運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1997-06-13 第140回国会 参議院 災害対策特別委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成九年六月十三日(金曜日)    午後一時開会     —————————————    委員異動  二月二十六日     辞任         補欠選任      谷本  巍君     青木 薪次君  六月十二日     辞任         補欠選任      依田 智治君     鈴木 政二君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         清水 達雄君     理 事                 佐藤 静雄君                 陣内 孝雄君                 山崎  力君                 本岡 昭次君     委 員                 阿部 正俊君                 岩井 國臣君                 釜本 邦茂君                 鈴木 政二君                 市川 一朗君                 戸田 邦司君                 横尾 和伸君                 渡辺 孝男君                 青木 薪次君                 村沢  牧君                 一井 淳治君                 北澤 俊美君    国務大臣        国 務 大 臣        (国土庁長官)  伊藤 公介君    政府委員        阪神淡路復興        対策本部事務局        次長       生田 長人君        国土庁防災局長  福田 秀文君    事務局側        常任委員会専門        員        八島 秀雄君    説明員        科学技術庁研究        開発局地震調査        研究課長     上原  哲君        科学技術庁研究        開発局宇宙政策        課調査国際室長  中西  章君        文部省教育助成        局施設助成課長  玉井日出夫君        文部省学術国際        局学術課長    坂本 幸一君        林野庁業務部業        務第一課長    藤原  敬君        運輸省航空局監        理部国際航空課        長        井手 憲文君        気象庁地震火山        部地震津波監視        課長       澤田 可洋君        気象庁地震火山        部地震予知情報        課長       吉田 明夫君        建設省河川局砂        砂防課長     池谷  浩君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○災害対策樹立に関する調査  (地震防災対策に関する件)  (事故災害対策に関する件)  (土砂災害対策に関する件)  (被災者救済制度に関する件)     —————————————
  2. 清水達雄

    委員長清水達雄君) ただいまから災害対策特別委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  昨十二日、依田智治君が委員辞任され、その補欠として鈴木政二君が選任されました。
  3. 清水達雄

    委員長清水達雄君) 災害対策に関する調査を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  4. 阿部正俊

    阿部正俊君 国会も終盤近くになってまいりましたが、この災害対策特別委員会、きょうが最後だと思います。  災害といいますのは、まさに忘れたころにやってくるとよく言われるわけでございますけれども、我々当委員会に属する者としても、国会が終わってもできるだけといいましょうか、一瞬も気を抜かないといいましょうか、そんな気持ちでやられていると思います。きょうは長官も御出席いただいておりますけれども、これからもひとつそんなお気持ちでお答えをお願いしたいと思います。  そういう意味で、忘れたころにという意味からしますと、現実には起きていない地震ではありますけれども、これからの災害で一番大きなものとして警戒しなきゃいけない、いわゆる東海地震につきまして、きょうは短時間ではございますが、もう一度思い出してみましょうというふうな趣旨も込めまして一言大臣に、あるいは関係省庁に御質問申し上げたいな、こんなふうに思っている次第でございます。  まず、いわゆる東海地震と言われましてから二十年近くたつのかなというふうな気がするわけでございます。個人的なあれからしますと、いわゆるヴェゲナーの大陸移動説がありまして、何世紀か後にまた再復活というようなことで、プレートテクトニクスの理屈の上から新しい理論として科学的にもう一回取り上げられました。そういう前提の中から、東海地震というのは日本の場合はかなり予知可能というふうなこととして学会で議論され、政策的にもあるいは行政的にも位置づけられてきたのかなと、こんなふうに思うわけです。  私は、そういったふうな素人的な理解しかないのでございますけれども、いわば普通は地震といいますと、しょうがないといいましょうか、怖いものとして地震、雷、火事、おやじというようなことがよく言われます。最近はおやじの権威が少し下がったようでございますけれども、いつ来るかわからぬというふうなのが地震ということなんでしょうけれども、これがもし、今取り組まれている予知というものが可能だとするならば大変すばらしいことだと思いますし、それなりの大変有効な意味を持つものだと思うんです。  東海地震が、地震予知というふうな面で他の地震、例えばこの間の苦いあるいは悲しい経験でございました阪神淡路大震災、全く予知も何もできなかったわけでございますけれども、そうしたものに対応するものと違って、特別な取り上げ方をされてきたというふうなことについて、先ほど私なりに素人っぽい理解の仕方を申し上げましたけれども、いつごろから取り上げられるようになり、あるいはどういったふうな物の考え方予知というふうなことになったのか。最初にその辺のことについて、簡単に御説明を願えればと思います。お願いします。
  5. 吉田明夫

    説明員吉田明夫君) ただいまの御質問につきまして御説明いたしたいと思います。  一般的には、地震予知というのは今研究段階にあるというふうに考えられているかと思います。  ただ、東海地震につきましては、先生のお話にございましたように、プレートテクトニクスの枠組みで理解できる、いわゆる海洋プレートが陸のプレートの下に沈み込み、プレート境界発生する巨大地震である。あの地域におきましては、いろんな歴史地震の記録によって発生場所とか平均的な繰り返し間隔というのがわかってきていること、また一九四四年に東南海地震というのが隣接地域発生しましたけれども、その際には前兆現象地殻変動観測されていまして、同様な地殻変動前兆現象がもしあらわれれば、現在の観測網で十分に捕捉可能である、そういったことで直前予知も可能というふうに考えられているということかと思います。  東海地震につきましては、先ほどいつごろから大きく取り上げられるようになったかという御質問がございましたけれども、一九七六年、昭和五十一年の秋の地震学会で、東海地震震源域として駿河湾というふうな場所を特定した学説が発表されまして、過去の歴史地震繰り返し間隔とか起き方等を踏まえまして、もう既に差し迫った状況にもあるというふうに言われました。それで大きな社会問題化したわけですけれども、東海地震そのものにつきましては、あの付近のプレート境界地震ということで、それまでにも起きる、発生可能性のあることについては指摘されていたかと思います。
  6. 阿部正俊

    阿部正俊君 ありがとうございました。  御存じのとおり、もう二十年余り前から取り組んでおられるわけでございますけれども、今一つのキーワードとして前兆現象というふうなのが、一つの予知をする場合のとらえられるかどうかということのポイントの言葉かなというふうに理解をするわけでございます。そうした前兆現象事前にとらえられ、その後何らかの手を打つことによって、もし最小限の被害に食いとめることができるとするならば大変画期的なことであるし、ぜひそう願いたいなというふうに思います。  それで、二十年間余りの間に、そうした考え方予知現象を何とかとらえたいというふうな技術的な面での願いを持って体制を整えてこられたんだと思うのでございますけれども、失礼でございますが、どれぐらいの費用をこの二十年間ぐらいにお使いになり、あるいはまだこれじゃ足らぬなというふうなことがありますれば、どういつだような点がこれからの技術的な、あるいはいろんな体制を組む上での課題なのか、どんなふうに認識しておるのかというようなことをお尋ねさせていただきたい。  大変言いにくいことかもしれませんけれども、これから先、いわゆる財政構造改革というふうな中で、そうしたふうな残された課題及びあるいはこれからかけなきゃならぬコストというふうなものを財政改革というふうな観点を込めた上でどういうふうに考えているのか。気象庁さんのお考えをちょっとお聞きしておきたいと思います。
  7. 吉田明夫

    説明員吉田明夫君) 気象庁が、東海地震予知及び東海地域を含む地震活動等監視目的整備した観測網データ処理システム等関連施設の予算は、これまで二十年余りの間でおよそ八十億円です。  東海地震予知目的とする業務としましては、整備した体制によって、先ほどちょっと申し上げました東南海地震のときに前兆現象観測されましたわけですけれども、そういった前兆現象をきっちりと捕捉するということが肝要というふうに考えています。このため、監視体制整備策について取り組んでいるところですけれども、そのほかにも技術的な面でさまざまな開発等検討しているところです。  現在、整備されました観測網によりまして、東南海地震のときにあらわれたような前兆現象よりもさらに小さな前兆現象であってもとらえることができるということがわかっています。また、地殻変動以外に前震活動がある可能性もあるわけですけれども、ごく小さな地震までとらえられるというふうになっています。  さらに、観測網の本来の目的東海地震前兆現象をとらえることですけれども、これまでの観測網整備によりまして、震度情報震源情報などの防災情報を、震度情報につきましては地震発生二分程度、それから震源とか地震規模あるいは詳細な震度情報につきましては三分程度防災関係機関等に提供してきている、そういうふうな努力をしてまいっております。
  8. 阿部正俊

    阿部正俊君 ありがとうございました。  災害というのは、本当になければないにこしたことはないということでございます。もし仮に、今お答えいただけた形で前兆現象がとらえられ、かつ事前に何らかの対応ができたというふうにすれば、私の素人の認識からすると、今までそうしたふうな地震に対する事前にとらえたというのはなかったんじゃないかなと思いますけれども、ある意味じゃ、災害は起こらない方がいいんですけれども、もし仮にそうした前段階でとらえられて何らかの手を打たれたとするならば、本当に地震学というような意味でも大変に意味のあることだし、地震学ノーベル賞というのは変ですけれども、そんなふうなことなのかなというような感想を持ちました。  それじゃ次に、きょうは国土庁長官においでいただいていますので、予知から進めて、今度はそれに対する対策ということについて少し話を進めさせていただきたいと思います。  御存じのとおり、東海地震とは書いていませんけれども、大規模地震対策特別措置法というふうなものを東海地震を念頭に置いてつくられたというわけでございますが、拝見いたしますと、地震防災対策強化地域というふうな地域指定して、そこのいろんな耐震強化施設をつくるとか、さまざまな対策を講ずるというふうなことで法律ができているというふうなことになっているわけです。  その範囲というのは神奈川県を中心に一定の範囲に限定されているわけですけれども、なぜそこだけなのか。改めてその範囲あるいはその地域指定考え方というふうなものをもう一度簡単に、簡潔にお示しいただければと思います。
  9. 福田秀文

    政府委員福田秀文君) いわゆる強化地域指定考え方でございますけれども、大規模地震発生のおそれが特に大きいと認められるような地殻の中で、現実に大規模地震発生した場合に著しい被害発生するおそれがあって対策を強化する必要がある地域、これをいわゆる強化地域として内閣総理大臣指定をするということにされておりまして、現在六県百六十七市町村指定をされております。  この指定に当たりましては、中央防災会議の中に設けられた専門委員会におきまして検討調査が行われたわけでございます。過去の地震調査それからこれまでの観測、測量、各地の地質、地盤の調査などをもとにいたしまして、駿河湾地域でおおむねマグニチュード程度地震発生した場合に震度六以上となると予想される市町村、これを指定しているわけでございます。
  10. 阿部正俊

    阿部正俊君 じゃ、この二十年間経過しても今御説明があった、端的に言うとマグニチュード八の地震を想定して震度六に大体及ぶであろうというような地域についての考え方というのは、この二十年間のさまざまな観測的なあるいは科学的な進歩ということを考えても同判断だというふうに考えていいんではないかと思いますけれども、その辺はそういう理解でよろしゅうございますか。
  11. 福田秀文

    政府委員福田秀文君) その指定考え方それから範囲等につきましては、今の地震学の知見とかあるいは二十年間の社会情勢の変化、こういうものを勘案しても今までの考え方が妥当であると思っておりまして、変更する必要はないんじゃないかというふうに考えています。
  12. 阿部正俊

    阿部正俊君 それじゃ次に、それに備えまして地域的な地震防災基本計画というふうなものが策定されているはずでございます。法律にも書いてございますけれども、せん、だっての悲しい阪神淡路大震災でもさまざまな経験なりをしたわけでございます。  そうしたふうなことを前提にして、二十年前につくられた法律前提にしてつくった防災基本計画をもう一度見直してみるということが必要ないのかどうかですね。どうも何か結構いろいろ新しい経験をしたように思うんですけれども、国土庁さんとしてはどんなふうにお考えでございますか。
  13. 福田秀文

