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1997-02-21 第140回国会 参議院 地方行政委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成九年二月二十一日(金曜日)    午前十時一分開会     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         峰崎 直樹君     理 事                 関根 則之君                 竹山  裕君                 小林  元君                 朝日 俊弘君     委 員                 太田 豊秋君                 上吉原一天君                 鈴木 省吾君                 谷川 秀善君                 山本 一太君                 牛嶋  正君                 風間  昶君                 吉田 之久君                 大渕 絹子君                 渡辺 四郎君                 有働 正治君                 西川  潔君                 田村 公平君    国務大臣        自 治 大 臣        国 務 大 臣        (国家公安委員        会委員長)    白川 勝彦君    政府委員        警察庁長官    國松 孝次君        警察庁長官官房        長        野田  健君        警察庁長官官房        総務審議官    山本 博一君        警察庁生活安全        局長       泉  幸伸君        警察庁刑事局長  佐藤 英彦君        警察庁警備局長  杉田 和博君        自治大臣官房長  谷合 靖夫君        自治大臣官房総        務審議官     嶋津  昭君        自治省行政局長  松本 英昭君        自治省行政局公        務員部長     芳山 達郎君        自治省行政局選        挙部長      牧之内隆久君        自治省財政局長  二橋 正弘君        自治省税務局長  湊  和夫君        消防庁長官    佐野 徹治君     —————————————    事務局側        常任委員会専門        員        佐藤  勝君    説明員        人事院事務総局        管理局研修企画        課長       高橋 秀樹君        人事院事務総局        職員局職員課長  佐久間健一君        総務庁人事局参        事官       大西 一夫君        総務庁行政管理        局行政情報シス        テム企画課長   藤井 昭夫君        外務大臣官房領        事移住部邦人保        護課長      水野 達夫君        厚生省老人保健        福祉局老人福祉        計画課長     青柳 親房君        厚生省保険局国        民健康保険課長  柴田 雅人君        農林水産省構造        改善局計画部地  武本 俊彦君        域計画課長        農林水産省畜産        局畜産経営課長  西尾 吉昭君        林野庁指導部治        山課長      安井 正美君        運輸省運輸政策        局地域計画課長  梅田 春実君        郵政省放送行政        局地放送課長  伊東 敏朗君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○地方行政改革に関する調査  (地方行財政消防行政警察行政等基本施  策に関する件)     —————————————
  2. 峰崎直樹

    委員長峰崎直樹君) ただいまから地方行政委員会を開会いたします。  大臣、できれば定刻までに来ていただくように、今後よろしくお願いします。  地方行政改革に関する調査を議題とし、地方行財政消防行政警察行政等基本施策に関する件について質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  3. 関根則之

    関根則之君 今、地方分権必要性が強調されておりまして、我が自由民主党におきましても積極的に地方分権を進めていこう、こういうことで鋭意協議をしているところですけれども白川大臣自治大臣として地方分権を進める上で大変情熱を燃やされておりまして、そのお話をたびたび伺っております。  ところで、地方がこれからは大事だ、重要な役割を果たしていかなければいけないんだということが言われておりますけれども地方団体責務といいますか、任務といいますか、使命といいますか、そういうものはこれから二十一世紀にかけてどういう分野でどういう責務が重いものとなってくるのか、どういうふうにお考えになりますか、まずお考えをお伺いしたいと思います。
  4. 松本英昭

    政府委員松本英昭君) 大臣のお答えの前に、私の方から説明をさせていただきたいと思います。  これから二十一世紀に向かって、今までの地方団体が持っておりました責務、これも大変重いものでございますけれども、これからの将来を見通して特色的なことを申し上げるとするならば、私は、一つ地域というものを支えていく、そしてそれが地域自治の原点として成長していく、地域経営主体と申しますか、そういう意味における地方自治体の確立ということが一点あると思います。  それからもう一つは、こういう高齢化社会になってまいりますし、行政の方向というものがやはりどちらかというと対人行政というものの比率が非常に高くなってくるだろう。そういう意味において、地域地域で一番身近な地方自治体がこれに対応していく必要が生じてくるのではないか、あえて申し上げますならば、これからの地方行政の展望というものの中でそういうことが特色づけられるのではないかと考えているところでございます。
  5. 関根則之

    関根則之君 そういう全般的な問題もありますけれども、私は、外交とか防衛は国がやって地域の問題は地方でやるということになりますと、これからの高齢化社会を迎えて、いわゆるお年寄りの介護とか医療問題とか環境の問題とか子供の教育の問題、そういった生活に密着したような問題、そういうものに対してきちんと地方団体が対応していけるということが非常に重要になってくる。今までだって重要だったけれども、ますますそういうことについて、もう国は面倒を見てやらないというんですから、地方団体がきちっとそれができるようなそういう体制をしっかりつくっていかなければいけないと思うんですけれども大臣、いかがですか。
  6. 白川勝彦

    国務大臣白川勝彦君) 私は実はこう考えているんです。  およそ今日のような国家であれ、あるいは今日のような中央集権的な強い国家でなくても、日本にも多分幾つ地方国家的なものがあった時代もあったと思うわけでございます。しかし、それ以前でも集落なり地域社会というのはそれなりにあったんではないかと思うわけでございます。ですから、本来、人間の固まり、地域というものは、それ自体いろんなことをやってきたし、いろんなことをやる能力をもともと持っているんじゃないでしょうか。  しかし、それだけでは十分でないということで、それぞれの地域一つ政府ができて、それがまた全体として集まって中央集権的な強い国家ができて、それはそれで防衛とか国を守るとかあるいは全体として国を引き上げるというところに大きな力を発揮したし、当然そういう目的のためにつくったんだと思うわけでございますが、しかし一方では、そのことによって本当意味で個性が生じてこないというところもあるわけでございまして、私は地域のコミュニティーというものはもともと人類が誕生したときから大なり小なり持っていたと思うのでございます。  きのうも衆議院の地行委員会がありましたが、例えば過疎地をどうするんだ、幾ら国過疎対策をしても、過疎を卒業してまた人口がふえた市町村というのはそんなにあらわれているのかと、こういうふうに言われました。しかし、本当にそこが過疎から脱却して発展するためには、国は国で今までお手伝いしてきたわけでございますが、やっぱりその地域の人に考えていただいて、その地域の力を振り絞っての中からしか本当意味での過疎への対策というのは立たないんじゃないだろうかと。  そういうことを含めて、もう一回それぞれの地域が本来持っている機能をより十分に発揮してもらえるように地方分権ということ、あるいはそれぞれの地方自治体制の中であらゆる可能性をもう一回引き出してくる、こういうような考え方が根底になければならないと思って、今回地方分権を進めるということで皆様方の御意見がまとまって、国会地方分権推進法というものができたと私は承知をしております。
  7. 関根則之

    関根則之君 基本的な問題もあるんですけれども、物すごい高齢化社会を迎えて、地域地域住民のための仕事をしていくということになると、高齢者対策をきちんとやっていかなきゃいけないと思うんですね。そのための仕事というのは相当大きな量になりますよ。  今、介護保険法国会に提案されておりますけれども、今それだけの仕事をきちっとやっていくために、市町村行政処理能力といいますか、任務を遂行する能力があるのかないのかという問題が私は問われてくると思うんです。権限をどんどん地方団体に移すといったって、人口二百なんという村があるわけですから、そういう村に本当意味でそういった期待されるような仕事を遂行できるだけの能力があるのかという問題があるんですよ。  介護保険の方で今考えているような、市町村事業主体になるわけでしょう、保険主体に、その仕事を遂行できる能力を持つ市町村規模というのはどの程度だと思っておりますか、厚生省
  8. 青柳親房

    説明員青柳親房君) 介護保険制度を円滑に運営していく上で、どのような市町村規模を適当と考えるかというお尋ねでございます。  介護保険制度を適切に運営していくための市町村役割というのは、御承知のように安定した保険財政運営を行っていくということと福祉サービス基盤を計画的に整備していく、この二つ役割であるというふうに考えております。  このうち、財政的な役割という面から考えますると、できるだけ大きな規模であるということが当然望まれてくるわけでございまして、ただいま審議をいただいております介護保険法案におきましても、広域的な対応が可能となるように市町村相互財政安定化事業という仕組みを設けることなどによりまして対応することとしております。  また、福祉サービス提供という側面からこの問題を考えますると、住民の利用可能な生活圏域等によりましてその規模もおのずと制約されてくるというような問題もあるというふうに考えております。したがいまして、介護保険制度運営上適正な市町村規模を、例えば人口等によりまして一義的に定めるということはなかなか難しいのではないかというふうに考える次第でございます。  いずれにいたしましても、市町村ごとの実情に応じた介護保険制度運営が可能となるように、財政運営及びサービス提供の両面から必要な指導を行うなど適切に対応してまいりたいと考えております。  以上でございます。
  9. 関根則之

    関根則之君 余り一般的な議論をしていたってしょうがないんですけれども、少なくとも介護保険、きちんとある程度の保険数理が成り立つような規模でなきゃ保険にならないんですから、そういうことを考えると、私は、少なくとも人口十万ぐらい必要なんじゃないか、そんな感じがするんですよ。そういう体制をこれから整えていかないと、地方分権地方分権といったって、やらせてみたら何もできなかったじゃないか、また相変わらず県や国に頼ってばかりいるじゃないかと、そういうことになってしまったんでは長い歴史の上で見て地方のためにならないといいますか、地方自治を育てるやり方として余り重荷を負わせちゃうと地方がつぶれちゃうと、そんな感じがしてならないんですね。  そういう意味で、町村合併を相当積極的に進めて町村規模を大きくしていく、そういうことを考えていかなきゃいけないと思います。そのときに自治省としては、県と市町村というものはどっちが大事だと考えていますか。
  10. 松本英昭

    政府委員松本英昭君) 現在御審議いただいております地方分権推進委員会都道府県市町村関係をどういうふうに位置づけるかということで、今まで二つ出されましたものがございます。一つ平成七年十月にお出しになりました基本的考え方であり、いま一つは昨年十二月の第一次の指針勧告でございます。  その二つとも共通した考え方は、まず国から地方権限等を移譲するという大原則のもとにおいて、都道府県市町村関係については、都道府県役割市町村役割をそれぞれ、都道府県は広域的な行政主体として、そして市町村は基礎的な行政主体として役割を明確化するんだという考え方一つでございます。それからいま一つは、住民に身近な行政というものはやはり基礎的な地方団体中心考えていくべきであるという原則一つでございます。  そして、都道府県市町村関係については所要の調整措置等もいろいろ必要であろうから、その内容等についてはこれから詰めていく必要があるだろう、こういうことでございまして、大体私どももそういうことではないかと思っております。
  11. 関根則之

    関根則之君 基礎的な地方団体としての市町村を大事にしていかなきゃいけないというのが今の自治省考え方だと思うんですよ。私はまさにそのとおりだと思うんです。  ところが、自治省の物の考え方というのは必ずしもそうなっていないんだね。やっぱり現在の都道府県に対する遠慮みたいなものがありまして、中核市制度というのができたでしょう。そのときに、中核市幾つも同じ県の中にできると県が抜け殻みたいになっちゃうものだから、それはだめよということで一定のところで線を引いちゃっていますね。  私の選挙区だから言うわけじゃないけれども埼玉県なんかは三十万以上の都市が五つあるわけです。どれも中核市になれないんですよ。中核市になれる要件から外れちゃっているんですね。それは昼間の人口の方が夜の人口より多くなければいけない、昼夜間人口比が一を超えていなきゃいけないなんて変な理屈を持ってきて、それこそ五十万都市ですよ、大宮とか浦和とか川口というのは単独で五十万ちょっと切れますけれども、ほぼ五十万の都市なんですよ。それらの都市が、今の一般の市町村以上に、余り県に頼らないで自分たちだけで自治をやっていけるように、そういう趣旨でこしらえた中核市になれないように排除しているわけですよ。こんなのは、口先ばかりで基礎的な市町村の市を大事にすると言っていながら、実態はやっぱり県に引きずられていると、そんな感じがしてならないんです。  この中核市を、そういった人口五十万近いような都市にどんどん機能を与えていくような制度に切りかえていくつもりはありませんか。
  12. 松本英昭

    政府委員松本英昭君) ただいまの御質問のことは、もう委員からたびたび当委員会においても御指摘を受けているわけでございますが、中核市制度をつくりました際に三つの要件をつけており……
  13. 関根則之

    関根則之君 結論だけでいいですよ。
  14. 松本英昭

    政府委員松本英昭君) それで、ただいまの昼夜間人口比率というのは人口三十万から五十万の都市についてだけ適用いたしておりまして、五十万以上でありますればその要件はございません。ただ、全体として面積が百平方キロ以上というのを要件といたしておりますので、そちらにひっかかって中核市になれない例も多々あろうと思います。
  15. 関根則之

    関根則之君 いろんなバリアをこしらえて、ならないようにならないようにしているんですよ。独立しちゃだめよという動き方なんです。  私は、これからの地方自治地方行政というものを考えた場合に、都市にこそ活力が残っていると思うんですよ。二十一世紀日本地方の開発といいますか、発展といいますか、それの担い手はやっぱり都市中心にならなきゃだめだと思う。もちろん農村も大事ですよ、過疎地も大事だけれども都市というものを本当に活性化させていく、それが日本のいろいろな地域発展の原動力になっていく、そういうやり方をしなきゃいけないと思う。  余りあちこち人口面積だと——川口市なんて行ってごらんなさい、広いですよ。百平方キロなきゃだめだなんといったって、もう立派な都市ですから、一度よく見てくださいよ。まあそれはいいです。  それから、合併を進める上で、大臣、私は先人の知恵というものを大事にすべきだと思うんです。昔の郡というのは非常によくできている。あの郡というものを大事にして、埼玉県の北足立郡なんというのは今二百五十万ぐらいあるんですよ、昔の郡で計算すると。これを一挙に一つの市にしろといったってそれは無理ですけれども、例えば比企郡なんというのは二十二、三万でうまくまとまっているんですね。  ああいう郡を一つ都市にして進めていく、昔の郡の成り立ちとか境界とか、そういうものを大事にして物を考えていった方がいいと思うんですが、いかがですか。
  16. 白川勝彦

    国務大臣白川勝彦君) 私が郡というものを自治省考えてみたらということを言ったら、旧時代の遺物を引き出してなんてちょっと酷評されました。  私が市町村合併、特に町村合併の問題で、私の新潟県の場合、全部承知しているわけではありませんが、郡というものが非常に地理的、歴史的、経済的に強い固まりを持っているものですから、そこを市町村合併するときの一つ単位にしたらどうかというのはそういうことで言ったのでございます。  そして、どういうことかというと、二つのタイプがあるんですね。ある郡の中で大きな町などが市になっている、そして合併しないか合併しないかといっても四十年近く合併しなかったのは、やっぱり大きいところにのみ込まれるということに対する抵抗感というのが現実にあると思います。  そういう面でいうならば、例えば郡の中に四つとか五つの町村があった場合はこれが対等合併したらどうか、こういう手法をひとつ考えてみたらどうかというのが一つの理由でございます。  それから、郡の中で既にドーナツ的に真ん中だけが飛び上がってしまって市ができて、そしてその周り町村があると、こういうケースもあると思うのでございます。この場合は、さっき言ったとおり今までも呼びかけてきたと思うのでございますが、なかなか全員がそこに参加しなかったという場合に、既に市になっているところが、もう一回私たちは例えば市名を変えてもいいと、もう一回郡という中でお互いに合併という問題を考えようじゃないかということを考えるときに、郡というのは一つ意味のある単位ではないかなということで申し上げたのでございます。
  17. 関根則之

    関根則之君 ぜひそういうことを、昔の人たち一つ生活圏というものを持っていてあの郡というのはできているところが多い、そうでないところももちろんありますよ、そういうものを大事にして考えていったらいい。それから、中心市単独で市になっているときも、周り町村を集めて、できれば昔の郡で一つの市をつくる、そういうことも私は非常に一つ知恵じゃないかなという感じがします。  いずれにいたしましても、今メガコンペティション時代ですから、市町村もやっぱり競争力をつけて、余りコストのかかり増ししているようなところは、そのコストをいかにしたら低減することができるのかということを考えながら、自分町村規模是正まで含めて規模是正することによってコストを低減させていく、高コスト構造というものをやめていく、そういう努力をするように、自治省もぜひひとつ積極的な働きかけをやっていただきたいと思います。  時間がありませんので、次の問題に移ります。  警察庁、ちょっとお尋ねしますけれども、十八日の晩にテレビ放送で、警察庁長官狙撃事件犯人ではないかと言われている人が生で話しているビデオ放映されたそうですね。それは今あなた方が一生懸命捜している犯人特定の上で何か捜査支障が生じているんじゃないかと思いますけれども、どうですか。
  18. 杉田和博

    政府委員杉田和博君) 長官狙撃犯行を自認しております元警察官につきましては、この席でも御報告申し上げましたとおり、全体的な具体的詳細な供述、そういうものの中に積み上げてきた捜査の結果と一致する点もあるということで同人犯行にかかわったという疑いはあるのでありますけれども、同時に、使用して捨てたというけん銃等の客観的な証拠というものが出ないということで、現時点でいまだに同人をいわゆる実行犯ということに判断するに至っていないのであります。  そういう状況の中で、警視庁は、いわゆる同人供述の真偽というものを判断する上で、精神状態さらにまた健康状態、こういうものを把握するということが必要であるということから、いわゆる精神科医を含みます複数の専門家判断をしてもらうということにいたしたのであります。  今回のビデオ放映にかかわりました専門家というのはそのうちの一人であります。この人はいわゆる脳機能の働きというものを専門に研究しておる人でありまして、元オウム真理教の幹部、こういう者のカウンセリング等大変実績を上げておる、この人であれば元オウム信者であった元警察官精神状態を見る上で大いに資するであろう、そういう判断依頼をしたものであります。  もとより、そういった筋合いのものでございますので、当然のことながらいわゆる面接をした事実の有無とか、それからいわんやこの中身について外部には出さないようにということは要請をし、同人もこれを了としておった。そういう中でビデオが撮られ今回のような放映に至ったということは、実際に懸命に現在捜査をしております警察当局といたしますと、捜査上大変大きな支障を及ぼす極めて遺憾なことであるというふうに存じております。
  19. 関根則之

    関根則之君 脳機能学者苫米地英斗さん、これはお医者さんですか、医者の資格を持っている人かどうか後で答えていただければいいですが、この人に頼んで、元警察官本当に銃撃したのかどうか、長官を撃ったのかどうかということをいろいろ状況を調べるといいますか、自白といいますか、そういう考え方を引き出す、記憶を引き出す、そういうことで警察お願いしたんでしょう。警察お願いした人だったら、そんな人が警察の意に反して一方的に、自分がコンサルトをやっている間のビデオを撮っておいてそれを困るというのに出しちゃうのは、もうとんでもない考えられないことだと私は思うんですよ。  警察は、そんなビデオを出しちゃ困りますよということはしっかり本人に言ってあるんですか。
  20. 杉田和博

    政府委員杉田和博君) ただいま御報告を申し上げたとおり、私ども依頼をいたしましたのは元警察官精神状態、今どういう心境でおるのだと、そのことであります。そのことについて具体的にどのような方法で実施するかということにつきましては、もとより専門家でありますから、私どもといたしましては専門家を信頼してお任せしたということであります。  しかしながら、御指摘のとおりビデオを撮ったり、さらにまたこれを外に持ち出す、こういうことについては当然あってはならないことであるということで、この点については先ほど申し上げましたとおり本人要請をしたところでございます。
  21. 関根則之

    関根則之君 しかもそういうビデオ管理を、警察ビデオがあるということを知らなかったんじゃないですか。どうなんですか、そこは。
  22. 杉田和博

    政府委員杉田和博君) そのとおり、ビデオを撮ったということを警察の方は認識をいたしておりませんでした。放映直前にそれを知ったということでございます。
  23. 関根則之

    関根則之君 だから、そもそも警察がそんなお願いをしてやっているんだから、警察のそのお願いの範囲内で忠実に警察と信頼関係を持ちながらやってくれるような人を選ぶべきなんですよ。その頼んだ人の意に反してどんどん出しちゃうなんて、そんな人を選ぶこと、選任がそもそも間違っていたんじゃないですか。  それから、ビデオを撮っているという事態をつかめなかったということは、これはやっぱり警察は少し手抜かりですよ、今から考えれば。信頼関係があったから外へ出すようなことはないだろうと思って油断していたのかもしれないけれども、やっぱりそれは手抜かりだと私は思いますよ。そういう反省はしてもらわなきゃいけないけれども、さて、今度は放映の問題です。  苫米地さんに対して警察は、そんなものは外へ出さないでくださいと言ったんだけれども、放送局に対しては放送しないでくれ、そういうことは言いましたか言いませんか。答えだけでいいですよ、時間がないですから。
  24. 杉田和博

    政府委員杉田和博君) 弁護人が本人の元警察官の意思を確認した上で、弁護人がテレビ局に対して申し入れをしたと承知をいたしております。
  25. 関根則之

    関根則之君 警察は申し入れをしなかったけれども、弁護人を通じて本人は、そんなビデオが外へ出ると、そうでなくたって親兄弟が大変心配をしてくれて、何か弟さんの就職の問題にまで影響するんだというようなことで、本人自身は平静時においてはこの事件が外へ出ることを特に嫌っているということで、この問題は二つの要素を含んでいますよね。一つ本人の人権を侵害しやせぬかという問題、それからもう一つは機密の暴露です。  捜査をやっていくときに機密の事項が外へ漏れちゃったら、真犯人が自白をしても、公判廷へ行ってから、いやあれは新聞を見て警察にぎゃんぎゃん言われたから私は言っただけの話です、新聞を見て言ったんであって自分の体験に基づいて言ったんじゃないということになれば、前に言った自白というものが全然証拠にならないんじゃないかと思うんですよ。そういう意味で重大な問題を捜査上も及ぼしているわけでしょう。それを発表するかしないかによって公益がかかっているわけですよ。本人の人権もかかっているわけですよ。そういうものを本人の意に反して放送するなんというのはまことにおかしいと思うんです。  きょうは郵政省来ているでしょう。郵政省、放送法上何か問題があるのかどうか、あるいはほかの法規上もこんな放送をしてもらっちゃ困るんじゃないかと思うんですけれども、どうですか。
  26. 伊東敏朗

    説明員(伊東敏朗君) 私ども放送を所管する立場から申し上げさせていただきますが、現在私ども承知している限りにおきまして、放映したことにつきまして、直接放送法に抵触するものではないというふうに考えております。
  27. 関根則之

    関根則之君 放送法に抵触しない、それは結構だ、それじゃ何ら問題はない、そういうことですか。まあいいですよ、法律上問題はないということのようですからね。  ただ問題は、結論からいって私はこれは放送局の思い上がりではないかな、そんな感じがしてなりません。放送というのは公共の目的を持っているはずですから、公共的な立場というものを十分尊重しながらやってもらわなきゃ困ると思うんです、勝手なことを何でもかんでも放送していいというものじゃないですからね。捜査支障が生じるようなことを承知の上でやってもらうということは本当に困る。  ビデオの中で、この元警察官は苫米地さんに、このビデオを公開してもらってもいいです、結構ですよということを言っているようですね。二回ほど言っているけれども、それはあるお医者さんに見せると——さっき答えがなかったけれども、お医者さんじゃないようですね、この苫米地さんというのは。ある専門精神科医というか、こういった精神の関係のお医者さんに言わせますと、あのときの顔は、どうぞ発表してもらって結構ですと言ったときの顔というのは多幸性の顔というんだそうですね。非常に幸福そうな顔をしているというんですよ。これは一種の催眠みたいな形で正常な判断力がなくなったときに、人間が非常にふわっとしたような感じのときの顔だというんですよ。これはビデオを見て言うんですから本当の診断がっくかどうかわかりませんけれども、そういうことではないかと言われているんですよ。  それで、現に放送の直前に放送局に対して、本人から頼まれて弁護士さんが、これはもう困るんだ、さっき申し上げたように、親戚、親子、兄弟、家族にも迷惑がかかるんだ、だから黙っていてくれ、こんなものを公表してくれるなということを通常覚せいされた状態において本人が弁護士に言って、その弁護士から日本テレビに対してファクスで送って、放送の前にそれは届いているというんですね。  その辺の事実関係はあなた方は把握しているのかどうか。もし把握していて、そういう要請があったにもかかわらず放送したとすれば、やはり放送倫理の点からいっておかしいんじゃないかと思いますけれども、郵政省としてはおかしいと思うのか思わないのか、もう一度聞かせてください。
  28. 伊東敏朗

    説明員(伊東敏朗君) 私ども承知している限りの話でございますが、今、委員お話のありましたファクスが届いたというのは聞いております。たしか放映の五十分ちょっと前ぐらい、二十二時五分ぐらいだというふうに聞いています。  一方、私どもが聞いておりますのは、この苫米地氏の方から当日、時間ははっきり承知しておりませんが、その放映本人承知していると、そういう電話があったということが苫米地氏から社の方へ電話が入ったということも聞いております。  したがいまして、私ども委員指摘の放送の倫理とかいろんな点を含めまして、今の段階でよしあしの判断はちょっとできかねるというのが現状でございます。
  29. 関根則之

    関根則之君 よしあしの判断はできかねるということですが、これはやっぱり条理からしても見逃すべきものではないと私は考えます。  引き続きこの問題の状況をきちっと調査する必要があると思いますが、郵政省としては調査をするつもりがありますか。
  30. 伊東敏朗

    説明員(伊東敏朗君) 放送された番組につきましては、私ども所管いたします放送法に規定されています放送番組編集の自由という大原則がございます。一方、番組準則というのもございまして、例えば事実を曲げて報道してはならないとか、そういうことも規定しております。  したがいまして、私ども、それら全体を前提にした上で、今後またいろいろ新たな事実が出てくるのかもしれませんし、そういったことを踏まえながら対応していきたいと思っております。
  31. 関根則之

    関根則之君 放送倫理というものがあるんです。それから報道の準則というものがあるんですよ。そういうものに照らして問題があると思いますので、対応していきますじゃ困るんだよ。ちゃんと調べてください。いかがですか。
  32. 伊東敏朗

    説明員(伊東敏朗君) 繰り返しになって恐縮でございますが、一度放送された番組というのは、先ほど申し上げましたように放送番組編集の自由という放送の大原則がございます。  したがいまして、今後のいろいろな推移を見まして私どもとしては判断をさせていただきたいと思います。
  33. 関根則之

