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1997-06-13 第140回国会 参議院 選挙制度に関する特別委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成九年六月十三日(金曜日)    午後四時四十分開会     —————————————    委員異動  六月十二日     辞任         補欠選任      渕上 貞雄君     瀬谷 英行君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         武田 節子君     理 事                 須藤良太郎君                 平野 貞夫君                 三重野栄子君     委 員                 大島 慶久君                 鈴木 貞敏君                 中原  爽君                 真鍋 賢二君                 吉村剛太郎君                 大森 礼子君                 勝木 健司君                 瀬谷 英行君                 伊藤 基隆君                 橋本  敦君                 西川  潔君                 奥村 展三君                 小山 峰男君    衆議院議員        衆議院公職選挙        法改正に関する        調査特別委員長        代理       柳本 卓治君    国務大臣        自 治 大 臣  白川 勝彦君    政府委員        自治省行政局選        挙部長      牧之内隆久君    事務局側        常任委員会専門        員        佐藤  勝君    説明員        警察庁刑事局捜        査第二課長    縄田  修君        法務省刑事局刑        事課長      藤田 昇三君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○公職選挙法の一部を改正する法律案衆議院提  出)     —————————————
  2. 武田節子

    委員長武田節子君) ただいまから選挙制度に関する特別委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  昨十二日、渕上貞雄君が委員を辞任され、その補欠として瀬谷英行君が選任されました。
  3. 武田節子

    委員長武田節子君) 公職選挙法の一部を改正する法律案議題といたします。  まず、提出者から趣旨説明聴取いたします。  衆議院公職選挙法改正に関する調査特別委員長代理柳本卓治君。
  4. 柳本卓治

    衆議院議員柳本卓治君) ただいま議題となりました公職選挙法の一部を改正する法律案につきまして、提案趣旨及び内容概略を御説明申し上げます。  現行公職選挙法におきましては、地方公共団体議会議員任期満了による一般選挙及び長の任期満了による選挙は、それぞれ任期満了の日前三十日以内に行うこととされております。このため、同一地方公共団体において、議員及び長が比較的近い時期に任期満了となる場合であっても、任期満了の日が三十日以上離れている場合には、これらの選挙を同時に行うことができず、それぞれ別個の期日に行わなければなりません。  そこで、本案は、投票率向上有権者利便を図るとともに、選挙管理費用節減に資する見地から、同一地方公共団体議会議員及び長のうち一方の任期が他方の任期満了の日前九十日以内に満了する場合には、四年ごとに行われているいわゆる統一地方選挙の例に準じて、議員任期満了による一般選挙と長の任期満了による選挙を同時に行うことができるようにしようとするものであります。  次に、本案の主な内容について申し上げます。  まず、選挙期日特例についてであります。  地方公共団体議会議員任期当該地方公共団体の長の任期満了の日前九十日以内に満了する場合において、議員任期満了による一般選挙と長の任期満了による選挙を同時に行おうとするときは、これらの選挙は、長の任期満了の日前五十日に当たる日または議員任期満了の日前三十に当たる日のいずれか遅い日から、議員任期満了の日後五十日に当たる日または長の任期満了の日のいずれか早い日までの間に行うことができることといたしております。  また、地方公共団体の長の任期当該地方公共団体議会議員任期満了の日前九十日以内に満了する場合についても、これと同様に行うことができることといたしております。  次に、同時に選挙を行う旨の告示についてであります。  都道府県選挙管理委員会または市町村選挙管理委員会は、ただいま申し上げましたところにより同時に選挙を行おうとする場合には、議員または長のうちその任期が先に満了する日前六十日までにその旨を告示しなければならないことといたしております。また、市町村選挙管理委員会告示をした場合には、直ちにその旨を都道府県選挙管理委員会に届け出なければならないことといたしております。  以上のほか、告示がなされた後に同時に選挙を行うことができなくなった場合における選挙期日特例後援団体に関する寄附等禁止期間特例等所要規定を設けておりますが、議員及び長の任期特例に関する規定は設けていないことを申し添えます。  なお、この法律は、公布の日から施行することといたしております。  以上が、本案提案趣旨及び内容概略であります。  何とぞ、速やかに御賛同あらんことをお願い申し上げます。
  5. 武田節子

    委員長武田節子君) 以上で趣旨説明聴取は終わりました。  これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  6. 平野貞夫

