運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1997-05-21 第140回国会 参議院 環境特別委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成九年五月二十一日(水曜日)    午前十時一分開会     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         渡辺 四郎君     理 事                 狩野  安君                 成瀬 守重君                 山下 栄一君                 大渕 絹子君     委 員                 景山俊太郎君                 河本 英典君                 小山 孝雄君                 谷川 秀善君                 馳   浩君                 平田 耕一君                 山本 一太君                 足立 良平君                 加藤 修一君                 寺澤 芳男君                 長谷川 清君                 小川 勝也君                 竹村 泰子君                 有働 正治君                 末広真樹子君    国務大臣        国 務 大 臣        (環境庁長官)  石井 道子君    政府委員        内閣法制局第二        部長       宮崎 礼壹君        環境庁長官官房        長        岡田 康彦君        環境庁企画調整        局長       田中 健次君        環境庁自然保護        局長       澤村  宏君        環境庁大気保全        局長       野村  瞭君        環境庁水質保全        局長       渡辺 好明君    事務局側        第二特別調査室        長        林 五津夫君    説明員        農林水産省構造        改善局次長    岡本 芳郎君        資源エネルギー        庁公益事業部発        電課長      真木 浩之君        建設省河川局河        川環境課長    白波瀬正道君     —————————————   本日の会議に付した案件公害及び環境保全対策樹立に関する調査  (飯能中央病院問題等に関する件) ○公聴会開会承認要求に関する件 ○環境影響評価法案内閣提出衆議院送付)     —————————————
  2. 渡辺四郎

    委員長渡辺四郎君) ただいまから環境特別委員会開会いたします。  公害及び環境保全対策樹立に関する調査議題とし、飯能中央病院問題等に関する件について、石井環境庁長官から報告を聴取いたします。石井環境庁長官
  3. 石井道子

    国務大臣石井道子君) 去る平成九年四月十六日の本委員会の御質疑におきまして、飯能中央病院管理状況等についてお尋ねがございました。  その際、幾つかの事項について御要請がありまして、調査をいたしましたので、その結果を御報告申し上げたいと存じます。  第一は、飯能中央病院薬剤師配置状況に関してでございます。  薬剤師配置数につきましては、調剤数八十について薬剤師一人とされておりますが、調剤数変動があり、また薬剤師求人難のために、基準の充足が極めて困難な状況にございました。医療監視の結果では、平成四年から平成八年までの過去五年間を見ましたところ、毎年、薬剤師配置基準数を充足することができず、改善指導を受けていたところでございます。  薬剤師配置状況改善を図るには、もちろん薬剤師増員が必要でありますので、かねてから努力を続けてまいりましたが、求人難のために思うような成果を上げることができなかったとのことでございます。  このような事情から、直近の平成八年の医療監視の結果でも、必要人員五人に対しまして現員が四人でありまして、一人が不足している状況にございました。このために、さらに努力を重ねまして、新たに常勤一人、非常勤二人の薬剤師を確保いたしまして、薬剤師の不足を補い得る体制を整えることができたと報告を受けているところでございます。  第二は、疥癬症発生に関してでございますが、疥癬症につきましては、平成七年七月十四日に疥癬症が発見され、入院患者六名、病院職員二名に及ぶ感染が認められましたが、その後の加療によりまして、同年の八月二十五日までに全員が治癒したとのことでございます。  飯能保健所からは、平成七年八月十一日に事実の確認のための調査があったとのことでございます。その調査の模様を申しますと、保健所から疥癬症発生状況処置状況についての聞き取りが行われまして、これらについてそれぞれ病院側から説明を行って調査を終了したとのことでございます。したがいまして、清潔保持などの点につきましても、保健所から特段の改善指導は受けなかったとのことでございました。  第三に、平成九年一月十八日に患者ベッドから転落した際の医師当直状況に関してでございます。  この患者は九十一歳の女性の方で、本年一月から心筋梗塞で入院されていたとのことです。私は既に理事長職を離れておりましてこの件は承知しておりませんでしたけれども、どのような状況だったかを聞いてみました。  それによりますと、この患者については、本年一月十八日の明け方、午前四時ごろに音がしたので看護婦が見に行ったところ、ベッドから転落して頭を打撲しておりました。その際、看護婦が痛いですかと尋ねると、本人から大丈夫との返事があったということでございます。看護婦はこの状況当直医師報告をいたしまして、当直医師からは様子を観察するようにとの指示があったとのことでございます。さらに、午前五時には、看護婦から主治医状況報告しましたところ、点滴と朝一番のCT検査を指示したところでございます。その後、この患者につきましては、CT検査結果に基づきまして主治医が硬膜下血腫と診断いたしまして、午前十一時三十分には脳外科専門病院に転院したとのことでございます。  この事件の起こった前夜、一月十七日から当日の十八日朝にかけての医師当直体制でございますが、当直を行った医師は当日の朝は午前七時四十六分に退出をしております。一方、日勤医師のことでございますが、当日早朝診療を希望する患者がありましたので、出勤の上、この患者を診ておりまして、この診察が午前七時二十分に行われております。したがいまして、当日、医師不在の時間帯はなかったと考えられます。このことは、当直医師退出時間のタイムカード日勤医師診療録で確認できるとのことでございます。  第四は、平成九年三月三日に入院患者自殺があった際の看護婦体制届け出との適合状況に関してでございます。  看護要員夜勤体制につきましては、病棟当たり一人が要請されますが、飯能中央病院においては病棟当たり二人の配置としております。すなわち、本病院の二つの病棟で合計四人を配置しておりまして、事件のあった第一病棟は二階と三階で構成されますので、ここに二人を配置して毎夜間五回の巡回実施したところでございます。ことしの三月三日に入院患者自殺したことについては、さきの事例と同じように私が理事長職を離れた後のことでございますので承知をしておりませんでしたけれども、この件についてもどのような状況だったかを聞いてみたところでございます。  この患者は、ことしの二月に便意頻回を主訴に入院をされました八十五歳の男性の方でございます。本年三月三日の当日も看護婦夜勤体制さきに述べたところと同様でございまして、第一病棟には二人が詰めておりました。看護婦巡回に際しましては、この患者は午前三時の巡回時には目を覚ましていましたので、看護婦が声をかけて寝るように促しております。次いで、午前五時三十分の看護婦巡回時に病室にいないのが発見をされました。このため、院内を捜したところ、三階から屋上に出る階段で首をつって自殺をしているのが判明したとのことでございます。  看護婦の数の届け出につきましては、平成七年三月に三・五対一看護として届け出を受理されております。これは新看護基準入院患者三・五人当たり看護要員一人を配置するというものでございまして、入院数看護婦数には変動がありますが、飯能中央病院では平成七年三月の届け出以来、常に実際の配置数においてこの三・五対一看護基準を充足する数を配置しているとのことでございます。  第五は、私の後援会自民党党費の一部を支払っていたかに関してでありますけれども石井道子中央後援会では、自民党入党手続党費納入には関与しておりませんので、党費を支払った事実もございません。なお、石井道子推薦人とする自民党員入党等につきましては、自民党の県連の薬剤師支部において入党申込書を取りまとめ、そして党費の徴収をしているということでございます。したがって、私の後援会自民党費の一部を支払っているというようなことはございませんでした。  ただいま申し上げましたとおり、御要請のあった事項につきまして、飯能中央病院を開設する医療法人橘会及び石井道子中央後援会に問い合わせました結果を報告させていただいた次第でございます。  四月十六日の御質疑の際に私から報告をさせていただく旨申し上げました事項につきましては以上のとおりと存じますけれども、関連してお尋ねのありました事項につきましてあわせて医療法人橘会に問い合わせました結果を申し述べさせていただきたいと存じます。  まず、スプリンクラーの設置に関してでございます。  これにつきましては、改修期限平成八年三月三十一日までとされておりますので、それまではいわゆる是正の指導は受けておりませんが、平成三年の飯能消防長による立入検査に際しまして改修期限の周知があったとのことでございます。  また、平成七年の立入検査に際しましては、改修計画報告を求められましたので、改修計画を作成し、報告をいたしました。この計画では平成七年度内に順次改修することとしておりましたが、その後、実際の発注資金調達に手間取りまして工事完了がおくれた次第でございます。工事完了平成八年八月末でありまして、平成八年十月四日の消防長検査によりまして基準適合を確認いただいたとのことでございます。  次に、アスベスト天井改修に関してでございます。  飯能中央病院では、病室等について防音のために天井にアスベスト吹きつけ工事を施していたところでございます。その改修状況につきましては、平成五年に一部改修を行いまして、次いで平成七年、平成八年にわたって必要な箇所について順次工事実施いたしまして、既に改修を終えているとのことでございます。  この改修の工法でございますが、これにつきましては、昭和六十三年の環境庁、厚生省の通達によりますと、封じ込めと囲い込みと除去の三つの方法があり、状況に応じた適切な方法を選択の上士事を行う必要があるとされております。本病院では、アスベスト材の上に天井板を張る方式、すなわち囲い込み方式によったとのことでございます。いずれにいたしましても、改修方式その他工事実施の具体的なことにつきましては、現場で判断して発注を行ったとのことでございます。  以上、それぞれ関係者に問い合わせをいたしまして、その結果を御報告させていただく次第でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
  4. 渡辺四郎

    委員長渡辺四郎君) 以上で報告の聴取は終わりました。     —————————————
  5. 渡辺四郎

    委員長渡辺四郎君) 公聴会開会承認要求に関する件についてお諮りをいたします。  環境影響評価法案審査のため、五月三十日午後一時に公聴会開会いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 渡辺四郎

    委員長渡辺四郎君) 御異議ないと認めます。  つきましては、公述人の数及び選定等は、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 渡辺四郎

    委員長渡辺四郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  8. 渡辺四郎

    委員長渡辺四郎君) 環境影響評価法案議題といたします。  本案の趣旨説明は既に聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  9. 河本英典

    河本英典君 自民党河本英典でございます。  まず、先頭バッターとして、きょうから始まります環境影響評価法案につきましての質疑を進めていきたいと思うわけでございます。  私も平成四年の選挙で初当選、上げていただいたわけでございますけれども、当初から環境特別委員会に所属させていただいて、環境問題に私なりにいろいろ携わってきたわけでございます。私は滋賀県の選挙区でございますので、環境といいますといつも琵琶湖のことばかりを申しておるわけでございますけれども、このごろいろいろ言われておりますように地球環境まで言われまして、温暖化であるとかいろいろな話まで至っておるわけでございまして、大変広範囲で、環境問題というのは最初はちょっとロマンチックなような感じもしたんですけれども、大変シビアな問題になってきておるわけでございます。ロマンチックというのはおかしいかもしれませんけれども、何かきれいなことをするような感じでいいイメージがあるんですけれども、実は本当に厳しい問題であるというふうに思うわけでございます。  私ども滋賀県の隣の京都で本年の十二月に温暖化防止に関する京都会議というのが開かれるそうでございまして、大変それまでに我が国といたしましてもおくれている法整備などをやらにゃいかぬということで、特に今回のアセスメント法案につきましては非常に、先進国の中では何か我が国だけがないということで、まことに心もとないわけでございますけれども、ぜひともこれは成立するように頑張って審議をしていきたいというふうに思うわけでございます。  そこで、今回の環境アセスメントは、事業実施による環境汚染未然に防止する上で極めて有効な手段であるということでございます。  我が国環境アセスメントの取り組みといたしましてはかなり古くからあるようでございます。  国におきましては、昭和四十七年の閣議了解以降個別法によって、また昭和五十九年の閣議決定に基づいて環境アセスメント実施されてきたわけでございます。また、一方、地方におきましても昭和五十一年の川崎市条例昭和四十八年の福岡県の要綱を初めとして、条例要綱に基づく環境アセスメント実施されてきたところであります。  この間、環境アセスメント制度法制化を望む声にこたえて環境アセスメント制度法制化の試みが何度も行われてきたわけでございますけれども、残念ながら、何かいろいろな事情がございまして現在に至っておるというところでございます。法制化がなし得なかったということが現実でございます。そうしている間にも、先ほど申しましたように、諸外国においては次々と環境アセスメント制度法制化が図られて我が国だけ残されてしまったという、ちょっと恥ずかしいような感じがするわけでございますけれども、このような状況の中において今回環境影響評価法案が提出されたという背景でございます。  まず、長官にお聞きしたいわけでございますけれども、なぜ今法律によって措置することが必要なのか、それからその必要性を再認識する意味での法制化意義について、まず長官お話基本的な部分でございますけれどもお伺いしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
  10. 石井道子

    国務大臣石井道子君) 環境アセスメント制度につきましては、環境保全上の支障を未然に防止して総合的な環境保全を図る上で極めて重要な施策でございます。その的確な推進を図る必要があると認識をしているところでございます。  今、委員指摘のとおり、我が国におきましては、旧法案の廃案以来十余年にわたりまして閣議決定等に基づく行政指導によってアセスメント実施してまいりました。この間の着実な実績の積み重ねもありまして、環境アセスメント開発事業について環境配慮を確保する有効な手法として定着をしてきていると考えております。  環境アセスメント制度の形式については、これまで行政指導によって行われてまいりましたが、中央環境審議会答申指摘をされましたように、立場の異なる広範な主体がかかわり、それぞれの役割行動ルールを定める制度であることから、このような制度法律によって定めることが基本であるということが指摘をされておりますし、また、行政手続法制定等によって行政指導限界が明らかになったこと、そのような点からも法律によってアセスメント制度を設けることが必要であって、法制化はまさに時代の要請であるというふうに指摘をされているわけでございまして、その環境アセスメント制度につきましての法制化にこのたび取り組むようになったわけでございます。  また、環境基本法を受けまして、我が国環境政策の長年の課題でありましたアセスメント法制化を図ることは、環境問題がますます重要となるであろう二十一世紀に向けて我が国環境政策の基盤を確立し、環境保全に対して積極的に取り組む我が国の姿勢を内外に示す上でも、重要な意義があると考えているところでございます。
  11. 河本英典

    河本英典君 ありがとうございます。  基本部分について聞かせていただいたわけでございますけれども、今お話の中にありましたように、今回の法案は、中央環境審議会答申に基づいて、従来の閣議アセスに比べて随分と充実した内容になっているというふうに思うわけでございます。  具体的にちょっと伺いたいわけでございますけれども、どのような点が改善されたのか、具体的な部分について説明をお願いいたします。
  12. 田中健次

    政府委員田中健次君) ただいまやっております閣議要綱によりますアセスメントに比べまして改善される点でございますが、まず第一に、これまで行政指導という形で事業者の任意の協力に依拠して行われてきました環境影響評価が、事業者法律上の義務として位置づけられる、こういうことになるのが第一点でございます。  第二点といたしまして、事業者だけではなくて国民あるいは行政といった広範な主体がかかわる環境影響評価手続が法定されることによりまして、各主体役割それから行動ルールが明確になりまして、これまで以上に環境影響評価の円滑な実施が期待されるということになるわけでございます。  第三に、これまでは行政指導によっておりましたので環境影響評価の結果を許認可等に反映させることに限界がございましたけれども法律でいわゆる横断条項というものを規定することによりまして、事業に係ります許認可等を定める法律環境保全の観点が含まれていない、こうした場合にも環境影響評価の結果を許認可等に確実に反映させることができるということになります。  それから第四に、環境庁長官免許等を行う主務大臣等に対しましてみずからの判断によりまして必要に応じて意見を述べることができまして、これまで以上に環境保全に万全を期することができるということになります。  それから第五といたしまして、このほか対象事業の拡大あるいはスクリーニングやスコーピングといりた事前手続導入、事後のフォローアップ措置導入環境基本法対応した評価充実、それから環境庁長官等意見を踏まえまして評価書を補正する仕組み創設等、これまでの制度からは飛躍的に充実した環境影響評価が行われることになると、こういう点でございます。
  13. 河本英典

    河本英典君 ありがとうございます。  法案内容についてこれからお聞きしたいわけでございますけれども事業計画初期段階から住民参加手続を盛り込むなど、従来の閣議アセスメントに比べまして前進した内容になっております。その点については大変評価すべき点だというふうに思っております。  結局のところ、どのような項目について評価するのか、その手法を用いるのか、住民や知事などの意見をどのように受けとめるのか、それをどのように評価書に反映させるのか、ひいてはそれらを事業内容にどう反映させるかについては事業者判断によるということになっております。心配しますのは、事業者任せで本当に適当な環境保全が図れるのかどうかという点であります。この点はいかがでしょうか。
  14. 田中健次

    政府委員田中健次君) 調査等項目などの選定が適切に行われるために、法案では調査等項目選定等に当たりましての指針主務省庁によりまして事業種ごとに示されまして、事業者はこれに基づきまして項目等選定するということとしておりして、また、この事業種ごと指針が考慮すべき基本的な事項環境庁長官がお示しするということになっております。  それからまた、スコーピング手続におきましては、一般の人々やあるいは地方公共団体から意見が述べられまして、事業者準備書におきましてこれらに対する見解を明らかにすることが義務づけられております。さらに、準備書から評価書に至る過程でも同様な仕組みが設けられまして、評価書については環境庁長官意見を述べまして主務大臣等によりまして許認可等に反映させる、こうしたプロセスが控えておるわけでございます。  このようなことから、事業者といたしましては真摯な対応をしなければ手戻りが生じるということになりますので、ただいま先生が御指摘になりましたような御懸念には及ばないのではないか、こういうふうに考えております。
  15. 河本英典

    河本英典君 ありがとうございます。  次に、審査体制ということについてお伺いしたいと思うわけです。  環境アセスメント制度信頼性を確保するために、環境庁が第三者的な立場から科学的な見方で公正、客観的に審査を行うということが大変重要であるわけでありますけれども審査をしっかり行うためには、審査内容審査件数がふえてくることが考えられるわけですけれども人員の確保というのが非常に大切だと思うんです。  特にアセスメントに関しまして環境庁はこれまで主務大臣の求めに応じて意見を述べてきたわけですが、これは必要に応じて意見を述べてきたことになるわけでして、これから対象事業もふえてその審査案件がふえてくるということが考えられるわけです。そうすると、環境庁審査体制というのをよっぽどしっかりしておかなければいけないと思うんですけれども、どのような対応をしようというふうに考えておられるのかをお尋ねいたします。
  16. 田中健次

    政府委員田中健次君) 環境庁におきましては、現在、私ども企画調整局に実員十一名の環境影響審査室を置きまして審査に当たっておりますとともに、関係分野が多岐にわたることを踏まえまして関係の各局にも審査官配置いたしまして、これを核として全庁的な審査体制をとっているところでございます。また、これまでも審査に際しまして必要に応じまして外部の専門家の知見も活用してきたところでございます。  ただいまもお話ございましたように、本法案制定に当たりましては、今後ますます環境庁審査重要性が高まるということは先生のおっしゃるとおりでございまして、環境庁審査体制充実につきましては、環境保全に関する行政総合的推進に責任を持って関係行政機関環境保全に関する事務総合調整を所掌するという立場から、極めて重要になってくると認識をいたしております。  私どもの推定では、少なくとも従来の、これまでの倍は審査件数がふえるだろう、倍以上ふえるであろう、こういうことでございまして、審査体制充実が喫緊の課題でございます。私どもといたしましても、部内の体制を再度見直して体制の強化を図るということとともに、政府全体として定員事情の大変厳しい状況ではございますけれども、必要な増員要求もやっていきたい、こういうことで審査体制充実に今後努めていきたい、こういうふうに考えております。
  17. 河本英典

    河本英典君 おっしゃいましたように、今行政改革でうるさいときでございますので、増員とかいろいろ難しい問題が出てくるかもしれませんけれども、これは非常に重要な問題ですので、ただふやすということじゃなしに、審査能力、体制の増強でございますので、その辺は反対もなかろうと思うわけでございますけれども、どうかよろしくこの審査体制というものを考えていただきたいなというふうに思っております。  次に、準備書等に対して意見を述べる者の範囲について伺いたいと思うわけでございますけれども、旧法案閣議アセスにおきましては意見を言える者の範囲が事業実施によって環境影響を受ける地域の住民ということに限られていたわけでございますけれども、今回の法案ではそれがなくなってしまったということでございます。意見を言える者の範囲を限定せずに、意見を有する者であればだれでも意見を言えるようにしたということでございますけれども、その辺の理由というのは。また、心配しますのは、全然関係ない人が変なことを言い出すということもあるわけでございますけれども、その辺はうまく考えておられるんでしょうか。
  18. 田中健次

    政府委員田中健次君) この一般の意見の聴取というのは、有益な環境情報を提供していただくということで、環境保全の見地からの意見の提出を期待するものでございます。そうしたことで、有益な環境情報というものは、その地域の住民に限らずに、環境保全に関する調査研究を行っております専門家や学識経験者あるいは自然保護等の環境保全に関心を持っている方々、あるいはその地域に勤務をしてこられる方々等、これらの方々によって広範に保有されているということから、意見を述べることができる者の範囲をこの法案では限定をしないということにしたものでございます。  また、この法案のベースになっております中央環境審議会答申におきましても、ただいま申し上げましたような観点から意見提出者の範囲は限定しないことが適当というふうに御指摘をされているところでございまして、これらも踏まえましてこの法案では範囲を限定しなかった、こういうことでございます。
  19. 河本英典

    河本英典君 ちょっと変な言い方なんですけれども、こういう質問をいたしましたのは、確かに環境保全というのは重要なことであるには違いないんですけれども、一方、事業者立場に立ちまして物を考えました場合、意見を言える者の範囲に限定がなくなって、場合によっては関係各方面から限りなく意見が出されるというようなことになると事業推進が妨げられるようなことになるのではないかというふうに懸念いたしますが、このあたりは大丈夫なんでしょうか。
  20. 田中健次

    政府委員田中健次君) ただいま申し上げましたように、一般の意見聴取というものは有益な環境情報の提供をいただくということで環境保全の見地からの意見の提出ということに限定をいたしておりますし、それから、際限のない意見提出によりまして事業推進が妨げられるのではないかという御懸念でございますけれども、これらにつきましては、この意見提出の期間等も法律で定めておりますし、それから事業者調査項目等選定するに当たりましてのよりどころとなる指針をそれぞれ省令で定めであらかじめ示しておくという手はずにもいたしますし、それから事業者は必要に応じまして調査項目選定等につきまして主務大臣の助言も受けられるということになっております。  先ほどから申し上げておりますように、環境保全の見地からの意見を求めるということでございまして、そうしたことで事業者が今申しましたような観点から取捨選択もできるわけでございまして、先生が御指摘のような御懸念は大丈夫であるというふうに考えております。
  21. 河本英典

    河本英典君 この環境アセスメント法案が今までなかなかできなかった理由というのは、実は事業者の方の心配が大きかったからおくれたということも一つ言えるんじゃないかなと思いまして、環境保全環境保全というにしきの御旗といいますか、そっちの方ばかりいきまして、事業者立場もちょっと心配してあえてこの質問をさせていただいたわけでございますけれども、問題なく、かえってよくなってうまくいくんだということの考え方でいいわけですね。
  22. 田中健次

    政府委員田中健次君) 私どもはそういうことでいろいろと制度を仕組んでおります。それから運用に当たりましても、この点につきまして決して住民意見と申しますか一般の方々の意見事業の賛否を問うものではなくて、環境保全の見地からの有益な環境情報を提供してもらう、こういう趣旨の徹底に努めていきたいということもやっていきたいと思いますので、大丈夫だと思います。
  23. 河本英典

    河本英典君 今、局長がおっしゃっていただいた部分をよくPRしてもらわないと、環境保全のためにやるんだということをよくやっておかぬと、反対のための反対であるとか、何か言い得とか、わあわあたくさんの人が言っているようなイメージでいろいろ何か物事が回るというふうな風潮もないわけじゃないわけでございますので、その辺を大変私は逆の意味で懸念しておってしつこく聞いておるわけでございますけれども、ぜひその辺のPRをよろしくお願いしたいなということを特に強調しておきたいと思います。  それから次は、条例との関連でございまして、冒頭に申しましたように、各地方公共団体におきましても、条例であるとか要綱であるとか、それぞれ今までいろんなことをやられてきておるわけでございますけれども、この辺、これまでの地方公共団体における環境アセスメント制度の施行状況について、わかっている範囲で結構でございますので教えていただきたいと思います。
  24. 田中健次

    政府委員田中健次君) 地方公共団体におきます条例あるいは要綱等の制定状況につきましては、これは昭和四十年代の後半から制定の動きが始まりまして、五十一年に川崎市、それから五十三年に北海道、それから五十五年に東京都と神奈川県が条例制定するに至りました。こうしたことで、各団体におきまして独自の環境影響評価制度制定されるようになりました。それから、昭和五十九年に政府閣議決定を経まして、その後も逐次制度化が進められてきたわけでございます。平成元年以降、制度化が急速に進展をいたしまして、平成五年に制定をされました環境基本法におきまして環境影響評価が位置づけられた、こうしたことと相まちまして、平成六年には埼玉県、それから平成七年には岐阜県、それからつい最近、ことしの三月にも兵庫県で条例制定をされたところでございます。  現時点におきまして、都道府県、政令市、合計五十九団体あるわけでございますが、条例制定団体が七団体、それから行政指導による要綱等の制定団体が四十四団体の、合計しまして五十一団体が独自の環境影響評価制度を有するに至っております。これが現況でございます。
  25. 河本英典

    河本英典君 五十九団体のうち五十一団体でもう既に制度化されているというお話でございますけれども、それだけいろいろ問題があって、それぞれが一つの解決の手段として制度を設けられてきたという歴史的な経過があるというふうに思うわけでございます。  また一つ懸念でございますけれども、こうして先んじて地方がこうした取り組みを行ってきた中で、状況によっては地方の方が先進的な部分があるということもあり得るわけですけれども、今回のアセスメント法の制定によってその先進的な地方の取り組みが後退するようなことはなかろうかというような懸念もあるわけでございます。そのあたりは余り心配しなくていいということなんでしょうか。いかがでしょうか。
  26. 石井道子

    国務大臣石井道子君) 環境影響評価法案は、環境影響評価準備書を作成する前の手続として、新たに環境影響評価手続を要するかどうかを個別の事業ごとに判断する手続としてスクリーニングと言っておりますが、また調査等項目地方公共団体住民等の意見を聞いて選定する手続として、スコーピングという形でそれを導入することにしております。現在の地方公共団体が設けている制度と比較いたしましても充実した内容になっていると考えております。  手続の各段階におきまして、地方公共団体意見が十分反映される仕組みとするということになっておりますほか、知事の意見形成に係る公聴会審査会の手続など、この法律に違反しない限りで地方公共団体における手続条例で定められる仕組みとしているわけでございまして、地方公共団体の取り組みに十分配慮した内容にもなっているわけでございます。  このように、本法案は地域の実情に即して十分なアセスメントが行われる仕組みとなっているわけでございまして、本法案制定によりまして現行の地方公共団体環境影響評価の取り組みが後退するという心配はないと考えております。
  27. 河本英典

    河本英典君 環境問題といいますのは、ほかの行政分野に比較しまして非常に地域性の高い分野であるということは言えると思うんです。それゆえに、地域の事情対応した柔軟な対応というのが必要であるというふうに思います。大気汚染防止法や水質汚濁防止法を見ましても、法律が対象としている工場や事業場についてでも都道府県が地域の事情に応じて国が一律に定めた排出基準に上乗せをして独自の基準条例に定めることができるようになっているというふうに聞いておるんですけれども、同様にこの環境影響評価法においてもこの地方の上乗せということで自由に認めるべきではないかという考えがあるわけですけれども環境庁の考え方を伺いたいと思います。
  28. 田中健次

    政府委員田中健次君) ただいまお話のございました大気汚染防止法あるいは水質汚濁防止法、これらは規制法でございまして、その地域地域で特性もあろうかと思います。そういうことで法律で上乗せ等も認めるということになっておるわけでございますけれども、この環境アセスメント法は手続法でございます。  そうしたことで、国が関与をいたします大規模な事業につきましては全国どこでも同じ手続環境影響評価が行われることが適当でございまして、また、地域によりまして手続内容が異なるということになりますと、隣接県で手続の進行が異なるおそれが生ずるなどございまして、弊害が大きいというふうに考えております。  このために、条例によりましてどのような手続を付加することができるかにつきましては、法案では統一的な手続について条例で自由に手続の付加ができるということとはいたしませんで、法律の規定に反しないもの、すなわち法律手続を変更したり、あるいは法律に定める手続の進行を妨げたり、または瑕疵を生じさせるものでないものに限りまして条例で必要な規定を定めることができる、そういうふうにしたところでございます。
  29. 河本英典

    河本英典君 なるほどそうですか。手続法ということで、規制法とは違うということで理解したらいいわけですね。わかりました。  それでは、このアセスメントですけれども環境影響をあらかじめ予測して、それを評価して、その結果を事業内容に反映させることによってあらかじめ環境汚染を防ぐという、手続法というふうにおっしゃいましたけれども、言うならば未然防止法というふうに考えてもいいと思うんですけれども環境汚染未然に防ぐこれは非常に有効な手段であります。なってしまってからではどうにもならぬわけでございますから。  だから、アセスメントの結果を反映していこうということなんですけれども、何しろやる前にいろいろ考えるわけですし、これ人間のやることですので、その影響評価というのが仮にちょっと予測したのと違った結果になっていくということも考えられるわけですけれども、そういうふうになった場合、そういうことに対応して事業着手後においても手続を通じて得られた各関係方面からの有益な意見が、アセスメントの結果が事業に反映されるように何らかの対策を講じる必要があるのではないかというふうに考えます。  この点について、この今回の評価法においてどのような担保といいますか、アセスメントの予測が結果と違ってくるということになった場合ということを考えての質問なんですけれども、いかがでしょうか。
  30. 田中健次

