運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1997-02-20 第140回国会 参議院 厚生委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成九年二月二十日(木曜日)    午前十時開会     —————————————    委員異動  二月十八日     辞任         補欠選任      高野 博師君     渡辺 孝男君      三重野栄子君     菅野  壽君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         上山 和人君     理 事                 尾辻 秀久君                 南野知惠子君                 木暮 山人君                 菅野  壽君     委 員                 大島 慶久君                 大野つや子君                 塩崎 恭久君                 田浦  直君                 中島 眞人君                 長峯  基君                 宮崎 秀樹君                 水島  裕君                 山本  保君                 和田 洋子君                 渡辺 孝男君                 今井  澄君                 西山登紀子君                 釘宮  磐君    国務大臣        厚 生 大 臣  小泉純一郎君    政府委員        厚生大臣官房総        務審議官     中西 明典君        厚生大臣官房審        議官       江利川 毅君        厚生省健康政策        局長       谷  修一君        厚生省保健医療        局長       小林 秀資君        厚生省薬務局長  丸山 晴男君        厚生省社会・援        護局長      亀田 克彦君        厚生省老人保健        福祉局長     羽毛田信吾君        厚生省児童家庭        局長       横田 吉男君        厚生省保険局長  高木 俊明君        厚生省年金局長  矢野 朝水君        社会保険庁運営        部長       真野  章君    事務局側        常任委員会専門        員        大貫 延朗君    説明員        法務省民事局参        事官       揖斐  潔君        文部省高等教育        局医学教育課長  寺脇  研君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○理事補欠選任の件 ○社会保障制度等に関する調査  (厚生行政基本施策に関する件)     —————————————
  2. 上山和人

    委員長上山和人君) ただいまから厚生委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  去る十八日、高野博師君及び三重野栄子君が委員を辞任され、その補欠として渡辺孝男君及び菅野壽君が選任されました。     —————————————
  3. 上山和人

    委員長上山和人君) 理事補欠選任についてお諮りいたします。  委員異動に伴い現在理事が一名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。  理事選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 上山和人

    委員長上山和人君) 御異議ないと認めます。  それでは、理事菅野壽君を指名いたします。     —————————————
  5. 上山和人

    委員長上山和人君) 社会保障制度等に関する調査を議題とし、厚生行政基本施策に関する件について質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  6. 尾辻秀久

    尾辻秀久君 このところ委員会のたびに質問に立って、そしてそのたびに厚生省に嫌みを言ってきましたので、きょうはまず褒めたいと思います。  これであります。(資料を示す)二月九日に全国の新聞に掲載されたものであります。今日の問題点を大変わかりやすく解説をしていると考えます。金もかかったことと思いますが、それは仕方がない。今、一番大切なことは国民皆さん現状を本当によく理解してもらう、そしてこの中にも書いてありますが、ここでは「国会での論議を期待しています」と書いてありますが、国会だけじゃなくて国民全体で議論をしなきゃならないときだ、こういうふうに思います。  そこで、国会での議論を期待されておりますから、御期待にこたえてここから質問を始めさせていただきたいと思います。  先日、新たな人口推計が公表されました。少子高齢社会を迎えるということがこの皆さん方がおつくりになったものの中にも大きく書いてあります。まさにそのとおりであります。  そこで、細かな数字は要りません、ポイントの数字だけ一つと、それからもう一つ、今までの予測とどうも今度の推計ではスピードが若干変化したというか予測変化したかなと思う面がありますから、この二点だけ簡単に答えてください。
  7. 中西明典

    政府委員中西明典君) お答えいたします。  新たな人口推計が出たわけでございますが、今回の推計によりますと、総人口は二〇〇七年を山として減少し続けまして、二〇五〇年には一億五十万人となるという予測でございます。前回人口推計では二〇一一年を山として総人口が減少し続け、二〇五〇年には一億一千百五十一万人ということでございます。前回推計よりも二〇五〇年時点でさらに一千万人近く人口が減少するという予測が出ております。  それから、六十五歳以上人口割合でございますが、これは上昇し続けまして、二〇二五年で二七・四%、二〇五〇年で三二・三%、いわば三人に一人が六十五歳以上人口となるという厳しい予測が出ております。ちなみに前回人口推計では、二〇二五年で二五・八%、二〇五〇年では二八・二%という予測でございました。したがいまして、前回に比べてさらに厳しい高齢化が進展すると。  それから、ちなみに少子化との絡みでゼロから十四歳人口割合を見ましても、二〇五〇年の時点では、前回推計は全人口の一五・七%がゼロから十四歳ということでございましたが、今回の推計では一三・一%ということになってございます。
  8. 尾辻秀久

    尾辻秀久君 今のお話のように、いずれにいたしましても大変な少子高齢社会がやってくる。特に、厳しい高齢化といいますか、高齢社会になる。そうなりますと、当然まず考えられるのが社会保障に要する費用が増大するということであります。この社会保障給付の規模を将来どのように見込んでおられるか、お尋ねいたします。
  9. 中西明典

    政府委員中西明典君) 昨年の十一月十九日でございますが、社会保障関係審議会会長会議報告とあわせまして、厚生省より社会保障給付負担見通しを公表させていただいたところでございます。  これによりますと、社会保障給付費は現在対国民所得比で一七・五%でございますが、この割合が今後高齢化進展等に伴いまして増加し、現制度前提としてその上に介護保険を創設したとした場合の試算では、二〇二五年度には年金が約一五%、それから医療は、これは経済成長率が高い場合には約一〇%、低い場合には約一六%となっておりまして、さらに福祉等につきましては約五%というふうに計算がなされております。したがいまして、合計では経済成長率が高い場合には三〇%、低い場合には三六%程度、三〇から三六%程度になるものと見込まれております。したがって、平成七年度、一九九五年度に比べますと、対国民所得比で一三%から一九%程度上昇するものと考えております。  また、新しい人口推計が公表されておるわけでございますが、私どもといたしましては、これに基づきまして社会保障給付負担の将来見通しを改めてはじき直そうというふうに考えておりまして、現在作業を行っておるところでございますが、新しい人口推計によれば社会保障に関する負担は特に年金を中心にさらに上昇するものと考えております。
  10. 尾辻秀久

    尾辻秀久君 数字についてもお聞きしたいことはありますが、きょうはおいておきます。  いずれにいたしましても、莫大なお金がかかることは間違いない。そうなりますと、社会保障見直しも不可欠になってくる、私はそう考えます。総理の提唱される六大改革一つにも社会保障構造改革が掲げられておりますし、皆さんのおつくりになったこの新聞の広告にも一番大きな字で書いてあるのが「社会保障構造改革を。」という言葉であります。  そこで、この社会保障構造改革をどのように進められるのか。特に、昨日の衆議院厚生委員会大臣が、どこに線を引くかというのはこれからの議論と思うが、ある程度の制限を設けてもいいのではないかと述べておられますし、その辺の真意についてもあわせてお答えをください。
  11. 小泉純一郎

    国務大臣小泉純一郎君) 今後、社会保障のみならず、必要な予算をどのように確保するかというのは大問題になると思います。わけても社会保障関係費というのは国債費と地方に行くお金を除けば一番予算を使っているところでもあります。それだけに、歳出削減、聖域なしとなれば必然的にあらゆる制度見直しのメスが入っていくところでもあります。  しかしながら、多くの国民社会保障制度充実を望んでおります。また、我々政治家としても福祉国家の建設が最大の目標でもあります。どうやって年金制度なり医療保険制度なり、あるいはこれから創設される介護保険制度、いわゆる総合的な社会保障制度を推進、発展させていくかということを考えると、いいサービスを提供するために、ではだれが負担するのかということを考えざるを得ない。  今の中西審議官の話によりましても、今の制度をこのまま維持していきますと、将来社会保障関係費だけで公的負担の三割を超えてしまう。全体の公的負担率といいますか、国民負担率を五〇%以下に抑えるとなると、社会保障制度だけの現状維持前提にしますと、ほかの公共事業にしても教育費にしても他の省庁関係予算がでは二〇%以下でいいのかということになってしまって、とんでもないことになる。  わけても国債償還なり利払いがずっしりと重荷となって降りかかっております。既に今年度予算、来年度予算でも社会保障全体のお金の十四兆を上回って十六兆円を上回る額が、今まで我々が借金していたツケ、利払い償還に回ってしまう。これから当分、十六兆円以上のお金が何の新規の政策需要に使えないで、ただただ今まで借金してきた国債発行利払い償還に回ってしまうという大変厳しい情勢にあるから、今、行政改革なり財政構造改革等六つ構造改革に取り組まなきゃならないというのが橋本内閣の課題だと思っています。  そういう中で、社会保障関係にしましても、いわゆる給付を受ける世代というのはこれからどんどんふえていく。年金にしても医療にしても介護にしてもそうであります。ところが、それを支えてくれる一般国民、若い世代は数は減っていく。となると、当然給付負担受益者給付の面と負担の面と受益者の面をどうやって均衡を図っていくかというのが、これから社会保障制度考える上で欠かすことのできない、また避けて通れない視点だと思います。  そういう中で、昨日、年金の問題が委員会審議で取り上げられました。その中の質問で、現状保険料一七%程度を維持するんだったらどういう方法があるかという質問の中で、それでは現在のこの一七%以上の保険料負担をふやさないという前提だったらば、私は、給付引き下げるか支給開始年齢を六十五歳からさらに上に上げるか、六十六歳になるのか六十七歳になるのか七十歳になるのか、それを考えざるを得ないという答弁をしたわけであります。  これは選択の問題であります。社会福祉充実を図っていくためには経済成長経済成長なくして社会保障充実はあり得ないと思います。経済成長成果社会福祉充実に回していこうと。今まで高度成長が続いてきましたから、かなりその成長成果福祉の方に回すことができました。今、低成長時代になって見直しが図られています。そういう面において、負担を上げれば経済成長は鈍化してしまう。となると、福祉充実も図れない。この全体のバランスがいかに重要かという点で、私は現在程度負担以上は嫌だという意見国民の大勢ならば給付引き下げ考えなきゃならぬという点で発言した点であることを御理解いただきたいと思います。
  12. 尾辻秀久

    尾辻秀久君 きょうお尋ねしている問題は、一つずつが大変大きな問題であります、大事な問題でありますから、一つずつ議論を始めると大変な時間になりますので、次々にさっとお尋ねをしてみたいと思います。  そこで、いずれにしたって社会保障に大変な金がかかる。ではそれを財源としてどう考えるか。よく言われるように、税金にするのか保険にするのか、このことでありますが、お考えをお聞かせいただきたいと存じます。
  13. 小泉純一郎

    国務大臣小泉純一郎君) 私は、今までの日本社会保障制度の成り立ち、そして現状考えると、保険と税を組み合わせていく方式は定着していると思います。今回の介護保険法案を御審議いただく中で、税方式にせよという議論が当然出てくると思います。税でやるのか保険でやるのかという問題ですが、私は、年金医療保険方式が定着しているということを考えますと、将来も当分の間、税と保険両方を組み合わせた方式でいくのが国民の理解を得やすいんじゃないのかなと。  また、税収が余り芳しくない、税収の伸びが大して上がらない、そういう中で歳出削減を図っていく、経済構造の急激な変化に対応する場合においても、税だけで面倒を見る、税だけでやるとなると、カットするにしても急激に変化が起きるんじゃないか。むしろ税と保険両方組み合わせた場合の方が激変に対処できるのではないか、また受益給付両方関係も明らかになってくるんじゃないかなと。  税収が足りないから増税をしてくれ、増税できないから、じゃ税制をカットすると給付もカットしますよという変化の度合いが、税と保険を組み合わせた方が私は緩和されるのじゃないか、どちらを急激な改革をするにしても、という点において私は税と保険の組み合わせの方がいいのではないか、そう思います。
  14. 尾辻秀久

    尾辻秀久君 これまで老齢化に着目して質問をしてまいりましたが、次に少子化に着目して質問をしなければなりません。  まず、今後の少子化の進行にどのように対応していくつもりかお尋ねしたいとも思いましたけれども、余り時間がありませんので、このことにつきましては「児童家庭福祉制度改革について」という、我が自民党が二月十四日に、保育改革について七点、要保護児童保護自立支援について四点、母子家庭対策について二点の具体的な提言を含めて要請もしてございますので、ぜひよろしくお取り組みをいただきたいとお願いをいたします。  質問としては、この保育改革の中で私たちが言っていますのは、「保育所入所仕組みを、現行の市町村の行政処分による方式から、利用者自らが保育所を選択する方式に改める。」、これが一点。それから、「保育料応能負担方式から年齢別保育費用等を勘案した負担方式に改める。この場合、乳児にかかる保育料について配慮するとともに低所得者等に対する負担軽減措置を講ずる。」、これは当然のことでありますが、幾つか提言している中で私が着目するのはこの二点であります。  そこで、厚生省のお考えをお聞かせいただきたいと存じます。
  15. 横田吉男

    政府委員横田吉男君) 保育所制度を定めております児童福祉法が制定されましたのは昭和二十二年でございまして、その当時と今日におきましては利用者利用形態あるいは保護者就労状況、それから意識の状態というのも大きく変わってきております。これによりまして制度の実態と現実の間にかなりの乖離が生じてきているというようなことがございます。私どもといたしましては、こうした児童を取り巻く環境変化に対応いたしまして、新しい時代にふさわしい子育てを行うための環境づくりを図るという観点に立ちまして、現在、保育所制度を再構築したいということで、このための関連法案の作成を準備中でございます。  先生から御質問いただきましたその大きな柱の一つである保育所制度につきましては、一番大きな点は、御指摘いただきましたように、現在は保育に欠ける子供を行政行政処分によりまして措置という形で保育所の方に入所をさせますという仕組みがとられておりまして、これにつきましては従来から利用者の方が選択できる仕組みにしてほしいという要望等があったところでございます。  費用負担につきましては、入所させた上でその保護者所得状況に応じまして費用を徴収するという現行仕組みでございますが、これを今度は年齢別保育コスト等を勘案いたしまして利用料等を定めるような仕組みに変えたいということでございます。  今回の改正によりまして、保育所利用者の側から選ばれるという利用者本位の姿に変わっていくということになりまして、この過程において良質な保育サービスが一層効率的に提供されるようになるというふうに考えておるところでございます。
  16. 尾辻秀久

    尾辻秀久君 やがて児童福祉法改正案が出てくるでしょうから、そのときに議論をまたさらにさせていただきたいと思います。  年金もまた大変厳しい影響が出てくると思われます。一体どういうふうにこのことを考えておられるのか。特に、昨日の衆議院厚生委員会大臣平成十一年度の制度改正給付水準引き下げが焦点となるという見方も示しておられますから、お聞かせください。
  17. 小泉純一郎

    国務大臣小泉純一郎君) 先ほどお話ししたところでありますけれども給付水準引き下げを検討する、これは私は避けられないのではないかと。  当然どの程度給付がそれではいいのかという点に入ってくるわけでありますが、これは同時に、じゃどの程度負担できるのか、若い世代なり働く世代、あるいは企業がどの程度負担に耐えられるか。全体の公的負担国民負担の問題にも関連してくる話でありますけれども、常識的に考えて、先ほどの人口推計で言っても六十五歳以上の方はふえていく、長生きの社会ですから年金を受ける人は多くなって、もらう期間は長くなる。若い世代は、保険料を払う方は減っていくという状況で、年金もだんだん充実してきましたから。  昨日の衆議院委員会の話におきましても、平均的な四十年加入の方で厚生年金受給者は大体月額二十三万円程度だと。現役の世代平均給与が三十三、四万。この程度給付が維持されるためには、将来負担も二割なりそれ以上にしていかなきゃならないということを考えると、若い世代はどういうふうに考えるのかという点からある程度負担を抑えてくれという議論が片一方で必ず出てきます。となれば、給付引き下げあるいは支給開始年齢を何歳からにするかという問題と同時に、負担の問題と給付の問題を並行的に議論しないと本格的な議論にならないんじゃないかという観点から言ったわけでありまして、当然負担の面と給付引き下げの面と支給開始年齢、それと公的負担、税の投入、これは一緒になって議論をされていかないとこの年金改革問題は本質的に入らないんじゃないかというふうに考えております。
  18. 尾辻秀久

    尾辻秀久君 この年金の問題は、厚生年金基金運営安定化ということも大変大事な問題だと思います。この対策についてもお尋ねしたいと思っておりましたが、もうきょうはお尋ねいたしません。ただ、大事な問題ですからきっちりした対策を講ずるようにお願いをしておきます。  次に、医療の問題についてお尋ねをいたします。  このことにつきましては、後ほど私の後で宮崎先生質問に立たれますからいろいろお尋ねがあるかと思いますけれども、私が日ごろ思っています、私に言わせていただくと素朴な疑問について率直にお尋ねしてみたいと思います。いずれにいたしましても、国民がよりよい医療機関を効率よく選択できることを念頭に置いた医療提供体制見直しが重要ではないかと考えますので、そのことについての基本的な考え方お尋ねしたいのであります。  そこで、ちょっと申し上げますと、いつも不思議だなと思うのは、普通のものというのは、需要がある、その需要以上に供給すると当然物は余ってしまって自然淘汰される、これが原理でありますけれども医療というのは供給するとどんどん需要が追いついてしまう。そのことを一番よくあらわす数字が、医師の数だとかベッドの数と医療費が大体比例している、相関関係にある、こういうことであります。  このことはなぜだろうと思ったりするんですが、どうも日本医療考えるときに、なぜ医療お金がかかるんだということを考えるときに、ここのところから見直さなきゃいけないんじゃないかなと。もっとはっきり言うと、お医者さんや医療機関が結局のところ過保護になっていないかなと思ったりもするんですが、いかがでしょうか。
  19. 谷修一

    政府委員谷修一君) 需要供給関係ということで幾つお話がございました。  私も詳しくはわかりませんが、供給需要を喚起するという考え方は一般的な経済学の中では否定をされているというふうに承知をしておりますが、少なくとも医療に関しては供給需要を喚起するということは過去の経験的なものとしてかなり高い相関で示されている、一番具体的な例はベッド数であり、さらにそれに次ぐものとして医師数というものが統計的に示されているということでございます。  諸外国の例で必ずしも日本ほど明確にこういう関係が示されてはいないというような論文もあるようでございますが、日本の現在の医療制度あるいは医療保険制度という環境の中では、ベッド数なり医師数というものを供給というふうに考えますと、それによって医療費なり医療需要というのはふえているということは確かだということでございます。  そういう意味からいって、医師数については医師数削減ということを進めてきておりますが、必ずしもまだ十分ではございません。それから、ベッド数につきましては、先生承知のように、地域医療計画というものでベッド数の過剰な地域については新たな病床を事実上認めないという措置をとってきております。しかしながら、現在既に過剰である地域についての手だてというのが具体的にはございません。  これにつきましては、医師数についてもそうでございますが、昨年の秋に医療供給体制については医療保険制度ともあわせて議論をしようということで国民医療総合政策会議というものをつくりまして、そこでの報告が出されておりますが、医師数についてもさらに今後供給過剰になるという前提で少し議論をしてみたらどうかということと、病床数については病床過剰地域について医療機関の承認なりあるいは保険医療機関の認定というものをどういうふうにするかということについて議論をすべきであるというような御意見もいただいておりまして、需要供給ということも念頭に置いて、そういう観点から検討しなきゃいけないという認識を持っております。
  20. 尾辻秀久

    尾辻秀久君 今の御答弁の中でも、医師数を抑えようというお話がありました。私は、極めて個人的な意見として言わせていただくならば、むしろ逆なんじゃないかなと思うんです。あるところまでは医師数医療費というのは相関関係にある。しかし、あるところを超えたらもうそんなことは関係なくなるんじゃないかな、こう思ったりもいたします。いずれにいたしましても、これらの問題というのは、医療保険改正がやがて議論になる、そのときにいろいろ議論せざるを得ない問題だと思いますから、そのときまで待ちたいと思います。  次に、この問題の中で私がいつもまた素朴に思う質問をさせていただきたいと思います。  まず、基礎になる数字を確認しますので、間違いでないかどうかを教えてください。  今、日本医療費二十七兆円、薬代七兆円、そのうちの薬価差が一兆円。すなわち、はっきり言うと医療機関の薬によるもうけが一兆円、私はこういうふうに理解しておるんですが、この数字で間違いありませんか。
  21. 高木俊明

    政府委員(高木俊明君) 薬価差については、きちっとした計算方式があるわけではありませんが、おおむね一兆円程度というふうに言われておりまして、今、先生お話しのような数字でございます。
  22. 尾辻秀久

    尾辻秀久君 そこで、お聞きしたいんですが、薬でもうからないと医療機関が経営が成り立たないというのが現状だと思うんです。これはやっぱり現状だと思います。今後ともこれがいいのか、これはまずいと思っておられるのか、どっちなのかお尋ねしたいのであります。
  23. 高木俊明

    政府委員(高木俊明君) 我が国の場合に、非常に薬が医療費に占めるシェアが高いということでありまして、そういった中で二つの要因があると思います。一つには、薬の値段そのものが諸外国に比べて高いのではないかという指摘がございます。それからまたもう一つには、薬の使い方、量の問題でありまして、これがかなり多いのではないか、こういうような御指摘がございます。それを掛け合わせたものが医療費に占める薬のシェアということになるわけでありますけれども、そういった中で薬のシェアというものをもっと適正化していかなきゃいけないというのが一つ大きな課題になっております。  その中で、やはり医療経営というものを考えた場合に、従来からこういった薬に依存する、あるいは薬価差に依存するような経営形態というのは好ましくない、やはりきちっとした技術料というものを評価し、そして医療機関サイドも安定した経営ができるような仕組み考えていくべきである、こういうふうな考え方で来ております。
  24. 尾辻秀久

    尾辻秀久君 明確に考え方を示されたので、その考え方でやっぱり今後の医療改革というのはやっていかなきゃいかぬと思いますから、そこまでを申し上げておきたいと思います。  そこで、きょうの私の質問の最後に、今までの質問とはちょっと趣が変わるんですが、調理師の問題についてお尋ねをいたしたいと思います。  昨年、例のO157騒ぎで、この私たちの委員会も随分委員会を開いたりいたしました。このときに、飲食店などに従事する調理師の役割というのに余り着目しなかったなと今私自身は反省しているんです。  あのときに食材を大変問題にしました。そして、食材に菌がついている、ついていないとか、何に入っていたということを随分いろいろいたしました。せんさくもいたしました。ところが、考えてみれば全くそんなものをシャットアウトはできないわけでありますから、それは不可能でありますから、今度は調理するところで気をつけなきゃいけないはずでありまして、ここのところをちょっと見落とした感があるなと私自身は反省いたしております。  そこできょうの質問をするんですが、調理師という資格がある、この資格を持っている人たちをそういう観点から、そういう観点からもと言うべきかもしれませんが、とにかく今活用しているのかなと。もっと言うと、調理師の資格を持っていて何かいいことがありますかと、この質問をしたいわけであります。
  25. 小林秀資

    政府委員(小林秀資君) 今回のO157事件について、調理師さんを置いておくことが大変重要ではないかという意見は私どもも聞いております。特に、堺市の市議会の方では、このO157の反省について非常に多く出たのがその意見でございました。  現在どうなっているかといいますと、多人数に対して飲食物を調理して供給する集団給食施設や飲食店に対しましては、調理師法第八条の二に調理師を設置する努力規定がありますが、現在はこれに基づいて調理師の活性化が図られるよう周知をしておるところでございます。  もう一つ考え方は、それより一歩進めたらどうかという御意見があろうかと思いますけれども、それは規制緩和ということと両面ありますし、それから施設といっても大きいものから小さいもの、いろいろありますので、今後そこは十分考えていかなくちゃいけないと思っております。
  26. 尾辻秀久

    尾辻秀久君 ちょっと規制緩和とは違うんじゃないかなと思います、人の命を大事にするということでありますから。  今おっしゃったように、努力規定になっていますが、実態はもうほとんどというか全く無視されていると言ってもいい。したがって学校給食も、皆さんうまいことおっしゃるなと思うんだけれども、調理師と言えないから調理員と言っている。調理員ならだれが来たって調理している人が調理員であって、調理師の資格なんか何にもない。これが実態であります。  やっぱりこれはまずいと思いますから、今、最後に言われたように、もう少しやっぱり制度としてきっちり考えていただくべき時期だと思いますので、これは検討してくださるようにお願いしておきます。  それで、今度は何か省令改正されて、この調理師の資格も内容のよりいいものにしようという努力はしておられるようでありますが、これも学校に行って調理師の資格を取る人たちについての話のようでありますから、調理師の資格を取るのはもう一方に経験年数で試験を受けて調理師になる人たちもいますし、双方のレベルがきっちり上がって、そしてやがて調理師の資格がないとやっぱり金を取って人に食事を出す仕事はできない、こういう制度にすべきだと私は思っておりますから、お願いだけをいたしておきます。  それから、これは質問じゃありません、大臣にこの機会に、前にも質問したことでお願いだけさせておいていただきたいと思います。  私のところに、腎臓病の患者の皆さんに透析をしないで済むように、あるいは少なくとも透析を始める時期をおくらすために食事で何とかならないだろうか、一生懸命努力しておるお医者さんや栄養士の皆さんが見えて、頑張っておられるんです。しかし、そういう人たちが民間でささやかに頑張るというのは当然限度があるわけであります。私、専門家じゃありませんからよくはわかりませんが、その人たちに言わすと、それができると。  もしできるということになれば、今、透析で一人に年間五百万ぐらいかかると言われているんでしょうか、それがなくなればそれにこしたことはないし、少しでも延びればその分医療費の節約になるわけでありまして、こうした努力に対して厚生省としても聞いてあげる場ぐらいはつくっていただくとありがたいなと思います。前に菅大臣お尋ねしたら、菅大臣は、私は自分がそのことを質問したことがあるんだと言って興味は示していただいたんですが、それっきりになっていますから、もう一回ここでお願いだけをさせていただいて、私の質問は終わります。
  27. 小泉純一郎

    国務大臣小泉純一郎君) 今の御意見、私も実は賛成して推進しているんです。  透析患者が毎年増加している、糖尿病から人工透析しなきゃならない方もふえている、その糖尿病の部分で食事でかなり改善され、治る方も出てきていると。食事がいかに大事かということで食事に気をつけて、食事療法等をすることによって人工透析を避けられるんじゃないかなというのは十分努力しなきゃいかぬと。もしそれで避けられるのだったら、本人にとっても医療費全体から見ても、健康のことを考えれば大事なことなわけです。病気より予防ということを考えると、食生活がいかに健康に大事かということはどんなに注意しても注意し過ぎることはないということから、食生活の改善、食事に気をつけるという観点からも今の御意見は大変大事でありまして、私としてもそういう健康に対する努力はどしどし進めていかなきゃならないなというふうに考えております。
  28. 宮崎秀樹

    宮崎秀樹君 厚生大臣、連日衆議院予算委員会でお疲れのところ、きょうまた六時間コースということで大変だと思いますが、私からの質問は最初に厚生大臣にさせていただきます。  今、尾辻委員から社会保障制度につきましてるるお話をされたわけでありまして、重複はなるべく避けたいと思います。  戦争が終わって五十年ちょっとたちました。あの終戦のときに、私は運よく中学の二年生で家族ぐるみで疎開していたからよかったんですが、上野の駅は浮浪児であふれ返っておりました。  児童福祉法だとか、それから生活保護なり、いろいろな制度ができまして、そして昭和三十六年には国民保険、こういうすばらしい制度ができてきたわけであります。と同時に、年金につきましても厚生年金を含めまして制度充実してきたわけであります。先ほど来のお話の中で、いわゆる高度経済成長ということで大変運よく来たんですが、バブルがはじけまして、そして今になりまして慌てふためいているわけであります。しかし、私はこういう逆境のときに社会保障制度というのが機能しなければ何の意味もないと思うんですね。  経済企画庁が国民生活選好度調査、これをやっているんですね、三年に一遍ずつ。対象は十五歳から七十五歳未満の男女五千人に対してやっております。有効回答率は七七一四%。  そこで、内容を見ますと、平成八年度の国民生活選好度調査国民の意識とニーズということで、特に医療保険に対する重要度、政策優先度は一九八一年以降一貫して高い方だ、しかし社会施設や社会保障充実に対する個人の負担増については肯定派が年々減少傾向を示していて、今回は四六・七%で過半数を割り込んだ、個人の負担増には懐疑的になってきている、こういうことでございます。  私、先ほど来の議論を聞いておりまして、確かに財源問題を考えれば、これはこのままいけば年金なんかはもう給付を下げるしかないんだと。これは当然だと思うんですが、しかし何か政府で施策を講じないと、きょうたまたま私も若い人と来るときに車の中で話していたら、もう将来に希望がなくなった、年金は我々はもらえないんだと。今、先生たちみたいなお年寄りに年金を一生懸命我々は給料の中から出しているんだけれども、自分たちが年とったときにはこれはどうなってしまうんだろう、こんな国は嫌だ、こんなことさえ聞かれるので、私はやはりここで政府なり、我々政治家も含めて、これは責任ある対応というものを国民に問いかけて、そして何か方策を立ててあげないと、日本の未来に対する若者たちの夢がなくなってくる。  そういうことについて、大臣、御所感がございましたらお聞かせ願いたいと思います。
  29. 小泉純一郎

