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1997-03-27 第140回国会 参議院 厚生委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成九年三月二十七日(木曜日)    午後一時一分開会     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         上山 和人君     理 事                 尾辻 秀久君                 南野知惠子君                 木暮 山人君                 菅野  壽君     委員                 大島 慶久君                 大野つや子君                 塩崎 恭久君                 田浦  直君                 中島 眞人君                 長峯  基君                 宮崎 秀樹君                 水島  裕君                 山本  保君                 和田 洋子君                 渡辺 孝男君                 今井  澄君                 西山登紀子君                 釘宮  磐君    国務大臣        厚 生 大 臣  小泉純一郎君    政府委員        厚生大臣官房総        務審議官     中西 明典君        厚生省健康政策        局長       谷  修一君        厚生省保健医療        局長       小林 秀資君        厚生省生活衛生        局長       小野 昭雄君        厚生省薬務局長  丸山 晴男君        厚生省社会・援        護局長      亀田 克彦君        厚生省老人保健        福祉局長     羽毛田信吾君        厚生省児童家庭        局長       横田 吉男君        厚生省保険局長  高木 俊明君        厚生省年金局長  矢野 朝水君        社会保険庁運営        部長       真野  章君    事務局側        常任委員会専門        員        大貫 延朗君    説明員        大蔵省主計局主        計官       丹呉 泰健君        文部省高等教育        局医学教育課長  寺脇  研君        厚生大臣官房障        害保健福祉部長  篠崎 英夫君        農林水産省構造        改善局農政部地        域振興課長    高橋 徳一君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○平成九年度一般会計予算内閣提出、衆議院送  付)、平成九年度特別会計予算内閣提出、衆  議院送付)、平成九年度政府関係機関予算(内  閣提出、衆議院送付)について  (厚生省所管及び環境衛生金融公庫)     —————————————
  2. 上山和人

    委員長上山和人君) ただいまから厚生委員会を開会いたします。  昨二十六日、予算委員会から、本日午後の半日間、平成九年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、厚生省所管及び環境衛生金融公庫について審査の委嘱がありました。  この際、本件を議題といたします。  予算説明につきましては既に聴取しておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  3. 宮崎秀樹

    宮崎秀樹君 最初に、私は医療保険制度抜本的改正ということについてお尋ねをしたいと思っております。この件に関しましては、予算委員会集中審議で軽く触れましたけれども、きょうはもう少し突っ込んでお尋ねしたいと思っています。  この抜本的改正ということの意味でありますけれども、私はこの制度抜本的改正をしない限り、お茶を濁して枝葉をいじってもだめだと。既にもう幹、根っこまで、根こそぎ一回立て直しをしないとこれは将来、少なくとも数十年もたす制度というものを考えないと、小手先だけのことをやっておりますと、これは二、三年が限度ではないかというふうに思っております。  そこで、医療保険制度ということをよく言いますけれども医療保険という概念が現在の制度を見ますとそうじゃないんですね。例えば健康保険法、これは相当古いもので、文章も若い人が読めないような条文であります。まだ片仮名を使っておる。「もしくは」なんというのは、この前申し上げましたけれども、「若ハ」と書く。こんな学校でも教えていないようなことが書いてある。と同時に、国家公務員等共済組合法、ここには医療のイの字も出てこない。内容を見ますと、これはもう多岐にわたって保険が適用されておるんですね。生活保障から災害補償から、そういうことすべてを含んだ給付考えておる。それから国民健康保険法、これは目的がちゃんと書いてあります。それから船員保険法、これは何も医療に限ったことではなくて、ほかの給付も行っている。それから労働者災害補償保険法、これは労災と言っております。しかし、国家公務員共済組合は、地方公務員もそうでありますが、これは別建てでいわゆる通勤災害まで見ているわけですね。そのように非常にいろんな制度がふくそうして、医療保険医療保険と言っておりますけれども、果たして整合性を持っているのかなと。  ですから、国民はひとしく同じ負担と同じ給付を受けるということは、現在は私はあり得ないと。たまたまそこの環境なり仕事なりにつくとこの保険ですよと、これは国民は選択できない保険制度になっている。ですから、そこら辺はやはり今回じっくり時間をかけて、これは一回ばらして議論をしていかなきゃならぬと。  と同時に、後ほど触れますけれども附帯事業をまたこのお金でやっているんですね。これもまたちょっと私はおかしいのではないかと。そこへこのお金をつぎ込んでいくと。ですから、どこまでが医療の本当の純粋な保険か、そういう性格が全くわからない。理念もなければ哲学もない。偶然にみんなそこそこ考えて、縦割りでつくったものを集めてきて、そしてそこから財源を絞り出してきて、その上にまた老人保健制度というものをつくったと。ですから行き詰まるのは当たり前でありまして、特に高齢社会になってきますと、昭和五十七年につくった状況とはこの老人保健制度は全然違うわけであります。  この辺について、抜本的改正というものを一体どういうふうにお考えか、まず大臣にお考えをお聞かせ願いたいと思います。
  4. 小泉純一郎

    国務大臣小泉純一郎君) 今までの医療保険制度について、それぞれ歴史的経過もあります。そして、いろいろな集団がともに助け合うということで、どうやって適切な医療を受けるかということを考えてきて、それなりの集団あるいは組合を形成してみずからの医療保険制度をつくってきたと思うのであります。それをいろいろ育ててきた先輩の御苦労、知恵、私は振り返ってみて、御苦労の中、大変な問題を抱えながらも限られた環境の中でいい制度を築いてくれたなと思っております。  しかしながら、だんだん成熟してくるにつれて、野原に芽が出る、その芽も大きくなってきた、お互い成長するのにおいてぶつかり合って邪魔になってきた面も出てきていると思います。そして、これからの高齢社会、また少子化を展望すると、今までよかったけれども、必ずしもその行き方がいいとは限らない。お互いよき医療を受けるためにどの程度負担がいいのか、またみずからの限界の中で持てる力をどうやって出し合って支え合っていくかということを考えますと、現状のまま放置しているわけにはいかぬということで、今いろいろな改革の案が議員からも、また識者からも国民からも出ております。  今回、そういう抜本的な改革を進めるに当たって、まず第一次的な、段階的な改革案としてこの国民保険制度を維持していこうと。そのためには保険財政の安定も図っていこうということで今回の総合的な改革を踏まえての第一次的な、段階的な案を提出しているわけでございますが、今後はそれぞれ今まで分かれておりました保険集団、これがそのままでいいのか。あるいは医療提供体制、この問題につきましてもこのままではなかなかうまくいかない。さらには、効率的な医療資源をどうやって適切に運用していくかという場合に、今までの薬価基準でいいのか、あるいは診療報酬出来高払い制でいいのかと。いろんな議論が出ておりますが、今回の案を契機にいたしまして、今、与党内の医療保険制度改革協議会でも議論をされておりますし、今までの過去の議論でもほぼ一つのあるべき改革の姿というのは出尽くした感がございます。  これからはそういう案を整理して、じゃどれを選択するか、決断するかという段階に来ているのではないかと。それぞれの集団利害調整ということも大事でありますが、それを一歩乗り越えまして、最大多数の国民のためにどのよう最大の、利益を図っていくか、利害を超越してあるべき医療保険制度の姿を探っていくというのがこれから我々政治家に求められているのじゃないかというふうに考えております。
  5. 宮崎秀樹

    宮崎秀樹君 大臣の意気込みはよく理解できるわけでございますけれども、例えば組合管掌健康保険は、これは各組合によって給付内容も、例えば付加給付をやっておるところもあるし、その直轄の診療所では単価まで一点単価が違ったり、いろんなさまざまなことがされているんですね。  私は、健康保険、いわゆる健康保険イコール医療保険なのか、予防までそこに含めてこれを考えるということなのか、疾病、負傷したときに、これは業務外でありますけれども、適用に限度を絞るのか、そこら辺のきちっとした整理が必要だと思うんですね。それは各自今まで努力してやったからそれでいいとおっしゃれば、そこでおしまいですが、しかし若いうちは非常に元気で病気をしない、年をとってくると必ず病気になって死ぬわけですから、これは死ななきゃ大変なことになりますから、必ずそのときはドクターの手にかかるわけであります。  そういうことを考えたときに、私はやっぱり給付範囲は明確にここでしていかないと、従来のまま放置しておきますと高齢者に対して、若いうち保険料を取ったと、今度は組合保険をやめられたと、これは今、老人拠出金ということでやっておりますけれども、これさえ今いろいろ問題が物議を醸している状況でありますから、それはきちっと自分が病気になったときに使えるというのが医療保険医療という名前がついていますから、それは医療範囲をどこまでにするかという議論もその前にありますけれども、やはりそこら辺をきちっと整理する必要があるんじゃないかと思うんですが、これに関してはどういうふうにお考えでしょうか。
  6. 高木俊明

    政府委員高木俊明君) 現在の医療保険の各制度先生御指摘のとおり、これまで必ずしも全部が同じ給付あるいは同じ保険料という格好になっていないわけでありまして、これはもうひとえに医療保険制度の発展の中での沿革的なものだというふうに思っております。  そういった意味では、やはりこれからの新しい時代にふさわしい、とりわけ高齢社会に備えた制度というふうな観点で、これまでの医療保険制度給付内容なり、あるいはそれぞれの枠組みがいいのかどうか、これはやはり見直していかなきやいけないと思います。  ただ、若い時代からある程度一種の積立方式的な考え方をとるのがいいのかどうか、この辺はもっと議論する必要はあると思いますけれども一つ考え方ではないかと思います。いずれにしても、それらも含めた根本的な制度見直しということを私どもやっていく必要があると考えております。
  7. 宮崎秀樹

    宮崎秀樹君 ぜひ根本的に見直しを進めて、もちろん私ども政治家もそうでありますけれども厚生省の方でも検討していただきたいと思っております。  そこで、現在、組合健保法定準備金、別途積立金は累積はどのくらいになっておりますか。
  8. 高木俊明

    政府委員高木俊明君) 健保組合法定準備金、それからそのほか別途積立金というのを持っておりますが、平成七年度末で申し上げたいと思いますけれども積立金準備金合計額が三兆三千百四十六億円というふうになっております。
  9. 宮崎秀樹

    宮崎秀樹君 政管健保が来年度は赤字になるということで急遽今度の改正ということで今取り組んでおるわけでありますけれども組合健保は三兆三千億というお金をまだ抱えておるわけであります。  私は、財源の一元化なり、それからもう一つ制度の一本化、そういうことをやる必要がもうここへ来てあるんじゃないかというふうに思っております。確かに今までの組合の御努力ということは、これは評価いたしますけれども、しかしここへ来て社会構造も変わってきたし、そして特に介護保険制度というものを導入する、こういう時期でありますので、ぜひこれは検討していただきたいと思います。と同時に、医療供給体制もこれはきちっとやっぱり整備していかなきゃいけないし、対応していかなきゃいけない。  そこで、きょうは今井先生がおられますが、予算委員会長野県の話が出ました。長野県の病院のいわゆる平均単価コストというものは北海道に比べて大変安いと。これを見ますと、やはり長野県は病床数がまず少ないんですね。人口十万人当たりの病院病床数、これは全国が一万三千四十一でありますけれども長野県は一万一千四十一で、これは平均より一五%低いんですね。少ないんです。そこへもってきて、北海道は一万九千四十で、これは四五%も全国平均よりも多い。これが一つであります。これはやはり北海道という地域性、これを見ますと、冬はとても通院できないと、また往診もこれはとても、一軒行けば一日かかっちゃう、こういうようなこともあって恐らく病床数が多いということだろうと思います。  特に、七十歳以上の方がどこで亡くなっているかというのを調べますと、亡くなった総数を一〇〇としますと、北海道病院で何と八三・一%の方が亡くなっているんですね。長野県は五八・〇であります。過半数ちょっとであります。じゃ自宅でどのくらい亡くなるかというと、北海道は八・七%、長野県は三四%の方が自宅で亡くなっている。  私も現在往診しております、一週間に一回。がんで、肺がんで自宅で亡くなるというような、これは家族の希望でありますし、また患者さん本人も自宅がいいと。これは幾ら手をかけようにもかけようがない。要するに、苦しみを取ってあげるということが最大のことでありますから、まあ酸素吸入ぐらいは家族でできることであります。ところが、病院入院しますと、食べられなくなれば中心静脈栄養もやるし、点滴もやるし、いろいろなことを処置されます。入院させておいて何もしないと、これは家族の方がほったらかしじゃないか、何やつているんだと、これまた問題が起きます。そういうような実地的な現状は私も体験しておりますので、そういうよう状況でございます。  私は、やはりもう死を迎える方は自宅家族にみとられて、そう痛いこともされないで、苦しまないで亡くなる、これが一番最高だと思います。そしてまた、医療費もかかりません。しかし、今、核家族化しまして家で面倒を見る人がいない。そうすると、病院へ預けてしまう。こういう思考になりますと、どうしても医療費というのはかさんでくるわけです。  ですから、今度の介護保険制度を導入するときには、やはり家族の方が面倒を見たときには支援をする体制をつくってあげるということが究極的には医療費コストをダウンさせるというところに結びついていくと思うんですね。  私は、若い人が病院へ入って、平均余命は若い人は長いわけですから、これはそこで助けると、これは必要だと思います。何も助かる病気自宅にいてほったらかして死んでしまうということは問題であります。しかし、年をとってきた老人の、今問題になっている老人保健制度の問題、これはやはり在宅できちっと私はやってあげる必要があると思うんですね。  ですから、そういうことを考えたときに、そういう施策を頭の中へ入れて医療供給体制もやっていかなきゃならないと思うのでありますが、そういう実態というものを踏まえて、厚生大臣自宅であの世へ行きたいですか、それとも病院でいろいろやっていただいて行った方がいいですか、その辺の御所感はいかがでしょうか。
  10. 小泉純一郎

    国務大臣小泉純一郎君) 私もある程度年がいったら自宅で死ぬ方を選びたいと思いますね。不必要な医療は避けていただいて、できるだけ痛みを少なく死にたいと、しかも自宅でという方をとりたいと思います。
  11. 宮崎秀樹

    宮崎秀樹君 それは大抵、よほど変わった人でなきゃ、大臣と同じ意見だと思います。  やはり、そういう体制をつくっていくということが問題であるし、同時にターミナルケアということで最終的ないわゆる治療ということ、そこにお金がかかるわけですね。ですから、スパゲッティ症候群というような、集中治療室に入って、そして一週間生き延ばすために一千万円近いお金をかける、これは実際むだなんですね。だから、そこら辺のことをこれからやはりきっちりと検討していかなきゃいけないと思っております。  それから、今回の医療保険制度改革の中で、これは一九九七年の一月十日号ですか、ある有名な医療雑誌に載った、名前を言うとこれは皆さんにわかっちまうから私はわざと言わないんですが、厚生省のある課長さんが、今回の改正で、「自己負担増患者受診を抑制することが予想されるが。」という質問に対して、「当然、起こり得るだろう。医保審の建議に付けた試算でも、受療行動変化織り込み済みだ。」と。要するに、今度のあれで受診が抑制されるんだよと、それでその金額はもう織り込んであるんだと、こういう返答をしているんですね。私は、これはちょっと問題があるんじゃないかと。  これは、まだこの保険法が提出される前の段階でそういう発言をきちっとした、これはそう変な雑誌じゃありません、権威のある雑誌でありますから、そこに対談で出ているんです。これは、もしそういうことが既に厚生省で織り込んであるのならその数字を、入院幾ら外来幾ら織り込んだんだということがもし試算されていたらお知らせください。
  12. 高木俊明

    政府委員高木俊明君) 私どもは、今回一部負担の増額をお願いしているわけでありますが、そういった形で制度改正が行われた場合における財政効果というものを試算いたしております。  今回の制度改正趣旨でありますけれども、これはいわゆる世代間の負担の公平ということをにらみながら、そしてまたいわゆる受益と負担の公平というふうな視点をにらみながら一部負担の改定をお願いしているわけでありますが、そういった際の財政効果を試算する際に、これまでの経験則に照らしまして、給付率が低下しますと医療費減少する、それから給付率が上昇しますと医療費が増加する、こういった傾向が見られております。  こういうふうなことから、今回の制度改正におきましても、これは一部負担の引き上げをお願いしているわけでありますので、そういった意味からしますと給付率が低下するということになるわけでありまして、それに伴う医療費減少がどのくらいあるかということを試算いたしております。入院については、これは私どもとしては給付率が変わっても大きな変化はないということで織り込んでおりませんが、外来につきましては、今回の一部負担をお願いした場合には、平成九年の五月実施でお願いしているわけでありますけれども平成九年五月に実施した場合に、平成九年度における効果として約八千五百億円、従来よりは減少するだろう、このように織り込んでおるわけでございます。
  13. 宮崎秀樹

    宮崎秀樹君 私が申し上げたのは、受診抑制、それによって患者さんが来なくなるよと、金を取られるからという意味でおっしゃっているから、ここに問題がありますよと、こう言っているわけです。だから、果たしてそういうことの数字はそこにプラスアルファで入っているんですかと、こういうことをお聞きしているわけです。
  14. 高木俊明

    政府委員高木俊明君) ただいま申し上げました約八千五百億円ほど減少すると見込んでいるこの八千五百億円と申しますのは、今回の一部負担改正に伴って給付率減少する、その給付率減少に伴って、これまでの経験則からして財政的には医療費減少する、こういうことで、そこの部分に伴うものとして約八千五百億円ということでございまして、今、先生の御質問趣旨からして約八千五百億円というふうに計算しているということでございます。
  15. 宮崎秀樹

    宮崎秀樹君 そうすると、受診抑制を見込んでいるということですね。
  16. 高木俊明

    政府委員高木俊明君) 受診抑制というふうな言葉使い方が適当であるというふうに私ども思っておりませんで、先ほど冒頭申し上げましたように、今回の改正趣旨に即して改正をお願いしております。  そうしますと、これまでの経験的な状況から見ますと、ただいま申し上げたよう状況で、給付率減少するということでそれを織り込んでおると、こういうことでございます。
  17. 宮崎秀樹

    宮崎秀樹君 何かわけのわからない御返事でございますが、お役人の答弁ですからそういうふうにしか答えられないと思います。  私は、少なくとも受診抑制ということを国民の前で、こういう政策でだれでも均等に受診できるという、これはもう憲法で国民の生命と健康を守ると書いてあるんですから、万が一それに反するようなことをおっしゃったとするとこれは大問題だと思うんですね。だから、そこら辺のことはどうお考えでしょうか。
  18. 高木俊明

    政府委員高木俊明君) 受診抑制というよう言葉使い方は必ずしも適当ではないというふうに思っています。
  19. 宮崎秀樹

    宮崎秀樹君 わかりました。  それでは、社会保険庁の役割、これはもう時間がございませんから私が申し上げますが、「政府管掌健康保険船員保険などの医療保険事業厚生年金国民年金などの年金事業保険者として、その運営実施事務を担当。」というふうに書かれております。そして、地方機関職員数を入れますと一万六千四百二十二人の職員がいると、こういうことであります。特に、その中で病院経営委託を行っているということであります。五十四の病院を委託してやっておると。  そこで、ハードの部分につきまして、これはどこからお金が出るんですか。政府管掌保険財源の中から一部出て、そして一般会計、これは国費からまた別途出るのか、そこら辺はどういうふうになっていますか。
  20. 真野章

    政府委員真野章君) 社会保険病院整備費でございますが、これは健康保険保険料からその財源を出しておりまして、国庫負担はついておりません。
  21. 宮崎秀樹

    宮崎秀樹君 社会保険保険料からそこへお金が行っているということは、財源がもう赤字になるという中で、しかも病院が全部黒字ということじゃないようでございます。二対一の割で赤字病院を抱えていると。私は、やっぱりこういうことはもう整理すべき時期に来ているんじゃないかというふうに思っております。  これの見直しについて、社会保険庁では附帯事業には年間千五百億円程度を費やしていると新聞では書かれておりますが、金額はこの程度でございますか。
  22. 真野章

    政府委員真野章君) 平成九年度の予算額で、保健福祉施設事業費といたしまして千五百八十四億をお願いいたしております。
  23. 宮崎秀樹

    宮崎秀樹君 私は、やっぱりこの見直しをやっていただかないと、抜本改正をやる中で問題があるんじゃないかと。社会保険病院の使命というのは、これはもうベッド数が多い多いと言いながら、王子にも国立病院を、この統廃合の中で今度これにかわって社会保険庁がそこで病院をやるという話がございますね。そう手を広げておやりにならなくても、大体もとが赤字なんですから、何でそこまで赤字財政の中でおやりになるのか、そこら辺の意図がわからないんですが、その辺についてはどうお考えでしょうか。
  24. 真野章

