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1997-06-04 第140回国会 参議院 環境特別委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成九年六月四日(水曜日)    午前十時開会     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         渡辺 四郎君     理 事                 狩野  安君                 成瀬 守重君                 山下 栄一君                 大渕 絹子君     委 員                 景山俊太郎君                 河本 英典君                 小山 孝雄君                 谷川 秀善君                 馳   浩君                 平田 耕一君                 山本 一太君                 足立 良平君                 加藤 修一君                 寺澤 芳男君                 長谷川 清君                 小川 勝也君                 竹村 泰子君                 有働 正治君                 末広真樹子君    国務大臣        国 務 大 臣        (環境庁長官)  石井 道子君    政府委員        環境庁長官官房        長        岡田 康彦君        環境庁企画調整        局長       田中 健次君        環境庁企画調整        局地球環境部長  浜中 裕徳君        環境庁自然保護        局長       澤村  宏君        環境庁大気保全        局長       野村  瞭君        環境庁水質保全        局長       渡辺 好明君    事務局側        第二特別調査室        長        林 五津夫君    説明員        科学技術庁科学        技術振興局企画        課長       山元 孝二君        外務省アジア局        南東アジア第二        課長       平松 賢司君        外務省経済局国        際機関第二課長  菅沼 健一君        外務省経済協力        局調査計画課長  吉田 雅治君        大蔵省国際金融        局国際資本課長  相澤  徹君        農林水産省構造        改善局次長    岡本 芳郎君        通商産業省貿易        局為替金融課長  細野 哲弘君        労働省労働基準        局安全衛生部化        学物質調査課長  尾添  博君        建設省建設経済        局調整課環境調        整室長      守内 哲男君        建設省河川局開        発課長      竹村公太郎君        消防庁予防課長  須貝 俊司君     —————————————   本日の会議に付した案件環境影響評価法案内閣提出衆議院送付)     —————————————
  2. 渡辺四郎

    委員長渡辺四郎君) ただいまから環境特別委員会を開会いたします。  環境影響評価法案を議題とし、前回に引き続き、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  3. 馳浩

    馳浩君 おはようございます。自由民主党の馳浩です。  質問に入る前に、昨日の閣議後の記者会見におきまして石井環境庁長官発言された内容が、きのうの夕刊そしてけさの朝刊と大変にぎわしておりまして、根本的に閣議におきましては事業を継続するということは了解しておるということは私も了解しているところでありますが、その一員である長官発言がいろんな憶測を呼んでおりますので、私の方から質問をひとつさせていただきます。  これは新聞の見出しを読んだ方がわかりやすいんですけれども、「現時点アセス行えば 諌早湾干拓認めず 環境庁長官会見」、「「今アセスすれば違った判断も」 諌早湾干拓環境庁長官語る」といったところで、記事内容は詳しくは申し上げませんが、これは石井環境庁長官本音なのでしょうかという点が一点。  二点目が、本音ならば、今改めて環境影響評価を行ったならば環境庁長官意見が別なものとなる、事業実施について異なる結果が出ただろうというようなことであれば、今からでもやり直して見直した方がよいというふうな意見が出るのは当然であります。この点について、私は直接長官意見閣議後の記者会見で聞いたわけでもありませんし、報道を通しての内容でありますので、この一点の確認と、それから先ほども申し上げましたように、本音ならばそういうふうな意見も出てくるのは当然であり、これは閣内不一致ではないかという指摘も受けるところでありますが、この点についての釈明というよりも説明をいただきたいと思います。
  4. 石井道子

    国務大臣石井道子君) いろいろ御心配をおかけして申しわけなく思っておりますけれども閣議後の記者会見につきましては前後のいきさつもございます。  それで、御指摘の私の発言につきましては、諌早問題という個別の案件については仮定の話をするのは不適当であるという前提で申し上げた内容でございます。そして、一般論として環境アセスメントはその時点における科学的知見に基づいて行われるものでありまして、その時々の環境保全についての政府また地方公共団体住民方々考え方が反映されるものであるというものでございますので、環境庁意見というものがいつの時代でも同じではないということの認識を示したものでございます。  環境庁としては、諌早干拓事業については昭和六十三年、それから当時においても干潟の重要性等については十分認識した上で意見を述べているところでございまして、環境庁としてはこの意見基本というものは現在も変化しておりませんので、委員会におきましても、また今までのさまざまな場面においてもそのようなお答えをしてきたところでもございます。  したがって、私といたしましては、本事業について改めて環境アセスメントを行う必要があるとは考えていないのでございまして、政府としては従来どおり諌早湾干拓事業実施していくというこれまでの方針についてはいささかも変化がないということを申し上げたいと思います。
  5. 馳浩

    馳浩君 新聞記者皆さんはあらゆる質問をし、時には誘導尋問と言われるような質問もするでしょうが、しかしそれを受けて立って答弁をするのは大臣としての一つの使命であると私は思っておりまして、その言質をとられてどうのこうのといったことで閣内不一致であるとか言われないように、主張主張として述べられるのはいいんですが、その点の御明確な対応を今後ともお願いしたいと私は思います。  質問に入ります。前回ゴルフ場スキー場などのリゾート施設がこの法案におけるアセス対象にならないかということに関連して質問を申し上げましたが、さらに突っ込んできょうも改めて質問をさせていただきます。  ゴルフ場などのリゾート施設アセス対象にしない理由として、まずゴルフ場リゾート施設事業そのものを直接とらえる許認可法がないということでありまして、改めてこの件に関しまして私は、そもそも発想が逆で、ゴルフ場などが及ぼす環境への負荷を考えるなら、ゴルフ場許認可対象とする一連の法改正をすべきと考えております。この点でよく問題となりますのは総合保養地域整備法、いわゆるリゾート法でありまして、このリゾート法を改正して許認可対象にすればよいとの考えです。しかしながら、リゾート法許認可関係でいえばリゾート開発にかかわる農地法農地転用森林法開発行為等既存許認可を迅速に効果的に行わしめるための手続的意味合いのある法律であり、リゾート法対象外だという考えでありました。  しかし、改めて質問をさせていただきます。ゴルフ場を含めたリゾート開発既存許認可対象となるという事実で、農地法四条の農地転用に関する許可森林法第十条の二の民有林開発行為許可森林法第二十六条の保安林の解除、自然公園法第十七条三項の特別地域での開発行為許可自然公園法第二十条二項の普通地域での届け出などが挙げられます。この点を踏まえて、特にゴルフ場アセス対象にできないのでしょうか。
  6. 田中健次

    政府委員田中健次君) この法律でとらえます許認可等につきましては、最終的にアセスメントの結果を反映させるために適切なものを選択する必要があるわけでございまして、このため事業実施に当たり必要となります中核的な許認可等、すなわちどこでその事業を行うとしても必要となる事業実施そのもののための許認可等政令で指定するということを私ども考えております。  御指摘農地転用に関する許可等事業実施そのもののための許認可ではございませんで、地域外事業実施するときにはこれらの許認可等は必要とされないものでございまして、本法でとらえる許認可等としては私どもとしては想定をしておらないところでございます。
  7. 馳浩

    馳浩君 この許認可の範囲を広くとらえる考え方もあり得るところでありまして、実際にそれが議論された場面もあると伺っております。したがって、今後の規制緩和地方分権の動向も踏まえれば、アセス法対象事業変化もあり得ることから、アセス法における許認可にかかわる国の関与のとらえ方について十分今後とも再検討していくべきであると考えますが、いかがでしょうか。
  8. 田中健次

    政府委員田中健次君) 本法案におきましては、国の立場から見て一定の水準が確保された環境影響評価実施することによりまして環境保全上の配慮をする必要があり、なおかつ国が実施をし、または許認可等を行う事業というものを対象といたしておるわけでございます。  仮に、今後事業に係ります規制緩和が行われる場合、あるいは地方分権の推進によりまして事業実施あるいは許認可等に係る国と地方役割分担が見直される場合には、その時点で本制度対象事業あり方につきましても再検討が行われることが適当でございまして、そういう答申もいただいておるところでございます。これを踏まえまして、御指摘の点につきましても必要に応じ適切に対応してまいりたいと、こういうふうに考えております。
  9. 馳浩

    馳浩君 わかりました。よろしくお願いいたします。  もう一つゴルフ場などのリゾート施設アセス対象にしないという意見の中で、地方がやっているのだから国がやることはないという、地方分権にかなったことであるというふうな前回の御答弁があったと思いますが、もう一度確認いたしますが、それでよろしいですね。
  10. 田中健次

    政府委員田中健次君) はい、そういうことでございます。
  11. 馳浩

    馳浩君 この点について改めて質問をしたいと思います。  ゴルフ場アセス条例または要綱を持つ五十もの団体地方アセス対象としており、引き続き地方に任せるのが地方分権にかなうというのが政府側答弁でありました。  これに対して意見を申し上げます。  現在言われている地方分権は、問題となる行政事務について、そもそも国が担当していることを前提にしてよりよい解決策として地方に任せようとする議論であります。機関委任事務と言われるものを自治事務あるいは法定受託事務として地方に任せようという、こういう議論でありました。  しかし、ここにおいては、そもそもゴルフ場アセス地方が最初から担当しており、そこで問題が発生したから国でやるべきではないかという議論であります。したがって、地方分権にかなうという理由はやや妥当性に欠けると考えますが、いかがでしょうか。
  12. 田中健次

    政府委員田中健次君) 本法案では、規模が大きく、環境影響程度が著しいものとなるおそれがあり、かつ国が関与をする事業対象を限定いたしまして、それ以外の事業につきまして環境影響評価を行わせるかどうか、これにつきましては地方公共団体判断にゆだねることとしておるところでございます。これは、国と地方との適切な役割分担を図るという意味地方分権流れに合うものというふうに考えておるところでございまして、これまでも申し上げてまいったところでございます。  ゴルフ場につきましては、環境影響評価制度を有します地方公共団体の大部分におきまして既に対象事業として扱われておりまして、地域環境保全を図る立場から取り組まれている実態にあることなどにかんがみまして、本法案対象事業としていないものでございます。  今後、地方公共団体におきまして必要に応じ制度充実が図られていくものと考えておりますが、環境庁といたしましても、本法趣旨十分地方の方にお伝えすること等を通じまして、各地方公共団体におきまして制度充実が図られるよう私ども環境庁としても努力をしてまいりたいというふうに考えております。
  13. 馳浩

    馳浩君 この点が、いま一つ環境庁が、あるいは国として踏み込めないところではないかなという心配をいたしておりまして、要は、ゴルフ場アセスをこのまま地方に任せたままでよいのかということでありまして、国がある程度の後支えをしているんだよというふうな形でいいのかという疑問であります。  環境庁はそういうふうにするという立場であるようですが、読売新聞の五月二十三日の朝刊によりますと、環境庁リゾート構想見直しのための環境配慮指針を策定し、リゾート法に言う基本構想段階からの環境配慮自治体事業者指示し、事業中止代替案検討を場合により要請していくと書かれています。いわば行政指導になるということであります。これが事実でありますならば、リゾート開発について国の関与を認めるものであります。地方に任せるとの答弁といささか矛盾することになると思いますが、いかがでしょうか。
  14. 田中健次

    政府委員田中健次君) ただいま先生質問新聞記事にございます調査、これは環境アセスメントに限らず、リゾート構想見直しあるいはリゾート事業実施環境保全上の観点からもより適切なものとなるようにということで、環境面配慮すべき事項把握すべく私ども環境庁実施をいたしているものでございます。調査におきまして把握をした環境保全上の留意事項等につきましては、事例を含めましてこれを整理いたし、取りまとめる予定でございます。  私どもは、これを地方公共団体に対しましては参考に供するという位置づけにいたしておるところでございまして、調査がまとまりますと、そういう位置づけ地方公共団体にお配りをして参考にしていただくということを考えておるところでございます。地方公共団体におきましては、アセスメント充実を図る上でも必要に応じましてこの調査の成果も参考にしながら適切な取り組みが図られていくものというふうに期待をいたすところでございます。
  15. 馳浩

    馳浩君 これは新聞記事を引用して申し上げるので、どちらを信じていいかわからないんですけれども参考に供するとかという今答弁をいただきましたが、明確に新聞記事には「指針ゴルフ場スキー場ホテル建設などのリゾート開発対象に、構想策定段階から環境対策に取り組むよう自治体事業者指示。」と、はっきり「指示」と書いてありますね。「用地選定の際に、貴重な動植物の生息地水源地など環境重大影響を与える地域を避けたり、事業中止代替案検討したりするよう求めている。」とはっきりと明言されているわけで、今の答弁といささか温度差があるように感じます。  もう一度御答弁をいただきたいと思います。
  16. 田中健次

    政府委員田中健次君) 当庁が実施をいたしましたこの調査は、環境保全上の観点からリゾート事業実施等に際しまして配慮すべき事項把握しようとするものでございます。  そういうことで、私ども立場といたしましては、その把握をした状況自治体参考にしていただくという位置づけでございまして、そういうことで御理解をいただきたいと思います。
  17. 馳浩

    馳浩君 御理解ができないわけなんですよね。  この新聞記事が間違っているなら間違っているというふうに抗議していただきたいですし、先ほど申し上げた記事とはまた違うページの説明のところに、「今回のガイドラインは、法的拘束力はない行政指導にとどまるが、構想段階から営業に至るまで行政事業者対応を細かく規定しているのが特徴だ。」と。細かく規定しているわけでありますから、規定しているだけで何も国や環境庁としての効力を持たなければ、つくってもつくらなくてもいいんじゃないかと。このガイドライン意味がなくなるわけでありまして、もう一度御答弁をお願いしたいと思います。
  18. 田中健次

    政府委員田中健次君) 御指摘新聞記事につきましては、これはどういう経過で新聞に書かれたのか私どもも承知をいたしておりませんが、私ども考えは、先ほどから申しておりますように、これは地方実態把握して参考に供するということでございまして、私どもとしてはそうしたことで指針をつくって指導する、こういう立場にもございません。国の中でそういう立場にもございませんので、これは担当の国土庁等にもこの調査結果等は参考にしていただくつもりでございますけれども、そういうことで私どもといたしましては、この調査の結果につきましては、そういう事例集ということで地方にお配りをするということでございまして、その新聞報道は正確ではないという点を申し上げたいと思います。
  19. 馳浩

    馳浩君 我々国会にいる人間は調査室にお聞きしたり直接環境庁などに資料を要請したりしていろいろな情報をダイレクトにいただけるわけですが、やっぱり国民の皆さんは、新聞を通じて一般の大学の先生方でも自然保護団体の方でも国の動きを知るわけでありまして、そういう観点からいえば、今の御答弁というのはちょっと無責任な点があるのではないかなという私は気がいたします。  ですから、そういう意味でいえば、この記事について読売新聞以外には細かく出ていないわけでありますから、その情報の出どころというものに対してもうちょっと配慮していただきたいと私は思いますし、そういう意味では、中途半端な情報の出方であるならば、きちんと環境庁としての意見を取りまとめて、どこからだれにつつかれても瑕疵がないという状態にしてから出していただきたいと思いますし、これはもしかしたら読売新聞の勇み足のスクープであるとするならば、これは逆に環境保護団体方々事業に対して疑問を少なからず持っている方々に対してのいたずらな情報になってしまいますので、この点の情報の管理というものを今後私は環境庁に厳しく求めたいと思いますので、よろしくお願いいたします。  その点はいいんですけれども、さてそこで、このリゾート開発に伴う地方アセス問題点があるために環境庁は今回の調査もし、ガイドラインを策定することになったのだと考えます。これは総務庁も認めるところでありまして、平成六年一月のリゾート開発整備に関する調査結果報告書にも勧告があります。勧告内容をたくさん読んでいくわけにはいかないんですけれども現地確認を行っていないという勧告であったり、結構刺激的な勧告内容になっているわけでありまして、この観点からいきましても、ゴルフ場を含めたリゾート開発地方には任せられないということを証明した証拠ではないのかと思います。改めてこのガイドラインについての考え方を私は質問したいと思います。
  20. 田中健次

    政府委員田中健次君) 先ほどから御答弁申し上げておりますように、私ども実施をいたしましたこの調査は、環境保全上の観点からリゾート事業実施等に際して配慮すべき事項把握しようとするものでございます。先生今お挙げになりました総務庁勧告等も踏まえまして、その把握に乗り出したわけでございますが、そういうことで、地方公共団体アセスあり方を検証するために行ったものではございませんで、そのリゾート事業の全体の環境配慮状況というのを把握した、こういうことでございます。  詳細は現在取りまとめ中でございますけれども、これらの結果によりましても、ゴルフ場を含めたリゾート開発についてのアセスメント地方公共団体制度に任せられないというものではなくて、これらも踏まえて引き続き地方公共団体において適切に判断されるということを期待し、そういうふうに考えておるところでございます。
  21. 馳浩

    馳浩君 私自身は、この質問をずっと前回から続けてするというのは、大規模ゴルフ場開発はこのアセス法対象にすべきであるという首尾一貫した考え方からですが、これ以上追及してもらちが明きませんので、地方に任せるというその考え方を受け入れるとして、ただし、この今回のガイドラインだけでも不十分であります。  ガイドライン法的拘束力がなく、それを守らせるのにも限界があります。少なくとも、このアセス法スクリーニング手続スコーピング手続などのすばらしい点を地方アセスに普及させて、アセス法実態が同じで、法律条例という形式上の違いしかないようにすればそれでもよいと考えます。この点の取り組みをぜひ積極的に行っていただきたい。そういう意味での自治体への指導はあってしかるべきと思いますが、重ねていかがでしょうか。
  22. 田中健次

    政府委員田中健次君) ゴルフ場につきましては、先ほど申し上げましたとおり、環境影響評価制度を有します地方公共団体の大部分、五十一分の五十でございますけれども制度対象とされておるところでございまして、地方分権流れの中で、国と地方の適切な役割分担を行うという観点からも国の制度対象とはしなかったところでございますが、また御指摘地方アセスへの普及とか指導につきましては、これは国と地方役割分担考え方を踏まえて法の対象事業を選定するものであること、また、法制化に当たっては、スクリーニングスコーピングのいわゆる事前手続を導入いたしまして住民参加の機会を拡大させるなど、各般にわたり制度充実を図ったことにつきまして、その経緯と趣旨地方公共団体に十分お伝えするなどいたしまして、各地方公共団体におきまして制度充実が図られるように環境庁としても努力をしていきたいというふうに考えております。
  23. 馳浩

    馳浩君 この問題については最後に大臣答弁を求めたいと思います。  今回のこのゴルフ場の問題でも明らかなように、対象事業についてはまだまださまざまな問題点が残っているということはわかりました。今回の法案ではそういった形でよしといたしますけれども、その対象事業を全く固定化するのではなくて、今後も再検討の余地があるという、常にそういう立場に立って取り組んでいっていただきたいし、対応しなければいけないときにはその対象事業の枠を拡大していただきたいとも思いますし、そういう点に向けての環境庁としての総合的な御見解を大臣にいただきたいと思います。
  24. 石井道子

    国務大臣石井道子君) 本法案につきましては、中央環境審議会答申を踏まえまして、規模が大きく環境影響程度が著しいものとなるおそれのあるもの、また、国が実施し、または許認可等を行う事業対象事業として選定することとしております。  具体的な事業種につきましては、最終的には法の要件に従って政令で定めることとなりますが、事業そのものをとらえる許認可の有無について、また地方公共団体環境影響評価制度運用状況等を勘案しながら、関係省庁とも調整の上、判断してまいりたいと思っております。  なお、法制定後は、法の施行状況等考えながら、必要な事業について環境影響評価が行われるよう、適切に対処してまいりたいと思っております。
  25. 馳浩

    馳浩君 では、次の質問に移りたいと思います。  次は、実際にアセスを行う技術者についての質問であります。  法ができました。運用状況についても、今現在長官から答弁いただいたように、法の運用に対して特段の配慮を今後もしていただくというふうな答弁をいただきまして、よろしくお願いしたいと思います。実際に現場でこのアセスを行う技術者が、十分な知識、技能、見識を持っておらなければこのアセス法案というものも絵にかいたもちになってしまうわけでありまして、この点に関しまして幾つか質問させていただきたいと思います。  まずは素朴な疑問から。アセスを実際に行う技術者は一定の資格がなければアセスができないのでしょうか。どんな資格を持つ技術者が現状ではアセス実施しているのでしょうか。この二点、お願いします。
  26. 田中健次

    政府委員田中健次君) アセスメントにおきます調査、予測、評価を実際に行う技術者につきましては、本法案では一定の資格は要求をいたしておりません。アセスメントにおきます調査、予測、評価等は専門性が要求されるわけでございまして、何らかの資格を有する者が従事をしているケースが多いというふうに考えられます。  環境関係の資格は、多様な分野にわたるために一律に申し上げることは難しいわけでございますけれども、とりわけ国家試験を要します技術士法に基づきます技術士、あるいは計量法に基づきます環境計量士などの資格を持った者が一般的にアセスメント調査等に携わっているというふうに認識をいたしております。
  27. 馳浩

    馳浩君 ここは少し私、重要な問題だと思うんです。このアセスを効率よくといいますか、きちんとした評価のもとで行っていただくにはそれなりの資格を持った技術者がやっていただくものという前提で私はずっとおったんですが、この法律には資格を要求するということが規定されておらないということは、これは環境保全という観点が叫ばれている現在、要は無資格者もアセスができるというふうに拡大解釈もできるのではないでしょうか。今おっしゃったような形だそうですが、そういう資格のない方の専門知識、技能をどうやって担保するのか。要するにどうやって研修をされるのでしょうか。国としてどういう対応をされるのかといった点を質問したいと思います。
  28. 田中健次

    政府委員田中健次君) アセスメント調査等はいろいろな分野を専門とする方々が分担、協力することによって行われておりまして、これらの調査等に携わる者につきましては、先ほど答弁申し上げましたとおり、それぞれ専門とする分野につきまして技術士等の資格を保有しているのが一般的と考えておりますけれどもアセスメント調査等は多岐にわたることから、これらすべてに一定の資格を要件とするというのは現実としてなかなか困難でございます。しかしながら、中央環境審議会答申にもございますとおり、質の高い調査予測等が行われるためには、個別の分野に加えまして、アセスメント全体のコーディネーターとなり得るような幅広い知識と技術を備えた調査等の従事者の育成、確保が重要であるというふうに考えております。  御指摘の専門知識あるいは技能の担保につきましては、これまでも環境庁といたしましても民間のアセスメントの実務者を対象に研修を実施いたしておりますとともに、調査等を行う際に有用なマニュアル等の情報提供などに努めてきたところでございまして、今後とも中環審の答申を踏まえましてこれらの施策の一層の充実を図ってまいりたいというふうに考えております。
  29. 馳浩

    馳浩君 ちょっとまだ納得できないんです。  実際に技術者というものの絶対数というのは足りているんでしょうか、不足しているんでしょうか。あるいは、今民間にお任せしてやらせるということでありましたけれども、そういった国が関与することについて、民間の会社にお任せしたままで、そこに情報を提供するというだけの取り組みでよいのかという点、私はそうではいけないのじゃないかなと思いますが、いかがでしょうか。
  30. 田中健次

    政府委員田中健次君) ただいま申し上げましたように、アセスメント、非常に多岐にわたるところでございまして、その内容が非常に広範にわたります。  したがいまして、その一つ一つにつきまして専門性を担保するということで資格を要求するというのは現実にはなかなか難しいというところでございますけれども、それを取りまとめていく大もとの方々につきましては、先ほど申しましたように技術士等の資格を持った人が当たっていただいて、全体のアセス内容についての信頼性の確保が図られておるということでございます。  そういうことで、実態としてアセスを担当する方々の資格を云々するというのは現状では非常に難しい状況でございますけれども、御指摘の点、非常に重要な点でございます。私どもとしても、アセスメントを担当する方の資質の向上あるいは技能の向上等につきましては、今後ともいろいろ配慮をしていきたいというふうに考えておる次第でございます。
  31. 馳浩

    馳浩君 それはまた改めて、私は先ほど技術者の絶対数が本当に足りているのかというふうなことを申し上げましたが答弁がありませんでしたので、これは実際にその数字は基準もないので資料は出てこないと思いますが。  今後、アセス法が今国会で成立して施行されるようになった運用の段階において、大事なアセスがたくさんあるけれども技術者がいないぞ、あるいは十分なアセスをせずに、現地にも行かずに、そんなことはないかもしれませんけれども、文献だけを引用したとかという、そういったずさんなアセスが行われないためにも、これはもうちょっと環境庁として人的配置、あるいは資格はつくれないということかもしれませんけれども、そういった能力を有する方々の養成に関して重大な関心を持って配慮していっていただきたいと思いますので、この点は質問というよりも、今後の運用面での一番大事な点だと思いますので、まさしくそういったソフトの面の配慮をお願いしたいという点。  それからもう一つは、私の提言なんですけれども、資格はないけれども、今現在実際にアセスに携わっておられる方々の登録をし、そして登録をした方々に対して定期的な研修を環境庁として施していくべきではないかという私の提言なんですけれども、その点についてどういう御答弁をいただけますでしょうか。
  32. 田中健次

    政府委員田中健次君) アセスメント調査等、先ほどから申し上げておりますように非常に多様な専門分野にわたるわけでございまして、個々の技術者に一定の資格を要求したり、あるいはまた先生御提言の登録制度でございますけれども、この登録につきましてもなかなか登録の基準等が難しいところでございまして、現状ではなかなかそういうことは困難ではないかというふうに思っております。  事業者それから委託を受けたコンサルタントがアセスメントの質に責任を持つということがそもそも基本でございますが、しかしながらアセスメントの信頼性確保のために調査等に携わる者の専門知識あるいは技術の向上を図ること、これはおっしゃるとおり非常に重要な点でございます。  このため、これまでも民間アセスメントの実務者を対象とする研修、それから調査等を行う際に有用なマニュアルの提供などに努めてきたところでございまして、私どもとしては、今後ともこの中環審の答申を踏まえて一層の充実を図ってまいりたいと思います。  それから、先ほど質問がございましたが、技術者の絶対数ということ、なかなかこれ掌握するのは難しいところですが、非常に分野が多岐にわたりますので、ある部分は確かにその技術の方が非常に少ない。例えば自然の関係でもいろいろな分野にわたりますけれども、ある部分については非常に少ないというのは事実かと思いますけれども、申しわけございませんが全体をまだ掌握しておりませんので、今後の課題としていきたいと思います。
  33. 馳浩

