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水野誠一君 私は、農水省に二件ほどお尋ねしたいと思います。
農林水産省の行っております公共
事業の評価についてまず伺いたいと思います。
農水省は公共
事業全体の約二割を占めているわけでありますが、その分野も大変多岐にわたっておりまして、農業農村整備
事業、森林整備
事業、漁港漁村整備
事業などなどであります。
最近の事例を見てまいりますと、やや問題を含むものが多いような気がいたします。例えば、よく例に引かれます農道空港の場合な
どもあるわけですが、これは今までも
決算委員会でかなり何回も取り上げられておりますので繰り返しませんが、バブル時代につくられた
事業計画の経済性、採算性に問題があったのではないかと言われるわけであります。
ところで、きょう伺いたいのは、大規模林業圏開発林道
事業でありますが、この総
事業費は約一兆円、そのうち三分の二を国庫補助金、残り三分の一を
財投資金の借り入れによって行う公共
事業であります。
平成八年度までに約三千七百億円が投入されていまして、計画延長二千二百六十七キロメートルのうち約四一%が実施されているというふうに聞いております。
ところが、この全三十二路線のうち、
平成九年度から三路線の工事が休止になっております。原因は、これは林野庁の
説明によりますと、
一つには
事業費の重点投資をするために早期に
事業の完成を見込めない三路線を休止した、加えて、この三路線はそれぞれ環境アセスメントの必要性が新たに生じたなど調整要因を抱えているからだという
説明でございます。
ということは、決して大規模林道の建設における木材生産効果などの経済効果が他の路線に比べて低かったからではないということになりますが、この点については私はいささか疑問があります。つまり、果たして本当に経済的効果の試算をきちんと行って
事業を行っているかどうかという疑問であります。
ちなみに、大規模林道を開設するには、森林開発
公団法に定められる手続といたしまして、
事業実施計画を策定し、農水
大臣の許可を得ることが必要であります。実施計画には
事業の効果も当然含まれ、その内容は公表されます。つまり、法手続上はすべての路線はその経済効果をあらかじめ考慮していることになるわけですが、実際のところを拝見しますと、計画書にある
事業効果についての内容は大変簡単なものでしかないということが言えます。
一つの例を申し上げますと、昭和四十九年に基本計画が策定され同年から
事業が始まったある路線は、最終的に百六十五億円を投入する見込みでありますが、その計画書の中の
事業効果についての記述は何と三行、つまり開発対象面積、開発により利用可能になる木材の容積、それに開発による年平均伐採量が記されているのみであります。その後には、その他の効果として木材流通圏の拡大が可能であるとか、地域経済社会の振興に及ぼす効果が大きいなどといった抽象的な記述があるだけでありまして、何らその経済的試算の痕跡が見られないものであります。これで計画が認可され、百億円を超す国費が補助金として使われるということは非常に問題ではないかと私は思うわけであります。
林道開設
事業における
事業採択について、
平成九年度より
費用対効果分析の手法を取り入れた新しい基準を加えて
事業採択が行われているようでありますが、せっかくこうした新しい手法を取り入れるのであれば、今申し上げた大規模林道のような現在進行中の大
事業についてももう一度経済効果の試算を行う必要があるのではないかと思うのでありますが、いかがでありましょうか。
農水省は、大規模林道
事業の
事業効果について問題がないと考えているのか、あるいはもう一度こういった
費用対効果をチェックする意思があるのかどうか、伺いたいと思います。