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1997-05-29 第140回国会 参議院 大蔵委員会 第15号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成九年五月二十九日(木曜日)    午前十時開会     —————————————    委員異動  五月二十九日     辞任         補欠選任      志苫  裕君     清水 澄子君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         松浦 孝治君     理 事                 石川  弘君                 河本 英典君                 荒木 清寛君                 鈴木 和美君                 久保  亘君     委 員                 阿部 正俊君                 上杉 光弘君                 岡  利定君                 片山虎之助君                 金田 勝年君                 清水 達雄君                 楢崎 泰昌君                 岩瀬 良三君                 海野 義孝君                 白浜 一良君                 寺崎 昭久君                 益田 洋介君                 清水 澄子君                 千葉 景子君                 吉岡 吉典君                 山口 哲夫君    国務大臣        大 蔵 大 臣  三塚  博君    政府委員        大蔵政務次官   西田 吉宏君        大蔵大臣官房長  涌井 洋治君        大蔵大臣官房金        融検査部長    中川 隆進君        大蔵大臣官房総        務審議官     武藤 敏郎君        大蔵省理財局長  伏屋 和彦君        大蔵省銀行局長  山口 公生君        大蔵省国際金融        局長       榊原 英資君    事務局側        常任委員会専門        員        小林 正二君    参考人        日本銀行総裁   松下 康雄君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○日本銀行法案内閣提出衆議院送付)     —————————————
  2. 松浦孝治

    委員長松浦孝治君) ただいまから大蔵委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  本日、志苫裕君が委員を辞任され、その補欠として清水澄子君が選任されました。     —————————————
  3. 松浦孝治

    委員長松浦孝治君) 日本銀行法案を議題といたします。  本案の趣旨説明は前回聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  4. 金田勝年

    金田勝年君 きょうから参議院での日銀法改正法案全面改正でございますが、について御審議させていただけるということでお時間をいただきました。私の時間は六十分でございます。  今回の改正でもって日本銀行が、中央銀行政府からの独立性確保する一方で、国民や国会に対して直接の責任を負う、アカウンタビリティーの問題でございますが、そういうふうな非常に重要な仕組みがこのたび導入になる。そういうことでまずは日銀金融政策というものについて。そうしてその後で、金融政策を考えるときに他の政策との整合性、それから金融政策目標というものをどういうふうに考えていったらいいのか。それから、独立性と一対のものなんですけれども透明性というもの、それで開かれた独立性という考え方を持って今回の改正が行われたわけでございますので、その辺について。過去のバブル期金融政策については衆議院でもさまざまな議論があったと思いますけれども、そういうデータ、経緯を踏まえて、限られた時間ですがお尋ねさせていただきたい、そして考え方をまとめていただきたい、こういうふうに思うわけであります。どうぞよろしくお願いいたします。  まず、今回の日銀法改正について、その背景としまして私は二点ほど考えております。  現行法律戦時立法的色彩が強くて、その中でも大蔵大臣の広範な業務命令権現行法で言うと四十四条とか、解任権四十七条といったようなものを初めとして、政府からの独立性が弱いということが問題視されたという背景一つあろうかと。これは過去にもいろんな問題になったことがあるわけですけれども法改正には至らずに今日まで来ておったと。  そして二つ目には、金融のグローバリゼーションということで、金融市場あるいは市場ルールというものが緊密化してきたり共通化してきたり国際化してきたという中で、やはり中央銀行金融政策あり方というものが、かつての窓口指導とか日銀貸し出しのような銀行向けの量的なコントロールからむしろ短期金融市場でのオペレーション、公開市場操作、そういったものを中心とする形に変化してきておる。そういう状況があって、この中で金融政策を有効に行うためには、内外市場参加者中央銀行スタンス、あるいは施策がどうやれば信認を得ることができるか、その信認を得ることが不可欠である。その場合の信認のベースとなるものとして、中央銀行政策決定独立性そして透明性という二つのものが必要だよと、こういうふうな背景があって今回の改正になった、こういうふうに私は考えておるわけでございますが、このたびの法改正意義づけにつきまして大蔵大臣一言所見をお伺いしたい、こういうふうに思います。
  5. 三塚博

    国務大臣三塚博君) 金田委員指摘のとおりの方向性でありますが、その意義ということになりますと、まさに御指摘のとおり日銀独立性政策決定透明性政府の関与というものを最小限にいたしまして、自立の中で金融政策をと、こういうことになります。物価の安定は金利政策によるという専管事項もこれありまして、今回の改正によりまして政策委員会強化議決事項の拡充、法定化、こういうことがございます。  その意義はということでありますと、既に外為法の際に御論議、御審議をいただきましたように、国際化時代に当たりまして、お金の特性からいいますと魅力のある市場というものが投資家にとりまして重要なポイントであり、預貯金者にとりましてもまさにその一点に尽きる。同時に、安定した金融システムの中でこれが行われる、こういうことで、全体的に言いますと金融システムの安定、維持というこの基本に立ちまして、外為法先行でお通しをいただきましたが、中央銀行である日本銀行がその使命の中で御努力をいただくということでございます。  世界は刻々進展をいたしておるわけでございまして、そういう中で日本銀行グローバルスタンダードのラインに位置づけをしていくということの中で日本銀行国民金融市場信認を得るために、ただいま申し上げました独立性透明性、そして開かれた独立性実現が不可欠であり、日本銀行法案におきましては、日銀金融政策独立性意思決定透明性を高めるという法改正をお願い申し上げたわけでございます。  日本銀行改革実現は、まさに金融システム改革と相まちまして我が国の金融そして資本市場に対する信認を高めるものと期待いたしておるところでございます。
  6. 金田勝年

    金田勝年君 大臣が今おっしゃられた趣旨というものがあって今回の法改正になったんですけれども、その原点にはやはり一九八〇年代後半のバブル発生崩壊に係ります金融政策に対する批判というものもやはり認識しなければならないんではないか、こういうふうに思うわけであります。  バブル発生崩壊というその過程については、新しく今度生まれる日銀市場信認を得るというためにも、過去の反省をやはりみずからの今後の教訓とするということが必要ではないかと。実際に、総裁経験者を初めとして、何人かの関係者が、当時の日本銀行金融政策には反省すべき点があったということを述べておられます。  例えば、三重野前総裁でございますが、「日本経済中央銀行」という本を書かれております。その中で、「バブル背景教訓」ということで、「当時の経済活動過熱全般について、金融政策面からもう少し早くブレーキをかけることができたら、経済活動振幅はもう少し小さなものになっていた。この点、私どもは大きな反省材料としなければならない。」と反省を述べておりますし、加えてまた、これも本に書いてあるんですが、金融政策運営はあくまで国内均衡、それもインフレなき持続的な成長実現という中長期的な目的にわりあてられるべきであって、行き過ぎた兆候が見られれば遅滞なく必要なアクションを講じるべきであるということを、述べておられます。  したがいまして、松下総裁、せっかくお見えでございますから、今般の法改正意義を考えるに当たっても、やはりその原点である過去の金融政策の上で非常に重要な事象であった、現行法のもとであったわけですけれどもバブル発生崩壊原因責任について、総裁としてどのように受けとめておられるかをお伺いしたいと思います。
  7. 松下康雄

    参考人松下康雄君) いわゆるバブル発生につきましては、自由化国際化などの経済環境の変化やまた首都圏への一極集中、あるいは土地取引に関します法制、税制などさまざまな要因が相互に複雑に影響し合った中で発生をしてきたものでございますけれども、そこにはやはり、今日から振り返ってみますと、長期にわたる金融緩和にもその原因一端がありましたことは否定できないと考えております。  バブル発生までの金融政策を振り返ってみますというと、当時、国内経済は一九八五年のプラザ合意以降の急速な円高進行に伴いまして、そのデフレ効果が強く懸念をされるという状況でありました。このため日銀公定歩合を二・五%まで引き下げまして、その水準を八九年まで据え置いたわけであります。当時は景気回復が次第に強まります中で、物価安定基調は維持されておりましたほか、国の経済政策面におきましても、大幅な経常黒字の是正やまた円高の回避が最優先の課題とされていた時期でございます。そういった中で、金融政策運営におきましても、いわばぎりぎりの選択を迫られたものと理解しておりますが、結果としてそれが、長期にわたる金融緩和発生バブル一端となったということであろうと思います。  その後におきまして、景気が急に拡大をし、マネーサプライも高い伸びが続きましたので、八九年には私ども金融引き締めに転じたところでございます。九一年の半ばには既に引き締め効果は確認をされましたので、同年中に三回の公定歩合の引き下げを実施いたしまして、その後も思い切った金融緩和措置を講じてまいりましたが、こういった金融緩和の推進にもかかわらず景気の低迷が長く厳しいものとなりましたのは、やはりバブル時代経済行き過ぎが極めて大きかったために、その調整がどうしても深くかつ長いものにならざるを得なかったという事情によるところが大きいと思っております。  このように、バブル発生崩壊経済に大きな振幅をもたらした経験金融政策あり方につきましても重い反省をもたらすものであると受けとめておりまして、私どもとしましては、当時の教訓をしっかりと念頭に置いて適切な金融政策運営を行ってまいるように努めてまいる考えでございます。
  8. 金田勝年

    金田勝年君 今、丁寧な説明総裁からありましたので、繰り返しにならないように申し上げようと思うんですが、公定歩合それからマネーサプライ、そして地価上昇率、それからその後の姿ということでちょっと見ていきますと、GDPなんかも見ていきますと、公定歩合でございますけれども、わかりやすく年号で言いますが、昭和六十二年の二月から二年以上、厳密には六十二年の二月から二・五%に、そして平成元年の五月まで続くわけであります。二・五%低く据え置いた。そして、平成元年の五月に三・二五に引き上げるまで二年三カ月低く据え置いておったわけであります。その結果、六十二年の第二・四半期から平成二年の第四・四半期まで、おおむね四年の間マネーサプライ伸びは前年同期比で一〇%以上の伸びを続けるということになっておったわけであります。平成二年の第四・四半期までですね。  今現在の数字でいきますと、マネーサプライというのは大体三%程度でございますから、その数字がいかに大きいかということはおわかりいただけると思うのでありますが、名目GDP成長率伸びというものがこの一〇%以上のマネーサプライ伸びに対してかなり低くて差があったわけでありまして、その名目GDP成長率を上回る率でこのマネーサプライ伸びがあったということが現実として四年続いたということであります。  ところが、この同じ時期の地価上昇率を見ますと、商業地東京圏を見ますと、昭和六十二年の七月にはもう既に上昇率ピークを打っておる。そして、東京圏住宅地は翌年の六十三年の一月にはもう既に住宅地の方も上昇率ピークを打っておった。平成元年の一月にはすっかり上がり切ってしまって、対前年のその伸び率というのはもうゼロになっておったわけであります。その時点でもマネーサプライはどんどん伸びておったわけであります。  その平成元年の一月ですけれども、こういう時期になりますと、名古屋とか大阪とかそういう地方の都市圏も全国的にもう既にバブルが波及してしまっておって、公定歩合の引き上げがそういう状況のもとで初めて行われたけれども、結局そのマネーサプライの方の伸び平成二年の第四・四半期まで続くと。こういうことで考えますと、結局金融緩和がなぜ変更されなかったのか、それから投資資金が大量に土地に流入してしまって地価上昇したのにこれをなぜ見過ごしてしまったのか、いろんな反省材料というのはあると、こういうふうに思うわけであります。  そうして、去年は住専、それから金融システム法案審議にも私ども一生懸命頑張りましたが、不良債権問題という問題が起こって、結局資産価格の急激で大幅な変動が起こって、国民経済に甚大な影響を及ぼした。こういうことに対する的確な認識というものを金融政策の当局としては十分に基本に持っていただいて、これを教訓として、さて今後どうするかということを考えていただかなければいけない。そこで、何を教訓としたのかということもあるわけであります。  ところで、その当時の株価についても言い忘れましたのでちょっと申し上げてみますと、昭和六十年の末から平成元年の末までの四年間で、結局平成元年の末にピークを打ったんですけれども、その四年間で株価は三倍に上昇したのであります。そうして、地価商業地中心に、先ほど申し上げましたが、三倍程度上昇を見ておった。その後、株価はわずか三年半でピークから六割以上も下落しておったと。地価に至っては最近の数字まで三角印の下落が続いておる、こういう状態だと。  先ほど言いましたような、いかに資産価格の急激で大幅な変動があったかということを申し上げているわけですけれども、こういうふうな状況の中で金融政策の遂行というのは日銀専管である。そういうことで、経済政策全体に対する責任というものは、ところが日銀一人で背負えるものではないわけであります。私ども政治家立場あるいはほかの行政府立場、いろいろかかわりが非常に深いわけでありまして、やはり国民の負託を受けた内閣というものが、やはりどうしてもこういう経済問題になった場合には責任を負わざるを得ない。  そういう中で、考えなければいけないのは、こういう経験をしてどういう反省をしてどういう教訓を得て、そうして今後の金融政策運営にどういうふうにその教訓を生かしていくのかというところだと思うんですが、これについて総裁、以後問いが多いものですから、簡単で結構でございます。よろしくお願いいたします。
  9. 松下康雄

    参考人松下康雄君) ただいま御指摘がありましたバブル経験に基づく金融政策上の反省点でございますけれども、御指摘の中の一つ資産価格というものの重視が必要だということがあったと思います。私どもも、当時は一般の物価が安定しておりましたことに対しまして資産価格上昇していたことの意義についてより的確に判断すべきではなかったかというふうに考えております。  それからいま一つは、金融政策を行ってまいりますときに、対外的な均衡の取り扱いをどう考えるかという点でございます。これは、やはり国の当時の円高進行国際収支黒字の増大というものが非常に大きな要因として、経済の問題でございましたから、これを意識していたことは間違いございませんけれども、やはり全体として見て金融政策を行ってまいりますには、それぞれの国の中での持続的なインフレなき安定成長を達成するということが主眼でありまして、過度に為替問題その他の対外均衡問題を金融政策目標に置くということは、行き過ぎは問題であるというふうに考えております。  いま一つマネーサプライの点について御指摘がございましたが、確かにマネーサプライの係数というものも、これはかつてのようにそれ自体を金融政策目標に置く国は必ずしも多くございませんけれども、やはり経済活動の先行きに重要な影響を持つという点で、これは物価の指標と並んでよく重視をしてまいらなければならない点であると思っております。
  10. 金田勝年

    金田勝年君 対外的な均衡行き過ぎてはいけない、それぞれの国の中でのインフレなき持続的な成長といいますか、そういう国内的な側面を考えていくべきだ、そしてまたマネーサプライについてもしっかりと受けとめていくべきだというお話でございます。  今回、日銀法改正するわけでございますが、そうした教訓は、制度改正法改正にどのように具体化されているものでありましょうか。加えて、今回の日銀法改正によりまして今後バブルは再発しない、そこは日銀がしっかりやるんだということと受けとめてよろしいのでしょうか。
  11. 松下康雄

    参考人松下康雄君) 今回の日銀法改正によりまして、現行日銀法の建前が、金融政策に関しましての日本銀行独立性強化という点と、しかしながら、独立性強化すれば必ずそれに伴って政策決定運用は透明でなければならないという点と、またあわせて日銀国民に対する説明責任が加重されるというこの点が基本考え方であると思います。  こういう点が改正されることによりまして、私ども政策判断についてのいろいろな措置というものに対しましては責任が重くなった分、それだけ私どもとしては真剣に政策に取り組んでまいらなければなりませんし、また政策効果というのは中央銀行に対する国民信頼性、それから内外市場信認というものが非常に大きな役割を持つと思うのでありますけれども、このように海外の主要先進国中央銀行制度に比肩し得るしっかりとした中央銀行制度をつくっていただくということで、私ども政策に対するそういった意味での信頼感が高まってくれることも効率的なよい政策運用の上に効果があるものと考えております。
  12. 金田勝年

    金田勝年君 今の御答弁独立性確保ということが出たんですけれども繰り返しのような質問になるんですが、お答えいただきたいと思うんです。  日銀は、バブル発生崩壊期を含めて現在まで実質的には独立して政策運営を行ってきたのではないか。まさか日銀独立性がなかったからバブル発生したんだとも思えないんですけれども、そこはいかがでございましょうか。
  13. 松下康雄

    参考人松下康雄君) おっしゃいますように、日本銀行法は戦後、政策委員会制度を導入いたしまして、それ以後、金融政策につきましては日本銀行独立性を尊重しながら運用するというふうに、私どもは各方面の御理解を得ながら注意深く制度運営は行われてきたと考えております。したがいまして、私どもとしては、バブルの時期も含めまして、やはり戦後におきまして政策委員会制度発足以来、私ども自身判断責任金融制度を行ってきたというふうに思っております。  この点につきまして、法律改正によりまして独立性強化されることの意義でございますけれども、それはやはり現在までの運用がそういうことで参っておりますが、今後なお経済市場化金融国際化が一段と進展をするという中で、先ほども申しましたように、中央銀行に対します信認を維持しながら適切な政策運営確保してまいりますためには、やはり実態に加えて条文そのもの規定制度そのものにつきましてもいわば名実とも独立性確保されるということが非常に大事なことであると考えているところでございます。
  14. 金田勝年

    金田勝年君 現在まで、実質的には独立して政策運営を行ってきたというスタンスはお認めいただいておるようでございますが、実際にはそれは運用でカバーしてきた、こういうふうにお聞きしたわけでございますが、内外信認を維持するためには形式的にもそれがきちっと制度上整理されなければいけない、こういう御答弁かと思うんです。  そうなりますと、要するに日銀法改正におきまして、日銀の行います金融政策になぜ独立性確保が必要なのかとなるわけでございます。要するに形式論のことなのか、まあ形式論のように思えるんですが、改正法のもとで日銀は実質的にはどう変わるんだろうか。制度上は対外的にも信認ということがありますから、そういうことがきちっと整理されていなければいけないんですが、実質的にはじゃどこが変わるんだろうか、今回の法改正で、独立性という意味で、そこのところをお聞きしたいわけですが、それは後で答えていただきます。  ここで、ちょっと大蔵省にもお聞きしたいんですが、日銀金融政策に係る独立性につきまして、これまで大蔵省配慮というものは十分であったかどうか。そして、例えばそういうことは絶対あり得ないというふうに思いますが、日銀バブル発生とか崩壊過程で適切な手を打てなかったのは、大蔵省からのまさか圧力があったためだといったようなことはないだろうなと思うんですが、その辺についてまず大蔵省からお答えいただきたい。
  15. 武藤敏郎

    政府委員武藤敏郎君) ただいま総裁の方からもお話がありましたとおり、現行日銀法のもとにおきましても、法律上はいろいろな御承知のような問題があるわけでございますが、実質的には金融政策の最終の決定権につきましては日銀政策委員会というふうに明確にされておりまして独立性配慮がなされておりますし、この規定のもとで従来から日本銀行におきましてみずから判断されてきた。大蔵省から何か金融政策圧力を加えてこれをゆがめたといったようなことはないというふうに考えております。  特に、今御指摘のありましたバブルのときの財政政策金融政策かかわりについて、いろんなことの議論があるわけでございますけれどもプラザ合意後の急激な円高に伴う不況ということについて、当時、内外から何が求められておったかといえば、内需の拡大と急激な円高の阻止という二つ政策目標、これを同時に達成するということであったわけでございまして、そういう意味で、金融政策というものが長きにわたって緩和政策がとられたということであります。  御承知のとおり、いわゆるバブルというのは昭和六十二年から平成二年ぐらいの四年間を言うわけでございますけれども財政につきましては当時財政再建ということで、大変厳しい財政事情を踏まえた議論がなされておったわけでございますけれども、そういう状況下にあっても、昭和六十一年の九月、これは三兆円余りの財政出動をいたしておりますし、昭和六十二年の五月には六兆円に上る大変巨額な財政出動をやったということでございまして、決して財政金融政策に過度の負担をかけたといったようなことはないというふうに思っております。そういう批判は私どもとしては当たっていないのではないかというふうに思っております。
  16. 金田勝年

    金田勝年君 そういうことで、結局日銀金融政策に係る独立性というものがバブルの時期には実質運用ということですけれども、カバーされておった。しかし、今回は法改正をして独立性というものを前面に押し出した。これは先ほどの御答弁のように内外信認を維持するという非常に重要な目的があるんだと。これは形式論のことだと思いますので、もう一回総裁日銀は実質的にどうこの改正法のもとで変わろうとしているのか、そこのところを簡単にお願いいたします。
  17. 松下康雄

    参考人松下康雄君) 独立性の必要性と申しますものは、通貨信用の調節によって物価の安定を確保していくということは、一面で非常に効果発生するまで時間がかかることでございます。それからまた同時に、最近では市場の取引を通じて金融政策の浸透をさせますので、そこには非常に専門的な知識、経験が必要になってまいります。そういった点を考慮いたしまして、金融政策を決めます場合には、長期的な金融の安定を実現するための専門的、中立的な機関である中央銀行にその判断をやらせようという趣旨であると考えております。  私どもは、そういう趣旨から今回政府のいろいろな監督権が削除をされるというような根本的な改正が行われておりますので、そのことはすなわち私ども自体の金融政策に対する責任が非常に強化をされるということだと思っております。私どもが国会を通じ、また行政府を通じて国民に対して自分たちの決定をしました金融政策についての説明を行っていく責任が重くなります。そういうことから、私どもは内部改革を続けまして、できる限りより適正な金融政策の遂行ということが可能になるように十分な努力をしてまいりたい。その努力を行います上で、今回の法律改正は非常に力になるものであると認識をしております。
  18. 金田勝年

    金田勝年君 そこで、今回のかなめとなります政策委員会が最高意思決定機関であって、これを強力に位置づけるということでございますけれども、まずその独立性の観点で、今回の日銀法改正の内容は、いわゆる海外での中央銀行独立性強化の動きなんかと比べまして、グローバルスタンダード、国際基準からいって遜色のないものになっているかどうかという点について、一言お願いいたします。
  19. 松下康雄

    参考人松下康雄君) ただいまの時期は、ちょうど各国で中央銀行制度の見直しが並行的に進んでいる時期でございます。特に、ヨーロッパで欧州中央銀行の設立を目指しまして、関係の各国が一斉に中央銀行制度独立性強化透明性の向上という方向で見直しを図っております。  また、私ども中央銀行研究会、金融制度調査会等で御議論をいただきますときにも、そのような海外の動向は十分注意をいたしまして、今回の日銀法改正案は、その個々の具体的ないろいろの規定につきましても全体としての独立性を尊重していくための配慮が随所に生かされていると思います。総体として見まして、私は主要先進国の現在の中央銀行制度に比べて決して引けをとる内容ではないと思っております。
  20. 金田勝年

    金田勝年君 それを聞いて安心したわけでございますが、今回の日銀法改正によって政策委員会独立性を持つ、これは日銀金融政策決定の自主性が確保されるということになるわけですけれども、これはその金融政策の結果に対して一段と日銀責任を明確化するものだと考えますが、それでよろしいですか。
  21. 松下康雄

    参考人松下康雄君) そのとおりでございます。
  22. 金田勝年

    金田勝年君 そうなってきますと、その政策委員会独立性ということが非常に重要になってくるわけであります。  今まで、政策委員会と言われるのは現行法のもとではスリービングボードと、こういうふうに言われておって、役員集会というその理事会ですか定款十三条による役員集会があったと、むしろそっちの方で十分な議論をして形式的に政策委員会が存在するということになっておったわけですが、それが大幅に改まるということになるんですが、やはり、問題はこれから新法のもとで政策委員会の活性化が着実に確実に担保されるかということであろうかと、こういうふうに思うわけであります。  役員集会あるいは理事会というんでしょうか、日銀の執行部が実質的に金融政策を決定しておったこれまでとは全然違うんだというところがきっちりと担保されるためには、やはり私としては議事内容とか参考資料の事前通知とかさまざまありますけれども政策委員会運営方式というものを大幅に改善していかなければいけないのではないか。制度ができたからそれでいいということにはならないわけでありまして、こういう運営方式を十分改善していかない場合には、またまたこれがスリービングボードだと言われてしまうおそれがあるわけであります。そういう点につきまして、政策委員会の活性化、これをどのようにお考えかということを教えていただきたい。
  23. 松下康雄

    参考人松下康雄君) 政策委員会につきましては、まず行内での役員集会の審議を経て議案が出るという建前を根本から改定いたしますために、銀行内の役員集会は廃止することとしております。これによりまして政策委員会名実ともにワンボードということになるわけでございます。また、この政策委員会が十分な機能を発揮していただくためには、今御指摘がありました付議内容や審議資料というものを事前に送付するというような手続も重要でございますし、またこれに伴ってスタッフにつきましても外部登用を含めて充実を図っていく必要があると思っております。  さらに、今回の制度改正によりまして、金融政策に関する政策委員会の議事要旨を公表するということになっております。したがいまして、そういう点からこの政策委員会での審議の内容というものは一般に説明をされるわけでございますので、これらのいろいろの制度的な改善と運用の改善によりまして、政策委員会の実質的な活性化、強化を図ってまいることができると思っております。
  24. 金田勝年

    金田勝年君 ぜひ、そういう努力をしていただきたい。  五月二十二日の新聞に、これは御存じのとおりでありますが、日銀緊急会見ということで、この間ですけれども、連合の事務局長が来られたときの副総裁の発言で、市場長期金利が二・六%台まで上昇した、そして日経平均株価は二万円台をすぐに割ってしまった。この事実は、いかに政策委員会で今一生懸命独立性を持たせてやっていく、ワンボードにするんだ、頑張るんだというふうにおっしゃっていますが、現在副総裁というのは政策委員でもないわけですね。そういう状況のもとで、執行部であるというだけで、発言をしただけで長期金利が上がってそして株が二万円を割ると。これが、日本の金融政策の現状だともしするならば、日銀はここを非常に気を引き締めてきちっと今度の制度改正を受けとめて頑張っていかなければいけないのではないか、こういうふうに思うんです。政策委員会を本当に機能させる、そのためには運営方式その他いろいろな努力をこれから重ねていく必要があるのではないかということを申し上げて、次に移らせていただきたいと思います。  次は、この独立性と関係あります透明性確保なんですが、その前に政策整合性についてちょっと一点御質問させていただきたいと思うわけであります。  日銀金融政策というのが、政府経済政策とばらばらに行われたのでは国民経済国民はたまったものではないということは当然のことであります。これは随分昔の例なんですが、昭和五十七年の七月、郵便貯金目減り訴訟というのがあったんですけれども、その最高裁判例で、途中省略しますが、政府経済政策を立案施行するに当たり、右のような諸目標物価の安定とか完全雇用とか国際収支とか適度な経済成長とかいろいろ挙げてあるんですが、そういう諸目標を調和的に実現するためにその時々にいかなる措置をとるべきかは、専ら政府の裁量的な政策判断にゆだねられている事柄であるという見解を最高裁判所が示しております。  こういうことを申し上げるまでもなく、松下総裁大蔵省を本当に全部御存じの方でありますし日銀のことも全部御存じということですから、お答えいただくのは非常に簡単かと思いますが、要するに政府が諸目標を調和的に実現するためには、日銀金融政策政府のほかの経済政策と当然にして整合的であることが強く求められるということが考えられるわけであります。そのためには、改正法の四条にも「政府と連絡を密にし、十分な意思疎通を図らなければならない。」というところがありますが、政府経済政策日銀金融政策が整合的であることが強く求められるという点に関しまして総裁の御意見をお伺いしたいと思います。
  25. 松下康雄

    参考人松下康雄君) 日銀金融政策が、政府経済政策と整合的である必要があるという点はまさしく御指摘のとおりでありまして、それは私ども金融政策運営を行ってまいります際に常に銘記しておかなければならない点でございまして、そのことがあって初めて中央銀行独立性というものが一般に認められることになるものであると思っております。  このために、今回の改正法におきましても、ただいま御指摘がありましたような、一般的な規定のほかに、金融調節事項を審議する政策委員会に対する政府の出席でありますとか、議案提出権、議決の延期請求の権利というような透明性を高める制度が具体的に盛り込まれているところでございます。  私どもとしましても、こういう法律趣旨を尊重しまして、これは平素から政府との間の意思と情報の疎通をお互いに図るということが重要な点であると思いますので、そういった点に留意をしながら適切な政策運用に当たってまいりたいと思っております。
  26. 金田勝年

