○
政府委員(
二橋正弘君) 単独事業、いろいろ審議の中でも話題になっておりますが、まず
基本的に、近年私どもがこの単独事業を
地方財政計画なりあるいは地財対策を講ずる際に重点的に取り組んできました一番大きな背景といいますか要因、これは改めて申し上げるまでもないことでありますけれども、
地方団体の首長さん方が自分のところの
地域の実情に応じていろんな事業をやりたいという希望はかねてからいろいろございました。
以前でありますと、そういう希望を持ってまず各省に、どんな
補助金があるだろうか、自分のところに当てはまるような
補助金はないだろうか、あるいはこういうことについて各省の
補助金を工夫してこういうふうに使わせてもらえないだろうかというふうなことを、霞が関の各
省庁のところにある程度当てをつけて相談に行かれるというふうなことがまず
最初にありました。
各
省庁の方は当然それぞれの事業目的に応じまして補助要綱というのをつくっておりまして、いやこれはこういう要件にはまらなきゃ使えないとか、あるいはこういう条件は満たしてもらわないと
補助金が出せないとかという話になって、
地方団体の首長さん方がともすれば霞が関を足を棒にして歩いて、あちこち歩いた結果なかなか自分の思うような事業ができないということで、私どもの方に、何か我々の工夫を生かすようなそういう道をもっと広げてくれないか、こういう
お話が以前から随分ございました。そういうところに、いわゆるふるさとづくりとか町づくりとかというふうな思想が出てまいりました。
何とかしなくちゃいけないということから、単独事業というのをできるだけ地財対策の中でも拡充をして、
地方団体の皆さん方がそれぞれの創意工夫を生かして、中央の方は条件をつけたりあるいはいろんな要綱を当てはめるんじゃなくて、いわば
地方の工夫、知恵を中央の方が支援する、そういう
システムでいこうじゃないかというのが今日の単独事業のもともとの一番大きな思想でございます。
したがって、首長さん方があちこち足を棒にして歩いて、その結果、非常にむなしい結果になるということは何としても避けてあげなくちゃいけないということが大もとになっているということはぜひ御理解をいただきたいと思います。
そういうことで単独事業を拡充してまいりましたし、それから特に近年はそれに加えて景気対策ということがありまして、相当大幅な事業の増加、景気対策で年度の中途で
公共事業の追加もする、単独事業の追加もしてほしいということを国の方から
要請をいたしました。そういうことも相まってかなりの額になってきたということは確かであろうと思います。
ただ、その
財源でありますけれども、単独事業の
財源がほとんど
地方債じゃないかというふうに誤解される向きが時にございますけれども、計画の上では約三割が
地方債、残りは一般
財源ということでございます。それから、景気対策で行いましたものの実績、決算ベースでいきますと、景気対策のものは
地方債の充当率が非常に高くなっておりますので、そういうものを入れましても三〇と四〇の間ぐらいが
地方債の構成割合でございます。そういう
意味では、
財政の健全性といいますか節度という
意味での
地方債の充当割合というのは、一定の範囲内におさまっているということはぜひ御理解をいただきたいと思います。
それから、
交付税で元利償還をいたしております
地域総合整備債というのにつきましても、全体の事業費に対する措置率は割合で申しますと二二・五から四一・二五という割合でありますから、五〇%をかなり下回った水準の
財源措置率であると、これはもうほとんど
交付税で措置しているんじゃないかというふうな誤解が時にございますけれども、そういうこともないということであります。ただ、先ほど申しましたようにいろんな背景がございまして、単独事業が伸びてきたということは確かでございます。
しかし、
平成九年度の地財対策に当たりましては、非常に厳しい
財政状況を踏まえまして、この単独事業のうち特に投資的なものにつきましては伸び率ゼロという形にいたしました。しかしながら、総額としてはまだ二十兆一千億という金額がございますので、
地方団体の皆さん方には、せっかくそういう金額、量を前提にして地財対策がとられ、それによって
財源の確保がされているので、そこのところは各団体でいろいろ工夫をしていただいて有効に活用していただきたいということは申しております。
今後に向けては、もちろん
基本的には
財政状況を十分踏まえながら、その事業内容の効率化、重点化ということもまた
地方にいろいろ工夫していただかなくちゃいけませんし、全体の量につきましても、私どもそういう
財政状況との兼ね合いでは十分これからも考えていきたいというふうに思っております。