整がこの結果、可能になっております。全体の数量とミニマムアクセスによって入ってくる数量がはっきりいたしますので、そういうことによって全体的な数量調整が可能になったと、こういうことで、我々はそういう点では評価ができることだと思っております。  それから、御質問の米の関税化の特例措置、この七年目以降の取り扱いでございますけれども、これは六年目の交渉で決定されることになるわけでございます。その際には、主食である米の安定供給を図るという観点に立ちまして、大事なことは、我が国における農業重要性や特例措置の継続に伴う代償、そういう問題を総合的に検討いたしましてこの問題の決定をすることになろうと、そういうふうに思っております。
  19. 都築譲

    ○都築譲君 平成九年度の予算案に関連して、幾つ政府の見解をお伺いいたしたいと思います。  まず第一点は、同僚議員からも質問がございましたウルグアイ・ラウンド合意関連の問題でございます。  平成九年度の先ほどの大臣の御説明を聞いておりましても、まず第一にやはりウルグァイ・ラウンド農業合意関連対策といったものが出てくるわけでございまして、これに対してどういうふうな状況に今なっておるのか。本当に二〇〇一年以降に向けて着実な農業基盤の整備とか、あるいは合理化対策とか生産性強化とか、こういった問題が行われているのかどうか。  新聞報道などを見ますと、このウルグアイ・ラウンド対策予算の中でも幾つか項目がありますけれども、特に公共事業関連のところは随分進捗をしておると。そんな中で、例えば農村生産基盤整備ということで新聞などで非難が出ておりましたのは、例えば温泉施設とかあるいは福祉施設とか、こんなものをつくっておって果たして本当に農業生産性向上に結びつくのかと、こんな指摘もあったわけでございますから、まず初めにウルグアイ・ラウンド対策関連予算、現在までの各事業項目ごとの執行状況、これを事業規模ベース、それから予算執行額ベースで御説明をしていただきたいと思います。
  20. 堤英隆

    政府委員堤英隆君) ウルグアイ・ラウンド農業合意関連対策の九年度当初予算までの累積予算措置状況で御説明いたしますと、全体で一兆五千五百二十五億円でございます。内訳といたしましては、公共事業が一兆四百億円、それから農業構造改善事業等が二千七百四億円でございます。それから、農地流動化対策等その他いろいろな事業をひっくくっておりますが、非公共事業が千八百二十八億円でございます。それから、融資事業が五百九十三億円というふうになっておりまして、この結果、総事業費ベースで見ますというと三兆三千七百億円ということで、大体五六%が予算措置されたということでございます。
  21. 都築譲

    ○都築譲君 今のお話を伺っていると、五〇%以上もう既に予算的には措置をしていると、こういうことでございますけれども、その内訳をもう少し詳しく見てみる必要があると思うんです。  構造改善対策とかあるいは農地流動化対策とかいろいろ言われておりますけれども、例えば私自身も何度かこの委員会質問させていただいて、農協合併促進の問題とか、さらに新規就農促進といいますか、そういったいわゆる農業基盤を支える若い方たちが力強い農業をどうつくり上げていくのか、そういった点が非常に重要じゃないかということを前々から御指摘したわけです。  私が持っておる資料ですと、例えば新規就農対策については六年間の総貸付額が多分百九十四億円ということになるんだろうと、こう思います。ただ、七年度末までの例えば貸付額、聞いているところですと七億円ということですから、わずか三・六%しか実は実施していないのではないかと、こんな状況になるわけですね。データがちょっと古いのであれでございますけれども、そういった問題。  あるいは中山間地対策といったものもこれから非常に重要な問題であるわけでございまして、こういった問題については非常に執行率が低いというふうな話を聞いておるわけでございます。ここら辺についてどういう状況になっているか、そしてまたなぜそのように低い状況なのか、それから今後はどういうふうに対応されていくお考えなのか、その点をちょっとお聞かせください。
  22. 高木賢

    政府委員高木賢君) まず初めに、就農支援資金状況についてでございます。  これは今、先生指摘ありましたように、総貸付枠百九十四億円を予定いたしております。お話のありましたように、七年度までが約七億円ということでございますが、その後、八年度に入りまして急速に貸付額が伸びておりまして、九年の一月現在でそれに九億弱足されまして、合計が十五億二千万円というのがことしの一月までの実績でございます。前年同期比から見ますと、九年の一月までの十カ月間というものは大体約三倍ぐらいに伸びておるという状況でございます。  しからば、最初なぜこういうふうに出おくれたのかということでございますが、これは貸し付け主体となります、また各県の新規就農促進のための拠点といたしまして青年農業者育成センターというものを各県に一つずつつくっていただくということにしておったわけですけれども、これの設立手続が予想外に手間取ったということとか、あるいは新しく就農を希望される方々への資金の周知徹底というものが十分浸透していなかったというようなことがあったと思っております。  しかしながら、先ほども申し上げましたが、最近になりまして制度が浸透、定着すると、それから各県のそういう貸付体制整備されるということから、このところ前年度の三倍程度の伸びと、貸付額という実績が上がっております。さらにこのPRに努めるとともに、普及センターとか関係する機関挙げて取り組むということ、さらには各県に大体一つずつあります農業大学校とか、それから昨年から始めました都会におきます就農準備校、こういったものへもPRの範囲を広げまして大いにこれを努めたいと。その結果、資金が出るということだけでなくて、新規就農者そのものも、各県からの聞き取り調査によりますと、昨年を上回りまして伸びているという実績が上がっているものと思っております。  それから、中山間地域のうち特定地域に対します新部門導入資金でございます。これも今お話がありましたように、全体としては三百十八億円の貸付枠でありますが、ことし二月まで、これは一月進んでおりますが、二十八億円ということで下回っております。しかし、これも制度の普及、浸透につれまして貸付件数、金額というものも伸びておりまして、昨年の同期に比べますと一・六倍という伸びになっております。これもやはり立ち上がりが残念ながらおくれたということで、農業者への周知がなお十分でないとか、それからこれもやはり新しく中山間地域で取り組むと、こういうことでございますから、普及、指導との連携というのが非常に重要なポイントになるわけでございますが、この連携体制が不十分であったというようなことがこれまでの反省点でございます。  そこで、今後は、優良事例集、実は先般もつくりまして、写真入りのもので経営の分析などもいたしたものでございますが、その効果なりをPRする文書もつくりまして、それを配布する。それから各地の農業者、それから農協とか市町村とか、一層その徹底を図るということとか、内容的に見ましても、PRの一環にもなりますけれども、もっと弾力的に取り組めるように、貸付対象も都道府県知事の特認というものを大幅に広げて、各地の実情に合った貸付対象になるようにということで進めております。  また、普及との関連が非常に重要でございます。普及組織等が協力いたしまして、個別の農業者ごとに密着した技術指導、経営指導、こういったもののフォローアップの充実をいたしまして、さらに積極的に中山間地域の新しい部門の導入が進むようにということでこれから努めてまいりたいと思っております。
  23. 都築譲

    ○都築譲君 非常に御努力いただいていることには敬意を表したいんですが、今、局長さんが言われたお話の中で中山間地の関係ですが、確かにその部分は伸びていると思うんですが、例えば中山間地対策ということで幾つかの項目が具体的にありますね。その中で、例えば中山間農地保全対策事業ということでは六年間で七百七十四億円を積んでいると思うんですが、このうち七年度末の執行事業費ということでは一千百万円という状況で、わずか〇・〇二%という状況になっておりますし、それから新規作物の導入という点についても二・七%、そんな状況でございます。  それから、農林漁業金融公庫の融資の中で、全体として一千七百億円のうち二百五十八億円というのが七年度末までの状況というふうに聞いております。ただ一つ進んでいるのは中山間・都市交流拠点整備事業ということで、これは三十三億円を積んでいるうち十二億円、約三六%を超えているという状況になっているわけですし、かなり開きがある。  箱物をつくるとか、あるいは社会資本整備みたいな形のものはうまくいくんですけれども、実際の本当に経営基盤強化するとか、あるいは転換を促進していくとか、そういった生産基盤を強化する部分についてはなかなかうまくいっていないのではないのかなという思いがしてならないわけです。だから、一生懸命御努力いただくのはいいんですけれども、もう少し視点を変えた取り組みというか、そういったものも必要になってきているのではないのか。  というのは、先ほど申し上げたように、二〇〇一年以降といったものを目指しますと、もうあとわずか四年もないというような状況になってきてしまうわけですから、そこら辺のところはもう一度御見解を伺いたいと思います。
  24. 山本徹

    政府委員(山本徹君) ただいま先生指摘いただきましたように、いわゆるハードの農業農村整備事業山村振興対策事業の中における中山間の対策、これは大変需要も多く順調に事業が進捗いたしておりまして、農業生産の高度化や、また立ちおくれた農村生活環境整備、また都市農村交流事業等を通じた多面的な所得機会の確保、向上に役立っているわけでございますけれども、今御指摘の中山間農地保全対策事業というソフトの事業、これは管理耕作に要する借入金について無利子資金を提供する事業でございますが、大変利用率が低うございます。  この理由は、交付先が農地保有合理化法人に限られている、また中山間の農地保全の手法が管理耕作だけに対して無利子資金を提供するという、事業使途が限定されているといった理由によるものでございます。  そこで、平成九年度の予算案におきましては、交付先を市町村農業公社も新しくこれに加えるとともに、借入金の対象といたしまして農作業の請負、さらに管理耕作や農作業の請負に必要となる機械の購入に必要な資金、これも新しく無利子資金の対象とすることにいたしました。これによって、この資金を中山間地域農地保全あるいは農地の高度利用のために有効に活用していただこうと考えております。  こういった改善措置を講じたということも含めて、特にソフトの中山間地域対策の内容のさらに現地、市町村段階、中山間地域皆様方への普及、周知徹底に努力いたしまして、これらを十分活用していただいて、体質の強い農業農村をつくり上げていくために御活用いただくことを期待いたしております。
  25. 藤本孝雄

    国務大臣藤本孝雄君) 今、委員が御指摘になられましたハードの面、施設に比べてソフトの面がどうもおくれているのではないかと。我々、省内で議論をいたしておりまして、そういうことにつきましては十分今問題意識を持っております。  その原因につきましてもいろいろ議論をしておりまして、一つにはPR不足もあると思いますし、またもう一つにはなかなかこのハードルが高いということもあろうかと思いますので、そういう点については十分問題意識を持ちながら、この点について改善できるように考えていきたいというふうに思っております。
  26. 都築譲

    ○都築譲君 今もう大臣から御答弁をいただいてしまって、あと実はそのハードの面の問題で、公共事業とか農業構造改善事業の関係で、先ほども例として挙げましたけれども、温泉施設とかあるいは集会所とか、そういった問題についての予算についてはいろいろマスコミからも批判をされていると。片や、また農家が自己負担を敬遠してなかなかやれないのに無理やり事業だけ執行していくというふうなお話も聞いているわけでございますから、ぜひそこら辺のところをしっかりともう一度とらえていただいて、何らかのお取り組みを積極的にお願いをしたいと、こう思います。大臣のお考えについてはまた後ほどお伺いすることをちょっとお断りをしておきたいと思います。  それで、もう一つ、ウルグアイ・ラウンド対策とも大きく関連しますが、基本的にはやはり日本農業をどういうふうにとらえ、そしてまた農村のあり方をどうとらえ、そしてまたいわゆる食糧の安定的な供給といったものをどう考えるか、こういうことになるわけでございまして、先ほど同僚議員の方からも、今新しい基本法を検討しているというふうなことで、さらに四月からは調査会で四つばかりの視点を挙げておられました。世界食糧需給状況とか、あるいは生産者だけではなく消費者視点とか、あるいはコストダウンと、農業農村の果たす機能、こういったものを十分考える、それから、中山間地域を含めた地域対策、こういった四点を挙げておられました。  この新しい調査会は今後はどのようなスケジュールで進められるお考えなのか、それから委員の人選についても、聞くところによると委員長の名前が新聞か何かにもう出ておりましたけれども、先ほどは幅広く国民議論を得たいと、こういうふうなお話でしたから、どんな段取りで進めておられるのか、まだ言えないところがあれば結構でございますけれども、言える範囲でお答えをいただきたいと思います。
  27. 堤英隆