    平野貞夫君 平成会平野貞夫でございます。  まず、地方自治体選挙期日統一法案柳本先生が今提案理由を御説明された法案について、若干お聞きしたいと思います。  衆議院でこの法案をまとめられました提案者皆さんには大変御苦労さまだったと思います。この法案は、今お話しのとおり、投票率向上とかあるいは選挙管理費用節減等でいろいろなメリットがあるということは理解しますが、一方で選挙の日と任期の乖離が生じたり、あるいはそういったことから地方自治本旨といいますか、地方自治体のことは地方自治体で決めればいいじゃないかという意見があるやに聞いておりますが、そういったこととの調整といいますか、そういったことについて提案者の方はどのような御見解をお持ちか、お聞きしたいと思います。
  7. 柳本卓治

    衆議院議員柳本卓治君) 平野先生の御質問にお答えを申し上げます。  この九十日法案メリットデメリットということでもあると思うのでございますけれども、端的に申しまして、この法案メリットというのは三点あると思うんです。第一に投票率向上であり、第二に有権者利便性を図るということであり、第三に選挙管理費用節減に資する、そういう要素があると思います。  ただ、この三つを加味した中で、この法案はあくまでも任憲法でございまして、強制法じゃございません。同日選挙を選ぶことができるという内容法案でございます。  確かに御指摘のように、現在近接した期間同一地方公共団体議会議員と首長さんの選挙を別々に行うことといたしますと、特に後に行われる選挙については投票率というのが著しく低下するということが往々にあるわけであります。今回の改正によりまして、同一地方公共団体議会議員と長の任期満了選挙同一日に行われる範囲を拡大することで、有権者選挙に対する関心を呼び戻すことができ、さらには有権者利便向上にもなることから、投票率向上につながっていくと考えるわけであります。  また、一つ選挙を執行すればかなりの経費がかかりますけれども、同日選挙を行えば、複数の選挙の手続を一つにまとめることができるということは周知のとおりでございますけれども、それによって選挙管理費用節減にも資することになると考えます。  私は、今回の公選法改正案というのが、政治地方自治に対する国民の意識を高めることに非常に貢献することになると思うし、また、同時に今国民的要請でございます行財政改革にも資するものである、このように考えているところであります。  デメリットでございますけれども、議員や長の空白期間が発生することがあり得ること、それから新任の者が選出されていながら前任者が引き続き職務を行い続ける期間現行より長くなることは事実でございます。ただ、現在四年に一度の統一地方選挙におきましても、ほぼ同様の期間こういった現象が発生し得る仕組みになっているわけです。これはもう平野先生よく御存じのことだと思うのでございます。実際上このことにおいて問題が生じたということは聞いておりませんし、また本改正案では、同時選挙を行うか否かは先ほど申しましたように地方実情に応じて地方公共団体が選択することになっているわけであります。  そういうことを勘案いたしますと、メリットは相当あってデメリットはほとんどない、そのように思っておりますので、よろしくお願いをいたしたいと思います。
  8. 平野貞夫

    平野貞夫君 よくわかりました。  衆議院では、我々の仲間の新進党の方も提案者の一人でございます。そこで、私たちも基本的に賛成でございますが、やっぱり地方自治本旨というのを生かす形で、この法案はいずれにせよ今の御説明のとおり暫定的な性格があると思います。今のメリットをより生かすためには、今後制度の整備といいますか、もうちょっといろいろきちっと本格的なものにした方がいいんではないかと、私はそういう意見を持っておりますが、衆議院の方でもそういう動きをやっておるようでございます。  自治省お尋ねしますが、そういう意見動きについて、議員立法になるのか政府提案になるのかわかりませんが、いずれにせよ自治省は積極的に取り組まれるお考えをお持ちかどうか、お聞きしたいと思います。
  9. 白川勝彦

    国務大臣白川勝彦君) 平野委員お尋ねは、最近新聞報道等で報じております、統一地方選挙が四年に一回行われているわけでございますが、これが今実施率三七%でございまして、四年に一回に全部統一する必要はないけれども年に二回とか一回に統一したらどうかという、そんなことを想定されてのお尋ねかと存じますが、御指摘のとおり、今自治省でも真剣に検討させていただいております。  これの経過は、今の柳本議員からの提案と必ずしもリンクするわけではありませんが、衆議院公選特中馬委員長が年二回に少なくとも地方選挙は統一したらどうかと、こういうような御提案をされたのを一つのきっかけに政府部内でもあるいは与党の間でもこういうことが議題になりまして、まだ確定している段階ではありませんが、いろいろと研究をさせていただき、またこれは国会で決めるということよりも何よりも、まず地方団体皆様方の御意思はどうかというようなことで、与党の方の支持も受けまして、自由民主党としても意向調査、こんなようなものをしてその結果を見ているところでございます。いずれにしろ、もう少し勉強をさせた上で自治省としての考え方をまとめてみたい、こう思っております。
  10. 平野貞夫

