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1997-06-16 第140回国会 参議院 逓信委員会 第16号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成九年六月十六日(月曜日)    午前十時開会     —————————————    委員異動  六月十三日     辞任         補欠選任      保坂三蔵君      平田 耕一君   出席者は左のとおり。     委員長         渕上 貞雄君     理 事                 加藤 紀文君                 陣内 孝雄君                 足立 良平君                 三重野栄子君     委 員                 景山俊太郎君                 北岡 秀二君                 畑   恵君                 平田 耕一君                 守住 有信君                 魚住裕一郎君                 鶴岡  洋君                 西川 玲子君                 林  寛子君                 松前 達郎君                 上田耕一郎君                 山田 俊昭君                 水野 誠一君    国務大臣        郵 政 大 臣  堀之内久男君    政府委員        郵政大臣官房総        務審議官     濱田 弘二君        郵政省電気通信        局長       谷  公士君        郵政省放送行政        局長       楠田 修司君    事務局側        常任委員会専門        員        舘野 忠男君    説明員        郵政大臣官房国        際部長      長谷川憲正君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○電気通信事業法及び電波法の一部を改正する法  律案内閣提出衆議院送付) ○NTT分離分割、五万人削減反対に関する請  願(第一〇二八号外五件) ○継続調査要求に関する件 ○委員派遣に関する件     —————————————
  2. 渕上貞雄

    委員長渕上貞雄君) ただいまから逓信委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  去る十三日、保坂三蔵君が委員を辞任され、その補欠として平田耕一君が選任されました。     —————————————
  3. 渕上貞雄

    委員長渕上貞雄君) 電気通信事業法及び電波法の一部を改正する法律案議題といたします。  本案につきましては既に趣旨説明を聴取しておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  4. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 平成会魚住裕一郎でございます。  今回、WTOサービス関連で今議題となっている法律案が出てきておるんですが、要するに外資規制撤廃あるいは緩和という趣旨であります。現行法は、かたくなにというか外資規制をきちっとしているわけでありますが、この外資規制の主な目的というか根拠、これはどういうものだったんでしょうか。
  5. 谷公士

    政府委員谷公士君) 電気通信事業につきましては、国民生活それから社会経済活動にかかわる重要な公益事業であるということから、我が国それから我が国民の安全を確保いたしますために一定外資規制を行う必要があるものという考え方でございまして、これは我が国にとどまらず国際的にも各国とも従来おおむねそういった対応をとってきたところでございます。
  6. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 これは公益事業ならばみんなそうですが、よく言われるお話ですが、それは電力事業公益事業ですし、ただ公益事業ということだけではちょっと納得できないんですが、もうちょっと詳しく教えてくれますか。
  7. 谷公士

    政府委員谷公士君) 確かに、通信事業に限らずもろもろの公益的な事業につきましては、それぞれの国の主体性自主性確保するということが大変重要だという点については同じだと思うのでございますが、とりわけ通信事業につきましては、各国ともに従来からそういった観点からこういう制限を行ってきたところでございます。  それからまた、通信事業におきましては電波も使われるわけでございますが、電波利用につきましては、周波数が限られたものであるということから、各国とも無線局の開設の関係につきましては外資制限というものが守られてきたという状況がございました。
  8. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 いろんな資料とか読みますと、いわゆる外国からの過度の影響性を排除するというような趣旨であるとか言われておるわけでございます。ちょっとまだ納得できないんですが、今、谷局長がおっしゃったこと、今度外資規制撤廃するあるいは緩和する、今までおっしゃった外資規制根拠、この整合性、それとももうそういう規制をする必然性がなくなったというように理解していいんでしょうか。そして、そう判断した根拠というものはどういうものだったのか教えてください。
  9. 谷公士

    政府委員谷公士君) 御案内のように、近年社会経済活動が非常に国際化をしてまいりました。そういった中で国際的な相互依存関係が増大してまいりますので、財・サービス貿易の一層の自由化が求められているわけでございます。  我が国といたしましても、自由貿易体制利益を大きく受けるという国柄でもございまして、こういった体制維持促進という観点から、諸外国状況も踏まえながら、国際的に調和のとれた資本参加自由化を図る必要があるという考えでございまして、先般のWTO基本電気通信交渉におきましても、そういう観点から基幹的な通信事業者でございますNTTKDDにつきましては留保いたしまして、その他の第一種電気通信事業につきまして無線局免許も含めて一切の外資規制撤廃するということを約束したところでございます。
  10. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 それからあと、いろんな言われ方をしました、外資規制のこの根拠というのが。その中で非常災害時の重要通信確保という言われ方もしてまいりました。確かに阪神・淡路大震災のようなときを考え、かつそれが外資の場合すぐ対応できないとかいろんなことがあるんだろうと思いますが、この非常災害時の重要通信確保、こういう側面については今回の外資規制撤廃との関連ではいかがなものなんでしょうか。  そして、NTTKDDは二〇パーセントという規制がかかっておりますけれども、この二〇パーセントを規制することによって非常災害時の通信確保という要請はきちっと担保されているというふうに考えているのか。あるいは、NTT三分の一保有義務というのがあるようでありますけれども、これをもって確保している、その辺の因果関係といいますか、その辺を説明していただけますか。
  11. 谷公士

    政府委員谷公士君) まず非常災害等を含め重要通信確保のための措置でございますが、御指摘のありましたように、現在の我が国における基幹的な通信事業者でございます国内NTT国際KDD、これにつきましては現在の外資規制二〇パーセントをそのまま維持するということをいたしております。  さらに、現行法上、我が国及び我が国民の安全を確保するために一定措置確保されております。例を申し上げますと、例えば外国為替及び外国貿易管理法におきましては、国の安全を損ない、公の秩序維持を妨げ、または公衆の安全の保護に支障を来す場合には対内直接投資等留保内容の変更、中止の勧告及び命令を行うことが可能となっております。また、電気通信事業法電波法及び有線電気通信法におきましては、天災、事変その他の非常事態が発生し、または発生するおそれがある場合における重要通信確保命令を行うことができるようになっております。また、電気通信事業法におきましては、さらに通信秘密支障があると認める場合には、郵政大臣電気通信事業者に対して改善命令を行うことができるようになっておりますほか、通信秘密が侵されました場合には罰則の適用、許可の取り消し等が可能となっております。もちろん、これらの措置は外為法の場合を除きますと、内資であるか外資であるかという区別にかかわらずに適用されるわけでございます。  いずれにいたしましても、こういった措置がありますので、基本的には御指摘のような場合の対応支障がないものと考えております。  具体的に、例えばNTTKDDの二〇パーセントによってこういった外資に対する懸念が解消できるのかという点につきましては、我が国主体性自主性確保するための外資制限と申しますのは、いわば抽象的、一般的な懸念に対する措置でございまして、そういう意味で、外資であるがゆえに具体的な危険が生ずるというものではないわけでございます。そういった抽象的、一般的な懸念に対しまして世界各国ともそういう措置をとるという国際情勢でございますので、国際的なバランスの中でやはり考えていくということになるのではないかというふうに思うわけでございます。
  12. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 今回の改正によって、第一種通信事業者、またCATV業者もいるわけでありますけれども、その両方、CATVで第一種通信事業者の場合はこの外資規制がなくなるわけです。CATVだけをやっている人はまだ放送ということで外資規制があるわけですが、何というか、非常にアンバランスな感じがするんです。もちろん、放送地域独占性というような根拠を使いながら我が国民に対する影響性があるから規制するんだと、いろんな言い方がありますけれども、一方で通信事業を同じ会社がやればそれがなくなるというのであれば、そもそも公益性とか言っていること自体が根拠薄弱になっているんではないのかという思いがするんですが、この点はいかがでしょうか。
  13. 楠田修司

