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嶋崎均君 我々が見るところによりますと、今回の日銀法の
改正の中で、同法の第二条で、「
日本銀行は、
通貨及び
金融の調節を行うに当たっては、物価の安定を図ることを通じて国民
経済の健全な発展に資することをもって、その
理念とする。」というふうに書かれておるわけでございます。今の
説明で
趣旨はわかりますが、いずれこれは後の問題のところでさらに
議論をするということにいたしまして、とどめておきたいというふうに思っております。
ただ、
大蔵大臣が
為替相場の問題につきまして、ここにありますように、売買等所要の
措置を講ずることにより本邦
通貨の安定を期するという、
責任を担うということになるわけでございます。議院内閣制でございますから、それを受けまして政府がその実施をされるわけであると思うのでございまして、それは十二分にわかるわけですが、なかなかこれは大変な
仕事であるというふうに私は思うのでございます。
どうもこの
改正に伴いまして、そういう為替がどういうぐあいになっていくんだろうかというようなことについて、細かい
議論は後にするとしまして、今度の
改正によって政治、
経済、
社会のいろんな問題について
金融のシステム
改善というものが行われていくときに、ペシミスティック、悲観的な見方が非常に多いようであるわけでございます。
もちろん、私はそれに対しまして別の
感覚を持っておりまして、
日本は戦後、非常に
経済成長を経て今日まで来て、それが大きな曲がり角に来ておるわけでございますけれども、非常に高い所得水準を現に確保しておりますし、格差の小さな中産階級国家というものをつくり上げてきております。また、製造業を中心とする高い生産性というものもある程度確保しております。もちろん、その反面に非常に生産性の上がってない分野のあることも事実でありますけれども、そういうことでございます。また、非常に高い
貯蓄率を持っております。また、低い失業率であります。
最後に触れたいのは、大幅な
国際収支の黒字というものを、これはもう先進国の中では唯一と言っていいぐらいの
状態で持っておるというような状況になっておるわけでございます。
そこで、今回の
外国為替及び外国貿易法の
改正で、この点は沈んだものを上に書いただけだという
説明で十分わかるような
気持ちもするんですけれども、わざわざこう書き上げられてみますと非常に気になるところでもあろうかというふうに思うのでございます。
なぜ私、そういうことを言うかといいますと、
世界の基軸
通貨としての米ドルが中心でアメリカの
経済は運用をされておるわけでございますが、アメリカは一九八一年当時は六百億ドル程度の
対外債務の超過国であったわけでございます。ところが、現時点になってみますと一九九七年には一兆ドル近い
対外債務国に転化をしておるというような状況になっておる。その間わずか十五年のことであります。もちろん、その十五年が実現する前に、前々からいろんな問題があったんだろうと思いますけれども、そういう事態が生じてきておるわけでございます。
また、三百六十円であったものが現在のような状況になってきておるわけでございます。もちろん、現在の状況になる前には八十円までいきましてまたそれがもとへ戻ってきておるという激しい変化というのがあった。それはなかなか大変なことだというふうに思うのでございます。そういうことから考えますと、一つはその期間における
我が国の、当時八一年ぐらいはまだ債務超過国じゃなかったかというふうに私は思うんですが、現在どういうような
状態になっているかということ。
それからもう一つは、そういう激しい
状態でございますから、今後これらの問題をどういうぐあいに運用していくかというのが、非常に私は大事な問題だと。
榊原国際金融局長も、非常にその道の通であるというふうに
新聞では少なくとも報道されておるわけでございますけれども、実力のほどは私はよく知りません。知りませんけれども、そういうことになっておりますので、これは政治的な判断が一つ必要なのではないかというふうに思うのでございます。
これらの点について、どういうふうにお考えでございますか。まず、数字を挙げて
説明をお願いします。