    政府委員田中健次君) 事業着手後の問題でございますが、事前の調査、予測、評価の段階で特に新規のあるいはまた未検証の技術や手法を用いるような場合もあるわけでございまして、そうした場合には非常に予測の不確実性ということが伴ってくるということでございまして、そうしたことで、影響の重大性あるいは不確実性の程度に応じましてその影響ないし効果を評価後に把握して、その結果により適切に対策を講じる、いわゆるこれを事後のフォローアップと申しますが、その事後のフォローアップを実施するということが大切でございます。  そうしたことで、法案では第十四条と第二十一条におきまして、事後のフォローアップをどうするかというフォローアップの措置をあらかじめ準備書あるいは評価書に記載させることにいたしております。具体的には、準備蓄等に環境保全のための「措置が将来判明すべき環境状況に応じて講ずるものである場合には、当該環境状況の把握のための措置」を記載する、これは十四条の一項七号のハでございますけれども、こうしたことの表現で成っておりますが、これは、将来のフォローアップの措置をあらかじめ準備書評価書に書いておく、こういう義務づけをいたしておるわけでございます。  さらに、法律案の三十八条におきましては、「事業者は、評価書に記載されているところにより、環境保全についての適正な配慮をして当該対象事業実施する」ということで、必ずこの三十八条においても評価書に書いたものを実行するということになっておりまして、フォローアップが法的にも確保をされておる、こういうところでございます。
  31. 河本英典

    河本英典君 今回のアセスメント法制化は、環境庁にとどまらず、先ほど冒頭に申し上げましたように、大変長年の悲願であったというふうに思うわけでございますけれども、これが制定されて、環境庁立場もありますし、それから環境庁長官という主務大臣としてこれからの運用についてぜひとも頑張っていただきたいと思うわけでございますけれども、それに対しまして、これからの運用につきまして御決意のほどをお聞かせ願いまして、この質問を終わりたいと思いますので、よろしくお願いします。
  32. 石井道子

    国務大臣石井道子君) 本法案につきましては、現行制度改善充実いたしまして、諸外国の制度と比較しても遜色のない内容となっているものでございますし、これによって実効ある環境影響評価実施が確保されて、そして環境保全の取り組みが飛躍的に促進されるものと確信をしているところでございます。  また、環境庁長官は、環境行政を総合的に推進することを任務とする国の行政機関の長として、環境影響評価項目等選定とか環境影響評価実施などに関しまして基本事項を定めるとともに、事業者が取りまとめた環境影響評価の結果について主務大臣に対して意見を述べるという極めて重要な役割を担うことになるわけでございます。  本法案の成立の上は、本法によりまして環境庁の責任が一層重みを増すこととなるものでございまして、国民の期待にこたえて、そして本法によりまして環境庁に課せられました役割をしっかりと果たして、適正な運用に万全を期しまして環境保全の取り組みをより確実なものにしていきたいと考えているところでございます。どうぞよろしくお願いいたします。
  33. 河本英典

    河本英典君 終わります。
  34. 馳浩

    ○馳浩君 自由民主党の馳浩と申します。先輩の河本委員と多少重複する点があるかもしれませんが、お許しいただきたいと思います。  まず、質問をする前に、行財政改革の厳しい折柄、環境庁におきましても、その存亡の危機に面していると私は承っておるわけでありますが、ある意味では環境省として、むしろ開発官庁に対するもっと大きな権限を持つためにも活躍をしていただきたい。加えて、そのためにはこの環境アセスメント法案が大きなにらみをきかす法案として実効力を持つようになることを期待しながらきょうの質問をさせていただきますので、よろしくお願いいたします。  朝日新聞の去る二月二十日の記事にアセス法案の記事が書かれております。その見出しが、「魂入るかアセス法案」となっております。ここに魂を入れられるか否かの最大の分岐点は、私は、いわゆるスコーピング手続充実度、完成度にかかっていると確信しております。言葉をかえるならば、スコーピング手続がその本来予定している効果を十分発揮させるならば本法は魂を入れることに成功したと言っても過言ではないと思います。  しかし、そのために、以下質問してまいりますが、多くの点で政省令や指針内容をどうするか、これいかんにかかわってくると言わざるを得ません。当委員会での質疑も、この点をしっかり追及し、ただしていく点にこそ意義があると考えております。  そこで、具体的な質問をする前に、そもそもスコーピング手続導入するのはどんな効果を想定してのことでしょうか、教えていただきたいと思います。
  35. 田中健次

    政府委員田中健次君) スコーピング手続は、事業者環境影響評価手続に係ります調査を開始するに当たりまして、事業の概要やあるいは実施しようといたします調査等に関する情報を公表いたしまして、地方公共団体やあるいは環境保全の見地の意見を有する者の意見を幅広く聴取する、こういう手続でございます。このようなスコーピング手続導入によりまして、論点が絞られ、めり張りのきいた効率的な予測評価ができる、あるいは作業の手戻りの防止ができる、あるいはまた関係者の理解の促進等の効果が期待されるということとともに、この手続により提供された有益な環境情報を活用することによりまして、事業計画の早期段階での環境配慮に資することが期待をされておるところでございます。
  36. 馳浩

    ○馳浩君 大きく三つの効果を挙げていただきましたけれども、これらからもわかりますように、いずれも重要なものばかりでありまして、この三つの効果が十分あらわれるならば本当にすばらしい、かつ魂の込められたアセス法案になると思います。ただし、果たしてこのままで三つの効果が十分あらわれるのか、ここを関係者の理解促進効果と早期アセス実現効果に絞って、以下検証していきたいと思います。  まず、重要度からいいまして、果たして事業計画の早期段階から環境に配慮するシステムになるのかを検証したいと思います。  結論からいいますと、このままでは早期アセスの実現は難しく、いわゆるアワセメントのままで終わるのではないかと懸念をいたします。なぜそういう残念な結論に至ってしまったのかを明らかにしたいと思います。  そもそも早期段階での環境配慮すなわち環境アセスを実現する、でいうところの早期段階には、事業計画の早期段階とアセス手続の早期段階の二つの意味がありまして、これは厳に区別されるべきであるのに混同して使われているようであります。今回のスコーピング手続導入でアセス手続の早期段階での環境配慮は確かに実現します。なぜなら、準備書作成段階を起点に見れば、従来の閣議アセスでは、準備書作成後に初めて環境配慮、つまり実質上のアセス手続が開始されるだけなのに、今回は準備書作成前の段階でスクリーニング手続、そしてスコーピング手続という環境配慮がなされるからであります。  しかし、少なくともスコーピング段階で立地場所が固まっているのが通常で、この点に関しましては衆議院での質疑でも明らかになっております。そうであるならば、用地買収の交渉も相当進んでいるはずであり、何ら制度的工夫もなければ、立地の変更も含めた代替案の検討可能な事業計画の早期段階での環境配慮は、既に事業内容がほぼ固まってからのスコーピング手続実施でありますから、以前と同様アワセメントでしかないことになります。  そこで提案したいことがあります。事業計画の早期段階からの環境配慮事業者の内部で進めるために、地域において市民も参加した環境管理計画を策定し、どこが重要な自然環境かを現実に地図に落として、これを事業者にあらかじめ示した上でこれをスコーピング手続でも使っていくことが効果的と考えますが、いかがでしょうか。
  37. 田中健次

    政府委員田中健次君) 地方公共団体環境管理計画のような形で環境保全上重要な地域を地図の上などに示して公表する、こういうことは事業者が自主的に地域の環境保全に配慮して事業計画を作成するということを促進することにつながるものと考えます。また、地域の環境管理計画が策定されている場合には、今回新たに導入されますスコーピング手続におきまして、この計画を背景としまして地方公共団体等からの意見が出されることも想定ができるところでございます。  このように地域の環境管理計画環境影響評価制度を関連づけて地域の環境保全を図っていくという考え方は重要な御指摘でございまして、制度の運用に当たりまして、御指摘の趣旨が生かされますように環境庁としても努めてまいりたいと、こういうふうに考えております。
  38. 馳浩

    ○馳浩君 今提案を申し上げましたこの環境管理計画の事前提示制を実効性あるものにするためには、地域環境管理計画に示された自然環境の重要度がスコーピングにおいて参考にされるように、調査等選定に当たっての基本事項指針にこの旨を明記すべきであると考えますが、いかがでしょうか。
  39. 田中健次

    政府委員田中健次君) 地域の環境情報といたしまして、例えば地域の環境管理計画に盛り込まれました自然環境の重要度などの情報がスコーピングにおいて反映されることはただいま申しましたように大変重要と認識をしておりまして、このことを十分踏まえまして、今後、御指摘のありましたように基本事項あるいは指針内容を検討していきたい、念頭に置いて検討していきたいというふうに考えております。
  40. 馳浩

    ○馳浩君 問題点は、自治体がこの趣旨に沿った環境管理計画を策定するかどうかであります。この点、環境庁、どんな施策でこの計画策定を促進させるつもりでしょうか。
  41. 田中健次

    政府委員田中健次君) 地域の環境保全に関します基本的な計画の策定等につきましては、国の環境基本計画、私ども環境基本法に基づきまして策定をいたしております環境基本計画におきましても、地方公共団体に期待される役割の一つとして挙げておるところでございます。  環境庁といたしましても、このような地方公共団体計画等の策定に資するためのハンドブックを作成いたしまして配付をいたすというような技術的支援を行っておりますが、このほかに、平成七年度から、計画等の策定を行う市町村に対しまして、環境基本計画推進事業費補助といいます財政的支援を行っておるところでございます。ハンドブックを作成して配付するほかに、こうした予算上からも環境基本計画推進するための補助費を援助いたしておるところでございます。  今後とも、御指摘のような計画も含めまして、地方公共団体におきます総合的な環境計画等の策定が促進をされますように、支援の充実を図っていきたいというふうに考えております。
  42. 馳浩

    ○馳浩君 より一層の充実をお願いしたいと思います。  今提案させていただきました手だても効果があると思いますけれども、これはやはり自治体次第でありまして、やや他人任せの感があります。最善の方法は、答申にも指摘されておるとおり、上位計画段階のアセスであります。アメリカで実施されておりますし、実は本法に定める港湾計画に係るアセスが上位計画アセス、いわゆる戦略的環境アセスでもあります。  ならば、なぜ今回一部でなく全面的に戦略アセスを導入しなかったのか、答申にはその詳細な理由がないので、詳しく教えてください。  さらに、全面的に戦略アセスを導入するために、今後早急に詰めていく考えなのでしょうか、あわせて教えてください。
  43. 田中健次

    政府委員田中健次君) 中央環境審議会答申におきましては、現時点ではなお検討を要する事項が多いということから、政府としてはできるところから取り組む努力をしながら、国際動向や我が国での現状を踏まえて、今後具体的な検討を進めるべきであると、こういうふうに答申指摘をされまして、今後の課題とされておるところでございます。  法案におきましては、本答申を踏まえながら、できるところから取り組むというその取り組みといたしまして、先生から今お話ございました港湾計画についてのアセスメントを盛り込んだところでございます。  今後、この答申に従いまして、国際動向や我が国の現状を踏まえまして、政府計画やあるいは政策につきましてのアセスメント手続等のあり方につきまして具体的な検討を進めていきたいというふうに考えておるところでございます。  また当面は、現在、国際影響評価学会というのがございまして、IAIAと略しておりますが、この国際影響評価学会におきまして戦略的環境アセスメントを含めました国際的な共同研究が行われておるところでございまして、環境庁といたしましても、このIAIA等を通じまして国際的動向を十分に把握いたしますとともに、我が国におきましてどのような計画あるいは政策についてどのような手続手法環境への影響を評価できるか、具体的に研究、検討を進めて、整理を進めていきたいというふうに考えておる次第でございます。
  44. 馳浩

    ○馳浩君 具体的に詰められているということでありますし、今後の対応をしていくということでありますから、好ましいことでありますけれども、この上位計画アセスがいつ導入されるかはまだわかりません。また、このほかにいろんな手だてを考えてこそ実効性のあるアセスになります。  そこで、また一つ提案をさせていただきます。  スコーピング段階、つまり方法書の作成段階で立地に関する代替案、A案、B案、C案など、これの提示を事業者に義務づけるということであります。具体的には、法第五条一項四号の評価手法の一内容として主務省令により規定するのであります。省令事項であるから十分今からでも実現可能であると考えます。  このように、立地の代替案の提示を義務づけると、この後その立地の代替案の検討をしなければならないため、スコーピング段階では立地の確定や用地買収交渉もできなくなり、アワセメントからの脱却ができると考えますが、この提案に対して環境庁意見をその理由とともにお聞かせください。
  45. 田中健次

    政府委員田中健次君) 立地の代替案の提示につきましては、民間事業者が行う事業等もございますし、それから用地の制約を有する事業種類もございます。こうしたことで、主要国におきましても立地の代替を義務づけている例が見当たらないのが現況でございます。  また、立地の代替案を提示するということは地域の利害対立を誘発するおそれがございます。こうした観点からいたしましても、立地場所の代替案、これを義務づけるということは適当ではないというふうに考えておるところでございます。  なお、スコーピング手続の開始に際しましては、今お話がございましたように、おおむね立地の場所が明らかにされていることが必要というふうに考えられますけれども事業によっては一定の広がりの中からその後の調査等によって具体的な場所が固まっていく場合もあり得る、こういうケースもあるものと考えておる次第でございます。
  46. 馳浩

    ○馳浩君 もありますと強調していただいたようでありますけれども、私としては、効果が認められる政策でありますので、義務づけでなくても立地の代替案の提示ができるとしてほしいと考えますが、いかがでしょうか。これだけでもあれば、立地の代替案の提示を第三者が促すことになり、その結果事業者が自主的に提示することにつながると思いますが、重ねて質問を申し上げます。
  47. 田中健次

    政府委員田中健次君) スコーピングの段階での具体的な記載内容につきましては、これは事業者判断によるものというふうに考えておりまして、事業者が必要と判断をいたしまして立地場所の代替案を提示して意見を求めるということは何ら本法案は妨げるものではございませんで、そういうことは可能でございます。
  48. 馳浩

    ○馳浩君 続きまして、今度はスコーピング手続導入効果の一つであります関係者の理解促進効果について、これが本当にそういう効果があるかどうかについて質問を続けていきます。  この点のポイントとなりますのは、評価項目評価手法選定の仕方を規定する法第十一条の規定の理解であります。特に、ここでの主務省令、それを内容的に拘束する指針、さらには技術的助言の理解が大変重要であります。  質問に移ります。  アセスのための技術指針の進歩は日進月歩であり、そのために常に最先端の科学、技術を反映したものでなければならず、したがって常に指針の見直しをしていくべきと思いますが、いかがでしょうか。
  49. 田中健次

    政府委員田中健次君) 技術的な内容につきましては、今後とも高度化あるいは複雑化をいたします環境影響評価を取り巻く要請に効果的に対応するということとともに、予測の不確実性の提言あるいは信頼性の向上あるいは利用性や効率性の向上を図っていくということが必要でございます。  こうしたことから、法案の五十一条にも定められているとおりでございまして、環境影響評価を支えます技術手法のレビュー作業やあるいは新しい関連技術手法の開発を継続的に行いまして、内外の科学的知見の集積状況を踏まえて指針等が適切に見直されるように、私どもといたしましては基本事項を定めます際におきましてこれをお示しするなどの措置を講じていきたいというふうに考えております。
  50. 馳浩

    ○馳浩君 今の答弁を聞いておりますと、広く問題となる方法は科学的に普及したときでなければ見直しの対象にならないといった、ちょっと腰の引けた感じがあります。これでは十分な環境への配慮がなされていくとは思えないと思いますが、具体的に伺います。  科学的知見が広く普及し固まる前でも、最先端の技術や手法を取り入れることもあるのでしょうか。
  51. 田中健次

    政府委員田中健次君) 技術指針は、各事業種の標準的な事業形態を想定いたしまして標準的な評価項目それから手法を示しますとともに、事業の特性やあるいは地域の環境状況に応じまして項目手法の追加をしたり削除をしたり、あるいは重点化をしたり簡略化をする等の、どのような考え方で行うかを技術指針に定めることとしておるところでございます。  したがいまして、技術指針が見直される前でございましても、個別の事業状況に応じまして、必要に応じまして最先端の技術や手法を取り入れることはできるもの、そういうものであるというふうに考えております。
  52. 馳浩

    ○馳浩君 個別の事業につきましてできるものという答弁でございますので、この点を確認ができたことを一つの成果としておきたいと思います。  次に、評価項目評価手法選定基準となる第十一条三項の指針につきまして、例えば住民や知事提案の評価項目評価手法を積極的に取り入れるためにも、網羅的な柔軟な指針内容になるよう配慮すべきと考えますが、いかがでしょうか。
  53. 田中健次

    政府委員田中健次君) 御指摘のとおり、個別の事業の特性やあるいは地域の環境状況に応じまして適切に評価項目手法を定めることができることが必要でございまして、技術指針がこのような自由度のあるものとなるように努めていきたいというふうに考えております。
  54. 馳浩

    ○馳浩君 ここからはちょっと先ほどの河本委員の質問とも重なっていくのでありますけれども、第十一条一項の規定の仕方を見れば、知事、市町村長、一般市民の意見を十分検討し考慮してくれるように見えます。しかし、評価項目調査、予測及び評価手法選定権者はあくまでも事業者であります。そうであるならば、自分に都合のよいものを選定する可能性が大いにあると考えます。  さらに、それらの選定基準である指針は、さきの答弁でわかるとおり、事業者評価項目評価手法を当然含んでおりますし、知事等が提示した評価項目評価手法も当然含んでいる網羅的な内容でありましょうし、また指針でそのような選定に優先順位もつけられるわけでもないので、幾ら条文で勘案するといいましても、事業者に都合のよいものを選定されてもいたし方ない仕組みになっているような気がいたします。この点どうでしょうか。
  55. 田中健次

    政府委員田中健次君) 調査等項目選定につきましては、法案におきましては、調査等項目選定のための指針主務省庁によりまして事業種ごとに示されまして、事業者はこれに基づき選定を行うこととしておりまして、この事業種ごと指針におきまして考慮すべき事項基本的な事項ということで環境庁長官がお示しをするということになっております。項目等環境庁長官基本事項それから主務省令に基づきまして定められるということでございます。  それから、スコーピング手続では、一般意見地方公共団体からの意見、こうしたものが述べられまして、これは事業者準備書においてこれらに対する見解を明らかにすることが義務づけられております。さらに、準備書から評価書に至る過程でも同様の仕組みが設けられておりまして、評価書につきましては環境庁長官意見を述べて、それから主務大臣によって許認可に反映をするという、こういうプロセスが控えておるわけでございます。  このようなことから、先ほども御答弁申し上げましたが、事業者としては真摯な対応をしなければプロセスで手戻りが生ずるということで、あたら時間を食う、こういうことにもなるわけでございまして、事業者は真摯な対応ができるようなそういう仕組みにしておりますので、先生ただいま御指摘のような御懸念には及ばないというふうに考えておるところでございます。
  56. 馳浩

    ○馳浩君 先ほどの河本委員に対する答弁とほぼ同じようなことで、最終評価書審査事業者の利己的な決定を非難し、許認可等に反映させられるので心配は要らないというふうな環境庁としての御意見でありますけれども、本当にそうであるならば結構でありますが、懐疑的にならざるを得ない。といいますのも、許認可権者と事業者は非常に近い関係にあり、幾ら環境庁長官が頑張っても運用段階で限界があるような気がするという懸念であります。この点がやはり環境庁を早く環境省にしていただきたいという私の考えにも通じると思うんです。  そこで、この点を踏まえて、制度的担保が必要と私は考えます。そこで、準備書の記載事項として知事等の意見不採用の理由を明示させてはいかがでしょうか。これをもとにすれば事業者、許認可官庁の横暴をより以上セーブすることができると考えますが、いかがでしょうか。
  57. 田中健次

    政府委員田中健次君) 本法案では、事業者は、スコーピング手続に係ります知事などの意見に対しまして、その見解を準備書あるいは評価書に記載することになっております。それで、準備書等に事業者の見解をどの程度の詳細さで記載をするかにつきましては、法の趣旨からいたしまして、知事などの意見提出者はもとより、一般の人が見て納得のいく程度の一般常識にかなったものとすることが当然必要でございます。  スコーピング手続におきまして、知事等からの意見が出された場合には、事業者におきましてこれは適切に勘案、配意されるものと考えておりますけれども、仮に事業者が知事等の意見を取り入れないこととした場合には、準備書等におきます事業者の見解におきましてその理由が合理的な詳しさを持って説明されることとなるものというふうに考えております。
  58. 馳浩

    ○馳浩君 次の質問に移ります。  今回の法制化に当たりまして注目されている論点の一つとして、アセス対象事業の拡大があります。しかし、この問題は実は観点の異なる二つの問題であります。一つは、対象事業そのものの拡大問題です。発電所を対象とするかどうかなどはここでの問題であり、いわば事業種の問題です。  もう一つは、既にアセス対象の事業種であるが規模が小さくてアセスを免れている問題で、この規模要件を緩和して対象事業を拡大する問題であります。  そこで、まず事業種の拡大について質問します。  発電所については法の第二条二項一号のホで明文化されたのでよいとして、大規模林道、在来線鉄道についてはいかがでしょうか。  関連して、対象事業とする予定ならば、それらは第二条二項一号のイの「道路」に、そしてハの「鉄道」に含まれるのか、それともワの「政令で定める事業」の種類でしょうか。純粋な政令事項だと政府レベルでの裁量となるので問題があります。この点を確認したいと思います。
  59. 田中健次

    政府委員田中健次君) いわゆる大規模林道につきましては、法案の二条二項第一号のイのところにございます「その他の道路」に含まれるわけでございます。  それから、いわゆる在来鉄道につきましては、同号のハの「鉄道」または「軌道」に含まれるということでございまして、範疇としてはこれに該当するわけでございます。
  60. 馳浩

    ○馳浩君 確認をさせていただきましたが、明確に答弁いただきましたので、ありがとうございます。  続きまして、問題はゴルフ場やごみ焼却場などです。現時点でこれらを対象事業種と考えてはいないのでしょうか。
  61. 田中健次

    政府委員田中健次君) ゴルフ場あるいは最終処分場以外の廃棄物処理施設、ゴルフ場といわゆるごみ焼却施設につきましては、現段階では法案の対象とすることを予定してございません。
  62. 馳浩

    ○馳浩君 では、まずゴルフ場について、なぜ対象事業種に加えないのでしょうか。その理由を述べてください。
  63. 田中健次

    政府委員田中健次君) この法案では、中央環境審議会答申等も受けまして、国の立場から見て一定の水準が確保された環境影響評価実施することによって環境保全上の配慮をする必要があり、なおかつ国が実施をし、または許認可等を行う事業を対象といたしておるところでございます。これは、中央環境審議会答申の趣旨を踏まえてのものでございます。  ゴルフ場につきましては、事業そのものをとらまえる許認可法というものがございません。それから、環境影響評価制度を有しております地方公共団体の大部分におきまして既に対象事業として扱われているということなどから、法案対象事業とすることにはいたしておらないという判断でございます。
  64. 馳浩

    ○馳浩君 ちょっと詳細に今の答弁を分析し、かつ批判をしたいと思います。  まず、ゴルフ場には許認可法が存在していないから対象外との理由は、そもそも発想が逆であります。ゴルフ場をアセスでチェックしていく必要性があるかどれだけ環境に悪影響を与えているかを検討して、チェックする必要性があれば、規制の対象とできるように立法化するのがあるべき立法姿勢であります。許認可の対象でなければ、極端な話、関連法規を改正してアセスの対象にすべきなのであります。今回は、いきなりゴルフ場を許認可事項にするのは非現実的でありますので、法第二条二項二号で言う届け出事項にしてアセス対象事業にできるよう努力すべきではなかったのでしょうか。  次に、ゴルフ場は地方アセスの対象となっており、適切な役割分担の観点から地方に任せたいとの理由は、一見なるほどと思いますが、無責任な国の対応と言わざるを得ません。なぜなら、都道府県、政令指定都市全五十九団体中、五十一の団体がアセス条例または要綱を持ち、うちゴルフ場をアセス対象としているのが四十五団体あると。  この数字をどう見るか。これも問題がありますけれども、一歩譲ってまずまずといたしましょう。  しかし、平成元年一月から六年九月までの全国で起こった開発事業にかかわる住民との紛争事業数が約四千七百件ですね。そのうち千五百例をピックアップしたところが、そのうち約五百五十、三分の一近くがゴルフ場の問題で、二位の産廃施設の百六十を大きく引き離しているところでありまして、つまり地方のアセスでは十分ゴルフ場の問題を処理し切れていないということをあらわしております。これを忘れてはいけないと思います。  つまり、国レベルの問題になっているということ、これがまず第一点。  さらにもう一つ。それは、このアセス法の立法動機の一つである行政手続法制定と関連します。  この法の制定で従来の行政指導限界を迎えたと言わざるを得ません。この行政手続法第三十二条二項、「行政指導に携わる者は、その相手方が行政指導に従わなかったことを理由として、不利益な取扱いをしてはならない。」と、「行政指導の一般原則」のところでありますけれども、この法の制定によりまして従来の行政指導限界を迎えて、相手方が行政指導に従わずとも不利益な処分をしてはいけないということになったのであります。そして、地方要綱アセスは言うまでもなく実態は行政指導であり、その要綱アセスがアセスを持つ五十一団体のうち四十五団体にまで及んでいる。この事実をどうするのでしょうか。今現在は行政指導の無力化が余り知れ渡っていないからよいとするのでしょうか。  以上、二点の反論がありますが、どう環境庁は釈明いたしますか。喫緊の課題としてゴルフ場の問題は処理することを提案したいと思いますが、いかがでしょうか。  以上、御答弁をお願いいたします。
  65. 田中健次

    政府委員田中健次君) 今回私ども環境アセスメント法を提出するに至りました背景としていろいろございますが、その中で、今先生がおっしゃいました二つあるわけでございます。  一つは、行政手続法制定によりまして、行政指導には限界があるということでございます。もう一つは、地方分権推進法ができまして、国と地方役割分担を改めて見直していろいろ整理をしていくと、二つの大きな命題も背景にあるわけでございます。  そうしたことで、ゴルフ場につきましては、環境影響評価制度を有しております地方公共団体の大部分先生今五十一の中で四十五とおっしゃいましたが、五十一の中で今五十ございます、五十がゴルフ場を対象にいたしておると。そういう状況でございまして、地方分権の流れの中で国と地方の適切な役割分担を行うという観点からも、今回国の制度の対象とはしなかったところでございます。  それからもう一点、地方公共団体制度要綱が中心でございまして、ゴルフ場のアセスを適切に処理できていないのではないかという御指摘でございます。  国におきましても、ただいま申し上げましたように行政指導限界認識いたしまして、環境影響評価制度法制化を図ったということでございますし、また法制化に当たりましては、事前手続導入して住民参加の機会を拡大させるなど各般にわたりまして制度充実を図ったことにつきまして、その経緯と趣旨を地方公共団体に十分お伝えするなどを通じまして、各地方公共団体でのこの環境アセスメント制度充実が図られるように、私ども環境庁としてもそういう面でも努力をしていきたいというふうに考えておるところでございます。そういうことで、ゴルフ場につきましてはこういう整理をいたしたということをぜひ御理解いただきたいと思います。
  66. 馳浩

    ○馳浩君 私が質問した中でお答えがちょっと私はっきり理解できなかったんですが、このゴルフ場について、第二条第二項二号に言う届け出事項にしてアセス対象事業にできるようにすべきではないかと私は申し上げましたが、それについては具体的にどうお答えをいただけるのでしょうか。
  67. 田中健次

    政府委員田中健次君) 一般的に規制緩和が言われておる時代でございます。できるだけ規制は洗っていこうと、こういうことでございまして、事業法、ゴルフ場の事業としての許認可が果たして必要なのかどうかという観点もございまして、私どもといたしましては、ゴルフ場を規制するというゴルフ場の規制法等につきましては慎重に考える必要があるのではないかというふうに考えておるところでございます。
  68. 馳浩

    ○馳浩君 重ねてしつこく質問いたしますけれども、そのゴルフ場というのは、私もたまにゴルフをやるので余り大きなことは言えませんけれども、非常に大きな範囲にわたりますし、それから東京近郊の千葉、埼玉、静岡、神奈川などは一カ所に集中しておることもありまして、地方に任せてよい問題ではないというふうな意見を私はまずここで述べさせていただきたいと思います。これは改めて私ももうちょっと詳細に資料を検討して、この委員会で質問させていただきますので、きょうは法案審議でありますのでこれ以上はちょっといたしませんが、今後の課題として私は引き続き環境庁としても大きな問題としてお取り組みいただきたいと思います。  次に移ります。次に、ごみ焼却施設の問題についてですが、ゴルフ場同様に、なぜアセスの対象から外れているのか、理由をお聞かせください。
  69. 田中健次

