○吉岡
吉典君 速記録に、私が今ちょっと引用したようなのは載っているわけですね。
国会の場で速記録に残る形で、
参考人が事実まで曲げて、こんな税制は日本にしかない、
外国にないものだから廃止してくれというふうな
議論の中に、私は非常に大きな問題があると思わざるを得ないわけです。
したがって、今の法案をめぐる論議の中でもいろいろ税制についても論議されましたけれども、そういう要求を受け入れるだけでは、これは税制上重大な問題が残ると思うわけです。
そういう点で、私は、今OECDで税の競争に対応する問題についての
協議の作業が続けられているということを新聞でも読み、また
大蔵省からも
説明を受けて、この問題についてこの際
考えておく必要があるんじゃないかと思いました。つまり、課税減免によって
経済活動を自国に引き寄せようとする方法を進めたら大変なことになるということで、現在OECDでは税金の引き下げ競争を回避する新しい国際ルールづくりの作業が進んでいる、こういうことであります。そして、そういう税の競争が起こると課税
ベースを浸食して税収が減少する、可動性の低い
経済活動、労働とかあるいは消費、こういうところへ相対的な重課になる、こういうふうなことになってはまずいので、これにとり得る対抗
措置を明確にしようという作業がOECDで現に進んでいると。
このOECDの作業で、
金融国際化と課税部会の共同議長をやっていた
大蔵省の幹部の一人が、これは九四年十一月十二日の日経新聞に、この問題に
関連して当時の論点を整理した論文が発表されており、私はこれは大変
考えさせられると思いました。私が、ちょっとこれは大事だなと思ったところを紹介してみますと、こういうふうに書かれております。
国境の垣根が低くなり、
経済活動が国際的に展開していくなかで、わが国としてどのような租税政策の方向を取るべきか、といった基本的な問題については、十分
考え方を整理しておく必要があるだろう。
国際化が進む中で各国の租税政策には、大きく分けて二つの方向が見られる。
一つは、課税減免により
経済活動を自国に引き寄せようとする方向である。これは「税の競争」と呼ばれている。
「税の競争」が激化すれば、流動性の高い資源や活動ほど世界的に税負担が低くなり、各国は失った税収を流動性の低い資源や活動への課税強化によって補わざるを得なくなる。
企業に課税するよりは勤労者の個人に課税し、
金融・証券
取引に課税するより、製造活動に課税するような税体系が、「税の競争」の論理的な帰結である。
「税の競争」のこうした帰結は、税負担能力のあるところから税金を徴収するのではなく、取りやすいところから取ることを
意味し、公正や公平の観点に反する。
こういうことがOECDで論議されていることだということで、こんな大きい記事を書かれております。
この間、私は
大蔵省から呼んで
説明を受けたら、これはこの人の個人の見解ではなく、OECDで論議しておられるところであり、かつ
大蔵省の
考えでいる税制の方向でもある、こういう
説明でありました。きょうは主税
局長がおいでですから、こういう作業が現に行われているという事実はお認めいただけると思います。
同時に、OECDで行われているこの作業は非常に国際的にも重視されまして、去年のリヨン・サミットの
経済コミュニケにもここに期待をするということが書かれており、
大蔵大臣出席の四月のG7のコミュニケの中にも「
金融その他の地理的に移動が容易な活動を誘致することを
目的とする税制は、各国間の有害な税の競争を惹起し、貿易と投資を歪め、各国の課税
ベースを浸食するおそれがある。」云々として、OECDの今の作業が成功するようにということを
大蔵大臣も
出席してコミュニケで発表されているというところであります。これは事実としてまず主税
局長お認めいただけるかどうか。
あわせて、今この
外国為替自由化、ビッグバンをめぐる中で行われている税制の論議の中には、明らかにここでいうところのあしき税の競争という方向に向かうものもあると私は思います。私は、この作業は完了していないにせよ、サミットでもG7でも、こういう方向で成功させるようにと言っている方向に沿って、税制を
通常国会に提出されるという方向も貫く必要があると思います。主税
局長、お答え願います。