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1997-04-16 第140回国会 参議院 環境特別委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成九年四月十六日(水曜日)    午前十時五分開会     —————————————    委員異動  四月二日     辞任         補欠選任      広中和歌子君     足立 良平君  四月十五日     辞任         補欠選任      竹村 泰子君     萱野  茂君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         渡辺 四郎君     理 事                 狩野  安君                 成瀬 守重君                 山下 栄一君                 大渕 絹子君     委 員                 景山俊太郎君                 河本 英典君                 小山 孝雄君                 谷川 秀善君                 馳   浩君                 平田 耕一君                 足立 良平君                 加藤 修一君                 寺澤 芳男君                 長谷川 清君                 小川 勝也君                 萱野  茂君                 有働 正治君                 末広真樹子君    国務大臣        国 務 大 臣        (環境庁長官)  石井 道子君    政府委員        環境庁長官官房        長        岡田 康彦君        環境庁企画調整        局長       田中 健次君        環境庁大気保全        局長       野村  瞭君        環境庁水質保全        局長       渡辺 好明君        厚生省生活衛生        局長       小野 昭雄君    事務局側        第二特別調査室        長        林 五津夫君    説明員        法務省民事局第        三課長      小池 信行君        厚生大臣官房審        議官       大塚 義治君        厚生省生活衛生        局水道環境部長  坂本 弘道君        厚生省生活衛生        局水道環境部環        境整備課長    三本木 徹君        厚生省生活衛生        局水道環境部環        境整備課産業廃        棄物対策室長   仁井 正夫君        自治省行政局選        挙部選挙課長   大竹 邦実君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○公害及び環境保全対策樹立に関する調査  (廃棄物問題等に関する件)     —————————————
  2. 渡辺四郎

    委員長渡辺四郎君) ただいまから環境特別委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  去る二日、広中和歌子君、が委員辞任され、その補欠として足立良平君、が選任されました。  また、昨十五日、竹村泰子君が委員辞任され、その補欠として萱野茂君が選任されました。     —————————————
  3. 渡辺四郎

    委員長渡辺四郎君) 公害及び環境保全対策樹立に関する調査のうち、廃棄物問題等に関する件を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  4. 谷川秀善

    谷川秀善君 自由民主党の谷川秀善でございます。  質問をさせていただきます前に、石井環境庁長官がお見えでございますので、環境問題に大変御造詣が深く、力強くお取り組みをいただいておりますので、その抱負決意をまずお伺いをいたし、質問に入りたいと思います。
  5. 石井道子

    国務大臣石井道子君) 環境問題につきましては、最近は国民の関心の高まりと同時に、産業界経済界取り組みも含めまして、大変大きな進展を見ているというふうに感じております。  かつて環境庁公害を防止するために発足をしたという経緯があったわけでございますけれども、現在は、過去に起こった公害問題をよい教訓として、これからそのことを公害未然防止という点について生かしていかなければならないというふうに思うわけでございますし、そのことは国際社会における、地球規模における問題にもつながることであろうというふうに思っております。  環境行政という面につきましては、大変責任の重いことも感じながら、できるだけ科学的知見を生かしながら、将来への環境行政の充実という点で努力をしていかなければならないと思っております。  特に、ことしはCOP3が十二月に京都で開催をされるわけでございまして、そういう意味でも日本の環境問題への取り組み国際社会において大きな意味を持つ、影響を持っていく年であろうというふうに思っておりまして、まさにことしは環境の年ということでさらに環境庁挙げて努力をするわけでございますし、また関係者皆様方の御理解と御協力、そして特に環境特別委員会皆様方の御支援、御協力も賜りますようにお願いを申し上げる次第でございます。
  6. 谷川秀善

    谷川秀善君 石井長官の力強い抱負と御決意をお伺いいたしました。大変心強く思うところでございます。  それでは、ダイオキシン問題についてお伺いをいたしたいと思います。  先日、厚生省が、ごみ焼却施設排ガス中のダイオキシン類濃度につきまして、平成九年三月末までに調査結果の報告のあった市町村設置をいたしますごみ焼却施設千百五十施設について、その取りまとめ報告発表されたわけでございますが、この千百五十施設のうち、緊急対策判断基準であります八十ナノグラムを超えた施設が七十二施設報告された全体の六二二%であったと報告をされておりますが、その実態はどういうことなのか、御説明を願いたいと思います。
  7. 三本木徹

    説明員(三本木徹君) 御説明申し上げます。  ごみ焼却施設排ガスに含まれますダイオキシン濃度に関しましては、先生指摘のとおり、三月末までに厚生省報告のありました千百五十施設について取りまとめております。緊急対策判断基準である一立方メートル当たり八十ナノグラムを超えました焼却施設は七十二の施設に上っております。  これらの七十二の施設については、その特徴でございますけれども、まず第一に、八十ナノグラムを超えたいわば割合でございますけれども、これを焼却炉型式別に見てみますと、二十四時間稼働の全連続型焼却炉では全体の一・四%でございますけれども間欠運転を行います准連続焼却炉あるいは機械化バッチ式焼却炉はそれぞれ九・二%、八・五%と、全連続炉に比較すると比較的高い割合になっております。   さらに、七十二施設のうち四十八の施設使用開始より十年以上経過しておりまして、比較的古い施設が多いと。こういう施設ですと、通常、適正な燃焼管理が難しい、こういう場合もございます。  それから、三つ目特徴でございますけれども排ガスからダスト類を取り除く集じん器につきましてでございますが、高度なダイオキシン対策が可能となるろ過式集じん器、いわゆるバグフィルター設置されていない施設が多いということでございます。  このような特徴が見られますので、当然のことではございますが、各施設ごと状況に応じてさらに燃焼管理を徹底する、あるいは連続運転化を図る、あるいは集じん器の新しい高度なものへの取りかえなどを進めるなど、ことしの一月に厚生省で示しました新しいガイドラインに基づく対策の実施が必要であると考えております。
  8. 谷川秀善

    谷川秀善君 御丁寧に説明をしていただきまして、ありがとうございました。  それで、平成九年三月現在、それ以後ちょっとふえていると思いますが、施設総数で千八百五十四、こういうことになっているんですね。報告をされた施設が千百五十施設、これは六二%ですね。そうすると、あとの報告をされていない施設、三八%はどうなっているのでしょうか。
  9. 三本木徹

    説明員(三本木徹君) いまだ報告のない施設はおよそ四割ほどございますけれども、これにつきましては早急に測定報告をするように都道府県を通じて市町村指導しているところでございます。  今後とも、今までと同様、早急な測定報告について引き続き指導を強めてまいりたいと考えております。
  10. 谷川秀善

    谷川秀善君 これはやっぱりちゃんと報告をしていただかないと、四割といったら大きいですよ。三八%ですよ。その辺はしっかり報告をしてもらうということでないと。逆に言うと、三八%の方がもっとひどい状態であることも考えられるわけですね、報告した中でも六・三%あるわけですから。そうすると、その辺のところを十分よく報告をしてもらうということでないと、実態の把握は正確にしにくいということに相なろうかと思いますので、これはよろしく頼みますよ。  今御説明のありましたように、ダイオキシン発生量は結局、全連続炉では五施設、これは一・四%。これは基準を超えているものが一番少ないですね。准連続炉は二十五施設で九・二%。これは一番多いですね。機械化バッチ炉は三十九施設、八・五%。固定型バッチ炉が三施設で六・三%。こういうことになっておるんです。  そういたしますと、いわゆるダイオキシン発生のメカニズム、どういう形態で発生してくるのかということをちょっと御説明をいただければと思うんです。
  11. 三本木徹

    説明員(三本木徹君) ごみ焼却施設におきましてのダイオキシン発生でございますが、不完全燃焼が起きるときに発生しやすいという状況でございます。炉の型式でございますけれども、二十四時間稼働、いわゆる全連続型炉ごみが連続的あるいは定量的に炉内に供給されるわけでございまして、したがいまして燃焼安定化というのが他の方式に比べると高いわけでございます。そういう意味完全燃焼を図ることが容易でございます。そういう意味からダイオキシン類発生が少ないものと考えられております。  これに対しまして、准連続炉あるいは機械化バッチ炉などといった間欠運転をする焼却炉タイプにおきましては、通常、夜間時に運転を休止することになります。いわゆる立ち上げ、立ち下げが日々行われるということもございますし、そういったこともございまして、燃焼が比較的全連続炉に比べると安定しないという特徴がございます。そういう意味から不完全燃焼を起こしやすい、こういうことからダイオキシン類発生が多くなっているのではないかと考えられております。  厚生省といたしましては、ごみ焼却炉は安定的な運転が必要であるという観点から、今後新設されるごみ焼却炉は原則として全連続炉型のタイプを進めていきたい、こういう考え方でやっております。
  12. 谷川秀善

    谷川秀善君 ただいまの御説明のように、大体ずっと連続して二十四時間焼いていると割に発生量が少ないというようです。    〔委員長退席理事大渕絹子着席〕  厚生省はことしの一月に、人間が摂取しても健康への影響が軽いとされる許容摂取量ごみ焼却炉で最低限遵守すべきダイオキシン暫定基準値排ガス一立方メートル当たり今申し上げましたように八十ナノグラムと決めたようですが、これは外国では大体どういうことになっておるんでしょうか。
  13. 三本木徹

    説明員(三本木徹君) ごみ処理に係るダイオキシン類発生防止等ガイドラインにおきましては、ダイオキシン基準について最大限可能な水準までダイオキシン削減する恒久対策としてのダイオキシン基準緊急対策必要性を判断するための基準の二種類を定めておるところでございます。  これらの基準のうち、恒久対策基準については幾つかの先進国において定められている基準と同様のレベル基準を提示してございますけれども、いわゆる緊急対策必要性を判断するための基準というものについては、諸外国においてこれと同様の考え方に立って基準を設定しているかどうかということは承知しておらないわけでございます。  そういう意味で、緊急対策のいわゆる判断基準について諸外国との比較ということはできないということでございます。
  14. 谷川秀善

    谷川秀善君 恒久対策としては厚生省も最終的な基準値を炉の種類によって〇・一ないし五ナノグラムとされているようですけれども、しかし、先進諸国基準として大体〇・一ナノグラムぐらいじゃないかと思います。そうすると、相当基準が緩い、八十ナノグラムという暫定基準にしても相当緩いということだろうと思うんです。  それで、今回の調査で八十ナノグラムとしておりますが、百ナノグラム以上の施設が五十五もあるわけですね。一番高い施設は九百九十ナノグラム、こうなっています。次が六百ナノグラム。それで、結局百ナノグラム以上の施設が五十五ある、こういうことですが、ずっと表を見せていただきますと、やっぱり小さいところが多いです。  それで、施設がある程度老朽化しているとか古いとか、いろんな条件があるんだろうと思いますが、これはやっぱり施設をある程度これから改善していかなきゃいかぬし、また小さな市町村では二十四時間焼き続けるほどの量もないかもわかりませんね。そうなってくると、今度はやっぱり広域化をしていかなきゃいかぬ。数市町村が集まってちゃんとした施設をつくるという方法一つ方法として考えなきゃならぬ、これから将来の問題としては考えなきゃならないというふうに思いますよ。  それで、あの調査の中で、岩手県の久慈市にある久慈地区清掃センターでは、空気の安定供給などを通じて不完全燃焼の原因となります一酸化炭素の低減に取り組んだ結果、ダイオキシン濃度調査時点の四百八十ナノグラムから四十三ナノグラムに低下してきたと言われているわけです。  そういたしますと、結局このダイオキシン発生を抑制するというのはそう難しいことではないと。    〔理事大渕絹子退席委員長着席〕 だから、施設を改善するなりなんなりをしてやればある程度、先進諸国並みの〇・一まではいかなくても、五ナノグラムぐらいまでには抑えられると思うんですよ。その点についてどういうふうにお考えでございましょうか。
  15. 三本木徹

    説明員(三本木徹君) 先生指摘の点でございますけれども、この一月に厚生省から示しましたガイドラインにおきましては、現在の技術的に達成可能ないわばレベル、現行の技術を最大限駆使してということを前提に、炉の型式によって〇・一から五ナノは達成できるであろうという考え方で示しておるわけでございます。それからさらに、欧米等関係で申し上げますと、ごみ焼却施設のいわゆる新設をする場合には〇・一ナノは十分これも技術的には達成できると、こういうことでございます。  この達成の仕方については、先生指摘のこの久慈地区清掃センターケースのように燃焼管理によって達成できるものも炉によってはあるだろう、あるいは燃焼管理だけでは難しい場合には施設の大幅な改造をする、こういうことで対応もできるであろうというような内容のガイドラインになってございます。現実に五ナノグラム以下の施設は三百九十六施設報告があった中ではございます。そういう意味からも、達成は技術的には可能であろうということを私ども考えておる次第でございます。
  16. 谷川秀善