    政府委員田中健次君) 一般に申しまして、最終処分場以外の廃棄物処理施設につきましては、これは点的な事業といたしまして類似をいたします発電所に比べまして敷地面積も非常に小さくなるわけでございますし、それから大気汚染につながる排ガスを発生させる施設の能力規模も大幅に小さいものでございます。そうしたことで対象事業としての要件には合致しにくいというふうに判断をいたしたものでございます。
  70. 馳浩

    ○馳浩君 ごみ焼却施設の排ガス発生能力は確かにほかと比べて小さいと。しかし、ここで問題となっている排ガスはダイオキシンであります。最強最悪の猛毒ダイオキシンはその猛毒性ゆえに、排出量が極端に小さくとも人体に決定的ダメージを与えます。  この点を踏まえて、今回、この法でも評価項目にダイオキシンが加えられるはずであります。ならば、この点を生かす上でも、ごみ焼却施設をアセスの対象事業とすべきではないのでしょうか。
  71. 野村瞭

    政府委員(野村瞭君) 直接のお答えにならないかもしれませんけれども、ダイオキシン対策を行っている立場からお答えを申し上げたいと思います。  ダイオキシン問題につきましては、御指摘もございましたが、国民の健康影響を未然に防止するという観点から対策を急がなければならない重要な課題ということで認識をしておりまして、昨年の五月に有識者から構成される検討会を設けましてダイオキシン対策のあり方について検討を進めてきたところでございます。  せんだって取りまとめられました検討会報告におきましては、排出抑制方策といたしまして、ダイオキシン類を大気汚染防止法に基づく指定物質として指定をして、主要な発生源である廃棄物焼却炉について排出抑制対策を推進すべきことを提言しております。  具体的な排出抑制対策のあり方につきましては、現在、中央環境審議会の大気部会におきまして御審議をいただいているところでございまして、環境庁といたしましては、答申をいただいた後、速やかに所要の制度改正等を行ってまいりたいと考えておりますので、御理解を賜りたいと存じます。
  72. 馳浩

    ○馳浩君 本法案に関する私の質問の答えにはなっていないように思いますが、今おっしゃった答弁も効果的な一つの方法であると考えられますが、ダイオキシンの排出規制についていち早く、これは大気汚染防止法によるのか、早く規制の基準を決めて、数値目標を決めて総量規制なりしていただきたいんですけれども、その進捗状況といいますか、あしたにでも早くやっていただきたいんですけれども、そのめどというのをぜひ表明していただけないですか。
  73. 野村瞭

    政府委員(野村瞭君) 先ほどお答え申し上げましたように、現在中央環境審議会の大気部会で御審議をいただいておりまして、特に急がなければならないということでこの審議会にもいろいろ私ども立場お話し申し上げているところでございます。なるべく早期に結論を出していただきたいということで、でき得れば夏ぐらいまでには結論を出していただくということでお願いをしているところでございます。
  74. 馳浩

    ○馳浩君 夏ぐらいに出していただければ秋の臨時国会に間に合うわけでありまして、私たちとしても厳しい目でその進捗状況を見詰めていきたいと思います。  最後の質問の方に移ります。  次に、規模要件の緩和による対象事業の拡大の問題でありますが、まず確認の意味で、規模要件については従来の閣議アセス基本に定めていくと聞いておりますが、いかがでしょうか。
  75. 田中健次

    政府委員田中健次君) 必ずアセスメントを行うべき事業の第一種事業でございますが、この規模要件につきましては、法律の公布後六カ月以内に政令で決める、こういうことになっておりまして、政令の内容につきましてはこれから詰めていくというとでございますが、現行の閣議アセス対象事業の規模要件等を踏まえながら適切に決めていきたいと、こういうふうに基本的に考えております。
  76. 馳浩

    ○馳浩君 この基本となります閣議アセスの規模要件にこそ問題があります。  例えば、今問題となっております長崎県の諌早湾のムツゴロウ問題。これは閣議アセスができる前の長崎県のアセスを受けて事業化されておりますが、これは埋め立て及び干拓に当てはまる事業であり、この規模要件が面積で五十ヘクタール以上としております。問題はこの規模要件で、日本全体のどれくらいの埋め立て及び干拓事業閣議アセスの対象としているのでしょうか。  資料によりますと、昭和六十一年から平成五年までで埋め立て、干拓の全体の事業件数のわずか〇・四%、四千三百十件中の十五件、全体の事業量では一万四千九百五十五・二ヘクタールのうちの二千三百十・四ヘクタール、これは事業量でいいますと、面積比でありますが、一五・五%でしかありません。他方、高速自動車国道はいずれも一〇〇%、新幹線や原子力発電所も一〇〇%であります。確かに事業の特殊性はあると申しますが、この差は余りに大き過ぎないかということであります。  埋め立て、干拓と同様の数値を出しているのが廃棄物最終処分場、これは先ほどの基準で三十ヘクタール以上のものでありまして、昭和六十二年から平成四年までが〇・三%、土地区画整理事業でこれは一・七%と。これ以上詳しくは述べませんが、こういった問題となる事業と比較的に類似している事業の数値に少なくとも近づけるべきと考えますが、いかがでしょうか。  政令事項でありますゆえ、法第二条二項によりまして今からでも対応可能であると考えますが、いかがでしょうか。
  77. 田中健次

    政府委員田中健次君) 本法案におきましては、国の立場から見てアセスメント実施させることが必要なものといたしまして大規模な事業を対象とすることといたしております。このような観点から、規模要件を定めた場合、事業種に応じてカバー率に差が出ることはやむを得ないのではないかというふうに考えております。この場合、カバー率の高低が直ちに環境保全の確保の度合いを示すことにはならないのではないかというふうに考えております。  ちなみに、今お話がございました埋め立て、干拓につきまして、閣議アセスでは規模要件を五十ヘクタール以上、これは廃棄物の最終処分場につきましては三十ヘクタール以上でございますが、五十ヘクタール以上としておりまして、このカバー率につきましては、規模要件よりもかなり小規模な事業が多数行われているということのために他の事業種に比べて低くなっておるところでございます。アセスにかかりました平均の事業規模は百五十四ヘクタールということでございますけれども、全体の埋め立て、干拓の平均事業規模は三・五ヘクタール、こういう数字でございまして、非常に小さな事業が数多くある、こういう実態にあるわけでございます。  なお、公有水面の埋め立て、干拓につきましては、原則すべての事業につきまして公有水面埋立法に基づくアセスが行われているというところでございまして、こうした数字は先ほどの申された数字の中には入っておりません。  さらにまた、この法案におきましては、必ずアセスメントを行うべき第一種事業の規模を下回る事業でございましても、一定の規模以上の事業につきましては第二種事業ということで、個別の事業内容あるいは事業実施地域の環境状況等によりましてアセスメント実施義務の有無につきまして個別に判定を行うスクリーニングの制度導入しているところでございます。ということで、第一種事業、さらにその第一種事業の規模を下回る第二種事業という制度もあるわけでございます。  いずれにいたしましても、規模要件に係ります政令の内容につきましては、閣議アセス等の運用状況等も勘案をいたしまして、関係省庁とも調整をして対応してまいりたいというふうに考えております。
  78. 馳浩

    ○馳浩君 最後になりますけれども、規模が小さいからかからないというのは、私は環境委員という立場からいえば非常に逃げの姿勢であると思いまして、こういうことを進めておってはいつまでも環境庁がその存在価値を発揮できないのではないかという懸念もあります。私は、最初から申し上げましたように環境省になっていただきたいのでありまして、むしろもっと強く出るべきではないかという意見を申し上げて、きょうの答弁をいただきまして、改めてまた質問させていただきますので、今後ともよろしくお願いいたします。  質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
  79. 景山俊太郎

    景山俊太郎君 自由民主党の景山俊太郎です。  質問をいたします。  まず、この法律案の成否を握るのは、この法案内容と同時に、環境庁がこの制度をどれだけ生きたものとして活用して環境問題に本当に対応していくかどうかに私はかかっていると思うんです。求められる問題は環境問題に対しまして環境庁が機敏に行動でもって対応することである、こういうふうに思います。  例えば、諌早湾の問題が今出てまいりましたけれども、これだって環境庁はいろんな方々に行ってみたらどうかと言われてようやく調査に赴いた、こういうことも聞いております。やっぱりきちっとすることはしなくてはいけないと私は思います。また、ダイオキシンの問題も今出ていましたけれども、これだって本当に我々の健康を考えたときにはしっかりとした対応をしなくてはいけません。やっぱり厚生省に任せっきりというのではいけない、環境庁が率先して調査をやるべきである、こういうふうに私は思います。それから、今出た産業廃棄物、環境汚染、大気汚染、我々は毎日空気を吸っているわけですから、これだってやっぱりしっかり環境庁調査でも検討でもやるべきだ、それでこそ環境庁ではないかと私は思うんです。  それで、今度の法律、いろんな法律が出ていますけれども、私は、環境庁はこういう法律の陰に姿を隠してしまっているんじゃないか、こういうふうに感じるところもあります。私は、これから二十一世紀に向けて、環境問題というのは本当に世界じゅうのだれもが一番先に考えなくてはいけない問題だと思います。だから、そういう意味では環境庁の存在意義というのは極めて重大になるわけでありますし、まさに活動し行動する環境庁になってもらいたい、このことが私のまず思うことであります。  そして、今回の法案は政令省令事項が多く、環境庁がどのように運用していくかがこの法案のかぎを握っていると思います。それを定めていく際にも、環境庁主体性、それこそ石井環境庁長官ここにありというふうな主体性を私は聞かせていただきたい。  今の環境庁を見ていますと、私はこういう感じを持っています。  夏目漱石が「草枕」で、「智に働けば角が立つ。情に棹させば流される。意地を通せば窮屈だ。兎角に人の世は住みにくい。」、あちこちに気を使って人の世を遠いところのような感じに思っている。環境庁は自分たちの哲学で本当にこの世の中をよくするんだという気構えでやるべきじゃないかと私は思いますので、まず長官の決意を聞かせていただきたいと思います。
  80. 石井道子

    国務大臣石井道子君) ただいま景山委員から、環境行政環境庁に対します大変な御激励をいただいたというふうに受けとめているわけでございます。  御指摘のように、環境庁は各省庁に対します環境問題の調整官庁ということで存在をしているわけでございますが、これは最初、昭和四十年代に公害問題が起こって、そして公害対策として四十六年に環境庁が初めてできたという経緯がございます。そして、その後、公害問題が解決をされたり徐々に防止をされてきている中で、これからはできるだけ環境問題、公害に対しまして未然に防止するという点で重要な役割を果たさなければならない、そういう立場でもあるわけでございます。  そして、ちょうど地球サミットが五年前にございまして、その後、おくればせながら日本も環境基本法を三年ほど前に手がけまして、現在は環境基本計画に基づきましてさまざまな環境保全に対します取り組みが行われてきたわけでございます。  そういう経過があるわけでございまして、その中で環境アセスメント法案、これも大変おくれてしまいましたけれども、ようやく今国会におきまして法案を提出する運びになったわけでございます。長年にわたります日本における環境行政充実という点については私もじくじたるものがありまして、今度こそこの環境アセスメント法案を成立させていただいて、そして本来のあるべき環境保全環境行政充実のために努力をしていかなければならないというふうに思っております。  先ほども委員から、環境庁ではなくて環境省とすべきであるという御意見があったわけでございます。今、行政改革のいろいろなすり合わせの中で、現在の環境庁という形であるということはこれは問題にならないことでございまして、もっと環境行政充実して、そして大きな力を持って、発言権を持って、日本の環境行政充実できるようなそういう仕組みを今考えるべきではないかというふうにも思いまして、環境庁挙げてその問題についても取り組ませていただいているところでございます。  環境庁の責任というものがこの法案の成立によりましてなお一層重くなるというふうに考えるわけでございまして、これからも国民の期待にこたえて、そしてこの法律の適切な運用が図られますように、万全を期して環境保全型社会の構築を目指して努力をしていきたいと思っております。
  81. 景山俊太郎

    景山俊太郎君 頑張っていただきたいと思います。  今、馳君からゴルフ場の問題が出てまいりましたけれども、この法案の具体的な仕組みに関して、事業種の例を十二ですか十三ですか、挙げておられます。この対象となる事業につきましては、「規模が大きく、環境影響の程度が著しいもの」と書いてあります。環境への影響が大きな事業として我々一般人がすぐ思い浮かべますのは、ゴルフ場であったりスキー場であったり大規模な宅地造成開発であったりするわけなんです。山林の伐採などは随分やるわけでありますから、当然人間の生活に、いわゆる環境に影響があると私は思うんです。だから、こういう民間事業の大規模開発と言われるものには当然環境アセスを入れるべきであると。  先ほど聞いていますと、これは地方分権だから地方自治体の条例要綱に任せておけばいい、国がそういうものに関与すべきではないというふうな感じを受けるような答弁がありましたけれども、やっぱりこれは環境庁が主導して、もうこれだけ日本じゅうゴルフ場だらけになっているわけですから余りこれは必要ないと私は思いますが、そういう大規模でやる民間開発事業というものはしっかりと国と市町村が連携をして環境アセスはやるべきである、こういうふうに思いますけれども、いかがですか。
  82. 田中健次

    政府委員田中健次君) 本法案対象事業につきましては、先ほど来御答弁申し上げておりますように、中央環境審議会答申を受けまして、国の立場から見て一定の水準が確保された環境影響評価実施することにより環境保全上の配慮をする必要があり、かつ、国が実施をし、あるいは許認可を行う事業を対象とするということでございまして、こういう考え方によりまして整理をしたものでございます。環境影響評価の結果を考慮できる方法といたしまして、国が許認可権を持っている対象事業に絞ったわけでございます。  そういうことでございまして、先ほども申し上げましたが、地方分権ということもございます。ゴルフ場あるいはスキー場についても今お話がございましたが、それから民間の宅地造成、これも考え方は同様でございます。事業についての許認可法がないということと、地方公共団体で既に大部分対象にしておる、それから地方分権の時代である、こういう状況等も判断をいたしまして対象事業にいたさなかったわけでございまして、この辺の事情はぜひ御理解をいただきたいと存じます。
  83. 景山俊太郎

    景山俊太郎君 おっしゃることはよくわかるんですけれども、この法律もつくっただけで停止するわけではありませんから、やっぱり今後検討していただきたいと思います。  それから、事業規模の問題ですけれども、これは第一種、第二種というふうに分けてやろうとしていらっしゃいます。その規模の限定、範囲、そういうことはどういうふうにお決めになりますか。
  84. 田中健次

    政府委員田中健次君) 第一種事業につきましては、これも先ほど御答弁申し上げましたが、現行の閣議要綱の実績が十数年あるわけでございまして、現行の閣議要綱状況等も踏まえて考えていきたいというふうに思っているところでございます。  それから、第一種事業の規模を下回るものであっても、やはり地域によりましては、あるいは事業によりましては大きな環境影響が考慮されるものもあるということで第二種事業という制度を設けるわけでございまして、この第二種事業の規模等につきましては、第一種事業の規模を下回るものでございますけれども、おのずとそれも限度があるわけでございまして、その辺につきましても今後第一種事業との絡みで検討をしていきたいというふうに考えております。
  85. 景山俊太郎

    景山俊太郎君 それで、規模だけで決めるというのは非常に疑問がある、小さな規模でも環境に大きな影響を与えるものも私はあると思います。  そういう点は今後、政令とか省令とかいろいろあると思いますし、また各市町村、県と相談もされると思いますが、その点はいかがですか。
  86. 田中健次

    政府委員田中健次君) 今後の問題でございますけれども、私どもといたしましては、やはり国の立場から見て環境影響評価を行う必要があるという観点は外せないわけでございます。そういうことから見まして規模が中心になるということでございます。  そういうことで、これから法律が成立いたしますと、各省といろいろ相談しながら決めていきたいというふうに考えておる次第でございます。
  87. 景山俊太郎

    景山俊太郎君 地方公共団体の問題との関係ですけれども地方アセスとの関係について。  これまで国の方で法律がなかったことから、地方公共団体におきましては条例要綱などで取り組みが進められてまいりました。私も島根県議会議員を長らくやっておりまして、当時要綱というものを決めた記憶がございます。条例も七つの自治体で制定しております。この地方公共団体内容がこの法案よりも厳しいところもございます。  このアセス法の制定によりましてアセスメント内容が後退するのではないか、こういう心配だって地方自治体にはあるんです。  この法案によりますと、地方自治体のアセスについては、重複する場合は国の制度のみを適用することになっているんじゃないかと思います。そうなりますと、地方意見、市町村や住民意見が反映されなくなるんではないかと心配をしますけれども、その点はいかがですか。
  88. 田中健次

    政府委員田中健次君) この法案は、先般来御答弁申し上げておりますけれども、国と地方公共団体の適切な役割分担を図るという見地から、私どもは、規模が大きくて国が関与する事業を対象に限定いたしまして、それ以外は地方公共団体判断にゆだねておる、こういう仕組みにいたしておるところでございます。また、手続の各段階で、この制度におきましても地方公共団体意見が反映される仕組みをとっております。従来の閣議制度以上に地方意見を申す機会もふえておりますし、また住民意見を言える範囲も限っておりません。  そうしたことで地方公共団体あるいは一般の方々の意見が十分反映される仕組みをとっておりますほかに、また地方公共団体意見形成過程におきまして地方審査会や公聴会の開催なども可能でございまして、地域の実情に応じた環境影響評価が行われる仕組みになっておると考えております。さらに、この法案では、スクリーニングあるいはスコーピング手続、さらに事後のフォローアップ措置導入など、既存の地方公共団体制度に比較しても充実したものとなっております。  したがいまして、本法の制定によりまして現行の地方公共団体の取り組みが後退をするということにはならないというふうに考えておるところでございます。
  89. 景山俊太郎

    景山俊太郎君 しっかりやっていただきたいと思います。  次に、先ほどから出ていますけれども、いわゆる代替案について伺いたいと思います。  アメリカやオランダなど諸外国では、代替案が制度上位置づけられているものも大分ございます。これは、アセスメント環境への影響をできる限り回避、最小化するためのものである、こういう考え方に立った仕組みではないかと思います。  アセス法案でこの代替案をどう位置づけているか、先ほどもお答えになりましたけれども、もう一度お答えをお願いしたいと思います。
  90. 田中健次

    政府委員田中健次君) 諸外国におきましては、環境への影響をできる限り回避して低減するという観点から複数の案を比較検討する手法が用いられておりまして、これは先生がおっしゃるとおりでございます。これが代替案の検討とされているところでございます。  この代替案といいますのは、立地の代替だけではなくて、建造物の構造や配置のあり方、あるいは環境保全の設備や工事方法等を含む幅広いものでございます。こういう幅広い観点から代替案というのが考えられておるということをまず御理解いただきたいと思います。  それで、中央環境審議会答申におきましては、「複数案を比較検討したり、実行可能なより良い技術が取り入れられているかどうかを検討する手法を、わが国の状況に応じて導入していくことが適当」といたしておりまして、複数案の比較検討を含みます「環境保全対策の検討の経過を明らかにする枠組みとすることが適当」と、こういうふうに答申がなされております。  この答申を受けまして、本法案では、これは十四条でございますが、準備書環境保全のための措置及び環境保全措置を講ずることとするに至った検討の状況を記載させるということでございまして、ここに複数案についても記載をするというふうな仕組みにいたしておるところでございます。
  91. 景山俊太郎

    景山俊太郎君 一部には、事業実施しないという代替案、あるいは立地地点の代替案の記載を義務づけるべきだという主張もあるようでありますが、しかし法案ではこういった立地の代替案などについてどのように扱われているのでありましょうか。  また、諸外国においても、代替案の意味するところは事業地点の変更に限るものとはなっておりません。我が国は利用可能な国土も極めて狭隘でありますし、立地地点についての代替案を必ず準備書に記載しなければならないということにすれば、地域間において利害対立などを引き起こしてしまうことがありまして、非常に悪影響も生じる場合もあると思います。このような立地地点の代替案の取り扱いについて、環境庁の御見解を伺いたいと思います。
  92. 田中健次

    政府委員田中健次君) 先ほど御答弁申し上げましたように、代替案というのは非常に幅の広い考え方でございます。その中の立地地点の代替案ということでございますが、我が国におきましては非常に土地も狭隘なのが一般でございます。そうしたことで地域への利害対立を誘発するおそれがあるわけでございまして、そうした観点から考えまして、準備書等に立地地点の代替案の記載を義務づけるということは現実的ではないというふうに考えておるところでございます。
  93. 景山俊太郎

    景山俊太郎君 また、代替案とか事業計画が変更になった場合が起こると思います。この法案では、変更になった分は新たにアセスをかけなくてはならないとなっておると思います。ところが、変更された部分だけではなくて、全体、もとからアセスをやり直すべきではないかというふうに私は思いますけれども、その点はどうですか。
  94. 田中健次

    政府委員田中健次君) 事業計画を進める途中で、アセスメントの過程で事業内容を変更したと。  これが拡大じゃなくて縮小の場合はいいわけでございますけれども事業内容を大幅に変更したという場合にはもとに戻ってアセスをやり直すと、こういうことでございます。
  95. 景山俊太郎

    景山俊太郎君 次に、発電所のアセスメント手続について伺いたいと思います。  この法案におきまして、なぜ発電所だけが特例扱いされて、しかも電気事業法という別の法律において定められることになっているんでしょうか。アセス法は業種横断的な統一ルールを定める法律であり、またそうあるべきであると考えます。  したがって、発電所の特例について、役所間の権限争いの結果であるとか、何か裏があるんじゃないかとか、そういうふうに不安に思う人もあると思います。  そこで、発電所についてこの特例を設けた理由を御説明願いたいと思います。
  96. 田中健次

    政府委員田中健次君) 発電所に係りますアセスメントでございますけれども、発電所につきましては、過去二十年間、電源立地の円滑化のため、通商産業省の省議アセス制度におきまして手続の各段階から国が指導、監督をいたしまして十分な実績を上げてきたということがございます。それからもう一つ、民間事業者の個別事業が電力の安定供給という国の施策と非常に強いかかわりを持つという大変特殊な性格を有するものでございます。そうしたことで、この発電所の取り扱いにつきましては政府の中でもいろいろと検討をしてまいりました。  基本的に手続として私どものアセス法の手続に従うということでございますが、電気事業制度の特殊性から見ました問題もあるわけでございます。従来から電気事業の特殊性で国がいろいろ関与を強めてきたということもございまして、電気事業法におきましてアセスメント実施を電気事業の許認可要件に入れるというふうな改正をいたすわけでございまして、そうした電気事業法の特性に伴います規定につきましては電気事業法の規定で対応すると、こういう整理になったわけでございます。  具体的に申し上げますと、スクリーニング手続あるいはスコーピング手続、それから公告縦覧等による住民意見の把握、あるいはアセス準備書を作成して公告縦覧して説明会を開く、あるいは評価書についても公告縦覧する、これらはすべてこちらのアセス法の適用を受けるわけでございます。  それから、電気事業法の関係につきましては通産大臣が審査指導を強めるということでございます。これにつきましては電気事業法の方で特例を書くと、こういうふうな整理になっておるところでございまして、基本的に私どものアセス法がかぶるということでございまして、これで制度の統一が図られているというふうに考えております。
  97. 景山俊太郎

    景山俊太郎君 国のエネルギー政策というのは、これは必要であるということはもう重々わかっております。しかし、エネルギー政策を進める上においても環境の不安というのは取り除いておかなくてはいけないと思います。今、発電所アセスの特殊性に対応するものであるということでございましたが、通産省は当初、アセスの法制化に反対をしておりました。発電所のアセスがきちんと行われるかどうか国民は非常に不安に思っている、こういうふうに私は思います。  私は、そもそも環境アセスメントが期待される効果を発揮するためには、事業者住民、これが相互に信頼し合うという関係をつくっていくことが大切であると思います。その意味で、発電所のアセスがきちんと行われるように、今決意を述べられましたけれども環境庁がきちんと監視をして国民の不安を払拭することがびいては国のエネルギー政策の推進を図ることだと。このことについて環境庁長官のお気持ちを聞かせてください。
  98. 石井道子

    国務大臣石井道子君) 発電所の扱いにつきましては、ただいま委員指摘のようなさまざまな事情もございました。しかし、中央環境審議会答申にもその基本原則が示されまして、発電所も盛り込むべきであるということがありまして、そして今回、発電所アセスにつきまして、特例はありますけれども環境影響評価法案対象事業の一つとして決められたわけでございます。  そのようなことで、環境庁長官意見につきましては、発電所に係る特例の中で通商産業大臣が準備書について勧告を行うことができる仕組みとされたことに伴いまして、環境庁長官準備書について意見を述べることとしているわけでございまして、環境庁としての所要の役割をきちんと果たしてまいりたいと思っております。  発電所につきましても、答申の趣旨を踏まえた上で十分なアセスメントが行われることになりまして、御懸念には及ばないと考えておりますけれども環境庁としては制度の適正な運用についてさらに万全を期してまいりたいと考えております。
  99. 景山俊太郎

    景山俊太郎君 それでは、放射性物質の汚染について伺いたいと思いますけれども、放射性物質による汚染につきましては法案五十二条では適用除外とされております。最近、動燃の一連の事故などもありましたり、放射性物質による環境汚染について非常に我々は関心を持っておるわけなんです。環境アセスメントの対象外ということであれば、これは国民の納得のできる理由がないといけないと思います。放射性物質による汚染が適用除外となっている理由についてお答えをお願いしたいと思います。
  100. 田中健次

    政府委員田中健次君) 放射性物質による汚染につきましては、原子力基本法の体系で一貫してその規制を行っておるところでございまして、環境基本法の第十三条におきましても、その汚染等の防止のための措置は原子力基本法その他の関係法律で定めるところによるものとされております。こういうことから、本法案におきましても適用除外といたしたところでございます。
  101. 景山俊太郎

    景山俊太郎君 それから、この環境アセスをやる場合に、コンサルタント会社に委託して調査をこれまでもやってきた経緯がありますし、これからもそうだと思います。  それで、何か全国には二百五十社ぐらいコンサルタント会社があるそうですけれども、アセスの現場で実際の調査や予測をする場合に、このコンサルタント会社の調査に従事する者の資格制度どもないわけなんですね。この点はどうですか。  また、いいかげんなアセスが行われてしまっているんじゃないかと不安を我々は持つわけなんですね。お金の多寡によって調査するというようなことがあるんじゃないかそういう心配もします。  コンサルタントの能力が低いために重大な要件をミスするということがありまして、またやり直さなくてはいけないというようなことも起こるかもわかりません。そういったときには事業者自身にもマイナスになると思うんですね、いいかげんなことばかり言うというふうな調査になりはしないかと。こういう問題が生じないように、コンサルタントの質の向上を図っていかなくては、信頼に足るものにはならないと思います。この点、環境庁としてはどういうふうにお考えですか。
  102. 田中健次

    政府委員田中健次君) アセスメントの結果につきまして、その信頼性というのは非常に重要でございます。その信頼性を確保する一つの手法といたしまして、中央環境審議会答申を踏まえまして、準備書あるいは評価書の記載事項といたしまして委託を受けたコンサルタントの名前等を記載するように義務づけております。こうしたことで、委託を受けた会社の緊張感を高めるということも制度として図っておるわけでございます。  御指摘のコンサルタントの質の向上につきましては、大変重要なテーマでございます。これまでも、民間のアセスメントの実務者を対象にいたしまして研修を実施いたすということとともに、調査等を行う際に有用なマニュアル等の情報提供などに私ども環境庁として努めてきたところでございますが、今後ともこれらの施策の一層の充実を図って環境庁としてもコンサルタントの質の向上に努めていきたいというふうに考えておるところでございます。
  103. 景山俊太郎

    景山俊太郎君 それから、アセスメントをきちんとやるためには、こういうふうにコンサルタントの会社などの教育から何からいろいろ、今御答弁になったようなことがたくさんあるんですけれども、要は環境庁役割というものを本当に果たしていかなくてはならないと思います。  閣議アセスでは、環境庁長官事業官庁の求めがあったときにしか意見が言えないと、受け身の立場役割しか果たしてくることができなかったんですね。例えば平成七年の末にはそういうアセスをすべき事業が三百四あって、そのうちの二十一回しか意見を求めていない。要するに、環境庁長官は刺身のつまのようなものではなかったかというふうな感じもするんですね。これではよくなくて、やっぱり第三者のチェックがなされなくてはならないというふうに私は思うんですよね。  環境庁長官意見について、今度の法案では、長官事業官庁の求めのあるなしにかかわらず必要に応じて意見を述べることができるとされております。閣議アセスより大きく前進することは非常に評価してもいいと思います。  環境庁長官意見は、環境に十分配慮した事業とするために述べられるものであります。長官意見がきちんと事業環境配慮に反映されることが重要であります。法案には、こういった環境庁長官意見事業官庁は勘案するというふうに書いてあるんですね。勘案するということは御意見を承るという感じにしか受けないんですよね。長官意見はきちんと事業官庁において受けとめられるかどうか、そのあたりがやはり今度の法案の大きなポイントではないかと思っておりますので、環境庁の御意見を伺いたいと思います。
  104. 田中健次