    政府委員楠田修司君) 放送というものを考えてみますと、非常に限られた資源であります電波利用しまして、放送といいますのはその国の政治、文化、社会にも大きな影響力を与えるということでありまして、いずれの国におきましても大体国内向けの法制になっております。そういう意味で、外資規制というものは必要であるというふうに考えておるわけであります。  したがいまして、各国とも放送というものに関しましては外資規制を設けるということをやっておるわけでありまして、WTOでも、放送分野そのもの交渉において外資撤廃するということは課題にはなっておりませんでした。  先生指摘ケーブルテレビでございますが、ケーブルテレビ分野におきましては、これは放送ではありますけれども、通信との融合が一番早く今進展してきているところであります。例えば、ケーブルテレビ会社電気通信分野に進出するというのももう既に日本では認められておりますし、幾つかの事業者通信に入ってくるということになっております。  そういう中でこれをどう考えるかということになりますと、電気通信においては外資規制撤廃される、ケーブルテレビ電気通信を行うという場合、これは通信放送世界的に進む段階においてやはり通信の方にマッチさせるということも必要であろう、こういうことで、ケーブルテレビの中で電気通信を行う者は外資規制撤廃するという方向を示しているということでございます。  ただ、放送そのもので若干それでは矛盾があるではないかという御指摘でありますが、確かにございます。ただ、放送の基本的な考え方は変わりませんけれども、こういう通信放送融合の進んでいるところにおきましては、やはり世界動きに従いましてこれを撤廃するということがいいんではないかということで判断したわけでございます。
  14. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 今回、各国ともウルグアイ・ラウンドの関係自由化の約束が出ておるわけでございますが、いろいろ各国比較して、日本が非常に突出して自由化しているというイメージを持つんです。アメリカと比較しても規制撤廃の度合いが非常に大きいというふうに思うんです。  そんな中で、NTT米子会社あるいはKDD米子会社免許がずっと留保のままになっているというようなことがございます。この関係で、理由づけとしてさきのNTT分割質疑の中でも出てきましたけれども、NTTKDDの二〇%規制は今後どのように進展をしていくのか、また郵政省としてはどのような対応をとっていくのか、お聞かせをいただきたいと思います。  郵政大臣あるいは郵政省として書簡を二回ほど出しておられるようでありますけれども、反応はいかがなものなのかということを教えていただきたいと思います。郵政大臣、お願いします。
  15. 堀之内久男

    国務大臣堀之内久男君) ただいま魚住先生から御指摘の件につきましては、三月十四日、私からFCC委員長に対しまして早期認証を求める書簡を送付いたしたところでございます。先方からは五月八日付で返書が送付されてきたところでありますが、本申請取り扱いや具体的なスケジュールについては何ら言及されていなかったところであります。  既に申請から四カ月以上経過いたしておるわけでございまして、米国政府がこの問題の解決に向けた措置を講じていない状況はまことに遺憾であると思っております。  そこで、五月二十二日付で再度書簡を送付いたしました。内容につきましては、第一点がNTT及びKDDの両子会社に対する早期認証付与、第二点が本年二月のWTO基本電気通信交渉合意の線に沿って米国参入手続透明化について、書簡を送付いたしたところであります。  今後、引き続き米国政府に対しましてこの問題の解決を強く要求してまいりたいと考えております。
  16. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 WTO合意に基づいて最恵国待遇という形で多国間におけるテーブルで交渉するという方向性が出ているわけですが、今のアメリカのやり方、相互主義というか二国間で話し合いをすると、その理由づけとして外資規制の問題とNTTの調達が出ているようですが、平行線になるかもしれない。  そうすると、来年の一月一日までずっとこのままの状態で推移しかねない。郵政省としては、そのまま本年が経過して、来年正月が来るのを待っているのかなというふうにも見えるんですが、この点はいかがでしょうか。
  17. 谷公士

    政府委員谷公士君) 現在のところ、大臣書簡に対して反応はございません。  ただ、二点のうち一点のNTT調達問題につきましては、九月末日をもって現行の取り決めが終了することになりますので、その後の取り扱いについてはアメリカも当然に関心を持っており、一定の時間的猶予をもってこの話し合いをしたいということになるのは当然だろうと思っております。  それから二点目の外資の問題でございますけれども、アメリカ自身も来年一月以降のWTOの条約の実施に向けましてFCCの規則の改正案を今公表いたしまして意見の調整をしているところでございます。これによりまして、アメリカとしましては相互主義撤廃するということを言っておるわけでございます。  その内容につきましてはまだ幾つ懸念されるところがございまして、この内容を十分分析いたしました上で、日本としてもその改善を求める取り組みをしていきたいというふうに考えておりますので、いずれそういう動きの場というのは出てくるだろうというふうに思っております。
  18. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 今局長お話を聞いても、要するにアメリカ任せになるのかなというような印象をぬぐえないんですが、その点は置くといたします。  このたび外資規制撤廃がなされようとしているわけですが、それによって外国資本投資というのはどの程度なされるのか、どのような予想を持っておられるのか。またこの規制撤廃されることによって、我が国NTTKDDを除いた電気通信事業者の再編問題、どのように郵政省として予想されているのか、お教えいただきたいと思います。
  19. 谷公士