    平野貞夫君 わかりました。  次の問題に移らせていただきたいと思いますが、関連いたしまして、この機会に連座制の問題についてちょっと具体的なことでお尋ねしたいと思います。  最初に、高知県三区の事例を取り上げてお聞きしたいと思います。  高知県第三区と申しますのは、高知県の中央部から西半分ぐらいのところでございますが、全国一の過疎地で大変不便なところで、私の生まれたところでございますが、明治時代には自由民権運動の発祥の地でございます。  先週日曜日に選挙無効でやり直しをしました土佐清水市長選挙、これはそこの土地ですが、そういうことで全国で知られているところでございます。非常に特異な土地柄でございまして、この土佐清水市長選挙自民党日本共産党候補者を共同推薦すると、そして出陣式には両党の先生が並んであいさつするという、全国ほかのところではちょっと想像のできないところでございまして、政治の理念や政策がどうなっているか私自身は理解しがたいようなところでございます。  そういう風土のところで起きていることでございますが、この第三区で、さきの総選挙無所属新進党が推進いたしました廣田という候補が現在連座制で提訴されまして、高松高裁審理中でございます。  法務省にお聞きしますが、請求の原因を簡単に説明していただきたいと思います。
  11. 藤田昇三

    説明員藤田昇三君) お尋ねの件につきましては、高知三区における先生指摘候補者の西土佐村後援会という後援会の副会長をしていた者と事務局長をしていた者、この二人が高知地方裁判所において公職選挙法二百二十一条の買収罪によって執行猶予つき懲役刑の言い渡しを受けまして、この判決が確定いたしましたので、その両名が後援会組織においてどういう立場にあったかということを検察官において検討したところ、後援会組織において選挙運動計画立案調整等を行っていたということなどが認められましたので、公職選挙法二百五十一条の三の第一項の「組織的選挙運動管理者等」というものに該当すると認められましたので、検察官におきましては候補者立候補禁止を求めて連座訴訟を提起したものと承知いたしております。
  12. 平野貞夫

    平野貞夫君 私が調べましたところ、今の御説明をもうちょっと具体的に申し上げますと、こういうことになるかどうかちょっと確認したいと思いますが、廣田候補後援会田邉会長が、安藤会長から二回にわたって十万円と八万五千円をもらい、それで買収を行った、それが一点。それから、同じく後援会池上という事務局長が、安藤後援会長から二回にわたり十万円と六万円をもらい、それを買収資金として使った。具体例としてはそういうことでございますか、ちょっと確認をしておきたいんです。
  13. 藤田昇三

    説明員藤田昇三君) 具体的な事実関係は、今おっしゃった分も含まれておるかと思いますけれども、もう少し金額的にもまた関係者も多うございまして、刑事事件被告人である安藤関係におきましては、供与金額合計四十五万五千円、それから交付金額が五千円、それから受供与が五十万円ということで、合計九十六万円の供与交付及び受供与ということになっております。それから被告人田邉関係におきましては、内訳は若干省略させていただきますが、合計で二十二万五千円の供与交付受供与でございます。それから池上蔦男関係でございますが、この関係では合計で二十万円の供与受供与となっております。
  14. 平野貞夫

    平野貞夫君 私が調べました高松高等検察庁の訴状には、今私が申し上げた二点でいわゆる連座制の提訴をしたという書面を私は見ております。  裁判のことですから具体例はいろいろ複雑な関係があると思いますが、一応それを前提に議論をしていきたいと思います。  現在、高松高裁田邉池上両氏に対する審理が行われているわけですが、弁護側からこの事件はおとりあるいは寝返りによるものと準じて考えるべきだという主張が行われていると私は聞いておりますが、法務省としてはいかがでございましょうか。
  15. 藤田昇三

