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1997-03-27 第140回国会 参議院 地方行政委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成九年三月二十七日(木曜日)    午後一時開会     ―――――――――――――   出席者は左のとおり。     委員長         峰崎 直樹君     理 事                 関根 則之君                 竹山  裕君                 小林  元君                 朝日 俊弘君     委 員                 太田 豊秋君                 上吉原一天君                 鈴木 省吾君                 谷川 秀善君                 山本 一太君                 牛嶋  正君                 風間  昶君                 吉田 之久君                 大渕 絹子君                 渡辺 四郎君                 有働 正治君                 西川  潔君                 田村 公平君    国務大臣        自 治 大 臣        国 務 大 臣        (国家公安委員        会委員長)    白川 勝彦君    政府委員        警察庁長官    國松 孝次君        警察庁長官官房        長        野田  健君        警察庁長官官房        総務審議官    山本 博一君        警察庁生活安全        局長       泉  幸伸君        警察庁刑事局長  佐藤 英彦君        警察庁交通局長  田中 節夫君        警察庁警備局長  杉田 和博君        自治大臣官房長  谷合 靖夫君        自治省行政局長  松本 英昭君        自治省行政局公        務員部長     芳山 達郎君        自治省財政局長  二橋 正弘君        消防庁長官    佐野 徹治君    事務局側        常任委員会専門        員        佐藤  勝君    説明員        経済企画庁経済        研究所次長    堀   一君        運輸省鉄道局業        務課長      宿利 正史君     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○平成九年度一般会計予算内閣提出、衆議院送  付)、平成九年度特別会計予算内閣提出、衆  議院送付)、平成九年度政府関係機関予算(内  閣提出、衆議院送付)について  (総理府所管警察庁)、自治省所管及び公営  企業金融公庫) ○道路交通法の一部を改正する法律案内閣提出  )     ―――――――――――――
  2. 峰崎直樹

    委員長峰崎直樹君) ただいまから地方行政委員会を開会いたします。  昨三月二十六日、予算委員会から、三月二十七日の午後半日間、平成九年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、総理府所管のうちの警察庁自治省所管及び公営企業金融公庫について審査の委嘱がありました。  この際、本件を議題といたします。  本件に関する説明は既に聴取しておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  3. 上吉原一天

    上吉原一天君 まず、消防庁にお伺いをいたします。  私は、前回の二月二十一日の地方行政委員会におきまして、阪神淡路大震災に関連しまして、発生から丸二年が経過をしたこの中で、災害に対する政府のお取り組み状況について御質問をいたしたわけでございます。  この二年間に、政府においては災害対策基本法等関係法令の改正、それから防災基本計画の改定、そして官邸機能の強化などを行われたようでございますし、また地方団体におきましても、地域防災計画の見直しを初めとしまして、防災拠点整備を進めるなどさまざまな防災対策に力を注いできたというふうにお聞きをしております。  今回は、消防庁において講じられました施策のうち、ヘリコプター問題に絞って質問をいたしたいと思うわけでございます。  御承知のとおり、ヘリコプターは非常に高速で飛行できる上に、空中停止、これはホバリングというそうでございますけれども、この空中停止垂直離着陸が可能であるというようなすぐれた特性を持っておりまして、消防防災活動上極めて有効なものだというふうに言われております。阪神淡路大震災では救援物資医薬品搬送医師救助隊員などの人員輸送負傷者などの救急搬送などにヘリコプターが使われまして、その有用性が改めて実証されたわけでございます。  こうした背景から、地方公共団体におきましても、ヘリコプター整備機運が急速に高まったと聞いております。この機運は非常に望ましいものでありまして、私といたしましても、今後とも消防防災ヘリコプター全国的配備推進していく必要があると考えております。  そこで、お伺いをいたしたいわけでございますが、平成八年度末で都道府県及び政令市等消防本部整備される消防防災ヘリコプターはどのくらいになるのでしょうか。また、あわせてその利用状況がどうなっているか、お伺いをいたします。
  4. 佐野徹治

    政府委員佐野徹治君) 今お話がございましたように、ヘリコプターはさきの阪神淡路大震災におきましても、負傷者救急搬送だとか、食糧なり医薬品等物資輸送だとか、それから医師だとか救助隊員等人員輸送、こういったいろんな業務に従事をいたしまして、その機動的かつ広域的な活動能力が改めて認識されたところでございます。  その結果、消防防災ヘリコプターの導入につきましては、各地方公共団体におきまして積極的に進められているところでございますが、平成八年度末で全国で五十八機が整備される予定でございます。それからまた、利用状況についてでございますけれども平成七年の消防防災ヘリコプター活動状況について御説明申し上げますと、火災出動件数が七百四十三件、救助が二百三十九件、救急が三百八十九件、その他が六百九件となっているところでございます。
  5. 上吉原一天

    上吉原一天君 今のお答えにありましたように、ヘリコプター、大変な活用をされておるということでございますけれども、ちょっと足らないのではないかと思うのは救急への活用状況でございます。万一大きな災害が起こった場合には、その近隣の各地方公共団体間の相互支援体制というのが当然とられるのではないかというふうに思いますけれども、この場合には複数のヘリコプター活用の仕方、こんなことも考えていかなければならないんだというふうに思います。  阪神淡路大震災の際にも、救急活用されたというふうには聞いておりますけれども、その災害発生当日、これの救急搬送というのはたった一件でしかないというふうに伺っております。これでは十分な活用というわけにはいかないと思うんですけれども、これはどういうところに原因があったんでしょうか。どう分析しておられるか、お伺いをいたしたいと思います。
  6. 佐野徹治

    政府委員佐野徹治君) 阪神淡路大震災のときのヘリコプター利用状況でございますけれども、全体的なことを申し上げますと、十六団体二十七機の消防防災ヘリコプター救援物資なり医薬品等搬送それからまた救急搬送等活用されたところでございます。このうち救急搬送につきましても、一月十七日から三月三十一日までの間では百二件ございまして、かなりの成果を上げているところでございます。  ただその一方で、御指摘のとおり震災発生の当日には二機のヘリコプター救急搬送用に待機をいたしておりましたにもかかわらず、実際に搬送されましたのは他の用務で出動いたしましたヘリコプターによる一件のみでございましたように、震災発生当初におきましては必ずしも有効に活用されなかった面がございます。その原因といたしましては、震災発生直後の混乱のほか、我が国におきましては、離島からの搬送を除いて欧米ほどヘリコプターによる救急搬送一般化されておりませんで、その要請方法等につきまして医療関係者等に周知されていなかった、こういったことが考えられるのではないかと思っております。
  7. 上吉原一天

    上吉原一天君 今のお話にもありましたように、ヘリコプター活用状況、しかも救急に限って言えば離島活動中心になっているという傾向が否めないということだそうですけれども、これではやはり宝の持ちぐされという感がしないわけではないわけでして、今後は平常時におきますヘリコプター救急搬送、これを十分考えていく必要があるのではないかと思います。  また、これと絡みまして、平成八年の三月に総務庁の方から出されました「交通事故における救急ヘリコプター実用化に関する調査研究報告書」という報告書の中でも、交通事故患者救命効果の向上、これにヘリコプターによる救急搬送は有効であるという指摘がなされているわけでございます。また、これからの高齢化社会の進展を考えるならば、ヘリコプターによる救急業務というのは不可欠なものと思われますので、消防庁におけるヘリコプター救急業務現状に対する認識、そして今後の有効活用の方策についてどのような考えをお持ちなのか、お伺いをいたします。
  8. 佐野徹治

    政府委員佐野徹治君) ヘリコプターによる救急搬送についてでございますけれども平成五年が百九十五件、平成六年が二百六十九件、平成七年が三百八十九件と、ヘリコプター整備が各県で進められるのと合わせまして増加をいたしております。その内訳は東京消防庁だとか島根県などによる離島からの搬送が主なものでございます。  私ども消防庁におきましても、阪神淡路大震災教訓等を踏まえまして、ヘリコプターによる救急業務推進していく必要があると考えておりますが、昨年、都道府県消防機関厚生省医療関係者等をメンバーといたしますヘリコプターによる救急システム検討委員会設置いたしまして、実施主体、それから出動基準医療機関との連携体制臨時離着陸場整備、こういったことにつきまして検討を行い、昨年の十二月にその報告を受けたところでございます。今後はこの報告を受けまして、これらの問題点につきましての推進に積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
  9. 上吉原一天

    上吉原一天君 今のお答えにありましたように、ヘリコプターの問題、そして救急の問題はひとり消防庁の問題だけではありませんので、関係省庁と連絡をとりながら拡充に努めていただきたいというふうに思うわけでございます。  いずれにしましても、これから近い将来ヘリコプターを導入する自治体というのは確実に増加をしていく傾向にあろうかというふうに思います。大規模災害時におきますヘリコプター救急搬送はもとより、先ほども御質問いたしましたけれども、平常時における救急搬送についてもヘリコプター活用を十分考慮する必要があるだろうというふうに考えます。  ただ、実際ヘリコプターによります救急業務推進するに当たりましては、操縦士育成確保をどうするか、それから定期点検時の予備機の問題、かなり頻繁に点検をしなければいけないというときの予備機の問題、それから都市部において特に問題になりますけれども離着陸場確保の問題、どこに確保するか、それからまた救急には欠かせない医師ヘリコプターへ同乗させることができるのかどうか、そしてまた搬送を終えた後の医療機関との連携の問題、こういったいろんな問題があろうかと思います。  消防庁としては、これらの課題につきまして、実際上どのような運用で対応をしていくつもりなのか、お伺いをいたしたいと思います。
  10. 佐野徹治

    政府委員佐野徹治君) 先ほど申し上げました昨年十二月のヘリコプターによる救急システム検討委員会報告書、これを受けましてヘリコプターによる救急出動を迅速に行うための判断基準マニュアルづくりだとか、ヘリコプターに搭乗する医師確保のための医療機関との連携体制推進、こういったことを指導しているところでございます。  また、昨年の一月に全都道府県ヘリコプターを保有いたします大都市、これらによりまして全国航空消防防災協議会が結成されておりますけれども、ここで点検整備等運航不能期間対策だとか、航空隊員等研修体制の充実だとか、離着陸場確保、こういったことにつきましてこの協議会検討が進められておりまして、特に運航不能期間につきましては、近隣団体間における相互補完体制を確立するための協定案、こういったものも作成をいたしたところでございます。  今後とも都道府県消防機関等連携を図りながらヘリコプターによる救急業務を積極的に推進していく考えでございます。
  11. 上吉原一天

    上吉原一天君 今、ヘリコプターにつきましていろいろお尋ねをしたところでございますけれども大臣、このヘリコプター整備の問題につきましてどんなお考えなり御感想をお持ちなのか、お聞かせいただければありがたいと思います。
  12. 白川勝彦

    国務大臣白川勝彦君) ヘリコプターによる救急業務推進することは極めて大切なことだと思っております。医療機関との連携離着陸場確保などいろいろ課題はありますが、関係省庁あるいは医師会地方公共団体とも連携をしながら、ヘリコプターによる救急業務が円滑に行われますように積極的に努力してまいりたいと思っております。
  13. 上吉原一天

    上吉原一天君 ぜひそのような方向で取り組んでいただきたいということをお願いいたしておきます。  次に、地方分権推進に関しまして、特に中核市の問題を中心にお伺いをいたしたいというふうに思います。  まず、中核市ですけれども、これは昨年、平成八年の四月に十二市が指定をされまして、またことしの四月から五市が新たに追加をされるということで、自治制度一つの大きな枠組みとして本格的に動き出しつつあろうかと思います。ちょうど満一年がたつわけですので、この中核市制度につきましてもし大臣としての評価があれば、評価あるいは御感想をお聞かせいただければと思います。
  14. 白川勝彦

    国務大臣白川勝彦君) 委員御案内のとおり、中核市制度は原則として県が行う業務大半を、中核市という前提はございますけれども基礎的地方公共団体である市が行えるという、これはかなり一歩踏み込んだ大きな制度改革だったと思っております。  そして、かなり大きな市でございますけれども、そういうふうなことを自分たちの市でやりたいという中核市を希望するところが多いということに私は大変心強いものを感じております。言うならば、本当の意味での基礎的地方公共団体である市町村中心になっていくという、ある面では旗手としての役割を果たしているわけでございます。  今までの地方行政委員会の中で、現在いろいろ取りざたされております地方に対する権限移譲の問題がどうしてもすとんと市町村には落ちない、どうしても県どまりになってしまうと多くの人たちが危惧を抱いている点があるわけでございます。  この中核市というようなところで、市町村でも十分できるんだというきちんとした実績をつくっていただくことが、現在のような中核市制度市町村をつくるということはなかなか難しいと思いますが、場合によっては、それよりももう少し小さなところでも国から県に当座は移譲されることになるものが市町村でも十分できるんだと、そういう希望を持たせてくれる可能性を秘めていることなので、この中核市制度が定着して、これがさらに中核市ほど規模が大きくなくてもこのくらいの規模があるならば十分できるんじゃないかと、こういうような方向というのは模索していかなければならない今後の課題だと思うわけでございます。  そういう面で、中核市指定を受けたところが本当にこの制度を生かして、大半のことは市町村でできるんだというよき模範を私はつくっていただきたいと期待しているところでございます。
  15. 上吉原一天

    上吉原一天君 まだ発足してから一年なので、具体的な事務の流れなんかについては戸惑いがあるかもしれません。しかし、ただいまの大臣の積極的な評価そして期待というのはこれから地方分権を進める上で大きな後ろ盾になるものだというふうに思います。  今お話もありましたけれども、この中核市指定に当たりまして、多くの該当の市とそれから県との間でいろんな問題を解決しなければならなかったというふうに思うわけです。現実の問題としてどのような問題が発生をしておったのか。そして、今大臣おっしゃいましたように希望する市が多いということでございますけれども中核市要件該当しながらいまだに指定申し出をしていない市が現実に十一か二あるわけでございます。これはどのような事情によるものなのか、お伺いをいたしたいと思います。
  16. 松本英昭

    政府委員松本英昭君) 現在、中核市指定要件該当する市が二十八ございまして、実は平成七年の国勢調査の昼夜間人口比が近く発表になりますと、一つふえることになっております。今のところ二十八と申し上げておきます。そういうことで、先ほどお話がありましたように、現在、来年度から指定されます、指定というか施行されます市も合わせまして十七が動くわけでございますが、十一まだ残っているわけでございます。その中で四市は今年中に申し出を行うべく準備を進めていると聞いております。問題は残りの七市でございますけれども、七市につきましてもそれぞれ市の内部に中核市移行に関する調査研究会等を設けておりまして、今後、中核市に向かって準備を進めていかれるものと思っておるところでございます。  現実中核市になられましたところのいろんな御苦労お話を聞かせていただきますと、これは保健所設置しておったところと保健所設置していないところとでかなり差があるようでございまして、保健所設置しておらなかったところに新たに保健所設置する、そして保健所設置市としての市及び市長の業務を行うということになってまいりますので、府県との間の保健所の管轄の問題とかあるいは職員の移管の問題、そういう点でかなり御苦労があったやに聞いております。  そのほか一般的には、屋外広告物条例をつくるとかそういうような事務が新たにつけ加わりまして、それなりの御苦労はあったように聞いております。ただ、一般的には大変スムーズに移行したというように見ておりまして、私どもも喜んでいるところでございます。  今後の問題も、保健所設置をしておらないところが残っているのが多いわけでございまして、そういう観点から特に厚生省との調整等がいろいろ問題になっていくんだろうというように考えております。
  17. 上吉原一天

    上吉原一天君 そうすると、今のお答えのように、四市については申し出準備中、七市についても近々申し出をしたいという意向を持っているようだということでございますけれども、これはいつぐらいまでをめどにそういったことが進められるんですか。指定というのは時期があるんでしょうか。
  18. 松本英昭

    政府委員松本英昭君) 中核市指定の時期はございません。いつまでにということはございませんので、それぞれのところで御検討いただいて、そして手続に沿って申請をしていただき政令で定めると、こういうことになろうかと思います。  今申し上げましたように、既に四市につきましては今年中にでも手続を進めたいという気持ちをお持ちのようでございます。その他の七市、今度一市加わりますと八市になりますけれども、そういうところも恐らく準備を進められると思いますが、この時期につきましてはそれぞれ事情がございますので、私どもまだいつというふうに特に七市については伺っているわけではございません。
  19. 上吉原一天