    金田勝年君 そこで、ただいまの政策整合性に加えて、私は非常に重要なこととして、次に金融政策目標の設定というものを考えていくべきではないか、こういうふうに思っているのであります。  先ほどの総裁の御答弁で、政策委員会というものができて独立性が高まると、政策委員会独立性を高めるという今回の法改正を行えば金融政策についての責任がより明確化されるということのお話があったわけですが、その延長線の問題なんですが、やはり独立性確保というものについては最高意思決定機関である政策委員会がその決定に責任を持つことで担保されるわけですから、金融政策の結果というのは、やはりその結果を評価しなければいけませんし、責任の所在が明らかにならなければいけない、こういうことは非常に国民のためにもこれはぜひとも必要なこと、こういうように考えられるわけであります。  そのときに、どういうものを金融政策目標にするかというのは今後いろいろ詰めていただければいいと思うんですが、その目標一つとしては、例えば物価とか、先ほど申し上げた資産価格ですね、土地とかいろいろございますがそういうもの、あるいはマネーサプライ、そういったものをやはり金融政策目標ということでとらえていく、そういう努力があると非常に、後に経済政策に対する、金融政策に対する評価も、それから責任の所在というものも明らかになってくるんではないか、こういうように思うわけであります。  現実に、御存じだと思いますが、イングランド銀行改革で、去る五月六日ですか、イギリスの大蔵大臣のステートメントで、政府経済政策目標を設定する責任国民に対して負っている、金融政策目標を設定するのはイングランド銀行ではなく政府でなければならないということになるということを言っておりまして、政府がその目標を設定するということをイングランド銀行改革に関連してイギリスの蔵相は言っておるということがあるわけです。  この辺、金融政策遂行に当たっての目標を事前に設定することを、どのようにお考えでございますか。
  27. 松下康雄

    参考人松下康雄君) 私ども金融政策目標は、法律の定めがございますように、物価の安定を通じまして経済の安定的な成長に資するという点にあるわけでございますけれども、この目的を達成いたします上で何らか具体的な数値目標を設定することが適当であるかどうかという問題がございます。それは御指摘のとおりであります。この点につきましては、これまでも外国の例を見ましても、いろいろな議論が行われているところでございます。  このような、数字目標をきっちりと定めるという方式をとります場合には、中央銀行がよって実現をすべき目標が非常に明確になるという点で、責任が高められ、政策運営に対する信認確保できるという利点がございます。  ただ、一方で非常に厳格な目標値を数字で設定いたしますと、かえって場合によっては弾力的な政策運営が阻害されるのではないかといった問題点も指摘をされることがございます。また、その場合に、どのような数値を、どのような計算を行っていくことが適切であるかという点につきましては、現状では、なお国により、また学者の方々等の意見によっていろいろと差があるのが現実でございまして、一つのターゲッティング、目標を定めましても、何か特別の例外があった場合、例えば石油ショックのようなものが起こりました場合に、どういうふうなこれは対応をするかというような点も、なかなか各国のやり方が一致していないところでございます。  こういうことはございますけれども、要は金融政策につきまして、はっきりと国民に納得をしていただけるためにはどういう説明をいたすのが適切であるかということ。それからもう一つは、さらに重要なことは、現実の経済判断していきます上に私どもがどの数字を手がかりにするのが一番適切であるかという、この二点が大事な点であると思います。  これまでは、私どもはいろいろな経済指標を総合的に勘案をしながら物価の安定に資するという、その一点に絞って判断をしてきたわけでございますけれども、なお今後におきましても、そういう点につきまして、よりよい数字的な手がかりというものが得られるのかどうかという検討は進めていきたいと思っております。
  28. 金田勝年

    金田勝年君 物価の安定に資するという考え方のときに、例えば過去の教訓を得たわけですから、資産価格とかそういうものもどうだろうかとか、あるいは日銀と言えば金利という形でとらえるのではなくて、金利のコントロールに加えてマネーサプライをコントロールするやり方はどうだろうかとか、さまざまな角度から責任の所在を明らかにする、あるいは金融政策目標を明らかにする、そして結果も評価できるという形に近づけて、国民にわかりやすい金融政策というものを提示していく必要があるのではないか。  繰り返しになりますが、アメリカではハンフリー・ホーキンズ法というものがあって、マネーサプライ伸び率目標値を議会に報告するということになっておるわけでございまして、こういう努力を着実に重ねていくことが新しい日本銀行のやるべきことではないか、こういうふうに思うわけであります。ただいまの話は、金融政策目標の設定をぜひお願いしたいという話でございまして、総裁から検討中であるというお話をいただきましたので、私も次に移らせていただきたいと思います。  先ほどの独立性強化ともう一つ大事な政策決定透明性という、その透明性の概念について少し質問をさせていただきます。中央銀行研究会の去年の十一月のキーワードは、開かれた独立性というワードでした。この開かれた独立性ということは、透明性確保というものをあわせ持つ独立性である、こういうことであります。市場信認を得るためには、金融政策の決定が、そのプロセスが市場参加者にすべて公開されなければいけないし、国会等においては説明されなければいけないということがいかに重要かということをあらわすものということで、非常に重要だと私も思っているのであります。  こういう中で、今回の日銀改正法案で、日銀の国会への報告、それから国会への総裁初め方々の出席義務、議事録の公開、それから業務概況の報告といったような規定は、日銀金融政策の決定、運営に対してどのような意義を有するというふうにお考えか、総裁に一言お聞きしたいと思います。
  29. 松下康雄

    参考人松下康雄君) 今回の日銀法改正法案におきましては、国会との関係につきましては、政策委員会の構成メンバーの大事についてすべて両議院の同意を要するということがあり、また、現在年一回とされております政策委員会からの国会に対する報告書提出を年二回に充実すべきこと、また、国会から求められた場合の日本銀行の幹部の出席義務等につきまして明文の規定が置かれることになっております。  私どもは、日本銀行国民市場から信認を得まして政策運営していくためには、個々の政策判断についての責任の所在を明らかにするという意味での独立性が重要でございますけれども、これに伴って政策運営透明性を高めていく、国会を通じて国民に対して説明責任を十分に果たしていくということが極めて重要な点であると思っております。今後とも、この点はよく自覚をいたしまして努力をしてまいりたいと思っております。
  30. 金田勝年

    金田勝年君 まさに日銀は、政府からその独立性確保する一方で、国民や国会に対してやはりアカウンタビリティー、説明責任を負うんだと。直接の責任を負うんだということを非常に重く受けとめていただいて、そして独立性が高められる以上は結局政策決定のプロセスが国民にわかりやすいものにならなければいけないわけでございまして、そういう意味でも、これからは政治と向き合うといいますか政治に対応するといいますか、そういう側面が非常に強くなってくるんだなと。そして、直接の主権者である国民に向けた議事録の公開とか、そういった政策透明性の手続も最大限に実行していただかなければいけない、こういうように思うわけであります。そういう中で、中央銀行たる日銀の職員の皆さんの本来の志とかロマンというものが生きてくるんではないかなと、こういうふうな感じがするわけであります。  そこで、時間も少なくなってまいりましたので、その開かれた独立性、非常にキーワードなんですが、これを担保するために日銀が国会に報告するということはあるわけでございますが、これは非常に重要な部分だと私どもは考えております。国会の側の役割が高まるのであります。この大蔵委員会の役割も高まると、こう信じておるわけでありますが、金融政策についての議論を積極的に、日銀の報告あるいは資料に基づいて行っていくという、そういう重要な役割を果たすことになると思います。これにつきまして、大蔵大臣のお立場で、あるいは立法府の国会議員のお立場でのお考えをお聞きしたいと思うわけでございます。
  31. 三塚博

    国務大臣三塚博君) 日銀金融政策独立性が高まるにつれまして、国会に対する報告等の規定の整備充実を通じまして、日本銀行国民や国会に対するアカウンタビリティー、いわゆる説明責任を明確なものとすることが重要である観点から、改正案におきましては、ただいま総裁からも御指摘のとおり、国会に対する報告、年二回の報告書を提出すると。随時、委員会の御要請に従いまして国会に出席をし、その時点における報告、質疑に応じてまた答弁をいただくと。こういうことの中で、そのことが政策決定への道筋の重要な部分になるわけでございますから、そのことはまさに大事なことだと思っております。  実際にどのような説明質疑の場が設けられるかは国会において定められる事項でございまして、開会中の国会に対する報告の規定の整備充実など日銀金融政策についての活発な論議が行われるよう、ただいま大蔵委員会責任ますます大という御指摘がございましたが、両々相まちまして、国会が日本銀行金融政策に関しさらに重要な役割が果たされていくものと期待をいたします  し、考えるわけでございます。
  32. 金田勝年

    金田勝年君 同じ質問を総裁に、決意とも言うべき御答弁かとは思いますが、よろしくお願いいたします。
  33. 松下康雄

    参考人松下康雄君) 私どもといたしましても、日本銀行政策決定透明性向上の大きな柱であります国会への報告につきましては、これを誠実に行ってまいりたい、内容も充実したものにいたしたいと考えているところでございます。そういった私どもの考えを受けとめていただきたいと存じております。
  34. 金田勝年

    金田勝年君 私、限られた時間でございましたが、そういう形で今回の改正というのが非常に開かれた独立性、そしてその以前の問題として、やはり過去の金融政策反省教訓、そういうものを制度改正の時期にしっかりと踏まえた形で対応していただきたいということ、それに加えて今回の制度改正でもってその独立性強化透明性確保ということ、そして政策整合性ということ。それから、やはり金融政策にも後でその結果を評価できるような、そして評価した上で責任の所在も明確になるような、そういうふうな努力を一層続けていく必要があると。政策委員会の権限が強化されるわけですけれども、その運用といいますか、それが非常に重要になってくるので、その辺もお願いしたい。以上、申し上げさせていただきました。  時間がちょっと残っておりますので、一点だけ。きょうの新聞に、きのうの総裁の会見が出ておりました。その件についてお聞きしておごうと思います。  第一勧業銀行事件でけさの新聞、総裁の会見では、九一年八月の考査で隠ぺいがあった、そして九六年一月の時点の考査で、調査表は提出されているが引き続き調査をするというふうな記事だったように思うんでございますが、これは日銀の考査の話であります。今までは大蔵省が検査をやっておって、これから金融監督庁が検査をするということになるわけですけれども、その日銀の考査でもってこの第一勧業銀行事件の総会屋の親族企業向け融資というもの、これは考査を九六年一月の時点で受けた、調査表が出されたというのは事実でしょうか。そして、このときに日銀は不正行為は見抜けなかったのでありましょうか、その点ちょっと教えてください。
  35. 松下康雄

    参考人松下康雄君) 前回の調査は平成八年一−二月でございますけれども、このときには小甚ビル及び小池嘉矩向けの融資につきましては、先方から貸出調査表の提出を受けまして内容の審査をしたところでございます。ただ、その際には、その資料には債務者の属性やあるいは背景等については記載がなく、また説明もありませんでしたために、私ども考査に参りましたけれども、これは一般融資案件としましてその内容が返済が極めて望みがたい状況になっているということは把握をし査定をいたしましたけれども、この総会屋とのつながりがあるということにつきましては、把握ができなかったところでございます。
  36. 金田勝年

    金田勝年君 一般論としてですけれども、仮に考査によって不正行為といいますか、不正を認識した場合には、日銀大蔵省に対して業務改善命令等のアクションを求めるようなことはしないんでしょうか。  そしてまた、大蔵省の要請で資料を提出するというようなことが定められておるんですけれども、こういった場合に、むしろ日銀の方から積極的に資料を提供するといったようなこともあっていいんではないかと思うんですが、その辺はどういうふうにお考えでしょうか。
  37. 松下康雄

    参考人松下康雄君) 現状におきましては、この考査と検査との間では、個別の融資案件に関する連絡をその都度例えば実施をするというようなことは通常いたしておりませんけれども、ただ、必要がございました場合、つまり、相手先の経営内容に問題があるとか、あるいは特別この法令違反が明らかであるといったような場合には、これは大蔵省に対する連絡を個別に行うことにいたしております。  これは今後につきましても、やはり検査・監督の検査機関と、政府の検査機関と日本銀行の考査との間には日常の意思疎通を行いまして、問題のある案件があります場合には、御指摘政府側から日銀に対する要請が機動的に行われるように平素心がけておきたいというふうに思っております。
  38. 金田勝年

    金田勝年君 以上で終わります。
  39. 阿部正俊

    ○阿部正俊君 自由民主党の阿部正俊でございます。  私は、今回の日本銀行法改正案、全文改正ということでございますが、これについて質問するに当たりまして、ただいまの同僚の金田先生と大蔵あるいは日銀総裁とのやりとりをお聞きしていまして、いわばプロのやりとりだなというふうに思うわけでございますが、私はどっちかといいますと少し気楽に、サッカーで言えばお二人はサッカー場の中で押し合いをして試合をしていただく、私はむしろサポーターといいましょうか観客といいましょうかということの視点で、少し気楽に御質問をさせていただけたらなというふうに思っておりますので、よろしくお願い申し上げます。  まず第一に、これは質問通告しておりませんが、山口局長、ちょっとお願いしたいんですけれども局長は、私かつて役人していましたときにお互い御苦労かけ合った仲に甘えましてちょっとお手伝いをお願いしたいんですけれども、ここにこういう字があります。これはある人の名前なんですけれども、これは何とお読みしたらいいんでしょうか。(書画掲示)
  40. 山口公生

    政府委員山口公生君) 通常ヒラバヤシと読むケースの方が多いと思いますが。
  41. 阿部正俊

    ○阿部正俊君 恐れ入ります。余計なことを申し上げて恐縮でございますが、これは落語の話にございまして、まさにヒラバヤシさんというふうに読むのを予定していたんですけれども、ある小僧さんに対しましてお手紙を届けてこいということで、例えば根岸の平林さんのところに届けてきなさいということで使いに出した。間違ってはいかぬということでこういう紙を持たしてやったんだそうです。家は知らないけれども、そこに行けば有名な人だから、根岸に行けば、これを平林さんと聞けばすぐわかるからと言ったんですけれども、忘れてしまったんですね。さあ、何と読むのかわからなくなっちゃった。ヒラバヤシさんと出てこないものですから困っちゃって、例えばこれをヒラリンさんと読んでみたり、ヒラリンさんていますかと言えばいないというわけですね。次に今度はタイラバヤシさん、それもいない。うっかりすると今度、一八十の木木と読むんです。一と八と十の木が二つですから木木ですね、それもいない。  ばかみたいな笑い話なんですが、要するに人の名前といいますのは相当大事な要素なんだなということを改めて思うわけでございますけれども、これはまさに落語のまくらと思ってお聞きいただいたつもりでございます。  さて、今回改正が予定されております日本銀行につきましてどういうふうに読んだらいいんだろうかなというふうに改めて思ったときに、改正法案の十三条に規定がございます。山口局長、申しわけありませんけれども、十三条をちょっとお読みいただけませんでしょうか。
  42. 山口公生

    政府委員山口公生君) 第十三条、「日本銀行でない者は、日本銀行という名称を用いてはならない。」。
  43. 阿部正俊

    ○阿部正俊君 ありがとうございました。  実はこの規定は私の見た限りでは旧法にはない規定でございます。それで名称というのは漢字で書くというだけではなくて、読み方もあるいは含むのかなというくらいに思うわけでございますけれども、実は大蔵大臣、きのうも私本会議場で、ほかのこと聞いていなかったわけではございませんけれども大臣は何て言われるかな、数えました。  本会議場での趣旨説明では、総理は十二回言われました。そのうちでニホン銀行と言われただけで、ニッポン銀行というのは一回も出てまいりませんでした。それから大蔵大臣は、本会議場では十七対三でさすがにニッポン銀行の方が多くございました。十七対三でございます。それから昨日のこの委員会での御提案のときには三回言われましたけれども、これは事務方から言われたのかどうか知りませんけれども、三回ともニッポン銀行でございました。  これは、私は、やはり今ここに千葉先生なんかおられますけれども、夫婦別姓とかで名前というのは非常に大事なものじゃないかな。今度日本銀行が新しく独立する、開かれた独立性あるいは自主性というものを強化するというならば、名前もやはりちゃんと一つにすることによって初めて独立というのはあるんじゃないのかな、こんなふうな気もするわけでございます。どっちでもいいやということではないような気もするんですけれども、この辺について日銀総裁はどんなふうにお思いでしょうか。ちょっと感想を聞かせていただきたいと思います。
  44. 松下康雄

    参考人松下康雄君) 私どもも、何らかの規定がございまして当行の名前の発言が統一されているわけではございませんけれども、ただ、私どもで発行いたしております日銀券の裏側をごらんいただきますと、一万円も千円もそうでございますが、ローマ字で「NIPPON GINKO」と印刷をさせていただいております。このことから考えまして、私はできる限りニッポン銀行というふうに読むことにいたしております。
  45. 阿部正俊

    ○阿部正俊君 それで、実はこの旧法はよく考えたら十七年の制定の法律なんですね。私も実は十七年生まれでございまして、古くなったのかな、やはりこのぐらいになれば変わるということが一つの節目なのかな、自分も変わらにゃいかぬなと改めて思った次第でございますが、昭和十七年というのはシンガポール陥落の年でございますけれども、やはり古かったんだな、新しくなろうと、こう思うわけです。  となりますと、これは新しくなるためには、改めて名前も可能ならばきっちりもう一回はっきりさせた方がいいんじゃないか。橋本総裁には恐縮でございますけれども、先ほど言いましたように、本会議で十二回ほど言われたうちでニホン銀行が十二回、ニッポン銀行は一度もなかったということでございます。今度の法律も、生まれた子供の名前をつけるのは親の仕事でございますが、親はだれだろうかということを考えると、多分橋本総理かなと。ビッグバンなり金融システムなりの改革を提唱されたのは橋本総理だ、こうなっているんで、ですから可能ならば総裁、一度橋本総裁、同じ総裁ですけれども、総理のところにおかれまして新しいお名前をおつけいただいたらいかがかなというふうに私はお願いし、提案したいと思いますけれども、そんなお気持ちはございませんでしょうか。何か総裁の御意見がありましたら、お聞かせください。
  46. 松下康雄

    参考人松下康雄君) 御注意をいただきましたので、私もそのようにひとつ考えてまいりたい。日本銀行の広報機能を使いまして、この名前が定着をしていくように努めたいと思います。
  47. 阿部正俊

    ○阿部正俊君 もう一つ、これも質問通告していないので恐縮ですが、こんなの常識だと思いますが、この日本銀行券、一万円札と一千円札、私ポケットから今出してみたんですが、これはどっちが表でどっちが裏なんでございましょうか。これについて総裁、ちょっと保証してください。お願いします。
  48. 松下康雄

    参考人松下康雄君) この肖像画がございます方が表でございます。
  49. 阿部正俊

    ○阿部正俊君 そうですが、ありがとうございます。  この際、お礼申し上げますが、一万円札の表、左手のここのところにわずかの印がついていまして、二つの丸がついています。千円札の表の左手を見ると、一つの丸がついてございます。これは目の見えない人に対するサービスの一環だというふうに聞いておりますけれども、この際改めてお礼を申し上げておきたいなと思います。そうした心遣いをこれからもしてもらいたいものだというふうにお願いをしておきます。  さて、素人論議の続きで恐縮でございますけれども、少し中身について入ってみたいというふうに思います。素人論議をなぜするかということを、我田引水かもしれませんけれども少し申し上げますと、私は、今までの金融界、大蔵省日銀も含めまして少し閉ざされた社会だったのではないのかなという気がするわけです。今度は独立性とか透明性とかいうことになりますと、やはり何も上に立って下に対して優しくという意味ではなくて、国民全体の信頼を得ていくための独立性なり自主性なりということを確保していくためには、いわば素人、普通の常識を持った者に対してわかる論理と明快さでもって説明をし理解を求めていくことが必要なアカウンタビリティーではないか。アカウンタビリティーというのはそういうことを言うのではないか。ともかく、表に出てきて何か言うことがアカウンタビリティーではないんじゃないか、こんなふうに思うので、少し我田引水ですけれどもあえて意義づけをして、素人論議を続けさせていただきたいと思います。  まず第一は銀行券、今言いました一万円札あるいは千円札、これは言ってみれば無限に刷れるのかなという気もするんですけれども、昔、江戸時代に柳沢吉保が改鋳を進めてどんどん金をつくり出したというふうな話とか、あるいは戦時中の十七年、現行銀行法のもとかもしれませんけれども、戦時国債を乱発して日本銀行が引き受けて超インフレになったというふうなこととか、という記憶をみんな持っておるわけですね。したがって、あるいはそんなことがありゃせぬかというふうな感じがあるんだと思うんですけれども、あっても不思議はないんではないかなという気もします。  さて、じゃ日本銀行券は発行限度額といいましょうか、どういうふうな状況下でどれくらい発行されるのか。無制限なのか、あるいは何によって決まってくるのか、あるいは決めるのか、この辺について日銀総裁にお伺いしたいし、いわゆる打ち出の小づちといいましょうか、を振るようなことはないんでしょうねというふうなことを御答弁いただければありがたいなと思います。
  50. 松下康雄

    参考人松下康雄君) 日本銀行券の発行につきましては、現行日銀法のもとでは大蔵大臣が閣議を経まして銀行券の発行限度を決めるという制度でございます。  しかしながら、現実には銀行券というものは国民が買い物の支払いあるいは給与の受け払いといったような日常の取引に絶えず使っておりますし、それが幾ら必要かということは結局国全体の経済活動の規模に応じて決まってくる筋のものでございます。  したがいまして、あらかじめ一定の枠を決めましてその範囲の中に限るという制度の場合には、場合によりまして人々に必要なだけのお金が手に入らない、経済活動が滞るということもあり得るわけでございます。こういう点から、今回の改正法案におきましては発行限度という制度は採用しないことになっております。  ただ、それでは私ども日銀券の発行につきましては全くコントロールなしでいるのかと申しますと、そういうことではないわけでございまして、私どもはいわゆる金融政策を通じまして、銀行の融資の行動とか経済活動とかの水準に影響を与えまして、物価が安定するように努めてまいっておりますけれども、そういった物価が安定した状態での適正な経済活動が続いてまいりますれば、日銀券の発行高の方も、その需要が突然急激にふえるというようなことがございませんので、おのずと適正な水準に確保しておくことができるということでございますので、規則で限度を決めるというやり方に変えて、これからは中央銀行の適切な経済政策によって安定的な通貨の発行量が保たれていくように、それによって国民経済が健全に発展をしていくように努めてまいりたいということでございまして、発行限度がなくなったから打ち出の小づちを振れば自動的に資金がふえてくる、そういうことではないように運営をしたいと思っております。
  51. 阿部正俊

    ○阿部正俊君 ありがとうございました。  常識論を少し続けますが、日本銀行というのは行政なんでしょうか、それとも最近余り評判がよくありませんけれども銀行なんでしょうか。行政なのか、銀行なのか。例えば税金を納めているのか、納めていないのかというようなこととか、その辺の位置づけみたいなことはどんなふうに国民が理解しておいたらよろしいのでございましょうか。
  52. 松下康雄

    参考人松下康雄君) 日本銀行法律的に申しますと、法律規定によって所管大臣の、政府の認可を受けましてでき上がりました認可法人と言われるものでございます。  これは、私どもの仕事であります金融政策というものは広く国民経済全般に影響を及ぼすものでございますから、法律の専門家がきちんと詰めた議論をされますというと、この日本銀行のやっております仕事はごく広い意味で考えた行政というものの範囲の中に入ってくる仕事である、つまりそれは司法でも立法でもないので、法的な仕事としては行政というものの範囲の中で考えられる仕事であるということでございます。  ただ、これは日本銀行はその仕事をいたします際に、他の役所とは違いまして許認可でありますとか政省令をつくるというような形の機能は持っておりませんので、そういう意味では狭い意味での行政権限というものはございませんが、ではどうやって金融政策運用しているのかと申しますと、それは自分で銀行としてほかの金融機関との取引をいたしましたり、またマーケットでのいろいろな金融取引に参加をしたりしまして、預金貸し出し、あるいは為替取引、手形、有価証券売買というような業務を一般の民間相手にやりながら、その中で金融調節をやっているわけでございます。こういう意味では、公的な側面と民間の側面と両方ございまして、私どもの出資金は官民両方が出資をしているところでございます。  それから、日銀は税法上は課税法人でございまして、一般の事業法人と同じように法人税、事業税、住民税の納付をいたしております。固定資産税も納税をいたしております。
  53. 阿部正俊

    ○阿部正俊君 最後にもう一点ですが、最近銀行と聞けば必ず不良債権という話になるわけでありますけれども日本銀行も銀行の一つでしょうから、不良債権というのはおありなんでしょうか、ないんでしょうか。
  54. 松下康雄

    参考人松下康雄君) 日本銀行は仕事上、日本の国の信用秩序、金融システムと申したりいたしますが、これの維持に資するために金融機関が破綻処理などを行います場合に、これは一方では関係者責任の明確化やまた日本銀行自身の財務の健全性に配慮をしながら、もしもこの破綻を放置しておきますならば金融システム全体に不安、混乱が起こるというような心配のある場合で、日本銀行の資金を供与しますことが不可欠であると認められます場合には、そういった破綻金融機関に対しての資金供与を行っております。  ただ、財務の健全性という点から申しますと、そういう破綻処理を行います場合にも、原則的にはそれは究極的に支払い能力のある、弁済能力のある相手先に対して何らかの破綻処理の方策がきちっとでき上がるまでの間の流動性を一時的に、つまり資金を供給することが原則でございまして、例えばその破綻金融機関の処理の方針が決まりまして、預金保険機構からそこに所要の資金援助が行われるというような場合に、その資金によりまして日銀貸し出しは全額返済されるというのが建前でございます。  場合によりまして、劣後ローンのような資本に参加をする場合もありますけれども、この場合は将来金融機関の収益の中で確実に返済される見込みのある場合に限って行っているところでございますので、私どもの行います業務の中で現行法ではいわゆる特融と言われております、日銀法二十五条に基づきます融資につきましても、回収については懸念がないものが原則である、そういうことでございます。
  55. 阿部正俊

    ○阿部正俊君 ありがとうございました。  素人論議には違いないんですけれども、幾つか改正案の中身につきまして関係する事項についてお尋ねしてまいりたいと思います。  まず、改正をするということは、形式を整えるというだけではなくて、やはり実態として変えていく必要があるから制度改正するんだ、法律改正するんだということになるんだと思うんでございますけれども、逆に言いますと改正しなきゃならないから改正する、別な意味からすると、今まではまずかった点とか時代に合わない点とか、何かあるからそれを手直しするということだと思うんです。  あるいは五十年先、何年先考えると絶対これが必要だからやるんだとかいうのはあるかもしれませんけれども、大半はやはり従来では不十分だから、あるいはまずかったからということだから改正するんだと、こういうことだと思うんですけれども、そのまずかった点といいましょうか、別に個別にだれの責任とかなんかではなくて、システムとしてまずかった点、あるいは直すべき点といいましょうか、というようなことをお答えいただきたいなと。日銀総裁には大分つまらぬ素人論議におつき合いをいただきましたので、これはできたら大蔵省山口局長、提案者でございますので、きっちり箇条的にお願いしたいというふうに思います。
  56. 山口公生