    関根則之君 とても今の答弁を承服するわけにいきません。そういうことがあったら、まさにきちっと調査をして全体像をつかむべきだと思います。あなたではだめだから、大臣なりなんなりにきちっとまた対応します。  私どもとしては、この問題は非常に重要な問題だ、これからの放送のあり方の問題とも関連して非常に重要な問題だと思いますので、引き続ききちんと調査をしてまいりますから、あなたの方もしっかり対応していただきますよう要望を申し上げて、一応終わります。
  34. 上吉原一天

    上吉原一天君 私は公務員倫理、消防行政、そして児童扶養手当について質問いたしたいと思います。  今、毎日のように報道されます国家公務員の不祥事、地方の官官接待、空出張などの問題は、公務員への信頼を失墜させ、ひいては行政そのものに対する国民の信頼を失わせるというまことに嘆かわしい、ある意味では危機的な状態を招来しているというふうに考えます。  今まで我が国の公務員は国民の信頼も厚く、世界的に見ても高い評価を得ていたわけですけれども、最近のこのような事態が国、地方を通じて同時期に頻発をするということは、単に個人の資質の問題あるいは偶発的なものではない、もっと根の深い構造的なものであり、このまま放置をすれば際限なく繰り返されるおそれのあるものと認識をしなければならないと思います。  私は、この問題の根本は公務員意識の欠如、それから国、地方の行財政運営が租税により行われるという税意識の欠如によるものではないかと考えます。言うまでもなく、公務員は国民の税金から労働報酬を得、またその税により国家行政地方行政を滞りなく行う義務を負わされております。それを思えば国民の皆さんの憤慨は当然でございます。  そこで、私はこのような国民の声に真摯にこたえる義務があると考えますので、不祥事の再発を防止し公務員への国民の信頼を回復するために、公務員の倫理に関して具体的な問題点を指摘しながらお考えをお伺いいたします。  まず、白川自治大臣は昨日の所信表明におきまして、公務員行政について「厳正な綱紀の保持、給与.定員管理の適正化」に努めること、また地方行革のところでは「行政改革は国はもちろんのこと地方公共団体においても、公務員は国民全体の奉仕者であるという原点に立ち返って推進しなければならない課題であります。」と、その取り組みの姿勢を明らかにされました。現実の問題として、国、地方公務員の倫理は世論の強い批判を浴びているところでありまして、住民の信頼が得られないのでは地方自治地方分権もあり得ないという非常に重大な問題になっております。大臣の所信は、地方公務員倫理の確立に向けた真摯な表明であると受けとめたいと思います。  そこで伺いたいのでございますが、過剰接待、空出張、盲官接待といった国及び地方公務員の倫理問題について、その原因は公務員意識及び税意識の欠如からくるものと私は考えておりますが、これは個人的、偶発的なものによるものなのか、あるいは構造的な要因による病理的な原因によるものと見るべきなのか、大臣の認識をお伺いいたします。また、今後どのように公務員倫理を確保していくべきなのか、お考えをお伺いいたします。
  35. 白川勝彦

    国務大臣白川勝彦君) 私は法律家でございます。ちょうど就任前後からこのことが大きな問題になっておりましたので、事務当局にこういう問題の問いかけをいたしました。これは法律を勉強すればすぐ教わることなんですが、物を盗んだからといって返せば窃盗罪は成立しないかというと、それはするんだというのは刑法を勉強するとまず最初に我々が知ることなのでございます。何で空出張とかやみ給与とか官官接待というのがいわゆる刑法的な問題にならないのか、私はこういう素朴な質問をいたしました。  それに対して、正直に申し上げまして、先生御案内のとおり自治省としては踏み込んだところまで調査する機能はございません。それはそれとして、何よりもまず地方議会が、それぞれの自治体の経費の使われ方でございますから、このことを厳しく議論していただかなければならないと思っているわけでございます。返したという話は聞いていますが、それにて一件落着という感じ自治体が多いようでございます。  となると、これはさっき言ったとおり明らかに犯罪を構成するのではなくて、いろんな事情があったからやむを得ない、今後はやるなよ、しかしこういう処理をしたのはそれなりのやむを得ない事情があったのかなというふうに、報告は特別ございませんでしたが、私はそのように理解しているわけでございますが、果たしてそれでいいんだろうか。法律に触れることがないということは、結果としてはある面ではやむを得ない事情があったということなのか知らないが、住民にあるいは国民から不信を招くことになるから、今後は改めようということならそれはそれでいいんでございますが、両面相まつと思います。  ただ、明らかに個人的に横領したり、全く理由もないのに個人的に乱費したといったぐいについては、当然のことながらより厳しい形で対処されると思いますし、しなきゃならぬと思いますが、一方でもし仮にやむを得ない事情があったとするならば、そういうような原因がよって来るところは、直すべきところは直して、こういう不祥事あるいは国民から疑惑を持たれたり不信感を持たれたりすることは早急にやめるように、私からは、自治省としてあらゆる形で措置をとるようにということで対処しているところであります。
  36. 芳山達郎

    政府委員(芳山達郎君) ただいま大臣が申し上げましたとおりでございますが、地方公共団体の不正支出の原因でございますけれども、旅費、賃金、食糧費等の費目にまたがっておりまして、また地方団体によりましても原因はさまざまなものがあろうかと思います。  調査結果によりますと、一つは監視体制が十分であったかどうか、また予算執行の面で適切な予算措置がなされたか、また予算消化主義に走っていたんじゃないかというような問題もありますが、御指摘のように、大きくは職員の公費に対する認識が希薄であるというような指摘が団体の分析でもなされております。これは職員個々人の意識の問題とともに、組織としての問題でもあろうかと思われます。  いずれにせよ、全体として公務員倫理の確立というのが非常に重要な課題と我々も認識をしております。
  37. 上吉原一天

    上吉原一天君 今お答えのとおり、やはり構造的、組織的な問題が含まれておりますので、真摯な取り組みが必要だと思います。  このような認識のもとに、まず最初に国家公務員の関係につきましてお尋ねをしまして、それとの関連で地方公務員の取り組みをお尋ねしたいというふうに思います。この問題については政府内部におきましてもいろいろと検討をされているところだと思います。また、関係省庁でもこの検討体制を設けたようでございますけれども、この状況も踏まえまして御回答をいただきたいと思います。  そこで、現在考えられております公務員の倫理法をつくることも必要だとは思いますけれども、既にいろんな問題が明らかになっているわけでございまして、ここで重要なのは実効性の確保でございます。いかにして実効性のある歯どめ措置をかけることができるのかが問題なんです。公務員の不祥事が起こるたびに、政府は綱紀の粛正の申し合わせ、通達などを出してこの対策を行ってきましたけれども、残念ながら効果が上がっていないわけでございます。  今回も事務次官会議等の申し合わせで、業者との会食の原則禁止などを内容とした綱紀粛正案をまとめたようでございますけれども、これは各省各省で職員の倫理規程などを制定して対応しようという考えでございます。この措置で果たして実効性を確保できると考えているのかどうか、総務庁にお伺いをいたします。
  38. 大西一夫

    説明員(大西一夫君) 先ほど先生の方からお話がありました昨年十二月の事務次官等会議申し合わせにおきましては、従来の綱紀粛正の方策を省みまして、まず関係業者等との接触に当たっての禁止事項を明確化すること。次に、その実効を担保するチェック体制を整備すること。それから、違反行為に対する処分等を厳正に講ずることなどを内容とし、各省庁の訓令として法規範性を持つ公務員倫理規程を各省庁において制定、公表をする、これを遵守させていくことというふうにしております。私どもとしては、このように今回の綱紀粛正方策は、これまでよりは実効の上がるものとなっていると考えているところでございます。  今後は、既に全省庁において制定されておりますこの公務員倫理規程の厳格な遵守を図ることが肝要でありまして、総務庁といたしましてもその徹底に努力してまいりたいと存じます。
  39. 上吉原一天

    上吉原一天君 これは今までの措置の繰り返しじゃないかというふうに私は認識しておりますので、具体的、個別的に私の考えを申し述べまして、お答えをいただきたいと思います。  まず、宣誓の問題です。  これは職員が採用されるときに、必ず全体の奉仕者として公共の利益のために常勤すべき責務を自覚して公正に職務を遂行するという服務の宣誓書に署名をするということになっております。ただ、これは実態的に見ますと、多くの公務員にとっては就職時にいろんな書類の中にまざっている一枚の紙ぺらにすぎないんです。本来は神に誓う行為、国民に誓う行為であるべきであります。公務員ですから国民に誓う行為でありますけれども、皆さん覚えていますか、宣誓書にサインしたことを。覚えていないでしょう。  これは問題があるのではないか。このときに本当の気持ちで公務のために、国民のために尽くすという意識でサインすれば、途中の不祥事は起こらないわけなんです。この宣誓が形骸化しているのではないか、形だけ外国の制度をまねたのではないか、こういうふうに思えるんですけれども、何らかの工夫は要りませんか。
  40. 大西一夫

    説明員(大西一夫君) ただいま先生の方からお話のありました服務の宣誓でございますけれども、この内容につきましては、宣誓時のみならず、その後も心に持ち続けるべきものであると思っておりますが、先ほど先生の方から形骸化しているのではないかというようなお話もありました。御指摘のようなことがないよう各省庁を指導してまいりたいと存じます。
  41. 上吉原一天

    上吉原一天君 具体策を考えていただきたいと思います。  次に、目先の背信的な行為ばかりではいけません。ふだんの教育、倫理教育が必要でございます。公務員の採用後に現実に即した研修教育がなされているのかどうか、あるいは足らない部分は今後どうするのか、その辺の問題をお伺いいたしたいと思います。
  42. 高橋秀樹

    説明員(高橋秀樹君) 先生御指摘のとおり、公務員の倫理観の高揚につきましては研修が大きな効果のある一つの施策であると認識しております。人事院といたしましては、人事院が行っております階層別研修におきまして倫理科目の充実を図るとともに、各省庁における倫理研修の普及を図るために、その指導者の養成に努めてまいっておるところでございます。  昨今の公務員の不祥事、いろいろとございますが、これにつきまして考えますと、管理監督者層を含めた公務員の倫理観の高揚につきまして組織的な取り組みが必要であると考えております。人事院といたしましては、今後、管理監督者層を対象とした倫理研修について力を注いでまいる所存でございます。  また、来年度から実施予定の1種採用職員を対象とする初任研修におきまして、先生御指摘の公務員のあり方、心構えについて力を注いだ研修を行っていきたいと考えております。  なお、各省庁におきましても、研修におきまして倫理研修の新設あるいは拡充、さらに各種階層別研修におきます倫理科目の充実、これが重要でございますので、従来から人事院としてそれについての真剣な取り組みも各省庁に要請しておりますが、引き続きその実施について協力をしていく所存でございます。
  43. 上吉原一天

    上吉原一天君 次の問題ですけれども、現行の国家公務員法なりあるいは地方公務員法に規定されます非行のとらえ方の問題についてでございますが、非行についての考え方に少しばらつきがあるのではないかというふうに思います。これは非行という表現が余りにも抽象的過ぎるからだと思います。  法律では、公務員がその職務の信用を傷つけ、またその職全体の不名誉となる行為は信用失墜行為であって、公務員法で明文化され禁止をされているわけですけれども、この信用失墜行為を犯した場合に、ほとんどの場合は法律命令違反あるいは公務員の非行に該当しまして、懲戒処分の対象となるというのが解釈でございます。ところが問題は、どのような行為がそれに当たるのか、その具体的な基準が明確でないということにあります。  例えば、業者から過剰接待を受けることは非行に当たらないとする見解が一部の省庁に見られております。私もはっきり記憶しておりませんけれども、新聞でそのような発言をされたような記憶がございますが、これはどうも社会的な常識から見るとちょっと見方が外れているのではないかというふうに思います。企業などによる飲食の提供がどこまで許されるのか。  今回、総務庁のおつくりになった倫理規程の準則でも、原則これを禁止しておきながら、別の条文で職務上必要なものについては例外扱いをできるということになっておりますけれども、結局、国民から見て何が許される会食で何が禁止される会食なのか、具体的な基準は内部的にしかわからないわけであります。また、これが政府部内で統一的にきちんとした形になっているのかどうかもわかりません。明確な見解を示されないのでしょうか、総務庁にお伺いをいたします。
  44. 大西一夫

    説明員(大西一夫君) 何が具体的に禁止される行為に当たるかということにつきまして、先生おっしゃったように、一応接待から会食から遊技等を挙げております。例えば、職務上必要な場合でありますとか、例外的に認められ得る場合もあろうかということで、その場合には今後の措置で新たに服務管理官という綱紀粛正を各省庁において推進する立場にある人をつくりまして、そこに届け出て、そこでチェックするという体制をつくったところでございます。  また、各省庁でばらばらではないのかというようなお話もございました。これは今度の申し合せにも書いてございますが、具体的な事例を収集して検討を行うという各省庁横断的な研究会を設けて、現在、共通認識を持って各省庁の倫理規程を運用できるように鋭意研究しているところでございます。
  45. 上吉原一天

    上吉原一天君 今、与党が勉強しております倫理法というのは、まさにここの部分を具体的な基準でとらえようと努力しているわけです。政府も今、服務管理官ですか、そういう形でやると言いますけれども、その個々人の判断考え方も違うと思いますし、また各省ごとにいろんな考えが出てくる、それを基本的な形として明確な統一基準を設けるというのが必要なわけですから、研究をいただきたいと思います。  現在、仮に不祥事が明らかになった場合に、各省で調査して処分をする、対応を決める、こういうことになっておりますけれども、これはどのような方法で調査をしたのか、国民には全くわからない。まして、この調査というのは強制力が伴っていないわけでしょう。実効が上がっているかどうかもわからないわけですよ。行為の本人に口頭で聞いて、いや私はやっていませんと言ったらそのまま認めちゃうというようなこともあり得るわけですね。これではまことに問題だと思うんです。  それで、倫理規程の十条ですか、大臣などは実態調査を行いというふうにありますけれども、これもやはり強制力のない調査なんですね。ですから、実効性が担保されるかどうか非常にわからない。そこで、この実態調査の具体的内容、またどのように実効性を担保されるのか、伺いたい。  それから、そういった調査結果につきまして、内容はプライバシーに触れるから問題があるかもしれませんけれども、どういう調査をしたのか、その調査方法の公表は当然じゃありませんか。これが倫理規程にはないんですね。この辺についてお伺いいたします。
  46. 大西一夫

    説明員(大西一夫君) まず、懲戒処分に関する調査の強制力の方のお話でございますが、懲戒処分に関する調査につきましては職務命令として行い得るものと理解しております。刑事事件の捜査のようなそういった強制力はないわけでございますけれども、この職務命令によりまして各省庁において実効ある調査について努力されるものというふうに考えております。  それから、調査結果等の公表に関してでございますけれども、一般的に基本的には内部管理の問題ということで、一律に公表するということはいかがなものかというふうに考えておりますが、各省庁におきましては、懲戒の目的等あるいはさまざまなことを総合的に勘案いたしまして、それぞれの判断において公表されるべきものは公表されているのではないかというふうに考えております。  いずれにいたしましても、今回、各省庁で公務員倫理規程をつくりましたので、それに違反する行為があったものにつきましては、実情調査の上必要な処分等を厳正に講ずることが重要であるというふうに考えております。
  47. 上吉原一天

    上吉原一天君 繰り返しになりますけれども、今までなぜ実効が上がらなかったのか。通達、規程、やっていますね。それはやはり強制力がないからなんですよ。だから、今後検討する場合には必ず歯どめ措置、国民に対する明確な説明、これができるような措置を考えていただきたいと思います。  それで、処分を実際にやる場合には任命権者だけの判断で当然現行法ではできるわけですけれども、例えば国会の懲罰委員会のように委員会などを設けてやってはどうでしょうか。処分を内部的に決めればどうしても処分が甘くなりがち、国民の意識とずれがちなんですね。公正な第三者などの意見を聞く、そういう機関を設けることはいかがでしょうか。
  48. 佐久間健一

    説明員佐久間健一君) 国家公務員法上、今先生御指摘のとおり懲戒処分は任命権者が行うということにされておるわけでございます。しかしながら、懲戒処分に当たっての公平あるいは厳正さ、そういう観点は非常に重要であると我々も考えております。  そういう観点から、人事院としましては本年.一月十六日付で「職員の不祥事に対する厳正な対応について」という職員局長通知を実は各省庁あてにお出ししました。その中で「懲戒処分の公平かつ厳正さを確保するため、処分の要否、内容等について審査を行う委員会の設置などの措置を検討すること。」ということを各省にも指摘して要請しているという状況でございます。
  49. 上吉原一天

    上吉原一天君 現在、公務員が退職した場合についてはさかのぼって懲戒処分にできないということになっておりますけれども、在職中の信用失墜行為が退職後に事実関係が明らかになった時点で、法的安定性を害さない範囲内でさかのぼって懲戒免職にできるという法改正についてはいかがでしょうか。
  50. 佐久間健一

    説明員佐久間健一君) 退職した職員に対する懲戒の問題は、非常にいろいろ各方面で議論されておることを我々も承知しております。ただ、懲戒処分は公務員関係の秩序を維持するということで行われるものでございまして、公務員としての身分関係があるということを前提としております。したがいまして、既に退職して公務員としての身分を持たないそういう方について、遡及して懲戒処分を科すということはこれはなかなか困難であろうというふうに考えております。  ただ、さはさりながら在職中の者であれば懲戒処分を受けるわけですので、そういう懲戒処分を受けた職員との均衡ということがやはりあろうかと思います。ですから、そういう均衡を考慮した何らかのとり得る措置があるのかどうか、そういうことについてはさらに検討させていただきたいというふうに考えております。
  51. 上吉原一天

    上吉原一天君 私は退職後でも懲戒免職処分にする理由が十分ある、またできるというふうに考えますので、これは後の研究材料にしていきたいと思います。  大臣、いずれにしてもこの公務員倫理の問題は国、地方を通じて大変な問題ですので、先ほどおっしゃいました真摯な気持ちで取り組んでいただきたいと思います。  次に、消防庁の方にお伺いをいたしたいと思います。  平成七年一月十七日の阪神・淡路大震災の被災者の方々に対しまして、今現在も御苦労なさっておられることと拝察をいたしまして、心からお見舞いを申し上げる次第でございます。また、災害発生時から今日まで復興に力を尽くしておられる皆様方関係機関、地方公共団体あるいはボランティアの方々に敬意を表しますとともに、我々はこの大震災の教訓に学び、万全の対策を講じていく必要があるというふうに考えております。  そこで、まず、阪神・淡路大震災には各種の通信網が寸断をされ、被害状況の瞬時の把握が困難であったという大きな問題が生じたわけでございますけれども、消防庁ではこうした教訓を踏まえ、情報の収集・伝達体制についてどのような対策を講じてきたのか、お伺いをいたします。
  52. 佐野徹治

    政府委員(佐野徹治君) 災害の情報の収集・伝達体制につきましてのお尋ねでございますけれども、情報の収集、伝達というのは防災対策上極めて重要な事柄であるというふうに考えております。阪神・淡路大震災の教訓を踏まえまして、私ども、災害に強い防災情報通信体制の整備に積極的に努めてきたところでございます。  若干具体的に申し上げますと、従来、地上系の通信ルート、これを先行して整備しておりましたけれども、この地上系の通信ルートに加えまして、衛星系の通信ルートを積極的に整備することによりまして通信ルートの多重化を図る、こういうようなことをやっております。また、例えば画像伝送システムだとかデジタルカメラ等の多様な情報通信手段の活用も進めているところでございます。  住民との間の連絡手段を確保いたしますためには、市町村の防災行政無線の整備、こういったことも進めておるところでございます。それから、広域応援の重要性があのとき非常に認識されたわけでございますけれども、広域応援の対応力の状況だとか地域防災計画の内容、それからまた消防防災の統計、こういったことにつきましての情報のデータベース化、それからまた震度情報等の緊急情報を伝達することを目的としております防災情報システムの構築なども進めているところでございます。  こういったいろんな防災情報通信体制の整備を目下進めておりまして、また防災情報システムのようなものの構築も進めております。こういったことによりまして全国的な防災関係のネットワーク化を図りますとともに、国それから地方公共団体間での防災等に関する情報の共有化が図られる、このように考えているところでございます。
  53. 上吉原一天

    上吉原一天君 通信網の寸断の場合に電話がつながらない、そういう状態におきましても携帯電話というのは比較的使える状態にあったというふうに聞いております。ただ、この携帯電話の使用の問題につきましても、携帯電話から一一九番通報した場合にその通報が必ずしも最適な地元の消防本部につながらない、こういう問題があったように聞いております。これでは緊急通報の役目をなさないわけでございます。  こういったことがどうして起こるのか、今後も携帯電話からの一一九番通報というのはふえていくというふうに思いますので、お伺いをいたしたい。
  54. 佐野徹治

    政府委員(佐野徹治君) 携帯電話からの一一九番通報の問題でございますけれども、今お話がございましたように、現在携帯電話から一一九番通報をいたしました場合に、携帯電話の無線電話交換局のサービスエリアとそれから消防機関の管轄する行政区域が乖離しておる、こういう状況にございまして、通報の受信に係ります専用回線が確保されておりませんために、現在必ずしも管轄消防本部に接続されない状況が生じております。  こういった場合に現在どういうことをやっているかと申しますと、県を代表いたします一つの消防本部に接続してそこから転送を行うとか、それから公衆電話等からまたかけ直しをしてもらうようにお願いをするとか、そういったことをやっておりますけれども地域によりましては県内の一部の地域からの一一九番通報のみ接続しているところ、こういった地域もあるわけでございます。  いずれにいたしましても、一一九番の通報用回線が全国の消防本部に直接接続されていない状況にあるというのが現状でございます。
  55. 上吉原一天

    上吉原一天君 あと、ヘリコプターその他について予定しておったんですが、時間が参りましたので、これで終わります。
  56. 牛嶋正

    牛嶋正君 平成会の牛嶋でございます。よろしくお願いいたします。  今、衆議院に提出されております介護保険法の中で提案されております介護保険制度が導入された場合、保険者たる市町村、とりわけ財政規模の小さい町村が果たして円滑に介護保険事業を実施することができるのかという懸念が持たれております。これにつきましては先ほど関根委員も御指摘された点でございます。  この懸念が実際のものなのかあるいは懸念で終わるのかというところが非常に私は重要な点だと思いますので、きょうはこの問題を少しでも明らかにするために、現行の国民健康保険事業を取り上げまして、事業の状況を明らかにしながら現行制度が抱えている問題点を整理していきたい、こんなふうに思っておりますので、よろしくお願いをいたします。  高齢化が今も進展しております。高齢者、とりわけ後期高齢者が急増しているわけですが、それに伴いまして要介護者が多発しております。そのため、安心とゆとりのある高齢社会を確立していくためには、自立を支援することに主眼を置く新しい介護システムの構築こそ私は必須の条件ではないかと思っております。しかも、住みなれたところで親しい人々に囲まれて老後を送ることで真の安心が得られるとすれば、新しい介護システムの構築はまさに市町村の責任であり、市町村地域の実情を十分に把握し在宅ケアを中心とした介護サービスの供給体制をつくっていかなければならない、こんなふうに思っております。  見方を変えて言いますと、市町村がそれぞれの責任で地域に住む高齢者の多様なニーズに十分にこたえられる介護サービスの供給体制が確立てきたとすれば、私は地方分権の推進に大きく寄与することができるはずであるというふうに思っております。それだけに、反対にこの介護システムの確立がうまくいかなければ、地方分権の推進はかなり後退することも考えられるわけです。  地方分権と新しい介護システムの確立について私はこういう位置づけをしているんですけれども、まずこの点について大臣考え方をお聞かせ願いたいと思います。
  57. 白川勝彦

    国務大臣白川勝彦君) 非常に傾聴に値する地方分権介護保険サービスとの関係の意見、この国会の中でもいろいろ議論されましたが、初めての指摘でございます。  私は基本的にそういうことに尽きると思います。地方自治体が本来どのようなサービスをするかということによって、そこのところが十分の役割を果たしていれば地方自治体に対する信頼は強まるでしょう。しかし、そこのところで信頼にこたえる行政サービスができなければ、地方分権といっても結果が悪くなったと言われたのでは地方分権に対する懐疑の念も出てくると思います。  そんな意味で、またいずれ参議院においても御議論されると思うわけでございますけれども介護サービス介護保険の問題については、自治省としましても、市あたりならばそんなに心配しておりませんが、本当に個々の町村が法律に定められたような役割を十分果たせるだろうか、こういう心配がありまして、町村長さんなどからもその点についてはこの法案をつくる過程で率直な意見が出て、そしてそれにこたえることができるような手当てもしたようでございます。  いずれにいたしましても、町村にとって地方分権地方自治に対する信頼をより高めていくのか、それとも下手をしたら損ねるのかという大きな試金石の一つである、こういうことで取り組んでいかなければならないと思っております。
  58. 牛嶋正

    牛嶋正君 この点も先ほど関根委員が御指摘された点ですけれども、私は、今の国民健康保険事業でもやっぱり市町村行政にとりましてはかなり重荷になっている点があるように思います。それに介護保険事業が加わるということになりますと、財政規模の小さなところではかなり大変な責任を背負うのかなというふうに思っているわけです。しかも、今の国民健康保険事業というのは、医療サービスの供給は民間及び公共の診療所及び病院にゆだねられているわけですね。基本的には民間にゆだねられているというふうに考えていいと思います。  しかし、介護システムの確立におきましては、介護保険事業を推進する、運営していくと同時に、介護サービスの供給体制を整備していく責任があるわけですね。もう一つ仕事が加わるわけです。しかも、先ほど申しましたように、恐らくこれからの地方行政におきましてここのところがかなり中心になってくるというふうに思います。もしそこがうまくいかなければ、よく言われますように、保険料あってサービスなしというふうなことになってしまって、これはもう地方行政にとりましては大変なことでございます。  ところが、今の保険事業というのは厚生省が管轄なんですね。きょう、後から私は幾つかの質問をしますけれども、全部厚生省に答えていただかなければならない。しかし、介護サービスの供給体制をつくるというのは、市町村にとりまして、今申しましたように行政中心になるところですから、これも厚生省が面倒を見るということになれば大変なことだと思うんです。この点について、大臣、どんなふうにお考えでしょうか。
  59. 二橋正弘