    政府委員田中健次君) 環境庁長官意見につきましては、申すまでもなく、政府において環境行政の総合推進に責任を持っておりまして、関係行政機関環境保全に関する事務総合調整を所掌する立場から述べるものでございまして、このような環境庁長官意見は、免許等を行う主務大臣等意見を述べるに当たりまして十分に重みを持って受けとめられるものと考えておるところでございます。  また、免許等審査に際しまして主務大臣が行う環境保全に関する審査は、評価書の記載事項のほかに環境庁長官意見を勘案して述べられた免許等を行う者の意見に基づいて行われるものでございまして、環境庁長官が述べた意見内容がその審査結果に生かされるものと考えておるところでございます。  環境庁といたしましては、免許等を行う主務大臣に対しまして必要に応じ意見を述べることによりまして、事業について環境保全への適正な配慮がなされるというふうにしてまいりたいと考えておるところでございます。  いずれにいたしましても、従来と違いまして必要に応じ意見を述べるということで、積極的に意見を述べて環境保全未然の防止ということに努めていきたいというふうに考えております。
  105. 景山俊太郎

    景山俊太郎君 今度は環境庁長官意見の中身についてでありますけれども長官意見を述べるに当たりまして、非常に専門的な知見、意見、知識とかそういうものが要求される場合があると思います。このような場合にはやっぱりその分野の専門家意見をきちんと活用することが長官意見をして質を高くすることであると。この点について環境庁はどういうふうにお考えか。また、長官意見を述べるに当たりまして審議会などへの諮問を位置づけるべきだという主張もあるわけなんですが、その点はいかがお考えですか。
  106. 田中健次

    政府委員田中健次君) 環境影響評価審査に当たりましては、信頼性を確保するという観点から、外部の専門家の知識あるいは経験を活用することが有効でございます。おっしゃるとおりでございます。  環境庁といたしましては、これまでも必要に応じまして外部の専門家の知識や経験を活用してきたところでございまして、今回の制度の検討の過程におきましても多数の外部の専門家の御協力をいただいてきたところでございます。今後とも、こうした専門家の知識や経験を十分に活用いたしまして審査に当たるべく、連携を一層密にしてまいりたいというふうに考えております。  審議会への諮問につきましては、環境影響評価事業種やその環境影響の内容が多岐にわたりまして、固定メンバーによる組織で対応するよりも、むしろ案件に応じて適切に専門家を選択して機動的に対応する方が適当ではないかというふうに考えておるところでございまして、こういう考え方で今後対応していきたいというふうに考えておる次第でございます。
  107. 景山俊太郎

    景山俊太郎君 このアセス法におきましては、環境庁長官意見というのは環境配慮を確保する最後のとりでとも言うべきものだと思います。長官におかれましては、本当にもう誇りを持って、自分は環境の豊かな社会をつくるんだと、そういう気持ちでこの環境アセス法案に取り組んでいただいて、これが実質行使されるよう心から願いまして、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
  108. 渡辺四郎

    委員長渡辺四郎君) 本案に対する午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時三十分まで休憩いたします。    午後零時三十二分休憩      —————・—————    午後一時三十分開会
  109. 渡辺四郎

    委員長渡辺四郎君) ただいまから環境特別委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、環境影響評価法案議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  110. 長谷川清

    ○長谷川清君 平成会の長谷川でございます。  午前中の質疑の中でも景山委員の方から発電所の問題について触れられておりましたが、今回提案されておりますこの環境アセス法は、一つには発電所が加わってきた、こういうことだと思います。先ほども御発言がありましたように、発電所というもののイメージからいって国民にはいろいろと不安があって、その不安というものが今まで環境アセスに発電所が外れていたと、ごく一般的にはそういうイメージが非常に長く続いていたと思います。  私は、与えられました時間四十五分ぐらいでございますけれども、きょうはこの発電所アセスの問題にひとつ中心を置いていろいろとお伺いをし、これまでの現状の認識というものを正しく私は受けとめて、そしてこれからの、新しく今提案されておりますアセスという問題について、その実効性が上がるようにということを願いながら質問をしていきたいと思います。  まず最初に、大臣にお伺いをしたいのでありますが、今言う一つの大きな特徴である発電所が加わった今回の提案、法案というものについて、その所見を述べていただきたいと思います。
  111. 石井道子

    国務大臣石井道子君) 発電所の取り扱いにつきましてはいろいろと経緯がございました。そして、旧法案におきましては対象事業とされていなかったものが今回環境影響評価法案対象事業の一つとして入ることになったわけでございます。  これは、中央環境審議会答申基本原則を満たすように作成された環境影響評価法案に定める各種の指針手続が適用されることになったところでございます。本法案は、その答申に沿いまして、統一的で透明性が保たれてわかりやすい制度となっているというふうに思うわけでございまして、発電所につきましても十分なアセスメントが行われることになるものと考えているところでございます。
  112. 長谷川清

    ○長谷川清君 この発電所のアセスというものと閣議アセスというものとの相違点というのは一体どこに特徴があるのか、そういう点についてお伺いをいたします。  これは通産の方に伺いましょうか。
  113. 真木浩之

    説明員(真木浩之君) 発電所につきましては、昭和五十二年に通産省の省議決定によりましてアセスメントを開始したわけでございますが、発電所のアセスメントといわゆる閣議アセスメント制度上の違いでございますが、大きく二点ごさいます。まず第一点は、国が事業者のアセス書を審査する時期が違うということと、それから環境庁長官意見の位置づけが異なっているという点がございます。  具体的に申し上げますと、閣議アセスにおきましては、評価書ができ上がった段階において免許等を行う者が評価書審査をするわけでございますが、その段階で環境庁長官主務大臣の求めがあった場合に意見を述べることとされております。一方、発電所でございますが、省議アセスの制度でございますけれども事業者準備書をつくりました段階で通産省が審査を行うわけでございますが、その審査の過程で電源開発調整審議会の場を通じましてすべての案件につきまして環境庁長官意見を聞くということとされておりまして、この二点が両制度における手続上の主要な相違点でございます。
  114. 長谷川清

    ○長谷川清君 つまり、閣議のアセスの場合と発電所のアセスの場合は、用意ドンのスタートの段階から少し違っておるということが言えると思います。  それはそれとしまして、発電所アセスの場合に、今もありましたように昭和五十二年の七月からスタートを切って、今日までの二十年間の実績、歴史を持っておりますが、その中において、具体的にどういうアセスをしてきたか、その手法であるとか方法等々について今日までの状況を具体的に、例えば予測の評価についてはどうだったとかという式で説明を願いたいと思います。
  115. 真木浩之

    説明員(真木浩之君) 発電所のアセスメント実施方法、具体的な点でございますけれども、発電所は電源の種類によりましていろいろな特性がございます。また、それによりまして環境へ与える影響についても差異がございますが、適正な環境影響評価実施されますように、通産省は技術的な指針といたしまして発電所の立地に関する環境影響調査要綱を定めております。事業者はこれに従いまして環境影響評価実施するものでございます。  具体的に申し上げますと、調査項目につきましては、大気、水質、騒音などの公害防止に関する項目がまずございますし、また気象、海象、海生生物あるいは陸上生物等の自然環境に関する項目がございます。さらに、人口、土地利用、周辺等の社会環境に関する項目がございまして、網羅的に想定されます調査項目を挙げているわけでございます。  それから、予測の評価でございますが、これは一つはコンピューターシミュレーションによります予測評価、大気の場合にどのように拡散して着地濃度が幾らぐらいになるか、あるいは温排水の場合にもどのように温排水が拡散するかというようなことをいたしますが、より精度の高い予測評価をいたしますために、大気、温排水とも模型実験を行いまして、地形の影響を入れた予測評価を行っているところでございます。また、自然環境につきましては、これまで得られました知見でございますとか確立された学説あるいは専門家の御意見をお聞きすることによりまして予測評価を行っているところでございます。  それから、とります環境保全対策でございますが、これもそれぞれいろいろな対策をとっているわけでございますが、大気につきましては高性能の排煙脱硫脱硝装置の設置、あるいは温排水につきましては海生生物へ極力影響が少ないような取放水方式を検討しております。また、最近、貴重な猛禽類等の保護が問題になっておりますけれども、この保護対策といたしまして専門家意見を仰いで営巣期間中の工事の休止などの措置をとりまして配慮をしているところでございます。  発電所のこのアセスメント項目あるいはその予測評価環境保全対策でございますが、常に今最新の技術を取り入れるように努力をしてきているところでございますけれども、今後とも環境アセスメントにかかわります知見の集積に伴いまして充実をしてまいりたいと考えているところでございます。
  116. 長谷川清

    ○長谷川清君 ただいま具体的に例示がございましたけれども、その中にはもっとほかにも、例えば調査項目という中に、今言われておりませんでしたけれども、水質汚濁の問題、土壌汚染の問題、振動、悪臭、地盤沈下の問題、こういったような項目は、今おっしゃいませんでしたが、やられてはいないんですか。
  117. 真木浩之

    説明員(真木浩之君) ただいま御説明いたしましたのは、主要な項目について御説明をさせていただきました。  先生今御指摘ございましたような水質汚濁、騒音防止などの点につきましてもアセスメント項目に入れておりまして、なおかつ、工事中あるいは工事後におきましてもモニタリングを実施することによりまして、当初の予測どおりの範囲内におさまっているかどうかということについてもチェックをしているところでございます。
  118. 長谷川清

    ○長谷川清君 今私が申し上げた五項目、これは世界との比較において、ほかにどの国が実施されていますか。
  119. 真木浩之

    説明員(真木浩之君) ただいま申し上げました我が国の予測評価項目でございますけれども、これは世界的に見ましても充実をしたものとなっております。  諸外国で見まして、我が国ではただいまの項目全部やっているわけでございますけれども、例えばアメリカやイギリスの個別の発電所のアセスメントの例を見てみますと、土壌汚染、振動、地盤沈下、悪臭などの点については海外の発電所では実施をしていないというような状況でございます。
  120. 長谷川清

    ○長谷川清君 確かにこの五項目は日本だけがやっておるということであると思います。  また次に、予測評価のところでも、これは答弁の中には入っておりませんでしたが、数値のシミュレーション、それから風洞実験もやっている、それから水理の模型実験もやっている、これは事実ですか。
  121. 真木浩之

    説明員(真木浩之君) 大気の拡散の予測評価でございますとかあるいは温排水の拡散の予測評価でございますが、これにつきましてはただいま御指摘ございましたように数値シミュレーションをいたすわけでございますが、いろいろ地形が複雑でございますと必ずしもその計算結果と現実の姿がうまく合わないという面がございますので、あわせて模型実験、大気については風洞実験、それから温排水については水理模型実験の拡散実験を行いまして、両方の成果をあわせまして評価をしているところでございます。  諸外国の例とも比較いたしますと、諸外国は数値シミュレーションが主体でございまして、なおかつ予測の範囲でございますとかあるいはその一定の範囲の中におきます調査地点の数などからいきますと日本は広範囲に精度の高い予測をしているということがございますし、また、外国はシミュレーション主体でございますので、より精緻な模型実験までは十分にやっていないところが多いというのが実態でございます。
  122. 長谷川清

    ○長谷川清君 例えば風洞実験、この風洞実験というのは具体的にどんなことをやるんですか。
  123. 真木浩之

    説明員(真木浩之君) 大気の拡散、煙突から煙が出ましてそれが一定の範囲内に着地をするわけでございますが、そのときにその着地地点の濃度を予測いたしまして、その濃度が環境基準と比べてどうであるかということを比較いたしまして評価をするわけでございます。  その際に山などがございますと、風向きでございますとかいろいろな影響が出てまいりますので、実際に大きな風洞をつくりまして、その中に現実の地形を模擬した模型をつくりまして、そこに煙突を模擬いたしまして実際に煙を出してその拡散状況を調べるということでございます。このために、四季を通じました大気の現況調査、これは風向きでございますとか風速でございますとかそういうことでございますが、これを高度別に調べましてどのように拡散していくかということを実際の目で確かめるということでございます。
  124. 長谷川清

    ○長谷川清君 要するに、ここに一つの発電所をつくろうという場合、そこの一定のところの、山あり谷ありの、ビルがある、すべてのものの模型をつくって、そこに煙や霧やなんかがどういうふうに動くかというようなことなどを全部実験しようということでございますね。これはまた、水理模型実験についても日本だけがやっておることだと思います。  これを一つずつつまみ出していくのはさておいても、今までそういったいろいろと、諸外国ではやっていない、さっきも出ましたような脱硫とか脱硝とか集じんの問題にしてもこれは日本だけがやっておるといったような、かなり徹底した環境保全対策というものが発電所についてはこの二十年間やられておると。  例えば、いろいろとチェックする機関、それを審査したり検討したり、そういう機関といたしまして、具体的にいろいろそういうようなことをこれまでの間に何カ所ぐらい、どのくらいの回数でどのくらいの種類別に総量的にはやってきたのか、その点について報告を願いたいと思います。
  125. 真木浩之

    説明員(真木浩之君) 昭和五十二年から実施をしてきておりますけれども平成八年末現在で約二十年間たっわけでございますが、対象としております発電所、合計をいたしまして百二十件の実績がございます。  内訳を申し上げますと、火力発電所について約半分の六十四件、原子力発電所が十九件、水力発電所が二十八件、地熱発電所につきまして九件、合計百二十件の実施の実績がございます。ハウをそこで使って、そして、今日ある世界の発電所アセスについての比較という点においては、特にNOx、SOx、そういう点についてはどういう結果が出ているのか。その点について報告を願いたい。
  126. 真木浩之

    説明員(真木浩之君) 諸外国と比べました場合の環境保全対策の成果、制度でございますけれども、御説明させていただきましたように精緻なアセスメントをやっているわけでございますけれども、こうした結果といたしまして、我が国の火力発電につきまして発電電力量当たりのSOxそれからNOxの排出量で見てみますと、先進六カ国と比較いたしましても、それぞれ二十四分の一、八分の一という非常に高いパフォーマンスを上げているわけでございます。  これは、発電所のアセスメント我が国に定着をいたしまして、関係者意見事業者が適切に事業に反映するとともに、特にただいま申し上げましたSOx、NOxにつきましては事業者の自主努力によりまして規制値を下回る値まで低減するようなことを行ってきたと、こういう成果がこうした数値となってあらわれているものというふうに考えております。
  127. 長谷川清

    ○長谷川清君 そういう成果というものをこの二十年築いてきたことは事実だと思います。一般の国民には、そういう点については、むしろ不安が先立っている、現実どこの不安とのギャップというものが今日いろんな意味で誤解を生んでいたのではないかとさえ思います。この二十年の間に、環境保全という問題があってそこの発電所ができなかった、あるいは工事が遅延した、これは一件もない、そのことについてはどうですか。
  128. 真木浩之

    説明員(真木浩之君) 発電所の立地の問題でございますが、これは全体的に申し上げますと、いろいろな要素がございまして、いわゆる立地、建設までのリードタイムというのは長期化する方向にございますが、ただいま御指摘のございました環境保全上の問題について申し上げますと、環境保全上問題が生じて立地が大幅におくれたというような地点はないというふうに承知をしております。
  129. 長谷川清

    ○長谷川清君 ここで環境庁の方にお伺いしますけれども、今のやりとりの状況、発電所アセスの今日までの一口に言うと評価といいましょうか、そういうものについてはどう考えていらっしゃいますか。
  130. 田中健次

    政府委員田中健次君) 発電所のアセスメントにつきまして、通産省の省議決定のアセスでこの二十年間やっていただいておりまして、今いろいろ御紹介がございましたが、その省議アセスにのっとりましてアセスメントを適正に行っていただいているということでございます。  私どもも、発電所につきましては、電源開発調整審議会がございまして、そこで環境庁もメンバーとして加わっておりまして、そこでも私どもとしては発電所につきまして御意見を申し上げて、それに基づきましていろいろと環境上の対策を考えて、とっていただいて実施をしていただいておると、こういうふうに理解をいたしております。
  131. 長谷川清

    ○長谷川清君 これまでが今日のざっと二十年をおさらいしたところの客観的な状況であろうと私は思います。  そこで得られたいろんなノウハウや成果というものを、さてこれからでありまして、今後の環境アセス全体、特に今の発電所アセスのこの状況と実績をキープしながら、さらに効果を発揮していくということのために、以下質問を幾つかいたします。  発電所というものは、これは今考えてあしたにできるものではない。計画を始めて実際の供給が行われるまでには、火力発電でも十五年はかかりましょう。原子力発電では二十年から二十五年はある、だんだんリードタイムが長くなっていきます。そういう状況でありますから、しかも一方においては、七年度でとらえましても、大体一年で五百六十万キロワットぐらいの需要増が起こっております。これは、需要が起こるということは需要即供給ですからためることができません。そうなっていった場合の二〇一〇年の需要と供給の関係というものは、これは通産の方で管理運営しております。  そういう状況の中で、問題なのはやはり立地が非常に難しくなってきているということです。この立地が難しくなればなるほど地域の住民の皆さんは、こういうエネルギーのありがたさや快適性、利便性というものは求めるけれども、理解もあるけれども、本当は、自分のところになぜ発電所がつくられるのと、これはどの地域においても共通してあるんです。したがって、そこに拒絶反応が生まれてまいりましたり、動燃のああいう問題が起こって不信、不安が拡大をしますとなおのことそこに火がついてまいります。  しかし、現実の問題、五百六十万キロワット一年にふえる。例えば、ウォシュレット、今トイレでさっと洗浄いたしますけれども、あれが大体全国で今百万キロワットでございますから、原子力一基分に値しております。ビルというビルの中には大概自動販売機があります。道路にも出ております。非常に便利にみんな使っておりますが、これも今現在で三百万キロワットですから、原子力三基分に値する。しかも、それがどんどん進んでおる。世の中が不景気なときにも需要は伸びる。  そういうものと環境という問題は切っても切れない因果関係にあるということでございます。  そういう点について、この立地の問題について非常に地域の住民の皆さんとの接点、ここが大事になってまいります。今回提案されておりますこの新しい環境アセス、事業者から見ますると二つの法律ということになっております。こういう部分について、今提案されておりますこのアセスという立場から環境庁環境庁立場で、通産は通産という立場で国という単位においての国の責任、こういう視点に立ってひとつこの点について、アセスに関する、環境に関する国の責任という点についてそれぞれからお伺いをしておきたいと思います。
  132. 真木浩之

    説明員(真木浩之君) 電力の安定供給と環境保全の問題でございますけれども、エネルギーセキュリティーを確保しつつ環境保全に万全を期していくということは、エネルギー政策上の重要な課題でございます。このために、地元住民の皆様方の理解と協力を得ながら電源立地を円滑に図るということが重要なわけでございますが、発電所の環境アセスメントにつきましては、過去二十年間、省議アセス制度によりまして手続の各段階から国が指導、監督いたしまして、十分な実績を上げてきたところでございます。  このために、今回の法制化に当たりましても、発電所につきましては御指摘ございましたように、アセス法の手続に加えて、発電所固有の手続を電気事業法で規定をすることとしたものでございます。法制化によりまして、国の役割は一層重要となるものと認識をしております。これまでと同様に国が適時適切に必要な役割を果たすことによりまして環境保全に万全を期し、電源立地の円滑化を図るよう努めてまいりたいと考えております。
  133. 田中健次

    政府委員田中健次君) 環境庁といたしましては、昭和五十九年から閣議決定要綱でやってまいりましたアセス制度につきまして、今般、これを法制化するというところまで来たわけでございます。その過程に環境基本法制定もございました。  その中で、この環境アセスメント制度重要性もうたわれました。そういうことで、中央環境審議会でいろいろ御議論をいただきましてこの法制化に至ったわけでございます。  その中で、発電所につきましても、このアセスメント制度の対象に加えまして、我が国環境保全に当たりまして、これまで以上に環境保全、事前の環境汚染の防止に資するということで、私どもとしては基本的な手続環境アセスメント法に発電所も適用する、それから発電所特有の事情がございますから、その面からは電気事業法で特例を書く、こういう調整を図って法案の提出に至ったわけでございまして、私どもといたしましては、その趣旨等を踏まえまして、今後ともこのアセスメント制度を有効に活用いたしまして環境保全に努めてまいりたいと、こういうふうに考えておるところでございます。
  134. 長谷川清

    ○長谷川清君 とにかく大事なことは、地域住民との接点、その地域の皆さんに不安を与えないように、どういう場合にはどのような対策を講じているか、また講じようとしているかを地元の皆さんに説明をするという行為といったようなことは不可欠でございます。そこが欠落をしたり薄くなったりしますると砂上の楼閣になってしまう。  そこのところは国という単位において、通産においても環境庁においても十分連携を密にとって、いろいろと混乱しないように一本化、シンプルにその体制を組むということが必要になってくると思います。  また、地元の中においては、地域住民の皆さんだけではない、あらゆる地方自治体、それからいろんな合意形成というものを総合的に進めなければならないという点が出てまいります。そういう部分についても、国の主体性というものが十分に発揮されていかなければ、これまた同様の欠陥を生むものというふうに考えるのでございます。そこら辺をひとつきちんと押さえていただきたい。  もう少しく具体的に、環境アセスメントの各それぞれにおけるチャートが出ておりますけれども、スグリーニングの段階や、スコーピングの段階や、環境アセスの評価を行う段階や、準備書評価書を作成するという段階や、そして最後に許認可への反映という段階等々、それぞれにいろいろと諸問題が細かくございます。  衆議院におきます質疑のいろんなものも全部見てまいりましたけれども、そこら辺の重複を避けて、私はその中において特に、一つの事業に対しては一つのアセスといったような原則というものをはっきりと国単位でわきまえていくべきではないか。例えば国と地方というものの重複を避ける、あるいは埋め立てアセスと発電所アセスというものの重複を避けるといったようなことなどが重要な運用上の問題となってくると思いますけれども、その点についてはいかがでしょうか。
  135. 田中健次

    政府委員田中健次君) 国と地方との関係でございますけれども、これまでは私ども国の制度要綱でございましたので、要綱条例と、あるいは地方要綱と重複するところもございました。  今回は、国と地方役割分担という観点もございまして、法の六十条あるいは六十一条にその点を規定させていただきましたけれども、国の対象といたします事業につきましては国の制度に統一をいたしまして、その他のものにつきましては地方の御判断でやっていただく、こういう整理にいたしたわけでございます。  それから、重複をできるだけ避ける、こういうこともございまして、このアセスメント法のアセス制度と、それに同時並行で進むことが多い都市計画法に基づきます都市計画制度におきます事業等につきましては、同時にアセスメントを行うような特例もこの本法に規定をいたすところでございまして、そういう視点からの整合も図ってまいったつもりでございます。
  136. 長谷川清

    ○長谷川清君 通産省の方にお伺いしますが、知事との関係についてであります。  知事の意見を扱っていく場合に、事業者との十分な協議というものが運用上必要になってくる、この点も重要な点だと思いますが、どう考えていますか。
  137. 真木浩之

    説明員(真木浩之君) 知事と事業者関係でございますが、今般の法制化に当たりまして、知事の役割はスクリーニング手続あるいは方法書、準備書の各段階におきまして、地域の環境保全に関する事務を所掌する立場から意見を述べるものとして位置づけられているわけでございます。  こうした関係都道府県知事の意見は、事業者において準備書評価書の作成の際に勘案をされますとともに、通産大臣におきます方法書、準備書審査の際にも勘案をされ、通産大臣の審査、勧告に十分反映をされるものと考えております。  また、今御指摘のございました制度を円滑にかつ的確に実施していくためには、事業者と知事を含め地方公共団体との間で十分な意見交換、密接な連絡調整を図っていくことが必要であると考えております。  この点につきましては、これまでの省議アセスでも同様なことを行ってきておりますけれども、本年二月十七日に電気事業審議会の報告が出ておりますが、この中でもこうした問題についての重要性指摘をされているところでございます。  私どもといたしまして、今後の制度運用において、手続の各段階で知事と事業者が十分な連絡調整を行うよう努めてまいりたいというふうに思っております。
  138. 長谷川清

    ○長谷川清君 それでは環境庁の方にお伺いしますが、経過措置ということについて、今既にもう着手をしているそういう状況、現在進行中のところ、そういうところについての手続関係について支障を及ぼさないような配慮というようなものはあると考えていいのかどうか、その点について。
  139. 田中健次

    政府委員田中健次君) 現時点におきまして既に環境調査に入っているものの本法における取り扱いでございますけれども、法の施行時点は公布後二年でございますけれども、法の施行時点におきまして既に電気事業法上の認可を受けている場合には本法の適用除外となるわけでございます。  それから、法の施行時点におきまして通産省の省議アセスの手続が進行中の場合には、省議アセス制度によって一定の手続を経て作成された書類等を本法の規定によるそれに対応する書類とみなし、それで本法の施行後この本法の手続に入ってくると、こういうこととしているところでございます。  このような措置を講ずることによりまして、現在環境調査が行われているものにつきまして、省議アセス制度から本法案による手続への円滑な移行が図れる、こういう措置をとっていきたいと思っております。
  140. 長谷川清

    ○長谷川清君 それでは通産の方にお伺いします。  電力の場合には、いわゆる電気事業法に基づいて安定供給の義務づけがございます。そして、いわゆる環境、これを保全しなければなりません。  それから料金という問題、昨今、料金下げろということでございます。  こういったそれぞれコストのかかるものについて、三位一体の状況というものの総合バランスをとっていこうとする通産省の今の認識について、どういうふうにこれを認識しておるのか、この点をお伺いします。
  141. 真木浩之

    説明員(真木浩之君) ただいま御指摘のございました電気事業にかかわります三点でございますが、いずれも大変重要な課題として認識をしております。  安定供給の問題でございますが、計画的な電源開発を進めて必要な供給力を確保するということでさまざまな施策をとってきているところでございますし、また環境保全につきましても、先ほど御説明をさせていただきましたように、世界最高水準の対策をとってきているところでございます。また、効率的という御指摘でございますが、コストの問題について、現在、我が国全体の経済構造改革の中の一つのテーマとして通産省も真剣に取り組んでいる問題でございますが、より効率的かつ低廉な電力の供給に向けた取り組みというのが重要であるというふうに考えております。  この点につきまして、電気事業審議会におきまして、エネルギーセキュリティー、環境保全に配慮した電源構成、ベストミックスにも配慮をしつつ、効率化の問題について、今後の電力供給システムのあり方につきまして検討を始めることにしております。一年以内を目途に結論を得たいというふうに考えているところでございます。
  142. 長谷川清

    ○長谷川清君 この電力、今もこうついておりますけれども、安定供給というのは停電が少ないということでありますね。日本の場合はこれもまた世界一でございます。アメリカは何十倍も停電率が高いんですね。これもやはり利用する側の方の皆さんからすれば、それはもう停電はない方がいいわけでございます。何分という世界です、日本は。諸外国は何時間ですね。  このためには、やはり、ここに事故が起これば自動的にこちらの回路に切りかわるというループの設備がかかるんですね。環境もコストがかかるんです。しかし、これを最優先しながらなおかつ料金という問題、これも低いにこしたことはないわけであります。それぞれの三位一体というもののコントロールもやはり国の主体性にかかっていると思います。  もともとこういうエネルギーというのはぽんとあるんじゃございませんね。全部が大自然の恵みなんですね。水力の水にいたしましても、石油、石炭にいたしましても、LNGにいたしましても、原子力、みんな悪者のように言いますが、ウランにいたしましても、全部が全部、大自然の恵みを、そしてあらゆる生活や産業の基盤のエネルギーをつくり出しているわけでございます。  ですから、電力に働いている人たちは、非常に地味かもしれませんけれども、そこには、先ほども発電所アセスというものがそれだけ優秀に、世界の中で胸を張れる、それだけの実績を今日まで築いてきたということ、その裏にはそれぞれのいろんな大変な努力があるんです。そして金もかかっているんです。そういったようなことをやはり現実的にとらえて、そしてできるだけ最終的なむだなコストというものは省力化、合理化をしなければなりませんし、重複するところや何かはこれを避けていかなければならぬ。もっと現実的に私たちはそういう点について、地についた、いわゆる夢物語のようなうわっとしたものではなくて、着実に、現実に一つずつ環境をよくしていく、こういう点でこれからもやっていただきたい。このことをお願いいたしまして、時間になりましたので、私の時間を終わります。
  143. 山下栄一