    政府委員山口公生君) お答え申し上げます。  まず、昭和十七年の法律でございまして、ごらんいただきますとわかりますように、まだ片仮名で書かれているという非常に古い法律でございます。しかも、目的規定も国家総力の発揮というような、到底現代では考えられないような条文になっております。したがいまして、法律の姿としましてもやはりもう完全に現代にマッチするように変える必要がある、まずはそれがあるんだと思うわけでございます。  それから、独立性につきましては、種々金田議員からの御質問にもありましたように、実質的にはかなり確保されてきたということは言えようと思うのでございますが、法律的に見ますと、例えば業務命令権がある、あるいは立入検査権があるというような、あるいは解任事由が非常に広いというようなものが残っております。現実には、余りこれは発動されるような状況になっておりませんですが、ただ、そういったものを名実とも独立性という形に整える必要があるわけでございます。  さらに、透明性という観点から言いますと、先ほどの御議論にもありましたように、国会に対してきちんと説明をする義務を課すというような新しい側面、これからの対応ということをやはり法律上明確にしていくということで、新しい時代に沿った制度改正ということでございます。  まだいろいろ申し上げたいことはたくさんございますけれども、そういったものをもろもろ、これまでおかしく見えているもの、あるいはワークはしてないけれども不要なもの、あるいはかえってそれが誤解を生むもの、そういったものを直すと同時に、将来に向かってやはりよりよきものにすると、こんなことかなという感じがいたします。
  57. 阿部正俊

    ○阿部正俊君 ありがとうございました。  後でもう一回触れるかもしれませんけれども、次へ参ります。  大蔵大臣に、ちょっとお尋ねしたいと思います。大臣は、国民に対して積極的に語りかけるというふうな御姿勢で行政に当たっていただいているのではないかなと思いますし、ぜひこれからもそう願いたいと思うんですが、その中の一つとしてフロントランナーという言葉がございますね。大変わかりやすいといいましょうか、ある意味じゃ国民受けといいましょうか、のする言葉の一つではないかなと思うのですけれども、せんだっての外為法改正のときにまさにフロントランナーという表現をされたというふうに記憶しているわけでございますけれども金融システム改革の中でこの日本銀行法改正は、フロントランナーが外為法ですから、二番目のランナーなんでしょうか。あるいは同じコースを走っているんじゃなくて、別なコースを走っているランナーなんでしょうか。あと日本銀行法、ランナーだとすれば、そのランナーもこの改正でゴールまで行っちゃうのか、まだゴール前なのか、そのあたりについて大臣流の例え話も入れながら、お聞かせ願えれば大変ありがたいなと思います。
  58. 三塚博

    国務大臣三塚博君) 日本銀行法案、そして主管大臣は総理大臣でありますが金融監督庁というのが三頭立てでスタートいたしました。六月には三金融機関審議会、さらに詰めた論議の中でこの法律以外でどうあらなければならないかということで、御研究、御審議をいただいておりまして報告がなされます。それで大体なんでしょうか。すぐやれるもの、いわゆる法律改正を待たず決心でやれるもの、法律改正を待つものは次の通常国会に向けて提出と、こういうことで自由、公正、国際基準、これに合ったものでいくということになります。  そういう意味で、外為法そして日本銀行法、どちらと、こう言われますと、そのまま率直な感じを申し上げますと、兄たりがたく弟たりがたし、こういうところかなと思っております。合わせて一本ということなんでしょうか。
  59. 阿部正俊

    ○阿部正俊君 さすがに赤子の手をひねられるみたいに、すぐ丸め込まれちゃったような感じもしないでもないんですけれども、そのまま受けとめさせていただきたいと思います。  次に、先ほど金田先生の方からもお話があったわけでございますけれども日本銀行法改正のキーワードとして開かれた独立性ということもあるわけでございます。開かれたということは、逆に言うと今までは密室だったんだろうかなと、こういうことになるわけですね。これはあえて論議するつもりもありませんけれども、場合によってはそうだったかもしらぬなと、本当に。実質的にはあったかということで、またそうではないんだというふうな答弁に多分なるのかもしれませんけれども、あるいはうっかりするとそういうこともあり得るようなこともあったのかなということではないかなという気もするんですけれども、その辺やっぱりこれからは、ある種の反省といいましょうか、というものをしっかりした上でやはり開かれた独立性というのをやっていただきたいなと、こんなふうな気がいたします。  さて、じゃ独立性の方をちょっと具体的に触れますと、独立というのはひとり立ちするという、まさにそのとおりだと思うわけです。独立の反対は何かというと、隷属ということなんでございましょうか。ということは、逆に言うとどこに隷属していたのか、あるいはする可能性があるのか、あるいはその独立性というのはどこから独立するのかというふうなことをしっかり考えておかないといかぬのではないかなと思います。  これは、時間の節約で大蔵省日銀両方にお聞きしたいんですけれども、今度独立、ひとり立ちしたい、するんだというふうな御覚悟のあると思われる日本銀行の方にちょっとお尋ねしてみたいなと思います。
  60. 松下康雄

    参考人松下康雄君) 現行法につきましては、先ほど銀行局長からも答弁がありましたように、いろいろ政府日本銀行に対する監督権を初めといたしまして日本銀行が独自で金融政策を行うという建前は、日本銀行政策委員会がもうできておりますからそういう建前でございますけれども、その建前から見て不必要ではないかと思われるような規定が種々あるわけでございます。  独立性と申しておりますのは、そういったものを排除していただきまして、名実とも金融政策の決定を行います場合に、そこの部分については専門家でありまた中立的な機関であります日本銀行判断に任せよう、その際には政策委員会というものが一番重要な機関になりますということでございます。  したがいまして、ただ、中央銀行の持っております金融政策というものは一方では国全体の経済政策というものと整合性のあるものでなければならないということは当然のことでございますので、そういう点を考えまして、独立性と申しますと、それは国会、政府との間の適切な関係を前提としながら、個別の政策判断については中央銀行の中立的、専門的判断に任せようということであると考えております。
  61. 阿部正俊

    ○阿部正俊君 ありがとうございました。  今の総裁の最後のところの感覚をもう少し敷衍して考えますと、私は独立というよりむしろ言ってみれば距離感の問題なのかなという気もするわけです。  従来、いわば国民なり国会なりがこちらにいるとすれば、金融界というのは何かお互いが一つ穴のムジナ、大変失礼な言い方でございますけれども、何か縁遠い存在でというふうな感じだったんですけれども、今度は金融界自体が民間なら民間、日銀なら日銀、それから財政政策当局なら財政政策当局、あるいは立法府としての国会、国会というのは二つあって立法府としての国会とあと国民の代表的な意味での国会でもあるんだろうと僕は思いますけれども、そうした関係の、少し距離感を保ってお互いべったりしないよというふうな関係づくりを前提にしたのが今回の日本銀行法の新法の精神なのではないかという感じもするわけでございます。  したがいまして、特に大蔵省から離れる、独立するかしないかみたいな議論だけではなくて、金融システムの中での国民なり国会なり、あるいは日本銀行財政政策当局との間の距離感というものを、適度な距離感をむしろ逆にとるということによっていわばバランスが保たれた信頼性のある金融政策ということへつながっていくのかなと、こんなふうな気がするんです。  その辺について、特に財政政策当局と日本銀行との間の緊張関係あるいは距離感というふうなものについて、総裁の御見解あるいは御見識というものを、ぜひお伺いしておきたいと思います。
  62. 松下康雄

    参考人松下康雄君) 私どもも、これまで金融政策の変更などを行います際には、私が記者会見をいたしましてできるだけ詳細に御説明をするとか、またいろいろ資料を公表いたしまして国民の皆様に御理解をしやすくする努力をしてまいりましたけれども、やはり今後独立性というものが強化をされてまいりますと、それに関連して、独立というのは決して独善であってよろしいということではないと思いますので、やはります国会との関係におきましても国会報告を従来以上に回数、内容とも充実させるというようなこともあります。  また、政府との間におきましては、政府経済政策との間の整合性が保てるような、相互に独立性を考えながらしかし政策の内容的にはこれは整合的であるというような努力が必要でございますし、また国民に対しまして直接に私ども政策委員会の議事内容を公開するというようなことで御理解がよりいただけるように努力をしていくつもりでございますけれども、その中で、今おっしゃいました財政当局との間の緊張関係というのは大変適切な御指示であると思います。その言葉の中に、今回の日銀法改正案で想定をしている政府中央銀行との間のいろいろの新しい関係の基本というものが見出されるように感じますので、そういう考え方で私どもも受けとめてまいりたいと思います。
  63. 阿部正俊

    ○阿部正俊君 ありがとうございました。  大蔵省にお伺いしたいんですけれども、緊張関係の一方の当事者でございます財政政策当局を代表する部局としての大蔵省という立場かもしれませんけれども、例えば第十九条の第二項に政策委員会政府大蔵大臣も出席できるとなっていますけれども、最終的な権限は延期を申し出るだけでしかない、こんなふうになっていますね。そういうふうなこととか、あるいは日銀総裁のあれについても解任の自由なんか、これは今までと変わらないかもしれませんけれども、特別なことでもない限りもう独立性はちゃんと担保しますよというふうなことだと思うんですね。  そのことにあらわれていますように、一定の緊張関係で自主性を認めるということ。今までの法律ですと何かすべて大蔵省の許認可の中の範囲でしか動けないという感じがするわけですけれども、そこはやはり精神、ただ今までと法律上変わったというだけじゃなくて、新しい緊張関係をこれからとっていくことによって両々相まって国際的にも評価される金融システムということにつながっていくんではないかな、こんなふうなことが今回の法律改正趣旨一つではないかなという気もするんですけれども、一言で言いますと総裁が言われたようなある種の緊張関係というものについて、大蔵省当局はどう考えているのか。  私はあえて言いますと、金融政策経済政策の一環ですから、財政政策との整合性はとらなきゃいけませんけれども整合性というのは私は必ずしも一致しないという整合性もあるのではないかという気もするわけですね。だって、延期するということだけしか要請されないということは、意見が一致しないから延期だけしかないということですから、というふうなこともあり得ることもいいんですよと。だから、日銀は自分の判断でやりなさい、ただし私らも言うことは言いますよというふうなのが今回の法律の前提なのではないかというふうに思いますけれども、いやそんな勝手なことをやられちゃいかぬ、おれの言うことを聞かなきゃだめだということを大蔵省が言うとは思いませんけれども、私の受けとめ方が間違っておれば御指摘いただきたいと思いますけれども、その辺はいかがでございましょうか。
  64. 山口公生

    政府委員山口公生君) 委員の御指摘の点につきましては、大変大事な点の御指摘がなされていると思います。  それは、単に独立性という言葉で言いますと、じゃ何と何との関係という相対関係だけでしか物を見ない。実は、AとBが離れたら今度BとCはより近づくかもしれない、じゃCとDはどういう関係かと、そういう相対関係だけでこの問題をやっておりますと、じゃ政府から離すだけですべてが終わるのかというふうになるわけでございます。  そうではなくて、やはり御指摘にありましたように、結局は日本銀行の最高意思決定機関であります政策委員会委員金融政策に関する議決権を持って最終的な判断を行うということで金融政策の自主性や独立性確保されると、こういうことだろうと思うわけでございます。そういう意味では、国民の皆様方も全体として日銀金融政策についての自主性、独立性というものについては御認識をいただきたいという、やはりそういう思想はあるわけでございます。  ただそれが、総裁もおっしゃいましたように、独善に陥られては困るわけでございまして、ある少数の人たちだけの権限になってしまうわけですから。そうした場合に、例えば政府との関係で言いますと、そのポリシーを決定する際にいろいろな情報、いろいろな立場の人の声、そういったものを全部わかって決めていただかなきゃいけないということになろうかと思います。そういう意味では、政府としては、今先生おっしゃいましたように言うべきことは言う、伝えるべきことは伝えるということがなければ、そういった情報が欠落した上で非常に国民生活に大事な金融政策というのが決まってしまうと。決まってしまってからそれをどうこうと言いましてもこれは大変なことになるわけですから、そういった意味では新しい関係といいましょうか緊張関係といいますか、そういう意味では政策の調整というものがやはり頻繁に、また緊密に、またそれがオープンにでき得ればされなければならないという点が今回の考え方だろうと思うわけでございます。大変大事な点の御指摘だったというふうに思っております。
  65. 阿部正俊

    ○阿部正俊君 そういう意味からしますと、緊張関係ということを世間といいましょうか、あるいは国際的にも、あるいは国民にも見える形をつくるというのが大事なのではないのかなという気がするんです、意外と。そういう意味からすると、例えば総裁の選任なり何なりにつきましてもその辺が、李下に冠じゃありませんけれども、緊張関係を持てるような人選をぜひお願いしたいと思います。  僕はあえて、大蔵省のOBがいいかどうかという質問もあり得るかと思ったんですけれども、しませんけれども大臣どうかひとつその辺のことを念頭に置いて総裁の人選、あるいはその他の運営について御配慮を要望したいというふうに思います。  時間がありませんので、せっかくミスター外為じゃないけれども榊原さんに来ていただいていますので、ちょっと一つだけ簡単に触れます。四十条の外国為替の売買についての日銀規定というのは、なかなか私素人でわからない点がありますので、例えばみずからも行うし政府の代行としても行う、あとは国際協調のために大蔵大臣が定めることのために行うとあって、何かその辺がよくわからないのですけれども、非常に恐縮でございますけれども、榊原さんひとつその辺、どういう関係なのか、何を日銀がすればいいのか、ちょっと簡単に御説明いただけませんか。
  66. 榊原英資

    政府委員(榊原英資君) お答えいたします。  第四十条の第一項は、日銀の外国為替の売買について規定しております。日銀は、国際金融業務の遂行のための売買については必要な場合にはみずから行うことができるということでございますけれども、一方では為替介入については政府がこれを行うということになっております。為替介入については日銀は事務の取り扱いをする者としてこれを行うということでございますので、為替介入にならない日銀の外国為替の売買というようなものについては日銀独自の判断で行われるということでございます。例えば、中央銀行同士の取引というようなこともございます。  また、国際協力のための外国為替の売買でございますが、これは例えば債務国等についての救済というようなことがよくございます。これは、最終的にはIMFとか世界銀行とか、あるいは各国の例えば輸出入銀行等が協調してかなり長期の融資を行うわけでございますけれども、そのつなぎとして中央銀行あるいは国際決済銀行等が、私どもブリッジローンと呼んでおりますようなローンをすることがございます。これは当然のことながら、政府が全体としてその債務救済のパッケージを見ておりますから、大蔵大臣の要請あるいは承認のもとでそういうブリッジローン等をしていただく、そういうことでございます。
  67. 阿部正俊

    ○阿部正俊君 ありがとうございました。  素人論議を続けさせていただいておりますが、一つちょっと不思議に思ったのは、大分自主性あるいは開かれた独立性という中でちょっとよく理解できなかったのは、支店を出すときにやはりまだ認可というのは残っているんですね、新法でも。これは、普通の銀行でも今や支店を出すときには、昔は大蔵省の許認可だったんでしょうけれども、部分的には残っていましょうけれども、いわば支店をどこにどういう規模で置くかということについては自由にすると、普通の銀行は、ということではないかなというふうに思いますけれども日銀についてだけ、普通銀行ほどの信用もないから認可が残ったのかなと。そんなばかげたことはないと思うんでございますけれども、どうして認可という制度が残ったのかということを大蔵省にお聞きします。  そして、日銀についても、場合によっては法律の第七条四項ですか、認可申請出しても大蔵省が認可しないときには何かはっきり理由を示さなきゃいかぬとかという規定がありますけれども、相対でそういうことあるべしと、その覚悟も持って日銀は支店の認可その他について対応しますよというふうなことについて、一言だけ日銀総裁にもお尋ねしたいというふうに思います。
  68. 山口公生

    政府委員山口公生君) お尋ねの支店の設置の際の大蔵大臣の認可の規定についてでございますが、日本銀行の業務運営が通貨発行益を利用して行われる面が強いという特性に照らしまして、適正かつ効率的な店舗展開の担保のための公的なチェックが不可欠というふうに考えまして、現状どおり支店の設置の認可制を維持することとしたわけでございます。また、改正法案におきましては、仮に認可をしない場合の理由等を公表する規定を設けるなど認可手続の透明性確保されておりまして、法令に従って適正かつ透明な運用がなされるものと思っております。  普通の一般の銀行の支店の認可制につきましては、御指摘になりましたように、自主的にかなり緩やかに運営し自由な競争ということを促進しておりますが、日本銀行の場合、通貨発行益つまり国民の財産というもので賄われているという面がありますので、現状の制度を維持させていただいておる次第でございます。
  69. 松下康雄

    参考人松下康雄君) 私どもとしましては、認可制が残っているわけでございますけれども、ただ、この改正法案での認可制の運用につきましては第五条の第二項におきまして、「この法律運用に当たっては、日本銀行の業務運営における自主性は、十分配慮されなければならない。」という規定もございます。  こういう規定の活用によりまして、私どもは支店設置に関します大臣認可によって金融政策独立性とかあるいは業務運営の自主性が阻害されることはないというふうに期待をいたしておるところでございます。
  70. 阿部正俊

    ○阿部正俊君 あと時間がわずかしかありませんので、最後にいたします。  今回、全く日本銀行法が変わります。新しく生まれ変わるという機会にしてほしいものだなというふうに思います。法律が変わっても法令が変わっても、運営のやり方だとか、今と余り変わらないということがあり得るんだと思うんです。したがいまして、例えば大きく変わったと言われる、スリーピングから起き上がったと言われる政策委員会、起き上がったんですから違うんでしょう多分、今まで寝ていたんでしょうから、ということですね、例えば。その運営の仕方とか、あるいは先ほどから私が触れました財政政策当局との緊張関係のあり方だとかというもの、あるいは双方の、日銀だけじゃない大蔵省もありますけれども、特に日本銀行のさまざまな機構の改革だとか、あるいは仕事をする人の意識改革といいましょうか、というものまで踏み込んで新しい姿というものを実現していっていただきたいなと、こんなふうに思うんです。そんなふうなことについての、前と比べてどう変えていこうとされているのか、具体策があれば具体策を、なければ考え方をお示しいただきたいんです。  その際、あわせまして職員の方々について、附則の第二条に、辞令を新しく出さなくてもいいと。これは法律的にはそうでしょうけれども、できたら新しい日本銀行の職員としての誇りと自覚を持っていただくために新しい辞令を私はむしろ出してもらいたいというふうに思います。場合によっては総裁も少し背広の色でも変えてというふうな形をとって、新しい清新な日本銀行というものの金融システムの重要な一翼を担うスタートを日本銀行法全面改正の際にとっていただきたい。職員の意識改革のためにもぜひお願いしたいものだなと思いますけれども、最後に総裁の御見解をお伺いして、終わりにしたいと思います。
  71. 松下康雄

    参考人松下康雄君) 今回の法改正に当たりまして、日本銀行自身がその意義を十分に自覚いたしまして、制度改正趣旨に即し、実際の組織運営に最大限の努力を払っていくということは何より重要なことだと考えております。  具体的には今後さらに検討いたしてまいりますけれども、組織改革面での中心課題は政策委員会の機能強化という点でございまして、これに関連をいたしましては役員集会の廃止、また政策委員をサポート、支援するためのスタッフの充実や、政策委員会と業務執行部署との連携の強化といった点に十分配慮をして努力してまいるつもりでございます。  また、議事要旨の公表を通じまして、各委員の賛否とかあるいは政府代表の意見等も明らかにされてまいりますので、これによって政策決定プロセスの透明性向上にも一層努めてまいりたいと思います。私ども、そういった努力によって、自己改革を通じて独立性透明性を理念とする中央銀行改革に対しまして最大の努力をしてまいるつもりでございます。
  72. 阿部正俊

    ○阿部正俊君 終わります。
  73. 松浦孝治

    委員長松浦孝治君) 午前の質疑はこの程度とし、午後一時まで休憩いたします。    午前十一時五十三分休憩      —————・—————    午後一時二分開会
  74. 松浦孝治

    委員長松浦孝治君) ただいまから大蔵委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、日本銀行法案を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  75. 寺崎昭久

    ○寺崎昭久君 大蔵大臣にまずお伺いいたします。  このたびの日本銀行法改正は、日銀政策委員会制度が導入された一九四九年を起点にして数えてもほぼ半世紀ぶりでございます。全面的な、そして抜本的な改正と言えると思います。この間に言うまでもなく我が国を取り巻く環境というのは大きく変わりましたし、また、我が国経済も今日の繁栄を築いてきたわけでございます。そうした経過を踏まえて、我が国経済が、今後とも中長期的に見てインフレなき持続的成長を維持していくためには、今回の日銀法改正というのは大変大きな意味があるだろうと考えておる次第でございます。また、この際いわゆるグローバルスタンダードにも適合させるものにしなければならないと考えておるわけであります。  そこで、まず今なぜ日銀法改正なのか、その辺について御所見を伺いたいと存じます。
  76. 三塚博

    国務大臣三塚博君) 寺崎委員指摘のとおり、金融国際市場中心として、マクロ経済の観点から見ましてもG7の国における金融システムの安定維持ということは喫緊の課題ということになりました。我が国も主要国のメンバーとしまして、我が国金融、そして資本市場を自由かつ透明で信頼のできる市場とすることを目指さなければならぬという時代の強い要請が出てまいったところでございます。その中身は広範かつ抜本的な金融システム改革に貢献するものでなければなりません。  日本銀行は、多年にわたりそれぞれの責任を果たしてきつつあるとは言いながら、やはりこの情勢の中で開かれた独立性、これを基本に諸改革が行われる。そのためには、抜本改正を行うことによって、世に言う手足を縛ってやれと言っておるのかという批判に十二分にこたえていかなければならないということで数々の法改正を行ったところでございます。まさに、我が国の金融システムの中核にふさわしい中央銀行に生まれ変わっていかなければなりませんし、二十一世紀が間近に迫っていることを考えますればまさにこの機をおいてないのではないか、こういうことで御提案をさせていただいた次第であります。
  77. 寺崎昭久

    ○寺崎昭久君 日銀法改正問題というのはこれまでもしばしば取り上げられてまいりました。例えば、昭和三十九年三月九日の参議院予算委員会において、当時の山際日銀総裁は、できるだけ日銀法改正されることを願っている、ということを述べられております。  このときの背景というのは、昭和三十九年から我が国がIMF八条国に移行したこと、また輸入の自由化を促進する国際公約、国際的な約束を行ったこと、あるいはOECDに正式に加盟することができたというようなことがあり、こうした国際化の波の中でこの後も日本の経済がそうした変化に対応していくためには日銀法改正をする必要があるというのが御認識だったと思います。  また、当時の田中大蔵大臣改正の時期に来ているという認識を示されておりますし、昭和四十年には、大蔵省による改正試案概要も発表されたといういきさつがございます。しかしながら、日の目を見ないで今日に至っているというわけでございます。  そこで、大臣にお尋ねいたしますが、なぜそういう必要性が言われながら日銀法改正が三十年も放置されたのか、どのように考えられておられるのか、また政府の対応についてもお尋ねしたいと思います。
  78. 三塚博

    国務大臣三塚博君) 現行日銀法昭和十七年に制定されましたことは御案内のとおりでございます。片仮名スタイルの法律でございまして、時代にそぐわない規定も多いと言われてまいりました。  抜本的改正については、御指摘昭和三十九年、政府部内で改正試案が策定されるなど過去において議論が行われたことがあったものの、中央銀行制度は慎重な検討を要する事柄でありということで今日まで至ったと承知をいたしております。今般、日本銀行を正規の金融システムの中核にふさわしい中央銀行に改革する必要性にかんがみまして、中央銀行研究会やさらに金融制度調査会の議論を踏まえまして改正法に至りましたと、こういうことでございます。
  79. 寺崎昭久

    ○寺崎昭久君 大臣の御見解では、日銀法が三十年にわたって必要性を認められながらも改正に至らなかったのは、慎重に審議をした結果であると一言で片づけられてしまうわけでありますけれども、私は大蔵省日銀の哲学の相違があり、その隔たりが大きかったために法案改正には至らなかったんではないかというように認識をいたしております。  例えば、昭和三十三年の五月に、当時の大蔵省財務調査官をされておりました下村治さんは、金融制度調査会のもとに設置された企画委員会に意見書を提出されておりますが、こういう内容のものでございます。   中央銀行が通貨の管理に任ずるといっても、管理通貨制の下での通貨管理は、国の経済政策のさまざまな目標遂行上の有力な武器であり、中央銀行の行動は、政府経済政策あるいは財政金融政策に即応したものでなければならない。経済政策の統一性保持のためには、中央銀行政府の最終的統制下におくべきであり、この点から現行日本銀行法の建前はむしろ是認されるべきである。 という見解を示されております。これに対して、日銀の特別審議室長の松本重雄さんも意見書を提出されているわけですが、日銀の方は、   国民経済長期にわたる健全な発展のためには、通貨価値の安定が不可欠の前提であるが、現実には通貨価値の安定が当面の要求から犠牲にされた例が多く、将来もその可能性は少なくない。金融政策の中立性およびこれと相表裏する中央銀行独立性は、通貨価値の安定という目的の面からも必要だ。 まさに真っ向から対立した意見を出されているわけでございます。  また、巷間伝えられるところによりますと、大蔵省の見解というのは最近に至っても、財政金融は一体であるべし、その方が効率的だということをおっしゃられているようにも伝わっておりますけれども大蔵省はやはりそういうお考えで見ておられるのか、お伺いしたいと思います。
  80. 山口公生

    政府委員山口公生君) 先生御指摘のように、いろいろとこの日銀法をめぐる経緯というのがあったことは私どもも存じておりますけれども、今申されました下村博士あるいは松本博士の対立と言われているような問題もございました。  それは、昭和三十五年のころになかなか意見が合わないということで両論併記で金融制度調査会の答申が出たということからも、御指摘の点は事実だと思います。ただ三十九年に、先ほど御紹介いただきました、一応法案の形でまとめよう、出そうとしたときには、そこは意見を一致させまして御提案を申し上げたという経緯がございます。  したがいまして、いろいろな議論過程では、考え方の違い、理念の違い、特にこうした日本銀行という非常に歴史的あるいは国家行政組織的に見てもなかなか位置づけの難しい組織というものをどう考えるかというのは大変ある意味では難しい、またすぐ理念的な議論になりやすいという面がありまして、そういった経緯は当然出てくるものであったかと思うのでございますが、そこはまた意見の一致を見てやっているということで、必ずそういったものは話を十分し、理解し合って意見を統一してきているということでございまして、財政金融の分離論の話とは直接的に私どもは結びつかない問題かなという気がいたしております。
  81. 寺崎昭久

    ○寺崎昭久君 日銀は、財政金融はその主体がひとりである、ひとりというのは抽象的な言い方ですが、そういう方がよろしいと今でもお考えなのかどうか、あるいはそれぞれの主体を分離した方がいい、日本経済のためにそれの方がいいとお考えなのか、確認しておきたいと思います。
  82. 山口公生

    政府委員山口公生君) 御指摘の点について私なりに理解しましたところによりますと、日本銀行が行っておりますのはいわゆる通貨の調節といいましょうか、俗に言う金融政策といいましょうか、公定歩合を上げ下げする、あるいは市場の金利を適正なものに持っていくというような金融政策と言われる部分でございます。  財政金融が一体として行われるべきではないかというときの金融といいますのは、金融行政といいましょうか信用秩序あるいは監督・検査、そういったもの、あるいはポリシーメーキングといいましょうか企画立案、そういった日本銀行がやっている金融政策でない部分というふうに理解しておるわけでございます。
  83. 寺崎昭久