    政府委員(二橋正弘君) 確かに御指摘のように、国保の場合ですと専門的なお医者さんというサイドで供給されるわけでございますけれども介護ということになりますと、行政側で介護サービスのいろんな用意をしなくてはいけないということがございまして、現に今国保の運営に当たっている市町村長さん方の最も大きな関心といいますか心配は、その点にあるわけであります。保険料は集めたけれども、それに対応したサービス提供できない、おっしゃいましたように保険料だけがあってサービスがないという不満が全都市町村に押し寄せるではないかということに対する懸念が非常にあるわけであります。  そういう点に対するこたえも私どもとして、もちろん中心になられますのは厚生省でありますけれども地方行政においても非常にその問題のウエートが高うございますし、それから財政面におきましても国保というのは非常に大きな地方財政の問題でございます。私どもとしてもこの点については重大な関心を持ち、市町村長さん方の心配にもこたえていけるようにという観点から、特に厚生省中心として関係省庁間でよく相談をしながら、自治省としてもこの問題についていろんな角度から真剣に取り組んでいきたいというふうに思っているわけでございます。
  60. 牛嶋正

    牛嶋正君 そこで、まず最初にお聞きしたいのは、介護保険事業にかかる事務費ですけれども厚生省はこれを八百億円ぐらいだというふうな数字を出しております。しかし、現行の保険事業にかかる事務費等々から推測いたしますと、そして二、三、私は市町村にお尋ねしてそこから推計をさせていただいたんですけれども、二千億円ほどかかるんじゃないかなというふうに思っております。この数字はかなり開きがございます。そこで、厚生省はどんなふうにこの点お考えになっているのか。  私は、むしろ事務費がどれだけかかるかというよりも、こういった厚生省が出す数字が余りにも低過ぎるんではないかと。そうだとすると、実際に今度やったときにいろんな問題が出てくるのではないかというふうな懸念でちょっとこの質問をさせていただくわけでございますが、自治省、どんなふうに推計されておりますか。
  61. 二橋正弘

    政府委員(二橋正弘君) ただいまお尋ねの介護保険にかかります事務費につきましては、現段階では、厚生省におきまして国民健康保険の事務費を踏まえながら事務量を勘案いたしまして、八百億円程度というふうに推計をいたしておられます。  一方では、国民健康保険の事務費が平成六年度の決算では二千百六十九億円ということになっておりまして、そういったこともあって今のようなお尋ねになるんではないかと思います。介護保険では国民健康保険にない要介護認定という事務は生じますが、また一方で、介護保険管理いたします被保険者数は国保の半分程度の被保険者数になります。それから、保険給付件数で申しますと、介護保険は国保の六%程度というふうに見込まれます。また、保険料の賦課徴収という面で申しますと、国保はすべて個別徴収でありますが、介護保険では七〇%は年金から天引きをされるということになります。  これらの相違がございますために、介護保険の事務費の方が国保に比べますと少なくて済むんではないかというふうに考えております。この事務費につきましては、一方では、現在市町村行政で行っております老人福祉あるいは老人保健についての事務費、これが軽減されるという効果が出てまいります。  これらのことを勘案いたしまして、この介護保険法案におきましては新規増となります要介護認定の事務費等について、その二分の一を国庫により措置するということで御提案申し上げているわけであります。  今後、介護保険にかかる事務費、それから今申しました減少が見込まれます老人福祉等にかかる事務費、これらにつきまして所管の厚生省と私どもの方で協議をいたしまして、また必要な調査も行いまして、国庫負担の対象となる事務費の範囲等を具体的に検討していくことにいたしております。市町村において事務が円滑に実行されますように、適切に対応してまいりたいと考えております。
  62. 牛嶋正

    牛嶋正君 よく医療保険制度改革論では、財政基盤を強化するとかあるいは事業運営の効率化等を図るためにいつも出てくる改革案は、保険事業の統合なんですね。できるだけ保険事業を統合してそして財政基盤を強化する、今問題にいたしました事務の運営も効率化していくということは当然の提案かと思います。  ところが、現在の国保事業を見ますと三千二百六十二団体、これは私数字が間違っているかもしれませんが、平成五年度のデータでは三千二百五十二団体、ほぼ一市町村が一保険者になっているということでございます。一部事務組合も二つありますけれども、これはずっと二つで来ているんですね。それで、一部事務組合もできてこないというんですが、これはどうしてなんでしょうね、ほかの事業は割合一部事務組合もたくさんできております。ここのところはこれはどちらに聞いたらいいんでしょうか、厚生省に聞くべきでしょうか。
  63. 柴田雅人

    説明員(柴田雅人君) まず、先生御指摘のように、今一部事務組合は二つでございます。できたのも戦後すぐ、昭和二十四年にできたもの、いずれもそうでございまして、もう一つあったわけでございますけれども一つはなくなりましたので現在二つということで、戦後すぐから全然数はふえていないという状況でございます。  なぜなのかということでございますけれども、端的に言えば、財政力の異なる保険者を統合した場合に、現在それぞれ、もう既に長いこと運営してきているわけでございまして、統合前と比較すると有利になる保険者とそれから不利になる保険者がどうしても出てくる可能性があるわけでございます。そういう意味で、なかなか一緒になるということが難しいのではないかというふうに私どもは見ております。
  64. 牛嶋正

    牛嶋正君 これについては自治省はどんなふうに見ておられますか。
  65. 二橋正弘

    政府委員(二橋正弘君) 大体、今厚生省の方からお話しになったような事情ではないかと私どもも受けとめております。
  66. 牛嶋正

    牛嶋正君 そこで、非常に小さな被保険者が何百人というふうな保険がたくさんあるわけでございます。そうなりますと、財政基盤にいたしましても事務効率にいたしましても相当な格差が出てくるわけでございます。地方分権を進めていく場合にこの格差というのは非常に重要なファクターでございまして、これが地方分権を進めていくに当たりましてしばしば障害になることが考えられます。  そこで、しばらくこの事務費を中心にいたしまして、その格差がどんなふうに出てきているのかということを検討してまいりたいと思います。  まず、事務費でございますけれども、歳出決算で見させていただきますと、総務費がこれに当たるというふうに考えてよろしゅうございますね。  私、平成五年のデータしかないんですけれども、二千百六十四億円、こういうふうになっております。この事務費がどのように推移してきたのかということですが、総額で見ても余り意味がございませんので、被保険者一人当たりでこの事務費がどのように推移してきたのか、ちょっと教えていただけないでしょうか。
  67. 柴田雅人

    説明員(柴田雅人君) 平成三年度とそれから平成七年度で比較してみたいと思いますが、平成三年度が一人当たり五千二百七十八円、平成七年度が四千七百七十九円ということになってございます。  なお、今先生、総務費が二千百六十九億円というお話がございました。これは自治省の統計のとり方と私どもの統計のとり方と若干違うものですから、私どもは国保事業経費について特別会計で支弁しているというものをベースに計算した数字でございます。総額でいいますと千八百二十一億円、これをベースに一人当たりで見てみますと、三年度が五千二百七十八円、それから平成七年度になりますと四千七百七十九円ということになっております。
  68. 牛嶋正

    牛嶋正君 減少しておりますね。これはどのような合理化を進められたんでしょうか。
  69. 柴田雅人

    説明員(柴田雅人君) 必ずしも明確にこれだというところが統計上は出てこないわけでありますけれども、その途中で私ども事務費を地方の事務に同化、定着しているということもございまして、一部一般財源化を進めたということもございます。  そういうことで、費用の持ち方というものを特別会計で持つのかあるいは一般会計で持つのかというような整理を進めたところもあるものと思います。そういうところが出てきているのではないかというふうに推測しております。
  70. 牛嶋正

    牛嶋正君 ちょっと今度は自治省にお聞きしたいんですが、市町村の一般会計におきまして国保事業にかかる事務費が含まれておりましたら、どれぐらいなのか教えていただきたい。
  71. 二橋正弘

    政府委員(二橋正弘君) 国民健康保険事業の事務費の大半は普通会計が負担をすることとしておりまして、その所要額は普通会計から国民健康保険会計に繰出金という形で支出されることになっております。六年度決算で申しますと、この事務費関係の繰出金は千八百九十五億円になっております。
  72. 牛嶋正

    牛嶋正君 国保事業でも、私は、ある程度の規模の経済といいますかスケールメリットが働くんじゃないかというふうに思います。  そういたしますと、先ほど全体の平均で被保険者一人当たりの事務費を教えていただきましたけれども市町村間で一人当たりの事務費にどれぐらいの格差があるのか、そこにスケールメリットが働いているのかどうかということ、これは統合を進める場合の一つの理由にもなりますので、そのあたりの数字が出ておれば教えていただきたいと思います。
  73. 柴田雅人

    説明員(柴田雅人君) 一人当たりで一番高い保険者というのが六万六千四百五十九円というふうになっております。これは東京都の御蔵島村でございますけれども、ここは六万六千円ということになっております。それから、一番低いところですと二町ほどありますけれども、ゼロというところもございます。  それで、上位十位と下位十位の市町村を並べて見まして、上位十位の規模の平均が大体五百十六人、それから下位十位、要するに少ないところの十位の平均が五千六百六人ということでございます。ですから、一般的に申し上げれば、小さい規模のところの方が一人当たりの総務費は大きくなっているというふうには言えると思います。  ただ、例えば同じ規模であっても、連合会のいろんな代行業務とかあるいは数少ない職員の中で国保の仕事とほかの仕事をしているというようなこともありますから、小規模でも必ずしも高くない、低くなっているところもケースとしてはあるのではないかというふうに見ております。
  74. 牛嶋正

    牛嶋正君 今の数字を見させていただきますと、やっぱりスケールメリットというのははっきり出てきておりますね。先ほど関根委員も十万ぐらいというふうな数字を示されましたけれども、私も大体それぐらいのことを考えているんです。  そういうふうに考えますと、町村で五千人以下のところが随分あるわけでありまして、それがそのまま保険者としてこれまでの国民健康保険事業に上乗せする形で介護保険事業を受け継いでいった場合にどうなるのかなというふうな懸念が、ここからまたその懸念が現実的なものになってくるような気がいたします。これは私の見解でございますので、お答えは結構でございます。  それで、事務費の大部分は私は人件費かなというふうに思っておりますが、国保事業に従事している職員数は全体でどれぐらいなのか。これはやっぱり厚生省ですか。
  75. 柴田雅人

    説明員(柴田雅人君) 平成七年度末現在で一万九千六百八十九人というふうになっております。
  76. 牛嶋正

    牛嶋正君 そうしますと、職員数につきましても、その職員一人当たりの被保険者の数というのはどうなりますか、職員一人当たりの被保険者の数。
  77. 柴田雅人

    説明員(柴田雅人君) 大変恐縮ですが、今ちょっと手元に、計算すればもちろん出ますけれども、今すぐにちょっと出ないものですから、恐縮でございます。
  78. 牛嶋正

    牛嶋正君 実はこれについてもスケールメリットをちょっとお聞きしたがったんですが、通告しておりませんでしたので、それではこの問題はまた後で資料を出していただくということにさせていただきたいと思います。  それで、人口規模の非常に小さな町村の場合、国保事業に職員を何人か配置しなければなりませんけれども、しかし役場全体の職員数がもう限られていて、恐らく国保事業だけに一人でも二人でも職員を配置するというのは非常に困難な町村もあると思うんです。そんなところはこの国保事業の事務というのはどんなふうに行われているんでしょうか、具体的にちょっと教えていただきたいと思います。
  79. 柴田雅人

    説明員(柴田雅人君) 先生御指摘のように小さい保険者、私ども仮に三千人未満で見てみますと、一九九四年現在ですが、全保険者の四割弱ということになっております。  御指摘のように職員が少ないということもありまして、国民健康保険事業を進める上でもいろいろ御苦労があるわけでございますが、具体的には、各県ごとに国保の保険者の連合体であります国保連合会というのがございます。ここが従来から診療報酬の審査、支払いということをメインに仕事を行ってきたわけでありますけれども、最近はこういう小さい保険者を支援する、あるいは保険者が共同でやった方が効率的なもの、こういうものの仕事にウエートをだんだんかけてきているというのが現状でございます。  具体的にどんなことかといいますと、これは事務負担ということとは若干離れるかもしれませんが、小さい保険者ですと、大きな医療費がぽんと出ますとどうしても財政運営に大きく影響が出てくるということもございまして、高額医療費の共同負担事業というものを、保険者から拠出金をいただきあるいは都道府県の補助も入れながら一種の再保険事業みたいなものを行って変動幅が小さくなるようなことをしている、これが一つでございます。  それから、事務的な支援としましては、保健婦さん、あるいは診療報酬審査、支払いを終わった後のレセプトについて点検するということで、このレセプトを点検する際の人員、こういうものを国保連におきまして小規模保険者の仕事を支援するような形で物事を進めております。これは今の代表的な例でございますけれども、例えばそんな形で特に小さい保険者については重点的に支援をするという形で進めております。
  80. 牛嶋正

    牛嶋正君 この国保連は、介護保険制度が導入された場合にも、それについてまた零細な市町村を援助していくということになっていくんでしょうか。
  81. 柴田雅人

    説明員(柴田雅人君) それぞれ都道府県の事情があると思いますが、そういうこともあり得ると思います。
  82. 牛嶋正

    牛嶋正君 それでは次に、歳入について幾つか御質問したいと思います。  まず、保険税といいますか保険料収入でありますけれども、全体の歳入決算に占める割合というのは今どれぐらいになっているんでしょうか。私が見たところ、この比率がだんだん落ちてきているというふうに見ているんですけれども、そのあたりの事情をちょっと教えてください。
  83. 柴田雅人

    説明員(柴田雅人君) 年次推移を申し上げます。  平成二年度が三九%、そして平成七年度が三五・五%、途中は省略しましたけれども、先生おっしゃるようにだんだん下がってきてはおります。
  84. 牛嶋正

    牛嶋正君 この保険料収入の低下部分というのはどういう項目で補われていっているんですか。
  85. 柴田雅人

    説明員(柴田雅人君) 一つは、例えば一般財源の繰り入れという面があると思います。この一般財源の繰り入れでも二つ種類がありまして、一つは法律制度で繰り入れるということが決まっているもの、例えばベッド数が多いとか、そういう特別な事情に着目しまして設けられています財政安定化支援事業という事業がありますが、こういうものとか、あるいは低所得者、保険料を軽減した部分につきまして公費で補てんするという制度がございます。こういうものが法定繰り入れという形で繰り入れをしております。本来、保険料でカバーすべき部分をこういう法律で定められている制度で繰り入れるような形になっている。  それからもう一つは、法定外繰り入れと私ども呼んでおりますけれども、各自治体の御判断で、これもいろんな理由があると思いますが、一般会計から繰り入れをしているというのと二種類ありますけれども、こういうものがある程度カバーしているんではないかというふうに思っております。
  86. 牛嶋正

    牛嶋正君 その法定外繰り入れにつきまして、後でまた御質問したいと思っております。  国保事業は、いずれにしましても単年度主義に立っているわけですね。ですから、単年度の収支状況を勘案いたしまして保険料が決められていく、保険税が決められていく、こういうことだろうと思います。  高齢化の進展の度合いも地域によって違います。それからまた、先ほどおっしゃいましたけれども、小さな保険者の場合は一、二名の高額医療者がぱっと発生するだけでも財政が非常に圧迫されることもあるわけでございます。そうなりますと、当然のことですけれども保険料率あるいは保険税率と申しますか、これは相当地域間格差があるというふうに考えられますけれども、その状況についてちょっと教えていただければと思います。
  87. 柴田雅人

    説明員(柴田雅人君) 平成七年度の一人当たりの調定額について申し上げたいと思いますが、まず都道府県レベルで見てみますと、最高が富山県で八万八千六百二十四円、最低が沖縄県で四万六千六百四円ということで、格差は一・九倍ということになっております。それから、市町村レベルで見てみますと、富山県の大山町の十万五百八十四円、最低が鹿児島県の十島村一万五千二百七円ということで六・六倍というふうになっております。
  88. 牛嶋正

    牛嶋正君 かなりの格差があるわけですね。恐らく、その保険料に対しまして医療サービスの水準を見ていかなければならないと思いますけれども、この格差をもたらしている要因というのは何なのかということをやっぱりきちっと見ておかなければ、介護保険の場合にも問題が出てくると思います。  それで、一つ考えられるのは、先ほどもちょっとお尋ねいたしましたけれども、被保険者数と保険料率との間には負の相関があるんじゃないか、私はこんなふうに思っております。もう一つは、被保険者の高齢化率とそれから保険料率との間には正の相関があるんじゃないかというふうに思っておりますけれども、これはもう私の感じだけでお話しさせていただいているんですが、このあたりの検討はなさっているのかどうかということと、私の今の感じについてどういうふうに説明できるのか、それを教えてください。
  89. 柴田雅人

    説明員(柴田雅人君) 先ほど申し上げました保険料の額でございますけれども、これは国庫負担を通じまして保険者の財政力に応じて調整をした後の数値ということでまず御理解をいただきたいと思います。  それで、順に申し上げますと、仮に医療費の水準が同じ保険者が二つあるとした場合でも、もし国庫負担がなければそれは全部保険料ということになっていくわけですから、医療費水準が同じであれば保険料水準も同じになるということになるわけでありますけれども、現実には各保険者の負担能力というのが違ってまいりますから、同じ医療費であっても重く感じるところとそうでなく感じるところとある、そこのところを国庫負担を入れて調整するという形にしてございます。我々の財政調整交付金の財政調整というのはそういう考え方で交付をしております。したがいまして、結果だけ申し上げますと、医療費が同じ程度であるならば所得に応じた保険料になるということであります。  ですから、先生おっしゃるように、高齢化というのが医療費に大きく左右する原因でありますけれども、高齢化の高いところは一般的には所得が低いと言われておりますが、理屈の上でいきますと、医療費が同じであっても所得が高いところは保険料は高く、そして所得が低いところは保険料が低いという形で調整をしている。逆に、所得が同じ程度の水準の場合には、医療費が高い方が保険料負担が高くなるという形で調整をしていると  いうことでございます。
  90. 牛嶋正

    牛嶋正君 その保険料あるいは保険税の決め方でありますけれども、これもやはりそれぞれの保険者によりまして基準が異なるのでございましょうか、教えてください。
  91. 柴田雅人

    説明員(柴田雅人君) 取り方という御質問であれば、保険料の取り方を大きく分けますと、応益割というふうに呼んでおりますけれども、被保険者の頭数あるいは世帯の数ということに着目して負担をお願いする部分と、それからその被保険者の負担能力、例えば資産を持っているとかあるいは所得が高いとか所得の多寡がどうかとか、そういう負担能力に応じて負担していただく部分と両方ございます。  そして、これの割合というのは、私どもはできるだけ五対五に近づけるようにという考え方を持っているわけでございますけれども、現実に言いますと、応益割の部分それから能力に応じた部分というものの比率というのは各保険者ごとにばらばらになっているということでございます。
  92. 牛嶋正

    牛嶋正君 もう一つだけ、保険料あるいは保険税についてお聞きしたいんですけれども、それぞれ収支が厳しくなりますと保険料の引き上げということになるわけで見直しをされるわけですが、最近の各市町村における保険料の見直しの状況はどうか、教えてください。
  93. 柴田雅人

    説明員(柴田雅人君) 例えば、保険料を上げた保険者が幾つかというところまでちょっと今私の手元にございませんが、平成七年度決算で保険料の全体の伸びで見てみますと、二・五%の伸びになっております。
  94. 牛嶋正

    牛嶋正君 それでは、歳入決算の中でもう一つの重要な項目とみなされます他会計からの繰入金ですね、先ほどの法定外の部分でございますけれども、これは今、全体の歳入のうちでどれぐらいの比率になっておりますか。そしてまた、最近の推移をちょっと教えていただきたいと思います。
  95. 柴田雅人

    説明員(柴田雅人君) 他会計からの繰り入れ、特に一般会計からの繰り入れということに絞って申し上げますと、先ほど申し上げましたように、法定繰り入れとそれから法定外の繰り入れと両方あるわけでございますが、まず合わせたもので申し上げますと、平成二年度が六・五%、そして平成七年度が九・四%、こういうふうになってございます。  今、合わせたものと申し上げましたが、その内訳で申し上げますと、法定繰り入れの方は、平成二年度が一・六%だったものが平成七年度には五・五%というふうにかなり上がっております。それから、法定外の方でございますが、平成二年度四・九%、そしてこれが平成七年度には四・〇%ということになっております。ちょっと平成二年と平成七年だけを申し上げましたけれども、そんな形になっております。
  96. 牛嶋正

    牛嶋正君 結局、保険料収入の比率が落ちている分だけここでカバーしている、こういうふうに考えていいと思うんですね。  今お聞きいたしました数字も、またこれも全国平均でございます。私は、市町村によりましてはこの比率はかなり高いところもあるんではないかというふうに思います。特に法定外の場合が市町村によって大きく変わってくるんじゃないかと思いますが、もしできましたら、市町村の中で最も高い部分と低い部分、差を教えていただきたいと思います。
  97. 柴田雅人

    説明員(柴田雅人君) 先生のお尋ね、法定外繰り入れということで受けとめまして整理をしてみましたが、一番高いところで五二・九%、それから一番低いところはゼロでございます。このゼロというのは、保険者数にしますと大体千四百ぐらいの保険者がゼロということでございます。
  98. 牛嶋正

    牛嶋正君 今、五〇%というふうなお話がありましたけれども、これは税なんですね。ですから、地方税であるのかあるいは国税が交付税でおりてきたのかは別ですけれども、税であることは変わりないわけであります。そういうふうに考えますと、保険者は数多くありますが、その財政の構造あるいは財政状況というのは非常に格差があるということがわかると思います。それだけに私は、一市町村保険者という状況は、国保事業を見ただけでも、効率的な運営から申しましてあるいは財政基盤というふうな点から見ましても問題があるというふうに思うわけであります。  このままの状況介護保険事業を今そこに入れてきた場合に、私は全体としては、先ほども事務費などは八百億だというふうな数字を出していただいておりますけれども町村あるいは市町村の間で物すごく負担がかかってくるところ、重圧のかかってくるところとそうでないところとが出てくるのではないかというふうに思います。もしそういうことになりますと、介護保険が第二の国保になってしまうというおそれもあるわけでありますけれども、私はこの点について自治大臣からちょっと見解をお聞きしたいと思います。
  99. 二橋正弘

    政府委員(二橋正弘君) 確かに、今回の介護保険制度を仕組みますに当たりまして、介護保険が第二の国保になるんではないかという心配、懸念が特に市町村関係者には非常にあったわけでございます。いろいろそういうことも踏まえて、市町村の代表の方々それから関係省庁でいろいろ相談をいたしまして、今御提案申し上げております介護保険法案におきましては、市町村保険者としつつも、国、都道府県、医療保険者等がそれぞれの役割に応じて保険者たる市町村を重層的に支え合う仕組みということにしているわけであります。特に都道府県にも加わってもらうという形でそういう重層的な仕組みにいたしております。  具体的には、市町村介護保険財政の安定化を期するために、一つは財政安定化基金、これを都道府県に設置いたしまして、六十五歳以上の保険料、第一号保険料と言っておりますけれども、その未納によります赤字の二分の一を補てんいたしますとともに、その給付費の増による赤字について無利子の貸し付けをその基金から行うという仕組みをつくっております。  それから、先ほど来お話の出ております要介護認定等の事務費の二分の一を国が交付するということにいたしております。  それから、公費負担分、これは全体の給付費の二分の一が公費負担になるわけでございますが、その部分。  それから、医療保険者の負担するいわゆる第二号保険料、四十歳から六十四歳までの人の保険料でありますけれども、これにつきましてはその実績に応じて完全な精算を行うという仕組みを取り入れることにいたしております。  それから四番目には、複数の市町村がこの第一号保険料を統一して相互に財政調整を行います市町村相互財政安定化事業というものを考えておりまして、それを行う際に保険料基準の提示など広域的な調整を都道府県が行うという形で都道府県役割を想定いたしているわけでございます。  それから五番目には、市町村からの委託に応じまして要介護認定に係る審査判定業務、これを都道府県が実施するという仕組みも設けております等々、各般にわたる措置を講じて、今の第二の国保になるんではないかという懸念に対処しておるところでございます。  私どもといたしましては、今後ともこの介護保険制度に関しまして、市町村の行財政の運営の影響も含めまして、制度が円滑に実施されるべく関係省庁ともよく相談しながら適切に対応してまいりたいというふうに考えております。
  100. 牛嶋正

    牛嶋正君 私が懸念するのは今のお答えなんですね。こういうふうに重層的にとおっしゃいました。けれども、重層的というのは、どちらかといいますと、県が市町村を支えるとかあるいは国が県を通して市町村を支えるという形なんですね。ですから、この重層的な支え方というのは、一番最初に私申しましたように、地方分権の後退ですよ、これは。だから、第二の国保にならないためにも、そしてこれからも地方分権を推進していくためにもその受け皿としての市町村を強化しなければならない、私はそこがどうも自治省考え方が少し後ろ向きかなというふうに思います。厚生省の案を補強するために、しかし自治省が進めなければならない地方分権の推進に対してどうもこれはマイナスになっているんではないかというふうに思うんですけれども、その点どうなんでしょうか。  市町村の財政基盤を強化する、それはある場合は合併もあるでしょう、あるいは連合体というふうな組織もあるでしょう、やっぱりそこのところをきちっと整えて、そして第二の国保にならないようにするのが私は自治省の立場ではないかというふうに思います。どうも厚生省の後始末ばかりされているようでは地方分権は進みませんよ。
  101. 白川勝彦

    国務大臣白川勝彦君) 御案内のとおりこの問題、必ずしも町村は、市も小さいところはそうでございますが、これによって自分たち地方権限がふえてきたと、こういうとらえ方よりも、不安が半ば交錯する受けとめ方の声を率直に聞きます。  ただ、先生が冒頭触れましたように、本当に安心でき、また豊かな高齢社会というのは、住みなれたところで親しい人々に囲まれて老後を送るというのが最も理想の姿だと思うわけでございます。そして、住民にそういうサービス提供することが地方自治体の職務だとするならば、そういうふうな問題としてこれはやはり市町村がやるのが最も適切ですよと、そういうとらえ方をすべきだと思っております。  市町村合併、この国会で、従来に比べますと合併せよと、こういう声が随分圧倒的に多かったような気がいたしますけれども、私はそのときに、そのとおりだと思いますが、国が地方自治体権限を移譲せずにして、小さくて非効率だからあなた方だめだよと幾ら言っても、独立の意思を持った地方自治体はみずからの意思で合併しようという機運にならないんではないでしょうかということを申し上げてまいりました。  そういう面では、住民から見たならば身近な市町村が本来やってくれればありがたい、しかし自治体にはその力がないというような懸念がもしあるのならば、そこで強固な行政体制をつくるというのが、こういう具体的な事務などを通じてできてくるのが本来の姿ではないかなと、こう思っております。  いずれにいたしましても、理想は身近な地方自治体がそういうサービスをすることが介護を受ける方々にしてみれば一番いいわけでございますので、その行政執行体制に財政面でもまた人的な面でも遺漏がないように努めていくということで万全を期してまいりたいと思っています。  御指摘の点につきましては、大変貴重な御示唆をいただいたと承知しております。
  102. 牛嶋正

