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1997-05-27 第140回国会 参議院 地方行政委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成九年五月二十七日(火曜日)    午前十時開会     —————————————    委員異動  五月二十三日     辞任         補欠選任      松浦  功君     三浦 一水君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         峰崎 直樹君     理 事                 関根 則之君                 真鍋 賢二君                 小林  元君                 朝日 俊弘君     委 員                 太田 豊秋君                 上吉原一天君                 鈴木 省吾君                 谷川 秀善君                 三浦 一水君                 山本 一太君                 牛嶋  正君                 風間  昶君                 吉田 之久君                 大渕 絹子君                 渡辺 四郎君                 有働 正治君                 西川  潔君                 田村 公平君    衆議院議員        修正案提出者   宮路 和明君    国務大臣        自 治 大 臣        国 務 大 臣        (国家公安委員         会委員長)   白川 勝彦君    政府委員        警察庁長官    関口 祐弘君        警察庁長官官房        総務審議官    金重 凱之君        警察庁刑事局長  佐藤 英彦君        自治政務次官   久野統一郎君        自治大臣官房長  谷合 靖夫君        自治省行政局長  松本 英昭君        自治省行政局公        務員部長     芳山 達郎君        自治省財政局長  二橋 正弘君        自治省税務局長  湊  和夫君        消防庁長官    佐野 徹治君    事務局側        常任委員会専門        員        佐藤  勝君    説明員        総務庁行政管理        局行政情報シス        テム企画課長   藤井 昭夫君        会計検査院事務        総長官房上席審        議室調査官    金刺  保君     —————————————   本日の会議に付した案件地方自治法の一部を改正する法律案内閣提  出、衆議院送付) ○暴力団員による不当な行為の防止等に関する法  律の一部を改正する法律案内閣提出衆議院  送付)     —————————————
  2. 峰崎直樹

    委員長峰崎直樹君) ただいまから地方行政委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  去る二十三日、松浦功君が委員を辞任され、その補欠として三浦一水君が選任されました。     —————————————
  3. 峰崎直樹

    委員長峰崎直樹君) 地方自治法の一部を改正する法律案を議題といたします。  本案の趣旨説明及び衆議院における修正部分説明は去る二十二日に聴取しておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  4. 谷川秀善

    谷川秀善君 自由民主党谷川秀善でございます。  この法律案質問をさせていただきます前に、  一つ質問をさせていただきたいと思います。  と申しますのは、前回の統一地方選挙新進党公認として当選をし、その後、新進・府民クラブに所属をいたしておりました大阪府議会議員が去る四月十九日に自殺をいたしました。自殺をするということはそれぞれ理由があろうかと思いますからとやかく言うつもりはございませんが、その自殺の手段がピストルによる自殺であったということであります。いやしくも大阪府民によって選ばれた議員が、銃刀法によって所持することが禁止されているピストルを所持していたということであります。  その後、警察当局においては入手経路等捜査をしていただいていると思いますが、その状況はどうなっているか、お伺いをいたしたいと思います。
  5. 佐藤英彦

    政府委員佐藤英彦君) けん銃入手経路等につきましては、所要の捜索を行いますとともに関係者に対する事情聴取を現在大阪府警において継続いたしておりまして、なお捜査中でございます。
  6. 谷川秀善

    谷川秀善君 当事者が自殺をいたしておりますから、入手経路等について捜査をするのはなかなか大変だろうと思いますけれども、これはしっかりやっていただかなきゃいけないと思います。そういう意味で、一日も早く入手経路を解明して、それを少なくとも国民府民の前に明らかにしていただかなきゃいかぬというふうに私は思うわけであります。これは前代未聞の不祥事でありますから、この点についてははっきりと明らかにしていただきたいということを私は強く要望するものであります。  それで、国家公安委員長であります白川自治大臣にその決意のほどをお伺いいたしたいと思います。
  7. 白川勝彦

    国務大臣白川勝彦君) 日本の治安がかつてのように、国民すべからくがかなり絶対に近い信頼を置いていた時代と違いまして、治安に対しての不安というかあるいは治安の陰りというようなものを感じている昨今でございます。ただ、幸いにも治安がだめになったという状態ではありませんので、今このときに警察の総力を挙げて、もう一度治安に対して国民が絶対の信頼を置けるような状況をつくるために警察官は頑張ってほしいと常日ごろ私は指導をいたしておるところでございます。その重要なテーマが銃器による犯罪の抑止、防止ということでございます。  これは自殺ということでございますけれどもけん銃によって自殺したという、しかも府民から選ばれた府議会議員がこういうことというのは極めて重要な案件と認識しておりまして、大阪府の警察において今全容解明に向けて鋭意捜査中と承知しております。また、督励をしてまいりたいと存じております。
  8. 谷川秀善

    谷川秀善君 何とぞよろしくお願いを申し上げます。警察庁、どうぞ結構でございます。  それでは次に、地方自治法の一部改正につきまして二、三お伺いをいたしたいと思います。  地方自治体における監査委員制度は御承知のとおり昭和二十一年に制定をされたわけでございますが、それ以後何度か改正をされ今日に至っておるわけでございます。とりわけ、平成三年四月に地方自治法の大改正が行われまして、従来、一般監査としては、原則として財務に関する事務及び経営に関する事業の管理監査に限られておりましたものを、いわゆる行政監査に対しても監査ができることとなったわけでございます。  これは従来の監査に比べて大変前進をしたというふうに私も理解いたしておりますが、この前進をした時期に、皮肉にもこのころから地方自治体における予算執行面不祥事が相次いで表面化いたしまして、それが監査委員監査によって指摘をされたものではなくて、情報公開による情報に基づく市民オンブズマンによって表面化してきたということは大変残念なことであります。そのために、現在の監査委員制度が本当にその趣旨監査委員目的を達成しているのかということで、国民府民、県民に大変不信感が増大をいたしておるところでございます。  特に予算執行について各方面から厳しい指摘がございますが、自治体に対する住民信頼を取り戻すためにもこれはちゃんとしなきゃいかぬ。そういう意味で、今回の外部監査制度が導入されるということは時期を得た改正ではなかろうかというふうに思っておりますが、この改正住民の期待する予算執行透明性を確保するということ、本当にそういうことにつながるのかどうかということが大変危惧されるところでございますので、この点に関しまして二、三お伺いをいたしたいと思います。  それで、平成四年以前の住民監査請求、いわゆる監査委員による監査じゃなくて住民による監査請求は大体どれぐらいなのか、その件数についてお伺いをいたします。
  9. 松本英昭

    政府委員松本英昭君) お答え申し上げます。  平成年度から平成年度の三年度間におきまして、住民監査請求件数は八百件ございました。それから、四年度から六年度の、すなわち法律改正されました後でございますけれども、この間において千八十五件の住民監査請求がなされております。
  10. 谷川秀善

    谷川秀善君 大分ふえてきておるわけですね。  そのうち、監査請求の後、不服だといって本裁判へ持ち込むケースがたくさん出てきたと思いますが、いわゆる本裁判になっておる件数はどれぐらいでございましょうか。
  11. 松本英昭

    政府委員松本英昭君) 住民監査請求から住民訴訟に移りましたものは、平成年度においては住民監査請求が五百九十五件でございますが、平成年度において行われました住民訴訟は百十八件提起されているところでございます。
  12. 谷川秀善

    谷川秀善君 これもだんだんふえてきておるわけですね。そうすると、監査委員による監査が余り機能せずに情報公開による住民オンブズマンの要求で監査をした、ところがそれがうまく機能していないということで、結局本裁判へ持ち込む、だんだんそういう形になってきておるわけですね。  それはそれとして、最近、特に地方自治体においてはいわゆる不正支出、こういうことがここ二、三年大変問題になりまして、それでいろいろと不正支出が出てきたと。しかし、それが何となく、本来でありましたら、監査委員監査をして、そしてしかるべき手続をとって処理していくということでございますが、最近はマスコミもいろいろ騒ぐということで、何か出てきたらえらいこつちゃえらいこっちゃと、こういうことで、それでみんな集まって金を集めて、金を返したらいいという傾向になっているわけですね。これはもう大変な問題だと思うんです。  それで、わかるだけで結構でございますが、市町村まで入れるといろいろ大変になると思いますので、都道府県で、不正経理不正支出だと言われて返還をした額は、それぞれ各府県そう大した数はないと思いますのでお教えをいただいて、自治省が把握している分だけで結構です、合計額はどれぐらいでございますか。
  13. 二橋正弘

    政府委員二橋正弘君) これまでに各地方公共団体から不正経理として私どもに報告のありました金額は、対象期間が二年ないし四年程度にわたっておりますが、合計いたしますと約百七十三億となっております。  その返還についてでございますが、すべての団体返還済みまたは返還予定となっているというふうに聞いております。
  14. 谷川秀善

    谷川秀善君 これはもう大変な額ですよ。北海道二十一億八千七百万からずっと行きまして、合計百七十二億八千二百万。  これをだれが返しているか。これは職員が何かの互助会をつくってみたり、OBにもお願いをしてみたり、一府県からすると大変な額です。その根拠はどこにあるのか、何もないでしょう、返さなきゃいかぬ根拠は。これはちゃんと裁判にして、裁判の命令を受けて初めてこれを法的に返したらいいので、適なのか不適なのか、その辺があいまいもことしたままで何となく返すと。  そうすると、これを返すのはどういう費目になるんですか、この返す費目は。
  15. 松本英昭

    政府委員松本英昭君) 各地方団体で恐らく、地方公共団体予算歳入科目というのは一つの見込みで立てておりますので、雑入で受けているのが多いんじゃないかというふうに思っております。
  16. 谷川秀善

    谷川秀善君 そうでしょう。これは皆雑収入なんですよ、皆雑入で入れているんです。  そんなことがもう日常茶飯事で蔓延してきたら、少なくとも地方公共団体職員はおちおち仕事をしておれませんよ。その当時は適なのか不適なのかわからぬけれども、適だと思って執行したわけですよ。もうはなからごまかしたろうと思って執行したと私は考えにくい。その当時の社会状況からいうと、まあこの辺ならいいんではないかというような執行をしたのではないか。これが厳密に言うとおかしかったということになっているんですよ。おかしいならおかしいでいいんです。はっきりと法的におかしい、こうならないと、返す団体もあれば返さない団体もある、これをどないもできないということでしょう、今の段階では。違いますか。  私は大阪府に長年勤めておりましたからその間の事情はよくわかっておりますが、だから大阪府にも申し上げました。はっきりと法的に措置をして、それでしかるべく返さなきゃならないものならちゃんとお返しになったらいかがですかと、そう申し上げているのに、いや、マスコミが騒いでどないもならぬから、この際みんな寄ってたかって金を集めて返しまんねんと。こんなことがもう何か日常茶飯事になったらえらいことですよ。それで、額が大変な額なんです。そうすると、幹部職員一人にとっても相当な額になるわけですよ。この辺のところは、地方自治体を御指導賜る自治省としてはやっぱり十分お考えをいただきたいというふうに思うわけでございます。  それで、現行監査委員制度がございますね。監査委員の数と監査に従事している職員の数は全国でどれぐらいございますか。
  17. 松本英昭

    政府委員松本英昭君) 平成八年六月一日現在の数字で申し上げますが、監査委員の数は実数で申し上げまして、都道府県が百八十七名、指定都市が四十八名、市が千五百九十八名、町村が五千五十四名でございます。  それから、事務局職員の数につきましては、こちらは平均で申し上げさせていただきたいと思いますが、都道府県平均専任職員が約二十二名、指定都市は二十八名、市は五名、町村は兼任の職員になりますが、約二名でございます。  以上でございます。
  18. 谷川秀善

    谷川秀善君 そうすると、監査委員さんが、市町村を入れまして全国で大体六千八百から九百、監査委員事務局に所属している職員が、兼務は抜くとして大体五千四百名、合計いたしますと大体一万二千名ぐらいが監査に当たっているわけです。今の法律制度のもとで監査に当たっている。  その次、お伺いします。  そうすると、この費用、それだけの人がずっと年間を通じて監査仕事をしておられるわけでございますから大変な数で、同時にそれに要る費用、いわゆる人件費も要るでしょうし、事務費も要るだろうと思いますが、府県市町村、合わせてざっとどれぐらいかかっておりますか。
  19. 二橋正弘

    政府委員二橋正弘君) 平成年度決算におきます監査委員等に要する経費でございますが、都道府県で百二十六億、市町村で三百六十七億となっております。
  20. 谷川秀善

    谷川秀善君 そうすると、一万二千人ぐらいの人間がそれに従事して、費用をざっと合計しますと四百七十二億、大変な額です。これだけの人間を使い、これだけの費用を使って本来の目的を達成しているのかどうか、こういうことなんですね。これは大変なことです、どう考えても大変な額ですよ。  それで、情報公開が進んでまいりますと、市民オンブズマンがちょっとした資料をもとにいろいろ調査をしたら、ぞろぞろぞろぞろ出てくる。これでは監査委員制度そのもの根幹にかかわる問題だろうと私は思うんです。  それで、今回、それじゃどうもぐあいが悪いんじゃないかということで外部監査制度を導入しようと、こういうことなんですが、いわゆる行政監査平成三年の自治法改正によって行政監査ができる、指導ができると、この制度を本当にうまく運用されておればこういう問題はある程度防げたんではないかというふうに私は思うわけです。  そういう意味で、その行政監査、これは制度ができてから、府県政令市、市町村ごと年間大体どれぐらいやっておられるのか。
  21. 松本英昭

    政府委員松本英昭君) 行政監査でございますが、平成年度一般監査として制度化されたわけでございます。年度ごとテーマを設定して実施するわけでございますけれども平均では都道府県で毎年度二件程度指定都市で三件程度、市では一、二件程度実施されておりまして、町村では余り実施されていないというのが実情というように私どもは把握いたしております。
  22. 谷川秀善

    谷川秀善君 だから、大体この辺のところをしっかりやって、これからもこの制度は残るわけですから、しっかりやっていただかぬと、なかなかこういう問題は指摘しにくいだろうというふうに思います。  それと、問題はやっぱり監査委員ですね。監査委員内訳議員選出はともかくとして、学識経験者といいますか、監査委員の割合はどんなもの  ですか、学識経験者内訳でございますね。
  23. 松本英昭

    政府委員松本英昭君) 識見を有する者から選任されます監査委員内訳でございますけれども地方公共団体職員であった者が都道府県で大体六五%程度を占めております。それから、指定都市では五四%、人口二十五万以上の市で四七%、その他の市で四二%、町村では二五%という程度になっております。  それから、職業別で見てまいりますと、全体でございますが、農林水産業というのが一番多くて二五・七%、会社役員が九%、商業が四・七%、以下、税理士弁護士公認会計士、その他、その他が四七%となっておりますけれども無職等を含んでおります。これは例えば学校の先生OBの方とかいうような人も入っておるんだと思いますが、そういう構成に相なっております。
  24. 谷川秀善

    谷川秀善君 大体OBが多いんです。ほとんどOB、六十何%ですから。そうすると、これはやっぱり内輪になっちゃうんですね。だから、この内輪意識が結局監査委員制度そのもの根幹を揺るがしているんです。内輪だからまあほどほどにしておこうかというようなことが、この監査委員制度を、長年の年月でございますから形骸化させているというふうに思います。  それと、事務局職員平均在職年数といいますか、それはどれぐらいでございましょうか。
  25. 松本英昭

    政府委員松本英昭君) 平成八年六月一日の数字で申し上げますと、都道府県及び政令指定都市は大体二年程度でございます。市町村で大体三年程度になっております。
  26. 谷川秀善

    谷川秀善君 ここにも問題があるんですよ。大体知事部局監査委員事務局と交流しているんです。そうすると、監査委員事務局に行ったってせいぜい二年か三年なんです、また知事部局へ帰らなきゃいかぬ。そうすると、強いこと言えますか。みんな内輪ですよ、全部内輪なんです。ここにもやっぱり問題があるわけです。  と同時に、事務局専任にすると、小さなところもありますし、いろいろありますから難しいと思います、人事体系の問題もございますから。だから、二十年ぐらいはそれぞれの部局でお働きになって、仕事に精通してきたら監査委員事務局へ行かせると。そこでもうずっとやってもらう。これはポストの問題もいろいろあろうかと思いますよ。だけれども、これはそれでまた考えればいいわけです。何も局長にせぬでもいいんですから、局長待遇にすればいいし、まあいろいろ知恵は出せると思うんですよ。  そういうことをしないと、何か二年か三年の在職でまた知事部局へ帰る、また教育委員会へ帰る、それでまた交流してこっちへ来る、そんなことをしていたら監査の本来の目的というか効果がなかなかあらわれにくいんではないかというふうに私は思いますので、その辺もいろいろとお考えをいただきたい、こう思うのであります。  そこで、この議員立法修正で、外部監査について、弁護士公認会計士のほかに税理士を入れる、私はこれは非常にいいことだと思うんです。大体役所の経理なんて公営企業を除いたらどんぶり勘定ですから、入るか出るかだけ、歳入歳入歳出歳出ですから、これは歳出部分をはっきりすればいいんだから、こんなもの子供でもできますよ、極端に言えば。公営企業だと複式簿記がわからなきゃならぬ、何がわからなきゃならぬということで大変難しいかもわかりません、経営考えなきゃいかぬ。ところが、一般会計歳入歳入歳出歳出ですからこんな簡単なものはないんですよ。店で言うなら大福帳ですよ。  だから、それを監査するということですから、私は税理士さんも入ってもらうということはいいことだと思いますが、この税理士さんを入れるという修正根拠はどこにあるのか。
  27. 宮路和明

    衆議院議員宮路和明君) 谷川先生御案内のように、今回の外部監査制度でありますが、地方公共団体監査機能専門性あるいは独立性をさらに強化して、そして普通地方公共団体監査機能に対する住民信頼をもっと高めていこうと、こういう観点から今度の外部監査制度が導入されることに相なったわけでございます。  そして、政府の案におきましては、この外部監査契約を締結できる者として、弁護士及び公認会計士並びに国の会計検査または地方公共団体監査等事務に従事した者であって、監査に関する実務に精通しているものとして政令で定めるものと、こう規定をされておるところでございます。  ところが、この外部監査制度都道府県政令指定都市など大きな地方公共団体だけであれば、政府の案にありますような弁護士さんや公認会計士さん等でもって対応可能ということにあるいはなるかもしれませんけれども、せっかくでございますので、そうした大きな地方公共団体だけでなくて通常の市町村などにもこれを大いに広めていく、導入していただくというようなことになってまいりますとその方が望ましいわけでございます。そうなりますと、おのずと先ほど申し上げた政府案にありますような方々だけではどうも対応が困難な事態というのも大いにあり得るんではなかろうかというようなことが私ども衆議院審議の過程で議論されたわけであります。  そして、それを補う方策として税理士さん、先生お話がございましたように有能な人材がたくさんいらっしゃるわけでありまして、監査委員としての実績を持っておられる、全国津々浦々有能な方々をそれぞれ配置していらっしゃるわけでありますので、ぜひ税理士さんにもこの一翼を担っていただくようにした方がいいんではなかろうかということで、各党、自由民主党新進党、民主党、そして社民党でございますが、皆さんそうした気持ちにすべてなっていただきまして私ども修正案を出させていただいたと、このようなことでございます。
  28. 谷川秀善

