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清水澄子君 そういう一般論は大体わかるんですけれども、実際に家族
経営協定は、これは一九六三年ごろ運動が起きてきたと思いますが、そのときも
農業の
後継者をどうつくるかとか、それから
農業の担い手をどうつくるかということで、結局、若者や
女性を単に
農業の担い手イコール労働力対策としてこの問題が出されてきた。しかし、それを今
農水省は、さっきから説明してくださっているように、新しい家族
経営推進運動事業を始めていらっしゃるわけですね。
それは
農業経営の主体者としての
女性という
意味での個人と、それからもっと
農業を魅力あるものにするために
経営内における個人の地位を確立していくんだという、私は大変そこに注目しているわけです。しかし、それらを本当に
推進していくためには、まだまだその
趣旨、
考え方がそれを
推進する行政担当者の中にも徹底していない。その点で、例えば九州のある町では、大部分が父子間、父親と
後継者、長男との間の
協定になっているところがあります。
ですから、それは
後継者づくりというだけで、家族の一員が同じように
生産した労働の分配をどう民主的にやっていくのかという、もっと本当にそういうところがないと、
後継者づくりが先に進んでしまっても
後継者はなかなか定着てきないと思うんです。そういう点で、これを進めている最近の
趣旨がまだまだ徹底していないんじゃないかと思うんです。
それからまた、その
協定の中での報酬額の決定の仕方にも性差別的な
考えがそのまま定着をしていると思うんです。例えば、これは比較的作業が標準化していると言われる酪農のところですけれども、年間粗収入二千万円のある
経営主は月給四十万円、その妻は三十万円、そして
後継者は二十万円、その
後継者の妻は八万円という形で決まっているわけです。これらを見ると、同じような労働、標準化している労働ですけれども、これは企業ではないわけですから、企業は労使対立がありますけれども、家族の共同体的労働ならば、またそれのよさといいますか、それを活用すれば、労使対立関係ではない、お互いに家族が本当にこれを民主的に話し合って、そしてその報酬をきちんと決めていくというときに、やはり性差別とか年齢の差別とか、そういうものをここからなくしていくような、
農水省はもう少し
経営協定の進め方、あり方の中で労働の分配の体系をもっと研究して、それを民主化したものを適用していくような、そういう指導が私は必要だと思うわけです。もう時間がありませんので、そういうことを私は
要望しておきます。
最後に、
大臣、何も答えてくれませんので
大臣にお答えいただきたいわけですけれども、今、世界
女性会議では、二〇〇〇年に向けてどう
女性の地位を高めていくかという世界的な大きな共通の
目標に向かってみんなが
努力をしている最中です。その中で、実は北京で採択された行動綱領の「
女性と経済」という中に、
女性のアンペイドワーク、つまり無償労働をどう解消していくかということが大きな
目標になっております。それは
農業女性だけじゃなくて、一般のすべての
女性は、職業についていても、有償労働だけではなくて膨大な量の無償労働を通して
社会と国の経済に貢献をしているわけですけれども、それらがほとんど認知されていないということが今非常に大きな問題になっています。
そういう中で、特に
農村の
農業女性というのは、
農業生産そのものを担当しながら、家族の食べ物から消費生活の面から、それからさらに子育てや高齢者の介護や家族のために、また
環境保全とか地域活動とか大変な多くの労働を担っているわけです。ですから、特に無償労働と
農業女性という問題は、これは世界で、無償労働をどう解消していくか、
政策でどう補っていくか、そういう点と、それから
生産労働ではきちんと家族内でそれを分配していく、そして正当な労働の評価を与えていくということが、これは国際的にも、EU諸国もすべてですが、みんなこのことが大きな共通
目標で、二〇〇〇年までに何を実現するかという取り組みになっております。
そういう
意味で、新
農業基本法を
制定されるための論議が今始まっていると思うわけですけれども、こちらの新
農業基本法の研究会においては相変わらず
女性は
農業の担い手としての位置づけしかされておりませんので、ぜひその点でこの
農業基本法に関する研究会の中できちんと、
女性の無償労働をなくす、それから
社会保障
制度もそこに新たなものをつけ加えていくとか、そういうふうなことをぜひ
大臣に積極的に
推進していただくように私はお願いしたいので、一言御決意をお願いしたいと思います。