    政府委員谷公士君) 御指摘のとおり、今回の外資規制撤廃によりまして、外国資本が従来以上に活発に我が国電気通信市場に参入することは十分予想されるところでございますけれども、ただ、それは今回の外資規制撤廃のみによって来年の一月以降展開されることかと申しますと、従来より第二種電気通信事業につきましては一〇〇%外資規制の自由が認められておりましたし、現在の枠の中でも必ずしもすべての枠を使い切って展開しておるわけでもございません。  むしろ、全体的な国際的なグローバル化通信展開の中でもう既にそういう動きは出てきておるわけでございますし、あるいはまた、今年内に国際通信の公−専−公の自由化ということも実現いたします。新しい技術的なシステムも出てまいります。それからエンドエンドサービスへの志向ということもございまして、またお認めいただきましてNTT再編成の展開もございます。  そういったもろもろの事情全体を踏まえて外国系事業者事業展開も行われてくるというふうに思っております。どの程度の展開になるかということは、なかなか予想は難しいところでございます。
  20. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 予測が難しいというお話でございますが、通信事業、雇用の面にしてもあるいは日本経済全体を引っ張っていくリーディング産業という面も含めて、電気通信事業育成ということもやっぱり考えなきゃいけないだろうというふうに思うんです。この外資規制撤廃に伴って、今予測はしがたいといってもかなりいろんな展開があり得る、そんな中でどのようなこの分野事業育成を図っていこうとしておられるのか、郵政大臣の所見を承りたいと思います。
  21. 堀之内久男

    国務大臣堀之内久男君) ただいま先生も御指摘されましたが、情報通信産業各国経済を牽引するリーディング産業として大きな期待を持たれております。したがって、世界各国とも二十一世紀の戦略産業と位置づけてその国際競争力の強化について取り組んでおる次第でございます。  したがって、今回WTO基本電気通信交渉の妥結、成功というものは、今後六十兆円と想定されます世界電気通信市場自由化に向けて大きな貢献をするものとして私ども高く評価をいたしておるわけでございます。  今まで相互主義でありましたが、今後は最恵国待遇原則が適用されてまいりますので、内外無差別自由化が実現するもの、こういうように期待をいたしておりますし、世界各国競争が一層促進される、そういうふうに期待をいたしております。  そういう観点から、我が国といたしましても、このグローバルな環境を念頭に置きまして、競争環境の整備を積極的に推進してまいりますし、そして国内競争活性化を積極的に推進してまいります。そのことによって、我が国情報通信産業が切瑳琢磨されることによって国際競争力を強化してまいる所存であります。  また、海外市場への進出に当たりましては、私どももその事業者に対しまして積極的に支援をしてまいりたい、こういうように考えておる次第であります。
  22. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 グローバルな競争というようなお話もございましたけれども、これと関係して、今携帯電話我が国においても非常に普及をしました。ここ数年で爆発的に十倍ぐらい伸びていると思いますけれども、世界的に見てもやはり携帯通信というものが伸びているようであります。  ただ、その方式というものが、NTTPDCというのですか、そういう方式というのは非常に日本に限られた方式のようでありまして、欧米のGSMというのでしょうか、そういう方式、百カ国ぐらいで採用されている。そんな中で、世界じゅうどこでも使えるというような方式も模索されているようでありますが、この辺は一体日本としてどういうふうに取り組んでいこうとされているのか。  もう既に、メーカー的に連合を組んで、国家間の合意の前にメーカーの中における合意で事実上の世界スタンダードをつくってしまおうというような動きもあるやに聞いておるんですが、郵政省としてこれはどのように考え、また取り組んでいかれようとしているのか、その辺をお聞きして終わりにしたいと思います。
  23. 谷公士

    政府委員谷公士君) 世界携帯電話、今アナログからデジタル方式に移行しつつあるわけではございますが、御指摘のように、このデジタル方式につきましても、日本で開発したPDC、それから欧州で開発したGSM、これは大体世界九十七カ国ぐらいで使われております。それから、アメリカで開発されましたIS95の方式、それぞれ独自に開発されましたので使用の周波数とか方式が異なっているわけでございまして、これらが統一されておりませんと同じ端末で他の国では使えないという不便があります。それからもう一つは、大量生産による機器コスト低廉化が図れないという問題がございます。  そこで、社会活動グローバル化に伴いまして、世界じゅうのどこでも使えるような携帯電話実用化のニーズが高まっておりまして、現在、世界共通周波数二ギガヘルツ帯を使った世界標準次世代携帯電話実用化の検討がITUにおいて行われておりまして、二〇〇〇年以降に使用できるようにということで、一九九九年末を目途に標準化していきたいという動きがございます。  我が国におきましても、昨年十月からこの次世代移動通信システムに関する調査研究会を開催して、関係者にお集まりいただき御検討いただきまして、去る六月三日にこの標準化のあり方などを織り込んだ報告書をおまとめいただきました。方向としてはワイドバンドのCDMAの方向性を示唆しておられます。  郵政省といたしましては、この研究会で取りまとめられました方針などを参考としながら、中国や韓国などアジアの国々を初め世界各国と協調いたしまして、ITUのこの標準化作業に対して積極的に参画をしていきたいというふうに考えております。  具体的には、これらを踏まえて、電気通信技術審議会に諮問をし、その答申をまって決定して、来年の六月までにはITU提案をして、その中で、その後においてまた世界的な標準化作業がこういった場で話し合われる運びになるだろうというふうに思っております。  いずれにしましても、従来の経験にかんがみまして、やはり世界的に理解の得られるような標準化取り組みをしていきませんと、なかなか我が国方式だけでということになりましても標準化は難しいものでございますから、先ほど申し上げましたように、関係国とも十分連絡をとってこの作業を進めていきたいというふうに考えております。
  24. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 終わります。
  25. 松前達郎

    松前達郎君 松前でございます。  法案に関連して幾つかの質問をさせていただくわけでありますが、まず第一番目が、先ほど魚住委員からも触れられたことだと思いますけれども、今回のWTO基本電気通信サービスについての各国間の合意関連して我が国貢献度が高いというふうに聞いているんです。いろいろ資料を見てみますと、我が国外資規制緩和というのはアメリカ並びヨーロッパ並み以上だ、非常に思い切って開放といいますか規制を取り払っている、こういうふうに思われるんですが、そこまで思い切ったのは何か戦略があっての話なのか、あるいはアメリカあたりとの今後の二国間交渉等の中でいろいろと問題が出るということも考えての上なのか、その辺まずお聞かせをいただきたいと思います。
  26. 長谷川憲正

    説明員長谷川憲正君) 日本の今回の提案につきましては、先生指摘のとおりに、非常に前向きの各国に先立っての提案ということになっております。  その理由でございますが、一つには今回の交渉が成功いたしますと、世界的な自由化枠組みができるわけでございまして、その結果は、結局のところ、国民利用者利益の増進につながりますし、また世界経済全体の発展に大きく貢献する、こういうふうに考えたわけでございます。  同時に、世界各国市場自由化されるということは、我が国事業者もまた海外での事業機会がふえるということにつながるわけでございまして、そういったことから私ども積極的な取り組みをしたところでございます。  今回、この多国間の枠組みが成功いたしますと、先ほどお話もありましたように、アメリカ日本との間で従来バイの交渉というのが随分電気通信分野でも持たれておりましたけれども、これが今後は多国間の枠組みの中で協議をされる。しかも、すべての国に最恵国待遇という原則が適用されるということになるわけでございまして、私どもそこをねらったつもりでございます。
  27. 松前達郎