    政府委員福田秀文君) 現在の地震防災基本計画、これは昭和五十四年に作成されたものでございまして、二十年近く経過しておるわけでございます。  この間、阪神淡路大震災を初めといたしまして幾つかの大規模地震発生をいたしまして、地震防災全般にわたって数多くの経験や教訓が得られております。また、社会経済情勢が変化して、いわゆる災害弱者などが増加しているという防災上の課題も生じております。さらに、いわゆる地震財特法に基づきまして施設整備も進捗してきております。こういうことを勘案いたしまして、既にこの基本計画点検作業に着手いたしております。  平成八年度は、有識者から御意見あるいは御提言をいただいたところでございまして、今年度からは、さらに関係省庁あるいは地方公共団体等と連携をとりながら、避難対象地域、あるいは今屋内に避難するというのを原則にしておりますけれども、そういう屋内避難あるいは交通規制といったようなことにつきまして点検作業を継続いたしまして、その結果を踏まえて見直しを含めて具体的に検討を進めてまいりたい、そういう状況でございます。
  14. 阿部正俊

    阿部正俊君 阪神淡路震災は起こってしまったことを悔やんでもしようがありませんので、せめてその経験を本当に生かして、備えを怠らぬようにしていただきたいなというふうに思います。  次に、ただいま答弁のいただいた点でも触れられましたけれども、地震財特法、略称でございますのでそう言わせてもらいます。その法律に基づきまして、先ほどの地震防災対策強化地域の中で、例えば公共施設等々を中心にさまざまな整備が進められてきているというふうに承知しておりますけれども、随分長い期間がたっておりますし、当初のときと現在とでどの程度整備がされてきたのか。  あわせて、その間に投下されました経費といいましょうか費用というようなことについて、必ずしも国だけではないと思います、地方自治体も相当な負担をしているんだと思いますけれども、整備状況とその間の所要の経費につきまして、ちょっと簡単に御説明いただけませんでしょうか。
  15. 福田秀文

    政府委員福田秀文君) この法律に基づきまして、地震対策緊急整備事業計画というものが決められております。  その計画の中身でございますけれども、先生今おっしゃられたように避難地避難路消防用施設等々の整備などが幅広く盛り込まれておるわけでございます。現在までにこの計画に基づいて事業費ベースで、ちょっと先の話になりますけれども、平成十二年三月末を今の計画は期限としておりますので、その三月末までに約一兆六百五十二億円を投ずる計画といたしております。  そのうち、八年度末までの見込みの額は事業費ベースで約九千二十四億円になる見込みで、全体として八十五%の進捗率になろうというふうに見込んでおります。その九千二十四億円のうち、国は約四千四百十三億円、地方公共団体は約四千六百十一億円になる見通しでございます。
  16. 阿部正俊

    阿部正俊君 今の費用財特法計画のやり方でございますが、これは議員立法ということではございますけれども執行は国土庁さんが中心になってやっておるわけでございますが、どうも拝見していますと、二十年ほど前から五年ぐらいずつずっと計画を延長してきているわけですね。緊急整備というのにもかかわらず五年ごとに延長してやっているというのは、どうも何かうまくしっくり理解できなかったのでございます。  今言われました約一兆円のこれまでの総事業費ベースでの投資、十一年度予定でということでございますけれども、この対策効果評価というふうなものを災害対策専門官庁としての国土庁さんとして、そうした対策効果をどう評価しており、あるいは制度としても物の考え方としても、緊急と言いながら五年ごとに延長してきているということを考えますと、これから先のこともありますが、この辺のことについてどんなふうに評価していったらいいのか。あるいは、後で大臣にも御質問をしたいと思っておりますが、これから先の取り組みの考え方にもつながることだと思いますけれども、どんなふうにお考えでございましょうか。
  17. 福田秀文

    政府委員福田秀文君) 地震財特法に基づいて行われてきた措置によりましてどのような効果が生じておるかということでございます。この効果でございますけれども、地域ごとにまた施設ごと進捗状況というものには差は見られます。  例えばの話で御紹介させていただきますと、静岡県下の小中学校校舎改築関係耐震化がどのくらい進んでいるかということでございます。  今までの計画に基づきまして校舎改築、補強というものを実施してきた結果、新しく建てられた分、これは昭和五十六年に新耐震基準ができておりますけれども、その新しく建てられたものも含めまして床面積ベースで約二百七十万平米の耐震化が完了しておりまして、静岡県下の小学校中学校校舎のうちで、児童生徒が日常的に使用している校舎面積の約七七%にこの耐震化が達しているというような状況でございます。その結果、静岡市内で申しますと、耐震校舎を保有している学校の割合というものが小中学校とも九〇%以上に達しております。  そんなことで、この地震被害から児童生徒を守るという意味安全性は向上していると考えられますし、それから発災後早い機会に教育を再開するというような点でも成果を上げておると考えます。  また、災害弱者等の増加を踏まえまして、避難地として校舎を活用するということも十分検討できるようなことにもなったということで、この施設整備成果というものはかなり上がってきているんじゃないかというふうに評価しております。
  18. 阿部正俊

    阿部正俊君 最後に、ちょっと大臣に一言お願いしたいんですが、大変言いにくいことなのかもしれませんけれども、今度の橋本内閣の最大の課題がいわゆる財政改革ということになるだろうと思うんです。これは聖域なきと言っておりますから、災害であれ、やはりもう一度評価をし直して考えてみるということなのではないかなと思います。今お聞きしますと、まさに災害というと、どんどん備えは多い方がいいということでもないような気もするわけです。  その辺で、大変矛盾する概念を抱えながら、大臣大変つらいことだと思いますけれども、これから災害対策の中で進めるに当たって、財政改革考えなきゃいかぬというような、両立するような考え方というのはなかなか難しいと思いますけれども、大臣の御所見をお伺いして終わりにしたいと思います。
  19. 伊藤公介

    国務大臣伊藤公介君) 東海地域は、過去繰り返し大地震発生をしてきたところでございます。また、現在も地震発生切迫性大変懸念をされている地域でもあります。したがいまして、あらかじめできる限りの対策を講じていくことは、今後とも必要であろうというふうに考えております。  しかし、先生御指摘のように、今私たちの国は財政改革のまさに真つただ中であります。それは聖域なしにあらゆるものを私たちは見直して、そして効率的な財政運営というものを大胆に選択もしていかなければならないというふうに考えております。  当然のことながら、こうした危機管理災害に対する対応につきましても、もちろん今、健康は最優先されなければなりません。そうした万全な対策を進めながらも、より効率的な財政運営というものを私も、昨今私ども国土庁の中でもそうしたことを何回かにわたって指示をしているところでございまして、今後とも十分財政ということも考慮しながら進めさせていただきたいというふうに考えております。
  20. 阿部正俊

    阿部正俊君 終わります。
  21. 清水達雄

    委員長清水達雄君) 気象庁吉田課長から答弁の修正の申し出がございましたので、これを許します。吉田課長
  22. 吉田明夫

    説明員吉田明夫君) 先ほど私の説明の中で、気象庁がこれまで二十年余りの間に東海地震予知業務のために使ってきた費用として、八十億と申し上げましたけれども、八十五億に訂正させていただきます。大変失礼いたしました。八十五億とさせていただきます。よろしくお願いいたします。
  23. 岩井國臣

    岩井國臣君 去る五月十三日、ちょうど一月前になりますけれども、鹿児島県の薩摩地方で比較的大きい地震がございました。川内川の直轄堤防で七百メートルの縦に大きな亀裂が発生いたしましたし、道路の方は六十数カ所でのり崩れがあったと。そして、学校の建物も半壊、全壊、かなり大きな被害があったと。個人の住宅も、テレビだとか家具だとか、相当被害があったようですね。  地震規模は、マグニチュード六・二ということでありました。  ちょうどその二カ月前、三月二十六日にもほぼ同じ地域に同程度地震があったばかりでございます。三月の地震マグニチュード六・三。だから、ともに大きいですね。震度で言いますと、五月の地震が六、三月の地震が五と、震源地に最も近い川内市で言いますと震度が六と五なんですね。周辺の町村は、五月の地震も三月の地震もともに五ですけれども、川内市のその震度六というのは、この地方では記録的な地震と言えるのではなかろうか、こんなふうに思います。  そこで、政府地震調査研究推進本部に若干の質問をさせていただきたいと思います。  政府地震調査研究推進本部というのは、一昨年議員立法で成立いたしました地震防災対策特別措置法という法律によって設置された組織でございます。本部は総理府にあって、科学技術庁長官本部長というふうな、ちょっと何かややこしい組織ですけれども、地震に関する調査研究を総合的あるいは効率的に推進していこうというふうなことでできた画期的な組織かと存じますので、関係の方はどうぞ責任あるしっかりした答弁をお願いしたいと思います。  三月二十六日と五月十三日に発生いたしました薩摩地方の両地震には、私は何らかの関係があるのではなかろうかと。つまり、今後そう遠くない時期にまた同様の地震が起こるのではないか、そんな不安が地元にかなりあるようです。私もそんな心配をちょっとするわけであります。  その辺ちょっと私の考えを申し上げますと、両地震震源地でございますけれども、ともに川内市の北約二十キロメートル、出水市の南東約十五キロ、出水山地の中なんですね。活断層のないところで起こっておる。五月十三日の地震は、資料を見させていたださましたら大方が三月二十六日の地震と同じ方向で動いております。一部それと違う直角の方向の動きが見られるんですね。活断層のないところで動いているということ、それが一点です。  それからもう一つは、一部変な動きがあるということですね。動きは局部的であっても、力は局部的というよりかなり広範囲な力がかかっているのではなかろうか。  御案内のとおり、日本列島は糸魚川から南アルプス、それから紀ノ川、吉野川、中央構造線があるわけですね、いわゆるフォッサ・マグナ。これが国東半島のところを通ってちょうどこの出水市の少し北を段差が走っているんですよ。そんなことを考えますと、中央構造線が近い将来動くようなことはないのかなと。日本沈没というような話がありますけれども、そこまでいかなくても、そんな心配がちょっとするわけですね。  そこで質問でございますが、両地震発生した原因は何か、両地震に何か関連性があるのではなかろうかという点。あるいは、今後この地域に大地震発生する心配はないのかどうか。その辺の御説明をお願いしたいと思います。あわせまして、活断層に関する調査研究の現状がどうなっているのかというようなことも御説明いただければ大変ありがたいと思います。
  24. 上原哲

