○
政府委員(
村瀬興一君)
建設省の
総務審議官の
村瀬でございます。座って失礼をさせていただきます。
お
手元に、「「
社会資本整備の
基本的方向」について」というかなり厚いペーパーが用意してございますので、これをごらんいただきながらお聞き取り願いたいと思います。
目次の次をめくっていただきまして、一ページでございますが、「
住宅・
社会資本整備の
基本的考え方」ということでございます。
そこにございますように、
住宅・
社会資本は、
国土の根幹を
形成し、
国民生活や
経済・
社会活動が展開される共通の
基盤であり、魅力と
活力、安全・
安心、ゆとりと
潤いを備えた真に豊かな
国民生活と
活力にあふれた
経済・
社会活動を
実現する上で必要不可欠なものであるというふうに
認識をいたしております。
しかしながら、
我が国の
住宅・
社会資本の
整備水準は、後ほど詳しく御
説明いたしますけれども、
欧米諸国と比べましてかなり立ちおくれているという
状況にございます。そういう
状況でございますので、
高齢社会を目前に控えておりますが、その前の段階で、
人口構成が若く
貯蓄率が高いうちに積極的に
整備を
推進する必要があるというふうに考えているところでございます。
それから、
国際化し、あるいは産業の
空洞化が
進展しておりますけれども、
経済構造改革に必要な
住宅・
社会資本整備の
推進によりまして、高
コスト構造の
是正、それから国際的にも魅力ある
事業環境を創出するとともに
国民生活の
充実を図るということも必要であるというふうに考えておるところでございます。
それから、
我が国は水害、
土砂災害、
震災等に対しまして脆弱な
国土条件でございます。そういうことでございますので、阪神・
淡路大震災の教訓を踏まえまして、厳しい
自然条件、
社会条件を克服した安全で
安心できる
国民生活の
実現が求められているというふうに考えておるところでございます。
次に、二ページをお開きいただきますと、上の方にございますのが
公共投資基本計画の
概要でございます。先ほど
企画庁の方から御
説明がございましたので省略をさせていただきます。
その下に私
ども建設省が所管しております
各種五カ年
計画の総
投資額、それから
目標水準の
概要を記載してございます。二ページの中で上から
五つ目のところには第八次
治水事業五カ年
計画、
平成四年度から八年度というのがございますが、第九次の五カ年
計画を本年度からスタートさせていただきたいということで、
治山治水緊急措置法の
改正案も今国会で御
審議をいただく予定にいたしてございます。
第九次の五カ年
計画の
投資規模でございますが、ここにございますように二十四兆、第八次と比べますと、十七兆五千億でございましたので一・三七倍という
状況でございます。
基本的な方針はそこにありますような四点でございます。
それから、
基本的な
目標といたしましては、
河川につきましては、はんらんの
防御率というものを約五割から六割まで引き上げるということを
目標といたしております。それから
土砂災害対策につきましては、
防御人口を約四割から五割まで引き上げるということを
目標にいたしております。
それから、
計画推進上の
課題につきましては、
河川管理の
計画の
客観性、
透明性を高めるために、
計画作成過程の公開あるいは
地域住民等の意見を反映するといったようなことに留意しながら進めていきたい。それ以外にもあと三点ばかりございますが、そういったことに留意しながら
計画を
推進していきたいというふうに考えておるところでございます。
次に、四ページでございますが、そこに
一覧表がございますように、下水から始まりまして
公園、
住宅、
道路、
治水といった諸外国との比較が書いてございますけれども、いずれもかなり立ちおくれているという
状況でございます。そういったことでございますので、着実に
住宅・
社会資本の
整備を
推進していく必要があるというふうに今考えておるところでございます。
次に、五ページでございます。五ページのところでは、他の国に比較いたしまして厳しい
条件下にあるということを御
説明しておるわけでございますが、例えば
地震について申し上げますと、地球全体で放出される
地震エネルギーの約一〇%が
我が国国土で放出されているというふうな
状況にもございますし、台風あるいは雨あるいは雪も多い、それから
軟弱地盤であるというようなこと、それから火山も多いというような
状況もございます。
それから、そこに
道路の例が幾つかございますけれども、
国道について見てみても、片側二車線が
確保されている
国道というのは一割にも満たない
状況でございます。そこにございますように、アメリカはもとよりフランス、
イギリス等に比べましてもかなり立ちおくれている
状況でございます。それから、
都市の
環状道路につきましても同様の
状況でございます。
それから、その下にドイツとの比較した絵がございますけれども、
高速道路網の
整備につきましてもまだ不十分であるということでございます。
それから次に、六ページでございますけれども、そこに絵がございますように、日本の
河川というのはどうも高いところを流れておりまして、右側にございますセーヌ川と比べますと、