    牛嶋正君 どうもありがとうございました。これで終わらせていただきます。
  103. 峰崎直樹

    委員長峰崎直樹君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩いたします。    午後零時一分休憩      —————・—————    午後一時開会
  104. 峰崎直樹

    委員長峰崎直樹君) ただいまから地方行政委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、地方行政改革に関する調査を議題とし、地方行財政消防行政警察行政等基本施策に関する件について質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  105. 風間昶

    ○風間昶君 平成会の風間でございます。  まず、今週の火曜日、二月十八日ですけれども、レバノンで日本赤軍のメンバー五人が拘束されるというビッグニュースが飛び込んできたわけであります。この被拘束者の身元の確認が済んだのかを含めて、現状をまず伺いたいと思います。
  106. 水野達夫

    説明員(水野達夫君) お答えいたします。  ただいま先生御指摘のレバノン当局によって身柄を拘束されている者たちにつきましては、その中に赤軍メンバー関係者がいるかどうかという確認をすることがまず先決でございますので、この確認が済みましたら、後はレバノンの司法手続に従って事態が進展するものと思います。私どもはその推移を見まして、その段階で身柄の引き渡しを求めるべく準備をしております。  もし私どもからこういう身柄の引き渡しの要請をいたしますと、レバノン当局は身柄を引き渡すかどうかというのを決定いたしまして、司法手続にのっとって私どもの方にしかるべき方法で身柄が引き渡されると、こういう手順になるものと了解しております。
  107. 風間昶

    ○風間昶君 今、外務省がお答えになりましたが、警察庁は現地に職員の方を派遣されていらっしゃいますね。そこはどうなっていらっしゃいますか。
  108. 杉田和博

    政府委員杉田和博君) ただいま外務省の方からお答えしたとおりでありますけれども警察庁といたしましては、通報を受けた直後から外務省等と密接な連携をとりながら情報収集活動等を行っているところでございます。
  109. 風間昶

    ○風間昶君 我が国との間で犯罪人引き渡し条約が締結されているのはアメリカだけですね。そうすると、今の外務省のお答えで、確認でき次第レバノン当局の推移を見てしかるべき司法手続と。もうちょっと具体的に手続をどういうふうにするのか教えてもらいたいんです、まだ交渉中であるとは思いますけれども
  110. 杉田和博

    政府委員杉田和博君) 身柄の引き渡しにつきましてはまさにレバノン当局において検討されておるところでございまして、確定的なことは申し上げられませんけれども、通常、いわゆる日本赤軍メンバーのように国外で、つまり他国で身柄を拘束されたという場合に引き渡しを求めて具体的にどうするかは二つ方法がございます。  一つは、相手国がいわゆる国外退去処分にする場合であります。例えば昨年の六月にペルーで日本赤軍のメンバーが検挙をされました。その場合にはペルー当局において国外退去にいたしました。国外退去処分にされました同人を我が国内に入った時点で逮捕した、こういうケースがございます。もう一つは、外交ルートを通じまして相手国政府から犯罪人の身柄の引き渡しを受ける、この二つの方法がございます。  以上でございます。
  111. 風間昶

    ○風間昶君 外務省にお伺いしますけれども、そうすると、身柄引き渡し条約が結ばれていない今回のレバノンとのやりとりの中で、国際犯罪がある意味では巧妙にかつ大胆に、いろんな物品を介して、麻薬を含めて、銃器もそうでしょうが、あるわけですけれども、犯罪人の引き渡し条約を締結していくべきだと私は思うんです。二国間、もしくは二国だけでなくて多国間条約、必要性があると思うわけですけれども、この辺に関して外務省としての見解をちょっとお伺いしたいんです。
  112. 水野達夫

    説明員(水野達夫君) ただいま先生御指摘のように、我が国との間で犯罪人引き渡し条約が結ばれておるのはアメリカとの間だけでございまして、それ以外の国とは目下ございません。我が国には国内法としては犯罪人引渡法がございまして、このもとでは外国との相互主義の保証のもとに外国の逃亡犯罪人を引き渡すことができるようになっております。  実際に相互主義の保証のもとで引き渡すという考え方で今までのところ犯罪人の引き渡しは支障なく行われておりまして、条約まで結ぶ必要があるのかどうかというところについては必ずしもその必要性が高くないんではないかというのが関係者の一致するところでございます。  ということで、私どもは相手国との関係、それから犯罪が非常に多様化していろいろ時代背景も変わっているという状況を総合的に勘案いたしましてこの問題を検討させていただきたいと思っております。
  113. 風間昶

    ○風間昶君 そこで、拘束されたあのメンバーが日本赤軍のメンバーだと確認された場合でありますけれども日本に連れ帰ってきたときに、ひところの勢いはないにしても、再び釈放要求のための抵抗が予想されるわけであります。警察当局としてもあのクアラルンプール事件のような超法規的な釈放を二度としなくてもいいような万全の措置を講じていただきたいわけですけれども、その対策を本件に関してはどういうふうに考えていらっしゃるのか、またどうされようとしているのか、教えていただきたいと思います。
  114. 杉田和博

    政府委員杉田和博君) 警察といたしましては、委員指摘のような不測の事態というものを考えまして、既に日本赤軍に関連する動向の情報収集、これは外務省等関連当局とも連携をとりながらその活動の強化をいたしております。と同時に、既に国内外の関連施設、こういったところに対する所要の警戒措置というものはとってございます。  いずれにいたしましても、今後の推移というものを十分見ながら、そういう推移に対してきちっと対応できる万全の措置を講じてまいりたい、かように考えております。
  115. 風間昶

    ○風間昶君 かつて釈放されたクアラルンプール事件についても超法規的な対処をしたということであります。大臣も弁護士をなさっていらっしゃるという立場から、これからもあり得るということも考えていらっしゃるのかどうか、ちょっと大臣にお伺いしたいと思うんです。
  116. 白川勝彦

    国務大臣白川勝彦君) この前にとられた超法規的な措置が今後またとられるかという御質問だと思いますけれども、当時の総理は与えられたぎりぎりの情勢の中でそのような決断をしたんだと思うわけでございます。政治家はみずからの責任において決断をし、その是非はまたみずから受けるということで決断されたのだと思うわけでございます。  したがいまして、そういうような事態が起こらないように何よりも警察としては努力をいたしているところでございますが、そのような措置をとる気があるのかないのかというようなことにつきましては警察として答えられることではない、こう思うわけでございます。  ただ、いずれにいたしましても、こういうときこそ内閣総理大臣あるいは時には国家公安委員長としてのまさに政治的な決断というのが求められるときがあろうと思いますが、それに向けてはまた皆様方の御意見を聞きながら、心の準備だけは常にしておかなきゃならない、こう思って日夜こういう問題が出るたびに考えておる次第であります。
  117. 風間昶

    ○風間昶君 次に、パチンコのプリペイドカードについてお伺いしたいんですけれども、このプリペイドカードの変造・偽造事件で、本来、導入時は業界の健全化、また三千万にもわたるファンのために健全な産業を目指して導入された経緯があった中で、逆に裏目に出るような形で変造・偽造事件が随分あちこちで出てきて、場合によっては店ぐるみで風営法にも抵触するような問題まで報道されております。  そういう意味で、まず実態上、PC、プリペイドカードの変造事件で昨年逮捕された人員と国籍別の内訳をちょっと教えていただきたいと思うんです。
  118. 泉幸伸

    政府委員(泉幸伸君) 昨年、プリペイドカードの、偽造はございません、変造及び行使事件で、事件数は八百七十事件、検挙人員は一千八十九人でございます。逮捕された者の数字は直接持ち合わせておりませんが、検挙人員のうち外国人は六百九十六人ということで全体の約三分の二を占めております。その外国人の中で中国人が約七割を占めているという状況でございます。
  119. 風間昶

    ○風間昶君 いろんな対策が業界でもとられているようであります。そこで、自店だけ限定でのいわゆるハウスカードでありますけれども、このハウスカードが導入されたことで犯罪の認知がしやすくなるということを含めてセキュリティーはよくなったということであります。  ハウスカードが導入されてからの変造・偽造事件について、警察として現時点で認知しているものがあるかないかを含めて現状を伺いたいんです。
  120. 泉幸伸

    政府委員(泉幸伸君) 先ほども申しましたように、パチンコ・プリペイドカードの変造及び行使事犯は、昨年の十一月まで大体月二十事件から三十事件というような形で推移してきておりますが、昨年十二月十五日以降、カード会社では外部からの変造カードの持ち込みを防ぐため、今御指摘になりましたいわゆるハウスカード化という措置をとりました。それ以後、一月末までに変造カードを使用している者を検挙したのは二事件、検挙人員四人という状況でございます。
  121. 風間昶

    ○風間昶君 ハウスカードだけじゃなくてプリペイドカードそのものもそうでしょうけれども、この導入の目的の一つとしていわゆるホールのパチンコ店の脱税防止という点もあったけれども、ハウスカードが導入されてから脱税の部分で効果が上がったというふうに考えていらっしゃいますか。
  122. 泉幸伸

    政府委員(泉幸伸君) 御承知のとおりプリペイドカードシステムにつきましては、直接には私どもインのクリアというふうに言っておりますが、各ホールにおける収入がプリペイドカード化され、そのカードの発行、使用状況が第三者機関によってチェックされるということで、そういうシステムの中でパチンコホールの健全化、インの明朗化というのが行われるだろう、ひいてはそれが脱税防止ということの効果も持ってあろうというスタンスでやっております。  ハウスカード化というのは第三者管理するという点においては変わりございませんので、変造事犯の防止という点には先ほど申しましたように相当の効果を上げたと見ております。プリペイドカードシステムそのものはパチンコ営業の健全化ということで当初から推奨しており、現在も私どもその評価については変わらないところでございまして、インのクリアという観点からは、ハウスカード化もそれ以前も状況は変わっていないというふうに見ております。
  123. 風間昶

    ○風間昶君 今、生活安全局長がおっしゃったのに引き続いてですが、要するに脱税だけじゃなくて、ホールの経営内容を積極的に利用者にオープンにするという意味で、経営の健全化を図って業界としてのイメージアップも必要だというふうに考えて業界もいろんな自主努力の通達といいましょうか、出されているようであります。  今後、ホール業者だけじゃなくて大メーカーあるいはいろんなコンピューター会社も含めて、パチンコ業界全体をどういうふうに指導監督、一方では保護育成という側面も見逃せないわけですけれども大臣としては業界全体をどういうふうにしていこうとするつもりなのか、お伺いしたいと思います。
  124. 泉幸伸

    政府委員(泉幸伸君) まず、現実の施策につきまして事務当局からお答えさせていただきます。  パチンコについては身近で手軽な大衆娯楽という位置づけをしておりまして、そのために風適法の対象として種々規制を行っておるところであります。パチンコに関する規制の中で一番重要なものは、遊技機の射幸性についての規制だろうと考えております。御存じのように風適法上一定の規制をしておりますが、現状ではその射幸性に関しましてその規制を破る不正改造機というものが相当蔓延しております。これは警察において刑事的に取り締まるあるいは行政的な処分を科すという形で厳しい取り締まりを行ってきておりますし、今後ともこの問題はそのような態度で対応していかなければならないと考えております。  一方、ホールを含みます業界団体におきましても、昨年来、パチンコに対してそのような厳しい世論の指弾も受けており、その上に立って、例えば射幸性をより抑制した機械の開発といいますか、そういうものに入れかえを行う、あるいはホールの経営上過度に射幸性をあおるような営業ぶりを控えるというような自主規制を行ってきております。これらの自主規制の効果というものを行政としましても見守りながら、今後ともパチンコ営業の健全化に向けた取り組みを行ってまいりたいというふうに考えております。
  125. 白川勝彦

    国務大臣白川勝彦君) 私は、世界のいろんな国に行ったときに、カジノとかあるいはいろんなかけごととかというのは好きな方でございますし、いろいろ見たりしておるわけでございます。そして、パチンコは学生時代はよくやったのでございますが、しばらくやったことがなかったのでございます。  平成二年の選挙で落ちまして、三年四カ月の浪人中、結構無恥をかこちましたときに、二十年ぶりぐらいにパチンコ店に行ってみました。フィーバー機などというのは話には聞いていたのでございますが、全く体験したことがなかったのでございます。実際あれに入りますと本当に興奮をいたします。地行の先生方ももし機会がありましたら、昔パチンコをやったことが一回もないという人はいらっしゃらないと思いますが、今のパチンコ店というのに実際入ったことがないという先生方も多いと思いますので、ぜひどうぞ御視察でも個人的にでも結構でございます。  そして、私はなぜそんなことを言ったかというと、日本のパチンコというのは本当に大衆の健全娯楽、娯楽であっても多少そこにかけごと的な要素があるかもわかりませんが、これだけ大勢の人がやっていてもそんなに大きな問題が起きないという面では、警察当局それから業者そしてまた国民も健全な意識を持っていて、ある面では非常に芸術品と言えるところまで定着した、かけごとといえばかけごとでございますが、一つの大衆娯楽というような気がいたします。  せっかくそういうものが定着したわけでございますので、これを健全化し育てていく、そして社会に潤いを与えるものとして、今後とも社会から指弾を受けないような形にしていくということは警察当局にとっても私は大事なことだと思うわけでございます。  警察というと非常にかたい人が多いわけでございますが、あくまでもパチンコを楽しんでいる国民という立場に立っていろいろと行政をやったらどうかということを、泉生活安全局長は非常に堅物でございますが私はやわらかい方でございますので、パチンコ問題では率直に二、三度話し合いをしたことがあります。  そんなことでございまして、基本的な私の考え方はそういう認識でございます。
  126. 風間昶

    ○風間昶君 白川大臣、のめり込まなかったのは大変偉いと思います。  いずれにしましても、本当に庶民の楽しみであるものがこののめり込みを含めてさまざまな社会的事犯を起こしている。そして、出てきた結果に対して警察庁がいわば治療をしているという今のスタンスではなかろうかというふうにどうしても映るんです。そうでなくて、むしろ射幸心をあおらないような形の予防措置を本当警察庁がやらなきゃならない、そのためのPC導入ではなかったのかというふうに私は思います。これは捨てておく問題ではないと思いますので、今後ともよろしくお願いしたいというふうに思います。  次に、昔、私も法医を専攻しておりまして、司法解剖をやっておりました。昨年の五月三十日付で國松警察庁長官に、解剖の謝礼金を引き上げてほしいという陳情要請があったと思います。  御存じのように、犯罪捜査の協力の一環として法医解剖というか司法解剖が行われておるわけですけれども、昨年は少し減って、それでも三千六十三体ぐらいの司法解剖が全国で行われた。ひところは三千八百、四千近い異常死体を含めた解剖をやっておるわけです。三年前に若干、解剖執刀者に対して三千円上げてくれたんですね。解剖謝礼金が四万二千円から現在四万五千円になっていることは私も知っております。  この法医解剖、司法解剖と、病院で亡くなってその原因を追求するために解剖させていただく病理解剖というのがあります。これは全国的に、今は文部省から一体幾らというふうに、病理解剖体経費できちっと予算化されているんですね。相場が十万円なんです、中身は解剖で変わりないんですけれども。  むしろ法医解剖は、例えば外表面の注射痕、麻薬による注射痕の判別から何からあるいは事業物の検査を含めて、証拠試料として血液や尿を死体からとるわけです。それを検索し、なおかつそのことを司法の方に報告する意味で鑑定書を書くわけですね。その鑑定書がよりどころに、一つは起訴あるいは不起訴になる、そして起訴になった場合には検察の重要な資料になっていくのは御案内のとおりだと思うんです。  そういうことを考えますと、お涙金あるいは捜査に協力しているからという形での謝礼という位置づけではなくて、むしろきちっと司法解剖体経費として位置づける必要があるんではないかと私は思うんです。もしそれがすぐできないにしても、いわゆる大学医学部の系統解剖の解剖体経費あるいは病理解剖の解剖体経費と同じ並びぐらいでの謝金をきちっと手当てしていかないとだめではないかと思うんです。  それが嫌だといろんならば、科学警察研究所でもいろんな分析手法はたしかに大学よりもすぐれていらっしゃるけれども、解剖できるのは医師である法医学者でなきゃできないわけですから、そのことを考えますと、もう少し手当をきちっと上げていただくべくお願いしたいと思います。  もう時間がありませんから、大臣は初めてお聞きになったと思いますので、これまた次回に一回やりたいと思うんですけれども、いずれにしてもちょっと一言当局のお考えをお伺いして、質問を終わります。
  127. 佐藤英彦

    政府委員佐藤英彦君) 御指摘のとおり司法解剖は、死因を明らかにするなど殺人事件等の犯罪捜査上必要不可欠なものでございまして、科学捜査体制の重要な一翼を担っているものと考えております。  解剖医におかれましては、今お話しのように鑑定書の作成、それから証人出廷など極めて重い責任と負担を負っていると認識いたしておりまして、これまでも解剖謝金の単価の改善を図ってきたところではございますけれども、今御指摘のように、今後とも謝金単価の改善に努めてまいる所存でございますので、御理解をちょうだいしたいと存じます。
  128. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 私は、きょうは大臣の所信表明を受けて若干質疑をしていきたいというふうに思います。  自治大臣警察庁まで所管をするということで、非常に広いエリアでお仕事をなさることは大変と思いますけれども、ぜひこの所信に沿って頑張っていただきたいということを冒頭申し上げておきます。  地方分権推進委員会が第一次勧告をしましたけれども、国と地方の新たな役割分担が示され地方分権に向けて一歩踏み出したわけですが、受け皿である地方自治体の財政はまことに深刻な状況になっていると言わざるを得ないと思います。  地方財政全体の借入金残高は、平成八年度で百三十七兆九千五百十六億円となっています。五年前の約二倍に膨れ上がっているという実態でございます。それに地方債の依存度は一五・二%、これも一五%以上になると危ないというふうに言われているわけですけれども、そういうことにもう突入をしている。地方自治体の四割に当たる千三百二十二の団体が平成六年度から公債費負担比率が一五%を超えているというまことに危機的な状況、しかもその中の三百八十団体は二〇%を超えるという実質的にはもう破綻を来しているというような状況が見られます。  また、地方公営企業の企業債残高も増大をしておりまして、四十六兆五千八百二十四億円となっております。地方自治体の普通会計によるこれらの企業債償還の負担額も、平成七年度決算で二十兆二千百二十五億円に増大をしている。こうした地方財政を圧迫している状況というのはこれらの数々の数値を見てもわかると思うわけでございます。  このような地方財政の悪化を招いた要因、これはいろいろ複雑であろうと思いますけれども自治省はどういうふうに分析をされておるか、まず冒頭お聞かせください。
  129. 二橋正弘

    政府委員(二橋正弘君) 今、委員がお挙げになりましたようないろんな形の借入金の残高が急増いたしておりまして、現在の地方財政は極めて厳しい状況にございます。  こういうふうに非常に多額の借入金残高を抱えることになりました、特に近年そういうことになりました要因といたしましては、一つは、景気の後退に伴いまして地方税あるいは地方交付税といった一般財源が伸び悩みないしは落ち込んでまいりまして、それをカバーするための地方債の発行あるいは交付税特別会計の借入金がふえたということが第一点でございます。  それから、減税が相当大幅に行われておりまして、その減税による減収を補てんするための地方債あるいは交付税特別会計の借入金がふえておるということが二点目かと思います。  三点目には、御案内のように数次にわたって景気対策が行われてまいりまして、公共事業あるいは単独事業の相当大幅な追加を行ってまいりました。これもおおむね借入金に依存して行ってまいりましたので、そういった要因が重なりまして借入金の残高が最近急増しておるわけでございます。  このように地方税あるいは地方交付税等が伸び悩む一方で、この借入金残高の急増に伴いまして当然償還に要する公債費が増嵩いたしておりますし、他方におきまして、地方団体の財政需要は高齢化に対応するための地域福祉施策の推進等いろいろ財政需要が引き続き増大をしている状況にございまして、これらの要因が重なりまして現在の地方財政が非常に厳しくなっておるというふうに考えております。
  130. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 おっしゃるとおりだと思うんです。地方自治体はほとんどの歳出が固定費で占められているという実態から見ますと、税収入が減ればその分は地方債なりから補てんをしていかなければならないということになるわけですから、当然それにかかる今度は償還のための経費というようなことも重なってくるというふうに思うわけでございます。  昭和六十三年の竹下内閣のときに、ふるさと創生資金として全国自治体に一億円ずつ配賦をされたことが思い出されるわけですけれども、当時は地方分権の象徴として大変もてはやされたというふうに思っておりまして、私も思い切ったことをなさるなという印象があったわけでございます。このときを契機に公共事業の地方単独事業化が推し進められてきた。従来ならば国の補助金あるいは交付税の中から公共事業に割り当てられてきた部分が、地方単独事業という形で地方債を発行することによって地方が賄うという形式、いわゆる国から地方が借金を肩がわりするような構図になってきた。この時代からというふうに思うわけですけれども自治省の見解はいかがでございますか。
  131. 二橋正弘

    政府委員(二橋正弘君) 地方単独事業を近年かなりの比率で伸ばしてきたということは確かにお話のとおりでございます。  私どもの方の考え方といたしましては、地方団体がいろんな事業をそれぞれの地域の実情に応じて行います場合に、従来ですとともすれば補助金を頼ってあるいは補助金を待って事業を行うという傾向が強うございました。そういたしますと、どうしてもそれぞれの地域の実情なりあるいは個性なりに合わせるといいますか、それを生かすというよりは補助金の規格にどうしても合わせなければいけない、そういう傾向が出てまいりました。  そういうことに対しまして地方の方が本当意味で自主性を高めていく上には、それぞれ地方で工夫を凝らした事業をやっていただくということが必要ではないかという観点から、単独事業というものを地方財政の中でもできるだけ確保してその財源手当てをしたいということで取り組んできたわけでございます。  また、公共投資基本計画等におきましても、現在の活力のある世代のうちにできる限りの投資を行っておこうという趣旨で、その場合でも国民生活の質の向上に結びつくような事業を重点的に行う必要がある、そういう観点もございまして、私どもとしては単独事業というものをできるだけ確保したいということで取り組んできたわけでございます。  これが公共事業の肩がわりといいますか、そういうものじゃないかというふうに今おっしゃいましたけれども、私どもは、今申しましたような背景、考え方単独事業の確保を図ってきておりまして、必ずしもそういう公共が苦しくなったからそれを単独に振りかえているというふうには考えておらないわけでございます。
  132. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 そこが少し甘いのじゃないかというふうに思うんです。  バブル経済が崩壊をして国の税収入も非常に厳しい状況に追いやられていく、しかしアメリカ等の圧力で公共投資は拡大をさせていかなければならない、公共事業を推進していくための財源がないということになれば、当然国から地方に依存をしていかなければならないという時代背景があったと思うんですね。そこの認識がなければ、今回置かれている地方財政の圧迫というのは説明がつかないじゃありませんか。もう一度お願いします。
  133. 二橋正弘

    政府委員(二橋正弘君) 単独事業につきましての基本的な考え方はただいま申し上げたとおりでございます。  それに加えて、地方債が急増するようなこととの関連で単独事業についてもう一つ言えますことは、一番最初に申し上げましたように、確かに近年の数次の景気対策の中で、年度の途中で事業を追加して、もちろん公共事業の追加も行いましたけれども、それにあわせて単独事業の追加ということを行って、年度の中途であるということで地方債をもって財源に充てたという要素は確かにございます。  しかしながら、単独事業全体につきましては、基本的には先ほど私が申し上げましたような地方の創意工夫を生かした事業が地方みずからの工夫で行えるように、そういう手当てといいますか措置をとっておくということが主眼でございまして、単独事業全体の中で地方債がどのくらい充てられているかということを実績で見ましてもおおむね三割ないし四割弱という数字でございますから、単独事業の拡大がイコール全部地方債の増発によっているものではないということは御理解いただきたいと思います。
  134. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 四割に満たないということですけれども、四割というのは大変な数字ではないかというふうに思います。  地方単独事業の資金調達は一般単独事業債であって四二%を占めているというふうに確認しているわけですけれども、減税補てん債で使われるのは二%でしょう。そういう状況から見れば、地方単独事業に係る地方債の割合というのは多いのだろうというふうに思いますよ。これでは健全財政はやっていけないんじゃないかというふうに私は思うわけです。  さらに、公営企業の部分で非常に赤字体質も続いているということの中で公営企業債の発行高も年々ふえている。そういうことの中で、自治省は昨年、公営企業のあり方についてどうするか見直しをするということで審議会だか委員会だかを設けて今検討している段階だというふうに思うんですけれども地方債についてもそうした抜本的な改革に向けて何か御準備あるいは既に手を打っていらっしゃるのでしょうか。
  135. 二橋正弘

    政府委員(二橋正弘君) 九年度でございますが、これから御審議をいただく地方財政計画あるいは地方交付税法の改正という九年度の地方財政対策におきましては、現在の財政状況が一番最初に申し上げましたように大変厳しい状況にあるということも踏まえまして、それからまた景気が緩やかな回復基調にあるということから、財政的な出動を特に九年度当初求められている状況じゃないということ等も考え合わせまして、平成九年度の地方単独事業は平成八年度に対して伸び率ゼロということにいたしたわけでございます。  これは全体の歳出の抑制も当然でございますが、その中でも特に地方債あるいは交付税特別会計の借り入れに対する依存度を下げていきたいということからそういう平成九年度の対策をとっておるわけでございます。そういう全般的な借り入れ依存度を引き下げるということで九年度の地財対策をとり、これからもそういうことをよく踏まえて全体の地方債の総量といいますか、そういうものについて考えていきたいというふうに思っているわけでございます。
  136. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 健全な地方財政確立のためにも、大臣も所信でしっかりと述べておられるわけですから頑張っていただきたいし、着実に確実に歳入と歳出のバランスをきちんと考えた中で計画を立てていかなければ破綻するんじゃないかと思いますので、ぜひ推進をしていただきたいというふうに思います。  昨年十二月に財政制度審議会の最終報告書が出されましたけれども、行財政改革推進には市町村合併が必要であるというふうに明記をされています。また、地方制度調査会でも地方分権を推進するために市町村合併が不可欠であると言われています。  きょうも同僚委員の方から市町村合併についての御意見もるる出されているわけですが、しかし実態は、昭和四十年四月に市町村合併の特例に関する法律が施行されたときには三千三百九十二市町村あったわけですけれども平成八年の十一月で三千二百三十二市町村と、この二十五、六年の間で五十ぐらいしか合併が進んでいないということなんですね。  こうしたことで、昭和二十八年の大合併が行われたときにはどういう形でやられてあれだけの促進が行われたのかということはちょっと時代背景がよくわからないわけですけれども、何か経済的にも非常に破綻を来していて、その当時は合併をする以外に方法がなかった、また国も合併することによって財政的な支援を図るという条件をつけて市町村合併を促進させたということが言われているわけです。  今日、この市町村合併が進まない要因はどこにあるというふうにお考えになっていますか。
  137. 松本英昭