    政府委員堤英隆君) 来月の四月から発足を予定いたしております食料農業農村に関します基本的な調査会、今御指摘のように幅広い御議論をいただきたいと思っておるわけでございますが、これにつきましてはいつまでも議論を重ねるということはなじまないということで、二年間の時限措置という形で対応いたしております。  したがいまして、遅くとも二年後には調査会としての御答申をいただくということが基本でございますが、ただ、この問題は非常に急がれている問題でもございます。国際化の進展等々が非常に目まぐるしく変わっておりますので、そういう中で急がれておりますので、私どもとしましては、四月に発足した後でできましたら年内ぐらいに中間報告といいますか、基本的な考え方みたいな形でお取りまとめをいただけないかなと。そういう中で国民各界各層の合意といいますか、そういうものができますれば、来年の通常国会にも必要な法案をお出ししていきたい。さらにその後検討を深めていただきまして、来年の秋といいますか、夏といいますか、そのぐらいでまた最終的な御答申をいただければ、それを踏まえましてちょうど二年後の通常国会に関係の法律をお出ししていきたい、こういうスケジュールで私どもとしましては鋭意検討を進めさせていただきたいというふうに考えております。  それから、人選のお話がございましたけれども、これは四月の発足に向けまして人選も含めまして諸事現在準備を進めております。したがいまして、人選なり会長さんがという一部新聞等載っておりますけれども、その点も含めましてすべて現在政府部内で準備作業を進めているということで御理解をいただきたいと思います。
  28. 都築譲

    ○都築譲君 今、中間報告を年内に取りまとめたいということでございますけれども、こういった本当に重要な審議会と申しますか、調査会でございますから、この問題自身も本当に国民の生活にかかわる問題ですし、それから農業者の立場にもかかわる問題でもあるわけでございまして、ぜひ積極的な情報公開、今いろんなところで言われておりますけれども、国民のやはり関心を呼び、そしてまた理解を求めていくことが非常に重要なわけでございます。中間報告については国会を初めいろんなところに御報告いただけるだろうと思いますけれども、時宜時宜に応じて積極的な情報公開と申しますか、国民の理解と関心を得るような御努力をぜひいただきたいと思いますが、いかがでございましょうか。
  29. 藤本孝雄

    国務大臣藤本孝雄君) 委員指摘のとおりでございまして、農業問題につきましては基本的に国民皆様方の御理解と御協力というものが必要でございます。そういう観点からいたしますと、今この国会におきまして審議状況などについて報告をすべきではないか、こういう御指摘でございまして、私どももそのような御要望がございました節には誠実に対応させていただきたい、かように考えております。
  30. 都築譲

    ○都築譲君 今の時点で御要望を申し上げておきますので、ぜひよろしくお取り計らいを願いたいと、このように思います。  そして、次の問題は米の減反の問題でございます。  先日、日経新聞に三月二十日付でございますけれども、減反政策の問題について都道府県知事のアンケートを行った結果が実は出ております。その大半の都道府県知事が減反政策についての見直しを求めるというふうなことで回答しておるわけでございまして、いろんなところから自治体の農水省の政策に対する反発といったものが聞こえてきておるわけでございます。こういった問題についてどのように対応されようとしておるのか、御見解をお伺いしたいと思います。
  31. 藤本孝雄

    国務大臣藤本孝雄君) 私もこの新聞報道を見ました。そのアンケートの調査結果の概要でございますけれども、この項目につきまして、「過剰米の増加で減反強化の可能性も高いとされるが、国の減反制度をどう考えるか」で、「これ以上の減反強化は無理」と答えた知事が四十七のうち四十三であった、こういうことでございまして、減反制度に対して反対と、こういう回答ではなかったように理解をしております。それから、九八年度の減反事務について無回答、それから未定の都道府県は三県でございまして、それ以外は減反事務については従来どおり実施をする、このようなアンケートの結果であったと思います。  この減反の問題は、これはもう委員承知のように、需要供給の関係がございまして、供給力が千三百五十万トンもある、需給ギャップが三百万トンもある、こういう現状からいたしますと、価格の安定と需給の安定を図るためにはどうしても必要な量を生産すると、こういう仕組みをつくらなきゃならぬわけでございます。そのために農水省としては数量を決めまして、それを都道府県に割り当てをして、これはやはり全国で減反という問題に取り組んでもらわなければ効果は上がらないわけでございますから、都道府県にそれを通知して、都道府県はまた市町村に通知をしてその内容で減反を行う、こういう仕掛けになっておるわけでございます。  一般生産者の側からいたしますと、減反という問題は非常につらい話でございますけれども、しかしそれをやらなければ最近の事情をごらんいただいてもおわかりのように、余りぎみになりますと自主流通米の価格が下がってくる、こういうことからいたしまして米が余れば生産者米価は下がる、それは自分たちの収入に響く。今の米の流通の主体は自主流通米でございますから、これは直接自分たちにはね返ってくる。ですから、つらい話だけれども、どうしても生産者米価の維持といいますか、この安定のために減反には協力しなきゃならぬと、こういうことで役場の皆さんも苦しい、つらい仕事でございますけれども、懸命に努力をしておるということが実態でございます。  そういう努力の結果として、全国、この減反の政策といいますか、減反が行われているということが今の現状でございます。このやり方については、平成八年度、九年度、十年度、一応三カ年やっていこうと、そういう考え方のもとに今取り組んでおる次第でございまして、この問題は生産者消費者、両方にとって必要なことだと、こういう認識のもとに進めておるわけでございます。大半の知事の皆さんも御理解いただけておると、かように承知をいたしております。
  32. 都築譲

    ○都築譲君 大臣の御説明は大変説得力があって、そのままお聞きすると、ふんふんと、こう思ってしまうんですが、それでは国会議員の役目は務まりませんので、ちょっとまた幾つか反論させていただきたいんです。  確かに、三百万トンの需給ギャップがある状況の中でこれ以上またつくり続けてどうなるんだという問題はあるし、つくればつくるほどまた自主流通米の価格がどんどん下落するということで逆にまた自分の首を絞めてしまうのではないかと、こういう問題がやっぱりあるんですね。だから、その問題は私も認識をしているんですが、ただ、だからといってこの状況をそのまま続けていっていいのかと。  確かに、八、九、十の三カ年間やったわけですから、初年がこうだったからすぐやり直すというのでは、これまた朝令暮改の非難を受けかねないような問題にもなってまいります。ただ、そうはいっても、新しい食糧需給法を成立させてスタートさせていったわけで、その基本的な方向はやはり強制から選択へというか、あるいは自主性の尊重というか、そういった方向に向かって経営基盤の強い農家あるいは農業法人といったところに集積をしていって効率化を進めていこうということをやっているわけですが、現実に今、大臣がおっしゃっておられるのは、相変わらずその状況をまた低い生産性のまま残し続けることになってしまうのではないのかなという気がするわけです。  特に、減反ということで私が一言申し上げたいのは、私も新幹線でしょっちゅう往復をしておりますので、電車から見ると工業地帯が結構多いわけですけれども、それでも三河平野とかそういったところはまだ立派な稲穂が秋になると立つわけです。ただ、私が小学校、中学校あるいは高校のときに見た稲穂と全然その姿形が違うんです。というのは、秋になるとやはり台風がよく来ますから、昔は大きな田んぼの真ん中あたりがばたっと全部倒れているんです。ところが、今もうびっしりと本当にすき間もないぐらい稲穂が生えそろっているわけです。ということはどういうことか。結局、品種改良とかそういうことで稲の品質が物すごくよくなった、こういったところもあるでしょう。ただ、昔と比べたら手植えから機械植えになってもっとびっしり埋まっているんです。それは、減反した分をさらにその限られた中で生産性を上げるということでやっておられるんだろうと思うんです。  だから、そういうことをやっていたら、幾ら作付面積を削っていっても、昔の作付面積あるいはその反当たりの収量とか、こういったものと比べ物にならないぐらい上がってきちゃっているから、そういった問題も実は、抜け駆けというか、こういう言葉は悪いのかもしれませんけれども、一つ減反を回避する手段としてある。それがまたさらにたくさんの収量を出しているから、いろんなところでまた問題が起こってきているんじゃないか、こんなふうに思うわけです。私自身、そういったところは、それこそ農家の自主努力一つのあり方ですから、それを別にどうこう言うつもりはありません。それで生産性が上がって限られた面積の中で限られた労働時間で、前よりもはるかに少ない労働時間でそれだけのお米ができるということであればそれは非常に結構なことだ、このように思うわけです。  ただ問題は、先ほどもウルグアイ・ラウンド対策関連のところで申し上げましたけれども、実は農地の基盤整備、圃場整備、こういうことをやっておられますけれども、そういったところにお金をどっとつぎ込んで、その執行率も非常に高い状況の中で、そこのところがまた減反をしていくという形で、せっかく整備をしていい土を入れてどうのこうのと、こういう状況になっても、使われないんだったらこれまた税金のむだ遣いになってしまうのではないのか、こんな思いもするわけです。  今の最後の点、基盤整備を進めておきながら減反政策をとるということは、これはどこかで矛盾をしているのではないかというふうに思うんですが、その点についてはいかがでしょうか。
  33. 山本徹

    政府委員(山本徹君) 区画整理やかんがい排水事業等の基盤整備は、これは農地を高度に効率的に使っていただくことを目的とした事業でございまして、生産調整はお米が需要に見合った限度で生産されるというための事業でございます。  基盤整備事業は、大きく言いまして二つ目的がございます。お米やその他の作物の生産性の高い農業の実現を図るということ、このためには大区画化等を進めるわけでございます。もう一つは、用排水路の整備を行いまして、水田についても湿田の面積がまだ相当ございますけれども、この湿田の状態を改良いたしまして、稲作以外の果樹、花、野菜あるいは麦、大豆、飼料作物といったような、自給率が低いあるいは需要の強い作物の生産振興を図っていく場として水田を多面的に活用していただくというための事業でございます。  この二つの事業を目的といたしておりまして、現に湿田、すなわち稲作にしか使えない水田の面積は、昭和四十九年には水田の約六割ございましたけれども、平成四年には二六%、四分の一程度に減少して、四分の三は稲作以外に御活用いただける水田となっているわけでございます。  私どもは、この農業基盤整備事業をこれからも推進いたしまして、農地が狭い、したがって農地を高度に利用しながら自給率を維持確保するというのが農政の大きな課題でございますけれども、このために農地の大区画化や、また水田の汎用化等の農地の多面的な農業生産の場としての条件整備にこれからも努力してまいりたいと考えております。
  34. 都築譲

    ○都築譲君 今のお話を聞いておりまして、ぜひまたそういう方向でしっかりと対応を進めていただきたい、こう思うわけです。  それでもう一つ、今のお話の中で関連してまいりますのは、そういった形で作物の多様化とかあるいは水田の汎用化というふうなお話があったわけでございます。そういった農地あるいは水田といったものを、やはり先ほどのウルグアイ・ラウンド対策と関連を当然するわけですけれども、農地の流動化を促すための融資制度、これについても実は執行状況は二千二百二十七億円のうち七年度末の執行事業費は二百二億円ということで、これまた九・一%というふうに低い状況になっておるわけでございます。そういった農地の流動化を促していくための融資制度とかあるいは先ほどの新規就農支援策とかあるいは相続税対策、こういった優先度の高い分野が実は余り前進していないんじゃないのか。  だから、生産基盤の強化とかあるいは力強い農家の育成ということを言いながら、一番優先度の高いところがなかなか進展をしていないような状況があるのではないのか、こういうふうに思うわけでございます。先ほどの減反政策の問題とも絡めて、今の減反政策を本当にそのまま続けるのか、あるいはもっと優先度の高い政策の方へ目を向けて、そして農業戦略をつくり上げていくということも真剣に考えていただく必要があるのではないか、このように思うわけです。  先ほど基本法の見直しの御議論もございました。そんな中で御議論もされるのかもしれませんけれども、本当に新しい時代にふさわしい農業政策と申しますか、そういったものをもう一度農業戦略としてつくり上げていく必要があるのではないか、こんなふうに思うわけです。その際には、生産性向上の観点あるいは自然環境保持の観点、こういったところは当然必須の問題でございますけれども、そんな観点からもう一度御答弁をいただければと思います。
  35. 山本徹

