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1997-06-06 第140回国会 参議院 環境特別委員会 第11号 公式Web版

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  1. 環境影響評価法案(内閣提出、衆議院送付) ○公害及び環境保全対策樹立に関する調査 (会議録情報)

    平成九年六月六日(金曜日)    午後一時開会     ―――――――――――――    委員異動  六月五日     辞任         補欠選任      加藤 修一君     高野 博師君     ―――――――――――――   出席者は左のとおり。     委員長         渡辺 四郎君     理 事                 狩野  安君                 成瀬 守重君                 山下 栄一君                 大渕 絹子君     委 員                 景山俊太郎君                 河本 英典君                 小山 孝雄君                 谷川 秀善君                 馳   浩君                 平田 耕一君                 山本 一太君                 足立 良平君                 高野 博師君                 寺澤 芳男君                 長谷川 清君                 小川 勝也君                 竹村 泰子君                 有働 正治君                 末広真樹子君    国務大臣        内閣総理大臣   橋本龍太郎君        国 務 大 臣        (環境庁長官)  石井 道子君    政府委員        内閣法制局第二        部長       宮崎 礼壹君        経済企画庁国民        生活局長     井出 亜矢君        環境庁長官官房        長        岡田 康彦君        環境庁企画調整        局長       田中 健次君        環境庁企画調整        局地球環境部長  浜中 裕徳君        環境庁自然保護        局長       澤村  宏君        環境庁大気保全        局長       野村  瞭君        環境庁水質保全        局長       渡辺 好明君        外務省総合外交        政策局国際社会        協力部長     朝海 和夫君        厚生省生活衛生        局長       小野 昭雄君        厚生省児童家庭        局長       横田 吉男君        農林水産大臣官        房審議官     小畑 勝裕君        農林水産省構造        改善局長     山本  徹君        建設省住宅局長  小川 忠男君    事務局側        第二特別調査室        長        林 五津夫君    説明員        厚生大臣官房審        議官       伊藤 雅治君        厚生省生活衛生        局企画課生活化        学安全対策室長  内田 康策君        厚生省生活衛生        局水道環境部長  坂本 弘道君     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○環境影響評価法案内閣提出衆議院送付) ○公害及び環境保全対策樹立に関する調査  (飯能中央病院問題等に関する件)     ―――――――――――――
  2. 委員長(渡辺四郎君)(渡辺四郎)

    委員長渡辺四郎君) ただいまから環境特別委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  昨五日、加藤修一君が委員を辞任され、その補欠として高野博師君が選任されました。     ―――――――――――――
  3. 委員長(渡辺四郎君)(渡辺四郎)

    委員長渡辺四郎君) 環境影響評価法案を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  4. 景山俊太郎君(景山俊太郎)

    景山俊太郎君 総理、御苦労さまでございます。自由民主党の景山俊太郎でございます。  今回提案されました環境影響評価法案は、環境行政のビッグバンになることをまず期待いたしておるところであります。  さて、総理は今月二十日からデンバーサミットに御出席されて、そのサミットでは環境問題がテーマになると聞いております。それに続きまして、国連環境特別総会総理みずから演説をされるとも聞いておるところでございます。我が国世界経済の一割以上を占めている立場を自覚して、地球環境問題に対して積極的な提言を行い、また、国際的な責務を果たしていかなくてはいけないと思います。この二つ会議地球環境問題に対する我が国の姿勢をはっきりと示していただきたいと思います。  一方、平成八年度の環境白書が先般発表されましたが、これまでの地球温暖化防止対策が不十分であることを初めて認められたと報道されております。国際会議である十二月の地球温暖化防止京都会議を成功させるためにも、ぜひとも取り組んでいかなくてはならない課題であろうと思います。  そこで、地球環境問題について非常に識見のございます総理に二点だけ伺いたいと思います。  まず一点は、このサミット国連での会議においてどのような提言をされるかということであります。もう一点につきましては、国内の地球温暖化防止対策に今後どのようにお取り組みになるか、この二点についてまずお伺いをしたいと思います。
  5. 国務大臣(橋本龍太郎君)(橋本龍太郎)

    国務大臣橋本龍太郎君) 私は、この二つ会議の中で、何といいましても十二月に開かれます京都での気候変動枠組み条約締結国会議、これが成功裏に終結をいたしますように、そのためには各国がそれぞれに自分の国としての努力を積み重ねながら、総体として、それが公平であり、かつ実行可能な内容のものとしてまとまりますように、そのいわば第一段階の場としてこの二つ会議に臨みたいと思います。  同時に、もう一つ問題点として、特に森林の問題が他の国からも恐らく提起をされるでありましょう。これはまさに、二酸化炭素吸収源として地球温暖化防止等にとりましても非常に大きな役割を果たすことでありますし、森林保護あるいは植林の必要性、こうした問題についての国際協力がいかに大切かといったことを特に私はそれぞれの機会において発言をしていきたいと思っております。  同時に、それにいたしましても、我が国の中で地球温暖化防止というものを真剣に考えました場合に、我々の将来にわたるエネルギー政策というものをまず考えなければなりません。そして、これは安全というものが大前提になるわけでありますけれども、原子力の着実な推進なども含めまして、新たなエネルギー源化石燃料に頼らないエネルギーというものがどこまで我々の手として実行の上に移していけるのか、こうした努力を当然のことながら進めてまいりたいと存じます。また、そうした努力京都会議を成功させるためにも欠くことのできない我々としての責務であろうと存じます。  同時に、その実効のある取り組みが行われるかどうか、これは国民各界各層の御協力がどれだけいただけるかにかかっております。過去二回のオイルショックの中で、むしろ我が国産業界中心として省エネルギーというものについては相当の努力を傾けてまいりました。むしろこれから先、例えば一般家庭、個々人の暮らしに至るまでそうした観点での努力がいかに積み重ねられるか、こうしたものが二酸化炭素排出量を具体的に減らしていく上で極めて大きい。そうしたことを考えますと、環境庁にも依頼をし、今広報活動を続けてもらっておりますが、一般国民の中にいかにこうした問題についての関心をお持ちをいただき、協力を願えるか、こうしたことを中心に考えてまいりたい、そのように思っております。
  6. 景山俊太郎君(景山俊太郎)

    景山俊太郎君 私は持ち時間は五分ですので、いま一つだけ質問させていただきます。(「終わりですよ」と呼ぶ者あり)終わりですか。  それでは橋本総理京都会議、頑張っていただきますように、またサミットでも大いに頑張っていただきますように、心から期待をいたしております。  ありがとうございました。
  7. 山下栄一君(山下栄一)

    山下栄一君 平成会山下でございます。  私はダイオキシンの問題につきまして、ダイオキシン環境影響につきまして総理に御質問したいと思っております。これは、私は非常に緊急の事態を迎えていると、したがって対策をもう早急に講じなければ大変なことになるという、そういう認識のもとに総理に御質問したいわけでございます。  ダイオキシン史上最大の毒物とも言われておるわけでございまして、日本はこの焼却量の大変な多さから先進国でも最もダイオキシン汚染の進んだ地域、国ではないかと、このようにも指摘されておるわけでございます。  ところが、今回のアセス法案では、ダイオキシン排出源となっておりますそれらの中間処理焼却施設、これが事業対象になっておりません。地方自治体は国がダイオキシン基準をつくらないから規制のしようがないと、このように言っておるわけでございまして、ところがダイオキシン遺伝子にも影響を与えると。この有害化学物質への政府取り組みが西欧の先進諸国と比べて極めて生ぬるいと、このように思うわけでございます。現時点においても法令の規制措置は全くない、ガイドライン等行政指導的なものはあるかもわかりませんけれども、そういう状態になっておるということは大変な事態であると、このように思うわけでございますけれども、国の対応が極めておくれておるということにつきまして、総理の御認識をお伺いしたいと、このように思います。
  8. 国務大臣(橋本龍太郎君)(橋本龍太郎)

    国務大臣橋本龍太郎君) 私は、基本的にこの問題は、我が国廃棄物行政の持つ一つ問題点を示すとともに、他国に比して非常に多くの焼却を必要とする廃棄物を排出している国民一人一人にもこの点についての自覚を願わなければならない問題だと思っております。  現在、例えばこの東京都において排出されます廃棄物産業廃棄物は除きましても、東京都内処理し切れない状況にあることは御承知のとおりであります。また、埋め立て等によって処理できる量にも限界が既に生じております。そうなりますと、どうしても我々はその廃棄物処理焼却という手法に頼らなければなりません。今、そうした問題点承知をいたしながらも、なおふえ続ける廃棄物に対して必死の努力を傾けている状況の中で、今後、国会におかれましても、私は廃棄物そのものをいかにすれば減少させることができるのかという一つ視点をぜひ御論議の中に加えていただきたいと考えております。  その上で、我々はこのダイオキシンの問題というものは、まさに議員からも御指摘がありましたように、遺伝子レベルまでを含めた極めて将来にわたる国民に健康上の危険を及ぼす問題と、そうとらえております。主な発生源廃棄物処理施設と推定されております状況の中で、我々として今後ともに一生懸命に努力をいたしてまいりますけれども、御承知のように廃棄物行政というものが直接国の手を離れておる部分を持っておりますだけに、実行問題点があることも議員が御指摘のとおりであり、こうした点についても環境庁ばかりではなく、厚生省あるいは産業廃棄物をそれぞれ所管いたします各省庁を含めて努力をしてまいりたい、そのように考えております。
  9. 山下栄一君(山下栄一)

    山下栄一君 政府全体として早急に取り組んでいただきたいことにつきましてはまた後から質問させていただきますが、その前に埼玉所沢市の状況でございますけれども、この所沢市には環境庁国立環境研究所附属環境研修センターがあるわけです。非常に所沢というのは環境のすぐれた地域であると、このように宣伝されてきたわけでございますが、ところがその所沢市が現在最もこのダイオキシン問題の象徴的な場所になっておると。住民からの非常に深刻な不安、ダイオキシン汚染に関する健康被害も含めまして訴えがあるわけでございます。  それで、例えばお母さん母乳からダイオキシンが検出されていると。その所沢周辺くぬぎ山周辺のところの子供さんが生まれたばかりのお母さんの十人調べると十人ともダイオキシンが検出されておるという、そういう研究もあるわけでございます。近くに小学校とか幼稚園もたくさんあるわけですけれども、聞くところによると、六キロ範囲内に百校近くの幼稚園を含めた学校施設があると。そういう不安から、子供を抱えている御両親はこういうところでは子供を育てられないということで引っ越しをされている、言いかえれば子供が疎開していると。  また、狭山茶とかその他の農産物の地域でもございますので、風評被害まである。地価が下がって家を売りたくても売れない、そんな報告もございまして、私はこれは放射能汚染で大変有名になりましたチェルノブイリのそういう感じの状況所沢周辺では起きておる、このような認識が大事であると、このように思うわけでございます。  環境庁環境研修センターのおひざ元でそういう状況になっておりまして、この点につきまして総理がどのような状況把握をされておるのかということをお聞きしたいと、このように思うわけでございます。
  10. 国務大臣(橋本龍太郎君)(橋本龍太郎)

    国務大臣橋本龍太郎君) 所沢という地域に限定してのお尋ねでありますと、細かいデータまで私は承知はいたしておりません。しかし、その周辺所沢市及びその周辺地域産業廃棄物焼却施設が集中している、そうした状況の中で、埼玉県及び地元の市あるいは町から国に対してダイオキシン対策強化の要請がなされておることは承知をいたしております。そして、これが猛毒であることも承知をいたしておりますし、人体にどの程度汚染蓄積しているのか、及んでいるのか、こうした点についての実態調査につきましては、現在厚生省環境庁連携をしながら、その実態を把握するためにどのような調査をなすべきか、またその内容及び規模について部外専門家の御意見伺いながら、鋭意検討しておるというふうに承知をいたしております。  そして、母乳中のダイオキシンというものにつきましては、昨年、厚生省検討会におきましては、現在の知見からは直ちに問題となる程度ではないという報告をいただいたと聞いておりますが、母乳安全性を確保することがいかに重要かは我々も十分存じておるつもりでありますし、できるだけ早く有効な調査が行われますように、私としても関係者を督励して努力をしてまいりたい、そのように考えております。
  11. 山下栄一君(山下栄一)

    山下栄一君 今、人体汚染対応について少し総理の方からお話しいただいたわけでございますけれども、この人体汚染につきましては、私は五月十四日のこのアセス法案に関する本会議における代表質問でも総理にお聞きいたしまして、今お話あったことをお聞きいたしました。関係省庁連携とって今検討を進めておる、調査方法含めてと、こういう御答弁をいただいたわけでございます。  それに関してちょっとお聞きしたいんですけれども、この五月の初めにアメリカのマイアミ先進国環境担当大臣が集まられて環境サミットが行われた。その合意事項の中に、要するに乳幼児基準にと、健康に最も被害を受けやすいそういう乳幼児基準各国環境規制強化すべきであるということが合意されたと。この合意事項は、この六月に総理も御出席されますデンバーにおけるいわゆるサミットにも反映されるというふうにお聞きしておるわけでございますが、これと今のダイオキシン所沢だけじゃないわけでございますけれども、母乳そのものダイオキシン汚染されていると。母乳は非常に子供を育てるためには大事な成長の力になっていく部分でございます。その母乳ダイオキシン汚染されている、大変な事態であると思うわけであります。  今、総理おっしゃったわけでございますけれども、厚生省また環境庁健康リスク評価に関する検討会報告では、要するに先進国と比べても同レベル汚染状況だと、確かにこういう報告があるわけですけれども、詳しいことについてはまた後から環境庁厚生省質問させていただきたいと思っているんです、総理質疑が終わってからの話ですけれども。  これ、データがほとんどない。特に母乳ダイオキシン汚染に関するデータがほとんど蓄積がない。民間の研究、個別の学者研究等はある、国立環境研究所が若干かかわった一地域とか若干の地域のはあると。そのレベルで、なぜ、先進国でどんどん研究が進み、データ蓄積されているそれと比べて、同じレベルであるということが言えるのか。問題の状況になっていないというようなことを言うことは私はおかしいと思っておるわけでございます。そういう観点から私は、母親の母乳から出てきているような状況がある、この深刻な事態を、総理また政府として受けとめていただいて、そして緊急実態調査を即刻やるべきだということを本会議でも申し上げたんですけれども、そのための体制予算、これが今実態は極めて貧しい状況にある。  厚生省にもお聞きしましたですけれども、今までやってきた、平成六年、七年、八年やっておられるんですけれども、それはダイオキシンそのもの人体汚染とかそういう調査費はつけられていないわけでございまして、その調査にかかるコストは大変値段がかかる、調査技術も徐々に進んでおるけれども、調査機関自身が非常に少ないという現状もあるわけでございまして、これは大変な状況なのではないかと。  そういう意味で、やっぱり国が積極的にこれにかかわって、体制の問題もございますし、体制状況は、今検討といっても厚生省環境庁、労働省ぐらいかなと思うんですけれども、関係省庁はそれぐらいかもわからぬけれども、専門家も少ないと思いますので、そういう方々が総結集して、そして実態調査具体化予算をしっかりつけてやるべきだ。平成九年度も非常にまだ貧しい予算である。来年度は、これは来年度と言わずに予備費を使ってでも私は今年度やるべきだと。特に来年度予算にも反映させるべきだと。このことをきょうは特に総理出席だからお訴えしたいということで、私、ダイオキシンに絞ってこれをお聞きさせていただいているわけでございます。  マイアミ宣言の趣旨もしっかり受けとめながら、また母乳そのものからもダイオキシンが検出されているという状況を勘案して、これは危機管理の問題であるという観点から、体制の問題、予算の問題、今、財政構造改革状況かわかりませんが、これはちょっと別問題だということで、強力な予算措置も含めて取り組んでいただきたいということを強く総理にお訴えしたいと思うわけでございます。御答弁をお願いしたいと思います。
  12. 国務大臣(橋本龍太郎君)(橋本龍太郎)

    国務大臣橋本龍太郎君) 私は先ほども、厚生省環境庁連携の中で、部外専門家意見も聞きながら調査を進めようとしているということを御報告申し上げたつもりであります。  そして、これまでの取り組みは、既に議員も御承知のようでありますけれども、平成六年度厚生省研究から始まりまして、昨年の母乳中のダイオキシンに係る検討会報告まで毎年この問題についての調査を行ってまいりました。そして、それを受けたものとして現在出されておりますのが「母乳中のダイオキシン類安全性及び今後の母乳栄養の在り方について」でありまして、この中に含まれておりますのはそれなりに私は現在の専門家たちの最高の知見を集めたものだと考えております。しかし、同時に私は、人工栄養が非常に中心でありました時代に母子保健視点から母乳による育児というものを進めてきたかつて経験を持つ一人であります。そして、母乳汚染というものが、将来の蓄積を考えたとき、いかなる予見すべからざる事態を発生するかはある程度素人なりに存じておるつもりであります。  そうした上で、平成九年度におきましても母乳中のダイオキシン類についての研究というものは拡大していく予定でありますし、特に部外専門家の御意見伺いということを先ほども申し上げました。どうぞ、こうした調査にもまた御協力を賜りたいと存じますし、こうした問題から、本当に我々がこの問題を解決しようとするならば、焼却を必要とするごみの量を減らすところから始めなければ本当の対策はできないということまでをぜひこの場で私も訴えたい。全力を挙げて政府努力をいたしますが、それぞれの御家庭までを含めまして、いかにすれば焼却を必要とする廃棄物処理が減少することができるか、こうした視点につきましてもぜひ御協力を賜りたいと、この場をかりて心からお願いをいたします。
  13. 大渕絹子君(大渕絹子)

    大渕絹子君 総理、連日の御活動、本当に御苦労さまでございます。  私は、今回のアセスメント法案審議を通じまして、環境庁の権限の強化ということをたびたび申し上げてまいりました。きょうは、その件で総理にぜひ聞いていただきたいと思います。  諌早湾の問題については、環境庁対応について、国民からは環境を守らないような環境庁だったら要らないのではないかとか声が上がっています。また、行政改革の流れの中で国民生活省に組み込んだらどうかというような構想もあるやに聞いています。これに対して環境庁は、環境保全目的とする独立行政組織が必要だという御主張をされていると聞いています。  そこで、橋本総理にお伺いいたしますけれども、国民環境庁不要論についてどう認識をお持ちであるか。また、環境庁がヒアリングの中で、環境保全は二十一世紀の主要な政策課題であるとか、我が国環境政策における世界フロントランナーになるべきである、あるいはまた組織のあり方については環境保全目的とする独立行政組織が必要である、それからまた、専ら環境保全に責任を有する大臣行政組織を置くのが国際的潮流であり、一元的に推進をできる体制をとりたい、こういう御回答をしているわけでございますけれども、この点あわせて総理の御認識、御感想をお聞かせいただきたいと思います。
  14. 国務大臣(橋本龍太郎君)(橋本龍太郎)

    国務大臣橋本龍太郎君) 環境庁は、本年創立たしか二十六周年を迎えることになると思います。その創設にかかわりました一人として、今反省を持ちながら御質問を伺っておりました。  と申しますのは、環境庁創設いたします当時、これは私ばかりではありませんけれども、公害というアブノーマルな現象に対して戦うその組織、言いかえればそれがノーマルな状態に戻れば元の行政組織に戻してもいいのではないか、ある意味ではそういった思いが環境庁創設の時点における論議の中にあったことを私は今振り返っております。そして、そうした中でスタートをいたしました環境庁は、努力を進め、公害問題を解決すればするほど、逆に国民から見ると存在の軽い役所になるという大変不幸な運命をたどっておりました。  今回御審議をいただいておりますアセスメント法にいたしましても、前衆議院副議長の鯨岡兵輔大臣のとき、むしろ職を賭すぐらいの説得力をもって党を説得し産業界を説得し、一度は国会の提案にこぎつけながら遂に成立の機会を持つことのできなかった法律案であります。  しかし、環境庁創設二十周年を迎えましたとき、環境庁の若い諸君が中心になり、外部の方々意見伺いながら、二十年前の公害そしてそれに対する投資というものは一体何だったのかという非常によい分析をいたしました。そして、当時環境行政に非常に批判的でおられた学者方々に対してもその資料をお送りし、それに対する見解をいただき、ある意味ではこれは環境庁のその後を決める非常に大事な文書になったと思っておりますが、国の施策というものがタイミングよく行われ誘導された場合、産業界もまた環境という問題を無視して行動できない、そしてそれは非生産的な投資であるにかかわらず国民経済の上でプラスに転じる効果すらある、こうした非常に見事な分析でありました。  そしてその後、我々は残念ながら野党のときでありましたが、賛成をさせていただいた環境基本法の制定を初め、地球環境に対する取り組みのためのセクションが不十分とはいえ環境庁の中に置かれるなど、いわばアブノーマルに対する行政という姿から環境庁は今変わりつつあり、同時に、かつて環境庁に与えられておりました期待を国民の中から取り戻しつつあります。しかし、環境庁の力がその国民の期待に一〇〇%こたえるには、残念ながらまだ問題を持っておることもこれは否定ができません。そして現在、一方で行政改革を進めていき、中央省庁の統廃合を全体的な見地から考えている、我々はそのさなかでありますし、その座長役としての立場からいたしますと、環境庁意見、これがいい悪い、あるいはここに抜けている点があるという批判を私の立場でここで申し上げることはできません。  しかし、いずれにいたしましても、環境という視点を持たない行政組織を二十一世紀に向けてつくることはあり得ない、いかなる形であれ環境という問題を無視した行政はあり得ないということだけは、私は真剣に考えております。
  15. 大渕絹子君(大渕絹子)

