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1997-04-01 第140回国会 参議院 厚生委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成九年四月一日(火曜日)    午前十時開会     —————————————    委員異動  三月三十一日     辞任         補欠選任      菅野  壽君     清水 澄子君      今井  澄君     竹村 泰子君   出席者は左のとおり。     委員長         上山 和人君     理 事                 尾辻 秀久君                 南野知惠子君                 木暮 山人君                 清水 澄子君     委 員                 大島 慶久君                 大野つや子君                 田浦  直君                 中島 眞人君                 長峯  基君                 宮崎 秀樹君                 水島  裕君                 山本  保君                 和田 洋子君                 渡辺 孝男君                 竹村 泰子君                 西山登紀子君                 釘宮  磐君    国務大臣        厚 生 大 臣  小泉純一郎君    政府委員        厚生省健康政策        局長       谷  修一君        厚生省保健医療        局長       小林 秀資君        厚生省薬務局長  丸山 晴男君        厚生省児童家庭        局長       横田 吉男君    事務局側        常任委員会専門        員        大貫 延朗君    説明員        文部省初等中等        教育局幼稚園課        長        土居  正君        文部省教育助成        局施設助成課長  玉井日出夫君        文部省高等教育        局医学教育課長  寺脇  研君        文部省体育局学        校健康教育課長  北見 耕一君        労働省婦人局婦        人福祉課長    村上  文君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○理事補欠選任の件 ○児童福祉法等の一部を改正する法律案内閣提  出) ○参考人出席要求に関する件     —————————————
  2. 上山和人

    委員長上山和人君) ただいまから厚生委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  昨三月三十一日、菅野壽君及び今井澄君が委員を辞任され、その補欠として清水澄子君及び竹村泰子君が選任されました。     —————————————
  3. 上山和人

    委員長上山和人君) 理事補欠選任についてお諮りいたします。  委員異動に伴い現在理事が一名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。  理事選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 上山和人

    委員長上山和人君) 御異議ないと認めます。  それでは、理事清水澄子君を指名いたします。     —————————————
  5. 上山和人

    委員長上山和人君) 児童福祉法等の一部を改正する法律案を議題といたします。  本案につきましては既に趣旨説明を聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  6. 南野知惠子

    南野知惠子君 自由民主党の南野でございます。  先駆けてお尋ねいたしますけれども、昨年の十二月二十日に准看護婦問題調査検討会より「現行准看護婦養成課程内容看護婦養成課程内容に達するまでに改善し、二十一世紀初頭の早い段階を目途に、看護婦養成制度の統合に努める」との提言がなされました。  これは准看護婦養成停止と受けとめてよいのですね。大臣の御見解をお願いいたします。
  7. 小泉純一郎

    国務大臣小泉純一郎君) 昨年の検討会報告書医療関係者看護関係者が十分話し合って一つの結論を導き出したということについて大変大きな意味があったと思います。今後、准看、正看養成の一本化、将来に向けて正看にできるならば統合していこうという方向、これを踏まえて一日も早いその実現に向けて最大限努力をしていきたいと思います。
  8. 南野知惠子

    南野知惠子君 ありがとうございました。  次にお尋ねしたいことは、准看護婦養成停止を二十一世紀の初頭、すなわち我々としては二〇〇一年と考えるのですが、その間、段階的に准看護婦養成を停止し、なおかつ現准看護婦看護婦へ移行させる教育制度などの確立を図られるということを大臣に御期待申し上げますが、大臣の御決意をお願いいたします。
  9. 小泉純一郎

    国務大臣小泉純一郎君) できるだけ早い機会、二〇〇一年、できればそういう目標に向かって進みたいと思いますが、その間、いろいろな事情等あると思います。できるだけ准看から正看になる道を大きくあけてそのように向けて、資格を取りたい方についてはそういう環境を整備していって、できるだけ早い二十一世紀、本来ならば二〇〇一年と言いたいところでありますけれども、それに目標を持って早く到達できるよう努力していくということがいいのではないかなと思います。
  10. 南野知惠子

    南野知惠子君 大変うれしいお言葉をありがとうございました。我々も気をよくしながらこの方向に邁進していきたいというふうに思っております。  さて、このたびの児童福祉法の一部改正案に関して、まず総論的にお尋ね申し上げます。  我が国の少子化の進行が著しい一方で、夫婦共働き家庭一般化し、家庭地域子育て機能の低下が見られるなど、子供家庭を取り巻く環境変化は大きいものがございます。  これからの二十一世紀を展望しつつ、次世代を担う子供が健やかに育成される環境づくりが重要でありますが、今回の改正趣旨とそのねらいはいかがなものでしょうか、大臣にお伺いいたします。
  11. 小泉純一郎

    国務大臣小泉純一郎君) 戦後五十年たって保育所に預けている家庭環境も大分変わってまいりました。また、社会的環境も今は夫婦共働きというのが特殊な状況でなくむしろ普通になってきた。保育所お子さんを預けている家庭納税状況を調べてみますと、当初は所得税を納めている家庭は二割もいなかった。ところが、現在では八割近くが所得税を納めている、こういう状況になってお子さんを預ける親御さんの希望も大変多様化してまいりました。その多様化に合わせるように、保育所サービス経営努力を生かせるよう展開をしていく必要があるのではないかという形で、むしろ措置制度から一歩進んで保育所親御さんによって選ぶことができるような形にしていこうと。時代の変化対応して保育所機能もいろいろ多角的になってきたと思います。それにこたえ得るよう環境を整備する必要があるのではないかということで、今回改正案をお願いしているわけであります。
  12. 南野知惠子

    南野知惠子君 ありがとうございます。  次は保育制度改革についてでございますが、これまでの措置制度に変えて、保護者保育所の十分な情報提供を行い、保護者希望する保育所を選択できる制度とされておりますが、親や子供立場に立った改革であるとして評価できると思います。  今後どのよう保育所は変わっていくのでしょうか、お聞かせいただきたいと思います。
  13. 横田吉男

    政府委員横田吉男君) 今回の保育所制度見直しにおきましては、利用者である親御さんあるいは子供立場に立った保育所制度を確立するという考えに立ちまして、従来の行政処分による、措置による入所という仕組みを改めまして、保育所をそれぞれ利用者が、子供の個性や親御さんの就労状況に合った希望する保育所を選択できるよう仕組みにすることにいたしております。これによりまして保育所が選ばれるという立場に立ちますことから、保育所といたしましてもさまざまなニーズに即応した良質なサービスを提供するよう努力が促されるようになるのではないかというふうに考えているところでございます。
  14. 南野知惠子

    南野知惠子君 では、一方では措置制度を見直すことによって保育に対する公的な責任公的負担が後退しやしないかというような不安の声もありますが、そのような懸念はないと考えてよろしゅうございますでしょうか。
  15. 横田吉男

    政府委員横田吉男君) 今回の改正におきましては、入所につきましても市町村が申し込みを受けたときには応じなければならないという形で保育サービス提供義務を負うことになっております。  また、公的責任につきましても、これまでと同様、市町村保育所に対しまして運営費を支弁する場合にはその一部を国庫が負担するという形になっております。私どもといたしましては、公的負担の面でも後退しないよう努力してまいりたいというふうに考えております。
  16. 南野知惠子

    南野知惠子君 ありがとうございます。  保育所の問題が議論されているさなかに、働く親たちニーズである乳児保育延長保育などがなかなか進んでいないというよう実態があると思われますが、今回の制度改正により対応が図られていくのでしょうか、お伺いいたします。
  17. 横田吉男

    政府委員横田吉男君) 御指摘ように、就労状況多様化してきたこともございまして、乳児保育あるいは延長保育に対する保育需要がふえてきております。こうした保育需要多様化対応するために、私どもといたしましては平成年度からエンゼルプラン、その具体化の一環としての緊急保育対策等五カ年事業実施しているところでございます。  今回の制度改正におきましては、こうした保育需要多様化への対応という観点に立ちまして、個々の保育所ごと保育実施内容あるいは保育時間等について情報を公開いたしまして、利用者希望する保育所を選べるようなことを考えております。こうした選択できる保育所という仕組みにすることによりまして、そういった多様な保育サービスに対する対応保育所としても促されるというふうに考えているところでございます。  私どもといたしましては、今後とも種々工夫を図りながら緊急保育対策等五カ年事業推進するとともに、施設につきましての定員弾力化あるいは施設整備の拡充など図っていくことによりまして、御指摘乳児保育あるいは延長保育などについてもその一層の促進を図ってまいりたいというふうに考えております。
  18. 南野知惠子

    南野知惠子君 働く親たちニーズに合った形で展開されることを強く望んでいるところでございます。  保育料につきましては、サラリーマン世帯などより税捕捉の相違などから負担についての不公平感が強いと聞くのでございますけれども、今回の改正によりまして保育料負担あり方については改善されるのでしょうか、お伺いいたします。
  19. 横田吉男

    政府委員横田吉男君) 保育料につきましては、先ほど大臣の答弁にもございましたように、戦後低所得が中心であった利用者から、所得税納付世帯が八割を占めるというよう状況変化の中で、利用者負担感の不公平あるいは重いというようなことが強まってきているわけであります。  こうした状況を受けまして、現行所得に応じた保育料負担方式というのを今回の改正におきましては改めまして、それぞれの年齢ごと保育コスト基礎といたしまして、家計に与える影響も考慮した保育料というものに改めていくということを考えているところでございます。  私どもといたしましては、低所得者への配慮を行いながら、今後できるだけ保育コストに応じた保育料という方向を目指しながら努力してまいりたいと考えておりますけれども、一方において急激な負担増は回避すべきであるという御要請もございますので、私ども現行段階保育料となっておりますが、これを当面は簡素化する方向対応してまいりたいというふうに考えております。
  20. 南野知惠子

    南野知惠子君 ありがとうございました。  保育料負担方式見直し案では現行より負担増となる人々が多いようにも思われます。乳児に対する保育料への配慮多子世帯についての負担軽減を図るべきと考えられるので、料金につきましてはさらなる御検討をお願いしたいと思っております。  次は、現状を見ますと保育所公私コスト格差があり、特別保育の取り組みにも差がございますが、利用者ニーズに応じて保育サービスを拡大していくためには、保育サービスの質を確保しつつ、保育コストが過大にならないようにするとともに、保育所が取り組みやすくしていくことが必要と考えられますが、そのための方策はいかがでございましょうか。
  21. 横田吉男

    政府委員横田吉男君) 御指摘ように、保育サービスの質を確保しながら効率的にサービスを提供していくということは今後極めて重要になってくるのではないかというふうに考えております。  今回の改正におきましては、利用者がそれぞれの保育所情報に基づきまして選択できるようにする、それから保育料についてもその費用を基礎といたしまして決める方式に改めることにしているところでございます。  こういった改正によりまして、私どもといたしましては、保護者あるいは施設関係者行政関係者におきまして、これまで以上にサービスについてこれを効率的に行っていくということが大きな関心になっていくのではないかと期待しているところでございます。  特に、保育所に関する情報提供を行うに当たりましては、保育所の適正な運営を確保するという観点から、公私別コストというものもその対象に含めることを検討してまいりたいというふうに考えております。  また、保育所に関するさまざまな基準、規制につきましても、サービスの質を確保しながら地域の実情、あるいは施設運営自主性という観点から、その弾力化を図っていくことにつきましても検討してまいりたいというふうに考えております。
  22. 南野知惠子

    南野知惠子君 ありがとうございました。  保育料公平化を図る観点からは四月時点年齢別クラス編制がなされている実態が多いと思いますが、それを踏まえますと、保育所入所時点年齢保育単価保育料を決めるのではなく、四月時点年齢によって決めるよう通年で考えるべきだというふうにも思うわけですが、いかがでございましょうか。
  23. 横田吉男

    政府委員横田吉男君) 現在は、市町村における保育単価の支弁、あるいは保育料の徴収につきましては、入所措置がとられた月の初日における児童年齢により決定されているところでございます。  このため、例えば年度の途中におきまして、誕生日を過ぎてから入所する児童の場合におきましては、年度当初から入所している児童と同じ誕生日であっても保育単価なり保育料の適用が異なる場合が出てくるわけであります。  この点につきましては、今後、御指摘の御意見も踏まえまして、保育所における処遇をどうしていくか、あるいは関係者意見ども聞きながら検討してまいりたいというふうに考えております。
  24. 南野知惠子

    南野知惠子君 よろしくお願いいたします。  多様な保育需要にこたえていく上で、病後の子供に対する保育も行っていくことが必要と考えられますが、現在の緊急保育対策等五カ年事業一つとしての乳幼児健康支援デイサービス事業を進めていくべきだと思いますが、いかがでございましょうか。
  25. 横田吉男

    政府委員横田吉男君) 乳幼児健康支援デイサービス事業というのを行っているところでございますが、病気回復期にある児童、これは乳児院等で預かり、子育て就労の両立を図ることを目的としたものでありまして、平成年度から実施しているところでございます。本事業につきましては、緊急保育対策等五カ年事業一つとして、平成十一年までに五百カ所の実施目標としております。  今後とも、種々工夫を図りながら本事業の着実な推進に努めてまいりたいと考えております。
  26. 南野知惠子

    南野知惠子君 そのこともよろしくお願いいたしておきます。  両親が就労しておる場合におきましては、就学前の児童につきましては保育所で相当の対応が図られてきておりますが、小学校入学後の児童につきましてはなかなか困ることが多いのが現状だと思います。  放課後児童健全育成事業につきましては、地方分権趣旨にも沿いまして、多様かつ柔軟な形態で普及を図る必要があるというふうに考えるのですが、いかがでございましょうか。
  27. 横田吉男

    政府委員横田吉男君) 夫婦共働き一般化に伴いまして、御指摘よう放課後保護者のいない小学校学年児童健全育成が課題となっております。  私どもといたしましては、こういった事態に対応するために、今回の改正におきまして放課後児童健全育成事業として児童福祉法に位置づけまして、本事業実施について市町村についてもその促進努力規定を置き、その普及を図ってまいりたいというふうに考えております。
  28. 南野知惠子

    南野知惠子君 ありがとうございます。  特に、進行する少子化対応しまして、安心して子育てができる支援策が重要であります。総合的に積極的に少子対策推進が必要と思います。子供は親を選べません、この言葉は大変我々大きく受けとめておりますが、子供の健全な育成は、生まれる前、誕生のとき、新生児期などの対応が必要かつ重要であろうかと思います。核家族化の今日、助産婦による新生児訪問指導子供を大切に育てていく上で親の不安を除去する上でも重要不可欠な施策と考えられます。今後どのよう推進していかれるのか、お尋ねいたします。  なお、高齢者訪問指導料と比較しまして、新生児訪問指導料は余りにも格差があり過ぎますが、今後どのようにされるのか、あわせてお聞かせいただきたいと思います。
  29. 横田吉男

    政府委員横田吉男君) 妊産婦あるいは新生児訪問指導につきましては、少子化の中で安心した妊娠出産、育児を支えるために、妊娠あるいは出産期のさまざまな不安、一般的な育児不安を軽減するというためにも重要な施策であるというふうに考えております。  訪問指導につきましては、これまで開業医、助産婦等の方々の御協力を得ながら指導を行ってきたところでありますけれども、九年度からは事業実施主体を都道府県から市町村に移譲しまして、多様なニーズにきめ細かく対応できるよう展開を図っているところでございます。  老人保健法における訪問指導単価の差につきましては、寝たきり等に対する訪問指導と、それから妊産婦新生児訪問指導との手間暇の差等を考慮して差があるところでございますけれども、今後どうしたら効率的な実施ができるか、そういった体制のあり方も含めて検討をしてまいりたいというふうに考えております。
  30. 南野知惠子

    南野知惠子君 新生児訪問指導につきましては、一件当たり千三百二円というような低い指導料でございますので、この料金につきましてはさらに御要望を申し上げておきます。  出産子育ての最初のかかわり合いを持つ助産婦養成についてお尋ねしたいと思いますが、きょうは文部省お越してございますので文部省の方にお願いいたします。  大学におきましては総数千百八十二名が一学年定員であると平成八年四月の統計に見られます。このたびの国家試験、きょう発表がございましたでしょうか。第八十回助産婦国家試験では受験者が五十六名でございます。これは新卒でございますけれども定員数受験者数の開きはどこから来るものでしょうか。  さらに、助産婦コースを持たない大学卒業生助産婦資格を取得したい場合、どのよう進路をとればよろしいのでしょうか、教えていただきたいと思います。
  31. 寺脇研

    説明員寺脇研君) 委員指摘のとおり、本年度卒業生の中で助産婦資格を取得いたしました者五十六名が受験をいたしまして、五十六名全員が合格をさせていただいておるところでございます。  こういったように、助産婦を目指す学生というものは非常によく勉強いたしましてそういう進路希望を実現しておるわけでございますが、全体から申しますと数が少ないということはあろうかと存じます。  看護系大学というのはできてまだ日が浅うございまして、看護系大学に入って看護を志すというようなことが、さまざまな多様な進路というようなところまで考え方がまだ十分進んでないところがあるのかもしれないわけでございまして、今後は大学に入りました後の進路あり方につきましてさらに指導工夫を各大学にお願いをしてまいりたいと思うわけでございます。  また、助産婦資格を修得し得るように科目をとれるようになっておりますのが現在五十四大学ありますうちの二十八大学でございまして、半数強というようなことでございます。残りの大学につきましてもそういった課程をつくっていくようなことも考えていっていただかなければなりませんけれども、現在ない大学に在学している学生がその課程へ進みます事柄につきましては、他の大学との単位互換でございますとかさまざまな形によって補完的作用がつくれますように、既に大学制度弾力化をされておりますので、この弾力化された大学制度をうまく運用できますように私どもの方からも意識喚起を機会あるごとに進めてまいりたいと存じます。
  32. 南野知惠子

    南野知惠子君 大学がどんどん建設され、大変うれしいと思います。今のお言葉のとおりに助産婦育成ということにもっともっと力を入れていただきたいと思います。  たまたま統計上などの資料によりますと、一学年定員として助産婦と同じ数が助産婦定員の数の中に出てきております。そういう意味では、統計上に見誤るところが出てくるのではないかと思いますので、そういうこともどこかで御示唆いただき、正しい統計を読ませていただきたいなというふうにも思っております。よろしくお願いいたします。  次は衛生看護科についてでございますが、「高等学校における看護教育の充実・振興に関する調査研究会議報告」、これは概要でございますが、その説明書を昨日受け取らせていただきました。「衛生看護科准看護婦養成機関から看護婦養成機関へ移行することを目指すのが今後の望ましい在り方と考える。」と提言されました。そのことは大変評価されるところでございます。  看護婦基礎教育は、他のヘルスマンパワーと比べまして、高等学校卒業後三年以上、今ですと大学レベルが必要、そのように思いますが、看護系大学教育が次々と進展されている今の流れの中で看護婦の役割、それから機構の多様化、それらに関する重要性が高まってきているというふうに思います。  その中で、中卒からの五年一貫した短期期間での教育看護婦資格取得あり方というのは将来に禍根を残すのではないかというふうに危惧をするところでもございます。  高等学校における基礎教育の上に高度な専門教育は構築されるべきであるというふうに思いますが、いかがでしょうか。  さらに、医療関係者教育において、看護婦養成のみが幾つものカテゴリーに分かれていることは大変理解に苦しむところでございます。二十一世紀初頭の早い段階にこのでこぼこした不ぞろいのスタイルを調整していただきたいと思いますが、いかがでございましょうか。
  33. 寺脇研

    説明員寺脇研君) 御指摘高等学校衛生看護科につきましては、従来から長い歴史的な沿革、経緯等もございます。また、中学卒業後の十五歳の時点看護の道を志す子供たちも随分おるわけでございまして、そういったニーズにこたえていくというよう必要性もございます。  しかしながら、准看護婦という制度のありようというものが先ほど来御指摘ような状態になってきておりますので、今までのよう衛生看護科あり方見直していかなければいけないということでございます。  しかしながら、現に衛生看護科が多数設置をされ機能をしておりますというよう現状を考えますときに、これからのありようといたしまして、その後の教育と合わせ持っていく形で、専攻科の二年の課程と合わせれば五年、短期大学やその専門学校と合わせれば三プラス三の六年、大学と合わせますれば三プラス四の七年というような形で、五年から七年をかけて正看護婦のきちんとした課程を修得していくというよう方向へ進めていくということでございます。  御指摘ように、看護婦養成につきましてそういった形が出てまいりますといろいろなルートが開かれてまいるということになるわけでございますが、現状衛生看護科あり方等を踏まえまして、専攻科との併用ということのみならず、大学への進学を十分考えてもらって、一般の高等学校から大学四年に来るのと比べますと、高校時代にもある程度の教育を受けてまいる、そのことによってさらに密度の高い大学教育に結びつくという場合もございます。さまざまな道を踏まえまして、質の高い看護人の育成ということに努めてまいりたいと存じます。  また、そのルートにつきましては、現状はそういった過去の経緯もございます。将来にわたってはこれについてすっきりした形にしていくということも考えられるとは存じますが、ただ他の医療職種の場合、逆に今度は単一過ぎるのではないかという御指摘もございまして、さまざまな経路から医療人になっていくということがこれからの幅広い医療人養成には必要なのではないかというような御指摘等もございますので、あわせ考えまして、よりよい道をまた御指導、御指摘等いただきながら積極的に考えさせていただきたいと存じます。
  34. 南野知惠子

    南野知惠子君 ありがとうございます。  医師、歯科医師、薬剤師、そういう三師会の方々についてはもう大学一本化でぽんといっているわけです。今おっしゃるような、そういった五月雨教育というのはないわけでございますが、そういう医療界の者にとりまして、我々看護界にとりましても、やはりそういうものは私の希望、また周りの人たちの希望でもあるんですが、基礎教育はもう文部省でやっていただきたい、そして厚生省でライセンスを取っていただき、卒後教育、生涯教育はもう厚生省ですかっとしていただきたいという願いもございますが、いかがでございますか。
  35. 寺脇研

    説明員寺脇研君) 委員指摘のとおり、あらゆる医療人職種につきまして、資格を取得するまでの学習につきましては文部省責任を持って進めるということが本筋であろうかと存じます。  しかしながら、従来からございます養成所等の問題もございます。これまた制度的沿革という問題もございますので、今後厚生省と十分に御相談をさせていただきまして、卒前、いわゆる資格を取得するまでの教育につきまして、わかりやすい、かつ内容の充実したシステムを整備していくことに力を挙げてまいりたいと存じます。  また、卒業後の教育につきましては、これまた委員指摘のとおり、厚生省の主導で行われるべきものでございますが、私どももさまざまな施設等をその卒後教育に活用していただけますように、これまた緊密な連携のもとに協力をさせていただきたいと存じます。
  36. 南野知惠子

    南野知惠子君 ありがとうございます。  厚生大臣、通告は申し上げておりませんが、いかがでございましょうか。この件につきまして御所見をいただきたいと思っております。基礎教育文部省で、そして卒後教育、生涯教育は厚生省で、ライセンスは厚生省でというような意向がございます。
  37. 小泉純一郎

    国務大臣小泉純一郎君) 前々から御意見を伺っていますが、これからのあるべき教育方法、研修方法として一つの考え方だと思いますので、よく検討させていただきたいと思います。
  38. 南野知惠子

    南野知惠子君 突然で申しわけございませんでした。  さらに文部省にお尋ね申し上げたいんですが、看護の専修学校卒業生は、これはまともといいますか、高校卒業後さらに三年間の専門教育を受けているところでございます。専修学校におきますカリキュラムなどのあり方についてはもう既に御存じかと思いますけれども、長年待ち続けております大学編入ということについての進捗状況、また、今現在どのところまで進んでいるのかと何回も御質問させていただいておりますので、そのことについてお答えいただきたいと思っております。
  39. 寺脇研

    説明員寺脇研君) 御指摘ように、専門学校からの大学編入学につきましては、看護関係者の皆様、また専門学校関係者の皆様から強い要望があることは承知をいたしておるわけでございます。また、文部省といたしましても、生涯学習体系に移行していくという考え方の中で学校制度間の移行の弾力化というようなことも考えてまいらなければならないということは承知をいたしておるわけでございます。  そういった事柄につきまして、今後、生涯学習の活性化、また高等教育の活性化という観点から検討をしなければならない課題であるということは認識をいたしておるわけでございまして、大学審議会におきまして御議論をちょうだいしておるところでございます。  この問題につきましてはいろいろな課題がございまして、まず第一には、基本理念の異なる学校間の、つまり専門学校の基本理念と大学の基本理念はおのずから学校の設置の趣旨が別になっておるわけでございますので、そういった学校間の修業年限を通算して編入学後の学校の修了を認めることに学校制度上の問題がないかどうかということ、それから第二には編入学を認める際の基準をどう設定するかという問題、それから第三には編入学後の修業年限をどのように考えるのかという、大きく申せばこの三つの大きな課題がございますので、これらにつきまして十分関係者間の意見を調整する、また議論を尽くすということが必要であろうと存じますので、その議論をきわめる方向大学審議会等でも御議論をしていただいているというのが現在の状況でございます。
  40. 南野知惠子

    南野知惠子君 みんなが待っておりますので、その件の御審議、どうぞよろしくお願いしたいと思います。秋には審議が終わるやにも聞いておりますので、また御質問させていただく機会があるかなと思っております。  次は、ちょっと話題が変わるのですけれども、厚生省と文部省の方にお尋ね申し上げたいと思っております。  感染症などについて十分な知識がないまま、テレクラ、援助交際、そういう遊び型の非行、性非行、売春とも言われることが増加している今日でございます。  こうした中で、十代後半の非妊婦、これは妊娠していない女性でございますが、その方々の間では二四・五%、または十代で未婚の妊娠例では二五%、これは四人に一人。これほど高い率で罹患している疾患はほかに見当たらないと言われているぐらいでございます。しかも、この人たちは将来母親となる可能性を持つ普通の子供たちであるということが大きな特徴でありますが、こういう実態を知るとき、両省におきましてはどのように取り組んでいかれようとしておられるのか、教えていただきたいと思います。
  41. 小林秀資

    政府委員(小林秀資君) 今、先生がおっしゃられた性の乱れから来るというのは多分性感染症のことだろうと存じますので、性感染症のまず実態からちょっと御説明してお答えをさせていただきたいと思います。  まず、厚生省では性感染症については約六百の医療機関からの定点観測で報告をいただいております。それで、性病関係の主要五疾患について御報告いただいていまして、スタートした一九八七年には実は淋病が一番多かったのでありますけれども、今では陰部クラミジア症が一番多いという状況変化しておりまして、これは変化したのは淋病がすごく減ったということがあります。一方、クラミジアの方は、急増という状況ではないけれども、増加傾向にあるということでございます。  また、委員の先生方皆さん御存じだと思いますが、エイズも性感染症であるわけでありますけれども、このエイズも平成二年以降から異性間の交渉、または同性間の性交渉等でこれもふえているということも御案内のとおりでございます。  そういう意味では、私ども、このクラミジアという病気自体は、後になって不妊症になるとかということは間々あるわけでありますけれども、命に関係するというほどのひどい性感染症ではないのですけれども、実はエイズとともに性の乱れということが大変起因しているのではないかと。そうすると、このクラミジアの増加ということが将来においてはこの病気の増加と同時にエイズの急増にもつながってくるのではないかということで将来のことを大変心配いたしておる現状でございます。  これへの対策といたしましては、一番大切なのは予防のために正しい知識の啓発、普及ということが重要であるというふうに考えておりまして、今後とも正しい知識の啓発、普及に関係省庁と連携をとりながら進めていかなくちゃならないと、こう思っておるところでございます。  なお、もう一方で、厚生省の方では感染症全般の対策の見直しをやっておりますし、そして関連法の法律の改正も来年には国会に提出をして御審議をお願いしょうと考えておりますが、その検討の中で性病予防法のあり方並びに性感染症対策のあり方についてもあわせて検討していることをお話し申し上げさせていただきます。どうもありがとうございました。
  42. 南野知惠子

