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1997-04-17 第140回国会 参議院 厚生委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成九年四月十七日(木曜日)    午前十時四分開会     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         上山 和人君     理 事                 尾辻 秀久君                 南野知惠子君                 木暮 山人君                 大脇 雅子君     委 員                 大島 慶久君                 大野つや子君                 塩崎 恭久君                 田浦  直君                 中島 眞人君                 長峯  基君                 宮崎 秀樹君                 水島  裕君                 山本  保君                 和田 洋子君                 渡辺 孝男君                 朝日 俊弘君                 西山登紀子君                 釘宮  磐君    国務大臣        厚 生 大 臣  小泉純一郎君    政府委員        厚生省生活衛生        局長       小野 昭雄君    事務局側        常任委員会専門        員        大貫 延朗君    説明員        環境庁企画調整        局環境保健部環        境安全課長    中島 正治君        文部大臣官房文        教施設部指導課        長        吉澤 晴行君        通商産業省環境        立地局リサイク        ル推進課長    大道 正夫君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○廃棄物処理及び清掃に関する法律の一部を改  正する法律案内閣提出)     —————————————
  2. 上山和人

    委員長上山和人君) ただいまから厚生委員会を開会いたします。  廃棄物処理及び清掃に関する法律の一部を改正する法律案を議題とし、前回に引き続き、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  3. 中島眞人

    中島眞人君 中島眞人でございます。数多くの質問を通告しておきましたけれども、諸般の状況によりまして圧縮して質問をいたすことになりました。  そこでまず、産業廃棄物行政というもののあり方から大臣にお聞きをしたいと思うのであります。産廃行政というのは国の行政でございます。しかし、実際にこれを行っているのは地方自治体知事のもとで、知事が国の下請をやるという機関委任事務でございます。そういう中で、都道府県知事裁量権の問題についてまずお尋ねをいたしたいと思うのであります。  まず、新しい問題として、ことしの二月十三日、札幌地裁が道の建設不許可処分を違法とし、産廃業者の訴えを認める判決を言い渡した。言うなれば道が敗訴したわけですね。この中身を見てみますと、道が二年前の九月、釧路の処分場計画許可を決めた根拠は、一九八八年に制定した独自の産廃処理指針北海道のですよ、産業廃棄物処理法より厳しい指針なんです。生活環境保全を目的に掲げ、住宅地や文教・福祉施設から五百メートル以上離れること、周辺住民同意自治体との公害防止協定締結業者に求めている。制定の背景は、首都圏など道外産廃がどんどん北海道に持ち込まれるとの危機感の中から、いわゆる道は不許可にした。そうしたら、この裁判が出て北海道は、道は敗訴したわけです。  端的に申し上げて、この改正案知事裁量権というものをどのくらい認め、二度とこういうことが起きないような歯どめになる法律ですかどうですか、基本理念としてまず大臣にお聞きいたします。
  4. 小野昭雄

    政府委員小野昭雄君) 事務的な話を若干させていただきます。  産業廃棄物に関します事務につきましては、産業廃棄物が広域的に処理をされているということを踏まえまして、基本的な枠組みにつきましては全国統一的なルールを定めた上で、地域の実情に精通した都道府県知事機関委任事務という形で事務の執行をお願いしているところでございます。    〔委員長退席理事大脇雅子着席〕  ただ、従来の法律では、今、先生まさに御指摘のございましたように、施設設置手続につきまして法律で明らかに定められておりませんために、都道府県におきまして独自の要綱あるいは行政指導というふうな形で行われてきたところでございまして、地方公共団体関係者の方からは設置手続につきまして法律で明らかにきちんと定めてほしいという要望もあったことは事実でございます。  今回の改正案の中におきましては、したがいましてそれを明らかに法律の中で定めるということにいたしておりまして、例えば生活環境影響調査でございますとか、それから申請書等の告示・縦覧でございますとか、関係住民関係市町村長意見聴取等手続法律の中に明らかに定めたところでございます。  ただ、今御指摘都道府県知事裁量というところはございます。こういう御意見も非常に強いわけでございますが、そういう点に関しましては、廃棄物処理施設設置許可に当たりまして国が定めております技術的な指針というのがございます。それに合致しているかどうかということのほかに、施設ごと都道府県知事地域生活環境に適正に配慮されたものかどうかということにつきまして判断できるような条文を盛り込んでおりまして、そういう点におきまして都道府県知事裁量の余地をきちんと明らかに法律上定めたということでございます。  そういうことで今後……
  5. 中島眞人

    中島眞人君 簡単でいい。もう時間がないから。
  6. 小野昭雄

    政府委員小野昭雄君) はい。ということでございます。
  7. 中島眞人

    中島眞人君 そうすると、地方住民の叫びのような、地方自治体がつくった指針というものは、少なくとも札幌地裁のような二の舞が起き得ない  と言ってよろしゅうございますか。  同時に、実は私は、国が決めているこの法律改正案が出るに当たって、地方自治体、特に私は山梨県ですから山梨県の環境行政に携わっている各分野の方々とこの条文について一つ一つチェックしたんです。すると結論は、私はもう通告してありますけれども時間がありませんから、非常にあいまいだと。これだとまた札幌地裁と同じように、地方がいわゆる煮え湯を飲まされるようなことが起きる要素が随所に見られるということを自治体の中で実際に産廃行政をやっている方々から指摘をされているんですよ。  これについて大丈夫、札幌地裁のような形にはならないとはっきり断言できますか。
  8. 小野昭雄

    政府委員小野昭雄君) 今回の改正案で新たに規定を、周辺地域生活環境保全についての適切な配慮ということを入れているわけでございます。  さらに、先ほど申し上げましたように、その設置許可手続につきましては法律で明らかに定めておりますので、札幌のような個別事例についてそういうことが起きるか起きないかということは今の段階ではわからないわけでありますが、そういう法律的な手続をきちんと踏んでいれば御指摘のような事態は起きないものというふうに考えております。
  9. 中島眞人

    中島眞人君 地方自治体が、例えば建築なんかでもよく条例で高さ制限なんかの規制をするんです。ところが業者が訴えてくる。そうするとやっぱり法律の方が上なんです。自治体は負けるんですよ。今一つの政治の流れの中でそういう機関委任事務廃止をしていく。これらの法律などはまさに自治事務としてやっぱり切りかえていくべきであろう、こういうふうに私は思うんです。機関委任事務廃止、そして地方自治体の意向が十分に反映をしていくということ、将来的に私は自治事務としてこの産廃行政などは取り組んでいくものであろうと、こんなふうに思うんですけれども、大臣いかがですか。
  10. 小泉純一郎

    国務大臣小泉純一郎君) これは、産業廃棄物以外の問題でも起こってくる可能性はあると思います。国の一般的な基準地方自治体住民との考え方の違い、この問題、法律的な問題もあると思います、事務的な問題も。
  11. 中島眞人

    中島眞人君 将来的な問題です。
  12. 小泉純一郎

    国務大臣小泉純一郎君) 将来も国の基準よりももっと厳しくしょうという自治体が出てきて、この問題が起こらないとは言えません。どうなるかわからないけれども、ともかくこの産業廃棄物にかかわる問題で、国、地方団体事業者住民がよく協議することが必要じゃないかと。今の段階であり得ないとは言い切れません。
  13. 中島眞人

    中島眞人君 ともかく、地方には地方なりのそれぞれの立地条件や環境問題があります。そして、国の中で示す一つの枠というのは、地方の実態に合わない、地方裁量に任せていかなければならない要素というのはたくさんあるわけです。これは産廃だけじゃございまぜん。こういう問題は地方指針を示しても、国の今までのようなあいまいな一つ枠組みの中では地方知事裁量権というのはやっぱり認められていかないといういわゆる判例があるわけでありますから、これらについては、今後課題として十分御検討願いたいと思います。    〔理事大脇雅子退席委員長着席〕  次に、産業廃棄物処理に係る事業者責任の問題です。  私は率直に言って、不法投棄等の問題が出てくるわけですけれども、産廃排出事業者業者と契約をする、そうするとそこで排出業者責任はなくなつちゃうんですね。しかし、日本のいろいろの経済行為を見ていきますと、委託をされた業者不法投棄をした、不正をしたということになると、委託をした人間も同時責任がやっぱり課せられるシステムがいろいろな制度の中にあるんです。  ですから、委託をされた業者がもし不法投棄をしたということになっても、排出業者は何ら知らぬ存ぜぬ、洞ケ峠でいられるというところにこの問題が起こってくる。そして最終的には、私は本来的にはこれはやっぱり税金を使うべきものではないと。同時に、最後のいわゆるその処理までいくのが産業活動だと、私はこう思うんですよ。  そういう点で、今までの法律もそうですし、この改正案を見ても、やっぱり事業者廃棄物最終処分を見届けるまで自身産業活動としての位置づけをしなきゃいかぬ、こういうふうに思うんです。これだと業者委託した時点でもう排出業者責任は全くなくなってしまう、こういうことですので、やっぱり不法投棄を起こしてくる原因、あるいは能力のない業者委託をしてしまうとそのまま不法投棄になる、回収指導回収能力がない、それで終わっちゃうんです。しかし、そういう業者を選んだ産業側事業者にも責任があるんだというきつい行き方をしていかないと、不法投棄はますますこれからも隠れたところで起こってくる可能性がある。  私は、本来的にはこの種に税金を使うべきではない。よしんば税金を使うにしても、本来的には国の行政なんですから、地方自治体がこれにいわゆる税金を投与していくというのは本来的ではない。しかし、現行では、地方自治体がやっぱりお金を投下して不法投棄処理をしているという現実があるわけですけれども、その理念の問題をやっぱり考えないとますます地方自治体はこの問題で大変なことになってくると、こう思うんですけれども、いかがですか。
  14. 小野昭雄

    政府委員小野昭雄君) まさに御指摘のとおり、産業廃棄物につきましては排出事業者がみずから排出した廃棄物を適正に処理することが原則でございます。  そのためには、排出事業者責任の徹底を図るということが基本でございまして、今回の改正におきましても、御指摘のように、委託をした場合につきまして、それが適正に処理されたということを確認をするということが必要でございます。  今後、政令改正考えておりまして、受託者の業の範囲や所有する施設能力等排出事業者は確認すること、あるいは受託する廃棄物適正処理に必要な情報を提供することなど委託基準強化することを検討しているところでございます。  さらに、原状回復につきましては、いわゆる措置命令対象範囲拡大等を講じまして、排出事業者責任を明確にするということをやっているわけでございますが、投棄者が不明である場合等につきましては、原因者費用負担を追求することは困難でございます。また、適正処理を行っている事業者不法投棄責任を負わせるということにつきましてはいろいろ議論がございます。  そのために、今回の原状回復制度につきましては、生活環境審議会等での議論を踏まえまして、産業界行政の協調によりまして原状回復を行う仕組みを確立することとしたところでございます。  なお、産業廃棄物行政を担当いたしまして、地域生活環境保全責任を有する地方公共団体事業実施主体となっていただく必要があるわけでございますが、国といたしましても必要な支援を行っていく考えでございます。
  15. 中島眞人

    中島眞人君 日本経済行為とか商行為とか、いろんな問題を見てみますと、一番わかりやすく言いまずけれども、例えば自動車メーカーがありますね。それをディーラーが売る。いろんな機械自動車を売る、この売った段階だけじゃないんです。売る過程の中で、やっぱりさかのぼっていわゆる製造メーカーまで責任を負うというシステム日本商行為経済行為の中にみんなあるんです。  そういう中で、産廃だけは産廃業者委託をした時点でいわゆるその排出業者責任というのは非常に軽減というよりは全くなくなってしまうというのが従来の姿勢なんです。  やや改善をしたというけれども、やっぱりその原則は、事業者というのは廃棄物最終処分を見届けるまでが自身産業活動だという意識を持つ。そして、その委託をした業者が途中で不正をしたりなんかしたときには、それは自分が選んだ委託業者責任があったんだという、そういう意識をその事業者が持つようなシステムに今後持っていくことによって、これはほっておいたら大変なことになりますよ、甘くしておったら。そういう一つ原則をやっぱり貫いていかなきゃいかぬ、私はこう思います。ぜひひとつ規則等の中でこの問題はぜひ取り組んでいただきたい。  次に、生活環境審議会の答申、諮問をしましたね。この中に自治体関係者は何名入っていますか。
  16. 小野昭雄

    政府委員小野昭雄君) 生活環境審議会の場におきましては、今ちょっと名簿はございませんが、たしか全国知事会、それから全国市長会全国町村会代表の方にお入りをいただいて御審議をお願いしております。
  17. 中島眞人