    国務大臣小泉純一郎君) 今、年金の話もされましたけれども、確かに現在の老齢年金受給者は自分が拠出している保険料よりも多くの給付を受けられるということは事実だと思います。それに比べれば、若い世代保険料を拠出している方々は今の受給者に比べれば自分たちの拠出している保険料に比べれば低いというのもこれは事実だと思います。  しかしながら、福祉制度というのが自分のことだけでなくてお互いを支え合うということでこの世の中が成り立っているということを考えれば、私は全体を支えて全体の水準を高めていくという点でそれなりの意義はあると思っております。そして、戦後の福祉というのが貧しさを救うという救貧思想から現在までのお互いを支え合うという制度までに充実してきた。これからも福祉制度を支える中でお互いできることは自分でやろう、そして持てる力を人のためにも何かできればという形でお互い助け合おうという、そういう思想も芽生えてきている。  さらに、公的な支援というのはどこまでいくかと、結局みずから助ける精神とお互い支え合う公的支援というこの関係をどうやってしっかり維持していくかということが大事でありまして、自分はこれだけ出すとこれだけ損するというよりも、一人一人が出す側にも回れば受ける側にも回っているわけであります。そういう全体を考えて、お互いが持てる力を今の日本社会を支えていく方に使おうという感じを持っていただくことによって、私はそれぞれの生き方に前向きの姿勢が出てくるんじゃないかなと。それを基盤として国が福祉制度を支えていく、その制度なり基盤を公的な関与によってどこまで維持していくか、それをこれからの制度改革の中で御議論をいただきまして、今の年金制度においても医療保険制度においてもあるいは介護の問題についてもできるだけ多くの国民の理解を得るような形で安定的に運営し、発展できるような制度ができればなというふうに私は考えております。
  30. 宮崎秀樹

    宮崎秀樹君 大臣、具体的な案というのはなかなかここでお示し願えないのはわかっております。  そこで、国民負担率平成八年度末で三六・九%という推計が出ているようでございます。大変まだ日本は低いわけです。アメリカは確かに低いんですが、これはもう御案内のように国民保険でもございませんし、あそこへ行って病気したらひどい目に遭うわけでありますからそういうところとは比較できませんが、スウェーデンはもう七〇%を超えている。欧米、特にヨーロッパ先進諸国はもう既に五〇%を超えております。我が国も橋本総理は四五%ぐらいにとどめたい、こうおっしゃっております。先ほど来もそのお話が出ましたけれども、私はまだ日本はそういう意味ではこれから幾らか余裕があるのかなと。これはやり方でございますから、一つ間違えば大変なことになります。  しかし、そういうことも含めた中で、私は国民皆さんに、先ほど税と保険両方から見る方がいい、こういう議論もございました。しかし、保険両方から見るといっても、これはフィフティー・フィフティーなのか七、三なのか、こういう議論もございましょう。消費税を今度五%に上げるときに、二%分はこれは年金にもそれから福祉にも医療にも要るんですよということで今回やったわけですね。それは皆さんおっしゃっていた。私は、それでは今度の所得減税を除いて、これは約九兆円のお金が出てくる、こう言っていますけれども、そのうちの幾らぐらいを社会保障の方へお回しになったのか、これは予算を見ればわかるわけでございますが、どういう姿勢でそれをおやりになったか、大臣、その辺のところをどういうふうにお感じになっているかお聞かせ願いたいと思います。
  31. 小泉純一郎

    国務大臣小泉純一郎君) 年金医療も含めて社会保障関係費は十四兆円を超えていますから、今の三%の税収を全部使ったって、これは丸々福祉に行っていますとも言えるわけであります。  消費税が導入された平成元年のときに、もう消費税を福祉目的税にせよという議論がありました。しかし、社会保障に熱心な方の方からむしろ福祉目的税に反対だという議論が出たのも事実であります。なぜならば、社会保障関係費を消費税で賄うと社会保障関係費が伸びる、消費税をどんどん上げなきゃならないからというような理由がありました。  どういう税目を設けるかにかかわらず、私は、今後当分国民の税金がどの分野に一番使われるかといえば、国債利払いは別にして社会保障関係費だと思います。だから、今の三%も四月から五%になるのも全部福祉に使っていますよということも言おうと思えば言えるわけです、十四兆円以上ですから。この社会保障関係費を消費税で全部賄えといったら五%じゃ足りませんね。そういう点をどう考えるか。この点も考えると、私はやっぱり消費税というのは目的税にしない方がいい、一般財源の方がいいと思います。  そういう中で、限られた財源をどういう形で福祉充実に回すかというのは、まさに負担給付、この均衡をどうやってうまく図っていくかにかかっていくんじゃないでしょうか。
  32. 宮崎秀樹

    宮崎秀樹君 私、今のお話を聞いて、今の議論はちょっと極論ではないかというふうに感じたんです。  税というのは所得税、法人税を含めた全体の中でさらに間接税というものを導入してきたわけですから、その全体の中のバランスというものの中で社会保障費なりそういうものを割り振っていくわけですから、これは確かに今おっしゃったように、それを目的税としないで、それは全体の中へ取り込んでおいてそこから社会保障費というものを出してくるんだ、こういうことでございますが、私が申し上げるのは、増税するときに一つの理由としてそういうことを言っているわけですよね。だから、そういう意味で国としても非常に社会保障というものについて、何といいますか、重点的な施策としてこれを考えているんだ、こういうことでおやりになったと思うんです。  だから、今ここへ来て社会保障というものが行き詰まってきたというときに、これは財源問題だけでそうだというふうに言うよりも、むしろ私は理念的に、今、高齢化社会になってきてお年寄りが増えてきた、少子化になって支える人が少なくなってきたから福祉という問題をひとつ考え直そうじゃないかということが出てこない。ということは、今度の医療保険改革の抜本的改革の中で私が一番不思議に思っているのはこの老人保健の問題です。  昭和五十七年八月十七日、老人保健法ができました。その第一章第一条「目的」に「この法律は、国民の老後における健康の保持と適切な医療の確保を図るため、疾病の予防、治療、機能訓練等の保健事業を総合的に実施し、もって国民保健の向上及び老人福祉の増進を図ることを目的とする。」と。「老人福祉の増進」と書いてあるんですね。  老人福祉というのは一体何のためにやってきたのかなと。これで老人保健改革をやるといったら負担増、どんとふえるわけですね。それも三年前までは老人保健の外来負担が千円だったんですね。一年ごとに十円ずつ上げてきたんですよ。  最初、政府の方から出てきた案を見ましてびっくりしたのは、負担が一日九百円でエンドレスだというんですね。そうすると、三十日来たとしたら二万七千円ですね。こういう何十倍も一遍にどんとやるのなら、その案を出す前にこれはもう福祉ではなくなりましたよということをはっきり国民に訴えた中での改革、そしてそれに対する反省、今まで申しわけないと、我々はこうなることをわかっていて十円ずつ上げてきてごまかしていたんだよと、こういう反省が全くない。私はそこが切り口としてまずいんじゃないかと。  だから、私は今までの厚生官僚の方に申し上げたいのは、自分たちの在籍しているときにうまくすり抜けりゃいいやと、こういうことでは困るのでありまして、ですから今回の医療保険改革ということも、目先だけのことをやっていますと、また五、六年たって、何をやっていたのかと。ここが私は問題だと思うので、そういうことについて、これは大臣にお聞きしてもいいんですが、保険局長さんはこの老人保健法をつくったときからいらっしゃったわけでございますからこれまでの経緯は御存じだと思いますが、その辺のところを高木局長さんはどんなふうにお感じになっているか、官僚として、あなたも責任者の一人でありますから、どういうふうに思っているか、お聞かせください。
  33. 高木俊明

    政府委員(高木俊明君) むしろ老人保健福祉局長がお答えすべきものだと思いますが、御指名でございましたので私の個人的な考え方を述べさせていただきます。  老人保健法が昭和五十八年から施行されているわけでございます。それまでは老人医療についてはいわゆる無料化ということで、老人の医療保険部分の一部負担については公費で補てんをしてきた、こういうような仕組みであったわけでありますが、老人保健法ができ上がって老人の一部負担というものが設けられたということであります。そういった中で、理念的にはただいま先生お話ししたような法律の理念でできておるわけであります。  問題は老人福祉の増進というものをどういう形で進めていくべきなのか、これはそれぞれの時代時代において、やはり国民的ないろんな御議論を踏まえながら進めていかれるべきものだというふうに思います。そういった意味では、まさに今日、平成元年からゴールドプランというものもでき上がり、そして着々と福祉充実に努めてきておるわけであります。  一方、医療の方につきましては、老人医療費は年々非常な勢いで伸びてきておるわけであります。そういった中における医療福祉のバランスの問題、それからまたそれを支える財源のバランスの問題、またとりわけ昨今においては若い世代とお年寄りの負担のバランスの問題、この背景にはやはり年金制度充実なりあるいはお年寄りの方々の資産なり所得の向上というものが背景としてあるわけでありまして、そういった社会経済状況変化等々によって制度というものはやはりその時代にふさわしいものに、もちろん将来を見越した形でのものでなけりゃいかぬわけでありますが、そういったものに変革がされるということについては、これは私は当然常に取り組んでいかなきゃならない、このように考えております。
  34. 宮崎秀樹

    宮崎秀樹君 おわびの言葉がなかったので残念なんですが、ほっておいて申しわけないという気持ちはおありですか。
  35. 高木俊明

    政府委員(高木俊明君) 私は、かつて老人保健福祉部ができたときに企画課長で関係しておりましたけれども、私自身、その際老人保健福祉制度充実に精いっぱい努力をしてきたつもりであります。そういった意味では、私自身おわびをするという気持ちははっきり申し上げてそれほど持っておりませんが、ただ老人保健制度が非常に財政的に厳しくなっておる、そういった老人保健制度を支える被用者保険を初めとする各医療保険制度、これ自体も非常に厳しい状況になっておる、そういう状況を今日迎えておるということについては、私は極めて残念だというふうに思っております。
  36. 羽毛田信吾

    政府委員羽毛田信吾君) 御指名はございませんでしたけれども、老人保健福祉局は老人保健法を所管しておりまして、私もかつて老人保健部の計画課長をいたしておりまして老人保健法にかかわっておりましたので、今の宮崎先生の御質問、御意見に対しまして見解を述べさせていただきます。  今、保険局長が述べたとおりでございますけれども、そもそも現在の老人保健法自体がそういう意味では、先生おっしゃった老人の福祉の増進というのは、一つはやはり適切な老人の医療を確保していくということがまさに老人の福祉の増進ということの老人保健における側面の一番大きな眼目であろうというふうに思います。  そういうことを考えました場合に、今日の老人医療を支えていくということを考えましたときには、やはり若い人の負担と同時に、現在高齢者の方々についてもそれなりに経済的な地位も確立をしてきているということを前提にいたしますれば、お年寄りにも応分の負担をしていただいて、給付の受け手であると同時に制度の支え手にも老人自身がなっていただくというのは、この時代、この現在の状況を背景にして老人の適切な医療を確保していくという観点からも、むしろ老人の福祉の増進に寄与をする、あるいはそういう方向に沿ったものであるというふうに私ども考えております。  それで、そのことは老人保健法自体の中にも、先生お挙げになった最初の一条の目的規定と同時に、第二条の中に「国民は、自助と連帯の精神に基づき、」「老人の医療に要する費用を公平に負担する」という条文がございます。そのことは、やはり老人の方々もみずから老人医療を支えていくということについても、既に老人保健法自体の中にそういう理念は入っております。  そういう意味におきましても、もちろんその時々においてどの程度負担をお年寄りあるいは若い人が持っていくかということは、先ほど来の御説明もございましたように、その時々の情勢に応じてバランスというものを考えていくという側面はございますけれども、そもそもの理念として言えば、自助と連帯の精神に基づいてこれを支えていくということからすれば、現在の改革、今回御提案を申し上げておる改革もそういう流れに沿ったものであるというふうに考えております。  そういう意味で、しかしそういうことの結果として老人にも応分の御負担を願わなければならないということについて、それはそれでやはり厳しいこととしての認識は十分私どもも持たなければならない、老人医療費そのものをいかに効率化していくかというようなことについても心を配っていかなきゃならないというのはそのとおりだろうと思いますけれども負担をし合うという側面からいえば、保健法の趣旨にはのっとったものではなかろうかというふうに考えておる次第でございます。
  37. 宮崎秀樹

    宮崎秀樹君 私、びっくりしたんですが、ここまでほっておいて泥縄式にやって、わかっていて、特にあなた方は専門家だ、それで悪いと思わないというんだから、これは岡光さんとか和田さんが出るのは当たり前で、そんな官僚がのさばっていたら、これは日本の国はだめになりますよ。  私は、これは幾ら与党といっても君らの態度は許せない。けしからぬ。こんなことを許していたら日本の国はひっくり返っちゃう。あなた方はほっておいたんじゃないか、今までこうやって。冗談じゃないよ。私はその高慢な態度、これは許せない。これは私も覚悟しましたから、そういう態度でやるのなら。冗談じゃないよ。  大臣、どう思いますか。
  38. 小泉純一郎

    国務大臣小泉純一郎君) 負担の面からだけを考えますと、確かに無料化から定額負担お願いしております。しかし、適切な医療なり、これから介護保険制度を導入するということで、医療環境介護環境充実させていこうということを考えると、私は以前より進んでいる段階に来ているのではないかと。高齢者の負担をそのままにするといいますと、それでは若い人の負担あるいは企業の負担をふやしていく、あるいは公費の負担をふやしていくというと、これまた一方から強い批判がございます。  お互いどこで支えていくかというと、かつては確かに経済的に高齢者は負担の余地はなかった点も現在ではかなり余裕のある層も出てきているのではないかということから考えましても、ある程度の高齢者の負担がふえていくということは、これは医療環境とか介護環境を整える面において、また若い世代等の負担あるいは国民全体の税金の負担を抑えるという観点からすれば、私は全体の環境考えれば、むしろ劣悪になるというよりも一歩進んだ状況になるのではないかなと思って、一部だけ負担がふえることをとって劣悪だというのは余りにも偏った見方ではないかなと。  じゃ、税金を上げるのか、若い人の保険料をふやすのか。お年寄りが今全体で二万七千円払っているということを言いましたけれども、健康な一お医者さんに全然かかっていない、今、大学卒業したての人でさえも年間十八万円の保険料を払っている。これをさらに負担して果たして、お年寄りだって社会の構成員であります、その程度負担、いや自分たちは負担しないから税金上げてというのは、かえって全体の立場をとってみればこれはどうなのかなという議論もぜひともお考えいただきたいと思います。
  39. 宮崎秀樹

    宮崎秀樹君 私が言っているのは、負担増は仕方ないと言っているんですよ。ただ、この負担増になるような現状まで知らぬ顔しておいたことについておわびはないのかねと、こう言っているわけですよ。そういうことは前もってわかっていたでしょう、こんなふうになるということは。それを今までほっておいたわけでしょう、施策をしないで。  だから、老人保健の外来の負担を千円から始めて毎年十円ずつ上げてきた。その十円ずつ上げたというのはそういう認識がないから十円なんだ。そうなれば、ここへ来ればこういうふうに足らなくなるというのはわかっているんだよ。それを放置したことについてのおわびはないのかと、こう言っているわけですよ。もう一回どうですか、ここまで来て、泥縄で。
  40. 高木俊明

    政府委員(高木俊明君) 今回の医療保険改革お願い……
  41. 宮崎秀樹

    宮崎秀樹君 そんなことはいいんだよ。謝るか謝らないかでいいんだよ。
  42. 高木俊明

    政府委員(高木俊明君) まさに今回医療保険改革お願いする第一弾として平成九年度の医療保険の財政収支の均衡を図りたいということでお願いしているわけでありますが、その根底には政管健保が非常な赤字に陥っておる、これに対してこれまで放置してあったではないかということについて、これは私も極めて残念と思っておりますし、また私どもの立場としましては、もちろん別に高慢なつもりではありませんで、それは国民におわびしなきゃいけないと、それは当然前提にしてお願いをしております。  ただ、先ほど申し上げましたのは、老人福祉の問題についておまえも見解を述べよというお話でしたのでああいう言い方になってしまいましたが、今回御提案しております改正状況を招いてしまった、このままの状況をしばらく手当てをしないで来てしまったということについて、私自身それはおわびを申し上げなきゃいかぬと思っております。  ただ、これはむしろ……
  43. 宮崎秀樹

    宮崎秀樹君 ただは要らないんだよ。
  44. 高木俊明

    政府委員(高木俊明君) 厚生省としてちょっと一言お話を申し上げますと、今回の医療保険の財政の悪化というのは一時的なものではなくて構造的なものだという認識を持ったわけでありまして、それで平成七年の三月に医療保険審議会で制度改革に向けた御審議お願いしてきたわけであります。その建議を昨年の十一月にいただいたという格好になっておりまして、そういったような状況についてはひとつ御理解をいただきたいと思います。
  45. 小泉純一郎

    国務大臣小泉純一郎君) 私は、もし謝るとすれば政治の方だと思います。政治家の方だと思います。役人を責めるのは酷だと思います。財政状況にしても現在の状況にしてもそうです。これだけ経済成長が鈍化して激変があった。これだけ借金して若い世代にツケを回している。大蔵省が悪いと言うのは簡単であります。それを決めてきたのは政治です。私は、そういう政策の責任において、役人も政治家も責任はあると思いますよ。しかし、役人だけを責めるというのは酷じゃないかと。むしろ責任をとらなきゃならないのは政治であり、国民もこの状態を考えようということでこれからの責任をどうやって分かち合うかという方が建設的なものじゃないでしょうか。
  46. 宮崎秀樹

    宮崎秀樹君 私も最初から政治家ということを言っています。だから我々にも責任があるんですよ。私なんかもう十年前から言っているんですよ。それで出てくるのは全然違う厚生省から出てくる案ですからね。それを立案している行政に対して我々は言っているんだけれども、一向にそれが来ない、それでここまで来ちゃった、こういうことでありますから、私が申し上げたのはそういうことを含めての話であります。  それでは、次に移ります。  国民医療費の財源問題ですが、負担というのはいわゆる保険料、それから患者負担、そして地方自治体の負担、国庫負担ですね。私が申し上げるのは国庫負担なんですが、これは五十七年から五、六年続いたと思うんですが、三三%ぐらいあったんですね、三〇%以上。今二三・九%ですね。大変、率としては国の負担を減らしてきている。これはパーセントの中ですから確かに金額はふえていますよ。今、保険料が大変ふえております。今回の改定でまた患者負担がぐっとふえます。この均衡というものは、これに関してはどういうふうに考えていらっしゃるか、お聞かせ願いたいと思います。
  47. 高木俊明

    政府委員(高木俊明君) 国民医療を支える財源をどういうふうな格好で負担するかということでありますけれども、これはなかなかかねてから難しい問題として議論がなされてきたわけであります。  今回の医療保険審議会における建議におきましてもこの問題について触れられておるわけでありますけれども、これについてはきちっとした具体的な答えが建議されているというよりも、むしろ今後さらに社会保険方式における公費負担のあり方について検討を行っていかなきゃならないということではないかというふうに理解しております。  ただ、建議書の中では、今回の九年度改正に当たりまして、医療費を賄う公費負担につきましては、昨年の建議でありますが、国や地方の財政構造が悪化している現状ではふやしていくことに限界があるというふうな建議内容になっておるわけでございます。この公費と保険料との割合というのをどういうふうに考えていくべきなのかということについては、やはりこれからの改革を進めていく中においても大きな議論としてやっていかなきゃならないというふうに考えております。
  48. 宮崎秀樹

    宮崎秀樹君 この財源問題というのはパーセントだけで言っても、具体的に金額で示さないとなかなかわかってこない、そういうことはあると思いますが、少なくとも三者三様の痛み分け、国も痛む、そしてまた若い人たち、そして保険を掛けている人たちも痛む、また患者さん自身も受益者負担で痛む、これは公平に負担していくということが原則だと思うんです。そこは誤らないようにやっていただきたいと思います。  そこで、具体的な例に入りますが、今度医療保険改革の中で、特に健康保険法の改正等がこれから審議されるんですが、きょうはジャブ程度にしておきますけれども、この一日十五円、一種類の薬の負担、これ現場は大混乱するんですよね。  一つお伺いしたいのは、一部負担というのは、被保険者本人は一割から今度二割になりますね。老人保健は一回五百円で月四回まで、二千円で打ちどめ、さらに薬については一日一種類十五円、こういうことになったわけですが、老人保健の場合は定額で千七百七十点をとったところは、これは負担をしなくていいんですね、お薬をもらっても。  そうしますと、お年寄りが隣の医療機関の内科へ行って薬をもらったら金を取られた、近所の内科へ行ったら今度はお金一銭も取られませんよと。ところが、これは患者さんが選択できないんですね。医療機関が選択するんですよ。そうすると、老人同士で、何で私は金を取られるんだと、こういう話が恐らくお話し合いの中で出てくる。  それからもう一つは、二割負担になった、しかしその二割負担の中には薬の負担も入っているんですね。それから、老人の方のいわゆる窓口で払う、それにも一応薬の負担というのが入ってきているわけですよ。ですから、さらにその二割で薬代の二割分払って、さらにまたその上に薬だけが上乗せで取られる。だから二重取りそこでされる、薬だけは。こういう観念が一般の人が理解できるのかなと。  例えば湿布薬をもらいますね。あれは六枚入っているんですよ、湿布薬が。すると、一日分、あなたは肩と腰だから一枚ずつ張りなさいと。朝晩だとこれ二つですわな。そうすると、いや腰がきのうは痛くてこちら側も痛かったから張りましたよと。出すときにそれをどう思って十五円一日分とするのか、これは計算できないですね。  それから、ジギタリスという薬があります。これは半分飲みなさい、こういうときになったらもう半分飲みなさい、いいときは四分の一を飲みなさいと。そうすると、これは頓服なんかは計算がなかなかできないんです、細かいことがいっぱいあって。それをコンピューターでやれといったって、コンピューターじゃできないんですね。  私、手紙が何本も来たけれども、中で一通おもしろい手紙が来まして、これは非常におとなしい方の手紙なんですが、このような暴案が出てくるのは厚生官僚は狂ったのかなんて書いてある。これはひどいことが書いてある。これは私が言っているわけじゃないですよ。こう書いてあるんですね、「この悪質な「イジメ」に対して全会員の憤りはその頂点に達しております。」と。私も大分これでおしかりをいただいたんです。  また、ほんの一例を挙げますと、降圧剤を一つ出す、朝一回。それからいわゆる冠状動脈の血管の拡張剤を出す、これは朝晩二回。それから神経安定剤を一錠出す、これは就寝前に飲む。そうすると、これは合計で百八十六円十銭です。そうすると、二百五円以下は一回に飲むと十五円でいいんですね、これ。ところが、これは三剤とも同じ回数でなく、かつ同時服用ができない。そうすると、これはタナトリルとフランドルという薬は十五円掛ける日数でございますけれども、デパスというのは十五円以下でありますからこれは十円なんですね。十五円以下は十円でいいというんです。そうすると、これまた日数を掛けるわけですね。  こういうことが、たった三剤でもそうですけれども、さらに消化剤などを飲む、胃腸薬を。これは一回で飲むんですね。そうすると、これは二百五円以下はいいので、全部これはそろばんでやらないと計算できないんです。現場はパニック状態になると。こういうことを実際おやりになった人がこれを考えたんでしょうか。奴隷的重労働を強いられる、こう書いてあります。私はそこまでは言いませんけれども、ただ私は、これをもし実行されますと、とてもできる相談じゃないと思うんです。患者さんの方も、説明するのに、きょうはこれで、あしたは違う、三日前に来たときはこうですよと。これは容易なことじゃないです。ですから、これをお考えになった方は、私は恐らく数字だけで帳じりを合わせてこれだけのものを手当てすれば何とか財政はという発想だと思うんですけれども、もうちょっと、税金を取るときもむちゃくちゃな取り方はしないわけですから、そういうことも含めて、ひとつここはよく慎重審議をされて、私はこの国会の中で国民も納得する、また医療機関も納得する、そして皆さんがスムーズに公平に医療費というものを分配できる仕組みということをお聞きしたいんですが、保険局長さんはお医者さんじゃないからわからないと思うけれども、おやりになった方だからお答えください。
  49. 高木俊明

    政府委員(高木俊明君) 薬剤の取り扱いについては、先ほどいろいろな例を先生御指摘ありましたが、まず巴布剤についての話でありましたけれども、それからまた頓服のケースが一つございましたが、これはそれぞれ枚数枚数という格好ではありませんで、これについては一調剤分の量、これを一種類という格好にして計算をするという取り扱い方を考えておりまして、そのように私ども御説明申し上げておるわけであります。  それからまた、服用時点が同時で、また服用回数が同じである薬剤の一日分の薬価について、これは合計額が二百五円以下の場合、これは実際に使用される種類数にかかわらず一種類というような形で計算をするということで考えておるわけでございます。  そこで、今回の薬の負担お願いするに当たりまして、この考え方については、これは薬の使用の適正化というような観点から私どもお願いをしたいと考えておるわけでありますけれども、そういった中で、先生御指摘のとおり、実際の医療機関等における事務というものは現状に比べれば確かにふえてまいります。問題はそれをいかに軽減するような形の努力をしていくかということが大事だというふうに思っておりまして、現在、医療機関の事務の状況につきましては、私どもとしまして幾つかの病院、それから診療所にお願いをしまして実務上の問題点等につきまして御意見をお聞きしております。  例えば、増大すると思われる事務としましては会計処理の事務がございますし、また患者さんに対する説明の時間等々もふえると思います。また、負担をしなきゃならない患者さんの数も今よりもふえてまいりますし、またレセプトの請求事務といったものについても従来よりその分ふえてまいるわけであります。  こういった点等につきまして、まずやはり実情というものを十分私どもとしても実際の病院、診療所の御意見をお聞きしながら考えていかなきゃならないというふうに考えておりまして、そういったことを進めておるところでございます。そして、制度を実施する際の問題点等につきまして十分検討を進め、そしてこれらの関係者の御意見を参考にしながら、レセプトの様式の変更等を初めとしまして医療機関の業務の負担というものをできるだけ少なくて済むような、そういった方法というものを考えてまいりたい、このように考えております。
  50. 宮崎秀樹

    宮崎秀樹君 今の御説明じゃわからない。外用薬は薬剤の品目ごとに一日十五円負担、使用日数分の負担、こう書いてあるんですよ。だから今のでは全くわからない。  例えば、六枚入っておるものを三つ出すということになりますと、これは日数を、中で枚数を計算していかなきゃいかぬ。ですから、これはなかなか至難のわざでして、そう簡単にはいかないです。だから、そこら辺をよく研究してください。このままではとてもじゃないけど無理だということですよ。細かいことはそのうちまたやります。  それから、もう一つお伺いしておきたいのは、まだまだあるんですが、先ほど薬の問題が出ました。私が申し上げたいのは、薬価が日本では高いということです。非常に高い。バンコマイシンなんか七倍ぐらいですね、アメリカの。それで、武田だとか三共とか、名前を言つちやっと悪いんですが、これは大手の会社ですね、これは平成八年十一月十二日に平成九年三月期中間決算というのが出ております。また、当期の業績予想というのが出ております。一社で九百七十五億円の当期経常利益を上げておる。もう一社は九百五十億円上げておる。私は製薬会社はもうけるなとは言いません。メーカーはもうけるなとは言いませんけれども、ほどほどなんですね、これ。  確かに薬価というものを決めるときに、厚生省の業務局の経済課と厚生省から天下った会社の重役さんとで決めりゃ、これは何だかんだというのがあったって、第三者はいないわけですから。フランスみたいにユーザーも、いわゆる使う人も、それから一般市民も患者さんもそういういろんな人が入って、そこで適正なものを公平に見てガラス張りに決めていく、そういう方法をとらない限り、これはもう高値安定です。  私がチバガイギーへ行ったときに、そのチバガイギーの重役さんがいわく、日本ほどありがたいものはない、一回登載されたらそこでもってずっともうけていく、もうけがなくなったらやめりゃいいんだと、こういう話ですから。だから安くていい薬はどんどんやめていっちゃうんですね、我々が使っているやつはなくなっちゃう。ある日突然もう発売中止、製造中止だと、こうなる。こういうことは、日本の薬事行政にメスを入れなきゃだめだ、こういうことでありますので、これは時間がないのでもう返事は結構でございます。  最後に、時間外診療のことをちょっとお尋ねしたいんです。  時間外診療というのは、保健所へ届け出る標榜時間というのがありますが、標榜時間を外れたときにこれは時間外として請求をすると。例えば、日曜を届けて日曜診療をやっておりますよというときに、日曜だからといって休日診療のいわゆる医療費は取れない。  そういうことが、いわゆる「青表紙」というのがございまして、その中にきちっと書いてあるんです。「各都道府県の医療機関における診療時間の実態、患者の受診上の便宜等を考慮して一定の時間以外の時間をもって時間外として取り扱う。」と。その「標準」というのは、「おおむね午前八時前と午後六時以降」と、こう書いてあるんです。「土曜日の場合は、午前八時前と正午以降」と、こう書いてあるんです。正午以降が時間外、こうなるわけであります。  ある県ですが、大体午前中診療する、そして夕方から夜八時ごろまで診療すると。昼間はまさに診療体制を解いている。例えばレントゲンの現像液ももう温度を温める装置も切ってしまうし、全部従業員も帰すと。そこへたまたま急患が来たときに、先生が在宅していたと。出ていって看護婦さんを呼び出して、そして暖房をつけてやると。それで時間外手当を請求すると、それは手当になりませんよというような事例があったんです。それは私はおかしいと思うんですね。  そのかわり、その医療機関は夜の八時に来れば、普通ならこれは時間外でありますけれども、ちゃんと時間外はとらないで患者さんを診ている。そういう実態に即したことで私はやってほしいんです。ちゃんとそこにも書いてあるんですが、それをどうもそうでないというような見解を厚生省が出したとか出さないとかといった話がありますので、確認ですが、お答え願いたいと思います。
  51. 高木俊明

