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1997-02-13 第140回国会 参議院 建設委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成九年二月十三日(木曜日)    午後零時二十一分開会     —————————————    委員氏名     委員長         鴻池 祥肇君     理 事         永田 良雄君     理 事         山崎 正昭君     理 事         市川 一朗君     理 事         緒方 靖夫君                 井上  孝君                 岩井 國臣君                 太田 豊秋君                 坂野 重信君                 橋本 聖子君                 松谷蒼一郎君                 平野 貞夫君                 広中和歌子君                 福本 潤一君                 青木 薪次君                 赤桐  操君                 小川 勝也君                 竹村 泰子君                 奥村 展三君     —————————————   委員異動  一月二十日    辞任          補欠選任     竹村 泰子君      久保  亘君  二月十三日    辞任          補欠選任     青木 薪次君      梶原 敬義君     —————————————  出席者は左のとおり。    委員長          鴻池 祥肇君    理 事                 永田 良雄君                 山崎 正昭君                 市川 一朗君                 緒方 靖夫君    委 員                 井上  孝君                 岩井 國臣君                 太田 豊秋君                 坂野 重信君                 橋本 聖子君                 松谷蒼一郎君                 平野 貞夫君                 広中和歌子君                 福本 潤一君                 赤桐  操君                 梶原 敬義君                 小川 勝也君                 久保  亘君                 奥村 展三君    国務大臣        建 設 大 臣  亀井 静香君        国 務 大 臣        (北海道開発庁        長官)      稲垣 実男君        国 務 大 臣        (国土庁長官)  伊藤 公介君    政府委員        北海道開発庁総        務監理官     松川 隆志君        国土庁長官官房        長        近藤 茂夫君        国土庁長官官房        水資源部長    振井 茂宏君        国土庁計画・調        整局長      塩谷 隆英君        国土庁土地局長  窪田  武君        国土庁大都市圏        整備局長        兼国会等移転審        議会事務局次長  五十嵐健之君        国土庁地方振興        局長       鈴木 正明君        国土庁防災局長  福田 秀文君        建設大臣官房長  小野 邦久君        建設大臣官房総        務審議官     村瀬 興一君        建設省建設経済        局長       小鷲  茂君        建設省都市局長  木下 博夫君        建設省河川局長  尾田 栄章君        建設省道路局長  佐藤 信彦君        建設省住宅局長  小川 忠男君    事務局側        常任委員会専門        員        八島 秀雄君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○国政調査に関する件 ○建設事業及び建設計画等に関する調査  (建設行政基本施策に関する件)  (国土行政基本施策に関する件)  (北海道総合開発基本施策に関する件)     —————————————
