運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1997-06-06 第140回国会 参議院 行財政改革・税制等に関する特別委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成九年六月六日(金曜日)    午前十時四十七分開会     ―――――――――――――    委員の異動  六月五日     辞任         補欠選任      和田 洋子君     益田 洋介君      吉岡 吉典君     吉川 春子君  六月六日     辞任         補欠選任      林  芳正君     岩井 國臣君     ―――――――――――――   出席者は左のとおり。     委員長         遠藤  要君     理 事                 片山虎之助君                 倉田 寛之君                 永田 良雄君                 松谷蒼一郎君                 今泉  昭君                 広中和歌子君                 清水 澄子君                 齋藤  勁君                 笠井  亮君     委 員                 石川  弘君                 岩井 國臣君                 狩野  安君                 亀谷 博昭君                 久世 公堯君                 沓掛 哲男君                 斎藤 文夫君                 塩崎 恭久君                 関根 則之君                 中島 眞人君                 長尾 立子君                 林  芳正君                 保坂 三蔵君                 三浦 一水君                 宮澤  弘君                 吉村剛太郎君                 阿曽田 清君                 荒木 清寛君                 石田 美栄君                 泉  信也君                 岩瀬 良三君                 小林  元君                 鈴木 正孝君                 浜四津敏子君                 益田 洋介君                日下部禧代子君                 角田 義一君                 久保  亘君                 峰崎 直樹君                 吉川 春子君                 佐藤 道夫君                 田村 公平君                 奥村 展三君                 山口 哲夫君    国務大臣        大 蔵 大 臣  三塚  博君        国 務 大 臣        (閣官房長官)  梶山 静六君    政府委員        内閣審議官    畠中誠二郎君        内閣審議官    白須 光美君        警察庁刑事局長  佐藤 英彦君        大蔵大臣官房長  涌井 洋治君        大蔵大臣官房金        融検査部長    中川 隆進君        大蔵大臣官房総        務審議官     武藤 敏郎君        大蔵省証券局長  長野 厖士君        大蔵省銀行局長  山口 公生君        大蔵省銀行局保        険部長      福田  誠君    事務局側        常任委員会専門        員        田中 久雄君    参考人        預金保健機構理        事長       松田  昇君        日本銀行総裁   松下 康雄君     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件参考人出席要求に関する件 ○金融監督庁設置法案内閣提出衆議院送付) ○金融監督庁設置法施行に伴う関係法律整備  に関する法律案内閣提出衆議院送付)     ―――――――――――――
  2. 遠藤要

    委員長遠藤要君) ただいまから行財政改革税制等に関する特別委員会を開会いたします。  参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  金融監督庁設置法案及び金融監督庁設置法施行に伴う関係法律整備に関する法律案の審査のため、来る六月十日午前九時三十分、参考人出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 遠藤要

    委員長遠藤要君) 御異議ないと認めます。  なお、その人選等につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 遠藤要

    委員長遠藤要君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ―――――――――――――
  5. 遠藤要

    委員長遠藤要君) 金融監督庁設置法案及び金融監督庁設置法施行に伴う関係法律整備に関する法律案を一括して議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  6. 亀谷博昭

    亀谷博昭君 自由民主党の亀谷博昭でございます。一昨日の同僚先輩議員に続きまして、質疑をさせていただきたいと存じます。  けさの各紙朝刊に、「第一勧銀役員ら四人逮捕」というニュースが大きく報ぜられました。東京地検特捜部は、第一勧銀が既に返済不能に陥っていた小池容疑者側に、関係ノンバンクを通じ百十八億円近くの迂回融資を行っていたとして、同行総務部担当常務猪爪容疑者ら四人を商法違反の疑いで逮捕ということであります。摘発された第一勧銀利益供与総額は百十七億円余、三年間の公訴時効期間がありますが、それを迎えた分も含めると二百億円を超すのではないかというふうに言われております。  今回の事件を通して、いわゆる日本版ビッグバン金融の大改革にも大きな影響が出るのではないかということが懸念をされているところであります。  きのう逮捕されたばかりでありますが、これらに対する大蔵省としての見解、そしてまた国際社会への影響等についてお伺いをいたしたいと思います。  なお、大蔵省対応もこれからの捜査の進展を見てということになろうかと思いますが、行政処分検討も当然なされなければならない、かなり厳しいものになるのではないかという予想もあるわけでありますが、そうした大蔵省対応についてもお伺いをいたしたいと思います。
  7. 三塚博

    国務大臣三塚博君) ただいま第一勧銀強制捜査逮捕者に及んだというお話の中で、金融システム国際社会にどういう影響を与えるか等々についての御質疑でございます。  まさにこの事件日本を代表する基幹銀行でございます。起こってはならない事態が起きたと冷静に受けとめるだけではなく、この事態をさらに大蔵省としても調査しなければならぬということで、同第一勧銀に対しましては、自己努力自己責任において実態の解明を急ぐべく、調査を命じたところでございます。よって、同行からの報告を徴しますことは当然であります。  捜査当局が今、捜査の真つただ中にあるわけでございますから、その状況等を踏まえながら、新たな措置が出ました折には、法令に従い、厳正にこれに対処をし、再びかかる事態が起きないようにしていかなければならぬと考えております。  特に、御指摘のように金融システム改革を手がけております。ニューヨークロンドン並みにということは、世界的な国際的基準に合うマーケットでなければならぬということで、努力の最中でありまして、遺憾千万な出来事でありますが、との不幸な事態を乗り越えながら、本院に既に日銀法、そして本日金融監督庁ということで大変な御審議をお願いいたしておるわけでございます。決められた法令については、これからも私ども全力を尽くしますので、ぜひ格段の御鞭撻を賜りたいと思いますし、国際社会に対する影響なしといたしません。  信任を得るためには、まず国内における信任、それは国民各位金融機関に対する信頼を得るためのこれこそ火だるまになった努力を、担当省として、機関として、また政府としてやり抜いていかなければならない重大な時局ということでありますので、格段のまた御支援、御鞭撻を賜りますようにお願いを申し上げる次第であります。
  8. 亀谷博昭

    亀谷博昭君 信用信頼が最も重視される金融業界の相次ぐ腐敗、不祥事、どこまで続くぬかるみぞという言葉がありますが、ぬかるみがだんだん深くなっていくという感じもするわけであります。これからの金融業界信用回復のために、厳正な対応をなされますように御期待を申し上げておきたいと存じます。  そこで、法案に関する質問に入らせていただきます。  バブル崩壊に伴います金融機関経営破綻、住専問題、あるいは今申し上げましたような金融証券のさまざまな不祥事等々に端を発しまして、今回金融監督庁設置をされる方向になってきたわけであります。また、大蔵省内の銀行局証券局が統合されまして金融局が誕生するというような方向にもなっております。このような今般の金融行政機構改革は、大蔵省権限の一部を分離する、そして大蔵省機構を縮小する、それにすぎないのではないかという意見があります。そういうところから、ともすれば引き続き大蔵省権限が残る、大蔵支配が続くのではないか、また今回の措置は不透明、不完全だというような印象も持たれているところであります。  しかし私は、今般のこの金融行政機構改革というのは、日本金融システム国際化という視点から当然とられなければならない必要な措置であったのではないか、そういう意味では重い一歩を踏み出したのではないかというふうに考えております。  そこで、大蔵大臣に、金融システム国際化という視点からどのような理念と申しますか、お考え、構想をお持ちなのか。そしてまた、こうした金融システム国際化流れの中で、今般の金融行政機構改革をどのように位置づけ、またどのような期待を持っておられるのか、お伺いをしたいと思います。
  9. 三塚博

    国務大臣三塚博君) お答えいたします。  亀谷議員金融システム改革についての御見識は全く同感でございまして、ロンドンニューヨークに並ぶマーケットを、金融市場をつくり上げてまいらなければならないということで提案をさせていただいておるところであります。  かつ、今月中には金融関係審議会から答申をいただくことになっております。この答申を受けて、改革すべきもの、また法令を要するものは法律の制定を待って次の国会に提出をし、万全を期してまいりたいと思います。  次に、理念ということになりますと、今般の金融行政機構改革は、金融行政に対するさまざまな御批判を重く受けとめまして、銀行証券等の業態間にまたがる金融サービスの出現や金融市場グローバル化などの新たな課題に的確に対応するためにスタートを切りました。まさに市場規律基軸といたしました透明かつ公正な行政への転換を図りまして、国民信頼される金融行政を確立する観点から実施することといたしたところであります。  今般の機構改革におきまして、金融監督庁大蔵省金融局は、明確な機能分担のもとで適切な連携を図りながら、金融システム改革の推進や透明かつ公正な金融行政への転換といった種々の課題に的確に対応することとしておりまして、このような金融行政改革実施が、経済及び国民生活にとっての基盤とも言うべき我が国金融そして証券市場国際化活性化に資することができると、そう期待をし、提案をいたしておるところでございます。
  10. 亀谷博昭

    亀谷博昭君 ただいまの大蔵大臣お話の中に機能分担という表現がありました。今回の金融監督庁設置は、企画立案部門といわゆる事業部門といいますか執行部門を分けるという、今まさに政府が取り組んでおられます行政改革会議でも焦点となっているいわゆる外庁化エージェンシー化先取りという意味合いを持っているのではないかというふうに認識をいたしているところであります。そういう意味では、まさに行政改革一つ方向を示しているのではないかとも思うわけであります。  我が国は、議院内閣制のしからしむるところでありますけれども企画立案部門執行部門というものが一つ省庁の中にある、そこに行政組織が肥大化する大きな要因があるわけであります。  ニュージーランドやイギリスに見られるように、行政機構をスリム化させる、そのためにはこの二つ分離させていかなければいけない。そういう意味でも行革を進める上での基本的な考え方がここになければならないのだろうと思います。  そうした意味におきまして、エージェンシー化流れにおける今回の金融監督庁の位置づけ、また、今回この改革がもたらすものに対する期待等について、これは官房長官の御所見伺いたいと思います。
  11. 梶山静六

    国務大臣梶山静六君) 先取りをしたと、大変な御意見でございますが、諸外国におけるいわゆる外庁エージェンシーについて、その企画実施分離など、発想においては大変参考にすべき点が多いのではないかと考えておりますが、残念ながら我が国制度として、外庁エージェンシー制度とはどんなものか、こういうものが截然として理論づけられ体系づけられているまだ段階ではございません。我が国の法制や雇用のあり方、その他の条件を見ながら、一般論としてこれから十分に検討していかなければならない問題であるという認識をいたしております。  しかし、今般の金融行政機構改革、これは先刻来申し上げておりますように、一昨年のいわば住専問題という金融不祥事というか、この体制をどうすれば国民からの信頼をつなぎ得ることができるのか、その観点から、今までのいわば企画立案検査監督というものが同一機構内にあっていいのかどうなのか、そこには残念ながらもたれ合いというか、そういう安易感流れ過ぎていたのではないかという反省から、これを完全に分離、独立をすることによって、ある意味での公平感透明感そして緊張感を得るために今度の制度というものをつくり上げたわけでありまして、エージェンシー先取りという観点では実はないわけであります。  しかし、いわゆる政策面実施面、これを分けるということでありますから、その意味で現象的な目から見ればそう言えるわけでありますが、本質的に違うことは、エージェンシーというのは、いわばその本庁が企画立案部門政策部門を担当し、そのいわば実施機関としての外庁という見方をするわけでありますが、今回は、大蔵省が元庁で金融監督庁がその外庁になるという発想ではないということも御理解をいただきたいと思います。  いずれ行政改革をやったその先にどういうものがあるか、これはまた別個な問題で、新しい発想をしなければならない段階があるかもしれませんが、今回の問題は、今先送りをして、行政改革一環としてという観点ではなくて、この金融改革というのは急を要します。特に、国際化自由化という問題があれば、この信用回復は極めて大切な問題であります。そういうことを考えますと、いわば金融という大きな一つ経済流れというか、国民生活に大きな影響を及ぼす金融信用、それをどう確保するか、それに政府というか行政はどう絡んでいくべきなのか、どの点までやれるのか、そういうことが信用回復の一助になり、一つルールづくりができるための今回の金融制度改革、このように位置づけをしていただきたいし、御認識をいただきたいと思います。
  12. 亀谷博昭

    亀谷博昭君 ありがとうございました。  イギリス型とは少し違うということでありましたけれども、企画立案部門実施部門分離していくという方向は、これからも行政改革の中で目指すべき方向であろうというふうに思いまして、そういう意味でお尋ねをさせていただいたわけであります。  この企画立案機能検査監督機能、今回異なる省庁分担をする。いわゆるルールづくりルール設定者とそれを実施していく執行者とを分離するということは、市場規律基軸として公正あるいはまた公明な金融行政への転換を図るという意味では大変必要なことであろうと思います。  同時に、この二つが、両者がそれぞれ相連携を保つことは当然でありますけれども、それ以上に緊張関係を確保していかなければいけないのではないかというふうにも思います。そして同時に、緊張関係ということであれば、金融監督庁設置に当たって、検査監督部門分離という表現が使われておりますけれども、本来、検査監督というのも、これまでの組織もそうでありますし、またそれぞれ担う役割も当然別なものであります。そういう意味では、検査監督の間にも緊張関係を確保していかなければいけないのではないかというふうに考えるところでありますが、今般の金融行政機構改革に当たっての基本的な考え方について、お伺いをしたいと思います。
  13. 武藤敏郎

    政府委員武藤敏郎君) ただいま御指摘がございましたとおり、検査監督企画立案機能の間で緊張関係が必要であるということと、検査監督の間にも緊張関係が必要であるという御指摘でございます。  いろんな金融行政につきましての批判があったわけでございますけれども、行政不透明性あるいは業界との癒着、もたれ合いといったようなさまざまな批判に対しまして、今回、金融機関に対します検査監督といういわば執行面機能総理府設置金融監督庁が担う、企画立案という政策面機能大蔵省分担するということが、市場規律基軸とした透明かつ公正な金融行政への転換に資するということで実施するわけでございます。  一方、御指摘のとおり、従来から検査結果というものを監督に十分反映させていないのではないかというような御批判もまたあるわけでございまして、ややもすると事前のきめ細かな指導、行政的なものに重点が置かれ過ぎていたのではないか。これからは検査による事後チェック機能を重視した行政転換していくべきではないかということであろうかと思います。  そういう意味では、金融監督庁の中におきます検査部門監督部門がそれぞれの役割を適切に果たしていくことが肝要であろうかというふうに思っている次第でございますが、この監督庁の今後の内部組織の具体的なあり方につきましては、平成十年度の初めに監督庁が発足するということになっております。十年度の機構、定員の決定過程におきまして詰めるべき問題でございますので、現段階におきまして検査監督部門の間の具体的な内容についてはお答えすることができないことを御了解いただきたいと思います。
  14. 亀谷博昭

    亀谷博昭君 ところで、財政金融分離論というものがあります。大蔵省から企画立案部門も含めて移管し、財政金融を完全に分離させるという議論であります。  大蔵省銀行局証券局を統合した金融局を廃止して、企画立案部門金融監督庁に移管させるべきだと。大蔵省金融局を残しては金融行政二元化になるのではないかという意見もあります。  しかし、例えばG7等国際会議で、これまででもプラザ合意とかロシアヘの支援とかメキシコの通貨危機への対応とか、数々の国際的な政策協調が行われてきているところであります。財政金融完全分離ということになりますと、このような政策協調にどういう支障が生じてくるのか。  G7への対応等に問題が生じてこないのか。それについて、財政金融分離論というものについての大蔵大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
  15. 武藤敏郎

    政府委員武藤敏郎君) まずG7についてでございますけれども、御承知のとおり、国際的な政策協調の場として世界経済の安定と発展に大変重要な役割を果たしております。  本年四月に開かれましたG7におきましても、財政金融政策あるいは財政健全化の問題、税制為替、さらには金融システム安定化など、幅広い財政問題、金融問題について緊密な協議が行われました。  このG7のメンバーは、ただいま申し上げましたような財政面金融面の幅広い課題責任のある対応ができる各国の大蔵大臣によって構成されております。こういうことでございますので、財政金融分離ということになりますと、我が国  の大蔵大臣がこれらの問題につきまして責任を持って発言できないということになりかねないわけでございまして、我が国国益を著しく損なうばかりでなくて、G7そのものの国際的な政策協調支障を来すことにもなろうかと思います。  したがいまして、まず第一に、G7におきます国際的な政策協調への対応とか、あるいはそもそも通貨国庫というのは、主要国におきましては国庫担当大臣通貨制度というものを担当しているというそういう制度的な観点、さらにはグローバル化高齢化が進展いたします二十一世紀において限られた資源というものを、これは民間の資源、公的な資源というものをどのように効率的に配分するかという観点、こういうことからも財政金融というものを一体的に把握して政策企画立案するという組織の存在がますます重要になっていくのではないかというふうに考えておる次第でございます。  ただ、財政金融あり方につきましては、御承知のとおり行政改革会議におきまして中央省庁再編あり方検討一環として大所高所から十分に御議論をしていただくべきものというふうに理解しております。
  16. 三塚博

    国務大臣三塚博君) 経過等具体的な内容について政府委員から答弁がありました。生きた経済を生きた各国民のためにどう運用していくかということは一国の財政金融政策だけでは完成をいたしません。そういう点でG7構成国大蔵大臣、中銀の総裁が必ず御一緒であります。為替の問題はもちろん、金融政策の問題、いずれもインフレなき持続的な安定成長という地球の願いと言ってもいいこの基本方向先進国が達成するということで協議をするものでございますから、財政金融の問題というのは不即不離の関係にあり、緊張感を持ちながら、国益を代表するという観点からは首相、内閣を中心として、その十分な意思を受けて大蔵大臣が討議に参加と。これは我が国だけではなくG7、他の諸国もそうであります。
  17. 亀谷博昭

    亀谷博昭君 時間もなくなってきまして先を急ぎますが、三月末に上場企業にかかる幻の買収劇というのが新聞報道等でなされました。  中国企業がことし三月、東証一部上場音響機器商社の七百四十万株を取得したと記者会見で発表し、実際には株売買が行われないまま二カ月余りが経過をした。中国企業による初めての企業買収は一時、同株の高騰を招いたが、記者会見出席した関係者は今月になって、売り手側日本仕手筋は株を保有していなかった、だまされたと主張、中国国内法日本企業の株式を取得できないことも判明した。多数の投資家を踊らせた幻の買収劇は誰が仕組んだのか、こういうような報道がありました。  これは、実際に記者会見が行われたのは三月十八日のことだったようであります。大蔵省もこの件は御存じなんだろうと思いますが、当該企業株価が一時的に高騰したけれども、その後下落して多くの投資家が損失をこうむったと言われているわけであります。  金融システム改革を進めていく上で、証券市場における株価決定に対する一般投資家信頼を確保していくということは極めて重要なことであります。今回のような事案について、大蔵省としてはどんな見解をお持ちなのか、お伺いをいたします。
  18. 長野厖士

    政府委員長野厖士君) 亀谷先生指摘のとおり、証券市場におきましては公正、円滑な価格形成と、そしてそのことに対する投資家信頼というものが極めて重要だと考えます。したがいまして、証取法におきましては、不正取引行為あるいは風説の流布、相場操縦行為インサイダー取引等を禁じております。  御指摘案件につきまして、個別論としてこれについてお答えを申し上げる段階ではございませんけれども、当然このような法律の趣旨に照らして関係当局対応する事柄だと一般論として考えます。  個別に、しかしかなり公になりました事案でございますから、個別の問題として感想を申し上げますと、三月十日でございましたが、我々のところに株式の大量保有報告書が出ました。一般の縦覧に供しておりますけれども、それはいささか欠陥は明白でございます。その上で御指摘記者会見があり、そしてまた一部報道におきましては一面でカラー写真でといった扱いでございました。  その後、今日に至るまで、しかし売買の事実は全くない。その間、かつて三百二十円だった株価が六百二円にはね上がり、今また三百円台に下がっておるということでございます。  この辺につきましては、法令上の問題につきましては先ほど申し上げたとおりでございますし、私どももいろんな対応を今考えておりますが、またもう一つ、こういった問題をめぐって、亀谷先生はジャーナリズムの御出身でいらっしゃいますけれども、ジャーナリズムのあり方という観点からも、ジャーナリズムの中でいろんな御議論が行われておると承知いたしておりまして、そういった中からこういった関連の事案の取り扱いについての望ましい方向が出てくれば、株式市場を預かる者としては大変ありがたいという切なる思いがございます。
  19. 亀谷博昭

    亀谷博昭君 先ほど来申し上げておりますような、金融証券業界のさまざまな問題も多発をしている時期でもあります。一般投資家信頼確保のために、大蔵省としてもしっかりした体制をとっていかれますように御要望を申し上げたいと思います。  次に、今回の金融監督庁設置に伴いまして、地方の民間金融機関等の検査監督を受け持つとされます財務局に関して、幾つかお伺いをいたしたいと思います。  今回、地方の民間金融機関等の検査監督大蔵省の出先機関であります財務局長、一つだけ財務支局がありますので、財務支局長に委任するということとなっているわけでありますが、このような仕組みとすることとした理由、また委任の内容等について官房長官にお伺いをしたいと思います。
  20. 梶山静六

    国務大臣梶山静六君) 細かい点については政府委員から答弁をさせていただきますが、地方の検査監督については、新たに金融監督庁の地方支分部局を設けることは、いわばこの行政改革という大きな理念に照らし合わせて適当ではないと考えて、既存の財務局を活用することと定めたわけであります。  そのために、金融監督庁長官は、地方銀行等の民間金融機関検査及び監督に係る権限の一部を財務局長に委任をする、この委任された事務に関して金融監督庁長官が財務局長を直接指揮する、こういう規定になるわけでありまして、今回特にその行政改革という面から見ますと、地方財務局約四千六百人おいでになりますが、そのうち地方の銀行信用金庫、証券等検査監督を行ういわば理財部の中の一つの分野でありますが、これに九百名の方がおいでになります。それから、証券取引の監視のために約百名、合わせて千名であります。  四千六百人のところにいわば専門的な業種の方々が千名おるわけでありますが、それ以外に、総務部、人事や会計や厚生、広報等を行う者が約七百名、それから、本来国有財産の管理だとかその他を取り扱う管財部、これに二千人、こういう方々がいるわけでありまして、これを独立機関をつくりますと、それぞれの人事やあるいは厚生や会計その他の事務を全部またもう一つ持たなきゃならないという、一つのいわば行政改革とは逆行をする分野があるわけであります。  そして、当然この検査監督に当たる方々は専門職であります。二面性を持つわけではありません。しかし、いわば通常は財務局長の指揮下にあるわけでありますが、この財務局長が指揮をして行うべき分野は、実はここの検査監督は全く権限がないわけでありますから、これは金融監督庁長官が委任をし、その中でこの検査監督に当たる方々が従前と同様というか、全く独立した金融監督庁の指揮のもとに行ってまいるわけであります。  その他の付随する、一つの役所としての独立の形をとるために必要な会計や厚生やその他の分野、この問題を実は財務局に御一任をして専門の職に当たる、こういう制度をつくったわけであります。これが大蔵省支配につながると世評よく言う方がありますが、これには全く当たらない、このように思います。
  21. 亀谷博昭