    政府委員(高木俊明君) 私も正直に申し上げまして、きょうの御質問ということがございましたので、その辺のところについて勉強させていただきました。  今、先生が最初に御紹介ありましたのは、通知で示されている内容でありますけれども、この時間外の取り扱い、これはそれぞれの地域におけるまさに「医療機関における診療時間の実態」、それから「患者の受診上の便宜等を考慮して」というのがございます。  そういった意味で、各都道府県の状況というものをまずつぶさに調べた上で考えていくべきだろうというふうに思いますし、またこの取り扱い自体については、先生承知のとおり、中医協の中で御議論をいただきながらこういうふうな格好で定められておるわけでありまして、そういった意味でこれはかなり昔に決められた制度でありますし、それがかなり診療時間の多様化してきた現在においてふさわしくないということであればしかるべき見直しということも必要だと思いますし、そこら辺等々を含めて考えていかなきゃいけないというふうに思いますが、今、具体的な県の名前はございませんでしたけれども、また後日、具体的にお聞きしまして、実態というものを調べさせていただきたいと思います。
  52. 宮崎秀樹

    宮崎秀樹君 よろしくお願いします。  最後に、文部省が来ているので一言だけ。  医師削減問題ですが、国立は大体一〇%ぐらい削減されたんですか。公立が全然削減されていないようですね。私は、そこら辺はどういうふうに対応されているか、そこだけちょっとお聞きしたいと思います。
  53. 寺脇研

    説明員(寺脇研君) 入学定員の削減の件でございますが、国立大学は一〇・五%削減をいたしております。公立大学につきましては、御指摘のとおり、人数としては五名、パーセンテージとしては〇・八%というのが現状でございます。
  54. 宮崎秀樹

    宮崎秀樹君 厚生省とよく連絡の上、医学部の定員につきましては、これは医師過剰を迎える中でやはり促進をするように、特に公立が悪いようでございますから、よろしくお願いを申し上げて私の質問を終わります。  ありがとうございました。
  55. 中島眞人

    ○中島眞人君 自由民主党の中島眞人でございます。  尾辻宮崎委員からそれぞれの質問がございました。私は、重複をなるべく避けながら、基本的には、先日厚生大臣から所信表明をいただきましたので、所信表明に基づいて質問をしてまいりたいと思うのでありますが、ちょうど私、昨年の二月二十七日の厚生委員会質問をいたしたことを実は思い出しております。HIVの問題、またそれに携わった菅大臣、大変脚光を浴びまして、その前の日ですか、政治漫画がございました。厚生相は掃きだめのツルだという政治漫画がございました。あなた、ツルになりましたねと、しかしツルは十カ月か一年たつと舞い立つので後を直してちゃんとやってくれないと困りますよという話を菅大臣としたことを実はきのうのことのように思い出すんです。そういう中で、やはり厚生行政というのは継続性という問題と、やっぱりパフォーマンスじゃ困りますよと、そんなお話もいたしました。  HIV問題は、当厚生委員会に小委員会を設けて、そして参考人招致を行ってまいりました。同時に、それはさらに強制捜査に発展をし、厚生省、また関係する製薬会社から逮捕者が出る、驚くべき事実が次から次へと明らかになってまいりました。  また、昨年六月には岡山県邑久町に発生をし、一カ月後には堺市に集団発生をしていくO157問題その後各地に波及をし、昨年の夏は恐怖の夏だったと。しかし、あのO157問題は静まったといえども今なお感染源は特定をされていない。これまた国民はいまだなお不安感を持っているということも事実でございます。  さらに、大臣が御就任になったのが十一月七日、そして国民はともかく小泉厚生大臣に、今までの御発言、行動等の中で何か新しい、国民のために立った厚生行政というものも期待をしている。そうしたら十一月十八日、本来の小泉厚生大臣の手腕を御期待するどころか、その問題、例の彩グループ、また岡光前事務次官にかかわる問題で一年間は終わってしまう。そして、二週間足らずの大臣が、私はこれまた今取り寄せたのでありますけれども、二カ月間の俸給月額の二〇%を国庫に返納すると。大臣、全くおつらかったでありましょうと。  そして、この処罰という問題はやはり信賞必罰でなければいけない。大臣は、現在の法の中で処理をしていくとすれば、あれは仕方がなかったんだという岡光次官の依願退職、和田審議官の懲戒免職。国民の怒りというのは、国民は納得できない。しかし、本予算委員会の中に入ってそれらの問題もいわゆる国家公務員法等を変えていく方向性を大臣がお示しになった。  それで、私は一年間を振り返ってみますと、まさに厚生省というのは国民の不信を負い続けた一年である。先ほど宮崎委員質問に対して官僚のいろんな指摘をいたしました。そこで、大臣が、官僚にも問題があったけれども、この問題に対しては政治家にも、政治の側にも責任があったんだという、私はこの言葉に実は感動を覚え、隣の大島委員とも今までにない御発言であったと大変感銘を受けました。地に落ちたと言われた厚生行政を、大臣、自信を失ったという厚生省の役人の皆さん方とどうか信頼回復のために、先ほどの言葉をもってどうかひとつ立ち上がって、そして懸案であるもろもろの点に取り組んでいただきたい。  さてそこで、私は大臣が所信表明を申し上げている中でまず指摘をしておかなければならない問題は、例の特別養護老人ホームの不祥事の問題、「三月末を目途に最終報告を取りまとめ、実施に移します。」と書いてあります。私は、この中で、今まで決算委員会厚生委員会等の中でもこの彩グループの問題が指摘をされておりましたけれども、私が私なりに分析をしてみた発言がないものですから、私は一、二指摘をしておきたいと思うのであります。  まず第一点は、私も社会福祉にかかわってきた一人でございます。ともかく社会福祉法人というのは、言うなればある面では奉仕とボランティアという発想の中から社会福祉法人という公益法人に福祉という一つの大きな責任を持っていただいてきた。そしてそれは、少なくとも彩グループは七法人八施設である。ところが、法人の設置認可というのを見てみますと、彩吹会は平成六年三月七日、彩光会は平成六年三月三十日、一カ月の中で二つの法人が認可された。埼玉県の彩川会と彩鷲会は平成七年十一月三十日、平成七年の十二月一日、これは一日違いで法人が認可をされている。同じく山形県の彩江会というのは平成七年の十二月十三日というふうに、まさに十日違いで法人が認可されているんですね。こんなことは全国に私は一つもないと思います。  これができたのは何かといえば、尾辻委員がかつて発言をしましたけれども一つの法人をつくるのには大変な努力と大変膨大な資料が必要なんですね。それを二日、三日くらいの間にぽんぽんと法人が設立されているというこの実態、これはやっぱり厚生省ははっきりこの報告書の中にこの実態を報告しなきゃいけないし、同時に、従来、厚生省は各県を通じて一理事長が一法人だと、一法人は一施設だという建前、そういう指導をしてきたはずであります。  こういう問題について、私は、今までの決算委員会厚生委員会等いろいろの中で論議がございませんでしたから、この問題も的確に調査をなさって、そしていわゆる報告書の中にまとめていただき、同時にまた、全国でこの問題を契機に大変自信を失っている、あるいは社会福祉法人に対する攻撃とかいろいろな物の見方がございますので、こういうもののあり方についても的確にこういう報告書を作成していただきたいと思うんですけれども、いかがでしょうか。
  56. 羽毛田信吾

    政府委員羽毛田信吾君) 昨年の彩福祉グループによります特別養護老人ホームの仕組みを悪用した不祥事件、そのことにつきまして大変厳しい御指摘を賜りまして、私どもその反省の上に立ってこの一月に第一次の報告という形で改善策を取りまとめさせていただいたわけであります。  その中で、先生お話しございました点についてでございますけれども、まず実態として、先はどのような御指摘にございましたように、法人認可というものが非常に安易に行われて、しかもそれが極めて短時間の間にどんどん行われたということについての反省なり、そのことについてどのように今後改善をしていくかという点についての視点が欠けておるのではないかという御指摘がまずございました。この点につきましては、私どもも今回の反省点の一つだというふうに考えております。  調査報告の中でも、それぞれの認可時点なり何なりは附属の参考資料という形にさせていただきましたけれども、従来、ともすればまず補助金がっくということが先行するがゆえに、補助金がある程度内示という形でつくめどが立ちますと、むしろそのことに引っ張られて法人認可をするというような安易な形が行われてきたのではないか、あるいは私どもの方もそういうことを安易に許してきているという側面があったのではないかという反省に立ちまして、補助金の施設選定あるいは補助金の内示ということといわば法人の認可ということは、事柄としていえば別個に考えなければならない側面がございますから、法人認可そのものもそういう安易なことにならないように、法人認可につきましての審査基準等につきましても今回の報告の中でいろいろ、具体論は避けますけれども、入れまして法人認可そのものを適正にしていく、あるいは補助金が出たがゆえに安易に法人認可がなされるということがないようにしていくという視点はやはり大事なこととして私どももこれは認識をし、そういう方向での改善策をまとめさせていただいております。  それから、二番目の点でございますけれども、一法人一施設ということにつきましては、最近におきます私どもの方の指導といたしましては、やはり同一法人によります複数の施設経営というようなものにつきましては、それによりましてそれだけいわば懐が深くなりますから、そういう意味での人材確保、人材のローテーションというようなことも含めまして人材確保がうまくいく、あるいは経営という側面からいけばやはり全体的に合理化ができるというようなこともありまして、むしろ同一法人による複数の施設経営というようなことにつきましては、それなりにいわば促進をするという側面も私ども指導の中でやってきておるというのが現在でございます。  しかしながら、今、先生御指摘ございましたように、そのことがおのずと、やはり人のやることでございますから、理事長なり役員なりあるいはそのほかの施設長なりというような関係の中でいわば目が届かない、あるいはそこでずさんになってもなかなかチェック機構の働かないというようなことになってはぐあいが悪うございますから、やはりそこにつきましても今回の報告書におきまして同一人が複数の法人を設置する場合の審査基準といったようなものをさらに明確化をいたしまして、言ってみれば本当にそういう一人の人が理事長をやり、同一理事長のもとにやられているものが、今回の場合は複数法人でございますけれども、複数法人というようなことについて必要性があるのかどうかというようなことについてはきちっと審査をしていかなければならないということで体制を組まさせていただいております。  それから、最後に御指摘のございました、こういう一連の不祥事におきまして社会福祉施設自体に対するいわば信頼を損なうようなことになってしまう、あるいは今後の福祉施設の運営というようなものが非常にやりにくくなってくるというようなことについての御指摘でございます。  このことにつきましては、今回の改善策を中心にいたしまして、こういったいわば私ども自体が身を正すと申しますか、それぞれこういうことにのっとって適正に法人あるいは施設の認可等が行われることによって信頼を回復し、またそういう中で運営を円滑にやっていくというふうに持っていきたいというふうに思っておるところでございます。
  57. 中島眞人

    ○中島眞人君 答弁を短くしてください。  一法人一施設と言っている問題は、異種の施設が幾つかあるという点は今言ったとおりなんです。しかし、特養を同一法人が二つも三つも持つということは全国的にないという、そのことを僕は言っておるんですから。例えば、同一法人が老人施設以外に違った、異種の福祉施設をつくっていくということは、これはあり得るし、そしてその利点というものも十分ありますから、そういう点で私は言っているわけじゃありません。特養を同一法人が二つも三つも持つというのはあり得ないという指導を今までしているし、私ども地域の中でもそういう例はないということです。  次に、今までも厚生省の方針というのは助成を、国庫補助を受けるのか、あるいは民間の助成を受けるのかというときに、助成は一つになっている。ところが、今度の彩グループの場合には、国庫補助と日本財団の二つをうまく利用をしている。それも厚生省から日本財団まで出向いていって補助金を取ったという。これもやっぱり原理原則ですから、全国の社会福祉法人は助成は一カ所ということになっている、その点も十分原理原則として守っていかなければいけない。  それと、ここに補助金の問題が出ました。今年度の補助金単価を見ますと、初度詭弁非常通報装置まで含めますと、平米当たり二十七万三千二百三十二円。坪に直すと九十万一千六百六十八円。そこで、その彩グループが建設をしたそれぞれの元請契約金額、元請契約金額というのは総事業費になるわけです。これに対して下請契約金額というのは大体七割から八割です。ですから、九十万一千六百六十八円というのが補助金の額ですね。しかし、国が四分の二、地方自治体、県が四分の一ですから、七五%でいくと六十七万六千二百五十一円。そうすると、これを見ていますと、法人が自己負担を一銭も出さずに七五%くらいの補助金で全部これをやったということになります。そして、割り増し部分の、基準単価部分のふやした部分については医療事業団等から借りた。この借りた中にも水増し差があるわけですから、その医療事業団から借りた金については地方自治体が利子補給等をしているわけですから、ここにも問題がある。  こういう仕組みで今までこの問題についての、丸投げ問題についての、ただひどいじゃないかという建設業法違反だ云々だといったけれども、七五%の補助金だけで行って、そしてあとの法人の自己負担分を全然出していないというところの、大変巧妙ないわゆる指導者がいなければやはりやっていけない、こういうからくりだということも私は指摘しておきたいと思いますが、この辺いかがですか。
  58. 亀田克彦

    政府委員(亀田克彦君) 前段の民間補助金との関係につきましてお答えをさせていただきたいと思います。  社会福祉施設の整備でございますけれども先生御案内のとおり、国、県が四分の三、それから自己負担が四分の一、こういうのが原則になっておるわけでございます。そういうことでございまして、国、県の補助金と民間補助金の双方を受けられる、こういうことにいたしますと、極端な場合、実際にかかる経費を超えて補助金をもらえる、こんなこともあり得るものでございますから、従来から同一施設の同じ建物に対し、国、県の補助金と、先生からお話のございました日本財団等の全国的な民間の補助金、これは重複して申請しないようにと、こういう指導をいたしておるところでございます。  この点につきましては、先生からお話ございました先般の調査委員会報告書の中におきましても、同一の社会福祉施設整備につきまして、国庫補助と民間団体による補助が重複して申請されることのないよう、国、都道府県、市と民間団体との連携を密にするなどその審査の強化を図る、こういう提言がされておるわけでございまして、この線に沿いましてさらに徹底をしてまいりたいというふうに前段については考えております。
  59. 羽毛田信吾

    政府委員羽毛田信吾君) 後段の先生から御指摘のございましたいわば利ざやを稼ぐ、そのことによって国庫補助が出、大体ベースの国庫補助に見合う部分の建設が行われて、その余で、いわば上積みでやった部分を借金でやるという構造になっておって、そういうことを可能にした仕組みになっておったのではないかということでございます。そのことに対する反省なりについての御指摘でございます。  確かに今回の場合に、繰り返し申し上げておりますように、補助基準単価を上回るいわば豪華な施設をつくる、その豪華な施設をつくるという総事業費を一たん膨らしておいて、その間で元請から下請に大幅なダンピングをして利ざやを稼ぐ。そのことの結果としてその部分は、その部分といいながら全体を膨らしておりますから、結局今回の場合でも事業団からの融資という形での借金は実は利ざやを抜いた以上の借金を負っておりますから、そういう意味からいえばいつまでも続けられるものではない、ある意味からいうと非常に破綻型、破滅型の融資になっていた。  しかし、そういうことになっていること自体を見抜いて、むしろ補助金を出すとき、あるいは法人認可をするときにもつとチェックをすべきでなかったかということも含めまして、そういう点について仕組みが十分でなかった、あるいは指導が十分でなかったという点については私ども重々反省をしなければならないと思っておりますし、そのことの反省の上に立ちまして、短くということで一つだけ端的に申し上げさせていただければ、こういうことを生んだ大もとは何と申しましても丸投げというようなことを許しておったということでございますから、社会福祉法人については、建設業法上できるということを抜きにして、いわゆる特別養護老人ホームについては一括した丸投げはしないという形での方針にするということを今回打ち出したところでございます。
  60. 中島眞人

    ○中島眞人君 三月末日に報告書が出されるわけであります。昨年、全国の社会福祉を歯を食いしばってやっております方々に対しても大変な、おまえもかと言われるような指摘を受けた場面があるわけでありますから、そういうことのないように的確な、これは特筆する悪例だという形をひとつ報告書の中で強く求めておきたいと思います。  さて次に、厚生省が今年度大きな問題として掲げている介護保険の問題であります。介護保険につきましては、依然として各町村長さん方は率直に言って第二国保になっては困ると。同時に、言うなれば過疎・高齢化の町村においてはこれだけのメニューをこなしていく、実施主体の町村でそれを行うマンパワーは確保できるんだろうか、大変不安だということが言われております。  しかし、厚生省はこの介護保険をやるに当たって市町村支援を打ち出しております。言うなれば、国が四分の一、都道府県が八分の一、市町村が八分の一、こういう負担部分もあるわけです。  さてそこで、私はちょっとお聞きしたいんですけれども、急に質問の追加をしたのでありますけれども、大体五千人くらいの規模の町村の八分の一負担というのはどのくらいの金額になりますか。そして、それは現行やっているいわゆる措置制度の中で行われている福祉体系の金額と比べてみるとどのくらいになるのか、この辺について。やっぱり具体的に町村長さん方はそのことを頭の中に描いていますから。同時に、国民年金の中から徴収をするというけれども保険料の収納率というのはどのくらいに見込んでいるのか、この辺をお聞かせいただきたい。三点になります。
  61. 江利川毅

    政府委員(江利川毅君) けさほど追加の質問があるということで御連絡を受けました。ちょっと準備が十分整っていない点がございまして恐縮でございますが、一つはまず全国ベースで福祉措置費であるとかあるいは医療費の市町村負担であるとか、そういう事業費ですね、全国ベースでどのくらい減るかというと、私どもの大ざっぱな試算ですが、二〇〇〇年時点における現行制度でいったときと新しく介護保険制度で変わったときですが、全国ベース、市町村全体を含めまして大体千六百億円程度負担が減になるのではないか、市町村の持ち出しは減になるのではないかというふうに思っているわけでございます。  市と町村では福祉制度負担の持ち分が違うとかありますので単純に五千人規模の町村に割り振ることはできないわけでございますが、五千人規模の町村では高齢化比率が人口の大体二六%ぐらいになっているわけでございます。こういう高齢化比率を頭に置いて単純に、若干数百万円のでこぼこをお許しいただいてあれしますと、事務費の減というのは大体一千万円程度ぐらい出てくるのではないかというふうに見込んでいるところでございます。  八分の一の負担額はどのぐらいになるかということは、ちょっとまだ計算できておりませんので、お時間をいただいて後で御報告させていただけませんでしょうか。  それから、収納率の関係でございますが、これは国保押しなべての収納率でございますけれども、七十歳以上の方々の国民健康保険の収納率は九九%というふうに出ておりまして、高齢者の方々はかなりきちんと納めているわけでございます。収納率は高いのではないかというふうな感じがしているところでございます。
  62. 中島眞人

    ○中島眞人君 マンパワー。
  63. 江利川毅

    政府委員(江利川毅君) マンパワーも後で御報告させていただけませんでしょうか、大変恐縮でございますが。
  64. 中島眞人

    ○中島眞人君 いや、答弁漏れ。
  65. 江利川毅

    政府委員(江利川毅君) 失礼しました。  市町村職員の数が全体としてどのぐらいふえるかということは……
  66. 中島眞人

    ○中島眞人君 いや、過疎・高齢化地域においては、これだけの在宅メニュー、施設メニューというものが介護保険で実施されていったときに、現実の問題としてそれを行っていくマンパワーがない、不足する、困ると。ではこれを広域でやったらというけれども高齢化率の高い町村はみんな嫌われる、困るという実態、叫びが実はあるんです。そのことを前々から言っておりましたけれども、そのことについてはどうなのか。
  67. 羽毛田信吾

    政府委員羽毛田信吾君) 失礼をいたしました。  先生御指摘の過疎地域における高齢化率が特に高いところにおけるマンパワー、実は介護マンパワーのみならず、介護サービス全体の基盤整備というものがなかなか思うように進まないのではないか、そのことによって介護保険を導入してもなかなかそこに難しさが出るのではないかということだろうと思いますけれども、特に人材確保の面では非常にそういう点での深刻さがあるという点については私どもも認識をいたしております。  現在、介護サービスにつきまして、その整備目標をそれぞれの市町村において定めて老人保健福祉計画という形で提供体制の確保を図っているわけでありますけれども、その中でやはり特に過疎地域等につきましては私どもの方の補助制度なり何なりの中における配慮ということで、例えば施設の面でございますと小規模の特養を認めるとか、あるいは在宅サービス等につきましてもそういった面でのいわば緩やかな運営が弾力的に行われるような工夫をするとか、そういったことをやっております。  それから、在宅サービスの主体につきましても、都市型と違いまして、例えば農業協同組合、いわゆるJAによりますこういった事業への参画というようなことにつきましても、私どもJAあるいは農水省とも御相談を申し上げて、特に過疎地域、農村地域につきましては農協組織によるホームヘルパー等の人材確保あるいはデイサービス等の事業展開というような面での御協力をいただき、また積極的にやっていただくというような話し合いを進めております。  そういったような提供体制についての努力をしておりますし、さらに今回お願いをしております平成九年度の予算におきましても、例えばデイサービスにつきましては公民館でありますとか、そういったところを利用したいわば出前型のデイサービスということでサテライト型のデイサービス事業というような展開をし、やらせていただいておりますし、また訪問看護等につきましても、人員配置基準についてこれを緩和するというような工夫をする、そういった工夫をしながら整備水準の格差の是正に努めるということにおいて今後とも努力をしてまいりたいというふうに思っております。
  68. 中島眞人

    ○中島眞人君 過疎・高齢化地域というのはお金をもらったって人がいないんですよ。みんな五十以上、六十以上の人たちがいわゆるこのメニューを消化していくという形になってくるわけです。福祉、そういう企業が生まれてくる、こういう問題だって平成十二年ですからあらかじめそういう構想も出していかないと、それぞれ保険主体になる町村は不安ですよ。だからそういう問題をやっぱり出してくる。  そして同時に、二〇〇〇年の時点でいくと全国の自治体で一千六百億円ぐらい現行のいわゆる福祉体系をやっているよりは減るんだというお話を聞きました。そして、五千人規模で八分の一くらいの費用負担は、いわゆる町村が出す金はまだ、けさ言ったことですが、出ないということでありますけれども、どのくらいになるのか。そして今まで現行やっている、例えばいわゆる老人の措置ホームヘルパー、いろんな問題にかかわる施設、デイサービス、あるいは介護支援、こういうような問題について現行投下している金額と、そしてこの八分の一の金額というのはどのぐらいの差があるのか。こういう問題を出さなければ、御迷惑かけません、御迷惑かけませんと言ったって、国保会計で本当にもう一般会計から年々国保会計の赤字を補てんする、一般会計から年々入れている苦労というのは大変なものなんですよ、各町村長さんは。だからやっぱり具体的な数字、データやマニュアルをつくらなきゃいけないと思います。  そこで次に、大臣、所信表明の中に「政府の最重要課題の一つである行政改革についても、規制緩和、地方分権を推進するとともに、」という言葉がうたわれている。新ゴールドプランに対することしの取り組み、予算、大変前向きで私は結構だと思います。十二年にはスタートするんですよ。ですから、国だけではなくて地方もみんなが汗をかいてもらわなければ、できるところとできないところで差が出ては困る。そういう点で、地方分権という一つの課題等々を踏まえて、同時に各自治体では老人保健福祉計画というのは綿密な計画があるはずです。あるんです。そして今、各県で一番の、厚生省がやってきたり例の前の次官の問題等に起こった問題というのは補助金のあり方。はっきり言って福祉施設をつくっていく場合の箇所づけという問題が大変厚生省の強い意思決定で各地方に行われてきたわけです。  大臣、私は地方分権あるいは今までのあり方を変えていくという姿勢からいったら、各自治体の老人保健福祉計画の中で動態はわかるわけです。ですから、枠づけの予算を各自治体へ落とす、各自治体が少なくともその実態に合ったような箇所つけをしていくということがまさに補助金配賦、内閣が掲げているこれからの地方分権の一つの実態にも合うし、また同時に、今回起こったような不祥事解消にもなっていく。こういうことの中で箇所づけ、枠づけを各県に実態に応じて提示し、そして箇所づけはそれぞれの地域、自治体が行っていくということを早急に私は取り組んでいくべきだと思うんですけれども大臣に御所見をいただきたいと思います。
  69. 小泉純一郎

    国務大臣小泉純一郎君) 基本的に私も同意見であります。  事実、老人保健福祉計画にしても市町村が計画を策定してこれを国が支援するという形になっていますし、地域の実情を一番よくわかっているのは市町村でありますので、今後そういう実際主体的にこの施設の運営等を図る上で、責任を持っていただくからには財源等も当然考えなきゃなりませんし、人間の面においても厚生省よりもよくわかっているわけでありますから、そのような主体性を生かす方法はないものかどうか。そういう観点から、今地方分権を進める上においても、地方にどの程度、今後権限なり財源なり人間を回していくか、これはもう欠かすことのできない視点だと思います。
  70. 中島眞人

    ○中島眞人君 私は大臣のこのお答えというのは、大変やっぱり今までの日本福祉というものを変えていく、新しい介護保険というものを地域が、町村が主体となっていく、それに対して、いわゆるその箇所づけは厚生省がやるのでなくて、地域の自治体がやっていくんだという私の質問に対して大変すばらしい、そしてこれはまさに今内閣が掲げている新しい構造改革であり、地方分権の取り組みの姿勢だと高く評価をいたします。ぜひひとつ一日も早くそういう形が展開をされ、地方自治体、知事から始まって市町村長が国が考えている介護保険というような問題を一緒に両輪になって汗をかいていけるような、そのことを一日も早くと期待をしながら、私は次へ移りたいと思います。  さてそこで、この介護保険のいろんなサンプルを見ますと、大変よくわかるんですけれども、実態に合わない点を、幾つかありますけれども、私は一つだけ申し上げます。  例えば利用料の問題であります。特別養護老人ホーム、老人保健施設、療養型病床群云々とある。特別養護老人ホームに一例をとって言いますと、私、昨日山梨県から特別養護老人ホームに入所しております千八百七十四名の方の統計資料をいただきました。それによりますと、千八百七十四名のうち本人から、いわゆる被措置者、入所なさっている方から徴収をする費用徴収は一万円未満の方は六百十二人いるんです。三二・六%です。  同時に、扶養者の費用徴収ですね、これは一万円未満の方が五百五十人ですから二九・三%、約三〇%いるんですね。しかし、今度は保険になるわけですからいわゆる扶養者からは徴収できないわけです。本人の利用負担という格好になるわけ  です。そうしますと、一万円未満の方が三二%、約三〇%いるんですね。これは平均です。そうなってきますと、今入所なさっている方は五年間の経過措置でいいですよというんですけれども、一万円未満、もっと端的に言えば生活保護あるいは非課税対象の方は山梨県の場合だと二百三十名もいるんです。  ところが、今度は特別養護老人ホームは四万七千円いただきますよという、今入っている方は五カ年間経過措置で今の形を続けますよというけれども、これは将来にわたって考えていくことの中でこれは大変大ざっぱ過ぎるし、特養へ入れないという方が出てきますよ、本人負担がこうなりますと。この辺の実態をどうつかんでいますか。
  71. 江利川毅

    政府委員(江利川毅君) 先生の御指摘のように、確かに現在特別養護老人ホームに入っている人の費用負担能力というんでしょうか、一万円以下というのはおっしゃるような水準にあるようでございます。ただ、これからの高齢者は年金制度充実等によりまして所得もだんだん保障されてきているわけでございまして、そういうことを考えますと、これからの一般を考えた場合に、現在入っている人と同じような形がずっと続くのだろうかということは少し差があるのではないかというふうに思います。  私ども調査で高齢者の所得調査をやりますと、一人当たりの所得で見ますと、大体若い人と高齢者はもう同じような分布になっているわけでございます。そういう意味で、この介護保険はまず一般的な制度として考えるべきなのではないかと。  そういうことで、介護保険法案におきます利用料負担といいますのは一割の定率負担ということでございまして、入所者につきましてはさらに食費の負担お願いするということでございます。ただ、この場合にも、負担額に上限を設けるとか、あるいはその上限につきまして低所得者については配慮するというような規定がございます。これは、具体的にどこまでどう配慮されるかということは医療保険の実例や関係審議会での議論を踏まえて決めるわけでございますが、そういうことによりまして、低所得者についても配慮を行いながら的確な対応ができるようにしてまいりたいというふうに思っているところでございます。
  72. 中島眞人