    政府委員真野章君) 先生御承知のとおり、社会保険病院はいわば政管保険者病院として、従来、直接社会保険医療を確保するということでやってまいりました。御指摘のとおり、医療提供体制も整備をされてきております。また、本体の財政状況も非常に厳しいという状況の中で、私ども従来どおりのあり方でいいというふうには思っておりません。  ただ、平成七年に政管の中期構想につきまして御議論をいただきました。そこでは労使それぞれ保険料を拠出していただいている方々に集まっていただきまして御議論をいただきました。いわば社会保険病院の今日的役割について御議論をいただいております。その中では、予防からリハビリまで一貫した医療を行う、健康管理を充実するというようなことで、社会保険病院保険者病院としてその役割を果たすということを御議論いただいておりました。そういうことも踏まえて、私ども運営に指導をしてきたつもりでございます。  ただ、委員御指摘のとおり、大変本体の財政状況は非常に厳しいという状況の中で、私どもといたしましては、保健福祉事業を従来の病院の整備というハード的な部分、それよりは健康教育、健康診査、そういうようないわゆるソフトの部分にウエートを移しまして、そういうことによりまして予防、健康づくり、そういうことによって医療保険の財政本体に資するという方向に充実をしていきたい、重点を移していきたいというふうに基本的には考えております。  そういう基本的な考え方のもとで、労使並びに医師会の代表の方々にも入っていただきまして、今鋭意議論をしていただいているところでございます。
  25. 宮崎秀樹

    宮崎秀樹君 この社会保険病院の持つ意味というのは、これは政管健保の加入者を主な対象者としてこういう事業を進めるんだと私は思うんですよ。だけれども、地方の方々は、健康診査とか書いてありますね、「健康教育、健康診査等健康の保持増進に関する事業」というふうに委託先の全国社会保険協会連合会というものの中の「内容」に書いてありますけれども、これはあまねく均等に恩恵に浴さない。やはり、それは委託をして各地区の病院なり診療所医療機関でそういうことがどこでもできるかというと、そうじゃないんですね。なかなか厳しいので、どこへ行ってもやってくれるというわけじゃない。これは指定か何かしているわけですね。こうなりますと、これは不平等ですよね。  だから、そこはじゃ全国どこでも政管健保の診査を受けられるという体制であれば、この健康保険法という中でそれを認めるならば私は結構だと思いますよ。そうじゃないです、実際は。実態としては、非常に文句をつけて社会保険庁がなかなか認めない。私もかつて随分やり合ったことがあるんです。  それは今、全国的にどういうふうになっていますか。
  26. 真野章

    政府委員真野章君) 政管の健診につきまして、なかなかこの健診事業に御理解がいただけなかった状況がございまして、社会保険病院を中心に健診をやってきたということは歴史的には事実でございますが、御指摘のとおり、医療提供体制も整ってきたと、そして健診をやっていただける民間の医療機関も充実をされてまいりました。  そういうことで、いわば健診をやっていただける体制が整ったわけでございますので現在では、社会保険病院に限定してやっている、国公立病院に限定してやっているということではなくて、その能力のある民間の医療機関も私ども委託をいたしまして健診を実施してきております。  ただ、先生御指摘のとおり、従来の経緯がございまして、じゃその全部の医療機関、御希望いただけるところが全部やれている状態になっているかということについては、必ずしも地域によりましてそういう状況ではございませんが、私どもといたしましてはそういう民間の医療機関の健診能力というものも大いに活用させていただきたいというふうに考えております。
  27. 宮崎秀樹

    宮崎秀樹君 そう制約を決めないでどこでも、手近なところでそれができるということをひとつぜひお考えください。これはもう何回も言っていることでございます。  それから、もう時間が余りないので一つ飛ばして申しわけないんですが、国立病院のことはまた後で質問いたします。  そこで、ちょっと前へさかのぼりますけれども保険局長さん、今度の医療保険改革の中で薬剤一日一種類十五円という問題ですが、これをもし実施した場合の支払基金、政府案では今まで三秒で処理できたやつが二十秒かかるというデータが出ていますね。それは御存じですか。処理するのに二十秒というデータ。これは私調べたら、厚生省にはちゃんとこれは渡してありますという話でございますが。
  28. 高木俊明

    政府委員高木俊明君) 内部の意思疎通が悪くて申しわけございませんが、私のところまではちょっとまだ上がっていません。
  29. 宮崎秀樹

    宮崎秀樹君 一度それはお調べになっていただきたいと思います。  あれはレセプト一枚に対して百十三円ですね、支払っているわけですね。ところが、返戻があるわけです。返戻はただなんです、再審査は。そうすると、各保険者がこの十五円の問題で返戻の山になると思うんですね、わからないから。薬は内容が全部非常に複雑ですから。そうすると、これは処理し切れなくなるだろうと。支払基金の方から私は聞いているんですが、これはもう非常に大変だと。だから、本当にこういう実態がわかっていない人がやったんじゃないかということがありますので、私資料ありますから、局長まで行かないで恐らく下でとめちゃったんでしょう、私差し上げますから、局長、一度ひとつ検討してください。お願いします。  そこで、次に移ります。  実は、介護保険のときに申し上げる話でありますが、具体例を挙げますと、モデル事業をぜひやった中でこの介護保険というものをやっていただきたい。  それは、岐阜県に山岡町というところがございます。人口が五千七百三十三名、四十歳以上の方が二千八百四十三人、そして高齢化率は二二・一%であります。そこにはこれに対する受け皿のいわゆる老健施設もなきゃ特養もない。全くハードがない。そして、在宅福祉の支援センター、そういうものもない。保健婦が足りない。若い人はいない。そういうところでもしこの介護保険が導入されましたら、これは保険料だけ取られて介護は受けられないのではないかと。独居老人は今六十人だそうでございます。町長さんを初め町会議員の皆さんからいろいろ意見を聞いてまいりました。  私は、やっぱりそういうところのモデル事業をしっかりやった中で今度進めてもらわないと、いざスタートしたときにいろんな問題が起きてくるというふうに思っておりますので、その辺に関してはどうでしょうか。簡単にひとつお願いします。
  30. 羽毛田信吾

    政府委員羽毛田信吾君) 先生お話しのとおり、特に過疎地域等におきましてサービスの体制が十分に整っていないところにおいて介護保険をスタートするときの問題、大変重要でございます。  したがいまして、私どもとしましては、そういった地域におきましてもいろいろ工夫をする中で、住民参加型のサービスでございますとか、あるいは農協組織の活用、あるいは基盤整備にしましても、各種サービスにつきまして、例えば小中学校の空き教室を利用する、あるいはいわゆるサテライト型のサービスというようなものを導入するというような工夫の中で、さらにもちろん予算の重点配分という中でそういった地区につきましてのサービス基盤を整えるという努力を一方においていたしたいと思いますし、今、先生がお話しのございましたモデル事業等につきましても、特にこういう地域におけるサービス展開はどのようになるか、それから例えば民間が進出をするというときにどのような形で、その間の進出等ができる条件等はどうなるかというようなことにつきましてはモデル事業等を通じましてしっかりやっていきたいというふうに思っております。
  31. 宮崎秀樹

    宮崎秀樹君 それでは次に、農水省と厚生省が一緒になってやっておりますいわゆる僻地の、これは農水省の予算でやっているんですか、遠隔によります在宅健康管理システムというのが導入されようとしておるわけであります。  そこで問題なのは、医師の介在なしに一方的にこれが進められておりまして、これは特にまたびっくりしたのは、六十五歳から七十五歳までの間の健康な方を対象にやっていると。ほかにやっているのは福島県の西会津町というところがございまして、ここはきちっとした診療所がありまして、医師、看護婦が常駐している、そういうところに情報管理するということでありますが、そういうことなしにどうも勝手にやっているということでありまして、現地からいろいろと私のところへ問い合わせが来ております。  最初に農水省、これは目的は何なんですか。
  32. 高橋徳一

    説明員(高橋徳一君) 山村等の中山間地域におきましては高齢化が急速に進展してきているわけでございます。こうした地域におきまして高齢者が能力と意欲において生き生きした活動を展開し、その持てる能力を十分に発揮できるようにするということが私ども農政の展開をする上でも重要な課題だというふうに考えてございます。  このためには、高齢者が安心して暮らせる環境条件の充実を図るとともに、地域づくりにおきまして高齢者の能力ですとかあるいは技術を活用したさまざまな取り組みを支援する、こういったことが重要な課題となってきているというふうに考えているわけでございます。こういった観点から、本事業は厚生、文部両省と連携しまして平成八年度に事業化されたものでございます。  この事業の中におきましては、地域の実情によりまして、先生今御指摘の市町村保健センターと連携しました日常の健康管理を可能とする情報関連施設の整備ですとか、あるいは高齢者が加工施設あるいは生きがい農園などにおきまして元気に働くための活動促進施設、そういったものを整備しているわけでございます。  この事業の実施に当たりましては、特に円滑かつ的確な事業を執行する、こういう観点から、農林省と厚生省がそれぞれ通達を発出しまして、事業の実施段階から地方公共団体の農林水産担当部局と厚生担当部局との連携を図るよう指導してきているわけでございます。
  33. 宮崎秀樹

    宮崎秀樹君 これに関して、厚生省老人保健福祉局長から、また厚生省社会・援護局長から都道府県知事あてに「農林水産省における農山漁村高齢者対策の総合的展開について」という文書が出ております。そこには医療とのかかわりを全く親切に知らせてないんですね、これ。  これはよく打ち合わせをしてやったんですか、農水省と。
  34. 羽毛田信吾

    政府委員羽毛田信吾君) 今、農水省の方からもお答えがございましたように、農山漁村地域におきまして安心して日常生活を営むということのため、あるいは生活を充実したものにするということのために高齢者等に配慮した生活環境を整備していくということは大変大事なことだというふうに私ども考えております。  そういった観点から、平成八年度に実施をされましたこの事業の実施に当たりまして、私どもといたしましてもやはり高齢者等にいわば優しい地域づくりを進めるということは大変大事だと、そういった総合的な取り組みは省を超えて私どもとしても協力すべきものはしていかなければならないという観点から、積極的にこれに協力をする。それから、協力をするという中では、先生お話のございましたように、これはやはり医療機関でございますとか、あるいは保健医療センターだとか、そういった部分でのいわば手配り気配りも要る部分がございますから、そういった観点からしましても、単にそれぞれの農林水産部局だけではなくていわば厚生省関係の部局もそういった連携を図るということは大事だということでむしろ私どもの方もそういう通知を発せさせていただいたわけであります。  したがいまして、その通知のいわば本旨と申しますのは、そういったことにつきまして特に医療福祉サービス等の面で活用の可能性のあるいろんな地域の施設、こういったものにつきまして、いわば保健、医療、福祉を担当しております私どもの方の観点というものがちゃんと入るようにという趣旨から、そのようなことで一緒に出させていただいたということでございます。個別の、今お話の中で、そこの点が十分通っていないではないかというようなお話の部分につきましては、今のよう趣旨で出した通知でございますから、今後ともよくそういった連携を図るように、私どもの方もそういった観点からよく目配りをするように、やはり今後ともそのような観点から指導をしてまいりたいというふうに考えております。
  35. 宮崎秀樹

    宮崎秀樹君 これは素人の方が考えておやりになったんでしょうかね。ただ脈拍数と血圧だけなんですね、これ。脳血管とか心臓、循環器系の疾患で血圧というのは、はかる機械が故障したら全くわからなくなりますし、また不整脈はとらえられないですね。  これは熊本県の水上村というところでありますが、そこでは保健婦さんがいると、それで一日一回そのデータを見るだけの話だと。これを過信していまして、もしそこで重大なものが発生したときの責任はだれがとるのといったら、その施行者は村長であるけれども、村長はその責任はとらないと一筆とっているんだそうですよ。  こういうことをお考えになった発想というのは、どうも私はお金をどぶに捨てているような感じがしてならないんです。今、行革、行革といろいろ言っているわけでありますけれども、余りにもむだなことをいろんなところで思いつきで始めているということでありまして、ここら辺のところはきちっとした学者が入って意味のあることにお金をかけるということでないと——これは一年度だけで次年度からはもう予算がつかないんですか。村の財政に任せるというようなことなんでしょうか。あと医療機械屋さんが入っていますね。何かオムロンに決まったそうでありますけれども医療機械屋さんがもうかるだけの話でありまして、やっぱり厚生省考えることかななんと言う方も出てくるわけであります。  だから、それは私はそんなことはない、こう言って否定しておりますけれども、しかしやっぱりこれは慎重に物事を進めないと、むだなことを余りおやりになっても意味がない。しかも、それによって逆効果が出たときにだれが責任をとるかというと、だれもとらない。そんな施策はやっぱり私は問題があるんじゃないかと思うんですが、いかがでしょうか。
  36. 高橋徳一

    説明員(高橋徳一君) 健康管理等情報関連施設につきましては、利用者の選定基準の作成ですとか選定の判定等に当たりましては、事業実施の適正化を図るという観点から、当該市町村ごとに農林担当部局、それから厚生担当部局等から成る在宅健康管理システム推進委員会を設置し対応するよう指導しているわけでございます。  お話の熊本県下の水上村におきましても、地元医師、民生委員、区長会など、その地域の関係者から成る健康支援システム推進委員会を設置しまして、対象者の範囲ですとかシステムの運営のあり方等について検討しているというふうには聞いてございます。  ただ、御指摘のとおり、連携が不十分で事業の推進に支障を生じている、そういうようなことがあるとしますと事業の目的が十分達成できないということになりますので、今後かかることのないように一層の事業の趣旨等の徹底を図りまして、関係機関との連携の確保について当たっていきたいというふうに考えてございます。
  37. 宮崎秀樹

    宮崎秀樹君 きょう現在できていないんですよね。もう機械は入っちゃった。ですから、何でもすべてもうやってしまって事後承諾、しかもいろいろクレームをつけると慌てていろいろやる、これではやはり行政不信になるので、どうかその点は今後十分留意して処理をしていただきたいと思います。  時間が来ましたので終わります。ありがとうございました。
  38. 塩崎恭久

    ○塩崎恭久君 宮崎先生に引き続きまして、自民党の塩崎恭久でございます。  予算の審議で大臣も大変お疲れではないかと思うわけでございます。今、宮崎先生から詰まったお話がございましたけれども、私の方はきょう、今まさに橋本総理を中心にさまざまな改革を推し進めているわけでございますが、それに関連して幾つか大臣の哲学を聞かせていただいて多少議論させていただけたらな、こういうふうに思っているところでございます。  大きくくくりまして二つ話題があるわけでございますが、一つは、折しもきょう、自由民主党の行革推進本部で特殊法人の見直しというのを発表いたすわけでございます。もう新聞やテレビで大体報道されておりますから皆様方も御案内のとおりだと思いますけれども、その問題と、それから財政再建の中で社会保障の構造改革をどうやっていくのかということ、橋本さんの六つの改革という中でももちろんあるわけでございますが、この二つの問題に絞ってお話を聞かせていただきたいと思うわけでございます。  今お話し申し上げましたように、きょう自民党が特殊法人の見直しを発表いたしますけれども、これは第一弾ということで、あとこれから第二弾、第三弾というふうに次々とやっていこうと思うわけでございます。去年、第二次の行革推進本部というのが自民党の中にできて、十二月に全省庁に特殊法人並びに認可法人についていろいろなデータを出していただくようにお願いいたしました。それを精査し、すべての特殊法人並びに認可法人、すべてといっても日本銀行とか幾つか除いておりますが、百四十ぐらい対象にいたしまして全部検証を二月、三月にかけましていたしたわけでございます。  いろいろな印象を持ちましたけれども、いろいろなものを見てみますと、我々が知らなかったことの余りの多さに驚いたわけでございますし、もちろんそれぞれ理由があったからこそ今日までそういうものがあったわけでございますが、既にその理由がなくなっているようなものもあったということで廃止や民営化も含めてきょう発表するわけでございますけれども、ブラックボックスのようなものになってしまっている、それに我々も随分驚いたわけでございます。  厚生省においては小泉大臣が先頭になって年金福祉事業団の問題について、これは特殊法人という問題もありますし、また財投の絡みで改革大臣みずからがイニシアチブをとってやってこられた。もうこの問題も皆さん御案内のとおり、一兆円の赤字が出ている。これは大半は年金の運用で出てきたものでございますけれども、そのほかに住宅貸し付け、これは平成七年、八年度で、新聞報道によりますと二兆八千億ぐらい戻ってきちゃった。つまり、住宅金融公庫と同じような現象が起きて、それの利子補給に二千五百億円ぐらい累積でかかっているというようなこともございますし、その他いろいろな事業もあって廃止を大臣みずからが唱えていたと。  きょうそれが発表になるわけでございますが、きのう佐藤本部長大臣、新聞報道によりますと最後のお話し合いをされたということでございますが、この年福事業団の廃止の方向を取りまとめることになっておりますけれども大臣考え方をまず聞きたいと思います。
  39. 小泉純一郎

    国務大臣小泉純一郎君) 先ほどの宮崎先生との議論にもありましたように、各役所は金があればいろんな要望にこたえてやる仕事はたくさんあると思います。また、議員の方も、やらないよりはやった方がいいという国民の要望を聞けば、それだけ地域の人にとってはやらないよりはやった方がいい、施設もつくった方がいい、利用者がなくても。今の宮崎先生との議論を聞きましても、金があればいいですよ、金がない状況ではむしろやらなくてもいい仕事をやっている部分が結構あるんじゃないか。さっき言った社会保険庁の問題でもそうです。附帯事業をつくって、本来の業務に専念すべきところを、いろんな要望があるからといって附帯事業を拡張していったら幾ら金があったって足りっこないんです。国民が喜ぶものは全部やる、財源が豊かならそういうことができます。しかし、そういう時代でもなくなってきた。これはあらゆる省庁にも言えると思います。  そういう中で、行財政改革が出てきまして、年金福祉事業団、特殊注入の一つであります。この年金福祉事業団の仕事というのは本当に厚生省がやらなきゃならない仕事なのかということを考えると、そうでもない。年金積立金を運用して、今、年金福祉事業団がやっている主な仕事というのは住宅融資とか大規模保養地の建設等、これは本当に厚生省がやらなきゃならない仕事なのかということを問い直すべきじゃないか。しかも、年金のお金ですから有利に運用しなければならない。大規模保養地に投資し、融資して、住宅融資にお金をかけている。有利に運用されるのか。普通の常識があれば、有利に運用されるわけないんですよ。厚生省がやらなくても、ほかの省庁がやる仕事なんです。民間でもほかのやる仕事なんです。ということから私はこの年金福祉事業団は廃止を含めて見直すべきだと。  と同時に、単なる特殊法人の改廃で終わってはいけない。行財政改革をやるんだったら財政投融資制度そのものを見直すべきだと。特に財政投融資制度がこれだけの事業活動をできるのは、年金のお金と郵貯のお金があるからこそ投資、融資している。その際に、年金を掛けている人から見ればこのお金が有利に運用されていいんですから、資金運用部に預かっている預託金利は高い方がいい。郵貯のお金と一緒に預かって統合運用している。郵貯の方も預金者の立場に立ってみれば金利は高い方がいい。ところが、出口の貸出先を見ると、住宅金融公庫にしても国民金融公庫にしても中小企業金融公庫にしても、借りる立場に立ってみれば金利は低ければ低いほどいいんです。本来、郵貯というのは国家の信用を背景にしていますから、一番倒れっこない、倒産しっこないんですから、民間金融機関に比べれば金利は低くていいはずなんですけれども、これが民間金融機関よりも今までは有利だということで集まってきた。  こういう資金の入口、管理している資金運用部、出口の特殊法人等を考えますと、資金運用部というのは年金の金、郵貯の金、簡保の金を預かっているんですから、これは確実有利であるところに投資、融資しなければならないのに、今の財政投融資制度考えてみますと、国民に大変な債務が降りかかってきている。全然有利じゃない。確実だということは国民一般会計で税金で負担するという前提があってこそ確実なんです。この問題にメスを入れないと、単なる特殊法人を一つや二つ、幾つか改廃しても何にもならないということから私はこの年金福祉事業団、厚生省が本来やらなくていい仕事をやっているから廃止を求める。同時に、この年金資金を資金運用部に全額預託しているのを郵貯と一緒に運用されては困る。今、郵貯は低い方がいいと言っているんですけれども、そうはいかない。このもとのところを考えて年金は自主運用させるべきだと。そういう前提で私は年金福祉事業団を廃止していくべきだと。そうすることによって財投本来の改革にメスが入る。それを期待して今やっているところでありまして、昨日、自民党の佐藤行革本部長と会談いたしまして、その趣旨のことをよくお話ししておきました。
  40. 塩崎恭久