    南野知惠子君 研究を続けていっていただきたいと思いますが、今おっしゃったクラミジアは不妊症につながるということでございます。今、我が国は少子化を迎えておるわけでございますので、その少子化がますますひどくならないかということも一方で懸念されることでございます。よろしく御研さんいただきたいというふうに思っております。  また、こうした問題を未然に防ぐために、学校における生活指導あり方を見直さなければならないというふうに思っておりますが、養護教諭の複数化は三十クラス以下の学校においても必要だというふうに思っております。また、複数配置の養教の一人は看護教育の背景を持つ人が適任というふうに思っております。  養護教諭や助産婦の活用などで学校における性教育を充実させるべきではないかと思いますが、文部省の方はいかがでございますか、お伺いいたします。
  43. 北見耕一

    説明員(北見耕一君) 養護教諭の複数配置につきましては、小中学校につきましては、平成年度から六年計画で進めております第六次の公立義務教育諸学校教職員配置改善計画におきまして、大規模校におきましては一名の養護教諭の配置では児童生徒の健康指導等に十分な対応ができにくいという実情にかんがみまして、三十学級以上の学校に養護教諭の複数配置を行うこととしたところでございます。また、高等学校につきましても、三十学級以上の学校に複数配置を行うこととしているところでございます。文部省といたしましては、現在の財政状況が極めて厳しい中ではございますが、まずこの改善計画を着実に推進していきたいということを考えているところでございます。  また、複数配置の中での養護教諭の資質というか資格の問題でございますが、これは養護教諭の基礎資格として大学あるいは助産婦等の三つのコースがございます。そういった方々あるいはそういった資格を持つ方々を採用、あるいは設置者におきまして、都道府県におきまして適宜採用あるいは配置していただくということで対応していただけるようにお願いしてまいりたいというふう  に考えているところでございます。
  44. 南野知惠子

    南野知惠子君 ありがとうございます。  文部省、それと厚生省、ともに御研さんいただくこの感染症という問題につきまして、エイズでは予防的なテキスト、そういったものが出回っておりますけれども、性感染症についての予防またはそういったテキスト、もっと身近に理解できるものというものが子供たちの回りにございません。子供たちに倫理的な感覚も植えつけるためにも、そこら辺一致協力して、今年度予算が通っておりますので、その中できれいなものをつくっていただきたい、必要なものをつくっていただきたいというふうにも思っております。  次は、平成六年五月に我が国も批准いたしました児童の権利に関する条約については、今回の制度改正においても相当に意識してその考えを反映すべく検討が行われているものと思いますが、今回の改正においては具体的などのような点に反映しているのか、お尋ねいたします。
  45. 横田吉男

    政府委員横田吉男君) 今回の改正に当たりましては、児童の権利条約の趣旨をどういうふうに具体化するかということでいろいろ検討いたしまして、幾つかの点につきまして私どもとして反映をさせているところでございます。  一つは、施設への入所措置を決定するに当たりまして、法律、医学等の専門家が参加する都道府県児童福祉審議会の意見を聞かなければならないというふうにしているところでございます。  二つ目は、施設入所の際に児童の意向等を聴取するということにしていることでございます。  三番目は、児童の最善の利益を確保するという見地に立ちまして、保育所に関するさまざまな情報を提供して、それに基づき保護者希望する保育所を選択できるよう仕組みにしていることでございます。  四番目は、父母が働いている児童などを対象といたしまして、放課後児童健全育成事業を法制化し、その普及を図ることとしていることでございます。  今後とも、この条約の趣旨を十分尊重いたしまして、制度の適切な運営を図ってまいりたいというふうに考えております。
  46. 南野知惠子

    南野知惠子君 児童の権利につきましては大人が守ってあげなければいけないことでございますので、ぜひその点よろしくお願いしたいと思っております。  最後に、大臣にお伺いしたいのでございますが、二十一世紀を担う子供たちが健やかに育っためには、地域社会で子供を温かく包み、子育てが終わった高齢者もその経験を生かして孫の世代の子育てにも参加するなど、地域社会全体で子供を支援していくことが必要であろうかと考えますが、今回の法改正を踏まえました今後の大臣の取り組みにつきまして、御決意のほどをお伺いしたいと思っております。
  47. 小泉純一郎

    国務大臣小泉純一郎君) 地域全体で子育て支援体制を整備していくということは御指摘のとおりであります。  また、保育所機能もいろいろ多角的になってまいりますし、サービス競争によって水準が上がっていくということも期待しておりますが、それだからといって親御さんが保育所に預けておけばいいんだ、自分のできないことを地域に任せればいいんだと思われちゃ困るわけでありまして、人間の健康も、お医者さんがいい、薬がいい、そればかりに頼っていたらとんでもないことになる。最終的には自分自身が気をつけなきやならないということで、いかに環境が整備されても、お子さんにとって一番大事なのは身近の親御さんであり家族の方だと思います。  その点を踏まえて、親の責任というものを考えながら、そして社会全体で親御さんだけじゃできないものをどうやって支えていくかということが大事ではないかと思っております。
  48. 南野知惠子

    南野知惠子君 大臣の力強い決意を大変うれしく思っております。  人々の健康というのはやはり人自身でありますけれども、それを取り巻く家族からスタートしなければいけないというふうに思っております。親の愛があるから子供はすくすく育つのでございまして、親が家庭内離婚のような形であればこれはもう大変な子供にとっての問題であるだろうと思っております。子供の心身の健康を我々大人が育てていくためにもいろいろ取り組んでいきたい、その初歩がやはり保育所の中の理念にも通じるものであろうかと思っております。どうぞよろしくお願いします。  ありがとうございました。  以上で質問を終わります。
  49. 長峯基

    ○長峯基君 自民党の長峯でございます。  南野先生がいろいろ御質問なさいましたので、できるだけ重複を避けて御質問したいと思います。  まず、大臣にお伺いしたいと思いますけれども少子化問題です。  出生率が一・四二、非常に下がってきておるわけでございますが、先進五カ国の合計特殊出生率を見てみますと、日本が一・四二、アメリカが二・〇五、イギリスが一・七六、フランスが一・六五、ドイツが一・三四というふうになっておりまして、先進国は非常に出生率が下がっている。特にドイツの場合は日本よりも出生率が低いわけであります。女性の労働力率、これが日本では五〇・三%、ドイツでは四六二二%。年間休日数が日本では百二十四日、ドイツでは百四十五日。それから、いろいろデータがあるわけでございますけれども、家族生活に満足している者の割合、これが日本では四五・一%、ドイツでは五二・九%。男子の家事・社会活動時間の割合、日本では五%、ドイツでは三九%。こういうデータがございます。  ですから、日本だけが特殊な状況ではないんだと。日本よりももっと条件が悪いと言うと語弊がありますけれども、そういうところでも出生率は下がっていると。もちろん、国としてはこれを上げるためにどうするかという議論もあると思うのでありますけれども、結婚や出産というのは個人の問題でございますから、国がどうこうするというわけにはいかない。晩婚化とか未婚化、そういうものがあるわけでございまして、有効な政策というのはないのではないかな、こういう感じもするわけでございますが、大臣の御見解を最初にお聞きしておきたいと思います。
  50. 小泉純一郎

    国務大臣小泉純一郎君) 御指摘ように、これといって少子化を解消する決め手はないと思います。また、政府や国が産めよふやせよという時代でもないと思いますし、個人の価値観、生き方、それぞれ深くかかわっておりますので、この問題は幅広くいろんな方の意見を聞いて、少子化時代にどう対応するか、またお子さんを持っている方に対して育てやすい環境をどうやって支援していくか、息の長い問題だと思います。  単に生活水準を上げれば、あるいは生活環境子育て環境を整えていけば果たして少子化傾向がなくなるのかというと、これもはっきりした答えは出ない。いろいろな考え方がありますし、かつては女性にとっては家事育児というのが仕事だった、また女性も疑わない点が多かったと思うんです。今や男と一緒に家事育児を分担しよう、また女性も家庭に閉じこもらないでむしろ社会に参加して仕事を持った方がいいんだという考え方になってきておりますので、この問題についてはこれといって決め手はないと思いますが、我々のできることとしてはお子さんを持てるよう環境をどうやって整備していくか、またお子さんを持った方に対して自分たちの苦労だけに負わせないで社会でどういう支援体制ができるか、そういう点について鋭意取り組んでいくことが大事ではないかなと思います。
  51. 長峯基

    ○長峯基君 それでは、保育所の問題について、今回の改正の中で一番大きな問題というのは選択権だと思うのであります。つまり、今までは保育所市町村措置によって入所する仕組みでございましたけれども、今回のこの法律改正によって親が、あるいは子供保育所を選ぶ権利があるといいますが、これは幼稚園では当然ずっとそういう選択権があるわけでございます。  そこで、競争原理を導入したということでございますが、私は基本的にこれは賛成でありますけれども、そのことによって少子社会の中で経営が悪くなる、あるいは閉鎖に追い込まれる、そういう保育所が出てくる可能性があるのではないかと思うのでありますが、どのようにお考えになっているか、局長にお願いします。
  52. 横田吉男

    政府委員横田吉男君) 今回の改正によりまして従来の措置方式から選択型の方式改正されるということに伴いまして、御指摘ように、各保育所それぞれが創意工夫促進されるという面が出てこようかと思っております。これによりまして、利用者ニーズを柔軟に受けとめて対応している保育所につきましては、私どもといたしましても定員弾力化等、そういった努力を支援する措置検討してまいりたいと考えております。  また、一方におきまして、選択の結果としてあきが目立ってくるよう保育所も出てくるかと考えておりますけれども、こうした保育所につきましては、それぞれの保育所においてまずはいろいろ御工夫いただくことが必要かと存じますけれども、私どもといたしましては放課後児童健全育成事業実施、あるいは老人保健施設との合築というような今ある施設の有効活用を図っていくということが必要ではないかと考えております。老人福祉施設との合築につきましては、そういったものが上がってまいりますれば国庫補助につきましても優先的に採択するなどいたしまして、国としても積極的に支援をしていきたいと考えております。  いずれにいたしましても、これまでの措置制度のもとでの待ちの姿勢を改めていただきまして、各地域の住民のニーズを的確に見極めてこれへの積極的な対応を図っていただきたいというふうに考えているところでございます。
  53. 長峯基

    ○長峯基君 それでは市町村対応についてちょっと伺いたいと思うのでありますけれども、今までと全然変わらないのか、父兄が保育所を選択する権利が、子供が選択する権利ができたということによって市町村責任というものが軽減されるのか、そこら辺のところについて御説明をお願いしたい。
  54. 横田吉男

    政府委員横田吉男君) 今回の改正によりまして入所方式措置型から利用型に改めるということに伴いまして市町村の役割がどう変わるかということでございますが、申し込み自体も市町村に従来どおり行うことになっておりますし、費用負担の面でも市町村保育に必要な費用を支弁する、これについて国庫の方も負担するというような形でございますので、この点については従来どおりということでございます。
  55. 長峯基

    ○長峯基君 それでは、ちょっと具体的なことについて伺いたいと思うのでありますけれども、この児童福祉法第二十四条に「保育に欠ける」児童という文章がございますが、どういう場合に保育に欠けると言うのか。つまり、この問題は逆に言うと保育所というのは保育に欠ける児童しか入れないということですね。そういう意味で、この「保育に欠ける」児童ということについて御説明をいただきたい。  また、続きまして第二十四条の第三項に、市町村保育所への入所希望する者に対して「公正な方法で選考する」、こういう規定が入ったわけでございますけれども、この「公正な方法で選考」、具体的にどのようなことをやるのか。  それから、もう一点でございますが、第四十八条の二、「保育所情報提供等」、保育所は「保育所が主として利用される地域の住民に対してその行う保育に関し情報の提供」を行わなければならないという義務規定と申しますか、そういう条文が入ったわけでございますが、この「情報の提供」はどのよう情報を具体的にどういう形で提供しなければならないのか、この三点についてお伺いしたいと思います。
  56. 横田吉男

    政府委員横田吉男君) 保育に欠ける児童ということにつきましては、児童保護者が昼間労働することを常態としている、あるいは疾病にかかり、あるいは身体に障害を有していること等によりまして当該児童保育することができないと認められる場合を指しております。こういった意味で、現行保育に欠ける児童ということで保育所入所できる児童と全く同様の意味であります。  それから、公正な方法で選考ということでございますけれども、原則は保護者希望する保育所入所するということで、あきがある場合にはそこに市町村としても入所させなくてはいけないということでございますが、保育所の受け入れ能力を超えるような場合、これは市町村で公正な方法によって選考をするということにしております。この場合におきましても、母子家庭等優先度の高い者については入所できるよう配慮が必要かと思いますが、この公正な方法自体につきましても一定のルールに従って公正にやる必要があると考えておりますけれども、その具体的な方法につきましては各市町村がそれぞれの地域の実情に従って定めまして住民の理解を得ていくということになるのではないかというふうに考えております。私どもといたしましては、現在いろんな方法がとられているところもございますが、そういった事例も参考にしながらガイドライン等をお示しすることによりまして地方公共団体の入所仕組みの決定を支援してまいりたいというふうに考えております。  また、情報の提供でございますけれども、これは保育所等を選択していただく場合の基礎的な資料として重要になってくるわけでありますが、その中身につきましては今後検討していくこととしておりますけれども、現在考えておりますのは、その保育所における保育の方針、あるいは乳児、障害児などの受け入れ状況、給食についての対応、一日の過ごし方がどういうものであるか、主な行事、園外保育実施状況とか、そういったことになろうかと考えております。また、明らかにする方法につきましても、保護者ができるだけ見やすいということでいろいろな媒体等についても考えてまいりたいというふうに考えております。
  57. 長峯基

    ○長峯基君 少しわからないところがございますけれども、まあいいでしょう。  次に、入所対象を拡大すべきではないかという意見があると。つまり、子供は本来親が責任を持って育てるべきでありますから、今、保育に欠ける児童だけを保育所入所させる、こういうことになるわけでございます。また後ほど幼保一元化の議論もしたいと思いますけれども、幼稚園は自由に入れる、保育所保育に欠ける児童だけである。競争が激しくなりまして定員割れがどんどん起こってくると保育に欠ける児童という概念が非常にあいまいになってぐる可能性がある。現実の保育園ではあるんですよね、お母さんが勤めているという名目で毎日パチンコ屋に行っていると。あるんですよ、現実に。そういう現実もございます。  ですから、そこら辺を、本当に保育に欠ける児童という概念でずっと保育園はやっていけるのかどうかというところに疑問を持っているわけでございます。しかも、選択権を認めたということになると、もっと自由にというか、競争の中にこれを入れていくわけでございますから、少しそこら辺の概念が理解できないのでありますが、どのようにお考えになっておるか。
  58. 横田吉男

    政府委員横田吉男君) 保育所への入所対象児童につきましては、従来と同じよう保育に欠けるというのを要件といたしているところであります。  この保育に欠けるか否かにつきましては、市町村に申し込みがあったときにその事実を市町村において確認するという方法を考えているところであります。  これを今回も維持することにいたしておりますのは、一つ保護者家庭保育できる児童について市町村保育サービス提供義務を課すというのは適当かどうか、また公費負担を相当行うことにつきまして国民を初め関係者の理解を得ることができるかどうか、こういった点があるわけであります。それからもう一つは、幼稚園制度との関係におきまして、それを外すことについては十分な検討が必要ではないかというふうに考えたところでございます。  したがいまして、現段階におきましてはこの保育に欠けるというのは私どもといたしましては必要ではないかというふうに考えております。
  59. 長峯基

    ○長峯基君 今の答弁でわかりました。わかったというよりも、ちょっと問題があるんですよね。いや、いいんですよ、局長の御発言は。  というのは、国からこれだけの補助をして、後ほどまた議論しまずけれども保育に欠ける児童を入れないと国民の了解が得られるかどうかという御発言が今ちょっとありましたね。ですから、保育所というのは相当の金を突っ込んでおるわけでありまして、後ほど私はちょっと多過ぎるんじゃないかという議論もしたいと思うんですが、いわゆる受益者負担の原則というものからいくと、こういう財政が厳しくなっていく時期に、やっぱり保育に欠ける児童という定義がないと入所できないという歯どめがあるんだろうと思うんですね。  それはそれとしまして、後ほどまた議論しますが、保育料の均一化、これは南野先生からもお話がございました。十段階を七段階にする、そして所得に応じてというのを年齢別にするというか、そういう話でございましたが、そこら辺をもう少しお聞かせいただきたいと思います。先ほどの御発言の中では、今は所得に応じて十段階になっているわけでございますが、今後はその所得に応じてを外していわゆる年齢別にやるんですか、それともやっぱり所得に応じてというのは加味していかれるのか、そこら辺の基本的なスタンスをちょっとお聞きしたいと思います。
  60. 横田吉男

    政府委員横田吉男君) 今回の改正におきましては、先ほども御説明申し上げましたように、入所方式行政処分による措置から申し込みにより利用者が選択する方式に変えることにしておりまして、これと対応いたしまして保育料負担につきましても、それぞれ年齢別に異なりますけれども保育サービスコスト基礎といたしまして、徴収した場合における家計への影響も考慮して保育料額を決定するという形にいたしております。  私ども、今後の方向といたしましては、年齢等に応じました保育コストを勘案して、できる限り公平、差のない保育料を目指してまいりたいというふうに考えておりますけれども、現段階で十段階に分かれておりますので急激な負担増となるのではないかという御心配もございますので、私どもといたしましてはこの保育料の基準額表につきましては当面簡素化する方向対応してまいりたいというふうに考えておるところでございます。
  61. 長峯基

    ○長峯基君 少し理解できませんけれども、まあいいでしょう、それは今後具体的になっていくでしょうから。  できるだけ所得に応じてやる、少し今後もその方式は残るようでございますが、保育料をやっぱり均一化していくというふうに私は考えるべきじゃないかと思います。しかし、この議論はいいでしょう。  それから、保育ニーズ多様化でございますが、延長保育だとか、障害児保育だとか、夜間保育、病児一時保育、休日保育、あるいは最近では宿泊保育みたいな、親が旅行するから子供をちょっと預かってくれとかそういうものまで、これは多種多様の保育ニーズというのは出てくると思うのでありますけれども、私は、保育所あり方の中で、そのすべてのことについて措置費が組まれてそれに対応していくという、そのようあり方についてもっとやっぱり受益者負担の原則というものを取り入れるべきではないかと。せっかく選択権というものを認めて親の希望によって入る、そして保育所も競争の原理を取り入れるというのでありますから、保育ニーズについてももっとやっぱり受益者負担というものを出すべきではないかというふうに考えるのでありますけれども、どのようにお考えになっているのか、お伺いしたいと思います。
  62. 横田吉男

    政府委員横田吉男君) 先ほど御質問の中で、所得に応じた保育料額は残るのかという御質問でございますが、保育コストをもとに家計への影響も考慮して決めるという形になりますので、将来できるだけ差のないよう保育料を目指したいと考えておりますけれども、当面、家計への影響を考慮するという形で複数段階のものにならざるを得ないということに考えております。  それから、ただいまの延長保育等についての、多様化についての対応でございますけれども、かつてと違いまして共働き家庭一般化している、その就労形態も非常に多様化しているという中で、低年齢児の保育あるいは延長保育というものに対する需要がかなり増加してきております。  私ども、これにつきましては従来からエンゼルプランなり、その一環として決めました緊急保育対策等五カ年事業におきまして特別保育事業としてその実施推進しているところでございますが、今回の制度改正におきましても、こうした保育需要多様化対応できるように、一つはそういう選択制というものを考えたところでございます。こういった選択制を通じまして、各保育所においてそれぞれ利用者保育ニーズに即したサービスが柔軟に提供できるよう仕組みにしたい、そのことによって保育所自身の創意工夫努力を促すということであります。  この負担についてどうするかという点につきましては、さまざまな御意見もございますので、私ども今後検討してまいりたいというふうに考えております。
  63. 長峯基

    ○長峯基君 それでは次に、高齢者福祉との連携について御質問をしたいと思います。  保育所を活用して地域の高齢者に対して例えば配食のサービスをするとか、いろいろ福祉との連携、高齢者福祉との連携が行われているところがございます。私も実際にそういうところを、デイサービスの併設とか実際に見学をさせていただいたりして、なかなかうまいことやっているなというか、いいことやっているなという気がいたしております。例えば、保育所の給食施設でおじいちゃん、おばあちゃんの昼御飯を週に一回か二回つくって、その地域のひとり暮らしの御老人の方に子供たちが届けるとか、そういった保育行政の中に高齢者福祉に対する連携を持ちながらやっておられるというようなところもございます。  それから、最近聞いた話では、まだこれは実際にやっておられるかどうかわかりませんが、お年寄りがおられて、夫婦共稼ぎでございますから子供保育所に預けて働きに行く、そのときにおじいちゃんも一緒に車に乗せてその保育所の近くの、また同じところでもし開設をされているとしたらお年寄りもそこに一緒に預かっていただいて、夕方帰りに迎えに行く、こういう制度も、あるのかどうかわかりませんが、ある園長先生がいいんじゃないかと。つまり、保育所定員が減ってまいりましたときに、普通は特別養護老人ホームですとかいろいろな老人施設をつくると一人当たり一千万とか二千万とか非常に高額がかかる。しかし、今の保育所を改造して十人とか十五人単位ぐらいでお年寄りを預かるよう施設にすれば、園児が減ってもそれだけ一緒にやっていけるんじゃないか、こういうお話も聞きました。実際に全国的に行われているのかどうかわかりません。  そういう意味では、積極的にやっぱりこういう事業展開していく必要があるのではないか、そのことがまた子供教育というか、お年寄りと接することによって子供たちの将来にも非常に私はプラスになるんじゃないかというふうに思ったのでありますけれども、もし実態がおわかりになればお話をいただきたいと思います。
  64. 横田吉男

    政府委員横田吉男君) 御指摘のございましたように、保育所と高齢者福祉の連携を図るということは私どもも大変重要であると思っております。  一つ指摘のありました保育所と老人福祉施設の複合化につきましては、これは私どもとしても今後さまざまな保育所が出てくる中でぜひ推進してまいりたいというふうに考えているところでございます。国庫補助の採択等についても、そういった合築等を計画しているところにつきましては優先採択を図ってまいりたいというふうに考えております。  現在、こうした保育所におきましてさまざまな施設との合築等が図られつつありますけれども、例えば老人福祉施設と合築されておりますのは二百八十三カ所ございます。老人保健施設と合築しているところが十一カ所というような形でございまして、今後ともこうした連携を進めてまいりたいというふうに考えております。  また、児童と老人との世代間の交流という点につきましても、私ども大変意義のあることと考えておりまして、こういった点についてもその推進を図ってまいりたいというふうに考えております。
  65. 長峯基

    ○長峯基君 文部省からもおいでいただいておると思いますが、幼稚園とこういう老人施設の連携についてちょっとお話をいただきたいと思います。
  66. 土居正

    説明員(土居正君) 幼児期は生涯にわたる人間形成の基礎が培われる時期でございまして、この時期に高齢者への感謝や尊敬の気持ち、思いやりの心など豊かな人間性をはぐくむことは、高齢社会を迎えるに当たりまして非常に大切なことであると考えております。  このために、幼児期におきまして生活の中で直接的、具体的な体験をしていくということで高齢者施設との連携を図り、幼児が実際に高齢者と交流できる機会を幼稚園教育においても積極的に取り入れていくことが重要であると考えております。  幼稚園におきましては、現在地域に開かれた幼稚園づくりというようなことを推進しておりますが、この中で高齢者との交流や老人ホームの訪問なども積極的に行っているところでございます。  また、先ごろ策定されました教育改革プログラムにおきましては、高齢社会に対応する教育の充実に関しまして、幼稚園、小学校段階での高齢者との触れ合いプログラムの導入など、学校と高齢者施設の連携を図っていくということを中央教育審議会で検討いたしまして、平成九年、本年の六月をめどに結論を得るというふうにされております。幼稚園教育につきましても、中央教育審議会の検討結果を踏まえまして、適切に対応していきたいというふうに考えております。
  67. 長峯基

    ○長峯基君 それから次に、いわゆる無認可保育園について実態、どのくらいの施設があるのかということと、これは社会の需要があるから無認可保育園はあるわけでございますので、厚生省としてはどのよう指導基準を持っているのか、この二点について教えていただきたいと思います。
  68. 横田吉男

    政府委員横田吉男君) 認可外保育施設につきましては、平成八年一月の時点におきまして施設数が約九千三百十カ所、利用児童数は約二十二万人となっております。  認可外保育施設につきましては、従来から指導基準をつくりまして、これに基づいて安全衛生面等の指導を行ってきているところでございます。  この指導基準につきましては、本来の認可保育所に対する基準、これは最低基準ということで遵守が義務づけられておりますけれども、若干これよりも緩やかな基準ということになっております。  人数等につきましては、大体認可保育所に準じて置くというよう指導になっておりますけれども、必ずしも全部資格者でなくてもいいとか、そういった点において緩やかな規定になっているところでございます。
  69. 長峯基

    ○長峯基君 文部省、預かり保育についてちょっと御説明いただきたいと思います。
  70. 土居正

    説明員(土居正君) 預かり保育でございますが、近年の都市化の進展あるいは女性の社会進出の拡大などを背景といたしまして、幼稚園教育に対するニーズも非常に多様化してきております。預かり保育はこのようニーズ対応いたしまして、四時間を標準として定められた通常の教育時間の終了後に引き続き保護者希望におこたえいたしまして幼稚園において教育活動を行うということで行っているわけでございます。  平成年度の全国の幼稚園を対象とした文部省の調査によりますと、大体午後四時を超えて五時ごろまで実施する幼稚園が預かり保育をやっておる全体の幼稚園の中で五一・七%、五時を超えて実施しているところも二四・三%というふうになっております。全体の中でそのときに預かり保育実施していた幼稚園は、公立が少のうございますが五%、私立が大体二九・五%、全体では二〇%弱、約二割くらいの幼稚園が預かり保育実施していたわけでございますけれども、最近、いろいろな情報によりますと、実施の傾向というのは増加しているというふうに考えておるところでございます。
  71. 長峯基

    ○長峯基君 聞きなれない言葉でございますけれども、要するに延長保育ですね、五時とか六時まで園児を預かると。つまり、私が言いたいことは保育所と幼稚園は同じなんですね、現実には。  それで、ちょっとデータを文部省からお示しいただきたいと思います。全国の幼稚園の施設数、公立とか私立とかに分けなくていいです、施設数がどのくらいあるのか。幼稚園に行っている児童数がどのくらいあるのか。それから、平均保育料がどのくらいか。もう一点、私学助成とか就園奨励費等を含めた国庫補助の総額、平成年度の予算の丸い数字で結構ですが、この四つについてちょっとお願いします。
  72. 土居正

    説明員(土居正君) 幼稚園の施設数でございますが、平成年度は全国で一万四千七百九十園となっております。  また、在園する幼児の数でございますが、三歳から五歳までで百七十九万八千五十一人というふうになっております。  平均の月額の保育料でございますが、平成年度の調査で、公立が五千五百六十九円、私立は一万七千百五十六円というふうになっております。  また、予算につきましてでございますが、国費につきましては就園奨励の助成あるいは私立幼稚園の経常費の助成費補助等を含めまして約三百四十五億円余りというふうになっております。
  73. 長峯基

    ○長峯基君 大臣、ちょっといろいろお考えいただきたいと思うのでありますが、保育園の方は聞きません、私の方から申し上げます。施設数で幼稚園が大体一万五千、それから保育園がおよそ二万二千五百。それから、児童数が幼稚園は百八十万人、保育園は百六十万人。保育園の方が少ないわけですね。それから、保育料は幼稚園では平均一万七千円、保育園では三万二千円。幼稚園より約一万五千円高いということになります。この国庫補助が幼稚園の場合はおよそ三百億でありますが、保育園の場合は三千億です。十倍、保育園に国庫補助がある。  ですから、いろいろあと細かいことはあると思うのでありますが、この数字を見ると幼稚園と保育園というものがいかに、もちろん内容については預かり保育も出てきたわけで、希望すれば五時、六時まで預かっていただける、そうなると保育園と全く一緒になる。ただ、保育に欠ける児童、この保育に欠ける児童という一つの縛りがあるために保育園と幼稚園というものが一もう内容はほとんど一緒なんですよ、今。文部省教育要領によってこれは行われているわけでございますから、ほとんど一緒なんですね。  大臣はどのように今お考えになるか、ちょっとお伺いしたいと思います。
  74. 小泉純一郎

