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1997-03-19 第140回国会 参議院 地方行政委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成九年三月十九日(水曜日)    午前十時開会     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         峰崎 直樹君     理 事                 関根 則之君                 竹山  裕君                 小林  元君                 朝日 俊弘君     委 員                 太田 豊秋君                 上吉原一天君                 鈴木 省吾君                 谷川 秀善君                 山本 一太君                 牛嶋  正君                 風間  昶君                 吉田 之久君                 大渕 絹子君                 渡辺 四郎君                 有働 正治君                 西川  潔君                 田村 公平君    衆議院議員        地方行政委員長  穂積 良行君    国務大臣        自 治 大 臣  白川 勝彦君    政府委員        警察庁長官官房        総務審議官    山本 博一君        警察庁生活安全        局長       泉  幸伸君        警察庁交通局長  田中 節夫君        大蔵省主計局次        長        溝口善兵衛君        自治政務次官   久野統一郎君        自治大臣官房長  谷合 靖夫君        自治大臣官房総        務審議官     嶋津  昭君        自治省行政局長  松本 英昭君        自治省行政局公        務員部長     芳山 達郎君        自治省行政局選        挙部長      牧之内隆久君        自治省財政局長  二橋 正弘君        自治省税務局長  湊  和夫君    事務局側        常任委員会専門        員        佐藤  勝君    説明員        厚生大臣官房障        害保健福祉部精        神保健福祉課長  田中 慶司君        厚生省社会・援        護局企画課長   高尾 佳巳君        厚生省老人保健        福祉局老人福祉  青柳 親房君        計画課長        労働省職業安定        局高齢障害者        対策部企画課長  金子 順一君        建設省道路局道        路環境課長    納   宏君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○地方税法及び国有資産等所在市町村交付金法の  一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付  ) ○地方交付税法等の一部を改正する法律案内閣  提出衆議院送付) ○地方行政改革に関する調査   (地方財政拡充強化に関する決議の件) ○地方公務員法の一部を改正する法律案衆議院  提出)     —————————————
  2. 峰崎直樹

    委員長峰崎直樹君) ただいまから地方行政委員会を開会いたします。  地方税法及び国有資産等所在市町村交付金法の一部を改正する法律案並びに地方交付税法等の一部を改正する法律案の両案を一括して議題とし、前回に引き続き質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  3. 山本一太

    山本一太君 自由民主党の山本一太でございます。  本日は、関根理事初め先輩の御好意によりまして六十分も質問時間をいただきまして、白川大臣にも初めて御質問をさせていただくということで楽しみにしてまいりました。張り切ってやらせていただきたいと思います。  まず最初に、白川大臣に一言申し上げたいと存じます。  大臣、私は、きのうからきようにかけて、サンプルは十五人ぐらいですけれども、妻も含めまして政治家でない人間に、白川大臣についてどう思うかという調査をいたしたわけでございます。それがこの結果でございまして、これはお世辞ではありませんけれども、一番多かったのは論客である、かなり論客らしいということでございました。二番目に多かったのは、大臣として白川色が出ているんではないかということでございます。三番目に多かったのは、ちょっと見た感じ気難しい感じがすると、こういうことであったわけでございます。  私は、この二番の独自性があるというところに着目をいたしました。それは大臣が就任以来、地方分権分野から始まっていろんな分野で、必ずしも前例にとらわれることなく御自分のリーダーシップを発揮してこられたということのあらわれではないかというふうに思っておりまして、大変僭越でございますけれども、後輩として心から敬意を表させていただきたいと思います。引き続き、政治家としての信念を持って、とにかく政治主導でこの地方行政分野においてリーダーシップをとっていただきますように御期待を申し上げております。  時間の関係もございますし、きのうからの答弁大臣の決意はいろいろと拝聴しておりますのであえて答弁は求めませんけれども、これからも引き続き頑張っていただきたいと思います。ちょっと気難しい感じは少しずつ直していただければと、このように思っているわけでございます。  私の最初質問でございますけれども、ここに書きました標準税率一・四%、これは固定資産税なんですけれども、この一・四%という数字は非常に象徴的であると、私はこのように思っているわけであります。  固定資産税課税自主権の問題についてお聞きをしたいと思っているわけでございますけれども、この課税自主権という言葉については、昨日も大臣の方から何回かお言葉が出まして、これは言葉はきれいだけれども、なかなかそう簡単にはいかないよというお話であったわけでございます。私は、特にこの固定資産税課税自主権についてきょう取り上げさせていただこうと、こう思っているわけでございます。  固定資産税は、御存じのとおり、現在、市町村税収の四割以上を占めているということで、これはもう文字どおり自主財源としては市町村の根幹に当たる税目と、こうなっているわけであります。しかしながら、現在の仕組みにおきましては、もちろん自治体はこの基幹税目、すなわち固定資産税について税率もまた評価額も自由に決めることはできない、こういうことになっているわけでございます。  地方税法では、先ほどごらんに入れたこの一・四%を標準税率と決めておりまして、さらに二・一%という上限も設けているわけでございます。実際、九割以上の自治体がこの標準税率一・四%というものを採用しているのが現状でございまして、もしある自治体がこの標準税率を低くする、例えば納税者負担を考慮してこれを下回る税率とした場合には、当然自治省の方から地方債の発行を制限するなど親切なリアクションが返ってくる、こういうような状況になっているわけでございます。  言うまでもなく、固定資産税というものは不動産を対象にしている大変安定した税源でもありますし、基礎的な自治体市町村でございますけれども、今後とも市町村にとって大事な税源であり続けるということは間違いないと思うわけでございます。  こうしたことを勘案いたしますと、地方分権が進んでいく中で市町村自身がそれぞれの地域の実情や財政状況、こういったものをしっかりと踏まえて、しっかり見た上で、自主的に税率固定資産税評価額を決める、こういう方向地方分権の流れに合致しているのではないかと私は思うわけでございますけれども、最初質問として、これについて自治省の御見解を伺いたいと思います。
  4. 湊和夫

    政府委員湊和夫君) 全体として課税自主権を尊重する立場で今後の税制を考えていくべきだという基本的な考え方は私ども全く相違があるわけではございませんが、現在における制度あるいは考え方を若干説明させていただきますと、まず固定資産税評価についてでございますけれども、固定資産税課税は、当然のことながら資産価値に応じて課税するという仕組みをとっているわけでございまして、その資産価値評価ということを通じて明らかにしておる仕組みがとられておるわけでございます。  このために税負担資産価値に基づいて決まるということでございますので、個々固定資産の価格を可能な限り適正に均衡のとれた形で評価する必要があるというふうに考えておりますし、特にこれは納税者の側からも、個々資産を相互の均衡を十分留意して、例えば土地について申しますと、土地の区画、形質等にも留意した上で評価すべきだという要請もあるわけでございます。  この点は平成元年に制定されました土地基本法の第十六条においてもその趣旨が明記されているわけでございまして、それ以前、ややもすると固定資産税評価町村内あるいは町村間、地域間で均衡を欠いているということが大変大きな批判を受けたところでございます。  そういう批判のもとに土地基本法十六条が制定されまして、評価均衡化適正化を図るべきだ、公的評価の間の均衡を図るべきだという規定が設けられたのはそういう考え方を背景にしたものであるというふうに考えております。そういう意味では、市町村において評価そのもの作業を行うわけでございますけれども、全国的に均衡のとれた形での評価というものを一定のシステムのもとにやっていく必要がある、これがまた一方では国民要請にもこたえる方向であろうというふうに考えております。  なお、これは財政的な見地からもう一つつけ加えさせていただきますと、現在、交付税算定は、それぞれの税目について収入見込みを立てて需要額収入との差し引きで決まっているわけでございますけれども、この際に、より公平な収入算定を行うという意味でも評価額基本的に市町村間で統一された形で実施されるということが大変大事なことになっておるわけでございます。  それから、税率についてでございます。御指摘がありましたように、現在の主要税目は、固定資産税については標準税率が一・四、それから制限税率二・一という形で税率の幅が設けられております。これは固定資産税だけでございませんで、主要な税目については同じような形で課税自主性を尊重するという観点から税率採用の幅が設けられております。一・四%と二・一%といいますのは、要するに五割増しの税収がそれぞれの市町村財政需要に応じて求めることができるということになっているわけでございます。  個々的に財政需要との関係において個別の税目で全くフリーにという考え方も理念的にはないわけではないと思いますけれども、現在の日本税制一つ税目だけで税が構成されているわけではございませんで、幾つかの税が、しかも主要税目、大きな税目幾つもございまして、こういったものを組み合わせた形で全体の税制が仕組まれております。  それから、あわせて交付税制度といいます世界には例のない財源調整補てん仕組みも設けられておりまして、個別の税目市町村行政歳出といいますか、需要に対する住民の受益というものが厳しい意味で必ずしも連動をしておりませんので、個別税目ごとに完全な形で、先生の今おっしゃったような意味地域需要に連動したような形で税率を決めていくということは大変難しい形にもなっているというふうに考えております。  いずれにしても、税率採用幅も設けた形で現在の制度ができておりまして、私どもはこういった制度考え方を今後とも大事にしながら、より市町村自由度が高められる部分については、分権推進委員会議論の中でもいろんな御指摘もいただいておりますので、今後検討を進めていきたいと思っております。
  5. 山本一太

    山本一太君 今の御説明、いろいろお聞きしたいこともあるんですが、余り突っ込むともうこれで時間がなくなってしまいます。  簡単に言えば、方向性としてはそういう方向に進むべきじゃないかとおっしゃりながら、なかなか現行のシステムを変えることも簡単ではないというようなことではないかと思います。地方自治体といいますか、市町村税率を自主的に決めるということになりますと、その自治体地域住民に対して課税根拠というものをきっちりと説明しなければいけないという必要性に迫られるわけで、そのことは地域住民の間の税に対する関心も喚起をいたしますし、税に対する監視気持ちというのも高めますし、それが結局は税の透明性を高めるということにもなるわけでありますので、いろいろと難しい問題もあると思いますけれども、ぜひともそこら辺の観点から、税務局長がおっしゃったように今後とも検討をお願いしたい、このように思うわけでございます。  続きまして、こういうキーワードがあるんですけれども、特消税の問題についてちょっと触れさせていただきます。特消税は本当に息の根をとめられたのかということでございます。特消税は本当に死んだのかと。  昨年の税制調査会以来でございますけれども、私は同僚や先輩議員からミスター特別地方消費税と、こういうあだ名をつけられておりまして、喜ぶべきか悲しむべきかと思っておるわけでございます。この問題について最後まで建設的な議論を交わした府県税課長などもあそこにおられまして、私の顔を見ると表情が引きつつたりしておられるわけでございます。  今の特別地方消費税は、御存じのとおり、昨年の政府与党税調におきましてようやく廃止という方向が打ち出されたわけでございまして、これを受けて今回地方税法改正廃止規定を盛り込んでいただいたということになっております。  私は、この税の持っている性質不公平性とか不公正ないろんな性格、またこれがこれまで存続になってきた経緯、こういうことを考えれば、今回の撤廃というのはもう当然のことであると受けとめておりますし、もっと早くこれは撤廃をされるべき性質のものだったというふうに確信を持っているわけでもございます。しかしながら、これは存続をめぐる議論も何年にもわたって展開をされてきたわけでございます。  いずれにせよ、今回、この特別地方消費税撤廃という結論の英断を下していただいた大臣に対しましては、全国の旅館業者飲食業界、そして旅館飲食を利用する庶民の立場を代表しまして一言御礼を申し上げたい、このように思っているわけでございます。  御礼を申し上げるだけではなくて、もう一つだけ申し上げさせていただきますと、私は今でも残念なのは、この税制が九年四月一日に廃止とならなくて、十二年四月一日に廃止ということになったことでございます。すなわち、三年間存続をした後に撤廃をするということになったわけでございます。  今般の地方税法改正案の附則第四十条だと思いますけれども、長野オリンピック冬季競技大会の開催に伴う特例というのを見ました。それによれば「平成十年一月一日から同年三月三十一日までの間、旅館における外客の宿泊及びこれに伴う飲食に対する特別地方消費税を非課税とする措置を講ずる」、こういう規定があるのを改めて見まして、この税というのはとにかく外にも説明できないわかりにくい税なんだなということを再認識いたしますと同時に、九年四月に廃止しておけばこんな規定を設ける必要もなかったのにと、こう思ったわけでございます。  英語で言うとハンマーアウトという言葉がありますけれども、いろんな議論の末に出てきた結論ですので、もう本心からいけばこの時期を修正する提案を出したいぐらいでございます。そういう無謀なことはするつもりはございませんけれども、少なくともこれは法律の方で入れていただきましたので、これに従って厳正に履行していただきたいと思います。  これについて、約束どおりちゃんとします、この二言だけ自治省の方からいただければと、このように思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
  6. 湊和夫

    政府委員湊和夫君) 法案に明確に規定させていただいておりますが、三年後に廃止という規定を御提案申し上げているところでございます。
  7. 山本一太

    山本一太君 私もしばらく特別地方消費税のことは忘れたいと思っておりますけれども、三年間は引き続き監視をさせていただきたい、このように思っておりますので、よろしくお願いをいたします。  次に、行財政制度改革に関する点について幾つか問題を提起させていただきたい、このように思っております。これは現在、国民的な課題となっている問題でもございまして、さまざまな側面から考えてみたい、このように思うわけでございまして、政府与党立場とは異なった指摘などについても取り上げつつ、大臣自治省お話を伺いたい、こういう形で質問をさせていただきたいと思っております。  最初問題点を言いますと、多少プロポーザティブなあれでございますけれども、自治省は必要かと、こういう観点でちょっとお話をさせていただきたいと思っております。  行政改革は、言うまでもなく現在の橋本政権の最重要課題でございまして、財政改革分野では、昨日十八日、財政構造に関する首相指針が発表されたのは御存じのとおりでございます。シーリングの問題や公共事業財政投融資見直しなんかもございますし、地方分権推進補助金規制緩和、あるいは特殊法人見直しなど、それぞれ大切な問題だと思います。その中に中央省庁再編問題というのもあるわけでございます。  行政改革会議が発足する以前から省庁再編ということについてはさまざまな新聞報道がなされました。それによれば、自民党行革最終案で、行政分野を国家の存続、国富の確保、拡大、国民生活保障教育国民文化の継承、醸成、こういったものに四分類をし、結局十省庁にするというような話も伝わっております。これによれば、地方分権は総務庁が担当し、国、地方財政調整は財務省が国の財政とあわせて所掌するということのようであります。  御存じのとおり、実際には自民党はこのような案をもちろん正式決定もしておりませんし、公表もしていないわけでございまして、これはもう一笑に付してしまえばそれまででございますけれども、今後地方分権が進展していく中でこういう話が出てくる、そういう中で、中央省庁として地方自治やあるいは地方財政を担当している自治省がこれからの役割について再検討を迫られているというふうに私は考えておるわけでございます。  ある新聞の社説によれば、歳入の自治の確立こそが中央集権体制を解体し、地方主権あるいは地方分権に転換する前提条件であり、その過程で地方分権の旗を振ってきた自治省役割も終わるはずだ、自治省が必要かと問いかける改革こそが地方行財政改革の視点であるというふうにも述べられているわけでございます。  この省庁再編等の話は、現在、行革委等でも実際に各省庁機能の再検討などが行われておりまして、大変センシティブな時期でもございますので、これについてはあえて自治省の方のコメントを求めるつもりはございませんけれども、私の私見をちょっと申し上げさせていただければ、私は自治省は必要である、このように思っているわけでございます。地方分権推進といっても、一つには自治体の受け皿の問題もありますし、そう簡単にはいかないだろうと思うわけでございまして、何よりもこの日本地域格差というものがある限りは何らかの財政的な調整が必要である、すなわち自治省が果たす役割はまだまだこれからあるんだというふうに思っております。  私はアメリカで大学院の教育を受け、また国連に勤めていたときにもずっとニューヨークにおりまして、どちらかというと欧米型の思考がどうも頭を占めていたようなところがございます。大臣は選挙区を十数年歩き回られたわけですけれども、私は政治家になって一年半、やはり地元を歩き、農家に泊まり、畑作業を手伝い、町や村に行きながら、政治行政というものは弱いところに光を当てなきゃいかぬ、こういう確信を持ったわけでございます。地方分権をする中で、地方にどんどん権力を移譲する、自治省は余り出しゃばらないようにする、それと同時に弱い地域に対してはある程度何らかの調整をする、このバランスを考えながらやっていく必要があるんではないか、このように思います。  自治省が必要だとはいっても、制度的にはこの戦後五十年の間で行き詰まったところもあるかと思いますが、そこら辺のところは本当に地方自治のために役に立つ、地方団体にとって有益な省庁としての役割を模索しながら、そういう危機感を持ってこれからもお仕事を進めていただきたい。  この点についてはお聞きしたい気持ちはありますけれども、あえて私のコメントとしてとどめさせていただきたいと思います。自治省役目は終わらない、自治省は必要であるということを申し上げたい、このように思っております。  橋本私案の中でも地方交付税仕組み見直しというのがたしかあったように思います。私の次の質問は、地方交付税役割地方交付税がどういう役目を果たしていくか、これがどういうふうに変わっていくかということをこれから御質問させていただきたい、このように思っております。  地方分権がどんどん進んで地方団体自主財源が充実する、そういうことを仮定しますと、当然地方交付税制度も変わっていくんではないか、このように思うわけでございます。自治省考え方によれば、地方交付税制度の目的は、地方団体自主性を確保しつつ、財源均衡化を図り、行政の計画的な運営を保障することによって、地方自治の本旨の実現に資するとともに、地方団体独立性を強化することとなっております。すなわち、簡単に言えば財源均衡化財源調整機能財源保障という二つの機能ということでございます。  そこで、地方分権が進み、権限も財源地方に移譲される、こういう想定をいたしますと、これまでのように自治省地方団体の代表として大蔵省から地方交付税をとってくるというような財源調達のやり方もこれは変わってくるのではないかと思うわけであります。そして、もう一つ機能である財源調整ということについては、財政力の乏しい地方団体への財源保障をどうするか、こういう点に絞られてくると思うわけであります。こうしたことを考えると、地方交付税制度の縮減というものは当然射程に入ってくるように思います。  ここで私がお聞きしたいのは、この財源調整機能が残るにしても、今の地方交付税配分方式算定方式というのは極めて複雑でございまして、いわば自治省担当者のみが理解できるような大変複雑なシステムになっているのではないかということでございます。ある自治省の方によれば、いやそんなことはない、これを非常に公平に分配するためには細心の注意が必要で、これはもう大変な作業なんだというお話も伺ったわけでございますけれども、これを少し簡素化したらどうかということについてどう思われるか。  そして、地方団体間の財源調整について地方団体も当事者となっていくということが必要なのではないか。これもある程度地方団体見解をきちっと受けるシステムがあるようにも聞いておりますけれども、そこら辺も含めてこの二点についてどう思われるか、自治大臣あるいは財政局長の御見解を伺いたい、こう思います。
  8. 二橋正弘

    政府委員二橋正弘君) 今、地方交付税制度の本来の趣旨につきましては山本委員からお話のあったとおりでございます。  端的に一つの例で申しますと、地方交付税というのはどういう役割を果たしておるかという例でありますけれども、例えば義務教育をとって考えてみますと、日本では義務教育は六年、三年ということで、これは大都会でありましてもあるいは田舎でありましても、同じような教育でかつ同じような教育内容にすべきであるというふうな考え方基本になっております。大都会が四十人学級であって田舎は五十人学級でいいじゃないかという考え方国民の側も受け入れないというのが大前提でございます。そういうことはまた文部省の法律で決められております。そして、地方団体がそれによって義務教育を行うというシステムになっておるわけでございます。  そういたしますと、委員も今おっしゃいましたように、地方財政力はさまざまでございます。しかし一方で、今申しました義務教育を例にとりますと、非常に詳しい教育の水準、あるいはもちろん年限も含めてでありますけれども、そういうことが決められておる、それをどうやって実行するかということであります。そのために財源の手当てをする必要があるというのが交付税制度の一番基本のところでございます。したがいまして、そういう仕事の役割の分担と仕事の内容、それからそれを賄うための税金がどうなっておるかということ、したがって足りない財源をどう埋めるかということが三者一体になっておるというのがまず基本でございます。  そこで、委員も今、分権が進んで自主財源が十分に行き渡るようになれば交付税役割というのは縮小したり見直しされる必要があるんじゃないか、こういうお話でございました。理屈の上では全くそのとおりでございます。そのためには自主財源が大幅に強化される必要がございます。そういう意味合いで申しますと、先ほど委員が特殊法人の話をたまたまされましたけれども、私も先ほどから自主財源の話と特殊法人の話をいろいろあわせてお聞きしながら、やや複雑な思いで聞いておりました。自主財源の強化ということからいえば、私どもは代替財源のいろんな議論をもっと十分にしないで、特殊法人についての扱いということについては財政的な面からいえばやはりもう少し検討の余地があるんじゃないかという思いは正直にございます。  したがいまして、交付税制度全般を議論される場合には、そういう税制のあり方、特に地方税をどういうふうに増強するかということがまずあって、片方で各省庁が行っている仕事の内容、地方団体に義務づけている仕事の内容、水準についてどういう決め方をするのか、そのことについて国民住民がどういう判断をするかということが基本であります。そこのところは、先ほどの義務教育の例で申し上げれば、教育内容というのはもっと財政力によっていろいろ差があっていいじゃないか、それは住民の選択じゃないか、極端に言えば五十人学級であろうとあるいは教科の内容についてももっと地方が選べるようにしたらいいじゃないかというふうなところまでいけば、この交付税算定のやり方につきましても抜本的に変えることは可能だろうと思います。そういうところは全部組み合わせたものであるということはぜひ御理解いただきたいと思います。  それから、自主財源の増強ということについては非常に大事な話でありますので、私どもも努力をしなくちゃいけない課題でございますし、また分権委員会もそういう方向議論されると思いますけれども、委員におかれましても、ぜひそういう観点から地方自主財源の増強ということについてもいろいろ御示唆をいただければ大変ありがたいと思う次第でございます。
  9. 山本一太

    山本一太君 よくわかりました。  局長が今特殊法人のことをおっしゃったので、私は一言だけ言っておきますけれども、財源の話は前からもういろいろとやってきたわけです。最初から代替財源がないからおかしい税のひずみを残してきたということ自体本末転倒の議論であるということだけは、ここで今のお話に対して一言申し上げておきたいと思います。  さらに、地方交付税制度について伺ってまいりたいと思うんですけれども、この地方交付税制度が政策誘導手段として使われているという面について御指摘を申し上げたいと思っております。  地方単独事業、これはふるさと創生事業等だと思いますけれども、これについては地方自主性に基づく地域づくりができるということで自治省も奨励をし、そのための財源として地方債を発行し、そしてその元利償還については地方交付税で措置するということになってきたわけでございます。各省庁の事業に対応しつつ、地方単独事業の事業量の拡大が積極的にこれまで推進をされてきたという傾向があるわけであります。  例えば平成九年度の地方財政計画においても、投資的経費に係る地方単独事業については前年度同額の二十兆一千億円を確保、地方団体としても事業量の積極的確保に努められたいということが一月二十日の自治省財政課長内簡にも通知をされているわけでございます。これについては、昨日だったと思いますけれども、渡辺委員の方から質疑の中で、地方単独事業の意義についていろいろとお話がございました。私もこれについてもちろん否定をするつもりはありません。特に公共投資や公共事業というものは、欧米に比べて社会資本整備のおくれている日本では、私の地元の例を挙げるまでもなくまだまだ重要な役割があるというふうにも思っているわけでございます。しかしながら、各地方団体財政事情が大変逼迫をしている、そして軒並み予算の削減に動いているという状況もあるわけでございます。  そこで、こうした厳しい財政状況の中で今後どのように地方単独事業を進めていくのかという点について、自治省見解を伺いたいと思います。
  10. 二橋正弘

    政府委員二橋正弘君) 単独事業、いろいろ審議の中でも話題になっておりますが、まず基本的に、近年私どもがこの単独事業を地方財政計画なりあるいは地財対策を講ずる際に重点的に取り組んできました一番大きな背景といいますか要因、これは改めて申し上げるまでもないことでありますけれども、地方団体の首長さん方が自分のところの地域の実情に応じていろんな事業をやりたいという希望はかねてからいろいろございました。  以前でありますと、そういう希望を持ってまず各省に、どんな補助金があるだろうか、自分のところに当てはまるような補助金はないだろうか、あるいはこういうことについて各省の補助金を工夫してこういうふうに使わせてもらえないだろうかというふうなことを、霞が関の各省庁のところにある程度当てをつけて相談に行かれるというふうなことがまず最初にありました。  各省庁の方は当然それぞれの事業目的に応じまして補助要綱というのをつくっておりまして、いやこれはこういう要件にはまらなきゃ使えないとか、あるいはこういう条件は満たしてもらわないと補助金が出せないとかという話になって、地方団体の首長さん方がともすれば霞が関を足を棒にして歩いて、あちこち歩いた結果なかなか自分の思うような事業ができないということで、私どもの方に、何か我々の工夫を生かすようなそういう道をもっと広げてくれないか、こういうお話が以前から随分ございました。そういうところに、いわゆるふるさとづくりとか町づくりとかというふうな思想が出てまいりました。  何とかしなくちゃいけないということから、単独事業というのをできるだけ地財対策の中でも拡充をして、地方団体の皆さん方がそれぞれの創意工夫を生かして、中央の方は条件をつけたりあるいはいろんな要綱を当てはめるんじゃなくて、いわば地方の工夫、知恵を中央の方が支援する、そういうシステムでいこうじゃないかというのが今日の単独事業のもともとの一番大きな思想でございます。  したがって、首長さん方があちこち足を棒にして歩いて、その結果、非常にむなしい結果になるということは何としても避けてあげなくちゃいけないということが大もとになっているということはぜひ御理解をいただきたいと思います。  そういうことで単独事業を拡充してまいりましたし、それから特に近年はそれに加えて景気対策ということがありまして、相当大幅な事業の増加、景気対策で年度の中途で公共事業の追加もする、単独事業の追加もしてほしいということを国の方から要請をいたしました。そういうことも相まってかなりの額になってきたということは確かであろうと思います。  ただ、その財源でありますけれども、単独事業の財源がほとんど地方債じゃないかというふうに誤解される向きが時にございますけれども、計画の上では約三割が地方債、残りは一般財源ということでございます。それから、景気対策で行いましたものの実績、決算ベースでいきますと、景気対策のものは地方債の充当率が非常に高くなっておりますので、そういうものを入れましても三〇と四〇の間ぐらいが地方債の構成割合でございます。そういう意味では、財政の健全性といいますか節度という意味での地方債の充当割合というのは、一定の範囲内におさまっているということはぜひ御理解をいただきたいと思います。  それから、交付税で元利償還をいたしております地域総合整備債というのにつきましても、全体の事業費に対する措置率は割合で申しますと二二・五から四一・二五という割合でありますから、五〇%をかなり下回った水準の財源措置率であると、これはもうほとんど交付税で措置しているんじゃないかというふうな誤解が時にございますけれども、そういうこともないということであります。ただ、先ほど申しましたようにいろんな背景がございまして、単独事業が伸びてきたということは確かでございます。  しかし、平成九年度の地財対策に当たりましては、非常に厳しい財政状況を踏まえまして、この単独事業のうち特に投資的なものにつきましては伸び率ゼロという形にいたしました。しかしながら、総額としてはまだ二十兆一千億という金額がございますので、地方団体の皆さん方には、せっかくそういう金額、量を前提にして地財対策がとられ、それによって財源の確保がされているので、そこのところは各団体でいろいろ工夫をしていただいて有効に活用していただきたいということは申しております。  今後に向けては、もちろん基本的には財政状況を十分踏まえながら、その事業内容の効率化、重点化ということもまた地方にいろいろ工夫していただかなくちゃいけませんし、全体の量につきましても、私どもそういう財政状況との兼ね合いでは十分これからも考えていきたいというふうに思っております。
  11. 山本一太

