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赤桐操君
亀井大臣の先般の所信の表明によりまして、
住宅・都市
整備公団の一大改革がいよいよ始まろうとしているわけでございますけれ
ども、公団は昭和三十年に設立されて以来、二つの大きな使命を持ってきておると思います。
一つは
住宅の供給であり、もう
一つは都市の
整備、こうした二つの使命を持ってきたと思います。そのうちの
一つである
住宅の供給、これが一番大きな比重を占めたと思うのでありますが、これから撤退をするということは、これは公団にとっては
一つの大きな大変な変革を来すということになろうと思います。
そういう
意味で、私は若干所信の御表明に対して気がついた点がございますのでお伺いをしておきたいと思います。
今まで
衆参両院で出尽くしておると思いますからなるべく重複は避けますが、この四十年間で公団がやってまいりました
住宅の
建設は大変膨大なものになっております。それが、今まではいろいろと順調に進んだと思いますが、この段階で、バブルの後で大きな変化が少し出たわけであります。
しかし、私は一貫して言えることは、公団というのは創立以来、いわゆるその当時は勤労者を対象とし、また今日におきましては庶民大衆を対象とした使命を持っているということにおいては原則として変わりがないと思うんです。これからもまたそういう
立場を貫いていってもらわなければならないと思うわけでございます。
政府の政策の実施部隊として位置づけられるならば、これはやはりそういう原則については変えてはならない、こういうように
考えております。若干、
大臣は御
異議があるかもしれませんが、私はそういうように思っております。したがって、そういう観点から少しく申し上げてみたいと思うのであります。
公団に対していろいろと批判も確かにあると思う。私も批判を持っておりますが、その批判は別といたしまして、今まで積み上げてきた実績というか、多くの庶民大衆に対する活動といいますか、こうしたものについて評価されるならば、これは私は、いろいろと問題はあるかもしれぬけれ
ども、事を運ぶについては、
大臣の所信はよくわかりますが慎重な運び方が必要ではないのかな、そしてまた、これから本当にこれは全部撤退させてしまっていいかどうか、このことについても、二十一世紀、新しい
住宅のニーズも変わってくるわけであります。それは、よいものばかり求めるということよりは、福祉社会へ移行する中における公団の役割というものはあるのかないのか、こういったものを真剣に
考えてみる必要があるのではないかと思っております。
そういう
意味で、慎重にひとつ御
検討をいただくことをまずお願いしておきたいと思うのであります。
それからまた、公団の今日の組織というのは、さすがにやはり四十年を超えておりますから膨大な組織であるし、その中に働く人たちも極めて優秀な人材が育成されてきていると思います。これはいろいろの角度から評価するものもあると思いますが、特にこういった土地を買収してそれを用地に転換させながらそこに
住宅を
建設して、しかもこれを皆さんに供給していくこの作業というものは、これは相当長期間に及ぶものでございます。民間における
一つの団地をまとめ上げる例を見てみてもこれはわかるのでありますが、そうしたものよりもより長期にわたって将来を展望するものを公団がやってきたと思うのです。
そういう
意味では、公団がこれから将来にわたって果たしていくものについては、これはやはり相当真剣に、今私が申し上げたようなことについても
考えていただく必要があるのではないかと思っております。
時間の関係がありますから簡単に申し上げますが、端的なことでいえば、公団の供給部門を撤退するということになればかなりの変化をもたらすと思いますけれ
ども、今申し上げてきたような内容については、これは私は
一つの財産として
考えるべきものでありまして、慎重にひとつ御
検討願いたいと思います。
さらにまた、公団は普通の民間のレベルのものと違っておると思います。それはなぜかというと、公団自体でこうやろうああやろうと思ってもこれは限界がある場合があります。要するに、この四十年間にわたって公団自体でできることとできないことがあったと思うんです。私はそのことをしばしば
指摘もしてきたし、いろんなことも提言をしてまいりました。これは
政府が