    馳浩君 そうなんですね。実際にそういう資格というものもないし、技術を持った方、技術士については、今から質問しますけれども、絶対数が少ない、どういった分野にどういつだ方々がおられるかということの把握はし切れていないというふうなことだと思います。これはアセス制度の重要な、まさしく人間が判断することでありますので、そういう人間の能力の限界を超えて活躍していただきたいと思いますので、データベース化するなりあるいは環境保護団体自然保護団体、民間の団体と連携して、どこにどういう方がいらっしゃるのか、例えばイヌワシの生息について詳しい方はどんな方やらと、そういった細かいことでもいいですから、もうちょっと情報を集積して活用いただくことをお願い申し上げます。  次に、先ほどからの答弁にもありました技術士という方がこのアセスに携わっていらっしゃるということで、技術士資格について質問をさせていただきます。  これは、国務大臣科学技術庁長官指定試験機関・指定登録機関、社団法人日本技術士会というところが所管する技術士制度というのがありまして、ここが担当ですので、科学技術庁に質問をいたします。  実は、平成六年まで環境専門の技術部門がありませんでした。平成七年に環境部門が新設されました。この環境部門はどういう意図で新設されたのか、その概略も含めて科学技術庁にお尋ねをいたします。
  34. 山元孝二

    説明員(山元孝二君) 御説明いたします。  先ほどから出ております技術士制度でございますが、これは昭和三十二年に制定され、昭和五十八年に全面改正されました技術士法に基づいて行われます国家試験に合格し、登録した人だけに与えられる称号でございます。  技術士の称号を与えることによりまして、国は、その人が科学技術に関する高度な応用能力を備えており、科学技術に関する計画とか研究、設計あるいは指導等の業務を行うことのできる者というふうに認定しておるわけでございます。  ちなみに、高度な応用能力ということでございますが、この技術士の試験におきましては、平成八年度でも二万数千人の受験者に対しまして合格者は二千人ほど、約一五%ほどの合格率という厳しい試験でございます。  この技術士試験の技術部門といたしましては、御指摘環境部門を含めまして機械とか建設とか情報工学等、十九の部門があるわけでございます。  この環境部門でございますけれども平成五年の環境本法の成立を初めといたしまして、環境保全対策の政策上の非常な重要性の高まり、あるいは地方公共団体や企業等におきます環境関係業務の増大、こういうことを受けまして平成六年度の試験から発足したわけでございます。  なお、これに先立ちまして、技術士制度におきまして常に改正、見直しをしておるわけでございますけれども平成三年度の改正におきまして既に建設部門それから農業部門個々に環境関連の選択科目を設置しまして、この個別部門におきます環境問題への対応、人材育成ということを図ってきたわけでございます。  この平成六年度の改正におきましては、環境に関連しまして広範な知識、技術を有しまして既存の技術部門では対応できないような横断的あるいは共通的な環境保全に係る諸問題に対応できるような人材の育成、これを目的といたしまして既存の各技術部門の環境関理科目と併存する形で環境部門というものを新たに十九番目の部門として新設したわけでございます。  なお、この平成六年度の改正のときには、この環境部門の新設とあわせまして、さらに他の個別部門、例えば水道部門でございますとか、衛生工学部門の廃棄物の問題とか、あるいは水産部門とか、こういうところにおきましても環境関連の選択科目を追加したところでございます。
  35. 馳浩

    馳浩君 非常にわかりやすく説明いただいてありがとうございます。  国家試験というわけでありますから、試験があるわけでありまして、試験の内容は学科試験だけなのでしょうか、それとも実技試験もあるのでしょうか。
  36. 山元孝二

    説明員(山元孝二君) 試験の内容でございますけれども、技術士になるために大きく二つの試験をやってございます。筆記試験と口頭試験でございます。  筆記試験の方におきましては、専門知識あるいは業務上の技術的な体験あるいは応用能力、こういう問題につきまして七時間にわたる問題が与えられてございます。その筆記試験を通った方につきましてさらに口頭試験を行っておりまして、業務経歴とか専門知識、応用能力あるいは技術士としての適性、こういうものを問う試験になっております。
  37. 馳浩

    馳浩君 実は、私が持ってきた技術士制度についての「概要」の中にこうあるわけです。「国はこの称号を与えることにより、その人が科学技術に関する高度な応用能力を備えていることを認定することになります。したがって、例えば、企業、地方公共団体、国等が、技術コンサルタントの助けを必要とするような場合、技術士を置いたコンサルタント業者に依頼すれば安心です。」と。ただし、この環境アセスの場合には、実技について私は資格試験というものも必要ではないかと思うんです。  先ほど申し上げましたように、文献を調べて、数値を調べてということだけでは事足りないのがアセスの難しいところでありまして、確かに動植物の生息状況とか、水の流れであるとか、そういった細かい点は大変基準があいまいかもしれませんが、非常に多様な経験の中からそういった見識も有している方に技術士としてなっていただきたいと思うので、実技はなぜ行われないのか、実技も行う必要があるのではないかという質問一つ。  もう一つは、環境部門には環境保全計画、環境測定、自然環境保全の三科目が選択科目としてあるそうですが、生活環境保全に関する科目がないわけです。平成六年一月二十一日の技術士審議会の報告書には、この点の指摘と生活環境保全という科目の新設も含めた検討を提言しておりますが、この点どうしようとしているのか。生活環境保全の科目を新設するおつもりなのでしょうか。  この二点を質問いたします。
  38. 山元孝二

    説明員(山元孝二君) まさに今の経験というのは一つの大きなポイントでございます。  実は、技術士の試験の前に受験資格がございまして、その資格におきまして、科学技術に関する専門的な応用能力を必要とするような計画とか研究とか設計とか分析とか試験とか評価、こういう業務に通算七年を超える期間従事していなくちゃ試験を受けられない、こういうことになっておりまして、この試験を受ける方が既にそういう経験を積んでおられるということでございます。  それから、二つ目の生活環境保全に関する科目でございますけれども、御指摘のように、この平成六年度の技術士審議会で議論された際の今後の検討課題ということになっております。  環境部門につきましては、新設されてから既にもう三年を経ておるということもございまして、最近におきます科学技術の動向とか、あるいは技術の需要、あるいは技術士に対する社会的な要請、こういう変化対応いたしまして、技術部門あるいは試験科目等のあり方については技術士審議会の一般部会というところにおきまして検討を今お願いしているところでございまして、そういう中でこの積み残しの問題も含めまして総合的な観点からいろいろと御検討いただけるものと、このように認識しておるところでございます。
  39. 馳浩

    馳浩君 一日も早く生活環境保全に関しての科目も選択科目の中に入りますように期待をいたします。  この環境部門について環境庁は幹事になっているとお伺いしておりますが、何をする意味での幹事で、関連して、環境部門の技術士を今後どのように政策の中に活用していかれるのでしょうか。
  40. 田中健次

    政府委員田中健次君) 技術士法に基づきます技術士審議会令におきまして、技術士審議会に幹事を置くということと、幹事は関係行政機関の職員のうちから科学技術庁長官が任命すること等が定められておるところでございます。平成六年度に環境部門の試験が設けられたことに伴いまして、関係行政機関でございます環境庁の職員、これは私どもの企画調整局の環境研究技術課長が幹事に任命をされております。  審議会の幹事の任務でございますけれども、これは審議会の委員あるいは専門委員を補佐するということでございまして、例えば、審議会に設置されている試験部門の専門委員は、技術士試験の専門分野ごとにこの試験委員候補者を推薦することとされておるところでございますけれども、審議会の幹事はその事務に関する補佐を行っている、こういうことをやっておるところでございます。  今後の環境対策の推進のためには、環境保全分野におきます専門家の技術向上が不可欠でございます。その意味で、環境部門の技術士の果たす役割は大きいと考えますけれども制度発足後まだ間もないことでもございまして、このような資格の存在自体が必ずしも広く知られていないということも考えられるところでございます。  私どもといたしましては、環境部門の技術士試験に関します広報に今後も努めてまいりますとともに、環境部門の試験科目の改善につきましても、ただいま御質問がございましたが、環境庁としてもそういう点で今後とも検討、推進をしていきたいというふうに考えておるところでございます。
  41. 馳浩

    馳浩君 このアセス技術者についての最後の質問というよりも提言になりますが、近い将来にこのアセス法対象事業については、アセス結果の信頼性の担保とそれからアセス技術者の育成のために、この環境部門の資格を持つ技術士のアセス実施を義務づけし、これを公表していただきたい。  このことがアセス技術者の職業意識を向上させ、安易なアセスメントにならないようなこの法の運用の実効性を担保することになると考えますので、これは答弁は別に求めませんので、そういった方向を検討していただき、よりよいアセスが行われることを期待いたしたいと思います。  次に移りたいと思います。  さて次に、環境予測の基礎データについて伺いたいと思います。環境予測を正確に行うのに不可欠な汚濁負荷量の算定について質問をいたします。  汚濁負荷量とは、ある事業実施により新たに発生が予測される汚れの原因となる物質の量を示します。この量と現状の負荷量を足したその合計が周辺環境にどのような影響を及ぼすか、これを予測するのが環境アセスメントであります。したがって、そもそも汚濁負荷量の算定予測がいいかげんであればアセスそのものもいいかげんなものとなります。そして、この汚濁負荷量は常にある前提条件のもとに算定されています。  例えば宍道湖・中海の干拓事業に関して、島根県が作成した「宍道湖・中海に係る水質予測事業報告書」を例に説明をいたしますと、二つの前提条件がありまして、一つには、干拓地内の住人の下水はすべて高度処理し、約九〇%の汚濁物質を除去する、畜産についてはふん尿はすべて堆肥化して農地還元する、そして干拓地外への排出は一切ないという、この二つの前提条件をもとに汚濁負荷量を算定しています。  問題はこの二つの前提条件でありまして、この前提条件をクリアすることは技術的には不可能ではありませんが、大変な設備投資、さらには維持管理運営費用がかかります。つまり、経済的にまたは現実的にこの二つの前提条件が満たされるかは大いに疑問なところであります。  したがって、汚濁負荷量の算定に当たり、その前提条件とそれに関連する設備投資、維持管理計画案があわせてアセス準備書、評価書で明示されなければ汚濁負荷量の算定予測自体に信頼性が伴わないと考えます。この法案ではその点明示されるのでしょうか。
  42. 田中健次

    政府委員田中健次君) 事業者事業実施いたします環境保全対策につきましては、準備書の作成の段階では必ずしも詳細の計画が定まっていないという場合もございまして、非常に詳細な設備投資等の計画の記載まで義務づけるということは現実問題としてなかなか難しいというふうに考えておるところでございます。  しかしながら、こうした環境保全対策は責任を持って履行されることを前提といたしまして、環境影響評価実施するのに必要な範囲内においてその内容が記述されるものというふうに考えております。必要な範囲でその設備投資等の計画を記載していただく、こういうことになっております。  それから、本法案の三十八条におきましては、事業者は、評価書に記載をされているところにより、環境保全に適正な配慮をして事業実施する責務を有することとされておりまして、この規定によりまして、評価書に示された予測評価の前提となる環境保全対策の実施は担保をされるというふうに考えておるところでございます。
  43. 馳浩

    馳浩君 ここは本当に抽象的な言葉なので、なかなか苦しい答弁だったんじゃないかなと私は感想を持ちました。  実際に、今現在の負荷量、それにその環境開発によって得られる汚濁負荷量を加えたものがどの程度かというものを環境アセスメントではかると。前提となる部分の予測が、前提条件が幾つかあって、それにかなっていればと。ここの部分が最初から数値が違っていれば結果的な環境アセスの数値も大きく違ってくるわけでありまして、この点やはり環境庁としてはもうちょっと何か担保措置をとるべきではないかなと思うんですね。  第三十八条に基づいて事業者がちゃんとやるというふうな御答弁ではありましたけれども、今は宍道湖のことを具体的な事例として申し上げましたが、この点は数値といったものの信憑性を確保していただきますように私はお願いしたいし、もう一度御答弁をいただきたいと思います。
  44. 田中健次

    政府委員田中健次君) 先生が今お話になりました数値予測、これは非常に重要なことでございます。これは詳細に予測をしていただくということでございますが、御質問趣旨として私どもの受けとめは、その数値目標を確保するためにいろんな環境保全施策をやるという場合に、その環境保全施策にどれだけ資金を投資するかとか、そういうことまで準備書の中に記載をさせたらどうか、こういう趣旨に受けとったわけでございまして、それはなかなか現実として難しいけれども、要するにできるだけ準備書なり評価書に書かせて実行していただくということでございまして、前段の重要性は十分認識をいたしております。
  45. 馳浩

    馳浩君 よろしくお願いいたします。  次に質問いたします。  評価項目の拡充についてですが、SPMについてきちんとした予測手法がないのはわかりますが、地域住民にとっても関心がある問題であり、今後精力的に検討すべきではないかと思いますが、コメントをいただきたい。  ちなみに、SPMというのは浮遊粒子状物質、道路事業の場合に出てくる粉じんのようなものだと思うんですけれども、この点についての検討をすべきではないかという意見に対するお答えをお願いします。
  46. 田中健次

    政府委員田中健次君) 御指摘の浮遊粒子状物質、SPMによります大気汚染につきましては、これは環境本法環境保全対象に含まれるものでございますけれども、そのSPMの由来や性状等から、予測手法等は十分まだ確立されていないという状況でございます。  一般的に、予測評価が必要となる項目につきましては科学的に可能なところから取り組みますとともに、その手法の確立に努める必要があると考えておりますが、個別の項目の具体的な位置づけにつきましては、科学的知見を踏まえて今後検討いたしまして適切に対処をしてまいりたいということで御理解をいただきたいと存じます。
  47. 馳浩

    馳浩君 次に、東京、大阪などの大都市、既に大気汚染の環境基準を大幅に超過している地域では、そこでの大規模開発に対する予測評価、とりわけ評価の基本方針を明確にすべきであると思います。この点が不明確だとアセス自体の社会的信頼性は向上しないと思いますが、いかがでしょうか。
  48. 田中健次

    政府委員田中健次君) 今御指摘のように、既に環境基準を大幅に超過しているような場合にどのような評価が行われるべきか、これにつきましては個別具体の案件に応じまして対応する必要がございますけれども一般的に申しまして、当該事業実施が予定をされます地域におきます主たる環境負荷の要因、それから当該地域におきます環境基準達成のための環境保全施策の状況、それから当該事業によります汚染の寄与の程度等さまざまな要素を総合的に勘案して判断することが必要になるというふうに考えておるところでございます。
  49. 馳浩

    馳浩君 大都市において大気汚染が進んでおる中で環境基準を大幅に超過している、この点においてアセスがどの程度効力を持っているのかという素朴な疑問から出た質問なわけでありまして、初期段階での数値の設定あるいは目標といったものがずさんであってはならないわけでありまして、今後ともその指摘に対して常に耳を傾けていただきたいという、そういう指摘でありますので、御理解をいただきたいと思います。  次に、第十四条の準備書の作成についてですが、第十四条一項七号のイにおいて評価項目ごとにアセス結果を公表するが、同号二において総合的な評価を最終的に行い、問題がなければゴーサインを出すことになると思います。評価項目ごとに評価がばらついている場合にどうやって総合的に評価を下すのか、その辺が法案ではわかりづらいものがあります。主務省令でどのように決めるのか。  恣意的判断を予防するために一定のスタンダードを決めておくべきと思いますが、いかがでしょうか。
  50. 田中健次

    政府委員田中健次君) 評価におきましては、まず評価項目ごとに環境への影響をできるだけ回避して低減するというものであるか否かの視点から評価が行われることとなりますけれども、これを受けまして、総合的な評価においては、それぞれの項目ごとの評価を一覧できるように整理いたしまして、これによって事業環境に与える影響について全体を通じた事業者の見解を明らかにすることを想定いたしておるところでございます。  なお、総合化の仕方についての一定のスタンダードをつくることに関する御質問でございますけれども、質の異なる多様な環境要素を統一的に定量化や重みづけを行うことは非常に困難でございます。そういう状況でもございまして、我が国におきまして総合のスタンダード、それの導入を図るということはなかなか困難であるというふうに考えておりますので、御理解を賜りたいと存じます。
  51. 馳浩

    馳浩君 最後に二点を質問いたしまして終わります。  アセスの審査について環境庁は企画調整局内に環境影響審査室を設けて審査をしておりますが、ほかの省庁でも同様な組織があります。例えば、建設省河川局の河川環境課、道路局の道路環境課など、いずれも環境庁の審査能力を上回るといううわさも聞きますが、環境行政の一元化、統合化を目指す観点からも、これらの他省庁の環境課をすべて環境庁に統合すべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。これが第一点。  と同時に、今現在各省庁にばらばらになっておる環境課がありますけれども、やはり環境庁としても審査の上で一応意見調整をすると思いますが、それを文書化して公表していただきたいという声もありますが、これに対していかがお答えになるのでしょうか。近い将来情報公開法が制定された場合に、そういった各省庁間の連携といったものも、どういう調整をしたのか、どういう審査をしたのか、どういう意見交換をしたのかということも、これはぜひ文書化して出していただければ我々国会議員も十分に審査することができるようになると思いますし、それが恐らく近い将来にやってくると思いますが、この点に関してのコメントもぜひいただきたい。  この二点お伺いします。
  52. 田中健次

    政府委員田中健次君) 法案におきましては、事業を所管いたします主務大臣等が評価書の審査を行うこととしております。これは、事業の特性を熟知しておる主務大臣等が免許等を通じて環境影響評価の結果を反映させていく仕組みの方が実効を上げることができると判断したことによるものでございます。また、環境影響評価制度の信頼性を高めるために、主務大臣等による審査に加えまして、環境保全行政を総合的に推進する立場から私ども環境庁長官が必要に応じて意見を述べる、こういうことにしておるわけでございます。  したがいまして、主務省庁と環境庁がそれぞれの役割を適切に果たすことによりまして事業の適正な環境配慮が確保できるというふうに考えておりまして、環境庁としては本制度位置づけられた審査の一層の充実を図っていきたいということでございまして、環境庁の審査体制も重要でございますし、各省庁の審査体制も重要である、こういうふうに考えておるところでございます。  それから、関係各省との調整について、その過程についても情報公開をしてはどうか、こういう御質問でございます。  情報公開につきましては、ただいま政府の中でもいろいろ検討がされておるところでございますが、現時点では行政内部の意思決定の形成過程を公開するということはなかなか困難でございます。将来の課題になろうかと思いますが、現在ではなかなかそれは難しいということで御理解を賜りたいと存じます。
  53. 馳浩

    馳浩君 この点に関しましては、むしろ私たち立法府の方からの一つの課題であると思いますので、今後の私の勉強の課題としたいと思います。  時間が二分ほど余りましたが、最後に、私の質問を熱心にお聞きいただいた石井長官に御感想をお伺いして、私の質問を終わりたいと思います。
  54. 石井道子

    国務大臣石井道子君) 馳議員の御質問、非常に細部にわたりましていろいろと御指摘をいただいたり御意見も賜りましてありがたく思っております。これから環境行政充実のために、この環境アセスメント法案をてこにいたしましてさらにその面の充実を図っていきたいというふうに思っております。どうぞ今後ともよろしく御指導のほどお願いいたします。
  55. 馳浩

    馳浩君 ありがとうございました。
  56. 山本一太

    ○山本一太君 馳浩委員にきっちり時間どおり渡していただいたんですけれども、三十分という限られた時間ですから、前回質問で取り上げさせていただいた地球温暖化対策について、きょうはフォローアップの質問をさせていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いをいたします。  前回私は大臣に、この十二月の京都会議、COP3を控えて、日本が一刻も早くホスト国として国別報告書をつくる、すなわち政府の統一見解をまとめていただきたいという要望を申し上げたわけであります。その要望に基づいて一刻も早く国際社会に向けては数値目標を示すことが急務だというふうにお話を申し上げた次第であります。  そのときには通産省の担当官の方にも来ていただいたわけですけれども、あの後、私は何人か通産省の関係者に会って、通産省の立場について確認をいたしました。今回の会議でホスト国である日本が環境分野できちっとリーダーシップを示すというのは国益にかなうという点では、通産省も一致した見解を持っているやに思います。  ただし、これは国際政治の世界の国際交渉だから相手国の出方を十分見きわめた上で事を進めていくべきではないかというのがどうも通産省の意見のようで、言われてみれば、アメリカは一律削減とか法的拘束というのは言っておりますけれども、確かに具体的な削減目標というのは今の時点で出しておりませんし、またヨーロッパも一律一五%削減とは言っておりますが、内情はヨーロッパの中で国ごとに少し調整をするということで、この一五%本当に削減できるかという確信を持ってこの数字を出したかということについてはやや疑いの余地もある。  こんなこともありまして、なるほど、国際交渉の中でいわば日本が損しないようにという言い方は当たっているかどうかわかりませんけれども、十分気をつけながら進めていくということは一つの見識だと思いますけれども、私が通産省の方に言ったのは、そういうことにこだわる余り、いわば角を矯めて牛を殺すようなことがあってはいけない、損得抜きにという言い方は正しいかわからないんですが、日本がホスト国として一歩踏み込んだ提案をする、これがまず原則じゃないでしょうか、タイミングもあるので、ぜひそこら辺のところは環境庁の方とも相談をしてくださいというふうに申し上げたわけであります。  ぜひ長官、再三再四しつこいようですけれども、それだけCOP3というのは大事な会議ですから、そこのところを踏まえて石井環境庁長官のリーダーシップで、この件についてはできるだけ早く取りまとめをしていただくことを改めて御要望申し上げたいと思います。長官の決意はもう四回も五回もお聞きしておりますので、きょうはコメントは求めませんので、にっこり笑ってうなずいていただければ結構でございます。ありがとうございました。  それじゃ、きょうの質問に移らせていただきたいと思います。  二酸化炭素、すなわちCO2の排出というものは、地球温暖化を招いて、全体の環境に余りよくない影響を与えると、このことについてはどうも世界の科学者もある程度一致した見解を持っているというお話は前回の御答弁で伺ったところでございますけれども。私もきのう寝る前にいろいろ考えたんですが、環境庁もいろいろとこの温暖化の影響についてはパンフレットを出したり、最近出されたわかりやすいパンフレットもきのう改めて読ませていただきましたが、国民に対する啓発を図っておられるわけですが、どうもやっぱりまだ一般の国民にとってこの温暖化がどういう影響をもたらすのか、その深刻さというものが伝わっていないように思うんです。  気温が二度上がっても大したことないんじゃないか、去年の夏より二度暑かったからどうだと言われても余りぴんと来ませんし、十五センチから九十五センチぐらい水位が上がる、大変かもしれないけれども、別に平均四十センチぐらい上がって何が起こるんだろうというようなこともあります。一メーター上がると、マーシャル諸島の国の一部は八五%ぐらい失われるとか、バングラデシュの国土が二割ぐらい水浸しになるとか言われたり、あるいは氷河期の温度でさえ今より三度か五度低かったぐらいだと言われても、なかなかそこはぴんと来ないところがあると思うんですね。  そこで、日本に、我々がふだん生活しているその身近な生活にどういう具体的な影響があるかということをやはり引き続き環境庁としても啓発を図る努力をしていただきたいと思うんです。  この件についてお聞きしょうと思ったんですけれども、時間の関係もありますので、私ちょっと調べてきましたが、例えば農産物については、お米の味が落ちる、これはよくわかりませんが、マグネシウムとカリウムの比率が減少するとどうも米の味が落ちるということがあるようですし、もちろん漁業への影響はあると思うんですね。当然ある種の魚はもっと北の方に行ったりするわけであります。  また、ゼロメートル地帯も拡大をするということで、私の立場からすると、私は群馬県の草津温泉という大変スキーと温泉でいいところなんですが、ここの出身ですけれどもスキー場がまず最初に困るだろうな、あるいは潮干狩りとかもできなくなるし、海水浴も困るんじゃないか、まず一般的にこういう観光にも影響があるかなと思います。  人体への影響ということでいえば、沖縄にいるハマダラカも今宮古島あたりですけれども、温度が二度上がれば本島のあたりまで来て、沖縄振興策でそれこそマラリア防止対策なんというのもやらなければいけないかもしれない。こんないろんな影響もあるので、それはお聞きしょうと思ったんですけれども、ちょっと時間の関係上私がコメントをしましたが、そこら辺のところを踏まえて、やはり身近な問題としてこの温暖化があるということで、環境庁として引き続き努力をしていただきたい、このように思います。  そこで、本当に聞きたい質問の方に移らせていただきたいと思うんですが、前回質問のときに大臣にお聞きしたんですけれども、この環境対策が日本のマクロ経済にどういう影響を与えるかという点に言及をさせていただきました。  環境庁がよくおっしゃるのは、大体一〇%削減するのに一年間に必要な額が一兆円ぐらいだと、GDP比だと一%ぐらいだから、マクロ経済に影響はありませんと。例えば、公害対策華やかりしころはGDPの五%か六%を環境対策に使っていたけれども、日本の経済は調子悪くならなかったと、こういうふうによくおっしゃるわけであります。しかしながら、やはり環境政策が日本の経済に中長期的にいろんな悪影響を及ぼすんではないかという懸念は、もうそれこそ七〇年代から繰り返し言われてきたことだと思います。  大臣は理系ですから、数学とか物理も、あるいは経済もお強かったかもしれませんが、私は経済が非常にできませんで苦労しておりました。その私が考えても環境政策の導入、新しい設備投資の増加、研究投資の増加、そうするともちろんエネルギーの価格が上がる。そうすると製品価格が上がって、国際競争力が落ちて、産業が空洞化すると。そういうマイナスの影響については簡単に流れができてくるわけなんですね。  最近、私、この本をいただきました。これは環境庁が出しておられるんでしょうけれども、「地球温暖化経済システム検討報告書」、第三回報告書の中で、いわゆる環境政策と経済のプラスの関係というモデルをつくられた学者の先生がおられるやにも聞いておりますが、このプラスの影響というものはどういうものなのか。エネルギー価格が上昇してもそれがきっとエネルギー効率の改善になるというような話だと思うんですけれども、この点について簡単に御答弁をいただければと思うんですが、これは地球環境部長か大臣か、どちらでも結構です。
  57. 浜中裕徳

    政府委員(浜中裕徳君) ただいま御指摘のとおり、環境政策と経済発展との関係につきましては、プラス、マイナス両面がございまして、プラスの点の御指摘がございましたけれども、これは基本的には、一つは新たな設備投資や研究開発投資がなされまして、それが環境産業に需要の増加をもたらす、これが有効需要をつくり出しまして、経済発展にプラスにきくということ。それから、技術の発展によりましてコストが低減をするというようなことが結果的に経済発展につながるという面もございます。  それから、エネルギー価格が上昇をするような面は一見マイナスの影響のように思われるかもしれませんが、それが効率の改善をもたらす、あるいは製品の品質の向上をもたらすというようなことで、環境負荷が減り、あるいは資源も保全をされる、長期的にはエネルギーのコストも減ってくるということで、経済発展にもプラスにきいてくるということでございまして、このような関係を経済モデルに組み込みまして、いろいろと検討をしているというのが現状でございます。
  58. 山本一太

