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政府委員(
伊佐山建志君) なぜもっと前に輸出検査法なりあるいは輸出品デザイン法を廃止しなかったのかということでございますが、それぞれの
法律にはもちろん時代背景がありましてつくっていただいてきているわけでございまして、当初は、残念ながら品質が悪かったり、他人の商品を模倣して輸出するというようなことがかなりの件数で起こっておりました。その後、
関係各位の御努力によりまして、そういう
ケースは大変目に見える形でもって減ってまいったことは事実でございます。そういうものにつきましては、検査法におきましても、あるいはデザイン法におきましても漸次対象から外すというようなことはいたしております。不必要な形での検査でありますとか、デザイン法の義務というものを課すというようなことは極力避けてまいったつもりでございます。
この両
法律につきまして、たまたま平成六年に、いずれにつきましてもおおむね三年後をめどに廃止すべきではないかという御答申もいただきましたことを一つのきっかけといたしまして、完全になくすことについての問題性というものが十分に説明できるような
状況になっているかどうかということを
実態調査いたしたわけでありますが、
委員御案内のとおり、残ったものというのはどちらかというと中小
企業者が従事する
業界のものでございまして、したがいまして、検査の場合には自主的に中小
企業者ができればよろしいのでございますが、必ずしもそうでないかもしれない、そのときには十分にそのニーズにこたえられるような体制をつくる必要があるというような
観点で議論してまいりました。
あるいは、デザインの模倣の問題につきましても、平成五年に不正競争防止法の
改正をしていただきまして、かなりデザインの重要性でありますとかあるいはデザインを模倣することの悪質性という問題について一般的な認識、国民の意識の向上というものが図られたわけでございますが、何分にも
法律を
改正してから直ちにやめてしまうというためにはいささかの不安がある、
運用面できちっとその趣旨が定着しているかどうかということについて私
どもなりに安心を得たいということで三年ほどの準備期間をいただいたわけでございますが、その結果、今日においては、それぞれ中小
企業者の問題も生ずることなく対応できるだろうということで廃止の提案を申し上げたところでございます。
それで、今まで検査でありますとかデザインについての業務をしていただいたところがその結果なくなってしまうのかという御
懸念の点でございますが、輸出検査法に基づきます検査
事務といいますのは、現在、
委員御案内のとおり、十八の品目について検査を実施しているわけでありますが、民間の指定機関と国の機関によってこの業務を遂行しているわけでございます。
具体的には、指定機関といたしまして、雑貨
関係で三つ、繊維
関係で三つ、農林水産
関係で二つの機関がこの指定機関として認定されて
事業を行っております。あるいは国の機関といたしましては、
製品評価
技術センター、それから運輸省
関係のものにつきましては地方運輸局、農水省
関係のものにつきましては農林水産
消費技術センターが実施いたしておりますけれ
ども、特に財団法人の実施しております
部分につきましては、この検査
事務はそれぞれの財団法人の業務の一部をなしているものでございまして、ニーズがある限りにおいては、
先ほど申しましたように、
法律をなくしても中小
企業者にとりましてはやはり検査を続けてほしいという、そういうニーズが実際にございますので、そういうニーズにこたえるための委託検査といったようなものはそれぞれの指定機関でもできるようにしたいというふうに考えておりますので、雇用面での不安はないよう万全を期してやっていきたいと思っております。