○阿部正俊君 自由民主党の阿部正俊でございます。
大蔵委員会は初めてでございますので、
委員長初め皆様方に大変御迷惑をかけるかもしれませんけれ
ども、政府側もひとつ、いわば素人っぽい
質問になるかと思うんですけれ
ども、御寛容いただきましてお答え願えればと思います。
と申し上げますのは、やはり予算
委員会でもちょっと取り上げさせていただきましたけれ
ども、
大蔵省からこうした「財政構造
改革への取組み」というふうなパンフレットも出されておられます。よくよく中身を見るにつけましても、
日本の財政構造
改革といいますのは、言ってみればいわば
大蔵省の収支の問題というのをはるかに超えまして、
日本のこれまでの六十年ないしは五十年の歩みそのものの中でとられてきましたさまざまな財政的な、財政というは結果としての財政でございますので、それに至るさまざまな道筋というもの、あるいはその
一つとしてはやはり私は政治もあろうかなというふうに思うんでございますけれ
ども、そうしたものの幾つかの仕組みそのものがいわば再編成という形で問われているのではないかなと。
大蔵省がおつくりになりました資料の中にもあったように思いますけれ
ども、例えば財政民主主義という言葉があったような気がするわけですけれ
ども、そうしたものをもう一度やはり新しい
時代に合わせて再構築していく作業というのがいわば財政構造
改革なのではないかな、こんなふうに思っているわけでございます。
そうなりますと、やはりお金の収支というふうな域をはるかに超えて、これからの
社会の
あり方というものを
国民に語りかけていくというふうな基本的な姿勢、あるいは率直に申し上げまして、
国民というのは別なところにいて、一方で政治家とか行政というのが別なところにいて、何かそういうところの行政なり政治なりの
改革、あるいは痛みといいましょうか、というものがうまくやってくれれば
国民はうまくいくのであるということでは多分ないのではないかと。
痛み痛みと申し上げますが、本当の痛みというのは
国民自身が相当痛む痛みではないかということになりますと、やはりそれを率直に訴えかつ
協力を求めていくというふうな勇気といいましょうか、筋書きといいましょうか、というものが要るんだろうと思うんでございますけれ
ども、こうしたものを拝見しますと、その心組みといいましょうか思いというものが、もう
一つ伝わってこないというのが率直なところでございます。
もちろん、ことしが
改革の第一年度の予算ということでございますけれ
ども、そうした
国民に向けた、国のために何とかしょうということではございませんけれ
ども、一緒になって
日本の将来を考えていき、かっとも
ども痛みを伴いながらもあすへ向かって歩みを続けていくための思いがもう
一つ伝わるようなことがどうしても必要なんじゃないのかなと、こんなふうな気がするわけでございます。何を言っているかわからないかもしれませんけれ
ども、どうかそんな思いをひとつ御理解願えれば大変ありがたいものだなと、こんなふうに思います。
それで、具体的に今年度の予算といいますのは、
平成九年度予算はよく言われますように財政
改革初年度の予算だと。多分、
大蔵大臣も胸を張られるほどそんなに御立派ではないのかもしれませんけれ
ども、第一年度の予算だということは間違いないと思いますけれ
ども、大変世の中にいろんな批判がございます。私はどうもその辺が何か言っているほどうまくいっていないんじゃないかなと。大蔵御
当局はそうおっしゃるかもしらぬけれ
ども、一般はどうもそう見ていないんじゃないかというふうな疑念も、あちこちで聞こえてまいります。
これじゃまずいので、やはり財政
改革というのは大変難しい仕事だけに、一年、二年、あるいはどこまでいったというようなことで簡単に言えるものじゃないだけに、一歩踏み出すことが非常に大事なんじゃないかというふうな意味で、今度の予算がベストなんだということ。もちろん、それは政府提案ですから悪い予算を出すはずはありませんので、いい予算であることは間違いないんですけれ
ども、財政再建という点から見ますと、これは本当の初めでございまして、いわばこれから先よりきつい山登りが待っているんだぞというふうなことを、むしろ私は申し上げていただいた方が率直なんじゃないだろうかなというふうな気がするんです。
この間、予算
委員会で
質問するときに、総理
大臣がエベレストの総隊長も務められた方でございますので、アルピニストに例えて申し上げればということを聞き損ねたのでございますけれ
ども、言ってみれば財政再建の第一のハーケンが打ち込まれた予算が九年度予算だと、こういうことであります。その高さが問題ではなくて、第一のハーケンが打ち込まれたというところから新しい歩みが始まるんだというふうなことを私は思うわけですけれ
ども、
大蔵大臣ひとつ、
平成九年度予算が財政再建元年の予算である、言ってみれば一番のセールスポイントはどこにあるのか、ちょっとお尋ね申し上げたいと思います。