    大渕絹子君 ありがとうございます。  そのいかなる形というのが、願わくは環境省であってほしいということを私は申し上げておきたいと思います。  そして、環境庁の権限強化をする意味からも、事業主務省からの出向人事というのはもはややめるべきではないかと思います。環境行政にとって専門的な技術、それから熱意、知識、そういうものを蓄えている方たちで環境庁をつくり上げていただいて、環境保全、地球環境保全をしっかりと守っていくという体制づくりを早急につくっていただきたいと思います。  そして、この法案でございますけれども、法案の審議をしてきましたが、どうしても内容がまだ詰められていない、それは運用の大部分が政省令にゆだねられているということに私は原因があるというふうに思います。特に、主務大臣の定める省令がこの法案の運用のかぎを握っていると言っても過言ではないと思います。  そこで、このアセスの中央環境審議会の答申は総理からの諮問によってなされたものであることから、法律を実際に運用する内容を定める主務省庁などの政省令は、答申の趣旨に沿ったものでなければならないと思っています。ぜひ、各省庁を指導し、そして確認して、実効性のあるアセスメント法案に仕上げていただく、これが総理に課せられた私は任務の一つでなかろうかと思っております。  ぜひ、お力をいただきたいと思いまして、御答弁をお願いいたします。
  16. 国務大臣(橋本龍太郎君)(橋本龍太郎)

    国務大臣橋本龍太郎君) これは、別に私はここで議員と議論をいたすつもりはありません。  ただ、今御指摘をいただきましたように、まさにこの法案は私自身が諮問をいたしましたその諮問に対する答申を踏まえて、実効の上がるアセスメントの実施のために十分な内容を備えたものとして御審議をいただくことになりました。そして、ある意味では、大臣持ちながら総理府の外局と位置づけられております環境庁でありますから、私自身がその政省令に目を配る、そうしたことのできやすい立場にあります。ある意味では、それがふできであった場合、その責任は環境庁長官というよりもむしろ私自身がとらなければならないものでありましょう。それが実は外庁による行政のメリットでもあります。  ですから、私は、省になるあるいは庁の姿である、そうしたことよりもいかに実効の上がる形で将来に向かった組織がつくれるか、そうした視点からこの問題は受けとめさせていただきたい。政省令に対する御注意は十分承りましたということをつけ加えて、御答弁としたいと思います。
  17. 大渕絹子君(大渕絹子)

    大渕絹子君 ありがとうございました。  終わります。
  18. 竹村泰子君(竹村泰子)

    ○竹村泰子君 総理、きょうは御出席いただきまして、ありがとうございます。  今、大渕さんからいろいろと御質問がありました。私もその続きみたいになりますけれども、私は総理のお書きになりました「ビジョン・オブ・ジャパン」の第Ⅲ部、「「環境保全先進国」としての国際貢献」というところを非常に興味深く拝見をいたしました。  今、総理もお触れになりましたけれども、六〇年代の四日市ぜんそく、水俣病といったような公害の歴史の中から、環境庁をどうしてもつくらなければと、第六十四臨時国会がまさに公害国会という呼ばれ方をするほど公害対策を論じられた。  厚生省の政務次官として、総理はこのときに初めは皮肉なことに環境庁の設立構想に激しく抵抗をなさったということで、それは非常に反省のうちに書いておられます。  そして、環境庁という行政が国の組織の中に確立をした、まさに自然保護という行政が確立をしたということで、これまでの分野の行政はばらばらに分かれており、しかし環境庁ができたことによって非常にそういったことがクリアになったということで、「環境庁には各省庁を横断して遂行しなければならない重要な任務があります。」というふうにお書きになっておりまして、それから二十年、今総理がいろいろお述べになりましたので、もう御答弁なさったと思いますので、私もそのことについて御答弁いただくのを控えますけれども。  結局、私どもは今さまざまな問題に、この環境アセスの審議中に諌早問題とかそのほかダイオキシンの問題とかいろいろなことにぶつかりながら、一体環境庁組織、権限をどのようにすればいいのかということを考えているところであります。  今、環境ということで社会問題化していることには、分類するとおおむね私は三つぐらいあるのではないかと。一つ産業廃棄物、一般廃棄物のごみ処理、そしてリサイクル社会をつくっていく問題。これには排出者責任の不徹底とか情報公開の不十分さとか基本的な原因がたくさんあります。二つ目は、干潟、里山などの自然に対するすさまじい環境破壊、これも公共事業などをきちんと政策をチェックしていかなければならないという問題があると思います。三つ目は、この一と二の課題を通じて問題があると住民が感じても、縦割り行政の中で問題をたらい回しにされて、一体どこへ言ったらいいかわからない。訴えの窓口と責任の所在が、国と地方の連携や縦割り行政で不明瞭になってしまっているというふうなことがあると思います。  環境庁をおつくりになるときの主たる大きな任務をお負いになって、その後も環境には非常に御造詣の深い総理、今の環境庁、日本の現在のあり方、それと我が国で、例えばアメリカのNEPAアセスの手続のようなそういった手法をとれない、環境基本法やこの法案などで十分な詰めがなかなかしにくい、このようなことについてどうお考えになりますでしょうか。
  19. 国務大臣(橋本龍太郎君)(橋本龍太郎)

    国務大臣橋本龍太郎君) 今、私自身の著書に触れられましたので、それに触れながら反省を含めて申し上げますと、環境庁を設立する時点で一番全員に欠落をしておりましたのは、実は廃棄物という問題を環境問題としてとらえるという視点でありました。  大変恥ずかしい話でありますけれども、当時の厚生省公害部の課長さんの中二人、その二人だけが、環境庁をつくるなら廃棄物の問題を取り入れるべきだという議論をいたしましたが、その上司をも含め国会の我々も、ごみはごみじゃないかということで全く実は環境という視点にこれを組み込んでおらなかった。それが先ほど指摘をいただきました、その焼却から生ずるダイオキシンといった問題に今つながっている、私自身そのような思いもございます。  まさに環境問題というのは、これは日本だけではありません、二十一世紀に向けて人類共通の課題でありますし、しかも我々が解決しなきゃならない課題であります。加えて、持続可能な開発というものを目指さなければならないという意味でも極めて大きな問題を有しております。  私は、今、議員が整理をされました今後の環境行政の三つの視点という分類に決して異論を唱えるものではありません。ただ、その上で申し上げたいこと、それは、一昨年我が国自身がAPECの議長国としてAPECを主催し、また非公式首脳会議を主催いたしましたときに、二十一世紀におけるアジア太平洋地域の制約要因として私どもが提起をいたしました問題は、爆発的な人口の急増とそれに伴う食糧及びエネルギーの非常な消費の拡大であり、それが環境にもたらす影響という視点でありました。これには相当議論がありましたけれども、議長国としての日本は最終的に合意を取りつけることに成功いたしました。そして、今既にこうした分野からのAPECの中における検討作業はスタートをいたしております。  そうしたことを考えますとき、私どもは余り細かい類型から環境行政を組み立てるよりも、むしろ持続可能な社会というものを維持するために我々が注意すべき点ほどこか、現時点において気づかない問題が発生したときにも、環境庁あるいはそれにかわります新たな組織というものがワークし得るような、それだけの弾力性を持ったものをつくるべきではなかろうか。  二十六年前に環境庁の設計図をかきました当時の責任者の一人として、余りに起きておりました公害という現象に限定して対策を考え、環境庁を設計いたしましたその当時の考え方の浅さを今恥ずかしく思っております。
  20. 竹村泰子君(竹村泰子)

    ○竹村泰子君 もう時間が残り少なくなってしまいましたので、もっとお聞きしたいことがあったのですけれどもやめなければなりませんが、私どもは公共事業コントロール法案を提出いたしました。そして、今それによって失われる生態系の保護をも考えての話でございますが、環境庁の存在意義を示すならば、戦略的な環境アセス制度を一部でもいいから導入すべきだと。アメリカは言うに及ばず、オランダも立派な戦略的環境アセスメント制度を持っているではないかと言いたいのでございます。諌早で問題になっております農業と環境との両立だって、これは決してヨーロッパなどでは不可能ではない、必ずしも対立するべきことではないと考えます。  そこで、COP3が十二月に京都で開かれますが、そういった考えの上に立って、このCOP3の議長を総理みずからがお務めになるぐらいの御英断をなさって乗り出していかれれば、世界は日本に注目をするでありましょうと思います。いかがでしょうか。
  21. 国務大臣(橋本龍太郎君)(橋本龍太郎)

    国務大臣橋本龍太郎君) 今、ある意味では政策あるいは上位計画段階からのアセスメントという問題についてのお触れをいただいたわけであります。私はこれを全部読み上げるつもりはありませんけれども、中環審の答申の中におきましても、上位計画、政策における環境配慮をするための具体的な手続のあり方を議論するには検討を要する事項が多過ぎるといった指摘もされておりまして、我々として問題意識は持っておりますけれども、現時点においてそこまでまだ進んでおらないことは御指摘のとおりであり、これから先の検討を必要とすること、そのように思います。  それから、京都会議議長と言われましたが、あれは実はずっとその国の環境大臣が主宰することになっておりまして、私、石井さんにけ飛ばされるのは嫌ですから、できる限りのお手伝いはすると。そしてそのためにも、まさにこのデンバーサミット及び国連環境特総というもので私は実現可能性のある議定書を結べるための努力を少しでもしてまいりたい。もちろんそのときまで首がありましたら、一生懸命に環境庁の下請をいたします。
  22. 竹村泰子君(竹村泰子)

    ○竹村泰子君 環境庁長官に大変失礼だったかもしれないんですけれども、ぜひ議長、副議長という形でやっていただきたいと強く御要望しておきます。  終わります。
  23. 有働正治君(有働正治)

    ○有働正治君 私は、諌早湾の干拓の潮受け堤防、七千五十メートルの閉め切られた潮受け堤防問題、地震対策上から幾つかお尋ねします。  総理にお尋ねする前に、農水省、建設省に事実確認を求めます。  きょうは総理が御出席ということで、それぞれの省庁局長さん御出席いただいているみたいでありがとうございます。  まず、農水省であります。事前にいただいた資料等によりますと、潮受け堤防の設計上の震度階というのは改定後では五の弱と承知しています。  これは間違いないか、これが第一点。  第二点は、設計水平震度は〇・〇八四と承知しています。間違いないかどうか。  第三点、阪神・淡路大震災後、この潮受け堤防につきまして設計上及び工事の補強あるいは変更は行っていないと承知していますけれども、間違いないかどうか。結論的にお示しいただければ助かります。
  24. 政府委員(山本徹君)(山本徹)

    政府委員山本徹君) 御指摘の数字は、先生お示しのとおりでございます。  この潮受け堤防は、これは土地改良の耐震構造の設計基準に基づいて設計いたしておりまして、耐震構造を十分配慮して設計、施工いたしておりますけれども、阪神大震災後に専門の学識経験者がこの耐震構造について改めて検討いたしましたところ、阪神大震災はこれは最大の震度階七でございましたけれども、この最大の震度階七のもとにおいても農業用のダム等大きな被害を受けておりませんで、改めて土地改良の耐震設計基準安全性、有効性が検証されたところでございます。
  25. 有働正治君(有働正治)

    ○有働正治君 議論する時間がございませんので、事実確認だけ求めているわけであります。  建設省にお尋ねいたします。  建築物の耐震基準につきまして、中規模地震、震度階でいいますと五強である、これは水平震度〇・二、大地震は一・〇と承知していますけれども、間違いないかどうかだけお答えいただければ。
  26. 政府委員(小川忠男君)(小川忠男)

    政府委員小川忠男君) 御指摘のとおりでございます。  人が居住しているという前提のもとに、中規模な地震につきましては〇・二、大規模な地震に対しましては一・〇、これを基本に制度を構築しております。
  27. 有働正治君(有働正治)

    ○有働正治君 そこで、総理にお尋ねいたします。  今日、地震被害で一番重視されるのはこの水平震度、それがどれだけ継続したか、その点で水平震度が重要だと私は承知しているわけであります。  農水省の答弁では水平震度〇・〇八四であります。これは八十二ガルに当たるわけであります。  建物では〇・二、これは百九十六ガルであります。  しかしこの〇・二も、阪神・淡路大震災では破壊、倒壊したり、いろいろ深刻な状況があったことは御承知のとおりであります。大地震の際は一・〇、これは九百八十ガルであります。  潮受け堤防はその半分以下、十数分の一の水準で、農水省の担当者は今十分と言いましたけれども、この水平震度、これが問題でありまして、〇・〇八四というのは根本的に問題があると。しかも干潟、超軟弱地盤で、これでは不完全だ、欠陥だと、危険があるということを御専門の方、私何人かお尋ねしまして答えておられるわけであります。  しかも、ここは活断層の近くであります。ここに図を持ってまいりました。(図表掲示)これが九州であります。そして島原半島の諌早湾というのは、ちょっと見にくいかと思いますけれども、赤い線が活断層が走っていることを示しているものであります。千々石断層といって諌早湾の潮受け堤防から十キロ以内のところに確実に大きなものがある。幾つも走っています。そして地震の第一級の専門家によりますと、ここは地震の空白地域と。つまり、阪神・淡路大震災の場合には、大阪-名古屋、大阪-神戸方面が地震の空白地域で要注意地帯だということを指摘されて観測強化地域に指定されていましたけれども、まさにここが空白地域で、将来、活断層的にいっても非常に危険な地域と第一級の専門家指摘している状況があるわけであります。  先日の鹿児島の川内並みの地震、これは四百ガルでありました。それから八郎潟、これは何度も地震によって被害を受けましたけれども、当時の地質学会の専門家調査によりますと百六十から百九十ガルです。ところが、ここは八十二ガルという状況で、活断層、危険空白地域、こういう状況。例えば秋田八郎潟は地震によって液状化が起きまして、堤防が一メートルとか巨大な崩壊で、干拓造成事業費よりもその復旧事業費の方がかかったと。岡山県の場合も、総理承知のとおりだと思います、児島干拓が非常に被害を受けた歴史が戦後ございます。最大の死者をあそこの干拓地が出したと。  そして今、そういうことがもし起これば、ここは潮受け堤防を閉め切っているわけであります。  外の水の高さ、海水の高さと中の淡水化される池の高さが、三メートル、四メートルと高さが外が高いわけであります。堤防がもし陥落したり、いろんな事故が起こった場合には、その水がどっと乗り越えて諌早市の方に行って、それこそ防災どころか大災害が起きかねない。国家百年の大計である以上、そういうところについてはきちっと事実に基づいて検証して、そしてつくるべきではないという議論さえ専門家の、第一級の専門家です、私、政府の国立の研究所の方々にもお聞きいたしました。そういう問題が内在しているということが指摘されているわけであります。  そこで、これだけ国家百年の大計の大事業をやるのであれば、総理にここで一々内容上議論しようとは私思いません。時間もございません。そこで総理にお尋ねしたいことは、私は、少なくともそういう問題を初めてこれは提起するわけです。  根源的な問題が私は内在すると思っているわけであります。農水省の答弁は各専門家の検証にたえ得るものでないことを明確に私は指摘したいと思うのであります。  そういう点で総理にお尋ねしたいものは、農業上の問題、防災上の問題、環境上の問題、いろいろ政府のお立場もあります。そのほかのお立場もございます。私どもも専門家を含めましてお聞きした立場もあります。  少なくとも国民の間で、朝日世論調査は、五八%、門をあけろ、毎日の世論調査によりますと、干拓中止五一%、推進一七%、世論の上から国民も大きな疑念を持っていて、批判的な意見が過半数を圧倒的に超えている状況があるわけであります。少なくともこういう問題提起に対して事実に基づいて検証する、このことは非常に重要だと思うので、この点についての総理の御答弁と、私はこの干拓の潮受け堤防が地震上根源的な問題があるということを提起したわけでありますから、ちょっと総理、お聞きいただきたい。
  28. 国務大臣(橋本龍太郎君)(橋本龍太郎)

    国務大臣橋本龍太郎君) 両方聞いています。  大丈夫です。
  29. 有働正治君(有働正治)

    ○有働正治君 つまり後刻、総理、私の問題提起したものに対して責任ある検証結果をお示しいただくように、政府として対応願いたいと思うわけであります。その間、やっぱり門をあけて検証するということが大事ではないかと思うわけで、この検証の問題、この地震についての責任ある回答を、後刻で結構です。そして、その間門をあけるという、国民大多数の世論。前向きにお願いしたい。
  30. 委員長(渡辺四郎君)(渡辺四郎)

    委員長渡辺四郎君) 時間が来ました。
  31. 国務大臣(橋本龍太郎君)(橋本龍太郎)

    国務大臣橋本龍太郎君) 本来なら専門家である農水省の方から、議員の挙げられましたデータに対し多少論拠を異にする数字を提起させていただくのが筋であると思います。なぜなら、私の知ります限りで、例えば児島湾干拓地においてそれほど大きな地震被害があったということは、自分がそこを郷里としている人間として、実は私は余り聞いたことがございません。
  32. 有働正治君(有働正治)

    ○有働正治君 それは事実認識がちょっと……
  33. 国務大臣(橋本龍太郎君)(橋本龍太郎)

    国務大臣橋本龍太郎君) はい。ですから、そういう点も本来ならお尋ねをしたいところでありますが、議員が提起をされました問題でありますから、今事務当局に私が申しておりましたのは、調査はしろよと。ただ、今あけるあけない、これは決めたルールできちんとやりたまえ、そういう指示をいたしておりましたので、議員の御質問中、多少事実認識に違いがあるのではないかと思われるところを含めまして、調査は我々もいたしましょう。
  34. 有働正治君(有働正治)

    ○有働正治君 それで回答いただきたい、私の提起に対して。
  35. 国務大臣(橋本龍太郎君)(橋本龍太郎)

    国務大臣橋本龍太郎君) ですから、調査はいたしましょう。
  36. 有働正治君(有働正治)

    ○有働正治君 じゃ、調査結果について報告だけ求めます。  終わります。
  37. 末広真樹子君(末広まきこ)

    末広真樹子君 自由の会の末広真樹子です。  一日千秋の思いで待ち焦がれておりましたアセス法案がやっと誕生じようとしております。ここまでの長い年月、御苦労と御努力を重ねてこられた先輩の皆様に深い敬意を表したいと思います。  さて、私も待ち焦がれた一人でございます。なぜ待ち焦がれたか。我がふるさと愛知での万博計画を例にとってまいりたいと思います。  万博を愛知県でやって、世界の波を素肌で感じることはとても大切なことだと思います。しかし、その開催地は一番やってはならない場所が代替案もなしに提示されました。住民の合意も得られておりませんでした。ともに生きるというのを精神的バックボーンとしている私は、海上の森で万博をやったのでは自然破壊につながる、人間との共生も大事、でも、自然との共生、御恩も忘れてはならないと考えて、あの場所では問題があると申し上げてまいりました。そうしましたら、万博反対議員と報じられました。これは省略のあり過ぎるタイトルで、私は大きな十字架を背負う羽目になりました。  そこからは必死でございました。当時通産大臣だった総理、よく御存じだと思いますが、私に、万博に関する自然保護は、末広さん、環境庁自然保護局よとおっしゃってくださいました。ところが、不幸なことに、地方の描いている事業プランについては所管の省庁では把握していても、それ以外のところでは全く知らされていない、縦割り省庁の壁をまず感じました。  そして、アセスにおいては所管大臣から聞かれて初めて環境庁はお答えできるのであるという閣議アセスの仕組みを知りました。国民の皆さんはだれ一人としてこんな政治の奥深い仕組みを御存じありませんので、今この場をおかりしてオープンにしたいと思いますが、その間日本の各地で多くの環境問題が起きて、私たちはそれらを解決するための法を持たなかった。それゆえに環境庁の足場もまた弱いものでした。また、環境庁を頼りとしている住民はそれ以上に弱いものでございました。  そういう意味で、アセス法案の誕生は大変意義深く、エポックメーキングな事柄であると思います。ついに日本のエコロジー元年が来たと感じさせます。環境問題に御造詣が深く、弱者への配慮もお忘れにならない橋本総理の時代に誕生じようとしているのは、まことに喜ばしく思います。  総理、どうぞアセスメント法誕生に向けて、一分間に凝縮して力強い御決意をお願いいたします。
  38. 国務大臣(橋本龍太郎君)(橋本龍太郎)