    説明員(上原哲君) 先生御指摘の三月及び五月の地震につきましては、地震調査研究推進本部におきましてこれまで四回の会合を持ちまして審議を重ねてございます。一九六八年に起きましたえびの地震それから平成六年二月に今回の地震の北東約二十キロのところに地震が起きてございまして、それらの地震を含めまして国土地理院、気象庁並びに大学の専門家等を交えましていろんな議論をさせていただいております。  具体的に、三月二十六日の地震につきましては、先ほど御紹介申し上げました平成六年二月の北東二十キロに起きた地震と非常に類似しているのではないかということでございまして、余震の方向も大体平成六年二月の地震と全く同じ方向、東西方向でございまして、震央から相互に十キロぐらいが非常に活発な地域であるという点でございます。それから、御案内のとおり四月三日にはマグニチュード五・五の地震も起きてございますし、そういう意味で非常に注目し、審議をいたしてございました。  それから、本年五月十三日の地震につきましても、翌十四日に、それは定例の会議とちょうど一緒でございましたが、開催いたしまして検討いたしてございます。先生御指摘がありましたように、単に東西方向のみならず南北方向に相互に十キロぐらいという地震でございました。双方のマグニチュードは六・三、六・二ということで、おおむね同じような地震ということでございました。  それで、先生の御質問でございますが、第一点の相互の関連性はあるのかという点でございます。  相互の関連性につきましては、非常に難しい問題がございまして今後の研究課題ということでございますが、いずれにいたしましても、本件地震は異なる地震であるというのがその考え方でございます。その具体的メカニズム等についてはわかっているわけでございますが、相互の関連性についてのメカニズムはこれから研究いたすところということでございます。  なお、三月及び五月の地震につきましては、御案内のとおり、本震余震型の地震としてとらえておりまして、その後、余震活動は順調に減衰いたしているところでございます。  また、活断層の調査につきましては、平成七年七月に推進本部ができまして以来最重要課題の一つとして取り上げてございまして、現在、その調査報告書の文案を公表いたしまして、意見をいただいている最中でございます。全国千五百から二千あると言われております活断層のうち、非常に大きな地震が問題になるだろうという約百を、正確に言いますと九十八でございますが抽出いたしておりまして、その調査を当庁は、地方自治体、それから海域につきましては海上保安庁、それから陸上の重要な地震につきましては通産省工技院の地質調査所の協力のもとに実施いたしてございます。  その結果につきましては、地震調査委員会の中に長期評価部会という部会を設けております。その目的は、潜在的な地震発生の危険性のポテンシャルを見ようということでございまして、その報告書につきましても、まず我が国全体の地震の特徴把握をしようということで、近く報告書を公表することといたしてございます。いずれにいたしましても、その中で長期評価の一環といたしまして、我が国全体における地震発生の潜在的危険性の評価を実施することといたしております。  以上でございます。
  25. 岩井國臣

    岩井國臣君 阪神淡路大震災も活断層に基づく地震であったということでもございますし、ぜひ科学技術庁を中心にそういった活断層に関する調査を強力に進めていただくようお願いをしておきたいと思います。  先ほど述べましたように一昨年、平成七年の六月ということですけれども、議員立法地震防災対策特別措置法が制定されました。そして、それに基づきまして五カ年計画というものが策定されておるわけですね。目下五カ年計画に基づいていろんな緊急事業が実施されているということかと存じます。その五カ年計画のうち、とりあえず震度計の設置について質問させていただきたいというふうに思います。  と申しますのは、今回の鹿児島の地震におきまして、川内の隣の隣の町に鶴田町というのがありますけれども、鶴田町が結構被害が大きかったにもかかわらず震度の発表がなかった。震度計があるはずなのに震度の発表がなかった、それはなぜか。そんな疑問がいろいろ地元にあるようでございます。  そこで、これは役所の縄張りというようなことはないと思いますが、役所の連携という観点に立ちまして若干の質問をさせていただきたいと思います。  鶴田町に震度計があるにもかかわらず震度の発表がなかったのは、鶴田町の震度計と鹿児島県庁にございますセンターマシンとがオンラインでもうとっくに結ばれておったにもかかわらず、鹿児島の気象台と県庁との間のオンラインが結ばれていなかった。そういうことに起因しておるのではなかろうか。そういうことで私の理解に間違いがないかどうか。  そして、県庁と気象台のオンライン化につきまして、ほかの全国的な話もあるんですが、まず鹿児島県の場合、今後の見通しはどうなっているのか。その辺をひとつ御説明いただきたいと思います。
  26. 澤田可洋

    説明員(澤田可洋君) 気象庁におきましては、国といたしまして防災関係機関における迅速、的確な防災活動に資するという目的防災情報を提供しております。そのために全国に地震計、震度計を設置いたしまして、観測データを、気象庁本庁、福岡管区気象台を初めといたします全国六カ所に気象官署がございまして、そこヘリアルタイムで伝送して地震活動の常時監視を行っているところでございます。  鹿児島県内につきましてですが、気象庁が設置した震度計の観測データにつきましては福岡管区気象台において常時監視しておりまして、震度三以上の地震があった場合には、地震発生二分程度を目途といたしまして震度速報を発表しております。  今、鶴田町の方での震度データがなかったという御指摘がございましたが、鹿児島県等関係機関がおのおのの目的で設置された観測網観測データの受け入れについて、その有効活用につきまして関係機関を含め検討を行っているところであります。  なお、震度の情報は防災情報として極めて重要であることから、その発表に当たりましては信頼性の確保が不可欠でございます。このため、品質管理が行われているデータのみを利用することとしておりまして、所要の準備の整った段階で順次気象庁に受け入れさせていただきまして地震情報に活用するよう図っていきたい、かように考えてございます。
  27. 岩井國臣

    岩井國臣君 先ほど述べました緊急事業五カ年計画に基づいてかどうかわかりませんけれども、阪神大震災の後、気象庁のみならず自治省によりまして、消防庁ということだと思いますけれども、全国的に震度計の大増設が行われているんですね。まず、その設置状況をお聞かせいただきた  そして、先ほどちょっと説明がございました管区気象台が地域地震情報センターというふうな役割を持っているんですよね。先ほどの特別措置法に基づいてそういう役割が付されておる、こういうことであります。したがいまして、先ほど鹿児島を例にして話をしましたように、自治省の関係のものが全部県庁の方にオンラインで結ばれておるわけでありますから、それは管区気象台ととにかくオンラインで結ばなきゃいかぬ。これは全国的に早急にやってもらいたいと思っているわけです。  二つの質問、ちょっと時間がないので、あわせて御説明いただきたいと思うんです。
  28. 澤田可洋

    説明員(澤田可洋君) まず最初に震度計の展開についてでございますが、気象庁では、国といたしまして防災関係機関のより迅速、的確な防災活動に資するため、平成七年度に、これまでの観測網とあわせまして全国に約二十キロメートル間隔で震度七の計測が可能な震度計を整備いたしました。これによりまして、震度観測点は現在約六百点と倍増されてございます。また、自治省消防庁の補助事業等によりまして、各都道府県が全国約三千の市町村震度計の設置を行ったと聞いております。  また、次にお尋ねの地震防災対策特別措置法の関連でございますが、これにつきましては、地震計のデータを一括集約する、そういうようなことで事業が進められてございます。  気象庁におきましては、この地震防災対策特別措置法の趣旨に基づきまして大学、関係行政機関等の地震に関するデータや調査結果を収集することになっておりまして、収集したデータを処理、解析いたしまして地震調査研究推進本部に報告することとしております。  気象庁といたしましては、これらの成果も活用しつつ地震情報を発表してまいりたい、かように考えてございます。
  29. 岩井國臣

    岩井國臣君 ひとつ、しっかりやってくださ  それで、この質問国土庁になるのかどうかわかりませんが、地震防災緊急事業五カ年計画、これは地方公共団体地域防災計画がベースになっておるわけです。  まず、その五カ年計画の前に地域防災計画についてお聞きしますが、地方公共団体地域防災計画の策定状況がどうなっているのか。内容が充実しているかどうかはちょっと横へ置きまして、ともかく地域防災計画を策定している地方公共団体というのが、まず都道府県及び市町村の数でいってどのぐらいになっているのか。  あわせて、その内容の面でちょっとお答えいただきたいんですけれども、阪神淡路大震災の後、反省に立ってどのような計画の見直しが行われたのか。計画内容に変化があったのかどうか。  あったとすれば、どういうところがどのように変わったのか。その辺、その内容面についてもあわせて御説明いただきたいと思います。
  30. 福田秀文

    政府委員福田秀文君) 阪神淡路震災の教訓を踏まえまして七年七月に防災基本計画が改められまして、その後、公共団体でそれぞれ計画の見直しを進めております。  まず、そもそも地域計画なるものがどの程度もともと定められているかということでございますが、都道府県につきましてはすべての都道府県でこの地域計画は策定されております。それから、市区町村に参りますと、ことしの四月現在で、三千二百五十五ある団体のうち三千二百四十八の団体がその地域計画を決めております。  見直しの状況でございますけれども、四十七の都道府県のうちで、現在までに四十一の都道府県で見直しが完了いたしておりまして、今入念に協議を続けております団体が二県ございます。また、市町村におきましては、今見直しが続けられている状況でございます。  内容につきましては、基本計画を七年七月に見直すときに、今までは自然災害中心でございますけれども、今までよりも内容を、だれが何をどのようにしていくかというようなことを基本計画としてはかなり細かく決めて、その線に沿って地域計画を見直すように指示しておりますので、かなり細かい部分にわたって、だれが何をするかというようなところまで含めて規定をされているということでございます。
  31. 岩井國臣

    岩井國臣君 時間がございませんので、国土庁長官にお聞きいたします。  地域防災計画というのがあって、そして地震防災緊急五カ年計画というのをつくることになっているわけです。私は、いろいろとお聞きしますと、国土庁地域防災計画の方もそうですし、五カ年計画の方もそうなんですけれども、都道府県あるいは市町村に対する指導というものがちょっと弱いのではなかろうか、こんな感じを実は持っておるわけです。  したがいまして、国土庁長官にお聞きしたいのは、その地域防災計画だとか地震防災緊急事業五カ年計画国土庁との関係、かかわり合いについてどのように認識しておられるのか。まずその点をお聞きし、そして今後どのように地方公共団体を指導なさろうと考えておられるのか、お考えをお聞きしたいと思うわけです。
  32. 伊藤公介

    国務大臣伊藤公介君) 地震防災緊急事業五カ年計画は、平成七年七月に施行された地震防災対策特別措置法の第二条に基づいて定められた計画でございまして、都道府県知事が、都道府県及び市町村地域防災計画を踏まえて策定をするものであります。  既に、全都道府県におきまして、平成八年度を初年度とする五カ年計画が策定をされておりますけれども、各都道府県とも関係各部局や特に市町村との十分な連携のもとに地域防災計画を反映いたしました五カ年計画が策定をされたというふうに理解をいたしております。  私ども国土庁といたしまして、今先生から御指摘をいただきましたように、こうした防災計画は、何といっても一番身近な市町村ということが大変大事なことだというふうに思っております。  実効性のある地震対策がなされますように、今後とも計画の推進に向けまして、地方公共団体の指導あるいは支援にはしっかり努めてまいりたいというふうに思っております。
  33. 岩井國臣

    岩井國臣君 国土庁が直接市町村を指導するということはなかなか難しいと思いますけれども、少なくとも都道府県に対しましては強力にひとつ指導していただくようにお願いしたいと思います。  五月の地震で、宮之城高校を初め学校関係の被害が大変大きかったわけであります。今までどのような措置を講じ、今後どのようなスケジュールで学校関係の災害復旧を実施していこうとしておられるのか。災害復旧につきましては原形復旧が原則ですけれども、再度災害防止という観点から新耐震基準で建てかえると、改良復旧というものが重要かと思いますが、その辺も含めてちょっとお答えいただきたいと思います。
  34. 玉井日出夫

    説明員玉井日出夫君) お答え申し上げます。  この三月二十六日及び五月十三日の地震によりまして、公立学校も相当な被害を受けたのは御指摘のとおりでございます。  私どもは、これらの被害を受けました学校における教育活動をできるだけ支障を少なくする、さらにはできるだけ速やかに復旧事業が実施できる、これが基本だと思っておりますので、直ちに係官等を派遣いたしまして事前着工の積極的な活用等を指導いたしました。特に被害の大きい学校につきましては、児童生徒の安全の確保、そして授業に支障を来さないよう必要に応じまして応急の仮設校舎の建設を行うように指導もしているところでございます。  現在、各市町及び県の教育委員会におきましては、被災施設の復旧計画の策定を急いでいる段階でございまして、私どもは今後速やかに災害復旧の現地調査を行う予定でございます。いずれにせよ、速やかな復旧に向けて万全を期してまいりたい、かように考えております。  それから、御指摘のいわゆる新耐震基準の問題でございますけれども、私ども、公立学校施設災害復旧の場合には、その被害程度に応じまして、新築に復旧する場合とそれから補修復旧する場合と両方あるわけでございます。いずれの場合も、現行の建築基準法に基づきます耐震基準、これをクリアすることが当然の前提でございますので、そういう形での新耐震基準に合致する復旧ということに当然考えていく、そういう考えでございます。  以上でございます。
  35. 岩井國臣

