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政府委員(中川隆進君) お答えを申し上げます。
一九九〇年以降ということでございますが、
大蔵省の検査は九〇年九月、
平成二年九月、それからその後九四年、
平成六年の十月に二回検査を実施いたしております。この二回の検査はいわゆる総合検査と言っておるものでございまして、資産内容だけではなくて、内部管理体制、あるいはリスク管理体制あるいは経営上のいろんな
問題等を総合的にチェックをするという検査でございます。もちろん、個別の検査でございますから詳細な御答弁は控えさせていただきたいと
思いますけれども、可能な範囲で申し上げさせていただきたいというふうに思うわけでございます。
いずれの検査も、二回の検査におきまして、これは当然抜き打ち、
大蔵省の検査は原則抜き打ちでございますから抜き打ちで実施をいたしておるわけでございますが、あれだけの大きな
銀行でございますから、いろいろ
指摘する問題点は多々ある、どこの
銀行でもそうでございます、多々あります。そういうことで、問題点につきましては、当然でございますけれども、いろんな問題を厳正に
指摘し、改善を求め、検査だけではありません、
監督も含めて改善を求めたということは申すまでもないわけでございます。
特に上位都銀の検査の実情というのを、どういうふうにやっているのかというのをもしお時間をちょうだいできれば簡単に御説明させていただきたいと存ずるわけでございます。
第一勧銀クラス、一勧自身が言っておりますので申し上げていいと
思いますけれども、
融資の案件というのは約百二十万件あるわけでございます。同行は、貸出金額は約四十兆、支店数は四百数十店あるわけでございます。私どもの検査官はもちろん参りましてすべてをチェックするわけでございますが、二回の検査、一回目が大体九名、二回目は外為検査も一緒にやっておりますので十三名ということでございまして、大体一カ月半から二カ月の間いたしたわけでございます。
今申し上げましたような大変な件数であり、
融資だけでもそれだけだということでございますので、あと市場取引とか全体を見るわけでございますので、これは全部見るわけにはとてもまいりません。そういうことで、一般的に基準を設けまして主任検査官が各種の抽出を指示するわけでございます。例えば大口案件だとか延滞貸したとか利息を貸している先だとか、あるいは不祥事件があった先だとかそういうところに
融資がないかとかいうことで、要件を課しまして、
銀行に抽出させて検査をするわけでございます。大体このクラスになりますと一万件−二万件ぐらい抽出させることになります。金額で言いますと約半分ぐらい、したがいまして四十兆円の
銀行ですと二十兆円ぐらいは全部チェックする、こういう大変な作業をするわけでございます。
もちろん、事後的に抽出漏れがないかどうかというのも最大限チェックをいたします。支店に参りまして抽出漏れがないかどうかというのを、いわゆる税の
言葉を使いますと反面調査と言うわけでございますが、そういうこともいたしますが、なかなか限界があることは事実でございます。これはやや弁明めいたことになりますけれども、
銀行法上もこの不正捜査というんでしょうか、犯罪捜査を目的としてはならないというふうにきちっと明記されております。したがいまして、
銀行の
協力を得まして、
銀行に今申し上げました抽出をさせましてそれをチェックする。
もちろん、いろんな方法で抽出漏れがないかチェックするということは今申し上げたとおりでございますが、一勧のこの今問題になっている事件に関しまして申し上げますと、抽出された中に一部当事案に関連する事案が提出されておりましたので、その部分については、不良化している部分については
指摘をし、厳正に対応するように、償却等の、引き当て等の処理をするようにという指示をいたしたわけでございます。一勧自身がまだ調査中ということで明確になっておりませんけれども、当局の過去二回の検査に際しまして、この本件債務者に関連して抽出、分類を
大蔵省の検査に際しまして回避したということで、今調査中であるということでございます。
その問題の事案の一部は
指摘できておりますけれども、残念ながら、残りの部分については、特に個別の名前を出して恐縮でございますが、この小甚ビルディングの
関係でございますけれども、その経営者でありました個人の部分の
融資については迂回
融資等で回避が行われておりましたものですから、検査官は把握できていなかったということは事実でございます。
いずれにいたしましても、事実
関係を早急に調査いたしまして、今、
大臣から御答弁ありましたように、厳正に対処することは当然だというふうに考えておるところでございます。