    国務大臣橋本龍太郎君) 一分間と言われますと大変しんどうございますけれども、私自身、先ほどもちょっと触れさせていただきましたように、鯨岡前衆議院副議長が環境庁長官として本当に閣内で職を賭すぐらいの論争のあげくに環境影響評価法案国会に提出されたこと、与野党の間でそれがついに一度も議論をされないままに廃案の運命になり、その後閣議アセスの手法でしかこれに対応できなかった経緯を存じておりますだけに、こうして法案そのものが両院を通じて御審議をいただけるということ自体が非常に私にとっても感慨深いものであります。  せっかくでき上がりますアセス法案、誕生いたしましたならば、環境庁の諸君はもとより、これを十分に駆使してよりすぐれた行政をしてくれるものと私は信じております。
  39. 末広真樹子君(末広まきこ)

    末広真樹子君 ありがとうございます。  現在の我が国日本は、公共事業に巨額を投じ過ぎて、日本の財政の収支バランスが悪くなりました。国民の負担が重くなりました。国民は、政府の言うことを聞いて頑張ってやってきたんだから、今度は政府は行財政改革をしっかりとやって、歳出削減頑張ってと、こういうふうに言っております。そして、巨額投資を要する開発事業をやるときは計画段階から参加させてほしい、そうすれば税金のむだ遣いが減らせますとも言っております。  アセス実施に当たっては、この法案では検討課題として積み残しておりますが、計画段階から情報をオープンにして住民参加を保障するという制度が今後は大切だと思いますが、総理の御見解をお伺いいたします。
  40. 国務大臣(橋本龍太郎君)(橋本龍太郎)

    国務大臣橋本龍太郎君) 私は、個別の事業計画、あるいは実施の枠組みを与える政府の計画あるいは政策というものの中で、環境配慮というものが大事であることを全く否定するつもりはありません。また、これは環境基本法でも明定されております。  ただ、今回の中環審の答申の中におきましても、いわゆる上位アセスの部分についてはなお検討を要する課題が多いという御指摘を受けた部分であります。今後ともにこうした点についての検討を怠ることはできない、私はそのように思っております。
  41. 末広真樹子君(末広まきこ)

    末広真樹子君 先進国で一番おくれてこのアセス法を持った日本としては、引き続いて上位アセスの検討をぜひお願いしておきたいと思います。  私は、自然の生態系を守るという環境問題の中のほんの一端の勉強を始めたばかりでございますが、この二年間で痛感いたしましたのは、環境は事業を阻害するという一部での誤解があることでございます。その誤解のために環境庁はあつれきの中で苦しんでまいりました。  そこで、四つ総理にお尋ねさせていただきたいと思います。  一つ目は、アメリカにはCEQ、環境諮問委員会というのがございます。我が国においても、自然保護とアセスメント制度の質的向上のためのCEQ委員会を総理の諮問機関として設置して、我が国のアセスメント制度をチェックする第三者機関としてはいかがでしょうか。  二つ目に、環境庁の勧告権という伝家の宝刀を切れる刀にしていただくためには、先ほど来出ております庁ではなく省である必要があるのではないでしょうか。  三つ目に、日本の将来を考えれば、環境庁、国土庁、農水省、通産省、厚生省などの垣根を取っ払って、エコというくくりで環境政策の一元化が必要なのではないでしょうか。  四つ目に、アセス評価書を読み取る高度な技術が要求されてまいります。それには専門官の育成と、それから民間にいる専門機関への信頼と支援という面からもNPO法案を早期実現していただくことが必要ではないのか。  以上、私の四つの質問に御答弁をちょうだいしたいと思います。
  42. 国務大臣(橋本龍太郎君)(橋本龍太郎)

    国務大臣橋本龍太郎君) まず一点目の米国の環境諮問委員会、これと同様のものをつくれと言われるわけでありますけれども、私これ異論があります、正直に申しまして。と申しますのは、この位置づけは環境政策法というのに基づいた大統領府に属する機関でありまして、中で持っておりますものを見ますと、環境政策全般の管理、環境白書の作成、大統領への助言あるいは調査報告。  アセスメントに関しましても、国家環境政策法に基づく規則、指導書の作成、それから関係の政府機関から付託があった案件についての政府機関間の調整、勧告。  私、これじゃ環境庁とほとんど変わらないと思うんです。そして、環境庁状況が私は不十分な部分があることを認めておりますけれども、この環境諮問委員会を仮に併設をいたしましても、全く似たような構造のものを二つつくるだけでありまして、むしろ環境庁の機能を強化する、あるいは環境行政強化するということにはつながらないように思いまして、余り私は議員に逆らったことがないんですけれども、この点は正直を申し上げまして異論がございます。
  43. 末広真樹子君(末広まきこ)

    末広真樹子君 ならば、どうするんですか。
  44. 国務大臣(橋本龍太郎君)(橋本龍太郎)

    国務大臣橋本龍太郎君) 私は、先ほど庁か省かという御指摘がありましたが、これからの行政改革の中において環境という視点を落とすことないそうした行政の仕組みをつくりたいということを申し上げてまいりましたが、むしろそうした視点からこの問題はとらえさせていただきたい。私はアメリカの環境諮問委員会と同様なものをつくることには賛成できません。  それから、ある意味ではこれは各省庁の機構がどうなっているかということとは全く違った、生態系という切り口を横断的に政策の中に取り入れろというその発想は、これから我々が検討していく中でも役立つものとしてむしろこれは私は賛成の視点でありますし、どういう形であればまさに持続可能な開発というものにこれを結びつけていけるのか、そうした視点からこれは私自身も勉強してみたいと思いました。  それから、アセスの評価書というものを考えて専門家の養成の必要を言われた視点は、私自身大切な視点だと存じます。  その上で、我が国の公務員制度の中で今我々の前に立ちはだかっております一つ問題点、それは年功序列型の賃金体系というものと人事院の給与表というものの中で専門家として一つの職種に長年従事していただき、その部分のプロになる方々の処遇が今の給与体系の中で十分なものができないという問題点であります。これは、実は他の分野におきましてもそうした問題点を抱えているわけでありますが、そうした分野の共通の問題として今後の検討課題として私はちょうだいをいたしてまいりたいと思います。  それから、NPO法案の早期実現を言っていただきましたが、先ほどおかげさまで市民活動促進法案が衆議院の本会議で可決されたというメモをちょっと前にもらいました。政府としてもこの法案の重要性を十分認識しておるところでありまして、できるだけ早くそれが立法府から行政府の手に渡していただけることを心から願っております。
  45. 末広真樹子君(末広まきこ)

    末広真樹子君 ありがとうございました。  質問を終わります。
  46. 委員長(渡辺四郎君)(渡辺四郎)

    委員長渡辺四郎君) 速記をとめてください。    〔速記中止〕
  47. 委員長(渡辺四郎君)(渡辺四郎)

    委員長渡辺四郎君) 速記を起こしてください。     ―――――――――――――
  48. 委員長(渡辺四郎君)(渡辺四郎)

    委員長渡辺四郎君) 公害及び環境保全対策樹立に関する調査を議題とし、飯能中央病院問題等に関する件について、石井環境庁長官から報告を聴取いたします。石井環境庁長官
  49. 国務大臣(石井道子君)(石井道子)

    国務大臣(石井道子君) 病院内のアスベスト工事につきましては、五月二十一日に本委員会で報告をいたしました内容と異なりまして、アスベストを除去した事実がございました。  既に本委員会で報告いたしました内容と異なった結果になりましたことにつきまして、陳謝させていただきます。
  50. 委員長(渡辺四郎君)(渡辺四郎)

    委員長渡辺四郎君) 以上で報告の聴取は終わりました。
  51. 委員長(渡辺四郎君)(渡辺四郎)

    委員長渡辺四郎君) 環境影響評価法案を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  52. 山下栄一君(山下栄一)

    山下栄一君 アセス法案質問はきょうしっかりやりたいと思っておりますが、その前に、今長官から御報告いただきましたことにつきまして少し言いたいことがございますので、言わせていただきたいと思います。  今の長官の御報告は私は大変重要な報告であったと、このように思います。したがいまして、幾つか指摘させていただきたい。  まず第一に、飯能中央病院のアスベスト工事、これは囲い込み方式ではなくてアスベストを除去したと、こういう新しい御報告が今あったわけでございますけれども、これは大変重要なことでございまして、労働安全衛生法上の問題が残るということを指摘しておきたいわけでございます。  すなわち、届け出義務違反、作業上の法令違反、これらは罰則を伴うものであり、公人として責任が問われるということを自覚して厳格に対処すべきである、このことを指摘したいと思うわけでございます。  第二に、本来患者の健康を守るべき病院で、患者及びそこで働く従業員を有害物質アスベストによる重大な健康被害の危険にさらした当時の理事長として、責任は極めて重大である、当然そこにかかわった人たちの健康被害調査など早急に事後対策をとるべきであります。  第三に、一連のこの飯能中央病院問題についての質疑の中で明らかになった石井長官自身の環境意識の低さについてであります。アスベストは環境庁所管の大気汚染防止法の法律規制物質であり、その扱いに対する長官の環境配慮は著しく欠如していたと言わざるを得ません。ことし十二月の地球温暖化防止京都会議など、先ほど質問にもございましたが、今後メジロ押しとなる環境に関する国際会議中心的役割を果たすべき我が国環境庁長官としては、極めて適性に欠けると、このように申し上げておきます。  第四に、長官の国会議員としての遵法意識、法を守ろうという意識の欠如であります。既に明らかになっているスプリンクラーの設置に関する消防法令上の問題、アスベストに関する労働安全衛生法上の問題、医療法人の理事長としての職務に関する医療法上の問題、以上諸法令に対して、だれよりも法を守るべき国務大臣として、また国会議員として、その遵法意識の低さを露呈した。これはまことに遺憾であります。  そして第五に、何よりも国権の最高機関である国会の本委員会において虚偽の報告をされた事実は、国権の最高機関たる国会を軽視するものであり、その罪は甚だ重大である、このように考えます。私たちの先輩が最初に国会アセス法案を提出して以来、実に二十二年が経過し、長年の国民の念願であった本アセス法案審議が、このような長官のもとで行われることは極めて無念であります。我が国環境行政にとって分岐点ともなるべきこのアセス法案審議に汚点を残すものであると言わざるを得ません。  以上、本日の長官の報告に対し、率直に感想を述べさせていただきました。長官の真摯な、かつ厳しい反省を求めるものであります。  なお、現在私は、政府に対し、アスベスト問題以外の案件につきましても質問主意書を提出しております。その結果を踏まえまして改めて質問させていただく場合があるかもわかりません。そのときはどうぞよろしく、また真摯な対応をお願いしたい、このように申し述べておきたいと思います。  次に、ダイオキシン問題について、先ほど総理質問させていただきましたが、質問させていただきたいと思うわけでございます。  ダイオキシンがことしに入りましてからいろんな、去年からかもわかりません、厚生省、特に環境庁中心として検討会検討され、そして中間報告、また最終報告も出ておるわけでございます。何か今どんどんダイオキシンから環境を守るための具体化が進んでいるような感じを受けるんですけれども、ところが、今現在この時点におきましても、法令上の規制措置は全くない、このように私は思うわけでございます。行政指導レベルのガイドラインの設定とかそういうのはあるかもわかりませんけれども、法令上の対応は全くないと、このように思うわけでございます。  環境庁厚生省それぞれ、現在はそうであると私は思うんですけれども、この認識は間違いございませんでしょうか、それぞれお願いしたいと思うわけでございます。厚生省廃棄物関係の担当の方、お願いしたいと思います。
  53. 政府委員(野村瞭君)(野村瞭)

    政府委員(野村瞭君) この委員会におきましてもお答え申し上げているかと存じますけれども、昨年の五月にダイオキシンの排出抑制に係る検討会を設けまして、専門の先生方に排出抑制に係る基本的な考え方を検討していただきまして、去る五月に、大気汚染防止法で有害大気汚染物質等にかかわりまして指定物質制度を設けておりますが、それに指定することが望ましい旨の御報告をいただいたところでございます。  これは基本的な考え方ということで、具体的な数値等も含めまして、規制基準につきまして、現在、中央環境審議会で御議論をいただいておるところでございます。できるだけ早く結論を出していただくべくお願いをしているところでございまして、でき得れば八月、夏ぐらいまでには出していただきたいということでお願いをしているところでございます。
  54. 説明員(坂本弘道君)(坂本弘道)

    説明員(坂本弘道君) 廃棄物焼却施設の構造基準それから維持管理基準につきましては、現在、生活環境審議会に設けられました廃棄物処理基準等専門委員会において検討しておるところでございます。  ダイオキシン対策に係る基準に関しましては、一つは完全燃焼の確保のための廃棄物の定量供給、一定温度以上の燃焼温度の確保。二つ目が排ガス処理の適正化のための集じん器入口の排ガス温度の低温化、十分な集じん効率を有する集じん器の設置。三つ目が排ガス中のダイオキシン類濃度の定期的な測定等につきまして具体的な基準を設定する方向で検討しておるところでございます。  また、スケジュールについてお尋ねでございましたが、ダイオキシン対策の重要性にかんがみまして、早期に取りまとめることとしておりまして、この夏に基準の改正を行い、年内にも施行することができるように努めてまいりたい、かように考えております。
  55. 山下栄一君(山下栄一)

    山下栄一君 私が質問したことに全然答えてくれていないんですよね、質問してないことに答えているから。  だから、現在、今この時点で法令、行政指導じゃなくて法令ですよ、法律または政省令でそういう対応をなされておるかと。環境庁、大気汚染の関連で結構です、厚生省廃棄物関連で結構です、それぞれお答えくださいと申し上げているわけです。時間を食われて困るよ。
  56. 政府委員(野村瞭君)(野村瞭)

    政府委員(野村瞭君) 先ほど申し上げたわけでございますけれども、中央環境審議会の御議論を踏まえまして、法的な措置も含めて、私ども早期に対応してまいりたいということでございます。
  57. 説明員(坂本弘道君)(坂本弘道)

    説明員(坂本弘道君) 廃棄物処理法上の特にそういう規制ということじゃございませんが、ただいまガイドラインというのを設けまして、それに基づいてやっておる、こういうことでございます。
  58. 山下栄一君(山下栄一)

    山下栄一君 だから要するに、環境庁所管の、また厚生省所管のそれぞれにおいて法令上の対応はしておらない、今はないということ、現在。そういうことでよろしいでしょうか。今はないと、この時点では。もう一回ちゃんと。あるかないかだけ。
  59. 政府委員(野村瞭君)(野村瞭)

    政府委員(野村瞭君) 現時点におきましては、大気汚染防止法上の規定は、排出口における濃度規制という意味でございません。
  60. 説明員(坂本弘道君)(坂本弘道)

    説明員(坂本弘道君) 廃棄物処理法上も、同じくないということでございます。
  61. 山下栄一君(山下栄一)

    山下栄一君 昭和五十八年の段階でダイオキシンが日本でも焼却施設から発見された。非意図的物質で、人工的にできてしまう猛毒の物質であるということ、以来今日に至るまで、先ほど総理からお話がございましたけれども、日本は大変ごみを焼却する国でございますが、一九九七年の今の時点までも法令上の対応はしていない。これが日本の実情であるということを私は指摘したかったわけでございます。  それで、今緊急の対応をされておるということでございますけれども、それぞれ先ほど報告いただきましたけれども、環境庁は大気汚染防止法の観点から指定物質というあり方で今進めておる、そういうことでございますが、スケジュールですけれども、中環審で結論を得て、いつごろその指定物質が具体化されるんでしょうか。
  62. 政府委員(野村瞭君)(野村瞭)

    政府委員(野村瞭君) 先ほど申し上げましたように、現在、中央環境審議会で御議論中でございまして、できるだけ早くということで夏ごろまでに御結論をいただきたいということをお願いしております。それを踏まえまして、早期に私どもとしては法令的な措置を講じたいということでございます。
  63. 山下栄一君(山下栄一)

    山下栄一君 厚生省の方でございますけれども、政省令の行政指導は、ガイドライン等やったかもわからないけれども、政省令という観点で今対応されようとしておるというふうにお聞きしておるわけでございまして、中間処理施設の焼却施設の規制、それと最終処分場の規制、この二点に分けてどういうことをやろうとしておるのか。検討会レベルでは案が出てきているようですけれども、それぞれ今申し上げた焼却施設、処分場に分けてどういう法令上の規制措置になるのか、そしてそれはいつ結論が出るのか、いつ実施の方向になるのかということをお聞きしたいと思います。
  64. 説明員(坂本弘道君)(坂本弘道)

    説明員(坂本弘道君) 今お尋ねの点は、一つ焼却施設、一つは埋立地、こういうふうに理解いたしましたわけでございます。  焼却施設につきましては、今ガイドラインや何かでやっておるわけですけれども、これをもう少しどういう形でやればいいかということを、例えば完全燃焼をどうやってやるかとか、それから排ガスの処理をどういうふうに適正にやっていくかとか、濃度管理だとか、ばいじん、焼却灰をどうするかとか、こういうことを決めていくわけでございます。これは政省令の段階でもこの話が出てまいるということでございます。  それから、埋立地のことでございますが、これも同じく先ほど申し上げました専門委員会で御検討いただいておる点でございますが、今の廃棄物処理法に規定する処理基準等の見直し、強化を図ろうということで作業を続けております。  現在どういうことを考えていますかといいますと、管理型最終処分場、埋立地ですね、これの浸出水、出てくる水、これの処理等に関する基準を今より強化しようというようなことだとか、それから許可の対象とならない、いわゆるミニ処分場と言われておりますが、小さな埋立地、これも許可の対象にしようとかいうようなことを今の審議会の専門委員会で検討していただいておる、こういうことでございます。  それで、スケジュールでございますが、先ほどのちょっと繰り返しになりますが、この夏に基準の改正を行って年内にも施行していきたいと、こんな段取りで進めております。
  65. 山下栄一君(山下栄一)

    山下栄一君 基準をつくるという、特にそれぞれ焼却施設、処分場の基準をつくる、これは要するに廃棄物処理法の政省令で明確に基準を設けると、そういうことでよろしいんでしょうか。
  66. 説明員(坂本弘道君)(坂本弘道)

    説明員(坂本弘道君) 政令の部分もございますし省令の部分もございます。それからまた、行政指導みたいなガイドラインみたいな形のものもございます。こういうことでございます。
  67. 山下栄一君(山下栄一)

    山下栄一君 もうちょっと具体的に申し上げます。  一般ごみ焼却施設、産廃焼却施設、それぞれ構造基準、維持管理基準基準を明確に政省令で設けるとか、これは入っておりますか。
  68. 説明員(坂本弘道君)(坂本弘道)

    説明員(坂本弘道君) それは入っております。
  69. 山下栄一君(山下栄一)

    山下栄一君 これは確認させていただいておりますけれども、衆議院でもそういう議論があったんです。  許可対象施設の範囲、廃掃法上は五トン以上ということがあるけれども、その範囲を見直しをして五トン未満でも、要するに小規模の焼却施設、一般ごみにしろ産廃にしろ、これも引き下げると。これは入っておるわけですね。
  70. 説明員(坂本弘道君)(坂本弘道)

    説明員(坂本弘道君) 現在、許可対象になっておりません小規模の産業廃棄物焼却施設の中には粗悪な構造のものもございまして、何か野焼き同然の処理が行われているというような例も見られますので、規制強化が必要だということ、これが一つです。  そのために、小型焼却炉のあり方につきまして今の専門委員会で検討していただいておるんですが、現時点ではどんなことかといいますと、五トンよりも小さいより小規模のものも許可対象として構造、管理の基準を適用するようすそ切りを見直す、これが一つ。  それから、野焼き同然の処理を防止するために、許可の対象か否かにかかわらず、満たすべき基準としまして廃棄物焼却処理方法を明確化する、こんなことを今検討していただいておるところでございます。
  71. 山下栄一君(山下栄一)

    山下栄一君 その具体化が本年度中だと、こういうことでよろしいですね。
  72. 説明員(坂本弘道君)(坂本弘道)

    説明員(坂本弘道君) こういう基準につきましてはこの夏ごろまでにつくって、施行は本年内、こういうことを予定しております。
  73. 山下栄一君(山下栄一)

    山下栄一君 次に、最終処分場の基準の見直し、これは新たな基準の設定なんでしょうか。見直しなんでしょうか。それも含めて、それについて具体的な中身はどうなっていくのかということをお聞きしたいと思います。
  74. 説明員(坂本弘道君)(坂本弘道)

    説明員(坂本弘道君) 処分基準、これは現在もございますが、これにつきまして見直しという形でやっておるわけでございます。
  75. 山下栄一君(山下栄一)

    山下栄一君 具体化。いつごろ。
  76. 説明員(坂本弘道君)(坂本弘道)

