○猪熊重二君 ところで、今、謄抄本交付について一件当たり金八百円、閲覧は一件四百円ということが
平成五年一月一日から施行されて実施されているわけです。ところが、民事
局長が今言われたように、円滑化法によれば、謄抄本交付の手数料は物価の
状況あるいはその書面の交付に要する実費その他一切の事情を勘案して決めるということになっているんです。じゃ、謄抄本交付一件当たり八百円というのはこの法律の規定する
状況に合致しているんだろうか。
例えば、書面の交付に要する実費ということを考えてみれば、町のコピー屋に行けば大体一枚十円なんです。
法務省に伺ったところ、謄抄本の平均的枚数は三・三枚だという。三・三枚だったら、町のコピー屋に行って三・三枚コピーくれと言うわけにもいかぬから四枚くれと言ったって四十円でコピーができる。要するに、もし実費ということをあえて言うならば、町のコピー屋を基準にするわけじゃないけれ
ども、四十円あれば実費になる。ところが、何でこれが八百円になるんですか、じゃ物価の
状況はどうなんだと。
また、
法務省はここのところでこの八百円をまた千円に値上げしようと考えている。しかし、物価はここのところ横ばいか、物によっては下がるか、正確には知らぬけれ
ども、上がったってトータルで一%上がったか二%、この数年間で。それなのにまた八百円を千円に上げることを計画している。物価の
状況から見ても、書面の交付に要する実費ということから考えてみても、現在の一通八百円なんという金額は法外な金額なんだ。
なぜ法外かというと、ほかのとあわせて検討してみても、私が言わなくても役所でもわかっているでしょうけれ
ども、市町村役場での戸籍謄本は一通四百五十円、除籍謄本は倉庫から引っ張り出してくるから手間がかかるから、それでも七百五十円、印鑑証明は三百円です。
裁判所の場合には、記録の閲覧は一件百五十円、謄抄本交付一枚百五十円、これもちょっと高いけれ
ども、それでも手間がかかるから。証明書の交付は一件百五十円。ほかのものと比べても、今、謄抄本交付一通八百円というのは非常に高い金額だ。
この金額が、どうしてこの円滑化法で言うような物価の
状況だとか書面の交付に要する実費その他一切の事情を考えると八百円になっちゃうんだということを聞きたいんだけれ
ども、時間がないから聞かないで次の
質問に行きます。
それで、私はこれが八百円でもいいんです。なぜ八百円でもいいかというと、国が登記所をつくって登記
事務を全部国の費用でやって、しかしここでコンピューター化するために何とか受益者
負担というふうな
意味で、ちょっと高いけれ
ども一通八百円を利用する国民に
負担してくれというのはまあやむを得ない。それで急いでコンピューター化すれば最終的に国民の利便にもなる。そういう
意味で、現在の謄抄本交付は実費なんかに比べたらべらぼうに高い金額だけれ
ども、登記所のコンピューター化のためにまあ我慢してくれという趣旨で、一通八百円もまだまだ納得できる。
ところが、
決算上を見ると、私に言わせれば、こういうふうにして得られた、国民からコンピューター化のために高い手数料をいただきますと言っていただいた
平成七
年度の手数料収入は九百九億円余なんです。ところが、実際にコンピューター化
経費として使ったのは四百一億円余しか使っていないじゃないですか。国民からはコンピューター化のために必要だから高いけれ
ども我慢してどんどん出してくれと言って九百九億円集めて、実際にコンピューター化に使ったのは四百一億円じゃ、これはあなた、四〇%か四三%だか知らぬけれ
ども、半分以下です。
何でこの手数料収入を全額コンピューター化
経費に使わないで半分ぐらいしか使わないんですか、その理由はどこにあるのか。