考える政策に基づいて行われるものであって、しかもこれは言うなれば一定の法律と規則の中で行われていることであり
予算に縛られているものであります。そうなれば、いろいろと民間の動きに呼応して動こうと思ってもそれには限界が出てくるんです。
そういう
意味で、あるときには原価主義などに従って、一般には非常に高価なものが売られて、
住宅といえば大変もうけの厚いものだと言われた時代であっても公団はそうしたもうけはしないで原価主義で貫いてきたと、こういう経過になっていると思うんです。
そこで問題は、原価主義ということでありますが、これからも今の原価という問題が貫かれていくでありましょうが、原価のあり方について少し私は
検討すべき必要があると思うのです。これから仮に団地の
整備とかあるいは都市の
整備に傾くとしても、重点化されるとしても、原価問題についてこれはやっぱり
検討する必要があると思います。
今から大体十九年ぐらい前の昭和五十二、三年ころにかなり論争されて設定されたのは、
住宅建設を促進した関連公共費というものがあるんですね。これについては、当時は長谷川四郎さんが
建設大臣をやっておられた、そのときについた
予算だったと思いますが、自来三百億ずつ三年続いて、一時ストップされましたが、またその後引き続いて上げられてまいりまして、今日二千億を超える状況になってきております。
これはなぜ設定されたかということになりますが、要するに当時の論争の中で大きく評価されたのは、ヨーロッパ、フランスあるいはドイツ等の庶民の
住宅建設を、行って具体的に
検討してみると、この中では公的負担分というものは本人の負担になっていないんです。入居者の負担にはなっておらない。これは例えば
道路とかあるいはまた公園とか学校ないしは遊水池とか、こういった公的な負担分については当然もうこれは国ないしは州
政府、市等の中で賄ってきているというのが実態であります。
そういう状況の中で比較対照して見てみると、
日本の場合においてはいささかこれが過ぎるのではないかと。当時の状態はありませんでしたから、大体
一つの団地をつくるというときには
道路からそういった公的負担分が全部入居者にかぶせられておった。それをこの段階で少しく助成しようということで補助金がつくようになったと思いますが、本来なら私はヨーロッパ各国がやっておるように少なくともこのあり方については、公的負担分は国ないしは地方自治体が持つべきものだと思いますね。それやりまするというと、大体土地の価額は半値近くになると思いますよ、
住宅一戸の。
これは公団の場合で申し上げるというと、私はかつて質問したことがありますが、一%の金利を下げると一万四、五千円の家賃が下がることになりますね、これ平均いたしまして。今の公的負担分を全部国が持つということになるならば、土地費が半分近いものになるわけですから、まず今、恐らく生活
道路やなんかを全部入れるというと四〇%を超えると思いますね、公団自体としては。現在保証されているのは幹線
道路だけですよ。そういうものを全部含めると四〇%を超えると思います。それをもし私たちが主張したように賄われているとするならば、私は、土地費が半分近くになってくる。一%の金利を下げた程度どころではなくなったと思うんです。
そういう状態で公団の運営がなされてきたとしたならば、今日大分売り家の方も残っているようだし、賃貸の方も残っているようでありますけれ
ども、こうしたものについては恐らく残らなかったんじゃないかなと、こういう
感じもいたしているわけであります。まあ、売れ残りの
原因はほかにもあると思いますから一概には言えませんが、値段の問題だけではないと思いますけれ
ども、大きな
原因の
一つはそういうものではないんでしょうか。
特に庶民を相手にした
住宅であるならば、この点は私は真剣に扱わなければならないものではないだろうか。特に公的な公団という
事業団体がやることですから、これはやはり本格的に取り組んで、今言ったようなことが取り入れられるべきじゃないんだろうか。現
大臣においてひとつ御
検討をいただいて、これをひとつ全面的に取り入れて決断をしていただくことになるならば、恐らく公団のいろいろ今回の課題についても大変大きな解決の一助になるんではないかなと思っております。
そこで
小川局長に伺いますが、公団の方で現在、この周辺の平均で結構ですが、二戸当たりで関連公共促進費を受けておる割合はどのくらいになっておりますか。