    谷川秀善君 厚生省の新ガイドラインによりますと、都道府県市町村とも私が先ほど申し上げましたようにある程度広域化をしていかなきゃいかぬのだというふうに言っておられますが、これはそのとおりだと思います。  それで、それによりますと五年後には八六%削減、十年後には九八%削減、そして二十年後には一〇〇%近く削減をする、こういうふうになっているわけですが、こんな問題、二十年もたって一〇〇%近くじゃ、これどないにもならないと思いますよ。お金の問題もいろいろあろうかと思いますが、これはやっぱりもっと繰り上げないと、これは健康にかかわる問題でございますから、努力をしていただきたいと思います。  それと、何か新聞報道によりますと、七カ所の施設については、このダイオキシンが相当発生している、休廃止検討していると、こう報道されているんですが、ごみというのは毎日出るわけですよ、これはいっぱいですから。それを休廃止してしまったら、そのごみはどこへ行くんですか。  これはどういうお考えで、これは発表が正しいかどうか私は新聞発表で見たものですからわかりませんが、その廃止されたところのごみは今度はどこに行くんですかという問題がやっぱり起こると思いますから、この辺のところの御説明をちょっとお願いいたしたいと思います。
  17. 三本木徹

    説明員(三本木徹君) 先生指摘のとおり、ごみは毎日の生活から排出されるものでございます。また、これを継続して処理していかなければ住民生活支障を生じ、また衛生上の問題も生じかねないわけでございます。  したがいまして、市町村で現在さまざまな方策を検討しているようでございますが、施設休廃止当たりましては、近隣市町村に一時的に処理を委託するというような方法、あるいはまた施設の建てかえ、いわゆる更新でございますけれども、これを早期に進める、そういったことなど、ごみ処理にいわゆる大きな支障が生ずることがないよう対応することが必要であると考えております。厚生省といたしましては、近隣市町村との調整が円滑に進められるよう都道府県指導してまいりたいと考えております。  なお、幾つかの事例でございますが、都道府県指導によりまして、例えば埼玉県朝霞市のケースでございますと、同じ朝霞市の中に二カ所の施設がございました。その施設の一カ所について八十ナノグラムを超えるというものが見られましたものですから、他の施設連続運転稼働時間を延長することによって対応する方法。それからもう一つは兵庫県のケースでございますけれども、これも同様に県の指導によりまして、建てかえの間、他の隣の市町村焼却施設に持ち込んで焼却をするという、そういう調整を現在やっているようでございます。  そういったことでございますので、これは一日も休むことなくやはり処理しなければならない問題であるという認識は私どもも県も市町村も一致しておりますので、支障が生じないような対応が図られていくものと考えております。
  18. 谷川秀善

    谷川秀善君 ごみの問題は日々の生活に直結する問題でございますので、国、府県市町村、よく連携をとって、よろしく御指導支障のないようにお願いをいたしたいと思います。  世界保健機関WHO国際がん研究機関IARCはことしの二月に、ダイオキシン類発がん性評価を見直して、これまで可能性があるとこう言っておったんですが、その可能性があるということから、最も危険度の高い発がん性があるに変えたわけですね、そういたしますと、我が国においてもダイオキシン摂取基準排出対策についてやはり見直していかなきゃならないんじゃないかというふうに考えておりますが、その点についてどうお考えでございましょうか。
  19. 小野昭雄

    政府委員小野昭雄君) 本年二月に行われました国際がん研究機関評価によりますと、いわゆる疫学データなどの評価から発がん性があると評価をされたわけでございます、御指摘のとおりでございますが。私ども厚生省設置をいたしました研究班におきましても、耐容一日摂取量TDIと申しておりますが、その設定に当たりましては、疫学データにつきましても広範な検討を行いまして、動物実験との整合性等を考慮いたしますと、TCDDの高濃度暴露発がん性関係は無視できないというふうに評価をした上で、TDIを体重一キログラム当たり一日十ピコグラムと定めたものでございます。したがいまして、私ども研究班によります評価には、ダイオキシン発がん性があるという要素につきましては盛り込んで評価をしたところでございます。  二月の発表以降、専門家の御意見も伺いましたところ、そういう観点から申しますと今直ちに見直しの必要性はないというふうには言っておられますが、私ども研究班で御検討いただきました以降に新たにいろんな文献等も出されておりますので、それらを含めまして引き続きダイオキシンの毒性に関する新たな知見収集に努めまして、それに基づいて基準妥当性、あるいはそれに基づく対策とり方等について検討を進めてまいりたいと考えております。
  20. 田中健次

    政府委員田中健次君) ただいまの国際がん研究機関作業部会から発表されました結果についての環境庁の取り扱いでございますけれども環境庁といたしましては、リスク評価検討お願いしておりますダイオキシンリスク評価検討会がございますが、ここにおきまして、この国際がん研究機関の見解につきましても検討をされた上で最終報告書取りまとめていただくということを考えておりまして、現在検討をいただいております。そういう状況でございます。
  21. 谷川秀善

    谷川秀善君 これはやっぱり本当に健康にかかわる問題ですから、後追い後追いにならずに、環境庁厚生省がよく連絡をとって、やっぱりちゃんとした対応お願いしておきたいというふうに思います。  このダイオキシン排出量削減につきましては、これは基本的にはごみをできるだけ出さないようにする、そしてまたプラスチックやら紙とかいう分別収集もちゃんと徹底をする、そしてリサイクルも推進をしていくということで、いわゆる焼却する量をできるだけ少なくするというのがこれはやっぱり基本だと、このように思いますけれどもごみはそれだけ努力しても結局出てくるわけです。やっぱり焼却処理せないかぬごみは必ず残るわけですから、このためには国も府県市町村努力をしなきやなりませんが、第一義的には住民のPR、住民の意識を変えていくということが何よりも大切だろうと思うんです。それにはやっぱりできるだけごみを少なくするということだろう、これが基本だろうと思いますが、その点について石井環境庁長官、いわゆる国民に対してどういうふうにごみを少なくするかということに本腰を入れるという決意を、まず事務的にお伺いして、最後に石井環境庁長官決意をお伺いいたしたいと思います。
  22. 野村瞭

    政府委員野村瞭君) ダイオキシン類排出抑制につきましては、環境庁設置されております排出抑制対策検討会が昨年の十二月に排出抑制対策基本的な考え方について中間的に取りまとめたところでございます。この中間的取りまとめにおきまして触れられているわけでございますが、「規制的措置事業者等による自主的な取組の促進等様々な政策手法を適切に推進することが必要である。」とされております。また同時に、国民の立場においても「自らの役割に応じて的確に排出抑制に努めることが必要である。」とされております。  私どもといたしましても、国民理解協力を得まして、ごみ減量化リサイクルを推進することもダイオキシン排出抑制をする上で極めて重要であると認識をしている次第でございます。
  23. 石井道子

    国務大臣石井道子君) ダイオキシン問題につきましては、国民の健康に対します影響未然に防止しなければならないという観点から、対策を急がなければならないことであると思います。重要な課題であると思っております。  このために、環境庁といたしましては、有識者で構成する検討会を設けまして、ダイオキシン対策のあり方について検討も進めてまいりました。  そして、検討会最終報告が近々取りまとめられる予定でございまして、今後検討会の成果を踏まえて、そして厚生省とも連携を図りながら、できるだけ早期規制的措置の導入も含めて対処してまいりたいと思っております。
  24. 谷川秀善

    谷川秀善君 どうぞよろしくお願いを申し上げます。  それでは次に、PCB問題についてお伺いをいたしたいと思います。  ダイオキシンと同様に大変健康被害をもたらすと考えられておりますPCBの処理体制についてでございますが、この問題は昭和四十三年、大変社会問題になったわけであります。いわゆるカネミ油症事件でありますが、その後二十七、八年近くたっていまして、最近なかなかこのPCBの問題について余り議論をされなくなっているのじゃないかというふうに思うんですが、このPCBは人体に毒性が非常に強いということで、昭和五十一年にいわゆる製造が禁止されたわけであります。そしてまた昭和五十一年、厚生省から焼却処分基準が示され、同時に国において処理体制を整備するというふうになっておるわけですが、その後の状況につきましてどうなっておるのか、お伺いをいたしたいと思います。
  25. 仁井正夫

    説明員(仁井正夫君) 御説明申し上げます。  PCBのお話でございますが、お話ございましたように五十一年三月に廃棄物処理法の施行令が改正されまして、PCB関係の廃棄物につきまして高温焼却等を内容とする具体的な処理基準が設定されたところでございます。  この政令改正を踏まえまして、関係省庁とも協議をいたしまして、PCB関係廃棄物の処理対策について厚生省より通知を出しております。PCBを含む廃家電、PCB入りの廃感圧複写紙及びPCB使用機器の処理対策基本的な方向、枠組みを示したところでございます。  厚生省といたしましては、その後関係省庁、関係業界と連携してPCBの処理体制の整備に努めてきたところでございますが、処理施設の整備が進みませんで、昭和六十三年から平成元年にかけて鐘淵化学工業高砂工業所において保管されておりました廃PCB約五千五百トンが同所内に設置されました焼却施設によって焼却されたものの、それ以外のPCBにつきましては長期保管されている状況にございます。
  26. 谷川秀善

    谷川秀善君 ただいま御説明ありましたが、PCBは、昭和四十七年に生産が停止になっておるわけですね。しかし、その四十七年に生産が停止になって、今御説明のありましたように昭和六十三年、鐘淵化学が廃棄すべき液状PCB約五千五百トンを高温処理した後はそれを全然処理されずに、電力会社などの企業は未処理の液状廃PCBやトランス、コンデンサーなどを大量に保管しているというのが現在の実情であろうというふうに思います。残された液状の廃PCBは約十五万トン、PCBに汚染されたトランス、コンデンサーなどは約四十三ないし四十四万トンあると、こう言われているわけです。  国も自治体もこの廃PCB無害化処理を企業に認めないまま来ているわけじゃないですか、今現在。企業に認めていないと思うんですよ、処理させていないと。しかし、このような問題が三十年近くも先送りされ、そうすると、PCBの汚染を引き起こす原因をずっといまだに抱えたままでおるということだろうと思いますが、その点に対する現状認識はいかがでございましょうか。
  27. 仁井正夫

    説明員(仁井正夫君) お話ございましたように、現行の基準ではPCBの処理方法として高温で焼却熱分解する方法、これが規定されているところでございます。PCBの焼却処理焼却施設の整備ということにつきましては、なかなか周辺住民理解が得られないというところが実態でございまして、関係者の御努力にもかかわらずに、高砂市での一例を除きましてPCBの処理施設設置の申請といったところまで至ったものはございません。国あるいは許可権者の自治体が認めなかったというわけではないんですが、環境整備が整わずにそういう申請にまで至ったものがないという状況でございまして、現在では我が国でPCBの処理は、処理としては行われていないという状況でございます。  しかしながら、お話ございましたように、保管が長期化するということに伴いまして、不明になるものあるいは紛失するものといったPCBの長期保管に伴う問題というものが出てきております。厚生省といたしましては、環境保全上の問題が生ずることのないよう保管の徹底に努めるという部分とともに、関係省庁とも連携をとりながら処理体制早期整備に努めていきたいと思っております。
  28. 谷川秀善

    谷川秀善君 三十年近くもたちますと、保管されているPCBがもう徐々に散逸をしていっているというのが恐らく実態であろうと、そしてどこへ行ったかわからないというふうなものも出てきているということも私はこれは無理はないなというふうに思います。そういう状態の中で、例えば阪神・淡路大震災のような大地震でも起こったときに、この保管PCBが流出をし環境を汚染するというおそれは十二分にあるわけです。同時にまた、大火災でも起こって、その火災が起こると保管したPCBが燃えて毒性をどっと振りまくという危険性もあるわけです。そういう意味から考えますと、未処理のPCBが大体四十三万トンか四十四万トンぐらいある、こういうことでございますから、これは大変なことであります。  ところが、六十三年に鐘淵化学がこのPCBを処理したわけですね。これは千四百五十度の高温で焼却したらしいんですが、そのときはダイオキシン発生など格別問題がなかったと、こう報告されているわけですよ。だから、高温で処理していわゆる油に分けてしまって、その油を燃やせばダイオキシン発生しないということがこの時点でもうわかっているわけです。  それからかれこれ十年近くになるわけですから、恐らくPCBの処理の技術というのは相当進んでいるんではないかというふうに思います。その点について、どの程度進んでおるのか、ちょっと御説明いただきたい。
  29. 田中健次