    亀谷博昭君 ありがとうございました。  ただいま官房長官から理財部九百名というお話がありました。これは私の手元にある資料で言えば、検査職員が約四百名弱だと思いますが、監督業務に携わる方が五百人、そして証券監視が百人、こういうことで一千名ということになるんだろうと思います。  この中で、検査監督証券監視に当たる千人は金融監督庁長官の指揮下に入る、こういうことなんだろうと思いますが、人事権は当然大蔵省が持っているわけであります。金融監督庁につきましては、ノーリターンの原則ということが主張されているわけでありますが、財務局の職員にそれを当てはめることは難しいのだろうと思います。  そこで、財務局において適切な検査監督実施できるように、金融監督庁と財務局職員の意思疎通の強化あるいは交流というものをしっかりと図っていかなければいけないのではないかというふうに考えるわけでありますが、その辺についてのお考えを伺いたいと思います。
  22. 白須光美

    政府委員(白須光美君) お答え申し上げます。  ただいま御指摘の点につきましては、特に現下の不良債権問題あるいは金融システム改革、こういうような状況にかんがみますと、金融監督庁が全国的に民間金融機関等に対する検査監督、これを適切に行っていくためには、地方における財務局の金融監督検査部門機能的に一体となりまして、地域の金融機関等の経営状況の把握などに一層努力していく必要があろうかと考えております。  そのためには、先生御指摘のように、金融監督庁と財務局との間で常時連絡を密にいたしまして、意思疎通を強化するとともに、職員の交流等によりまして日常の検査監督、これにおきまして共通の経験などを積み重ねていく、そして中央と地方の間で知識、経験等の共通基盤を確保していく、こういうことが適当であろうと考えている次第でございます。
  23. 亀谷博昭

    亀谷博昭君 一方、金融監督庁長官の指揮下に入る職員は約千名ということでありますが、この方々が検査監督をする対象機関は幾つあるかということになりますと、二千六百九十三ということであります。本省で扱うのは都銀等五百九十八、約六百、財務局で扱うのは信用金庫あるいは貸金業者も含みますけれども、等々約二千七百、しかも地銀、第二地銀の検査は財務局でも実施している、こういうことであります。  そういうことになりますと、この財務局の職員につきましても、より専門的な知識あるいは経験というものを高める配慮というものが当然なされていかなければいけない。そしてまた同時に、研修というものも進めていかなければいけない。  そういう中で、今回の法案審議の中では、金融監督庁の職員についての研修の必要性等の議論がありましたけれども、財務局の職員についてのそうした高度な専門性を高めるための配慮、研修等について、時間が余りありません、簡単にお願いをいたします。
  24. 武藤敏郎

    政府委員武藤敏郎君) まず御指摘の財務局におきます検査監督に従事する職員の専門性を高めるということにつきましては、やはりできるだけ長くこの業務を経験させまして、その中から中核職員を育成するといったような人事異動上の配慮がまず必要かということで、そういう配慮を行っておるわけでございます。  次に、研修のことでございますけれども、一つは、大蔵省の中に研修担当部門がございまして、そこで初任者あるいは中堅、いろいろな形で研修をやっております。さらに、デリバティブ等の高度な研修の必要性につきましては民間の方にも講師をお願いしたりして充実に努めております。また、トレーニーという形で本省の検査事務を経験させるなど行っておるわけでございまして、今後ともこの充実に努めてまいりたいというふうに考えております。
  25. 亀谷博昭

    亀谷博昭君 最後に、いわゆる大蔵省と他省庁との共管の問題について一つ伺います。  例えば農業系の金融機関であれば農水省が指導しなければならない業務がある、分野があるということはよくわかるのでありますが、金融機関経営破綻とか不祥事は地方の金融機関において大変深刻であります。  そういう意味で、やはり金融検査監督というのは金融監督庁に今後一元化をしていく、そうした視野を持っていくべきではなかろうかというふうに思いますが、最後にこの件について官房長官の御見解伺いたいと思います。
  26. 梶山静六

    国務大臣梶山静六君) これは住専問題以来、随分長くしかも深刻に議論をされた問題でありますが、それぞれ各省で行われている検査監督というものは、その金融機関のよって立つ基盤の、いわばその行政目的を踏まえて設立をされ運用をされているわけでありますから、その一義的な政策官庁がこれを見るという特殊な任務を持つことは当然であります。しかし、この金融監督庁金融という観点から、民間の金融という観点から全般の歩調を合わせて見るということもこれは普遍的な問題で、一般論として大切であります。これを全部一元化してやるということになりますと、その特殊な政策目的、そういうものに対する金融監督庁のノウハウがまだ弱いのではないか。  それからもう一つは、それぞれをいわば指導監督をし、今まで企画をし立案をしてまいったそれぞれの関係省庁との兼ね合いというかその責任論というか、そういうものが明確にされなければならない。  この両面の問題がありますので、どちらかに専門化をすることがいいかどうかという問題は大変に問題があります。ただ、いずれにしても金融という大筋をやるならば、やがては今、委員指摘のように一元化をされる方向検討をされなければならない問題だという認識をいたしております。
  27. 亀谷博昭

    亀谷博昭君 ありがとうございました。終わります。
  28. 益田洋介

    益田洋介君 平成会の益田洋介でございます。  連日のように大蔵大臣議論をさせていただいて、大変幸せに感じております。本日もよろしくお願いいたします。  まず、法案質疑に入る前に、四日の日に野村証券におきまして、元総務部担当常務藤倉信孝容疑者、それから元株式担当常務の松木新平が証券取引法違反・損失補てん及び商法違反・利益供与の二つの容疑で東京地検から東京地裁に起訴されました。これは大変な出来事だと思います。これは一任勘定取引というんだそうです。  引き続き、昨晩、第一勧業銀行の前総務部担当常務の猪爪博容疑者及び取締役総務部長渋谷龍夫容疑者らを含む四人が東京地検の特捜部によって逮捕されました。これは容疑事実はどういうことかというと、平成六年七月から八年の九月にかけて五十一回にわたって第一勧銀の関連ノンバンクであります大和信用を迂回した形で総額百十七億八千二百万円の融資を実際はしていたわけでございます。そして、総会屋に利益供与をしていたという疑いでございます。  毎日こういうふうなことで、こういう事件がなければ一任勘定取引だとか迂回融資なんという言葉を私は一生知らないで過ごしたんだと思いますけれども、こういう仕事をしているために、新たなこういう用語も覚えなきゃいけないわけでございます。  この二つ事件について、大蔵大臣の御意見をお伺いしたいと思います。
  29. 三塚博

    国務大臣三塚博君) ただいまの御指摘の一任勘定、迂回融資というものは私も初めてであります。  銀行は公共性が高いわけでございますから、そういう中で整然と取引が行われておるというのが一般国民の感情であります。私どもがお金を借りようといたしましても、担保がなければ貸してくれません。これは当然のことでございまして、有償性の確保という見通しで、これまたきっちりと査定された金額しか貸してくれない、しかし結果的にはそのことは大変幸せなこと、こういうことであるわけです。  証券業界も近代化が進みまして、第一次証券不祥事件以来、改革、改善が進んでおる、こう思っておったわけでございますが、総会屋を取り巻く一連の行動の中で迂回融資ということが行われておると言われております。  当局とすれば、引き続き事実関係、それぞれの会社が自分の責任で解明、報告をしていただく、この努力があって初めて再発防止への道筋が明確になるのかなと思って指示をいたしておるところです。  よって、その報告また捜査の進捗状態を見合わせながら、その事態におきましては厳正に対処をしていきませんと、信用というものを基本にして行動、営業活動しておる証券にしろ銀行にしろ、いずれもトップグループが信頼をされてきた会社でありますだけに、厳然たる態度で対応していかなければならぬと思っております。
  30. 益田洋介

    益田洋介君 私は大蔵大臣にそんなことを伺っているんじゃないんですよ。  それは確かに野村は悪いですよ。とんでもないことをしてくれた。だけれども、何が一番腹が立つかというと、野村が利益供与をするために取り扱ったワラント債です。ある海洋土木を主力とする建設会社、五つの海で活躍するというような名前の建設会社なんですけれども、その建設会社に相当の仕事がまとまって受注されるだろうと。どこでの仕事かというと神戸です、阪神・淡路大震災で被害をこうむったあの埠頭ですよ。そこの護岸工事が大量に発注されるはずだ、特別予算をつけてと。そういうふれ込みをしてマーケットを動かして、ワラント債の株価を上げさせたんです。  その金が回っていったんですよ、小池容疑者のところに。  だから、あれだけの被害をこうむった人たちを笑い物にするかのように、直接その人たちに被害を与えるわけじゃないけれども、それを見て見ぬふりして、一方ではそのことを利用して、そして金もうけをしようとした。そのもうけた金をそうした不透明な総会屋と言われるグループやまたその親族に流していた。こういう行為に私は腹が立つと言っているんですよ。違いますか。  ですから、私は今、大蔵大臣に伺っていることは、事件の進展を見て厳正に対応するなんということじゃないんですよ。これは全部大蔵省責任じゃないか。管理監督責任大蔵省にあるんでしょう。その責任をどうとるのか、これが私の質問なんですよ。
  31. 三塚博

    国務大臣三塚博君) ただいまの案件事件というんでしょうか、不肖にして知っておりませんでした。ここでお聞きをしたわけでございます。  仮にそのとおりであるとすれば問題はある、こう思います。  その責任ということであれば、監視委員会が全力を尽くして少数メンバーの中で市場監視をし、案件の動きがありますとそれに対応してきておる、こう承知をいたしておるわけでございまして、そのことが事実とすれば極めて遺憾な事実だと申し上げさせていただきます。
  32. 益田洋介

    益田洋介君 ですから、野村という会社は今回初めて問題を起こしたわけじゃないんです。九一年、六年前にも似たような問題を起こしている。  大体、こういうふうな阪神・淡路大震災の被害を利用して金もうけしようなんという根性の証券会社を、何で今まで監督していなかったんだ、それを私は言っているんですよ。
  33. 三塚博

    国務大臣三塚博君) 会社にしろ人間にしろ、一度の失敗を自分のこれからの生活の指針として、活動の基本として取り入れるものであります。そういう点で、第一次の証券事件を反省しておらないということである今回のことでありますから、これまた極めて遺憾であり、言う言葉がないというのが心境であります。
  34. 益田洋介

    益田洋介君 言う言葉がないなんという言い方は、責任ある政治家として、しかも三塚派という大きな派閥を抱えている大物政治家として、また財政金融を一手に引き受けている日本という国の大蔵大臣としての発言じゃないと思いますよ。  どういうふうな責任の取り方をしていただくのか、それを聞いているんです。
  35. 三塚博

    国務大臣三塚博君) 責任は痛感をいたさなければ政治というのは前進しません。  私の、自分の政治信条は一日一生であります。  その一日一日を大事にしながらベストを尽くす、こういうことであります。そういう点で事態を解明することが、ただいま私に課せられた責任でございますから、勧銀はもとより野村証券もみずからの努力で解明しろと、こういうことであります。  日本は、御案内のとおり、法治国家でありますから、罪刑法定主義であります。マスコミはそれぞれ報道をされております。その報道報道であります。司法当局が、また検察当局と言った方が正確なんでしょうか、きっちりとした法令に基づいて処置をとるということ、その実態を解明しながら、法令にある条項に準拠をして厳正に対処をする、このことに全力を尽くすことが私に課せられた責任と痛感をいたしております。
  36. 益田洋介

    益田洋介君 次は第一勧銀です。  これはやはりきのうわかったばかりのことですけれども、九〇年の大蔵省検査で、財テク資金のための融資を厳重にチェックするという機密が事前に第一勧銀側に漏えいしている。これは要するにMOFと言われる出向社員から入ってきた、第一勧銀に。こんなことが事前にわかっているから隠ぺい工作が簡単にできるんですよ。事前に情報が入るんだ、今回は何について検査をするのかということがわかっていたというんです。これは大変なことじゃないですか。これについてどう思いますか。
  37. 中川隆進

    政府委員(中川隆進君) お答えを申し上げます。  九〇年、平成二年の検査に際しての御質問でございますが、第一勧業銀行に対しましては、直近では平成六年の十月、その前は平成二年の九月に検査をしているわけでございます。  今、事前に検査の時期が把握されていたのではないかという御指摘でございますけれども……
  38. 益田洋介

    益田洋介君 時期じゃない、内容
  39. 中川隆進

    政府委員(中川隆進君) その検査内容につきましては、いわゆる検査の方法は従来から抜き打ち、予告なしということで当然検査実施しているわけでございます。これは、ありのままの実態を検査で把握するという、そういう観点からそういう取り扱いをしているわけでございます。  また、その時期等につきましても厳重な情報管理をやっているということは、これは当然でございます。私ども、そういう検査の時期について事前に漏れていたということはないと確信をしているわけでございますが、今委員の御指摘は、検査内容について漏れているのではないかという御指摘でございますけれども、今申し上げましたように検査の時期だけではなくて、どういう点を検査するのかということも含めて、当然厳重な情報管理というか漏れてはならない問題でございます。そういうことはあり得ないと私ども思っております。  ただ、今、委員指摘の、私も新聞情報で見たわけでございますけれども、財テク資金融資というのが重点チェックであったのではないかというのが事前に漏れていたという報道でございました。そういうことはあり得ないわけでございますけれども、当時の状況といたしましては一般的に、まさに平成二年でございますからバブルの最中でございます。  検査の項目の一つといたしまして、これはどの銀行と言わずすべての銀行でございますけれども、財テク資金、株あるいは不動産も含めてでございますけれども、そういう融資の実態、そういう点に問題がないかというのを調べるのはこれは検査としては当然でございます。その状況は一般的に検査の対象になっていたということでございます。  もし、第一勧銀がそういうことで準備をしたということであれば、検査のための準備ということかどうかわかりませんけれども、これは一般に銀行が、いずれこの検査は周期的に行われるわけでございますから、そういう観点からいろいろ中で準備をするということは、いいとか悪いとかという問題ではなくて、十分あり得ることであろうと思います。いいと言っているわけではございませんけれども、そういう可能性としてはあるのかなと思いますけれども、情報管理にはかねがね十分注意をしているところでございます。
  40. 益田洋介

    益田洋介君 これら一連の不祥事について、官房長官内閣のかなめとしてどのようにお考えでしょうか。
  41. 梶山静六

    国務大臣梶山静六君) 事実が解明されなければなりませんけれども、いずれにしても、報道その他によるこの金融不祥事は国際的な信用を失墜させ、預金者や利用者に大変な不信感を与えたわけでありますから、その結果についての責任は当然負うべきものが多い、ただすべきものはただしていかなければならないと考えております。
  42. 益田洋介

    益田洋介君 今、大蔵大臣を初め、官房長官ももちろんそうですが、内閣を挙げて、あるいは日本の国を挙げて金融改革をしよう、取り組もう、東京マネーマーケットロンドンニューヨーク並みに育てよう、そうしたさなかにこういうことが起きたらどうなると思いますか。また日本は、東京は世界じゅうのマーケットから嫌がられますよ、信用を失墜したんだから。これを回復するというのは大変な努力が必要なんですよ。その辺についてどうですか。
  43. 三塚博

    国務大臣三塚博君) まさに御指摘のとおりであります。  現実があるわけでございますから、現実の中で何をなすべきか、前段若干のポイントを申し上げさせていただきました。おのれをむなしゅうしてこれに全力投球をして信頼を回復していかなければなりません。  まず第一は、ただいま官房長官も言われましたように、国民お一人お一人の信頼を確保するための行動を開始いたしておるわけでありますが、足らないとの御批判はそのとおり受けとめさせていただきながら、大蔵省を挙げて、また政府関係機関の協力も得て全力を尽くし、その信任を得るべく進めてまいるということに尽きると思います。
  44. 益田洋介

    益田洋介君 アメリカやイギリスのマネーマーケットが十年、十五年と繁栄を続けている陰には、やはり監督官庁の厳しい不正を摘発するというそうしたシステムが世界じゅうに信頼感をもたらしている、こういうことだと思います。  第一勧銀の場合は、二回も検査を受けていて二回とも隠ぺいをしている。こういうものを発見できなかった大蔵省に私は大変な問題があると思う。であるならば、例えば罰則を強化して違法行為を未然防止するというふうな努力を怠っていた責任は重いと思います。  罰則強化の御意向をお持ちですか。
  45. 三塚博

    国務大臣三塚博君) 現行法に基づきますと、五十万円の罰金ということであります。  罰金の多寡で人の心を縛るということはなかなか難しいことだとは言われますが、しかし、銀行局に対しましては全力を挙げて強化のための検討を進めるように、外国の事例その他があるわけでございますから、検討を進めておるところであります。
  46. 益田洋介

    益田洋介君 第一勧銀、野村双方とも総会屋が絡んでいる事件でございます。  きょうは警察庁はお見えですか、総会屋について若干伺いたいんですが、商法が八二年に改正されて、これを境目にしてかなり総会自体は荒れ模様であったにもかかわらず、そういうものをあらかじめ覚悟して一般企業はかなり総会屋から手を切った。しかし、銀行証券といった金融機関はずっとその関係を温存してきた。それが今日の結果を招いているのではないかというふうに言われております。  まず第一に、そうした傾向が、総会屋と企業の関係にあるのかどうか、一般企業と金融界と総会屋ということがあるのかどうか、もしあるとすれば、なぜ金融機関だけ親密な関係をつなぎ続けてきているのか、その辺のところを伺いたいと思います。
  47. 佐藤英彦

    政府委員佐藤英彦君) 確かに、昭和五十七年の商法の改正によりまして企業の姿勢というものは大きく変わったというぐあいに私どもも認識いたしております。  しかしながら、企業に対し総会屋等との関係を遮断すべくいろいろな方法で要請をしてまいりましたし、一方で保護も行ってまいりました。そして他方で、その種の者たちに対する取り締まりを強化してまいったのでありますけれども、これまで二十六事件商法違反で検挙をいたしておりますが、なくならないのであります。  御承知かと思いますけれども、平成四年に大手スーパーの事件を検挙いたしました。その際に、企業のトップは直接この違反に関与していなかったと認められますけれども、その責任をとって辞任をせざるを得なくなったということであります。ちょうどこのころ、総会屋が暴力団との関係を深めてきたという認識が世論の中に広まってきた時期であったと思います。  そういうようなことから、私どもといたしましては、企業のトップの責任においてこの種行為を排除するようにということを重ねて要請してまいったのでありますけれども、しかし、トップの決断ができ得ない企業において、現在なおそのような関係を継続しているというぐあいに考えております。  特に、金融機関についていかがかというお尋ねでありますけれども、私どもの印象では、信用を非常に重んずるという金融機関の姿勢といいますか、そういう考え方がありましたけれども、その信用というものが、こういう行為こそがその信用を毀損するものだという、そういう認識に立った信用感覚ではなかったのではないか。とにかく企業にかかわるあるいは銀行等にかかわる要らぬうわさが立たないことをもって信用を確保していくことだというぐあいに、誤った信用感覚があったことが、金融機関においてなおそのような関係が継続している理由ではないかというぐあいに考えております。
  48. 益田洋介

    益田洋介君 総会屋との関係を企業が絶てないでいるという陰には、やはり私は大蔵省責任もあると思います。大蔵省は、銀行がうみを出したい、証券がうみを出したいと思っているのにもかかわらず、やはり銀行行政証券行政、あくまでもそうした保護行政のもとでの信用維持を眼目としているから、なるべくだったら穏便に、事なきに済ませるようにという行政指導をしている。だから、やはり大蔵省にも責任があるんです、これは。その点、いかがですか。
  49. 三塚博

    国務大臣三塚博君) これは、せっかくの御質疑でありますが、私はそう思っておりません。  少数メンバーで全力を尽くしております。その結果としてこういう事件が起きたことは、責任者、主管大臣である私がそれをさらに強化するための体制を両面においてっくり上げることに不十分であった、こういう一点に尽きるわけでございます。
  50. 益田洋介

    益田洋介君 私は、この総会屋とのつながりの問題は企業だけのものではない、やはり総会屋摘発の切り札と言われています商法の利益供与の禁止、四百九十七条です。罰則が六カ月以下の懲役または三十万円以下の罰金といった、これは本当に甘いものなんです。これだったら喜んでどんどんやりますよ。何てことないじゃないですか、これ。だから、やっぱり罰則の強化も検討していただきたい。それも私は大きな問題だと思いますが、いかがですか。
  51. 三塚博

    国務大臣三塚博君) 先ほど、罰則の問題について外国の例をと申し上げました。それは、まさに今後の対応する一つの目安と思います。  そういう点で、国内法との関連もこれありますが、こういう法律改正というのは、進めるときには果断に迅速に進めなければならぬ。その方式はどういう方式があるのか、今それも検討しておるわけでございます。
  52. 益田洋介

    益田洋介君 同じ第一勧業銀行でございますが、日本銀行も二回にわたって考査している。九一年の八月から九月の前々回の日銀考査において既に隠ぺいがあった。これは、小甚ビルディング向けの融資の調査票がこの前々回の考査のときには提出されなかったと、日銀総裁は先日そのようにおっしゃった。その理由について松下総裁は、大手都銀の取扱量は大変膨大なものです、一定期間で考査するには相手方の協力がぜひとも不可欠だと。相手は、だって隠ぺいしようとしている、協力しようとしていないんです。発見できるわけないじゃないですか、こういう論理でいえば。意味がないんですよ、考査したって監査したって、大蔵省も発見できない、日銀も発見できない。  今回の法改正で、そうしたことは是正されるとお思いですか。
  53. 三塚博

    国務大臣三塚博君) 本件も、事務方に対しまして検討を命じております。
  54. 益田洋介

    益田洋介君 それでは、法案審議に移らせていただきます。  今回の法案が今国会に提出されたという背景には、さまざまな金融機関の破綻が相次ぎましたし、特に、大和銀行ニューヨーク支店の巨額損失の問題が、日本側が隠ぺいしたためにアメリカ当局に大変な精神的また経済的な不利益を与えた。そんなことから国際信用秩序というものを著しく傷つけた。そういうことがありましたし、また、住専問題の一次処理に六千八百五十億円という国民の血税を投入すると発案した大蔵省、こうした日本金融行政をつかさどる大蔵省への権限集中の弊害がどんどんとあらわれてきた、そうしたことがあったと思います。  また、とりわけ大蔵省がずっととり続けてきた金融財政の下僕のように取り扱う行政手法、金融を犠牲にしても財政を伸ばそう、維持しよう、こういうふうな手法がついに限界に達したんだと、私はそういうことが政府の今回の法案提出の背景にはあったんじゃないかと考えておりますが、その辺はいかがでしょうか。
  55. 武藤敏郎