    上吉原一天君 時期の問題は次の問題とも関連しますので、そちらでもお聞きしたいと思うんです。  地方分権前倒しでやれというような時世の中でゆっくりやっていていいのかなという気がしますので、次の関連の中で御質問したいと思います。地方分権推進受け皿としての中核市役割の問題、位置づけの問題をお尋ねしたいと思います。  中核市制度の基本的な出発点というのは平成五年の地方制度調査会答申だと思いますけれども、この答申にありますように、地方分権推進のために社会的実態としての規模能力が比較的大きな都市についてこの制度を創設するということだったかと思います。  これは都市あるいはその都市生活の発達、こういった中で自己完結的な、それだけの自治体で完全だというような自己完結的な基礎的な自治体というのがなくなってきているという実態に対処して、何とか柔軟にこれに対応しようということだというふうに考えておりますけれども、複雑につながり合っております都市化した地域現状の中で、住民自治あるいは団体自治としての機能をいかに担わせるかという問題は決して特例的な制度でクリアできる問題ではなくて、地方分権一般市町村の取り扱いと並行して考えるべき将来に大きな影響のある問題だというふうに考えるわけでございます。  このように単純にえいやっと割り切れなくなりました基礎的自治体適正規模、こういった視点に立って考えますと、中核市というのが果たすべき役割は大きいし、またこの位置づけが今後の方向に大きなウエートを持ってくることは言うまでもありません。  ここにおきましては、私は、分権受け皿としましては行財政能力、これも必要でしょうけれども、むしろそれよりは規模の問題、これがほとんど唯一と言っても過言ではないほど重要なんじゃないかというような気がするわけです。  ですから、そういいますと、簡単に言えば人口要件だけでいいんじゃないか。これは進みますと、私は、本当は極論すればこの人口要件もさらに緩和していいのではないかというふうに思います。  先ほど大臣お話にもありましたように、もっと小さい団体についてもできるだけ分権実験といいますか、実績を積み上げるという方向考えたいということでございますので、私どもとにかく人口もどんどん緩和してもいいんじゃないかというような気を持っておるわけですけれども、とりあえず現在の人口要件考えますと、現在は政令指定都市以外で外されている、四番目に大きいんでしょうか、相模原市あるいは船橋、東大阪、これは何か面積要件で落とされているわけですね。それから、先ほどお話ありましたが、松戸、浦和、枚方、こういうところは昼夜間人口比率中核市になれないということになっております。  私は考えますと、これらの都市というのは先進都市該当をして、住民の身近な行政取り組みについては他の自治体模範となるようなところまで進んでいるんじゃないか、こんな気がしているんですけれども、こういった分権受け皿としては最適だというふうに思われます都市が三要件該当しないということで落とされているということでは、本当に地方分権、いろいろ実験を重ねてやるといっても欠けるところがあるのじゃないかなというふうな気がするわけです。  これは複合的に発達しました大都市圏における大規模自治体のあり方の分析、認識、ちょっと整理できていないんじゃないかなというふうに思うわけです。早目にその要件を押さえたりしませんと、地方分権前倒し、スピードが間に合わなくなつちゃうんじゃないかという懸念を持たざるを得ないわけですけれども、この辺についてどうお考えでしょうか。
  20. 松本英昭

    政府委員松本英昭君) ただいまございましたように、中核市要件人口とそれから面積というのを絶対要件にしつつ、人口が三十万から五十万のところに関しては昼夜間人口比一・〇以上と、こういう要件を加えているわけでございます。  もともと、この中核市制度をいろいろ地方制度調査会等検討いたしました際に、この面積要件をとりましたのと昼夜間人口比率をとりましたのは若干理由が違っておるわけです。  面積要件は、今の市町村行政というのは人口面積というものが一つの需要の基準になっている二大要素だろうと、こういうことでございまして、それは地方団体として行政のまとまりということを考えれば一定の面積というものも要件として考えるべきであろう、現にいろいろなところで面積をもって基準を決めているものもあるではないかと、こういう発想だったと思います。  それから、昼夜間人口比率の問題は、これは実は中核性という要件から来ておりまして、五十万以上の都市につきましては、これはもう文句なしにこの要件考えなくていいだろう。問題はそれ以下のところで、それでもやはり中核市指定した方がいいところがある。それは何かというと、その都市地域における機能というものが社会的実態としてスビルオーバーしているという実態があるところは必ずしも五十万の人口がなくてもいいんじゃないかということで、三十万から五十万というところに一・〇以上の昼夜間人口比要件をかけると、こういうことにしたということでございます。  ただ、委員が今御指摘のように、このことにつきましてはいろいろと御議論もございますし、これからの市町村中心とした分権ということを考えていきます際には、この点もいいのかどうかということも十分検討をしてまいるべきことではないかというようには思っております。  ただ、現在、先ほどからも出ておりますように、中核市制度としては要件該当する市がまだ全部指定されておりませんので、それはそれとして、この中核市制度の運用を図りながら、地方分権の動向等も勘案して、ただいまの要件の問題なり、人口にしてもさらに少ないところにでもおろせる権限はおろしていいではないかというような考え方もあるわけでございますので、そういう点を総合して考えていかなきゃならないだろうと。この点については地方分権推進委員会においてもただいまいろいろ御議論をいただいているやに私どもも聞いているところでございますので、この指針勧告等も勘案しながら検討をしてまいりたいというように考えております。
  21. 上吉原一天

    上吉原一天君 現在の指定が非常に数少ない、その中で地方分権推進役、リード役として役割を期待したいと、何か割り切れないんですよ。もしリード役であれば、地方分権というのは一般市町村まで全部やるんでしょう、区分けするんですか、全部の市町村該当するならば、面積要件、昼夜間人口、これ関係ないと思うんですね。  ですから、先ほど言いましたように、この中核市というのをどう位置づけるか、これはこれで生んだらもうそのままよというのか、あるいはこの中核市を本当の地方分権の中に取り組んで中心役割を担わせてやっていくのか、そこの考え方が議論の分かれ目だと思うんですね。早くやれ早くやれと言いながら、何かゆったりして、要件もこれから考えていきますというんでは物足りない。もう一度お願いします。
  22. 松本英昭

    政府委員松本英昭君) ただいま申し上げたところでございますが、中核市制度というのは、実際の事務実態保健所設置関係が非常に深い事務が多いわけです。保健所そのものの事務もそうでございますし、それから衛生関係事務、それから環境保全の関係事務、これらが実は保健所機能と密接に結びついております。  したがいまして、中核市制度というものを考える際には保健所機能というものと切り離しては考えられないだろうと私ども考えておりまして、その保健所機能というものが果たしてどの程度までおろせるか、人口等について考えられるかということ等十分勘案をしていく必要があるだろうと思っておるわけです。  ただ、ここから先なんですが、そうかといってそれに引きずられたのでは、委員が今おっしゃるように、さらにそうでなくてもおろせる機能規模の比較的大きなところにおろしていけない、あるいは一般市町村におろしていけないということになってはいけませんから、それはそれとして、そういうことに引っ張られることなく、規模の程度に応じておろせるものは何があるだろうかというようなことを私ども今真剣に考えておりますし、先ほどから大臣も御答弁のとおり、一般市町村中心、これからの権限移譲市町村中心にして行っていくべきだという基本的考え方のもとに事務の配分ということを考えていくと、この立場は理解をいただきたいと思うところでございます。
  23. 上吉原一天

    上吉原一天君 最初の大臣の答弁が非常にすばらしいんですよ。私は、事務当局の答弁よりも大臣お答えになった、小さいところも実験を積み重ねて早目にやると、こういう姿勢でぜひ取り組んでいただきたいと思います。  それで、最後になりますが、地方分権に関しまして三月の二十五日、経済企画庁から「地方分権化時代における地方財政のあり方に関する研究」というレポートが公にされまして、新聞などで拝見をいたしました。  この中で、地方財源の問題それから地方政策決定の問題など興味ある提言がなされているようでありますけれども、これはどのような研究会の提言であるのか、またポイントはどこにあるのか、経企庁にお尋ねをいたしたいと思います。
  24. 堀一

    説明員(堀一君) 御指摘の「地方分権化時代における地方財政のあり方に関する研究」につきまして御説明させていただきます。  この研究は、外部から客員としてお迎えいたしました林宣嗣関西学院大学教授を中心に経済研究所が所要の研究支援を行って取りまとめたものでございます。  今回の研究に限らずこのような研究はすべてこういうふうに性格づけをいたしておりますけれども、この研究成果は同教授を中心とするチームの研究試論として位置づけられるものでございまして、経済研究所及び経済企画庁の公式の見解というようなものではないということをまずお断りさせていただきます。  この研究におきましては、経済学的な手法を用いて多様な内容の分析、指摘が行われております。大変多様なものでございますので、詳細に御説明すると時間の制約がございますので、ちょっとかいつまんで御紹介させていただきます。  まず第一点といたしまして、財政活動による県別の受益、負担の傾向を見ますと、国の支出による受益は西日本で高い、負担は大都市圏で高い、大多数の県は受益が負担を上回っておる、八〇年代以降、国の支出による再分配効果が強まっているというような内容でございます。  第二に、地方の財政支出に及ぼす国庫補助金の効果につきましては、教育投資への支出促進効果が大きいということでございます。  第三に、現在の補助金の約四割が一九五四年以前に創設されている等の特徴がございます。  第四に、地方税源の拡充が必要であるというような内容となっております。  なお、第二点に関連いたしまして、研究の一環として試算を行いましてこれが新聞等でも紹介をされておりますが、この試算について簡単に御説明いたしますと、仮に補助金を一般財源化した場合、地方の財政支出がどう変わるかについて経済モデルを用いた分析というものでございます。  このモデルは、まず地方公共団体の財源として使途が自由な一般財源と一定の支出にリンクした補助金を考慮し、次に、支出については地方団体が各支出ごとにまずミニマムの支出を行い、さらにそれを超える分についてはその地域の経済的満足度を最大にするような支出パターンをちゃんと決められる、こういう前提に立ったモデルでございます。このモデルを用いて一定の前提のもとに各支出に対する補助金をすべて一般財源に振りかえた場合、支出パターンがどうなるか、こういうことについて計算をした結果でございます。
  25. 上吉原一天

    上吉原一天君 ありがとうございました。またそれは勉強して取り組みたいと思います。  最後に、ちょっと細かい問題になりますけれども地方交付税の基準財政需要額の算定に当たって用いられます寒冷度補正について質問をいたします。  この制度は、地方の寒冷による財政需要の落差を補正するものでございまして、全国ベースでその影響額は五百二十億円程度と見られておりますけれども、この制度が有効に機能しているかどうかは多くの市町村にとって交付税額算定の適切さに大きな影響を持つというふうに考えます。  寒冷差による地域区分は、地方交付税に関する省令別表第四の(1)に規定されますけれども、それが全国の測候所、気象台の測定結果などによって昭和二十六年から三十三年間のデータ等をもとに寒冷の指数をプロットとしてつくられた寒冷図に従い、それぞれの市町村の市役所、役場の位置する場所の指数を六ずつ区分して定めたものというふうに理解をしております。このため、全国的にはおおむね妥当な区分と言えそうですけれども、各市町村を見るとどうもそうは言えないところも散見されます。  例えば宮城県などは一級しかない。ところが、そこに有名な豪雪地帯の山間部があるわけですね。それから、栃木県では鹿沼、今市、真岡市、二宮など、地元としては随分体感温度の違う地域が同列の一級に指定をされておりますけれども、今市、私の出身なんですが、山側とか藤原町なんかはかなり寒い感じがしているんですね。本当は寒冷度補正の違いが必要なほど格差があるのではないかと思います。  そうすると、寒冷図に従った指定の仕方が現状に合っていないんじゃないかというような気がするんですが、寒冷度補正の地域区分の見直し、これは随時行われていると思いますけれども、どのようにお考えでしょうか。
  26. 二橋正弘

    政府委員(二橋正弘君) 寒冷補正につきましては、ただいま委員からいろいろお話がございましたように、寒冷地帯におきます暖房費用等の増加財政需要につきまして級地区分に応じた割り増し算入を行うというものでございます。  この級地区分につきましては、気象庁が公表いたします全国の気象観測地点におきます気象観測資料、おおむね三十年間のデータを集めた資料でございますが、これに基づいて見直しを行っているところでございまして、現在の級地区分は昭和六十一年度算定から適用しているところでございます。  基本的に気象庁の公表いたします公信力のあるデータに基づいて級地区分を行う必要がございまして、次回の見直しにつきましては、次の気象観測資料が公表されてからその見直しを行ってまいりたいというふうに考えております。
  27. 上吉原一天

    上吉原一天君 終わります。
  28. 風間昶

    ○風間昶君 平成会の風間です。  まず、警察庁にお伺いしたいんですけれども、八年度の警察白書をざっと見まして、警察庁の徹底した取り締まりによって国内のテロ、ゲリラというものの検挙数は減っているということは承知しておりますが、右翼、極左を含めて発生の認知件数はどうなっているのか、八年度のデータを教えていただきたいと思います。
  29. 杉田和博

    政府委員(杉田和博君) 平成八年度中におきますところのテロ事件の発生は、極左暴力集団によるものが五件、それから右翼によるものが七件、合計十二件でございます。
  30. 風間昶

    ○風間昶君 そうすると、減ってきているというととです。そうしましても、テロの防止策としていろいろあると思うんですけれども、予算上どういうふうに記されているのか、教えていただきたいと思います。
  31. 杉田和博

    政府委員(杉田和博君) テロ防止対策のための予算ということでございますけれども、私どもといたしましては、テロ等重大、特異な事案対策、これを強化いたしますための経費といたしまして、今回の予算案の中で二百七億八千九百万円の予算をお願いしておるところでございます。  具体的に重立ったものを申し上げますと、あらゆるタイプのいわゆるテロ、こういうものに対応するための装備資機材の充実、さらにまた突発的なハイジャック等の重大事案、こういうものに対応するための部隊、SATがございますけれども、このSATの訓練施設の整備、さらにまた一年後に迫っております長野オリンピックのための警備の措置、こういうものの経費、こういうものが主なものでございます。
  32. 風間昶

    ○風間昶君 それでは、平成四年の三月一日に暴力団対策法が施行されて以後四年が経過しておりますけれども、暴力団が関与している犯罪が余り減少していないというふうに私は認識しているんです。この三年間で見ますと、五年、六年、七年と、暴力団勢力の検挙人員も三万三千人台というふうになっておりますが、このことに関して警察庁としてはどういうふうに認識されておりますか。
  33. 佐藤英彦

    政府委員佐藤英彦君) 今御指摘のように、この三年ほどは三万三千人ぐらいの検挙人員で推移いたしております。委員御案内のとおり、犯罪の主体に着目いたしました統計数字の場合には、犯罪が発生をいたしまして、それを警察が認知した時点ではその主体がだれであるかわからないのでございます。したがいまして、検挙活動を行って、検挙の結果それが暴力団であったということが確定すると、そういう性格がございます。したがいまして、私どもは検挙人員を主体にして、その検挙活動の推移及び暴力団の犯罪の推移を見るというぐあいにいたしておりますけれども、冒頭に申し上げましたように三万三千ぐらいで推移しているということでございます。  したがいまして、これをどう見るかというお尋ねでございますけれども、この結果暴力団にどれだけの打撃を与えることができたかという観点で見るべきかというぐあいに存じます。そういう点で申し上げますと、平成四年に暴対法が施行されまして、したがいまして平成三年末と現在とを比較いたしてみますと、約一万人ぐらい暴力団の構成員並びに暴力団勢力全体の数が減っております。  したがいまして、暴力団対策法を制定いただきまして、その効果とそれを受けました私どもの取り締まりの成果としてそのような結果を生むことができたのではないかというぐあいに考えております。
  34. 風間昶

    ○風間昶君 では、そのうち重点対象の三団体の関与した件数及び検挙者というのは、八年度どうなっていますか。
  35. 佐藤英彦

    政府委員佐藤英彦君) 三団体で見ますと、三団体すなわち山口組、稲川会及び住吉会の三団体かと存じますけれども、この三団体で勢力がおよそ三分の二を占めております。その検挙件数は平成八年は四万三千六百件余でございます。また、検挙人員は二万三千六百人余でございます。
  36. 風間昶

    ○風間昶君 なるほど、これらの組織を壊滅に追い込むための方針は、この白書でも暴力団総合対策の三本柱を掲げておりまして、基本的にこれが方針だと思うんですが、どこを重点的にやるのかということについては警察庁としての取り組みはいかがですか。
  37. 佐藤英彦

    政府委員佐藤英彦君) 御指摘のように、私どもかねてより三本柱、すなわち暴対法施行以来、取り締まり、暴力団対策法の適用、そしてこの法律を契機といたしまして高まっております国民によります暴力団の排除運動といいますもの、この三本柱で進めてきておりますけれども、これを継続いたしますほか、特に近年は金融、不良債権問題、これに絡む問題に資金源対策として暴力団が介入をしてきているということが顕著でございますので、これに私どもの勢力をシフトして現下の重要課題に対処をしていくということなど、その折々の重点に私どもの取り締まりの勢力を割り振るというようなことなどをやって、この三本柱を効果的に推進してまいりたいというぐあいに考えております。
  38. 風間昶

    ○風間昶君 次に、覚せい剤、麻薬などの薬物事犯で、特に主婦層それから少年層への広がりが憂慮されるところです。総合的対策をされていらっしゃると思いますが、そういう部分も白書に書いてありますけれども、むしろ主婦層なら主婦層に対してどういう重点対策をするのか、あるいは少年層への対策はどういうふうなことを重点的に対策として考えていらっしゃるのか、教えていただきたいと思います。
  39. 泉幸伸