    政府委員田中健次君) 今、御指摘がございましたように、昭和六十三年に鐘淵化学がPCBの焼却処理を行った後、化学的な処理技術あるいは生物学的な処理技術など、いろいろのPCBの無害化処理技術の開発が進められてきております。  環境庁におきましても、こうした技術につきまして平成五年度から環境安全性等の観点から技術評価を行ってきておりまして、化学反応によります分解処理技術などほぼ実用化の段階に到達しているものもあるというふうに評価をいたしております。
  30. 谷川秀善

    谷川秀善君 今も御説明がありましたように、大体現在では三百度ぐらいに熱して化学反応を起こさせて無害化した油にして、それを焼却すれば済むようになったというふうに私も聞いておるわけです。  そういたしますと、この際やはり国も自治体も、今までのようにPCBについてさわらぬ神にたたりなしやというようなことではなくて、技術はもうあるわけですから、欧米諸国が実施しているように液状の廃PCB、またはPCBの処理に本腰を入れるべきではないかというふうに思いますが、いかがでございましょうか。
  31. 田中健次

    政府委員田中健次君) お話がございましたように、環境庁といたしましても廃PCB等の早急な処理は重要な課題であると認識をいたしております。  現在、廃PCB等の無害化処理技術の評価結果に基づきまして、環境保全上安全な具体的な処理方法であるとかあるいはその手順、環境監視のあり方等につきまして鋭意検討をいたしておりまして、早急に安全な処理ができるように努力をしていく所存でございます。
  32. 谷川秀善

    谷川秀善君 なかなかこれ、これから本格的に進めるにしても大変だと思う。金もかかるしいろいろだろうと思いますが、せめて私は、国が化学処理後の油をPCB濃度が幾ら以下であれば焼却してもいいような数値目標を示してあげれば、恐らく市町村もやるんではないかというふうに思っておるわけですが、せめて数値目標ぐらいは、これぐらい以下だったらいいですよということを示してやれないものでしょうか。
  33. 渡辺好明

    政府委員渡辺好明君) 厚生省の方からもお答えがあるかと思いますけれども、今やらなければいけないのは、先生がおっしゃいましたように、PCBを早期に適正に処理するということでございます。今、企画調整局長からもお答え申し上げましたけれども、科学技術もかなり進歩しておりますし、処理方法を多様化する、あるいはその中で数値基準を設けるというのも重要な一つの方向だろうと思います。処理方法を非常に限定的にするということが処理をおくらせるということにも一部つながっておりますので、先ほど御紹介をした研究、検討の中でその数値目標のことも含めまして検討を深めていきたいと考えております。
  34. 仁井正夫

    説明員(仁井正夫君) お話ございましたように、特に化学処理という形でPCBを脱塩素していくといった技術、かなり進んでいるものでございます。これらの技術を単独であるいは焼却処理と組み合わせて使うといったようなことによって、周辺への影響といったようなものもより小さい、安全な処理可能性があるというふうに考えております。  厚生省では、生活環境審議会の中に処理基準等専門委員会を設置いたしまして、処理基準全般について御検討いただいているところでございますが、PCBの処理につきましてもこのような新しい技術を踏まえて処理基準を明確化するといったような見直しの検討を進めることとしております。今後、このような形での処理基準を策定するといったことによって、事業者等によるPCB処理の体制が整備されるよう努めてまいりたい、こう思っております。
  35. 谷川秀善

    谷川秀善君 PCBは、一度環境を汚染すれば半永久的に人間や動物に中毒症状を起こすということであります。もうカネミ油症事件でもよく皆わかっているわけです。いまだに多くの中毒患者の方々が大変悩んでいるわけです。こういうことを考えますと、やはり忘れてはいけないというふうに私は思います。  このカネミの認定患者はおよそ二千人ですね。  そして、死者が五十一名、届け出件数でいうと一万名以上あった、こういうことですよ。それで、いまだにまだ多くの中毒症状を残して生きておられる。こういうことを考えますと、やっぱり処理技術が進み処理ができるということであれば、もう生産はしていないわけですから、生産停止しているわけですから、この四十三万トンないし四十四万トンを適正に処理してしまえばこのPCB問題は終わる、こういうことになるわけです。  この点について、やはりこの際石井長官、本当に環境を守り健康を守るという観点から、ひとつ英断をもってこのPCB問題については解決をするんだというぐらいの決意で臨んでいただきたいというふうに思いますので、決意のほどをお伺いいたしたいと思います。
  36. 石井道子

    国務大臣石井道子君) 委員指摘のとおり、大変なPCB問題の難しさがあります。  このPCB問題につきましては、日本がかつて過去に激甚な公害に見舞われた時期に起こった問題でございまして、その生産、販売が中止されましてからもう二十年余を経過しているわけでございまして、本当に早期にこの安全な処理を行うことが緊急な課題であるというふうに思います。  環境庁といたしましても、既に局長からも答弁がありましたけれども、PCBの安全な処理技術の評価等を行ってまいりましたが、今後も引き続き関係省庁や関係地方公共団体とも連携をとりながら、関係者理解もいただきながら、できるだけ早期環境保全上安全な方法によって処理が行われるように努力をしてまいりたいと思っております。
  37. 谷川秀善

    谷川秀善君 よろしくお願いをいたしたいと思います。  それでは、今国会で提案をされております産廃法の改正についてお伺いをいたしたいと思います。  中央環境審議会廃棄物部会が本年一月の三十一日に最終処分を中心とする中間取りまとめを行ったわけでございます。そして、今後も引き続いて技術的専門的に検討を深めるとしておりますが、この産業廃棄物処理につきましては、最終処分地の問題とその処分のあり方を環境問題としてどう位置づけるかということが最大の関心事であろうというふうに考えております。  近年、各地で最終処分場をめぐるトラブルが続発をしているわけでありますが、このことを見ましても、国民の間に産業廃棄物処理に対して大変根深い不信感があるのではないかというふうに思うところであります。これは、産業廃棄物が適正に処理されているかということと最終処分がしっかりなされているかということについて、国民の皆さんが残念ながら国なり地方自治体に対して余り信用を置いていないということではないかと考えるわけでありますが、この点について、法の内容について御質問をさせていただきます前に、まず厚生省環境庁の所感をお伺いいたしたいと思います。
  38. 小野昭雄

    政府委員小野昭雄君) 御指摘のように、廃棄物の処理をめぐりましては、最終処分場の逼迫、あるいは施設設置や維持管理をめぐります地域紛争の多発、あるいは不法投棄等々のさまざまな問題が生じておりまして、生活環境のみならず、産業活動にも重大な支障を生じかねない深刻な状況にございます。この背景には、今御指摘のございましたように、産業廃棄物処理に対します国民の不信感の増大があるものというふうに認識をいたしております。  厚生省といたしましては、今回の改正法案におきまして、このような廃棄物処理をめぐります状況を踏まえまして、廃棄物の適正な処理を確保いたしますために廃棄物の減量化リサイクルの推進のための規制緩和等の措置、あるいは施設設置手続あるいは維持管理に関する規制の見直し、さらに産業廃棄物管理票制度の拡充、罰則の大幅な強化、原状回復のための措置等の不法投棄対策を行っていくなど、国民の廃棄物処理に対します信頼を回復するための総合的な対策を講ずることとしておるところでございます。
  39. 石井道子

    国務大臣石井道子君) 現在の我が国の、今までの経済大国としての発展の過程において、大量生産・大量消費・大量廃棄型の経済社会システムがありました。そして、そのような国民一人一人の生活様式の中で、廃棄物はその量がますますふえ続けているわけでありまして、またその廃棄物の質の多様化という点もありまして、環境への負荷を高めている状況でございます。  廃棄物問題は深刻な環境問題の一つであると強く考えているところでございますが、特に最終処分場による環境汚染への不安というものが大きな社会問題となっていることは御案内のとおりでありまして、各地で処分場をめぐるトラブルが大変発生をしているわけでございまして、憂慮すべき事態であると考えております。  環境庁といたしましては、廃棄物処理に対する国民の信頼を回復して、環境への負荷の低減を図るために、環境との直接の接点であります最終処分に係る対策を強化するということに取り組んでいるわけでございますし、さらに、上流であります発生源の発生段階にまで働きかけていくということなどを行いまして、関係省庁とも連携をしながら早急に総合的な対策をとってまいりたいと思っております。
  40. 谷川秀善

    谷川秀善君 よろしくお願いをいたしたいと思います。  それで、産業廃棄物処理法第二条の二によりますと、「国内において生じた廃棄物は、なるべく国内において適正に処理されなければならない。」と、こうなっていますね。そうすると、国内であれば、どこで発生したごみもどこへ持っていってもいいということでありますか。
  41. 坂本弘道

    説明員(坂本弘道君) 産業廃棄物は、廃棄物処理法によりまして排出した事業者にこの処理責任が課せられておるわけでございます。  事業者のこの事業活動でございますが、これは全国で展開されておりまして、これに伴い生じます廃棄物の処理につきましても、県境を越えて全国的に行われていることから、都道府県内で処理を完結することは事実上不可能でございまして、どうしても広域的な処理が必要な状況でございます。  しかしながら、この廃棄物の適正な処理を確保していく上では、廃棄物の排出源にできるだけ近いところで処理することが望ましい、このため、特に最終処分場が逼迫しております首都圏等につきましては、減量化の推進を求めるとともに、フェニックス計画の推進等、東京都を初めとする関係地方公共団体の最終処分場確保への努力を促してまいりたいと存じます。
  42. 谷川秀善

    谷川秀善君 いろいろ説明をお伺いいたしましたが、要は、結局どこへ持っていってもいいということじゃないですか。そうでしょう。法の解釈を聞いているんです、何も状況を聞いているわけじゃないんです。だから、いわゆるごみは、産廃は全日本じゅうどこへでも持っていってもいいという法律になっているのと違いますかと聞いているんです。そのとおりでしょう。  これが問題を起こしているんですよ、まず基本的に。だから東京都のごみが鹿児島へ行ってみたり東北へ行ってみたりするわけです。だから、東京都でトラブルが起こりましたな、鹿児島。その状況をそれ以後ちょっと聞いておりませんので、その状況についてもしわかれば御説明を願いたいと思います。
  43. 坂本弘道

    説明員(坂本弘道君) 御指摘の事例でございますが、神奈川県の産業廃棄物処理業者が平成八年の九月に、鹿児島県の行政指導である要綱に基づく搬入承認を受けまして、首都圏の建設廃材等を鹿児島県の安定型の処分場に搬入しようとしましたところ、搬入しようとしたこの廃棄物の中に乾電池や木くず等の安定型処分場に受け入れることのできない廃棄物が混入されているのが発見されたこともありまして、地元住民が搬入を阻止したものでございます。  このような状況を受けまして、平成九年の二月二十日に鹿児島県は、地域住民等との信頼関係が著しく損なわれたことなどを理由といたしまして、この処理業者に対する搬入承認を取り消して、同月二十二日、処理業者は廃棄物の全量を船に積んで神奈川県に持ち帰ったと、こういうことでございます。
  44. 谷川秀善