    政府委員松本英昭君) ただいま御指摘ございましたように、昭和の大合併が昭和二十八年の合併促進法から行われまして、その後、新市町村建設促進法という法律を通じて昭和三十年代の半ばに大体今のような市町村の姿になったわけでございます。その後、考え方といたしましては、市町村合併の障害となる事項を特例的に取り除くという、すなわち市町村合併の円滑化に資するという趣旨で、御指摘のありましたように市町村合併特例法という法律を、時限立法で四十年、五十年、そして六十年と改正してまいりました。  そして、一昨年、期限切れを迎えるに際しまして、円滑化に資するという趣旨だけでは今日の市町村合併推進の要請といいますか、そういう時代背景に趣旨、目的が合わないのではないだろうかという御議論等がございまして、その趣旨、目的を自主的な合併を推進するということといたしました。それとあわせまして、その推進のための例えば住民発議制度だとか、それから財政上の措置の拡大とかというようなことを盛り込んだ法律にいたしたわけでございます。  ただいま御指摘のように、いま一つこの市町村合併についての盛り上がりが少ないということの要因を何に考えているかということでございますが、数点あると思います。  一つは、やはりこれは地域性に根差しましたある程度本質的な議論なのでございますが、地域社会の連帯感とかいわゆるアイデンティティーというようなものを基礎とした自治行政というものがやりにくくなるのではないか、すなわちそれがあらわれたものとして住民に身近な行政というものに対応しがたくなるのではないかというような懸念があるというのが一つでございます。  二つ目には、どうも合併のメリットというのがいま一つわからない。合併したらどういうメリットがあるかというのは、もともとこれはある程度結果論的なところがございますので、あらかじめそれを予想するということが非常にしがたいといいますか、なかなかぴんとこないという面があろうかと思います。  それから三つ目には、前の合併のときのいろんな経験等から、どうも合併をされたところの、されたというといけませんが、合併後に新しい市町村中心地でなくなったところの活力がどうも失われているのではないか、そういうことがございまして、これから合併しても同じようになるのではないかという懸念があるというのが率直なところではないかと思います。そういうところに昭和の大合併のときのいろいろ困難なことがまだ後遺症的に残っているということも一つあろうかと考えているところでございます。
  138. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 おっしゃるように、自治省でも住民発議制度を導入したり、自主的な市町村合併を推進することを明快にしてそのプログラムを出したり、あるいは啓発広報活動もしていることはわかっているわけです。  住民が発議を行っても、町村長さんとかあるいは議会の反対でというか、議会の賛成が得られずに終了してしまうようなケースがあるというふうに新聞報道等では見ているわけですけれども住民の意思の確認を合併特例法の中に盛り込むような、もう少し強制力を持ったといいますか、そういう仕組みをつくっていくことはできないのでしょうか。
  139. 松本英昭

    政府委員松本英昭君) 御指摘の新しい合併特例法で住民発議制度を導入いたします際に、今委員指摘のような議論が地方制度調査会等で広く行われたことも事実でございます。その際にいろいろと御議論のありましたところでございますが、例えばイエスかノーかを単純に問うような住民投票でいいのだろうか、三つの町が合併するというようなときに、二つならいいけれども三つは困るよというような意見もまたあるわけでございまして、そういう住民投票というのはいいのだろうかというような御議論もあったやに聞いております。  また、代表民主制ということから考えまして、委員が今おっしゃっている住民投票というのはいわゆるレファレンダムというものに属するわけでございますけれども住民投票の結果が議会の意思等に優先をして適用されるという仕組みがふさわしいのかどうか、そういう議論もあったというふうに聞いておるところでございます。  したがいまして、現在はイニシアチブの制度にとどめているわけでございますが、今御指摘のありましたように、いろいろとそれについてせっかく住民発議が成立いたしましても、議会あるいは長が、いわゆる関係市町村の方でございますけれども、反対をすればそれ以上進まないというようなこともございまして、そういう問題があることは私どもも意識をいたしているところでございます。
  140. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 今、日本の国、社会は、政治家とか官僚とか公務員のたび重なる不祥事によって行政への信頼感というのが非常に失墜をしている状況だというふうに思うわけですね。そして、国会もそうですけれども地方の議会も代議員制といいますか、そういう制度をとっているわけで、選挙ということが民意を反映させるためには非常に重要な手段であるわけなんですが、その選挙自体が投票率の低下等々によってそこに住む地域人たちの民意を十分に反映できないような危機的な状況になっている、いわゆる議会制政治にとっての危機を今迎えていると思うんです。  こういう状況の中でより住民と密接に関係を持った行政をやっていくためには、やはり直接民主主義といいますか、住民投票制度というようなものを代議員制の政治の中に取り込んでいくことによって初めて住民の意思というものが行政の中に生かされてくるのではないかというふうに私は確信をしているわけです。  そういう意味からも、合併特例法の中に住民投票によって住民の意思の確認を行う、そしてそこの地域に住む一つの町の住民の、数はどういうふうにするかわかりません、三分の二にするのか過半数にするのかということはそれは条例の中でやればいいことでしょうけれども、そういう意思があった場合に積極的な推進をしていくんだということを明快に出して行政サイドで指導できるような形にしなければ、市町村合併も進まないし、いわゆる地方分権の確立ということもなかなかままならない。  さっき同僚議員からも十万人規模というような声もあったわけで、一定程度の規模がなければ分権ということも進んでいかないし、財政の確立ということもなかなか厳しい状況に今あると思うんですね。そういうことからしても、合併を一歩前進させるためにも住民投票を合併特例法の中に盛り込んでいくということがあってもいいと思うんです。  これは新聞の誤報かどうかわかりませんけれども自治省がそうしますというふうに新聞にちゃんと出ているんですね。そうしますと、さっきの答弁は非常におくれているというか、一歩後退をした答弁になっていると思うんですけれども白川自治大臣、いかがでございましょうか。ここは英断を持って進める方が市町村合併が進むと思いますけれども大臣にお答えをお願いします。
  141. 松本英昭

    政府委員松本英昭君) 大臣がお答えになります前にちょっと説明をさせていただきたいと思います。  この新聞記事でございますが、私どもこれを調べましたけれども自治省としてこういう方針を決めたとかそういうことは一切ございませんので、それは御理解を賜りたいど思います。  ただいま申し上げましたように、委員指摘のような御意見のあることはもう事実でございますし、私どもも率直にそういう御意見は踏まえていかなきゃいけないと思っております。  ただ、この住民発議制度というのは今ようやく全国に大変関心を呼んでまいっておりまして、今後あちこちでこういう動きが出てまいります。そういたしますと、今は首長あるいは議会の方でそれに対して自分は賛成でないと言えばそれ以上手続が進まないわけですけれども、そういうことについてそれぞれのところでまた批判が出てまいりまして、一つの大きな運動等になってくることもあろうかと思っておるわけでございます。そういうことも踏まえまして、検討すべきものは私どもも検討してまいりたい、こういうふうに考えております。
  142. 白川勝彦

    国務大臣白川勝彦君) 二点あると思うんですが、第一点につきましては、確かに昭和三十年当時、大渕委員と私の生まれたところは、昔でいいますと先生のところは北魚沼郡ですか、隣り合っているところでございまして、いずれにいたしましてもその当時合併が行われました。  当時の社会状況といいますと、まだ我々の地域は圧倒的な農村でございました。ほとんど自家用車もないという時代のときに三つないし五つぐらいの町村が集まって市を形成したと、こう思うわけでございます。また、今ある町村も三ないし四ぐらいの小さな町村が一緒になって町などをつくりました。それから四十年有余たっているわけでございまして、住民の経済活動それから日々の生活態様が全く違っておりますので、住民の中では合併をすべきだという声は率直に言ってかなりあるような気がいたしますが、それが首長もしくは議会等の、文字どおり思惑というか利益で確かに阻害されていることもあるような気がいたします。  そんな中で住民発議制度というのが導入されたことは私は大変おもしろいと思いますし、今後、あるリーダーがいればかなり進むんではないかなと思っています。それに対して議会がどういう態度をとるかによって、議会というもののあり方が問題にされることによって活性化されてくると。私は大変意義深いものだと思っております。  ただ、就任以来、住民投票条例をどう思うか、こういうことをよく聞かれるのでございますが、これは非常に難しい問題でございまして、こういう問題は例えば住民投票条例で決めるべきだというような制度地方自治法などで仮につくったといたしますと、大事な問題は住民投票条例で決まる、それ以外のことを議会で決めろということになると、議会そのものがある面ではより一層現在よりも空洞化するおそれはないのだろうか、そういうことも考えております。  私は自由民主党でございますので保守的なのかもわかりませんが、私ども先輩からよく小事、いろいろなことを考えるのもいいけれども、余り新しいことをするよりも、要するに何を省くかということを考えろと言われました。これは省くという意味じゃありませんが、私はこの地方分権の問題やら地方自治のあり方を考えるときに、本当地方議会の役割というのをもう一度みんなで見直す必要があるような気がいたします。  私は就任以来、地方六団体の役員の皆様と、自治省の幹部と一緒に行きまして二時間半から三時間ぐらいちょっと詰めた話をいたしましたときに、今回の地方分権推進委員会のいろんな動きの中で行政についての見直しは随分なされているようだけれども地方議会のあり方というようなことについて検討がなされているんでしょうかという率直な質問がありました。確かにその点は手薄だと思いますし、行政局長の方にどうなっているんだということで質問がありましたが、私はそのときに同時に申し上げたんです。地方議会がより一層活発化し、大きな役割を果たすためにどこをどう変えたらいいのかというのは地方議会の皆様方から御提言があってしかるべきだと思いますので、我々も考えますが、どうぞ皆様方もお考えくださいと、こんなことを申し上げました。  地方議会というものが空洞化したり、あるいは今よりもますます権限が少なくなるというか社会的に与えられる評価が少なくなるという一面も住民投票条例の中にはあるということを一方ではじっくりと考えていかなきゃならぬ問題だと私は思っております。
  143. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 住民投票条例は別なんです。合併特例法の中にそういう制度を設けて住民の意思の確認をして、それを議会が尊重するという形をとれば議会政治を阻害するものでは全くないというふうに思うんです。そういうことで、住民投票条例というのは各自治体がそれぞれ結んでおって、法制度とはちょっと違うことだろうというふうに思いますので、もう一度確認させてください。  自治体が結んでいる住民投票条例の中で合併について投票を行って、その結果を尊重してということはいかがですか。
  144. 松本英昭

    政府委員松本英昭君) 委員も御承知かと思いますが、合併について条例ではなくて事実上の住民投票を行った例は過去にもございます。それで、その意見を尊重して現実に合併が行われたところもあるわけでございます。  そういう問題は制度上の問題というよりは、一種のそれぞれの団体における住民の意向等をどう調査するか、そういう仕組みの議論だと私は思っておりますから、合併についてそういうことがあっても、それはそれぞれの団体でお決めになったということではないかと思っております。
  145. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 御答弁なさったように、住民投票を行って合併が促進されたところが実際にあるわけですから、この合併特例法の中にその仕組みを持ち込めばより合併が推進すると私は確信をしているんです。ですから、御検討いただいたらいいと思いますので、よろしくお願い申し上げます。  さて、食糧費の問題ですけれども、これも同僚委員の方からさまざまな御指摘が出ておりましたので重複を避けますけれども、オンブズマン制度によって、情報公開条例を持っている地域ではオンブズマンの手によっていろいろな事実が明らかになり、その事実に基づいて各県、市町村においてもそれぞれ措置をとられているところがたくさんあるわけです。  例えば私の新潟県などは県民の激しい指摘にこたえまして、食糧費をこの二年間で五〇%削減して予算をつくっているんです。こういう自治体もあらわれましたし、佐賀県では全国の情報公開ランキングでワースト三位だったという不名誉から、情報公開条例の改正をして、県職員の公務員と懇談した相手方の役職名、氏名、それから懇談したお店までも公開することにしたということで、公開条例を大変強化しているそういう自治体もございます。また、さっき話が出ましたけれども、私の生まれ在所の北魚沼の町村会では公金による飲食は一切自粛をする、そして関係者の接待とかせんべつ等々も中止するということを市町村単位で申し合わせをして、それを実行しているところも出てまいりました。  こういうことで情報公開制度が導入されて、そこがうまく活用されているところは一定程度の改善が見られてきているわけです。そういうことからして、情報公開制度というのはこれからも地方自治体の中に制度化されていくべきだと思いますし、国においても情報公開法を早急につくり上げていく必要があると思いますけれども白川大臣のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  146. 松本英昭

    政府委員松本英昭君) 情報公開条例は現在、国よりも地方団体が先行いたしておりまして、四十七都道府県全部が制度を持っておりますし、政令指定都市も全部制度を持っております。市区町村でまだかなり未整備なところもあるわけでございますが、昨年の末、十二月に、国の行政改革委員会から国の情報公開に関します法律制度に関しまして意見が出されました。  その中に、実は地方公共団体のことにつきましても「国の情報公開法を直接適用することはしないが、それぞれの地方公共団体において、この法律の趣旨にのっとり、情報公開に関し必要な施策を策定し、及びこれを実施するよう努めなければならない」ということが書いてございまして、恐らくこれが国の立法としても法文化されてくるのではないかというように私どもは現在見ているところでございます。  いずれにいたしましても、私どももこの情報公開制度の意義というものは十分に認識いたしておりまして、国の立法の状況等も踏まえますが、それ以前にもやはり各市区町村等に情報公開に関する制度を確立するようにお願いをしてまいりたいと考えているところでございます。
  147. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 日本海の重油流出事故について運輸省にお聞きをいたしたいと思います。  関係九府県の知事さんがこの間国会に陳情に見えたわけですけれども、その中で補償問題について、船主や国際油濁補償基金等の交渉において政府指導役割を果たすとともに、補償交渉に関する関係自治体間の調整や取りまとめを行う政府の窓口を早急に設置してほしい、いわゆる交渉の窓口を整理していただきたいということで申し入れがあったわけでございます。その件について運輸省ではどのような取り扱いをなさいましたか。
  148. 梅田春実

    説明員(梅田春実君) お答え申し上げます。  補償交渉に関しましての御質問でございますが、油濁損害に対する補償につきましては、基本的には私どもは船主と被害者側との間の民事上の問題であるというふうに認識しております。  賠償交渉の一本化につきましては、一つは、現状におきまして国といたしましても一被害者でございますし、当然賠償請求を行う立場に立っております。そういう意味で、他の請求の方々とは場合によりましては同じ利害にならないというようなこともあるという問題がございます。  それから、一番大きな問題でございますが、仮に一本化いたしましても、支払い側の査定が行われます。これは個々の損害につきまして具体的な証拠に基づきまして損害をお互いに認め合うというようなことでございます。実際の作業におきましては、今までのケースでいいますと示談で行うというようなのが通例でございますので、お互いに証拠書類等に照らしながら損害の算定を行うというようなことになってまいります。  それからもう一つ、漁業者団体等におきましては既に弁護士を選任されておりまして、賠償請求に入っているものがあります。こういうような事情を勘案いたしますと、一本化いたしましても必ずしも賠償全額が取れるというようなメリットは少ない。あるいは、先行されておられる方々の方はもう既に請求の手続に入っておられますから、そういう面でも一本化するメリットはないというふうに考えておるところでございます。  ただし、私どもといたしましても、今回の事故が非常に重大なものであるというふうには認識しておりますので、円滑な賠償が行われるよう、実際の支払いを行います基金であるとかあるいは関係者の間の連絡調整は既にやっておりますし、実際に賠償の手続等につきましても、地方公共団体の方々だとかあるいは漁協の方々などに集まっていただきまして具体的な説明をやってきております。またさらに、必要な情報の提供もやってきておりますし、実際にまた基金側に対しましても早期の支払いにつきまして働きかけをやってきているところでございます。  そういう意味で、相談には十分乗っているつもりでございますが、さらに相談の体制につきましてどういうようなやり方がいいのかにつきましては、府県の方々初め関係者の方々の御意見を伺いながら検討してまいりたいというふうに考えております。
  149. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 自治省として今の時点で財政支援策として実行できることは何か、具体的にちょっとおっしゃってください。時間がないのでコンパクトに。
  150. 二橋正弘

    政府委員(二橋正弘君) 現在の時点でございますと、いろいろなときに何回も申し上げておりますように、地方団体が油の回収をして、地方団体行政として支出を余儀なくされた経費について特別交付税の算定において適切に対応するというのが私どもの基本的な立場でございます。  それ以降のことになりますと、本格的な漁場回復でありますとか、あるいは砂浜の本格的な復旧といった事業は恐らく次に出てくると思いますけれども、そういう段階になればそれに伴う事業の地方負担、そういうものは当然出てまいります。それに対する対応はもちろんしなくてはいけない。当面は特別交付税で対応するということでございます。
  151. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 終わります。
  152. 朝日俊弘

    ○朝日俊弘君 民主党・新緑風会の朝日でございます。  きょうは、まず最初に、再々論議になっております市町村合併問題について私なりに意見を申し上げながら、一、二点確認をさせていただきたいというふうに思っています。  きょう、同僚の委員からも再々御質問、御意見等がありました。最近、急に市町村合併促進論がまたあちこちで主張されるようになってきた、これは一体何でなのかなというふうに私なりにちょっと考えております。  市町村合併の促進を図りつつ、その中で基礎自治体である市町村の適正な規模のあり方を論ずることと地方分権の積極的な推進を図ることとは密接に関連する問題であることは重々承知しながらも、きちんと区分けして議論をしなきゃいけないというふうに私は考えています。  といいますのは、典型的な議論としては、地方分権を推進するためにはその受け皿が不十分である、したがってその受け皿となる市町村合併促進が必要だと、こういう議論があるわけであります。この議論は、ひっくり返せばというか下手をすれば、そのことが前提条件になってしまって、この前提条件が整っていない状況では地方分権の積極的な推進は無理だあるいは時期尚早だと、そういう議論にもつながりかねないというふうに思います。  したがって、私としては、まずは今、地方分権推進委員会中心にどこまで地方分権の積極的な推進ができるかということを軸にきちんとその方向を明確に示しつつ、その一方で市町村合併問題については、いわばそれぞれの市町村の皆さんあるいは住民の皆さんがそのような気になっていただくような環境づくりなり条件整備なりが必要なのではないか、こんなふうに考えたいと思っています。  以上のような点を注意深く踏まえた上で、先ほど来議論になっておりました点について若干現状をお聞かせいただきたいと思います。  二年前に市町村合併の特例法が再改正をされました。その中身については先ほど来お話があったとおりでございまして、とりわけ合併問題について住民の側から発議ができるという制度が創設されたことは御承知のとおりであります。  そこで、この二年間、この特例法に基づいて実際に市町村合併がどれだけ進んだのか、とりわけこの住民発議の制度がどのようにどれぐらい活用されて具体的にどこまで来ているのか、ちょっと現状について御報告をいただきたいと思います。
  153. 松本英昭

    政府委員松本英昭君) 住民発議の制度は、本年の二月十日までに十三地域で三十二件成立をいたしております。そのうち、合併協議会の設立に至りましたのは三地域の五件でございます。二件は現在なお手続が進められているところでございます。  この住民発議の全国的な動向でございますけれども、最近、各地で住民発議に対する関心が大変高まっております。したがいまして、今後かなり全国で住民発議による合併協議会の設置が請求されるのではないかというように私ども考えております。  なお、合併に至りました件数でございますけれども、これは住民発議とは別でございまして、合併特例法成立以来二件ございます。
  154. 朝日俊弘

    ○朝日俊弘君 そうすると、その二件は住民発議という形ではない形で合併が進んだと、こういうことで、逆に言えば、住民発議という形で出されたものが合併まで至ったものというのは今のところまだないということですか。ちょっと、再確認を。
  155. 松本英昭

    政府委員松本英昭君) そうでございまして、二件は鹿嶋市とあきる野市でございますけれども住民発議が成立いたしましても、これは合併協議会の設置の発議でございますので、その協議会で合併のことについて議論をしていただいて、それが合意に達すれば合併に至ると、こういう手続になってまいります。また、期間もそれほどたっておりませんので、現在では発議に基づく合併まで至ったものはございません。
  156. 朝日俊弘

    ○朝日俊弘君 特例法改正されて二年ですから、そういう意味ではこの二年間をどういうふうに評価するのかということが今後の対応をどうするのかということとつながってくると思うんです。  先ほど大渕委員からも、もっと市町村合併特例法の中で改善を図るべき点があるんじゃないか、こういう御意見もあったわけですが、大臣、どうでしょうか。ある報道では、特例法の再々改正を含めて検討するんだというような報道もあったように思うんですが、二年前に再改正された市町村合併特例法の再々度の改正も含めてお考えなのかどうか、ちょっとこの点確認をさせてください。
  157. 白川勝彦

    国務大臣白川勝彦君) まず、私自身は特例法のさらなる改正ということに言及したことはございません。ただ、私自身、就任以来、自治省市町村合併の問題については非常に慎重というか丁寧というか、そういう態度でございます。別に反対という意味じゃありませんが、強制するものではないということで、そしてまた地方自治法のどこを見ましても、自治省の強力なイニシアチブで市町村合併をできるという規定はございません。  ただ、御案内のとおり、最近になりまして市町村合併すべしという声は明らかに強くなってきていると思いますし、私もそのこと自体は反対ではありません。そして、地方分権という問題を真剣に考えるときに、きょう牛嶋委員のお話もございましたが、本当に責任を持った地方行政をやるという意味では、最低でも一定数の規模を持った地方自治体でないと果たして責任が果たせるかと、こういう問題があると思いますので、今まで以上に自治省全体が市町村合併にそういう機運を醸成するということについては少なくともトーンが変わってきていると思います。  ただ、委員が冒頭におっしゃいましたが、そのときお答えしたがったのでございますが、私は、別の目的で、とにかく小さいのはもうだめだと上から決めつけ的な形で合併を促進するというのは、本来地方自治の真の進展を願うという立場からいかがなものだろうかと。したがって、分権議論がなされておりますけれども、やれるやれないは権限を移譲された方が考えるべきことであって、これは地方が決めるべき問題だということについては、今回は地方に、しかも市町村におろすべきだと、こういうことをたび重ねて言明しているのはそういうことでございます。必要性があるから合併しようという素地をつくらないで小さいところに任せられないと言ったのならば、いつまでたっても本当意味での地方自治は進んでいかないと思います。
  158. 朝日俊弘

    ○朝日俊弘君 基本的に大臣のお考えに私も賛成でありまして、そういう意味では余りにせっかちになったり乱暴な議論は避けるべきだというふうに思います。  次に、関連する問題として、広域行政の具体的な推進について、これも一、二点お伺いいたします。  広域行政のあり方について、実は三年前に地方自治法の改正がありまして、新しい制度として広域連合という制度がつくられました。これは都道府県連合及び市町村連合という形で、従来の一部事務組合の制度とは違った形で、ある意味ではより積極的にというところに期待を込めた形で新しい制度ができたわけですが、どうもそのときにも必ずしも歓迎して受けとめられたふうではなかった面があるんです。実際、三年前にこの法律が改正されて、施行は二年前ということのようですが、具体的にどういう分野でどれくらいこの広域連合という制度が活用されてきているのか、現状をお知らせください。
  159. 松本英昭

    政府委員松本英昭君) 広域連合の実績でございますが、現在までに二件設置しております。それから、もうこれは既に決定いたしておるわけでございますが、今年度中に、多分三月になると思いますけれども、あと二件できまして、都合四件になろうかと思っております。  広域連合の制度は、そもそも数市町村が共同して総合的かつ計画的な行政を行うということでございますので、何に重点を置いたという言い方をするのが適当かどうか、それはちょっと疑問ではございますけれども、あえてどういう分野とおっしゃいましたので申し上げますと、例えば総合文化とかあるいはその市町村圏全体の振興だとか、そういうことがこれらの現在までの実績にあります広域連合の主たる業務になっております。
  160. 朝日俊弘

    ○朝日俊弘君 そうすると、現在までにスタートしたのが二つで、近々あと二つで四つと。  これも再確認ですが、そうするとそれは市町村連合ですね。都道府県連合はありますか。
  161. 松本英昭

    政府委員松本英昭君) 都道府県連合はございません。いずれも市町村連合でございます。
  162. 朝日俊弘

    ○朝日俊弘君 どうも今お聞きしたような状況は十分に理解されていないのか、必ずしもその新しい制度が現実には活用されていないというふうに評価せざるを得ないと思うんですが、なぜそうなるのか。制度上何らかの欠陥なり問題があるのか。さもなくば、その運用上に不十分な点、まずい点があったのか。  この二年間ほどの状況を中間的に総括してみると一体どういうことになりますか、そしてそれを踏まえた上でこの制度のより積極的な活用方策としてどのようなことをお考えなのか、お聞かせください。
  163. 松本英昭

    政府委員松本英昭君) 広域行政の仕組みというのは既に長い歴史がございまして、一部事務組合というのはもう旧市制町村制下において認められてきた制度でございます。したがいまして、事務の共同部な処理という意味における市町村の共同機構というのはたくさん現在までに設立されております。  例えばごみだとか病院だとかあるいは消防だとか設立されておりますので、結局この新しい制度というものがどういうものに向かうかということになりますと、現在の状況に応じた、例えば総合的な地域の振興だとか、あるいはこれはまだございませんけれども、直接国から権限を受け入れることになるだとか、あるいは場合によっては広域連合制度の特色の一つといたしております直接に首長や、広域連合の首長でございますが、広域連合の長やあるいは議会の議員を選挙してそういう共同処理機構をつくりたいというようなこととか、そういう新しい需要に対応した仕組みとして設けたものでございます。  したがって、そういうような現実の需要といいますか、住民の意識といいますか、あるいは関係者の認識といいますか、そういうものがありましたときに初めてこの広域連合というものをつくろうという動きになってくるのではないかと思っているわけです。  したがいまして、繰り返して申し上げますと、従来型の共同処理ということになりますと、これは今までの一部事務組合でいいのではないかというような議論になってくるのではないかと思っているところでございます。したがいまして、今までの一部事務組合の制度と違った広域連合制度の持つ特色というものが新しい行政のニーズに応じて関係者や住民の間で理解をされれば、この広域連合というものも大いに今後活用されていくことが期待できるように私は見ております。  現に、新聞報道によりますと、例えば青森県内に九年度設立を目指した広域連合の動きがあるだとか、あるいは長野県で広域連合の本格研究に着手したとかいうような記事が全国の各地で見られるようになっておりますので、このような動きを私どもも注目するとともに、必要な支援を惜しまないつもりでございます。
  164. 朝日俊弘