    谷川秀善君 どうもありがとうございます。非常にいい修正案だと思っておりますので、よろしくお願いいたします。  それで、この外部監査包括監査個別監査があるようでございますが、これは現行監査委員制度をそのまま残すわけでございますから、これとの整合性をきちっとお考えいただいて、この外部監査制度の運用については自治省の方でちゃんと指針などおつくりをいただいて、足らざるを補うということが基本だと思うんですね。この監査委員制度そのものを生かすわけですから、足らざるを補う。  そうすると、これはざっと概算しただけでも現行監査委員制度のもとでも四百七十億も八十億もお金かかっているわけですから、それに外部監査お願いするとまたお金がかかるわけですよ、これはただではだれもやってくれないです。そういう意味でちゃんとしていただくことと、現行監査委員制度の見直しもやっていただかなきゃいかぬ、同時に経費の節減もやっていただかなきゃいかぬ。これはこのまま置いておいて、だらだらやっておいて、その上に、監査法人に私の友達もおりますが、聞くと、今度は包括外部監査ができるようになって、大体一件で二千万から三千万ぐらいだというんですよ。そうすると、それで計算したらごっつい額になるわね。その意味では税理士さんを入れていただくというのはいいことだと思うんですよ。  何か公認会計士だとか弁護士だと高いこと言うはずですよ、私はそう思いますよ、特に公認会計士さんは。これは私から言わせたら大した監査と違うんだから。だから、その辺はよくお考えをいただきたいというふうに御希望を申し上げておくところでございます。  最後に、いずれにしても、地方公共団体におきます予算執行透明性の確保というのは、私は住民自治の原点だろうと思うんです。住民信頼をされてこそ地方自治体の行政は進むのだろうと思うわけであります。だから、予算も変なやりくりはせぬように、地方自治体がちゃんとはっきりさせるような予算の組み方も御指導を賜りたい。そして、その一番大事なことは透明性の確保です。そういうことでは情報公開を徹底するということであり、その点につきましては同僚の上吉原一天委員情報公開について御質問をしていただけるようでございますので、そちらにお譲りをするといたします。  しかしながら、その前提はいわゆる公務員規律の確立だと思うんです。公務員が今だらけてきておる。これを何とかしない限り、監査委員制度をどれだけ充実し、外部監査制度を導入してもなかなか魂は入らないというふうに私は思いますので、最後に白川自治大臣に、いわゆる公務員規律の確立をどうするのか、人事面も含めていろいろあろうと思うんですが、その点についての御決意をお伺いして、私の質問を終わらせていただきます。どうもありがどうございました。
  29. 白川勝彦

    国務大臣白川勝彦君) 先ほど監査委員費用全国で幾らぐらい使っているかという質問で、私も先生質問を機に改めて報告を受けた次第でございます。  ちなみに、私は地方議会がどのくらいお金を使っているんだろうかということを疑問に持ちましたので調べてみました。国会は物件費を含めて一千億円でございますが、地方議会は六万五千人の議員とそれから議会事務局を含めて六千億円を年間使っているようであります。国会は立派にやっているというほど国会議員としてそう大きな顔をするつもりはありませんが、よくても悪くても存在感があることだけは事実でございますので、地方議会はもう少し存在感があってしかるべきなんではないか、私はこう思っております。  そして、不正支出その他を含めていろいろあろうかと思いますが、住民の代表である議会が、どうかひとつ公務員に緊張感があるように、しっかりと職務に精励するような機能をまず果たしてもらいたい、そして不正等をチェックしてもらいたいというのを私は地方議会に深く望むものでありますし、またそのために地方議会そのものの権限等ももう少し強化していいのではないだろうかと思っております。こんなことを、どうかひとつまたこの委員会等でもお考えを賜り、いずれまた法律改正のために労を煩わせることがあるかと思いますが、地方議会の役割の増大ということもお互い考えていかなきゃならぬと思っております。  ただ、そういうこととは別に、公務員が公務員として自己を厳しく規律するということを理事者を中心に真剣に考えてもらいたいと思っておりまして、国の方でも昨年の十二月に国家公務員の服務規程というようなことを厳格にするように決めたのは既に皆様御案内のとおりでございます。事務次官通達をもって、地方自治体においても同様な厳しい服務管理ということをやっていただきたいということで通知を出して、それに基づいて、従来からもありましたが、それを参考にそれぞれの地方自治体でまた厳しく見直しがなされておると、こういうふうに承知をしております。
  30. 上吉原一天

    上吉原一天君 外部監査の件につきまして質問をいたします。  まず、今回の改正案の内容について、新しくつくられる外部監査制度、これは従来の監査委員制度とどのように違うのか、簡単に御説明いただきたいと思います。
  31. 松本英昭

    政府委員松本英昭君) お答え申し上げます。  従来の監査制度というものは、地方公共団体執行機関の一つであります監査委員が、監査委員及びそれを補助する職員地方公共団体職員として、いわば組織の中で監査を行うという制度でございます。  今回導入いたします外部監査制度は、地方公共団体とは独立して、そして地方公共団体の外部の人によって監査をするということでございます。その趣旨は、監査制度全体の独立性専門性を高めていく、こういう趣旨に出ているものでございます。
  32. 上吉原一天

    上吉原一天君 お答えの趣旨は理解をいたすわけでございますが、外部監査人の識見の程度、これを法文の規定から見ますと「普通地方公共団体の財務管理、事業の経営管理その他行政運営に関し優れた識見を有する者」ということでございまして、一定の資格を有する者という条件はつきますけれども、基本的にこの条件は従来の監査委員のものと同じだというふうに考えられます。  また、現実に監査委員として弁護士公認会計士を採用している地方公共団体も、都道府県では一割以上、指定都市で四分の一、それから二十五万以上の市では一割五分程度とかなり見られております。さらに、監査の対象、それから監査の結果の報告、あるいは新しく加わりました結果に基づく施策の公表の面をとりましても、外部監査契約は表面的に見る限りは従来の監査委員制度と際立って違うものとは考えられないと思います。  しかしながら、今お話がありましたように、外部監査人はその契約した自治体にとって完全な部外者でございまして、内部のしがらみとは無縁の違った目、客観的な視点で監査をしてもらうこと、あるいは監査委員制度では定期監査などの過密なスケジュールで全般的に広く浅く行われているのとは異なりまして、ポイントを絞って狭いけれども深い監査を行うという点などで重要な意義があるものと思っております。  私は外部監査人が監査委員と異なる機能を十分発揮してくれることを強く期待するものですけれども地方公共団体の財政や行政運営の適正化に資し、地方分権の受け皿づくりに役立つようになるためには一定の条件整備が不可欠だと思います。それは地方公共団体の行財政の広範な情報公開でございます。補助体制が十分ではなく、また外部の者の監査だけに、行政情報が透明でなければその機能を十分に発揮できないというふうに思います。この点についてどのようにお考えでしょうか。
  33. 松本英昭

    政府委員松本英昭君) 情報公開というものが地方公共団体の行財政をチェックするだけではなくて、進んで地方公共団体の政策形成にも資するものであるという意義はまことに大きいものであろうかと思っております。したがいまして、この情報公開制度の重要性というものは委員今御指摘のとおりでございます。  外部監査制度はこの情報公開というものを必ずしも前提としているわけではございませんが、すなわちみずから関係書類を調査しあるいは関係人の出頭を求め調査することができる根拠を与えておりますので、みずからがそういう権限を持って情報を把握する機能を与えております。  ただ、委員も今御指摘のように、そういう外部監査委員の機能とそれから情報公開制度の充実とを合わせて、両々相まって監査制度全体の機能がより高度になるものと私どもも期待をいたしているところです。
  34. 上吉原一天

    上吉原一天君 それでは、情報公開についてお聞きをいたしたいと思います。  情報公開法制につきましては、国の行政改革委員会で昨年の十二月に「情報公開法制の確立に関する意見」というのが出されまして、地方公共団体につきましても意見が表明をされております。すなわち、地方自律性を尊重し、地方公共団体に対して国の情報公開法を直接適用することはせず、各自治体において法の趣旨にのっとり情報の公開に関し必要な施策を策定、実施するという努力規定でございます。  これは本案要綱案として示された法律の中にも盛り込まれておりますが、国の情報公開法制への動きに関しまして現況をお聞きしたいと思います。
  35. 藤井昭夫

    説明員(藤井昭夫君) 先生指摘のとおり、情報公開法の制定に関しましては、昨年十二月に行革委員会から「情報公開法制の確立に関する意見」が総理大臣に提出されたところでございます。政府は直ちに、この意見を最大限に尊重し、できる限り早期に法律案を取りまとめるべく作業を進め、平成年度内に所要の法律案の国会提出を図ることを行政改革プログラムということで閣議決定しているところでございます。  総務庁といたしましても、情報公開法制定準備室というようなものを直ちに設けまして、閣議決定された方針に沿ってできるだけ早期に法案を取りまとめるべく、現在、要綱案の具体的な法文化のための作業とかあるいは数多くの関係法制等の状況について調査を進めているところでございます。
  36. 上吉原一天

    上吉原一天君 自治体の場合に、それぞれの自律性にゆだねるという情報公開法は民主主義の基礎の上に市民の行政への参加、監視という代表民主制の実質的な担保をなすものであると思います。国の要綱案では、行政文書の開示を要求する権利は国民主権の理念からくるものとしておりまして憲法上に基礎を持たしているわけでございまして、行政権を国民からゆだねられた者は主権者国民にその運営について説明する義務があるし、説明できるように運営しなければならないという観点から、政府の諸活動を説明する責任、いわゆるアカウンタビリティーが目的規定に定められております。  自治体についても住民との関係では事情は全く同じだというふうに考えますけれども、この要綱案によりますと、条例制定を含めまして努力義務にとどまっているわけでございます。情報公開の性格づけから見てどうも不十分なのではないかというふうに思われるわけですけれども、この点についてお聞きをしたいと思います。
  37. 藤井昭夫

    説明員(藤井昭夫君) 行政改革委員会では、御指摘のとおり「地方公共団体は、この法律趣旨にのっとり、情報公開に関し必要な施策を策定し、及びこれを実施するよう努めなければならない」ということを法案に明記するべきというふうに指摘されておられるわけでございます。  その趣旨はこの行革委員会の意見に「要綱案の考え方」という部分がございますが、そこで明記されているところでございますけれども地方公共団体においては既に相当数の情報公開条例が制定されているということ、それから地方公共団体の自律性というものを尊重すべきであるということ、そういうことから国の情報公開法を直接適用することは適当でないという考え方に立っておられます。そのため「未制定の地方公共団体においては、この法律趣旨にのっとり、条例の制定に努めるとともに、既に制定済みの地方公共団体においても、この法律趣旨にのっとり、必要な施策の策定及び実施に努め」ていただくというようないわば努力義務規定となっているわけでございます。  総務庁といたしましては、当然行革委員会の御意見を最大限に尊重するという立場でございまして、そういう趣旨で立案作業を進めているところでございます。
  38. 上吉原一天

    上吉原一天君 今お話にありましたように、地方の情報公開というのは国よりも先行していたことの先導的な役割は認めますけれども、自治体条例はまちまちでございまして、制度の充実に向けてまだまだ問題が多いかと思います。  例えば情報開示の対象機関について、要綱案では行政機関について例外を認めておりません。しかし、自治体の条例では一般に都道府県公安委員会などは除かれておるということでございますし、また開示の対象文書につきましても自治体の条例では磁気テープなどの電子的媒体によるものは一般的に及んでおらない。それからまた、通常は決裁、供覧という側面から文書をとらえておりますけれども、この点も必要なのは個人的なメモであっても、エイズの郡司ファイルというようなもので象徴されますように、行政上の施策を判断する情報として必要なものはあるわけでございますけれども、こういったものは組織としての共用文書とした要綱案の設定範囲の方が合理性があるのではないかというふうに思われます。  それから、自治体の条例の問題で、第三者保護につきまして行政手続的な発想がないわけですし、また細かい手数料の問題につきましても、自治体条例の規定では、事柄によりましては文書の量に関連して高額になってしまうものも多いわけでございます。これなども住民主権という観点に立てばもっと違った柔軟な対応が必要なものだと思います。まだまだ自治体の条例には足らないものが多いかと思いますけれども、この辺どのようにお考えでしょうか。
  39. 松本英昭

    政府委員松本英昭君) 委員指摘のように、情報公開に関しましては自治体の方が先行して整備をしてまいりまして、現に都道府県あるいは政令指定都市は全団体制度を持っているわけでございます。市町村につきましてはまだ未整備のところが多いわけでございますけれども、そういう中で、先ほど総務庁の方から御答弁もありましたように、昨年十二月に国の方の要綱が示され、その中に努力義務として地方公共団体情報公開制度の整備をうたうことになっているわけでございます。  私どもは、ただいま委員が御指摘のようにそれぞれの団体の違いというものが確かにあることは存じております。これもそれぞれの団体でいろいろ制度をおつくりになる際に、他の団体との比較とか運用の状況等を見ながらそれぞれで工夫をなさって現在の制度ができ上がっているわけでございまして、そのことはそのこととして大切にしなければならないのではないかと思っているわけでございます。  国の方の制度が制定されますれば、地方公共団体もその制度のいいところを当然また取り入れて、さらに独自の自分たちの考え方も反映をしながらよりよい地方公共団体情報公開制度をつくっていただくように、またそれを発展していただくように、私どもも及ばずながら必要な助言等は行ってまいりたいと思っているところでございます。未整備のところについて整備を急いでいただきますことは、もちろん現在でもあらゆる機会を通じて申し上げているところでございます。
  40. 上吉原一天

    上吉原一天君 情報公開の法制化というのは、今後の行政運営における最重要課題であるというふうに思います七国のあらゆる情報は、非開示とすべき合理性のあるものは当然除くとして、基本的にすべて公開されなければならないというのが大原則だと思います。なぜならば、情報は基本的には国民住民の税金と協力によって集めたものですから、各役所の私物ではなく、ひとしく国民が共有するものである、そう考えるべきだと思います。官僚が自分たちの情報を、請求があったから見せてやるという意識では事態は少しも改善されません。私は、政治、行政を少しでもよくしそれを身近なものとするためには、皆で情報を共有するという認識をわかち合うことが肝要であると思います。  ですから、今回検討中の情報公開法も情報共有法という視点からの立法が適切だと思います。この点は地方においても同様だと思いますけれども、総務庁それから大臣の見解をお伺いします。
  41. 藤井昭夫

    説明員(藤井昭夫君) 確かに先生指摘のとおり、行政機関が保有する情報の中には行政機関がみずから作成したものもあるわけでございますが、第三者としての個人や法人等から御提供いただいている情報も多々あるわけでございます。これらの中にプライバシーとか知的所有権とかノウハウとか、むしろ第三者の権利、利益にいわば重大な影響がある情報というものも少なくないわけでございます。  他方、行政というのは国民のために行われるべきでございまして、予算とか公務員とか行政情報もみんな国民のための行政のために適切に用いられるべきものであるという意味では全く御指摘のとおりであろうと思っております。  また、先ほど御指摘でございますが、今回の行政改革委員会の意見では、行政情報というものも国政の諸活動の状況を主権者たる国民説明するものとして国民に対して明らかにすべきという旨の指摘がなされているわけでございます。そういう意味で全く御指摘のとおりだと思いますが、行政情報というものは基本的には国民に対して公開されるべきものという考え方に立って法案を立案してまいりたいと思っております。
  42. 白川勝彦

    国務大臣白川勝彦君) 御案内のとおり、情報公開というのはそんなに昔からあった言葉だと思っていないわけでございます。一部の政党や一部の政治家が随分熱心にやってこられるということについて、私は自由民主党というところにいたせいでしょうか、正直言ってぴんとこないところがございましたが、委員が今御指摘のとおり、情報共有というような深い意味があるんだということを聞いて納得いたしました。  それから、もう一つの話として、情報を公開するという中には当然自分がしたことを公開するということがあるわけでございまして、これが行政の執行等にとりまして非常に大きなチェック機能になるというか、少なくとも自分のやったことについてちゃんと説明できなければならないという形で、行政執行のときに公務員に対して非常に大きなプレッシャーというか、いい仕事をしなきゃならないという契機になるということも改めて感じた次第でございます。
  43. 上吉原一天

    上吉原一天君 終わります。
  44. 小林元

    ○小林元君 平成会の小林元でございます。  先ほど谷川委員からもいろいろ過去の経緯といいますか、平成年度改正についてお話がございました。平成年度改正、財務監査に加えて行政監査ができる、そしてまた機関委任事務等にも及ぶというような範囲の拡大もございました。また、監査委員で問題になっております識見委員OB制限が追加されるということで専門性独立性を高めよう、あるいは町村等につきまして必置制にするというようなことがございましたし、また結果の公表などを義務づけるというようなこともございました。  しかし、先ほど来お話がありましたように、空出張とか空雇用とかというような裏金づくりというんでしょうか、不正執行というような問題が明るみに出たわけでございます。非常に残念なことでございます。  その平成年度改正で、先ほどもお話がありましたが、監査委員から指摘をされたというようなことは余りないんではないか、住民監査請求によって明らかにされたというふうなものが多いんでありますけれども、実際、監査委員監査というものが犯罪捜査といいますか、不正摘発という観点で行われるわけではございません。もちろんそういう面も必要だと思いますけれども、そういう今の制度的な欠陥といいますか建前からいきますとそういう傾向だろうと思うんです。  そういう住民監査の請求ではなくて、監査委員自体でそういうことを指摘したというような事例を承知しておりましたらお知らせをいただきたいと思います。
  45. 松本英昭

    政府委員松本英昭君) 今、委員指摘のように、従来の監査制度というものが指導監査という言葉でよく言われておるわけでございますけれども、どちらかといいますと摘発型ではなかったということなんだと思います。そういうことで、不正等を摘発するという視点からはなかなかそれなりの限界があったということが言われているわけでございます。  ただいまの御質問の今回の不適正支出の中で、監査の中で指摘されそして公になったというものは、現在問題にされているものの中にはございません。ただ、一つ監査の過程において、もう委員も御指摘だと思いますけれども、こういうことはよくないよとか、こういうことは問題だよということを公表する前にただしているという例は、私ども一つ一つをつまびらかにしているわけではございませんけれども、これは少なくないんではないかというように考えております。
  46. 小林元

    ○小林元君 そういうような指摘というんですか、指導というんですか、監査委員の方からあって、実際には公にされない中で指導ということで後は改善をしましたというようなことはあったんではないかと思うんです。しかし、先ほど来申し上げましたような、結果の公表というものについて監査結果にも記載をしないあるいはその改善措置についても公にしないというような方向で処理されていたということはどうもこの改正趣旨から見ていかがかな、本当に十分に改正趣旨を生かして実施していたというふうには思えない点があるんではないかと思う次第でございます。  それから、平成年度数字があるようでございますが、弁護士あるいは公認会計士税理士さんが、かなりの数というわけにはいきませんけれども、現在入っておられるという状況でございます。例えば、四十七都道府県中十四人、指定都市が十二都市のうち半数の六人、それから定数が四人以上の市でございますと八十八市のうち三十六人というようなことでかなりの数が入っている、OB職員にかわってこういう方が入ってこられたんではないか、これは想像でございます。  平成年度改正前の状況で、こういう方が実際に入られていたのかどうか、もし数字がおわかりであればお伺いしたいと思います。
  47. 松本英昭