    谷川秀善君 そうすると、持ち帰ってその後どうなっているんですか。
  45. 仁井正夫

    説明員(仁井正夫君) 持ち帰られた産業廃棄物につきましては、当該処理業者の敷地内に保管されているというふうに聞いております。
  46. 谷川秀善

    谷川秀善君 そういう問題になってしまうんですね、結局どこへも持っていけない。そうすると、これは大変だと思いますよ。船で持っていったやつは相当な量だろうと思いますよ。それを、当該処理業者の敷地なのか何なのか、もし敷地内に置いてあるとしたらこれまた大変な問題が将来起こるだろうというふうに危惧するところでありますが、どっちにしてもそういう状況になっておりますから、遠くへ運べば運ぶほどこれはやっぱりどうしてもコストはかかりますわな。近くで処理ができればともかく、東京都のごみが、首都圏のごみが鹿児島へ行ってみたり東北へ行ってみたりすれば、近くで処理するよりは、これはやっぱり相当費用がかかりますよ、間違いなく。船賃だけでも相当かかる。  こういうことになってくると、後でお伺いしますが、結局これがひいては不法投棄の原因をつくっているようなものなんですよ、逆に言うと。  費用はかかる、そうすると遠くへ持っていけない、遠くへ持っていったって断られるというようなことになりますと、結局どこかへそのうちに、これはよっぽど監視していただきませんと、今その東京都の鹿児島へ持っていったごみは小刻みに今度はどこへ捨てられるかもわからぬという危険性もあるわけですよ、そんなのいつまでも置いとかれへんのですから。そういうことはよく都道府県とも連絡をとって安全な管理ができるようにしてもらいたいと思います。  それでは、平成五年度から平成八年度までの産業廃棄物の処理量はどれぐらいで、どういう傾向になっているんですか。
  47. 仁井正夫

    説明員(仁井正夫君) 厚生省取りまとめております産業廃棄物の排出量平成五年度現在で約三億九千七百万トンとなっております。なお、申しわけございません、平成六年度以降の数字につきましては現在集計中でございます。平成五年度までの傾向で見ますと、平成二年度から平成五年度、排出量で見ましてはぼ横ばいといった状況でございます。
  48. 谷川秀善

    谷川秀善君 そうですね。私がちょうだいをいたしました資料でも、平成五年度が三億九千六百万トンぐらいですから、二、三、四、五と大体横ばいですな、ちょっとでこぼこはありますけれども。  これはふえる傾向にあるんですか。やっぱり横ばい傾向ですか、減少傾向ですか。感覚としてどうでしょうか。わかりませんか。わからぬなら結構です。  それで、今産業活動がちょっとあれですから横ばいだろうと思いますけれども、それにしても四億トンぐらいあるわけですね。そのうち最終処分量はどれぐらいでございますか、平成五年度で結構です。
  49. 仁井正夫

    説明員(仁井正夫君) 平成五年度総排出量三億九千七百万トンに対しまして、最終処分量は排出量の約二一%に相当いたします八千四百万トンと見積もっております。
  50. 谷川秀善

    谷川秀善君 だから、そういう意味ではごみは相当リサイクルに回ったり減量化に回ったり、いろいろしているんだろうと思うんですよ。それでもやっぱり二一%は要処理量。そうすると、これからまた経済活動が活発になるとして、またリサイクルなり減量化が進んだとしても、大体八千万トンないし九千万トンぐらいはこれはやっぱり処理をしなきゃいかぬ、最終処分をしなきゃいかぬということに相なろうと思うわけです。そうすると、それぐらいのやっぱり処理場が必要なわけですね、日本全国で。それはまた後ほど議論させていただきますとして、種類別の排出量はどうなっておりますか。
  51. 仁井正夫

    説明員(仁井正夫君) 平成五年度、全体で三億九千七百万トンでございますが、産業廃棄物の種類別で見ますと、主たるものといたしましては汚泥が一億八千万トン、これが全体の四五%に相当いたします。それから動物のふん尿、約七千五百万トン、一九%に相当いたします。それから建設廃材、約六千万トン、一六%となっておりまして、この上位の三種類で産業廃棄物全体の約八割を占めているところでございます。
  52. 谷川秀善

    谷川秀善君 そうですね。大体汚泥と動物のふん尿、それに建設廃材。そうすると、これを考えますと、大体これは余り減りそうにないですわな、この種類は。八〇%ぐらいはこれで占めておるということで、これは建設廃材にしても汚泥にしても動物ふん尿にしても、そんなに減らないですな、どう考えてみても。ちょっと減るとしたら建設廃材ぐらいかなというふうに思いますけれども。  それで、産業廃棄物のいわゆる受け側ですね、最終処分場の新設状況ですが、私がいただいた資料では、六十二年度の二百五十五件をピークにして、どうも年々これは減少してきているんですな。減少して、平成五年度では百三十八件となっておるんです。そうすると、これ、八年があるかどうかはちょっとわかりませんが、六年、七年、八年はどういう状況ですか。
  53. 仁井正夫

    説明員(仁井正夫君) 申しわけございません。  集計中でございまして、まだ取りまとめられておりません。
  54. 谷川秀善

    谷川秀善君 そやけど、大体六十二年ピークで二百五十五件、ずっと減ってきているんですよ。  五年で百三十八件。六年、七年、八年が二百五十五件というようなことになるはずないでしょう。  もっと減っているんじゃないかと思いますよ、私は。というのは、非常につくりにくいという状況がもっと厳しくなっているわけですよ。そうすると、資料がないと、こうおっしゃっていますけれども、だんだんだんだん減ってくる。それに引きかえ廃棄物はそんなに減らない。処分しなきゃならない廃棄物はそんなに減らない。結局これは、意地悪の質問になるかもわかりませんが、処分場がだんだん少なくなってきているというのは、処分場の必要性がなくなっておるのか、その他の原因で少なくなっておるのか、これはもう答えを聞かぬでもわかるんですが、一遍答えてください。
  55. 坂本弘道

    説明員(坂本弘道君) 最終処分場につきましては、処理、処分しなければならない廃棄物の量が減少しているわけではございませんが、近年の施設設置をめぐる地域紛争の激化等によりまして、新規に施設を立地することが困難になってきていることによるものと考えられます。
  56. 谷川秀善

    谷川秀善君 そういうことなんですね。やっぱり必要性はますます高まってきておる。ところが、なかなか周辺の状況とかいろんな状況設置がしにくくなってきておる。これは大変なことなんですね、逆に言うと。この法改正でもいろいろ規制をされましたが、結局、それが逆に言うと不法投棄を呼ぶ原因になるわけですね。捨てる場所がないじゃないかと言われたらどうするんですか。  それじゃ、平成五年度で最終処分場の可能残余年数、どれぐらいですか。そして、六年、七年、八年、どういう状況に相なりますか。これは首都圏、近畿圏、全国で結構です。
  57. 仁井正夫

    説明員(仁井正夫君) 平成五年度においての最終処分場の残余年数、首都圏では〇・八年、近畿圏では三・四年、全国としては二・三年ということになっております。全体として極めて厳しい状況考えております。  平成六年以降のデータについては、先ほど来おわび申し上げてございますが、まだ数字としてはございませんが、この厳しい状況が好転しているというふうには思っておりません。
  58. 谷川秀善

    谷川秀善君 そうですね、結局平成五年度で残余年数が全国でももう二・何ぼと、こういうことになっておるんですな。そうすると、それから大分たっていますわね、だから非常に厳しいということはもう一目瞭然でわかるわけですよ。  それで、ずっといろいろ計算は皆さんにしていただいておるようですけれども、中間処理だとかリサイクルだとかいろんなことをやっても、それで排出量は現在の水準に抑えたとして、最終処分場がゼロになる試算をしていますね、いつごろになるとゼロになるかと、処分場がなくなってしまうと。それはいつごろでございましょうか。
  59. 仁井正夫

    説明員(仁井正夫君) 一つのシナリオのもとでの試算でございますが、これから経済活動が拡大していくという部分、それから一方でリサイクル減量化が進んでいくという、あるいは進めなければならないという中で、一応最終処分すべき量を現在の水準に固定いたしまして、なおかつ、先ほど来お話ございますような、ここ近年の最終処分場の新規立地が減少しているという傾向を入れ込みましての試算によりますと、西暦二〇一〇年ごろには最終処分場の残余容量がゼロになるという結果が出ております。
  60. 谷川秀善

    谷川秀善君 これは大変なことでございますね。だから、最終処分場の問題は、本当に真剣にお互いに考えなければならないと思うわけであります。  それで、そういう状況の中でも不法投棄が後を絶たないわけであります。まだ今のところは最終処分場にある程度の余裕といいますか、余裕があるにかかわらず不法投棄が後を絶たないわけですが、この不法投棄についてお伺いをいたします。  平成五年から七年までの間、どうなっておりますか。
  61. 仁井正夫

    説明員(仁井正夫君) 私どもが各都道府県を通じて調査した結果でございますが、平成五年度不法投棄件数二百七十四件、投棄量三十四万二千トン、平成六年度三百五十三件、三十八万二千トン、平成七年度六百七十九件、四十四万四千トンとなっておりまして、この三年間を平均いたしますと、一年当たり四百三十五件、平均で三十九万トンといった状況でございます。
  62. 谷川秀善

    谷川秀善君 今御説明願いましたように、平成五年は三十四万二千トン、平成六年三十八万トン、平成七年四十四万トンと年々ふえていっているわけです。  これは平成五年度で見ますと、平成五年度の最終処分量が八千四百二十五万三千トンですから、大体そのうちの〇・五ないし〇・四%が不法投棄をされているという計算になるわけですね。だからこれは大きいですよ、不法投棄の量としては。  排出量の〇・五%不法投棄されている。これは大変なことでありますが、その不法投棄のうち、不法投棄者不明とか、投棄者はわかるけれども適正に処理する資力がないという件数は平成五年、平成六年、平成七年、どれぐらいでございましょうか。
  63. 仁井正夫

    説明員(仁井正夫君) 投棄者不明あるいは投棄者が判明したものの資力がないというものについてのお尋ねでございますが、まず、投棄者不明のものについて申し上げます。  平成五年度八十六件、三万四千トン、平成六年度百二十二件、八万二千トン、平成七年度二百五件、二万二千トンとなっておりまして、平均すると、一年当たり百三十八件、四万六千トンとなっております。  それから、資力がないため原状回復できないというものでございますが、同じく五年度十二件、八万七千トン、六年度十件、五千トン、七年度二十六件、六万六千トンとなっておりまして、平均すると、年間十六件、五万三千トンとなっております。  両方合わせて平均すると、年間で投棄者不明あるいは資力不足による投棄量約十万トンといった状況でございます。
  64. 谷川秀善

    谷川秀善君 この不法投棄者も、警察の取り締まりも行き届いてきたのかもわかりませんが、減っている傾向にはあるんですね。年々減ってきている傾向にありますが、しかしその中で、やっぱり資力不足というのは相当あるわけですね。もう原状回復できない、資力不足。これはまた後ほどお話をお伺いいたしますが、結局これで見ますと、年々減ってきているけれども、しかしまだ不法投棄がある。しかし、ここ数年たちますと、最終処分地がうまく確保できなければみな不法投棄にならざるを得ないということも起こり得るわけです。起こり得るわけですよ、現実問題としては。  この辺のところは、やっぱり十分よく御認識をしていただいた上で対処をしていただきたいというふうに思いますが、この不法投棄量の種類別と、投棄者不明、資力不足の事業の種類別を御説明いただきたいと思うんです。  不法投棄全体では、大体建設廃材が三四%、木くずが四二%、その他建設系廃棄物が一一%、大体建設関係でこれで八七%あるわけです。投棄者不明で見ますと、建設廃材が三七%、木くず二五%、その他建設系三二%、これだけで九四%ある。建設関係が圧倒的に多いわけです、この不法投棄。  この点についてどういうふうな認識を持っておられますか。
  65. 仁井正夫

    説明員(仁井正夫君) お話ございましたように、不法投棄につきまして、建設廃材等の建設系の廃棄物が非常に多いという実態にございます。  これは建設系の場合、産業廃棄物の発生場所がいわば現場現場ごとに異なるといったことも一つの要因かとは思いますけれども、私どもといたしましては、建設業者に対して廃棄物を適正に処理するよう、関係省庁とも十分連携をとりながら指導を強化していきたいと思っております。
  66. 谷川秀善