    政府委員(泉幸伸君) 御指摘のとおり、覚せい剤を中心とする薬物問題、主婦、少年層に深刻な問題になっておると認識しております。これに対する対策としましては、主婦、少年に限らず、一般的には薬物の供給源に対して厳しく取り締まる、また乱用者に対して厳しい態度で臨むというのが共通する対策であろうと思いまして、そのような取り組みをしております。  さらに、主婦層に対する広報啓発活動、さらには少年に対しては学校に警察官を派遣して、少年、児童生徒を対象とした薬物乱用防止教室を積極的に開催するなどのきめ細かい対策を実施していくつもりであります。
  40. 風間昶

    ○風間昶君 実際、それはされていらっしゃるんですか。
  41. 泉幸伸

    政府委員(泉幸伸君) 今申しましたことは現に実施中でございます。
  42. 風間昶

    ○風間昶君 それでは、少年犯罪ですけれども、十年前まではかなり多かったのが減少して鎮静化を保っているという認識でありますけれども、その中でも特に十六歳の検挙、補導数についてはずっとこの五年間ふえ続けているわけで、十六歳というと、高校受験を終えて解放感が非行なり犯罪に走らせるということも一因かと思われます。  この中にも書いてございますが、補導活動だとか福祉犯取り締まりだとかあるいは相談活動とか有害環境の浄化だとかボランティア委嘱などいろいろありまして、十六歳の方々が二四%を占めているわけで、警察として例えば今学校に行って云々と話がありましたけれども、警察官が行って何をやっているかということがわからないんです。むしろ、高校と協力して犯罪防止セミナーとか、あるいは逆に高校生の人に一日警察官になってもらうとかというような、要するに警察が市民なり住民生活の大事な仕事になっていることを認識してもらうためにもいいんじゃないかと思うんですけれども、もうちょっときめの細かい、十六歳に照準を合わせた対策というのを考えられないのか、考えていらっしゃるんだったら教えていただきたいと思うんです。
  43. 泉幸伸

    政府委員(泉幸伸君) 先ほど申しました薬物を初めそのほかの犯罪防止という観点からの御質問だと理解いたしますが、警察活動一般的な広報はやっておりますが、私の知る限り、十六歳あるいは高校生を一日警察官として行う広報というのは承知しておりません。ただ、今御指摘の点は大事な点だろうと思います。今後いろんな形で工夫していく中で検討してまいりたいと思っております。
  44. 風間昶

    ○風間昶君 僕なんかも学生のときに、警察官の顔を見るともうおっかなくて目を合わせられないという、何か知らぬけれども、何も悪いことをしていないんだけれども目を伏せてしまうということがあるわけで、そういう意味では名前を交番に変えたわけですから、お巡りさんという名称にも変わったわけですから、中身をもうちょっと、むしろ一生懸命やっていらっしゃるのが逆に怖さを呼んでいるというようなことのないようにしていただければありがたいと思います。  次に、銃器事犯のうち、押収されたけん銃の製造国別の推移というのが出ているんですけれども、だれが絡んでいるのか。つまり日本人でなくて外国人が絡んでいるのが相当あると思うんですけれども、その外国人が関与している国別の内訳というのは出していないんですけれども、そこはどうなのか、一つ教えてもらいたい。  それからもう一つ、密輸入を食いとめるための水際作戦についていろいろ書いてあります。押収に占める割合が数%と非常に低いという理由として、国際交流の著しい活発化だとか、あるいは密輸ルートが今までのと違ったところに来ているとか、手口が巧妙化したとかいろいろ挙げています。とりわけ聞きたいのは、平成八年、去年の五月に国際銃器対策官を新設というふうに書いてありますけれども、この実態はどうなっているのかを含めて、外国人が関与している国別内訳、それから密輸入を食いとめる対策について一つ、それからもう一つは国際銃器対策官なるものがどんなふうになっているのか、教えていただきたい。
  45. 泉幸伸

    政府委員(泉幸伸君) けん銃につきましては、押収されたものの九割が外国製であるという御指摘はそのとおりでありまして、これらにつきまして国内で検挙をしておるわけでありますが、平成八年金検挙人員の、九百十三人検挙した者のうち、外国人につきましては三十九人という割合であります。この三十九人の国別の統計というのは実はとっておりませんのでその数は出ないのを御容赦願いたいわけですが、個々の事件報告で見る限り、アメリカ人、中国人、フィリピン人などが検挙されておるという状況であります。  国際銃器対策官についての役割ということでございますが、銃器問題は、御案内のとおり国際的にもそれぞれの国において大きな治安問題として取り上げられております。それに伴いまして、P8の会合その他銃器対策国際会議等の国際的な協調した取り組み検討というのが非常に大事になってきておりまして、我が国でも昨年の秋、銃器対策国際会議を開催いたしました。御質問にありました銃器対策官につきましては、そのような会議、国際協力等をメーンの仕事として活動しているところでございます。
  46. 風間昶

    ○風間昶君 何人いらっしゃるんですか。
  47. 泉幸伸

    政府委員(泉幸伸君) 警察庁の銃器対策課に対策官は一名でございます。
  48. 風間昶

    ○風間昶君 一名ですべての国際会議に出ていって実のあるものになるのかな。
  49. 泉幸伸

    政府委員(泉幸伸君) 対策官にしておりますのは一名でありますが、国際会議等は、私以下それぞれの担当課長、あるいは警察庁には国際部もございます、これも国際関係の仕事を所掌しておりますので、当然それらが協力してやっております。
  50. 風間昶

    ○風間昶君 なるほど、わかりました。  それでは次に、職員定数の削減についてお伺いします。  地方自治体の一番大きな経費というのは人件費でありますから、職員定数の削減というのは避けて通れない問題だと思います。自治省として職員定数の削減について何らかの通達を出しているのか、いるのならどんな形で出しているのか、教えていただきたいと思います。
  51. 芳山達郎

    政府委員(芳山達郎君) 地方公共団体の定数削減についての通達指導についてのお尋ねでございますけれども、特に最近、平成六年でございますが、六年の十月に「地方公共団体における行政改革推進のための指針の策定について」という通知を出しておりまして、いろいろの項目がございますが、その中で定員管理の適正化も重要な課題一つとして位置づけて、地方公共団体の自主的、主体的な定員適正化計画の策定、また定員状況の公表の推進というようなことによりまして、定員管理の適正化に一層取り組むよう指導してきております。  以上でございます。
  52. 風間昶

    ○風間昶君 職員ばかりでなくて議員定数についても、地方自治法の本則よりも少ない定数を条例で定めているところが結構あるんでしょうけれども、現時点でどのぐらいの割合になっているのかが一つ。  それがかなり多い数だというならば、むしろ地方自治法自体を改正して議員定数の削減を図ることができないのか、またこのことについて検討しているのか、教えてください。
  53. 松本英昭

    政府委員松本英昭君) 地方議員の定数削減状況でございますが、現在のところ多くの地方団体で減少条例を制定いたしております。具体的に申し上げますと、都道府県では三十三団体でございますし、それから市区町村では三千百八十四団体で減少条例を定めておりまして、全体といたしまして法律による定数よりも二万七百七十四人減員となっております。この比率は約二五%でございます。  現在はこの議員定数条例の制定によりまして対応いたしておるわけでございますが、なお、この法律に基づく議員定数というものの扱いにつきましてどうしたらいいかということには両方の意見がございます。一方では、議員定数というのはもっと自由にしたらいいではないかという御意見がある一方、今の定数も少し多過ぎるではないか、もっと減らすべきではないかというような御意見がございますが、いずれにいたしましても、分権推進委員会の第一次勧告におきまして「今後の地方議会のあり方の検討とあわせて見直すものとする。」というようにされておりますので、現在、地方分権推進委員会におきましても、地方行政体制整備の一環として、地方議会の活性化ということとも絡めながら御議論をしていただいているというように承知をいたしているところでございます。
  54. 風間昶

    ○風間昶君 後半のところについては。
  55. 松本英昭

    政府委員松本英昭君) 後半の、法律の改正の御議論でございますね。  ただいま申し上げましたように、ただいま地方分権推進委員会におきまして、その法律に定める定数の問題を含めて地方議会の活性化という観点からさまざまな御議論をしていただいているというように承知をいたしております。その指針勧告を待ちまして、私どもはその指針勧告の草稿に沿った検討を加えていくことといたしたいと思っております。
  56. 風間昶

    ○風間昶君 そこで、国家公務員と地方公務員の給与格差については、一時は非常に地方の高給取りが問題となりました。昭和四十九年でしたか、ラスパイレス指数一一〇・六にもなったことがあるわけで、全体で二十二年間ずっと下がっているというふうに明示されていますけれども、まず直近の指数は幾らなのか教えていただきたいと思います。
  57. 芳山達郎

    政府委員(芳山達郎君) 平成七年四月一日現在におきます地方公務員の一般行政職のラスパイレス指数でございますけれども、全団体で一〇一・八となっておりまして、団体区分別に申しますと、都道府県が一一一・三から一〇三・六でございます。指定都市が一一六・一から一〇五・三、市では一一三・八から一〇二・九、また町村では九九・二から九六・五と全体的に低下をしてきております。
  58. 風間昶

    ○風間昶君 そうすると、これは上下をとっていますけれども一般的にこの数でいくと、天下りの少ないというかほとんどない地方公務員の方が一生涯の収入が極めて少ないということなんですね。そう言えますね、指数からいくと。
  59. 芳山達郎

    政府委員(芳山達郎君) ラスパイレス指数はもう御案内のとおりでございますけれども、国家公務員を一〇〇とした場合の団体の給与水準の高さを一つの目安として把握をしておるわけでございます。地方公務員の給与そのものは公務員法に基づいて国家公務員の給与、また地域の民間の高さ、ないしは生計費等を基準にやっているわけでございまして、おのおのの団体ごとに当該地域状況等を踏まえて水準、給与制度を確立しているものと認識をしております。
  60. 風間昶

    ○風間昶君 次に、自治体の機構改革について、岡山県では平成六年に県の地方振興局に健康福祉部をつくって保健と福祉の一本化を図った例があります。住民にとっていろいろ御相談などがある場合にどこに聞けばいいのかということがわからないのがまず一番困るわけで、そういう意味では、なるべく出先機関で統廃合を含めた一本化ということで一カ所に集めてもらいたいというのがあると思うんですが、その件に関してはどういうふうにお考えになっているのか、教えていただきたいと思います。
  61. 松本英昭

    政府委員松本英昭君) 県の出先機関の編成の仕方といいますか、それは昔から大変議論のあるところでございます。一方では総合化の方向があり、一方では専門化の方向がありまして、それぞれ地方団体でスタンスが異なってきたというのが今までの率直なところではないかと思います。  ただ、御指摘のように、近年は特に医療、福祉部門における総合化ということが非常に強調されるようになりました。これは、特に高齢化等を迎えまして、いわゆる人を対象とする対人行政のウエートが非常に高まってきたということがあるのではないかと思っております。そういう意味では、今御指摘の岡山県あるいは山口県等の地方出先機関を総合化した上で、その中に医療、福祉部門を統合したセクションを設けると、これが一つ傾向にあるのではないかというように考えておりまして、私どももこれからの行政のあり方として非常に参考になる取り組みではないかというように思っているところでございます。  ただ、その際によく言われることでございますが、いわゆる国の法令による必置規制というのがございまして、現在でも保健所長さんは医者でなければいけないというようなことになっております。しかし、この点についても、昨年、厚生省におかれまして福祉事務所長の専任規定というのを法改正で外していただきました。したがって、そういう点では一歩前進をしておるというように考えているところでございます。
  62. 風間昶

    ○風間昶君 今、局長が述べられたのは次の質問に絡むんですけれども、北海道で先ごろ公明が、全国の四十七都道府県それから三千二百五十五の市町村と東京特別区にアンケート調査をさせていただきまして、いろんなところから必置規制の見直しについて御意見をいただいたわけです。今おっしゃったように北海道なんか、特に保健所長の資格認定試験は、保健所施行令で医師でなければならないということがあるんですけれども、なかなか充足が地方に行かないのでこれを外してもらいたいとか、あるいは福祉を担当する所長と福祉事務所の職員は福祉業務以外の業務についてはならないという、社会福祉事業法ですか、あれは何条かわからぬけれども。実際に先ほどお話しした山口県、岡山県のような健康福祉部のような部局をつくっていくのは困難なわけですね。  このあたり、特に保健と医療と福祉の部分についてはますます地域自治体が望んでいる大きな問題でありますから、ここの部分は自治省が所管しているものではない部分が結構多いわけですけれども、この保健、医療、福祉の部分についてはぜひ所管している厚生省と定期的に協議して、どうやっていったら本当に地方分権が進むかということ等を含めてやっていっていただきたいと思うんですが、再度いかがでしょうか。
  63. 松本英昭

    政府委員松本英昭君) ただいま御指摘の件につきましては、地方分権推進委員会で大いに議論をしていただいているところでございます。  第一次勧告では、保健所医師の必置規制について必ずしも方向は出ておらないわけでございますけれども、次なる勧告におきましては、私どもといたしましては、ただいま委員指摘のような地域において医療、福祉等の総合化ができますような枠組みができますように、私どもとしても最大の努力をいたしてまいりたいと考えております。
  64. 風間昶

    ○風間昶君 ぜひお願いしたいと思います。  それから、国から都道府県への権限移譲が進んでいったとしても、住民にとって最も身近な市町村の仕事をやりやすい状態にしておかなければ地方分権といったって結局意味がないというふうに思うわけで、前回も法定受託事務の件で質問させてもらいましたけれども、機関委任事務のうち市町村が担当すべき事務については、例えばアンケートをやったときでも、都市計画関係のさまざまな権限移譲に回答があったわけです。例えば、清掃工場だとか火葬場だとか地方道路等については知事承認を廃止して市長決定にしてほしいとかいう要望もあるわけですけれども、そういったような前倒しで自治事務に振りかえるなどの措置がとれないものなんでしょうか、どうなんですか。
  65. 松本英昭

    政府委員松本英昭君) 現在、地方分権推進委員会でいろいろ御議論をいただいているところでございますが、第一次指針勧告でいただきました勧告はございます。ただ、第一次指針勧告は全体としてシステムとして完結をしておらないものでございますから、例えば特定の事務について、その許可、認可等を廃止して事前協議にするとかいうような制度にされておりましても、その事前協議というのをどういう法的性格のものにするのかというようなところが十分詰まっておらないわけでございます。  まして、実は都道府県市町村関係はすべてこれからの第二次勧告の方に先送りされておりまして、都道府県市町村関係をどういう形に構築するかということを、現在精力的に地方分権推進委員会の行政関係検討グループで御議論をいただいているというように聞いております。  市町村都道府県関係につきましても、私どもといたしましては、少なくとも法令に基づきます都道府県市町村に対する関与というのはできるだけなくしていく方向で臨んでいただきたいというように考えておりまして、そういう方向ができるだけ各個別の行政において実現いたしますように、またこれからも努力をしてまいりたいと思っておるところでございます。
  66. 風間昶

    ○風間昶君 今の第一次勧告は去年の三月ですね。
  67. 松本英昭

    政府委員松本英昭君) 昨年の十二月の勧告です。
  68. 風間昶

    ○風間昶君 十二月、じゃスタートしたばっかりということですね。わかりました。  ぜひやっていただきたいと思いますけれども、いつごろになったら出てきそうなんですか。
  69. 松本英昭

    政府委員松本英昭君) 地方分権推進委員会の現在のスケジュールでは今年の前半というふうに言っていただいておりますので、文字どおり前半でありますれば六月末までにはそういう何らかの方向が出てくるのではないかというように期待をいたしております。
  70. 風間昶

    ○風間昶君 わかりました。  それでは、当委員会でも以前から議論になっておりました中核市についてちょっとお伺いします。  中核市の三つの指定要件のうち、面積要件によってかなりの市が中核市の資格を失うことになります。現在二十八市が指定されているというふうに思いますが、この面積基準、百平方キロメーター以上、どういう理由でこの数が出てきたのかちょっと教えてください。
  71. 松本英昭

    政府委員松本英昭君) 面積指定基準そのものは法律に書いてあるわけでございますが、地方自治法の二百五十二条の二十三というところの二に「面積百平方キロメートル以上を有すること。」というのが要件になっているわけでございます。  その考え方の基本は、先ほど上吉原委員にもお答えいたしましたけれども、多くの権限を移譲する場合、規模能力あるいは行政のまとまりというようなものも必要であろうと。その際に何をもって判断するかというのは、現在の法体系のもとでは、少なくとも実定法上は人口とか面積というものが非常に大きな要素になっておるではないかということでございまして、当時、いろいろ中核市の議論をしておりました際、私の記憶しておりますところでは、現在の政令指定都市面積、これが一番小さいのが川崎市であったと思います。その川崎市が百平方キロから百五十平方キロの間であるということもありまして、百五十というのは少し行き過ぎだろうということで百平方キロというのが一つ考え方であろうというような議論があったやに記憶をいたしているところであります。
  72. 風間昶

    ○風間昶君 へ理屈なんです、それは。今度、じゃこっちも理屈つけていきます。  それはまた次回に譲るとしまして、都道府県から市町村への権限移譲という観点からいくと、私は県庁所在地についてはもうすべて例外なく中核市にするような改正が必要ではないかと思うんですけれども、どうですか。
  73. 松本英昭

