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政府委員(
服部三男雄君) お答え申し上げます。
諌早湾干拓事業につきまして、
先生御
指摘のとおりいろんな報道がなされておりまして、長崎県選出の松谷
先生にもいろいろ御心配をいただいておるところでございまして恐縮いたしますが、県選出の
先生の御
質問でございますから、農水省といたしましても慎重かつ積極的な
答弁を申し上げなきゃいかぬなと思っておるところでございます。
また、やや偏向した報道もなきにしもあらずでございますので、この事業の目的とか必要性、今後の見通しについて、私どもに
答弁の機会を与えていただきましたことにつきましても感謝申し上げたいと思っております。
事業の目的でございますが、まず第一に、平たんな生産性の高い農地をつくるということでございます。それと同時に、これは地元から非常に強い要望がございますけれども、防災機能の強化でございます。第三点は、環境の問題でございますが、これはもちろん、こういう御時世でございまして、農水省といたしましても慎重な、かつ十分な配慮をいたしております。特に、ムツゴロウのことはよくテレビ等で報道されておりますけれども、この点についても十分配慮したいと思いまして、引き続き農水省としまして、今、二千三百億の総予算でございますので、地元の長崎県等一体となって着実にこの事業を
推進、邁進してまいりたいと思っております。
松谷
先生の御
質問でございますので、もう少し詳しく申し上げたいと思います。
御案内のとおり、昭和六十一年から本事業を実施しておりまして
平成十二年を目途に完了予定でございます。先ほど申しましたように、まず地形から考えましてこの地域は平たんな農地が非常に乏しいということでございますから、かんがい用水が
確保された生産性の高い農地を平たんな部分でつくらなきゃいかぬということがまず第一の事業目的でございます。
そして、そのつくりました農地をどういう方に御
利用いただくかといいますと、野菜作経営、目標五百戸でございます、それから国用牛肥育経営に約四十戸、それから酪農経営にも同様約四十戸をめどとしております。もちろん、こういう希望者、五百戸、四十戸、四十戸につきましては希望者ももう出ております。こういうふうにやりますと、長崎県における平均的な所得目標を
確保できるであろうと思っておりますし、入植、増反希望者の見通しについても十分確認済みでございまして、この事業が実施されれば有効
利用を図ってもらえるものと考えております。
三点目でございますが、先ほど申しましたように防災機能でございますけれども、地図を見ていただければおわかりいただけると思いますが、潮受けの堤防を七メーターの高さでっくります。そして、諌早湾の中にそれを約七キロの延長でつくります。現在実施しております中央干拓地との間に千七百十ヘクタールの調整池をつくりまして、この
二つの施工によりまして、伊勢湾台風級の超大型台風が来てもその高潮を十分防止し得る設備になっておりますし、大水害が出ましても流入を阻止することができると思っております。過去の大きな高潮とか洪水でありますが、大体今回のこの
計画では五百年に一度の大水害が来ても大丈夫なように、床上浸水家屋が出ないように計算してつくっておるわけでございます。
こういった
計画でございますので、これまでの水害等の被害に遭っておりました地元からは強い要望が出ております。また、災害防止と同時に漁場の
確保という
観点もございますので、これまでも相当長期間時間をかけまして県議会、地元市町村長さんとの
議論も行いまして、
結論としましては、地元関係者の総意ということでこの事業
計画が決まったものであるということを強調しておきたいと思っております。特に今回、先月でございますが、地元五市町村長さんから私ども農水大臣に対しまして、この事業につきまして感謝状までいただいておるという事実も強調しておきたいと思っております。
それから、先ほど松谷
先生から御
質問のありました環境アセスの問題でございますが、これは毎年モニタリングも実施しておりますし、十分環境に配慮した施工方法をとっておるところでございまして、御安心を願いたいなと思っておるところでございます。
それから、テレビでよく報道されるのはムツゴロウでございますけれども、テレビのやや偏向した報道によりますと、本事業を施行しますとムツゴロウが何かいなくなるんじゃないかというような趣旨の報道があるようでございますが、これはちょっと事実と違うと私どもは思っております。この諌早湾のあります有明海でございますが、そこの干潟は約二万七百ヘクタールもございます。本事業によって消滅する干潟はそのうちのわずか七%でございまして、しかも干潟というのは土砂の流入でございますから、年々増大するところでございまして、そういう御心配はない。その他の生物につきましても、そういう絶滅のないように十分配慮してやっているということを申し上げまして、
答弁とさせていただきます。