    政府委員(山本徹君) 先生指摘のような農地の流動化あるいは生産性の向上あるいは担い手の育成等々のための助成制度、各種の融資制度等、いわばハードではなくてソフトの事業の十分な活用によって体質の強い担い手の育成、農業生産の高度化を図るということは、御指摘のとおり大変重要な課題でございます。  これらのウルグアイ・ラウンド関連の予算が必ずしも十分に使われていないではないかという御指摘は、御指摘のとおりの面がございますが、先ほど大臣からも御答弁ございましたように、これらの事業はハードと違ってやや仕組みについての十分な理解が必要な面もございますので、さらに現場への周知徹底、普及に私ども努力してまいりたいと考えております。  また、平成九年度予算案におきましてはこれらのソフトの事業について、助成金の交付対象先を現実的に、例えば認定農家から農作業の兼業農家を含めた受託組織にまで拡大するというようないろいろな改善措置も講じさせていただいているところでございますので、そういった面にこれからも努力していくということも現場で御理解いただき、これらのソフトの経費の十分な活用によって体質の強い担い手、また農業確立努力してまいりたいと思っております。
  36. 都築譲

    ○都築譲君 ありがとうございました。  先ほど来、局長さん、そしてまた大臣からも、ウルグアイ・ラウンド対策の問題あるいは今申し上げました減反政策の観点に立っての基本的なお考えを聞かせていただいたわけでございまして、ぜひこれからの農業問題、しっかりとまた対応していっていただきたいと御要望しておきたいと思います。  それでは、時間も余りありませんので、次は水産業の関係についてお話を聞かせていただきたいと思います。  水産政策について抜本的な見直しをやっておられるというふうに聞いておるわけでございまして、水産庁長官の私的諮問機関として水産政策検討会を設置されて、昨年五月から検討されておられるということでございますけれども、結論もそろそろ出るやに聞いております。それからさらに、ことしの六月には水産基本政策検討会を発足させるというお話も聞いておるわけでございまして、具体的にどのようなことを検討されるのか、そしてまた、どういうスケジュールでその検討作業を進めていかれるのか、その辺について御説明をいただければと思います。
  37. 嶌田道夫

    政府委員嶌田道夫君) 昨年、国連海洋法条約が締結されまして、また本年一月から漁獲可能量制度、いわゆるTAC制度が導入されるなど、我が国水産業は新たな段階を迎えております。また他方、我が国水産業生産減少でありますとか担い手の老齢化、減少など、非常に厳しい状況に直面しております。  このようなことでございますので、我が国水産業振興を図る、かつ水産物を安定的に供給していくという観点から、昨年、幅広く関係団体の人に入っていただきまして、また学識経験者の方にも入っていただきまして、今、先と言われました水産政策検討会を設けております。この検討会におきましては、漁業経営の面、それから流通、加工、消費の面、あと漁協系統の果たすべき役割、さらに地域振興など、各面におきまして今検討を行っておるところでございます。本年五月から六月ごろに中間的な取りまとめを行っていきたいと考えております。
  38. 都築譲

    ○都築譲君 もう一つは、ことしの六月に水産基本政策検討会といったものを発足させていくということで、これは読売新聞の一月二十九日付の記事が出ておるわけでございます。これは「水産基本法制定へ着手」と、こんな見出しで出ておるんですが、こういった問題についてはどのような対応をされる予定でございますか。
  39. 嶌田道夫

    政府委員嶌田道夫君) 今申しましたように、水産政策検討会におきまして鋭意検討を行いまして、五月か六月かには中間的な取りまとめをしたいと思っております。なお、この水産政策検討会の成果をも踏まえまして、今言われました水産基本政策検討会というのを設置したいと思っております。ここにおきましては、基本的な政策でありますとか制度のあり方につきましてさらに検討を深めていきたいというふうに考えております。
  40. 都築譲

    ○都築譲君 ありがとうございました。  それから、ちょっと話は急に細かいことになりますが、以前、随分昔でございますけれども、質問通告をしながら質問できなかった問題で、ウナギの稚魚の違法輸出の問題を実は取り上げたいということで前から考えておったわけでございます。  良好なたんぱく資源の供給元ということで、ウナギは特に夏場の時期には日本人に昔から愛好されておる食物でございます。実は私の田舎がその産地でもありまして、そういう関係でちょっと同級生などで養鰻業をやっておる人たちから昔から言われておったんですけれども、いわゆる地元ではメソと言うんですけれども、シラスウナギを利根川とかなんかに遡上してくるのをとって、それで台湾とかあるいは中国南部とかとにかく労働力の安いところに送り込んでしまう。そうすると国内価格が物すごく高くなってしまうわけですね。幾ら四カ月、五カ月、半年かけて手塩にかけて育てても、全然利益が上がらないような大変厳しい状況になってきているやに聞いておるわけでございまして、そういった意味でこれは本当に大変な問題なんです。  しかも逆に、そういうことで高騰させるということが実は相当な資源のむだ遣いと申しますか、だからそれはまた当然供給価格にもはね返って日本人には高いウナギを食べてもらうということになります。また国外の方から来る分についても、実はこのウナギの養殖というのは本当に難しいところがあって、風邪を引いたりなんかしてしまうということで、また、えさをやり過ぎても少な過ぎてもおかしくなってしまうという話を聞くわけでして、なかなかそう簡単にうまくやれるものではないということで、何十年かかって経験を積み上げてきて、ようやく養鰻業ということでやってきているんです。そういった状況の中で、新しくできたところにそのシラスウナギが行って、そこで全滅してしまっているなんという話もよく聞くわけです。ということは、とりもなおさず、それこそ資源のむだ遣いになっているじゃないかと、こんなふうに思うわけでございます。  先ほど実は、急遽ウナギの生産金額とか生産量とか価格の推移とか、シラスウナギの採捕量、輸入量、さらにシラスウナギの輸出量といったものの資料をつくっていただいたわけでございまして、ありがとうございました。  ただ、一つ気になりますのは、自然のものですから、ほかの魚の漁獲高と同じように年々によって大きく変化をするというのは自然の摂理としてあるんだろうと思います。ただ、そうは言ってもちょっとおかしな動きもあるんではないのかなというふうな気もするわけです。先ほどいただいたウナギの稚魚の輸出量という資料、これは平成四年から平成八年までということで、これは通産省調べの資料ということでお出しをいただいたわけですけれども、平成四年には例えば二十四トン輸出している。ただシラスウナギ自身は採捕時期、すなわち大体十一月から四月ぐらいまでの間は輸出禁止品目ということになっておるんですけれども、五月からの状況でいきますと、その平成四年で二十四トン、平成五年が十一トン、平成六年が九トン、平成七年が六トンということで、平成八年になるとこれは八百六十九キログラムと、こういう状況で非常に激減をしておるわけです。  だから、これは自然の状況としてなかなかとれないという面もあるんでしょうけれども、一番問題は、そもそも正式な統計にも上がってこない、それから正式な通関手続も経ていない、こういう形で出ていっているものも相当あるのかなと。特に過去二、三年は漁獲量が減ってしまったという状況の中で、大変厳しい状況になっておるわけでございます。  こういった問題についてお聞きすると、県への指導とかあるいは大蔵省税関当局との連携とかいろんな対応をとられているということでございますけれども、そこら辺についてもう一度責任ある対応をしっかりととっていただきたいということで、御見解をお伺いしたいと思います。
  41. 嶌田道夫

    政府委員嶌田道夫君) ウナギの話でございますが、日本のウナギにつきましては、これは需要が最近堅調であるというようなこと、したがいまして当然ながら価格が高い、それからもう一つは、国内の養殖コストが労賃等もありまして非常に増大しているというような背景がありまして、台湾でありますとか中国の日本向けのウナギ養殖業というのが非常に増加してきている。そういうことで、現地の方におきましては種苗の不足が生じているということで、今、先生が触れられましたように、日本で採捕されましたシラスウナギの密輸出問題があるのではないかということが一部言われているところでございます。  そういうことで、この問題でございますけれども、もともとシラスウナギにつきましては、日本国内における採捕につきましては国内の養殖業への種苗供給を目的といたしまして特別に許可されたものでございます。そういう意味から、本来シラスウナギの輸出は貿管令に基づきまして事前承認制にかからしめているところでございます。  こういうことでございますので、先生触れられましたようなことのないように、水産庁といたしましても既に都道府県を通じまして、その採捕者、養殖業者等への指導を行っておりますし、また税関当局等にもいろいろ情報を提供いたしまして、関係省庁と密接な連携のもとで、今言われましたような問題の防止に努めているところでございます。
  42. 都築譲

    ○都築譲君 今お話を伺いまして、生産コストの増大というのは、要は稚魚のシラスウナギの値段が物すごく高騰しているんですね。しばらく前まではキロ当たり大体三十万とか四十万という話だったんですが、去年、おととしあたりはもう七、八十万と。きょうも朝聞いたら、ことしもまた十一月からの採捕の量が非常に例年になく少ないということでキロ当たり百万円台になっていると。もうダイヤモンド並みの価格になりつつあるのかなという気がしてしまうんですが、これがまた本当に我々の口になかなか回ってこないような状況にもなりますし、養鰻家にとってもこれはなかなか厳しい話に実はなってしまうわけでございます。  ウナギウナギと言っていますけれども、その生態さえまだわからない。どうもマリアナ海溝の本当に深いところまで沈んでいって、それで卵を産んでそれがこう上がってくるんだなんという、生態もまだよくわからないところがある代物でございますけれども、白焼きのウナギはおいしいということでございまして、そんなことでぜひそこいらも、難しい問題もありますけれども、何とかそういった対応。テレビでもやっているんですよ、去年私もニュースで見ましたけれども、利根川のどこかの河川に上がってくる、本当に川を波立たせるようなシラスウナギのあれを、密漁家ですという形で、とっているところをちゃんとテレビニュースは押さえているわけですから、そんなことがないようにぜひお願いをしたいと、このように思います。  時間も大変少なくなってまいりまして、大変恐縮でありますが、実はあと特殊法人の整理合理化の問題について本当は幾つかお聞きをしたいと、このように思っておったのですが、余り時間もなくなってしまいました。  行政監察プログラムの中で指摘をされておりました法人として農林漁業金融公庫とか森林開発公団、農畜産業振興事業団、農用地整備公団、こういったものが挙がっておったと思います。これについての御認識と今後の対応をお伺いをしたいと思ったのですが、これをつぶさにお聞かせいただくと時間を超過いたしますので、大変恐縮ですが、今特殊法人の問題についてもやはり行政改革、橋本総理が火だるまになってもやると、こう言っておる中で、去年私は農畜産振興事業団の成立の法案を審議をさせていただきました。  あのときにお伺いしたのは、例えば職員はどういうふうになりますかとか、あるいは理事の皆さん、役員の皆さん、そしてその年収はどれぐらいになりますかといったら、お答えをいただいた中で、自民党の皆さんから共産党の先生まで皆さん高いわねと、一律にこういう声が聞こえたわけでございます。本当に仕事をされる方にそれなりの給料を払うというのは、これは当然のことだと思います。ただ、今その給料を払う原資となる国の財政自身がもう火だるまの状態になっていることは役所の皆さんもぜひ御理解をいただく必要があるんだろうと。  だから、局長さんをやめる、あるいは事務次官をやめるという状況の中で、それよりもさらに上の給料が特殊法人に天下ることでいただけるという状況が果たしていいのかどうか。これは随分予算委員会、本委員会質疑の中でも取り上げられてまいりました。それから実際に政府の財政投融資の問題とか、あるいはまた人件費の手当の問題とかいろんな問題がございます。これから政府の償還方針でいきますと、大体ことし出した国債も六分の一ルールですから払い終わるのは六十年後ということになるわけです。あしたオギャーと生まれる子がようやく定年、六十歳に達したときに国の借金が払い終わるというような状況で、それに二百五十四兆円も借金を積もり続けている状況はぜひ御理解をいただいて、痛みを分かち合うような思いをぜひ皆さんしっかり持っていただく必要があるんだろうと思います。  その先頭に立つのは、何といっても政治家である農水大臣の決意いかんによると、このように思いますので、農林水産大臣の御決意をお伺いをして私の質問を終わりたいと思います。
  43. 藤本孝雄