  2. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) ただいまから建設委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  本日までに、萱野茂君、木庭健太郎君及び青木薪次君が委員辞任され、その補欠として久保亘君、小川勝也君及び梶原敬義君が選任されました。     —————————————
  3. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 国政調査に関する件についてお諮りいたします。  本委員会は、今期国会におきましても、建設事業及び建設計画等に関する調査を行いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  5. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 建設事業及び建設計画等に関する調査を議題といたします。  建設大臣から建設行政基本施策について所信を聴取いたします。建設大臣亀井静香君。
  6. 亀井静香

    国務大臣亀井静香君) 第百四十回国会における審議に当たり、建設行政に取り組む基本的考え方につきまして私の所信を申し述べ、委員各位の御理解と御指導を賜りたいと存じます。  御承知のとおり、昨年十二月六日、長野県の蒲原沢において土石流災害が発生いたしました。不幸にも、砂防ダム工事等に携わっておられた十三名の方が御遺体で発見され、一名の方がなお行方不明となっております。御遺族の方々及び負傷された方々に心からお見舞い申し上げます。  私も災害発生の直後に現地に赴き、直ちに現地対策本部の設置を指示し、政務次官とともに救助活動を督励してまいりましたが、消防、警察、地方公共団体等方々など延べ約一万八千五百人の御協力をいただき、蒲原沢から姫川河口までの全川を捜索するなどできる限りの手を尽くしてまいりました。引き続き捜索活動に努め、雪解けを待ってさらに全力を挙げて取り組んでまいる所存であります。  現在、学識経験者から成る調査委員会に、今回の土石流発生原因の解明や、土石流を想定した警戒・避難体制あり方等につきまして調査審議いただくようお願いしておりますが、六月ごろにも予定されている御報告を踏まえて必要な措置を講じてまいりたいと考えております。  さて、改めて申し上げるまでもなく、建設行政基本的使命は、国土根幹形成し、国民生活に直結する住宅社会資本整備を通じて、安全・安心、魅力活力ゆとり潤いを備えた真に豊かな国民生活と、活力にあふれた経済活動実現することにあります。戦後五十年を経過し、また本格的な高齢社会を迎えるに当たり、建設行政におきましては、次世代を支える、いわば本格建築ともいうべき質の高い住宅社会資本整備することが強く求められているものと考えます。私は、こうした建設行政基本的使命を肝に銘じて、所管行政推進全力を挙げて取り組んでまいる決意であります。  公共事業は、現在及び将来の国民の安全で快適な暮らしの基礎となり、経済社会活動の新たな活力の源泉となる住宅社会資本づくりを行うものであります。的確に将来を見据え、質の高い住宅社会資本整備して、確固たる基盤の上に成り立つ社会を築くことは、将来を担う次の世代に対する私どもの責務であると考えます。  こうした観点から、平成九年度の建設省関係予算案においても、これらの住宅社会資本整備の着実な推進に必要な規模を確保いたしました。現在、景気回復の動きを続けていますが、そのテンポは緩やかであり、依然懸念すべき点も見られますことから、回復の足取りを確かなものとするためにも、平成九年度予算早期成立に向けて各位の御理解と御支援を賜りたいと存じます。  もとより、厳しい財政事情のもと、公共事業の効率的な執行は重要な課題であり、重点化効率化透明化の三つの観点重点を置いて、そのあり方、進め方を見直してまいる所存であります。電線類地中化など政策課題に対応した重点配分や、事業実施箇所の絞り込みによる事業早期完成を図りますとともに、公共工事コスト縮減につきまして広範な対策を講じてまいります。