    説明員(坂本弘道君) これも全体の話はちょっとダイオキシンとはまた違いまして、秋までに専門委員会で結論を出してもらおうと、こんなことを考えております。
  77. 山下栄一君(山下栄一)

    山下栄一君 最終処分場の基準がちょっとおくれるということですね、焼却施設ということと比較すると。
  78. 説明員(坂本弘道君)(坂本弘道)

    説明員(坂本弘道君) 全体は秋までにやるんですけれども、ダイオキシンについては急ごうと、こういうことでやっております。
  79. 山下栄一君(山下栄一)

    山下栄一君 今年度中ですか。
  80. 説明員(坂本弘道君)(坂本弘道)

    説明員(坂本弘道君) はい、施行は。
  81. 山下栄一君(山下栄一)

    山下栄一君 最終処分場の特に焼却灰の点なんですけれども、これは各焼却施設からそれぞれ運ばれてきまして、最終処分場に、管理型の処分場でというお話でございますけれども、焼却灰についてはダイオキシン濃度が非常に高いということが予想される、焼却された後に残る灰ですから。  もちろん焼却された施設の、高温度で処理されたのか低温度なのかということによっても変わってくるでしょうし、どういうダイオキシンの防除装置がついているのかによっても変わるかもわかりませんけれども、いずれにしても焼却灰の処理につきましてはこれは厳格にやるべきではないか、このように考えておるわけでございまして、ほかの物質と同じように管理型の処分場に焼却灰を埋めてしまう、ほかのものと一緒にというやり方はちょっとまずいのではないかと、このように感じておるわけでございます。  この前、テレビを見ていましたら、ドイツにおきましては地下貯蔵庫にこの焼却灰だけを固めて、固化して、そしてまさに放射能汚染物質と同じような扱いでされておるということをテレビで見たわけでございますけれども、今お話を聞いておりますと、管理型の処分場にほかのものと同じように埋めるというふうな、処分場そのものはそれは管理型の処分場かもわかりませんけれども、ちょっと対応が、甘い考え方でやっておられるんではないかなと、このように感じるわけです。焼却灰そのものを固化するなり、きちっとした環境上の配慮をした処理方法で、別の扱いで焼却灰そのものの処理方法を考えるべきではないかと、このように感じるので、どうでしょうか。
  82. 説明員(坂本弘道君)(坂本弘道)

    説明員(坂本弘道君) 焼却灰につきましては、今先生御指摘のとおり二種類といいますか、大ざっぱに分けますと二つございます。一つは電気集じん器なんかで集めますいわゆる飛灰、それからバグフィルターという布袋のところにたまった、これがダイオキシンが割に高い、こう言われておりますので、これについては、家庭用ごみの一般廃棄物につきましては特別管理廃棄物という取り扱いになっておりまして、特別に処理することになっております。  ただ、いわゆるストーカーなんかから出てまいります、下へ落ちてきました灰、いわゆる焼却灰、これにつきましては現在管理型の方に埋めておるという実態でございます。その辺につきましても、今の専門委員会の方でどういう形にするかということをまた御検討いただくということになろうかと思います。
  83. 山下栄一君(山下栄一)

    山下栄一君 わかりました。  先ほど総理にも質問させていただいたんですけれども、ダイオキシン人体汚染実態調査にかかわる話なんですけれども、これは厚生省にちょっと、現在の実情、この人体汚染調査、どういう取り組みをされておるのかということをお聞きしたいと思います。
  84. 説明員(内田康策君)(内田康策)

    説明員(内田康策君) ダイオキシン人体汚染調査の今の実情ということでございますが、ダイオキシン類に対します調査につきましては、厚生省としては従来から発生源調査や魚介類等の食品に関する調査などを進めてきたところでございますが、ダイオキシン類の総合的な対策を一層強力に進めていくためには、さらに広範な調査研究を行う必要があると考えております。  ダイオキシン類汚染実態調査を意義のあるものとするためには、人体汚染状況環境汚染状況、食品等からの暴露量などの種々の要素を総合的に評価、考察できるよう、調査計画や調査方法について十分に検討をする必要があると考えております。  また、人を対象といたしました調査につきましては、対象とすべき指標、調査の期間、対象者の選定等、調査の方法が重要であるため、これらにつきまして専門家意見を踏まえ、十分議論の上、実施に移す必要があると考えております。  このため、厚生省におきましては、省内における連絡体制を整備いたしまして、調査研究の全体計画の取りまとめ、必要な調査の企画調整等を行うことを検討しております。さらに、関係省庁とも十分に連絡をとりつつ、調査研究の効率的な実施を図ってまいりたいと考えております。
  85. 山下栄一君(山下栄一)

    山下栄一君 人体汚染に絞って今質問をしておりまして、調査そのもののデータ蓄積はほとんどないと私は思うわけです。国レベルの、国が乗り出してそういう人体汚染調査をした例はほとんどない、母乳以外はデータがないと、こういうことでよろしいですか。
  86. 説明員(内田康策君)(内田康策)

    説明員(内田康策君) 今まで人体汚染調査を私どもは国としてやってきておりません。ダイオキシンによる人体汚染調査はピコグラム単位の極めて……
  87. 山下栄一君(山下栄一)

    山下栄一君 結構です、調査は困難でお金もかかることはわかってはおりますので。  母乳以外にはない。先ほども申し上げましたけれども、母乳そのものも、調査は極めて貧しいデータしかないと、このように感じているわけですけれども、母乳そのもの実態調査の実情、これをお聞きしたいと思います。
  88. 説明員(伊藤雅治君)(伊藤雅治)

    説明員(伊藤雅治君) 母乳調査につきましては、平成六年度から心身障害研究の中で調査をしてきております。平成六年が二十六検体、平成七年が二十六検体、平成八年が二十一検体でございまして、合計七十三検体の調査を行っているところでございます。
  89. 山下栄一君(山下栄一)

    山下栄一君 それで、今二十数検体を平成六年から、六年、七年、八年でやってきた、九年はまだだと思うんですけれども。その調査体制と費用、これをお聞きしたいと思います。
  90. 説明員(伊藤雅治君)(伊藤雅治)

    説明員(伊藤雅治君) 従来、平成六年からの母乳中のダイオキシン調査につきましては、環境要因と母子保健という視点から、大きな研究班の中で一名の先生がダイオキシンを担当するというような、そういう体制になっておりまして、具体的には国立環境研究所の森田先生でございますが、このダイオキシン調査には、六年、七年、八年と、それぞれ約百万円の調査費がいっているということでございます。
  91. 山下栄一君(山下栄一)

    山下栄一君 だから僕は貧しいと申し上げたわけですけれども、要するに人体汚染の、日本の国民人体がどれだけダイオキシン汚染されているかという調査は、要するに百万円単位でですよ、一年間に百万円で、それも国立環境研究所のお一人の方で、お一人というか、お一人を中心としたボランティアを中心とするチームでしかやっていない、これが実態であると。この認識に誤りございますか。
  92. 説明員(伊藤雅治君)(伊藤雅治)

    説明員(伊藤雅治君) そのとおりでございます。
  93. 山下栄一君(山下栄一)

    山下栄一君 これは驚くべきことである、このように思うわけでございまして、だから緊急実態調査を国を挙げてやるべきだと、このように申し上げておるわけでございまして、母乳からダイオキシンが検出されているという話、ちょっと先ほど総理質疑のときに申し上げましたけれども、そういう調査をしているのは民間とか個人レベル学者とか、こういう形でしかデータがない、こういうことであるわけでございます。  だから、私はこれはもう大変なことであるというふうに思うわけでございまして、もちろん、先ほどちょっと触れられましたように、総合的な取り組みが必要だと思うんです。発生源焼却施設の、そこからどれだけダイオキシンが発生しているのか、その周辺の住民がどれだけ健康被害を受けているのかという、そういう発生源と切り離して人体汚染調査をしろとは申しません。こんなのばらばらにやっても費用対効果の観点から非常にむだ遣いになってしまう。やるのであれば総合的に発生源別の調査人体汚染調査、これは並行してやるべきだと思うわけでございますけれども、いずれにしても体制強化して、体制の中に予算も含めてこれは強力にやってもらいたい。  これはお金を出すのは、環境庁ほとんどお金ないわけでございまして、したがって厚生省の方に期待がかかっておるわけでございますので、その辺はどのようにお考えなのか。来年度、まだこれから要求されるかもわかりませんけれども、お聞きしたいと思います。
  94. 説明員(伊藤雅治君)(伊藤雅治)

    説明員(伊藤雅治君) 母乳を含めましていわゆる人体への影響安全性について調査するということは大変重要なことだと考えております。特に、私どもといたしましては母乳につきまして今申し上げましたようにいわゆる母子保健観点から、大きな研究班の中の一部分としてあるということではなくて、今後厚生省として総合的なダイオキシン対策の一環として位置づけまして、環境庁とも連携をとりながら調査強化してまいりたいと考えております。
  95. 山下栄一君(山下栄一)

    山下栄一君 強力にお願いしたいと思います。  それで、今も申し上げましたように日本列島広いわけでございまして、モニタリングの抽出調査というやり方じゃなくて、やはり地理的分布を考慮しながら、特に住民の皆さんが不安に陥っておられる例えば所沢埼玉県とかそういうところを重点的に配慮しながらこの人体汚染調査もやるべきだと、こういうことを提案したいと思いますが、いかがでしょうか。
  96. 説明員(伊藤雅治君)(伊藤雅治)

    説明員(伊藤雅治君) 具体的な調査内容、例えばどういう地域で行いますとか、それから例えば最初の赤ちゃんと二番目の赤ちゃんでは違うというふうなこともわかっておりますので、そういう具体的な調査のやり方につきましては、今後十分専門家の方の御意見を聞きながら早急に調査の具体策を検討してまいりたいと考えております。
  97. 山下栄一君(山下栄一)

    山下栄一君 ぜひ住民の皆さんが不安に陥っておるところをよく配慮しながら、地理的な選び方ですね、御配慮願いたいと思うわけでございます。  環境庁にお伺いします。リスク評価検討会の最終報告、五月に出たわけでございますが、この中で母乳汚染データ部分がございますが、私はこれは非常におかしいと結論的に申し上げまして思っております。  日本の国で国レベル調査はほとんどないと、これはこの検討会報告でも書いてあるわけでございます。我が国母乳からのダイオキシン摂取量のデータ蓄積は十分とは言えないと。ここに書いてあるのも県レベル調査とか個人レベルデータでございます。「今後一層の調査研究の積み重ねが必要である。」と、日本の国レベルの個別のデータはほとんどないという状況の中で、それを認識している文章が書いてある一方で、現時点では母乳中のダイオキシンの摂取が乳児に与える影響は直ちに問題となるとは考えられない、こういう結論を出しております。諸外国と比べてもそんなに高くない、同程度である、こんな結論を出しておるのは全然おかしい。  国でデータも持っておらないにもかかわらず、日本の母乳汚染度は大したことないんだと、諸外国と比べても、先進諸国データ蓄積がたくさんあるドイツ、オランダを中心とする地域と比べても同じレベルなんだというようなことを結論づけておるのは、これは基本的におかしいと思うわけでございますが、いかがでしょうか。
  98. 政府委員(田中健次君)(田中健次)

    政府委員(田中健次君) ただいま御指摘のリスク評価検討会におきましては、母乳中のダイオキシン類影響につきましての各方面の現在の見解というのを注という形で紹介しております。そこでは、まずWHOにおきましては、母乳にはダイオキシン類が含まれているが、人工乳より依然として有利な点があることから、乳幼児の健康と発育を考慮すると母乳栄養を奨励し推進すべきであるとしておりまして、オランダも同様な評価を行っておると、こうしております。それからまた、我が国におきまして調査研究を行っている厚生省検討会によりますと、母乳中のダイオキシン類は現在の知見からは直ちに問題となる程度ではないと、こういうふうに評価をしておるということを現在の各方面の見解を注として紹介しております。  それで、ダイオキシンリスク評価検討会におきましては、これらの各方面の現在の見解も考慮した上で、我が国母乳からのダイオキシン類摂取のデータ蓄積は、先生今御紹介ございましたが、まだ十分とは言えないので、今後一層の調査研究の積み重ねが必要であると、こういうふうに報告をされておるところでございます。  環境庁におきましては、ダイオキシンリスク評価検討会を踏まえまして、今後とも厚生省とも連携して必要な調査研究を進めてまいりたいと、こういうふうに考えておるところでございます。
  99. 山下栄一君(山下栄一)

    山下栄一君 私が申し上げているのは、これは国の検討機関の報告なわけですけれども、国のデータがほとんどないのに、日本の国民母乳汚染状態は直ちに問題とはならないなんて何で言えるのかと。環境庁独自の何か汚染調査をやっておられるんですか、人体汚染調査ですよ。
  100. 政府委員(田中健次君)(田中健次)

    政府委員(田中健次君) これはこの検討会におきましていろんな各方面の見解を考えながら結論を出したということでございまして、環境庁におきましても、国民の健康影響を未然に防止する、こういう観点からダイオキシン類の人への汚染状況を把握するということは非常に重要な課題だと認識をいたしております。  そういうことで、現在厚生省等と連携をして、調査対象の選び方あるいは調査実施体制などにつきまして、関係省庁の担当者で構成をいたしておりますダイオキシン調査関係省庁の担当者連絡会議、こういうのをつくりましてただいま検討を進めているというところでございまして、環境庁としても関係省庁と一緒になってこの人体汚染状況についてこれから調査を進めていくということで検討をいたしておるところを御理解いただきたいと思います。
  101. 山下栄一君(山下栄一)

    山下栄一君 局長、私が指摘していることをやっぱり率直に素直に受けとめていただきたいと思うんですけれども、国レベルデータがないのに問題ないというのはおかしいですよ、こんな話、どう考えたって。これ、国の検討機関の正式の報告書だから、どこかの個別の研究機関の報告書だったらまた別ですけれども、これは国の権威ある研究機関の報告なわけですから。国レベルの独自のデータが何にもないのに。民間とか個別の研究データは確かに報告されていますよ。だから、国が権威づけて報告する中に日本の母乳汚染状態というのは問題ないなんというようなことは、これはどう考えてもおかしいですよ。長官、そう思われませんか。どうでしょうか。
  102. 政府委員(田中健次君)(田中健次)

    政府委員(田中健次君) この検討会我が国におきますこの部門の専門家、有識者に集まっていただいて、そこで出していただいた結論でございまして、私どもはそこの有識者の検討会の結論ということでそれを受けたということでございますので、御理解をいただきたいと思います。
  103. 山下栄一君(山下栄一)

    山下栄一君 厚生省環境庁それぞれ、ほかも労働省等あるかもわかりませんけれども、人体汚染の、非常にこれお金かかるんでしょう、一検体三十万とか百万とか言われていますけれども、調査機関も大変少ないという状況の中で、体制強化しながら、予算づけもきちっとやって、そしてデータ蓄積が大事だと指摘しておるわけですから、国レベルデータ蓄積をきちっと集められる体制を組んで国民の不安の払拭に努めていただきたい、このように申しとどめておきたいと思います。  土壌汚染の問題に移りたいと思います。  ダイオキシンにおける土壌汚染実態把握は大変大事だと思いますし、そして土壌そのものの規制基準といいますかダイオキシンに関する規制基準、これはやはりそういう仕組みを検討し、具体化する必要がある、このように考えておるわけでございますけれども、現在、環境庁におかれましてダイオキシンの土壌汚染規制のあり方をどのように考えておられるか、お聞きしたいと思います。
  104. 政府委員(渡辺好明君)(渡辺好明)

    政府委員渡辺好明君) ダイオキシン類と土壌汚染、それから健康リスクということになると思うんですけれども、健康影響リスクの問題は、ひとり土壌だけではなくて食品、大気、土壌その他、暴露経路全体で評価するのが一番適当じゃないかというふうに思っております。  そういう意味でいきますと、まず何はともあれ急がれるのは排出源対策でございますので、これは先ほど私どもの方からも答弁申し上げたところでございます。排出源を抑えて土壌への蓄積を防止する、そして土壌については、今先生御指摘ありましたようにしっかりとしたモニタリングを集中して実施していくということだろうと思うんです。  ただ、法令上の規制措置ということになりますと、これは海外の事例でも、例えばドイツとかオランダ、そういうところではガイドラインをつくって指導はしておりますけれども、法律強制というふうなところまでは行っておりません。  ただ、事実問題としてそういう指導があるということも承知をいたしておりますので、実は去る五月二十三日に土壌汚染にかかわる検討会を発足させました。この検討会を通じまして、どういう手法で調査をするか、どういう分析手法を確定していくか、どういう指導をするかといった総合対策を一年程度かけまして御議論をいただきたいというふうに思っておりますので、そこでの議論を拝聴しながら私どもの対応を決めていきたいと考えております。
  105. 山下栄一君(山下栄一)

    山下栄一君 法令上の規制を考えるべきだと言っていないんです。今、ドイツ、オランダはガイドラインでやっているとおっしゃいました。ダイオキシンの土壌の規制のあり方はどうなっているのかと聞いたわけです。それは現在、土壌汚染に関してそういう規制措置みたいなものは全くないんじゃないでしょうか、ガイドラインも含めて。
  106. 政府委員(渡辺好明君)(渡辺好明)

    政府委員渡辺好明君) ちょっと先生の御指摘を敷衍して申し上げますと、土壌の環境基準というのがございますけれども、その中にはダイオキシンは入っておりません。それから、水質汚濁防止法の世界でやはり同様に排出基準がございますけれども、それの対象にもなっておりません。そういう状況でございます。
  107. 山下栄一君(山下栄一)

    山下栄一君 ダイオキシンに関する土壌汚染環境基準を設けるべきだと私は申し上げているわけで、今はないということですね。だからそのために検討機関を五月二十三日に設置されたわけでしょう、調査方法も含めて。  僕は、今までの日本の土壌汚染規制の仕組みは、やはり結局水質汚濁に付随して土壌汚染というのが考えられてきたのではないか、このように考えるわけです。ところが、ダイオキシンに関してはちょっとそれではまずいんじゃないか。  大気中の基準というのは、これは今指定物質ということも含めて考えておられるわけでございますけれども、土壌汚染についても、このレベル基準であるならばドイツ、オランダであるようにそこには住宅は建ててはいけないとか子供等が遊んではいけないとかというようなことも含めた規制のあり方、土壌そのものの直接的な規制の仕組みをやはり考えるべきではないかと、このように思うわけです。  土にダイオキシンが混入しておりましたら、舞い上がって呼吸器から入ってくる、そして直接皮膚からも入ってくる。ということは、土壌汚染レベルがある一定のレベルに達すれば人体被害に直接かかわってくるわけですよね。だから、土壌そのものの汚染に関する基準を設ける方法で、大気と同じようなやり方でダイオキシンに関しては考えるべきではないか、このように申し上げておるわけでございますけれども、御見解をお願いしたいと思います。
  108. 政府委員(渡辺好明君)(渡辺好明)

    政府委員渡辺好明君) 私のこの一つ前の答弁で申し上げたんですけれども、健康影響リスクというものをどういうふうに考えるかといったときに、土壌一つだけを取り上げてやるのではなくて、食品、大気、水も一部あるかもしれません、それに土壌も加えまして、トータルとしてそれが健康にどういう影響を与えるのかという分析の方から入ってまいりませんと、規制手法というのはその健康影響リスクの評価によって手法というものが出てくるわけでございますので、直ちに否定をするわけではございませんけれども、そういったことでどういう手法が一番適切なのかということの勉強をさせていただきたいということでございます。
  109. 山下栄一君(山下栄一)

    山下栄一君 私は、具体的な提案をしたいと思います。  農地ですね、農用地。所沢周辺でも、先ほど申し上げましたように野菜をつくっている。ゴボウその他を栽培している、そしてお茶もつくっている。そこに、土が野菜等にかぶってそれが汚染された食べ物として人間の口に入るというようなこともあり得るわけでございまして、そういうことで農用地の土壌汚染防止法というのがあるわけですよね。これはカドミウムとか砒素とか、そういうことは有害物質になっておるわけでございますけれども、ダイオキシンも農用地に関しては有害物質の中に入れるべきではないか、こういう規制のあり方も考えるべきではないか、このように考えるわけですけれども、御検討いただけますか。
  110. 政府委員(渡辺好明君)(渡辺好明)