    ○塩崎恭久君 それを受けてきょう廃止ということを発表することになると思うわけでございますけれども、今度それを廃止した場合に、財投の話はまた後ほどお話をしたいと思うわけでございますが、いろんな事業があったわけでありますけれども、これをどういうふうに整理していくのかということでございますが、タイムスケジュールもいろいろあろうかと思うんですが、それを含めてこの事業をどういうふうにこれからさばいていくのか、お答えをいただきたいと思います。    〔委員長退席、理事菅野壽君着席〕
  41. 矢野朝水

    政府委員(矢野朝水君) これまで事業団が行っている仕事をこれからどういうぐあいに整理していくのか、そのタイムスケジュールを含めて明らかにしてほしいということでございますけれども、現在、年金福祉事業団の仕事というのは大きく三つあるわけでございます。  一番大きいのが市場運用事業ということで、年金のお金は一たん資金運用部に預けるわけですけれども、資金運用部から年金福祉事業団が借りてきて市場運用しているということでございます。これは借りてきて利子を払いながら運用しているわけでございまして、本来年金の金というのは長期資金でございますし、長期運用ができるわけでございますし、長期的に一番収益の上がる方法で運用すべきなんですけれども、そういう長期運用がしづらいと、こういう問題がございます。したがいまして、これにつきましてはかねてから大蔵省と相談をしておりまして、平成十一年度の財政再計算に間に合うように年金特別会計が直接運用するという方式を含めてその見直しをしてほしいと、こういう要求をしております。それに対しまして、それに間に合うように、現在、資金運用審議会の懇談会で検討が行われるということでございますので、この検討と並行して私どもとして年金積立金全体の運用方針なり運用体制、運用のあり方を検討していきたいと、こう思っております。  それから、二つ目の事業でございます大規模年金保養基地につきましては、いろいろな問題点が指摘されております。これにつきましては、既に閣議決定に沿いまして県等への移譲を進めておるわけでございますけれども、地元への譲渡を進めていきたいということでございます。それで、一定期間内に譲渡できないといった施設につきましては廃止をすると、こういう方向で検討しております。  それから、三つ目の事業でございますけれども、いろんな融資事業がございます。その中で住宅融資というのが一番大きいわけでございますけれども、これにつきましては民業圧迫とかいろんな問題点が指摘されておりますので、これにつきましては廃止を前提といたしまして、規模の縮小を図るとか融資条件の見直しを図る、こういう適切な経過措置を講じてまいりたいと、こう思っております。
  42. 塩崎恭久

    ○塩崎恭久君 今のタイムスケジュールは十一年の財政再計算に間に合うようにという話でございますけれども、特に住宅の貸し付けというのは実は、先ほど大臣もお話がありましたけれども、金があればみんなが喜ぶことをやるということで、随分いろんなところでやってきているわけですね、いろんな特殊法人で。特殊法人だけじゃない、共済とかそんなところもいっぱいやっているわけでありますけれども、そういうところと、それから御本家の建設省の税制でやっている住宅の政策とか、それから住宅金融公庫の融資というようなものとの兼ね合いというのがすごくあると思うんですね。  ですから、厚生省厚生省でよかれと思って、金があるからやってきたということでこの住宅融資をやって、ほかのところはほかの論理でまたやってきて、結局全部住宅をやっているわけで、この辺は言ってみればタコつぼみたいな話で、それぞれの役所や組織でぐあいがいいからやるよということでやってきて、それはそれなりにみんなも喜んできたということですけれども、これはやっぱりどこかでまとめなきゃいけないなというふうに私は思っているわけでございまして、そういうことも含めてひとつ厚生省だけで決めるようなことがないようにしなきゃいけないと。    〔理事菅野壽君退席、委員長着席〕  そういう意味で、これは実は大臣、三塚大臣と資金運用審議会の懇談会でやるということで何かお任せスタイルになっているんですけれども、そもそも政党政治でございますから議会がどう考えるのか、つまりここで議論しているみんなも一緒に考えるべきだろうし、それから政党もやらなきゃいけないという割には、何か懇談会で検討をお願いしたいという、こういう文言になっているわけでありますけれども、こういうことではなくてもっと積極的に全体像を見るような中でやっていかなきゃいけないのかなというふうに思っているわけでございますが、大臣、いかがですか。
  43. 小泉純一郎

    国務大臣小泉純一郎君) 当初は、資金運用審議会で財投のあり方、特殊法人のあり方を議論ようという段階においては財投の入り口、財投本体まで改革に踏み込むという考えはなかったのではないでしょうか。とりあえず特殊法人の問題、財投本体の改革は大き過ぎるからというような雰囲気がなきにしもあらずだったと思います。  そういう意味において、今回の私、厚生大臣と三塚大蔵大臣とのこの確認書は、それでは済みませんよと、あえて役所の考えにとらわれないで識者としてこの資金の運用がどうあるべきか、年金の自主運用も含めて本体を議論してくださいというところまで持っていったということは、私は大きな意味があったと思っております。  いまだ残念ながら議会の方も政党の方も国民の方も財政投融資制度本体の重要性について私は余り認識がないと思います。政治が余りこの財投本体の問題に関心を示さないことをいいことに、役所の方で勝手に現状維持の体制を出されたのではたまらない、何とか現状を打破したいという意味合いも込めて識者にこの問題を議論してくださいという確認書ですから、この議論の展開を見守って、政治の場でもそれを受けて本格的に議論する必要があるんじゃないかと。その中で当然私は財投本体の改革論が出てくるということを期待しております。
  44. 塩崎恭久

    ○塩崎恭久君 今、大臣が政治もこれを受けてというお話がございましたけれども大臣をやっておられますから我が自民党本部にも来られる回数が少なくなっておわかりにならないかもわかりませんけれども、我が行革推進本部の中に財政改革委員会というのがありまして、その中に幾つかチームをつくっております。その中に財投と政府系金融機関と特別会計の見直しをやるチームがございまして、不肖私がその主査をやっているわけでございます。それは二月からもうずっと財投の勉強をやっておるわけでございまして、この懇談会がどういう答えを出そうとするのか我々よくわかりませんが、我々は我々で政治の立場から財投の問題についてもやっていこうということで鋭意今やっているところでございます。今度政府系金融機関の問題についてこの四月から本格的に、財投という切り口も含めてやっていこうということでございますので、ひとつ一緒にやらなければいけないなというふうに思っております。  それでもう一つ、今の問題に関連して、年金の自主運用の話が出ました。運用の主体、先ほど特別会計みずからがというお話がありましたけれども、これについて主体をどこに持っていくのかというのがいろいろあるのだろうと思います。イギリスなんかではエージェンシーを活用してやっているということでもございますし、今までは特殊法人で日本はやってきたと。特別会計でみずから運営を行うということがそのまま例えば株などを含めてできるのかどうかという問題もあるわけでございますが、この運用主体をこれからどういうふうにするのか、それから運用の対象についてどういうふうにするのか、これについてお答えいただきたいと思います。
  45. 矢野朝水

    政府委員(矢野朝水君) まず、運用対象の方から先に答えさせていただきたいと思います。  これは先ほども申し上げましたように、年金積立金は長期の資金でございます。当分取ります必要がないということでございまして長期運用ができるわけでございますし、それから加入員のことを考えますと、これはできるだけ有利な運用をして将来の保険料引き上げを抑制すると、こういうねらいがあるわけでございます。したがって、長期的に最も高い収益が得られるような運用をしなきゃいけないと。  そうなりますと、株式というのがどうしても不可欠になってくる、こういうことが言えるかと思います。確かに、その株式につきましては、短期的に見ますとリスクが高いわけですけれども、長期的に見ますと債券を上回る収益が期待できるということでございまして、株式は不可欠だと、こう思っております。あるいは、これから日本の経済成長が余り望めないということになりますと、そういう経済成長が期待できるような地域に、海外投資でございますけれども、海外の株とか債券も投資対象に加える、こういうことも当然必要になってくるかと思います。  そういうことで、そういう運用対象との関係でも運用主体の問題を考える必要があるわけでございまして、これにつきまして私どもとして一つ反省しなきゃいけませんのは、これまで厚生省が年金の保険者であるわけですけれども、全額資金運用部に預託する、こういう体制の中で保険者として年金積立金をしっかり運用しなきゃいけない、こういう責任意識が乏しかったのじゃないかと、こういう反省をいたしております。  そこで、国の責任体制をしっかり明確にできるような、そして被保険者の方々に信頼していただけるよう体制を構築する、こういうことがまず必要だと思っております。それからまた、専門家なり保険料拠出者の意向を反映しなきゃいけない、そういう運営主体にしなきゃいけないと、こういうポイントもあろうかと思います。  それから、業務が非常に専門性があるわけでございますので、民間活力をできるだけ活用するとか、それから先ほど申し上げたような株式投資ができる、こういう運営主体でなければいけないと。例えば、国みずからが株式を保有するということについては現在非常に否定的な見解が強いわけでございまして、この株式投資ができないような運営主体であっては困るということでございます。  それから、先ほどございましたように、一兆円を超えるよう赤字が現在ございます。これを円滑に解消していくような仕組みなり運営主体を考えなきゃいけないと、こういうことでございます。  今申し上げたようないろんな観点から、具体的な姿としてはいろんな選択肢があるわけでございますので、関係者ともよく御相談しながら、今後早急にその運営主体の問題について詰めていきたいと、こう思っております。
  46. 塩崎恭久

    ○塩崎恭久君 大臣にお尋ねいたしたいんですけれども、その運用主体について大臣のお考えはいかがですか。
  47. 小泉純一郎

    国務大臣小泉純一郎君) 現在のように資金運用部に預託して、それをまた借りて運用する、これはよくない。資金運用部に預託しないで直接運用する。しかも、有利な運用のためにはいろんな識者の意見をかりて、国民の意見を聞いて、大事な年金の積立金であります、いかに有利、確実に運用するかというのは、より多くの知恵のある専門家の意見を聞いてあるべき機構をつくっていくべきではないかと。  ともかく百兆円を超える膨大な額であります。この資金を運用するんですから、今はちょっと想像がつかない。どういう方法がいいかという具体的な姿は出てきませんが、ともかく自主運用をするため、有利運用をするためにはどういう組織がいいかということを、多くの専門家の意見を聞いて、国民が納得いくような形でそれを運用すべきだというふうに考えています。
  48. 塩崎恭久

    ○塩崎恭久君 先ほど申し上げたように、特殊法人の見直しをやってみても、あるいはまた大臣がさっき年金の有利運用の話をされていましたけれども、今まで例えば五・三・三・二とか、安全性という観点からいろんな規制をかけてきたのをだんだんと緩和して、五・三・三・二も近々なくなるだろうと思いますけれども、そういう過程でわかってきたことは、例えば年金みたいに大変複雑な仕組みを持っているものというのは、まさにお役所それぞれのタコつぼがあって、大蔵省と厚生省の一部の人が御存じで、特に運用のような数理の難しいこともあると、本当に我々でもよくわからないということがたくさんあって、結局タコつぼ的ブラックボックスになっていて、よくわからない。しかし、みんなこれは我々将来もらわなきゃいけないもので、もらう権利もあるということでありますから、ぜひこの厚生委員会も含めてもっともっとオープンにして、そしてむだのない、この金のない時期でありますから、これからを乗り切っていかなきゃいけないなというふうに思います。  次の話題でございますけれども、社会保障構造改革の問題に話題を移したいと思います。  もう言うまでもないわけでありますけれども、我々自民党では、去年の六月に、橋本ビジョンというのを世に問いました。あれは単に行革というようなことではなくて、今まさに各政党ともが目指している日本の大改造をやろうということであって、今まで依拠してきた価値観とそれに基づくシステムについて歴史的な転換を図ろうとするものであると、こう高らかにうたって去年の総選挙にも臨んだわけでございます。  その後、六つの改革ということで出てまいりましたし、特にその中で財政改革ということで、先日、財政構造改革会議から五つの原則というのが出てまいりました。このペーパーを読んでみますと、随分この社会保障に関する部分が出てくるわけであって、一般会計でも約一九%ぐらいのウエートを持つこの社会保障の予算が今まさに成立をしようとしているところでありますし、大変大きな問題であるわけでございますけれども、この問題について、大臣の理念を問いたいと思うわけでございます。  今回、この五原則のペーパーを見ますと、例えば「社会保障」の中で、「一定の収入以上の高齢者への公的年金、医療等の給付見直し」というような、これまで我々厚生関係では余り見たことのないよう言葉が出てきているわけでございます。  今、ちょうど経済の方での改革というのがいろいろ行われていて、そのキーワードは言ってみれば自己責任あるいは市場原理ということであろうかと思うわけでございますけれども、今まで結果の平等というようなものを非常に大切にして戦後の政策をやってきた。それが今回、こういうことで自己責任というような原則あるいは市場原理を最大限生かしていこうという中では、むしろ機会の平等というものをこの経済面での改革では守り立てていこうじゃないかということだろうと思うんです。  ただ、社会保障というのはもともと弱い立場の人たちに配慮をしながらやるというのが原則であるわけでございますけれども、社会全体の改革の方向という意味で、今申し上げたようなこの機会の平等というようなことをどう考えるのか。あるいは社会保障の給付を抑制しようというような話とか、あるいは効率化、今回聖域なしにということをうたっているわけでございますけれども、そういう声が多くなっていく中で社会保障を担当する大臣としてどうお考えになっているのかということをお聞きしたいと思います。
  49. 小泉純一郎

    国務大臣小泉純一郎君) 今、大変深刻な財政状況にあるということは、今までのやり方がだんだん行き詰まってきたと。特に、借金をこれだけ抱えて、現に納税者自身が今までの借金のツケで困ってしまっていると。年金、医療、福祉等、すべての社会保障関係費よりも今までの借金の利払い償還に回ってしまうお金の方が多いということは、いかに膨大なツケを回してきたかと。現在の政治は私は反省しなきゃいけないと思うのであります。国民の税金が今一番借金、国債の利払いに回っちゃっているという、こういう深刻な反省のもとに、できるだけこの借金体質を直していかなきゃならない。  そういう中で、あれをやってください、これをやってくださいという時代ではもうなくなってきた。いかに限られた財源を有効に効率的に使っていくかということから、今回、橋本内閣で財政構造改革五原則を打ち出した。その中において、国民負担率、これを将来五〇%を超えないようにすると。いかに負担は多くても社会保障関係は充実してくださいという声にはなかなかならないと。できるだけ負担は軽く給付は多くというのが国民の要望でありますから、そういうことをどうやってやっていくかということで今までの政治は苦労してきたと思うんですが、それがついつい財政が健全のときは増税できない、患者負担もできな.い、歳出もカットできないから後の人にツケを払ってもらいましょうということで国債を発行してきた。それも限界に来ちゃったから今このよう状況に来ているわけでありまして、厚生省関係の予算を見ても、これは今いろんなやらなきゃならないことを抱えながら今後は減らそうということですから、必然的に給付負担負担できるところにはできるだけ負担していただきますよということがないと、増税もしません、あるいは必要な福祉の充実はしますという場合に負担できるところに負担していただかない限りできないわけですね。  ですから、給付負担の関係がこれまで以上に厳しい判断にさらされるということで、実際総論は賛成いたしました。国会の議論を聞きましても、もう増税はだめだ、歳出をカットしなさいという総論はいいんですが、現実にこれから作業を始めて厚生省関係予算も、今九年度予算がもうじき審議も大詰めに向かっておりますけれども、これが成立した後、今度九年度予算に比べて十年度予算はマイナスですよといった場合にどういう反応が出てくるのか。これはもう各省のたうち回るほど苦しむんじゃないでしょうか。厚生省も例外じゃありません。  しかし、総論はみんな賛成しているわけですから、もうやらざるを得ない。私は相当な覚悟を政治家国民もしなきゃいかぬなということで、今後この予算が成立して医療保険、介護保険を国会の皆さんの御審議によって成立させていただいた段階において、新しい十年度予算に向けてどこに必要な予算を充てて、今までのむだはなかったか、さらに今まで負担が軽かった分どこに負担していただくかということを全分野にわたって切り込んでいかなきゃならない、そう考えております。
  50. 塩崎恭久

    ○塩崎恭久君 十年度の予算についてはシーリングというのもありますし、五月の半ばぐらいまでにということをこの五原則のペーパーにも書いてあるわけでありますが、社会保障構造全体を直すということになるとでっかい話がたくさんあるわけでありまして、これからのスケジュールをどうやっていくのかという問題になろうと思うんです。  私はいつも思うんですけれども、例えば年金というのが国民負担率の計算の中で今のところ一番大きいわけでありますけれども、この年金の問題もいつも財政再計算のときまでにというふうに言って、後は審議会にお任せみたいな話で、さっきの資金運用懇談会の問題じゃないですけれども、いつもそうなっていて、どうも何かぎりぎりになってこれでどうですかと言われて、大騒ぎしてばたばたといって、足して二で割ったような答えで答えが決まる。  しかし、今回そういうわけにはいかないんだろうと思うんですね。どうもまだ年金審議会を開いているふうもないし、こういう問題が起きるなんというのももう大分前からわかっているわけでありますけれども、まだやっていないと。政治の方も実は反省をしなきゃいけなくて、我々も大きな意味での年金をどうするのか、例えば基礎年金を厚目にして一階だけにするのかとか、それから確定拠出型の問題も出ていますけれども、もう今までの仕組み自体を変えてしまうのかというような意見も出ていますけれども、まだまだ全然詰まっていないということで本当に間に合うのかなという心配をするわけであります。  この辺について、社会保障全体の改革のスケジュール、特に年金の問題についても含めてこのタイムスケジュールをちょっと簡単に御説明いただきたいと思います。
  51. 中西明典

    政府委員(中西明典君) 社会保障全体の構造改革につきましては、御承知のとおり、介護保険制度の創設、それから医療保険制度改正につきまして、構造改革の第一歩という形で今国会に法案を提出いたし、御審議をお願いしているところでございます。これに引き続きまして、医療提供体制及び医療保険制度の両面にわたる改革、これを総合的かつ段階的に取り組んでいくとともに、年金につきましても平成十一年に給付負担の適正化等制度全体の見直しに取り組むこととしておるところでございます。  いずれにいたしましても、先ほど来先生の方からお話あります財政構造改革サイドの議論の推移も当然横にらみしながら、社会保障制度全体の再編成に取り組んでいく必要があるというふうに考えております。
  52. 矢野朝水

    政府委員(矢野朝水君) 年金の次期制度改正平成十一年でございます。したがいまして、年金審議会につきましてはことしの六月ぐらいをめどに審議を開始していただこうと思っております。九年度、十年度と審議会を中心に、それからまた先ほど先生の方からお話がございましたように、従来の年金の枠組みだけじゃなくて全く新しい体系に改めるべきだ、そういう御議論も最近あるわけでございまして、こういった問題も含めて審議会なりあるいはいろんな団体なり、いろんなところで国民的な議論をしていただきまして、平成十一年の通常国会に間に合うように中身を固めていきたいと、こう思っております。
  53. 塩崎恭久

    ○塩崎恭久君 これは質問通告していないんですけれども、今のお話を聞くと、やっぱり今までの予定どおりの検討をするという話ですね。この五原則のペーパーを見ると、五月中旬までに検討結果をまとめると書いてあるわけですね。一切の聖域を設けずに検討を進めていくということになると、来年度予算をつくるときに年金だ医療だというのに根本的な変化は何も起きないということになるんですか。そこが我々見ていてもよくわからないところでありまして、大臣、その辺はどうなんですか。この五月中旬までに出てくるものというのはその構造的な改革との関係はどうなるのか。
  54. 小泉純一郎

    国務大臣小泉純一郎君) これも先週でしたか、その五原則を閣僚懇談会で出されまして、これは非常な決意だな、総理の意気込みはわかったんですけれども、各論はこれからやろうと。今、閣僚以外の場で財政構造改革会議を議論しているようだから最終的には閣議決定しないとできないというので、各論は閣僚懇談会でやってくれということで今後議論されますし、今までも議論してきましたけれども、閣僚の時間が足りません。  ですから、政府・与党ですか、行政改革委員会とか財政構造改革会議、その議論と並行して閣僚懇談会でも議論されると思いますから、各論についてはその場でまた盛んな議論が行われる。我々まだ確かめていませんし、その議論をしている時間が足りなくてまだ二回ぐらいしか開いていませんから、当然今までのわずか二回の会合でもとても時間が足らぬと。今度時間をたっぷりとって議論ようということになっておりますので、その段階でまたどう進むか議論の推移を見守っていきたいと。
  55. 塩崎恭久

