○山下芳生君 もう今の議論を聞いていて明らかですけれども、産業界における省エネの
努力というのが、いろんな要因はあるとはいえ、やはり低下している、軽視されてきているというふうにしっかり認識をして指導を強めていただきたいというように思います。
最後に
大臣に、
地球環境問題が深刻化するもとで、今後の
エネルギー政策、ひいては社会のありようについてどうあるべきか、少し所見を
伺いたいと思うんです。
私は、CO2の排出量の急増というのは、産業革命以来、化石
燃料の膨大な消費に起因をしているというのは言うまでもありませんが、しかし、だからといって、これが人々のより豊かな生活を求めての生産活動の拡大やあるいは
エネルギー消費の増大ではあっても、もう今や人類の生存それ自体が脅かされかねない事態に立ち至っているわけですので、こうした
状況のもとでは、従来のような
エネルギー消費のあり方を根本的にやはり見直す必要がある、同時に
エネルギー政策も転換しなければならないというふうに
考えています。
その転換の方向として、私たち
日本共産党としても九四年に「
日本経済への提言」という本を出しまして、この中で「
環境にやさしい低
エネルギー社会への転換」という問題を提起させていただいております。
ごく簡単に紹介いたしますと、第一に化石
燃料の消費を可能な限り削減すること、第二に
エネルギーをいかに有効に効率的に使うかということ、第三にCO2を発生させない再生可能な新
エネルギーの
供給を確保するということであります。私たちのこの提起というのは、これはもう特殊な提案ではないと思っております。
私たちの新聞、赤旗でもこの問題は取り上げておりまして、最近も立命館大学の和田武教授がデンマークの
取り組みについて紹介をしております。
デンマークでは、
石油ショック後、
エネルギー効率を改善しようと個別暖房から
地域暖房に急速に転換を図ってきた。
地域暖房というのは、御承知のとおり熱
供給センターというのをつくって、そこと各家庭を配管で結んで熱水を
供給する暖房の仕組みであります。今では
地域暖房に加入している
住宅がデンマークでは過半数に達しているというふうに紹介されているわけですが、この熱
供給センターでは
発電も行いながら
発電に使った水蒸気からの熱水を
供給しているところがふえている。今では
発電所の建設をする際、
地域に熱水を
供給するのでなければその建設が認められないというふうになっているそうです。
また、
エネルギー効率を上げる工夫も徹底して行っておりまして、運転条件を改善する、あるいは断熱性にすぐれた配管を使用するなどによって熱水を冷めにくくしている。これらの工夫によって
エネルギー効率は九〇%以上に達している。
先ほどの三八%等という数字と比べてもかなり高い効率であります。しかも、
石油や
石炭を減らして
天然ガスやいわゆるバイオマス、生物資源である木くず、麦わら、
ごみなどの
燃料利用をふやしている。
ごみ処分場や牛のし尿から発生するメタンを集めてパイプラインで送って
燃料にすることもやっている。
こうした
取り組みの結果、九四年のデンマークの暖房面積は個別暖房も含めて七二年の一・四倍にふえたにもかかわらず、暖房用の
エネルギーの
消費量は三分の二に減るという大きな成果を上げているそうであります。これは
政府がかなりCO2排出量を具体的に減らすという
目標を持って、それに対して住民の協力も得ながら進めているということであります。
それから、もう一つ御紹介したいのはアメリカの例ですけれども、これは東北大学の長谷川
先生が書かれた本の中にサクラメントの
電力公社の例が載っておりました。ここは住民投票で原発を閉鎖するということになって、その後どうやって
電力を
供給するのかということで、このサクラメント
電力公社の
努力を見ますとなかなか示唆に富んでおります。
直ちに
電力供給をもとに戻すということはなかなか難しいので、
電力の需要を抑えていただこうということで各利用者、家庭に
電力消費を抑制するキャンペーンを強められて、その中で、例えば省
電力は
発電に匹敵すると。省
電力発電という
考え方を
導入して、各家庭で省
電力をすることは
発電所をつくることに等しいんだというキャンペーンをやられたり、あるいは緑のエアコン
計画というのがありまして、これは
地域に百万本の植樹をして、半分は
電力公社が出すそうですけれども、息の長い
計画ですけれども、二十年、三十年たてば真夏の気温を何度か下げる
効果が必ず出てくる、それで
電力の消費を抑えようという
計画でありますとか、あるいは
電力消費の大きい冷蔵庫を新しい
電力消費の少ない冷蔵庫に買いかえる場合にはいろんな形で
支援をしようというふうな
取り組みであります。
原発が運転できなくなったというかなり強烈なインパクトがあったこととはいえ、こういう形で省
エネルギー化というものを
電力公社と
地域住民が一体になって進めていると。まさに、私たちがこれからどういう
エネルギー政策あるいは社会をつくっていくのかという点で非常に示唆に富んだデンマークの例であり、アメリカ・サクラメントの例であるなというように私は思っております。
ぜひ、
大臣の今後の
エネルギー政策、社会のありようについての所見を
伺いたいと思います。