    説明員藤田昇三君) ただいまお尋ねの件につきましては、私ども詳細は承知いたしておりません。
  16. 平野貞夫

    平野貞夫君 わかりました。  私も地元の人間なものですからいろいろよく調べましたところ、これは私の調査ですから裁判所あるいは警察検察庁のものとは性格が違うかもわかりませんが、田邉池上への各十万円については、これに介在している竹葉という人物がいまして、この人物虚偽自白をもとに相当に無理な取り調べが行われて出てきた話。したがって、私はそういう事実はなかったというふうに確信しております。  ただし、田邉氏にかかわる八万五千円、池上氏にかかわる六万円については、そういう金銭の授受があったと私も確認しております。しかし、この二つにつきましては、ポスターの掲示とかそういったものの日当代で、買収などはやっていないというふうに私は確認しております。そういったことを証明するものもあるようでございます。  十万円の分につきましては私は事実でないという前提に立っているわけですが、八万五千円と六万円の分につきましては、政党公認候補者ならば本来これは政党活動でやる経費でございまして、無所属候補なるゆえの一つ問題点かもわかりませんが、これでもって連座制を適用するということは私はまことに酷過ぎるんじゃないかという意見を持っております。  そこで、捜査課長お尋ねしますが、あなたは当時の高知県警本部長で、私も直接こういうことをお聞きする流れを大変恐縮しておるんですが、率直に言って、私はこの事件一連捜査には相当無理な取り調べがなされた、そして十分に真相が解明されないまま起訴が行われたと、こういうふうに私は認識しておりますが、いかがでございましょうか。
  17. 縄田修

    説明員縄田修君) 警察におきましては、常に不偏不党、厳正公平な立場を堅持して選挙違反の取り締まりに当たっておるところでございまして、先ほど委員の御指摘の件につきましても、高知警察において適正に捜査を行い、所要捜査を遂げて送致したものと承知しております。  先ほど御指摘もございましたが、私の立場から申し上げましても、当時かなり慎重に当事者を含めて関係者からも事情聴取を行い、数日の捜査を要して、十分間違いないということで検挙いたしたものと承知をいたしております。  御指摘関係者につきましては、高知地方裁判所において一審有罪判決が出て確定しておるものと承知をいたしております。
  18. 平野貞夫

    平野貞夫君 警察責任者立場からいえばそういう答弁になると思いますが、極めて特異な田舎でございまして、特異な風土を持っているところでございまして、さまざまな問題があるわけでございます。私の調査能力はもちろん警察よりすぐれているとは思いませんが、かなり大きな問題を抱えていると、私はこういう意見でございます。  したがいまして、時間の関係でこれをここで議論するつもりはございませんが、これから進む裁判がいかなる結果になろうとも、このケースについてはやはり議会制民主主義根幹にかかわる問題を含んでおると私は思っております。この問題の対立候補でありました方は当時自治政務次官をやられていて、この問題は参議院の法務委員会でもあるいは衆議院予算委員会でも取り上げられた問題でございます。もう少し事実関係確認、精査した上で、私は今後も真相の究明ということについて政治的な立場でやっていくつもりでございます。  さて一方、悪質選挙違反ということで全国的に新聞、テレビが大変問題にしました、日本テレビは特集を組んだほどでございますが、栃木県の第四区のケースがございます。これは、だれもが当然連座制を適用されると思っていたケースなんですが、適用がありませんでした。この理由はどんなものか法務省お聞かせください。
  19. 藤田昇三

    説明員藤田昇三君) お尋ねの件につきましては、栃木県の茂木町の助役であった者と同町議会議長であった者の両名が買収罪等によって執行猶予つき懲役刑に処せられたわけでございますけれども、検察官におきまして、公職選挙法二百五十一条の三の定めております「組織的選挙運動管理者等」に係る連座要件の有無について慎重な検討を行った結果、いずれの者についても同条一項の規定する要件のうちで「当該選挙運動計画立案若しくは調整又は当該選挙運動に従事する者の指揮若しくは監督その他当該選挙運動管理を行う者」という要件に該当すると認めるに足りる証拠がないというふうに検察官が判断をいたしましたので、連座訴訟を提起しなかったものと承知をいたしております。
  20. 平野貞夫

