○清水澄子君 次に、私は
児童福祉法の
改正の中で一番気になって、欠落している部分として主張してきましたのが三十四条の禁止行為のところなんです。この点では
厚生省もその条文の中にまだ昭和二十年代の
子供の状況に照らした禁止行為など非常に不適切な表現があるということはもう認識をしていただいていると思うんですけれ
ども、私はさらに今日的な
子供の買春とかポルノとか性的搾取とか
虐待とか、そういう新たな問題をどうしても
法律の中に禁止行為の
規定として
見直していくことが非常に必要だと思っているんです。
そこで、私、ぜひ
大臣に聞いていただきたいんですけれ
ども、実は今、世界では何百万人もの
子供たちが大人たちの性の道具として売られているわけですね。アジアでは特にタイとか南アジアが多いんですけれ
ども、十六歳以下で百万人の
子供たちが性産業へ売られて働いているという、このことが実は国際
社会で非常に大きな問題になってきております。そしてまた、日本は特に
子供たちをポルノの
対象として
児童ポルノをたくさん製造して、そしてそれを販売して世界に輸出しているという状況で、これが絶えず国際会議で、日本はそれに対してほとんど法的な規制もない、その問題に非常に政治が無関心だということで批判を受けているわけです。
それとあわせて、この
委員会でも問題になったんですけれ
ども、日本の国内でも援助交際という名の売春行為、それからテレクラ売春とか、そう
いうものが当たり前のように私たちの
社会に広がっている。そういう
意味で、
子供売買春が
社会問題化してきていると思います。
そして、今申し上げたように、私もずっと見て回りました。余りそういうことをよく見ていなかったんですが、一般書店やコンビニに本当に
子供の、八歳の何子ちゃんとか六歳の○○子ちゃんとか、そういう
子供を被写体としたポルノのビデオとか雑誌がいっぱい売られているんですね。それらは今の
児童福祉法三十四条の禁止行為には
児童に淫行させる行為は禁止と、これはさせたときというのであって、それを犯した者というのは全然
対象にならないんですね。
ですから、国際的に問題になっているのは、
子供は自分から私をポルノに使ってくださいなんというのはいないのであって、これは大人が
子供を使って金もうけにしたり自分の性を満足させたり、そういう形で搾取をしている、またそれが
子供の人権を侵害し
虐待していることだと。
子供のときにそういう
対象にされたら
子供は生涯非常に深い精神的な傷を負い、そして健康上もいろんな問題が起きていて、それを国際的には各国でどのようにケアしてリハビリして
自立した
社会復帰ができるか、大変な研究と努力が今行われているんですが、日本は今度の
児童福祉法の
改正でもほとんどそれらは
対象にできない、やっていないという、こういう問題がございます。
私は、たまたま昨年八月にスウェーデンで、これはスウェーデン政府とユニセフが中心になって呼びかけて
子供の商業的性的搾取に反対する世界会議というのが開かれました。この会議は、世界各国から百二十六カ国の政府と約二十の国際機関の代表と、そして五百のNGO、そういう人たちが参加をして、そして世界から二〇〇〇年までにこういう問題をなくしていこうじゃないかと。これは大人が
子供たちの人格、いわゆる
子供は未来だと。その未来を大人が破壊しているというのは二十一世紀という私たちの本当の未来はつくれない、大人の責任としてこの問題を解決していきたいと。その基本になっているのは子
どもの
権利条約の履行なんですね。三十四条がまさにそのことを各国で責任を持ってやりましょう、それを国際協力しながらやりましょうということなんです。
そこでも、実は政府代表で私は行ったんですけれ
ども、非常に恥ずかしい思いをいたしました。日本の
子供のポルノ、それが世界じゅうに回ってきて、自分たちがどんなに国内で一生懸命それを教育しても日本から入ってくると。そして、同時にアジアの各国では日本の男性のそれこそ地位の高い医者とかそういう人たちが今逮捕されていますね。そういうふうなことが全然日本の国内で問題にならない。その上に日本の国内では
子供たちが自分で自分の性を売るというのが
社会で非常に広がっているというのは実に自分たちは理解できない、納得できるように説明してくださいという、そういうことを口々に言われて私は非常に恥ずかしい思いをいたしました。
そして、そこでは今後二〇〇〇年までに各国が真剣にこの
子供の人権に対する認識を
社会に広げていこう、そしてもっとそれぞれの国の
法律とか規則をちゃんと、本当の
意味で法が今の時代に合っていない国が多いんだということで、各国はほとんど七〇年代から
法改正は進んじゃったんですけれ
ども、それをもっと徹底していくと。それから、これは一国だけではだめだと、国際協力が必要だと、それは司法の面でも警察の面でも国際協力が要るというふうなことがあって、そしてその被害を受けた
子供をどうリハビリテーションするのか、こういうことで宣言や決議が決められて、それをずっと各国なり、またはそれぞれの
地域で、
地域というのはアジアならアジア
地域でフォローアップしていくということを約束したわけです。
そしてまた、もうそろそろ一年たち出したところなんですが、EUなんかはすぐ欧州議会を開いてそれぞれのフォローアップをどうするかということを真剣に討論しておりましたけれ
ども、実は五月二十二日にはマニラで、これはラモス大統領が中心になって、マニラの政府が中心になって、今度は世界の観光業界とかそういう人たちを集めて、そして
児童の商業的性的搾取をなくしていく観光業界の
社会的責任というので会議が開かれます。そこでもまた日本のことが課題になっている。全然日本は進んでいないということで課題になっています。そして、さらにそれに続いて日本で、
東京で五月二十八日に、スウェーデンのシルビア国王妃がおいでになって、これもユニセフとの共催なんですけれ
ども、「
児童の商業的性的搾取に反対するストックホルム世界会議のフォローアップ会議および国際シンポジウム」が開かれるんです。私のところにも案内が来まして、きちんとこの中では日本の国内の
法制化の問題をみんなで研究したいと、そして日本の中でこの
子供売買春というのはどうしてこんなに野放しになっているのか、このことについてモニターしたいとか、そういうテーマが寄せられてきております。こういうことは私が個人的に言っているのじゃなくて、非常に国際的にこのことは今大きな問題になってきております。
ですから、日本が何もしないということ、特に
子供ポルノということについてもっとこれをしつかり注目してほしいという大変強い要望が来ておりますので、三十四条だけではできないんですけれ
ども、まず三十四条の
禁止規定にはっきりこれらの
子供に対して大人がやってはいけないこと、性的な搾取とか
虐待は禁止していくということの中で、
子供ポルノとか
子供を買うということはいけないんだという、買うという大人の方がもうちょっと処罰されなきゃいけないんですけれ
ども、そういう面でこれらの点を私はぜひ
児童福祉法の
改正が必要だと思っておるわけです。
ですから、こういうことについて今後ぜひ取り組んで、早急にこれに取り組むということをぜひ私はひとつここでお約束いただきたいんです。そうすれば国際会議で日本もやっと取り組む課題になりましたというふうに私は報告できるんですけれ
ども、ぜひよろしく
お願いいたします。