    岩井國臣君 もういよいよ梅雨入りでございまして、いろいろお聞きしたいことがあったんですけれども、時間がなくなりました。いろいろ質問通告させていただいておりましたけれども、これで終わります。  ありがとうございました。
  36. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 平成会の渡辺孝男です。  先ほどから地震質問が続いておりますので、私も最初にまず地震のことについて質問をさせていただきたいと思います。  平成六年十月に北海道東方沖地震が起こりまして、また同年の十二月には三陸はるか沖地震が起こりました。そして、平成七年一月には、当時の名前では兵庫県南部地震というふうに書かれておりますけれども、その兵庫県南部地震を踏まえまして、平成七年四月二十日に第七次地震予知計画の見直しが測地学審議会会長から内閣総理大臣等に建議されたというふうに言われております。  この第七次地震予知計画の見直しのポイントについて簡潔に説明いただきたいと思うんですが、これは文部省管轄であると思います。
  37. 坂本幸一

    説明員(坂本幸一君) 平成七年四月に測地学審議会におきまして、その時点で第七次の地震予知計画が進行しておったわけでございますけれども、この阪神淡路大震災経験を踏まえまして、その見直しを行ったわけでございます。  その要点といたしましては、まず基本的考え方といたしまして、地震予知の実用化にはなお多くの課題が残されており、その一般的な手法はまだ完成していないということとして、この困難な地震予知の実用化を実現するためには、基本となる観測研究あるいは基礎研究を進めていくということが必要であると、この考え方は第七次予知計画と同様に有効だというようにしたわけでございます。  そこで、兵庫県南部地震等を契機といたしましての見直しのポイントといたしましては、これまでの地震予知観測研究の蓄積によって得られた情報の社会への適切な提供、それから利用を一層推進する必要があるということが第一点でございます。それから、内陸地震の繰り返し規則性に関する知見を地震に強い地域づくりに生かすというようなことで、さまざまな情報を防災対策に役立つよう社会に適切に提供するための体制整備が必要だというようなことを指摘したわけでございます。さらには、地震発生のポテンシャルを評価することを目指す観測研究あるいは活断層に関する調査研究観測研究体制整備あるいはデータの相互流通等を一層推進するというようなことも指摘したわけでございます。  そういった観測研究の推進、地震発生のポテンシャル評価等の特別研究の推進、それから基礎研究の推進と新技術の開発及び地震予知観測緊急体制の充実というようなことについて、当面進めるべき事項というようなものを見直しとして建議したわけでございます。
  38. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 そうしますと、測地学審議会の方では、第七次地震予知計画の方の見直しに関しましてはまだ長期的予知と短期的予知の両方を進めていくというような考えでありますか。
  39. 坂本幸一

    説明員(坂本幸一君) 地震予知計画におきます長期的予知とは、御案内のとおり、地殻変動等の種々の前兆現象から、将来起こるであろうと考えられる地震が起きる場所あるいは地震規模を予測しようとするものでございます。あるいは、短期的予知とは、そういう長期的予知を基盤といたしまして、直前の前兆現象を把握して地震がいつ起こるかということを短期的に予測しようとするものでございます。  これまでの第七次予知計画の見直しを含めまして、この第七次予知計画平成十年度に終了をいたすわけでございます。今、測地学審議会におきましては、今回の大きな経験を踏まえ、あるいは地震調査研究推進本部などが設置されたことなどの状況の変化も踏まえまして、現在予知計画の第一次のスタートラインにさかのぼりまして、つまり昭和四十年に第一次予知計画がスタートしたわけでございますけれども、その第一次予知計画にさかのぼりまして予知計画全体の実施状況等のレビューを行っておるところでございます。近々まとまるところまで進んできておりますけれども、そういった中で従来の長期的予知、短期的予知というようなことについても考えていかなきゃならないと思っておるわけでございます。
  40. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 ちょっと単位の関係なんですが、長期的予知と短期的予知というふうに述べておりますけれども、期間的にはおおよそどの範囲ぐらいまでを区別して用いているんでしょうか。
  41. 坂本幸一

    説明員(坂本幸一君) 先ほど申しましたように、長期的予知とは、地殻変動等の種々の前兆現象から将来起こるであろうと考えられる場所あるいは地震規模を予測しようとするものでございます。一方、短期的予知とは、そういう長期的予知の手法を基盤といたしまして、直前の前兆現象を捕捉して地震がいつ起きるかということを短期的に予測しようというものでございます。  一般的にそういうように理解しておりますが、これが具体的に何時間なのかとか、あるいは何日前のことだとか、あるいは何カ月とか何年とか、そういった具体的な時間、そこまでをきちっと定義したような使い方は現在していないということでございます。
  42. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 先ほども阿部委員の方からお話がありましたけれども、なかなか短期的予知というのは難しいということであります。近年いろんなそういうことをおっしゃる学者の方もおられまして、地震の短期的予知の場合ですけれども、強い強制力を伴う警戒宣言ではなくて、多段階的な予知情報あるいは注意報といったものを住民に提供した方がいいのではないかというような意見もありますが、その点に関しましてはどのようにお考えでしょうか。
  43. 坂本幸一

    説明員(坂本幸一君) 直接のお答えにはあるいはならないかもしれませんけれども、先ほど申しましたように、現在予知計画全体についてのレビューが行われているわけでございます。そういうレビュー、審議の過程におきましては、従来の研究方法である個別異常現象の発見追求に重点を置いた観測研究や、あるいは大地震繰り返し間隔を明らかにする研究、そういったものにとどまらないで、今後の地震予知計画においては、予測科学的な視点を重視して段階的な予測の実績を積み重ねていくことが重要だというような御意見も出ているところでございます。
  44. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 測地学審議会の下部組織であります地震予知特別委員会では、本年三月に、先ほどレビューというようなお話ありましたけれども、自己点検書をまとめているというふうに報道されておりましたが、これはもうまとめられているんでしょうか。
  45. 坂本幸一

    説明員(坂本幸一君) まだ最終的にまとめられておりません。  このレビューを実際に行っておりますのは、測地学審議会のもとに置かれております、御指摘の地震予知特別委員会でございますけれども、昨年からスタートし、そこでこれまでレビューのまとめの作業を進めてきたわけでございます。三月の段階で一応まとまりまして、それを外部評価委員というところ、外部評価先生方をお願いいたしまして、その先生方にとりあえずのまとまったものについての評価をお願いしたわけでございます。そして、現在外部評価先生方からの意見をいただきまして、それに対して、その意見を参考にしてどういうようにレビューの中に生かしていくかというようなことを検討しております。  そういった過程を経て最終的に特別委員会としてまとめ上げ、測地学審議会総会に御報告をし御承認を得たいということでございまして、今月中にも最終的な取りまとめを行おうとしておりますけれども、現在なおそういう意味では取りまとめの作業中でございます。
  46. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 何か新聞報道によりますと、自己点検の結果というのは、現状では地震予知は困難であり、そうした事実を厳粛に受けとめるべきだというような内容になりそうだということなんですが、この点に関しまして文部省並びに国土庁はどのようにお考えになっておりますか。その点をお聞きしたいと思います。
  47. 坂本幸一

    説明員(坂本幸一君) 地震予知特別委員会のレビューの中におきます御意見としては、地震発生場所規模、時期を同時に地震発生前に予知して警報を発するというような意味での地震予知の実用化は、現段階では一般的にはなかなか困難ではないかというような御意見が大変強い状況でございます。  いずれにいたしましても、このレビューが最終的に確定いたしましたときには公にいたしまして、見解をお示しするということになろうかと思います。
  48. 福田秀文

    政府委員福田秀文君) 地震予知に関しましては、今お話のあったような状況でございます。  私どもといたしましては、この予知にかかわるところはいわゆる東海地震のところでございまして、予知ができるというような前提に立って大規模地震対策特別措置法が決められておりまして、それにのっとって警戒宣言なりあるいは事前の準備なりをしてきているところであります。現段階では、東海地震につきましては予知が可能であるというような前提をとっていることには変わりございません。
  49. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 時間の関係で質問通告の内容を少し変更させていただきますが、国民にとっては、本当に地震予知というのができるのかできないのかなかなか心配な面があると思うんですけれども、そのように国民に対して地震予知の現状をきちんと知らせていくことが大切なのではないか、できないならできないと。そうしましたらば、起こった後の初動体制をきちんとしていくという方向に予算とか研究とかが重点化されるんじゃないかというふうに考えるわけです。  地震予知の現状をきちんと正確に国民に知らせるべきではないかという点に関しまして、伊藤国土庁長官にお考えをお聞きしたいと思います。
  50. 伊藤公介

    国務大臣伊藤公介君) 現在、予知可能性のあります東海地震につきましては、大規模地震対策特別措置法に基づきまして、地震予知情報が出された場合の防災機関の対応や住民の避難などが定められているところであります。これにつきましては、国土庁関係省庁強化地域指定をされている地方公共団体におきまして、平時から広報に努めているところであります。  これは御指摘をいただきましたように、地震予知につきましては、地震予知ができるケースと非常に難しいケースがあるわけです。そういうことを考えながら対応していかなければならないというふうに思っております。特に、東海地震についてはかなり地震予知ができるという前提に立って、そのときにどういう対応をしていくかというさまざまなマニュアルも含めて我々は準備をしているところでございます。
  51. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 現状では、短期的な地震予知というのはかなり難しいというのはそのとおりではないかなというふうに私は感じております。そうしますと、地震災害対策の大きな柱というのは初動体制整備になるのではないかというふうに考えるわけであります。  米国では、米国連邦緊急事態管理庁、FEMAが地理情報システム、GISを利用しまして、そういう初動体制整備に努めているということであります。このGISは、地震発災初期の被害地域の推定それから初期救援活動期の調査、救援地の選定そして三番目には復興期の防災処置内容の決定などに利用されるというふうに言われております。  国土庁の方でも、このGISを我が国に取り入れまして整備中であるというふうに言われておりますけれども、この整備状況につきましてどのようになっているのか、お伺いしたいと思います。
  52. 福田秀文

    政府委員福田秀文君) 地震発生直後、政府が初動体制を迅速にとるというのは、今先生おっしゃるとおり極めて重要な課題でございます。  それで、私どもの方でもDISと称しています地震防災情報システム、このシステムの整備を今進めております。そして、現在までに整備ができ上がっておりますのは、このうちで地震被害早期評価システムというものを既に完成しております。昨年の四月から全国ベースで運用を開始しております。  これは、地震によってどの程度の建物が崩壊しておるか、そして建物の崩壊に伴ってどの程度の人的被害が出ておるかということを気象庁からの地震震度情報だけをもとにして、あらかじめコンピューターに入れたデータが働きまして自動的に推計がなされる、こういうことでございまして、仮に被災現地の方と私どもの方で通信手段に欠けた場合にも、おおむねの概括的な被害状況は把握できる、こういうものでございます。これが先ほど申したとおりに、全国いずれの地域地震が起きても推計できる、こういうことでございます。  さらに、私どもこれを発展させまして、先生がさっきおっしゃった応急対策とか、あるいは復旧・復興にも活用できるように現在開発を行っておりまして、各種の公共施設あるいは病院等々の施設、こういうものを数値情報としてコンピューターの地図の上に記憶させまして、それをもとにいたしまして、例えば患者をどこの病院にどの経路を通って運んだらいいのかというようなことがコンピューターの力をかりてできるようにというようなシステムの開発を今続けておる、こういう状況でございます。
  53. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 昨年の四月から地震被害早期評価システム、EESが行われているということでありました。ちょうど先ほども話題になりましたけれども、本年五月十三日に鹿児島の川内地震マグニチュード六・二というのがありましたが、このときにEESは被害状況あるいは救援活動に関しましてどの程度役に立っておったのか、お知らせいただきたいと思います。
  54. 福田秀文