    谷川秀善君 それはよろしくお願いをします。  それで、この不法投棄問題と関連をして、既にマスコミで取り上げられまして大変な問題になっております国内最悪の不法投棄事件と言われておる香川県豊島問題でございますが、これは大臣も御視察に行かれたようでございますので、その御感想といいますか、所見をお伺いいたしたいと思います。——それじゃ結構です。  それで、これは大体昭和五十八年ごろから、有機汚泥の中間処理業者の許可を有する処理業者T社がミミズの養殖目的で異様にシュレッダーダストやら灰を大量に持ち込んできて野焼きをしたり野積みをしたりしたということが始まりなんですね。それで、地元住民から、黒煙やら悪臭が出てしょうがない、何とかしてほしいと、もう五十八年から言っておったわけですよ、五十八年五十九年六十年と。結局、県や国が調査したところ、やはり鉛やらPCBやらトリクロロエチレンやら高濃度ダイオキシンが検出されたということが既にわかっていたんです。  それをそのままほったらかすから、私はいつも申し上げているんですが、結局ごみごみを呼ぶんです。だから、普通の家庭でもそうでしょう。  ちょっと空き地があって、そこはいつもはごみ収集するところでないところへ心ない人がだれか一人ぽっとごみを置くと、すぐだれかがまた置くんです。それで、気がついて二日ぐらいしたら瞬く間にごみの山になるわけです。このごみごみを呼ぶという基本をやはり厚生省なり環境庁なり都道府県市町村が本当に認識をして、ごみごみを呼ばさないように先手を打たないと、このごみの問題、不法投棄の問題というのはなかなか解決をしないわけです。  この豊島問題について、これはいろいろその経過がありますね、現在に至るまで。時間が余りありませんから、現在に至るまで時系列的に簡単に経過をちょっと御説明願えませんか。
  67. 仁井正夫

    説明員(仁井正夫君) お話ございました豊島の事案の件でございますが、お話ございましたように有機汚泥を用いてミミズの養殖をするということで、産業廃棄物処理業の許可をとった処理業者が昭和五十八年ごろから金属回収と称してシュレッダーダスト等をみずからの事業場の中へ持ち込んだと。一部は野焼き同然の焼却をして金属回収をしていたという事実もあるようでございますが、全量はそういう状態ではなくて、約五十万トンに上る廃棄物が残されているというものでございます。  平成二年に兵庫県警が廃棄物処理法違反で摘発いたしまして、その後香川県が業者に対して措置命令をかけておりますけれども、資力不足等により措置命令は履行されていないという状況にございます。  それから、平成五年に至りまして、住民等から処理業者あるいは香川県それから排出事業者を相手といたしまして公害調停が申請されまして、現在、公害調整委員会において調停が進められているところでございます。
  68. 谷川秀善

    谷川秀善君 今御説明がありましたように、ごみごみを呼んで、ついに五十万トンになってしまった。それで、環境にも住民生活にも大変な影響を与えております。それで、これを原状回復するということに相なってきているようですが、これは費用が一説には百億ないし二百億かかると、現状回復をするだけで、こう言われているわけですね。  これは結局は税金でしょう。税金で処理しなきやしようがないわけでしょう。これは大変なことだろうと私は思いますよ。一とんでもない業者を黙って見ておったがために、ごみごみを呼んで五十万トンになって大変な環境被害を起こして、その上で原状回復、もとへ戻すだけで百億ないし二百億かかる。ここが問題なんですよ、このいわゆる環境問題、ごみの問題というのは。やっぱり先手を打つということが一番大事であります。その点よく十分御認識をいただきたいと思います。  ことしの一月二十九日、これは大阪の問題でございますが、大阪府警で八尾の無許可の処理業者が摘発をされました。これは野焼きですわ。とつととつと野焼きしていた事件。テレビにも出たし、新聞にも出たと思いますよ。  それで、これは大阪府も七年前から十一回にわたって行政指導を行っておったわけです。ところが、その行政指導を無視して焼き続けておると。  結局、こういう事案に対して行政による指導や取り締まりが効果を上げられないのは、現行の廃棄物処理法の保管基準、これは法には書いてございませんが政令だろうと思うんですが、保管基準焼却設備の基準が不明確だからです。それで、不明確であると同時に直罰規定がないんです、直罰規定が。それが大きな原因になっておるわけですよ。  大体あの政令を読んでごらんなさい。囲ったらいいとか、簡単な、読み方によってはどないでもとれるような政令になっておると思いますが、その点についてどうお考えでございましょうか。
  69. 仁井正夫

    説明員(仁井正夫君) 御指摘ございましたように、現在保管基準、かなり抽象的なところがございます。また、焼却設備を用いて焼却する、これがいわば野焼きの禁止の裏返しの形での処理基準ということになっておりますが、焼却設備の持つべきいわば外形的な条件といったようなものが明示されてないといったこともございまして、いわば抽象的な部分というものが残っているところでございます。  私ども、制度全般の改正に合わせましてこのような各種基準につきましても強化、明確化というものを図っていきたいということで、現在生活環境審議会の中に専門委員会を設置いたしまして検討お願いしているところでございます。また、悪質な者に対しましては、行政命令を厳正に発動するとともに、警察等とも連携をとって適切な対応をしていただくよう都道府県等にも指導してまいりたいと思っております。
  70. 谷川秀善

    谷川秀善君 結局、こうした基準違反に対して改善命令をかけた後、これに違反して初めて罰則がかけられるというような二段構造の仕組みになっておるわけでしょう。これが問題なんですよ、二段構造の仕組みになっておるところが。それで基準が不明確であり、そして非常に抽象的であることから、なかなか改善命令すらかけられないというのが現場の現状なんですよ。現場で府県なり市町村環境行政、産廃行政をやっておる場合、なかなか基準が明確でないものですから改善命令が非常にかけにくい、そうすると、改善命令かけなきゃ次へ進めないと、こういう二段構造になっておりますからね。  その辺で何となくそういう不法業者を長年にわたってのさばらせるという結果に相なっておるんだろうと私は思いますから、今度の法改正と同時に政令も改正されると思う、改正されるでしょう。そのときに、大量の産業廃棄物の野焼きの禁止規定の設定なりまた焼却設備の基準を明確に定めていただいたら行政措置が非常に敏速にまた適切に遂行されるというふうに思いますので、そういう強い姿勢でやはり省令の改正に臨んでいただきたいと思いますが、いかがでございましょうか。
  71. 小野昭雄

    政府委員小野昭雄君) 先生指摘の事案も含めまして、さまざまな不適正な事案等につきまして私ども今詳細な検討、分析を行っております。  先生指摘のございましたように、国民の不信感を一掃することが今は喫緊の課題でございますので、そういった廃棄物処理行政が適切に運営されるよう政省令等の検討当たりましては御指摘の点を踏まえて対処してまいりたいと考えております。
  72. 谷川秀善

    谷川秀善君 そこでお伺いをいたしますが、産業系廃棄物の処理の責任は、これは、御説明が今さっきありましたが、処理の責任は排出業者ですね、処理業者ではありませんね。それ確認をいたします。
  73. 坂本弘道

    説明員(坂本弘道君) 廃棄物処理法の第十条におきまして産業廃棄物処理について事業者の処理責任を明確に規定しておりまして、「事業者は、その産業廃棄物を自ら処理しなければならない。」と規定しております。
  74. 谷川秀善

    谷川秀善君 排出処理業者が不法投棄等不適切な処理をした場合に、その事業者に都道府県知事が改善命令やら措置命令で対応できるわけでありますが、処理業者が不法投棄等の不適切な処理をした場合、処理業者だけにとどまって排出業者には及ばない。これは非常に問題であろうと思いますが、どうお考えでございましょうか。
  75. 坂本弘道

    説明員(坂本弘道君) 御指摘のとおり、排出事業者の責任の貫徹を図るために、この委託基準に適合しているか否かを問わず排出事業者の責任を問うことを求める御意見もございます。しかしながら、排出事業者が適正に委託した場合、結果責任を負わせることにつきましては、この処理業者の選択に関する情報の入手が困難でありますし、また取引の安全性が損なわれるなどの問題がございまして、現時点では残念ながら困難と考えております。  このため、今回の改正におきまして、従来からの委託基準違反者に加えまして、委託に当たってマニフェストを交付しなかった者等を措置命令の対象とするとともに、委託基準の強化を図ることによりまして、でき得る限りの排出事業者責任の強化、徹底を図っていくこととしております。
  76. 谷川秀善

    谷川秀善君 それは徹底してもらわぬといかぬと思うんですがね。  それで、今までお伺いした中でも明らかになりましたように、不法投棄の件数の多くは大体建設工事に関連したものであります。建設業界では大体下請、孫請という非常に多重構造になっているんですよ、建設業界というところは。それで、途中で経費がピンはねされたりしまして末端の解体業者では廃棄物の適正な処理費用が捻出できないということで、結果として不法投棄につながっているわけであります。  改正案では不法投棄に対して罰金が大幅に引き上げられましたので、一定の抑止力が働き、不法投棄の減少が期待できるものと考えられますけれども、不法投棄の行為者に対して捨て得にならないよう厳格に運営することが必要であります。そのためには、適正基準の策定をするなど統一的な運用が図られるようにすべきであると考えるが、どう思いますか。  そしてまた、不法投棄防止の観点から、解体業など建設工事において実際の事業を行う処理業者に対し正当な費用が支払われるような仕組みを建設省等他省庁とも協議をしながら構築をしていかなければ、なかなかこの不法投棄の問題は解決をしないというふうに思いますが、いかがでございましょうか。
  77. 坂本弘道

    説明員(坂本弘道君) 不法投棄を防止するというのはもう先生おっしゃるとおりでございまして、なるべく不法投棄がないようにというふうに努めてまいりたいということでございます。  それから、建設業界のことにつきましては、いろいろ下請、孫請等ございます。この点につきましても建設省等関係省庁とも十分詰めていきたいと、かように考えております。
  78. 谷川秀善

    谷川秀善君 排出者は、処理の許可を持っている処理業者に委託した場合に、その許可業者が不法投棄を行ったといたしましてもその責任は排出者に及ばないという問題があったわけですね、今までは。ところが、もともと排出者にこの産廃については最終処理責任があるわけでありますから、廃棄物の処分までの確認を果たせるような排出者責任の強化を図りまして未然防止をする必要があるわけなんです。これはおくれていたわけですね。ところが今度の改正案では、すべての産業廃棄物にマニフェスト制度の拡充が図られており、これは一歩前進したと私は思いますよ。一歩前進したと思いますけれども、実際には、このマニフェスト制度を拡充したからといいましてすべてこれは解決しないと思いますよ。  例えば、収集運搬業者が中継所で廃棄物の積みかえをしたというときには、廃棄物の排出者が特定できなくなることが考えられるわけですよ。そこで積みかえてしまう、堂々と不法投棄する、だれがほうったかわからないということに相なりますので、このマニフェスト制度を実効性のあるものにするためにはよっぽど知恵を出さないと、不法投棄者はもっと知恵を出すかもわかりませんから、よっぽど知恵を出してその方策を考えておいていただかないけないと思うんですが、その点についていかがでございましょうか。
  79. 仁井正夫

    説明員(仁井正夫君) お話ございましたように、マニフェスト制度、排出事業者が第三者に委託して産業廃棄物を処理するという場合に、処理の流れを把握し、最終的な処分を返ってきた帳票で確認するというシステムでございまして、排出事業者が最終的に処分されたことを確認するというものでございますが、お話ございましたように、流れの中で積みかえ、保管といったようなプロセスの場合に、マニフェストをどういう形で明確化できるのかといった問題があることについては承知しております。  一つのものとしては、単なる保管及び積みかえというものだけでなくて、その過程において一部、例えば鉄筋等の資材をいわば資材活用というような形で横へ抜き出していくといったような部分が現実の話としてございます。こういったところになりますと、いわゆる廃棄物として積みかえ・保管施設に入ってくる部分と出てくる部分の量が合わないといったようなところもございますし、その過程で混合されて行き場が明確にならないといったところもあるところでございます。  私ども、このような選別を伴う積みかえ、保管のあり方につきましては、この制度改正の施行に合わせて制度的な手当てを考えていきたいと思いますし、基本的な流れといたしましては、排出事業者に二者契約、収集運搬業者との契約、最終処分業者との契約というそれぞれの契約を徹底してきちんとやっていただくということを都道府県等とも連携をとりながら徹底していきたいというふうに考えております。
  80. 谷川秀善

    谷川秀善君 その点よろしく十分対策考えておいていただきたいと思います。  それで、今度の改正で原状回復のために自主的な活動を推進する法人、いわゆる産業廃棄物適正処理推進センターを指定して、このセンターに事業者等の出損による基金を設け、投棄者不明等の場合に原状回復措置を行う都道府県に対し資金の出損等を行うことに相なったようでございますが、この適正処理センターというのはどういうもので、その内容と形態、そしてこの基金はだれが出損をするのか、その点について御説明を願いたいと思います。
  81. 坂本弘道