    中島眞人君 少なくともあなた、介護保険をつくるときには知事会にチームをつくってもらった。町村会市長会とは厚生省がまさにちょうちょうはっしの論議をしながら、介護保険問題等については論議をして積み上げた経過があったんです。機関委任事務の中で、一番苦しんで、一番問題を抱え、そして自分たちのいわゆる指針が敗訴するというような大変な煮え湯を受けている自治体関係者が、知事会代表あるいは市長会代表、いわゆる知事会全体の中では論議していませんよ、こんなことは。  私は、もっと地元方々が、地元自治体産廃行政に携わっている方が、機関委任事務として国の行政地方自治体で受けているその自治体悩みや苦しみ、私が通告した文書は二十項目にわたっておりますので、きょうは質問ができませんけれども、よく読んでいただいて、地方悩みというのを聞いていただきたい。  そして、少なくとも規則を、細則をつくっていくときには、地方がどういう点で悩んでいるのか、あるいは各県の指針だってまちまちです。少なくとも、産廃処分場をある自治体では八百メートル以内の同意をとれという、ある自治体では全くの隣接地でいいという、そういう意見もある。それでは水源地の問題はどう見るのか。そういうマニュアルを、少なくとも全国から集まった共通したマニュアル厚生省はつくって、さあひとつ全国自治体でやってくださいというのが厚生省法律改正して行っていくべき姿だと私は思うんです。ぜひこれからでも遅くないからやってください。  次に、時間もありませんから、廃棄物野焼き等の問題については直罰規定がございませんね。何回か改善命令をすると、あれ出てくるんですけれども。そういうことと同時に、産廃場、私どもの山梨県でもあったんですけれども、ともかく非常に強い方々が入り口にいるものですから、中を見させてくれと言ってもなかなか見られない。警察官を同行するとこの方たちは大変弱くなりまして、すぐ入れてくれるんです。  そこで私は、捜査逮捕権限を持つ特別司法警察職員のような不法投棄取締官、こういう制度を私はやっぱり制度化すべきではないのか、こう思うんです。少なくともあの豊島のような状況が起こっていったときに、地域住民人たちがいろいろ言ってもどんどん構わず来た一しかしそのときに、いわゆる捜査逮捕ができるような、例えば労働基準監督官海上保安官厚生省麻薬取締官というような、そういう権限を持った方がおるんでしょう。そういうことを制度化をして、いわゆる不法投棄あるいはダイオキシン問題等々、やっぱり国民の命と健康にかかわるものですから、これらに対して取り組んでいくべきだと私は思うんですけれども、いかがですか。
  18. 小野昭雄

    政府委員小野昭雄君) 現在、不法投棄等の監視につきましては、都道府県にこれに関します十分な知識を有する者といたしまして環境衛生指導員を置くこととしておりますほかに、中央レベルあるいは都道府県レベルにおきまして関係者あるいは警察関係者が入って連携強化しているところでございます。  今、御指摘司法権を持ちます専任の司法警察職員を置くことにつきましては、新たな人員増等いろいろな諸問題がありまして、現在の時点では大変困難ではなかろうかというふうに考えておりますが、廃棄物処理法違反の中には暴力団が関与する事案もございますので、都道府県職員のみでは対応困難な事例もあると承知をいたしておりまして、警察とも十分な連携強化してまいりたいというふうに考えております。
  19. 中島眞人

    中島眞人君 だから、今……
  20. 上山和人

    委員長上山和人君) 時間が過ぎております。
  21. 中島眞人

    中島眞人君 最後大臣にお聞きしたいと思います。  実は一般廃棄物の問題でございますけれども、各市町村が大変な負担ダイオキシン問題等も出て改善をしていくという急務の問題に迫られております。  例えば私の住む甲府市では、一般会計が六百五十億のうち平成五年度は百十億、一七%がごみ処理に要する事業費平成六年度は六百三十億のうち九十三億円、一四%。これは機械導入です。平年時の場合は平成七年度は六百五十億のうち四十三億というように六・七%。ますますごみ処理に投ずる費用というのは多くなってくるわけです。それだけじゃございません。周りに、迷惑施設ですが、公園とか、いろんなものをつくっていく。  こういう問題に対して私は、いわゆるリサイクル法でもなかなか分別されない、やっぱりごみというのは自分責任減量化していくこともありますけれども、有料化導入をしていかなければ、これまたごみ亡国になってしまうのではないかと思うんです。ごみ有料化がやっぱり将来としては必要に迫られていると私は思うんですけれども、大臣の御見解をお聞きをして私の質問を終わります。
  22. 小泉純一郎

    国務大臣小泉純一郎君) これは従来から選挙の争点になっていますね、地方自治団体では。候補者ごみ有料化をしますとなると、違う人は無料化します、結構争点になっています。私は市町村の判断に任せるべきじゃないか、やろうと思えば当然できると、そう考えます。
  23. 木暮山人

    木暮山人君 平成会木暮でございます。  最終処分場の切迫や不法投棄等の現状から見まして、私は現在の大量生産大量消費大量廃棄社会を根本的に改め、循環型の経済社会構築に努めるべきであると考えております。そのためには、まず廃棄物排出抑制を最優先考え、次に再生利用に努め、それでも残ってしまったものについては、適正な処理を行うというように優先順位をつけることが肝心であります。  そこで、循環型社会構築に向けた政府基本的な認識について改めてお伺いしたいと思います。
  24. 小泉純一郎

    国務大臣小泉純一郎君) 現在の社会、これからリサイクル型社会にしていこうという御趣旨、賛成であります。もう使いましょう、捨てましょうという時代ではなくて、いかに今まで人類が努力していろいろ便宜をこうむってきた文明の利器、それによって同時に被害を受けている面が多方面で出ております。加害者であり被害者であるという状況はいろんな場面で直面しております。  今お話しのとおり、これからはまずごみ減量化、そして、つくってしまったものをどうやって害のないように、あるいはまた再生利用できるかという技術の再開発、さらには国民に対しても、行政事業者一体となってこの大事な廃棄物の問題を考えるという啓発活動、それらが一体となって自然に害をもたらさない、自然環境を維持しつつ生活環境保全していくという、そういう観点から循環型の社会構築していくために、政府自治体事業者一体となって取り組んでいかなきやならないと考えます。
  25. 木暮山人

    木暮山人君 私は、今回の廃棄物処理法改正案を拝見いたしまして、不明確なところが多いと感想を持ちました。これは、今回の法案が制度の大枠のみを定め、多くの具体的な事項政省令にゆだねている点に一因があるのではないかと考えるわけであります。  政府は、今回の改正案とともにさまざまな政省令事項見直しを進めていると承っておりますが、具体的にどのような政省令改正検討しているのか、その全容を明らかにしていただきたいと存じます。
  26. 小野昭雄

    政府委員小野昭雄君) 今回の法改正に当たりましては、いわゆる廃棄物処理に関します信頼性安全性を高めていきますために、処理方法処理施設に関します基準見直しあるいは強化を図っていくための政省令改正が重要でございます。このために、法律改正のための準備を進める一方で、昨年十一月に生活環境審議会廃棄物処理基準等専門委員会設置いたしまして、これらの基準見直し強化について検討を進めてきているところでございます。  例えば、処分場あり方埋め立て対象物見直し、あるいは維持管理基準、あるいは構造の基準、あるいは委託基準見直し、あるいはミニ処分場許可対象とする方向等々について御議論をいただいておるところでございまして、今後その検討結果も踏まえまして政省令改正を行ってまいりたいと考えているところでございます。
  27. 木暮山人

    木暮山人君 排出抑制観点から、改正案では、廃棄物を多量に排出する事業者に対しその処理計画の中で減量化の視点を明確にするよう求めております。しかし、単に減量化という言葉だけで具体的な方策は示されておりません。これでは廃棄物減量化実効性は疑わしいものと言わざるを得ません。例えば、数値的目標を設定するよう求めるなど、強力な指導を行う考えをお持ちなのでしょうか。お答えいただきます。
  28. 小野昭雄

    政府委員小野昭雄君) 廃棄物適正処理を進めていく上で、廃棄物リサイクルあるいは減量化を推進していくことは極めて重要でございます。  そのために厚生省におきましては、平成八年の十二月に策定をいたしました第八次廃棄物処理施設整備計画におきまして、一般廃棄物リサイクル率平成十二年度までに一五%に引き上げるよう目標を設定したところでございます。  また、産業廃棄物につきましては目標が設定されておりませんが、産業界におきましては、再生資源利用を促進する観点から、ガラス、自動車等の品目につきまして自主的にリサイクル目標を設定する動きがございまして、厚生省といたしましても、こうした産業界の取り組みを踏まえまして、各省庁とも連携をとりつつリサイクル減量化目標値の設定につきまして検討してまいりたいと考えております。
  29. 木暮山人

    木暮山人君 次に、リサイクルの促進についてであります。  政府案では、一定の再生利用業者について、廃棄物処理等の許可要件を不要とするよう規定の緩和を行うようにしております。その一方で、マニフェストの適用範囲を拡大するなど、産業廃棄物適正処理のための規制強化が図られております。  それは再生利用の認定対象の産業廃棄物に対しマニフェストは適用されるのでしょうか。また、将来認定範囲が拡大された場合、不適正処理の抜け道になるようなことはないか、あわせて確認いたしておきます。
  30. 小野昭雄

    政府委員小野昭雄君) マニフェスト制度の適用につきましては、原則としてすべての産業廃棄物に拡大することとしておりますが、厚生省令で定める場合には適用しないということとしております。  お尋ねの再生利用の認定制度についてでございますが、生活環境保全上の支障が生じることがなく再生利用ができる廃棄物再生利用の内容を限定いたしまして、また申請者ごとに審査の上、確実に適正な再生利用が行われる場合に限って認定することを考えておりまして、リサイクルを推進する観点からマニフェスト制度を適用しないことを予定しております。  なお、リサイクルの名をかりた不適正処理が行われるようなことがあってはならないわけでございまして、適正な再生利用が確保されますよう再生利用の認定制度の対象者につきましても廃棄物処理基準を守っていただく、あるいは報告をしていただく等必要な規制は適用することとしておりまして、不適正な再生利用が行われることのないよう十分指導してまいりたいと考えております。
  31. 木暮山人

    木暮山人君 続いて、廃棄物適正処理に関してであります。  マニフェスト制度の改革により、委託処理が適正に行われたか否かを的確に追跡、捕捉することが期待されております。私もマニフェスト制度の拡大に賛成であります。マニフェスト制度が実効あるものとして担保されるためにも、排出事業者と処分業者にルールを遵守させる必要があると存じますが、政府の対策をお聞きいたします。  また、廃棄物不法投棄された場合、原状回復を図るため、措置命令の対象としてマニフェスト未発行の場合も追加されましたが、この意義及び効果についてお尋ねいたしたいと思います。
  32. 小野昭雄

    政府委員小野昭雄君) 産業廃棄物につきましては、排出事業者がみずから排出をしました廃棄物を適正に処理することが原則でございまして、他人に処理委託する場合におきましても、排出事業者としての自覚を持って適正な委託を行う必要がございます。その意味で、排出事業者処理業者との間の適正な委託のルールを確立することが重要でございます。  このため、今回の改正案におきましては、産業廃棄物管理票制度をすべての産業廃棄物に拡大をいたしまして、排出事業者委託した廃棄物処理が適正に行われたことを確認する義務を明確化したところでございます。  また、これとあわせまして、排出事業者による委託者の能力等の確認、あるいは委託する廃棄物処理に必要な情報の提供など委託基準強化することとしておりまして、これらによりまして、排出事業者の自覚のもとに適正な委託処理の促進が図られるものと考えております。  なお、マニフェスト制度は適正な委託処理の実施の上の柱になるものでございまして、これを交付しなかったり、あるいは虚偽の交付をした場合には排出事業者としての基本的な責任を果たしていないと言えますことから、こうした場合には排出事業者措置命令の対象とすることとしたものでございまして、これによりましてマニフェストの適正な実施を図りますとともに、排出事業者責任が徹底されるものというふうに考えております。
  33. 木暮山人

    木暮山人君 前の質問と関連しましてお尋ねします。  今回の改正では、マニフェストの電子情報化のため中央に情報センターを設けるとのことであります。しかし、行政改革が叫ばれている昨今、新たな公益法人を設けることはいかがなものかと感じております。そこで、情報処理センターとして既設の公益法人を活用する予定とお伺いしておりますが、その点について確認いたしたいと思います。  あわせてもう一つ、指定法人である産業廃棄物適正処理推進センターの方についてもお伺いさせていただきたいと思います。
  34. 小野昭雄

    政府委員小野昭雄君) 情報処理推進センター並びに産業廃棄物適正処理推進センターにつきましては、法律で定められた要件に適合しております民法法人の中から厚生大臣が指定することとなっておりますが、御指摘のとおり、既存の法人を活用する方向で検討してまいりたいと考えております。
  35. 木暮山人

    木暮山人君 次に、最終処分場を中心として、廃棄物処理施設基準等について幾つかお伺いしたいと思います。  管理型最終処分場設置者は、埋め立て終了後以降においては、その維持管理費用を賄うため、埋め立て終了時まで積み立てた維持管理積立金を取り崩すことになるわけであります。しかし、埋め立て終了後、維持管理が当初の見込み以上に長期にわたって必要となってしまった場合、積立金が不足するような事態を招くのではないでしょうか。そのような事態に対処するため、どのような対策をお考えかお伺いいたしまして、私の質問を終わります。
  36. 小野昭雄

    政府委員小野昭雄君) 最終処分場維持管理費用につきましては、埋め立て容量あるいは搬入する廃棄物の種類、地質等の施設の立地状況等を勘案いたしまして適正に算定する必要がありますことから、最終処分場設置者に対しまして指導監督を行っており、かつ各施設の運営状況維持管理の実施に精通をしております都道府県において算定することとしております。  積立金につきましては、埋め立ての状況によっても変わってまいります。御指摘のような事態が生じないよう、毎年度において埋め立ての状況を的確に把握し、必要に応じて額を加算するなど必要な積み立てを求めてまいりたいと考えております。
  37. 大脇雅子