    政府委員松本英昭君) この規模能力の大きな市に権限をおろすという場合、これは早くから、地方制度調査会なり関係者の間では昭和三十年代からいろいろ議論のあったところであります。議論がありましたけれども、実はこの中核市制度ができるまで一向に実現をしなかったと、これが率直な沿革、経緯なのでございます。  そのときに何が一番問題になりましたかといいますと、それではどういう規模のところにどういう行政をおろしていくのが適当なんであろうかということがございまして、その際、ひとつ固めてパックにして権限をおろす手法と、それから個別行政で対応するという方法と二つの道があったわけでございます。そのパックにしておろすという方向はなかなかまとまらなくて、現実にはそれぞれの行政分野において、例えば建築基準行政であれば二十五万人以上だとか、こういう行政であれば二十万人だとか、そういう対応をしてきたわけであります。  その際に、一つ行政の塊として非常に大きな位置を占めていたのが保健所の関連の業務でございまして、当時は多分厚生省基準でどんどん変わってきましたけれども、例えば何十万というような基準をお考えになっておられたわけでございます。そういうことでございまして、一体どの行政をおろすのにどれだけの人口規模、どういう要件が必要かと、これを詰めていくということが非常に重要なことであったと記憶をいたしております。  それで、この中核市制度ができます際にもそのことが非常に問題になりまして、保健所設置というものを基準として考えてまいりますと、当時の基準よりも三十万というのは低いのでございますけれども、そういうことで三十万という一つ要件というものが、線が出てきたというように考えております。  今後、考えていきます際に、この中核市というものをそのまま要件を緩和して制度をおろしていくのがいいのか、それともそうでなくて、ほかの個別の行政というものについてそれぞれどの程度の規模であればどの行政がいいのか、市町村におろしていくのがいいのか、こういうことを詰めていきまして、その総体としてまた新しい考え方をとるのがいいのか、その辺は非常に考えの分かれるところであろうかと思っております。私どももその両方をにらみながら、今後市町村への権限移譲と、特に規模の大きな市への権限移譲というものは考えていかなきゃならないのではないかというような考え方をとっておるところでございます。
  74. 風間昶

    ○風間昶君 もう一つは、市町村の境界を越えた行政サービスの連携について、一部事務組合と広域連合があるわけですけれども、それぞれ最近の数値を教えていただきたいのが一つ。それからもう一つは、国から広域連合に対してどのような権限が移譲されるべきなのか、自治省の考え方をお伺いいたしたいと思います。
  75. 松本英昭

    政府委員松本英昭君) 広域行政の一番典型的なものとしてあります一部事務組合、これは現在二千八百三十組合ございまして、大きいものは清掃関係、環境衛生関係でございます。これが一番シェアは大きゅうございますが、そのほか防災、厚生福祉施設、それから第一次の産業振興と、こういうもののシェアが大きくなっているところでございます。  それで、広域連合の制度につきましては一昨年の六月から施行されたものでございまして、現在まで四広域連合が成立をいたしております。ただいま御指摘の国からの直接の権限移譲というものにつきましては、現在のところまだ実績はないというのが現実でございます。
  76. 風間昶

    ○風間昶君 ですから、現実的にはないんだろうけれども、どんな権限が移譲されるべきなのか、四つあるということなんだから。じゃ、実際に移譲された権限は何なんですか。
  77. 松本英昭

    政府委員松本英昭君) それぞれの広域連合の設立の主体となります事務、それがどういうものであるかというようなことによってこれは違ってくるのではないかと思っております。現在まで設立されましたのは、一つは総合文化センターの設置等を中心とする文化事業のようなもの、それから広域的な地域の振興を図っていくための広域連合、これが三つございまして、最初のは一つでございますが、そういう状況でございます。  今後、それぞれが広域の計画を策定して連合の役割というものを定めていくわけでございますけれども、そういう中で特に国から直接市町村におろすというのはなかなかないのかもしれません。都道府県から市町村におろしていただきたい、市町村権限移譲していただきたいというようなものはその事業の実施等に伴ってまた出てくるのではないかというように考えておりますが、まさに地域実態に応じてそういうことはそれぞれのところで御判断をいただくということになろうかと思います。
  78. 風間昶

    ○風間昶君 時間が余りありませんので、大臣に。  市町村合併に大変御熱心な様子と見てとれますけれども、ここ数年、合併件数二つというふうに聞いております。合併のためにはいろんな問題点がありますが、きょうちょっと出しただけでも、職員や議員の定数削減等と並行して一部事務組合などで地域住民の一体感を高めることが必要だと思うんです。そういう中にあって、合併協議会設置の問題の議論が活発化するような方策を大臣としてはどういうふうに考えていらっしゃるのかお伺いして、質問を終わりたいと思うんです。
  79. 白川勝彦

    国務大臣白川勝彦君) さきの臨時国会でもこの通常国会でも、本当に多くの先生方から市町村合併をということの御指摘を受けました。そして、それは多くの皆様方が地方分権法あるいは本当に地方の自治の時代をつくるためには、その主体がしっかりとしていなければ住民の期待にこたえることができないんではないかと、また行政改革あるいは事務の効率化という面でもと、そういう趣旨の、そういう立場に立っての御質問だったと思うわけでございます。  そして、行政局長はもちろんでございますが、自治省の他の幹部も含めまして、地方分権の大きなエポックのときなんだから、今までと同じような形であくまでも自主的に市町村合併を促進する、機運を醸成するというだけでは、もう認識は国会議員あるいは地方住民と明らかに異なるということで、本気で研究しようということで事務当局に指示をいたしまして、また早速いろんな意味で行政局長中心考えているところでございます。  ただ、率直に申しまして、直ちにこういう合併促進法をつくるというまでにはもうちょっとあらゆる面から議論してみる必要があると思いますし、そして何よりも地方自治体の自主的な考え方の中から合併が起きてくることが本来の姿でございますので、機運の醸成というのを第一段階としたならば第二段階に行こう、また地方制度調査会などで合併問題を正面から取り上げるということも明らかに第二ステージの話だと思います。それがどのくらい、これも先生方の叱咤激励によって期間が定まるわけでございますが、第二段階において我々がすべき仕事に早速着手をして、そして本当の意味で市町村合併が具体的に起こるような第三段階のところに移っていこうということで、今意思を確認し、具体的に作業に入っているところでございます。
  80. 渡辺四郎

    ○渡辺四郎君 社会民主党の渡辺です。  私は、平成九年度の地方財政措置についての問題を中心にお尋ねしていきたいと思います。  まず、自治省は毎年、地方財政法の第二十一条に基づいて、国の概算要求に際して各省庁に対し、国庫補助負担制度の改善措置あるいは概算要求に当たっての留意または改善すべき事項について文書をもってそれぞれ要請をしておるというように聞いております。ここに写しも持っております。  平成九年度予算編成に向けて、各省庁に対して昨年の七月二十六日に要請した中で、もういろいろと議論されてまいりましたが、現下の厳しい地方財政、その中で税収の落ち込みあるいは交付税の落ち込み、その中で引き続く巨額の財源不足、一方では多額の借入金がどんどん増額をしていって使い込んでおる、そういう極めて厳しい状況に直面をしておる。そういう中にあって、この申し入れ書は地方自治体の自主性、自立性の強化、国及び地方の適正な財政秩序の確立を図っていく上からも私は非常に大変重要な要請であるというふうに考えております。  そういう観点から、以下何点かお伺いをしてみたいというふうに思っておりますが、時間が二十分くらいしかありませんから簡単にお聞きをしていきたいと思います。  まず第一点は、今申し上げました内容で、九年度はどのような視点に立って各省庁に要請をされたのか、また内容に問題があった段階では、さらに本予算段階で十一月に再度各省庁に対して要請を行っておるようですが、昨年も言いましたように個々に行っておりますが、どのような点かをひとつ御説明願いたいと思います。
  81. 二橋正弘

    政府委員(二橋正弘君) 平成九年度の予算編成に当たりまして、まず概算要求の段階におきましては、地方財政の状況が極めて厳しい状況に直面しておりますこと、それから地方分権推進が強く要請されておりますこと等を踏まえまして、行財政の簡素効率化、あるいは地方公共団体の自主性の確立それから財政秩序の確立といったようなことを図るために、共通して国庫補助負担金の整理合理化でございますとか地方団体におきます効率的な行財政運営に各省庁の協力を願いたいということ、それから財政負担増を伴う施策の抑制といったようなことを共通した項目として十一件、それから省庁別の個別の事項として三十二件を要請いたしたところでございます。  その後概算要求が行われまして、地方負担を伴います予算要求の内容等についてまたさらに私どもいろいろ検討を加えまして、例えば国民健康保険制度の安定化等、特に改善を求める事項につきまして十一月に各省庁別にまた個別の要請を行ったところでございます。
  82. 渡辺四郎

    ○渡辺四郎君 今お話がありましたように、共通事項で十一件、個別問題で三十二件の四十三件、このことについて、この要請自身の趣旨が非常に生かされた、適切な措置がされたというふうに考えてよいかどうか、見解をひとついただきたいと思います。
  83. 二橋正弘

    政府委員(二橋正弘君) この概算要求に関する要請事項のうち、例えば国民健康保険制度の保険基盤安定制度につきましては、既に御報告を申し上げましたように定額制度を定率制度に復元するように要請いたしたわけでございますが、平成十一年度に定率の国庫負担に復元するということとして、それまでの間に復元に向けた段階的な経過措置を講ずるということで、それも法律によって明らかにするということがとられたわけでございます。  また、地方団体の大きな関心でございます介護保険の制度化に当たりましては、安定した財政運営がとれますように、地方の意見を踏まえながら、保険料未納対策としての財政安定化基金の設置、あるいは要介護認定事務の広域化等の措置が講じられたところでございます。  また、そのほかにも、例えば国庫補助負担基準の改善でございますとか、国が地方団体から無償で借り上げておりました各種施設を順次有償化してまいりましたこととか、あるいは都市公園の整備事業におきまして国庫補助対象率というのが問題になっておりましたけれども、これが八年度から撤廃されたこと等の改善が行われているところでございまして、今後とも適正な財政秩序が維持されながら財政運営が行われますように対応してまいりたいというふうに考えております。
  84. 渡辺四郎

    ○渡辺四郎君 今も若干お話がありましたが、例えば共通事項の一の「国及び地方公共団体を通ずる行財政の簡素効率化及び地方公共団体の自主性・自立性の強化について」の中で、国庫補助負担金等の整理合理化を行うに当たって、まず事務事業の廃止、縮小、あるいは統合、メニュー化等を行うことを基本とするとともに、これからですが「本来地方公共団体の自主的な対応に委ねることが適切な分野に係る国庫補助負担金等については、その廃止と地方一般財源への振替等を引き続き推進する」旨要請をしておるようですけれども地方分権を進めていく上から私も当然のことというふうに思っておりますが、この点についてどのような改善が行われたのか、再度、もう少し具体的に御回答願いたいと思います。
  85. 二橋正弘

    政府委員(二橋正弘君) 国庫補助負担金の整理合理化は地方財政にとりまして大変大きな課題でございまして、私どもこれまでもいろんな事柄について要請もし、また各省庁とも相談をしながら改善を図ってきたところでございます。  この九年度の申し入れをするに当たりましては、一つは、いわゆる地方に同化定着している事務事業についての補助金についてはその廃止と地方一般財源への振替を図ってほしいということ、それから類似の国庫補助負担金につきましては実質的な統合、メニュー化を進めるということ、それから公共事業系統の国庫補助負担金につきまして採択基準の引き上げということで重点化を図っていただきたいということ、また対象事業の見直し等を行って地方の自主的な対応にゆだねる範囲を拡大するといったようなことについて要請を行ったところでございます。  その具体的な九年度の対応でございますが、補助金が廃止されました例として、文部省関係でございますが、公立医科大学等の経常費の補助金の整理、それから公立社会教育施設の整備費の補助金が整理ということになっております。  それから、一般財源化されましたものの例として、厚生省系統でございますが、母子保健衛生費補助金の一般財源化、あるいは児童育成事業費補助金の一般財源化、在宅福祉事業費、これはいわゆる高齢者社会活動維持推進費の一部でございますが、それの一般財源化等々の幾つかの一般財源化が図られております。  それから、対象の重点化の例といたしましては、公立学校施設整備費の補助金のうちの大規模改造の対象、これはこれまで一件五千万ということでございましたが、これを七千万に引き上げる、それから公共事業の関係では、準用河川の改修費の補助金の採択基準が一億一千万でございましたものを二億円にする、あるいは砂防の補助金を七千万から一億円に引き上げる、地すべり対策の補助を七千万から一億円に引き上げるというような形での重点化が図られているというところでございます。  なお、引き続き地方分権推進委員会でも国庫補助負担金の整理合理化については今鋭意いろいろ検討されておりますけれども、毎年度の予算編成に当たりましても私ども努力をして、その整理、一般財源化に努力してまいりたいというふうに考えております。
  86. 渡辺四郎

    ○渡辺四郎君 大変な努力があったというふうに私自身も評価をしておきたいと思います。  次に、超過負担の問題について、これも要請項目の中で「国・地方公共団体間の財政秩序の確立等について」の二番目に「国庫補助負担金等に係る地方公共団体の超過負担については、速やかに実態を把握し、その完全解消に格段の努力を払われたい」とありまして、超過負担問題というのは本当に古くて新しい問題でありますが、社会経済情勢の推移等に即して、絶えず最新の実態とデータに基づき適切な水準が設定をされなければならないというふうに思っておるところです。  いまだに自治省はこうして要請をしなければ、あるいは絶えず要請を続けておる、それでもなおかつ超過負担の解消が進まないというところに超過負担の根の深い問題があるのではないかというふうに私自身印象を受けるわけですが、例えば補助負担金等の単価差の適正算入の問題とか、あるいは各種手当を含むすべての人件費など実態に即した給与の格付、また事業費に対する補助負担等については事業の実施に必要不可欠なすべての経費をその対象とすることなども要請をされておると思います。  これは他の委員会で私自身も質問したことがあるんですけれども、例えば今産廃問題なんかについて焼却場、処理場をつくるといった場合に、地域住民の皆さんは非常にそのことについて注目をしながら、自治体に対して、ここにごみを燃やす熱によって温泉をつくってくれとかあるいはお年寄りの休憩所をつくってくれとか、そういう条件のもとに例えば焼却施設の地域の合意をとる。ところが、補助の対象にはそういうのは一切ならなくて、その本体だけが補助の対象になっておるということで、自治体の財源の持ち出しが実は非常に大きいということもありますし、また補助の対象になっておっても、老人施設にしてもそうですが、なかなか超過負担が大きいということで非常に各自治体等でも頭を悩ましておるところです。  この要請の中でも、例えば標準仕様または標準設計が設定されない場合には明確な標準仕様等を設定する等、制度の改善を一つは求めておるわけです。あるいは交付率や分割交付方式を導入することのないようにというふうに要請もしておりますが、そういう要請項目について大体どういうふうに改善がなされたのか、ひとつお聞きをしたい。  それで、いただいておりますこの資料を見てみますと、予算委員会の資料ですけれども、例えば措置額で事業費に対する国費の比率として、平成五年度が事業費に対して国費の比率が四七%、これは私は率で出しました、金額でなくて。平成六年度が四七%、七年度は努力があったと思うんですが五二%、八年度は五一%、これは二分の一以上の国費の措置をしておるわけですが、九年度は三八%と、こういうふうに急に落ち込んでおる気がするわけです。これは事業費に対する国費の措置額の比率ですから、例えば補助単価とかあるいは補助比率とかそういうものによって違うかもしれませんが、ここがどうしてこんなに落ち込んだのか、ちょっとわからないものですからお聞かせ願いたいと思うんです。
  87. 二橋正弘

    政府委員(二橋正弘君) 国庫補助負担制度におきます超過負担の解消の問題は、ただいま委員からも御指摘がございましたように大変長い話でございまして、国、地方の財政秩序を確立するという意味で極めて重要な問題であると考えております。毎年度その解消について各省庁に申し入れを行っているところでございます。これとあわせまして、毎年度具体の項目につきまして、改善要望の多いものの中から大蔵省とその担当省庁と私どもで、いわゆる三省で共同で調査を行って、その実態調査に基づいて超過負担の解消に努めているところでございます。  平成八年度におきましては、警察署の建設の補助金と学校プールの補助の単価について地方団体からの要望を踏まえた実態調査を行いまして、その調査結果を踏まえて平成九年度において補助単価の改定を行ったところでございます。こういう三省共同調査に基づきます超過負担の解消は、各年度それぞれ違った項目を取り上げながら改善を行ってきておるところでございます。この点につきましては、今後とも地方団体の意見を伺いながら、施設水準の推移等に配意しながら、もちろん関係省庁ともよく連絡をとりながらこの改善に努めてまいりたいというふうに考えております。  今、委員の方から、事業費に対する国費の改善の割合というのが九年度が下がっておるのではないかというお話でございます。確かに委員が今お挙げになりましたような数字になっておりますが、これはその年度によりまして超過負担の解消の対象項目に選ぶ事業のそれぞれに国庫補助率の違いがございますので、その補助率の高低によって改善に占める国費の割合が左右されてくるということでございます。平成九年度に選びました学校プール、これは国庫補助率が三分の一のものが多いということがございましたのでそういう結果になったということで御理解をいただきたいと思います。
  88. 渡辺四郎