    政府委員松本英昭君) 平成三年の改正でいわゆるOBの制限規定を設けまして、二名以上の有識者を監査委員にするときにはその一人は少なくとも五年内に当該団体の公務員であった者であってはならないという規定でありますが、そういうOBの制限規定を設けました。  その結果、公認会計士とかそれから弁護士さんとかそういう方々がどのようにふえたかという御質問であったと思うんですが、実はそちらの方の数値を持ち合わせておりません、その前の数値を持っておらないものでございますから。  ただ、識見を有する者の監査委員に占めるOBの比率の方で説明をさせていただければ逆にある程度おわかりいただけるんじゃないかということでその数字を申し上げさせていただきますと、実は平成二年では都道府県OBの方が七六・六%でございました。それに対しまして、平成八年では六五・六%に減少いたしております。この減少のまた逆はそういう専門の方々がふえたのではないかというように私ども見ております。
  48. 小林元

    ○小林元君 そういうことで一〇%程度ふえたんではないかというようなお話でございます。その専門性独立性が発揮されたというふうに言えるんだと、理屈の上ではそうなると思いますけれども、実際にそういう方が入って監査というものが平成三年以降活性化されたのかどうか、特にそういう人が入った県なり市町村でそういうようなことを承知しているかどうか、ありましたらお伺いしたいと思います。
  49. 松本英昭

    政府委員松本英昭君) 平成三年の改正でただいま申し上げましたようなOBの制限、それから先ほども指摘のありましたような監査の機能の拡充等が図られたわけでございます。そういうことで、確かにどこでどういう事案でそれゆえにふえたかという質問は答えがなかなか難しいのでございますけれども、全体として監査の機能が充実したということは言えるのではないかと思っております。  ただ、そういう方々監査委員に就任していただきましても、これは地方制度調査会等の審議の中で現実にあった話でございますが、一人ですべてをやるわけではないわけでございまして、組織の中で地方公共団体職員である人を使ってやらざるを得ないということにおいて、現行監査制度はどうしても独立性専門性という点で問題があるのではないかという御指摘を受けてきていることも事実なのでございます。
  50. 小林元

    ○小林元君 茨城県でも、この改正前にOB職員委員のかわりに公認会計士を選任いたしております。現在もそうなっていると思いますけれども、今おっしゃったようなことで、補佐をする方が事務局職員、県庁の職員というようなことになりまして、十分にその専門性あるいは独立性を発揮するということまではなかなかいっていないんではないかというような感じでございます、これは推量でございますけれども。  それから、機関委任事務に及ぶというようなことになりまして、また行政考査というんでしょうか、先ほどもありましたけれども知事部局の中に行政考査部局といいますか、担当の方がおられる県あるいは市町村政令都市、そういうものが実際あるんではないかと思います。  ただし、これは監査制度とは違いまして、指摘した監査、考査をするということについてもその結果とかあるいは改善事項とか一切公表しない。内部的な投書でこういう職員がこういうことをしているあるいはこういう許可について問題があるんではないかとか、そういうような指摘に対する考査が多いようであります。一部には効率的な執行が行われているかというような経済性どか効率性というような点での考査を例えば外郭団体に対してするというようなものもございます。この辺について本来であれば監査制度の中でやると、今回の改正もそういうこともあるんだと思うんです。  経費の問題、先ほども出ましたが、今後廃止をしろという命令を出すわけにはいかないんでしょうが、そういう重複といいますか、役割分担といいますか、その辺に何かお考えがありましたらお聞かせをいただきたいと思います。
  51. 松本英昭

    政府委員松本英昭君) 今、委員指摘のような行政考査、これはあくまでいわゆる内部統制としての考査であります。それと違って監査というのは一応別の執行機関が監査をしていくということで、この行政監査というのはおのずからまた行政考査と違った意義があるわけでございます。  そういう意味平成三年に一般監査としての行政監査を導入することといたしたわけでございますが、現実には、先ほどちょっと申し上げましたように、都道府県で毎年平均二件程度、それから指定都市でも三件程度、市では一、二件程度というようなことでございます。  今の監査委員方々年間の日程表などを見ておりますと、事務局を含めて大変お忙しいわけでございます。監査の範囲が非常に広まっておりますので、そういう点でなかなか行政監査にまで手が回りかねるところもあるやに聞いております。  今回、外部監査制度というのを入れましたときに、外部監査の対象としてどこまでが適当であろうかという議論が地方制度調査会でもいろいろございました。行政監査までも含めたらいいではないかという意見も確かにございましたが、もともと行政監査というものはそれぞれの組織の中において行政事務と密接に関連をしているということもあることから、これは必ずしもなじまないんじゃないかというのが二十四次の地方制度調査会の中間答申に書かれております。  そういうことで、外部監査というのはまずは財務監査というものの中で、しかもいわゆる随時監査と要求監査というものに的を絞って行っていくということにしたわけでございます。そのことによって、今まで幅広く年間を通じて監査の実務に非常に忙殺されてきた人たちが、その部分については外部監査に任せて、そして他のいわゆる定例的な監査それから行政監査等に手が回る、そういうことは言えるのではないかと思っております。
  52. 小林元

    ○小林元君 平成三年の改正というものは、既に財政的にもなかなか容易ではないというような時期に来ておりますし、実際に行革の時代ということが意識されておった時代でございますし、この五年間監査委員事務局あるいは監査委員をふやすというようなことはなかなかできないという状況だったと思います。そういう中で法を改正して範囲を拡大したといっても、それが実際の場で実現するというのはなかなか難しいというお話だろうと思います。  いずれにしましても、平成年度改正につきましては十分な成果が上げられなかったんではないか、効果が少なかったんではないかというような感じがいたしております。今回の現行制度の一層の強化とそれから外部監査制度改正するというようなことは、先ほど申し上げましたような不正事件とかいろんな問題があって今回改正をするということになったんだろうと思います。  そこで、先日の大臣の提案説明では、地方分権の推進に資するというような大変格調高い改正の理由の説明でございました。しかし、今質疑の中で申し上げましたような実態、背景というものも十分に踏まえた上での改正だろうとは思うのでございますけれども、その辺について、今回の改正のねらいを改めて大臣からお伺いしたいと思います。
  53. 白川勝彦

    国務大臣白川勝彦君) 御案内のとおり、地方分権ということが大変各分野から言われている昨今でございます。地方分権は結構なんだけれども、現在の三千三百あるような小さな行政体制で、分権された権限を適正に行使できるのかというようなこともそれと同じぐらい言われているのは御案内のとおりでございます。  いずれにいたしましても、それに対して私は意見がありますが、地方行政体制がより整備されまた質の高いものにならなきゃならぬことは指摘をされるまでもなくみずからの問題として考えていかなければならない問題だと、こう考えております。  そういう意味で、新しい役割を担うにふさわしい地方行政体制の整備、確立をしていくということは、強力な監視体制というか監査機関があるということはどうしても必要だろうと、こう思いましてこのような改正をすることにしたと思うわけでございます。  それからもう一つ、これとは別に公務員の予算執行をめぐる、言うならば不祥事がこの間多く出てきたのは委員御案内のとおりでございます。こういうことを含めて公費執行のチェック機能を高めていくというようなことも、あわせて今回の改正の中で意図しているところでございます。
  54. 小林元

    ○小林元君 どうもありがとうございました。私もそういうふうに理解をしている次第でございます。  地方分権の推進をしていくためにやはり地方公共団体の自主性、自立性を高めると、広範な権限を持つわけでございますからそれだけ責任も重くなる、自己責任を強く自覚するということが求められていると思います。間もなく地方分権推進委員会の第二次勧告が出されるというようなスケジュールになっているわけでございます。中間報告から見て、地方公共団体の自主財源といいますか、そういうものの比率を高める、額をふやすのかどうかという問題もいろいろあろうかと思いますけれども、いずれにしましても、自主的な判断で効率的にあるいは経済的に有効に執行するというようなことだろうと思います。  行革の時代ではございますが、地方分権の推進によって自主財源の比率がどうなるのか、高まるのかどうなのか、額が増加するのか減少するのか。効率的な執行ができると、国、地方を通じてそういう業務についてトータルとしては当然節減といいますか合理化が図られるというふうには考えておりますが、地方団体の側にとってみてどういうふうになるのか、あるいは財政規模が拡大するのかどうなのか、その辺の見通しが現在の段階では大変難しいかと思いますが、ございましたらお聞かせをいただきたいと思います。
  55. 二橋正弘

    政府委員二橋正弘君) 地方分権を進めていく上には、ただいま委員から御指摘がございましたように、地方公共団体事務事業を自主的かつ自立的に執行できますように権限の移譲あるいは国と地方との役割分担の見直しということとあわせて、それに対応した地方税財源の充実、確保を図っていくことが必要でございます。特に地方行政の自主的な運営という観点あるいは国と地方の責任の明確化を図っていくという観点から、国庫補助金等の整理合理化と地方一般財源の充実、確保を積極的に進めていくことが必要であるというふうに考えております。  今、地方分権推進委員会で補助金、税財源問題について広範な検討をされておりまして、それが財政規模にどういうふうに結びついていくか等のことについて今直ちに見通すことは困難でございますが、いずれにいたしましても、地方財政の自主性、自立性を高めますとともに、地方団体が役割を果たしていく上で十分にやっていけますように、地方税財源の充実に私どもとしても努力をしてまいりたいというふうに考えております。
  56. 小林元

    ○小林元君 ぜひそのように自治省として御尽力をいただきたいと思っております。  時間がなくなってしまいましたので、ちょっとはしょってまいります。  先ほど来、不適正な執行という問題がいろいろ出ておりますが、これは盲官接待というのがすべてではありませんけれども、補助金制度あるいは許認可制度、そういう上下主従といいますか、どうもそういう関係の中で生じてきたというような構造的な問題もあるんではないかというふうに考えているわけでございます。また、そういうことで外部監査制度、今回の改正によって十分対応をしてもらいたい、そのような指導をしてもらいたいというふうに考えております。  しかし一方で、今の地方分権推進委員会の推進の中で、これは本会議でも総理に質問したわけでございますけれども、各省の抵抗というんでしょうか、先ほどの大臣答弁にもありましたが、地方不信といいますか、そういうものの中でどうも国の行政の統一性が図れない、あるいはナショナルミニマムはどうするのかというようなことでなかなか議論が進まない、俗な言葉で言えば、各省が抵抗をしているというような状況がございます。  しかし、これは先ほども申し上げましたように、一方的に地方団体の責任だけではない部分もございます。地方団体はもちろんしっかりしなければいけませんが、そういうことで今後ともこの監査制度の改革とともに、先ほども問題が出ました公務員倫理の確立や公的な会計制度がどうあるべきか、あるいは適正な執行をどうすべきか、あるいは情報公開の問題をどうするかと、そういうことも必要だというふうに考えております。  自治省の立場で地方分権を推進する、各省はそういうふうに抵抗はしているでしょうけれども地方団体の立場を理解しまして、地方分権が推進されるようにぜひ御尽力をいただきたい。御意見がありましたらお伺いしたいと思います。  これで質問を終わります。
  57. 松本英昭

    政府委員松本英昭君) 今、委員指摘のように、確かに地方に対する不信というのは各省と言わず国民の中にも大変高いものがあろうかと思います。しかし、今置かれております状況の中で、地方分権というのはどうしても必要である。これは地域において自己決定と自己責任の原則を確立していく、体制を確立していくという方針はやはり正しい方針であろうし、私どももその方向に向かって進んでいかなければならないと思っておるわけでございます。  したがいまして、不信があってもその不信に対しては、委員も今御指摘になりましたように、ただいま御提案申し上げておりますようなチェック機能の強化とか、あるいは公務員倫理の確立だとか、あるいは情報公開による行政の透明性の確保等、そういう対策を講じつつ、地方分権という大筋は進めていくという決意で臨んでいきたいと考えているところでございます。
  58. 風間昶

    ○風間昶君 平成会の風間です。  先ほど谷川委員の方から税理士を入れることについて、趣旨は伺ったわけです。補いだと、有能人材の配置ということで一翼を担ってもらうというその趣旨はわかったんですけれども、じゃ弁護士公認会計士となぜ別建てで項目を立てなきゃならないのか、一項と二項の関係について今後の解釈基準を明らかにする点からも、なぜ別建てにしたのかということをお伺いしたいんです。
  59. 宮路和明

    衆議院議員宮路和明君) 先ほどもお話がございましたが、政府の案によりますと、外部監査人の適格要件、二百五十二条の二十八第一項におきまして、弁護士、そして公認会計士、さらに国の会計検査または地方公共団体監査等事務に従事した者であって、監査に関する実務に精通しているものとして政令で定めるもの、こう規定をされておるわけでありまして、制限列挙的に書いてある、このことが私ども衆議院でも大変議論になったわけであります。  政府側の答弁は、今度の外部監査の導入に当たって必要とされる要件、これは外部の独立性専門性であると、特に専門性をどういうぐあいに位置づけるかということで、政府内において法制局も含めてかんかんがくがくの議論が随分なされたということのようでございます。そこで出てまいりましたのが、現在のもろもろの我が国の法体系を考えますときに、制度的に専門性がしっかりと担保されているものとして弁護士公認会計士等があるんだということで、こうした制限列挙的な規定に、そうした現行法体系を総合勘案する中で制度的な専門性がしっかりと担保されているものとしてこれらの方が規定されたと、こういうことでございました。  しかしながら、我々はもっと実態論として議論をする中で、この外部監査制度をもっと広く導入していただいて、そして国民の皆さんの行政に対する信頼性をもっともっと高めていく、そういう手だてとしてこれが積極的に活用されていくためには、先ほど申し上げましたように、こういった政府の案に示された方々だけではなくて、全国津々浦々に有能な人材を配置され、そしてまた現に監査委員として実績も積んでおられる税理士さんに一翼を担っていただくような道を開いた方がいいのじゃないかということに相なったわけであります。  そこで、それぞれの普通地方公共団体が自分の地域の実情をよく勘案する中で、外部監査契約を円滑に締結しまたはその適正な履行を確保するため、それぞれの地方公共団体が地域の実情に照らしてこれが必要だと認めるときは税理士であるものと外部監査契約ができるというふうにすべきであるということになりまして、第二項にこの旨を規定させていただいた、このようなことでございます。
  60. 風間昶

    ○風間昶君 今のトーンを伺っていますと、やむなく二項に分けたというふうなとらえ方もされかねないような感じで受けとめたんですけれども。だったら、税理士方々が参画できるようにするためには、税理士方々の資格試験をもう少しきちっとしていくことでより専門性が確保されると思うんですけれども、その辺についてはどう思いますか、今後の問題として。
  61. 宮路和明

    衆議院議員宮路和明君) これは今回の地方自治法改正の中で、私ども衆議院で各党知恵をそれぞれ出し合ってこういう結論を得るに至ったわけでありますけれども、風間先生指摘のとおり、外部監査制度のいわば今後の運用といいましょうか、そういった状況をよく見きわめながら、私どもとしても今後の課題として検討していくべきものと考えているところであります。
  62. 風間昶

    ○風間昶君 先生、どうもありがとうございました。もう結構でございます。  では、法案の中身についてお伺いしたいと思います。  包括的外部監査について、都道府県政令市、そして中核市まで義務づけの対象になっていますけれども、いわゆる県庁所在地について外した理由。確かに権限で見れば中核市の方が一般の県庁所在地よりも大きいけれども、財政規模という観点でいえば県庁所在地の方が大きいと私は思うんです。今回の法案そのものが財政の監査に関する改正ということであるならば財政規模を基準とするのが適切ではないかと思うんですけれども、県庁所在地について外した理由を明確にお答えいただきたいと思うんです。
  63. 松本英昭

    政府委員松本英昭君) 今回の外部監査の義務づけをする範囲につきましてはいろいろ議論がございました。  都道府県については、その処理している事務の性格、広域的事務あるいは調整事務というような事務を処理いたしております、あるいはまた団体の規模も大きゅうございますからそのことは余り異論はなかったのでございますが、それでは指定都市あるいはそれ以下の市はどうかという議論がございました。  その中で、指定都市は当然都道府県における事務もあわせてかなりの程度処理しておりますので、早くから皆さんの意識として当然都道府県と同じ扱いにすべきだろうという考え方があったわけですが、それ以下はそれではいいのかという議論がございました。そうしますと、中核市もかなりの程度指定都市と同じように都道府県事務を処理しております。そういうことから、ここまでは事務の範囲ということで割合はっきり区別がつくではないか、また中核市にしても政令指定都市にしても人口というものを反映した指定の制度になっておりますので、そこまでは反映できるだろうと。  あと、行政需要ということを考えますときに、面積の議論とかあるいは今の御指摘の財政規模というようなものがございますが、面積をとるのは小さなところで大変広大な面積があるところがありますから、それは行政事務の範囲ということから義務づける監査の対象とするには必ずしもふさわしいメルクマールではないだろうと。  あと、財政規模の議論は、財政規模というのが非常に変化をするということとか、あるいは補正等によっていろいろと当該年度によっても年度内においても違ってくるというような点がありまして、それから財政規模というのも一応事務の範囲があって財政の規模があるわけですから、事務の範囲というものを基準にとって中核市以上というものを今回の監査を義務づける対象にしたわけでございます。  ただ、これは運用の問題で、条例でもってどこまでそれに対応していくか、それ以下のところが対応していかれるかということなども見ながら、今後、これについて検討をすることについては決してやぶさかではございません。
  64. 風間昶

    ○風間昶君 次に、監査人の補助人というか補助者に対することでありますけれども、外部の監査人が補助者を使用する場合にその補助者の費用はどういうふうになるのかというのが一点。  それから、外部監査人だけでは本来の自分の仕事などで時間がとれないということもあるわけですから、あるいはこの外部監査人の一人に何かトラブルというか故障が起こった場合に新たな外部監査人を選任する前にやっておかなきゃならない監査があった場合とかあると思うんですけれども、そういった場合には監査業務のいわば特定事務について、さらに第三者に委任してあるいは請け負いをしてということはできるのかどうか。この二点、お伺いしたいんです。
  65. 松本英昭

    政府委員松本英昭君) 今回の外部監査は、外部監査人をいわば代表に立てまして、それにそれぞれの事案に応じた専門家の方々を補助者として一つ監査団といいますかあるいは監査チームといいますか、そういうものを組んでいただいて監査を行うというところに大きな特色がございます。  したがいまして、全体の費用につきましては、ただいま御指摘の補助人の経費等も含めて当該外部監査契約において地方団体と協議をして定めていただく、そしてその監査契約は議会の議決を得ていただくと、こういうことになっております。  それから、第二の委任をするようなことでございますが、これは現在のところ考えておりません。と申しますのは、法令の規定でも明示いたしているわけでございますが、この外部監査人及び補助人につきましてはいわゆる守秘義務とかみなし公務員制度というものをかけております。特にみなし公務員制度というのは、単に本人の涜職の罪のみならず監査に対する妨害ということも予想されますので、これに対するいわゆる公務執行妨害等の適用もあるような制度にしておくということでございまして、これをそのまま委任するということは考えておりません。  ただ、技術的なことを委託して調査をさせるということは、契約の中でそれを認めるようにすればこれは可能なことでございます。
  66. 風間昶

    ○風間昶君 次に、監査に必要な書類について提出請求ができることとなっておりますけれども、組織ぐるみとは言わないまでも昨今はやっている個人ぐるみでもし隠ぺいされるようなことがあった場合に、外部監査人はどのような対抗手段がとれるのかあるいは講ずべきなのか、どう考えていますか。
  67. 松本英昭