    国務大臣藤本孝雄君) 今、委員が御指摘になられましたように、行政改革は橋本内閣の最重要課題でございまして、内閣を挙げて取り組んでおります。  現在、いろいろな問題につきまして改革に取り組んでおるわけでございますが、特殊法人の方は党が中心、それから行政改革の方は政府また総理府中心と、こういうようなことでいろいろ取り組んでおるわけでございます。この取り組みにつきましては、我々としまして内閣の方針に従って省益にとらわれずに取り組んでまいる、そういう決意でございます。  それから農水省といたしましては、組織の整理統合、定員の大幅な削減は既に着手をいたしておりまして、委員も御承知と思いますけれども、定員の大幅な削減につきましては約五五%の削減をいたしておりますし、内閣、政府全体の削減率が約五%という数字からいたしますと際立った数字であろうかと思います。  それから組織の合理化につきましては、食糧事務所につきまして、これまた大幅に整理統合をいたしておりますし、また特殊法人の統合につきましても今八法人になっております。規制緩和の問題につきましても全体で千七百九十七のうち我が省所管分百八十七実施をいたしておるわけでございまして、これからも行政改革につきましては先頭に立って頑張っていきたいと考えております。
  44. 谷本巍

    ○谷本巍君 初めに、農地制度の総論的問題点について伺ってまいりたいと思います。  行政改革委員会が「規制緩和の推進に関する意見」の中で、株式会社の農業への参入を検討すべしとの見解を示して以来、農地制度をめぐる論議が盛んになり始めました。そうしたもとで、例えば一部新聞が農水省が株式会社の利用を認めるという方向で検討に入ったとも伝えております。農地制度をどう認識ぢておられるか、初めに大臣の見解をいただきたいのであります。
  45. 藤本孝雄

    国務大臣藤本孝雄君) 株式会社の農業経営の参入につきまして、幅広い検討を行うべきであるという行政改革委員会の意見を受けまして、農水省の中で去年の五月、構造改善局で学識経験者の皆さんからヒアリングを行いました。賛否両論ございました。なかなか難しい問題だという認識を持っております。  賛否の内容につきましては、委員承知と思いますので省略いたしますが、この問題については、私は規制緩和という視点からのとらえ方が今主な視点であると思うのでありますけれども、私どもは規制緩和という視点よりも、我が国農業構造改革というもっと大きな視点からこの株式会社の農業経営の参入、こういう問題を考えなければならぬと、このような考え方でおります。  そういう考え方から、ことしの四月発足いたします食料農業農村検討する調査会、ここで御検討願おうと。ここではこの考え方といたしまして行政改革、財政構造改革、それから経済改革、こういう大きな改革の視点から農業をどう改革していくかと、こういうことを考えておるわけでございますので、こういう大きな視点の中で農業経営に株式会社が参入することの是非を御検討していただく、こういう考え方でおるわけでございます。
  46. 谷本巍

    ○谷本巍君 それで、農地制度問題での幾つかの問題点について事務当局の見解を伺った後に、また最後に大臣に見解を承りたいと思うのであります。  まず初めに、農業生産農政農地制度のかかわりについてどう見ておられるかであります。  農業生産のあり方と農政のあり方、これが農地制度を決めるという側面もあるのでありますが、農地制度農業生産のあり方と農政のあり方を決めているというふうに見ることもできるのであります。そういう意味から申しますというと、規制緩和だから、例えば株式会社の農業への参入、株式会社の農地取得を認めようというようなことになってまいりますと、制度のあり方自身が変わってくる、そういう状況になってくるだろうと思います。  当面する新しい基本法づくり、どうやらその論議の土台ということにこの農地問題の論議というのがなっていくのではないかというふうに私は思うのであります。どんなふうに局長は考えておられるでしょうか。
  47. 山本徹

    政府委員(山本徹君) 先生ただいま御指摘のように、農地制度農政農業生産のあり方を決めているという面も確かにございます。  具体的に申し上げますと、現在の農地法、昭和四十五年の改正以前にありましては、自作農の創設また維持、さらに三十年代、四十年代の段階での技術水準、機械化水準に見合った規模の農業経営を実現するために、農業経営の上限面積の制限がございました。その後、農地法の昭和四十五年の改正におきまして、農地を流動化し、農業経営を大規模に効率的に進めるという農政展開を図るために農地制度における上限面積の撤廃、また十年の定期賃貸借制度の創設が行われ、さらに昭和五十年の改正では、一層の農地流動化推進のために農用地利用増進制度が創設され、効率的な農業経営の実現を目指して農地の利用集積を進めることとされているのは、委員御案内のとおりでございます。  このように、農地制度は、農業生産農政の基本にかかわる問題でございますので、ただいま大臣からの御答弁もございましたように、規制緩和という面だけではなくて、もっと大きい日本農業構造改革という視点からこの問題を新しい調査会検討することとされているものでございます。
  48. 谷本巍

    ○谷本巍君 日本農業構造改革という視点からやっていくというようなことになってきますというと、気になるのは、企業農業でいくのか環境保全型農業でいくのかどっちにいくんだ、この議論が出てまいります。  たしか、この委員会でも新農政問題で議論をいたしましたときに、農林水産省の考え方として出されてきた規模拡大、これは水田の場合でありますが、二十ヘクタールという話が出てまいりました。そこで私伺ったんです。二十ヘクタールというのは環境保全型農業から見たらどうなんですかと伺いましたら、まあその辺のところが限界だろうと思いますという話が出てまいりました。つまり、家族農業を土台にした場合の規模拡大の上限というのが今日の技術体系のもとでは水田二十ヘクタールという話が出てきたのであります。やつぱりこれからの農政について大事なことは私はそういうふうな点ではないかと思います。  ヨーロッパ、EC農業でいえば、既に環境保全型に転換をいたしました。近代化、合理化農業の元祖とも言われるアメリカで見るならば、九つの州で株式会社の農地所有や農業参入を禁止しておる。そして、最近は有機農業への取り組みというのが大分盛んになってきているというふうにも聞いております。  二十一世紀は環境と食糧の時代とも言われておる。そういう時代というのを展望してみるならば、家族農業を主体にした環境保全型農業、これをやっぱり私は基本にしながら自給率を上げていくべきではないかと思うのだが、いかがでしょうか。
  49. 山本徹

    政府委員(山本徹君) 委員指摘のように、農業経営、これは個人、家族農業で行われると、また農業生産法人のような現在の法人制度で行われるとを問わず、環境の保全また国土の保全といったような公益的機能が十分発揮されるように、また資源循環型の農業、また有機農業環境保全型農業といったような農業経営が大変重要になってきているのも御指摘のとおりでございます。  これらの農業経営が実現されるように、私ども政策面でも種々の支援また指導を行ってまいりたいと考えておりますけれども、一方農業生産経営である以上、効率性、採算性というものを確保して、消費者に良質な農産物をできるだけ安いコストで安定的に供給するということも農業生産のもう一つの重要な課題であると考えております。  農業生産というのは、このような環境あるいは国土保全といった、あるいは環境保全型農業といったような多面的な機能を発揮するとともに、同時に食糧の効率的、安定的な供給という両方の要請にこたえる必要があると考えておりまして、農地制度検討あるいは農業経営担い手の育成、また担い手の指導に当たってはこのような点に十分配慮しながら行ってまいる必要があると考えております。
  50. 谷本巍

    ○谷本巍君 農業への企業参入というのを構造政策の視点からとらえていくというような面が基本になってまいりますというと、果たして企業農業農業の多面的な機能をきちっと維持するというような状況になってくるのであるかどうか、私はそのことに疑問を感じます。  例えば、漁業の場合でありましたら入会漁業権を設定しながら、これを主体にしながら継続的に漁業ができるように漁家の皆さんはやってまいりました。一網打尽にとってしまうというばかなことはやらない。持続的にどうやれるかという立場から漁業生産に取り組んできた。この点は農業も私は同じだろうと思います。  まず、私どもの先祖が米をつくるためにやったことは何かといいますというと、山に木を植える、山を整えることでありました。水を確保するのにそれが必要であったからであります。そして、用水路を整備しながら、水は回して使う。そして川の水の供給もやっていくし、また農道も整える。これはほとんどいわゆる共同社会の中の共同の力でやってきた仕事なんですね。そして、農家はそういうもとで土を肥やしながら、そして堆肥をつくるのに必要な落ち葉が欲しいという時代であったならば里山に入会権を設定しながら、共同の力でもって山を維持するということでやってまいりました。そうした農業生産の営みを通して、日本の環境と日本の景観というのは整えられてきたのではないかと私は思います。  じゃ、株式会社がそれができるかと、アメリカ農業を見ていただきたいのであります。最近、アメリカ農業で非常に問題になっていますのは、企業型農業、そしてそこから出てくるのは何なのかというと、環境汚染だという話をしばしば耳にいたします。結局、化学物質漬けの農業というのがそういう状況をもたらしているということになってくるのであります。つまり、もうけがすべてである。そして、そこで農業をやってうまくいかなけりゃ資本は今度はどこへでも移動することができるんでありますから、このところが農家と違う。農家はそこで農業生産をやりながらそこで生活をしておりますから、環境整備から何から一切自分たちでやらなきゃならぬという状況が、ここのところが企業と決定的に違うのであります。  したがいまして、企業参入問題を構造政策の側面を基本にしてとらえていくということになってきますというと非常に問題が出てくる、私はそう思うのでありますが、いかがでしょうか。
  51. 山本徹

    政府委員(山本徹君) 企業的な農業経営、これは現在の農業生産法人でそれが実現されている面がございますけれども、御案内のとおり、現在の農業生産法人は、合名、合資、有限、農事組合法人であること。それから構成員になり得る者は、法人の行う農業に従事する者または法人に農地を提供する者等に限定されております。さらに、法人の事業に従事する構成員が役員の過半数を占めるといったような要件をかけておりまして、法人経営、企業経営も現在の農業生産法人では農家の協業組織あるいはその組織の延長としての性格を持っていると言えるかと思っております。したがって、現在のこの協業組織としての農業生産法人からさらに一歩株式会社という形での企業経営であると、いろいろな農業農村への先生指摘のような弊害が生じるんではないかという御指摘があるのも事実でございます。  これに対して、株式会社の農業経営への参入を認めるべきであると主張する論者の方の御意見としては、このような農業農村への弊害を防止するために、農地がきちんと本来の農業の目的、用途に供されて、これが効率的に利用されるように参入の要件等につき検討する、あるいは、農地の利用のあり方について規制する必要があるとの考え方が一般的にございます。  いずれにいたしましても、企業という形での農業経営、これは農村の豊かな自然、景観、国土、これを守りながら効率的な農業経営を進めていくという視点で考えていく必要があると思っておりますので、専ら効率性だけを追求した農業経営、これによっていろいろ環境等への弊害、問題が生じるということを防止しなければならないのは、現在の法人制度あるいは農業生産法人でもこれは申すまでもないことでございます。  私どもは、農業担い手の育成また指導あるいは構造政策という視点で、この両面の大事な価値、視点というものを重視しながら、これについて検討してまいりたいと思っております。
  52. 谷本巍

    ○谷本巍君 株式会社による農業成立の条件というのがあるのかないのか。あるとすればどういうことなのかということについて伺いたいと存じます。  現行法で言いますというと、未墾地造成による農業農作業の委託による農業、こういう方式だったら株式会社は農業に参入できるんです、細い道ですが。ところが、これまで株式会社がほとんど農業に参入してこなかった。それは一体何なのか。賃金をまともに払い、利潤もそして株主配当もできる、農業生産に入ってきてもそういう状況にならないからだというぐあいに見てよかろうと思います。  そういう中で最近話題になりますのは、農地面積で言うならば一カ所に百ヘクタール以上のものが集積できるならば株式会社の農業経営も立派に成立しますよという話が出てくるようになってまいりました。それじゃ、そういうあり方というのが簡単にできるのか。これは非常に難しさが伴うでありましょう。と同時に、今業界の皆さんがどういうふうに見ているかということを見落としてはならぬと思います。多くの皆さんはこうおっしゃいます、農業をやったってもうからぬわなと。しかし、土地でもうけることができるという声が意外に多いのであります。農業でもうからなかったら、後は土地投機ができるようなところを押さえておって土地投機をやったらどうだといったような話も出てまいります。  それからもう一つ見落としてはならないのは、緑と水と景観の商品化論が出始めてきたということであります。私は、業界の皆さんに水の商品化ということを聞いたのは十数年前であります。銘柄の水というのを牛乳よりも高い値段で売ってみせるぞという話だった。見事にそれが現実のものになってまいりました。じゃ次は何なのか。千枚田あるいは砂丘にしたって、景観としてこれを商品化することができるのではないか。さらにはまた、都市近郊の命ともいうべき生産緑地、ここをうまく押さえていったらうまい開発構想をつくっていくことができますよというような話等々が出てきているのであります。  最近の規制緩和の流れというものを見てみますというと、公共の企業化という性格が強まってまいりました。第一次産業でいえば公共的、国民的共通資産としての第一次産業の企業化ということではないのかと私は思うのです。農地法改正、それが一環とならぬようにすべきではないのかと思うのだが、いかがでしょうか。
  53. 山本徹