    政府委員福田秀文君) この地震被害早期評価システムというのは、被害規模がある程度以上になると極めて効果が大きくなる。被害規模が小さいときには、例えば死者の推定数とか建物の倒壊数とかというところについてはかなりばらつきが出てきてしまう、こういう性格を持っております。つくった目的が、政府として初動体制をどうとればいいかということが前提になっておりますものですから、かなり大規模地震発生したときにこの効用が大きく出てくる、こういうシステムでございます。  ではありますけれども、せんだっての鹿児島の地震の際にもこれは自動的に作動をしておりまして、私ども、初動体制をどうとったらいいかというようなことについては相当な働きをしたというふうに評価しております。
  55. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 国内で利用されているGISには、鉄道総合技術研究所のユレダスあるいは東京ガスのSIGNALシステム、それから神奈川県のSOTシステムなどがあるというふうに聞いておりますけれども、これらのシステムが連動、統一化されて初めて有効になってくるんじゃないかというふうに考えますが、その連動あるいは統一化というようなものはどの程度進んでいらっしゃいますでしょうか。
  56. 福田秀文

    政府委員福田秀文君) この地震防災情報システムにつきましては、今先生おっしゃるとおりに地方公共団体とか、あるいはライフライン事業者の有しているシステム、これと連携を図るということが大変重要なことだというふうに認識しております。  それで、この開発に当たりましても、学識経験者あるいは関係省庁地方公共団体などをメンバーとする委員会を設けまして、そこで十分御意見を聞いたところでございますし、地方公共団体がどのようなシステムを開発しているか、また検討状況はどういう状況であるかというようなことも調査をして、連携を図るための検討を行ってきております。  また、ライフライン事業者でも、先生おっしゃったようにそういうシステムを持っている者、開発をしているところがございますので、そういうところとも連絡を図りながら、今開発を私どもも進めているところでございます。  今後とも、この委員会等々の場を活用いたしまして、具体的なネットワークということをどう構築したらいいかというようなことまで含めまして検討を続けてまいりたいというふうに思います。
  57. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 いろいろこのようなGISその他さまざまなものを利用しまして、やはり地震が起きた場合に初動体制を充実するというのが一番大切なことと思います。  地震質問はこれで最後になるんですが、国土庁長官の今後の対応につきまして決意をお聞かせいただければと思います。
  58. 伊藤公介

    国務大臣伊藤公介君) 先ほども御答弁させていただきましたように、かなり予知ができる地震あるいはその地域、そしてまた全く予知の極めて困難な状況、そういうことを想定しながらあらゆるマニュアルに、我々はやってくるこうした地震災害に対して対応をしていかなければならないと思っております。  特に、私どもは調整官庁でありまして、その間の調整が十分とれる、初動体制をどうするかということ、そしてそれが現実には末端の地方自治体、県であるとか市町村、そうしたところとの連携が十分できるような、そういう体制ということが大変大事だというふうに考えております。これからもそうした総合的な調整官庁として、我々はしっかり取り組んでまいりたいと思っております。
  59. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 次に、事故災害対策の方に話は変わるんですが、今年度の防災白書の中では、新たな対策として事故災害対策のための体制整備が追加されたということになっておりますけれども、その中に私、人工衛星みたいな落下の事故も昨年ありまして、そういうものが含まれているのかどうか、ちょっと気になっているんです。  昨年の十一月十八日に、オーストラリアの国防省非常事態管理局が、打ち上げに失敗しましたロシアの火星無人探査機マルス96がチリの首都サンティアゴとイースター島の間の海域に落下したと発表しました。そのときに、ハワード・オーストラリア首相は、米政府からオーストラリア中東部に落下の危険があるというような連絡を受けておりまして、急速国家安全保障会議を開いて対応策などを協議したというふうに言われております。  このような人工衛星や隕石などは本当にめったにはないんでしょうけれども、そのような宇宙からの落下物による災害といったものは、今回の事故災害としての防災基本計画の中には入っておりますでしょうか。
  60. 福田秀文

    政府委員福田秀文君) 先般、六月三日に中央防災会議の方で防災基本計画の改定をいただきまして、その中に事故災害対策というものを盛り込ませていただきました。  この事故災害対策でございますけれども、通常一般的に想定される事故災害と言われるものを八つ選びまして、それについて事細かに規定をさせていただいたわけでございます。通常一般的に想定されるものを入れたものでございまして、今先生御指摘のような人工衛星のことにつきましては特段の記述はいたしておりません。
  61. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 これまで十数回人工衛星が落下した事実が確認されておりますけれども、日本としまして何らかの防災対応を行ったような事例があるのでしょうか。あるいは、国民に対して何らかの警報を発信したというようなことがあったでしょうか。  例えば、一九九一年の二月にソ連の宇宙ステーション・サリュート七号と人工衛星コスモス一六八六号が落下しました。このときには、北緯五十一度から南緯五十一度までの上空を飛んでいたため、日本列島も丸ごと危険範囲に入っていたというふうに言われております。このときに、科学技術庁及び国土庁はどのような対応をされたのでしょうか。何らかの防災対策がとられたかどうか、お尋ねしたいと思います。
  62. 中西章

    説明員(中西章君) 御説明申し上げます。  過去の衛星落下時の対応対策についてでありますけれども、通常、人工衛星の地上への落下が予測されるときには、必要に応じて関係省庁会議を開催いたしまして、情報の収集そして連絡、広報などを実施してございます。  科技庁では、衛星の地上への落下の可能性が高まったときに、宇宙開発事業団などを通じまして、北米防空司令部NORADと呼んでおります、それから米国航空宇宙局NASAと呼ばれておりますが、そういったところから、落下日時や落下予測地点に関する情報というものを入手いたしまして、会合におきまして関係省庁へ連絡、通報を行っているところでございます。  御指摘の九一年二月のソ連のステーション・サリュート七号の落下の際にいたしましても、このサリュートは原子力をもちろん搭載しておらなくて、再突入そして地上に達した後も大きな二次災害を引き起こすおそれはないというふうに思われてはおりましたけれども、科技庁から各省庁に対しまして、サリュート七号に関する説明会の開催、それから情報提供というものを行ってまいりました。
  63. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 現在、地球周囲に存在している人工衛星の数は多くあると思うんですけれども、今後落下事故を起こす可能性のある人工衛星の数、そういうものがもしおわかりでありましたらば、お教えいただきたいと思います。
  64. 中西章

    説明員(中西章君) 六月六日現在でございますが、先ほど申し上げました北米防空司令部の情報によれば、軌道上にあります人工衛星は二千四百三個ということでございます。  それで、今後落下する可能性のあるものの数というお尋ねですが、非常に高い高度にあるものはいつ落下するかわかりません。今後六十日で、六月三日から六十日でございますが、大気圏に再突入すると予測される人工衛星の数は四つでございまして、それらはすべてロシアのコスモス衛星でございます。  なお、大気圏に突入することと地上に到達することは大分違っておりまして、ほとんどの場合は、衛星は大気圏で燃焼消滅するということが通常でございます。
  65. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 最後になりますけれども、今後の宇宙からの落下物、そういうものに対しましての対応、あるいはもし人工衛星が落ちるというようなことがあれば、何らかの国民に対する情報提供、そういうものに関しまして国土庁長官のお考えといいますか、どういうふうに対応していくか、お聞きできれば幸いであります。
  66. 伊藤公介

    国務大臣伊藤公介君) 今度改正をされました防災基本計画事故災害対策編は、大規模な事故による被害をいわゆる事故災害ということで、非常によくあるケースを想定して事故災害対策編としたわけでありまして、御指摘をいただいた人工衛星の落下物については、この防災基本計画に独立した独立編として設けるような対応をするという考えは今はございませんけれども、今それぞれ御答弁もありましたように、極めてその情報を的確に我々は受けて、時には住民にもそれを明確に報道しなければならないというふうに思いますし、そうした情報を得たときには関係のそれぞれの省庁で対応するというそういう連絡のためのマニュアルみたいなものは既にできているわけでありますが、なかなか予期し得ない、また今お話がありましたように極めて少ないケースであろうというふうに考えております。しかし、それもまた、その事故対策編としてということではありませんけれども、あり得るケースでありますから、それに対してもしっかりした備えをしていかなければならないというふうに考えております。
  67. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 ありがとうございました。以上で終わります。
  68. 山崎力

    ○山崎力君 平成会の山崎でございます。  まず、先般秋田県八幡平で起きた土石流の問題から取り上げていきたいと思います。  幸い、人的被害はなかったんです。旅館を押しつぶして、宿泊客は事前に辛うじて逃げたということで人的被害はなかったんでございますけれども、そのときのその後の報道等を見ますと、いろいろな条件が重なってさような結果になったというふうに理解しておるんですが、その辺のところを担当の省庁としてはどのように判断なさっているか、まずお伺いしたいと思います。
  69. 池谷浩

    説明員(池谷浩君) 建設省としての考え方を述べさせていただきます。  ただいま先生からお話がありましたように、秋田県鹿角市の八幡平におきまして、本年五月十一日に発生いたしました土石流によりまして温泉宿二軒十六棟が全壊いたしました。幸いにも人的被害は生じておりません。  これの原因といいましょうか理由を考えますと、一つには施設効果を挙げることができるんではないかと思います。御承知のように、上流砂防ダム並びに平成八年の二月にちょうど砂防ダムが一基完成いたしました。これらのダムによりまして、土石流が下流に流れ下ることを防止しております。下流への被害の拡大を防ぐことができたということが挙げられます。  またもう一点は、避難の効果が挙げられると考えております。この土石流が発生する前日までに上流の澄川温泉周辺におきましてクラック等の前兆現象が種々出ておりますが、これらを温泉の経営者が鹿角市等へ的確な通報をされまして、これを受けて迅速な避難ができた。このために人的な被害が免れたんではないか、こういうふうに考えております。  また、この地域でございますが、昭和三十六年それから昭和四十八年にも山崩れや地すべりが起こっておりまして、地域の住民の方々が土砂災害に対して危機意識を持っていたのではないか。また、平成六年には秋田県が作成いたしました土砂災害危険箇所マップを鹿角市を通しまして配布しておりまして、これらの啓蒙活動が的確に避難活動に役立ったんではないか、このように考えております。  いずれにしましても、五十万立方メートルという大変大規模な土石流にもかかわらず被害を最小限に防げたというのは、事前に実施されていたこのようなハード面での土石流対策と、適切に行われた避難というソフト面の両方相合わさっての効果と、このように考えております。
  70. 山崎力

    ○山崎力君 今のハード面はもちろんあったわけですけれども、そのハード面だけでは温泉宿の方の崩壊は救えなかったわけで、下流の被害を防いだという効果だったと思います。そして、温泉宿の方はクラックを事前に発見して的確に通報された。これはやっぱり住民の方の意識の高揚、高揚というんでしょうか高まり、そういったものとそれを受け入れるシステムが制度的に整っていたということの教訓だろうと思います。そういった面をこれからの国土防災行政に生かしていただきたいという御要望で、次の問題に移らせていただきます。  防災基本計画に関することでございます。さきの渡辺委員からも発言ありましたけれども、今回初めて事故災害対策についてこの計画に大きく項目を割いておられる。そこで、ぱっと読ませていただいたというか見させていただいた段階で気がついたことなんですが、いろいろな事故災害のうち、航空災害対策についての災害復旧の記述が、ここだけ章が立っていないんです。このことについての理由、どういうことになっておられるか、ちょっとお聞かせ願いたいと思います。
  71. 福田秀文