    政府委員松本英昭君) まず、書類の隠ぺい等につきましては、規定によりまして何度も何度も提出を求めることが必要だと思います。それでもなお隠ぺいをしたり正直な書類が出ないようなときには、それを指摘して監査結果にその旨を明記するというような手段でもって対抗することではないかと考えております。
  68. 風間昶

    ○風間昶君 そんなものでいいんですか、ちょっと納得いかないんですけれども、これはちょっと僕の方でも勉強してもう一回また議論したいと思います。  外部監査の結果が監査委員に報告された場合に、監査委員はこれを公表しなければなりませんね。公表するとしても、関係する人たちがすべてその公表された情報をつかみ得るかどうかという問題がまたあると思うんです。そういうことを考えますと、広く住民に、特に関係した人だけじゃなく関心を持っている人たちに対してもその公表された内容、内容というよりも公表する手だてというか、例えば地方自治体の市の掲載紙とかいろいろありますけれども、具体的な方法もきちっと定めておく必要があるんじゃないかと思うんです。それはもう任せっきりになっちゃっているような気がするんですけれども、そこはどうですか。
  69. 松本英昭

    政府委員松本英昭君) 外部監査人の監査結果の公表は監査委員において公表するということにいたしております。そういうことで、委員が今御指摘のように、監査委員の通常の公表の手段というものが前提になっていることは事実であります。  ただ、今おっしゃいましたように、この外部監査制度というものを取り入れましたことの背景等を考えますれば、もっと親しみやすいといいますか、住民によくわかるような公表の方法をどういうふうにすればいいのか、それぞれの団体でも考えていただけるとは思いますけれども、私どもも今委員指摘のことも踏まえながらこの施行までに検討をいたしてまいりたいと思っております。
  70. 風間昶

    ○風間昶君 次に、外郭団体に対する監査についてお伺いします。  外部監査人の請求により実施するよう条例で定めることができるという規定になっていますけれども、そのように義務づけをすることができないかどうか。また、そのような条例がないために外部監査人においてこの全容がつかめないという支障が出た場合にあるいは出ることが予測される場合に、監査報告としては報告書に外郭団体監査を要求するというぐらいの記載をすれば足りるのかなというふうに思うんですけれども、ここはどうですか。
  71. 松本英昭

    政府委員松本英昭君) 財政援助団体、いわゆる外郭団体に対します監査は、外部監査を導入する際には条例で導入することができるという御提案を今回申し上げているわけでございます。これは外郭団体も非常に区々でございまして一律に義務づけることはどうかというようなこととか、それから現実の外部監査制度というものをまず当該地方団体自身の執行に対してきちっとしたものをやっていただくということが重要だろうということから、そこまで義務的に手を広げることはどうかということで条例で導入するということにしたわけでございます。  その際に、外郭団体のことについて当該地方公共団体執行との関係で監査をするといいますか、ただす必要がある場合には、実は外郭団体関係者を関係人として出頭を求めることができるということではないかと思っております。それからまた、その地方公共団体執行について監査をいたしました際に外郭団体のあり方について非常に問題があるとするならば、それは当然外部監査の結果の公表にも場合によっては意見を申し出ることも可能であると考えております。
  72. 風間昶

    ○風間昶君 今回の法案は財務監査についての規定でありますけれども、さらに進んで業務全般の監査、つまりオンブズマンに近いような制度について自治省としてどういうふうな検討をされているか、ちょっと法案と離れますけれども、お伺いしたいんです。
  73. 松本英昭

    政府委員松本英昭君) その点は先ほどもちょっとお答え申し上げたわけでございますが、今回の外部監査制度の導入に当たって地方制度調査会の審議の中でもこの範囲を行政監査まで広げたらどうかという議論も多々ございました。  その中で、これは二十四次の地方制度調査会の中間報告に書かれているところでございますが、現行監査委員が行う監査のうち客観的な基準に基づいて行われる財務監査外部監査に適しているとされており、行政監査については個々の地方公共団体の個別の事情を十分に把握する必要があることから外部監査に必ずしもなじまないものという報告を受けているわけでございます。今回の法案はこれを踏まえまして、包括外部監査の対象は財務監査といたしておるわけでございます。  ただ、今後、この外部監査制度の機能というものがいろいろ大変評価され、それが行政監査の全体とはなかなかいかないかもしれませんけれども一部の範囲にも広げていいではないかというような御意見が出てまいるようなことがありますれば、それは当然検討の対象にしていいことではないかと思っております。
  74. 風間昶

    ○風間昶君 また法案と離れて恐縮ですけれども市町村合併について、私は合併すべきだと思っておるんです。その市町村合併の推進に当たりましていろんなさまざまなジャンル、ジャンルで準備的にしておかなければならない項目がたくさんあると思うんです。その中でも、先ほど自治大臣の地方議会における地方のコストのお話がありましたけれども、やっぱり地方議員の定数の低減を図るべきだと思うんです。もう何カ所か、かなり多くの自治体で法定定員よりも少ない定数を条例で定めておりますけれども、そうなると市町村合併になっていった場合の弊害というのは最小限にとどめられるというふうに考えておるんです。  そういう意味で、議員定数の低減措置について御意見をお伺いしたいんです。
  75. 松本英昭

    政府委員松本英昭君) 委員今御指摘のように、現在、地方自治法で定めております議員定数は条例でもってこれを減ずることができるという規定がございまして、その規定を適用して市町村の段階では今二五%ぐらい定数を減じております。そういう事実をまず申し上げておきます。  そこで、今度は市町村合併との関係で議論になるわけでございますが、市町村合併を行います際には、その地方公共団体の長はもちろんのこと、議会も市町村合併を行うという一定の方向が出されて、そういう方向に沿っていろいろと御協議をなさるわけでございます。その御協議の中で、委員今御指摘のように、これは特例措置があったとしても数年でございますから、その数年の特例措置が済んだときに一遍に定数が減るのはまずいからあらかじめ定数減少条例で減じていこうではないかというような御議論があれば、それはそれとして一つ考え方ではないかと思っております。  ただ、現実には議会の議員さんが、そういうことであらかじめ減少させるというふうな意見の一致を見ることはなかなか現実には少ないのかもしれませんが、そういうことがあればそれは一つ考え方ではないかと思っております。
  76. 風間昶

    ○風間昶君 もう時間がありませんから、大臣のお声をちょっと聞きたいと思います。  来年度予算について聖域を設けないでマイナスで臨むという決意を政府はされていらっしゃいますけれども歳出ベースでは中央よりも地方は高い、多いわけです。地方の歳出削減をどうやるかということは、自治省としてどういうふうに取り組むかというのが僕は大きな問題だと思うんですけれども、大臣のお考え、決意を伺って、終わりたいと思います。
  77. 白川勝彦

    国務大臣白川勝彦君) 御案内のとおり、昨日、財政構造改革会議におきまして、今までこのもとに設けられておりました企画委員会で十二回にわたって議論を詰めたものについての報告が一応なされて、最後の議論を私どもでするつもりでございます。大蔵大臣と並んで私も地方財政を預かる立場で、地方財政を健全化すると強い決意を述べるとともに、地方財政の健全化は同時に国からも協力をしていただかないとできないんだということをるる述べてきたところでございます。  そういう中で、総理の方から示されました目標は、国及び地方をあわせて西暦二〇〇三年までに単年度の財政赤字を対GDP比三%にする、それからいわゆる赤字公債は発行しないということがまず第一に書いてあるわけでございます。それを実現するために地方自治体はいろんなことをやるつもりでございますけれども、一番主たるものとしては、まず自治省限りでできる話としては、地方単独事業については対九年度比で十年度はマイナスにするということを申し上げました。  もう一つ、七十四兆円近くある地方の地財計画上の一般歳出平成年度はマイナスにしたい、こういうことも申し上げました。ただ、これをするためには中央からのツケ回しをされたらまずだめであります、それからもう一つは、国の方の施策でも変更していただくところを変更していただかないと私どもの方もマイナスにしたくてもできないところがありますと、こういうようなことで、国の歳出削減がなされることを前提に、私どもも、地財計画上の地方の歳出を少なくとも対九年度比マイナスにしていくと、この二つの大目標を立てまして、これから国全体の財政構造改革会議が地方の財政の健全化のためにもしかるべき努力がなされるということのために努力してまいりたいと思いますが、それを受けて地方財政を担当する者として、今申し上げたような趣旨に従って地方の財政も一日も早く健全化するためにあらゆる努力をしてまいるつもりであります。
  78. 峰崎直樹

    委員長峰崎直樹君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩いたします。    午前十一時四十五分休憩      —————・—————    午後一時開会
  79. 峰崎直樹

    委員長峰崎直樹君) ただいまから地方行政委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、地方自治法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  80. 渡辺四郎

    ○渡辺四郎君 私は質問の予告をしておりましたけれども、午前中、同僚委員からいろいろ質問が出ましたから、私が差し上げておりました後ろの方から逆にやっていきたいと思います。  まず、十三章に二百五十二条の三十一を設けて外部監査人の義務が明確化されていますが、その中で、守秘義務について監査委員は守る義務はあるものの罰則規定はないわけであります。一方、外部監査人については公認会計士の守秘義務と同様の二年以下の懲役または百万円以下の罰金が科せられることになる。先ほどもお話がありましたが、また刑事上の地位では、監査事務に関しては刑法その他の罰則は公務員とみなすということで、刑法上公務員として扱われるので、外部監査人はみなし公務員だということを局長の方から御回答がありました。  そこでお聞きをしたいわけですが、であれば、外部監査人は罰則の規定のみで公務員とみなされて、公務災害補償の適用はないと思うが、この点はどうでしょうか。
  81. 松本英昭

    政府委員松本英昭君) 御指摘のように、外部監査人は地方公共団体と契約関係に立つものでございますので、公務員としての身分を有しておりませんから公務災害補償の対象とはならないものでございます。ただ、通常の契約関係に伴います事故につきまして、地方公共団体に責めがある場合におきましては地方公共団体が損害賠償責任を有するものとなるわけでございます。
  82. 渡辺四郎

    ○渡辺四郎君 私がお聞きをしたがったところですけれども外部監査人としての弁護士あるいは公認会計士修正の方で税理士の皆さん等も入られたわけですが、それぞれ本来の職務を業として行うものではないわけですから、例えば監査人としての職務遂行中に事故に遭った、監査に行く途中とかで、例えば監査委員会で協議をして監査委員事務局の応援を求めて一緒に行って事故に遭ったといった場合に、職員については公務災害の適用がありますけれども監査人の方についてはそういう適用がないわけです。この損害を受けた場合の補償問題は一体どうなっているんでしょう  か。
  83. 松本英昭

    政府委員松本英昭君) ただいまの問題は、先ほどお答えいたしましたように外部監査人は公務災害補償の対象になりませんので、通常のいわゆる契約関係に伴った補償ということになるわけでございます。今、委員指摘がありましたように、活動中に地方公共団体側の責めによらない事故等があって外部監査人が損害を受けられたとき、これは今の規定では対応していく道はございませんので、外部監査人の方が私的な保険に御加入いただくとか、そういう道を開くことを検討する必要は出てくるような気がいたしております。そういうことを踏まえまして、災害補償という観点を含め各方面の御意見等を踏まえまして、私どもも研究をしてみたいと思っております。
  84. 渡辺四郎

    ○渡辺四郎君 それはぜひひとつお願いをしておきたいと思うんです。  それからいま一つ、午前中もありましたけれども住民の立場から見た場合、商法上の外部監査人は株主に対して責任を負うことになっております。本法案の外部監査人、ないとは思いますが、監査について瑕疵があった場合、そういう監査を行った場合に住民監査人に対して、例えば損害賠償ということになるかどうかは別ですが、そういう賠償の請求権利が住民側にあるかどうかあるいは行使ができるのかどうか、お尋ねしたいと思うんです。
  85. 松本英昭

    政府委員松本英昭君) 現在の監査制度におきます監査人につきましても、実は直接損害賠償の責任を定めた規定がないわけでございます。そういうこととのバランスもございまして、外部監査人だけに直接特別な損害賠償責任を規定するということについては、私どもは今回の法案提出に当たりまして、そういうことはいかがなものかということで現在のような規定にいたしておるわけでございます。  外部監査人が契約義務に基づいて適正に履行をしなかった、そういう場合には法律またはこれに基づく政令に違反した場合を含めまして法律的には債務不履行責任として構成されるものでございまして、債務不履行に伴う損害賠償請求及び外部監査契約の解除の問題になってまいります。  また、住民の側からは、当該外部監査契約そのものが不適当であったというような場合には、これは当該外部監査契約という支出負担を行った職員を相手に住民監査請求を行う余地があるものと考えております。
  86. 渡辺四郎

    ○渡辺四郎君 僕自身もちょっとよく頭の整理ができないわけです。例えば、個人の土地なんかを公有地として買い上げるといった場合に、不在地主のものが、過去、私も行政経験の中であったわけですけれども、自分の知らないうちに土地が公有地の方に買い上げられておった。自分は売る気がないんだと言っても、その本人がおらなかったものですから、既に近所の人の合意で一緒にその売買がされておったというケースが一件あったわけです。  そういうことが私はなきにしもあらずというふうに思うものですから、ないとは信じておりますけれども、もしもそういう瑕疵の監査があった場合、住民側の立場に立ったところの損害賠償の請求ができるということは明確にする必要があるんじゃないかという気がしておりますので、ここらはひとつ今後の問題として検討してもらいたいと思うんです。  いま一つ、午前中、谷川委員を初めお伺いをした自治体の不正経理問題についてちょっと見解をお伺いしたいわけです。私も現行法の監査制度について再三にわたって充実強化に向けて改正が続けられてきたこと自身は承知をしておりますが、にもかかわらず十分機能せず多くの自治体で不正が社会問題化していった。原因はどこにあったと思うかということと、自治省として反省する点があればお聞きをしたい。  午前中からのお話を聞いておりますと、谷川先生大阪府に長くおられたということですが、一つは、局長も御承知のとおり、例えば自治体の旅費規程の問題について、陸路の計算の場合、昔の車馬賃ということで陸路一キロ当たり幾らという計算によって旅費の計算がされるとか、あるいは予算と事業量の関係等もありますけれども都道府県であれば特に出先をたくさん持っておる、土木事務所とか農林、普及事務所等で。  その仕事について打ち切り旅費的な月額旅費制度がある。例えば、福岡で問題になったのが一万七千円の打ち切り月額です。月額旅費は業務が繁忙なときに実費がオーバーしょうとも一万七千円で抑えておるわけです。そういうことで月額旅費、これは多くの都道府県がそれを採用しておると思うんですね。これが正式な手続で旅費の請求をしていないというのが一つは不正として挙げられたわけです。  それからいま一つの問題は、超過勤務の予算そのものを自治省指導人件費の六%以内に抑えろということで、超勤予算を六%ということで指示をしておりますけれども、どうしても実態的には足らないということで、所属長としては仕事はしてもらわなきゃいけない、しかし超勤としては払えないということで、旅費で落としてそして超勤の二割か三割実費を払う。  これは松本行政局長は記憶あるかもしれませんが、私は若いころ、林務の関係でもありましたが、森林計画の仕事で、大体一回の出張命令で四十日ぐらい行かされるわけです。これは土曜、日曜がないわけです。日中は山に登って、一筆ごとに航空写真によって所有者の区分をあらわし、夜は必ず帰ってその図面と台帳の整理をしなきゃいけない、面積も出さなきゃいけないということで、毎日夜中の一時、二時にもなるんです。それが全部終わって、これは五年に一回各流域ごとにやっていくわけですけれども、泊まり込んで集計作業に入るわけです。そうすると、猛烈な計算を要するものですから、もちろんそろばんでやっておりまして、珠算学校の生徒の一級か二級ぐらいの生徒を一人で五人ぐらい応援を頼んで、そして集計作業に入っていくわけですが、これが大体夜中の三時、四時ごろまで、子供は帰しますけれども、自分たちでやらなきゃいけない。  ですから、これは上級職、その当時六級職で入った人間ですが、少し体を崩して入院をするというような犠牲者が二人出たわけでございます。そのくらい仕事をやっても超過勤務の支給は二割ぐらい。だから、夕食も食べなきゃいけない、夜食、朝飯、昼飯も、ずりとそこに泊まり込むんですから、ということをやっておって、そういう関係の部分の超勤が払われないということで非常に問題になったことがありました。  そういうことで、これから自治体は自分の権限でやっていくと思うんですけれども、そういう今まで自治省指導してきた六%以内に超勤予算を抑えてきたというところにもひとつ問題があったんじゃないかという気がするわけです。所属長なんかはそういう苦労をしてやっておったんじゃないか。  だから、そういう過去を振り返って、自治省としては一体どういうふうに考えておるのか、そこら辺を含めて聞きたいと思うんです。
  87. 松本英昭

    政府委員松本英昭君) 近年の不正経理問題が公になりました背景に、地方公共団体が法令で予定されております経理を長い間厳格に遵守してこなかったという面が多いことは私どもも否定はできないと思いますし、そのことについての私ども指導と申しますか、そういう面について反省をしなければならない点があったことは、まずはっきり申し上げておかなければならないと思います。  その上で、委員今御指摘のような実情に合わない予算の計上とかあるいは予算執行手続というようなものがあって、それがまた結果として不正な経理操作を行う原因になっている点がなきにしもあらずであるということは私も認識いたしておるところでございます。  多くの場合、先ほどお述べになりましたような事例は、旅費であれば国の旅費規程に準じて地方公共団体も旅費を計算するということになっておりますことや、超過勤務手当も、委員指摘のように国に準じて予算措置をするという格好になっておりますので、基準財政需要算定の際にそういう基準で示していくと、これは避けられないことだと思います。ただ、地方団体がそれぞれの実情に応じてそれを執行していく、その弾力性というものは今後ある程度認めていかないと、おっしゃるような問題があるのではないかというように考えているところでございます。  そういうこともございまして、これからの地方団体予算の計上なり執行手続に対して、必要なものは必要なものとしてはっきりと公にして予算に計上し、透明な手続で執行していく、そういうことが一方では大切だろうと。ただ、一方では経費の効率的な支出ということ、最小の経費で最大の効果を上げるということが重要でございますから、その基本を外さない範囲でただいまのような弾力的な予算計上なり予算執行というものが必要になってくるのではないかというように考えているところでございます。
  88. 渡辺四郎

    ○渡辺四郎君 では、個別外部監査の契約についてちょっと伺っていきたいと思うんです。午前中もありましたけれども包括外部監査契約とは別に、二百五十二条の三十九、四十、四十一と四十三で個別外部監査の特例規定が定められておりますが、このシステムも含めてちょっとお聞きをしていきたいと思うんです。  外部監査目的というのは、本来の監査委員監査にかえて個別外部監査を求めることができる。これは包括外部監査とは全く別個のものというふうに理解しておりますし、そういう点から見れば、請求手続で請求前の審査受理、不受理の決定権が監査委員にあるというふうになっておりますね。請求をするでしょう。それの受理、受け付けてそして受理をするか不受理になるかという決定権は監査委員にある。  特に問題として私がお聞きをしたいのは、二百五十二条の四十三の関係ですが、住民監査請求の特例で、監査委員あるいは委員会が受理するか否かの判断権限を持っているので、先般来の委員会でもお尋ねしましたけれども、例えば平成年度に約六百件の請求があったと。そのうちに勧告があったのが四十二件、何と七%ですね。住民監査請求そのものは、本来の制度目的そのものが訴願前置主義に立ったものであって、それに基づいて住民監査請求が行われるわけですから、そういう趣旨からいった場合、本当に法律趣旨が生かされておるかどうかということがひとつ疑問になるわけですね。ですから、なぜこの請求だけを監査委員による監査にしたのかについてその理由か目的があろうかと思いますから、見解を聞きたいと思うんです。  もちろん監査委員による監査が行われた場合は、ほかの部分と同じようにその結果の報告、公表、代表者への送付というものがあるわけですけれども、問題はそれから後の受理、不受理について請求人が、先ほど言いました六百件で四十二件、あとは不受理になった場合は不受理の通知だけは出すわけですね。しかし、どういうことになって不受理になりましたかという内容は余り知らせないというのが今までの実例ではないかと思うものですから、そういうことからすれば、先ほど言いましたように訴願前置主義の立場からいった場合の法律趣旨が生かされていないのじゃないかという気がしてならないわけですから、見解をお聞きしたいと思います。
  89. 松本英昭