    政府委員(山本徹君) 農地の取得を無条件に認めることになりますと先生指摘のようなさまざまな弊害が生じてくる可能性がございます。したがいまして、これについてはこれからも農地法の制度農地農業者が農業生産の場として効率的に利用してもらうという立場は基本的に維持する必要があると思っております。  こういった中で、家族経営、個人経営と、法人形態の農業生産法人制度としての経営形態、これは二つ現在の制度ではございます。認定農家制度等、家族経営中心に今担い手を育成しているわけでございますが、一方では、効率的、近代的な経営体を育成するという観点から、合名、合資等の現在の農業生産法人制度による法人化を推進しているのも事実でございます。これは、この法人化によりまして、雇用契約や賃金の明確化等、農業経営の近代化、また農業に従事される女性の皆様方の役割の明確化、地位の向上、またマーケティングなどによる販路の拡大といったようなメリットを生かして魅力ある農業経営展開されることを期待しているところでございます。  また、先ほど土地の投機、また貴重な農村の緑資源や景観を切り売りする、あるいは破壊する、枯渇させるというような形での土地の取得、利用があってはならないという御指摘がございました。これもまた大変重要な視点であると考えております。  ただ、過疎化、高齢化しております農山村について、これは農林業振興を基本といたしますが、またこの地域にございます緑資源あるいは良好な自然景観をいい意味で地域資源として地域の住民の方が利用して都市住民に広く提供し、都市農村交流促進といったような形で、地域に根づいた新しい雇用、就業の場の拡大を図るといったような点も農山村活性化のために有意義であると考えておりまして、そういった施策も進めておることも御案内のとおりでございます。  こういった点も考えながら、農業生産振興また農村活性化のために、農地の利用また取得はどうあるかというのは考えて、検討していかなければならないと思っております。
  54. 谷本巍

    ○谷本巍君 時間がなくなってしまったので、今の見解にもいろいろ申し上げたいことがあるのでありますが、最後に大臣に感想を伺いたいと思うのであります。  その前に若干申し上げたいと思いますのは、株式会社の農業参入の評価というのはコスト論だけではなくて多面的、トータル的発想でとらえていただきたいということであります。例えば、百ヘクタールの企業農業を実現して、それによって得られるコスト低下というものと、そのことによって失われるであろうデメリットの問題を比較対照していただきたいのであります。そして、そのデメリットの多くは、金銭に換算することのできぬ環境問題であるとか国土の保全問題であるとか地域社会を守るということであるとか文化を守っていかなければならないということ等々であります。さらにはまた、雇用問題、そしてまたもう一つの問題は社会的安定層としての自営業を守らなきゃならぬといったような問題等々があるだろうと思うのであります。  つまり、多面的、トータル的な発想でもってこの問題をとらえていただきたいということをお願いして、私の質問を終わります。大臣、お願いいたします。
  55. 藤本孝雄

    国務大臣藤本孝雄君) いろいろ株式会社の農業参入の問題につきまして貴重な御意見をいただきました。私も最初に申し上げましたように、これは規制緩和という観点から株式会社の農業の参入を規制しているからこれは外すんだとか、そういう観点から考えるのではなくて、これから日本の将来の農業構造改革の問題としてこれは取り上げるべきだと、こういう基本認識を持っております。  その場合に、言われました企業型と環境型の農業、こういう区分けをされたわけでございまして、私は個人的な考えでございますけれども、農家を区別する場合に経営者と生産者と、こういう区別もあろうかと思うんです。ですから、そういう考え方で政策手段も分かれてくるわけでございますが、そういうふうにはっきり割り切れるかどうかという問題もこれあると思います。  先ほど来お話をお聞きいたしておりまして、我が国農業の特徴は家族農業であり、また農業の持つ役割は持続可能な農業を続けていくということも大事な問題でございまして、そういう持続可能な農業ということになりますと環境型農業ということになるのではないかなというふうに考えながらお聞きしておったわけでございます。  今後、この調査会で御議論していただくわけでございますけれども、我々といたしましても今、委員が言われましたメリット、デメリットを十分に考えながら慎重に対応していきたいと、かように考えております。
  56. 谷本巍

    ○谷本巍君 ありがとうございました。
  57. 国井正幸

    国井正幸君 何点か伺いたいと思うんですが、まず最初に、米の生産調整に関してお伺いをしたいと思います。  年明けから橋本高知県知事の減反事務返上というような発言があったり、あるいは最近では岩手県の東和町の町長さんが、むしろこれは東和町の場合は米をどんどんつくれ、減反させないようにむしろ農家を説得してやるんだと、こういうふうなことが新聞で報じられているわけでございます。私が知り得る限りでは、高知県の知事、これはやることはやるけれども今までのようにできないよと、こういうふうに言っているように私は理解しているんですね。ただ、東和町の町長さんは、もうそれよりも一歩進んでどんどんやるんだと、こういうふうなことを言っているわけですね。  それぞれの農家あるいは農業団体もあるいは自治体においても大変この問題を重要な問題としてとらえて、非常に不安に思っている部分もたくさんあるんですね。こんなことやっていっていいんだろうか、こういう思いが非常に強いんですよ。  そういうことでありますので、私はこの二つぐらいしかわからないんですが、農林水産省として、各自治体がどんな動きをしているのか、その辺掌握している部分について一つはお聞かせをいただきたいと思うんです。  あわせて、こういう動きがありますから、これはもう局長の方から御答弁をいただいて結構なんですが、大臣としてこういう動きに対してどのような御所感を持っていらっしゃるか、まずお聞かせをいただきたいと思います。
  58. 高木賢

    政府委員高木賢君) まず、推進状況につきまして私の方から申し上げたいと存じます。  平成九年度の生産調整につきましては、今おっしゃられた高知県知事の発言なり東和町の町長の発言なりがございます。しかしながら、達観して全国を見ますと、そのような御発言というのは早く言うとその一つの県一つの町にとどまっておりまして、全国の各地域におきましては、都道府県、市町村生産者団体、これが一体となりまして取り組みを進めております。  一つの例で申し上げますと、昨年同期、これは三月十九日現在で把握している実態でございますが、市町村から農業者に向けていわゆる配分が行われたのが六四%でございましたが、ことしは同じ時期で七三%ということで、昨年同時期よりもテンポが速く進んでおると、全体として見れば順調に手続が進んでいると、こういう状況にあろうかと思います。  そして、御指摘の高知県内におきましても、県知事は全く手を引くと、こういうことでもございません。やることはやるということでもありますので、高知県におきましても従来より速いテンポで進んでおるというのが実態でございます。また、岩手県の東和町におきましても、いろいろな報道が行われておりますが、九年度の配分につきましては、これは進展しておりまして、四月中旬ぐらいで一応の締めを行うような情報も聞いておりますけれども、九年度については目標達成の見込みであるということが言われておるわけでございます。  今お話の出ております東和町は十年度にどうするかということが議論になっておりまして、JAの方は、これは町いかんにかかわらずやることはやるんだ、こうおつしゃられておって、今町内で議会も含めましていろいろな御議論が行われている状況にあろうかと思っております。  いずれにいたしましても、全体としては例年より速いペースで進んでおりまして、二つの町村以外に特に御意見といいますか、が出ておることはございません。
  59. 藤本孝雄

    国務大臣藤本孝雄君) 米の生産調整につきましては、生産者また消費者にとりまして非常に重要な問題であることはもう委員もよく御承知でございますから、その点につきましては省略をいたします。  今の米の流通は、御承知のように自主流通米が流通しておるわけでございまして、その生産調整の結果、生産者米価というのは安定をしておるわけでございます。一方、計画流通米、つまり生産調整はしない、協力しないという生産者計画流通米でございまして、苦しい中で生産調整の必要性を理解して、それで生産調整に協力をしている生産者から見ると、自分たちがそういう苦労した中で生産調整に協力をしたことによって米価が安定をしていると。その安定をしているメリットを、そういう生産調整には参加しないでそのメリットだけをとると、こういうことでございますから、生産調整に参加している生産者から見るといかがなものかなという思いは非常に強いと思うわけでございまして、事実そういう声はたくさん私どもの耳に入ってきております。  そういう状況からいたしますと、今、委員指摘のように一、二の例はございますけれども、しかし大多数の方々生産調整の必要性については十分御理解されておるわけでございまして、この問題についてそんなにこれからこういう動きが広まっていく、私どもはそういうことはあり得ないものだというふうに考えております。
  60. 国井正幸

    国井正幸君 農協がやればいいという話ももちろんありますし、生産者団体あるいは生産者みずからやっていくということもこれは非常に重要ですから、もちろんこれは第一義的に考えなくちゃいけないというふうに思いますけれども、しかしやっぱり農地の所有面積なんかを正確に把握するということになると、これは行政しかできないですよね。固定資産税をかけ、あるいは所得を捕捉するというふうなことからして行政がきちっとやっているわけですから。農協の場合は加入、脱退、自由ですからね。しかも、農地の流動化も進んでいるということになれば、農協にこれをやらせるといっても、運動としてこれはやっていくことは当然でありますが、やっぱり配分を含めてこれは行政に相当関与していただかなくちゃならないというふうに思いますので、ぜひそういう角度で今後とも一層御努力をいただきたいと思うんです。  そういう中で、いわゆる生産調整の実効性の確保というふうなことで、私も昨年の委員会等においてもこの実効性の確保の問題等については御質問させていただいたんです。いろんなことを考えたわけですよね。共補償の問題あるいは政府米の買い上げの問題あるいは補助事業の優先採択の問題、いろいろあると思うんですが、その補助事業の優先採択のことについてお伺いをしていきたいと思うんです。  これは、いわゆる米作農家と園芸農家なり畜産農家というのは必ずしも一致しないんですよね。非常に専門的に特化してきていると、こういうふうなことになりますと、米でもって生産調整が未達だということになった場合、園芸施設あるいは畜産施設等、そういう部分に対しての補助事業の問題はどういうふうに考えているんでしょうか。
  61. 高木賢

    政府委員高木賢君) いわゆる補助事業の優先配慮措置におきましては、転作作物という限りでは米だけでなくて他作物も含めて考えております。  と申しますのは、これをいわば水田営農の高度化といいますか、水田を活用して水稲作と転作を組み合わせた高度な営農をするということにつきましてこれを支援するというのが一つの新生産調整対策の眼目でありますから、水田を活用しての転作という限りではこれは優先配慮措置の中に含めるということにいたしております。  ただ、無関係に、全く畑あるいは装置を使っての酪農とかその他の畜産、あるいは純粋の畑作物と、こういうことでありますと、水田営農とは直接関係がないということでございますので、補助事業の優先配慮措置の対象外というふうに交通整理をいたしております。
  62. 国井正幸