    ○塩崎恭久君 そうしますと、当面できることはすべてやって来年度予算をつくって、その間構造的な検討を進める、こういうことだろうと思います。  次に、質問を移りたいと思うんですが、地方自治経営学会というところが「高齢者福祉における公立と民間とのコスト比較」というのを出しております。今お話があったように、何しろこれから社会保障についても競争原理とかそれから民間サービス、これは介護保険の中でも大分入ってきておりますけれども、それをフルに活用していこう、こういうことだろうと思うんです。これはたまたまこの三月にアンケートの結果が出ております。四百三十七県市と民間二百三社からの回答によって出てきた、これは磯村英一さんが会長をやっている学会でありますけれども、ここに言ってみれば官と民の福祉サービスのコスト差を比べているわけであって、例えばホームヘルプサービスなどでは公、例えば市の常勤職員の場合には五千四十円、一時間単価ですね。それに対して民間のシルバービジネスだと二千四百八十六円。ですから半分ぐらいで済んじゃう。それから、入浴サービス一回当たりの経費で公ですと三万二千四百円、それから民間シルバービジネスだと一万三千九百三十一円、半分以下というようなことが書いてあって、多分ごらんになったと思うわけでございます。大臣、これから競争原理やあるいは民間サービスを導入しなきゃいけないということに関連して、このアンケートの結果、この中で例えばサービスの質がどうだろうか、安けりゃいいというものじゃないわけでありますから、やっぱりサービスはよくなきゃいけないと。そういう面でサービスを見てみても、例えば入浴サービスは民間ビジネスの方が大分専門的だと。手なれているということなんでしょうね。質が高いということなんだろうと思いますし、「ホームヘルパーは、民間シルバービジネスの方が資格取得者が多い。」という指摘もあるわけでありますから、このアンケート結果をごらんになって大臣はどんなふうな御印象を持ったか、お願いいたします。
  56. 羽毛田信吾

    政府委員羽毛田信吾君) 大臣の前にちょっとアンケート調査の結果につきまして若干のコメントをさせていただきたいと思います。  私ども、今、先生からもございましたように、今後の介護サービス、福祉サービスの方向といたしましては民間活力を積極的に導入をしていくという方針を出しておりますから、先ほどの三月三日の地方自治経営学会の結果というものもそういう意味では私どもとしても重大な参考としてやっていきたいと思っております。  ただ、若干付言をさせていただければ、サービスの条件でございますとか、あるいは性格、中身が違いますのでこのまま単純にコストの比較というのはしにくい面があることもまた事実でございます。民間サービスと公的サービスとの比較をします場合に、それぞれのサービスが提供される背景、事情というものをやはり考慮に入れなければならないというふうに思います。  そうした中で一つ申し上げれば、特に申し上げられることは、現状におきましてはなかなか収益が見込まれないような例えば不採算地域につきましては民間サービスがなかなか近隣に存在しないということがあって公的サービスによって提供しなければならないということで、公的サービスがないとサービスに欠けるところが出るというような場合もございます。  先ほど他の先生方の御質問の中でも過疎地域の話等もございましたけれども、したがいましてこういったことは考えていかなければなりませんが、そこも逆に今、今後の介護サービスの基盤整備に当たりまして民間活力を積極的に導入をするということで、その導入しやすい条件を整えることによって民間活力もそこにおいて十分活躍ができる、そういうことを通じて効率的なサービスを提供していくということもまた可能になってまいりますので、そういった中でそれぞれ置かれた条件によりまして公的サービス、民間サービスを最も適切に効率的に組み合わせるように工夫をしていかなければならないものではなかろうかというふうに考えておるところでございます。
  57. 塩崎恭久

    ○塩崎恭久君 何しろ大事なのはやっぱりサービスの質をどうキープするかということだろうと思うので、今よくわからないところもたくさんありましたけれども、精いっぱいひとついい面を導入していただいて、コストを削減しながらいいサービスを提供するということに腐心をしていただきたいなと思います。  時間がないので通告していて質問をするのをやめるものもたくさん出てまいりますが、最後に、これまでの社会福祉の世界というのはどうしても、例えば予算がどれだけとれたかとか、あるいは一つの施設にどれだけ金を入れているとか、そういうサービスの量や質を予算金額面で見るということが多かったかと思うわけでありますけれども、やっぱり社会福祉の原点というのは優しさであるとかあるいは助け合いとか、ボランティア精神とかあるいは心の問題であって、単に物とか数とかいうことじゃないのだろうと思うんです。新ゴールドプランのもとで老人福祉施設をたくさんつくらなきゃいけない、量、質ともに充実しなきゃいけないということは大事なわけであります。  昨今、私もいろんな資料を見て、きょうこの場にもみずから施設をやっていらっしゃる先生方もおられるわけでございますが、どうも国費と財投のお金の組み合わせが余りにも、特に財投の方からのお金というのは私は問題だと思っているんですが、豊富に行き過ぎているんじゃないだろうかというのが気になるところであります。先ほども大臣から話があったように、財投の金というのは今は主に年金と郵貯と簡保と来ているわけでありますけれども、これは結局は補助金は税であり、それから今の財投の金は今言ったようなところから来ていて国民の貯蓄であるわけですから、これを有効利用できないでこのまま行ったら将来それこそ本来の社会福祉の目的というものを満たすことができなくなるんじゃないだろうか、そういうことを心配するわけであります。  これはたまたまあるケースで、特別養護老人ホームで大体八億弱かかっているはずのものの中で実はこの国庫補助というのは二億六千六百万入っているんですね。二分の一補助でありますから、国庫補助の対象になっているのが五億三千二百万ということであります。ところが、このときに国庫補助二億六千六百万に対して社会福祉・医療事業団に財投の金が二億七千万入っている。つまり、国庫補助よりも多い金額が入っている。おまけにこの場合は県がその利子補給をしているということで、もちろん県単の補助もありますし、県補助とそれから県の単独の追加補助というのがあって、個人あるいは社会福祉法人は本当に微々たるものしか負担をしないで済んでいるということで、かつては一般会計で面倒見られないものを財投の金を組み合わせてよりよいものをつくるということで意味があったと思うんです。しかし、国庫補助の対象となっているものが五億三千二百万で国庫補助が二億六千六百万。それに対して補助よりもたくさんのものを融資で貸すというのは、それは多少いいものをつくるために融資を活用しましょうというのを逸脱しているんじゃないだろうかというふうに私なんかは素人目に外から見ると見えるんですね。  ですから、本来は国庫補助の対象となっている全体の五億三千二百万で、少なくともだれが見てもまあこれだったらという施設ができてしかるべきものが国庫補助の対象になるべきではないかなというふうに思うわけでありますけれども、そこにさらに補助よりも多くの事業団融資をつけていくということを一体どうお考えになるのか。これは、要するに国庫補助では全然足りないということを言っていて、国庫補助の考え方がおかしいということをみずから言っているのか、あるいは必要以上にぜいたくなものを、ぜいたくというか余計なお金をかけているというふうにも考えられるという気がしてならないわけであって、特にこれからは先ほど年金のお金は自主運用で財投に入れないということでありますから今度財投に入ってくる金も少なくなってくるわけであって、それがどうなるかは別として、少なくとも少なくなるそのお金をどう有効活用していくかというときに、こういう形のものを残していって本当にいいんだろうかということを考えているわけでございますが、これについて大臣のお考えをお聞かせいただけたらと思います。特に、これから官民の役割の分担をどうするのか、国はどこまでを面倒見るのか、事業団融資も大きな意味では国だと思うので、その辺をどういうふうに考えるのかというのをぜひ大臣のお言葉で聞きたいなというふうに思います。
  58. 亀田克彦

    政府委員(亀田克彦君) 私から事業団融資の基準の考え方につきまして御説明をさせていただきたいと思います。  まず、社会福祉施設の国庫補助基準でございますけれども、これは社会福祉事業として必要な標準的な仕様の施設、この建築に要する面積あるいは単価、こういう考え方になっているのではないか、こういうふうに理解をいたしてございます。
  59. 塩崎恭久

    ○塩崎恭久君 基準はいいですよ。なぜ多いのかということを聞いているんです。
  60. 亀田克彦

    政府委員(亀田克彦君) 御指摘の事業団の融資基準の方でございますけれども、これは例えば個室化を進めていく、あるいは廊下をより広くしていくとか、そういう入所者の生活環境の向上を図るための、その程度の施設整備にもこたえられるように、こういう考え方で一定の限度ではございますけれども国庫補助基準よりも高い基準を設定している、こういうふうに考えておるところでございまして、私どもといたしましては必要以上にぜいたくな整備というふうには考えていないところでございます。
  61. 塩崎恭久

    ○塩崎恭久君 大臣はどうお考えですか。
  62. 小泉純一郎

    国務大臣小泉純一郎君) その国庫補助でできる部分と、さらに融資が受けられて拡張できる部分、具体的な事例を見ないとわからない。返済能力があればいいんですか。その点は私は、金があれば、しかもしっかりした人が融資の申請をしてきた、ちゃんと返済能力があるというのだったら問題ないと。金がない場合はそういうことができないでしょうから、その辺を実際個別で見ないと一概に言えないんじゃないでしょうか。
  63. 塩崎恭久

    ○塩崎恭久君 大体において利子補給されているわけですね。  もう一つは、問題は返済能力があるというのは事実ですけれども、今申し上げたように、これは財投の金ですから固定金利でいって、必ず金利リスクがあるわけですよ。それはだれがかぶるのか。普通だったら、住宅融資なんかだったら、さっきの年福なんかの場合は特別会計がかぶっていた。これはどこがかぶるかというと、地方がかぶっているわけですね。今回の財政再建というのは、地方と国の両方の債務を合わせてGDPの三%にしましょうという話なんでしょう。ですから、そういうことだったらこの辺もよく見ていかないと、結局そういう負担が財政に行っている、地方も含めてですね、そこを考えなきゃいけないのだろうと思うんですよ。
  64. 小泉純一郎

    国務大臣小泉純一郎君) いや、今私は一般的な融資の問題なんですが、財投というのだったら話はわかりました。  というのは、そこが問題なんですよ。財投の制度というのは、年金の金、融資の金、簡保の金、国民の金だから資金運用部を通じて有利かつ安全に運用しなさい、投資、融資しなさいというのが資金運用部法の第一条なんです。ところが、今言ったように、全然有利じゃないというところに運用されて国民にツケが回っている。その点が問題だということを私は再三指摘している。だから、もとを正してくださいと、単なる特殊法人の端っこの話じゃありませんよと。あの旧国鉄清算事業団でも二十兆を上回る債務が国民負担で決まっちゃっている。これは郵貯に預けている人、年金に預けている人、簡保に入っている人が持ってくださいという話ですから、持てないから税金で負担しなさいと言っているわけでしょう。この問題はもっと深刻に考える必要があると。
  65. 塩崎恭久

    ○塩崎恭久君 時間ですからもうやめますけれども、今、大臣がおっしゃったように、まさに私はこれは問題だろうと思っていますので、ぜひ厚生省、この辺検討していただいて、さっきみたいな、廊下を広げるだなんだっていう程度の問題じゃないということを認識していただきたいと思います。  ありがとうございました。
  66. 木暮山人

    ○木暮山人君 平成会の木暮でございます。  平成九年度の厚生省予算に関してお伺いいたします。  九年度予算は聖域を設けない財政全般にわたる徹底した見直しによる財政構造改革元年の予算であると位置づけられています。しかしながら、平成九年度の厚生省予算を見る限り、医療保険改革に伴う国民負担増のみが突出し、厚生省みずからの痛みを感じることができません。  厚生省は、国民負担を求める前にどのような自助努力を予算編成において行ったんでしょうか。平成九年度の予算における主なる縮減合理化についてお伺いしたいと思います。
  67. 中西明典

    政府委員(中西明典君) 厚生省予算につきましては、御承知のとおり、そのほとんどが医療や年金といったように法律に基づき義務的に支出しなければならない、そういった経費がきつくなるということになっておりまして、また高齢化の進展等によりまして毎年増加していくという構造にあるということは御承知のとおりだと思います。  他方、我が国の財政状況は非常に厳しい中にありまして、平成九年度の予算編成においては補助金の一般財源化等の整理合理化の推進、あるいは国立病院特会への繰り入れの縮減、あるいは再編成の推進等、既存の制度・施策の合理化、効率化に努めますとともに、社会保障制度の構造改革の一環といたしまして、赤字構造体質に陥った医療保険制度の財政の安定を確保していくということが緊急の課題でありますことから、医療保険制度老人保健制度改革に取り組むとしたところでございます。
  68. 木暮山人

    ○木暮山人君 それに関連しまして、例えば医療保険改革に当たられたときにどんな抵抗がございましたか。
  69. 高木俊明

    政府委員高木俊明君) 御質問趣旨にぴったりお答えできているかどうかちょっとあれですが、先生が最後におっしゃった抵抗というのは、反対とかそういうことでございますか。
  70. 木暮山人

    ○木暮山人君 はい。
  71. 高木俊明

    政府委員高木俊明君) 今回、医療保険制度改正ということで一部負担の引き上げ、それからまた保険料率の引き上げをお願いしているわけでありますけれども、これは私どもとしましては、現在の医療保険制度そのものがこれからの新しい時代に向けてこの状態でやっていけるかどうかということになると、私どもはやはり根本的に改革をしなきゃいけないというふうにまず認識をしております。ただ、例えば今日の政管健保を見ますと相当大幅な赤字が生じておりまして、このまま放置しておきますと制度そのものが崩壊してしまう、そういうふうな状況にあるわけであります。  そこで、やはります制度の根本的な改革から着手すべきではないか、そういった中であわせて一部負担等の国民負担増を求めるべきではないかという声がございます。それはやはり御趣旨としてごもっともだというふうに思っております。ただ、現状においては非常に急迫した健康保険の財政というものの立て直しをまず図らなきゃならない。言うなれば、今ここに急病人が出ておるという状態の中で、やはります応急的な処置をするということは必要だというふうに考えておりまして、そういった財政の安定をまず図りまして、あわせて、二十一世紀までの残された非常に短い期間でございますけれども、その間に幅広く国民的な御議論と、それからまた国民の選択をお願いして新しい制度というものをつくっていきたいと、こんなふうに考えたわけでございます。  ただ、今回の改正につきましては、やはり国民負担増だけを求めるような格好になっているという意味では、それに対する反対の意見はもちろんございますし、また現在の状況においてはある程度やむを得ないけれどももう少し工夫ができないかという意見等々ございます。私どもとしては、いずれの意見もごもっともだと思っておりますけれども、これで終わりにするということでありませんで、これから本当に新しい時代に向けた制度改革をやっていく、そういうことを前提にして考えているわけでございます。
  72. 木暮山人

    ○木暮山人君 そのようにひとつお願いいたします。  次に、昨年十二月の財政構造改革特別部会最終報告では、医療保険改革のほかに年金制度の抜本改革、学生の国民年金加入の見直し、サラリーマンの妻の保険料の取り扱い、児童手当の見直し等が具体的に提言されております。  これらの見直しについての厚生省考え方見直しするとすればその時期についてお示しをいただきたいと思います。
  73. 矢野朝水

    政府委員(矢野朝水君) 年金を取り巻く状況というのは非常に厳しいものがあるわけでございます。出生率の低下に歯どめがかからない、こういった問題ですとか、あるいは経済成長が望めないのじゃないか、経済基調が変わったのじゃないか、こういうことも言われております。あるいは国の財政状況が非常に厳しい、こういったもろもろの厳しい状況がございまして、これらは要するに負担面での制約は非常に強まっておると、こういうことでございます。  年金制度負担給付、このバランスの上に成り立っている制度でございますので、こういったバランスが崩れますと制度そのものの見直しをしなければいけなくなる、こういうことでございます。したがいまして、年金制度は五年に一度の財政再計算ということで五年に一回制度全体を見直し収支計算をする、こういう仕組みになっておるわけでございます。この次期財政再計算が平成十一年ということでございますので、これに向けてこれから審議会にもお諮りをし、あるいはいろんなところで年金の問題について御議論をしていただきまして、平成十一年の制度改正に向けて議論を進めていただきたいと思っております。  そういう中には当然今御指摘のございましたような三号の被保険者の問題、あるいは学生の問題、こういった問題があるわけでございますけれども、こういった個別問題にとどまらず、制度の基本的な問題、あるいは給付なり負担なりの水準の問題、こういった基本的な問題について十分検討していく必要があると、こう思っております。
  74. 木暮山人

    ○木暮山人君 そのようにひとつ慎重にお願いします。  次に、歯科医療対策の推進についてお伺いいたします。  この四月から地域保健法が全面施行されることを踏まえ、平成八年十一月に今後の歯科保健医療の在り方に関する検討会の意見がまとめられました。この検討結果が九年度予算においてどのように反映されたのか、九年度予算における取り組み及び残された課題についてお伺いしたいと思います。
  75. 谷修一

    政府委員(谷修一君) 今お触れになりました昨年の十一月にまとめられました報告書におきましては幾つか提言がされておりますが、一つは、いわゆる八〇二〇運動の新たな事業の展開、それに合わせたかかりつけ歯科医機能の充実、それから特に地域保健法が全面施行されるということに関連いたしまして、市町村を単位にした在宅歯科保健推進事業、それから救急医療の在宅当番医制というようなことが提言されています。  九年度の予算案におきましては、在宅要介護者歯科保健推進事業あるいは八〇二〇運動推進特別事業、それから先ほどちょっと申しました歯科の在宅当番医制等を含む歯科保健医療対策費を計上いたしまして、その意味において検討会でいただいた意見の予算案への反映を図ったというふうに考えています。  今後、引き続き、特に八〇二〇運動という生涯を通じた歯科保健対策の推進、あるいはまた地域に密着をしました事業展開というようなことで総合的な歯科保健医療対策ということに取り組んでいく必要があるというふうに考えております。
  76. 木暮山人

    ○木暮山人君 かかりつけ歯科医の機能の普及、定着を図るため、平成九年度から事業実施主体である市町村、特別区に対し支援事業を行うとしておりますが、この事業の内容予算額についてお伺いしたいと思います。
  77. 谷修一

    政府委員(谷修一君) かかりつけ歯科医機能支援事業ということで、特に地域の方々が包括的な歯科保健医療サービスを継続的に受けられるように歯科診療所がかかりつけ医としての役割を果たしていく、あわせて八〇二〇運動を推進していくということで考えておりますが、具体的には歯科疾患の管理のための定期検診、あるいは予防措置、あるいは治療後の再発防止ということ実施いたしまして、さらに歯科におきます病診連携といいますか、病院診療所の連携、そういう体制づくりを目指す、そのための支援事業ということで平成九年度予算案に盛り込んでおりまして、予算といたしましては、メニューといたしまして八千万円ということでお願いをしております。
  78. 木暮山人

    ○木暮山人君 次に、厚生省の汚職事件に関してお伺いしたいと思います。  この件につきましては、厚生省全体の考えであって、上に立つ人がこうしろ、ああしろと考えただけでは済むものではないと思います。委員会を設けられて集中審議が行われる等、議論を重ねてきたことであります。  しかし、二十六日の岡光前次官の初公判が開かれたところでもあり、改めてこれに対する厚生省の皆様の御所見をいただきたいと思います。
  79. 小泉純一郎

    国務大臣小泉純一郎君) 岡光前次官の不祥事につきまして、厚生省職員国民から多く批判を浴びまして、この反省をしつつ、二度とこのような不祥事が起こらないように昨年来から鋭意服務規程の見直し、あるいは業務の再点検をしてきたところであります。今後、この再発防止のために全省挙げて日常の業務等再点検をしておりますので、今までに決めました服務規程を遵守している限り、二度とこのようなことはないと思っております。  さらに、特養施設を初め各種施設に対する今までの業務等、全般にわたりまして点検が今最終段階を迎えておりますし、今後このような日常の仕事と業務との両面から厳しい不断の点検を行いまして、厚生行政の信頼を一日も早く取り戻していきたいと思っております。
  80. 木暮山人