    国務大臣小泉純一郎君) 実態としてだんだん幼稚園と保育園の垣根が低くなってきているということも今のお話でわかると思います。確かに公費の点では保育園の方がはるかに公費を投じている。幼稚園と保育園の一元化の問題も出ております。お子さんを預かるという点では随分似ている面もあります。かといって、保育に欠けるということを主眼としている保育園と幼稚園との違いもあるのも事実であります。しかしながら、この幼稚園、保育園の交流というもの、弾力化というものを私はだんだん進めていく必要があるのじゃないかと。  その中でどういう仕組みがいいのか、本当に垣根を全部取り払っちゃったのがいいのかどうか、その点はまだ検討すべき課題が多いと思いますので、幼保一元化のいろんな議論を踏まえながら、今、文部省とも厚生省はいろいろ協議を始めております。その中で今後あるべき幼稚園と保育園との連携なり区別なりをどう考えていくかということを検討していきたいと思います。
  75. 長峯基

    ○長峯基君 大臣が文部大臣という立場だったらまた発言もちょっと違うかもわからないと思うんですが、つまり幼保一元化の問題は昭和六十二年から臨教審で出まして、平成八年の地方分権推進委員会の第一次勧告、それから最近では平成九年一月の教育改革プログラム、こういうもので出ているわけです。実態を見ますと、学校教育法に言う幼稚園、それから保育所保育指針というのがございますけれども、これもすべて幼稚園の教育指針に従ってやる、そういうふうに書かれております。つまり、今、大臣がおっしゃいましたように、時代の変化とともに大きな流れがある。  そして、実際は、お父さん、お母さんたちに言わせると、最後は幼稚園にやりたい。つまり、言葉は悪いんですけれども、差別感があるんですよ、保育園に出している人と幼稚園では。これは現実に親の方にもございますし、子供にもあるんですよ。ですから、本来ならばどういう分け方がいいかというのは別ですが、例えば一、二、三歳は保育園で、四歳、五歳は幼稚園にするとか、何かそういう一つの、もうぼつぼつ幼保一元化について真剣に考えるべき時期ではないか。  そして、幼稚園側からいうと、十倍も保育園の方は措置費をもらってやっているのじゃないか。大変幼稚園の経営は苦しい。確かに保育園の経営は豊かです。これは内部の人が言うんですから、対外的には言えませんけれども、私も内情を知っておりますが、非常に豊かです。今度は保育園はバスも使えるようになるんですね。競争社会になってバスが使えるようになるんですよ。もう許可が出ました。そうすると、幼稚園は、もちろんバスで奪い合いをやっているというところもございますが、非常に経営が苦しいところがございます。  ぜひこの問題については今後真剣に御検討いただいて、文部省ともよく話し合って進めていただきたいと思います。  以上で質問を終わります。
  76. 和田洋子

    ○和田洋子君 今回の児童福祉法改正案に伴いまして、地元のお母さんたちからたくさん疑問の点とか要望してもらいたい点とかいろいろ言われておりますので、私は、お二人の委員の御質問に大変ダブるところが多いんですけれども、そんな中でもなお確認の意味でダブらせて質問をさせていただきたいと思います。  まず、保育所制度についてお伺いをいたします。  現在の保育所制度においては、保護者の労働とか病気とかの理由によって、先ほどのお答えのように、市町村が乳幼児が保育に欠けるということでそれらの児童入所させて保育する措置をとらねばならないというふうになっておりますが、この措置に対して市町村や都道府県、国が費用の負担を負うことになっています。  このように、保育所入所についてはいわゆる措置制度という形で行われているのでございますけれども改正案ではこの仕組みを見直すというふうに言って、保護者希望する保育所を申し込んで、そして市町村情報の公開などによって保育サービスを提供するというふうになっています。今現在でもこれは保護者市町村希望をするというか、近所の保育所に入りたいということを言ってやっていたと思うんですけれども、それとどこが変わってくるのか。今回、保育所措置制度を見直すと言われても、その結果具体的にどこが変わってきているのかなというふうにお母さんたちは、今までもそういうふうに申し込んでいたと思うんだけれども、今回の改正によってどこが違うようになるのか、その趣旨とねらいはどこにあるのかということが大変疑問の点だと思いますので、再度お伺いをさせていただきます。
  77. 横田吉男

    政府委員横田吉男君) 現在の入所方式は、今お話の中にございましたように、保育に欠ける児童がいた場合に市町村がこれを措置という行政処分によって保育所入所させるという仕組みになっているわけであります。現実には、御指摘ありましたように、保護者等から希望をとっているということでございますけれども利用者として制度上これを選択できるという仕組みにはなっていないわけであります。  したがいまして、現実には地方公共団体等地方の状況によっては利用者希望する保育所定員に満たない場合であってもこれに入れない、市町村におきましていろんな経営状況等を勘案して入所を調整するというような場合もございます。あるいは入所している保育所から希望しない保育所に途中で移されたりするという事例もございます。あるいは市町村内を細かく、学区制ではないわけですが、区域に分けまして、その区域内の保育所でなければ入れないというようないろんな支障があるわけであります。これを今回、あくまでも利用する方の視点に立ちまして、保育所に関してどういうものなのか情報を提供いたしまして、それに基づいて子供なり親御さんが自分が入りたい保育所を自由に選択できる仕組みにするということでございます。  これによりましてどう変わるかということでありますけれども、今まで施設としては市町村の方が子供さんを連れてきてくれるというようなことであったかと思いますけれども、今度はやはり施設として自分の保育所が選ばれるように創意工夫を凝らす、魅力ある保育内容にするといった努力が促されるようになるというふうに考えております。これによりまして良質で効率的な保育サービスが提供されるようになるのではないかというふうに考えておるところでございます。
  78. 和田洋子

    ○和田洋子君 それでは、措置制度見直しによって普通のお母さんたちは国が保育について公的な責任を放棄してしまうのではないかというふうに思っておられるとか、あるいは今回の改正は公費負担減らしのための措置制度見直しであって、その結果として保護者負担がかかってしまうのではないかとか、保育所の人件費がカットされて粗悪な保育環境になるのではないかというふうな心配、懸念をしておられる方がたくさんおられるというふうに思います。  そこで、そのような懸念を解消するために、今回の改正によって保育について国の公的な責任が放棄されるものではないということと、公費負担が絶対に後退はしないということを大臣の方から明確にお答えをいただきたいんです。
  79. 小泉純一郎

    国務大臣小泉純一郎君) 国が今回の改正によって保育サービス責任を放棄するということは全くありません。むしろ、今までの保育サービスを水準させるためには民間の参入を促した方がいい、また親御さんが選べる余地を拡大した方がいいということで今回の改正もやっておるわけでありますので、公的責任についても今までどおり市町村保育所に対して支弁する運営費について国が一部を負担するという面で公的な責任を果たしていきたい。  また、保育に対して民間が参入していきますと、私は確実に水準は上がっていくと思うんです。競争が入ってきまずから、うかうかしていたらお子さんが来ないという、経営者にとってはいかにお子さんに来てもらうようなよりよい施設サービス工夫すると思います。それでないとまたやっていけない状況になるというので、経営者にとってはさらに努力を要する必要があると。  また、公費についても、私はこういう財政状況ですからこれから大幅にふやすとかいうことは非常に難しいと思います。我々の考え方でも、今まで予算は前年度に比べてどんどんふやせばいいという状況から今後はどうやって歳出を削減するかという今までにちょっとない意識改革を迫られておりますから、その中で工夫が必要だと。できるだけ公費の後退がないように厚生省としてもいろいろ知恵が必要ではないかなというふうに考えております。
  80. 和田洋子

    ○和田洋子君 今、大臣から改正によって保育について国の公的な責任が放棄はされないということと公費負担は後退されない、そして環境は絶対に悪くならないというお答えをいただいて、大変安心をしました。  それを踏まえて保育料についてちょっとお伺いをしたいんですが、今回の改正案についてもう一つの懸念としては、今の質問にもありましたように、保育についての公的負担の後退とともに均一化ということが、大変保育料見直しについての懸念があると思います。  そこで、保育料負担方式についてどのように見直すとしておられるのか、その趣旨内容を再度お尋ねをいたしたいと思います。その際に、全体として保護者負担が増加するようなことはないと考えていいのでしょうか。
  81. 横田吉男

    政府委員横田吉男君) 今回の制度改正におきましては、行政処分による措置型から選択型、いわば利用型に入所方式が変わるわけであります。これに伴いまして保育料につきましても、従来はそれぞれの所得に応じまして負担していただくという方式をとっていたわけでありますけれども、今後は年齢別、それぞれ保育費用が異なっておりますけれども、そういった保育費用を基礎といたしまして、それを徴収した場合家計にどのような影響を与えるか、保育コストという面を基礎として家計に対する影響も考慮してその保育料額を決めるという方式に変えたいということでございます。  これによりまして、私ども現在、保育料負担につきましては、共稼ぎが一般化したこともございまして、夫婦合算いたしますと所得の高い世帯もかなり割合が多いということでその負担感が言われているわけであります。また、所得の税額によっておりますので捕捉率の違い等による不公平感というのも指摘されておりますので、こういった点を勘案しつつ、将来的にはできる限り公平で差がない保育料を目指したいと考えているところでございます。  ただ、現在、先ほども申し上げましたように、十段階に分かれておりますので、これを一挙に一本化するというようなことは難しい。また、低所得の方々に対する配慮も必要であるというふうなこともありまして、当面は十段階保育料というものを簡素化するという方向対応したいと考えているところでございます。  それから、全体としての公費につきましても後退がないよう努力してまいりたいということでございます。
  82. 和田洋子

    ○和田洋子君 ぜひ保護者負担が増加することのないよう措置でよろしくお願いしたいと思います。  次に、放課後児童健全育成事業についてお伺いをいたします。  今回の改正の中で放課後児童健全育成事業の法制化が行われました。これは現在いわゆる学童保育として行われているものでありますけれども、働くお母さんたちからは乳児保育や時間延長といった点ではまだまだ不十分な点はあるものの、三歳ぐらいまでになれば何とか保育所で預かってもらえるようになる。そして、それは大変安心することなんですけれども子供小学校に入学した途端に放課後子供の面倒を見てもらえなくなって仕事と子育ての両立が大変難しくなっているという、これだけの差があります。そういった点から見ても、今回の放課後児童健全育成事業という法律に位置づけての推進を図っておいでになるということは大変前進であるというふうには思います。.  それで、今回の法改正によって具体的に放課後児童健全育成事業推進にとってどのような利点があるのか、また法改正を受けて今後どのようにこれを推進されようとしておられるのか、そのお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  83. 横田吉男

    政府委員横田吉男君) 保育制度自体につきましては就学前の児童を対象としているものでございまして、御指摘よう小学校に入った場合には保育の対象にはなっていないわけであります。こういった現状におきまして、共働き世帯の方々にとりましては、小学校学年の場合には非常に心配が多いというようなことがあるわけであります。  私どもといたしましては、こういった状況対応するために、小学校学年児童に対しましても遊びあるいは生活の場を与えまして、その健全育成を図る、それによって保護者子育てと仕事の両立支援についても進めていくというような考えであります。  今回、こうした考えによりまして、児童福祉法上、放課後児童健全育成事業として明確に位置づけるということを考えたわけであります。また、地域の実情に応じまして非常に多様に今行われておりますので、今後ともこういった実情に応じた多様な取り組みが行われるよう市町村につきましてもその努力義務を促す、これも法律上明確にいたしますとともに、この事業につきまして、社会福祉事業法上の最小限の規制ということで事業法の対象にも加えたということであります。これによりまして、市町村におきましてもそれぞれの地域の実情に応じてこういつた事業の一層の推進を図るよう努力していただくようになるのではないかと。  それから、社会福祉事業法による社会福祉事業ということになることによりまして、いろんな税法上の特典等も受けられるようになるというふうなことでございます。これによってこの事業の一層の推進を図ってまいりたいということでございます。
  84. 和田洋子

    ○和田洋子君 また、放課後児童健全育成事業の定義ですけれども、法律上、児童厚生施設、すなわち児童館等を利用してとなっております。現在、放課後児童健全育成事業児童館で行っているものもあれば、学校の空き教室なんかを利用しているものもあります。そういういろんな形で行われていると思います。  そこで、まず現状について確認のためにお伺いしたいと思いますが、放課後児童健全育成事業は現在どのような場所で行われているのか、お伺いをいたします。
  85. 横田吉男

    政府委員横田吉男君) この事業実施場所でございますが、全体で八千六百カ所ほどございますけれども、学校の空き室あるいは学校の敷地内の専用施設といったところが大体四割を占めております。その次に多いのが児童館、児童センターということでございまして、二二%ほどでございます。そのほか民有地の施設あるいは民家のアパート、公的な施設、団地の集会所、保育所、幼稚園等でも行われているということで非常に多様な形態をとって実施されているというのが現状でございます。
  86. 和田洋子

    ○和田洋子君 それでは、今回法律上位置づけられたことによってかえって場所が限定されてしまって、地方公共団体で行われている取り組みに支障が生ずるのではないかという懸念もあるのですけれども、一方で、現在児童館で行われている事業との関係で、児童館の位置づけが不明瞭となって児童館が放課後の小学校学年児童以外の児童も対象に行っている事業が行われなくなってしまうのではないかという懸念もあるんですけれども、いかがですか。
  87. 横田吉男

    政府委員横田吉男君) 今回の改正により法的に位置づけることになるわけでありますが、これによりまして現在多様な形で行われている放課後児童健全育成事業が損なわれることのないようにしたいと考えております。これにつきましては、そのまま多様かつ柔軟な形で今後とも実施していただくことが可能のような形になっているところでございます。   それから、児童館との関係でありまずけれども児童館につきましては地域における児童ということで十八歳未満の児童健全育成の拠点として役割を果たしてきたところでございますが、放課後児童健全育成事業、この事業はおおむね十歳未満の小学校学年児童を対象にいたしておりますけれども児童館の事業一つ事業ということでございます。  私どもといたしましては、児童館でこういつた事業が行われるよう、その行われる児童館の優先的な採択等を図ってまいりたいと考えておりますけれども、これによりましてはかの事業が支障を生じるということのないようにも配慮してまいりたいというふうに考えております。
  88. 和田洋子

    ○和田洋子君 今のお答えで、児童館が今まで果たしてこられた役割と一緒にされるということで大変安心をいたしました。  次には、児童扶養手当の見直しが見送りになりましたけれども、そのことについてちょっとお伺いをしたいと思います。  昨年末に中央児童福祉審議会で児童扶養手当について、母子家庭児童扶養手当を支給した上で離婚した夫から、その所得等を勘案し、児童扶養手当の全部または一部の費用を徴収することができる仕組み検討を行うといった内容の報告が出ておりました。  確かに、養育費の支払いが十分でない状況において、養育義務を果たしていない父親にかわって相当額の公費が、言いかえれば国民の税金が使われているわけですから、そういう社会的な公正の観点から問題があるのではないかという理屈は私もわからないわけではないんです。養育費については当事者間で十分話し合いが行われ、適切にそれが支払われている仕組みというのを整えなければいけないという、その方が重要でないかというふうに思うんですけれども、仮にこのよう制度を設けたとしても、養育費すら払おうとしない父親が果たしてそんな費用を払うことはないんではないかというふうに、大変難しい問題だなというふうな思いが私もしました。  今回の改正では児童扶養手当の見直しについては見送られたわけでありますけれども児童扶養手当の父親からの徴収制度について中央児童福祉審議会ではどのような議論が行われたのか、どうして改正が見送られることになったのか、その理由をお伺いしたいと思います。
  89. 横田吉男

    政府委員横田吉男君) 子の養育というものは父母の共同責任ということでございますので、仮に父母が離婚いたしましても、離婚した父は子に対する扶養義務を負っているということでございますが、御指摘の中にもありましたように、現実に離婚した父で養育費を払っておりますのは、平成五年の調査によりますと一四・九%ということで、大部分が履行していない状況にあるわけであります。  この問題について、中央児童福祉審議会の方で御議論いただいたときには、全額公費による児童扶養手当は現在二千四百億ほど支給いたしておりますけれども、これを払っている状況の中で、離婚した父とそれから一般の納税者との社会的公正、公平の確保を図るという観点からは、離婚した父からこの児童扶養手当の費用の全部または一部を徴収できるよう仕組みについて、これは理論的、実務的に検討すべきであるという御提言をいただいたわけであります。  私どもといたしましては、この提言を受けまして、父からの児童扶養手当に要した費用の徴収制度について検討を進めてきたわけでありますけれども、法案提出の過程におきまして、民法の扶養責任との関係をどう調整するか、例えば私的に相当多額の扶養手当を払っていても父親の方から徴収されるのかといったような議論、あるいは徴収だけでなくて、現在の支給要件そのものにつきましても今のままでよろしいのかどうか。現在の私的に受け取っております扶養手当というのは所得税の課税対象の所得に算入されませんので、その母親の方がみずからの就労等により得た収入だけがカウントされるということで、それが四百万円以上になりますと支給されないわけでありますけれども所得制限等がかかってくるというような点はそのままでいいのか。あるいは徴収の事務、これもなかなか実際にやりますと大変な点がございますけれども、どういうふうにやっていくのかというさまざまな問題が提起されまして、私どもといたしましては、引き続きこの法改正について検討していきたいということにしたところでございます。
  90. 和田洋子

    ○和田洋子君 扶養手当を出さない父親たちに、ぜひにそっちの方が先だと思いますので、それを十分に法制度がきちんと履行されるようにしていただきたいというふうに思います。  母子家庭施策についてお伺いをいたします。これに関して、母子家庭の自立に向けた施策についてお伺いをしたいと思います。  今回の改正の柱は児童保育施策児童自立支援施策、母子家庭の自立支援施策の三本の柱であると考えておりますが、母子家庭の自立支援施策については今回の改正によってどんな対応が図られるのか、お伺いをいたします。
  91. 横田吉男

    政府委員横田吉男君) 母子家庭につきましては、その自立の促進を図ることが重要であるという考えに立ちまして、現在母子寮は母子を保護する施設ということになっておりますけれども、これを見直しまして、単に住居を提供して保護するだけでなくて、積極的に母子家庭の自立を支援していくというよう施設にしたいということで名称を母子生活支援施設というふうに改めることにいたしております。また、その機能につきましても、単に入所して保護するだけでなくて、いろんなケア、それから寮内の保育等も行えるよう施設にいたしたいということでございます。  それから、母子家庭の自立を図る上におきまして雇用の促進というのが一番重要ではないかということでございます。この点については、従来、福祉事務所あるいは公共職業安定所が連携するというような規定があったわけでありますけれども、今回の改正におきましては、公共職業安定所と協力すべきものといたしまして新たに名称を変えました母子生活支援施設、今までの母子寮でございますが、これと地域の基幹的な児童福祉施設に設置することにいたしております児童家庭支援センター、これは相談機能を持った施設でございますけれども、そういったもの等を加えまして、こういう福祉施設との連携もしながら就労促進を図っていくようにしたいということであります。  私どもといたしましては、この母子生活支援施設におきますケースワーク等の充実、あるいは今申し上げました公共職業安定所と関係機関との連携強化を図りながら雇用の促進を図ってまいりたいというふうに考えております。
  92. 和田洋子

    ○和田洋子君 母子家庭に対する支援としては、児童扶養手当の支給や母子寡婦福祉資金の貸し付けなど経済的支援や住宅対策などがありますけれども、経済的な自立のために最も重要なのは就労支援だと私は思っております。また、これは単に経済的に自活をするということではなくて、母親が生きがいと誇りを持って一生懸命に働いている姿は子供の健全な育成、健全な成長という観点からも大変重要なことだと思います。しかしながら、母子家庭就労する上でいろいろなハンディがあることも事実であります。就労状況は必ずしもよくないと聞いております。  今、厚生省から、母子家庭の雇用の促進のため、公共職業安定所と連携を強化したいというお話がありましたけれども、母子家庭就労に当たって一体何が問題なのか、これまでどのような対策をとってこられたのか、また今後どのような対策が必要と考えておられるか、労働省にお伺いをいたします。
  93. 村上文

    説明員(村上文君) 母子家庭の母など子供を育てる女性が安心して働くことができる就業環境を整備していくことは重要な課題と認識しております。このため、労働省としましては、就職を希望する母子家庭の母等について、全国の主要な公共職業安定所に寡婦等職業相談員を配置し、家庭環境等に配慮したきめ細かい職業指導、職業紹介などに努めますとともに、母子家庭の母などを雇い入れられました事業主に対する特定求職者雇用開発助成金の支給、訓練手当を支給しながらの職業訓練や職場適応訓練の実施などによりまして良好な雇用機会を確保するという意味でさまざまな政策を講じておるところでございます。
  94. 和田洋子

    ○和田洋子君 ありがとうございました。  終わります。
  95. 上山和人

    委員長上山和人君) 本案に対する午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩いたします。    午前十一時五十七分休憩      —————・—————    午後一時開会
  96. 上山和人

    委員長上山和人君) ただいまから厚生委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、児童福祉法等の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  97. 山本保

    ○山本保君 平成会の山本保です。どうぞよろしくお願いします。  最初に、ちょっとこれは通告をしていなかった分でございますけれども、午前の部で長峯先生の方から大臣に最近の少子化対策について意見を聞かれました。これは私が勘違い、またはもし間違っておったら長峯先生に失礼いたしますけれども、今そんなに国はこういう保育とか子供の福祉にお金をかけなくてもいいのではないかというような御趣旨のお話だったかなという気がちょっとしましたもので。これはそうではなくて、今こそ将来の社会に対する投資として今以上にもっと子供に公費を入れるべきであると私は考えておるわけなのでございます。  そこで、大臣、その辺どのようにお考えなのか。先回、本会議で質問させていただきまして、そのときに少子化についてはお話を伺いましたから同じトーンで結構でございます。  これは諸外国を見ましても、豊かな社会になればなるだけ実は子育てというのは難しくなるわけでして、それは子育てコストが、お金も、それからそのほかの労力にしても実は豊かな社会の方がその一つ一つが高くなるわけで、子育てをしない人とする人の格差は客観的にふえてくるのではないか、主観的に言えばもう確実にふえている、こんな気がするわけであります。  ですから、今必要なことは、子育てをする方が本当にその子育てに自信を持ち、喜びを持って子育てをしていけるような、またさまざまな形で働きながら子育てをすることに応援がある、その場合いろんな多様なニーズがあるわけで、それに多様にこたえるべきだと申し上げたわけですけれども、この辺についてお考えを。  といいますのは、以前、私が厚生省におりましたときに自民党の部会に呼ばれまして課長と伺いましたところ、そのときある代議士の先生が、今そんな子育て支援を、産みたい人は産めるようなそんな環境づくりなど言っておるときではない、こんなことをやればローマ帝国がつぶれたように日本は滅びてしまうぞ、もっと女性にたくさん子供を産んでもらうように国がキャンペーンを張るべきであると、こういう勇ましい先生がおられまして、さすがに当時のたしか女性の経済企画庁長官からその場で注意を受けておったなという気がするわけでありますけれども、しかし一部にはやはりそういう考え方もあると思います。  大臣の方からもう一度この子育て支援についてのお考えをお聞きしたいと思います。
  98. 小泉純一郎

    国務大臣小泉純一郎君) 子育てを支援するというのは一様ではないと思いますけれども、女性に産めよふやせよとかねや太鼓をたたいても、そういう状況でもないと。女性としてもいろいろ考えがあって仕事に出たり、あるいは子を産むか産まないか判断する余地がかなり広がっていると思います。しかしながら、子供を持ちたいな、産みたいなという方に対して、仕事へ出かけても支障がないような体制を社会全体がどうやってとっていくかということが大事ではないかなと思っております。  と同時に、今後、今の保育所のありようも変わってまいります。さらには、男性の女性に対する考えも変わってきますし、女性の社会参加というのは当たり前のような時代になってくると思います。いろいろ環境は変わってくる中で、男も女もお互い助け合いながら、また社会的に今までのいろんな施設一つの殻に閉じこもらないで連携をとりながらお互いの持てる力を、子は社会の宝であるというような考え方から支えていこうかという意識を持つことによって、私は、環境も変わってくるし、そして子育て支援策も充実していくのではないかと。そういう点を幅広く意見を聞きながらお互いが、個人はもちろん、家族はもちろん、社会全体で子育て支援策を整備していこうという考え方が重要ではないかなと思っております。
  99. 山本保

    ○山本保君 どうもありがとうございます。突然お聞きしまして、失礼いたしました。  それでは、今度の児童福祉法改正につきましてお聞きいたします。  最初に、きょう午前中にもお話があったことではありますけれども、現在、子供の権利ということが非常に言われておりまして、日本も子どもの権利条約を批准しているわけであります。弁護士さんたちのグループなども今回の法改正、特に児童福祉法は御存じのように一条、二条、三条に大きく理念を述べている条文がある非常に変わった法律でありますので、ここのところに子供の権利、児童の権利という文言を入れる、そして権利条約の趣旨を実現していくということを書くべきではなかったかという御議論があるわけでございます。  これにつきましてお尋ねしたいわけでありますが、まずはこれについてどんな整理がされ、先ほどお答えになったことではありますけれどももう一度お願いしたいんですけれども児童福祉法の中で子供の権利はどのように扱われているのでしょうか。
  100. 横田吉男

    政府委員横田吉男君) 現行児童福祉法におきまして、児童福祉の理念といたしましては、児童は心身ともに健やかに育成されるべきこと、また児童は生活を保障され、愛護されるべきことというような規定が行われております。平成六年に児童の権利条約が批准されました際、政府部内におきまして改正するかどうか検討が行われたわけでございますが、その際には同条約の趣旨はこの中に確保されているというような整理がされたところでございます。  私ども、今回の福祉法の改正に当たりましては、この権利条約の趣旨具体化するという観点に立ちまして、一つ施設入所を決定するに当たりまして、法律、医学等の専門家が参加します都道府県の児童福祉審議会の意見を聞かなければいけないこと、それから二番目といたしましては、施設入所の際、児童の意向を聴取すること、それから児童の最善の利益を確保するために保護者希望する保育所を選択できる仕組みに改めること等の改正規定を盛り込んでいるところでございまして、今後とも同条約の趣旨も十分尊重しながら制度の運用に努めてまいりたいというふうに考えております。
  101. 山本保

    ○山本保君 その内容についてはまた後で伺うことにいたします。  私は、この前の本会議で、非常に短い時間でありましたのでちょっとわかりにくいお話をしたかと思って反省しておりますけれども、子どもの権利条約の理念というものについて、これは論文等で発表しておるわけなんですが、私なりの考え方を申し上げました。  それは、今の日本のこういう分野の学界の大きな流れといいますか主要なものは、まだ日本では子供の権利が大人の権利と比べて、その権利の保障がこんなところにもない、こんなところにもデュープロセスができていないというようなことを指摘されまして、そこを直すことが権利条約の意味であるというような論が強いんですね。  私は、ちょっと違うのではないかと思っておるんです。そういうものも当然含まれなくてはなりませんし、我が国でもまだまだおくれているところがあると思います。ただ、例えば権利条約が国連で制定されたときの動きを見ましても、一生懸命その先頭に立ちましたのは、こんな言い方をするとあれですが、たしかまだ大人の権利ですらとても確立していないような、そういう国々が先頭に立ってこの条約を進めておりました。  それは、具体的にそのことによって子供に今すぐ与えるというよりは、この権利条約の理念というものに着目して国連で進めたわけであります。  では、この理念とは何かと。理念というのは決しておくれたものを、今足らないというものであればそんなに重要なものではないわけでして、そこで私この前申し上げましたように、実は権利条約には最善の利益という言葉がありますけれども、最善の利益というのは三十年ほど前の権利宣言にもありましたし、ジュネーブ条約にもありました。つまり、その最善の利益の中身こそが問題でありまして、子供にとって最善の利益とは何かという議論が今まで余りされてこなかったんですが、その最善の利益の中身に初めて最大、最高、そしてまた最大ですが、フルエスト、その三つの最上級表現の目標が示されたことがこの権利条約の意義であると私は主張しているわけであります。  ですから、これは厚生省の肩を持つわけではありませんが、児童福祉法というのは、これは全体を見ておわかりのように、基本的概念は子供の保護というよりは親の権利の保護であります。でき上がった感化法、そしてそれ以後の流れを見ましても、この児童福祉法というのは親権法の一部と位置づけられておりまして、親が子育てをする場合に権力やまたそれ以外のものから邪魔されない、このことについてのいろいろなルールが書いてある法律でありますから、ここに突然その子供の権利というものを持ってきますとなかなか難しいところがあるのではないかなと、少なくとももう少ししっかりここは議論した上でないとなかなかに難しい。  また、権利条約を見ましても、実は権利条約には子供の発達する権利を最初に、またほかの人に増して保障しなければならない責任は親にあるわけでして、権利条約もよく読んでみますと親の第一義的な責任というものを非常に重視した条文であります。  この辺を抜きにしまして子供の権利というものだけをとりますと、ある学者などはこの権利というのはまさに児童福祉法が言っておる大人が子供に健やかな育成を与えなければならないという義務、この義務が子供にとってはそのための環境条件が与えられる権利を持つという、こういう意味での権利であるというような議論もあるようでございますので、そうなりますと今の段階でこの権利条約の文言をこの中に入れていくというのはどうかなと私は思っております。ただし、まだまだ足らないところはあると思っておりますので、それは後でまた指摘をすることにいたします。  次に、保育制度の具体的な内容について、いろいろな議論がありましたけれども、繰り返しもありますが、お聞きいたします。  一番素直に率直にお聞きしたいのは、どうして措置制度をやめて選択制にするということが保育の改善になるのか、もしくは保育制度の改善になるのか、ここであります。この辺について、大臣、お答えいただけますか。
  102. 小泉純一郎