    ○寺崎昭久君 金融政策についても、日銀がやっている部分あるいはそれ以外の部分と分けるのはなかなか一体不可分なところもあって難しいんだろうと思います。それから、確かに財政金融に対して一元的な権限を持っているというのは私は大変効率的なことだろうと一面では考えております。  ただ、それだけに例えば経済政策を失敗したということになりますとマイナスの影響もはかり知れないほど大きいんではなかろうかと思いますし、多くの国々が財政金融を分離する、あるいはそういう傾向にあることは歴史とか経験の教えるところなんではなかろうかと思います。  また、財政金融が一体であるということが効率的だとしてもそれは金融当局のお考えであって、国民にとって効率的である、そのことの方がいいということにはにわかにならないということも考えておいてもらいたいなと思いますし、日銀法改正が紆余曲折を経て今日に至り提出されているわけでありますけれども、なぜこの三十年改正が行われなかったのか、どういう溝があったのかということを明らかにしておくというのも、私はこの改正に当たって大事なことではないかと思っております。  大蔵省の国家経済経営に対する自負心というのは、私は日ごろから大いに尊敬もし評価をしているものでありますが、しかしそれはしばしばおごりや独善性に陥らないとは限らない、そういうもろ刃の剣といいましょうか、そういう面もあるだろうと思います。  実は、この三月十九日のある新聞に次のような記事が載っておりました。東京商工会議所の中西真彦副会頭が一月十四日の金融制度調査会日銀法改正委員会で発言されたときの様子を載せているわけでありますけれども、それによりますと、大蔵省が持つ日銀予算の認可権を日銀大蔵省に届け出るという仕組みに変えたらどうだという提案をされたときに、その席におられた大蔵省に原籍を持つ内閣法制局の部長さんが、一切の行政は内閣を離れて存在しない。日銀の予算を届け出制にしても内閣の統制下にあるという自信はないということを述べられているようであります。いわゆる違憲論を持ち出されたということであります。これに対して中西氏は、歴史的な改革をやろうというときに、今の法制に合わないからだめということでは議論は進まない、改革はできない、会合にはもう出たくないとまでおっしゃったという記事が載っております。  この記事を読みまして、私は中西氏の怒りというのはもっともであると思いましたし、そもそも金融制度調査会のようないわば大蔵省の諮問機関に日銀法改正をゆだねるということが正しい選択だったんだろうか、これは議員立法でやるべきだったんではなかろうかというような感想を持ったような次第でございます。また、この部長の発言はちょっと行き過ぎではないかというようにも思いました。  そこで、大蔵省にお尋ねするのですが、この部長の日銀の予算を届け出制にすると違憲であるという発言は事実なのかどうか。もしそうだとすれば、趣旨についてわかりづらいので、もう一回御説明いただけるとありがたいなと思っております。また、この考え方大蔵省は支持をされているのかどうかもあわせて伺いたいと思います。
  84. 山口公生

    政府委員山口公生君) 金融制度調査会の日本銀行法改正委員会でかなり綿密にいろんな御議論を賜りました。その中で、今先生御指摘の予算の認可のあり方についても活発な御議論をいただいたわけでございます。  ただ、小委員会の性格上、だれがどう言った、あるいはそれが問題にされるということは、やはり諮問委員会としての性格上、私の方から余りそれをこの場で明らかにすることはお許し賜りたいのでございますけれども、こうした予算の認可のあり方について、届け出制という形がとり得るのかどうかという議論もあったことも事実でございます。また認可にしても、政府の認可あるいは国会での認可、いろんな形式がある、何もしない、いろんなバリエーションの中でのいろんな御議論の中の一つでございます。  それで、私どもとしては政府提案の法律を用意しておりました以上、内閣として憲法に関し疑義があると言われるようなものを御提出するわけにはいかないということで、当然のごとくその辺についての議論もいろいろ参考として法制局の御意見等も伺わせていただいたわけでございます。そのときに、予算について申し上げますと、この予算の財源はほとんど通貨発行益、つまり二十数円の一万円札を一万円として利用させるわけですから、そこには益が出るわけでございます。それの利益はやはり国民のものではないか、それを予算として使うときに事後届け出という、何ら事前のチェックなしていいのかというような議論がありました。  それについて、やはり日本銀行の法的な性格はいろいろあるにしても、広い意味の行政というものの中にある以上、それの最終的な責任として内閣が何らかの責任を負える形にする必要があるのではないかというのが現代における、現在における憲法の解釈としてはそういう意見の方が多いだろうというような御所懐でございます。  そうなってみたときに、やはり今回御提案申し上げております政府の認可という形を残そうと。ただし、それが乱用されてはいけない、金融政策影響を与えてはいけないということで対象を絞りましょうと。それから、それによって圧力がかかるということがあってはいけないということで、その認可をしないような場合は公表しましょうというように、国民の皆様が、みんなが見ているところで議論すればそういったこともないであろうということにさせていただいたということでございます。
  85. 寺崎昭久

    ○寺崎昭久君 今のお話ですと、日銀の予算を届け出制にすると違憲のおそれもあるということもあって、認可にしたというように受けとめてよろしいでしょうか。
  86. 山口公生

    政府委員山口公生君) その辺につきましては、私がお答えするより法制局がじかにお答えする方が正しいかと思いますが、その届け出制という形で国民の財産であるものを事前のチェックもなしにいいのかということになると、疑義の念を禁じ得ないというような感じだろうと思うんでございますが、そういった御議論が結論でございます。
  87. 寺崎昭久

    ○寺崎昭久君 予算は言うまでもなく新しい日銀法においても政策委員会の議を経てつくられるものだと承知しておりますし、審議委員は国会の同意を得て内閣総理大臣が任命されるわけでありますから、届け出制をとったとしても内閣あるいは国会が全く関与していないということには私はならないと思います。  それから違憲か合憲かという判断については、確かに両論あることも承知しております。昭和三十四年にも日銀予算を届け出にすることについて違憲か合憲かという議論がなされておりますが、昭和三十四年四月の日銀法改正委員会での結論は、次のようなものでございました。行政的権限を日銀に付与することは、憲法の予想しないところであっても、事柄の性格上、独立性、中立性を要請される事務なので、必ずしも憲法は禁じていない。監督方法が留保されていれば違憲の疑いは生じないという見解を示されております。  憲法学者の大方は、憲法六十五条に書いている行政権が内閣に属するというのは、単にそれが立法府だとか司法府に所属していない、帰属していないということを書いたにすぎないというようなことを言っているようにも思いますし、こうした立法政策的な問題というのは、内閣法制局の判断も必要だとは思いますけれども、むしろそうではなくて国会の議論にゆだねるということの方が私は正しいんではないかと思いますが、再度その辺について御見解があれば伺います。
  88. 山口公生

    政府委員山口公生君) 先生の御指摘の点は、大変ある意味ではこの日銀法をまとめるに際しての最も難しかった部分でございます。いろんな学説もあるようでございます。  ただ、今ちょっと御紹介いただきましたように、行政権が内閣に属すると、これは憲法に書いてあります。それで、その監督方法等が何らかの形で確保されればということが条件でそういう行政権限的なものをこういった日本銀行に与えてもいいだろうと、こういうことでございますが、そこの中での議論でその監督等あるいは人事権あるいは予算権、そういったものをどこまで内閣が握っておけばいいのかという問題でございます。  そこで、人事権というのがまず一つございます。例えば総裁の任命をだれがするのか、あるいは政策委員の任命をだれがするのかという人事権があります。それから予算、例えば行政の独立委員会、公取なども独立した行政委員会でありますが、予算はやっぱり内閣で取りまとめをやるわけでございますね。それから、あと監督権というものがあるわけです。  それで、どの程度確保すればいいのかというので、かなり学説によって濃淡があろうかと思います。人事権について疑問視する人は余りいないと思うんですけれども、その他は実はいろんな御議論があるということです。それで、今回、いろいろ各委員の御意見を集大成しまして、人事権と、それからそういったセーフガードをつけたぎりぎりの予算認可権、それからごく限られた法令・定款違反等の監督権、これはだからいわゆる広い意味の監督権じゃない、ごく限られた監督権、しかも立入検査権とは認めないという形でのぎりぎりのつながりというものを行政府との間に持たせた形で御提案申し上げたということでございます。
  89. 寺崎昭久

    ○寺崎昭久君 私は、認可でなくても届け出でも十分監督とかそうした目的を果たし得るんではないかという立場をとるものでございますが、松下日銀総裁に御出席いただいておりますので、一言お伺い申し上げたいと思います。  例えば、日銀予算を法律にあるように認可制にするのと届け出制にするのでは、その対応において何か違いというものは生ずるんでしょうか。また、日銀の方からいうとどちらが好ましい制度とお考えなのか、御所見を伺いたいと思います。
  90. 松下康雄

    参考人松下康雄君) この憲法の解釈に関連をいたします日本銀行の法的な性格論に関しましては、私どもこの席で申し上げられる立場にはございませんけれども、私どもとしても関心を持っております。また、金融制度調査会等の御議論におきましても申し上げてまいりましたことは、予算の公的チェックが必要であるといたしましても、それはやり方によりましては中央銀行の経理の自主性を阻害し、ひいては中央銀行金融政策独立性に悪影響を与えるおそれもあることでありますから、その場合の公的チェックのあり方としては、できる限り中央銀行独立性運営の自主性というものに配慮したものとしていただきたいということを申してまいったところでございます。  その結論として、現在の改正法に盛られております内容は、これは経費予算の認可制を採用しておりますけれども、それがただいま申し上げましたように中央銀行金融政策独立性を妨げないという点の御配慮といたしまして認可の対象を限定する、人件費その他事務的経費に限定をする。また、認可できないというような場合には、政府においてその理由を公表するというような点で、これが中央銀行としての独立性を阻害いたさないという点での配慮が行われ、いわゆるセーフガードと海外で申しますが、こういう制度が伴ったものということにしていただいておりますので、その実態から見まするというと、今後の運営上私どもが心配をしておりましたようなことには至らないというふうに考えております。
  91. 寺崎昭久

    ○寺崎昭久君 このたびの日本銀行法改正のポイントというのは、やはり中央銀行の独立という哲学が入っているのかどうかということなんだろうと思います。独立といっても、日本銀行が認可法人である以上、すべてのものから何の制約も受けない、チェックも受けないという意味での独立性というのは存在しないんだと思いますけれども、それだけに日銀の方に要請したいことは、アカウンタビリティーをしっかりと果たしてもらいたいということでございます。  まず、この法文に規定されている内容から伺いたいんですが、これは大蔵省にお伺いいたします。改正法案の第五十四条には、業務、金融動向、政策等については大蔵大臣経由で国会に年一回、六月ぐらいでしょうか、年一回報告書を提出しなければならないとあります。まず、この大蔵省経由としたのはなぜか。それから、年一回としたのはなぜか。この点に関して言いますと、私は直接国会に報告書を提出してもいいんではないかと思いますし、それから、普通の事業会社ですと、半期ごとの事業の見直しとか、あるいは決算であるとか、仮決算であるとかいうことをやるところは少なくありませんから、報告書も年二回程度は必要なんではないかと思いますが、その辺について大蔵省にお伺いいたします。
  92. 山口公生

    政府委員山口公生君) 五十四条をごらん賜りますと、日本銀行はおおむね六月に一回ということでございますが、年にすると二回というふうにさせていただいております。  こういう形でもって、できる限り国会の方へいろいろ御報告を申し上げるという形にさせていただいたわけでございますが、大蔵大臣を経由してといいますのは、他の立法例も大体そういう形になっておりまして、経由するからといいまして内容を審査して手直しをさせるという意味では全くございません。
  93. 寺崎昭久

    ○寺崎昭久君 この五月の六日に新しく誕生した英国のブラウン新蔵相は、イングランド銀行の総裁に新しい金融政策の枠組みに関する書簡を送りまして、その中で、金融政策に関する権限をそれまでの大蔵大臣からイングランド銀行の金融政策委員会、これは新設されるんでしょうか、に移管されるようにというような意見を述べられたやに聞いております。  イギリスでも多分報告を求められるんだろうと思いますし、同委員会は議事要旨を公表し、議会に対して直接報告しなければならないというようなことも規定されているようでありますけれども、この報告の対象の中には、例えば予算とか、それから業務、あるいは方針といったようなことも含まれているやに聞いているわけでありますけれども、そうしたことを考えてみますと、我が国においても、何も大蔵省経由でやる必要性はないのかなと。形式的にそうされているような御発言もございましたけれども、その辺の見直しというのはやられる予定はございませんですか。
  94. 山口公生

    政府委員山口公生君) 他の立法例もこうしたケースにおいては主務大臣を経由して、例えばNHK等もそうでございまして、それと何ら変わるものではないということと、それから経由してということでございますので、中身をチェックして云々ということではございません。また、例えばこれが提出されたときに、大蔵大臣はどう考えるのかというもしお尋ねがあるような場合には、大蔵大臣はやはりこれを知っておく必要があろうかと思うわけでございます。  したがって、何らこれは日本銀行金融政策を曲げたり、あるいは影響を与えたり圧力をかけたりというものでは全くございません。これは、国会での御議論をより活発にしていただくために、報告の回数をふやし、それで説明義務を課していると、こういうことでございます。
  95. 寺崎昭久

    ○寺崎昭久君 このことについて日銀にも一言お尋ねしようかと思ったんですが、時間も余りありませんので別の問題を質問させていただきたいと思います。  実は、ことしの二月に、金融制度調査会の会長を務められた館龍一郎さんが国会への業務報告に関するインタビューの中で次のような発言をされているんですね。「残念ながら日銀は国会に対して直接報告し、政治からのプレッシャーをはね返せるだけの訓練を受けていない。金融政策独立性確保していくうえで、政治との間になんらかの緩衝材が必要だ」と。今局長のおっしゃられた認識とは大分違っていて、こういう方が金制調の会長をされていいのかと私思ったんですけれども、また、これを拝見しますと、やはり金制調もアカウンタビリティーにこたえるというよりは、できるだけ報告は最小限にしたいとか、あるいはやむを得ず報告するとかいうスタンスがあるんじゃないかというような疑いが晴れなかったわけであります。  大蔵省は、そういうつもりでこの条文があるというふうには理解していないですね。館先生がおっしゃるように、政治からのプレッシャーをはね返せるだけの力がないから大蔵が緩衝材になるんだと、確認しておきたいと思います。
  96. 山口公生

    政府委員山口公生君) 私から館先生のお気持ちをかわりに述べるには、本当は御自身にお聞きいただく必要があるので僭越かと思うのでございますが、館先生が恐らくおっしゃったと思いますのは、これからの日本銀行が言ってみればこうした気概を持って今まで以上に頑張ってもらいたいと、こういうお気持ちだと思うわけでございます。  金融制度調査会の小委員会でも、館先生初め各委員の先生は真剣に日本銀行のこれからのあり方というのを御議論いただきました。ある意味では、日本銀行を非常に大切に思い、今後の活躍を期待しておられるわけでございます。そのときに、こうした報告書の提出とあるいは国会の出席義務というのを書き入れさせていただいたことを契機に、先生方としてもぜひ日本銀行にこれまで以上に頑張ってほしいというお気持ちをあらわされたというふうに私は感じております。
  97. 寺崎昭久

    ○寺崎昭久君 手元に「日本銀行中心とする戦後金融の実態調査」という昭和三十四年三月十八日の報告書がございます。これは中央銀行制度特別委員会のもとに設けられた実態調査小委員会というところがまとめた七十ページに及ぶ大変分厚い報告書でございます。この小委員会のメンバーというのは、日銀の理事をされた舟山正吉さん、朝日新聞の土屋清さん、日経新聞の円城寺次郎さん、エネルギー調査会の稲葉秀三さんという大変高名な方々でございます。  それで、その調査結果を拝見しますと、いろいろ今日でも考えなければいけないような内容がたくさん盛られておりますので、ちょっと披露させていただいて、御所見を伺いたいと思います。  まず日銀の方にお伺いいたしますが、その中で、例えば我が国の戦後の経済状態それからその中における金融あり方について触れているわけでありますが、「日銀の信用調整には貸国政策並に公開市場政策とも欠陥が多く認められ、通貨価値の安定、国際収支均衡経済の安定的成長が必ずしも満足すべき程度に達成されたとはいい難い。」と、これは戦後経済の混乱ということはあるにしても、そういう認識を示されております。そういう戦後経済の混乱ということがあるにしても、「日銀政策が適時適切に行われたならば、この間にあっても経済変動の幅を最少限度に止め、相当程度信用調整の実をあげることも出来なくはなかったであろう。われわれが期待する日銀の使命はここにある。」と、「日銀は常に通貨価値の安定とか、中央銀行の中立性堅持を口にするが、果して行動においてその通りのことを行っているかどうかは、自ら深く反省する必要があろう。」「日銀当局に熱意と責任感があるとしても、それを高度に現わすには勇気と決断が必要である。」「過度に慎重であると、何事も政策をなし得ないという結果になろう。」と、「毅然たる態度」が必要だと。また、「今後法律上いかに中立性を日銀確保しても、結果的にはそれが実現し得ないということ」になると、毅然とした態度がないと。こういうようなことも言われております。  世間から見ますと、日銀と大蔵の関係というのはどうも上下関係のようにあるんじゃないかという見方も少なくありません。正しいと私は思っておりませんが、そういう見方もあると思いますし、やっぱり日銀が行動でこれからも示していかなければいけないという課題でもあろうと思います。総裁に御所見がございましたらお願いします。
  98. 松下康雄

    参考人松下康雄君) 御指摘のとおり、この昭和三十四年の金融制度委員会報告におきまして、金融政策運営に関して厳しい御指摘をちょうだいいたしております。  今日の立場から振り返りますれば、その時期は戦後の大インフレがおさまりましてから、その後まだ経済の復興の過程がおおむね緒についた段階でございまして、金融政策を含めいろいろの経済政策運営に当たりましても十分な手法が確立していなかった時期のように思いますけれども、それにいたしましても、そこで非常に先見性を持たれて、今後、中央銀行としての中立性というお言葉でありますが、これを尊重して、金融政策運営に誤りなきを期すべきであるという御指摘につきましては、日本銀行といたしましてもそういった御指摘を踏まえて、その後に適切な政策運営を図るための金融政策手法の改善でありますとか、また金融経済の調査・分析能力の拡充、それに関連する内部体制の整備など、いろいろの面で努力を重ねてまいったところでございます。  それらの努力を通じて、しかし最も重要でありますことは、ただいま御指摘をいただきましたような中央銀行の使命に関しまして、これは私ども物価の安定という使命を持って、責任を持った政策遂行を行わなければならないということを常時肝に銘じまして努力をしてまいるということであろうと思います。  今回、この日銀法改正の機会に、その点におきまして法律全体の中央銀行としてのあり方が一新され整備をされることになりますれば、これは私どもにとっても大きな励みでございますから、政府に対しましても申すべきことは申し、またしかし、政策の上で整合性を図るべきことは図るという立場に立って努力をしてまいりたいと思います。
  99. 寺崎昭久

    ○寺崎昭久君 大蔵大臣にも一言お伺いしたいんですが、大蔵省に関してはこの報告書は次のようなことを指摘しております。  少し長いんですが読ませていただきますと、「大蔵省日銀に対して権限を附与したる以上、その範囲内においては極力日銀の自主性を尊重し、細かい干渉や威圧を加えないよう努力すべきである。」「これまでは大蔵省公定歩合政策の実施についても、事実上大きな発言権を持ち、大蔵大臣の同意なくしては日銀はその権限を行使し得なかったように見られるのは、今後のあり方としては考慮を要する点である。」「従って大蔵大臣の同意なくして日銀が勝手に公定歩合の操作を」、ちょっと違いました、今のところは飛ばします、長いので。「公開市場政策の実施にあたっては、政府短期証券の金利決定」と、ちょっと整理が悪くて申しわけありません。  結論から言うと、大蔵大臣日銀に対する監督は大所高所からの監督にとどめ、細かい干渉は極力排除すべきであるということを言っております。いかがでしょうか。
  100. 三塚博

    国務大臣三塚博君) 今度の大改正、先ほど申し上げましたとおり、開かれた独立性ということ、自己責任で物事を決定していくということであります。もちろん、経済政策全般にわたるもの、また為替制度等について国際金融システム、マクロ経済の安定という国際的な責任、国内的にも金融システムの安定のために行わなければならぬこと等については、絶えず連携を密にして整合性を保つというのは総裁からも申されておるところでございます。まさにそのほかの重要な案件として、通貨及び金融の調節、このことによりまして物価が安定をし、インフレなき持続的な成長がもたらされるであろう、こういうことであります。  資金決済の円滑の確保、まさにこれは信用秩序の維持に当たるわけでございまして、運用等につきましては、それぞれが政策委員会強化を初めとするワンボード化、議決事項の拡充、さらに法定化ということになっておりますし、さらに業務の面におきましても、特融、国際金融業務、考査等の明確化ということなど、旧法にありません点を大幅に本改正によって位置づけたということは画期的なものと思っておりまして、一々大蔵省が干渉して内閣が干渉してという批判、懸念に対しまして、全くそういう体制ではありません、法定上においてこれが位置づけをされたという意味で私は画期的なものだと思っておるところであります。
  101. 寺崎昭久

    ○寺崎昭久君 今回の日銀法改正には多くの方が関心を持たれております。それだけに、どういう専門家の議論の結果こういう改正案にまとまったのかを知りたいと願っている人も大勢いらっしゃるわけであります。  先ほど銀行局長は、各委員がどういう発言をされたのかはちょっと公表を差し控えたいという趣旨の御発言がございましたけれども、例えば中央銀行研究会あるいは金融制度調査会の議事録というのは未来永劫に発表されない予定でしょうか、お伺いします。
  102. 山口公生

    政府委員山口公生君) 中央銀行研究会及び金融制度調査会、いずれもこうした小冊子で結論部分はきっちりと公表いたしております。  それから、会議の都度、主として私ども事務方が説明というよりは、例えば館座長あるいは鳥居座長とがみずから、どういう議論があったのか、どういう結論になったのか、どういうプロセスだったかというのを綿密に、記者会見をすぐおやりいただきまして、それで明らかにしてございます。いろいろ一部の新聞で何か議事録らしきものと言われるものが出たりして、それがまたおもしろおかしく白か黒かみたいな議論が随分されましたけれども、きっちりその辺のプロセスも含めて、その都度その都度ディスクロージャーを図っております。  なお、今先生が御指摘のございました金融制度調査会や中央銀行研究会の議事録そのものを、だれがどう言ったかということまでディスクローズするかについては、各委員の先生方のいろいろお立場というのもありますし、やや慎重に考えるべきだと思っておりますけれども、じゃ未来永劫そうかということになりますと、それはまた各委員の先生方がもうそろそろよろしかろうというようなことにでもなれば、そのときにはまたそういったことが明らかにされるということもあり得ると思います。私がこの段階で、あくまで事務局でございましたので、委員の先生方が本来的にはお決めになる話だと思っております。
  103. 寺崎昭久

    ○寺崎昭久君 御趣旨は理解できますけれども、やはりいろんな議論を経て法律ができるわけでありますので、専門家の意見が間違いなく取り入れられているんだということを証明するのもみずからの責任であり、あるいはこの法案改正を進める立場にあった大蔵省等の責任でもあろうかと思います。私は、いっとは申しませんけれども議事録を必ず公表してもらいたいなと期待している次第でございます。  それでは、以下は法案に沿って若干の質問をさせていただきたいと思います。  まず、目的、理念ということでございますが、日銀法改正案の第一条第二項では、「信用秩序の維持」を目的とし、というようにうたっております。また第二条は、「日本銀行は、通貨及び金融の調節を行うに当たっては、物価の安定を図ることを通じて国民経済の健全な発展に資することをもって、その理念とする。」というように目的と  理念を使い分けられております。  法律用語として、理念とか目的というのは果たして厳格な定義があるのでしょうか。私は、例えば国民経済の健全な発展に資することをもって目的とすると書いても何ら支障がないんじゃないかと思うんですが、あえて分けられた理由をお尋ねしたいと思います。
  104. 山口公生

    政府委員山口公生君) 先生の御指摘は大変ごもっともな御指摘でございますが、この日本銀行法は組織法でございまして、組織を定める法律、もちろんその中にはファンクションも書いてございます。そうしますと、何を行う組織なのかということを通常目的規定に書くというものでございます。  そうしますと、日本銀行は「銀行券を発行するとともに、通貨及び金融の調節を行う」というそのための組織、それを目的とする組織であり、なおかつ「資金決済の円滑の確保を図り、もって信用秩序の維持に資すること」、こういったことをやる目的の法人だという意味で「目的」と。目的というのは確かに広い意味で見ますと、先生がおっしゃいますように、何のためこんな組織が、究極の目的は何だとい.いますと、先生がおっしゃったような理屈の方が正しいわけでございますけれども、組織法として見た場合にはそういう意味。そうすると、その組織法がこういうことをやりますというときに、どんな考え方でもってそれをやるのかというのを理念という形で書かせていただいたということでございます。
  105. 寺崎昭久

    ○寺崎昭久君 こういう表現方法をとられますと、往々にして責任の所在が不明確になることがあるんですね。例えば物価の安定と信用秩序の維持がトレードオフの関係になった場合に、どちらが優先するんだろうかということを迷わせます。あるいは、物価安定のための金融政策の主体と責任、またいわゆるプルーデンス政策の主体と責任は、大蔵省なのか、日銀なのか、金融監督庁ができたとすればそれなのか、あるいは預金保険機構なのかというようなこともいろいろ思いをめぐらす余地が出てくるわけでございます。  そうならないためには、もう少し日銀基本的な役割はこれですよと、そのためにはほかのことは第二義的に考えていただいて結構ですと読めるようなつくり方をしていただきたいものだなと思っておりますが、せっかくのことでありますから、プルーデンス政策物価の安定というのはどちらが優先するとお考えなのか、大蔵省にまずお尋ねしたいと思います。
  106. 山口公生

    政府委員山口公生君) 第一条の第二項をお読みいただきますと、「銀行その他の金融機関の間で行われる資金決済の円滑の確保を図り、もって信用秩序の維持に資する」と、「資する」というふうに書いてございます。したがいまして、先生が御指摘のプルーデンス政策の、つまり信用秩序そのものの一義的責任政府にあるというふうに考えます。  ただ、最後の貸し手としての日本銀行の機能がございますから、その機能を通じる限りにおいて、こういう資することを期待しているわけでございます。そういうふうにお考えいただければよろしいかと思います。
  107. 寺崎昭久

    ○寺崎昭久君 了解いたしますが、それなら物価の安定を妨げない限りにおいて、金融システムの安定という目標に対して政府に協力する、日銀は協力すると、こう書いていただくともっとすっきりするなというように思っております。  同様のことが物価の安定と国民経済との関係にも出てくるわけでございます。改正案の第二条は、理念として「物価の安定を図ることを通じて」、これが一つ。それからもう一つは、「国民経済の健全な発展に資する」とあるわけでございます。理屈でいっても、複数の目的を持ったりあるいは目的を広範囲にしますといろいろ面倒なことが起こりがちでございます。例えば、政治の介入なんというのが起こりやすいわけでございます。  典型的な政治介入の例というのは、一九七三年の公定歩合の引き上げと物価の関係を挙げることができると思います。当時は田中内閣でございまして、列島改造計画それから積極財政を目玉にしておりまして、金融緩和によって物価が騰勢を強めるという、そういう時期がありました。当時の佐々木日銀総裁は、七二年の夏ぐらいから警戒態勢、危険水域に入りつつあるという認識を示されたわけでありますけれども、その後の経過でいいますと、七三年の一月に預金準備率の引き上げが行われただけで、公定歩合には一切手がつけられなかったと。あるいは七三年の二月は、そういう御議論があったんだけれども、予算審議中であるからちょっと待てという圧力がかかったやに伝わっております。七三年の三月は預金準備率が引き上げられたという経過がありまして、結局公定歩合引き上げのタイミングが半年ぐらいずれたんじゃないか、そのために七四年の狂乱物価が生じたんではないかというように指摘する人も少なくないわけでございます。  これは、大蔵省日銀と両方にお伺いしたいわけでありますが、物価国民経済、この二つの目的に対してどちらに軸足を置くことを期待しているのか、置こうとしているのか、お尋ねしたいと思います。日銀からお尋ねします。
  108. 松下康雄