    ○渡辺四郎君 同じ問題で警察庁の方にお聞きをしたいと思います。  自治省の方から、次官あるいは財政局長の方から警察の方にもこの要請が行っておるわけですが、警察の個別事項の中で、警察行政費のうち警察用車両の購入等の経費については、都道府県実態に即し必要かつ十分な予算を確保することにより都道府県に負担を生じさせないようにされたい、こういう要請内容になっておるわけですね。  見てみますと、都道府県警察の需要と供給との関係でしょうけれども、現在国庫支弁で持っておる車というのは、大体都道府県段階では九割を超えておる自治体はないんじゃないか。大体七割程度、逆に言えば三割は自治体独自で需要を満たすために単独の県費を出して車両を備えておる。  これは、地方財政法の第二条の二項の規定あるいは警察法の三十七条――三十七条は御承知のとおり二つに分けておりまして、警察行政費の中でもこれは国で支弁をすべきだ、それから地方で見てこの分は二分の一が国の負担だというふうに分けております。その車両購入費というのは全額国で支弁をするということになっておるんですが、このことについてことしの要請についてどういうふうに警察庁の方は対応されたのか。幾らかでも減ったのか、あるいはことし足らなければ来年、ことし入れた分についてまた来年、年を越してでもオーバー分については負担をして返す、そういうお気持ちがあるかどうか。
  89. 野田健

    政府委員(野田健君) 現在の財政状況、大変厳しいということが一つ、それから治安情勢もまた大変厳しいということでありまして、車両が警察機動力の中核であるということから都道府県警察からは増強を求められているものでございます。  そこで、警察庁といたしましては、全国的な警察力の充実強化を図るために警察用車両の整備に努めているわけでございますけれども平成九年度の予算案におきましては、例えば車両の更新三千三十四台に対しまして増強五百六台を図るということで各都道府県の希望にもこたえていきたいというふうに考えているところでございます。過去五年間の増強分が五千三百台ぐらいでありますので、それよりは若干ペースが落ちますけれども平成九年度においても増強を図る、このことによって総体的に都道府県の負担を軽くできるのではないかというふうに考えております。
  90. 渡辺四郎

    ○渡辺四郎君 時間が来ましたからあれですが、消防庁長官、せっかく来ておりますから……。  消防白書の中で消防団の活性化ということで出されております。阪神淡路大震災の段階で消防団の活躍というのは大変評価をされたわけですが、問題はいっぱいある。今、消防団員の減少問題あるいは高齢化の問題なんかについて一体どういうふうに対応していこうとしておるのか、あるいはどういう予算措置をしておるのか。もう少しPRを含めて予算措置をしなければ、あるいは消防団員の勤務労働条件、そういう部分についても配慮しなければどんどん減少していくんじゃないか。一言お願いしたいと思います。
  91. 佐野徹治

    政府委員佐野徹治君) 私ども、消防団の関係につきましての活性化策と申しますか、そういうことにつきましては鋭意努力いたしておるところでございます。  若干具体的なお話をさせていただきますと、消防団の予算関係につきましては、消防団の詰所等を整備いたしますための消防団拠点施設等整備事業というのがございます。これは八年度の予算額と比べまして九年度の予算案では三〇%増を予定いたしておりますし、消防団の装備等を整備するための消防団活性化総合整備事業というのがございますけれども、これにつきましてもほぼ同じく八年度に比べまして三〇%増を予定いたしているところでございます。それからまた、お話のございました消防団に対します理解を深めますための普及啓発、こういうこと等につきましても地方財政措置でそれに必要な経費等を予定いたしておるところでございます。  いずれにいたしましても、今後とも引き続きまして消防団の充実強化には努力してまいりたいと考えておるところでございます。
  92. 朝日俊弘

    ○朝日俊弘君 民主党・新緑風会の朝日でございます。  きょうは、地方公共団体がなぜこれだけ借金を抱え込むことになったのか、そしてそれをどうやって克服していくのか、こういう観点に絞って二、三お尋ねしたいと思います。なお、あわせまして、過日、三月十八日でしたか、公表されました財政構造改革会議、この中で基本的な考え方というのが示されておりますが、その基本的な考え方の中にも地方財政の問題について触れられておりますので、最後にその点についてもお伺いしたいと思っています。  まず最初にお尋ねしたいのは、ちょっと振り返っていただいて、最近十年間ぐらい公共事業費全体の総額がずっと伸びてきているわけですけれども、特に昭和六十三年あるいは平成元年あたりから地方公共団体が行う事業のうち国の補助事業とそれから地方団体の単独事業の割合が大きく変わってきています。簡単に言えば、国の補助事業が大体横ばいであるのに対して地方団体の単独事業がぐっと伸びてきていまして、全体の六割、七割を占めるというような状況になってきています。  こういうふうになってきたのは一体どうしてなんだろうか、主要な要因は何であると考えられているのか、そしてそのような経緯の中で自治省としてはどういう考え方のもとにこの間の地方財政計画を策定してきたのか、少し大くくりな話とし  てお尋ねしたいと思います。
  93. 二橋正弘

    政府委員(二橋正弘君) ただいま委員指摘のように、公共事業全体に占めます補助事業と地方単独事業の割合というのは、経年的にいいますともちろん変化してきておりまして、従前はずっと単独事業の方が補助事業を下回ってきておったわけでございますが、決算ベースで申しますと、昭和六十三年度に単独事業の方が補助事業を上回るようになりまして、平成六年度の決算で申しますと約一・五倍ぐらいの水準になっておるわけでございます。  この要因でございますが、一つはいわゆる国民生活の質の向上に結びつくような投資に現世代のうちにできるだけ重点的な投資をすべきであるというふうな基本的な社会経済的な要請がございましたこと、それからその重点化を図っていく上で生活に密接に関連した社会資本の整備ということが重点になるわけでございます。そういうことになりますと、どうしても地方団体の果たす役割が大きくなるということでございまして、地方単独事業によりましてそれぞれの地域の個性、実情に応じた社会資本の整備住民の生活に密接に関連した社会資本の整備を行うということの必要性が高まってきたということでございます。  こういうことを背景といたしまして、公共投資基本計画等を踏まえて毎年度の地方財政計画におきまして地方単独事業の充実を図ってきたわけでございまして、もちろん地方団体の側からも、それぞれの地域の工夫を凝らした単独事業を行うことによりまして、いわゆる補助金を待つとかあるいは補助金を頼りにするとかといったような財政運営から、できるだけ地方の自主性を生かした財政を行っていきたい、そういう要望も非常に強うございまして、そういうこともあわせて地財計画において単独事業の充実を図ってきたということ、そういうことによりまして住民生活に密接に関連した社会資本の整備を積極的に実施してきたということの結果であると私ども考えております。
  94. 朝日俊弘

    ○朝日俊弘君 お考えとしては理解できないこともないんですが、実際に見てみますと、その割にはそれほどそれぞれの自治体でよく工夫されて非常にバラエティーのあるものになってきたかどうか、この点についてはいささか私は疑問を持っていますが、次に進みます。  今、中期的な流れについてお尋ねをしましたが、平成九年度の地方財政計画を見ますと、地方単独事業分は前年度と同額ということで実質的にはかなり抑えた内容になっております。多分、去年あるいはことしあたりが一つのターニングポイントなんだろうなというふうに思っているんですが、九年度の地方財政計画をこのような形で策定したことについて、その考え方について改めてお尋ねします。
  95. 二橋正弘

    政府委員(二橋正弘君) 先ほど申しましたように、近年、地方単独事業の拡充をずっと図ってまいったわけでございますが、特にここ数年景気の停滞によりまして、一般財源、税、交付税の伸びが鈍化してまいりました。それから、大きな税制改革がございまして、減税を先行して行うということから、その間をいわば地方債で先行的に減税を行うという形での財政負担が、これは国の財政、地方財政を通じてでございますが、生じてまいりました。また片方で、景気対策ということもございまして財政の出動が求められてきたというふうな要因が重なりまして、国、地方を通ずる財政の状況は大変厳しくなってまいったわけでございます。また、公債の残高も非常に多額になってきた、そういう状況でございます。  景気が幸いにして緩やかな回復基調ということになってまいりまして、また税制改革も九年度から全体として予定どおりの形でスタートする、仕上がるというふうなことになりまして、そういう状況の中で地方財政の健全化を図っていくということが大きな課題になるという観点から、地方財政の各般の施策、歳出を全般的に抑制基調で財政計画をつくるという中で、単独事業につきましても消費税率のアップをのみ込んだ上で伸び率をゼロとするというふうなことにしたわけでございます。  今後は、財政構造改革会議におきまして、今後の財政再建の方策についてさまざまな角度から議論が行われておりますが、そういう中でまた単独事業を含めました公共投資のあり方について検討してまいりたいというふうに考えております。
  96. 朝日俊弘

    ○朝日俊弘君 地方団体が行う公共事業について抑えぎみに地方財政計画を立てられたというのは今日的な課題としては当然だと思うんですが、それにしては少々気がかりな点が幾つかあるのであります。  例えば、ことし一月に自治省の財政課長内簡というのが出されております。それを見ますと、ちょっと読みますが、「最近における地方団体地方単独事業費計上額が地方財政計画計上額に達しない状況にあることを踏まえ」「事業量の積極的な確保に努められたい。」、こういう文書があるんですね。  つまり、全体として地方財政計画の中で地方単独事業分については抑えた、しかしそれにもかかわらずその計上額に達しない状況があると。自治体の方は相当借金を抱えて、重いというか、しんどいというか、腰が引けているというか、多分そういう状況があるんじゃないかと思うんですね。  この文書を見ますと、そういう自治体に対してむしろ自治省がハッパをかけて、計上した分だけはちゃんとやれというふうに言っているように読めるんですが、これはどうですか。
  97. 二橋正弘

    政府委員(二橋正弘君) 地方団体が毎年度必要といたします財源、これはマクロでございますが、その財源は毎年度、通常の年ですと十二月に国の予算編成とあわせて地方財政対策という形で全体の財政収支を見込んで来年度の財政運営ができるような形の財政対策を講ずる、その前提として財政収支を見込んで行うわけでございますが、そのときに、先ほど申しましたように、現在の財政状況等を踏まえまして全般的に歳出抑制的に地財計画を組むべきであるという判断のもとに、単独事業につきましても前年度と同額ということを前提にして地方財政の収支、各項目ごとに収支を見込んで、その収支を見込んだ上で、またそこの時点で見込める地方税収入その他の収入を見込んで全体の地方財政対策を講じていくわけでございます。  この段階で税が幾ら見込める、その他の補助金、その他の特定財源が幾ら見込めるということを見込みました段階で、九年度で申しますと、消費税関係の未平年度化を含めて通常収支分とプラスして約五兆八千億という大きな財源不足が生じてまいりました。それを地財対策を通じてその不足する財源も含めて確保するというのがこの地方財政計画の役割、仕組みでございまして、そういう前提の上にマクロの地方財源が確保されておるわけでございます。  したがいまして、それぞれの歳出項目ごとに、これは国の予算編成の状況等を逐一踏まえながら私どもと大蔵省の方とで財政収支の見通しを各項目ごとに詰めてまいりますので、そういう意味合いで、国の経済財政政策の基調あるいは国の予算編成との整合性といいますかそういうものを保ちながら、片方で地域住民の多様なニーズに的確に対応して一定の行政水準、サービスを提供できるための財源を確保するという仕組みに今なっておるわけでございます。そういうことを通じて平成九年度の財源が、単独事業は前年度と同額ということを前提にして財源確保がされておるわけでございます。  したがって、そういう確保されております財源をこの財政課長内簡で、来年度の予算編成のいわば参考事項を御連絡するという意味合いのものでございます。そういう地方財政計画の内容を地方団体にお伝えして、そういう観点に立って確保された財源を有効に活用していただきたいということを要請しておるわけでございます。  既に交付税法の成立をさせていただきましたけれども、これから平成九年度の普通交付税の決定を行いまた地方債計画を具体的に運用していくということで、そういう前提で確保された財源を具体的にこれから交付税なりあるいは地方債なり、もちろん税収の見込み等もございますけれども、そういうものを通じて九年度の財政運営が行われていくわけでありますので、そういう観点に立って、確保された財源を効率的に有効に活用していただきたいということを申し上げるために内簡として御連絡を申し上げるということでございます。
  98. 朝日俊弘

    ○朝日俊弘君 どうも長い説明のときは余計わからなくなるんですが、確保しているから有効に使えと言うのならそういう書き方があるんじゃないかと思うんです。  もう一つ、次の質問に移ります。  自治省からさまざまな内簡等々の通知を出されているんですが、その中で各種公共事業の実施に関してしばしばこういう説明があるんですね。地方債及び交付税による措置を講ずるので適切な活用を図られたいと。要するに、後のことは心配しないでどんどん使えみたいな内容での記載があるんです。これがちょっと気になる。例えば借金をする、起債をする、それで元利償還金の相当部分を交付税で措置するから後のことは心配しないでやってくださいというふうに、かなり政策的かつ積極的に何か使うように誘導しているように見えてなりません。  こうした点についてある識者は、本来なら国が行うべき景気対策あるいは公共事業、そのうちの相当部分を地方に肩がわりさせているんじゃないか、国は財政が逼迫してきている、だから地方に借金を負わせているんじゃないか、こんな批判もあるわけですね。  この点について自治省のお考えをお聞かせください。
  99. 二橋正弘

    政府委員(二橋正弘君) 一番最初に申し上げましたような趣旨で、地方の単独事業というのを地方財政計画の策定に当たって近年重点的に確保してきたところでございます。それを具体的に実行するに当たって地方団体の方が事業を行う際の支援を行うと、具体的な施策の内容はそれぞれのところでもちろんその地域の実情に応じて工夫をしていただくということでございますが、財政的に支援していくという観点から、今申しましたように、単独事業のうちの一定のものについて地方債の元利償還を交付税で算入するというやり方をとってきております。  ただ、単独事業全体のうちいわゆる地方債がそもそも財源となりますものはおおむね三割ないし四割の間ぐらいということでございますので、なおかつ地方債の元利償還を交付税に織り込んでおりますのは、補助事業とのバランスも考えまして財政力に応じた形になっておりますけれども、事業費全体に対する割合からいきますと半分に行かないぐらいの水準でございますので、そのことが直ちに借入金の増になっているということはそのことだけではなかなか言いにくいんじゃないかというふうに思います。  単独事業につきましては今申しましたようなことで、あくまでも単独事業に対する財源手当てとして行ってきておりまして、国のいわば公共事業の肩がわりというふうな考え方は、私どもとしては、事業の性格といいますか中身がそもそも違っておりますので、そういうことにはなっていないというふうに考えております。
  100. 朝日俊弘

    ○朝日俊弘君 各地方公共団体、もう非常にしんどくなってきている状況もあるわけですので、ぜひ適切に対応をしてほしい、少なくとも無理に単独事業をやらせるような指導はしないでほしいと思います。  最後に、大臣にお伺いします。  きょうは地方単独事業の問題について幾つかお尋ねしましたが、先日、十八日の財政構造改革会議、この基本的な考え方の中にも地方単独施策等の抑制がうたわれておりますし、さらに地方の財政健全化努力を促す観点からということで、交付税制度地方制度についてその仕組みを見直す、あるいは地方公共団体独自の自主的な財源調達の道を拡充強化することを検討するというふうに触れられております。  これからの課題なんでしょうが、大臣としてどのような問題意識でこの課題に取り組んでいこうとされているのかお尋ねをして、質問を終わります。
  101. 白川勝彦

    国務大臣白川勝彦君) 今回、橋本総理の方から提起され、そして各般の会議で了承されました財政改革の五原則の中で、私どもに関連するので一番意味の重たいものは、西暦二〇〇三年までに赤字国債から脱却すると、これは国及び地方を通じてであります。もう一つは、国と地方の財政赤字、合わせてGDP比三%にするというところだと私は考えております。  これは私はありがたいことだということを機会あるごとに言っております。私も国が行う行政改革とか財政再建をこの十数年来見ているわけでございますが、いつも数値目標は国にどうしても焦点が当てられる関係で、その分地方の方に頑張ってくれとかあるいは地方の方にそのしわ寄せがあったというのは厳然たる事実だと思いますので、国、地方あわせて財政を健全化していくというテーマを立てられたことは、地方自治体を預かる者としてありがたいという立場でございます。  そして同時に、自治体の方もこういう目標の中で努力をしてもらわなきゃならぬわけでございますが、あの項目に書いてあることは、たしか十三番目だったと思うのでございますが、その大目標を達成するために留意すべき事項というようなことでこれまた書かれてあることでございまして、そう特別なことが書いてあるとは思っておりません。また、あそこに書いてあることを忠実にやれば私たちが目標を達成できるというほどのことも書いていないわけでございまして、私どもは、国と地方財政の二つが公的経済の車の両輪であるという認識に立って、あそこに書いてあるだけではなくて、もっと各般のあらゆる立場から地方財政の健全化という方途を探していかなければならない、こう考えております。どうぞそのようなものとしてお読みいただいて結構でございます。  交付税制度地方制度についてその仕組みを見直すということについても、大蔵省と自治省との間で大分協議をいたしました。大蔵大臣とも話したのでございますけれども、この仕組みというところにまだ残念ながら具体的な内容を込めて書いたわけじゃなくて、こういうところの見直しも含めて、とにかく幅広く考えていこうという趣旨でございます。
  102. 有働正治

