○佐藤道夫君 私は、株主代表訴訟につきまして、
総理にこの機会に御卓見を例えればと、こう
思います。
今現在、
金融業界の
不祥事を背景といたしまして、
金融監督庁を設置して外からの監視の
強化を図る、これに合わせて刑事罰則の
強化も図る、大変結構なことだろうと
思います。それなりの成果もまた期待していいだろうと
思いますが、これは
行政による外からの
規制だと、こういうふうに
理解いたしますと、もう
一つ内部からの
規制、
監督、これも必要なことだろうと
思います。
それの先端になるのが株主代表訴訟、株主というのは
会社のオーナーですから、
自分の
会社で取締役たちがどんなことをしているか、もし不正があればそれを追及いたしまして、
会社にかわって損害賠償の請求をする。これは当たり前といえば当たり前のことで、こういう制度があるからこそ、
一つの抑止力となって外からの
規制と相まって不正の防止が図られる、
会社の健全な
経営が図られる、こういうことだろうと
思います。車の両輪と言ってもいいと
思います。
ただ、ビッグパンを控えまして、今現在外からの
規制というのはなるべく最小限度に控え目にしていこうと、
規制緩和の
時代でもありますから、それは当然だろうと
思います。株式
会社内部からの自主的な
規制で健全
経営が図られれば、これにこしたことはないわけであります。
そういう
意味で、株主代表訴訟の意義を私は大変高く評価しておるわけでありますが、おかしなことに、最近、経団連を中心といたしまして、この株主代表訴訟を制限していただこうと、こういう動きがあるやに聞くわけであります。大変不可解なことだと
思います。
今現在問題になっております
野村証券、
第一勧銀の
事件、これの歴代の
企業トップたちが、特定の株主である
総会屋と結託、癒着をして不正な利益を与えてきたと、こういうことが問題になっておりますが、こういうケースにつきましても、もう既に私いろいろ調べてまいりましたけれども、伊勢丹だ、そごうだ、いやキリンビールだイトーヨーカ堂だ、切りがないわけであります。最近では高島屋、味の素、そして今回の
事件。
総理ももう本当にあきれてしまうと、こういうことを言っておられました。私も同意見でありまして、私だけじゃなしに、また全国民も、一体何をしているんだと、こういう考えを持ってこのケースを眺めておるだろうと
思います。
私、今回のケースにつきましても、やっぱり経団連ももう少ししっかりしてもらいたいと。もういいかげんにしようと、経済界からもう
総会屋を追放しようという声明を断固として発表してもらいまして、そしてまたこういうことをやるような
企業があったら、もう一切つき合わないことにする、経済界から追放する、それぐらいのことは言っていただきたいんですが、それがどうも歯切れがいま
一つよくない。それどころか、何か、ある政党などに働きかけて株主代表訴訟を制限してしまおうと、こういう動きがあるやに聞いております。こんなことを引き受ける政党があるとはゆめ思えませんけれども、どうも現実にはそれがそうだと。ある政党は党内にプロジェクトチームをつくって制限する動きを示しておる。
一番問題なのは、今現在、株主代表訴訟を起こすのは最低千株ですけれども、今度はこれを三十万株にしようと、こういうんですね。三十万株なんというのを持っているのは
機関投資家かあるいは
銀行相互間か、あるいはこの三十万株というのは、今問題になっているあの小池容疑者が
野村証券に持った株なんですね。ですから、こんなことで制限をいたしますと、もう株主代表訴訟が実際上行えないと、こういうことになるわけであります。
先ほど、
総理は恥を知る文化とおっしゃいました。大変私の気に入った
言葉でございます。この恥を知る文化の国に住む経済界のリーダーたちが、
自分たちで
不祥事を起こしておいて、その後始末的なことで何をやるかというと、株主代表訴訟を制限しようかと。これは恥を知る人たちのやることであろうかと、こういう気もいたすわけでありまして、それをまた引き受けて、一方において外からの
規制を非常に強固にする、そう言っておきながら、内側からの監視、
規制を骨抜きにしてしまう、こんなことが恥を知る政治の世界に住む人たちのやることだろうかなと、こういう気もいたすわけであります。
細かいことは結構でございますので、どうぞこういう問題についての
総理の高い立場からの御所見をいただければ、率直に申し上げますと、自民党が今検討中だということを新聞が報道しておりました。その後、訂正記事も出ておりませんから、多分本当なんだろうと
思います。自民党の総裁としても、この問題について一言御意見を賜らばと
思います。