    ○山本一太君 今の部長のお話に一つつけ加えるとすれば、すなわち、削減努力を求める、環境政策を導入するということは大体年に一兆円ぐらいのコストがかかる、ということは、見かけで言うと企業や家庭に対する負担になると。ところが、これは、英語で言うと、ジ・アザー・サイド・オブ・コインとかいう話ですけれども、裏を返すと、その一兆円というのは省エネとか環境関連対策のビジネスをやっている人にとってはゴールデンオポチュニティーになると、そんなようなことではないかなというふうに思っております。  聞いたところによれば、今でも環境関連産業というのは五兆円とか六兆円とか言われているようでございまして、十兆円を超えるビジネスになるのではないかという予想もあるようでございます。この点については、やはり環境政策をすることが企業のためになり、あるいは国のためになるということについて、引き続きこのプラス面をわかりやすく、なかなかプラス面というのは定量化するのは難しいと思いますけれども説明をする努力を続けていただきたいと思います。手前みそになりますけれども、その意味では、COP3はまたとない機会だというふうに私はとらえられるんじゃないかなというふうに思うわけでございます。  今、部長もおっしゃったように、エネルギーコストの削減ということに関してなんですが、通産省と一番違うところは、環境庁が、例えば二〇一〇年あたりに九〇年比で一〇%、一五%の削減ができるという議論前提になっているのが、どうしても必要に迫られて環境投資によるコストの低減を図るためには技術革新が必要だと、裏を返すと、何らかの形で技術のブレークスルーが起こってエネルギーコストが改善をされるということをいつもどうも前提にしているように思うんです。  これは聞いている方からすると意外と具体性のない話で、じゃ果たしてどういう技術ができるんですかと、わかりもしない技術を、例えば十年か二十年たったら我々の子孫がもっといい技術を開発するから大丈夫だという話はなかなか説得力がないところだと思うんです。  具体的に、例えば二〇〇〇年なら二〇〇〇年、あと二、三年でもいいですけれども、導入が可能な、部長がおっしゃったようなエネルギーコストの低減を可能にするような技術がどういうものがあるのか、あるいはもうちょっと将来を見て、将来導入できそうな技術としてはどういうものがあるのか、これについても簡単に教えていただければと思うんですが。
  59. 浜中裕徳

    政府委員(浜中裕徳君) お答えを申し上げます。  二酸化炭素などの温暖化の原因になるガスの排出を低減する技術のうちで、今現在でも導入可能なものといたしましては、高効率の発電技術、例えばコンパインドサイクルというものがございます。従来は、燃料を燃やしましてボイラーで蒸気をつくって発電をする、蒸気タービンを回して発電をするわけでありますが、それを最初ガスタービンを回しまして、その後その温度が少し下がったガスを使いまして今度は蒸気をつくって、蒸気タービンとガスタービンで両方回しまして高効率の発電を行う。これはもう既に実用化されておりまして、幾つかの天然ガスを燃料とする火力発電所において導入をされているところであります。  それから、熱、電気を効率よく供給するコージェネレーションというものも、これはヨーロッパなどで非常に普及をしております。日本でも最近民間で普及を始めているものでございます。  それから、一般の家庭、ビルなどにおきまして複層ガラスというようなものを導入いたしまして、住宅やビルの断熱効率をよくするということで冷暖房の効率をアップするというようなこと、これも日本でも既に北海道などで多数導入をされておりますが、これらの普及が始まっております。  それから、最近でございますが、自動車メーカーが既にガソリンエンジンをさらに改善いたしまして、シリンダーの中に直接ガソリンを噴射する筒内噴射ガソリンエンジンというようなことで、昨年から二酸化炭素の三〇%削減あるいは燃費の三〇%向上といったようなことで売り出しておりまして、かなり消費者の人気も出て売れているというような情報も出ておりますが、こういった技術がございます。
  60. 山本一太

    ○山本一太君 それは近く実現しそうな技術というか、今ある技術ですか。
  61. 浜中裕徳

    政府委員(浜中裕徳君) さようでございます。  ただいま申し上げましたのはすべて既に一部実際に使われている技術でございまして、これを政策的にさらに普及を図ることによりまして、二酸化炭素の排出の削減の効果が期待されているものでございます。  それから、将来大量導入が期待される技術といたしましては、太陽光発電、それから燃料電池といったものを使いました一層効率のよいコージェネレーション、それからハイブリッド電気自動車、これは一部の有力な自動車メーカーがこの秋にも売り出しをする、そして燃費は倍ぐらいによくなるといったようなものがございますが、こうしたような技術が将来期待されるわけでございます。
  62. 山本一太

    ○山本一太君 ありがとうございました。  ちょっと思ったことは、技術を開発するということと、それをきちっと実際に適用するということはやや違うことかなというふうにも思います。  今、部長がおっしゃった太陽光ですが、これはかなり前から開発を進めておりまして、日本のODAでも随分やりましたけれども、私が覚えているのでは、インドネシアでつくった太陽光発電、これはたしか井戸の水を引くというやつだったんですけれども、想定ではもう半永久的に使えるはずだったのが、動物が来て壊しちゃったとか、あるいは雷が落ちて壊れちゃったとかいう話があったことを覚えています。唯一成功したのが、ガンビアでたしか太陽光の水をくむ装置をつくりまして、太陽が照っているときだけ水をくむと。そこにモーターをつけてしまうと費用もかかってしまうのでできないと。  ですから、やっぱり技術を開発するということとそれを適用するということについてはいろんなタイムラグもあるということは、ちょっと今部長の御答弁を聞いていて思いましたので、つけ加えさせていただきたいと思います。  そこで、あと十五分ぐらいしかありませんが、ようやくきょう私が聞きたいポイントまで達したわけでございます。それは、エコビジネスのことなんです。  エコビジネスという言葉ができたのは私は比較的最近だと思いますけれども、今部長がおっしゃったようないろんな新しい、もう導入されているもの、これから導入されるであろうと予想されるようなこういう環境技術をいわば活用したビジネス、これを支援して発展させていくということがすなわち温暖化対策につながっていくというふうに言っていいと思います。  特に、前回答弁でも、大臣だったと思いますけれども、COP3をやるということはエコビジネスに対して国民の目を向けるという意味でも非常に意味があるというお話もあったわけでございますけれども、今のエコビジネスの大体の規模、それと将来の見通しがどうなっているのかということについてもちょっと簡単に御説明をいただければと思います。
  63. 田中健次

    政府委員田中健次君) 環境庁では、エコビジネスの類型を四つに分けまして、一つ環境負荷を低減させる装置の提供ということで、これは公害防止装置とか省エネ型の装置、技術システムでございます。それから二番目が環境への負荷の少ない製品の提供ということで、低公害車だとか廃棄物のリサイクル、省資源化の問題、それから家庭での省エネ機器等でございます。それから三番、目が環境保全に資するサービスの提供ということで、これの分野としまして環境アセスメントあるいは廃棄物の処理等が入るわけでございます。  それから四番目といたしまして、社会基盤の整備でございまして、これは省エネ、省資源型のシステム、省エネルギー施設とか地域冷暖房システム、新交通システム等でございます。それから緑化・植林事業等が入るわけでございますが、この四分類に分けましてエコビジネスの類型を規定いたしております。  私ども環境庁の推計によりますと、我が国のこうしたエコビジネスの市場規模でございますけれども平成七年、一九九五年現在でおよそれ兆円でございます。それが二〇〇〇年には十三兆円、それから二〇一〇年には二十六兆円の規模に達するというふうに予測をいたしております。  それから、先日閣議決定されました「経済構造の変革と創造のための行動計画」におきましても、環境関連分野は今後成長が期待される分野とされておりまして、その中でも一つの見通しとしまして、現在の市場規模は十五兆円、二〇一〇年には三十七兆円に達する、こういうふうにされておるところでございます。
  64. 山本一太

    ○山本一太君 改めて環境関連産業の規模の大きさを今局長のお話を伺って思いました。もし今おっしゃっている予測が正しいとすれば、二〇一〇年には三十兆円近いインダストリーになると。  これはパチンコ産業と同じぐらいの大きさで、航空産業の数倍というような感じになると思うんですけれども、もしそれが事実だとすれば日本の二十一世紀のリーディングインダストリーの一つになる可能性もあるんではないかなというふうに思った次第でございます。  それについて、今エコビジネスの規模をお答えいただいたわけでございますけれども、次の質問で、エコビジネスをいかに環境庁として支援していくのかという話を伺いたいと思います。  局長、御存じかもしれませんけれども、エコビジネスについては日本の各地方とか地域でも随分元気な中小の企業が出てきました。例えば、私は群馬県出身ですけれども、群馬県の太田市に荻原という会社があります。御存じかもしれません。  荻原エコネットワークでしたか、正式名称はちょっとあれなんですけれども、その荻原という会社はもともと自動車部品の金型をつくる会社だったんですけれども、今エコビジネスに取り組んでおりまして、北関東のいわばエコビジネスのリーダーといいますか旗手のような形で活躍をしております。  特に注目すべきは、ここにちょっと書いてきたんですが、政府指導とかそういうことは関係なく、地域事業者みずからのイニシアチブで環境問題研究グループ、エコ二〇〇一というのを設立いたしまして、すなわち荻原が中心になって賛同する企業に呼びかけてっくったネットワークなんですが、これはテレビや新聞などのマスコミでも随分大きく報道をされました。  また、同じように私の県でいいますと、プラスチックを処理して油化するというプラスチック処理の油化施設をつくって販売するという会社も随分ふえてきたわけでございます。こうした方々とちょっとお話をしてみますと、例えばプラスチックを油化するビジネスについては通産省の方も、事業支援は通産省の役目ですけれども、これを推進せよという方針を出しているんです。ところが実際は、そうやってエコビジネスに入っていこうとする元気な中小企業を支援するフレームワークがなかなかありません。税制の優遇措置も少ないですし、いろんな規制もあります。むしろこれは通産省の問題なんですが、きょうはなかなか時間がないと思ってお呼びしてないんですけれども環境庁がどういうふうにこのエコビジネスの発展を支えようと、そういう取り組みをされているか。  恐らく、事業の後押しはしなくても、情報を提供するとか、いろんなことがあると思うんですけれども、それについて今どういう取り組みをして、将来どのように取り組んでいくつもりなのかという点について伺いたいと思います。
  65. 田中健次

    政府委員田中健次君) 環境基本計画におきましても、エコビジネスの発展は環境への負荷の少ない持続可能な社会を実現する上で重要であるとされておりまして、事業者によります積極的な取り組みが期待をされるところでございます。先生今お話にございました、各地域でもエコ産業に取り組んで、ベンチャー企業としていろいろやっておられるということも私どもも聞いております。  環境庁としては、エコビジネスの振興を図るために、エコビジネスの支援のあり方検討を行っているところでございますが、このほかに、エコビジネスを支援する仕組みといたしまして環境庁がやっておりますのは、低公害車の普及促進のための補助事業、それから使用済みの容器等の再使用を促進するためのモデル事業等、これは環境庁実施をいたしておるところでございます。  そういうことで、環境庁環境庁の守備範囲でいろいろとこういう支援事業をやっているところでございますけれども、私どもとしては、こうした直接的な振興施策だけではなくて、私どもがやっております広い意味での環境施策全般、これがひいてはエコビジネスの振興に資するというふうに考えておるところでございます。いろんな施策、対策、政策を環境面から講じていくという、例えばいろんな規制もやっておりますけれども、それがまたビジネスの振興にもなっていく、こういう広い視点からも考えておるところでございまして、そうしたことで今後とも環境庁ができる範囲で積極的に支援をしていきたいというふうに考えておるところでございます。
  66. 山本一太

    ○山本一太君 エコビジネスの支援という問題はこれからの日本経済を考える上でも私は一つのキーワードになっていくと思いますので、また改めて通産省の方の担当者にも来ていただいて質問をさせていただこうと、このように思っております。  局長はいろんな御配慮をされて、できる範囲でというお言葉をよくお使いになられるんですが、できる範囲でというのはこれから余りおっしゃらなくてもいいと思いますので、環境庁がリーダーシップをとってやるというやはりニュアンスを出していただきたいなというふうに感じました。  長官、この論文をお読みになったかわかりませんが、昨年、フォーリン・アフェアーズという雑誌にシンガポールの外交官が、外務審議官だったでしょうか、「パシフィックウェイ」という論文を書きました。フォーリン・アフェアーズというのは非常にインパクトの大きな雑誌なんですけれども、その中で、アジア太平洋にはアジア太平洋のやり方があるという話が一点、そして東と西の文明がまさにこのアジア太平洋で一つになって、ヘレニズムではありませんけれども、新しいアジア太平洋の文明ができるんだという投稿をした外務省の役人がおりまして、これはアメリカが結構いろんな場面で文句を言ったんですね。なかなかシンガポールの役人は元気で勇気があるなと思っていたところが、長官の部下にもちょっと元気な方がおられるようであります。  この間ぱらぱらいろんな雑誌を見ておりましたら、ある環境庁の方がある雑誌に投稿しておりまして、非常に頼もしいと思いましたが、その中で、温暖化対策しり込みなら日本の製造業は二流かと、こうはっきりおっしゃっているわけで、このくらいはっきり物を言っていけばいいんじゃないかなというふうに私は思ったわけでございます。  よくいろんな委員の方々から言われますけれども環境庁は本当に環境省を目指していくぐらいの気概を持つのならば、いろいろ大臣もいろんな御発言で御苦労されていると思いますが、ぜひともまたどんどん前向きな発言をしていただいて、環境庁立場を前面に押し出して、少なくとも、先ほど馳委員から環境庁に全部環境政策を一元化しろという話もありましたけれども、文字どおり環境庁がリーダーシップをとって引っ張っていくという姿勢で今後とも頑張っていただきたいと思います。  特にエコビジネスの取り組みということについて最後に環境庁長官の、大臣の御決意といいますか、取り組みの姿勢を伺って私の質問を終わりたいと思いますので、お願いいたします。
  67. 石井道子

    国務大臣石井道子君) いろいろ政府委員からも答弁をさせていただいたところでございまして、COP3の成功を目指して二酸化炭素の排出削減に向けて日本は具体的な対策をとらなければならないというところでございます。そして、そのことをてこにしてやはりエコビジネスの育成、振興に努力をする必要があるというふうに感じております。  エコビジネスにつきましては、今試験的にやっている分野もありますし、具体化をして取り組んでいる、成果を上げているところもございます。  そういう点では、これから大いに環境庁といたしましてもその産業の育成のために努力をしていきたいというふうに思っておりますし、今世界的にも先進国においてはエコビジネスを大いに育成をし、そして推進をしている点では、やはり日本が取り残されてしまうのではないか、そんな危惧も持っているところでもございます。  低公害車にいたしましても、アメリカでは、何割使うようにという、カリフォルニア州などはもうそういうふうな枠を決めて低公害車の振興にも努めているわけでございますし、逆に日本はそれに合わせて低公害車の輸出を行っていこうというふうな分野にもなってまいりました。国際競争力をやはりこれからも維持していくという点では、日本がエコビジネスをさらに進めていくという点では大変重要な分野であるというふうに考えております。  ぜひこれからも日本における取り組み、これは環境庁がリーダーシップをとって行わなければならないそういう分野がありますが、ぜひいろんな関係省庁との連携を図りながら、COP3の成功を目指して、そしてそれに関連をいたしますエコビジネスの振興を目指して国民総ぐるみの運動を展開していきたいというふうに思っておりますので、どうぞ御指導、御鞭撻をお願い申し上げます。
  68. 山本一太

    ○山本一太君 力強い御決意をありがとうございました。ぴったり三十八分、時間ですので、真打ちの谷川委員に譲りたいと思います。  ありがとうございました。
  69. 谷川秀善

    ○谷川秀善君 自由民主党の谷川秀善でございます。  先日も公述人にお越しをいただきましていろいろと貴重な御意見をお伺いいたしたところでありますが、今回のこの法案にはいろんな御意見もあるようにお伺いをいたしますが、おおむね中環審の答申趣旨に沿っているというのが公述人の皆さん方の意見でございました。そこで、審議もそろそろ終盤に入ってきたと思いますので、確認をさせていただきます意味で二、三質問をさせていただきたい、かように考えるところでございます。  環境本法が制定されたのが平成五年の十一月でありますから、そろそろ四年が経過をするわけであります。今回、この環境影響評価法案がやっと提案された。何とかこの法案環境を守るために我々としては推進をいたしたいというふうに考えておるところでございますが、この環境本法の第一条には、「環境保全について、基本理念を定め、並びに国、地方公共団体事業者及び国民の責務を明らかにするとともに、」云々とずっとこうございまして、「もって現在及び将来の国民の健康で文化的な生活の確保に寄与するとともに人類の福祉に貢献することを目的とする。」と、こうなっていますね、環境本法の目的が。そういう立法精神が規定されているわけでございます。すなわち、今回提案をされております環境影響評価を法で規定することによってこの目的を達成しようというふうにしているわけであります。  そこで、まず環境庁長官に、この環境影響評価に対する取り組みについて決意をお伺いいたしたいと思います。
  70. 石井道子

    国務大臣石井道子君) 平成五年に制定されました環境本法は、近年の環境問題の様相の変化対応できるように、環境保全基本理念とそれに基づく基本的施策の総合的な枠組みを示したものでございます。環境影響評価制度はこれらの理念を具体的に実現するための極めて重要な手段でございまして、国はその推進のために必要な措置を講じるように環境本法第二十条に定められているところでもございます。  国といたしましては、このような状況の中で、中央環境審議会に今後の環境影響評価制度あり方について御審議をいただき、その答申を踏まえて、今般環境影響評価法案を提出したところでございまして、この法案の成立の暁には、環境本法の理念の実現に向けて環境影響評価法の運用に万全を期していきたいと思っております。
  71. 谷川秀善

    ○谷川秀善君 先日来、我が党の河本議員、馳議員、平田議員、そして今、山本議員を初め各党各議員からあらゆる角度からの質問がございました。総じて、環境庁長官以下事務当局の皆さん方の御答弁を聞いておりますと、肝心なところは、調整官庁でありますからと言って何となく一歩引いたような答弁が多いように実感としてお伺いをするわけでございます。  事業者事業実施者が何と言おうと、現在及び将来の国民の健康を守る、環境を保持するのは本当に環境庁の責務だということをやっぱりお考えいただいて、だれが何と言おうと環境を守るのが環境庁の仕事なんだと、そういうことで背後には国民が皆環境庁に期待をしているんだということをちゃんと自信を持ってこれからお答えをいただきたいというふうに思いますので、改めて長官の決意をお伺いいたしたいと思います。
  72. 石井道子

    国務大臣石井道子君) 環境庁を大変力強く御支援をいただいております御発言で、大変心強く思うわけでございますが、今度の法案の扱いにつきましては、環境庁長官は、今までと違いまして、環境アセスに対して十分に意見が言えるという立場にもなりました。名実ともに環境行政を総合的に推進することを任務とする国の行政機関の長といたしまして、環境影響評価の項目等の選定や環境影響評価実施などに関しまして基本的な事項を定めるとともに、また、事業者が取りまとめた環境影響評価の結果について主務大臣に対して意見を十分に申し述べていきたいというふうに思いますし、その役割が与えられたところでもございます。  実効ある環境影響評価が行われまして、対象事業に係る環境保全について適正な配慮が確保されて、そして国民の健康や社会生活の基盤となる良好な環境が保持されるように、環境庁長官に課せられました役割を適切に果たしてまいりたいと思っているところでございます。
  73. 谷川秀善

    ○谷川秀善君 環境庁長官の力強い御決意をお伺いいたしまして安心をいたしました。  それでは、具体的に質問をさせていただきます。  環境本法第二十条、これは「環境影響評価の推進」の項でございますが、「国は、」とこうありまして、「事業者が、その事業実施に当たりあらかじめその事業に係る環境への影響について自ら適正に調査、予測又は評価を行い、その結果に基づき、その事業に係る環境保全について適正に配慮することを推進するため、必要な措置を講ずるものとする。」と、こうなっていますね。     〔委員長退席、理事大渕絹子君着席〕  この「必要な措置を講ずる」、これが一番大事なところだと思うんですが、この「必要な措置を講ずる」というのはいろんな意味があると思うんです。いろんな意味合いがあると思いますが、最後どうしても必要だということになれば事業そのもの中止させる、そういうことも含まれておるのかどうか、お考えをお伺いいたしたいと思います。
  74. 田中健次

    政府委員田中健次君) 環境本法の二十条についてのお尋ねでございますが、これは、国が「必要な措置を講ずる」ということは、現行の閣議決定要綱に基づきます環境影響評価の適切な運用、あるいは現在御審議をいただいております環境影響評価法の制定など、国として環境影響評価を推進するための制度を創設したり、適切な運用が図られるよう必要な措置をとる、基本法二十条はそういう趣旨であろうと思います。  二十条は、事業そのもの中止させることを含むかどうかについて直接にこれは定めているものではないと思いますが、今般提案をいたしております法案では、環境影響評価の結果を事業についての許認可等に的確に反映させていく、こういう仕組みになっておるところでございまして、環境本法二十条では、中止することを含むかどうかについて直接定めているものではないというふうに思っております。
  75. 谷川秀善

    ○谷川秀善君 そうすると、その前提に立ってこの環境影響評価法案を見ますと、第一条、云々とこうございまして、「環境保全のための措置その他のその事業内容に関する決定に反映させるための措置をとること等」と、こうありますが、これはどういう意味でございますか。
  76. 田中健次

    政府委員田中健次君) 御指摘部分は、環境影響評価の結果を踏まえて事業者が自主的に環境保全上の適正な配慮を行うということとともに、国が許認可等を行う際に、環境保全に関する審査を行って、環境影響評価の結果を反映させることを意味しておりまして、その基本的な考え方のもとで各手続が定められておる、こういうところでございます。  なお、環境保全に関する審査の結果、環境保全の見地から見て重大な支障が生ずるおそれがある事業につきましては、許認可等を行う者によりまして許認可を行わない処分がなされましたり、または必要な条件が付されるということになりまして、対象事業に係る環境保全について適正な配慮がなされると、こういうふうに考えておるところでございます。
  77. 谷川秀善

    ○谷川秀善君 そこがちょっとこれはあいまいなんですね。結局、事業を認可するのは環境庁じゃなくて事業官庁なんですね。だから、そこが非常にこの法案アセスメントの実効性を担保されるかどうかということでいろいろと委員の方々心配をしているところなんです。その辺のところはやっぱり十分よくお考えをいただきたいというふうに指摘をしておくところでございます。  それで、第二条でございますが、環境影響評価対象となる事業として第一種事業、必ず環境影響評価実施すべき事業と、第二種事業スクリーニング手続によって第一種事業に準ずる規模を有し、環境影響程度が著しいものとなるおそれがあると個別的に判定によって事業対象となるものでございます。結局、第一種も第二種もいずれも特定された十二の事業種類及び政令で定める事業種に限定されているわけでございまして、環境を守るという観点からしますと、我が党の馳議員も御質問しておりますが、対象事業は、これは基本的に考えますとできるだけ範囲を広げるということがやっぱり大事だろうと思います。    〔理事大渕絹子君退席、委員長着席〕  しかも、それはある程度法律で明記をしておく必要があろうと思うわけでございますが、その点について、今回やっと法案が成案を見る段階でございますから、いろいろ将来の問題としてどうお考えになっておられるのか、お伺いをいたしたいと思います。
  78. 田中健次

    政府委員田中健次君) この法案におきましては、これまでも申してまいりましたが、規模が大きくて環境影響程度が著しくなるおそれがありまして、なおかつ国が実施をするかまたは許認可等を行う事業対象として選定することといたしております。  これは中央環境審議会答申で、国の立場から見て一定の水準が確保された環境影響評価実施することにより環境保全上の配慮をする必要があり、かつ、そのような配慮を国として確保できる事業対象することが適当と、こういうふうにされたことを受けたものでございます。これ以外の事業につきましては、地方公共団体判断環境影響評価実施できるということにしております。今後、こうした国と地方の適切な役割分担考え方のもとに、閣議アセスの実績等も踏まえまして適切に対象事業を選定いたしてまいりたいと思っております。  それから、できるだけ法案事業を書けと、こういう御質問でございましたが、この法律では、法律にできるだけ事業種を掲げまして、さらに詳細な事業種や具体的な規模等につきましては法案の要件に従いまして政令で定めるということにしておりますので、政令の具体的な内容については今後関係省庁とも調整しながら適切に定めてまいりたいと思います。  それから、法制定後でございますけれども、法の施行状況等を勘案しながら、今後とも必要な事業が生じてまいりますと環境影響評価が行われますように、これは適切に今後とも対応していきたいというふうに考えております。
  79. 谷川秀善

    ○谷川秀善君 大体、環境の問題というのは結局ちりも積もれば山となるんです。だから大きい事業だからやるんだ、小さいからやらぬでいいというような問題ではないんです、全体の問題ですから。  そういう意味では、実際環境を守ってきたのは環境庁じゃないんです、私ははっきり言わせてもらうと。地方公共団体がやむにやまれずにずっとやってきた積み重ねなんです。そうすると、この法案をつくって大きいのは国がやるんだ、そこそこのやつは地方で今までどおりやっておきいなと。これでは本当に環境庁要らぬと言われますよ、正直言いまして。皆の期待は省になってもらいたい、こう言っているんです。  大きいのが実際やれますか、環境庁。実際になってきたらどうするかといったら、結局地方公共団体に任すんです、現実問題としては。それだから、私はある程度大きく網をかけておいた方がいいと。網をかけておいて、それはいろんな事業がありますから、これは大変です。これからこういう法案ができれば、日進月歩でございますから、その都度その都度お考えをいただくということが環境を守る上で一番大切なことではなかろうかというふうに思います。  また、このスクリーニング対象となる事業はあらかじめ定められた事業の中から一定規模以上のものに限られるとか、かつ対象事業となるか否かの判定は、免許等の権限を有する者が都道府県知事の意見を聞いて勘案し実施するということになっているわけです。これでは、環境に大きな影響を及ぼす事業であっても、ただいま申し上げましたように環境影響評価対象外になるおそれが多分にあるわけです。これは都道府県の意見を聞いて、どうですかとつそれで、やるかやらぬかはその事業実施免許をするところの省庁が考える、こういうわけですから、極端に言うと都合の悪いのは、ちょっとこれは困りますわといってやらぬでもいいというような抜け道があるように私は思いますよ。  そういうことですから、この辺は法の執行に当たっては十分よく考えていただきたいということと、やはり一番環境の影響を受けるのは住民なんです。その住民意見を一番聞いておるのは第一義的な自治体である市町村なんです。だから、私は市町村の意見がこういう段階ではっきりと反映できるような運用をしてやっていただかないと、上の方で知事の意見を聞くといったって、その知事がしっかり関係市町村長なり市町村の住民意見を聞いてあげてくれればいいですけれども、そうでない場合が割に多い。そうすると、結局、いざ具体化してきたときに市町村の住民意見を言える場所がないというような点があろうかと思いますので、この辺のところは何か一工夫があってしかるべきではないかなと思いますが、御意見がございましたらお伺いいたしたいと思います。
  80. 田中健次