    ○有働正治君 本日は、まず東京特別区の自治権拡充、都区制度改革問題についてお聞きします。  御承知のように、東京二十三特別区は人口八百万人が暮らす基礎的自治体でありながら、一般の市と比べまして事務権限の一部が都に保留されており、課税権、起債権などの制限、都による財政調整など不完全な立場に置かれているわけであります。このため、住民の安全、健康及び福祉を保持するという地方自治体の本来の仕事を十分に果たせないでいるわけであります。  東京都における特別区の自治権拡充、都区制度改革問題につきましては、九四年九月に都区制度改革に関するまとめとして、都、区、関係団体の合意としてまとめられています。その主な内容としては、一、地方自治法を改正して特別区を基礎的な地方公共団体位置づける、二、清掃事業を初め身近な事務事業を都から区に移管する、三、特別区の財政自主権を強化するなどとされています。既に九四年、平成六年十二月に都知事から正式に都区制度改正の要請が政府に出され、国会で論議も行われてきているわけであります。  自治省は清掃事業における条件整備が前提との態度をとっているようでありますが、自治省として、その後、現在までにどのように検討を進めておられるのか、概略を簡潔にお示しいただきたい。
  103. 松本英昭

    政府委員松本英昭君) ただいま御指摘のように、平成六年十二月、東京都知事から都区制度改革の正式の要請があったわけでございます。そういうことで、東京都及び特別区では平成十二年四月に改革を実施することで合意をいたしておられるというように承知をいたしておりまして、その間にいろいろ関係者との間で御折衝があって、そしてただいまの清掃事業移管に伴う条件整備等、その前に何らかの見通しをつけるというようになっていると私ども承知をいたしております。  都区制度改革に向けましては、今の清掃事業の移管等に伴う条件整備とそのほか法制的な問題等もございます。そういうことで、私どもも、この平成十二年四月の実施ということは基本的な姿勢といたしまして、それに向かって平成七年十一月に東京都、特別区を交えて都区制度改革連絡調整会議というのを設けました。その全体会議と幹事会を今まで数回開いて、それぞれの進捗状況等について情報の交換とか今後の問題点等について議論をいたしてまいったところでございます。
  104. 有働正治

    ○有働正治君 ことし一月十六日の今言われた連絡調整会議で、二十三区と都側から、条件整備と言われている車庫は一部おくれているところはあるけれども十一年中には全部できるから大丈夫だ、清掃工場は少しおくれているがごみの量はどんどん減ってきているから大丈夫だと説明をしたのに対して、自治省側が確認ということを非常に強く求めてきたということのようであります。  さらに一月二十一日には、自治省行政局長が二十三区側の代表と会って話を聞いておられ、その場で局長もある程度納得されたのではないのかと承知しているわけでありますが、これはいかがであるのか。  また、二十三区と都側のこれまでの努力を誠実に受けとめて、そしていつまでも条件整備が前提とか確認がなければとかハードルを高くしておかないで、法改正の準備に入るとの態度を示して自治権拡充に積極的に取り組んでいくべきではないかと考えるわけでありますが、いかがでありましょうか。
  105. 松本英昭

    政府委員松本英昭君) 実は、この都区制度改革の目玉の一つであります清掃事業の移管の問題につきましては、地方制度調査会等答申では、清掃事業については、収集、運搬は移管する、処理は都で行う、実はそういう案だったわけでございます。その後、東京都の中で関係方面といろいろ御協議なさいまして、いわゆる収集から処理まで一貫して移管すべきであるということを決められました。    〔委員長退席、理事朝日俊弘君着席〕  そういうこともありまして、東京都の中で関係者の間で処理までということになってまいりますと条件整備というような問題等もあるわけでございまして、その条件整備が前提であるよということと、それから移管に先立って条件整備等の達成状況を確認することということがお互いの約束として交わされているわけでございます。  そういうことで、事情掃の事業と申しますと、これは大変住民に密着した日常の生活に非常に影響が大きいことでございますので、私どもも、東京都と関係者でお決めになりましたこの約束事が果たされますように、そしてそれがスムーズに実現することを願っております。そういう中で、それを前提として行うということになっておりますことから、私どももその確認作業というものをできるだけ早く行っていただきたいということを申し上げておるわけでございます。  確認というのは、今申し上げたところでおわかりいただけると思いますけれども、私どもが確認するのではなくて、当然当事者間で確認をしていただく、それから国の立場ならば、清掃事業を所管しておられます厚生省がこれで大丈夫だというように言っていただかなければまたこれは困るわけでございまして、そういうことで私どももその条件整備の確認がなされるということが前提だと申し上げているわけでございます。  ただ、今おっしゃいましたように、当事者間大変御苦労なさっておられること、もう十分私も聞いて理解をいたしております。この条件整備というものがいかなる形であるか、私どもそちらの意味の専門家じゃございませんので、できるだけそういう当事者間で確認をしていただいて、一日も早くその法規改正に取り組めるようにしていただければいいのではないかというように考えているところでございます。
  106. 有働正治

    ○有働正治君 昨年十一月二十八日の都議会の総務委員会での質疑の中で、今言われました清掃事業の整備状況の問題について、このおくれを口実に法改正をおくらせてはならないという我が党議員の指摘に対し、東京都の側は、これは二十三区にとって最大の課題であり、都知事を先頭に頑張っている旨答弁されておられます。    〔理事朝日俊弘君退席、委員長着席〕  こうした努力にもかかわらず、都と区で合意した清掃工場の建設、車庫の整備などが当初計画よりもおくれている状況は若干あるやに聞いておりますが、そのおくれの根本にはやっぱり大都市東京の特殊性があると思います。  首都東京への一極集中政策、これは政府の政策に起因するところが極めて大きいと言わざるを得ないわけでありますが、そういう一極集中政策のもとで住宅も密集しているのは御承知のとおりです。このため用地確保も非常に難しい、こういう状況もあるわけです。そしてこのため、清掃工場や車庫をつくる際に住民の中から、とりわけ今日、環境問題に対する住民の皆さんの意見、御指摘等々が大きな課題になっている中で、その点についても自治体当局としてはそれなりに考慮せざるを得ない、そういう苦労もあるということは御承知のとおりだと思うのであります。  そこで、全国のほかの地方自治体でもこの問題は大変御苦労なされていることはそのとおりだと思うんです。わけても東京の場合には、歴史的な経過、一極集中等の経過から見まして、特別に清掃工場建設、車庫問題では過密都市東京ならではの苦労がある、ここらあたりは政府も理解して対応すべきではないか。そして、条件が文字どおり一〇〇%整わなければ法改正はしないということではなくて、都の条件整備状況、意向も聞きながら、その状況を見て対応するということで進めるべきではないかと考えるわけでありますが、ここらあたりどうでしょうか。
  107. 松本英昭

    政府委員松本英昭君) 委員指摘のように、特に東京におきましては、そういう車庫の整備とか清掃工場の建設等について御苦労が大変多いということは私どもも十分心いたしているつもりでございます。そういうことも踏まえまして、その平成十二年四月に向かって事務の移管ができるかどうかということが要はポイントでございます。  お約束の一つ一つの項目について私どもがこだわるつもりはございません。したがって、そういうことにこだわらなくても平成十二年の四月には実施できるという確認、まさにその確認をちゃんと関係者でしていただければ私どもはよろしいのでございます。
  108. 有働正治

    ○有働正治君 この二〇〇〇年、平成十二年四月に移管がスタートするためには、都の事業を区へ移管する、例えば廃棄物処理法、厚生省所管でありますけれども、この改正があるわけで、特別区を基礎的自治体位置づけるためには、同時に地方自治法改正が必要とされるわけであります。  この点で問題は、二十三区を基礎的自治体として地方自治法上位置づけることだと考えるわけであります。自治法二条と二百八十一条との関係でそれが重なるから、宣言的に処理すればよいとの意見もあるようでありますが、特別区を基礎的自治体としてしっかりと自治法に位置づける、そういう方向で自治省としては対応していくということは明確にされておると承知しているわけでありますが、そこらあたりいかがでございましょうか。
  109. 松本英昭

    政府委員松本英昭君) 特別区の方から、基礎的な自治体として法制上位置づけるということにつきましては強い御要請のあることを十分承知いたしておるところでございます。  地方制度調査会答申におきましては、都の特別区の存する区域における基礎的な地方公共団体考えるという文句であったと思いますが、そういう御答申をいただいているところでございます。私どもも、地方制度調査会答申の時点で法制上位置づけるというような意識があったかどうか、これは率直に申し上げてよくわかりません。よくわかりませんが、そういう御要請であるならば、そういうことで法制局の方に御相談はしなければならないだろうというように考えております。  ただ、法制局の方の御意見もいろいろございますので、法制的な面については、条文の位置も含めて、全くこれからの法制局との協議であろうかと思っております。
  110. 有働正治

    ○有働正治君 再度お尋ねしますけれども、清掃事業以外のものの区への移管問題、どういう見通し、見解を持っておられるか。食品衛生法とかいろいろあると思いますけれども、いかがでございますか。
  111. 松本英昭

    政府委員松本英昭君) 清掃事業以外の特別区への法令上の移管というのは多分八項目、清掃を除きますと七項目でございますか、だったと思いますが、そのうちあと二項目は清掃事業に関連して移管するものでございますので、残るのは五項目ということになります。  そのうちの一つであります食品衛生法上の権限移譲、これは今年の来る四月一日から特別区に前倒しをして移管されることとなっています。ほかのものにつきましても、前もって前倒しができるものならば関係省庁の方で前倒しをしていただくのが大変いいのではないかというように考えております。
  112. 有働正治

    ○有働正治君 以上の上に立って自治大臣にお尋ねするわけでありますが、ことしは地方自治法が施行されて五十年目に当たる記念すべき年であります。特別区制度については過去に何回か改革が行われ、一九七五年の改革は区長公選の復活、保健所の移管など大幅な事務の移譲が行われてきましたが、その性格については依然として都の内部的団体とされ、特別区が自主性を発揮しにくい仕組みが残されてきたわけであります。住民に最も身近な自治体としての特別区の自治権を拡充して、基礎的地方公共団体として位置づけ住民自治を強めることこそ地方自治法施行五十年目にふさわしい改革ではないかと考え、また東京都もその方向で鋭意努力中であります。  自治省は、これまでに都、区、関係団体とも十分に問題点検討し、合意を積み上げてきておられるわけであります。この間、御説明のとおりであります。  そこで、あとは政府として、二〇〇〇年、平成十二年四月実施を決断し、そのための法改正準備をスタートさせる、そういう方向で政治決断をして自治大臣としても前向きに対応願いたい、こういうことでありますが、いかがでございましょうか。
  113. 白川勝彦

    国務大臣白川勝彦君) 私も、大臣就任以来、東京都選出の議員あるいは特別区の区長さん、何度も大臣室等にお見えをいただきまして、都区制度改革に大変熱心なことを知りまして、そして今条件整備のために大変な御努力をいただいているという姿を拝見させていただきまして、自治省といたしましても条件整備が達成されることを心から期待し、そして条件整備が達成されることを前提に、都区制度改革の実現のために地方自治法の一部改正が早期にスムーズに行われるよう、関係法令の改正等を含めてこれまで以上に一層努力するということで考えております。
  114. 有働正治

    ○有働正治君 自治大臣の積極的な御答弁、それを前向きに本当に精力的に御尽力いただくことを、そして東京都の本当に長年の苦労を、自治権の拡充、そして住民自治の発揮の方向で実現されるよう、政府として、自治省として対応されることを強く改めて要望しておきます。  次に、JR駅のトイレの一般開放問題について一、二お尋ねいたします。  JR九州ですけれども、会社の方針といたしまして、駅を新改築する際に、従来一般に開放されていましたトイレを、原則として乗降客以外に使えないように改造することとしていると私は聞いているわけであります。その理由は、会社としてのJRとしての事情、理由はいろいろある。その内容についても私はお聞きしているわけでありますが、歴史的に見ましてJRの駅というのは御存じのように公共性が強いわけであります。住民の方々、地元商店街の方々、あるいはバス、タクシー関係者、それから自治体の方々、いわばみんなが力を合わせながら駅を発展させてきた経緯があるわけであります。  その点で、住民や地元商店街、自治体の意向をも無視した一方的なやり方ではないか。これについてはかなり厳しい自治体住民の批判、意見が出されて、私のところにもそれが届けられているわけであります。  JR九州のトイレ整備計画によりますと、五百六十七駅のうち毎年十駅前後を新改築しておられます。その結果、具体例といたしまして、私の郷里の南熊本駅では、昨年末、JRが外側のトイレ入り口にさくを設置しまして、改札口を通らないとトイレが使えないようになりました。また、門司駅の公衆トイレは昨年九月に取り壊されました。両駅とも改札口で申し出があれば一般にも使用は認めるというように措置されたやに承知していますけれども、南熊本駅では商店街にトイレを借りに駆け込む市民もおられます。熊本市当局も、JRに対しまして、駅周辺整備に多額の公費を投入した公共性の高い事情から、柔軟に対応していただきたいと自治体としても御要望を出されているわけであります。  そこで、運輸省にお尋ねします。JRの南熊本駅それから門司駅のトイレについて、これまでトイレを利用していた市民に不便をかけないよう、申し出れば利用できるとの看板その他を大きく出していただいて、JRとして柔軟に対応し、市当局、駅周辺の住民の方々の要望を最大限生かせるように対応できないだろうか、これが一点であります。  第二に、今後JR各社が全国的に駅トイレの新増築を進める際に、住民の方々が不便になる場合に、市民サービスを重視して、各駅の実情に照らして、関係住民自治体とよく協議して、合意と納得の上で進めることが私は望ましいと思うわけでありますけれども、ここらあたりについて運輸省、いかがでございましょうか。
  115. 宿利正史

    説明員宿利正史君) 委員からJR九州の駅のトイレの件につきまして御指摘がありましたが、JR九州に私ども確認いたしましたところ、まず一つは、駅のトイレにつきまして、汚い、いたずら書きが多い、あるいは未成年の喫煙場所になっておって問題だというような利用者から大変苦情が多いという面があること、また特に改札口の外に設置しておりますトイレにつきましては、公衆トイレとしての利用でございますからなかなかJRとして責任を持って維持管理ができにくい、こういう理由で駅の改築の折には改札口の内側にトイレを設置するというような考え方で対応しているということを聞いております。  JR九州によりますと、このような形で改札口の内側に設置されたトイレでございましても、委員指摘のような一般の方の利用上の不便などの問題も生じておりますので、一般の方々からトイレを利用したいという申し出があれば気軽に利用できるように駅の職員にその指導をし、また関係の皆様にもその旨を周知して御不便をかけないような努力をしていくということでございますので御理解いただきたいと思いますし、私どもも必要に応じ指導をしてまいりたい、このように考えております。  次に、地元との協議の関係でございますけれども、今申し上げましたように、JRは、一般的に会社独自でトイレを新築、改築いたしますような場合には改札口の内側に設置をするという方針でございますけれども、地元自治体などの要望がございまして公衆トイレとして利用するということでありますれば、地元の御負担などを得て改札口の外側にトイレを現に設置してきてございます。  私どもといたしましては、駅舎の新築、改築に当たりまして、鉄道の駅が委員指摘のように地域と大変かかわりの深い施設であるということもございますので、基本的には地元によく計画を説明し工事を進めていくことが望ましいと考えておりまして、地元の各自治体におかれましても、駅のトイレに関しまして御要望などございますればぜひ積極的に鉄道事業者と協議を進めていただきたい、このように考えております。
  116. 有働正治

    ○有働正治君 ですから、職員の方々が御不便をかけないようにということでいろいろ努力されている等々私も知っています。だけれども、それは目に見える形で、どうぞお気軽に御利用くださいとちゃんと表示するなどやらないと、実際、商店街の方々が駆け込まれて本当に困っているとか、随分苦情が自治体側にも寄せられているようでありますので、その点だけきっちり対応願いたいと思います。その点だけちょっと。
  117. 宿利正史

    説明員宿利正史君) 委員指摘の点につきましては、改めて関係のJR会社と連絡をとりまして対応してまいりたい、このように考えております。
  118. 有働正治

    ○有働正治君 最後です。自治大臣、恐縮でございます。これは地域住民との関係地方自治体にもかかわることでありますので、大臣にもちょっとお尋ねします。  先ほども申しましたように、駅というのは、確かに民営化されましたけれども、経緯等々から見まして公共性も非常に高いわけであります。そういう点で、関係住民自治体ともよく協議して、合意を得て進めるべきだと。また、運輸省もその旨徹底しながら進めると先ほど運輸省から答弁ございましたけれども地方自治体を所管される自治大臣といたしまして、地域住民に不便がないように運輸省の方にもよく要請されて、運輸大臣の方にも申し入れるなりきっちり対応願いたい。そして、住民自治体との理解と協議の上で、合意の上で進められるようにという努力をお願いしたいのでございますが、その答弁だけお願いして、質問を終わります。
  119. 白川勝彦