    参考人松下康雄君) この物価国民経済でございますが、御指摘のこの改正法案の第二条は、「通貨及び金融の調節を行うに当たっては、物価の安定を図ることを通じて国民経済の健全な発展に資する」というふうに規定をされております。  まずこの物価の安定につきましては、やはりいろいろ物価の安定を図る方法はございましょうけれども、その中で最も大きく効果を持つ一般的な問題は、マクロ的な金融政策の行使によってこれを安定させていくということでございまして、これは直接中央銀行政策にかかわってまいる目的でございます。この物価の安定を図ることにより、持続的なインフレなき経済安定成長実現できるので、そのことを物価の安定を通じた政策の究極の目標というふうに置いているわけでございますので、これは私ども立場からいたしますと、物価の安定を図るということに私ども専念をすることで結果的にそれが経済の安定的な発展に役に立つというふうに理解をいたしております。
  109. 山口公生

    政府委員山口公生君) 国民経済の健全な発展の前提としまして、やはり物価が安定しているということは大変大切なことだと思うわけでございます。したがって、物価の安定ということに意を注いでいただいて、それがひいては国民経済が健全な発展をするということを私どもは期待しているわけでございます。
  110. 寺崎昭久

    ○寺崎昭久君 あえて申し上げますれば、つい最近もいわゆる白紙撤回事件とか言われている案件があったり、政治が金融政策に対して介入するような話がないでもございませんので、もしそういう話がどこからか飛んでいきましたら、日銀政策委員会の議事録にでも載せて大いに公表してもらいたいと私は期待しております。  それから、日銀にお尋ねしますが、物価の安定という中に資産価格の安定を加えるのかどうか、その辺についてお考えをお尋ねしたいと思うわけであります。物価の安定という場合には、普通は一般物価を指していると思います。しかしながら、一九八〇年代後半のいわゆるバブル期において、一般物価が安定している状況のもとで地価だとか株価が高騰したというような経緯を勘案しますと、土地株価の資産価値の安定というのも金融政策の最終目標として考えた方がいいのかなというような考えがございます。  もちろん、ここのところは議論のあることだというのは承知しておりますし、とりわけ株価だとか債券というのは、これは中間目標にはなり得ても最終目標にはなり得ないのではないかというのが一般的な認識のようにも思いますけれども、私は、少なくとも地価については基本的な生活関連のものでありますし、とりわけまだまだ多くの人が土地つき一戸建ての住宅を持ちたいと願っているようなことを考えますと、やはり金融政策の最終目標としてある程度土地地価対策というものも目配りしなければいけないのではないか、そんなふうに考えるわけでありますが、御所見を伺いたいと思います。
  111. 松下康雄

    参考人松下康雄君) 御指摘の点は、私どもといたしまして、バブル反省も踏まえまして資産価格の動向などには十分の注意を払いながら、インフレなき持続的成長目標とした政策運営を図っていくという考え方をとっていかなければならないと、これまでも繰り返し述べたところでございます。  ただ、地価株価というような資産価格は、そのものとして見ますというと、その中に将来の経済成長についての見込みあるいは企業収益の見通しというようないろいろの要素を織り込みながら変動していくという面がございまして、一般物価とやや動き方を異にする場合もございますので、直ちに一般物価の安定と全く同じような意味金融政策の直接の目標に含めることは適当ではないのではないかというふうに思うわけでございます。  ただ、しかし、資産価格の動きそのものは、経済の先行きに関する非常に有用な情報、市場の先行き見通しというものを反映しているものでございますし、また資産価格の動き自体がはね返って経済の実体の動きに影響を及ぼしてくるということもございます。そのあたりが私どもバブル時代反省でもございます。  したがいまして、私どもとしましては、こういった観点から、資産価格を価格変動を示唆する重要な材料の一つであるという位置づけをいたしまして、今後ともその動向あるいは経済に及ぼす実態的な影響というものに十分の注意を払いながら適切な政策運営を図ってまいりたいと思っております。
  112. 寺崎昭久

    ○寺崎昭久君 例えば、土地の価格等にどれぐらいのウエートを置きますという表現をすることは困難なのかもしれませんが、先ほどのバブルのときにかんがみて、こういう場合には対策は打つと。たとえデフレ政策だと言われても、あえてやるというような限界みたいなものはおありなんでしょうか。
  113. 松下康雄

    参考人松下康雄君) 資産価格が現実経済に及ぼします影響は、経済の局面に応じて非常に異なってまいります。  例えば、アメリカあたりでも最近株式の価格動向に関連いたしまして、中央銀行のいろいろな発言が反響を呼んでおりましたけれども、そのようになかなかこれを一つの基準でルール化をしてまいるということは難しいのではないかと思いますが、私どももさらにこれまでのいろいろの資産価格と一般物価あるいは経済の動向というものの関連についての分析は鋭意努力をいたしまして、その中から将来に対する有益な教訓を引き出してまいるようにいたしたいと思っております。
  114. 寺崎昭久

    ○寺崎昭久君 次に、物価の安定と為替相場の関係について引き続き日銀にお尋ねしたいと思います。  四月二十五日、衆議院大蔵委員会ですが、総裁は、金融政策目標についてこういう御発言をされております。金融政策目標について、それが国内物価の安定と限定的にとらえるか、あるいは円の対外価値の安定も含むのか、通貨価値の安定ととらえるか、なかなか議論のあるところだと思うと。しかし私は、為替相場まで含めるとかえって国内物価の安定を損なうことも考えられるので、物価の安定を基準にしたいという御趣旨の発言をされ、金融政策は為替相場の安定や対外不均衡の是正に過度にとらわれないように注意しなければならない、こういうこともつけ加えられております。  これを聞きまして私は、日銀は正直言って円高とか円安だとか、そういうニュースを聞きながら一喜一憂している国民だとか企業家の気持ちをどう考えているのかなと。あるいは為替相場が日銀金融政策を制約していないというようなずっと一貫した認識を持っておられるのかなとか、そんな疑問もあったわけであります。  為替相場とか介入というのが国内物価にどんな影響を与えると考えておられるのか、これは一般論でも結構ですが、その関係について御所見を伺いたいと思います。
  115. 松下康雄

    参考人松下康雄君) 非常に国際化が進みました今日の経済の現状におきまして、為替の水準というものが国内の経済運営に及ぼします影響はそれは非常に大きなものがございますし、単に企業のみならず、それは個人の生活の内容にまでその影響は及んでいるという面があることは事実であると思います。  ただ、私が前回申し上げましたのは、金融政策の目的ということを考えます場合に、それを国内物価安定ととらえるか、円の対外価値安定を含んだ通貨価値の安定としてとらえていくかという点につきましてはずっと議論が続けられてきたところでございまして、今回の日銀法改正におきましても改めてその点の議論は行われております。  その際の考え方といたしましては、これは為替相場自体を取り上げますと、それは自分の国の、日本の国の経済のファンダメンタルズの反映ではありますけれども、しかしそれだけにとどまりませず、貿易相手国の経済ファンダメンタルズでありますとか、あるいは国際的な資本移動、金利の変動といったようないろいろの要素が絡み合って形成されるものでございますので、為替のレートというものの安定を絶えず政策目標の中に一般物価の安定と並べて置いておきますと、ケースによりまして、場合によりましてその両方が相矛盾してくるという場合があり得るわけでございます。  そういった場合を考えますというと、やはり私ども政策の直接の目標は国内的な物価安定、経済の持続的安定成長というところに置きまして、しかしながら為替レートというものは、それが国内の経済にも、またその将来に対しましても非常に大きな影響を持つものでございますから、この影響は誤りないように、できるだけ正確にこれを見きわめながら政策運営全体の中に反映をさせていくべきものであろうというふうに考えております。
  116. 寺崎昭久

    ○寺崎昭久君 大蔵省にお尋ねしますが、今回の日銀法改正の中には国際金融業務についてはほとんど触れられていないわけであります。問題点を反映したとか、そういうような形跡を私は感じないわけであります。  例えば、中央銀行研究会の答申を見ましても、国際金融業務の中には日銀独自の判断で行う業務と政府の関与が必要な業務と仕分ける必要があるとか、為替介入についていえば、現状においては政府が一元的に責任を持って行うべきであると、さらっと終わっているんですね。これを読みます限り余り問題ないのかなというように見えるわけでありますけれども、どんな議論がされたんでしょうか。
  117. 榊原英資

    政府委員(榊原英資君) 中央銀行研究会におきます個別の議論について、私がコメントすることは適切であるとは思っておりませんけれども、一般的に申し上げまして、為替介入について三つほどの論点があるというふうに思っております。  先ほど総裁が言われました、日本銀行の目的として物価の安定ということにするか、通貨の安定ということにして物価及び為替レートを含むかという論点でございまして、これは総裁からも御説明がございましたけれども、例えば学問的には一つ政策手段で二つの目的を達成できるかという議論がございまして、日本銀行が持っておる政策手段というのは一つ金利政策ということでございますけれども、それで為替の安定と物価の安定を両立させることが可能かという議論がございまして、これは理論的には可能でないというのが通説になっております。そういうことから、一つ政策二つの目的を達成し得ないということから、日本銀行が為替の安定ということについてその目的にすべきではないというのが中銀研の一つの結論であったというふうに考えております。  それから、もう一つ為替介入に関する論点は、政府あるいは日銀が一元的にこれに責任を持つべきなのか、あるいは二元的に政府もやるし日本銀行もやると、こういうようなことにするのかという論点でございますけれども、これについても、二元的にやるとどうしても為替介入の効果というものが減殺される、あるいは為替介入を結果としてやるべきであるというふうに判断されるときにも双方の意見が微妙に違ってできないというようなことがあるわけでございまして、そういうことでやはりこれは一元的にやるべきであると、そういうことになったんだというふうに理解しております。  それからまた、一元的にやる場合、先ほどの目的ということの関連もございますけれども、もう一つこれを政府責任を持ってやるべきなのか、日本銀行がやるべきなのかということについては、実務的な観点というのもございまして、現実に政府あるいは大蔵省、財務省が責任を持ってやっておる国と中央銀行責任を持ってやっている国が実は世界にはあるわけでございまして、前者はアメリカでございます、後者はドイツということでございます。日本の場合の為替介入といいますと、ほとんど円ドル相場で行っております。ですから、私どものカウンターパートは政府責任を持つ、財務省が責任を持つということになっておりますので、そういう実務的な観点からも政府責任を持って為替介入を行うことが妥当ではないか。  いろいろ議論はあったようでございますけれども、その三点が主要な論点で、結果としては現在の国際金融システムのもとでは政府が一元的に責任を持つべきであるということが中銀研の結論となったというふうに理解しております。
  118. 寺崎昭久

    ○寺崎昭久君 政府が為替介入をやると、羊が出たと言う市場関係者がいらっしゃるそうでございます、羊。これは羊がしょっちゅう鳴いているように大蔵省はしょっちゅう介入するというんですね。だけれども、残念ながらパワー不足であるというようなことをやゆして言うことなんで、これは影の声だろうと思いますけれども。  ただ、それはそれとして、介入は市場に近い日銀に任せた方がよいのではないかという論は前からありますし、それから問題点として、ドル買い入れ資金を日銀から低金利で調達しているとどうしてもコスト意識が薄くなる、シビアさが足りなくなる。また、日銀から借り入れることが恒常化すると介入の規律も緩みがちになるんではないか、繰り返すとインフレマネーにもなるんではないか、原因にもなるんではないかというような指摘もあるわけでございます。  今、何点かに絞ってお話がございましたけれども、今回の法改正の中では、例えば法律に直接かかわる部分ではないにしても政府短期証券、FBの問題に言及があったのかなかったのか、その辺をお尋ねしたいと思います。
  119. 伏屋和彦

    政府委員(伏屋和彦君) お答えいたします。  今回の法律改正に当たって中央銀行研究会におきまして、政府の銀行としての中央銀行あり方についても議論が行われたわけでございます。そこで、今のお話政府の短期証券も含めましてでございますが、いろんな議論があったわけでございますが、報告の取りまとめといたしましては、「国債の引受けに関する現行日本銀行法規定は、財政法の規定整合性がとれていないので、日本銀行法規定の整備を行うことが適当である。」という取りまとめがございました。そこで、それを織り込んだものが具体的に言いますと今回の改正案の第三十四条でございますが、改正法案として御提出いたしまして現在御審議いただいているところでございます。
  120. 寺崎昭久

    ○寺崎昭久君 先ほどもちょっと触れましたけれども、私は急激な為替変動をならすための介入ぐらいであれば何も政府がやることはないんじゃないかなというように思っている一人なので、そういう視点から若干意見を申し上げたいと思います。  為替資金をどう調達するかという問題のほかにもう一つ、それと裏腹の関係にあるんでしょうけれども、我が国においてはFB、TB、いわゆる短期金融市場が育っていないということが前から指摘されております。金融市場をめぐる環境整備も徐々に整ってきているというようには聞いておりますし、例えば一九八八年以降については短期金融市場においても大変多様な構成になっておりますし、残高もふえているというような好ましい傾向にはありますけれども、ただ現状においても指摘されている問題点というのは、オープン・マーケット・オペレーションの対象になる短期国債市場が育っていないということが言われているわけであります。  なぜそうなったのかということにかかわってお尋ねしたいわけでありますけれども、FB市場が発達してこなかった理由というのは、先ほどもちょっと触れましたけれども、FBを発行する際に市場金利以下、それも公定歩合以下の低金利で発行してきたために結局市中で消化し得ず、全部、ほとんど全部と言ってもいいほど日銀が引き受けざるを得ないという状況があったからではないかというようなことが言われているわけであります。  こういう低金利、私は低金利だと思っているんですけれども、だれが、どなたがこの金利というのは決められているんですか。どういう基準で、どういう手続で決められているんですか。
  121. 伏屋和彦

    政府委員(伏屋和彦君) お答えいたします。  お尋ねの点が三点ぐらいあるかと思います。まず第一には、先ほど委員が言われましたFB、いわゆるフィナンシャルビル、政府短期証券の市場の話でございますが、政府短期証券は、これは財政法第七条に基づきまして、国は国庫金の出納上必要があるときは大蔵省証券を発行することができると書いてございまして、これは資金繰り上必要がある場合に限って発行されるいわゆる資金繰りの証券でございます。したがって、それはそのときそのとき、的確な額も確保して資金調達をする必要があるという観点から、先ほど委員が言われました意味で定率公募残額日銀引受方式がとられているわけでございます。現状では、この発行そのものにつきまして具体的な支障が生じているとは考えていないわけでございます。  このような国庫の資金繰りのための証券でございます政府短期証券につきましては、先ほど委員が言われました市場の育成という意味では必ずしもちょっと両方がなじまない部分があるんではないかというぐあいに考えております。  先ほど委員も言われましたが、今度短期の市場の話になりますと、一方で短期国債、いわゆるトレジャリービルを出しているわけでございます。これは、短期国債という意味ではそういうものが存在しているものでございますから、短期の金融市場では今やそれが中核商品となりつつございまして、先ほど委員も言われましたように、残高もふえてきておりまして、平成七年度末には約十二兆円の残高があるわけでございます。  もう一つは、先ほどのお話で、この引受方式がその結果金利の決定、これはまさに先ほどの定率による公募発行方式でございます。その定率はルールがございまして、現在は公定歩合からマイナス〇・一二五という水準で発行させていただいておりますが、それが考え方といたしましては、やはり先ほど申し上げましたように、国庫の資金繰りの資金でございますので、一つは多額にかつ迅速に調達する必要がございます。日々に変動幅も大きいという性格も有しております。そういうことから、資金調達を確実かつ効率的に、しかも有利に行うことを目的とした方式でございまして、その意味で、特に有利という意味で先ほど委員が言われましたその水準になるわけでございますが、やはりこれは国への信用はより低利で行われるべきであるという考え方に基づいておりますので、御理解いただきたいと思います。
  122. 寺崎昭久

    ○寺崎昭久君 今、FBの固定金利の話が出ましたけれども、最近の市場動向を見ますと、期間が三カ月で金利が自由化されているTBの金利が六十日物のFBの金利をさらに下回っているというケースが結構あるわけであります。たしかFB金利を固定にしたのは、固定しないと安定した資金調達ができないというのが当時の御説明だったと承知しておりますけれども、FB金利を自由化しないそういう理由の前提というのは崩れているんじゃないかと、市場から低金利で資金調達ができるということが、既にこの数年というか、この二年かそれぐらいの間には証明されているんではないかと思うんですけれども、もとを考えますと、FB金利は市中金利にゆだねるということをやってもよろしいんじゃないかと思うんですが、どうでしょうか。
  123. 榊原英資

    政府委員(榊原英資君) FBの一つの種類でございます為券について申し上げさせていただきますけれども、為券は為替介入のために資金繰り債として調達するものでございますけれども、これは市中消化にはなじまないということでございまして、例えば介入をする直前に市中でその為券を公募するということであれば、介入がいつどの規模で行われるかというのがわかってしまうということでございまして、これがわかると介入の効果の九割方は減殺されてしまうということでございます。  それから、逆に今度はドル売り介入をいたしますと、そのドル売り介入をした分は、これは期前償還をしなきゃいけません。ですから、マーケットで期前償還がその発行者の恣意によってなされるような債券というのは、これはマーケットで流通いたしません。そういうことでございまして、為券というのは市中消化になじまない証券ということでございます。  また、委員指摘のように、実は市中金利の方が公定歩合マイナス〇・一二五より低いということもしばしばあるというのは事実でございます。特に残存期間六十日物のTBですと、これはFBの金利を下回ることはしばしばございます。ただ、これは、民間に対する貸し出しを日銀公定歩合という公定金利でやっているわけでございますから、政府に対する貸し出しが公定歩合マイナス〇・一二五という固定レートでなされるということは、固定レートというか、公定歩合が変われば変わるわけでございますから、特に不思議なことではないというふうに私は思っております。
  124. 寺崎昭久

    ○寺崎昭久君 日銀公定歩合よりも低い金利で政府からFBを引き受ける、そういう現行方式のもとにおいては、もしそのFBを日銀がオペレーションの形で市中に出すということになると、当然のことながら売却した場合には逆ざやが生じるわけでございまして、日銀は相当な損失を生じるんではないかと思うわけであります。  その逆ざやが生じた場合には、結局、日銀の納付金が減少するということで、国の方にもツケが回るわけでありますので、どちらがいいのかという議論はあるにしても、実際にはこの三年程度の間にどれぐらいのそうした逆ざやというものがあったと考えていいでしょうか。日銀にお伺いします。
  125. 松下康雄

    参考人松下康雄君) ただいまの御質問の中の、FBを市場で売却をいたしました場合、確かにそこで現状逆ざやが表面化することになるわけでございますけれども、実は一般的に、これは市場金利よりも低金利で債券を引き受けますというと、その引き受けを行いました段階でその償還までの期間につきまして逆ざやが発生をしているわけでございまして、売却をすることで表面化した部分だけに限った問題ではないわけでございます。御指摘のとおりでございます。  そこで、そういった意味での、日銀の収益の減少分というものを、FB保有ということから得られる収益とそれと同じ金額を市場金利で運用した場合の収益とを比べてみるというやり方があると思います、途中で売却した場合だけでございませんで。そういうことで仮に比較をしてみますというと、実際にはじゃその場合金利をどう見るのかとかいろいろ難しい問題がございますけれども、いろいろ仮定を置きまして、FBを保有するかわりに手形市場で手形を買い入れたとしまして、それを平成六年度から八年度の三年間の平均で見て、その場合の収益差額が幾らになるか、これは年によって非常に変動がございますから三年平均で見ますというと、年間で七百億円弱の差額がございます。  ただ、この点は日銀にとりましてはマイナスの金利差でございますけれども、全体として見ますというと、その部分は納付金の減少という形になりまして、銀行としてはつり合ってくることになるわけでございます。
  126. 寺崎昭久

    ○寺崎昭久君 五月七日の衆議院大蔵委員会で、榊原局長はこの日銀の介入資金について、資金を日銀から調達しているわけですけれども、これを市場から調達すると為替介入をやることがわかってしまうと、だから適当じゃないというような趣旨の御答弁をされたように議事録で拝見しました。  それだったら、いわゆる為券を市中レートで発行して日銀に引き受けてもらうような方法を考えたらどうかとか、あるいは日銀政府に対する当座貸し越しという方法をとることだってできるんではないか。どっちにしても、為券を発行すれば日銀が引き受けるものだというやり方はちょっと安易過ぎるんではないかという批判があるわけですけれども、その辺はどうでしょうか。
  127. 榊原英資

    政府委員(榊原英資君) 私が五月七日あるいはきょうも申し上げたのは、為券を市中から直接公募するということは為替介入の目的からいって適切ではないということでございます。  ただ、日銀大蔵省の間の金利をどうするかという問題は、これは実は総裁も述べられたところでございますけれども、納付金で処理するのかあるいは金利で処理するのかということでございまして、これは各国ともさまざまでございます。  例えば、フランス等はむしろ中央銀行から無利子で調達をしているというようなことでございまして、そういう場合もありますでしょうし、あるいはおっしゃったように、市中金利で調達をするというような方法もいろいろあると思いますけれども、結果としてこれは同じことになるんではないかというのが私の個人的な見解でございますけれども、最終的に政府日銀の間の勘定ということになるわけでございますから、おっしゃるようにさまざまな方法があるということは認識しております。ただ、逆に中央銀行から無利子で借り入れている国があるということも御認識いただきたいと思います。
  128. 寺崎昭久

    ○寺崎昭久君 日銀は、今の無利子でという話について、何か御所見ございますか。
  129. 松下康雄

    参考人松下康雄君) この問題は、私どもといたしましては短期金融市場というものの整備充実というような観点からの議論もあることと存じます。  また同時に、今の特殊の要因政府が臨時、緊急に、内密に資金を必要とするという場合に、国庫の資金繰りというものをどう考えていくのかという問題もございます。それらの問題もございますので、現在、この件は大蔵省日本銀行の実務者の間で短期金融市場に関する研究会というものを設けまして、その中で検討し議論をいたしているところでございますので、こういった研究会を通じまして、関係者の理解が深まりよりよい結果が得られることを期待しているわけでございます。
  130. 寺崎昭久

    ○寺崎昭久君 このFBの市中消化ということについて、現実可能な、あるいは検討課題になるのかどうかちょっと私も自信がないところがあるんですけれども、先日大蔵大臣が福岡へ行かれまして、アジア開発銀行総会の合間にASEAN蔵相会議を開かれました。  報道によりますと、そのときに円高を懸念する声が大変強かったということでございます。これは報道がそう言っております。つまり、多額の円借款だとかあるいは円建ての債務を抱えている国にとっては、ドルリンクしやすい自国通貨で借金を払うというのは大変負担になるという声だったというように理解しておりますけれども、例えばこのFBとかTBを使って消化するための市場を広げるというだけではなくて、円の経済圏を広げるというような観点から仕組みだとか金利のあり方だとかいうことを考えてみることはできるんじゃないかと思うんですが、いかがでしょうか。
  131. 榊原英資

    政府委員(榊原英資君) 御指摘のように、特にアジアの国には円借款という形で円の債務、多額の債務を負っておる国が非常に多いわけでございます、インドネシアあるいは中国等がそうでございますけれども。これらの国は、円高になりますと大変な為替差損というか、損をこうむることになりまして、アジアの国からは円高は困るというような発言はしばしばなされておるところでございます。  それで、委員指摘のように、こういう懸念にこたえるためには、円の運用市場でございますね、円の運用市場、短期のもの長期のもの両方ございますけれども、特に短期のものについて、これを充実するということが一つの解決策でございまして、その意味で日本に、今理財局長からはTBの市場ができておるということでございますけれども、この短期の運用市場、円の運用市場をさらに広げて深みのあるものにするということは大切なことだというふうに思っております。
  132. 寺崎昭久

    ○寺崎昭久君 時間がございませんので、一つ給与の問題について日銀にお伺いしたいと思います。  第三十一条には職員の給与、退職金については支給基準を公表すると書かれておりますけれども、ただいまの日銀の給与水準、特に管理職を除いたところというのはどの程度の給与水準になっているのか、金額になっているのか、あるいは今後支給の基準を公表するというのはどういうイメージを持っておられるのか、その辺の御見解を示していただきたいと思います。
  133. 松下康雄

    参考人松下康雄君) 私ども日本銀行におきましては、職員の給与は年齢基準で決定をしているというわけではございませんで、職員それぞれにつきましての職務の評価あるいは考課の査定、業績査定等に基づいて決定をいたしているところでございます。したがいまして、一概に職員の給与水準を例えば年代別に金額でお示しするということは難しいところでございまして、それは考課、査定等によりまして大きな給与格差がつけられている現状でございますから、組織運営上も難しい面があることを御理解いただきたいと存じますが、日本銀行職員の給与の決定自体につきましては、金融機関として業務の相当部分が同じ質の市中大銀行を参考にして決めてまいっております。  こうした日銀職員給与の都銀準拠という考え方は、これは昭和三十四年の金融制度調査会の実態調査小委員会報告に基づいたものでございまして、これは給与だけでなく、勤務体制、各種の労働条件また福利厚生等の処遇全般を決定する際の基準としているところでございまして、この上に私どもの労使関係が築かれているところでございます。個々の職員の給与につきましては、各職員につきましての厳正な職務評価、考課、業績評価等によって決定をいたしているところでございます。  そこで、新法が施行されますと、新しい政策委員会が発足後、この委員会で十分な議論を行って、その上で従業員組合と協議しました上で決まっていくことになるわけでございますが、一般論として申しますと、やはり給与等の支給基準を決定するに当たりましては、労働市場における競合とか、同質の仕事の社会的価値などのさまざまな要素につきまして、より広く社会一般の情勢を考慮する必要があるというふうに考えております。  また、新法におきましては、給与等の支給基準を定めた上で公表するということになっておりますので、私ども国民の理解が得られますような基準の制定に努めますと同時に、支給基準についての考え方につきましてもきちんと御説明できるものにいたしていくつもりでございます。
  134. 寺崎昭久

    ○寺崎昭久君 日銀は、政策委員会で、例えば賃金をことし幾ら上げますよというのは多分決められることになるんだろうと思います。そうですね、今後。労使交渉をやられ、それを踏まえて賃金を決めるということをされるわけですね、今後は。
  135. 松下康雄

    参考人松下康雄君) 賃金決定の原則は、政策委員会で決定をされる事項でございます。年々の給与決定につきましては、政策委員会で決定をされた考え方に基づきまして労使交渉を行って決定をしてまいることになります。
  136. 寺崎昭久

    ○寺崎昭久君 大蔵大臣、最後に。今の賃金問題について一つお尋ねしますが、大蔵省は予算について認可制をとられましたですね、経費の予算について。経費の大宗というのは恐らく賃金であろうと思います。それを受けたときに拒否権もあるわけです。予算だからまだ拒否する段階ではないといっても、一年たてばそれが業務報告ということで大蔵省経由で国会に届けられるという仕組みを考えますと、そこのところは大事なポイントだと思うんです。  もし、これが高過ぎるとかもうちょっと低くした方がいいという意見を仮に持ったとします。これは一つの基準がなきゃいけないんですが、そういう意見を付されたとすると、これは不当労働行為、親会社が子会社の労使関係に介入するみたいなことになりませんですか。ちょっと突然で申しわけありません。
  137. 三塚博

    国務大臣三塚博君) 銀行局長の方がいいと思うんですけれども、私から基本的な点を申し上げます。  今、総裁も言われましたとおり、政策委員会において基準を決めると。これは給与の面における憲法みたいなものになるんだと思うんです。そういうことで、その基準の作成、公表が適法に行われると、こうなるでありましょうし、給与全体が適正なものかどうか、こういうことであり、適正なものであればそれはそのとおり執行されていくと、こういうことじゃないんでしょうか。
  138. 寺崎昭久