    国井正幸君 転作作物等についても、これはやっぱり関連性をつけざるを得ないというのもまたよくわかります。しかし、これを余り関連づけておくと、転作をして生産性を向上させてやっていきたいという方が結局足を引っ張られちゃうという問題点もあるんですよね。だから、非常に難しいというふうに思うんです。  それで、ウルグアイ・ラウンド対策を含めてお伺いをしたいと思うんですが、目標年次の二〇〇〇年までに競争力のある体質の強い農業をつくっていこうと、こういうふうなことで今ウルグアイ・ラウンド対策をやっているわけですよね。特に米作については、一つは基盤整備をしてそして規模拡大がしやすいような、さらに効率的な経営ができるような、そういう基盤を整備しようということで基盤整備等をやっていると思うんです。  それからもう一つは、やっぱり共同利用施設等を使って、余り生産手段にお金をかけずにいい経営ができるようにやっていこう、コスト削減をしようと、こういうことだと思うんです。その辺が言うならばある意味では決め手になるんだろうと思うんです。  今この補助事業の優先採択ということで見ていくと、市町村あるいは都道府県ということで網をかけて、言うなら、僕が言おうとしているのは、米の共同乾燥調製施設なんかも含めてというか、そういうことが中心になるわけですが、ある一つ市町村からすると、その市町村が目標を達成していくかどうかということが優先採択する上で非常に重要なことになることだというふうに思うんですね。しかし、目標を達成できないからということで採択していかないということになってきますと、僕も自分で言っていて非常に難しいというのはよくわかっているんですよ。わかっているんですが、二〇〇〇年というのはどんどん近づいてくる、こういうこともあるんですね。果たしてそれまでに本当に達成できるんかいなという部分があると思うんですよ。  そういう意味からして、栃木県なんかの場合は、これ関東地方一都六県の中で最大の面積なんです。そして、自治体、市町村の数が四十九ということで非常に少ない。つまり、町村合併がどんどん進んでいるんですね。そうすると、大きい一つの町になって、そこが全体的にだめだったらほかは全部だめだと、こういうことになつちゃうわけですよ。  カントリーにしてもライスセンターにしても受益対象面積があるわけですよね。三百町歩とか四百町歩とかとあるでしょう、対象面積が。そういうふうに、やっぱり優先採択をする場合、市町村ということに余り強くこだわるんではなくて、もっと地域を絞り込んだような形でやっていかないと、結局ある地区の人は一生懸命やっておってぜひやりたいと思っていても、ほかの人がだめだったら全部だめなんですね。これ大変な話だというふうに思うんです。  僕の地元なんかでも、青刈りしてまでやろうといってやっているところがあるんですよ。ところが、同じ町で片一方はもうずぼらにやらないというところがあるわけです。そうすると、トータルからすると達成率が下がっちゃうんですね。最初はその集落のリーダーも含めて一生懸命やるんです。だけれども、毎年やってみても、結局自分は努力はしたけれどもほかの人がやってくれなくちゃしょうがないんだということになってくれば、それじゃおれたちも努力するよりもただやっちゃうかと、こういうことになったんではこれはやっぱり大変な問題だと思うんですね。  そういう意味で、市町村という網のかけ方から一歩進んだ、もう少し地域を限定するというか、そういうことというのは難しいんでしょうか。いかがでしょうか。
  63. 高木賢

    政府委員高木賢君) 生産調整の目標達成の判定は、今は行政の一番小さい単位の市町村ということでもろもろのものをやっているわけでございます。  お話しのような実態のお話もほかの県の事例などでも伺っておりまして、これは先生もお話しのようにどこで線を引くかというのは大変難しい問題だろうと思います。  やはり我々としては、地方自治法にも定められた最小単位という農政一つの、何というんですか、責任をとる範囲ということで、やっぱり法的にも位置づけられている市町村というものが一番小さい単位ではないかと。それから下になりますと、集落なり昔の大字なり小字とかいうのがまた出てくるのかもしれませんけれども、いわばそこの行政としての責任体制がはっきり位置づけられておらないのが今の地方自治制度でもございます。そういった点から見て、単位として責任ある範囲は何かということを考えた場合に、やはりどうも一番小さいのは市町村ということにならざるを得ないのではないかと考えているわけです。  お話のように、実態として非常に大きい市町村からまだ現実として合併とかそういうのがなくて小さい市町村までさまざまありまして、そういったものが一体同じ市町村ということでくくれるのか、あるいは同一の取り扱いをしていいのかという御議論は当然あると思います。  しかし、制度としては大きいとか小さいとか人口が多いとか少ないとかということで市町村をまたさらに区分して、Aクラスの市町村だとかBだとかというようなことになっておらないものですから、大きな市町村の場合にはそういった問題が地区地区で見れば出てくるのかもしれませんけれども、なかなかそこは制度論としては非常に踏み込みにくい分野だというふうに実は考えておるわけでございます。  それで、なかなか今の法体系のもとでは、いろいろと御議論はあろうと思いますけれども、やむを得ざるところかなというふうに思って今の仕組みをとっているわけでございます。よろしく御理解をいただきたいと思います。
  64. 国井正幸

    国井正幸君 単位が市町村であるというのは僕もよくわかるんですよね。ただ、二〇〇〇年の時点で政府としても新たな状況の中で新たな決断をしなくちゃならないというのは、これまた事実なんですよね。そして、その市町村の中でも一生懸命やっているところもある、ところがやらない地区もある。  特に一番問題なのは、これいわゆる高知県の知事なんかからしてもいろいろ出ているんですが、飯米農家ぐらいはいいじゃないかと、こういうふうなことも随分高知県なんかでは言っているようなんですね。そうすると、非常に都市近郊地域になってきますと相当広域な合併をしてきている市町村があって真ん中に市街地がずっと広がっている。その周りが非常に、当然農地転用もあるわけですから経営規模も小さくなってきて、都市部に近いところが飯米農家なんかが非常に多い状況になっておるわけですね。そういうところというのが非常に生産調整が悪いんですよね。  しかし、そういう大きい市町村の中でも純農村地区というのはあるわけですよ。ここでは一生懸命やっているわけですね。ところが、一つ市町村でくくられちゃっているということになるとやりたくてもやれない。しかも、今後保全すべき農地として農振地域に指定をしてこれまでに随分投資をしてきた、さあそこで共乾施設なんかを入れようと。ところが生産調整がうまくいっていないからもうだめなんだと、こういうことだけでは、これはやっぱり二〇〇〇年ということで切られているとすれば何らかのことを考えなくちゃいけない。  しかし、やっぱりけじめというのをつけなくちゃならないというのもよくわかるんですよ。しかし、そこは何らかの知恵をぜひ絞ってやっていただかないと、ただ、だらだらとしゃくし定規にやったのではぐあいが悪いというふうに思っているんです。どうでしょうか、もう少し一歩見直して、非常に難しい問題だと思いますが、やっていただけませんでしょうか。
  65. 高木賢

    政府委員高木賢君) ただいま申し上げましたとおり、大体県庁所在地とか大きな都市は本当に周辺の区域まで含めた広域な、行政区画が広いものですから、都市部に近いほど飯米農家が多くて、離れるほどまた大規模なりあるいは農業を本業にしている人が多い、こういう混成部隊になっているところが大変多うございます。静岡市などは南アルプスの山の上までが静岡市になっているぐらいに広いというようなところもございますし、全国共通の傾向ではあると思いますけれども、同時に今御指摘のようにそれぞれの全国の都市間のバランスというものがございまして、その辺をどう見るかということであろうかと思います。  率直に申し上げまして、今私の頭の中にこれに関しての何か解決する解答は全くありません。しかし、具体的に体質強化をどうしていくかということは御指摘のとおり大事な問題であるとは思いますが、そういった中でできることがあるのかないのかということは、やはりもうちょっとお時間をちょうだいしないと何とも申し上げられない状況であるということで、御理解をいただきたいと思います。
  66. 国井正幸

    国井正幸君 大変難しい問題だと思いますけれども、ぜひ御研究をいただきたいというふうに思います。  それでは、実はいろいろ聞きたくて構造改善局の方にも言っておったんですが、もう時間もないので畜産の問題を一つだけちょっとお伺いをしたいと思うんです。  今、畜産審議会等も開かれているようでございまして、大変に厳しい畜産の経営環境にあるわけでございまして、それなりにコスト削減に畜産農家も努力をしているわけですね。それと同時に、やっぱり規模拡大をずっと進めてきているんですね。これ、農水省からいただいている資料においてもそうなんですね。  例えば、酪農一つとってみても、昭和六十年のときは一戸当たり二十五頭ぐらいだったのが現在では四十六頭ぐらいになってきている。特に都市化されているところの畜産の経営ということになりますと、やっぱり畜産公害対策、これが非常に重要なことなんですね。ましてや規模拡大してくるとますます大変だということで、それでいろんな補助事業なり融資制度を含めて家畜のふん尿処理施設の導入はされているんですが、そこからつくられてくる堆肥がうまく回らないという現状があるんです。  いろいろ聞いてみればそれは理屈があるんですよ。園芸というか耕種農家からすれば有機肥料をまくのはなかなか大変だとかあるいは成分が一定しないとかいろんなことはあるんです、私もそれはよくわかっているんです。しかし、どうも補助事業で入れてもランニングコストが賄えない、非常にコストがかかり過ぎている、こういうふうなことを畜産農家が言われるんですね。それはつまり、つくられた堆肥というものが何らかの形ではばけなくちゃならないということなんですが、その辺がどうもうまくいっていないということなので、ぜひそれらの対応をお願いしたい、こういうふうに思っているんですが、いかがでしょうか。
  67. 竹中美晴

    説明員(竹中美晴君) 御指摘のとおり、規模拡大の進展とともに家畜のふん尿処理の問題は我が国の畜産にとって大きな問題、課題になってきております。ただ、家畜のふん尿というのは本来多くの有機物を含んでおります。環境保全だけでなしに資源の有効利用というような観点からも、これを堆肥化しまして耕種経営とも連携して農地に還元するといったことが基本的に重要であろうと考えております。  従来からも、家畜のふん尿処理利用施設整備とかあるいは融資、リース事業等々推進してきておるわけでございますが、御指摘のように、堆厩肥をきちんと耕種農家に結びつけていくということが重要でございます。現在も堆厩肥の流通や耕種農業における利用を促進する対策、そのためのシンポジウムとかいろんな結びつける努力なり、あるいはまた堆厩肥の需給情報を集めましてこれを提供しているといったようなこともやっているところでございます。  まだまだ不十分かと思いますが、今後ともそうした努力を続けていきたいと考えております。
  68. 国井正幸

    国井正幸君 時間ですので、終わります。
  69. 須藤美也子

    須藤美也子君 私は、減反の問題について違う視点から質問をいたします。  新食糧法、今もう既に新はなくなったと思うんですが、食糧法ができてから二年目を迎えます。こういう中で、先ほど来いろいろ質問がありましたが、高知県の知事あるいは岩手県の東和町の町長、こういう方々が、もう減反はやらないよという発表をしたわけです。この問題は全国的に大きな反響を呼んでいると思います。  そこはただ部分的だと先ほど局長さんはおっしゃいましたけれども、昨年の未達成の県は十二県、二百五十を超える自治体が減反未達成であります。しかし、全国の減反面積の目標からすれば、全体としてその面積は達成しております。  そこで、私は去年の二月十三日のこの委員会で減反問題について質問をいたしました。本当にこの第一条に書かれてある主要な食糧の需給と価格の安定が図られるのか、価格が保証されるのか、この問題について質問をいたしました。しかし、そのときはできたばかりですから、一年後その結果が明らかになるでしょう、そのときにまた質問をいたしますと、こう約束をしておりましたので、ここで減反が全国的に達成されたわけですから、価格はどうなったのでしょうか。
  70. 高木勇樹

    政府委員高木勇樹君) 減反が一〇〇%達成されて今自主流通米の価格がどうなっているかというお尋ねだと思います。委員も御承知のとおり三年連続の豊作でございまして、平成六年産が作況一〇九、平成七年産が作況一〇二、平成八年産が作況一〇五というようなことで、そういったことから全体的にどうしても需給は緩和基調であります。  したがって、現在のところ自主流通米の価格は低下傾向ということでございますが、これまでの自主流通米の価格の動向を見ますと、需給動向、市場評価に応じて形成されてきておりまして、上がったときもあれば下がったときもございます。こういった状況で、今時点では需給緩和基調のもとで低下傾向ということでございます。
  71. 須藤美也子