    説明員(坂本弘道君) 廃棄物が不法投棄された場合には、汚染の原因者すなわち不法投棄の実行者に原状回復を行わせるのが原則でございますが、投棄者不明などの場合には原因者にこの費用負担を求めることができない、そのためにその費用をだれが負担するかということが問題になってまいります。このため、投棄者不明等の原状回復につきましては、その円滑かつ迅速な実施を図ることができるよう、産業界に対しても資金の拠出を求めることとし、産業界と行政で協調して必要な資金の手当てをすることとしたものでございます。  適正処理推進センターは、この産業界からの資金の出損を受ける基金を設けまして、原状回復措置を行う都道府県に対して資金の出損等の事業を行う民法法人でございまして、これを厚生大臣の指定法人として法律上位置づけることによりまして、原状回復制度の適正かつ円滑な実施を図ることとしております。
  82. 谷川秀善

    谷川秀善君 これは、この前、業界団体と話し合いしたときに、私らは適正な委託事業者に委託してるんですからというようなばかみたいな話を業界は大分してましたよね、特に建設業界の連中が。そんなばかなことがあるかと私は申し上げましたがね。不法投棄の現状を見たら九割はあなたのところじゃないかと。いや私のところはちゃんと適正な条件で適正な許可を受けたところに渡しているんですからと言っていたんですけれども、この辺のところは大体、建設業界との話し合いをしておられるわけですか。と同時に、これは府県単位なんですか。全国で一本なんですか、この適正処理推進センターというのは。その辺ちょっと御説明ください。
  83. 坂本弘道

    説明員(坂本弘道君) 建設の関係につきましては、これ今、建設省等と協議をいたしております。  それから、この団体は全国で一つの団体ということでございます。
  84. 谷川秀善

    谷川秀善君 その辺のところはやっぱり十分よく話し合いをしていただいて、そういう原因をつくっているわけですから、できるだけ環境を守るという観点に立ってもらわにゃいかぬ。廃棄物を処理するだけの観点ではやっぱり困る。  だからそういう意味では、建設省とも十分打ち合わせをしていただいて、団体はできたけれども、もう不法投棄がふえてきて原状回復するのにえらい金かかって手も足も出ないというようなことになったら、これは何のためにこの適正処理推進センターをつくったのかさっぱりわからなくなるというふうに思いますので、その辺のところはやっぱりこういう措置は必要だと思いますから、そのためのやはり資金手当てなんかはぴしっとしておかないと。一つの不法投棄事件を処理しようと、今の豊島の問題でも百億ないし二百億かかると、こう言っているわけですから、そんなもの、一つ変な不法投棄事件をやるとしたら大変なことになる。だから、それは考えてないでしょう。それは国でやるんでしょうな。これは個々の小さな問題ですか、どっちですか。そういうやつも全部ひっくるめてこれでやろうとしておるんですか。
  85. 小野昭雄

    政府委員小野昭雄君) この事業の対象になりますのは、改正法の施行後に発生した不法投棄事案でございます。先生指摘のように、豊島の件に関しましては、これは別途の措置、この制度とは関係のない別途の予算措置で対策を講じるということとしております。
  86. 谷川秀善

    谷川秀善君 それなら結構です。  そやけどね、また法施行後に第二、第三のというふうに、ほったらかしておいたら起こらぬとも限りませんよ、これ。その辺のところは絶対起こさないようにしないと、この適正処理推進センターもパンクしてしまうということに相なろうと思いますので、その点十分考えておいていただきたいと思います。  それで、この罰則について一、二お伺いをいたしたいんですが、現行法は特別管理廃棄物の場合に一年または百万円の罰金を、産業廃棄物すべてに適用し、量刑も一年または三百万円、法人に対しては一億円の加重刑を科することにしていると、こうなっておりますが、この法人というのはどういうことですか。  それと同時に、すべての法人ですか。資本金に応じて何か考えるのか、それとも、株式会社、有限会社、法人格を取ったところは全部いくんだということですか。いかがでございましょうか。
  87. 坂本弘道

    説明員(坂本弘道君) 法人に対する加重罰、これはすべての法人でございます。
  88. 谷川秀善

    谷川秀善君 そうすると、先ほども申し上げましたように、ある程度これは不法投棄の抑止力はあるかもわからぬね。  大体、不法投棄をしなきゃならぬというのは、下請、孫請で、にっちもさっちも計算が合わないというのである程度心ならずも不法投棄している業者さんもおられると思うんですよね。その辺のところをやっぱり抑止力をかけて、同時に不法投棄しなくてもいいような適正な処理費用を親請なり子請がするようにしてやらないといかぬのですよ。まず原因をそこから断っていくということにこれからも建設省とよく御相談をしていただきたいと思う。  それと、名義貸しにも刑罰を科するようになりましたですね、名義貸し。この名義貸しというのはどういうことなんでありましょうか。
  89. 坂本弘道

    説明員(坂本弘道君) 名義貸しとは、例えばこの許可業者が許可を有してない者にその名義を貸与し、あたかも許可業者が営業しているかのように装って無許可営業を行わせるような行為を指すものでございます。  このような行為が無許可営業を助長し、廃棄物処理業の許可制度を揺るがす行為でありますことから、今回の改正においてこれを禁止し、違反者には無許可営業の場合と同様に罰則を科すこととしたものでございます。
  90. 谷川秀善

    谷川秀善君 これは非常にいい制度と思うけれども、この運用は非常に難しいと思いますよ。名義貸しなのか貸しでないのかというのは、この実態を把握するというのは、名義貸しでないと言われたら非常に難しいでしょう。私は何も名義貸しておるわけじゃないんだということになると非常に難しいと思うんですけれども、その辺の把握はどうされるおつもりでございましょうか。
  91. 坂本弘道

    説明員(坂本弘道君) そこはきちっとやらにゃいかぬわけでございますが、例えばこの許可証のコピーを入手し、コピーを委託事業所に提示して収集、運搬を行うとか、こういうようなこともございますので、この辺をきちっと取り締まるというか運用していくということでございます。
  92. 谷川秀善

    谷川秀善君 その点は、この法が通過をいたしましたら、具体的にやっぱり取り締まり当局とも十分よく相談をして、法の適切な運営に努めていただきたいと思います。  いろいろとお伺いをいたしてまいりましたが、そろそろ、私の持ち時間大分あるんですけれども、午前中にやめたいと、こう思っておりますので、そろそろ締めくくりに入らせていただきたいと思います。  いわゆる産業活動というのは、皆さん方御説明ありましたように、生産、流通、消費という物の流れの中で府県域に限定されることなく自由に行われているわけです。だから産廃法第二条の二があるわけでありますが、この産業廃棄物につきましても、これはやっぱり負の生産物ですよね。いわゆる正の生産物じゃなくて負の生産物だと思いますが、しかしこの負の生産物として、その処分については排出業者が最も妥当であると判断する方法で広域処理すべきであると私は考えます。  だから、最初に申し上げましたのは、あの二条の二はいいんですけれども、やっぱり限定すべきでないかというのが私の意見なんです。全国では困る。せめて近畿圏なら近畿圏、関東圏なら関東圏、四国圏なら四国圏、これはできないはずがないと私は思いますよ、その範囲で処理をするということで。それは一府県処理をしろと言えば非常に難しいと思うんですが。そういう意味では、これは将来の問題だろうと思いますけれども、私はあの二条の二はやっぱり将来ひとつ考えてもらわなきゃいかぬというふうに思っております。  いずれにしても、地方分権が今盛んに言われております。しかし、ごみの問題はこれは地方分権だけではやっていけない。やっぱりある程度広域的でないとやっていけない。それと、広域も限定すべきだというのが私の意見でございますが、広域的でないとやっていけない。そうすると、やっぱり分権は分権で、何事も皆地方に任せればいいんだということではこの産業廃棄物の処理の問題は私は解決できないと思っておるんです。  同時に、いわゆる都道府県知事は、国の機関委任事務に基づく執行者であると同時にやっぱり地方の代表者なんだ、地方住民の代表者なんだと。  だから、結局今各府県で最終処分地なりについて大変な紛争が起こっております。知事が非常に板挟みになって判断に苦しむわけですよ。いわゆる機関委任事務としての執行者と住民から選ばれたという代表者と二重の人格を持っているわけです。これで処理をさせよう、こういうわけですからなかなか大変な問題があるということだろうと私は思うんです。  そういう意味では、国が本当に、分権で、今でもそうですよ、実際は厚生省にしろ環境庁にしろ実際の業務をやってないんです。みんな都道府県なり市町村にやらせているわけでしょう。厚生省直轄の、環境庁直轄の廃棄物処分場、ありますか。何もないでしょう。結局、皆が都道府県なり市町村が自己責任でやっておるわけです。それに対して余りにも今までの状況では、やっぱり国なりが、本当に指導監督だけで助言、助成という面についてちょっと欠けている面があるのではないかというふうに私は考えておるわけであります。  そういう意味では、これからこのごみの問題は本当に百年河清を待つような話でございますが、それを待っておったのでは私はどうにもならないというふうに思っております。そういう意味では、この改正案を契機としてやっぱり先手先手を行かないと、特にごみに関しては後手後手に回ると大変なことに相なるというふうに認識をいたしておるところでございます。  そういう意味で、環境庁長官も大変環境問題に御造詣が深いし、真剣にお取り組みをしていただいていることにかねがね尊敬をいたしております。そういう意味で、最後に環境庁長官決意をお伺いして、私の質問を終わります。
  93. 石井道子

    国務大臣石井道子君) 谷川委員からるる廃棄物の問題につきまして御指摘がございました。そして、特に産業廃棄物によります処分場をめぐるトラブルとか、また環境汚染の問題、そして国民の大きな不信を買っているということを踏まえましてこのたびの廃棄物の処理の改正案、これができたわけでございまして、今度のそのような改正案につきましては、ぜひこのような現状を踏まえた上で、国民の信頼が得られるように、そして不法投棄などの問題も踏まえまして廃棄物の適正な処理が確保できるようにということを期待するわけでございますし、廃棄物の減量化とかあるいはリサイクルを推進いたしまして、施設の信頼性また安全性の向上を図っていただきたいと願うところでございます。  環境庁といたしましても、廃棄物問題は環境問題として大変深刻な重要な課題でございますので、早急な対策を講じられるように今後も厚生省協力をしながら取り組みたいと思いますし、今回の法律改正というものにつきましては大変有意義であると受けとめているところでございます。
  94. 谷川秀善

    谷川秀善君 終わります。
  95. 渡辺四郎

    委員長渡辺四郎君) 本件に対する午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩いたします。    午前十一時五十六分休憩      —————・—————    午後一時開会
  96. 渡辺四郎

    委員長渡辺四郎君) ただいまから環境特別委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、公害及び環境保全対策樹立に関する調査のうち、廃棄物問題に関する件を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  97. 加藤修一

    ○加藤修一君 平成会の加藤修一でございます。  重要な法案でございますので、慎重審議、そのためにも連合審査を要求してきた一人でありますが、あえてここで連合審査の要望を委員長にしておきたいと思います。理事会で御検討お願いしたいと思います。  環境問題については見識のある質問が続いておりますが、参議院の豊かな専門性を生かしたあり方でありますし、私自身も非常に元気づけられますし、大変勉強になっているところでございます。豊かな専門性に基づいてきちっとした質問を展開することは、これは参議院の伝統でありますし、さきの南極地域の環境の保護に関する法律のときの審議は、私自身大変感銘を受けた次第でございます。時には踏み込んだ環境の情報開示、あるいは責任を明らかにするための質疑も今まで十分取り上げられてきたと思いますけれども、私もこの伝統を大切にしたいと考えて、今回の法律案についても質問をさせていただきたいと思います。  まず最初に、原状回復措置についてお尋ねしたいわけですけれども、いわゆる不法投棄、この問題が極めて大きな社会問題になっているということで、例えば平成五年度、投棄者不明については八十六件、平成六年度には投棄者不明が百二十二件、さらに平成七年度には不明者が二百五件と、こういう形で不法投棄の実行者の中で不明という点も随分ふえているように思うわけでございますけれども、要するに法律が施行される前に今までの既存の原状回復措置、これについてはどのようにお考えか、厚生省にお伺いしたいと思います。
  98. 小野昭雄