    ○木暮山人君 ひとつぜひお願いしたいものでございます。  また、この事件を契機に省内に再点検のための調査委員会をつくり、去る一月末に第一次の報告書を発表されました。さらに、今後の検討の方向については三月末を目途に明らかにしていくとされていますが、老人福祉施設以外の社会福祉施設、また医療、水道、廃棄物等関連分野及び綱紀保持、出向人事等、それぞれについての現段階の点検の状況、改善の方向性、結果の発表の目途についてお伺いさせていただきたいと思います。
  81. 中西明典

    政府委員(中西明典君) お話がありましたとおり、一月三十一日に、特別養護老人ホームを中心といたしまして、補助対象施設の決定方法を明確化するとか、あるいは公共事業に準じた建設工事契約を結んでいくとか、社会福祉法人の運営方法を改善していくとか、そういった措置を盛り込んだ委員会報告を公表したところでございますが、こうした特養等の改善措置を踏まえながら、その他の社会福祉施設やさらには医療関係施設、水道、廃棄物処理施設、国立病院社会保険関係施設についても再点検を行いまして、当然これらの施設については直轄事業である、あるいは補助事業であるとか、いろんな施設整備のやり方も違いますし、事業の性格、いろんな相違もございますので、そういう点にも留意しながら手続の透明化、あるいはチェック体制の整備、そういった観点から改善方策について現在取りまとめを急いでおるところでございます。  また、御指摘の出向人事のあり方等についても同様でございます。私どもとしましては、この前大臣からもお話ありましたとおり、三月末、余り日はございませんが、きちっとした形で公表いたしたいというふうに考えております。
  82. 木暮山人

    ○木暮山人君 ちょっと時間もありませんが、今回の共同募金の指定寄附の実態の問題についてお伺いします。  今回の事件では、共同募金会の使途指定寄附のあり方も大きな問題になっております。  新聞報道によれば、使途指定寄附のうち半数以上が寄附先と特殊な関係にあり、このうち十九社については施設の関係役員の報酬を得ており、規則違反の疑いが強いとされております。また、寝具リース会社のワタキューグループの村田士郎副社長夫人が理事長を務めている社会福祉法人には十六億円を超える指定寄附を行ったことも報道されております。  これらについての事実関係、事実であるとすればこれは問題ないのか、またはこうした事実の対処をお伺いしたいと思います。
  83. 亀田克彦

    政府委員(亀田克彦君) 共同募金会の指定寄附の関係でございますが、私ども中央共同募金会から報告をいただいております。  これによりますと、平成元年度から平成七年度までの各年度内に五千万円以上の配分を受けた特別養護老人ホームに関する指定寄附金でございますが、この寄附者の役員またはその親族が受配法人から報酬を受けている、これを取り扱い基準上特別の関係、こう言っておりますが、そういう関係にあります寄附者は、先生御指摘のとおり、十九社だというふうに聞いてございます。  また、ワタキューセイモアの関係でございますが、ワタキューセイモアあるいは関連会社等から社会福祉法人平成会でございますが、ここに対する寄附金は、これも先生御指摘のように、平成二年度から平成七年度までの総額で十六億六千万余りでございます。これは問題ないのかと、こういうことでございますが、この指定寄附金の現在の基準につきましては、これは税の不当な軽減になってはいけない、こういうことで寄附者の役員またはその親族が受配法人から報酬を受けている、先ほど申し上げました特別の関係でございますが、こういう場合に審査をする、こういう基準になっておるわけでございまして、先ほど申し上げました十九社につきましては、いずれも都道府県庁の、もらっておる報酬は適正だ、こういう証明書がございまして、税の不当な軽減にはならない、こういうふうに認めたわけでございます。  それから、ワタキューセイモア等の関係でございますが、この件につきましてはワタキューセイモア等の役員あるいはその親族が受配法人から報酬をもらっておる、こういう事実はないということが確認されておりますので指定寄附金の基準には適合しておると、こういう報告を中央共同募金会から受けておるところでございます。
  84. 上山和人

    委員長上山和人君) 時間が過ぎております。
  85. 木暮山人

    ○木暮山人君 どうも済みませんでした。
  86. 水島裕

    ○水島裕君 時間も限られておりますので、きょうは私は生活習慣病、特にその第一次から第三次予防ということについてお伺いしたいと思います。  このテーマは、現在、医学から見まして国民福祉に非常に大切なテーマだと思いますし、また将来の医療費削減ということを考えても大変大切な問題でございます。主として小林保健医療局長にお尋ねいたしますけれども、小泉大臣も要所要所で御意見をいただければと思います。  多分昭和三十一年だったと思いますけれども、成人病という概念が導入されまして、心臓病、脳卒中、がんという三大死因を持つ病気を初めいろんな病気を成人病と言ったのですけれども、若いときからもなるということで余り根拠がなくて、最近これに追加して糖尿病なんかがそうでございますけれども、生活習慣と非常に関係があるということで厚生省の方で昨年十二月にまとめられたと思いますけれども、生活習慣病という概念を導入されまして、私も大変それに関しては賛成でございます。と申しますのは、そういう病気はよく調べてみますと生活習慣、食生活とか運動、休養、私はむしろこの心因性のストレスというのが非常に大切だと思いますけれども、そういうものと関係があるということでございます。  ですから、逆に申しますと、非常に予防が可能なわけでございますね。皆さん御存じのように、大部分病気というのは遺伝子を中心とする内因と病原体も含めた環境要因、それから今の生活習慣ということでなっていくわけで、個人個人はその生活習慣と病気との関係がはっきりすれば予防も可能であるし、また社会的には環境整備もすることによって環境要因も除けるということでありますので、こういうことをしっかりとやれば、人間の寿命というのは余り長くなりませんけれども、少なくとも壮年期まではこういった病気にかからないようにするというのが国民の福祉にも重要でありますし、医療費削減も可能だということでございます。  そのためには何が必要かと申しますと、種々の生活習慣の要因、危険因子というものが果たして科学的に本当に病気の進行あるいは再発に関係するかどうかということが大切なわけでございます。アメリカではかなり前からこういう研究がなされているのでございますが、日本では残念ながらされていないわけで、こういうことを先日の国民生活調査会で申しましたら、たしか中西総務審議官がこういうことにも研究費がつけられるかどうか検討してみようというふうに言っておりましたので、この件についてもう少し詳しくお尋ねいたしたいと思います。  まず、これまで生活習慣病と呼ばれていたがんなどに対しての実態調査、厚生省としてはどういうふうにやってこられましたでしょうか。
  87. 小林秀資

    政府委員(小林秀資君) まず、生活習慣病につきまして先生から大変お褒めをいただきまして、厚生省の行政担当者としても大変うれしく思います。  正確には、先ほど先生がおっしゃいましたように、平成八年十二月十八日に公衆衛生審議会が意見具申として出されたものでございまして、少し宣伝になるかもしれませんが、生活習慣病という呼称を用いますということで、それも英語がライフスタイル・リレイテッド・ディズィーズ、ライフスタイル・ディズィーズではなくてライフスタイル・リレイテッド・ディズィーズという呼称を用いまして、病名で定義をしているわけではなくて食習慣、運動習慣、休養、喫煙、飲酒等の生活習慣がその発症、進行に関与する疾患群という定義をいたしております。今の定義に当てはめますと、がん、循環器病、糖尿病なんかも当然生活習慣と大変関連のある病気ということになるわけです。  今、先生おただしのがんの実態調査、または循環器病の実態調査はどうだということでございますが、がんの実態調査につきましては昭和三十三年からやっておりまして、もう既に五回実施をいたしております。それから、循環器病関係につきましては、初めは脳卒中、心臓病という形で始めたんですが、昭和三十六年から始めて既に四回実施をいたしたところでございます。最近は大体十年に一回というペースで調査を実施いたしているところでございます。
  88. 水島裕

    ○水島裕君 せっかく実態調査をなされるのでしたら、本当はその生活習慣との関連を調べたらよかったと思いますけれども、多分調べていないんじゃないかと思います。  実は、大臣も赤ワインなんかお好きだかどうか知りませんけれども、先進国の死亡、どういう病気で死ぬかというのを調べてみますと、フランスと日本が虚血性心疾患、心筋梗塞とか狭心症が少ないんですね。いろいろなことを調べてみると、どうもフランスの赤ワインと日本のお茶がいいんじゃないかということで分析してみますと、ポリフェノールでしたか、とにかく抗酸化物質、要するに酸素毒に対抗するものが多く含まれている、多分これがいいんじゃないかというふうなところまで来ているんですけれども、こういうのも正確な調査をしないとわからないわけなんですね。  ですから、循環器疾患実態調査とただずるずるとやっていないで、また今後やる機会があると思いますので、そういう生活習慣、マイナスの危険因子の部分もそうですけれども、今の赤ワインのようなプラスのものも一緒に正確に比較するということが大変大切じゃないかと思いますけれども、いかがでございましょうか。
  89. 小林秀資

    政府委員(小林秀資君) 今までやってまいりましたがんだとか循環器病の実態調査といいますのは、生活習慣の要因とどう関係するかということの研究については不十分であったということは先生のおっしゃられるとおりでございます。  それで、昨年の十二月に公衆衛生審議会から生活習慣病として取り組むようにという御提言をいただきまして、今後、今、先生がおっしゃられたように、生活習慣とどう疾病が関係するのか、そしてそれが予防対策につなげられるようにしていくということの観点に立って私も研究を進めていくべきものだと考えておりまして、その方向へ全体を持っていきたいと、このように思っております。
  90. 水島裕

    ○水島裕君 大臣、これは質問じゃございませんけれども、赤ワインとお茶はまずよろしいと思いますので、そのためにももしあれでしたらお飲みいただければと思います。  それから、最近の研究によればアルツハイマーにもこういうものはよさそうだということで、日本の厚生省はほかの先進国よりもさらに進んでそういうものとの関係も研究班をつくってやられると、もしかしたらアルツハイマーも生活習慣病であるというようなことになるかもしれませんのでひとつぜひ、大臣、何か御感想、特になければ結構でございますけれども
  91. 小泉純一郎

    国務大臣小泉純一郎君) 赤ワインと日本酒じゃないんですか。お茶ですか。
  92. 水島裕

    ○水島裕君 お茶です。日本酒はだめだと思います。
  93. 小泉純一郎

    国務大臣小泉純一郎君) 日本酒はだめなんですか。いや、同じ醸造酒ですか、ワインと日本酒が。日本酒もいいんじゃないのかなと思ったんですけれども。私はそんなに量は多く飲みませんけれども、赤ワインもたまにやりますし、日本酒もやりますし、お茶は好きですからこれからもよく飲むようにしたいと思います。
  94. 水島裕

    ○水島裕君 日本酒は幾ら調べても抗活性物質であるものがほとんど入っていないんですね。でも、余りこんなことを厚生委員会でやることでもございませんので。  それで次は、生活習慣病で一番関係あるのは糖尿病だと思いますね、典型的なものは。糖尿病については何か御検討される予定はございますでしょうか。
  95. 小林秀資

    政府委員(小林秀資君) 糖尿病の実態調査というのは今までやったことがございません。それで、現在わかっているのは患者調査というのを三年に一遍やっておりますが、その中で患者数の推計だとかそういうことはできるわけでありますけれども、それではだめだということで九年度予算で糖尿病の実態調査を実施する経費を盛り込んでおりまして、未受療の方も含めた患者数、合併症の頻度、治療法等についての実態を調査する予定にいたしております。
  96. 水島裕

    ○水島裕君 実は私どももリューマチとかアレルギーで大変お世話になったんですけれども、長期慢性疾患研究班というのがございますね。そこに糖尿病の研究班もありまして、一億幾ら予算がついているんじゃないかと思いますけれども、せっかくそういう研究班もありますので、今の糖尿病の実態調査とそういう研究班、厚生省の中でも壁があったのでは困りますので、そういうのが一緒になって、医学的に大体は結論は出ているのに近いのかもしれませんけれども、食生活、それから運動、喫煙、そういうものと糖尿病との関係をはっきりお出しになるとよろしいんじゃないかと思いますけれども、そういう研究班との共同作業ということはお考えになっておりますでしょうか。
  97. 小林秀資

    政府委員(小林秀資君) 昨年の暮れの答申を受けましてから、厚生省の公衆衛生審議会の中に生活習慣病対策専門委員会というのを置きまして、この三月十日に第一回会合を開いたところでございます。そこで糖尿病対策という全般を見て、それから生活習慣病との関連を見て、今後いろんな施策についてアドバイスをしていただくということを考えておりまして、今、先生がおっしゃられましたように、長期慢性疾患の研究の中でも、もちろん審議会等の意見も、我々行政当局の意見もお諮りをいたしまして、できるだけ国民病気の予防に役立つようにというふうには考えてまいりたいと思っております。
  98. 水島裕

    ○水島裕君 糖尿病は当たり前と言っては当たり前なことでございますけれども、生活習慣病の中身を見ておりますとアレルギーは入っていないわけでございますよね。それで、アレルギーは先ほど私が申し上げました分類からいきますと環境要因が非常に関係する病気ということになるので生活習慣病に入っていないのかもしれませんけれども、最近、杉花粉も含めて非常にアレルギーで苦しんでいる方が多いわけですね。これも確かに自分の生活様式、習慣じゃないのかもしれませんけれども、すぐ周りの花粉とかごみとかいろんなことで、ごみなんかですと生活習慣に入ると思いますけれども、そういうことでございますので、最終的に一番最初に申し上げましたように実態調査兼生活習慣といろんな病気の発症、再現、進展というものを科学的に調査するときはどうせならばこういうアレルギーなんかも含めてやられるということが大切じゃないかと思いますけれども、その辺の御意見ございますでしょうか。
  99. 小林秀資

    政府委員(小林秀資君) まず、アレルギー関係は生活習慣病の概念からは我々としては今は外れている、このように思っておるところでございます。  それで、今後の話では、いろんな国民が悩んでいる病気、今、先生がおっしゃった外因性の病気とかというものも場合によっては生活習慣に関係あるのではないか、そういう観点から研究を進めるようにという御意見をいただいて、私もそのよう考える面もあるんですけれども、ただ研究費というのは限りがありますので、すべての病気については基礎医学の研究だとか、それから実際の臨床医学の研究だとか、そういうものを相対的に判断をして、そしてある意味では研究にポイントをつくって、どういうポイントを置いてということをつくって私は研究をしていく方が効率的ではないかなとは思います。  ただ問題は、それでも原因がわからぬ、やっぱり生活習慣に関係するかもしれぬといって時には広げてみるとかということも工夫して、やっぱり我々行政官だけの判断ではなくて、いろんな学者の先生方の御意見を聞いてやっぱり研究をきちっと組み立ててやっていくことが大事だ、このように思っております。
  100. 水島裕

    ○水島裕君 最後に大臣にもお伺いしょうと思っているわけでございますけれども、今申し上げた病気一つ一つ、例えばがん、それから脳卒中、血管病、糖尿病というものの治療に大体一年一兆円ずつぐらいかかっているわけでございますよね。それですから、仮にそういうのが五年かかるところが二年半で済んだとか、最後の一年だけで済んだということになりますと、物すごく医療費が浮くわけでございますね。  それで、例えばがんなんかを見ておりましても、私どももストレスとがんの研究もしておりますけれども、ストレスをかけますとがんに対する免疫反応がすごく減ってがんができてしまうと、かなりはっきりしておりまして、いろんなストレスを受けた人はよくがんになって死んだりなんかしますので、実際もそうだと思いますけれども、何といっても科学的な多数例での科学的裏づけがないわけでございますね。  ですから、厚生省で言っていらっしゃる生活習慣だけではなくて、ストレスとかあるいは幸福感といった精神の持ち方ですね、そういうものも、それはまた厚生省に言わせると精神何とか局の何とか課の仕事だというふうにおっしゃると思いますけれども、そういうふうにしないであらゆるファクターを一緒にして、しかも生活習慣病、それから先ほどの環境による病気も含めて、それで日本の一定地域でランダムにサンプルするとか、あるいはそういうふうになりやすい人を選ぶとか、少し脱線しますけれども、このごろは遺伝子診断が、これは倫理的に幾つか問題がございますけれども、遺伝子診断によってある病気になりやすいかどうかということもかなりわかるわけでございますので、そういうポピュレーションを選びまして研究費もきちんとつけて研究するということはもちろん科学の進歩にもつながりますけれども、それと同時に国民福祉に非常に大きな貢献をすると思いますし、しかも医療費削減ということにもつながると思います。もちろん、そういうふうに決めましてもなかなか、どの人もこうだからそういう生活を守ると言うかどうかというのは別問題といたしましても、そういう道ができると思いますので、局長大臣、そういうことで何か御感想がありましたらお願いいたします。
  101. 小泉純一郎

    国務大臣小泉純一郎君) 健康を維持していくためにはお医者さんも大事だと思います。また、薬も重要でありますけれども、基本的には健康は自分で守っていくという観点をよくみんなが意識しなきゃいかぬと。いいお医者さんがいるから、いい薬があるから暴飲暴食すればいいかというと、必ずしもそうではない。  私も、いろんな病気の方々にお目にかかる機会がありますけれども、かなり前にも人工透析患者さんが入院している病院に見舞いがてら視察に行ったときも、こんなに大勢の方が毎日人工透析を受けているのかと。聞くところによると、糖尿病患者から人工透析になった方が実に多いと。本来だったらば食生活で人工透析を受けなくてもいい人も、どうしても食生活が守れなくてなってしまうと。いざ人工透析を受けますともうずっと、毎週三回程度、数時間受けなきゃならないと。その苦労に比べれば、ああ食事を直していけばよかった、生活習慣を直していけばよかったと言っても後の祭りだと。後悔先に立たずということを考えますと、いかに日ごろの生活習慣をよくして健康に気をつけるかということが大事かと。  予防は最大の防御といいますか、健康に対する観念でありますので、今言った何をそれじゃ食べていったらいいのか、どういう運動をしたらいいのか、どういう休養をとったらいいかわからない方がたくさんいますから、食事と運動と休養という健康保持の三原則、こういう問題について厚生省も、できるだけ多くの国民に関心を持ってもらって、まず健康を守るのは自分だ、その後にお医者さんと薬があるんだという意識を多くの国民が子供のときから持っていただいて、生活習慣をよいようにしていくことによって健康で長生きしてもらう、そして医療費も自然にそういう面において下がっていく、一石数鳥の効果が出るのではないか。そういう観点から生活習慣を変えていく。健康のためには生活習慣がいかに大きな影響をもたらすかという啓蒙活動をこれからも積極的に展開する必要があると思います。
  102. 水島裕

    ○水島裕君 最後に、今のようなどういうふうに生活習慣を変えたらいいか、一部わかっているところもありますけれども、やはりわかってないところがまだ多いので、それを裏づける科学的な根拠を出していただくということが厚生省並びにその研究班の一番大切な任務じゃないかと思います。幸いこの三月十日、生活習慣病の研究班もできたそうでございますので、そこで十分検討されて、やはり科学的なしっかりとしたデータを出して、それに従って国民が自分の体は自分で守るという方向に進むことをぜひお願いして終わりにしたいと思います。  どうもありがとうございました。
  103. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 平成会の渡辺孝男です。私は、言語聴覚療法士について質問したいと思います。  最近、手話を理解し、勉強しようとする人がふえております。テレビや講演会でも手話通訳がなされる場面がふえてまいりました。大変すばらしいことだと感じております。  言語及び聴覚に障害を持つ方々は日本全国で六百万人以上おられ、その中で検査や治療、それから訓練を必要とされる方々が約二百万人に及ぶと試算されております。その原因は、脳疾患による失語症や構音障害、あるいは口蓋裂などの奇形に伴う言語障害、それから言葉の発達の障害、心因性のもの、あるいは各種の聴覚障害によるものなど多岐にわたっております。  これらの障害の原因や訓練、治療を行う場の違いにより、現在これらの障害を持っておられる方々は、医療、福祉、教育の各分野で専門的技能を持った言語聴覚療法士、略してSTと呼ばれておりますけれども、これらの方々にお世話になり、社会復帰あるいは社会的自立を目指して努力しておるわけでございます。この言語や聴覚の障害を持つ方々にとって困ることは、専門的に検査、訓練、あるいは治療に当たってくださる言語聴覚療法士の数が不足しているということであります。  そこで、厚生省の担当の方にお尋ねします。  先進諸国と比較して日本では言語聴覚療法士の数がかなり少ないと言われております。厚生省は日本における必要数と現状をどのように認識されておりますか、お尋ねしたいと思います。
  104. 谷修一