    松前達郎君 今のお考えはわかりますけれども、自由化に真っ先に立って、率先して自由化に立ち向かう、けなげな精神だと思うんですが、一国だけがそれを対応して真っ先に突っ走って、しばらくたってよく気がついてみたらはしごを外されたということはないだろうか、これをちょっと心配しているわけであります。  と申しますのは、今回の合意に関してアメリカは、昨年の交渉のときはもちろんですが、ことしの交渉でも消極的であったわけですね。そういう意味から考えますと、アメリカはこの議定書を受諾しない可能性もある。本来、アメリカの動静を見ながら我が国も議定書の承認、国内関係法の改正というものに手をつけるべきだったと思うんですけれども、この点については郵政大臣、どういうふうにお考えでしょうか。
  28. 堀之内久男

    国務大臣堀之内久男君) ただいま国際部長から、今回のWTO決着についての我が国の基本的な考え方は御答弁申し上げたわけであります。今までアメリカの場合は相互主義で二国間交渉という形が普通でありましたが、今回はWTOという世界的な標準でこれを取り決めするということが今後の我が国交渉を進める上においても大変有利であると判断をいたしたところであります。  そして、今現在アメリカでも今回の基本電気通信交渉の妥結が、先ほど先生から御指摘がありましたように、やはりある程度日本提案というものがこの合意というかこれに大きな貢献をしたことも事実でありますし、さらにそうした意味アメリカにも大きな刺激というか協力の機会を与えた、こういうふうに自負をいたしております。  今現在、アメリカでもこのWTOの新しい基本電気通信の妥結について議会で御審議をいただき、さらにこの手続の問題についてFCCで協議をなされておる、こういうふうに聞いておるところであります。
  29. 松前達郎

    松前達郎君 その経過等をひとつ注意深くごらんいただきながら、今後の対応等について、せっかく積極的にやるんでしたら、それなりのエネルギーがありますから、そういったエネルギーも十分使って目的が達成されるようにひとつ御努力いただきたい、こう思います。  無線局の問題ですが、無線局外国性の制限、これについては電気通信事業を行うことを目的として開設する無線局には適用されない、こういうふうになるわけでありますが、電波が非常に逼迫をしている現状から見まして、自国民優先利用の原則に基づく無線局免許外国性の排除という問題、これはどういう理由で変更しょうとされているのか。また、諸外国ではどのようになっているのか、例がありましたら幾つか例を挙げて御説明をいただきたい。  それともう一つつけ加えますと、これはアマチュア無線には適用されないと思うんですね。その点はいかがでしょうか、質問させていただきます。
  30. 谷公士

    政府委員谷公士君) 御指摘のとおり、電波は有限希少な国民共有の貴重な資源でありますことから、従来から各国とも原則として自国民優先利用考え方で取り組んできております。  ただ、近年、社会経済活動国際化に伴いまして、外国人等の産業経済活動等もふえてまいりまして、外国人等の産業経済活動のより一層の円滑化に役立つといったようなことから、具体的な電波利用のニーズが認められますものにつきましては、世界的にも順次外国人等にもその利用が開放されてきているところでございます。  こういつたことの趣旨でございますけれども、こういった国際化に伴いまして相互に自国民が相手国において電波利用していろいろな活動を営むことができるというふうになってまいりますと、これは自国民利益にもかなうわけでございますので、必ずしも従来の自国民優先利用考え方とそごするものではないというふうに考えるわけでございます。  それを厳密な相互主義によらずに国際的な合意のもとに、もちろんバランスを確保しつつということは大変重要なことでございますけれども、将来性を持って自由化に取り組んでいくということも、特に貿易の自由化ということにつきましては大きな利益を受ける我が国でございますので、メリットのあることかというふうに考えております。そういう方向でこの問題が取り扱われてきていることだというふうに思っております。  それから、こういつたことの中で、特に電気通信事業といいますものがこれから大きくグローバルに展開する事業として注目を集められておりまして、今回その問題についての討議が行われたわけでございますけれども、主要な先進各国における状況でありますが、無線局利用する電気通信事業者という点に着目をいたしまして、特に外資規制を設けておりますのは米国とフランス、これが直接投資二〇%ということを言っております。この二国のみでございまして、これは先進国の話でございますが、大多数の国は電気通信事業者一般に係る外資規制という観点から自由化の約束を表明しております。無線局について特別の制限を加えていないということでございます。  それから、アマチュアにつきましては、ちょっと何年前だったか私もはっきり覚えておりませんけれども、いち早く既に外国人等に開放するという措置をとってきております。
  31. 松前達郎

    松前達郎君 今、先進国の状況を御説明いただいたんですが、我が国と比べましてアジアの国々、これからアジアの国というのは情報通信関係が急速に伸びてくるだろう、こう思いますけれども、このアジアの国々の自由化約束の内容といいますと、これもまた非常に消極的なんですね。これに対する郵政省の評価あるいは今後の自由化の見通し等についてお伺いします。
  32. 長谷川憲正

    説明員長谷川憲正君) 御指摘のとおりに、アジアの各国の今回の提案を見ますと、国によって差はありますが、外資の参入を一部制限いたしましたり、あるいは自由化するサービスを限定いたしましたりしている場合が多いわけでございます。私ども、この点につきましては、各国が発展段階に応じた自由化を進めようとするということにつきましては、現段階ではやむを得ないものというふうに考えているところでございます。  今回、御承知のとおりに昨年の四月三十日が当初の交渉期限でございましたが、交渉期限ぎりぎりになりましてアメリカが参加国の数が少ないあるいは各国提案内容がまだ十分でないというようなことを言い始めまして、交渉が決裂しそうになったわけでございます。ようやく延期ということになりまして、ことしの二月十五日まで延長されましたが、その中で、私どもなるべく多くの国々がこの交渉に参加をしていく、そしてできるだけ大きなまとまりをつくるということが大事だというふうに考えまして、アジアの国々にも積極的に働きかけを行ったところでございます。そういう意味で、最終的に多くの国の参加をいただきまして、世界的な自由化枠組みが構築されたというのは大変意義深いものだというふうに考えております。  これから後でございますが、各国自由化あるいは競争が促進をされていくわけでございますが、自由化約束の十分でないアジアの国等につきましても、これからの世界自由化競争の進展の結果、それぞれの国での料金が低廉化をいたしましたり、サービスが多様化いたしましたり、あるいは経済が発展するという状況を見つつ、自分の国の自由化にこれから積極的に取り組んでいくものというふうに考えているわけでございますし、我が国としても、我が国自由化の成果経験を紹介してまいりたいと考えているところでございます。
  33. 松前達郎