    国務大臣小泉純一郎君) 保育所ができてから現在までいろいろ社会の環境も変わってまいりました。また、保護者親御さんの所得階層も当初より随分変わってまいりました。  先ほどもお答えしましたように、当初は保育所に入れている家庭では所得税を納めている方が二割にも満たなかった、それが現在では逆に所得税を納めている方の方が八割近くなってきたという状況。さらに保育所に対しても、かつては母親の方は社会に出て夫と一緒に仕事を持つという考え方についてもそれほど一般的ではなかった。それが現在ではむしろ母親も父親もともに仕事を持つというのが別段珍しくもなく当たり前のような考えになってきた。そして、当初はゼロ歳児、一歳児などの保育というのは考えられない時代だったのが、今ではむしろゼロ歳児でも一歳児でもというのが、保育をどういうふうに充実していくかということが考えられるようになってきた。  さらには、保育所についても所得に応じて保育料を払うものですから、これは所得の把握がされやすいといいますか、サラリーマン階層と実際所得はそれほどなくても資産のある方とのバランスといいますか、公平感といいますか、そういう点も、同じ隣近所で実際の生活感から保育料にこうも違いがあっていいのかというようないわゆる公平に関する疑問の声も出されてきた。そういう点、いろいろ社会が激変しておりますから、そういう中にあってこれからむしろますます子育ての支援体制をとっていく上において共稼ぎ御夫婦も多くなると思いますので、そういう際にむしろ保育所サービス充実を促すという意味においてもある程度競争の導入によってサービス競争という精神も大事ではないかと。  今までだと保育所というのは黙っていてもお子さんを連れてきてくれる、公費が投入されるという、積極的にどうやってお子さんに来てもらうかという観念はどちらかといえば薄かったのではないか。今回、かなりの民間施設の導入を促すという面において、むしろ親御さんが保育所を選ぶことによって保育所同士の競争が始まることによってサービスの水準も向上していくのではないか、そういう観点から時代に合った保育所のやり方、児童福祉法改正というものを五十年を契機に考えるべきときに来ているのではないかということから改正を促したわけでありまして、今回の改正によって私は着実に保育所同士の競争が進み、同時に水準の向上も図られるということを期待しております。
  103. 山本保

    ○山本保君 今いろいろおっしゃいました。つまり、福祉サービスでありましたけれども、いわゆるこのサービスが一般国民に普遍化したということだと思います。理念としては私もわかります。  ただ、ついでですから一言、介護と比較しますと、老人福祉については介護という問題が出まして、これで今まで身寄りのない、またはだれにも見てもらえないような、いろいろな形で社会的におくれたような方が老人福祉の対象であるということが介護問題が出ることによって変わったわけであります。それは保育についてはもっと劇的に前から変わっていたわけであります。ただ、今度は介護保険法がまたここに上がってきたときに議論をしなければなりませんけれども、同じ厚生省でありながら、介護問題とこの保育問題は対応の仕方が違っております。  介護はお金がかかる。そこで、公費はもう余り出さないようにして、その分保険でみんな持ってください、措置を外すかわりに保険でみんなに出しましょうと。保育の方は、措置は外すけれども、公費はきちんと今までどおり見ましょうということですね。私はここは介護保険法の実は問題点だと思っておりますけれども、これは次の機会にしたいと思っております。今のお話は理念面でございます。  ただ、民間導入ということをけさほどもおっしゃいましたけれども、私は民間導入というような概念はあったのかどうか、これは大臣がちょっと郵政の方の関係で舌が滑っているんじゃないかと思いますが、その辺いかがでございますか。
  104. 小泉純一郎

    国務大臣小泉純一郎君) 民間導入というのではなくて、公費を通じて。公立と私立、両方あります。そういう面でお互いの、競争が導入されてきますから、私はむしろ公立にはできないような民間施設サービス競争が始まるのではないかと。それによって公立もおちおちしていられない。さらには、親御さんがどちらがいいかという情報を提供することによって選ぶことができる、そういうことを言っているのでありまして、むしろ公立よりも民間が先導してサービス競争が始まる面が強いのではないかということを言いたいわけであります。
  105. 山本保

    ○山本保君 ただでさえ今回の改正は公立保育園の方たちに対して少し厳しいんじゃないかという声があるところでありまして、その辺は公立保育園の方々も一生懸命頑張っておられるわけであります。民間ではやはり経営とかいろんなことを考えたときに持てないような障害者に関する保育などはたしか公立の保育園の方がよくやっておるわけでありまして、その辺は余り誤解を与えないようなことが必要だと思います。  もう少しそれについて細かく聞いてみまずけれども市町村責任は重くなるんだと、重くなるといいますか、今までと変わらないんだと。しかし、午前中の説明にもありましたように、公正な方法で選択をするとか、また情報を出さなくてはならないとか、ガイドラインというようなお話もありました。  具体的にそれはどういうことを指すのか、もう一度お答えください。
  106. 横田吉男

    政府委員横田吉男君) 今回の改正によって市町村責任がどうなるかということでございますが、御指摘いただきましたように、入所方式についても、従来と同様、申し込みは市町村に行うこととなっておりまして、市町村は申し込みがあった場合にこれを受諾しなければならないという義務を法律上も課しております。  それから、費用負担につきましても、これまでと同じように、市町村保育所に対しまして運営費を支弁した場合にはその一部を国庫が負担するという形で公的責任を果たすことにしているわけであります。  それから、情報の提供につきましても、選択の際の参考資料といたしまして、市町村あるいは保育所におきましてそれぞれ保育内容、あるいは特別保育実施状況でございますとか、利用者が必要と認められるよう情報についてのデータを出すということを検討したいと考えております。
  107. 山本保

    ○山本保君 確かにこれまでどういう手続でその保育園、この保育所に行くのか、または隣のお子さんは行けたのに自分は行けなかった、なぜかというふうなことについても情報公開はありませんでした。先ほどもそんな話がございましたが、例えばある保育園には何人申し込みがあって、実際は何人であったと。もちろん、そこは市がそこが非常に高いのであれば急遽人数をふやすなり定員を増すなりして努力をしなくちゃならぬと思います。そういう責務も市には出てくるだろうと思いますし、またそういう方法を、ルールとたしかおっしゃったと思いますが、ルールを公にすればするだけそれに対して異議申し立てというのはふえるであろうと思います。  それから、はっきり言えば、余りほかの人が、たくさんの人がやらない定員割れになるよう保育園が出てきた場合に、どうしてここはそういうことになるのだということを、これは一般の方も知り、そして市議会の方なども公費が大分入っているとなれば問題にしたりするということで、下手をするとこれは相当な混乱が起こるんじゃないかという気もしないでもないんですが、その辺は大丈夫ですか。
  108. 横田吉男

    政府委員横田吉男君) 今回の改正によりまして申し込みの手続、あるいは選考の方法、それから各保育所保育内容等、情報がある程度表に出てくるということでございますので、従来は見えなかった部分がはっきりと見えるようになるということで制度の透明性が私どもとしては高まるというふうに考えております。これによりまして、より公正かっ適切な保育サービスが提供されるようになるというふうに考えております。
  109. 山本保

    ○山本保君 そうなりますと、やはり、もちろんお父さん、お母さんにも賢いお父さん、お母さんになっていただかなくては実は子供の不利益になるということがすぐ想像できるわけであります。見ばえのいい園であるとか、また駅のすぐ近くにあるので何はともあれここに持ってくるのが一番近いからというような理由でもし選ばれたとすれば、これは子供にとって全然幸せでなくなるわけでありますから、こういうようなものをきちんと見分けるような基準、以前チェックリストのようなものをつくることを私もやったわけですが、例えばお母さんでもわかる、どういう保育園のどういうところに目をつけて評価をしたらいいですよというようなことを出すとか、そんなことを示すというようなことを考えておられるんですか。ガイドラインというようなことがありましたけれども、もう少し詳しくお答えください。
  110. 横田吉男

    政府委員横田吉男君) 例えば満杯になった場合の公正な選定方法につきまして、地域によりましては親御さんの就労状況あるいはいろんな要素を点数化いたしまして、その優先度を判定しているようなところもございます。それぞれ地域ごとにかなり異なっているわけでありますけれども、私どもこういった各地方公共団体が基準をつくる場合の参考資料はガイドライン等でお示ししたいということでございます。  そういったことで各保育所の創意工夫がさまざまにされるようになりますと、今までのように一律の運営ということではございませんので、御指摘ございましたように、保育所を選ぶ保護者の方も賢明になっていただく努力が必要かと思います。  こういった点について、どういう保育所を選ぶべきかというようなことについて公的サイドからどの程度関与していくかということはあるかと思いますけれども、これは市場レベルにおきましても出版物なりなんなりが出てくるのではないかというふうに考えているところでございます。
  111. 山本保

    ○山本保君 これはそうお聞きすればするだけ、住民が直接参加して行政を動かしていくという趣旨からすれば当然のことではあると思いますけれども、ただこれまでの福祉行政が全くその反対をやっていたのではないかというふうに思われているわけですから、これはよほどきちんとその趣旨を徹底されるようにしなければ無用な混乱が起こるような気がいたします。その辺については留保  いたします。  次に、お金のことについてお聞きします。  一部の方だと思うんですが、今回十段階を七段階にすることによって、例えば四万九千円の方が四万四千円になると五千円安くなると言われましても、安くなる方は大体普通は黙っておられまして、例えばこの第七、第八でございますが、四万円の方が四万四千円になるとなれば四千円値上がりになると。厚生省の話では大体二十何%の方がそうなるであろうという数値だそうでございますけれども、こういうふうにお金が、全体としては変わらないとしても、私自身お金が上がるじゃないか、これでは困るという声を耳にするわけでございますけれども、この辺はどうお考えでございますか。
  112. 横田吉男

    政府委員横田吉男君) 国が徴収金基準額表ということで、保育料額とも言っておりますが、これをつくっておりますけれども、これは国と市町村との間における国庫負担に関する一つの精算基準でございます。これについて、国はおよそ全体の保育費用の二分の一は公費という考え方のもとに、その公費部分の半分を負担することにしているわけでございます。これが具体的にどのよう保育料額になるのかという点につきましては、各市町村ごとにそれぞれの地域の事情によりまして条例なり規則で決められているということでございます。  現行の徴収金基準額表は十段階ということでありまずけれども、今回の制度改正によりまして入所方式、それに伴う保育料額につきましても、先ほど申し上げましたように、年齢別保育コスト基礎といたしまして、家計に与える影響も考慮して保育料額を決定するということになっておりますので、基本的にはなるべく差がないように公平な保育料に持っていくというのが私どもの目指す方向だと考えておりますけれども、そのやり方につきまして、十段階から一挙に一つにするというのは、これは急激な負担増となる階層も出てくるということもありますので、こういった急激な負担増を避けるという観点から、その進め方については当面十段階保育料額を簡素化するということによりできるだけ大きな負担増等が生じないよう対応していきたいという考えでございます。
  113. 山本保

    ○山本保君 答えが前半、後半、二つあったわけですが、まず前半の方についてもう一つお聞きします。  そうしますと、例えば市町村が今回十段階から七段階、これは国と市町村の間の事務的な経費のやりとりの基準を変えただけだということですが、例えば市町村が十段階のままで徴収する、またはもっと細かくいろいろ所得水準に応じて、これは細かくすればするだけ確かにある面では公正とも言えますので十段階を二十段階にするというようなことをやった場合、これは国の命令に従わないということになるのではないかという気がするのですが、どうですか。
  114. 横田吉男

    政府委員横田吉男君) 先ほども申し上げましたように、国の示す徴収金基準額表そのものは国と地方の間の精算基準という考え方でございますので、市町村が具体的な保育料を定めるに当たりましては、どのようにするかということについてはかなりの裁量の範囲があるというふうに考えております。  今御指摘がありましたように、国の精算基準は七段階でございますけれども市町村において十段階になっている、これをもって違法であるというようなことではないと思っております。
  115. 山本保

    ○山本保君 わかりました。つまり、市町村で独自に基準をつくってよろしいということだというふうに判断いたします。違法でないということであれば、いいのであろうということであります。  その次のことなんですが、均一料金、いわば均一料金と言いましても、この場合はコストの値ということだと思うんですが、これを何回も大臣も言われるわけですし、今、局長も言われるわけですが、私は先回のあそこでも申し上げましたように、均一料金、もしくはコストに応じた費用というものは二つの前提が要ると思うんです、そういうことが社会的に許されるには。まだあるかもしれませんが、すぐ気がつくのは。  一つサービスの普遍性です。これはある特別な階層の方だけを相手にするのであれば、これはコストなどと言っておれないわけでございますから、社会的な意味でそれにコスト以上のことをかけるのは当然でありますが、このサービスが普遍的なものになってくればくるだけ、それはそういうものではなくなってくるということであります。  ただし、もう一つあります。  それはこのサービスが代替が可能であるということだと思うんですね。つまり、バスに乗るとき、バスは全部どなただって市バスは同じ値段でお金持ちが高いということはありませんけれども、しかしお金持ちはお金持ちでタクシーに乗ることもできる、私は健康のために、お金もないから自転車で行くよということもできる、こういうわけであります。こういうときにこそそういう費用が単一なものに決定されていくと思うわけであります。そういうふうに考えますと、保育サービスというのは今ほかに代替はないわけですよ。というのは、ベビーシッターにしましても、それから育児休業制度にしましても、それにかかる費用とその効果というのは今の保育と比べ物にならないわけですね。きょう、午前中にも幼稚園のお話が出ましたけれども、全然手厚く保育所の方がやっておるわけですから。ですから、これは私はそれはだめだというのじゃなくて、そうあるべきだと思っておるんです。つまり、ほかのサービスも自由に選択できるような、そういう状況がまずできたときに初めてコストに応じた費用ということが出てくるわけだと思うんですよ。それを前提としないでコストに応じた値であるというようなことを言うのは将来無用な混乱を引き起こすだけだと思います。  では、伺いまずけれども、もし今回のものがコストに応じてだとすれば、それに少しでも踏み込んだとすれば、例えば今まで兄弟が二人いたりしたときに、これは当然応能負担でありますから今までもなくさんの子供が行っておれば保育料というのは安くなっていたわけですが、コストに応じてとなればこれはそんなことはないということになるわけですね。その辺はいかがですか。
  116. 横田吉男

    政府委員横田吉男君) 今回の保育料の考え方につきましては、従来は保育所を利用される方というのは、先ほど大臣の答弁にもございましたように、大部分が所得税非課税世帯というようなことであったわけであります。現在におきましては逆に八割近くが所得税を納めている方ということで、夫婦共稼ぎが一般化した現在におきましては所得水準もかなり高くなってきているということであります。  そういう状況を踏まえまして、今回保育制度そのものを、入所仕組み措置型から一種の利用型に変えていくと。それに伴いまして今までの保育料負担方式所得に応じていただく方式を、ある意味保育サービスの対価としての利用料という考え方に立ちまして、そのかかった保育コスト年齢別保育コスト基礎として定める、ただ福祉制度として取る場合の基準としてこれに家計に対する影響も考慮して保育料額を定めるという考え方にしたものであります。  したがいまして、サービスの対価という点につきましては、基本的な考え方としては同一のサービスについては同一の料金というのが原則になろうかと思っております。ただ、福祉政策の観点から低所得者対策等、家計に対する影響も考慮してそのものを決定するという基準に立って決めることにしているところでございます。
  117. 山本保

    ○山本保君 多子世帯については。
  118. 横田吉男

    政府委員横田吉男君) 兄弟の場合につきましては、これも二人の場合、三人の場合、それぞれ多子世帯につきましては、現在二子については五割、三子以降については九割の軽減を行っているところでございます。これを行わないで一人ずつの倍数で取りますと、相当な負担になります。これは家計に対して相当大きな影響を与えることになるという観点から今後とも維持したいというふうに考えているところでございます。
  119. 山本保

    ○山本保君 そのように実際には何ら変わっていないのじゃないかと私は思います。どこにも均一であるとかコストというようなことになっていないじゃないですか。  コストであれば当然三歳未満児の方がもっと高くならなくちゃいかぬわけでして、これは当然一緒にして、一本化して、ある程度のところで合理的に分けているというわけです。ゼロ歳児であれば十何万という説もありますし、東京のある区では四十万というような話も聞いたことがあります。そんなお金を出せるかどうかなんということを議論されている方もおられますけれども、さっき言いましたように、そのことでもほかに同じようサービスがあり、それで保育園の先生方の専門家にきちんと見てもらう方が十何万、二十万かかろうが私はいいんだという方が当然やれるような体制になったときに初めてコストということが、繰り返しますが、コストに応じた対価ということが言えるのであって、それがない限り、そんなコストに対しての対価などということは言わない方がいいと、申しわけありませんけれども、そういうふうに私は御忠告申し上げます。  次に、もう一つ、ちょっと細かい話になりますが、きょう延長保育とか特別保育事業のことがありました。たしか特別保育の場合の費用については今まで話が出てきました定型型とは大分違っておると思うわけですが、これについてまた変更があって高くなるのではないかというおそれが寄せられておるんですけれども、この辺についてはどういうお考えでございますか。
  120. 横田吉男

    政府委員横田吉男君) 延長保育につきましては、現在、緊急保育対策等五カ年事業におきましてその推進に努めているところでございます。  今後、この延長保育等についてどうするかということでございますが、私ども、今回の改正以後、通常の保育所あり方につきましても、現在の開所時間、例えば朝の七時から午後六時、十一時間ということでこれは全国一律きちっと決めているわけでありますけれども、ある程度地域なり施設状況に応じて弾力化するようなことを検討しなくてはいけないというふうに考えているところでございます。  それとの関連で延長保育あり方についてもどうするかという問題があるわけでございますが、これについては現行よう方式を維持すべきであるという考え方もございますし、これは弾力化して施設に自由にやらせたらどうかという御意見もあるところであります。  なお、この具体的なあり方につきましては、私ども年度予算編成に向けまして中央児童福祉審議会の御議論等も踏まえながら検討してまいりたいというふうに考えているところでございます。
  121. 山本保

    ○山本保君 まだこれから考えるということでございますけれども、延長というよう言葉を言いますと何か付加的なサービスように見えますが、子供の生活にとっては六時までであろうが六時以降であろうが全然変わらないわけでありますし、それにかかる負担、いろんなサービス内容も変わらないわけですから、私はこれは定型部分と全く同じ考え方のものに、つまり時間単位なら時間単位の単価というものにしていくのが一番合理的じゃないかという気がいたしておりますけれども、それはまた次の機会にするといたします。  もう一つ、保母さんですね、保母さんが二、三年でどんどんやめていかれると。もちろん、そういう方もおられていいわけでございますけれども、実際には子供さんを専門家として見ていただくためにはきちんと主任さんなりそれなりの給料と待遇を得てその施設にいるべきだと、先回もそういうことを申し上げたわけであります。  保母さんの給与というのはどういう形で決められているんでしょうか。
  122. 横田吉男

    政府委員横田吉男君) 保育所におきます職種につきましては、施設長、主任保母、一般保母、その他職員の四区分に分けまして、それぞれ措置費という形で出ておりまして、それを国庫負担で出しているわけでございますが、基準として格付を行っております。公務員給与等の給与表に準じてそれぞれ格付を行い、それにつきまして必要な費用を国庫としても出しているということでございます。  例えば、施設長でいきますと、ほぼ高卒十八年ぐらいの方というのを想定いたしまして行政職(一)の四の六というような格付を行っておりますし、主任保母につきましては高卒十四年程度の方という想定によりまして三の六、一般保母につきましては高卒七年程度ということで二の三というような形での格付を行っているところでございます。
  123. 山本保

    ○山本保君 時間があれなのでここはお聞きせずに申し上げますけれども、私の知っている限りにおいて、今のような値段というかお金というのは、国のやり方ですから現状を調査してその現状に合ったお金でやっておると思うんですよ。しかし、そういうやり方でやっていきますと、いつまでたっても、今ですと高卒七年の方の平均値で給料を出しているとなれば、施設長さんは、園長さんは当然若い方を三、四年でどんどん交代させていけばそれだけお金が楽になるわけですからこうなるに決まっていまして、そこでまた調査をされるんでしょうが、調査をしても決して高くなるわけがないわけですね。  ここは政策的判断をきちんとされて、そういう非常に新しいといいますか、まだ未熟な方とまた大学程度を出て何年ぐらいの方、そして大学院程度をきちんと出た方というふうに例えば三つなり二つなりにきちんと分けた体系をつくらなければ、先にこれを国がっくらなければ、決して現状の方が先によくなることはないわけですから、ここはどちらがどちらと言わずにぜひ英断を持ってやっていただきたいと思うわけですけれども、これも含めまして福祉、特に児童福祉にすぐれた人材を求めるということを今後お願いしたいわけですが、大臣、これについて所見をお願いします。
  124. 小泉純一郎

    国務大臣小泉純一郎君) どんな仕事でも人が大事ですし、特にお子さんと接するという場合には、保母さんなり施設職員の人柄とかあるいは資質というものを子供は直観的に見抜く能力があると思うんです。いい人に当たればお子さんは心を開くであろうし、精神的にもいい影響を与えていくと思います。  そういう点から考えても、施設職員の給与というのは大事でありまして、その点については今、人事院勧告に従って処遇していることでありますし、さらには今後そういう職員の専門性という観点から研修等、資質の向上をどう図っていくか、これは大変大事なことであると思いますので、今後福祉従事者の資質の向上あるいは処遇の充実、さらには人材の育成等についてはさらに努力を続けていきたい、そう思います。
  125. 山本保

    ○山本保君 ぜひここは決断力の大臣でございますから、先ほど私が申し上げたような構造になっておるわけで、この構造に手をつけない限り、幾らいい方に来ていただくといってもあらわれません。  ですから、これと資格専門職という体系とが全部パラレルですから、この養成過程のカリキュラムとか養成の学校、その他の全部の見直しとともに、これは腹を決めて、一年、二年の仕事ではないとは思いますが、しかし大臣の間にこの方針を決めていただきたいなと、私は強く要望いたします。  保育に関しましては以上にいたしまして、あといわゆる学童保育放課後児童健全育成事業について、文部省の方に来ていただいておりますので、結論のところだけ申し上げます。  前回、文部大臣からは空き教室について利用させるという話がありました。ただ、私はあそこで、議事録を見ていただければおわかりのように、単に空き教室があるから利用させるというものではないはずなんだと。小学校というのはフレーベル主義などが入って子供の生活の場として、遊びの場としてつくられてきたんじゃないか、ならば今、フレーベル後百五十年たちましたけれども小学校をもう一度子供の生活の場として再生できるような形でこの事業に取り組むべきではないかというふうに申し上げたわけです。そういう答えが出なかったわけでありますが、その辺についてどうお考えでございますか。
  126. 玉井日出夫

    説明員玉井日出夫君) 学校施設を放課後児童育成クラブ等、さまざまな形でさらに有効に活用できないかという御視点での御指摘だと思いますが、私どもは学校施設をできるだけ有効に活用するということは一般的には望ましいことだと考えておりますし、特にその中でも余裕教室等を積極的に活用することが重要だと認識をしておりまして、そのために指導を行い、また必要な手続の簡素化等もやってきたわけでございます。  そのときぜひひとつ御理解を賜りたいのは、やはり学校施設でありますと児童生徒の教育、こういうことがまずは基本になります。今の施設は、かつてっくられた学校ではまだコンピューター施設が整っていなかったり、あるいは多目的教室がまだ整備されていなかった学校もあるわけでございます。今ならばそういうものも当然整備をするわけでございますので、したがって余裕教室等が生ずればまずそういう方面に使っていただく、これがやはり基本でございますところは御理解いただけるだろうと思います。  ただ、学校というものは単に教育だけのものではなくて、これは地域の方々にとっても利用しやすい施設として、または他のいろんな目的にも有効な活用をしていただきたい、またそういうことが必要になってきている、そういう時代だという認識は持っているわけでございます。したがって、まずは教育の面で十分に活用していただいて、さらにその上で有効な活用を図っていただく、特にその中でもやはり余裕教室という形につきましては他の目的にも積極的に活用していただくことが重要だと思っております。  では、学校教育以外にどういう形で利用すべきであろうかということになってまいりますと、そこは生涯学習ということもございましょうし、先ほど御指摘の放課後児童育成クラブということもありましょうし、さらにはこれからの高齢化を考えれば高齢化社会における老人福祉という面も出てこようかと思います。それらをどういうふうに判断するか、それは地域地域において、それぞれ設置者においてニーズがどの辺にあるのか、どういうふうにしたらいいのか適切に御判断いただくことではないかなと、かように思っております。私どもとしては一般的な御指導とできる限りの手続の簡素化等を図ってまいりたい、こういうふうに考えているわけでございます。
  127. 山本保

    ○山本保君 使うよう努力しているということについては私もわかりますけれども、細かいことを言いますと、どうしても社会教育などに使われるのが、これは県の持ち分というか、お互いの縄張り意識がありまして、そういうのは非常に活発だけれども、なかなか福祉の方に使わせないというよう状況もあるようでございますから、そこはきちんと指導していただきたいなと思うわけであります。  しかし、私が申し上げましたのは、そういうことをもっと超えて、例えば学校の運動場なんというのは、あれは練兵場をまねしたプロイセン・ドイツの形で相変わらずそんなものを、軍国主義でもあるまいし、昔の兵舎と同じような形、同じというか全く同じなんですが、校舎であり、そして軍服をまねした学生服というものをやっているような、別に毒づいておるわけじゃありませんけれども、これは一度文教委員会できちんとやらせていただきますが、学校自体を変えていくという視点をもっと打ち出していただかなければ子供の本当の、きょうここでこれからやるような教護院の問題にしましても、本当を言いますと全部学校教育に問題があるわけでありまして、ちょっときつい言い方で済みませんが、その辺を私は指摘していきたいと思います。今後もその辺はよろしくお願いいたします。  次に、今申し上げましたように、児童自立支援施設関係についてお聞きいたします。  まず第一に、新聞などで登校拒否、不登校の子供が入るというようなことが報道されまして、入らないとか入るとかその議論自体が全く私はおかしな議論だと思うんですが、しかしこういう誤解が出てくるというようなことを見ますと、教護院の入所基準というものが、単純に言えば教護院は悪いことをした子を入れるんだ、だから登校拒否の子を入れるのはおかしいんだ、こういう理論なんですね。理論というか、こういう構造になるわけで、非常に明快であります。しかし、もともと児童福祉法施設というのは悪いことをした子を入れる施設ではありません。この辺はきちんともっと、私もおるときにやったわけですが、まだまだ理解が足りません。  わかりやすい例を言えば、どこかに障害があると。障害がある子が施設に入るわけではないんですね。障害があるということは実は施設入所理由ではありません。大臣、よろしいですか。ここは非常に重要なところなんです。障害があれば障害者の手当を受ける要件にはなります。施設に入るか入らないかというのは、もちろん障害があることは当然ですが、しかしその上に大事なのがありまして、それは最初に申し上げたように、保護者子供にとってよい保育なり養育をしているのか、これはその関係性が問題になってくるわけであります。  ですから、この四十四条にあります以前の教護院にいたしましても、条文だけ読みますと、不良行為をなし、またはなすおそれのある子供を入れると書いてありますから、ここだけ読めば悪いことをやった子を入れるんだと、こういう認識になるわけですが、これは法構造が間違っておりまして、実は二十五条というところにちゃんと要保護の全部の要件が一括してあります。そこには保護者がいないか、いてもその監護が不適当な子供児童福祉法は保護をするんだということが書いてありまして、それが今私が今の言葉で言い直したことなんです。ですから、この辺をもう少しきちんとやってもらわなくてはならないわけです。  ところが、そういう観点で今度の改正を見ますと、まず四十四条で二つの書き方をして、これは素直に読めばどう見ても片方は悪いことをやった子、もう片方はそのほかの子を一緒に入れる、こう読める。また、二十七条の入所のところを見ますと、実は児童相談所長が入れるのと別に家庭裁判所から来るのも入れるんだという、この辺は非常に保護者、また一般の学校関係者にも誤解を与えるところでありますから、この辺について、今後きちんとしていただかなくてはならぬわけですけれども、簡単でいいんですが、どのよう対応をされるつもりなのか、結論だけお話しください。
  128. 横田吉男