    ○朝日俊弘君 きょうはちょっと時間の関係で十分この後の議論を続けることができないんですが、一つだけ私の方から要望をしておきたいと思います。  先ほどの牛嶋委員とのやりとりの中で、国民健康保険、一部事務組合がたった二つという話もあったわけでありまして、従来からある一部事務組合あるいは複合事務組合という制度、それから新しくつくられた広域連合という制度、いずれにしても都道府県市町村の中間的なレベルで何らかのサービス提供考えなければいけない部分が相当出てくるというふうに思います。したがって、このような形で広域的に何らかの行政サービス提供していける仕組みをより活用できるような方向でさまざまな工夫、努力をぜひしていただきたい、この点を最後に要望として申し上げておきます。  それでは次に、テーマを変えまして、住民基本台帳ネットワークシステムの導入問題についてお伺いをしたいと思います。  昨年の三月に研究会、正式には住民記録システムのネットワークの構築等に関する研究会という大変長い名前の研究会の最終報告が取りまとめられました。その中では、住民基本台帳ネットワークシステムの早期導入が提言をされたというふうにお聞きしております。  昨年三月にこの最終報告が出されて以降、自治省においてどのような検討状況にあるのか、そして今後どんなふうに進めていこうとされているのか、まずお伺いしたいと思います。
  165. 松本英昭

    政府委員松本英昭君) 住民基本台帳ネットワークシステムの問題につきましては、御指摘のように昨年の三月に研究会の最終報告書を取りまとめお示しをしたわけでございますが、その後幅広く各界各層の方々から御意見を聞くということで、有識者による懇談会というのを設けまして御意見を伺ってまいったわけでございます。そして、昨年の十二月に懇談会における意見の概要を取りまとめ公表をいたしたところでございます。  一方で、この研究会の報告書を踏まえあるいはまた懇談会の意見も踏まえながら、この制度化を図るべく法制面及び技術面においてかなり突っ込んだ検討を今日までいたしてまいっております。  住民基本台帳ネットワークシステムは、あくまで国のシステムとしてではなく地方公共団体の共同システムとして構築するということでございますので、この制度の主体となります地方公共団体と具体的な意見の調整を進めてまいっておりますとともに、これが利用されますのは地方公共団体レベルの行政ばかりでなく国のレベルの行政でも活用される範囲がいろいろとあろうかということで、関係省庁との連携も図り、現在意見を調整いたしているところでございます。  私どもとしては、国民の理解を賜りながら引き続き検討を進めてまいりまして、準備が整いますれば国会にもお諮りいたしたいと思っておりますので、どうかよろしくお願いを申し上げたいと思います。
  166. 朝日俊弘

    ○朝日俊弘君 この種のシステムの導入に当たっては、当然その必要性あるいは有効性さらには費用対効果はどうか等々、多面的な検討が必要であるというふうに思います。そのことを踏まえた上で、特に個人情報保護の問題に絞ってこのシステムの導入と絡めてどのようにお考えなのか、自治省及び総務庁のお考えをお尋ねしたいと思います。  改めて私から言うまでもなく、住民基本台帳というのはいわば個人情報そのものでありまして、そういう意味では個人情報そのものを取り扱う住民基本台帳をベースにしてその上にネットワークシステムを構築する、こういう構想でありますから、個人情報の保護に関しては十分過ぎるほど十分な対策が講じられてしかるべきだというふうに思います。今、具体的に検討作業を進めておられるということですからまだ最終的な結論は出ていないのかもしれませんが、個人情報の保護に関して、具体的に法令上どのような規定をどのような法律の中に設けようとされているのか、現時点でのお考えをお聞かせください。
  167. 松本英昭

    政府委員松本英昭君) 御指摘のように、住民基本台帳システムの構築に当たりましては、個人情報保護ということが大変大きな問題であろうかと考えているところでございます。  ただ、一点御説明をさせていただきますと、住民基本台帳ネットワークシステムに載ります情報というのは、住民基本台帳に載っている情報そのものではございません。住民基本台帳の情報の中から、住所、氏名、生年月日、性別という四情報だけをサーバーで取り出しましてネットワークシステムにつないで、そのネットワークシステム上の情報として取り扱うということになるわけでございます。  そういう意味におきましては、委員会でいろいろ議論をいたしております際にも多くの先生から、この四情報というのはすべて公開情報でございます、住民基本台帳法上の公開可能な情報ということに、もちろん必要な場合にはということなのでございますが、公開情報になっておるわけでございまして、情報保護という面からは余り問題はないんじゃないかという御意見もあったことは事実でございます。ただ一方では、それはそうとしても、十分な個人情報保護措置を講ずる必要があるというふうに言われた先生方も少なくないわけでございます。  私どもといたしましては、個人情報保護に関しましては、現在、OECD理事会勧告人原則というのがございます。その八原則というものをすべて法令上も規定をいたし、技術上も万全の措置を講ずるようにいたしたいと思っているところでございます。  八原則につきましては、簡単に原則だけ申し上げますと、収集制限の原則、目的明確化の原則、利用制限の原則、責任の原則、安全保護の原則、データ内容の原則、それから個人参加の原則というようなものでございます。これらは法令上しっかりと規定をいたしまして、実は法令上規定いたしますということに住民基本台帳法改正の一つの大きな目的があるわけでございますが、万全の措置を講じてまいりたいと思っております。
  168. 朝日俊弘

    ○朝日俊弘君 今の法令上きちんと措置をするというのは、住民基本台帳法の中にきちっと措置をすると、こういうことでございますか。
  169. 松本英昭

    政府委員松本英昭君) さようでございます。住民基本台帳法上にそういう原則というものをきちっと掲げたいと考えております。
  170. 朝日俊弘

    ○朝日俊弘君 仮に四情報に限定するとしても、このような個人情報が、例えばある町の情報が一括してどこかの民間企業に渡ってしまうというようなことがあっては、またいろんなカタログが舞い込んでくるし大変な目に遭うわけでありまして、そういう意味では、仮に四情報に限るとしても、このようなシステムに蓄積されているデータが安易に民間企業に丸々渡るあるいは漏れてしまうというようなことがあってはならないというふうに思いますが、この点についてはどのような規制措置を検討されておりますか。
  171. 松本英昭

    政府委員松本英昭君) ネットワーク上の四情報が外に漏れないようにするということは、ソフトの面とハードのいわゆる技術的な面とございます。結果的に申し上げれば、両面から必要な措置を講ずるということでございますが、ソフトの面といたしましては、まず民間利用というものを原則認めません。原則認めないというのは、ともかく当初はいずれにしても認めないというようにお考えいただいて結構でございます。  もしどうしても国の政策上必要である、そういうものが国の政策と関連づけて必要になってくる、どうしてもその際に民間にも提供しなければならないというようなことが起こりました際には、それは法律を改正いたしますとともに、利用される方の法律でもしっかりと個人情報の保護についての規定を定めていただくことになろうかと思います。したがいまして、当初は少なくとも民間の利用というのは一切行わない、こういうことでまいりたいと思っております。  それから、技術的な情報保護に関しましては、これはいろんな形で保護をいたしまして、基本的に一番重要なことは、ネットワーク上のシステムから個人がそれぞれのもとの情報にアクセスできないようにするということが重要でございますから、市町村住民基本台帳のもとの情報にはアクセスできないような技術上の措置をきっちりと講じたいと思っております。  それから、ネットワーク上の情報を操作する人間、これはすべてパスワード等を使いましてしっかりと利用をする人たちの確認ができるようにいたしたいと思っております。  それから、ネットワーク上に流れます情報は、これはすべて暗号化をいたしまして簡単にはそれが取り出せないようにする。  まだもろもろございますけれども、そういうようなソフトの面、技術的な面を含めて万全の措置を講じてまいりたいと考えております。
  172. 朝日俊弘

    ○朝日俊弘君 前半の部分は大変微妙な表現でありましたが、少なくともこう理解してよろしいですね。このシステムが仮に導入されたとして、民間の企業にも利用できるような、アクセスできるような形にずるずると行くことはない、もしそのような必要性が生じた場合は改めて国会できちんと御審議をいただくと、こういう理解でよろしいですか。
  173. 松本英昭

    政府委員松本英昭君) 全くそのとおりでございます。
  174. 朝日俊弘

    ○朝日俊弘君 それでは関連して、地方公共団体で個人情報保護条例を制定している団体が幾つかございます。しかし、現段階では必ずしも全団体がこのような条例を持っているわけではありませんし、これらの条例は主として地方公共団体が保有する情報について一定の規制をかけるという考え方でつくられているというふうに思いますが、まず現状はどの程度の自治体に個人情報保護条例が制定されているのか、ちょっと御報告いただけますか。
  175. 嶋津昭

    政府委員(嶋津昭君) 地方団体の個人情報保護条例の制定状況についてでございますが、個人情報保護条例を制定している団体は年々増加してまいっておりまして、平成八年四月一日現在では千二百二団体になっております。  特に昭和六十三年に行政機関の保有する電子計算機処理に係る個人情報の保護に関する法律ができまして、その二十六条で地方団体が「個人情報の適切な取扱いを確保するため必要な施策を策定し、及びこれを実施するよう努めなければならない。」というふうな義務づけもできました。それ以降急速に増加しているわけでございまして、条例以外に規則や規定で対応している団体も七百五十団体ぐらいございます。それも合わせますと約六割ぐらいの団体が個人情報保護対策を有しているという状況でございます。
  176. 朝日俊弘

    ○朝日俊弘君 ちょっと再質問のような形になりますが、その千二百二団体、その他も合わせて六割ぐらいということですが、そのうち例えば都道府県について見るとどれだけになりますかということと、そのような現状に対して自治省としてはどんなふうに今後対応されていこうとされているのか、この二点ちょっと追加をして。
  177. 嶋津昭

    政府委員(嶋津昭君) 都道府県レベルでございますが、四十七都道府県のうち現在では十六団体、昨年一年間で二団体増加いたしまして、現在十六団体となっております。  それから、我々、新しい行政分野でございますが、地域における情報行政の推進あるいは行政機関の情報化の推進、このような行政を担当しているわけでございますが、そういう中で自治省としても、今後、高度情報通信社会の進展のために個人情報保護対策はますます重要になってまいりますので、機会をとらまえまして、個人情報保護対策を進めてくださいというお願いを申し上げているところでございます。
  178. 朝日俊弘

    ○朝日俊弘君 それじゃ最後に、総務庁の方にお尋ねいたします。  いろいろ私なりの意見を申し上げたい点もあるんですが、時間もありませんから要点だけ絞ってお尋ねします。  御存じのように、かれこれ十年前に国として、国の行政機関が保有する個人情報に関して個人情報保護法という形で制定をされました。しかし、私の記憶では、その当時、この法律はこれでは不十分ではないかという議論も多々あって、五年後に見直そうではないかという附帯決議が衆参両院でつけられました。しかし、五年後、検討した結果いや見直しは必要ないというようなことで見送られて今日まで来ていると思うんですが、率直に言って、かれこれ十年前と比べましてこの電算化のスピードあるいは情報化のスピードは極めて速い。これにどういうふうに対応していくのかという観点から考えますと、この個人情報保護法そのものの見直しを含めて再検討する必要があるのではないか。  特に私が一番問題意識を持っていますのは、個人情報保護法は、国の行政機関が保有する情報でしかもコンピューター処理にかかわる個人情報、先ほど自治省の方にお尋ねしました個人情報保護条例について言えば、これは地方公共団体が保有する情報というふうにそれぞれ対象を極めて限定してつくられております。  では、民間とかあるいは特殊法人等についてはどうなのかというと、これは実はその法規制の対象外になって、それぞれ担当する各省がガイドライン等を定めてやるというふうにばらばらになっているように思います。しかし、このような形では対応し切れないんじゃないか。  一九九五年ですか、EU、ヨーロッパ連合では、このような現状に対応するために、より多面的、より総合的な個人情報保護のための法体系の整備が必要であると、そういうディレクティブというんですか指令を出しているというふうに聞いております。日本もこの際、こういう国際的なレベルにも通用するような法体系の整備に向けての検討をすべきではないか。できれば、どこかの省庁が音頭をとって各省庁に呼びかける形でこのような検討作業を進めていただきたいというふうに思うわけですが、きょう総務庁の方をお呼びしたからといって、総務庁にそれをやれと言うつもりは必ずしもありません。これまで国の個人情報保護法を取り扱ってこられた立場から、お考えをぜひお聞かせいただきたいと思います。
  179. 藤井昭夫

    説明員(藤井昭夫君) 個人情報の保護について、一体的、総合的な法体系整備ということについてどういうふうに考えているかという御質問かと思うんですが、委員指摘のとおり、現在我が国では、国の行政機関が保有する個人情報については法律で、それから地方公共団体が保有する個人情報については地方公共団体の自律性を尊重するということで条例で、そして企業等が保有する顧客等の個人情報については企業の自主的な対応とその業種を所管する各省庁が必要な範囲で適切な措置を講ずる、そういう仕組みでやられているところでございます。  民間企業等の保有する個人情報の保護、これを今後どう進めるかという問題については総務庁としては申し上げる立場にはないわけでございますが、一般論として申し上げれば、政府と国民の関係において個人の情報をどのように保護すべきかというような問題と、企業と顧客等いわば私人間の関係で個人情報の保護をどのように進めるべきか、こういうものを一体的に扱っていいのかどうかということについてはいろいろ問題があるというふうに考えておるところでございます。  また、業種によりましては、いわば個人の人格と申しますか人間性の機微にかかわるような個人情報を取り扱うようなものもございますでしょうし、あるいはそういうものでないものもございますでしょう。さまざまなものが想定されるわけですが、そういうものを一律に規制していいかというような問題もあろうかと考えるわけでございます。これらの点についてはいろいろの考え方があるわけでございまして、また諸外国でもいろいろな対応の仕方がなされているというふうに聞いております。  そうはいうものの、御指摘のとおり諸外国それから国内においてもでございますが、民間部門における個人情報の保護を今後どういうように進めるのかということについてはいろいろ問題が指摘されているところでございます。したがいまして、それぞれ各省庁において真剣な検討が行われるべきものというふうに考えているわけでございます。
  180. 朝日俊弘

    ○朝日俊弘君 一点だけ誤解のないように。私は、個人情報の保護に関する法体系の整備について検討をぜひしてほしいというふうに申し上げたので、一律にとかあるいは一体のものとしてすべて同じように扱えということを申し上げているわけじゃありません。その上で、それぞれの分野に必要であればそれぞれ対応することも含めて、法体系全体のものとして一定の検討がされていく必要があるのじゃないか、しかもそれは国際的にも通用するものを目指すべきじゃないかということを申し上げているので、誤解のないようにお願いしたいと思います。  以上で終わります。
  181. 有働正治

    ○有働正治君 私は、きょうは大臣所信にかかわりまして、主として警察行政をめぐって質問いたします。  まず、オレンジ疑惑をめぐって一、二であります。  私が承知しているところでは、細川元総理とオレンジ側との関係につきまして新たな接点、出会いの疑惑として、一つは、一昨年の参議院選挙時、友部参議院議員本人及び長男の哲男氏、益川容疑者、三人が熊本を訪れて、熊本市内の細川事務所を訪問しているようであります。いま一つは、次男の百男容疑者が昨年の七月、熊本市を訪れ、熊本のオレンジ共済の支部長らを伴いまして細川氏の自宅のあります熊本大学のわきにあります大勝寺、そこを訪れているようであります。これは昨年の七月でございます。  そこでお尋ねするわけでありますが、これらが事実かどうか、捜査当局は事実関係を把握しているかどうか、これが第一点であります。  同時に、さまざまな疑惑が指摘されているわけであります。なぜ二回もわざわざ熊本の地を訪れてオレンジ共済幹部が会っているのか、全体の疑惑とのかかわりの中で熊本訪問というのがどういう意味があるのか、究明しておく必要があると思うわけでありますけれども、これをやっておられるかどうか、捜査当局の見解を求めます。
  182. 泉幸伸

    政府委員(泉幸伸君) 年金会オレンジ共済によります広域多額詐欺事件につきましては、国民の関心も非常に高い重要な事件として、現在警視庁などにおきまして鋭意捜査中でございます。  既に立件した事実以外、その余罪等についての立件も視野に含めて現在捜査しております。その中における具体的な関係者の動き等についてどのような事実を認定しているかどうかということにつきましては、現在捜査中の事案でございますので、御答弁をお許し願います。
  183. 有働正治

    ○有働正治君 私の指摘を含めてきっちり解明する、このことについてどうですか。
  184. 泉幸伸

    政府委員(泉幸伸君) 本件広域多額詐欺事件につきましては、その全容を解明すべく捜査を行っております。
  185. 有働正治

    ○有働正治君 斎藤麗二氏が政界工作の金をめぐるキーマンの一人であると言われているわけであります。これに関連いたしまして、いわば斎藤ルートの工作資金の配付に菊地幸雄氏が介在しているという有力な情報が私のところに寄せられています。この点を含めて政界工作の実態を徹底的に捜査すべきだと考えるわけでありますが、いかがでございますか。
  186. 泉幸伸

    政府委員(泉幸伸君) 先ほど御答弁申し上げましたように、本件につきましては、その詐欺で得た資金の使途も含めて、現在その全容を解明すべく捜査中でございます。
  187. 有働正治

    ○有働正治君 同じことを二度言わせないでいただきたいんだよ。私の指摘を含めてちゃんとやるのかと、そのことについて答えてください。
  188. 泉幸伸

    政府委員(泉幸伸君) ただいま申しましたように、事件の全容を解明すべく捜査を行っているところでございます。
  189. 有働正治

    ○有働正治君 国家公安委員長にお尋ねいたします。  さきの細川氏とのかかわりで私の提起した疑惑、それから金の流れについて斎藤麗二氏、言うまでもありません。菊地幸雄氏、私はキーマンの一人だと認識しているわけであります。徹底的に全容解明に努めていくべきであると考えるわけですが、国家公安委員長、いかがですか。
  190. 白川勝彦

    国務大臣白川勝彦君) 本件事件は、先生御案内のとおり広域の多額の詐欺事件でございますが、起訴をいたしました分はまだほんの一部でしかございません。したがいまして、もっと多くの詐欺があるわけでございますが、それらにつきましても、帳簿上はあるということと、実際個々のお金を拠出した人にどういう言い方をされて、どういう形で出したとかということまで含めると、まず詐欺事件そのものの全容を証拠をもって固めるというのも膨大な作業であるということについては御理解を賜りたいと思います。  一方、普通の犯罪でもそうでございますが、使途についても、これは犯罪の成立要件ではございませんけれども、当然のことながら情状その他の関係でも必要でございますので調べるわけでございますが、本件はあくまでも詐欺事件として逮捕された事件である以上、まずそこのところをきちんと押さえなきゃいけない。ただ、報道等で、しかも国会でも多くの方々が指摘しておりますので、公選法二百二十四条の三という法令もしっかりと視野に入れながら、ただ漫然と使途を調べるというのではなくて、そういうところについても警察当局は鋭意捜査しているものと、こういうふうに私は承知いたしております。
  191. 有働正治

    ○有働正治君 私は具体的に挙げたわけですから、厳正な捜査、徹底解明を求めます。  警察行政とのかかわりで、私は次の問題として、熊本県開拓連、熊本県開拓事業農業協同組合連合会の楠田浩前会長と、農水省が進めています事業規模総額三百九十五億円に上ります国営川辺川土地改良事業の組合長で相良村の村長でもあります高岡隆盛村長、この高岡氏は五木村の川辺川ダム推進にかかわる審議会のメンバーの一人でもあるわけでありますが、業者や金をめぐる疑惑について質問いたします。  開拓連の金銭をめぐっては、不明朗な問題、マスコミでもこの間一部取り上げられているわけであります。相良村を初め関係自治体、農林関係者の間で贈収賄疑惑を含めた疑惑が取りざたされているわけであります。捜査当局は、県民、国民の疑念がないように対応しているのかどうか、まずお答えいただきたい。
  192. 佐藤英彦

    政府委員佐藤英彦君) 個別の事案についてのお尋ねでございまして、その捜査に関しましては答弁をいたしかねるところでございますけれども警察といたしましては平素から幅広く情報を収集いたしまして、その過程で刑罰法令に触れる行為がありますれば、法と証拠に照らし適切に対処していくものと存じております。
  193. 有働正治

    ○有働正治君 具体的に新聞でも一部表面化している部分もあるわけであります。疑惑というのは相当あるのであります。そういう問題も当然国民の負託にこたえる捜査をやっているものという解釈でよろしいんでしょうか。
  194. 佐藤英彦

    政府委員佐藤英彦君) ただいま申し上げたとおりでございますけれども、個々具体的な捜査の内容につきましては答弁を差し控えさせていただきたいと存じます。  一般論で申しまして、私どもとしては、刑罰法令に触れる行為がありますれば、それを看過することはないということでこれまでも措置してまいってきておるところでございます。
  195. 有働正治

    ○有働正治君 捜査中と理解して話を進めます。  話を進める上で農水省にお尋ねいたします。  県の開拓連がこの相良村に畜産センターというのを設置しているわけでありますが、いつごろの話で、一口で言ってどういう事業であるのか、推進の中心になった当時の開拓連の会長名はどなたであるのか、事実関係だけ教えていただきたい。
  196. 西尾吉昭

    説明員(西尾吉昭君) 相良畜産センターは、肉用牛の生産施設整備等を行う低コスト肉用牛生産事業という事業により平成六年度に建設されたものでございます。  事業実施主体は熊本県開拓事業農業協同組合連合会でございまして、事業費は二億九百九十八万八千円、助成額は一億五百九十二万三千円でございます。  また、当時会長を務めていた者は楠田浩という者でございます。
  197. 有働正治

    ○有働正治君 今御説明のありましたように、国の出資で設立された政府系事業団であります。具体的には当時の畜産振興事業団、現在の農畜産業振興事業団、そこからの補助金が出されている補助事業であります。国民の税金の行方にもかかわる内容であります。補助金が出されたのは、先ほど金額は約一億六百万円と。この出された時期がいつであるのか、それが一点です。  同時に、この県開拓連は補助金を、私に言わせれば不当に取り過ぎて、返却措置をとっていると承知しているわけでありますが、いつ、幾ら返却されているのか、具体的に教えていただきたい。
  198. 西尾吉昭

    説明員(西尾吉昭君) 補助金を支払った時期は平成七年四月二十七日でございます。  それから、不適正な補助金交付額が認められまして、その返還をさせた額は百六十一万九千四百三十四円でございます。
  199. 有働正治

    ○有働正治君 いつですか。
  200. 西尾吉昭

    説明員(西尾吉昭君) これは平成八年の八月十六日でございます。
  201. 有働正治

    ○有働正治君 わかりました。  私、当委員会に資料を配付させていただきました。そこの資料3にもありますように、畜産センター設立にかかわっていろいろな機材を購入するわけであります。機材の購入価格の見積書を二通り出させているわけであります。そして、高い方の金額を国の方にいわば申請してその補助金を受けると。実際上購入価格は低い価格で購入して、その差額三百数十万円、二分の一補助ですから今お話があったように百六十万円余りを不正に取得していた、いわばピンはねを国の補助事業としてやっていたというものであって、重大であります。  そこで、私は話を進めますけれども、こうした国の補助事業としてやられた相良畜産センターをめぐる贈収賄疑惑であります。高岡村長、土地改良事業組合の組合長であります、国営事業を推進する組合長であります。そこに金を持っていったいきさつ、現に金を持参し、同行し、立ち会った人物、開拓連の内部の人を含め相当数の人物から、裏づけ資料を含め話を直接お聞きいたしました。私に対して解明を求める上申書もいただきました。資料を付した膨大な上申内容であります。  そこで私は、国民の皆さんから負託があった以上、解明が迫られるということで当委員会で取り上げるわけでありますが、二回に分けて合計三百万、百万円と二百万円の贈収賄疑惑であります。  一回目は百万円であります。そのいきさつはこうであります。  畜産センターの当初予定地は、高岡村長の紹介で、この村長の村であります相良村大字川辺字上七折に予定し、農振除外をしたものの地元民の反対で字中高原に移し推進することになりました。先ほど答弁のありました開拓連の楠田当時の会長は、平成五年十月十二日朝から県開拓連職員に、相良村長選対策の協議をしたいので低コスト事業担当役員二名の招集をなどと指示し、十月十九日午前十時から会長室で協議が行われました。  その参加者の、私へのいわば証言者による証言内容等によりますと、席上、会長は、今回の相良村長選はその年、平成五年十一月、対抗馬があり選挙になる情勢である。開拓連の低コスト事業助成のためには高岡村長の力添えが絶対に必要である。さきの土地あっせんのお礼もあり、今後いろいろな許認可に必ず便宜を願うケースが来る。早急に陣中見舞いをしたいので理解をいただきたいと述べ、役員らの同意を求めました。役員らは、常識的な範囲でなら会長一任ということになり、最終的に楠田会長が百万円と決めたわけであります。金の捻出は協議の結果、後日返却の約束で、当時の広瀬代表監事が自分の金を一時貸し付けることとなりました。  立ち会い、目撃者の証言では、広瀬代表監事が立てかえて用意した現金、この現金立てかえについて私が確認を求めたのに対し県開拓連は、平成五年十月二十日、広瀬氏の口座から農業経営支払い百万円が現金出金されていることを認める旨の回答が私のところに寄せられました。間違いなく立てかえられているわけであります。その現金百万円を成田正孝氏、当時開拓連業務部長が祝い袋に詰めて会長室で楠田会長に渡しました。高岡村長へは十月二十四日、開拓連事務所に会長、役員らが集まり、成田正孝氏の運転で高岡村長宅に出向き、自宅で、成田氏らもいわばすぐわきにいる中で楠田会長が手渡し、高岡村長からお礼が述べられました。  この百万円というのは政治資金収支報告、法とのかかわりがあることは言うまでもないわけであります。この点の捜査も求めるわけであります。そのことは、後日、ほかの者も成田氏から聞いているわけであります。私も確認しています。  百万円の効果について、百万円準備に立ち会い、手渡しに立ち会った複数の私への証言者の方々は、もともと低コスト事業地までの道路がなくて工事の着工さえどうなるかと心配していたが、村長の配慮により保安林内の野道を別名目で工事を許可され、その際、道路幅を二、三メートル拡幅していただいたため予定どおり工事も進み、無事成功した旨証言しています。  なお、広瀬代表監事が楠田会長に貸した百万円につきましては、平成六年五月九日、県開拓連が払い出しているわけであります。配付いたしました資料2はそのときの領収証であります。その際、広瀬氏は、受け取り領収証の中に百万円についてただし書きとして「相良村長選陣中見舞金分」と明記しているわけであります。村長選のための金提供であることを裏づけているわけであります。この点についても、当時の広瀬代表監事が私への証言者等に対しまして、自分の領収証であることを認めています。  捜査当局というのはこうした状況を把握しておられると思うのでありますが、どうでありましょうか。
  202. 佐藤英彦