    ○山下栄一君 平成会の山下でございます。  法案の質問に入ります前に、本日、委員会の冒頭で石井長官に述べていただきました飯能中央病院並びに後援会党費負担といいますか、問題を四つにつきまして取り上げたいと思うわけでございます。  冒頭、非常に丁寧に御報告いただいたわけでございますけれども、御報告を受けながら私、気づく範囲で、気がついた点、ちょっとこれはおかしいなと思った点等もございます。詳しくはまたきょうの内容を検討させていただきまして後日質問させていただきたいと思いますけれども、以下の点につきまして、今から申し上げる点につきまして長官からさらに御報告をいただければなと、こう思いますもので、ひとつ聞いていただきたいと思うわけでございます。  初めの問題は、これは長官が理事長をやめられてからの話ですけれども病院の事故にかかわることで、転落事故のお話がございました。九十一歳のおばあちゃんでしたですか、その件につきまして、まず、これは私厚生省の方に確認しましたんですけれども、御報告を受けたところによりますと、この事故について、ことし一月十八日の事故について、看護日誌に事故そのものについての記載がないというふうに、厚生省を通しての報告でございます。ちょっときょうは厚生省に来ていただいておりません、また今度質問しますけれどもタイムカードとかその他調べられているわけですけれども看護日誌に記載があってしかるべき事項であるにもかかわらず、ないと。  これは長官に本当に調べていただきたいんですけれども、本当に看護日誌に記載が、厚生省からそれは聞いているんですけれども、だからこの事故について報告がちょっと余り、信憑性にかかわる話ですので、看護日誌にすら記載がないというのはおかしいんじゃないかなと私は思いますもので、この点確認をお願いしたいということです。  それから、当直医師が本当にいらっしゃったのかなという疑問の問題でございますが、これは先ほどの御報告、たしかこうだったと思うんですけれども、午前五時に看護婦さんが処置の治療に関してお医者さんに連絡をとったという。そのお医者さんは、当直医師じゃなくて主治医に連絡をとったと。先ほどの御報告でたしかそうだったと思うんです。じゃ、そのとき当直医師はどうしていたんだと。本来は当直医師に連絡をとるべきところを、なぜそんな午前五時の段階で主治医に連絡をとったのかということが、ますますちょっとこれは疑問になってくるわけです。これは非常に大事な問題でございますので御報告をお願いしたいと思うわけでございます。  それから二点目、薬剤師の問題でございますけれども、これは平成四年から八年の五年間ちょっと不足していたと。それでそれを、たしかことしだったと思いますけれども、先ほどの報告では、常勤の方一人、非常勤が二人ですか、という形できちっともう充足したということだったんですけれども、この五年間にわたって一生懸命、人手不足で困ったけれどもなかなか見当たらなかった、やっとことし資格ができたと。  これに関連して、先日も私質問させていただきましたけれども病院がお休みのときに五人の方でローテーションを組んで担当していたと。ことしの一月の時点ではそのローテーションの中に一人、まだ充足前だったので、薬剤師の資格を持っていない方が入っていらっしゃった、正規のローテーションの中に。  だから、これは資格のない人が調剤した疑いがあるということについて質問させていただきましたが、このローテーションはどういう形で行われていたのかということです。その日は一日じゅうその方がやるのか、それとも時間でローテーションを組んでいるのか。休日ですから、月間の休日体制でローテーションを組んでいたのかというそのローテーション、これも無資格の調剤にかかわる大事な問題点でございますので、お調べいただきたい。そのローテーション、無資格の方が正規のローテーションに入っていたのはいつからいつまで、いつまでというのはことしの一月までですけれども、いつからだったのかということも御報告をお願いしたいと思います。  それから、看護婦さんの数の話なんですけれども、先ほど三・五対一というルールの規則といいますか、これはちゃんと充足していたというお話がございましたが、大変申しわけございません、ちょっと詳しく御報告願わにゃならぬと思うんです。  これは診療報酬にかかわることでございまして、診療報酬の問題は私の出身の大阪でも今非常に大きな問題になっていまして、つい先日も大きく取り上げられておりました。医療法の違反それから健康保険法違反ということで、この大阪の病院は非常に悪質だったので警察の捜査が入るというふうなことも言われているわけですけれども、保険医の指定取り消しとかいうようなことも大阪府は考えているとかいうような報道がありました。  これも三・五対一は充足しているということでございますけれども、ちょっと詳しく御報告をお願いしたい。それは看護婦さんの内訳なんですけれども、正看護婦、准看護婦看護補助要員がそれぞれ何人いらっしゃるか。それと、今度はそれぞれ正看、准看、看護補助要員の常勤、非常勤の内訳、これも診療報酬にかかわることでございますので、その内訳別の看護婦さんの数を教えていただければなと思います。  これは基本的に何か四月一日に毎年診療報酬の関係報告することになっているらしいんですけれども、ことしもう四月一日を過ぎましたから、これもできましたらことしも含めて過去三年間の看護婦さんの内訳別の数、正看、准看、看護補助要員、常勤、非常勤、これも診療報酬の問題で非常に報道等その他でいろいろ言われておりますもので、その疑念を晴らす意味でも御報告を願えればと思います。  それからアスベストの問題、これは環境行政そのものにかかわることでございますので、今アセスメント法の審議をやっておりますけれども、これもやはり病院の中にいらっしゃる患者さんの健康にかかわる、環境影響評価にかかわる、また工事をやりますとその周辺の住民環境影響評価にもかかわることでございます。  アスベスト工事は既に終了したわけでございます。この問題も長官が理事長時代のことでございますので、先ほど御報告がございましたが、すべて囲い込み方式だったと。封じ込めとか除去というのではなくて囲い込み方式で行ったという御報告を先ほどしていただきました、たしかそうだったと思いますが、中央病院のアスベスト工事は全部囲い込みでアスベスト工事をやられたのかどうか。これもちょっと疑問が私ありますもので、具体的な、すべて囲い込み方式でやられたのかということを、ほかのやり方はなかったのかということをお聞きしたいと思います。  それに伴いまして、施工業者、法律では事業者ということだと思いますけれども工事の施工計画書、それから工事記録、これも労働安全衛生法上、調査義務と保管義務があるそうなんですが、工事記録。それからアスベストの濃度測定記録、これも事業者がやる必要があるそうなんですけれども、これはもうまさに環境行政そのものにかかわり、今回の法律にもかかわることでございますので、きょう朝報告していただいたんですけれども、詳しい御報告をお願いできればなというふうに思っております。  以上、ベッド転落事故の問題、薬剤師の問題、看護婦の数の問題、それからアスベスト問題、以上四点にわたりまして、非常に疑いがさらに深まるような内容もございましたので、さらに御報告をいただきたいと、こういうふうに思いますけれども長官、いかがでしょうか。
  144. 石井道子

    国務大臣石井道子君) 山下委員の御質問につきましては、過去二回の委員会のときに、わかる範囲ではお答えをしてまいりました。  そしてまたきょうも、調べ得た限りのことについては先ほど御報告をしたところでございますので、何とぞ御了承いただきたいと思っております。  重ねての御要請がありますけれども、本日報告をしたばかりでもありますし、現在、理事長を退任しておりますので、なかなかそれ以上の対応はしかねるということもぜひ御理解をいただきたいと思っている次第でございます。
  145. 山下栄一

    ○山下栄一君 先ほどのアスベストの問題は、長官が理事長のときの話でございます。それと、先ほど申しましたように、環境行政そのものにかかわることでございますので、ぜひ御報告をお願いしたい。  それから、ベッド転落事故の問題につきましても、看護日誌に記載がないという、これは厚生省の報告でございますので。それと、主治医、先ほどの報告でますますこれちょっとおかしいなと。  当直がおらなかったという大きな疑惑、これは医療法違反でございますから。当直医師看護婦さんは指示を受けないで、なぜ主治医にわざわざ連絡するのかというのは、これはさらに疑いが深まる話でございますので、これは先ほどの報告そのものに対してのさらに疑念が深まった話でございますし、薬剤師の問題も看護婦の問題もこれはもう長官が理事長のころの話にかかわることでございますので、直接かかわる話であると。  そしてさらに、今大きな、この病院の問題につきましては世間的に問題視されておりますので、その疑惑を晴らす意味で、きちっとお調べいただきまして、さらに追加の報告で申しわけございませんけれども、御報告をお願いしたいと。  再度御答弁をお願いしたいと思います。
  146. 石井道子

    国務大臣石井道子君) いろいろもう答弁が済んでいる部分もあるというふうに思いますが、先ほどアスベストの問題がございました。このことについては、前回、委員会のときにもお話ししたと思っておりますが、建物の解体とかそのようなときに飛散することが危険であるということがアスベストの取り扱いについては心配をされておりますが、現在の飯能中央病院の場合にはそのような工事ではありませんでしたので、騒音とかあるいは危険性とか、そういうことについては工事をした時点で心配がないということを私は報告を受けております。  それから、ドクターの問題につきましても、現場の病院の院長、管理者、その立場での役割でありますので、私の場合にはそのようなことについて直接タッチできる立場ではありませんので、何とぞ御理解いただきたいと思っております。
  147. 山下栄一

    ○山下栄一君 事実確認の御報告のお願いと、要するに疑惑が深まっている面が先ほどの報告に関することでございますので、アスベストの問題は、何遍も繰り返して申しわけありませんけれども、すべて囲い込み方式で行ったかどうかということをお聞きしたいわけです。  それと、それに関連して、これはもうまさにアセスの法律にもかかわることだから、工事の施工計画書、工事記録、濃度測定記録、これを示していただきたいと。これも法律違反に伴う、今回の法律事業者にかかわる話だからということなんです。  それと、看護婦の数も薬剤師の数も、これは無資格の人がローテーションに入っているという、調剤した疑いがあるということだから、それについても御報告を、ローテーションの形がどうなっていたかということを事実確認の意味でお願いしたいと。それはいつから行われたのかということですね。それはいろいろ疑念があるわけでございますので、それをもう一挙に払拭していただきたいと思いますので、事実確認の御報告をお願いしたいということなんです。
  148. 石井道子

    国務大臣石井道子君) アスベストのことにつきましては、本日御報告をしたとおりでございまして、それ以上の何物もないというふうに思います。  それから、薬剤師の問題につきましては、前回の委員会で、たしか厚生省の方からもおいでになっていただいたと思っておりますが、そのときに御説明をしたわけでございまして、私が現在理事長職を退任しておりますので、先ほどの御報告の範囲内でのお許しをいただきたいと思っております。
  149. 山下栄一

    ○山下栄一君 薬剤師の問題も、だからいつから始まったかによっては、長官が理事長のころの話になってくるわけですよ。看護婦の数も、先ほど平成七年三月の話でしょう。平成七年三月ということは、これは理事長時代の話なんですよ。これは診療報酬にかかわることなんですよ。内訳の数によっては診療報酬の値段が変わってきます。だからその内訳を御報告願いたいと言っているわけですよ。それは疑惑を晴らしてもらいたいから私言っているんですよ。  先ほどの、主治医もおらなかったというのは、全然それは報告、さらに疑惑が深まったと、何で当直の方に報告をしないで看護婦さんは主治医にわざわざ報告したのかということがいろいろあるので、それに対して御報告願いたいと申し上げているわけです。
  150. 石井道子

    国務大臣石井道子君) 当直医の問題につきましては、やはり当直医を置かなければならないという、そういう責任があるわけですから、そのことを御指摘していただいたことがありましたので、そのように報告をさせていただきました。  主治医に対する連絡をして、そして指示を仰ぐということは、そのようなことはたびたびあり得ることではないかと思います。医療の現場のことは私も十分わかっておりませんので推測の域を出ませんけれども、そのようなことはないということは言えないというふうに思うわけでございます。  そのようなことで、いろいろと時間をかけまして調査をし、調べました結果をきょう御報告させていただきましたので、どうか御理解をいただきたいと思っております。よろしくお願いいたします。
  151. 山下栄一

    ○山下栄一君 報告を丁寧にしていただいたことはわかっているんですけれども、それをさらに証明するための追加の資料をお願いしたいということを申し上げているわけです。  例えばアスベストの問題も、アスベストが含まれているかどうか、労働安全衛生法上、事業者調査して、それで調査した記録を残さないかぬという法規定があるわけですよ。それをちゃんとやっていたのかということなので、だからそのための工事記録等を示していただきたいと申し上げているわけですよ。  このアスベストの問題については、これはもうアセスの法律そのものにかかわる話でございますので、患者さんにそういう処置をしていなかったら大変なことですから、病院の話ですからね。薬剤師の話も。だから、報告だけいただければなと思うんですけれども、それは長官の先ほどの報告をさらに深めるための報告なので、ぜひお願いしたいと思うんです。そうしないとますますこれは、私次に質問させていただきますけれども、このことに関しては。
  152. 石井道子

    国務大臣石井道子君) 私の報告に対しまして御疑念があったり、御理解いただけないという点が今おっしゃられましたけれども、しかしそう言われましても、私自身といたしましては、現場からの報告をきちんと受けまして、そして一応丁寧に報告をさせていただいたと思っておりますので、先ほど報告をいたしましたとおりでございます。どうぞよろしくお願いいたします。
  153. 渡辺四郎

    委員長渡辺四郎君) これは委員長が言うことじゃないかもしれませんけれども、理事会あるいは理事懇談会で協議をしまして、前回の委員会で出た質問項目を議事録を精査して、そしてそれぞれ質問者に手渡しをして、この部分について長官の方に回答を求めるということで、その項目について……(「速記ストップ」と呼ぶ者あり)  速記をとめてください。    〔速記中止〕
  154. 渡辺四郎

    委員長渡辺四郎君) 速記を起こしてください。
  155. 山下栄一

    ○山下栄一君 今、委員長からアドバイスいただいたんですけれども、私はアスベストの問題がすべて囲い込み方式でやられたかどうかということを再度御報告願いたいということなんです。それを今報告していただけますか。すべて囲い込み方式工事がやられたのかどうかということなんです。
  156. 渡辺四郎

    委員長渡辺四郎君) 速記をとめてください。    〔速記中止〕
  157. 渡辺四郎

    委員長渡辺四郎君) 速記を起こしてください。
  158. 石井道子

    国務大臣石井道子君) 先ほど御報告いたしましたときに申し上げましたが、今度のアスベストの工事につきましてはすべて囲い込み方式でございます。
  159. 山下栄一

    ○山下栄一君 というふうに言っていただいたらいいんですよ。今答えられる部分は答えていただいて、答えられない部分は後から答えますよと、これでいいんです。だから、看護婦さんの数につきましても、先ほど平成七年三月の話だから、これは理事長時代の話ですから、これは診療報酬にかかわることなので、だからその内訳を詳しく御報告くださいと申し上げているわけです。  転落事故につきましても、報告いただきましたけれども、それに対する疑問を申し上げているので、今すぐ答えられなければ後から答えてくださいよと。薬剤師のことにつきましても、無資格の問題があるので、これも法律違反にかかわることだから、疑念を晴らす意味でちゃんと報告してくれたらどうですかと、こういうことを申し上げているわけでございまして、何もひねくれた、ねじ曲げて質問しているわけでも何でもなくてということなんですけれども、よろしくお願いします。
  160. 石井道子

    国務大臣石井道子君) 医療の現場の問題であります、そして私が理事長をやめた時点の問題でございますので、やはりこのことについては私が直接かかわることがしにくいということでございます。どうぞよろしくお願いいたします。
  161. 山下栄一

    ○山下栄一君 今、長官のお言葉でございますけれども、理事長をやめてからではなくて、理事長時代の話を言っているわけですよ、看護婦さんの数も。内訳を教えてくださいと。薬剤師の無資格のローテーションも、いつから始まったかによっては、ことしの一月に修正されたんですけれども、去年の十一月まで理事長をやっておられるわけだから、それをだから御報告くださいと。転落事故についてはさらに疑問が深まったから、それを晴らす意味の御報告をくださいと、そういうことなので、御無理なことを申し上げていないつもりなんですけれども
  162. 石井道子

    国務大臣石井道子君) 病院の監督とかあるいは医療の現場の問題は、医療行政立場から調査をしたり判断すべき問題であるというふうに思っておりまして、厚生省の所管に属することではないかというふうな感じがしております。どうか御理解をいただきたいと思っております。
  163. 山下栄一

    ○山下栄一君 長官からきょう御報告していただいたことに対して私は質問させていただいているわけですから、何もそのほかのことを、それでは何のためにきょう報告いただいたかわからなくなってしまいます。
  164. 石井道子

    国務大臣石井道子君) 先ほど答弁の中でかなり申し上げていたつもりなんですが、——————————できるだけの努力をして十分時間をかけて調べた結果の報告でございますので、どうぞ御理解いただきたいと思います。(発言する者多し)
  165. 渡辺四郎

    委員長渡辺四郎君) それでは、理事会で協議させてもらいます。  速記とめて。    〔速記中止〕
  166. 渡辺四郎

    委員長渡辺四郎君) 速記を起こしてください。  それじゃ、先ほどの、長官の発言もありましたが、これは議事録を精査をして、理事会で責任を持って取り消す部分を取り消すということで実施をしていきたいと思いますから、協議させてもらいます。
  167. 石井道子

    国務大臣石井道子君) 私の報告についての理解の問題について、あるいは失礼なことがあったかもしれませんけれども、私としては、ただいま山下委員からさらに御質問があったことについては今までいろいろと答弁を済ませてきたというふうに理解をしておりまして、その点を御理解いただきたいと思っております。
  168. 渡辺四郎

    委員長渡辺四郎君) それでは、先ほど長官の方の回答の中で質問者の方が聞き漏らした等々の御発言がありましたから、この部分については委員会としてもちょっと聞き捨てならない問題でありますから、その部分を削除させてもらいます。  それでは、あと質問を続けてください。
  169. 山下栄一

    ○山下栄一君 だから、この問題で私、全然納得できないんです。私の質問は、以前に求めたことに対してきょうは御報告いただいた、それについて不十分な内容であると。確かに私は全部問題を取り上げておりません。一部しか取り上げておりませんけれども、私がひっかかった問題、特に印象に残ったところで不十分であるということと、それからさらに疑惑が深まった点を申し上げたわけですから、ぜひこれを御報告いただかないと進まないんです、本当に。特にアスベストの問題は、これは環境行政そのものにかかわることですから、私の認識が違うなら違うということで結構ですから、これはきちっと御報告をお願いしたい、こういうことでございます。  だから、先ほどの工事計画書、工事記録、また測定記録も含めて御提出をお願いしたい、こういうことでございますので、ぜひよろしくお願いしたいと思います。
  170. 渡辺四郎

    委員長渡辺四郎君) そのことを含めて理事会で協議をいたします。  質問を続けてください。
  171. 山下栄一

    ○山下栄一君 午前中の報告に基づいて今ずっと質問させていただいたんですけれども、それにかかわること、私自身も長官報告を精査しまして、私自身も調査させていただいて、この問題についてはまた改めて質問させていただきたいと思います。  それから、環境アセスの法案のことで質問させていただきたいと思いますけれども、きょう午前中の質疑の中で、自民党委員の方からも環境庁長官のこのアセスの法案における役割、そしてまた影が薄いのではないかという御発言もございました。私もそう感じております。  環境庁の存在感をもうちょっと示すような中身にしていただきたいなと思っておるわけでございますけれども、今回の法案の中で環境庁長官が前面に出てくる内容というのは具体的にどこにあるかということをまずお聞きしたいと思います。
  172. 田中健次

    政府委員田中健次君) この法案におきましては、まず、各主務大臣環境庁長官と協議をして指針をつくりますけれども、その基本事項につきまして環境庁長官主務大臣と協議をして定める、一番基本的なことを環境庁長官が主導権を持って定める、それに基づきまして各大臣がそれぞれの指針をつくるということになってまいります。  それから、事業者がだんだんとアセスが進んでまいりまして評価書をつくるという段階に至ります。その評価書につきまして環境庁長官主務大臣意見を申し上げて、主務大臣から事業者にそれを伝えて事業者の方で配慮をする、こういうことでございまして、これまでこの意見閣議アセスでは求めがあった場合に意見が言える、こういうことでございましたが、これからは必要に応じて意見が言える、こういう重要な役割を担うことになるわけでございます。
  173. 山下栄一

    ○山下栄一君 その二点が大きな役割ではないかなと思うんですけれども、ともに他の事業官庁との関係なんですね。それが午前中にもありましたように受け身ではないかと、私もそう思うわけです。  例えば環境影響評価に関する評価項目調査、それから評価そのものについての指針、その指針に係る基本事項については長官がそういう担当行政官庁と協議をして決めるということになっている。本当に協議して主導権を握れるのかということがあるわけです。  それともう一つは、評価書の作成に当たって事業官庁に長官は必要に応じて意見を言うことができる。これも非常に受け身であるなと、こういうように思うわけでございまして、逆転させるというか、事業官庁に対してリードできる、そのような環境庁であっていただきたいし、今回の法案ではそうなっていないわけですけれども、私は、そういう役割を本来環境影響評価法案の総則の中に明確に位置づけて、環境庁の、また並びに長官の存在感を示す規定を設けるべきであった、このように意見を申し述べておきたいと思うわけでございます。  これも午前中お話がございましたが、環境庁審査体制が弱いのではないかということでございます。これで事業官庁のプロと、事業官庁のプロといったらおかしいけれども、建設省その他の技官の方々と渡り合えるかという、そういう非常に寂しい体制になっておらないのかということで、先ほど十一人の審査官というお話がございましたが、これは専任であるのか、そしてそれはころころかわらないのか、行政職じゃなくて技官なのか、この辺をちょっと確認させていただきたいと思います。
  174. 田中健次

    政府委員田中健次君) 環境影響評価審査体制でございますが、私ども企画調整局環境影響審査室というのがございまして、そこには室長以下スタッフが張りついておりまして、総員で専任十一名ということでございます。そのほかに、これは内容によりまして各局にわたりますので、各局の専門の方々も併任として審査に張りつけております。それから、その十一名の中の専門性でございますけれども、十一名の中で十名は技官でございます。  そういうことで、今先生お話がございました各省と渡り合えるのか、こういうことでございますが、ただいまはその専任と各局の技官を合わせまして、環境庁体制を挙げてやっております。そういうことで、少数精鋭でやっておるということになるかもわかりませんが、おっしゃるように、審査件数もこの法律の設立の暁には倍以上にふえてまいると思います。そういうことで、ますます体制の強化が重要になってまいります。私どもは、あらゆる努力をして体制強化に努めていきたいと思っております。
  175. 山下栄一

    ○山下栄一君 非常にますます寂しくなってまいりましたですけれども。  専門的な役割を果たす組織として、環境庁の附属機関に国立環境研究所というのがあると思うんですよね。この国立環境研究所はアセスそのものについてどの程度かかわっておられてきたのか、この法律制定を期して大分変化するのか、その点お聞きしたいと思います。
  176. 田中健次

    政府委員田中健次君) 国立環境研究所は我が国環境研究の中心でございまして、公害あるいは自然環境を初め幅広い領域において研究を進めますとともに、環境情報の収集等の業務を行っているところでございます。  私ども本庁におきましても、必要に応じまして国立環境研究所の有する専門的知識あるいは経験等も活用をいたしております。現に私どもがいろんな制度を検討する場合におきましても、国環研の研究者に参加をいただきまして、いろいろと知識、経験を生かしてもらっておりますし、また個別のケースにつきましても、国環研のそれぞれの専門の方々の知見を伺っていろいろとそのノウハウを活用させていただいておるということでございます。  先般の日本海の重油の流出に際しましても、国環研の方々が非常に重要な役割を果たしておるわけでございます。  今後とも、国環研の積極的な活用を図りまして、例えば私ども環境庁長官がそれぞれの主務大臣アセスメント意見を申し上げるというときに当たりましても、十分にこれまで以上に活用して、一緒になってひとつ取り組んでまいりたい、こういうふうに思っております。
  177. 山下栄一

    ○山下栄一君 この国立環境研究所の積極的な活用、それでなくても寂しい体制なわけですから、フルに活用するような体制にしていくべきであると、今も御答弁ございましたので。  それから、これも午前中御質問がございましたけれども事業者が実質的にアセスの調査だけじゃなくて評価もするわけでございますけれども、実はその調査そのものを委託の形でやる場合がほとんどであるということで、その委託をする場合に、これは評価の観点というのは非常に幅広くて専門的な技術力を要求される。そういうことで、またこの調査にかかわる費用も大変コストが高くつくと。  これに関連しまして、特に公共事業の場合に、実際の調査を行うコンサルタント会社、また委託を受けた公益法人等あるのかどうかはわかりませんけれども、そういうものが一たん受けて、それをピンはねして下に丸投げする、こういうふうなことも考えられると。これについての議論も衆議院で若干あったようでございます。丸投げなんて考えられないというふうなことを局長が答弁されているわけでございますけれども、そんなことはあり得ないと。そういうことをきちっと懸念を払拭するような仕組みをやはり今回を契機につくっておかないと、私はそういうことは十分考えられる、そういうふうな仕組みに日本の行政構造がなっておるのではないかということがございまして、国民の疑念もその辺にあるのではないかと思います。この点についての環境庁の御意見をお伺いしたいと思います。
  178. 田中健次

    政府委員田中健次君) ただいまお話のございましたアセスメント調査、これは各事業官庁なり、あるいは民間の事業体がそれぞれやっておる問題でございまして、私どもとしては実態は承知していないところでございますが、先般衆議院で議論がございまして、実態を調査する旨御答弁を申し上げました。  現在、その点につきまして作業を進めているところでございますけれども関係省庁も多岐にわたっております。ということで、まだ調査が終わっておりません。もう少し時間をちょうだいいたしたいと思います。
  179. 山下栄一

    ○山下栄一君 私、調査の話はしていないんですよ。調査していただいて報告していただきたいとは思いますけれどもね。  丸投げのもたらす弊害なんてない、考えられないという御答弁をされておりますので、そんなことはない、そういうことはあり得ると、そういうことを想定してやはり未然の防止の仕組みを考えておかないとだめじゃないですかと、この点についてのお考えをお聞きしたいわけです。
  180. 田中健次

    政府委員田中健次君) 環境影響評価におきます調査、これは科学的な知見に基づくものである必要があるわけでございまして、十分な能力あるいは経験を有する者によって行われる必要があるわけでございます。これは調査が委託される場合も同様でございます。そうしたことで、調査の中身というのが非常に重要でございます。  したがいまして、私どもといたしましては、アセスの実施を他の者に委託して行った場合、その名称等が準備書に記載されて公表されることになっておりまして、これによりまして十分な能力や経験を有する者が受注することが促されるということを考えております。  そういうことで、要は調査の中身でございますので、委託からさらに下請に出されてルーズな調査がされるということは、これは非常に困ったことでございますので、私どもとしてはそういうことの調査内容が、質が低下しないようにいろいろと考えていく必要はあると思っております。
  181. 山下栄一

    ○山下栄一君 今の御答弁の中で、委託を受けた業者の氏名、代表者の氏名、住所、その他、記載されるような話がございましたが、それが再委託した場合も、その再委託を受けた業者も含まれるのでしょうか。
  182. 田中健次

    政府委員田中健次君) 私どもは、再委託をしたところのことまでは、名称までは考えておりませんが、委託をしたところの名前が出ますので、委託をしたところはさらにいいかげんなところに再委託はできないということを考えておりまして、したがいまして、元委託のところで十分ではないかということでございます。
  183. 山下栄一

    ○山下栄一君 元委託では十分じゃない、こういう意見でございますので、御検討していただきたいと思います。  先ほど申しましたように、さまざまな分野の、評価項目が多岐にわたりますので、全部一手に委託を受けた業者ができるはずがないと思うのですよ、非常に専門的知識なんかが必要ですから。そういう意味で、悪質な委託ではなくて正当な委託というか、そういうような部分的な委託とか、特に生態系にかかわる委託なんというのはそういう商売でやっているところはほとんどないと思うし、そういうことについてもある程度やむを得ない面もあるのじゃないかな、こう思いますから、再委託についてもきちっと考慮して、準備書評価書に記載するということも含めて積極的な御検討をお願いしたいと。どうですか。
  184. 田中健次

    政府委員田中健次君) 先ほどの繰り返しになりますけれども、私どもといたしましては、下請の対応先生もおっしゃいましたように、さまざまなものがあると考えられますので、元請をした法人等が記載されることによりまして、その責任を果たすことによってアセスの信頼性の向上を図れるというふうに考えておるところでございます。
  185. 山下栄一

    ○山下栄一君 この丸投げ問題につきまして、昨年の十月に、地方裁判所の段階ですけれども、富山県の富山地裁で公共事業について丸投げ違法判決が出ているんですよ。これは林野庁の富山市に対する補助事業です。公益法人の財団法人緑化センター、これは建設省と農林省の共管の公益法人だそうですけれども、この法人が一割ピンはねして丸々、その緑化センターというのはほとんど技術力がありませんので、具体的にそれを下に委託した、そういうことについてこれは違法であるという、そういう丸投げ違法判決が出ているわけでございます。これが昨年の十月の判決でございます、今控訴中でございますけれども。  こういう判決も出ておりますので、そういう今の御答弁じゃちょっと私はまずいのじゃないかというように思います。これは丸投げの違法性ということが具体的に公共事業にかかわることとして指摘されておりますので、これも含めて再度御検討をお願いしたいと。やりませんとかだけじゃなくて、検討せいと言っているわけだから、そうせいとは言っておりませんので、検討もしっかりしていただきたいということですが、どうですか。
  186. 田中健次

    政府委員田中健次君) 環境影響評価につきましては、十分な能力あるいは経験を有する者によって行われることが重要であることはもう申すまでもございません。  御指摘の丸投げにつきましては、これはアセスについて全く能力あるいは経験を有さない者が調査等事業者から受注をしてそれを再発注することを意味するものと受けとめるわけでございますが、私どもは、そのようなことがあればこれは適切ではないというふうに考えておりますけれども、そういう意味も含めまして、先ほど申し上げましたように、元委託の責任を課しておけばそれでいけるのではないかというふうに思っておるところでございまして、御理解をいただきたいと思います。
  187. 山下栄一