    政府委員小野昭雄君) 改正法におきましては、原状回復につきまして事業者責任の強化あるいは投棄者不明等の原状回復を迅速に行うための仕組みを導入することといたしておりますけれども、改正法施行前の、午前中にも御質問がございました例えば豊島のようなケース等につきましては、個別具体的な事例に即しましてその原状回復措置を図るということで、関係自治体等といろいろお話をしているところでございますし、今後とも続けてまいりたいと考えております。
  99. 加藤修一

    ○加藤修一君 豊島に限らず、そのほかの一切の不法投棄に関しては原状回復の措置を行う、そういうふうに理解してよろしいわけですね。  それでは、安定型の、いわゆる既存のシュレッダーダスト、タイヤのシュレッダーダストなんかも非常に大きな問題になっているわけですけれども、この安定型から今度管理型に変えていく、要するにシュレッダーダストについてはそういう措置を行っていくということですけれども、これについても同様に考えてよろしいですか。
  100. 坂本弘道

    説明員(坂本弘道君) 厚生省及び環境庁の共同調査によりまして、シュレッダーダストにつきまして調査いたしましたところ、鉛等の有害物質の溶出が確認されましたところから、平成七年に政令を改正いたしまして、シュレッダーダストを安定型の廃棄物から管理型廃棄物に変更したところでございます。  この調査におきましては、シュレッダーダストを埋め立てている安定型処分場の浸出水等についても調査を実施いたしましたのですが、環境基準を超えるような汚染は認められなかった、また、法的に遡及適用はできないというふうなことから、既にシュレッダーダストを受け入れていた安定型処分場について、掘り返して管理型処分場に埋め直させるような措置をとらなかったわけでございます。  なお、現時点におきまして、これらの施設で特に問題が生じている事例は承知しておりませんが、問題が生じた場合につきましては個別事案ごとに適切に指導してまいりたいと、かように存じております。
  101. 加藤修一

    ○加藤修一君 豊島の問題のように、例えば原状回復措置がされたとして、あるいはそれに類する場所についても当然あると思うわけですけれども、いわゆる原状回復措置がされた土地についての資料の保管義務あるいは国民への閲覧、法施行前の話というふうに理解していただきたいんですけれども、この保管義務と国民への閲覧をどういうふうにお考えでしょうか。
  102. 小野昭雄

    政府委員小野昭雄君) 平成三年の廃棄物処理法の改正によりまして、廃棄物の最終処分場につきましては、埋立処分が終了した際に、設置場所あるいは埋め立てた廃棄物の種類及び量、埋立処分の方法等を都道府県知事に届け出ることとされまして、都道府県知事は、届け出を受けました最終処分場につきまして、台帳を調製し、これを保管しなければならないこととされているわけでございます。  また、同法におきましては、都道府県知事は、埋め立て終了後の土地の所有者やその土地を購入しようとする者など、その土地の関係人から請求があった場合には、この台帳またはその写しを閲覧させなければならないとされているわけでございますが、これは、平成三年の廃棄物処理法の改正によって導入された制度でございます。
  103. 加藤修一

    ○加藤修一君 それでは、環境庁に御答弁をお願いしたいんですけれども、こういった問題については土壌汚染が極めて進行しているというふうに理解しているわけですけれども、土壌汚染防止法の制定についてはどのようにお考えか。つまり、農用地については土壌汚染に関してのものはあると思いますけれども、いわゆる都市域あるいは林野関係含めて、この土壌汚染防止法の制定に関してどのようなお考えでいらっしゃるかお聞きしたいと思います。
  104. 渡辺好明

    政府委員渡辺好明君) 土壌汚染は地下水等を通じまして人の健康等に影響を与える蓄積性の汚染でございます。したがいまして、土壌汚染対策としては、まず水質汚濁防止法等によりまして排水規制を行い、そしてさらに汚染物質の除去、無害化といったことが必要になろうかと思っております。  環境庁、実はしばらく前に三年間ほど土壌環境保全対策懇談会という会合を持ちまして、特に市街地の土壌汚染対策のあり方について三年間検討を行ってまいりました。中間報告平成七年の六月にいただきまして、これを受けた土壌汚染対策として、先般の緊急の対策として地下水浄化のための制度を昨年の水質汚濁防止法の改正によって設けたところでございます。  課題、たくさんございまして、法律、制度を直ちにということにはならないわけでございますけれども、今後さらに検討を深めまして、実現可能性のあるものから対策にのせていくという方向で対応いたしたいというふうに考えております。
  105. 加藤修一

    ○加藤修一君 この関係ですけれども、日米地位協定に関して、その中で環境分科委員会がございますけれども環境庁は、この土壌汚染防止に関して米軍にその辺について求めているというふうに理解しているわけですけれども、それは確認ということですのでよろしく。
  106. 渡辺好明

    政府委員渡辺好明君) 日米の合同委員会の環境分科会を環境庁が実は議長をやっておりまして、その関係で、先般沖縄の瑞慶覧で発生をいたしましたPCBによる汚染問題につきまして、私どもの方は、やはり日本の国内の環境基準、土壌の基準というものを遵守してほしい、これに準拠してほしいということで早急な調査を申し入れまして、しかるべく善処がなされたところでございます。  この問題は、米軍側からだけではなくて、私どもの方でも直接調査をする必要がございましたので、クロスチェックを現在行っているところでございます。
  107. 加藤修一

    ○加藤修一君 それでは、法務省にお願いしたいんですけれども、最終処分場が閉鎖された場合とか、さまざまな形で土地の環境汚染があった場合に、それを今度原状回復したとか、要するに環境汚染に関して土地がどういう形の経歴を持っておるか、例えばの話ですけれども、そういうことを土地台帳に私は記載すべきだと思うんです。土地を購入しようとする人はその過去の土地の経歴がわからないという場合もあると。そういう方法考えられて私はしかるべきだと思いますけれども、法務省はどのようにお考えですか。
  108. 小池信行

    説明員(小池信行君) 不動産の登記簿と申しますのはいろんな土地に関する、あるいは建物に関する情報を集めたものでございまして、そういう意味では極めて利用頻度の高い帳簿、公簿でございます。先生の今のお考えも恐らくそういうところを根拠にしているのではないかというふうに思うわけでございます。  ところで、不動産の登記の制度、現在の制度は、その基本的な使命は不動産に関する権利関係を公示するということでございます。しかし、権利を公示する前に、その前提として、その不動産がどういう不動産なのか、これを特定する必要がございます。そのために不動産の性状に関する幾つかの事項を登記するということにしております。これを表示に関する登記というふうに呼んでおります。  この表示に関する登記は、これは実はその不動産の現況を登記するものでございまして、過去その土地がどういうふうな使用状況にあったのかという履歴まで含めて登記をするという仕組みには現在なっておりません。したがいまして、先生のおっしゃることは私も理解できるわけでございますが、今の仕組みのもとではなかなか難しいと。  さらにもう一つつけ加えさせていただきますと、この表示に関する登記の正確さを期すために、登記官が最終的には現場へ行きましてその不動産の現況を確認するということを行っております。実際、現地に赴いてわかりますことは、あくまでもその現在の状況でございまして、過去の状態がどうであったかということはこれは現地に赴いてもわからないわけでございます。そういう意味におきましても、先生のおっしゃった御提案は今の制度のもとでは限界があろうかなというふうに思っております。
  109. 加藤修一

    ○加藤修一君 その辺について、難しいというお話でございますけれども、私の質問の意図はよくわかるという話ですけれども検討していく姿勢はございますか。
  110. 小池信行

    説明員(小池信行君) 関係省庁の方から、いわば登記所の機能を利用いたしまして、この最終処分場あるいは汚染地に関するいろんなPRとかあるいは照会とか、そういうものにつきまして協力が求められた場合にはこれは検討いたしたいというふうに思っております。
  111. 加藤修一

    ○加藤修一君 土地を買おうとする人は法務局には行きますが、ここが最終処分場の跡地であったかどうかということは都道府県に行かないとわからないと。しかし、都道府県まで行って調べる人は非常に少ないと思うんですね。そういった観点から、私は都道府県の台帳を法務省にも写しを設置しておいて閲覧できるチャンスを与える必要があるのではないかと考えていますけれども、この辺ついてはどうでしょうか。
  112. 小池信行

    説明員(小池信行君) 繰り返しになりますが、現在の制度のもとで最終処分場に関する台帳を登記所自体で公開をするということは、これは困難であろうと思われます。ただ、土地を購入する人に対しまして、最終処分場であったということを知るためにどこに照会すればいいのかというような情報を登記所で提供することは、これは可能ではないかと思っております。
  113. 加藤修一

    ○加藤修一君 それでは、別の質問に参ります。  海洋投棄についてでございますけれども、我が国は世界第二位の海洋投棄大国であると思います。ロンドン条約の改正によって、一九九六年一月一日からいわゆる海洋に対して産業廃棄物の原則禁止になったわけですけれども、これについて我が国の対応というのはどうでしょうか。どの程度今まで、年間、平均でよろしいですから、最近ですね、投棄量がどのぐらいでしょうか。
  114. 渡辺好明

    政府委員渡辺好明君) 廃棄物の海洋投棄量でございますけれども、これは海上保安庁の統計でございます。平成三年で二千九十五万トン、平成七年、直近のデータでございますが、千八百七十一万トンでございます。  内訳は、平成七年で見ますと、産業廃棄物が約四百八十万トン、これが二六%でございます。それから、し尿などの一般廃棄物が約二百六十万トン、一四%程度。それから、水底土砂、土砂などが千百三十万トンで六割を占めております。  それぞれ排出の海域とか排出方法が廃棄物処理法あるいは海洋汚染防止法によって定められておりまして、水産漁場への影響の回避、潮流の速度、深さ、広さ、そういったことを考えてそれぞれタイプに応じた投入の場所が指定をされ、方法が指定されているわけでございます。  それから、国際的な規制の強化の動向でございますけれども、海洋投棄処分はロンドン条約で実施をされておりまして、一番新しい議定書が一九九六年の議定書でございます。これは採択はされておりますが、まだ発効はいたしておりません。  大きなポイントは、従来、海洋投棄ができない廃棄物を定めておりましたのを、逆に海洋投棄ができるものを限定して定めるというふうに、方式がリバースリスト方式に転換をしておりますし、海洋投棄をする際にはあらかじめ環境影響評価をした上で投棄をするという原則に規制が強化をされているわけでございます。  申し上げましたように、これはまだ発効いたしておりません。ロンドン条約の締約国十五カ国を含めまして、二十六カ国以上の批准または加盟の後三十日で発効ということになっておりますので、まだそのレベルには達しておりません。  環境庁はこれまでも国際動向を踏まえまして、逐次海上保安庁や厚生省協力をして海洋投棄に関する規制を強めてきておりますし、今後もそういった方向で連携をとりながら国際的な取り決めに応じた国内の体制を整備したいと考えております。
  115. 加藤修一

    ○加藤修一君 それでは次に、バーゼル条約の関係に行きますけれども、同僚の木暮委員が本会議で質問したバーゼル条約の対象物、いわゆる特別管理産業廃棄物に私はバーゼル条約でリストアップをしているものを入れるべきだというふうに理解しているわけですけれども、これについてどのようにお考えでしょうか。
  116. 小野昭雄

    政府委員小野昭雄君) 特別管理産業廃棄物につきましては、毒性あるいは感染性等、人の健康または生活環境に被害を生ずるおそれのある等の廃棄物でございまして、特別管理産業廃棄物というふうにされました廃棄物につきましては特別の処理基準が適用されますとともに、これを排出いたします事業者は特別管理産業廃棄物管理責任者というのを置かなければならないとされているなど、通常の廃棄物に比べ厳しい規制が課せられることとなっているものでございます。  品目の指定に当たりましては、バーゼル条約は参考にはなるものの必ずしも一致しなければならないというものでもございません。バーゼル条約で指定されております有害廃棄物につきましては、平成四年に十三品目、これは特別管理産業廃棄物としては十五種類でございますが、を指定し、さらに平成六年には二品目、特別管理産業廃棄物としては十三種類でございますが、を追加指定するなど順次特別管理産業廃棄物に指定してきたところでございます。  御指摘の追加指定等につきましては、現在、産業廃棄物処理基準等専門委員会におきまして専門家による御検討を行っていただいているところでございまして、有害物質の毒性やその排出の実態等を踏まえまして追加指定につきましては検討してまいりたいと考えております。
  117. 加藤修一