    松前達郎君 それでは最後になりますが、先ほどもちょっと触れられたことなんですが、この交渉合意にもかかわりませず、FCCによるNTTKDD米国子会社に対する認証が留保されているわけですね。これらについては先ほど大臣から、何回か書簡を送付してまだその返事がはっきりしたものが得られていない、こういうお話だったと思うんですが、これは国内法でNTTKDDに関して撤廃していないからだろうと考えられる面もあるんですけれども、しかし、今回のWTO合意が来年一月一日から発効した場合にMFN原則に反するということが言えるのでしょうか。  これらの問題について、郵政省のお考えを最後にお伺いします。
  34. 谷公士

    政府委員谷公士君) 今回の認証留保措置も含めまして、アメリカ現行制度、相互主義をとっておるわけでございます。こういったことは、今回の合意が発効いたします来年の一月一日以降はWTO協定の最恵国待遇義務に違反することとなるものというふうに考えております。  先ほど申し上げましたように、ただいまの留保の問題につきましては、年内の問題として提起されておりますので、年内に何らかの動きということにはなるんだろうと思うわけでございますけれども、来年の一月以降になれば、これにつきましてはそれなりの措置をとるということを考えていくことになるだろうと。それまでこれが残るようなことが仮にあれば、そういうことになるだろうというふうに考えております。
  35. 松前達郎

    松前達郎君 終わります。
  36. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 日本共産党の上田です。  今回の改正案は、WTO合意に基づいて、世界電気通信市場自由化のために日本としてはNTTKDDの二〇%を除いて外資規制の全面撤廃をやるという内容になっています。  まず重要な問題は、今度のこの合意アメリカの国家戦略、それに基づく非常に強引なイニシアチブによって進められたことです。その背景は、クリントン政権の情報スーパーハイウエー構想にあります。ゴア副大統領は、九四年三月の国際電気通信連合、ITUの会合で世界通信情報基盤、GIIといいますけれども、グローバル・インフォメーション・インフラストラクチャー構想、これを打ち上げました。  私、ここに元国防次官補のジョセフ・ナイ氏の去年中央公論五月号に載った論文、「情報革命と新安全保障秩序」というものを持ってきましたが、ジョセフ・ナイは、核の傘とともに情報の傘を提供できるのはアメリカだと。それで、アメリカのそういう情報技術の優位に基づいて、二十世紀でなく二十一世紀こそが米国が最大の優位を誇る時代となるだろう、こういう予言までしているんです。  私は、もう一つ、関東学院大学経済学部教授の奥村皓一氏の「AT&Tの二十一世紀戦略」という長い論文をざっと見たんですけれども、奥村教授も、「米国政府世界情報通信グローバル制覇政策を背景に世界戦略展開するAT&Tは、諸外国政府にナショナル通信キャリアによる独占を廃し、新しい競争者の進出に門戸を開放するように圧力をかけている。」等々、私は、アメリカ経済覇権主義の中でもこの通信覇権主義というのが非常に重いと思っているんです。  長谷川国際部長、そういうアメリカ通信に関する国家戦略、どうごらんになっていますか。
  37. 長谷川憲正

    説明員長谷川憲正君) 先生指摘のとおりに、アメリカが情報通信分野で大変積極的に世界戦略を進めているというのは私どもも感じているところでございます。  その背景にありますのは、やはり情報通信がこれからのすべての産業にとりましてその基盤になる重要なインフラであるということから、アメリカの企業が世界的に活躍をするためにまず必要だという部分が大きいんだろうというふうには思っております。  しかしながら、これはアメリカの産業にとってのみ重要なインフラであるということではございませんで、日本を初めとしてどの国にとりましても、これからの経済発展あるいは自国の産業の発展を考えます場合に情報通信の整備を行うということは不可欠でございます。  そういう意味で、アメリカ戦略ということだけで物事が進んでいるわけではございませんで、ヨーロッパにおきましてもあるいはアジア等の開発途上国におきましても、それぞれが戦略を持って今この問題に取り組んでいるというふうに理解をしているところでございます。
  38. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 去年の四月三十日期限のはずが九カ月半、アメリカの要求で延期されて、二月十五日に合意ができたんです。  読売新聞はこう書いています。「多国交渉の形をとりながら、実態はアメリカと六十数か国の間で条件交渉に終始した二国間交渉だったといえる。通信先進国のアメリカは、世界で最も開かれた市場と、世界通信市場のシェア三割を占める圧倒的な実力を背景に、WTO加盟百三十か国に市場自由化を迫った。」というんです。  それで二番目に、私残念なのは、日本がそのアメリカをひたすら助けたということです。  大変その成果に貢献したというふうに郵政省郵政大臣も長谷川さんもお考えになっているようですけれども、こういうアメリカの加盟国に対する自由化要求、抵抗が多いわけだ、発展途上国は特に。まとめ上げたのは日本だというんです。参照ペーパーというモデル約束まで提示すると。みずから率先して、NTTKDD以外について無線局を含む外資規制の完全撤廃、これを表明して全体をまとめるのに貢献したと。貢献じゃないと思うんだ。私は、アメリカ通信覇権主義の徹底にアメリカに対する従属的援助を行ったんだと、そう思います。  あるいは、この合意後四月に、郵政大臣がみずからマレーシア、シンガポール両国にNTTKDDの役員も連れていって、東南アジアに対する日本自身の進出を進めるためだったかもしれませんけれども、こういうことで答弁を要求していると反論があるでしょうから、大体答弁は衆議院の議事録も拝見しましたのでわかっておりますから、そういう根拠のある見方を我々はしているということをひとつ申し上げたい。  三番目の重要な問題は、日本通信主権の放棄を行いつつあるのではないかという問題です。  調査室の資料を見ますと、アメリカ、フランス、カナダ、これは二〇%の直接投資規制です。ポルトガルが二五%の外資規制、韓国は三三%の外資規制でしょう。タイは二〇%の外資規制。インドネシア、マレーシア、自由化約束せずとか等々、先進国も発展途上国もやっぱりなかなか抵抗しているんですよ。当然だと思うんだな。ところが日本NTTKDDの二〇%を除いて完全外資規制撤廃ということを行ったんです。  私は、ユニバーサルサービスの維持、有限な電波の有効利用、公益的に規制を維持する必要な要因はほかの国と同じようにあると思うんです。こういう外資規制無線局を含む撤廃は先進諸国と比べても異常なものだと私は思うんですが、これは通信主権の放棄につながりませんか。
  39. 谷公士