    山本一太君 今、局長おっしゃったように、地方単独事業も自治体のいわゆる裁量といいますか、アイデアやいろんな工夫を生かした形で進めていかれるということですので、そこら辺のところは十分踏まえて、また財政的にもいろいろな工夫をしながら進めていただきたいと思います。  いろいろお聞きしたい点も何点かあるんですが、ちょっと時間もありませんので、もう一点お聞きしたいというふうに思います。それは地方債地方交付税制度の組み合わせによる政策誘導ということであります。  地方債の起債許可制度のもとで、自治省推進する地方単独事業についての地方債発行は非常に認められやすいという問題があると思いますし、その償還については地方交付税で措置をしてもらえるということでございますので、これに基づいて各自治体がこぞって地方単独事業について箱物をつくるというパターンがありました。  これから事務事業の見直しや諸経費の節減合理化を行うとしても、国、地方財政状況からしても地方借入金や地方単独事業の伸びに対処できるだけの地方交付税総額の確保が難しく、それが新規事業の実施などにもいろいろと制約をもたらすのではないかという点があると思いますが、この点についてもう一度お聞きしたいと思います。
  12. 二橋正弘

    政府委員二橋正弘君) 地方債を出した元利償還を交付税で算入するというやり方は、これはかなり長い歴史がございます。一番最初は、港湾でありますとか、あるいはダムでありますとか、それから市町村の場合には小中学校の建設でありますとか、ごみ焼却場の建設といったようないわゆる公共事業が相当大きな金額で特定の団体に発生するという場合に、その団体でその年だけの財源で賄うことは到底不可能だと、したがって何年かにわたって財源手当てをする必要がある、したがって地方債で当該年度は手当てをしてその元利償還に応じて交付税を織り込むという形で、財源手当てを多年度にわたって行っていくというのがスタートでございます。  そういうことがありませんと、そういう大きな投資的事業が個別の地方団体では実行できない、各省庁の持っております港湾、河川、それからごみ、学校といったような事業が進まないということで、交付税に織り込むというようなシステムが、これは一番最初で申しますと昭和三十七年ぐらいからそういうシステムがございました。  交付税は、基本的には人口とか面積とかという客観的な数値で算入をいたしますけれども、それだけでは今申しましたような事態に対応できないということから、現実の事業費あるいはそれに伴う元利償還というものを算入に織り込んで、そういういわば客観的な指標とあるいは動態的な指標、事業費というかあるいは元利償還といったようなものとの組み合わせで交付税の計算をするということが三十七年以降ずっと行われてきております。  そういうものの一つとして、昭和五十九年度以降、町づくりでありますとかふるさとづくりとかといったような単独事業についても一部そういう手法が取り入れられてきたというのがこれまでの経緯でございます。  したがいまして、交付税で元利償還を算入するというのは、大きな公共事業それから単独事業の一部についてはとられている、全体としてそういう仕組みであるということをまず申し上げたいと思います。  そこで、実際に出しておる元利償還がこれからだんだん伸びてくると交付税でちゃんと賄い切れるのか、こういう御心配だろうと思います。最近、確かに借入残高が急増いたしておりますし、公債費の伸びも相当な金額にだんだんなってまいります。したがいまして、私ども毎年度の地方財政対策を講じる際に翌年度の地方財政の収支全体を見込むわけでございますけれども、その収支全体を見込むについては、翌年度の公債費が過去の発行実績をもとにして幾らになるかということを見込み、それからもちろん公債費以外のその他のいろんな経費もございまして、その他の経費についてどういうふうな伸びを見込むか、あるいは節減できるものは節減するといったような、全体の経費についてそれぞれの項目ごとに見込み、それから税収その他歳入を見込んで、地方財政対策、結果的にどのくらいの財源が必要かということを算定いたしております。  それをもとにして、また必要な交付税の総額が幾らであるかというふうなことを各年度考えて、五税で足りる場合、今年度のように足りないということでそれをさらに借りるというふうな事態になることもございますけれども、そういう格好で交付税総額を確保しているわけでございます。  今後とも、そういう形で公債費を含めて地方財政事情を的確に見込んで各年度の地財対策を講じ、交付税の総額の確保をしていきたいというふうに思っております。
  13. 山本一太

    山本一太君 細かい点、何点かお聞きしたいこともあるんですが、いずれにせよ、これから地方分権の進展に合わせて交付税仕組みもあるべき姿に直していくということであると思います。戦後五十年という節目で地方分権推進のスタートも切られましたので、半世紀もつようなシステムの構築をまた目指していただきたい、このようにお願いをして、次の質問に移らせていただきます。  次は、地方債許可制度見直しについてお聞きをしたい、このように思っております。これは真の地方分権を考える上では避けて通れない議論である、このように思うわけでございます。  自治省地方団体に対してはさまざまな権限を持っておるわけでございますけれども、財源面で大きいのがこの地方交付税地方債の起債許可制度であることはもう申し上げるまでもありません。  地方債の許可制度についてはさまざまなメリットがあるということも承知をしております。例えば地方財政計画によるマクロ面での財源保障もありますし、地方債への信用付与機能もあるということでございますし、また地方債資金が財政投融資制度とリンクをしているということで融資等の一元的な調整機能もある、また公共投資に必要な資金の配分調整機能も果たしている、国の経済政策等とのマクロ調整機能もあるといったような点がメリットであるというふうに思っております。  これについてはもちろん広く理解をされているところだと思いますが、これらの機能は、地方分権が余り行われない、金融市場も自由化されない、財政投融資等の財政制度改革も進まないというような状況を想定してこの中で発揮されるものではないかと私は思っております。  私は、我が国のこうした行財政、金融などの構造改革が今進められている中で、地方債の許可制度についても検討すべき時期が来ているというふうに考えておりますが、これについては、既存制度の先入観やしがらみに余りとらわれない新鮮な目で物事をとらえておられる自治大臣として一般的にどう思われているのか、一言伺いたい、このように思います。
  14. 二橋正弘

    政府委員二橋正弘君) 大臣がお答えになる前に、現状といいますか、若干補足をさせていただきたいと思います。  地方債の許可制度が持っております機能につきましては、委員が今述べていただいたとおりでございます。したがって、全く繰り返す必要はございません。そのとおりだと思っております。  片方で、分権という角度から、地方自主性を高めていくためにもつと地方債の許可制度というのを緩和といいますか弾力化すべきじゃないかという御意見が当然ございます。分権委員会からもそういう角度からの御議論をいろいろいただいております。  片方でまた、今大変焦眉の課題でございます財政再建ということが大きな課題になっておるわけでございます。その財政再建の目標は、GDP対比で国と地方財政赤字を、きのうの会議では二〇〇三年というふうに前倒しになりましたけれども、三%に持っていくということで、その三%という数字の意味している財政赤字というのは地方の場合には地方債であります。地方債の発行額が即財政赤字でございます。したがって、財政再建の目標を達成していくためには、要するに地方債の総トータルを何らかの形でコントロールしておかないとその達成ができないということになるわけでございます。  そこのところは、片方でいろいろもっと緩和をするべきだというお考え方と、今のように焦眉の課題である再建のための地方財政赤字、すなわち地方債のコントロールといいますか、中期的な管理というのをどういうふうに考えていくかさまざまな角度から考える必要がある事柄だと思っています。  私どもも、この地方債の許可制度につきましては分権委員会ともやりとりをこれまでしてきておりまして、先ほど委員が御指摘いただきましたような機能を維持しながら、地方の自主的な、主体的な財政運営に資するという観点から、幅広い検討をしてまいりたいというふうに考えておるところでございます。
  15. 白川勝彦

    ○国務大臣白川勝彦君) 地方債も枠だけ決定いたしまして、あとはそこの都道府県にゆだねるということも現にやっておるわけでございます。そういうことを含めますと、全部自治省が関与しているわけではない、こう思うわけでございます。  しかし一方では、今言ったとおり新たなる財政再建という目標の中には、今度は地方も一緒に含めてというのが今の財政構造改革会議議論でございます。これは私はありがたいことだと思っています。というのは、従来の国の財政再建が語られる場合は国の数値だけが問題にされまして、その結果、率直に言って地方の方にツケが回されたときもあったような気がいたします。しかし、公経済というのは国と地方が車の両輪で回っているわけでございますので、両方で健全である必要があるわけでございます。地方債のトータルを余り増大させないようにするということに関しては、そういう面からしばらくの間、自治省としては逆に関与せざるを得なくなったのかなと思っています。  もう一つの問題は、地方債が単なる借金ではなくて、それについては地方交付税で後日措置をするという制度がある限り、何らかの意味交付税の方のトータルに限界があるわけでございますから、どうしても一定程度は関与させていただかなきゃいけないということだろうと思います。  昔のように地方自治体が前後の見境もなく借金をして、そしてその地方自治体が破綻するなどということはもうこれからはそんなに考えられない、地方自治は私はそういう段階はもう既に十分脱したと思っておりますが、特にその二つの面からの必要性というものだけはどうしてもあるわけでございますので、どういう関与というのが必要かは別として、何らかの意味自治省が関与すること自体には合理的な理由があると、こう思っております。
  16. 山本一太

    山本一太君 例えばこれについては、いろんな制度について外国との比較を行うときに、米英独仏というようにアメリカ、イギリス、ドイツ、フランスを対象国にするわけですけれども、地方債の起債許可制限についてこの四カ国を見ますと、日本と同様に起債制限をとっているのはイギリスだけということになるわけであります。  連邦制度のもとで地方分権が徹底しているのはアメリカですが、ここでは地方債地方団体の重要な財源の調達手段となっておりまして、八万ぐらいの地方団体の半分は発行実績があるというのがアメリカの例であります。地方団体にも格付があるわけでありまして、各地方団体が発行額の規制や利率の規制などを設けたり、あるいは起債については住民投票を義務づけたりするような例もあるようであります。  また、抜本的な地方分権改革を実施したフランスにおいては、起債許可制度廃止をされているということでございます。  地方分権地方債の許可制限というのは密接に関連をしているということでございますが、こうした諸外国の地方債発行の状況については日本と違うわけですが、これは制度や国の事情が違うから比較できないということなのか、この点について、簡単で結構ですから一言コメントをいただけますか。
  17. 二橋正弘

    政府委員二橋正弘君) 基本的には地方団体の持っている役割の大きさが各国で全く違いますから、単純な比較は難しいというのはそのとおりだと思います。特にいろんな投資的な事業というのは先進国はかなり進んでいて終わっているような状態でありまして、日本の場合にはまだ公共投資は新しいものが必要で、しかもその公共投資の七割以上は地方団体が行うということになりますから、そういう意味では地方債を発行する必要性が随分違うということがまず基本だろうと思います。  その上で、委員が今お挙げになりましたような諸外国の例を私どももいろいろ勉強いたしております。例えば今おっしゃいましたようなイギリスはほぼ同様の許可というようなやり方のようでございます。フランスは分権がいろいろ進んだということで、時に私どもも例として御指摘いただくことがございまして、我々なりにいろいろ調べております。ここの場合に違っておりますのは、地方団体向けの金融機関専門の中央金融機関ができておりまして、地方団体中央金融公庫的なものができております。そこが公的な資金でありますとか、あるいは日本で言う財投のような預貯金を原資とするそういう資金を扱っておるというふうな公的性格を持った金融機関がありまして、そこがいわば自主的に地方団体の起債をコントロールしているというシステムのようでございます。  その他、アメリカ、ドイツ、それぞれ何らかの形での、特に市町村レベルの地方団体には関与がされているというふうに私どもも承知いたしておりますが、基本的には最初に申し上げましたような役割の量が全く違うということが大きな要因ではないかと思います。
  18. 山本一太

    山本一太君 ありがとうございました。大変クリアな説明でございました。  その他、今我が国の金融情勢が大きく変化していく状況の中で、財政投融資の資金を資金的裏づけとする地方債許可制度のあり方等をいろいろお聞きしたいこともあるんですけれども、ここはちょっと飛ばしまして、次の質問に移らせていただきたいと思います。  次の質問は国籍条項のことでございます。自治省見解は変わったのかということでございます。  どうもマスコミ等の報道によりますと、この国籍条項の問題、白川大臣の発言が一つの契機となって地方公務員への外国人の任用に関する話が進んだと、こういうものを撤廃あるいは緩和する動きが県や政令市レベルまで広がったような印象があるわけでございます。  私は改めて昨年十一月の大臣談話を拝見させていただきまして、ポイントが三つあるというふうに思いました。  一つは、御存じのとおり、例の公権力の行使または公の意思の形成への参画に携わる公務員となるためには日本国籍が必要だと、それ以外は必ずしもそうじゃないという点でございます。二つ目は、その具体的な職種については一律の範囲の策定は困難でしょう。これは当該団体において具体的に判断すべきだという点だと思います。大臣がおっしゃった談話の三つ目のポイントは、単に国籍要件を外すことでは将来における人事管理の運用等の面でいろいろ支障も生じるでしょう。しかしながら、制度的にも運用の面でも工夫をし適切な措置を講ずれば解決できるのではないか、こういうお話だったと思うんです。  私は、この大臣談話の趣旨を、昭和五十四年に行われた上田卓三衆議院議員、この方の質問趣意書に対する大平総理の答弁書と比べてみました。そうすると、一番目の公権力の行使についての要件とかあるいは具体的な職種については、これはもう当該団体において具体的に判断すべきだというようなポイントは既に述べられておりまして基本的には変わっていないのではないかということを思ったわけでございます。  そうすると、白川大臣になってから変わった主なポイントというと、この三の制度あるいは運用で適切な措置を講ずれば解決できるんではないか、こういう点だと思うんです。  まず一つ目の質問は、大臣就任前と就任後でこの問題に対する自治省側の御見解がどう変わったのか変わらないのか、もし変わったとしたらどういう点なのかということが一番目の質問でございます。  二番目の質問は、その大臣談話の中で大臣がおっしゃっている運用で適切な措置を講ずれば解決できるんではないかという話は、これは適切な措置を講ずれば公権力の行使等に携わる公務員にも外国人が就任できる可能性があるのかという話なのか。一の公権力の行使にかかわる人に対しては国籍を有するということともちょっと矛盾する点もあるかと思うんですが、これについて大臣はどういう具体的なイメージを描いておられるのか。  この一点目、変わったかどうか、二点目、どういうイメージでお話をされたのかという点について伺いたいと思います。
  19. 白川勝彦

    ○国務大臣白川勝彦君) まず第一に、これは一番根本の問題でございますが、内閣のかつて出されていた見解というものがあるわけでございますが、自治省としてどうのこうのということは、この問題について公的にドキュメントにしたものはない、強いてあるとするならば、倉田自治大臣の発言だと思っております。ただそれは、従来の内閣政府統一見解基本的には踏襲しているものだと思っております。    〔委員長退席、理事朝日俊弘君着席〕  さて、原理原則の問題でありますが、憲法及び法律を解釈すればというので政府の統一見解が出されているわけでございますが、憲法並びに法律を解釈するというのはだれができるんだろうかという問題であります。憲法並びに法律は、内閣が一元的に解釈する公的権限は与えられておりません。それぞれがそれぞれに判断をし、具体的な問題についてこれが憲法並びに法律に違反するかしないかというのは、最終的には我が国では最高裁しか判断できない問題であるというふうに私は承知をいたしております。  さてそこで、従来のような政府統一見解でいきますと、実際上の運用はそれぞれの地方公共団体が、結論からいえば、ある面では考えなくて済んだというか、考えないでくれというような結果を実際はもたらしたと私は思うわけでございますが、まず自分たちが採用する公務員に国籍条項が必要であるかどうか、そもそも外国人を採用する必要があるかどうかということを含めて、それぞれの地方自治体によって私は事情が違うと思います。それを含めて地方自治体にゆだねるものだとまず私は思いました。  そして、外国人を採用する場合にそれができるのかできないのかというのが次に出てくる問題だと思うんです。最初から採用するつもりがなきゃそんなことを考える必要もないわけです。そして、それぞれの地方公共団体が考えていただきたい、考えていただくのは憲法と法律に基づいて決めていただきたい、また内閣の今までの見解等も参考にしていただければということに尽きます。ポイントについて言うとそういうことなのかなと思っております。  そして、運用面云々という話は、仮に採用する場合に、採用される側の立場にも立ってくださいと。一時、川崎方式というものが随分話題になりましたけれども、試験を受けることはできるが、ただしあなたは将来公権力の行使または公の意思に参画する職種にはつけませんとだけ書いてあって、これを例えば十八の人あるいは二十二、三歳の人が読んでどういうことなのかわかるだろうか。そういう面では、どの職種には採用できるかできないかというのはそれぞれの地方公共団体が本来決められる話でございますが、こういうものにはっける、こういうものにはっけないということを、試験を受ける者にとって具体的に明らかにする必要があるんじゃないだろうか、こういうことであります。
  20. 山本一太

    山本一太君 今の答弁に対してもちょっとお聞きしたいこともあるんですが、時間の関係もございます。  この国籍条項の問題は、単に地方レベルでなく国レベルあるいは場合によっては国際的な問題にもかかわることであるというふうに私はとらえております。  九一年の日韓外務大臣覚書というのがございまして、ここには「地方公務員への採用については、公務員任用に関する国籍による合理的な差異を踏まえた日本政府の法的見解を前提としつつ、採用機会の拡大が図られるよう地方公共団体を指導していく。」、こういうふうになっているわけでございますが、この覚書の話についてはその後の状況がどうなっているのか、局長級の折衝というのは行われているのか、もう本当に簡単で結構ですから、情報があればいただけますでしょうか。
  21. 芳山達郎

    政府委員(芳山達郎君) ただいま御指摘がありましたように、覚書は平成三年一月に日本と韓国両国の政府間で締結をされました。その後、毎年、在日韓国人の法的地位及び待遇に関する局長級協議が、年一回、年末に開催されております。  日本側からはこの覚書の趣旨を踏まえて、公務員に関する基本原則の範囲内で、専門的、技術的な職種について積極的に外国人の地方公務員への採用拡大を図っていく、また地方団体に指導していくということを表明しております。また、韓国側からも採用機会の拡大について重ねて要請があるということで、毎年年末にやっております。
  22. 山本一太

    山本一太君 制限時間があと二分しかございませんので、ほかにもいろいろと御質問したいこともございますけれども、この辺にしたいと思います。  最後に一言だけ、警察庁の方からも来ていただいておりますので、オレンジは絶対に許せないということを申し上げたい、このように思うわけでございます。  これは仮にも同僚の参議院議員に関する話でございまして、こういう報道が事実であるとすれば大変残念なことであります。これは現在刑事事件として捜査中ですし、また予算委員会の方でも証人喚問等も予定されておりますので、御質問申し上げるつもりは、細かいことを言うつもりはございませんが、不明瞭な資金の流れも含めあるいは政党の責任等も含めて徹底的に、そして迅速に解明をしていただきますように、ここで強く御要望を申し上げておきたいと思うわけでございます。  本日は随分基本的な質問もありましたけれども、六十分、それぞれの質問に大変真摯にお答えいただきましたことを心から感謝申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
  23. 吉田之久

    ○吉田之久君 平成会の吉田でございます。  きのう、きょう、この委員会におきまして、地方行政を取り巻く重要な問題点につきまして、各委員からまことに傾聴すべき御質問、御意見の数々を拝聴いたしました。私も全く同じ思いで、特に地方財政計画に関連いたしまして若干の御質問をいたしたいと思う次第でございます。  私の奈良県には上牧町という町がありまして、この間急に首長が亡くなりました。今、激しく四人の候補者が相争って選挙をしているわけなのでございます。地方紙の報ずるところによりますと、それぞれの候補者の公約といいますか、アピールがかなりさま変わりしてきているような感じに受け取れるわけなのでございます。例えば一人の候補者は、事業中心の今までのやり方を変えると言い切っておりますし、いま一人の候補者は、汚職利権をなくし一切のむだを省くと、またいま一人の候補者は、箱物中心の政策を見直し借金を減らすと、さらにいま一人の候補者は、公共事業発注を根本から見直しむだを省くということを強く訴え始めているわけなのでございます。  私は、現下の状況において、こうした首長選挙に出る人たちあるいは地方議員の場合もそうでありましょうが、ともすればバラ色の公約をふんだんに発表して人気をとることに明け暮れてきた一般の傾向があったわけでございますけれども、ここに来て一つの変化、反省が起こっているのではないかというふうに考えております。  特に自治省は選挙を管理監督される省でありますけれども、それはそれとして、個々の候補者がどんな政策を訴えておるかとか、そういうことにはあえて関知してはならないという立場をおとりなのか、それとももっと大所高所の方から、今住民が何を求め、また候補者たらんとする者がどんな決意を表明しようとしているのか、その辺を注意深く見守ってきておられるのかどうか、まずその辺をお伺いいたしたいと思います。
  24. 白川勝彦

    ○国務大臣白川勝彦君) 私は、就任以来、総理の方から地方行革も一生懸命やってもらいたいということを言われまして、以来四カ月有余、地方行革ということを委員の先生方の御支援を受けながら一生懸命やってまいりました。とりあえず地方六団体の方々等とも会談をさせていただきましたし、これから予算委員会が終わりましたら、各地方に行って地方行革セミナーというものを、とりあえず二回やっておりますが、各ブロックごとぐらいのを早く終わりたいと思っています。  そこで、地方自治関係者に私は言うのでございます。いろいろ今まで対立軸はあったと思うのでございますが、今までは伝統的なといいますか、保守対革新とかあるいは自民対反自民、そういうので地方自治体の対立軸があったと。そして、対立じゃなくて総相乗りというのもしばらくはやっていることでございますが、これからの対立軸としてそういうものではなくて、行革派対反行革派というような構図になるのではないかというような感じがしますし、またそうならないとどうも地方行革というのは進みませんねなどということを懇談の席で言ってまいりました。今、吉田委員が触れられたことがもしそんなのの一つの端緒というか一つの事例だとしたならば、私の何となく大ざっぱな感じは余り違っていなかったのかなと思います。  いずれにいたしましても、地方自治、特に地方市町村長というか首長選挙においてそういうことが真剣に議論になるということがあれば、地方行革もかなり本物になりつつあるのかなという感をいたして、興味深く聞かせていただきました。
  25. 吉田之久

    ○吉田之久君 大臣おっしゃるとおり、確かに日本全国あらゆる部門で、そうした行革に対していかに真剣に取り組んでいくべきであるかと…うような気配が次第に盛り上がってきているように思いまして、私もこの傾向に非常に敬意を表している次第なのでございます。  実は、九州のある県庁所在地の市長をいたしております私の親しい友人がありまして、その市長が国会へ来るたびに私に訴えるわけなのでございます。その市長は極めてまじめに将来、その町に後世代にわたる借金を多く残してはならない、できるだけ切り詰めて、そして不要不急の事業はやらないで頑張ってきておると。ところが、隣近所の市町村においては、なぜあなただけがそんなにまじめに考えるの、地方公共団体に破産というようなことはないんだよと。要するに、今やれることはやった方がいいんだということで、今までどおり、例えば音楽堂をつくるとかナイター用の野球場をつくるとか老人用の温泉プールをつくるとか、どんどんそういう施策に励んでおるという市町村も随分存在しておると。  さて、この現状の中で、将来、次の世代が、本当にあの市長は何もしなかったといって私を非難するような気もするし、しかし後世に公債発行残高を多く残すことは大変耐えられないことだからという思いのはざまでいつも悩んでいるんだということを言う人が現におります。私はこれは本当に正直な市長の告白だと思うんですね。  だから、申し上げたいことは、そういう個々の市長がいかに自分の市の将来を思い、後世代のことを思って、そしてまた国家全体の行革に協力しなきゃならぬということを思っても、一人の市長ではそれはできないんじゃないだろうか。要するに、国がみずから徹底的な血を流す行革をやって、国がここまでやっているんだから地方もそれに倣いなさいということで強烈な範を示しながら指導を示さないと、私は地方の行革というのはできないんじゃないかというふうな気がするわけなのでございます。  改めて申し上げますと、議会制民主主義というのは非常にすぐれた制度でございますけれども、選挙を前提とし選挙によって首長や議員が選ばれる、そのことによって成り立つ民主主義でございますから、当面いかに人気を集めるか、いかに目立ったことで住民に喜んでもらえるか、どうしてもそういうことに集中してしまう傾向があると思うのでございます。だから、金がなければ借りておけばいいじゃないの、後は野となれ山となれとは言わないけれども、まずはおれの時代にやるだけのことはやるんだ、こういう宿命を持っていると思うのでございます。  今日の日本の民主主義というのは、そういう点で一つの欠陥を持っているのではないだろうかと思うわけでございますが、自治大臣はどうお考えになりますか。
  26. 白川勝彦

    ○国務大臣白川勝彦君) 日本の民主主義というか、すべての民主主義が常にそういう影の部分があるということは政治の本などでいつも書かれていることでございます。  ただ、吉田委員が今おっしゃったことの中で、これは私どもも指導しなきゃいけないあるいは明示しなきゃいけないと思いますのは、借金というか公債残高が多くなったらどういうことになるのか、そしてそこの地方自治体の運営にとって、現在並びに将来どういう不都合が出てぐるのかということは、制度仕組みとして常日ごろ自治省としてもできるだけ注意を喚起していかなきゃならぬと思うわけでございます。  今、国の財政再建も、きのうも私、財政構造改革会議自治大臣でございますので、総理を除いて四人しかいないのでございますが、いつも出させていただいております。ただ、大変だから財政構造改革をしなきゃならぬという、国はそこまで来ているわけでございますが、しかしどこがどう大変なのかということを言わなきゃならないと同時に、これを逆に健全な姿にしたらどういうよさが今度はあるのかということも言わないといけないんじゃないのか。  きのうの五原則の中の一つに、最後に、財政赤字を含めて国民負担率を五〇%にしたいという一つの目標がありました。私は五〇%というのも高いのではないだろうかと思っております。江戸時代、四公六民ならばいい藩主と言われ、六公四民ならば悪い藩主と言われ、五公五民ならば少なくとも中間というんじゃなくてもう並みだということで、えてして代官とか藩主はそんなに当時は好かれてはいませんでしたので、いい方じゃなくて悪い方だと思うのであります。私は、自由主義社会というのは、少なくとも五割を国民負担にしたら本当に自由主義社会と言えるのかなという問題意識をずっと国会議員になってから考えております。  そんなことを含めて、借金をしたらどうなるのかということは、財政局長、特にその辺の将来像は常に見せるように、仕組み上はこうなるということはもっと言わないといかぬのではないかなと思います。
  27. 吉田之久

    ○吉田之久君 国民負担率を五〇%以下にしようというのは、現在の我が国政治のお互いの大テーゼの一つだと思うのでございますが、五〇%以下に抑えながら、しかも累増する借金をどう消していくかということは至難のわざだと思うのでございます。  敗戦後五十年、追いつけ追い越せとこの勤勉な国民は一生懸命に働いて今日に至ったわけでございますが、同時に大変経済が好調でありまして、特にバブルの絶頂期まで迎えたわけであります。まあ何とかなるわ、今の間にやっておけというような風潮も事実確かになかったことはないと思うわけなのでございますが、ここに来てこの不況の中でこれだけの膨大な借金を抱えて国や地方がどうすべきかということを本気で深刻に考えないと、将来は破綻があるのみだと思うわけなのでございます。  しかも、国の借金も昭和四十年の佐藤内閣から始まっているわけでありまして、それまでにはなかったわけなのでございます。橋本総理が国会議員になられてからしばらくたってからのことでございまして、白川大臣も我々も何十年かその責任を負わなきゃならないと思うのでございます。わずか三十年の間に、国、地方、いろいろ計算はありますけれども、間違いなく三百兆以上の借金ができ上がっておる、計算の仕方によればそれは五百兆にも上ると。年々十兆円ずつ借金したらそうなるわけでありますが、それは利子が利子を呼んで実際は異常に膨れ上がってきていると思うんですね。  私は、ちょっと大げさな例えで恐縮かもしれませんけれども、西郷隆盛が、人知るや否や子孫のために美田を買わずと言い残しているわけなのでございますが、しかしいまだかつて日本先輩指導者の中で子孫のために借金を残せと言った人は私はいないと思うのでございますね。  国家百年の大計をつくる政治が国家百年の借金を今つくっていいものだろうかどうかという問題なのでございまして、その辺で現在の国債と地方債の、公債の発行残高が国の方では既に危機ラインを超えておると、かつての武村蔵相以来歴代の大蔵大臣がそう言い切っておられますけれども、地方の場合の危機ラインはどの辺にあるのか、今まだそれに達していないと思われるのか、あるいはもうはるかに超えていると考えた方がいいのか、その辺のところを御分析いただきたいと思います。
  28. 二橋正弘