    政府委員(谷修一君) いわゆるSTと言われる方の正確な数というのは、今お触れになりましたように、現在まだ資格制度がないということで正確な数は把握しておりませんが、幾つかの調査をもとにして推計をいたしますと、いわゆるSTとして働いておられる方の数は現在四千人程度じゃないかというふうに思っております。  必要数ということでございますが、これは先生も今お触れになりました患者の総数、これは大体六百万人ぐらいということの中で、それをもとにいたしまして幾つかの仮定を置いて推計をいたしたものとしては大体一万人ぐらいというふうに考えております。
  105. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 かなり必要数に対して現在働いて  おられる方が少ないということであると思います。  次に、言語聴覚療法士にとっても困った事態があります。それは言語聴覚療法士の資格認定がまだ法制化されておらない点であります。  既に言語聴覚療法士としての教育カリキュラムは医療、福祉、教育の各分野でできておるわけでございます。医療の現場に関して言いますと、関連分野の医学会が協力して医療言語聴覚療法士の養成施設をつくり、独自の認定制度を整えております。しかし、まだ国家資格となっておらないために、就職してもしかるべきポジションが与えられず、あるいは非常勤で我慢している方もあり、STとしての実力を十分に果たせない状況にあります。  昭和六十二年に厚生省が設置しました新たな医療関係職種の資格制度の在り方に関する検討会の中間報告では、「言語聴覚療法士は医学的リハビリテーションの分野で重要な役割を果たしており、速やかに法制化すべきである。」としておりましたが、当時はまだ医療と教育分野の合意形成が得られず、法制化が先送りとなってしまいました。  そこで、医療、福祉関係の人材育成にかかわっております文部省の担当の方にお伺いします。  昨年来検討を進めてきました二十一世紀医学医療懇談会は、本年の二月二十一日に二十一世紀に向けた介護関係人材育成のあり方についての第二次報告を発表しました。  この中でも現在資格化が検討されている言語及び聴覚に障害を持つ者に対して訓練等の業務を行ういわゆるSTなどの介護サービスにかかわる専門職が果たす役割が増大すると考えられるというふうに指摘しております。また、今後、教育研究体制の整備とともに、STなどの人材育成を進め、高齢者医療体制の整備を図ることが重要であるというふうに述べております。  文部省としてもこのSTの法制化を早急に行うべきであるという方針と理解してよろしいでしょうか、文部省の見解をお伺いします。
  106. 寺脇研

    説明員(寺脇研君) 御指摘をちょうだいいたしました二十一世紀医学医療懇談会の第二次報告では、これからの介護社会へ向けてさまざまな職種の重要性を認識し、それぞれについて必要な教育研究体制の整備、さらに計画的な人材養成の必要性というものを提言いただいておるところでございます。  いわゆるSTにつきましては、率直に申し上げまして今まで私どもの方でその養成のあり方、また計画的な養成のあり方というようなものについての検討はほとんどなされていなかったというようなことが申しわけございませんが現状でございます。  そこで、早急にこういったことについての取り組みを進めてまいりたいということで提言を受けまして、文部省といたしましても厚生省との十分な連携のもとに進めてまいりたいと思うわけでございますが、そのためには先ほどの必要数の問題でございますとか法的資格の問題でございますとか、そういうところが明確になりませんとどのような人間を育成すればいいのかということが明確になってまいらないわけでございます。  したがいまして、私ども厚生省の御議論の動向を十分見まして、法制化という方向で進んでまいりますことを受けて、それを受けて養成と教育研究の充実ということに努めてまいりたいと考えておるところでございます。
  107. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 厚生省としましても、昨年の十月二十八日に言語及び聴覚に障害を持つ者に対して訓練等の業務を行う者、いわゆるSTに関する懇談会を設置し、日本言語聴覚療法士協会や日本聴能言語士協会からのヒアリングや有識者による検討を続けていると聞いております。  そこで、厚生省の担当の方にお伺いします。  この懇談会での検討の進捗状況と論点の概要をお聞かせいただきたいと思います。
  108. 谷修一

    政府委員(谷修一君) このいわゆるSTの資格化に関する懇談会におきましては既に十回の会議を行っております。その間二回にわたりまして、今、先生お触れになりました日本言語療法士協会、それから聴能言語士協会からの、何といいますか、ヒアリングといいますか、それからこの懇談会が示した論点についての意見、それぞれの団体としての考え方というようなことを聞く機会を設けました。  具体的な論点ということではかなり幾つかに絞られてきておりますが、幾つかの点について申し上げさせていただきます。  一つは、このいわゆるSTという資格をいわゆる医療関係職種という形で整理をするのか、それとももう少し幅の広い資格とするのか。このことは具体的にはSTの業務というものをどういうふうに規定をするのかということと、医療機関におきます、あるいはその他の場合におきます医師の指示、つまり診療の補助業務に当たる業務を行おうとする場合には、現在の保助看法に規定されております診療の補助業務の解除をするという、ちょっと細かいことで恐縮ですが、そういう関係が必要になってまいりますから、その医師の指示との関係をどういうふうに整理をするのかということが、今申し上げましたこの職種の性格というものとの関係で若干まだ議論として残っているということでございます。  それからもう一つは、いずれにしてもこれを国家資格とするという場合には国家試験をするということでございますので、この資格試験の受験資格ということで申しますと、四年制の大学卒業でなければいけないか、あるいは三年以上の養成コースも含めて、その場合には当然四年制の大学が含まれるわけでございますが、どうかということでございます。この点につきましては、この懇談会での議論では大体教育の時間としては三千時間が必要だろうというような意見では一致をしております。その限りにおいては必ずしも四年制大学卒業ということに限定する必要がないんじゃないかというような意見に大体集約をされてきているということでございます。  それからもう一つの論点は、資格の名称ということでございます。先生は先ほど来言語聴覚療法士という言葉でこのSTを表現されております。ただ、これにつきましては、六十三年当時の医療言語聴覚療法士という名前も出ております。それから、聴覚言語士とか幾つかの名称が出ております。この名称そのものは結局今私が申し上げました何点かの論点とも絡む問題でございます。そういう意味で、この名称をどうするかということについてが論点として残っているということでございます。
  109. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 最後になりますけれども、小泉厚生大臣にお伺いします。  言語聴覚療法士の名称に関してはまだ統一されていないということでありますけれども、この言語聴覚療法士の法制化の早期実現というのが当事者、STの当事者並びに患者さん、障害を持たれる方が早く実現してほしいという要望がございます。  この言語聴覚療法士の法制化に関しまして、今国会に法案を出される予定か否か、それを含めまして大臣の御見解をお伺いしたいと思います。
  110. 小泉純一郎

    国務大臣小泉純一郎君) 今、局長がお話ししたように、この問題についてはいろいろ問題があるようであります。関係者では早く法制化すべきだという声もありますので、その懇談会の検討状況をよく見守って検討したいというふうに考えております。
  111. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 どうもありがとうございました。
  112. 菅野壽

    ○菅野壽君 平成九年度厚生省予算に係る委嘱審査に当たり、私は厚生省予算における隠れ借金の問題を取り上げたいと思います。  厳しい財政状況の中で、厚生省予算における隠れ借金の金額は極めて膨大であると聞いております。  厚生省予算における隠れ借金の現状について、項目、現在の残高、元本及び元利合計額について伺います。
  113. 真野章

    政府委員真野章君) 一般会計から厚生保険特別会計、国民年金特別会計に繰り入れます国庫負担、国庫補助の額を繰り延べまたは減額しているものにつきまして、厚生年金国庫負担につきましては、平成七年度、八年度、九年度予算案における繰り延べ額の合計額は一兆九千三百五十億円、資金運用部の預託金利に基づき、一定の前提を置きましてその運用収益相当額を試算いたしますと、平成八年度末までで約三百億円となりまして、元利合計で約一兆九千七百億円と見込んでおります。  また、国民年金国庫負担につきましては、平成六年度、七年度の繰り延べ額の合計額が四千四百五十四億円、先ほどと同様に一定の前提を置きまして運用収入相当額を試算いたしますと、平成八年度末で約四百億円となりまして、元利合計では約四千八百億円と見込んでおります。  なお、五十八年度から平成九年度まで行いました国庫負担の平準化に伴います運用収入相当額につきましては、同様の試算によりまして約一兆一千八百億円と見込んでおります。  また、政府管掌健康保険につきましては、国庫負担の繰り延べ額の合計は五千五百九十六億円、先ほどと同様に一定の前提を置きまして運用収入相当額を試算いたしますと、平成八年度末までで約二千六百億円となりまして、合計では約八千二百億円と見込んでおります。  以上でございます。
  114. 菅野壽

    ○菅野壽君 いわゆる隠れ借金は財政の状況国民の目に見えにくくしております。そういう弊害がございます。特に、ただでさえ後代負担が増大する社会保障関係予算において、さらなる後代へのツケ回しを行うことは問題が大きいと思います。  後代への負担の繰り延べに対する厚生大臣の御所見をお伺いします。
  115. 小泉純一郎

    国務大臣小泉純一郎君) 厚生省としてもこの繰り延べ措置に対して何とか早く返済されるべきだということで今年度予算についても大蔵省に強く求めておりますし、これからもこの要求を強く大蔵省当局にも求めていきたいと思います。
  116. 菅野壽

    ○菅野壽君 特に、厚生年金に係る国庫負担の単年度の繰り延べ額は、平成八年度以降、これまでより倍増しています。公的年金については先日の委員会でも厚生大臣から給付水準の引き下げが示唆されておりますけれども、膨大な負担の繰り延べをそのままにして給付水準の引き下げ等を求められることについて国民の理解が得られるとは思いません。  厚生省はいつまで厚生年金における隠れ借金を続けるつもりか、またその返済の目途について明確にお示し願いたいと思います。
  117. 真野章

    政府委員真野章君) 厚生年金におきます国庫負担の繰り延べ措置、今回もお願いをいたしておりますが、平成九年度におきましても、御承知のとおり、国の財政が大変厳しい状況にございまして、一般会計の歳出の抑制が強く求められる中で、年金財政に支障を生じないよう配慮しつつ、やむを得ない措置として行われるものというふうに理解をいたしております。したがいまして、先ほど大臣からもお答え申し上げましたように、厚生年金国庫負担の過去の繰り延べ分につきまして、年金財政の運用に支障を来さないようできる限り速やかに返済されるべきものというふうに考えております。  その具体的な返済時期につきましては、今後の国の財政の状況等を勘案する必要がございまして、法律上も将来にわたる厚生年金保険事業の財政の安定が損なわれることのないよう運用収入も含めて返済されることになっておりまして、できる限り速やかに返済されるよう努めてまいりたいというふうに考えております。
  118. 菅野壽

    ○菅野壽君 ところで、大蔵省の資料によれば、厚生年金国庫負担の特例のうち、平成二年度以降の一兆九千三百五十億円についてのみ今後処理を要するとされています。しかし、これ以前の繰り延べ額、一兆三千四百八十億円についても年金勘定に戻ってはいません。  昭和六十一年度から平成元年までの繰り入れ特例分の取り扱いについて、大蔵、厚生両省はどのように認識しておられますか、伺います。
  119. 丹呉泰健

    説明員(丹呉泰健君) お答え申し上げます。  昭和六十一年度から平成元年度までの厚生年金国庫負担の繰り入れ特例措置分につきましては、平成元年度の補正予算におきまして一兆五千億円を一般会計から厚生保険特別会計に繰り入れ、特別保健福祉事業資金を創設し、返済見合い財源を確保したところでございます。この点につきましては国会に提出した資料の参考に注記させていただいております。  この特別保健福祉事業資金は、老人保健制度の基盤安定化のために創設されたものであり、その運用益によりまして保険者の拠出金の負担増の緩和をする等の助成を行っております。厚生保険特別会計法におきましては、厚生年金事業の安定を確保するため、資金を取りまして過去の繰り入れ特例措置分の返済を行う場合にはこの特別保健福祉事業の必要性を勘案すべきものとされているところでございます。  したがいまして、この措置は昭和六十一年度から平成元年度までの厚生年金国庫負担の繰り延べ分の返済が完了したものではございませんが、返済見合い財源を厚生保険特別会計の中に確保したということで、他の措置に比べて返済に向けて前進を図ったものと考えております。  今後につきましては、繰り入れ特例措置分の返済につきまして特別保健福祉事業の必要性を勘案しつつ、厚生年金財政の運営に支障が生じないよう、年金勘定への繰り戻しにつきまして厚生省とよく相談いたしまして適切に対処したいと考えております。
  120. 真野章

    政府委員真野章君) 今、大蔵省の方からお答えいただきましたように、昭和六十一年度から平成元年度までの繰り入れ特例措置分につきましては、元年度補正予算におきまして一兆五千億円を厚生保険特別会計に繰り入れまして、若干技術的でございますが、業務勘定に特別保健福祉事業資金を創設いたしまして返済見合い財源を確保しているところでございます。  しかしながら、今、大蔵省の方からお答えがございましたように、いわばこの資金から厚生年金といたしましては年金勘定に繰り入れられまして初めて返済をしていただいたということになるわけでございまして、この措置をとるときに、厚生保険特別会計法におきまして、厚生年金事業の安定を確保するために必要があるときは特別保健福祉事業の必要性を勘案しつつ、取りまして年金勘定に繰り入れることができるということになっております。今後、財政当局と年金勘定への返済に向けまして十分相談をしてまいりたいというふうに考えております。
  121. 菅野壽

    ○菅野壽君 次に、政管健保の国庫負担繰り延べについてお伺いいたします。  これについては平成八年度補正予算において一千五百四十三億円が返済されていますが、この一千五百四十一二億円の根拠について伺いたいと思います。また、現在の残高の元利合計額についてもお示しください。
  122. 真野章

    政府委員真野章君) さきに成立をいたしました平成八年度の補正予算におきまして、政管健保の国庫負担繰り延べ額につきまして、その一部でございます千五百四十三億円の返済を受けたところでございます。これは政管健保の大変深刻な財政状況にかんがみまして、昭和六十年度の繰り延べ額の全額と昭和六十一年度の繰り延べ額の一部について返済を受けたものでございます。  なお、現在の繰り延べ額の残高でございますが、先ほども御答弁申し上げましたように、一定の前提を置きまして計算をいたしました運用収入相当額を含めまして、平成八年度末現在で約八千二百億円と見込んでおります。
  123. 菅野壽

    ○菅野壽君 政管健保の財政は、医療保険改革法案が成立したとしても、平成十年度においては単年度で赤字となり、事業運営安定資金も十一年度にはマイナスになることが予想されております。  こうした状況考えると、速やかにこれを返済することが必要であると考えますが、厚生省はそのタイムリミットについてどういうふうに考えておられますか、御見解をお聞きします。
  124. 小泉純一郎

    国務大臣小泉純一郎君) 御指摘の点、ごもっともだと思いますので、できるだけ速やかに返済を強く求めていきたいと思います。ただ、タイムリミットはいつまでかというと、これはなかなか、全体の財政状況も苦しいのはわかっておりますのでいつまでと言うことはできませんが、できるだけ速やかにということで強く要請していきたいと思います。
  125. 菅野壽

    ○菅野壽君 最後に、社会保障のあらゆる分野で構造改革が進められております。しかし、高齢化の進展に伴い、毎年多額の当然増を抱える厚生省予算の編成は中長期的に見ても今後ますますその厳しさを増すと考えられます。  後代への負担の繰り延べに頼らない社会保障財源の確保について、厚生大臣の御所見、御決意を承って終わります。
  126. 小泉純一郎

    国務大臣小泉純一郎君) 後世といいますか、後代へのツケというのは、今まで我々は気づかないうちにやってきちゃったと思うんですね。国債の発行がまさにそうであります。今のは痛みはないけれども、若い人にどんどんツケを回してきたと。そういうことではいかぬということで、これから一切の聖域なしに歳出削減に取り組んでくると。当然、限られた財源の中で国債の発行もしない、増税もしないというのだったらば、給付を受ける方にある程度負担をしていただかなきゃならない、これをある程度私は甘受しなきゃならない時代に来たなというふうに考えておりますが、そのためにも効率的な、むだのない制度運用、見直しが必要だと思っておりますので、今後鋭意あらゆる制度について見直しを行って、後代にツケを残さないよう体制を整備していきたい、大変な事業でありますけれども、全力を投球していきたいと思います。
  127. 今井澄

    今井澄君 民主党・新緑風会を代表して、平成九年度の厚生省予算に関連して質疑を行いたいと思います。  さて、現在、新ゴールドプランが進行中であり、また衆議院には介護保険法案が提出され、二〇〇〇年からの介護保険制度のスタートが望まれているわけでありますけれども、この新ゴールドプランの進捗状況厚生省からいただいた数字で見てみますと、大変喜ばしいことにホームヘルパーは平成九年度予算で十五万人を超えるということで約九〇%近く、十七万人目標の九〇%近くとなります。それともう一つ、進んでいるのでは特別養護老人ホームがもう既に二十九万人分の九〇%を超える二十六万二千七百九人分というのがこの予算に計上されているわけであります。  しかし一方、ショートステイとかデイサービスとか在宅介護支援センター、訪問看護ステーション、それから特にケアハウスの整備率が非常に悪い。あとわずか二年余りを残すわけでありますが、今年度はケアハウスについては目標の五〇%をやっと超える予算しか組まれていないわけであります。これはもちろん、予算を組んでも使い切れないようなことではいけないので、実情に合わせて組んでいくというのはやむを得ないことであります。  一方、この新ゴールドプランが達成されたとしても、その新ゴールドプランが達成された明けからちょうどそこで介護保険制度が始まるわけですが、この介護保険制度の中で、例えば寝たきりで息子夫婦と同居している場合にはこういうサービスをしますよというモデルが既に示されているわけですね。それをもとに四兆二千億という計算がされ、そしてそれに基づいて保険料が約月二千五百円という案が既に提示されているわけです。  そこで問題は、保険あってサービスなしということにならないかということがこの介護保険制度議論の中で一番大きな問題の一つになっていると思いますが、新ゴールドプランを達成するだけでは足りないのではないだろうかということについて、ホームヘルパーの数、それからもう一つ挙げればデイサービスセンターですね、在宅の方では介護保険制度におけるサービスモデル実施にどのぐらい必要になるのか、新ゴールドプランの目標よりどのぐらいオーバーしなければならないのかについてまずお尋ねをいたします。
  128. 羽毛田信吾

    政府委員羽毛田信吾君) 介護保険制度導入に向けましての在宅サービス、中でもホームヘルパー、デイサービスセンターについての整備につきましてお尋ねでございますけれども、御案内のとおり、新ゴールドプランにおきましては平成十一年度末に向けましてホームヘルパー十七万人、それからデイサービス……
  129. 今井澄

    今井澄君 その辺はいいですから、もう先ほど言ったとおりのことですから。
  130. 羽毛田信吾

    政府委員羽毛田信吾君) さっきお話しのように、介護保険が特にできてまいりますと需要がふえてまいりますので、そういったことを勘案いたしまして、それにつきましては今後の介護保険の中では介護保険事業計画を立てて、その中でニーズをきちっと把握して達成をするということにいたしておりますから、現在のところでは、ある種の試算でございますけれども、今、粗い試算でやっておりますところでは、例えば平成七年度から平成二十二年度、十年後ぐらいを一番フル稼働というふうに見ましてあれしますと、ホームヘルパーで五十八万人、それからデイサービス、デイケアで五万四千カ所というのを一応の試算といたしております。  しかし、繰り返しになりますけれども、これは介護保険事業計画の中で再度ニーズから積み上げまして、きちっともう一回精査をして、その目標に従って整備を進めていくということをしなければならないというふうに考えております。
  131. 今井澄