    政府委員武藤敏郎君) 財政政策金融政策関係についてのお尋ねであろうかと思いますけれども、確かにバブルのときに低金利政策がとられた、一方、そのときに財政再建問題ということがいわば国民的な関心事であったということでございます。財政政策金融政策に低金利政策を押しつけたのではないかといったような、そういう御批判がよくあるわけでございますけれども、これは委員会でもいろいろ御議論があるわけでございますけれども、簡単に申し上げますと、あのときのブラックマンデー後のあの低金利政策が国際協調のもとでやはり必要であった、そのときにおいてはそういう政策判断が行われたということであって、決して財政政策金融政策に何か不当な押しつけをしたというようなことはなかったと思っております。  ただ、そういう議論を踏まえて、今回日銀法改正ということが、これは別途提案されておるわけでございまして、金融政策をより自主的、独立性のあるものにしていくという方向においては、まさにそういう方向での回答が出されつつあるものというふうに理解する次第でございます。
  56. 益田洋介

    益田洋介君 財政政策国民が関心を持っていたなんて、そんなのは当たり前で、財政の運営に国民の不満が頂点に達したんですよ。そういう声があったから、もうこれで金融検査監督機能大蔵省から分離させよう、そうしなかったら国民は納得しないだろう、これが私は実情だったと思いますよ。違いますか。
  57. 武藤敏郎

    政府委員武藤敏郎君) 財政金融につきましては、いろいろな御批判がございますけれども、一つ財政政策金融政策ということでございますれば、ただいま申し上げたようなことかと思います。  一方、バブル崩壊後のさまざまな不良債権問題について、金融機関に対する監督行政にいろいろ問題があったのではないかと。これはまさに検査及び監督の問題でございまして、このたびの金融監督庁設置ということによってこの問題を解決しようとしているわけでございます。その点におきましては、まさに御指摘のとおり、いろいろな御批判を踏まえまして、監督庁設置法というもので対応しよう、こういうことかと理解いたします。
  58. 遠藤要

    委員長遠藤要君) 益田洋介君の残余の質疑は午後に譲ることとし、午後一時まで休憩いたします。    正午休憩      ―――――・―――――    午後一時二分開会
  59. 遠藤要

    委員長遠藤要君) ただいまから行財政改革税制等に関する特別委員会を再開いたします。  参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  本日の議案審査のため、預金保険機構事長松田昇君及び日本銀行総裁松下康雄君を参考人として出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  60. 遠藤要

    委員長遠藤要君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ―――――――――――――
  61. 遠藤要

    委員長遠藤要君) 金融監督庁設置法案及び金融監督庁設置法施行に伴う関係法律整備に関する法律案を一括して議題といたします。  休憩前に引き続き、益田洋介君の質疑を行います。
  62. 益田洋介

    益田洋介君 このようにして金融財政を分けるという目的で金融監督庁設置法案提出されたわけでございますが、金融機関の破綻処理や預金保険機構監督などで大蔵省の関与を認める内容になっているのではないか、私にはそういうふうに法案は読めます。  どういうことかと申しますと、個別の金融機関の破綻については金融監督庁が担当することになっている一方で、その破綻が信用秩序に影響すると見られる場合には、総理大臣が大蔵大臣と事前に協議するということになっているわけです。  金融破綻は何よりも信用システムヘの影響が考慮されるわけですから、破綻処理で大蔵省影響力が行使されるという余地ははっきりと残っていると思います。  透明な金融システムヘの転換は、こういうふうなシステムではおぼつかない。結局、将来的には内外の不信を招きかねない、このように考えますが、いかがでしょうか。
  63. 白須光美

    政府委員(白須光美君) お答え申し上げます。  銀行等の破綻処理につきましては、通常のケースにありましては、金融監督庁が現行の法令のもとでの既存の方策によりまして対応いたしまして、業務停止命令等々の権限を行使することになるわけでございます。  お尋ねの協議につきましては、破綻処理に関しまして、現行法令のもとでの既存の方策により対応するのみでは信用秩序の維持に重大な影響を与えるおそれがあるというように金融監督庁長官が認める場合に行うものでございまして、金融監督庁企画立案を担います大蔵省がこの協議を通じまして適切な連携を図ることによりまして、金融機関に万全を期していくというものでございます。  この協議につきましては、まさに現行法令のもとでは対応し切れない場合に行うというものでございますので、金融監督庁が的確に業務を行っていく上で必要なものでございまして、これをもちまして大蔵省の関与というような性格のものではないと考えております。
  64. 益田洋介

    益田洋介君 私は、破綻処理といった大きな問題が生じた場合には大蔵省としては口を挟みたいんだとこういう考え方が底流にあると思えてならないわけです。  例えば、預金保険機構監督でも大蔵省の関与は大幅に認められております。ペイオフ、一千万円までの預金の払い戻し費用を超す資金援助を認定するかどうかは監督庁大蔵省の共管、共同管理ということになっておりますし、保険料率の認可に至っては依然大蔵省の専管事項であるという規定になっている。金融行政の根幹は大蔵省本体に残すという大蔵官僚の意向があらわになっているんじゃないかと私は考えるわけです。行政改革の姿はどうあれ、金融行政の最終権限大蔵省が握り続けることにした、そういう法案になっている、私にはそう思えるわけです。  これは一説によると大蔵省の天動説だ、それをそのまま残しておくんだというふうな説もありますが、いかがでしょうか。
  65. 白須光美

    政府委員(白須光美君) 預金保険制度につきましてお答え申し上げたいと存じます。  まず、今般の金融行政機構改革につきましては、金融行政企画立案という分野と検査監督という分野に分けるということでございまして、預金保険法につきましても基本的にこの考え方に基づいているわけでございます。  すなわち、検査監督と申しましても、これは民間金融機関等に対します検査監督金融監督庁が担当するという考えでございますので、預金保険法に基づきます行政上の関与のうちで、預金保険機構の資金援助に係る破綻金融機関の合併等の適格性の認定、これらにつきましてはまさに個別金融機関に対するものでございますので、金融監督庁検査その他の監督を通じまして金融機関の実態を把握することとなりますために、検査監督の延長ということで金融監督庁が所掌するという考えでございます。  他方、今御指摘のございました、預金保険機構決定いたします保険料率の設定の認可等につきましては、預金保険制度の基本的な枠組みに係るものでございまして、預金保険制度はいわば金融のインフラというものでございますので、こういう制度企画立案ということで、企画立案機能を担います大蔵省が所掌というように考えているわけでございます。  また、預金保険の業務に関しまして、監督庁大蔵省が相互に連携、協力していくべきことは、これまた金融危機管理の観点から申しまして当然のことかと存じております。先ほど御指摘のございました破綻処理の特例といたしまして、時限的に措置されておりますところの法律、附則に基づきます特別資金援助の必要性の認定につきましては、一方で個々の業者に係る、ただし、これは個々の金融機関に対するものではなくて預金保険機構に対するものでございますが、その認定であるということ、他方、これは五年間の特例措置といたしましてペイオフをしないという観点から、まさに制度観点から求められているということで、企画立案と両面があるということで、大蔵大臣金融監督庁長官が共同して行うというようにいたしているところでございます。
  66. 益田洋介

    益田洋介君 昨日も大蔵委員会で日銀法の全面改正について論議、審議がなされました。  その中で、今回の新しい全面改正法の二本の柱となっているのは、中央銀行の独立性と透明性だという説明が政府からありました。私はこの点は賛成をいたします。一方で、大蔵行政についても今後やはり透明性を高めていく必要があるんではないか。今までさまざまな不祥事を起こしてきて、その陰には必ず、隠ぺいしよう、表に出さない、国民の眼前に開示することを避けてきた、そういう側面が私はあるように思えてなりません。  そこで、今回の金融監督庁設置と同時に、透明性を増すということが非常に今後の大蔵行政のかなめになってくるというふうに考えるわけであります。ですから、金融行政を本当に考える気ならば、組織をぐずぐずいじっているよりは情報公開の徹底を今後はしていくことがむしろ解決すべき先決の問題ではないかと私には思えます。バブル時代も大蔵省銀行検査をやっていたわけです。当時一体どういうふうな公表をしていたのか。  行政改革の前提としては、外交文書公開のように、あらゆるものを、守秘義務があるものはもちろん除いてですが、明らかにしていく必要があるんではないか、それが透明性を求める正しい監督者としての責任を貫く要点ではないか、このように思いますが、いかがでしょうか。
  67. 中川隆進

    政府委員(中川隆進君) 委員の御指摘は、検査結果を公表してはどうかという御趣旨であろうというふうに存じます。  行政につきましてディスクロージャーを進めるということは当然重要なことでございます。金融機関に係る監督あるいは処分の状況等を公開していく、公表していく、そういうことは従来からも行っているわけでございます。検査の結果ということに関しまして言いますと、まさに先ほども委員指摘の点でございましたけれども、検査の状況、個々の事案等について公表するというのはなかなかいろいろ問題も多いわけでございます。  また、検査の結果ということになりますと、検査は特定の時期、一年のうちのある期末とかそういうことではなくて、特定の時期に検査をした、いわゆる生の情報ということでございます。この生の情報を公開することによって預金者、あるいは保険会社ですと契約者ということでございますけれども、その生の情報によって影響を受ける、不安を与えるということにもなりますし、また検査の中身自身には取引先の状況であるとか契約先の状況とかいろいろ秘密、プライバシーに関するものが含まれているわけでございます。そうした取引先あるいは契約の相手先に不測の損害を与えるということにもなりかねないわけでございます。そういう問題もございます。  こういうことで、検査の結果、検査報告といったものにつきましては、これはどこの国におきましても公開しないという前提で、またそういう前提で金融機関の協力を得て検査をしているということでございます。そういう点につきましてぜひ御理解を賜りたいと思います。  もちろん、繰り返しになりますけれども、預金者保護の観点から、預金者等に提供されるべき情報はディスクロージャー制度の充実ということできちっと対応していくべき、本来そうあるべき問題であろうというふうに思いますし、また、行政処分等の状況は別途公表すべきものは公表していく、こういう姿勢は重要であろうというふうに存じております。
  68. 益田洋介

    益田洋介君 何も前もって知識を与えられないで、急に今回のような野村証券とか第一勧業銀行不祥事といったものが公表されるので、そういうところに国民は怒りを感じているんだ、不満を持っているんだというふうに私には思えてならないわけです。ですから、どうか御検討いただいて、できる限りにおいてディスクロージャーというものは、金融行政だけじゃなく、あるいは大蔵行政だけでなしに、これから全般的に国民の前につまびらかにしていく必要があるのではないか、私はそう痛感する次第でございますので、よろしく検討をお願いします。  それでは次に、監督庁の人事、スタッフということについて若干御質問いたします。  ドイツでは、銀行法に基づいて、大蔵省の外局に監督機関として一九六一年に銀行監督局が設置されました。既に三十年余の歴史を持つ監督局は、現在四百八十人のスタッフを抱えております。そして、監督局が金融検査監督を担当し、一方で大蔵省企画立案部門を担当するというシステムでございまして、非常に今回の我が国大蔵省改革案、金融監督庁案と類似している点が多いのでございます。そして、監督局の長官というのは設立時は大蔵省から派遣されまして、最近でも大蔵省出身者が長官になったことが何度かあるそうです。  しかし、この四百八十人のスタッフというのはすべてが生え抜きになっている。そして有能なスタッフをそろえている。だから、一九七四年のヘルシュタット銀行の倒産以来、ドイツには大銀行の倒産というのはない。  この理由はどういうことかという分析が行われましたが、やはり大蔵省、ドイツ連邦銀行、ブンデスバンクですが、それから銀行監督局の三者の連携が非常にうまくいっている、そういうふうな解釈をする方がおります。  我が国監督庁の場合は、人材面でかなり出発の時点では大蔵省のスタッフがほとんど行くわけでございますが、そのことによって監督庁大蔵省の植民地のようになってしまったらまずい。やはり徐々に民間の金融機関から人材を投入して、金融のスペシャリスト集団に衣がえしていくことが私は必要ではないかと。そして、発足から数年後には大蔵省との人事交流を私は絶つべきであると。いずれは完全に遮断するのが本来の監督庁機能を生かすために不可欠のものだ、そういうふうに私は考えるわけですが、この点はいかがですか。
  69. 白須光美

    政府委員(白須光美君) お答え申し上げます。  金融監督庁の職員につきましては、金融監督庁長官の判断によりまして、業務を的確に遂行できるように適切に人事権を行使いたしまして、望ましい人材を確保していくべきところでございます。  ただいま御指摘ございましたとおり、金融監督庁の設立時におきましては、大蔵省からの検査監督事務の移管によります定員の振りかえなどに伴いまして、これらの事務に従事してきた者などの相当数を金融監督庁に移し、活用していく必要があるところでございます。現在、検査監督事務に必要なノウハウというものを有しておりますのはこれらの職員でございますので、まずこれらの職員を円滑に新たな職場に配置いたしまして、新設の金融監督庁の業務が的確にスタートするよう意を用いる必要があると考えておるところでございます。  もとより新たな要員の補充育成につきましても、金融監督庁の業務の充実等に備えまして当然に考えていくべきものでございまして、金融監督庁におきましては、長官の判断のもとで、民間企業等からの人材を含めまして人材の確保育成に努めていくものと考えております。  ただ、若干御理解いただきたい点がございまして、民間からの人材ということにつきましては、処遇その他の面でなかなか難しい面がございます。これは御承知のとおり給与の問題等もございますし、また現実の問題といたしまして、検査ということに当たりましては、大体、実際数名でもってチームを組みまして、それで長期にわたり連続して出張する形で仕事をするというようなこともございます。さらに、金融機関金融取引をなさっている方、あるいは公認会計士等々の業務をなさっている方につきましても、現在の検査の中心を占めます資産査定とか、その辺につきまして、必ずしも現状十分な御知識がある方がそう大勢いらっしゃるというわけでもないというような点がございますので、この辺につきましては、そういう難しい問題があるということについても御理解をいただきたいと存じます。  なお、将来の問題、一般的な形で金融監督庁大蔵省との間につきまして人事交流に制限を設けるかどうかというような点につきましては、一方で省庁間の人事交流につきましては、いわゆる縦割り行政の弊害の是正に資するものであるということなども十分に踏まえまして検討をするべき問題かということでございます。  いずれにいたしましても、庁の大事につきましては、発足後、任命権者でございます長官が適切に判断すべきものと考えているところでございます。
  70. 益田洋介

    益田洋介君 私が今申した、ドイツで監督庁がうまく機能している、三十年間の歴史の中で連銀と大蔵省監督庁連携をうまくとって、そのために銀行を倒産の危機から救ってくることができた、早期に発見して是正することができたわけです。その根幹は何かというと、私が言ったように、やはり独立した人事をすることだというふうに思うわけです。  それじゃ、私は今度は大蔵省の大事には、現在問題がないかという点について質問いたします。  先ほど私が申したように、大蔵省は今まで金融財政の下僕として扱ってきた、そういう傾向があるわけです。これは人事面にもあらわれている。要するに、大蔵省金融のプロを育成してこなかった。そうした長年のひずみがここに来てあらわれている。例えば、国税には国税専門官や税務大学校などのシステムがあります。しかし他方、金融はプロを育成するようなシステムは何にもない。ですから、銀行証券などといった民間の金融機関に何かを教えてもらわないと理解できない部分が大蔵省にはある。  金融自由化国際化が急速に進んでいる現在、スワップやオプションなどのいわゆるデリバティブ、金融派生商品がマーケットの撹乱要因になり始めて、これだけ金融の技術革新が進んでくると、もはや素人集団だけでは金融問題は扱えない。だから、まず隗より始めて、金融のプロ育成に早急に我が国は取り組むべきである、大蔵省は取り組むべきであると私は考えます。  大蔵省でも数年前から検察庁検事などを迎え入れるなどの人事交流を始めているようですが、市場行政に焦点を合わせたスタッフの育成強化を私は一刻も早く進めるべきだ、そういうふうに考えますが、いかがですか。
  71. 武藤敏郎

    政府委員武藤敏郎君) 御指摘のように、金融行政の専門家というものを育成するということは大変大事なことだということは十分認識しております。ただいま委員からも御指摘のありましたとおり、今までもいろいろな人事交流を初めといたしまして専門家の育成に努めてきたところでございますけれども、今後ともなお一層人事の運用の適正を得まして、専門家の育成に十分に注力したいというふうに考えております。
  72. 益田洋介

    益田洋介君 これは監督庁それから大蔵省の大事に共通した課題であると思いますが、こういう例があります。  アメリカでは、さまざまな金融破綻があって、それは十年前から始めて昨年解決をされたわけでありますが、この銀行検査には、ピーク時には二百人の検査官を動員した。これは私がニューヨークへ行って直接聞いてきた話です。  こうしたアメリカの当局の行動の背景には、検査時に銀行の窓口を閉鎖せずに銀行に過重な負担をかけずに資産を洗い直す、そのためには短期集中型の検査が必要だという認識から、こういうふうにしたと。その背景には、社会的コストを極小化するためには検査を通じて問題が小さいうちに実態を把握して病巣を摘出するのが最大の方策である、そういうふうな考え方が背景にはあった、そのように伺っています。  それで、同様に我が国でも公的資金導入を余儀なくされたわけでございますが、海外でも同じような経験をした。これを今後再発しないように未然防止するためには、検査システムというのを充実させなきゃいけない。そういうふうな一連の考え方流れがあって組み立てられた思想であると。  したがって、監督庁についても、大蔵省についても、エキスパートを質、量ともに充実させて、そしてその能力を最大限に引き出していく必要がある。特に、これから監督庁については、今まで大蔵省検査を担当されていた方が行かれてこの問題に取り組むわけですから、こうした質、量ともに能力の充実を図っていかなければならないんではないかと思いますが、いかがですか。
  73. 白須光美

    政府委員(白須光美君) お答え申し上げます。  監督庁の部分につきましてお答え申し上げたいと存じますが、金融監督庁におきましては、これは民間金融機関等の検査監督に専念いたします専門的な行政機関でございます。現状等、またこれまでの行政のやり方等を考えますと、当然その中で特に検査のウエートというものは非常に高いものになるわけでございます。  したがいまして、おのずから金融監督庁におきましては、その検査の質的充実、また要員の育成確保等に注力していくものと考えておりまして、また大蔵省金融検査部等から移ってこられる方々等につきましても、当然これらにおこたえいただけるものというように考えているところでございます。
  74. 益田洋介

    益田洋介君 検査部長、同じ問題について御意見をお願いします。
  75. 中川隆進

    政府委員(中川隆進君) お答えを申し上げます。  検査の充実、検査官の研修等、検査のための知識、経験の充実というのは極めて重要であるという認識はしております。また、検査の要員につきましても、この二年間で約百名、この厳しい定員事情の中で本省、財務局を含めまして百名の増員をいただいているわけでございます。  研修の方につきましても、職員の海外への派遣、例えば最近の例でいいますと、アメリカのFRBに平成二年以降十二名の検査官を研修に出しております。OCCに一名、BOEに一名。また、ロンドンニューヨーク等に長期の出張をしまして現地でいろんな研修をするというのが、六十二年以降ニューヨークに十名、ロンドンに十名。また海外当局に、先生が今御指摘でございましたいわゆるデリバティブ取引等の規制当局、CFTCに長期に研修に出す、あるいは国際銀行業務監督研修ということで、バーゼルにこれまで四名の研修を出す等々、いろいろ最近の金融自由化、複雑化に対応すべく検査官の研修あるいは検査内容の充実に努めているところでございます。  今後とも努力してまいりたいというふうに存じています。
  76. 益田洋介

    益田洋介君 監督庁監督体制についてもう一問質問をいたします。  監督体制をめぐる一つの切り口として、金融監督機関金融機関自身にどのようにして、またどこまでイニシアチブをとらせるか、引き出していくか、こういうふうな監督体制の見方があるんではないかと思います。  例えば、決済システムの安定やマネーマーケットでの公正取引への信認が動揺をしたときは社会的コストが余りにも大きくなる。そういうときは、政府の判断によって公的な介入もせざるを得ない。逆に言うと、公共介入を根拠づけているのは、その信用不安へのリスクがある場合。しかし一方では、破綻の回避のためのリスクのコントロール、それから過度のリスクエクスポージャーの抑制については、銀行証券などの金融機関自身の経営目標に帰属するものであるから、ますますウエートを増しています。  先ほども言いましたが、デリバティブなどの先端商品取引については、在来型の監督当局による一方的な監督を続けるわけにいかない、やはり被監督者である金融機関努力が望まれることであると。  そこで、アメリカはどういうふうに今考えているかといいますと、監督という社会的目標をうまく統合させる。そのために、インセンティブ・コンパティブル、そうしたアプローチの可能性が探られている。この反対の用語はコマンド・アンド・コントロール・アプローチと言っているそうですが、そうした努力をしていく必要がある。例えば、市場リスクにかかわるBISの自己資本比率規制、これは九八年から実施される予定でございますが、みずから開発した内部リスク計測モデルを用いたリスク量を報告させ、それに応じた自己資本額を積んでいく、こういうふうなシステムが金融問題特別委員会で議決された早期是正措置には盛り込まれているわけでございます。  私は、監督当局による管理と企業の自己管理とのバランスのあり方が今後の金融監督庁における大きな課題一つになるのではないか、そのように思いますが、いかがでしょうか。
  77. 白須光美

    政府委員(白須光美君) お答え申し上げます。  議員御指摘のとおり、今後の金融監督庁行政を行っていくに当たりましては、自己責任原則を徹底していく、そしてまた、市場規律を十分発揮して、これを基軸といたしまして透明性の高い行政を行っていくことが重要というように考えているところでございます。  このため、まず金融機関自己責任原則を徹底していただく。これを前提といたしました上で、ディスクロージャーの拡充によりまして市場のチェック機能を活用していく。その上で、この市場規律を補完するものといたしまして、ただいまお話のございました自己資本比率といいます客観的な指標に基づきます新しい監督手法でございます早期是正措置を的確に運用する。あるいは、マーケットリスク等々につきましてのリスク管理体制等の検査によりますチェック、これもいわゆる単なる一律的な何とか比率とかなんとかより、各社がどういうことをやっているか、こういうようなことにつきましては、BIS等々において各監督当局、中央銀行等との間におきましていろいろ研究がなされたり、情報交換がなされているようにも聞いております。  これらのところにつきましてのチェックの充実などを図るなどいたしまして、行政サイドといたしましては、こういう事後チェックを中心といたしまして検査監督機能を発揮していくことが必要というふうに考えているところでございます。  先ほども申し上げましたとおり、金融監督庁検査監督を行います専門的な機関ということでございますので、このような自己責任原則を前提といたしまして、ルールに基づいて透明かつ公正に検査監督機能を発揮していくべきものであろう、かように考えているところでございます。
  78. 益田洋介