    政府委員田中健次君) 先ほども御答弁申し上げましたが、この法案では地方の方でも地域環境保全観点からアセス実施をされているということで、国と地方との適切な役割分担を図るという観点から、規模が大きくて環境影響が著しいものとなるおそれがあるもの、それを国の対象にいたしまして、それ以外の事業については地方公共団体判断にゆだねる、こうしたところでございまして、これはスクリーニング対象となります第二種事業につきましてもこのような観点から整理をいたしまして、政令で適切な規模を定めていくということにしておるわけでございます。  そうしたことで、国と地方との役割分担ということで第二種事業についても規模要件を設けますけれども、これは第一種事業から落ちるものをできるだけすくっていく、こういう趣旨でございますので御理解をいただきたいと思います。  また、スクリーニングの手続は、事業の種類、規模、それから事業実施予定地とその周辺の環境状況等から方法書以降の手続が要るかどうか、これを判断する手続でございます。これはできる限り客観的な基準をあらかじめ定めることによりまして、相当程度類型化して判断することが可能と考えております。そのために、その判定の基準につきましては環境庁長官基本的な事項を定めますとともに、主務大臣がこれを定めるに当たっては環境庁長官と協議をする、こういうことで判定基準の客観化を図るということにしております。  判定基準に基づく判定に必要な情報といたしましては、例えば自然環境の復元が著しく困難な地域があるかどうかということ、あるいは生活環境保全上特に配慮を要する地域がその辺にあるかどうかということなど地域基本的な情報を私どもは想定いたしております。したがいまして、都道府県知事が有しております地域の主要な情報がありますと、判定は十分適正になされるものであるというふうに考えておるところでございまして、このスクリーニングにつきましては、関係市町村長や住民意見を聞く手続を設ける必要性は薄いということで知事の意見を聞く、こういうふうに構成をしたところでございます。
  81. 谷川秀善

    ○谷川秀善君 理論的にはそういうことなんです。しかし、知事とそれぞれの市町村長というのは、私も府庁におりましたし地方の役人をしておりましたが、そんなにしょっちゅう意思疎通していませんよ、中には対立しているのが相当あるんです。そうすると、これは理論的にはそうなんだけれども、実際本当にその住民、市町村長の意見が知事にストレートに上がるかといったら非常に上がりにくい場合もあるので、やっぱりどこかでそういうことを保障しないと、本当にこの環境影響評価法案運用に当たっては魂が入らないんじゃないのかなというふうにちょっと危惧をいたしておるところでございます。  それで、スコーピング手続ですけれども、この法案では、調査、予測、評価等の項目及び手法は、事業実施される地域を管轄する都道府県知事、市町村長その他意見を有する者の意見を勘案して、事業者が選定することとしております。今までの制度運用では、具体的な調査項目の設定手法などの選定をめぐっては大概対立が生じまして、それをだれが調整し決定するのが適正かということが従前から大変問題となってきておるわけでございます。事業者地方公共団体住民等の意見を聴取するにしても、これをどのように調整し決定するのかということが依然としてこの法案ではあいまいもことしておるわけで、はっきりしていないわけですね。事業者地方自治体住民意見を聞きおくだけという扱いになる余地が今までずっとあったわけです。  今度このスコーピング手続によって、そのよいところは評価の手続や内容について透明性を確保しながら関係者の合意を得るということになっておるわけでございますが、このスコーピング手続を形骸化させないためにも、私は、できたら審査会というか第三者機関というか、そういうものが関与しまして調査等の項目を決めるというのが一番いいのかなというふうに思っているんですが、その点についてはどうお考えでございましょうか。
  82. 田中健次

    政府委員田中健次君) スコーピングの手続に際しましては、事業者調査項目等の選定に当たりまして、地方公共団体意見を踏まえますとともに、住民が出されました意見内容検討を加えて、それで科学的なおかつ合理的な範囲で意見を取り入れて項目を選定しなければならない、こういうことになっております。また事業者は準備書におきまして、このスコーピング手続で述べられました一般の人々や地方公共団体意見に対します見解を明らかにするということが義務づけられております。  それからさらに、評価書につきましては環境庁長官意見を述べまして、主務大臣によって許認可に反映をさせるプロセスが控えておりまして、こうしたことで、事業者といたしましては、調査項目の選定に当たりましてこれは真摯な対応をしなければ、あといろんな関門がございますので、結局手戻りが生じる、こういうことになるわけでございます。  このような仕組みにしておるところでございまして、特に地方公共団体が第三者として述べる意見につきましては、これは事業者に十分な重みを持って受けとめられるものでございまして、先生今御指摘にございましたような事業者地方公共団体住民等の意見を聞きおくだけだと、こういう事態はこの制度の仕組みでは私どもとしては生じないというふうに考えておるわけでございます。  なお、地方公共団体がその意見を述べるに当たりましては、必要に応じて審査会等の意見を聞くこともできるところでございます。今回のアセス制度ではこういういろんなプロセスを経てやっていく、情報公開ということで、準備書あるいは評価書等につきましても公告縦覧をする、こういうこともございまして、このプロセスを踏みますと、調査項目等は十分に科学的あるいは合理的な範囲でそれが選定をされるというふうに考えております。
  83. 谷川秀善

    ○谷川秀善君 それから、調査項目なんですけれども調査項目については、環境本法十四条各号に掲げる事項ですね、大体。だから私は、やっぱり馳さんもおっしゃったように、もっとこれは広げることが必要だろうなと。例えば、廃棄物処理などを含めた生活環境の良好な安全、アメニティーなどの生活の質、そしてまた危険物、災害などから人と動植物の安全を守る、こういうこととか、また行為の社会的、経済的な必要性、相当性などについても評価をする。これは非常に難しいだろうと思いますけれども、これから将来の問題としてはこういうものもやっぱり評価の対象として、精神としては拡大をしていっていただくということをお願いいたしたいと思いますが、どうお考えでございましょうか。
  84. 田中健次

    政府委員田中健次君) 調査等の項目についてのお尋ねでございますけれども、この新たな制度におきましては、中環審の答申を踏まえまして、環境本法のもとでの環境保全施策の対象を評価し得るそういう枠組みにしておりまして、具体的にはその枠組みのもとに、環境本法の第十四条に掲げられております事項の確保を旨として指針を定めますが、その指針に基づきまして事業の特性あるいは地域環境特性等に照らしまして調査項目を適切に選定していくということになるわけでございます。  従来の公害と自然という考え方から、広く環境本法十四条の環境保全という観点から考えていくということでございまして、御指摘になられました廃棄物それからアメニティーにつきましては、これは一般環境保全施策の対象として環境の範疇のものとしてとらえられるものと考えております。  それから、安全の確保あるいは行為とか事業の社会的必要性、これにつきましては環境の範疇に含まれないものであろうと思われますので、この制度におきます調査等の対象項目にはならないのではないかというふうに考えておる次第でございます。
  85. 谷川秀善

    ○谷川秀善君 そんなあほなことありますかいな、あんた。安全やらそういうのが何で環境と関係ないんですか。そんなあほなことを言われたら、ちょっと一言言わないかぬようになりますよ。
  86. 田中健次

    政府委員田中健次君) 環境保全に絡みます安全性でございますと対象になりますけれども、いわゆる安全性一般につきまして環境の範疇には含まれないのではないかということで考えておる次第でございまして、個別に具体的な中身について検討を加える必要がありますが、一般論として申し上げたところでございまして、御理解をいただきたいと思います。
  87. 谷川秀善

    ○谷川秀善君 当たり前やがな、環境議論をしてるねん。私は何も一般論の安全の議論をしているわけじゃないですよ。そうでしょう。環境議論をしているんやないですか。だから、環境に関係のある安全について項目に入れるようにこれから考えてもらいたいと、こう言っておるんですよ。  もういいですよ、答えてもらわぬでも。何の議論をしているんですか、これ。私は環境議論をしておるんですよ。環境影響評価法案議論をしているんですよ。何も交通事故の話をしているわけじゃないでしょう。そんなあほなことでやってもらうたら困りますよ。それはよろしくお願いをしたいと思うんです。  それで、この環境影響評価を実効性のあるものにするためにはそこが一番大事なところだと思うんですけれども許認可等を要する行為について、結局この環境影響評価の結果が適切に許認可等に反映をしないとこれは何にもならぬのですわ、何ぼ評価したって。勝手に許認可されたのではこれは何にもならぬのですわ。だから、これが一番大事なところなので、環境庁の一番踏ん張りどころなんですね。  それで、この法案では結局、この許認可等を行う者が環境影響評価の審査もあわせて行う、こうなっているんですね。これはちょっとやっぱりおかしいですよ、考えてみたら。それで私は、やっぱりおかしいけれども、そういうことになっておるのやったらこれはしようがないなと思っていますが、だけれどもこの辺はちょっと将来考えてもらわないかぬ。これは、担保するということではやっぱり分離するのが一番公平の原則ですよね。  そういうことで、一番心配になっておりますのは、法案の第三十三条第二項第三号、「対象事業実施による利益に関する審査と前項の規定による環境保全に関する審査の結果を併せて判断するものとし、当該判断に基づき」許認可処分を行うもの、対象事業実施による利益に関する審査とあわせて判断しなければ許認可処分等を行うことができないと、こうしているわけですが、上記の「対象事業実施による利益」というのは、これは非常に誤解されるんです。何か経済と環境とをてんびんにかけて、こっちは優先する、環境はちょっと犠牲になれや、どうもこれはそういうふうではないと私は思っているんですよ、この文章の読み方は。  だから、この辺のところはやっぱりはっきりとさせておいていただかないと、いわゆる経済的利益や公益的利益の大きな場合は環境影響評価の審査の結果に従わなくてもいい、こうなると、今までいろいろな問題が起こっているんです、大体皆それが原因になっているわけですから。だから、この辺はそうでないのかあるのか、いわゆる「対象事業実施による利益」、これの解釈をどうされておられるのか、お伺いをいたします。
  88. 田中健次

    政府委員田中健次君) 環境影響評価書の審査の主体でございますが、これは、許認可等を行う主務大臣といたしましたのは、事業の特性を熟知しているということから、これらのものが免許等を通じまして環境影響評価の結果を反映させていく仕組みの方が実効が上がるということで、こういう判断をして仕組みを構成したものでございます。  三十三条のお尋ねでございますが、事業許認可等の審査に当たって、環境影響評価の審査の結果をあわせて判断してこれを処分すべきことを定めたものでございまして、こうすることによりまして環境影響評価の結果が許認可に確実に反映されるということで、これまでの閣議要綱ではこういうことがございませんで、なかなかアセスメントの結果を事業の成否に判断ができなかったということで、今回はこの三十三条でこれを各個別法の許認可事項のほかに環境保全上の観点からあわせて許認可判断をしていただくということで、横断条項として設けられたところでございます。  御指摘の「対象事業実施による利益」という表現でございますけれども、これは許認可等を行うことによってもたらされる環境以外の利益ということでございまして、三十三条は各許認可に当たって、許認可の要件とそれから環境影響評価の結果をあわせて判断するということで、いろいろ許認可にも態様がございます。したがいまして一項、二項、三項と分けたわけでございまして、一項、二項、三項とも言わんとすることは同様のことでございます。  一項では、各個別法でかくかくしかじかの要件に該当しているときには免許を出すと各法に決められておりますけれども、その際に環境観点からの審査結果をあわせて判断するということでございます。二項、三項にはそれが逆の規定になっておる、免許を行わないときの要件を法律に書いておる場合、あるいは免許をするときの基準が法律にないという場合には、一項と同様なことを法律上担保するためには比較をする相手先が必要だということでございます。  こういうことで、環境の審査とあわせて判断をされる内容法律的に表現をすればこういう表現になった、これは法制局の審査を経ましてこういう表現になったところでございます。これは決して経済上の利益を優先する、こういう趣旨ではございませんで、立法的にこういう表現になったということで、趣旨はただいま申し上げましたような趣旨でございますので、御理解を賜りたいと存じます。
  89. 谷川秀善

    ○谷川秀善君 そうだろうと思うんですが、なかなか法律用語というのは難しい。しかし、国民が読んでわかるような法案法律をつくらないと、これはやっぱり将来困ると思いますから、その辺もまたいろいろお考えをいただきたいと思います。  最後に、いろいろなやりとりをさせていただきましたが、この法案が通ったとして、十年を経過して見直す、こうなっていますね。これはとんでもない。環境とか社会現象というのは日々刻々変わっていくわけですから、その辺のところはどうされるのか。昔は十年一昔と言っておった。このごろは一年一昔と言うぐらいになったんですよ。  十昔先に考えましょうというような話になると、これはどうもちょっと長過ぎるのではないかというふうに思いますので、環境を守るという最初の環境庁長官の決意を含めまして、この十年についてどうお考えかをお伺いして、私の質問を終わらせていただきます。
  90. 田中健次

    政府委員田中健次君) 見直し期間十年の問題でございますが、これは、政府全体の方針がございまして、事業者と申しますか国民に対しまして新たな負担を課する制度につきましては、これを新設するときには必ず制度の存廃を含めた見直しの規定を置くということになっております。これは、俗語でサンセット条項と言うわけでございますが、こうしたことは国民に新たな負担を課す法律には必ず必要だと、こういうことでございまして、これは事業の運営をして、その存廃を含めて根本的に見直す、要らなければそこでもう廃止をする、基本的にはそういう趣旨でございます。  したがいまして、この法案におきましては、スクリーニングあるいはスコーピング事前手続、それから事後のフォローアップの制度等も入っておりますので、私どもといたしましては、一般環境影響評価をするには短い場合でも三年、長い場合には五年以上の歳月がかかる、こういうことでございますので、運用状況を点検するにも相当の期間が必要だということで、そういうことを考えまして、法施行後十年は必要である、十年たつとやはり法律の施行状況について検討ができるような状況になるのではないか、こういうことで十年と仕組んだわけでございます。  先生おっしゃいますように、その間にもいろいろな技術その他は日進月歩でございます。そういうことで制度運用状況を点検いたしまして、内外の科学的な知見の集積、これらも踏まえまして、私どもとしては、必要な技術的な指針を見直すなど運用の改善を図っていく必要があるわけでございます。また、先般来御議論をいただいておりますSEA、上位計画のアセスメントにつきましても今後検討をしていくわけでございます。また、さらに地方分権への対応あるいは許認可規制緩和の問題等もございます。  したがいまして、十年間何もしないというわけではございませんで、その間におきましても必要があれば積極的に対応していく、こういう趣旨でございますので、十年というのはサンセット条項ということで、それにはこれだけの期間が要る、その間何もしないという意味ではございませんので、その点十分御理解を賜りたいと存じます。
  91. 石井道子

    国務大臣石井道子君) この環境影響評価法案を提出するに至ります大変長い間のさまざまな問題がございました。そして、この法案を成立させることによって、これから総合的な環境保全を図る上で重要な意味を持っているということを思っております。  この法案は、現行制度の今までの問題を改善し、また充実させるということによって、そしてまた、諸外国の制度と比較いたしましても遜色のない内容のものとなっていると考えているところでございまして、これによって実効ある環境影響評価実施が確保されて、環境保全取り組みが飛躍的に促進されるものと確信をしております。  谷川委員からもいろいろと御懸念やら御意見も賜ったところでございますが、この法案成立の暁には環境庁の責任が一層重みを増すこととなるものでありまして、国民の期待にこたえられるように、環境庁に課せられました役割をしっかりと果たして、そして本法の適正な運用に万全を期して、環境保全取り組みをより一層確実なものにしていきたいと考えている所存でございます。
  92. 渡辺四郎

    委員長渡辺四郎君) 本案に対する午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時二十分まで休憩いたします。    午後零時二十二分休憩      —————・—————    午後一時二十分開会
  93. 渡辺四郎

    委員長渡辺四郎君) ただいまから環境特別委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、環境影響評価法案を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  94. 寺澤芳男

    ○寺澤芳男君 平成会の寺澤です。  途上国援助等に関する環境への配慮あるいは日本の企業の海外進出に関する環境への配慮について二、三お伺いをいたしたいと思います。  当委員会の今までの審議は国内の環境アセスメントについて多くは時間が割かれました。当然だと思います。ただ、今我が国の経済の大きさというのが全世界の経済の一〇%という非常に大きな経済になってきた。また、日本はどうしても資源がないから海外で資源調達をする、あるいは最近のかなりの円高で日本の企業が海外に進出して一種の産業空洞化の現象も見られる。こういうことになってきますと、日本の海外、特に東南アジアにおける企業の企業活動とそれぞれの国での環境への配慮というのは非常に大きな問題として浮き上がってまいります。当参議院の環境特別委員会といたしましても、先輩の意見を聞きますと、平成三年の四月に「日本企業の海外進出等における環境への配慮に関する決議」を当委員会でもしております。  まず、現状を確認するために、我が国の海外直接投資額の現状と推移について大蔵省からお伺いしたいと思います。
  95. 相澤徹

    説明員(相澤徹君) お答え申し上げます。  御質問のございました我が国の対外直接投資の現状と推移でございますが、対外直接投資につきましては、平成元年度に九兆三百三十九億円というピークの値を達しました後、四年連続いたしまして減少しておりましたが、平成六年度から増加に転じておりまして、最近の、直近の平成八年度の数字を申し上げますと、前年度比で九・一%増、具体的には五兆四千九十四億円という直接投資額になっております。  以上でございます。
  96. 寺澤芳男

    ○寺澤芳男君 我が国の生産拠点というのは主に東南アジアにシフトして、それらの国々の経済発展と相まって東南アジアの環境問題が今どのような状態にあるのか教えてください。
  97. 平松賢司

    説明員(平松賢司君) お答えいたします。  先生指摘のとおり、東南アジア諸国におきましては、日本からの直接投資を含む海外からの直接投資の増大もございまして、近年平均七%を上回る経済成長を遂げているわけでございます。それに伴いまして環境への負荷の問題というのが非常に顕著になっているということは事実であろうかと思います。具体的には、急速な都市化の問題に伴いまして、大気汚染それから騒音、水質汚濁等の問題に加えまして、森林資源、水資源の問題が問題になっているというふうに承知しております。  このような状況に対しまして、各国ごとに若干の対応の差はございますものの、おおむね環境対策のための法的整備環境アセスメント等、環境対策取り組みつつある状況にあるという報告を受けております。
  98. 寺澤芳男

    ○寺澤芳男君 さらに、東南アジアを初めとする開発途上国への環境にかかわる政府開発援助、すなわち環境ODAについて外務省がどう対応してきたのか、お伺いしたいと思います。
  99. 吉田雅治

    説明員(吉田雅治君) 我が国の経済開発等援助に関しまして環境一つの重要な柱というふうに認識してまいりまして、特に一九九二年のリオデジャネイロ、いわゆる地球サミット以来、その際に宮澤総理からコミットいたしました九千億から一兆円という環境分野の開発援助に関しまして、九二年から九六年まで五年間で一兆四千億強のいわゆる超過達成をいたしまして、これまで環境分野に非常に力を注いでまいりました。  以上です。
  100. 寺澤芳男

    ○寺澤芳男君 先ほど触れました平成三年四月に当委員会、参議院環境特別委員会で行われた「日本企業の海外進出等における環境への配慮に関する決議」、これの非常に重要だと思われる点だけをちょっと読んでみたいと思います。   日本国内の環境基準と公害防止技術は国際的に高い評価を受けている。しかし、多くの日本企業は、海外進出に当たって現地法人化しているため、現地の環境基準に従うのみであり、我が国の高度な環境水準や技術を生かしきっていない。高い公害防止技術を持つ先進国日本の企業が海外進出の際、自国の水準に照らして、できる限り高い基準で対処することは大切であり、環境面で真のリーダーシップを発揮する道である。  さらに、具体的に四つの事項の実現に努めるべきであるとして、次の四点を挙げております。  一、国内で規制されている有害物質については、実態を踏まえながら、その輸出規制について検討すること。  二、海外直接投資なかんずく製造業等の海外進出については、受入国において環境問題が生じることのないよう、受入国の基準に配慮しつつ、我が国内の水準に照らしてできる限り公害対策を投資企業においても実施するよう努力を促すこと。  三、政府開発援助による開発については、これによって環境破壊を引き起こすことのないよう環境アセスメント実施するとともに、受入国の社会的文化的影響を考慮するなど環境への総合的配慮を行うこと。  四、政府開発援助に伴う環境影響実態把握に努めるとともに、海外直接投資について、現地における環境対策実態把握に努めること。  これを決議しております。  先日の公聴会で、日弁連の小島公述人もこのことにお触れになっておられました。幾つかの事例を挙げて、公害輸出の状況は変わっていないというような発言がありました。先ほどは外務省にお伺いいたしましたが、海外進出企業の環境対策状況について、環境庁は現状をどう認識されているか、お伺いいたします。
  101. 浜中裕徳

    政府委員(浜中裕徳君) 政府環境本法に基づきまして定めました環境基本計画におきまして、事業者の海外活動に関しても適正な環境配慮が重要でありまして、個々の事業者による取り組みの進展が図られることが重要だというふうに定められているところでございます。  また、環境本法におきましても、同様の観点から、国は事業者に対する情報の提供その他の必要な措置を講ずるように努めるものとされているところでございます。  既に経済界におきましては、経団連が平成三年度に、海外進出をいたします企業に適切な環境上の配慮を求める地球環境憲章を制定したところでございまして、昨年には環境アピールというものも出され、海外事業展開に当たっての環境配慮を規定するなど、積極的に取り組んでいるというふうに理解をしております。具体的には、例えば進出先国の環境基準の遵守はもとより、有害物質の管理については日本国内並みの基準を適用すべきであるというようなことも述べているところでございます。  私ども環境庁におきましては、昨年、在外日系企業の環境配慮活動動向調査というものの結果を発表させていただきました。これは、アジア四カ国において日系企業を対象に、現地日本人商工会議所の御協力を得て、アンケートあるいは現地ヒアリング調査を行ったものでございます。  その結果によりますと、現地で例えば法的に環境アセスメント実施する義務のあった企業は全体の二八・七%でございましたが、実際にはこれを大きく上回る四六・一%の企業が環境アセスメント実施したと回答しているところでございます。また、現地の規制をクリアすることはもとより、最低限以上の投資を行いたいと考えている企業が四分の三近い七四・一%に及んでおります。  事業工程からの排水処理などについても、その進出先国でトップクラスの対策がとられているといったような結果を得ておるところでございます。  ただいま先生から御指摘のございました日弁連の小島公述人の指摘されました具体的な事例につきまして、まだ私どもも実情の把握ができておらない状況ではございますが、ただいま申し上げました調査結果に基づきますと、全般的には、近年日系企業の海外進出に当たっての環境上の配慮についての意識は広まってきていると受けとめているところでございます。  私ども環境庁といたしましては、今後とも在外日系企業の環境配慮活動に関する動向を把握いたしまして、その結果を踏まえ、これらの企業による環境配慮が適切に行われますよう、必要な情報の提供などに努めてまいりたい、このように考えている次第でございます。
  102. 寺澤芳男

    ○寺澤芳男君 日本の企業が海外で合弁会社をつくる。当然、合弁ですから現地のパートナーと組むわけですが、その国では国の環境アセスメント、基準がそんなに高くない。その国の基準に合致するそれ以上に、日本側のパートナーが日本の非常に高い基準に合うようにということで盛んに主張をいたしますと、当然のことながらお金がかかります。相手方のパートナーは、それだけの環境に必要以上の配慮をしてお金を払うのであれば、ほかの設備投資あるいは土地を買うとか、そういう直接利益につながるような投資をしたい、当然、ビジネスマンですから、そういうふうに相手方は盛んに主張をする。日本側の企業はそこで非常に苦しい立場に立つわけです。  日本側の企業の親会社は日本での基準ということを遵守しておりますから、その子会社に対して同じようなことを指示するわけですが、私企業の場合はそういう採算ベースに合うのかどうか、日本側の会社だけが一〇〇%でやっているケースばかりではないということもこれあり、今後これに通産省あるいは環境庁がどう絡んで私企業の私的なビジネス行為を規制していくのか、この辺は非常に難しい状況だろうと思います。  ただ、今はっきり言えることは、地球全体が汚染をすると大変なことになるということ、これはやはり全世界の人に知ってもらわなきゃならないし、日本の企業が率先して高いスタンダードの基準を設けて、時間はかかるだろうけれども、目先の利益は若干減るだろうけれども、率先して先に進めていくというようなリーダーシップを特に東南アジアについては持たなければならないと思っております。  次に、私企業ではなくて政府開発援助についてでありますが、中環審の答申によれば、ODAの事業はJICAや海外経済協力基金のガイドラインに基づいてアセスメント実施していると言っておりますが、その経緯は総合研究会報告書の資料集に載っています。しかしながら、実施状況及びその結果についてのデータはどこを探してもないのですが、どういうことなんでしょうか。環境庁にお伺いいたします。
  103. 渡辺四郎

    委員長渡辺四郎君) 外務省でいいですか。
  104. 寺澤芳男

    ○寺澤芳男君 外務省で結構です。
  105. 吉田雅治

    説明員(吉田雅治君) JICA及びOECFにおきましては、環境配慮ガイドラインに基づきまして、このプロジェクトの形成及び計画の段階から実施に至るまで、環境配慮が徹底されるように留意しておりまして、実際にガイドライン運用につきましては、JICAがいわゆる開発調査実施します場合には、ガイドラインに沿った形で環境影響評価というものが行われておりまして、実際それは報告書に記載されておりまして、その報告書自体は公表されておるものでございます。  また、OECFにおきましても、JICAないし世銀が行いました環境影響評価を含む開発調査に基づきまして円借款案件を採択しておりまして、このJICA及び世銀につきましては調査報告書も原則公開されておりまして、インターネット等で入手可能というふうになっております。
  106. 寺澤芳男

    ○寺澤芳男君 先ほど読み上げました四つ目に、「政府開発援助に伴う環境影響実態把握に努めるとともに、海外直接投資について、現地における環境対策実態把握に努めること。」ということになっておりますが、この四の決議に対して外務省が今までどういうことをやっていたか、お伺いしたいんですが。
  107. 吉田雅治

    説明員(吉田雅治君) 海外直接投資につきましては、通産省あるいは大蔵省の方でもおやりになっておりますけれども、外務省といたしましても進出先の国の環境規制あるいはアセスメントに従って企業の方でやっていただくように働きかけを行ってきております。
  108. 寺澤芳男

    ○寺澤芳男君 ODA白書にももちろん援助などの実績は載っているわけですが、その援助がどのような環境問題を引き起こしているかとかそういうものは載っていない。環境白書にもやはり載っていない。相手方の国の主権の問題もあって難しいとは思いますが、少なくともODAは公的資金を使用しているわけですから、国民が実情を知る権利があると思います。その判断の助けとなるような資料とか情報の入手と公表に努めるべきだと思いますが、いかがですか、外務省。
  109. 吉田雅治

    説明員(吉田雅治君) 我が国のODAにつきましてのいわゆる事後評価ということにつきましては、環境への影響を含めまして、多方面からの評価を行っておりまして、その把握に努めております。  評価結果につきましては、環境を含めまして、経済協力評価報告書というものでお出ししておりまして、国会議員の先生方にも毎年お配りしております。  具体的に言いますと、例えばマレーシアの火力発電事業をやりました件につきましても、その後の大気汚染、排水状況等を調査いたしまして、ばいじん濃度、水質基準その他については問題はないという形での報告をしております。さらに、ODAにおきましては、先ほど申しましたような環境自身への影響、つまり環境プロジェクトという観点で、都市化と居住環境といったテーマでもODAのこれまでのプロジェクトにつきまして事後評価をしている次第でございます。
  110. 寺澤芳男