さらに、各省庁の枠を超えた事業間の連携強化費用効果分析活用などにも積極的に取り組んでまいります。  また、公共工事の入札・契約制度については、共同企業体方式活用等により中小中堅建設業者受注機会の確保に努めつつ、透明性競争性をさらに高めるよう取り組んでまいりたいと考えております。  今日、我が国は、高齢化国際化高度情報化産業空洞化などの大きな潮流の中で歴史的な転換期にあり、経済社会の各分野において大きな変革が求められておりますが、行政もまた、こうした時代の流れを的確に踏まえたものに変革されていかなければなりません。建設行政につきましても、従来の考え方にとらわれずにそのあり方を見直し、地方分権規制緩和等も含め行政改革上の諸課題に前向きに取り組む必要があると考えます。  行政改革は、国民のため、国全体のためという視点に立って、みずからの業務をみずから顧み、正すべき部分についてはみずから改善の青写真を描き、実現していく姿勢が重要であると考えます。こうした観点から、私は、建設大臣を拝命した直後に職員一人一人に業務点検を指示するとともに、建設省行政改革推進本部を設置し、省を挙げて取り組んでいるところであります。  所管公庫公団等にも、みずから業務点検を行うよう指示しました。住宅都市整備公団につきましては、白地からの見直しを行い、分譲住宅業務からの全面撤退町づくりへの業務重点化について抜本的な検討を行うよう指示しております。このほか、現在、各公庫公団等において、関連公益法人等改善も含めた適切な業務執行あり方について検討を行っているところであることを御報告申し上げる次第であります。  以下、当面の諸施策について具体的に申し述べます。  まず、新しい国土構造実現するとともに、経済構造改革推進する観点から、高規格幹線道路地域高規格道路整備等を進め、交流ネットワーク形成推進してまいります。  また、電線共同溝等公共収容空間整備を行うとともに、二〇一〇年を目途に約三十万キロの公共施設管理用光ファイバーを全国的に整備するなど、高度情報通信社会を支える情報通信インフラ整備を強力に進めてまいります。さらに、道路交通問題の解決の切り札と期待されるITS、高度道路交通システム研究開発実用化推進などによりまして公共サービス高度化や新産業創出にも努めてまいります。  次に、快適な生活環境創出するため、水と緑のネットワーク形成、普及のおくれた中小市町村における下水道整備などに力を注いでまいります。河川事業につきましては、従来の防災対策に加え、自然と調和した河川環境整備保全に向けた取り組み強化してまいります。  また、高齢者障害者に優しい町づくり中心市街地活性化など快適で魅力ある地域づくりを進めますとともに、良好な沿道環境実現に向けて総合的な施策展開いたします。  さらに、住宅宅地整備につきましても、良質な住宅ストック形成ゆとりある豊かな住生活実現に向けて、住宅建設分野における高コスト構造是正に努めつつ、公庫融資制度住宅取得促進税制拡充等を行うとともに、土地有効利用促進等を通じて職住近接ゆとりある中高層の都市住宅の供給を促進するなど、都心居住推進等のための諸施策に取り組んでまいります。  今なお記憶に新しい阪神淡路大震災豊浜トンネル岩盤崩落事故、さきに申し述べました昨年末の蒲原沢土石流災害などによりまして多くのとうとい人命や莫大な財産が失われました。台風、豪雨などによる被害も毎年頻発しており、まことに憂慮の念にたえない思いであります。私は、被災地の一日も早い復旧復興、さらには、だれもが安心して安全な暮らしを送ることができる信頼感ある国土づくりを進めることが、みずからに与えられた重要な使命であるとの自覚を強く持って、施策に万全を期してまいる覚悟でございます。  このため、阪神淡路大震災被災地における復興対策、全国的な防災対策充実強化全力を挙げますとともに、平成九年度を初年度とする第九次治水事業五カ年計画策定させていただきたいと考えております。  さらに、老朽木造建築物密集公共施設不足等によって大規模地震時の危険性が高い密集市街地について、その整備促進する措置を講ずることによりまして、災害に強い都市構造実現してまいる所存であります。  次に、良質な住宅社会資本整備の直接の担い手である建設産業につきましては、建設産業政策大綱を踏まえ、その魅力活力を高める振興策を講じていくとともに、技術と経営にすぐれた企業が伸びることのできる競争環境づくり等検討推進いたします。