    益田洋介君 それで、自己資本比率の算定に当たって、それの基になる自己資産の評価については各金融機関が行うわけでありますので、金融機関が勝手に資産内容を高く評価するというおそれが当然出てくるわけであります。その場合には外部の監査法人を使って独立した監査をさせればいいじゃないかというふうなお話をこの間されておりました。  しかし、問題は、その監査法人自体が果たしてどこまで信用できるかということで、やはり日本の企業のなれ合いで、企業内の監査役であるとか、あるいは外部の監査法人であっても企業に雇われている監査法人というのはかなり企業のトップの意向を反映したような監査結果を出す。そうすると、自己資本比率というものの根底になる自己資産の評価があいまいになってくる、私はこういうおそれがあると思うんです。  先ほど、五年前に倒産した大手スーパーのイトーヨーカドーの話をされておりました。これは総会屋の話だったんですが、この場合は常勤の監査役が総会屋に現金を渡した。こんなことがあるので、私は完全にこれを責任を持って信頼していいのかどうかということに非常に疑問を持っております。  これは大蔵委員会でもお話をしたんですが、ことし四月、日本監査役協会の全国会議で発表された千百九十一社の監査役を対象の調査結果で、企業に不祥事が起こる背景としては、四二%が監査役の監査が実際に機能してないからと答えている。  ですから、私は、監査役の制度がもっと実効性のあるように機能するために、こういうふうな立法措置をとって、監査役に対する、監査義務違反に対する罪をもっと厳しく問うべきではないか。  それ以外に、日本における監査法人の監査の機能の充実というのは考えられないんじゃないか、そのように思いますが、いかがですか。
  79. 山口公生

    政府委員山口公生君) お答え申し上げます。  監査役全般の話になりますとすべての企業に適用される商法の話になろうかと思いますので、ちょっと狭い概念でございますが、金融に関して申し上げたいと思うのでございます。  金融に関しますと、こういった監査役あるいは先生の御指摘の外部監査、こういったものが正確にまた信頼たり得る監査をやっているかということにつきまして、最終的にはやはり当局のチェックということが求められるのであろうと思うわけでございます。したがいまして、先生が御指摘のように、基本的には自己管理というものが基本になっていくと思います。  ただ、その自己管理をしっかりやっているかどうかを当局がやっぱりきちっと見ていく。それが悉皆的にやれる状況にはとてもならないと思いますので、例えば抽出して調査する、あるいは、そういった管理体制ができているかどうかを十分に見るというような形でその実を上げていくということではないかと思うわけでございます。
  80. 益田洋介

    益田洋介君 監査についてもう一件お尋ねいたします。  近年、金融破綻に陥るのは、銀行であるとかそれから地銀であるとかといったところばかりでなく、日産生命が金融破綻を起こして千八百億円を超える債務超過がわかったわけです。大蔵省は同社に対して一九九五年に検査に入ったわけでございますが、その際、千三百億円の債務超過を既に確認していた。そして報告書には、資産内容に問題あり、そういうふうに指摘してあった。しかし、何ら特段の措置をとっていなかったため、米本社長は後に、実は九五年からでなく九三年から債務超過だった、大蔵省も当然知っていたはずだ、こういうふうに言っているんです。事実であれば、四年間も債務超過が継続していた状態であったのに、大蔵省によってこれを放置された。  そしてそのことを、先ほど言ったように国民の前から隠ぺいして、資産があるような報告を続けさせてきた。その間も保険の新規加入者がいたわけで、もしこうしたことが九三年の時点で大蔵省の手によって国民の前につまびらかになされていれば、こうした新規加入者というのはいなかった。  今度は、その保険料を清算するに当たって一部は加入者の方にも負担してもらわなきゃいけない。  新規加入者は大変な迷惑ですよ、大蔵省が発表しなかったから。  そして、これは決算に際して大蔵省が加担した、粉飾決算の共犯者だと言われている。兵庫銀行や太平洋銀行、阪和銀行も粉飾決算を大蔵省から指摘されたけれども、大蔵省は公表せずに責任の所在を明らかにしていない。  この点についていかがでしょうか。
  81. 福田誠

    政府委員(福田誠君) 日産生命中心の御質問でございますので、私の方からお答えさせていただきます。  今、日産生命の財務状況についてお尋ねでございましたが、同社につきましても一般的な経理基準にのっとって決算を行ってきておりまして、少なくとも平成七年度決算までは決算上債務超過とはなっておりません。一般的に、企業が事業継続している状況のもとで債務超過か否かの議論はオンバランスによるバランスシート、いわゆる公表用の貸借対照表ベースで行われるものでございます。これはどの業界につきましても同じでございます。  ただ、これまでも申し上げてまいりましたように、平成七年九月の検査実施した段階で資産の内容が極めて悪化しておりましたので、その時点で資産を時価評価したわけでございます。その結果、その時点で時価ベースで負債が資産を超過する状態、いわゆる実質債務超過状態であることがわかったわけでございます。  大蔵省におきましては、日産生命に対しまして、バブル崩壊後の平成四年度以降、数次にわたり収益改善計画等を求めてまいりました。さらに、今申し上げました平成七年九月の検査結果を踏まえまして、一層強く財務の改善を指導したところでございまして、七年度については収益状況の改善も認められたわけでございます。八年度からはさらに日産・日立グループの企業支援等々を柱とする改善計画の策定方を指導したわけでございますが、八年度末において金利低下等々の影響によりまして事業継続が困難になったわけでございます。  今申し上げましたように、日産生命に対しましては経営改善計画の遂行を再三にわたり強く求めてきたところでございまして、大蔵省が何ら対策を打たなかったという御指摘は当たらないのではないかと存じます。  ただ、一般論として申し上げますと、免許会社たる保険会社は、経営がたとえ悪化した場合でも多数の保険契約者を抱えているわけでございますから最大限の自己努力により経営立て直しを図るべきでございますし、私どももそのような経営者の自己努力を要請し、指導していくべき立場にあると考えております。
  82. 益田洋介

    益田洋介君 検査結果がわかっているのにきちんとした保険加入者その他、要するに国民に対して発表しないから、警告を発しないから、こういう被害が出るんでしょう。検査結果を発表しないんだったら何のための検査なんですか。
  83. 中川隆進

    政府委員(中川隆進君) お答えを申し上げます。  先ほども、検査結果の発表ということについての問題がいろいろあるということを御説明申し上げたわけでございます。今、保険部長も御説明いたしましたように、日産生命につきましては、私どもの金融検査部の方で平成七年九月に検査実施いたしました。その際、同社につきましては、高コスト商品を大量販売して大幅な逆ざやとなっておりまして、経営を大きく圧迫していたわけでございます。また、資産内容につきましても急速に悪化しまして、含み損が内部留保を大幅に上回るというような状況でございました。  今、委員の御指摘で、何のために検査をしているのかという御指摘がございましたけれども、検査につきましては、監督一環として検査をしているわけでございます。保険会社の経営の健全性あるいは営業姿勢、営業内容ということにつきまして問題点を把握いたしまして、監督部門の方に伝えるとともに、監督部門の方で適切に改善計画の提出を要請し、指導をしてきた、こういう経緯でございます。  したがいまして、検査結果につきましては、監督一環として検査をいたしておりまして、それを踏まえまして厳正に是正指導をする、そういうための検査であるというふうに理解をいたしております。したがいまして、検査結果そのものを公表するということは私どもは適当ではないのではないかというふうに考えているところでございます。
  84. 益田洋介

    益田洋介君 これから検査部長も金融監督庁にお移りになってまた監督検査をお続けになるわけでございましょうけれども、今のような言い方をしていたのでは、今度新しく設置される金融監督庁というのは信頼のできる責任を持った官庁になれないんじゃないかという不安を私は持ちますけれども、いかがですか。  受益者というのは一般国民なんですよ。それで、わずかのお金でみんな将来の生活を支えるために保険に入るわけですよ。そういう人たちに対して事実を隠ぺいしていて、それで何も落ち度がなかったなんということがどうして言えるんですか。
  85. 中川隆進

    政府委員(中川隆進君) 重ねてお答えを申し上げます。  保険会社に対します検査の目的でございますが、大蔵省の保険会社に対します検査は、保険業法第百二十九条等に基づきまして、保険会社の業務の健全かつ適切な運営を確保し、保険契約者等の保護を図るため行っております。監督一環として検査実施いたしております。したがいまして、保険会社の業務の状況、経営内容あるいは業務運営の状況等を的確に把握しまして、問題点を指摘し、改善を求めているわけでございます。  今申し上げました点につきまして監督部局の方に事実関係を正確に伝え、監督部局の方で厳正に指導監督をし、改善を求めている、こういう役割になっているわけでございます。
  86. 益田洋介

    益田洋介君 要するに、検査部長が今言っていることは、検査した結果が監督にうまく生かされていない。検査監督というのはやっぱり一体不可分の機能です。検査したけれども、監督しない、指導しない、これじゃ意味がないんですよ。  今度の金融監督庁で、お移りになられたら、そういうことをよくお考えになって、大蔵省にいる間はできないかもしれないけれども。そういうことじゃ困るんです、金融監督庁は。おわかりですか。
  87. 福田誠

    政府委員(福田誠君) お答えいたします。  ただいま検査部長が答弁申し上げましたように、行政部局におきましては、検査結果を受けとめまして、そのときそのときで最適な経営改善計画を求めていく立場にございます。  平成七年九月の時点では、残存する含み資産等もありまして、さらに経営改善計画も遂行中でございましたので、自助努力による再建が可能と判断したわけでございますが、その後の株式投資の失敗等々により事業継続断念に至ったものでございます。  そして、一般的に保険会社のディスクロージャーといいますか財務の公開が不十分ではないかという御指摘につきましては、確かにディスクロージャーというのは大変重要なことでございますので、検査の結果の公表とは別の問題としてディスクロージャーの充実についてはこれからも図っていかなければならないと考えております。  ただ、保険会社のディスクロージャーが特別に劣後するということはあくまでございませんで、例えば不良債権につきましても都銀等と同レベルの開示範囲を既に開示しておりますし、それから有価証券の時価情報等につきましても、市場性のあるものについては低価法によりきちっと開示するというような手だてが講じられておりますので、この辺につきましては、今後とも一般的な問題としてできる限り充実を図ってまいりたいというふうに考えております。
  88. 益田洋介

    益田洋介君 金融監督庁法案はそういう名前になっておりますが、もともとの考えでいた名称というのは金融検査監督庁、こういう名前だったんですよね。法制上は監督というのは検査も含むものである、こういうふうに理解しているわけでありますし、現行の銀行法上でも同じような構成になっている。監督検査を含む、そういうことになっている。  しかし、依然として護送船団方式によってそれがきちっと行われていない。検査をして赤字がわかったり、破綻が予想されたとしても監督していない。それならば、金融監督庁でもやはり将来的には検査監督というのは分けなきゃしょうがない、監督できないんだったら。  新しい金融監督庁においては、検査した上できちっとした監督する、そういう約束ができますか。
  89. 白須光美

    政府委員(白須光美君) お答え申し上げます。  今般の金融監督庁設置につきましては、先ほど申し上げましたとおり、民間金融機関等に対します検査監督執行面機能を一体といたしまして金融監督庁が担う、また企画立案を担います大蔵省とこれを分担していくということで、透明かつ公正な金融行政への転換に資するということを期しているわけでございます。  金融監督庁におきましては、民間金融機関等に対します検査監督を専門的に行う行政機関ということでございますので、検査機能をまず適切に発揮いたしまして、これに基づきまして監督機能を的確に果たす、これによって検査によります事後チェック機能を重視いたしました金融行政を実現していくことが求められているものと考えております。  したがいまして、検査監督の両機能につきましては、新たな金融監督庁のもとでそれぞれの機能を適切に果たしまして、的確有効に連動していくことが必要と、そのように最善の努力を果たしていきたいというふうに考えております。
  90. 益田洋介

    益田洋介君 私は、こういうことでいろいろな負担を強いながら、検査とか考査とかいって、しかし実際に検査結果を監督してくれないんだったら、今後は日本金融機関というのは自由化にも伴ってもう自律した経営に専念せざるを得ない、そういうふうに私は考えるのであります。  不良債権問題の処理や自己査定を前提とした早期是正措置の導入など、私は企業が内部統制チェックをこれからもっとふやしていくと思いますよ。だって、実際に悪い面を見たって、指摘したって改善するように指導してくれない、手を差し伸べてくれない、悪くなればなったで自分が悪いんだろう、こういう言い方でしょう。何のために検査しているんだと。さっきと同じ問題にたどり着くわけです。  ビッグバンによって金融のグローバルスタンダードを目指していると大蔵大臣は何回も言っていますけれども、どういうものがグローバルスタンダードなんですか。
  91. 三塚博

    国務大臣三塚博君) 市場経済の最先端を行くマーケットでありますから、市場原理に基づいて自己責任を貫徹していくということに尽きるのだと思います。
  92. 益田洋介

    益田洋介君 それでは、金融監督庁検査と日銀の考査をどういうふうに位置づけ、また区分するんですか。
  93. 三塚博

    国務大臣三塚博君) この点は、金融システムという安定したシステムが取り進められるということイコールで預金者でありましたり、委託者でありましたり、契約者でありましたり、市場投資の皆さんに対する最低の基本的な備えだけは、枠組みと言った方がいいんでしょうか、これだけはっくり上げておく必要があるのではないか、こう思っております。
  94. 益田洋介

    益田洋介君 検査監督機能の一元化という面ではまだ問題が残されている。例えば、農林系の金融機関は農林水産省、労働金庫は労働省、ノンバンクの一部は通産省との共同管轄にする。金融というものはシステマティックにできているので、一つの事象が起きますとすぐほかに波及するという連鎖性を持っています。だから、逆に言えば、さっきから繰り返し言っているように、一元的に検査監督をしていかなければ的確な情報の構築や対応はできない。実際にできていないからこういう問題が起きているんですよ、さっき言った日産生命みたいな事案については。そして、責任の所在は常にあいまいになっている。  もしするのであれば、法制上一緒であるならば、検査監督は一元的にきちっと行われなければいけない、そう思いますけれども、いかがですか。
  95. 白須光美

    政府委員(白須光美君) 今般の金融行政機構改革におきましては、現在、大蔵大臣と各省大臣との共管になっております系統金融機関あるいは労働金庫等につきましては、内閣総理大臣と各省大臣の共管とすることといたしているわけでございます。これは、各省で行われております検査監督がそれぞれの行政の目的、労働行政あるいは農政、これらの目的を踏まえまして実施されますとともに、金融監督庁が、金融行政観点から民間金融機関等に対する検査監督を所掌する機関といたしまして検査監督することが必要という考え方によるものでございます。  複数ございますとこれがうまくいかないのではないかという御指摘もございます。  それぞれがそれぞれのものにつきまして、いずれもこの金融監督庁というものが入っているということによりまして、金融行政観点からは、検査監督を専門的に行います新しい行政機関が、各省と共管となっております金融機関につきましても、このような立場を踏まえまして適切に検査監督機能を発揮する、このようにしてまいりたいというふうに考えているところでございます。
  96. 益田洋介

    益田洋介君 おっしゃっていることを必ず実現していただきたい。私たち国会議員は注目してまいります。  それで、私がなぜそのことを心配したかというと、住専問題というのはまさにそれだったんです。農水と大蔵は検査機能が、監督機能が分かれていた。そのためにああいう問題が起きたんです。そうじやありませんか。あのとき、覚書だとかなんとかへんてこりんなものまでたくさん出てきました。なるべく早くああいうことは忘れたいと思っていますが。だけれども、今回起こった日産生命の事件だって、第二の住専ですよ。こういうことは今後も起こりますよ、実際に起こっているんだから。  それから、世界最大の金融機関と言われる郵便貯金も金融監督庁の管轄外になるんだ。この点はいかがですか。
  97. 白須光美

    政府委員(白須光美君) 郵便貯金につきましては、これはまさに行政機関でございます郵政省自身が行っておられるものでございますので、金融監督庁の管轄外でございます。
  98. 益田洋介

    益田洋介君 それはわかっている。それは法案から読めるわけです。それじゃ本当はまずいでしょうというわけです。金融監督は一元化すべきだというのが私の意見なんです。その点についてはいかがですか。
  99. 白須光美

    政府委員(白須光美君) お答え申し上げます。  民間金融機関等の監督ということにつきましては、その目的につきましては、特に預金受け入れ機関については信用の維持また預金者等の保護、金融の円滑と、こういうことを目的としているわけでございます。それを目的といたしまして検査監督を行う。その場合におきまして、これは民間金融機関ということによりまして、これらの目的が問題となるというわけでございますので、まさに国そのものでございます郵便貯金につきましては、これらとはまた違った観点での検査なり監督なり、それもあるとすればでございますが、行われるべきものであろうというふうに考えているところでございます。
  100. 益田洋介

    益田洋介君 そうした縦割り行政のことしか頭にない非常に硬直した考え方です。柔軟性がない。これからビッグバンなんという大きな仕事をするために、そういう考え方ではだめですよ。  もっとドラスチックな変化を求めないと何も変えられない。  大蔵大臣がいらっしゃらなかったときに私が言っていたのは、一元的な検査監督をしないと省庁再編の突破口の役割は果たせないんじゃないかと。先ほど申し上げたように、労働金庫、ノンバンク、それから郵便貯金、みんな違うんです。しかし、検査とそれに基づく監督というのは、これはやっぱり一元化すべきではないかと私はさっきから言っているんですけれども、政府委員の方はどうもよくわからないみたいなんです。  大臣の御意見を聞かせてください。
  101. 三塚博

    国務大臣三塚博君) 金融の一元化という一つの目標は、国会論議の中でも、また民間、学者先生等からもお聞きをいたしておるところでございます。  そういう中で、ドラスチックな今日の金融監督庁という役所が、機関ができることによりまして、さらに徹底した形の中で公共性を貫こうと。  そのことによって金融がさらに円滑に回っていくでしょうし、金融に対する国民信頼感がキープされるであろう、こういうことであります。  そういう中で、労金、農中、商中、それぞれありますが、御承知のとおり政策的な目的を持って今日まで来ました、よってその政策目的を達成するためには市中金融機関と同一に考えて進めることに問題がある。こういうことで、本件は共管という形で、それぞれの検査監督はそれぞれの所管庁が行う。郵便局の場合は郵政監察局がきちっと各ブロック別にございまして、徹底した常時の検査体制にあることは、益田議員も既に御案内のとおりであろうと思います。  時代の大きな流れの中で行政改革が進んでまいります。その行政改革の大くくりの中で今後どう決定してまいるかは内閣の大きな仕事でありましょうし、同時に国会のまた役目であろう。国民世論の動向を私どもは重く見つめながら、また行政改革という大テーマの中で今後全体をにらみながら取り組んでいかなければならない問題であると申し上げさせていただきます。
  102. 益田洋介

    益田洋介君 私がるる申し上げているように、今度の設置法案は、ビッグバンという非常に大きな試み、挑戦、総理の言葉をかりれば政治生命をかけても実現させる、そうでなきゃ日本は救えないと。もっとまじめに考えてくださいよ。その場限りの言い逃れじゃだめなんだ。変えるんだから、みんなで変えていこうとしているんだから。  考え方を変えてください。  それで、そこまで決意されて、総理はさらにおっしゃいましたよね。自分の内閣でできなければやはりその道だけは、レールを敷く作業ぐらいはしたい、その後、やはり日本の将来のためにはどうしてもこの改革というのは進めなきゃいけないことなんだから、次の内閣にバトンタッチしても進めていただきたい、そこまで言っているわけです。  今、どうもお話を聞いていると、ビッグバンとか省庁再編という両方の側面から見て余りに整合性に欠けていることが多過ぎるんですよ、この法案は。だから、形だけの大蔵省改革と言えばちょっと失礼かもしれないけれども、かなり狭窄的な改革であることは違いない。最初だからしようがないんだ、フロントランナー、フロントランナーと大分何回も大蔵大臣は言われてる。それは違うと私はいつも言っていて、それでもまだフロントランナーとおっしゃっています。その話はいいとして。  百歩譲って、仮にこれが将来の省庁再編までの過渡的な仕組みだ、出発点だと、そのように考えてみても、今のような政府委員の御答弁を聞いていますと、旧態依然の手法にしか私は考えられないんですよ。金融破綻というのは待ってくれない、ばたばたばたばたつぶれるんですから、不祥事は起きてくるし、私はこういうふうな考え方ではどうも先に進めないんじゃないかと。  この点について、官房長官、これは総理府の外局になるわけですから、どういうふうにお思いですか。省庁再編までの今過渡的な段階である、出発点だからしようがない、もう一回将来的にまずいところがあったら見直していこう、そういうお考えですか。
  103. 梶山静六

    国務大臣梶山静六君) 一昨年末からの住専問題に端を発した、いわば金融に対する不信感、そしてまたこれを指導してまいった大蔵省に対する不信感、こういうものをそれぞれ各党各会派が受けとめながら、そして世論の動向を見定めながら、この方式がいいだろうと思って三党が決めたことであるし、また閣議で決定をいたして今回の提案に至ったわけであります。  そういうことを考えますと、将来先の全般的な行政改革その他を見据えてからといって先送りをすることができる問題であるかどうか。これを考えれば、私はやはり金融行政の中でのいわば企画部門執行部門の峻別というか、はっきり分けて相対峙する、透明性と緊張感を持つことがまず金融信用を回復する第一歩であり、また行政への信頼を増す第一歩である、その意味でこの機関ができたということを御認識いただきたいと思います。  そして、これが将来にわたってすべてを解決できるかと言われますと、それはなかなか困難な問題がございます。幾ら懸命にやってみても、今回の野村の問題であるとか一勧の問題は、行政だけがこれに全力を挙げて解明ができるかといいますと、残念ながらそれは不可能であります。まずもってこれから金融界自身が独立をし、そして国際化をし、自由な競争をやるという上には、自分自身のモラルというか、一つの統一したルールが必要であります。これは自分自身がつくり上げなければ信用を失う。信用を失うということは金融が崩壊をするということでありますから、どんなことがあってもこれは避けて通れない。  しかし、我々行政を預かる者として、金融が勝手にやっていっていいのか、強ければいいのかというだけではないわけでありまして、それには一つの社会的な規矩というか物差し、ルールが必要でありますから、そういう物差しをつくり、そしてやがて金融不安や預金者保護にならないような状態が起きないようにするためのルールづくりをする。そのルールを本当に検査をして、これはだめですよと。幾ら銀行がもうかっても、悪いことをしてもうけたのでは何にもなりません。そういうことに対する一定の基準と監視体制をつくることが金融行政の一番大切な分野であります。  そういうものに向けてこれからも誠心誠意全力を挙げて努力をしてまいります金融監督庁でありますから、ぜひとも御賛成のほどを願いたいと思います。
  104. 益田洋介