    政府委員二橋正弘君) 公債の残高が国、地方を含めて非常に多額に上っておりまして、地方財政にとってもその圧力といいますか、将来に向けての財政圧迫要因というのは非常に大きいということは御指摘のとおりでございます。  近年、特にバブル後、景気の停滞あるいは減税先行それから景気対策といったようなことがずっと重なりまして急増いたしたということは事実でございます。地方財政全体で九年度末見込みが百四十七兆円という金額でございまして、財政規模との対比で考えましてもこれまでの中で最も高い残高の水準になっているということが言えるかと思います。  個別団体で見ないと地方財政の場合には実態が的確につかめないわけでございまして、私どもはいろんな指標でこの公債の残高をとらえますけれども、一つの指標として公債費負担比率ということで、地方団体の一般財源のうち借金の返済に幾ら充てられるかという比率でございますけれども、その割合が一五%を超えますと経験的に警戒ラインを超えて危険ラインに近づくというふうなことを私ども申し上げております。平成七年度の時点で地方団体の数のうち四五%の団体がこの一五%を超える状況にございまして、大変厳しい状況が個別団体で見てもあるということだと思います。  委員先ほど来御指摘のように、そういう財政の実態、あるいは将来に向けての公債の残高のもたらす影響といいますか財政の硬直化の実態、影響について、議会はもちろんでございますけれども、住民の皆さん方にもそういう状況を的確にお知らせして、地方団体の今後の財政運営あるいは施策の選択に反映されるようにするということがぜひとも必要でございます。  私どももいろんな機会を通じてこれまでも申し上げてきたつもりでございますけれども、今の財政構造改革会議がこれからいろいろ本格的な議論に入りますこの時期に、なお一層この実態について住民によく周知し、また地方団体関係者がそこのところをよく念頭に置いて財政運営に当たっていただくように、予算編成をしていただくようにということをこれからもいろんな機会を通じて説明し、周知徹底してまいりたいというふうに考えております。
  29. 吉田之久

    ○吉田之久君 一つ気になります点は、きのう、ある委員の質問に答えられて財政局長は、地方債というものはある程度はあっていいんだ、現世代と後世代とが折半すべきものについては当然性格上そういうことはあるべきなんだというような御答弁がありまして、理論的には確かにそうだと思うんですが、それには限度があると思うんですね。もはや限度を超えていると思うんです。どんなに立派な家を建ててやっても、それは子供たちや孫たちが若干負担してもいいだろうというけれども、余りにも大きな借金を残しておいたら、子供たちは働けど働けどおやじ、おじいちゃんの借金返しに精いっぱいであって、家の修理もできなくなると思うんですね。だから、おのずからインフラ整備につきましても限度があると私は思うわけなのでございます。  そういう点で、今ちなみに全国の政令指定都市において、その予算規模、一般会計予算でも結構ですが、それと現在残っておる公債費の総額とは比較したらどのようになるか、最高はどんな例があり、最低はどんな状況なのかということをまずお聞かせいただきたいと思います。
  30. 二橋正弘

    政府委員二橋正弘君) 政令指定市で申しますと、それぞれの団体の標準財政規模、いわば財政の実力をあらわす規模でございますが、その規模に対します残高の割合で申しますと、平均的に政令指定市では二・三六倍、要するに標準財政規模の二・三六倍でございますが、最も高いのはいわゆる阪神・淡路大震災の影響等もございまして神戸市、これが四・五六倍でございます。また、北九州市が低くて一・六五倍というふうな状況になっております。  また、委員御指摘になりましたように、地方債の発行については常に節度といいますか、それから限度といいますか、そういうものは十分に考えなくてはいけないということは御指摘のとおりでございます。  私が昨日でしたか申し上げましたのは、国の財政との対比で、国の場合には五十年代の初めの福田内閣のときまでは全くの均衡予算で参りまして、あれ以降公債に依存するような形になってきておりますけれども、地方団体の場合には、そのときにも申し上げましたような地方債機能ということから申しまして、それ以前からずっと一定の数値で地方債を発行してきておる。ただ、そのときには地方債依存度というのは一〇%をかなり下回る水準でございました。今は一〇%をまたむしろ逆にかなり上回っているという状況でございますので、そういう意味での引き下げというのはもっと必要であるということは十分承知をいたしておるつもりでございます。
  31. 吉田之久

    ○吉田之久君 その他の一般の市の場合はいかがでございますか。
  32. 二橋正弘

    政府委員二橋正弘君) 先ほど申しました今の標準財政規模に対する比率という意味で、市全体の平均でございますが、これは一・五四倍というのが平均でございまして、最も高いところでは奈良県の御所市で四・三八倍というのが高うございまして、最も低いところでは千葉県の袖ケ浦市で〇・四七倍というふうな状況になっております。
  33. 吉田之久

    ○吉田之久君 今、最も高いのが奈良県の奥野先生のいらっしゃる御所市だそうでございまして、ちょっと恐縮をいたしております。先ほど申しましたこの上牧町の場合も、当初予算は九十九億でございますが、一般会計の方、特別会計の方、合計いたしまして約二百億の公債残高を持っておるというので、言ってみれば大体月並みなものなのかなと、もっとひどいところもあるんだろうなと思うわけなのでございます。  こういう現状の中で私が考えますことは、会計年度、国も地方も原則は単年度会計でございます。それに三十年も五十年も先にならないと支払えないような借金まで借りて運営すること、これは私は現世代における越権だと思うんですね。いかに昭和、平成の時代に生きておる我々といえども、そんな機能はないと思うんです。横暴過ぎると思うんですよ。我々の時代につくった借金でございますから、我々の目の黒い間に八・八は返済しなきゃならぬと、そういう責任があると思うのでございますが、自治大臣はどうお考えですか。
  34. 白川勝彦

    ○国務大臣白川勝彦君) 私は、今この財政構造が危機であるということに関して一つだけ申し上げたいことがあるのは、一般の企業等で多額の借金があるというのは、これは会社経営にとって大変なのでございますが、一番困るのは主たる取引先が倒産したりして全く予告しないで借金がふえる、そういうとき危機に陥るわけでございますが、今回の我々の多額の公債残高というのはそうなんだろうか。  例えば昨年あるいは一昨年あるいはこの数年というのは、とにかくバブルが崩壊し、ある面ではいささか国民全体がうろたえて、とにかく景気刺激をしなきゃいけない、あるいは個人消費を伸ばさなきゃならないということで、特別減税はする、景気刺激策だということで、しかもこれはだれかが専権的に決めたんではなくて国が国会を通じて決めてきたわけでございまして、当時、こういうことをやったら大変なことになるよという意見が余り聞かれなかったような気がするわけでございます。そういうのに今我々は気がついて、おいこれじゃ困るということで、特に衆議院選挙を境に行政改革財政再建というコールが大変強くなってきたということであります。  ですから、地方の公債残高もバブル崩壊以後に急速に増加をしているわけでございまして、これはある面ではこういうことをせざるを得ないという、本当にそこまでしなきゃいけないのかなと思いましたが、日本の歴史始まって以来、土地が下がる、しかも急激に下がるというような中に不安を感じて、何らかの意味での景気対策をする必要があるだろうという中でできた、ある面では一過性の非常に急激にできてきた借金残高だ、公債残高だということは念頭に入れておかなきゃならぬと思います。  ただ、それは明らかに、吉田委員今御指摘のとおり、我々は現状を守るためにある面ではいささか前後の見境なく財政赤字を増大させたということでありまして、後世代に通ずる立派なものをつくる、これは後代にも使ってもらうんだから公債でやむを得ないんだというような確たる考え方でできた財政赤字だろうかと思うと、そうでないような気がいたします。  しかし、ここで気がついたんですから、ほとんどの政党が本当に今こそちゃんとしなきゃならぬというふうに言っているわけでございますので、急にできた借金なんだから、ここでいささかつらくても財政を再建しようということで全政党が力を合わせていけば、私は比較的早く正常な軌道に乗るだろうと思っております。  ですから、きのう総理が示された二〇〇三年までにとりあえずGDP比公債依存度を三%にしようと、そして赤字国債はゼロにしようというのはこれは我々はできると思います。そして、そんなに難しい話ではないだろうと私自身は思っております。ただ、この数年の間につくってしまったストックを消すというのは、かなりこれはお互いに頑張らないとストックは減りませんよということだと思っております。
  35. 吉田之久

    ○吉田之久君 大臣はやや楽観的な見解を心底に秘めていらっしゃるようでございますが、私はどうもそうは思えないんです。  確かに一過性の危機であるようにも思いますけれども、じゃ土地は再び上がるだろうかといえば、もうそれはとても予測できない現状にあります。あの好調なバブルの絶頂期でさえあれほど借金して返せなかったものが、これほど深刻な不況になって国民負担がもうひいひい言っているときに本当に返せるのかどうか、よほどの決意をしないと返せないと思うわけなのでございます。  ちなみに、きょうの新聞でも、きのう財政構造改革会議が行われまして各紙がいろんなコメントを出しているわけでございますが、例えば日本経済新聞によりますと、「注文をつけたい個所はほかにもある。「聖域なし」が財政構造改革会議基本方針だったが、聖域はやはり残った。その一つ地方交付税である。国税収入の一定割合を自治体に配分するのが地方交付税だが、公共事業や教職員数を減らしていくのであれば地方財政需要も減るのだから交付税の配分率も減らしていい。そのことをはっきり書き込むべきだった。」、その他いろいろ述べております。  大蔵省からお見えでございますね。ちょっとその辺、見解をお述べいただきたいと思います。
  36. 溝口善兵衛

    政府委員溝口善兵衛君) 財政構造改革会議は、政府与党の首脳の方々がお集まりになってこれまで四回の議論をされまして、その議論の取りまとめを総理がなされまして、五つの原則とそれから各分野ごとの歳出の見直しをやる際の基本的な考え方という紙を出されたわけでございます。その紙の中に、地方財政につきましては三つのパラグラフがございます。  一つは「地方財政は、国の財政と並ぶ公経済の車の両輪である。こうした中で、まず、各地方公共団体が自ら強い自覚をもって事務事業の合理化」等々がございますということが書いてございまして、二番目に「国としても、地方歳出の多くが国の経済政策や予算と密接に関連していることから、国・地方双方に通ずる歳出抑制策を検討するとともに、地方単独施策等を抑制する等により、地方財政計画の策定に当たって、国と同様に一般歳出を抑制する等の地方財政健全化方策を検討する。」というのが第二のパラグラフでございます。三番目に「このような観点から、交付税制度地方債制度についてその仕組みを見直すとともに、各地方公共団体独自の自主的な財源調達の途を拡充強化することを検討する。」ということでございます。  おっしゃるように交付税制度についての言及がございますけれども、今回の紙と申しますのは基本的な考え方を示したものでございますから、これからさらにいろんな検討が行われていくものだというふうに考えております。
  37. 白川勝彦

    ○国務大臣白川勝彦君) 極めて大切なことでありますので、そのペーパーをつくるときにやりとりがございましたので、多くは語りませんが、一言だけ付言させてください。  私どもは、ここでたびたび申し上げておるとおり、地方交付税の定められた率というのは国税としていただくけれども、しかしこれは地方の独自の財源であるという考え方を歴代総理以下述べておりますし、私どももそう考えております。そして、地方の事務がふえ、あるいは地方分権をさせていこうという時代でございますから、これを保障するために地方独自の財源という意味での交付税に回していただく割合は、ふやしこそすれ減らすことというのは今の流れの中ではあり得ない。ですから、これを聖域に踏み込めなかったんじゃないかという今の日経の指摘は、私どもから見たら到底事の根本を考えておられない議論だと私は思っております。
  38. 吉田之久

    ○吉田之久君 それでは、ちょっとテーマを変えまして、大臣にお伺いいたしますけれども、今、大臣も我々も、あるいは国を挙げて地方分権地方分権と言っております。時には、ある知事なんか地方主権だと言い切っておられるところもあるわけでございまして、表現はどうあろうと、本来、地方分権、あるべき地方の満たされた一つの標準、基準というものはどこにあるんだろうかと。言うならば地方分権の定義ですね、これが私はどうもはっきりしておらなくて、みんなが一様に分権分権と言っているような気がするんです。  例えば、地方公共団体の一番大きいのは東京都だと思うんですが、一千万人いるわけでございます。私たちの由舎へ行きましたら、一千人に満たない村もあるわけなのでございます。その差は何と一万倍でございます。鯨が魚かどうか知りませんけれども、鯨とメダカが一緒におるのも同じだと言っているような気がしてならないのでございます。  そこで、大臣にお伺いしたいんですが、一番大きな東京都やあるいは大阪市でもよろしいですが、その辺は既に地方分権は確立していると見ていいのかどうか、まずその辺からお伺いいたします。
  39. 松本英昭

    政府委員(松本英昭君) ただいま委員御指摘のように、現在、地方団体市町村、都道府県、それぞれ規模等に差があることは事実でございます。  現在、この地方分権がどういう形ならば分権がなされているかということでございますけれども、基本的には、その地方自治体に期待された機能というものが自分たちみずからの手で実現でき、そして自分たちで責任を持っていける体制、制度になっているということと、それから実態的にもそれがそうなっているという両面があろうかと思います。法律的には、前者を団体自治といい、後者を住民自治といっているわけでございます。  そういうことでございますが、現在の実態というのは、率直に申し上げまして、地方公共団体の仕事の量というのは、先ほども財政局長答弁いたしておりましたように、世界的に見ても日本は非常に多い、仕事の量というのは極めて多い国だというように評価を受けていると私どもは心得ております。しかし、その中身が本当に自己決定、自己責任がとれる体制になっているか、そういう点においていろいろ分権の問題があるんだというように一般的に言われておりますし、私どももその見方は正しい見方ではないかというように考えております。  そういうふうに考えましたときに、それでは規模が大きいところは十分にそのことが果たされているかということになりますと、確かに規模の大きいところは規模の大きいなりに仕事の量も大きゅうございますが、その中で本当に自己決定、自己責任の原則が完遂されているかと、それは制度的にも実態的にも問題があるのではないか、こういうように考えているところでございます。  逆に、小さなところは小さいがゆえにそれがなされていないのかと言われますと、いわゆる足腰の強さ、パワーというような面で劣る点が確かにありますが、これまた制度的にも制肘があり、また小さいからといって実態が自己決定、自己責任の原則にならないということでもないわけでございます。要は、ただいま申し上げました規模の差というようなものもいろいろありますけれども、それらが今申し上げました地方分権地方自治の理念に沿った体制になるかどうかということがポイントではないかと思います。  その際に、規模、能力等が小さいところにおいては、どうしてもこれからの地方自治行政地方分権を支えていくだけのパワーがあるかどうか、そういう点にいろいろ私どもも懸念を持っておりますし、住民の方々もそれにまた気がついていただかなければならないんだろうというように考えているところでございます。
  40. 吉田之久

    ○吉田之久君 あなたの説明によれば、今のままでよろしい、大になれば大になるほど、小さくなれば小さくても、それはそれぞれ立派な地方自治体として機能していけばいいんだということなんですね。
  41. 松本英昭

    政府委員(松本英昭君) そういうことではございません。  最後に申し上げましたように、規模が大きいから小さいからというだけで現在の状況が、その地方自治体が分権が成っておらない、あるいは地方自治が完遂されておらないという評価をすることではなくて、それは制度的な面もございますし、実態としても規模にかかわらない問題もあるわけでございます。  ただ、これからの地方自治というものを考えていきますときに、多様化しかつたくさんの仕事をこれから担っていくときに、特に基礎的な地方団体というものは本当に今の規模でいいのかどうか、もっとやはりパワーのあるものにする、足腰の強いものにしていく、そういう必要性は私どもはあろうと考えておりまして、そういう観点からの施策を進めていかなきゃならないというように考えております。
  42. 吉田之久

    ○吉田之久君 そういうような場合は納得できますが、極端な場合、三百人、五百人の地方自治体があって、それはそれでいいんだと言えますか。だって、国の指揮監督をできるだけ少なくして独自でやっていこうとすれば、住民が全部公務員になったからといって足りないでしょう、それは不可能なことです。  だから、やっぱり物事には一定の基準というか輪郭が必要でありまして、本当に中央集権から独立したあるべき地方自治体を構成していこうとするならば、私は当然のケースとして一定の規模を設定することが必要になってくると思う。その点で大臣は、いや合併は強制すべきものではない、地方住民がそれぞれみずから意思決定して運ばれるものであるとおっしゃる。それはそれで一つの理論ではございますけれども、本当に地方自治を確立しょうとするならば、この時点において自治大臣初め国が指導的な役割を果たして、これでは住民が希望する真の地方自治は確立てきませんよ、だから強制はしないけれどももっと大きくまとまることを工夫してみてはとしかるべき指導をなさらないと、あるがままに置いておいて地方自治地方自治だとみんなが合唱しているだけでは意味がないと思うんですね。  その点で自治大臣が日ごろおっしゃっていること、わかりはいたしますけれども、いま一つ前向きに町村合併というものに取り組むべき時期に来ているのではないかと私は思うのでございますが、いかがですか。
  43. 白川勝彦

    ○国務大臣白川勝彦君) 私が自治大臣に就任したときの自治省の担当課長あるいは担当の松本局長、従来の御意見でございまして、合併は推進していかなきゃならぬという認識は持っておりますが、これは余り自治省が出しゃばってはいけない、あくまでも自主的にということをトーンとして非常に強く言われたことを記憶しております。  ただ、わずか数カ月の間でございますが、国会で各先生方からこれだけ合併ということが言われたことはないと思います。そして、どうなんだということで担当の皆さんあるいは自治省全体に聞きますと、少なくとも国会議員の皆様、また同時に国会議員ということではなくて、日ごろ地域住民の皆さんとみんな接しているわけでございますが、地域住民もそういうことを考えているということの一つのあらわれが、市町村合併についてもう少し自治省はイニシアチブをとるべきなのではないかと、こういうふうに私は承知しております。  ですから、私は就任当時は合併の機運の醸成ということを主たる目的にいたしたわけでございますが、余り努力をしないうちに皆様方の努力でこの機運の醸成は十分その実を上げたと。では、直ちに一つの強力な方向性を出すかというと、これはもう少し意見が分かれているようでございますので、松本行政局長の方には、第二ステージ、第二の段階に移ろうと、市町村合併を推進していくために、単なる機運の醸成からもう少し次に移ろうということを指示いたしました。またそんな中で、地方制度調査会の方でも外部監査問題が期せずしてけりがつきましたので、この合併問題を正面から取り上げようというようなことも大きなことだと思っています。  そして、私は今、願わくは、地方行革と地方分権市町村合併というふうなものを三つ束ねて、あるいはもう一つそれに個性ある町づくり、地域づくりというのを含めていいと思うのでございますが、この四つぐらいをセットにした、何が今地方自治関係者が考えるべきことなのか、一つ仕組みというようなものを考えて集中的にみんなで議論をしていくそういうようなものを何とかしかけられないのかなと、こう思っておりますので、また委員各位の御指導、御鞭撻をお願いしたいと思う次第でございます。
  44. 吉田之久

    ○吉田之久君 ほとんど時間がなくなって恐縮でございますが、どうか大臣一つの段階を越えるべきときに来ておるという御認識をよろしくお願いしたいと思います。  簡単な答弁で結構でございますが、今、交通事故には警察庁も非常に御苦労をいただいています。  ところで、十字路交差点の角がそのままみんな出っ張ったまま、これが交通事故を惹起する非常に大きな要因になっていると私は思うんです。  建設省もいろいろお考えいただきたいのでございますが、新しい法律をつくってでも、その角々を一定の基準においてカットしていただくべく協力してもらう、国が買い上げてもいいと、そういう時代を迎えつつあるんじゃないかと思うのでございますが、双方から御答弁をお願いいたします。
  45. 田中節夫

    政府委員田中節夫君) 委員御指摘のように、交差点付近、交差点を含めまして交通量が大変多い、全体の死亡事故の四五%を占めている実情がございます。  私どもといたしましては、今お話しのように道路の構造に起因しているもの等もございますので、この点につきましては、道路管理者と連携しながら具体的な事故原因を分析して、そして事故類型、特徴を把握した上で、可能な箇所から具体的な道路改良等をお願いするというようなことをやってきております。  この件につきましては、今後とも関係団体あるいは建設省等と協力しながら、効果的な交差点対策に努めてまいると考えているところでございます。
  46. 納宏

    説明員(納宏君) 交通安全を確保しますことは道路行政の最重要課題でございまして、従来より安全性の高い道路網の形成とか、歩道の整備、交差点改良など道路整備に取り組んできているところでございます。  御指摘のありました交差点の交通死亡事故件数は全体の約三七%を占めておりまして、緊急に対策を要する重要なポイントであると我々も認識しているところでございます。事故の形態としては、出会い頭の事故が最も多いわけでございまして、交差点の隅切りによる見通しの確保といったことが安全に寄与するものと考えております。  このため、事故が多発しております交差点につきまして、公安委員会等と連携いたしまして事故原因を分析しますとともに、本年度、八年度から、事故多発地点緊急対策事業ということで、幹線道路の事故が多発している交差点等を抽出いたしまして、地域の実情に応じた隅切りや右折レーンの設置といった必要な事故削減策を集中的に実施するなど対策を一層強化しているところでございます。  今後とも、公安委員会等の関係機関との連携をもとにしまして、効果的な安全対策を推進することによりまして交通事故の防止に努めてまいりたいと考えております。
  47. 吉田之久

    ○吉田之久君 ありがとうございました。質問を終わります。
  48. 朝日俊弘

    ○理事(朝日俊弘君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩いたします。    午前十一時四十四分休憩      —————・—————    午後一時八分開会
  49. 峰崎直樹

    委員長峰崎直樹君) ただいまから地方行政委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、地方税法及び国有資産等所在市町村交付金法の一部を改正する法律案並びに地方交付税法等の一部を改正する法律案の両案を一括して議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  50. 風間昶

    ○風間昶君 平成会の風間でございます。  まず、地方債についてお伺いしたいんですが、午前中にも議論があったわけですけれども、地財計画の中で借入金が二兆七千五百億円減ってはいるものの、都道府県の借金は十年で二・四倍と、全体で五十兆円に迫るものになっているというふうな新聞報道でございます。その原因として、地方単独事業をふやすよう国が地方に強く働きかけたのが借金を急増させたと、こういうふうに出ているわけですけれども、自治省としてこのことをどう把握されているのか、認識を伺いたい。  もう一点は、財政の健全化に向けての対応策を伺いたいと思うんです。
  51. 二橋正弘

    政府委員二橋正弘君) 地方財政全体の借入金の残高は特に近年大幅に増加しておるわけでございますが、委員が今御指摘になりましたように、都道府県で見ますと、最近の十年間で、一番最近の決算でいきますと七年度決算でございますので、それから十年さかのぼった数字で見ますと約二・四倍になっているという数字でございます。  この大きな要因は三つほどあろうかと思います。特にバブル後、景気の後退に伴いまして地方税や地方交付税が落ち込みましたので、それをカバーするために地方債を発行してきたこと、それから交付税特別会計で借り入れをして補てんしてきたこと、それが一つでございます。  それから、御案内のように相当大きな税制改革がございまして、そのうちの減税が先行して行われるということになりました。その減収を補てんするための地方債あるいは交付税を補てんするための交付税特別会計の借入金というものが増加してきた。  それから第三番目に、今もちょっとお触れになりましたけれども、この間の景気対策ということで、公共事業あるいは単独事業を年度の中途でも追加して景気対策を行ってきた、その財源として地方債を増発したといったような要因が重なって、近年こういうふうに特に地方債の残高が急増しているという状況でございます。  そういう状況にかんがみまして、平成九年度の地方財政対策を講ずるに当たっては財政の健全化を図っていかなくてはいけないという観点から、地方財政全体の歳出全般にわたってそれぞれ抑制をするという方針で臨んでおりまして、計画全体の規模も二・一%増、いわゆる一般歳出も〇・九%増ということで非常に抑制的な地財計画にいたしております。  そのことを通じまして、新しい借入金の額につきましても、地方債交付税特会、両方合わせてでございますが、八年度に比べて二兆七千億以上減らすということにいたしたわけでございます。  九年度、とりあえずそういうことで第一歩を踏み出した形になっておりますけれども、こういう地方財政の厳しさに対処して財政の再建、健全化を本格的に図っていかなくてはいけないということの認識のもとに、引き続き財政構造改革会議で国、地方を通ずる財政再建目標をつくって再建方策を検討していくということになっておりまして、昨日もそのための一つの具体的な検討のたたき台が示された状況でございます。今後とも、そういう財政構造改革会議等の議論を踏まえながら、全般の財政再建方策について私どもも検討してまいりたいと思っておりますし、各地方団体におかれても一層徹底した行財政改革の取り組みをお願いしたいというふうに考えておるところでございます。
  52. 風間昶

    ○風間昶君 そこで、最近一括返済の地方債がふえて市場に流通させていくという準備が整っているように思いますが、投資家の側からもリスクのない地方債の流通を望む声が高いとも聞いておるわけです。地方債の信用力を高めて流通性を向上させる必要は当然のことだと思うんですけれども、自治省においてはどの程度検討されているのか、伺いたいと思います。
  53. 二橋正弘

    政府委員二橋正弘君) いわゆる市場公募という形で市場に流通する地方債、これは比較的規模の大きい財政力のある団体が公募地方債というのを今出しておる状況でございまして、過去に比べますと次第に公募地方債を出す団体がふえてきております。昭和二十年代のおしまいごろは八団体ぐらいでございましたけれども、平成六年度にはこれが二十八団体にまで大きな都道府県あるいは政令指定市に広がってきておりまして、こういうところで公募地方債を発行いたしております。  これは金額で申しますと、平成八年度の実績見込みで一兆九千億余りということで七年、八年と続けて約二兆円近い発行をいたしておるわけでございます。  こういう公募地方債は当然市場で流通していくわけでございますが、その流通性の向上を図るためにこれまでもさまざまな努力をしてきたところでございまして、一つは具体的に委員も今お話しございましたように、償還方式を従来の定時償還というやり方、そのときに抽せんという形で償還をいたしておりましたけれども、それを改めまして、平成四年に満期一括償還ということにいたしました。そういたしますと、購入者にしてみますと、その段階で当初の利回りが確定して投資計画を立てやすくなるということで、そういう意味で購入の意欲が増加するということになります。  それからもう一つ、いわゆる信用力をあらわすものとして国際的な統一基準でBIS規制というのがございます。その中で地方債、これは当初、国債と比べて差を設けられておりまして、若干のリスクがある中にカウントされておりました。これにつきましては、地方団体が発行して地方債の許可を行って償還財源もいわば担保されているということから、関係者とともに私どもリスクを国債並みのウエートに下げてほしいということを働きかけてまいりまして、これが平成五年度から実現いたしておりました。そういうことにいたしますと金融機関もこういう地方債の引き受けがしやすくなるということで、そういう意味でも流通性が高まるということであろうかと思います。  今後とも公社債市場の動向にも留意しながら、市場公募債の流通性の向上に向けてこれからも努力をしてまいりたいと考えております。
  54. 風間昶

    ○風間昶君 次に、交付税の話ですけれども、三月分の特別地方交付税はきのう閣議決定されたわけです。厳しい財政事情の中、とりわけ日本海でのナホトカ号重油流出事故については、大臣交付税で何とかするから心配しないでという激励をいただいておりまして、ありがとうございます。  逆に言うと、北海道は減るんではないかなという心配もあったわけですけれども、北海道におきましてもおおむね昨年比五%増で配分になっておりまして、感謝するわけであります。  重油流出事故の回収経費、新聞にも五十三億円と、大変な伸びの配分を決めていただきまして、十二道府県に五十億、応援に出た十六県に三億と五十三億交付していただけることになったわけですけれども、被害の最も大きい三国町はどのぐらいあったのか、ちょっと教えていただけますか。
  55. 二橋正弘

    政府委員二橋正弘君) ナホトカ号の油事故の関係につきましては、委員が今お話しになりましたように、全体として約五十三億を特別交付税で措置いたしておりますが、三国町につきましてはこれは福井県で配分いたしております。昨年度の交付税の特交の額が三千三百十四万円でございましたが、ことしはその油事故等がございまして二億八百六十二万円ということで、昨年度の約五・三倍の金額を交付することにいたしております。
  56. 風間昶

    ○風間昶君 それで、関連してなんですけれども、この間の三月十六日に愛知県豊橋市で地震が起こったのは御承知のとおりであります。被害に遭われた住民の皆様と同時に、奮闘してくださった各自治体の職員の御労苦も大変ありがたいことで感謝を申し上げなければならないわけです。  こういう年度末に起きた突発的な事象については来年度十二月の特交まで待つのが原則であろうかと思いますけれども、今回の愛知県の豊橋市中心の地震について、被害の実情がつぶさになってなおかつ地元から要望があれば、四月配分の普通交付税は概算払いというふうに聞いていますから、年度末のこのような事情を配慮して、年度当初から資金難に陥ることのないように自治省として対応していただきたいと思うんですが、いかがですか。
  57. 二橋正弘