    須藤美也子君 御存じのように、自主流通米はもう既に六十キロで二千円から三千円下がっております、これは御承知だと思うんですけれども。そうすれば、この食糧法第一条の目的、価格の安定を図る、安定を図るどころかこれは不安定な法律ではありませんか。この矛盾が一つ。  この法律の矛盾の二つ目は国際的な問題であります。先ほど来いろいろ問題も出ましたけれども、世界の飢餓人口が八億人を超えている。去年のローマの食糧サミット大臣も行かれたわけですけれども、二〇一五年までにはこの飢餓人口を半減する、こういうローマ宣言を発表いたしました。  私は、今農民が心から怒っているのは、日本の主食である米が自給できるのによその国から米を輸入して、そして日本の農民には米をつくるな、こういうことに農民が怒っているんです。だから減反にも応じたくない、反発を感じているんです。  私は、ローマに行ったときに、国連世界食糧計画、WFPのヌゴンギ次長さんとお会いする機会がありました。このとき、日本が米を輸入しながら減反を押しつけられていることに対して、食糧生産減少していることは不幸なことであり、飢餓に苦しむ人たちを救うために日本食糧が使われるなら大変いいことだと、こうおっしゃいました。  私は、この食糧問題はただ日本の国内問題だけでなく、国際的な問題としても積極的に各国が自給率を高め、増産するということがローマ宣言であり、行動計画の中に盛り込まれたはずです。これを日本でどう実現させていくのか。  さらに、食糧安全保障の問題として、二十一世紀にこのままでいったら米の生産の維持が図られるのかどうか、私たちの孫や子供たちの時代に食糧難の時代を迎えるのではないか、こう心配をしております。  この間、一週間ほど前に古川に行きました。古川の西古川農協の組合長さんはこう言いました。あそこはひとめぼれとササニシキの生産地であります。しかし、減反をやるにはやっぱり農民に生産意欲がわくような転作作物を私らが考えていかなくちゃならないということを組合長さんはおっしゃっていました。私の隣にいて、今、西古川では大豆の転作を二トンから三トン考えている、これに積極的に取り組んでいきたい、こういうようにおっしゃっていたんです。  穀物の日本の自給率は三〇%ですね、こんな国は世界日本だけですよ、あとは砂漠の国か氷の国だけですから。私がもし大臣であれば、大臣になるということはないと思いますけれども、減反をさせるならば、それにかわる、農民に生産意欲がわく転作作物を将来展望も含めて具体的に提示していく、そういうふうに私はやりたいなと思っております。  それからもう一つは、総理府の世論調査でも八三・四%の国民が少々高くても国産物を食べたい、国産物を食いたいと言っているんです。でも、どこを探しても国産物がないと言っているんです。大豆なんか二%ですから、納豆、みそ、豆腐、油揚げ、毎日口にするあの原料の大豆はアメリカ産か中国産でしょう。あなた方もそれを口にしているわけですよ。食品会社も日本物を欲しい、こういう要求があるんです。これにこたえていくのが農水省の仕事ではありませんか。大臣、どうでしょうか。
  72. 高木賢

    政府委員高木賢君) 何点かにわたりましてお尋ねがありました。順次お答えをしたいと思います。  まず、食糧法があっても効果がなかったではないかというようなことでございますが、やはり食糧法に基づきまして需給と価格の安定措置をとる。これは生産調整だけでなくて、備蓄をきちんとやるとかいろいろなことがあろうかと思いますが、これのおかげで作況が一〇九、一〇二、一〇五と、こういうことで需給緩和基調になりましても、どすんというか、物すごい下落にならずに済んでいるというふうに思っております。それが第一点でございます。やはり何もないときと比べてどうかということが効果をはかるときの一つの物差してはないかと思っておるわけでございます。  それから二番目に、輸入との関係でございます。これはガット・ウルグアイ・ラウンド農業合意の受け入れのときの閣議了解にもございますが、「米のミニマム・アクセス導入に伴う転作の強化は行わない」ということが明記をされておりまして、国産米の世界だけでこの生産調整規模を決めているわけでございます。ミニマムアクセス米は加工用とかその他の用途に使う、国産米は国産米だけの需給のバランスをとるということで今現在の目標の六十七万ヘクタールというのは算出したものでございまして、いわばミニマムアクセス米と国産米は勘定を異にしている、需給の勘定を異にしておると言ってよろしいかと存じます。  それから三番目に、古川の例を引きまして大豆についての展望ということでございますが、これはまさに私どもも、大豆は健康食品としても非常に有望なものでありますし、納豆とか煮豆とか、日本の大豆はそのままの形で食べるような食品につきまして特に評価が高いわけでありまして、一昨年末閣議決定した「農産物の需要生産の長期見通し」におきましても、平成十七年の生産量二十六万トンというふうに見込んでおります。作付面積十一万ヘクタールということを見込んでおりますが、その見通し後の実際の姿も逐次生産量の増加、こういう傾向をたどっているというふうに思います。  そういうことだけでなく、生産対策といたしましても、規模の確保であるとか、あるいは主産地の形成というようなことに取り組みまして、需要と安定的に結びつけていく、こういう方向をとっているところでありますし、価格政策におきましても法律の定めるところに従いまして適正な価格設定をしているというふうに考えております。  それから、国産のものを食べたいということは、御希望は全くそのとおりでございますが、結局は安定的な需要者から見ての出荷量の確保とか、それから価格の問題というようなものもございますので、やはり消費者需要者が求める品質のものをできるだけ低コスト供給するということはこの面からも大事なことだと思っております。  いずれにいたしましても、一昨年の長期見通しというものが私どもの指針でありまして、それに沿う形での生産対策を進めてまいりたいというふうに考えております。
  73. 須藤美也子

    須藤美也子君 大臣も答えてください。
  74. 藤本孝雄

    国務大臣藤本孝雄君) 今、政府委員から御答弁申し上げたことで尽きておると思いますが、その中で、特に……
  75. 須藤美也子

    須藤美也子君 国際的な問題で。
  76. 藤本孝雄

    国務大臣藤本孝雄君) 食糧サミットでは御一緒いたしまして、ありがとうございました。あのときはいろいろ御意見を承りまして感謝いたします。  食糧サミットでは二つの問題がございまして、一つは数値目標、今言われました二〇一五年までに飢餓人口を半分に減らすということ、もう一つ食糧の安全保障のために各国ともに生産強化して食糧の増産を行うと。それから、日本の国としては、食糧の輸入国として食糧安全保障については主な食糧は自国でつくり、また足らざるところは輸入と備蓄で補っていく、こういう意見を申し述べた次第でございます。  それから、先ほどの転作作物の問題では、私も非常に大事なことだと思っておりまして、先ほど政府委員が答弁いたしましたように、例えば大豆の問題は、主産地形成をしていただきますと奨励金を非常に多く出して、お米をつくるよりも大豆をつくった方が農家の手取りは多いというような状況に、例えば高知県の窪川町の例でもそうでございますし、そういう現状もあるわけでございまして、力を入れていきたいというふうに考えております。
  77. 須藤美也子

    須藤美也子君 転作作物をつくる場合に、我が党は絶対減反だめと言っているんではないんですよ。ただ、米と同じように転作作物をつくった場合に採算のとれる価格保証制度をつくると。そういう保証があれば米だけに依存しないで別の作物もできるんではないか。こういう我が党は我が党なりの需給計画を持っておりますので、その点では同じですね。それはぜひ強力に進めていただきたい。  もう一つ、これは違う点だと思うんですけれども、去年の答弁の中で局長はこうおっしゃいました。減反は「強制とは申しません。今までありましたペナルティーというのはやめるとか、できるだけ説得の上で」、こういうような答弁をいたしました。それから、米穀の生産調整をする場合の実施手続(2)に、「農業者の自主性を尊重して実施するため、農業者ごとの生産調整対象水田の面積の決定に当たり、農業者の意向を踏まえたものとする必要がある。」と。農業者の意向を尊重する、こういう条文ですよね。それから、懇切丁寧にも、農水省で新食糧法のQアンドAまで出しているんです。この中には、「転作達成を補助事業の採択要件としていることについては見直すこと。」、こういうふうに書いてあります。  ところが、去年の十二月に出した通達では、「補助事業の優先配慮措置」、ここには、「生産調整に積極的に取り組み、生産調整の目標を達成している市町村からの要請に優先的に配慮することとされているところであるが、九年度においては、一層の公平感の確保を図る点から、本措置のより厳正かつ積極的な運用を図る」、こういう通達を出しているんです。これはペナルティー以外の何物でもないんじゃないですか。  こういうふうに全国の方々は受けとめているんです。もしペナルティーでないとすれば、こういう誤解のないように御指導をしていただきたい、こういうふうに思います。
  78. 高木賢

    政府委員高木賢君) いわゆる生産調整の実効確保の措置でございますが、これまでやっていたペナルティーというものを廃止したと申し上げたのは、従来は未達成の場合、その未達成分を翌年度の目標面積に上乗せをしていたというのが第一点でございます。それから、補助事業につきましては、一切不採択ということにしておった、これが二つ目でございます。これはやめたということであります。  お話しの補助事業推進の件でございますが、今言われましたが、生産調整目標達成市町村からの要請に優先的に配慮をするということは、同時に対策推進のための条件整備という項目の中で新しい生産調整対策の大綱の中に盛り込んでおります。  そこで、九年度の件をお話しになりましたが、予算に比べまして全国各地域から要望が非常に多いわけでございまして、そういう中にありましては、やはり生産調整の目標を達成し、地域農業の将来の展望を切り開くために熱心に取り組んでおられる市町村、これからの要請を優先的に考えなくちゃいかぬ、こういう事態にもなっております。  それからもう一つは、やはり未達成の県が出たじゃないかというお話がありましたが、それぞれの県なり市町村はそれなりに皆さん努力をされたと思います。しかし、結果として未達成になったということにつきまして、達成をした市町村なりあるいは農業者の方々から、やはり達成しないでメリットだけ受けるのは不公平ではないか、正直者がばかを見るではないか、こういう公平感の確保ということにつきましての要請が一層強くなった。  こういう予算事情と公平感確保の要請という二つの事態を踏まえまして、本措置の厳正かつ積極的な運用ということを通達したわけでございます。あくまでこれは優先配慮ということでございますので、一切採択しないとかということを言っているわけではありませんけれども、達成した町村の方が順番として優先になる、こういうことであります。  それからもう一つ農業者の自主性の尊重と言っているけれども、押しつけているのではないかということでございますが、これはやはり食糧法に基づきまして当然生産者団体と十分協議、調整の上でありますけれども、県別のガイドラインを国から決定し通知する、それから県から市町村に対して決定を通知する、市町村から農業者別にガイドラインを決定して通知する。これは全中、都道府県の中央会、農協と、このルートも同時にこれが行われるということでございます。  ただ、これでぴたり決めつけて、それでおしまいだと、こういうことではありません。まさにガイドラインという言葉のとおりでございまして、ここからまさに地域間の調整なりあるいは農業者間の調整が行われまして最終的な確定に至るわけでございますけれども、その間に補助をしております共補償事業なりが活用されまして、自分はもうもっと米をつくりたいから、だれかほかの人に頼むと、その場合には補償金を出しますと、こういうことでの地域内でのそれぞれのお立場を尊重した調整が行われる。こういうプロセスを経て、だれそれさんは幾らと、何ヘクタールなり何アールなりということが決まる仕組みでございまして、それぞれの農業者の方々の意向と、一方では全体として目標を達成しないと不都合が起こると。こういうことで、目標達成に向けた取り組みということの調整措置としていろいろな活動が行われて決定に至るということでございますので、何か頭から押しつけるとか、そういう性質のものではないと思います。  それから、そもそもを言えば、やはり生産調整は農業者自身のためでありますので、それは個々に見れば、自分がやらないでだれかやってくれた方がいいとお考えになることは、ごもっともな面がありますけれども、だれかがやらないと達成されないわけでございますから、そういった物事の御理解の上に立って進めているという状況でございます。
  79. 須藤美也子

    須藤美也子君 時間でありますので、四十九分までで時間が切れましたのでやめますが、最後に、ペナルティーと誤解されるような、こういうようなことはやめるように強く申し上げまして、終わります。
  80. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 せんだってもこの委員会で台湾の豚の疫病、口蹄疫が大流行して輸出禁止になったことから、我が国に種々の影響が出ているのではないかということで問題が提起されましたけれども、私もその点について二、三お伺いしたいと思います。  台湾における発生状況被害の現況はどのようになっているのか、その概要を御説明願いたいと思います。
  81. 竹中美晴

    説明員(竹中美晴君) 台湾におきます口蹄疫の発生状況でございますが、本年三月二十日に台湾の家畜衛生当局から口蹄疫の発生について通報がありました時点では、台湾北部の二県で発生農家数三一尺発症頭数千五百七十頭、死亡頭数六百十五頭ということでございました。  その後、台湾の家畜衛生当局によりますと、三月二十六日現在では、十二県、二市におきまして発生農家数七百十七戸、発症頭数十四万六千七百七十一頭、死亡頭数三万七千六百四十三頭ということでございまして、現状は台湾の西部ほぼ全域で発生が確認されている、そういう状況と理解いたしております。
  82. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 口蹄疫とはどのような疫病であるのか。また、我が国への侵入防止対策はどのようになっているのか。我が沖縄県は地理的にも非常に台湾に近いわけでありますけれども、非常に心配でございます。侵入防止には万全の対策を講ぜられると思いますけれども、どのような方策を立てておられるか、お伺いします。
  83. 竹中美晴