    ○寺澤芳男君 途上国に対する輸出信用、このことにちょっと触れてみたいと思うんですが、先進諸国の輸出信用機関、日本の場合ですと輸出入銀行あるいは通産省の貿易保険、輸出信用をやっている機関、それぞれに環境に対する基準というのがあります。  今世上言われていることは、アメリカの輸出入銀行の基準が非常に厳しい、恐らく世界で最も厳しい。例えば、昨年入札が行われ、まだ決定はしておりませんが、いろんな国が応札をしております中国の巨大水力発電事業、三峡ダム。この開発では、アメリカの輸出入銀行は環境に問題ありということで入札を留保しております。ところが、日本の輸出入銀行あるいはヨーロッパの一部の国、これは応札をした。まだ結果はわかっておりませんが。  このように、各国の輸出信用の機関がそれぞれ違った基準を持っていることについて、アメリカでは、自国の基準が非常に厳しい、それによって自国の企業の海外における活動が制約されるのではないかということで、今度のデンバーでのサミットにその問題を持ち出して、OECDを通して新しい基準を先進国の間で話し合おうではないかというようなことを言っていると報道されております。この報道自身は正しいでしょうか。
  111. 菅沼健一

    説明員(菅沼健一君) お答えいたします。  アメリカは九四年春ごろより、OECDにおいて輸出信用を供与する際に参加国が遵守すべき環境ガイドラインの策定を進めるように主張しております。この主張を受けて、OECDで輸出信用供与の際にどのようなガイドラインが適用できるかの検討を進めてまいりましたが、環境問題に配慮することの重要性については各国とも意見の一致がございますが、これまでのところ、その配慮ガイドラインという形で明文化することについては合意がない状況でございます。そういうOECDでの議論を受けて、最近はアメリカより輸出信用機関による環境に関する非公式な情報交換制度をつくってはどうかというような提案がなされており、これについては引き続き検討するということになっております。  この関連で、先生指摘のとおりアメリカは、今度のデンバー・サミットにおいてもOECDにおけるこのような作業をさらに推進すべきであるというメッセージを盛り込むべきだということをサミットの準備段階で主張している状況でございます。
  112. 寺澤芳男

    ○寺澤芳男君 その際、我が国の輸出信用機関としては、例えばアメリカの方に寄った、すなわち非常に厳しい基準をつくるという方向で動くのか、あるいはまだエキスパティーズといいましょうか、ノウハウもよく確立されていないし、人的な資源もないということで、そこまで行っていないヨーロッパの緩やかな基準の方に日本はなびこうとしているのか、日本の立場、これを関係当局から御説明してください。
  113. 細野哲弘

    説明員(細野哲弘君) お答え申し上げます。  今御指摘のございましたアメリカよりの提案、それからOECDでの議論でございますけれども、我が国といたしましては、先ほど先生指摘がございましたように、輸銀の輸出金融でありますとかあるいは通産省がやっております貿易保険の審査、これを総じて輸出信用の審査と言っておりますけれども、そういったものにおいてはもとより環境には配慮をしているところでございます。環境と輸出信用をどういうふうに関連づけていくかという意味における国際的な議論につきましては、先ほど内容と経緯について外務省より御答弁がございましたけれども、輸出信用の付与に当たって環境配慮をするという考え方には全く異論のないところでございます。  ただ、今委員が御指摘になりましたように、これを実施に移そうといたしますと、非常にプラグマティックにやっていかなくてはいけない、実際実効性のあるものにしていかなくてはいけないという点が大変重要でございまして、そういった点に配慮しながらも、日本の立場をよく考えて、国際場裏における先ほど議論に対しては、積極的に貢献をしてまいりたいと思っております。
  114. 寺澤芳男

    ○寺澤芳男君 我が国の環境基準というものは非常に高いものであって、これが世界をリードするのだという自負のもとにかなり厳しい高い基準を求めるべきであると私は思います。  時間がもうなくなりそうでありますが、ちょっと方向を変えまして、別の質問をさせていただきます。  現在、橋本内閣におきましては、明治維新以来だと喧伝されておりますいわゆる行政改革が進行中のようであります。この重要法案環境アセスメント法というものが成立し、その後で省庁の再編の動きの中で、仮に本法案を実際に所管する官庁が環境庁ではないほかの官庁という事態は起こり得ますか。
  115. 岡田康彦

    政府委員(岡田康彦君) 今後の行政組織のあり方につきましては、現在、行政改革会議で審議されておるところでございます。環境庁といたしましては、環境行政組織は産業振興や開発事業推進のための行政組織からは分離、独立した大臣レベルで対等な調整を行うチェック・アンド・バランスが不可欠だと考えております。  今、先生が御指摘のようなことにならないように、環境庁といたしましては、環境行政の重要性、またその環境行政組織のあり方につきまして十分行政改革会議の方に説明し、理解を求めるべく全力を挙げているところでございます。
  116. 寺澤芳男

    ○寺澤芳男君 本法案の実効性というものは、本当に他の官庁から独立した権限を持つ環境庁というものがあってこその実効性であります。したがって、現在の環境庁が持つ総合調整機能が背景にあって、チェックアンドバランスが働く、だから信頼が置けるんだということで、国民は環境アセスメント法案に期待を寄せているのだろうと思います。  環境問題が非常に広範で多岐にわたっており、もちろんすべてを環境庁の専管事項とすということはできませんが、それにしても我が国では環境という名を冠した仕事をいろんな省庁がやっている。横の連絡もなく、縦割り行政でやっている。  今回の行革において環境行政の一元化が図られ、廃棄物、上下水道、河川、林野などが統合されることを切に期待しております。先進国のほとんどは環境という名が課された役所においてこれらの事業を一括して行っております。そういうことを環境庁としてはヒアリングで強く主張しているのだろうと思いますが、大臣の決意をぜひお聞かせください。
  117. 石井道子

    国務大臣石井道子君) 委員御指摘のとおり、今、人類共通の課題であります環境問題でございます。そして二十一世紀に向けて最も主要な政策課題でございます。環境保全行政は、今後もさらに一層充実をしなければならない分野であると考えております。  そのような点では、国際的に見ましても環境保全に責任を有するやはり大臣、組織が整備される必要もあるわけでございまして、いずれにいたしましても、環境行政組織も含めて今後の行政組織のあり方につきましては行政改革会議において審議されているところでありまして、環境庁といたしましてはヒアリングの段階で十分その趣旨を申し上げているところでありますし、環境行政の重要性とそのあり方について今後も十分意見を申し上げ、取り組んでいきたいと思っております。
  118. 寺澤芳男

    ○寺澤芳男君 大臣の御健闘を祈って、質問を終わります。
  119. 山下栄一

    ○山下栄一君 平成会の山下です。ダイオキシンの環境影響評価、人体汚染その他土壌汚染も含めて質問させていただきたいわけでございます。  その前に、先日の五月二十一日における環境アセス法案の第一回の本委員会における審議の冒頭に、長官の携わってこられました長きにわたって理事長としてその職にございました飯能中央病院、埼玉県にございます飯能中央病院の問題に関して、まず最初にちょっと御質問したいと思うわけでございます。  この五月二十一日の報告内容につきまして、私は四点にわたってそのときに報告そのものに対する疑問、そして関連して追加の問題点指摘し、それに関する長官の御報告をお願いしたわけでございますが、これについてはもう今回の報告については可能な限り調べ尽くして臨んだ報告である、だからもうこれ以上言うことはないと、こういう形で拒否されたわけでございますが、この扱いについては理事会でも御検討いただいておるわけでございます。  その中で、特にアスベスト問題、このアスベストはもちろん大気汚染防止法の法律の規制対象になって特定粉じんの中に入っておるわけでございまして、それは重要な問題であると。民間病院とはいえ、このアスベストにかかわる環境影響評価というか、健康への影響も、患者さん、そして従業員、地域住民にかかわることでございますので、ちょっと具体的な話でございますけれども、御質問したいと思うわけでございます。  飯能中央病院で使われておりましたアスベストは防音のために天井にアスベスト吹きつけ工事を施していた。これは二十一日の報告でございます。  だから吹きつけアスベストであったと。この工事を平成五年、七年、そして昨年にわたって工事をした。その工事方式は、封じ込めとか囲い込みとか除去とか三つの方法があるけれども、囲い込み方式であったと。これは全部そうですがと聞きましたら、全部そうだと、このように御報告があったわけでございます。  まず、環境庁にお伺いしたいわけでございますけれども、この囲い込み工事というのはどんな工事なのか。
  120. 野村瞭

    政府委員(野村瞭君) 一般的なお話でございますので私からお答えを申し上げたいと思いますが、吹きつけアスベストの飛散防止を目的として行う際の処理工法といたしまして、除去する工法、それから封じ込め方法、また御指摘の囲い込み方式がございます。  このうち、囲い込み工事と申しますのは、アスベストが室内に飛散しないように、対象とする吹きつけアスベストの表面を板状の材料等で覆う工法でございます。
  121. 山下栄一

    ○山下栄一君 ということは、この囲い込み方式というのはアスベストに触らないというか、アスベストは取り外さない、こういう工法だと、こういうことでよろしいですか。確認です。
  122. 野村瞭

    政府委員(野村瞭君) 御指摘のとおりでございます。
  123. 山下栄一

    ○山下栄一君 労働省の方にお聞きしたいと思いますけれども、新設じゃなくて既に築造されている既存の耐火構造の建造物、鉄筋の建物などがそうかもわかりません。建造物の内装等の工事に伴って建物内の吹きつけアスベストを一部であれ除去する場合、労働安全衛生法上どのような手続、またどのような作業方法が義務づけられているか、法律上ですね、これを確認したいと思います。
  124. 尾添博

    説明員(尾添博君) 労働安全衛生法では、建設業等の仕事といたしまして石綿が吹きつけられている耐火建築物または準耐火建築物の石綿の除去作業を行う場合には、当該作業を行います事業者が事前に工事の概要や労働災害を防止するための方法等について所轄の労働基準監督署へ届け出るということになっているところでございます。  必要な作業方法ということでございますけれども、これも法令の中では、石綿を塗布、注入、または張りつけたものの解体や回収を行う場合の作業方法として、当該石綿を湿潤な状態とする、また作業者が呼吸用保護具等を使用することが定められておるわけでございまして、さらに、鉄骨等に石綿が吹きつけられている建築物を解体または回収する作業にあっては、当該作業場所をそれ以外の作業を行う作業場所から隔離するというようなことが定められているという状況でございます。
  125. 山下栄一

    ○山下栄一君 わかりました。  次に、消防庁にお尋ねいたします。  これも新築じゃなくて既存の建造物の天井、例えばアスベストなどの天井にスプリンクラーの設備を設置する場合、どのような工事方法が行われておるか、お答え願いたいと思います。
  126. 須貝俊司

    説明員(須貝俊司君) 一般的な申し上げ方になりますが、既存の建物にスプリンクラー設備を設置する場合についてでございますが、当該建物に既に天井が設けられているような場合におきましては、一たん天井を取り外してから工事が行われると聞いております。
  127. 山下栄一

    ○山下栄一君 一般的にお話しいただきました。  今私が取り上げておりますこの飯能中央病院において平成八年八月末に完了したと。このようにされるスプリンクラー設置工事、これは何度も指摘しましたように、消防庁から再三指導があったと。八カ月間の猶予期間があるにもかかわらず、これは五カ月間もおくれてしまったと。これは私は、法律を守ろうという意識はあるのかなと。これは長官が理事長のころの話でございます。  このスプリンクラー設置工事、去年の八月末に完了したと。これはどのような工事が行われたか、消防庁は承知しておられますか。
  128. 須貝俊司

    説明員(須貝俊司君) 飯能中央病院のスプリンクラー設備の工事でございますが、現行の消防法令の基準に従って設置されていると所轄消防機関から聞いておるわけでございます。  なお、このスプリンクラー設備の設置工事についてでございますが、着工届け出は平成八年三月二十一日、設置届け出が同年の八月二十七日にそれぞれ提出されまして、所轄消防機関による設置検査が同年の十月四日に行われております。
  129. 山下栄一

    ○山下栄一君 今、環境庁、労働省、消防庁と、こういう形でお聞きしてまいりましたが、長官確認させていただきます。  今、消防庁の報告を聞いていただいたと思いますが、スプリンクラーを設置する場合、要するに吹きつけアスベスト天井、これ外さないかぬわけです。天井にボルトとナットで固定して、スプリンクラーというのは水が出るわけだから、これ配管工事せないかぬわけですね、大々的に。本管、枝管、そして感知器とか。それから、水が出る出口、これ設置せないかぬわけです。だから、これはこの工事をやろうと思えば、アスベスト天井を外さないかぬ、除去せないかぬということになります。だから、これは除去しないでできないわけですよ。  これは長官の報告と全然違う報告の内容になっております。これはどのように長官は、この前の報告に対して、でたらめな報告だったのか、それともそうじゃないということなのか、御報告をお願いします。
  130. 石井道子

    国務大臣石井道子君) スプリンクラー工事のときにアスベストの工事も行ったと報告を受けておりまして、これは囲い込み方式であるという報告を受けております。  理事長在任中は、現場に任せておりましたので、具体的な工事の内容については承知をしておりません。また、技術的な面についても十分わかりませんが、今般のアスベスト工事につきましては、病院に問い合わせました結果は、先ほど申し上げましたような報告でございまして、それ以上のことは病院からも聞いておりません。
  131. 山下栄一

    ○山下栄一君 アスベストというのはこれ環境庁所管なんですよ。この最高責任者は環境庁長官なんです。ということは、石井環境庁長官ということですね。それで、現在環境庁長官というお立場で、御みずからが理事長時代のときのことを私は四月十六日に取り上げて、このときにもアスベストのことはさまざまに申し上げましたよ。このアスベストが話題になったころは長官環境政務次官のころだったんですよと。そんな鈍感なことでよろしいんですかということを申し上げました。  それ以来、この問題は五月二日にも取り上げさせていただきました。決算委員会です。そういうことに基づいて報告しますといってなかなか出てこなくて、それで五月二十一日にこれはもう総集編というか、もうこれ以上言いませんよということで、私の知っている限りのことを調べ尽くして御報告されたはずでございます。  その報告内容がでたらめであったということを私は申し上げているわけでございまして、囲い込み方式というのは先ほど環境庁がおっしゃったように、これはアスベストを外さない方式なんです、囲い込み方式というのは。先ほどそうおっしゃったわけだから。確認した、私は。ところが、消防庁の報告によると、スプリンクラーの工事をやろうと思ったら、これは病院といっても小さな病院じゃなくて大きな病院ですから、中途半端な小さい工事じゃないわけです。簡易的な工事じゃなくて、通常のスプリンクラー工事というのは天井を外さないかぬと。天井を外すということは、今まであった天井は吹きつけアスベスト天井だから、それを外さないかぬ。タッチしないでそんなもの外せないわけだから、勝手にそんなもの。ということですよ。  だから、全然報告がでたらめであったという、その報告は先ほど申し上げたように、環境庁長官というアスベストの、だれかに聞いたとかそんなことで済まされないんです、これは。これはきちっと報告してくださいということで長官もきちっと準備されて、万全の体制で五月二十一日に報告されたはずなんですよ。詳しいこと知りませんとかそんな問題で、アスベストというのはだれがこれ所管の法律なんだということです、有害物質なのかということですよ。これはそんなことでは許されない内容なんです。アスベスト天井を取り外さないでスプリンクラー工事はできない。囲い込み方式ではできない、そういう工事であったということなんですよ。これは大変な大きな責任になりますよ。これ、この報告がでたらめだということだから。(「委員会報告だ」と呼ぶ者あり)
  132. 石井道子

    国務大臣石井道子君) 今般のアスベスト工事につきましては、病院に問い合わせました結果が前回答弁でありますし、囲い込み工事をしたこと以上の工事の具体的なことについてはよくわからないということであります。特にそれ以上のことは私もわからないところでございますので、御理解をいただきたいと思っております。
  133. 山下栄一

    ○山下栄一君 本当に僕は信じられへんのやけど、事の重大性を本当にわかっておられるんですか。  先ほど僕は申し上げましたでしょう。アスベストというのは、そんなものだれかに報告させてという、あなた自身が疑惑をかけられているわけだから、全面的に疑惑を晴らす闘いをせないかぬわけですよ。闘いをした結果、五月二十一日に報告されたわけだから。問題はアスベストの問題なんですよ。環境庁長官という立場で今現在いらっしゃって、御自身が理事長という職にあったときの工事内容なんですよ、これは。これを責任をもって答えられないというのは、これは環境行政の最高責任者として私はもうこれ失格であると言わざるを得ません。二十一日はいいかげんな報告だったんですか。そういうことですね。(発言する者多し)
  134. 石井道子

    国務大臣石井道子君) 病院側におきましてもよくわからないという事柄もありますけれども、現在私理事長をしておりませんので、これ以上の対応はできかねます。  そして、報告したことについては病院に尋ねた結果でございますので、ぜひ御理解をいただきたいと思っております。
  135. 山下栄一

    ○山下栄一君 アスベストの工事は三つある。長官が理事長をされていた病院は囲い込み方式だった。除去というのはどれほど重みのある工事方法か御存じですか。アスベスト問題ですよ、これは。
  136. 石井道子

    国務大臣石井道子君) アスベストの処理につきましてはいろいろの方法がありますが、同病院については囲い込み方式であると報告を受けております。
  137. 山下栄一

    ○山下栄一君 除去というやり方がどれほど重みのあるやり方かという、除去というのは囲い込みと違う大変な工事なんですよ、これは。これはもう大変な問題ですよ。大気汚染防止法にかかわることであり、このアスベストの扱いは特別管理廃棄物になっているんですよ、前も申し上げましたけれども。それ御存じないんですか。環境庁、アスベストの最高権威者ですよ、あなたは。
  138. 石井道子

    国務大臣石井道子君) アスベストの除去方式はとらなかったという報告を受けているわけでございまして、環境庁長官としてということもおっしゃられましたけれども、個別の問題ということにつきますと……(発言する者あり)
  139. 渡辺四郎

    委員長渡辺四郎君) ちょっと静粛にお願いします。
  140. 石井道子

    国務大臣石井道子君) 長官としての立場で特別の扱いをすることはどうかと思いますので、一応、大気保全局長から御答弁いただければと思います。
  141. 野村瞭

    政府委員(野村瞭君) 御承知のとおり、大気汚染防止法、昨年改正をいたしまして、アスベストの飛散を防止するために、一定の条件のもとではございますけれども、工事の届け出でありますとか、工事をするに当たっての作業基準の遵守等の規制的な措置を盛り込んだところでございます。  この改正の施行はこの四月一日からでございまして、先ほどのお話によりますと、飯能中央病院のスプリンクラー工事は平成八年ということでございます。施行前の話でございます。その当時は、以前から御指摘いただいております厚生省、環境庁共管の通知で行政指導のレベルで措置をしていたところでございます。したがいまして、八年当時のスプリンクラー工事をどのように行ったかを私ども立場調査しなければならないというようには考えておらないところであります。
  142. 山下栄一

    ○山下栄一君 環境庁長官、逃げたらあかんよ、あなた。御自分の、御主人の形見の病院で守り続けてこられた病院を二十一年間やられて、あなたが理事長のときの問題であり、アスベスト問題というのは環境庁所管の問題なんですよ。逃げたらだめですよ。そんなことをしたらますます疑惑が深まるし、信用できないですよ、あなたは。環境アセス法案なんて審議できなくなりますよ、そんな姿勢じゃ。環境影響評価の話なんだから、これは。(発言する者多し)
  143. 渡辺四郎

    委員長渡辺四郎君) 静粛に。静粛に願います。
  144. 山下栄一

    ○山下栄一君 しょうがない、これはちょっと具体的に申し上げます。(「環境アセス法の審議だよ」と呼ぶ者あり)環境アセスだよ。だからアスベストの環境アセスをやっているんだよ。何を言っているんだ。  この写真は、飯能中央病院の三百五号室の部屋なんです。(写真掲示)四人部屋。長期療養患者、お年寄りが多いお部屋でございます。長官の方にも写真が行っていませんかね。同じ写真が置いてあるんです。ちょっと見にくいだろうと思ってお持ちしておるんですが。これは去年の六月二十一日の写真なんです。工事中です。スプリンクラー工事、設置のときの写真です。ここに緑がかったグレーの板が見えると思います。これが吹きつけアスベスト天井でございます。吹きつけアスベスト、防音のためにやる、もともとこれは飯能中央病院にあったアスベストですよ。だから、見ていただいたらわかりますように、はがされているんです。周りありません。ここに残っているんですけれどもね。除去しているんです。それを今度は下から囲い込みの、スプリンクラーの放水口を取りつけるための天井を張ってあるわけです。その上、これが除去されているんです、アスベストが。  こっちも同じ写真でございますけれども、はがされているわけですよ、除去されているんです。除去というのは大変なことなんです、これは。扱いが違うんです、除去方式というのは。囲い込み方式はアスベストにさわらない。これは作業員に大変な、がんにかかわる話だから、労働安全衛生法上の義務があるんです、除去の工事というのは。先ほど労働省から報告いただきました。  これが現在、ことしの同じ部屋です。これ、見てもらったらわかりますけれども、同じ部屋です。  下の緑のライン、それからカーテンレール、同じ部屋のこれは完成して現在。これが感知器です。  これがその前、アスベストが除去されているんです。  これは、理事会の許可を得てそのときの、こんなのはあってはならない、僕の手にあること自体がおかしいんですよ。これは同じものです。(資料を示す)だから、この工事は、スプリンクラーの設置のための工事はしっかりやったけれども、アスベストの工事はでたらめだったということの証拠なんですよ、これ。少なくとも除去されているということ。  これはよその病院ですか。これ、見覚えないですか。三百五号室です。これは前の写真です。これ、病院でしょう、飯能中央病院でしょう。除去されているんです。
  145. 石井道子

    国務大臣石井道子君) 今、いろいろ写真を拝見させていただきましたが、なかなか私もよくわかりません。  せんだって病院に問い合わせをいたしまして、よく調査をしてそして報告を受けたところでございまして、私の立場としては現在役職を離れておりますので、それ以上のことは調査もしにくいということでございまして、現在申し上げられないところでございますので、よろしくお願いいたします。
  146. 山下栄一

    ○山下栄一君 私の質問に対して誠意を持って答えてくださいよ。だから、でたらめの報告をしていたということを私は申し上げているんですよ。  これはこの場で、長官が知り得る限りの調査をされて、時間たったけれども、十五分間にわたって報告された内容がでたらめであったということを指摘しているんですよ。その責任どうとるんですか、あなた。もう私に対して逃げる一点張りのそんなのじゃ、質問できないよ、これ以上。どう責任とるんですか、あなた。
  147. 石井道子

    国務大臣石井道子君) 工事上のことは専門的な分野でありますので、私もよくわかりません。  写真を見ましてもその点はよくわかりませんので、重ねて申し上げますが、今まで病院にお願いをして調査をいたしました結果については、既に申し上げたとおりでございます。
  148. 山下栄一

    ○山下栄一君 質問できない。こんないいかげんな答弁をされたら質問できないよ。
  149. 渡辺四郎

    委員長渡辺四郎君) ちょっと速記をとめてください。    〔速記中止
  150. 渡辺四郎

    委員長渡辺四郎君) 速記を起こしてください。  委員長の方から長官に対して、今、山下委員から質問がありましたように、前回の報告と実態とが違うんじゃないかという質問に対して、長官の方は、前回調査をしてもらって報告を受けたとおりの報告をしたと。事実は違うというような山下委員の指摘ですから、委員長として長官にお願いしたいんですけれども、もう一回調査をして、そして報告をしてもらうということについて、環境庁長官考え方を聞きたいんですけれども
  151. 石井道子

    国務大臣石井道子君) 委員長に御指摘をいただきましたので、再度病院の方に問い合わせをいたしまして、調べてもらいます。
  152. 山下栄一

    ○山下栄一君 私はもう一度調べることは許しません。先ほど申し上げました。スプリンクラーの工事をするときはアスベストを除去しないとできないと消防庁はおっしゃっているわけだから。通常の工事はそうなんですよ、簡易的なあれだったら別だけど。病院の一部屋だけ工事をやったんじゃないよ、スプリンクラーの設置というのは。  大々的な配管工事せないかぬのですよ。取り外さないとできないんです。  それに対して、この前の報告がでたらめであったと私は申し上げているんです。その報告は適当にちょこちょこと調べて報告されたんじゃないんでしょう。全力を挙げて身のあかしを証明するために、まして内容はアスベストの問題だからこれは。環境問題そのものじゃないですか、これ。アスベストの環境影響評価の問題ですよと私は申し上げているんだから、冒頭に。だから、そんな報告は、もう一回調査をするということは、二十一日の報告は不十分であった、中途半端であった、いいかげんだったと、こういうことを認めることになるんですよ、あなたは。  ということは、この環境委員会における大臣発言を何と心得ておったのか、こういうことになるんですよ。もう一回調べるなんて、そんなこと許されないよ、そんなことは。
  153. 渡辺四郎

    委員長渡辺四郎君) 委員長の方から先ほど言いましたように、今、山下委員はそういうことを言っておりますけれども、問題は、長官の報告の中に、アスベストについては囲い込みでやったという前回の報告であったわけですけれども、山下委員が今提示をした写真を見ればそうでなくて、やはりはがして除去して、そしてスプリンクラーをつけたという写真を示しながらの質問でございますから、ですからそこが前回の報告とは根本的に違いますから、そこを含めてひとつ再調査をして報告をしてもらいたい。委員長からひとつ指示をしておきますから。
  154. 山下栄一

    ○山下栄一君 できないよ、そんなもの。
  155. 渡辺四郎

    委員長渡辺四郎君) ちょっと速記とめてください。    〔速記中止
  156. 渡辺四郎

    委員長渡辺四郎君) 速記を起こしてください。  暫時休憩いたします。    午後二時二十八分休憩      —————・—————    午後三時六分開会
  157. 渡辺四郎

    委員長渡辺四郎君) ただいまから環境特別委員会を再開いたします。  四時十分から再開することとし、休憩いたします。    午後三時七分休憩      —————・—————    午後四時十四分開会
  158. 渡辺四郎

    委員長渡辺四郎君) ただいまから環境特別委員会を再開いたします。  石井環境庁長官から発言を求められておりますので、これを許します。石井環境庁長官
  159. 石井道子

    国務大臣石井道子君) 私の説明した点につきまして、極めて不備な点がございました。まことに申しわけなく、深謝申し上げます。  本日指摘されました点については、早急に再調査をいたしまして、次回の委員会において御報告をさせていただきます。
  160. 渡辺四郎