    ○山下栄一君 そうかたくなに言わぬと、要するに富山地裁の判決を勉強していただいて、御検討していただきたい。  それで、この衆議院の答弁はだめですよ、丸投げのもたらす弊害はないなんてね。あったら適当じゃないと言っているわけだから、考えられるわけだから、弊害はないなんというようなことを言うとこれはまずい。この答弁撤回してください。
  188. 田中健次

    政府委員田中健次君) 趣旨は、丸投げの弊害はないということではありません。丸投げをしているということが考えにくいという趣旨で申し上げたところでございまして、御理解をいただきたいと思います。
  189. 山下栄一

    ○山下栄一君 時間が来ました。
  190. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 私たち社会民主党が長い間法案制定を望んでまいりました環境影響評価法がきょうこうして参議院で審議が始まったことに対して、大変喜んでいるところでございます。  中環審答申は、今回のこのアセスメント制度の見直しの基本的な考え方として、環境基本法制定による環境保全基本的理念が示されたこと、あるいは行政手続法制定による行政運営の公正確保と透明性の向上が求められるようになったこと、そして地方分権推進法の制定により国と地方役割分担等についての考え方が示されたことなど、環境影響評価制度をめぐる状況対応するものとしている。答申は、制度の見直しの基本原則七項目環境影響評価制度のあり方については詳細に報告をしていますけれども環境影響評価制度の理念、目的が明快に示されていません。  この答申をもとにしてつくられた本法案でございますので、環境影響評価制度の理念と目的というものを明快に示していただきたいと思います。
  191. 石井道子

    国務大臣石井道子君) 環境影響評価法案につきましては、環境基本法の規定を受けてできたものであります。そして、この環境基本法は、健全で恵み豊かな環境を維持しつつ、環境への負荷の少ない健全な経済の発展を図りながら持続的に発展することができる社会を構築していくという、そのような基本理念を明らかにしているわけでございます。これを実現するための手段の一つとして、第二十条に環境影響評価推進すべきことが定めてあるわけでございます。そして、この基本法の規定を受けて所要の手続を定めることによって、「事業に係る環境保全について適正な配慮がなされることを確保し、もって現在及び将来の国民の健康で文化的な生活の確保に資することを目的とする。」旨を第一条に規定しているわけでございます。  このように、基本法と本法案の規定が相まって環境影響評価制度の理念が示されているものと御理解をいただきたいと思っております。
  192. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 長官がおっしゃるように、環境基本法第三条に示された理念とそれから二十条をもとにして今回の環境影響評価法がつくられているというふうに私も理解をしておりまして、基本法のその理念というものが本法案の中でも重視をされていかなければならないということをまず確認をさせていただきたいと思います。  そして、この環境影響評価は、その結果を事業の許認可などの行政判断のための資料として提供する手続であるとともに、環境保全のためには当該活動の中止や変更もできる拘束力をも定める手続であるべきと思うわけでございますけれども、今回はそこまで踏み込めなかった。その理由についてお話をいただきたいと思います。
  193. 田中健次

    政府委員田中健次君) 本法によりまして、環境影響評価につきまして評価書ができ上がった段階で、私ども環境庁長官意見を申し上げるわけでございます。その過程でも、一般住民あるいは都道府県知事、市町村長、これらが事業者意見を申し上げてくるわけでございまして、その間にいろいろと事業内容その他を環境保全上の観点から修正しながら評価書まで来るわけでございます。  私どもが、環境庁長官意見を申し上げますし、主務大臣意見をする、こういうことでございまして、横断条項によりましてその事業法の許認可とともに環境への影響を配慮して総合的にその事業の許認可を判断できるということにこの法案で仕組んでおります。横断条項でございます。したがいまして、場合によっては許認可等に条件をつけるということもございますし、最終的に許認可がおりないという仕組みにもなっておるところでございます。
  194. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 確かに、法案全体の中では許認可についての横断的な条項というものが定められておるというふうに思うわけですけれども、中原審の答申の中の目的のところで明快に、許認可の判断に資するための制度であるというふうに書いてあるわけですが、この法案の目的のところにはその許認可の判定に使うということが明快に書かれておらないというふうに思うわけでございます。  さらに、環境影響評価手続を経る中でその事業そのものが本当に環境に負荷を与えると判断されたときには、直ちにその事業そのものが中止できるような強制的な法律が本当は望まれるわけですけれども、今回はそういうふうになっておらないので、今後の課題としてそういうことも検討していかなければならないのではないかなというふうに思います。  さらに、環境基本法の十九条には、「国は、環境に影響を及ぼすと認められる施策を策定し、及び実施するに当たっては、環境保全について配慮しなければならない。」というふうに規定をされています。この上位計画に対するアセスは必要不可欠というふうに思われるわけですけれども、本法案には盛り込まれず、これも検討課題となりましたけれども、これはなぜですか。
  195. 田中健次

    政府委員田中健次君) 中央環境審議会でいろいろ御議論をされたわけでございますけれども、その結論として答申には、「現時点では、上位計画・政策における環境配慮をするための具体的な手続等の在り方を議論するにはなお検討を要する事項が多く、また、主要諸国においてもその取り組みが始められつつあるような状況にある。したがって、政府としてはできるところから取り組む努力をしつつ、国際的動向や我が国での現状を踏まえて、今後具体的な検討を進めるべきである。」、こういう御指摘中央環境審議会からいただきました。  したがいまして、このように答申では上位計画あるいは政策に係るアセスメントは今後の課題ということにされたところでございますけれども、この法案におきましては、こうした中央環境審議会答申を踏まえながらできるところから取り組んでいくということといたしまして、この上位計画に相当するような港湾計画につきましてのアセスメントを盛り込んだところでございます。  今後、中央環境審議会答申に従いまして、私どもとしては、国際的動向や我が国の現状を踏まえまして、政府の政策や計画につきましてのアセスメント手続等のあり方につきまして具体的に検討を進めていきたいというふうに考えておる次第でございます。
  196. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 港湾の計画については入れたということでございますけれども、河川法の改正によりまして河川整備計画を定める整備方針の中に環境配慮は規定をされましたが、この河川整備計画どもアセスの対象にすべきではありませんか。
  197. 田中健次

    政府委員田中健次君) 河川につきましては、具体的な計画につきましては本法の対象になっておりますが、先生が今おっしゃいました計画につきましては今後の課題ということでございます。
  198. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 せっかく方針の中に環境の配慮をうたい込んだという事実があるわけですから、ここは積極的に計画アセスをするという方向を目指していただきたい。  また、今回、この通常国会の中で都市計画法と建築基準法の改正案が上程をされています。都市の住宅地の容積率が今四〇〇%の地域をさらに六〇〇%まで規制緩和しようということなんですね。これは住宅地でございますので、該当する地域の住環境というのは著しく変化をしてくる。いわゆる商業地と同じような許容範囲になってくる、容積率になってくるということの中で、そこに住まわれている人たちが住環境の変化あるいは地域コミュニティーの分断などということでこの法改正そのものに対して大きな懸念が寄せられているわけでございますけれども、こういう法律の改正についても将来を見越したアセスメントが行われれば、国会の法改正そのものについても何らかの影響を与えることができるのだろうというふうに思われます。こうした上位計画に対するアセスメントというのは早急にされなければならないというふうに思います。  また、森林法とか土地収用法、道路法、各種計画法に環境配慮の規定が必要であり、できるだけ早い時期に上位計画アセスを取り入れるべきと思いますが、もう一度御決意をお願いいたします。
  199. 田中健次

    政府委員田中健次君) SEA、上位計画戦略アセスにつきましては、今回は先ほど申し上げましたように港湾法だけになりましたけれども、先般も御答弁申し上げましたように、今後具体的に鋭意検討を進めていきたいというふうに考えております。
  200. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 具体的に進めていくということは、関係省庁との連絡も踏まえてということでございましょうか。具体的にとはどういうことですか。
  201. 田中健次

    政府委員田中健次君) この上位計画もいろいろあるわけでございまして、どのような計画あるいは政策についてどのような手続あるいは手法環境への影響を評価できるかというのはなかなか基本的に難しい問題等もございまして、この辺も研究してきちんとした手法を定めていく、こういうこともこの問題にはあるわけでございます。  そういうことで、これは国際的にも国際影響評価学会というのがございまして、ここでこの戦略的環境アセスメントを含めました国際的な共同研究が行われておるというところでもございまして、私どもとしてはこうした国際的な動向等も踏まえながら、把握をしながら具体的なやり方をまず詰めて、それから関係各省との協議に入ると、こんな手順になろうかと思います。とにかく、今はこの辺の具体的な手法等を固めるという段階でございます。
  202. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 発電所のアセスについてはその手続が電気事業法の方に譲られたということの中で、相変わらず主務官庁の力が強く、縦割り行政を引きずっていると言わざるを得ないのではないかというふうに思います。環境庁環境省を目指しているという先ほどの長官の強い決意があったわけでございますけれども、こうした発電所アセスに対しても今回の法案の中に書き込むことが可能であったのではないかというふうに私は思うんです。  都市計画に関する特例は三十九条から四十六条に規定されておりますし、港湾計画に定められる対象事業等に関する特例は四十七条から四十八条に規定がされているということでございますので、当然発電所についてもこうした特例のところで扱えたはずなのに、なぜ電気事業法に譲ったのですか。
  203. 田中健次

    政府委員田中健次君) 発電所のアセスメントにつきましては、これは過去二十年間、電源立地の円滑化のために通商産業省が省議アセス制度におきまして、手続の各段階から国が監督、指導して十分な実績を上げてきているということがございます。それから、民間の事業者の個別事業が、電力の安定供給という国の施策と強いかかわりを持つという特殊な性格を有するものでございます。  こうしたことから、この発電所につきましては、私ども環境影響評価法案基本的な手続に従うほか、電気事業の特殊性からする問題がございまして、その点につきましては電気事業法を改正して手続の各段階で国が関与する特例を設けております。この特例といいますのは、電気事業法に基づく規制、監督の強化のため必要とされるものでございますから、そうしたことで発電事業者の規制、監督を行う電気事業法の方において規定することが適切と、こういうふうに判断をしたところでございます。  一方、先生が今例に挙げられました都市計画の特例につきましては、これは発電所といった特定の事業種に限らず、対象事業、例えば道路、鉄道といった事業が都市計画に定められる場合に手続の整合性を図る、こうした観点からアセスメントを行う主体等の特例を定めるものでございます。  それから、港湾計画につきましては……
  204. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 聞いていないことはいいです。
  205. 田中健次

    政府委員田中健次君) はい。  そういうことで、要するにアセスメント法の主体の変更ということで、アセスメント手続の問題としてこの環境影響評価法案の中に規定をしたものでございます。そうした違いがあるところを御理解いただきたいと思います。
  206. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 環境庁でそういう答弁をしている限り、発電所のアセスについてこちら側に取り戻すというか、監督官庁になることはなかなか難しいのじゃないかというふうに思います。  私の地元では発電所の増設計画がありまして、そこに天然記念物のイヌワシがおりまして、ことしふ化が行われたんですけれども、事前の調査工事というのが行われております。えさになる小動物が非常に少なくなっているということで、普通、イヌワシはふ化が行われますと、どちらか片方は子供の番をし、えさをとりに雄が行った場合は雌が巣にいるということで行われるわけなんですけれども、残念ながらえさが近くにない。二羽とも、雄も雌も巣を離れてしまって、その間にカラスがそのひなを襲ってそして持ち去る。それはビデオにもちゃんと映っておりまして、カラスが持ち去るところがニュースにもなったところですけれども、そういうことも行われておるわけです。  だから、できるだけ発電所の環境アセスメント環境庁の生物多様性の観点が重要視されるようなアセスメントにしてほしいと思いますので、私はあえて申し上げているところでございます。  さて、アセスの対象事業から外されております送電線、これは今電磁波の問題で国民の間で健康に対する危害というようなことで大変不安が広がっているわけです。この送電線についても、アセスの対象から外されておりますけれども、これはいずれか対象にするような予定はございませんでしょうか。
  207. 田中健次

    政府委員田中健次君) この法案におきましては、中央環境審議会答申を踏まえまして、大規模で国の関与のある事業対象事業とする、こういうふうにしたものでございます。その他の事業につきましては地方公共団体判断にゆだねるということにしたわけでございます。  お尋ねの送電線についてでございますけれども、送電線につきましては、土地の改変面積が小さいことから、今回対象事業とするということは考えておりません。
  208. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 土地の面積が小さいことはないのです。  例えば、今新潟の柏崎で原発を起こしていますけれども、それは東京が使う電力なんです。そうすると、新潟の柏崎のあの海岸から東京まで三百何キロあるわけですけれども、そこに鉄塔が立っています。鉄塔の敷地面積はどのくらいでしょうか、それを全部合計すれば膨大な土地になるわけでございまして、土地の面積が小さいという今の御答弁は納得がいきませんが、ほかの理由はございますか。
  209. 田中健次

    政府委員田中健次君) 一基当たりの面積で考えておるわけでございまして、最大級五十万ボルトの送電鉄塔でありましても一基当たりは〇・〇九ヘクタールという実態でございます。
  210. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 局長、違うんです。鉄塔の下だけ害があるわけじゃないんです、電線の不全部が害があるんです。それをもうあなた、環境庁の企画調整局長としてはちょっと認識不足ではないですか。そう思いますよ。どうですか。
  211. 田中健次

    政府委員田中健次君) 御指摘の電磁波の問題等につきましては、環境庁としては個別の環境保全施策として現在取り組みを進めているところでございまして、ダイオキシンもしかりでございまして、その枠組みで個別の環境行政として対応していくべきものであろうというふうに考えておるところでございます。
  212. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 現に被害が懸念をされるようなものに対しては、早急に環境庁としても対応が打てるような体制づくりをしていただきたい。環境庁の今の陣容の中でそこまでなかなか望むのは難しいことかなとも思いながら、しかし応援をする者としては、本当にきちんと予算もどって人材もふやして、国民が安心して住める国づくりに向けて進んでいただきたい。アセスの対象外になっている今の廃棄物の焼却施設であるとか、あるいはゴルフ場、スキー場、さっきも話が出ましたけれども、原子力関連の施設、それから都市ガスや石油備蓄基地、パイプライン、これらも広大なものでありながらアセスの対象になっていないということですから、ぜひ御検討いただきたいというふうに思います。  さて次に、これもけさほど来から随分と議論になっていますけれども、この法案の十四条の七号ロというところに、衆議院の審査の議事録によれば、局長はここに代替案の不要の根拠があるというふうにお答えになっておられるわけですけれども、どう読んでもここのところで代替案が出されなくても大丈夫というふうには読めないわけでございます。いかがでございますか。
  213. 田中健次

    政府委員田中健次君) 代替案の問題でございますけれども、これは午前中も御答弁を申し上げましたけれども、代替案というのは、立地の代替だけではなくて、建造物の構造あるいは配置のあり方、それから環境保全設備や工事方法等を合む幅広いものでございます。  中央環境審議会答申におきまして、「複数案を比較検討したり、実行可能なより良い技術が取り入れられているかどうかを検討する手法を、わが国の状況に応じて導入していくことが適当」といたしまして、複数案の比較検討を含みます「環境保全対策の検討の経過を明らかにする枠組みとすることが適当」と、このように中央環境審議会答申をされておるわけでございます。  この法案におきましては、十四条の一項の七号ロでございます。環境保全のための措置及び環境保全措置を講ずることとするに至った検討の状況、これを記載させるということで、この中に複数案も含まれる、こういう構成にしておるわけでございます。
  214. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 法律というのは法文を読んだだけでその内容がわからなければならないわけでございまして、この条項を読んでどこで代替案あるいは複数案がここに含まれるというふうに読めるんですか。
  215. 田中健次

    政府委員田中健次君) ただいま申し上げました趣旨でございまして、立法段階でよく検討いたしましてこういう表現になったわけでございます。その中には複数案も含まれるということで、私どもといたしましては、この法律の成立の暁にはその辺の趣旨も踏まえて十分に周知徹底を図ってまいりたい、こういうふうに考えておりますので、御理解を賜りたいと存じます。
  216. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 オランダとかアメリカでは大変具体的な代替案の法律になっていますけれども、特にオランダについて、それでは代替案の位置づけそれから代替案の内容について、環境庁はこの法案をつくるに当たって諸外国の例というのを大分調査した、研究したと言われておりますので、それを教えてください。
  217. 田中健次

    政府委員田中健次君) オランダにつきましては、最低限の二つの案について検討することが義務づけられております。  それからアメリカにつきましては、代替案の検討につきまして法律に規定をされております。  それからイギリスにつきましては……
  218. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 いいです。アメリカとオランダについて内容を教えてください。
  219. 田中健次

    政府委員田中健次君) オランダにつきましては、環境に好ましい代替案を選ぶためにより多くの代替案について検討される。環境に好ましい代替案。現在の環境及びその推移。  それからアメリカにつきましては、目的に合致した合理的省範囲内で代替案を設定することとされておりまして、何もしないという案を含むものとされております。  大まかにはこんなところでございます。
  220. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 そうなんですね。この事業を全くしない場合には環境がどうなっていくのかということを明快に出して、それが代替案として提示をされない限り許可がおりない条項になっているわけですね。  だから、先進国においていろいろな環境の被害を出してきた国々がこういう制度を持っている、OECDのもう一番最後に環境影響評価法をつくる我が国としては、一番先進地であるところの法律を参考にしながらつくられるべきだというふうに私は思うわけですけれども、今回は代替案について、非常にわかりにくい条文の中で、準備書の中で経過を説明するということだけで代替案とするという中身になっていることは非常に残念だというふうに思うんです。  さっき、対象にならないというように私が列記した部分についても、オランダなどではそれぞれ、実行段階においての代替案、それから政策レベルでの代替案、これは政策レベルで全く違う事業があるわけで、その事業を選択しながらどういう代替案にするかという決定もするということですよね。それから立地点の代替案というような形で明快に区分をしながら、いかにこの事業環境に負荷を与えるかということを適切に判断する中でその事業がいいか悪いかの判断を下している、こういうことを行っているわけなんですね。  ですから、この法案が今スタートするばかりでございますから、ぜひ次の改正案のときには、こういうことを参考にしながら、より具体的にわかりやすい代替案の提案をしていただきたいというふうに思うわけでございます。  それから、国と地方公共団体との関係でございますけれども、衆議院の四月十五日とそれから十八日の質疑の中で、西川委員とそれから田中局長とのやりとりがございました。これは、地方公共団体がこのアセス法案よりもよりよい条例要綱を持っていて、いわゆる上乗せや横出しの部分ですけれども、これについて手続以上要求をした場合はこの法律に違反するのかどうかというようなことをもう非常に細かく具体的な例を挙げて質疑をしました。それに対して局長は、前提として、その条例要綱に記載をされたこのアセスメント法よりもよりよいものについて事業者に強制的に実施を要求した場合には違反になるということで、明快に法律違反であるということを何回も答弁をされています。  この法案に照らして要求することが法律違反であったにしても、私が冒頭、環境基本法の理念にのっとってつくられたアセスメント法であるということを確認したのはそのことなわけでございますけれども地方が持っている環境を守るためのよりよい条例やよりよい要綱がなぜ法律違反になるんですか。そこの根拠を示してください。
  221. 宮崎礼壹

    政府委員(宮崎礼壹君) 一般的な観点から御説明いたしたいと思います。  憲法九十四条と地方自治法の十四条一項は、御案内のとおり、法律の範囲内で条例制定することができる、法令に違反しない限りにおいて条例制定することができる旨規定しているわけであります。このことは、新たに法律制定いたしまして全国的な規制を行おうとする場合におきましても、有効適切な規制を確保するという観点、それから他の地方公共団体や国全体の利益を害することがないようにするといった観点から、一般的には、新たに制定される法律の範囲内でのみ条例制定することができることとなるということを意味するものと思います。  ただ、地方の特殊事情から国の基準では不十分であると考えられます場合に、いわゆる上乗せ条例というものを許容する旨の規定を法律に置くことがないわけではございませんで、その意味では立法政策上の裁量の余地があると思いますけれども、今回の場合におきましては、アセスメントという手続事業者に義務づけようとするものでございますので、地方の特殊事情から国の基準では不十分であるといった場合も考えにくい場合であるというふうに思いました。  なお、付言いたしますと、法律案六十条におきまして、法律上空白の状態がある、空白の状態になっている部分、分野につきましては明文で条例制定権を保障したということになってございます。
  222. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 私、田中局長から答弁をいただいてから法制局というふうに思ったわけですが、どうぞ。
  223. 田中健次

    政府委員田中健次君) この法案は、対象となる事業につきまして、環境影響評価に関する全国共通の統一の手続を定めるものでございます。  アセスは、立場の異なる広範な主体が従うべき共通のルールを定めることによりまして、環境情報の形成促進と環境配慮の確保を図ろうとする制度でございます。それから、統一の手続内容は、これは環境配慮必要性事業者に求める負担とのバランス、均衡を考慮して決定をいたしたものでございます。環境評価手続は、事業者に一定の負担を課するものでございまして、環境配慮の必要な範囲で事業者の行うべき義務を定めるということが適当だと考えたところでございます。  したがいまして、法案の定める手続以外に事業者に負担を課することは、法案の定める手続の統一性に反するものであって、バランスを崩すということで、法案の予定するところではないということで御理解をいただきたいと思います。
  224. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 環境基本法の理念にのっとって二十条でつくられた法律案なわけでございますから、その理念を大切にしていくというならば、政令指定都市であるとかあるいは地方自治体が持っている条例要綱がこの法律に違反をするという答弁はどうしてもいただけない。私はわかるんですよ、局長が統一的な手続でやりたいのでこの法案上はそれが認められないと言うのはわかるんです。ですから、そのよい条例要綱を持っている地域が知事を通じて、我が方にはこういう条例があって、この事業をやるに当たってこういう手続を踏んでいただきたいという意見の具申があったときには、それではそのことは許可されるというふうに思っていいですか。  時間が来ていますので、明快にひとつお願いします。
  225. 田中健次

    政府委員田中健次君) 先ほどから申し上げておりますように、本法は手続を定めるものでございまして、法律で国の制度を定めるということになりますと、ただいま法制局からも答弁がございましたように、どうしてもこういう整理になるわけでございます。それから、手続法という制約もございます。  したがいまして、地方との関係では、手続につきまして事業者に一層の負担をかけるというところは、これは一般的に申してこの法律の違反になるのではないかと、衆議院でも最初はそういうふうにお答えをしておったんですが、だんだん議論が細かくなりまして、イエス、ノーというふうな単純な答えになりましたが、ここで申し上げておきますが、一般的にはその条文をいろいろ見ながら個別に判断をする問題でございますけれども法律違反になるのではないかと、こういうこともあるわけでございます。  手続のほかに内容等もございまして、内容等につきましては……
  226. 渡辺四郎

    委員長渡辺四郎君) 簡潔に。
  227. 田中健次

    政府委員田中健次君) 違反にならないというふうなこともございますので、それぞれの具体的なケースに応じまして判断をしていくことが必要だということになろうかと思います。
  228. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 終わります。
  229. 竹村泰子

    ○竹村泰子君 環境アセスメントの、環境庁としては待ちかねた審議が衆議院を通過し、そして参議院できょうから始まっているわけでありますけれども、私は非常に今問題になっております諌早湾の干拓の問題、このことに関連しましてアセスメントのことを聞いていきたいと思っております。  これはもう言うまでもありませんけれども、この事業は、当初、一九五二年当時は長崎大干拓構想であった、それから五四年には国営長崎干拓事業、七〇年には長崎南部地域総合開発となり、そしてその次には諌早湾防災総合干拓事業となり、八九年の起工式には防災総合の名前が消えて単なる国営諌早湾干拓事業となったと、大変な変遷があった干拓事業であります。  この問題は、公共事業のあり方と減少しつつあるこの湿地、浅瀬、貴重な干潟をどう保全していくかという問題であるだろうと思います。それに対して環境庁長官がどこまで関与できるかという、環境庁のいわばかなえの軽重を問われている問題であるというふうに思います。  まず、お伺いいたしますが、環境庁のかかわりとして、まず長崎県が八六年に最初のアセスを実施して、公有水面埋立法による環境庁長官意見が求められたのが八九年でしたでしょうか、もう済んだことということで、環境庁長官としては何も口を狭めない状況なのでしょうか。八八年には建設省が意見をお伺いしておりまして、その写しを私もここに持っておりますけれども、どうなのでしょうか今となっては環境庁長官としては何も発言ができないというような状態なのでしょうかどうでしょうか。長官、お願いします。
  230. 石井道子

    国務大臣石井道子君) この事業につきましては、御指摘昭和六十三年と平成四年に意見を述べてきたところでありまして、ことしの三月にも、環境保全対策の実施状況等について把握をした上で、農林水産省また長崎県に対して下水道整備の一層の促進等について要請をしたところでございます。  現時点では、今までの長い間の経緯を踏まえて、これまでの判断の前提を覆すような事態は生じていないものと考えてきたわけでございますが、今後とも、これまでの環境庁意見に沿って農林水産省とまた地元地方公共団体が適切に環境保全対策について配慮し実施されているものと考えているところでもございまして、環境モニタリングの結果とかあるいは環境保全対策の進捗状況について注意深く見守りながら、必要に応じて適切な対応をしていかなければならないと考えているところでございます。
  231. 竹村泰子

    ○竹村泰子君 こういうふうに幾多の変遷を経た事業の開始が八六年、それから十年以上経過しているわけですね。  九一年の長崎県のアセスの結果が、環境に与える影響は軽微であったというふうに書いてあるんですね、私もこれ農水省から要約編をいただきましたけれども。  これによりますと、こういうアセスメントをしてもしようがないと私は思うんですけれども、植物についてはともかくといたしまして、鳥類に関しましては、「鳥類には著しい影響を及ぼすことはないものと考えられる。」と。渡り鳥の視点は全くないんですね、これには。そこに生息している鳥類。  それから海生生物については、「多少の影響を及ぼすことが考えられる。」、ムツゴロウとかワラスボとかいろいろ書いてありまして、「生息場と産卵場の一部を消滅させることが考えられる、」、「成育に多少の影響を及ぼすことが考えられる。」と。きょうは農水省にもおいでいただいておりますけれども。しかし、それらは「諌早湾に固有の種ではなく、魚類などの遊泳動物は、生息環境の変化に対して回避するなどの能力を有していることなどから、」「ほとんど影響を及ぼすことはないものと考えられる。」と。  これは九州農政局のアセスメントですけれども、こんなアセスメントをしたってしようがないと私は思うんですけれどもね。農水省、お答えください、これはどう評価しますか。
  232. 岡本芳郎

    説明員(岡本芳郎君) 農水省といたしましては、その当時の環境アセスメント基準にのっとってやったつもりでございます。  以上でございます。
  233. 竹村泰子

    ○竹村泰子君 その当時の基準にのっとってやったけれども、こういうものを出して今どう思いますかと言っているんです、これは平成三年と書いてありますけれども。  今はもう世界じゅうからこの諌早の問題について希少な、私もWWFというところの消滅する生物のサイエンスリポートを取り寄せましたけれども、これによりますと、「諌早湾の締め切り工事が進行しており、これらの自然の大半が失われる日は近い。」というふうに書いてあります。そして、有明海以外ではほとんど生息が知られていない種が数多く記録されており、そして現在のところ両文献に記録された底生生物は全部で二百八十二種であるが、その中でも特に有明海全域から見ても数少ない多産地を湾の奥部に持つハラククレチコガニ、アリアケガニ、それからウミマイマイなどといった種の個体群がこの干拓事業により消滅すれば、それは、これらの種の日本からの絶滅を招来する危険が極めて高いと、こういうふうにこのサイエンスリポートは書いているんですね。  それに対して、これは少し前のアセスメントですから、農水省のお出しになったのは。  きょう私は本当は農水大臣にもおいでいただきたかったわけです。大臣の御感想を聞きたかったから、環境庁長官と両大臣にいろいろ聞きたかったのでおいでいただきたいと言いましたが、どうしてもおいでいただけなかった。それでは政府委員にお願いいたしますと申しましたら、きょうは何か行革の関係会議があって来られませんと。  いるいろいろいうと言いわけがありまして、それで次長がお見えくださったんでしょうけれども、きょう私は大臣だと思って質問しておりますので、大臣の御意向をきちんと聞いてきてくださいと申し上げてありますので、大臣だと思って答えてください。こういうアセスメント、どう思われますか。
  234. 岡本芳郎

    説明員(岡本芳郎君) 私どもの行ったアセスメントは、第一回目が昭和六十一年でございまして、第二回目に平成三年に環境影響評価を行いました。平成三年でございますのでつい最近というふうに私どもは思っておりますので、それ以降の変化についてそれほど変わっていないというふうに判断しております。
  235. 竹村泰子