    国務大臣白川勝彦君) 新幹線問題で運輸大臣と随分話をし、今また話をしているのでございますが、地域の皆様方の本当の意味での愛着なりあるいは理解がないと新幹線建設もあるいはJR自身の経営も難しいんじゃないかというところが大きなテーマでございます。今後とも、新幹線問題で運輸省ともこれからずっと協議しなきゃいかぬので、機会を見てまたそんなことを申し上げたいと思います。  都区制度については、清掃工場、それからきょうはトイレの問題が出され、それからどの程度の規模でないと保健所が設けられる設けられないという、私ども別の分野をやってきた者が見ると小さなことが意外に大問題であるなと。随分勉強させられる昨今でございます。
  120. 西川潔

    ○西川潔君 私の方は、まず消防行政についてお伺いをいたします。  今から四年前ですが、この委員会で御質問させていただいたんですけれども、高齢者世帯の防災対策、会議録も振り返って読ませていただいたんです。随分検討もしている、これからもいろいろと新しいことを対策を考えてやっていかれるという御答弁をいただいたんですけれども、住宅火災におけるお年寄りの被害状況現状からまずお伺いをしたいと思います。
  121. 佐野徹治

    政府委員佐野徹治君) 住宅火災におきます高齢者の方々の被災の状況でございますけれども平成七年中の住宅火災によります高齢者の死者は五百三人でございまして、住宅火災による死者九百三十九人の五四%を占めております。  近年の傾向といたしましては、住宅火災による高齢者の死者、それから全死者に占める高齢者の割合、これは若干増加傾向にございます。
  122. 西川潔

    ○西川潔君 住宅火災によってお亡くなりになる方の半数以上が今のお答えですと六十五歳以上の方ということになるんですけれども、そうした中で、今年度、消防庁では高齢者を住宅火災から守るための調査研究報告書をまとめるための委員会を設置されたということでございます。今月中には報告書がまとまるとお伺いしておりますが、その目的はどういつだことでしょうか。
  123. 佐野徹治

    政府委員佐野徹治君) 今お話しのございました調査研究の目的でございますけれども、これは高齢者の方々の住環境、生活環境を統計だとかアンケート調査によりまして分析をして、高齢者の生活環境に適した住宅防火対策のあり方を検討することによりまして、住宅火災の危険から高齢者の方々が安心して生活できるような環境を形成することにあるわけでございます。
  124. 西川潔

    ○西川潔君 まとまっておれば拝見しながらお伺いしたがったんですけれども。  四年前にもお伺いしたんですけれども、お年寄りが火災の犠牲になられて亡くなられる割合が高い、この原因の分析というのは大きなポイントだと思うわけです。お年寄りの場合は若い人に比べて身体機能が衰えできます。そうすると当然逃げおくれるケースが多いわけでございます。また、食事を調理しているときにガスの火が衣服に着火してやけどや火災の原因になるということもよく耳にするわけです。さらに、これは高齢者に限ったことではありませんけれども、日本の住宅そのものが木造住宅であるということも被害につながっている部分もあるのではないかなというふうに思うわけです。  この原因についてはどのような分析が行われたのか、御説明をいただきたいのと、その中で、できれば男女差なんかも調査が出ておりましたらお伺いしたいと思います。
  125. 佐野徹治

    政府委員佐野徹治君) この研究の成果といたしまして、特にひとり住まいの高齢者の方々に対する防火安全対策を図ることが重要であるということ、それから高齢者の方々は、今若干お話がございましたけれども、火災における初期消火、避難等に困難が伴いますために、同居の家族だとか近隣住民等による適切な支援が必要であるということ、それから住宅用の防災機器等の情報提供だとか普及の促進が必要なこと、こういうような検討結果が得られているところでございます。  男女差等につきましても、この調査研究で若干分析はいたしておるところでございまして、どちらかと申しますと男性の方が若干この割合が高いんじゃないか、こういうような研究の報告も出ているところでございます。
  126. 西川潔

    ○西川潔君 男性の方が先にお亡くなりになるそうでございますので、皆さん、本当に気をつけていただきたいと思います。  これは本当にまじめな笑い話といったら何かおかしいんですけれども、我々いろいろなところへ寄せていただいても、奥様がお亡くなりになると本当に御主人が後からすぐにお亡くなりになるというようなことで、あとは何もできないというような話をよくお伺いいたします。反対におじいさんがお亡くなりになって、おばあさんに寂しいですねとお伺いすると、いや私の青春はこれからやというようなことで、随分現場でお話をお伺いしますと、それはそれはおばあさんの方が、女性の方が本当に生きることに対する強さと申しましょうか、されど母は強しと申しますけれども、本当に毎回毎回ここでお年寄りの質問をさせていただいてボルテージが上がってくるわけです。  実際に我が家はもう火がついているような状態で、ぜひこちらの委員会が次は我が家に視察に来ていただきたいと思うぐらいに本当にまじめな現状なんです。最近では床の段差でありますとか、廊下の幅に車いすが通れるようなスペースを、いわゆる住宅のバリアフリー化が重視されているところです。実際に家を新築するときに老後のことは考えるんですけれども、火事のことまでというのはなかなか考えられません。お年寄りを火災から守るということになれば、それは大切な方策の一つであると思うわけですけれども、今回のこの調査の分析結果から具体的にはどのような方策が必要とされるのか、お伺いしたいと思います。
  127. 佐野徹治

    政府委員佐野徹治君) 先ほど来、目的だとか検討の過程等を御説明申し上げましたけれども、具体的な方策につきましては、高齢者の方々を火災から守るための住民の方々の間のネットワーク、これを効果的に形成する必要があるという観点に立ちまして、都道府県におきます住宅防火対策推進協議会というのがございますけれども、これをさらに整備するとか、住宅用の防災機器等の普及促進を図るための方策をさらに充実するとか、いろんなメディアを活用いたしました効果的な広報を展開する、そういったいろんな住宅防火対策を総合的にやっていきたいというように考えておるところでございます。
  128. 西川潔

    ○西川潔君 高齢化社会を背景とする防災対策という点から今後ますます重要な問題ではないかと思われるのは、高層住宅に入居される高齢者の対策についていろいろ考えていただきたいわけです。  昨年の十月、広島市で二十階建ての高層アパートが火事になりました。九階から出火して炎が垂直に上がりまして、八階から二十階まで計二十室が被害に遭ったわけですけれども、これほどの火災でも犠牲者が一人も出なかったということでございます。この住宅には高齢者も随分多かったし、ひとり暮らしの方も随分いらっしゃったわけですけれども、古くから住んでいる住民の方々が多くて、しかも近所づき合いがある、地域の支え合い、助け合いで皆さん早くからお年寄りの部屋を訪ねて助けられて、一緒に避難したケースが多く見られたということです。  このあたりの実情を把握されているようでしたら、もう少し細かい部分を御説明いただきたいと思うんです。
  129. 佐野徹治

    政府委員佐野徹治君) 今お話のございました広島市営アパートの火災でございますけれども、これは昨年の十月二十八日に火災が起こっております。この火災による死者はございませんで、負傷者の方が入居者一名、それから消防職員一名、こういうことでございます。  火災時の避難でございますけれども、非常ベルによりまして、比較的早い段階において住んでおられる方々がお互いに声をかけ合って自主的な避難が行われた、こういうように聞いているところでございます。また、避難に際しまして、近くの非常用エレベーターが使用されておりますけれども、使用者が少なかったということ、それから火災の住戸等から離れておりまして煙等が少なかったといったところから円滑に避難が行われたというように聞いております。  なお、消防隊が二十階から車いすの男性の方一名、それから女性の方一名を介護いたしました。また、十八階におられました女性一名の方を背負って避難させるなど、合わせて五十七名のここに住んでおられる方々に対しまして随時避難誘導も行ったところでございます。
  130. 西川潔

    ○西川潔君 大臣にもお聞きいただきたいんです。  老人ホームへ参りますと、本当に新しくすばらしい施設なんですけれども、もう八十を過ぎている男性の方ですが、この前も、窓の外をごらんになっていて、どうです、いいところで幸せですねと言うと、いや決して幸せではないと。電車も走っていないし、息子や娘のところに帰りたいと言ってもなかなか帰れない。一回一回施設のバスを出してくれというようなぜいたくも言えない。また、お年寄りばかりが住んでいらっしゃる地域とか高層ビルなんかでもそういうふうになります。上は若い人が住んで、下の一階、二階はお年寄りばかり、朝起きると年寄りの顔ばかり見て、何か自分の鏡を見ているようだと。ですから、かえってほかの地域で生活がしたいと。  本当に皆さんはこういうことを真剣に考えていらっしゃるし、お年寄りばかり住んでいらっしゃるところでは、昼寝をする人は夜遅くまで起きていて、テレビの音がやかましいとかうるさいとかといって、結構お年寄り同士のトラブルが多かったりもするわけです、排水管がうるさいとか。本当の幸せ、こんなにいろいろ地域で支え合って、福祉福祉と言われている中で僕らは不思議に思うんですけれども、何が幸せなのかなと。  難しい問題がまだたくさんありますが、高層住宅がふえることは政策面から見ても確実なことでもありますし、この点についての防火対策そしてまた建築、いろんなことが重要でありますけれども消防庁の御見解をお伺いしたいと思います。
  131. 佐野徹治

    政府委員佐野徹治君) 一定規模以上の高層の住宅の防火なり防災対策、これらにつきましては、まず一般的なお話からさせていただきますと、消防法の規定に基づきまして、防火管理者を選んで消防計画を作成する。それからさらに、消防計画に基づく消火だとか避難訓練等の実施、消防設備の点検整備、こういうことを行っているところでございます。主に高齢者が入居される共同住宅につきましては、ケアの状況だとか居住者の方々の自立の程度等を総合的に勘案いたしまして、必要があるものにつきましては防火管理者の常駐、施設の特徴に応じた消防計画の作成なども指導しているところでございます。  高齢者の方々が入居されておられます高層住宅等につきましては、特に高層部分からの安全な避難が重要な課題でございますので、エレベーターを活用した避難などより安全で効率的な方法等につきましても研究をしておるところでございます。今後ともこういった対策を総合的に推進いたしまして、高層住宅に住まれる高齢者の方々の防火なり防災に万全を期してまいりたいと考えております。
  132. 西川潔

    ○西川潔君 途中で、通告はしていないんですけれども大臣、今のお話を聞いていただいて、そして大臣の御両親様とか奥様の御両親様はまだ御健在なんでしょうか。
  133. 白川勝彦

    国務大臣白川勝彦君) 私の父も母も七十までは生きたのでございますが、私が何分にもおやじが四十五、おふくろが四十のときの子供でございますので、とうの昔に亡くなっておりますが、家内の母親はまだ生きております、父は亡くなりましたけれども。  ただ、リューマチでございまして、今おっしゃったように一人で、お手伝いさんと住んでおりますけれども、本当に歩くのもなかなか大変なようでございます。ひとり暮らしてはありませんが、一人のお手伝いさんと家に住んでおるものですから、今のような事態になったときにどうなるのかなということは考えてみたことがありませんでしたが、今考えさせていただいた次第でございます。
  134. 西川潔

    ○西川潔君 通告もせず大変御無礼でございましたけれども、より一層御理解をいただきたいということでお伺いをさせていただきました。  次に、災害弱者緊急通報システムというものについてお伺いしたいんです。  万が一緊急時にボタンを押せば、もう皆さんよく御存じだと思うんですけれども、近くにいる家族につながったりあるいは消防署につながって助けていただくということでございます。これは相当な安心感につながるわけです。四年前のときにもお伺いしたんですけれども、モデル事業の実施期間中ということでございまして、消防庁の御答弁では、平成四年から三年間のモデル事業を通じて問題点の具体的な改善策を検討されるというお言葉をいただいたんです。  その後どのような問題が明らかになったのか、また何か具体策がございますか。
  135. 佐野徹治

    政府委員佐野徹治君) お話しのモデル事業でございますけれども、これの問題点につきましては、主に消防機関近隣の協力員の方々との連携強化の問題などを挙げることができるのではないかと考えております。  この点につきましては、私ども消防庁といたしましても、従来から、重点的に消防機関に対して指導も行いまして、消防機関市町村の福祉担当者との効果的な連携だとか、消防機関近隣の協力員、消防団員、こういった方々との間の連絡の充実、こういったことが図られるように努めてまいったところでございます。
  136. 西川潔

    ○西川潔君 次に、問題点をハード面、ソフト面に今度は分けて考えてみますと、ハード面については、例えば一般的なボタン式から、ボタンを押すことさえもできない緊急時を想定したセンサーシステム、あるいは心拍数や体温などを基準にしたバイタルサインシステム、これはもう致命的だという意味だそうですが、こうした機器の開発研究というのは確実に進んでいるわけですから、もちろん期待はできるわけです。  しかし、一方のソフト面として、特に本人と消防機関、そして医療・福祉分野、さらに最も大切な役割を担っていただく協力員、それぞれの連携、ネットワークの形成といったものが本当に重要ではないかなと思います。しかし、地域の協力、支え合いなしにはこういう問題は成り立たないと思います。その点で、全国的に見ますと、現在でも非常にうまく機能している地域もございますので、この点について研究、検討というものは地道な努力が必要だと思いますので、消防庁によろしくお願いするとともに、お考えをお伺いしたいと思います。  五十七分までですので、続けて、今後の教訓にしていただきたいと思うんですけれども、昨年の七月、山形県のお話ですが、心臓に持病のあるひとり暮らしの男住宅で、警報ブザーを消防署が受信したんですけれども、留守という連絡を受けていたために緊急対応をとれなかった。しかし、実際には男性はおうちで倒れていたわけです。発見されたときには既に亡くなっていたという事件の報道を目にしたわけですけれども、この事件についても今後のことも含めて御答弁をいただいて、終わりにしたいと思います。
  137. 佐野徹治

    政府委員佐野徹治君) まず、最初の方の緊急通報システムの運用にかかわる問題でございます。  これは消防機関だけではなくて、医療機関だとか福祉関係機関だとか近隣の協力員の方々だとか消防団員だとか、そういった方々との間の密接な連絡を確保する、こういうソフト面でのネットワークを形成するということが重要であるというように私ども考えております。必要に応じまして近隣の協力員等に発信者の容体の確認だとか介護を依頼するなど、地域ぐるみの福祉社会づくりに向けての配慮が重要である、こういうように認識をしているところでございます。  それから、今御指摘のございました山形県東根市の関係お話でございます。これは東根市の消防本部によりますと、今、西川先生お話しのございましたものと若干ダブるかもしれませんけれども、一応私どもが東根市消防本部から聞いたこの事故の概要を申し上げさせていただきます。  まず、平成八年七月二十日に消防本部が、トイレのドアが十二時間以上開閉しないときに作動するリズムセンサーによる通報を受信いたしました後、通報先に確認の電話をいたしましたけれども、応答がございませんでしたので、近隣の協力員に状況の確認を依頼し、居住者は現在留守でありいつ帰宅するか不明である、こういう報告消防本部が受けたわけでございます。担当の消防職員は、近隣協力員に対しまして、この住んでおられる方が帰宅したら消防本部に対して連絡してもらうように依頼をいたしております。  七月二十五日に、消防本部が再びリズムセンサーによる通報を受信いたしておりまして、消防職員が通報先に確認いたしましたところ応答がございませんでしたため、まだ留守の状態でリズムセンサーが作動したと判断をし、異状の有無は確認しておりません。その日の午後、一一九番通報により救急車の要請がございまして、居住者の死亡が確認された。事故の概要は以上のとおりでございます。  それから、今回の事故に係りますリズムセンサーは、東根市消防本部が、消防庁の支援によります先ほど来先生の方からもお話がございました災害弱者消防緊急通報システムモデル事業の整備を行いました際に、あわせて消防本部の独自の事業として実施したものでございます。  そして、今回の事故は、通報者が留守のままリズムセンサーが作動したという出来事があった数日後に発生いたしまして、消防機関といたしましても、引き続き当人が留守であると判断したという事情はございましたものの、本システム運用におきましては、通報を受けた際の十分な状況把握が重要であり、運用について改善を図るべき点があると認識をいたしております。  私ども消防庁といたしましても、今後同様な事故に対する再発防止に万全を期すため、任意に設置された設備からの通報につきましても対応のあり方に問題が生じないよう、消防機関に対する指導の徹底を図っていく所存でございます。
  138. 西川潔

