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国務大臣(
亀井静香君) 大変貴重な我々にとりましての今後の指針を含めての御
質問をちょうだいいたしましたけれども、まず、今本当に私はある面では憂えておるわけでありまして、社会
資本整備に金をかけることが何か悪である、財政再建に反することであるかのごとき言説がまかり通っておるわけでありますけれども、私は財政再建は
経済の
活性化なくしては、もう五百兆を超える借銭があるのは厳然たる事実でありますから、単年度収支を均衡させるというだけで財政再建ができないことは子供が見ても明らかであります。やはり長期的に
経済を
活性化していく、そのためには何をなすべきかということが基本でなければならない、それを見据えていかなければならないと思います。
そうした場合、
経済の
活性化にとって社会
資本の整備というのは私は不可欠だ、このように
考えます。これは
経済コストの面を
考えても当然でありまして、先進国に比べまして交通インフラが極めておくれている、これは港湾もそうでございますが、高速道路もそうでございます。そうしたものを整備することがやはり将来の
経済の活力というのを生み出していく前提になる、このようにも思うわけでございますので、例えば社会
資本投資を減らしていくことが財政再建だというような非常に短絡した
議論に我々はくみするわけにはまいらない、このように思います。
それと、財政需要だとか
経済の
状況、これはいろいろ変化があるわけでありますけれども、社会
資本の整備というのは単年度で完結するものではございません。場合によっては十年、二十年の長期を要するものもあるわけであります。それに対して、今の財政事情が悪いからといって、我々の生み出す富を飲んだり食ったり楽しくやっていくことに、楽に生活することにこれをつぎ込んでいき、子々孫々に対して先進国に比べて非常に低劣な社会
資本しか残していかないということは、現在に生をうける我々の義務を果たさないということに私はなろうかと思います。
そういう
意味では、
経済的ないろんな
環境とは別に、そうした長期の整備を要する社会
資本については、他のものを削ってでも、私は今生をうける我々がやっていかなければならない、これが基本であろう、このように思っておるわけであります。
そうした中で、先ほどもちょっと申し上げましたが、今
土地の
流動化がとまっておるというような中で、せっかくの狭い国土の
有効利用・活用が極めて停滞をいたしておるわけでございますので、これに対して
建設省といたしましては、所管のできる限りのことは全力を挙げるということで今取り組んでおるわけでございます。
一つは、
流動化の妨害になっているような
規制緩和、これは思い切ってやっていくということは当然でございます。また、
土地利用計画というのが御承知のように自治体との
関係におきまして極めて硬直化をしておるのも現実でございます。これを
建設省がやはりリーダーシップをとりまして、自治体との間でそうした
土地利用計画というのをきっちりと詰めて
有効利用を進めていく。
この間、
容積率の
緩和という大きな方向を打ち出しました。今国会に法案を提出いたすことで今準備をいたしております。これも従来、都市におきましても、非常に
地価の高い中心部、商業地域、
住宅地域、それとその周辺の地域を同じ物差しではかって
規制を加えていくということはやはり間違いであるという立場に立って、御承知のように思い切った処置もしたわけでございます。
第二弾といたしまして、今国会には間に合いませんけれども、遅くとも次の
通常国会、場合によっては秋に臨時国会でもあればそれに間に合うようにしろと言って私はハッパをかけておるわけでございますが、建築について、従来の物理的な規格から性能へと変えていくというようなこともこの際思い切ってやってまいります。
建築確認を役所がやっておったわけでございますが、これは思い切ってこの際民間にやってもらうというようなことを実施いたしまして、
土地を
利用してきっちりとした
付加価値をつけていくことについての手かせ足かせになっておるものを思い切って取っ払っていくということも今
考えておるわけでございます。
あとはやはり税制でございます。これもバブル時代の税制がそのまま残っておる
状況は、だれが
考えても間違いでございます。我々の努力が足らなかったということもございまして、本年度は中途半端な税制
改正に終わっておるわけでありますが、与党の税調、あるいはまた野党の
方々の御理解もいただきまして、我々としては強力に推し進めていくつもりでございます。
以上でございます。