    政府委員谷公士君) 国の主権はさまざまな分野にすべてあるわけでございますけれども、とりわけ通信につきましては重要な社会的、国家的な機能であるということで、従来から各国とも通信につきまして、特に条約等を結びます際にも各国の主権を留保するという措置をとってきております。  ただ、通信につきましては、これまたその機能といたしまして国際的な広がりを持つものでございまして、近時、社会経済活動国際化に伴いまして、通信にもそういった方面での役割というのはますます重要になってきておるわけでございます。  その中で、通信につきましては相互に開放していこうという動きがあるわけでございますので、私どもといたしましても、先ほどもちょっと御答弁申し上げましたが、我が国として、我が国国民事業体も、各国に対して自由な事業としての展開を行っていきますためには、出先国においてやはり自由にこういったものが利用できるということは重要な問題でございますので、相互に国際的な合意のもとに、もちろん必要なバランスは保ちつつ将来的な方向性を持って開放していくということは我が国利益にもかなうという観点から、この問題について取り組んできているところでございます。
  40. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 日本アメリカに一生懸命協力していても、アメリカの態度はなかなか厳しいものです。大臣アメリカの一方的な要求は極めて遺憾だと衆議院でも答弁されておられますけれども。  NTTアメリカKDDアメリカの認証申請に対しては、USTRが留保という態度でしょう。クリントン大統領は、NTTKDD外資規制撤廃してくれと橋本首相に手紙まで出してくるという状況があるわけですね。私は、こういうアメリカの、かなり報復の色彩の強いスーパー三〇一条で有名ですけれども、そういう相互主義要求は今後ますます強まると思うんです。  一つお伺いしたいのは、アメリカFCC米国連邦通信委員会のロバート・ペッパー電気通信政策局長が接続ルール問題を論じているんですが、テレコミュニケーションの九七年二月号です。この間審議しましたけれども、私も質問しましたが、日本のやり方は、「歴史的コストにもとづいていますね。相互接続を円滑に進めるためには本来は将来的コスト、すなわち長期増分費用方式でなくてはならない」と、こう言っているんです。  そうすると、日本に進出してくる際、接続ルールでもっと安上がりな長期増分費用方式、こういうものも要求することは避けられないんじゃないかと思うんですけれども、谷局長、いかがですか。
  41. 谷公士

    政府委員谷公士君) 確かに、米国では、長期増分費用方式につきまして幾つか採用している州も出てまいっておりますし、これについて連邦政府としても非常に関心を持っておるようでございます。  先般、本委員会で御審議いただき御議決をいただきました電気通信事業法改正におきまして接続ルールの制度化を図ることとしたわけでございますけれども、この接続ルールにおきましては、接続会計制度を導入いたしますとともに、この会計によって把握されます実際に発生する費用に基づきまして接続料を算定するという仕組みをとっております。  他方、このいわゆる長期増分費用方式でございますけれども、これは効率的なネットワークのモデルを用いました想定費用に基づいて接続料を算定するということでございまして、米国では今申し上げましたように一部の州において導入され始めた段階でございます。また英国におきましても導入の方向で検討されている段階ということでございまして、まだ定着を見ているものではございません。  この方式を導入するということになりますと、現在の設備を新たに設置し直すと仮定した場合のいわゆるフォワードルッキングなコストデータの収集でありますとか、ネットワークモデルの構築等の作業やその分析を行う必要がございます。  そういうことを考えまして、私どもといたしましても、現在、学識経験者等にお集まりいただきまして、この長期増分費用モデルの研究会というものを開催して議論をしていただいているところでございまして、この結果を踏まえて、三年後に接続ルールの見直しをすることになっておりますので、その際までにこの方式をルールとして採用すべきかどうか判断していきたいというふうに考えております。  いずれにいたしましても、どのような方式を採用するにせよ、基本的な考え方は、利用者利便の増進と公正有効競争確保ということでございますので、アメリカが具体的に今後どのような考え方で私どもに臨んでくるかということは正確には予測しませんけれども、いずれにいたしましても、先ほど申し上げましたような観点でこれに対して対応していきたいというふうに思っております。
  42. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 最後の質問をさせていただきます。  長谷川国際部長は、衆議院の五月二十八日の答弁で、来年一月一日から発効いたしますが、そうしますと、アメリカを含めた各国最恵国待遇の義務を負うことになるわけでございまして、アメリカにおいても相互主義が維持できなくなる。したがいまして、合意の発効後、これらの相互主義的な参入制度、例のECOテストなどは廃止されるものと期待しています。仮に最恵国待遇の原則に反する形でアメリカ相互主義的な参入制度を維持する場合は、WTOの紛争解決手続を利用することが可能であると答えている。  私は、極めて甘いと思うんですよ。来年の一月一日にアメリカ相互主義を放棄するなんて、とんでもないですよ、国家戦略でやっているんですから。多国交渉と二国間交渉と組み合わせて、スーパー三〇一条押しつけてやっておるわけです。  アメリカは大体、WTO協定が結ばれたときウルグアイ・ラウンドについての法律をつくりまして、そのアメリカの法律は、「米国の法律に合致しないウルグアイ・ラウンドのいずれの規定及び適用も、効力を有しない」、こういう法律まで批准のときに決めているんですから。そういう国ですから、それがこの相互主義を一月一日に放棄するだろう、それでWTOの紛争解決手続で解決できるだろうと。調べてみると、WTOの紛争解決手続に発効以後六十八件出されているけれども、アメリカ自身が二十一件出しているんですから。アメリカが問題にされているのは十件で、その二倍自分で出しているんですよ。日本もまた出されるぐらいで。  どうです、国際部長、一月一日に相互主義アメリカが放棄する、こういう甘い見通しは捨ててかからないと、通信主権放棄の危険がますます強くなると思うが、いかがでしょうか。
  43. 長谷川憲正

    説明員長谷川憲正君) アメリカの二国間交渉を中心としました相互主義に基づく交渉の仕方というのは、このWTOの精神であります最恵国待遇という大原則に全く合わないわけでございます。この点につきましては交渉の中でも、アメリカ交渉団から、この合意が成立をしたときにはアメリカ規制もこの合意に合わせるようにするんだということを再三言明されているところであります。  私どもは、これはもう各国間のまさに合意でございますので、アメリカのルールもそのように変更されるというふうに信じておりますし、現在行われておりますアメリカでの動きを見ましても、FCCがこの合意を前提といたしましたルールの見直し案をつくりまして、そしてそれを今各関係者からコメントを求めているという最中でございます。そこで見られる内容は、まだ懸念すべき問題は幾つかございますけれども、基本的には最恵国待遇にのっとった扱いになっている、このように思っております。
  44. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 終わります。
  45. 山田俊昭