    政府委員二橋正弘君) まず、特別交付税の扱いで申しますと、災害に関します特別交付税のやり方は期間は原則として暦年でとっておりまして、一月−十二月の間のその年に起きた災害をもとにして算定して特別交付税の配分を行うということにいたしております。  それから、今度のナホトカ号の事故のように、事故が一月当初に起きて、それからいろいろ経費がかかっておってということがその段階からはっきりしておるものは、特別交付税算定のぎりぎりまで所要経費を報告していただきまして、その年度末までの所要見込みも含めて先ほど申しましたような八十数億という報告をいただいて措置するということができますが、今のように豊橋の場合は三月十六日でありまして、特別交付税の閣議決定がきのうでありますのでこれはなかなか間に合わないということになってくるものですから、そういうものについては一応原則として暦年一月−十二月でということにいたしております。  今回のこの地震で家の半壊、全壊の戸数がどうあるかとか、要するに交付税算定に使うような数値がどうなるかという状況をきちんとつかまなくちゃいけないということもありまして、特別交付税としてはその次の年の特交の算定期間に入ってくるということになると思います。  それから、大きな災害の場合には、普通交付税をその大きな災害に応じて前倒しで特例的に交付するというやり方をしていることはございますので、これも災害の状況、大きさに応じてということかと思います。  今回の豊橋の場合には、実際の被害状況がどのくらいになるかというところまではちょっとまだ私どもつかんでおりませんけれども、公共土木の災害とかあるいは今言いましたような家屋の倒壊とかというのはそうたくさん出ているような事例ではどうもなさそうだということのようでございます。
  58. 風間昶

    ○風間昶君 だから、実態がつぶさになって地元からも強い要望があったときに、前倒しにできないというふうにしゃくし定規のあれではなくて、その心が自治省にあるのかどうかと伺っているわけですから、その気持ちを聞きたいわけですよ。
  59. 二橋正弘

    政府委員二橋正弘君) 先ほど申しましたように、災害が大きくて資金繰りが非常に大変であるというふうな事態に対応します場合には普通交付税で、普通交付税というのは四月、六月、九月、十一月というふうに四回の交付時期が決まっておりますので、そこを繰り上げ交付するというのを一定の基準に基づいてやっておるということでございます。特別交付税については、そういういわば前倒しの交付というふうな仕組みというのは今のところないものですから、こういう大きな災害の場合にはもちろん普通交付税の繰り上げ交付で対応するということかと思います。
  60. 風間昶

    ○風間昶君 次に、法定外普通税として、これは二月十六日に出た新聞記事ですけれども、都内の杉並区の市民団体が法定外普通税として「パチンコ税はどうかな」という記事を見たんです。地元の市民団体を中心に進められているようですけれども、許可申請された場合の対応で自治省はどうされるのか、ちょっと見解を伺いたいんです。
  61. 湊和夫

    政府委員湊和夫君) 今御指摘のありました杉並区の市民団体が署名集めをしたという新聞報道については私どもも新聞を拝見いたしておりますが、地方団体から申請等の動きは目下のところございません。  ただ、今御指摘ございましたが、申請があった場合にどうかということでございますけれども、法定外普通税の場合は、個別具体のそれぞれの事情に即して法律に定められました要件に該当するかどうか判断していくことになりますので、現在の段階で結論的なことを申し上げられる段階ではございませんで、具体的に申請があった段階でその事態に即して適切に判断すべきものというふうに考えております。
  62. 風間昶

    ○風間昶君 法定外普通税の導入には現行法上自治大臣の許可が必要とされていますけれども、自治体課税自主権の尊重とか地方分権観点から今後どのような緩和措置をとることが可能なのか、ちょっと教えていただきたいんです。
  63. 湊和夫

    政府委員湊和夫君) 現在、法定外普通税の許可制度といいますのは、ある意味課税自主権とそれから一定の政策的な要請といいますか、こういったものの調整を図るために設けられておると。その政策的な調整といいます意味は、国、地方を通じて現在主要税目を共通にして分かち合ったりとか、いろんな形で税財源配分が国、地方間で行われておりますが、こういった観点からの視点、あるいは国民全体の税負担均衡といった問題、あるいは国あるいは他の地方公共団体に対します何か新しくあるものに対して課税したことに伴う悪い影響がないかどうかとか、あるいは国の経済政策全体への配慮の問題、こういった国全体からくる要請と、そうは言っても地方団体課税自主権を尊重するという立場からの調整のために設けられているというふうに承知をいたしております。  今後、分権推進の流れの中で、さきの十二月二十日の分権推進委員会の税財源等に関連します中間取りまとめでも、この法定外普通税の許可制度のあり方について見直しが触れられております。現在、許可という制度をとっておるわけでございますけれども、こういった許可という制度をとることの問題も含めて、もう少し弾力的な自治体自主性を生かした運用といったものができないかと。  ただ、その際に、中間取りまとめでも触れておられますが、法定外普通税の適正な実施、運営の担保ということを前提にしながらそういったことを検討してはどうか、こういう御提案をちょうだいいたしておりまして、私どももその線に沿ってこれから検討を進めてまいりたいと考えております。
  64. 風間昶

    ○風間昶君 これはできることから早くやっていってほしいというふうに思いますので、よろしくお願いいたします。  またパチンコのことで恐縮ですけれども、二月二十九日でしたが、読売新聞のトップ記事に「パチンコ新税浮上」と出ているわけです。記事が非常に少なくて、別の面の参照の案内もないので、これはアドバルーン記事なのかリップ記事なのかわかりません。見当つかないんですけれども、一面大きなトップですから、この記事についての真偽のほどはどうなのか、自治省でどういうふうに押さえているんでしょうか。
  65. 湊和夫

    政府委員湊和夫君) 当日朝、私も電話で知らされまして、びっくりしたような次第でございます。  昨日もちょっと同趣旨の御質問がございまして御説明申し上げましたけれども、率直に状況を申し上げますと、私ども、常日ごろいろんな方から今後の税財源のあり方について意見を聞いたり、あるいは懇談の際にいろんな御意見をちょうだいいたしたりもしております。  その中で今話題になっておりますパチンコの件も、こういうことを検討してみてはどうかという御意見があることは事実でございます。これは国会の先生方の中にもございますし、それから学者の先生方の中にもそういう御議論をされる方はございます。ございますが、この問題につきまして、現時点で自治省としてあるいは政府として具体的に創設に向かって検討に着手したという段階にはない、私どもはそういうふうな状況にあるわけでございます。そういう意味で、ちょっと私どももいささか驚いておる記事でございます。  なお、私どもはいろんな方からいろんな御助言をいただいたり、ヒントをいただいたり、またこういうことを検討しているのかという御意見をいただいたりいたします。その都度それを聞き流しというわけにはいきませんので、いろんなお話がありました場合には私どもとして誠実に勉強を重ねる必要があるという意味で、私どもがパチンコについて一切何にも知らないとか、調べたことはないということを申す気はありません。それは私どもいろんなことについてそういう勉強はやっておりますので、そのことと、国民に対してこういう形で政策的に政府として新しい創設に向かって具体的に着手しているということを申し上げる次元は、おのずと相当の次元の差があるというふうに思っておりますので、そういうような状況にあるというふうに御理解を賜りたいと思います。
  66. 風間昶

    ○風間昶君 恐らく内部的な議論はされていらっしゃると思うんですけれども、今のお答えを聞いて残念な気がしてしようがないんです。  私は以前から、パチンコに関しては出玉の交換時に課税すべきじゃないかなというふうに思っているわけです。北海道なんかでも過疎地域では隣町のパチンコ店まで車で行ってやっているのが普通ですから、そうするとパチンコに対する税のあり方としてむしろ市町村税よりも道府県税でどうかというのが私の全く個人的な見解であります。  そういうことも含めて部内で、それは国民の意識との乖離はあるものの、もうちょっとパチンコに対する課税のあり方について教えていただきたいと思いますし、今何か非常にファジーなお答えでしたので、もう一度伺いたい、パチンコに対する課税のあり方。
  67. 白川勝彦

    ○国務大臣白川勝彦君) 御案内のとおり、これは自治省だけではなくて警察庁、国家公安委員長としても非常に重大な関心事でございます。  ただ、杉並の件について記者会見でも私は質問を受けましたので、少なくとも娯楽施設利用税というようなものを消費税が導入されるときにあわせて取るのはどうかと、そういう一連の間接税の見直しの中で廃止された経過があるものを、昔の、名前だけ変えて実態が同じもので出てくるというのはいかがなものかということだけは、私は両方の大臣として率直に申し上げさせていただきました。  今、委員がおっしゃったようなパチンコの換金の際に別の意味での、それをパチンコ税と言うかどうかは別として、課税したらどうかという意見があることも私は知っておりますし、また発想としては大いにあり得るんじゃないかと思いますが、一方では、警察庁の方で専門家でそういう委員会が設けられて随分議論をされたことがあったようでございます。その場合、賭博罪との関係はどうなるんだというようなこともありまして、法務省等も含めて相当議論をしないと一つの立論は難しいということでありました。ただ、いずれにいたしましても、その辺は物の判断でございますので、今後幅広く議論していくことは必要だと思います。  本当かどうかわかりませんが、とにかく三十兆の売り上げがあるというようなことについて巷間言われていることでございます。そのうちの大半が俗に言う両替という形になっております。それらについて一定の関心は持っておりますが、まだそれ以上ではないと思いますし、決してこそこそやっているという意味じゃなくて、関心を持っている程度であって、これは自治省の税務の担当者だけで決められる話ではないと思います。  湊税務局長が言うことは偽りのないことでございますので、私からもギャランティーをさせていただきたいと思います。
  68. 風間昶

    ○風間昶君 大臣から、かなり横断的な形での議論が必要だということをいただきましたので、また次回に譲ります。  このパチンコ税が、名称はどうであれすぐに今度はできないにしても、地方財源不足というのはもう明らかなわけですから、実際に地方税の収入は三十七兆円の大台に乗ったけれども、財政支出の方は十七兆円を上回っていると。今回の法改正で、自主財源が少ないので都道府県から市町村へと。これは市町村への税源移転に関しては非常にいいと思うんですけれども、むしろ僕は国から地方へ思い切った税源の移譲というか移転が必要だというふうに思うんです。  しかも、東京都の昨年四月に出された「分権すべき権限と財源」という冊子の中の四十二ページで、所得税を個人住民税に振りかえるべきであるという見解が示されているわけです。私自身は、税のあり方というのは単純にした方がいいと思っているんです。非常にややこしい構図になっているので、直接税は地方税、間接税は国税というふうにシンプル構造にしたら、国民はもっと納税の義務というんじゃなく権利と感じて私は一大喚起を及ぼすんじゃないかと思っているんですけれども、地方税として今後どのような税源を求めるべきであるというふうに自治省は考えているのか、お伺いしたいと思います。
  69. 湊和夫

    政府委員湊和夫君) 現在、国、地方間で、税と最終的な純計歳出ベースが逆転している、税収は国が二で地方が一、それが歳出の面ではその逆になっている。その間に地方の固有財源の一部としての交付税という制度ももちろん日本の場合はあるわけでございますけれども、そういった税と歳出の乖離というものをできるだけ是正する方向で取り組むべきであるというのが、さきにも触れましたが、分権推進委員会の十二月の中間取りまとめでも触れているところでございます。  その際に、いずれにしても、地方と国の税源の割り振りを考えます際に、おっしゃられますように、税源そのものを完全に国と地方で別々のものを課税するという仕組みがとれれば課税自主性ということを考えていく上でも確かにいいわけでございますけれども、しかしそれぞれ税には税の個性といいますか、いい面悪い面を抱えております。  直接税でも、例えば法人課税については、非常に景気のいいときには大きく伸びますけれども、一方で景気が少し悪くなりますと一気に税収が落ち込むというような問題、伸長性はあるけれども安定性がない、こういう問題があります。  それから、消費課税について、例えば間接税は国でとおっしゃいましたけれども、間接税の場合は、今回の地方消費税についてそうでございますが、税源の偏在性が今の所得税や法人税なんかに比べますと非常に小さい、地方税から見て税源としての偏在が非常に少ないという意味では大変いい税の構成を持っているという面もあるわけでございます。  ただ一方で、これは全国的に流通する過程で課税いたしますから、税がどうしても税率として均一でなきゃならぬ。そういう意味では、各団体の自主的な税源調整はできないというような問題も抱えておったり、それぞれの税がいろんないいところ、悪い面、地方の目から見てそういう面を持っております。そういう観点から、現在は主要な税目を国と地方でそういう性格も考えながら組み合わせて、それぞれが分担して税源として確保しておる、こういう形になっているわけでございます。  いずれにしても、抽象的にはなりますが、地方として望ましい形は偏在性が少なくて安定性があるということが、これからの福祉社会を考えます際に、特に地方の場合は経常的な福祉財源とか人件費を抱えるウエートが大変多うございますので、そういう要請が非常に強いかというふうに思っております。そういう観点から、これからの税源の組み合わせということをしっかり考えていく必要があるというふうに思っております。
  70. 風間昶

    ○風間昶君 次に、これはことしの三月号の「自治実務セミナー」三十六巻三号ですが、本院の宮澤弘議員が「国庫補助金は諸悪の根源」というタイトルをつけられて巻頭言を寄稿していらっしゃいます。  この中で、国と地方との「部分的には上下・主従の関係も必要であるとして、完全な対等関係を望んでいない町村が四六%もあったと言う。」「依存体質から脱却する決意がない限り、地方自治の明日はない。」というふうに締めくくられていらっしゃいますけれども、対等関係を望んでいない町村が四六%もあったというデータに関して所見をちょっとお伺いいたします。
  71. 松本英昭

    政府委員(松本英昭君) ただいま委員お示しになりました調査は民間の某研究所が行いましたものでございまして、その中で三つの回答肢を用意いたしておりますが、抜本的に対等協力関係改革すべきという答えと、部分的には上下主従関係も必要であるという回答と、現在でも対等協力関係にあるという回答と三つでございます。その中で市と町村に分けて統計をとっておるわけでございますが、ただいま御指摘のように、町村の約四六%が二の答え、部分的には上下主従関係も必要であるという形で回答いたしております。  なお、ちなみに申し上げますと、市の方はその割合は約二割、八割が上下主従関係でなくて対等協力関係改革すべきという意見にいたしているところでございます。ただいま申し上げましたように、かなり市と町村でも差があるわけでございますが、率直なところを申し上げまして、この数字が町村の今の実態からいいますとそういうものかなという感じはしないわけでもございません。  何よりもこういうふうになりますのは、一つは、現在の国、地方関係、特に町村立場というものがどちらかといいますとどうしても国のいろんな影響を大変受けやすい体質になっている。特に財政関係では、ただいま御指摘補助金等を通じましていろいろとそれぞれの立場があらわれているのではないかというように考えております。  と同時に、私どもといたしまして、地方分権、これから基礎的な地方団体であります市町村役割というものが特に大切になってまいりますので、我々もこの地方分権というものの意義等についてより一層市町村に対して御理解をいただくようなことを施策としても推進していかなければならないんではないかと心にかたく決意をいたしているところでございます。
  72. 風間昶

    ○風間昶君 次に、機関委任事務の廃止につきまして、きのう記者会見で大臣は、法定受託事務の選別作業がなかなか困難であると発言されたようであります。新聞記事でありますけれども、閣僚懇談会で各閣僚に法定受託事務をふやさないように要請された、増加抑制をという記事もありますが、なるべく少なくしていこうという大臣のお考えは今の今でも変わりありませんね。
  73. 白川勝彦

    ○国務大臣白川勝彦君) 私は今、地方分権推進委員会が一生懸命努力されているところでございますので個別のことを申し上げるつもりはなかったわけでございます。大きな方針が示されたわけでございますが、しかし具体的には、これは自治事務にするのかそれから法定受託事務にするのかということについては個別に分けるといろいろあるようでございます。そんなことで地方分権推進委員会が照会をしたようでございます。  それに対して各省庁から、これはできれば法定受託事務というか、そういう意味でなくても国に何らかの意味で関与をさせてほしいというものが出てきているというようなことを含めて、必ずしも数字はその新聞記事のとおりでないようでございます。この辺については行政局長から説明をさせます。  ただ、いずれにいたしましても、地方分権というのは国会で地方分権推進法までつくり、その法律に基づいて地方分権そして地方の時代をつくろうということでこれだけ政府を挙げてあるいは国会を挙げて取り組んでいるときに、少なくともその姿勢が大きく疑われるような現象は好ましくないので、関係閣僚におかれましてもそれぞれの事務当局を督励していただきたいということで発言をいたしました。  これに関しては、総務庁長官からも同じく話がありまして、例えば自治事務にしたものについても事前協議が必要だとかというのは自治事務にした意味がないではないかというような発言もありまして、これらについても関係大臣が事務当局を十分督励して、できるだけ地方に権限を移譲するようにという御発言がありました。
  74. 風間昶

    ○風間昶君 終わります。
  75. 渡辺四郎

    ○渡辺四郎君 それでは、昨日に続いて地方交付税制度の問題について一、二点お尋ねしたいと思います。  まず第一点は新幹線整備の問題について、この是非を問う考えは毛頭ありませんが、地方財政立場からいたしますと気になることが少しあるものですから、あえて質問をさせていただきたいと思います。  従来、整備新幹線に対する公的なかかわり合いというのは、法律上、国、地方とも必要な資金についての助成を講ずることができる旨規定をされていましたが、地方公共団体の負担というのはその時点までは任意のものとして、資金手当てとしては地方債で措置をされてきたというふうに思っておるところです。  ところが、昨年の十二月二十五日に新しい新幹線整備についての基本フレームが策定をされました。一部JRの負担はあるものの、大部分の負担の原則が定められまして、その内容は、国と地方ともに全国新幹線鉄道整備法にそれぞれ負担割合を明確にするということで、国が三分の二、地方が三分の一ということで法律上明確になりました。その地方負担分については所要の額を地方債あるいは地方交付税で講じる、特に普通交付税で措置をすることが適当とされたようでありますが、どのような財源措置の仕組みになっているのかということをお聞きしたいわけです。  ずっときのうからの議論の中で、これから後いわゆる地方の基準財政需要額が私は伸びてくると思うんです。というのは、高齢化社会に向けての問題なんかもありますからね。それに比べて、いわゆる国税三税の三二%を中心とした税収の伸びは余り期待できないのではないか。  そうしますと、これは私の思い過ごしかもしれませんが、この部分を基準財政需要額に組み込んでいくといった場合には他の部分が圧縮されてくるんじゃないか、あるいは圧縮しないように仕事をやっていくということになれば、政府の方も交付税総額が不足をするからまた借金をしなきゃいけない、地方の方もまた借金をしなけりゃいけないというふうなことで、一番心配になります公債費比率をどう下げていくかという点から見て、一つどうしても私自身は疑問になるわけです。  確かに新幹線というのは鉄道なんかと一緒ですけれども、考えてみれば特定地域の問題ですね。ですから、従来から自治省が言われておりましたように、交付税というのはいわば普遍的な経費であって、標準的な行政経費の財源保障するというのが交付税の性格だというふうにずっと言われてきたわけですね。  そういう点から見て、例えば今後、国の計画として大きなプロジェクトをやるといった場合に、それじゃまた財源は同じような格好でというふうに持ってこられないという保証はないと私は思うんです。そうすると、税収が伸びなければどんどん圧縮されていくんじゃないか、こういう心配があるものですから、交付税趣旨から見てどうしても私は疑問を感ずるわけですが、御見解をひとつお伺いしたいと思うんです。
  76. 白川勝彦

    ○国務大臣白川勝彦君) 整備新幹線問題は予算委員会あるいは本会議等でたびたび取り上げられましたが、私に質問をいただいたのは渡辺委員が初めてでございます。大変ありがたいというか、さすがよく今回の新幹線問題について御存じいただいた上での、しかも非常に鋭い質問だということで、いい機会でございますのでお話をさせていただきます。  実は同じような議論を、隣におります二橋財政局長と私は三日間やらせていただきました。彼は従来からの自治省の物の考え方、また自治省財政、特に交付税を扱う立場から、先生が今おっしゃられたような議論を私に対して強く申しました。それに対して、一方で私が考えましたことは、例えば長野あるいは北陸の一部がそうでございますが、今までは地方負担というものは一銭もなくて新幹線をつくってきた、しかし現に長野がいよいよ開通するわけでございますが、これらは一五%それぞれの地方自治体が負担してつくってきた、この意味するところは何だろうかねということが二人の間で最も激しく争われた論点でございました。  私は、現に今新幹線があるようなところに比べたならば財政力がないところが、なおかつ自治省からの財政措置もないにもかかわらず一五%を負担しているというのは、いろいろ地域の振興策というのはあるけれども、そこの地域にとっては新幹線をつくることがその地域の振興に最も資することだと考えているから、現にそういう負担をしているんではないだろうか。  自治省の諸施策の中にあるいは地方交付税の大きな目的の中に、あくまでもそれぞれの地域の振興を図り、そしてそれぞれの地域が大きく発展してもらうことを支援するというものがある以上、それぞれの関係する地方公共団体がそうやって新幹線をつくりたいということで苦しい中から財政負担しているということを支援する必要があるのではないだろうかと。ここで二人とも三日間にわたり議論いたしまして、最後は、正直申し上げまして私はそう考えているので、後は財政局長従ってくれというような形で決着をしたわけでございます。  ただ、新幹線をつくるのに国が幾ら負担するかと、そういう発想は最初から全くありませんでした。あくまでも今度はその話がついてから、まず運輸省そして大蔵省と話をするときに、私たちが最後まで主張し今なお主張していることは、新幹線をつくるというのは本来私はJRの仕事だと思うと、JRというか、要するに鉄道事業者の仕事だと私は思っていますと。例えば、在来線に何ら手をつけることなく在来線のままでやった場合、果たしてその鉄道は二十一世紀もつんだろうかと。多分、二十一世紀、高速道路あるいは航空機等に取ってかわられて、国民の期待にこたえることなく鉄道事業全体が私はなくなるという話だと思っております。  ですから、あくまでもJRがみずから今の在来線をどうリニューアルしていくかという問題として本来あるはずだと。だから、新幹線を建設することについてJRが幾ら負担できるかというのがまず主だと、それは路線によって区間によって違うだろう、しかしまずそれを明確にしてほしいと。しかし、それだけでは到底できないわけでございますので、それを国と地方がどうやってフォローアップするかという問題として答えて、とりあえず国と地方との関係では二対一の割合で地方負担しましょう、そのかわり地方負担した分についてはその半分、九〇のまた半分でございますから四五%になるんでしょうか、それは交付税措置で措置させていただきますと。  そして、私の頭にありましたのが、例えば一番採算性が少ないということでJRが、どう考えても例えば一〇%しか出せないという地域が仮にあったといたします。そういたしますと、残りは九〇%でございますが、それを二対一で分けますと六〇と三〇になる。その約半分を交付税措置するとなると、現に今まで地方自治体が負担していた一五%とそんなに変わらないということで、私は地方にも従来どおり引き続き御努力をいただく、ただし地方自治体が三〇%表面上は出すわけでありますので、残りの一五%近くは交付税で措置させていただく、こんなような仕組みをつくらせていただきました。  これについては当然のことながらいろんな御意見があってしかるべきだと思いますが、私も考えるだけ考えて、多分そうすることがその地域にとって大きな振興策につながるだろうと、こう思いましたし、そのことは地方交付税措置あるいは地方交付税制度から見て決して間違ったことではないのではないだろうかと思って、一人の大臣として政治的な決断をさせていただいた、こういうことでございます。
  77. 渡辺四郎

    ○渡辺四郎君 大臣のおっしゃることも、私も九州の田舎の出身でございますから、新幹線の果たす役割といいますか、住民の期待も大きいのはよくわかるわけです。  ただ、さっきから言いますように、財政全般を考えた場合に、これからどんどん税収が伸びていくバブルのころであれば地方自治体だって余り問題にしなかったと思うんですけれども、このフレームが決まる段階まで特に抵抗したのは自治体負担問題で、九州だって知事会を中心にこの負担については非常に重かったわけです。    〔委員長退席、理事朝日俊弘君着席〕  その問題を私は論議するあれはなかったわけですが、今、大臣が最終的には政治決断をされたわけですけれども、基準財政需要額の中に組み込んでいくわけでしょう。そうしますと、例えば経費の種類、これは新幹線という種類はないわけですから一体どうするのか、あるいはそこの測定単位、新幹線と入れていくのかどうなのか、そしてその単位費用ですが、これなんか一体どうなるのかということが、事業補正でやるというふうに恐らく言われると思うんですけれども、そうしますと国会ではわからないわけですね、事業補正でやられた場合には。  そこらは私自身の勉強不足があるかもしれませんから、財政局長、ちょっと教えてくれませんか。
  78. 二橋正弘

    政府委員二橋正弘君) 今回、新幹線について財政措置をとり、交付税で措置することにいたしました基本的な考え方はただいま大臣からお話のあったとおりでございます。  若干補足をさせていただきますと、これまでの新幹線につきましては、先ほど委員が御指摘になりましたように、補助することができるという規定が、国、地方ともそういう規定の仕方でございました、全国新幹線鉄道整備法で。ただ、今回そういう地方財政措置をするためには、私どもとしては、少なくともこれまでの財政制度との整合性をとるという意味で、国と地方の公的な負担を法的に他の交通施設、道路とか港湾、空港、いろいろございますけれども、そういう交通施設と同様に法的に明らかにする必要があるだろう、それが今回財政措置をとっていく上での最小限必要なことだということで政府部内で話をいろいろしてまいりました。  そのことがまた国会での御議論をいただけるということでございまして、全国新幹線鉄道整備法の一部改正案が今国会に運輸省から提出されております。その中で、今の国、地方の公的負担の割合を二対一とすることが法律で書かれるという改正案が出されております。また、そのための地方団体の計画に当たっての意見の聞き方でありますとか、そういうことも書かれております。それから、その財政運営に支障が生じないように必要な財政措置を国がとるということも今回の改正案の中に出させていただいております。そのことで、国会の御審議をいただいて地方財政措置をとるいわば根拠を法律上明らかにしていただくということが適当じゃないかと考えておるわけでございます。    〔理事朝日俊弘君退席、委員長着席〕  それから、具体の算定の仕方でございますが、これは現在、地下鉄とかあるいはモノレールといったようなそういう鉄道関係の施設につきましての財政措置が普通交付税でとられておりまして、そういうものと基本的に同様に、発行いたしました地方債の元利償還をもとにして算入していくということにいたしたいというふうに考えております。そういうほかの交通施設とのバランスをとったような対応の仕方にしたいと。  それからもう一点、基準財政需要額に押し込んでほかのところを圧迫するんじゃないかという御心配、まことにごもっともでございますが、これも今回の話の経緯の中に、いわゆるJRに対する固定資産税の特例をどうするかという話も含めて議論されておりまして、それが結果的に、特例措置で固定資産税が半分にまけられておりましたものを、今後はそれを通常どおりに払ってもらうということにいたしました。  そういうことにいたしますと、関係地方団体固定資産税が六百億以上増収になります。増収になってまいりますと、当然その七五%は基準財政収入額に反映してくるわけでございますから、いわば交付税の全体の枠の中に、それだけのものは固定資産税課税標準の特例の廃止に伴って余裕が出てくるということになりますので、そういうものと、今回の政府与党の申し合わせの中で予定されております事業費が元利償還ベースでピーク時にどうなるかといったようなことも私どもいろいろ試算をしながら、そういう金額をにらみながら、これであれば他の費目を圧迫することなくやっていけるだろうというふうな目鼻をつけておるわけでございます。  政府与党の合意の中でも、交付税措置をとるについてのところに、固定資産税課税標準の特例が廃止されることも考慮してそういう措置をとるということもまたその申し合わせの中に書かれておるということでございます。
  79. 渡辺四郎