    ○竹村泰子君 だから、つい最近だから私問題にしているんですよ。じゃ、この何というか価値観というか、こういうことは今も農水省はそう考えていらっしゃるんでしょうね、きっと。  聞くところによりますと、これは両大臣にお聞きしたいと思いますが、二十日の閣僚懇談会で、私ども渡辺周議員が質問書も出しておりますけれども、一刻も早く水門の開閉を定期的に行ってほしいということが話し合われたようですけれども、私は環境庁長官と農林水産大臣が、やっぱり一週間に一回でもいいからあけるべきだ、そうしなければ生態系を破壊してしまうんだと。  ムツゴロウだけの問題じゃないですよ、これは。  何かムツゴロウが大事か人間が大事かという低レベルの議論がされているようですけれども、そういうことではなくて、干潟を失うということ、しかも国内の最大の干潟を失うということは、もちろんさまざまな生物そして渡り鳥、ひいては人間の生態系にも影響してくることで、非常に大きなことであるんですよね。そのことを言っていただけば、閣僚懇談会でもああそうかなと、それじゃたまにはあけようかなということになったんじゃないですか。しかし、水門をあける必要はないと、これは環境庁長官ももう既に発言しておられますし、そういう結論が出たようですね。  このことについて長官と農林水産大臣の代理の方にお伺いいたします。
  236. 石井道子

    国務大臣石井道子君) 閣僚懇談会におきまして、このたびの問題について意見交換がなされました。そして、そのときに水門をあけて海水を入れることについて閣僚の中でも疑問を持っていた方もあるわけでございますが、農水大臣から今までの経緯とかあるいは現状の状況について、特に水門をあけて海水を入れることについての問題について説明があったわけでございます。そのことを閣僚懇談会の席で了承をしたということになった次第でございます。  この事業につきましても、環境庁としては環境保全上の必要な意見は既に申し上げてきたところでありますし、農水大臣の御説明の中でも環境に配慮するということでの御説明もございましたので、この水門をあけて海水を入れるということについて、環境庁長官としても特に要請する考えは持っていなかったわけでございます。  水門をあけて海水を入れることにつきましては、環境保全上も塩水が調整池の底に停滞することによって水質の悪化を招くおそれもあるというふうなことも考えられることでございまして、一応閣僚懇談会におきましての統一見解になったということでございます。
  237. 岡本芳郎

    説明員(岡本芳郎君) 今、環境庁長官の方から申し上げましたとおりでございますが、農林水産大臣からは、事業重要性、現時点での防災機能の発揮、環境への配慮、地元の要請等を説明されたと聞いております。その結果、閣僚懇談会ではこの旨、水門は上げないということで了解をしたというふうに聞いておるところでございます。  水門をあけた場合の影響について少々御説明したいと思いますが、この水門は無操作によりましてマイナス一メーターで管理することにしております。
  238. 竹村泰子

    ○竹村泰子君 その辺は私よく知っておりますので結構です。  この潮受け堤防の北部の排水門及び南部の排水門の運用責任者はだれですか。
  239. 岡本芳郎

    説明員(岡本芳郎君) 水門の管理は外潮位、内水位等の状況を勘案して行うわけでございますが、九州農政局諌早湾干拓事務所長が行っているところでございます。
  240. 竹村泰子

    ○竹村泰子君 現場ではそうでしょうが、最終責任者はだれですか。
  241. 岡本芳郎

    説明員(岡本芳郎君) 農林水産大臣が定めた管理規程に基づきまして操作を行っているものでございますので、農林水産大臣かと思います。
  242. 竹村泰子

    ○竹村泰子君 ですから、農林水産大臣が決意をすればあけられるわけですよ、そうですよね。先ほどの環境庁長官のお答えにありましたけれども、今はさほどの問題があるとは思っていないという御認識だったと私はお答えから拝察したんですけれども、この環境アセスメントを今審議中でありますけれども環境庁は本当に、さっきもかなえの軽重が問われていると言いましたけれども、そういうことで環境庁の存在意義があるんでしょうかね。そうお聞きしても、恐らく長官のお答えは同じようなお答えが返ってくるだけだと思いますので。  次に、この干拓の目的も、当初は何か大変な長崎大干拓構想であったり、国営長崎干拓事業であたり、あるいは防災であったり、水害であったり、いろいろとこの目的も周りの状況も変化をしております。この事情変更の場合ということを環境庁はどう考えていらっしゃいますか。
  243. 田中健次

    政府委員田中健次君) 諌早の干拓の問題につきましては、昭和六十三年それから平成四年に環境庁として自然環境保全あるいは水質汚濁防止の見地から必要な意見を申したところでございまして、また、ことしの三月にも環境保全対策の実施状況を踏まえまして下水道の整備促進等につき一層の配慮を求めたところでございます。  平成四年に公有水面埋立法の変更承認を得まして工事に着手した以降、事業計画等に大幅な変更はないというふうに認識をいたしております。  環境庁といたしましては、環境保全対策の実施状況やあるいは環境モニタリングの結果を踏まえまして必要に応じ適切な対応を図ってまいる所存でございますけれども、現在アセスの再実施を求めるべき事情の変更はないというふうに認識をいたしておるところでございます。
  244. 竹村泰子

    ○竹村泰子君 そういう認識だから今のままで、これまでのままでいいということであるというお答えだったと思います。  この間の百五十ミリの雨で広範囲に冠水したんです。農水省側はほんの一部の水田に十センチ程度の冠水だと、けさの朝日新聞に大きく出て写真も出ておりますけれども、場所によっては九十四センチの高さまで冠水した、こういうふうな防災効果は全く認められないというような状況報告されております。もちろん新聞を読んでおられると思いますので、事情変更があるとは思えないという今の田中局長のお返事では全くだれも納得しないと思います。  特に思いますのは、さっきから私が言っております貴重絶滅種とか、そういう生態系のアセス、これは全くやっていませんね。どうですか。
  245. 澤村宏

    政府委員(澤村宏君) ただいまのアセスについてのお尋ねでございますが、諌早湾の干拓事業につきまして事業者実施した環境影響評価におきましては、諌早湾の干潟に生息する生物について調査が行われておりますが、自然環境保全の観点から、特に干潟の生態系の重要な構成種でありますシギ・チドリ類につきまして特に着目した調査が行われたものと、そういうふうに考えております。
  246. 竹村泰子

    ○竹村泰子君 私は、再度アセスをし直すべきだ、環境庁がしっかりと中心になって再度アセスをし直すべきだというふうに思います。大きな事情変更があったというふうに考えますが、長官いかがですか。
  247. 石井道子

    国務大臣石井道子君) 昭和六十三年に環境庁が農水省の方に意見を申し上げてきたわけでございまして、環境庁といたしましても自然環境保全とか水質汚濁防止などの環境保全の見地からの意見は三度にわたって申し上げてきたところでございます。  環境庁といたしましても、環境庁のそのような申し入れ、意見に対しましてそのような方向に沿った環境保全対策が実施されて、そして環境モニタリングの結果がどうなるかということを今後も注意深く見守りながら今後も適切な対応を図っていく所存でございます。現時点でアセスの再実施を求める考えはございません。
  248. 竹村泰子

    ○竹村泰子君 今、私はちょっと防災のことを言いましたけれども、この諌早湾防災対策検討委員会の中間報告書、農水省が御担当だと思いますけれども、これを十三年間公表しなかったと。洪水は短時間に集中して流れるとか、それからたくさんの被害者が出るであろうとか、「諸対策を緊急に講じる必要がある。」とか、防災については「諌早湾地域の緊急かつ効果的な防災対策とはなり得ない。」とか、ちゃんと書いてあるんですね。  ですから、ぐあいが悪いからこれを十三年間秘匿したと。やっと市民運動でこれが出てきたわけでありますけれども、これは昭和五十八年と書いてありますが、もしも十三年前にこれがちゃんと公開されていれば、諌早湾の干拓はもしかしたら進まなかったかもしれない。住民側は大変恐怖を覚えますからね、こんなせきとめるようなものをつくられて。そして、防災対策にはならない、被害が出ると言われたんじゃ、これは大変だということになりますから、干拓事業は進まなくなる、そういうことであるというふうに聞いております。  それについては県議会で議論したとかいろいろ御弁解があると思いますが、私ももう時間がきょうはありませんので、その弁解は聞きませんけれども、とにかく——言いたいですか、じゃどうぞ、短く。
  249. 岡本芳郎

    説明員(岡本芳郎君) 御指摘の中間報告書につきましては、その要約を記者発表、これは昭和五十八年十一月二十四日に行っております。それが実際に新聞に掲載されております。(「要約だよ、全文じゃないよ」と呼ぶ者あり)要約でございます。  また、長崎県には要約に基づき関係十三市町、二十三漁協に説明を行っており、九州農政局長は中間報告書を関係四県及び関係三瀬連に送付しております。さらに、長崎県議会において要約を配付、説明され、質疑が行われております。  このような形で中間報告書並びにその要約はさまざまな形で公にされておるところでございます。過去に公開を拒むような事実があったとすれば、私どもとしては大変遺憾でございます。
  250. 竹村泰子

    ○竹村泰子君 諌早湾のことについて非常にたくさんの市民運動の方たちがいらっしゃるんですけれども、この方たちの調査によりますと、昨年、諌早市長が農水省、長崎県に対して公開を求めたが、内部資料として公開を拒んでいる、また、我々が県の情報公開条例をもとに公開を求めたがついに公開してくれなかった代物なのだと、そういうふうに言っておられます。  四月二十八日、我が党の鳩山由紀夫代表を初め民主党の視察団が諌早を訪れましたが、そのとき説明に立った長崎県農林部長は、当時、県議会、地方議会でも十分に議論を尽くしたというふうにおっしゃっているんですけれども、それはやはり県議会関係者とかごく一部の人は知っていたかもしれないけれども住民運動が要求して公開されなかったものというのは一般には公開されていないものと私たちは考えます、要約がそういうところに出されたということだけでは。なぜそれではその後の諌早市長を初め市民運動への公開を断っているんですか。
  251. 岡本芳郎

    説明員(岡本芳郎君) 断った事実についてはよく知りませんが、これはその当時の新聞記事でございまして、内容はばっちりと完全にこの要約の内容が書かれておりますので、問題はないかと思います。
  252. 竹村泰子

    ○竹村泰子君 私はそのコピーは見ておりませんが、それにはちゃんと今私がこの報告書の中から拾った、たくさんの被害が出るだろう、浸水をこうむる住民もいるだろうと、緊急の防災対策を講じる必要があるとか、そういうことがちゃんと書いてあるんですか。
  253. 岡本芳郎

    説明員(岡本芳郎君) 書いてございます。
  254. 竹村泰子

    ○竹村泰子君 わかりました。それでは、後日で結構ですから、諌早市長を初め住民運動の人たちになぜこの資料そのものを、これは最近ですよ、ごく最近手に入ったものですけれども、これを出すことを拒んできたのか、後で報告をしてください。  次に、干拓事業のことをきょうは聞いておりますけれども、公共事業の執行とアセスの関係をお聞きしたいと思います。  国民が求めておりますのは、諌早湾ばかりでなくて中海・宍道湖、それから大規模開発あるいはダム、大規模林道等の公共事業のあり方と自然保護なんですよね。これに対して、今回の法案事業アセスでは適切に対応できると私は思わない。  このギャップを環境庁はどう考えるのでしょうか。これほどマスコミもそれからたくさんの人たちがこの問題に関心を持ち、我が国で最大の干潟が失われる、干潟は生物の揺りかごであるというふうなことが言われている中で、環境庁長官の先ほどのお答えをお聞きして私もう本当に改めてがっかりしたのですけれども、そういう認識だから、環境庁はもっと強く環境を守るためには私は本当に何をおいても頑張りますという姿勢が見えないから、だから適切に対応できると思わないのですけれども、今私がお聞きしましたこのギャップをどう埋めるおつもりですか、長官
  255. 石井道子

    国務大臣石井道子君) 諌早干拓の問題につきましては、さまざまな長い間の経緯があるところでございます。  今般提出いたしました環境影響評価法案につきましては、中央環境審議会答申に従いましてスクリーニングやスコーピング手続導入しておりますし、フォローアップも導入しているということでありまして、また国民とか地方公共団体意見を提出する機会が設けられている、それが拡大をされているということもあります。そして、環境庁長官の関与も充実されているという中身でございまして、従来の閣議アセス内容を全般にわたって改善充実したものであるというふうに思います。  ですから、現在のような起こっている状況がかなり改善されるものであるというふうに考えているところでございまして、今後も、この環境影響評価実施が確保されて、そして環境保全の取り組みが飛躍的に促進される実効ある環境影響評価が行われるようになるようにということを私自身期待しているところでございます。
  256. 竹村泰子

    ○竹村泰子君 この問題には、環境アセスメントを国会で審議している最中に出てきた、出てきたというか、問題はずっとあったんですけれども、これだけの盛り上がりを日本じゅうだけでなく国際的にも盛り上がりを見せているこの問題について、環境庁長官が率先して、これは問題だ、私は見に行きましょう、そして何とかしましょうというふうな態度をおとりにならない。何のための環境アセスメントなのですかと私は言いたいわけです。  行革の中で環境庁の存在意義が問われているんでしょう。私たちは、ずっと環境庁を応援してきました。環境を守らなければ子供たちゃ孫たちの生存が危ないと思うからなんです。長い目で応援してきました。でも、今の環境庁長官のお言葉を聞き、環境庁の姿勢を見ていたら、環境庁は要らないと言われたって仕方がないんじゃないかと私は思います。出番なんですから、これ。  今の縦割り行政の中で物を言っていくのは非常に大変だと、それはよく理解いたします。しかし、我々が、それがおいそれと変わらない以上、それを前提にどうしていくかということが環境庁に問われているわけです。諌早問題について勧告権を行使する気持ちがおありですか、ないですか、どうですか。もう一度決意を聞かせてください。
  257. 石井道子

    国務大臣石井道子君) 環境庁長官として今回の諌早問題に対しまして積極的な発言とか行動がとれないということについては、大変私自身も残念に思っているところでございます。  それは長い間のさまざまな経緯があった上でのことでございまして、まさに事業者が今までの環境問題に対してどのように配慮していくべきかということにもかかってくるものではないかなというふうに思っておりますが、今回の問題に対しまして勧告権を行使するかどうかという点につきましては、さまざまな本事業の長い間の経緯を踏まえ、そして環境庁としては環境保全に対して必要な意見は既に申し上げてきたところでございますので、特に勧告権を行使する考えはないことを申し上げたいと思います。
  258. 竹村泰子

    ○竹村泰子君 残念ですね。そういうお答えを聞こうとは思いませんでした。  湿地や浅瀬の保全のために強制力を持った保護区の設定ができる、そういう律法をおつくりになるおつもりはありませんか。ラムサール条約の締約国会議が九六年三月に開かれましたけれども、そのような議論はなかったのでしょうか。どうでしょうか。
  259. 澤村宏

    政府委員(澤村宏君) ただいま先生から強制的に保護区を設定するための立法措置、それに関してのお尋ねがあったわけでございますが、そうした議論につきましては、ただいまお話がありましたが、昨年の締約国会議の期間中にNGO等の有志の参加により開催された非公式のワークショップにおいて議論があったというふうには聞いております。しかしながら、それは締約国会議議題そのものではございませんで、同会議におきます決議や勧告といった正式の結論を得たものではない、そのように理解しております。
  260. 竹村泰子

    ○竹村泰子君 それに対してどうしようと思っているんですか、思っていないんですか。
  261. 澤村宏

    政府委員(澤村宏君) 私ども、自然の保護区ということについて担当している立場から申しますと、これまでにも国内におきましていろんな形でもって保護区というようなものを設定してきているところでございます。
  262. 竹村泰子

    ○竹村泰子君 よくわからないけれども、もう時間がありませんので、最後に、農林水産大臣の代理として出ていただいた次長、それから環境庁長官、もう一度両大臣で十分に御相談ください。  これは、ひとりムツゴロウの問題ではないのであります。そういう低レベルの議論をしていただいては困るのでありまして、定期的にあればボタン一つであけるようになっているでしょう。どこかの勧告にもそう書いてありますでしょう。だから、これは生物のためにも、それからきちんとしたそういった干潟の保護のためにも、その期間は一週間に一回にするか十日に一回にするか、その辺はわかりませんけれども、生物が死滅しないそういった方策をとることをもう一度相談してみましょう、そして閣議にも提案してみましょうと、そういう方向で、最後に長官のお答えを聞いて、終わります。
  263. 石井道子

    国務大臣石井道子君) この問題ということもありますけれども、しかし今後の事業につきまして環境の問題を配慮した対策をやはり強力に進めていきたいというふうに思っております。
  264. 竹村泰子

    ○竹村泰子君 それは答えにならないよ、全然。  時間はありますか。
  265. 渡辺四郎

    委員長渡辺四郎君) もうオーバーしておりますから。
  266. 竹村泰子

    ○竹村泰子君 ないですか。  全然答えになっていません。納得できませんということを最後に申し上げて、終わります。
  267. 岡本芳郎

    説明員(岡本芳郎君) 農林水産省といたしましては、地元の強い要望も受けまして事業実施しておることから、水門操作による海水の導入は考えておりません。
  268. 有働正治

    ○有働正治君 私も、このアセスにかかわる環境庁基本姿勢、または環境庁長官意見書をいろいろ出されるわけでありますけれども、その意見書は果たして効力があるのかどうか、このことも問われる問題として諌早の干拓問題を取り上げたいと思うのであります。  ここに地図を持ってまいりました。(図表掲示)諌早干拓の農水省提出資料の拡大したものであります。ここに七千五十メートルの潮受け堤防がございます。これが四月十四日、残っていました約千二百メートルが全部、潮の流れがあったのがとめられました。そして、北部排水門、南部排水門、二つの水門も基本的に閉じられた状況でマイナス一メートルにされているわけでありますが、このことによって諌早というのが日本だけでなくて世界の問題になりました。まさに諌早は国内の重要な政治問題、環境問題、国際的な重大問題に浮上したと私は思うのであります。  幾つか事実確認を求めつつお尋ねしたいわけでありますが、一つは、この中に膨大な干拓をやろうと、これはこれからの計画であります。恐らく来年から始まるのかどうかも見通しもないわけであります。それを閉め切ってやるということ自体が極めて不合理なわけでありますが、今、門を閉め切って潮の流れがとめられている中で、環境庁長官として、ここの中の干潟がどういう状況になっているという認識でおられますか。まずそこらあたり、いかがでありましょうか。  いや、私は長官に聞いております。いやいや、長官に、どういう状況になっているか。
  269. 石井道子

    国務大臣石井道子君) この事業につきましては、農水省と地元の長崎県が主体事業者となって進めている工事でありまして、せんだって潮どめ堤防が閉め切られました。  私も、現地に行きまして現状を視察するチャンスがまだないのでございまして、どのような状態になっているかという点については十分把握をしていないのでございますが、きのうでしょうか、環境庁から専門家を派遣いたしまして、調査をしていただいております。
  270. 有働正治

    ○有働正治君 認識がないということ自体が私は重大だと思うんです。長官自身が今現状がどうなっているかと。私きのうも行ってまいりました。  これで四回です。やっぱり一見すべきですよ。行く機会がないんでなくて、長官は行く機会をつくっていないんですよ。やろうとしていないんですよ、はっきり言って。  その関係で、きのう関係閣僚会議があったかに新聞で見ましたけれども関係閣僚会議の中で、この問題について環境庁長官として何らかの発言がやられたかどうかだけお答えください、長官
  271. 石井道子

    国務大臣石井道子君) 農水大臣の経過報告を聞いたところでございまして、特に私は発言をしておりません。
  272. 有働正治

    ○有働正治君 それから、長官行っていないからわからないと思いますけれども、この干潟の大きさというのはどれぐらいの大きさだというふうに聞いておられますか。面積でなくて、感覚的にわかるようにちょっと教えていただきたいと思うんです。
  273. 石井道子

    国務大臣石井道子君) 調節池が諏訪湖と同じくらいの大きさであると聞いております。
  274. 有働正治

    ○有働正治君 東京で仕事をしている関係で、山手線全体ぐるっと回っていますね、これの全体の半分を超える、三分の二ぐらいの広さ、三千五百五十ヘクタールが閉め切られて、今死の海になろうとしていると、こういう状況なんですよ。  長官お尋ねしますけれども、今までいろんな開発行為が行われました。私ども開発を一切やってはいけないという立場ではないんです。環境との兼ね合いを十分考えるべきだと。この問題はそのほかにもいろんな問題があります。しかし、開発の結果としていろんな環境への影響として生物が死滅したりいろんなことがこの間もあったと思うんです。ところが、今回の諌早湾の場合には生態系をすべて死滅させると。ここを干し上げて塩水を淡水湖、真水にすると。全く死滅させることを目的とした開発というのは私は聞いたことがないんでありますけれども環境庁長官、こういう事例というのは今まで日本にあったのでございましょうか。  いや、私は長官と議論したいんだから、事務当局は要りません。いやいや委員長、私は事務当局に聞いているんじゃないから、事前通告も長官にやっておきましたから、長官認識を聞いているんだから。
  275. 石井道子

    国務大臣石井道子君) 今の御質問は、全部死滅した事例があるかどうかということでございますか。  私はちょっとその点についてはよくわかりませんので、政府委員から答弁させていただきます。
  276. 澤村宏

    政府委員(澤村宏君) 一般論としまして、例えばダムなどの場合、事業前の陸域生態系がダムの建設後には水域の生態系に変化するというふうなことがあるわけでございます。また、埋め立てを伴う開発におきましては、海域生態系が全く消滅をしてしまうわけでございます。  このように、ある開発によりまして生物への影響をゼロにするというようなことは困難であると考えております。
  277. 有働正治

    ○有働正治君 それは部分的にはあるかもしれません。これだけ巨大に、しかもここの海水を完全に真水にするということによって、ここの生態系を完全に死滅させると、それを目的にした開発というのは私は余り聞いていないんです。これはそういう干拓事業であると。前例のない、世界でもこういうのは余り聞いたことがない。やるのは日本ぐらいなものなんです。農水省ぐらいなものです。そういう前代未聞のことをやられているという重大な問題に対して、何一つ環境庁長官が物も言わないというのは一体どういうことだと。日本と世界から怨嗟の声が起こっていますよ。今や地域の人たちも本当にさま変わりの状況です。  そこで具体的にお尋ねします。  現場に担当者が行ったということでありますけれども、下水道の整備状況、これは満足する状況にあったかどうかだけお尋ねします、調査結果として。
  278. 渡辺好明

    政府委員渡辺好明君) 関係市町村、諌早市とほか四町でございますけれども平成八年三月時点での下水道の整備率、集落排水や合併浄化槽の整備等も含めまして、諌早が三〇・七%、森山町が一二・七、そのほかは一けた台ということで、全体といたしましては二四・四%の状況でございます。  したがって、私どもはこうした下水道の整備を今後急速に計画的にやるように申し入れを行ったところでございますし、長崎県におかれまして、今年度一年をかけましてその整備も含めました計画を立てるというふうに承知をいたしております。
  279. 有働正治

    ○有働正治君 三月十二日付で環境影響審査室長名で農水省と長崎県の担当部局に対しても、水質汚濁の未然防止の観点から下水道整備、これについていろいろ意見を述べておられるわけであります。    〔委員長退席、理事大渕絹子君着席〕 今の意見を聞きましても十分でないということは明瞭だと思うわけでありますが、現時点では十分ではないからこそ意見を述べられているというふうに私は理解するわけでありますが、長官、それでよろしいでしょうか。  いいえ、長官に聞いている。
  280. 田中健次

    政府委員田中健次君) 本件につきましては、本委員会におきましても有働先生からも水質保全対策の実施状況、あるいは閉め切り後の水質の問題等について御指摘をいただいたところでございまして、私どもといたしましては、農水省それから県から調査を行ったところでございます。  水質の保全対策につきましては、進捗はいたしておりますものの、下水道処理について工事計画が確立されていないなど、さらに一層の努力が必要であるという状況であることが確認されました。  一方……
  281. 有働正治

    ○有働正治君 いえ、それで結構です。
  282. 田中健次

    政府委員田中健次君) そういう問題がございますので、下水整備について一層の努力を必要とするという状況でございますので、私どもとしては、既に環境庁から述べた意見の延長線上ではございますが、環境保全に万全を期す見地から、水質保全対策に関しさらに一層の配慮を要請するということで、三月十二日に追加的な要請を行ったものでございます。
  283. 有働正治

    ○有働正治君 農水省に聞きます。  今、閉め切って、ここが死の海になりつつあるわけでありますが、今、とりわけ下水道整備のおくれが明白に見られるという指摘もあって、十分でないと、環境庁が再度その点での改善意見書をあえて出したということは、今の進行状況、農水省はこの水質保全対策は完璧だと現時点では思っておられるんですか。現時点での評価。結論だけ。
  284. 岡本芳郎

    説明員(岡本芳郎君) 私ども調査によりますと、予測年次、平成十二年度の目標が地域人口で四万七十人対象に予測しておりますが、現在、平成八年度までに事業化されておるのが五万一千二百人ということで、順調に進んでいると理解しております。
  285. 有働正治

    ○有働正治君 環境庁、順調だ順調だと今農水省言うんですよ。あなたたちは、順調でない、十分でないから意見書を出したんでしょう。長官、そうでしょう。一体どういうことですか。農水省は順調だと言う。環境庁は順調でないからこそ意見書を出したんでしょう。農水省の言い分をそのまま認めていいんですか、長官。十分でないんでしょう、言ってみなさいよ。
  286. 渡辺好明

    政府委員渡辺好明君) 数字については両省庁で異なることはないと思いますけれども、私どもは、とにかく万全を期するということで、幾つかの構成要素の一つとして下水道整備の問題も申し上げました。そういうことでございますので、現在、各市町が持っております計画はそれぞれ下水道単独の整備計画でございます。  この計画の進捗率について農林水産省がそういう評価をされたのだろうと思いますけれども、今、長崎県において審議会に諮問し検討をしておりますことは、非常に多岐にわたる水質の保全対策でございます。そういう保全対策全般がうまく動いて、そして水質が維持されるということでございますので、この一年慎重にかつ大胆に検討をしていただきたいというふうに考えております。
  287. 有働正治

    ○有働正治君 農水省は環境庁意見を真摯に受けとめるべきだと思うんですけれども、その点いかがですか。それだけ。
  288. 岡本芳郎

    説明員(岡本芳郎君) 受けとめてやります。
  289. 有働正治

    ○有働正治君 だから、威張ったようにすべて完璧だみたいなことを言うべきでないよ。  長官、農水大臣にそういう問題を環境庁としては意見を付していますよと。あんな態度で、竹村先生に言わせれば農水大臣代理として出席しているわけですから。その代理が完璧だと言わんばかりの態度。しかし、環境庁としては農水省に対して水質保全対策上問題ありという立場から意見書を付しておられるわけですから、長官として、ああいう大臣代理と言われる態度を放置するわけにはいかぬと思うんですよ。  これは担当室長ですから、環境庁の責任ある立場として意見を付されたわけですから、どうも認識が部下はないわけですから、農水大臣にきっちり意見を言って、きっちり対応していくように言うべきであると思うんですが、いかがですか、大臣。
  290. 石井道子

    国務大臣石井道子君) 農水省から来られました次長さんの方から、きょうの環境委員会における状況については十分に御報告をしていただけると思いますし、私も、農水大臣にお会いいたしましたときには、今後の問題について、環境保全対策について申し上げていきたいと思います。
  291. 有働正治

    ○有働正治君 だから、水質保全の上で今日の時点で十分でないんですよ。門を閉めた後どうなるかという問題で、問題があるというふうにあなたたち自身は言っておられるわけですよ。それについて閣僚懇で何一つ発言しないというのは何事ですか。こんな環境庁がありますか。無責任もきわまるよ。直ちに対処してください。よろしいですね。    〔理事大渕絹子君退席、委員長着席〕  それから、この千二百メートルの潮受け堤防を閉め切るに当たりまして、農水省が河川管理者に対しまして調整池の水質に関する検討、それを提出して協議をされたと思うわけでありますが、農水省、私の質問にだけ答えてください。  その中で、不測の事態が起こることがあり得るということで、私、原文を初めて取り寄せました。  農水省はなかなかこういうのも公表しなかったんです。局所的には予測不可能な水質障害、アオコの増殖等々が発生する可能性は否定できないというくだりが指摘されていると思いますけれども、これは間違いございませんか。事実だけ。
  292. 岡本芳郎

    説明員(岡本芳郎君) 間違いございません。
  293. 有働正治

    ○有働正治君 同じ問題、環境庁、建設省にお尋ねします。  環境庁も御相談にあずかっているはずでありますけれども、こういう問題が指摘されていることは環境庁としても掌握しているのか。建設省としてもその点掌握して、それについて建設省としてはきっちり対応するよう意見を求めているはずでありますが、その内容について簡潔にお示しいただきたい。
  294. 渡辺好明

    政府委員渡辺好明君) 私どもは、環境影響評価書、それで判断をさせていただきましたが、昭和六十三年の当初計画平成四年の事業計画の一部変更の際に、九州農政局から環境影響評価実施をされまして、その中で、これは窒素や燐についての予測は行われておりますけれども、その具体的なアオコという引用があったかどうかにつきましては、私ちょっと承知をいたしておりません。
  295. 有働正治