    ○寺崎昭久君 どうもありがとうございました。
  139. 鈴木和美

    ○鈴木和美君 私は、本日は審議の初日でございますので、総論の部分について御質問をしてまいりたいと思います。  金融国際化自由化の当然の帰結として生まれました世界的な競争時代を乗り切るために、また預金者保護を図る観点からも、金融行政の大改革を断行することは、時代の要請との関係から見て遅きに失した感があります。  社民党は、与党三党の枠組みの中で、昨年、大蔵省改革プロジェクトチームをつくりました。これも同様の問題意識に立ったからでございます。このプロジェクトチームは、昨年、「新しい金融行政・金融政策の構築に向けて」と題する報告書をまとめましたが、そこで金融行政見直しと一連のものとして、戦時立法で統制色の強い日本銀行法を抜本的に改正することもあわせて提言をしました。これは、近年、世界各国で中央銀行制度の一段の整備がなされている現状を踏まえるとともに、我が国の金融システム金融市場の近代化のため、当然なすべきことであったと思うのであります。  その後、中央銀行法改正については、与党プロジェクトチームから、中央銀行研究会、金融制度調査会へと引き継がれまして、最終的には政府によって法案提出を見たわけでございます。我々としては、この間も議論の進捗をフォローし、あくまで政治主導でなし遂げてきたと考えているところでございます。  そこで、きょうは、昨年六月の与党プロジェクトチーム報告書に立ち返り、そこで指摘した論点が改正法案でどのようになっているかを検証する立場から、総論的な幾つかの問題について伺っていきたいと思います。  最初に、報告書では、「金融政策財政政策との政策展開の関係については、金融金利政策に過度に依存して、バブル発生の一因となった経過が厳しく反省されなければならない。」として、このような事態を繰り返さないためにも、一つ日銀独立性責任性を明確にすること、二つ目財政政策金融政策それぞれの政策運営の独自性を認識して、相互に尊重しつつ、経済政策を遂行すること。この二点が重要であると指摘してまいりましたが、今回の改正法案では、最終的にこのような考え方に沿ったものとなっているのかなっていないのか、どういう認識であるのか、まずお伺いします。大蔵省にお願いします。
  140. 山口公生

    政府委員山口公生君) お答え申し上げます。  日本銀行法案につきましては、日本銀行金融政策独立性とその意思決定透明性を高めるとともに、日本銀行の適正かつ効率的な業務運営確保する必要性にかんがみまして、政策委員会金融政策決定の独立性をより明確にするために、一つ、広範な業務命令権を廃止すること、二つ総裁等役員について政府と意見が異なることを理由とする解任権を廃止することなどの措置を講ずるとともに、政府経済政策日銀金融政策整合性確保するため、政府から政策委員会に出席し意見を述べることができる仕組みとしましたほか、政策委員会の議事要旨の速やかな公表などの措置を講じているところでございます。  これらの法案の内容については、昨年六月の与党報告書の御提言に合致したものとなっており、日本銀行金融政策独立性政策決定透明性が十分確保されるものと考えております。
  141. 鈴木和美

    ○鈴木和美君 あわせて、次の問題についてお答えいただきたいと思います。  欧州各国では、通貨統合に向け、金融政策運営独立性を高める方向で中央銀行制度の見直しが行われています。先ほども議論がございましたが、ごく最近では中央銀行独立性が比較的弱いと言われていたイギリスにおいても、イングランド銀行に独立性を高める方向で検討が開始されたと聞いています。こうした世界の動き、グローバルスタンダードに照らしてみて、今回我が国の改正法案の内容は、こういう世界の動きから見て遜色のないものとなっているかどうか、見解をお聞かせいただきます。これは日銀にお伺いします。
  142. 松下康雄

    参考人松下康雄君) 今回の日銀法改正案におきましては、現行法に比べまして、いろいろの点で具体的に中央銀行金融政策判断独立性とあわせ透明性確保するための手段が備わっていると思っております。  内容的には、先ほど銀行局長が申しましたことと重複をいたしますので省略させていただきますが、私は全体的に今回の改正日銀法案を拝見いたしますと、これは国際的に見ましても主要先進国の持っております中央銀行制度に比べて遜色のない独立性透明性を備えた新しい制度が提案されているものと受けとめておりまして、日本銀行としましては、この法律案が成立して新しい中央銀行制度が整えられますならば、自己改革を進めながら与えられた使命を達成してまいります上で大きな力になるものと考えております。
  143. 鈴木和美

    ○鈴木和美君 改めて日銀総裁にお尋ねいたします。  今のお答えはお答えで理解いたしますが、もう一度突っ込んで確認させていただきます。今回の改正案をもって日銀の理想と考えるセントラルバンク、つまり中央銀行ができたと考えておりますか、本当にグローバルスタンダードに適合しているというようにお考えですか。
  144. 松下康雄

    参考人松下康雄君) いろいろの点におきましてこの条文の規定の仕方自体は各国、他国の制度と違っている点もございますけれども、それらの中におきまして、我が国の全体の法制を踏まえまして、工夫の上で、中央銀行金融政策独立性確保できますような、いわゆるセーフガードというものを設けているところが私ども独立性透明性確保に大いに役立っているというふうに考えるところでございます。
  145. 鈴木和美

    ○鈴木和美君 さらにもう一度お尋ねします。  仮に独立性とか透明性とかという議論が、日銀そのものとしては独立性としてもっと強い意見を持っていたんじゃないかと私は想像するんです。なぜならば、今回法案の中に入っておりますいわゆる議決延期請求権、こういうものはもともと日銀としては入れてもらっては困る、そんなことは要らないというような固定のあなた方の理想と考え方を持っていたんじゃないですか。それが今回入ったですな。だとすると、本当にセントラルバンクとしての機能を発揮できるような内容になっているのかということを私は聞いているんです。
  146. 松下康雄

    参考人松下康雄君) ただいま御指摘政府の議決延期請求権についてでございますけれども金融制度調査会でありましたか、この問題の議論が始まりました当時、私どもといたしましては、その議決延期請求権というものの内容がどういうものであるかという点に重大な関心を持ったわけでございます。  これは、例えば外国の一部の中央銀行におきましては、政府代表が政策委員会に当たる機関に出席をいたしまして、そこで議決延期請求権を行使いたしますと、それは即決定になりまして、議決は自動的に延期をされるという制度も実例があるわけでございます、実際にこれは使われたという例はないようでございますが。  私どもは、そういう形の議決延期権というものは今の独立性という観点から見ていかがなものかという危惧の念を持ったわけでございますけれども、実際に法律化されました事項は議決延期の請求権でございまして、政府から出席をします代表が場合によりまして議決延期の請求を提案することができる。ただ、その提案を決定いたしますのは日銀政策委員会におきまして、ここでは政府代表は投票権を持たないのでございますけれども審議の上で採用するかしないかということを決定することができる。そして、その経緯につきましては、これは議事要旨の中で公開をされまして、こういう要求がありこういう検討が行われたということが明らかになる仕組みでございますので、私どもといたしましても、そういった配慮の上につくられた制度でありますならば、それはそれで中央銀行独立性というものを脅かす制度とは考えられないというふうに判断したわけでございます。
  147. 鈴木和美

    ○鈴木和美君 その件につきましては、また具体的に議論させていただきたいと思っています。  次は、大蔵省にお尋ねいたしますが、与党PTの報告書では具体的に八つの検討項目を挙げております。まず、総動員的な現在の目的規定をこれからの我が国の金融情勢を展望したものとすべく見直しを図るとしておりますが、今回の改正法案に盛り込まれた二つの目的が、最近改正された各国中央銀行法と比べてどのような特徴があるか、また中央銀行機能を適切に発揮するために必要かつ十分な目的となっているのかどうかの認識についてお尋ねします。
  148. 山口公生

    政府委員山口公生君) お答え申し上げます。  諸外国の中央銀行法におきます目的規定規定ぶりにつきましては、そもそも我が国と法体系が異なっており、一概に同列には比較できないものであるということを前提にお聞きいただきたいと思うのでございます。  例えば、欧州中央銀行制度、今度の新しい制度でございますが、そこにおきましては、一つ物価の安定が目的とされているとともに、二つ金融機関に対する監督及び金融システムの安定について権限ある関係当局が行う政策の円滑な遂行に貢献しなければならないというように規定されております。その点にかんがみまして、今回の日本銀行法案におきましても、一つ金融政策を通じて物価の安定を図るとともに、二つ政府が最終的な責任を有する信用秩序の維持に寄与することというふうに目的及び理念を書かせていただきました。今御紹介したようなヨーロッパで新しくつくられる法律考え方とほぼ平仄が合っております。  したがいまして、諸外国の中央銀行法と大体似たような特色を持たせていただいたというふうに御理解いただきたいと思います。
  149. 鈴木和美

    ○鈴木和美君 その点は私も法案の内容を見まして、今局長からの報告でおおむねそう理解をしております。  指摘事項の第二は、独立性強化について、改正法案では具体的にどのような工夫をしているか、その結果、中央銀行としての独立性責任の所在は明確になっているのかどうかについても、お答えをいただきたいと思います。
  150. 山口公生

    政府委員山口公生君) 今回御審議いただいております日本銀行法案におきましては、政府の広範な業務命令権や立入検査権を廃止すること、さらに、役員について政府と意見が異なることを理由とする解任を認めないことなどの措置を講ずることによりまして、我が国の政治体制の枠組みの中で日本銀行金融政策独立性を最大限確保することとしております。  同時に、政策委員会の議事要旨等の公表、国会に対する報告書の提出や、総裁等の国会への出席義務を定めることとしておりまして、このような日本銀行政策決定に関する透明性確保説明を通じまして、日本銀行が行う金融政策についての責任の所在の明確化が図られております。
  151. 鈴木和美

    ○鈴木和美君 次の問題は、大蔵省日銀双方にお尋ねしたいと思います。  三番目に私ども指摘してまいりましたのは、独立性強化を図るとともに、国民あるいは国民を代表する国会に対する報告、説明など、その責任を明確にする必要があると指摘してきました。  国会への報告、説明強化については、今回の改正法案は十分なものとなっているのか、まず大蔵省に聞きたいと思います。先ほどからの各議員からの質問である程度私は理解したつもりでございますが、改めて御質問いたします。また日銀には、議事要旨などの公表のあり方について、どのような考え方を持っているのかお尋ねをしたいと思います。
  152. 山口公生

    政府委員山口公生君) 御指摘のとおり、日本銀行金融政策独立性が高まることに伴いまして、国会へのアカウンタビリティー、すなわち説明責任が高まることから、国会への報告等の規定を明確にすることが必要となってまいりました。  こうした観点から、改正案におきましては、政策委員会の議事要旨、議事録の公開、第二十条に書かせていただきました。さらに、日本銀行は年に二回業務報告書を国会に提出し、その説明に努めること、これは第五十四条に書かせていただきました。日本銀行総裁等は、国会の各議院、委員会から説明のため出席を求められたときは出席しなければならないこと、これも同じ五十四条に書かせていただきました、等の措置を講じているところでございます。  改正案における、国会に対する報告等の規定の整備充実によりまして、日本銀行国民の皆さんや国会に対する説明責任は明確なものになるというふうに考えております。
  153. 松下康雄

    参考人松下康雄君) 議事要旨等の公表のあり方についての御質問でございますが、改正法案におきましては、政策委員会金融調節事項、つまり金融政策審議するその委員会を定例的に、もうあらかじめ回数を決めておく、そしてその議事録、議事要旨を公表するということが定められているところでございます。  この点は、私どもとしましても、今回の法改正の中におきまして、金融政策透明性を高めてまいる上で大変重要な仕組みであると認識をいたしておりまして、これを通じまして金融政策運営に対する国民の理解と信認の向上に資するように、これから最大限の努力を行ってまいる考えでございます。  そこで、この改正法におきます議事録公表のタイミングでございますが、これは手続的には新しい政策委員会が決定するということになりますので、現段階、私から余り具体的な運用まで申し述べることは適当でございませんが、事務当局としての検討は引き続き深めてまいりたいと思っております。  議事要旨につきまして、これを早期に公表するということにつきましては、実際これまでも内部で検討を重ねてきたところでございますけれども、現段階ではまだ具体的な結論まで出ているわけではございません。ただ、この検討を行います際には、海外の例が十分参考になると思っております。ちなみにアメリカで申しますと、経済金融情勢の検討や、金融政策判断に関します議論の概要と、それから、それらを踏まえた委員による賛否などを取りまとめました議事要旨を会議開催の一カ月ないし一カ月半後に公表しているということでございます。  私どもとしましても、こういった海外の例も参考にしながら、今後国民の納得を十分得られますような制度運営を行ってまいりたいと考えております。
  154. 鈴木和美

    ○鈴木和美君 山口局長にもう一度お尋ねしますけれども、国会への報告というのと説明というのと二つに分かれていますね。国会への報告というと大体が事後報告ですよね。こういう経過でこう決まりましたというのが報告じゃないですか。ということだと、国会への方は年がら年じゅう後から聞かせてもらうということになりますな。早目に議論しておきたいと、おれたちはこういう考え方だというような、そういうやりとりというのは説明の部分に入るんですか、どっちですか。
  155. 山口公生

    政府委員山口公生君) 五十四条には、年に二回、通貨関係の政策委員会が議決した内容及びそれに基づき日本銀行が行った業務の状況を記載した報告書を作成して、国会にまず提出をいたします。それにつきまして、第二項におきまして、「前項の報告書について、国会に対し説明をするよう努めなければならない。」。したがいまして、今先生の御指摘のとおり、今までやってきたこと、決めたこと、そういったことをなぜそうしたのか、どういうことをやってきたのかということの説明でございます。  ところが、今御指摘ございました、これからどうするんだとか、あるいは何をどういうふうに考えているんだということに関しますと、第三項におきまして、「日本銀行総裁若しくは政策委員会の議長又はそれらの指定する代理者は、日本銀行の業務及び財産の状況について各議院又はその委員会から説明のため出席することを求められたときは、当該各議院又は委員会に出席しなければならない。」というふうになっておりますから、国会の方からお呼びがあれば、行って出席して説明をすると。したがって、そのときにいろいろなポリシーについての御議論はいただけるというふうに思っております。
  156. 鈴木和美

    ○鈴木和美君 その点はよくわかりました。  日銀総裁にもう一つお尋ねいたしますが、開かれた日本銀行というタイトルかもしれませんけれども、そのイメージからいきますと、だれが思っても暗い日本銀行だというような最初のイメージがあるんですね。そうすると、その反論として透明性ということが出てくるわけですね。何を透明性と言うのかと。そのことと、この改正法に書いてある、つまり服務規定のところに書いてあります、例えば秘密保持の件であるとか守秘義務の問題であるとか、こういうものと透明性というものとはどういうふうに関係してくるのかというのは、大変私は難しいことだと思うんですね。もちろん、公定歩合を幾らにするのかというようなことをだれかに漏らすなんということはありっこないと思うんですけれども、その守秘義務の問題と透明性という問題をどういうふうにリンクして考えればいいのか、ここのところを教えていただきたいと思います。
  157. 松下康雄

    参考人松下康雄君) 透明性と申しておりますのは、主として私どもが行います金融政策の決定につきまして、その考え方、内容、理由、ねらいどころといったようなものに関しまして、適時適切に国民の一般の皆様方を含めまして、国会あるいは政府に対しても情報を提供してまいるということでございます。  具体的に申しますと、例えば非常に大きなことは、先ほども申し上げましたように、政策委員会政策決定についての議論を行いますときに、その議論のあらましにつきまして、できるだけ早くこれを印刷物にいたしまして公開をするというようなことがございます。これは、従来政策決定がございますというと、私が記者会見をいたしまして、その記者会見の席上で発表するということでございますが、それが法律上の義務として行われることになりますので、その内容その他につきましても改善が図られるというふうに考えております。  また、このほかに、私どもといたしましては、年報でありますとか種々の月報でありますとか、そういう刊行物をいろいろとつくっておりますけれども、そういったものの内容の充実を図ってまいる。あるいは、単なるそういう出版物とか記者会見とか、私の行います外部での講演とかというものだけでなくて、電子メディアの時代でございますので、例えばインターネットを使いまして、このインターネットの上にホームページを開設する。実は日銀のホームページは、先般、昨年末に開設をいたしまして、そういうコンピューターのシステムを通じまして情報の提供も広く海外も含めて行っているところでございますけれども、そういういろいろな手法を使いまして、私ども考え方、やっていることの中身を明らかにしてまいりたいと思っております。
  158. 鈴木和美

    ○鈴木和美君 秘密保持の件と透明性ということはこれから検討なさるのかどうか知りませんけれども、これを一般的に適用するときに、言葉はきれいですよ、透明性ということは。けれども日銀が持つ秘密性というか、金融政策なんですから、そういうものというのは非常に私は重要なことだと思うんですね。その点はやっぱりこれからもお考えおいていただきたい。お答えいただければ、どうぞ。
  159. 松下康雄

    参考人松下康雄君) 失礼いたしました。  この守秘義務との関係でございますけれども、当然にこの守秘義務の対象となりますことは、私どもの職員がその立場上知ることのできる他の金融機関のいろいろな情報でございますとか、その他一般的に外部に対してはきちっとした規律の中で対応をしなければならないいろいろの事項でございます。私どもは、それは行内的には守秘義務の内容はこういうものである、また透明性として外部に情報を公開していくのは、こういったものについてこういうやり方でやっていくのだという仕分けをきちんと立てまして、そういうことで遺漏のないように処理をしてまいりたいと思います。
  160. 鈴木和美

    ○鈴木和美君 よろしくお願いしたいと思います。  次の問題はちょっと大蔵大臣にお尋ねします。こんな質問しない方がいいよと言われたんですが、二月七日ですか、日経新聞を見させてもらいましたら、三塚大蔵大臣は六日の夕方、首相官邸で、金融制度調査会が答申した日銀法改正案について、「日銀透明性独立性がきちんとしているから、大蔵省の官僚は完敗したと言っている。きちんとしたナショナルバンクができた」と述べたと書かれているんですが、この真意は何でございましょうか。
  161. 三塚博

    国務大臣三塚博君) これはちょっと書き過ぎでございまして、真意を伝えておりません。この日時はそのとおりでございまして、官邸から出てまいりましたら官邸番の皆さんがわっと寄ってきまして、実は財研の諸君が中心でありますが、いかがでしたでしょうかということで、車に乗る間でありまして、大蔵省完敗だよと、こう申し上げたことは事実。その趣旨は、大蔵省は抵抗をしてそうならないだろう、法制定にはなかなか到達しないのではないかと、こんな話がありました。  しかし、就任以来申し上げておりましたのは、時代の潮流をしっかりと見定めろと。三党の決定ということについて、また中銀研、金融制度調査会等のその決定についてはしっかりとおやりくださいと、こう申し上げてきたことであります。そうは言うものの大蔵官僚は抵抗してそうはならないだろうとしきりに記者諸君が言っておりましたことに、あなたたちの見方も完敗ですねと意味を込めて、そっちのことを言っちゃいけませんものですから、大蔵は完敗だということで、開かれた独立性の高い中における政策決定等々の透明性と、こういうものが原案にしっかりと盛られることに相なったと、こういうことであります。
  162. 鈴木和美

    ○鈴木和美君 私はなぜそれを質問するかというと、ある意味では大蔵大臣の発言というのは大変重いと思います。それで、大蔵官僚が完敗だというと、官僚というのはだれかねというようなことになりますしね。そうすると、そのことが世の中に変に伝わっていくことを私は心配するんですよ。それから同時に、今回の問題というのは必ず、完敗だということになると、そういう発言をもとにして考えると、やっぱり大蔵というのはもともと口を出していたということを意味しちゃうんですよ。だから、自分の思うようにならないから完敗だというような意味合いにとってみたり、そういう誤解が生ずることはちょっと、ぶら下がりかもしれませんけれども、心して御発言いただくことを私は大蔵官僚の名誉のためにお願いしておきたいと思うんです。  それを前段に置きまして、独立性の問題について御質問申し上げたいと思います。私ども指摘した第四の問題は、日本銀行独立性強化に際しては、政策委員会が最高意思決定機関として十分に機能するよう改革することが重要であるとされているが、政策委員会の機能強化のためにどのような法的工夫をしているか、また、政策委員会を本当に活性化するためには委員の人選も重要であると思いますが、この点がどういうふうになっているか、お答えをいただきたいと思います。大蔵省にお願いします。
  163. 山口公生

    政府委員山口公生君) 今回御提案申し上げております日本銀行法案におきましては、政策委員会の真のワンボード化を図るために、いわゆる役員集会の廃止とあわせまして、政策委員会議決事項の拡充等により、政策委員会の権限の強化を行うことといたしております。  また、理事の任命に当たりましては、政策委員会の推薦を要することとさせていただいております。さらに、政策委員会の求めによる理事の解任の道も開いてございます。政策委員会日銀の役員の職務の執行を監督する権限を有する旨を明文化したこと等の措置を講ずることとして、政策委員会が真にワンボード、意思決定、業務の責任者としての立場ということをはっきりさせております。これらに加えまして、政策委員会委員が適切な準備あるいは審議を行えるようにする観点から、金融制度調査会の答申に沿いまして、政策委員会の詳細な付議内容、審議資料等の事前送付、審議委員の独自のスタッフの設置等の環境整備が行われることとされておりまして、これらの取り組みによりまして政策委員会の活性化が実現するものと考えております。  また、委員について、大変大事な点だという御指摘でございますが、この委員の選任につきましては、審議委員につきましては政策委員会の活性化の観点から従来の業界代表的な考え方を改めまして、広く経済または金融に関し高い識見を有する者その他の学識経験のある者のうちから選任することとさせていただいております。さらに、同じく政策委員会のメンバーとなる総裁、副総裁につきましては、審議委員と同様にその選任に国民の意見が反映されるよう、今回新しく両議院の同意を要することとさせていただいております。  政府としては、今後とも適切な人選に努めてまいりますが、今回の改正により、政策委員会のメンバー全員に両議院の同意が必要となり、金融政策運営責任を担うにふさわしい人物が選任されることとなるものと期待しております。
  164. 鈴木和美

    ○鈴木和美君 ちょっと私の記憶に間違いがあったら教えていただきたいんですが、現在、政策委員は二名が欠になっているんじゃないでしょうか。その二名の欠員というのは、これからどんなふうに処置されることになるんですか。
  165. 山口公生

    政府委員山口公生君) 政府としては、できるだけ早く人選をし、また国会にも御承認をお願いしたいという気持ちでおります。
  166. 鈴木和美

    ○鈴木和美君 そうすると、新しくこれからでき上がる政策委員会というんでしょうか、それの構成を待つということになるんですか。二名の欠のところは先にだれか埋めておくということになるんですか。
  167. 山口公生

    政府委員山口公生君) 欠員がある状態というのは余りいいことではございませんので、できれば私どもとしてはその選任をさせていただきたいなという気持ちでおるわけでございます。
  168. 鈴木和美

    ○鈴木和美君 今いいものをもらいました、新聞辞令が出ているそうでございます。わかりました。  それから次に、五番目に指摘してまいりましたのは、日銀の考査を法定化いたしたわけでございますが、金融自由化のもとでは、大蔵省の検査や日銀考査といった金融機関経営のチェックが効率的に行われると同時に、内容を充実していく必要があると思うのでございますが、この点についてはどういうふうになっておるのか、大蔵省日銀にこれはお尋ねいたしたいと思います。
  169. 中川隆進

    政府委員(中川隆進君) お答え申し上げます。  金融検査についてでございますが、今委員指摘のとおり、効率化と同時に充実を図っていく必要があるというのはそのとおりだというふうに承知しております。金融検査につきましては、平成四年に実は銀行局、証券局、国際金融局の三局の検査部門が統合されまして、新たに私ども金融検査部が発足したわけでございますが、それ以来、為替検査と金融検査を同時に行うといったように、できるだけ効率化に努めてきたところでございます。  また、充実につきましても、申し上げるまでもなく、昨今、金融自由化国際化進展の中でいろいろ金融機関をめぐるリスクも多様化しておりますし、また複雑化しております。それに応じまして、従来から充実に努めてきているところであるわけでございます。  具体的には、リスク管理、内部事務管理等に関しまして検査内容の充実を図っていくあるいは重点的なそうした面の検査を導入していく、あるいは大和銀行事件もございましたけれども、海外拠点に対します検査への要員あるいは日数の確保を十分図っていくといった点、あるいは検査職員の能力あるいはその知識の充実というのは極めて重要でございます。そうした面での研修の充実を図っていくと、従来そういう点も努力してきたところでございます。また、検査要員につきましても、なかなか厳しい定員事情でございますけれども、昨今、いろいろその増員も図ってきているところでございます。  今後とも、例えば平成十年、来年から早期是正措置が導入されますけれども、それに際しまして、金融機関自身による資産査定、いわゆる自己査定といったもの、それを踏まえて、あるいは外部監査の活用というものを前提としまして、我々の検査も金融機関等の実情に応じまして検査頻度あるいは検査内容に弾力性、めり張りをつけていくといったような点、さらにその検査の中身につきましても充実を図っていくということで、効率化と充実という二つの命題といいましょうか、相反するわけでありませんけれども、その両方にいかに取り組んでいくかということが大事だというふうに思っております。十分に認識をしているつもりでございます。
  170. 松下康雄

    参考人松下康雄君) 我が国を初めとして世界の金融市場におきましては、金融自由化や情報通信技術の急速な発展を背景としてデリバティブ取引の拡大など金融市場の高度化、リスクの多様化が一段と進展をしております。  こうした中で、日本銀行の考査につきましても、今回の法改正案におきましては、従来、相手先との契約に基づいて行っておりました考査を、相手先との考査契約を結ぶことができるということを法律規定をしていただきまして、日銀の業務を明確化していただいているところでございます。この機会に私ども市場の高度化やリスクの多様化に対応して考査の内容を充実させますとともに、個々の金融機関でそれぞれの自分のところのリスク管理の体制をチェックしていくということで、経営内容の悪化を事前に防止する点により重点を置いて考えていくことといたしたいと思っております。  日銀におきましては、こういった観点から、考査局内に金融先端技術に関するリスク管理体制を評価する専門家チームを設けるなど、金融環境の変化に即応した考査を行うための体制整備を行っていますとともに、考査を効率化するという観点から、考査内容や考査周期につきましては考査先の経営内容、リスク管理状況などに応じまして弾力的に設定することなどを検討いたしているところでございます。
  171. 鈴木和美

    ○鈴木和美君 もう時間が参りました。通告をしておりました国際化に対応する問題や、同僚議員からもお話がございました松下日銀総裁の給与の問題、それから職員の給与の問題、いろんな身分上の問題と給与の問題などについても御質問をしたいと思いましたが、時間がございませんので、また後ほどに譲らせていただきたいと思います。  以上をもちまして、私の質問を終わります。
  172. 千葉景子

    ○千葉景子君 きょうは、日銀法の問題に入る前に、大変恐縮でございますが、二点ばかり質問をさせていただきたいというふうに思います。  と申しますのは、この日銀法改正の問題もしかりでございますが、今金融ビッグバンという大変大きな表題のもとに日本の金融市場あるいはそれを取り巻くさまざまな環境整備、それが進められているところでございます。自由でそして公正で、そして世界の標準、グローバルスタンダードにも合致する、世界からも信頼をされる、そういう日本の金融市場をと、こういうことが私たちの今大きな課題になっているわけでございますので、そういう意味では、私たち一人一人もそれにふさわしい立場をわきまえていかなければいけないのだろうというふうに考えるところでもございます。  そんなときに、外為法改正問題の際にもお尋ねをさせていただいたのですけれども、いわゆる野村証券の大変残念な事件、そしてそれにまた関連をいたしまして第一勧業銀行の大変莫大な、我々でもどうしてああいう融資ができるんだろうと大変驚き、驚愕をするようなそういう問題が今大変多くの皆さんの懸念を強くしているわけでございます。  そういう意味では、若干ぶしつけで恐縮とは存じますけれども、まず大蔵大臣に、野村証券のいわゆるVIP口座と言われておりますが、大臣は野村証券と取引がございますかどうか、そしてそういう口座に御自身のお名前やあるいは御家族などが載っているというようなことがないかどうか。大臣も多分慎重にお調べになっていらっしゃることであろうかというふうに思いますので、まずその点について、みずからのお立場を明確にしていただければというふうに思いますが、いかがでしょうか。
  173. 三塚博

