○清水澄子君 男女平等の社会をつくろうということは一九七五年から国際的な共通の各国
政府の目標、課題となって、二十二年間このことが
努力されております。そういう中で、先ほどからの御論議を伺っていると、物すごく皆さんたちは善意でもって話していらっしゃる。その善意は大事なことなんですけれ
ども、また個人的な生活の中の体験も非常に大事なことなんですけれ
ども、しかし私たちがここで目指しているのは、
日本だけじゃない、世界じゅうにこれは存在していたんですが、社会的に文化的に長い歴史を通してつくられてきた、男性の生き方というものがつくられたり、女性の生き方がつくられたり、そういう価値観のもとで、そして男性を標準にしてしまったさまざまな
考え方、意識、生き方、
制度、そういうものを今後なくしていかないと本当の民主主義はできない、本当のお互いの人間としての平等とか自由というものが尊重されないんだ、こういうことでこの運動が始まって、これは
政府もやりますけれ
ども、全世界の女性たちの大きな人権運動になっていると思うんです。
そういう中で、私はもうきょうは論争する時間がありませんけれ
ども、先ほどから官房
長官も何回もおっしゃっています、
日本の女性ほど男性から思いやられている女性はいないとか。それは個人の善意かもしれませんけれ
ども、社会的にはどうなのか、国際的にどうなのかと見たときに、発展途上国の女性が必ずしも地位が低いとは言えませんけれ
ども、そういう経済的な条件がない中での比べ方ではなくて、
日本は先進国と言われる中でいつでも国際社会へ行くと批判を受けるんですね。そういうことをやっぱり認識していただきたいと思います。
例えば男女賃金格差で言いましても、韓国より
日本はおくれてしまったわけです。男女賃金格差の一番大きいのは
日本だというのは世界じゅうの女性が知っておりますし、それからいまだに堕胎罪という明治のときの
法律が変えようとされていません。こういうのを言い出したら、
日本の法整備のあり方、女性を個人として、人権として扱うということが余りにおくれているというので、そういう国際会議に行くと私たちはいつでも大変つらい思いをしているわけです。
特に、政治やこういう場に参加をするという点では、私たちは今こうして男性のところに対等に並んでいる、だから対等かといえば、私は対等にここにおりますけれ
ども、しかし個人の生活では皆さんたちとは女性は違いますよ。帰ると洗濯もしなきゃならない。いろいろ夫と分け合ったり、もう大変です。皆さんたち男性の議員より女性の議員はうんとたくさんの、それこそ家事やらいろんなこと、余分のことをいっぱい持っている。それは
自分で処理していますけれ
ども、社会的にそれが当たり前だということになると、これは問題になるわけです。
日本では政治参加でも衆参合わせて六・八%しか女性は参加していない。世界各国の中で、百八十六カ国ぐらい国連に加盟していますけれ
ども、百四十四番目なんですよね。
日本はこれだけ経済力があり学歴があり社会がこれだけ発展をしているのに国際的にどうしてこんなに女性の地位が低いのかと言われているところで、私たちはそれを一生懸命女性自身が自覚しようとして運動をしているところなんです。それが官房
長官のように
日本の女性には多くの優位を与えていると言われると、この議事録が今度どこか外に出たらこれまた大変だなと思って今伺っておりました。
そういう
状況ですから、私たちが全然そこには不平等はないと思っているところが実は長い間の文化的な慣習になってしまっていますから、意識化されていますから、それらをどう取り除くかというのは相当長い運動
期間が要ると思います。
そういう意味で、私はもう一言お伺いしますけれ
ども、このビジョンが提起しました「社会的・文化的に形成された性別に敏感な視点の定着と深化」という項目は何を訴えようとしているのかお聞かせください。