    益田洋介君 最近になりまして、イギリス及びアメリカで金融監督を一元化しよう、こういうふうな考えが発表されております。  例えば、イギリスの場合は、イングランド銀行、BOEが現在のところ担当しております銀行監督のほか、証券、保険業の監督もすべて一機関に集中させよう、こういう発表がなされております。ブラウン大蔵大臣が二十日の議会演説でこのことを発表しました。なぜこういう必要性があるか。さらにシティーの競争力を高める、それが目的である、こういうふうに言っているんですよ。  具体的には大蔵大臣の指揮下にある証券投資委員会、SIBを改組して、組織がえをして、そして拡充して、それがすべての金融機関検査監督を一元化する、そう言っているんです。今、私どもが議論審議している日本監督庁というのは全部分かれている。アメリカでも同じことを発表している。これは多分連絡をとり合ってそういうふうになったんでしょう。  我が国の今我々が審議している法案は全くそれに逆行しようとしているんです。だから、私は口を酸っぱくして郵便も郵貯も農林も銀行も保険もみんな一緒にしなきゃいけないんだと言っているのにわからない。もうちょっと勉強してください。大蔵大臣、ちょっと答えてください。これをどう思いますか。アメリカでもイギリスでも一元化すると言っているんです。日本金融監督庁は違う、ばらばらの方がいいと言っているんです。  だから、だんだんおくれていくんですよ。日本は既に十年、十五年おくれているんですから。  ちょっと一言お願いします。
  105. 三塚博

    国務大臣三塚博君) 金融監督庁ということで、これまたビッグバンに向かう一つの仕組みであります。日銀法またしかり、外為法もまたしかり、こういう中でスタートを今切っておるわけでございまして、この心はその後も続きます。金融、保険等の三審議会が今月中には最終答申を出してまいります。それはまさに日本版ビッグバンの姿を明示するものと期待をいたしておりますが、直ちにやれるものはやります。法律を要するものは作成に入り、次の国会に、通常国会という意味でありますが、最小限そこをめどにやらせていただく、こういうことであります。  政策金融全体のあり方については、行革がこのことにただいま専念をしておるものと思っておりますし、時代の進運、潮流に行政、政治が沿っていくということで基本が流れておることだけは間違いありませんし、国務大臣の一人として私もそのことに全力を尽くしてまいりたいと思っております。
  106. 益田洋介

    益田洋介君 終わります。
  107. 清水澄子

    ○清水澄子君 本日、大蔵改革並びに金融改革審議に当たりまして、預金保険機構からの御出席をお願いいたしましたところ、松田理事長が御出席くださいまして、まことにありがとうございます。  そこで、理事長に早速お伺いをしたいと思います。  バブル崩壊後の一連の金融機関の破綻に対しまして預金保険機構から資金の拠出が行われましたけれども、この預金保険機構からの一連の資金助成額はどういうふうになされたか、まず御説明いただきたいと思います。
  108. 松田昇

    参考人(松田昇君) お答えをいたします。  当機構は昭和四十六年に設立いたしましたけれども、資金援助を行いましたのが平成四年の四月以降でございます。十六件の資金援助をいたしまして合計で二兆八百億円、うち貸し付けが一件八十億円、そのほかに昨年の法改正で導入されました整理回収銀行によります破綻信用組合の資産の買い取りという制度がございます。それで約九百億円、合計で二兆一千七百八十億円を拠出いたしております。
  109. 清水澄子

    ○清水澄子君 次に、預金保険機構責任準備金の残高についてですけれども、九六年度末を含めて最近三年間の数字をお示しいただけたらと思います。
  110. 松田昇

    参考人(松田昇君) お答えをいたします。  責任準備金は、平成七年三月末、これは六年度末になりますが、このときが八千七百六十億円でございました。翌平成八年三月末、これは平成七年度末になるわけでございますが、そのときには三千八百六十五億円となっております。九六年度末、つまり平成九年三月末の責任準備金は、現在作業中で細かな数字は確定いたしておりませんけれども、おおよそ一般勘定で申しますと百五十億円が残っておりまして、それから一般金融機関特別勘定では一千九百億円が残っておりますが、一方で信用協同組合特別勘定が出費が多うございましたので、計で六千億円ぐらいの欠損となる見込みでございます。  したがいまして、預金保険機構全体といたしましては、合計で四千億円の欠損が生じている、こういう状況にございます。
  111. 清水澄子

    ○清水澄子君 これは、九五年八月に破綻をしました木津信用組合に対する一兆三百四十億円という多額の資金援助を行った、こういうことでこの責任準備金が底をついてしまったということだと思います。  そこで、日銀からは今どのくらい借り入れをされていらっしゃるんでしょうか。それらの事実関係をひとつお話しください。
  112. 松田昇

    参考人(松田昇君) お答えをいたします。  現在、日銀からの借入残額は五千四百六十一億円でございます。借り入れが始まりましたのは八年の九月からでございまして、私どもの傘下の整理回収銀行への出資のための一部借り入れから始まりまして、その後三、四の信用組合の破綻に伴いまして借り入れを行って、現在に至っているということでございます。
  113. 清水澄子

    ○清水澄子君 大蔵大臣にお伺いしたいと思います。  昨年度の金融三法の成立によりまして、預金保険料が七倍に引き上げられたわけです。ですから、ことしから準備金の残高は少しふえていくと思いますけれども、ただいまお話がありましたように、金融機関が破綻したときに預金を保護する預金保険機構財政事情というのは余りにも深刻な状況にあると思いますが、大蔵省は、二〇〇一年の四月時点で責任準備金の残高はどの程度になりそうだというふうに推定されておられるでしょうか。その根拠とあわせてお考えをお示しください。
  114. 山口公生

    政府委員山口公生君) お答え申し上げます。  昨年の通常国会におきまして金融三法を成立させていただきまして、二〇〇〇年度末までの間、金融機関の破綻処理に際して預金を全額保護することができるような制度をお認めいただいたところでございます。そのために八年度から保険料率を七倍に引き上げさせていただいておりますが、それによりますと、五年間の資金は二・七兆円程度が利用可能額として出てくるわけでございます。  一方、八年度以降に決定しました同機構の資金援助は七件ございまして、太平洋銀行、福井県第一信組、けんみん大和信組、山陽信組、木津信組、三福信組という破綻処理に対する資金援助がございました。これが合計一・四兆円弱となっております。特に、御指摘の木津信用組合の場合は一兆円を超す大きな額となったわけでございます。  昨年導入しました特別保険料につきましては、今後の損益の状況、金融機関の財務内容等を勘案の上、十年度末までに見直しを行うこととしておりますが、先生の今お尋ねになりました、ちょうど二〇〇一年の四月時点、つまり特例期間が終わるときの責任準備金の残高となりますと、現時点でどれくらい金融機関が破綻すると見込むかという点が大変難しく、また困難なものでございますので、現時点におきまして同機構の将来のある時点における責任準備金の残高がどうなるかということについては、ちょっと申し上げることは難しいということを御理解賜りたいと思います。
  115. 清水澄子

    ○清水澄子君 いつでも大蔵省は、難しい、それを報告するといろんな障害がある、こういうことで、私たちはその状況がなかなかわからない。そして、一方ではやはり情報公開だとか透明性だとか自己責任だけはおっしゃるわけですが、やはりおおよそこういうふうに推定されるという予測がなければ、私はそれは対処できないんじゃないかと思います。  そこで、通産省は、二〇〇一年四月時点でどの程度の資金が積み立てられているかというのを産業構造審議会検討資料として試算をしております。それによりますと、九七年度以降も過去五年間と同じペースで金融機関が破綻するという前提です。そして二〇〇一年三月までは、破綻に際して預金を全額保護し、預金保険機構が資金を援助すると。この二つを前提とした上で、二〇〇一年四月時点では、預金保険機構に積み立てられる責任準備金の残高を一兆千八百五十億円と試算しておりますが、この数字、こういう考え方に対して大蔵省は何にも試算をしていらっしゃらないんでしょうか。それとも、どういう御見解をお持ちでしょうか。これは、大臣、ぜひお答えください。
  116. 山口公生

    政府委員山口公生君) 大臣の御答弁の前にちょっと事実関係で、先ほど私が御答弁申し上げた資金援助の具体的な例の中で、大阪信用組合というのをちょっと抜かして御説明しましたので、追加させていただきたいと思います。  さて、お尋ねの、将来の責任準備金の残高についての試算でございますけれども、いろいろな前提を置いて仮計算すれば、それぞれ計算はできると思います。しかし、私ども銀行行政に携わらせていただいております当局におきまして、あと何件ぐらい破綻が起きるか、あるいはどれくらいの規模のものが幾ら起きるかということを大胆に推測することはちょっと差し控えた方がいいのではないかなという感じがいたしますので、その点は御了承をお願いしたいと思います。
  117. 三塚博

    国務大臣三塚博君) 金融事業の持つ波及的な問題というのが絶えず金融行政の根幹にございます。先ほど来の御質疑にもいろいろとありましたが、問題は、決めつけてしまいますと、その瞬間アウトになります。自助努力の中で頑張り抜くということであれば、それを信頼するというのが当事者としての大事なポイントのように思っております。全くだめなものはだめであります。検査の結果、監督権限である改善命令等を発しまして、そのことが忠実に守られるのであれば再生するなと、こういうことでございます。  そういう中でありましても、格付会社というようなものがございまして、世界的なものもありますし、国内的なものもあるようでありますが、それぞれ発表をされてまいります。そういう中で、格付されましても頑張り抜けばランクが上に上がるというのもマーケット決定の中で見られるわけでございます。  そこで、御質問の本体でありますが、これからどうなるのであろうかという意味で、産構審の産業金融委員会中間報告、私もそのエッセンスだけは拝見をいたしました。推計されることは、それぞれのお立場でありますから勝手であります。  同時に、そのことは激励として受けとめながら、また、その危険がありますよという受けとめ方をすることによって万全の備えをしていくということでございます。  よって、これから何件つぶれて、何件新しいものができてどうということでは、とてもできることではございません。その時点でそうかもしれませんが、血みどろの努力、その金融機関の持つ社会的な存在、また信頼度というのがありますから、それだけひどい目に遭ったな、こういうことであればみんなでサポートする場合のケースもお聞きをいたしておるところでありますので、その点、試算が大変難しいと銀行局長の言われました、官僚として言いにくい点を小生から申し上げさせていただきました。  御理解のほどお願い申し上げます。
  118. 清水澄子

    ○清水澄子君 言いにくいところを聞きたいわけなんですが、やはり金融機関の方をある程度保護しなきゃならないというのもわかりますけれども、やはり預金者のこともこれからむしろビッグバンとおっしゃるんだったら非常に重要だと思うんです。ですから、そういう点でやはりある程度国民の方もいろいろ判断ができるような情報は私は必要だろうと思います。  そこで、大蔵大臣、アメリカの連邦預金保険公社の資金残高はどの程度あるのでしょうか。また、総額、預金の残高ですね、それは日米それぞれどのようになっておりますでしょうか。
  119. 山口公生

    政府委員山口公生君) お答え申し上げます。  アメリカの連邦預金保険公社、FDICの発表によりますと、九六年末時点の同公社の責任準備金残高は約三百四十億ドル、日本円にしますと約三兆九千億円でございます。九六年末時点で同公社に加入しております金融機関の保険の対象預金総額を申し上げますと約三兆四千五百五十億ドル、日本円にしますと約四百兆六千八百億円でございます。したがいまして、先ほど二つ申し上げました責任準備金残高の数字の比率を求めますと、約〇・九八%となるわけでございます。  その点、我が国の預金保険機構の九六年三月末時点の責任準備金残高は、先ほど理事長からも御説明がありましたように約三千八百六十五億円であります。それに対応します保険対象預金総額は約五百五十兆六千億でございますので、この比率を出しますと約〇・〇七%でございます。今、比較してみますと、責任準備金の残高が少ないということで、日本の方が非常に率が低くなっているということは事実でございますが、その背景には、木津信組のような大きな破綻が起きたというようなこと、不良債権処理で破綻処理にかなりそういった社会的なコストを今かけていること、こういう時点の違いもあろうかと思うわけでございます。
  120. 清水澄子

    ○清水澄子君 今御報告のありました現実の数字に対して、預金保険機構事長そして大蔵大臣はどのような御見解をお持ちになるか、ぜひお一人ずつお答えください。
  121. 松田昇

    参考人(松田昇君) お答えをいたします。  山日銀行局長からお話がございましたように、両方の比率を比べてみますと、はるかに当方が低い状態にあることは事実であります。ただ、これはそれぞれその時点におけるいろいろな流れの中の一時点でございますから、どの時点でどのぐらいの率があれば健全なのかというのは一概に言えないのではないか。  私どもは、これからあと四年の間に過渡期の金融政策の変わり目の間を泳いでいかなければいけない、何としてでも預金者の保護に徹しなければいけないということでやっております。こういうような低さを前提にしまして、まず財政基盤の強化ということで、特別保険料の設定という作業と一般保険料の引き上げということで合計七倍の保険料の引き上げ、財政基盤の強化が図られました。  同時に、私どもが資金繰りの関係日本銀行または一般金融機関からお借りできる融資の枠、借入枠については、それぞれ一兆円、約二兆円の融資の枠を設定していただいております。なおかつ、十年度末までに特別保険料については実行の実態に照らして、もう一度再検討してみようということがプログラムされております。その問題を踏まえながら、なおかつ一番破綻を来しておりますのは信用組合でございます。信用組合の最終の特別保護の期間が過ぎるところで、政府の保証がつけられる仕組みにもなっております。  このような現行の制度を何としてでも我々はやりくりして、活用して、その中で預金者保護の徹底を図っていきたい、その間に預金者の方にも賢明な預金者になっていただくようにしていただきたい、このように考えております。
  122. 三塚博

    国務大臣三塚博君) ただいまも理事長から御答弁がございましたが、十年度末に見直しを行うことといたしております。  それはそれといたしまして、大蔵省としましては、昨年の通常国会で成立をいたしました金融三法に基づく整備された枠組みを最大限活用していくことといたしております。その時々のさまざまな状況を勘案しつつ、金融システムの安定性の確保に万全を期するということで七倍に保険料を上げましたのは、それによってもたらされる効果として二兆七千億円がそこに準備をすることができた、こういうことであります。全体という展望の中でまいりますと、信用組合の問題にも今触れられましたが、さまざまの経営形態は区々ではありますけれども、その方向が安定の方向に収れんされつつあるのかな、こんなふうに思います。  そういう点でさらに全体の検査監督を徹底しながら、新機構が来年度スタートをするわけであります。それにできるだけ実態をきっちりとしたもので御報告ができて、引き継ぎが完了するように全力を尽くしてまいっておるところでございます。
  123. 清水澄子

    ○清水澄子君 今皆さんたちが決意を述べられましたから、本当に安定する方向にぜひ努力をしていただきたいと思いますが、今の数字を伺うと、預金者にとっては非常に心もとない不安が重なってくると思います。  そこで、大蔵大臣、こういう状況に対応していくためには、十年度の見直しということがプログラムにあるということでございますけれども、やはり現在の保険料は、今七倍にされたわけですけれども、不良債権の処理や経営努力を余りよくやっていないところもいるところも一律の保険料なんです。ですから、そういう点では、経営のリストラとか非常に努力をしているところの評価をしていないということになると思うんです。それはある意味では逆に不公平だと思いますので、例えば自動車でも事故ばかり起こしていると高い保険料を払うようになっているわけですから、大蔵省はこの際、経営努力をしている金融機関には保険料を安くするというようないわゆる可変保険料率の導入ということをぜひ検討されるべきではないかと思いますが、大臣はどのようにお考えになりますか。
  124. 山口公生

    政府委員山口公生君) 大臣の御答弁の前に、金融制度調査会等の議論を御紹介させていただきたいと思います。  今御指摘の可変保険料率方式といいますのは、経営のいいところは保険料を低くする、経営の悪いところは保険料を高くする、アメリカでも取り入れられている制度でございますが、それはある意味では大変公平制度だというふうに私どもも思うわけでございます。  しかし、経営内容の悪化したところが全体の保険料の中でかなりの部分を納めるということになっていきますと、ますます自主再建、自主的な努力というものが保険料支払いの方の負担でもって不可能になっていく、いい銀行はますます楽になっていくということになります。現在の日本の状況においてそういった措置がとれるのかという問題でございます。  現在、各金融機関とも大変なリストラをし、不良債権処理をやっておりますけれども、今懸命に努力しておる、不幸にして経営状況の悪いところが、保険料負担でもって自助努力ができなくなってしまうということはちょっと今はとるべき措置ではないんじゃないかということで、金融制度調査会におきましても、結論としましては、現下の経済情勢のもとでは導入は困難であるというふうにされましたので、現在一律の保険料率をとらせていただいておるところでございます。
  125. 三塚博

    国務大臣三塚博君) 銀行局長から、審議会の経過などを踏まえて基本的な方針の説明がございました。  ただいまの経済状況等を勘案いたしますと、私自身も可変保険料率という米国スタイルの方式は、導入は極めて困難な状況にあると見ております。
  126. 清水澄子

    ○清水澄子君 私は、よい競争は推進すべきだと思いますが、困難であるという結論が出ているとすれば、金融機関は相当悪い状況にあるわけですね。そういうことだけはお言葉の中から伝わってまいります。しかし、そういうことをやはり考慮していかないと、本当によくやっているところと放漫経営をやっているところとがあるわけですから、ぜひその点はもっと厳密に御検討いただきたいと思います。  そこで、預金保険機構の理事長にまたお尋ねしたいんです。  おたくの機構大蔵省や日銀、都道府県に対して、経営不振に陥っている金融機関検査資料を随時請求する方針であるということが最近の新聞紙上で報道されておりましたけれども、その真意というのはどういうことでございましょうか。
  127. 松田昇

    参考人(松田昇君) お答えをいたします。  その記事についてでございますけれども、実は若干、私どもの説明が悪いのか記者の誤解に基づくのかわかりませんが、当機構が破綻処理に当たる大蔵省あるいは都道府県に対して検査資料を随時請求しているということはやっておりませんし、その考え方は現在とっておりません。破綻処理の過程に入りましていろいろな資料をいただいているということでございます。  なお、これらの関係で私どものかかわり方について一言申し上げたいと思います。  いずれにしましても、破綻処理に際しまして当機構の立場というものでございますけれども、例えば資金援助などを決定するのは、預金保険法の法律上の建前から申しますと、当機構の運営委員会が最終的な決定をすることになっております。  したがいまして、大蔵省、都道府県あるいは日銀などのおつくりになる処理スキームと当委員会との決定の間に重大なそごが生じるようなことがあってはいけませんので、私どもも早い段階からそういう協議に参画をさせていただいて、預金者保護が第一の機構でございますから、その立場からの意見も開陳していきたい、このように思っております。  一年前に私が理事長になりましたときには総員十五名の機構でございましたが、おかげさまでおいおい人員も充足いたしましたし、昨年来の破綻処理の経過でたくさんのノウハウも取得いたしました。たくさんの機関の中では預金者保護を第一に考えながら金融システムの安定を考えるという機構でございますし、やるからには当機構の財源の問題もございますし、それから資金援助自体をとってみましても非常に多様性のあるスタイル、方策が今広がりつつあります。  そういうものを踏まえまして、私どもも、大蔵省、日銀あるいは都道府県と並んで、協議機関といいますか、公正中立な独立機関といいますか、責任ある破綻処理の機関として協議に参加し、あるいは私どもから見た意見を申し述べて、最適な処理スキームができるように心がけていきたい、このように思っているところでございます。どうぞ御理解をいただきたいと存じます。
  128. 清水澄子

    ○清水澄子君 今おっしゃったように、早い段階からいろいろ協議に参加して意見を開陳したいというふうにおっしゃっていることは大変大事なことだと思いますが、大蔵大臣、大蔵改革の中で、預金保険機構は単なるトンネル機構のようにならないと思いますけれども、預金保険機構の位置づけというのはどういうふうになっておりますでしょうか。
  129. 三塚博

    国務大臣三塚博君) これは預金保険機構の目的に沿って対応をしてまいるわけでございます。  まさに金融三法に基づいて、その権限を行使しながら対応しておるわけでございまして、ただいま理事長からもお話がありましたとおり、迅速適正な処理スキームの作成ということについては、当然、大蔵省としても信用秩序の維持の見地からも十分に連携、連絡をとっていかなければならぬ、こう思っております。
  130. 清水澄子

    ○清水澄子君 では、最後に理事長にお伺いしたいと思います。  私は、国民の大半は、今自分が預けている金融機関がどのような状況にあるかとか、また二〇〇一年三月までしか自分の預金は、一千万円、守られていないというふうなことを十分理解されていないように思います。ですから、当然、自分で金融機関をチェックし選択する能力といいますか、そういう自己責任というのはこれから問われてくるわけですけれども、そういうことにほとんど気づいていない人が私は非常に多いのではないかと思います。  ですから、私は、この預金保険制度といいますか機構は、むしろ金融機関の現状は今どうなっているか、将来不安はないのかということにおいても国民の前に情報を提供してほしいと思いますし、それから預金保険機構自身についてもほとんど皆さんに知られていないんじゃないかと思うわけです。  私も今回質問するに当たって、このリーフがあるのがわかったわけです。やっぱりこういうものというのはもっと銀行の窓口とかいろんな公的な場所とか、そういうところに、どうぞ皆さん、こういうものを読んでくださいという形で国民の目の届くところにこういうものを置いて、もっと今日のこの預金保険機構というものの存在と、それから自分たち自身が今後どのように本当に自分の処理能力を持たなきゃいけないか、チェック機能を持たなきゃいけないんだということがわかるような宣伝をしていく必要があると思います。  そういう点をぜひ努力していただきたいと思うわけですが、その点についてお答えください。
  131. 松田昇