    国務大臣三塚博君) 本件、ある週刊誌のファクス、問い合わせ等がございました。私自身は全く株をやっておりませんのでさようなことはありません、と答えておいたところ、さらに家族、政治団体等、秘書を含めどうですかと、調べましたが、ございませんと申し上げておきました。  また、梶山官房長官も同じファクスで、彼は激怒をいたしまして、衆議院の特別委員会におきましても週刊誌の名前を明言しながら極めて遺憾と、どこから、どうしてこんなことを言ってよこすんだ、こういうことで、閣僚の諸君にも聞き取りをいたしました結果、既に御案内のとおり、御三人でしたか国債、閣僚になりますと国債を買うものですから、そのときそちらにお願いしただけで、他は全くありませんでした、こういうことであることを申し上げさせていただきます。
  174. 千葉景子

    ○千葉景子君 大臣がそういうことであれば、自信を持っていろいろなことに当たっていただけるのではないかというふうに思いますけれども大蔵省内についても、それぞれきょうは大変高名な局長さん方もおそろいでございますけれども、省内について大臣としてはそういうことがないかどうかお調べになったというようなことはございますか。それで、特に疑惑があったというようなことはございませんでしょうか。
  175. 三塚博

    国務大臣三塚博君) 大蔵省職員の株式取引については、既に平成七年に通達を発出いたしまして、毎年その取引状況について報告を求めてきているところでございまして、特段問題があるものは報告をされておらないというのが現況でございます。
  176. 千葉景子

    ○千葉景子君 さて、この問題、今それぞれ参議院、衆議院参考人招致などで事実の解明などが努力をされているところでございますが、第一勧業銀行の融資の問題などを含めて、大蔵大臣としてはどういう御認識をお持ちか。そして、この問題に対して大蔵省としては、これまで検査の段階では発覚をしなかったというような経過もございます、そういうこれまでの検査の体制なども含めてどう御認識をなさっているか。そして、今後の対応などで何かお考えがございましたら、お答えを賜りたいと思います。
  177. 三塚博

    国務大臣三塚博君) 今回の野村、第一勧銀等の問題については、公共性の高い免許業種である、第一勧銀の場合は銀行でございます。不適切な業務運営を行い、預金者等の信頼を著しく損ねたことは極めて遺憾千万なことでございます。同行において引き続き事実関係について徹底的な調査を進めますとともに、信頼回復に向けましてあらゆる努力を行うことが不可欠であると考えておるところであります。  大蔵省としては、既に五月二十三日、同行から中間的な報告を受けたところであります。引き続き事実関係等について徹底的な調査を指示いたしたところであり、今後、捜査当局による捜査状況を踏まえつつ、法令等に従い厳正に対処をしてまいる所存でございまして、こうした本事案の原因究明を通じて、かかる不適切な業務運営の再発防止を図りながら、我が国金融界の信頼性確保に努めてまいらなければならぬと思っております。  時あたかも金融システム改革を御案内のとおり進めておるところであり、それだけに遺憾な出来事であったこと、再びさようなことの起きませんように対処していきますことが主管庁としての重要な責任であり、務めであろうと思っております。
  178. 千葉景子

    ○千葉景子君 私も、今金融システム改革などが進められておりますけれども、どうも体質というんでしょうか、こういうものが本当に払拭をされていくんだろうかと。法律やあるいはシステムを転換しても、それに魂とかあるいはそれにふさわしい中身が本当に盛り込まれるんだろうか、それを本当に懸念するところでもございまして、ぜひこの問題についても大蔵省にも厳正な対応をしていただいて、前回から話をさせていただいておりますが、きちっとしたルールとそれに対する厳しいチェック、こういうものによって金融システムの本当の意味での魂をつくっていかなければいけないのだろう、こんなふうに思いますので、ぜひまた大臣の御奮闘をお願いしたいというふうに思います。  さて、本題の日銀法の問題に入らせていただきたいと思います。  きょう午前の質疑から引き続いておりますので、多少重なる部分があろうかというふうに思いますが、私もきょう初めてこの問題について御質問をさせていただきますので、多少基本的なところから重ねて質問させていただくことをお許しいただきたいというふうに思います。  この日銀法、きょうも指摘がございましたけれども昭和十七年と、そういう時代から初めて改正をされるということになりました。五十数年ぶりということになりますので、先ほど御指摘がございましたように、確かに言葉も表現ももう古い、それからそういう意味では法律の姿も大変現代的ではないということで、改正されるということは至極当たり前といえば当たり前なのかもしれません。そして、これまで五十数年逆に言えば改正されなかったということも驚きといえば驚きであるわけでございます。  ただ、確かにそういう五十数年たって改正をするのは当然といえば当然ではございますけれども、やはり今この日銀法改正し、とりわけその基本的な考え方として、独立性確保とそれから政策決定透明性、こういうものを柱にして新しい法律をつくろう、こういうことでもございますから、その背景といいましょうか、あるいはその改正に至る理由、そういうものがやはり存在するのだろうというふうに思います。既に局長などからも、それに触れてはいただいておりますけれども、改めてこの改正背景やあるいは理由、これについて御説明をいただきたいと思います。
  179. 山口公生

    政府委員山口公生君) お答え申し上げます。  先生御指摘のように、一見なさいましてもう大変古めかしい、とても現代にはふさわしくない条文になっておるということがまず一つございます。  それでは、じゃそれが何ら不都合がなかったのかというような御疑問が出るかと思いますが、実際の運用はやはり現代的に、そういった強権が仮にあっても発動はしないというような形でもって現実的な対応をし、日銀独立性というものは実質的にはかなり担保されてきたんだろうというふうに思うわけでございます。ただ、現代を律するものはやはり法律をまずもとにしなければならないという考え方からしますと、やはりきっちりとここで法律をまず手直しする、あるべき姿に直すということがあると思うんでございますが、それに加えまして、少し前向きの、これからの日本銀行のあるべき姿ということも視野に入れる必要があるだろうと。  若干その辺について少し詳しく述べさせていただきますと、中央銀行研究会では特にそういう意識が強く出されました。これまでの日本銀行あり方法律に映すというだけではなくて、これからの日本銀行がどういうふうな役割を演じるのか、またマーケットがどういうふうにそれを見るのかというところがかなり意識されたわけでございます。特にアメリカの例で言いますと、FOMCという金利政策といいますかマネーサプライ政策といいますか、そういった金融調節についてのいろいろな会議、重要な会議がマーケットの注目を浴びているという状況にございます。  そうしますと、日本銀行のこれからの政策決定も、重要なことはマーケットにどういうようなインフォメーションを与えていくか、金利政策についてもどういうふうな考え方でいくのかというのを正確に市場に知らせるということが必要ではないかという御議論があったわけでございます。そのためには、政策委員会名実ともに決定をする仕組みをつくる必要があるし、またどういう議論が行われるのか、あるいは何を考えて、じゃ一カ月後ぐらいにはこういうふうになるかもしれないという正確な予測というものを与えていくということが必要であろうというような考え方が強く出されたわけでございます。したがいまして、そこにはやはり透明性ということもあわせて出ているわけでございます。  そうしますと、これからの金融行政もしかり、金融システム改革もしかりでございますが、マーケットを中心にあるいは基本に据えて物事を考えていくときに、非常に重要な役割を果たす日本銀行金融政策が、マーケットとのかかわりでやはりマーケットが正確に把握できるインフォメーションを与え得るシステムをつくる、こういうこともかなり頭の中にあってこんな改正になっておるわけでございます。したがいまして、独立性透明性というのを両立させた形で御提案申し上げているという、ちょっと長々とお話しして申しわけございませんが、そういう背景がございます。
  180. 千葉景子

    ○千葉景子君 今のお話の中で、これまでも実態としては決して法律そのままではなくて独立性をむしろ尊重しながら運用がなされてきたと。しかし、それにプラスしてやはりこれからのあるべき中央銀行の役割、こういうようなことを踏まえて今回の改正に至っているのだということだと思います。  総裁にちょっとお尋ねをしたいんですけれども、これまでもそういう意味ではかなり大蔵省から何か縛りをつけられてやってきたのではないのかなという気もいたしますけれども、改めてもしそういう実態であれば、その実態に即した、名実ともにというお言葉がありましたけれども、むしろそういう体制を整える、あるいはこれからのあるべき日銀の果たすべき役割を法できちっと裏づける、こういうようなことで改正がされたということのようでございますけれども、この改正についてはどう受けとめておられますでしょうか。
  181. 松下康雄

    参考人松下康雄君) 現行日銀法運用につきましては、ただいまも政府側から御説明がありましたように、各方面におかれて御理解をちょうだいしながら、金融政策運営に当たりましては私ども日本銀行が自分の責任で自分の判断で事を行ってくるということでやってまいったと考えております。    〔委員長退席、理事石川弘君着席〕  ただ、そうは申しましても、金融が今後さらに世界的に見て一層国際化し、また自由化が進むという情勢のもとでございます。したがいまして、中央銀行政策につきましても、内外市場から、また一般の企業から信頼を得るような政策が必要でございますけれども、例えばその際に海外の目で現在の日本銀行法を読みますというと、日本の中央銀行はやはり相当独立性のない、新しい時代にふさわしくない銀行ではなかろうかというような声も折々聞かれるところでございます。こういうことで、将来を考えてまいりますと、やはり私どもはできるだけ早い機会に中央銀行法も改正をしていただきまして、名実とも中央銀行の役割が十分に果たせるような内容にしていただきたいと思ってまいったところでございます。  ちょうどたまたま、現在欧州の通貨統合に関連をいたしまして欧州中央銀行をつくろうということでございますので、主要欧州各国の中央銀行制度を見直しまして、ドイツの中央銀行が非常に物価の安定に役立っているということもございます。ああいうふうな独立性があり、インフレを抑えることに役立つ銀行制度をみんなで採用していこうという動きが今起こっているところでございます。たまたまそういう時期に、私ども日銀法につきましても昨年来改正の機運が盛り上がってまいりまして、各方面での御検討を得た結果がこの改正案でございます。そういうことで、ちょうど海外の制度改正とも合っておりますので、それらの内容も参酌をしていただきながら、本当に主要各国の中央銀行制度に引けをとらない中央銀行制度をつくっていただくことができるように期待をいたしております。  そうなりますと、私ども責任は非常に重くなるわけでございまして、法律ができて制度が整えば、あとは私ども自身がその制度にふさわしいようなしっかりとした仕事の運営をいたしていく必要がございます。そういう点で、私どもも自己改革の努力を重ねながら、立派な仕事をしていくように努めたいと思っているところでございます。
  182. 千葉景子

    ○千葉景子君 先ほど、総裁からこの改正については肯定的な評価のお言葉がありました。    〔理事石川弘君退席、委員長着席〕 ただ、その中で国際的な基準と、それを我が国の政治システムの中で最大限生かしてもらったのではないかと、こういうお話が先ほどあったわけですけれども、今回のこの改正の内容、いわばこれから何がグローバルスタンダードという形で確立するのかどうかというのはなかなか難しいところであろうかと思いますけれども、今一つの大きな柱ということになると、欧州中央銀行の設立に向けていろいろな整備が図られております。かなり徹底した独立性透明性というものがその中で求められているわけでございまして、例えば組織的にも大変きつい独立性、それから人事あるいは機能それから財政、こういうそれぞれの面でかなり徹底した独立性が求められている、こういう状況がございます。  それと比較してみますと、私も単にそれを日本に引っ張ってくればいいということを申しているわけではございませんで、それぞれの国のシステムというものがそれは当然あろうかというふうに思うんですけれども、やはりそこから見ると多少独立性を弱める部分というのが幾つか私は見られるような気がいたします。  既に議論がございましたけれども財政面ということを考えると、例えば予算については政府の認可ということになってまいりますし、あるいは議決の延期請求、これも先ほどからのお話では一定のセーフガードをつけてと、こういうことでもございますけれども、こういう違いというものがこの法案にはございます。  先ほど総裁が言われた、積極的に評価はなさっておりますけれども、我が国の政治システムの中で最大限ここまで独立性を認めてもらったという御意見ですけれども、これはどういうことを意味されていらっしゃるんでしょうか。本来はもう少し独立性がきちっとしていた方がいいけれども、日本の憲法というんでしょうか、そういう制度上限界だった、そう受けとめていらっしゃるのか、いやもう一歩踏み込んだ方がよかったのだというふうにお考えなのか、そこは率直にいかがでしょうか。
  183. 松下康雄

    参考人松下康雄君) 今回のこの制度改正におきまして、やはり我が国の法制というものの上からこういう法律に基づきましてつくられ、そして政府の認可を受けて成立する認可法人という性格の機関といたしましては、一般的にそれが従うべき幾つかの法律的な意味でのルールがあるというふうに伺っております。その点が、例えば予算の認可でございますとか、あるいは先ほども議論が出ました支店設置の認可でございますとか、幾つかの認可の問題に関連しているのだと思います。  私ども立場からは、そういう憲法にもかかわりますような法律解釈の問題につきまして御意見を申し上げるという立場でございませんけれども、問題はそういう制度の仕組みが海外におきます同じ中央銀行の同じような問題と比べてみまして実態が、私ども金融政策の自主性、独立性というものを見劣りさせるような内容になっているのかどうかという点ではないかと存じます。  そこで、例えば予算について見ますと、ヨーロッパの方で一応の共通のルールのように考えております考え方の中で、もしも予算というものを事前に公的なチェックをするのであれば、それが金融政策遂行の独立性を妨げないようなセーフガードを持ったものにしなければならないというようなことがございまして、これを今回の日銀法改正案に当てはめてみますというと、それが認可の範囲の限定でございますとか、それから認可しない場合の取り扱いとかでセーフガードがあらわれているように思うわけでございます。  そのほか、幾つかの認可事項がございますけれども、全体の運用基本考え方として日本銀行の業務の自主性を尊重して行わなければならないという原則が明示されている点でございますとか、このことが金融政策の妨げになってはならないという規定が入っておりますとか、そういう配慮を加えまして制度というものが実質内容から見まして私ども独立性を保障してくれる制度になっていると思いますので、今後はそういった与えられた法律の枠の中で、あと私ども自体がどういうふうに努力をして本当に独立性の実を上げられるように運用をしてまいるかということではなかろうかと思っております。
  184. 千葉景子

    ○千葉景子君 それでは、大蔵省の方にお伺いをさせていただきたいと思いますが、これも先ほどの議論で出てまいりました。今回の改正の大きな柱が独立性確保ということになるわけですけれども、確かに独立だからといって国全体の政策について全く大蔵省日銀で相対立していればいい、こういう話ではないわけです。やはりそこには日常的にも意思疎通が十分に図られていなければいけませんし、いい意味での政策論争、そういうものがなければいけない。これは当然のことだろうというふうに思うわけです。  そこで、その独立性をきちっと確保するということと、それから意思疎通なりそういうものが透明に行われるということを担保することとをこの法律の中でどう区分けをしていくか、私はその点についてお尋ねしたいと思うんです。  今、指摘をさせていただきましたが、例えば予算の認可とか、それから議決の延期請求とかそういうものがこの法律では残ったというか含まれている。これは独立性ということから見ると、それを阻害する要因のような気が私はするんですけれども、こういう規定が存在する理由というのは何かございますか。独立をということであれば、こういうところも徹底した独立性を付与する必要があるのではないかと思いますが、より特別の何か理由があれば御説明をいただきたいと思います。
  185. 山口公生

    政府委員山口公生君) いろいろな側面からの御説明を申し上げないと正確にならないという危惧を私は持ちながらお話し申し上げますけれども独立性という議論があるときに、司法、立法、行政、いずれにも属さない全くどことも関係がないといいましょうか、そういった存在の独立というのはあり得ない。また、どこの国でもそういったものの存在は認めておりません。  そうしますと、この日本銀行の存在というものの性格づけで見ますと、それが非常に公的な役割を果たしているということは万人の認めるところでございます。そうしますと、行政的色彩といいますか行政代行的色彩というものを業務に包含しているわけでございます。そうしますと、日本銀行の行っている業務について、やはり広い意味では議院内閣制でございますから、内閣がある程度責任を持てる形でなければならない。  したがいまして、午前中も午後もお話がありましたが、人事権とかあるいは予算、監督、そういったものにどのくらいのつながりを持てれば政府としては金融政策独立性確保しながら最終的な責任内閣が持てるのか、国会に対して説明できるのか、こういうことになるわけでございます。だから、完全な独立となりますと人事権も勝手にやりなさいと、こういうふうになるわけです。ただ、日本銀行というのは株主総会もありませんから、そうすると一体だれがどうやって決めるんだという話になるわけですけれども、そういった存在ではないという前提に立ったときに、そこにはやはり今の憲法での考え方背景にしたぎりぎりどの程度内閣責任がどういう形で担保されればよろしいのか。それで金融政策独立性、自主性がいかに尊重し得るのかということで、こういった予算とかあるいは議決請求権というような仕組みにしておるわけでございます。  ただ、議決請求権とは逆に、透明性ということを御指摘いただきましたが、政策委員会で重大なことを決定いたしますから、そこでの議論というものをやはりこういう請求権という形できっちり規定しておくということは逆に透明性も高めるわけでございます。しかも、それが公表されるということでございますので、そういう側面も逆にあるわけでございます。したがって、いろんな側面から各方面の御意見を聞きながらまとめさせていただいたわけでございますが、ただ、先ほどの御質問にちょっと敷衍させていただきますが、各国とも非常にその辺は長い歴史を持っていろいろ改革を進めております。欧州中央銀行というものが今度新しくできると。ただ、これは国を越えてつくりますから、ある意味では我が国の中央銀行と本当に比較できるかという問題があります。  そうしますと、フランスの中央銀行、イギリスの中央銀行、ドイツの中央銀行、あるいはイタリアの中央銀行、スイスの中央銀行、各国の中央銀行をずっと見ていったときに、それぞれ今回御審議いただいておりますこの日本銀行法案より相番厳しい縛りがまたかかっているところもあります。非常に独立を強くしたところもあります。独立の強いところだけを部分的にとってみると、それは理想的とおっしゃる議論をする方も往々にしていらっしゃいますけれども、各国それぞれの歴史があり、それぞれの憲法があり、それぞれの文化的なつながりがあり、客観情勢はいろいろと違います。そういったところで、その国に一番フィットしたものを中央銀行制度として取り入れているわけでございます。  今回、いろいろな側面からの検討を加えた形で、独立性透明性というのをキーワードにしてこういった形を御提案させていただいたということでございます。
  186. 千葉景子

    ○千葉景子君 ちょっと個別にお尋ねをさせていただきますが、一つは予算についての認可権です。  これは、同僚議員からのさまざまな質問やそれから議論もございました。内閣が最終的な責任をという議論もあるんですけれども、そこをさらに突き詰めますとやはり最終的には、政治の責任というのは、議会を中心にして国民に対して内閣責任を負っていくということになるわけですね。だとすれば、予算についてむしろ例えば国会の承認事項にする、直接に。それも一つの行政の一部として、国民にあるいは議会に責任を負う一つの手法ではないかというふうに思うんです。  そういう意味では、大変大蔵省責任感を強く持っていただいて責任を一緒に負っていかなければいけない、どうもこういうことのようでございますけれども、やはりその独立性とそしてその機能を十分に発揮できる担保を法的に備えるとすれば、この予算というのも大変大きなコントロールの手段というふうになるわけですね、見方によっては。  だとすれば、財務面での独立性をより一層大きく強くするために、国会での承認ということで私どもに最終的なチェックをさせていただくということでも私は十分に機能が果たせるのではないかというふうに思いますが、いかがでしょうか。
  187. 山口公生

    政府委員山口公生君) 日本銀行の経費が通貨発行益によって賄われているということは、しばしば御説明申し上げました。したがいまして、それを公的に何らかのチェックをする必要があるということについては、大多数の方がそういうふうにお感じになると思います。  ただ、このチェックが金融政策独立性や自主性を阻害してはならないということももう一つの要請としてあるわけでございまして、御提案申し上げておりますのはそこでセーフガードのついた、あるいは理由を公表するとかいうような形での、限られた形での認可制でございます。それで、日本銀行の業務の遂行上、また金融環境の変化等に即応して機動的に経費予算の変更等を行える制度の方が適当であろうというような結論をいただきましたので、一応スキームとしては現行のスキームをベースにセーフガードをつけたという形にしてございます。  日本銀行の予算を国会で議論するために国会の承認制にすべきだという御意見については、そういう御意見も確かに出ておりました。公的なチェックという意味では同じでございます。ただ、本法案におきましては、日本銀行の業務、財産の状況について日本銀行総裁等に説明を求められた場合は出席しなければならないというふうに書かせていただきました。そこで、仮に国会承認制をとらずとも、日本銀行の経費支出については、もしそこでの御議論があれば、国会の場で十分な御議論をしていただけるというふうな形にさせていただいておるところでございます。
  188. 千葉景子

    ○千葉景子君 そう言っていただくと、そういう形で国会で議論ができるということですから、予算自体も大蔵省の認可とする、私はどうも明確な理由というんでしょうか必要性が、これがいまひとつ納得できないというか、あるのかなという気がするんです。  何か多少なりともコントロールをきかせよう、大蔵省のもとに置こうという気持ちはないと思いますけれども、システムとしてやはりそこに緊密なコントロールできる何か余地を残してある、そんな気がしないでもないんですけれども、それは少し考え過ぎなんでしょうか。
  189. 山口公生

    政府委員山口公生君) この経費予算につきましては、何度も申し上げておりますように、対象を限定し、また認可しない場合は公表するというセーフガードをつけておりまして、それでも何かたくらんでいるのではないかというふうにお感じになるのは、私の方としては非常に残念なことでございますけれども、ただ、先ほども申し上げましたように、日本銀行の業務遂行にかなり機動的に対応するという場合も必要であろうというようなことで、現行制度を基準に、ベースに案を出させていただいているというところでございます。  また、国会が全く議論もできないのかというふうな御議論については、それについては説明をするという仕組みにさせていただいているということでございます。繰り返しになって恐縮でございますが、そういう説明にさせていただきます。
  190. 千葉景子

    ○千葉景子君 もう一点、議決延期請求権についてお尋ねしたいと思います。  これも、先ほどからきちっとしたセーフガードをつけて、そして認めているということはもう十分お聞きしたんですけれども、これも日銀政策委員会が体制を非常に強いものにして、そして金融政策について自主的な、そして独立した決定を行うということになるわけですね。この議決延期も、逆に今度は非常にきついセーフガードもつけて、そしてこれも欧州などでもそうめつたに、めったにというか使われることがないというほどのやたら持ち出す話ではないということになりますと、この議決延期請求を残して法に規定をしておく理由というんでしょうか意味、これがいまひとつ不明確だと思うんですけれども、その点についてはいかがでしょうか。
  191. 武藤敏郎

    政府委員武藤敏郎君) 議決延期請求権につきましては、中央銀行研究会、金融制度調査会等を通じまして、御指摘のようないろいろな議論がございました。  政策政府日銀の間で意見が異なったときに、どのように調整するか。政府経済政策日本銀行金融政策が整合的なものであることが望ましいということと、日本銀行が独立てあるということとをどうやって調整するかということが議論になったわけでございますけれども、そのときに議決の延期を求めることができるようにすると。  ただ、ドイツの場合には、政府が議決の延期を求めますと、自動的に次の政策委員会まで延期されてしまうという、そういう強権的な部分があるわけでございますけれども、それでは独立性というものが十分確保されない。したがって、政府が延期を請求した場合においても、その採否は政策委員会が決定するということで独立性を侵さないようにする。  それでは、なぜそういうことにするかといいますと、結局過程を明らかにするということ、透明性確保を図るということが非常に重要なことだということでございまして、要するに政府がそういう見解を発表し、それは十分議論した上で政策委員会としてはとらない、あるいはとるということが後々公表されるわけでございますので、そういう目に見える形で議論をするということが重要なのではないか。結局この趣旨は、政策委員会が決定をするに当たって政府の見解というものを十分に聞く、聞いた上でどのように判断するかは独自の政策委員会の全く自主的な御判断という、こういう仕組みであるというふうに理解されるわけでございます。  具体的に、この政策委員会が実質的にすべてを議論し決めていくということになりますと、もちろん事前にいろいろな資料等が配られて、政府として十分な検討をして出席するわけでございますけれども、必ずしもその議論の帰趨がどうなるかというのは、これは全く予断を許さないわけでございますので、そういう場合の一定期間の検討のために必要な時間、その場で政府としてはもちろん議決権はないわけでございますけれども、あるいはさまざまなことについて、例えば財政の執行状況でありますとか、国際金融の情勢でありますとかということについて審議委員が御判断するに当たり、政府から事情を聴取するということもあるわけでございますけれども、そういう場合に十分な説明を行う時間を与えられるということがこの趣旨だろうと思うわけでございます。  結局、この仕組みというものは、政府の見解というものを政策委員が十分に聞いた上でそれで決断をしろと、そういう配慮が必要だということではなかろうかというふうに考える次第でございます。
  192. 千葉景子

    ○千葉景子君 もう時間がありませんので、また機会がありましたらと思うんですが、政府の意見を十分に、対立するときもオープンにと。それは、別にこの制度ということではなくて、政策委員会が日常的にもそういうものも全部含み込んで当然政策決定をなさるものだというふうに思いますので、何かこれだけ残っているといいますか、規定をされているというのが非常に唐突な感じもするわけですけれども、この点についてはまた議論の機会がございましたら、させていただきたいと思います。  総裁にもまだまだお聞きしたいこともあったのですけれども、時間でございますので、きょうはここまでにさせていただきます。
  193. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 五十五年ぶりの全面改正ということで、法案も新日銀法案という形で出されております。こういう機会に私は、日銀の過去、現在そしてこれからの日銀という目で、五十五年ぶりに新しい日銀法をつくろうというなら見ていく必要があるだろうと思います。  そこで最初に、もうさんざん衆議院でもここでも論議になりました現行日銀法です。これはもう戦時立法だということでいろいろ論議になりました。一体どういう目的でつくられたのか、私も改めて当時の会議録を読み直してみました。そして、昭和十七年の委員会での提案理由説明を賀屋大蔵大臣がやっておられますけれども、これを見て、片仮名だとかその内容よりももっと驚きました。大臣はごらんになったことがあるかどうか知りませんが、参考までにちょっと長いけれども、その一部分を紹介してみます。   大東亜戦争ヲ完遂シ高度国防国家体制ヲ完成シ、進ンデ大東亜共栄圏ヲ確立スルト共ニ、将来久シキニ亙ツテ是が維持発展ヲ期シマス為ニハ、我が国金融竝ニ経済ヲ愈々総合的ニ且ツ計画的ニ運営スルノ体制ヲ確立スルコトが極メテ緊要デアリマス、是が為ニハ先ヅ以テ中央発券銀行タル日本銀行が我が国通貨金融制度ノ中核トシマシテ、政府ト一体的関係ニ立チ、国策ノ嚮フ所ニ即シテ通貨ノ調節、金融ノ調整及ビ信用制度ノ保持育成ノ責ニ任ジ、進ンデハ大東亜共栄圏全体ノ金融中心機関タルベキ任務ヲ果シ得ルヤウ其ノ体制ヲ整備スル ために、この日銀法を制定するのだというのが制定に当たっての提案理由説明であります。  それで、論議になりました一部改正も戦後行われました。そして、現実対応をしたという先ほど答弁もありました。しかし、基本はこの日銀法をもって戦後五十年貫いてきたんですね。その目的は、大東亜戦争の完遂、大東亜共栄圏の金融のセンターとしての日銀だと。  こういう目的でつくった銀行法のもとでの総裁として、総裁、いろいろ国際舞台にもお出かけになったわけですが、少々体裁が悪いという感じを持たれたことはなかったのかどうなのかということを含めて、一体なぜこれが五十年も続いたのか。本当にこれをやめなきゃならないということを考えた者が大蔵省にも日銀にもなかったのか。.いろいろ経過は知っていますよ、改正の経過があったことは。しかし、こんな法律ではこれはもう格好つかぬというのでやろうというほどの人がなかったから今に至ったと私は思います。  私は、一九九〇年六月二十六日の内閣委員会で、ほかの法律も調べてみたら、例えば東条総理が大東亜戦争完遂のためにという目的で提案理由説明をやった法律がこれ以外にもあったんです。それで、こういう法律は、本来戦後直ちに、少なくとも憲法制定時に廃止し、抜本改正をやっておくべきものではなかったのかと。それがいまだにあるのはこれはどうにもならない、直ちにこういうのを改めるべきだと提案しましたら、海部総理が賛成だといってその翌年に許可認可等臨時措置法という法律は廃止されました。だから、そういう問題意識を持てばやれたんですね。  この日銀法は、なぜ戦後五十年も生き続けたのか私は不思議ですが、総裁、お答え願います。
  194. 松下康雄