    ○有働正治君 それぐらいの環境庁だからしようがないんだよ。
  296. 白波瀬正道

    説明員白波瀬正道君) 河川管理者といたしましては、潮受け堤防の閉め切りがなされるに先立ちまして、事業者の農水省さんから調整池の水質の検討結果を伺っております。その結果につきましては、先ほど次長さんが答えられたとおりでございますが、これにつきましては、こういった不測の事態に対応するために調整池内の水質監視を強化するとともに、必要があれば臨機の対策をとるというふうにされておるところでございます。
  297. 有働正治

    ○有働正治君 水質汚濁が事実上不可避だということをもう予測しているんですよ、環境庁長官。  事前通告して、そのことは知らないなんという答弁、いいかげんなこと、だめだよ。こういうことがあることを事前に言っているのに、それについてまともに答弁さえしないような環境庁なんですよ、長官。これだけアオコの問題その他について水質汚濁が心配されるということをちゃんと指摘しているんですよ。しかも、建設省は河川管理者としてやっぱり適切な措置をとると、つまり門を開いたりして適切な対応をとらなくちゃいかぬということまで条件を付しているんですよ。  そこで、環境庁に聞きます。  この干潟の浄化能力というのは非常に大きいということが指摘されているわけであります。これは私は一々事例を挙げません。  例えば、一リットルの汚濁の水にアサリ一個入れれば、一時間でそれは浄化される。実験でも明白になっている。それぐらい大きな、だからあそこは干潟であっても一つも臭くない。私の出身の熊本の荒尾周辺なんて、掘ってみればもうヘドロで臭いんです、同じ干潟でも。そういう違いがあるわけであります。その干潟の浄化能力というのは非常に大きいという指摘について、環境庁はどういう認識が、簡潔にお示しください。
  298. 澤村宏

    政府委員(澤村宏君) 具体的に数値で示すことはなかなか困難な問題でありますが、環境面における干潟の浄化能力、そういったものが大きいということはそのとおりでございます。
  299. 有働正治

    ○有働正治君 そこで、話を進めます。  先ほど、建設省は河川管理者として汚濁の場合には門の開閉等を含めて適切な措置をとるということを指摘しているわけであります。環境庁としても、先ほどの三月十二日の農水省と県当局に対する意見書の第二項の中で、「調整池の排水門について、水質汚濁の未然防止の観点から、調整池全体の流動を促進するための排水門の適切な操作を行うこと。」という一項目指摘していると思いますけれども、これが間違いないかどうか。  「排水門の適切な操作」というのは門を上げたり下げたりして、しかるべく入れたり出したりということだと思うわけでありますが、この点間違いないかどうか、結論的にお示しください。
  300. 渡辺好明

    政府委員渡辺好明君) 今、先生がまさに二項目めとおっしゃいましたけれども、水質保全の観点から幾つかの申し入れをしております。下水道の整備、畜産排水に対する配慮その他、その構成要素の一つとして「排水門の適切な操作」ということを申し入れをしております。それから、当然のことながら、流動を促進するために中から外へ水を出すという操作をすることがあり得るということでございます。
  301. 有働正治

    ○有働正治君 今、中から外に出すと、それだけでいいのかという問題が一つは問われているわけであります。つまり干潟の浄化能力というのは巨大なものです。アメリカその他は、下水処理場をつくるよりもそこを干潟その他で湿地を保全するという形で河口域の浄化対策をとっていると。オランダでもイタリアでもそういう干拓したのを湿地に戻すような国家的プロジェクトまで行われて、湿地保全というのは国際的な政治の流れになっているのであります。  そういう中において干潟の浄化能力というのも非常に認められた、巨大な干潟で物すごい浄化能力があるからこそ、今生きた干潟として世界一の生態系をあそこは維持しているわけでありますから、ちゃんとそういう問題として、中の腐った水を外に出すために環境庁いるんですか。中の水質が汚濁しないようにやるにはちゃんと門をあけて外のを入れると、それこそ最大の浄化能力があると言われているわけです。  それらを含めて、この水質保全対策のために、環境庁として現場を見て、今どういう事態が起こっているかをきちっと調査の上、長官、先ほどもおつしゃられました、必要があれば適切な意見を述べると、それから大臣にも言うと言われたわけでありますから、きっちりと私の意見を踏まえて必要な検討もして対応願いたいということを結論的に、長官、お考えを。  いや、ちょっと待ってよ、私の質問に対しても答えられないような人に私聞く気持ちはないんです。長官、どうぞ。
  302. 石井道子

    国務大臣石井道子君) 諌早湾の事業の現状の把握につきましては、一昨日、専門官を派遣したところでございます。そして、環境庁としても、事業者及び県が実施しております水質調査の結果を注意深く見守りながら、環境影響評価に関する環境庁意見が確実に実施されて、そして水質保全が適切に図られますように今後も意見を述べていきたいと思っております。  そして、水門を開いて海水を入れることにつきましては、環境保全上も塩水が調整池の中に入るということは、調整池の底に停滞することによって水質の悪化を招くおそれがあるというふうに聞いております。
  303. 有働正治

    ○有働正治君 干潟の浄化能力について環境庁認めているわけでしょう。そんな官僚がつくったような答弁を一々何度も何度も言うべきじゃないですよ。何をこの間の議論を聞いているんですか。  議論は発展しているんですよ。だから、ちゃんと門の操作もやると建設省も言っているし、そして環境庁意見を言っているわけだし、そういう点で、あそこの水質が今どういう状況になっているか実態をリアルにつかんで、そして責任ある対応をしてもらいたいと。長官、よろしいですね。  いやいや、ちょっと待ってください。本当に長官がいっぱいいて困ります。ちょっと待ってください、委員長。済みません。  先ほど、そういう海水を入れると云々かんかんと言われたので、私はそうじゃないんだということで、この期間議論をして、環境庁としても干潟の浄化能力というのは巨大であると、巨大という言葉は使いませんけれども、そのことは認められたわけですよ。したがって、私の指摘を含めて検討して対応を願いたいということなんですよ。だから、農水大臣に意見を言ったりする機会がありますから、それらを含めてよく協議していただきたいということについてだけお答えをいただきたいということですから、大臣以外答えられないんです。
  304. 石井道子

    国務大臣石井道子君) 環境庁から前々から申し上げております水質の汚濁の問題につきましては、十分調査をし、そしてその問題につきましては責任を持って農水大臣、農水省に対しまして申し上げていきたいと思います。
  305. 有働正治

    ○有働正治君 そこで、私は、この問題、いろんなことを農水省が、七%しかないから問題ないとか、鳥はほかに行くからとか、これについてもやるつもりでいましたけれども、時間がありませんので別の機会に。  こんなインチキなことが許されないことは、後刻きっちりやりたいと思うんです。いいかげんにしてもらいたいと。熊本の干潟と諌早は違うんです。ズクロカモメのえさはヤマトオサガニですけれども、熊本にいますか。行けるわけないんですよ。いいかげんなことを言うべきでないということだけ言っておきます。  私は、この問題を考える場合、三つの角度から検討する必要があると思うんです。一つは、農地造成の問題がそもそもの問題として出てきました。ところが、今や減反、お米の輸入自由化、それから野菜その他も大々的に入って農業基盤が根底から破壊されている。こういう時代の中にあれほど大規模な、しかも環境破壊の干拓をやるかと、これが一つの問題があろうと思うんです。これについてはいろいろ議論はあり得ると思うんです。  だけれども、そういう農地造成をめぐる問題が一つあると思います。  もう一つは、農水省が防災ということを言われます。防災ということを言うんであれば、私は水の一番突端の部分だけの防災対策でなくて、河川全体、それについて防災対策としてどう対応するか。諌早水害が起こったのは主として上からの洪水、土石流を含むそういうものとして起こったもので、河口の防災対策だけで済む問題じゃないのであります。全体としてやっぱり議論すべき、そして対策も立てて統一的に解決すべき問題だと思います。  湿地がございます。湿地は特別の手だてを、ポンプの強化の問題等々について、それから既存の堤防をかさ上げしていく、本来行うべきそういうものをきっちり対応すると、こういう問題があろうかと思うんです。  それに加えて、環境破壊、干潟が死の海になるという、消滅という、これは国際的にあそこを、干潟保存というのはラムサール条約その他からいって国際的責務の問題でもあるわけであります。  大きく言ってこういう三つの問題があると。ですから、私として提案したいのは、今あそこを閉め切って真水になりつつあって、死の海になりつつあって、これが国際的な大きな問題になっている。ともかく塩水を入れて干潟を救って、生き物を救って、浄化能力も戻していただきたいというのが共通の声に、国民的に、国際的にも厳しいそういう要求が出されているわけであります。これは急を要する問題であります。だから、この急を要する問題について手だてをとるというのが今求められていると思うんです。  そして、農地造成の問題、防災の問題、先ほどおっしゃられました十三年間資料が隠されていた問題、山ほど問題があります。そして、これについては各党の皆さん方もいろいろ議論、意見はあると思うんです、私どもは私ども立場がございますけれども。しかし、これは国会で時間をかけて十分議論して、今の時代に干拓の問題をどうするか、防災問題はどうするかと、国民的議論を起こしてじっくり時間をかけてやればいいのであります。  しかし、この閉め切りの門を開けるというのは緊急を要するわけで、これに対する手だては急ぎとると。私も、救出作戦その他、本当にこんなちっちゃなカニが必死で生き延びている姿を見ました。まだ間に合うんです。一部分死にました。腐臭も漂っているんです。だから、トンビだとかそういう死骸を食べに来るようなものが今は移り住んでいる。そういう状況の中で、長官として、今申し上げましたそういう立場が必要ではないかと、そういうことを閣僚懇なりでじっくり議論すべきであると私は思うのであります。  そのことを主張して、この問題について環境庁がこのまま放置したら、あの広大な諌早湾を閉め切った大臣はだれかというのが後世に残って、死の海にしたのはだれかというのが、石井長官の名前が後世に世紀の愚策の執行人として残るわけですから、そうすべきでないということを述べて、この問題、引き続き国民的解決のために、私ども超党派的に努力するところ、力を合わせるところは力を合わせながらやるということを述べて、質問を終わります。
  306. 末広まきこ

    末広真樹子君 自由の会の末広真樹子でございます。  このアセス法案を通じて、環境行政に対する長官御自身の姿勢ひいては環境庁の存在意義が問われていると私は思います。このアセスメント法案や諌早湾のギロチンなどで環境庁の消極的姿勢ばかりが目立ち、国民からも環境庁は一体何をやっているのか、こういう批判が世間では高まっているのだという現状をまず御認識ください。日本の環境庁はマイナーだねという声がございます。  諌早湾干拓事業の潮受け堤防が四月十四日に閉め切られて一カ月余りが過ぎました。タイムリミットが間近いのでございます。岩垂寿喜男前環境庁長官はNGOと一緒に現地を訪れました。その翌日五月九日、前長官と自然保護団体の視察後の記者会見に私は国会議員は一人でしたけれども出席しました。前長官は何とおっしゃったか。このギロチンをとめられなかったのは自分に油断があった、こう反省していらっしゃいます。本当は現役時代に、現職にあるときにこう言っていただきたかったんですけれども。そして、排水門を直ちに開けること、税金のむだ遣いである干拓事業の見直し、この二点を主張していらっしゃいます。  そして、五月十四日、諌早湾を考える議員の会に私は参加いたしました。現地の方々が大勢お見えでございました。今なら間に合う、ムツゴロウはひび割れが生じた干潟の中で何とかまだ生きている、しかしカキなどの腐敗臭が強くて付近の家の窓は開けられない、洗濯物もにおうと、現地から上京した人々のお声でございます。  大丈夫なんですかね、水質汚染は。石井長官も現地に飛ぶべきではございませんか。それだけの重要性を持った、これはもはや社会問題だと思いますが、いかがですか。
  307. 石井道子

    国務大臣石井道子君) いろいろと御意見のあるところでございますが、今環境庁としては現状の把握に務めているところでございます。  私自身が視察をする前に専門官に行っていただいたところでございますが、その担当職員から現状についての状況を十分に聞かせていただいた上で、今後の環境保全対策についてその実施状況などについて確認をし、また対策を講じていきたいと思っております。
  308. 末広まきこ

    末広真樹子君 長官、御自分の目を信じてください。あなたの心を信じていただかないと、まず部下では困っちゃうんですよね。  きのうの閣僚懇談会で諌早問題が話し合われたと伺っておりますが、日本の環境保全を担う環境庁長官としての立場でどのような発言をなさったんでしょうか。長官のお言葉そのままここで伝えてください。
  309. 石井道子

    国務大臣石井道子君) 当日の閣僚懇談会におきましては、農水大臣から今までの経過報告、何のための事業であるかということ、そしてその中に環境の問題に配慮していくという御説明がございました。  私も発言をすべきであったとは思いますが、閣僚懇談会という時間的な制約もありまして、後の委員会とかそういうものがつかえておりますので、十分に発言するチャンスがなかったという状況でございます。
  310. 末広まきこ

    末広真樹子君 環境庁長官、つまり大臣としてはまず自分の目で見る、次に時間があろうとなかろうと言うべきことは言う、これが職務なんです。  これを国民が求めているんです。そこのところはぜひお考え直しいただきたい、このように思います。  まず、干潟問題に対する環境庁の問題意識をお伺いしたいと思います。  この干潟の重要性は私から申し上げるまでもないと思いますが、この干潟の重要性について環境庁長官御自身の御認識、先ほど来何回も聞いています。今度は長官のお口から答えられると思います。お願いします。
  311. 石井道子

    国務大臣石井道子君) 干潟全般にわたります問題につきましては、特に場所によっては非常に有数な渡り鳥の渡来地であると、また干潟特有の生物が生息をしているという点で良好な自然環境を持っている場所であると認識をしております。
  312. 末広まきこ

    末広真樹子君 日本の干潟が急激に減っている現状、御存じでございますよね。その事実は環境庁みずからが自然環境保全基礎調査、海域生物環境調査の結果として公表なさっているわけでございますから、十分に御存じのはずでございます。  その減少状況はどうなっておりますのでしょうか、面積と箇所づけでお答えください。
  313. 澤村宏

    政府委員(澤村宏君) お答え申し上げます。  平成元年度から四年度に環境庁実施した第四回自然環境保全基礎調査によりますと、我が国の現存干潟の総面積は五万一千四百四十三ヘクタール、また昭和五十三年以降消滅した干潟の面積は三千八百五十七ヘクタールとの調査結果を得ております。  この調査におきます内容につきまして、調査区数、それで見ますと、現存の干潟の総面積の内訳は全国一千三百九十八調査区でありまして、昭和五十三年以降の消滅干潟の面積の内訳は全国二百四十七調査区となっております。
  314. 末広まきこ

    末広真樹子君 私が指摘したいのは、この減少理由の多くが埋め立てによるものであるということです。しかも、諌早湾の埋め立ては三千五百ヘクタール。この干拓事業によって我が国の干潟・浅海がさらに七%減少するという報告が日本自然保護協会からなされております。  同協会は、閉め切り面積では八郎潟の干拓に次いで大きいこの干拓事業の問題点として、次の五つを挙げております。  一、干潟の持つ巨大な一次生産力の消失。二、水質を守る有機物分解機能の消失。三、干潟をかけがえのない生息地として定住するムツゴロウなどの野生動物の利用環境の消失。四、魚類や甲殻類、シギ・チドリ類に代表される干潟を利用する移動性を持つ野生動物の利用環境の消失。五つ目に、このような自然の持つ生態系の関係の断ち切り及び土地固有の人と自然の関係性の断絶。  そして、これらを平然と行うということはどういうことか。ラムサール条約、生物多様性条約、環境基本法、野生生物の種の保存法、これらの存在そのものを無視する行為であると言い切っております。この問題意識は間違っていると環境庁はお考えですか。
  315. 澤村宏

    政府委員(澤村宏君) ただいま先生が御指摘になりました日本自然保護協会の指摘しております五つの問題点、これらはいずれも干潟の有する生物学的な特性を説明している、そういう事項であろうというふうに考えております。環境庁といたしましては、この事業環境影響の評価に当たりまして、自然環境保全上の、特に干潟に依存する鳥類への影響を軽減する観点から、既に意見は述べてきているところでございます。  そういったことにかんがみますと、ただいまいろいろな幾つかの制度を申されたわけでございますが、ラムサール条約ということに限って申しますと、環境庁といたしましては、ラムサール条約などの趣旨に反する、そういうことにはならないものというふうに考えております。
  316. 末広まきこ

    末広真樹子君 ラムサール条約の趣旨に反するものにはならないという論点を手短に国民にわかるようにお願いします。
  317. 澤村宏

    政府委員(澤村宏君) 若干御説明をさせていただきたいと思います。  ラムサール条約におきましては、登録湿地以外の湿地につきましてもできるだけ適正に利用することを促進するため、計画を作成し実施すること、それから、自然保護区を設けることにより湿地の保全を促進すること等が規定されているわけでございます。しかしながら、これらは各締約国が湿地の保全のための計画制度を整備し、湿地の保全努力すべきことを一般的に期待したものでございまして、いずれの地域の湿地をどのような形で保全するかといった具体的判断は各締約国の責任においてなされるべきものと、そういうふうに考えております。  したがいまして、今問題になっておりますこの諌早湾でございますが、その干拓事業実施をもって直ちに我が国がラムサール条約に反する行為を行うという指摘には当たらない、そのように考えております。
  318. 末広まきこ

    末広真樹子君 そういう解釈では、やっぱりこれは農水に負けても仕方ないなと思いますね。どうして環境庁の方が環境を守ろうという決然たる意欲に燃えていないのか。私はそれが不思議でならないところでございます。悲しいです。  次に、環境庁のやってきたことについて伺いたいと思います。  諌早湾の干拓事業は、昭和二十七年の食糧増産のための長崎大干拓構想に端を発して、二十八年から長崎干拓事業として調査が開始されております。その後、紆余曲折を経て、三分の一に縮小されてこの事業昭和六十一年に始まり、平成十二年の完成を目途としている。この経過に間違いありませんね。
  319. 田中健次

    政府委員田中健次君) 干拓そのものは私どもの所管外でございますけれども、私どもが聞き及んでおるところによりますと、本事業は、昭和二十八年、優良農地の創設等を目的とする国営長崎干拓事業として調査及び全体実施設計がなされ、昭和四十年には事業が着手されたが、昭和四十四年、漁業補償の不調及び開田抑制により事業は打ち切られた、こういうふうに承知をしております。  次に、昭和四十五年、水資源開発と土地開発を根幹といたしました長崎南部地域総合開発計画として再調査が開始をされたと承知いたしております。  現在の国営の諌早干拓事業は、畑地の創設、高潮、洪水の防止を目的として昭和五十八年から全体実施設計がなされ、昭和六十一年に事業が着手されたものと承知をいたしておりまして、先生の今の御認識に間違いはないものと、私ども立場でもそう思います。
  320. 末広まきこ

    末広真樹子君 事ほどさように、干拓目的は幾らにでも変わるんです。でも、その底辺には、何とかここを埋める、工事はしたいと、工事したいんです。それが見え見えなんですね。それは国民のすべての方が見えているんです。幾ら隠しても隠し通せるものじゃないんです。そのことをよくわかっていただきたいと思います。  事業開始の昭和六十一年にアセスメント実施されまして、その結果、干拓事業実施に伴う生態系への影響は軽微とされております。これはどのようなアセスを行ったのか説明してください。そして、これに環境庁はどうかかわったんでしょうか。
  321. 田中健次

    政府委員田中健次君) 六十一年の環境アセスメントは、これはまだ私どもがつくりました閣議アセスではございませんで、長崎県の要綱によりまして農林水産省が行ったということでございまして、私どもといたしましては、六十一年のアセスにつきましてはかかわっておりません。  それで、本事業につきましては、公有水面埋立法に基づきまして昭和六十二年の十二月に建設大臣から意見を求められまして、六十三年三月に、一つは潮受け堤防内側の調整池の水質保全対策の推進、二つが新たな鳥類の生息環境となることが予想されます調整池におきますヨシ湿原等の自然植生の維持、三番目に潮受け堤防前面部に、外になりますが、前面部におきまして干潟の再生促進のための適切な対策の推進、それから四番目に環境監視計画の策定、実施、これらについて意見を申し述べたわけでございます。
  322. 末広まきこ

    末広真樹子君 そのとおりですね。昭和六十三年三月八日、建設省から埋め立てに伴う環境への影響について意見を求められていた環境庁は、十四項目の条件をつけて事業に同意しております。  さらに九二年には、調整池の水質保全のために排水門の定期的なフラッシュ、開閉ですね、それが行われるよう配慮することを求めておりますね。  そして、今月十九日に環境庁は現地に専門官を派遣しております。これらのことをきちんとチェックしてきたのでしょうか。今後もし条件に明確に違反するようなことがあれば、条件不履行を理由に事業中止命令をお出しになったらいかがでしょうか。
  323. 田中健次

    政府委員田中健次君) 私ども環境庁意見を踏まえました環境保全対策の実施状況等につきましては、これまでもいろいろフォローしてまいりましたし、去る三月に農水省それから長崎県から水質汚濁の負荷削減対策等につきまして報告をいただきまして、また、昨日は担当官を現地に派遣いたしまして、環境モニタリングの実施状況、それから潮受け堤防前面におきます干潟の再生促進対策の検討状況等につきまして確認を行わせたところでございます。  環境庁といたしましては、これまでのところ、環境庁意見につきましては誠実に対応されているものと認識をしておりますが、今後も環境庁意見を踏まえた環境保全対策の実施状況あるいは環境モニタリングの結果を注意深く見守りまして、必要に応じまして意見を申し上げるということにいたしておるところでございます。
  324. 末広まきこ

    末広真樹子君 先ほど来ずっと注意深く見守りながらと言うんですけれども環境というものは見守っておってもちっともよくならない、悪くなる一方なんです。一たん閉まった水門を時々はあけてやりながら考えるのなら結構ですよ。時々はあけてやって、その間にいい知恵はないものかと探っていこうというのなら、それはわからなくはないですけれども、閉め切ったままで、注意深く死んでいくのを見守ろうと、こういう意味ですか。
  325. 田中健次

    政府委員田中健次君) ただいま申し上げましたように、事業者であります農水省あるいは長崎県におきまして誠実に対応をしていただいておりますので、私どもとしてはそれをフォローアップしていくということでございまして、問題があれば厳重に意見を申し上げると、こういうことを申したところでございます。
  326. 末広まきこ

    末広真樹子君 問題はあるとみんなが先ほど来指摘しているところでございます。  最後に、国民から問われている環境庁の姿勢についてお伺いしたいと思います。  諌早湾のアセス実施から十年以上経過しております。事業必要性を含め、周りの社会環境も大きく変化したと思います。自然環境に対する意識も変わりました。アセスのやり直しがあっても不思議ではない。それとも、我々が待ち望んでいるアセスというのは、一度行ったら二度と手がつけられない、時代変化への即応性を持たない不自由きわまりないものなんでしょうか。そういう懸念を私は持ちました。  諌早干拓は、このような状況の中で、本来ならいま一度アセスをやり直すべきだと思いますが、どうですか。
  327. 田中健次

    政府委員田中健次君) 何度も申し上げましたが、私どもとしては、昭和六十三年それから平成四年に意見を申し上げ、また去る三月にも申してきたところでございます。  環境庁といたしましては、環境保全対策の実施状況あるいはモニタリングの結果を踏まえまして、必要に応じて適切な対応を図っていくということは先ほどから申してきているところでございまして、現在アセスの再実施を求めるべき事情の変更はないという認識でございます。  また、既にアセスが行われ、着工済みの本事業につきましては、制度的に見ましても、工事着手前の手続であるアセスを再び実施する余地は乏しいと、こういうふうに思っておるところでございます。
  328. 末広まきこ

    末広真樹子君 何か、聞く耳持たない環境庁という感じがいたします。  問題は、環境事業のあり方です。国民が問うているのは、自然環境が破壊される中でむだと思われる環境事業の執行が行われていることについて、国民が唯一頼みとしている環境庁が期待しているような動きを見せていないということにあるんです。  国民から見れば、石井環境庁長官は水戸黄門なのですよ。期待しているんですよ。黄門様は両横に助さん、格さん、つまりは、企画調整局長、頑固者ですが、そして自然保護局長、この両名を連れて環境上問題となっている箇所を視察していただきたい。大臣になったらすぐにこれはやっていただきたかった。  これは何も諌早に限ったことではないんです。  現場の空気、におい、全部自分でかいでください。  それでなきゃ大臣の値打ちはない。一生に一回やるかやらないかぐらいの大臣ポストなんですよ。  国民は皆さん期待しているんです、大臣になった時点から。ましてや女性、物すごい期待があると思います。現地へます行って、必要とあれば三つ葉葵の印籠を見せる必要があるんですよ。どうなんですか、長官
  329. 石井道子

    国務大臣石井道子君) 大変厳しい御指摘をいただいているところでございますが、環境庁そのものが調整官庁であるということ、そしてこの諌早問題につきましては大変長い経緯があるということ、そして、事業者立場で今までの環境庁から申し上げてまいりました問題をどのように受けとめて、それに対して適切な対策を講じていただけるかどうかということにも関係があるのではないかというふうにも思います。  私自身も、議員の立場であればまた時間も自由がききますので、当然これはすぐにでも行けるのではないかというふうに思っておりましたが、なかなか多くの制約がありますし、行く機会が今のところございません。そういう点では、とりあえず環境庁からも職員を派遣したところでございまして、その的確な状況報告を受けながら、また今後の対策を十分に立てていきたいというふうに思っております。
  330. 末広まきこ

    末広真樹子君 これは本質的な問題だと思うんです。つまり、岩垂寿喜男前長官も、その長官のときにはお行きにならなかった。長官をやめて、議員をやめてから行った。今、石井長官も、議員なら行ける、でも大臣は動けないんだと、こうおっしゃるんですね。でも、国民が思っているのは、大臣というのはある程度権限があるんだと。そんなあなた政務次官みたいなことを言わないでくださいよ。前々からの引き継ぎでこうなっているからと言う、それはまるで省庁の役人の立場です。  あなたは議員から出ていった大臣なんです、だからやってくれないと困るんですというふうに国民は政治を見ていると思います。そういうふうにやってくれないと国民はますます政治から離れていきます。見捨てていきます。これは一番問題になる点だと思います。  政治が大事とお考えになるならば、大臣のポスト、職能というものを、そして国民に対する責任というものをもう一度何かはっきりとした御答弁がいただきたいなと。このままでは、大臣って何だ方ないんだ、省庁の代弁者なんだと、これだけしか私は思えませんから、お願いします。
  331. 石井道子

    国務大臣石井道子君) 議員としての政治家の立場長官としての行政府の長であるという立場、これをいかにしてうまく調整というか、うまく連携をしながら、その責任を果たしていかなければならないと日ごろから思っているところでございます。  そのような点では、なかなか簡単に私の一存でもいかないというところのつらさもあるわけでございます。しかし、よりよい方向に向かってできる限りの努力をして事に当たっていきたいと思っているところでございますので、今後ともどうぞよろしく御指導、御鞭撻を賜りますようにお願い申し上げます。
  332. 末広まきこ

    末広真樹子君 国会議員というのは国民に一票ずついただいてここに来ているわけでございまして、お勤めしてここに来ているわけじゃないという歴然たる違いがある。つまり、顔があって初めて国民の代表と言えるわけでございます。大臣は顔のさらなる顔なんです。  最後の質問に移ります。  事業見直しについて、環境庁は勧告権を行使すべきだと思います。少なくとも、潮受け堤防の排水門を開放せよと農林水産大臣に申し入れるくらいのことをしないと環境庁長官の姿勢を問われますよ。会ったときに伝えておきますじゃ、近所のおばちゃんと一緒ですよ。  今後、同様の事態が生じたときは積極的に勧告権を行使して環境庁の存在意義を示していただきたいと思いますが、いかがでございますか。
  333. 石井道子

    国務大臣石井道子君) 環境庁といたしましては、本事業につきまして、環境保全のための意見についてはいろいろと申し上げてきたところでございます。本事業については勧告権を行使する考え方はないことを申し上げたいと思います。
  334. 末広まきこ

    末広真樹子君 これだけいろんな方があらゆる角度からこの諌早湾について勧告権を行使しろ、あるいは農水大臣に申し入れしろとお願いしても、頑としてお聞き入れにならないということは、この委員会を通じてよく理解したところでございます。  そして、アセス法案というのも、長いこと欲しかった着物をやっと手に入れることができた、まあちょっと柄とかいろんなところで不満足な点はあるけれども、やっと手に入れたんだ。だけれども、その着物をたんすの中にしまっておくだけでは、ないも同然だとはお思いになりませんか。使って初めて、着て初めて喜ぶ人が出てくると私は思います。  アセス法案というのをやはりきちんと活用していただく、そして法案誕生のときにこれだけ大事な問題がアセスに関連して持ち上がっている、そこで何もしない環境庁長官、これでよろしいのかどうか。  また来週もありますので、もう一度お考え直しいただきたいと思って、私の質問を終わります。  ありがとうございました。
  335. 渡辺四郎

    委員長渡辺四郎君) 本案に対する本日の質疑はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後五時二十一分散会