    参考人(松田昇君) お答えいたします。  先生御指摘のとおりでございまして、先ほど申し上げました、賢明な預金者になっていただいて損のない預金をするために、そう残された期間がないわけでございますから、当機構といたしましても全力を挙げてその広報活動はしたいと思っております。  ただいまのリーフもそうでございますが、各金融機関にはポスターがいろいろ張ってございます。さらに、パンフレットを今独自につくろうという計画も立てております。同時に、当機構の先ほどの責任準備金の実情も踏まえまして、年報を作成いたしておりまして、それを関係箇所に配付をいたしておりますし、私自身も一つ金融破綻が起きますたびに、処理をしたときに記者会見を開きまして、その実情をお話しして、こういう財源にあることもいろいろお話をしているという状況でございます。  引き続き努力をさせていただきたいと思います。
  132. 清水澄子

    ○清水澄子君 松田理事長、これで理事長への質問を終わりますので、どうもありがとうございました。  大蔵大臣、お答えにならないと思うんですけれども、大蔵省金融機関の現在の体力、そして今後の見通しについてどのような認識をお持ちになっておられるのか。
  133. 山口公生

    政府委員山口公生君) 大臣の御答弁の前にちょっと数字的なものを御理解賜りたいと思いますので、御紹介いたします。  金融機関の体力というもののほかり方はなかなか難しゅうございますが、今ホットなニュースとして言いますと、やっぱり不良債権の額ではないかと思うわけでございます。そうしますと、不良債権の総額が、昨年の九月末で二十九兆二千二百八十億円としばしば御説明申し上げておりまして、そのうちいろいろ引き当て済みのもの、あるいは担保でカバーされているものを引いた要処理見込みというのが七兆三千三十億円という御説明も申し上げております。  それから、せんだっての御議論の中でも、ごくまだ一部の銀行でございますが、今度の三月期にもかなり不良債権額が減ってきているという御説明もいたしました。不良債権額というのは、そのときそのときの経済情勢によってふえることもございますし、楽観するわけにはいきませんけれども、最近の傾向を見ますと着実に減ってはきているということでございます。  ただ、これは全体の姿でございまして、個々の金融機関の体力ということになりますと区々さまざまでございまして、各金融機関ともそれぞれの実情に応じてリストラを行い、懸命な努力をしているというのが現状でございます。
  134. 三塚博

    国務大臣三塚博君) 体力を見るときの基準は、銀行局長が今言いました不良債権の解消度がどうか、こういうことで決まるものと思っております。世界でも知られておる二十の基幹銀行は、不良債権の解消の問題に向け、また健全経営に向けて全力を尽くしておるものと思っております。  勧銀の問題が起きましたことは極めてざんきであります。聞き及ぶ範囲では、地方銀行においても全力を尽くして頑張っておる、こういうことでございまして、体力というのとイコールするところ、イコールは直ちにしませんが、最大の努力をすることによってというのはリストラ、さらに預金等の増に向けての努力、こういうことなどで補てんをされておる、こう思っております。  以上で御理解ください。
  135. 清水澄子

    ○清水澄子君 なかなか希望が持てるような状況ではございません。さっきの預金保険機構の場合でも、五百五十兆円という預金残高に対して、責任準備金というのは三千八百六十五億円というんですから、本当にこれで大丈夫なのかなというのがやはり大変心配です。  それで、官房長官にお尋ねしたいんですけれども、預金保険機構の資金繰りは預金者保護の問題につながると思います。また、信用協同組合特別勘定の欠損分は、一般金融機関特別勘定で埋め合わせて、それでも足りない分は財政資金を投入することになるわけですから、そうなりますと、また住専処理のように国民の負担につながるおそれがあると思います。  ですから、金融機関の経営状態についての情報開示は、預金者保護、国民に対する説明責任にかかわる重要な柱だと私は思うわけです。  その際、この金融機関自身によるディスクロージャーが必要なんですけれども、それだけではなくて、政府がどのような情報を得て、どのような現状認識を持って、そして金融行政に当たっているかという点そのものをディスクロージャーして、そして、預金者にやはりそういう情報を提供しながら自己責任を求めていくということでないと、いざというときに、私は財政資金投入をする際にも理解を得る上で非常に困難になると思うわけです。  今回は金融ビッグバンを成功させるためと言っているわけですから、そうであるならばあるほど、国民の安心感と信頼というのは不可欠な問題だと思います。今回新しく設置される金融監督庁は、検査監督行政情報というものを必ずもっと積極的に国民に公開をしていく、そういうことをぜひ実行をしていただきたいと私は思いますけれども、官房長官、どのようにお考えになりますか、御所見をお願いいたします。
  136. 梶山静六

    国務大臣梶山静六君) これから発足をすべき金融監督庁は、長官が決まって、これからの方針を決めるわけでありますが、いずれにしても国民の理解と信用がなければ金融監督庁の使命は達成できないわけであります。ですから、それぞれの情報を大きな意味で原則開示していくことは当然の責任であります。  しかし、大蔵大臣が今申されました、また委員も懸念をされるように、保険料率その他を考えてみても、なかなか危険な状態がある。その個別の情報を開示することによって、いわばその信用不信を助長し、場合によっては取りつけになるような場合というのを考慮すれば、限定的なもので制限的であらねばならない、このような思いがいたします。  なお、確かに委員が言われたとおり、昨年の住専処理に当たって、今後はこの種のものに財政資金は投入しないという取り決めをいたしております。  しかし、それをどうしてもしなければ預金者保護や信用回復ができない場合にどうあるべきかということは、いたずらにこれを申しますと、そんな状態があるのかということにもなりましょうし、しかし心ある者はそういうものにも、万八という言葉がありましたけれども、万に八つもそういう懸念があるのならば、私どもはそれに対応する準備を心の中ではしておかなければなりません。それに向かってどうあるべきかを公開で口論すべきことではないと思います。
  137. 清水澄子

    ○清水澄子君 終わります。
  138. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 一昨日の総理に対します質問に続きまして質問させていただきます。民主党・新緑風会の齋藤勁でございます。  本日の質疑を伺ってまいりまして、新しい我が国金融システム改革に向け取り組もうという方向の中で、これまで我が国が世界の中でも金融市場の点での施策がある意味では極めて立ちおくれているという中でのさまざまな金融不祥事、あるいは先般の住専の問題、そして後ほど詳しく日産生命問題についてもたださせていただきますが、やりとりを聞いていまして、新しいシステムをつくっていく、金融監督庁をつくっていくけれども、果たしてこれは本当にやっていけるんだろうかというような心配が感じられるやりとりでございます。  総理が我が国金融システム改革に向けまして改革三原則、フリー、フェア、グローバル、こういう三原則を言われております。とりわけ、市場原理が働く自由な市場、そして透明で信頼できる市場に、ルールの明確化、透明化、投資家保護、ここをきちんと確立をしていかないと、預金者、そして保険であれば契約者は大変な状況になっていくんだというふうに思います。  そこで、大蔵省の方にお伺いいたしますが、既に衆議院の方でも特別委員会あるいは大蔵委員会等でるる報告もございますけれども、四月の末に業務停止になりました日産生命、この日産生命が業務停止に至った原因、そして大蔵省対応についてお伺いをさせていただきます。
  139. 福田誠

    政府委員(福田誠君) お答えいたします。  まず、日産生命の破綻原因でございますが、日産生命におきましては昭和六十二年から平成二年くらいにかけまして、バブル期でございますが、大変高利回りの商品を他社に比べまして大量に販売いたしました力その後、バブルが崩壊いたしまして金利が低下したことにより多額の逆ざや状態になったわけでございます。  もう一つは、この直近におきまして、同業他社はリスク資産の減少に努めたわけでございますが、同社におきましてはまた株式投資等を積極化いたしまして、それが期末の株価低下等によりまた損失を招いた、そのような要因で今回事業継続を断念したところでございます。経営破綻の要因はそんなところでございます。  私どもは、平成七年九月の私どもによります検査実施した段階で、いわゆる実質債務超過状態にあることを把握したわけでございまして、それ以前から数次にわたり収益改善計画等を策定させておりましたが、さらにこの検査の結果を踏まえまして一層強く財務の改善を指導いたしましたところ、平成七年度で若干の改善も見られたわけでございますが、先ほど申し上げましたように、八年度におきまして事業の継続が困難になったものでございます。私どもは経営改善計画の遂行を再三にわたり強く求めてきておりまして、何とか立ち直れるように自助努力を要請し指導していたわけでございます。
  140. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 七年、八年、九年と、三年にわたる大蔵省の方の指導が入っているわけです。  生保の安全神話崩壊ということで、四月二十五日に日産生命の米本宏社長が、今も御答弁ございましたように、直接の理由を、バブル期に高利回りで集め過ぎた資産が運用難に陥った、ここ数年大幅な逆ざやが生じた、配当の確保など見た目をよくするために保有株式の含み益を活用して逆ざやを埋めていたけれども、株価が低迷し、逆に含み損が膨らむ悪循環に陥ったと説明しております。今の答弁も同じだというふうに思います。  さらに、この間の衆議院の議事録等を見ても、大蔵省の方から触れられていないんですが、当然承知をしているというふうに思いますけれども、総資産も減少に転じた、昨年から団体年金が同社の保険契約の解約に動き出したためだということで、団体年金契約者が求めていた有価証券含み損益などオフバランスの情報開示に応じなかった、日産生命は。ということで、同社は外貨建て私募投信などの運用に失敗し、これを開示すると契約者が逃げると判断をし隠し続けたということで、逆に団体年金の不信感をあおって資産が流出をしたんだと。  実はこのことも会社の方から明らかになっているんですけれども、このことについての事実も大蔵省としてはお認めになりますか。
  141. 福田誠

    政府委員(福田誠君) 同社の団体年金の規模というお尋ねかと存じますが、この四、五年をとりますと、保険業界全体として新契約高の伸びは実体経済の動向を反映して総じて伸び悩んでいるところでございまして、日産生命におきましてもほぼ同様の傾向にあると認識しております。
  142. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 各会社の横並びで傾向が同じということの答弁ではなくて、日産生命に対して団体年金契約者が求めていた有価証券含み損益などオフバランスの情報開示に応じなかったということで、開示をすると逆に契約者が逃げると判断し隠し続けたんだというこのやりとりについて、いきさつについて御承知をしているんでしょうかということです。
  143. 福田誠

    政府委員(福田誠君) 失礼いたしました。  外国証券の開示というお尋ねでございますが、日産生命の外国証券につきましては、非上場等の市場性がないものが多いため開示している分が非常に少のうございます。ただ、市場性のないものについて開示をされていないということは、ほかの生保会社あるいは他業態も同様の取り扱いでございまして、このように価格の正確に把握できないオフバランスの項目につきましては開示をされていないというのが一般の状況でございます。
  144. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 開示をしないということが会社にとって何か正しいとか仕方ないんだという、こういうような話なんですが、一番最初に総理が言った自由化に向けての方向について、今まで、今もこの姿勢について余りにもかけ離れているという点について危惧せざるを得ないんですね。  生保各社の経営基盤が揺らぎ始めたということについて、ここ数年、これはことしとかに始まったことではないんですね。生保会社の法人営業部門が企業を相手にいたしまして、団体定期保険の募集、年金基金や適格年金の運用受託、それから団体年金保険の募集を行うことを三大業務としているのは、これはもう有名といいましょうか当たり前なことでございます。  とりわけ、九五年一月に名古屋地裁で、団体定期保険の中でAグループ保険、Bグループ保険という制度があるわけですけれども、名古屋地裁で、会社が受け取ったAグループ保険の保険金のうち相当部分は従業員が受け取る権利があるとし、一千万円の保険金のうち四百万円を従業員に支払えと判決を下した。あるいは九六年四月には青森地裁、会社が保険金を受け取ることも不適当だとして九百万円の保険金全額を従業員に支払うよう命じた。あるいは九七年三月には静岡地裁浜松支部から、従業員本人が加入に同意していない保険は契約そのものが無効だという判断が示された。  ということで、これらの経過の中で、団体定期保険のあり方、いわゆる団体保険等についての存続といいますか、扱いについて考え直さなきゃいけないというからこそ、生保会社の方は新型保険というのを昨年から全面的に新規契約に切りかえてきているわけであります。この日産生命自体が他社と比較をいたしまして団体保険のウエートが高い。高いということについて私は幾つか調べさせいただきましたが、保有契約残高に対する団体保険の割合は五〇%を超えまして、団体年金保険を加えますと五三%というような率でございます。特に、同社の団体保険の七〇%がグループ会社の日立製作所、日産自動車など関連会社から引き受けたものであり、さてまた大蔵省の職員のグループ保険の幹事会社も務めて、この引き受けシェアは他社と比較いたしまして四一%ということについても明らかなようでございます。  こういうような数年来の法人部門の企業側の動向に対して、あるいは今、日産生命が超過債務に至った、破綻に至ったということについて、他社はそれなりに対応してきたけれども、日産生命自体がどうも対応できなかった。とりわけこの開示について求めたけれども、応じなかった。これは大蔵省の御答弁では、これはもう業界ルールだからしようがないんだと言いながら、このことが契約先の不信を買って、保険の解約に結びついたいうことが遠因になっているというふうに私は言わざるを得ないと思います。  強い営業基盤があっても、安全性について信頼が得られなければ、生保会社の信頼というのはもう難しい時代に入ってきているのは言うまでもないわけでありまして、約三年間にわたりまして超過債務ということを承知しつつ今日まで指導してきたということについて、残念ながらこの間、衆議院から参議院までこの日産生命の議論がありますけれども、指導はしてきましたというようなことについて大蔵省から答弁はありましても、責任のセの字というのが、大蔵省責任がありました、責任の一端を感じていましたということについては全く答弁で触れられていないんですけれども、このことについては感じられていないんですか。
  145. 福田誠

    政府委員(福田誠君) たびたび申し上げておりますように、平成七年九月の検査結果を踏まえまして、同社に対しまして自力による経営再建を強く指導してきたところでございます。そして、先ほど申し上げた要因によりまして残念ながら事業継続を断念との会社側の結論が出された時点で、私どもといたしましては、破綻した会社について、これをいたずらに放置することなく早急に処理することが今の責務であると考えておりまして、新保険業法に基づきます契約者保護の手続を踏みまして、現在、契約者の保護のための処理スキームを検討しているところでございます。  この事態となりました以上は、できるだけ早く契約者の保護を図っていくことが現在の責務ではないかと考えております。
  146. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 四年前から債務超過がわかっていたわけですね。日産生命の債務超過についてわかっていて、そしてそれなりの再建と申しましょうか、浮上してくるというためにいろいろ指導してきた、今日まで時間があったわけですからやってこられたというふうに思います。  私はもう一つ、この日産生命のオーナーの記者会見の新聞記事も読んでいるんですけれども、「四年前から債務超過に陥っていたが、新規契約の拡大で乗り切れると考えていた。私も自社の保険に多額の加入をしているが、顧客に不安定な商品を売っているとの思いはなかった」ということで、実質的に債務超過でありながら経営内容を公表しないで消費者に堂々と商品を売ってしまうということについて、このオーナーのモラルというんでしょうか、本当に私は恐ろしく感じます。  しかも、大蔵省自体は経営改善計画を会社につくらせて毎年見直しを求めてきた。通常は提出の必要がない簿外の取引も報告をさせてきているのではないでしょうか、簿外取引についても。いかがですか、その点は。
  147. 福田誠

    政府委員(福田誠君) 簿外という御趣旨はよくわかりませんが、その後の財務内容につきましても先はどのような姿勢で厳しくチェックはしておりました。
  148. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 日産生命保険の当期損益と含み損の推移ということで数値がございますけれども、九四年の三月期に公表された決算の当期損益が九十五億円、しかし隠れた損失、有価証券などの含み損益の合計が九百六十一億円。そして、翌年度の九五年の三月期には公表された決算の当期損益が七十五億、隠された損失としましては千四百八十二億。そして、さらに九六年の三月期には公表が百十三億、そして隠し損失として千三百十四億と。九七年の三月期も同じようにあるんですが、こういうふうに見ていっても、この会社はもうだめなんじゃないかというのが、こういう経過の中で、そして今申しましたように、会社のオーナーがそういうような見解ですから。そうすると、大蔵省も新規契約の拡大で乗り切れると考えていたんですか、こういうような実態、実情について。  いかがですか。
  149. 福田誠

    政府委員(福田誠君) お答えいたします。  そのような数字が日産生命の方から公表されていることは承知しております。  そして、生命保険会社の特徴でございますけれども、生命保険会社というのは大変長期の契約を抱えておるわけでございまして、大変長期の資金を運用するわけでございます。したがいまして、その運用の間には景気変動も何度もございますし、株価なり市場金利が何度も上がったり下がったりするわけでございます。  生命保険会社の資産運用の特徴といたしましては、短期の売買目的でなく保有目的で長期の資産を持っているわけでございまして、そのようなことから、ある時点でその保有している資産の評価の結果、たまたま例えば今回のバブルの前と後のように大幅にその評価が変わったような場合には、理屈上は債務超過というようなことも決してあり得ないことではないわけでございます。  しかし、これは生命保険会社が長期保有している資産の評価に起因する態様でございまして、その際に保険会社において厳しいリストラ等々を行うことによりましてそのような含み損のようなものが解消できるという見通しがあれば、これは免許業種として最後まで自己責任努力を続けていくのも保険契約を守る立場から当然でございまして、同社の場合も現に平成七年九月の検査の後さらに努力をいたしまして、この平成七年期につきましては財務内容も改善した、改善の兆しも見られたわけでございまして、時間はかかっても、これは経営改善ができる見通しがあるのではないかというのが当時の状況でございました。
  150. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 そうすると、繰り返し答弁を伺っていますと、会社の見通しと大蔵省の見通しというのは今日まで一体であったということですか。
  151. 福田誠

    政府委員(福田誠君) 少なくとも平成八年度にも厳しい経営改善計画を策定方指導しておりまして、その時点までは私どもも自助努力による経営再建を支援する立場という意味では全く同じでございました。
  152. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 この四月二十五日というのは生命保険会社の不倒神話が崩壊した、ある意味では大変特徴的な日でございまして、大手生保のある幹部の方で、何で大蔵省は九五年に日産生命の業務停止を出さなかったんだろうかということを指摘している人もいます。  日産生命の株式保有残高は、大蔵省検査に入った九五年九月末で二千二百七十億円、一年後には二千五百二十九億円。他社がバブル経済崩壊による株式投資の失敗に懲りて株式投資を縮小している時期に日産生命は一割強もふやしました。  こういうように、日産生命だけ違うんですね。  バブル期に海外の資産や国内の株式を買いまくった生保の資産運用というのは、バブル崩壊でかなりの痛手をこうむったということで、九四年度決算では多額の株式評価損が発生して、バブル期のもうけからその後の損失を差し引くと残ったのはほんのわずかと、生保の運用担当者はため息をついておられますよ。大きな代償を払った反省から、生保各社は価格変動リスクのある株式や外国証券の処分に動いて、国内債券と融資のいわゆる金利資産に傾斜をしていくと。だから、今度は保険契約者への保証利率が資産の運用利回りを上回る逆ざや状態に陥っているというのが今日までの経過だと思うんですね。  そうすると、日産生命は大蔵省と運命共同体、指導もある、会社の方針も考え方も全く同じだということで、これは有価証券報告書を御提示いただきまして私も吟味をしたいというふうに思うんですけれども、どうもなりふり構わず仕手株にも手を出したんではないかという話も出て、丸運とか兼松日産農林、日本油化、日産化学工業という仕手銘柄を多く保有しているというような情報等もございます。このことについて、有価証券報告書を大蔵省として受けて、こういう仕手株、仕手銘柄についての日産生命として保有している状況については御承知でしょうか。
  153. 福田誠

    政府委員(福田誠君) 私どもといたしましては、個別の運用の詳細まで承知しておりません。  日産生命におきましては、今御指摘ございましたが、平成八年四月以降にたまたま株式も少し回復基調にございましたので、株式の値上がりを期待し、収益の増加を目指したものと考えられます。  平成八年十一月までは株価が二万円台となっておりましたが、その後下落いたしまして多額の含み損を発生させたわけでございます。  当局といたしましては、この点については、従来より生保会社経営の基本として、自己責任に基づき業務の健全かつ適切な運営を行うよう要請していたわけでございます。そういう趣旨を踏まえた指導を行っていたわけでございますが、個別社の投資方針に基づく資産運用そのものはあくまで経営のリスクと責任で判断したものと考えられまして、結果の詳細まで私どもが承知していたわけではございません。
  154. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 今の御答弁ですと、私は具体的に社名も申し上げましたけれども、おおむね御承知のことだというような内容の答弁ですね。どうも株式投資で一発逆転ねらっていたんでしょう、ずっと、この会社というのは。ところが、その墓穴をさらに掘っちゃって、損失額を一段と膨らませてしまっていたというふうに私はどうも見ざるを得ません。  そこら辺、大蔵省の指導が入り、生保というのは外貨建て有価証券の日々の売買約定の結果を日本銀行に報告をすると。大蔵省の保険第一課というのは、月商売買報告書の提出義務があるんですから、毎月見ていると。簿外取引についても見ていると。これは自助努力とか自主的に企業の方がやってきたことだと言いつつも、全部お見通しの上ですから。そうすると、今回みたいな生保業界全体に与える影響、そしてなかんずく保険契約者にさまざまな不安を今与えているというのは、会社に対して問題だということではなくて、自分たちも一緒に指導してきたけれども、私たちの見通しも甘かったんだ、責任がありますというのが素直な大蔵省の姿勢ではないんですか。いかがですか、その点。
  155. 福田誠

    政府委員(福田誠君) 日産生命の経営改善計画の中には、運用面につきましては、安定的収益確保の観点から売却益の着実な積み上げを行うというような項目で、運用面の基本的スタンスを同社としては示していたわけでございます。  繰り返しになりますが、資産運用の失敗等によりまして日産生命が破綻したことは遺憾でございますけれども、同社はやはり保険業法上の免許を受けた一つの会社でございまして、経営は自己責任で行われるべきものでございます。個別社の個別の資産運用について行政当局が日々介入できるものではございませんし、また介入すべきものでもないと考えております。私どもは日産生命の経営改善を全体として強く指導してきたところでございます。
  156. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 責任がありましたとか、そういう言葉を発言すると何かまずいんですかね。  私は今ここで、違法行為がありますよとか、そういうことを言っているんじゃないんですよ。何か発言があると参考人だ、証人喚問だなんて、そういうことを言っているんではないので、今いみじくも今回この法案審議に入ったから、今どういう状況なんだろうかということを伺っているんです。私は総理の談話で新しい金融自由化ルールについてということを、三原則を言っている。  そういう動きの中で起きたことですから、こういうことをきちんと出した中でしか次へ行かないんじゃないですか、物事というのは。  ここで言うということは、多くの国民、契約者に対して、生保の加入者に対して、不安を取り除いてほしいという気持ちからも私は出ているんですよ。納得できないですね、そういう答弁じゃ。
  157. 福田誠

