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国務大臣(
池田行彦君) 国連におきましては、創設以来五十年たった、そういった節目を迎えまして、やはり
加盟国も随分ふえておりますし、
世界情勢も大きく変わっております。それに適合したような組織なり機能を果たせるような姿にしなくちゃいけないんじゃないかということで、
国連改革の動きが数年来進んできたところでございます。
その中の柱は大体三本ございまして、
一つは国連の主要な任務である
安全保障の面での中心的な機関である
安全保障理事会の組織をどうするかという点、それから二つ目には国連の財政面、これをどういうふうに改革していくのかという点、それから三つ目には
経済社会といいましょうか、開発の問題等そちらの方での
仕事のやり方をどういうふうに改めていくか、この三つがございます。
日本といたしましては、その三つがバランスのとれた形で進められるべきだということを主張しておりまして、とりわけ安保理の改革につきましては、
加盟国の賛同が得られるならば
我が国も常任
理事国として
役割を果たしてまいりたい、こういうことを明白にしておるわけでございます。
そして、改革の動きないしめどでございますが、安保理の改革の面につきましては
加盟国のほとんどすべてが改革の必要性そのものは認めるのでございますけれども、それならばどういうふうな改革にするかということになりますと、いろいろな利害が絡んでなかなか進行しないような
状態になっております。昨年は結論を得られずに終わったわけでございますが、ことしこそはということでいろいろな
努力が傾注されております。そういった中で、安保理常任
理事国の動き、それから
我が国も含めた安保理で
役割を果たしたいと
考えている国の動きに加えまして、新たにことしから事務総長になりましたアナン氏も積極的なイニシアチブを示しておりますし、それからラザリ総
会議長もいろいろな提案をしている、こういうことでございまして、今そのための作業部会がございますが、それが一たん中断したのがまた動き出すというような
段階に来ております。
それじゃ、
見通しが明るいのかといいますと、なかなかそうも言い切れないところもございます。
まず現在、常任
理事国五それから非常任
理事国十で構成されておりますが、
我が国は常任、非常任双方の数を拡大するということによってやるべきではないかという立場でございます。これが多くの国の
意見でございますが、中には非常任
理事国だけの増加でやれというような主張のところもございます。
それで、そういった中でラザリ議長
あたりの提案は、常任
理事国を今五ありますのをさらに五つぐらいふやす、その中には
日本、ドイツぐらいが入り、さらにアジア地域それからアフリカ地域、それから中南米地域の
代表を
一つずつ加える形でどうかという提案になっております。米国
あたりもそこまでは大体似ているんですけれども、さあ、その非常任
理事国をどれだけふやすべきかということにつきまして、ラザリ議長案の方はそれにさらに数カ国を含めまして二十四とか五とかそんな総数にしようということでございますが、米国の方は全体として二十一でなくちゃならないということになりますと、非常任
理事国があと一カ国というぐらいのことになるわけでございます。
そういったところでございまして、これからどういうことになりますか非常に難しいわけでございますけれども、先ほど申しましたような日独については何となくもっともだなと。しかし、地域
代表といった場合に、例えばアジアで今度加えるとき一体どの国にするのか、アフリカではどこなのかということになりますと、それぞれの利害も絡んでなかなかコン
センサスができません。そういった意味で、そこはローテートしたらどうかなんというアイデアも出ておるわけでございますけれども、そういったものの組み合わせにおいてこれからどういうふうになっていくか。
これを
決めるためには、安保理でまず
決めなくちゃいかぬ。そのためには、まず常任
理事国五カ国の全部が賛成しなくちゃいけませんし、それから総会で三分の二の賛成をとらなくちゃいかぬというようなことになっておるわけでございます。
それから、拒否権の問題についてお話がございましたけれども、これにつきましては当然のことながら、現在の常任
理事国五カ国は拒否権は当然維持されなくちゃいけない、こういう姿勢でございます。
それで、
我が国もそうでございますが、多くの国も新しく常任
理事国を拡大する場合に、拒否権つきの常任
理事国と拒否権なしの常任
理事国というのができるというのは、これは理屈としてもおかしいんじゃないのかということを言っておるわけでございます。しかし
他方におきまして、やはり拒否権というもののあり方について疑問視する声も少なくございません。そういったことを
考えると、何らかそこについて制限をするべきじゃないかという声も無視するわけにはいかぬという事情がございます。
それを、最終的な結論を得るときに
考えることでございますけれども、いろいろ言われておる中では、例えば拒否権はあるけれどもその行使については非常に慎重にやっていったらどうだろうかと。単純に自国だけの利害に絡んで使うというのは抑えて、国連あるいは
国際社会全体の利害という立場からの判断で行使さるべきものではないかというような
考えもあるというようなことでございまして、今改革しなくちゃいかぬという必要性はずっと共通の
認識になっておりますが、具体論で非常なそれぞれの国の利害が絡んでおりますので、果たして早急に結論が得られるものかどうか、まだ確たる
見通しは得られるに至っておりませんけれども、
我が国といたしましては、
関係各国とも連携をとりながら、また、総
会議長あるいは事務総長等ともいろいろな
意見の交換をしながら、何とか安保理改革も含めて国連の三つの改革を早急に進めていきたい。その中で
我が国も常任
理事国としての
役割を果たす、こういうことになるように
努力をしてまいりたい、こう
考えておる次第でございます。