    大脇雅子君 先回、水道水源保護のために公共関与のガイドラインをつくるべきではないかということを申し上げましたが、しっかりした最終処分場の確保、促進について伺いたいと思います。  平成三年の廃棄物処理法改正において設けられた廃棄物処理センターにつきましては、特別の管理を要する廃棄物等の適正かつ広域的な処理の確保を図る観点から、設置を一層促進していく必要があると言われております。しかし、この処理センターはスタートいたしましたが、進捗ははかばかしくないというふうに聞いておりますが、この廃棄物処理センター設置の現状について説明してください。
  38. 小野昭雄

    政府委員小野昭雄君) 廃棄物処理センターにつきましては、各都道府県一つに限り第三セクターであります公益法人を厚生大臣が指定いたしまして、このセンターにより公共の信用力あるいは民間の人材やノウハウ等を活用いたしまして、産業廃棄物等の適正かつ広域的な処理を進めようとするものでございます。  平成五年一月に第一号の財団法人クリーンいわて事業団を指定して以来、現在までに八県で指定が行われております。このうち二カ所では最終処分場等の施設を開設いたしておりまして、一カ所で施設が建設中でございます。現在、このほかに十七県で指定に向けた具体的な作業が進められているというふうに聞いているところでございます。
  39. 大脇雅子

    大脇雅子君 十七県ということですが、どこの県かわかりますか。
  40. 小野昭雄

    政府委員小野昭雄君) ちょっと今調べさせまして、後ほど御答弁させていただきます。
  41. 大脇雅子

    大脇雅子君 そうしますと、十七県と八県で二十五県ということになりますと、まだまだ当初計画からはおくれているわけですが、今後、これを推進していくというお考えなのでしょうか。国はそうした廃棄物処理センターを指定し、指導監督していくという責任があるわけですが、どういう見通しを持っておられるのかということをお尋ねします。
  42. 小野昭雄

    政府委員小野昭雄君) 産業廃棄物処理に関しまして、公共が関与してこういう施設設置していくということにつきましては、住民の皆さん方の御要望も強いというふうに承っておりますし、都道府県におかれましても、できるだけ身近なところで産業廃棄物を適正に処理したい御意向をお持ちというふうに私どもも承っておりますので、技術的な面等を含めまして都道府県のこういった動きに対しまして積極的な支援を図ってまいりたいというふうに考えております。
  43. 大脇雅子

    大脇雅子君 この廃棄物処理センターにおきましては、地方公共団体とあわせて民間業者にも出資を求めて廃棄物処理の公的整備を図っていくということになるわけですが、排出事業者責任原則との調整は、今八県ある中でどのようになっているんでしょうか。そうした状況がおわかりでしたら御説明いただきまして、それに対する厚生省の対応等もお教えいただければと思います。
  44. 小野昭雄

    政府委員小野昭雄君) 地方公共団体が参画をするということによりまして、安全性信頼性の確保を図れるわけでございますし、民間の資本あるいは人材等を活用いたしまして、技術的な面等々につきましての整備というものはなされるわけでございます。  なお、いわゆる排出事業者からの受け入れにつきましては、その事業費等々を勘案いたしまして、適正な受け入れ料金というものは各地方公共団体ごとに設定をされているわけでございまして、そういった点でいわゆる公共の信用あるいは民間の技術、それから排出事業者からは適正な費用負担させるというふうなことで対応しているところでございます。
  45. 大脇雅子

    大脇雅子君 広域的にということになりますとフェニックス計画があるわけですが、近畿のみということですが、首都圏や中部圏の検討状況というのはございますか。
  46. 小野昭雄

    政府委員小野昭雄君) 首都圏のフェニックス計画につきましては、昭和六十二年に運輸省と共同で東京湾フェニックス計画の基本構想というものを取りまとめまして、関係都県市に示しております。その後、首都圏サミットの場におきまして、この問題について調査、検討が進められているわけでございますが、東京都を初めとする関係都県の合意が得られていないということから、具体的な実施のめどは残念ながら立っていないということでございます。首都圏サミットにおきましては、平成十年を目途に広域処理に係ります総合的なまとめを行うこととされておりまして、現在、検討が進められているというふうに承知をいたしております。
  47. 大脇雅子

    大脇雅子君 中部圏については別にございませんか。
  48. 小野昭雄

    政府委員小野昭雄君) 中部圏につきましては、知事及び市長によります検討の前段階といたしまして、昭和五十七年に中部圏廃棄物対策協議会を設置いたしまして関係自治体意見交換や情報交換を行っているというふうに聞いておりますが、中部圏につきましては、現時点におきましては、近畿圏や首都圏に比べまして県域を超えた広域処理場の早急な整備の必要性は低いとする意見が多いために、実現のめどは立っていないという状況でございます。
  49. 大脇雅子

    大脇雅子君 そうしますと、そうしたフェニックス計画についての厚生省のスタンスはどのようなお考えなのでしょうか。
  50. 小野昭雄

    政府委員小野昭雄君) 大都市圏を中心にいたしまして最終処分場が逼迫をしているということはたびたびお話を申し上げているところでございます。また、そういう意味におきましては、自治体がみずからの行政区域内で処理することが困難になる状況は、これは改善されるというよりもますます深刻になってくるというふうに考えております。そういう意味で、各自治体間で御協議をいただきまして、広域的な処理を進めるという方向へぜひ議論を進めていただきたいと私どもとしては考えております。
  51. 大脇雅子

    大脇雅子君 一般廃棄物処理は公共関与というよりも公共が主体でやるわけで、一般廃棄物のときに産業廃棄物も受け入れるという形で共同処理枠組み法律上ありまずけれども、これはやっぱり活用されているんでしょうか。一般廃棄物処理産廃を受け入れて燃すということは多いのか少ないんですか。それともそういう方向について厚生省はどういう考えを持っておられるんでしょうか。
  52. 小野昭雄

    政府委員小野昭雄君) 正確な数字が今はちょっと手元にございませんが、例えば大阪湾のフェニックス計画におきましては、一般廃棄物のほかに上下水道汚泥あるいはその他の産業廃棄物も受け入れております。それから、フェニックス計画以外の市町村が行っております最終処分段階でも、例えば公共産廃、先ほど申しました上下水道汚泥等の公共産廃の受け入れ等を一般廃棄物最終処分とあわせて行っている市町村があるということは承知をいたしております。
  53. 大脇雅子

    大脇雅子君 これからごみ処理に対します公共の関与ということは非常に重要になってくると思いますので、PPPの原則を堅持しながら、ぜひ厚生行政を充実させていただくようにと思っております。  先回聞きましたアセスメントの関係でちょっと補足的に一点お聞きしておきたいと思います。アセスメント法が適用されますと、計画段階からのアセスメントということが一つ取り入れられて、いわゆるユニークなスコーピングのそういう手段というのがとられているわけですが、厚生省の場合、例えばアセスメントから漏れた小さいところのごみ焼却場とか最終処分場に対しては、そうした計画段階からの住民に対する情報公開ということはどのようにお考えになっているのか、ちょっとお尋ねをしておきたいと思います。
  54. 小野昭雄

    政府委員小野昭雄君) まず御答弁に先立ちまして、センターの関係につきまして申し上げさせていただきます。  現在指定されております八県を申し上げますと、岩手、大分、長野、愛媛、香川、新潟、高知、兵庫でございます。それから、十七県につきましては、山形、福島、茨城、栃木、東京、石川、岐阜、三重、滋賀、大阪、奈良、佐賀、長崎、熊本、宮崎、鹿児島、沖縄というふうになっております。  それから、御指摘ミニ処分場につきましては、従来から許可の対象となっていないというようなこと、あるいはそのミニ処分場におきまして不適正な処理が行われているというふうなこと等で非常に大きな問題になっていることは十分承知をいたしておりまして、今回の法改正を契機といたしまして、ミニ処分場につきましても設置許可の対象とするという方向で検討いたしております。  したがいまして、当然その規模の大小にかかわらず生活環境影響調査等を行うことは義務づけられます。かつ、それが申請されました段階では告示・縦覧に供されるということで、地域の皆さんに対しまして情報が提供されることになるというふうに考えております。
  55. 大脇雅子

    大脇雅子君 申請の段階においては告示・縦覧でそうした生活環境上の影響が告示されるわけですけれども、私が申し上げたいのは、それでは住民に対する情報公開というのが遅いんで、計画段階からでき得る限り早くそうした情報公開を行うということと、今度は住民意見を聞くというふうに法律上なっておりますけれども、説明会とか公聴会とか、そういったものを業者に義務づけていないと思うんですが、この点はどうでしょうか。
  56. 小野昭雄

    政府委員小野昭雄君) 今回の改正法案におきましては、都道府県知事は、生活環境影響調査の結果と申請書類を告示・縦覧した上で、関係住民市町村意見を聴取いたしまして、専門家の意見も踏まえて、施設設置許可に反映していく手続を設けたところでございます。  御指摘の点につきましては、許可申請後に生活環境影響調査の結果と申請書を告示・縦覧した時点では事業者の計画が既に固まっておりまして、住民意見を踏まえた変更ができない、あるいは住民意見が十分反映できないのではないかという御懸念からのものと考えております。  今回の改正案におきましては、生活環境保全の見地から見まして住民意見が妥当である場合には、それに対応していない構造や維持管理施設につきましては、事業者の建設計画がいかに進んでおりましても計画の変更あるいは不許可となるわけでございまして、御懸念には当たらないものというふうに考えております。  このように、住民意見の反映は十分可能でございます。したがいまして、さらに申請前の手続を設けることにつきましては、許可申請が可能かどうかの審査を受けた上で改めて許可の審査を受けるということが必要になるといったような点がございまして、手続が重複し複雑になるということから適当ではないのではないかというふうに考えております。
  57. 大脇雅子

    大脇雅子君 手続が重複するということですと、少なくとも申請時にはすべての情報をでき得る限り公開して十分な検討期間を住民に与えるということが必要になるかと思いますが、そういった情報公開については、これをしっかりやることが紛争の事前予防にもつながると思いますので、通達などで十分に手当てをしていただきたいというふうに思います。  それから、一点ちょっと具体的なケースで、これは質問通告をしたようなしないような状況でありますが、堺市の平井の保管場とか和歌山県の橋本市の焼却場で日本工業所が改善命令にも従わないで住民生活環境上の不安が非常に高まっているというケースがありましたが、それについては厚生省としては何かキャッチしておられますでしょうか。
  58. 小野昭雄

    政府委員小野昭雄君) 和歌山県橋本市におきまして、産業廃棄物の過剰保管問題が起こっているということは承知をいたしております。  概要を簡単に申し上げますと、橋本市で解体業を営みます業者平成七年の夏ごろから阪神大震災によります解体廃棄物を自社敷地に大量に持ち込みまして、排ガス処理施設のない焼却施設で焼却を開始したものでございます。  和歌山県はその後、業者に産業廃棄物処理施設設置許可を受けさせることによりまして排ガス処理を行えるような施設改善をさせましたけれども、山積みの廃棄物は減少いたしておりませんで、また廃棄物原因かどうかは断定はされておりませんが、近隣から悪臭の苦情も発生するようになったということでございます。このために県は、産業廃棄物の新たな搬入の中止、夜間の焼却の中止等を内容とする改善命令をかけた結果、当初の三分の一以下までに保管量が減っているというふうに聞いております。
  59. 大脇雅子

    大脇雅子君 この点は非常に典型的な事例かとも思いますので、厚生省としても十分に経過に留意をしていただきたいというふうに思います。  残りの時間、少しダイオキシン問題についてお尋ねをいたします。  ダイオキシンは、人間だけではなく地球上のすべての生き物の未来を奪う物質としてその最たるものだということが言われております。難分解性かつ高蓄積性というところで、魚や家畜などの生物に濃縮されて食物連鎖で人に影響を与える、しかし脂溶性のため体内から排出されないということで、世代を超えて非常に被害を与えていくということが、一九六二年のベトナム戦争以来、日本では一九七〇年代から既に議論が起きているところであります。  今回、公共のごみ焼却施設の中のダイオキシンの濃度について調査結果がまとまりまして、その基準の甘さにもかかわらず、なおかつそれを超えた施設があるということでさまざまな御批判の議論があったわけです。  私がお尋ねいたしたいのは、このダイオキシンを調査する体制というのは現状でどうなっているんでしょうか、どこが総合的、包括的にそのデータを集約しているんでしょうか。
  60. 小野昭雄

    政府委員小野昭雄君) ごみ焼却施設に関しましては、現在、一般廃棄物か中心でございますかその設置主体でございます市町村において測定をし、その結果を記録しておくということになるわけでございまして、今回公表させていただきましたものは、これらの測定結果のうち既に結果が判明しているものにつきまして公表したわけでございます。  ダイオキシンの測定につきましては、その測定分析ができる民間の分析機関は、私どもが把握をしておりますのは二十数社程度でございます。したがいまして、必ずしも数が多いというふうにも言えませんし、測定費用が一サンプル六十万円から九十万円とちょっと高い費用がかかるわけでございまして、そういった意味では現在の分析機関で十分かどうかということ、あるいはそれにかかる費用につきましてはさらに低減が図れないかということが検討課題であろうというふうに考えております。
  61. 大脇雅子