    ○渡辺四郎君 当然のこととして自治体財政関係は一番詳しいわけですから、細心の注意を払いながら要求するところは要求していただいて、言いましたように心配のないようにぜひお願いをしておきたいと思います。  午前中、吉田委員からも質問があり、たくさんの委員からもありましたように、憲法八章で地方自治という制度保障されたその地方自治体が、今の交付税制度が発足をいたしまして、これは昭和二十九年からスタートしたわけですけれども、確かにその当時の市町村の数から見れば分母そのものが町村合併で違ってまいりますが、平成八年度で三千二百八十の地方団体の四%程度しか不交付団体がないということですね。都道府県で言えば東京都だけで、あとは全部交付税に頼った地方自治体の運営がされておる。  確かに、交付税そのものは財政調整制度機能を果たすための非常に大事な役割であるわけですが、ほとんどの団体が財政調整を受けながら運営をしておると、その現在の地方制度というのが、先ほど言いましたように憲法八章で言う地方制度保障から見た場合に、不交付団体が全自治体数の少なくとも二割から三割ぐらいはあってしかるべきじゃないか、そのくらいの税財源地方はやっぱり持つべきじゃないか、そういうことが本当に憲法八章で言う制度保障地方自治ではないか。  ですから、吉田委員が言われたように、主権は——分権か主権か、私は主権というふうに言ってまいりましたけれども、そういう立場からもそういう気がするわけですが、今申し上げましたような格好の中で、今の地方交付税制度について大臣としてはどういうふうなお考えがあるのか、ちょっと抽象的かもしれませんけれども、あるいは自治省としてはどういうふうに考えておるのか、お聞きをしたいと思うんです。
  80. 二橋正弘

    政府委員二橋正弘君) 今の地方交付税の不交付団体の数が、全団体の中で最新で申しますと百四十三団体、特に都道府県では東京都だけということになっておりまして、少ないんではないかという御指摘でございます。  過去を見ましても、近年で一番多いときで百九十四団体ということでございまして、いずれにしても二百団体を超すようなところまでなかなかいっておらないわけでございます。これは委員十分御案内のことでございますが、結局、地方税としてどれだけの税収が確保できるような仕組みにするかということが基本でございまして、それが相当程度充実されれば、当然それに伴って不交付団体の数がふえてくるということになるわけであります。その一方で、いわゆる不交付団体の財源超過額が、それを財源のロスと言うかどうかはともかくとして、財源超過額がそれだけふえてくるということをどう考えるかということになるわけでございます。  いろいろ極端な議論をされる方は、そこのところを承知の上で、地方税を増強して交付税をもっと徹底して水平調整して、逆交付税も入れて財源調整すればそういう財源超過という問題が解消されるじゃないかというふうな御議論をされる場合もございます。ただ、これは議論としてはともかく、現実にそういう逆交付税的なところまで水平調整で踏み込むことが、本当に技術的にもそれから別の意味地方自治という観点からも許されるのかどうかというふうなことも考えなくちゃいけない問題ではないかと思います。  したがいまして、分権が今議論されておりまして、その中で国と地方役割分担が基本的に見直しをされて、それに伴って地方自主財源の増強というものも図られていくという方向にだんだんなっていけば、それとの関連でもちろん交付税についての全体の見直しが必要になってきて、それに伴って不交付団体の数が動くということは当然あると思いますけれども、そこのところは、先ほども答弁申し上げましたけれども、地方税の水準、量、それから役割の水準、量、それと今の交付税というのは三者が表裏一体、組み合わさった話でございますので、不交付団体の数だけで今の交付税制度がどうかということはなかなか議論はしにくいなというふうに考えております。
  81. 渡辺四郎

    ○渡辺四郎君 それではその程度にしておきましょう。  次に、地方税法の改正問題について、若干私自身は心配があるものですから、要望しておきたいと思うんです。  きのうから有働委員なり西川委員の方からもお話がありました固定資産税の問題です。今回の固定資産税の新たな課税方式に合わせて都市計画税についても減額措置を設けるかどうかという問題があるわけですが、設ける場合、減額をどの程度にするかなどについては課税市町村長のいわゆる裁量に任せるというふうになっております。過去に講ぜられた負担調整や軽減措置の結果、同じ土地に格差が出るんじゃないかという心配が、これは心配というよりも混乱が課税団体の中に起きてくるんじゃないか。だから、そこらを十分ひとつ自治省の方も課税団体の方に指導しなければ、納税者の中にも私は混乱が起きてくるというふうな気がするわけです。私自身の心配だけであれば幸いですけれども、これは要望しておきたいと思うんです。  それから、次の問題は、時間が余りないものですから、地方税の非課税等の特別措置問題についてちょっとお聞きをしてみたいと思うんです。  いよいよ九年度から消費税が二%アップされまして、あるいは地方消費税が施行されることになるわけです。それで、地方消費税の創設を含めた消費税率の引き上げについて、国会の中でも、国民の方々に多大な負担をお願いするということで、これは我々自身も将来の高齢化社会の到来を控えて、活力ある日本社会を今後も維持していくためと、いま一つは、三年前、所得税を中心とした直間比率の見直しで、制度減税として三兆五千億の前倒しの減税をやってきた。三年間分で十兆五千億ある。この穴埋め部分にも実は相対的には国の一%はあるわけですが、そういう中から見て私は、今度のアップについてはやむを得ない選択ではないかというふうに思っておるわけです。  そういうふうな観点から見ましても、国も地方も身を削ってできる限りの財源の確保に努力をしていかなきゃならない。そういう一環として、例えば今年度は平年度ベースで約五百九十六億円程度の実質増が期待される五十八件の非課税特別措置の整理合理化が行われておるようです。これは昨年の百二十八件、件数は多いようですが、額面としては百九十億円ですから、大変な努力をしたというふうに実は評価ができるわけです。  問題は、非課税措置というのは隠れた補助金だというような批判もあるわけですから、税制の簡素化を図る立場からも、特定業者の優遇策とならないようにするためにも、その効果や政策目的の達成度あるいは利用者の普遍性などの観点から、絶えずやっぱり見直していくという姿勢が必要ではないかというふうに思うわけです。そういう点から私自身は、一層の合理化を進めていく必要があるんじゃないかというふうに思うわけです。そして、国民の目に見えるように、納めていただく分は納めていただく、そしてその上で配るべきものは配るんだという姿勢が筋ではないかという気がするわけです。  ですから、消費税率の引き上げを控えて努力していかなきゃいけないと思うわけですけれども、これらについて大臣見解をお聞きしたいと思うんです。
  82. 白川勝彦

    ○国務大臣白川勝彦君) 基本的には先生のおっしゃったとおりだと思います。  各種の政策誘導策としては、まず第一に、交付金を直接その目的のために使うというのがあります。次に、税制、金融等、どちらが高いかはきっと業種によってあるいはその事柄によって違うんだと思うのでございます。そういう面で、例えば今回なされたような一定の目的を持って非課税措置を設けて、設けること自身は文字どおり政治の問題として私はそれ自体間違っていないと思いますが、それはある面では、限定してこの期間だけですよというところに意味があるわけでございます。  そういうものを一たんつくりますと、従来それが引き続き延長延長というケースがあって、そうなるとそれが固定化してしまって逆にもう政策誘導目的も達せられないということになりますので、今おっしゃったとおり、創設することは創設することとして吟味してしなきゃいかぬと思いますが、つくってもできるだけそれに限定的な期間を付して、そして目的を達したらそれは整理合理化していくということは絶えずしていかないと先生がおっしゃったとおりのいろんな問題が出てくる、こう存じております。
  83. 渡辺四郎

    ○渡辺四郎君 ぜひひとつ今後も、大臣が今おっしゃったような立場で、見直しも含めてやっていただきたい。  あと何点か質問のお願いをしておりましたけれども、時間が余りないようですから……。  労働省、見えておるでしょう。きょうは、特に私は福岡出身であるものですから、三井三池の炭鉱閉山問題について、これは大臣にもぜひお願いをしたいという問題であるわけです。  御承知のように、三井炭鉱というのは国内最大の稼働炭鉱として百有余年、我が国の戦前、戦中、戦後を含めて産業経済の発展にもう大変な寄与をしてまいりましたけれども、一九五〇年代の後半から国のエネルギー政策によって石炭政策は変わってまいりました。今日まで国家的な援助のもとに操業を続けてまいりましたけれども、御承知のとおり二月十七日に三井の会社側の方から、労使間協議の中で三月三十日をもって完全閉山をするという通告がありました。  その後、労使関係で交渉を進めてまいりました。きのう、労使関係では最終的に解雇条件についての交渉が調った、約束が調ったという連絡を実は受けたわけですが、問題は石炭の町として栄えてきた大牟田あるいは荒尾両市を初め、完全閉山になりますと、関係地域に与える影響はもう非常に甚大なものがあるんです。  特に炭鉱に直接働く労働者は千二百から千三百、関連する労働者は約三千ということで非常に大きな打撃があるものですから、今日の雇用状況の非常に厳しい中で、特に地元では失業者の再雇用対策というのに中心を置きながら、労働省の出先も、県も含めて関係業界なりあるいは地域の皆さん、もう既に地元の西日本鉄道なんかは数十人の採用を決定したという連絡を受けました。  そういうことでやられておりますけれども、橋本総理も、三月十三日ですか、労働大臣、通産大臣を直接官邸に呼んで、自治省も入っておりますが、十一省庁の次官を中心とした対策委員会の中で、この問題について国を挙げて特に再雇用問題について努力をしようという指示をなさったということも実はお聞きをしておるわけです。  そこで、労働省にお聞きをしたいわけですが、ここに私、三月十七日の朝日新聞を持ってきておりますが、「「特定雇用地域」指定か」ということで「荒尾など三市六町」という見出しの発表がありましたが、これについて労働省として、その後の経過とそれから現状、これは指定をされるかどうかという感触について、あればひとつお聞きをしたい。  というのは、これは新聞に出たものですから、地元から私の方に、ぜひひとつ指定をしていただくようにお願いをしてくれないかというのを、これは各党対策委員会つくっていただいておりますから、福岡だけでなくて各党にも来ておると思うんですけれども、ぜひ今の状況についてお聞きをしたいと思うんです。
  84. 金子順一

    説明員(金子順一君) お答え申し上げます。  三井三池炭鉱が閉山に至りました場合、御指摘のように地域の雇用状況に大変深刻な影響が出るということで、私どもも大変懸念をしているものでございます。また、これを受けまして、今御指摘もございましたが、地元からも特定雇用機会増大促進地域に指定をしてほしいという強い要望をいただいているところでございます。  今後、閉山による地域の雇用状況への影響を見きわめるという必要はもちろんございますが、過日、労働大臣から私ども事務方に対しまして、地元からの御要望にできる限りこたえられるよう、特定雇用機会増大促進地域への指定を行うべく今検討を行っているところでございます。
  85. 渡辺四郎

    ○渡辺四郎君 ぜひひとつ検討を早めてもらって指定をしてもらいたい、これは大臣の方からもひとつお願いをしていただきたいと思うんです。  そこで、労働省もせっかくお見えでありますから、総理も力を入れて再雇用問題に努力をしていただいておる、これも労働省もよくわかっておると思うんです。今度の失業者の中には、一九六三年の三池の炭じん大爆発で四百五十八名ですか亡くなりましたし、それから八百四十二名のCO中毒患者が出たわけです。その後も、四年後ですか、六七年の九月に自然発火によってまた七名が死亡して、四百四十四名のCOによって侵された犠牲者が出たわけですね。そういう人たちのその当時十七歳から十八歳ぐらいの子供さんたちを、三池の方が、大黒柱が亡くなったものですから、生計を維持するという立場でその子供さんたちを採用しておると。ところが、そういう人たちが今五十歳前後なんですね。あと五、六年はどうしてもやっぱり働かなければという大変強い要望が実はあるわけです。  先ほどお話をしました新幹線問題と関連をするわけですが、博多−鹿児島ルートも今熊本の方面では既に着工に入っておるわけです。実は福岡県と佐賀県境に背振という山がありますが、そこをトンネルが通るわけです。そうしますと、第一号が一キロですけれども、第二号の方は十二キロのトンネルなんです。ですから、三池の労働者といえば、一番自分たちが向いておるというのは、そういう石炭を掘っていたわけですから、そうしますと、やるのは鉄建公団がやるわけですから、今の鉄建公団は昔の鉄建公団、国鉄当時とは違っておると思うんですけれども、その鉄建公団にぜひ、これは民間といえばそうかもしれませんけれども、国の政策でエネルギー政策を変えていってそして閉山をしたわけですから、ぜひ私は自治大臣にお願いをしたい。そして、労働大臣、通産大臣と一緒になってひとつ運輸大臣要請をして、そして鉄建公団に三池の離職者を雇ってもらうと。  九州新幹線を引きますとこれから十五年ぐらいかかるわけですから、そうしますとずっと雇用が継続していくわけです、五十五、六歳になるまで。そうすれば、厚生年金も一定程度つきますから、ぜひひとつそこを大臣にお願いしたい。労働省の方にもぜひ大臣に伝えてもらいたいということで、これはひとつ大臣の決意をお願いしたいと思うんです。
  86. 白川勝彦

    ○国務大臣白川勝彦君) 私は古賀運輸大臣とは長い間同じグループで政治活動をやってきたものでございますので、かつまた大牟田は選挙で彼の今最も中心のところでございますから、何よりも彼が大きな関心を持っていると思いますので、私が言うまでもなくいろいろ考えていると思いますが、先生が今おっしゃったようなことはぜひ私からもまた伝えたいと思います。  ただ、仕事柄、鉄建公団がみずから現場の作業員を擁すると、今そういう仕組みではないのではないのかなという感じがいたします。多分外注化しておりまして、実際工事するのはどこどこの建設会社というところに発注するんではないかと思いますが、そんなようなことを含めてやってまいりたいと思います。  ただ、一般に誤解されるんですが、今回決めさせていただきました新幹線のスキームでございますけれども、きのうの財政構造改革会議でも大変きつい縛りが国会等の議論があったために付されております。かつまた、すぐにでもというんじゃなくて、来年度実際に予算がつくのは九州についても新規着工分はごくわずかでございます。そういう面で、先生の御期待に必ずしもこたえられるかどうかは私わかりませんが、彼自身の、運輸大臣自身の問題でもあると思いますので、そういう意見が強くあったということは責任を持ってお伝えしておくことをお約束申し上げます。
  87. 渡辺四郎

    ○渡辺四郎君 ぜひひとつお願いをしておきたいと思います。  終わります。
  88. 朝日俊弘

    ○朝日俊弘君 民主党・新緑風会の朝日でございます。きのうに引き続いて、きょうはまたひとつ難問に挑戦したいと思います。  地方交付税制度の性格及び普通交付税算定について、少し基本的な問題について確認をさせていただきながら、幾つ質問したいと思います。  まず導入として、地方交付税基本的な性格について簡潔にお聞かせいただきたいと思いますし、あわせて普通交付税の額の算定の仕方について、その概要を御説明いただきたいと思います。
  89. 二橋正弘

    政府委員二橋正弘君) まず、地方交付税基本的な性格でございますが、地方財源均衡化を図りますとともに、地方行政の計画的な運営を保障することを目的とするものでございまして、国税五税の一定割合とされております。それから、これは国から地方団体に交付をいたしますが、これに条件を付したり使途を制限してはならないという性格のものでございます。すなわち、地方交付税は国、地方間の役割分担、経費の負担区分に対応して、本来、地方団体財源とすべき税収入の一部を国税として国が地方団体にかわって徴収しているもの、そういう意味地方の固有の財源であるという基本的な性格のものと認識いたしております。  普通交付税の額の算定方法でございますが、基本は、各団体ごとに標準的な財政需要として算定される基準財政需要額が、標準的な財政収入として算定される基準財政収入額を超える額が普通交付税の額というふうに算定されることになっております。
  90. 朝日俊弘

    ○朝日俊弘君 今御説明いただきました中で、基準財政需要額という概念が一つの重要なポイントになると思うんですが、正直なところわかりにくい概念でありますので、この基準財政需要額とはどういう考え方に基づいて実際どうやってはじき出しているのか、ここのあたりを少し丁寧に説明いただきたいと思います。
  91. 二橋正弘

    政府委員二橋正弘君) 基準財政需要額は、各地方公共団体が合理的かつ妥当な水準の行政を行うために必要な財政需要を測定するために、一定の算式で算定をいたします標準的な歳出に係る一般財源の所要額というものでございます。具体的には、毎年度の基準財政需要額につきましては、法令あるいは国の基準により示されました行政水準、それから国庫補助負担金に伴う地方負担額、地方財政計画に示された単独事業の水準等を考慮して算定いたしているところでございます。  具体の算定に当たりましては、地方団体財政需要に応じて幾つかの行政項目、教育、土木、警察といったような行政項目に区分をいたしまして、それぞれの行政項目について財政需要の多い少ないを最もよく反映する指標として測定単位というのをとらえて、教育であれば例えば学校の先生の数といったような測定単位でありますけれども、そういう測定単位をとらえて、その測定単位に測定単位当たりの費用、これは単位費用というふうに申しておりますが、その単位費用を乗じまして、それをさらに各地方団体が置かれている自然的、社会的な条件からくる財政需要の多い少ないを反映させるための補正、例えて言いますと、寒冷地でありますとか積雪の場合には経費が割高になるということで寒冷地補正をするとか、あるいは人口の規模の大小に応じてスケールメリットが働く方向、それから逆に人口が少ないために経費が割高になる傾向、そういうものを反映させる段階補正といったような補正を加えることによりまして、各行政項目ごとに測定単位に単位費用を掛けて補正係数を掛けてという形で基準財政需要額を計算しておるわけでございます。
  92. 朝日俊弘

    ○朝日俊弘君 考え方としてはなるほどわかったような気もするんですが、さてそれが実際どういうふうになっていくのかという点について、もう少し細かい話になるかもしれませんが、具体的にお尋ねしたいと思います。  まず最初に、気になる点がありますので確認をさせてください。  既に配付されて皆さんのお手元にもあると思いますが、「各行政項目別単位費用算定基礎」という資料があります。この一番最後を見ますと、今お話があったように、それぞれの行政経費別に単位費用をどのように算定しているのかという一覧表がありまして、それの対前年度比が載っております。ざっと見てあれと思ったのは、真ん中からちょっと下あたりに高齢者保健福祉費、これは三年ほど前に新しく項目として立てられたと思いますが、この高齢者保健福祉費のところが随分と単位費用に三角がついていて落ちているんですね。  私から申し上げるまでもなく、現時点では既に新ゴールドプランの推進中でありまして、それに基づいて各自治体でも高齢者の保健福祉施策を着実に推進するという段階にあると思います。それにもかかわらず、この高齢者保健福祉費というところが八年度から九年度にかけてこれほどまでに単位費用ががくんと落ち込むのは何でなのか理解できません。ちょっと御説明いただきます。
  93. 二橋正弘

    政府委員二橋正弘君) 単位費用の改定、毎年お願いをして交付税法の御審議をいただいておるわけでございますが、その中で、委員が今お挙げになりました高齢者保健福祉費の測定単位でございます高齢者人口、これに掛けます単位費用がマイナスになっておりまして、確かに奇異な感じがされると思います。  これは平成七年度の国勢調査の結果、測定単位でございます高齢者の人口が全国で大幅に増加することになりました。二二・六%増ということでございます。国勢調査は五年に一遍ございますので、その国勢調査の七年度調査の結果を受けて、平成九年度で単位費用の計算をいたしますもとの標準団体、標準団体というのは県、市町村にそれぞれ一つずつ標準団体というのがあるわけでございますが、その標準団体の高齢者人口を新しい国勢調査の数字に置きかえる必要が出てくるわけでございます。その置きかえをいたしました数字で申しますと、都道府県の標準団体、人口おおむね百七十万ぐらいの団体でありますけれども、これの高齢者人口が二十五万人から三十万人に急にふえる。市町村分につきましては、これは人口十万の市でありますけれども、一万五千人から一万八千人にふえるということになりました。  この高齢者対策の一般財源は、地財計画で補助事業、単独事業を通じて一般財源はどのぐらい必要かというふうなものを見込みますので、その一般財源としては全体としてこの費目は増加をいたしておりますけれども、今言いましたように、その単位費用の計算のもとになります高齢者人口が五年に一度たまたま変わる時期に平成九年度がぶつかりましたので、その大幅な高齢者人口が増加いたしました結果、単位費用を計算するときにはその所要の一般財源の額を高齢者の人口で割り返しますので、割り返した単位費用がたまたま八年度に比べて少なくなってしまったというのが実情でございます。  毎年ある現象ではないのでありますが、五年に一度の国勢調査というのがたまたまこの七年度の結果が出て九年度から反映するということになりましたものですから、こういう現象が単位費用の面では生じておるということでございます。この単位費用に測定単位を乗じて計算をいたします各地方団体の高齢者関係の基準財政需要はもちろん増加をいたしておるわけでございまして、そういったまたま五年に一度の現象がここにあらわれていると、その結果がこういう姿になっておるわけでございます。
  94. 朝日俊弘

    ○朝日俊弘君 今の説明を聞いて、それはそれでトータルとしてはちゃんと伸びていますという話なんですが、ちょっとこれは通告に入っていなかったんですけれども、これは何で五年に一度しかやらないんですか。人口推計というのはある程度できるはずですし、それから各市町村は老人保健福祉計画をつくって何年までにどれぐらいというような数字をつかんでいるわけですから、一年一年やったらいいんじゃないかと思うんですが、いかがですか。
  95. 二橋正弘

    政府委員二橋正弘君) ごもっともな御指摘だと思います。  ただ、交付税の測定単位に使います数字というのは、できるだけ法令あるいは公信力のある調査に根拠のある数字がある場合にはなるべくそういう数字を使いたいということで、法律の上でも交付税法で高齢者人口の定義をそれぞれ規定しておるわけでございます。そのときに、公信力があって全国調査等があるものについてはその調査結果を使っていくということにいたしておるものですから、例えば住民基本台帳とか何かで毎年の人口そのものはもちろんございますけれども、交付税算定の測定単位にするためには、できるだけいわば公信性が高いといいますか、そういう調査数字をもとにしたいということから、今のように国勢調査の人口を使っている、高齢者人口を使っているということでございます。  今、確かに議員が御指摘のように、ほかの数値で代替できるものがあれば代替すればいいじゃないかというお考えは当然あり得る話だと思いますけれども、私どもは基本的に今言ったような考え方で、測定単位をできるだけそういう公信力のあるものを最優先にしたいということでやっております。その結果、実際の交付税需要算定については、今言いましたように需要額算定に支障が生じてくるわけではございませんので、ただ、たまたまそういうものを使う結果、五年に一度なので単位費用が九年度の節目のところで今言いましたような現象が出てくるということになって、ややわかりにくいということは確かに御指摘のとおりかと思います。
  96. 朝日俊弘

    ○朝日俊弘君 ややじゃなくて大変わかりにくいです。  ですから、これは要望しておきますが、例えば高齢者人口の指標を六十五歳以上でとったらいいのか七十五歳というとり方もあるのかということも含めて、しかも日本は今急速に高齢化が進んでいるわけです、年々高齢化率が高まっているわけですから、そういうときに、五年に一度何か法律に基づいて云々という話ではなくて、少し工夫をしていただくようにこれはぜひ要望しておきたいというふうに思います。  次に、ちょっと別の切り口からさらに具体的にお尋ねしたいと思います。  障害者プランというのが平成八年度、今年度からスタートいたしました。御存じのように、身体障害、知的障害、それから精神障害、この三障害にかかわる七カ年戦略というものがスタートしているわけです。なぜここでこの障害者プランの問題を取り上げたのかといいますと、こういう障害者プランのように、仮に政府としてきちんと五カ年計画とか七カ年戦略とかというプランをつくった場合に、それを実施していくために必要な財源地方交付税上、とりわけ基準財政需要額の算定にどのように反映されているのか、この辺をぜひ知りたい こういうことでこの問題を取り上げさせていただきます。  そこで、まず厚生省にこの障害者プランの概要について、全体をお話しいただくと随分時間がかかると思いますのでその主要な施策に関してだけで結構ですから、どんな項目、どんな具体的な数値目標がこのプランで示されているのか、そしてそれを実施していくに当たって、厚生省としては負担金あるいは補助金という形でどの程度それぞれの施策に予算、必要経費を計上しているのか、主な施策について例示的にお示しいただければと思います。
  97. 田中慶司

    説明員田中慶司君) 御説明申し上げます。  委員御指摘のとおり、障害者プランは、平成八年度から平成十四年度までの七カ年を計画期間としまして、障害者地域社会の中でともに暮らせる社会をつくることを目指しまして、関係省庁の施策を横断的に盛り込んだものでございます。  障害者プランにおきまして主要施策について数値目標を設定しておりますけれども、厚生省関係の主なものについて御紹介しますと、グループホーム等につきましては五千人分を二万人分に、授産施設、福祉工場は四万人分を六万八千人分に、精神障害者の援護寮につきましては千五百人分を六千人分へと、こんなふうに伸ばしていきたいというふうに考えておるところでございます。  これに関します予算といたしましては、平成九年度の予算案におきまして、グループホーム等については二十九億六千四百万円、授産施設等につきましては三百四十一億五千二百万円、精神障害者援護寮につきましては二十一億六千四百万円等をそれぞれ計上しているところでございます。
  98. 朝日俊弘

    ○朝日俊弘君 今、額を大ざっぱにお示しいただいたんですが、恐らく十割補助じゃないと思いますから丸々じゃないですね。総額じゃなくて、どの程度の比率というか補助割合になっているのか、幾つか例で示していただけますか。
  99. 田中慶司

    説明員田中慶司君) 補助率は国が二分の一、県が二分の一ということになっております。今申し上げましたのは国の予算でございまして、つまりこれと同等の額が都道府県において措置されているということでございます。
  100. 朝日俊弘

    ○朝日俊弘君 ただいま障害者プランにかかわる厚生省関係分についてお尋ねをしました。  では、この障害者プランに盛り込まれている主要施策のうち、それを実施していくに当たっての費用として、今お話があったように、項目によって違うんだろうと思いますけれども、おおむね国は二分の一程度の補助をしている。そうすると、自治体負担は残る二分の一、実際にはもう少し多くなるのかなという感じがします。  では、この自治体負担分について、地方交付税の中で基準財政需要額としてどのように算定されているのか、この点を伺いたいと思います。
  101. 二橋正弘

    政府委員二橋正弘君) 平成九年度の障害者プラン関係事業に要する全体の地方負担額でございます。これは今厚生省の方から一部主要なものについてのお話がございましたけれども、私どもは交付税算定をするために、障害者プランの関係の全部の事業につきまして、事業費とそれから国庫で補助負担をされる額と必要な地方負担の額をそれぞれの担当の省庁からお聞きいたしておりまして、今の国庫で持つものを除きました地方負担の額は九年度は総額で約二千二百億になっております。このうち、もちろん施設の建設等につきましては地方債が充当されますので、地方債で充当する分を除きましたものが一般財源として普通交付税で措置すべき額ということになるわけでございます。  具体的には、基準財政需要額の算定に用います単位費用のうち、道府県、市町村分の社会福祉費におきまして身体障害者福祉及び精神薄弱者福祉に関する経費を織り込みますし、それから道府県分の衛生費におきまして精神障害者福祉に関します経費を織り込みます。それから、先ほどもお話に出ました高齢者保健福祉費の県分、市町村分につきましては、ホームヘルパー等の在宅福祉に関する経費をそれぞれ織り込んでおるわけでございます。  具体的に一つ一つ申し上げてみますと、障害者プラン関係の事業の一つでございます精神障害者地域生活支援事業というものにつきましては地方負担額は約五億二千万になりますが、道府県の需要項目の衛生費におきましては、その必要額を標準団体、先ほど申しました人口百七十万程度の標準団体で約七百万円を単位費用の積算基礎に算入しているということでございます。  それから、市町村障害者社会参加促進事業をもう一つ申し上げますと、地方負担額は約二十八億円でございまして、これを社会福祉費におきまして、標準団体で道府県分につきましては約一千九百万円、市町村分については約百十万円、単位費用の積算基礎に算入するというやり方で、それぞれの事業ごとの地方負担をもとにして関係している需要項目に標準団体で幾らという形で算入をし、先ほど申しましたそれぞれの個別の団体にそれをもとにして算入していっているということでございます。  トータルとして、先ほど申しました地方負担二千二百億のうち地方債を除きましたものを一般財源として交付税の中に織り込んでおる、算入しておるということでございます。
  102. 朝日俊弘

    ○朝日俊弘君 最後の項目の問題については別として、トータルとして少なくとも障害者プランを具体的に推進していくに当たって、厚生省等が所管をする補助金のほかに、自治体として負担をしなければいけない分については基本的には地方交付税の中の基準財政需要額にきちっと算定をしているというふうに理解をしたいと思います。  さて、もう少し中身について、ちょっと専門的になって申しわけないんですが、今のお話を聞いていますと、障害者プランの中でも精神障害者にかかわる施策については、現行制度のもとで専ら都道府県の基準財政需要額に算定されておりまして、市町村分という形では上がってきていないようにお聞きしますが、この点はいかがでしょうか。
  103. 二橋正弘