    今井澄君 今、老人保健福祉局長からお答えがありましたが、やはり介護保険制度がフルに稼働するという段階では、ホームヘルパーは六十万人ぐらいは少なくとも要るということなんだろうと思います。そこが問題だろうと思うんですが、一方、施設サービスの方については、先ほども言いましたように、平成九年度予算では既に厚生省予算で九〇%を超える整備率ということですが、これでもまだ足りないということがよく言われます。私もかなり全国あちらこちらから、国会の審議でもっと特養を十分に整備しろということを言ってほしいということを言われております。それからさらには岡光事件が起こって以来、どうもなかなか現場で、県によっては特養の整備についてブレーキがかかっているようなこともあるようでありまして、これが何か厚生省予算を組んでいないからなかなか現場で特養が認められないというような誤解も生じているようですが、予算はこのとおり組まれているわけでありますね。  そこで、特養なんですけれども、今、待機者がかなりいると言われているんですね。厚生省の方ではこの特養に対する待機者というものが全国的にどのぐらいいるのかということを把握しているのかどうか、把握しているとすればその数字はどのぐらいかということをお尋ねしたいのと、もう一つ、私が現場でいろいろ調べてみたりお話を聞きますと、待機者といっても、待機者のうち実際に家にいて家族が非常に困っている待機者は、百人いるとか百五十人いると言われるうちの実は三分の一ぐらいでして、残りの三分の二が大体老人病院に入っているとか、あるいは脳卒中で倒れて病院に入ったが退院しなさいと言われているので困っているとか、そういう人も多い。あるいは、最近、特養に入れないものですから、どうも必要になりそうになると早目早目に申請をしておかないと入れないからということで結果的に待機者の数が水増しされて多くなっているのではないかと思うんですけれども、その辺の実態についてはどういうふうにお考えですか。
  132. 羽毛田信吾

    政府委員羽毛田信吾君) 今、先生のお話のございました待機者の状況でございますけれども、これにつきましては、結論的には現在時点では、新しい時点では実は全国的な集計を行っておりません。実は古く平成二年の段階全国的な集計を行いましたけれども、実はその中には、今、先生の御指摘もございましたのですけれども、申し込みだけはやっておこうというような形の方だとか、あるいはもう医療ケアをやはり相当濃厚にやらにやならぬ段階の方でありますとかそういった方、あるいは一部の都道府県でモデル的にやってみますというと、いわゆる入所基準に該当しないけれども希望だけはしておられるというような方とか、そういう部分が相当入っておることがわかりましたし、加えまして介護保険というものが具体的なスケジュールに上ってまいりました。  そうしますというと、介護保険におけるサービスというものを前提にして、端的に申し上げれば在宅を重視していくという話の中で、できるだけ在宅で受け取っていただくという政策的な要素も踏まえてやはり特養の入所待機者というものは把握をし、それに基づいたことを考えるべきであろうということで、したがいましてそこはそういった介護保険の前提条件を待って、それに応じた形での入所待機者というニーズを把握するということでこれから介護保険事業計画、ゴールドプランに続いてやっていかなきやなりませんから、そういう姿勢でこれからやっていこうということで、これからニーズ把握は当然やっていかなければなりませんが、そういう考え方に立ってやりたいというふうに思っておるところでございます。
  133. 今井澄

    今井澄君 今の局長のお考えは私は基本的にそれでいいと思うんですが、やっぱり実態調査というのを少しやられないといけないと思うんですよ。というのは、現場では本当に寝たきりや何かを抱えて困っている家族はやっぱり施設に入れてもらいたい、現にいるんですね、そういう方たちが。ところが、特養はいっぱいだということで施設をつくれという要望が非常に多い。そうすると、市町村長さんたちや地元の議員さんたちはそれにやっぱり応ぜざるを得ないということで、厚生省は何でふやさせてくれないのかと、こういうふうになってくると思うんですね。  ところが、例えば岡光事件が起こった原因の一つも、これは土建型福祉行政と言ったらおかしいですけれども、箱物をつくってそこに入れるという伝統的な日本の福祉そのものの上に乗っかっているからああいう汚職も起きたんだというふうに私はその一面を持っているわけで、これはつくってもつくっても足りないと思うんですよ。入れたいという希望をかなえるだけでは幾らつくっても足りない。現に、特養なんかを見ますと、退所してもいい人がいるんですよね。いるんだけれども退所できない。つい最近も全社協で実態調査を全国のすべての特養について行って、回答率は六三%ですが、大体退所の理由のうちの半分近くが病院に運ばれてそのまま亡くなって特養には帰ってこなかったと。それから、その三分の二ぐらいが亡くなった方ですね、死亡退所。本当に家へ帰った人というのはわずか〇・七%というんですね。日本では特養というのは入ったらもう死ぬまでいるものだという常識で家族も入れてしまうから、家族が今度見られる状態になっても引き取ろうとしない。中へ入れられた老人もそのまま。だけれども、現実には帰れる人もいるんですね。  私のところにも、つい最近、ある老人医療をやっている人から来たんですけれども、まずケアハウスをつくって特養にいる自立てきる老人をそこへかわってもらうというふうなことをして特養の回転率を上げたらどうかという意見も寄せられている。私、事実そのとおりだと思うんです。特養にいる人はもうどうしても帰れないぐらい重い人ばかりじゃないんですよね。  そういうことが非常に問題だろうというふうに私は思っておりますので、現在の特養の数で足りているとは思いませんけれども、ただ入所待ちが多いから特養をどんどんつくってくれということにだけ応ずると、とんでもない、将来また社会的入院ならぬ社会的入所の過剰でお金も足りなくなるということがあると思うので注意していただきたいんですが、そういう意味では何といっても在宅を重視すること、在宅の支援システムを充実することが大事だと思いますし、もう一つは寝たきり老人ゼロ作戦と掲げているわけなんで、そういうことをやることが必要なんだと思うんです。  そこで、大臣にお尋ねしたいのですが、さっきの局長の答弁をお聞きになってもおわかりのように、介護保険制度が始まった時点では足りないんですよね。十七万人を若干アップしたところで六十万人ものホームヘルパーは恐らく予算上では、今の制度では整備できない。介護保険制度が始まって十年ぐらいたつとやっとほぼ八〇%ぐらい在宅のニーズに呼応するホームヘルパーが出てくるのではないか、これは民活を含めてですね。これは非常な矛盾なんですね。やっぱり保険あってサービスなしになるおそれがあるわけです。  そこで、大臣にお尋ねしたいのは、そういう今の部分は新ゴールドプランではとても足りない、それをどうやってふやすのか、そのための財政的な何か考え方はあり得るのかどうか、あるいは既に今の段階から何か民活で将来、平成二十二年などと言わずにもっとふやす方法はないのか、その辺についてちょっと大臣のお考えなり決意なり、それから特に寝たきり老人ゼロ作戦にも力を入れていただきたいんですが。
  134. 小泉純一郎

    国務大臣小泉純一郎君) 足りないかどうか、当然よりよきものを求めいくためには今の時点では足りないという予想をする方が圧倒的に多いと。そういう中で、できるだけ早目にこの法案を成立させていただいて目標に向かって整備していく状況をつくることが私はまず大事だと思っています。そして、公的な施設等が不十分な場合は民間にできるだけ参入してもらう。そして、いざ実際に制度が導入された段階でどれだけの需要があるかということ、これは現にわかってくるわけですから、その中で今予想し得ない事態も起こってくると思います。  同時に、寝たきりゼロ作戦というこの問題、特に日本人は寝たきりになる率が多いということでありますので、どうやって元気で寝たきりにならないで高齢期を過ごすかということも相まっていろいろな対策が必要だと思いますが、わけても、そんなに公費を投入する余裕がありませんから、その点についてはいかに効率的に整備を整えていくかということを不断に点検していかなきゃならない、そこが実際のところ一番頭の痛いところだと思います。やらなきゃならない、ふやさなきゃならない場面であるにもかかわらず、全体の状況がそれをなかなか許してくれない。どうやってその費用を捻出するかというのはほかの制度見直しながら考えていかなきゃいかぬと思います。
  135. 今井澄

    今井澄君 先ほど塩崎委員の方からの質問の中にも民活の有効性ということが特にこの福祉の分野でも出されたと思うんです。具体的な数字で出されたと思いますので、お互いに知恵を絞って、ただ予算でこれしかホームヘルパーがふやせない、予算がないからふやせない、あるいはふやすためには予算をともかく獲得しなきゃならないという、ここから何か抜け出す方法を考えないといけないのだろうと思います。  そこで、時間がなくなってしまいましたが、もう一つちょっと御質問したいことがありまして、長良川河口堰に関係しての水道用水の問題なんです。  長良川河口堰問題は大変国民的な関心を引きつけているわけでありまして、これは単に建設省の問題だけではなく、多くの省庁の関係するところであります。特に、環境庁は三月十七日、長良川河口堰の環境影響評価について初めてヒアリングを行ったわけであります。建設省の方でも、モニタリング委員会のメンバーである西條八束名古屋大学名誉教授が、この河口堰上流部の水質変化は、これはもう現状は川ではない、富栄養化による水質汚染の進んだ湖の状態だと。私も地元諏訪湖のアオコというのを目の当たりに見ておりますので本当に恐ろしい感じがいたしますが、建設省の委員会のメンバーもそういうふうに警鐘を鳴らしている状況です。  そこで、実はこの河口堰でせきとめた水から水道水にしようという計画が今進んでいるわけですね。これは厚生省の管轄だと思うんですが、長良川河口堰は木曽川水系の他の幾つかのダムと連動して、六つのダムと堰で治水、塩害防止、工業用水、水道用水、こういうものを得ようという、これを目的とする俗に言うフルプランというのに基づいて行われているわけです。特に、その中での水道用水ですけれども、愛知県の知多半島の十の市と町、それから三重県の伊勢中央部の二つの市と七つの町の水道用水の供給をこの堰からやろうとしているわけですね。知多半島の方については長良導水、これが事業費二百十億円、長良川導水路というその先の部分が百十八億円。それから、伊勢の方はこれは事業費が何と八百五十三億円をかけて、今一部は完成し、一部はこれから進めるわけですね。  これらの水道事業予算はこのとおりの数字でいいと思うので、厚生省も確認しているとおりこれでいいと思うんですが、ここでかなり地元負担があるんですね。そして、それが結局のところ水道料金にはね返ってくるわけです。その辺、厚生省としてはどういうふうに把握しているのかということです。実際にそこから日量何万トンという水を延々とこれだけのお金をかけて引いてきて使わなければならない、それほどこの地域は水に不足しているというふうに考えているのか。さらに、これはそういうふうによどんだ富栄養化の水ですね。当然、塩素で消毒して持ってこなきゃならないわけです。そうすると、トリハロメタンが発生するわけです。現に銚子市など利根川の堰から水をとっているところは七十とか八十マイクログラム・パー・リッターという非常に全国的に高いレベルのトリハロメタンが検出されているということで、できれば避けるべきなんですね。流水からとった方がいい。  このことについてどういうふうにお考えでしょうか。
  136. 小野昭雄

    政府委員(小野昭雄君) 総事業費につきましては、先生御指摘のとおりでございます。  ただ、一点だけ補足させていただきますと、三重県が行っております中勢水道用水供給事業、これは約八百五十三億円でございますけれども、これには取水、導水以外に浄水場の建設費等々が含まれておりますので額が大きくなっているという点は御理解をいただきたいと思います。  それから、国、県、市町村の負担額でございますが、これらの事業についてはいずれも三分の一の国庫補助が行われているところでございまして、残りは水道用水供給事業を実施する愛知県、三重県の負担となるわけでございます。  それから、水道料金への影響についてでございますが、愛知県の試算によりますと、市町村への供給料金は一立方メートル当たり現行約六十七円でございますが、五円程度増加するというふうに聞いております。  それから次に、需給状況についてでございますが、おのおの人口の増加、それから使用量等を推測いたしまして算出をしているわけでございますが、知多半島におきます水供給につきましては、目標年次でございます平成二十二年度の需要見込み量、日量約三十六万立方メートルに対しまして供給可能量は約十四万立方メートルとなっておりまして、不足分が二十二万立方メートルございます。これを長良川河口堰の開発水を導水することで賄うという計画となっているところでございます。  また、三重県の中勢水道用水供給事業につきましては、目標年次の平成二十二年度の需要見込み量は日量約十六万五千立方メートルに対しまして供給可能量が約八万一千立方メートルでございまして、長良川河口堰の開発水のうちの約八万四千立方メートルを使用する計画となっているところでございます。  それから次に、水質に関する……
  137. 今井澄

    今井澄君 いや、いいです、時間がないから。  今いろいろお答えいただいたんですが、私の方はそれとは全然違った数字を手に入れております。要するに、人口の増加の予測とか使用量が伸びるという予測は全く古いものでありまして、高度成長時代のもので、全くそうじゃないというものを得ておりますが、こういうことについて厚生省としても大いに関心を持っていただきたいと思いますので、この具体的な数字のことはまた直接現地の人なども含めて厚生省に伺ってお話をしたいと思います。  厚生大臣もぜひそういう方と一度お会いいただきたいと思いますし、長良川河口堰も一度御視察いただければと思いますが、いかがでしょうか。一言。
  138. 小泉純一郎

    国務大臣小泉純一郎君) 前に長良川の河口堰の問題でもめたことがあります。それで、そういう関係者から意見を聞いたことが私はあるんです。しかし、今、本体はもう完成しているわけでしょう。  今のお話を聞いてみて、どうなっているのか、私自身も検討したいと思います。
  139. 今井澄

    今井澄君 これで終わります。
  140. 西山登紀子

    西山登紀子君 日本共産党の西山登紀子でございます。  きょうは生活保護世帯の医療券問題についてお聞きをしたいと思うんです。  この問題は九四年に当委員会で私が質問いたしましたけれども、実は私はそれまで大変不勉強で、生活保護世帯の方はいつでもすぐに病院にかかれるものだと思っておりました。ところが、そうではなくて、さまざまな手続上のハードルが幾重にもあって病気になってもすぐに通院することができない、こういうことを知って大変驚いたわけです。そこで、医療券ではなくて医療証を発行して安心してお医者さんにかかれるように強く要望いたしました。その後、国民の皆さんの声も、要望も広がっております。  大臣にお伺いいたしますけれども、憲法第二十五条、もちろんそれを受けた生活保護法、特に三条、三条はこのようになっているわけです。「この法律により保障される最低限度の生活は、健康で文化的な生活水準を維持することができるものでなければならない。」、これが生活保護行政の基本だと思います。人権を尊重したものでなければならないというふうに考えますけれども大臣、そうではないでしょうか。
  141. 小泉純一郎

    国務大臣小泉純一郎君) 生活保護行政は厚生省にとって大変重要な仕事でありますし、今の憲法第二十五条、この精神を生かして最低限度の生活を保障する、これは社会保障制度の根幹だと思っております。
  142. 西山登紀子

    西山登紀子君 生活保護というのは国民の基本的な権利であります。しかし、今日の生活保護行政というのは実際はどうなっているのかという問題です。  生活保護開始の一番大きな理由は何でしょうか。
  143. 亀田克彦

    政府委員(亀田克彦君) 生活保護開始に至った原因でございますけれども、いろんなケースがございますので、いろいろな経緯がございまして生活保護に至ったと、こういうことだと思いますが、平成七年九月に生活保護動態調査というものをやっておりまして、これによりますと傷病が主な原因、こういう方が、こういう方というか世帯でございますが、約七八%になっております。
  144. 西山登紀子

    西山登紀子君 今言われたように、病気による困窮が圧倒的に多い生活保護を受ける原因であります。ところが、お医者さんに行く手続が非常に面倒なんです。幾つものハードルがあります。すぐにかかれないシステムになっています。私が質問した以降も残念ながらその点は改善を見ておりません。  お医者さんにかかる場合の手続、この手続はどうなっていますか。
  145. 亀田克彦

    政府委員(亀田克彦君) 生活保護を受けておられる方が病気になられて医療が必要になった、こういう場合でございますけれども、この場合には医療扶助、生活保護には七種類の扶助がございますが、医療扶助の決定を受けることが必要になるわけでございます。この決定につきましては、被保護者の申請に基づきまして医療の要否を審査した上でできるだけ早く決定する、こういう基本的な考え方に立っております。  具体的に申し上げますと、被保護者の方が新たに医療扶助を受けようとする場合でございますけれども、多くのケースにつきましては福祉事務所、あるいは郡部でございますと町村役場に参りまして生活保護の変更申請、医療扶助ももらいたい、こういう変更申請をしていただきまして、福祉事務所等から医療券あるいは診療依頼書の交付を受け、これを医療機関に提出いたしますと診療を受けられる、こういうことになってございます。  なお、急病だと、こういうような場合にはそういう手続を経ないで、まず医療機関で受診をした後、医療扶助を決定するための手続を行っていただく、こういうようにしておるところでございます。  それから、新規ということではございませんで前の月から継続して受診が必要だと、こういう場合には、被保護者の方にとっては特段の手続を必要としないで継続して医療を受けられる、こういうよう状況になってございます。
  146. 西山登紀子

    西山登紀子君 少し説明を省略されたんじゃないかと思うんですね。    〔委員長退席、理事菅野壽君着席〕  厚生省から事前に聞いたとき、私が前回質問したときは、つい最近も聞きました、どうなっているか。原則的な手続というのがありまして、原則的には要保護者の方が病院にかかるときにはまず福祉事務所に行って申請をして、要否意見書なるものをもらってそれを指定医療機関に行って要があるということをお医者さんに明記をしてもらったやつをまた福祉事務所に持って行って、そして医療券を発行してもらって、そして医療機関に行ってやっと受診ができる、これが厚生省がつい最近私に説明した変わらない原則的な手続であります。簡素化されたと今おっしゃったけれども、今の説明だって不十分ですよ。この前説明を受けたのでは簡素化されたといっても、ちっとも簡素化されていないんです。  病気になってお医者さんに行きたいと思って福祉事務所に行きます。要否意見書をもらいます。それを指定医療機関に持っていって、そして指定医療機関は、ここが問題なんですね、郵送で、要否意見書なるものを福祉事務所に郵送する。そして御本人は福祉事務所から医療券をもらう、あるいは福祉事務所が指定医療機関に医療券を交付する。そういうことをやってやっと受診ができる。大変ややこしいです。本当に一度聞いたぐらいではわからないぐらいに非常にややこしい手続であります。  さらに言えば、簡素化されている、あるいは継続受診の方は毎回毎回手続は要らないとおっしゃるけれども、そこにもまだまだ問題があるわけです。  例えば、新規の場合、同一病院ならば一カ月有効なんですけれども、御本人が別の病院に通うときにはまた同じ手続を、福祉事務所に行って要否意見書をもらって、そして病院に行って書いてもらって、またそれを持って福祉事務所に行って医療券をもらってまた病院に行く、この手続をやらなければいけません。さらに、家族も一人一人必要なんですよ。子供が病気になったらこれもまた一から同じ手続が必要です。継続している場合も、通院は最長六カ月が認められているんだけれども同一疾病に限られているから、例えば私がお聞きしたお年寄り、メニエール氏病の方が目を病んだと。ふらふらしながら福祉事務所に行って医療券をもらって眼科へ行く。翌日、耳が悪くなった。またふらふら自転車に乗って、危ないんだけれども、福祉事務所に行って医療要否意見書をもらって、またお医者さんのあれを書いてもらって、また福祉事務所に行って医療券をもらってやっと耳鼻科に行く、こういう手続になっているわけです。  本当に私は胸が痛むんですが、私が言ったように、この点間違いありませんね、厚生省
  147. 亀田克彦

    政府委員(亀田克彦君) 先ほど多くのケースについての状況を申し上げましたけれども先生御指摘のように、被保護者が新規に医療扶助を受ける場合であって福祉事務所段階では医療を受ける必要が明らかだとこういうことが判断できない場合には、先生御指摘のとおり、医療要否意見書をもらっていただくと、こういうような手順が負荷されることになっております。    〔理事菅野壽君退席、委員長着席〕 ただ、これは都道府県から聞いておりますところでは大変ケースは少ない、こういうふうに聞いておるところでございます。  それから、医療券の発行の仕方でございますが、これは先生御指摘のとおり、患者さん単位、それから病院単位で発行をいたすことになっております。
  148. 西山登紀子

    西山登紀子君 大変複雑で非常に不便ですね。  私、直接地元で生活保護を受けていらっしゃる障害者の方やお年寄りの方や母子家庭のお母さんからお話を聞きました。お母さんにはお子さんが一人いらっしゃるんですけれども、一歳四カ月から生活保護を受けていらっしゃって、今八歳になっているお子さんを持っているお母さんです。子供が発熱をしたと。その熱のある子供を抱いて福祉事務所に行って、ここの福祉事務所は被保護者の方の意見も取り入れて少しよくしているんですね。直接すぐ医療券がもらえるようになっています。医療券をもらって、ところが指定医の名前を書いてもらう医療券になっているために、夜それをもらって病院に行ったら、あいにくその日はその病院が休診だったわけですね。そうすると、その医療券は使えませんからその夜はその発熱した子供を抱いたままどこの病院にも行けない、こういう状況で翌日まで待たざるを得なかったと、そういうことがあったというんですね。  そしてまた、月末の二十九日に福祉事務所に行って、子供が熱を出したから医療券をもらい、病院に行ったと。月が変わったらまた福祉事務所に医療券をもらわないと病院に通えない、こういうことです。病気の子供を連れて物理的にも大変だし、ましてや精神的には負担感が大きいです、福祉事務所に行くということ自体が。そういうことで自分も子供もできるだけ売薬で済ませてしまう、医療券をもらいに行きたくない、こういう気持ちになっているわけです。  こんな複雑で不便な手続を経なければお医者さんに行けない、私はこのこと自体が非常に差別的だと思うんですね。普通ならば私たちは保険証を持っていればいつだって、どこのお医者さんにだってかかれるじゃないですか。母親であれば一番早く行ける病院へ駆け込むじゃありませんか。それができないということは本当に差別的だと思うんです。  なぜこんな制約的なことをするんでしょうか。
  149. 亀田克彦