    大脇雅子君 業者の値段が高いのでサンプルをアメリカ等へ送って検査をした方が安いということで、そういう業者もあるというようなことをうわさで聞いているわけです。  環境庁にお尋ねいたしますが、環境上ダイオキシン日本における大きな影響と対策という点についてはどのような取り組みをしておられるのかお尋ねをいたします。
  62. 中島正治

    説明員中島正治君) 環境庁といたしましては、これまで、まず一般環境の調査といたしまして、大気のモニタリング調査を昭和六十一年度から二年に一度、隔年で実施してきております。また、川底、海底などの底質及び生物におきますダイオキシンの残留性の調査につきましても、昭和六十年度から毎年実施をしてきておるところでございます。  最近の調査といたしましては、大気のモニタリング調査につきましては平成八年度に全国二十一地点で夏と冬の二回測定を行っております。また、底質と生物におきます残留性の調査につきましては、平成八年度に全国それぞれ三十六地点及び三十五地点で一度測定を行っているところでございます。  これらの調査の実施に当たりましては、地方自治体などの御協力をいただきまして実施をしてきているところでございまして、今後とも関係機関との連携を図りながらダイオキシンの調査を進めてまいりたいというふうに考えております。
  63. 大脇雅子

    大脇雅子君 公共のごみ焼却施設で排ガスにおけるダイオキシン濃度については調査されたわけですが、民間の焼却炉とか小型の焼却炉、家庭の簡易焼却炉、それから学校の焼却炉、そういったものは調査されていないんじゃないかと思いますが、何かしておられるんでしょうか、厚生省と環境庁にお尋ねをいたします。
  64. 小野昭雄

    政府委員小野昭雄君) 御指摘のように、さまざまな焼却炉があるわけでございますが、私ども厚生省といたしましては、市町村設置をいたしますごみ焼却施設によって処理される、あるいは焼却されるごみの量が最も多いわけでございまして、ダイオキシンの発生源としての主要な部分はこの市町村設置する焼却施設であるというふうに言われておりますことから、優先的にその対策を講ずるべきと考え市町村ごみ焼却施設を対象といたしましてダイオキシン発生防止のためのダイオキシンの濃度の測定等を行っているところでございます。  これらの結果を踏まえまして、御指摘の小規模な焼却炉につきましてどういう対策をとっていくかということにつきましては今後検討してまいりたいと考えております。  濃度測定もございますが、燃焼管理等々の維持管理の点につきましてもきちんとしたチェックをしなければなりませんので、そういった方策につきましては専門家の御意見も踏まえながら対応してまいりたいと考えております。
  65. 中島正治

    説明員中島正治君) 環境庁といたしましては、産業廃棄物焼却施設につきましては、ごみの焼却施設とともにダイオキシンの主要な発生源であるという認識のもとに、平成八年度におきまして重点的に二十七施設にわたりまして調査を実施したところでございます。
  66. 大脇雅子

    大脇雅子君 炉の設置場所のダイオキシン濃度というので、愛媛大学の実験データがありますが、学校のいわゆる焼却炉というのが非常に大きな数値を挙げているわけです。  それで、その原因についていろいろ言われているんですが、文房具や教材類が問題ではないか、また、特にこのごろ消しゴムはほとんどプラスチックにシフトしておりますから、そうしますと塩化ビニール樹脂というものが入っていて、消しゴムかすが焼却されると直ちに高濃度のダイオキシンが出るというようなことも言われております。  文部省にも来ていただいているんですが、学校の焼却炉というのは直ちにやめた方がいいと思いますが、何か御検討をされているでしょうか。
  67. 吉澤晴行

    説明員(吉澤晴行君) お答えします。各学校における焼却炉の設置状況についてでございますが、文部省としましては特に把握してございませんけれども、学校施設に焼却炉を設ける場合には、設置位置につきまして校舎や周辺地区等にばい煙や臭気等による悪影響を及ぼさないよう設置者に対してその旨を指導しているところでございます。  また今後、学校においての環境を考慮した施設整備を一層進めるということが重要であると考えておりまずけれども、文部省としましては、関係機関との連携を図りつつ、学校の廃棄物処理も含めよりよい施設環境づくりについて検討してまいりたいと考えております。
  68. 大脇雅子

    大脇雅子君 ぜひ早急に環境庁と連携をとって調査などをされまして、小学校における焼却炉対策というものをとっていただきたい。特に、子供に対する負荷というものは大人よりも大きいわけですから、ぜひ何らかの措置をおとりいただきた  いと思います。  さらにもう一つ、小さいところの焼却炉とかなんかの問題を申し上げましたが、実はダイオキシンというのは化学工場、とりわけ塩素系の製品を製造し販売をしているような化学工場等におけるダイオキシンの調査というのはなされていないと思うんですが、環境庁、それは今まで何かやられようとしたことはあるんでしょうか。それとも、通産省の方は何かそういう方法について多少とも関心を今までお持ちでしょうか。
  69. 中島正治

    説明員中島正治君) 工場類のダイオキシンの排出状況につきましてですけれども、環境庁といたしましては、これまで平成二年に紙パルプ製造工場につきまして調査をした経緯がございます。そのほかについては、私ども現在のところ掌握しておりません。
  70. 大道正夫

    説明員(大道正夫君) 化学工場からのダイオキシンの発生に関する御質問でございますけれども、諸外国で若干そういうような指摘があるということは承知しておりますけれども、それにつきましても厳密なデータというのはまだはっきりはしていないというふうに承知しております。  国内におきましては、先ほども厚生省の方からお話がありましたとおり、一般廃棄物焼却施設からの排出が非常に多いということを承知しておりますけれども、産業から排出されるものにつきましても若干あるというふうに承知しておりますけれども、化学工場というのがその主たる排出源だというふうには必ずしも承知しておりません。
  71. 大脇雅子

    大脇雅子君 諸外国の例を見ますと、例えば金属加工業等には非常にダイオキシンが発生するところが多いというようなデータもありますから、ぜひそうした塩素系のものを扱う化学工場については、通産省と環境庁が共同されまして何らかの調査を早急にされたいというふうに思います。  発生源対策といたしまして、前回の委員会では焼却炉の運転によって、連続操業をするとか、あるいは一定程度のその温度を上げること、あるいは小さいものを大きくするというような形でその規制をしていくという方針を伺ったわけですが、実は我が国における焼却炉というのは国際的に見ても異常に高いわけであります。  第八次の計画によりましても、廃棄物処理施設は第八次計画では第七次計画よりもまたさらに倍増していくような形でありますし、産業廃棄物処理施設に関しましても、そのような傾向の中で伸び率を非常に高く設定して、焼却炉というのはできてはいるんですが、それほど大きなものじゃなくて、小さいものは結構たくさんつくられていると思うんですが、このダイオキシンがこういうふうに焼却炉から出るということによって、第八次の計画というのは見直さなければならないというように思われますが、何かそんな検討は始められておりますか。
  72. 小野昭雄

    政府委員小野昭雄君) 我が国は、先生御案内のとおり国土が狭いというふうな状況等がございまして、ごみ最終処分をする際に、それを焼却し、そして量を減らして、しかも衛生的な状態にした上で最終処分をするという方式が基本であろうというふうに私どもとしては考えております。  そういう意味におきましては、ごみ最終処分量の減量化というためには焼却ということが不可欠であろうというふうに考えておりますので、そういう意味での施設整備は進めなければいけないというふうに考えております。  一方、ダイオキシン対策というのは、これはこれで非常に重要でございますので、従来から御答弁申し上げておりますように、例えばごみ処理の広域化を図っていただいて焼却施設を大規模化する、あるいは燃焼管理をきちんとしていただく、あるいは集じん装置その他におきまして、ダイオキシンを含有いたします粉じん等につきまして的確に捕捉するといったようなさまざまな対策がなされなければならないというふうに考えておりまして、我が国全体のごみ処理計画とダイオキシン対策というのは一体として進めていかなければならないというふうに考えております。
  73. 大脇雅子

    大脇雅子君 ダイオキシンで最も重要なことは、発生源について抑制をしていくという視点がないと、ただ燃やす技術の向上だけでは全く処理ができないと思います。総合的なダイオキシン戦略といいますか、塩素系化合物を製造、使用する工場からの排出とか最終の製品に含まれるダイオキシンの調査とか、少なくともそうした産業政策として、塩ビ系というか、塩素系のものを抑制していくということが重要だと思うんですが、通産省はこの点、どのようにお考えなんでしょうか。  もう既に、今国際的には脱塩素社会ということを目指すプログラムを設定すべきだという見解もありますし、我が国でも既に一九八〇年代に危険物質の生産使用の規制ということを草の根のグループの人たちは言っているわけです。そういう点について、通産省は今までどのような政策をとっておられたんでしょうか。
  74. 大道正夫

    説明員(大道正夫君) ダイオキシンの発生メカニズムですとか、あるいはごみの中の塩素量とダイオキシンの発生量の因果関係といった問題につきましては、必ずしもまだ十分に解明されていないというふうに我々は承知しております。  一方で、廃棄物減量化リサイクルという観点から、塩化ビニールを含みますプラスチックにつきましては、容器包装リサイクル法の対象として再商品化が義務づけられるということになったところでございます。  ダイオキシンの発生源として、一般廃棄物の焼却炉が非常にウエートとして大きいということがございますけれども、容器包装というのは一般廃棄物の中で容積約六割を占めるわけでございまして、これについて今対応を図りつつあるところでございます。  そういうことを踏まえますと、むしろこういつた法律のもとでリサイクルを促進していくということで、廃棄物として焼却される量を減らしていくということが適当ではないかと考えております。また、そういった観点も踏まえまして、当省においては従来から技術開発等を行ってきているところでございまして、そういったリサイクルに資するようないろいろな取り組みをしているところでございます、
  75. 大脇雅子

    大脇雅子君 確かに、ダイオキシンの発生メカニズムはさまざまな議論もありますが、しかし大体のところ、塩化ビニールとかポリ塩化ビニールとかポリ塩化ビニリデンとか、さまざまなそうしたプラスチックも含めまして、ダイオキシンの毒性ということは、ほぼその一つ原因というものは明快になりつつあると思うんです。そういった点について、環境庁、研究はどの程度我が国で進んでいるんでしょうか。
  76. 中島正治

    説明員中島正治君) ダイオキシンの毒性についての知見の現状ということでございますけれども、環境庁といたしましては、このダイオキシン問題は国民の健康影響を未然に防止するという観点から対策を急がなければならない重要な課題であると認識をしておりまして、有識者で構成していただいております検討会を設けまして、ダイオキシン対策のあり方について鋭意検討を進めてきたところでございます。  この中におきまして、世界各国からのこのダイオキシンに関する研究知見等も十分御検討いただきまして、このリスク評価の報告書を昨年の十二月にまとめまして、近々その最終報告をいたすところでございます。
  77. 大脇雅子

    大脇雅子君 これは、各省庁の人たち連携をとられまして、日本が焼却無法地帯と言われたりダイオキシンの汚染列島と言われたりしないように、予防的な見地からぜひさまざまな作業を積み重ねていただきたいと思います。  最後に、こういったダイオキシンの問題に対する予防的な見地からの規制ということについて大臣の御所見を伺いまして、質問を終わらせていただきたいと思います。
  78. 小泉純一郎

    国務大臣小泉純一郎君) 私は、このダイオキシン問題というのを深刻に受けとめております。余り一挙に顕在化していないけれども、見えないところでじわじわと相当深刻な影響を及ぼしているんではないか、いわゆる汚染されているんではないかと私は感じています。  ですから、これは世代間にわたって大きな影響を与えていく問題でありますので、厚生省としてもダイオキシン対策そのものを見直す必要があると思います。関係省庁と連絡をとって、今までの基準等、あるいは法的規制が必要か、新たな対策といいますか今までの対策がおくれていたというか、不十分だったという点も含めてダイオキシン対策を本格的に、積極的に取り組んでいきたい、そう思います。
  79. 朝日俊弘

    ○朝日俊弘君 民主党・新緑風会の朝日でございます。  前回は、今回の改正に伴ってその範囲が拡大されるマニフェスト制度の問題を中心にお尋ねをいたしました。きょうは、廃棄物不法投棄防止対策の強化、これをいかに実効あるものにしていくためには何が必要か、その実施体制といいますか執行体制といいますか、それらを中心に幾つかお尋ねをしたいと思います。  廃棄物問題について、もう既に多くの委員からも御指摘がありましたように、地域住民の皆さんは不信、不安、いら立ち、怒りを感じているわけであります。  さまざまなポイントがあると思いますが、その一つは情報隠しあるいは情報捏造、あるいは情報が適切に提供されない、こういう問題が一つ大きいと思います。この問題は廃棄物問題に限らず今あちこちで大きな問題になっているわけでありますが、例えば処分場ができる、水源がどうなるか、直接毎日の生活や健康に直結する具体的な情報がなかなか適切に提供されない、また行政の対応が遅い、こういうことから不信、不安、怒りにつながっているのだと思います。さらに、チェックする体制の仕組みあるいは体制が十分でない、こういう状況があってさまざまな不法投棄が行われ、悪質な事例に対しても必ずしも的確に対応し切れていない、こういう点に怒りを感じているのだというふうに私は思います。  そこで、まず概括的に、厚生省としては現在の不法投棄の現状をどのように把握しておられるのか、相当に地域的な差もあるのではないかというふうに思います。現状の把握の状況と、それからそれらが何ゆえにそのような実態をもたらしているのか、主要な要因についてどのように考えているのか、この点についてお尋ねをしたいと思います。
  80. 小野昭雄