    政府委員松本英昭君) 多分、大きく分けて二点あったんじゃないかと思います。  一つは、今回導入いたします外部監査契約の中で、住民監査請求に係ります個別外部監査につきましては、これを請求人が外部監査にしてもらいたいという請求をいたしました際に、監査委員外部監査に相当するかどうかを判断することといたしております。他の事務監査請求や長や議会の要求に基づく監査はそれを議会にかけて決定することにいたしているわけでございますが、その点の違いがどうなのかというのが一点であったかと思います。  この住民監査請求に係りますものにつきましては、実は監査委員が勧告という行為を行わなければならないことになっております。勧告をするか否か勧告に係る判断をしなければならないことになっておるわけでございます。その際に、私人であります外部監査人が地方公共団体を直接拘束するような勧告を行う仕組みには立ちがたいわけでございまして、そこは監査委員外部監査の結果を受けて勧告するという法制をとらざるを得なかったわけでございます。そういうことで、最初の外部監査そのものについて、これを外部監査に付するかどうかということを判断することから含めて監査人に判断をさせると、そういう構成をとったことが一つの理由でございます。  それからいま一つは、先ほども指摘ございましたように、住民監査請求の次には住民訴訟が控えております。それとの関係で二点ございまして、一つ外部監査人と監査委員の意見が違ったときは、通常の監査の結果は並行してどちらも公表することになりますけれども、これはそういうわけにはいかないわけでございましてどちらかを決めなければならない。先ほど申し上げましたように、それを決めるのは監査委員の公表した結果で決めていかなきゃならないわけでございますので、そういうことから監査委員に判断をさせるということにしたのが一つでございます。  それからいま一つは、次の訴訟に移ります関係で、住民監査請求が一人でもできることから、はっきり申し上げまして絶え間なくこの住民監査請求を行う、その都度に議会を開いてそれを決定するということが大変手続的に煩瑣になるし、また事務の停滞も起こしかねない、そういうことがございましてただいまのような特別な制度をとったわけでございます。  第二点目は、恐らく一般の住民監査請求を含めまして受理、不受理の判断を監査委員が行うということについてだと思うのでございますが、これは恐らく却下のことだと思います。現実にやります却下の件数で多いのは、実は二百四十二条の要件に該当しない、すなわち二百四十二条には住民監査請求の要件がお金や財産に関するものに限られているわけでございまして、その要件に該当しないということで却下されるのが件数としては多いように私ども承知をいたしているところでございます。そのことは法律の適用の問題でございますからやむを得ないのではないかと考えております。
  90. 渡辺四郎

    ○渡辺四郎君 いや、そういうことは大体わかつた上でなんです。どこかの県だったですか、監査委員会そのものに不正の支出があった、あるいは監査委員そのものに不正の支出があったというようなことで、そういうものについての請求をすれば監査委員会が受理をするか却下をするかということで自分のことになってくる、自分のところになってくるとなかなか公にしたくない、そういう気持ちが働くんじゃないかということで却下にしてしまう可能性があるんじゃないかと、そういうおそれなしとは思わないものですからお聞きをしてみたわけです。  それから次に、大臣にちょっとお尋ねしたいんですが、午前中も谷川先生からいろいろありましてあるいはほかの方からもありましたが、今言われております自治体関係の不正経理の問題について、一つの側面としては情報公開条例の結果として市民オンブズマン等によって明らかにされてきておるということ。それからいま一つの議論としては、分権の受け皿論がどうかという体制整備の問題も含めて議論がされてきておるわけですが、大臣にお聞きをしたいのは、私は不正支出指摘というのは行政側としては痛いことだと思うんですよ。しかし、情報公開が持つ行政の市民化といいますか、いわば住民参加、住民の手による自治行政の改革の始まりではないかというふうに私は思うわけですけれども、大臣はこのことについてどういう御所見を持っておられるのか、最後にお聞きをしたいと思います。
  91. 白川勝彦

    国務大臣白川勝彦君) 不正経理あるいは不適正経理だけでないと思いますが、情報公開条例等を通じていろんな住民の活動が活発になっているということは私は大変大切なことだと思います。と同時に、国の方にはまだそういうものがないわけでありますが、行政情報をみずから知ることによって地方行政にもいろんな意味で今まで以上に深く参加していく、こういうあらわれだということでありまして、国においてもできるだけ早くつくって、さっき言ったとおり国民がいろんな意味で国、行政がやっていることがわかるようにしていくというのは大変大切だと思います。それを通じて、また公務員がみずからの職務の執行に対して、これは後で人が見ることがあるということでやれば随分違ってくるものになるだろう、そう信じております。
  92. 朝日俊弘

    ○朝日俊弘君 民主党・新緑風会の朝日でございます。  今回の改正の焦点は、自治体における従来の監査制度に加えて新たに外部監査制度を導入しようとする点にあるというふうに理解をしております。議論の出発点として、なぜ従来の監査制度が必ずしも十分には機能してこなかったのか、この点をきちんと整理しておくというか総括をしておく必要があるというふうに思います。  そこで、午前中にも同僚議員から再々御質問がございましたので、一番目の問いは省略したいと思います。  平成三年に地方自治法改正が行われました。この時点でも監査制度にかかわる幾つかの重要な項目の改正がなされております。しかし、この五年間を振り返って、平成三年時点での改正の内容が必ずしも期待したほど実効が上がってこなかったんではないかというような御意見もございました。  今日までどんな点が改善されてきたのか、あるいはどんな点が不十分なままであったのか、そして不十分であったとすればそれはどういう点に問題があったのか、現時点において自治省としてはどのように認識をされておられるのか、まずお伺いしたいと思います。
  93. 松本英昭

    政府委員松本英昭君) 午前中もお答え申し上げたところでございますが、平成三年の改正で、一つ監査の対象が広がったということ、すなわち機関委任事務に対しても監査ができるようになり、かつ行政監査一般監査として取り入れたということでございます。  いま一つ監査を行う人の問題、監査委員の問題として、人口二十五万以上の市あるいは都道府県には監査委員を置かなければならないということにしたことと、それからOBの制限をしたことでございます。そういうことの結果、監査の対象が広がりまして、行政監査等に対して手が回るというようなこともございましたし、それから先ほども申し上げましたように識見を有する者の中で占めますOBの比率、これは一〇%ほど下がった、都道府県であれば一〇%ぐらい下がったという結果も出ておるわけでございます。  そういう点で監査機能そのものは充実したということは言えるんではないかと思いますが、一方では手が広がりましたが、果たしてその広がった機能に十分に対応できる体制になっていたかどうか、そういう問題がございますし、それから何といいましても、本来的な地方公共団体執行機関の一つとして、地方公共団体職員監査を行うということに伴う独立性専門性という視点からの限界というようなことがあったのではないかというように考えているわけでございます。
  94. 朝日俊弘

    ○朝日俊弘君 それでは、今回の改正に関連してお尋ねしたいと思いますが、実は今回の改正に至るプロセスにおいてさまざま重要な指摘がなされてきております。  例えば第二十四次の地方制度調査会の専門小委員会報告では「監査委員の多くは、当該団体職員経験者と議員であり、「身内に甘い」のではないか」との率直な指摘がございます。あるいは同専門小委員会がまとめた「監査機能の充実方策についての基本的な考え方について」といったたき台では、監査委員の選任方法について「監査委員は議会で選挙する方法にしてはどうか」「それに関連して、議員選出監査委員は一人を上限とすることとしてはどうか」等の意見があったというふうにお聞きしております。  では、このような指摘が今回の改正ではどのように受けとめられているのか、少しあいまいといいますか後退したような印象も持つわけですが、御説明をいただきたいと思います。  なお、私自身は、現行の地方自治制度は自治体の長と議会、いわば二元代表制を採用しておりまして、監査委員は長が指揮監督する行政各部を自治法に基づいて監査する、こういうことになるわけですから、監査委員は基本的には長から独立した存在としてむしろ議会が選任することの方がその目的に照らして合理的ではないかというふうに思っております。  そういう観点からも、ただいま御指摘を申し上げた意見なり指摘は大変重要であるというふうに受けとめておりますが、改めてお伺いしたいと思います。
  95. 松本英昭

    政府委員松本英昭君) まず、地方制度調査会で指摘を受けましたことの中に「監査委員の多くは当該団体職員経験者と議員であり、「身内に甘い」のではないか」という指摘を受けているわけでございます。そういうこともございまして、現在の監査制度そのままで監査委員をふやして、それを例えば公認会計士とか弁護士とかという制度にするよりも、ここで思い切って外部の独立した監査として制度化することの方がよりこれからの監査の充実を図ることができるのではないかという視点から、外部監査制度というものを取り入れることにいたしたわけでございます。  それと同時に、現在の監査委員につきましても、地方公共団体職員であった者、現在は都道府県あるいは人口二十五万人以上の市でありますれば制度的には四人の監査委員の三人まで識見を有する者を任命することができ、かつ五年以内の制限はありますけれども、場合によってはそれが全員OBでもいいという制度になるわけですが、今回の制度改正で、地方公共団体OBの方は上限を一人とする、上限を一人とするということはゼロか一人、こういうことといたしたわけでございます。  次に、議会との関係でございますが、今御指摘のように地方制度調査会の中で、監査委員の選任については現行制度を改めまして議会の選挙にすればいいではないかという議論が出されておりました。  そのことにつきましては、一方で議員選出監査委員を一人を上限とするということとの関係をつけながら制度改正を行うということであったわけでございますけれども、そのことについていろいろと御意見がございまして、結局二十五次の地方制度調査会の答申におきましては、議会と議会の機能としてのチェック機能のあり方ということとの関連を考えながら引き続き検討していくことが適当であろうということで、その点については現行制度に手を加えないまま答申をいただいたわけでございます。そういうことで、それを踏まえて今回の法律改正を御提案申し上げているところでございます。
  96. 朝日俊弘

    ○朝日俊弘君 今の御説明で、ある意味では課題といいますか宿題が残されているというふうに私は受けとめたいと思います。  それでは次に、現行住民監査制度、きょう午前中にもいろいろ議論がございました住民監査制度についてひとつお尋ねをいたします。  住民監査制度の中で、それに取り組むに当たって一つの大きな壁となっておりますのが、請求できる期間が当該行為のあった日または当該行為の終わった日から一年間と期間の限定がなされていることであります。この点について自治省考え方では、このような期間を設定しているのはできるだけ早く行政運営の法的安定性を確保することが望ましいから、このような御答弁をいただいているようですが、どうもいま一つ合点がいきません。  改めて申し上げるまでもなく、住民監査請求は自治体の執行機関や職員の具体的な財務会計上の違法あるいは不当な行為を監査することを求めているわけです。そして、住民が確定的な情報を得るためにはどうしても決算報告などが重要な資料となります。しかし、実態としては決算報告が出されるのにそれぞれの自治体では相当に時間を費やしておりまして、この期間を限定することによってまるで決算を見てから請求するのでは遅過ぎるというような制度になっているのではないか、このような制度のあり方は住民監査請求趣旨にもとるのではないかというふうに私は思います。この点について、改めて御答弁を求めたいと思います。
  97. 松本英昭

    政府委員松本英昭君) ただいまの御質問自体は、今回の法律提案の部分でなくて元来の二百四十二条の二項の問題でございますが、今も御指摘のように、住民監査請求のできる期間が「当該行為のあった日又は終わった日から一年を経過したとき」、そういうことになっております。「ただし、正当な理由があるときは、この限りでない。」、こうなっておりまして、正当の理由の認定で実際に裁判になったような例もございます。  この規定そのものは、委員も今御指摘のように、公共の活動というものは法的安定性をできるだけ早く得る必要があるということで行政行為の確定を早くするということからきているわけでございまして、同様の規定は行政不服審査法やあるいは行政事件訴訟法等、公の行為の不服審査あるいは訴訟等にもある規定でございます。  趣旨は全く同じなのでございますが、ただいま決算報告との関連をお述べになりましたけれども、恐らく決算報告を見なければ知り得なかったような、とてもわからなかったような事例は、このただし書きの「正当な理由」に相当することになるんではないかというように私は考えております。
  98. 朝日俊弘

    ○朝日俊弘君 ただいまの答弁をぜひ具体的な自治体レベルでの実行の中で生かしていただきたいと思うんですが、どうも新聞報道などではこれをもとに門前払いという形が結構あるように見受けられますので、ぜひよろしくお願いしたいと思います。  それでは次に、例えばアメリカにおいては公会計基準審査会のレポートで、公的な財務報告の主な利用者として、市民グループとか、立法府及び監督官吏とか、それから投資家、債権者のグループなど利用者を明確に挙げた上で、そういう利用者に対して有効に情報が伝達できるように一定の原則を掲げております。会計監査についても一定の監査基準を設定して、最低限そうした基準に基づく監査が行われているというふうに聞いております。我が国においてもそうした原則や基準の設定が必要なのではないかというふうに思います。  ちなみに、こうした監査基準の設定の必要性については、随分古くて昭和三十七年、地方財務会計制度調査会の答申の中で明確に述べられております。監査委員の意見がどのような手続と根拠に基づいて形成されなければならないかを定めた監査基準を設定し、監査手続を明確にするものとする、こういうふうに指摘されているわけでありますが、今日に至るまでいまだに法的根拠が与えられていないということは問題ではないかというふうに思いますが、いかがでしょうか。
  99. 松本英昭

    政府委員松本英昭君) 監査基準の問題が大切であることは言うまでもございませんし、そのとおりでございます。問題は、この監査基準をどういうところでつくり、どういうように適用していくかということが課題であろうかと思っているわけでございます。  御指摘になりました昭和三十七年の地方財務会計制度調査会におきましては、監査基準及び手続が重要だということは指摘いたしておるわけでございますが、その設定等をどこでやるのかということについては触れておらないところでございます。  現在の取り扱いはもう御承知のように、各都道府県市町村でみずからが監査基準というものを定める、そしてさらにお手本となるようなものを全国監査委員の組織であります全国都市監査委員会とかあるいは町村監査委員会協議会において準則的なものを定めている、こういうことになっております。  今、委員指摘の点は、そういうものを国でつくればいいではないかということではないかと思うのでございますが、この点についてはかつて監査委員に関する研究会をやったことがございまして、その中に書かれております点は、全国共通のような監査基準というのはしょせん団体の種類または規模のいかんにかかわらず妥当するような内容ということになってきますので、一般的かつ抽象的なものとならざるを得ないであろうと。したがって、そういう点からいうならば、個別の団体がそれぞれ監査基準を定めていくという方が適切なのではないだろうかというような御意見も研究会報告でいただいておるところでございます。  これは研究会報告でございますが、これはこれとして、外部監査の導入ということになってまいりますとしかるべき基準等も考えていかなきゃならないことでございましょうから、私どももまた研究させていただきたいと思っております。
  100. 朝日俊弘

    ○朝日俊弘君 ぜひ外部監査制度だけに限定せずに、すべてばらばら、個別で基準をつくったらよろしいということにはならないのじゃないか、ある程度共通する部分があるんじゃないかと思うんですね。もっともこれはもろ刃の剣になって、変なものをつくるとそれが基準になっちゃいますから、その辺も十分踏まえながら検討をしていただきたいと思います。  それでは次に、新たに導入されようとしている外部監査制度について、これは果たして期待されているように十分機能できるかどうかという観点から幾つかお尋ねしたいと思います。  私が一番気になる点は、従来の監査制度と重複するといいますか、あるいは従来の監査制度の枠組みをどうしても超えられないような仕組みになっているんじゃないかという点でございます。  細部にわたって指摘する時間はございませんが、例えば契約する外部監査人を選定する際、外部監査の実施に当たって関係者の出頭、結果の報告など、手続上従来の監査委員の関与と判断が相当に重視される仕組みになっているように思えてなりません。これでは、先ほども例がありましたけれども、極端な例を挙げれば、監査委員事務局外部監査人が監査しようとする場合、監査の実効性を上げることは極めて困難になるのではないか。こうした点だけではなくて、新たな外部監査制度は権限の範囲等でも監査委員制度との役割分担あるいは整合性が十分とれていないのではないかと大いに危惧されるところでございます。  改めて、外部監査制度現行監査委員制度との法制度的、概念的な関係についてお伺いしたいと思います。
  101. 松本英昭

    政府委員松本英昭君) 現在の監査制度外部監査制度との概念的な違いといいますか、一番根本的には、前にも御答弁申し上げましたように、地方公共団体執行機関である監査委員、それが地方公共団体職員として監査を行うという現在の制度と、全く外部の人が契約に基づいて外から監査をするという制度と、この点が基本的に違います。  それから、その範囲でございますけれども包括外部監査にありましては、随時監査という形で外部監査人の自己のイニシアチブで特定の事件を指定して監査に入ると。要求監査については個別外部監査契約に基づきますが、これは要求に従って監査を行っていくということでございまして、その他の定期的な定例的な監査等は本来の監査人が行う、こういうことですみ分けているわけでございます。もちろん通常の監査委員も随時の監査も行えるわけでございますが、当然そこには外部監査人の監査との間に調整の規定を設けて調整すべきことを法令上も規定いたしているところでございます。  あと、例の外部監査人の監査そのものの独立性の問題でございますが、外部監査人が監査を行います際の独立性の担保といたしましては、独立して権限を行使していただくということになっております。ただ一点だけ、関係人の出頭を求めるときには監査委員と協議をすることになっておりますけれども、これは契約関係に基づきます私人である外部監査人が第三者に対して強制的な権限を行使するということでございますので、そこに地方公共団体の意思を介在させておく必要があるという必要からあるものでございまして、その他の外部監査そのものの機能の行使については独立をして行っていく仕組みにいたしております。  ただ、機能の行使は独立てございますが、外部監査人と地方公共団体が契約を結びます際には、お互いの意思を確定するという意味において、地方団体側の意思も確定しなければならないわけでございます。  その際に、地方公共団体の意思は、最終的には議会の議決、同意によるわけでございますけれども、長が自分だけで判断をして外部監査人の選定等をしていいのかということになってまいりますと、長よりもそれは監査委員の方がふさわしいだろうということで監査委員の意見を聞くわけでございますが、それも地方団体の意思を確定するということでございまして監査の権限の行使ではございません。それから、監査人の補助人について監査委員の意見を聞くのも同様の考え方でございます。  それから、今度、結果の方で公表をするときに監査委員が公表をするというのは、先ほども言いましたように、あくまで地方団体と契約関係に立ちます外部監査人でございますから、対住民一般の立場においては地方公共団体の機関である監査委員が公表をすると。これは企業の会計監査人も同様な制度になっておりますけれども、そういうことで制度を仕組んだわけでございまして、再度申し上げさせていただきますと、権限の行使に関してはあくまで独立して権限を行使するという制度を厳守いたしているつもりでございます。
  102. 朝日俊弘