不動産業につきましては、透明な不動産流通市場形成宅地建物取引業者の資質の向上等に努めますとともに、不動産特定共同事業活用促進してまいります。  国土建設行政は、国民が多様な目標を目指すことができる基盤づくりを行うものであり、無限の可能性を現実のものへ引き出していく力を秘めたものだと思います。  私は、国民の皆様の期待と信頼にこたえ、また一層の御理解をいただくことができるよう、世論に十分耳を傾け、かつ厳正な綱紀の保持になお一層努めつつ、引き続き建設行政推進に精一杯努力してまいります。  委員長を初め委員各位の一層の御支援と御鞭撻を心からお願い申し上げる次第でございます。よろしくお願いいたします。
  7. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 亀井建設大臣は極めて御多忙と存じますので、このまま御退席をいただいても結構でございます。  次に、国土庁長官から国土行政基本施策について所信を聴取いたします。国土庁長官伊藤公介君。
  8. 伊藤公介

    国務大臣伊藤公介君) 国土庁長官伊藤公介でございます。  第百四十回国会に当たり、国土庁長官として、国土行政に対する私の所信を申し述べさせていただきます。  政府は、長年にわたり、高度経済成長とともに深刻化した過疎過密問題等を解消することを目指して国土政策推進してまいりました。  しかしながら、現状は、首都圏における過密集中に起因する諸問題、地方圏における人口減少高齢化の急速な進展地方産業空洞化等による地域社会活力低下といった問題が大きく残されていると言わなければなりません。  このような諸情勢の中で、我が国が二十一世紀に向けて、豊かで活力に富み、安心して暮らせるゆとりのある社会を創造していくために、次のとおり施策を進めてまいります。  まず第一は、二十一世紀国土像形成に向けた検討取り組みでございます。  我が国経済社会が大きな転換期を迎えている中で、国土審議会において、一昨年来、新しい全国総合開発計画の御審議をいただいてまいりましたが、去る十二月十日、同審議会計画部会調査検討報告をまとめていただきました。この中では、地域の特色ある活性化等実現するために、東京一極集中につながってきた現在の国土構造を複数の国土軸から成る国土構造へと転換する必要があること、質の高い自立的な地域社会形成するために、従来の行政単位の枠を越えた広域的な地域間の連携が必要であることなどが示されています。今後、国民各層からの意見等を踏まえて、新しい全国総合開発計画策定に向けて取り組んでまいります。  首都機能移転については、東京一極集中是正国土災害対応力強化といった課題に大きく寄与するとともに、国政全般改革と深くかかわる大変意義深いものとなるものと考えております。昨年設置された国会等移転審議会において、移転先候補地の選定に向けた調査審議がいよいよ本格化することとなり、この重要な課題に対して積極的に取り組む所存であります。特に国民的な合意形成が重要との考えのもとに、審議会における議論の内容をできる限り詳しく国民にお伝えするとともに、国民の御意見を伺う機会を広く設け、御理解を得ていくこととしたいと考えております。  また、公共事業における各省庁間の枠を越えた連携強化推進に努めていくため、新たな調整費等を設け、活用したいと考えております。  第二は、大都市圏整備推進であります。  三大都市圏の新たな基本計画等策定を進めるとともに、国の行政機関等移転業務核都市筑波研究学園都市大阪湾ベイエリア、関西文化学術研究都市、中部圏高速交通基盤を核とした地域プロジェクト等整備、琵琶湖の保全について検討推進します。また、大深度地下利用につきましても積極的に検討を進めてまいります。  第三は、地方振興推進でございます。  新しい各地方開発促進計画策定を進めるとともに、地方拠点都市地域整備地域間交流連携による地域づくり推進地方産業振興活性化地方回帰促進等の諸施策を総合的に展開してまいります。また、過疎地域、山村、半島、豪雪地帯離島等特定地域における生活環境産業基盤整備等を進め、地方振興に今後とも積極的に取り組んでいく所存であります。また、法の期限が迫っている特殊土壌地帯対策につきましては、関係方面とも連携をとりつつ、所要の対策推進してまいります。  第四は、総合的な土地対策推進であります。  