    政府委員横田吉男君) 従来の教護院におきましては、これまで不良行為をなし、またはなすおそれのある児童を対象に、児童福祉の観点から個々の児童の態様に応じまして総合的な生活指導等を行ってきたところでございます。  今回新たに対象とする児童につきましても、家庭環境等で何らかの問題行動等がありまして適切な生活習慣を身につけていないとか、そういったことで個々の態様に応じた生活指導等を要する児童等ということでございまして、基本的にはいずれも家庭等の関係におきまして問題があって総合的な生活指導等を必要とする児童であるということで、私どもとしては共通しているというふうに考えているところでございます。
  129. 山本保

    ○山本保君 もう少し一般の方にもわかるような説明をきちっとされた方がいいと思います。つまり、今までもそういう家庭環境に問題があっていろいろな社会的な不適応をした子供を入れておったわけで、それは今度の法改正では変わらないと私は認識しておりまして、変えるという議論は一度も審議会でされていなかったというふうに聞いておりますから、今おっしゃったことで私はそういうコメントをつけておきます。  これは時間もありませんので結論だけ申し上げますが、そうなりますと、例えば家庭裁判所で入所決定したからそのまま即その施設へ連れていくなどということは今までもされてはいけないと言っておったわけです。  つまり、児童福祉のサービスというのは、まずこの子供さんにとってどういうサービスが一番必要であるかということを専門家が考え出し、はっきり言えば、この年ごろの子供であればその子供さんの意見も聞きながら自分の目標を具体的につかませる、そしてそれだけではなくて、実は児童福祉のもう一つ観点は最初から言っていますよう保護者なんです。子供だけを直すとか直さないというのが少年法の世界なんでして、実は子供を取り巻く家庭保護者に対してサービスをどのようにしていくのかということも児童相談所がやる仕事なんです。  ですから、今度こういうことで、この条文だけすっと読みますと、わからない裁判官とか弁護士が読みますと、何か児童福祉施設へ入れるときでも、裁判で決まったら即そのまま入れるんだ、児童相談所はそれに対して口を出すなというふうなことを言うやもしれぬと思うわけでありまして、この辺はきちんとそうならないようにしていただきたいと思っております。  それで、この問題は終わりますが、もう一つだけこの自立支援施設について聞きます。  四十八条が改正になりまして、これは本当に昔から教護関係者の願いだったわけでありますが、普通のほかの施設と同じように学校教育が導入になりましたのに、附則七条にこれは当分の間はやらなくてもいい、こういう規定がありますけれども、この趣旨は一体どういうことでございますか。これは県で勝手にやればいいので国は責任を持たないよというふうにも読めるような条文ですけれども、その辺どうお考えなんでしょうか。
  130. 横田吉男

    政府委員横田吉男君) 今度教護院を児童自立支援施設ということで名称も改め、機能も改めることに伴いまして、学校教育につきましても、従来は準ずる教育ということできたものを今度は正規の学校教育を受けられるようにするという形に変えることにしているわけであります。ただ、その場合、学校教育実施方法につきまして、分校・分教室方式でやるのか、いろいろな手法が考えられるわけでありますが、これらを行うに当たりましては地元の教育委員会が行うことになっておりますので、やはり教育委員会がこういったものを進めるに当たりまして、関係者の理解とか協力が不可欠だということですぐに実施といかないケースも出てくることが想定されるわけであります。こういったことで準ずる教育というのを施行と同時にやめるといたしますと、分校・分教室の方はまだ設置されない、準ずる教育もできないということで児童自体が困ってしまうということもございますので、当分の間こういった準ずる教育もできるようにしたわけであります。  今後、私ども、できる限り速やかに学校教育実施されるように、文部省なり地方公共団体とも連携をとりながら進めてまいりたいというふうに考えております。
  131. 山本保

    ○山本保君 当分の間といって五十年も変わらない法律もあるわけでありまして、そういうことにならないようにお願いしたいわけであります。  何か予算の方では会議費がたしか出たようでありますから、この会議費などもうまく活用して、具体的にどのように学校側と交渉するのか。小さな町にある教護院などは、これは町や市が嫌がるわけです、教員、またその専門家がいないということで。ぜひこれは、まさに県立中学でありますから、そのつもりで県の方もきちんと優秀な教員が来るように、そして実際そういう非行を犯したよう子供について体を張って頑張っているのが今までの教護職員でありますから、この方たちの今までのノウハウをきちんと位置づけられるようなことをやりませんと、これははっきり言いまして、昔の教護院というのは、戦前は訓導の中でも県の中で優秀な人が教護職員になり、教護院長でも教育学界で非常に名の売れたというか名の通った方もたくさんおられたわけなんです。ただ、残念ながら現在は各県も非常に軽く見ておりまして、とても太刀打ちできるわけじゃないわけですから、ぜひここは厚生省がきちんとバックアップをしなければ、本当に五十年当分の間が続くようなことになっては大変だということを申し上げます。  最後に、きょう少しお話も出たことですが、さっき局長からもお話がありましたが、入所させるときに都道府県児童福祉審議会に意見を聞くという新しい項目が出、それは権利条約の理念を生かしたものだというお話がありました。まず、条文を見ますと、政令に定める場合とたしかありまして、説明の中では一定の場合というようなことがずっと最後まであったかなと思います。  時間もありませんのでまとめてお聞きしますが、どういう場合を想定しておられるのか。次に、この場合、審議会の委員というのは広範な県内の子供の福祉について知っておられる方ではありますけれども、私が専門家か専門家でないかといったらこれはやっぱり素人、レーマンだと思うんですよ。ここでまさにレーマンコントロールを児童相談所の専門家の上に立ってやろうという趣旨だろうと私は思うわけです。であるならば、これはレーマンであると考えれば、プライバシー保護ということをきちんとやりませんと、その場で専門家同士の処遇でこの子がこうなってというのはともかく、この審議会でそんなことが次々話されたのではもう福祉に対する信頼などはなくなってしまうわけでありますから、このプライバシー保護というのはどういうふうに守るつもりでおられるのか。また、そのために審議会の委員はどういう方が選ばれるというふうに、何か変更する気があるのかどうか。それから、最後にもう一つだけ一緒に、同じようなところですが、この近くの条文に、先ほどもお話がありました児童及びその保護者の意向を聞くとありますけれども、なぜ意向と言って意見と言わないのか。それから、権利条約二十五条には実は子供には定期的な審査を受ける権利があると。特に、入所している子供にとっては、権威ある機関が定期的な審査を行わなくちゃならぬという条文があるわけですけれども、これはどういうふうに使われているのか、そのことについてまとめてお答えいただきます。
  132. 横田吉男

    政府委員横田吉男君) まず、都道府県児童福祉審議会の意見を聞く場合はどういう場合かということでございますが、これは児童相談所長が入所措置あるいは児童福祉司による指導などを行う場合におきまして、そういった一種の行政処分に係る場合を想定しているわけでございますが、そのうちこれを全部かけるのか、その中でさらにどういうものにするかということにつきまして、審議の実効性、効率性の観点も踏まえまして、対象となる範囲については今後さらに検討してまいりたいというふうに考えているところでございます。  それから、審議会のプライバシー、審議会に諮ることで児童のプライバシーの保護をどうするかという点でありますけれども入所措置の適否について審議をいただくに当たりましては、当然のことながら児童のプライバシーの保持というのは最大限尊重しなくてはいけない点だと思います。審議に当たる委員に秘密保持の徹底を図るとともに、出した資料につきましては回収するとか、あるいは児童の個別の名前を明示しないといったいろいろな工夫を行うことによりましてプライバシーの保護に万全を期してまいりたいというふうに考えております。  それから、審議会の委員の構成でございますが、これは一般の児童福祉審議会の委員と違いまして、そういった児童相談所の措置に係ることを御審議いただく委員ということでございますので、それにふさわしい方ということで、現在想定している方は法律とかあるいは医学、それから教育関係、施設関係等の専門家というような部会を特別に設置いたしまして、このための御審議をいただくというような形を考えているところでございます。具体的な基準等につきましては、今後さらに関係者意見も聞きながら検討してまいりたいというふうに考えているところでございます。  それから、入所の際に、当該児童、その保護者の意向を聴取するということでございますが、児童権利条約等におきましては児童意見表明ということも入っているわけでありますけれども現行のこの入所措置の決定に当たりましては、当然のことながら保護者の意に反して行うことはできないわけでありますけれども児童意見表明については明文の規定がないわけであります。これにつきまして、私ども児童権利条約の趣旨も尊重するという観点から、児童の最善の利益を確保するために保護者だけでなくて児童本人の意向も聞いた上で総合的に判断する必要があるというふうに考えたところでございます。  ただ、意見でなくて意向といたしましたのは、権利条約においても、意見表明ということになりますと、それを責任を持って行える一定年齢以上、日本でいきますと十五歳以上というふうなことが一般的であるようでございますけれども、必ずしもそういった一定年齢に限定しないということで、意見でなく意向の聴取という形にさせていただいているところでございます。  それから、定期的な審査についてでございますけれども施設入所後の児童状況につきましては、児童福祉法におきまして都道府県知事は施設長に必要な指示をし、または必要な報告をさせることができることになっているところでございます。さらに、児童相談所の運営指針におきまして、施設長から児童養育に関する報告を年二回聴取する、また定期的に訪問したり合同で会議を開いたりするというようなことで児童状況について審査を行い、最善の処遇を図ることとされているというようなことでございまして、我が国におきましては定期的な審査が行われることについての権利の保障はされているというふうに考えてい  るところでございます。  今後とも、こうした趣旨の徹底が図られるよう努力してまいりたいと思っております。
  133. 山本保

    ○山本保君 どうもありがとうございます。  私は、今の最後のところは、ぜひ定期的な審査のときにも当然児童の意向を聞くべきだと思います。これは取扱規定にそのように定めなければおかしいと思いますので、入るときだけ聞いて後はどうなったかということは知らないというのはおかしいと思いますから入れていただきたい。  それから、御存じだと思いますけれども措置に関して親が反対したり云々というときには家庭裁判所に持っていくという二十八条の規定があります。これは戦後占領軍が、それまで施設長の行政権でやっておったのに対して、それではだめだということで裁判所を使えということで出たものでありまして、この辺のところとこの審議会というものの構造というのはちょっと難しいところがあるんじゃないかなという気もするので、そこはぜひきちんと問題がないように構造を考えていただきたいなと思っております。  時間が来ましたから終わりますが、最後に一言、ぜひ子供たちのために厚生省は頑張って、お金をたくさんとって負担を減らすよう努力をしていただきたいと最後に申し上げまして終わります。  ありがとうございました。
  134. 清水澄子

    清水澄子君 まず、大臣にお伺いをしたいと思います。  今日、我が国は少子社会を前提とした子育て支援のための理念、そしてビジョンを持つべき時期を迎えていると思います。そして、一方では児童福祉法の制定以来五十年の間に社会経済は大きく変化をいたしましたし、そして女性の社会進出や家庭機能変化、そして子供を取り巻く状況というのは非常に大きな変化を遂げていると思うわけです。  しかし、今回のこの改正案を見ましても、そういう新しい状況に即した児童福祉施策の理念とかビジョンというものが心に響いてまいりません。二十一世紀の少子社会に向けたそういう児童福祉施策の基本理念、長期ビジョンについて、厚生大臣はどのような御所見をお持ちなのか、お伺いしたいと思います。
  135. 小泉純一郎

    国務大臣小泉純一郎君) 児童福祉、児童が健やかに育っていくために社会としてどう支えていくか、これは全体で考えていかなきやならない問題でありまして、子供だからといって大人の言うことを聞くわけじゃない、むしろ子供の権利を尊重しながらどうやって強く優しくたくましく自立した人間として社会に参加していけるかという、そういう体制を親も社会も一緒になって考えていこうという趣旨だと思います。  これから時代が大きく変化する中でも、子は社会の宝であるということに変わりないわけでありまして、基本的には親が子の成長に責任を持つ、これはもう第一義的にどんな時代でも変わらないと思います。しかし、その親の責任というもの、親だけの力には限界がある。そういう中で、社会でどうやって子の健やかな成長に手をかすことができるかということのためにどのような充実策があるかということを我々考えていくべきではないだろかというふうに思います。
  136. 清水澄子

    清水澄子君 今回、この児童福祉法改正というのは五十年ぶりの改正でございますので、非常に私どもは大きな期待をいたしました。  この福祉法が制定された時代というのは、戦争と敗戦の最も痛ましい影響を受けた子供たちをどのように保護するか、そういう状況の中でできたものですから、どうしても要保護児童の保護に重点があったと思います。しかし、この児童福祉法制定のときにでも、それは問題を持つ子供だけではいけない、やはりすべての子供たちの保護を対象としなきゃいけないという中でこの法律の制定が見られたと思いますけれども、しかし当時は子供自身が権利の行使主体という認識は社会そのものにございませんでしたから、親権の客体としての身分的な性格が前提になっていると思うわけです。  しかし、今日、やはり子どもの権利条約を批准したように、社会的にも、また国際的にも子供そのものを権利行使の主体として位置づけるという、こういう時代を今迎えているときにこの児童福祉法改正が何らその目的や理念の中に一言もそういう表現を入れなかったこと、もちろん子供に最善の利益をという言葉はあるんですけれども、そういう言葉を使うのであれば、むしろこの理念の第一条にやはりきちんと子供は心身ともに生まれ育つ権利を有するとか、子供そのものが権利主体であるという考え方、またはすべて子供はひとしく生活を保障され、愛護される権利を有するというふうに書いていくべきではないかと思うわけです。特に、子供に最善の利益を保障するというのがここに表現されていくならば、これからの二十一世紀にどういうふうに子供たちを私たちは育てていこうか、また一緒にどういうふうに育ち合っていこうかという、そこに私は展望があったと思うんです。  今回、全然そういう視点がないという意味で、この児童福祉法改正はこれは本当にただ一部の改正でありまして、私はこれをもっと本格的に、子供の人権を中心にしたようなそういう法改正に続けていくべきだと思うわけですけれども大臣、その点についてどのような御見解をお持ちでしょうか。
  137. 横田吉男

    政府委員横田吉男君) 児童の権利条約との関係でございますが、現行児童福祉法におきまして、その理念として、先生お話しになりましたように、心身ともに児童は健やかに育成されるべきこと、児童は生活を保障され、愛護されるべきことというように規定されているわけでございまして、平成六年に権利条約が批准される際、政府部内でも議論いたしまして、そのときに同条約の趣旨というものはこの理念の中に確保されているということで整理がされたわけであります。  その後、私どもこの児童福祉法改正検討するに当たりまして、どういうふうに対応するかと  いうことが一つの課題であったわけでありますが、今回の結果としての対応といたしましては、その趣旨具体化するという観点から、一つ入所決定の際の児童福祉審議会の意見の聴取あるいは入所の際の児童の意向の聴取、それから最善の利益を確保するための選択制というようなことで盛り込んだところでございます。  子供の最善の利益というようなものが入るかどうかという点についても準備段階では検討を行ったわけでございますけれども、この権利条約の中身そのものを必ずしもそれですべて尽くすことになるかどうか、いろいろな問題がございまして理念を改正するには至らなかったということでございます。こういった点につきましては、今後私ども引き続き検討をしてまいりたいというふうに考えております。
  138. 清水澄子

    清水澄子君 私の質問時間は非常に短いものですから要点だけお答えください。  本当はこの児童福祉法の中の見直さなきゃならない条文はいっぱいあります。三十四条などは、子供にどういうことをしてはいけないかという禁止行為などはもうこの時代に合いませんね。子供にこじきをさせてはいけないとか軽わざ師にしてはいけないとか、そんなような表現が残っているのをそのままにしてあるという、これはやっぱり児童福祉法改正と言うには私たち非常に気になるところです。そして、特に今日子供の性的搾取とか虐待を禁止するというふうなことをむしろ加えることが必要だと思いますが、これはまた次のときに私は質問させていただきます。  そこで、次にお伺いをいたしますけれども保育所入所の選択制ということについて、今度は市町村措置により保育所入所する仕組み保護者保育所を選択する仕組みに改めるということで、いかにも利用者が非常に便利になっていく、そして子供が健やかに育つのだということを先ほどからお答えになっているわけですけれども、その点について伺いたいんです。  その場合、まず最初に確認しておきたいわけですけれども、この措置というところを外したことによって保育に対する公的責任はいささかも変化がないということはまず確認できますか。
  139. 横田吉男

    政府委員横田吉男君) 入所につきまして市町村保育サービス提供義務を負うこと、国庫の負担についても現行どおり負担するということで、変わらないというふうに考えております。
  140. 清水澄子

    清水澄子君 そこで、じゃ本当にこの選択制を導入していくというのであれば、保護者子供ニーズというのは非常に多様なものがあると思いますが、そういう場合にたくさんの選択肢が準備されていなければ、これは本当の意味で私は自由に選択できるということにならない。むしろ逆に、基本的な整備が行われずしてこの選択制ということだけが行われるときに、私はこの保育所間の商業主義的な競争で子供がむしろ犠牲になっていく、そういう危険があるのではないか。また、例えば一カ所も保育所のない地域もあります。そこはどういうふうに選択をいたしますか。それから、一カ所しかない地域もあるでしょう。それはどのように選択を可能にするのか。そういうふうに、選択制といいながら、十分なる基盤整備が行われないもとでこの選択制ということだけが進むときに、やっぱりいろんな問題が起きないか、そのことが一つ。  それからもう一つは、今現在、全国で四万三千六百四十五人の保育所に入ることを待っている、入所できる日を待っている待機児がおります。特に都市部では申請してもなかなか入れない。特に東京とか大阪とか神奈川とか、大都市にその待機児童が多いわけです。しかも、そのうち八割以上はゼロ歳、いわゆる低年齢児が占めているわけですね。その選択ができるということならば、そういう人たちが一番今すぐ入りたいのだろうと思いますけれども、そうすれば厚生省はこれらの待機児童が本当に選択をしてどこへでも入っていけるような受け入れがすぐできると想定されておられるのかどうか、その辺について私はぜひお考えを伺いたいと思います。
  141. 横田吉男

    政府委員横田吉男君) 保育所状況につきましては各地域によって非常に異なっております。全体的に見ますと、入所率が八割ということで量的には充足というか、むしろ過剰という状況でございますけれども、先生御指摘ありましたように、一カ所もない地域、あるいは僻地のようにない地域、それから大都会のように待機児が多い地域、さまざまでございます。こういったところでどうしていくかということであるわけであります。  それぞれの地域の特性に応じて私ども対策を進めていく必要があるかと思っておりますが、基本的にはそれぞれの多様な保育ニーズ対応して、現在緊急保育対策等五カ年事業ということで、特別保育事業ということで乳児保育あるいは低年齢保育、開所時間の延長等、さまざまな対策を進めているところでございます。こういった意味で、今回の制度改正とあわせまして、基盤整備につきましても今後とも一層進めていく必要があるというふうに考えているところでございます。  東京都等におきましては御指摘ように待機児が非常に多いわけでありますが、全体としては東京都においても入所率は八十何%ということであきがあるわけでありますけれども、いろいろなこれは地域の実情によりまして必ずしも希望者が入れるようになっていない、こういった点につきまして、私どもそれぞれの実情を見ながら、なるべく待機児が少なくなるような対策を進めてまいりたいというふうに考えております。
  142. 清水澄子

    清水澄子君 早急に厚生省は施設の拡充や、そして職員の配置などに公的な支援を急いで基盤整備にやはり力を入れる、こういうことを私はやっていただきたい、そのことをぜひお願いしたいと思います。  次に、選択制といいまずけれども、それならば障害児の入所も選択が保障されると考えていいんでしょうか。
  143. 横田吉男

    政府委員横田吉男君) 障害児の受け入れにつきましては、集団保育が可能かどうかという点が一つあるわけでございますけれども、こういった集団保育が可能で日々通所できる障害児を受け入れる場合には国としても補助を行うということで従来からやってきているところでございます。九年度におきましても、八年度と比較して八百三十二人と対象人員の拡大を図ったところでございます。  今回の制度改正につきまして、障害児の入所についても一般の児童と同様に選択利用方式により申し込みを行って保育実施を受けられるようになると考えておりますけれども、これはその障害児を受け入れられるよう保育所を一方において基盤整備という形で実施をしていくこととしておりますので、両々相まって先生の御指摘になりましたよう対応を図ってまいりたいというふうに、考えております。
  144. 清水澄子

    清水澄子君 現在であれば障害児は指定保育所入所させられていると思いますけれども、これではやはり障害児に対する差別につながると思います。ですから、すべてが重い障害だけを持つ子供じゃないでしょうから、やはりこれは今回も取り残された部分と思いますので、これも急いで次の体制に向かっていただきたいと思います。  次に、現実に認可外の保育所に二十二万人の子供保育されているわけですけれども、保護される権利というのはすべての子供が平等に本来持っていると思うんですけれども、そういう場合に厚生省は無認可といいますか、認可外の保育所に対してどのようにレベルアップを図って子供の受け入れ枠の拡大を図っていこうと思っておられるのか、その点についてちょっとお考えをお聞かせください。
  145. 横田吉男

    政府委員横田吉男君) 先ほど申し上げましたように、現在の保育所状況といたしましては、認可保育所だけでも全国的には定員にかなりのあきがある状況でございますので、私ども保育サービスの質の確保と安全性あるいは安定的確保という観点からは今後とも認可保育所保育サービスの提供の基本であるというふうに考えているところでございます。  こういった考えに立って保育所制度のできるだけ弾力化、柔軟なシステムにすることを図るということと、それから一方において基盤整備としての緊急保育対策等五カ年事業を進めるということで保育需要に適切に対応していくことが必要ではないかというふうに考えているところでございます。  無認可の保育所の水準向上につきましては、指導基準等を設け、安全、衛生面の確保というものは必要であると考えておりますので、これについてはこういった点からの指導と、それから基準等において認可保育所に合っているものについては認可保育所への移行を促進するとか、困難なものについては例えば認可保育所の分園方式をとってもらうとかいったような形での検討も含めて進めてまいりたいというふうに考えております。
  146. 清水澄子

    清水澄子君 またそれは次のときに伺います。  それで、この選択制という場合に、どちらかといえば親の便利さといいますか、親の利便性が強調されてきていると思うんです。ある意味ではやむを得ないんですけれども、しかし本当に子供にとってどういうところで保育されるのが最もふさわしいのかということも私はむしろこれからは重視しなきゃいけないと思うんですね。親の職場の近くにというので遠いところに連れていかれる。そういう意味でも、その点ではどのようにお考えになっていらっしゃるでしょうか。
  147. 横田吉男

    政府委員横田吉男君) 保育所については、基本的に地域の中で日ごろ子供同士の触れ合いやあるいは生活リズムといったことを考えますと、居住地に近いところで選択していただくのがよいのではないかというふうに考えているところでございます。  今度の改正によりまして広域入所もできるだけ選択可能なようにしていきたいと思っておりまずけれども、基本的には受け入れ側であきがあるということが前提でございますし、先生御指摘ように、大都市周辺においてはどちらかというと満杯のところが多いというようなこともあるかと思います。それから、各地方公共団体の相互の取り決めが必要になりますので、そういった点が円滑に成り立つということも必要だと思います。こういった点で、広域入所というものはあくまでも例外的ということでありまして、それが一般化するというふうには私ども考えていないところでございます。
  148. 清水澄子

    清水澄子君 次に、今日の保育所の社会的な役割といいますか、位置づけというものをやはりどのようにお考えになるのかということを伺いたいわけです。  五十年前には家庭とか地域子育て機能とか保育機能というものがまだ存在をしていたと思います。しかし、今日は、もう既に皆さん方御存じのように、家庭にも子育て機能というものが非常に減退している。そして、子供も一人で、子供集団の中で、遊びの中で人間的な育ちができる、生きる力をつくるという、そういう環境というものが著しく失われていると思うわけです。同時に、最近の父母は非常に忙しい時間を生活しておりまして、子供と父母がともに暮らせる時間、余裕というのはほとんどどの家庭でも少なくなっておりますし、同時に今度、子供を育てている、特に母親の場合が多いわけですけれども子育てに非常に多くの不安感を持っている。だから、そういう子供を育てるということは五十年前の状況とは随分違ってきていると思うわけです。  そういう意味で、私は特に今日の保育制度は女性の働く権利と、そして両性の平等とか、生まれてくる子供が健やかに生まれ育つ権利、その二つの権利の保障ということが非常に重要になってきていると思います。そういう意味では今回学童保育を法制化されたことは評価をしたいと思うわけですけれども、しかしその場合にいまだに保育に欠ける子供というのをずっとこれをまた踏襲されるわけですね。今私が申し上げたように、今日保育所というのは、そういう働く父母を持つ子供保育園の権利保障とあわせて非常に国民生活に必要不可欠な社会的な福祉制度として定着していると私は思うんです。そういう場合に、なぜいつまでも保育に欠けるということで、先ほどから議論もありましたけれども、ここに限定しているのか。  むしろ保育を要するすべての子供たちを社会的に育てるような、そういう施策をやろうということが重要じゃないかと思うんですね。せっかく四十八条で保育所に相談業務を努力義務にしたり、保育所地域子育て支援センターと位置づけているわけですから、そういうところで子供を振り分けしないように。特に少ない子供です。子供同士が育ち合う、けんかしたり遊んだりする中で子供というのは人間的な成長をするものだと私は思うんですが、その点についてこれを絶対に変えないという理由は何なのか、お聞かせください。
  149. 横田吉男

    政府委員横田吉男君) 先生御指摘になりましたように、児童を取り巻く環境というものは最近大きく変化しているということで、兄弟も少ない、それから共働きが一般化している、専業の主婦におきましても子育て不安があるというような中で、保育所地域における役割というのは大変重要になってきているというふうに私どもも考えております。  こうした意味で、今回の改正の中におきましては、保育所地域住民に対する相談、助言という点、それから従来からこういった点について地域子育て支援センターというものの整備を進めてきているところでございます。今回、入所の対象といたしまして保育に欠けるということを変えていない点につきましては、先ほど来御説明申し上げましたように、基本的には入所について市町村サービス提供の義務を課しているということ、それから公費負担につきまして家庭子育てができる方についてまで行うことについて果たして国民の理解を得られるかというような点、それから幼稚園制度との関連というようなものもございましたので、現段階ではなかなか難しいというふうに考えておるところでございます。
  150. 清水澄子