    政府委員二橋正弘君) 確かに今の施策の体系でいきますと、障害者プランの施策のうち、精神障害者に係るものにつきましては施設運営費等の経常経費、これは都道府県にだけ地方負担が生ずるというふうな形になっております。したがいまして、先ほど申しましたような形で都道府県の衛生費に単位費用によりまして措置いたしておるわけでございます。  ただ、一方で授産施設でございますとか援護寮等の施設整備に係ります投資的経費、これにつきましては精神保健及び精神障害者福祉に関する法律第五十条の規定に基づきまして、都道府県、市町村がともに施設を設置することができることになっておりまして、地方負担は両方に生ずる、県にも市町村にも生ずるということになりますので、地方債を充当した残り分の所要一般財源につきましては、道府県分もそれから市町村分もいずれもそれぞれ社会福祉費の中で県分にも市町村分にも措置いたしておるということでございまして、施設運営費等の経常経費については県にしか生じない形になっておりますので、県分にだけ措置しているわけでございます。  ただ、念のために、この設置者が障害者施設の運営で市町村である場合もあり得るわけでありますけれども、この場合には、社会福祉法人立て行っている場合と同様にこの運営費の補助対象経費につきましては国が二分の一助成をすることになっておりまして、残りの二分の一は県が助成することになっております。その残りの分は入所者負担で賄われますので、市町村地方負担というのが生じない仕組みになっております。したがいまして、この経常経費については市町村分は交付税算定する必要は生じないということでございます。
  104. 朝日俊弘

    ○朝日俊弘君 今御説明があった中で、確かに現行制度上そういう仕組みになっているということは承知した上で、自治省としての考え方あるいは実態については今お答えいただいたわけですが、厚生省の方にこういう現状をどのように受けとめておられるのか、今後法制度上の対応も含めて検討すべき課題があるのではないかという点についてお尋ねしたいと思います。  ちなみに、確かに従来、精神保健にかかわる業務は専ら都道府県の責任というふうにされてきていたわけですが、私の理解では、地域保健法が制定されあるいは精神保健福祉法が制定されることによって、精神障害者の社会復帰等に関しては市町村の果たすべき役割についても法的にそれなりに位置づけられたものというふうに理解をしております。  もちろん、だからといって一気に小規模な町村にまで全部やりなさいというわけにはいかない現実はあると思います。例えば一定規模、ちょうど基準財政需要額の算定をする標準団体というのは人口十万人という市町村の場合ですが、こういう規模の市ではもっと積極的に精神障害者の社会復帰等について当然役割を担っていただきたいというふうに思っているわけです。  そういう意味で、今後の検討必要性を含めてお考えをお尋ねしたいと思います。
  105. 田中慶司

    説明員田中慶司君) 御説明申し上げます。  精神障害者の保健福祉施策につきましては、平成七年の精神保健法の改正によりまして、精神障害者についての正しい知識の普及、それから精神保健及び精神障害者の福祉に関する相談指導についての市町村役割というのを明示いたしまして、市町村における精神保健福祉業務の充実を図るということを定めたところでございます。  精神障害者の保健福祉施策につきましては、今後、障害者プランを着実に推進しまして精神障害者地域での生活を支援していくに当たりまして、都道府県の施策の充実とともに身近な施策に関します市町村の積極的な取り組みが重要であるというふうに考えております。具体的には市町村障害者計画を策定するというふうになっておりますけれども、その中で精神保健福祉施策の充実について御配慮いただけるように御期待をしているところでございます。
  106. 朝日俊弘

    ○朝日俊弘君 今お話のあった市町村障害者計画、これはちょっときょう数字を持っていませんけれども、実際に障害者計画をつくっているところというのは極めて少ないんですね。しかも、その障害者計画の中で身体障害者、知的障害者についての記述はあるけれども、精神障害者についての記述が全くないという計画もあるわけです。これは答弁要りませんから、要望として受けとめてください。  したがって、市町村でそういう計画をつくっていただくように御期待申し上げるということなんですけれども、御期待申し上げるというレベルでなくて、もう少し積極的に障害者プランを推進していくに当たって、まずは市町村の皆さんにこの障害者計画の策定をぜひお願いしてほしいし、その中で精神障害者のことも忘れないようにぜひやっていただきたいということを要望として強く申し上げておきたいと思います。  きょうはそれが主題ではありませんので、また自治省の方に戻ります。  そこでお尋ねしたいのは、今具体的に例として取り上げた障害者プランのように、政府全体として意思決定した明確なプランがある場合には、このプランに沿う形である意味では政策誘導的に基準財政需要額を算定することができるというふうに考えてよいと思いますが、そのような場合以外、つまり明確な政府としての計画がない場合は当然それぞれの自治体の独自のというか主体的なさまざまな実践、それの積み重ねということが大変重要になってくると思うんです。こういう場合には基準財政需要額の算定はどうなるんでしょうか。  例えば、ある福祉事業に幾つかの自治体が先行して取り組んだ、しかしまだこれは一、二にとどまっているという場合には、なかなか基準財政需要額というものの算定にまでは入ってこないのかもしれません。しかし、一定数そういう自治体がふえてきた場合には、当然そういう施策についても基準財政需要額として算定されてしかるべきであろうというふうに思うんですが、この辺のところについてお考えをお聞かせください。
  107. 二橋正弘

    政府委員二橋正弘君) 基準財政需要額の算定に当たりましては、毎年度国庫補助負担金を伴うような事業の地方負担、あるいは法令等に基づいて地方団体が一定のレベルで仕事を行わなくてはいけないということが義務づけられているというふうな行政分野、それから委員が今おっしゃいましたようなある程度長期的なプランというのがあってそれに基づいて施策が推進されているようなケース、そういうある程度全国的に共通にかつ国の方が何らかの形で関与して仕事を行っていくようなものについての地方負担、これはもちろん交付税算定で織り込んでいく必要は当然あるわけでございます。  そのほかに、各地方団体地域の実情に応じてさまざまな施策を展開できますように、これは地方財政計画では量的には単独事業として一般行政経費の単独分あるいは投資的経費の単独分という形で事業量あるいは財源が確保されるわけでございまして、そういうものをもとにしてその単独事業の水準を考慮して財源交付税に織り込んで算定をしていくということかと思います。  したがいまして、それぞれの自治体におきます社会的、経済的な条件に基づいて要請をされます交付税法で言う「合理的、且つ、妥当な水準」における行政経費、これをおおむね反映して算定しているということだというふうに私どもは考えております。  もちろん、いろんな試みがそれぞれの地域の実情に応じて行われておりますので、単独事業の算定、例えば福祉系統につきましても、単独のものにつきましては、大きなくくりとしては高齢者関係とかあるいは社会福祉関係とかというくくりはございますが、ある程度包括的に単独事業の経費を算入してその中でいろいろ工夫しながらやっていただくということを通じて、先駆的な取り組みももちろんあるでしょうし、そういうことが積み重なってきて、もう少しある程度共通的なものとして織り込んでいけるものが出てくるというふうな姿にもちろんなってくるんだろうと思います。  そういう中で、各地方団体からは、これは毎年度それぞれのところからどういう算定方法の改正が必要であるかということについてのいろいろな意見を聞かせていただいておりまして、毎年たくさんの意見が、自分のところの実情に応じたこういうふうな算定をしてほしいというような意見が出てまいります。そういうものをいろいろお聞きしながら、それから私どももまた交付税算定したものと実際の決算の仕方がどうなっておるのかというふうなことも時に照らし合わせながら、常にその時々の財政需要を的確にとらえるような形で基準財政需要額の算定を行っているところでございます。今後とも、そういうことで各地方団体の実情に応じた算定ができますように努めてまいりたいというふうに考えておるところでございます。
  108. 朝日俊弘

    ○朝日俊弘君 時間がなくなってきましたので、最後に大臣にお伺いしたいと思います。  今、少し細部にわたって基準財政需要額の算定の仕方について幾つかお尋ねをいたしました。  しかし率直に言って、いかに詳細に単位費用を算定し、それに測定単位を掛け合わせ、さらに補正係数を掛けて基準財政需要額を算出するとはいえ、しかもそれが細部にわたってさまざまな項目について挙げられているわけですけれども、しかし三千三百の自治体の皆さんに十分に説得力のある数値をはじき出すことというのは至難のわざというふうに考えざるを得ません。  ただ、じゃそれにかわる方法があるのかということになると、今私自身明確な答えを持っていないんですが、先ほど来お話がありますように、分権推進委員会の方でも国の補助金のあり方や自主財源の確保の問題等々検討が進められていると思いますし、その検討の結果によっては当然地方交付税のあり方や普通交付税の額の算定のあり方、そして今問題にいたしました基準財政需要額に関する仕組み等についても、相当思い切った見直しが必要になるのではないかというふうに思います。  この点に関して、地方分権の積極的な推進という観点からどのように検討されていこうとされているのか、ぜひ大臣の御見解をお伺いして、私の質問を終わりたいと思います。
  109. 白川勝彦

    ○国務大臣白川勝彦君) 私も就任以来、この地方交付税、一般の方々はどうも幾らもらうかわからない、何がどう計算されて、したがって幾らこうなるのかわからないということで、随分事務当局と議論いたしました。  そういたしましたら、よくても悪くても普通交付税については勉強さえしてもらえれば、各地方公共団体とも私のところには幾ら来るんだというのは計算すればすぐ出てくるぐらい実に明快に分かれているんですと。それから、特別地方交付税といえども、俗につかみ金みたいなことを言われていますが、これもそうではなくて、実に精緻に一つ一つ決められていて、よく勉強してもらえば大体幾らもらえるかというのは計算できるはずですというのが事務当局の説明でございました。そのぐらい、これは国会の審議をいただいて、基準に基づいて交付をさせていただいているんですということであります。  私はこれは大事なことだと思っております。さっき言ったとおり、国と地方との間の区分がなされております。そして、地方の独自の財源だというけれども、これを自治省が恣意的に配ることはできない、国会の議を経てきちんとした基準で法律に基づいてお配りをすると、これは大事だと思うわけでございます。それにしましても、ある面では今までのようなこれだけ細かいものが要るかどうかというのも、御案内のとおり地方自主性の問題としてあるような気がいたします。  多分、このような細かい基準が求められてきたのにはいろいろな経過があろうかと思います。しかし一方では、どこに生活されていたとしてもナショナルミニマムを国としてきちんとした形で保障していきたいと、こういう中でいろんなものが今まで細かく決められたと思うわけでございますが、これからは若干個性があってもいいんじゃないかということであるならば、もう少し大きなくくりというものがあってもいいんじゃないだろうかと思っておりますし、事務当局もそのことに関してはあえて否定はしておりませんでした。  そして、特に国と地方の仕事の見直しが根本的になされるわけでございます。そういうときでございますので、今後の基準というようなものについては今までとは違った、そしてそれぞれの地方の個性が反映されるような基準づくりというようなことについては当然地方分権推進委員会からも一定の方針が出されると思いますし、それがあろうがなかろうが自治省としてはこれまた真剣に研究をさせていただいて、そして明確に書いてあるというのでございますが、私ども税法等を見ますとわけがわからなくて、専門家以外わからぬわけでございますので、明確に書いてあっても、わかりやすく明確に書いてあるということも大事でございますので、委員の今御指摘になった点につきましては十分念頭に置いてこれから鋭意研究をしてまいりたい、こう思っております。
  110. 有働正治

    ○有働正治君 私は、きょうは新ゴールドプランの達成と、そのいわば中間点に立っての現場の要望等についてまず質問いたしたいと思います。  自治大臣にまずお尋ねいたします。  各地方自治体とも新ゴールドプランの達成に向けて必死で取り組んでおられるわけであります。平成十一年度末、つまり今世紀末までに目標達成ということで努力しているわけでありますが、いろいろ現場を歩いてみましてもなかなか思うとおりにいっていないというのが実態ではないかと思うわけであります。そこらあたり大臣として、統計上というよりも実感を含めてで結構でございますから、どういうふうな御認識でおられるのか、またその新ゴールドプラン達成に向けてもう少しこの点政府として考慮いただけないかと。地方自治体の方々、住民の方々もさまざまな改善要望があるわけでありますが、こういう問題について基本的にどう対応されていくお考えでおられるのか、まず大臣の方から少しお述べいただければと思います。
  111. 白川勝彦

    ○国務大臣白川勝彦君) 福祉というものが極めて大切な時代になっておりますし、同時に本当の意味でのかゆいところに手が届くような福祉行政というものは、最後は厚生省からも御努力はいただかなきやなりませんが、地方自治体の大きな責務であると思いますし、また住民はそこに期待をいたしているわけでございます。  そういう面では、現在の福祉諸施策は厚生省と本当に車の両輪で自治体も努力をいたしておりますが、同時に福祉というのは大変多額の経費がかかる話でございまして、現在の地方財政が大変苦しいという中で、それぞれの地方自治体は本当に御苦労されながら整備を図っておるところであり、それらについては十分でなくても懸命に努力しているところでございます。  そういう意味で、一般行政経費を今回の地方財政計画で決めるときも、一般行政経費につきましては厳しく査定というか目標を定めましたが、福祉についてはそれについて遺漏があってはならないということで、一般行政経費の中では飛び抜けて高く措置させていただいたということでございます。
  112. 有働正治

    ○有働正治君 しかし、同時にいろいろな要望があるわけで、これでよしという立場でないことは明確でしょうね、大臣
  113. 白川勝彦

    ○国務大臣白川勝彦君) 理想は理想としていろいろありますが、現実には限られた財源の中でやっていかなきゃならぬわけでございまして、私どもも三・一%増ということについてこれで十分だとは思っておりません。しかし一方では、各委員が指摘されるように、地方財政も危機的状況にある、こういう事態であることは厳然たる事実でございますので、こういうふうに決定をさせていただいたということでございます。
  114. 有働正治

    ○有働正治君 私は削るべきところはいろいろ手だてはあると。そういう点で、福祉や暮らし、安全、生活を守る地方自治体の本来の仕事を自治体がやれるように、もっとやるべきだという立場から、具体的に現場の声をまずお聞きいただきたいと思うのであります。  私も幾つかの地方自治体の新ゴールドプランに対する取り組みの状況あるいは介護問題等についてささやかながら調査をやらせていただきました。いろいろ懇談もさせていただきました。切実な要望が出されるわけであります。  そこで、まず在宅介護とのかかわりで、二十四時間対応のホームヘルプ事業をめぐってお尋ねします。以下、厚生省の対応も聞きながら、自治省の対応もお尋ねしていきたいと思うのであります。  二十四時間ホームヘルプ事業、現在、自治体は全国で幾つ指定対象になって実行し、また補助基準はどういう状況になっているのか、まずお示しいただきたいと思います。
  115. 青柳親房

    説明員(青柳親房君) 二十四時間対応のホームヘルパー事業のお尋ねでございますが、この事業は、御承知のように、在宅の常時介護を要する方々に対しまして、通常のホームヘルパー事業に加えまして、深夜や早朝におむつがえあるいは排せつ介助といったようなサービスの内容に限定をいたしまして、かつ複数の家庭に巡回ができるような形態の事業でございます。  これに対しましては、一定の加算という形でその補助対象に加算を行うことにしておりまして、その対象は六十五自治体七十五事業でございます。また、その際の加算の対象となる指定の要件につきましては三つの要件がございます。  第一の要件は、サービスを提供する側が訪問計画をつくり、あるいは深夜に対応するという勤務体制が組める、そういう整備が図られていることが一点。  第二の要件といたしましては、これは当面いわば試行的に実施をさせていただいております事業でございまして、その評価を行うためにもある程度の事業規模を必要とするものであること。  それから第三点が、その市町村におきます在宅福祉サービスとの連携ということをお願いすることはもとより、老人訪問看護ステーションでございますとか、そういったいわゆる在宅保健医療サービスの実施機関との連携が図られるものであることということをお願いしているわけでございます。
  116. 有働正治

    ○有働正治君 何人以上が対象に、実施主体別に言うと対象者は何人か。
  117. 青柳親房

    説明員(青柳親房君) そもそも二十四時間の体制で……
  118. 有働正治

    ○有働正治君 結論だけでいいですよ。そういうのはわかっているわけですから、わかっている説明は要らない。
  119. 青柳親房

    説明員(青柳親房君) 加算の対象になる人数ということでございますと、これは当分の間、いわゆるモデル事業として実施しているという観点から、二十人以上をおおむねの単位として行っていただくということにしております。
  120. 有働正治

    ○有働正治君 質問に対して要領よくお答えいただければ助かるわけであります。  大臣、私は、比例区ということで新潟県下にも調査に行かせていただきました。長岡市に一度お邪魔させていただきましたが、二十四時間対応のヘルパー事業をやっておられます。夜間の訪問看護に私も実際同行して実情もじかに見させていただきました。本当に大変喜ばれています。  大臣は長い政治家経験がございますので、夜間のホームヘルプサービス、こういうのに同行されたときの感想などはいかがでございましょうか。
  121. 白川勝彦

    ○国務大臣白川勝彦君) 私は残念ながらそういう体験はございません。また、福祉関係の方に今まで回されたことがありませんので、ちょっとこの辺のことは不案内でございますので、お許しをいただきたいと思います。
  122. 有働正治

    ○有働正治君 私も長岡だけでなくて岩手だとかあちらこちら深夜に、相手側の御了解も得て、訪問される当事者の御了解も得ながら、プライバシーの問題も考えながら同行させていただきましたけれども、本当に命綱として喜ばれていると、そういう感じでした。  例えばひとり身のお年寄り、これは女性の方でした、ひとり身であるということで、車の音が本当に待ち遠しいと、それほど待ちわびておられました。そして、先ほど厚生省の方からお話がございましたような対応をされるというわけですけれども、そのときの会話が何よりの楽しみであるということで、車が去ると本当に寂しい顔をしておられたのが印象的でした。  岩手の方では、御夫婦お二人でお暮らしで非常に高齢であるということで、御主人がやや寝たきりの状況で、奥さんも高齢だということで、どうしても自分では手に負えないということで、こういうヘルパーの皆さんの御援助をいただいているということでありました。本当に自分ではできない、それを若い娘さんらにやっていただくということで、これも命綱としての感謝を含めてこもごも語っておられました。御主人の方は、奥さんの言葉で言わせれば、若い娘さんが来るのでそのときは私の亭主の機嫌がいいとか冗談におっしゃっておられましたけれども、本当にそういう生きがい、その他の問題を含めまして大きな頼りにされて命綱にされておられるというのを実感いたしました。そういうお仕事についておられる方々、また自治体として必死に対応されている、そういうものに私も胸を打たれて、この対応が全国的に非常に待ち望まれているということを実感したわけであります。  そこで、長岡市にお邪魔させていただいた場合、これは先ほど厚生省から御答弁ございましたけれども、対象者がいわばモデル事業ということで一定の人数が必要だと思います。今二十人というのが一つの基準であります。しかし、長岡市の場合には十一人ほどであります。したがって対象にならないと。しかし、市民、住民の方々、しかも深夜介護を受けたいという御希望の方もおありだ等々もありまして、市が単独の事業でおやりになっていると。そういう自治体、小さい二十人に満たない、しかし今の時代にこたえたいということで必死で自治体として懸命の努力をなされているところがあると思うのであります。その一つが長岡だったと。  それで、市の当事者にお尋ねしますと、これは九五年十月から始められたわけでありますけれども、その半年間、自治体の単独持ち出しで六百十五万円でしたということで、厚生省としても全国的に推進する立場からこういうモデル事業としておやりになった。それが先ほど言われたように七十五事業にふえているという状況がありますけれども、全国三千自治体の中でできるだけやりたいという強い要望が出て、高齢化社会の中でそれが求められていると。  そういう点からいいますと、モデル事業、もうかなり経験も積んできて、各自治体本当に意欲を持っているわけです。だから、これの基準を下げていただくなり、それからモデル事業でなくて普遍的な事業の方向で前向きに対応していただきたいというのが長岡市当局を初め私がお邪魔した自治体からの強い要望で、これからやりたいというところも、人数さえそろえばやれるけれどもと必死の訴えであったわけであります。  こういう自治体側の要望、大臣、いかがでございましょうか。
  123. 二橋正弘

    政府委員二橋正弘君) ホームヘルパー関係の仕事も典型的なゴールドプランの内容の仕事でございますが、このゴールドプランができますときに、委員が今御指摘ございましたようなことも当然予想される事態だろうと私ども考えまして、これは三大臣、大蔵、厚生、自治大臣でつくったわけでございます。そのときに自治省の方から、わざわざ全部の事業を補助対象として拾うことは恐らくなかなか難しい事態になるだろうから、地方団体地域の実情に応じて単独事業を行うということについての財源の確保を図るということも、このゴールドプランの中にわざわざ一項目書き入れた方がいいんじゃないかということで書き入れてもらっております。  そういうことを受けまして、先ほど大臣が申しましたような単独の一般行政経費の中の社会福祉系統というのも、今年度で申しますと三・一%増、約三兆七千億を措置しておるということでございまして、それを具体的に交付税算定に単独施策として織り込んでおるわけでございます。今の補助基準云々のものは私どもからとやかく申し上げる立場ではございませんが、単独のことで申しますと三兆七千億ぐらいの福祉系統の経費、高齢者福祉の関係で申しますと、市町村の標準団体で九年度は一億四千九百万円、約一億五千万の標準団体ベースの金額を織り込んでおりまして、そういう包括的に織り込んだ社会福祉系統の単独経費の中で今言ったようなことについてもいろいろ御工夫がいただけるんではないかというふうに考えております。
  124. 有働正治

    ○有働正治君 私は経過をるる聞こうとは思っていないんですよ。こういう問題について自治体側から強い要望があることについて、自治省としてどう受けとめているのかと。それについて、そういうこともちゃんと掌握しているのか、あるいはそういうものについて今後厚生省ともいろいろ相談していく立場にいるのかどうか、何にも私に対する答えがないじゃないですか。大臣、そんな事務当局なんてだめですよ。
  125. 白川勝彦

    ○国務大臣白川勝彦君) さっき申し上げたとおり、私は、当時は社労と言いましたが、社労とかに希望があったので一年間ぐらい委員にさせていただきましたが、党の方からまた別のところに行けというので、ついぞ勉強する機会がありませんでした。そして、二年ぐらい前だったでしょうか、ヨーロッパでは夜もヘルパーが回ってくるというのをテレビで見て、すごいことをやっているなと思ってびっくりしたぐらいでございます。それを日本で、たとえモデル的であれ立派にやっておるというようなことは最近になって知ったことであります。  ただし一方では、私ども国会議員になってからいつも教わったことはあるいは勉強させていただいたことは、今はどうなっているかわかりませんが、スウェーデン等の北欧諸国では国民負担率が六九%から七〇%というのも当時私たち一緒に勉強したことであります。しかし、国民負担率が七割とかというのは我々が言う自由主義社会と言えるんだろうかと。それは選択でありますから、スウェーデン等の北欧諸国をどうこう言うつもりはありませんけれども、しかし七割以上を自由に使えないというのは、一方では私はまた問題だと思います。  ですから、その国民負担率というようなことを関係なくいろいろ議論すれば、何でもなぜやらないのかと言いますが、そういうことをやれば、結果としては国民負担率が日本財政赤字を含めますと今大変高くなってきておりますが、私はそれらの問題も一方では考えていかなきゃならない問題なんだと思います。
  126. 有働正治

    ○有働正治君 だからこそ、国家予算にしても地方財政の予算にしても、省くべき公共事業のむだその他もメスを入れろということを私どもは言っているわけで、どうも大臣、防波堤的な立場自治体の要望を受けとめてどう対応するかという姿勢がなかなか私には受け取れないわけで、そこをよくお考えいただきたい。  例えば在宅介護支援センターの問題があります。新潟市や北上市の実情等を私もお聞きしました。新潟市では、昨年度取り扱った件数が延べ六万件、センターは窓口で相談に応じるだけでなく、実際に足を運んで相談に応じているわけであります。ここでも職員配置が現在二人体制なんですね。倍欲しいというのが本当の要望です。  そして、家庭訪問を受け付けて実際に行って、どういう家庭状況にあるか、健康状況にあるのかリアルにお聞きしながら、そしてその人に対応した介護をどうするかということに専念されているわけで、こういう職員の基準なり、また家庭訪問をするにも自動車が欲しい、これは補助がないようでありますけれども、こういった点、厚生省、いかがでございましょうか。少し検討されておられるのかどうか、今後検討課題に入っているのか、現場の声もお聞きいただきたいと思うのでありますが、できるだけ簡潔にお願いします。
  127. 青柳親房

    説明員(青柳親房君) 現在の在宅介護支援センターの職員配置について、なぜ二名ということでやっておるかということにつきましては、おおむね三つの理由があるというふうに考えております。  その一は、ただいま議員からも御紹介がございましたように、支援センターの主たる業務が相談あるいは連絡調整業務を中心とするものであること。その二といたしまして、この事業を行うためには特別養護老人ホームや老人保健施設あるいは病院等と併設をし、あるいは連携によって運営を行うということでバックアップ体制がとられているということ。三点目といたしましては、その活動範囲がおおむね中学校区を対象とするような比較的近隣地域を対象としているというようなことであります。  そういう点を踏まえますと、現在、福祉関係の職員と保健医療の関係職員二名でこの事業を運営するということが標準的には十分に可能であろうというふうに考えております。  なお、もう一つお尋ねにございました車両の点でございます。車両につきましては、ただいまも申し上げましたような理由と重なる点がございますけれども、確かに訪問活動というのは大変重要であるという御指摘はそのとおりと存じますが、その活動領域はおおむね中学校区程度という想定でございますので、通常の場合には移動用の車両が必要になるというふうには考えておりません。ただ、過疎地等において実情に応じた施策の展開を図るという観点から、地域福祉基金等を活用するということは各地域において御検討されるべきものかというふうに考えております。
  128. 有働正治

    ○有働正治君 現場の声を厚生省はつかんでおられない、机上の答弁でしかないと言わざるを得ません。  あなたは現場に行って訪問ヘルプ事業その他体験されたこと、あるいはこういう支援センターでどれぐらい関係者と相談されたりしておられるのですか。
  129. 青柳親房

    説明員(青柳親房君) 突然のお尋ねでございますが、まず私個人の体験ということで申し上げれば、厚生省では役所に入省した一年目に、おおむね一週間程度でございますが、特別養護老人ホーム等の社会福祉施設に、これは施設の職員と一緒になって、お年寄りのおむつがえや食事の介助あるいはおふろの世話といったものを全く同じメニューでこなさせていただいておりますので、その経験というものを踏まえておるつもりでございます。  また、在宅介護支援センターにつきましては、私がかつて課長をいたしました三重県において在宅介護支援センターの協議会ができるということで、この協議会の設立の際に協議会の核になる方々と一緒に御懇談をし、現時点での問題というものについても十分に聞かせていただいたつもりでございます。
  130. 有働正治

    ○有働正治君 その後何十年たっているか、何年かたっているわけですから、事態の状況の変化、現在の深刻さというものを篤とお聞きいただきたいということだけ明確に述べておきます。  次に、重度化、高度化の問題、職員配置基準の問題であります。施設サービスにかかわりまして、特養ホームの入所者の場合、非常に高齢化、重度化、そして痴呆化という状況があるわけでありますが、簡潔にどういう状況になっているかお示しいただきたい。
  131. 青柳親房

    説明員(青柳親房君) 平成七年の社会福祉施設等調査報告という統計情報部でつくっております調査報告によりますと、特別養護老人ホームに入所しておられる方のうち、年齢構成として八十歳以上の方の割合が現在六四・七%となっておりまして、前回の平成三年の調査に比べて五・一ポイントこの比率が上昇しております。  また、日常生活の自立度、俗に言えば寝たきり度ということになるわけでございますが、この点につきましては寝たきりの方が五五・七%、あるいは痴呆という点についての調査で見れば、痴呆という状態にあるという方が七七・四%になっているものと承知しております。
  132. 有働正治

