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政府委員(
田中正躬君) お答えいたします。
先生御関心の
ISO9000シリーズでございますけれども、これは購入者の要求する品質を満たした
製品を継続的かつ安定的に生産することが可能になるような品質管理
体制を保証しようということででき上がった
国際規格でございます。この
規格の
提案は、一九七九年、約二十年前ですけれども、イギリスが行いまして、
技術委員会の176というところで審議を開始したわけですが、約十年間にわたりまして
規格の中身について
検討いたしました。その過程で、
先生御
指摘のように
日本の品質管理に関する知見というのは非常に高いということで、
日本の専門家も参加をいたしまして随分積極的な意見を述べたわけでございます。
なぜ
日本で実施がおくれたかということでございますけれども、一番大きい点はまさに
先生が御
指摘された点でございますが、
日本自身の今持っている品質管理の制度、それが非常にすぐれているということを
日本の
企業自身が自覚をしておりましたし、ほかの国もそう思っていたというのが非常に大きい原因ではないかと思います。
それから二番目は、一番目の点に
関係するわけですけれども、
ISOの9000シリーズというのは
製品の品質
そのものを保証する
規格ではなくて、その仕組みがちゃんとしているかどうかというのを保証する
規格であるということで、
日本の
企業といいますか、我々
日本人というのは割かしそういう品質
そのもの、結果を非常に重視する、そういう傾向があったというのが二番目の原因ではないかと考えております。
それから三番目の点は、品質管理のこういう手法自身を
規格にするということで、今現在はシステム
規格という言葉で呼ばれておりますけれども、今から二十年近く前はそういうシステム
規格をいわゆる
規格にするということは当時の
標準ということに関する考え方としてなかなかなじまなかったという、そういう三つぐらいの点が多くの場合
指摘をされております。
それにもかかわらず、一九八七年に
国際規格になったわけでございます。それ以降、
アメリカを初め多くの国はほとんど関心を払わなかったわけでございますけれども、経済の
ボーダーレス化が進みまして、海外の個々の
取引でいわゆる
ISOの9000の取得を要求するという、マーケット、市場のそういう要求というのが出てきて徐々に
ISOの9000シリーズというのは広がったわけでございます。そういうわけで、
日本におきましても一九九〇年前後からそういう
規格化のニーズが非常に高まりまして、一九九一年にこの
ISO9000シリーズの
JIS化を行うということになったわけでございます。
したがいまして、
規格戦略として
先生御
指摘の問題があったということは、今から考えてみますとそういうことであったかもわかりませんけれども、経緯的に見れば、
日本の持っている
レベルの高さでありますとか、その全体の、
アメリカを含めた
評価というのが今申し上げたようなことであったということでございます。