市街地と比べて非常に高いところにある。一
たん堤防が壊れるようなことになりますと、非常に大きな被害を受けやすい
状況になっておるということでございます。
それから、
河川の
整備水準につきましても、そのグラフにございますように、大
河川について見ましても非常におくれている
状況にあるということでございます。
それから、最近しばしば渇水が起こりますけれども、水の備蓄といった
状況を見てみましても
我が国は非常に立ちおくれている
状況にあるということでございます。
それから、七ページでございますが、これは
下水道でございます。
下水道は大きな町ほど比較的
整備が進んでおりまして、五万人未満というところが一番立ちおくれている
状況にあるわけでございます。
それから、その下にございますのは
公園ですが、
公園は逆に、一人当たりの
公園面積で見ますと大
都市ほど小さいという
状況にあるところでございます。これも逐次
整備をする必要があるというふうに考えておるところでございます。
それから、八ページでございます。
公共投資によって
社会資本が
整備されますといろいろな効果があるわけでございますが、上の方に掲げてございますのは、首都高速湾岸線が開通したことによりまして、みなとみらいから羽田
空港ターミナルまでの所要時間が大幅に短縮されたという例でございます。
それから、その下でございますが、これは
下水道の
整備が行われることによって水質の改善がなされたという例、これは岐阜県の宮川という川の例でございますけれども、その
状況を示しておるところでございます。
今までの
整備水準なり、それから
整備の効果というのをざっとお話ししてまいりましたが、その次に「政策
課題に応じた戦略的・重点的な
整備の
推進」ということでございますけれども、私ども主要な
施策体系として大きく三つ、それをさらに、そこにございますように
五つの柱を立てて
推進をしていくということにいたしております。それから一方で、公共事業そのものを効率的あるいは効果的に
実施するという必要がございますので、そういったことについても省を挙げて取り組んでおるところでございます。
十ページをごらんいただきますと、まず次
世代の活発な
経済・
社会活動の展開のための交流
基盤の
整備ということでございますけれども、新しい
国土構造の
実現に向けた交流
ネットワークの
形成の
促進ということでございます。高
規格幹線道路を見ていただきますと、一万四千キロの総延長を予定してございますけれども、今御
審議をお願いしております予算が成立をしたと仮定して九年度末の数字でございますけれども、七千二百六十五キロというようなことで、まだ五二%というふうな
状況でございます。
その下には、高
規格幹線道路ネットワークができた場合に、小さい字で恐縮でございますけれども、
五つばかりの具体的な例を掲げておるところでございます。
それから、十一ページでございますけれども、
国際化の
進展に
対応して
我が国経済の
競争力を
向上させるための
アクセス道路整備等の
推進ということでございます。そこにございますように、上の絵は新産業創出
基盤形成事業のイメージということでございますけれども、産業の集積地あるいは
空港、
港湾といったところを結びます高規格
道路等を私どもとしてはやる。それから、地場産業の情報交流の
基盤となります、後で出てまいりますけれども、情報ボックスといった情報
整備の
関係にも力を入れていくということでございます。
それから、これは
運輸省と一緒にやっていくということでございますけれども、国際的な
空港・
港湾と
道路ネットワーク等を一体的に
整備いたします
国際交流インフラ
推進事業といったようなものも九年度から取り組もうということでございます。
それから、十二ページでございます。マルチメディア
社会等の新たな
経済・
社会構造を創出するということが必要でございますけれども、私どもといたしましても、情報通信
基盤の
整備ということに取り組んでおるところでございます。私ども省内で、
情報通信インフラ三十万キロメートル
構想というものを
策定いたしておりまして、その下の絵にございますようなさまざまな収容空間を提供することによりまして光ファイバー網の
整備を
推進したいというふうに考えておるところでございます。
そこにございますような収容空間、光ファイバー等の情報
基盤の収容空間を
整備するということと、それ以外に私ども
道路なり
河川を直轄で管理しておりますけれども、そういった管理のために必要な光ファイバー網をあわせまして、先ほど申し上げましたような二十一
世紀初頭までに三十万キロの
整備をいたしたいというふうに今考えておるところでございます。
それから、十三ページが、今申し上げましたような、ちょっと見にくい絵で恐縮でございますけれども、
河川管理のための光ファイバー網の利用のイメージ図でございます。それからその下は、これは直轄ではございませんけれども、
下水道でも同じようなことをやっていきたいということでございます。
それから、十四ページでございます。今申し上げました
道路についてのマルチメディアの
関係でもあるわけでございますけれども、高度
道路交通システムの
研究開発・実用化の