    ○有働正治君 本当に高度化、高齢化、それから重度化、痴呆化というのは、特に痴呆の場合に進行が速いのではないかと思うわけであります。  私、長岡市の定数百の特別養護老人ホームにもお邪魔いたしましたが、一九八二年、開設当時の入所者の平均年齢は七十六歳だった、それが現在八十二歳だというふうにおっしゃっていました。開設当時おむつが必要だった方は三十九人でしたが、現在は七十人です。自立歩行できていたのが現在はほとんど車いす、こういう状況だと。ほかのところも大体似たような傾向がございました。  この点で、職員配置基準の問題でありますけれども、国の配置基準をもう少し実態に合うように改善していただけないだろうか、こういう要望であります。定数百人であれば現在どれぐらいで、この要望はいかがでございましょうか。
  133. 青柳親房

    説明員(青柳親房君) 定数百人の特別養護老人ホームにつきましての基準でございますが、施設の総員は三十六名の配置ということでございます。そのうち、直接に処遇をする寮母さんあるいは看護婦さん、こういった方々を合わせますと、おおむね二十六名程度の方々が処遇に当たっているということになっております。
  134. 有働正治

    ○有働正治君 これは、それまでの定数がいつ三十六人になりましたか。
  135. 青柳親房

    説明員(青柳親房君) この点についても突然のお尋ねでございまして、正確にこの人数の変更というものについてただいま直ちにお答えができませんが、この点については予算上の制約その他を見ながら、措置費の改善という形で適宜必要な引き上げを行わせていただいております。
  136. 有働正治

    ○有働正治君 専門職の方ですから当然それは御存じだと、しかし答えられないほど昔の話なんです。一九七八年十月にそれまでの三十五人から一人ふやして三十六人になったんです。つまり配置基準そのものは約二十年近く変わっていないんですよ。  二十年近く変わっていない中で現場の職員の皆さんたちはどういう状況に置かれているかというと、今述べたように常時介護しなくちゃいけないように高齢化が進んでいる、車いすでなくてはいけない、それから痴呆化の状況等々が全国的に、地域によってはもうそれを上回る形で、先ほど答弁されたとおりの事態で進行しているわけであります。  この重度化の問題、こういうのに対しての加算その他が十分行われていない。夜間勤務した職員の方にも私はお会いしました。百人の中で七十人のおむつがえを四人でしなければいけないわけで、一晩仕事をした女性の方々の面相というのは、顔だちというのは本当にもう人が変わるみたいに変わっておられるんです。それぐらい深刻な状況が全国の自治体のそういう特養ホームの中で今進行している、こういう状況にあるわけで、二十年近く変わっていないというのは、いろいろ改善した改善したとおっしゃられるけれども、もっと検討に値するんではないかということであります。  この辺で大臣、感想はいかがでございましょうか。
  137. 芳山達郎

    政府委員(芳山達郎君) 特養ホームや養護老人ホームなどの職員の配置基準でございますけれども、御案内のとおり、老人福祉法で厚生大臣が老人保健福祉審議会の意見を聞き、その設備や内容について基準を定めるというぐあいにされております。したがいまして、所管省庁であります厚生省において入居者の実態、状態なども踏まえながら、また審議会の意見も聞きながら適切に対処をされるものと認識しております。
  138. 有働正治

    ○有働正治君 確かに厚生省の所管です。同時に、特養ホームで仕事しているのは地方自治体の仕事なんですよ。だから、厚生省が考えられるというんじゃなくて、三大臣のもとでこういう問題も計画されてきたという立場から、自治省として対応すべきであると考えるわけであります。  例えば、ことしから労働時間が週四十時間適用されるわけであります。これは大事なことだと思いますけれども、その四十時間に移ることに伴う措置がどうかといいますと、一施設当たり月に約十七万円ほどの措置にしかならないわけであります。そうしますと、職員増にはつながらないし、新潟市内のある施設でお尋ねしましたら、正規職員二名、パート二名を独自に手だてをしなくちやいけないということ等も言っておられました。こういう問題もあるわけであります。  それから、職員の皆さん方の休暇あるいは病休、病気の場合、それから職員として研修を積むという問題についての加算もない。これがあれば代替要員を確保してちゃんと対応できるけれども、もう少しこの点についても面倒を見ていただけないだろうか、こういう要望等も出されていたわけであります。  ですから、そのほか挙げたいことは山ほどあるわけでありますが、いろいろ見てみますと、二十年近くも改善されていない点を含めまして、現在の状況、現場での苦労、新ゴールドプランを目標どおり達成させていって、そして大臣が冒頭申されたかゆいところに届く政治をやるという点では考慮すべき点がいろいろあるんではないか。もちろん財政上の問題はいろいろあります。それは私どもも全く度外視するわけではありませんけれども、これは社会的にも最も重要な仕事であるという立場から対応願いたいと思うわけであります。  厚生省に対しても、自治省所管大臣といたしまして改善すべきは改善するように地方自治体の要望も受けて協議していく、そういう対応を求めるわけでありますが、いかがでございましょうか。
  139. 白川勝彦

    ○国務大臣白川勝彦君) おっしゃる趣旨はよくわかります。しかし一方では、私も財政構造改革会議政府の中の限られた大臣の一人といたしまして、地方財政の方の財政再建を担当する者として、どこをどうしなければならないだろうかといろいろ関係者と今話をしているのでございます。  基本的には、現在七割のウエートを占めます公共投資関係それから福祉関係そして教育関係について国も見直すことになろうと思いますが、自治省としても地方財政としてもそこの部分を何らかの意味で見直さない限り、とてもではございませんが、歳出の増などを抑制したり減額するなんてことはできるものではありません。  そういう極めて深刻な事情、有働委員おっしゃるとおり、私どもは公共投資関係についても厳しく見直すつもりでございますが、財政再建をせよということであれば、そこに手をつけずして財政再建はとても、口でみんなが言うのは簡単でございますが、現実の問題としては、総事業費の七割を占めるそこの部分を徹底的に見直すことなしに財政再建はできないということもまたひとつ御理解を賜りたいと思います。
  140. 有働正治

    ○有働正治君 公共事業、本当に大きな大規模プロジェクト、これが地方自治体にも大きくのしかかっている、国の施策のしわ寄せとして出てきているプロジェクトもいっぱいあるわけであります。そういうのは本当にメスを入れていく。しかし、政府が言わないのは、軍事費の問題等々を含めまして、本当にメスを入れるところはメスを入れるということを改めて述べておきます。  この間、政令指定都市の皆さん方からも当委員会に対する要望もございました。その中では、補助金、補助率のかさ上げの問題、超過負担の改善の問題、これは特別養護老人ホームの建設費だけでも六十億、平成八年度の調べによると超過負担になっているという、これについての改善要望等々出されているわけであります。これらを含めましてきっちりこたえていくという姿勢が求められていると思うのであります。  最後でありますけれども、新ゴールドプランの問題、老人福祉計画をつくる場合、中間時点で見直すことを含めて平成十一年度までに目標達成に努力するということが述べられているわけであります。平成八年度がいわば一つ見直しの年度ではないかと思うわけであります。そういう点からいいまして、私は現場の声、自治体の声、住民の声を述べました。そういう点で改善すべき点は改善して、これが目標どおりに達成できるように努めるというのは老人福祉計画作成の一つのいわば約束事であるわけですから、その点できっちり見直すべきところは地方自治体も見直し住民の声にこたえていただくということが大事ではないか。  同時に、目標自体に対して非常に低い、もっともっとやっていただきたいという要望もあるわけでありますから、それはそういう方向で見直す、こういう点でもぜひ対応願いたいということを述べて、私の質問を終わります。
  141. 西川潔

    ○西川潔君 よろしくお願いいたします。  私の方からは、いよいよ来月からの消費税引き上げに伴う臨時特別給付金について、また自治省の税務局が出した臨時特別給付金に関する事務の取り扱いについて、こちらの方からお尋ねをしたいと思います。  今回の給付金については、先日、橋本総理の施政方針演説の中では、六十五歳以上の低所得者層など税制改革による影響が大きい方には必要な措置を講ずることとしていますと述べられたこの部分の具体策であると思うわけですけれども、その是非については消費税をどのように理解するかによってそれぞれお考えがあると思います。そして、今回の臨時的にしかも短い期間という制約がある中で、迅速かつ確実に行うために国と自治体とではどういうふうな対応をおとりになったのか。  そこで、厚生省にお伺いしたいんですけれども、一月十七日に支給要綱が閣議決定をされてから二月六日付の官報で告示されるまでどのような手続が行われたのか、お伺いいたします。
  142. 高尾佳巳

    説明員(高尾佳巳君) 消費税率地方消費税創設を含めて五%に引き上げられるということに伴いまして、これは平成元年度の消費税導入の際と同様でございますが、臨時福祉特別給付金が支給されるということになったわけでございます。  それで、ことしの一月十七日に、補正予算が成立する後に支給をするという前提でございますが、臨時福祉特別給付金支給要綱が閣議決定されまして、同じ日に具体的な取扱要領を社会・援護局長より通知したところでございます。  都道府県、指定都市、中核市に対しましてはできる限り早く周知を行うということから、一月十三日でございますが、臨時福祉特別給付金主管課長会議を開催いたしまして、事前準備等に遺憾なきを期するようお願いしたわけでございます。また、一月二十一日に全国の厚生関係局長会議が開かれたわけでございますが、ここにおきましても本件につきまして支給に万全を期するようお願いしたところでございます。  御案内のとおり、一月三十一日に平成八年度補正予算が成立したわけでございますが、支給要綱は、二月六日に告示させていただきました。これに伴いまして、市町村におきましては広報活動を進めることができるように、それまでの間、支給見込み数が大体一千二百五十四万人ぐらいというふうに試算しているわけでございますが、これを大幅に上回る二千五百万枚の色刷りのパンフレット、これを私どもの方から都道府県を通じて市町村に送付したところでございます。
  143. 西川潔

    ○西川潔君 昨年の予算委員会でございましたが、戦没者の妻に対する給付金の申告漏れによりまして給付が受けられなかったというお便りをいただきましたので、取り上げさせていただいたんです。この制度の場合も戦没者の妻ということですから、年齢的には大変高齢な方々が多かったわけです。それぞれの対象者に対して個別に通知を出すぐらいの配慮を何とかしていただけないかということをお願いしたのですけれども、それは事務的に不可能ですと、実際には市町村広報などによる告知が行われました。しかし、その広報といいましても、細かい文字で隅の方に掲載されるものですから、お年寄りはなかなか気づかない、よほど注意をして見てみないと見落としたりするわけですけれども、結果、家族の方が問い合わせたときには期限が過ぎていたということでございました。今回の場合についても対象者はお年寄りですし、障害者の方々が中心ですから、私自身もそうしたケースが起こるのではないかという懸念をいたしております。  自分は毎週土曜日に福祉の相談を受けるラジオに出演させていただいておるんですけれども、官報で告示された二日後、つまり二月八日に官報の内容を紹介させていただきました。こちらへ寄せていただいているんですから、いい意味で本当に皆さん方のお手伝いをさせていただけたらと思って頑張っているわけです。  これは本当に一般論としてでございますが、この官報による告示というのはどういうふうな意味合いがあるのかということをお伺いしておきたいと思います。
  144. 高尾佳巳

    説明員(高尾佳巳君) 一般論でございますが、私どもが承知していますのは、告示といいますのは、国の行政機関が特定の事項を公式に広く一般に知らせる行為ということで、国家行政組織法の十四条第一項でございますが、各大臣は「その機関の所掌事務について、公示を必要とする場合においては、告示を発することができる。」と定めているところでございます。  お尋ねの二月六日に行いました臨時福祉特別給付金の官報告示でございますが、これはその対象者、支給額等、一月十七日に閣議決定されました内容につきまして公式に国民に広く周知する必要があるということから行ったものでございます。
  145. 西川潔

    ○西川潔君 その翌週ですけれども、放送局に参りまして、放送をお聞きいただいた方々からお便りをいただいたんです。自分も対象となるのではないかということを詳しく聞きたいということで、そういう方々は役所の方へ出向いてくださいという放送をさせていただきました。ラジオの放送が八日の土曜日ですから、問い合わせば早くても十日の月曜ということです。それで、非常に驚いたんですけれども、大阪とか徳島とか兵庫、岡山、いろんなところからいただきました。少しだけ読ませていただきます。  兵庫県の高砂からいただいたのは、臨時特別給付金について早速役所へ聞きましたが、それはわからないということでございました。こちらは大阪の寝屋川の方ですけれども、市役所に行きお伺いをいたしますと、寝屋川ではそんなことはいたしていないというふうに答えられたということでございます。もう一つは岡山県の備前の方ですけれども、まだ国会を通ったばかりなのでただいま勉強中ですので、三月末までお待ちくださいと。申し込みが三月二十五日までですけれども、三月末まで役所は待ってくださいということです。もう一つは徳島でございますけれども、徳島市役所へ二月十二日に行ったそうでございます。ところが市役所の人は、徳島にはそんな通達はないというお便りで、これは本当に現場では大変なことです。  皆さんの声を大切に、ここでまたお伺いしているわけですけれども、これらのお便りをいただいて驚いているわけです。我が家なんかは年寄りが三人おるんですが、若い者と一緒ですからそういうことはないと安心なんですけれども、お年寄りの皆さん方は個々に大変だということです。  特別に都道府県で何ら行き違いがあったとも思えないんですが、通告はしていないんですけれども、こういうお便りを今お聞きいただいて、大臣に感想だけでもお伺いできたらなと思うんです。よろしくお願いいたします。
  146. 白川勝彦

    ○国務大臣白川勝彦君) これだけ高度情報化社会だとかという割には、まことにもって思うようにいかないなと。  例えば、私も新潟県上越市というところの市民でございますが、市の広報「じょうえつ」というのは余り読んだことはございません。そういうことを見ますと、そこに書かれたから通知をしたんだというのは何とも心もとない限りでございます。  一方では、申請制度をとっているということがまた原則なんだと思うんですね。というのは、確定できないんだと思うのでございます。ただ、その辺、市町村民税をお支払いしていないということはそれこそそれぞれの市町村でわかるわけですから、もう少し工夫があってしかるべきなんではないかということにつきましては率直に受けとめさせていただいて、もう少し工夫をすべく関係省庁あるいは自治省の中で検討をします。
  147. 西川潔

    ○西川潔君 いつも細かいことばかりで申しわけないような気もいたしますけれども、御当人にとっては大変なことだと思いますので、またよろしくお願いしたいと思うんです。  次に、厚生省では、閣議決定があった一月十七日より前の一月十三日に各都道府県の担当課長に対して行われた説明会では、国と都道府県ではどのような説明調整が行われたのか、お伺いしたいと思います。
  148. 高尾佳巳

    説明員(高尾佳巳君) 先ほど御説明しましたように、これは非常に短い期間の話でございますので、できる限り早く周知を行うという観点から、閣議決定前でございますが、一月十三日に主管課長会議を開催させていただいたところでございます。  この会議では、今回の臨時福祉特別給付金の支給の趣旨でございますとか概要それから支給事務のやり方等々につきまして御説明し、またこの申請期限が三月二十五日という形になっているものでございますから、支給対象者を迅速かつ確実に把握していただきたい、またその支給対象者に対します。知徹底をやっていただきたいということで、私どもパンフレットをつくりまして、例も示しながらお願いしたわけでございます。いずれにしましても、支給漏れの防止につきまして遺憾のないようお願いしたわけでございます。  それでその席上で、ちょうどこの会議が終わった後でございますが、一月の中旬から下旬にかけまして、都道府県におかれて今度は市町村との会議を開催していただきたいという形のお願いもしたところでございます。これにつきましては、二月になりまして私ども都道府県から報告を受けたところでは、大体すべての都道府県は一月末までに市町村との会議を開催されたという報告を受け取ったところでございます。
  149. 西川潔

    ○西川潔君 続いて厚生省にお伺いしたいんです。三月二十五日が締め切りということでございますけれども、申請の手続は何日から始められたのでしょうか。
  150. 高尾佳巳

    説明員(高尾佳巳君) 具体的にいつからという形のものはしてございませんが、私ども、二月六日の支給要綱の告示が行われた後に各市町村におきまして広報活動が始められる、それから市町村におきまして年金手当等の受給者というのはわかっておるわけでございますから、この支給対象名簿の整備に応じまして支給申請の通知を開始したのではないかと承知しているところでございます。  したがいまして、この申請の受け付けでございますが、各市町村において異なっていると思いますけれども、私ども聞いたところでは、早いところでは自治体の広報活動が行き渡り始めたおおむね二月中旬以降、申請の受け付けが開始されているのではないかというように考えているところでございます。
  151. 西川潔

    ○西川潔君 次に、その実際の対象者が問い合わせに行ったり手続に出向くのは市町村の窓口なわけですから、幾ら事務処理は知事に委託、またその一部については市町村長に委託しているにしても、例えば都道府県から市町村に周知の徹底が行われたかどうかという確認作業というんでしょうか、これを全国市町村に行うことは無理といたしましても、都道府県への確認程度は必要ではないかと思うんです。これは厚生省、いかがでしょうか。
  152. 高尾佳巳

    説明員(高尾佳巳君) 繰り返しになりますが、一月十三日の主管課長会議市町村への周知徹底のお願いをしたわけでございます。その後、二月二十七日でございますけれども、今度は臨時福祉特別給付金の経理担当者会議を開催いたしまして具体的なことをお願いしたわけでございます。私ども、その席上で各都道府県から市町村に対する説明会の開催状況の様子もお伺いしましたところ、おおむね一月中にすべての都道府県におきまして説明会が開催されましたという報告を受けたところでございます。
  153. 西川潔

    ○西川潔君 それでは次に、支給対象者の把握についてお尋ねしたいと思うんですけれども、今回の給付金の周知方法、対象者への通知という点ではどういう指導が行われましたでしょうか。
  154. 高尾佳巳

    説明員(高尾佳巳君) 先ほど申しましたように、この臨時特別給付金は、限られた期間で、支給対象者数は約一千二百五十四万人と想定されているわけでございます。そういうことから、支給対象者に対します。知徹底それから支給漏れの防止、これにつきましては遺憾のないようにお願いしたわけでございます。  具体的には、給付金の支給の趣旨、申請手続等につきまして、各自治体の広報紙ですとか放送それから掲示、その他非常に有効適切な方法を活用して周知の徹底をお願いしたいというふうに申し上げたわけでございますし、また先ほど申しました支給対象者名簿、これが整っていく場合につきましてはこの支給対象者に通知もしていただきたいという形でお願いしたわけでございます。  さらに加えまして、支給申請の促進それから支給対象者の利便を図るために、社会福祉協議会、それから民生委員、児童委員、ホームヘルパーの方々の協力も求めてやっていただきたいという形でお願いした次第でございます。
  155. 西川潔

    ○西川潔君 今回の給付金については、臨時福祉給付金、臨時介護福祉金、臨時特別給付金と三つの種類がございます。この中でも、六十五歳以上で市町村民税非課税の人には一万円支給される臨時特別給付金の対象者を把握することが大変難しい作業であると、こう言われております。この点については、今回の担当部局が福祉部局であるということで、臨時特別給付金の場合に税務資料を利用することができないために支給対象者を絞り込むことが大変難しい、これが問題でございます。  自治省は都道府県に対して、臨時福祉特別給付金に関する事務の取り扱いについて事務連絡をされているわけですけれども、この趣旨はどういつだことなんでしょうか。
  156. 湊和夫

    政府委員湊和夫君) この臨時福祉特別給付金の支給に当たりまして、所管官庁であります厚生省から、税法上の守秘義務等の問題もあることから、一方で今お話がありましたように、要件として要するに住民税等の納税者でないということの確認が必要であるということで、どうしても税務当局とのどこかで接点が必要になるわけでございます。その際に守秘義務との関係もありますので、どういう形で市町村に対応していただくかという基本のところを御協議いただきました。そのことは、厚生省の取扱要領の中にもその考え方に沿って記載がされておるわけでございます。  厚生省の方から取扱要領という形で担当の部局に必要な情報として流されているわけでございますが、私どもは、改正税法とか一連の地方財政対策とかいろんな観点で、当時、県の課長さん方にお集まりいただく会合を予定しておりましたちょうど下旬、二十七日だったかと思いますが、地方課長会議を開催する予定がございましたので、その会議の際に口頭で念のため私どもの方からも、こういう話がありますのでこういう点に留意していただきたいということを申し上げたわけでございます。その際、口頭だけではということで、念のため事務連絡という文書をつくってお渡しをさせていただきました。  あくまでもメインは、厚生省の要領の中に織り込まれたことの確認を私どもの方からもさせていただいているということです。したがって、この事務連絡の発信人も企画係長名で、地方課の税制係長さんあての念のための文書による確認的な通知を差し上げておるというようなことでございます。
  157. 西川潔

    ○西川潔君 市町村からすれば、確実に実施するためには各対象者に通知を出したいとお考えになった団体も数多くあると聞いておるわけですけれども、しかし地方税法第二十二条との関係から、結局、広報紙やテレビでのPRにとどめた団体、あるいは六十五歳以上の方全員に書類を郵送している団体、そして課税台帳などの税務資料から対象者を絞り込んで通知を出した団体、その対応はこの資料を見せていただきますと全国的にかなりのばらつきがありまして、これらの対応を果たして厚生省はどのようにお考えになったのか、お伺いしたいと思います。
  158. 高尾佳巳

    説明員(高尾佳巳君) 支給対象者の把握につきましては、先ほど自治省の方から御説明ございましたように、取扱要領で具体的な取扱方針を定めているところでございます。その中で所得要件に関しましては、納税証明書の添付または本人からの同意書の提出によりまして課税状況調査をしていただきたいという形でお願いしているわけでございます。  ただ、新聞等でいろいろ御指摘されています件は、この具体的な運用に当たりまして各自治体におきましては、個人情報の取り扱いでありますとか高齢者に係る施策で行い方が必ずしも市町村が同一でないということの事情もありまして、自治体におきます支給対象見込み者への通知の方法に差異が生じたのではないかというふうに受けとめているわけでございます。  私ども、今回、消費税率地方消費税の創設を含めて五%になるわけでございますから、国として行うものに加えまして地方自治体におきましても独自に広報活動をお願いして、支給漏れの防止につきまして万全を期するようお願いしているというところでございます。
  159. 西川潔

    ○西川潔君 札幌でしたら課税台帳を使って通知先を絞り込むとか、広島の方はテレビ等でPRをするとか、本当にばらばらでございますけれども、よろしくお願いいたします。  そして、今回も何通かのお便りをいただいたので御紹介させていただきながら、市民の立場になっていつも質問をさせていただいておるわけです。自治体の対応をしっかりしていただきたいというのが皆さんの思いですけれども、なぜそういった対応になったのか一つ一つたどって調べてみますと、期間が短かった、これが大変だろうと思います。そして、もう一つ大きな問題として、地方税法二十二条の規定という大きな問題もあったと思います。しかし、当然のこととして二十二条の規定は守らなければいけない一方で、短い期間内に十分な住民へのサービスを行うためには税務資料を活用したいという気持ちもよく理解をいたします。それぞれの立場立場で困惑しているというのが現状だと思うわけです。  この問題については医療保険の分野でも、住民税のデータを無保険者の把握にも利用していいのかだめなのかということで、大都市国保年金主管部長会議では地方税法規定の整備を求める決議が採択されています。それらを考えますと、今すぐに結論を出すということではなくて、改めて国会でも、政府部内でもこの問題についての検討が必要ではないかというふうに感じます。  政府部内でも検討するという御答弁をいただければありがたいなと思うんですけれども、最後に大臣のお答えをいただいて終わりたいと思います。
  160. 白川勝彦

    ○国務大臣白川勝彦君) 昨年、予算編成のときあるいは臨時国会のときに、特に社民党、さきがけの皆様方から、消費税五%になることによって大きな負担になる方々にということで、ぎりぎりの調整の中で決まったわけでございます。所要額もかなり大きかったわけでございますが、それをお決めになられた党の幹部、政府、特にこれは私は呼ばれていませんでしたが、大蔵省等の方はこういう問題があるんだということまではきっと気がついていなかったんじゃないかと思います。  いずれにいたしましても、今後このような縛りがある場合に、一方では行政経費の節約ということも大きな問題でございますので、しかも何も秘密を漏らそうということじゃなくて福祉という立場かちやろうということであって、これらについてもう少し的確に対応できる道がないと、プライバシーを守ると同時に、一方ではそれ以上に何とか差し上げたいという方々が、さっき言ったとおり市の広報に載っけたからといって読まない方が私はむしろ普通だと思うんですね。  ですから、この辺についてはこの規定を含めてもう少し柔軟に、どういう道があるのか、今後もあることでございますので、自治省から、問題提起をする立場からいろいろちょっと検討させていただきたいと思います。
  161. 田村公平

    ○田村公平君 昨日、質問通告をしてありましたけれども、一番最後になりますと、財政の問題も先輩議員がおやりになりました。財政力指数が〇・二クラスの財政窮乏県等については格段の傾斜配分をお願いしたいということも質問をしようと思っておりましたが、日本海の重油流出事故に伴う特別交付税の影響も受けずに財政窮乏県もそれなりの御配慮をいただいておりますので、あえてこの件は触れません。  せっかく二日間、大臣に連続で、きのうは大変お忙しい中、時間をやりくりしていただきましたし、きのう、大臣がいわゆるなれ合い出向というか常連ポストには自治省から送らないということで、官房長もおられますし、私が大臣である限りは連続していわゆる固定化するポストについてはということで、大臣みずからお出かけになって地方六団体にもそういう趣旨の話をしておりますというお話もあったものですから、私も調べてみました。都道府県議長会の臨時総会に出られて、あるポストを占拠し続けるなと思い上がりも甚だしく、よほどばかな中央省庁のやることだと語り、固定席化を痛烈に批判したという御趣旨の発言があった、これは事実でございますか。
  162. 白川勝彦

    ○国務大臣白川勝彦君) そのような新聞記事があったということは記憶していますから、そのようにしゃべったことは事実だと思います。ただ、私も細かくは覚えていません、原稿を読んだわけじゃないので。  ただ、私が申し上げたのは、多分根っこにある言い方から言ったこととするならば、要するに優秀な人でなければ仕事ができないんだという発想をしているとしたならばそこが問題なんで、自治省の人間は確かに優秀な人間はいっぱいいると思います。あるいは、中央省庁は立派な人はいっぱいいると思うけれども、立派な人が行かなければ組織が動かないんだという発想は思い上がりも甚だしいんだと。じゃ、そういうことによって地方の公務員がそれでやる気をなくしたならば、実際問題として全体のパワーアップができるだろうか。地方なんかに任していられない、中央の役人が行かなきゃだめなんだというのはまさに思い上がりも甚だしいと、私はきっとこういう趣旨で言ったんだと思います。
  163. 田村公平

    ○田村公平君 これは自治労から、地侍というか地元採用の地方公務員が、例えば土木職で入った、技術職で入ったのに何で土本部長になれないのかとか、行政職で入ったのに総務部長になれないのかと。これはきのうの議論の繰り返しになりますけれども、それは久しく言われてきたことであって、それぞれの地方自治体に事情があってそういうことがあったと思いますし、きょうはそのことを再度繰り返す気は私はありません。  これは公務員部長にお尋ねしますけれども、都道府県及び政令指定都市それからいわゆる県庁所在地等、俗に言う自治体の中でもかなり規模の大きい自治体以外に、つまり規模でいうと、うちの高知県でいうと人口七百人の大川村、三万人を切る市もいっぱいありますが、その程度の規模の地方自治体に、自治省から固定化ではなくて出向させているような例は全国でもありますか。
  164. 谷合靖夫

    政府委員(谷合靖夫君) ちょっと今急なお尋ねでございますが……
  165. 田村公平

    ○田村公平君 いや、経験則でいいですよ。大体.こっちもわかっているんだから。
  166. 谷合靖夫

    政府委員(谷合靖夫君) 政令市以外の一般の市にも、管理職で派遣をしている例はもちろんございます。ちょっと数字は正確かどうかわかりませんが、三十人前後ぐらいはトータルで行っているんではないかと思っております。
  167. 田村公平

    ○田村公平君 要するに、千人とか二千人の町役場とか村役場には行っていないということですよ。そういうことですよね、官房長。まあここにも官房長経験者がいっぱいおるし、そういうことなんだよ。そういうことでしょう。
  168. 谷合靖夫

    政府委員(谷合靖夫君) それは人口規模として小さな市でも送っているところはございます。具体的には……
  169. 田村公平

    ○田村公平君 それでいいです。  それじゃ、固定席と言うけれども、固定席はいかぬ。じゃ、国土庁に——違う違う、官房長でわかるんだ。国土庁に自治省から行っているでしょう。
  170. 谷合靖夫