    平野貞夫君 この問題については本当は事実関係を私たち国会の場でもきちっとやるべきでございますが、私の持ち時間もあと十分足らずでございますので、そういう具体的な細かなことは申しません。ただ、この高知三区のケース、それから栃木四区のケースを総括して、時間の範囲で私は意見を申し上げたいんです。  この茂木町の元助役、それから町議会の元副議長さんは、私たち調査では後援会組織中心人物であったと。関係者の話によりますと、茂木町の場合、いわば町ぐるみ選挙違反買収行動で、買収されていない人の数が圧倒的に少ないがために、その問題を言うのが町の一つの信用とか威信にかかわるということで問題が表に出なかったという面もあるようなんですが、私たちは、これはもう実質的な組織的選挙運動管理者に間違いないという一つの確信を持っております。  それに比べてこの高知三区の場合の田邉氏、池上氏の事情はどうであったかといいますと、全くそういう管理者ではない、実態的にもそうでございます。なぜかといいますと、無所属新進党推薦候補後援会幹部と同時に、自民党比例四国ブロックから出た三石という候補池上氏は後援会長、それから田邉氏は事務局長をやっておる。  非常に何ども理解しがたい構造で選挙運動を、比例区では自民党候補後援会長事務局長、小選挙区では自民党でない候補後援会幹部をやっている。そして、この二人の活動の主力は自民党なんです。こういう実情もあるわけなんです。  したがって、連座制高知三区では適用して栃木四区では適用しないという法の運用については、私は条理常識で考えられないと思っておるわけでございます。しかし、法律をつくったのは我々でございまして、政治責任もあると思います。  こういう制度が乱用されないように、警察検察皆さんがきちっとした要件のもとに適用できるようなものに見直すということは、私はこれから必要、一つの課題だとは思っていますが、それにしてもちょっと余りにもひどいではないかという意見を持っておるわけでございます。  それから、高知三区のケースについては、先ほど捜査課長は、適切しかも周到な捜査をやった、こういうお話でございましたが、実は、廣田側安藤後援会長から十万円をもらったと虚偽自白をした、虚偽自白というのは私の言う話ですが、竹葉なる人物は、対立候補である自民党候補の熱心な支援者で、選挙近くになって廣田候補の事務所に自分から名乗り出て手伝いましょうと、こういった人物なんです。しかも、特に安藤会長が起訴された後、この竹葉氏は二度もこの問題について自分の間違いをわびておるんです。  その一つは、ことしの二月三日、起訴されたころだと思いますが、その竹葉氏は奥さんを伴って安藤後援会長の自宅に行って、土間に土下座して、要らぬことを言ったばかりに迷惑をかけた、わしをたたいてくれと泣きながら謝罪しているんです。それから、さらに三月六日には、この竹葉さんの家へ安藤後援会長と弁護士さんが立ち会って行ったときに、この竹葉氏は、安藤さんから金はもらっていないということを話しておるわけなんです。そういう小さい問題かもわかりませんが、私はやっぱり民主主義の非常に根幹の問題だと思うんです。  しかも、こういう謝罪の言葉をテープにとって裁判で提示したそうですが、検察の反対で証拠にはならなかったそうでございます。しかも、安藤後援会長取り調べの前後、最初は否認、そして認める、また否認すると、そういう非常に不安定な実情の中で取り調べ裁判が行われ、しかもこの安藤さんの問題について裁判所で十分な審理が行われていないという問題があるんじゃないかと思っております。  真相が解明されないまま有能な人材を連座制にかけて政治活動を制約するということは、私は基本的人権にもかかわることだと思っております。  そして、議会政治根幹にかかわる問題だと思っております。  先ほど本部長お話ですけれども、須崎市で私の友達がこの一連のことで捜査されたんです。そのときに、警察官は、おまえはほかに談合の話がある、こっちをやるぞということで、やっていないことがやったようになっておるわけですよ。田舎ではあることかもわかりませんけれども、許されることではない。しかも、私の友人はもといた会社まで首になっているという非常に気の毒な状況があるわけなんです。私は、一連高知三区の問題を政治的謀略とは言いたくないです。言いたくないですが、地元ではそういう声が非常に強うございます。  なぜ私がこういうことにこだわるかといいますと、実は明治二十五年、品川弥二郎内務大臣が大選挙干渉をやったときに、この地区で、吏党の壮士の仕込みづえ、そして民党のくわ、かまで大騒動が起こっておるんです。私の先祖もその犠牲者の一人なんです。明治の時代は仕込みづえとくわでやったかもしれませんが、平成の現代、権力が法律を乱用して政治の正道、デモクラシーを決しておかしくしちやいかぬと思います。私は、高知三区のケースは、実質的に明治時代と何ら変わることがないという憤りを持っておるわけなんです。  政治改革のときの連座制導入の法の不整備というのは、私自身もかかわりましたので反省をしておりますが、法務省の方、私の指摘したことをどうかひとつ上司に報告してください。幸いきょうは国家公安委員長であられる白川大臣もいらっしゃいますので、白川大臣には直接お聞きいただいたのでその気持ちをひとつ御理解していただいて、これを申し上げて終わりたいと思います。
  21. 橋本敦