    清水澄子君 私は、児童福祉法が制定されるときの記録をちょっと読んでみたんですね。  そうしますと、制定当時の法文には、「保育所は、日日保護者の委託を受けて、その乳児又は幼児を保育することを目的とする施設とする」とあって、「保育に欠ける」というのはそれから後改正されていくわけでして、当初はやはり「保育所そのものは広くすべての子どもに開かれた存在」であるべきだ、こういう位置づけが行われております。そして、その保育所の役割、意味についても、当時であっても乳幼児の集団保育そのものを人間の成長発達の保障のために非常に必要な施設だということが位置づけられているわけですけれども、それがすなわち私は保育の目的であり保育所の役割、目的だろうと思うんです。  今日、そういう考え方、理念がどんどん変えられてきている、そういう意味で今回の改正はまだまだ、一面努力を評価する部分もあるんですけれども、もう少し根本的にそういう点を私はもう一度検討し直す必要があると思います。どうでしょうか。
  151. 横田吉男

    政府委員横田吉男君) 先生、今お話しのございましたものにつきましては、これは法案の検討過程で検討された案というふうに承知しておりますけれども、現実には法案として出されなかったものでございます。  そういう意味で、この児童福祉法は当初から保育所の対象といたしましては保育に欠けるという要件を維持しているということでございまして、それとの関連において市町村がその提供義務を負い、公的負担を行うという一つ仕組みになっているわけであります。  もしこの対象範囲を広げるといたしますと、そういったことも含めましてどうするかという広範囲な検討が必要になるのではないかというふうに考えております。
  152. 清水澄子

    清水澄子君 次は保育料でございますけれども、この保育料については非常に多くの人たちがすごく高くなるんじゃないか、どうなるのかという心配をしております。  もともと保育料につきましては、現在でも利用者の中で非常に不平等感が強いわけです。それは税金の不公平がそのまま保育料の不公平につながっておりますし、そして所得税は一方で払いながらまた保育料も税金の額で保育料が決まるという、私はこの制度はいずれ変えなきゃいけない、それはやはり税制を変えていくという問題とかかわっていると思うんですけれども、特に保育料が収入に対して非常に高いという人たちが多くおります。  ですから、子供が三歳になると保育料が下がりますから保育所入所希望者がふえるというふうに、やはりこれまで高い三歳未満児の保育料を払ってきた親というのは保育料について大変な負担を感じているわけです。ですから、とても二人、三人というのはもう保育料を考えただけでもちょっと考えられないということをよく若い女性たちと話していても言われるわけです。  特に子供を産む、育てるという世代というのは非常に若い世代ですから、収入もどちらかといえばやはりまだまだ低い。さっきは夫婦合算の所得をおっしゃっていたわけですけれども、それで随分上がったからというのは、それは他の生活費もずっと上がっているわけですから、やはり若い人たちの収入の低い家庭に重い保育料がかからないよう施策が私は非常に大事なんじゃないかと思うわけです。  そういう意味で、今回の保育料について均一性ということがよく言われていますけれども、その均一性は国の基準だけでおっしゃっていますけれども、現実に市町村が独自施策保育料に上乗せした予算を加えて、そして保育料を軽減しております。  現在、平成年度ベースでいいですから、市町村はどのくらいこの保育料に超過負担をしているのか御存じでしょうか。
  153. 横田吉男

    政府委員横田吉男君) 私どもがつくっておりますのは、御指摘ように、国と地方の精算基準ということでございまして、具体的な保育料につきましては市町村がそれぞれ決めているということでございますが、市町村が国の精算基準以上に独自にそれぞれの地域の実情に応じて上乗せを行っている、それによって保育料を下げているというのが実態でございまして、全国ベースで見ますと大体国の基準の七割ぐらいの徴収率になっているということでございます。
  154. 清水澄子

    清水澄子君 大体六千億円の超過負担と言われているわけですね。そして、保育所だけは児童福祉施設の中で措置費の半分を保護者負担している、あとの半分を国が二分の一と都道府県、市町村で四分の一ずつという、これほど保護者に高い負担をかけている福祉施設保育所を除いてないわけですね。  ですから、そういう意味でもこの保育料というのは、もっと本当にこれからの子供の、子供というのは私たちの未来ですから、どう私たちが育てる人たちの負担を軽くするかというのはとても大きな政策課題だと思っております。  そういう中で気になりますのは、先ほどからいろんな御質問に対して答弁をされているのを聞きますと、今後の保育料年齢ごと保育コストとか、それから保育サービスコストというふうにおっしゃっているわけですけれども、そうなりますと、保育サービスというのは一体何なのかといえば、質のよい保育サービスは人件費になると思います。  そうすると、そういう年齢ごとになれば、低年齢児にはもっと手がかかるわけですから、保育料は高くなるということを言っていらっしゃるのと裏腹の表現だと思うんですね。そうであれば、選択は自由ですよ、これからの子供を健やかに育てるんだという今度の改正の目的と非常にここは相反していくんじゃないかと思うわけですね。  そこで、やはり多くの保護者保育者が今度の改正保育料がどうなるのかととても大きな不安を持っております。そしてさらに、今はこれは急激な変化は防ぎたいということで今回は変えないのかもしれませんけれども、将来は変えるとも聞こえてまいります。  ですから、そういうことでは本当の意味少子化社会、そして子供たちに最善の利益を保障するということとはやっぱり相反するわけでございまして、保育所の今日の社会的役割、位置づけというのは非常に重要なものがございますので、その点は本当に子育てを支援できるような安い保育料の均一ならば私は大賛成でございます。しかし、安い保育料の均一化をするならば、そこにはどうしても公的な予算をそこに投入するということがない限り私はその実行は非常に難しいと思うわけです。  ここで私は大臣にお伺いをしたいわけですけれども、やはり今日このよう少子化子供保育を受ける権利を保障していかなければならないという、そういう状況のもとで、またそういう時代の中で私ども与党三党で保育料についてはこれまでの応能負担を基本としてきた経過を踏まえて現行の水準より後退しないようにしていく、そしてまた低年齢児及び中間所得層には十分配慮した保育料を考えていく、しかもそれは平成年度予算編成において適切に対処するということを合意いたしましたけれども、もう一つ、やはり後退しないようにというふうな消極的な姿勢ではなくて、むしろ積極的に公費負担を行い、そして公的責任を果たしながら子供たちの育つその条件を私たちは保障していきたい、こういうことをぜひ私は厚生大臣に決意していただきたいんですけれども、厚生大臣、ひとつ明確にその点の御決意をお願いしたいと思います。
  155. 小泉純一郎

    国務大臣小泉純一郎君) 結論から言いますと、公費をどんどんふやせばいいという時代は去ったと思います。いかにこれから公費がふやせない段階でお互いが支えていくか、特に今回の保育の問題は、所得に応じて保育料を払うということに対して非常に不公平感が高まってきた。今や所得税を納める親御さんがかつての二割に満たない時代から八割近くになってきたということで、所得の把握度にもよります、税の負担感にもよります、そういう点から今回、所得に応じてということよりももう少し保育にかかる費用、均一的な料金がないものかということで料金の設定の仕方も変えたわけでありますが、当然今までの負担よりも低くなる方と高くなる方が出てきます。それはやむを得ないと思います。  その点、どの程度低所得者配慮するかというその配慮は必要だと思いますが、今後具体的な保育料の設定については今御指摘の三党確認の趣旨、これを十分踏まえて検討していきたいと思います。
  156. 清水澄子

    清水澄子君 お約束をしていただいて、ありがとうございました。  学童保育や教護院は次に質問を回します。  それで、最後に、実は延長保育というところも今度の改正の中で非常に問題が多いところでございまして、これから働く女性の就労形態も非常に多様化をしてきておりますし、均等法も改正されて時間外労働とか夜間労働というのがふえていく、そういう一つの傾向があるわけです。ですから、そういうところで延長保育や夜間・休日保育は多様な保育ニーズとしてあらわれてくると私は思うわけですけれども、そういう中で、親と子供双方の立場に立って最も望ましい公的助成の拡充というのはやっぱり不可欠なんです。ですから、それらについてもぜひこのエンゼルプラン緊急保育対策等五カ年事業もこれをさらに拡充されていくように、そういう意味でももっと積極的な財政のあり方というのは検討をしていただきたい。  この保育所運営費平成年度で国の予算が三千百十七億円なんですよ。そういう意味では、子供たちにたったこれだけの予算しか使っていないというところをむしろ私たちは再度検討し直す必要があると思います。  そして、保育に対する手厚い公的財政支援こそがこの少子社会を変化させていくでしょうし、そして子供を大切にするという、そういう意識を社会全体にも与えていくと私は思いますので、再度私たち三党合意で子育て支援に対する国民の共通認識を得るようさらに努力をしながら、早急に少子化対策の確立とエンゼルプランの拡充を図っていく、そのためにも公費について積極的に対応するということを合意いたしました。この点につきまして、ぜひ厚生大臣の積極的なこのことの実現のために、もちろん私たちも努力いたしますけれども、御努力いただくことを再度お願いいたしまして私の質問を終わりたいと思います。  大臣、よろしくお願いいたします。
  157. 竹村泰子

    竹村泰子君 朝から議論が続いておりますけれども、もう幾度も出てきたわけですが、すべての子供はすべての国家において、また日本国憲法のもとに主権者であり、そして不可侵の人格を持つということが前提で議論がされなければならないというふうに思います、もう言うまでもないことですけれども。  子供は肉体的にも、そして精神的にも未成熟であるという特殊性がありますから、人格も形成途上でありますから、本来人間として当然享受しなければならない人権とか人格とかが侵害されやすく、あるいはまた貧困や傷病などに最も侵されやすい。歴史的にも、あらゆる圧迫と紛争や貧困、飢餓の中で、子供は病魔などの中で常にさらされ、最も残酷な侵害を受けてきたというふうに思います。もう厚生大臣、よく御存じのとおりであります。  そこで、今回のこの児童福祉法改正で、私もいろいろといろんなものを読んだり聞いたりいたしましたけれども、特に子供の保護育成に十分な家庭環境が破壊されたとき、これまでは国家的な保護が与えられると、そういう構造があったというふうに思います。子供の歴史というのは、今も戦争の中で実際に戦っている子供たちがあり、飢餓の中で死んでいく子供たちがあり、受難の歴史と言ってもいいと思いますけれども、こういった庇護するべきかわいそうな対象といいますか、救貧思想といいますか、そういうことではもうないのではないかと。単に施しを受ける立場ではなく、これは女性とか高齢者とか皆同じだと思いますけれども、弱くて庇護されるべき立場だから国家の余力でいわゆる福祉を受ける子供、そういう劣等的な立場に置かれる、換言すれば差別を助長してきたかもしれない、大変残念ながらそういう立場にあったいわゆる受動的な立場子供たちというか、そういうことではもうないのではないかと。  私どもは、この児童福祉法が、先日代表質問でも申し上げましたけれども、五十年ぶりの抜本的な改革ということで非常に期待をしたわけでありますけれども、残念ながら、余り大した改革ではないと言ってしまえばちょっと言葉が過ぎるかもしれませんが、もっと大胆な改革をしてもよかったのではないかというふうに思っております。従来の児童福祉が救貧思想がもとであったということから来ている子供の、何というか、いつも受ける立場のものではなく、子供の福祉を受益する権利の主体として、子供もまた国家の主権者であり、基本的な人権の主体であるという、そういうことからやはりもっと大胆な改革をしてほしかったという思いです。  先ほども意見表明権のところで局長責任ある意見を訴えられるのは十五歳以上であるというふうなお答えをしておられましたが、私はこれはすごく間違っているというふうに思います。一年生の子供であろうと四歳の子供であろうと、きちんと自分の意見を言えるときもある。そして、それが子供責任として重大な意見表明をする場合もある。だから、こういうふうに厚生省が考えている限り子供意見表明権なんというものはお役所として問題にならないわけなんですよね。意見表明権なんて子供に勝手なことを言わせたらどうなるかわからないというふうな考え方になってしまう、どうしてもなってしまうのではないかと。  すべての子供にひとしく人間の尊厳を確保しようとして国連で五九年に子供の権利宣言があり、そして八九年に採択された子どもの権利条約でありました。このことを考えますと、やっぱり今度の理念とか目的とかのところにはどうしても子供の最善の利益とか子供意見表明権とか、そういったことはきちんと入れてほしかった。これはこれからも、まだ過去ではなくて、入れてほしいと、私は強くそう思います。新しい児童福祉法の理念は子どもの権利条約と一緒でなきゃいけないと思うんですね。そういったことで、今回の改正は、政府から出されました案は非常に不十分であり、そして不満足なものであるということを一つ申し上げておきます。  全面的に改められるべき新しい児童福祉の理念、国際的な共通の認識であり共通の目標である子どもの権利条約と一致したものでなければならない、私は強くそう考えますが、大臣大臣の本当に御自分のお言葉で、これらのことについてどうお思いになるか、お答えをいただきたいと思います。
  158. 小泉純一郎

    国務大臣小泉純一郎君) 児童の権利条約等を踏まえるということ、これも大事でありますが、子供を幸せにするという観点、これは条約とか法律では一概に言えない面も多々あると思います。特に、今御指摘ように、救貧的な考えから子供全体の幸せを考えるといいますか、当初は親がいないお子さんを預かるということから、今ではむしろ両親が健在でも保育所お子さんを預かるのが普通の姿になってきたということになると、これはどんなに法整備をしても、親の責任を放棄してもいいということではないと思います。  ある方が、保育なり教育なりの一番大事なことは、三歳までの間に子供をしっかり抱いて、そっとおろして歩かせる、これに尽きるんだと言っています。しっかり抱いて、そっとおろして歩かせる、それは一面、今の親御さんは早くひとりで歩かせようという性急さの余り、しっかり抱くということ、三歳までの間にしっかり抱くという気持ちが足りないのではないかということを言っているのかもしれません。一番大事なことは、三歳までの間に自分は両親から、身近な家族から愛されているんだという気持ちを持った子は必ず健全に健やかに育つということを言っているわけでありますけれども、私は大変大事な言葉だと思います。  まず生まれてから、自分は身近な人に愛されているんだという情緒的な安定を持つこと、そこに初めて自立心が芽生えるんだということを考えますと、どんなに法律が整備されても、まず身近な親、家族が言葉でなくて体全体でお子さんに愛情を持って接すると、そのお子さんは自分は周りから愛されているんだなという感覚を持っていろいろな教育なりを受けて成長していく。私は、そういうことを考えまして、どんなに法律が整備されようとも、一義的には親がそういう気持ちを、また身近な者がお子さんにそういう愛情を持って接する、その中に健全に健やかに強く優しく自立するお子さんの成長が期待されるのではないかと。  そういう中を、基本的な考えを持ってこれから、お子さんにじかに触れられなくても、それは時間の長短ではないと思います。保育所に預けても、そのお子さんに接する方々が愛情を持って、子供の健やかな成長に期待を持ちながら接するという環境を社会全体でどう整えていくかということが私は一番大事ではないかと。  今回、児童の権利条約の趣旨、その点を考えるのも当然大事であります。また、児童の最善の利益が確保されるよう制度をいろいろ充実させていくことも大事でありますけれども、基本的にまず子供環境を整えるために大人がもっとしっかりと責任を持つ、そして大人全体が子の健全な育成にどういう施策が必要かということを考えていくべきではないか。その中で公費の負担も拡充しなきやならない面もたくさんあると思います。また、親御さんがみずからのお子さんの世話を見ていただく場合に、自分のできないことをやっていただくのに対して自分たちがどのよう負担をするか、そういう点も両面考えて子育て支援策を充実していくべきではないかと考えます。
  159. 竹村泰子

    竹村泰子君 大臣、御自分の言葉子育ての哲学といいますか、温かい思いを答弁してくださって大変うれしいんですけれども、しかし法律の制定ですから、やはり私が言っておりますのは法律  の理念の中に大臣が今おっしゃったようなことも、すべての子供は経済的、文化的、愛情的に環境が充実し、そして国や地方公共団体、すべての国民から基本的な人権を保障するために最善の利益が図られなければならないというふうな理念が欲しかったと言っているわけなんで、まさに大臣のおっしゃるとおりだと思いますけれども、そういう私の思いをお伝えしておきたいと思います。ぜひ今後の対策の中でそういった大臣の思い、そして私どもの理念に対する、こうあればいいなという思いを実現していくことをぜひお互い努力をしていきたいと思います。  今度、先ほどから御質問にも出ておりますが、措置制度から利用制度への変更について、保護者がいろいろな情報に基づいて保育所を選択できるようになると。希望する保育所に入れる、保育所を選択できるということは非常に重要なことだと思いますが、とりわけ入所希望者が多い乳児保育、ゼロ歳児保育とか延長保育について充実すること、これも早急の課題であるというふうに思います。  この法律の二十四条の重要な柱である自治体の責任がどのように明確にされているのか、それに基づいて使用目的のはっきりしていた措置費という形で市町村に流れていた公費の支出ルートがどのように保障されるのか、いっどのような形で明らかにされるのか、お答えいただきたいと思います。
  160. 横田吉男

    政府委員横田吉男君) 今回の改正案によりまして、入所方式市町村行政処分による措置という形から保護者の選択による利用方式に変わることになるわけであります。  これについての市町村責任ということでございますけれども入所そのものは市町村に行うということで、申し込みについては市町村は応諾しなくてはいけないという義務を法律上課しております。保育サービスの提供について市町村は義務を負っているということでございます。  それから、負担の面につきましても、市町村が現在措置費という形で保育所に対し運営費を支弁する形になっておりますけれども、今回におきましても市町村保育所に支弁した運営費につきましてはその一部を国が負担するという形になっておりまして、これも現行と変わりがないということであります。負担割合についても変更はないということでございます。  これについてはそういう法律になっておりますので、今までどおりの市町村責任というものは明確になっているというふうに私ども考えているところでございます。
  161. 竹村泰子

    竹村泰子君 最低基準についても結論が出ていないというふうに聞いております。  まず、今度の審議会の結論が出ないうちにこの法改正を出してしまったということについても私は大変疑問が残るのですけれども、この最低基準についてはどのような審議過程で、あるいは関係市町村意見聴取をするのかどうか、どのような方法で結論を出すまでに意見聴取をするのでしょうか、お答えいただきたいと思います。
  162. 横田吉男

    政府委員横田吉男君) 今回の改正案が成立した場合には、施行は来年四月一日を予定させていただいておりますけれども、私どもそれに向けて早急に実施準備の方も進めていかなくてはいけないというふうに考えております。  御指摘の最低基準につきましても、今回の制度改正を受けましてどのようにしていくのか、この点については改めて児童福祉審議会の方にお諮りをいたしまして、できるだけ早く内容を固め、実施の準備に入りたいというふうに考えております。その過程におきましてはさまざまな方の御意見もお伺いしたいというふうに考えているところでございます。
  163. 竹村泰子

    竹村泰子君 市町村の現場の保育に当たっておられる方たちとか、あるいは父親、母親の代表の方たちの意見をぜひ聞いていただきたい。現場には本当にさまざまな問題がありまして、最低基準が守られているからいいというものでもなく、今後どういうふうに最低基準を動かしていくのかということについても非常に大きな問題を抱えていると思いますので、ぜひ審議会での御意見の聴取に当たっては参考にしていただきたいと強く要望しておきます。  私の住んでおります札幌市ほか十二大都市、全部で十三大都市児童福祉主管課長会というところが二月六日に要望書を提出しております。この内容につきましては、さまざまな問題が広く取り上げられておりまして、一々ここでお返事を聞いておりますと時間がそれだけで全部なくなってしまいますのでお聞きはいたしませんが、この最低基準の問題も入っております。それから、多様な保育サービスの拡充、つまり乳児保育、障害児保育、一時保育保育時間の延長など、こういった多様なニーズ対応する事業について、ぜひ実情に見合ったものとなるように国庫負担をきちんと保障してくださいというふうな要望もありますが、これに対して厚生省はどのようにお答えになったのでしょうか。
  164. 横田吉男

    政府委員横田吉男君) 今回の法改正の準備に当たりましては、昨年十二月から本年三月に全国児童福祉主管課長会議を開催するなど、機会をとらえまして地方に対する説明、意見交換の場を設けさせていただいております。今後も可能な限り地方公共団体の要望も踏まえながら進めてまいりたいというふうに考えております。
  165. 竹村泰子

    竹村泰子君 先日、三月二十九日に児童福祉法改正シンポジウムというのが東京で開かれました。厚生省は御存じだったかと思いますけれども、この参加者の人たちから何が問題なのかということで二点要望が出ております。  一つは、私が先ほどから申し上げておりますように、権利条約の趣旨を尊重して児童福祉法の総則に子供が権利の主体であることを明記し、子供の人権が保障される内容とすることが必要である。もう一つは、児童福祉法改正に当たって広く国民の声を聞きかつ尊重することと、今私が申し上げましたように、市民、児童福祉関係職員の意見を十分に聞き、もちろん子供意見も十分に聞き、そして政省令、通達等についてもこの趣旨を尊重して策定してほしいという要望が出ておりますが、このことについてどう思われますか。
  166. 横田吉男

    政府委員横田吉男君) 今回の改正案の策定に当たりましては、昨年三月から十一月末に至るまで、中央児童福祉審議会におきまして御審議をお願いしてきたところでございます。また、さらにその後の準備に当たりましても、各地方知事会、それから市長会、町村長会、それから保育関係の団体、利用者の方々、私ども可能な限りにおきまして御意見をお伺いしながら策定作業を進めてきたところでございます。  先ほど来御指摘いただいております点につきましても、今後審議会の意見あるいは関係方面の御意見も伺いながら進めてまいりたいというふうに考えております。
  167. 竹村泰子

    竹村泰子君 今回の法改正で幾つか評価できるところもあります。例えば児童自立生活援助事業と新たな項をお加えになりまして、保護するだけではなくて自立を支援するという、そういうことをあらわしておられます。それから、同じく第六条に新たに放課後児童健全育成事業をお加えになった。これは学童保育に法的な根拠を与えるという意味で評価をしているところです。やはり働く両親が多くなってきておりますから、子供たちの放課後というのがとても気にかかりますし、そういう意味で大変この部分は私どもも評価しているんです。  しかし、例えば先ほどもどなたかから御意見が出ておりましたけれども現行児童福祉法は三十四条の中で子供にしてはいけない行為を列挙して、その違反については処罰規定を設けて臨んでおりますけれども、その禁止行為の類型は、例えば「身体に障害又は形態上の異常がある児童を公衆の観覧に供する行為」だとか、これはちょっと言いたくない言葉ですが、物ごいと言っておきましょう、これは法律に入っているんですけれども私は口にするのもはばかられる言葉ですが、児童に物ごいをさせたり児童を利用して物ごいをする行為とか、「酒席に侍する行為を業務としてさせる行為」とか、「淫行をさせる行為」とか、おおむね非常に古典的な形態に限られております。今日、子供の生存や発達を支援する大人が、そういう意味で大きな社会問題となっている体罰だとか児童虐待だとかいじめだとか、そういう子供が受けている大きな侵害行為、このことを有効に禁止するものとは全然なっていません。なっていますか。今のこの三十四条に列挙されている数々の項目をずっともう一度大臣もお読みになってみてください。こういう古典的なものをそのままここに、改正もせずにずらずらこれを並べて新しい改正法だといってお出しになるこの神経。  そして、私どもが強く要望しておりました子供をポルノなどの材料として使ってはならない、あるいは買春の、大人の責任として、子供たちを買春の相手として買ってはならない、こういうことを入れたいと強く望んでおりましたけれども、やはりここにそういったことを列挙することは非常に難しいということを聞いております。  やはり、この児童福祉法子供にしてはいけない行為、それにふさわしい内容に整理、改正されなければならないだろうと思いますが、このことについてはどう思われますか。
  168. 横田吉男

    政府委員横田吉男君) 児童福祉法の三十四条にいろいろな禁止行為の規定がございますが、御指摘のポルノあるいは児童買春等の問題、これは私どもといたしましても大変深刻な問題であると考えております。ただ、児童のいわゆる買春行為ですが、あるいはポルノの問題については刑法等によりまして実体法の面では一応の対応が図られているところがあるわけであります。  今後、御指摘の古い表現もあるということでございますが、この見直しにつきましては、国際的な協力体制をどうしていくか、そういった司法共助のあり方、あるいは禁止する場合の罪刑法定主義、あるいは表現の自由といった関係もあるかと思います。こういった面で広範囲な検討を要する課題がありますので、言葉の表現の問題も含めまして、私ども関係省庁と連携をとりながら今後の課題として検討させていただきたいというふうに考えております。
  169. 竹村泰子

    竹村泰子君 大変残念に思います。引き続き、きちんとこういつたことを改めた本当によい法案を近い将来出すことができるように私も期待をしたいというふうに思います。  延長保育のことにちょっと戻しますが、大臣、女性の就業と子育てということでエンゼルプランを厚生省はお出しになっておられます。  エンゼルプランにつきましてもまた言いたいことがたくさんあるんですけれども、これはお出しになったけれども、地方自治体にはエンゼルプランをきちんとつくるように、計画をするようにという命令を出しておきながら、厚生省の方のエンゼルプランはまだ実行段階には入っていないというふうに私は見るわけなんです。一応言葉は並べていらっしゃいますけれども、じゃどうやって実行していくのかというところまでは行っていないというふうに思います。  児童福祉施設最低基準第三十四条は、子供を預ける時間というか、一日につき八時間を原則というふうにしておりますけれども、昼休みは一時間、そして通勤に要する時間が往復約二時間もかかるようなこういう状態の中で、現状にふさわしくないのではないかと。私も子供が十時間も十一時間も十二時間も保育所にいるということの子供負担ということを考えないわけではありません。そして、それが子供にとって果たして幸せなのかどうか。やっぱり彼らは彼らなりにとても緊張しているんだろうと。社会ですからね、子供にとっては。社会の中で緊張しているんだろうと思いますから、必ずしもどんどん延ばせと言っているわけでは決してありませんけれども、しかしこういう状態で八時間。そして、これは長時間保育子供にとって好ましくないという厚生省のお考えもあるというふうに聞いておりますが、ここのところはお母さんたちが大きな悩みを持っておられると思います。  今は国費が四分の三、それから利用者が四分の一を負担しているというふうな、変則的と言っては変則的ですけれども、そういう形でこの延長保育が行われているんですね。ここのところは、もし私が働いている母親だったら、例えば電話をして、済みません、きょう遅くなるんですけれども一時間、二時間長く預かっていただけませんかみたいな、きょうは早く帰れますから早く引き取りますみたいな、そういう柔軟な対応ができると一番お母さんたちは働きやすいのかなという気もするんです。  私が言いたいのは、要するにそういう柔軟な、フレキシブルな対応と同時に、国のこういった延長保育に対する負担割合、これをどうか減らさないでいただきたい。子供たちを安心して預けられる、時には長くなるかもしれないけれども安心して預けられる、もちろんそのための職員の手当といいますか、職員に対するケア、こういつたことをきちんと保障してほしいと思うのですが、大臣、どのようにお考えですか。
  170. 小泉純一郎

    国務大臣小泉純一郎君) 子供にとってみれば、そんなに長く親元を離れているというのは望ましいことではないと思いますが、親の立場もあると思います。今言われたような、ちょっと延長してくれとか、ちょっときょうは早く帰れるというような柔軟な対応がとれるような形には私もしていく必要があると思います。  そして、今後延長保育については各保育所においてもかなりこの問題に対する要望が強いようですので、私はこの点のサービスはかなり拡充していくんじゃないかと思います。その中でどういう負担がいいのか、今後公費の負担がどの程度で、利用者負担がどの程度でいいのか、現状のままがいいのか、あるいは改善すべき点があるのか、その点は今後の利用者の動向等を踏まえて検討していきたいと思います。
  171. 竹村泰子