    政府委員(亀田克彦君) まず、休日夜間の問題でございますけれども厚生省といたしましては、福祉事務所はやっていないわけでございますので、生活保護の決定通知書、あるいは県によりましては特別の受給証というようなものも発行されておる都道府県もあるように聞いておりますけれども、そういうものを持って行けば医療券がなくても受診できるように、そういうような指導を都道府県にいたしております。  それから、月末の問題でございますけれども、これも都道府県に対しまして、月末に初めて医療券を交付する、それで来月も継続して医療が必要であろうというようなことがわかる場合には翌月分の医療券も同時に発行するように、こういうふうな指導をいたしておるところでございます。  それで、先生の御質問医療券方式によっております理由でございますが、私ども三点あるというふうに考えておるわけでございます。  一つは、医療扶助は先生御案内のように全額公費負担ということでございまして、保険料負担もございませんし、それから自己負担もないわけでございます。そういうこともございまして、緊急というようなことは別でございますけれども、一般的には事前に医療の要否について判断をいたしまして支給する、こういう必要があるのではないかというふうに考えております。  それから二つ目には、個々の被保護者の方にとってもそういう形の方が病状に応じました医療機関を選定でき、病状に合った治療を受療することができるようになるんじゃないかなというふうに考えてございます。  それから三点目に、福祉事務所によります病状把握ということでございますが、やはり福祉事務所におきましては病状を迅速に把握いたしまして、そういう把握に基づいたそのほかの処遇もする必要があると。  こういうようなことを考えておるわけでございまして、それらが理由だというふうに理解をいたしております。
  150. 西山登紀子

    西山登紀子君 厚生省、そうはおっしゃいますけれども、各自治体から今の制度では大変問題があると現実に意見が来ているじゃありませんか。十五都道府県、五政令指定都市がこの医療券方式は問題がある、医療証方式に変えてほしいという要望を上げているわけです。  代表的なのは東京都です。改正意見をかなり以前から上げているわけですけれども、こういう改正意見です。「現行の「医療制度」を「医療制度」に早期に改正すること。」。  提案理由は八つあります。  一 医療券の交付を受けなければならない被保護患者の精神的負担が大きい。  二 被保護者の差別感の軽減につながる。  三 緊急時、休日・夜間診療への円滑な対応が可能となる。  四 指定医療機関の診療報酬請求事務が軽減され、指定促進につながる。  五 福祉事務所の医療券作成事務が軽減され、事務の簡素化につながる。  六 週休二日制の実施に伴う閉庁時の緊急対応も可能となる。  七 児童が学校行事等で遠隔地に旅行する場合、児童の精神的負担の軽減につながる。  八 被保護者の緊急時の利便性を図るため、団体等から強い要望が寄せられている。 これが東京都が厚生省に上げた改正意見であります。  意見だけではなくて、もう実際上、各自治体はシステムをいろいろと変えているわけであります。埼玉県では既に受給証なるものがつくられているというようなこともされております。  こういう改正の意見、実際に仕事をやっている自治体の意見というのは非常に道理があるし、実際的だと思うんですけれども、どうでしょうか。
  151. 亀田克彦

    政府委員(亀田克彦君) 生活保護の実施は自治体にお願いしておるわけでございまして、私ども基本的に自治体の御意見を尊重いたしましてできるだけの改善をする、こういう基本的なスタンスでおるわけでございます。  ただ、この問題につきましては、先生今御指摘のように、東京都を初めとしまして幾つかの自治体から医療証、一般の保険証、そういう方式に改善できないか、こういう御意見がございますのは私ども承知をいたしておるところでございますが、先ほど三つの理由を申し上げましたけれども、そういう理由から私どもといたしましては医療証方式の導入は困難だというふうに考えておるところでございます。  また、追加いたしまして、医療証の方式をやるということになりますと、病気になられる前に一年間とかそういう長期にわたりまして、前にこの医療給付を決定する、こういうことになるわけでございますから、具体的なニーズに応じて、具体的なニーズをもとに保護の決定を行う、こういう生活保護制度趣旨に合わないと。こういうことのほかに、実務的には医療機関に自己負担分を少し払っていただいているケースもあるわけでございますが、この負担能力の変化によりましてそういうものが変化した場合の対応、それから生活保護が廃止された場合の医療証の回収の問題、こんな問題も生じるのではないかと、こういうふうに考えておるところでございます。  なお、先ほど申し上げましたけれども、この医療扶助の手続につきましてはこれまでできるだけの簡素化を図ってきたと、こういうことでございますし、また、先ほど説明しませんでしたけれども、被保護世帯の児童生徒の方が修学旅行をされる、そういうような場合にはその期間有効な受診証等を発行してそういう方の医療を確保できるようにと、こういうような指導もいたしてきておるわけでございまして、現行のやり方でございましても被保護者の方にそれほどの負担をかけることなく現に必要な医療が確保できておると、こういうふうに認識をいたしております。
  152. 西山登紀子

    西山登紀子君 最後に大臣にお伺いしたいわけですけれども、私は今の答弁を本当に血が通っていないというふうに思うんですよね。  やはり、子供が修学旅行に行っても、キャンプに行っても非常に差別感がある。行きたくない、親は行かせたくない、そういう現実もあります。そして、実際にすぐにお医者さんに行かなければいけないということについてもいろんなやっぱり支障を来しているわけです。  ですから、生活保護を受理したときにあわせて医療証というものを発行すれば、あるいはそれにかわるような生活保護通知書で可能となるというふうにすれば何も問題はないわけです。ですから、この点は大臣のやはり英断が必要だと思いますけれども、いかがですか。
  153. 小泉純一郎

    国務大臣小泉純一郎君) これは、今いろいろなお話を聞いていまして、差別ということではなくて、必要に応じて医療サービスを提供しようということを考えると、全額公費という点を考えても今の方式でいいのじゃないか。ただ、手続等問題点があると思います。手続等をできるだけ支障を来さないようにもっと簡素化できないものかという対応の方が私は適切ではないか。より多くの国民の理解を得られるのではないか。決して差別じゃない。保険料も払わない、そして医療費も払わせないでできるだけの医療扶助をしようというこの制度というもの、全国民が支えているということからも私は今の医療券方式で対応できるのではないかというふうに考えます。
  154. 西山登紀子

    西山登紀子君 保険料を払わないとおっしゃったわけですけれども、これはさっき一番最初に確認をいたしましたように、生活保護を受けるというのは国民の権利であります。払えない状態になったときに、お医者さんにかかるのにこんなに幾つものハードルをわざわざ置かなければならないのかということが私は差別的で非常に人道に反することじゃないかということを申し上げているので、ぜひ大臣のお考えをもう一度。
  155. 小泉純一郎

    国務大臣小泉純一郎君) 手続の面においてそのような支障を来さないような改善の余地はあるのではないか、そういうことから簡素化の方法がないものか、それはやっぱり検討する必要があると思います。
  156. 釘宮磐

    ○釘宮磐君 薬害エイズ訴訟の和解が成立して今月二十九日で丸一年が経過をするわけであります。真相究明につきましては裁判も始まりましてそれにゆだねることにして、きょうは再発防止、恒久対策の観点から数点質問をさせていただきたいと思います。  薬害エイズ事件では、厚生省と製薬会社との癒着が問題となり、すなわち業務局内に製薬企業の育成と薬剤の承認を担当する部局が混在するのが問題であると指摘されました。これを受けて厚生省は、ことしの七月から、製薬会社の育成を図る研究開発振興、生産・流通対策部門は業務局から切り離して健康政策局、業務局は医療安全局と名称を変えて、業務を医薬品の治験、承認審査、市販後の安全対策に限る改革をするということであります。  しかし、依然として新薬の有効性や安全性の実質的な審査は外部機関の中央薬事審議会にゆだねております。このことは現行体制の枠組みの域を脱していないと言わざるを得ないのではないか、審議会に任せれば再び責任の所在があいまいになるのではないかと危惧をするものであります。今回のエイズ問題の真相究明の中では責任の所在がどこにあったのかが問題となっております。  そこで、お尋ねをいたしますが、本当に今回の機構改革でこうした薬害の再発防止ができるのかというふうにお思いなのか、お伺いをしたいと思います。
  157. 丸山晴男

    政府委員(丸山晴男君) 今回の改革で再発防止ができるかというお尋ねでございます。  厚生大臣が医薬品を承認する際に、高度の科学的判断を要することから、我が国の第一線の研究者から成る中央薬事審議会の意見を聞いて承認審査を行ってまいった仕組みでございますけれども、この仕組みをかなりといいますか大幅に見直しをいたしまして、まず申請データの信頼性のチェック、こういったことにつきまして新たに医薬品機構に行わせることにしておりますし、また今お話しの本年七月からの業務局を医薬安全局に機構改革をすることの中で、承認審査事務につきましてはそれを専門的に行う医薬品医療機器審査センターを設置いたしまして、審査担当官が基礎的な評価・判断を行い、近い将来にはその内容を審査レポートとして取りまとめて中央薬事審議会における審議に役立たせるなどによりまして、従来の中央薬事審議会中心の審査体制から事務局がかなりの役割を担う審査体制への移行を図ることといたしております。  こういったことによりまして、承認審査におきます厚生省の責任が一層明確になり、この機構改革によりまして従来の問題点の解決を図ってまいることができるというふうに考えておる次第でございます。
  158. 釘宮磐

    ○釘宮磐君 私は、この薬害の問題が後を絶たないという中に、基本的に厚生省の内部の機構そのものを少しぐらい動かしたのではなかなかこれは難しいのではないかと。それは確かに機構を改革することによってこれから、後ほど触れますが、情報開示の問題とかそういうようなものがこれから有機的に相乗作用をもたらすというようなことができていく中でそういう問題が改善されていくのだろうと思うんですが、基本的に薬事審議会というものが、じゃ本当に責任がとれる、委員さんが責任がとれるというよう状況にあるのかどうかということになると、また私は疑問がわいてくるわけであります。  例えば、米国のFDAに相当するような政府機関が実際に責任を持ってやるべきではないかというよう議論もあるわけでありますが、そういう点についてはどういうふうにお考えですか。
  159. 丸山晴男

    政府委員(丸山晴男君) FDAの方式についてでございますけれども、米国のFDA、食品医薬品局におきます審査、これは内部審査を原則といたしておりますけれども、調査いたしますと、そのうち重要な医薬品の承認につきましては外部専門家から成る諮問委員会の意見も聞いているということでございます。FDAにつきましても内部審査を原則とすることを前提としながら諮問委員会の意見を聞いて対応しているということでございまして、現在私どもで検討しております医薬品医療機器審査センターによります事務局審査体制の強化ということによりまして、米国のような内部審査中心の審査方式との違いは実質的に解消していくだろうというふうにも考えているところでございます。
  160. 釘宮磐

    ○釘宮磐君 ということは、将来的にはそういう内部審査の方式に近づけていくという、そういう考えですか。
  161. 丸山晴男

    政府委員(丸山晴男君) 現在の医薬品あるいは医療のあり方、病気を治すということが大変広範な、二十万人を超える医師の方々によって支えられているわけでございますけれども、それぞれに必要な医薬品の開発に対しまして、それの有効性、安全性を審査する体制として考えます場合に、事務局ですべての体制を整備するということが可能かどうか、あるいは適当かどうかということにも絡むわけでございます。  残念ながら現在の私どもの審査体制は必ずしも十分でないという御批判もいただいているわけでございますけれども、少なくとも基礎的な分野につきましては事務局審査できちっとし、我が国の最高度の科学的な判断をゆだねるという分野につきましては、我が国の第一線の研究者から成ります現在の中央薬事審議会の委員構成でございますが、その審議会の意見を聞いて最終的に医薬品の有効性、安全性の判断をしていく、こういう体制でございますが、この体制というものが現在の医薬品の承認審査を進める上でやはり適正ではないかというふうに考えているところでございます。
  162. 釘宮磐

    ○釘宮磐君 私よくわからないんですが、今の答弁を聞いていて、私が今一番指摘をしたいのは、薬害エイズの問題が起こったときに、一体だれが責任をとるのか、だれがどこでどういう決断を下したことによってこういう問題が起こったのかということがあいまいになってきたというところに一番問題があったんだと思うんです。それだけに、今回の機構改革ということで本当にそういう問題が解消されたのかどうかというところを私は一番聞きたかったわけでございます。  時間がありませんので次に移ります。  いま一つの問題点としては、やはり情報の閉鎖性、こういうものが被害を拡大したという点であります。事件当時、外国では既に非加熱製剤の危険性が察知されていたわけであります。しかし、我が国では危険性を示唆する情報収集体制が不十分で取り組みが大幅におくれたということが指摘をされておるわけであります。これに対して厚生省では、今回、国立予防衛生研究所を国立感染症研究所に改組して、その中に感染症情報センターの設置をして内外からの情報を集中させるという  ふうにしておるわけでございます。  私は、薬害エイズの反省を踏まえれば、情報収集、分析・評価、こういうものを的確かつ迅速に行って、いかに業務行政に反映をしていくかが極めて重要だというふうに思うわけであります。  そこで、厚生省の今回のこうした情報開示の問題、また情報収集の点についての機構改革の意図するところを御説明してください。
  163. 小林秀資

    政府委員(小林秀資君) 今、先生からお話しいただきましたように、厚生省では九年度に国立予防衛生研究所を国立感染症研究所に改組いたしまして、そして同研究所内に感染症情報センターを設置をいたします。そして、このセンターにおきましては、感染症サーベイランス情報等の国内外の感染症情報を収集し、評価・解析を行って、これを本省のエイズ結核感染症課に情報を提供し、迅速的確な対応に役立てるとともに、国立感染症研究所のインターネットのホームページに情報を提供いたしまして、広く国民の皆さんに提供していこうと考えています。  この意図といいますのは、こういう情報について国民の皆さんに、こちら側の都合のいいことだけということでなくて、実態をきちっとわかっていただくということで提供していこう、こう思っておるわけです。また、エイズ結核感染症課においてもこの情報を受けて必要な措置をきちっととってまいりたい、このよう考えているところでございます。
  164. 釘宮磐

    ○釘宮磐君 我々は薬害エイズの真相究明を昨年やったわけでありますが、その中で例えば既に米国で非加熱製剤が間違いなくエイズ感染の原因であるというふうに言われていたことが情報として受け取れなかった、それがある意味では握りつぶされた、そのことによって患者は何も知らずに国を信じ、医者を信じてこういう状況になったわけです。  だから、そういうふうな意味では、私は恣意的に厚生省がそういう情報を握りつぶすとか、抑え込むとか、そういうふうなことができないようにするための今回の改革といいますか、につながっているのかどうか、そこのところを少しわかりやすく説明してください。
  165. 小林秀資

    政府委員(小林秀資君) 今私が申し上げましたのは、感染症情報について先ほどお話ししたようなお答えをしたわけでございまして、今のエイズの関連のことについて、じゃこの情報仕組みで十分つかまえられるかどうかということについてはまだ私もちょっと確信をしていないわけでありますけれども、いずれにいたしましても国民の健康を守っていくという観点から、もちろん行政府も必死に情報をとってくるわけですけれども、その情報についてはできるだけ国民の皆さんと共有していくということが大切だと、こう思っておるところでございます。
  166. 釘宮磐

    ○釘宮磐君 ちょうど昨年はO157の問題が起こりましたね。これからそういうふうなものがいつ起こるかわからない。そういう意味では、カイワレの問題というのは、あれがかえって混乱を起こしたのではないかというようなことを指摘する向きもあるわけです。  いずれにしましても、そういう問題があるにしても、やはり患者がある意味では自分の判断でやれる部分というものは残しておかないと、結果的に国が全責任を負うというようなことというのはなかなか私は難しいのではないかと。やはり自己責任というものがある意味では一方にあって、そしてその上で国がどういうふうな情報を流していくことによって患者の皆さんがそれをある意味では医者と相談をしながらやっていくというよう部分も残しておかないと、今回の薬害エイズのような問題というのは私は極めて患者にとっては無念でならないというふうに思いますので、そういう部分の情報開示というものをどういうふうにやっていくのかということについて私はぜひこれから厚生省の方でさらに検討を加えていただきたいというふうに思います。  それから、もう時間がありませんので、二、三恒久対策についてお伺いをしたいと思います。  特に、今回、医療体制の中でエイズの治療薬については拡大治験制度実施されると、また希少薬の提供についても同様で拡充をされたわけであります。こういうふうにいろんな新たな試みがなされておるということは評価するわけでありますが、例えばインターネットを通じてそういう制度とか対象薬の情報を提供してもいまだに制度自体を知らない医療機関や医師、こういうようなものがあるということが指摘されているわけですけれども厚生省としてその周知徹底という点についてはどのように腐心なさっておられるのか、それをお伺いしたいと思います。
  167. 丸山晴男

    政府委員(丸山晴男君) 医薬品情報につきましてはお尋ねのとおり周知徹底が大変大事でございまして、現在私ども、特に医薬品の安全対策につきまして危機管理マニュアルをつくっていくということで作業をいたしております。  これは業務局の安全課を窓口にいたしまして情報の収集から提供に至る体制を構築していくわけでございますけれども、この情報の提供体制を支援するために医療関係者、また一般の国民の方々が簡便に医薬品情報あるいは医薬品の安全性情報を入手できるような情報システム、医薬品安全性情報提供システムと申しておりますが、これを構築することといたし、平成十一年度からの運用開始を目途に平成九年度からシステム開発に着手することとしておるところでございます。
  168. 釘宮磐

    ○釘宮磐君 エイズの問題から医薬品行政に一石を投じて、いろんな試みがなされておりますが、私は、確かに制度はつくっても実際にそれを運用していくのは現場でありますから、そこに血が通うよう状況をぜひつくっていただきたい。例えば拠点病院あたりもまだまだ専門スタッフが不足しているということも指摘されていますし、こういう問題についてもぜひ厚生省として患者の立場に立って努力をしていただきたい。  そこで、もう一点、身体障害者手帳の交付並びに障害福祉年金について厚生省がエイズ患者に対して検討を始めたというふうに聞いております。非常に評価をしているわけでありますが、その検討状況を簡単で結構ですから聞かせてください。
  169. 篠崎英夫

    説明員(篠崎英夫君) HIV感染者の身体障害者認定につきましては、昨年の三月のエイズ訴訟の和解におきます恒久対策の一つとして原告・弁護団との協議を進めているところでございます。  HIV感染者につきましては、例えば免疫機能障害というようなものを障害者福祉法上の障害区分として位置づけられないか、HIV感染者の身体障害者認定について現在前向きに鋭意検討しているところでございます。今後、関係者の意見を踏まえまして、速やかに結論を得るよう努めてまいりたいと考えております。
  170. 釘宮磐

    ○釘宮磐君 エイズにかかられた皆さん方は日々病状が進んでいくと思いますし、大変不安だというふうに思いますので、そういう意味で国として最大限できることについてはこれを進めていっていただきたいというふうに思います。  最後に大臣にお伺いしたいのでありますが、こうした繰り返される薬害に対して真相究明、責任の所在の明確化、それから再発防止、恒久対策、これらを徹底して行う必要があると思うわけでありますが、大臣の決意をひとつお願いします。
  171. 小泉純一郎

    国務大臣小泉純一郎君) エイズ等薬害の問題はこれからも大変大事な問題でありますので、今言ったように、責任の所在をどうやって明確化するか、そのためにも情報開示、これは重要であります。薬事法も改正されたわけでありまして、その趣旨に沿って万全の体制をとっていきたいと思います。
  172. 上山和人

    委員長上山和人君) 以上をもちまして、平成九年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、厚生省所管及び環境衛生金融公庫についての委嘱審査は終了いたしました。  なお、委嘱審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  173. 上山和人

    委員長上山和人君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時五十五分散会