    ○朝日俊弘君 ちょっと時間がなくなってまいりました。  ただ、今のお答え、私はまだ半分疑っておりまして、その実施に当たって本当に独立性が担保されていくのかどうか、十分注意深く見守りだいというふうに思います。  そこで、質問を二つほど飛ばしまして、最後に、大臣にぜひお答えいただきたいと思います。  この監査制度説明伺いますときに、しばしば従来の監査制度のことを内部監査というふうに、そして新たに導入する監査制度のことを外部監査というふうに表現をされていますが、そもそもそれは間違っているんじゃないかというふうに私は思っています。つまり厳密に考えれば、従来の監査制度も行政みずからが自分で行う内部監査制度ではなくて、一定の議会の関与をする形になっておりまして、その意味では外部の監査と言うべき制度なのではなかったのか。そこのところがいつの間にか不明確になって、混然一体としてしまって、ほとんど両者とも身内の話になってきてしまっていたところに根本的な問題が潜んでいるような気がしてなりません。  むしろ、本来重視すべきは、自治体、議会が有するチェック機能と、それからもちろん住民監査請求を含めて従来の監査制度の活性化といいますか、当初法律が要請してきた機能を確実に発揮していくことを求めることの方が本筋ではないかというふうに私は思いますが、この点に関する大臣の御見解をお伺いして、私の質問を終わります。
  103. 白川勝彦

    国務大臣白川勝彦君) 私もきょう地方自治法を見まして、第六章に議会がありまして、第七章に執行機関としてありまして、第二節に普通地方公共団体の長があります。三節に委員会及び委員ということで、教育委員会、公安委員会、選挙管理委員会等がありまして、その中に並んで監査委員というのがあるわけでございます。  要するに、この法律では、行政機関内部にみずからを管理するそのようなものを設けなさいということで、ですから監査委員そのものは、あくまでも執行機関の中に持っているみずからの監査機能を果たすべきものとしての位置づけであることは変わらないと思うわけでございます。その選任に対して議会の同意を得るということになっておりますけれども執行機関であることに変わりはない。議会の下にあってやっているわけではないと思うわけでございます。  そういう意味で、執行機関ではない外部の者が、しかも専門的な立場で監査をしていくということは、言葉の意味においては外部監査、こう呼んでもそれ自体は間違いではないのではないかと思いますが、しかし一方では、委員の一番言いたいことの意味は私も十分わかります。  先ほど来出ていますが、冒頭の谷川委員だったでしょうか、この監査委員の活動の結果、不正経理等が発覚したのはどのくらいあるのかということで、ないわけじゃないでしょうが、少なくとも今問題になっているのは一つもないということでございまして、今までの監査委員はやはり率直に反省すべきだろうと思っております。同時に、議会も大いに反省しなきゃならないということを申し上げておるのはそういう意味なのでございます。  六万五千人、六千億のお金というのは大変なものでございまして、御案内のとおり、地方議会は権限はないんだといいますが、しかし監視、チェック機能にそんなに私は多くの権限は要らないと思います。国会だってそういう面では国政調査権というのはありますけれども、そう大したことは規定していないわけでございますが、国会の存在によって少なくとも国の機関は相当に緊張し、ぴりぴりしているわけでございます。  そういうことでございまして、むしろ外部監査制度を導入することによって、今までの監査委員の皆様方が今まで以上に本来の職務を自覚してもらう、そして議会もこのことを契機にして、みずからのチェック機能ということを十分自覚してもらう契機になることを私は期待しておりまして、そういう面では委員と全く考え方は一致していると思っております。
  104. 有働正治

    ○有働正治君 本案の改正をめぐって幾つかお尋ねします。一つは、自治体監査の基準と監査委員の職務の重要性をめぐってであります。  自治省に端的にお尋ねします。自治体の監査の基準の中で、住民の福祉の増大に努めるということこそ監査目的でもありますし基準でもあると思うわけでありますが、この点いかがでしょうか。
  105. 松本英昭

    政府委員松本英昭君) 監査委員は、地方自治法の百九十九条に基づきまして「地方公共団体の財務に関する事務執行及び当該普通地方公共団体経営に係る事業の管理又は同項に規定する事務執行が第二条第十三項及び第十四項の規定の趣旨にのっとってなされているかどうかに、特に、意を用いなければならない。」という規定がございます。    〔委員長退席、理事朝日俊弘君着席〕  この「意を用いなければならない」というところで準用してあります二条十三項には「地方公共団体は、その事務を処理するに当っては、住民の福祉の増進に努めるとともに、最少の経費で最大の効果を挙げるようにしなければならない。」と規定されているところでございます。
  106. 有働正治

    ○有働正治君 できるだけ簡潔に御答弁いただければ助かります。  そこで、全国都市監査委員会が定めました都市監査基準準則の第二の中で、経営に係る事業管理監査の着眼点の項があります。その中で事業の目的が明確になっているかということとともに、事業は住民の福祉の増進に役立っているかが真っ先に示されているわけであります。  例えば、秋田県の公金乱用問題追及の発端というのは、生活に困って医療費を払えない、自己負担分を免除してほしいと秋田県能代市の母子家庭の女性が提出いたしました審査請求を県の国民健康保険審査会がろくに審査もしないで却下して、母子を師走の寒空にほうり出した事件が発端でありました。生活と健康を守る会が県の国保審査会の実態を調べてみますと、ほとんどが有名無実で、たまに開けば飲み食いしているということが判明した。そこで関係者は、食糧費を福祉予算に回してほしい、住民の福祉の増進こそ原点ではないか、こういう運動を起こして情報公開を要求して、ついには県民的な世論になって県知事も退陣せざるを得ないということになったと私は承知しているわけであります。  住民の福祉の増進という基準に従ってこういう審査会がきっちり審査して積極的に対応していれば、こんな大きな問題にならなかったと思うわけでありまして、審査の基準をそこに置いて厳格にやっていくということがいかに大事であるかということを私はここで示しているんではないかと思ったわけであります。この点では、秋田県の生活と健康を守る会の活動等は自治体監査の中心問題に光を当てたと言っても過言ではない貴重な活動であったと私は認識しているわけであります。  そこで、大臣にこの関連で一点だけまずお尋ねしますけれども、こういう監査の基準として、住民の福祉の増進に役立っているかという基準こそ自治体監査の生命線である、地方自治法の精神からいっても私はそうだと思うわけであります。こういう基準に照らして監査仕事がきっちり行われるべきであると考えるわけでありまして、大臣の所見を求めます。
  107. 白川勝彦

    国務大臣白川勝彦君) 住民の福祉を増進することは地方公共団体の存立の基本的な目的であります。これを図らなければならないことは言うまでもないことでありますが、これと同時に、地方自治は住民の責任とその負担によって運営されるものである以上、常に効率的に処理、推進しなければならないものであります。  監査委員監査に際しても、常にこれらを念頭に置いて監査を行っていかなきゃならないものと考えております。
  108. 有働正治

    ○有働正治君 行政の効率化や組織運営の合理化、規模の適正化などを大臣は指摘されました。私は、住民の福祉の増進というこの第一義的な任務を果たす上で監査が大事であって、その重要な役割はその中で出てくる問題ではないか。この住民の福祉の増進という原点を踏み外しますと監査仕事が形骸化していって、地方自治法の精神そして監査の根本目的を失うことになりかねない。効率化その他の問題を一律に私は否定するものではございませんけれども、そこを取り違えることがあってはならないということだけは厳しく指摘しておきたいと思うのであります。    〔理事朝日俊弘君退席、委員長着席〕  第二の問題として、監査委員の空出張等をめぐっての問題であります。  先ほど監査委員はきっちりやっておられた旨の大臣の御答弁と私は見受けました。すべての監査委員方々がそうであるとは毛頭思っていません。その中でいろんな空出張等が起きたという認識であることは前提としてでございますが、この間、自治体の公費支出をめぐって各地でいろいろ不正・腐敗事件というのが頻発しているわけであります。空出張、空会議、空接待などによる裏金づくり、公費流用、官官接待に係る公金の不正支出、不適正な経理処理、自治体トップと建設業界との癒着による公共事業の入札をめぐる収賄事件等々、この期間かなり大きな政治、社会問題になったことは御承知のとおりであります。  そこで、自治省にお尋ねします。具体的には、都道府県監査事務局がみずから空出張など公金不正支出を行っている実態をどう把握して認識しておられるかについてお伺いします。
  109. 二橋正弘

    政府委員二橋正弘君) これまでにいわゆる不正経理として私どもが各地方団体から報告を受けておりました金額は、対象期間が二年ないし四年にわたっておりますが、合計で約百七十三億という金額を承知いたしております。個々の具体的な部局ごとの数字を私どもとしては把握いたしておるわけではございません。
  110. 有働正治

    ○有働正治君 監査事務局で空出張が行われていたこと自体を全然見たり聞いたりしたこともないということですか。
  111. 二橋正弘

    政府委員二橋正弘君) 報告を受けました中に監査委員事務局の分も含まれておるという話も聞いておりますが、それを分けて各部局ごとにどういう数字になっておるかというところまでは把握いたしておらないということでございます。
  112. 有働正治

    ○有働正治君 東京市民オンブズマンの調査によりますと、東京都監査事務局は、九四年度に開かれました六回の会議、懇談の際の出費について合計百三十五万円の不正支出をしたことを認め、不正支出額の弁済を行っています。その内容は、業者から金額を水増し請求させて都の公費で決済したり、ほかの県からの会議参加者から参加費を徴収しながら業者への支払いは都の公費で決済したりしたものとされているわけであります。  徳島県の監査事務局でも不正支出が明らかとなり、監査委員が百三十七万円を県に返還したようであります。その内容は、主要都市の県事務所の監査の際に、出張先の土地の監査委員と九〇年から九四年度にかけて十一回懇談したことになっていたわけでありますが、実際に懇談したのは一回だけだったとされているわけであります。  全国市民オンブズマンの皆さんの調査によりますと、ほかにも過去数年間に、愛知県、島根県、鹿児島県、福島県、滋賀県の監査事務局も空出張の疑いが指摘されているわけであります。  そこで、自治省にお尋ねするわけでありますが、こうした都道府県監査事務局の空出張などの公金不正支出の実態、自治省としても今後の問題点、今後の教訓にする上で私は掌握してしかるべきではないかと思うわけでありますが、この点について。  同時に、都道府県監査委員監査事務局の空出張など公金不正支出問題について、どこに問題があるのか、それをなくすにはどうするのか、その点での自治省考えをお示しいただきたいと思います。
  113. 二橋正弘

    政府委員二橋正弘君) 先ほど申し上げましたように、各県がそれぞれみずからの責任で調査をされて、いわゆる不正経理の額というのを把握し、またそれを議会に報告というふうな形をとっておられます。そういうものを私どもとしては聞かせていただいておるということでございますので、それ以上、各部局ごとにどうだこうだというところまで私どもとしては調査をして把握するということまでは考えておらないわけでございます。
  114. 松本英昭

    政府委員松本英昭君) いずれにいたしましても、地方公共団体の適正な経費執行をチェックする立場にあります監査委員不正経理の問題を指摘されているなどということは大変問題でございまして、まことに残念なことと考えているところでございます。  監査委員といわず地方公共団体の組織全体でございますけれども経費支出の適正化ということは、地方公共団体経費がいやしくも国民の税金から賄われているということでございますので、その点についてはこれからいよいよ身を正していただかなければならないと思います。  それからいま一つは、公務員倫理という面からも問題であろうかということで、昨年十二月に事務次官通知等を発しまして、いやしくもそのようなことのないように申し上げるとともに、国の事務次官会議の申し合わせを踏まえた措置をとるように指導してまいっているところでございます。今回御提案申し上げている外部監査制度というのもそういう点には資することになるのではないかというように私ども考えているところでございます。
  115. 有働正治

    ○有働正治君 各地方自治体には本来自治権があるわけで自主性があるわけですけれども、私に言わせれば、自治省は通達だ何だかんだで報告を求めたり、本来やるべきでないことまでやっておきながら、法改正に絡んできちっと調べることも調べていないというのは私は問題だと言わざるを得ないわけであります。  外部監査制度の問題を言われましたけれども、このきっかけというのは、地方分権論議の中で、機関委任事務がなくなるので会計検査院が監査に入れなくなるのでそのかわりに外部監査制度導入方針を決めたものとされているわけであります。各地の監査事務局の不正というのはその後の出来事でもあります。したがって、自治体監査制度の形骸化がなぜ広がっているのか、その原因、背景を探るには、そうした監査事務局の公金不正支出の実態もえぐって、その土壌を一掃するということ抜きには対応できないはずであります。その点ではいかにも心もとない自治省の対応だ、答弁だと言わざるを得ないわけであります。  事務当局に聞いていては話になりません。大臣にお聞きします。  本来、不正、腐敗をチェックして防止すべき立場にある監査委員または監査事務局の空出張など、地方行政及び地方監査制度そのものに対する信頼を失墜させることとなったわけでありまして、外部監査制度導入だけでは問題の根本的解決にならないことは明瞭だと思うのであります。この点で、監査委員の公選制などの検討あるいは監査仕事の位置づけを高めることが必要ではないか、こういう意見も出されているわけであります。大臣として、監査委員監査事務局信頼を回復するためにどうされるのか、所見を求めるわけであります。
  116. 白川勝彦

    国務大臣白川勝彦君) 先ほど申し上げましたとおり監査委員執行機関の一機関で、執行部の中にもみずからを監査するそういうものがなければならないということであります。そこの機能あるいは役割を大きくさせていこうではないかというのが今回の改正一つであるわけでございます。  私はたびたび申し上げておりますとおり、六千億円の金を使っている地方議会は何をしているんだと、これだけは私は率直に申し上げ、本来そこのところがもっと生き生きとしなければ、執行機関の一部である監査委員をいじめるというか、そこのところを幾ら論じてもヨシの穴から天を見ることになりはしまいかと、こういうことでございまして、地方議会の六万五千人の皆様そしてそれを選ぶ住民の皆さんに、私はこの際大いに奮起を促したいというのが率直な気持ちであります。
  117. 有働正治

    ○有働正治君 私に言わせれば両面あると思うんです。地方議会もきっちり対応するという問題、監査委員もきっちり職責に応じてやる、車の両輪としてきっちり対応して、その基準として住民の福祉の増進という地方自治法の精神に沿ってやる、こういう問題が私は大事じゃないかと思っているんです。  私の立場からいえば、今の地方議会は私どもを除くオール与党体制で、チェック機能たるものが機能していないということも重要な原因ではないかということを、大臣が述べられますから、あえて私の意見を述べさせていただきます。  次に、食糧費問題です。とりわけ東京事務所の食糧費の問題でありますが、各都道府県の東京事務所の官官接待の実態、自治省はここらあたりをどう認識されておられますか。
  118. 二橋正弘

    政府委員二橋正弘君) 東京事務所における食糧費の支出状況でございますが、私ども特にそういうことに限定して把握しているということはございません。食糧費はあくまでも需用費の歳出の一環として計上されているものというふうに認識いたしております。
  119. 有働正治

    ○有働正治君 地方自治体の空出張、食糧費など公金不正支出問題は、北海道、秋田、宮城、群馬など全国十数都道府県で大きな問題となったわけであります。この中で、それぞれの東京事務所を通じての政府官庁の接待、官官接待が大きな部分を占めているようであります。  オンブズマンの調査によりますと、都道府県政令指定市の食糧費の中で、東京事務所の支出の割合が、鹿児島県八五%、私の郷里である熊本県も八四%と非常に突出しています。例えば、宮城県の情報公開による東京事務所の懇談会では、九三年度分で四百十五件の懇談会が開かれ、五千二百三十九万円が支出され、このうち実態が確認されたもの百六十九件、二千四百七十三万円、これは朝日新聞の報道であります。接待された相手は、建設省三十七件、自治省三十六件、農水省三十五件などとされ、建設省に続いて自治省が多いわけであります。補助金や地方財政への影響力の強い自治省や建設省が目立っているようであります。一つの県だけでこれだけの件数と金額であるわけです。全国で見ればいわば巨額の接待費となると思うのであります。  そこで、東京事務所の官官接待がこれだけ大きな社会問題となった背景に補助金制度の持つ問題点、あるいは政府官庁の本省から地方自治体への出向、天下りという強固な人的つながり、強固な上下関係が事実上温床になっているのではないかと厳しい指摘があるわけであります。この点で、官官接待というのは地方自治体にとって自治権をみずから掘ります弊害ともなっておるわけであります。  自治省として、自治省はみずから率先して各県などの東京事務所の官官接待には応じない、そして地方自治の拡充を願う立場から政府部内で他省庁にもその旨働きかけるというあたりはいかがか。時間の関係で、大臣、いかがでございましょうか。
  120. 谷合靖夫

    政府委員(谷合靖夫君) この問題につきましては、自治省では昨年の十二月に自治省職員倫理規程を設けておりまして、その中で、地方公共団体等の関係におきましても原則的に会食とかそうしたものを慎むという規程を設けております。もちろん一定の例外はございます。  この点については、私どもも各省庁とも同じような規程を設けておるというふうに承知をしておりますので、今後こうした倫理規程の厳格な運用を図って綱紀の粛正に努めていくべきであろうというふうに考えております。
  121. 有働正治

    ○有働正治君 大臣としても、閣議その他、これだけ問題になったわけで、いろいろ提起はされているかと思います。この点、本当に住民の福祉の増大と地方自治の本来のあり方に妨げにならないような政府の対応を今後も積極的に願いたいと思うわけでありますけれども、いかがでございましょうか。
  122. 白川勝彦

    国務大臣白川勝彦君) 御趣旨のような意を体して自治省もやっておりますし、ほかの閣僚、それぞれの省庁もやっておると思っております。
  123. 有働正治

    ○有働正治君 次に、本当の地方自治を発展させる上での情報公開の問題についてお尋ねします。  会計検査院にお尋ねいたしますけれども、九五年秋の大阪府、秋田県など一府四県、計五府県の食糧費の実地検査で、被接待者の氏名を記載しない会計処理に対し改善を求められたやにお聞きするわけでありますが、その内容と措置について御説明いただきたいと思います。
  124. 金刺保

    説明員(金刺保君) お答え申し上げます。  食糧費の問題につきまして、その厳正な経理処理が求められていることから、御指摘の省庁それから都道府県について検査を実施しました。その結果、食糧費の使用が国庫補助事業を実施するために直接必要であるかどうか判然としていなかったり、食糧費の経理処理が明確でなかったりしているなどの事態がございました。  この事態の改善を求めましたところ、関係省庁におかれましては、原則として懇談会の経費を補助の対象としないこととするなど国庫補助の対象となる食糧費の範囲を具体的に定めるとともに、都道府県に対して国庫補助対象事業費と単独事業費の経理を区分すること、経理関係書類に会議等の目的、内容、出席者の範囲等を明示することなど所要の指導を行ったところでございます。  以上でございます。
  125. 有働正治