    ○西川潔君 どうぞよろしくお願いいたします。ありがとうございました。
  139. 田村公平

    ○田村公平君 警察庁にお尋ねをいたします。  「平成九年度における銃器対策の概要」という資料をいただいております。全部で五項目ありますけれどもその三番目「関係省庁都道府県等との連携の緊密化」というところで「府県レベルにおいてもこれまでに五府県一高知県、奈良県、京都府、岡山県及び福島県)で銃器対策推進本部を設置し、関係機関が一体となって各種施策を推進しているところであり」、こうなっておりますが、この関係機関とは一体何でございましょうか、教えていただきたいんです。
  140. 泉幸伸

    政府委員(泉幸伸君) 当然ながら銃器取り締まりに一番関係深い機関ということで、この銃器対策推進本部には警察庁、環境庁、法務省、外務省、大蔵省、水産庁、通商産業省、運輸省、海上保安庁、郵政省、自治省が参加しております。
  141. 田村公平

    ○田村公平君 僕は府県の銃器対策推進本部と言って聞いておるんだから、府県の関係機関というのは何ですか。内閣のことを聞いているんじゃないんです。
  142. 泉幸伸

    政府委員(泉幸伸君) 失礼いたしました。  都道府県では、一例を挙げますと、知事部局の総務部、文化環境部、商工労働部、海洋局、港湾局等の部局と警察本部の関係部署、それから国の出先機関として税関、海上保安部、運輸省の海運支局等がございます。
  143. 田村公平

    ○田村公平君 各県によって呼び名が違うかもしれませんけれども、暴力団追放県民会議だとか推進本部とか市民団体等、そういうような団体は入っていないのですか。
  144. 泉幸伸

    政府委員(泉幸伸君) 先ほど落としましたが、検察庁も入っておりますが、中心となるのは、今申しましたそれぞれの行政機関及び検察庁等の機関でありまして、そういうものが中心となりまして各団体に働きかけるというような位置づけになっております。
  145. 田村公平

    ○田村公平君 私は前にもこの委員会で質問させていただきましたけれども、警察官が留置中の暴力団にお金を渡して手錠を外してけん銃を買ってきてくれと頼んで買ってきてもらって記念写真まで撮ってそれで検挙数が上がったと。いろいろ内閣の中につくったり、立派な組織、格好つけるのはいいんですけれども、民間人であればよほどのマニアでない限り、大体けん銃なんというのは暴力団関係者が持っていると思うんです。そして、特にけん銃はほとんどが密輸だと思います。一番大事なことは国内に入れないことだと思います。入ってからの捜査というのは大変難しいと思います。それぞれの所轄の暴力団担当の刑事さんたちが、現場の一線級の人たちが大変な情報収集をしておると思います。  ただ、余り強くそういうことを言うために、どういうわけか私どもの高知県でもありましたけれども、高知駅のコインロッカーにけん銃があってみたり、どこかの神社の境内の石垣の間にけん銃があったり、そんなのはもう全部やらせに決まっておるじゃないか、そんな、けん銃がそこいらのコインロッカーにあったりするわけないじゃないですか、暴力団にとっては命より大切なピストルが。そういうことにならないことを、この「平成九年度における銃器対策の概要」の中を読むと大変立派な文章でありますけれども、そのことをちょっとお願いしておきます。  次に、これは自治省にお尋ねします。  御案内のとおり自治省は、既に特定道路整備事業ということでは建設省、それからふるさと農道、ふるさと林道では農水省と協調して単独事業を支援しておりますけれども、実は建設省と農水省が平成九年度に中山間活性化・都市交流促進モデル事業というのを、これはまだ予算が成立していませんけれども全国で三カ所ぐらいモデル事業としてやろうとしております。その内容は、道路事業により都市と中山間地域の交通のアクセスの改善を図るとともに、農道整備事業により中山間地域の農業振興を図り、両事業の連携をもって都市、中山間地域の交流拡大及び中山間地域の活性化を計画的かつ効率的に促進することを目的としております。御案内のとおり、中山間地域は大体過疎が進んでおりまして、財政力も弱いところであります。と同時に、国土の保全、水資源の涵養、我が国の国土にとっても大変大事なところであります。  自治省にお尋ねをいたしますけれども、このような事業に、これは建設省と農水省ですけれども、大体補助率も承知しておりますが、自治省としては先ほど申し上げましたふるさと農道や林道と同じように、財政的な面でバックアップあるいは協力することをお考えではないでしょうか。
  146. 二橋正弘

    政府委員(二橋正弘君) 平成九年度予算の中に中山間活性化・都市交流促進モデル事業というのが、今委員指摘のように建設省と農水省が連携を図りながら、関連する道路、農道についての計画策定を行って、この道路、農道の同時補助採択ということを計画するという事業があります。  一方で、地方特定道路整備事業、ふるさと農道緊急整備事業、それぞれ建設省、農水省と私どもの方と連携いたしまして、補助と単独の効果的な組み合わせを行って地方道や農道の整備を促進しているものでございます。今お尋ねのモデル事業につきましては、そのモデル事業についての地方道、農道の整備につきまして、事業主体となる地方団体がその計画の中でそれぞれの補助事業と特定道路整備事業、ふるさと農道緊急整備事業を組み合わせて実施することは可能でございますので、そういうふうにしていただければ応援できるということでございます。  そういうことで、今後とも中山間地域の社会資本整備について、関係省庁と協力しながら必要な措置を講じてまいりたいと考えております。
  147. 田村公平

    ○田村公平君 何で建設省とか農水省の話をしたかといいますと、今自民党の幹部の方は公共事業一割削減を言ってみたり、大蔵省主導型といいましょうか、世論の伝えられ方が、東京とか大都市圏の五大紙、これは公共事業に対して非常にアンチテーゼになっています。それをずっと読んでおる人口の多いところの人たちは本当に公共事業が悪いんだと思っています。例えば、山形新聞や高知新聞の記事は公共事業をもっとやってくれと。  東京にいますと大体革靴のままでおれるんですけれども、僕ら田舎に帰ったら革靴は泥靴に変わります。そういう意味で、一割とか五%削減をされますと地方では物すごくダメージが大きいわけです。というのは、東京とか大都市圏ではコンビニエンスストアにパートに行くとか雇用の場がありますけれども、田舎はほとんどそういう雇用の場がありません。そういう意味で、地方単独事業やそういう事業が削減されないことをどうしても自治省としてお願いをしたいという思いもあって申し上げました。  大臣にお尋ねをいたします。これは読売新聞の二十五日の夕刊でございますが、「地方同一ポスト連続出向 今春から一〇〇%解消」と。これはこの前も質問させていただきましたけれども、連続して同一のポストにつくと、まず大臣のお考えは、地方の県庁の役人がやる気がなくなる、そういうポストを独占するのはよくないし不祥事にもつながるというような意味の御発言がありました。  自治省にお尋ねをいたしますが、いわゆる貸し切りポストというふうになって何十年も連続して総務部長という筆頭部長を独占し続けた結果として、何か不祥事が今まで自治省から出向した人の中にあったでしょうか、それ教えていただきたいんです。
  148. 谷合靖夫

    政府委員(谷合靖夫君) 今承知する限りでは、なかったと思っております。
  149. 田村公平

    ○田村公平君 私もないということを、私のこの政治の世界での二十五年の経験では承知しております。  それで、もう一つお尋ねしますが、高知県では今度人事の内示がありまして、自治省からの総務部長が国土庁の室長になって帰っていきまして、引き続きかわりの者が別の部に行きまして、それで同じ自治省から既に来ておって、その方がある部長をしておったんですけれども、今度総務部長になる。  つまり、大臣の言う連続、それはもう出向させてあるんだから知事に人事権があるからそれは知事の勝手だと。だけれども、平場に、普通に見たら結局同じ自治省の人が総務部長をやっておるわけですから、どうも僕はそれは知事が勝手にやっておるというような意見もあるというふうに聞いておりますけれども、県民感情というか市民感情で見れば、連続して自治省がずっと総務部長を占めているんじゃないかというふうにも、高知県は御案内のとおり高等小学校卒の人が総務部長やったりしていますから全然連続じゃないんですけれども、ここ数年のことでいいますとそういうことになりますが、それは一体どういうことなのかなと。  それからもう一点、さっきのは自治大臣、今度は国家公安委員長ですが、四十七都道府県の県警本部長がこれは全部警察庁から来ているじゃないですか。たたき上げの巡査は幾ら頑張ったって大体満期で警部で終わりじゃないですか。三十後半の、人生経験も余りない、逮捕術もろくに知らぬ、そういう県警本部長がずっと指定席になっていることについては、これは国家公安委員長、どういうふうに説明なさるんですか。
  150. 白川勝彦

    国務大臣白川勝彦君) まず第一点の高知県の件でございますが、私もよく承知をした上で、どうするかということで官房長ともどもお話をいたしました。基本的には出向させるさせないは私の権限でございますが、出向した人をどこにどういうふうにするかは基本的には今度はその任命権は知事が持っているわけでございまして、そこの知事がそのように御判断されたのならばそれはやむを得ないだろうということで、これは了承いたしました。  二つ目のことでございますが、都道府県、都はありませんが、府県の本部長につきましては、御案内のとおり警察法では国家公安委員会が地方警務官は任命をいたすという仕組みになっております。しかし、あくまでも任命するのは国家公安委員会が任命をいたしますが、本部長がすべての責任者になりまして、そこの地方公安委員会の監督のもとに警察運営をいたしておるわけでございます。  そういう仕組みになっているということでありますが、ただこれにつきましてはキャリア、いわゆる俗に言うキャリア採用だけではいかがかということにつきましては、何といっても二十五万人の大半はそういう上級職あるいはⅠ種採用でない方が多いわけでございまして、警察官の資質の向上あるいは士気の高揚というようなことを含めて、これまでも警察庁に出向してきてその後国家公務員になられて、そしてそこから県警本部長に任用された人はいっぱいおります。  警察というのは、本来的には都道府県単位に組織がつくられ、そしてその地方警務官は国家公安委員会が任命する、こういう仕組みになっている関係で、これは自治省からの出向者とかあるいは中央省庁からの出向者とは本来的に性質が違うのではないかな、こう思っております。
  151. 田村公平

    ○田村公平君 何でそういうことを言ったかといいますと、私はこの前からずっと人事交流は大いにすべきだ、不祥事も起きていない、僕はそれを核の抑止力という言い方をしました。地方分権考えていくときに、まだまだ地方は成熟していない部分があります。  大臣、すごくいいことをあなたはおっしゃるんですよ。理想に燃えておられる。僕はあなたのことを改革者というよりも革命家である、分権のときに地方に痛みがあってもいい、明治維新だってそうだったではないかと。その姿勢はよしといたしますけれども、結局さっきの県警本部長の話じゃないけれども、矛盾点が出てくるんです。法律はそうなって国家公安委員会で、それで各都道府県で、だけれども本当は国家警察、かつての戦前の悪いイメージを払拭するために地方警察という形で今都道府県のそういう制度ができておって、戦前の尾っぽがまだ引っかかって残っています。  だから、そうすると県警本部長だって俗に言う地侍、地元の人がなったっていいんじゃないかという問題が起きてくるわけですよ。僕はそれに矛盾を感じているんです。歴代の、僕が存じ上げている範囲で言わせていただいても、総理大臣秘書官もやられた金澤さんや、あるいは宮内庁長官を今やっておりますけれども鎌倉節さんにしたって、今の高橋県警本部長ですか、その前の縄田さん、末綱さん、最近の例だけでも大変優秀な立派な県警本部長が来ていただいており、ありがたいことだと思っておりますけれども、そういう議論にならないようにするために僕は今ここで質問をさせていただきました。  そして、これはもう答弁要りません、あと三分ですから。  大臣、僕は腹が立ったことがあったときに、死んだおやじから四、五日考えてそれでもまだ腹が立つのならそれはかなり怒っていいと言われまして、実はちょうど一週間と一日たちましたので、一言申し上げさせていただきます。  あなたは、その席であなた自身の多分政務担当秘書官だと思います、お呼びになって、祝儀袋かのし袋に、自治大臣とは書いていなかった、だけれども大臣、あなた自身のお名前を書いた祝儀袋を渡した。お願いですから、公職選挙法に引っかかるようなおそれもあります、こういう委員会の場所でそういう私的なことは慎んでいただきたい。せっかく大臣頑張っておられるのに、何かばかにされた感じがするんですよ、僕なんか。それは慎んでいただきたい。そのことを僕は申し上げて、僕は自分の目で見たんだから、一週間と一日前に。事実だけを僕は指摘して質問を終わります。
  152. 白川勝彦

    国務大臣白川勝彦君) 私の名誉のことでございますから。  何にも気をとめておりませんでしたが、率直に申し上げます。私はいつもこの手提げかばんを持っておりますが、すごく重たくて整理をしていたわけでございます。私、日ごろから人様からもらう名刺をいっぱい持っていたものでございますので、ここにたまっておりまして、そしてここにたまたま空の祝儀袋がありまして、それを渡すのに袋も何もなかったものですから、その中に入れて僕は政務秘書官に渡したわけでございます。  誤解を受けたのかわかりませんが、私はそういうことで別にお金を渡して、お金というかそういう祝儀袋をだれかに届けろという意味で言ったのじゃありません。たまたまそこに封筒がなくて、たまたまここに使い古しというか何も使わなかった祝儀袋があったものですから、その中に入れて僕は大臣室の机の上に置いてくれということで渡したのであります。
  153. 田村公平

    ○田村公平君 あなたは国民に対し、李下の冠ですよ。  以上です。
  154. 峰崎直樹

    委員長峰崎直樹君) 以上をもちまして、平成九年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、総理府所管のうち警察庁自治省所管及び公営企業金融公庫についての委嘱審査は終了いたしました。  なお、委嘱審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  155. 峰崎直樹

    委員長峰崎直樹君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ―――――――――――――
  156. 峰崎直樹

    委員長峰崎直樹君) 次に、道路交通法の一部を改正する法律案を議題といたします。  まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。白川国家公安委員会委員長
  157. 白川勝彦

    国務大臣白川勝彦君) ただいま議題となりました道路交通法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明いたします。  この法律案は、最近における道路交通をめぐる情勢に対応して、交通事故の防止その他交通の安全と円滑を図るため、運転免許に関する規定の整備を行い、交通の安全と円滑に資するための民間の組織活動等の促進に関する規定の整備を行い、及び高齢の歩行者等の保護に関する規定の整備を行うこと等をその内容としております。  以下、各項目ごとにその概要を御説明いたします。  第一は、運転免許に関する規定の整備であります。  その一は、公安委員会は、自動車等の運転に関し道路交通法等に違反する行為で軽微なものをした者に対し講習を行うこととし、これを終了した者については免許の効力の停止等を行わないこととするものであります。  その二は、公安委員会は、免許を取り消したとき等は、五年を超えない範囲内でその処分を受けた者が免許を受けることができない期間を指定することとするものであります。  その三は、公安委員会は、運転者を唆して重大な道路交通法違反をさせた者等について、免許の取り消し等をすることができることとするものであります。  第二は、交通の安全と円滑に資するための民間の組織活動等の促進を図るための規定の整備であります。  その一は、公安委員会は、道路における交通の安全と円滑に資するための活動で民間の自主的な組織活動として行われるものの促進を図るため、情報の提供等必要な措置を講ずるものとすること等であります。  その二は、国家公安委員会は、交通安全教育に関する指針を作成し公表するものとするものであります。  その他、都道府県交通安全活動推進センターの指定等所要の規定の整備を行うこととしております。  第三は、高齢の歩行者等の保護を図るための規定の整備であります。  その一は、高齢の歩行者でその通行に支障のある者が道路を横断している場合等において、必要があると認められるときは、警察官等その他その場所に居合わせた者はその歩行者が安全に道路を横断することができるように努めなければならないこと等とするものであります。  その二は、普通免許等を受けた者で七十五歳以上の者は、老齢に伴う身体の機能の低下が自動車の運転に影響を及ぼすおそれがあるときは、標識をつけて普通自動車を運転するように努めなければならないこととし、車両等の運転者は、七十五歳以上の者が標識をつけた普通自動車を運転しているときは、その自動車の側方に幅寄せ等をしてはならないこととするものであります。  その他、七十五歳以上の者の免許証の更新に関する特例及び申請による免許の取り消し等、所要の規定の整備を行うものであります。  第四は、最高速度違反行為等に係る車両の使用者に対する措置、高速自動車国道等における自動車の交通方法の特例、交通情報の提供等について所要の規定の整備を行うこととしております。  なお、この法律の施行日は、高齢の歩行者の保護、七十五歳以上の者で標識をつけた普通自動車を運転している者の保護、高速自動車国道等における自動車の交通方法の特例及び交通情報の提供に係る改正規定については公布の日から六月を超えない範囲内において政令で定める日、自動車等の運転に関し道路交通法等に違反する行為で軽微なものをした者に対する講習及び七十五歳以上の者の免許証の更新に関する特例に係る改正規定については公布の日から一年六月を超えない範囲内において政令で定める日、その他の部分については公布の日から一年を超えない範囲内において政令で定める日としております。  以上がこの法律案の提案理由及びその内容の概要であります。  何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同賜らんことをお願いいたします。
  158. 峰崎直樹

    委員長峰崎直樹君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。  本案に対する質疑は後日に譲ることとし、本日はこれにて散会いたします。    午後四時二十二分散会