    政府委員渡辺好明君) 総合的な規制のあり方をどう考えるかということについては、先ほど答弁申し上げたとおりであります。  今、先生から具体的に農用地土壌汚染防止法のお話が出ましたけれども、この法律は言ってみますといわゆる対策法という分野に入ります。規制法という分野ではなくて、具体的に作物障害が出る、あるいは農作物に一定の有害物質が添加をして人の口に入ったときに障害が出る、そういう場合には農用地を客土する、あるいは他に転用する、そういうふうな言ってみれば対策法でございます。したがいまして、規制をどうするか、あるいは指導をどうするかということにはちょっとなじまないのではないかなという気がいたします。  それからもう一点、今、所沢地区の農業経営の実態を先生もお話しされましたけれども、我々もごく直近の農業センサスを使いまして実情を調べさせていただきました。当該地域での作物の状況というのは、これは農業の世界になりますけれども、マルチ栽培あるいはトンネル栽培というふうな状況でございまして、基本的にダイオキシンの作物への被害が極めて軽微といいますかほとんどないというふうに申し上げていいと思います。それから、お茶につきましても、収穫は新芽の時期に新芽の部分だけを摘み、そしてまたそれを茶に加工するということでございますので、直ちに規制を発すべき状況にあるというふうには考えられないわけでございます。  ただ、全体の暴露経路の中でいろんなことを研究しなきゃいけませんので、先生の御指摘ありましたことも念頭に置きまして勉強を深めたいと考えております。
  111. 山下栄一君(山下栄一)

    山下栄一君 ごく最近設置されました土壌汚染に関する検討機関で今申し上げたことも含めまして御検討を、今ちょっとそういう御提案もございましたが、お願いしたいと思っております。  先日取り上げましたこのアセス法関連の質問でございますけれども、環境庁の審査体制が私は今後飛躍的に拡大するであろう、環境庁長官意見を述べられる機会もふえるであろうと思うわけでございまして、そのために中環審の活用とかまた環境庁そのものの審査体制強化も大変大事であろうと思うわけでございますけれども、国立環境研究所の問題でございます。  先日局長は、国立環境研究所は以前から、閣議アセスの段階からこの国環研を活用しておった、このようにたしか答弁されたように記憶するわけでございますが、そうだといたしましたら、国立環境研究所が具体的に関与された、関係されたアセスの件数は、例えばこの三年間にどれぐらいあったのかということをお聞きしたいと思います。
  112. 政府委員(田中健次君)(田中健次)

    政府委員(田中健次君) 先日、先生の御質問で御答弁申し上げましたが、「国環研のそれぞれの専門の方々知見を伺っていろいろとそのノウハウを活用させていただいておる」、こういうふうにお答えを申し上げましたが、こうした国環研の方々知見の活用は、さまざまな調査研究などを通じまして御提供いただいた知見を個別の審査に活用いたしましたり、あるいはまた担当官が必要に応じまして御相談をしたりしているものでございます。  御質問の、件名とかあるいは件数等、これは統計的に記録をしておりませんのでちょっとお答えをするのは困難かと思いますが、代表的な例でお答えさせていただきますと、大気保全局におきましては大気汚染の予測シミュレーションに関する知見をまとめまして、窒素酸化物の総量規制マニュアル、こういうのを作成いたしましたが、ここに国環研の研究者にお入りをいただきまして、そうした知見を私どもは道路沿道のシミュレーションの審査等に活用をさせていただいております。  それから、企画調整局におきまして実施をいたしました複数の大規模埋め立てが大阪湾の潮流等に及ぼす影響に関する調査、こういう調査も行いましたが、これにも国環研の研究者にお入りをいただきまして、いろいろと知見を出していただいて、その知見を大阪湾の埋め立て案件の審査に活用している等々、こういうふうな形でも随分活用をさせていただいておるということでございます。  いずれにいたしましても、先生の御指摘もございましたように、さらに国環研を活用していくということ、私どもも今後ともそういう必要があると考えておりますので、そういう方向で、なかなか国環研の先生も忙しい状況がございますけれども、できるだけ協力をいただいて、審査の確度を高めるということで活用をしていきたいというふうに考えております。
  113. 山下栄一君(山下栄一)

    山下栄一君 だから、それは全く関係していなかったということじゃないかもわかりませんけれども、だけれども、アセスそのものの審査に国立環境研究所がかかわった、そういう感じじゃないのではないかと。個別の研究者に相談したとか、それで何か検討会にメンバーとして加わってもらったとか、知見を何か活用したというお話が今ございましたけれども、国立環境研究所というそういう組織としてアセスの審査にかかわった、こういうのではなかったのではないかと、このように思うんですけれども、そういう認識じゃないんですか。
  114. 政府委員(田中健次君)(田中健次)

    政府委員(田中健次君) 個別の、個々の具体的な一部分につきましていろいろとわからない点等を先生にお聞きする、こういうことで、組織としてかんだということまで言えないかとも思いますが、そういうことで、実態上参画もしていただいているというように私ども考えておりますけれども、はっきりいろいろとその形態等を言いますと、先生のおっしゃった方が近いのかなと、こういうふうな感じがいたします。
  115. 山下栄一君(山下栄一)

    山下栄一君 この前の質問はそういう意味で私申し上げたわけでございまして、だから審査体制が、環境庁がかかわるそういうアセスの具体的な場面で、実際に審査にかかわる、環境庁長官意見にかかわるそういうメンバーが庁内にそんなたくさんいらっしゃらないわけで、今後もそんなたくさんふえないような状況の中で、国立環境研究組織の活用というのは非常に重要な観点ではないかということで私は申し上げたわけでございますので、趣旨をしっかりと御理解願いたいと思うわけでございます。これよろしいですか、これで。
  116. 政府委員(田中健次君)(田中健次)

    政府委員(田中健次君) 先生のおっしゃる点を踏まえまして、今後いろいろと考えていきたいと思います。
  117. 山下栄一君(山下栄一)

    山下栄一君  次に、具体的にアセス調査に携わられる業者というか、アセス調査の問題も先日質問したわけでございますが、具体的にこれも質問させていただきたいと思いますけれども、各省庁のアセス調査業務としていろんな発注のあり方があると思いますけれども、これ、前から懸案事項で申し上げているんですけれども、この発注契約の調査、これはいつまでに御報告いただけるんでしょうか。
  118. 政府委員(田中健次君)(田中健次)

    政府委員(田中健次君) 調査等の委託が一般競争入札あるいは指名競争入札、随意契約、いずれの方法により調達されているか等につきまして、現在関係省庁にお願いをいたしまして調査をしているところでございます。  私どもが調査をしておりますのは、一回でも入札に参加した業者の数と、それから一回でも落札した業者の数、こういったことも調べておりまして、入札の台帳をそれぞれの調達ごとに調べて、業者名をすべてリストアップした上で業者の重複を整理しなければならないということで、実際の調査にかなり時間と作業を要しております。これは各事業主体の方の所管省庁の方にお願いをしておりますが、事業実施主体が地方公共団体にわたるものもございまして、その地方公共団体に同じ作業をお願いするということになっております。  こういうことで時間がかかっておりますけれども、私どもとしてはできるだけ早くまとめたいということで関係各省にお願いをしておりますので、もう少し時間をいただきたいと思います。
  119. 山下栄一君(山下栄一)

    山下栄一君 アセス調査にかかわる業者の利益といいますか、非常にこれ高額になると考えられるわけですね。特に公共工事等、総額がそれこそ億単位の、何百億とかいう単位の中で、そのアセス調査にかかわる費用はその総工事費の何%とかいう、そういう形で決められている場合があると思うわけでございまして、その場合はもう何千万というそういう場合も考えられるということを考えましたときに、今申し上げました問題は非常に重要な問題ではないかなと、このように考えるわけです。  そういう意味調査をぜひとも、透明性を図る意味でも御報告をお願いしたいと、そのように思います。  それで、各省庁の外郭社団、財団その他の法人以外のアセス業界のグループとして日本環境アセスメント協会、こういう任意団体があるというふうに聞いておるわけでございますが、この会員数はどれぐらいあるんでしょうか、お願いします。
  120. 政府委員(田中健次君)(田中健次)

    政府委員(田中健次君) ちょっとお待ちください。  一九九五年一月現在、ちょっと古うございますけれども、会員数が二百三十九法人というのが手元に今データがございます。
  121. 山下栄一君(山下栄一)

    山下栄一君 この日本環境アセスメント協会は任意団体なんですけれども、任意団体なのに各省庁の大変偉い方が顧問という形で入っておられる。何でこんなことになるのかよくわからないんですけれども、具体的に一番最新の役員構成、特に顧問の中にどの省庁の方が入っておられるのか、この役職、直前の役職ですね、お願いしたいと思います。
  122. 政府委員(田中健次君)(田中健次)

    政府委員(田中健次君) お尋ねの顧問につきましては、現在の顧問が六人おりまして、その中の一人に元環境庁事務次官が入っておる、こういう状況でございまして、あとは他省庁の出身の方は現在おられないというふうに理解をしております。
  123. 山下栄一君(山下栄一)

    山下栄一君 私がいただきました日本環境アセスメント協会の冊子があるんですけれども、今おっしゃった顧問ですけれども、一番新しい役員表、名誉会長、会長、その他理事の方々、そのほかに顧問の方がいらっしゃるわけですけれども、今六人とおっしゃったが、八人の間違いじゃないですか。正確に答えてください。
  124. 政府委員(田中健次君)(田中健次)

    政府委員(田中健次君) 私どもが任意団体である日本環境アセスメント協会から聞いたところでは、六人という報告を受けておるところでございます。
  125. 山下栄一君(山下栄一)

    山下栄一君 これは東京都千代田区麹町一の三の七、日本環境アセスメント協会はその住所にある組織ですね。別に日本環境アセスメント協会というのはないですよね。  環境事務次官出身の方で船後正道さんでしょう。秋山龍さんとか小坂忠さんとかいらっしゃらないですか、柳沢米吉さんとか。
  126. 政府委員(田中健次君)(田中健次)

    政府委員(田中健次君) 私どもが手元に持っております資料では設立時の、昭和五十三年が設立時のようでございますが、そこの顧問に今先生がお出しになりました秋山龍さん、元運輸事務次官という方の名前はそこにはございます。これ正確かどうかわかりませんが、私どもいただいた資料では、設立時は顧問が四名ございまして、その四名ともに役所のOBという、こういうデータでございますが、現在は私どもの理解としては一名という理解でございます。
  127. 山下栄一君(山下栄一)

    山下栄一君 任意団体ですし、別に環境庁の責任ある団体じゃないので、厳しく追及できない面もあるんですが、日本環境アセスメント協会というのは任意団体だけれども、これが非常に権威づけされているのではないか。この会員であるから非常に発注しやすいとか、そういうことが現実にあると考えられる。今の局長報告は極めて不正確であると。  これ私も持っているんですけれども、運輸省事務次官、建設省技監、海上保安庁長官、元ですけれども、こういう方々が顧問に入っていらっしゃるんですよ、建設、運輸、それから環境庁と。ということになってくると、顧問連ねているだけで、これ顧問という方々の報酬とかは掌握されていますか。
  128. 政府委員(田中健次君)(田中健次)

    政府委員(田中健次君) 私どもが団体からお聞きした範囲では、顧問料は支払われていないと、こういうふうに聞いております。
  129. 山下栄一君(山下栄一)

    山下栄一君 顧問料は支払われていないと。わかりました。  ただ現実には、この環境アセスメント協会というのはこういう役所でもトップの方々が、元ですけれども、入っていらっしゃるよということで、この発注するかどうかの中に会員であるかどうかが非常に大きなウエートを占めておるという実態が私はあると考えられるといいましょうか、何でこういう法人格のないアセス協会にこういう方々が顧問、環境庁も入っていらっしゃるわけですから、あるのかということをお答え願いたいと思います。
  130. 政府委員(田中健次君)(田中健次)

    政府委員(田中健次君) 環境アセスメント協会というのは、先ほどから申し上げておりますように法人格を持っておりませんし、当庁の管轄下にある団体でもございません。  それで、当庁離職後の個人として顧問になられたということについては、基本的にはその方が判断をされて顧問につかれたということでございまして、私ども環境庁といたしましては、そうした個人の方々の顧問になられた理由とかそういうことは掌握をしておりませんので、御理解をいただきたいと思います。
  131. 山下栄一君(山下栄一)

    山下栄一君 これ、調査契約料が大変高額になってくる、件数もふえてくる、利権が集まる、こういうふうなことが考えられるわけです、今後は。だから、非常に私懸念しておるわけでございまして、今は任意団体かもわからないけれども、各省庁の共管でそれが財団になりとか公益法人になり、補助金が出るとか、特に生態系に関する調査業務がこれから非常に増加することも考えられますし、このアセスメント協会に入っているかどうかが非常に大きな問題になってくるんではないかと。そこで各公共事業の受注業務が談合で決められているというふうなことになったら大変なことですし、そんなことを指摘する一部の方もいらっしゃるわけでございます。  そういう意味で、このアセス法が通過した後に日本環境アセスメント協会にかかわる不祥事等が発生しないようにという意味で私は申し上げておりますので、直接の所管の組織でないかもわからない、任意団体かもわかりませんけれども、今後の心配が考えられますので指摘したわけでございますので、その点の観点もよく踏まえていただいてお願いしたいと、このように思っております。  時間が参りましたので、質問を終わりたいと思います。  ありがとうございました。
  132. 大渕絹子君(大渕絹子)

    大渕絹子君 先ほど総理質問に続いて、この環境アセスメント法の実効性を高めるために、また環境庁の権限の強化について考えてみたいと思います。  衆参両院の質疑やあるいはきょう提出をされます各党の修正案などにもこの法案の不備の点等々が指摘をされているわけでございますが、これらの不足の部分をできるだけカバーするためには、政省令やあるいは行政指導にきちんと的確に盛り込んでいかなければならないというふうに思うわけでございます。そういう作業を通じて環境庁の実力をつけていってほしいということがございます。  今までの環境庁は、先ほど総理も申しましたように、公害規制とそれから公害被害者救済のための法制度の整備等に重点が置かれて、そしてそのことの対策に翻弄されてきたという経過があることは十分承知をしております。しかし、昭和五十年代に入って公害規制から自然環境の保全あるいは快適環境の整備に重点が次第に移っていったということもまた事実でございます。  都市生活型の公害、生活排水や自動車公害に見られるようなこうした公害、あるいは廃棄物、リサイクル問題。そしてさらに、六十年代に入りますと地球的規模での環境問題に取り組まざるを得なくなっているわけでございます。平成五年には環境庁の基本法とも言うべき環境基本法が制定をされ、公害対策廃棄物・リサイクル、あるいは自然環境保全、地球環境保全等を総合した環境保全の理念の確立がなされてきたわけでございます。そして、ようやく本日環境アセスメント法ができる。  今、環境庁が担うべき任務は何なのか。いつまでも行政省庁の調整役では地球環境は守れないと思いますが、どうやって権限を強化していくのか、あるいはまた、省庁再編成の議論の中で環境庁はどういう主張をしていくのか、明快に答えていただきたいと思います。
  133. 政府委員(岡田康彦君)(岡田康彦)

    政府委員(岡田康彦君) 去る五月二十一日、行政改革会議におきまして、私ども環境庁行政改革に取り組む姿勢についてヒアリングを受けました。その際に私どもは、もちろん事前に質問が二問ありまして、その質問に答えるという形でございましたので、まず資料は事前に丁寧な文書を出したつもりでございます。  それはそれで、それは当然事前に読んできているから、その文書の説明は要らないということでございましたものですから、私どもといたしましては、現在環境行政がどういう状況になっているか、先ほど総理のお答えにもあったようなことも前段で触れまして、その後、産業公害という問題はそれぞれ国も企業も、みんなの努力の中で現在のような状況になったけれども、その中でもまだ相変わらずその延長線上には先ほど来出ている化学物質の問題、ダイオキシンみたいな問題ももちろんあります。そのほかに、最近ですと地球環境問題だとか都市生活公害の問題、もちろん廃棄物・リサイクルの問題、あるいは自然環境の劣化という問題、生物多様性の減少等々、いろんな領域に広がっている、ばらばらになっている状況にある。  言ってみると、昭和三十年代から四十年代に公害問題をまさに各省ばらばらにやっていた。これではいかぬといって、だんだん取りまとめてやっと環境庁ができたという状況だったその前夜と同じような状況環境問題についてなっているということを申し上げまして、補足説明としては専らそういうことを説明しまして、目下は、やっとのことで環境基本法ができ、環境基本計画ができ、やっとばらばらなりにも一つの土俵の上である程度議論ができるようになった。けれども、実態はあくまでばらばらになされている。こういう状況を何とかしなければならない。これを一つにまとめて大きな環境行政を担う組織をつくっていただきたい、私ども環境庁はその中に率先して飛び込んでいきます、まず、こう申し上げました。  それから、現実に質問の中で、非常に環境庁が弱いけれども強いところはあるのか、弱いところはどういうところが弱いんだと、こう聞かれました。私が申し上げましたのは、やはり具体的な道具立てを持っていないところは弱いですと。ですから、実際問題として公害規制のようなところは、大気にしろ水にしてもそれなりの基準規制をする権限なり数値目標を立てるものがありますから、それはそれなりにできる。それに対しまして、例えば地球環境問題のようなものは企画立案しかありません。ツール、道具立てをほとんど持っていない、こういうところは非常に弱いですと率直に申し上げました。  したがって、私どもとしては、道具立てを持った役所でなければきちんとした権限行使がなかなか難しい、あとは個人の熱意と汗で頑張る、こんな状況になっていますと、こういうことを申し上げたところであります。
  134. 大渕絹子君(大渕絹子)

    大渕絹子君 その道具立てについて具体的に総理に必要なことというのを申し上げたんでしょうか。
  135. 政府委員(岡田康彦君)(岡田康彦)

    政府委員(岡田康彦君) そのときにちょうど、先ほど申し上げましたように五月二十一日でございました、本委員会でちょうどこの法案を御審議いただいておるときに、途中私は抜けて行かせていただきました。そんなことでございましたので、本日も環境影響評価法案審議をしていただいています、こうしたものも私どもの大きな道具になるということで非常に期待しています、これは申し上げました。
  136. 大渕絹子君(大渕絹子)

    大渕絹子君 その道具たるべき環境アセスメント法が各省庁との調整によって少し権限が弱められていて理想的な法体系に、まあ環境庁は理想的だとおっしゃるかもしれないけれども、本日の修正案を見させていただければ、その修正案に盛り込まれた部分は近い将来必ず取り入れていかなければならない部分だろうというふうに私自身も思っているわけでして、道具立てばできるだけ強い道具が必要なわけですから、ぜひ権限強化のために環境庁自身は頑張ってもらわなければならないというふうに思っています。ぜひこれからも権限強化をさらに強めて、地球環境を守っていく省庁として頑張っていただきたいというふうに思っています。  次に、COP3についてお尋ねをしていきたいというふうに思っています。  二〇〇〇年以降の地球温暖化対策の国際的な枠組みを決める会議であり、まさに二十一世紀の地球環境を左右しかねない重要な会議であります。  我が国は、ホスト国としてこの会議を成功させるために、大臣みずからが積極的にリーダーシップを発揮していかなければならないと存じます。  橋本総理出席をされる今月二十日のデンバーサミット、それに続く国連環境特別総会に、CO2の排出量削減の国別報告書がまだ出されていない事態、つまり政府統一見解がまとめられていないということはゆゆしき問題ではないかと思いますけれども、環境庁としてはどういうお考えでございましょうか。
  137. 政府委員(浜中裕徳君)(浜中裕徳)

    政府委員(浜中裕徳君) お答えを申し上げます。  ただいま御指摘の気候変動枠組み条約に基づいてこの条約の事務局に対して定期的に提出することが求められております国別報告書でございますが、この第二回目の通報につきまして昨年より関係省庁協力して作業を進めてきておりまして、相当の部分につきましては既に調整を終了している状況でございますが、温室効果ガスの排出量の将来見通しなどにつきましてなお詰めの作業が残されている状況でございます。  また、私どもといたしましては、この政府案がまとまりました段階で国民の皆様方にお示しをし、その意見をお聞きしたいということを考えておりまして、そのために必要な時間も考慮いたしますと、国別報告書を六月二十日から始まりますデンバーサミット以前に提出することは事実上困難な状況でございます。  私ども環境庁といたしましては、取りまとめを急ぎまして可能な限り早期に条約事務局に提出したいと考えていることは言うまでもございませんが、この条約の第三回締約国会議の開催国としての立場もございますので、その内容が的確かつ充実したものとなる必要があると考えておりまして、こうした観点からなお一層の調整の促進に努めてまいりたい、このように考えている次第でございます。
  138. 大渕絹子君(大渕絹子)

    大渕絹子君 先月二十九日の参議院の商工委員会で通産省は、二〇〇〇年以降も我が国二酸化炭素排出量削減を実現するのは非常に難しいという答弁をなさいました。環境庁は削減が可能だという主張をこれまでもずっと続けておられるわけですが、削減可能と主張する根拠は何でしょうか。
  139. 政府委員(浜中裕徳君)(浜中裕徳)

