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説明員(
長谷川憲正君)
先生御指摘のアメリカの連邦通信
委員会、いわゆるFCCの規則
改正案は、今
お話もございましたとおり、六月四日に発表されております。この趣旨でございますけれ
ども、御
承知のとおりに、ことしの二月十五日にWTOの基本電気通信交渉がおかげさまで
合意を見まして、この
合意を踏まえまして、
関連のFCCの規則、すなわち外国の
事業者がアメリカの
市場に参入する場合のFCC規則についてこのWTOの
合意内容と整合したものに変える、調和のとれたものにする、こういう
観点からつくられた
改正案でございます。これは、まだ案の段階でございますので、これから
国内外の関係者からコメントを受け付けまして、今年いっぱいには採択をされ、来年の一月一日から適用されるという予定になっております。
この
改正案の中身でございますが、大幅な
規制緩和と新聞等でも言われておる部分につきましては、一番大きなのは、今
先生の方からも御指摘のございました、従来FCCが採用しておりました相互主義的な審査
制度を廃止するという部分でございます。WTOの加盟国すべてに対して適用されるわけでございますが、外国の
事業者がアメリカに参入をしょうとしてFCCに認証を求める場合に、現在のFCCの規則でございますと、この当該
事業者の母国においてアメリカの
事業者がアメリカで行われているのと同じような実質的な
市場参入機会が保障されているかどうかということを審査いたします。これを相互主義的な審査
制度ということで、一般にECOテストというふうに呼ばれているものでございますが、これを今回廃止しようとするものでございます。これは、WTOの原則の
一つでございます最恵国待遇、これに従っての
改正案というふうに
承知をしております。
しかしながら、今回の
改正案を詳しく見ますと、一方では、外国の
事業者がアメリカの
市場に参入をいたします場合に、アメリカのマーケットで実質的な
競争を行う上で大きな危険がある場合、英語で恐縮でございますが原文で申し上げますと、ベリー・ハイリスク・ツー・コンペティションというものがある場合には、これを理由としてアメリカの関係者等がこの外国の
事業者に対する認証の拒否の申し立てができるというふうになっております。これは現在もそういうふうになっているわけでございますが、したがいまして、最恵国待遇をとるというふうには申しましても、実際に認証が自動的に下るわけではないということでございます。その場合の審査の処理期間の明確化等についても触れられておりません。
それから加えまして、FCCは今
お話もありましたように
NTTと
KDDのアメリカ子
会社の認証を依然として留保しているわけでございますが、その理由とされました、アメリカのいわゆる通商上の懸念といったような公共の利益の
観点から認証を拒否することも依然として可能とされているところでございます。
そういう
意味で、今回の規則
改正案が実質的にアメリカの相互主義の撤廃になるのか、またその
制度の透明性の確保が図られるのか、依然として疑問でありまして、今後
制度の改善を引き続き求めてまいりたいというふうに思っております。
それからもう一点
お話のございました、今回のFCCのこの措置が
NTT、
KDDのアメリカ子
会社の免許の申請にどういう影響を与えるかということでございますが、この
NTT、
KDDのアメリカ子
会社の認証の件は、御
承知のとおりに、ことしの初め、一月、二月にそれぞれアメリカにおきまして
国際通信を行うための認証をFCCに対してこの両子
会社が求めましたところ、これが留保されておって、いまだに認証がおりていないということでございます。これにつきましては、アメリカ政府は通商
政策上の懸念のためだというふうに言っておりまして、具体的には、
NTT、
KDDの外資規制が本年中に撤廃されること、また
NTTの調達取り決めの延長をすること、これをこの認証付与の条件としているものでございます。
これにつきましては、私
ども郵政大臣からFCCの
委員長あてに二度にわたって書簡を発出していただいておるところでございまして、この中で、アメリカが条件としておりますような
NTTや
KDDの外資規制の撤廃あるいは
NTTの調達取り決めといった問題は今回の
NTT、
KDDのアメリカ子
会社の申請とは全く関係のないことでございますので、両者を切り離して速やかに認証を付与するようにというふうに求めるとともに、ことしのWTOの基本電気通信交渉の
合意にのっとりましてアメリカの参入手続の透明化を早急に図ってもらいたいということを求めております。
そういう
意味で、今回の
改正案、来年の一月一日から適用が行われるということでございますので、直ちに今回の認証の留保の問題に影響を与えるとは言えないのではないかというふうに
考えております。
加えて、
先ほども申し上げましたとおり、まだまだ通商
政策上の懸念が免許拒否の理由に維持をされておりますとか、審査の処理期間が明確になっておりませんとか、多々問題がございますので、今後ともこの認証問題については早期に認証ができますように強く求めてまいりたいというふうに思っておるところでございます。