    ○橋本敦君 本日は、発議者の柳本先生御苦労さまでございます。法案に関連して、二、三お伺いさせていただきたいと思います。  地方自治体選挙は、考えてみますと、知事の公選制などを定めました地方自治法の制定、これによりまして統一選挙を実施したのに始まるわけであります。その後市町村の合併があり、あるいは首長の解職、死亡、また議会の解散など、各自治体のいろんな事情によりまして状況が変わってまいりまして、九五年の四月には全自治体の三七・七%にすぎなくなって、大半が中間選挙という状況になっているわけでございます。  私は、これはそれなりに各地方自治体の住民運動や地方自治体の歴史的事情がある、こういうことが具体的に背景にございますし、住民の側から見ますと、汚職や腐敗に対する住民の怒りを背景に端を発した首長の選挙やあるいは議会解散、こういったものもございますので、こういう傾向は地方自治という建前からいえば一概に否定するということじゃなくて、むしろ好ましい動向とも考えているわけでございます。  しかし、本法改正案は、こういう自治体の歴史的、固有の事情はともかくとして、本来それぞれ独立して行われる選挙をまとめよう、こういうわけでございます。そうなりますと、本来性格の異なる選挙で、住民から見ればそれぞれ二回に分けて意思表明をする機会が本来あるわけですが、その権利が一回にされるということは、具体的な意思表明の機会の面からいいますと、住民自治から見ると問題があるのではないかと思いますが、そういう観点、いかがお考えでしょうか。
  22. 柳本卓治

    衆議院議員柳本卓治君) 橋本先生の御質問にお答えいたします。  私も地方議会の出身者でございまして、御指摘の意味はよく理解をしているところでございます。ただ、同時選挙でございましても、議会議員に対する投票権と長に対する投票権とは別個に行使されるわけでございまして、政治参加の機会が二回から一回に減らされるという意味ではないと考えております。  議会議員と長の選挙を別々に行うこととすると、特に後に行われる選挙につきましては、先ほど平野先生の御質問の中でもお話をさせていただきましたように、投票率というのは非常に著しく低下する。同時選挙を行うことによって、有権者の便宜の向上や関心の喚起が図られ投票率向上につながる可能性が大であるわけです。また、経費節減も可能となり、このような観点から改正案提案させていただいたということを御理解していただきたいと思います。
  23. 橋本敦

    ○橋本敦君 次の問題ですが、この法案では、同一時期に選挙を行うかどうかは自治体の自主性が基本的には尊重される、そういう立場法律の建前はできていると思います。ところが、一回同時選挙を行いますと、以後その自治体は必ず同時選挙を行うという仕組みに進んでいくということが一つ。それから、自治体の自主性を尊重するとは言いますけれども、実際問題としてこれが歯どめになるかどうか。同時に、この問題は、この法案ができますと、同時選挙を見合わすということの方がむしろ難しくなっていくのではないかということを私は心配するんです。  その具体的例として、例えば八潮市の場合に、私の手元にあるんですけれども、今回の法改正案ができるということを見越して県の方から八潮市に対して、議員任期満了前五十日に当たる八月八日または長の任期満了前三十日に当たる六月二十八日のいずれか遅い日、八月八日から、長の任期満了後五十日に当たる九月十六日または議員任期満了の九月二十七日のいずれか早い日、九月十六日までの間で選挙が設定できると。これはややこしい言い方ですが、要するにこの改正法案ができれば一回でできますよという連絡が早くも行っているわけです。  私は、自治省がこういったことを誘導的になさるということは、法の建前である自治体の自主性を尊重するということから見て問題があるのではないか、こういった指導的な方向はするべきでないのではないかと思いますが、自治大臣のお考えはいかがでしょうか。
  24. 牧之内隆久

    政府委員牧之内隆久君) 本法案が成立し公布をされましたら、地方公共団体には法の内容につきましてその趣旨の徹底を図るために施行通知等を出したいと考えておりますけれども、先ほど来提案者からの御答弁もございますように、これは九十日以内に任期満了が来る同一公共団体での二つの選挙を同時に行う道を開くというだけでございまして、同時に行うかどうかというのはあくまでも公共団体の自主的な判断によるという趣旨でございますので、私どもといたしましては、法案が成立したといたしましてもそれを誘導するというような指導を行う考えは持っていないところでございます。  なお、一回同時選挙を行うと次からはもう同時選挙になってしまうというお話もございましたけれども、法の仕組みとしては選挙の都度それは決定をしていくということでございまして、同時選挙を行うことによりまして任期が動かない場合もございますので、一度やったから必ずそうなるということではなかろうかと思っております。
  25. 橋本敦