    ○中島眞人君 国民所得の実態からいってお年寄りは負担できるであろうというのは、それはあなた、憶測ですよ。これは厚生年金等を取得する層が今から十年、二十年の後になっていくということを想定するならいいけれども、当面、今、七十代、八十代の方々は、平成十二年から新規に入ってくる方々に対しては、これがダイレクトに適用されるんでしょう。四万七千円ですよ。  しかし、実態論からいけば、これははっきり言って、今入っているこの方たちは経過措置でいいでしょうけれども、これと同じ層が少なくとも十年、十五年ぐらいは続くと見なきゃいかぬ。その中で、少なくとも約三二・六%の方々というのはこの適用、今までの扶養者費用徴収、本人の費用徴収からいってみても、一万円未満のお金を全然いただかない方が少なくとも一〇%以上いるんですよ。  この方々に対して入所できるような一つの対応というのは、確かに保険ですけれども保険ですからこれは全部一律だと言うけれども、普通の保険とは違って公的な費用が入っているんですから、こういう方々に対する一つのいわゆる補助なりあるいは適切な対応というものはやっぱり考えなきゃならぬと思うんですが、その点いかがですか。
  73. 江利川毅

    政府委員(江利川毅君) ただいまも申し上げたとおりでございますが、負担の上限につきまして低所得者に配慮をするという規定があるわけでございます。具体的にそれはどういう数字にするかというのは、これから医療保険仕組みやあるいは実態や関係審議会での御議論を踏まえて決めるわけでございまして、先生からそういう御指摘がありましたことも十分踏まえながら、その審議会でこれからの議論でございますけれども検討させていただきたいというふうに思います。
  74. 中島眞人

    ○中島眞人君 審議官ね、お年寄りは所得もあって年金等もあってと言うけれども、実は山梨県の都市部と農村部にある施設の所持金の平均を全部出してもらいました。とかく特別養護老人ホームに入っている方はお金がたまって大変だ大変だというようなことを言いますけれども、私も驚いた。都市部にある施設が一人当たり平均所持金は百五十九万七千円ですよ。農村部にある施設は百五十五万円です。決して入所なさっているお年寄りの所持金が私は多いとは言いません。百五十万くらいしかないんです。だから、こういう実態で入所なさる方々が、端的に言えば、いわゆる四万七千円、五万円で入っていくことが負担にならないように、そのことも重々配慮していかないと、つくったものの中に入っていけないという形が出てくるということを十分ひとつ私は警告しておきますので、検討してください。  さて次に、予算説明の中に「医薬安全局(仮称)、医薬品医療機器審査センター(仮称)の設置等により、」とございます。  昨年、私は質問をさせていただきました。少なくとも我が国の審査段階の厚生省の技官は三十八名、アメリカは千四百名、フランスは二百名、これに対して三十八名ではもう薬害が起こるはずじゃないのか、起こるのが当たり前だ。これもやはりマンパワーの問題。同時に、副作用症例の問題も平成六年に一万四千六百件あった、しかしそれをチェックするスタッフは十一人しかいない、こんなことでできるはずがないじゃないかという中で生まれてくるのが今回の医薬安全局なんですね。  この医薬安全局というのは、もう積算をしているでしょうから、具体的にそのチェックをなさる  スタッフ、マンパワーはどのくらいにふえて、どういう形になっていくのか、これをお示し願いたいと思います。
  75. 丸山晴男

    政府委員(丸山晴男君) 先生御指摘のとおり、我が国の医薬品の承認審査体制、また承認に限らず審査・安全体制につきましては、残念ながらマンパワーの点において御指摘のような問題点がございまして、従来はそれを中央薬事審議会の委員先生方の御協力といいますか、例えば調査会は年二百回ぐらい開かれておりますけれども、そういった我が国の第一線の研究者の方の御尽力で何とか支えてきているということでございますけれども、審査・安全体制を基軸にした再編成を行うということで医薬安全局の設置をお願いしているところでございます。  そこにおきます審査体制につきましては、いわば事務局審査体制を強化していくということで、当面審査センターにつきましては四十五名ということでスタートするということを予算あるいは定買上予定させていただいておりまして、合計いたしまして現在業務局には安全対策も含めまして六十五名のスタッフがおります。  それから、医薬品機構におきまして治験相談等を担当する職員、これも若干ございまして、合計して現在は審査・安全体制のスタッフは約百名でございます。それを来年度を中心といたしまして平成十一年度までに、欧米諸国で一番目安にしやすいというフランスのレベルに何とか持っていきたいということで、現在の二倍程度、二百名を超える体制を確保していきたいと考えている次第でございます。  スタッフの充実に関しまして、このような体制を考えますとともに、また、さきの通常国会で御審議賜りました改正薬事法の施行も四月に迫っております。そこにおきましては、治験の実施基準あるいは承認申請資料の信頼性の確保、市販後調査の実施基準といったような幾つかの基準を作成して施行に備えているわけでございますけれども、組織再編と相まちまして、治験から承認、市販後に至る安全確保対策充実を図ることができるだろうと考えております。  予算面におきましても、これらの定着のための事業あるいは医薬品に関する情報を医療関係者や国民に提供するシステムの構築に必要な予算を盛り込んでいるところでございます。
  76. 中島眞人

    ○中島眞人君 もう時間がありませんけれども、努力は評価をいたします。  医薬品の審査をする厚生省という一つの責任主体が、アメリカ千四百人、ドイツは五百人くらいいるんですか、フランスが大体二百人、これに対して純然たる審査をする技官は三十八名しかいない。私が調べたところでは、現行で言う安全課の医薬品適正使用推進室の副作用に当たる人間は十一名しかいない。しかし、これについては今年度手がつけられない。しかし、十一年に向かって現行スタッフを約二百名くらいにふやすんだと、まあ行政改革、定数削減という一つの問題がございますけれども、しかし大臣、これは薬害が日本の場合、HIVも含めて少なくとも厚生省の技官の手から離れて外部へ委託をしていかなければならなかった、そういう中から起こってくる弊害がここ十年サイクルくらいでやっぱり大変な問題を起こしているわけです。行政改革とか定数削減とかありますけれども国民の命と健康を守っていくという点で、薬害を二度と出さないという点については必要な審査スタッフをやっぱり確保しておくべきだと。一遍に何百名もふやすわけにはいきませんけれども、百名のスタッフを二百名にふやすということを評価しながらも、将来に向かって、大臣、命と健康というのは大変大事な重みでございますから、これにとめることなく前向きに拡大をしていくことを強く望みたいと思うんですけれども、最後に大臣の御所見をお伺いいたしたいと思います。
  77. 小泉純一郎

    国務大臣小泉純一郎君) 今までのいろいろな薬害事件というものを反省しながら、薬というのがいかに健康に役立つかと同時に、用い方を誤りますと副作用も出てくる、そういう反省をしながら二度と医薬品による健康被害が起こらないようにしっかりとした体制を整えていかなきゃならないと思いまして、今後とも全力を傾けていきたいと思います。
  78. 中島眞人

    ○中島眞人君 終わります。
  79. 上山和人

    委員長上山和人君) 本件に対する午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時二十分まで休憩いたします。    午後零時二十一分休憩      —————・—————    午後一時二十二分開会
  80. 上山和人

    委員長上山和人君) ただいまから厚生委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、社会保障制度等に関する調査を議題とし、厚生行政基本施策に関する件について質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  81. 木暮山人

    ○木暮山人君 平成会の木暮でございます。  先般の大臣の所信、特に医療保険改革等に関する問題につきまして質問をさせていただきます。  先日の所信表明の中で、医療保険制度改革方針として、医療提供体制及び医療保険制度の両面にわたる構造改革を推進していくと述べられておりましたが、具体的に何をどう改革していくのかという国民が最も知りたい部分は必ずしも明らかになっておりません。  診療報酬制度の問題、薬価の問題、さらには医療分野での規制緩和の問題と検討すべき問題は広範多岐にわたっていると考えます。例えば政管保険の場合、仮に今回の改正案が成立したといたしましても、三年後には再び財政危機に陥ることでありましょうから、改革のための時間は限られております。  今後の改革に向けての具体的な取り組みと、改革実施のスケジュール等についてひとつ明らかにしていただきたいと思います。
  82. 高木俊明

    政府委員(高木俊明君) 二十一世紀に向けまして医療提供体制、それから医療保険制度両面にわたる構造的な改革というのを段階的に進めていかなきゃならないというふうに考えているわけでありますが、その中で、一つは診療報酬体系あるいは薬価基準の問題、こういったものについての抜本的な見直し一つございます。  それからまた、各医療保険制度、この保険集団のあり方、医療保険制度の一元化の問題とも関連いたしますが、こういった保険集団そのもののあり方、これを今後時代に合った形でどういうふうにしていくべきかという問題がございます。  それからまた、日本の場合は患者は保険証一枚でどこの医療機関にでもかかれる、非常にメリットがあるわけでありますが、そういった中で逆に制度上のむだなりというものが生じているという指摘もございます。そういった意味での医療機関に対するフリーアクセスといいますか、そういった患者サイドの問題に伴うむだ等の是正というものをどういうような仕組みでやっていくべきなのか。  大きくはその三つがあるんじゃないかというふうに思っております。  今後、それでは具体的にどういうふうに進めていくのかということでございますけれども、まず平成九年度は現下の医療保険の窮迫した財政状況、これをまず安定的にするということが急務でございますので、今回御提案しております制度改正というものをまず九年度はお願いをしていきたいということでございます。あわせまして、そのほかの診療報酬体系あるいは薬価基準の問題、こういった問題についても具体的な案というものをつくっていかなきゃならないというふうに考えておるわけであります。  そこで、政府の中で今そういった意味で具体案の検討をやっておりますけれども、一方、与党におきましても、医療保険制度改革協議会というものを設置いたしまして、鋭意医療保険改革について御検討いただいておるわけでございます。今後一年以内に一定の方向というものを出していくということになっておりまして、そういった検討の状況等とも歩調をとりながら、私どもとしても具体的な案というものをできるだけ早く策定し、それが複数の案になるかもしれませんが、幅広く世の中に公表していきたい、こんなふうに考えておる次第でございます。
  83. 木暮山人

    ○木暮山人君 少し関連させていただきまして、もう一つ質問をいたしたいと思います。  今、保険の各組合の一元性ということをおっしゃいましたけれども、かつてこれは、以前からこの一元化によって保険制度というものが非常にスムーズにいくんだと言われているんだけれども、そのうちに立ち消えて終わっちゃったわけですね。しかし、だれが考えても、一元化すればとても経済的にはよくなるわけでございます。  それともう一つ、それに対応するところの医師がこれがいわゆる出来高払いか請負制か、今どこかでみんなこんがらがっておかしくなっていると思うんです。  それと医療保険の点数のつけ方ですね、このつけ方が最初スタートした時期の三十三、四年の時分は全部厚生省でおやりになっていたんですね。ところが、三、四年ぐらいすると何だか面倒くさくなったのか武見先生に圧力かけられたのか、もうそれがおかしくなって点数の張りつけということになったわけです。そうしましたら、世の中の価値と違ういわゆる価値がこの保険社会には通用するようになってきた。これが大きく狂っているんじゃないかと思うんですけれども、そこら辺をまず踏まえた上で新しい制度というものを考えていかないと、これは幾らやったってまずいと思うんです。こっちがよければこっちが悪いというやつでですね。そこら辺の基本である、今、私が追加して質問したことについての御意見等もいただきたいと思います。
  84. 高木俊明

    政府委員(高木俊明君) 現行の診療報酬体系が昭和三十三年にできたわけでありますけれども、その後いろいろな改正を経て今日の状況にあるわけでありますけれども、現在のいわゆる診療報酬体系、これは出来高払いを基本にしておりますが、そういった診療報酬体系の中で医療行為に伴うむだといいますかそういったようなものが発生しているというようなことも指摘されます。とりわけ、出来高払いに伴う過剰診療に陥りがちではないかというような意見等もございます。  そういった意味で、この診療報酬体系のあり方そのものもやはり考えていかなきゃならないということでありまして、これまでも例えばある程度包括的に支払いをするような形の点数を設けるとか、いろいろな工夫がなされておりますけれども、さらにもっと根本的なところで考えていく必要があるのではないかという指摘もございます。  平成九年度には、そういった中で国立病院等にお願いをしまして、試行的に、例えばある程度包括的な形でお支払いをし、そして実際のその中での医療行為というものがどういう形で適正に確保できるか、そういったようなもの等をやりながら新しい方策というものの検討の参考にしていきたいというようなこともございますし、まさに根本的に現在の診療報酬体系というものを適正なものにするにはどうしたらいいのかというところまでさかのぼりまして検討していく必要があるというふうに考えております。
  85. 木暮山人

    ○木暮山人君 もう一つ追加して質問させていただきたいと思うんです。  例えば出来高払いでやった場合、大学を卒業しまして国家試験を通って何十年かたって大学のプロフェッサーになった、片っ方は去年出てきて卒後研修を受けてやった、これは同じことなんですね、その料金というものが、言うならば点数は。  それともう一つは、全国のいわゆる保険医が保険請求しているわけです。しかし、この保険請求している中には多少の見違いが出てくるわけなんですよ。それの何よりいい証拠は、国保の審査員と社保の審査員が審査の基準というものをわきまえていればこういうことは起きないんですね。結局は国保の審査員が提出した請求書がやりばり戻ってくる、訂正しろと。また社保の審査員が請求したものが戻ってくる。私はこれが不思議で不思議で今まで三十年ぐらいどうなっているんだろうと思っているのを今質問する機会がちょうどできたもので質問するわけでありますけれども保険はすべて約束事だからそれでいいんだと言うかもしれませんけれども、病気を治すのに約束で治るわけがないと私は思うんですけれども、そこら辺基本的にはどんなお考えなんでしょうか。
  86. 高木俊明

    政府委員(高木俊明君) いずれも非常に難しい御質問で、先生、実態について非常にお詳しいので、むしろ私の方が申し上げるよりもよく御存じだと思いますが、まず経験年数等によらず一点十円という、また診療報酬の点数も医療行為で画一的に定められておるという格好になっているわけでありますが、これは率直に申し上げまして、私もかねてそういうような問題について医師会の先生方ともお話ししたことがございます、ずっと昔なんですが。  しかし、どうも先生方の御意見は、そういったやり方について、かなりベテランの先生になってきますとやはり問題だとおっしゃる先生もいらっしゃいますが、一方、大学を出てそれからずっと診療行為に携わり、そして経験年数も相当積まれた状況にいずれだれもがなるということで考えますと、そこのところのその差をつけていくということの難しさ等々をまた考慮するとなかなか今のシステムというのを改めがたいというような御意見もございました。  そこら辺のところを抱えながら現行制度というものがあるのだろうと思いますが、やっぱりその辺のところについても今後改めていくべきであるということであるとすればやはり考えていく必要があると思いますけれども、これはなかなかその評価が難しい問題ではないかというふうにも思っております。  それから、もう一点の審査の問題でありますけれども、これは医療保険制度、まさに先生おっしゃいますとおり、約束事でそれぞれやっておるわけであります。そういった中でうっかり間違った請求が行われる場合があれば、それはもちろん訂正されるわけでありますが、ただ余りにも、例えばその地域における先生方の請求金額と比較してかなり高い、高額に上るというような場合については、そこら辺の平均的なレベルというものを考慮しながら査定が行われるというような場合もあるわけでありまして、その辺のところについてはやはりある程度平均的な線というものを参考にしながら、かといって個別個別の医療行為はそれぞれ違うわけでありますから、そういった個別個別の医療行為についてきちっとした理由なりというものがある場合には当然それは高くても認められるわけであります。ただ、全体的に申し上げれば、やはりある程度そういった平均的な線というものを考慮しながら各件審査が行われているというふうに思っております。
  87. 木暮山人

    ○木暮山人君 そういたしますと、こういう問題について厚生省が昨年発表したところによりますと、その地域の高額一〇%、これを個別指導等の対象にするんだということをおっしゃっているわけですね。そうしますと、その地方地方で全部のうちの高額請求した一〇%の方を何はともあれやるんだということになりますと、こんなことはやってもらいたくないことだから、みんなが高額にならないように注意するわけですよ。  しかし、ここでこうなってどんなになっていくかというと、やはり医学を学んだ人たちにしてみれば、やはり一番の自分の良心に従って保険の範囲の、請求できる範囲の濃厚なものをやっていくわけです、請求していくわけですね。それがついぞ全部足したら高額になっちゃった、それは対象にするんだと。そうすると、その中に少しは間違ったところも出てきている。しかし、高額でなくたって間違ったところのある人はたくさんいるんです。これは御存じだと思うんです。同じ率でみんな間違っているのに高額な人は指導するということになりますと、高額の人のプライドというのは相当傷もつくし、また日本医療というものがもうこれ以上伸びなくなると思うんですよ。  じゃ、そこら辺について、言いたくないことだけれどももう一つ次に言いたいことは、まじめに一生懸命学問に従って保険とちょうどよくいくようにやっている人たちがもし指導監査にかかった場合、自殺している人がたくさんいるんです。ところが、お医者さんが自殺したというのはみっともないから、やはり友達仲間のお医者さんで脳梗塞で亡くなったとか、いやあれで亡くなったとかといって、結局は自殺ではなくなっている。私の友人も二人自殺している。しかし、それは自殺じゃなくて、ちゃんと病気になって死んでいる。  この間、私は岡光局長質問しまして、ございますかと言ったら、いや、ありませんと。それで、本当にないんですかと言ったら、いや、北海道で一件、愛媛に一件なんということをお話しになっておりましたけれども、そういうことがあっては困るんですね。それじゃ、どんなに医療体制をよくしようとやっても、そういう恐怖が裏についている。  それと、その恐怖がどこに反映するかというと、いわゆる保険医というものは保険医としての指定、これが一つです。開業するところの診療所、これがやっぱり指定を受けなきゃいけない。そうすると、この二つの指定にがんじがらめになって今まできているわけですね。例えば、そこで不正行為をやって保険医を剥奪されたら、再びその診療所のあった場所ではよそのお医者さんを連れてきて診療できないことになっている。そうすれば、もうどんなこともできない。それは悲しい結果になっていくと思うんですよ。そういうことのないように、今、二重指定は解除したとおっしゃるかもしれない。しかし、それは徹底していない。やっぱりこういうぐあいにそういう指定は解除しますよと。こういう今までの悪いところをもう一度全部直して、それから次の段階に入って、どうだろうと。  これはかって、御存じのように、物すごく力のあった医師会の会長先生がいた。そのために全部かき回されてだれもそれに抵抗できなかったんだから。そのために少しずつ間違ってしまった。しかし、その時代はまだよかった。しかし、言うならば、延命治療というのが今逆に保険の中に入りつつある。高額治療と延命治療ですね。いわゆる延命治療ということになったらこれは大変なことになる、これはここで言うあれじゃないけれども、みんな生きていたらどうなるんですか。ここらあたりはちょっと考えていろいろとやっていただきたいと思うんです。もうこの問題は別に御答弁は要りません。  次に、抜本的な改正、政府・与党がまとめた医療保険改革案は、被用者本人の負担を一割から二割へ倍増、高齢者は現行の外来一カ月千二十円から一回五百円、月四回まで、さらに薬剤については一種類一日十五円負担を求めるなど患者、特に高齢者にとって著しく厳しい内容になっております。  今回の対応は、改革とはいいながら、実態は構造改革を先延ばしにし、当面の医療保険財政の赤字をごまかすために取りやすいところから取ろうというその場しのぎの対策にすぎないものだと言わざるを得ません。実際、医療保険審議会の答申でも「総合的な改革に向けた取り組みが十分でなく誠に遺憾」と言われている始末であります。  医療保険財政の危機は早くからわかっていたことなのに、この期に及んで抜本的改革案を提示できなかったのはなぜでしょう。ここらあたりをもう一度詳しく説明していただけませんか。
  88. 高木俊明

    政府委員(高木俊明君) 医療保険制度の抜本的な改革、これは一気に実現できるというようなものではないわけでありまして、そういった意味ではやはり段階的に実施をしていかざるを得ないというふうに思っております。  ただ、今回お願いしております改正も、そういった意味では給付負担の公平といいますか、医療保険の中における患者の負担というものの持ち方ということで御提案しているわけでありまして、全体の制度改革の第一歩であるというふうに私どもは思っております。  なぜここから着手することになったのかということでありますけれども先生承知のとおり、現在の各医療保険制度は非常に財政が悪化をしております。これは昨今の経済の不況と、それに対して医療費の方は経済状況に余り影響されずに一定の高い伸びで伸びておる、そのギャップが相当続いておるというようなことから大変な財政危機になっておるわけでありますけれども、このままの状況でまいりますと医療保険制度そのものの維持、これ自体が非常に難しくなる、そういったような状況でございます。  そういったことで、この九年度におきましては、現下のそういった窮迫した財政状況というものをまず回復させ、そして安定的な形で運営できるような形にまず立て直す必要があるというようなことからお願いをしておるわけでございまして、並行して制度全体の改革というものに着手をしていくという考え方でございます。  なお、こういうような財政状況というのはもうわかっていたんじゃないかということでありますけれども、私どもとしましても、この医療保険制度の財政の悪化というのは一時的なものではなくて構造的なものだという認識のもとに、平成七年の三月から関係審議会であります医療保険審議会を中心に制度改革に向けた御議論お願いしてきたわけでありますけれども、その間、経済の状況が非常に厳しい状況が続いたといった中で今日のような状況になってきてしまった、もっと早くそういった意味では何らかの手を打つべきであったというお叱りだと思いますけれども、それについては私どもとしても反省をしておりますし、まさにそのとおりであるというふうに私は思っておりますが、この現下の状況をいずれにしてもこのまま放置することはできないということから、今回の財政の均衡ということで制度改革お願いしている、こういう次第でございます。
  89. 木暮山人

    ○木暮山人君 おっしゃることはよくわかりまして、そのとおりに今からいってくれれば言うことはないと思います。  しかし、顧みて考えてみますと、前の岡光さんの時代、その前、厚生省が空っぽになるぐらいの率で地方に行ってお土産をもらったり供応に応じたりと。それで、今ここへ来まして急にみんな締めて、慌ててあっちが悪い、こっちが悪いと世の中が大騒ぎになっていますよ。何十年も何もしなくて、それで急に締めつけが始まってくるということは、昭和二十七、八年にこういうことがあったんですよ。しかし、それがまたここで再来しているような格好では、かつてストがございましたね、医療ストが、そういうことだって起きないとも限らないと思います。そういう意味ではひとつ注意してやっていただきたい、こう思っております。  次に、改革と言われるその具体的内容についてお伺いするわけでございますが、高齢者の自己負担について昨年秋の医療保険審議会の建議書では一割から二割の定率制を打ち出していたことは申すまでもありません。しかし、法案は定額制を継続し、また一カ月四回までという上限を設けているわけであります。  定率制に踏み切らなかった理由及び一回五百円、一カ月四回までという内容とした具体的な根拠をひとつお聞きしたいと思います。
  90. 羽毛田信吾

    政府委員羽毛田信吾君) 老人医療の一部負担金についてでございますが、これは先生お挙げになりました医療保険審議会、それから老人保健審議会、それぞれの建議書あるいは意見書におきまして取り上げられたところでございます。  その審議会の御議論におきましても、実は定率制、定額制、両論がございました。これらの議論を踏まえまして、昨年予算編成の過程におきまして与党ともいろいろ御議論をいただきまして、その結果に基づきまして、いわゆる定額制についてよく言われます高齢者の場合につきましては、心身の特性、すなわちお年を召して病気にかかりやすくなっておられる、あるいは慢性疾患というようなものを多く抱えておられるというような点に配慮をいたしまして、医療機関へのかかりやすさということを特に確保するという点に重きを置きまして、いろいろ御議論はございましたけれども、定額負担ということを維持するということに今回の改正ではいたしたわけであります。  その負担水準につきましては、全体の負担水準がおおむね一割程度、若人の負担が今回御案内のように引き上げがされますので、そこらのバランスも考えながら、しかしお年寄りの負担というものが余りに急激に過激な負担になってもいかぬということで、おおむね一割の水準までにとどめるということを今回はいたしまして、それで外来なり入院なりのそれぞれにつきましてはおおむね今の五割増しの範囲内にとどめるという形にいたしまして、外来一回五百円、入院一日千円という形で設定をいたしました。  その場合に、老人の場合には慢性疾患というような形で通院を頻回に行わなければならないというようなケースが多いということをも踏まえまして、これも与党の御意見がございまして、毎回の定額負担は一カ月四回までという形にいたしたわけでございます。
  91. 木暮山人

    ○木暮山人君 高齢者の負担については、厚生省の試算では外来の平均的ケースにおいて現行の二・八倍もの負担増になるとされております。これは医療機関への受診を過度に抑制し、疾病の早期発見、早期治療を妨げることになるおそれが強くあります。結局、重度化してからお医者さんにかかるようなことになるとかえって医療費の膨張を招きかねないと指摘もされておりますが、それはいかがなものでしょう。
  92. 羽毛田信吾

    政府委員羽毛田信吾君) これから高齢者の方々がふえる、そのことによりまして老人医療費というものもふえてまいります。こういったふえる老人医療費をいかに若人、そして老人御自身、国民みんなの中でどう負担をしていくかという観点に立ちまして、お年寄りの方々についても応分の負担お願いするということで今回の改正お願いしているわけでありますけれども、先ほど御答弁申し上げましたように、高齢者の方々の心身の特性に配慮をいたしまして、医療機関へのかかりやすさという点に軸足を置きまして今回は定額負担を維持した。また、いろいろ定率について御議論ある中、定額負担を維持いたしました。さらに、外来につきましては、先ほども申し上げましたように、月四回を負担上限とするということで、慢性疾患等をお抱えになって頻回に通院をされなければならない方々についての配慮をいたしました。また、入院につきましても、低所得者特例を引き続き設けていくなど、きめ細かい配慮をいたしております。  一方、高齢者の方々のいわば経済能力ということにつきましては、きょうも繰り返しの御答弁を申し上げましたところでございますけれども、現役世代と遜色のない状態になってきている、こういったことをあわせ考えますと、今回の負担によりまして必要な受診が抑制されるということにはならないのではないかというふうに考えておる次第でございます。
  93. 木暮山人

    ○木暮山人君 次に、ちょっと時間がございませんので論旨を変えて質問をしたいと思います。  現在、介護保険法案衆議院で継続審査となっているところでありますが、この制度における歯科医師の位置づけについて、これがいま一つ明確でございません。明確でないという観点からお伺いする次第であります。  例えば、第二十二条の「不正利得の徴収等」の部分では、ペナルティーの対象として歯科医師が明記されております。これはこれで当然のことと思いますが、他方、特に高齢者や介護問題に関し、歯科医師が有する専門的な知識と経験を発揮する場がどのように盛り込まれているかについて、法文からは明瞭に読み取れないような気がするのであります。  具体的には、第十五条の介護認定審査会の規定における「医療又は福祉に関する学識経験を有する者」、第二十七条の「要介護認定」の部分の第九項で認定審査会が意見を聞くものとされている「主治の医師その他の関係者」、さらに第百八十八条の介護保険審査会にかかわる規定においては「保健、医療又は福祉に関する学識経験を有する者」のうちから任命された専門調査員などにおいて歯科医はどのように位置づけられることになっているのか、ひとつ御説明をいただきたいと思います。
  94. 江利川毅

    政府委員(江利川毅君) この介護保険法案は、介護を要する高齢者に対しまして必要な保健医療サービス、当然これには歯科衛生士等々が入るわけでございますが、それと福祉サービスを総合的に提供する、そういうことを目的とした法案でございます。  まず、歯科医師の位置づけでございます。  先生はお触れになりませんでしたが、定義規定の中に出てくるわけでございますけれども、七条に定義規定がございまして、介護給付の中身が書いてあります。「居宅サービス」というのがありまして、この「居宅サービス」の中に、第七条五項に書いてあるわけでございますが、「居宅療養管理指導」ということがありまして、この言葉の定義が同じ七条十項にありまして、居宅療養管理指導といいますのは居宅で療養上の管理及び指導を受けるものでございますが、それを提供する人として歯科医師ということも書かれているわけでございます。そういうことで在宅における、あるいは施設サービスにおける口腔衛生管理あるいは指導、そういうようなことにつきまして歯科医師の役割というのは法律に規定されているところでございます。  それから、御指摘のありました介護認定審査会の委員あるいは介護保険審査会の専門調査員、こういうものにつきましては条文の中に「要介護者等の保健、医療又は福祉に関する学識経験を有する者」を対象とするということになっておりまして、ここには要介護者等の歯科医療に取り組んでいただいている学識経験を有する歯科医師、こういう人も当然入るというふうに考えているところでございます。  それから、ケアプランを作成する、そういうことになりますとケアサービスを提供する人たちと協力関係を持って作成していくことになるわけでございますが、こういうときに当たりましても歯科医師の積極的な参加が期待されているところでございます。  それからまた、ケアプランをつくります専門員、「介護支援専門員」というふうに条文では書いてございますが、一定の研修を受けることによりまして当然歯科医師の方もそれになれるわけでございます。  そういうようなことでございまして、法律の中には介護給付サービスの大事な一分野として歯科医の分野も入っているということでございます。
  95. 木暮山人

