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海老原義彦君 おっしゃるとおり、旧軍人に対する施策については政府全体で負うべきだと私も思います。ただ、任命権者としての責任、これは
厚生省で負わなきゃならない。具体的にどういうものがあるかと申しますと、これは例えば履歴の管理でございます。これは
厚生省及び連隊区本部の事務を引き継いだ
都道府県、そういったところで負っていくということだろうと思います。そういう
意味で、任命権者が退職者に対して負うと同じような責任を負っていかにやならぬ、いわば国の国としての責任ではなくて使用者としての責任は負っていかにやならぬ、こういうことかなと思うんです。
さて、その履歴の管理でございますけれ
ども、旧陸海軍の履歴、いわゆる軍歴、兵籍簿などと言われておるものは、これは大変整備されております。基本的にはよく整備されて、陸軍については
都道府県、海軍については
厚生省に残っておる。ところが、何分多数の中でございますから、殊に戦争が激しくなってからはいろいろと脱漏があることな
ども折々見受けられるわけでございます。
こういった履歴の補正とか補完と申しましょうか、そういったことについては
厚生省でも従来非常によくやってくださっております。例えば上官等の証明をとって履歴に脱漏しているところを補足していくというようなこともやっておられるように聞いております。しかし、なお不十分なところも見受けられますので、今後一層の御
検討をお願いいたしたいと思います。
不十分な一例として今ここへ持ってまいりましたのは、戦争末期でございますが、二年五カ月ほど満州に行っていたけれ
ども、その間兵役から外れておるというような記載になっておったと。これは岩手県の中村林治郎さんという人の話でございます。不思議なことに、その兵役から外れている間に兵長に昇進という記録だけは残っておると。どうも不合理なことで、本人はその間満州に行ったと言って、
自分で詳細な履歴をつくって申し立てておりますが、それに相応するものは
厚生省に残っていない。こんなような問題もありまして、これ
一つじゃない、いろいろと似たようなケースはあると思うんです。
この際、そういったものもどんどん整理していかにやならぬ。早くすっきりした形にして、安定した恩給行政なり、あるいは
厚生省の主力は本来
国民のための福祉、医療、保健などに向けられるべきでありますので、そういった方に向けていただかにやならぬ。そのためには、この際整理すべきものはどんどん整理して、しっかりとした
問題点のない履歴をつくっていかにやならぬと思うわけでございます。
この問題について、
厚生省、
局長で結構です、ちょっと。