    ○山田俊昭君 重複の質問も二、三ありますが、角度を変えて質問したいと思います。  かつて欠格事由を設けて、そして今これを削除する。削除するには合理的な理由がなければなりません。そういう観点から、何点かお尋ねをいたします。  今回の改正の対象である電気通信事業法第十一条第一項の四号から七号までは、日本の国籍を有しない者とか外国政府またはその代表者、外国の法人または団体等にはいわゆる第一種通信事業者の許可を認めない、いわゆる欠格事由を設けた規定であります。この条文の逐条解説をちょっと読んでみましたら、次のように書いてあるわけであります。「一定外国性が欠格事由とされたのは」、一つは、「電気通信国民経済国民生活を支える中枢的機能を担うとともに、警察・防災等国としての基本的な機能の維持にも係わるため、国の安全保障、国民の生命・財産の保護の見地から、非常時における重要通信確保等に万全を期すことが必要であること」。二つ目に、「とりわけ、第一種電気通信事業については、その設備産業的性格や役務提供の基盤たる伝送路設備がインフラストラクチャー的性格を有することに鑑み、外国企業等による支配は国益を害するおそれが強いこと」。この二点を理由として欠格事由を設けたんだと書かれております。  また、同じく改正の対象であります電波法第五条のやはり逐条解説を見ますと、無線局の開設に当たって外国性を欠格事由としたのは、まず電波の希少性、すなわち一国の利用し得る電波の範囲は極めて制限されたものであるからだと書かれておるわけであります。  そこで、お尋ねをいたします。  欠格事由を設けるに当たって理由とされた、「警察・防災等国としての基本的な機能の維持にも係わる」と、こうあるわけですが、これは具体的にはどういうことを指していたのかどうか。また、「国の安全保障、国民の生命・財産の保護の見地から」とされていますが、外国人等が経営の主体である電気通信事業者が存在しては、現実に国の安全保障や国民の生命、財産に危険を及ぼすおそれがあるのでしょうか。もしあればその具体的なケースを教えてください。
  46. 谷公士

    政府委員谷公士君) 御指摘重要通信ということでございますが、警察や防災といった我が国我が国民の安全にかかわる公共機関の活動におきましては、通信手段を活用することが必要不可欠である場合が多いわけでございます。そういう意味で、電気通信事業者のネットワークはその場合の重要な基盤となるものでございます。  そういう観点から、非常災害時等におきまして警察機関あるいは防災機関等が行う重要通信確保するために、電気通信事業法電波法、御指摘のこの両法、それから災害対策基本法等におきまして電気通信事業者の義務に関する規定が設けられております。  例えば、電気通信事業法におきましては、「電気通信事業者は、天災、事変その他の非常事態が発生するおそれがあるときは、災害の予防若しくは救援、交通、通信若しくは電力の供給の確保又は秩序の維持のために必要な事項を内容とする通信を優先的に取り扱わなければならない。」というふうな規定があるわけでございまして、これはその事業者の資本が外資系であるかどうかということはかかわりないわけでございますが、こういった規定が設けられております。  具体的に外国資本の場合にどうかということでございますけれども、これにつきましては、外国資本であるがゆえに現実に具体的な危険が生ずるということではございませんで、一般的、抽象的な懸念といいますか、危険、おそれであろうと思うわけでございます。こういつたことにつきましては歴史的にも各国がそのような対応をいたしてまいりました。  また、電波につきましては周波数資源がその時々におきましては有限希少なものであるわけでございますので、それを自国民が十分使えるように自国民の優先利用ということをとってきたわけでございます。  しかし、社会経済活動国際化に伴いまして、その手段としての通信そのものの国際化ということも非常に重要なテーマになってきたわけでございまして、こういった中で外資開放の問題が出てきておるわけでございます。  それから、こういった重要通信を行うための設備ということでございますけれども、基本的には我が国におきましてはかなり活発な競争が行われております。その中で競争がまだ実現していない部分、それからさらに通信の入り口と出口を制する部分、これが地域系の通信システムでございまして、この部分につきましてはNTTが九九%のサービスを提供しているわけでございます。今回の改正におきましても、私どもといたしましてはこの基幹的なNTT、それから国際的に基幹的な通信社でございますKDD、これは今申し上げたような観点からは意味が違うと思いますけれども、この両社につきましては従来の外資規制をそのまま維持するということとしたわけでございます。
  47. 山田俊昭

    ○山田俊昭君 それなりの理由があった。しかし、それが今世界国際化からそういう必要性というか、時代の流れだということなんだろうと思うんですが、どう見てもこの立法をされた、これ立法されたのが十年前ですかね、その当時と今度開放される十年ばかりの間に、かつて懸念された欠格事由が完全排除されるというような、立法時の懸念が完全に排除されたかどうかは極めて疑問に思うわけであります。何か単に外交上の思惑に基づく国内法の改正ではなかろうかという疑念も多少いたすわけでございます。  この点、再度お尋ねしますが、かつての立法時の懸念、これは一切なくなったからこういう形をとったのだと、こうおっしゃるかどうか、重ねて質問をいたします。
  48. 谷公士

    政府委員谷公士君) 現在の電気通信事業法改正は確かに十二年前から適用されておるわけでございますが、御指摘外資規制の問題は、これは通信が始まって以来と言ってはちょっと正確でないかもしれませんけれども、一貫してとられてきた仕組みでございまして、NTTにつきましてもそれ以前の公社時代から、基本的に公社という形で国が完全にこの分野をカバーする仕組みできたわけでございます。また、電波につきましても、電波法制定以来そのような考え方で取り組んできたわけでございます。  この十二年間、具体的にどうであったかというわけでございますけれども、この通信システムについて外資が入っておること、そのことによって具体的に支障が生じた、あるいは問題を生じたということは具体的にはなかったのではないかというふうに私は思うわけでございます。いずれにいたしましても、通信グローバル化、あるいは社会経済実態の国際化に伴いまして、この十二年間におきましても世界状況というのは非常に変わりつつあるということは言えるのではないかというふうに思います。
  49. 山田俊昭

    ○山田俊昭君 よくわかりましたが、電波の希少性という意味においては、立法時も現在もほとんど変わらないように思うんですが、この点はいかがでしょうか。
  50. 谷公士

    政府委員谷公士君) 確かに、技術の進歩によりまして、その都度、現在利用できるという意味での電波の範囲というのは広がるわけでございますけれども、しかし、幾ら広がりましても、その時々におきましては有限希少であることは間違いないところでございます。そういった事情はそういう意味では従来から変わっておらないと思うわけでございます。  ただ、先ほども申し上げましたように、社会経済活動国際化いたしますと、これは我が国国民、あるいは我が国事業体といたしましても国際的な活動をすることになってまいります。そういたしますと、その事業展開するあるいは活動をいたします外国におきまして、やはりこういう事業展開等に必須な電波資源の利用ということはどうしても必要になってまいるわけでございまして、それが我が国民だけができないということになりますと、外国における事業活動も非常に制約を受けるわけでございます。こういった事情はいわばお互いさまでございまして、そういう中でお互いにこれを利用できるようにしていこうということは自国民優先の原則にもとるものではないと、趣旨としましては。  ただ、問題はそれがバランスを保って実現していけるかどうかということでございまして、そういう意味では完全に各国状況もそれぞれ同一ではございませんので、完全に同一というわけにはいきませんけれども、我が国といたしましてはそういった方向について先導的な役割を果たしつつ、必要なバランスを保って将来的な方向性を持ちながら国際合意をつくり上げていくということは我が国としても有益ではないかというふうに思うわけでございます。
  51. 山田俊昭