    政府委員小野昭雄君) 私どもが各都道府県を通じて調査をした結果によりますと、平成五年度から平成七年度に発生をいたしました不法投棄は、三年間の平均で件数で四百三十五件、投棄量で三十九万トンというふうになっております。投棄された廃棄物の種類を見ますと、木くずや建設廃材の投棄量が最も多うございまして、その他の建設系廃棄物を含めた建設廃棄物が全体の約九割を占めているわけでございます。  地域的にどうかということでございますが、この発生件数につきましては都道府県によりまして大きく異なっております。平成七年度の状況を見ますと、投棄件数の多い都道府県は千葉県、北海道、青森県、熊本県、鹿児島県、投棄量の多い都道府県は京都府、千葉県、福岡県、北海道、埼玉県となっております。  こういった状況の要因といたしましては、廃棄物処理施設設置状況あるいは交通網の整備状況、あるいは不法投棄パトロール等の取り締まりの実施状況等の違いがあると思われますし、さらには産業構造自体に由来する要因もあるのではないかとは思いますが、個々の事例について細かくこれらを分析しておりませんので、今申し上げたような要因が考えられるということでございます。
  81. 朝日俊弘

    ○朝日俊弘君 ただいま三十九万トンというお話がありました。多分把握されているのはその数字なんでしょうが、実態はもっと多いんじゃないかと思います。例えば、不法投棄のやり方が非常に巧妙というか陰険というかそういう形で、保管をしてあるというふうに装った形で野積み状態にあるというようなケースも多々あちこちに見られます上,  そういう正式に産業廃棄物として処理場に運ぶという形じゃなくて、非常に中途半端な形で巧妙に実態として不法投棄が行われている、こういう状況もあるのではないかと思いますが、この点についてはどのように考えて、どうされようとしているんですか。
  82. 小野昭雄

    政府委員小野昭雄君) 御指摘のとおり、廃棄物の保管につきましては、保管というふうに称しまして処理能力を超えます大量の廃棄物を受け入れまして、屋外に大量に放置するといったような事案があることは承知をいたしております。  このような状況を踏まえまして、廃棄物の保管のあり方につきましては現在、生活環境審議会廃棄物処理基準等専門委員会を設けておりまして検討を行っているところでございまして、例えばあらかじめ保管限度量を設定するというようなこと等で保管基準見直し検討いたしているところでございます。これらの検討結果を受けまして、御指摘のような事態が生じないような方策を講じてまいりたいと考えております。
  83. 朝日俊弘

    ○朝日俊弘君 保管の基準強化ということが今お答えありましたけれども、これは結構難しい点があるんじゃないかと思うんですね。つまり、何をもってどこからが中古品でどこからが廃棄物なのかという結構難しい問題があると思いますし、そういう意味では保管あるいは処理に関する基準についても、どういう範囲でどういうものを廃棄物というふうに定めるのかというような区分けの問題も含めて、ぜひ検討をお願いしたいというふうに思います。  そこで、基準強化します、さてその基準どおりにちゃんとなっているかということで、どうやって監視するのか、チェックするのか、パトロールするのか、こういう実施体制の問題が課題になると思いますが、この点はどうお考えですか。
  84. 小野昭雄

    政府委員小野昭雄君) 不法投棄を防止いたしますためには、廃棄物に対します監視を強めまして、今御指摘のございますように保管を装ったような不法投棄あるいは処理能力を超えた大量の保管については迅速に対応していくことが重要でございます。  今回の改正案におきましては、産業廃棄物不法投棄に対します罰則を三年以下の懲役または一千万円以下の罰金、さらに法人の場合には最高一億円まで罰金を加重できるようにするなど、罰則を大幅に強化しているところでございますが、さらに保管に関します基準の明確化を図りまして、都道府県が不適正保管に関して対処しやすくいたしますとともに、都道府県におきます監視指導体制の強化充実を図っていくことが必要と考えております。  私どもといたしましては、都道府県に対しまして、保管に関する指導監視あるいは不法投棄につながる過剰保管に対する迅速な対応、あるいは警察や関係部局との連携などの監視指導強化を要請いたしますとともに、住民市町村の協力も得ながら、都道府県の創意工夫を生かした取り組みを促してまいりたいと考えております。
  85. 朝日俊弘

    ○朝日俊弘君 その監視を徹底するためには、今おっしゃいましたように、さまざまな、国、地方公共団体はもとより、例えば警察であるとか処理業者あるいは排出業者等関連団体との連携というか、密接な協力というか、これがぜひ必要になると思いますが、この点については今どうなっていて、今後どんなふうにされていこうとされているのか。
  86. 小野昭雄

    政府委員小野昭雄君) 不法投棄防止対策を推進いたしますために、国レベルにおきましては、平成五年十二月に厚生省警察庁、社団法人全国産業廃棄物連合会の間で産業廃棄物不法処理防止連絡協議会を設置いたしまして、情報交換等を密にいたしますとともに、おのおのの施策の連携強化を図っているところでございます。  また、都道府県におきましても、国の連絡協議会と同様に、廃棄物所管部局と都道府県警察で協議会を設置いたしまして、連携強化を図るよう指導をしておりまして、現在すべての都道府県におきまして同様の連絡協議会が設置をされまして、共同して不法投棄監視事業を実施するなど、不適正処理防止のための各諸施策の連携を図っているところでございます。さらに、十三の道府県におきましては、警察からの出向者を廃棄物担当部局に配属いたしまして、立入検査等の監視指導に当たらせるなどの取り組みが行われております。  今後とも、こういった取り組みを強化いたしまして、不法投棄対策を徹底してまいりたいというふうに考えております。
  87. 朝日俊弘

    ○朝日俊弘君 ぜひ、会議ばかりにならないように、実質的な体制の強化をお願いしたいと思います。  もう一方の側面として、私は市民の力をもっと積極的に、活用するというと言い方が悪いですが、御協力をいただけるような形をもっと考えるべきではないか。不法投棄の防止、あるいは従来そこになかったのに何かを置いてあるというような問題などについての情報は結構市民の皆さんが一番早くキャッチされる場合もあると思います。市民の協力を得た監視体制を設置していくために、そのためには行政の側がもっと市民の皆さんに適切に、積極的に情報提供するということも絶対必要条件だというふうに思うんですが、もっともっとどんどん知っていただいて、その市民の皆さんの力をおかりするという考え方はお持ちなんでしょうか。
  88. 小野昭雄

    政府委員小野昭雄君) 不法投棄の防止あるいは早期発見のためには、各都道府県におきましてさまざまな取り組みが行われておりますが、一般の市民の方を不法投棄監視員として委嘱をしたり、あるいは不法投棄二〇番として専用の電話を設けまして、地域住民の方に対しまして不法投棄を発見した場合にはすぐ都道府県に御連絡いただくよう広報等を通じて啓発するなど、住民の皆さんの協力を得ながら不法投棄の防止に効果を上げているという例も聞いております。  住民の皆さんの協力を得ますためには、行政住民の皆さんの相互理解あるいは信頼関係が極めて重要でございます。廃棄物処理に関しまして、可能な情報につきましては極力住民の皆さんに提供することは必要なことと考えておりまして、各地の創意工夫を生かしまして、地域の実情に応じました方法によりまして、住民行政が協力して不法投棄防止対策が講じられるように私どもとしても支援をしてまいりたいと考えております。
  89. 朝日俊弘

    ○朝日俊弘君 今のお答えの中にもありましたけれども、信頼関係というか、ぜひ私は、最近特に各地で活発に展開されています市民の皆さんの活動ということにもっと着目をしなければいけないというふうに思います。ぜひ積極的な取り組みをお願いしたいと思います。  もう一つ、市民の皆さんからいろんな情報をいただく、当然その情報に対して今度は行政なりあるいは産業界なりが的確に対応する、こういうことが必要になってくると思います。当然、通報があれば、情報があれば、それを立入検査したりパトロールをして的確にその状況を把握するということが必要になってきます。ただ、具体的には申し上げませんが、実際にこういう分野の業者に立入検査をするとかあるいは点検をするという作業はなかなか大変であります、一人で行くのも大変だということも含めて。  そこで、そういうGメンといいますか、廃棄物問題に関する専門の知見なり経験なりを有する者を配置して、人材を確保しながらその点検体制を強化するということがぜひ必要だというふうに思いますが、この点はどうですか。
  90. 小野昭雄

    政府委員小野昭雄君) 御指摘のとおり、産業廃棄物関係の立入検査あるいはパトロールにつきましては、十分な知見あるいは経験を必要とする相当難しい仕事というように考えておりまして、必要な人材の確保ということは非常に重要なことというふうに考えております。そういう人材の確保につきましては、十分都道府県とも協議をしながら図ってまいりたいと考えております。
  91. 朝日俊弘

    ○朝日俊弘君 ここで一問だけ通産省にもお尋ねをしたいと思います。  廃棄物という形で外に出されてしまってからの問題、幾つか厚生省を中心に今お尋ねをしてきたわけですが、一番もとのところで出さないようにどうできるかというのが一つの大きなポイント、観点だと思います。御承知のように、廃棄物処理法の第十条には、「事業者は、その産業廃棄物を自ら処理しなければならない。」というふうにあるわけでありまして、条文の趣旨からいっても、もっと事業者としての産業廃棄物処理に関する体制づくり、例えばみずから処分場を確保するということも含めて、そういう点についてもっともっと努力していただかなければならないというふうに思います。  そこのところでは、通産省としての役割も重要だというふうに考えていますが、現在、通産省としてはこの問題について今後どのように取り組んでいこうとされているのか、かいつまんでお願いをいたします。
  92. 大道正夫

    説明員(大道正夫君) まず、産業廃棄物につきましては、廃棄物処理法第十条に基づきまして、排出事業者処理責任原則というのに沿って処理をされるべきであるというふうに承知しておりまして、そういう観点から、処分場につきましても排出事業者がもしみずから処分場を確保できるということであれば、それは非常に望ましいことであろうと思っております。実際に排出事業者がみずから処分場を確保している例も少なからず存在をしているというふうに考えております。ですが、処分場の立地というのは非常に難しいものですから、この種の関係者、それぞれいろいろな努力をすることが必要だろうと考えております。  なお、通産省といたしましては、産業廃棄物処理の適正化を図るというためには排出事業者における取り組みの強化を図るということは大事だというふうに考えておりまして、この点、産業構造審議会の廃棄物処理・再資源化部会企画小委員会というところで御検討いただきましたけれども、ことしの一月に報告書を、御提言をいただきまして、それに沿いまして、例えばマニフェストの全産業廃棄物への義務づけの範囲の拡大ということについての事業者サイドの取り組みとか、あるいは排出事業者適正処理のガイドラインというのをつくって、それに沿って事業者が一生懸命やるというような形で取り組みの強化を図っていきたいというふうに考えております。
  93. 朝日俊弘

    ○朝日俊弘君 通産省としてもこの問題について、当然厚生省とも密接に連携をしながら主体的にぜひ頑張っていただきたいと、こういうことを要請しておきたいと思います。  それでは、あと幾つか質問を用意しておったのですが、時間もほぼ適切な時間になってきたというふうに思いますので、最後大臣にお話を伺いたいと思います。  実は、私ども民主党はオゾン層保護法についての改正案検討を今準備いたしております。近々改正案をつくって各党の皆さんに御協力のお願いに参りたいというふうに思いますが、さて、それと関連しまして、先ほども例として出しましたように、車とか冷蔵庫とか野積み状態になっていて、そこから徐々にフロンが漏れ出しているというような状況がありまして、ある市民団体はみずからそれを積極的に自分たちで回収して回ろうということで取り組んでいるグループもあるわけです。  このフロンの問題、フロンガスの回収問題はオゾン層保護という観点からもぜひとも今後さらに強化していかなければならないと思っています。今後の厚生省としての取り組み、ぜひ大臣としても積極的にお願いしたいというふうに要請をしたいと思いますが、御所見をお伺いしたいと思います。
  94. 小泉純一郎

    国務大臣小泉純一郎君) フロンがオゾン層を破壊するという問題は、数年前でしたか、これは日本だけじゃなくて世界で非常な問題提起がされて、私も大変関心を持って見ていたんですが、最近余り問題にならなくなったなと、ちょっと心配してきたんです。  これは、厚生省とか日本だけじゃなくて地球環境を保護するという大事な人類の健康の問題ですから、そういう視点からもとらえていかなきゃいけないし、今言った冷蔵庫とかそういうフロンの回収問題、これに厚生省としてどういうことができるのか、検討して積極的に取り組んでいきたいと思います。
  95. 朝日俊弘

    ○朝日俊弘君 以上で終わります。ありがとうございました。
  96. 上山和人

    委員長上山和人君) 本案に対する午前の質疑はこの程度にとどめ、午後零時四十分まで休憩いたします。    午前十一時四十一分休憩      —————・—————    午後零時四十一分開会
  97. 上山和人

    委員長上山和人君) ただいまから厚生委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、廃棄物処理及び清掃に関する法律の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  98. 西山登紀子