    ○木暮山人君 どうもありがとうございました。
  96. 水島裕

    ○水島裕君 厚生行政の中では質疑をしたい課題がたくさんございますけれども、きょうは画期的な医薬品の開発あるいは新治療技術の開発ということについて御質問をしたいと思います。多少専門的になるかもしれませんけれども、これは極めて大切なことでございますので、小泉大臣もどうぞよろしくお願いいたします。  少々バックグラウンドのことを申し上げてから大臣お尋ねしたいわけでございますが、御存じのように、この五十年ぐらいの間に日本人の平均寿命は著しく延びましたし、また、例えば胃潰瘍で手術をしなくて済むとか、健康状態も非常によくなったわけでございます。それをひもといてみますと、ほとんど大部分がすぐれた医薬品の開発ということだと思います。それとともに、きちんとした診断ができるようなCTスキャンとか、そういう治療技術、診断技術の開発ということでございます。残念ながら、そういうものがどこの国でできたかと申しますと、ほとんどすべて欧米なわけでございます。科学技術立国を目指している日本がほとんどこういう分野で国際貢献をしていないということになるわけでございます。  ちなみに、二、三年前に、現在自治医科大学の学長の高久教授と、それから幸田前厚生事務次官と私と三人が世話人になりまして、この辺のことを調べました。そうしましたら、画期的な医薬品と思われるものがここ何十年の間にどの国で開発されたかと申しますと、アメリカが二十八、西欧が全部足しまして二十九、日本がたったの二つでございます。そういう結果も出ているわけでございます。これが一つ。  それから次に、一昨日、大臣が所信表明でお述べになりました。エイズ、O157、いわゆる新興・再興感染症というものの治療、予防というものが非常に重要だと、ほかにエボラ熱とかそういうことも言及なさいました。患者さんに聞いてみましても、何が一番大切かというと、かからなくなる、それから病気になったら治るというのが大切で、もちろん医療費を出してもらいたい、そういうことはあるけれどもそちらの方が大切だということで、やはりそれも国として真剣に取り組まなければならない問題でございます。  こういうことを申しますと、最近は進歩しているとか、厚生省はちゃんとやっている、そんな急にはできないというようなことを申すのですけれども、お手元にお渡ししたと思いますけれども、  一九八三年ですから十四年前、朝日新聞の「論壇」に私が、日本の製薬会社は創造性を持てと、いろんな薬事行政の中の矛盾点を直すべきだというようなことを申しましたけれども、本質的には一、二改良された以外は現在でもほとんどそれが通用するという、そういう点では大変残念な状態なのであります。  そういうことを、三点ぐらいでございますけれども大臣、私と同じような認識を共有していただけるかどうか、まずお伺いしたいと思います。
  97. 小泉純一郎

    国務大臣小泉純一郎君) 専門的な見地から御意見を伺っていまして、なるほどなと。確かに医薬品について、欧米に新薬の点については劣っている点が現実の問題としてもあるということは残念だと思っています。  しかしながら、この御質問があるということでいろいろ私も、どういう点が劣っていて、これから追いつき追い越せということができるのかという点も役所の専門の担当している人に聞いてみたんですが、そんなに悲観する状況でもないと。確かに残念だけれども、いろいろ調べてみると、先進国の全医薬品についてアメリカ、欧州と比べると、アメリカが八十ぐらいあってかなり飛び抜けていて、欧州に比べても日本は二つしかないということですけれども、画期的なものと、その次に画期的なものと、そんなに画期的と言えないが十分役立っているものという、金メダル、銀メダル、銅メダルという範疇に入れると、金メダルの分では確かに二つしかとっていない、しかし銀メダル、銅メダル分のところを合わせると日本もそこそこ頑張っている。確かにアメリカに比べれば少ないんですけれども、じゃドイツとかイギリスとかフランス、欧州全体に比べれば少ないけれども、一個一個の各国と比べると肩を伍してやっていける状況だと。  今言われた反省すべき点、残念な点はありますけれども、これからそういう医療先進国に負けないように、基礎研究を初め医薬品の開発の面においても努力している分野が多い、希望を持ってやろうということで、御批判を受けながら前向きに積極的に追いつき追い越せという形で国民の健康に資することができればなと、その開発に向かって鋭意努力していきたいと思っております
  98. 水島裕

    ○水島裕君 ただいまの金メダル、銀メダル、銅メダルのデータは私どもがお出ししたデータそのものでございます。  私も厚生省を褒めたりけなしたり皮肉を言ったりいろいろ忙しいわけでございますけれども一つ褒めるとすれば、最近のオーファンドラッグの制度、それから一年前に出ました中医協の薬価のつけ方というのはとても私ども意見に合うのでこれは非常にいいわけでございますけれども、いろんな矛盾点があるので私はもしかしたらこの薬事法なんかをもう一回改正するぐらいにしなくてはいけないのかなというふうに思っているわけでございます。  それで、少し具体的なことでございますので業務局長にお伺いしたいわけでございますが、オーファンドラッグ法案というのはとてもよろしいと思います。ですけれども、すぐれた医薬品でもって、それで患者さんが多くいる疾患に使えるというのがある意味ではもっと大切なわけでございますね。そういう薬に関しましては、経済的援助は不要と思いますけれども、できる限り早く開発して、早く審査して患者さんに使えるようにするというのはある意味ではもっと大切なわけでございますから、そういう医薬品を厚生大臣が指定するとか、そういうことができればオーファンドラッグ制度と同じように開発が非常に順調にいくと思います。  もう一つは、日本の中にあるものもそうですけれども、主として欧米で使われている医薬品で、日本で使えば明らかに役に立つというものが私ども調査ですと五十とかそのぐらいは明らかにあるわけでございます。そういうものも何とか、厚生省あるいは学会に依頼するでもいいですけれども、何か委員会つくりまして、こういうものは厚生大臣が指定する画期的医薬品の候補にしたらどうかというふうに諮問できる委員会一つつくると物事がスムーズにいくんじゃないかと思います。  そういうふうに指定したものに関しましてはもっと行政も中に踏み込んで、こういうプロトコールで前臨床試験をしたらいいとか、あるいは臨床試験をしたらいいというふうに、FDAはアメリカ人のためになると思った医薬品に関しましては思い切ってそうやっております。製薬会社がもたもたしていても、いや国の責任でもうどんどんこれは進めるというふうにしてやっております。ですから、何もアメリカを追い越すという必要はなくて、追いつくぐらいの行政考え方ができないものかと。  その三点についてお伺いいたしたいと思います。
  99. 丸山晴男

    政府委員(丸山晴男君) 画期的医薬品につきましてオーファンに限らず指定制を設けてはどうか、また行政も積極的にプロトコールをつくるなどして促進してはどうか、あるいはまたFDAというお話でございます。  先生お話しのとおり、国民にとって必須の画期的医薬品につきましては、当然ながら一刻も早く臨床現場で使用できるようにすべきでありますけれども、同時に最近も御承知のように医薬品の有効性、安全性ということにつきましては未知の分野もいまだ少なくないわけでありまして、その研究開発に当たりましては、有効性もさることながら、十分に安全性を確認しながら進める必要があるということは当然のことでございます。  オーフアンドラッグにつきましては、先生御指摘のように、大変すぐれた審査の仕組みができておりますけれども、オーファンドラッグに該当しないような医薬品につきましては、現在の薬事法におきまして、医療上特に必要性の高い医薬品について優先審査を行える仕組みが設けられておりまして、今後関係学会でございますとか中薬審などの御意見も聞きながら、必要性の高いものにつきまして優先審査の対象とする方向で検討してまいりたいと考えております。  また、既に欧米等で認可されております医薬品に対する承認審査に際しましては、外国で行われました臨床試験成績などの既存の公表データを最大限活用することによりまして迅速な開発を促進することが可能ではないかと考えておりまして、このような資料を有効に利用して開発の促進を図ってまいるということが必要だろうというふうに考えておるわけでございます。  行政が進める場合に何か厚生省委員会のようなものをつくってはどうかというふうなお話もかねてお伺いしておるわけでございますけれども、御指摘のような専門家による委員会を設けまして国内外の公表データの予備的な評価を行いますことは、承認審査段階でこれらのデータの取り扱いを円滑に決定する上で有益でございますので、研究班の設置といったような方式について今後検討を進めてまいりたいと考えておる次第でございます。  また、画期的な医薬品を含めまして、新薬の開発に関しまして企業からの相談に応じられますように、本年の四月から医薬品機構におきまして治験相談業務を開始いたしまして、医薬品開発の初期の段階から開発企業と十分な相談を行うことができるようにするとともに、審査担当官の計画的な増員を図りまして審査体制の充実を行い、審査の効率化、迅速化を図るというふうにしておりまして、これらによりまして国民から求められている画期的な医薬品の開発が効率的に行えるように対応してまいりたいと考えておる次第でございます。
  100. 水島裕

    ○水島裕君 大体同じ方向だと思いますけれども、後ろの方から少しずつもう一回確認いたしますと、窓口業務があることを知っておりますけれども、お答えいただいてもまだ多少パッシブな感じがいたします。ですから、これが明らかに日本国民のためになるということでしたら、相談というのじゃなくて、やはりもっと積極的に中に入って一緒にプロトコールをつくるとか、そういうふうにしていただくように、きょうすぐお答えは無理かもしれませんけれども、そういうふうにお考えいただくことが必要だと思います。  それから、最後から二つ目のも大体それでよろしいと思いますけれども、例えば今私ども臨床薬理学会で各専門家五名ずつ集まって、国民のためになる新薬、特に外国で使われているものを評価あるいは選別しているわけでございますので、そういう結果をあるいは中央薬事審議会でもう一回諮っていただいて、それを薬として認可するとか指定するというわけじゃなくて候補として指定するわけでございますから、もう少し気軽にやっていただけたらと思います。  それから、時間の関係で次に行きたいと思いますけれども、次は適応外拡大の問題でございます。  ちょっと易しく申し上げますと、ある薬がある患者さんに効くというので認可をとるわけでございます。それはそれでいいわけですけれども、ところが実際はほかの病気にもすごく効く、むしろほかの病気の特効薬であったというときに、製薬会社は、例えばほかの病気の数が余りないと、どうせ認可されているものだから、あるいは認可されても利益にならないからというので適応をとらないことが非常に多いのでございます。それでございますから、私ども学問的に、例えばハンセン病ではこの薬が絶対だ、あるいは膠原病にはこの薬が絶対だといっても認可がとれていないものが多いわけです。現場ではどうするかといいますと、すごくばか正直に認可がとれていないから患者さんに幾らよくても使わないという人もいますけれども、原則的には使って、費用は大学で出すとか病院で出すとか、あるいは多少良心がとがめても保険が通るような病気を書くとか、そういうことをしているわけで、一口に言って現場が非常に混乱している、あるいは良心がとがめるようなこともだんだん平気でやるようになってしまうということではないかと思います。  そういうことをなくすためにどういうことが必要かと申しますと、一つはやはり適応症を拡大することが必須の薬剤を厚生省あるいは厚生大臣が指定していただくということであります。  どういうふうにして指定するかというのは、オーファンドラッグと同じように基礎試験、それから従来からの試験、それから日本における幾つかの試験で指定すればいいわけでございますけれども、そういう薬が現にどのくらいあるかというのも先ほどと同じように調査をする必要があるわけでございます。私ども学会でも今やっておりまして、この間実は朝日新聞にも載りましたし、それから今週の週刊読売にも詳しく結果が出ておりますけれども、百以上そういう薬があるわけでございます。でございますので、それもやはり研究会のようなものをつくってもう少しはっきりと学問的に決めて指定するということができればいいんじゃないかと思います。  先ほど申しましたように、割合と数が少ない適応症の許可をとるときはどうしても製薬会社は経済的に損をするわけでございますので、そういうときにはやはり何らかの助成が必要だということ、そこまで業務局長お願いいたします。
  101. 丸山晴男

    政府委員(丸山晴男君) 先生御指摘の適応症の範囲の追加の件でございます。  既存薬品の適応症追加につきましても、その有効性と安全性を適切に評価するという必要がありまして、画期的な新薬と同様に優先審査の適用ですとか、国内外の既存データの有効活用を図りながら、関係学会の御意見をお伺いしながらその開発の促進を図ってまいることが必要だと考えております。  具体的には、これまで一部の難病の治療薬につきまして国が研究費によりまして研究班を組織して、この研究班により臨床データを蓄積して公表することによりまして開発を促進するという方法も講じられているわけでございます。今後、医療上必要不可欠な既存薬品の適応症追加につきましては、このような方式の拡大ができるかどうか検討してまいりたいと考えております。  また、実際問題といたしまして、既存薬品の適応症の追加を行うかどうかということは、これは製造いたします製薬企業の判断がまずございます。厚生省として直接適応症の追加を指導するということはいかがかと存じますけれども、本年四月に先ほど申し上げました治験相談業務が医薬品機構で開始されるわけでございますので、適応症追加につきましても医薬品機構が専門家などの意見、あるいは厚生省意見も聞いていただきながら医薬品企業を適切に助言、指導をしてまいるということでございます。また、その際には最近始まっておりますCRO、医薬品の研究開発受託機関の適切な利用も含めまして、この制度を有効に活用して適応症追加の申請を行いやすい環境をつくっていくということが適切であろうかと考えている次第でございます。
  102. 水島裕

    ○水島裕君 最後のCROの活用はぜひ進めていただきたいと思います。  製薬会社がどうしてもこういう適応症追加が必要だといってもなかなかやらないというときに、このCROでしたら国の、あるいは民間でもいいですけれども、研究費さえあればできることになりますので、それで承認がとれるようなデータをとりさえずれば、またこれは製薬会社の態度もおのずから違ってくると思います。  それから、お答えだけ聞いていますとどんどんうまくいくように聞こえますけれども、これは私どももう数年かあるいは十数年こういうことを言っているわけでございまして、それでも現にほとんどそういう適応症をとってくれたということはないのでございますね。この間の厚生委員会で私、エイズとかハンセン病とか、それからベーチェット病について質問いたしまして、ようやっとその中ではハンセン病だけ、かなり書類が簡単だったせいもあるけれども、ハンセン病の第一選択の薬剤だけ承認が、適応症の追加が認められたと。あとベーチェット病などもそのままになっている状態で、そういうのが何と百以上あるわけでございます。  今のようにやりますやります、できますできますと言っていたのでは多分あと五年ぐらい、これしょっちゅう言えばいいんですが、言う方も結構くたびれますので、自然といくようにしておいていただかないと、仮にこれで何も言わなくなりますとあと五年ぐらいたってもまたすっかり同じ状態だということに十分なるので、今井先生なんかもその辺はわかっているのでしきりに首を振っていただいておりますが、これは大体普通の、ある程度の知識のあるお医者さんでしたらみんなわかっていただくことであります。やはり、厚生省にはこういう実際のことをやっているお医者さんがもうちょっといないと本当はいけないんじゃないでしょうかね。我々が言わないと動かないというのでは困るわけでございます。  それで、こういうところで申し上げるのはどうかと思いますけれども、実際のところはその病気でもない病名をつけているということが多くなってしまうわけですね。この間も、数日前にこういう話をしましたら、ある病院は、事務の人が手が震えるんですね、これはハロペリドールという薬を出すとよくなるんですが、それは何と分裂病の薬なんですね、しょうがないから分裂病と書いて薬を出したそうです。そうしたら、それが後でうちの事務に分裂病がいるというので大騒ぎになったそうでございます。それから、がんの適応も薬によって違うのでございますね。そうすると、あるがんにかかると薬を使うために三種類ぐらいがんを持っているように書くということがあるように、そういうふうに聞いております。  ですから、先ほど私が申し上げているようなことをきちっと法律化するなり行政でしていけばそういうこともなくなるわけでございますので、余り小泉大臣もそういうことをお聞きになっていないかもしれませんけれども、いかがな御感想でございますか。
  103. 小泉純一郎

    国務大臣小泉純一郎君) 実はけさ初めて聞いたんですよ、そういうことがあると。わかりやすく言えば、頭痛の薬だと思っていたのが人によっては腹の痛いのにも効くと。ところが、そういうことができないというので、本当は本人の健康のためによかれと思ったことが、お医者さんにとっては良心をゆがめるようにうそを書かなきゃならない。そういうことのないように、実際健康に役立ついいのだったらばお医者さんの適切な判断が生かせるような措置を講ずるべきだなと思っております。
  104. 水島裕

    ○水島裕君 私どももわかりの悪いことは絶対言うつもりはございませんので、厚生省の方々はよく私どもと相談して、議員としてでもいいですし、学会の理事長とかそういう立場として相談していただいてもいいですけれども、こういう道をとれるというのが必ずあるわけでございますので、ぜひそのように大臣から指導あるいは見守っていただきたいと思います。  それでは、保険局長、今みたいな適応拡大のとき、非常に安い薬を適応拡大しますと、どうしてもそのためにお金がかかるし、今度は情報も出さなくちゃいけないし、何かのときには責任も生じてくるというので、もうほとんどただみたいな薬はすぐれた病気の適応を拡大するときに製薬会社にはどうしても経済的におもしろくないわけでございますね。そういうことがあるとどうしても行政というのはうまくいかないものでございますから、その点薬価の面で御配慮をするお気持ちがあるかどうかお尋ねいたします。
  105. 高木俊明

    政府委員(高木俊明君) 縦割りということで申し上げるわけではありませんが、今お話ございましたように、薬事法上の取り扱いをまずきちっとしなきゃならないというふうに思います。そういった中で、薬価を決める際にはやはりその薬が適切に使われるような、そういった配慮も必要だろうと思っております。
  106. 水島裕

    ○水島裕君 最後に治験の話をいたします。  臨床試験はなぜ大切かといいますと、今のような画期的な医薬品、あるいは必須の適応症を認めるためにも必要でございます。それからまた、今度四月から国際的に利用できる、あるいは通用する臨床試験をするわけでございますけれども、今のままですとなかなか日本で臨床試験は難しいからみんな外国に頼むという情勢なわけでございます。いわゆるドーナツ化がこういうところでも起こってしまうというわけでございますので、日本における臨床試験がきちっとできるように行政も対応しなくてはいけないわけであります。  いろいろ問題点はありますけれども、時間の関係で一番私が大切だと思いますのは、各医療施設できちんとした治験をするためには医師を補助する、協力するスタッフ、リサーチナースとかコーディネーターとかモニターとか、そういうふうに言っておりますけれども、そういう協力者を育てるということが必要なのでございます。  日本はそれに関して今ほとんど何にも取り決めがございませんので、業務局長お尋ねいたしますけれども、そういう協力者の何か身分とかそういうことを明確化する、場合によったら法制化する、そういうことができないとぐあい悪いわけでございますけれども、いかがでございましょうか。
  107. 丸山晴男

    政府委員(丸山晴男君) 先生お話しのように、治験につきましていわば欧米と同じようなレベルでの治験を、我が国の治験データが欧米でもそのまま使えるようにしていくということで治験の実施基準の改定作業が進んでいる次第でございます。  治験を円滑に実施する上で先生お話しの治験協力者の存在、大変大事でございます。それの業務あるいは身分の明確化ということでございますけれども現状といたしましては治験担当医師の方がいわばお一人でやっておられる、それを支える方がおらないというのが現状でございまして、まず治験の実施基盤として協力者をいかに確保するかということが当面大事だろうと思っております。数的には少のうございますけれども、今度の七月からできます審査センター等におきましても、全国の国立病院あるいは国立大学等の治験実施機関にも呼びかけまして、薬剤師等の治験についてもある程度の知識を持っている方にこういった審査センターへの参加を求め、ローテーション的にまたその大学病院あるいは国立病院に戻って治験の基盤に役立っていくというふうなことも考えている次第でございます。  お尋ねの身分の明確化につきましては、現在諸外国を調べましても必ずしも明確な公的な制度がない現状でございます。むしろ人材の養成が大事だろうというふうに考えておりますので、現在やっておりますGCPのモデル事業、治験実施基準のモデル事業等を通じまして、むしろ人材の育成をまず図っていくということが肝要かと考えている次第でございます。
  108. 水島裕

    ○水島裕君 GCPのモデル事業は私どもの大学もやらせていただくことになっておりますけれども、そういうところでも今言った治験協力者、リサーチナースみたいな人をどこかから連れてこないといけないわけでございますね。ですから、そういうところで育てるというのはほとんど無理でございまして、やはりそういう育成所を国としてどこか考える、国がする必要はないと思いますけれども考えるということをしないと、この四月からICH・GCP、国際的に通用する臨床試験を始めると口で言ったり文書ではどんどん来ますけれども、実際問題としてはそういうところまできちんと配慮をしていただかないと、我々もしなくてはいけないのかもしれませんけれども、しないともうただの文書だけになってしまうということでございますので、また帰ってよく相談していただきたいと思います。  いずれにしましても、新薬開発、それから適応症拡大、今の臨床試験といろんなことにしましても、現行の法律でやっていってもいいのでございますけれども、もう少しいろんなことを細かく決めて、アメリカなんかですともう少し国会でいろんなことを決めて、それに沿って行政当局でやってもらうというふうになっておりますので、そういうこともある程度ども考えなくてはいけないのかなと思っているわけでございます。  最後に、大臣、これで厚生省あるいは我々、それから製薬会社というものが将来の医学のためにいろいろ努力をしていくわけでございますけれども、医薬品の研究開発にしましても、それから臨床試験にしましても、これは医療現場が、医療機関が協力してくれないとどうしてもうまくいかないわけでございます。ですから、私の考えでは、先はどのように大臣が指定する医薬品あるいは治療技術に関しましては、そういう医療機関が協力する義務があるというよりか、できる限り努力するとか、そういうことがひとつ今後出てこないとうまくいかないと思いますけれども、その辺の可能性についてはいかがでございましょうか。
  109. 小泉純一郎

    国務大臣小泉純一郎君) 今までの御意見を十分参考にさせていただきながら、実際に医療に携わる方、専門家でありますので、そういう意見が十分反映されるような改善措置を講じていきたい、そう思っております。
  110. 水島裕

    ○水島裕君 最後に、安全性の確保ということは一つも申しませんでしたけれども、二度と大きな薬害を起こさないというようなこと、それから、先ほどから出ておりますように、薬で稼がないというのも、これは国際貢献のできるような医薬品をつくればそういうこともなくなるわけでございますので、そういうものと私が今申し上げたことがもう全部両立することでございますので、全体を見渡しながらぜひ行政を進めていっていただきたいと思います。  どうもありがとうございました。
  111. 渡辺孝男

    渡辺孝男君 平成会の渡辺孝男です。  今回はプリオン病、いわゆる狂牛病に関連した質問をさせていただきたいと思います。  狂牛病に関連しまして、類似の人の病気であります致死的痴呆性疾患でありますクロイツフェルト・ヤコブ病が注目されまして、厚生省では昨年の五月二日に緊急調査班を発足させまして、クロイツフェルト・ヤコブ病に関して緊急の全国調査を行っております。  昨年の七月三十一日に第一次調査の結果がまとまり、幸い狂牛病に関係する新型のクロイツフェルト・ヤコブ病はないということが報告されましたけれども、しかし一方で、ドイツより輸入しました生体手術材料であります乾燥ヒト硬膜の手術時の使用によってクロイツフェルト・ヤコブ病に感染した可能性が高い症例が調査を行いました一九八五年から九六年五月までの間に二十八例あることが判明しました。  従来のクロイツフェルト・ヤコブ病では百万人に一人というめったにない発症率なのでありますけれども、今回のヒト硬膜の手術例では一万人に一人と約百倍の発症率を保っているということであります。その調査報告書では、この硬膜移植でのクロイツフェルト・ヤコブ病の発症にはやはり移植した手術ということが関係があるのではないかというような結論になっております。そこで考えられるのは、硬膜を提供された方の中にクロイツフェルト・ヤコブ病の感染者がおられて、その製品が手術時に使われた硬膜の中に紛れ込んでいた、それが手術に使われてしまって不幸にも感染が起こったというような可能性が否定できないというような結果であります。  そこで、厚生省の担当の方に質問したいんですけれども、本調査で確認されました硬膜移植例二十八例の中で同一提供者、人の硬膜でありますから一人の人から何例か、何商品かが出るわけでありますけれども、一人の提供者から製品化された硬膜が複数の方に提供されてそれが複数の発症につながったというような、この二十八例中同一提供者から複数発症例があったのかどうか、その辺は確認されておりますでしょうか。
  112. 小林秀資

    政府委員(小林秀資君) 今、先生お話しいただきましたように、昨年の七月にクロイツフェルト・ヤコブ病の中間発表をいたしました。その中で硬膜移植を受けた方で見つかったのは二十八例でございました。その方々だけではなくて、患者さん全体で見つかった方七百十五例につきまして、実は臨床症状や病理解剖所見等の診断根拠とか、それから移植硬膜に関する情報等の収集を目的とする第二次調査を現在やっておるところでございまして、もう今集計を始めて解析に入っているところでございますが、その結果を本年三月中に取りまとめようと、大体そこぐらいでまとまるだろうと、このようなことで今進めているところでございます。  先生のおただしは、その中で同一提供者というのは同じ人の硬膜からつくった製品ということですね、それが複数の発症例について使われているのかどうか、こういうことでございますけれども、一般的には使用されたヒト乾燥硬膜のロット番号がカルテに記載されていないことなどから把握は困難であると思われますが、子細については二次調査結果を待ちたいと、このように思っているところでございます。
  113. 渡辺孝男

    渡辺孝男君 文献では、私も確認はしていないんですが、外国でもそういう同一提供者からの複数発症例というものは確認されてはおらないようでありますか。
  114. 小林秀資

    政府委員(小林秀資君) 外国でも確認はされていないと思われます。
  115. 渡辺孝男

    渡辺孝男君 一九八七年ごろの論文で硬膜移植によるクロイツフェルト・ヤコブ病が疑われるというような報告がなされまして、それ以後のヒト硬膜製品はアルカリ処理がなされるようになりました。  それで、厚生省の担当の方にちょっとお聞きしたいんですけれども、そのアルカリ処理がなされた人の硬膜というのは安全性は十分確認されているんでしょうか。
  116. 丸山晴男

    政府委員(丸山晴男君) 先ほどの全国緊急調査と並行いたしまして、中央薬事審議会に伝達性海綿状脳症対策特別部会を設置いたしまして御審議いただきましたところ、今のアルカリ処理、ナトリウム溶液一時間処理の伝達性海綿状脳症の伝達阻止に対する有効性は、ハムスターによる実験データなどがあり、現在のところ臨床的には安全と考えられると、こういったような意見をいただいておるところでございます。  また、八月一日に二回目の特別部会が開催されまして、そこにおきましても、ドイツにおける製造元の二社を呼んでヒアリングをしたわけでございますが、そのデータ、プロセス及び両社からの説明による限り、現在適用されている安全対策により、現在供給されているヒト乾燥硬膜は臨床的には安全と考える、こういうことでございます。その前提といたしまして、このヒト乾燥硬膜の製造会社はドイツに二社ございますけれども、現在はCJD等に罹患している可能性のあるドナーを排除する基準、それからCJDの病原物質と考えられるたんぱく質の一種であるプリオンを不活化する水酸化ナトリウム処理工程を導入している、こういったようなデータ、プロセスということを前提にいたしまして安全であると、こういった御意見をまとめていただいている次第でございます。
  117. 渡辺孝男

    渡辺孝男君 日本で旧製品からアルカリ処理の新製品に変更が開始されたのはいつごろでしょうか、その点をお聞きいたしたいと思います。
  118. 丸山晴男

    政府委員(丸山晴男君) 我が国のアルカリ処理された製品の輸入につきましては、ドイツで二社がつくっておりまして、それぞれのところから日本の輸入代理店が輸入を行っておりますけれども、早いところでは一九八八年、遅いところは翌年、それぞれアルカリ処理を施された製品の輸入を開始しているというふうに聞いております。
  119. 渡辺孝男

    渡辺孝男君 ちょっと後ろの方が聞き取れなかったんですが、遅い方は何年ですか。
  120. 丸山晴男

    政府委員(丸山晴男君) 遅い方は一九八九年でございます。
  121. 渡辺孝男

    渡辺孝男君 はい、わかりました。  厚生省は、汚染の可能性がある一九八〇年以前の製品が使用されないよう輸入会社に調査を指示したというふうにされておりますけれども、その指示をされた時期とその調査結果について簡単にお教えいただければと思います。
  122. 丸山晴男

    政府委員(丸山晴男君) 厚生省におきましては、先ほど申し上げましたような二回の、特に第一回目の特別部会におきまして、アルカリ処理導入前の製品について、既に使用期限は切れているが医療機関にないことを確認させることとする、こういったような意見をいただきまして、これを受けまして輸入代理店二社に製品の回収状況、これを照会いたしております。  その結果、一社につきましては、この意見を踏まえまして輸入業者により未処理品の回収あるいは処理品への在庫の置きかえを実施したというふうに聞いておりますし、また残る一社につきましては、これは本社からの指示で製品の中でドナーが追跡できないものがあるために、一九九五年までに製造した製品のすべての回収を行うということで回収を行ったというふうに承知をいたしております。
  123. 渡辺孝男

    渡辺孝男君 既に日本にはもう古い製品はないということだと思います。  そのアルカリ処理の新製品が市場に出回りました一九八八年当時、そしてまた日本に導入された八八年当時では、その輸入業者の方は旧製品と新製品の交換を責任を持って積極的に行っておりましたのでしょうか、その辺の事情がわかっていましたらお答えいただきたいと思います。
  124. 丸山晴男

    政府委員(丸山晴男君) 当時、早くアルカリ処理をした方のドイツ本社から輸入している輸入代理店の方が、ちょうど輸入代理店の交代がありまして、新製品をPRするということもあって、積極的に返品交換を実施したというふうに聞いております。  なお、その時点におきましては、後からアルカリ処理をした会社の輸入代理店の扱い数量が極めて少ないということもあり、また特にドナーの管理等についても非常にきちんとしているということで、主として最初のアルカリ処理を導入した会社から輸入をしている代理店がそういった回収、これは返品交換でございますが、これを実施したと聞いております。  なお、それでも完全にやられたのかどうかということもございまして、九六年の先ほどの部会の意見を踏まえまして、再度確認をさせたという次第でございます。
  125. 渡辺孝男