    政府委員(浜中裕徳君) ただいまお答え申し上げましたとおり、第二回目の国別報告書において示すことが求められております温室効果ガスの排出量の将来見通しにつきましては、政府部内で作業中でございますので、いまだ現段階では統一的な見通しは得られておりませんけれども、昨年来環境庁が詳細なモデルを用いて行ってきております推計の結果によりますと、中長期的には一九九〇年の排出量レベルから削減できる可能性が示唆されております。  具体的に申し上げますと、例えばコージェネレーション、これは熱と電気を効率よく供給するものでございます。それから、いろいろな家庭電化製品が最近省エネ型のものが多数出ております、こういう省エネ型の家庭電化製品。それから自動車のエンジンでございますが、筒内に直接噴射をいたします新しいタイプの燃費のよいかソリンエンジン、こういったさまざまな技術の普及でございますとか、それからエネルギー源といたしましても、二酸化炭素の排出のない、あるいは排出の少ないそうしたエネルギー源の利用の促進によりまして、経済の成長や国民の生活レベルを落とすことがなく必要なエネルギー需要を満たすことができるという結果を得ているところでございます。  したがいまして、環境庁といたしましては、これらの既に実用化されている最善の対策技術などを積極的に活用することによりまして、将来の二酸化炭素排出量を一九九〇年レベルから削減する可能性は十分あるというふうに考えている次第でございます。
  140. 大渕絹子君(大渕絹子)

    大渕絹子君 そういうふうに自信を持ってお答えをいただいているわけですから、その根拠をもとに通産省やあるいは運輸省や事業官庁にきちんと主張をして、そして我が国の排出削減の目標値を明快に出して、そして世界にアピールするということが環境庁の権限そのものを強めていくことにつながっていくというふうに思います。ぜひこの時代に求められる環境庁の任務に忠実に邁進をしていただきたいものだというふうに思っています。  ヨーロッパ諸国は非常に早いんですよ、そういうことをやることが。もう自分たちの主張するのが非常にうまい。二〇一〇年の排出量を一九九〇年レベルよりも一五%減らすという数値目標を提唱しています。そして、きのうの夕刊を見ましたら、この京都会議に向けて二〇一〇年にはイギリスは二〇%削減する、それが今回新しくできた労働党政権の政策であるということを、もう全世界に向けて自分の国の政策をアピールして、そして環境の国であるということを、イギリスの印象をよくしていきたいということを、こういう手段を使って全世界にアピールするということをやっているわけですね。  それに引きかえて、非常に環境大国と言われている、あるいはフロントランナーとなりたいと環境庁が言っている日本でありますけれども、いまだに、まあ正確を期したいということが先にいくのでしょう、そして目標値を出して達せられなかったときということを考えるからだというふうに思うわけですけれども、こういうヨーロッパの攻勢とは全く違う姿勢であるというふうに思うわけです。  だから、そうした我が国の姿勢を転換して、そして自信を持って、立ちおくれの原因というようなことをきちんと見きわめて環境政策に当たっていただきたいと思いますけれども、この点、いかがでございましょう。
  141. 政府委員(浜中裕徳君)(浜中裕徳)

    政府委員(浜中裕徳君) 先生御指摘のとおり、我が環境庁といたしましては、環境政策そのものがどういう姿で進められるべきなのかというあるべき姿を提言いたしまして、関係省庁と積極的に協議をし、広く関係方面の連携協力をいただいて、多岐にわたる対策を全体として実効の上がるように推進していく、それが環境庁の重要な任務であると自覚しているわけでございます。  先ほど御説明申し上げましたように、私どもといたしましては、二酸化炭素排出量を削減していくことは技術的には十分可能であると考えているわけでございます。しかしながら、実際にこうした技術を普及させ社会の中に定着させていくためには、現在の社会経済活動、あるいはライフスタイルといったものを環境保全観点から全面的に見直していく必要もございます。こうした見直しは往々にして何らかの痛みを伴うものでございますし、決して容易なことではございません。そのための対策をどこまで進められるか、検討すべき課題も多々あると考えております。  今後は、こうした困難な点の克服も含めまして、対策強化必要性について関係省庁の理解を得るべく全力を傾けてまいりたい、このように考えております。
  142. 大渕絹子君(大渕絹子)

    大渕絹子君 COP3の主催国として、成功に導くための環境庁の英断というのが必要だと思います。ぜひ総理が国際舞台に立たれるときには日本の方向というのを明快に持って立たれるように努力をしていただきたいと思いますが、京都会議成功に向けて、大臣の御決意があればお聞かせをいただきたいと思います。
  143. 国務大臣(石井道子君)(石井道子)

    国務大臣(石井道子君) 地球温暖化の原因になっております二酸化炭素の問題、これは日本として世界四位という位置づけでございますので、これを何とか削減する方向に持っていかなければなりません。そういう意味では、国内対策については具体的な問題について各省庁の調整を行っているというところではありますが、できるだけ環境庁がリーダーシップをとって、そのような目標を決めて取り組んでいかなければならないと思っております。  特に、日本におきましては、産業部門におきましてはそれなりの努力はしていると通産省なども言っているようでありますが、そのほかに民生部門とかまた運輸部門、そのような分野での取り組みがまだまだこれから大きな可能性を持っているというふうに思います。これはかなり国民一人一人の取り組みがなければ効果が上がりませんので、それをいかにして実効あるものにしていくかということも一つのポイントであろうと思います。  先ほど部長が申し上げましたように、そのことに対します、また温暖化防止に対します科学技術的な開発と、それから新しい産業の育成とかエネルギー対策とか、そういう面での取り組みももちろん重要でありますが、総合的な取り組みをこれから大いにしていかなければならないというふうに思っております。  COP3まであと六カ月というふうな事態になってしまいまして、大変そういう点については何か焦る思いでございますけれども、この会議はこれからの地球の将来を決める大変重要な会議でありますので、そのためにやはり議長国となるべき我が国が十分に国内での率先実行できるそういう対策を成果を上げますと同時に、さらに国際的にもリーダーシップがとれるように、そういう取り組みをしていかなければならないと思っております。  ちょうど六月は環境月間でございまして、六月五日が環境の日ということになっていろいろと行事もございました。環境月間を契機としてできるだけ国内におきます地球温暖化問題の重要性を訴えていかなければならないと思っております。さらに、多くのこれからの国際間の会議を通じて国際合意の形成が進んでいきますように努力をしていきたいというふうに思っております。
  144. 大渕絹子君(大渕絹子)

    大渕絹子君 最後に、このアセスメント法案ができ上がりましてから施行までの間、ぜひこの法案に準じた形でアセスメントが行われますように環境庁の特段の御配慮をお願いしたいのですけれども、一言御答弁をいただければと思います。
  145. 政府委員(田中健次君)(田中健次)

    政府委員(田中健次君) 法施行まで二年あるわけでございまして、法律が施行いたしませんとこの効果は出てこないわけでございます。したがいまして、私どもが意見を求められなければ意見が言えないと、こういう制約がございますけれども、新法の趣旨を体してできる範囲で私ども努力していきたいと思いますので、御理解をいただきたいと思います。
  146. 大渕絹子君(大渕絹子)

    大渕絹子君 ありがとうございました。
  147. 小川勝也君(小川勝也)

    小川勝也君 民主党・新緑風会の小川でございます。  いろいろな先輩からお伺いをしたところ、本当に待ち望んでいた待望の法案が、この委員会ですけれども、いよいよ本日成立するということでございますので、最後にふさわしい質問をしようかと思っております。  ほかの委員会にも所属しておりますが、その委員会では重要な法案でも普通一日で上げられてしまいます。しかしながら、本委員会と違うところは、私は野党でございますのでなるべくその法案を成立しないように努力するわけでございますが、今回のこの法案、野党、我々はみんなこぞって本案よりも環境庁にとっていい法案を修正という形で用意しておる。ここが大きな違いだと思いますけれども、何はともあれ多くの審議時間を御用意いただきました委員長、理事の各位に心から敬意を表したいと思います。  いろいろな質問がたくさんありましたので、いろいろなことが解明されたと思います。審議すれば審議するほど平成会、民主党外の修正案の方がいいという結論になると思うのでございますけれども、そうも言っておられませんが、一つ確認をさせていただきたいと思います。  この法案の重要な柱であります準備書における代替案をめぐっての部分でございます。先ほど総理が御出席いただいての審議の折の、中環審の答申が総理あてに回答されたものだというこの重要ないきさつを踏まえましてお答えをいただきたいわけでございます。  この中環審の答申には、「評価の視点」というところのイでございますが、この代替案を用意するというのがきちんとした文言で書いてございます。「こうした視点から、主要諸国においてみられるように、複数案を比較検討したり、実行可能なより良い技術が取り入れられているかどうかを検討する手法を、わが国の状況に応じて導入していくことが適当である。この場合、複数案の比較検討内容は、建造物の」云々というふうに書いておりますが、これが法案になったところに着目をいたしますと、この部分は十四条一項七号のロというところに入っておるわけでございます。  「環境の保全のための措置(当該措置を講ずることとするに至った検討状況を含む。)」。私のみならず事業を行おうとする方が非常にわかりにくい法律ではないかなというふうに思うわけでございますが、内閣法制局の御見解を確かめたいと思います。
  148. 政府委員(宮崎礼壹君)(宮崎礼壹)

    政府委員(宮崎礼壹君) 中環審の答申は、今、委員御引用の「評価の視点」というところで御引用の記載があります上、「準備書・評価書の記載内容」というところで、「先に述べたような環境保全対策検討の経過を記載することが必要である。」というふうにしておるわけであります。したがいまして、この法案十四条第一項七号ロの括弧書きは、その記載を求めている答申の要請をそのまま法律に規定したものでありまして、答申の意図するところはこの表現によって十分に明らかであるというふうに思います。
  149. 小川勝也君(小川勝也)

    小川勝也君 私が短い時間の中から読み上げた部分、これはこの括弧書きの中に入っているかどうか、お答えをいただきたいと思います。
  150. 政府委員(宮崎礼壹君)(宮崎礼壹)

    政府委員(宮崎礼壹君) 答申の「評価の視点」のところでは、複数案の比較検討というのを唯一絶対の要請として書いておるわけではございませんで、「複数案を比較検討したり、」、以下省略しますが、そういうふうに書いてあるわけでございます。  もしこれが、もしという言い方もあれですが、複数案をとにかく絶対に比較検討する手法をとれというような答申であればまた話が別かもしれませんけれども、そこのところは、複数案が考えられるべきものである場合にはそういうものを必ず検討しろ、またそうでない場合というかそれ以外のものにつきましては、実行可能なよりよい技術が取り入れられているかどうかといったことを検討しろというふうに、幾つかの手法を例示して答申を上げていらっしゃるわけであります。  したがって、こういうようなものを「検討状況」ということで、ある程度抽象的に書くということは通常あることでありまして、もう一遍その点について申し上げれば、複数の代替案が考えられ得べきものである場合には、そのことを当然検討して、その検討経過を記載しろということは、十分この括弧書きの中から読み取り得るというふうに思います。
  151. 小川勝也君(小川勝也)

    小川勝也君 私の間違いでなければ、今回の環境アセスメント法案の中に、例えば住民の意見とか住民の参加とか、そういう部分が盛り込まれているように理解をしておりますが、ただいまの御答弁、なかなか法律の専門家以外の方にはわかっていただけないように私は思うのであります。  では、わかりやすく環境庁にお伺いをしましょう。これは事業者が書く準備書の内容でございます。環境庁としてはどういうふうに何を書いてもらいたいのか、お答えをいただきます。
  152. 政府委員(田中健次君)(田中健次)

    政府委員(田中健次君) この条文の意味するところは、先ほど先生が答申をお引きになりましたが、我が国状況に応じて導入していくことが適当であり、複数案の比較検討を含む環境保全対策検討の経過を明らかにする枠組みとすることが適当、こういうことでこれを全部あらわす条文に私どもは構成をしたわけでございます。  そこで、どういうことを記載させたいかということでございますけれども、事業者が事業計画の熟度を順次高めていく、こういう過程におきまして、各種の調査等の結果を踏まえまして、例えば建造物の構造あるいは配置のあり方、環境保全設備、それから工事の方法、こうしたことを含みます幅広い環境保全対策について、この熟度を高める過程で種々検討が行われるものでございまして、この規定はその検討の過程の記載を求めるものでございます。  このような検討の過程で複数案が比較検討されますと、それらが検討の経過ということでここに記載をされるということでございまして、非常に内容、熟度を高めていく段階の各レベルでの検討の経過を書いてくれ、こういうことでございまして、御理解をいただきたいと思います。
  153. 小川勝也君(小川勝也)

    小川勝也君 では、今のお答えを受けて再度法制局にお伺いしたいと思いますが、この部分はどこまで書けば最低限の義務が果たせるのか、あるいは何が欠落しているといわゆる法律違反、規定違反となるのか、お答えをいただきたいと思います。
  154. 政府委員(田中健次君)(田中健次)

    政府委員(田中健次君) 事業の実態とか内容にかなり及びますので、私どもの方からまず説明をさせていただきたいと思います。  先ほど御説明をいたしましたように、十四条一項七号ロの括弧書き、これは事業者が事業計画の熟度を高めていく過程でいろんなことをやる、調査をいろいろやりながら、建造物から環境保全対策の設備とか工事とか、いろんな幅広い種々検討をやっていって、それで計画ができ上がっていくということでございまして、この規定はそうした検討の過程の記載を求めるものでございます。  したがいまして、環境保全対策は、ただいま申し上げましたとおり幅広い内容を含むものでございましてかつその検討内容や過程もさまざまでございます。そうしたことで、検討の経過として何が記載されなければならない、こういったことは私どもの立場からも一律に申し上げにくいというところでございます。  いずれにいたしましても、事業者が環境負荷の低減という視点に立ってどのように環境保全対策について検討を加えたのかがわかるように記載をすることを私どもは求めているところでございます。
  155. 小川勝也君(小川勝也)

    小川勝也君 先ほど申し上げました中環審の答申によりますと、この複数案の比較検討というところが非常に大事なところだと思います。この法律の中には残念ながら欠落をしておりまして、本来であれば比較検討内容までこの委員会で明らかにしていただきたいところでありますけれども、それは別の機会に譲りたいと思います。  この法律の中にはさまざまな問題点がありまして、先ほど大渕委員からもありましたとおり、いろんな部分で主務省令で指針を示さなきゃならない部分が出てくると思います。この部分に関して示す用意があるかどうか、お答えをいただきたいと思います。
  156. 政府委員(田中健次君)(田中健次)

    政府委員(田中健次君) これから、法案を成立させていただきますと、政省令づくりに入るわけでございますけれども、私どもの方が主務省庁と協議をして基本的事項を定めさせていただく、その次に、いろんな指針が必要でございます。指針を主務省庁で決めていただくわけでございますけれども、私どもといたしましては、それについても協議をしていくということで、私どもが大幅に関与をしながら政令あるいは省令等を定めていくわけでございます。  そういうことで、主務省令は主務官庁で定めるわけでございますけれども、私どもとしてもそれは十分フォローアップをしていい政省令をつくっていきたいということでございます。その政省令ができますれば、それを公表していくということになりますので、御理解をいただきたいと思います。
  157. 小川勝也君(小川勝也)

    小川勝也君 もう局長は私の言いたいことをすべてわかっていただいていると思いますので、それは省令でフォローアップをしていただきたいと思います。  しかしながら、この法律にすべて書き込まれていなくて、省令や政令で定めなければいけないというのは、私はこれは法律としては余りいい法律とは言えないと思います。実は、環境庁以外の行政官庁は、裁量権が多ければ多いほどいい法律だと考えているのかもしれませんが、私は、本当はこの法律をだれが読んでも解釈が一つしがなくてわかりやすい法律がいいと思います。  そういう意味では、もうお読みいただいておりますが、この我々の修正案の御評価をちょっとお伺いしたいと思います。私どもは、先ほども申し上げましたとおり、環境庁の力をもっと強くしたいんだ、環境を守る力を環境庁に果たしてもらいたいんだと思って、もっとわかりやすく、原案よりもいいと自負している法律をつくりました。どうぞ評価をお聞かせ願いたいと思います。
  158. 政府委員(田中健次君)(田中健次)

    政府委員(田中健次君) 私どもは、先ほどから申し上げておりますように、中央環境審議会の答申を受けまして、環境保全対策検討の経過を明らかにする枠組みが適当と、こういうことでこれを受けまして御提案を申し上げておる案文でございます。  この答申の要請をそのまま法的に規定したものでございまして、答申の意図するところは私どもの原案の表現によって十分明らかになっておるところでございまして、私ども政府提案者といたしまして原案が適当というふうに考えます。
  159. 小川勝也君(小川勝也)

    小川勝也君 余り責めてもしようがないと思いますが、多分これは修正案をお持ちだと思いますけれども、第一、第二、第三、複数の案の検討、これは中環審の答申がわかりやすく入っているわけですよね、こっちの方が。私がなぜこの環境アセス法案の最後の大事な委員会に、いわゆる口のところの読み方を法制局に来ていただいて教えていただかなきゃいけないのか。私は、法律はわかりやすい方がいいと思います。  じゃ、もう一点聞いてみましょうか。この野党共同提出の修正案の中でどこか気に入らないところがありましたらお答えいただきたいと思います。
  160. 政府委員(田中健次君)(田中健次)

    政府委員(田中健次君) 私どもは、先般来申し上げておりますように、今の代替案の表現のほかにも、今回、中央環境審議会が出されました答申の内容、スクリーニング、スコーピング、あるいは住民の意見の言える範囲を拡大したということ、あるいは事後のフォローアップを規定したということで、私どもといたしましては、答申の内容を網羅して新たな法案の中に埋め込んで、原案として提案をさせていただいております。  したがいまして、私どもといたしましては、原案がベストであるというふうに考えておりますので、ぜひ御理解をいただきたいと思います。
  161. 小川勝也君(小川勝也)

    小川勝也君 この修正案は大渕委員にも高く評価をいただいているところでございます。  それで、長年来悲願のこの法案でございますが、その前に閣議アセス制度というのがあったと思います。閣議アセスのときからすごい発展した、あるいはよくなった部分は、長官の意見が多く反映されるということだと思います。  これもお答えいただきにくい質問だと思いますけれども、前からこの法律があったとしたときに、例えば日本国内でさまざまな開発事業が行われた、その中でもしこの法律がもっと先に成立していたら、この事業に対しては環境庁長官として意見を述べたかったと思われるような事業があれば教えていただきたいと思います。これは長官とあわせて政府委員の方にお伺いします。
  162. 国務大臣(石井道子君)(石井道子)

    国務大臣(石井道子君) 今、そのような具体的な事業につきましては、いろいろと大きな課題も抱えているところでありますが、既に事業が決定されたものにつきましては、その当時のさまざまないきさつ、そのときの情勢、状況について適切に判断をされたものであるというふうに思っております。  今回、ようやくアセス法が成立をするわけでございますけれども、もしもという仮定の状況で現在行われている現実の問題に対して答弁をするのは適切ではないと考えておりますので、御理解をいただきたいと思っております。
  163. 政府委員(田中健次君)(田中健次)

    政府委員(田中健次君) 私の方も、今大臣が申したとおりでございまして、法律を成立させていただきました暁には、これまで以上に環境保全に対しまして取り組んでまいりたいということで御理解をいただきたいと思います。
  164. 小川勝也君(小川勝也)

    小川勝也君 少し意地悪ぎみの質問だったと思いますけれども、私は、こういうことがあるからこの法律が必要なんだというのがあってしかるべきだと思う。そんなこともろくろく言えないような環境庁だから与党の方にも責められるんじゃないかなと思うわけでございます。  しかしながら、先ほども申し上げましたとおり、環境庁にもっと強くなっていただきたい。例えば環境庁が大関とするならば、今回の法律は横綱の回したと私は思いたいのであります。横綱は、横綱になってから横綱の働きができる。それを信じて、今国会ではどの案が成立するかはわかりませんけれども、環境アセスメント法案が成立して、環境庁は立派な横綱を締めてほかの省庁とがんがん闘っていく、こんな環境庁であってほしいと思っております。  最後に、最後っぺのようなことになりますけれども、馳先生からこの間質問があった諌早湾の問題であります。  私は、前回の質問でも申し上げたこの諌早湾という大事な問題において、長官が十分に意見を言えないというような環境行政であれば、環境庁も要らないし、もし環境アセスメント法案が成立しても、また同じことが繰り返されるようなことであればこの法律の意味がない、そんなことを申し上げたいと思っております。  環境庁長官が考えることは、環境と農地、どっちが大事かということを考えるのではなくて、環境の大切さをほかの閣僚の方々にどんどん認識をいただくためにアピールすることだと考えております。  環境庁長官に御答弁はいただきませんけれども、環境庁のさらなる発展をほかの委員の諸先輩とともに祈念申し上げまして、質問を終わらせていただきます。
  165. 有働正治君(有働正治)

    ○有働正治君 まず、諌早湾の干拓事業をめぐって、簡単にお尋ねします。    〔委員長退席、理事大渕絹子君着席〕  ラムサール事務局が置かれていますスイスの事務局長、デルマー・ブラスコさんから、この諌早湾の干潟が閉め切られたということに衝撃を受けて、日本政府に対しての書簡が届けられていると思います。いっ、どういう内容か、簡潔にお示しいただきたいと思います。
  166. 政府委員(澤村宏君)(澤村宏)