    政府委員福田秀文君) 防災基本計画としての性格上、先ほどもちょっと申し上げましたけれども、まず取り上げるべき災害というものは通常一般的に想定されるような災害、これを取り上げております。また、記述すべき内容につきましても、通常一般的に想定されるような状況をもとにして、それに対する対応を記述しておるわけでございます。  それで事故災害、ほかの例えば道路災害をとってみますと、これは災害復旧の関係で見てみますと、一般的に道路災害の場合には道路が損壊をしております。その道路を災害復旧するというようなことが当然想定されるわけであります。また、市街地の大規模な火事災害、こういうものを見ましても、復旧のための町づくりというような復旧作業というものが当然のことながら想定されるわけでございますが、航空災害の場合には、航空機の墜落に伴う人的な被害の救済というようなところに主眼に置かれておりまして、施設の復旧というようなことについては、一般的には想定されないというようなことで章立てはしなかったわけであります。  ついででございますけれども、この基本計画では、八つの事故災害のほかに、また出てきた場合にはそれに対処できるように共通編という編を設けております。その共通編は、八つの災害について記述してないものについて補足するような意味も持っております。そんなことで、航空災害についても何かしら復旧が必要だという事態になれば、共通編の方が参考になって働いてくるというふうに考えております。
  72. 山崎力

    ○山崎力君 今の御答弁では、なぜ省いたかというのがいま一つ不十分ではないかと思います。と申しますのは、後ろの方からいきますと、ほかのところが参考のあれでなるということであれば、その旨災害復旧に関して記述すればよろしいわけです。  航空機災害災害復旧に関してはいろいろな形態が考えられるので、それぞれに合った、事故形態にのっとった災害復旧をとる。あるいは、もう一つ言えば、飛行場で落ちるケースが非常に多いわけですけれども、そこのところで現在の航空機の需要から考えれば、飛行場においていかにそこの空港機能を復旧するかということも、これ大きな特有の問題だろうと思います。その点からいって、いま一つ納得できない御答弁であると言わざるを得ないのが残念であります。その点からいきまして、航空機災害というところでいきますと、非常にすべてのことの原因になり得るということがございます。   それと同時に、この航空機災害だけでなくて、今度の事故災害、前のこの委員会でも質問させていただきましたけれども、要するに被害が起きたとき、その損害賠償、補償をどうするのかということが自然災害と事故災害の性格で一番違っているところだろうというふうに私は認識しているところでございます。そういった意味で、航空機事故の場合の災害復旧に要した費用というものが、乗客それからもう一つ、地上等での第三者への被害というのは当然考えられるわけですが、そういった点ではどのように考えられておられるんでしょうか。
  73. 井手憲文

    説明員(井手憲文君) お答えいたします。  不幸にして航空機の墜落等の事故が発生いたしました場合の対外的な損害賠償の関係でございますが、先生御指摘のように二つに分けて整理すべきかと思っております。  まず第一は、当該事故に遭遇した航空機の中に実際に乗っておられた乗客の方々、こういう方との関係では世界的にはワルソー条約等関連する条約がございまして、具体的に乗客との関係で航空会社が運送契約という形で運送約款が締結されるわけでございますが、この運送約款の中に、条約を受けた形で損害賠償の限度額あるいは責任要件といったものが決められてございます。これは国際線の場合でございまして、もう一方で国内線でございますと、条約の適用関係は発生いたしませんが、同様に乗客と航空会社の運送約款の中でその辺の取り決めをしているということでございます。  さらに第三者、乗客ではない航空会社にとっては第三者になります地上の関係の方々に被害があったという場合につきましては、これは御案内のとおり、航空会社とその第三者との関係においてもともと運送契約あるいは何らかの契約といったものがあるわけではございません。これは一般的には民事上の、例えば民法七百九条といった関係が事故の後に発生する法律関係になろうかと思うんですが、これにつきましては、約款はもちろんございませんので、対外的にはそういった形で実際の民事上の賠償をどういうふうにするかという問題が発生するものと考えます。
  74. 山崎力

    ○山崎力君 いろいろ長く御説明願ったんですが、常識的なことでございますけれども、問題は、行政としてこれに対しての問題点があるかどうかということを考える必要があると思うんです。  最後に、大臣にお伺いしたいんですけれども、こういう事故災害対策というものの場合、復旧事業を含めて、費用の面からいきますと、今第三者とおっしゃられたような形で損害賠償の問題が当然出てくるわけです。この飛行機のことを取り上げたのは、非常に目立つから取り上げた形なんですが、ほかの事故災害でもすべて共通、これはもうこの間の日本海のタンカー事故で非常に明らかになってきたわけです。そうなってきますと、航空機事故ですと、先ほどの話にありましたように、落ちた飛行機の会社によって損害補償の額が大幅に違ってくるという現実があります。この間の名古屋の中華航空の事故でもその問題は言われております。  また、広げた意味でも、例えば航空機事故というのは、落ち場所によっては大災害の引き金になる可能性がある。そういったこととか、あわせて原因者にどこまで負担能力があるのか、保険に入っているのかということで極めて大きないわゆる被害補償の補てん率の差が出てくる。そういったものが押しなべた形で事故災害にはあるんだという認識を私は持っているんです。  今回の基本計画には、その辺のところの記述がほとんど私は読み取れないというところで、最後大臣に、この辺の各種類による対策を国としてどう取りまとめてこれから事故災害に当たっていこうとしているのか。その辺の御認識を伺って、質問を終わりたいと思います。
  75. 伊藤公介

    国務大臣伊藤公介君) 事故災害につきましては、当然事故の原因者が存在をするわけであります。原則として、被害者に対する補償あるいは復旧事業に要する費用を含めまして当該事故原因者が負担をするということが原則であります。  御案内のとおり、御指摘ありました今回のナホトカ号重油流出事故に関しましても、これはあくまでも最終的には民事問題で解決をしなければなりません。しかし、国際的な問題に発展する場合もあるわけでございまして、このナホトカ号重油流出事故につきましても、国際的な問題に関しては政府がまたそれをバックアップしていかなければならないということも当然あるわけでございます。しかし、原則としてこうした事故災害については、それぞれの民事問題として解決をしていかなければならないということが基本であろうというふうに考えております。
  76. 青木薪次

    青木薪次君 私は、地震対策といえば静岡県というような余りありがたくもないようなニックネームをもらっている静岡県の出身なんでありますが、先ほども自民党の阿部先生岩井先生それから平成会の渡辺先生と山崎先生の話を聞いておりまして、大体言おうとするようなことはお先にやっていただいたので、いろいろとこれからそれらに沿った形のものも考えつつ質問します。  ことしもいよいよ梅雨期に入ったわけでありますが、ペルーの海岸とそれから東南アジアの赤道の直下を中心といたしました、この辺のいわゆる世紀にまれな高温度の気流が日本へだんだん押し寄せてくるというときに、エルニーニョ現象の中において、ことしは冷夏が到来するのではないかというようなことが言われているのでありまする。  この冷夏が到来するということは何かと言ったら、長梅雨になってくるであろうということになってくる。そういたしますと山野が相当湿って、先ほどから地割れが生じたとかなんとかと言われておりますけれども、そういう現象が各所に起こってくるということが実は憂慮されているわけであります。  私は、かつて昭和四十九年の七夕台風のときに実は当選いたしまして、お礼参りに歩くのに田んぼの中を船で歩いたという経験を実は持っているわけでありますが、そういう中で、その後すぐ伊豆半島を中心といたしまして地震に見舞われました。その時期に南伊豆地震震度六、マグニチュード七、それから河津の地震マグニチュード六、震度五、それからいわゆる伊豆半島東方沖の群発地震、その後木曽の御岳山のところの災害があって、木曽杉等がなぎ倒されているところを現地を見てきたわけであります。  そういうような状況の中で判断いたしまして原因は何かというと、一級河川は建設大臣、二級河川は都道府県知事それから準用河川が市町村長という形で、この方面に対しては今日でも相当、スーパー堤防その他の方式でもって手厚い処理が洪水予防対策として行われているわけでございますけれども、これらの一級、二級、準用河川と言われるような河川法の適用をされないところの普通河川、この中で、小川とかせせらぎとかいわゆる渓流といったようなものが大きな災いをするということをことしの特徴として、私は憂慮しているわけであります。この点について防災局長、どう考えておられますか。
  77. 福田秀文

    政府委員福田秀文君) 実は、今の先生の御質問につきまして専門的知識がちょっと欠けておりますので、はっきりしたお答えになるかどうかでありますけれども、やっぱり水害に対する備えというのは河川の上流から下流にまで全部適切な措置を講じなければならないということだろうと思います。上流の小河川の対策、これも重々怠りなくやっていかなければならない、そういう問題であろうと考えております。
  78. 青木薪次

    青木薪次君 私がしゃべろうとしたことをみんな言われたから、質問通告をした線に沿って、急速質問したわけじゃないんですよ。そういう回りくどいような話だけれども、そういうところに焦点を当てて質問申し上げているということを御了承いただきたいと思います。  そこで、今も山崎先生から秋田県鹿角市の八幡平の話がありました。私は、ここで先ほど説明のあった平成八年の二月に完成いたしました砂防ダムが、実はこの八幡平から崩落いたしました土石流の二百五十万立米のものについて、五十万立米が下へ流れていって、あそこでとまったんです。  二百万立米は現在まだあるんです。これはつり下がっているんです。  そういうような現状というものについて、あの温泉の二つを破壊したけれども、下の方に相当な集落がいっぱいある、田畑もあるというところが救われたということについて、今日あるを予期して砂防ダムをつくったわけじゃなかろうがこのことが幸いして、よくやったということを、私はよく河川局あたりを追及する方なんだけれども、これは大いに褒めてよろしいというように思うんです。  だから、要望としては、ここにたまった土砂を早く排出すると。それから上に二百万立米がつり下がっているんだから、ここを早く砂防ダムをつくっていく。それから、林野庁も治山のダムをつくって、とにかく林野庁と河川局は、上流部分の土石流の一番本家本元の発生場所を共同で管理するぐらいの考え方対応をする必要があると考えているわけでありますが、この点、林野庁はどう考えますか。
  79. 藤原敬

    説明員(藤原敬君) 先生御指摘のように、今回のような山地における土砂災害、これについては、保安林を所管する林野庁と砂防事業を所管する河川局とが密接な連携をとってやっていくことが県民の皆さん方の安全を図っていく上でも極めて重要である、こういうふうに考えています。  そういうことで、通常、砂防治山連絡調整会議とかいろいろな形で連絡を密にしておりまして、今回の復旧に当たりましても、そういう密接な連携をとりまして早急な復旧を図っていきたいというふうに考えておるところでございます。
  80. 青木薪次