    渡辺孝男君 そうしますと、旧製品から新製品への切りかえが完了したというのはおおよそいつごろというのはわかりますでしょうか。それは会社の方でないとわからないということでありますでしょうか。わからなければわからないでいいです、非常に難しいと思うので。
  126. 丸山晴男

    政府委員(丸山晴男君) 私どもで最終的に報告を聴取いたしましたのが八年の十月でございます。その時点では不活化処理前の製品がないという報告を受けております。
  127. 渡辺孝男

    渡辺孝男君 八年の十月というのは一九八八年の十月ということですか。
  128. 丸山晴男

    政府委員(丸山晴男君) 平成八年の十月でございます。平成八年の六月に部会からの指示を受けて、なお在庫の確認をさせまして、その結果の報告を求めた次第でございます。
  129. 渡辺孝男

    渡辺孝男君 硬膜の移植例からクロイツフェルト・ヤコブ病患者が発生し、汚染された硬膜が原因となった可能性も否定できないというふうに一九八七年の報告がありまして、メーカーの方では大事をとってアルカリ処理の新製品に変更したわけですけれども、当時日本でも新製品が輸入されたのが、先ほど答弁にありましたように、早い会社の方では一九八八年の段階で新製品にかえられたということでありました。  その当時、厚生省としては何らかの対応というのはされておりましたのでしょうか。いろいろお聞きしますと、今回の狂牛病の騒ぎがあってから具体的な調査をしたようなことも聞いておるんですが、厚生省としては当時は何らかの対応をしたということはありますでしょうか。
  130. 丸山晴男

    政府委員(丸山晴男君) 当時につきましては、特に輸入販売業者からの報告がなかったということで、私どもとしては対応をいたしておりません。これはいわば製造承認の対象の範囲を超えていたということで、そういったようなことでございます。
  131. 渡辺孝男

    渡辺孝男君 硬膜移植から発症する場合には潜伏期間が大体数年から十年前後とされております。今回の調査結果では、発症例の手術時期は大体一九八三年から八七年ごろの症例が多いように見受けられます。しかし、発症時期としましては、九三年が六例、そして九五年が十例、九三年から九五年の間に半分以上の症例が発症しているわけですね。  今お聞きしますと、医療現場で新製品への変換というのが八八年で全部交換されたというのはなかなかきちんと確認されていないようですので、現場ではその後も古い製品を使った可能性があると考えられるのではないかというふうに思います。その場合には、もし潜伏期間が十年であるとすればまだ今後もそういう発症例が出てくる可能性がありますので、やはり厳重な追跡調査というのが必要になると思います。その追跡調査に関しまして、厚生省の方針を聞かせていただければありがたいと思います。
  132. 小林秀資

    政府委員(小林秀資君) クロイツフェルト・ヤコブ病については、私どもも今後も継続調査が必要だと思っております。そして、この一月に公衆衛生審議会の委員がかわりましたので、そこで再スタート、また審議会が動いていますが、公衆衛生審議会の成人病難病対策部会にクロイツフェルト・ヤコブ病等専門委員会というものを設置していただきまして、そしてこの二月十三日までの間に調査の実施要綱及び調査票を決定していただきまして、二月十三日に関係都道府県に通知を発したところでございます。調査対象は、平成八年一月一日以降の診断をされた症例、亡くなられた方も含めて調査対象として調査を二月十三日付で発したところでございます。  この調査の対象となる症例については、例えば硬膜のロット番号等、調査事項のカルテへの記載やカルテの保存が重要でありますので、こうした点も含めて脳外科学会等関係団体を通じて医療機関調査への協力を働きかけてまいりたい、このように思っております。
  133. 渡辺孝男

    渡辺孝男君 プリオン病の原因に関しましてはいろんな学説がありまして、これから判明するということであります。  ただ 医療現場ではカルテとかそういう資料の保存期間というのが五年というような形で決まっておりますので、万一将来プリオン病が感染していくのだということがはっきりすれば、さかのぼってそういう症例をピックアップするということが必要になってきますし、将来また治療法とかが開発されれば、残っていたカルテとかそういうものをもとにして危険性のある患者さんには治療を行うというようなこともできますので、脳外科で人の硬膜を手術したと言われるような症例に関しましては、やはり保存期間を長くしていただいて、プリオン病の原因がはっきりするまでは保存してもらえるような対応をとるべきではないか、そのように考えます。  それから、もう一つお聞きしたいんですけれども、我々ですと医療が原因となって起きた病気を医原病というふうに言うわけでありますけれども、もし今後このようなヒト硬膜の移植によってまだまだ症例がふえてくるということになった場合に、厚生省としてはどういう治療、療養の支援とか生活の保障みたいなものの支援というのが考えられているのか、その辺をお聞きしたいと思います。
  134. 小林秀資

    政府委員(小林秀資君) クロイツフェルト・ヤコブ病が医原病であるかどうかは別の問題とさせていただきまして、実はこの平成九年一月から特定疾患治療研究事業の対象疾患として指定をいたしました。そして、患者さんの医療費の自己負担を解消するようにしたところでございます。  また、この一月から市町村に対する補助事業と、いたしまして一患者の居宅での療養を支援するために、ホームヘルパーの派遣、短期入所、それから日常生活用具の給付等を内容とする難病患者等居宅生活支援事業という名の事業を開始したところでありまして、今後ともクロイツフェルト・ヤコブ病患者における医療面、生活面の支援策の充実に努めてまいりたいと思っております。
  135. 上山和人

    委員長上山和人君) 質問時間が残っておりません。
  136. 渡辺孝男

    渡辺孝男君 じゃ、最後に一言。  今まで質問させていただいたんですが、重要な感染症対策一つだと思いますので、今後、小泉厚生大臣にも対応をよろしくお願いしたいと思います。   以上で終わります。
  137. 菅野壽

    菅野壽君 社民党の菅野でございます。  私は、今般の厚生省の新人口推計についてお伺いいたします。  新人口推計では、少子化がさらに深まる可能性があるということでございます。減少の一途をたどる。私は総合病院を開設していまして、産婦人科並びに小児科を持っておりますが、まことに大変な少子化時代に、婦人科はもうお産なんてほとんどない、かつて何十もあったお産もほとんどないというような状態で、人一倍私はこの問題について深刻に考えておるものでございます。  私は昨年の七月の決算委員会においてもこの少子化について御質問申し上げました。晩婚化から非婚化に行くのではないかと申しましたところ、そのときの厚生省の総務審議官は晩婚化で説明できるのではないでしょうかということのお答えでございましたけれども、現在どういうふうにお考えでございましょうか。
  138. 中西明典

    政府委員中西明典君) 昨年御答弁申し上げた際、未婚率の上昇というふうに答弁させていただいたかと思います。出生率というのは未婚率の上昇と結婚した夫婦の子供数に影響されてくるものでございますが、近年の出生率の低下は未婚率の上昇によるウエートというのが非常に高いという分析がなされているところでございます。  実際に最も子供を産む年齢層に着目いたしますと、二十五歳から二十九歳の女性の未婚率でございますが、この十年間で三割から五割に上昇しておりますし、また三十から三十四歳の女性の未婚率も十年間で一割から二割に上昇しているところでございます。こうした傾向が先生御指摘されておられます非婚化といいますか、生涯未婚率の上昇に結びついていくであろうということは今般の新しい人口推計においても仮定として織り込んでいるところでございます。
  139. 菅野壽

    菅野壽君 今回の新人口推計によって年金財政に及ぼす影響はどういうふうになっておりますでしょうか。
  140. 矢野朝水

    政府委員(矢野朝水君) 御存じのとおり、公的年金といいますのは積立方式ではございませんで、そういう要素もまだ多分にございますけれども世代間扶養というような要素が非常に強まっておるわけでございます。したがいまして、将来の出生率がどうなるか、それから将来の経済成長がどうなるかということによって大変な影響を受けるわけでございます。したがいまして、今回の新しい人口推計によりますと出生率が一段と下がるということでございますので、年金にとっては非常に厳しいことになるわけでございます。  したがいまして、次期財政再計算は平成十一年でございますけれども、今回の将来人口推計を踏まえまして、それからまた経済成長等他の要素も勘案いたしまして、十一年改正につきましてこれから検討していきたいということを考えております。
  141. 菅野壽

    菅野壽君 新しい人口推計を踏まえて暫定試算を提示しておられますが、今回もそのような考えをお持ちですかどうですか、伺います。
  142. 矢野朝水

    政府委員(矢野朝水君) 今申し上げましたとおり、出生率の動向というのが年金に大変な影響を及ぼすわけでございます。  それで、今回の新しい人口推計によりまして具体的にどういう影響が出てくるのかということを現在試算しております。前回平成六年の再計算といいますのが平成四年の人口推計に基づいておったわけでございます。したがいまして、その平成四年の人口推計にかえまして今回の人口推計で試算した場合に保険料率がどの程度影響を受けるのかということで、現在鋭意試算を行っているところでございます。できるだけ早い機会にその結果を公表したいと思っております。でき得ればことしの三月中には公表ができるように努力してまいりたいと思っております。
  143. 菅野壽

    菅野壽君 世代間の助け合いである年金制度において、若い世代年金制度に親しめるよう、子育て期間中に保険料の軽減策及び育児年金の支給等新たな子育て支援策を講じるべきであると思います。少なくともこの問題は次期財政再計算に向けた最大の課題の一つと思いますが、いかがでしょうか。厚生大臣、お伺いしたいと思います。
  144. 小泉純一郎

    国務大臣小泉純一郎君) 少子化の問題、いろいろな方面に影響を与えてくると思いますが、わけても一番大きな影響を与えるのは年金問題だと思います、将来のことを考えますと。そういう中にあって、今子育て支援対策というのをどのように充実させていくかという議論がいろいろ行われていますが、今すぐ子育て期間中の保険料軽減とか、あるいは新たな年金の問題を考えるということにはすぐつながらないのではないかな、もう少し幅広い議論が必要ではないがなと思っています。  年金改革はこれからしていかなきやなりません。それと、少子化傾向を食いとめる、少子化問題を考えるというのが今すぐこの出生率の低下でやった方がいいのか、もう少し少子化の傾向というのは、晩婚化、非婚化だけでなくて、どういう影響を与えるか、また子育てしやすいような環境というのは、厚生省だけでなく、労働省やらあるいは文部省やら建設省やら、いろいろ関係があると思います。同時に、人口問題審議会等でこれから御議論いただくと思いますけれども、各界の方々が関心を持っておられますから、そういう幅広い議論を経て検討していく問題ではないかなと、そういうふうに考えております。
  145. 菅野壽

    菅野壽君 少子化問題につきまして国民的な論議が求められると思いますが、年金財政のみならず、我が国の社会経済そのものに深刻な影響を与えると思います。エンゼルプランを抜本的に見直す等々も必要かと思いますが、この点いかがでしょうか。
  146. 小泉純一郎

    国務大臣小泉純一郎君) エンゼルプランはエンゼルプランとして推進していきたいと思います。  特に、厚生省としては子供を持ちたいという人が安心して子供を持てるような環境をどうやって整備していくか、これが大事であります。また、家庭において子育てを支えるために、多くの社会皆さんがそれを支えていく環境をどう整えるか。特に、平成六年に文部省、労働省、建設省、そして厚生省、この四省の合意によりエンゼルプランが策定されたものですから、当面はこの連携のもとに策定した施策を推進するという観点から、平成七年度から緊急保育対策等五カ年事業を実施しておりますから、これを着実に目標を達するために推進していく。そういう観点から、今後、先ほど申し上げましたような幅広い議論をいただいて、この少子化問題をどうとらえるか、子育て支援策をどう充実していくか、その観点もあわせて検討していきたいと思っております。
  147. 菅野壽

    菅野壽君 精神科救急医療システムの整備についてお伺いしたいと思います。  私は精神科の医者として五十年、長年携わってきておりますが、深い関心を寄せております。関係者間の合意を踏まえ、一刻も早い法案提出を願うものであります。  平成七年度に設置されたわけですが、今時点で整備がおくれているように思われますけれども、その理由及び目途についてお伺いしたいと思います。
  148. 中西明典

    政府委員中西明典君) 精神障害者の休日、夜間における緊急時の精神医療の確保を図るという観点から、平成七年度より精神科救急医療システム整備事業、これに着手しておるところでございまして、現在十二都道府県において事業が実施されております。  ただ、この導入に際しましては、精神科救急医療施設となる医療機関等との事業の実施方法や実施体制の調整に時間を要しておるところでございまして、精神障害者の緊急時の精神医療の確保を図る観点から、私どもとしてはできるだけそういった地元における調整に尽力していただき、その上で平成十年度までには全国で整備が整うよう持っていきたい、かように考えております。  精神科救急医療システムの整備がおくれている理由でございますが、例えば事業を円滑に実施していく上では市町村、消防、警察等々の関係各機関に協力を得るための調整に時間を要しておるとか、あるいは候補となるような救急医療施設が集まらないとか、救急医療施設間の意見調整に時間を要しておるとか、あるいは候補病院の協力を得ることがその地域ではなかなか難しいとか、圏域の問題、一都道府県内にどのような圏域を設定していくのかとか、各般のいろいろな問題に地元では直面しておるようでございまして、できるだけそういった調整を進めて全国的な整備を図っていく方向で私どもとしましても努力いたしたいと、かように考えております。
  149. 菅野壽

    菅野壽君 精神科ソーシャルワーカーの資格制度化でございますが、障害者プラン、中でも精神障害者の保健医療福祉施設の充実に関連して、ソーシャルワーカー及び臨床心理技術者の資格制度化の問題について平成七年度の研究班において関係団体の間でほぼ合意がまとまり、今国会にも提出が検討されているやに聞いておりますが、この法案提出の目途及び新たに制度化される資格の骨子についてお伺いしたいと思います。
  150. 中西明典

    政府委員中西明典君) 精神科のソーシャルワーカー、それから臨床心理技術者につきましては、先生御指摘のとおり、精神保健法の附帯決議でも資格化について決議がなされておるところでございまして、私どもといたしましても、そういった附帯決議等の趣旨も踏まえ、厚生科学研究班において昨年以来検討をしてきているところでございます。  精神科ソーシャルワーカー、PSWにつきましては、喫緊の政策課題である精神障害者の社会復帰を促進していく上で必要な諸問題の解決や相談、援助等を行う職種としてとらえておりまして、現在関係団体の意見を踏まえながら資格の骨子の内容についても検討を行っておる段階でございます。関係団体等との調整がついたならば、その段階で資格化のための法案国会に提出したいというふうに考えております。  それから、臨床心理技術者につきましては、これも関係団体の意見を踏まえながら検討を行ってきておるところでございますが、業務の内容あるいはほかの医療関係職種との関係等々議論すべき課題がかなり多く残されている状況でございまして、成案を得るにはいましばらく時間を要するのではないかというふうに考えております。
  151. 菅野壽

    菅野壽君 次に、消費税引き上げに伴う診療報酬改定率の積算根拠についてお伺いしたいと思います。  この四月から消費税率が引き上げられますと、診療報酬は実質〇・三八%引き上げられることが決まっております。このうち消費税率引き上げに伴う改定率は〇・七七%と説明されておりますが、この改定率算出の根拠、考え方について具体的に教えていただきたいと思います。
  152. 高木俊明

    政府委員(高木俊明君) この四月の消費税率の改定に伴いまして診療報酬の改定を行うことにしておりますが、この考え方としましては、医療機関負担します医薬品、それから食事材料等の仕入れに係る消費税相当分、これを適正に診療報酬に転嫁するという考え方に基づいて実施するものでございます。  この診療報酬の具体的な改定率の算出でございますけれども、これは平成七年度に医療経済実態調査、それから消費税関連詳細調査をやっておりまして、これに基づく医療機関におきます消費税の課税コスト、これをはじいております。これに基づきまして必要な改定率を算出させていただいておりまして、その結果、満年度ベースでございますけれども、改定率が〇・七七%ということで考えております。
  153. 菅野壽

    菅野壽君 次に、損税解消に向けての回答についてお伺いしたいんですが、厚生省は診療報酬全体の〇・七六%の改定を行い、これで消費税引き上げに伴う影響はすべて補てんされたと説明をされておられますが、実際は不十分で、医薬品や医材料等に係る消費税について多額の損税を医療機関が抱える結果となりました。  厚生省の御説明を伺っていますと、積算の考え方は基本的に平成元年の補てんの考え方を踏襲しておられます。これでは医療機関がさらなる損税を負担しなければならなくなることは確実であります。加えて、今回の診療報酬改定では薬価引き下げ分の全額技術料振りかえが認められず、実質〇・三九%のマイナス改定となっており、医療機関におきましてはダブルパンチと言わざるを得ません。  いずれにせよ、この問題は病院経営にとって極めて深刻な問題であります。厚生省はこの問題をどう認識しておられるのか、医療機関がこれ以上の打撃をこうむることのないようにぜひ検討をお願いしたいと思いますが、お答え願います。
  154. 高木俊明

    政府委員(高木俊明君) まず、消費税の引き上げに伴う改定率、これが〇・七七%というふうに申し上げたわけであります。これは消費税の相当分についてただいま申し上げましたような適正な転嫁を図るということでありますが、その際に現行の薬価、これについて実勢価格を把握するということで薬価基準の改正をいたしております。これは直近の薬価を調査してその薬価に乗せて消費税分を転嫁するという必要があるものですから、そういった形で薬価基準の改正を行うことにしております。  薬価基準についての調査結果によりますと、現在よりもトータルで医療費ベースで一・三二%ほど薬価基準が引き下がるという形になるわけでございます。その際に、昨年の十二月に中医協でお出しいただきました意見書がございまして、その中で「診療報酬については、医療保険制度改革と一体となって、その合理化・適正化を推進していく必要があり、平成九年度において、技術料の適正な評価、国立病院等の入院医療定額払い方式の試行、長期入院の是正等のために、これまでの中医協の各側の意見を踏まえ、ある程度の診療報酬の改定を行うこととする。」、こういった御意見でございます。  この趣旨に沿って診療報酬についても改正を行うということでございまして、この分については中医協の中でどういった項目について具体的に改定をするのかということについて今御検討いただいておりますけれども、いわゆる診療報酬の合理化を図るための改定ということで〇・九三%ほど引き上げをするということでございます。そうしますと、消費税の引き上げに見合う転嫁分で〇・七七%診療報酬が上がります。これは消費税を補てんするというところにあるわけであります。それから、診療報酬の合理化改定ということで〇・九三%引き上げをするということになります。  一方、冒頭申し上げましたように薬価の引き下げ分が医療費ベースで一・三二%下がるものですから、この薬価の引き下げ分を差っ引きいたしますと、ネットで〇・三%医療費が上がる形になるということでございます。
  155. 菅野壽

    菅野壽君 私が医師免許証をもらってからもう五十年、終戦間際にもらいましたから五十年たちます。いつでも新聞や何かで厚生省はこうせいああせいと言って、医師会いじめのようで私の身にはこたえております。どうかひとつ、厚生省の皆様方、英明なる小泉厚生大臣の傘の下におって、大臣のそでにすがることなく、さっき宮崎先生の話では、いや厚生官僚も悪いけれどもそれよりも政治家が悪いんだと言われましたけれども、私は年金の問題、少子化の問題、それからいろんな問題がここに山積しておりますが、厚生官僚の将来に対する見通しの甘さが今日ここに少子化を招き、そして年金の危機を招き、それから保険料率を改正せざるを得ない状態になったと思います。  御反省なさっていますか。
  156. 高木俊明

    政府委員(高木俊明君) 一つちょっと、申しわけございません、今私はトータルの医療費の改定率を〇・三八%というふうに申し上げるところを〇・三%と申し上げてしまったようでございまして、これは〇・三八%の間違いでございますので、訂正させていただきます。  これも含めて、今、先生の御指摘の点、非常に重要な点でございます。私ども肝に銘じて反省をして、これから厚生行政の進展のために全力を傾けて努力をいたしてまいる覚悟でございますので、どうか御支援のほどをお願い申し上げたいと思います。
  157. 菅野壽

    菅野壽君 御経験豊富な大臣、どうかひとつ厚生行政の百年、千年の大計を見て、抜本的という言葉が何遍も出ないで今度の抜本的でいいように、御改正願えるように、ひとつ英通なる手腕を御発揮願いたいと思います。  これで終わらせていただきます。
  158. 今井澄

    ○今井澄君 民主党・新緑風会の今井澄でございます。  きょう、ずっと議論をお聞きしていまして、特に午前中の議論の中で、興味深い政治家の責任と官僚の責任の問題、アカウンタビリティーの問題や、そういうことで私もぜひこれを論じたいと思いますし、またもう一つ公的負担率の問題、俗に国民負担率と言われるこの問題の是非の問題もちょっと論じてみたいと思うんですが、やはり与えられた時間の中でちょっと準備してきたものがありますので、まずとりあえずそちらの方からさせていただきたいと思います。  実は、昨年の十一月七日、私の地元ですけれども、長野市の栗田病院という、全くの個人経営なんですけれども、精神科の病院、一般病床も若干ありますが、七百二十床というかなり大きな病院の院長が詐欺、有印私文書偽造、同行使の疑いで逮捕されたところからこの事件が明るみに出たわけです。その後、この院長は所得税法違反容疑、つまり脱税で再逮捕、再起訴されて、現在これから公判が始まろうとしているわけでありますが、この中で、特に精神障害を持った入院患者、あるいは退院をした患者に対する著しい人権侵害の実態、精神保健福祉法違反、さらに医療法違反の実態が明らかになってまいりました。  この発端というのは、患者さんのお金を預かっておるわけですが、貯金通帳から判こから全部院長が預かって、そこから自分で勝手に引き出して使っていたというのが発端であります。あと処遇上もいろいろ、勝手に電話をかけさせないとか、それからよくなった患者さんを自分の関連のところで働かせていて、その給料をピンはねして収入にしていたとか、ありとあらゆることが行われているわけなんですね。  それで、このことについて厚生省がどう把握しているかということについてまず第一にお尋ねしたいんです。定例の検査、医療監視とかそういうのを行っていたようですけれども、この間、この事件が起こってから精神保健福祉法に基づく実地指導及び実地審査を頻回に行っている、さらに医療法に基づき医療監視も行っているわけですが、そこで明らかになった実態の具体的な例を言っていただきたいわけです。  もう一つ、この問題は地元においても大変関心を持たれまして、長野県議会においても何人もの県会議員が質疑をしているわけです。ところが、精神保健福祉法に基づく実地審査など、こういう業務は機関委任事務であるということで、県当局が厚生省と協議してからということでなかなか公表をしないんですよね、一部は公表をしましたけれども。そのことに関して厚生省としてはどのように県を指導、あるいは県と協議するときに積極的にやってきたのかということもあわせて、その内容の公表についてどう指導したかということも言っていただきたいと思います。  それからもう一点、続けて御質問をいたしますが、最終的に入院患者の処遇の改善について法令違反の疑いがあるということで病院側から弁明書を出させ、それに基づいて先週の十二、十三日に立入調査をしたわけですね。ところが、その結果は、改善命令が出されない、改善されているということで命令が出されないということになったんですが、そうなると一体どういうことで法令違反の疑いがあったのかということ自身が公表されないままに今終わっているんですよね。  この辺のところも含めて、どういう人権侵害その他があったのかということを、厚生省の把握していること及び厚生省が県に対してどう指導したかということをまず明らかにしてください。
  159. 中西明典

    政府委員中西明典君) 御指摘の栗田病院につきましては、病院長の逮捕を契機といたしまして、長野県が実地指導、実地審査、それから医療監視を緊急に行ったところでございます。  その結果、精神保健福祉法の観点では、入院患者の預かり金等に不適切な面があったこと、あるいは入院時に退院請求等の手続に係る告知が適切に行われていなかったこと、それから一部の措置入院者あるいは医療保護入院患者の入院形態が不適切であったことなどが明らかになったところでございます。また、医療法の観点では、恒常的な超過収容、医療従事者の不足などが明らかとなつたものでございまして、これらについては既に公表がなされているところでございます。  その後、長野県が栗田病院の入院患者の処遇に関しまして、精神保健福祉法に基づく改善命令を前提として行政手続法に係る弁明手続を進めたところでございます。内容は、通信、面会の不当な制限や、あるいは理由がある場合は診療録に記載するというルールになっているわけでございますが、記載していない、そういったことに関する点でございました。その手続の過程におきまして、県が病院側から弁明内容を聴取し、さらにその実態を確認したところ、これらの事項については改善が図られたということが確認されたところでございますので、長野県としては、予定していた改善命令は発動しないといいますか、そういったこととしたところでございます。  それから、措置入院患者あるいは医療保護患者で入院形態が不適切であった者につきましては、それぞれ措置解除等の手続をとっております。その後も、県の改善指導事項の確認結果によりますと、措置入院者残余九名でございますが、一名は症状消失の届け出がなされ、ほか八名は引き続き措置入院継続が必要であったという確認がなされておりまして、これらの事項についても改善がなされているという確認結果が出ております。  また……
  160. 今井澄

    ○今井澄君 できるだけ簡潔にお願いします、時間が余りないものですから。
  161. 中西明典

    政府委員中西明典君) はい。  それから、医療法の関係でございますが、これらにつきましても改善計画を病院の方から出させまして、その上で、本日と聞いておりますが、改めてその改善がなされておるかどうか確認に入るというふうに聞いております。  もう一つ先生からの御質問でございますが、県側の情報公開への対応でございますが、厚生省といたしましては、長野県の方に情報公開に関する条例があると聞いておりまして、そういう条例がありますものですから、その条例に従って対応するようにという指示をしてきたというふうに承知しております。
  162. 今井澄

    ○今井澄君 そうすると、その情報公開については別に厚生省の方が消極的だったということはないというふうに理解していいんですかね。
  163. 中西明典

    政府委員中西明典君) 実地審査、実地指導に係る文書につきましては、国の方の行政情報公開基準がございまして、それに照らして県で判断して対応してほしいと、そういう指導をしたものでございます。
  164. 今井澄

    ○今井澄君 特に、先ほども言いましたけれども、改善命令が出ていればこういう点を改善しろということがはっきりするわけですけれども、命令を出さなくなっちゃった。直っちゃったということなんですね、改善されっちゃったと。そうすると、一体そもそも何が問題だったのかということが不明確になってしまうので、その辺はきちっと情報公開をできるようにしていただきたいと思います。  特に、今、人権侵害の点については時間の関係もあったせいかお触れになりませんでしたけれども、例えばマスコミなんかでいろいろ報道しているのは、新聞記者が病院に行って中の患者に呼びかけたら、窓のすき間から紙を落としたと。それを見ると、人を人として取り上げていないとか、地獄のような病院からお助けくださいとか、こういうことが新聞に出ているわけですよね。こういうふうなことについてやっぱりきちっと行政として対応すべきだと思うんです。  特に、この際申し上げたいのは、この精神科医療の問題は一九八四年の宇都宮病院事件で大問題になったわけで、これは国内だけではなく国連からも、あるいは国際的にも人権擁護団体などが日本に入って、そこで精神衛生法が改正されて精神保健法になったわけですね。さらに、その後障害者基本法ができて、福祉充実ということから精神保健福祉法ということに改正されてきたわけですが、それにもかかわらず今度のようなことがあると。しかも、それが刑事事件を発端として人権侵害がわかったということは、こうやってもう二度とああいう事件は起こすまいといって法改正をしたのに、それが全く機能していないということなんですよね。こうやって新聞記者が行って初めて、窓から助けてくれとか、電気が朝晩、それこそ一時間足らずしかつけられない、晩御飯を終わるともう電気を消されちゃうとか、冬も暖房が朝の一時間しか入らないとか、こういう事態がわかったわけですよね。  この間、十数年たっているのにこういうことがなぜ放置されてきたのかということが実は一番問題なんですよね。これに対してはやはり厚生省としては大きな責任を感ずる必要があると思うんです。患者さんが告知されていなかった問題もありますよね、入院するときに。患者さんにとっては、いろいろ不服があったら申し立てる権利があるわけですね。それで、その精神医療審査会がそれを受け付けて審査するわけですが、大体そこへ意見を言っていくことすら行われていないという実態がここで明らかになっているわけです。  そこで、この精神医療審査会の機能を強化して人権を守るというためにどんな方策を今厚生省はこの事件を契機に考えているのか。あるいは、もっと積極的に施設内に権利擁護機関をつくらせるとか、今、既に障害者の施設なんかの中にはできておるところがあるわけですね。あるいは、オンブズマン制度を取り入れて、積極的に物言えぬ患者さんのために人権を守る制度をつくっていかないと余り有効に今の法が機能しないんじゃないかと思うんですが、いかがですか。
  165. 中西明典

    政府委員中西明典君) 先生御指摘の精神医療審査会でございますが、各都道府県によってその審査の状況といいますか、機能の仕方がかなりばらつきがあるということは承知しておるところでございます。  現在、厚生科学研究で精神科医療に携わる方々あるいは弁護士の方々にお集まりいただいて議論をいただいておるところでございまして、一つは各都道府県の精神医療審査会の機能がそれぞれどうなっておるのか、うまく動いておるところ、うまく動いていないところ、そこをはっきりさせていこう、そこを分析すると。それからまた、これからの審査会の適切な運営のあり方というのはどういうものであるのかというようなこと。それから、先生御指摘のオンブズマンのような機能の持たせ方でございますが、これはもともと精神医療審査会自体がうまく動けばこれはオンブズマンとして機能するわけでございますし、それとは別にオンブズマンというのを考えなければならないのかどうか、そういった点も含めまして今関係者で議論をしていただいております。早急に結論を得て、精神障害者の人権擁護に遺憾のないような体制をとっていきたいというふうに考えております。
  166. 今井澄