    政府委員佐藤英彦君) 県警察が、特定の事件につきましてどのような情報または資料を収集しあるいは入手しているかということにつきましては、まさしく捜査の内容そのものでございますので、恐縮ではございますけれども答弁を差し控えさせていただきたいと存じます。
  203. 有働正治

    ○有働正治君 きっちり捜査することを要求します。  二回目の二百万円の疑惑はこうです。  平成七年に新たに中高原に場所を変えまして事業予定地の用地買収に進むわけでありますが、価格交渉が難航し、その模様を聞いて楠田会長は、自分が村長と会い話し合いをすることを告げて、平成七年五月十二日、楠田会長が相良村の高岡村長に会い、そして熊本市内に戻って、村長との話し合いの内容を開拓連幹部に、その中には幾人も私への証言者がいるわけでありますが、次のように報告しています。  村長が道路、排水路を村の予算工事で行ってやると、二千万円ぐらいかかる工事を約束された。その際、楠田会長は指を二本当したそうです。そして、村長が便宜の謝礼に二百万円くれと要求したわけです。村長が要求したんです、二本当して。それで、私への証言者の方々が驚いたんです。楠田会長にそのことを詰めたんです、おかしいじゃないかと。しかし、楠田会長は、二千万円の工事ばいたと。ばいたというのは、いわば熊本弁で二千万円の工事だよ、こういう意味でございます。二千万円の工事ばいた、二百万円ぐらい安いもんたいと楠田会長が言い返しています。  そして、楠田会長は二百万円の金を準備するよう指示します。十五日、開拓連側は二百万円の金を用意し、楠田会長にS部長が手渡しています。楠田氏はその際も、二百万円は安いもんたい、こうS部長に述べています。そして、楠田会長は午後四時ごろ、携帯電話で二百万円の金を手渡したS部長に、今から村長に持っていくけんと。けんというのは熊本弁でありますけれども、その旨電話して、出かけて手渡しているわけであります。  関係者らが県開拓連の緒方課長に当時の伝票及び補助簿の提出を求め、会計職員立ち会いのもとで二百万円の出金について確認したところ、出金伝票番号00439、平成七年五月十五日に、相良畜産センターの土地対策の名目と仮払金の科目に現金二百万円が支出されています。これについても私は県開拓連に調査依頼いたしまして、確かにその科目で二百万円出金されている旨、きっちり回答をいただいているわけであります。  この平成七年五月十七日という時期は、先ほど農水省が御答弁されたように、国の補助金が出た四月二十七日の二週間余り後であります。約一億六百万円の補助金が出た二週間後で、この二百万円というのは補助金が一部流用された疑いさえあるわけであります。  出金伝票、それから本人の言動、証言者の言動、村長に金を持っていったことは伝票を含めまして明白であります。これもきっちり捜査すべきであります。一方、高岡村長の方でありますが、請託を受けての便宜供与でありますが、これはお配りいたしました資料1の表でございます。  一つは農振法用途区分変更があります、そして農地法五条許可の土地もございます、そしていま一つは防風保安林作業許可の部分、三つのものがあるわけであります。表の左欄の部分がそれに当たるわけであります。これは相良村に資料提出を求め、相良村から提出された資料を私として整理させたものでございます。そして、農水省にこの点について事実確認を求めているわけでありますけれども、事前に資料も提示させていただきました。  農水省にお尋ねします。  一つは、事実関係について間違いないかどうか、これが一点でございます。いま一つは、今言いました。途区分変更、農地法五条許可、防風保安林作業許可、これについてはすべて村長の職務権限にかかわる、つまり村長が関係協議会に諮問して了解を得て執行する、あるいは県に許可申請を出す等々の職務権限にかかわる内容であると思うわけでありますけれども、この点間違いないかどうか、結論だけお示しいただきたいと思います。
  204. 武本俊彦

    説明員(武本俊彦君) お手元の資料の農振法用途区分変更及び農地法第五条許可関係の記述につきましては、私ども地方農政局を通じまして熊本県に確認いたしましたところ、このような事実であるということを確認いたしております。  それから、二番目のお尋ねの、村長の職務権限かどうかという点でございますけれども、農振法の用途区分変更につきましては、ここに掲げてございます公告、これは法律上の行為でございますけれども、これにつきましては市町村が行うということでございますので、村長の権限ということになるかと思います。  それから、農地法第五条許可でございますけれども、この許可権限につきましては都道府県知事がこれを行使することになっておりますので、権限といたしましては都道府県知事になります。  以上でございます。
  205. 有働正治

    ○有働正治君 村長が上げるでしょう。村長が申請するでしょう。
  206. 武本俊彦

    説明員(武本俊彦君) 申請につきましては市町村が進達をするという形をとっております。
  207. 有働正治

    ○有働正治君 ちゃんと言わなきゃだめだよ。
  208. 安井正美

    説明員(安井正美君) 防風保安林の作業許可についてのお尋ねでございます。  当該事案は、風倒木に伴います伐木処理のための作業道作設に係る事案というふうに聞いておりますが、その申請月日、許可年月日につきましては先生の資料のとおりであるというふうに許可権者である熊本県から確認をいたしているところでございます。  それから、この案件にかかわります村長の位置づけでございますが、当該事案は、台風被害によります村有林の風倒木を処理するために、村有林の所有者でありかつ当該防風保安林の所有者でございます事業主体たる相良村長が申請をいたしまして、許可権者である熊本県が許可をしたと、こういう事案でございます。
  209. 有働正治

    ○有働正治君 それぞれ最終職務権限者である場合もあるし、途中の場合もあるけれども、職務権限がかかわることは明白なんです。問題は、その職務権限がかかわる事案についての金の流れとのかかわりでありますけれども、それが左の表に対して金の流れを右の欄に記載させていただきました。これは県開拓連で確認した期日について、私が整理して記載した内容であります。  最初の区分変更の申し出があったのは平成五年十月二十二日で、百万円の授受はその二日後であります。また、二百万円の授受があったとされる疑惑の日は、最も広い地域での用途区分変更申し出、四月二十八日、が行われた二週間余り後で、その一週間余り後に協議会が開かれ、決定されているわけであります。関係者は、百万円の効果、二百万円の効果、効果抜群であった、うまくいったということをこもごも私に証言しているわけであります。贈与の時期は、村長の職務権限にかかわる、しかも村長選にかかわる時期でもあるわけでありますが、符合しているわけであります。  それからいま一つ、防風保安林の伐採をめぐってでありますが、この間、畜産センター建設をめぐって、防風保安林の伐採が平成六年七月十三日、村が県に申請、そしてここに書いてあるような七月二十五日許可、ヒノキが百二十二本伐採されています。  先ほど、風倒木処理のため作業道開設という趣旨を農水省は答弁されていますけれども、私は現場に行って確認したんです。当時風倒木はなかったんですよ。あなた確認していますか。なかったんですよ。風倒木処理という偽った名目で申請しているんです。これもはっきり農水省も警察も調べていただきたい。公文書偽造の疑いがあるんです。確かに大分の台風で風倒木になったようなときはあります。それとこの時期は違うんですよ。インチキなんです、これ。偽った名目で県に申請し、県も許可している。重大なんです。そのことも警察を含めてきっちり捜査願いたいと思うわけであります。  警察庁長官に私は最後にお尋ねするわけであります。  今挙げました、私は無責任な国会質問はできません。私なりに事実解明、究明、事実確認を求めて、国会質問をやるに足り得る内容だということで、上申書その他も私は受けた手前、あえてここで究明するわけでありますが、非常に重大な内容だと思うんです。熊本県警、捜査は厳正にして、贈収賄事件その他関連法違反の疑いがあり、極めて私は重大だと思っているわけで、警察庁長官として厳正な捜査を求めるわけであります。  同時に、国家公安委員長そして自治大臣自治体の長の疑惑でもあるわけであります。しかも、三百万というのは、泉井疑惑で先日、服部元運輸事務次官が起訴されたのは二百十六万なんですよ。二百十六万で起訴されたよりも額が多い。地方公務員の贈収賄がいろいろ時たま出てきますけれども、大体数十万規模というのが総体に多いようであります。三百万規模というのは、私もかかわった調査ではかなり大きい方だ。泉井疑惑の今申した服部元運輸事務次官の起訴金額よりも多いということであります。しかも自治体の長、国営利水事業の組合長なんです、この人は。ダム審議会の有力メンバーの一人、こういうダム審議会でお抱えのメンバーでダムを問題ありませんからやろうなんという、それが建設省のやり方なんですよ、私に言わせれば。この問題は別に議論します。根本的な問題を私は持っていますけれども、これは別に議論いたします。  少なくとも地方公務員のこれだけの贈収賄疑惑、私は具体的に私なりの裏づけ、強制捜査権を持っていませんから限られている部分があると思います。しかし、事実関係についても的確にやられているかどうか、問題の点が絶対ないとは私は申しません。だからこそ、私はきっちり国家公安委員長として対応されて、いやしくも国民の警察に対する信頼が損なわれないように、熊本県民の皆さん、該当地域住民の皆さんは、熊本県警、警察当局本当にこの問題でこれだけの裏づけがあるのをやるのかと。  私は一部事情聴取されている人にも会いました。具体的に熊本県警のどういう人物が、だれに会って、いつ会ったか、何と言ったかというのを聞きました。明白にこれは挙げられるということまで言っているんですよ。ところが、どうもうやむやになる危険性がなきにしもあらずという懸念も県民の皆さんの中には持っているんです。そういうことがないように、警察庁長官国家公安委員長、明確な答弁を求めます。
  210. 國松孝次

    政府委員國松孝次君) お尋ねの件につきましては、私といたしましては何ともお答えをいたしかねます。警察としての刑罰法令に触れる行為に対しまする対応につきましては、先ほど刑事局長が答弁をしたとおりでございます。
  211. 白川勝彦

    国務大臣白川勝彦君) 報道等で報道されました疑惑、また先生が今御指摘いただいた事実、そういうことを前提に、これは熊本県の事件でございますので熊本県警が、政治の信頼を回復する意味でも、また警察自身の名誉もかかっていることでございますので、厳正に対処するものと確信をいたしております。
  212. 有働正治

    ○有働正治君 厳正な捜査を求めて、終わります。
  213. 西川潔

    ○西川潔君 どうぞよろしくお願いいたします。  私は介護保険法案について、その中でも特に自治体負担の問題を中心にお伺いをしたいと思います。    〔委員長退席、理事朝日俊弘君着席〕  平成六年十二月、高齢者介護・自立支援システム研究会の報告において介護保険が本格的に提起されたわけですけれども、二年の間議論が行われたわけです。その間の老人保健福祉審議会あるいは与党プロジェクトチームにおかれましてはさまざまな立場から意見をまとめられ、法案化に至られたということでございます。これまでの御苦労に敬意を表するわけでありますけれども自治省におかれましても、関係機関との協議等々大変な作業が行われたものと思います。  たまたま「地方財政」という機関誌を読んでおりまして、きょうこちらの方に持ってまいりました。これは去年の七月号なんですけれども、最後の方に「財政局だより」というところがあるんです。調整室の秋田さんという方がお書きになっているんですけれども、休日を返上し、連日連夜の関係機関との協議等に追われ、体力の限界を超えた状況が続き、昨年末に入院をされた方もおられるということで、本当に大変なことだったと思います。そしてまた、自宅にもほとんど帰宅ができず、皆さん方は深夜にもうシャワーを浴びる程度の御努力だということでございまして、本当に担当職員の方々の御苦労が伝わってまいります。  この介護保険法案につきましてこれだけ頑張っていただきました。自治省の立場からどのように評価をされているのか、大臣の御見解からまずお伺いをしたいと思います。
  214. 白川勝彦

    国務大臣白川勝彦君) 介護保険法案がいろんな形で各党から出てまいりまして、自由民主党の中でも真剣に議論されていたのは私も当時党の役員として承知をしております。    〔理事朝日俊弘君退席、委員長着席〕  一方では、総選挙が間近かもわからないという何となく騒々しいときでもありました。当時の自由民主党、社民党それからさきがけ、三党でこの問題は真剣に協議し、率直に申し上げまして市町村の中には自分たちの財政が耐え得るのかというような不安もありまして、わざわざ地方にまで出向いて町村長の皆様と忌憚のない意見を交わす中で、最終的に与党三党合意を得てそして行政当局とまとめられたのが、さきの臨時国会で出された介護保険法案でございます。
  215. 西川潔

    ○西川潔君 新しい介護保障のシステムに、全国の皆さん方の調査をいたしますと本当に期待をしておられるという結果があらわれているわけです。現実に我が家も八十九歳と八十三歳と七十八歳の三人の親と生活しておりますと本当にいろんなことがありまして、よりよいものにしていきたいなというのが実感なんです。  当然のこととして、そのシステムを具体化していく中でさまざまな部分におきまして意見が対立したわけですけれども政府が法案を提出されるまでにどういう理由で判断されたのか、まずお伺いしたい。  公的介護保障は租税方式か社会保険方式かという基本問題に対しまして、政府は五〇%の公費を投入する社会保険方式を打ち出したわけですけれども、その一方で社会保険ではなく租税に対する公費負担で行うべきだという意見もございます。昨年の九月には全国市長会、全国町村会におきまして了承された後も、例えば栃木県の大田原市議会におきまして昨年の十二月に、介護財源については保険料に頼ることなく消費課税に求めるべきだといった内容で、公的介護保険制度の創設に反対をする内容の意見書が採択されたというわけです。  依然として社会保険方式への抵抗も強く残っているわけですけれども、こうした自治体の声あるいは首長さんの声を自治大臣としてはどういうふうにとらえておられるのか、お伺いしたいと思います。
  216. 二橋正弘

    政府委員(二橋正弘君) この介護保険の導入に当たりましては、市町村の側からは特に国民健康保険運営してきた長年の経験にかんがみまして財政的な不安、あるいはまたそれに加えて介護の場合には保険料という形でやることになりますと、片方の介護サービス保険料の徴収との間で、サービス体制が十分に整わないと保険料があってサービスなしというふうなことになるんではないかといったような不安があったりいたしまして、さまざまな意見があったことは確かでございます。  しかしながら、そういう不安に対しまして市町村長さん方の代表の方々の意見も聞き、各党のいろんな協議も経て、また政府の各省間での協議を調えながら、保険料の未納に対します財政不安を解消するとかあるいは介護保険についての事務費に対して財政的な手当てをするとかいうふうなこと、それから市町村の意見にございました在宅サービスと施設サービスを同時に行うことにするといったようないろんな意見が取り入れられまして、また都道府県も公益的な立場からこれに対する支援を行うといったようなことも制度として仕組まれることになりました。そういう形で市町村の代表の方々のいろんな意見を踏まえて、今回御提案申し上げているような形のものとしてスタートさせたいというのが今の関係者の思いでございます。
  217. 西川潔

    ○西川潔君 今回の介護保険制度、これを糸口といたしまして、いつも思うんですけれども、いつでもどこでもだれでも、つまり朝でも昼でも夜でも夜中でも必要な介護サービスを受けられる、そういう介護制度をつくっていかなければいけないというふうに思うわけです。  そうした中でも、利用者の窓口となっていただく保険者となる市町村が疑心暗鬼をお感じになりながら制度が始まるということでは、実際に利用する人たちはなお一層不安だと思うわけです。本日からは衆議院の方でも審議が始まったわけです。仮にこの法律案が成立したといたしましても、実際に制度がスタートするのは平成十二年ということですから、時間をかけて調整していただきたいと思うわけです。  実際に現在までに自治体の中から指摘されている問題点について、今後どのような考え方で微調整をされていくのか、具体的にお伺いをしたい。そして、市町村の財政負担についてですけれども保険制度の導入後の自治体負担はどのようになるのか、お伺いをしておきたいと思います。これは厚生省お願いいたします。
  218. 青柳親房

    説明員青柳親房君) ただいま介護保険制度が導入されましてから市町村の財政負担がどのようになるかというお尋ねをいただきました。  制度の施行は平成十二年というのを予定しておるわけでございますが、この時点におきまして介護保険制度で負担をいたします全市町村の負担の総額、これは平成七年度価格で表示いたしまして約四千六百億円と見込んでおります。これは現行制度のままである場合に市町村が負担すべき額と比較をいたしまして、福祉サービスの方に支弁をしております公費が保険制度の方に移行するというようなことなどによりまして約一千六百億円の負担減になるものと見込んでおります。
  219. 西川潔

    ○西川潔君 そこで、保険料の収入によりまして市町村負担が軽減するとなった場合に、その減収分については当然のことながら福祉の基盤整備に充てられるものと期待するわけです。地方交付税の交付団体の場合は、保険制度による負担の減少分については交付税から差し引かれるのではないかなという声があるわけですけれども、この点についてはどういうふうに考えておられるのか。  また、基盤整備については市町村よりもむしろ都道府県の財政への影響が大きくなると思うわけです。一部には、もうこれ以上特養をつくるというのは財政面から見てもかなり厳しいですよという声が全国的に出ておるわけですけれども、こういう点はいかがでしょうか。これは自治省にお伺いしたいと思います。
  220. 二橋正弘

    政府委員(二橋正弘君) 介護保険を導入いたします際に基盤整備が非常に重要な課題でございまして、それに対しましては、具体的には例えば特別養護老人ホームでありますとかデイサービスセンターといったような高齢者介護サービス基盤の整備を行う必要があるわけでございます。これにつきましては平成六年に新ゴールドプランを作成いたしておりまして、それに基づきまして毎年度必要な財政措置を講じておるところでございます。  介護保険法施行後におきましても、市町村あるいは都道府県が策定する介護保険事業計画に基づきまして、新たな介護サービスの整備目標を定めて計画的な基盤整備を進めていくことにいたしております。そのことに対しましては、今後とも地方債あるいは地方交付税の算定を通じて適切な財政措置を行っていくというふうに考えております。  それから、介護保険の給付に対します公的な負担、県、市町村でございますが、それぞれ公的な負担が出てくるものにつきましては地方交付税の算定等を通じまして適切に財政措置をするというふうに考えております。
  221. 西川潔

    ○西川潔君 ぜひよろしくお願いしたいと思います。  保険制度が導入された場合、今度は市町村負担の割合が減少するにいたしましても、お年寄りの増加と利用のアップによりまして福祉予算が伸びていくことはこれはかわりないと思うわけです。そうした中で、介護保険で使われる単価と実際にかかる単価との差額の負担、いわゆる超過負担ということですけれども、これがどうなるか。  地元の大阪市にお伺いしたんですけれども、現状ではホームヘルプサービス一回当たり一万二千九百六十九円が実際にかかると。補助単価は四千五百九十四円ということですからかなり開きがあるわけですけれども保険制度の導入によりましてこのあたりの超過負担についてはどういうふうにお考えなんでしょうか。
  222. 青柳親房

    説明員青柳親房君) ただいま介護保険で使われる単価、これは制度上は介護報酬ということになりますので、この単価とそれから実勢単価との間に乖離がある場合のお尋ねがございました。  介護報酬の設定に当たりましては、そのサービスの内容あるいは地域ごとに平均的な費用がどうなるか、この額を勘案して設定することとされております。したがいまして、効率的にその制度運営されておれば、介護報酬と実際の単価との間に大きな乖離が生ずることはないのではないかと考えております。  いずれにいたしましても、介護報酬をこれから設定するに当たりましては、今お示しのございました例えばホームヘルプサービス、こういったものの費用等の実態を把握いたしまして、関係審議会における審議を踏まえて適切に設定してまいりたいと考えております。
  223. 西川潔

    ○西川潔君 次に、同じく市町村単独負担の観点からですけれども、要介護認定の対象外となった人あるいは対象外のサービスに対する費用負担についての問題です。  仮に保険制度サービス水準よりも現在行われているサービス水準が上回っている場合に、保険制度の導入によりましてサービスの水準を落とすわけにはいかないわけですから、そうしますと、対象外となった人やサービスの費用については市町村負担になるのではないかという声が出ているわけです。例えば、要介護度1の対象者の場合で一カ月当たりの単価が六万円程度ということですけれども、現在それ以上のサービスが行われている場合、その水準を維持することになればそれは市町村単独負担になるかどうかということが問題になると思います。  利用者の立場からいたしますと、保険制度が導入されて保険料と一部負担を支払うわけですから、現行のサービスよりも水準が上回るのは当然と思うわけです。しかし、仮に保険制度の対象となるサービスでは現行の水準よりも下回るとなった場合、保険のレベルよりも上回るサービス提供する部分については自治体の単独負担ということになった場合にその財源をどのように確保するか。自治省としてはこれらの問題についてはどういうふうにお考えなんでしょうか、細かいことなんですが。
  224. 二橋正弘

    政府委員(二橋正弘君) このたびの介護保険制度におきましては、今お話にもございましたように、介護給付費につきましては一定の基準が定められるということになっております。これは全国一斉に介護保険を実施するということになりまして、介護給付費の一定割合の二五%、全体の半分のまた半分ですが、それは国が負担するということになりますので、全国一斉に実施、また一定割合を国が負担するということになりますと、やはり全国的な基準を設けるということはやむを得ないんではないかというふうに思います。  ただその場合でも、在宅介護サービスにつきまして、具体的にホームヘルパーの派遣とか訪問入浴サービスとかサービスの内容はいろいろあるわけでございまして、どのサービスをどういうふうに選択するのがいいのか、それぞれ要介護の方の事情もあるでしょうから、一定の総枠の中でそういうサービスを自由に選択して組み合わせることができるような措置、法的にそういう措置がとられております。  ということでございますが、さらにその基準を超えるサービス介護サービス提供されるということになります場合には、今回の介護保険制度のもとでは、その分保険料を上乗せしてその保険の付加給付として実施をするか、あるいはまた保険外の単独福祉施策として実施するか、いずれかになるんだろうと思います。  特に単独保険外の福祉施策として実施するものにつきましては、これはあくまでも市町村の自主的な判断で行われるそういう性格のサービスでございまして、これは一番最初に申しましたように、全国一斉に一定割合を国が負担するという今回の介護保険制度の趣旨からいいますと、自主的な判断で飛び出した部分といいますか、上乗せの部分について国において格別の財政措置をするということは、その事柄の性格上難しいんではないかというふうに考えます。これはあくまでも市町村判断で、そこのところは市町村の財源で行っていく必要があるんだろうと思います。  ただ、最初に申しました全般の基準につきましては、これはその実施の状況に応じまして審議会に意見を聞くということになっておりますし、これから実際の実施の段階に入りますと市町村からいろんな意見が出てくると思います。そういうものを踏まえてそれぞれの地域の実情が十分に反映したものになりますように、私どもの方も市町村の声を関係省庁に申し入れてまいりたいというふうに思っております。
  225. 西川潔

    ○西川潔君 ぜひよろしくお願いしたいと思います。受ける側はそのあたりが本当に何か心配で、不安でということが大なんです。  次に、厚生省にお伺いしたいと思います。  低所得者の保険料の負担と利用料の負担についてお伺いしたいんですけれども保険料のうち高齢者保険料徴収については、市町村が直接に徴収するのは五%ということですから大幅に負担が軽減されております。しかし、大方の場合が所得の低い方からいただくわけですから、仮に市町村が条例によって独自に減免することになりますと、その財源をどうするのか、このあたりは市町村にとっても判断が大変難しくなると思うわけです。つまり、保険料を払わない人と払えない人との態様のあり方についての検討も大いに必要ではないかと思うわけですけれども厚生省ではいかがお考えでしょうか。
  226. 青柳親房

    説明員青柳親房君) ただいまの低所得者の方の保険料負担に関するお尋ねでございますが、今回の介護保険は、御承知のように、国民みんなで支え合うという意味で社会保険の仕組みをとるということにさせていただいております。  その場合には、すべての高齢者の方にも無理なく保険料負担をしていただけるという仕組みが必要であろうということから、まず第一番目、原則といたしまして給付費の半分は公費によりましてこれを見る、そして三分の一は、おおむね三分の一ということでございますが、四十歳から六十四歳の被保険者の方々の負担により賄うということにしておりますので、高齢者の方々にかかる負担水準そのものが低くなるような財政上の仕組みがとられているということが第一にございます。  また、高齢者保険料におきましては、負担能力に応じた所得段階別の定額の保険料に定めることにしておりまして、そのことから、低所得者につきましては低い保険料の額が適用されるということが基本的な仕組みとなっております。  なお、=言づけ加えさせていただきますが、市町村が条例によりまして保険料の減免を行うということについてただいまお尋ねの中にございましたけれども、これは専ら災害等によりまして一時的に負担能力の低下が見られるようなケースを想定した規定でございまして、低所得者の方を理由といたしまして減免をするということを想定したものではございません。
  227. 西川潔

    ○西川潔君 続いて厚生省にお伺いしたいんですけれども、利用者の一部負担でございます。  応益負担による定率一割の利用料ということですが、この点について現行制度では所得に応じた費用の徴収が行われております。当然所得の高い層の負担あるいは扶養者の負担は大幅に軽減されることは大きなメリットであるわけですけれども、一方の低所得者層の方々については、これまで無料であったり低額であったのが一割の負担になるわけですから、低所得の方々にとっては非常に厳しい仕組みになるわけです。この点について、保険料と同様に減免措置という議論が出てくるのではないかと思うんですけれども、現時点ではどういうふうにお考えでしょうか。
  228. 青柳親房