    ○橋本敦君 今、同時選挙を誘導することは指導としてはしないという御答弁がありましたので、その点は了解することができるわけでございます。  それから、経費節減ですけれども、選挙の費用というのはいわゆる民主主義のコスト、地方自治本旨からいってもそれは当然自治体の負担としてやむを得ない大事な問題でございまして、葛飾区の場合を計算してみますと、人口四十三万人、一般予算三百二十六億円という中でどれぐらい経費が削減されるかというと約五千万円というのが私どもの計算でございます。経費節減それ自体はよろしいけれども、経費節減だけでこういったことをやるということはどうであろうかということも、本来選挙公営からいえば経費は要るわけですから、こういう面からも経費節減だけから合理化するのはどうかと、こう思っております。  もう一つ柳本先生がおっしゃった選挙投票率の問題です。この投票率のアップということが私は本当は非常に大事だと思います。大事だと思いますが、例えば世論を見てみますと、毎日新聞の投書などで、選挙はなぜ人気がないかということで、一つには政策に違いが余りないからだという意見がありますし、公約を守らないからだ、こういう意見もありますし、政党が変節し過ぎるからだ、こういう意見もあるわけですね。  私は、これはやっぱり政党政治として、国民に信頼されるよう政党が責任を持った選挙政策と誠実に公約を守るということが投票率政治に関心を高めていく基本問題だと、こう思うんですが、ここらあたりの基本問題について自治大臣のお考えはいかがでしょうか。
  26. 白川勝彦

    国務大臣白川勝彦君) 自治大臣に就任して以来、投票率が年を追うごとに順次低下傾向にあるが自治省としてどう取り組んでいるのかということをいろんな先生方から質問を受け、私も答えてまいりました。  いろいろ技術的に改善をしなきゃならない問題もあろうかと思います。これにつきましては、自治省の中に実際選挙をやっている地方団体の実務家にも集まっていただきまして研究会をいたしまして、この前中間的な研究成果を発表させていただきました。御理解がいただけたならばこういう点は改正していきたい、こう思っております。  ただ、そういう技術的なことは自治省として一生懸命努力いたしますが、根本は、政党あるいは候補者が生き生きとした活動をしていただく、これがやはり基本であることは間違いないので、そこのことは各政党、政治家、候補者が真剣にお考えをいただきたいということについては、私もそういう意見を述べてまいりました。その点におきましては橋本委員と同じ考え方を持っております。
  27. 橋本敦

    ○橋本敦君 それでは次の問題に移りますが、第一勧銀の事件が本当に重大な事件になってまいりました。  この問題に関連をして私が注目をした記事は、朝日新聞の記事なんですが、この朝日新聞によりますと、こう言っております。  第一勧銀の頭取らの参考人質疑の後、「追及を聞きながら、胸を張って批判できる政治家は何人いるだろうか、という思いにとらわれた。総会屋へのルール違反融資は重大である。ならば、政党への無担保融資はどうなのか。」。  少なくとも自民党について言いますと、「一九九〇年の総選挙を前に自民党は都市銀行九行から百五十億円の協調融資をうけた。業界を取りまとめたのが全国銀行協会連合会の会長を務めていた宮崎氏だった。自民党側は当時の小沢一郎幹事長。」、「翌年には返済される約束だったが、いまだ完済されていないという。」、「更に九三年には百億円の追加融資を受け、こちらも約八十億円がまだ残っている、」。  こういうことを指摘した上で、「約束通りに返済されない相手に十分な担保もなく融資することは、金融の鉄則から外れる。」、これは当然のことで、「自民党という権力が企業のルールをゆがめた。応じた銀行も悪いが、ゆがめた政党の責任はどうなのか。」、こういう糾弾がなされているわけですね。  私は、第一勧銀という問題について国民の怒りが大きいときに、これは本当に考えるべきだと思います。  最新の九五年度の政治資金報告によりますと、自民党は都市銀行九行に百二十億七千万円の借入金がありますが、勧銀はそのうち十四億八千万円。  これだけ第一勧銀からお借りになっているわけです。あの銀行からこれだけお借りになってそのままでいいだろうか。しかも十分な担保もなしにということで、庶民から見るとこれはやっぱり問題だと思うんです。  私は、自治省に届け出られております八六年から九五年の十年間における毎年の業界団体、政治団体を除く単一の企業からの自民党政治資金団体である国民政治協会への寄附のベストテン、これを官報及び収支報告書から調べてみましたが、驚くべきことに、第一勧銀はこの十年間で献金順位の第一位が六回、それから第二位が三回、三位はわずか一回。総額七億四千万円ですが、国民政治協会のトップクラスなんですね。  第一勧銀からこれだけの過大な献金を政党が受けているという問題、大蔵省の有司もごまかすというあの勧銀、総会屋との黒い癒着、こういったこと等を考えてみますと、橋本総理はあの住専のときには、主要母体行から寄附を受けることで手かげんをしているように思われると仕事がうまくいかないと、こうおっしゃって自粛を表明されたんですが、第一勧銀からこれだけの大きな献金を自民党国民政治協会が受けていらっしゃるという問題については、私は厳しく反省をしていただく必要があるのじゃないか。そして、公益企業である銀行から政治献金をもらうということは、できれば政党は思い切って自粛するということをこの際はっきりする必要があるのではないか、こう考えておりますが、最後に自治大臣の御見解を承って質問を終わります。
  28. 白川勝彦