    政府委員(澤村宏君) ただいま御質問のありましたラムサール条約事務局長からの照会文書は、在スイス大使館を経由しまして、本年四月二十八日に外務省に到着しているものでございます。  文書の内容につきましては、諌早湾の干拓事業に関する事業について政府からの情報提供を求める、そういった内容となっております。
  167. 有働正治君(有働正治)

    ○有働正治君 その書簡原文を私も手元に見させていただきました。もちろん英文でありますので、私どもの責任で若干重要な点を拝読いたしますと、ラムサール事務局として、この諌早湾が日本最大級の干潟であって、その重要性は多くの科学出版物に掲載されている、こういう指摘もあります。そしてまた、諌早湾は、日本政府によって条約に登録はされていませんけれども、ラムサール条約というのはすべての湿地のワイズユースを目指すという観点から、条約に関係があると。また、九三年の釧路での第五回締約国会議で、消滅と劣化の進むアジアの干潟に特に注目していたと。締約国会議では、勧告五の一として、東アジアの渡り鳥の経路上にある干潟を追加登録するよう求めていた等々の内容指摘しながら、公式な情報を求めているという内容を含んでいると承知しているわけでありますが、その点、確認だけ求めたいと思います。
  168. 政府委員(澤村宏君)(澤村宏)

    政府委員(澤村宏君) ただいま先生が御指摘されたような記述につきましては、照会文書の中に含まれているものと、そのように考えております。
  169. 有働正治君(有働正治)

    ○有働正治君 極めて心配し憂慮して、そのバックグラウンドにこの干潟の重要性等を指摘しながら書簡を送られたということだけ本日は指摘しておきます。  五月三十日に政府として回答しているようでありますが、私はこの回答には重大な問題が内在しているということだけここでは指摘しておきます。環境庁は、正確な情報を提示すべきである。  渡り鳥についても、古い資料を提示して、国際的に重要なズグロカモメその他、そういうのは一切記述がない回答になっている。そのほかいろいろな問題があるということだけきょうは指摘して、引き続き環境庁の誠意ある対応を求めておく、この点だけ申し上げておきます。    〔理事大渕絹子君退席、委員長着席〕  次に、法案にかかわりまして、今日、全国的にも、事業アセスをめぐりまして、いわゆるアワセメントというような指摘がなされた中で、住民との係争その他があるわけであります。  その中で、法案とのかかわりで、環境庁意見を述べる場合に、そのアセス自体について重大な内容をきっちり的確に把握して、問題点その他が的確に指摘できるように、中には故意に作為的にゆがめられたり隠されたりいろいろ問題があったわけですから、そういうのを含めてきっちり対応するように求めるわけでありますが、いかがでございますか。
  170. 政府委員(田中健次君)(田中健次)

    政府委員(田中健次君) 環境庁長官意見もまさにおっしゃるとおりでございますが、この法案におきましては、評価書が確定する前に私どもの環境庁長官の主体的な判断で意見を述べることができますし、また事業者はこれを踏まえまして必要に応じて追加調査等を行った上で評価書を補正することとしております。このように、環境影響評価手続の最終成果物でございます評価書に環境庁長官意見が適切に反映をされる仕組みとなっておるわけでございまして、環境庁長官意見はこれまでに増して重要になるものと認識をいたしております。  それで、環境庁長官意見の形成に際しましては、事業者の行います環境影響評価書につきまして、環境情報について十分なデータあるいは分析等が記載されているかどうか、環境保全について適切な配慮がなされるものであるかどうかなどの視点から慎重かつ適切に審査をしてまいりたいと思っております。また、審査の過程では必要に応じまして専門家の知識あるいは経験を活用するなど、適切な意見形成に努めてまいる所存でございます。
  171. 有働正治君(有働正治)

    ○有働正治君 一々事例を詳しく申し上げる時間的余裕はございませんけれども、例えば東京の臨海開発の幹線道路網建設事業では中央、港、江東区の臨海部に放射三十四号線、環状二号線など都市計画道路五本と高速晴海線の計六本、総延長約二十キロの幹線道路を建設する事業があるわけであります。ところが、この評価書案というのは、十三カ所の予測地点で環境基準を相当超えていたにもかかわらず、途中で突然都議会の委員会の直前になって回収され廃棄処分されて、いわば住民の市民団体からは根本的に問題があるように、ある面では修正されてアセスが発表された等々の事例、これは全国にいろいろあるわけであります。  そういうことがあるだけに、先ほど述べられました、意見をきっちりチェックする場合、意見を述べる場合に、そういうことが過去にもあったということで、有効な意見が述べられるように万全を期すべきであるということだけ述べておきます。  次に、法案とのかかわりで、「相互に関連する二以上の対象事業を実施しようとする場合は、当該対象事業に係る事業者は、これらの対象事業について、併せて方法書を作成することができる。」とされている総合アセス、複合アセスの問題であります。  この問題につきましては、先日の公聴会の中で、標公述人が、総合・広域アセス、例えば東京の臨海開発事業では十三の事業があります、ここを個別にアセスはやられた、しかし全体としてのアセスがやられなかった、関連した複合アセス等がやられなかったからいろんなちぐはぐができている、こういう問題を出されたわけであります。  もっと言えば、東京湾では川崎の開発だとか対岸の千葉の方の開発、そして東京その他の大規模な開発が進んでいるわけですから、ある面ではこれら全体をアセスしながら、これだけの人口密集地にどういう影響を与えるか、本来ならばそこまでやってしかるべき問題ではないかという関係者の厳しい要求もあるわけであります。  そういう点で、総合アセスをきっちりやるように対応願いたいと思うわけでありますが、いかがでしょうか。
  172. 政府委員(田中健次君)(田中健次)

    政府委員(田中健次君) 本法案におきましては、先生が今お話しになられましたように、複数の対象事業が相互に関連して行われる場合は、法案の五条二項あるいは十四条二項でアセスメント手続をあわせて行うことができる、こういう規定を盛り込んでおるところでございまして、こうした形での累積的あるいは複合的な影響を評価することは考えられるわけでございます。  それから、本法案に基づきましてアセスメントが実施される場合には、その事業以外のほかの事業による環境影響については、これは一般的にバックグラウンドとして位置づけて評価の対象にしておる、こういうことになろうかと思いますが、今先生お話しございましたように、個々の事業レベルでの環境影響評価では地域全体の将来の環境状況検討するというのに限界がある、こういうことでございます。  こうしたことで、国際的には政策あるいは計画段階からのアセスメント、戦略的アセスメント、SEAが検討されておるところでございまして、これまでも御答弁申し上げてまいりましたが、私どもといたしましても、この政策・計画アセスにつきまして今後検討していきたいというふうに考えておりますので、御理解をいただきたいと思います。
  173. 有働正治君(有働正治)

    ○有働正治君 関連する事業というふうに認めないで個々にだけにとどまるケースが、事業アセスの場合にまた事業者の場合に往々にしてそうやりがちなわけであります。だから、意見書を付す場合に、総合的な関連性があるんだ、やっていないことは問題だと意見書として厳しく指摘して、きっちりやらせるということを含めて積極的に対応すべきである、本来ならば法案に明確に盛り込むべきだということも私は指摘しておきます。  話を進めまして、東京湾の臨海開発が首都圏に与える影響というのは本当に巨大なものがあると私は思っているわけであります。実は環境庁から資料をいただきまして、八九年の五月に企画調整局長名でまとめられました「東京湾・その保全と創造に向けて 東京地域の開発と環境保全に関する基本的方策について」の中間取りまとめというのが行われていたわけであります。  時間の関係で私の方から若干紹介させていただきますけれども、その中で、例えば東京湾の相当部分を埋め立ててしまうような規模の開発等々が行われた場合には、風向きその他によって陸地の区域の気温が二度以上高くなる範囲で見ると、沿岸部の埋立規模が大きくなるに従って拡大して、例えば昼間の影響範囲は約五百二十平方キロ、居住人口約四百六十万、夜間の影響範囲は約二百平方キロ、居住人口約二百万になる。最大の場合にはあり得るというようなことを含めて指摘しておられるわけであります。二度の気温上昇が及ぼす影響検討すると、熱帯夜日数が八月だけで約九日ふえる、また夏の時期における最高気温が日本で最も高いレベルとなり、真夏日も二十数日程度、約五割ふえると考えられる等々の指摘があるわけであります。そのほか大気汚染の拡散の状況等々、汚染物質濃度が数十%高くなるとかいろいろ指摘がなされて、私はこれは非常に重要な提起だと思うのであります。  そこで、今の臨海開発規模は基本的には当初計画で推進されているわけでありまして、この指摘は今も非常に大事だと思うわけであります。環境庁に求める意見というのは、こういう立場から東京湾の環境保全の上で必要な検証、必要な関係自治体等と意見交換をするなどして、東京湾の環境保全の上で今後必要な手だてをとっていただきたいということで、長官の簡潔な御答弁を求めるわけであります。
  174. 国務大臣(石井道子君)(石井道子)

    国務大臣(石井道子君) 東京湾の地域における開発につきましては、平成元年の報告書の趣旨も踏まえまして、今後も関係機関との調整を図りながら、各種の広域的な開発計画とまた環境基本計画との整合性を確保しながら、開発に当たって環境への配慮が十分になされますように適切な措置を講じてまいりたいと思っております。
  175. 有働正治君(有働正治)

    ○有働正治君 実効ある対応を求めます。  次に、発電所アセスとのかかわりで若干お尋ねします。具体的には、特殊法人電源開発株式会社の新潟県湯之谷水力発電所建設計画及び揚水発電ダム建設計画に関する環境調査をめぐってであります。  私も現場に行ったことがございますけれども、この新潟、福島両県にまたがる奥只見地域には十三ペアのイヌワシが生息していると関係NGOの調査の中で指摘されている極めて重要な地域であります。イヌワシ、クマタカ、オオタカが密集する生息地で、特に通称Aペアと称しているイヌワシのつがいは、ダム計画地に最も近い場所で営巣していると承知しているわけであります。  ところが、この調査というのが、新潟県の県議会での答弁等々から見ますと、アセスの中で十分やられていないということを承知しているわけであります。環境庁の「猛禽類保護の進め方」指針等々から見まして、きっちり対応して、また意見を述べるなどして、これだけ重要な地域が、それから大事な種が絶滅しないように、環境庁としてきっちり対応を願いたいと私は思うわけでありますけれども、長官いかがでございましょうか。
  176. 政府委員(澤村宏君)(澤村宏)

    政府委員(澤村宏君) ただいま先生からこの地域におけるイヌワシの状況等のお話がございましたが、確かに御指摘の揚水発電所予定地を含みます新潟県、福島県境の山脈は、多くのイヌワシの生息が確認されている地域であると私ども考えております。  そういう中で、先ほど先生が御指摘になりましたが、「猛禽類保護の進め方」というものも私ども発表いたしまして、こうした種の保護というようなことについて広く努力をしているところでございます。
  177. 有働正治君(有働正治)

    ○有働正治君 今後は。
  178. 政府委員(田中健次君)(田中健次)

    政府委員(田中健次君) 御指摘の湯之谷の発電所につきましては、これは通産省の省議決定アセスの対象になるわけでございまして、現在地元で調整が進められているというふうに承知をいたしておりますが、今後、電源開発調整審議会におきまして、本発電所を電源開発基本計画に組み入れたい旨の協議が経済企画庁からございますと、私どもといたしましてはイヌワシ等の猛禽類調査結果をも十分に吟味をした上で、慎重に審査をいたしまして、必要な意見を述べる所存でございます。
  179. 有働正治君(有働正治)

    ○有働正治君 大臣もそういう方向で対応願いたいということを述べておきます。  なぜこの問題を一例として私が挙げるかといいますと、通産省資源エネルギー庁というのは、今回の法改正で電事法改正とのかかわりで、現行の省議アセスは高いレベルで実施されておって、省議アセスのどこが悪いか全くわからない等々述べて、公然とコメントを発表するなどしておられるわけであります。また、きっちりと今回のアセス法案の中に電力問題、発電所問題が明確に一本化されなかったと。そうなりますと、こういう問題についてはかにもいろいろございます。問題が今後起こりかねないということの一例として指摘したわけでありまして、問題が起きないようにきっちり対応願いたいということを要望しておきます。  最後に、先ほど総理質問する予定でありましたけれども、時間の関係でできませんで、一、二だけ長官に求めます。  この委員会での議論あるいは公聴会等々を通じましていろんな問題が出されました。全総計画や広域圏整備計画など上位計画もアセスが必要だと、代替案の公表の義務づけ、第三者機関の設置の必要性、事後アセスの義務化等々、多岐にわたったわけであります。  そこで第一の質問は、そういう意見、議論された内容、国際的な動向、また私どもはそれらを網羅した修正内容も提起するわけでありますので、今後こういう問題については積極的に検討していただきたいというのが一点であります。  二つ目は、政省令の制定につきましては非常に大事だと思います。その点で、過程につきましても情報を国民の皆さんに公開していただいて、そしてまた中央環境審議会等の意見も聞いて、その意見も尊重する、そういうことで対応願いたいと思うわけでありますが、この点についての長官の見解を求めます。
  180. 国務大臣(石井道子君)(石井道子)

    国務大臣(石井道子君) この法が制定されました後には、制度の運用状況を点検して、そして内外の科学的知見の集積状況も踏まえまして、必要に応じて環境影響評価の手法等の指針を見直すということ、そして改善を図っていくことが基本であると考えております。  さらに、上位計画のアセスメントのように、中央環境審議会で今後の課題とされた事項についても検討を進めてまいりたいと考えております。  また、政令等についてのお尋ねでございますが、法案は、国民各界各層からの意見を聞きながら幅広く御審議をいただいた中央環境審議会の答申を踏まえて作成されたものでございます。政令等についても、この答申の内容に沿って、閣議アセスの実績等を踏まえつつ、適切なものとなるように策定をしていく考えでございます。
  181. 有働正治君(有働正治)

    ○有働正治君 情報公開は。
  182. 国務大臣(石井道子君)(石井道子)

    国務大臣(石井道子君) その際、必要に応じて専門家等の知識を活用するなどによって、よりよいものになるように努力をしてまいりたいと思っております。
  183. 有働正治君(有働正治)

    ○有働正治君 終わります。
  184. 末広真樹子君(末広まきこ)

    末広真樹子君 自由の会の末広真樹子です。  前回の委員会で、藤前干潟を鳥獣保護区に指定するか、はたまたラムサール条約の中に入れるのかという件について私は質問をいたしました。その際、大変わかりにくい答弁がございましたので、もう一度簡潔に質問したいと思います。  藤前干潟の鳥獣保護区指定についてお尋ねします。できるかできないかということを今は問いません。結果は次の問題ですよね。それ以前の問題として、環境庁は指定したいというお気持ちがあるのかないのか、お願いします。
  185. 政府委員(澤村宏君)(澤村宏)

    政府委員(澤村宏君) 前回もお答え申し上げましたが、この藤前干潟を含みます日光川河口から庄内川河口の干潟につきましては、シギ・チドリ類を初めとする渡り鳥の渡来する東海地域では数少ない我が国有数の干潟として重要であるというふうに考えております。このため環境庁としては、国設鳥獣保護区の設定を含めまして、国として保護対策を講じていく必要があると考えているところでございます。既に昨年、環境庁のこうした考え方は県の方にもお伝えしているところでございます。
  186. 末広真樹子君(末広まきこ)

    末広真樹子君 具体的な日程については、今現在どのようにお考えですか。
  187. 政府委員(澤村宏君)(澤村宏)

    政府委員(澤村宏君) 先生も御案内のとおり、この地域には開発計画があることでございますので、その保護対策につきましては、今後地元と協議を進めていきたいと考えているわけですが、先ほど申しましたように、昨年末に県の方にもこうした考え方は正式にお伝えしているということで、今後調整を進めていきたい、そのように考えております。
  188. 末広真樹子君(末広まきこ)

    末広真樹子君 ぜひ、手おくれになる前に、早目早目に動く環境庁、こういう評判を世間からちょうだいできますように、しっかりとお願いしたいと思います。  前回の委員質問の中でもう一つ問題点がありました。干潟の底生生物の測定に当たっては、一方は満潮時に船の上から、一方は干潮時にスコップで四十センチ干潟を掘り起こしてはかっている、方法論としてどちらが正しいのか。そうしたら御答弁では、どちらとも言えないと、こうおっしゃっていらっしゃいます。  ちょっと聞き方を変えます。では、新しい法のもとで、環境庁ならどちらの手法をおとりになるのでしょうか、確認させてください。
  189. 政府委員(澤村宏君)(澤村宏)

    政府委員(澤村宏君) 今、先生からお話がありましたように、底生生物の調査につきましては、泥の採取方法等その調査の手法にはいろいろなものがあるというふうに考えております。  一般論で申しますと、環境影響評価の際の調査につきましては、当該事業の内容や事業予定地一帯の自然環境の現況等を総合的に勘案した上で調査目的を決定いたしまして、それに沿って具体的な調査の手法を選択する、そういうことになるわけです。このため、こうした前提を抜きにして、どの手法が適切か、どちらをとるのかというような問いにはなかなか答えにくいなというふうに考えております。  なお、先生の御懸念はそういう調査ということがしつかりしたものでなきゃならないということなのだと思いますが、そうした個別案件の環境影響評価につきましては、環境庁としての意見を求められた場合には、御指摘のような点も含めまして適切な審査を行ってまいりたいと考えております。
  190. 末広真樹子君(末広まきこ)

    末広真樹子君 いろんなところに気配りをする余りにそういう答弁になるのかなとも思うんですけれども、でも素人目から考えても、澤村局長、干潟の調査をするのに満潮時に船の上から、とんでもないわ。できるわけないよ。どうやってやるんですか。最低でもやっぱりそれぐらいは言っていただかないと、えっと思いますよ。基準というのはそんなに開きがあってはいけないんじゃないんですかね。
  191. 政府委員(澤村宏君)(澤村宏)

    政府委員(澤村宏君) これは一般論でございますが、ちょっと補足させて説明をさせていただきますと、例えば干潟の底生生物の調査の手法につきましては、干満の差あるいは地形の底質の違いあるいは干潟のタイプ、いろいろ条件が異なるわけでございます。  したがいまして、先生今御指摘のように、干潮時に泥などの底質とともに生物を採取する方法、そういうようなことも一つの方法として行われているのは事実でございます。また、他の調査項目、例えば水質との関連においての調査ということも必要な場合もあるわけでございまして、そういうような場合には船上からの採取というようなそういう調査も行われているところでございます。  なお、例えば周辺との比較を行う、そういうような趣旨に立ちますと、そうした一帯の調査が同一の手法で実施される、そういうことが重要でありますが、その限りにおきましても特定の手法でなければならないということはない、そのように考えているところでございます。
  192. 末広真樹子君(末広まきこ)

    末広真樹子君 ということは、こう解釈してよろしいんですか。水質の調査においては満潮時に船の上からするということもよしとするが、干潟の調査の場合にはそれだけでは不十分ですよと、こういうふうに解釈していいんですね。
  193. 政府委員(澤村宏君)(澤村宏)

    政府委員(澤村宏君) 先ほど申しましたように、環境影響評価の目的状況、そういったことを総合的に勘案して、どういうものが必要かというようなことが決められてくると、そういうふうに考えております。
  194. 末広真樹子君(末広まきこ)

    末広真樹子君 私は、干潟の調査というのはやはり干潮時にぜひ行っていただきたい、これは当然。これを私の意見として申し上げておきます。  さて、アセスメントの将来にバラ色の夢ばかりを描いておれないことがございます。と申しますのは、自然保護について専門的に調査分析、解析する人が絶対的に不足しておる。これは今後、市民参加を前提としている以上、アセスメント準備書の読み取り段階で読み方の助言をするアドバイザーを育成していくことが急務であると思いますが、この点、先ほど総理は同感だとおっしゃいましたが、環境庁はどんな対策、どんなお考えをお持ちでしょうか。
  195. 政府委員(田中健次君)(田中健次)

    政府委員(田中健次君) この環境影響評価手続を円滑に進めるためには、必ずしも専門家ではございません住民の方々等に内容が十分理解される、これが必要でございまして、そのようにまず記載をすることが重要でございます。審議会の答申では、準備書にはわかりやすく記述をするということとともに、平易な概要を記載することが必要と、こういうことにいたしておりまして、さらに準備書についての説明会の開催を義務づけているところでございまして、準備書の内容の説明はまず事業者の責任においてなされるということが第一点でございます。  それから、御提案のアドバイザーのような仕組みでございますが、住民等が意見を述べるに当たりまして自主的に専門家の助言を受けるということは考えられますけれども、今お話しになりましたように、その専門家が少ないという場合にはなおさら問題になるわけでございますが、これはあくまで住民が自主的に取り組まれる問題でございます。  環境庁といたしましても、企業内の取り組みあるいは市民の地域活動にアドバイスをすることができる専門家を育てようということで、環境カウンセラーという、環境庁に登録する制度を昨年創設いたしました。それで、ことし四月に約一千人の環境カウンセラーが登録をされまして、名簿が公表をされたところでございます。  住民等がアセスメントの分野でこのカウンセラーの制度を活用できるかどうか、今後私どもとしてはこのカウンセラー制度を大いに伸ばしていきたいと思っておりますけれども、こうしたことも一つの方法ではないかというふうに考えております。私どもとしては、このカウンセラーの制度の発展、充実を今後期していきたいというふうに考えております。
  196. 末広真樹子君(末広まきこ)