    委員長渡辺四郎君) 休憩前に引き続き、環境影響評価法案を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  161. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 それでは、引き続きまして、質疑をやらせていただきたいというふうに思います。  これまでの委員会の中でも、今回の法案につきましては大変不備な点もまだあり、これから改正をされるときにはその改正をしていかなければならないような点も随分と指摘をされているわけでございますけれども、事後調査の件についてきょうはちょっとお聞きをしていきたいというふうに思っております。  事後アセスにつきましては、本法律案に明示がされておらないのではないかということで、環境庁にこの間ずっと説明をお聞きしてきたところでございますけれども、十四条一項七号ハの、準備書に書き込むことによってそれが担保されているとか、あるいは三十三条、三十八条の規定の中で明快にその事後アセスについては担保されているということの説明をいただいているわけですけれども、その点をもう一度詳しく、十四条一項、三十三条、三十八条について御説明をいただきたいと思います。
  162. 田中健次

    政府委員田中健次君) 新規あるいは未検証の技術や手法を用いるような場合等におきましては、予測の不確実性が伴うことにかんがみまして、影響の重大性やあるいは不確実性の程度に応じまして、その影響ないしは効果を評価後に把握いたしまして、その結果により適切に対策を講じること、これがいわゆる事後のフォローアップでございまして、これを実施することが極めて重要でございます。  このために、法案におきましては、事後のフォローアップの措置を準備書それから評価書に記載させることにいたしておりまして、十四条第一項七号におきまして、「環境保全のための措置」が「将来判明すべき環境状況に応じて講ずるものである場合には、当該環境状況把握のための措置」、これを記載することにしております。  これが七号のハでございますけれども、具体的にはこの七号のハによりまして、事業着手後の環境影響把握するための事後調査が書かれるわけでございます。また、この同じ号のロによりまして、その結果に応じて講じるべき環境保全対策が記載をされるということになるわけでございます。  次に、三十八条におきまして、「事業者は、評価書に記載されているところにより、環境保全についての適正な配慮をして」「事業実施する」ということで評価書に記載をしておりますので、この三十八条でその事業実施をすることについてその確保が図られるというふうに承知をしておるところでございます。  それから三十三条でございますが、三十三条におきまして個別法におきます条件に関する規定の有無やあるいは免許等に係る、要するに三十三条の第二項で、許認可等に係ります横断条項によりまして、環境の影響の審査とあわせて許認可判断するということでございますが、そこで判断をいたしますし、また必要に応じて条件を付することができるということがございまして、これで担保ができるということでございます。  さらに、法律の第十二条におきまして、「環境保全のための措置に関する指針」というのを定めることになっておりますけれども、この指針におきまして事後調査などの事後のフォローアップの検討に際しての考え方を定めるということにしておりまして、この指針に基づきまして事業者において適切に事後調査等がなされるようになるものと考えております。  以上、御説明を申し上げました諸点からこの事後のフォローアップというものがこの法案の中に位置づけられておると、こういうことを御理解いただきたいと思います。
  163. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 大変わかりづらい法律でございます。今お聞きをしておりますと、従来行われておりました閣議アセスによる事後調査の手続とほぼ同じことがこの法案によって担保されているということではなかろうかと思いますけれども、そういうことでよろしゅうございますか。
  164. 田中健次

    政府委員田中健次君) ただいまの閣議要綱におきますアセス制度、これにはこういう事後フォローアップの制度は規定されておりませんで、今回この法案によって新たに入ってくると、こういうふうに御理解いただきたいと思います。
  165. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 平成六年度の環境影響評価事例における事後調査実施状況というのをちょっと局長、見てくださいよ。これで、今の閣議アセスの中でも、平成六年度の影響評価がなされたのが百七十七件のうち百十三件、約六四%の事例で事後調査がちゃんと行われているという報告が出ているわけでしょう。  それでは、実施根拠、それは同じ評価書に明示がされているということの中でこの法律案と同じじゃないんですか。
  166. 田中健次

    政府委員田中健次君) 先生が今例に出されましたのは、私ども環境庁平成六年に都道府県あるいは政令市が行っております条例なりあるいは要綱等でやっております環境影響評価事例におきます事後調査実施状況に関する調査をいたしたものでございまして、これは自治体が独自にやっております制度の中の例でございまして、閣議要綱等でやっております例ではございませんので、御理解をいただきたいと思います。
  167. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 地方の例も入っているでしょうけれども閣議アセスにおいて行われたのも含まれているのじゃないですか。もう一度お願いします。
  168. 田中健次

    政府委員田中健次君) これは、地方で行われておる地方独自の制度を私どもの方で平成六年分を調査いたしたということでございまして、そういうふうに御理解いただきたいと思います。
  169. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 わかりました。  それじゃ、きょうは建設省の方に来ていただいておりますけれども、建設省では環境保全のために、建設省は随分大規模な工事をするわけですが、環境配慮した工事を進めていきたいということの中で平成六年一月に環境政策大綱というのをつくって、建設省独自でアセスメントをし、そして事後調査もしということで多分やってこられておると思いますけれども、この建設省の環境政策大綱というものはどういうものなのか。それから、今回の環境庁が所管になりますアセスメント法とのかかわり合い、関係といいますか、そこらをちょっとお聞かせいただきたいと思います。
  170. 守内哲男

    説明員(守内哲男君) 今、先生が御指摘ございましたように、建設省におきましては、平成六年一月に策定をいたしました環境政策大綱、これに基づきまして、環境を内部目的化して、保全と創造というものをスローガンにいたしまして、環境と調和をした住宅、社会資本整備というものに積極的に取り組んでいるところであります。  この大綱の中で、環境影響評価についてでございますけれども、このような全般的な趣旨を踏まえまして、環境アセスにつきましても、環境と調和をした国土形成を推進するという立場からは、環境への影響を的確に予測し、評価するということは不可欠であると、このような認識に立ちまして、的確な実施をするのはもちろんでございますが、経済社会情勢の変化でございますとかあるいは科学的知見の進展、そのようなものに応じまして技術指針等の見直しなどを行って極力充実を図っていくというようなことをこの環境政策大綱は書いているわけでございます。  一方、今回の法案は、住民等の関与を含めまして、早期段階で環境配慮を行うとか、あるいは環境影響につきまして十分に調査、予測、評価を行う、それから環境影響評価後のフォローアップの措置を取り入れるなど、規定されております一連の手続を的確に実施することによりまして適正かつ円滑な国土形成の推進が図られるというふうに建設省としても考えておりまして、その意味で本環境政策大綱と整合しているというふうに考えているわけでございます。  環境アセスメントにつきましては、今後とも的確な実施ということに努めてまいりたいと考えております。
  171. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 これまで建設省は、この環境影響評価実施して、計画の変更等も含めて実施をするというようなことでやられてきておると思いますけれども、このアセスメント大綱を入れた以後、建設省自体で計画の変更あるいは中止などありましたでしょうか。これはちょっと通告していなかったですけれども、お聞かせください。
  172. 竹村公太郎

    説明員竹村公太郎君) ただいまの御質問に十分お答えできるかどうかわかりませんが、私ども、社会経済の変化またはさまざまな技術の進展等によって事業は常に見直していかなければいけないという建設省の基本的な姿勢をただいま述べさせていただきました。  具体的に、私どもが担当しております大型公共事業の代表でございますダムでございますが、社会状況変化等を見据えて去年、平成八年度に四ダムの中止を決定いたしました。そのほか、ダム等事業審議委員会で審議している中で、従来定まっていた計画の内容を変更したらどうかという御意見、または、ある一部の事業ではちょっと中断したらどうかという御意見もございまして、その四ダム以外にも現在、計画の見直し、そして一時中断というような具体的な事例を去年、平成八年度に私ども経験してございます。  これも、その前はあるのかというと、私もちょっと記憶がございませんが、新しい時代の公共事業あり方等の大きな流れの中の一つの動きではないかと私は個人的に考えてございます。
  173. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 事後アセスといいますと、すぐに思い出すのが長良川河口堰のことなんです。大変国民的な大反対運動の中で建設省が運用を開始するという決断をした後、いろいろな住民意見を取り入れて、モニタリング調査等々をこの間も行ってきたことについては私も十分敬意を表していますし、そのことを行うことによってさらに事業の円滑な運営が図られてきたというふうにも思っておりますが、今、長崎の諌早湾で、この環境委員会でも大変問題になっておりまして、どうするかということの討議がされているわけですけれども、長良川河口堰のあの処理策ですか、そういうものを参考にすることができないだろうかなということの思いを込めてきょうは建設省にお話を聞きたいというふうに思っているわけです。  あの河口堰のゲートが降下された以降に環境調査というのはどのような形で行われていますか。
  174. 竹村公太郎

    説明員竹村公太郎君) 長良川河口堰は、平成七年七月に本格運用に入りました。それと同じ平成七年より、私ども、長良川河口堰の効果とその環境に与える影響を客観的、科学的に把握するためにモニタリング調査実施することにいたしました。  具体的な内容としましては三点、防災面、水質・底質、三点目が生態系、この三項目について私どもモニタリングをするということでございます。  防災面につきましては、堤防の安全性または地下水の変動、塩分の状況。水質・底質につきましては、水質につきましては十八項目にわたります各項目の水質の定期的な調査、そして底質につきましては、底質と申しますのは川の底の土質の状況でございますが、十二項目にわたりまして定期的な調査。そして、生態系につきましては、アユ、サツキマス等に代表される魚を初めとします長良川の動植物等につきましての追跡調査実施しております。  なお、この調査は、建設省、水公団が勝手にやるということではなくて、モニタリング委員会という十六名の学識経験者の方々の御助言と御指導によりまして実施しております。そのデータ、調査結果はすべて公表し、公開してございます。  以上がモニタリング調査の現状でございます。
  175. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 これから先もモニタリング調査実施しながら長良川の川の水質等々にも注意を払っていっていただかなければならないと思いますけれども、マウンドのしゅんせつがそろそろ終わる時期に来ておるのではないかなと思いますけれども、その進捗状況を教えてください。
  176. 竹村公太郎

    説明員竹村公太郎君) この長良川河口堰の目的は、しゅんせつをしますと、川底を掘りますと伊勢湾から海水がどっと逆流してまいります。その逆流を防止するために河口部で潮どめをしようというのが河口堰の目的でございます。  平成七年七月に本格運用、ゲートをおろして、伊勢湾からの塩水をとめて、直ちにマウンドのしゅんせつを開始しました。ただいまマウンドと申しましたが、これは長良川の川底にある盛り上がった土の大きな山でございまして、この山が実は洪水の流れを大変悪くしておるということでございます。私ども平成七年、八年、九年、三カ年にわたりましてこのマウンドのしゅんせつを実施しておりまして、現在概成に近づいてございます。  私どもの今の目的では、ことしの七月ないし八月ごろにはこのマウンドの完全な撤去が終わりまして、長年長良川沿川で洪水に苦しめられてきた方々に対して安心できる地域になるよう、非常に期待されておりますので、私ども、これに沿うべく、このマウンドのしゅんせつ完了を目指して、もうわずかでございますが邁進しているところでございます。
  177. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 なかなか長島の皆さんたちはそのことでもまだ安心ができない状況にあるということで、今でも問題意識を持って私たちにもいろいろな御要請なりいただいているところでございます。建設省でもそれなりに事後についてちゃんと調査をやっておられるということに対しては、今回の諌早の件についても何か応用できる点があるのではないかなというふうに思うんですけれども、そういう点で、環境庁の方から建設省等々に対して持っていらっしゃることについての問い合わせ等々はないのでしょうか。環境庁、どうでしょうか、建設省に御相談していますか。
  178. 渡辺好明

    政府委員渡辺好明君) 今建設省の方からるるお話がございましたけれども、実は長良川の河口堰に関連をいたしまして大変密接な連携関係を建設省との間でやっております。具体的には課長クラスの常時連絡会を行っておりまして、そこで建設省がお持ちのすべてのデータを私どもはちょうだいいたしております。諌早湾の問題につきましても、ここで応用ができるものにつきましては積極的に取り入れてまいりたいというふうに考えております。
  179. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 例えば、フラッシュ操作を重ねることによって水質を浄化していくというようなことは既にもう取り入れられているわけですけれども、ただ、長良川の場合と諌早湾の場合で違うのは、水の量がもう全然違うということなんですね。  諌早湾に注ぎ込む水の量と長良川が持っている水量というのは全く違うわけで、それで、フラッシュ操作をやることによって諌早湾の水質の浄化ができるかというと必ずしもそうではないのではないかなというふうにも思います。アオコの発生状況ども、長良川でも大変深刻な状況でアオコが発生をしてきた状況を私たちも見せてもらっているわけですけれども、これから暖かい時期になりまして、しかも、諌早湾上流の農地のところが作業に入るようになってくれば当然窒素や燐の量がふえて、そして水質が悪化をし、アオコの発生というようなことにつながっていくのではないかというふうに思うわけですけれども、その点について環境庁はどういうふうに認識しておられますか。
  180. 渡辺好明

    政府委員渡辺好明君) 先生が御指摘なさいましたように、長良川の河口堰のゲートの状態とそれから諌早湾のゲートの状態、非常にフラットに言いますと、諌早湾は左右にゲートがあってそれを操作するというシステムですし、長良川の場合には上下のフラッシュができるという特徴を持っております。やり方はそれぞれ違うわけでございますけれども先ほど建設省から御説明ありましたように、建設省の長良川のケースでは、モニタリング委員会を設けて、そこの御意見を常時間いて、それを取り入れるというふうにされております。  私ども、実は環境庁から農林水産省に提案をいたしまして、その種の水質をよくするための、維持するための委員会を早急に開催することにしております。そこの場で今の水質の状況を評価していただきまして、そしてどういう対策が具体的にとり得るかということの御提言をいただいて、これを取り入れていくという方向で対応したいと考えております。
  181. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 環境庁はこの間、諌早の連絡協議会を農水省と環境庁でというふうにおっしゃっていましたけれども、アドバイザーとして建設省の、ちゃんと今まで事後アセスをきちんとやってきておられる、あるいは工事をやってきておられる建設省からも御意見を聞くような機会をぜひ持っていただいて、諌早湾に対してもできるだけ早く対応ができるような形でやっていただきたいというふうに思っています。  きょうはアセスメント法の質疑の中ですので、もっと細かい点を、長良川についても問題がないわけではないですけれども、この程度にしていただいて、長良川で行った数々の経験というものをぜひ諌早の環境回復のためにも使っていただけるようにお願いをして、私、時間早いですけれども、中断をいたしましたので、きょうはこの程度でやめさせていただきます。よろしくお願いします。
  182. 竹村泰子

    竹村泰子君 初めに、林道の問題につきましてちょっとお伺いしておきたいと思います。  この法案では、対象事業が「イ」からずっと書いてあるわけですけれども、その中に林道が入るのかどうか。それは出てきていないんですね。  林道という名前は出ていないのですけれども新聞には「アセス法案、国会へ」という、これは三月二十七日の新聞ですけれども、「法案アセス対象に発電所を加え、政令で定める大規模林道、鉄道を含めて十四事業に増やした。」というふうに記事があるんですね。これは、この新聞の記者の方にお聞きしますと、プレス用の対象事業の一覧というところには大規模林道及び在来線鉄道、政令レベルというふうに入っているんですね。このことは法案そのものでは出てきておりませんので、一体どこで大規模林道のことが含まれるという、その根拠を教えていただきたいと思います。
  183. 田中健次

    政府委員田中健次君) 法案の第二条第二項の第一号イに「高速自動車国道、一般国道その他の道路法第二条第一項に規定する道路」、その次に「その他の道路」というのがございまして、要するにイの一番下のところの「その他の道路」でございますけれども、ここの「その他の道路」に当たるものといたしまして、これは大規模林道につきましてはこれから政令で定めるという予定でございます。
  184. 竹村泰子

    竹村泰子君 これまで、建設大臣所管の高速自動車国道、一般国道、その他の道路の新設及び改築ということで、林道は道路法による道路ではないので、たとえ国の行う大規模な公共事業であって補助金の事業であっても、林道は実施要綱の対象事業になっていないんですね。このため、森林開発公団は大規模林道では環境アセスメント実施する必要はないとして、これまでは大規模林道が国立公園や国定公園などを通る場合でも、公団が特に環境保全のために必要と判断した場合のみ独自に公団がアセスを行っていたという、そういうことで大変な環境破壊が次々とあるということは御存じのとおりです。これまでも大規模林道においても環境アセスを行うべきではないかという質問が衆議院や参議院の環境委員会でたびたび、予算委員会でも繰り返し行われております。  それで、この結果、九五年二月二十四日の閣議で決定された「特殊法人の整理合理化について」において、森林開発公団が行う未着工の大規模林道に環境アセス実施することが義務づけられることになったと聞いておりますけれども、これを受けて、公団の中に大規模林業圏開発林道環境アセスメント検討会というのが設置されて、実施要領が森林開発公団が実施するものとして実施されているということになっているんです。  私はこれまでに、公団の内部的ないわば内輪のアセスメントで、いや、異常ないですよとか、そういういいかげんなアセスメントでたくさんの環境被害が出ている例を見聞きしております。一々挙げませんけれども。きちんとアセスメントが行われていればこういうことは起きなかったんじゃないかという事故も起きている。こういう状態がありますので、大規模林道に、あるいは自然環境保護などに加わっている方たちは大変心配しておられるんですね。  この「その他の道路法」という道路というところに大規模林道が入るのかどうか、このことをきちんと確認的に質問をして、お答えをいただいておきたいと思います。環境庁はほかの省庁とも、農水省とかとも話し合いをして、そういうふうに政省令で定めるというふうに決めておられますね。
  185. 田中健次

    政府委員田中健次君) 基本的には、これは法律をお認めいただきまして、法律の公布後六月以内に政令で定めるわけでございますけれども、この大規模林道、それからもう一つ在来線の鉄道、これにつきましては政令対象にするということにつきましての基本的な合意が既に環境庁とそれぞれの主務官庁との間でなされているところでございまして、これは私どもとしては間違いなく政令に入る、こういうふうに考えております。
  186. 竹村泰子

    竹村泰子君 申しわけありませんが、大臣も一言御答弁をお願いいたします。今のでよろしいですか。
  187. 石井道子

    国務大臣石井道子君) そのとおりでございます。
  188. 竹村泰子

    竹村泰子君 私、さっき広域基幹林道のことも言いましたが、大規模林道が含まれて広域基幹林道が含まれないという合理的な根拠もこれわからないんですけれども。例えば、それじゃ広域農道はどうなのかとか、いろいろ規格やあれがあってお決めになっているんだと思いますけれども、公正なアセスということからいえばやっぱり環境庁がしっかりこれは握っていただいて、そして公正な第三者によって行われるべきアセス、これを実施してほしいと思うのですけれども、どうですか。
  189. 田中健次

    政府委員田中健次君) 先生今お話にございました大規模林道のほかに、広域基幹林道それから広域農道も挙げられましたけれども、私どもといたしましては、法案では、規模が大きくて、それから国の立場から見て一定の水準が確保された環境影響評価実施することによって環境保全上の配慮をする必要がある事業、こういう事業対象とするということで、これはこれまでにも申し上げてきたところでございます。この広域の基幹林道につきましては、大規模林道と比較をいたしましても、事業規模あるいは公益性などから見てこうした要件に当たるものではないというふうに考えることから、今回対象事業とはいたしておりません。  それから、広域農道でございますけれども、広域農道につきましても、これも事業規模あるいは路線が通過する地域の特性等から見ましてこうした要件に当たるものではないというふうに考えられることから、対象事業といたしておらないというところでございます。
  190. 竹村泰子

    竹村泰子君 満足できる答弁ではないのですけれども、今のところはそれ以上の答えは出てこないかなと思います。  それでは、次、六十条関係なんですけれども、この六十条のところで非常に私たちが心配をしておりますことは、例えば東京都では平成九年四月、東京都総合環境アセスメント制度検討委員会が、東京都における環境配慮制度あり方という答申で、計画段階アセス、第三者機関の設置の二つを提言して、東京都では国の事業についてもその実施検討しておりますけれども、このアセス法ができますと、このような進んだ制度はどうなりますでしょうか。国の事業対象にしているアセス条例、これは改正させるのでしょうか、どうなんでしょうか。
  191. 田中健次

    政府委員田中健次君) この法案の六十条第二号におきまして、この法律の規定に反しない限り条例で定められるということになっておりますけれども、ただいま先生お話しになりました東京都の計画アセス制度でございますが、これは現在検討中でその詳細は明らかではございませんけれども、政策や上位に関する環境影響評価手続につきましては、私どものこの法案におきましては港湾計画を除きまして規定をいたしておらないところでございます。  したがいまして、一般的に申しますと、政策や上位計画に関する手続を定める条例につきましては、この法律の規定に違反しないかどうかという問題は生じないというふうに読めますから、この法律にも規定はございませんので、東京都が条例をおつくりになっても全然これはこの法律に抵触しない、こういう御解釈をいただきたいと思います。
  192. 竹村泰子

    竹村泰子君 そうですが。それで、この法律ではアセスについて事業者への義務づけが規定されていますけれども条例で例えば計画段階アセス勧告にとどめて規定しても法に違反しないでしょうか、どうでしょうか。
  193. 田中健次

    政府委員田中健次君) 計画段階のアセスメントにつきましては、ただいまもお話をいたしましたように、反するところはないというふうに思います。
  194. 竹村泰子

    竹村泰子君 ありがとうございました。  それでは次の質問に移りたいと思います。  けさほども馳議員が質問をしておられましたけれども、「リゾート開発見直し指針」という新聞記事、これは一紙あるいは地方紙に出ているんですけれども、私は環境庁がここまできちんとリゾート法を見直そうというところまでいってくれたんだなと思ってとても喜んでこの記事を読んだのです。  「リゾート構想見直しのための環境配慮指針ガイドライン)」というふうに出ております。そしてこの記事によりますと、たくさんのリゾートに問い合わせをして、調査をして、そのうち六十二、二八%の事業環境面での対策が不十分だと判定されたというふうに出ていて、リゾート法がいろいろ問題視されながら十年たって、ようやく私たち環境にかかわってきた者がこういうチェックができるようになったのだなと思って私は非常に喜ばしく思って、どんなものを出したんだと環境庁にお聞きしました。  そうしましたら、実はまだ何もまとまっておりませんというお返事で、私はこういう新聞記事が何もまとまっていない段階で書けるのかと。大きな記事ですよ、これ、七段抜きの。業界紙でもなく、これは読売新聞ですから大きな新聞ですけれども。そんなわけないでしょうということで環境庁にいろいろお聞きしましたところ、まだ調査の段階でございましてお出しできるものはございませんというお返事でした。それで、だからどんな調査をして何をやっているんだかあれしてちょうだいと言いましたら、こういう一枚にまとめて持ってきてくださいました。  ところが、これは実を言うと、ことし二月に衆議院予算委員会で保坂議員が質問をしておられるんですね。九四年九月の朝日新聞リゾート構想環境面から見直すことのガイドラインをつくるということをお決めになったという記事が出ている。今始まったわけではない、九四年の九月の新聞にももう出ていると。そしていろいろとリゾートの問題を質問されて、そしてその構想を持ってこいと二月の段階で保坂議員がおっしゃったら、実はそれは正式の筋ではなかったのかもしれないけれども、これだけ、(資料を示す)三十ページぐらいのものが出てきたんだそうです。私にはこれ一枚です。これは何ですか、一体。  これ、私は大変喜んで、環境庁のこういう行動については応援したい、どういうものをやっていて、そしてどんな調査の結果が返ってきていて、どんなふうにそれを見ているんですかと、知りたかった。それなのに、何とこの違いは、これは何なんですか。私はこれは怒りました、きのう、環境庁と。私たちこれだけ環境庁のために一生懸命やろうと思っているのに、こういうことをやられたら。いいことをやっているんですよ。なぜ隠すんですか。途中の経過で出せないなら途中の経過で出せません、しかしこういうものが実はございます、これはでも公にしておりませんのでお手元にとどめてくださいとか、私はそんなに信頼ができないのですか。これは大変失礼な話だと思いましたから、聞かざるを得ません。
  195. 田中健次

    政府委員田中健次君) ただいまお話がございました件でございます。私どものこの調査は、現在まだ進行しているものでございまして、私どもとしてはまだまとまっておりませんので、これはまとまれば公表をしてきちんとしたいと思っておりますが、まだ成案ができておりませんで、これからいろいろまだまだ詰めるところもございます。そうしたことで、私どもとしてはまだ未完でございますので、完成すればまた十分ごらんをいただきたいと、こう思っておったわけです。  今お話がございました、事実、その途中の過程でございますけれども外に出ておるということ、私どもこれは承知をしておらない事例でございまして、大変遺憾に思います。まだ途中の過程で、そのプロセスの中身がどういう過程かわかりませんけれどもそういうことになったということは非常に申しわけなく思います。  そういうことで、私どもとしては十分気をつけておったつもりでございますけれども、また先生に対しましてそういう失礼な行動をとるつもりも全然ございませんでした。大変申しわけなく思いますけれども、その点につきましては、過去の経緯等につきまして私どもとしては十分存じないところでございまして、失礼の段があった点につきましては御容赦をいただきたいと思います。  今後、できるだけ早急に案をまとめましてお持ちをいたしたいと思いますし、今後はプロセスでもお出しできる点がありましたらできるだけ先生にもお出しをして御相談していく、こういう姿勢で臨みたいと思いますので、お許しをいただきたいと存じます。
  196. 竹村泰子

    竹村泰子君 こんなことで情報公開なんてできませんよ。確かに途中の段階でいろいろごちゃごちゃ言われるのは嫌かもしれない。でも、いいことをやっているんですよ、これ。とてもいい調査をやっているんです、まとまっていないかもしれないけれども。  そして、これはある新聞の小さな記事ですが、「橋本首相の一日」という五月二十三日の記事ですけれども、橋本首相が、「午後〇時二十八分」と時間も入っていますが、「環境庁リゾート開発を見直す指針を策定したことについて」と聞かれて一言、「不備があれば見直すというのが当然のことだろう。何もリゾート法に限ったことではないよ。」、こう答えておられる。これはぶら下がりの記事だと思いますけれども、そういうふうに答えていらっしゃる。  私は、これを聞かれたらきっと橋本さんも嘆かれるんじゃないかと思うんですけれども、こういうことをやってもらっちゃやっぱり情報公開も何もないわけで、私たちはいいことをしたときにはうんと褒めてあげようと思っているわけですから、何もいつもけなすばかりじゃなくて、いいときには褒めてあげようと思っているわけですから、そういうことは勇気を持ってどんどんやっていただかないと困ります。  環境庁長官、一言御感想を。
  197. 石井道子

    国務大臣石井道子君) その問題につきましては、私も正式に連絡を受けたことはないのでございまして、詳細については存じ上げませんけれども環境庁というのは各省庁の政策の調整官庁であるという立場がありますので、多分私はこのリゾート構想見直しについては相当いろいろと各方面に配慮をしながらいろいろと取り組んでいるのではないかというふうに思います。  当然、その結果がまとまるまでの段階で、御意見なり御要望をお聞きする必要があればまたそのような場もあるのではないかというふうに思っておりまして、竹村委員の環境行政に対します熱い心をしっかりと受けとめさせていただきたいと思います。
  198. 竹村泰子