    ○今井澄君 私は、これは非常に特異な病院でありまして、精神科の病院が全部そうだというわけじゃないので、余り権力の機能を強化するのもこれはいかがかなというふうに思います、現場に余り踏み込み過ぎてもですね。ですから、そういう意味ではもうちょっと、患者会とか家族会とかあるいはそういう自主的な形でのオンブズマンとか院内での人権擁護機関とか そういう形でできるような方策を行政としても考えていただきたい。ただ行政の権限だけを強めればいいということじゃないと思いますが、しかしこういうことが起こったことについては行政の責任というのは大きいものだというふうに思っております。  ところで、こういう非常に悪徳な病院が何で堂々と、七百二十床もの病床でしかも超過入院で今まで何もないかということなんですね。実は、地元ではうわさは前々からあったんですね。どうもおかしなことがあるということはあった。だけれども、どうしてこういうところに手がつけられなかったかというと、先ほど菅野先生が御質問になった精神科救急医療体制が整備されていないということが第一番の原因なんですね。それから、処遇困難者という非常に大変な患者さんを受け入れる病院がほかにないと。ここの病院に行けば何でも引き受けてくれるわけですよ。警察も保健所も近隣のお医者さんも家族もこの病院があることがありがたいんですよ。どんなに悪いうわさがあってもこの病院がなかったらこの地域は困るんですね。そこに問題があると思うんですね。  私は今から二、三十年前の救急医療の現場を思い出します。卒業して都内のある有名な個人の救急病院に行きましたが、当時の救急医療というのは個人病院でもうけ主義の病院が主として担っていたんですよ。そこに救急車で運び込まれる瀕死の病人は死んでもともとなんです。ですから、それをもうけの種にする病院がはびこっていたんです。それは大学病院も国公立病院も良心的な病院もみんな救急医療を嫌がって引き受けないからそういう病院が救急をやっていたんです。でも、みんな国公立病院とか良心的な病院が救急医療をやるようになってそういう悪徳病院は駆逐されたんですよね。それで救急患者が助かるようになってきたという現実があるんです。だから、私はやっぱり精神科における救急医療体制を早急に整備し、処遇困難者と言われる非常に大変な患者さんを積極的に国公立病院や公的病院やいいレベルの精神科の病院が積極的にやれば、こういう悪い病院には患者が行かなくなるということで整理されていくということを一つ考えるんですね。  それともう一つは、社会復帰がなかなかうまくいかないんですね。退院していいと言われてもなかなか地域へ、家へ戻れないということからこういう病院が引き受けちゃうわけです、何でも。ついきのうも私は現場のPSWをやっている人から聞いたんですけれども、ある病院を退院しろと言われたと。そうすると、ある長野のPSWがどこへも行くところがないというので相談を受けて、じゃ栗田病院を紹介しようかと言わざるを得なかったというんですよね。そういう状況がやっぱり一番問題だと思うんですね。  だからそういう意味では、もう救急医療体制のことは先ほど菅野先生の御質問があったから質問しませんが、この社会復帰、社会的入院ということは一般医療でもありますけれども社会復帰を十分にさせる、これをどうするかということが非常に問題だと思います。確かに、これは厚生省に今ちょっと事前にいろいろお話をお聞きしてみますと、予算もこの間十年間で十倍ぐらいにふえているんですか、相当力を入れてやっているんですけれども、これは地域がなかなか偏見を持っているから受け入れにくいという問題があって、予算を盛ってもそれだけ本当にこなせるかどうかという、心配もあるというふうなことがあります。  私はそこで一つ思い出すんです。自分たちがやってきた地域医療ですけれども、私どもは夜や休みになると地域に出かけていって話をするんですね。例えば集団検診を受けましょうと。当時、今から二、三十年前というのは、面倒くさいから胃の集団検診を受けないとか、集団検診を受けて異常があると言われたらがんが見つかるから、怖いから嫌だとか言って受けなかったとか、それから高血圧で塩分を減らすことがいいということを知らなかったとか、塩分を減らすことが必要なことはわかっていても減らし方がわからないとか、そういうところへどんどん夜とか休みに出かけていって健康教育をやったわけですね。  そうすると、この精神医療の分野でも、やはりお医者さんを先頭にして地域に出ていって、地域の人々の誤解を解きながら、アパートを借りたり厚生省から補助金を、県から補助金をもらってグループホームをつくったりというようなことをすれば進むんじゃないだろうか。ただ漫然と予算だけをつけて待っていても、これは受け入れる地域がなかなか難しいとうまくいかないと思うんですよね。もう一度ここは医療関係者の踏ん張りが私は期待されるところであるのじゃないかと思うんです。  私どもができたのは保健婦さんがいたからなんです、市町村、当時の国保の。国保の保健婦さんたちは夜でも休みでも私たちのために出ていく場、受け皿を準備してくれたんですね。地域で人を集めて私たちを呼んで座談会をやるとかなんとかという場を準備してくれた。ところが、精神科の問題は保健所が主にやっているんですかね。保健所は五時になったら帰っちゃいますよね。五時以降の活動はやらないんですよね。この辺にも一つ問題があるんじゃないかというふうに思うんですね。  そういうことで、救急医療体制、重度患者の受け入れの問題、それからそういう地域での受け入れ体制の問題、もう厚生省政府委員は結構ですので、厚生大臣、こういうことで何かお考えがありましたら、ちょっと。
  167. 小泉純一郎

    国務大臣小泉純一郎君) 今のお話、救急医療等御指摘の点、なるほどなという点が多いわけであります。  確かに、精神障害者に対しての一般の方々の誤解とか偏見、根強いものがあると思います。そういう点をどうやって解いていくのか。今のお話の点、大変重要な点を含んでおりますし、社会的な知識水準をどう上げていくか、また理解度をどう深めていくかというのは不断の活動が大事だと思っております。それらの点についても、単に予算を伸ばすだけでなく、どういう方法があるかこれから専門家の御意見を聞きながら充実していく必要があるなというふうに感じております。
  168. 今井澄

    ○今井澄君 引き続いて、今度は医療保険改革の進め方の問題についてお尋ねしたいと思います。  医療費の財源は公費と保険料と自己負担ですから、結局それをどういうふうに、医療費がふえれば上げていくかということしかないわけです。もちろん、一方で医療費の適正化もあります。私は、今この保険制度が非常に財政的に危機にあることと、それから公費を投入したいけれどもなかなか行財政改革がまだ進んでいないという段階で公費の投入は難しい、保険料を上げることは一つは国際競争力の問題で難しいということを考えると、自己負担のある程度のアップというのはやむを得ないことだと思っております。しかし、先ほどからの質問にも出ておりましたけれども、しょせん現在の案でやっても三年たったら医療保険財政がパンクでまた自己負担を上げるということになるだけのような気がしてなりません。  問題は、やはり医療制度医療提供体制を含めて抜本的な改革、それから医療保険制度の抜本的な改革、そしてそういう中でむだな医療費がどうやって節約できるのか、そして国民がよりよい医療をどう受けられるかということを示さなければ自己負担お願いすることはできないと思っています。  ですから、私はそういう意味で、簡単に言えば医療自己負担を上げるのは決めると、決めるけれども凍結をして、一年間なら一年間かけて抜本的な方向を出すということが必要だと思いますし、先ほど保険局長の御答弁の中でも、診療報酬制度保険者のあり方とフリーアクセスがいいか悪いか、これが主要な三点で、このことについて一年間以内に一定の方向を出そうということが出されたので、私はその方向で進む、まあこの三点だけではないと思いますが、私は非常に大事なことだと思います。  そういう意味では、厚生省の方でというか医療保険審議会で三段階で医療保険制度改革するというのが前から出されているわけですね。これを見ますと、まあ正確な区分ではないんでしょうけれども、ことしから大体二〇〇〇年ぐらいまで、介護保険法の実施ぐらいまでの間が第一段階、それから二〇〇五年までが第二段階、その後が第三段階、こんなペースじゃだめなわけですよね。実行できるのは五年、十年かかるものもあるにしても、基本的な方向は一年以内に出すべきだと思うんです。そのメニューについては、恐らくもう昭和五十九年の健康保険法の改正のときに、特に健康保険制度についてはメニューが出そろっていると思うんですね、あとは選択と決断だと思います。  どういう方向で進めていくべきかということですが、私は率直に言って審議方式は既に破綻していると思います。去年、介護保険について審議会は答申を出せませんでした。両論、三論併記ということは出せないということ。医療保険審議会も昨年の末に本当に一本化した方向は出せなかったんですね。端的に言いますと、利害関係者の集まった審議会ではもはや出せないと。  そこで、恐らく厚生省としては、今度は医療保険構造改革審議会というのをつくって、いわゆる賢人会議みたいなところでやろうと出してきているのかもしれませんね。私は、この方法というのは無責任だと思うんですよ。いわゆる学者、文化人、専門家というのが一体どういう資格で国民の生命や健康や負担にかかわる方針を出せるのか、これはおかしいと思うんですね。そこで先ほどの議論になった政治家と官僚との責任の問題が出てくると思います。  まことに、小泉厚生大臣が言われるように、私ども政治家は官僚の皆さんにほとんどの実権や何かをお任せしたということを反省しなきゃならないと思うんです。今、私どもが先頭に立つべきだと思うんです。しかし、日本の戦後政治あるいは明治以来の政治の中で官僚の皆さんにほとんどの実権を任せてきたということも事実なんですね。そういう中でも、やっぱり官僚の皆さんも責任を感ずる必要があるわけです。今、財政が苦しいから上げてくれじゃなくて、この財政を苦しくしたのはだれかということの反省も必要なんですよね。  私は、平成五年の本会議でも、代表質問の中で、政管健保への繰り入れを国が繰り入れないことについてはそれはまずいじゃないかということで、こういう質問をしているんですね。  政管健保について見れば、この間の収支状況は、標準報酬月額の上昇による収入増と、一方で医療費の伸びが低かったということに支えられ健全に推移してきてはおりますが、長期化する不況と、それから医療費がここのところまた増加傾向にあるということによって運営は楽観を許しません。九三年度の収支は、千三百億円の繰り入れ特例措置によってもなお辛うじて七十億円の黒字と見込んでいるようですが、これでは赤字転落のおそれも十分にあるのではないでしょうか。と私は警告をしてこの特例措置に反対したんです。  現にそのとおり、その年の赤字が九百三十五億になっているんですよ。こういう見通しの間違いを厚生省はやっているわけです。これは当時の厚生大臣のお答えですけれども、やっぱりこういうことの責任をきちっと考えてとってやっていかなければいけないと思うんですね。  そういう意味で、これからやはり問題は厚生省国会と、特にこの場できちっと具体的な方針を私は出すべきだと思うので、委員長にもそういう形で今後医療保険改革法案がもしかかってきたらフリーディスカッション等を通じて政治家が責任を持って報酬を決められるような審議の方法をお考えいただきたいと思います。  その辺で小泉厚生大臣に厚生大臣としての決意と政治家としての決意、そして大臣厚生省のあり方、そして医療保険構造改革審議会などで新しい方向が出せるものではないだろう、そこには責任がないんじゃないかということをちょっとお尋ねしたいと思います。
  169. 小泉純一郎

    国務大臣小泉純一郎君) ただいま今井先生が言っているようなことを私も厚生省内で幹部の皆さん議論しているところなんです、審議会の問題についても基本的な構造改革の方向についても。どのような構造改革が必要か、どういう点を検討すべきかというのはほぼ出そろっているんですね。ところが、どれを選択していいかという決断がつかない。それが実に多いと思うんです。議論を聞いても、衆議院委員会を聞いても参議院の委員会を聞いても、個々の議論で非常にいい意見を聞きます。党内まとまるかというと、まとまっていないですね、どの政党も。そういうことを考えて、今、政府としていろんな利害関係者も入れてやっとまとめた案が今回の医療改革法案なんです。  完全とは思っておりません。しかし、これから指摘されている構造改革案、与党三党でも一年以内に結論を出すと言っています。これは本当に出るかどうか私は心配しているんです。例えて言えば、過剰な医療費削減を図るために出来高払い方式の診療報酬の見直しに着手する、これ一つとっても大変なものです。政党でまとまるのかと。中には定額払いけしからぬと。じゃ定率でできるのかと。国会の中の委員会で定率でやるという政党は一つもない。薬剤費も一剤十五円、いかぬと。これも定率導入せよと個人的には言う人はいても、政党でまとまるかと。なかなかできない。そういう中で、財政状況が逼迫してこんなことはわかっていたという点もごもっともであります。しかし、何でもせっぱ詰まらないとやらないという点が随分ありますね。わかっているんだけれども、せっぱ詰まらないとやらない。こういう状況で、私は今回の案、不十分だ、あれがいけない、これがいかぬという批判をたくさんいただいておりますけれども、まずは政府案としてまとめてきた案を審議することによって構造改革案なり抜本案というのはいろんないい意見が出てくると思います。  そして、もう猶予がならぬぞと、一年以内に構造的な改革に向けて結論を出すと幸いにして与党三党で決めているということもありますから、これからの議論を通じて、当面は不備とは言われながらも、不十分とは言われながらも、将来の医療保険財政を安定的に運営するためにもこの程度改革が必要だろうという案を出しました。これは私は総合的な構造改革につながる第一歩だと、こういう案を出さないとまた延び延びになっちゃうということも御理解をいただきたいと思います。  最終的にいろいろな審議会のあり方という議論は、単に厚生省関係審議会だけでなくて、全省庁、役所の隠れみのじゃないのかという意見があります。事実そういう面も否定できない点がたくさんあります。これからいろんな識者の意見を聞くにしても、最終的に決断するのはこの医療保険については厚生省国会です。政治家です。政党です。そういう点を踏まえて、できるだけ早い機会に今の案よりもっと踏み込んだ構造改革案が、皆さんのいろんな知恵を出していただくことによってそこまで踏み込んだ改革案ができればなと。今回はその段階的な第一次案として皆さんの御議論を高めるために提供することができた。これによって私は、構造改革が阻害されたというよりも、むしろ今回の案によって今後的な構造改革に一歩前進するんじゃないかということを期待しております。
  170. 西山登紀子

    西山登紀子君 大臣は所信で我が国が大きな転換点に立っているということを言われまして、そして厚生行政においても、将来を担う子供たちやお年寄りが安心して暮らせる社会を実現するという観点に立って社会保障制度構造改革を進めますと、こんなふうに所信を述べられたわけです。  午前中の議論を伺っておりまして、大臣は、一つの内容として、年金の問題で今までの負担以上は嫌だというなら給付は下げるしかないし、支給年齢も引き上げるしかない、三つの選択しかない、こんなふうに結論づけて言われたわけです。私は、こういう御意見というのは国民に対する非常に重大な挑戦だなというふうに受けとめました。また、こうした方向が大臣のおっしゃる社会保障制度構造改革というならば、所信で述べられた「将来を担う子供たちやお年寄り」がどっちにしても結局は安心できない、そういう思いを強くいたしました。  日本共産党は、その活路の方向として財政再建十カ年計画を提示しておりますが、その議論は後日に譲るといたしまして、国民の今のニーズや意識がどうかということ、午前中、宮崎先生の方からも引用がありましたが、経済企画庁の国民生活の選好度調査というのがあるわけですけれども、この調査が非常に重要な点を出しております。  平成八年度の国民の意識とニーズということですけれども、この調査によりますと、一九八四年を境といたしまして国民の生活全般の満足度というものは顕著に低下をしております。一三・七から七・七という形で、約半減しているわけです。逆に、不満度はどうかといえば、三・五から六.五ですからそれこそ倍近くふえている。「どちらかといえば不満」というものを合わせますと、国民の二二・五%が今の生活に対して不満を持っています。こういう状況のもとでさらに社会保障の切り捨てが行われるべきではないというふうに考えるわけです。  そこで、大臣にお伺いいたしますけれども大臣は、憲法二十五条で「国は、すべての生活部面について、社会福祉社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。」としているわけですけれども、そういう憲法二十五条に言う国の責務を大臣としては促進する、そういう使命を負っているというふうに思いますけれども、いかがでしょうか。
  171. 小泉純一郎

    国務大臣小泉純一郎君) 政治というのは、いかに福祉国家を実現していくか、これが政治家として、また政党として最大の責務だと思っております。  そう考えてみますと、戦後五十年、我が国は世界の他の国々に比べて大きく前進を遂げて、公衆衛生の面においても医療の面においても年金の面においても遜色ない水準になってきたと思います。これは先輩の大変な努力であり、国民の勤勉のたまものだと思っております。これからもそのような方向に我々は苦心していかなきやなりませんし、一部だけを取り上げて福祉切り捨てというよりも、全体を見ながら、全国民が支え合っていくという福祉国家の実現に向けて努力するということによって、私は、憲法の精神に沿って我々は努力しているのではないかなと、そう思っております。
  172. 西山登紀子

    西山登紀子君 先ほどの選好度調査の中に、老後の見通しについて調べた調査があります。自分の老後に対して明るい見通しを持っているのかという質問に対して、やはり八四年度を境にいたしまして三五・八%からだんだん下がってきて、今回は二四・三%ということで、前回の二六・九からさらに下がっています。つまり、老後の見通しに対して明るい見通しが持てない、そういう国民がふえているということです。  重ねて要望いたしますが、福祉の切り捨てを行わないように、憲法二十五条の責務を果たしていただくように重ねて要望をして、次の質問に移りたいと思います。  大臣が所信で最初に述べられましたが、社会保障構造改革の第一歩として医療保険制度改革ということを述べられています。この医療保険改革ということですけれども国民負担というのは二倍以上、四倍近く、あるいはもっとふえる場合も出てまいります。もちろん、それに対してお年寄りを初め労働者団体の反対が強うございますが、注目されますのは日本医師会、それから薬剤師会、歯科医師会、保団連、こういうお医者さんの組織や薬剤師など専門の皆さんが批判や反対をしていらっしゃるというところが非常に注目すべき点ではないかと思っているわけです。  日本医師会の御意見を見てみますと、やはり今度の医療保険制度改革について幅広い意見を十分踏まえていない、それが第一点です。それからもう一つは、過重な患者負担を強制するものであって、中でも薬剤投与にかかわる患者負担は全く不合理きわまるもので容認できない、かなり強い調子で日本医師会の御意見があります。  そういうことで、医療現場や患者にとって今後重大な影響を与える改正案については十分時間をとって行うべきである、日本医師会のこの批判は当たっているし、大変注目すべきだというふうに私は思っております。私の地元の京都でも医師会の皆さんが、二十五地域ありますけれども、二十五の地域が全部こぞっていろいろな労働団体などとの共同行動に御一緒に参加をするというかつてない状況が生まれております。  そこで、厚生大臣にお伺いいたしますけれども、所信でも大臣はお述べになったように、厚生行政国民の命と健康と安全に直結するという認識は大臣もお持ちですので、厚生大臣として職責を果たしていく上で、直接日常的に国民の命と健康を預かっていらっしゃるそういう専門団体の皆さんの御意見をよく聞くべきだと思いますけれども、いかがでしょうか。
  173. 小泉純一郎

    国務大臣小泉純一郎君) ここまで日本社会が、医療水準にしてもあるいは平均寿命にしても公衆衛生にしても向上してきた、なおかつ長生きできる社会にしたいというその一応の目標を達成したというのは、現場に携わるお医者さんの皆さんや薬剤師の皆さん、この役割というのは大変大きかったと思います。これからも実際の医療考えると、現場の皆さん方の協力なしには一歩も進まない。当然現場の意見、一番よく知っている方々の意見を聞いていろんな改革をしていかなきゃならない、そういう視点は医療保険改革にしても、あるいは介護保険の導入にしても必要なことではないかなと思っております。
  174. 西山登紀子

    西山登紀子君 ぜひよろしくお願いをしたいと思います。  続きまして、医療改革という場合に、それでは国民負担増、また国民負担増による診療の抑制という方向しか医療改革の方向はないのかというと、決してそうではないというふうに思っております。  私たちは、予算委員会で志位書記局長質問いたしましたけれども、例えば高薬価の是正、それから透明性の確保、これは大臣もお認めになっているところですけれども、さらには私も当委員会質問いたしましたが、医療食やそれから寝具にかかわる利権の構造にしっかりとメスを入れていくということも一つ改革の方向です。  さらに、きょうは国民の健康保持のためには早期発見と早期治療、この予防をしっかりやる、こういう点でひとつ医療費負担を少なくするという方向はないのかということについて質問をしたいと思っています。  厚生省から資料をいただきました。大阪大学医学部の中西範幸先生の研究であります。「保健サービス医療需要に及ぼす影響に関する研究」ということで、これは私は非常に注目に値する研究ではないかと思っています。  大阪府下の九市を対象にして相関関係を求めているわけですけれども、結論として、老人保健法による基本健康診査受診率と被保険者一人当たりの診療費との相関、つまり受診率が高いほど一人当たりの診療費は低くなっているという、こういう相関関係がはっきりと出ております。また、保健サービスを十分に行うほど一人当たりの医療費もまた低くなっている、こういう相関関係が出ているわけですが、これはそういうことでよろしいのでしょうか。
  175. 羽毛田信吾

    政府委員羽毛田信吾君) 先生御指摘になられました論文につきましては、御指摘ございましたように、大阪府下の九市における四十歳以上の国民健康保険の被保険者一人当たりの診療費と、それから老人保健法によります基本健康診査の受診率あるいは住民一人当たりの保健サービス費との関係調査に基づいて研究したものでございますが、それで健康診査の受診率あるいは保健サービス費というものが高いほど医療費が低いという、いわば逆相関関係があるということでの研究結果でございます。  もちろん、今のように大阪府下の九市という限られた少例でのあれではございますけれども、そういった保健事業等が医療費に与える影響を示す、そういう意味での一つの研究であるというふうに思っておりますし、それは十分評価に値する研究であるというふうに私ども考えております。
  176. 西山登紀子

    西山登紀子君 予防の促進が医療費を抑えていくという一つの方向ではないかということで貴重な研究成果だと思いますし、大阪府下の九市ということでかなり全国的な普遍性を持っているんじゃないかなと思いますので、積極的に政策として生かしていく必要があるのではないかと考えています。  その次ですけれども、老人保健法による保健事業第三次八カ年計画が今推進されているわけですけれども、その目標に寝たきり老人の大幅減少ということがあります。骨粗鬆症財団の発表では寝たきりの第二位は骨粗雑症だということです。六十万人の寝たきり老人の最大の原因の一つが骨粗鬆症だということで、私も九三年にこの骨粗鬆症検診、婦人のモデル検診についてお聞きをいたしました。これは実施されてきておりまして、各地で大変歓迎をされております。平成六年度では百三十七自治体、平成七年度では五百四十三自治体、平成八年度は、予定ですけれども、七百五十三の自治体がこの骨粗鬆症の婦人のモデル事業をやるということで伸びてきています。この背景には骨密度への関心の高まりがある、そうではないでしょうか。
  177. 小林秀資

    政府委員(小林秀資君) 先生がおっしゃられたとおり、当局で所管している婦人の健康づくり推進事業の中でモデル事業として実施する市町村がふえておりまして、それだけ国民の関心が高まっていると認識をしております。
  178. 西山登紀子

    西山登紀子君 それで、そういうふうに実施されてきた結果はどうかと、今まで実施されてきた中からどんな教訓が酌み取れるかということなんですが、厚生省のつかんでいらっしゃる数字におきましても、例えば骨粗鬆症検診を受けた方の五・一%が要指導、要注意、要精密検査、五・一%の出現率ということであります。  さらに、私は水戸市の保健センターに行っていろいろと見せていただきました。これは大変よくおやりになっているところです。この水戸市は、こういうボーンチェック手帳、健康な骨づくりのために記録をしましょうという小さな手帳を発行しておりまして、これに検査結果を記録していく。自分で管理をして、カルシウムが足りないと言われればカルシウムをしっかりとるようにしよう、こういうふうな大変な工夫をされております。  この水戸市の結果ですけれども、大変注目いたしますのは、検査を受けた方の約三〇%が要指導、要医療でございます。異常なしというのは七割でございます。平成七年度骨粗鬆症のモデル検診を受けられた方は六千六百二十三人なんですけれども、そのうちで異常がないと言われた方は七割です。あとの三割の方は何らかの指導、医療が必要だと言われた方です。中でも医療が必要だと言われた方が四・九%、それほどいらっしゃるわけであります。  水戸市はそういう要医療の方々に、お医者さんの方に連絡をいたしましてきちっとフォローアップもしているということで、私は大変感激をしたわけですけれども、こうしたモデル事業というのは将来の寝たきりの予防に大変大きく寄与しているというふうに評価ができるのではないかというわけです。  ですから、自治体の要請に応じて、申請のあったところはすべて積極的に対応していただきたいと思いますけれども、いかがですか。
  179. 小林秀資

    政府委員(小林秀資君) 過去二年間につきましては、申請のあった自治体についてすべて対象としてまいりました。今後とも、申請のあった自治体については、婦人の健康づくり推進事業全体の予算の枠の中で可能な限り対応してまいろうと考えております。
  180. 西山登紀子

    西山登紀子君 よろしくお願いいたします。  厚生省のモデル事業が呼び水になりまして地域の予防検診活動を広げておりますし、婦人たちも自主的に自分の健康を見直そう、骨を強くしょう、健康に老いると、こういうふうな運動も強まっているという点で大変効果的ではないかと思います。  次にお伺いしたいのは、こうした非常に効果のある予防検診は、一般的に言ってすべての女性にあった方がいいのではないかと思いますけれども、いかがでしょうか。
  181. 羽毛田信吾

    政府委員羽毛田信吾君) 今、保健医療局長からお答えをいたしましたように、骨粗鬆症の検診につきましては、一つはいわゆる婦人の健康づくりの一環としてのモデル事業という形で、平成六年度から十八歳より三十九歳までの家庭の主婦等を対象にした検診を行っております。  また、平成七年度から骨粗鬆症検診を老人保健法の保健事業の一環として位置づけまして、節目検診と申しておりますが、四十歳及び五十歳の女性に対しまして実施をするということで逐次拡大をしてきているところでございます。
  182. 西山登紀子

    西山登紀子君 一般的に言って、すべての女性を対象にそういう検診の機会が与えられるのが望ましいのではないかということについてのお答えを。
  183. 羽毛田信吾

    政府委員羽毛田信吾君) すべての年齢に対しまして検診を行うということにつきましては、医学的にも毎年検診を実施するという必要性については必ずしも一致をしていないようでございます。しかし、適正な検診間隔ということについて、今のままでいいのかどうかという点につきましては引き続き検討をいたしてまいりたいと思います。  いずれにいたしましても、骨粗鬆症に対しましては一次予防という意味での部面が重要だというところもございますから、平成二年度から実施をいたしております保健事業によりまして健康教育というような側面でやっていくということもあわせてやっていかなければならないというふうに思いますので、そういった総合的な取り組みというものが要るのではなかろうかということで充実をしてまいりたいというふうに思っております。
  184. 西山登紀子

    西山登紀子君 それでは、時間がなくなりましたので、大臣にあわせてお伺いいたしたいと思います。  この婦人のモデル事業、骨粗鬆症に関する事業というのは大変効果的だということはもうはっきりしているわけですが、問題は今の対象が三十九歳までであってその先がないということ、それから勤労女性がその検診制度から外れているという問題があります。  さらに言えば、私は九三年に質問いたしましたけれども、今、女性の場合は、老人保健法の中で子宮がん、乳がんは三十歳から検診の対象になっているんですけれども、この骨粗鬆症を入れて三点セットにしてぜひ実施をしていただきたいということを九三年に質問いたしましたところ、当時大内厚生大臣は、全国的にそういう老人保健法に入れてやるということは確かに望ましいというふうにおっしゃったんですが、しばらくこの経過を見て検討させていただきたいというふうにお答えをしていらっしゃいます。  そこで、小泉厚生大臣、もうあれから時間もたっているわけですから、こういうモデル事業も進んできているわけですから、子宮がん、乳がんとあわせてこの骨粗雑症、女性に特有のこの骨粗鬆症を三点セットとして検診項目の中にぜひ加えていただきたいと思います。いかがですか。
  185. 小泉純一郎

    国務大臣小泉純一郎君) 予防ということは大事なことでありまして、今のお話を伺っていましても、寝たきりになるその要因の一つに骨粗鬆症があるということでありますし、特に女性に多いと。  前回大臣答弁でも、確かに検討するという答弁をされているようであります。その対策も私も重要だと思っておりますし、調べてみますと、平成六年度に十八歳から三十九歳までの家庭の主婦を対象としたモデル事業とともに、平成七年度には老人保健法に基づく四十歳、五十歳を対象とする総合健康診査の中に骨粗鬆症検診を追加したということでありますので、今後ともこの検診について充実に努めていきたいと。さらに、婦人の健康づくり事業、総合健康診査の実績等を踏まえて今後とも適切に対応していきたいと思っております。
  186. 西山登紀子