    国務大臣白川勝彦君) 企業、労働組合等の団体献金につきましては、先般の三党政策合意において、政治資金規正法の平成六年改正法附則第九条及び第十条の規定を踏まえ、政治資金のあり方について今後さらに協議を進める旨明記されているところであり、各党各会派におきまして十分御議論をいただきたいと考えております。  自治省といたしましては、このような決定がなされ、法改正がなされましたら、これを厳格に執行していく、こういう立場であります。
  29. 橋本敦

    ○橋本敦君 最後に一問。大臣、問題の第一勧銀からこれだけ多額の献金がある、このことについてやっぱり考え直す必要があるんじゃないか、今社会的に問題になりはしませんか、そういう問題についてはいかがですかと、こういう質問なんです。
  30. 白川勝彦

    国務大臣白川勝彦君) 私は、ここに自治大臣として立っておるわけでございまして、自由民主党という政党がこの問題をどういうふうに考えるかということについて、今私は党員の一人ではございますけれども、そういうことを党を代表して述べる立場ではございませんので、答弁を差し控えさせていただきます。
  31. 武田節子

    委員長武田節子君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。  これより討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
  32. 橋本敦

    ○橋本敦君 私は、日本共産党を代表して、公選法改正案に反対の討論を行います。  現在、地方自治体選挙は大半が中間選挙となるに至っておりますが、これは、市町村合併などに加えて、それぞれの自治体で、住民が汚職や腐敗に端を発した首長、議員の改選運動を成功させ、新しい代表者を選出してきた結果でもあります。  反対の第一の理由は、改正案が、こうした自治体固有の歴史的事情によって首長と議員選挙をそれぞれ独立して行うことになったものをわざわざ一つにまとめ、選ぶ側の住民から見れば、二回の時期に分けて地方政治にそれぞれ意思表明できる機会を一回に減じられることになるからであります。  反対の第二は、本改正が施行されれば、自治体の自主性を尊重するという法の建前が事実上崩れ、現に地方行革の名のもとに多くの地方議会で定数削減が進められていることから見られるように、同時選挙を見合わせるということが事実上極めて難しくなることが容易に予想されるからであります。  しかも、一度同時選挙を行いますと、その自治体は以後基本的には同時選挙を行うと、こういう仕組みになってまいりまして、結局、改正案は、首長と議員任期満了期日が九十日以内の自治体については同時選挙を誘導すると、そういうものになっている法案であります。  第三に、本改正理由として挙げられている投票率のアップ、経費節減などには正当な根拠がないことであります。  現在、中間選挙でしばしば低投票率となる主要な原因は、無原則なオール与党政治あるいは争点隠しの選挙、住民の声が反映されない政治、こういった住民の政治不信にあることは明白であります。このような問題を放置しておいて、選挙を統一して行えば投票率向上するというのは、これは安易であり真の解決には役立たないものと考えます。  また、行政のむだを省いて経費節減を図ること自体は当然であります。しかし、自治体の首長と議員を直接選挙によって選出することは憲法に定めた地方自治根幹をなすものであり、そのための選挙経費は民主政治にとって必要不可欠であります。この根本理念を行政の効率化、経費削減ということでゆがめることは許されないと考えます。  さらに、この際付言しておく必要があると思いますのは、本案が、現在自民党などの一部で検討されています中間地方選挙を年二回に統一する法改正の導入に道を開くことになるという問題があるからであります。なぜなら、投票率のアップ、経費節減など本案を導入するに当たっての論拠は、中間選挙を年二回に統一する法改正のさらなる導入の論拠と基本的に変わらないからであります。  以上が本案に反対する理由であります。
  33. 武田節子

    委員長武田節子君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。  これより採決に入ります。  公職選挙法の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  34. 武田節子

    委員長武田節子君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  35. 武田節子

    委員長武田節子君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後五時三十六分散会      —————・—————