    竹村泰子君 私はそういうことを聞こうと思ったんじゃなくて、こういうことを環境庁がやったことについて長官、責任者としてどう思われますかと一言お聞きしたいと思ったんですが、まあいいでしょう。  それでは、時間がありませんので次に移ります。  先日、諌早へ行ってまいりました。もうどぶ池のようになって悪臭を放つ調整池になっていました。これは新聞にも出ておりますけれども、閉門前より水質は二倍悪化したと、CODの値が二倍になっているというふうに新聞も書いております。当然ですよね、塩水が入らなくなってそして閉め切ってこの暑さですから当然だと思います。  これは県の調査です。限りなく広がるひび割れた干潟、その中に、まだ割れ目の中に小さな生物たちがうごめいておりました。ちょっとその汚い水を私は覚悟してなめてみました。ほとんど味はありません。ほとんど塩は抜けています。その中で、淡水魚じゃない、要するに海の魚が苦しげに跳び上がっておりました。  諌早については私たちもいろいろな観点から質問を続けてまいりましたけれども、先日も公聴会の公述人の方も言っていらっしゃいましたけれども、重大な危機にある日本の干潟ということで、日本最大の干潟、この閉め切りの衝撃と沸き上がる世論、これは一体何なのだろうかと。先日もムツゴロウの問題ではないと私は申し上げましたけれども、全国で進んでいる自然破壊へのこれは怒りが噴き上げているんじゃないかと、立ち戻ることのない行政への怒りがここに噴出したのではないかと、辻日本湿地ネットワーク代表委員も先日そんなふうにおっしゃっておりました。  我が国の干潟の現状というのを先ほどお聞きして調べていただきましたら、平成元年から平成三年、つまり三年間に実施した第四回の自然環境保全基礎調査海域生物環境調査結果によりますと、消失面積が三千八百五十七ヘクタール、これはちょうど諌早のすべての調整池も含めた広さぐらいになるのではないでしょうか。そして、それはたしか山手線の中の広さの約三分の二というふうに聞いております。そのぐらいの広さが消滅しちゃっているんですよね。消滅比率は七・〇%。  こういう状態で、我が国の干潟は今消えていっているということで、この問題が大変社会問題化しまして、地元長崎県は逆にその事業の必要性を訴えるために大規模な陳情合戦を繰り広げられました。その陳情書の中に地元の農業団体、漁業団体も了承しているということが含まれたと聞いております。農水省、長崎県のねらいは、農民そして漁民も賛成している話なのですよとおっしゃっているんだと思いますけれども、残るのは防災効果ということで、はっきりした形で効果がないという結論は出しにくいのかもしれません。これで水門をあけろという要求を抑え込むことができるとお思いでしょうか。私はかえって問題を深くしてしまったのではないかと思うんですね。  まず、農水省のインターネットの掲示板、これは国内のみならず世界各国から抗議の電子メールが入っているという報道がありました。どういうふうに入っておりますか。
  199. 岡本芳郎

    説明員(岡本芳郎君) 諌早湾干拓事業におきましてさまざまな議論がなされていますことから、農水省のインターネット・ホームページにおいて一般方々から事業についての意見を受け付けております。また、国内、海外のNGOからも意見の書簡やファクスが送付されているところでございます。これに対し、農水省の考え方をインターネット・ホームページ上で掲載し、お答えしているところでございます。  具体的件数でございますが、ホームページに寄せられました意見の数は、五月三十一日現在四百八十九件でございます。それから、国内及び海外のNGOからの意見は、国内百九十団体、海外十団体になっております。
  200. 竹村泰子

    竹村泰子君 何か簡単に、四百八十九件でございます、十団体でございますというと、何かちょっぴりみたいに聞こえるんですよ。だけれども、アメリカの全米野生生物連盟、全米オーデュボン協会、国際河川ネットワーク、このNGO連合、これは諌早湾のためにつくられた諌早湾を守るアメリカNGO連合ですよ。これはどのぐらいの人数になるかといいますと、五百万人を超えるんです、五百万人。NGOはNGOだと、日本ではそんなの別に大したことはないとお思いになるかもしれないんですけれども、これだけの人が諌早湾のためにアメリカNGO連合というのをつくってまで抗議をしておられる。この気持ちを農水省はどういうふうに受け取っているのかなと私は思います。  大臣がお見えくださっていればまたきちんと大臣どう思うんですかと聞きたいところですが、お見えくださっておりませんので聞けませんけれども、要するに単なる国内の問題ではなくて世界じゅうに広がっていると。そうすると諌早湾の次の干拓、次々干拓事業がまだあるでしょう、残念ですが。やりにくくなるんじゃないでしょうかね。  ここでひとつ、環境庁がなぜここまでその出番なのに出番をなくしているのか、私は考えてみたんです。どうしてもわからない。普通は閣僚懇談会というのは、閣僚懇の前にはその内容について事前の準備的な話があるのではないでしょうか。五月二十日の閣僚懇、環境庁長官意見をおっしゃらなかったその閣僚懇の前に、諌早の件で懇談があるようだと環境庁長官は聞いておられましたか。——いや、長官が耳で聞いておられましたかと。お役人に聞いてもわからない。
  201. 石井道子

    国務大臣石井道子君) 何というか、ちょっと私もはっきりとした正式な打ち合わせとかそういうふうなことはなかったと思いますが、あるいは農水大臣発言をするということを聞いたというふうに覚えております。
  202. 竹村泰子

    竹村泰子君 諌早についてそういう話し合いがあって農水大臣がお話をなさるということは聞いておられたんですか。
  203. 石井道子

    国務大臣石井道子君) そういう感じではなくて、農水大臣発言をするようだという、そういう事前の話は聞きました。
  204. 竹村泰子

    竹村泰子君 それは諌早についてということではなくて、農水大臣がただ発言をされるということを聞いておられたという意味なんでしょうか。私が何を聞きたいかといいますと、結局閣僚懇の前にはそういう事前の打ち合わせがあるんだと思うんですよ、私閣僚になったことありませんからわかりませんけれどもね。それを、環境がこんなに非常に大きな影響を持ち、そして環境庁の出番だと言われながら、全く環境庁には何の断りもなかったんですねということを聞いております。
  205. 石井道子

    国務大臣石井道子君) 閣僚懇の前には閣議がございまして、そこでの発言というのは事前にきちんとした手続をとって発言をするようになっておりまして、その後の閣僚懇談会については事前のそのような調整とか打ち合わせはないというふうに聞いておりまして、ある程度その場において考えたこと、思ったことを発言するという、そういう場であると私は認識しております。
  206. 竹村泰子

    竹村泰子君 わかりました。環境庁には何の前もっての事前の打ち合わせ、お話はなかったということですね。  環境関係の国際会議、COP3が十二月にあるわけですけれども、たしか総理も国連の環境特別総会でスピーチをなさると思います。デンバー・サミットもあります。そういうところで私は日本の立場が悪くなることを非常に心配しております。六日の日に総理にもお聞きしょうと思いますけれども。次のラムサール条約の締約国会議はいつでしょうか。
  207. 澤村宏

    政府委員(澤村宏君) お答え申し上げます。  ラムサール条約の締約国会議につきましては、通常三年に一回開催されておりまして、次回のラムサール条約第七回締約国会議は一九九九年五月にコスタリカで開催される、そういう予定となっております。
  208. 竹村泰子

    竹村泰子君 そうやって次から次へと国際会議があるわけで、日本は先日来の地球温暖化の問題でも非常に期待をされ、そして注目をされているところでありますから、こういう諌早のような問題で無視されたような、あるいは何の発言もないようなそういうことでいっていいのかなと思います。  ここで湿地と干拓の問題について触れてみたいと思います。  先日、同僚議員から日本自然保護協会のレポートにより湿地の減少状況指摘されました。これはこのデータに基づくものですから環境庁は十分承知していると思いますが、湿地の浄化機能を初めとする生態系における重要性も認識しているんでしょうか、どうでしょうか。
  209. 澤村宏

    政府委員(澤村宏君) 湿地の持ちます。そういう環境保全機能というものにつきまして、私どもも認識しているところでございます。
  210. 竹村泰子

    竹村泰子君 不思議に思うのは、我が国のラムサール条約登録湿地には干潟が少ないんですね。  谷津干潟ぐらいしかないんです。とても不思議だと思います。もしかしたら湿地というか干潟のそういった生態系における機能を余りよくわかっておられないのかしらと、そういうふうにも思えるわけです。  我が国の歴史は、国土面積が小さな国ですから面積を広げて農地などに利用するための埋め立ての歴史だったと言ってもいいかもしれないですね。オランダではそれほどでもありませんが。そのオランダが二十年も前に、生態系を守るため、従来の干拓の政策を転換してしまいました。これは新聞にも載っておりましたが、このことは環境庁も農水省も御存じだと思いますが、干拓によって土地を広げる必要性は我が国よりはるかに大きいのにこの転換。思い切った勇気ある転換と我が国の方向性、一度決めた公共事業をどんどん必要もないのにやっていかなきゃならないというこの方向性、これは大きな責任があると思いますが、環境庁、農水省両方からお考えを聞かせてください。
  211. 岡本芳郎

    説明員(岡本芳郎君) オランダは国土の約六四%が農業用地でございまして、食糧自給率が極めて高くなっております。バレイショ一三五%、生鮮野菜二五四%、豚肉二七八%。特に生鮮野菜や酪農品、畜産品については国内需要の二倍以上を生産しております。アメリカ、フランスに次ぐ世界第三位の農産物輸出国になっておるところでございます。このような背景がありまして、ヨーロッパ共同体の共通農業政策による生産抑制と農産物価格の引き下げという状況等の中で、オランダでは新しい干拓を実施していない状況にあるわけでございます。  一方、我が国の自給率は年々減少しておりまして、平成七年の総合自給率は四二%で、主要先進国の中で最低となっております。農地面積につきましても、昭和三十六年の六百九万ヘクタールをピークに年々減少いたしまして、平成八年には四百九十九万ヘクタールにまでなっております。現在も四、五万ヘクタールずつ年々減少しておるという状況になっております。このようなことから、干拓に対する考え方がオランダと我が国では相当違うというふうに思うわけでございます。
  212. 田中健次

    政府委員田中健次君) オランダで既存の干拓地を自然地に戻す試みが行われているということは私どもも承知をいたしておりまして、積極的に自然の回復を図る施策として参考になるものと考えるところでございます。  しかしながら、干拓政策のあり方につきましては、それぞれの国におきまして環境保全面のみならず国土政策全般の中で検討されるべきものとも考えるわけでございますが、環境庁といたしましては、今後環境アセスメントの中で個別の事案ごとに適切な環境保全対策を求めていくということとともに、オランダの例なども勉強しながら、環境本法あるいは環境基本計画の精神をいかに国土政策の中で生かしていくかということで検討していきたいと思います。
  213. 竹村泰子

    竹村泰子君 きょうはこれで終わります。
  214. 有働正治

    ○有働正治君 法案について幾つか御質問いたします。質問に的確に簡潔にお答えいただければ助かります。  まず一つは、代替案検討をめぐってであります。住民参加代替案検討についての国際的教訓の一つとしてイギリスの例が挙げられるわけであります。  一つだけ実施例として取り上げたいと思うのでありますが、ロンドンと英仏海峡トンネルを結ぶ全長百八キロの英仏海峡トンネル連絡鉄道建設の環境アセスであります。当初二十八のルート案が検討されたが、その後大まかな四つのルート案の環境への影響についての比較環境審査が実施されたと聞いているわけであります。  この段階で、一つのルート案は国際的に重要な湿地への影響が伴うとされ、この案は好ましくないとされたわけであります。ラムサール条約湿地登録数百七カ所、断トツ一位の国だと。ちなみに日本は十カ所でイギリスの十分の一で、ラムサール条約釧路会議以後はたった一つで最高登録数の四十分の一と、嘆かわしい日本の実態であります。  そこで環境庁に聞きますが、この英仏海峡トンネル連絡鉄道建設のアセスは、一九八七年にルート選定調査を開始してから、六年後の九三年に当初の二十八案から四つの案に絞り、それぞれの環境審査をもとに最終的に選択された案について、地方自治体住民、NGO等から一九九三年から九四年にかけて説明意見を聴取したようであります。説明会の回数、参加人数はどれぐらいになっているか、まずお示しください。
  215. 田中健次

    政府委員田中健次君) 御指摘事例で私どもが承知しておりますのは、一九九三年から九四年にかけまして六百五十回の説明会が開催をされて、二万三千人が参加をしているというふうに聞いております。
  216. 有働正治

    ○有働正治君 情報公開と住民参加、そして住民とNGO等の意見を踏まえた代替案検討をイギリスでは一例としてそれだけやっているわけであります。そしてそのほかの国でも、代替案についてはアメリカ、カナダ、オランダ、ドイツ等で各国のアセス制度位置づけられていると承知しているわけであります。  そこでお尋ねするわけでありますが、住民意見事業者の意思決定に反映される仕組みでなければアセスの本来の目的が果たせないわけであります。その点で、住民意見事業者の意思決定に反映する仕組みを本法案の中に、事業計画の変更と中止措置、そして代替案検討、こういうのをより明確に盛り込むべきではないかと思うわけでありますが、この点についていかがでありますか。
  217. 田中健次

    政府委員田中健次君) まず、事業計画の変更あるいは中止の規定についてでございますけれども、本法案では手続の各段階におきまして事業者が聴取をいたしました意見等を踏まえまして、適切な環境配慮を行い、環境保全対策を追加するなど事業計画を変更していくことが予定されるところでございます。方法書、準備書、評価書等に意見の概要あるいは見解等も書きますし、あるいはまたこれが公告縦覧されていく、こういうプロセスで事業計画を変更していくということが予定をされております。  また、最終的には許認可等の審査におきまして、環境影響評価の結果によっては許認可等を与えないこと、あるいは許認可に当たって条件をつけることができる旨の規定も備えておるところでございます。こういうことで、本法案によりまして対象事業に係ります環境保全について適正な配慮が確保されるというふうに考えております。  それから、代替案につきましては、これは中央環境審議会答申も踏まえまして、法案では十四条第一項七号のロでございますが、準備書に環境保全のための措置及び環境保全措置を講ずることとするに至った検討状況を記載させることといたしております。これによりまして、複数案を比較検討したり、実行可能なよりよい技術が取り入れられているかどうかを検討するなど、環境保全対策の検討の経過が明らかになるものというふうに考えております。こういうふうに、法案ではそれぞれ仕組んでおるところでございます。
  218. 有働正治

    ○有働正治君 私は国際的な経験、先進の例に従ってより明確に代替案検討を盛り込むということが重要であることを改めて指摘しておきます。  次に、公聴会問題であります。  アセス制度における住民参加は、単に環境情報を提供するための説明会開催にとどまらないで、住民などの意見事業者の意思決定に反映させる公的な仕組みが必要不可欠であるわけであります。少なくとも、アセス手続で事業者が示す各種の提案について、住民等が公的に意見を述べることができる場としての公聴会を開催する必要があると考えるわけであります。  我が国での公聴会の活用の例として、東京都条例の実例で見ますと、私ここにその記録も持っていますけれども、東京都環境影響評価書案、臨海副都心台場地区住宅建設事業に係る環境影響評価に関する公聴会記録がございます。これを見ますと、この一件だけで関係住民、専門家から二十五人の公述人が一人十五分間の意見を述べています。そして、公述された意見は全文印刷され、全員分が独立の冊子として第三者機関としての独自の権限を持つ審議会委員に配付されて、審議会の意見をまとめる資料に資することとされているわけであります。公聴会における公述人の意見の扱いというのは極めて丁寧でインパクトが強く、そして住民、専門家からも評価されているところであります。  こうした公聴会は、環境を守る立場からの運動の積み重ねや、それぞれの地域の特性に応じて地方自治体が自主的につくり上げてきたものであるわけであります。それに至る苦労、いきさつもいろいろあるわけであります。  そこでお尋ねします。  環境庁として、こうした運動あるいは地域に応じて積み上げられてきた条例や要綱に基づく公聴会については、しかるべき評価されているはずでありますが、どのように評価されておられるか、簡潔にお願いします。
  219. 田中健次

    政府委員田中健次君) 公聴会の開催について、現在、条例あるいは要綱等を制定しております五十一の都道府県、政令市の中で、二十団体におきまして知事あるいは市長が準備書を審査し、事業者意見を述べる際に住民意見把握するという観点から規定を設けております。五十一のうち二十が設けておると。  このように、公聴会は地方アセス制度におきまして客観かつ公正な審査の確保のための一つの仕組みとして取り入れられておるところでございまして、地域の実情に応じた環境影響評価取り組みに一定の役割を果たしているものというふうに認識をいたしております。
  220. 有働正治

    ○有働正治君 その点で確認するわけでありますが、法案とのかかわりで、都道府県知事が意見を述べる際、都道府県が条例などに基づいて公聴会を自主的に行う、それ自体を妨げるものでないということは明確だと思いますが、この点についてどうなのか。六十条とのかかわりを含めて前向きに環境庁としても対応すべきだと考えるわけでありますが、いかがでありましょうか。
  221. 田中健次

    政府委員田中健次君) 条例との関係につきましては法案の六十条に規定をしておるところでございますけれども地方公共団体がその意見を形成するに当たりまして、公聴会の開催などを独自に条例で定めることができるというふうな仕組みでございます。
  222. 有働正治

    ○有働正治君 そこで、またお尋ねしますが、こういう一定の評価をされているという状況の中で問題になるのは、今回、国の環境影響評価法が制定されて、評価手続が適用されることによって、今まで地方条例等で規定されていたそういう公聴会がその根拠を失いかねない。つまり、自治体で公聴会が行われていたものが今回の法制定によってできなくなるのではないかとの懸念というのがさきの公聴会の中でも意見が出されているわけであります。  その点で、地方自治体条例等が変えられる場合、今まで蓄積されたそういう経験が無にならないで一層発展させる必要がある。そういう点で、環境庁として積極的に自治体の経験を知らしめるなりしながら、自主性を尊重して対応していただきたいと思うわけで、この点、長官として御答弁いただければと思います。
  223. 石井道子

    国務大臣石井道子君) 地方の実績、経過を踏まえまして、このことについては十分に反映できるようにしていくべきであると考えております。
  224. 有働正治

    ○有働正治君 次に、第三者機関の設置の必要性をめぐっててあります。  アセス制度における評価書の審査は客観性、信頼性を確保することが重要でありまして、独立、中立の第三者機関としての審議会、審査会が設置されて有効な機能を果たすことが求められているわけであります。それが損なわれますと住民などとの信頼そして納得を得ることはできないわけであります。  そうした趣旨や手続の円滑な履行を確保する努力の重要な方法として、都道府県と政令指定都市などの環境アセス条例、要綱では、制度をつくっている五十一自治体のうちに四十五自治体、九割が審議会等を設置し、義務としてもしくは必要に応じて審議会等を開催しているわけであります。  特に政令指定都市ではすべての自治体で審議会等を設置していると承知しているわけでありますが、この点、事実確認を求めるわけであります。
  225. 田中健次

    政府委員田中健次君) 現在、地方公共団体制度におきまして審査会等の第三者機関の設置規定を有する団体は、五十一団体のうち四十四団体というふうに私どもは掌握をしております。それで、政令指定都市でございますけれども政令指定都市十二あるわけでございますが、その中で条例を持っているのが一団体、それから要綱を持っているのが八団体で、十二のうち九団体アセスメント制度を有しておりまして、その十二の中の九団体は、これらすべてに審査会等の規定が置かれております。
  226. 有働正治

    ○有働正治君 若干数字が違ったようであります、これはもう一度確かめたいと思いますけれども。かなり大半がそういう第三者機関的な審議会等を設置して、意見を反映すべく公正な取り組みをやっているということだと思います。  その中で、東京都条例による環境影響評価審議会というのは、事業者がまとめた評価書案とそれに対する住民意見、関係自治体首長の意見等を検討し、修正、補足、追加すべき事項を審議会審査意見としてまとめ、事業者に対し改善を求めているわけであります。  具体例の一つとして、都市高速道路外郭環状線、放射七号線で、埼玉県境間に至るこの外郭環状線建設事業に係る環境影響評価書案に対して、アセス審議会として、現地調査と六回の審議の結果、大気汚染、騒音、振動、植物、地形・地質、景観など三十三項目にわたって改善を求めているわけであります。また、首都圏中央連絡道路建設事業については五十七項目、八王子都市計画道路建設事業に対しては三十二項目と、それぞれの改善を求めているわけであります。  外国例では、オランダでは環境影響評価委員会が国内の専門家たちの中から選ばれて設置されているようであります。カナダでも審査委員会が設置されているようであります。  このように、自治体の例や外国の例の教訓から見ましても、事業者許認可権者とは独立した中立の地位にある第三者機関としての環境影響評価審査会、これを中央段階及び都道府県段階に設置すべきだ、こういう意見が強く日弁連等を含めまして指摘されているわけでありますが、この点をどう受けとめておられるのでありましょうか。
  227. 田中健次

    政府委員田中健次君) 環境影響評価制度の信頼性を高めるということのためには、中央環境審議会答申におきましても提言をされておりますように、許認可等を行う主務大臣等による審査に加えまして、第三者が審査のプロセスに意見の提出を通じて参画することが必要でございます。  このために、本法案におきましては、環境庁長官が第三者として意見を述べることといたしまして、これまでと違いまして、必要に応じ意見が述べられるということになります。そういうことで、客観的かつ公正な審査が確保されるというふうに法律上構成をしているところでございます。  環境庁長官が第三者として意見を述べる、この際に、必要に応じまして外部の専門家の知識やあるいは経験も活用をいたしまして、さらに適切な意見の形成に努めまして審査の信頼性を高めていきたい、こういうふうに考えております。  また、地方公共団体につきましては、方法書あるいは準備書につきましての意見を形成するに当たって、先ほどから御答弁申し上げておりますように、審査会等を開催することは法律条例の関係上も可能でございます。  こうした面で、ただいまお話にございましたように、審査会等も活用されるということで、地方公共団体意見、それから環境庁長官意見がそれぞれ事業者等に出されるわけでございまして、両々相まちまして審査の公正さが確保できる、信頼性が高まる、こういうふうに考えているところでございます。
  228. 有働正治

    ○有働正治君 そこが少し問題なんであります。  環境庁長官が第三者として意見を述べるというだけでは不十分だと。県でも設けているように、県知事がいろいろ意見を述べる場合に、県知事が第三者機関に対してきっちり諮問したり意見を述べたりしながら、そして独自の権限を持ちながら審議会、審査会が有効に機能する、そういう点で中央としてもしかるべきそれを検討する必要があるということを述べておきます。今後検討して、もっと信頼性が高められるように公正な審査が行われるべくやるべきだということを主張しておきます。  そこで、今言われた環境庁意見を付す場合に、今後、法案の後、意見を述べる場合、件数が相当ふえるのではないかと予測されるわけです。その点どう見ておられるのか。この間、八九年以降どれぐらい意見を述べられ、それが今後どういう見通しになるのか、その点をお示しください。
  229. 田中健次

    政府委員田中健次君) 平成元年度から六年度までの間に、閣議アセスにおきまして環境庁長官は十五の評価書につきまして意見を述べております。  今後の審査案件、すなわち対象事業の件数でございますけれども、第二条第二項の対象事業規模等に関する政令をどのように定めるか、それから第二種のスクリーニング判定によりどの程度法案対象事業になるのか、これに依拠するところでございまして、これは六カ月以内に政令でもって定めるということで、現段階では明確には把握できないところがございます。  これまでの閣議アセスの実績や、あるいは従来から環境庁が審査を行ってきました発電所の省議アセス等の実績などから見まして、仮に、現行の閣議アセス等の規模と同じ範囲で見た場合に、審査をすべき案件は二倍程度の件数になるのではないかと考えておりまして、このほかにスクリーニングによりまして対象となる事業や新たに対象事業種になるものも加わってまいりますので、かれこれ考えますと現在の審査数の少なくとも二倍から三倍の件数になるのではないか、こういうふうに想定されます。
  230. 有働正治

    ○有働正治君 そうしますと、今でさえいろいろこの機関も問題になったような、いわば事業をオーケーするためのアリバイづくりみたいな意見が往々にして多いというのがもうこの機関の常識で、アワセメントと言われるぐらいの状況だったと。その点ではやっぱり環境庁の体制、そしてきっちりした意見をどれだけ付すかということが当然のことながら問われてくるということになると思うのでありますが、それだけの体制と力量が備わっているかという点で甚だ心もとないんではないかという国民の環境団体等々の意見もあるわけであります。  必要な体制の補強、そして職責に万全を期すという点で必要な補強、こういう点は大いに求めるところは求めてやるべきだと思うのでありますが、ここらあたりはいかがでありましょうか。
  231. 田中健次

    政府委員田中健次君) ただいま御答弁申し上げましたとおり、審査の件数も今後増大をいたしますし、また制度充実によりまして内容面でもより高度な審査が求められるということから、私どもといたしましては、現在の体制のままでこれを処理するということにつきましてはなかなか困難が伴ってくると。先生今御指摘の点、大変重要なところでございまして、私どもとしても審査の質を高めるためにこれまで以上に体制の充実というのが大事でございます。  環境庁といたしましては、狭い庁内ではございますけれども、まずは庁内の内部体制をもう一回見直すという努力も必要でございますが、非常に行政改革の時代で増員を図るというのは難しい状況にございます。定員事情は非常に厳しいものがございますけれどもアセスメントという大変重要な事業が新たに加わる、仕事が加わる、こういうことでぜひ関係省庁等に御理解をいただいて、大幅な増員を図れるように努力をしていきたいと、こういうふうに考えております。
  232. 有働正治

    ○有働正治君 私、国立環境研究所のニュース等もいろいろ拝見させていただきましたが、もっと人手をとか忙し過ぎる研究者とか、悲鳴が上がっているのが実態であります。その点は長官を含めて積極的に対応して職責全うすべく努力願いたいと。  話を進めまして、事後アセスのかかわりの問題であります。  事後アセスの必要な具体的実例として、九四年八月十日に環境庁長官意見が提出されました都市高速道路中央環状新宿線というのがあります。この高速道は豊島区南長崎から目黒区青葉台を結ぶ約八・七キロで、山手通りの地下を走る道路建設事業で、二〇〇〇年の完成を目指し建設が進められているわけであります。このアセスは、いずれも環境基準を下回りまして、アセス案では影響は少ないと考えると結論づけているわけであります。  そのバックグラウンド濃度を計算した際の予測算定の根拠が八八年に環境庁が発表した「窒素酸化物対策の新たな中期展望」と八九年の中央公害対策審議会の「今後の自動車排ガス低減対策のあり方について」の答申などに基づいてやられて、相当量、窒素酸化物の総排出量が二二%減少すると予測していたわけでありますが、大気汚染測定運動東京連絡会や日本科学者会議等の専門家が九五年の大気測定局の実測値をもとに検証した結果、環境基準をかなり上回る結果が示されているわけです。アセスでは大幅に減る、基準を下回ると、実態は逆だったと。ここらあたりの事実認識、今日的にどう環境庁として見ておられるか、時間の関係で簡潔にお示しいただければと思います。
  233. 野村瞭