    竹村泰子君 よろしくお願いいたします。  保育料について少しお伺いしたいと思いますが、保育料を均一とするという最初のお考えで、厚生省はサービスの提供に応じてコスト負担するのが基本的な考え方として保育コストに対する公的負担の過大なことを強調しておられました。そして、中堅所得層の夫婦共働き家庭を中心とした保育料負担を軽減することがねらいと。私たちは、そうなのかなと。公的負担の過大なことを強調しておられて、中堅所得者層の家庭保育料負担を軽減するということには余り力が置かれていなかったのかなというふうに思うんです。  保育料につきましては、先ほどからも御議論がありますとおり、公費負担は後退させないということで当面というか、今のところそういうふうに言っていらっしゃるんですが、先行きの約束がないというか、もしかしたら十年後、二十年後には公費負担は大幅に軽減されて利用者負担が非常に高くなっているかもしれない。さっきもどこで均一保育料にするのかと厚生省にお聞きしますと、行く行くは均一の保育料にしたいというふうにお考えのようですけれども、どのあたりで均一にするのかということが非常に重要です。  公費の負担削減を目指しておられるのであるとすれば、やはり私たちはこれはすべてのことに、少子化を悩む国の問題としても、あるいはそのためにお立てになったエンゼルプランあり方にしても、そして子どもの権利条約にしても、女性のためのあらゆる差別撤廃条約にしても、またILO条約の夫婦における家庭の共同の責任という条項にしても、すべてのことに反するのではないかというふうに考えますけれども保育料延長保育等、今回問題となった事項についての概算要求の考え方、先ほど平成年度予算でというお答えがございましたけれども、今後のもう少し長いスパンでの考え方をお聞かせいただきたいと思います。
  172. 横田吉男

    政府委員横田吉男君) 今回の改正案におきましては、公費負担について、市町村保育所に支弁する運営費の一部を国が負担するという形は現行どおり維持すると、その負担割合についても基本的には二分の一ということでございますので、今回の制度改正に伴いまして将来公費負担の水準が下がってくるということは、制度改正をやれば別でございますけれども、維持されるというふうに考えているところでございます。  それから、保育料の考え方につきまして、従来の所得に応じた負担という考え方から、保育コスト基礎として家計に与える影響を考慮して決定するという考え方に変わるということで、基本的には私どもできるだけ差のない保育料を目指したいというふうに考えておりますけれども、これをどうしていくかということにつきましては、毎年毎年の予算編成の中で決定されていくということで、現行もそうなっているわけでございまして、いつの時点でこれを一本にするのかどうなのかということは、現時点では今後の推移を待たないとなかなか見通しがしにくいというふうに考えております。それと同時に、均一化とはいっても家計に対する影響を考慮して定めるということでございますので、低所得者に対する配慮というのは今後とも引き続き必要になるというふうに考えているところでございます。
  173. 竹村泰子

    竹村泰子君 私、やっぱり理念の問題だと思うんですね。私たちの国が、子どもの権利条約を批准した国がどのようにして子供たちをみんなの力で育てていこうとしているのか、そのことがやつぱり、少子化社会に向かってもお母さんたちあるいはお父さんたちが働きながらどうやって子育てをしていけるだろうかということの環境づくりという意味で非常に大きな、今後の労働力という意味でも非常に大きな問題だというふうに考えますので、ぜひ大臣、今後の長い将来のことまで担保しろとは言えませんけれども、ぜひ理念をきちんと立てていただきたいというふうに希望して、残りの問題は次の機会に譲りたいと思います。  ありがとうございました。
  174. 西山登紀子

    西山登紀子君 まず、理念の問題についてお伺いをしたいわけですけれども、私も今度の児童福祉法改正、五十年ぶりだということで、やはり子供の権利主体、こういう点が理念に当然盛り込まれているだろうというふうに思っておりました。ところが、そういう点が明記されておりません。  子どもの権利条約というのは一九八九年に国連総会で採択をされておりますし、子どもの権利条約の第二条には、締約国は、「いかなる差別もなしにこの条約に定める権利を尊重し、及び確保する。」、子供の権利を確保すると、こういうことがきちっと明記をされているわけです。  大臣にお伺いしたいわけですけれども子供をこのような権利主体として見る、こういう点が世界の流れ、国際的にもそういうことが流れとなつ  ているのではないでしょうか。
  175. 小泉純一郎

    国務大臣小泉純一郎君) 児童の最善の利益を図るよう配慮する、これは今日の社会においてそういう認識が定着していると私も思います。
  176. 西山登紀子

    西山登紀子君 大臣も今お認めになったわけですけれども、こういう流れがやはり国際的な流れなんですね。  ですから、そういうもとで、しかも日本は子どもの権利条約を批准してから初めての大改正ということになるわけですから、当然この点をこの法改正には盛り込むべきだったというふうに思うわけです。日本弁護士連合会も会長声明でその点を盛り込むべきだというふうに主張をしておられるわけです。  障害者基本法には第三条で、「すべての障害者は、個人の尊厳が重んぜられ、その尊厳にふさわしい処遇を保障される権利を有するものとする。」と、こういうふうにきちっと権利規定がされているわけですが、日本弁護士連合会はそのような、それと同様の権利規定を今度の法改正にも置くべきじゃないかというふうに提言もしていらっしゃいます。私もそれは当然だというふうに思うわけです。例えばこのような文言、すべての子供はその個性が尊重され、社会の一員として重んぜられ、よい環境の中で育てられる権利があるというふうな、そういうふうな権利規定を置くべきではないかと考えるわけです。  なぜこういう子供の権利を、大臣もお認めになっている国際的な流れをこの法改正に明記されなかったのでしょうか、大臣にお伺いいたします。
  177. 小泉純一郎

    国務大臣小泉純一郎君) なぜかと言われますとちょっと困るんですけれども、いろいろ考え方はあると思います。今言われたような理念の見直しについては、今後やっぱり検討課題にしていきたいと思います。
  178. 西山登紀子

    西山登紀子君 せっかく批准をした後の改正なんですから、やはりきちっと明記をすべきであった、この点は非常に残念だというふうに思います。  それで、今回の法改正の非常に重要な点は、保育所制度を変えるという問題、保育所措置制度をなくすという問題なんですね。この点で少し私は歴史的に見てみたいなと思うわけです。  実は私も仕事を持ちながら子供を三人育ててまいりました。産休明けの保育所からさまざまな形で苦労をして今日まで仕事を何とか続けることができたわけですけれども、そのよりどころというのは今の保育所措置制度です。ですから、私もこの点、もう子供も成人して上の子供は結婚しましたけれども、この間に、つまり六〇年代、七〇年代の日本の働く女性の一人として私はこういう保育所措置制度にかかわってきたというふうに思っております。支えられてきたとも思っております。  現在、実に五人に一人は保育所で育っている子供であります。ですから、措置制度という場合に、その内容は何かということです。  現行児童福祉法では、措置制度というのには幾つかの条項がありますけれども一つは第二十四条、これは子供保育に欠ける状態にある場合には市町村保育所入所させなければならない、あるいはまたそれにかわるちゃんとした保護を加えなければならないという入所措置権ですね。  それから二つ目は、第四十五条ですけれども、全国どこでも一定水準の保育を保障するため国が最低基準を定めなければならない、これが四十五条です。  三点は、保育にかかる費用を国、それから都道府県、市町村が一定割合で負担をしなければならない、つまり費用を国や自治体がきちんと保障する、負担する、こういうことを五十一条、五十三条、五十五条、五十六条、こういうところにき一ちっと明記されております。ですから、児童福祉法における保育所措置制度というのはそういう内容を持っているものと私は理解をしているわけです。  不十分な点はありますけれども、今日の日本の女性が仕事を持って働き続けてきて、今、有配偶の女性の雇用者は千百七十万人というふうに言われておりますけれども、これは日本経済を支える非常に大きな力になっているわけです。そういう女性の社会進出を支え、また子供たちを五人に一人は保育所で育てているその水準は全国共通の水準、ほぼ最低基準でどこでも同じような水準で子供が育てられている。よりよい環境で育てようという現場の保育労働者や保育園経営者の皆さんの御努力もあります。  そういうふうに公的に支えてきた、これが保育所措置制度であるというふうに思うわけですけれども大臣はこの保育所措置制度の果たしてきた役割、これをどのように評価されているでしょうか。評価すべきだと思うんですけれども、いかがでしょうか。
  179. 小泉純一郎

    国務大臣小泉純一郎君) 保育所措置制度については、今までの社会の中で一定の役割を果たしてきたと思います。しかし、この措置制度がいいのかどうかという議論が出てきて今回の法改正につながってきたわけであります。  いろいろ女性の就労状況にも変化が出ております。また、保育所に預ける親御さんの環境も違ってきた、所得構造も違ってきた。そういう観点から、今回、所得に応じて保育料という考え方から、保育費用に見合ったよう料金を徴収した方がより公平ではないか、そしてなおかつ利用者保育所を選べるという方がむしろこれからの社会に適しているのではないかということから今回の改正案を御審議いただいているわけでありまして、私は措置制度も今までの中で一定の役割を果たしてきたんだというふうに考えております。
  180. 西山登紀子

    西山登紀子君 大臣、一定のということでその役割はお認めになったわけですけれども、私は具体的に措置制度の中身で御提案をしているわけなんですよね。保育所入所における措置権の問題、それから最低基準の問題、それから費用をきちっと国や自治体が保障するという点での全国共通の保育水準を維持するという点、それから女性の社会進出を不十分でありますけれども支えてきた点、こういうような点での役割の評価を期待しているわけです。    〔委員長退席、理事情水澄子君着席〕  続けてお聞きしたいわけですけれども制度はそういうことなんですけれども、しかしそれで十分であったかというと決してそうではありません。私もそうですけれども子供を産む場合、あるいは産もうとする場合には必ずといっていいほど仕事をやめるのか仕事を続けられるのかどうかという二者選択を迫られてきたものです。まるで綱渡りのようにして子供を育ててきたというのが、一人一人の今までの日本の女性の皆さんはみなそうだと思いますけれども、本当に綱渡りをしながら、そして中には子供を断念したりあるいは仕事を断念したり、そういう苦労をしながら今まで働き続けてきた。  ですから、措置制度という制度はあったとしても、それが十分に保育行政の中で生かされてきたかというと、大変不十分な点はある。最近、特に核家族化、労働形態が非常に多様化してきたという点で、産休明け保育だとか延長保育、夜間保育乳児保育、障害児保育、つまり子供の全面的な発達を保障していくという点での保育所の整備というのはまだまだやっぱり十分ではない。保育所というのは単に一時間子供を預けるというものではありませんし、子供は一日八時間以上保育所にいるわけですから、またさまざまな子供が生まれてくる、そういう子供対応するということですから、これは非常に多様な保育形態が必要になっていると思うんです。  ところが、この点で保育行政が十分ではなかった、こたえられていなかったという点も一つあって少子化という現象が起きているのではないかなと思います。この点での行政の不十分さという点は大臣はお認めになるでしょうか。
  181. 小泉純一郎

    国務大臣小泉純一郎君) 私は、保育所が不十分だったから少子化になったとは思っておりません。少子化の原因というのは多様ではないかと思います。そして、お母さん方が仕事を持って子育てするこの御苦労、本当に大変だと思います。実際、子供を持ってみて、仕事がなくて子供と一緒に遊んでいるだけでも、これは仕事以上に疲れる場合もある。そういう中で、仕事をしながら育児というのは、これは大変な御苦労だと思います。  そういう面において、保育所の果たした役割は多いし、これからますます女性も仕事を持つようになる。女性の育児が男性も、その役割分担といいますか、育児をするようになる。家事、育児をともに男も女も分かち合うようになる。そういう中でも、夫婦ともに仕事に出ていれば、当然子供に対してはだれかがどこかでその間世話をしなきやならないということを考えますと、その世話をしてくれる施設なり保育所なりは、できるだけお子さんのためになるようサービスを考えなきゃならない。  今後、保護者保育所を選ぶような形になるということは、裏返して言えば保育所保護者から選ばれるわけですから、必然的に私は保育所も今まで以上に努力しなきゃいけないと思います。そういうことによって保育水準が図られ、これがお子さんのためにも、またお子さんを持った家庭にとってもよりよい効果をもたらすのではないか。また、そのような対策を充実していかなきゃいけないなと考えます。
  182. 西山登紀子

    西山登紀子君 大臣の認識が、保育所が十分じゃないから少子化になったとは思わないとまで言われたんですけれども、これはエンゼルプラン自体が子育て支援策、それに保育所をもっと充実させなきゃいけないということを方針化していますからね。その議論はあれしまして次に行きますけれども、私はやはり十分じゃないと。今の保育行政が社会的要請にこたえられていないという点が問題になっているわけですが、本改正は主にこの保育制度改正に重点を置いたものになっています。    〔理事情水澄子君退席、委員長着席〕  二十四条の改正ですけれども、今までるる述べられてきましたけれども保護者の申し込みがあったときというふうになっているわけですが、これは措置制度を廃止することでありまして、これに伴って保育所措置施設から外れるということですか。
  183. 横田吉男

    政府委員横田吉男君) 今回の改正によりまして、二十四条では保護者の申し込みを前提といたしまして、申し込みがあった場合には市町村が応諾しなければならないということで、市町村の方にサービス提供義務を法律上課しているということでございます。したがいまして、従来のように行政が措置という行政処分によって児童措置するということはなくなりますので、その意味では措置施設というものはなくなるということであります。
  184. 西山登紀子

    西山登紀子君 最後のところが聞こえなかったんですけれども
  185. 横田吉男

    政府委員横田吉男君) 失礼いたしました。  従来のように行政が行政処分によって入所させるという仕組みはなくなりますので、その意味措置施設ではなくなるということであります。
  186. 西山登紀子

    西山登紀子君 保育所措置施設ではなくなるということです。  この措置制度の廃止については多くの父母、それから保育園の経営者から不安の声が上がっているわけです。私もいろいろなところでお聞きをいたしました。  措置制度をなくす以上はそれに弊害があったというふうに思われたからだと思うんですけれども措置制度にどのような弊害があったのでしょうか。
  187. 横田吉男

    政府委員横田吉男君) 今申し上げましたように、保育に欠ける子について行政が行政処分によって入所をさせるといういわば強制的な仕組みというのは現行制度でございます。これによりまして保護者なり子供が自分が入りたい施設に入るということは制度上はできないわけであります。実際上におきましては、その保護者なり子供から入所希望をとっているという状況にございますけれども、現実には保育所定員に満たない場合であってもなかなかそこに入れない、別の保育所への申請を勧められるというような例、あるいは既に入所している保育所から希望しない保育所措置がえということで移されるような場合というのも出ておりまして、こういった点は現行制度のマイナス面ではないかと思います。  今回は、こういった点を改善するために、利用者の視点に立って選択的な仕組みに変えようとするものでございます。
  188. 西山登紀子

    西山登紀子君 私も実際この措置制度のもとで保育所に何度も入所させていただいておりますから、経験上からいっても、第一希望から第三希望まできちっととっていただいて、なるべく親の意向に沿うようにとケースワーカーの福祉事務所の方に大変努力をしていただきました。  おかしいんですけれども、つい最近、厚生省の全国児童福祉主管課長会議というのが三月十七日にあったんですけれども、厚生省自身が今の措置、強制的に自分の意に沿わない保育所に入れられたという弊害はなかったというふうに言っているんですね。その部分、私が入手した資料ですけれども、こんなふうに言っています。  いままでの実態としては、保護者の意に反して保育所入所させるということはなかったと理解していますが、ある意味で、法律上、一定整備したという主旨になるかもしれませんが、措置制度、要するに理論的にいえば、とにかく保育に欠けている子どもというものを行政の側で発見して入所させるというのがいちばん原始的な意味での措置制度ということでして、その制度というものを改めるということに伴っての規定の整理ということです。いままでも実際には申込みに基づいて入所ということをおこなっているわけですし、ほかの児童福祉施設もそうですけれど、親御さんの意に反して施設に入れてしまうということ、措置をするということは、基本的にはなかったものと理解しています。 このように、三月十七日の厚生省の全国児童福祉主管課長会議で厚生省の某課長さんが言っている言葉であります。  急に措置制度は強制的だから悪いという論調が出てきたんですね。九二年ごろから急に出てきたんですね。それで、九三年ごろ大運動が起こりまして、国民の皆さんが反撃をいたしまして、自由契約方式にしようだとか、五百万円以上はどうのこうのという議論をずっと厚生省はやってきているわけであります。  措置制度重要性については、例えば日本弁護士連合会の意見書では、「保育に欠ける子ども保育所に入れる義務があるとしている児童福祉法第二十四条が、唯一、子ども保育所に入る権利を保障している規定である。」と。子供にとっては権利なんだというふうに規定をしていらっしゃる、日弁連は。  ですから、私は措置制度の廃止というのは、国や市町村保育所入所にかかわる公的責任があいまいになるだけではなくて、子供保育所に入る権利が保障されなくなる、あるいは後退する、こういうことになるのではないかと思うわけですけれども、いかがでしょうか。
  189. 横田吉男

    政府委員横田吉男君) 現行の二十四条におきましては、市町村措置という一つ行政処分によりまして、その反射的な効果として保育サービスを受けられるようになるということでございまして、これをもって保育を受ける権利を児童に認めたというふうには私ども考えていないところでございます。  そういった意味で、今回の規定におきましては、申し込みがあった場合には市町村は応諾しなくてはいけないということではっきりと義務づけているわけでありまして、こうした点につきまして、保育サービスの提供についての市町村責任というものは今回の法律でさらに明確になっているのではないかというふうに私ども考えておるところでございます。
  190. 西山登紀子

    西山登紀子君 応諾の義務ということですけれども、やはり今までのようなきちっと入所をさせなければならないという国の義務、そういうところがら見ますと、申し込みがあって、それに契約をするということですから、私は弱くなる、後退するというふうに大変危惧をいたします。  しかも、本改正保護者の意向を入れた、入れたということで大きな改正点だというふうに言われているわけですけれども、今までも通達で親の申し込みが前提となっていたと思います。  ですから、より親の意向を、親の顔が見えるというふうに今説明を聞いたわけですけれども、そういうふうに改正ようというのであれば、現行の二十四条に親の意向を尊重するというふうな条文を加えればよかったのではないですか。その点は検討なさったのでしょうか。
  191. 横田吉男

    政府委員横田吉男君) 現行措置制度における申し込みというか、入所制度につきましては、利用の申請というものはあくまでも事実上の申請ということで市町村行政処分の契機となるという位置づけでございます。これによりまして、制度的に利用者が選択する権限がないということは変わっていないわけであります。今回の仕組みにおきましては、利用者が選択できるということで、あくまでも利用者の視点に立った入所制度改正ようとするものであります。
  192. 西山登紀子

    西山登紀子君 親の願いというのは、単に第一希望、第二希望、第三希望を出すだけではなくて、実際に入れてもらわなかったら困るわけですよね。もうその日から仕事をやめなくちゃいけない。その点では本当に、お父さんもそうでしょうけれども、特に女性にとっては本当に保育所入所できるのかどうかというのは、自分の職場を失うのかどうかということの瀬戸際に立たされるということですよ。そういう点で、希望は出せたけれども最後にはだめでしたよというふうな返事を私も受けたことがありますよ。そのときには本当にもう体じゅうから血の気が引くような気がいたしました。  だから、そういう場合、もう今の措置制度のもとでもそういう経験があるけれども、しかし、その点でもなおかつ国はそういう子供措置する義務があるのだということで、自治体の前に子供を置いてそういうことを主張した勇ましい女性もいますけれども、そういう一つの支え手として、支えの制度として措置制度というものを私たちは今まで活用してきたと思います。親は単に希望を出せるだけじゃなくて、きちっと入れてもらわなかったら困る、これが親の願いです。  ですから、措置制度をやめることによって本当に入れるのかということですよね。朝日新聞では「選択できても「狭き門」」という見出しが出ているわけですけれども、先ほども清水議員の方からお話がありましたけれども、待機児の問題ですよね。厚生省の調べでも全国で今四万五千人待機児があるというようなことで、特に一般的にじゃなくて零歳児の場合を見ますと、東京はその中で四三・二%、愛知は三三・一%、大阪は四一・六%、兵庫は二〇・三%、沖縄は六八・三%、政令指定都市でも仙台市が六三・四%、川崎市は実に九一・三%が保育所入所できない状況にあると。ですから、選択はできても狭き門、まさにそうだと思います。  これでどうして親が選択できるようになると厚生省は言えるのかと、希望どおり入れるというふうなことが言えるのでしょうか。
  193. 横田吉男

    政府委員横田吉男君) 全国的には入所率は八割ぐらいの状況にあるわけでありますけれども地域によって非常に大きな違いがありまして、御指摘ように、東京みたいなところにおきましては待機児が多いというのも事実であります。ただ、これもいろいろな状況がございまして、東京都においても全体としての入所率というのは八〇台後半ということで、九割までいっていないかと思います。これは個々具体的にどういつだ状況か見ていく必要があると思っておりますが、私ども基本的には、今回の改正によりまして選択される保育所ということになりますので、施設としてやはり利用者から選択していただくための創意工夫が求められるという点があろうかと思います。  それから、情報公開によりまして、どこの施設に何人入っているかということも、これは公知の事実になってくるわけでございますので、そういった面で効率的な入所も行えるようになる、まだあきがあるのになかなか入れないという状況はなくなってくるのではないかというふうに考えておるところでございます。
  194. 西山登紀子

    西山登紀子君 措置制度をやめたから待機児がなくなるのか、その点の飛躍がありまして、どうしても理解することができないわけです。厚生省は選択できる、親の希望がかなうと、こういうふうに宣伝をしているわけですけれども、私はやはりそれは違うというふうに思うわけですね。要するに、多様な要求にこたえる保育所が足りないということがそもそもの問題であり、しかもそれが原因の一つとしてやはり少子化を招いているということだと思います。  一九八一年七月十日の第一次臨調答申では、保育所は全体として抑制するというふうになっているわけです。国としてこの状態をどのように改善していくかという点なんですけれども、全体として抑制するという臨調方針の中で「その新設は、地域の実情に配慮しつつ、」というふうになっているわけですけれども、その御配慮は引き続きやるわけですね。
  195. 横田吉男

    政府委員横田吉男君) 大都市などにおきましては待機児童が大変多いわけであります。また、周辺地域においても人口が急増しているというようなことで、地域によっては保育所が足りないということがあるわけでありますので、国といたしましてはそういった地域状況を見て新設の希望があれば積極的に対応してまいりたいというふうに考えております。
  196. 西山登紀子

    西山登紀子君 その場合、国庫負担金は当然認可されるわけですから支給はされるわけですよね。
  197. 横田吉男

    政府委員横田吉男君) 整備費及び運営費につきましては、当然のことながら法律上の国庫負担の対象になります。
  198. 西山登紀子

    西山登紀子君 次に、保育料の問題についてお伺いをしたいと思います。  これも先ほど来議論に出ている点ですが、若い共働きの夫婦の場合、今やはり保育料が高過ぎるという、これに悲鳴を上げているということです。子供が二人いますと十万ですが、これは高額所得者というふうには言えないと思うんですね。夫婦で公務員のような場合にはすぐそういうふうな基準になってしまうというようなことであります。  今回の法改正で五十六条が改正をされているわけですけれども、これは保育所の性格が二十四条で措置施設ではなくなる、措置施設が外されるということですから、二十四条で保育所の性格が変わったということからこの五十六条の改正内容は出てきていると思うんですね。措置施設でなくなった、利用契約施設、こういうふうな施設になったので保育料コストサービスの提供に応じてその対価を払うんだという考え方がこの法改正には入ってきていると思うんですね。応益負担という考え方ですね、そういう考え方が入ってきたということではないですか、五十六条の改正  は。
  199. 横田吉男

    政府委員横田吉男君) 入所仕組み措置という行政処分から申し込みによる利用型の契約に変わったということもありまして、今回の保育料につきましては、先生御指摘ように、納税額に応じた負担から保育コスト基礎として家計への影響を考慮して定める額にしたところでございます。
  200. 西山登紀子

    西山登紀子君 この五十六条に、今までは「負担能力に応じ、その費用の全部又は一部を徴収することができる。」となっていたのが、「一部」というのが取り除かれて、「本人又はその扶養義務者から、当該保育費用」を徴収する、そして「家計に与える影響を考慮して」「児童年齢等に応じて定める額を徴収する」と、こういうふうに変わるわけですけれども、この「当該費用」というのは保育単価ですね。
  201. 横田吉男

    政府委員横田吉男君) これは精算基準の前提となっております施設の最低基準に従った施設運営するに必要な保育費用ということであります。
  202. 西山登紀子

    西山登紀子君 この点に一番この五十六条の非常に重大な点があると思うわけです。つまり、なぜこういうふうになるのかというと、やはり保育所措置施設から利用施設になった、受益者負担の原則を取り入れた、利用料は利用者が支払うという考えに基づくものでありまして、まずそれを払って、そして家計への影響を考慮してということになるわけですね。  その意味からも、二十四条のこの措置制度の廃止、改正という問題は、厚生省の言っているように、ただ親の希望による申し込みによって選択ができるようになったというふうな改正にはとどまらない問題を持っているというふうに考えます。  保育料について言えば、今、保護者というのは高過ぎる保育料を下げてほしい、これが切実な要望です。  ですから、こういうふうに年齢ごとに均一化をするという、こういう法改正によって父母の負担感はなくなるんですか。解消されるんでしょうか。
  203. 横田吉男

    政府委員横田吉男君) 今回の改正に伴って保育料額が具体的にどうなるかということでございますけれども、これは具体的には十年度の予算編成で決まっていくことになりますが、法案の審議に際しまして、先般私ども改正後の保育料の基準額のイメージということで試算をしたものを発表しているところでございます。この考え方は、八年度をベースとして、全体としての公費負担の額が変わらないという前提で新制度による保育料を設定したときにどうなるかという一例を示したものでございます。  均一化ということが本来の目標として一つあるわけでありますけれども、現段階におきましては十段階に区分が分かれて保育料が設定されているというようなこともあります。これを今一挙に一本化いたしますと、当然、下がる層もあるわけでありますけれども、かなり上がる層も出てくるということでありまして、そういった急激な負担増というのを避けながらできるだけ差のない保育料を目指すということで七段階という簡素化のイメージを示したものであります。  したがいまして、全体としての公費負担を変えないという中でそういった差をできるだけ少なくしていくということになりますと、どうしても下がる層と上がる層が出てこようかと思っております。
  204. 西山登紀子

    西山登紀子君 私は、今度の法改正によって父母の負担感が解消されるのかというふうに質問をしたんですけれども、なかなか答弁に苦労していらっしゃるわけですね。  といいますのは、急激な変化を避けるために七段階に分けていろいろやっているわけですけれども、大変厚生省としては苦労の跡が私は見えると思います、ふえる層も下げる層もいろいろつくって。だけど、この不満を解消するためには全体の公費負担が変わらないもとではやはり難しいんですね。モグラたたきにならざるを得ません。  なぜ父母の負担感が大きくなったのか、少し歴史的に見てみますと、やはり父母負担が五一・一%になったのは一九八二年、臨調が始まってからであります。それまでは五割を割っていた。特にその十年前、一九七二年なんというのは保護者負担は三七・六%でした。それ以外は公費負担されておりました。もっとさかのぼれば、六二年のころには三五・二%、やっぱり非常に保護者負担の比率は少ないわけです。臨調が始まって五割負担になってきました。その中で国の負担というのは十分の八から十分の七に減って、八六年には十分の五に減ってしまった。そして、あと残りの公費は地方自治体に出させるというふうに国はずっと後退をしていったということであります。ですから、保護者負担は五割だというこの点を変えない限り、今の若い父母の保育料に対する負担感というのはなくならないというふうに思うわけですね。  最後に大臣にお伺いしますけれども、こういう父母の負担感子供を産むのにも保育所入所を心配しなきゃいけないし、また保育料が高過ぎるということも心配しなきゃいけない、そういう悩みを抱えながら若い夫婦が生きているわけです。ですから、この点で少子化のこういうもとでの切実な保育要求にこたえようとするならば、やはり抜本的に国費をもっと投入しなければ解決はできないと思うんですね。ですから、その点でいえば、大臣が何度も答弁されているように、後退させないということで本当にいいのかと。二十一世紀を担っていく子供たちを若い人たちが育てていくについてこれほどまでに深刻な、産むのか産まないのか、仕事をやめるのかやめないのか、そういう選択を、これは非常に切迫した要求だと思います。                  ,  ですから、その点での選択に対して後退はさせないというような御答弁だけでは私は絶対に納得することはできません。もっと前進させなければ、この国に本当に希望を持って子供を産もうというふうに思わないですよ。その点での大臣の決意をお伺いしたいと思います。
  205. 小泉純一郎