    政府委員(谷合靖夫君) 国土庁には当然行っております。
  171. 田村公平

    ○田村公平君 それは大体固定席じゃないですか、課長補佐として。
  172. 谷合靖夫

    政府委員(谷合靖夫君) 国土庁との交流においては、自治省が行くポストというのは大体固定をしております。
  173. 田村公平

    ○田村公平君 固定化しているわけですね。ということは、千人や二千人のチンケな役場、そういうところはばかにして、官官接待じゃないけれども、官対官の国土庁の防災局だよね、そういうところはして、政令指定都市だとか県庁所在地の市だとか、あるいは四十万、五十万、六十万、そういうところには人をやっておいて、大臣、これどうなっているの、こういうこと。じゃ、国土庁もやめてよ、そういうの。  国家公務員の上級職に受かったやつはエリートで悪いこどもしない。地方はばかで、だけども、県庁所在地とか政令指定都市クラスはしっかりしておるから出してやっとるんやというふうにおれは今理解しておるんや。おまえ、余りなめたらあかんぞ。そういう話になるんやで。大臣が言うことと話が違うじゃないか。  大臣、どう思いますか。
  174. 白川勝彦

    ○国務大臣白川勝彦君) まず、国土庁との関係について申し上げますが、私も国土政務次官をやってよく承知しております。各省庁が、言うならばそれぞれ寄せ集めてといったらあれでございますが、それぞれ出し合ってつくったところでございまして、それぞれの専門家が、我々がやるというようなことで大体固定化しておるのは御存じでございます。  それから、私は、今おっしゃったとおり、都道府県等から主に依頼があったのかもわかりませんが、小さな市町村にも対応できるものは対応してあげなきゃならぬ、こう思っております。ことしの四月一日から、そういう強い希望があってぜひ対応してあげたいというのも一、二のケース官房長から既に相談を受けて、それにはぜひこたえてあげてくれと言っております。  ただ、私が大きな市云々という話じゃなくて、国土庁についてあるいは特別職についてあえて言及しなかったのは、連続して出向して指定ポスト化するということがなぜいかぬのかというのは、それで地方公務員のやる気が出てくるのかというところを私は一番重視したわけでございます。
  175. 田村公平

    ○田村公平君 きのうも申し上げましたように、私は核の抑止力という言葉を使いました。だから、そこら辺も大臣とはちょっと見解の相違で、やる気がなくなるどころか、すごい人が来たな、若いのにしっかりしておるな、わしらも勉強せぬといかぬなということで、勤務時間が終わって、いわゆるミニサークルじゃないですけれども、若い地方庁、県庁なんかの班長さんクラス、本省では係長と言うらしいんですけれども、勉強会をやっている例も私自身はいっぱい見聞しています。あるいは、県庁所在地へ三時間も四時間もかけてその勉強会に通ってきている田舎の役場の若い職員もおることをいっぱい知っております。  ですから、大臣、ありがたいことにこの四月から、私が大臣でいる限りはと、きのうそういうお話もありましたけれども、そういう固定観念じゃなくして、小さな町や村であっても要望があればぜひそういう経験をさせてあげていただきたい。大臣が一番心配しておるのは、やる気だけじゃなくして、指定のポストに行っていわゆる癒着が起き、そこで世間で言う汚職、さんずいが起きるとか、茶谷みたいなケースを想定される部分もあると思うんですよ。だけれども、余り世の中悪い方へ悪い方へとらない方が僕はいいと思います。  それと同時に、例えば建設省あたりだと、いわゆる上級の技術職で受かった人間が非常に若くして出先の直轄工事事務所の所長に行きます。ベテランの副長がつきます。何で彼らがよくなるかというと、公共事業というのは用地が済めば大体仕事は終わりなんです。その用地交渉には勤務時間外に、ひどい場合は一升瓶を自前で提げて、どうかこの田んぼを売ってくれ、この谷の休耕田になっている田んぼをあけてくれぬかと、いやこれは先祖代々と言うのを、それを一生懸命口説くと言ってはおかしいですけれども、そういう中で民との、一般庶民との触れ合いがあって、東大の土木を出ていても、京大あるいは北大を出ていても、田舎はこういうことだなということが随分生かされている。そういう意味での人事交流は、特に本省においては、ましてやこれから先が見えない地方分権をやっていく上では私は必要だと思ったので、ちょっときつい表現になりましたが、申し上げたわけであります。  だから、大臣が先ほど四月から小さなところでもとおっしゃっていただいたので私も意を強くしておりますので、もしひそかに陳情に行ったときはよろしくお願いいたします。  きょう冒頭に、山本一太先生から国籍条項の話がありまして、これは質問通告をさせていただいておりましたけれども、私は国会議員になって初めて質問させていただいたのが国籍条項であります。  今、神奈川県が撤廃案とか、大阪市が永住資格者に限るとか、いろんな意味で大変議論が多く出るようになりました。これは昨年十一月一日、倉田自治大臣のいわゆる大臣談話から、一週間後の十一月八日の白川自治大臣の談話というか所感というか、私に言わせれば百八十度違った。  ここでちょっとお尋ねをしたいんですけれども、私は今まで、延べにするとかなりの長い時間国籍条項について質問をさせていただきましたが、外国人という言葉を使ったことはあっても、韓半島、いわゆる在日朝鮮人あるいは在日韓国人という言葉を使ったことは一度もございません。そういう意味で、大臣がお考えになっておる国籍条項を撤廃した場合に採用されるべき外国人、その外国人はどういうことをお考えになっておるんでしょうか。
  176. 白川勝彦

    ○国務大臣白川勝彦君) まず、私は、外国人を採用するかしないかというその問題意識も、それぞれの地方公共団体において違っていいと思っております。私のところは法律上できるとかできないとかということではなくて、それぞれの地方自治体が置かれた状況の中で、その必要には及ばないという自治体があったらそれはそれでいいと思っております。それは今までの中でも、そういう市町村にとりましては今までの政府見解等がありましたので問題にならなかったし、引き続きそういうものがあっていいと思っています。  ただ、その地方自治体が抱えている状況の中で、仮に外国人を採用したいというような意欲というかそういう見解を持った場合に、従来の政府の統一見解ではぶつかるような感じが私はあったと思うわけでございますが、それについては地方自治体で考えられたらいいでしょうということを私は申し上げたわけでございます。  そして、どういう外国人かというのも、私はその自治体の判断の中で、外国人一般ではなくて例えば永住権を持つようなという縛りをかけるケースもあってもいいと思うし、なくてもいいと、こう思っております。
  177. 田村公平

    ○田村公平君 私が言う外国人というのは、日本国籍以外の方を外国人だと理解しております。そこに在日だとかそういう縛りをかけることは、逆に言えばその自治体が国籍条項を撤廃して、そしていわゆる公権力云々の内閣法制局の見解大臣もある部分歯どめが必要だとおっしゃっていましたけれども、どの職につくかは別問題として、採用の対象となる外国人は日本国籍以外の外国人であって僕はいいと思います。  特にけさほどの質問の中で、日韓平和条約のとき、私も日韓特別委員会のときには秘書の駆け出しであったので、群馬県の藤枝泉介さんがたしか緊急動議を出して乱闘国会になったことが記憶に残っていますけれども、日韓協議の中でそういうことを特に取り上げるというんであれば、私はやはり相互、互恵、平等主義を言っていくべきだと思います。というのは、日本から韓国、北朝鮮、韓半島に行った日本人も大臣の港からいっぱい行っていますから、そういう逆の立場になっている日本人もいっぱいおるわけです。大臣、そのことはけさのやりとりの中でちょっと気になったものですから、ひとつ明確にしておきたいと思います。  というのは、例えば在日米軍の家族の方が日本の学校に行っておって、その当該の市町村の役場がたまたま国籍条項を撤廃したから、私はここを受けて気に入ったから公務員になりたいということだってあっていいはずですし——まあ米軍の家族云々は別ですよ、アメリカ人、アメリカ合衆国の国民であってもそれは僕はいいと思います。い  つもここで言いましたけれども、イランの人であってもいいと思うし、バングラデシュであってもいいし、来るべき日に統合されるEUの人であってもいいと思うんです。やるのであればそういうことで言わないと……。  私は高知県のことを余り言いたくないけれども、国籍条項の言い出しっぺは高知県知事です。韓国の総領事が、いいことを言ってくれてありがとうと、もう高知県知事が外交官になっちゃっている。それはやっぱり特異例なんですよ。行政のトップあるいは地方自治においても、そういう特異例は余りよくないんです。地方自治体が姉妹都市を結んで交流をやっていて、そういう中での話ならいいけれども、国籍条項を言ってくれたから外交官がやってくるというのは余り……。  というのは、自治大臣もなかなか熱心な方ですから、もし分権が最終的に進んでいったときには、国がやるべきことというのは国防だとか外交だとかがあるわけですから、そういう意味でいつまでも国籍条項ばかり言っておりたくないものですから、きょうは私の意見をちょっと明確に述べさせていただいて、大臣のそれに対してアンチテーゼというか反論があれば承りたいと思います。
  178. 白川勝彦

    ○国務大臣白川勝彦君) 採用すべき外国人にどういう制限を設けるか設けないかも含めて、私はそれぞれの地方公共団体において決めるべき問題だと思っております。  ただ、それを決める際に、明らかに民族差別であるとかあるいは一定の国にだけ特典を与えるとかあるいは差別するとかということは好ましくないことでありまして、それについてはやはり合理的な基準というものが必要だと思っております。  それから、相互主義という話があったわけでございますが、事は地方公共団体の任用の問題でございまして、地方自治体がある国との間で相互主義を結ぶことはできませんし、我が国がそういう相互主義を結んだ国の当該外国人だけが対象になるというのもいかがなものかなと、こう考えておりまして、それらについては私はそうではないのではないかと思っております。総理もたしかそのようなことを述べていたと思うんです。  さて、私はなぜそんなことを申し上げるかというと、国籍条項が必要だという中に、いろんな意味でロイヤリティーの問題、要するにどこに忠誠を誓うかという問題がどうしてもあるわけでございますが、地方の事務の場合、そういう問題がそんなにあるんだろうか。二つの国に対するロイヤリティーが問題になって、どちらを選ばなければならないかと、忠ならんとすれば孝ならずというような場面がそんなにあるんだろうかということと同時に、もう一つは、何よりも地方公務員になる以上、地方公務員としての職務精励規定があるわけでございまして、それは公務員になる時点において当該外国人が一番認識していることでありますし、外国人であるということは隠すことができない事実だし、周りの人も全部知っているわけでございます。  そういう面で、地方公務員という場合、何よりも地方公務員法そして採用された地方自治体に対する忠誠義務がイの一番にあるんだというところで大きな支障はないのではないだろうか、私はこう考えておるのでございます。
  179. 田村公平

    ○田村公平君 管理職になれないとか、警察権力、公権力の中でも警察官の部分、あるいは麻薬の取り締まりだとか保健衛生だとか、私が危惧しておるのは、そういうことが十年二十年たって、そのときはこういうふうに制限がしてありましたよといってあったことが、十年二十年の経過の後に逆差別ではないかと。同じように入り、同じように研修を受けた者が、片方は課長になった、おれは課長になれない、そういうことが危惧されるわけです。  もう一つは、やがてそのことが国家公務員の方に、地方公務員がオーケーなのに何で国家公務員がという議論が出てくることを危惧しておるんです。特に日韓条約のこともけさ出たものですから、そういう意味で国家公務員に必ず波及してくる問題だという危惧をしております。  そういう意味で、総理に対しても、平等、互恵、相互主義ということを申し上げたのは、政治家の一人として、この国の国益を守るということはどういうことかと。国際化時代と言われて幾久しいです。しかし、往々にして日本の常識は世界の非常識と言われています。そういうことがあるものですから、私が生きているうちにそうなるかならないかは別問題として、やはり政治家の一人としてこのことを申し上げて記録にとどめておいていただきたい。そういう思いでは大臣も一緒だと思います。  ということで、きょうは長丁場でありましたので、これで質問を終わります。
  180. 峰崎直樹

    委員長峰崎直樹君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。  本会議散会後直ちに再開することとし、暫時休憩いたします。    午後四時二十一分休憩      —————・—————    午後五時五十九分開会
  181. 峰崎直樹

    委員長峰崎直樹君) ただいまから地方行政委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、地方税法及び国有資産等所在市町村交付金法の一部を改正する法律案並びに地方交付税法等の一部を改正する法律案の両案を一括して議題といたします。  これより両案について討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
  182. 小林元

    ○小林元君 私は、平成会を代表して、ただいま議題となりました両法律案に対し、反対の討論を行うものであります。  日本経済は、いまだバブル経済崩壊の後遺症から立ち直れない状況にあることは国民共通の認識と言えましょう。その中で、政府は何ら抜本的対策をとっていないのであります。また、平成九年度を財政構造改革元年と称しながら、実績踏襲型、公共事業継続型の予算編成の姿勢は従来と全く変わっていないのであります。  我々はこのような厳しい状況から日本経済を脱却させ、民間支出主導型の自律的な成長軌道に戻すことを政策目標として、消費税率を凍結させ、大幅減税等により経済成長を軌道に乗せることを最優先課題と主張してきたところであります。また、単に財政収支を均衡させるための増税を行わず、あくまでも行政経費の徹底した節減と経済再建による増収によって財政の健全化を実現すべきであると考えるのであります。このような観点から両法律案検討すると、我々の考え方に全く逆行するものと言わざるを得ないのであります。  以下、反対する主な理由を簡潔に申し上げます。  第一に、平成九年度において特別減税が見送られた点であります。  我々は、日本経済の担い手たちの勤労意欲や投資意欲を高め、民間市場を活性化し、潜在能力を引き出し、経済の構造問題を解決するとの観点から十八兆円に及ぶ減税を主張しております。住民税についても同様に大幅減税を求めております。ところが、平成九年度において、平成六年度から引き続き実施されてきた特別減税が見送られてしまったことは大いに遺憾であります。  第二に、消費税率の引き上げが強行されることであります。  平成九年度予算においては、消費税の五%への引き上げ、特別減税の廃止と社会保障費の増額によって九兆円もの負担増を国民は強いられることになるのであります。国民の勤労意欲などへの配慮がみじんもない税制改正案であります。  第三に、地方交付税については、四年連続して地方財政収支の不均衡が発生しているにもかかわらず、抜本的改革が何ら行われていない点も問題であります。  地方交付税法第六条の三第二項によれば、地方行財政制度の改正または地方交付税率の変更を行わなければならないはずであります。ところが政府は、平成八年度に続き平成九年度においても、国、地方が半分ずつ負担するというその場しのぎのびほう策で済ませようとしているのであります。問題の先送りにすぎず断じて許されないことであります。  政府地方分権をスローガンとして掲げながらも、一方で、本来国が全部の責任を持つべき地方財源不足を交付税特別会計の借入金と財源対策債によって措置させることによって地方財政をより悪化させ、国への依存体質を強めており、我々は容認することはできません。  以上、主な反対理由を述べましたが、両法律案は我々が描く日本経済再建策とは大きくかけ離れたものであり、到底納得できないものであることを申し述べて、私の反対討論を終わります。
  183. 関根則之

    関根則之君 私は、自由民主党、社会民主党・護憲連合を代表して、政府提出地方税法及び国有資産等所在市町村交付金法の一部を改正する法律案及び地方交付税法等の一部を改正する法律案の両案に対し、賛成の討論を行うものであります。  まず、地方税法及び国有資産等所在市町村交付金法の一部を改正する法律案は、住民負担の軽減合理化を図るため、平成九年度の固定資産税評価がえに伴う土地に係る固定資産税税負担調整措置等を内容とするものであります。  固定資産税につきましては、平成九年度の評価がえに伴い抜本的な見直しに着手することとし、平成九年度から平成十一年度までの間の税負担の求め方について、負担水準の均衡化をより重視することを基本として、宅地のうち負担水準の高い土地についてはその税負担を抑制しつつ、負担水準の均衡化を図るとともに、あわせて著しい地価の下落にも対応した措置を講じることとしております。  また、平成六年秋の税制改革に伴う市町村の減収を補てんするため、個人住民税及び地方のたばこ税について、税率調整を行うことにより道府県から市町村税源を移譲することとしております。  このほか、特別地方消費税について、市町村に対する交付金の交付率を引き上げた上、三年後に廃止することとし、非課税等特別措置について税負担の公平等の見地から徹底した見直しを行うこととしております。  これらの改正は、最近における社会経済情勢、住民負担の現状及び地方財政状況等から見て、いずれも当面の課題に的確に対応するものであり適切かつ妥当なものと考えます。  次に、地方交付税法等の一部を改正する法律案は、地方財政の収支が引き続き著しく不均衡状況にあること等にかんがみ、平成九年度分の地方交付税の総額について、国の一般会計の加算三千六百億円及び交付税特別会計借入金一兆七千六百九十億円等を加算することにより所要額を確保するほか、地方交付税の総額への加算、一般会計から同特別会計への繰り入れについて所要の措置を講ずるものであります。  平成九年度分の普通交付税算定については、自主的、主体的な地域づくりの推進地域振興に要する経費、地域福祉施策の充実に要する経費、阪神・淡路大震災復興基金の増額分に係る地方債利子支払いに要する経費等を措置することといたしております。  以上のような措置を内容といたしております本法律案は、現在の経済情勢の動向、さらに国及び地方における財政状況などを踏まえれば、地方財政の円滑な運営にとりまして極めて適切なものであります。  以上のような理由により、両案に賛成の意を表するものであります。  政府におかれましては、国、地方を通ずる抜本的な行財政改革を断行するとともに、今後とも地方財源の充実強化を図りながら地方分権を積極的に推進し、みずからの創意工夫で地域づくりを行うことができる、新しい時代にふさわしい地方自治を確立していかれますよう強く希望するものであります。  以上で政府提出の両法律案に対する私の賛成討論を終わります。
  184. 有働正治

    ○有働正治君 私は、日本共産党を代表して、地方税法等の一部を改正する法律案及び地方交付税法等の一部を改正する法律案に対し、反対の討論を行います。  まず、地方交付税法等の一部を改正する法律案についてであります。  反対の第一の理由は、地方財政が、一九五〇年代前半、七〇年代後半に続く戦後三度目の深刻な危機に見舞われ、来年度末には百四十六兆九千億円に達するという地方財政の借金のもとで、法案内容が単年度限りという文字どおりその場限りの措置で、財源不足の七割を地方負担で補うこととされ、来年度もこの借金を拡大するものとなっているからであります。政府は、地方財政の危機に対応するため、今こそ交付税法第六条の三第二項の規定に従い、地方財源不足の総額を交付税率の引き上げあるいは地方行財政制度の改正で確保するよう措置すべきであります。  第二は、赤字地方債の問題です。  地方消費税の税収のタイムラグを理由に、税収補てんのための臨時税収補てん債の発行が予定されていますが、消費税五%へのアップをやめれば一兆二千億円もの新たな借金を自治体に押しつけることは避けられるではありませんか。これらの新たな自治体の借金は、住民の暮らし、福祉にしわ寄せされるものであり、認めることはできません。  第三は、米軍基地所在市町村に対する交付税の配分の問題です。  これは沖縄での米軍用地の継続使用を意図する立場から導入されるもので、米軍基地が存在することによって生じる財政需要が措置されることは当然のことですが、それは政府の責任において行われるべきものであり、地方の共有財源である交付税を充てるべきではありません。  次に、地方税法等の一部を改正する法律案についてであります。  二年間実施された住民税の特別減税を今回廃止することは、消費税五%への増税や医療保険制度の改悪などとともに九兆円に上る国民負担増となり、家計への圧迫とともに国民経済の停滞を一層長引かせることとなります。消費税増税の中止と減税の継続こそ景気を回復する道であり、法案に特別減税継続が盛り込まれていない点で反対であります。  また、固定資産税については多少の軽減措置がありますが、政府が一片の通達で公示価格の七割へ引き上げた前回の評価がえの問題点を何ら改善せず、今回もその方針を強行することに国民批判が高まっていることを指摘しておかなければなりません。  最後に、今日、自治体の第一の仕事である住民及び滞在者の安全、健康及び福祉を保持することがますます重要になっているにもかかわらず、それが果たせないほど地方財政が破綻していますが、地方単独事業の急増など政府地方への借金押しつけ構造、出向天下りなどの人事政策や通達などによる政府自治体締めつけなど地方自治のあり方をゆがめている構造に根本的にメスを入れ、真の地方自治の拡充を図るべきことを要求し、私の反対討論を終わります。
  185. 峰崎直樹

    委員長峰崎直樹君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。  これより採決に入ります。  まず、地方税法及び国有資産等所在市町村交付金法の一部を改正する法律案の採決を行います。  本案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  186. 峰崎直樹

    委員長峰崎直樹君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  小林君から発言を求められておりますので、これを許します。小林元君。
  187. 小林元

    ○小林元君 私は、ただいま可決されました地方税法及び国有資産等所在市町村交付金法の一部を改正する法律案に対し、自由民主党、平成会、社会民主党・護憲連合、民主党・新緑風会、二院クラブ及び自由の会の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。  案文を朗読いたします。     地方税法及び国有資産等所在市町村交付金法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)  政府は、地方団体行政需要の増大、引き続く厳しい地方財政状況等にかんがみ、左記の事項についてその実現に努めるべきである。  一、今回の平成九年度の固定資産税評価替えに伴う土地に係る固定資産税及び都市計画税の税負担調整措置について、納税者に十分周知徹底を図ること。  二、地方団体が、地方分権推進等に伴って増大する行政需要に的確に対処し、地域の実情に即した自主的・主体的な行財政運営が行えるよう、地方団体課税自主権を尊重し、地方税源の充実強化に引き続き特段の努力を行うこと。  三、固定資産税は、土地保有税の根幹であり、自主財源としての市町村税の基幹税目であることを踏まえて制度の整備充実を図ることを基本とすること。また、今回の平成九年度の固定資産税評価替えに当たっては、引き続き評価均衡化適正化推進するとともに、最近における地価の変動をより的確に評価額に反映させるよう努めること。なお、負担水準、負担調整措置など今後の固定資産税のあり方について早急に検討すること。  四、税制の簡素化、税負担の公平化を図るため、非課税等特別措置については引き続き見直しを行い、一層の整理合理化等を推進すること。  右決議する。  以上でございます。  何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。
  188. 峰崎直樹

    委員長峰崎直樹君) ただいま小林君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。  本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  189. 峰崎直樹

    委員長峰崎直樹君) 多数と認めます。よって、小林君提出の附帯決議案は多数をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、白川自治大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。白川自治大臣
  190. 白川勝彦

    ○国務大臣白川勝彦君) ただいまの附帯決議に  つきましては、その御趣旨を尊重し、善処してまいりたいと存じます。
  191. 峰崎直樹

    委員長峰崎直樹君) 次に、地方交付税法等の  一部を改正する法律案の採決を行います。  本案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  192. 峰崎直樹

    委員長峰崎直樹君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、両案の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  193. 峰崎直樹

    委員長峰崎直樹君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  194. 峰崎直樹

    委員長峰崎直樹君) 次に、地方行政改革に関する調査を議題といたします。  小林君から発言を求められておりますので、これを許します。小林元君。
  195. 小林元

    ○小林元君 私は、自由民主党、平成会、社会民主党・護憲連合、民主党・新緑風会、二院クラブ及び自由の会の各派共同提案による地方財政拡充強化に関する決議案を提出いたします。  案文を朗読いたします。     地方財政拡充強化に関する決議(案)地方自治制度五十周年を迎え、「地方自治の本旨」に基づき、地方分権住民自治を一層推進することを確認し、現下の厳しい経済情勢の下で地方財政の中長期的な安定と発展を図り、地方団体が自主的・主体的な諸施策を着実に推進できるよう、政府は左記の事項について措置すべきである。  一、累増する巨額の借入金残高が地方財政を圧迫し、諸施策の実施を制約するおそれがあることにかんがみ、地方の一般財源の充実強化に努め、その健全化を図ること。また、地方分権の進展に応じた安定的な地方税体系を確立すること。  二、地方交付税総額の長期的安定確保のため、地方交付税法第六条の三第二項の趣旨を尊重し、財源不足を解消するための方策を講ずること。  また、地方交付税地方団体共有の固有財源であることを明確にするため、国の一般会計を通すことなく、国税収納金整理資金から直接、交付税及び譲与税配付金特別会計に繰り入れる制度検討すること。  三、地方団体が、個性豊かな活力ある地域づくりや、地域の実情に応じた生活環境及び住民生活に密着した社会資本の整備を着実に推進できるよう、公共投資のあり方を検討し、地方団体の自主的・主体的な実施の余地を拡大すること。  四、地方団体が、社会経済情勢の変化、地方分権の進展及び増大する行政需要に的確に対応するため、自主的な市町村合併をはじめとする行政体制の整備や、自主的かつ計画的な行財政改革の一層の推進を行うよう支援すること。  五、少子・高齢社会に対応し、地域福祉の充実等に積極的に取り組むため、地方団体が行う社会福祉経費等の一層の充実を図ること。  六、地方自治地方分権推進し、地方財政自主性を高めるため、補助金については一般財源化を含め一層の整理合理化を進めること。なお、一般財源化に当たっては、地方への負担転嫁にならないよう適切な財政措置を講ずること。  右決議する。  以上でございます。  何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。
  196. 峰崎直樹

    委員長峰崎直樹君) ただいまの小林君提出の決議案の採決を行います。  本決議案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  197. 峰崎直樹

    委員長峰崎直樹君) 多数と認めます。よって、本決議案は多数をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、白川自治大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。白川自治大臣
  198. 白川勝彦

    ○国務大臣白川勝彦君) ただいま御決議のありました事項につきましては、その御趣旨を尊重し、善処してまいりたいと存じます。     —————————————
  199. 峰崎直樹

    委員長峰崎直樹君) 次に、地方公務員法の一部を改正する法律案を議題といたします。  まず、提出衆議院地方行政委員長穂積良行君から趣旨説明を聴取いたします。穂積良行君。
  200. 穂積良行

    衆議院議員(穂積良行君) ただいま議題となりました地方公務員法の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由及び概要を御説明申し上げます。  御承知のように、地方公務員の在籍専従制度は、円滑な労働関係を維持する上で望ましいことから、国家公務員の場合と同様、ILO八十七号条約の批准に伴い、昭和四十年に制度化されたものであります。これにより職員が在籍専従することのできる期間は、当初、職員としての在職期間を通じて三年に制限されておりましたが、昭和四十六年の第三次公務員制度審議会の答申に基づく法改正により、国家公務員、地方公務員とも、この期間が五年に延長されました。さらにその後、平成三年には、地方公営企業労働関係法の適用を受ける企業職員及び単純労務職員について、国営企業の職員に係る改正措置に準じ、当分の間、七年以下の範囲内で労働協約の定める期間に改正されたところであります。  このように、現行制度における国家公務員及び地方公務員の在籍専従期間については、企業職員等のいわゆる現業職員は七年以下の範囲内で労働協約で定める期間、企業職員等以外のいわゆる非現業職員は五年の上限が設けられており、現業職員と非現業職員とで取り扱いが異なっておりますが、そのうち非現業職員の五年については、公務員の組合活動の継続性を維持し、成熟した労働関係を形成する上で短いこと、また現業職員との均衡を図る必要があること等の理由から、その期間についての改善が求められてきたところであります。  このたび、国家公務員については、労働関係の実態にかんがみ、労働関係適正化を促進し、もって公務の能率的な運営に資するため、非現業職員についても、在籍専従期間の上限を七年以下の範囲内で人事院規則で定める期間に改めることとしておりますので、地方公務員につきましても同趣旨の改正を行う必要があり、このため、本法律案提出することとした次第であります。  以上が本法律案を提案いたしました理由であります。  次に、この法律案の概要につきまして御説明申し上げます。  本案は、地方公務員の労働関係の実態にかんがみ、労働関係適正化を促進し、もって公務の能率的な運営に資するため、当分の間、職員が職員団体の役員として専ら従事することができる期間の上限を五年から七年以下の範囲内で人事委員会規則または公平委員会規則で定める期間に改めようとするものであります。  以上がこの法律案の提案の理由及び概要であります。  何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同いただきますようお願いいたします。
  201. 峰崎直樹

    委員長峰崎直樹君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。  これより質疑に入ります。——別に御発言もないようですから、これより討論に入ります。——別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。  地方公務員法の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  202. 峰崎直樹

    委員長峰崎直樹君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  203. 峰崎直樹

    委員長峰崎直樹君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後六時二十四分散会      —————・—————