    ○有働正治君 今のお話だと、経理関係書類に目的、内容、出席者の範囲等を明示すること、こういう措置がとられたということでありますか。
  126. 金刺保

    説明員(金刺保君) 御指摘のとおりでございます。
  127. 有働正治

    ○有働正治君 改めて自治省にお尋ねしますけれども、公金乱用を防止する上で、住民の知る権利を保障するため自治体における徹底した情報公開制度が私は必要だと考えるわけであります。  今、会計検査院が改善の問題点を指摘し、それへの対応の御報告があったわけであります。接待相手の氏名、肩書、会合場所はもとよりでありますが、政策決定過程の文書公開、各種審議会等の会議情報も公開して、自治体が深くかかわる外郭団体や第三セクターについても情報公開の対象とすべきであると思うわけでありますが、この点についての所見。  また、いま一つは文書の保存義務それから管理基準です。これを明確にして公開を保障するためにはその文書の長期の保存期間が必要だと考えるわけでありますが、一年程度の保存期間、東京都では三年間とされているようでありますが、この一年程度の保存期間では住民の公開要求にこたえられないわけで、保存期間を一定期間保存するということも必要だと考えるわけでありますが、この二点についての見解を求めます。
  128. 松本英昭

    政府委員松本英昭君) 第一点の情報公開につきまして、幅広く公開をすべきではないかということでございますが、基本的には情報公開制度の本来の趣旨に沿いまして行政の透明性の確保ということが重要であろうかと思っておりますし、そういう方向が基本的には正しいのではないかと思っております。  その際に、これは国の情報公開法の要綱にも出ておりますように、プライバシーの保護あるいは職務に対します信頼性の確保などというような観点から、どこまでを非公開文書にし、どの項目を公開文書にするかということが大変難しい話でございます。国の情報公開法の要綱の中にもそういうことにつきまして審議会で大変な論議の上で一定の方向が示されておるところでございますが、地方公共団体におかれましても、それぞれの情報公開条例の適用に当たっては恐らくそういうことを参考にして情報公開に当たられるのではないかと思っております。  それから、もう委員御承知だと思いますけれども、個々具体で裁判例が今非常にたくさん出てきておりまして、こういう裁判例の積み重ねが一つのルールをつくっていくということもあろうかというように考えているところでございます。  次に、保存文書の期間の問題でございますけれども、基本的には文書保存期間をどうするかということはそれぞれの地方団体でお考えいただいているわけでございます。一方では、今も御意見がありましたようないわゆる情報公開等を含めた行政の透明性あるいは手続の公正の確保というような観点から、一方では文書管理の合理化というような観点から保存期間を定めていく必要があろうかというように考えております。  いずれにいたしましても、そういう両方のことを考えながら地方公共団体が適切に対応していただくことを期待いたしているところでございます。
  129. 有働正治

    ○有働正治君 最後に一点だけ大臣にお尋ねします。  一つ情報公開の問題です。公開されるからといって接待相手の氏名、肩書、会合場所等を記載することをやめるということになりますと、文書への記載を簡略化するということで、そういうことになれば新たな情報隠しにもなりかねないということでありまして、文書等にはきちっと具体的に記載し情報公開に資するようにすべきだと思うわけであります。これが一点。  そして、一連の不正経理がはびこる土壌があるんではないか。先ほども申しましたけれども、天下り出向の体制、通達による押しつけ等々、天下り出向がどういう県にどれくらいの人がどういう部署かを押さえているか。大体一番多いのは自治大臣の新潟なんです、それと総理大臣の岡山なんです、これは政府に出していただいた資料で見ますと。  だから、出身県ということで直接それ以上のかかわりがあるということではありませんけれども、重要な大臣として出身県にそういうのが多いと、文字どおりトップなんです。そういうのが全国的にもずっと温存されている等々の問題が不正経理の大きな背景なり土壌なりにあるのではないかという指摘もあるわけでありまして、ここらあたり、不正経理一掃に向けての大臣の見解をあわせ求めまして、終わります。
  130. 白川勝彦

    国務大臣白川勝彦君) 私は大臣になりましてから、大変騒がしい職場でございますので、自治体関係者と飯を食ったことはありません。  ただ一件だけ、沖縄に行ったときに大田知事が朝食を食べながら懇談をしたいということで、どっちが出したかわかりませんが恐る恐るいただきました。二橋財政局長が一緒だったので自治省が出したのか、あるいは向こうが出したのかはわかりません。  ただ、会議で会うのも非常に大事でございますが、例えば大臣室に来て会うときはせいぜい五分か十分でございますけれども、食事をするとなれば一時間ぐらいはお互いとるわけでございまして、一時間の話の中で得るものはお互いにあったなと思います。ですから仮に、お声がけはありませんが、もし知事とかしかるべき人が夕食をともにしながら話をしたいことがあろうとするならば、私は別に逃げ隠れするつもりはございませんし、それが表に出ても疑われないような内容にしておきたいと思っております。  ただ、出向問題につきましては、御案内のとおり、少なくともことしの四月の人事異動については私は私の原則を官房長、事務方を通じて何とかやっていただきました。実際はかなり苦労の要る仕事でございましたが、隗より始めよということでやりました。私がこの問題にある面では必要以上に、田村委員などから大変おしかりをいただきながらも取り組んだのは新潟県の状況があったからでございます。ほかの県まで知らなかったわけでございまして、むしろ新潟県の状況がこういうことをする一つのきっかけになったということで御理解を賜りたいと思います。
  131. 西川潔

    ○西川潔君 よろしくお願いいたします。  重複する部分があると思いますけれども、お許しをいただきまして、私なりにまた一から御質問をしたいと思います。  今回の法改正目的といたしましては、地方制度調査会答申の中でも述べられているように、地方分権の推進に伴い地方公共団体みずからのチェック機能をさらに充実させる、またそのことによって住民との信頼関係を強固なものにするということが基本にあると思います。  これまでの監査制度がどれだけ有効に機能していたんだろうか。今回、内閣は行政側の対応策として監査制度の充実策を提案されたわけですけれども、市民サイドからすれば、まず行政自身が情報公開にたえられるような公正な行政執行を行うように体質改善をしてもらいたいというのが率直なところではないかと思うわけです。  まず、この質問から大臣の御見解をお伺いします。
  132. 白川勝彦

    国務大臣白川勝彦君) いろんなことを含めて、国であろうが地方であろうが行政というのは国民の血税によって賄われているものである、そして全体の奉仕者として公務員はそれに当たらなければならないと、私どもが小学校のころ習ったことを大の大人たちが今真剣に実践するようになった、全部とは言いませんが、一部の方々が憲法等に書かれていることを自分たちの問題として今真剣に考えそして求めている、こういう時代が来たものと思って、私は大変好ましいことだと思っております。ここまで来るのに憲法施行、地方自治法施行から五十年かかったというのも、また社会の進歩というのはそんなものだろうとも思っております。
  133. 西川潔

    ○西川潔君 次に、地方公共団体等における汚職事件についてお伺いしたいんです。  「地方自治」の二月号で概要がまとめられているのを拝見したわけですけれども、近年の状況をまずお伺いしたいと思います。
  134. 芳山達郎

    政府委員(芳山達郎君) 地方公務員の贈収賄事件等の汚職事件につきましてでございますけれども、直近の調査結果によりますと、平成年度に発覚した汚職事件は、件数で九十七件、団体数で九十四団体、関係職員数で百十七人となっております。  汚職事件の状況を過去十年間で経年的に見てみますと、昭和六十二年度、六十三年度の約百二十件に比べましてやや減少はしておりますけれども、依然として事件が後を絶っておりません。住民信頼を確保する上からも重大な問題でありまして、その防止につきまして全力を尽くさなければならないと認識しております。
  135. 西川潔

    ○西川潔君 今お伺いしますと、毎年約百件ということですけれども住民サイドからいたしますと、毎年毎年のことです。公務員の側に不正や汚職というものを防止しようとか、あるいは危機感というものがあるのかなと素朴に思うわけです。この百件というのは、件数がそれだけあって、このところのお話にも出ておるわけですけれども、食糧費、空出張の問題も含めて氷山の一角ではないか。実態は一体どうなっているんだろう、信用しろと言っても我々はなかなか信用できないわけです。  公務員の大半の方々が、日々私たちもお世話になっておるわけですし、懸命にお仕事頑張っておられるのは十分に承知はいたしておるんですけれども、いま一度公務員一人一人、そしてまた個々の地方公共団体の公務における規律と秩序の維持とともに、組織、制度上の問題、職務の遂行上の問題等々を見直して、そして改善についても徹底する必要があるのではないかと思うわけですけれども、いかがでしょう。
  136. 芳山達郎

    政府委員(芳山達郎君) ただいまの汚職事件の防止の観点から、また最近の不正経理の観点からも改めて公務員倫理の確立が求められております。御指摘のように、トータルとしての総合的な視点に立った改善策が要請されていると存じております。  ただいまの汚職事件発生の原因について、地方団体おのおのがその背景について分析しておりますけれども一つは組織、制度上の問題として特定職員へ権限が集中しておるのではないか、また監督が十分であったかどうか、また職務遂行上の問題として業務のチェック体制が十分であったかどうか。会計管理が不備ではなかったかどうか、また公務員倫理の確立についても、原因について言及をされております。  そういう反省の上に立ちまして、団体おのおのが公務員倫理などについて意識改革、また予算のシステムの改善、また組織体制の強化、また住民に対する情報公開ということで、全体として公務員倫理確立に向けた改善策が講じられてきております。  先ほど大臣からもお話がありましたように、特に公務員倫理の確立につきましては、昨年十二月の国の事務次官会議等の申し合わせを踏まえまして、地方団体でも適切な対応策が講じられてきつつあります。今後とも、全体として綱紀の粛正に万全を期さなければならないと存じております。
  137. 西川潔

    ○西川潔君 次に、外部監査制度現行監査制度の強化についてお伺いをしたいと思います。  自治体の監査委員制度については、制度の仕組みは理解いたしておりますが、各自治体では実際にどういつだ手法で作業が進められているのか、我々外部の人間には本当にわかりにくい見えない部分ですけれども、今回質問をさせていただくに当たりまして、現職の自治体の職員方々、実際に事務局職員としてお仕事された方、そして逆に一般職員として監査を受ける立場にある方の両サイドからお話をお伺いしてまいりました。  そちらの団体では、通常は最初から監査委員が直接現場へ出向いて監査をするということはなく、まずは事務局職員が現場に出向いて担当官を相手に調査を行いまして、そして次の段階で事務局の課長クラスと相手方の課長クラス、さらに局長クラスの手順を踏んだ結果を事務局監査委員に報告をする、これが具体的な作業の手順ということをお伺いしました。自治省の資料では、約六割の団体監査によって手法を選択しているということです。  いずれにいたしましても、監査委員を補佐する事務局の役割というのは非常に大きなものになっているわけです。言いかえますと、監査委員がその本来の役割を十分に果たしてきていないのではないかなと、そんな印象を持つわけですけれども、その理由といたしましては、監査の対象の膨大さというものが第一にあると思うわけです。実際のところ、事務局年間のスケジュールも見せていただきました。JRのダイヤとまではいきませんけれども、かなり過密なスケジュールですし、これで十分な監査ができるのかなと素朴に感じました。この点、いかがでしょう。
  138. 松本英昭

    政府委員松本英昭君) 先ほども御答弁申し上げましたが、確かに現在の監査は大変幅広くなっておりまして、またその手順も、多くの場合、今御指摘になりましたように、補助職員の方から相手方といろいろと事務をこなしていくという手順であろうかと思っております。  そういうこともございまして、この監査制度の充実強化を議論いたします地方制度調査会におきましては、現行監査制度というものを拡充して、例えば監査委員をふやす、事務局の補助職員をふやすという方式をとるよりも、外からの監査を入れる、その外からの監査には監査チームという形で入っていただく、その方が独立性という点からもまた現行監査をより充実させる意味からもいいんではないかという御指摘があったわけでございます。  ということは、外部監査で行うところは、今までの監査委員の方は外部監査に任せて、そして自分の本来の、本来といいますか全体が本来でございますが、定期監査とかそういうところをより充実させる、そういうことで両々相まって監査機能全体が高まるように、そういう方向で今回の法律の提案をさせていただいているところでございます。
  139. 西川潔

    ○西川潔君 そこで、事務局の体制の整備についてなんですけれども、いろいろと指摘はあるわけです。事務局職員の経験年数、これも午前中からずっと出ているわけですけれども、大体二年少したということをお伺いしました。そのために、つまり専門知識や監査のノウハウも十分でないといった点が問題だと思います。いわば専門家のところへ素人が行くというふうな難しさがあると思うんです。  事務局職員の立場からいたしましても、事務局のより一層の充実強化が必要ではないかと思うわけですけれども、この点についての具体策を自治省ではどういうふうに考えておられるのか、そしてまた、今後、例えば町村が新たに事務局を設置する場合の職員に対する研修方法などの対応策も考えておられるのか、そういう部分がございましたら、ぜひこの機会にお伺いしておきたいと思います。
  140. 松本英昭

    政府委員松本英昭君) 事務局職員の研修の問題でございますが、現在も都道府県市町村監査委員全国組織などにおいて行っておりますし、県単位でも行っておりますし、また国といたしましても市町村アカデミーというところで専門研修の形で行っているところでございます。  さらに、これからはある程度長期の研修をどうもやっていかなければならないだろうということでございまして、現在、長期研修を行う実施主体とかその方法等について全国監査委員組織との話し合いをいたしているところでございます。  それから、そういう場を設定しても派遣をする方が、今そんな長期の期間をとられたのではなかなか出せないというようなこともあるわけでございます。それをどうするかということで、例えば相互に応援をして、こちらの職員が行っている間はこちらの職員が応援に行くとか、何かそういうような制度でもできないだろうかというようなこともあわせて今検討をしているところでございます。
  141. 西川潔

    ○西川潔君 大変難しいところだと思いますし、長期という難しさは、人事異動とか昇格とかということでは嫌だなと思う方も出てくることもあると思いますけれども、ぜひよろしくお願いしたいと思います。  次に、外部監査制度が導入された場合に現場の職員方々が懸念する声としてお伺いしたのは、例えば外部監査人が事務局を利用するのであれば、これまでの内部監査仕事に新たに外部監査仕事がふえるわけですから仕事の中身が薄くなるのではないか、外部監査人の利用する伝票、関係資料は監査委員のものと同じことになってしまうんではないか、じゃどういう点を見てもらうのかという素朴な疑問が生じてくるわけです。また、費用についてですけれども、例えば外部に工事の監査を年に一件依頼すると十二万円がかかっているわけです。これが果たして予算化できるのか等々の疑問点が挙げられるわけですけれども、いかがでしょうか。
  142. 松本英昭

    政府委員松本英昭君) 外部監査人は、基本的にはみずから補助人を選んで、補助人とチームを組んでいただいて監査に入っていただくということにいたしております。そのほか、先ほど御指摘もありましたように、監査人が事務局職員に協力をお願いするということがございまして、そのときには代表監査委員がその協力についてできるかできないかということを返事するわけでございます。そういうことで、その外部監査人が事務局職員に協力させるがゆえに本来の事務に支障のないように調整の規定を設けておりまして、よく調整をしていただかなければならないということだと思います。  それから、資料等につきましても一応お互いにすみ分けをして、先ほども指摘のように、監査委員年度計画というのもつくりますので、その年度計画で重なって資料を提出することのないようにやっていただくように私どもも十分周知をしてまいろうと思っております。  それから、費用の点でございますが、基本的には外部監査契約の中でどういうものにどれだけの費用がかかるかということを契約の中で明示していただくというのが原則でございますが、監査の途中で当然それ以上のものが要ったりしますので、そのときの清算の仕方をどうしていくか、これもまた契約の中に書いていただいておくということになろうかと思います。  いずれにいたしましても、外部監査契約を導入することで経費がかかることだけは間違いありませんが、その経費のかかるということについても、できるだけこれが効率的になりますようにしていただきたいものだと考えているところでございます。
  143. 西川潔

    ○西川潔君 次に、監査委員の共同設置についてお伺いいたします。  現在、監査委員制度を共同設置している自治体はないということでございます。小規模な市町村の場合に、補助職員の確保の問題あるいは独立性の確保という点から、監査制度の共同処理方式についてはかなりメリットがあるのではないかと思うわけです。  例えば、小規模な町村については任命権者である首長さんの意向が監査委員の職務遂行の仕方に事実上強い影響を与えております。実質的に独立性が弱められているのではないかという指摘もございます。この点で共同設置の場合ですと、かなり客観的な立場から監査ができるのではないか、独立性という意味からもすぐれている点も多いのではないか。この監査制度の共同設置について、自治省はどういうふうにお考えでしょう。
  144. 松本英昭

    政府委員松本英昭君) 監査制度に係る共同設置というのは二つございまして、監査委員の方を共同設置するというやり方と、それから監査委員は別ですけれども事務局を共同設置すると、二つというか、もう一つ両方とも共同設置するというのを加えると三つあるわけです。  いずれにいたしましても、いずれの共同設置も小さな市町村、市はともかく特に町村に私どもは非常にお勧めしたい制度でございます。したがいまして、差し当たり今回、町村事務局というものを設置することができるという法改正お願いしておるわけでございますが、その際には小さなところがそれぞれ個別に事務局を設置されるよりは共同して設置していただくように、これから各地方団体都道府県を通じてお願いしたいと思っております。  問題は、この監査委員そのものの共同設置につきましては法制上またいろいろございまして、これもできるだけその方が望ましいということについてはそのとおりなのでございますが、御承知のように議員選出監査委員を出さなきゃいけませんので、そのときにどうするかとか、ちょっと対応のしにくい面があることも御理解いただきたいと思っております。
  145. 西川潔

    ○西川潔君 そこで、今少し出たんですけれども、この共同設置を行う場合に監査委員の枠がネックになるのではないかと、この問題の指摘もございます。地方自治法百九十六条の一にございます議員ですけれども、これは議員としか書いておりません。共同設置の場合は結果的に他団体議員でもよいという解釈がされているのかどうかについて、ぜひお伺いしておきたいと思います。
  146. 松本英昭

    政府委員松本英昭君) 結論から申しますと、議員選出監査委員を共同設置する場合は他団体議員でもいいというのが結論でございます。  ただその場合に、根拠規定はもう時間がありませんので申し上げませんけれども、二百五十二条の九の手続をとるわけでございますが、その場合でもできるだけ任期ごとに議会が持ち回りして監査委員を選出する方法に対応する運用を行うことがいいんじゃないだろうかと、これは解説に書いているわけでございますけれども、そういうのが今までの私ども考え方でございます。
  147. 西川潔

    ○西川潔君 団体間で合意できれば他の団体議員でもよいということになりますと、法律で定める議員枠の目的整合性に少々疑問が生じる、感じるわけですけれども、これはいかがでしょう。そしてまた、定数が四人の市と二人の町村では監査委員自体の共同設置の場合は果たしてどうなるのか。今後、こうした点について特例規定などの検討が大いに必要になってくると思うんですけれども、いかがでしょう。
  148. 松本英昭

    政府委員松本英昭君) 委員がただいま御指摘の点は実は法律の規定がないわけでございます。その点につきましては今まで解釈で行ってまいりまして、ただいま私が申し上げました解釈以外の解釈をとられる方もいらっしゃいます。そういう点は将来改正をする際にはっきりさせた方がいいという御指摘はおっしゃるとおりでございます。  今の定数の話も、四人のところと二人のところが共同設置する場合にどちらの定数になるのかという場合、私の場合は四人の定数、多い方の定数だというふうに解釈はいたしておりますけれども法律上に明定された規定はございませんので、そういう点も今後改正をする際には大いに参考にさせていただきたいと思っております。
  149. 西川潔