    政府委員(福田誠君) 先ほど来申し上げておりますことは、一つは日産生命の経営内容検査等によりまして大変悪化しているということが把握できました時点から強力な経営改善の指導をしてきておりましたと、つまりこれを全く何もしなかった、放置していたわけではないということを申し上げておりましたことと、しかしながらこのように現に事業継続が困難となった以上はこれを放置せずに早急に契約者の保護に向けて処理をすることが現在の行政上の責務であると考えておりますということを申し上げたわけでございます。
  158. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 委員長、聞いていてどうですか、これ。大蔵大臣も同じような答弁になるんですか。  大変な問題ですよ、これは。
  159. 三塚博

    国務大臣三塚博君) これは段々の報告を聞いておれば基本的な理解はおできになるのではないかと思うんです。  言わんとする意味は、よく護送船団という話がありますね。生保協会は皆さんが集まりまして絶えず契約者の信認を得るための努力をしておるわけですね。それに対して銀行局保険部は、絶えず問題を指摘し、また経済金融情勢等の分析の中で有利、確実、安定、この方向でおやりをいただきたいと、こう申し上げており、新商品については厳密な検査の中で行っておると。  本問題が起きる前から日米保険協議というのがございまして、二年来のものでありましたが、昨年の暮れ決着をいたしました。そのとき、生保協会に対しまして、これから来る競争時代に向けて、しかしグローバルスタンダードでここを超えなければならないと。最終的に小生とバシェフスキーさんの会談で決着をいたしたわけでございますが、護送船団から新しい自己責任で生保会社は両足で立っていかなければならないというところまで来ました。ビッグバンはまさに業際を離れて何でもやれる状態になるわけであります。言葉を飾らず言えば適者生存であります。  お互いが努力をしていかなければならないというところで今日の日産の問題が起きまして、どうするかということの際に申し上げたことは、こういう困難な時期でありますから、全く脈がないというのであれば別だが、これをやり得ることで、契約者に被害、損害を与えないという道があるならばその道を模索したらどうだと、こう申し上げたことは事実であります。  そういうことで、生保協会が委託者という形になりまして枠組みをつくりました。そして、今契約者に対して損失を与えませんように、正常な保険契約の実行ができ得ますようにということでやっておるわけでございます。そういう意味で、大蔵の諸君、数少ない検査部の中で多くの生保会社も検査をしていることは認めますし、またそういうことで彼らが責任を問われても、その責任を問うというのであれば、議院内閣制において、政党政治において、国務大臣である主管大臣だと思うのであります。  それはそれとして、実態を全部報告を受けながらやっております。それはビッグバンがスタートをしたわけですから、全力を尽くしてきておりましたし、足らざる点があったかどうかはそれぞれの検査官が判断することでありますが、しかし私が主管大臣として見ておる限り、その検査の日数その他、点検の状況などの報告を詳しく実は受けた感じ、これは銀行局検査部も同じでありますが、そういう点で批判を、激励を、またおしかりを受けることは、役所の責任者でありますから当然であります。彼らはそれを甘受しておると思いますし、今後にこれを生かして、ビッグバンの競争時代に備えて日本金融界というものが成長していくように、ただいまの現行法制でやっておるわけでありますから、新スタートに当たりましてバトンタッチをしりかりとさせていただく。しかし、企画立案は残ったわけでございますから、金融局という形の中で政策の遂行に進むということで御理解をいただきたいと思っております。
  160. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 今まで国会のやりとりの中で、責任を感じていますとか、そういうことをなかなか言うところじゃないというのは私も把握をしているつもりですけれども、問題はやっぱり今の社会では結果責任だと思うんですよ。何もサボっていたとか私は言っているんではなくて、一生懸命やってこられたと思いますよ、指導もされていたと。  しかし、結果的に破綻に至ったということについて、指導をしたけれども、結果的に破綻をしたということは事実ですから、今検証をされていると。今検証されているというのは、これはもうここ十年、二十年の検証じゃないんですから、こういうのはわかり切っているということで、株式投資の運用に失敗したという原因も明らかになっている。全部御承知なんですから、そのことについて見通しが誤っていた、甘かったとか、どこかの新聞記者の方には言っているみたいですよ、どなたか大蔵省の幹部の方が、私たちは甘かったとか。どうしてここで言えないんですか、そういうことは。
  161. 福田誠

    政府委員(福田誠君) 私ども先ほど来申し上げておりますが、やはり基本的には経営の自己責任というのがあるわけでございますから、私どもはその経営を全力を挙げてサポートする側である。  特に、財政内容が悪化した時点で自力再建を目指すときに、私どもも経営改善計画を指導し、そして最後まで努力を続けられるように、そこは私どもも全力を挙げてバックアップしてきたわけでございまして、何もしてこなかったのではないかというような御指摘は当たらないのではないかと思っているわけでございます。
  162. 遠藤要

    委員長遠藤要君) ちょっと保険部長に申し上げておきたいと思いますが、今の齋藤君の質疑は、役所がもっと早く察知し、強い警告、指導をすべきでなかったかと、こういうふうな点であるので、その点をいま一度お答え願いたいと思います。
  163. 福田誠

    政府委員(福田誠君) 今まで金融行政は、一般に護送船団方式という御指摘もあるわけでございますが、一行なりともあるいは一社なりともつぶさないというようなことで、それが行政上の責務であるということであれば、もう昨今の状況ではなかなかそうはいかないわけでございます。やはりバブルの後、経営の限界が来た金融機関もあるわけでございますので、その経営責任と、私どもの行政上の立場とは同一ということではないのではないかと思うわけでございます。(「指導の責任はどうかということだよ。指導の限界があったと言いなさいよ。だめだよ、そこら辺きちっと答えなきゃ」と呼ぶ者あり)  繰り返しで恐縮でございますが、私どもといたしましては、全力を挙げて日産生命の再建が成り立つように支援したつもりでございますが、その指導どおり結果としてはいかなかったわけでございます。
  164. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 だからということを言っているんですよ、どういうお考えですかということで。委員長がちゃんと注意されているんじゃないですか。  お答えくださいよ。
  165. 福田誠

    政府委員(福田誠君) これは大臣の四月二十五日の談話にもございますが、日産生命が破綻した以上、これを放置することなく早急に処理するということが私どもの現在の責務であると考えております。
  166. 三塚博

    国務大臣三塚博君) 責任者として成りかわります。  至らぬところがあったという御指摘については、ベストを尽くした中ではありましたが、結果がそうであったという点において極めて遺憾でありまして、今後さようなことのないよう、その御指摘を踏まえて頑張ってまいりますし、頑張らせます。御理解をいただきたいと思います。
  167. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 この言葉がもう私の持ち時間の最初の方に出ることを期待していたんですよ。  この処理スキーム等はもう確立しましたか。今どういう段階ですか、処理スキームについて。
  168. 福田誠

    政府委員(福田誠君) お答えいたします。  現在、保険管理人が日産生命の保険契約の移転計画を策定中でございます。現在、生命保険会社各社及び同社のグループであります日立・日産グループの各社等、関係者と広範に検討協議しているところでございます。まだ方向性について明確になったという状況ではございません。
  169. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 衆議院の質疑では六月上旬ということを答弁されていますが、もう六月上旬でございますね。いかがですか。
  170. 福田誠

    政府委員(福田誠君) 私どもは一日も早く処理スキームができることをもちろん期待しておりますが、保険管理人の方で今鋭意努力をしておられますので、それを見守っているわけでございます。
  171. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 二千億円の例の拠出金であります保護基金ですね、これは受け皿会社ができないとたしか拠出できないんだと思うんですが、受け皿会社ができなかったときはどうなるんですか。
  172. 福田誠

    政府委員(福田誠君) お答えいたします。  お尋ねの保険契約者保護基金からの資金援助は、保険契約者保護基金に対しまして破綻保険会社の保険契約の移転等がなされる救済保険会社からの申し込みによりまして生命保険協会の理事会の決定をもって行われるものでございます。したがいまして、資金援助は救済保険会社の存在が前提でございます。  当局としては、契約者保護を図るために、この基金の発動を伴うスキームが策定されるよう、関係業界への支援要請等可能な限り努力を行ってまいりたいと存じます。
  173. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 できなかったときにはどうなるんですかという質問に答えてください。
  174. 福田誠

    政府委員(福田誠君) もし契約の引き継ぎが行われない場合には、保険業法におきます契約者保護基金の発動ができませんので、保険会社は一般の企業と同様に破産するということになります。
  175. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 次の機会にまたさせてもらいます。  ありがとうございました。
  176. 笠井亮

    ○笠井亮君 日本共産党の笠井亮でございます。  今の質疑にもありましたが、野村証券それから第一勧業銀行問題でも、大蔵省行政指導のあり方あるいは責任の問題がやはり私は鋭く問われていると思うわけであります。特に、政府がいわゆる日本版ビッグバンを進めて国際的な信用を高めようというふうに言われてきているときだけに、この問題の解明は極めて重要だというふうに思うわけであります。そういう点から、本法案とのかかわりで幾つか質問をしたいと思います。  まず、野村、第一勧銀不祥事大蔵省検査監督問題について伺いたいと思います。  今回の事件は総会屋というやみの世界の人脈と第一勧銀、野村が長期に関係を持ってきた、その中で起こってきた不祥事だということはもう言うまでもないと思うわけであります。既に第一勧銀大蔵省の九〇年と九四年の二回の検査に際して、不良債権化していた総会屋側への融資の隠ぺい工作を行っていたという事実を大蔵検査回避という言い方で近藤頭取自身が認めたわけであります、参考人質疑で。  まさに大蔵省検査で総会屋の小池隆一容疑者への回収不能債権など異常な融資が発覚するのを強く恐れての組織ぐるみの偽装工作ではないかと思うわけでありまして、そういう工作をしたことは極めて重大だというふうに思うわけですが、問題は大蔵省がこんなことをされて黙っているのかということであります。  当時は大蔵省は発見できなかったということでありましたが、事件発覚後、当然第一勧銀から事情を聞いているはずだと思うんですが、大蔵省、端的に報告をしていただきたいと思います。
  177. 山口公生

    政府委員山口公生君) 第一勧業銀行からは検査回避の疑いがあるのでさらに調べているという報告がありましたので、この件につきましては徹底的に調査をするようにということで指示をしているところでございます。
  178. 笠井亮

    ○笠井亮君 大蔵省自身はどうしているんですか。
  179. 山口公生

    政府委員山口公生君) 第一勧銀に指示をしたところでございます。
  180. 笠井亮

    ○笠井亮君 大蔵省はなめられているんじゃないかと私はさっき言ったわけですよ、平たく言えば。検査のときに隠ぺい工作されたわけですから。それを徹底的に調べることを指示しているということで、大蔵省自身が当事者なわけですから、検査をやって、そういうことで隠ぺい工作をされたわけですから、どうなんだというのを調べて当然だと思うんですよ。それをやられないというのは本当に怠慢だと思うんですよ。捜査当局捜査とは別でありまして、大蔵省としてきちっと事情を聴取すべきだと思うんですけれども、大臣、いかがですか。
  181. 三塚博

    国務大臣三塚博君) まず、本件については、銀行局長が言いましたとおり、私が彼をして申し入れをさせたわけでありますが、かかる事態になった、疑いを持たれる結果に相なったと、ただいまそういうことであります。強制捜査が行われておるわけでありまして、特に隠ぺいをした疑いについてみずからそのことに言及されておることについて、その実態をみずからの経営責任という意味で取り調べの上報告を願いたい、こう申し上げておるところであります。その報告を待っておるというのがただいまの段階であります。
  182. 笠井亮

    ○笠井亮君 隠ぺい工作が明らかになった相手に対して、報告してください、待っていますよということで、そういう受け身の姿勢でいいのかということだと思うんですよ。私は別に捜査当局と同じことを大蔵省第一勧銀にやれと言っているわけじゃないんです。  では、もう一つ伺いますが、九〇年以前の八九年二月に、第一勧銀は有名になりました小甚ビルに三十一億円を証券会社の株購入代金として融資する。この三十一億円については、不良債権化して不良債権リストに記載し大蔵省に報告したということも報じられております。事実とすれば、不良債権化した巨額な融資に異常を感じて調査をするのは当然のことだと思うんですけれども、第一勧銀の総会屋への融資実態に大蔵省としては気がつかなかったわけですか。
  183. 中川隆進

    政府委員(中川隆進君) お答えを申し上げます。  私どもの検査平成二年と平成六年、二回立入検査をしているわけでございます。今、御指摘の株式会社小甚ビルディングに対する融資ということでございます。本来、検査の立場から個別の事案について言及することは差し控えるべきでございますけれども、既に昨日も第一勧銀自身が発表されておりますので、可能な範囲で申し上げたいと思います。  今、御指摘の株式会社小甚ビルディングに対する融資につきましては、検査に際しまして不良債権として適切に分類をし、それを受けまして同行はその検査の翌年の三月期に有税で間接償却を行っているということでございます。
  184. 笠井亮

    ○笠井亮君 大蔵省としてはその当時気がついていたということですか、確認します。どうだったんですか、ちょっとその辺、明確にしてください。
  185. 中川隆進

    政府委員(中川隆進君) 検査に際しましては、不良債権の状況だけではありませんで、問題のある債権を抽出基準に基づきまして抽出させまして、厳しく検査をするわけでございます。  今、御指摘の点につきまして、問題債権として認識をし、指摘をし、それを受けて同行は償却をしていると、こういうことでございます。
  186. 遠藤要

    委員長遠藤要君) 答弁者の方々に改めて要請しておきたいと思いますが、質問者は限られた時間でございますので、十分質問の要旨を踏まえて、再答弁しないような方法で御努力願いたいと思います。
  187. 笠井亮

    ○笠井亮君 気がついていた、しかし見逃したということになるんじゃないですか。極めて重大な今、答弁だと思うんですよ。  私、気がついて当然だと思うんです。ここに資料を持ってきました。「担当者必携」というのがあるんですよ。これは出版物なんですけれども、ちょっと古いんですが、昭和五十三年、一九七八年のものであります。要するに総会屋のリストであります、平たく申し上げますと。  「まえがき」には、「この担当者必携は総務、庶務、文書、株式、秘書、渉外等の担当者が業務遂行上必要と思われるものを集録しました。」ということで、それぞれ総会屋と言われる人たちの住所、氏名、所属、性格と特徴などが書かれておりまして、ここにはっきり小池隆一という名前もあります。そして、相当名が売れていると思われるような総会屋としての高い評価をここに加えているわけであります。  こういうリストも当然大蔵省としては知っていたはずだし、そしてあるいは持っている。当然だと思うんですよ、検査していろいろやるわけですから。ですから、小池容疑者の場合に、このように有名な総会屋であって、しかも大口融資先であり、留意して検査されるのが通常だというふうに思うわけであります。しかも、先ほどのあれでは、気づいていた、償却したという話ですけれども、結局大蔵省としては見逃したということになるんじゃないですか。銀行局長、その辺どういうふうに認識していますか。
  188. 中川隆進

    政府委員(中川隆進君) お答えを申し上げます。  御質問に関します(株)小甚ビルディングに対する融資を含めまして、詳細につきましては調査を行っているところでございますし、また捜査中のことでございますので、詳細のコメントは差し控えるのが適当と存じますが、昨夕も同行が明らかにしているところで御説明いたしますと、平成六年の検査に際しましては、同行検査官に対し、(株)小甚ビルディングの取引経緯等について適切な説明を行わなかったとしているところでございます。  なお、当該融資の保全状況についてチェックしたところ、同社の業況が悪く大幅な担保割れの状況でございましたため、不良債権として分類を行っているということでございます。
  189. 笠井亮

    ○笠井亮君 銀行の資金の原資というのは国民の預金でありますから、それが総会屋だとかやみの世界の資金だとか特定の人間に対する不公正な利益供与の原資になるようなことがあってはならないというふうに思うわけでありまして、大蔵省検査というのはそういう点で本当にきちっと厳格にやる必要がある。  そういう点で、いろいろ聞いてみますと、気がついていた、その点については注意したけれどもみたいな話ですから、結局のところ徹底してその点で検査監督したのかという厳しい責任が問われると思うんですよ、大蔵省自身が通達も何回か出しているわけですから。そういう問題としてあると思うんです。  私、それに関連して伺いたいんですけれども、第一勧銀への検査で、二回の検査ということなんですけれども、偽装工作あり、その間の経過があるということで今ありました。大蔵省に対しても重大な疑惑と言われても仕方がないことがあると思うんです。  昨日の報道では、第一勧銀が総会屋への不透明な融資の発覚を恐れて隠ぺい工作を始めたのが九〇年九月からの大蔵省による第一勧銀への検査で、通常の検査項目に加えて財テク資金のための融資を厳重に監視する方針を決定したことを銀行側が事前に入手したということによるんだというふうに言われております。  検査部長は午前の質疑の中で、抜き打ちだから漏れることはあり得ないんだということで御答弁がありましたけれども、都銀の行員自身がそういうことに対して、検査日が事前に入るので隠ぺいなどの準備は幾らでもできるということを言っているというわけですよ。そうしますと、この問題も一体どうなのかということになります。  それから、九四年の二回目の検査のときに、これは六月五日の読売新聞に出ていたものですが、六億円の追い貸しの直後に本店の各部と各支店あてに内部文書を第一勧銀が出して、検査があることを事前に知っていて、準備していた詳しい資料を大蔵省検査では全部は見せるなということを指示しているということが書いてあって、私、非常に驚きました。近藤頭取は検査に当たってのマニュアルというような言い方をこの間されていましたけれども、この内部文書はそんなものじゃないと思うんですよ、写真にも映っていましたけれども。「対外厳秘」ということでマル秘扱い、そして「読了後必ず破棄のこと」というのが書いてあって、「検査前に事前準備作業を行っていることは、検査官に対しても厳秘」と、厳しく秘密にするということも書いてある。そういうことが一連書いてあると思うんです。  大蔵省検査のスケジュールを事前に銀行側が把握した上で、そして周到に隠ぺい偽装を準備していたということは明確ではないかというふうに思うんですけれども、この点、大蔵大臣、どういうふうに受けとめておられるか。私は、こういうことがあれば、抜き打ちどころかなれ合い検査をやっているんじゃないかと。大蔵内部の問題としてきちっとそういう問題も正していくのかどうか。一体どういうことなのかということをきちっと御答弁願いたいと思います。
  190. 中川隆進

    政府委員(中川隆進君) お答えを申し上げます。  検査実施時期につきましては、当然のことでございますけれども、大蔵省検査は抜き打ちということで予告なしで行うのが原則でございます。特別の資産、例えば破綻の際に資産内容を把握するといったような場合には、予告をしていくということがありますけれども、原則は予告なしてございます。また、そういう予告なしで行く検査でございますから、従前より厳重な情報管理を行っているところでございまして、御指摘のような事前漏えいといったことはあり得ないと思っております。  ただ、検査自身が三、四年あるいは二、三年に一回ということでございますから、ある程度金融機関がそろそろかな、あるいは近々かなということであらかじめ準備をするということは十分あり得るわけでございます。いいか悪いかは別にしまして、あり得ることでございます。そういう事情であろうかと思います。  それから、先ほど委員指摘の財テク資金の検査ということがあらかじめわかっていたのではないかということでございましたけれども、これも午前中に御答弁申し上げましたけれども、当時の状況のもとで一般的に財テク資金融資の状況等について検査の対象にしていたということでございまして、これは全金融機関について共通の我々としての課題でございました。
  191. 笠井亮

    ○笠井亮君 絶対あり得ないと言われるわけでありまして、ただそろそろかなと、だから三年に一回ぐらいだから準備を始めるのは当然だみたいな話なんですけれども、二回の検査があったにもかかわらず隠ぺい工作がいわば成功するというようなことがあるということについて、私は百歩譲ってもそこに漏れたんじゃないかというふうなことが実際に言われているわけですし、マスコミを含めて指摘されているわけですから、大蔵省としてはそういうことが事前に漏れることが万々が一にもなかったのかなということも含めてきちっと究明することが必要だと思うんです。  大蔵省検査を事前にキャッチしていなければ、そんなこと言ったってなかなか隠ぺい工作ができるはずがないわけでありまして、よく銀行にはMOF担と言われる大蔵省の担当者を配置しているということがありますけれども、第一勧銀にもいることについては五月二十八日の参考人招致の際に近藤頭取も認めておりました。  私は、このMOF担の問題とともに、特にきょうきちっと伺っておきたいのは、銀行から大蔵省への出向者ということでありまして、いわゆる天上がりということであります。検査時期をつかんで出身銀行に知らせるのがその出向者の重要な任務の一つだということが言われております。このルートから銀行側が検査時期、あるいはどんな検査内容をやるか、九〇年でいえば財テク資金のための融資を厳重に監視するということも含めて知り得ることは周知のことだというふうに言われているわけであります。  そこで、まず事実を聞きたいんですけれども、第一勧銀の総会屋融資の発端となった一九八九年から現在まで、今九七年の六月でございますが、第一勧銀から大蔵省への出向者は年ごとに何人おりますでしょうか。現在、それも含めて銀行からの出向職員の受け入れ状況ですけれども、常勤、非常勤合わせてどういう現状か、実態報告をお願いしたいと思います。
  192. 涌井洋治

    政府委員(涌井洋治君) 第一勧業銀行から一九八九年以降大蔵省に受け入れている職員の在職状況でございますが、平成元年が三名、平成二年が二名、平成三年が一名、平成四年が二名、平成五年が一名、平成六年が一名、平成七年が三名、平成八年が二名、現在が一名となっております。  それから、民間銀行出身者の現在の在籍状況でございますが、常勤職員が七名、非常勤職員が三名となっております。
  193. 笠井亮

    ○笠井亮君 現在もいるわけですね、第一勧銀から。  今いわゆる出向者の状況を報告してもらいました。そして、現在も第一勧銀から一名出向者が出て大蔵省にいるということも含めて、現在、銀行からの職員受け入れば常勤が七名、それから非常勤が三名ということだったと思うんです。  昨年の住専問題のときに、我が党の緒方議員の指摘に対して当時の久保大蔵大臣が、今後は新たに金融機関からの任用は当分中止するというふうに答弁されましたが、現在その任に当たる者を直ちに引き揚げさせるのは問題があるということで、その時点では雇用を継続する考えもあわせて当時大蔵大臣が言われたわけであります。  銀行からの天上がりからも検査情報が漏れていくことは十分考えられるわけでありますが、そういうことはないと断言できるのか。天上がりについては直ちに引き揚げさせて、永久にやめるべきだと私は今回の問題からも思うわけでありますが、これが一つ。  もう一つ大蔵大臣は五月二十三日の記者会見で、なぜこういう事件が起きたのか、なぜ今日まで温存されたのかを捜査とは別にみずからの責任で明らかにすることが極めて重要だというふうに言われました。隠ぺい工作があった、あるいは大蔵省疑いということで言われましたが、あったとはいえ、総会屋への異常融資を発見できなかった大蔵の監督検査自体に問題はなかったのか。その二点について大蔵大臣伺いたいんですが、いかがでしょうか。大蔵大臣にお願いします。
  194. 三塚博