    西山登紀子君 きょうは、最終処分場あり方についてまず御質問をいたします。  京都の南部を流れている木津川というきれいな川がありますが、この木津川は宇治川それから桂川と合流いたしまして淀川になるわけですけれども、三川の中でも最も水がきれいだと言われていたのが木津川でございます。ところが、最近その木津川が非常に汚染が進んでおりまして、ここから水道水を取水している自治体及び住民の皆さん、非常に心配が増しているわけです。  三重それから京都、奈良、大阪の市民団体の皆さんが、非常に熱心にこの木津川の汚染を系統的に調べてずっと調査を続けていらっしゃるわけです。この系統的に調査をするということが非常に重要なわけですけれども、それによりますと、化学的に有機物を分解して消費される酸素量をはかって、川の汚染度などの指標になっている化学的酸素要求量、CODというのがあるんですが、このCODの値が上流では一リットル当たり四・五ミリグラム、下流では三・〇でございます。つまり、下流よりも上流の方が汚染が進んでいるということの一つのメルクマールになる化けてあります。この傾向というのは、トリハロメタンや突然変異を誘発する、変異原性試験というのがあるんですけれども、それでも同じような傾向、つまり下流よりも上流の方が数値が高いという傾向が出ているわけであります。  この木津川の汚染の原因はいろいろ考えられるわけでありますけれども、こういう市民団体の皆さんの指摘は、下水道の未普及の地域が多く生活排水が垂れ流し状態であるためにCODが高いということも考えられるし、またゴルフ場が非常に多いということとか、廃棄物最終処分場が非常に多くてその浸出水が原因であるというような、複合汚染ということで大変心配がされているわけです。ですから、今回の法改正というのは、このような汚染の広がり、環境の悪化を改善するような改正というものが強く期待をされているわけです。  そこで、お聞きいたします。  一昨日も答弁がありまして、きょうの答弁でもございました。確認をしたいんですけれども、こういう最終処分場の安定型で三千平方メートル以上、管理型では一千平方メートル以上が現在は許可対象になっているわけですが、今後はミニ処分場も含めてすべて許可の対象になる、こういう御答弁がありました。これは言いかえますと、三千平米とか一千平米とかいうその枠がもう必要なくなると、ミニ処分場も含めてすべての処分場許可の対象になるということかどうか、これをもう一度確認をしたいということ。  それから、その際には生活環境影響調査を今度やられるわけですけれども、この調査というのは、施設規模の大小を問わずにミニ処分場も含めてすべて許可条件として調査をしなければならなくなると、こういうことですね。それを確認したいと思います。
  99. 小野昭雄

    政府委員小野昭雄君) 御指摘のございましたとおり、現在、三千平方メートル未満の安定型処分場並びに千平方メートル未満の管理型処分場につきましては許可の対象外となっているところでございます。  これらのいわゆるミニ処分場と称しておりますが、許可手続を経ないということから都道府県におきましても実態の把握が十分でございませんで、不適正な処理が行われやすいという問題がありますし、また構造上の問題がある場合には、長期にわたりまして生活環境保全上、支障を及ぼすおそれがあることが指摘をされているところでございます。  このために、今回の法改正の施行に合わせまして政令を改正いたしまして、このようなすそ切りをなくしまして、施設の規模にかかわらず許可対象とする方向で検討を進めてまいりたいと考えておりますし、当然、御指摘のように、生活環境影響調査を行わなければ許可の対象にならないということでございます。
  100. 西山登紀子

    西山登紀子君 結局、許可逃れだとか、あるいはアセス逃れということがこれからはできなくなるということで、これは大変評価できる点であります。  この際の生活環境影響調査というものは、環境アセス法の評価と同じものなのでしょうか。違うとしたらどの点が異なるのでしょうか。
  101. 小野昭雄

    政府委員小野昭雄君) 今回の改正法に基づきます生活環境影響調査は、施設設置許可に当たりまして、その施設の構造や維持管理周辺地域生活環境に適正に配慮されているものかどうかを都道府県知事が審査するための基礎資料として求めるものでございます。したがって、その調査につきましては、当該地域生活環境に影響を及ぼす可能性のある大気汚染、水質汚濁、悪臭、騒音等について行うことを想定しております。  一方、環境アセスメント法に基づきますアセスメントにつきましては、まず対象事業がそもそも大規模なものに限定をされます。それから、自然環境に影響を及ぼすような大規模な開発行為を伴いますために、生活環境への影響のみならず、動植物や景観等への影響も含め、幅広くその影響を調査し、評価することを義務づけるものと承知をいたしております。  このように、廃棄物処理法に基づきます生活環境影響調査と環境アセスメント法に基づくアセスメントにつきましては、対象事業が異なりますので、その調査内容についても差異があるわけでございますが、廃棄物処理法生活環境影響調査の調査項目等を定めるに当たりましては、周辺地域生活環境保全のために必要な項目が定められますよう十分配慮してまいりたいと考えております。
  102. 西山登紀子

    西山登紀子君 実効性のある調査を期待したいと思います。  そこで、許可対象の大きさの制限もなくなって、そしてすべてアセスが義務化されると、この点は評価されるんですけれども、それでは、処分場安全性がどうなるかということなんですよね。  今タイプが三つあるんですけれども、素掘りで、ごみを捨ててもいいという安定型タイプというのが今一番多いわけです。全国処分場の六割が安定型なんですね。管理型、遮断型といって、一番厳しいのが遮断型なんですけれども、この遮断型というのは実に少なくてわずか二%しかありません。六割が安定型、遮断型は二%、残りは管理型という底にシートを敷く、そういうタイプなんですね。  そこで、この安定型処分場というのがそもそも安定、安全なのかという問題なんですね。地元でも、いろいろ以前から木津川の調査をしていらっしゃる人なんかの話を聞きますと、私も行きましたけれども、昭和新山と呼ばれる大きな安定型の最終処分場があるわけです。なぜ新山かというと、確かに山ができています。こんな大きな山なんですね。その山というのは廃棄物、安定型ですから最終処分場であるわけですけれども、ごみを捨てた後必ず後から土を埋める。ごみを捨てて土を埋めるということで、うずたかく山のようになって、近隣の方々は昭和新山というふうに呼んでいるわけであります。  その近くを流れている赤田川という川があるわけですけれども、ここ三、四年の水質調査では、CODが一リットル当たり平均百を超えて百二十から百四十ミリグラム、こういうことで非常に汚染が進んでいる。そこの昭和新山、安定型最終処分場からの浸出水が汚染源であるということが明らかになってきているわけです。  そこでお聞きしますが、安定型処分場について、対象になっている五種類の廃棄物の種類を改めるというような御答弁が先日あったと思うんですけれども、これは具体的にどのように改めるんでしょうか。
  103. 小野昭雄

    政府委員小野昭雄君) 安定型五品目の見直しにつきましては、現在、廃棄物処理基準等専門委員会において検討を行っていただいているところでございまして、その結果を踏まえまして具体的な内容を決めていくこととしております。基本的な方向といたしましては、安定型廃棄物以外の廃棄物の混入のおそれがあって、かつ分別が困難な品目については見直しの対象となるというふうに考えております。
  104. 西山登紀子

    西山登紀子君 混入のおそれがあるものは除くとおっしゃるわけですけれども、それで本当に安定性のないいわゆる有害なごみが全く混入しないという保証がありますか。
  105. 小野昭雄

    政府委員小野昭雄君) 安定型処分場につきましては、今申しましたように、安定型廃棄物以外の廃棄物の混入を防止するために安定型五品目の見直しを行いますとともに、これとあわせまして搬入管理の徹底といった措置につきましても現在検討いたしているところでございます。
  106. 西山登紀子

    西山登紀子君 先ほど言いましたように、許可された安定型の処分場であっても、捨ててすぐ土をかけて埋めちゃって何が入っているかわからないというふうな、非常に捨て方も巧みに捨てられている場合だってあるわけですね。  しかも、中央環境審議会の廃棄物部会というところが中間取りまとめをやりまして、安定型についてかなりの厳しい指摘をしているんですけれども、例えばこんなふうに言っているんですね。「厳格な排出・搬入管理を行うことが重要」としつつ、現行の設備に加えて、「新たに、水質モニタリング及び排水ができるような設備・構造の導入が必要である。」と、こういうふうに廃棄物部会の取りまとめでも指摘をするぐらいですから、よほどこれは不安がある。安定型と言われているけれども実は安定ではない、安全ではない。こういう不安のあらわれではないかと思うんですけれども、どのように受けとめておられますか。
  107. 小野昭雄

    政府委員小野昭雄君) 安定型処分場につきましては、その見直しの必要性は先ほど御答弁申し上げたとおりでございます。  今御指摘の中央環境審議廃棄物部会の中間取りまとめにおいて提案をされている、いわゆる設備あるいは構造につきましては、仮に安定型の廃棄物以外の廃棄物が混入した場合に、直ちに必要な措置を講ずることができるように監視するための設備であるというふうに承知をいたしておりまして、先ほど申し上げておりますように、今回の見直しに並行いたしまして、安定型廃棄物以外の廃棄物が混入しないようにということで今検討いたしているところでございます。
  108. 西山登紀子

    西山登紀子君 例えば、ガラスだとかといいましても、本当に建築廃材なんかになると明確に有害物を分けられないわけですよね。現実は本当に甘くないと思います。全く有害物が混入しないなんということは本当に難しい話であります。  そこは環境庁がなさっている調査を見ても非常に明らかだと思うんです。環境庁のおやりになった安定型最終処分場水質等調査結果というのがありまして、これをいただいているんですけれども、ちょっと御紹介をしたいと思うんです。  調査年度は、平成六年度、七年度、一九九四年、九五年の年度におやりになった調査です。全国約六〇%、千六百カ所の安定型処分場の中から八十二カ所の処分場を抽出して全国調査をやった。これは初めての全国調査だということでございます。  この調査をやって、八十二の安定だと言われている安定型処分場の検査の結果として、例えばCOD、化学的酸素要求量という指標で見てみますと、これは下水道終末処理場に適用されている基準値を指標とした場合でも、それを超過するものがCODの場合でも二十二検体、二六・八%、約三割にCODの指標で見れば超過があらわれている。  さらに、健康項目というのがあってずっと出されているわけですけれども、これを見ましてちょっとぞっとするわけですが、例えば重金属また発がん物質、この両方が検出されたという検体は三十検体、約四割に及ぶわけであります。これは安定型と言われている処分場から出てきた水を検査してこういうことだということであります。  より細かく見てみますと、重金属で検出された項目は、水銀、カドミウム、鉛及び砒素の四項目であったわけですけれども、このうち水銀とカドミウムが検出された処分場ではシュレッダーダストの受け入れはなく、水銀が検出された処分場では廃プラスチック類とガラスくず及び陶磁器くずを受け入れており、カドミウムが検出された処分場では安定五品目すべてを受け入れていた。鉛が検出された処分場ではゴムくずを除く四品目が埋め立てられ、シュレッダーダストも投入をされていた。砒素が検出された処分場についてはCOD値が高い傾向が見られたということであります。トリクロロエチレンなどの有機化合物が二十検体から検出をされている、こういう調査が環境庁の方でなされているわけです。  私は、現実を見て、そして環境庁がおやりになったこういう全国調査を見ましても、結局は、安定型と言われている、そして許可をされている処分場が実は安全ではない。そこから環境汚染が起こっているというこの現実は、非常にリアルに見なければいけないんじゃないかというふうに思うわけですね。  しかも、全国最終処分場の六割はこの安定型なんですね。安定型というのは、素掘りというか、掘って埋めてもよろしいという非常に簡単というか、比較をすれば管理型よりもお金もかからないし容易にできるというところなんですが、その安定型処分場で環境汚染がこのように進行しているという事実は、これはやっぱりきちっと見て、そして五品目の見直しだけでは不十分であるし、この際、環境保全優先する、あるいは住民の、心配をなくすという点から見ましても、安定型の処分場を管理型に移行していくということが私は必要ではないかと思うんですけれども、いかがですか。
  109. 小野昭雄

    政府委員小野昭雄君) 今、先生御指摘のございましたように、私どもといたしましても、現在の安定型処分場に幾つかの問題があるということは、そういう認識に立っているわけでございます。  そこで、安定型処分場につきましては、先ほど申し上げましたように、五品目の見直しを行いますとともに、あわせて搬入を管理する者を施設に常駐させるとか、あるいは搬入された廃棄物を一たん展開いたしまして、安定型廃棄物以外の廃棄物の混入の有無を確認するとか、あるいは搬入ルートを限定することなど、安定型廃棄物以外の廃棄物が混入されることのないように徹底した対策を講ずることとしておりまして、これによりまして安定型処分場安全性の向上の確保を図ってまいりたいと考えております。
  110. 西山登紀子