地価が現在のような状況にあります今日、所有から利用へという観点から、土地有効利用促進や実需に基づく土地取引活性化など、土地政策の新たな展開を図っていく必要があります。このため、昨年十一月にいただいた土地政策審議会答申を踏まえ、去る二月十日に、新総合土地政策推進要綱政府として閣議決定したところであり、今後は、本要綱に基づき、総合的な土地政策を強力かつ機動的に推進してまいります。  第五は、災害対策推進であります。  我が国は、地震、風水害、火山噴火等各種災害に見舞われやすく、阪神淡路大震災は、なお人々の記憶に新しいところであります。今後とも、阪神淡路大震災教訓を踏まえ、関係省庁との連携体制強化しつつ、地震発生直後における政府初動対応迅速化災害情報収集伝達体制強化地域防災拠点施設整備災害に強い町づくり等による総合的な災害対策推進してまいります。  また、今回のナホトカ号重油流出事故につきましては、政府一体となった体制のもとに全力を挙げて取り組んできており、今後とも迅速、的確な対策がとられるよう努力してまいります。  第六は、総合的な水資源対策推進であります。  近年の渇水の頻発にかんがみ、水危機対策の確立、水の有効利用促進を図るとともに、水資源開発推進するなど、総合的な水資源対策推進を通じて、水を大切にし、渇水のない豊かで潤いのある社会実現を目指してまいります。また、今後の水資源に関する諸施策の指針となる新しい全国総合水資源計画策定を進めてまいります。  これらとあわせて、現下の最重要課題であります阪神淡路地域復興につきましては、私自身、阪神淡路復興対策本部本部長として、住宅を初めとする生活の再建、経済復興、安全な地域づくり等の諸課題について引き続き全力を挙げて取り組んでまいります。  以上、国土行政に関する所信を申し述べました。これら施策推進全力を挙げて取り組んでまいりますので、委員長を初め委員各位の一層の御理解と御協力を賜りますようお願い申し上げます。
  9. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 伊藤長官にはどうぞ御退席をいただいて結構でございます。ありがとうございました。  次に、北海道開発庁長官から北海道総合開発基本施策について所信を聴取いたします。北海道開発庁長官稲垣実男君。
  10. 稲垣実男

    国務大臣稲垣実男君) 北海道開発庁長官稲垣実男でございます。よろしくお願いいたします。  北海道開発行政基本方針及び当面の諸施策について私の所信を申し述べます。  北海道は、豊かな自然環境ゆとりある広大な国土空間に恵まれており、我が国国土の均衡ある発展を図り、豊かで安心できる経済社会実現する上で極めて重要な役割を果たすことが期待されている地域であります。  近年、高規格幹線道路網整備本格化や新千歳空港の国際化進展など、新たな発展を支える基盤整備も進みつつありますが、本州等に比べて開発の歴史が浅く、広大な面積を有する寒冷な気候の北海道においては、国土保全交通基盤農業基盤などの基幹的な基盤整備が今なお重要な課題となっております。  北海道を豊かで活力ある地域としていくためには、これらの基幹的な基盤整備とあわせて北海道の内外にわたる交流産業振興を積極的に推進するとともに、北海道のすぐれた自然環境、特性を生かした質の高い生活空間形成に努めていく必要があります。  このため、平成九年度を目標年次とする第五期北海道総合開発計画仕上げと新計画への円滑な橋渡しに向けて、基盤整備を初めとする各般の施する力強い北海道実現に努力してまいる所存であります。  特に北海道におきましては、豊浜トンネル崩落事故や、平成五年、六年における三度の大地震等自然災害が相次いでおり、これらの復旧復興に努めるとともに、その教訓を踏まえ、災害などに強い地域社会形成に努力してまいります。  また、二十一世紀初頭に向けて北海道開発が進むべき方向と施策方針を明らかにするべく、平成十年度を初年度とする新たな北海道総合開発計画策定に取り組んでまいります。  第五期北海道総合開発計画最終年度に当たる平成九年度におきましては、計画仕上げと新しい計画への橋渡しの年であることを踏まえ、現下北海道が抱える諸課題に的確に対応し、主要施策の一層積極的な展開を図るため、対前年度比七十三億円増の一兆五十九億円の北海道開発予算を計上し、今国会において御審議いただいております。  