    国務大臣小泉純一郎君) 保育をめぐる環境も、一部の人が保育所に預けるということから保育所に預ける方が一般的になってきた。当然、公費もふえていくと思います。そういう中から、もうこれ以上税負担は嫌だと。まあ共産党と私どもとは大きな政府にしょうというのと小さな政府にしょうという根本的な基本路線の違いはありますけれども、これからの国民負担率を考えますと、そう利用者負担を低くして税金を投入するということは限度があると思います。そういう中で、限られた中でどうやってこれからのいろいろな社会的な要請にこたえていくか、その中で保育予算というものをどうやって重点的に配分していくかというのが今後厚生省としても大変頭の痛い問題であります。  公費全体として今回の保育料を設定する場合も、先ほど議員も言われましたように、所得に応じて払うようになりますと、ともに御夫婦で仕事に出ている場合は所得が高くなつちゃうからこれは負担料も多くなる。一方、所得が同じような近所の方を見ても負担が少ないのではないかという観点もあり、今回保育費用に応じた利用料をいただこうという形で均一料金化しようという方向にあると思います。  しかしながら、均一料金にしますと、当然、全体の公費が変わらなければ急に上がる方もいるし、下がる方もいる。できるだけなだらかに、低所得者等に配慮したという形になりますと、幾つかに分けた方が激変緩和になるのではないかということで、一挙に均一料金にはできませんけれども、できるだけ不公平感を除いたよう料金設定ができないかということで今後その点についても腐心していかなきゃいけないと思います。  いずれにしても、私は、これだけ借金を重ねて、これだけ各施設の拡充が叫ばれている中で、本当に税金を、もっと公費を投入していいかというと、社会保障の点についても一切の聖域がないという形でこれから構造改革に踏み込まなきゃならないという段階においては、どんどん公費を拡充していくということは限界があるのではないか、やはりある程度利用者については一定の負担をしていただく、そこに理解を求めて、どうやってその中で水準を高め施設を拡充していくか、利用者負担をいただくかということも両面からあわせて考える必要があるのではないかと思います。
  206. 西山登紀子

    西山登紀子君 時間が過ぎているんですけれども、日本共産党が大きな政府という大臣のお話がありました。一言ですが、私たちは何でも公費を投入したらいいと言っているわけではありません。むだな公共事業を減らしなさい、軍事費を減らして子供たちのために使えと、そういうふうに言っている、その点をはっきり理解していただきたいと思います。
  207. 釘宮磐

    ○釘宮磐君 午前中から議論が進んでまいりまして大変お疲れのことと思いますが、最後でございますのでおつき合いをいただきたいと思います。  質問を用意いたしまして通告を申し上げているわけでありますが、ここまで随分重複した質問が多くなっておりますのでもしかすると通告がない質問が出るかと思いますが、その点は御容赦をお願いしたいと思います。  私は、今回のこの児童福祉法改正の中で、特に私自身が施設の現場の出身でございますので、現場サイドの皆さんの意見をお聞きする中で、きょうはその点を中心に少し質問をさせていただきたいと思います。  きょう午前中からの議論の中で、今回の児童福祉法改正の中で特に保育制度改正の眼目が、保育所を利用する者が希望する保育所を選択できるようにするという利用者サイドに立った改正点であるということが強調をされております。私はこの点については一定の評価を実はしているわけであります。  と申しますのは、今まで保育所では待っていればお客さんが来た、また措置費は間違いなく入ってくる、そういう中で保育所自体が今日まで本当の意味でそういう選ばれるというよう状況になかったということは、これまた私は厳然たる事実だろうと思います。大臣がおっしゃったように、これからはある意味では保育所自体も選ばれる側になるんだからしっかりと、そういう意味での創意工夫が必要だというようなお話がありました。私もそういう意味では全く同感であります。  ただ、ここで私が申し上げたいのは、要するにそういう状況保育所を置いておいて、一方ではあれはいかぬこれはいかぬというようないわゆる行政指導というものがあるわけですね。こうした行政指導というのがある意味では手かせ足かせになって、施設自体がそういう努力ができないよう状況にあるのではないか。私も実は、これは障害者の施設ですけれども、園長を十五年ほどやっていまして、とにかく監査指導に来てこれはいかぬあれはいかぬ、この支出はこれにしか使っちゃいかぬというようなことで、極めてそういう形式的なことに我々は頭を悩まされたわけであります。  きょう大臣が先ほどからの議論の中で、公費の導入が今後は大きく伸びない、財政事情を見ればこれもやむを得ないというようなことを言われておるわけですけれども、ならばこそ現場サイドがもっともっと知恵を出していろんな創意工夫を起こそうとすることの手足を縛るような、そういうふうな今の行政の対応というものを私はまず変えていくべきではないかというふうに思いますが、この点についていかがですか。
  208. 小泉純一郎

    国務大臣小泉純一郎君) 今の御指摘保育所だけじゃなくて老人福祉施設でも言えることだと思うんです。ある程度規制を緩和して自由度を高めると変なことをするんじゃないかという御批判も受ける。昨年の例の彩福祉グループ等に出た不祥事なんかでは規制が緩過ぎたのではないかというような御指摘も受けました。規制を強めるとこれまたやりたいこともできなくなるという今のようなお話もある。なかなか難しい問題だと思いますが、本来だったらば保育所なり特養施設なり経営される方は大方は善意の方ですから篤志家であり、情熱を持ってそれの仕事に打ち込んでおられる。当然、より自由度を高めて、よりサービスを充実するような意欲を持っていろいろな改善策を講じていただくことは歓迎しなきやならない。ですから、一定の規制は必要でありますけれども、規制の緩和とか弾力化というのは今後大変重要な視点だと考えております。
  209. 釘宮磐

    ○釘宮磐君 今、大臣が申されましたように、介護保険制度の議論が進められているんですけれども、これが導入されれば老人施設措置費もなくなるわけですね。ですから、措置費がなくなるということはある意味では施設自体がこれからいろんな対応をしていかないと、もう従来のようにお客さんが措置という形で送り込まれてこないわけですから、こちらの方がある意味ではお客さんに選ばれなきやならないということになれば、これからそれぞれの現場においてそういう創意工夫をやっていくことは私は至極当然なことだと思いますし、そのための一方で規制というようなものがこれを阻むようであれば、私はこれを排除していくということが厚生行政の中で特に望まれると思うわけであります。  その観点から、例えば今、乳児保育あたりにも一定の人数の枠をはめていますね。それに達しないと乳児保育は認めない、延長保育は認めない、こういうふうなものが現実にありますね。  今回、そういうふうなものは撤廃するんですか。
  210. 横田吉男

    政府委員横田吉男君) 乳児については乳児指定保育所というようなものにつきまして一定の補助を行う、あるいは延長保育につきましても六人以上というようないろいろ条件がございまして、補助事業の対象になっているわけであります。私ども補助事業をやる場合については、どうしても基準というものが出てまいりまして、ある程度そういった規制が出てこようかと思います。  先生御指摘ように、こういったものを、例えば延長保育なら延長保育について規制を全く外して施設の自主的な判断でやれるようにする、そのかわり補助金はなくなるというようなことでいくのか、あるいは補助事業というものを今後とも維持してその充実を図っていくのか、さまざまな御意見がございます。私ども、今のような御指摘も踏まえまして、できる限り弾力化できるところは弾力化し、必要なところは基準をきちっと維持するというような形で対応してまいりたいと考えております。  それから、定員につきましても、今後選択される施設になるわけでありますので、じゃ一〇〇%を超えてできないのかというような御議論もございます。現行でも必要な場合には定員の一五%増しまで最低基準を満たしておれば入所できるようになっておりますけれども、そういったものの一層の緩和も含めていろんな面で今後検討してまいりたいというふうに考えているところでございます。
  211. 釘宮磐

    ○釘宮磐君 いや、私がなぜそういうことを言うかといいますと、このままいけばつぶれる保育所が出てくるんですよ、これはもう現実の問題として。きょうは都市部の先生が多かったものですから、都市部では保育所が足りない足りない、こういうふうに言われていますけれども、私は過疎県ナンバーワンの大分県の選出でありますが、大分県では一体どういう議論がなされているかというと、子供の取り合いなんです。無認可保育所、それから幼稚園、認可保育所、これは子供の取り合いをやっているわけです。  これがこれから自由化をされるということになれば、ますますもって施設というのは厳しい現状に置かれてくるわけでありまして、そういう中でつぶれたときに、じゃ厚生省は責任をとるのか、つぶれた保育所に対して厚生省はちゃんと責任をとってくれるのかといったら、私はそれは多分とらないと思いますね。とらないのであれば、何で一々はしの上げ下げまで言われなきやならないのか。  私は、措置費というものがなくなるということになれば、それはいわゆる保育単価として施設との契約ですから、施設がもらったときにその使い方をどういうふうに使おうか、それはある程度自由裁量に任せるべきだと。そして、その自由裁量に任せるということは、もし不正を起こせばそういう施設というのはなくなるんですよね、これからは。それはもう選ばれるんですから、そういう施設が選ばれるはずはない。  そういうふうなところにまで踏み込んでいかないと、都合のいいところだけ自由化、自由化といって、そして一方で手足を縛って、ただ走れ、走れ、これではやっぱり既存の保育所というのは、今まで本当に戦後のあの時代からずっとやってきた保育所、これは山の中のお寺の境内で始めた保育所もありますよ、そういう保育所の皆さんは、結局お客がいなくなったからもうあなたたちは結構よというようなことでは、これは余りにも納得できない。  きょうは老人の施設との合築の問題とか、そういうものに対して配慮するというような答弁がありましたけれども、私はやっぱりそういう意味でのいわゆる規制緩和というものを大いに進めていくということを厚生省としてやっていただかなければ施設の皆さんは納得できないというふうに思川いますが。
  212. 横田吉男

    政府委員横田吉男君) 選択される保育所になることに伴いまして、先生御指摘ように、非常に児童が少なくなるところも出てくるということも考えられるわけであります。こういった面での対応につきましては、第一義的には施設それぞれの創意工夫が求められるということでございますが、私どもといたしましてもできるだけ福祉資源としての保育所の活用というものが図られるようなことで考えてまいりたいと思っております。  そのために、あいたところに老人福祉施設の方を合築していただきますとか、あるいは放課後児童健全育成事業に活用してもらうとか、さまざまな活用が図られやすいようなやり方を検討してまいりたいというふうに考えております。
  213. 釘宮磐

    ○釘宮磐君 同じようにこれは過疎地域での議論になろうかと思うんですけれども、今回保育園の入園について市町村を越えて入園を認めるというような動きがあるやに私は聞いているんですけれども、その辺を非常に過疎町村ではますます不安を覚えているわけですね。  というのは、例えば大分県の場合ですと、大分市が人口の三分の一いる、その周辺の町村はほとんど親御さんは大分市内に勤務しているわけです。そうすると、やはり地元に預けておくよりは車に乗っけていって自分の会社の近くの保育所に預けた方がより自由がきくというようなことで、そういうふうなこともこれ起こってくるのではないかと。そうなったら、もう周辺町村の保育所なんというのはほとんど打つ手がないというようなことも言われているんですけれども、その辺については厚生省としてはどういうふうにお考えになっていますか。
  214. 横田吉男

    政府委員横田吉男君) 保護者市町村の境界等に住む場合で、通勤途上に保育所があるというような場合に居住地外の保育所を利用したいという要望もありまして、今回の改正におきましてはそういった利用者立場に立って広域入所もしやすいような規定を整備しております。  この実施に当たりましては、あくまでも地域の実情に応じて各地方公共団体が相互にこれは話し合っていただきまして進めていただきたいと考えておりまして、そういった中で適切な広域入所もされるように私ども指導してまいりたいというふうに考えております。  この点については、なお御指摘の点も踏まえまして、十分留意してまいりたいと思っております。
  215. 釘宮磐

    ○釘宮磐君 時間が限られていますので、もう少し詰めたい部分があるんですが、後に譲りたいと思います。  保育単価の算定については午前中から午後にかけて議論があったところでありますが、ここでちょっと確認をしておきたいんです。  現行制度のもとでは定員によって保育単価が異なったり、規模の小さい保育所配慮がなされておるわけですが、こうした仕組みは継続されるというふうに考えていいんでしょうか。  それからまた、民間給与等改善費というのがありますね。これについての扱いがどういうふうになっていくのか。  さらに、先ほどから私は運営費を弾力的に運用させろと。我々必死になって百号通知だとか五十号通達だとか、そういうようなものをずっとやってきた経験があるわけですけれども、そういう弾力化の中で今回情報提供ということが努力義務化されていますね。この情報提供というのは、例えばいろんなところにチラシを入れたり、そういうようなものがあるわけですけれども、今までの行政指導だったら、措置費ではそういうのはありませんから使っちゃだめですよというような話が行政指導で必ず出てくるんですよ。だからそういうふうな意味で、じゃ例えばこの情報提供にかかる費用というのは、これは今後どうするつもりですか。
  216. 横田吉男

    政府委員横田吉男君) 保育所単価につきまして、規模とか地域によりまして現在さまざまな差異がございますが、これについては今後とも基本的には維持する方向で考えていきたいと思っております。  それから、民間給与等改善費でありますけれども、これにつきましても施設の設立以来の古さに応じまして差異を設けて出しているところでございますけれども、これも基本的には継続……
  217. 釘宮磐

    ○釘宮磐君 古さじゃないです。職員の勤続年数でしょう。
  218. 横田吉男

    政府委員横田吉男君) 職員の勤続年数に応じまして、それぞれ異なった割合の加算をしているところでございますけれども、今後とも継続してまいりたいというふうに考えております。  それから、情報提供につきましては、それぞれの保育所におきまして創意工夫をしていただいて実施していただきたいというふうに考えているところでございます。保育所の経費の中から工面していただくようなやり方でやっていただきたいということでございます。
  219. 釘宮磐

    ○釘宮磐君 もう一度お尋ねしますが、要するに今の運営費の中からやれということですね。そういうことを当然認めていくということですね。
  220. 横田吉男

    政府委員横田吉男君) どのような費目から使うかについては、なお実施に際しまして検討したいと考えております。
  221. 釘宮磐

    ○釘宮磐君 まだ費目から出すとかいうような議論が出てくるところに私は若干のじくじたる思いがあるんですけれども、この際時間もありませんから他の問題をする前に私はここでもう一遍詰めておきたいと思います。  規制緩和という問題、これは大臣に質問通告していませんが、この前の大臣所信に対する質疑の中で厚生省のスキャンダル、不祥事によって社会福祉法人の改善命令というか、今後改善をしていくという議論がありました。私は、基本的にこれからやっぱり施設というのはだんだん選ばれていく、そういう競争原理というのは当然入ってきてしかるべきだと思うんです。そうなれば、必要以上に規制をつくってやることがいいのかどうかというその議論、同じようなものを画一的につくるのじゃなくて、それぞれの施設がいろんな創意工夫を凝らして、そして選んでもらうと。そうすれば施設も一生懸命になって選ばれる施設になるために職員も頑張れますよ。  私は、そういう観点の中から、この前の報告書の中にあった例えば理事は何人以上にしろとか評議員会をつくれとか——今さら評議員会をつくるということ自体が私はナンセンスだと思うんですね。また、ところによっては民生委員さんを入れなさいとか。大臣は神奈川県ですからどうか知りませんが、地方に行けば民生委員なんてものはみんな名誉職ですよ。これ民生委員になったからといって、何か自分のステータスが上がったという話、専門家じゃないわけですよ。そういうような人を入れなさいと、こういうことを一々言わなきゃならないということ。  私は、施設なり社会福祉法人のアイデンティティーというものをもっと認めていく、そういうふうにやっていくべきではないのかと思いますが、大臣、いかがですかつ
  222. 小泉純一郎

    国務大臣小泉純一郎君) 基本的に私はその意見に賛成なんですよ。しかし、一たび不祥事を起こすと、俄然規制を強化しろという声が充満しちゃうんですね。  これから公費を投入するということになりますと、当然自由度がなくなってきます。自由度を生かそうとなると、変な考えを持った、仕組みを悪用する人が出ると、これまたひどいことになるというこの中間のバランスをどうやってとるか、大変難しい問題だと思いますが、これから競争社会、市民が選択できるということを考えますと、私は公費を投入しても自由度を生かす方法を考えることは大変重要だと思います。
  223. 釘宮磐

    ○釘宮磐君 大臣の大変前向きな答弁に私は非常に期待を持つものであります。  これからそういう不祥事を起こさないということが我々とすれば最も望むべくですけれども、しかしそういう人が参画していってもやってこられたというのは、逆に言えば措置制度だと思うんですよ。  だから、そういう意味で、お客さんがどんどん送り込まれてくるんじゃなくて、やっぱり選んでいくということ、これはこれからの老人問題等では大いにそういう意味でのことを一つの教訓としてこれから厚生省に取り組んでいただきたいなというふうに思います。  それから、保育問題は後日に譲りまして、今回の改正の中で特に児童相談所における改革といいますか、改正点がありますのでその点について若干お伺いをしたいと思うんです。  今回、児童相談所の施設入所措置に当たって児童の意向を聴取することになったわけでありますが、これが単なる形式的なものに終わることなく、真に子供の利益となるような相談が行われるためには、相談にかかわる職員の高い専門性が求められるというふうに思うわけです。  正直申し上げて、児童相談所の職員を見てみますと、きのうまで土木事務所にいたような人が来るわけですよ。それはそれぞれの県の人事配置の中でやることですけれども、これは当然厚生省はそういう意図はないと思いますが、そういうふうな人たちがいろんな難しいケースを抱えてきている子供のケースワークをやれるのかどうか。私は、そこのところをまず厚生省としてどういうふうにとらえ、そしてどういうふうにこれを今後指導していくというふうに考えておるのか、お伺いをしたいと思います。
  224. 横田吉男

    政府委員横田吉男君) 児童相談所の職員につきましては、いろんな意味で高い専門性が要求されているところだと思っております。  これにつきましていろいろな基準等も設けているところでございますが、各都道府県によりましては、今御指摘がございましたように、県のローテーション人事の中で必ずしも十分な経験がない職員が配置されている例というのも見受けられるところを私どもも承知しているところでございます。  こういった点につきましては、今後いろんな意味での研修を充実することによりまして、引き続き資質の向上に努めてまいりたいと考えております。  また、今度の改正におきまして、専門家から成るバックアップシステムをつくりまして、困難なケース等につきましても客観的、専門的な見地から対応ができるよう仕組みもつくってまいりたいというふうに考えているところであります。
  225. 釘宮磐

    ○釘宮磐君 いわゆる児童相談所のこうした人事の背景には、児童福祉法の五十条にあるように、児相の運営費や、さらには児童福祉審議会、こういった経費が地方負担になっているわけですね。要するに交付税で賄われている。したがって、そのことが一つの大きな私は要因になっているのじゃないかというふうに思うんですけれども、この点はどうお考えですか。
  226. 横田吉男

    政府委員横田吉男君) 御指摘ように、児童相談所あるいは都道府県の児童福祉審議会の行政事務につきましては、地方交付税で財源手当がされているところでございます。したがいまして、先生御指摘ような点があるかどうかわかりませんけれども、これは必要な財源はあるわけでありますので、各自治体においてそれぞれの行政機関を担当するにふさわしい人事配置をお願いしたいと私どもとしては考えているところであります。
  227. 釘宮磐

    ○釘宮磐君 今の答弁ですと、要するにそういうふうな理解のないところの子供はあきらめろというふうに私は聞こえるわけですよ。今回、児童相談所に支援センターまでつくろうということでバックアップをするといっても、これも多分、私はまだ聞いていませんけれども、この支援センターの経費、これも交付税じゃないんですか。
  228. 横田吉男

    政府委員横田吉男君) 地域の相談、指導等を行うための機関として今回児童家庭支援センターを創設することにいたしておりますけれども、この内容地域に密着した相談、助言、児童相談所の指導措置の受託、あるいは児童委員との連携による問題の早期発見等であります。  これの人事配置をどうするか、あるいは財源等をどうするかにつきましては、平成年度予算におきまして検討してまいりたいというふうに考えております。
  229. 釘宮磐

    ○釘宮磐君 ということは、児童家庭支援センターについては交付税措置をされるか直接国が支弁するかというのはまだ決まってないということですね。
  230. 横田吉男

    政府委員横田吉男君) 私どもとしては補助金のスタイルでやりたいと思っておりますけれども、具体的には十年度予算編成において検討してまいりたいというふうに考えております。
  231. 釘宮磐

    ○釘宮磐君 私もこれは言いながら一方で矛盾を持っているんです。地方分権をやれということを言いながら、一方でこうした私に言わせれば安上がり行政ですよ。目立つところには金は行くけれども、こういう福祉だとか、特に児童の問題なんかというとなかなか票にもならないというようなことで、これがないがしろにされている。  私は、本当に児相の役割が果たされている県もあると思います。しかし、十分に果たされていない県の方が多い。私はそこを問題にしているんです。例えば交付税措置というようなことになれば、制度だけ幾らつくっても、そこに魂が入っていかないとなかなか私は法の改正意味というのはただの空念仏に終わっちゃうというような点をここで指摘させていただきたいと思うんです。  質問通告と違う順番で言っているものですから若干私が質問しないことも答弁があったようでありますが、特に私は児童家庭支援センターに関する部分では、これをどこに置くのかということ、これがちょっとまだ見えていないんです。とりわけ、児相があって支援センターがあって、養護施設とか教護院とかそういうのがあるんでしょうが、それが有機的にどういうふうな連携になっているのかというのをちょっと説明してくれませんか。
  232. 横田吉男

    政府委員横田吉男君) 児童家庭支援センターにつきましては、現在の児相が全国で百七十五ということで州県当たり平均二、三ということでございまして、全県をカバーしているということでございますが、必ずしも地域に密着した相談、指導等ができていないという御批判もございます。  こういった点を考慮いたしまして、地域に密着した相談、指導が行える総合的な機関ということで、今回児童家庭支援センターを設置したいと。その設置する場所につきましては、既に一定のノウハウを持っております基幹的な養護施設等に附置いたしまして、必要な場合にはその養護施設の宿泊機能も使って一時保護等も対応、あるいは二十四時間対応もできるというようなことを考えているものでございます。  それと児童相談所と連携をよくしていただきまして、相互に役割を分担し、身近な問題については児童家庭支援センターで、高度な虐待等難しいものについては児相におきましてより一層適切な判断ができるようなものにしたいということでございます。
  233. 釘宮磐

    ○釘宮磐君 わかりました。要するに、児童家庭支援センターを地域の中に置くことによって児相が直接受けられない部分を地域で受けて、そしてそれを一つの媒体としていろんな問題に対処していこうということですね。  その場合、この児童家庭支援センターの意義はわかりましたが、これは権限、財源、人材の措置が相当行われないと有名無実になるのではないのかなということを私は指摘しておきたいんです。  財源については先ほど補助金で平成年度からというようなお話がございました。  そうなりますと、今度は権限がどの程度これに付与されてくるのか。これはある程度権限を持たせないと、現実に養護施設の園長さんあたりがやっても何の拘束力もないわけですよ。ですから、本当に児相と同じような権限を、児相そのものも今の権限は弱い、親権についても児相あたりにもつともっと権限を付与すべきだというふうに私は思うわけでありますが、そういう意味での支援センターでの権限というものをどの程度お考えなのか。
  234. 横田吉男

    政府委員横田吉男君) 児童家庭支援センターの業務は、先ほど申し上げましたように、専門スタッフによる地域に密着した相談、助言、あるいは児童委員、母子相談員等の連携による問題児の早期発見等でありますが、そのほかに児童相談所の指導、これは一種の行政処分でございますけれども、それを委託を受けて指導を行えるようなことにしたいというふうに考えております。この点におきまして、御指摘の一部委託を受けての権限を、児相と同じよう指導権限を持つということでございます。
  235. 釘宮磐

    ○釘宮磐君 これは特にオウム事件の際にこの問題が非常に論議を呼んだんですけれども子供の人権を守るためには今の児相の権限ぐらいでは私は本当に守れないんではないのかなと。子供の人権より親の親権の方が何かある意味では尊重されている。例えば、米国のよう家庭裁判所が親権を預かるというようなシステムぐらいをとっていかなきやならないんじゃないか、私はそういうふうなことを思うわけでございますが、その点どうですか。
  236. 横田吉男

    政府委員横田吉男君) 今回の改正におきまして親権の制限に及ぶようなところまで含めまして児相の権限を拡大することは考えていないわけでありますけれども、虐待とかいじめとか非常に困難な事例にもより的確に対応できるようにいろんなスタッフによるバックアップシステムをつくりたいということ、それから地域における密着した相談、指導ができるよう児童家庭支援センターをつくりたいということで、そういった児童福祉に関する関係者地域における関係者がネットワークをつくることによりましていろんな最近出てきている問題に的確に対応できるようにしてまいりたいということを考えておる次第でございます。
  237. 釘宮磐

    ○釘宮磐君 次に、今回の改正で、先ほど山本委員からも質問がありましたが、どうも私は局長の答弁がよく理解できなかったのでもう一遍お聞きします。  都道府県知事は、施設入所等の措置の決定及びその解除等に当たって、一定の場合には都道府県児童福祉審議会の意見を聞かなければならない、こういうふうになっておりまずけれども、この一定の場合というのがよくわかりませんのでもう一度お聞かせください。
  238. 横田吉男

    政府委員横田吉男君) 一定の場合というのは、法律上は「政令の定めるところにより、」ということになっておりまして、児童相談所が施設入所措置あるいは児童福祉司による指導など行政処分を行う場合に児童福祉審議会の意見を聞くということを想定しているわけでございますが、それをすべて児童福祉審議会の方にかけるのか、あるいはかけなくてもいいものがあるのかどうか、もう少し審議の実効性でございますとか効率性等も踏まえまして、その範囲、審議の手続、方法、審議会の構成等につきましてはさらに精査していきたいというふうに考えているところでございます。
  239. 釘宮磐

    ○釘宮磐君 時間が来ましたので最後の質問にしたいと思いますが、今私がなぜこの問題を持ち出したかといいますと、都道府県児童福祉審議会というものの存在なんですよ。私は県議会も経験していますからよくわかるんですけれども児童福祉審議会の中に児童の専門家なんてほとんどいません。これは正直に申し上げて、先ほどの民生委員じゃありませんけれども、例えば商工会議所の会頭だとか決まった人がなる。その人はもういろんな審議会の委員になっているわけです。そういう人たちに、いわば素人集団によって密室で処理されるというようなことにこれはなる可能性が非常に高いわけであります。  ですから、そういう意味では、例えば専門部会をつくって、そしてこの専門部会の中に本当の意味でのいわゆる専門家を入れてやるとか、そういうふうなところまで、これはある意味では地方がそういうふうな意味でのまだ当事者能力がないわけですから、育てるという意味での厚生省の指導というのが私は必要なのではないかなと。これから特にそういう問題が出てきた場合に私が一番危惧するのは、例えば大分県の児童福祉審議会の中には養護施設施設長さんすら入っていない。  そういう現状があるということを踏まえて、厚生省としての取り組みをお聞かせください。
  240. 横田吉男

    政府委員横田吉男君) 児童相談所がケースについて意見を聞く場合の児童福祉審議会を用いましたのは、児童相談所のバックアップ機能のために、地方行革の時代もあり、新しく機関をつくるということは大変難しいという中で既存の審議会を活用させていただいたものでありますが、この実行に当たりましては、先生御指摘いただきましたように、特別部会なり小委員会なり、このための部門をつくっていただきまして、これを審議するにふさわしい弁護士、医師、施設関係者教育関係者等を構成員とするなど検討してまいりたいというふうに考えております。
  241. 上山和人

    委員長上山和人君) 本案に対する本日の質疑はこの程度にとどめます。     —————————————
  242. 上山和人

    委員長上山和人君) 参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  児童福祉法等の一部を改正する法律案の審査のため、参考人の出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  243. 上山和人

    委員長上山和人君) 御異議ないと認めます。  なお、その日時及び人選につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  244. 上山和人

    委員長上山和人君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時四十六分散会      —————・—————