    西山登紀子君 監視員を置くだとかとおっしゃいまずけれども、先ほども言ったように、やみに紛れてとか、あるいはほかした後すぐに土で覆っちゃうとか、それから山の奥の奥の方ですから監視するのは大変難しいということなので、本当に安全性優先するのであれば、もともと安定型という安定じゃない処分場自体をもうやめちゃって、管理型のきちっとシートを敷いたところにすることの方が私は現実性があるというふうに思うんですね、イタチごっこのようなことをやっているんじゃなくて。その方が私は、むしろ行政的に言っても非常にすっきりとした方向じゃないかと。そこのところで、なぜより汚染が進むような、より難しいような方法をおとりになるのか、ちょっと私は理解ができないわけです。  そこで、大臣にお伺いしたいと思うんですけれども、現地のちょっとリアルな実態も出させていただきたいと思うんですね。  実際、安定型というのは本当に安定して安全なのか、有害物は本当に混入をしていないのかということなんです。木津川の上流の方に奈良県が一あって、例えば月ケ瀬村なんという梅の名所があるわけですが、そういうところにも大きな廃棄物処分場というのができているわけなんですよ。そこでどういう実態になっているかといいますと、安全だとされている安定型処分場、これが非常に汚染をしているということで、住民の皆さんが自主的に水質の調査をずっとやっていらっしゃいます。  南部開発という大型の処分場を持っているところがあるんですけれども、そこの安定型処分場というところを調べた結果は、例えば先ほど来出ておりますCODの数値、化学的酸素消費量というもので見れば、これは九六年十月の調査では一リットルあたり二百六十ミリグラム、それから全窒素はどうかというとリットル当たり百八十ミリグラム、鉄も十六ミリグラムというふうに、工場排水などに適用される排水基準というものを非常に大きく上回って汚染されているという実態が出てきているわけですね。工場排水の排水基準、CODの場合は百六十なんですけれども、南部開発の安定型処分場から出ている水は二百六十という非常に高い基準値が出ております。全窒素で見ますと、工場排水の場合は百二十なんだけれども、南部開発の場合は百八十、こういう非常に高い数値が出ているということであります。  もう一つ問題は、つまり安定型処分場が実は安定じゃなくて、非常に有害物質が混入しているという現実がこういうふうに出ているということと同時に、その業者自身がどんな業者かといいますと、例えば月ケ瀬村の産廃業者というのは、今、偽装倒産したんじゃないかと言われているような業者であります。山添村というところにも四つも処分場があるんですけれども、そこは四つの業者のうちの三つまでの業者逮捕されている、こういう処分場なんですね、安定型ですが。室生寺で有名な室生村というところにもたくさん処分場ができて、今五つあるんです。その五つの中でも、安定型ですけれども、現地の人がこれはもう水を汚染しているというふうにはっきり言っていらっしゃるところが三カ所、それから道路をつぶしたり壊したりしているというところが三カ所、こういうふうな状態であります。  つまり、その処分業者能力というんでしょうか、当事者能力逮捕されちゃっている。それからモラル、こういう点で見ましても非常に問題があります。そういう人たちに安定型の処分場許可しているという問題、この実態から見ましても非常に安定型というのは極めて不安定でありまして、環境汚染を起こし、住民の皆さんを苦しめているということですから、大臣、ひとつこの安定型の見直しという点で積極的に要望をしたいと思うんですけれども、いかがですか。
  111. 小泉純一郎

    国務大臣小泉純一郎君) なぜ安定型というふうに名をつけたのかちょっと不思議に思うぐらい、不安型処分場と言ってもいいんじゃないかと思うぐらいに現状はお寒い状況がかなりあるように見受けられます。  この安定型処分場をなくすことはできませんが、今言われたような非常に不安な点、安全性信頼性においても多くの住民が疑問を持っているということでありますので、今後、この安定型処分場を真に安全型処分場にするべく抜本的な見直しが必要だと思いますので、積極的に見直しの方向で取り組んでいきたいと思います。
  112. 西山登紀子

    西山登紀子君 大臣、今いみじくも不安定処分場というふうにおっしゃったんですけれども、本当にそうだと思います。  安定型を掘り返してまたシートを敷くというふうなことをやるのは本当に後手に回る行政というふうになると思いますし、速やかにそういう点を改善のために努力をしていただきたいと思います。  次に、実は非常に深刻な現実をさらに問題提起したいと思うんですけれども、現地の人たち、木津川の周辺に住んでいらっしゃる皆さんは、ここはまるで近県のごみ捨て場のようだというふうなことを言われているわけです。もう道路際には不法投棄はあるわ、アスベストも投棄されているわ、ゴルフ場もたくさんあるわ、野積みされた畜産などのふん尿が汚染している、こういう地域なんです。  最近、この地域の井手町というところの町の水道から基準値を上回る水銀の汚染が発見をされました。この二月のことであります。もちろん、急いで別の水源を手当ていたしまして、今は手当てをされているわけで安全な水をお飲みになっているわけでありますが、周辺の検査をして原因を追跡しているわけですけれども、原因はいまだわかっておりません。わかっていないところか、経過を見てはかっている井戸水から基準値を超える水銀が依然として出ているという点で住民の皆さんの不安が広がっているわけです。今まで全く出ていなかった地域ですから、いきなり出てくるということになりますと、やはり何かそういう水銀を含んだものがその地域にやってきた、こういうふうに考えるのが普通であります。  そこで、不法に投棄されている廃棄物、残土があるということが指摘をされているわけですが、もちろん今即そこが原因だというふうなことはわかっておりませんけれども、問題は、水源を守る立場から廃棄物処理場などはその地域にはつくらないというゾーニングの問題を検討する必要があるのではないかと思いますけれども、いかがですか。
  113. 小野昭雄

    政府委員小野昭雄君) 今回の改正案におきましては、最終処分場等の廃棄物処理施設設置に当たりまして、周辺の生活環境影響調査を行いますほかに、地域住民等から生活環境保全観点から意見をお聞きし、専門家の意見も踏まえて審査することとしておりまして、この審査基準といたしまして、地域生活環境保全について適正な配慮がなされたものであることを求めているところでございます。  こうした措置によりまして、水源地におきます施設設置につきましては一律に禁止はしておりませんが、地域の実情を踏まえた生活環境保全に適正に配慮されたものでなければ設置が認められないものと考えておりますし、維持管理段階におきましても、許可申請時に施設設置者みずからが定めます維持管理計画に従って適切な維持管理を行うことが義務づけられますとともに、維持管理状況に関する記録を行い、閲覧に供することが求められておりますことから、水源地等での生活環境保全は従前に比べまして格段の徹底が図られているものというふうに考えております。
  114. 西山登紀子

    西山登紀子君 井戸水なんかを飲料水にしていらっしゃる例えば奈良県の山添村なんていうところでは、やはり処分場の排水が流れ込んで水道の水源を汚染しているという点では非常に不安を感じていらっしゃる。ですから、この点はやっぱり厳しく私は規制をしていって当たり前だというふうに思います。  最後に、大臣にお伺いしたいわけですけれども、これからのごみ対策の基本というのは排出の抑制、それから減量化リサイクル、こういうふうに思うわけです。私たちも九〇年に政策を発表いたしまして、こういうふうなことをきちっとやっていけばごみは半分に減らすことができるし、また処分場の総量も三分の一に減らすことができるという政策、提言を出しているところでございます。  そこで、今後のごみ廃棄物対策の基本姿勢、環境の保全とか資源の保護、そして住民の意思の尊重、こういう点について国の積極的な施策が求められていると思うんですけれども、大臣の御決意をお伺いしたいと思います。
  115. 小泉純一郎

    国務大臣小泉純一郎君) まず、廃棄物処理施設、これを確保することが必要である。その処理施設は、安全で適正に処理しなければならないということが大事だと思います。そして、排出事業者責任を持ってもらう。なおかつ、この大量消費、大量廃棄という今までのあり方見直しまして、できるだけ国民の理解を得てごみ減量化にも努めていかなきやならない。国と地方団体事業者、消費者ともに再生資源循環社会に向かって努力をしていきたい。その際に、国としても厚生省としてもその支援体制をとるべく積極的に努力をしていきたいと思います。
  116. 釘宮磐

    ○釘宮磐君 まず、産業廃棄物処理施設の確保と安全対策に対する国の関与についてお伺いしたいと思います。  産業廃棄物については、現在広域処理が進められており、都道府県単位での取り組みには限界があります。産業廃棄物処理施設は、豊かな国民生活の維持に欠くことのできない産業インフラの一つであることは言うまでもありません。今回の改正では情報交換の促進等の規定が挿入されていますが、情報交換にとどまらず、国が全国的視野で産業廃棄物処理施設の配置を検討し、その整備促進に向けて地方自治体間の調整を図る必要があるのではないかと思うんですが、いかがでしょうか。  また、かかる観点から、国の廃棄物処理施設計画においても産業廃棄物処理施設の整備について減量率、リサイクル率等の数値目標を含んだ具体的実施目標を定めるべきではないかと考えるのでありますが、いかがでしょうか。
  117. 小野昭雄

    政府委員小野昭雄君) 産業廃棄物処理施設設置につきましては、いわゆる市場原理に基づきまして民間事業者による整備を原則として行われているものでございまして、行政がその配置や整備について直接、民間事業者指導していくということは、このような原則に照らして困難なのではなかろうかと考えております。    〔委員長退席理事大脇雅子着席〕  また、このようなことから、国の廃棄物処理施設整備計画につきましては、廃棄物処理施設整備緊急措置法上、民間の産業廃棄物処理施設について定めることは予定をしておりませんで、地方公共団体が実施をいたします廃棄物処理施設整備について定めるものとされているところでございます。  国といたしましては、従来より地方公共団体への技術的援助等に努めてきたところでございますが、今後はこれまで以上に都道府県との間の情報交換の促進を図りますとともに、フェニックス計画の一層の推進等に努めてまいりたいと考えております。
  118. 釘宮磐

    ○釘宮磐君 私は、何で国の関与というものをもっと行うべきだということを申し上げたかと申しますと、私も県会議員の経験があるんですが、こういった処理場の建設、その後のトラブルというような問題について住民の不信感というのが、いわゆる民間にゆだねているというところにまず不信感が最もあるわけですね。特に、埋め立ててしまったその後はもうだれも責任をとらない。ここに住民の最も大きな不安があるわけでありまして、最終的にじゃだれが責任をとるんだ、事故が起こったときにはだれが責任をとるんだという部分での反対というのが、これが基本的なところに私はあるんだろうと思うんです。  ですから、今、局長の答弁を聞きながら、確かに民間が主体となってやるということでしょうけれども、私は、そのことをやっているとまた都道府県また市町村が混乱を起こすんではないのか、そのことを特に危惧するわけであります。その点は、今後の推移を当然国としては注意深く見ていくわけでしょうし、ある意味での公的関与という部分は私は今後強めていかなければ難しい時点が出てくるんではなかろうかな、そういう意味で今の御指摘をさせていただいたわけであります。  次に、いわゆる産業廃棄物に関する公的関与として、平成三年の廃棄物処理法改正に基づいて廃棄物処理センターの設置や、翌年には産業廃棄物処理特定施設整備促進法というものが制定をされました。まず、廃棄物処理センターの整備目標と現在の整備状況についてお聞かせください。
  119. 小野昭雄

    政府委員小野昭雄君) 廃棄物処理センターにつきましては、最終的には一県一つということを予定いたしておりますが、本年四月現在につきましては、岩手県等の八県におきまして厚生大臣の指定が行われておりまして、このうち岩手県、大分県のセンターにおいては既に施設が稼働しておりますし、現在、新潟県のセンターが施設整備に着手をしておりまして、今年度中にも二つのセンターにおいて着工が行われる予定というふうになっております。
  120. 釘宮磐

    ○釘宮磐君 どうも整備の成果が、基本的に各都道府県に一カ所ということで平成三年にこれを制定しているわけですけれども、若干その進捗率が悪いような気がするんです。何かその辺、理由を聞かせてください。
  121. 小野昭雄

    政府委員小野昭雄君) 若干補足をさせていただきます。  廃棄物処理センターにつきましては、今申しました八県のほかに十七都道府県において具体的な作業が進められているというふうに聞いております。    〔理事大脇雅子退席委員長着席〕  それから、先ほどお話がございました産廃特定施設整備促進法に基づきます大臣の認定につきましては、現在札幌市など四施設において行われているところでございます。  これらが遅いではないかという御指摘でございますが、これらの制度につきましては、ようやく制度が定着しつつあるというふうに考えておりまして、今後計画が順次具体化されていくものと認識をしておりますけれども、これらの事業に対します国庫補助あるいは融資等の活用等によりまして、施設整備の促進を図ってまいりたいと考えております。
  122. 釘宮磐

    ○釘宮磐君 それじゃ、厚生省としては予定どおり進んでいるというふうに認識をなさっておられるということですか。
  123. 小野昭雄

    政府委員小野昭雄君) 初期のころにはなかなかこれ着手、スピードが遅いというのは変な言い方でございますが、という感じは持っておりましたが、最近になりまして、今申し上げましたように、多くといいますか、これはいろいろ表現の仕方があるかもしれませんが、廃棄物処理センターにつきましては、稼働しているところも含めまして計画は少しずつ前へ進みつつあるという感じを持っております。
  124. 釘宮磐

    ○釘宮磐君 いや、私が何でそういう質問をしているかというと、このセンターをつくること自体に対して、自治体が受け入れがたいような何か障壁があるのかなということでお聞きしたんです。
  125. 小野昭雄

    政府委員小野昭雄君) 私、全国を全部調べて申し上げるあれではございませんが、陳情あるいはいろいろな事情をお伺いする機会が、これは各論でございますが、ございます。現実には、県としてはやりたいけれども、実際に設置を予定しております地域方々がやっぱり公共セクターであっても嫌だというふうなことを言われるようなケースがまだあるというふうには各論として伺っております。
  126. 釘宮磐