    政府委員(野村瞭君) NOx対策を担当している立場でまずお答えを申し上げたいと存じます。  今御指摘ございましたように、NO2濃度の実測値が予測値を超える、食い違いを生じることにつきましては、車の交通量あるいはディーゼルカーが著しい大都市におきましてはそのような可能性が否定できないというように認識をいたしておるところでございます。
  234. 有働正治

    ○有働正治君 そんな、違ったから問題ありませんじゃ困るんですよ。もともと環境庁のバックグラウンドの数値そのものが問題であったわけで、こういうことが起きたこと自体は極めて残念で、いろいろ今後こういうことがないように検討するとか、しかるべき言わなくては、起こったのは仕方がありませんので、当たり前のことですみたいな、こんな答えじゃどうしようもないですよ。
  235. 野村瞭

    政府委員(野村瞭君) 時間的に短くという御要請でございましたので、はしょらせていただいたわけでございますが、今申し上げたような認識のもとに、私どもといたしましては、NOx排出の一層の削減を図るために自動車単体規制につきましては、平成元年の中央公害対策審議会の答申に基づきまして、ディーゼル車を中心にいたしまして、逐次規制の強化を図っているようなところでもございます。  また、特に自動車交通が集中をいたします首都圏等の地域の特別な対策を講じなければならないということで、御存じだと思いますが、平成四年にいわゆる自動車NOx法を制定いたしまして、全国的な単体規制よりも厳しい特別の排ガス基準によるトラック、バス等の車種規制でありますとか、また物流、人流、交通流対策等の諸施策を推進しているところでございます。  私どもといたしましては、今後とも今申し上げましたような単体規制の強化でありますとか、自動車NOx法に基づく各種の施策の推進を通じましてNOx排出量の一層の削減に取り組んでまいりたい、そのように考えておるところでございます。
  236. 有働正治

    ○有働正治君 予測と実態が違ったことを深刻に受けとめるべきです。  そこで、まとめて質問いたします。  この事業をめぐって、九〇年八月十日に環境庁長官の六項目の意見が出されているわけです。中でも、NO2それからSPM、浮遊粒子状物質につきまして、「環境保全目標の達成が図られるよう最善を尽くす必要がある。」と意見が付されているわけであります。その点で、この事業について少なくともNO2などのアセス評価の見直し環境庁として働きかけるべきではないかというのが一点、前向きに対応願いたい。  それから第二点目として、今回のアセス法が制定された後に、こうした予測と実態が違った場合、環境庁としてどう対応するのか、これが二点目。  その点で、長官として意見を付した事業でもあるし、実効が上がるようにしかるべき対応を願いたいし、予測と実態が違った場合に環境庁として積極的に見直しを求める等対応願いたいと、最後に長官の見解を求めたいと思うのであります。
  237. 田中健次

    政府委員田中健次君) まず、見直しを働きかけろと、こういうことでございますが、御指摘の路線は、環境影響評価の手続としては適正に実施をされておりまして、予測値と実測値が異なるということからいって、アセス制度において直ちに事業者に義務が生じるということでさらにアセスをやらせるということは大変制度的に困難ではないかというふうに考えております。  それから、予測と実際の結果と異なった場合にどうするのかと、こういうことでございますが、これも予測と結果が異ならないように手続の中で十分な審査を行うということが大事でございますし、予測技術の充実に努めることも基本でございます。しかしながら、予測にはどうしても不確実性が伴うということでございますので、そういう意味で、必要な事後調査とその結果に基づく措置をあらかじめ準備書なり評価書に記載をさせることによって事業者に適切に対応させると、それを、確保することも大事だと思います。  それから、事後に問題が生じた場合どうするかと、こういうことでございますが、これは事業に係る指導監督という立場から主務大臣がいろいろと対応考えていただかなければなりませんし、あるいは地域環境保全という観点からは地方公共団体それぞれの制度において適切に対応することが必要でございますし、環境庁としても、個別の、例えば今の問題だと大気汚染防止法等によりまして環境法規の適切な運用に努めるなど、そういうあらゆることを使いまして環境保全の確保に努めていかなければならないと、こういうふうに考えております。
  238. 石井道子

    国務大臣石井道子君) 本件に対します環境庁長官意見につきましては、例えば脱硝装置の具体化に向けて首都高速道路湾岸線空港北トンネルにおいて実際の装置に近い規模での実験も行いまして、耐久性の向上とか、また騒音、振動低減、省エネ、コストの縮減等の課題の検討を行いまして、その改善を図っていると認識をしております。  環境庁といたしましても、こうした事業者対応状況把握いたしまして、必要に応じて大いに働きかけを行ってまいりたいと思っております。  地域全体のNOx対策についても、関係機関の協力を得まして最善の努力を図ってまいりたいと思っております。
  239. 有働正治

    ○有働正治君 終わります。
  240. 末広まきこ

    末広真樹子君 本日は延長戦に入っておりまして皆さん大変お疲れかと思いますが、しんがりでございます。今しばらくのおつき合いを。自由の会の末広真樹子でございます。  干潟の干拓事業の是非が諌早干潟で大きな問題となっております。鉄の水門ががしゃっとおりまして、干潟の生き物のすべての命が絶たれるという姿は余りにもショッキングで、ムツゴロウのギロチンだと感じて、既にアセス法審議の第一回目で質問させていただきました。    〔委員長退席、理事大渕絹子君着席〕  さて、私の住んでおります名古屋市でも似たような悲劇が起ころうとしております。名古屋港のある伊勢湾は昔多数の干潟がございました。その姿は万葉集にこう歌われております。「桜田へ鶴鳴き渡る年魚市潟潮干にけらし鶴鳴き渡る」。桜の田の方へツルが鳴いて渡っていくよ。ほら、年魚市潟は潮が引いたらしいよ。ね、ツルがほら鳴いて渡っていくよ。こういう感嘆の声を何度も発しながら、そのダイナミックな鳥たちの行動に潮の引きを感じたり旅の導きを見出している歌ではないかなと思います。  それが時代とともに市街地化いたしまして、一九六四年にはそれでもまだ名古屋港の両側には多くの干潟が残っておりました。鍋田、木曽岬の干拓は農地をつくるという名目で事業化され、現在では減反政策のためにその使途は明らかにされないまま放置されているところでございます。  残されたのがわずかに藤前干潟だけなんです。私、現地を視察しまして、時のたつのも忘れて鳥たちのえさ場やそれからくつろぎのリビング、それから大空のプレイングルーム、そして寝室と、上手に使い分けておる、その自然な有効利用をしている鳥たちの姿に接しました。ハマシギが黒い固まりになって飛ぶ姿が、一転して羽の裏と胸を見せる、こういう飛しょうする姿になりますと白一色に光って、まさに瞬間それは空のダイヤモンドと呼ばれるのを目の当たりにしました。それこそ本当にすべてを忘れて見とれている瞬間でございました。  そして、我に返ってこう思ったんです。えっ、この干潟を半分に減らすんですって。一番大事なえさ場をごみの焼却灰で埋め立てるんですって。半分をごみ焼却灰で埋めて半分は干潟で残す、そんな中途半端な折衷案で、事の本質、環境保全ができるんですか。  そこで、きょうは藤前干潟を例にとって、アセス法案について質問させていただきたいと思います。  まず、経緯なんですが、港湾計画では百ヘクタール以上の規模であったのが、港湾審議会での環境庁意見もございまして、その後計画が縮小されました。そして、縮小された計画について自治体アセスが今行われているという、もう最終段階に入っています。そうした意味では、今回、港湾計画についてもアセス法対象とした点はまことに有意義かと思います。しかし、藤前干潟の例では、港湾計画段階でアセスをしたといっても、そのアセス内容的にも不十分、手続的にも問題があったと思います。  まず、内容面で見ますと、環境庁も港湾計画の際に指摘しておりますが、鳥類の生息に与える影響の評価が不十分でした。また、手続については、アセスと言いながら住民や専門家の関与がない、行政だけで進められたもので、これは致命的な問題点です。このような今の港湾計画アセス問題点は、法案の港湾特例だけで解決されるのでしょうか。    〔理事大渕絹子君退席、委員長着席〕  もし、今のままの港湾計画アセスをそのまま踏襲していくというのなら、大きな問題であると思います。最低限、この法案に基づく新たな制度が港湾計画アセスにおいても実施されるべきと考えますが、環境庁の明確な答弁をお願いします。
  241. 田中健次

    政府委員田中健次君) 港湾計画につきましては、これは大規模な施設の立地やあるいは大量の物流の発生があるという一方で、沿岸域は生態的に見て重要な場所が多いことから、一般環境に与える影響が大きいということ、それから、これまでも港湾法の枠組みの中でではございましたが、港湾計画の決定または変更に際しまして環境影響評価が行われていたということにかんがみまして、今回、上位計画のアセスメントとして本法案に港湾計画については対象にいたしたという次第でございます。  具体的には、港湾法に規定されております重要港湾、これは全国で百三十三港湾あるわけでございますが、この重要港湾に係ります港湾計画の決定または変更のうちで規模の大きい埋め立てに係るもの等、一定の要件を満たすものを対象といたしております。  港湾計画に定められます港湾の開発あるいは利用等が環境に及ぼす影響につきまして、その港湾の港湾管理者が環境影響評価を行うということにしたものでございますが、本法案の手続を適用するということによりまして、従来行われていなかった一般意見の聴取手続が加わるなど、従来からは充実した制度になるものと私ども考えております。
  242. 末広まきこ

    末広真樹子君 とても回りくどい御答弁でございました。  私は、この港湾計画アセスにおいてもこの今審議しているアセスを適用するのかという、実に一言でお願いします。
  243. 田中健次

    政府委員田中健次君) 港湾特例をこのアセス法に載っけたわけでございまして、ここの法律の特例として規定されておりますところはみんな適用になるわけでございますが、その中で、港湾計画につきましては、この法案でも、スクリーニングそれからスコーピングの手続は省略をするということになっております。
  244. 末広まきこ

    末広真樹子君 聞いたことに的確に答えてくれないと質疑にならない。よろしくお願いしたい。時間が幾らでもあるんだったらそれはいいですよ。私は限られた時間でやっているんですよ。
  245. 田中健次

    政府委員田中健次君) もう一回いいですか。
  246. 末広まきこ

    末広真樹子君 やり直してくれるの。
  247. 田中健次

    政府委員田中健次君) 要するに、提出をいたしております法案のシステムが適用になるわけでございます。その中で、港湾計画、上位計画でございますので、スクリーニングスコーピングの手続は省略をしておるということを申し上げておりまして、あとは新しい制度の手順等が適用になる、こういうふうにお考えいただきたいと思います。
  248. 末広まきこ

    末広真樹子君 やっとわかった。最初にそれを答えてください。  ところで、藤前干潟の埋め立てば、現在、地元で意見聴取手続が終了したところでございますが、この干潟は渡り鳥の渡来地、中継地として大変貴重なものだと言われております。  まず、議論前提として、この藤前干潟の価値、とりわけ水鳥の渡来地、中継地としての機能について、日本全体の中での位置づけも含めて、環境庁としての御所見をお伺いします。
  249. 澤村宏

    政府委員(澤村宏君) お答え申し上げます。  アジア太平洋地域に生息する多くのシギ・チドリ類は渡り鳥でございまして、夏にシベリアなどで繁殖し、数千キロの長い渡りをして、熱帯の東南アジアやオーストラリアで越冬する種が多いわけでございます。このため、日本や中国、韓国などの東アジアの湿地はこれらのシギ・チドリ類の渡りの中継地点になっておりまして、春と秋に移動するコースの一つとして日本の干潟や湿地も含まれております。  このような中で、藤前干潟を含みます庄内川、新川、日光川河口部は、東海地域で数少ないシギ・チドリ類を初めとする渡り鳥の渡来する干潟でありまして、我が国でも有数のシギ・チドリ類の渡来地であると、そのように考えております。
  250. 末広まきこ

    末広真樹子君 そうなんです。そこまで大事な中継点だとお思いになるんでしたら、なぜラムサール条約でこの地を登録しないのですか。  この埋立計画は、日本のみならず国際的にも批判が起きております。事前に御説明を伺ったところでは、海外からの意見も書面で提出する必要があるということですが、ここで疑問を感じるんです。地域を限定した公告縦覧と書面による意見提出で本当に海外から有益な情報が得られるのかということです。この制度が広く有益な知識を求めるというのであることからすれば、事業者がインターネットによってアセス情報を公開したりインターネットによる意見参考にするなどは当然必要かと思われます。  また、環境庁長官の意思形成に役立てるなどのために、例えば環境アセスメントホームページのようなものを環境庁に開くということは大変意義があると考えますが、御見解はいかがでしょうか。  二つあります。ホームページと、それからラムサール条約に湿地登録すべきだという二点。
  251. 澤村宏

    政府委員(澤村宏君) 初めに私からお答え申し上げます。  ラムサール条約におきましては、各締約国が湿地の保全のための計画や制度整備いたしまして、湿地の保全努力すべきことを一般的に規定しているところでございますが、いずれの地域の湿地をどのような形で保全するかといった具体的判断は各締約国の責任においてなされるべきものと、そのように考えております。また、湿地の指定に当たりましては、開発や地元との調整が思うように進まない状況もあることは他の国におきましても同様でございまして、条約におきましては、現在指定されていない湿地について各締約国に報告する、そのような仕組みにはなってないわけでございます。  しかしながら、環境庁といたしましては、今後とも国設の鳥獣保護区の設定等によって水鳥の生息地等として重要な我が国の湿地を保全するべく努力をしてまいりたいと、そのように考えております。
  252. 田中健次

    政府委員田中健次君) この法案では、環境保全に関する意見を有する人はどなたでも意見を言うことができるということでございますけれども意見につきましては正確性を期するということで、これは文書で提出をしていただくということになっております。  ただいま先生御提案になりましたが、まずアセス情報提供に当たってインターネットを活用するということでございます。これは非常に有意義なことと私ども考えております。しかしながら、事業者が行います例えば公告縦覧あるいは意見の受け付けにインターネットを活用することを法制上位置づけるということは、これは種々検討を要する課題もございまして、我が国におけるインターネットの普及あるいは利用状況等を勘案しながら、今後検討を進めていきたいというふうに考えます。  次に、環境庁長官意見形成のためにインターネットを活用して意見を受け付けてはどうか、こういう御提言でございますけれども、本法案におきましては手続のいろんな段階で住民等の意見が聴取をされまして、その概要が準備書あるいは評価書等に記載をされまして、環境庁長官が審査に当たりましてそれらを参考にさせていただくということになっておりまして、まずこのような手続によることが基本だと考えておるところでございます。  以上でございます。
  253. 末広まきこ

    末広真樹子君 今、それ結論ないですよ。環境庁長官アセスのホームページを開くか開かないかという結論、脱落。はい、どうぞ。
  254. 田中健次

    政府委員田中健次君) 意見形成につきましては、ただいま申し上げましたように、そのプロセスでいろんな住民の方の意見事業者に出されまして、それらが概要として環境庁にも回ってまいりますので、それを参考にすれば十分ではないかということと、それから専門家の意見については必要に応じて専門家にいろいろお聞きをしてやっていく、こういうシステムで運用していきたいということでございます。
  255. 末広まきこ

    末広真樹子君 困りましたね。アセスのホームページを開くか開かないかがはっきり答えられないというのは大変困った。これは緊急に検討してください。そして、委員会にちゃんと報告してください。  次の質問に行きます。  さて、藤前干潟の埋め立てば絶対にやってはいけない事業であると指摘せざるを得ません。一つには渡り鳥の命です。春に北上して繁殖して、秋に南下して越冬する渡り鳥たちにとって藤前干潟は給油地であり、中継基地なんです。この中継ポイントがなくなれば南半球から北極の地まで一万キロを超す壮大な旅はできません。  そういう意味で、海外の五十を超す団体から藤前干潟保存の要請がなされ、しかも一九九三年六月、釧路で開かれたラムサール条約締結国会議で、日本のNGOからの唯一の公式発表として干潟の現状を訴えました。その結果、ラムサール会議の勧告文に、「東アジアの渡り鳥のルートに沿った条約締結国で干潟の登録を増やすよう求める」、こういう記述が盛り込まれているんです。勧告文ですよ。  政府はこの勧告文をどう受けとめ、対応してきているんですか。お伺いします。
  256. 澤村宏

    政府委員(澤村宏君) ただいま御指摘がありましたその勧告にあります、渡り鳥の渡りのルートに沿った干潟の保全は重要である、そのように私どもも認識しております。  こうした勧告を受けまして、我が国ではオーストラリア政府と共同で東アジア、オーストラリア地域の渡りのルート沿いの湿地のネットワークの構築を進めるなど、渡りのルート沿いの湿地の保護に関する取り組みを進めてきているところでございます。  ラムサール条約への登録につきましては、先ほども触れましたが、地元の意見調整が進まないこと等によりまして、新たな干潟の登録が進んでいない状況にもありますが、今後とも登録に当たって必要な国設鳥獣保護区の設定の調整などを進めてまいりたいと、そのように考えております。
  257. 末広まきこ

    末広真樹子君 考えている、進めてまいりたいでは干潟はどんどん減っていく。渡り鳥の中継地点は減っていく。そこのところをよく御理解くださいませね。  干潟を利用するシギ、チドリの一万羽以上が記録されております大規模渡来地は、東京湾では谷津干潟、三番瀬、伊勢湾、三河湾では藤前干潟、汐川干潟、有明海では諌早湾、こういった調査が出ております。早急に干潟登録をしていただきたい。できないのなら、その理由をラムサール条約国に向かって説明する必要が当然あると思いますが、どうですか。
  258. 澤村宏

    政府委員(澤村宏君) 先ほどもお答えの中でその部分につきまして触れましたが、この湿地の登録、指定に当たりましては開発や地元との調整が思うように進まない、そういう状況もあることは他国とも同様でございます。また、条約におきましては、現在、指定されていない湿地につきまして各締約国に報告する、そのような仕組みにはなっていないということでございます。
  259. 末広まきこ

    末広真樹子君 きれいごとばかり言ってやる気がないんですよね。  藤前干潟埋め立て反対の二つ目の問題点に触れさせていただきたいと思います。それは干潟そのものの重要性です。  私は、ことし三月十一日に運輸委員会の視察で横須賀にあります港湾技術研究所を訪れまして、まさに干潟についての研究を拝見してまいりました。干潟にすむ生き物の果たす役割、ゴカイの巣穴は海水中に酸素を送るエアポンプの役目を果たし、アサリは水中の有機物をこし取って粘液とともに擬ふんとして放出する。  ここに私が毎月発行しているニュースレターがありますが、この写真をごらんになっていただきたいと思います。一番奥に写っているのがアサリゼロ。そのあと三つはアサリ三個を入れまして、三十分ずつの経過モニタリングとしております。  一番こちらが三十分、次が一時間、一時間半と順次なっておりまして、何とアサリ三個一時間半で干潟の水はきれいに透明化されている、こういう実験だったのでございます。  干潟があるから陸の汚れを最小限にして海へ持ち込まず、干潟は天然の下水処理場の役割を寄ってたかって全員で果たしております。そこには底生生物の測定が大きなかぎを握るということだと思いますが、事業者の名古屋市と名古屋港湾管理組合が、この底生生物の調査に当たって満潮時に船の上から機械を使って泥を採取するという方法で調査しております。  九四年春の調査で、一平方メートル当たり四十グラムの底生生物という報告をしております。これに対しまして、環境生物学の専門家は、干潮時に五カ所、スコップで四十センチの深さまで掘って底生生物を採取し、ゴカイなどの生き物が一平方メートル当たり百三十グラム観測されたと報告しております。その差は、四十グラム対百三十グラム、三倍強でございます。  そこで、環境庁にお尋ねします。専門家ですよね。一般論として、どちらの調査方法が妥当なんでしょうか、お教えください。
  260. 澤村宏

    政府委員(澤村宏君) ただいま底生生物、生物の調査方法についてのお尋ねと思いますが、生物の調査方法はさまざまな方法があるものと思います。  一般論として言えば、調査に時間をかければかけるほど調査の精度は向上することになるわけでございますが、そうした個別の案件そのものにつきましては、アセスメントの中におきます調査方法あるいは内容というものとの関係で決まってくるものでございまして、ただいまの数値、私も詳細承知しておりませんが、それを直ちにどちらがいいかということはちょっとお答えしかねるということでございます。
  261. 末広まきこ

    末広真樹子君 あららでございます。  そうすると、アセスメント法ができても、そのアセス調査方法はその地に任せたよと、環境庁は知らないよと、どっちが正しいかなんて言えないねということになると現場は混乱してくるでしょうね。これもじっくり御検討いただきたいと思いますよ。  さて、ここまでの議論を踏まえて石井長官にお伺いしたいと思います。  名古屋港の港湾計画アセスではまだ弱いと言わざるを得ません。伊勢湾、三河湾あるいは日本全体を視野に入れて、どこにごみ処分地を求めるのが環境保全上いいのかという議論が必要なんです。中環審の答申による上位計画アセス、つまり諸外国で言う戦略的環境アセスが必要なんです。  今後、この上位計画アセスに取り組む姿勢をぜひ力強くお願いいたします。
  262. 石井道子

    国務大臣石井道子君) 環境本法第十九条におきまして、「国は、環境に影響を及ぼすと認められる施策を策定し、及び実施するに当たっては、環境保全について配慮」することとされております。個別の事業の計画や実施に枠組みを与える政府の計画や政策についても環境保全上の配慮が必要でございます。  今般の法案におきましては、我が国の過去の実績などを踏まえまして、港湾における土地利用等のマスタープランである港湾計画についてのアセスメントを盛り込んだところでございますが、今後、中央環境審議会答申に従いまして、国際的動向や我が国での現状を踏まえて、政府の計画や政策についてのアセスメントの手続等のあり方について具体的に検討を進めていく考えでございます。
  263. 末広まきこ

    末広真樹子君 上位計画アセスについて御決意をと伺ったんですが、それたようでございます。  それでは、ごみの最終処分場をどうするのか、名古屋市ではそれが見つからないから藤前干潟しかないと言っております。ほかにないからというのが出発点ですが、本当にほかに適当な場所がないのかなと思って、私、現地をいろいろと見て歩きました。  まず、一九八九年にしゅんせつ土砂を埋め立てました。西五区が現在埋め立て途中で放置されているんです。これが満杯になったから新たなごみ処分場として藤前干潟がどうしても要ると、これが出発点なんですね。  私、写真も撮ってまいりました。(写真掲示)そのしゅんせつ土砂で埋め立てた西五区、まだこんなにへこんだ状態だよというのを、そこに人を立たせて、身長の倍ほどまだ埋め立て余地がございます。こういう写真です。地元住民は、まだここに入るじゃないか、ここにさらにひな壇形式でごみを積み上げるべきだと言っているんですね。  それに対して市は、ことし三月、ここにパブリックのゴルフ場をつくるという計画を発表しております。  私は、名古屋市の計画案というものには三つの問題点があるんじゃないかなと。一つは、干潟の重要性認識の欠落、これは環境庁がきちっと御説明しなきゃいけない。それから二つ目は、代替案を提示する気がない、これはアセス法とも関連してとても問題がある。三つ目は、これはパブリックのゴルフ場をつくって何人の人が喜ぶのかという全く自治体的な話なんです。ごみというのは市民全体の問題なんです。ごみの最終処分場としては、代替地は、この今お見せしました西五区にもっとごみが入るじゃないかと。  それ以外にもあります。名古屋港西部に広くたくさんある貯木場がそうでございますね。これも見てまいりました。この前、公述人の方がおっしゃっていらしたんですが、こういう本当に昔はいっぱい木材があったんだろうなと思うようなところが、今はもう本当に木材よりも海面の方がたくさん出ているというような状況ですね。六カ所ほどこういうところがありますが、著しく現在その機能を失いつつある場所、残念ですけれども、そう言ってよいと思います。  まだあるんですよ、埋め立てるところ。現在しゅんせつ土砂で埋め立てを急いでいるんです、ここは。名古屋港のポートアイランド、これはもう運輸で大変急いでいるところでございます。  藤前干潟について、これはもう環境庁判断が求められているんだなと思います。藤前干潟を埋め立てることは国際条約並びに釧路会議での勧告文により不可能である、こう認識していただく必要があります。そのことを環境庁が御説明なさる必要があります。そのためには、環境庁は厳正に今のアセスを審査して意見を言うとともに、残される干潟についても確実な保全対策が講じられるよう早急にラムサール条約登録湿地に指定する必要があると思います。本法によるアセス実施、そしてラムサール条約登録湿地に指定することの二点について長官の御決意をお願いいたします。
  264. 石井道子

    国務大臣石井道子君) 今回の藤前干潟のアセスにつきましては、環境庁長官意見を求められた際にはアセス書についてその干潟の重要性を踏まえられた慎重な審査を行っていく考えでございます。  それから、ラムサール条約の登録湿地の問題につきましては、地元の考え方もありますが、国設鳥獣保護区の設定等国内法での保護措置の担保が必要になります。設定について地元の賛意を得ることが困難であるか賛成が得られるか、その辺のところの問題がありますので、御理解をいただきたいと思っております。
  265. 末広まきこ

    末広真樹子君 もちろんそうだと思います。でも、環境庁として長官としてやる気があるのかないのか、最後にお答えください。
  266. 澤村宏

    政府委員(澤村宏君) 先ほど来この手続の進め方等につきましても申し上げているところでございますが、やはりラムサール登録湿地として保護していくためには、何よりも国内法での担保ということが必要でございます。そのためには法に基づきます。そうした地元での意見ということ、これも求められているところでございます。そうした中でこのシギ・チドリ類の中継地としての重要性ということも念頭に置きながら努力をしてまいりたい、そういうことでございます。
  267. 末広まきこ

    末広真樹子君 衆議院の決算委員会では藤前干潟についてアセスをやるというふうにお答えになっているんじゃないんですか。それが参議院ではまた後退しちゃったんですか。
  268. 田中健次

    政府委員田中健次君) アセスにつきましては、現在地方の方でアセスが進んでおるわけでございます。これは仕組みとしてそういうふうになるわけでございまして、閣議アセスと、それから名古屋市の要綱に基づきますアセスが進んでおります。私どもといたしましては、今後公有水面埋立法に基づきまして環境庁長官意見が求められるということになりますので、その際には十分慎重にアセスをして意見を申し上げたいと、こういうことを言っておるわけでございまして、決してアセスをしないと言っておるわけじゃございません。御理解をいただきたいと思います。
  269. 末広まきこ

    末広真樹子君 ありがとうございます。終わります。
  270. 渡辺四郎

    委員長渡辺四郎君) 本案に対する本日の質疑はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後六時二十一分散会