    ○山田俊昭君 これは大臣にお尋ねをする形になるかと思いますが、新人物往来社版の「歴史読本」というのがあります。これは古い雑誌を引用して恐縮でございますが、この昭和六十三年六月の増刊号によりますと、こう書かれているわけであります。  日本外国スパイに対して最も甘い国であり、昭和五十三年六月に元電電公社社員、島野某が日本の重要な公文書を外国政府の情報機関に流したとして逮捕された事件を初めとして、戦後約七十件のスパイ事件が明らかとなっており、諜報都市東京では世界各国の諜報機関員が水面下でしのぎを削り合っているとされております。  もちろん、雑誌の特集記事であり、にわかにも信じがたい話ではありますが、もし今回のWTO非加盟国を含む外国人らの電気通信事業への参入の開放によって、反日本的な思想を抱く国の諜報機関が国内通信情報を盗聴する目的で我が国内にダミー会社を設置して、電気通信事業に乗り出し、国内通信情報を盗聴しようとしたとしても、郵政大臣はこの許可を拒否できなくなるのであります。我が国の安全保障に大きな不安材料を残すと思うのでありますが、郵政大臣の御所見をお伺い申し上げます。
  52. 谷公士

    政府委員谷公士君) ちょっと私から先にお答えをさせていただきます。  この改正が成立いたしました場合に、御指摘のようにさまざまな国の事業者我が国の一種事業者として電気通信サービスを提供するということになるわけでございます。  しかし、現行法上、例えば盗聴という問題について考えますと、外国事業者による盗聴といった事態を防止するためには幾つかの措置があるわけでございまして、いわゆる外為法でございますが、外為法におきましては、国の安全を損ない、公の秩序維持を妨げ、または公衆の安全の保護に支障を来す場合には、対内直接投資等留保内容の変更、中止の勧告及び命令を行うことが可能というふうになっております。  さらに、電気通信事業法におきましては、通信秘密確保支障があります場合には、郵政大臣電気通信事業者に対して改善命令を発することができることになっておりますし、また具体的に通信秘密が侵されました場合には罰則の適用あるいは事業の許可の取り消しも可能ということになります。  そういう意味で、あらかじめ参入そのものとして規制するということは、今回の措置によって従来の形とは異なって一〇〇%可能ということにはなりますけれども、その後のこういった活動につきましては、今申し上げましたような担保措置が設けられておるわけでございます。
  53. 堀之内久男

    国務大臣堀之内久男君) ただいま谷局長から答弁申し上げましたとおりでありまして、電気通信事業法等にそれぞれの罰則が制定されておりますので、またそういう問題でそれを適用してまいりたいと思います。特に非常事態の場合において、よく有事法制の問題が議論されておりますが、こうした問題はこれから検討していくべき課題である、こういうように認識いたしております。
  54. 山田俊昭

    ○山田俊昭君 認めなかったものを認めてでき上がった。でき上がったものに対して改善命令だとか罰則があるから大丈夫だというような御答弁かと思うんですけれども、今まで完全にそういう状態にならなかったものがその危険性が生ずるということで大きな心配と不安を持つわけでありますが、私の心配と不安が杞憂に終わることを祈りまして、私の質問を終わります。
  55. 渕上貞雄

    委員長渕上貞雄君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  56. 渕上貞雄

    委員長渕上貞雄君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
  57. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 私は、日本共産党を代表して、電気通信事業法及び電波法の一部改正案に反対の討論を行います。  反対の第一の理由は、本法案がWTOにおける電気通信基本合意に基づくものとされながらも、審議の中でも指摘したように、アメリカ政府がこれと正反対の行動をとっているからであります。  WTO基本電気通信交渉は、アメリカの主張により、一九九六年四月三十日の交渉期限が九七年二月十五日に延長されて合意に至りました。その直後から、アメリカ相互主義に基づく対応をとり始め、NTTKDDの認証を盾にしてWTO基本合意以上の外資開放を日本政府に求めるという対応に出ています。こうした状況下で本法案を成立させることは、アメリカの政治的圧力に屈して、さらなる外資開放へと進む道となります。  反対の第二の理由は、本法案によって実施される電気通信事業への無限定とも言える外資開放が、ユニバーサルサービスの保障を初め電気通信事業の公共性を大きく後退させる危険をはらむなど、我が国通信主権を脅かすものだからであります。  メガキャリアと言われる巨大な通信会社を初め外国の巨大資本による我が国電気通信産業への参入は、最も効率的に利益が上がる部分、大口ユーザーを対象とした高度なサービスなど、いわゆるいいとこどりに集中することは明らかであります。そうなれば、うまみの少ない国民向けの通信、特に赤字覚悟の過疎地の通信などの値上げやサービスダウンが起こる危険は大きいと言わざるを得ません。さらにアメリカは、コスト削減のため長期増分費用方式による接続を求めてくることは必至であります。  アメリカやフランスなどが無線局における直接投資を二〇%に制限しているにもかかわらず、本法案で全面開放している点は重大であります。電波は、有限の資源であり国民共有の財産であります。これを無制限に開放することは、国民共有の財産を明け渡すことになります。  以上、反対する主な理由を述べ、討論といたします。
  58. 渕上貞雄

    委員長渕上貞雄君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。  これより採決に入ります。  電気通信事業法及び電波法の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  59. 渕上貞雄

    委員長渕上貞雄君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  60. 渕上貞雄

    委員長渕上貞雄君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  61. 渕上貞雄

    委員長渕上貞雄君) これより請願の審査を行います。  第一〇二八号NTT分離分割、五万人削減反対に関する請願外五件を議題といたします。  これらの請願につきましては、理事会において協議の結果、いずれも保留とすることに意見が一致いたしました。  以上のとおり決定することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  62. 渕上貞雄

    委員長渕上貞雄君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  63. 渕上貞雄

    委員長渕上貞雄君) 継続調査要求に関する件についてお諮りいたします。  郵政事業通信放送及び電波等に関する調査につきましては、閉会中もなお調査を継続することとし、本件の継続調査要求書を議長に提出いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  64. 渕上貞雄

    委員長渕上貞雄君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  なお、要求書の作成につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    (「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  65. 渕上貞雄

    委員長渕上貞雄君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  66. 渕上貞雄

    委員長渕上貞雄君) 委員派遣に関する件についてお諮りいたします。  閉会中の委員派遣につきましては、その取り扱い委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  67. 渕上貞雄

    委員長渕上貞雄君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。  本日はこれにて散会いたします。    午前十一時十七分散会      —————・—————