    西山登紀子君 先ほど位置づけられたというその節目検診なんですけれども、受診者がわずか一万人ぐらいでやはりまだまだ幅が狭いと思いますので、三十歳から婦人が子宮がん、乳がんというふうに受けるそのときに一緒に骨粗鬆症の検診も受けるというふうにすればより予防効果があると思いますので、もう一度大臣の積極的な御答弁を。
  187. 小泉純一郎

    国務大臣小泉純一郎君) 検討していきたいと思います。
  188. 西山登紀子

    西山登紀子君 ちょっとアレルギーの問題は時間の関係でできません。申しわけありません。  それでは次に、児童福祉法の問題について大臣にお伺いをしたいと思います。  一部の新聞の報道ですけれども、今度政府が考えている児童福祉法法案の中身が一部の新聞で報道されているんですけれども、私は非常に重大な問題を含んでいるというふうに思います。今の保育制度措置制度というものを利用方式に変えるということ、それからもう一つ保育料を均一の保育料にすると、そういうふうに報道されている点であります。  出生率の低下、それから少子化の中で最も要求されているのは子育ての費用負担の軽減と保育制度充実であります。これは私も九三年に当委員会でも質問したことがありますけれども、九二年末から九三年にかけて国民的な措置制度見直し反対の動きがあったということは大臣も御承知いただいているというふうに思います。  この現行措置制度というものは決して悪い制度ではありません。戦後五十年、女性が社会に進出をし、私も三人の子供を産休明けから保育所に預けて働いてまいりましたけれども措置制度があったなればこそ.いつのときも職場をやめるかあるいは子供を産むのかという選択に迷ってきましたけれども、そういうときにやはり措置制度がきちっと保育を保障するというそういう制度があったということが、これは私一人にとってだけではなくて、日本の女性が社会進出を果たしていく上で非常に大きな保障になったという、十分不十分は別としてそういう制度としての支え手であったということは、これは当時、丹羽厚生大臣もお答えになっているとおりであります。措置制度というのは役所が勝手に保育所を選んで入れてしまう、そんなふうに極論されている向きがあるわけですけれども、そういうものでは絶対にありません。  措置制度は三つの大きな意義がありまして、児童福祉法二十四条では保育に欠ける子供は保育所入所が保障されるということ、第四十五条、四十六条では最低基準の策定が明記されているということ、五十一条、五十三条、五十五条では市町村、それから国、県の財政保障、こういった公的な保障がきっちりと明記されている、これが日本保育制度でありま.す。  そこで、大臣にお伺いいたしますけれども、この措置制度を将来ともにぜひ堅持をし充実させていただきたいと思います。いかがですか。
  189. 小泉純一郎

    国務大臣小泉純一郎君) 措置制度の役割というものは私も当然あったと思います。しかしながら、今もっと進んで利用者保育所を利用される親御さんの環境も変わってまいりました。社会環境も変わってまいります。共稼ぎも多くなったし、御夫婦でそろって働きながらという傾向はこれからも多くなっていくと思います。  そういう中にあって、自分で選べる保育所、こういう点もサービスの向上ということから考えれば当然あっていいんじゃないかなと。その方がお子さんにとっても親御さんにとっても、また保育所を経営される方にとってもいろいろなサービスを工夫しなきゃならない。この競争によって私は今の保育所の水準、保育水準がもっと向上していくんじゃないかと。措置だけにこだわるのでなくて、もっとサービス競争をさせるような、また利用者にとって利用しやすいような保育所というものを考える意味において、私は、単に措置制度をずっと維持していくんじゃなくて、新しい視点が必要ではないかなと、そう思っております。
  190. 西山登紀子

    西山登紀子君 大臣保育所を利用されたかどうかわかりませんけれども、私は三人の子供を預けてまいりましたけれども、決して自分の要望、親の希望を申請の際に明記しなかったわけではありません。第一希望から第三希望まできっちりと聞いていただきました。  それで、最後にお聞きしますけれども、私の出身は京都ですけれども、京都の市議会で超党派で市議会の意見書というのが採択をされておりまして、大臣のところに届いているかと思いますけれども、その意見書にはこういうふうに述べられているわけです。  これは超党派の「児童福祉法改正にかかわる意見書」ということで、   選択制は、保育内容や保母の資質など、競争  原理によって全般の資質向上が言われている  が、一方では子供が集まらず保育園の経営基盤  が脅かされ、結果としてサービス水準が低下す  ることが危惧される。また、保育料の均一制導  入は、低所得者の保育料引上げに直結し、保護  者の負担増につながることになる。また、  本市においては、保育所措置制度を受け  て、京都市保育園連盟のプール制を支援してき  ており、このことが、保育所の安定した運営と  多様な保育サービスの展開を支えてきている。  したがって、保育所の安定した運営に十分配慮  すべきと考える。   よって政府においては、まず現行措置制度  の維持を基本に考慮しながら、児童福祉法改  正・施行に当たっては、市町村をはじめ関係者  の意見を十分に聴取したうえで、保護者負担  増や保育園の存続に関しても配慮し、慎重に取  り組むべきである。こういう意見書を採択しているんですね。京都市の場合は九〇%が民間の保育園であります。  大臣、最後にお聞きいたしますけれども、この意見書にもありますように、児童福祉法改正につきましては拙速に結論を急ぐのではなくて、市町村の意向を十分くみ上げていただく、また父母や保育労働者、経営者の皆さん意見も十分聞いていただく、措置制度の後退が起こらないように十分に検討されるように要望いたしまして、質問を終わりたいと思います。
  191. 小泉純一郎

    国務大臣小泉純一郎君) 保育所に限らず、どの業界も新規参入というのは嫌うものだと思います。新規参入になるとプラス面とマイナス面が必ず出てくる。  今言ったような新規参入によってサービスの質が落ちるようなことのないように配慮しながら、いろいろ議論がありますが、中央児童福祉審議会の中間報告においても、「保育に係る費用等に対する公費負担などの面において全体として公的責任が後退することのないようにすべき」とありますから、こういう点もよく考えながら検討していきたいと、そういうふうに思っております。
  192. 釘宮磐

    ○釘宮磐君 朝からの審議皆さんお疲れのことと思いますが、最後までおつき合いをいただきたいと思います。  きょう、私は小泉厚生大臣答弁を聞きながら、私がちょうどまだ自民党におる当時、小泉大臣が郵政大臣を務めているときに、高齢者の郵貯の問題で非常に衝撃的な発言を逓信部会でなさったことを思い起こしております。それ以来、立場は異にしましたけれども、小泉大臣の明確な政治信条や行革に対する思い切った発言に対して私は非常に期待感を持っておる一人であります。  そういう中で、きょう私は冒頭に、やはりこの行革では社会保障制度といえども例外ではない。やっぱりむだがある部分についてはそれを是正していく。これは医療保険改革についても当然この問題は今後議論をされていくわけでありますけれども、そういう中で、きょうは午前中の尾辻委員質問の中でその年金問題に触れて、いわゆる低福祉負担でいくのか、中福祉負担でいくのか、あるいは高福祉負担でいくのかというようなことがこれからの国民の選択であるというふうに言われましたけれども、私もある意味では同感でございます。  そういう中で、私は、これはそういう期待をしている大臣でありますから、特に厚生行政にこだわらずお伺いをしたいのでありますが、昨年の総選挙で各党こぞって行政改革という言葉をうたいとげて、そしてこの通常国会を迎えたわけでありますが、私は正直言って、やっぱり国民は非常にがっかりしているんじゃないかなというふうに思うわけでございます。  実は、橋本総理、火だるまになってやられるというふうにおっしゃっていますけれども、どうもなかなか国民に見えてこない。先ほど厚生大臣が身につまされなきゃできないんじゃないかという発言をなさいましたが、私も実は最近そういうふうに思い出したんですね。政治家はある意味では御身大切、国民は豊かさぼけ、そして平和ぼけをしている。そういう中でだれもが責任を持たないようになってきている。私は、今こそ政治家がもっと国民に対してはっきり物を言っていかなきゃならない、そういうふうに思うわけでありまして、とりわけ、この行革というのは既得権を持った業界団体やいろんなところにメスを入れていかなきゃならないわけですから、これは政治家がしっかりしなきゃならないというふうに思うんです。  そういう意味で、今の橋本政権の行革について厚生大臣はどのように評価をされ、そしてどういうふうにこれから大臣として進めていこうと考えておられるのか、そこのところをお答えいただきたいと思います。
  193. 小泉純一郎

    国務大臣小泉純一郎君) 大変言いにくい、難しい御質問だと思うんですが、私をなぜ閣僚に橋本総理は起用したのか、いまだに不思議に思っているんです。しかし、不思議に思っていちゃいかぬと。行革に本気で取り組むんだなということを信じて、私は厚生大臣と同時に国務大臣としてやっていきたい。  そういう中にあって、各党がさきの総選挙で皆さん行政改革を公約に掲げられました。過去の責任を問うよりも、今の現状からどういう処方せんを出すかというのがこれからの政党にとって、政治家にとって大事だと思っております。過去の責任を問えば切りがありません。しかし、現実としてこれだけ借金まみれ、国民の税金が今どこに一番使われているかというと、社会保障でなくて国債を買っている人の懐に一番国民の税金が使われているという現状をどう思うのか。だからこそ行政改革、財政改革が必要だと言われたと思うのであります。そうなると、国債をもう発行しちゃいかぬ、増税はいかぬとなれば既存の経費に切り込むしかないんですね。国債費は切り込めない。となれば、一番使っている費用社会保障関係費公共事業関係、これが今一番国民の税金で使われている政策事業費であります。  ところが、福祉関係費用を切り込もうといったって十四兆の上でどのぐらいカットできますか。私は、カットするよりもこれからふえていくと思いますよ。公共事業十兆円弱、今削減しろといったって三兆円、四兆円の公共事業削減できないでしょう、十兆円の中で。となれば、どんな歳出削減したってこれは焼け石に水ですよ。だかちこそ行政機構全般を見直さなきゃならないというのが現在の課題だと思います。しかし、いざ各論に踏み込むと、郵政三事業を民営化と言っているのは私一人と言ってもいいぐらい、みんな反対ですよ。そんなことで行財政改革ができるのかと。  私は、だから今回、厚生大臣でありますけれども年金福祉事業団の廃止を含めた見直しを言った。というのは、年金を掛けている人の立場を本当に思っているのか。年金を掛けている人、財政投融資に預けている、有利に本当に運用されているかということをもっとみんな国民考えなきゃいかぬ、政治家も。財政投融資制度年金の金、郵貯の金、簡保の金を利用して確実で有利なところに投資、融資しなきゃならないという規定があるにもかかわらず、そうなっていない。ここに目を振り向けなきゃ単なる出口の特殊法人だけ言ったってしょうがない。これも大事でありますけれども、それを進めると同時に、私は財政投融資制度から、入り口の年金、郵貯、簡保を見直さなきゃならないという議論に持っていきたい。  当然、社会保障改革におきましても、私は現状のままで進むんだったらばこれは税金をふやすか保険料を上げるしかないということで、もっと社会全体の経済成長を高めるために若い世代にもっと負担を押しつけていいのか、企業にもっと負担を押しつけていいのかと考えると、これはせっかくここまで持ち上げてきた社会福祉水準の向上というものを、生み出してきた経済成長成果がなくなっては元も子もないという観点から今見直しを進めている。  私は、現状維持だったらば、確かに社会保障関係費はどんどん増額されていますけれども保険料を上げる、税金を投入する点は避けられない。それを避けるための知恵をお互い考えていこうというのが今回のいろいろな医療保険改革であり、介護保険導入であり、これから将未来る年金改革だと思っております。いずれにしても聖域がないというんですから、みんな選挙で言うんです、聖域なしで全員が歳出削減をしろと。具体論に進むときじゃないかということで、私はこの現状極めて危機的な財政状況というものが改革を促していくんだと。それに向けて一閣僚として何とか総理に額面どおりの改革をさせたい、口だけではない、実際に本格的な行財政改革の一助になればと思って厚生大臣として、国務大臣としてやっていきたいと、そう思っております。
  194. 釘宮磐

    ○釘宮磐君 全く同感でありまして、私はそういう意味では、きょうばいきなり質問通告のなかった話なので非常に答えにくい部分があったと思うんですが、私はぜひ閣僚の中で小泉大臣にそういう面での思い切った発言をしていっていただきたい。私は、そういう意味で政府が取り進むのであれば、太陽党も当然これに協力をしていきたいというふうにも思っております。  私は、二月一日から羽田党首に同行してワシントンに行きました。上下両院の六名の議員とお会いをしました。その中で、やっぱり非常に日本に対して何か突き放したようなイメージを私は持ったんですね。とりわけ、三人の人から日本行政改革できますかと、官僚は大丈夫ですかと、官僚という言葉を使って出されていたわけですけれども、そういう意味では政治が主導権を持っていかなきゃならぬということについて、きょうも午前中、政治の責任という問題を小泉大臣が言及されましたけれども、戦後のやっぱり我が国の政治というのは、ある意味では急激にふえたパイをいかに配分するか、私は政治家はクロネコヤマトだったというふうに言っているんですね。地方ではどの政治家に頼んだらいっぱいパイを運んできてくれるかというのが政治家の評価だったというふうに思うんですね。  そういう意味では、官僚が持っているある意味では予算の配分権といわゆる許認可権、そういうようなものを政治家が引き出してくるためにやっぱり官僚とある意味では癒着をしてきたというのはこれはもう目に見えたことなので、私は先ほどの議論を聞いていたら、これは政治家行政両方の責任だというふうに思うわけでありまして、そういう意味で思い切った構造改革というものをこれから進めていかないとこの国はもはやもたないというふうに私は申し上げておきたいと思います。  以下、私、きょう三つほど質問を用意していますので、その問題について質問をさせていただきたいと思うんですが、まず第一点目は、彩福祉グループをめぐる福祉汚職についてであります。  今回厚生省では、一月三十一日に「施設整備業務等の再点検のための調査委員会 第一次報告書」というのをまとめておるようであります。私は、これは非常にある意味ではけしからぬと思う。それは、結局この問題の中で、例えば指導監査の徹底だとか、それから適正運営の確保、何か現場だけに問題があるような、そういうニュアンスに映るわけでありまして、これもやっぱり大臣が先ほど言いましたいわゆる構造を変えなきゃだめなんだという中に私は起因すると思うんですが、いわゆる中央集権が起こした問題だと、私はこういうように思うんです。地域の実情がある意味では十分にわかっていない厚生省が箇所づけを認めていくということ自体、こういうこと自体が私はこういう問題を起こしてきたというふうに言っても過言ではない。私は、そういう意味ではこうした問題が起こると必ず規制を強化しろと。  衆議院予算委員会でちょうど私がテレビを見ていましたら、坂口さんとの間で議論がされておりまして、大臣は、それは確かにそうだけれども、規制というものも一緒にやっぱりやっていかなきゃだめだというような答弁をなさっておられましたけれども、今一番問題なのは、今、社会福祉施設をつくるとしたら政治家に頼まないとできないというんですよ。こういう話が地方ではもうまことしやかに言われているわけですよ。政治家がいわゆる頼まれて、そして施設を、許認可を、圧力をかけていく。例えば、中央集権から地方分権されたとしても、今度は県議会議員がこれまたやりますよ。  そういうふうなことを考えたときに、こういうふうな部分をどういうふうにして排除していくのか。地方の役人さんは一生懸命になって適正な人間というものを、この人の方がいいと思っていてもそうでない人が政治家の圧力によって前に出てきたりして、そしてそういう施設が問題を起こしてきているということは、もう私自身が長年社会福祉施設を経営してきていますからよくわかっているんですが、大分県でもこういう問題はやっぱりあったんです、過去に。これは風俗営業をやっている、キャバレーをやっている社長さんが施設を申請した。やっぱりますいんじゃないかと、我々の中でそういう議論はあった。しかし、もう亡くなりましたけれども、自民党の大物代議士がこれを非常な肝いりでつくった。そして、その結果、これはいわゆる知的障害者の施設でしたが、預かり金をその事業の赤字補てんに流用して、結果的に問題を起こしちゃった。  要するに、その施設を始めるときの入り口の段階でどうチェックができるのか、そのために政治がそういうものにかかわっていくということはどうなのか。そういう部分を今もっともっとこういう中に出していかないと、ただこういう報告書を出して、何か幹事を何人にしろだとか評議委員会をつくれだとか、こういう問題では私はない、そういうふうに思うんですけれども、この点についてはどうですか、大臣
  195. 羽毛田信吾

    政府委員羽毛田信吾君) 今回の報告におきましてのそういった施設の整備あるいは箇所づけ等につきましての御意見でございますが、私ども特別養護老人ホームの整備につきましては、既に御案内のとおり、市町村、そして都道府県段階におきまして老人保健福祉計画という、言ってみればそれぞれの地域福祉需要、そういったものの需要に基づきました計画をつくり、その計画にのっとった整備を進めてくるということで従来も進めてきておるわけであります。  そういうことから申し上げますと、まずそういった客観的な福祉計画に基づいた整備が行われているかどうかということをきちっとそれぞれの段階で審査をし、それに沿った整備が行われてくるということが大事だというふうに思っております。したがって、私どもとしては、補助金の採択等に当たりましては、そういった地方の計画にのっとってやられた都道府県等の補助の申請につきましては、交付の対象を決定する際にもこれを尊重してやっていくということでやってきているつもりでございます。  ただ、今回の事件が起こりまして、先生御指摘のような点がございまして、私どもとしては、一つには、そういったものが今のような建前ではなくて次心意的に行われるという余地がなかったかという点でございますと思いますので、それにつきましては、都道府県レベルでもそれが次心意的に行われないように審査を合議制でやるというような体制づくりをしていただく、そして国におきましてもそういった施設選定についてはこういう考え方でやっていくんだと。一番端的には、そういった地域における整備計画というものにのっとったバランスのとれた整備であるかどうかという点についてやっていくというようなことについて、客観的にそれぞれがその基準、物差しがわかるような状態を今回さらにつくっていくということを一つの眼目として出しております。  そういった考え方にのっとってやっておりますので、趣旨といたしましては、先生のおっしゃったような方向に向けて今回の報告を実現していくというふうにやっていくものと思っております。
  196. 釘宮磐

    ○釘宮磐君 私は、そういう建前論を質問しているわけじゃないんですね。いわゆる現実の問題として、厚生省から天の声が聞こえてくるような、そういうことによって適材適所に施設をつくる、さらにこの人は施設をこれからやってもらうにふさわしい人だというふうな人を地方がせっかく決めていても、いわゆる厚生省からの天の声やさらには政治家が介入してきてそれをやるというようなことを排除しないと、結局私はだめだという話をしているんですよ。  大臣、どうですか。
  197. 小泉純一郎

    国務大臣小泉純一郎君) そういう状況にするようにいろいろな基準を今明確化したわけであります、今話したように。確かに税金を使うわけですから、ある程度の規制は必要でしょう。むしろ今の議論から見ると、もっと規制を強化しようという意見が強いわけです。一方、余り規制強化をしたらやる気がなくなると、何で善意を信じないのかという御不満も一方にはあります。  しかしながら、国にしても県にしても市にしても、一担当者の恣意的な裁量、一人だけの恣意的な裁量を防ぐような措置を今回講じました。これによってできるだけ力のある者の特別な関与によって左右されないような明朗な基準が私は今回できたと思っております。中には、地域地域の実情で、それは実力者の声を全く無視するわけにいかない難しい点もあると思いますけれども、少なくとも今回の措置では、今までよりは私はそれぞれの手続が明朗化し透明化されたのではないかなと思っておりますが、今の御視点も踏まえて、具体的にどういう点が問題なのかというのは実際の個々のいろんなケースを見ないとわからない面もあると思いますけれども、今回の基準でかなりそういう点は乗り越えたのではないかなと思っております。
  198. 釘宮磐

    ○釘宮磐君 今回の改正でこれが乗り越えられたというふうに大臣はおっしゃいますが、私はなかなかそれは難しいのではないかなと。やっぱり入り口論で新規参入をこれからどんどんしてくるわけですね。新ゴールドプランあたりで介護保険ができれば、これからどんどん施設をつくらなきゃならない。そのときにいろんな手を使ってこれに参入してこようとするわけですから、そこのところでその人間がこれから将来社会福祉を任せてもいい人材なのかどうかというところのチェック、ここのところにいろんなものが介入してくるということが私は非常に問題だと。  きょうはもうこの辺でその議論は終わりたいと思いますが、実は私の父が昭和二十四年に検察庁をやめて施設をつくったんですね。その当時は母親を自転車に乗せて、後ろにリヤカーを引いて、そして市場に行って白菜なんかを、きれいにするためにはいで捨ててあるやつを競りが終わった後持って帰って、そして戦災孤児に食べさせた。そういう時代から施設をやってきた人間にしてみれば、今回のようなことというのはもう本当に腹立たしい話なんです。  そういうふうにして今日の社会福祉をつくってきた人間にも同じように何か規制を加えて、ああせいこうせいと言うこと自体が私は問題だと。それよりも入るところからしっかりチェックをしていくべきなんだ。そうしないと、本当にやる気のある人はもうやれなくなっちゃう。私はこのことを、きょうは厚生省の方がいっぱいおられますけれども、そういうふうなことを考えてこれからの取り組みをぜひしていただきたいなというふうに思います。  時間がなくなりましたので、あと二点ほど質問をしたいと思います。  法務省、見えていますね。いわゆる成年後見制度の検討状況についてお伺いをしたいんです。  これは障害者プランの中でも検討が宿題視されていますし、それから痴呆性老人の権利擁護のためのシステムについてもこれを検討するようにと言われております。  私は、知的障害者の施設の園長をやっていましたから身につまされているんですね。親が亡くなると兄弟が来て、そして私のところに入っている子供に判こをついてくれと言うわけです。私は、判こをつかないということを言えないわけです一ね。結果的に本人は、兄ちゃんが来たから判こを押してくれよというふうに言われると、本人は何もわかりませんから判こを押す。それは財産放棄の、いわゆる相続権の放棄の判こですよ。だけれども、我々は彼らに何にも、アドバイスも与えてやれないという、こういうふうな問題を考えたり、また最近では特養あたりで、一回も面会に来なかったような子供や親族が、親が死んだかと思ったら来て、そして何千万とあるような遺留金品をとにかく持っていく。そこで兄弟げんかが始まっちゃう。一方で、お骨はと言ったら、いや私のところは団地だからそんなものをもらって帰っても困ると。こういうふうな者に、一方で税金でずっと今日まで面倒を見てきた人間が渡さなきゃならないのかという、こういうふうな議論も早くやってもらわないと、矛盾というものがだんだん広がっていくとこれは取り返しのつかないことになる。  多分、法務省は今検討中だというふうな答弁だろうと思うんですけれども、遅過ぎるんですよ。これはもっともっとそういう意味では厚生省も一緒になって早くやっていただきたい。法務省の方。
  199. 揖斐潔

    説明員(揖斐潔君) 成年後見に関しましての法務省における検討状況についてのお尋ねでございますが、急速に高齢化が進展しております我が国におきまして、それにふさわしい成年後見制度を確立するということは緊急かつ重要な課題であると認識しているところでございます。  このような観点から、法務省におきましては、以前から必要な資料の収集ですとか、あるいは諸外国におきます立法化の動向の把握等を中心に内部的検討を進めてきたところでございますが、平成七年六月に開催されました法制審議会民法部会財産法小委員会というところにおきまして、時代にふざわしい成年後見制度のあり方というものを検討課題として取り上げることとされ、同年七月の同部会における調査審議の準備作業といたしまして、法務省内に設けられました成年後見問題研究会において検討が開始されたというところでございます。  現在この研究会におきましては、高齢者あるいは知的障害者等の財産管理等に適切に対応できる民事法の枠組みを創設するという観点から、禁治産あるいは準禁治産制度にかわる新たな行為能力制度をどのようなものにするのか、あるいは後見人、保佐人の制度をどのようなものにするのかなこといった点につきまして検討を進めているところでございます。  法務省といたしましては、成年後見制度につきましての社会的な要請が極めて強いということにも配慮をいたしまして、ただいま申し上げた民事法の観点から積極的に検討を進めてまいりたいと考えておる次第でございます。
  200. 釘宮磐

    ○釘宮磐君 通り一遍の答弁で非常に不満ですけれども、これは厚生省、ぜひ法務省のしりをたたいてやってくださいよ。法務省は大体時間がかかり過ぎるんですよ。  もう時間がありませんので、最後の質問に移らせていただきます。  先ほど大臣が財投の問題に触れられて、さらに年金福祉事業団の廃止問題について積極的な発言をなされました。私は、特殊法人というものを廃止するというのはある意味では本末転倒で、もともとこの特殊法人を整理するという枝葉の問題じゃなくて、やっぱり財投そのものが問題だと思うんですね。  この部分で、私はいつも入り口論ばかりで進められている特殊法人の見直しというものについて非常な危機感を持っているわけですね、そこで逃げられちゃうというような。年金福祉事業団の廃止ということになれば、自主運用を一体どこでするのかということもこれから考えていかなきやなりませんし、さらにもう一兆円を超している赤字を一体どこがどういうふうに払っていくのかという問題もこれまたあるわけでありまして、この問題についても最後にお答えをいただきたい。大臣がどういうふうなお考えでこの年金福祉事業団の廃止という問題について取り組もうとなさっておられるのか。  それと、財投を通さないで直接いわゆる年金福祉事業団でやれば、こんな赤字は出さなくて済むわけですよね。ですから、そういうふうなことも踏まえて、この年金福祉事業団の今後の存続の問題、さらにはこの財投に対しての大臣の御見識をお伺いして質問を終わりたいと思います。
  201. 小泉純一郎

    国務大臣小泉純一郎君) 財投の改革は大変重要な問題なので、行政改革、財政再建にも大きく影響してくると思うんですが、旧国鉄清算事業団の債務は国民負担するということを既に十年前の閣議で決定されております。この旧国鉄清算事業団の債務は、今、全部株を処分しても全部土地を売却しても、少なくとも二十兆円を上回ると言われております。これを国民負担するということはもう決定されているんですから、これはことしじゆうに、じゃどうやって国民負担するかということを決めなきゃならない。  となれば、本来だったらばいわゆるこの不良債権はこの資金を提供している年金を掛けている人、郵便貯金をしている人、簡易保険に入っている人、この人たちが負担しなきゃならない問題なんです。なぜならば、年金の金、郵貯の金、簡保の金が財政投融資制度のもとの資金運用部に集められている、そこから投資、融資されているんですから。  ところが、そんな二十兆円、去年は住専の処理で六千八百五十億円の税金を住専処理に使うということで国民からあれほど反発を受けたわけです。けたが違いますよ、二十兆円というのは、六千八百五十億円に比べれば。この二十兆円の債務を国民負担するということを既に決定されているんですよ。ことしじゅうに結論を出さなきゃならない。  となれば、郵貯に入っている人、簡保に入っている人、年金を掛けている人には負担できないから国民負担しなさいということを決定されているんです。そこを考えるんだったらば、財投の問題にメスを入れない限りこれは解決しない。だから、私は年金福祉事業団、例えば大規模保養地をつくったり住宅融資をして有利な運用なんかできているわけないということで、これは将来やったって利益が上がるわけがない。だから、廃止を含めて検討しなさい、厚生省の仕事はもっとほかにやることがたくさんあるだろうと。  年金を掛けている人から見れば最大のサービスは何かといえば、老後になったら給付が多いこと、保険を掛けている人から見れば保険料が安いこと、この二つのサービスさえ考えてくれればほかのサービスは要らないというのが年金を掛けている人たちの大方の意見だと私は思っております。そうしていないと、年金福祉事業団の活動は。だから、廃止を含めて見直しと。  今回、大蔵省に年金と郵貯と簡保の預託金利を資金運用部で集めて、国債の表面利率は下がっているから同じように下げてくださいということを言ってきた。もともと財政投融資制度年金は有利に運用しなければならない。利率は高い方がいいわけです、年金を掛けている人から見れば。  ところが、本来、郵貯の金利というのは国家の信用があるんですから、民間の金融機関よりも低くすれば、住宅金融公庫にしても、国民金融公庫にしても、貸し出しは低い金利で借りられてありがたいにもかかわらず、郵貯は金利が高い方がいいというので預託金利を高くする、貸出金利は低くする、その差額は税金で補てんしますと。  そもそも、低くしていい金利と高くしなければならない年金と郵貯の金を一緒に預けて、この財投で特殊法人を初めいろんな機関に有利運用しなきゃいかぬという根本の制度の矛盾にみんな気づかないのかということを私は言いたいんです。  だから今回、郵貯、簡保の預託金利は下げてもいいですよと郵政省はオーケーした。しかし、私は、これはだれか言わないとこの矛盾というものに本格的に取りかからないだろうと。単に年金の有利運用だけじゃない、財投の根本的な矛盾にもっと国民が目を向けてもらいたい、政治家は関心を持ってもらいたいということで承知していないんです。  となると、政府関係機関、貸出金利下げられませんね。今、民間の金利の方が安いんだから、財投の金利より。そこで、だんだん関心が多くなって本格的に財投にメスを入れる、入り口の年金、郵貯、簡保にもメスが入る。そこで初めて入り口、中間、出口、全部の根本的な改革が始まるんじゃないか。それをさせたいからあえて私はこの預託金利引き下げ承知していないんです、了承しないと。これでもっと多くの国民、議員が関心を持って本格的な行財政改革、財投の根幹にメスが入ることを私は期待しております。
  202. 上山和人

    委員長上山和人君) 本件に対する質疑はこの程度とし、本日はこれにて散会いたします。    午後四時五十三分散会