    末広真樹子君 ぜひ積極的にお取り組みいただきたいと思います。  次に、ごみ処理ダイオキシンの問題について総括的な質問を行いたいと思います。  ダイオキシン対策については、環境庁が改正大気汚染防止法の指定物質に加えることで中央環境審議会に諮問し、法的対策を講じる段階にまでようやくなってきたということでございます。私も名古屋の鳴海のごみ焼却工場を視察しまして、大変な体験をさせていただきましたが。  そこで、この問題を総括するために私の受けた印象をもとに問題点を整理してみました。  国民の健康に大きな影響を与える発がん性物質に対して対応が遅いのではないか。住民が不安を覚え、諸外国の対策が進む中で、その追随に終わっている。たまらず、環境庁長官たしか所沢でございましたね、所沢ダイオキシン条例を定め、先般施行されております。  二つ目に、実態調査が不十分。一般廃棄物ダイオキシン濃度は本委員会の要求でやっと出てまいりました。しかし、その後の新聞報道では、少ない数値を報告していた自治体の例がぼろぼろと出ております。私の見てきたところもそうでございました。しかも、その報告時点では全部の自治体が報告したわけではございません。しかも、産業廃棄物の方は、環境庁調査はさておき、そのままになっております。  三つ目に、ダイオキシン人体への影響は、直接に触れる場合とともに、野菜等の食べ物によって人の体内に入ること、これが問題です。  四つ目に、対策が生ぬるいのではないか。法的規制の対象とするといっても、指定物質を排出している施設に対して抑制について必要な勧告ができるだけにとどまっております。  以上、私なりに総括した問題点について、環境庁長官はどのようにお考えでしょうか、率直な御感想をお願いします。
  197. 政府委員(野村瞭君)(野村瞭)

    政府委員(野村瞭君) まず、私からお答えを申し上げた後、大臣からお答え申し上げたいと存じます。  ダイオキシン対策につきましては、今御指摘もございましたが、先進国に比べて私どもの取り組みが遅いということについてはそれなりに意識をして、今後積極的に取り組まなければならないと考えておるところでございます。  ダイオキシン対策につきましては、御指摘もございましたが、規制的措置の導入、それから事業者におきましても自主的取り組みの促進を進めていただく等、総合的な対策推進することが必要というように考えているところでございます。  しかしながら、ダイオキシン類発生源から環境中に排出された後、人に摂取されるまでのプロセスというのが現時点におきましては必ずしも科学的に十分に解明されていないという状況下にございます。  このような状況を踏まえまして、先月取りまとめられました排出抑制対策検討会報告におきましては、早期に対策を講じていく見地から大気汚染防止法の指定物質に指定し、排出抑制を推進することが適当と、このように提言をされたところでございます。  環境庁といたしましては、この報告を踏まえまして、現在審議が行われております中央環境審議会の答申に基づきまして、実施可能な施策を早急に、また着実に講じなきゃならないというように考えております。その成果を見きわめながら、必要に応じまして規制のあり方も含めまして対策の見直しを図っていくということが適当と、そのように考えているところでございます。
  198. 国務大臣(石井道子君)(石井道子)

    国務大臣(石井道子君) ダイオキシンの問題につきましては大変重要な問題であると受けとめております。この問題を解決するためには、さまざまな角度から対策を講じる必要があると思います。  今、局長がお答えいたしましたけれども、科学的にまず解明を急がなければならないということもありますし、また、廃棄物処理の関係で塩素系のものからダイオキシンが出るということになれば、やはり廃棄物の分別収集、処理の問題も出てくると思いますし、また焼却炉の問題もあると思います。  そのような問題で、できれば廃棄物の排出抑制という点については十分にこれから配慮しなければなりませんが、また、ダイオキシンの排出抑制対策についても中央環境審議会の場で今御審議をいただいているところでもございます。  環境庁といたしましては、多分この夏に答申がいただけるというふうに思っておりますが、それに基づきまして所要の対策を早急に、また着実に実施できるように、科学的な知見の充実も図りながら取り組んでいきたいと思っております。
  199. 末広真樹子君(末広まきこ)

    末広真樹子君 強いリーダーシップを期待しておきます。  ことしの五月にマイアミ先進国環境担当閣僚会議が開かれまして、環境汚染被害を最も受けやすい乳幼児子供基準各国環境規制強化することで合意し、子供の健康を守る環境サミット宣言を採択したと、このように報道されております。残念ながら、石井長官は出席されていなかったんですけれども。  ところで、猛毒ダイオキシンで最も心配されているのは母乳による乳幼児への影響です。所沢市が条例制定を急いだのも、母乳の問題があったからだと思います。先ほど来、山下議員もこれには触れておられますが、環境庁ダイオキシンの抑制基準はこのことを踏まえた基準にするのでしょうか、お答えください。
  200. 政府委員(野村瞭君)(野村瞭)

    政府委員(野村瞭君) ダイオキシン対策につきましては、そのリスク評価、それから発生源からの排出の実態でありますとか、それから排出抑制の技術の動向等をも踏まえまして、健康影響の未然防止という観点に立ちまして排出抑制対策推進するということが必要と考えておるところでございます。  リスク評価につきましては、ことしの五月に報告がまとめられたわけでございますが、人の健康を保護する上で維持されることが望ましいレベルとして示されましたいわゆる健康リスク評価指針値と言っておりますけれども、これにつきましては、発がん性にとどまらずに、生殖影響でありますとか、乳児や小児等への影響をも考慮して設定されたというように承知をしているわけでございます。  また、ダイオキシン類の抑制基準につきましては、これも先月取りまとめられたわけでございますけれども、検討会報告におきまして、現時点で実施可能な排出抑制技術を用いた場合に達成することが可能なレベルとすることが適当とされておるわけでございます。  具体的な排出抑制対策のあり方につきましては先ほどもお答え申し上げたわけでございますが、現在、中央環境審議会で御審議をいただいておりまして、環境庁といたしましては、その審議に基づきまして健康リスク評価指針値の確保を図る観点から、実施可能な対策を着実に推進してまいりたい、そのように考えておるところでございます。
  201. 末広真樹子君(末広まきこ)

    末広真樹子君 最終の総括でございますから、深くは追及しないでおきましょう。  ごみの最終処分場はアセスの対象となります。  それ以外の中間施設は対象となっていないということでございます。これは事実です。今後の課題としては、環境にとって非常に大きな影響を与えるごみ焼却施設は、その規模の大小にかかわらず本アセスの対象としていくべきだとつけ加えさせていただきます。  さて、アセス法審議に参議院の環境特別委員会は二十二時間プラス公聴会と大変意欲的に取り組んでまいりました。最後に、このアセス法案の誕生に当たって、長年の御努力を重ねてこられました関係者各位の皆様に一言御苦労さまでしたと申し上げたいと思います。そして、私も審議の一員に加えていただきましたことを深く感謝申し上げます。今後はこのアセス法が国民の皆様のお役に立つことを願って、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。  万博と藤前干潟、ぜひよろしくお願いします。  終わります。
  202. 委員長(渡辺四郎君)(渡辺四郎)

    委員長渡辺四郎君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。  本案の修正について山下君及び有働君から発言を求められておりますので、順次これを許します。山下栄一君。
  203. 山下栄一君(山下栄一)

    山下栄一君 私は、ただいま議題となっております環境影響評価法案に対し、平成会、民主党・新緑風会及び自由の会を代表いたしまして、修正の動議を提出いたします。  その内容は、お手元に配付されております案文のとおりでございます。  これより、その趣旨について御説明申し上げます。  環境影響評価制度を法制化することは、来るべき二十一世紀を持続可能な社会とするために、また、今年十二月の地球温暖化防止京都会議をホスト国として成功に導くためにはぜひとも必要なことであります。しかし、同時に、この法案が多くの不十分な点を有していることも事実であります。これらの点は、本会議における本法案の趣旨説明に対する質疑、本委員会でのさまざまな質疑、公聴会での公述人の意見を聴取する中で、むしろ深まったと言えます。  まず、環境庁に対する事業官庁の優位性です。  主務大臣が定める主務省令によって運用されるこの法案の手続に対し、環境庁長官は、基本的事項を定めて公表するほかには、二回しか協議または意見を言うことができない制度となっています。  これに対し、環境庁長官の積極的なリーダーシップが発揮されるような制度とする必要があります。  第二に、環境基準クリア型と言われた現行の閣議決定による環境影響評価制度からの脱皮を目指すとしながら、新制度の核となる複数案の比較検討の義務づけが規定上明確になっていないことであります。  第三に、地方公共団体が先行的に整備した環境影響評価制度の条例等が、この法案を制定することで後退するおそれがあるとの指摘がなされました。とりわけ、第二種事業に係る判定手続において、特別区の区長を含めた市町村長が意見を述べることさえ認められていない制度となっているのは問題であります。  第四に、方法書及び準備書の作成に際し、環境保全の見地からの意見を有する者はだれでも意見を述べられる制度となり、意見を聞く範囲は現行制度と比べはるかに広がりました。しかし、準備書の記載事項の説明会の目的を周知のためとし、参加した者の意見を聞くことが含まれていないことは、諸外国の例から見ても不十分であると言わざるを得ません。  最後に、実施の後、制度の運用の実態を十分検証し、対象事業の追加など、適宜必要な修正を行う必要があります。そして、規制緩和や地方分権の推進による対象事業のとらえ方等を再検討するなどの事態にも対応していく必要があります。同時に、戦略的環境影響評価制度の導入、地球環境への対応の明文化、海外進出企業や政府開発援助事業等にも適用できる制度とすることなどをできるだけ早く行う必要もあります。しかし、この法案では、検討を加える時期を法施行後十年としており、これらの課題に対し適宜適切に対応できるとは思われないのであります。  以上の点について、不十分な点を修正し、より有効な環境影響評価制度とするために本修正案を提案する次第です。  次に、修正案の主な内容について申し上げます。  第一に、環境庁長官は、第三条第一項に規定する国の責務が十分に果たされることとなるよう、関係行政機関のこの法律の規定による環境影響評価その他の手続に関する事務について必要な総合調整を積極的に行うものとすることとしております。  第二に、第二種事業に係る判定手続において、免許等を行う者等は、特別区の区長を含む市町村長の意見を求めなければならないものとすることとしております。  第三に、準備書及び評価書に記載すべき環境の保全のための措置には当該措置以外の環境の保全のための措置についての検討状況を含むことを規定するものとすることとしております。  第四に、説明会の開催目的に、準備書について環境の保全の見地からの意見を有する者の意見を聞くことを加えるものとすることとしております。  第五に、環境庁長官は、免許等を行う者等に対して評価書についての意見を述べようとするときは、中央環境審議会の意見を聞くことができるものとすることとしております。  第六に、第二種事業及び対象事業に関し地方公共団体が条例で定め得る事項として、当該地方公共団体における公聴会の開催に関する事項を規定するものとすることとしております。  第七に、環境庁長官は、第二種事業に係る判定の基準及び環境影響評価の項目等の選定の指針に関する基本的事項の策定に当たっては、関係行政機関の長に協議するとなっているのを、意見を聞くものとすることとしております。  また、免許等を行う者等は、評価書につき事業者に対して意見を述べるに当たっては、環境庁長官意見を勘案するとなっているのを、尊重しなければならないものとすることとしております。  第八に、この法律の施行の状況について検討を加えるべき時期を、法施行後十年となっているのを、五年に改めるものとすることとしております。  第九に、その他所要の規定の整理を行うものとすることとしております。  以上が修正案の主な内容です。  何とぞ、委員各位の御賛同を賜りますようお願い申し上げます。  以上でございます。
  204. 委員長(渡辺四郎君)(渡辺四郎)

    委員長渡辺四郎君) 次に、有働正治君。
  205. 有働正治君(有働正治)

    ○有働正治君 私は、日本共産党を代表して、環境影響評価法案に対し修正の動議を提出いたします。  修正案は既にお手元に配付されておりますので、その趣旨を御説明申し上げます。  その内容は、第一に、目的に、この法律が現在及び将来の国民の健康かつ安全で文化的な生活の確保に資すること及び住民等の参加を規定することで環境保全の理念と住民参加の位置づけを明確にしたことです。  第二に、政府が上位計画の策定等に関する環境影響評価や環境影響評価を適正に実施するための委員会の設置等について速やかに検討し、戦略的環境アセスメントの実施と公正な第三者機関の設置を講ずるものとしたことです。  第三に、対象事業を追加し、複合的、累積的な環境影響調査や複数案の検討及び評価後の調査等を義務づけるなど、環境影響評価の手続を拡大強化したことです。  第四に、環境庁長官意見を述べるときは、中央環境審議会の意見を聞き、その環境庁長官意見を免許等を行う者が尊重しなければならないものとし、第三者機関の関与と環境庁長官の役割を強めたことです。  第五に、免許等に係る環境の保全の配慮についての審査について、「対象事業の実施による利益」に関する審査に関連する部分を削除することとし、開発利益が優先されるおそれがないように環境保全の位置づけを明確にしたことです。  第六に、地方公共団体が地域の実情を踏まえ条例を定めることを妨げないものとし、括弧書きの「この法律の規定に反しないものに限る。」を削除することで、地方公共団体の独自性をより生かした制度が実施できるようにしたことです。  第七に、発電所に係る環境影響評価その他の手続に関する特例措置を削除することでこの法律による統一した環境影響評価制度をより鮮明にしたことです。  以上は、去る五月三十日の公聴会で出された改善、修正の要望にこたえる内容でもあると確信します。  なお、さきに提案された山下委員の修正動議は、これは、私どもの提案内容と一部でありますが合致しており、是認できる内容になっていると受けとめました。  委員の皆様の御賛同をお願いいたしまして、趣旨説明を終わります。
  206. 委員長(渡辺四郎君)(渡辺四郎)

    委員長渡辺四郎君) これより原案及び両修正案について討論に入ります。――別に御意見もないようですから、これより環境影響評価法案について採決に入ります。  まず、有働君提出の修正案の採決を行います。  本修正案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  207. 委員長(渡辺四郎君)(渡辺四郎)

    委員長渡辺四郎君) 少数と認めます。よって、有働君提出の修正案は否決されました。  次に、山下君提出の修正案の採決を行います。  本修正案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  208. 委員長(渡辺四郎君)(渡辺四郎)

    委員長渡辺四郎君) 少数と認めます。よって、山下君提出の修正案は否決されました。  それでは次に、原案全部の採決を行います。  本案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  209. 委員長(渡辺四郎君)(渡辺四郎)

    委員長渡辺四郎君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  大渕君から発言を求められておりますので、これを許します。大渕絹子君。
  210. 大渕絹子君(大渕絹子)

    大渕絹子君 私は、ただいま可決されました環境影響評価法案に対し、自由民主党、平成会、社会民主党・護憲連合、民主党・新緑風会、日本共産党及び自由の会の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。  案文を朗読いたします。     環境影響評価法案に対する附帯決議(案)   政府は、本法の施行に当たり、次の事項について適切な措置を講ずべきである。  一、環境庁長官は、本法による環境影響評価の適切かつ円滑な実施の確保に第一義的な責任があることを強く認識し、その実施状況を十分に把握しつつ、関係行政機関の環境影響評価に関する事務について必要な総合調整を積極的に行うなど、主体的な役割を果たしていくこと。  二、対象事業については、事業の実態環境問題の動向等を踏まえ、また地方公共団体の環境影響評価制度の現状等を考慮しつつ、必要に応じ追加等の見直しを行うこと。  三、第二種事業に係る判定は、科学的かつ客観的な基準に基づき、法の趣旨を踏まえ、適切に行われるように努めること。この場合、地域の特性を踏まえた運用が行われるよう、都道府県知事が意見を述べるに際して必要に応じ市町村長の意見を求め、また住民等の意見を聴くことができることなど法の趣旨の徹底に努めること。    なお、判定の結果、本法の対象事業とならなかった事業についても、地方公共団体の制度で必要に応じ環境影響評価を実施できることについて周知徹底するなど適正な環境配慮がなされることを確保するよう努めること。  四、準備書及び評価書においては、環境保全措置についての複数案の検討状況、実施すべき事後調査事項等が明確かつ分かりやすく記載されるようにすること。    また、評価書に記載された環境保全措置、事後調査措置が法律に反して実行されなかった場合には適切な措置を講ずること。  五、準備書について事業者が開催する説明会は、住民等が適切な意見を形成するために極めて重要な場であることにかんがみ、その開催日時及び場所等が適切に定められ、その周知徹底が図られるようにするとともに、説明会において住民等から意見が述べられたときには、事業者がこれに適切に対応するよう指導すること。  六、事業者が実施する環境影響評価の結果を的確に審査し、制度の信頼性を高めるため、環境庁における審査体制の充実・強化を図ること。    また、環境庁長官意見形成に当たっては、当該事業について専門的な知識、科学的知見等を有する学識経験者及び中央環境審議会等を積極的に活用して環境保全に万全を期すとともに、その過程及び結果の透明性の確保に努めること。  七、免許等を行う者等は、その審査等の体制を適切に整備するとともに、審査等を行うに際しては、環境庁長官意見を反映させること。  八、本法による環境影響評価の実効ある運用を確保するためには、関連する法律の適正な運用と十分な情報公開が必要であることにかんがみ、環境影響評価のそれぞれの段階に係る情報の公開に努めること。また、事業者に対しては、積極的な情報の提供を行うよう指導すること。  九、地方公共団体において定着し、相応の効果を上げている環境影響評価制度の運用の実績を尊重し、知事意見の形成に際し公聴会や審査会等の活用が可能であることなど法の趣旨を徹底し、地方公共団体の意見が十分に反映され、地域の実情に即した環境影響評価が行われるよう、地方公共団体との適正な役割分担による総合的な環境影響評価制度の運用に万全を期すこと。  十、環境庁長官が定める基本的事項及び主務省令で定める指針については国民に理解されやすい内容となるように作成するとともに、技術の進展に即応して最新の科学的知見を踏まえた環境影響評価が実施されるよう、基本的事項及び指針を柔軟に見直していくこと。また、本制度全般に関して、その実施状況を見ながら、法施行後十年以内であっても、適宜適切に制度の改善を図ること。  十一、上位計画や政策における環境配慮を徹底するため、戦略的環境影響評価についての調査研究推進し、国際的動向や我が国での現状を踏まえて、制度化に向けて早急に具体的な検討を進めること。  十二、環境影響評価の適切かつ円滑な実施には、技術手法、過去の実例、地域環境の現状などの情報の活用が極めて重要であることにかんがみ、電子媒体の活用等、環境影響評価に関する情報の収集・整理・提供に努めること。    また、質の高い調査予測等が行われるためには、幅広い知識と技術を備えた調査等の従事者の育成・確保が必要であり、調査等に従事する者や組織に関する資格制度の導入についての検討、人材の能力の確保のための研修等の推進、人材情報の提供に努めること。  十三、本決議事項及び本委員会での論議を十分踏まえて、政令、省令及び基本的事項を制定すること。  十四、本法の施行前に環境影響評価が行われる事業については、本法制定の趣旨を踏まえ適正な環境配慮を徹底するよう指導すること。  十五、我が国の事業者が海外において実施する事業については、平成三年四月二十四日の本委員会の決議を踏まえ、また環境基本法及び本法の趣旨を尊重しつつ、適切な環境配慮がなされるよう指導するとともに、政府開発援助に係る事業など海外における事業についても、なお一層的確な環境影響評価を実施し、適正な環境配慮がなされるように努めること。  右決議する。  以上でございます。  何とぞ御賛同いただきますようお願いいたします。
  211. 委員長(渡辺四郎君)(渡辺四郎)

    委員長渡辺四郎君) ただいま大渕君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。  本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  212. 委員長(渡辺四郎君)(渡辺四郎)

    委員長渡辺四郎君) 全会一致と認めます。よって、大渕君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、石井環境庁長官から発言を求められておりますので、この際、これを許します。石井環境庁長官
  213. 国務大臣(石井道子君)(石井道子)

    国務大臣(石井道子君) ただいま御決議になられました附帯決議につきましては、その御趣旨を十分に尊重いたしまして努力いたす所存でございます。
  214. 委員長(渡辺四郎君)(渡辺四郎)

    委員長渡辺四郎君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  215. 委員長(渡辺四郎君)(渡辺四郎)

    委員長渡辺四郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時五十六分散会      ―――――・―――――