    参考人松下康雄君) この日本銀行法は、戦後におきまして経済金融の日本の全体のシステムが百八十度転換をいたしました後に、新しい時代の要請に応じるべく日本銀行政策委員会制度というものを導入いたす目的で改正をされてございます。  その政策委員会制度の導入によりまして、金融政策責任日本銀行がこれを持つという体制に切りかわりまして、その後いろいろと、法律運用上は問題なしとしなかったと思いますけれども、各方面の御理解を得ながら今日までこの法律下で運用をいたしてまいったところでございます。さような次第でございますので、私自身といたしましては、今回私どもの願望が実現をするような法律全面改正が行われるということは大変喜ばしいことであり、またこれを機会に、私どもも一層努力すべきことであると存じているところでございます。
  195. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 私は、さっき戦後改正が行われたことも知っていると言いました。その上で、しかしこの法律はどういう形で制定された法律かということでお伺いしましたけれども、何らこれについて問題なしとお考えだった模様です。ですから、それはそれでいいわけですが。  戦後、日本の国は戦争への反省を出発点にしてやってきました。この日銀法制定の理由を見まして、それじゃ、こういう役割を果たさせられた日銀は、戦後どのようなこの事態についての反省ないし総括をやられたのか。これが知りたくてあの日銀百年史も改めて目を通してみました。しかし、戦争時代について何らの反省的な言葉もないわけで、これは一体どういうことかなと思いました。今の総裁答弁を聞いて、日銀の認識というのがよくわかりました。  今度は、大蔵省にお伺いしますけれども、山日銀局長、私がお伺いしたいことを自分で立てて自分でお答え願った部分があるので、それを踏まえてやります。先ほど、千葉議員の質問について、何ら苦痛を感じなかったのかという疑問が出てくるでしょうがという前置きをしてお話がありましたね。要するに、それは実際面では現実的な対応をしていたので基本的には問題はないんだというお話だったと思います。ただ、国際的には法律面でも現実対応をきちっとしておかなければならないんだ、こういう趣旨だと思います。事前に大蔵省説明をお伺いしたときにも大体同じ趣旨だったわけですね。  そこで、私は山口局長にお伺いしたいわけですが、今度の五十五年ぶりの改正というのは実際運用面でやっていることを法律の上でもきちっとするということなのかどうなのかということ、これをちょっとお伺いします。
  196. 山口公生

    政府委員山口公生君) 確かに、先生おっしゃいますように、十七年に基本的につくられている法律を見ますと、政府が広範な監督権を持ち、また役員の解任もできるように読める規定になっている、あるいは立入検査権があるなどの強権的な色彩とも言える規定を置いております。ところが、現実にはそれは発動されておりません。  そういうことで、今回五十五年ぶりの改正でございますが、現代にふさわしい、今例えば公定歩合議論が出ますと、それは日本銀行の所管の話ですということで大臣等も御答弁なさっておりますし、現実に日本銀行独立性ということは尊重しながらやってきておりますので、そういった形のものをきちっと法律の上でも明確にしておく必要があるというふうに思います。
  197. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 今、若干補強しての御答弁でしたけれども、さっきの答弁も私聞いていまして、千葉先生の答弁のときにも、大蔵省の側も現実対応は基本的には改めていたと、日銀の側から見ても現実的には問題がなかったということだとすると、今の日銀法というのはもうお化けのような、形だけあって中身がないものだということにしかならないわけですけれども、私は、毎日毎日、日常の運営上これに支障があったというふうには思えませんよ。しかし、こういう現行法があるために、今度の日銀法改正のときにもいろいろな人が取り上げるような出来事があったんじゃないんですか、日銀側から見ても。  例えば有名な金丸発言、公定歩合日銀総裁の権限だと言われるが、首相はオールマイティーだ、首相の言うことを聞かない日銀総裁は首を切ると言ったんでしょう。こういうのは、毎日毎日そんなことは起こっていませんよ。しかし、こういう発言がやっぱり日銀側から見ればいろいろ影響を及ぼしたわけでしょう。これは苦痛を伴わない出来事だったんですか。  これもよくこのところ議論になるわけですが、橋本元大蔵大臣、現総理が金利引き上げを白紙撤回させると言ったこともこのごろ盛んに書き立てられているでしょう。こういう出来事というのは、これは現行法のいろいろな規定があるからこういう発言も飛び出すし、またそういう規定があるからいろいろ意味を持つわけですよ。  そういうことを挙げればもう時間がなくなってしまいますから私一々は挙げませんけれども、そういうさまざまな出来事を踏まえて、なおやはり現行法は戦後は改めた運用になっているから問題なかったというのが総裁の認識ですか。総裁は、日銀総裁であると同時に大蔵省側ですから、自分でなかなかどっち側にも言いにくい立場ではあろうと思いますけれども、やっぱり総裁であれば日銀の声をきちっと言ってもらわないと、私のところへ説明に来るとき、日銀の人々の話はそんなのんきな話じゃありませんよ。やっぱり日銀の声をきちっと言ってもらいたい。
  198. 松下康雄

    参考人松下康雄君) 先ほども申し述べましたように、この日銀法につきましては、各方面の御理解を得ながら慎重な運営がなされてきたわけでありますけれども、もちろん実態に既に合わなくなった法律がいつまでもそのままで結構であるということはできないわけでございます。  私どもとしては、これは私は日銀総裁として、日銀立場で申し上げておりますけれども、やはり戦後できるだけ早い時期にこの法律改正を望んでまいったわけでございますけれども、ただ何回か行われました実際の改正のための準備の作業も、その都度いろいろ意見の一致を見ないというような事情から実現するに至りませんで、やむなくこの法律をもって、運用でこれを適用していただいてまいったわけでございます。  したがいまして、今回これがやはり今後の金融経済国際化自由化がさらに進むことを考えてみましても、また中央銀行というものが非常に難しくなってまいります金融界で信頼を確保してまいりますためにも、きちんとした内容の根拠法を持つということは極めて重要なことでございまして、そういう点から、日本銀行独立性に関します国民市場参加者の信頼を改めて確保いたします上で、今回の改正は私は本当に時宜を得た、待ち望んでいた改正であると思っております。
  199. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 この現行日銀法を五十五年ぶりに今改正する動機、これは一体どこにあるのか。これは大蔵省側にお伺いしたいと思います。  私がいろいろ受けた説明、それから衆議院での論議等々いろいろありますが、いろいろな理由、動機もあると思いますが、結論的に言うと、やはり国際化時代に十分対応できる日銀法にしようということであり、それを突っ込んでいくと、結局日本の金融市場の信頼を高めるためにもきちっとした日銀法にしておく必要があると。別の言葉で説明する人は、ビッグバンの体制整備ということだと。山日銀局長答弁でも、ビッグバンに備えるためという言葉が衆議院の速記録では出ていたと思います。  衆議院の速記録を読んでみると、参考人からは、今回の日銀法改正というのはビッグバン推進の重要な部分だ等々の指摘もありますし、銀行協会の会長は、ビッグバン推進にとって我が国中央銀行である日本銀行は重要な役割を果たすことが期待される、こういうふうに述べられているわけです。今の時期にこれをやろうということでまとまったその動機、狭い意味の動機、これはやっぱり大体そういうことだととっていいですか。
  200. 山口公生

    政府委員山口公生君) 今、先生御指摘のように、世界はグローバル化した世界の金融資本市場となってまいっております。二十一世紀に向けまして、我が国の金融資本市場が自由かつ透明で信頼できる市場になることが緊急の課題になっております。  したがいまして、今先生の御指摘のように、その中心的な役割の一つであります日本銀行が、やはりそうした新しい時代を迎えるに当たって法律も変え、体制を整備するということが必要になろうかというふうに思っております。
  201. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 私は、日本の中央銀行が世界から信用される中央銀行になることはまことに結構なことであって、それがまずいなどということはここで言うつもりは全くありませんけれども、もう一つの側面がどうなるか。これはもう時間が来ましたから、第二回戦、第三回戦で質問させてもらうことになりますけれども、今度の日銀法改正という問題は別の面から言うと、バブル崩壊後の日本の金融危機、起こった一連の不祥事件、大蔵省の一部幹部の人を含めての国民批判から金融行政の改革、大蔵改革というふうなことが問題になり、そういうものの面から進んでいったのが金融ビッグバンという問題になり、また金融監督庁の設置あるいは日銀法改正になったという流れがあると思います。これは、今の日本に起こった出来事から日本国民が求めていたことでもあると思うんです。  そこで、これまでの論議を振り返ってみますと、それにどうこたえるかという発想はほとんど論議にもなっていなくて、ビッグバンにどう備えるかという面であり、これはやはり日本の中央銀行が、本当の国民が求めているものに向かってどういう中央銀行にするかという問題意識でなく、ビッグバン、ビッグバンという方向に向かっているとしか思えないんです。ビッグバンについての私の考え方は前に述べさせていただきました。  私がけさ買った日経ビジネスによりますと、ビッグバンの結果、五年後に残る会社はどこかというので、金融ではこう書いてあります。「自由化された世界の市場で戦ってきた米国系金融機関が世界の金融業界でますます幅を利かせる。」「「金融ビッグバン」の動きが始まったばかりの日本では、世界に通用する実力を持っているのはごくわずかで、都銀の上位六行と日本興業銀行へらい。」だと書いて、結びのところには、「銀行では都銀や長信銀、信託などの垣根が取り払われる。持ち株会社の解禁によって、上位都銀を中心にさまざまな金融業務を包括する形で再編が起こる。」と、これが見通しとして書かれております。私が前に言った、大銀行はバラ色かもしれませんが、決してバラ色のものだとは言えない問題を抱えていますが、その問題はもう為替自由化の論議のときにやりましたから。  もう一つここで言っておきたいのは、グローバルスタンダードということがずっとこのところ盛んに論議になりますけれども、日本がグローバルスタンダードと外れているということで国際的に指摘されている問題はどういう点があるかというと 銀行業として膨大な株式を保有していること それからディスクロージャーがなきに等しい こういう批判、消費者保護の体系が弱いこと あるいはキャピタルゲインが総合課税されていないことなど、国際的にはこういうふうなことが日本はグローバルスタンダードから外れているという批判があるわけでありまして、今ビッグバン、ビッグバンというところで問題にされている点だけではないわけですね。  こういう問題に全面的にこたえる努力がなければ、今のあなた方がおっしゃるビッグバンだ、そのためにあれだこれだということでは、国際的にもこういう批判があるわけですから、信用を回復する全面的な解答ではないし、また国民が求めていることに沿った努力の方向でもないというふうに私は思います。  もうちょっと視野を広げて、何よりも国民のための中央銀行をどうやるか、また今の日本の国民が求めていた、不祥事を含めた大蔵批判などにもこたえる方向をきちっとしていくべきだと私は思います。時間が来ましたけれども大臣、一言答弁をお願いします。
  202. 三塚博

    国務大臣三塚博君) 過去がありますから現在があります。過去の反省の中から未来に向けてばく進をするというのが国家の基本的な心構えであると。そういう意味で、五十年たっての大改正でありましたが、まさに諸般の、諸情勢の反省の中から機が熟して抜本的な改正になりましたので、格段の御鞭撻をお願いします。
  203. 山口哲夫

    山口哲夫君 各党派の皆さんからは、ほとんど総論について述べられておりますので、私は逆に各論から入らせていただきたいと思います。  まず、役員問題です。今回の法改正では、役員集会すなわち理事会ですけれども、これが廃止されることになりました。その理由と背景について、説明をしていただきたいと思います。
  204. 松下康雄

    参考人松下康雄君) 現在は、御承知のように、日本銀行の役員の組織としましては、いわゆる法律上、役員集会がございまして、これとともに政策委員会がある、御承知のところでございます。  この際に、今度改正法のもとにおきましては、日本銀行政策決定についての独立性が高まり、かつその中で政策委員会自体の持つ重みが従来よりも一段と高まってまいることになります。  それを具体的に申しますと、政策委におきましては、新たに政策関係の問題以外に業務の遂行に関しますところの基本事項あるいは役員に関する人事、そういったものが権限の中に入ってまいるわけでございます。すなわち、日本銀行全体の行務の運営政策の決定と、この二つの面におきます権限を政策委員会に集中いたしまして、その反射といたしまして役員集会、理事会と申しますが、これはもう置かないという建前にいたしたところでございます。
  205. 山口哲夫

    山口哲夫君 日銀の最高意思決定機関というのは政策委員会ですね。しかし、この政策委員会につきましては、これまで単なる追認機関ではないのかと、そういう批判が随分ありました。つまり、役員集会、理事会ですね、そこで事実上決定が行われている、そういう疑問が各界から寄せられておったことは事実だと思います。また、スリーピングボードではないかという批判が従来からなされてきたと思います。なぜ、このような批判がいろいろなところから出てきたのか。その辺について、いかがお考えでしょうか。
  206. 松下康雄

    参考人松下康雄君) その点につきましては、一つの考えなければなりません点は、政策委員会におきますところの議事の内容につきまして、従来これを公表してまいっていないという点であろうと思います。  政策決定をいたしますと、その結果につきまして、また背景につきましては、私、記者会見をいたしまして説明もし、また資料もお出しをいたしておりますけれども、いわゆる議事要旨の公表ということは行われておりませんがために、実際は政策委員会の中でいろいろと活発な議論をいただいているわけでございますけれども、それが外に知られない。その公表しないということの一つのねらいは、公表しないからこそ自由な立場での積極的な議論確保されるということもあるとは思いますけれども、やはりそれが政策委員会は実際動いていないのではないかという批判一つ原因になったのではないかと思います。  この点、新法のもとにおきましては、政策委員会における政策議論は議事要旨として公表され、将来は議事録そのものも公開をされるということでございますので、これによって政策委員会の本当の役割というのが一般に御理解いただけるようになると思います。
  207. 山口哲夫

    山口哲夫君 政策委員会における議論の内容が表に余り出されていない、だからどういう議論をされているか一般にはわからないんじゃないかと、そういうお考えのようですけれども、私はそんな甘いものではなかったんではないかと思うんですね。  実際に、いろんな雑誌だとか新聞を読んでみますと、やっぱり事実上の決定権を持っていたのは役員会ではないのかと。役員会でもう大体議論をして、こういう方向でいこうという根回しが終わって、それが政策委員会にかけられて、政策委員会はそんなに深い議論をしないで追認のような機関で過ごしてきたと。いわゆるツーボードの弊害というものがあったということが、私はやっぱりそういうことが出てきたということは、そういう背景日銀の中にあったと思うんですが、どうでしょうか。
  208. 松下康雄

    参考人松下康雄君) この日銀の理事会の役割は別にまたございますけれども、今の政策決定問題につきましては、やはり実質の議論をいただくのは政策委員会でございまして、これも当日一回の議論で全部終わるというふうには限られておりません。私はここに就任いたしましてからそう長くございませんので、経験をいたしました政策変更の機会というのがごく少のうございますけれども、実際に私の経験におきましても、非常に活発な御議論をいただいております。  これはどうかわかりませんけれども、今の委員は都市銀行それから地方銀行、農林業、商工業にそれぞれ経験を持った方々から選ばれるという建前でございますので、そういう点で、恐らく世上一般には、何らかそういう一種の業界代表的な御議論があるのではないかと思われた面があったのではないか。その点につきましても、今後の新法におきましては、そういう業界的な色彩は一切排除をいたしまして人選が行われるということになりますので、もしもそういう点の一般の誤解がございましたならば、それは払拭していただけると思っております。
  209. 山口哲夫

    山口哲夫君 総裁がおっしゃるようなことであれば、答申の中でこういう文章が出てくるはずはないと思うんです。  「日本銀行法改正に関する答申理由書」というのがあります。これは平成九年二月六日、金融制度調査会の答申ですけれども、こう書いてあります。「役員集会で」というのは理事会ですね、「役員集会で事実上重要な意思決定が行われている状況を改め、政策委員会の活性化を図るべきとの批判がある。こうした批判に応え、政策委員会がその機能を十分発揮できるようにし、これを活性化するためには、役員集会を廃止し、政策委員会に権限を集中し、名実ともにワンボードとすべきである。」と、こういうふうに書かれているんですね。私の言っていることが、たまたま答申の中にもはっきり書かれているんですが、いかがですか。
  210. 松下康雄

    参考人松下康雄君) その答申の内容につきましては、一つは先ほど申し上げましたような、政策委員会判断し決定をされる事項が拡大されるということ、その反射といたしまして行内の役員の役割は、政策委員会において決定をされた基本の方針に基づいて行内のもろもろの業務の遂行をいたすというふうに変わるということ、そのことも含めての御指摘ではなかろうかと思います。
  211. 山口哲夫

    山口哲夫君 これまでの日銀の内部においては、私が言ったように、また答申で明らかにしているように、ツーボードの弊害というのがあったという、その上に立って役員会をなくしましょうという答申が出て、今回なくしたと思いますよ。総裁、いろいろとお答えになりますけれども、私はそう思います。  日本銀行独立性に関する研究会、ここでも同じようなことを書いていますね。「役員集会の廃止により、日銀政策決定機構は名実ともにワン・ボードに改められるが、」ということは、今までツーボードだったということだと思うんですよ。「その後も役員として理事制度を存続させることは不適当であり、廃止することが望ましい。」と、こういうふうに研究会でも書かれているわけです。  ですから、あらゆるところでそういう過去のツーボードの弊害というのを認めているわけですからね。やっぱり、そういうことがあったということはお認めになった方がいいんじゃないんでしょうか。
  212. 松下康雄

    参考人松下康雄君) 私も、これまでのツーボードシステムが今般の独立性強化の観点から見まして甚だその機能が十分に行われない懸念がございますから、これをワンボードにいたしまして、そこにございますような名実とも政策委員会を最高の意思決定機関にするということは、私どもの業務の内容につきまして非常にすっきりとした改善に相なるものと考えておりまして、今度の新しい制度を効率的に運用していくように精いっぱい努力いたしたいと思います。
  213. 山口哲夫

    山口哲夫君 はっきりとそういうツーボードの弊害があったということはお認めにならないようですけれども、しかし今のお答えからいきますと、今後はそういう弊害のないようなワンボードでいかなきゃならないという、事実上そういうお答えだったというふうに思います。  そこで、いわゆる理事会というものがなくなるわけですけれども、その理事会がなくなるということは理事そのものをなくするということだと私は思うんです。昭和三十五年九月二十日の金融制度調査会の答申にこう書いてあります。「本答申ではさきに述べたようにワン・ボード主義の建前上、役員としての理事はこれを認めないこととした。」と。政策委員会というのがあるわけですから、ワンボードにするためには理事は必要がないということを答申の中で、昭和三十五年にもうはつきり書いているわけです。今度の答申も理事をなくせとは書いていないけれども、理事会を廃止するということは、事実上理事をなくするということだと思うんです。なぜ理事を置くんでしょうか。
  214. 松下康雄

    参考人松下康雄君) やはり、私どもの銀行の機構は大きな機構でございまして、そうして私どもの役割は法令、通達というようなものを用いるのでなくて、現実の市場における取引また各金融機関との取引を通じまして金融政策運営、浸透を図ってまいるわけでございますし、また日銀券の関連の業務、決済システムの管理の業務等非常に大きな実務を行っている組織でございます。  したがいまして、そういう業務の運営の最高方針を決めます、いわば民間で申せば経営会議というものに相当します政策委員会というものと別に、この業務の執行に関しまして責任を持って各分野ごとにその業務の束ねを実行するという役員の機構は、これは別の観点から必要であると考えるところでございます。
  215. 山口哲夫

    山口哲夫君 業務の執行等については、そのために局長がいらっしゃるわけですね、今十六人くらいいらっしゃるんですか。しかも、今度は副総裁をお一人増員されましたね。ですから、総裁を補佐して業務の執行をきちっとやっていくためには、副総裁を一人ふやしたわけですから、お二人で十分総裁をカバーして業務の執行はできると私は思います。いかがでしょうか。
  216. 松下康雄

    参考人松下康雄君) 私どもの業務は、申し上げましたように非常に多岐にわたっておりまして、また実務的な観点はもとよりでございますけれども、そのほかにいろいろ、今御指摘になりました国際的な関係でございますとか、また国内の金融機関との関係その他の一種の業務運営上の総合判断というものが必要であると考えております。  このような組織を機能させてまいりますために、各実務面での担当者のほかに、この実務を総括し指導する役割の役員の存在というものはやはり必要な組織であると考えております。
  217. 山口哲夫

    山口哲夫君 それなら、副総裁はお一人でもよろしいんじゃないんですか。
  218. 松下康雄

    参考人松下康雄君) 今回、副総裁の増員をこの新改正法の中で定められておりますけれども、この趣旨は、近年、中央銀行間の国際的な交流あるいはいろいろの交渉、協議といったようなものが飛躍的に増加をいたしてまいりました。したがいまして、こういう国際会議に出席をいたしますのに私一人ではなかなか手が回りかねるところでございます。  しかし同時に、そういう中央銀行間の国際会議におきましては、出席者のレベルがある程度そろっている必要がございまして、ヨーロッパのように非常に近接したところでありますと総裁が週末に簡単に集まって総裁会議をいたしますけれども、そこに日本から参加をしようといたしますとなかなか毎回は参加できません。そういった点を考慮いたしまして、そういう国際的な協調、業務、連絡その他に当たってもらう副総裁という役割を持った役員がいることが非常に望ましいと考えているところでございます。
  219. 山口哲夫

    山口哲夫君 今、政府が行革でもっていかにその機構を縮小しようかということで真剣に議論をしている最中です。そういう中で、日銀法改正によって逆に日銀の機構が大きくなっていく、そういうことについてはどうも納得がいかない。  確かに、副総裁はお一人よりお二人いらっしゃった方が総裁も楽でしょうけれども、しかしこれまでお一人で十分やってきたわけですから、副総裁二人は要らないだろうし、しかも理事会を廃止せいと言われているのに理事を置くということはどうしても理屈に合わない。ですから、私はやっぱり理事というものはなくするべきである、そういうふうに考えます。  さてその次に、監事の方に移らせていただきたいと思いますけれども、監事はこれも一人ふえるんですね。今までは二人以上というのが今度は三人以内と一人ふえるようですけれども、現在のこの監事の役割というのはいかがでしょうか。
  220. 松下康雄

    参考人松下康雄君) 現行法におきましては、「監事ハ日本銀行ノ業務ヲ監査ス」ということになってございます。  具体的に申し上げますと、現在、監事は定数が五人おりますが、毎週二回程度の監事集会を開きまして、執行部から業務に関する重要事項や内部検査の結果等につきましての報告を受け、業務全体の執行状況の監査をいたしております。  また、監事は定期的に本店や支店の帳簿、有価証券、現金などの検査を行っておりますほか、毎事業年度、政策委員会が決定しました決算書類を監査し、これに意見を付して、総裁を通じて大蔵大臣に提出しているところでございます。これが現状の監事の役割でございます。
  221. 山口哲夫

    山口哲夫君 私の勘違いです。監事は二人以上、それで五人置いていたというわけですね。今度は三人以内ということで二人減らすということなんでしょうけれども、この監事の役割が高まったということは結構なことだと思いますが、逆に監事の存在というものが日銀政策決定に微妙な影を落とす心配はないだろうかと思いますけれども、どうでしょうか。
  222. 松下康雄

    参考人松下康雄君) 改正法案におきましては、日銀独立性を尊重するという観点からと伺っておりますが、現行法にあります大蔵大臣による検査を廃止いたしまして、これにかえて監事の監査を活用するということになるという点、監事の職務は従来以上に重要になっております。  また、監事の任命につきましても、主務大臣任命からこれは内閣任命ということになりまして、任期も三年から四年に変更されているところでございます。関係の条文を申し上げますと、五十七条でございますけれども、  大蔵大臣は、日本銀行又はその役員若しくは職員の行為がこの法律若しくは他の法令若しくは定款に違反し、又は違反するおそれがあると認めるときは、日本銀行の監事に対し、当該行為その他の必要な事項について監査し、及びその結果を報告することを求めることができる。 というようなことでございまして、従来以上に広範な監査権限を行使することになるわけでございます。
  223. 山口哲夫

    山口哲夫君 監事の役割が強化されたということは結構ですけれども、逆に日銀独立性に対して支障を来すような心配はないものなのか。特に、先ほども申しましたように政策決定に何か影響を来すようなことはないのか。  さっき申しおくれましたけれども、理事そのものを廃止しないというんですけれども、理事会は廃止せよと答申でも言われた。しかし、理事だけは残しておく。こっちの方は業務の執行の立場でやっていただくんだというんだけれども、その理事そのものがまた政策委員会的な役割というものを持つ危険性というのが、やっぱり残しておけばどうしても出てくるんじゃないかなと思うんですけれども、その二つについてどうでしょうか。
  224. 松下康雄

    参考人松下康雄君) ただいまの監事の役割でございますけれども、これは従来でございますと大蔵大臣によって日銀の検査が行われたわけでございますけれども、これを大蔵大臣の検査にかえまして大蔵大臣日銀の監事に対して違法行為等がないかどうかのチェックを求めるということでございまして、それは日銀内の組織によるそういう違法行為等のチェックでございますので、この点では独立性はむしろ強化をされることになると思います。  それから次に、理事の職務でございますけれども、この理事がまた隠れたツーボードというようなことになりませんように、私どもは内部におきまして厳格に十分これは見てまいるつもりでございます。
  225. 山口哲夫

    山口哲夫君 監事の最後の質問ですけれども、最近、監事の交代がありましたね。新しく来た監事の方、その御経歴をちょっと教えていただけませんでしょうか。矢崎新二さんという方です。
  226. 松下康雄

    参考人松下康雄君) 矢崎新二氏でございまして、前職は会計検査院長でございます。その前は公務員でございまして、元防衛事務次官、その前に大蔵省主計局次長というような経歴の人物でございます。
  227. 山口哲夫

    山口哲夫君 今お話があったように、防衛事務次官、会計検査院の検査官、これはいずれも大蔵省の指定ポストだそうですね。そういうふうに言われております。そういう方が日銀の監事になるわけです。私は、大蔵省のOBが日銀の監事を務めるということは、有形無形に日銀政策決定に影を落とす危険は多分にある、そういうふうに考えますけれども、いかがでしょうか。
  228. 山口公生

    政府委員山口公生君) いろいろと任命に当たりましては、私ども、ふさわしい人を選んでおりますので、その出身がどうだから政策あるいはポリシーが曲がるということはないというふうに思っております。
  229. 山口哲夫

    山口哲夫君 そういうきれいごとでは済まないから、今天下り大事に対する批判が出てくるわけですね。まあ全日空の話じゃないけれども、天下りということについては相当慎重を期さなければ、せっかく日銀法改正しましても日銀本来の独立性というのは私はどうしても損なわれる、そういう心配があります。  今後、大蔵省出身者を日銀の方に天下りさせることについては十分慎重を期していただきたいと思いますけれども大臣、いかがでしょうか。
  230. 三塚博

    国務大臣三塚博君) 人材というのは、人格識見等を勘案しながらそれぞれの機関が、それぞれの企業が養成をし、行われていくものと理解をいたしております。
  231. 山口哲夫

    山口哲夫君 終わります。
  232. 松浦孝治

    委員長松浦孝治君) 本日の質疑はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後五時十五分散会