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今井澄君
健康保険法等改正案の審議も公聴会を含めてきようで六日目になりますが、大分きょうも興味深い
議論が出てきたと
思います。
国民負担率論争の問題、それから私なんかは非常に興味がある出来高払いと定額制の問題、それからきょうは長瀬計数という、
医療費の自己負担をふやすと受診抑制の効果がどうあるかという経験則の大変おもしろい
お話をいただきました。
私もそういう
議論をしたいところでありますけれ
ども、最初に
尾辻先生の方から
お話がありました現在の衆議院から回ってきた修正案の欠陥をどう直すかという中で、やはり子供に対する配慮、それから低所得者、高齢の低所得者に対する配慮、これは非常に大事だと
思います。私も前々回、三日の日ですが、いわゆる低所得者対策の問題について
質疑を行いましたが、きょうはそれをもうちょっと深めていきたいと
思います。
一般的に言いますと、自己負担をふやすと当然受診が抑制される。これは別に
医療の
世界だけではなく、タクシーが値上げすると利用者が減る、しかしまたもとに戻るということは、これは
医療の
世界でも過去ずっと繰り返されてきたわけで、これは単に一時的なものだと
思いますね。やはり、ある程度の所得のある、あるいは資産のある
高齢者は何とかしてやっていくわけですね。
三日の日に私の方で配付しました資料を見ましても、例えば高齢夫婦の無職世帯、この人
たちは実収入の九割がほとんど年金に頼っているわけでありますけれ
ども、支出を見ますと四分の一、二四%余りが食料ですね、食べるものにかかると。その次が交際費で二八・七%、次が教養娯楽費で一一・四%、次が住居費、次が交通・通信費、そして光熱・水道費で、七番目にやっと保健
医療費というのは出てくるんですね。それ以下はその他でくくられているんですよ。ということは、高齢世帯が懐から支出しているお金の大ぐくりで集計できるものでは保健
医療費が実は一番少ないという実態があるんですね。それだけ今は無料化以降の
高齢者に対する配慮、優遇策で負担が少なくて済んでいるわけですね。ところが、この保健
医療費のうち実際に
医療機関の窓口で払うのはその半分ぐらいで、あとはやっぱり売り薬を買ったり、はり、マッサージに行ったり、そういうので使われている。
だから、
医療費の負担がふえても年金がちゃんともらえている人や貯蓄のある人はこの支出の配分で切り抜けていく。これは
日本の過去の歴史だけではなく
世界各国で言われていることで、だからそういう
意味でやっぱり応分の負担というのをお年寄りに求めることについては当然のことだし、私は定率で求めるべきだと思って前々からそう主張しております。
しかし、問題は、ぎりぎりで生活している人、食費の次ぐらいに保健
医療費が来るような人、交際費も教養娯楽費も支出できないようなそういう低所得の人にとっては自己負担がふえるというのは非常に大変なことでありまして、これは本当にかかりたくてもかかれなくなるわけですね。結果的に重症化してからかかるということになると、本人が大変なだけではなく、
医療費もかえってふえるということは例えばアメリカの低所得者層の分析でも出ているわけであります。
ですから、低所得者に対する配慮というのは非常に大事だというふうに
思いまして、けさの
尾辻先生の
質疑をさらに深める形でいきたいんですが、実はけさほど
参考までに配られた修正案らしきものを見ましても、このところに何と書いてあるかといいますと、こう書いてあるんですね。「老齢福祉年金の受給者であって、」ということなんですね。
それで、三日の
質疑のときにも
厚生省の方から
お答えがありました。現在、
老人に対して
医療費の支払いの上でどういう対策が立てられているかというと、例えば
一つは高額療養費
制度がありますね。高額療養費
制度は、今六万三千六百円を超えるものはだれしも
日本人は払わなくていいわけですね。これが非常に助かっているわけですが、それも低所得者になると三万五千四百円まででいいというのがあります。それからもう
一つが、今度千円になろうとしている入院時の一部負担、今は一日七百十円ですが、これについても三百円という軽減措置がある。これも低所得者対策。それからもう
一つ、前回
改正のときから食事療養費が一部、材料費と申しますか、自己負担になったわけですが、この一日七百六十円の食事代の負担も六百五十円とか五百円とか三百円とか
状況に応じて軽減されるわけでありますけれ
ども、こういうときに出てくる低所得者という判断が、まず前提条件が老齢福祉年金の受給者ということなんですね。
そこで、
厚生省に
お尋ねしたいんですが、この老齢福祉年金というのは昭和三十六年、一九六一年に
国民皆
保険制度ができたときに、その当時五十歳を超える人、つまり五十歳を超えるんだからもうそれから幾ら
保険料を払っても年金をもらえる資格が得られないわけですね。ですから、当時五十歳を超えていた人はもう年金は国費で見ましょうということにしたのがそうだと思うんですが、この老齢福祉年金の受給権者、受ける権利のある人と現に受けている人は何人いるのか、また月額あるいは年額は幾らか、それを最初に
お答えいただきたいと
思います。