    青木薪次君 林野庁が今赤字で悩んでいらっしゃる。私の当選した時分は八万七千人も林野庁の職員がおったんですが、今は一万五千人、こんな厳しい情勢になってきたわけであります。国有林野事業も民有林もそうでありますけれども、材を切ってこれを売って、そして経費を賄うなんという時代じゃない。南洋材がどんどん安いのが入ってきて、上流から下流へ材を運搬する運賃で南洋材が買えるという時代です。  私は、今日、林野庁の役割というものは、日本の六七%の林野そしてまたそのうちの三割を国有林が占めているわけでありますから、ここをしっかり守るというようなことで、これを守ればどうなるかといえば、土石流の防止にもなるだろう。  それから、緑と太陽の織りなすすばらしい日本の山野が形成される。雨が降ったときに水源を酒養できる。こういうようなことを林野庁はしっかりやって、日本の治山治水は林野事業でこいというぐらいにならなければいけない。三兆五千億等の赤字が今日起こっているから、このために人をどんどん減らしていけばいいんだなんていうことはまことに消極的であるというように考えます。  先般の建設委員会で、私は亀井大臣に話をしたんです。河川法の改正で、上流のダムの周りに五十メーターの幅の樹林帯をつくった。これも災害予防、ダムを埋めてしまわない、ダムに土石流が入らないようにということと、それから中流の農業構造改善局の関係ですか、二十メーターの樹林帯をつくった。それから、海岸には魚がだんだんだんだん寄らなくなってきたと。そこで、漁師の皆さんが植林事業をやっているんです。そうすると、ここに発生した虫が海へ流れる。それから、土にいろんな有機物質が含まれている、これが流れて小さい魚がどんどん寄ってくる。これは北海道から東北、日本全国に今波及しているんです。  木を植えるということの意義というものはそこにあるし、これが災害を防止しているということを考えて、私はやっぱりこれから将来、建設省河川局の事業それから農林水産省林野庁の事業、こういうものは、日本の土地の性格上、急流が多い、しかも災害の源泉はここにあるということを考えて、地震静岡県ばかりだと思ったら、このごろ全国に起こって、鹿児島の川内の関係さっき岩井先生の話を聞いておったんだけれども、北海道とかいろんなところに地震が今日起こる。  この地震には二つあって、一つは関東南部、東京を中心とした直下型、後で本岡先生からお話があるでしょうけれども、やっぱり阪神淡路大震災のときの直下型。それから、静岡県は大陸性プレートと太平洋プレートが、フィリピンもそうなんだけれども、ここが我々静岡県の、特に私は駿河湾のところにいますから、そこで海底でめり込んでいるというようなことで、この反射する姿がいわゆる地震なんです。この二つの中で直下型と海溝型とあって、我々は海溝型にいるけれども、その中にまた活断層があって、それが直下型というようなことが言われております。  我々は、そういう意味で、今災害のもとになる、そういう河川法に示されたもの以外の普通河川の状態というものをもう一度再点検しなきゃいけない。  私の調べたところによれば、今渓流と言われるところの数が、いわゆる災害発生をしそうなところが日本国じゆうに八万カ所あると言われているわけであります。そのほか、崩落の危険場所等がいろいろ散在しているわけであります。  こういう点を考えて、いわゆる河川法に言われる河川以外の普通河川等の対策、特に奥地における、いわゆる上流部門における河川の対策について今日非常に叫ばれているけれども、一応災害発生しないとこの対策は行われない。いわゆる水面とかあるいはまた水流、いわゆる水の流れるところ、こういうものについては、国有財産法で建設省とかあるいはまた市町村が管理する、公共が管理するということになっておったにいたしましても、ふだんは何も面倒を見ない。  そうすると、雨が降って土石流が流れてくると、そのときには飛んで行って査定官が調べて、激特事業とか、もっと激しくなれば激甚災の適用という問題にまで発展するということで、何か災害が起きたときには物すごく手厚い復旧工事をやります。むしろ、復旧工事といっても改良復旧ということで、もとよりよくなるということなんであります。その前に、さっきの砂防ダムのようなことが一例でありますけれども、何とかならないだろうかということを考えているわけでありますが、国土庁長官、どうでしょうか、この点については。
  81. 伊藤公介

    国務大臣伊藤公介君) 御指摘をいただきましたように、日本は六七%を超えます森林に囲まれた国土であります。それはまた私たち国民の生活には非常に大きな潤いも与えていただいているわけでございますし、これから日本人のライフサイクルが大きく変わっていく、まさに日本の国土を自然と共生して生きていく、そうした国土行政を私どもは進めている立場から言いますと、この見事な森林というものは非常に大事だと思っていますし、また先生から御指摘をいただきました。しかし、その見事な森林に囲まれた、八万を超えると御指摘をいただきました渓流につきましては、至るところに一方では危険をも伴う、そういう状況下にあるわけでございます。  私ども国におきましても、従来から土砂災害対策を総合的に推進をするという立場から土砂災害対策推進連絡会議を設けるとともに、土砂災害予防対策や応急対策につきまして土砂災害対策推進要綱を定め、そして各省庁が各種施策を今日まで実施してきたところでございます。  特に、先生から御指摘をいただきましたように、そうした地域におきましては山地、急傾斜地におきます砂防の設備、地すべりの防止施設あるいは観測施設などの整備を行っていくことが極めて大事だというふうに考えております。私どもの、過疎と過密を解消して、どこにでも皆さんが心豊かに住める国土をつくろうという立場からも、極めて大切な御指摘だと伺うわけでございまして、我々もこの法律の方向に従って、しっかりした対策も進めていかなければならないと考えております。
  82. 青木薪次

    青木薪次君 時間の関係で、最後になりますけれども、国土庁の役割というものは、私はやっぱり今、まことに重大性を帯びてきたと思っております。  それは何かといったら、国土を守るという立場に立って各省からエキスパートが集まってきて、調整官庁として、あるいはまた単なる調整官庁じゃなくて事業を主体とした、事業も管理調整する官庁とならなければいけないと思っているわけであります。そういう中で、橋本総理はこの二十からあるものを十に圧縮しちゃうなどと言うけれども、そう足して二で割るようなわけにもいかないでしょう。  例えば、先ほどからいろいろ出ておりますところの、ことしは相当梅雨どきが長く続いて、それこそ地割れが発生したりなんかするような、きょうは川の源流部門を重視しなきゃいけないということを私は中心として言っておりますけれども、ここへ全国的に今押し寄せてきている地震でこれを揺すぶられますと、これに地割れが必ず生ずる、雨が長く続くとここへ出てくる。連続して四百ミリ、五百ミリ、一週間にこれはざらに出てくるんじゃないかというように降雨量を考えているわけであります。  そういう点を考えて、これから特に、先ほどから言われておりますように、例えば地震計とかひずみ計とか、あるいはまた私のところの焼津と伊豆半島の西伊豆町との間に検潮計、どっちの水は今高さがどれくらいだということを常に調べて、これを気象庁に瞬間瞬間に送っているわけでありますが、そういうものとか、中にはナマズを飼ってナマズの動きを見ているというところも実はあるんです。そういうぐらい、私ども静岡県は地震等に対しても敏感になっているというようなことになりまして、私も起震車の中に、震度五とか震度六に乗ってみましたけれども、いられないんです。したがって、たんすにもちゃんと据えつけるような方式をやっています。  そういう全体が、地震に対する対策もそうなんでありまするけれども、今いろいろと災害について、やっぱり自然災害というものが特に災害対策委員会の主要な対策となっております。事故対策もあるにいたしましても、やっぱり地震とか台風とか、あるいはまた火災もそうでありますけれども、そういうような問題等について対応できるいわゆる機器を備えるとか、そういう意味地震備えるとかというようなことを考えつつ、もう少し全体として国土保全という立場から考えるならば、やはり川の源流部門に金をつぎ込むべきであるというようなことを考えておるわけであります。  この点に対して質問をして、私の質問を終わります。
  83. 福田秀文

    政府委員福田秀文君) 国土庁は総合調整官庁として、防災面で、計画部門あるいは応急措置の部門それから災害復旧・復興の部門、幅広くこの機能を果たしていきたいというふうに思っております。  それから、国土の開発保全と災害対策というものは、私は両輪であるというふうに考えております。自然災害、事故災害を問わず、その調整機能を発揮していきたい、このように考えております。
  84. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 私は、阪神淡路大震災の被災者生活再建問題について質問をいたします。  阪神淡路大震災から六月十七日が参りますとちょうど二年五カ月を経過いたします。しかし、私たち被災地の者は、この阪神淡路大震災は過去のものでなく、現在の問題であるととらえています。日本が、人間の尊厳を何よりも大切にする人間の国であるかどうかが問われていると私は思っております。  そこで、長官にお尋ねします。  二月二十六日の本委員会で、私は、全国二千四百万人の署名をもって総理に訴えた、自然災害に対する国民的保障制度を求める国民会議のことについて質問をいたしました。二千四百万人の署名というのは大変な署名ではないかと、これを無視してはならないと私は訴えました。  しかし、そのときに国土庁長官は、「こうした災害に対する対応地方自治体というものが一番きめ細かくできる、だから地方公共団体でまずその結論を出すべきだということになっております」とおっしゃり、さらに、「私は知事会の推移というものにぜひ関心を持ってまいりたい。また、そのことをむしろ私の方も促進をするということで今働きかけをさせていただいております。」というふうに答弁されました。つまり、全国知事会の動向を見守りたいと、見守るだけでなく積極的に後押しをしたいとおっしゃったのであります。  今、私の手元にその全国知事会が出しました六月十二日付の「広域防災支援体制等の整備についての検討結果報告書(案)」なるものがあります。  これは案ですが、恐らく全国知事会地震対策特別委員会では了承されたものと見ます。  この検討事項の中に、「災害相互支援基金の創設について」という項があります。  この項を見ますと、次のようなことが書いてあります。「目的」として、「国民の所得水準が向上した成熟社会において、地震等の自然災害発生により被災した者が、迅速かつ弾力的に最低限の生活を維持することに要する生活基盤を再建するための資金を給付し、もって、被災者の自立復興を支援することを目的として、国及び都道府県の共同設置による基金を創設する。」ということをここにうたっております。そして、例として、標準世帯で住宅の全壊により生活必需品のすべてを失った被災者には百万円というふうなことも書いてございます。  そこで、知事会全体ではないようです、この地震対策特別委員会検討課題としてまとめた災害相互支援基金の創設というのは、一体国土庁としてどのようにこれを受けとめているのかということであります。  先ほど言いましたように、長官は、関心を持つだけじゃなくて積極的に後押しをしたいとおっしゃったのでありますが、この災害相互支援基金なるものについての長官の御見解をお聞きしておきたい。
  85. 伊藤公介

    国務大臣伊藤公介君) 被災者支援のための新しい制度の構築に関しましては、災害相互支援基金の構想について、実は内閣総理大臣の諮問を受けて防災問題懇談会の中で、「大規模災害による被災者の生活を迅速かつ弾力的に支援するため、全国地方公共団体が毎年度一定の額を拠出して積み立てておき、有事に際して被災地の支援を行う基金の制度を創設することを検討する必要がある。」という提言をされました。実は、これを受けて全国知事会で検討をされているところでございます。御案内のとおりです。  この全国知事会の中では、今お話をいただきましたように、二十二県で構成をされます地震対策特別委員会検討が進められておりまして、昨日同委員会検討結果がまとまったと伺っております。  もちろんその間、私自身、兵庫県の知事また静岡県の知事、またその後、南関東地震などの関係の東京都知事を初めとする関係の各知事さんと、皆さんがどういうような御意見を持っていられるか、また知事会ではどんなふうな方向に進んでいかれるであろうかというようなことも、直接お話を伺ってまいりました。  そうした中で、昨日同委員会検討結果がまとまったと伺っているわけでありまして、今後、各都道府県間の意見が調整をされまして七月十七日に開催予定の全国知事会において検討結果が最終的にまとめられていく、そういう予定だと伺っております。  これは総理の諮問機関を受けて全国知事会が検討を積み重ねてきているところでありますので、また私もその経過の中で、特に強い関心を持っておられます知事さんとも意見交換をしてきた経過もございます。したがいまして、知事会のこれからの、七月十七日に向けての結論、その方向については強い関心を持っていきたいというふうに考えております。
  86. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 七月十七日の知事会全体会というんですか、そこでの結論を注目したいとおっしゃいました。もちろん、政府として当然その結論を尊重していただけると私は思うんですが、いかがですか。
  87. 伊藤公介

    国務大臣伊藤公介君) これは当時の内閣総理大臣の諮問を受けて、その検討結果に基づいて知事会が検討を進めていただいていることでありますから、全国知事会が結論を出されれば、そのことは私は可能な限り尊重をしてまいりたいというふうに思っております。
  88. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 可能な限りというのは気に入りませんが、尊重されるとおっしゃっていることを了といたします。  そこで、尊重されたとして、それでは先ほど私が言いました災害相互支援基金という、これを具体化するのは、どこが具体化しますか。
  89. 伊藤公介