    説明員青柳親房君) 一割の利用者負担につきましてのお尋ねでございます。この一割の定率負担を利用者の負担ということで求めていくわけでございますけれども、この額が高額になるような場合ということが当然想定されるわけでございます。その場合には、そもそも負担の総額に上限を設けるという形で、これは高額介護サービス費という形で私どもその上限を設けることを考えておりますけれども、これを支給するということで上限を設けていきたいというふうに考えております。特に低所得者の方につきましては、いわばその上限の基準額そのものが負担能力に応じて定まるようなそういう配慮をしてまいりたいというふうに考えております。
  229. 西川潔

    ○西川潔君 今度は自治省にお伺いしたいんですけれども保険制度管理運営に関する事務負担についてです。  今回の法案が成立、施行された場合には全く新しい保険制度が導入されるわけですから、保険証の作成、交付、保険料の徴収あるいは滞納整理など、新たな事務負担というものが当然たくさん出てくるわけです。そのために必要な人件費、新たにふえる要介護認定経費の二分の一は国費で負担するとされておりますが、残る自治体の負担分についてはどのように対応されるのかということをお伺いしたいと思います。
  230. 二橋正弘

    政府委員(二橋正弘君) 介護保険の実施に伴いまして新しい事務が出てくるわけでございます。要介護の認定でございますとか、被保険者の管理あるいは保険料の徴収といったような事務が生じてまいります。  ただ一方で、現在行っております老人福祉とか老人保健関係仕事、既存の仕事が振りかわるといいますか減少してくるという面もございまして、そういうことも勘案しながら介護保険法におきましては、新規増になります要介護認定の事務費については二分の一を国庫により措置するということにいたしております。  それで、残りの二分の一は地方で負担するということになるわけでございますが、これにつきましては当然地方の負担でありますから地方交付税によりまして財政措置をするということになってまいります。これにつきまして今のところ私ども考えておりますのは、一般会計でもってそれを介護保険特別会計に繰り出すという形になっていくのかなと。これは国民健康保険が今そういうやり方をいたしておりますから、そういうことかなというふうに思っております。
  231. 西川潔

    ○西川潔君 次に、自治省厚生省にお伺いしたいと思います  保険者は市町村が担っていただくことで、都道府県からしますと市町村に遠慮があるのでしょうか。つまり注文の声も余り耳に聞こえてこないわけです。しかし、そうはいいましても、要介護認定についても都道府県に委託できるようになっておりますから、迅速な対応をするためには相当な体制の整備が必要となると思うわけですけれども、人材の養成確保という面でも大きな役割があると思います。  そうした中で、ドイツの例を見ましても、保険制度が導入されますとすべての方が初めての手続になるわけですから、不服申し立てを申し出る人が相当程度いらっしゃるのではないかと思うわけです。特に制度の発足後は大変な業務になるのではないかと思います。今日の財政事情からしても、一度に多くの職員を確保することも厳しいのではないかなと思うわけですけれども、どのように対応されていかれるのか、この点について両省にお伺いしたいと思います。
  232. 青柳親房

    説明員青柳親房君) それでは、先に私どもの方からお答えをさせていただきたいと思います。  介護保険制度を創設することによりまして、要介護認定に係る事務等事務量の増が見込まれるということがございますが、一方で、先ほども財政局長の方からお話がございましたように、現在老人福祉に係る措置事務等につきまして、これが保険方式に移行するということによりまして事務量の減が見込まれるということがございます。  また、やや具体的な点になりますけれども、要介護認定に係る事務につきましても、被保険者の状況を訪問調査するということが必要になってくるわけでございますが、こうした事務については自治体がみずから行うというのではなく、居宅介護支援事業者、いわゆるケアマネジャーというような方々に委託してこれを行うことが可能であるというようなことにしておりますので、全体としては職員数として大幅な増加はないのではないかと見込んでおります。  ただし、新しい制度運営していくということになるわけでございますので、その円滑な施行に向けましては、例えば職員の研修を行うなど無理なくこの事業実施が開始できるような、そういうことについては十分に努めてまいりたいと考えております。
  233. 二橋正弘

    政府委員(二橋正弘君) 要介護認定という事務が新たに出てまいりますし、それから今お話にもございましたように、この一部事務の振りかえに伴って縮小する部分はございますが、職員もある程度の増加は必要になってくるんではないかというふうに考えております。  これらの職員の増に伴います経費も含めまして、先ほど申し上げましたとおり厚生省と協議しながら事務費について調査することにいたしておりまして、それに基づいて必要な国庫負担の確保、それから地方財政措置を講じていきたいというふうに考えております。
  234. 西川潔

    ○西川潔君 次に、厚生省にお伺いしたいと思います。  介護保険自治体との関係からちょっと外れるわけですけれども、先日、寝たきり状態にあるお年寄りが、現在病院に入院しているのですが、病状が安定したことから福祉事務所に特養の入所の申請をされたわけです。そちらの方で、常時介護が必要な方の場合は軽度の方に比べて入所がしにくくなっておりますのでと福祉事務所の職員の方から言われたということなんです。  普通、常識で考えますと、より介護が必要な方で在宅ではお世話できない方、こういう方ほど入所の必要性が高いのであって、逆にそうした方の入所を制限しているとなれば、介護保険の導入によってさらにこうした事態がふえることにでもなりはしないかなと心配するわけです。本当に困っている方が救われないといった制度になればこれは大変なことになると思うわけですけれども、こうしたことは現実に日常的に存在しているのかどうかということをひとつお伺いしたいと思います。
  235. 青柳親房

    説明員青柳親房君) ただいま御指摘のございましたケース、具体的なケースの詳細は残念ながら承知をしておりませんが、当該施設に属する老人福祉圏内、これは幾つかの市町村が集まったエリアでございますけれども、この中における市町村間の調整がどうもうまく機能していないんじゃないだろうか、そのために結果的に処遇が困難なケースほどどちらかといえば避けたいという施設側の意向が微妙に影響しているのではないかというふうに推測ができるわけでございます。  こうしたことが事実であれば、措置に適正を欠くおそれもあるということから、事情についてはよく調査をいたしまして、必要に応じて是正を指導するというふうにしてまいりたいと思います。  ただ、介護保険制度の導入ということを考えますと、介護保険制度におきましては、要介護認定という形で介護の必要度の判断というものがより客観的に行われるということが期待されるわけでございますので、そうしたことも展望いたしまして、御指摘のありましたような問題につきまして、都道府県などの意見も十分に聞きながら具体的な対応を検討してみたいというふうに考えております。
  236. 西川潔

    ○西川潔君 ぜひよろしくお願いしたいと思うわけです。我々は現場を何十年も回らせていただいて、今でもそういうお話ばかりお伺いするわけです。  最後に、大臣に総論をいただきたいことと、これから本当に整備をしていかなければいけないことだと思うんですけれども一つだけ、質問の中には入れなかったんですが、二十代ぐらいから保険料も取って、先祖とか、おじいちゃん、おばあちゃん、お父さん、お母さん、社会、そしてみんなで高齢化社会を支え合っていくという意味では、その年代からもう少し徴収した方がいいような気もするんです。それも含めて御答弁をいただいて、終わりたいと思います。
  237. 白川勝彦

    国務大臣白川勝彦君) 大変その点も議論されたようでございますが、私は、二十代から取る、国民全体から取ると、こういう話になりますと大きな問題でございますので、承っておきたいと思います。私が答えるにはちょっと大き過ぎる荷物のような気がします。  今議論されていた問題について私なりの意見を申し上げますと、お年寄りにとって介護がどうなるかというのは大きな問題でありますが、同時に、介護する方にとっても介護というのは非常に大きな問題であることは論をまちません。そして、当然のことながら個人で介護をしてきたわけでございますが、今若い人たちも若夫婦なども働いておりまして、いわゆるお嫁さんなんかも働いている人が多い中で、どうしても公的介護が必要ということなんだろうと思います。そういう面では、お年寄りだけではなくて、地域社会にとって非常に望まれている制度であることは論をまたないわけでございます。  今、事務当局がそう言っておりましたが、厚生省の方はどうかわかりませんが、三千数百の市町村にとりましては、正直申し上げまして、平成十二年度から実施ということで、本当にどうなんだろうかなということで不安があるのは当然だと思いますし、新しい試みですから私は当然だと思うのでございます。  きょう、牛嶋委員、それ以外にも触れておりましたが、地方自治というのがそこの地域住民のニーズにこたえて、期待にこたえていろんなことをやっていくというのが地方自治の本旨であるとするならば、これは難しい問題であっても、国の応援もいただきながら地方自治体としては一生懸命やろうという決意で今臨んでいることは事実だと思います。  今までも同じようなことをやっていたわけでございますが、これはどちらかといえばサービスということでやっていたから、やってくれる村長さんはいい人ということだったわけでございます。今度は保険料をもらってするわけでございますから、今まで以上に正直言って自治体の職員に対する期待は大きくなってくると思うのでございます。きょう申し上げましたように、この期待にこたえていくというのが、住民にその期待がある以上、それにこたえていかなければならないものとして各地方自治体は今準備をしているものと、このように考えております。  自治省としましても、持てる力の中で最大限、それぞれの地方自治体のこの営みを応援していかなきゃならぬと思っております。
  238. 田村公平

    ○田村公平君 私は、昨日御説明をいただきました平成九年度自治省関係予算概要説明について自治省にお尋ねをしたいと思います。  俗にスピード違反とか駐車違反をしたときに納める反則金、罰金がございますが、きのうのお話によりますと「歳入は、交通反則者納金の収入見込み額等を計上いたしております。」と。当然これは予定でございます、スピード違反をやってくる人の分とか駐車違反をやる人の分をこれから入れるわけですから。  それで、お尋ねをいたしたいのは、平成八年度は集計できていないと思いますので、平成七年度に実際に反則金として上がった分と出ていったお金をちょっと教えてください。
  239. 野田健

    政府委員(野田健君) 交通反則者納金の平成七年度の予算額は八百九十二億七百五十九万四千円でありましたが、決算額は八百八十一億七千六百九十万八千円でございます。
  240. 田村公平

    ○田村公平君 これは、例えば僕もスピード違反をやることもありますし、駐車違反をやることもありますけれども本当にあの納付金がそのままということですね。
  241. 野田健

    政府委員(野田健君) そのとおりです。
  242. 田村公平

    ○田村公平君 といいますのは、世間ではあれは警察が取っているんじゃないかとか、そのまま本当に交通安全対策費に使われていないんじゃないかとか、点数を上げるためにネズミ取りをやっているんじゃないかという話があったものですから、ちょっとお尋ねをしました。というのは、いつも大きいことばかり言っていますから、たまにはちょっと細かいことも言わぬといかぬのかなと思っております。  それで、もう一点お尋ねをしたいのは広域緊急援助隊、災害対策というのは、もちろん安全で快適な災害に強い国土づくりということは大変重要でございますが、これの中身、簡単で結構ですから教えてください。
  243. 杉田和博

    政府委員杉田和博君) 平成七年の阪神・淡路大震災で、警察は大変大きな教訓と課題を与えられました。その主なものは、第一に、何といっても初期の段階におけるところの情報収集です、つまり被害がどのぐらいになるのか。もう一つは、いかに早く大量の動員をするか。もう一つは、救出救護とあわせて交通規制というものがいかに大変大事かということでありました。  そういうことを踏まえまして、震災後の半年ぐらいたった七年六月一日付で緊急援助隊というのをつくりました。この主たるものは、いわゆる救出救護に対して二千五百、さらにまた交通規制のために一千五百の交通部隊、合わせて四千名の広域緊急救助隊という部隊を編成いたしまして、初期的な段階におけるところの、先ほど申し上げた諸課題というものに効果的に対応できるようにしたものでございます。それを設立して以来、北海道の崩落事故、さらにまた先般の長野の土石流、こういったものにも活用しておるところでございます。
  244. 田村公平

    ○田村公平君 実はその長野の小谷村の件で、私もちょっと砂防事業に興味を持っておるものですから、そのこともありましてお尋ねをしたようなわけでございます。  もう一つ違う話がございまして、薬物乱用対策推進本部が内閣総理大臣を本部長として設置され、政府を挙げて薬物乱用対策の強化を図るという、まことにこれは心強い話であります。  特に薬物に対する乱用者のいわゆる低齢化、ひどい場合は小学生にまで及んでおるということで、我が国の基本に関することでありますから、こういう対策本部をつくられるのはいいんですが、もう二カ月を超えようとしておるペルーの人質事件についても内閣にそういう対策本部をつくった。各県警が殺人事件があって本部をつくるとか、選挙違反取り締まり本部をつくるというのは非常によくまじめにやっておると思うんです。どうも内閣にそういう本部をつくってお茶を濁しているのは、ペルーの件でも全然聞こえてきません、具体的に何回会議——会議をやったから偉いという意味じゃないんです。所管する自治大臣国家公安委員長としては具体的にどれだけの果実が、総理大臣中心にした対策本部でやっておるのか。  というのは、先般記者団の質問に対して総理大臣は、おれの頭は単線だからいろんなことを聞くなよと、そういう総理大臣がいっぱいいろんな役を引き受けて、うまく交通整理ができているのかなということもひとつ心配でありまして、悪い冗談であってほしいと思うわけですからお尋ねをしておるわけです。  もう一つは、けさのニュースでもありましたけれども、阪神・淡路の震災にかんがみて、本来、運輸省所管の気象庁にあるべきところだったと思いますが、地震計を二十一カ所つくったと。さあそれを動かすけれども一体どこが管理しているのかわからぬ、わからぬから民間に委託すると。地震学会かなんかに国土庁あたりが、防災になってくると国土庁も関係してくるんですけれども、民間に委託したのはけしからぬとかいう話も報道されております。  だから、体制をつくる、何とか本部をつくるというのはいいんですが、往々にしてつくりっ放しになって、けさの報道によれば、実際地震計の二十一カ所はそういうふうに言われております。そういうことにならぬようにという意味でお尋ねをしたいと思います。
  245. 泉幸伸

    政府委員(泉幸伸君) 内閣総理大臣を本部長とする薬物乱用対策推進本部について、まずその状況をお答え申し上げます。  設置の理由は、最近の非常に悪化する薬物情勢でございます。このような情勢を踏まえて、本年一月十七日に内閣総理大臣を本部長とする薬物乱用対策推進本部が設置されました。一月十七日に設置の閣議決定、その後、本部長、副本部長、本部員の閣僚方におきまして、一月二十一日に第一回会合が持たれました。その会合の中で、この推進本部の中に実は取り締まり対策専門部会、青少年対策専門部会、それぞれ各省庁の課長級で構成します部会を設けております。これらにつきましてそれぞれ横の連携をとりながら、全体としては基本的な要綱をつくろうということで今取り組んでおるところでございます。  警察にとりましては、この非常に悪化している薬物、特に青少年の薬物問題が大きくなっております。これにつきまして、警察が従来から行ってきました需要の根絶等の取り締まり、また組織的事犯に対する対策というのは当然進めるわけですが、それとあわせまして、青少年にこの薬物の恐ろしさというのをよく認識してもらうという施策が必要になってくるということで、文部省と連携をいたしまして、各学校に警察職員が出向きましての薬物乱用防止教室の開催、あるいは乱用少年に対する再乱用防止のためのフォローアップを保健所、警察署等の担当官が具体的に対応するというふうなことで対策を進めております。  いずれにしましても、このような対策警察が進めるに当たりましても、政府を挙げてのこのような本部というのが非常に役立っておるというふうに認識しております。
  246. 田村公平

    ○田村公平君 泉局長本当に力強い御答弁をいただきましたけれども、二十一カ所の地震計をつけたけれどもどこが所管するかわからぬというのが現実問題としての役所のセクショナリズム、対応、それがきょう、ニュースで報道されているわけです。  私は三日間沖縄視察に行かせてもらいましたけれども、うちの土佐沖に密航者ががんがん来ておる。きのうも来た。だから、海上自衛隊等の自衛隊の基地もありますから、P3Cオライオンを飛ばして哨戒任務についておる。だけれども、あそこを抜けてきているわけですから、普通なら日本海へ流れてくるのが一番近距離だと思うけれども、うちの土佐沖どころか、それをまた回り込んで静岡までも来ている。これは海上保安庁もそうです。それから、航空自衛隊や海上自衛隊、あるいは当然広域的な捜査もできるように警察法の一部改正もした、まさに警察がそういうことを連携してかっちりしないと、これは麻薬もどんどん入ってきているということですよ。捕まるのはどじな、どじなんて言ってはいけないけれども、ごく一部ですから、そういうことで実は申し上げた。  どうも今の政治不信の中で本当政府がよく見えないわけです。六つの改革、公約を実行すると、ある日突如として教育改革が出てきたり、本当によくわからぬ。行政改革もせぬといかぬと言うけれども、よく見えない。だから、超低金利になって株安でということもよくわからぬ。円安、トリプル安、そういう市場原理が働かない、見えない国になっているんです。  嫌な話をしますけれども、第二地銀である私どもの高知銀行の外国部に十四名おったのが、東京支店からもう高知へ帰っちゃったんですよ。第二地銀がもう逃げているんですよ、東京という金融マーケットから。いろんな意味で今、政治の責任が複合的に多く強く求められておると思っております。そこで、去る一月三十日の大臣の、これは財源の話になっておりますけれども地方が税制をとってもいいという話の続きをさせていただきたい。きょうは初めて三十分もらったので、十九分までですから、いわゆる政策論争が少しできればいいなと思います。なぜかといいますと、大臣の思い、これは政治家としての思いというわけにいかぬ部分が出てくるんです、行政のトップでありますから。  そこで、地方が独自の税制、例えば教育の熱心なところはこの前そういうふうに教育税みたいなものがあってもいいじゃないかと。もちろん現場は混乱するかもしれない、実は現場が混乱すると困るんです。それで、これははっきり言えば所得税法だと我が国の税制にかかわる大変大きな問題です。問題でありますから、大臣が国権の最高機関であるこの委員会でそういうことをおっしゃるということは、大臣の任期中にできるできない、そういう話もちらっとこの前させてもらいました。そういう問題でなくして、よほどの覚悟とよほどの整合性のあるビジョンを当然法律家として、そして現職自治大臣としてお持ちになっておるから発言をなさったというふうに、私はこの委員会がそれほど軽いものではないと思っておるものですから、ここで改めて御決意のほどをお聞かせ願いたいと思っております。
  247. 白川勝彦

    国務大臣白川勝彦君) 私も国会に出てそれなりの時間がありますので、役所、役人のかたぎというものは知っております。そういう中でいろいろ役所は役所の事情もあるでしょうが、今このときに政治家である大臣がしなければならないことは何であるか、私なりに承知をし、多少現場に混乱が起きたとしても、この際変えてもらわなければならないということについては私の責任において発言し、実行しているわけでございます。  一例を挙げれば、賛否はありますが、地方自治体が外国人を採用するという問題について、よくても悪くても私は一つの決断をし、そのようにその後も措置をいたしております。  また、自治省は約半数近くの職員を地方自治体に出向させているというか出向しているというか、人事交流をいたしているわけでございますが、率直に申し上げまして、他の省庁のことはいざ知らず、一部の県などにおいては事実上指定ポストになっている。こういう弊害が現実にあるものでございますから、そこは改めるべしということで、三月から四月にかけてはその人事のときなのでございますが、私はこれはもう相談をしたんじゃだめだろうと思いまして、私がこの委員会において発言をし、発言した以上は役所は従ってほしい、こう言ったわけでございます。  この課税の問題につきましても、隣に税務局長がおりますけれども、とにかく役所というのは万が一にも過ちや混乱やそういうものがあってはならないというふうにどうしても習性づけられているわけでございます。それはまた国会の方にも責任があるかもわかりませんが、何か問題があると役所は何をしていたんだということで、ある面では役人をしかりつける場というふうなこともありまして、過去五十年間、役所としてはトラブルや問題が起きるようなことについては大変慎重でございます。  ただ、地方分権をする、地方に自由を認めていくということは、多少そういう問題が起きてくることはやむを得ないのじゃないでしょうか。そんなことでこの前、課税自主権の問題、課税の問題についてもそういうことは当然あり得べしということを申し上げたわけでございます。  税務局長がぜひお話をしたいということで、その後私も勉強はしましたけれども、そう大したことを税務局長は言っているわけではありません。現在の制度の中でも、法定外普通税というものを利用することによって私が言ったことを事実上できるかと思いますし、その許可制度のあり方というようなことについても、現にこの前私のところに来たペーパーの中では、今後あり方を見直してまいりたいというのを早々と書いてよこしましたので、多少この前私が発言したことが税務当局にとりましても、今までと同じような考え方ではいかないなというふうになっていると思います。  いつも言うのでございますが、私は首をかけて発言していますと。私の言うことが間違っていれば総スカンを食らうでしょう。時には総理大臣から罷免をされることもあります。私は私なりに、つたない経験とつたない知識しかありませんが、細かいことはわからなくても、これが今我々政治家たる大臣がしなきゃならぬことということについては考えた上で、大したことではありませんけれども、一歩でも前に進めばと思って発言していることでございます。
  248. 田村公平

    ○田村公平君 なかなか頼もしい大臣の発言ではあります。私も大臣の選挙区に何回か行ったことがありますし、大臣自身も高知に来られたことがあります。そういうことで土地カンというか情勢はよく御存じだと思いますが、例えば高知県の大川村は人口七百人でございます。七百人で林業もだめ、現金収入というと土方へ行くか、あとは役場の職員、農協の職員、森林組合はもうだめですから。そういうところが果たして、今諸先輩の議員の方々から十万人程度だとか、分権を推進されても現実問題として受け皿がないという。五十三市町村あるわけです。八十二万人が五十三市町村に散らばっていますが、約四割の人口が高知市におるわけです。  そういうことを考えると、非常に今のままでどんどん分権が、僕は分権に対して前もこの委員会で言わせていただきましたけれども、異論的なことを言うと何か魔女狩りに遭うような一般の風潮があります。この際、大臣は、これは大臣としてでなくて結構です、余り言うと大臣の首が飛ぶとまずいですから、約三千三百からの自治体の、適正な自治体の数というのは大体どれぐらいだとお考えでしょうか。
  249. 白川勝彦

    国務大臣白川勝彦君) 委員会で個人としてしゃべってもいいと言われ、個人としてしゃべってもそうはいきません。  ただ、きょうは行政局長おりませんが、自治省は非常に慎重でございます。具体的に数値目標を示してぐいぐい引っ張るというのは、従来の法律の中にもありませんし、そういうことは余りしてこなかったということだと思うのでございます。一部反対のことを言われる方がいますが、七、八割の方は一定の適正規模が必要だということを申し上げているのが国会の今まで私が受けた質問でございました。  そこで、私がこの前に千というのを言ったのは、別に千というところに意味があるんじゃなくて、関根委員の質問にも答えましたけれども、いわゆる吸収して、小さいあなた方のところはもうやっていけないんだから吸収しろというやり方はどうも一つの限界に来たのじゃないのかなと。一方、対等合併という形で数個の町村が一緒になる、場合によったら市にならぬかもわかりません、そういう小さなところは。しかし、それを含めて対等合併という手法を考えるときに郡というのがある、これが一つでございます。  それからもう一つは、郡の中のうち一番中心が市になったというところが結構あって、多分これまでも関係者に働きかけてきたんだろうと思うんですが、諸般の事情で吸収合併される形での合併は嫌だということで割合にだめだったところがあるので、そういう面では郡の中の一部が市になったところは、私たちのところは例えば市の名前を含めてこだわらないから、もう一回昔の郡という中でみんなで力を合わせていこうじゃないか、こういう発想も必要なんじゃないだろうかと。  そして、たしか郡が五百数十だったと思います。それから、市の数が六百六十八でございますが、その中のうち、周りに郡を持っているというようなそういう市を含めると、細かく精査したわけじゃありませんが、一郡一町みたいのはとったりしまして、重ねると千ぐらいの一つ単位ができるのかなという大変大ざっぱに言った話でございます。  私は郡でもいいし、あるいは郡以外に具体的に一つの非常に強い固まりがあるのならば、そういう地域に着目をした町村合併というものを考えてみたらどうかということを事務当局に指示をし、郡に関する資料など余り自治省は持ってないのでございますが、ちょっと勉強してくれということで、一番経験の長い事務次官に、ちょっと郡についての資料を私にもくれと、それで皆さんももう一回勉強してくれと、そう言っているわけでございます。
  250. 田村公平

    ○田村公平君 大臣、今、自治省地方公共団体との人事交流についてちょっと否定的な御発言が、この前もありましたけれども。  これは答弁は結構です。今、私どもの高知県でも、第三セクターと称しまして県や沿線の市町村が出資して、いわゆる国鉄分割・民営化に伴って廃止された路線があって、それを第三セクターでやって、土佐黒潮鉄道と、こういうふうに株式会社でやっております、現状は土佐赤字鉄道でありますけれども。ところが、だれも面倒を見ぬわけです、その当時出資した知事さんにしろ、首長さんもかわっていけば。じゃ、首長の責任を追及しても、それに寄附すれば政治資金規正法違反になるし、あるいは土佐産商と、空飛ぶ大工という、バブルの前は千葉まで来て大工をどんどんやらせたんですよ。これも第三セクター。これが今、バンザイというか、バンザイと言うと怒られるけれども。だけれども、出資した当時の首長さんはほとんどかわっていますから、議会でもほとんど問題にならない。  これは恐らく全国にいっぱいあるそういう問題を、今、分権できていないわけですから、現実問題に対応していくのは、まさに地方自治体に人事交流しておる、自治省の高知県に来ておる総務部長の清田さんなんかは大変優秀な方ですよ。よく現場も歩いておられる。  それは一番経歴の長い事務次官に大臣はお尋ねになるんじゃなくて、やはり今ある機能を活用するということも、大臣、大きな仕事一つだと思います。  私は変革じゃなくてもう改革せぬといかぬと思っております。それは改革には痛みを伴うという大臣の発言も理解できます。しかし、それと同時に、痛みを伴う、つまりけんかと同じです。殴った方は大したことない。殴られた方は一生覚えています。その痛みはやはり大臣だけじゃなくして、少なくとも我が国の国政、行政に携わる者は持っていただきたい。  その思いで人事交流もばっさり切るんなら切るというふうにしていかないと、恨みが残っては、その恨みは一個人の恨みじゃなくて地域社会の恨みになっていきます。ある意味地方は国を、能力があるなしじゃないんです、頼り切っている部分もあるということをお願いいたしまして、若干早いですけれども、質問を終わります。  ありがとうございました。
  251. 峰崎直樹

    委員長峰崎直樹君) 他に御発言もなければ、本日の調査はこの程度にとどめます。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時十三分散会