    ○釘宮磐君 したがって、私が冒頭に申し上げたのは、いわゆる民間でという局長の答弁なんですが、公がやるとしてもそれぐらい難しいということですから、ある意味ではこれから国の方である程度のてこ入れをしていかないと、関与していかないと難しいのではないかということを指摘させていただいたわけであります。  次に、平成四年に設立された産業廃棄物処理事業振興財団についてお伺いをしたいんですが、これは民間事業者の拠出によって五年間で百二十から百三十五億円程度の基金を造成するということになっていたわけですが、現在の状況はどうなっておりますか。
  127. 小野昭雄

    政府委員小野昭雄君) 産業廃棄物処理事業振興財団の基金の造成についてでございますが、目標総額は百二十六億円、うち債務保証基金が約百二億円を予定いたしているところでございますが、平成八年度末現在で約五十八億円、そのうち債務保証基金は約四十五億円となっております。  このうち、国、地方公共団体からの拠出につきましては、目標額、国が十億円、地方公共団体二十九億円を本年度には達成することになっております。
  128. 釘宮磐

    ○釘宮磐君 目標よりも非常に少ないわけですね。  実は、今回の改正で、産業廃棄物適正処理推進センターをつくって、不法投棄原状回復のための基金を設けるように改定がなされておりますね。今回もやはりこの拠出については事業者の任意拠出ということになっております。  私は、先ほどの産業廃棄物処理事業振興財団の基金も非常に集まりが悪いという中で、今回の処理推進センターでの原状回復の拠出金もまた任意だということで、実際に集まるのかどうかということがまず一点。  それから、大体どの程度の基金を推計しているのか。この基金については、一昨日の答弁の中で、自治体の財政支援を国も行うというようなことを言っておりましたけれども、私は、この問題をあえて指摘させていただきたいのは、任意だということではなかなかこれは難しいんだろうと。これは産業界との問題があるんでしょうけれども、私は、ここも国がもっとやっぱり責任を持たせるという意味で、きちっとそういった意味での、任意ではなくて強制的なものも考慮していくべきではないのかというふうに考えますが、いかがですか。
  129. 小野昭雄

    政府委員小野昭雄君) 適正処理推進センターの基金でございますが、これにつきましては、今先生御指摘のように、あくまでも産業界の自主的な協力を基礎とする制度ではございますけれども、不法投棄問題が産業廃棄物処理に対する最も大きな国民の不信感の原因となっておりますので、こういった不信感を解消する必要があるわけでございます。そういうことから、産業界の十分な御理解がいただけるものというふうに考えておりますし、また厚生大臣の要請規定に基づきまして積極的な拠出をお願いしてまいりたいと思っております。  基金につきましては、これは必要な事業が全部賄えるという額でなければならないわけでございまして、当然のことといたしまして、基金に対しましては国としても必要な支援を行っていきたいと考えているところでございます。
  130. 釘宮磐

    ○釘宮磐君 原状回復という面からすれば、例えば豊島みたいな問題が起これば、もうそれだけでなくなっちゃうんじゃないかというぐらい、非常にどれぐらいかかるのかわからないような基金の目標だとは思うんです。私は、今回のこの法案の審議を聞きながら感じるのは、排出業者また処理業者、すべてがやっぱりきっちり責任を全うしていくということがない限り、この産廃の問題というのは解消しないんだろうというふうに思います。したがって、私が先ほどから公的関与をもっともっと強化すべきであるということを申し上げているのもその辺にあるわけであります。  今回の改正で、同じように排出業者なり処分業者から基金的なものを出してもらうという中で、いわゆる維持管理積立金、これが今回の改正の中で、これは義務づけですね。義務づけして、払わなければ許可を取り消すとかということになっていくんだと解釈しているわけですが、これは管理型処分場に限定しているというふうにお聞きしているんですが、そのとおりですか。
  131. 小野昭雄

    政府委員小野昭雄君) 維持管理積立金制度につきましては、いわゆる浸出水、漏れ出てくる水の処理等の長期の維持管理が必要となる管理型処分場を対象として考えておりまして、安定型処分場につきましては長期にわたる維持管理を必要とするものではございませんので、積み立てを義務づけることは考えておりません。  なお、安定型処分場につきましては、先ほども御質問がございましたように、そのあり方につきまして生活環境審議会の専門的な場で、専門委員会で検討を行っていただいているところでありまして、安定型処分場安全性の確保に努めてまいりたいと考えているところでございます。
  132. 釘宮磐

    ○釘宮磐君 先ほど西山委員の方から、また今回の議論の中でも、安定型処分場のトラブルが非常に多いというような議論が多かったわけですね。今回、法改正をして維持管理積立金を積ませて、そして処理業者責任を持たせる、私はこのことは非常にいいことだと思うんですよ。評価しているんです。だけれども、今一番問題が多い安定型処分場を何で除外をしなきやならなかったのか。  私は、そういう意味で、当然安定型処分場においても、少なくともその多寡は別にして、そういうふうな意識づけをさせていくということは大事ではないかなと思うんです。その点、これはぜひ今後の研究課題としていただきたいというふうに思います。  それとあわせて、今回の維持管理積立金というのは、例えば今現実に廃棄物を廃棄している途中のものがありますね。これについては対象となるんですか。
  133. 小野昭雄

    政府委員小野昭雄君) この法が施行されて以降が対象になりますので、今、先生御指摘の、現に最終処分をやっている事業者につきましては対象にはなりません。  ただ一般的に、これは企業者ではないと思いますけれども、いわゆるプライベートな保険のような形で実際に維持管理費用を積み立てている業者があるという話は聞いております。
  134. 釘宮磐

    ○釘宮磐君 今、保険の話が出ましたので、これは最後質問をさせていただきたいと思うんです。  先ほど私が申し上げましたように、実際問題、処分場ができる地域人たちから私も実際に意見を聞いたことがあるんです。先ほども申し上げましたが、つくるときはまだ業者も特定できるし、いいんだと。しかし、もう埋めてしまって、それ以降、例えば何年か後に何か問題の物質が飲料水あたりに入って、そしてそのときにそれを飲んだ住民が難病にかかったというようなことを一体だれが責任を持ってくれるんだというところが、非常にこの産廃の問題を複雑にしているんだと思うんですね。  私は、例えば公が最終的に全部責任を持つんだといえば、これは多分多くの場合解決ができる可能性はあると思うんですけれども、それができなければ、例えば保険制度をもっとやっぱり国が奨励をして、そういうふうなものをつくるとか、そういうこともこれから考えていかないと、今回の議論を聞いていても、なかなかまだまだ問題が多そうだし、これで果たして本当に産廃最終処分場がどんどんできて、こういう問題が解決できるのかなという不安を感じているわけです。  その点について、大臣最後に御感想をお聞かせいただきたいと思います。
  135. 小泉純一郎

    国務大臣小泉純一郎君) この廃棄物の問題は、大変重要でかっ解決の難しい問題でありますが、実際今、廃棄物処理場を確保するということも非常に困難になっているんですね。この仕事をやってもらわなきやならない。ところが、なかなか民間業者も、やっても規制は厳しい、住民からは反対される。結局めぐりめぐって全国民に影響して、放置できない非常に難しい問題だと思います。  本来、私は公共的な仕事だと思います。しかし、この公共的な仕事を民間企業がやっているということも、一面で私は大したものだと思います。むしろ、民間が公共的な分野に進出してきてくれるんですね。これを考えて、官の立場としても、これは本来公共的な仕事なんですからもっと積極的に、安全性の規制は大事なんですけれども、民間企業がこれに安心して、住民の反対のないような措置をとれるような官としての支援策がどうあるべきか積極的に検討しなきゃいかぬ、そう思います。
  136. 釘宮磐

    ○釘宮磐君 今も大臣の御答弁を聞きながら、私は確かに官の仕事を民がやるということのメリットというのは、それこそ大臣の持論ではありませんけれども、あると思います。  しかし、この産廃の問題というのは、要は後から起こってくるいろんなリスクを本当に民間がそこまで見てくれるのか。そこのところが住民が抵抗する一番大きな要因だと思いますから、私は、そこの部分を公としてどこまでできるのかというようなことをしっかり考えていかないとこの問題は解決しないと思います。  きょう、午前中も中島委員から話がありましたけれども、この問題は、自治体地方が大変なもう苦労をしていますね。地方が苦労するがゆえに、要綱みたいなものがそれぞれ条例でどんどんつくられていって、そのことが極めて産廃最終処分場をつくるのを難しくしてきている。今回の問題で、例えば住民同意を要綱で決めていても、結果的には今回の法案では同意というものを求めていないわけですから、それを超越するんだろうとは思いますけれども、しかし現実には、そういうふうな状況をつくっても直接地方地域に行ったらこの問題はそう簡単にはいかないのではないか。そこのところを厚生省がやっぱりしっかり受け皿を今後考えていかないと、私はこの法案ではなかなか前に進んでいかないような気がしてなりません。  そのことを申し上げて、私の質問を終わります。
  137. 上山和人

    委員長上山和人君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。  本案の修正について木暮山人君から発言を求められておりますので、この際、これを許します。木暮山人君。
  138. 木暮山人

    木暮山人君 私は、ただいま議題となっております廃棄物処理及び清掃に関する法律の一部を改正する法律案に対し、平成会代表いたしまして修正の動議を提出いたします。その内容は、お手元に配付されております案文のとおりでございます。  これより、その趣旨について御説明申し上げます。  廃棄物不法投棄対策については、現下の不法投棄問題の実情をかんがみると、今回の改正案においても必ずしも万全のものとは言いがたいと言わざるを得ないと考えます。  また、水道水源地は、生活環境保全が特に強く求められることから、最終処分場設置については極力制限が加えられるべきものと考えますが、法案ではこの問題への対応が明らかにはなっておりません。  我々はこれらの問題点について、本法施行後も政府においてさらに検討を加え、必要な措置を講すべきであると考え、本修正案を提出するものであります。  修正の要旨は、附則に、「政府は、この法律施行後三年を目途として、廃棄物処理の実態を勘案して、廃棄物の不法な処分を防止するための方策及び飲用水に係る取水施設周辺地域における最終処分場設置を制限するための方策について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。」旨を加えることであります。  何とぞ、委員各位の御賛同を賜りますよう、お願い申し上げます。
  139. 上山和人

    委員長上山和人君) これより原案及び修正案について討論に入ります。——別に御意見もないようですから、これより廃棄物処理及び清掃に関する法律の一部を改正する法律案について採決に入ります。  まず、木暮君提出の修正案の採決を行います。  本修正案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  140. 上山和人

    委員長上山和人君) 少数と認めます。よって、木暮君提出の修正案は否決されました。  それでは、次に原案全部の採決を行います。  本案に賛成の方の挙手を願います。    一賛成者挙手〕
  141. 上山和人

    委員長上山和人君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  尾辻君から発言を求められておりますので、これを許します。尾辻秀久君。
  142. 尾辻秀久

    ○尾辻秀久君 私は、ただいま可決されました廃棄物処理及び清掃に関する法律の一部を改正する法律案に対し、自由民主党、平成会社会民主党・護憲連合、民主党・新緑風会、日本共産党及び太陽の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。  案文を朗読いたします。     廃棄物処理及び清掃に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議     (案)   政府は、次の事項について、適切な措置を講  すべきである。  一、循環経済社会の実現に向けて、廃棄物排出抑制リサイクルの促進を含めた総合的な廃棄物対策を一層充実すること。  二、産業廃棄物に係る排出事業者責任の一層の強化について検討すること。また、マニフェス十制度の電子化を推進し、産業廃棄物の流れに即した実態の把握に一層努めるとともに、情報処理センターの活用等情報提供の在り方について検討を行うこと。  三、廃棄物の有害性に対する知見を深め、ミニ処分場問題の解決や安定型処分場見直し基準見直しを図るとともに、処分場の管理を徹底し、周辺住民に対しては情報の閲覧制度を徹底すること。  四、大都市圏等における地域処理の推進を図るとともに、廃棄物が排出から処分まで広域にわたることにかんがみ、国及び地方自治体地方自治体相互間の連携などにより不法投棄の防止対策を実効あるものとするよう、対策を強化すること。また、廃棄物処理センターの指定の促進を図ること。  五、都道府県等の産業廃棄物処理に関する指導、監督が十分行われるよう行政執行体制の強化、充実を図ること。  六、ダイオキシン類による人の健康や食品への影響などの実態を調査し、公表すること。また、ダイオキシンに係る環境基準の設定並びに排出抑制策を早急に講ずること。特に主な排出源となる廃棄物焼却施設改善を速やかに行うこと。さらに施設改善に当たっては、国庫補助等に特段の配慮をすること。  七、水道水源地域における最終処分場等の廃棄物処理施設の在り方については、飲料水の安全性を確保する観点から、必要な措置について検討を行うこと。    右決議する。  以上でございます。  何とぞ御賛同いただきますようお願いいたします。
  143. 上山和人

    委員長上山和人君) ただいま尾辻君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。  本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  144. 上山和人

    委員長上山和人君) 全会一致と認めます。よって、尾辻君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、小泉厚生大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。小泉厚生大臣
  145. 小泉純一郎

    国務大臣小泉純一郎君) ただいま御決議のありました附帯決議につきましては、その御趣旨を十分尊重して努力したいと思います。
  146. 上山和人

    委員長上山和人君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  147. 上山和人

    委員長上山和人君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後一時四十一分散会      —————・—————