    ○西川潔君 ぜひよりよい方向でお願いを申し上げたいと思います。  住民地方公共団体信頼関係を強いものにするために監査制度独立性を確保するには、これまで地方制度調査会あるいは衆議院でも議論がございました地方公共団体が共同で設置する外部監査組織の導入の検討がやはり必要ではないかなと感じます。最後にこのお答えをいただいて、私の質問を終わりたいと思います。
  150. 松本英昭

    政府委員松本英昭君) 今回の外部監査制度の導入に当たりまして、いろいろ御議論をいただきました地方制度調査会でもただいまのような御意見がございましたが、いわゆる全体としての行革の時代とか、そこにおきます人事あるいは予算、こういう面をどうするかというような問題がございまして、これは地方制度調査会の答申にも外部監査制度導入後の状況を踏まえて検討していくということにいたしているところでございますので、私どももこの運用を見ながらさらに検討を続けてまいりたいと思っております。
  151. 田村公平

    ○田村公平君 質問通告をいろいろしてありましたけれども谷川委員初め大変ダブつたところがありますが、なるたけ質問通告の線に沿って質問させていただきます。  今、市民オンブズマンとかいろんな市民団体方々が、首長じゃなくして通常の地方公務員、官官接待等を含めて個人を告訴しておるケースがたくさんあります。私どもの高知県でも百人単位で訴えられておりますけれども、そういう裁判ざたになっている件数が全部でどれぐらいありますか。
  152. 松本英昭

    政府委員松本英昭君) 住民訴訟件数でございますが、平成年度において百十八件提起されております。
  153. 田村公平

    ○田村公平君 人数はわかりませんか。
  154. 松本英昭

    政府委員松本英昭君) まことに申しわけございませんが、被告の人数はちょっと把握しておりませんので御了承いただきたいと思います。
  155. 田村公平

    ○田村公平君 私ども高知県では実は百人単位で個人が訴えられております。それは別に悪人でも何でもないんです。たまたまその任にあった者が、会合があって在来の交通機関がなくなって、例えば私、田村公平が設営の担当者です、タクシー券を五枚切りました、僕の名前です。同じ時間にそれぞれ違う方面に五台のタクシーが走っています。それを伝票に基づいて、田村、おまえは一晩に五台の車に乗った、乗れるわけがないじゃないかといって、金を返せと言われて訴えられています。  それは慣例もあります、役所には先例もあります。本人は今その任務から離れて、役人は御案内のとおり大体三年ぐらいで県でも国でも動いていきますから、さあそれで裁判所から呼び出しが来る。だれも上は責任をとってくれない、責任というよりも、その当時の上司もまた転勤というか勤務がかわっています。これは最終責任者は県であれば僕は県知事だと思うんです。そういう罪の意識もない、贈収賄なら警察が来て職務権限に基づいて検挙されていくわけです。そういう意味で、県の役人をやっておるがために、僕の友人も何人かそういう対象になっていますが、その人の子供は学校でいじめに遭う、おまえのお父さんは悪いことをしとるというんですよ。罪の意識は全然ないんです。  そういうことについて自治省は把握をしていない、件数は把握しておる。本当は把握していると思うんですよ、自治省もいっぱい知っているはずなんです。役人じゃなくてもいいんです、人間としてはどう思いますか。
  156. 松本英昭

    政府委員松本英昭君) ただいまの御指摘のようなことは実は時々私どもも耳にいたしておるところでございます。現在の住民監査請求、それに続きます住民訴訟制度は、本来は経理とか財産の管理とかということについて提起をするわけでございますけれども、それをめぐりまして必ずしもはっきりしない状況の中で訴訟を起こされるということがございます。そういう点でいろいろと実際に困難な立場にお立ちになっている地方公務員の方がいらっしゃるし、またOBの方もいらっしゃるように聞いておりまして、かねてからこのことについていろいろと議論がございました。  ただ、この規定は現在、例の商法の株主訴訟のときにも同じようなことが問題になっているのでございますけれども地方公共団体にかわって住民が訴訟を起こす、しかも一人ででも訴訟が起こせる制度でございますので、地方公共団体側からその職員に対して援助の手を差し伸べるという形がとれないわけでございます。ようやく、いつでございましたか近年に、勝訴の場合だけは弁護士費用地方団体が支給してもいいという制度になったわけでございます。  この制度の本来の趣旨目的の大切なこと、これはこれとして、今後この制度そのものをどういうふうに正しいといいますか適正な運用が図れるように持っていくべきかは、先生が今御指摘のようなことも踏まえて十分私どもも研究、検討していかなきゃならない問題ではないかというように考えております。
  157. 田村公平

    ○田村公平君 私のおやじも県会議員の当時、監査委員をやっていましたけれども、その当時は単純明快なんですよ、つまりごまかし方というのは。土木事務所におやじが行った、監査委員として。台帳を見たらカメラ一式と。当時、カメラは高級品です。カメラ一式持ってこいと言ったら、一式ないんです、質屋に入っておるんです。要するに、仕事で疲れたから一杯やったんです。次の年度になると工事費と一緒に事務費がついてきまずから、事務費でカメラを質屋から出してくるわけです。それで、必要なときに使ったらまたしばらく使いませんので、ひどい場合は業者さんがかわってカメラで現場の写真を撮りますから、そういうところから本当は来ておったんですよ。悪質な場合は先ほど言いましたように警察が検挙しますから、悪質というか本当に悪いのは。  そして今、有働委員からも東京事務所の話がありました。多分ここにおられる自治省のお役人の方々もそういう意味での接待に遭ったはずなんです。県の東京事務所の担当役人の一番大事な仕事は、タクシーのチケットあるいはビール券を担当する役所にどれだけ持っていって、それでノンキャリアの課長補佐はその金券のビール券を新橋の金券ショップへ行って三%、四%引きで引きかえてきて現金をつくる。役所の中では会議室も全部いっぱいですから、だから虎ノ門パストラルを借りたり、そこら辺の安い会議室を借りたりということをやっております。残業手当もないわけですから、在来の公共交通機関がないときにはそのチケットをうまく使って、それで官舎に帰ってシャワーぐらいかぶって、また着がえを持って出てくるということに使われておったのが、制度化されていないものですから、だめだだめだということになって、何か今、僕に言わせると非常にぎすぎすしたものになりました。  昨年度だけでも、私どもの高知県東京事務所は俗に言う食糧費はたったの二十二万円です。この二十二万円で二十人を超える行政職の人間が何ができるかというと、何もできない。ですから、九時から五時男になってしまいまして、高知県のそういう意味での情報収集能力はいたく下がってしまいました。  とはいいながら、今までそういうことをやってきた現行制度監査委員は、ある意味で全部めくら判なんですよ。私の知っておる今まで監査委員を経験した県議さんにも聞きましたら、おれみたいなあほうにそんなこと言われたってわかるか、県の職員に連れられて東京へ行って、判こをついて帰ってくるだけだと、それが現実なんです。  今、諸先輩の委員方々質疑を聞いておりますと、外部監査委員を入れたとしても事務局はやはり県職員で、その優位性と非優位性でいけば従来の監査委員の方が偉いと言ったらおかしいんですが、優位性を持っているというお話がありました。  そこでお尋ねをしたいことは、予算の仕組みというのは御案内のとおり国も地方も一緒ですね。下から積み上げてきて、財政課長の査定があり、部長査定があり、そして副知事査定があって、県は予算を組む。国も似たようなもので、大蔵とやりとりを課長クラスからやって、主査がやり、主計官がやり、それで大臣折衝で閣議決定と。それぞれの予算をつくるのは同じですけれども、じゃ執行において結果責任でなくて、執行途中に監査委員が入るというようなことはできないんですか。
  158. 松本英昭

    政府委員松本英昭君) 監査は当該団体事務執行等を事後的にチェックするというのが基本でございます。そういうことを考えますと、執行の前にそれぞれ判断を下すことは、基本的にはその行政を執行する者や議会において議論されることだと思います。  ただ、ずっと継続してある事業を行っているような場合に、過去に執行したものの中からこれを監査して、将来こういうことが起こりそうだからそれは訂正した方がいいと、こういう指摘は今の監査制度の中でもできることだと思います。
  159. 田村公平

    ○田村公平君 地方自治、地方分権といいながら、僕はきょうカラーコピーを持ってきたんですけれども、(資料を示す)五月三日に五十ミリの雨がこの棚田に降りまして、五月七日に約一尺のクラックが入ったんです。これは平均斜度四十五度あります。ここから海岸まで百メーターなんです。回り道は徳島県まで行かないとない国道五十五号線なんです。  今、何をしておるかといいますと、県の職員と建設省の工事事務所の職員が二十名、二十四時間体制で見ておるだけなんです。僕が胃カメラのんで、それで胃に穴があいておると。どうしたらいいかわからぬから、東大の先生も呼んでこい、京大の先生も呼んでこいと言って見ておるだけなんです。ここの下の民家には避難命令が出ています。しかし、雲仙・普賢岳でも象徴的にあらわれたように、帰るんですよ、やっぱり家が心配だから。建設省の国道課は何もできないんです、この道路はまだ生きていますから。一万五千立米とも二万立米とも言われる土砂が滑り落ちて初めて国が動ける。ここは民有地なものですから、県は何もできない、これが行政の実態なんです。だから、制度を幾らつくっても魂が入らなきゃ何にもならぬというのが現状なんです。じゃ、県会議員は何をしているかというと、これ大臣と意見が合うんですよ、県会議員も何にもしないんです。  それで、土曜日に知事が見に来たんです。知事はこの近所の安芸市で自分の講演会があって、ついでに見に来た、皆さん頑張ってねと。ばかと違うか。県費で単独でおれはやると、民有地買収して、滑りそうな二万立米の土は外せということを言うのが行政のトップの責任だと思う。現場の役人にはそんな裁量権ないんです。だから、外部監査だ何だといっても、よっぽどしっかりしたことをしてあげないと、議会人がもっとしっかりしておればいいんですけれども、現実問題しっかりしていないんです。  ついでにお聞きいたしますけれども、大臣がお乗りになっている車は国産車ですね。我が高知県知事が乗っている車はベンツです、東京で乗っておる公用車。こういうベンツに乗っておるということを、車としての機能はベンツであろうとセンチュリーであろうと私が乗っておるパジェロであろうと同じなんです、しかしこれはいかがなものかということは、監査委員はどういう判断ができるか。  あるいは、昨年の話でありますが、南米に私どもの高知県から移民した移民五十周年で、その式典に知事が行った。途中いろんな国へ寄って十日間帰ってこない。去年は一年間で一カ月日本にいなかった。そういう監査は一体だれがやるのか。僕なんかNHK上がりですから、札幌に出張しろと言われたら一日行って、仕事終わったら帰ってきて、それで前渡金精算して、領収書全部つけなきゃ仕事にならぬですよ。ちょっとついでにといって函館の朝市へ行ったりすると、首になる。そういう監査は、知事部局人間がやっている限りにおいて、トップにはできない。  県会議員は知事ににらまれると、大体建設業者を兼ねている人が田舎は多いものですから、知事ににらまれたら自分の仕事に影響するので、なあなあなんですよ。地方に行けば行くほど地縁血縁の中で動いているわけです。そういう実情は自治省の役人が一番知っておるはずなんです。知っていて、審議会も何もいいですよ、審議会の原案なんて本当は役人が書くんですから、おおむねにおいて。だから、そういうことについて政治の指導性、リーダーシップを発揮していただきたい。  けさから質疑を聞いておりましたら、大臣は議会人の責任も重いということをおっしゃっていましたが、大臣の再度の決意をお伺いいたしまして、私はこれできようは質問を終わります。
  160. 白川勝彦

    国務大臣白川勝彦君) ただいまの御指摘でございますけれども、ちょうど私が就任したころこの不正経理問題が全国花盛りでございまして、なぜ警察は動かないんだろうかと。盗んだものは返したら、昔のころは泥棒になるのかなと思ったら、刑法を勉強始めたときに、返そうが盗んだ時点で窃盗罪は成立なんだと、この素朴なところはわかりませんでした。しかし、現実には返すというところで大概終わっております。  群馬県がその後どうなったかわかりませんが、たしか群馬県の知事は、返すということだけで済む問題じゃないから私は返還は求めないと、こういうことを言いましたが、田村委員が今おっしゃったようなグレーゾーンが、たまたま取り扱われ方としては不正経理というような形で扱われたんだと思うわけでございます。  今も指摘されたような点につきましていろいろあっても、監査委員監査委員としてまず本来の義務を果たしてもらいたいということに尽きます。そんなこと言ったってだめじゃないかと言いますけれども、だめじゃないかと言っても頑張るしかないのでございます。私も自治大臣に任命されましてから、本当に私はずぶの素人でございましたが、大臣になった以上は少なくともその職務を頑張ろうということで、大分自治省自身にも喝を入れたつもりでございます。  ただ、全体として言わなきゃならぬことは国会にも言えることだと思うのでございますが、私たちはよく国民の代表と言います。県議会ならば県民の代表と言っております。市町村議会ならば市民の代表と言って選挙に出て、しかもならせてくださいと言ってなったんですからその仕事に頑張るしかないと思っております。  ですから、いろんな問題があろうかと思いますが、最後はそれらをすべてひっくるめて、そのことの責任を問うような地方議会になってほしい。ですから、恨まれる筋もあるかもわかりませんが、私はあえてこの席でもそういうことを申し上げているわけでございます。  ただ、一点申し上げますと、事務方にも申し上げておるのは、四分の三の多数でなければ不信任案は通らない、しかも通っても内閣総理大臣のように辞職をする必要はないということは、やはり私はすべての一つの元凶のような気がする。これはぜひ地方分権推進委員会にも問題を提起していただき、ぜひ地方分権推進委員会でも結論を出していただきたいと思います。事務方は事務方として、地方議会がもっと住民の期待にこたえられるようにあるいは地方自治法に定められているような役割が果たせるように、どういうふうに変えたらいいかは事務当局が今勉強している最中でございます。  以上でございます。
  161. 峰崎直樹

    委員長峰崎直樹君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。  これより討論に入ります。——別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。  地方自治法の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  162. 峰崎直樹

    委員長峰崎直樹君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  小林君から発言を求められておりますので、これを許します。小林元君。
  163. 小林元

    ○小林元君 私は、ただいま可決されました地方自治法の一部を改正する法律案に対し、自由民主党平成会へ社会民主党・護憲連合、民主党・新緑風会、日本共産党、二院クラブ及び自由の会の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。  案文を朗読いたします。     地方自治法の一部を改正する法律案に対     する附帯決議(案)   政府は、地方分権を積極的に推進するととも  に、地方公共団体の適正な行政運営の確保に資  するため、左記の事項について善処すべきであ  る。  一 地方行政の公正と能率を確保し、住民の信   頼と負託に応えるため、地方公共団体が   チェック機能の向上を図り、自ら厳格なる姿   勢をもって行政運営及び予算執行の合理化・   適正化に努めるよう、助言等的確な措置を講   ずること。  二 外部監査制度の実効性を確保するため、公   会計原則、監査基準の設定等を含め、地方公   共団体の会計制度の在り方について幅広い見   地から検討すること。  三 外部監査独立性専門性・実効性を一層   強化するため、地方公共団体の共同の外部監   査機構の設置について、外部監査制度の導入   後の状況を踏まえ、さらに検討すること。  四 外部監査制度の導入とあいまって、地方行   財政の効率化・透明化を図り、住民信頼を   高めるために、現行監査委員制度について   も専門性独立性を高める観点から見直すと   ともに、住民監査請求情報公開等の在り方   について改善策を検討すること。  五 外部監査制度の実施に当たっては、より多   くの地方公共団体においてその円滑な導入が   図られるよう、制度の周知徹底、必要な財政   措置等環境整備に努めること。   右決議する。  以上でございます。  何とぞ、委員各位の御賛同をお願いいたします。
  164. 峰崎直樹

    委員長峰崎直樹君) ただいま小林君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。  本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  165. 峰崎直樹

    委員長峰崎直樹君) 全会一致と認めます。よって、小林君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、白川自治大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。白川自治大臣
  166. 白川勝彦

    国務大臣白川勝彦君) ただいまの附帯決議につきましては、その御趣旨を尊重し、善処してまいりたいと思います。
  167. 峰崎直樹

    委員長峰崎直樹君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  168. 峰崎直樹

    委員長峰崎直樹君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  169. 峰崎直樹

    委員長峰崎直樹君) 暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。  まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。白川国家公安委員会委員長
  170. 白川勝彦

    国務大臣白川勝彦君) ただいま議題となりました暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明いたします。  この法律案は、最近における暴力団をめぐる情勢にかんがみ、指定暴力団等の業務等に関し行われる暴力的要求行為の防止、準暴力的要求行為の規制、指定暴力団員の集団相互間の対立抗争時における事務所の使用制限等に関する規定を整備するとともに、暴力的要求行為として規制する行為を追加すること等をその内容としております。  以下、各項目ごとにその概要を御説明いたします。  第一は、指定暴力団等の業務等に関し行われる暴力的要求行為の防止のための規定の整備であります。  これは、指定暴力団員がその所属する指定暴力団等に係る一定の業務に関し暴力的要求行為をした場合において、当該業務に従事する指定暴力団員が当該業務に関しさらに反復して類似の暴力的要求行為をするおそれがあると認めるときは、公安委員会が、当該指定暴力団等の代表者等の一定の指定暴力団員に対し、暴力的要求行為が当該業務に関し行われることを防止するために必要な事項を命ずることができることとするものであります。  第二は、準暴力的要求行為等の規制のための規定の整備であります。  その一は、指定暴力団員は、当該指定暴力団等の指定暴力団員以外の者に対し、準暴力的要求行為、すなわち当該指定暴力団等またはその系列上位指定暴力団等の威力を示して第九条各号に掲げる要求行為をすることを要求し、依頼し、またはそそのかしてはならないこととするものであります。  その二は、指定暴力団員との間で、その所属する指定暴力団等の威力を示すことが容認されることの対償として金品等を支払うことを合意している者等指定暴力団員と一定の関係を有する者は、準暴力的要求行為をしてはならないこととするものであります。  その三は、公安委員会は、これらの禁止行為の違反者に対して、当該行為の中止を命じ、または再発防止のために必要な事項を命ずることができることとするものであります。  第三は、対立抗争時における事務所の使用制限に係る規定の整備であります。  これは、同一の指定暴力団等に所属する指定暴力団員の集団の相互間に対立抗争が発生した場合等においても、事務所の使用制限を行うことができることとするものであります。  第四は、暴力的要求行為に係る行為類型の追加に係る規定の整備であります。  これは、人から依頼を受け、報酬を得てまたは報酬を得る約束をして、債務者に対し、粗野または乱暴な言動を交える等して、金品等を目的とする債務の履行を要求する行為を暴力的要求行為に係る行為類型に追加することとするものであります。  その他、建設業法等に規定する罪を暴力的不法行為等に係る別表に追加する等所要の規定の整備を行うこととしております。  なお、この法律の施行日は、別表の改正規定を除き、公布の日から六月を超えない範囲内において政令で定める日としております。  以上がこの法律案の提案理由及びその内容の概要であります。  何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願いいたします。
  171. 峰崎直樹

    委員長峰崎直樹君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。  本案に対する質疑は後日に譲ることとし、本日はこれにて散会いたします。    午後三時十一分散会      —————・—————