    国務大臣伊藤公介君) この基金制度につきましては、現在知事会で検討をされていることでございます。私もその内容についてアウトラインは伺っているところでございますが、それをそのまますべてそのとおりいくのか、あるいはどういう形でそれをさらに現実のものとしていくかということは、知事会の結論を待って私なりに判断をさせていただきたいというふうに思っております。  なお、私が手元にいただきましたこの知事会の提案についてでございますけれども、その中には両案併記されていたように思います。国民すべてが、いわゆる地震保険のような形の制度と、それから都道府県が基金を積み立てる、それに対して国も支援をする、そういう案との二つの案が提案されているように思います。したがいまして、その両案をどういう形で知事会で皆さんが最終的にまとめられるか、またその結果について、具体的な内容についても、基金の金額等の問題もそこにはございました。それらのことも、私が伺っている範囲内では、金額とか割合とか等々についてもなかなかそのとおりいくかどうかなというような知事さん方の声もございました。  私も、まだ詳細について結論を申し上げられるような段階でございませんが、知事会の結論が出れば、それはそれなりに、私なりにしっかり受けとめさせていただきたいというふうに考えております。
  90. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 今の長官のお話から類推しますと、もし政府の方も知事会の報告を了とするということになれば、国土庁の方がこれを法律にして出して結論を具体化するというふうになりますか。
  91. 伊藤公介

    国務大臣伊藤公介君) 防災問題懇談会の出された結論は、全国の地方公共団体が毎年度一定の額を拠出して積み立てておき、そして有事に備えるというようなことを検討する必要があるという結論に今なっているわけでございまして、この懇談会の方向は、地方公共団体が基金というものを創立して、そして対応していくべきではないかという結論になっているわけでございます。  知事会の結論は結論として、私なりに受けとめさせていただいて、その後どのように国として対応すべきかは私なりに判断をさせていただき、もちろん私だけでなくて皆さんの御協力もいただいたり、またいろいろな各方面の御判断や御協力もいただかなければならないとも考えております。
  92. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 私は、最初に言いましたように、全国二千四百万もの署名が集まって、それを無視するというふうなことがあってはならないというふうに訴えてきました。その中から、この内容について私もまだいろいろ意見がありますし、このままでいいのかどうかということについても意見があります。しかし、何もしない、完全に無視してしまったという状態は、これは国に対する物すごい不信が巻き起こるということになります。だから、これはひとつこの知事会が出している非常に大切なものとして扱っていただきたいというふうに私は思います。  そこで、前回の二月二十六日の質疑のときに同時に長官は次のようにおっしゃいました。  審議会を設置してきちっとその二千四百万人の署名をした人の気持ちにこたえてやりなさいと私が質問しますと、大臣は、「これは議員立法もできることでありますから、先生方がむしろ議員立法として提案することは幾らでもできることでありますし、」と言って、二遍も議員立法議員立法とおっしゃったわけであります。  私は、何も言われたから議員立法を出したわけじゃありませんが、しかし立法府に属する議員として、みずからかくあるべきだと思うものを法律にして提出するというのは当然のことであります。したがって、私たち法律をこの参議院に提出いたしました。  その提出した法案、災害被災者等支援法という法律でありまして、これは現在ある災害弔慰金の支給等に関する法律を改正して、従来の死亡したあるいは負傷した、けがしたという、そういう人間の身体的なものに対する救援、支援だけじゃなくて、住居の全半壊という物的な被災に対しても法的な支援をするということでもって、全体として一体国が日本国民に対して社会的な安心システムがいかにあるべきかということの一つの答えが出る、こう考えて私どもは法律を提出いたしました。  ところが、先ほど読みましたが、災害相互支援基金という、これは基金でありますけれども、ここに書いてある目的と私たちがこの参議院に提出した目的が同じなんであります、考え方が。別に相談したわけではありません。なぜ同じなのか。  要するに、日本は資本主義の国ですから、自分が自分のことをきちっとやるというのは、それは建前なんです。何でもかんでも人様のお世話になって生きていくという仕組みではない。それは皆わかっているんです。しかし、自助努力なり、自立していくその前の力をかしてほしいと皆言っているわけです。でなかったら、みんな生活保護になってしまう。  そうすると、この災害相互支援基金の目的も、先ほど私読みましたけれども、「迅速かつ弾力的に最低限の生活を維持することに要する生活基盤を再建するための」と、こう書いてあるんですね、「生活基盤を再建するための資金を給付」と。また、「被災者の自立復興を支援する」という、こういうことが書いてある。  私たち議員立法として出した法案は、これは生活基盤回復支援金というものをつくれというんです。生活基盤回復支援金というものをつくりなさいと、今ある死亡した人、それから負傷した人に加えて。そしたらその法律はベストなものになるでしょうと、こう言っているんです。そうすると、くしくもここに同じようなことが書いてあるわけで、皆の思いは一緒なんですよ。  だから、私はこの国会の中で、知事会が出してきたこの考え方、私たち議員立法として出してきた考え方、また衆議院は衆議院の方で出ているようであります。そういうものを、やはり国民注視の中で、二千四百万、もっといるかもしれない。このことに関心を持ち、何とか日本の社会的安心システムをつくってもらいたい、つくるべきだという人がたくさんいるに違いない。だから、そういうところで議論をして、そしてある一つの答えを出していくということが私は議会だろうと思うんです。つるして、そしてこんなもの廃案にしたらいいじゃないかと。廃案にするかどうかということだけが主目的で動いておるような議会では、私は国民から信頼を得られないと思うんです。だから、何としても、いろんな角度から出てくるもの、また政府の方から閣法として政府はこう考えるんだというものをお出しになってもいいと思うんですよ。そういう私は、この災害問題に対してきちっとした法律の仕組みをつくるべきだと思います。  私は、何代かの国土庁長官とお出会いしました。そして、所信表明というのを聞くんであります。そのときに必ずおっしゃることは、国土庁は国民の生命、財産を守る責務を持っておるとおっしゃるわけです。責任とはおっしゃらない、責務を持っておるとおっしゃるわけです。責務を持っていると、こうおっしゃりながら、その責務を裏つけるものがないわけです。アメリカのFEMAのように、一たん事あらば大統領の指示を受けて一千五百億ぐらいのお金を瞬時に動かせるようなそういう仕組みを持っている危機管理庁ですか、そういうものに本来は国土庁があるべきだと私は考えています。  だから、そういう意味でこの法律の問題についてきちっとした論議をして、そして国民がなるほどなと納得できる一つの答えを出してもらいたいということを考えています。  そこで、長々とちょっと演説をぶちましたが、長官に、私たち国会に出しているそうした法律、あと十八日の会期末までわずかな日数しかないわけで、これがどう扱われるかという問題で私は毎日毎日胃が痛くなるような思いでおります。  それで、殊さらにここで、大臣議員立法議員立法とあなた言ったじゃないか、何とかせいと言って、あなたに助け船をここで求める気もございません。しかし、大臣も私に対して、あなた方は議員なんだから議員立法というものがあるじゃないですかとおっしゃった立場から、私が今あなたに訴えたことに対してどう率直にお答えいただくか、お聞かせいただきたいと思います。
  93. 伊藤公介

    国務大臣伊藤公介君) 法案の内容について私が申し述べる立場にはないと思いますが、私は、自由闊達に時代の要請にこたえて議員の皆さんがさまざまな議員立法をすることは、最近議員立法が比較的ふえてきたように私は思いますので、非常にいいことだと思います。大いにそういうことは進めていただきたいと思います。  私も、実は長官就任以来、この問題については委員とも何回か質疑応答をしてまいりました。多分委員も御質問をしていただきながら御理解いただいていると思いますが、私自身も一つの問題提起を持ってこの問題に取り組んでまいりました。  したがって、知事会の成り行きにつきましては格別の私自身は関心を寄せてきたわけでございます。  私有財産制度の中で、しかし人々が予期しない災害に遭ったときに、どういう仕組みであろうとも、あるいはどういう形であろうとも絶望している人たちに光を与えることは政治の仕事だと私は終始一貫考えてまいりました。したがって、国が当座の立ち上がり資金というものに対して何らかの形でそうした仕組みができるのか、あるいは現在ある制度や仕組みだけで対応していくことがいいのかということを私自身も何回も役所の中でも議論をしてまいりました。  今、提案をされております議員立法の内容について、私がここでその内容についていろいろなことを申し上げる立場にはありませんけれども、やはり総理の諮問に従って方向が定められ、それに従って全国知事会の皆さんが最もそうした災害に対しては直接的に対応しなければならない、そうした知事会でいろいろな経過がありました。当初の計画よりもかなりその内容が皆さんのいろんな意見の中で集約をされ、一つ一つ積み重ねられてきていることを私は承知しております。  したがいまして、一番これからネックになるのは、私有財産制度のもとでそれが個人補償になるのか、あるいは生活支援という形で制度化ができるかということに私は問題が集約されていくんだろうというふうに思います。  したがいまして、これまでの経過は経過として、日本の国も財政的には非常に厳しいけれども、しかし、国民一人一人の生活はある一定の豊かさを求められている時代でもございます。そしてまた、当然それに対する支援という形も時代とともに若干なりとも変わっていくことも私は必然だと思っているわけでございます。  したがいまして、知事会の皆さんには非常に温度差があります。地震などまずないだろうという県知事さんと、あしたあるかもしれないという危機感がある知事さんの間には非常に大きな温度差がありました。しかし、それも既に一番関心を持っておられる小委員会というんでしょうか、二十二の知事さんたち考え方がまとまってきたというふうに私も報告を伺っているわけでございます。  大まかに言うと、今議員立法で出てきている案は、これは結論だけ申し上げれば、その支援はすべて国が支援をしろという議員立法だと思うんですね。しかし、今度知事会から上がってきている案は、国と自治体が協力をし合って新しい基金制度をつくっていこうということに非常に大きな違いがあるように思うんです。  もちろん、それは金銭的なことだけでなくて、これが具体的に形になり得るかどうかは、今申し上げた私有財産制度のもとでそれが個人補償と、非常に強いそういうことになるのか。そうではなくて当座の生活支援ということで、それがやってくるさまざまな災害に対して、私はすべての方々を同じ形で支援するということはなかなか難しいと思いますが、自分の力では立ち上がっていけない、そういう立場にある方々にいろいろな形で支援をする。  例えば、今度の阪神・淡路でも、住宅に関しましてもさまざまな施策を展開してきました。もう先生御案内のとおりであります。無利子にする、あるいは融資を拡大する、あるいはまた要援護者や六十五歳以上の方々には、五年間ではありますけれども月々一万五千円から二万五千円を支援する、そういう施策をいろいろな形で展開をし、なおかつ現在の制度の中には生活保護という仕組みもあることはもう言うまでもございません。  そういう中で、生活保護があるではないかといえばそれまでですけれども、なお生活基盤といいますか、例えば御商売をやっている方々が商売ができない、そういう期間をどうするか。いろいろなことが考えられるわけでありまして、私は今度知事会がまとめてこられる案というのは、そうした地域のいろいろな声を集約した案が上がってくるのではないだろうか。しかし、それはまた、なお国とのかかわり合いをどうするかということにもなろうかと思っております。  いずれにしても、先生の御指摘は御指摘として、多分先生も、私自身が終始これらの委員会答弁をさせていただいてきたことは御理解をいただいている上で御質問をいただいているんだろうというふうに私も受けとめるわけでございますが、御理解をいただき、何らかの形で、いずれにしてもそうした災害に対して温かい政治の手が差し伸べられるような形になっていけばいいと、私自身はそう考えておるところでございます。
  94. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 もう一言だけ。  長官、ありがとうございました。やっとかみ合ってきたような気もいたしますので、また次の機会にはいま少し具体的な問題で論議をさせていただきたいと思います。  きょうはどうもありがとうございました。
  95. 清水達雄

    委員長清水達雄君) 本調査に対する本日の質疑はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後三時二十四分散会      —————・—————