北海道景気は総じてみれば緩やかな回復基調にありますが、平成九年度予算に盛り込まれている施策の積極的な推進により、北海道経済の安定的な成長にもさらに寄与するものと期待しております。  以下、平成九年度予算の各事業主要施策について申し上げます。  まず、国土保全水資源開発につきましては、千歳川放水路事業牛朱別川分水路事業等地域の骨格を形成する根幹的事業及び火山噴火対策を初めとする火山砂防事業海岸保全事業等重点的に実施し、安全な国土形成に努めてまいります。また、治水対策とあわせて水需要の増大に対処するため、多目的ダム等建設推進してまいります。さらに、潤いのある水辺空間創出を目指し、河川及びダム湖周辺整備を行うとともに、流域の視点から見た総合的な治水対策にも力を入れてまいります。  次に、道路整備につきましては、道内各地域の均衡ある発展に寄与するため、特に基軸となる高規格幹線道路地域高規格道路整備推進することとし、国道、地方道に至る道路網の体系的かつ総合的な整備推進します。また、二十一世紀に向けた高度情報通信基盤となる光ファイバーやVICSの整備を最重点とした交通安全施設等整備豊浜トンネル崩落事故等を踏まえた防災震災対策事業及び消融雪施設整備等雪対策重点的に進めるほか、都市機能向上都市環境改善を図るため、都市周辺のバイパス、連続立体交差、街路及び土地区画整理の各事業推進することとしております。  港湾整備につきましては、国際貿易及び国内流通拠点として物流ターミナル整備を進めるとともに、離島港湾等地域生活基盤としての港湾整備、豊かで潤いのある港湾空間形成等を一重点的に進めることとしております。  また、空港整備といたしましては、国内、海外との交流の拡大に対応するため、新千歳空港の整備や関連するプロジェクトを推進するほか、道内地方空港の滑走路延長等の整備計画的に進めてまいります。  上下水道、廃棄物処理施設、都市公園、公営住宅等の生活環境整備につきましては、すぐれた自然環境、雪と寒さの厳しい冬、広域分散型の地域社会など、北海道の自然、社会の特性に対応した整備推進するとともに、快適な冬の生活環境づくりを目指してふゆトピア事業を積極的に推進してまいります。  農業農村整備につきましては、ウルグアイ・ラウンド農業合意の実施に対処すべく、担い手の育成確保を図りつつ、より一層の低コスト・高品質を目指した高生産性農業を展開し、我が国の食料供給基地としての役割を果たしていくとともに、農山村地域活性化を図るため、各種事業計画的に進めてまいります。  また、水産業につきましては、新たな海洋秩序のもとにおける水産業振興活力ある漁村の形成を図るため、資源管理型漁業やつくり育てる漁業の推進、漁港・漁村の整備を積極的に進めてまいります。  森林・林業につきましては、森林の持つ多面的な機能を高度に発揮させるため、治山、森林保全整備、森林環境整備事業推進してまいります。  また、個性的で活力に満ちた定住性の高い農山漁村の形成を進めるニューカントリー事業推進してまいります。  なお、公共事業等における連携を一層強化推進するため、今回新たに設けられた調整費を十分活用していきたいと考えております。  これらの基盤整備推進とあわせて、北海道における産業振興開発促進するため、地場産業の育成創出都市機能整備など、幅広く民間投資が図られるよう北海道東北開発公庫の出融資機能の活用に努めてまいります。  このほか、北方領土隣接地域振興及び住民の生活の安定を図るため、北方特別措置法に基づく振興計画に沿って所要の施策を積極的に推進し、北方領土問題等の解決に資するよう努力してまいります。  また、平成九年度から新たに、北海道開発庁を中心として文部省及び総理府の共管により、アイヌに関する文化の振興及び理解促進等に関する施策推進することとし、所要の経費を計上しているところであります。現在、政府部内におきまして法案の取りまとめを進めているところであり、今通常国会に提出できるよう引き続き努力してまいりたいと考えております。  以上、北海道開発行政に関し所信の一端を申し述べましたが、今後とも北海道総合開発推進全力を傾注して取り組んでまいる所存であります。委員長を初め委員各位の一層の御理解と御協力を心からお願い申し上げます。
  11. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 以上で所信の聴取は終わりました。  本日はこれにて散会いたします。    午後零時四十九分散会      —————・—————