推進ということにも取り組んでおります。将来的には、自動運転
道路システムというものも確立したいということで取り組んでおります。
これにつきましては、そこの下にイメージ図のようなものがございますけれども、二〇〇一年を
目標に安全走行支援技術の実用化、それから自動走行技術の確立を図るということを
目標として現在作業を進めておるところでございます。
それから、下の右側の絵でございますけれども、これは、現在高速
道路等で料金の収受の際に一々とまって料金をいただいたりいたしておりますけれども、これを将来的にはノンストップでできるようにしたいということで、
平成十年度の実用化着手を
目標に今試験運用をいたしておるところでございます。
それから、時間の
関係で十五ページは飛ばしていただきまして、十六ページでございますけれども、快適な暮らしが実感できる
生活環境の創出ということで、水と緑の
ネットワークの
形成ということにも取り組んでおるところでございます。
それから、十七ページでございますが、これは先ほど申し上げましたように、小さい五万人以下の市町村で特に
下水道の
整備が行われておるわけでございますけれども、
地方圏における快適な
生活の
基盤となりますふるさと
下水道の
整備といったようなものも
推進をしていきたいということでございます。それから、上水道の水源となる
河川におきまして
下水道の高度処理等を
実施いたしまして、おいしい水を
確保するという努力もしていきたいということでございます。
それから、十八ページでございますが、
河川等の水
環境改善の
推進ということにも取り組んでおります。
それから、
高齢者、障害者等に優しい町づくりの
推進ということにも取り組んでおりまして、バリアフリーの歩行
環境の
整備、あるいは官庁
施設におきます身体障害者
対応エレベーターの
整備などの
高齢者‘障害者
施策等を
推進しているところでございます。
それから、十九ページでございますが、これは床上浸水の解消でございますとかダムの水資源開発の
推進といったようなことにも取り組んでおるところでございます。
それから、二十ページでございますけれども、良好な沿道
環境の
実現ということで、特に
交通騒音が著しい幹線
道路につきましては、遮音壁の設置ですとか低騒音舗装の敷設といったような
道路構造対策を
計画的に
推進しているところでございます。
それから、総合的な
交通渋滞対策ということで、いろんな
施設を
整備することによります
交通容量の拡大はもちろんでございますけれども、
交通需要そのものをコントロールするといったようなことも含めまして渋滞対策を進めていきたいということでございます。
それから、二十一ページでございますけれども、都心居住の住まいの豊かさを
実現するための
住宅宅地の
整備ということでございます。都心居住の
推進というようなこと、これにつきましては先日建設大臣からちょっと発表させていただきましたけれども、都心居住を
推進するために
都市計画法、建築基準法、来年の通常国会で予定しておりましたけれども、それを一部前倒しをさせていただきまして、できるだけ早い時期に、今国会中に御
審議をお願いすべく現在努力をいたしておるところでございます。それから、
高齢者向きの
住宅の供給の
促進についても努力をいたしているところでございます。
それから、二十二ページは飛ばしていただきまして二十三ページでございますけれども、安全で
安心できる
地域づくり、町づくりといったようなことにつきましても、阪神・
淡路大震災の経験等を踏まえて、公共
施設等の安全対策でございますとか、それから大
規模洪水等によって壊滅的な被害を回避するための
施策といったようなものを
推進しているところでございます。
それから、二十四ページでございますけれども、防災上危険な密集
市街地の
整備を図ろうということでございまして、これにつきましては今国会で新しい法制度を提案させていただいておりまして、御
審議をお願いするということにいたしております。
それから最後に、二十五ページでございますけれども、先ほどちょっと申し上げました公共事業そのものを執行するに当たって、効率的、効果的な
実施をしていく必要があるということでございまして、
一つは
重点化、手をつけたところは早くでかすといったようなことが
一つでございます。そのために、他
省庁と類似の事業があります場合にそれを
調整するといったようなこと等に取り組むというふうなことでございます。
それから、
コストにつきましても、できるだけ縮減する必要があるということで努力をしているところでございます。
それから、公共事業を執行するに当たっていろんな面で
透明性を増すという努力も必要でございますので、そういう観点から費用便益等が、どういう費用に対して便益があるかといったようなこと、それから事業の採択基準についても公表するといったようなこと。
それから、二十六ページでございますけれども、事業
実施の各段階においての情報を提供するといったようなことも含めてやっております。
それから、大
規模事業の再評価システム、大
規模事業、ダム等の事業につきまして、
計画をしてから非常に年月がたっているという場合に適切な見直しをするという作業も進めておるところでございます。
以上であります。