    説明員(竹中美晴君) 口蹄疫は、専ら豚とか牛とか、偶蹄類と申しますが、ひづめが偶数という意味でございますが、こういう動物に感染いたしまして、症状としましては、突然の発熱、元気消失、食欲不振といったことに陥る。しかも、急性で極めて伝染性の強いウイルス性の疾病でございます。発症いたしますと、家畜は急激にやせまして、死ぬ場合もございます。死なない場合でも、やせ衰えて産業上の利用価値がなくなるということで、畜産に及ぼす影響は大変大きいということから、世界じゅうでも最も恐れられております家畜の伝染病でございます。なお、人には感染いたしませんで、仮に口蹄疫にかかった豚肉を食べても、人体への影響はございません。  台湾の口蹄疫の防疫措置でございますけれども、三月二十日に台湾の家畜衛生当局から通報を受けまして、我が国としましては、直ちに台湾からの偶蹄類の動物それからその畜産物の輸入禁止措置を講じますとともに、台湾から輸入されました二月二十一日以降に屠殺された豚から生産された豚肉の自主的な回収を指導いたしまして、さらに、国内的には各都道府県による生産者等に対します口蹄疫防疫の重要性についての啓蒙とか、家畜防疫員による農家の巡回指導等を緊急に指示したところでございます。  それから、航空会社等を通じまして、一般旅行者が台湾から畜産物を持ち帰らないよう周知徹底いたしますとともに、生産、輸入、食肉加工、あるいは流通関係者を対象に防疫対策説明会を開催しまして防疫対策の徹底を図っております。  それからまた、家畜保健衛生所に対しましては、牛、豚等の偶蹄類の動物を使用する全農家を対象にいたしまして立入検査をするよう指示しているところでございます。  こういうことで、その発生の通報を受けて各般の措置を講じているわけでございますが、今後とも防疫対策には万全を期していきたいと考えております。
  84. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 特に、我が沖縄県は非常に近いわけで、与那国あたりは百二十キロしか離れていない。そういった防疫に関して特別に指示されたことはございませんか。沖縄県は近いので、特別に本土とは違ったような形の防疫体制というものは何か指導されておるのかどうか、その辺について。
  85. 竹中美晴

    説明員(竹中美晴君) 先ほども申しましたように、この口蹄疫というのは畜産にとりまして大変怖い病気でございますので、沖縄県に限らず全国的に最重要性を置いた防疫体制を講じているところでございます。
  86. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 輸入豚肉の半分近くを台湾が供給しているということを聞いておりますけれども、輸出禁止は我が国の豚肉市場にも大きく影響を与えるのではないかと思っておりますけれども、その需給バランスの崩れるおそれはないのか、その辺について御説明願います。
  87. 竹中美晴

    説明員(竹中美晴君) 平成七年度で豚肉の輸入状況を見ますと、豚肉全体の輸入量が五十三万五千トンあります中で、台湾からの輸入は四六%の二十四万九千トンとなっております。七年度の豚肉の国内需要量全体で百四十六万トンに対しまして、台湾からの輸入豚肉が占める割合は一七%程度となっております。  そうした中で、本年度の豚肉需要は、対前年比二七%というように急増いたしておりまして、国内の在庫水準も通常の場合は八万トンないし九万トンというところが在庫水準が非常にふえておりまして、通常時のほぼ二倍の十七万二千トン程度になっております。  そうしたこととか、また輸入につきましては我が国への主要な供給国でありますEUとか米国の供給力が潜在的には非常に大きいといったようなことを考えますと、今回の口蹄疫問題で、需給上直ちに大きな問題が生ずるというようなことにはならないんではないかと考えております。  それから価格でございますが、口蹄疫の発生後、東京食肉市場で見ますと、二十四日でキログラム当たり六百二十三円というふうに急騰したところでございますが、その後、次の日には五百九十円、さらにきのうは五百二十三円と反落いたしておりまして、市況は落ちつきつつあるのではないかというふうに見ております。今後の価格の動向につきましては、なお注視をしていきたいと考えております。
  88. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 我が国の豚肉の自給率は現在どのようになっているか。また、今回の一例を見ても国内自給率を高める必要があると思いますけれども、その辺の状況はどうなっておりますか。
  89. 竹中美晴

    説明員(竹中美晴君) 我が国の豚肉の需給状況でございますが、近年需要量は大体百四十五万トン程度でおおむね安定的に推移いたしております。これに対しまして国内生産につきましては、環境問題とか高齢化の問題とかございまして、傾向として減少傾向で推移しております。そういう中で豚肉の自給率は減少傾向で推移しておるわけでございますが、平成七年度で見ますと六二%程度となっております。  これにつきましては、ウルグアイ・ラウンド交渉の中で差額関税制度機能を確保いたしますとともに、輸入急増時には関税を引き上げる関税の緊急措置等も確保いたしておりますし、またウルグアイ・ラウンド対策の一環として地域豚肉生産安定基金等の国内対策充実も図っております。最近の国内の養豚状況を見ますと、関税の緊急措置の発動といったこともございまして枝肉価格も上昇している、あるいは養豚経営の収益性もかなり向上しているという状況でございます。  今後とも、国内生産振興にはさらに力を注いでまいりたいと考えております。
  90. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 沖縄県は歴史的にも非常に養豚の盛んなところでございますので、県の養豚の状況、そしてこれからの振興策、その辺についてどうお考えなのかお聞かせ願いたいと思います。
  91. 竹中美晴

    説明員(竹中美晴君) 沖縄県は亜熱帯性気候に位置しておりまして、その特徴を生かした畜産の振興を図っていくことが課題であろうかと思います。  畜産につきましては、御指摘ありましたように養豚が伝統的に盛んでございます。農業生産額に占める割合も一六%と、全国平均の七%弱を大きく上回っております。現状を見ますと、生産性の高い粗飼料基盤を活用して国用牛等もふえているということで、畜産全体で沖縄県の農業生産額の三分の一を占めているというようなことであろうかと思います。  今後も沖縄県における畜産の振興、合理化を図りますために、生産コストの削減、価格の安定、消費の拡大等、各般の施策に努力をしていきたいと考えております。
  92. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 気候風土も非常に畜産に適している地域でありますから、ぜひ畜産にもっと力を入れて振興策を図っていただきたい。  この機会に、沖縄県の畜産業の現況について、そして養豚以外の肉用牛、養鶏、鶏卵等の経営の現況について、もしおわかりでしたら御説明願いたいと思います。
  93. 竹中美晴

    説明員(竹中美晴君) 沖縄県の畜産でございますが、豚を中心に肉用牛、酪農、鶏卵の順番で畜産が農業の中でかなりのウエートを占めているところでございます。農業生産額に占める割合は三五%。そうした中で、傾向としましては戸数の減少等はございますが、一戸当たり生産規模というのは着実に拡大しているんではないかというふうに考えております。
  94. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 水産業の問題についてお伺いいたします。  先ごろ、沖縄では鳥島での米軍による劣化ウラン弾演習による環境汚染の影響を懸念して、久米島での漁獲物に対する沖縄県内での需要と価格に影響が出ているというふうに指摘されております。  この点について水産庁はどのように対処されているのかお伺いしておきます。
  95. 嶌田道夫

    政府委員嶌田道夫君) 沖縄県の鳥島の劣化ウラン弾の問題でございますけれども、これにつきましては科学技術庁と外務省が関係省庁の協力を得まして二月二十四日に第一回目の鳥島周辺の環境調査実施しております。水産庁といたしましても、海産生物の採取等には協力しております。  これらの結果でございますが、その海産生物につきましては現在分析中でございますが、大気中及び海水中からは放射線量として特に異常な値は検出されなかったという報告がなされております。また、現在米国と協力して第二回目の調査実施されているというふうに聞いております。  今、先と言われましたこれによります魚価の下落の問題等でございますが、水産庁といたしましても気にいたしまして、早速沖縄県の方に問い合わせました。沖縄県の方から久米島漁協の方にいろいろ聞いていただいたところでございますが、その結果によりますと、現在のところは風評によります魚価の下落は生じていないという報告を受けております。  また、仮にそのような事態がありますならば、水産庁といたしましても沖縄県及び関係団体に対します指導など、適切な対応をしていきたいというふうに考えております。
  96. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 なぜそのことを申し上げるかといいますと、ウラン弾発射事件が起きまして、そして汚染されているんじゃないかというふうなことがございまして、とった魚が売れなくなっているという状況が実は新聞報道なされたものですから、そのことをあえて聞いたわけなんですけれども、ぜひ汚染がないような形での調査をしていただきたい。そうでないと、やっぱり漁業関係にも大きく影響するんじゃないかというふうに心配しておるものですから。  鳥島は非常にいい漁場だそうです、私は行ったことないんですけれども。それで、やはりもう何年も実弾をぶち込んでおりますから、海岸には相当不発弾があったりなんかして、漁業者の皆さんがその実態を見て、こんなにたくさんの不発弾があるというふうなことで非常に驚いているわけです。この実弾射撃をやっているところはほかに七カ所もあるわけですから、そういったふうなことからすると、沖縄の水産業振興にも大きく影響しているんじゃないかというふうに考えられるわけです。  ですから、今後、沖縄の問題を考える場合には、まずそういった実弾射撃訓練射爆場、そういったことについても水産庁としては米軍に対して演習を何とか控えるように、あるいは中止するように、あるいはやめてもらうようにといったような方向づけも考える必要があるんじゃないかと思いますけれども、その辺について何か御意見がありましたら、お伺いします。
  97. 嶌田道夫

    政府委員嶌田道夫君) 今、先と言われましたことは、国全体としての防衛とかいろいろかかわるものでございますので、なかなか水産行政だけでは律し切れないところもあろうかと思います。  ただ、先ほど言いましたように、水産庁といたしましては、このようなことでいわれなき価格の低落があってはいけないということだけは肝に銘じておりまして、その点につきましては沖縄県を通じましていろいろ、もし仮にそういうようなことがあるならば、十分指導をしていきたいというふうに思っております。幸い現在のところはそのようなことはないし、逆に言いますと、現在価格はかなりいいというような、これはソデイカで加工用に回すものが中心に今とれておりますけれども、昨年に比べますとことしの方がまだいいというような状況になっているそうでございます。
  98. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 もう時間ですので、これで終わりますけれども、沖縄県の農林水産業振興策に対する大臣の基本方針をひとつここで決意を示していただきたいと思います。よろしくお願いします。
  99. 藤本孝雄

    国務大臣藤本孝雄君) 沖縄農業振興に当たりましては、御承知のような亜熱帯性気候でございまして、この特性を十分に生かした特色のある亜熱帯の農業確立していくということがまず重要でございます。  私も沖縄開発長官経験者でございまして、現地につきましては十分に承知をいたしております。特に、基幹作目でありますサトウキビ、これは生産性また品質の向上を図るといったことが大事でございますし、気象条件の有利性を生かしまして、本土ですと夏にとれるものが沖縄では冬とれるという、そういう季節の問題がございまして、そういう野菜等はどんどん今本土へ入ってきておるわけでございます。花につきましても、菊であるとかそれからラン、ドリームランドは非常にすばらしい建物で、あの中にたしか三千種でございましたか、立派な洋ランがございます。ああいう状況を見ますと、この花の問題は沖縄農業の大きな武器、特徴であると思いますので、その点につきましても大いにこれから力を入れていきたいと思います。それから熱帯性の果樹、これも特徴、特色があるわけでございますし、畜産などの振興にも力を入れて、要は特色のある亜熱帯農業として沖縄農業確立していくということが重要であろうと思っております。  また、第三次沖縄振興開発計画の後期の五カ年に入るわけでございまして、そういう展望も踏まえまして、今後特色のある沖縄農業振興を図ってまいるように努めてまいりたいと考えております。
  100. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 ありがとうございました。
  101. 真島一男

    委員長真島一男君) 以上をもちまして、平成九年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、農林水産省所管及び農林漁業金融公庫についての委嘱審査は終了いたしました。  なお、委嘱審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  102. 真島一男

    委員長真島一男君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時十四分散会