    国務大臣三塚博君) 第一勧銀から一名来ておるという現在でありますが、この職員は全く検査等と関連のない研究部門ということであります。  そういう点で御理解をまずいただくということが大事かと思っております。  第二点でありますが、このようなことがまた繰り返されるということは、金融システム改革の真つただ中に入りましたから、再発防止という言葉以上に、起きてはならない体制をつくり上げるべく全力を尽くすということでなければなりません。  そういうことになりますと、それぞれの銀行、今は当面第一勧銀であり野村証券、いずれもリーディングカンパニーであります。みずからの責任で、なぜそうしたかということの報告を求めておるところでございますから、これをまず求めると。そういうことの中で、今後重要な時期でございますから、検査体制にさらなる研究、検討を加えまして、限られた人員でありますけれども、どう取り組むかということであります。  それともう一つは、監督庁が出るものでありますから、この専門官はほぼそのまま監督庁に移籍をするんでしょうか、これは人事が決まってからの話でありますけれども、養成をしてそれに備えるということであっては政治の責任は果たせませんから、直ちに役に立つ専門官にそういうことで担当をいただくということになろうかと思います。  そういうことを含めて、今後、実態を解明することによって万全を期することは当然だと思い、申し上げました。その体制をとっておるところであります。
  195. 笠井亮

    ○笠井亮君 最後におっしゃいました実態を解明する、これは大事なことだと思います。いろいろきれいごとを言われても、癒着の構造の一つであるということは私は間違いないと思うんですよ、この出向者をめぐる問題。  確かに検査部門第一勧銀から行っていない。  これは行っていたら大変です。行っていないわけでありまして、国際金融局の開発政策課というところに今所属しているというふうに私承知しておりますが、係がどこであろうと大蔵の中に入ればいろんな人脈ができるからそれは有利なんだと銀行側が言っているということもありますし、情報が入るというのが普通じゃないか。しかも、私もびっくりしましたが、大体どこの銀行から来ている人も、出向者は出身銀行に対してどんなにちっちゃなことでも日報のようにしてちゃんと出身銀行に報告しなさいと、そうしなかったら出向から帰ってきたときにもううちで受け入れませんよという話まで出ているということでありまして、そういうことを含めてきちっとメスを入れる。  今いろいろ伺っても、大臣は検査監督体制に問題があったかどうかということははっきり言われないんですよ。そうじゃなくて、きちっと問題があったということを認めてこの問題について当たらないと、ただ検査監督部門を別建てにしてもうまくいかないというふうに思うんです。  ビッグバンとの関係も言われました。現状でも、大蔵省の説明では都市銀行はきちっとしているからということで三年に一度ぐらいの検査をすると。大蔵省から見て問題ないところはビッグバン対応ということで今後五年に一度ぐらいの検査にするということも大蔵省の担当の人が説明しておりましたが、その検査も、建前では抜き打ちでやっても、実際は漏れてしまわないか。今回の事件のように、きちっとしているはずの都市銀行が一たん経営の中枢がごまかしをやれば長期にわたって全くそれがわからないで野放しになるんじゃないか、こういう問題もあると思うんです。  ですから、フリー、フェア、グローバルということで幾ら言っても、国民が汗水垂らして蓄えた預金を安心してゆだねられるのかという問題になってくると思うわけであります。自己責任の原則の確立とかディスクロージャーというふうなことを言っても、その気になっていない経営者がいるわけですから、まだまだほど遠い。ビッグバンを進めていけばますます銀行証券、保険の垣根がなくなって、ビジネスもグローバル化するという中で、一層巧妙で大規模で複雑な不正が起こるということもあるわけですから、それをただ別建てにして監督庁をつくれば何とかなるということでは私は事に対処できないということを厳しく指摘申し上げて、きょうの質問は終わります。
  196. 田村公平

    ○田村公平君 水曜日の質問で、もうきょうは質問本当はやめたくなっておったんです。というのは、うちの田舎の電話帳よりも厚いこんなのが月曜日にうちの控室へ入っておって、委員会でももらって二セットあるんですけれども、これ全部一応読んだんです。火曜日に総理府の人がやってきてレクチャーというか、それで水曜日に質問でしょう。こんなに厚いんだから物すごく大事な法案かなと思ったら、どうも簡単に通るから、おれなんかには適当にお茶濁してやっておけばいいというふうに思っておられると思ったので、きょうは質問やめたいなと思ったけれども、どうやったらやめられるかわからなかったものですから。いや、そんなことはないです。  実はそのレクを受けるときに、大蔵省の大臣官房参事官河上信彦さんの部下になる人が、劇画にもなったMOF担、大蔵省担当の銀行の出向者がデスクを置いてやっておるじゃないかと、そんなのは全然おりませんというふうに火、水で言ったのにかかわらず、今さっき共産党の笠井委員の話を聞いていたらおるじゃないですか。どうして大蔵省うそついたの。いないと言ったよ。いるじゃないか。どうしておれをだますんだよ。答えてよ。MOF担いないと言ったじゃないか。
  197. 武藤敏郎

    政府委員武藤敏郎君) 私どもの担当の者がどのようなことを申し上げたのか、ちょっと私、十分存じ上げておりませんので、事情を調べましてまた御報告をさせていただきたいと思います。
  198. 田村公平

    ○田村公平君 そこにいるから聞いてくれよ。いないって言ったじゃないか、おまえ。火、水の話じゃないか。劇画の話までしたじゃないか。いないって言ったじゃないか。どうしてうそをつくんだよ。こっちもまじめに一生懸命ない知恵絞って質問しているんだようそをつくなよ。だますなよ。一生懸命やっているじゃないか、こっちだって。  大蔵省の資料に二〇二五年にはこの国が破綻するって言っているじゃないか。この国の将来をどうすると言うんだよ。そのための金融監督庁じゃないか。モラルを高くしてほしいと水曜日も言ったじゃないか。どうしてMOF担がいないっておれにうそをついたんだよ。どういうことなんだ。  ひどいじゃないか。
  199. 武藤敏郎

    政府委員武藤敏郎君) MOF担というのは、それぞれの銀行の方で大蔵省に出入りする企画担当の方をいうわけですが、一方、今話題になっておりますのは、大蔵省に常勤、非常勤の形で金融機関から出向しておるといいますか、来ておる者の話でございますので、そこがちょっと、あるいはこちらの方の担当の者が大変誤解をしたのかと思います。そういう意味では大変申しわけないと思いますので、そういう事実だけをとりあえず申し上げさせていただきます。
  200. 田村公平

    ○田村公平君 あの劇画の中にはあんな美人は出てきませんよとまで言ったよ。デスクを置いてまでと言ったよ、おれは。それを、そういうものはないと。もちろん、いわゆる廊下トンビ、情報取り、知っていますよ。全部わかった上で、その話の中で、デスクを置いてまで、そんなのは今ありませんとはっきり言ったじゃないですか。行き違いがあったとかそんなレベルの話じゃないですよ。だから、水曜日も僕は聞いたじゃないですか、何で正面玄関からでなくしてこっちの会計検査院の方からという話まで。  実はきのう大蔵省へ行きました。面会票を書かされましたよ。予約があるのかないのか、アポイントメントがあるかないか。議員会館の議面の面会票よりもまだ難しいですよ。それだけ厳しく出入りをチェックしている、ある意味で議員会館の面会票よりも厳しいチェックをしておる。それでいて、どうして僕にいわゆるMOF担がいないと言って、さっきの答弁ではいると言ったのですか。きのう、きょうの話ですよ。
  201. 武藤敏郎

    政府委員武藤敏郎君) 今、MOF担ということでお話がありましたので……
  202. 田村公平

    ○田村公平君 デスクの話もしたじゃないか。デスクがあると言ったじゃないか。
  203. 武藤敏郎

    政府委員武藤敏郎君) そのMOF担の方が大蔵省にデスクを持つというようなことは、これはもうあり得ないことでございます。いわゆる銀行の方が大蔵省に来ていろいろ調査員という形で働いておるというケースはございます。  一方、今、劇画というお話がございましたが、あれはMOF担という、まあ某銀行の女性の美人のMOF担が大蔵省に来ていろいろ情報をとるという話でございますので、私の知る限り、ちょっと今のお話と合わないのではないかというふうに思います。
  204. 田村公平

    ○田村公平君 要するに、そういうのを鉄面皮とかいんぎん無礼と言うの。何で国民に向かってわかりやすい言葉で、つまり僕は水曜日にキング・オブ・キングズという言い方をしました。今ここでギャング・オブ・ギャングズと言いたくなってきました。わかりやすく情報開示をして、しかもグローバルスタンダードに合うフェアなことをやらなきゃだめでしょう。  きのうの大蔵省次官の記者会見では、朝日新聞の見出し、「米SEC、本格調査も」。記者会見のコメントが、「機会があれば(米国に)説明するかもしれないが、あらたまってやることはない。現状では必要なく、事実を把握するのが先だ」。証券局幹部、通常、新聞の場合、幹部というのは局長を指しますが、「日本企業国内での事件であり、国内法違反を根拠に外国の当局が処分するのは難しいはず」。それは法理論ではそうかもしれません。しかしボーダーレス、そうじゃないですか。バブルのトップのころには、ドルよさようなら、EUの通貨もさようなら、今に円が世界の基軸通貨になると、我々日本国民が浮かれたこともついこの間のことであります。それが今はどうですか。二〇二五年にもし日本という国が破綻したら、大臣も今度デンバー・サミットへ行かれると思いますけれども、サミットのメンバーからも外されますよ。金がなくなって貧乏になったら、世界から相手にもされませんよ。  そういうときに、アメリカのSECにも事実としてこういう事件が起きましたと、それがやっぱりいい意味での日米のパートナーシップにつながることじゃないでしょうか。いきなりデンバー・サミットに行ってがつんといって大臣がやられても、総理がやられても、僕はそれはちょっと損、損得でいけば、ある程度外交というのは損得ありますから、駆け引きも。そういうことを考えたときに、当然アメリカ合衆国の日本大使館はこの手のものは全部情報収集して送っていますよ、ワシントンDCに。  何かちょっと感覚的に僕はずれているような、次官ですから、これ腹の中でそう思っていても絶対こういうコメントを出してはいけない。国益ということをどういうふうに考えておられるか。だから、きょうずっと先輩議員とのやりとりを聞いておっても、本当に美辞麗句、いんぎん無礼、誠実さが全然ないです。大臣、デンバー・サミットに行ってがつんと食らわぬように、部下を督励して、よろしくお願いしたいんです。  MOF担がどうのこうのって、おれもそんな素人じゃないんだから、せっかくいろいろ、僕もきょうはおとなしくしようと思っておった、こんなパンフレットをつくって大蔵省も頑張っておるなと。これも要求したから出てきたのであって、タックスペイヤーにもっと配ってやったらどうですか、いっぱいいいことをわかりやすく書いてありますよ。そういう意味では大蔵省も宣伝も下手だ。  だけれども、それは、自分たちは絶対間違いを犯さない、常にどの省庁よりも自分たちが一番エリートである、そういうふうに思っておるから世間が見えないんです。第一、世間とは遮断されているじゃないですか。面会票を書かなければ入れてくれない役所は大蔵省だけです。警察庁だって人事院ビルに、今壊していますけれども、自治大臣経験者も隣におられますけれども、自由にすいすい入れてくれますよ。  そういうことを踏まえて、大臣、大臣もうろうろしておると部下にはしご外されてひどい目に遭うかもしれぬですよ。いや、本当に。
  205. 三塚博

    国務大臣三塚博君) 段々のお話であります。  事実を武藤審議官は言ったと思うんですが、しかし田村議員は全部知り尽くして指摘をしておる、その心を大事にします。  そういうことで、重い役所なら重い役所なりに任が重い、ここに徹していかなければなりませんし、デンバーにおいて首班が所期の目的を達成できるようにベストを尽くして国益のため頑張ります。
  206. 田村公平

    ○田村公平君 我が国のこういう金融不祥事事犯は我が国だけでは終わらない、それぐらいもう世界は狭くなっておりますし、そして世界の先進国やあるいは発展途上国、ODAのお金を幾ら使っても尊敬されない日本であります。日本が消えてしまったら楽だなあと思う国もいっぱいあると思います。ちなみに、アメリカではもうカラーテレビは自分の国でつくっていません。アメリカがつくり発明したものです。そういうことを考えたときに、かなり日本のかじ取りは難しいと思います。たまたま日本資源小国であります。そのために第二次世界大戦も始まった一つの大きな要因でもあると思います。資源小国であることは未来永劫続くわけです。せめて政治、経済がしっかりしていただきたい。  そういう思いで自分なりに一生懸命努力して質問に立っておるときに、人をはぐらかすようなそういうことはやめていただきたい。本当にむなしくなってきます。この七月二十三日でやっと二年目が来るのに、衆議院二回も落選して、やっとこさ自民党公認候補も破って上がってきたのに、困ります。そういうことで、きょうは質問を終わります。ありがとうございました。
  207. 山口哲夫

    山口哲夫君 一昨日の私がした質問に対しまして、大蔵省の答弁はどうも勘違いしているような感じがありましたので、まずそこから入りたいと思います。  住専処理に関する三党合意について、一般行が七年間で一兆五千億の合理化、効率化をやる、そして約五千億の税収増を上げて、それをもって国に対して寄与しましょうと。この処理については、金融監督庁が今度は担当することになるんですか、あるいは大蔵省が担当することになるんですかという質問ですけれども、どちらなんでしょうか。テープをもう一度聞いてみたんですけれども、何か勘違いして答弁されているように思ったものですから、そこだけお答えください。
  208. 武藤敏郎

    政府委員武藤敏郎君) 御指摘の昨年三月の与党三党合意に基づきまして、金融機関による五千億円の税収増の実施をどのように今後点検していくかということに対しての担当ということでございますか。
  209. 山口哲夫

    山口哲夫君 どちらが担当しているかだけ。
  210. 武藤敏郎

    政府委員武藤敏郎君) その担当でございますけれども、この三党合意の経緯の趣旨に照らしますと、大蔵省はいわば当事者ともいうべき立場にございます。他方、金融監督庁設置後は、民間金融機関の経営状況を把握する監督上の法的権限監督庁に属する、これはもう間違いがございません。  ただ、経緯がございますので、国会への報告をどうするかということにつきましては、大蔵省が状況を把握する権限を現に持っております金融監督庁連携して適切に対応したいと考えております。具体的な方法については今後検討してまいりたい、このように考えております。
  211. 山口哲夫

    山口哲夫君 わかりました。  それで、もう一つ、三党合意の中には、この実施状況をきちっと国会に報告しなさいと書いてあります。幸い今、国会開会中ですから、この国会開会中に、一〇〇%決算が終わっていないというお話がありましたけれども、終わっていなくても結構です、現状を把握して今国会中に報告をしていただきたいと思います。いかがですか。
  212. 山口公生

    政府委員山口公生君) 各金融機関は与党三党合意の趣旨を重く受けとめて、既に一部の金融機関において経営の合理化、効率化の実施状況を公表しておりますが、今後、残りの金融機関の公表が行われた段階で速やかに国会に報告したいと考えております。  今、先生の御指摘は、わかっている範囲でもいいから今御報告を申し上げるという……
  213. 山口哲夫

    山口哲夫君 いや、今じゃなくてもいいですよ。
  214. 山口公生

    政府委員山口公生君) 私どものつかんでおるところでは、主要二十行におきまして八年度で約八千五百人程度の人員を削減し、百四十六店舗の統廃合を行っている、これがいわゆるリストラの中身でございます。
  215. 山口哲夫

    山口哲夫君 恐らくもう少し詳しく調査できると思いますので、できるだけこういうものは文書をもって国会に報告していただきたいということをお願いしておきます。  それでは、次に入ります。  松下日銀総裁、おいでいただきましてありがとうございました。毎日どうも御苦労さまでございます。  そこで、日銀総裁にお伺いしたいことは社団法人新金融安定化基金に関することです。日本銀行が第一勘定に一千億円を拠金しておりますね。その中で、第一勘定から阪和銀行の事業を譲り受ける新しい銀行に対して百億円、日債銀に八百億円を資本金として出すというふうに聞いておりますけれども、本当でしょうか。
  216. 松下康雄

    参考人(松下康雄君) 御指摘のとおり、日本銀行は新金融安定化基金に対しまして一千億円の資金の拠出をいたしております。この資金は、新金融安定化基金の設立の目的といたしまして、我が国金融システムの安定に資するための、例えば金融機関の資本の充実等に資する業務を行うということが決められております。  したがいまして、私どもは、この一千億円の資金拠出の中から、そのような事業目的にふさわしい事業がありました場合に、新金融安定化基金からの要請を受けまして、その適否を検討いたしまして、私どもの資金拠出の目的から見てふさわしいと考えられる場合にはこれを承認いたすわけでございます。  ただいま御指摘の阪和銀行の残務の業務を担当いたします、これは紀伊預金管理銀行でございますけれども、この紀伊預金管理銀行は四月九日に阪和銀行の営業の譲り受けを受けまして設立されました。この時点におきまして、この新金融安定化基金から百億円の出資が実行されております。  なお、日債銀の関連の問題につきましては、この基金の要請を受けまして検討した結果、新金融安定化基金から八百億円を上限に優先株の引き受けを行うことが適当であるという方針を私どもとしては固めておりますが、これはまだ実行いたしておりません。日債銀の増資手続が今後進んでまいります中で適切に対処してまいるということになります。
  217. 山口哲夫

    山口哲夫君 社団法人新金融安定化基金の定款を読んでみますと、日債銀に対する資本金、資本金を出せるとは全く書いていないわけです。それで、これまでみどり銀行には直接貸し出しをしていたと思うんですけれども、どうして今度は直接貸し出しをしないで、第一勘定を通して出すように変わってきたんでしょうか。
  218. 松下康雄

    参考人(松下康雄君) 新金融安定化基金の定款によりますと、第四条に、「本社団は、前条の目的」、と申しますのは「わが国金融システム安定化」等でございますが、この「目的を達成するため、」「基金に関し、次の事業を行う。」とありまして、第一に「金融機関の資本基盤の構築等を支援する事業」というものを挙げてございます。  このことは、新金融安定化基金から、金融システム安定化のために必要があると認められましたときに、当該金融機関に対する出資を行うことができるということでございますので、既に日本銀行から新金融安定化基金に拠出をしております金額の、それは第一勘定と申しておりますが、第一勘定の枠の中から今の百億円が出資をされたわけでございます。
  219. 山口哲夫

    山口哲夫君 どうしてもこういう新しい基金制度を通さなければやられないということ自体が私はちょっと不思議に思うんです。この新金融安定化基金のスキームをつくったんでしょうけれども、一体、これは日銀も関与してつくったものなんでしょうか。
  220. 松下康雄

    参考人(松下康雄君) この新金融安定化基金の設立は、住専の債権債務の処理に関連をいたしまして、政府・与党から民間金融機関等に対して要請されたものでございます。その際に、日本銀行に対しましても、日本銀行の資金の性格にも留意しつつ、金融システム安定化に資する目的でその資金の活用を要請するとして協力が求められた次第でございます。  私どもは、この要請に対しまして検討を行いましたわけですけれども、この基金に対しまして、日本銀行の資金と申しますものは一種の公的の資金でございますから、他の民間金融機関からの拠出金と同じように財政支出の負担軽減に利用することに用いることは適当でないということでありますけれども、もう一つの目的でございます今の金融安定化の達成のための、例えば民間金融機関の資金造成の業務等の支援を行うということは、私どもの業務の上から申しましても問題がないのではないかと。  また、この基金の造成につきましては、日本銀行の財務の健全性にも配慮がなされる、あるいは金融システム安定確保の上で非常に必要であるというような条件が満たされると考えられましたので、この新金融安定化基金に対する一千億の資金拠出を行うことを、政策委員会におきまして日銀法二十五条に基づく大蔵大臣認可を得ました上で実行するというふうに決定をした次第でございます。
  221. 山口哲夫

    山口哲夫君 かつて日本銀行が東京協和の事業を継承した東京共同銀行に直接出資したことがありますけれども、それは好ましくないというふうに大蔵省から言われたと、そういうことを私は伺っております。そういうことがあったために、今度はこういう基金を通してやるようにしたんではないのかなと、そんなように私は感じられてならないわけです。  もしそうだとしますと、この新しい基金というのは何か日銀のトンネル機関になっているんではないだろうかと、そういう疑問を持つんですけれども、いかがでしょうか。
  222. 松下康雄

    参考人(松下康雄君) ただいま御指摘の東京共同銀行に対します日銀の出資は、やはり日銀法二十五条の規定に基づきまして、直接に大蔵大臣の認可を得て実行したものでございまして、これに対して大蔵省側から何らか異議があったというようなことはございません。  今回のこの拠出につきましては、新金融安定化基金というものが設立をせられ、そこに日銀が既に一千億円の拠出を行っておりまして、その拠出の目的から見まして、これが例えば今の紀伊預金管理銀行に対して出資をするということは、日本銀行の立場、いわゆる特融等を行う立場から見ましても問題のないところであるという認識で私どもとしてはお引き受けをした次第でございます。  ですから、これはほかの方法であればできないことをこれを使ったからできるという趣旨のものではございませんで、必要があれば、それは日銀法二十五条の特融として取り扱うことももちろんできるわけでございますけれども、ちょうど最近設立をいたしましたこの基金がございまして、この資金が使えるという状態でございましたので、その使用について基金側から私どもに要請があったということでございます。
  223. 山口哲夫

    山口哲夫君 日本銀行が一千億という大きなお金を拠出したわけでございまして、それがこの基金を通じていろいろと運営されていく。そういうことに対して、ちょうど今、日本銀行法の全面改正をやっているわけですが、日本銀行としてこれからこの金の行方というものをきちんと検証していかなければいけないと思いますけれども、それに対する御決意をお聞かせいただきたいと思います。
  224. 松下康雄

    参考人(松下康雄君) 日本銀行もこの新金融安定化基金のいわば大口の出資者でございますので、当然にこの基金の業務、またその業務に対する基金の対応の仕方というものについては私どもも大きな関心を持っておりますので、この業務によって支出をせられました今の出資等につきましてもこれから十分にフォローしてまいる考えでございます。
  225. 山口哲夫

    山口哲夫君 ありがとうございました。終わります。
  226. 遠藤要

    委員長遠藤要君) 来る六月九日、開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後四時三十分散会