    ○加藤修一君 バーゼル条約の中には石綿、アスベストもありますし、それからIPCS、国際化学物質安全性計画でつくっています環境保健クライテリア、その中にもアスベストの問題は述べられている。アメリカではキラーダストと言われるぐらいに非常に危険性のある有毒な、あるいはがんの発生にも大きな原因になっているというふうに言われているわけですけれども、このアスベストの問題について環境庁長官にお尋ねしたいわけですけれども、サンデー毎日の件です。  サンデー毎日の四月二十七日号、ここでさまざまなことが取り上げられているわけですけれども、まず第一点、このアスベストについての件はともかくとして、いわゆるスプリンクラーの設置の話ですね。  これは法律が変わって、八年間ですか、数年間にわたっての猶予された中でやらなくちゃいけないわけですけれども、昭和六十三年の四月一日に施行されている消防法があって、第十七条においてスプリンクラー設置に係る根拠法令があって、そこで設置しなければいけないというふうになっている。そして、猶予期間として平成八年三月三十一日までに設置をしなければいけないと。  環境庁長官が今まで理事長をやっていられたいわゆる埼玉県の飯能中央病院、こちらのスプリンクラーの設置状況というのはどうでしょうか。  工事着工、あるいは完了というのは。
  118. 石井道子

    国務大臣石井道子君) お尋ねの飯能中央病院のスプリンクラーの問題でございますが、消防法に関します設置義務についての実行という点については、私も前から頭を悩ませておりました。そして、現場にいろいろとその段取りを指示してきたところでありましたけれども、そのスプリンクラーを設置することに決まりましたのが平成八年の二月ごろではないかと思います。内部から私の方に話が上がってきたというふうに記憶しておりますが、直ちにこれは大変おくれているので工事をするようにということで準備を進めていただきました。そして、その期限が三月いっぱいというふうな差し迫った事情でありましたので、できるだけ工事を急いでということで段取りをとったところでございます。  そして、工事はたしか三月の半ばごろから始まったと思いますが、現在使っております施設だけに一度に行うことができません。それで、いろいろと現場の意見やら段取りを考えながら一部屋ずつ多分工事をしたというふうに思いますので、非常に日にちがかかってしまったという報告を受けたところでございます。それで、八月の末ごろには完成したと聞いておりまして、一応その工事についてはその時点で完了していることでございます。
  119. 加藤修一

    ○加藤修一君 一度に行うことができないという話を今されました。答弁ありました。八年間猶予があったんですよ。八年間猶予があって、現在使われているしかも病院で、生命を扱っている医療の関係施設ですよ。八年間猶予がありながら、いざやってみると一度に行うことができないからという言い方はおかしくないですか、非常に無責任じゃないですか、長官。
  120. 石井道子

    国務大臣石井道子君) そのような考え方は当然あると思います。しかし、いろいろ、私も理事長ではありましたけれども、直接内部の医療の現場なり、十分に関与する時間とかそういうふうなことができなかったものですから、各関係の当事者に対していろいろお任せをし、お願いをしてきたところでございまして、そのための準備もおくれてしまったということがありまして、その点は私の監督不行き届きであるというふうなことは認識をしているところでございます。その点で、もっと早くそれは工事に着手すればよかったということは言えますけれども、一応そのような事情がありまして大変おくれましたことは残念であったと思っておりました。
  121. 加藤修一

    ○加藤修一君 私が言っていることに対して、そのような考え方があるという言い方は私は非常におかしいと思いますよ。非常に無責任な言い方だと私は思いますよ。  それから、関与することがなかなかできなかったと言いますけれども、この病院の施設について、都道府県知事の方に許可を申請しなくちゃいけないわけですよね。そのときの責任者というのはあなたがなっているじゃないですか。長官がなっていますよ。そんな言い方はないじゃないですか。国会議員でありながら、県会議員をやっていたときもありますよね。要するに公人ですよ。  国会議員というのは法律を守らなくちゃいけない。いろんな理由があったにせよ、こういう今のような言い方は納得できませんよ。もう一度答弁お願いします。
  122. 石井道子

    国務大臣石井道子君) それは、言い方に対しましてはいろいろ申しわけないと思いますが……
  123. 加藤修一

    ○加藤修一君 言い方だけじゃない、事実なんだ、事実。
  124. 石井道子

    国務大臣石井道子君) はい。事実も含めまして十分に対処できなかったという、そういう責任は感じているわけでございますが、現在では一応工事が完了しているということでございます。今後そのようなことがないようにということで、当時病院の関係者にもよく申したところでございます。
  125. 加藤修一

    ○加藤修一君 知らなかったとか、あるいはなかなか知る機会がなかったとか、これは責任者の言うことじゃないですよ。今回の動燃だってそういうところで始まっているんですから。そうじゃないですか。そう思いませんか。  そもそもこのスプリンクラーをつけるときに、当然工事をやるわけですけれども、先ほど話しましたけれども、アスベストもあったわけですよね。じゃそのときの工事の状況というのはどういうことなんですか。環境庁が言っているような形で、しっかりとその辺のアスベストが飛散しないように、飛んでいかないように、そういう形できちっとやったわけですか。この辺のことについてきちっと言ってほしいと思います。
  126. 石井道子

    国務大臣石井道子君) アスベストの問題も前からの課題であったと記憶しておりますが、そういう点ではスプリンクラーの工事とアスベストの工事とを同時にやるように指示をいたしまして、一応完了しているところでございます。アスベストが飛散をするとか、そういうことは十分に注意をして、間違いのないようにということで工事が行われたというふうに聞いております。
  127. 加藤修一

    ○加藤修一君 それでは、サンデー毎日にまいりますけれども、百六十三ページに、「石井道子環境庁長官との一問一答」というのがございます。  最後の方に、「党員名簿を職員に偽造させていたという証言もありますが。」と書いてございます。長官は、「それはないと思う。」と、そのように答弁されておりますけれども、党費を石井さんサイドが支払っていたことがあるんではないかというふうにインタビュアーは言っているんですけれども、長官は、「私の関係団体が一部、支払っていたことはある。」と、このようにお答えしているわけですけれども、これは事実ですか。
  128. 石井道子

    国務大臣石井道子君) この記事につきましては、党員名簿を偽造したとかという表現の仕方がありますが、やはり党員になるにはきちんと入党届の用紙がありまして、そこに紹介者とか、判こを押したりとかという手続を踏まなければなりません。ですから、そういう点ではそのような本人の承諾なしに入党することは多分ないというふうに思いますし、いろいろそのような手続につきましては、私の選挙のときの支援団体が中心となってやってきておりますので、私は細かいことは承知していないという実情でございます。
  129. 加藤修一

    ○加藤修一君 細かいことを知っていないという話ですけれども、「私の関係団体が一部、支払っていたことはある。」という、これは長官のお話ですね。そうですね。  この関係団体というのは、具体的にはどの団体でしょうか。
  130. 石井道子

    国務大臣石井道子君) そのことにつきましては、ちょっと細かいことはわかりませんので、調べてみたいと思います。
  131. 加藤修一

    ○加藤修一君 いや、ちょっとおかしいですよ。  これ私、質問通告しているんですよ。この記事に関連して私質問しますと言っているんですから。  不誠実ですよ。お答えください。
  132. 石井道子

    国務大臣石井道子君) 私のいろいろ支援関係団体たくさんありますけれども、あるいは後援会活動をやっている団体もありますので、そういうところで一部作業したという面があるのかなということで多分このような表現の仕方をしたと思います。ちょっとその点については確実に確認をしたわけではありませんので、その点ははっきり申し上げられなくて申しわけありません。
  133. 加藤修一

    ○加藤修一君 要するに、関係団体というのは具体的にどういうことですか。後援会というふうに考えてよろしいんですか。後援会が、一人幾らかわかりませんが、何人分か支払ったど、そういう理解でよろしいですか。
  134. 石井道子

    国務大臣石井道子君) 私の場合には、石井道子後援会というものがございます。ですから、そういうところでいろいろと政治活動などをやってきているわけでございますので、そういう支援団体ということになると思います。
  135. 加藤修一

    ○加藤修一君 要するに、一部ですけれども後援会が払ったということですね。そういう理解でよろしいですね。
  136. 石井道子

    国務大臣石井道子君) その辺は私も確実に把握をしておりませんので、そういう点をもう一度調べて確認をしたいと思いますので、お時間をいただければと思います。
  137. 加藤修一

    ○加藤修一君 これは非常に重要なところなんですよ。これは恐らく長官も重要だと思っていると思います。  私は質問通告しているんです、これについては全部聞くと。関連の件についてはもうきちっと聞きますよという形で言っているわけですよ。わざわざこの記事を、質問をとりに来た方に言っていますよ、サンデー毎日のこの件について質問いたしますと。細かいところとかそういうことだって調べる時間はあったわけですよ。私だって調べる時間、これだけいろいろなことやって多少あったわけですから。答弁を求めます。
  138. 石井道子

    国務大臣石井道子君) この質問取りの時点では、多分昨日、夜中ではなかったかと思うんですが、一応通告の時点ではアスベストの問題というふうな御指摘をいただいております。それで、ちょっとこの党費の問題については調べる時間がございませんでした。
  139. 加藤修一

    ○加藤修一君 いや、全く納得できない御答弁だと私は思いますね。私は二時半に質問通告しておりますから、二時半に。しかも、アスベストという、それだけという話はしていませんよ。この記事に関連して質問するという話をしているんですよ。きちっとした答弁をいただきたいと思います。
  140. 石井道子

    国務大臣石井道子君) この記事に関してということになりますと、かなりいろいろのケースがありまして、内容が多うございまして、特に党員の問題というふうな御指摘がなかったものですから、ちょっと時間がなくて調べられなかったわけでございます。また後できちんと調べまして、お返事をさせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
  141. 加藤修一

    ○加藤修一君 ほかの人のことについて私は尋ねているわけじゃないんです。長官のことに関してどうですかというスタンスで私はお聞きしているわけなんですよ。しかも、これはやはり質問通告という形でこの記事に関連してということですから。そういう質問の仕方をしますよというふうに言っているわけですから。  自治省、ちょっとお願いしたいんですけれども、こういう記事を見てまいりますと、後援会が支払ったという形になった場合、これは公職選挙法との関係ではどういうふうになりますか。
  142. 大竹邦実

    説明員(大竹邦実君) お答え申し上げます。  公職選挙法の第百九十九条の五第一項におきましては、政党その他の団体またはその支部で、特定の候補者もしくは公職の候補者となろうとする者の政治上の主義もしくは施策を支持し、またはこれらの者を推薦もしくは支持することがその政治活動のうち主たるものであるもの、これを後援団体といたしまして、この後援団体につきましては、当該選挙区内にある者に対しまして一定の場合を除きまして寄附をすることを禁止しているところでございます。
  143. 加藤修一

    ○加藤修一君 では、具体的に今の長官のケースについてはどのようにお考えですか。
  144. 大竹邦実

    説明員(大竹邦実君) ただいま申し上げましたように、一般論でございますけれども、後援団体は選挙区内にある者に対する寄附を禁止されているところでございます。その寄附につきましては、公選法上は、「金銭、物品その他の財産上の利益の供与又は交付、その供与又は交付の約束で党費、会費その他債務の履行としてなされるもの以外のものをいう。」というふうになっているわけでございまして、ここで財産上の利益につきましては、単に金銭、物品にとどまりませず、債務の免除、債務の肩がわり、金銭、物品の貸与等も含まれる、こういうふうに広く解されているところでございます。
  145. 加藤修一

    ○加藤修一君 今、自治省からそういう御答弁をいただいたわけですけれども、長官はこれをお聞きになってどのようにお感じになりますか。
  146. 石井道子

    国務大臣石井道子君) その実態について私自身が不確実なところがありまして、はっきり申し上げられないという段階でございますので、何ともちょっとお答えできないのでございまして、お許しをいただきたいと思います。
  147. 加藤修一

    ○加藤修一君 では、関連の資料について提出をお願いしたいと思います。  では次に、石井長官は過去に自民党の政審の厚生部長をやっていたことがあるでしょうか。
  148. 石井道子

    国務大臣石井道子君) 部会長ですか。
  149. 加藤修一

    ○加藤修一君 はい、部会長です。
  150. 石井道子

    国務大臣石井道子君) 自民党の政務調査会の社会部会と言っておりますが、その部会長はやったことございません。
  151. 加藤修一

    ○加藤修一君 彩福祉グループのさまざまな疑惑があったりして、岡光元事務次官もそれをめぐってさまざまな件があったわけですけれども、要するに福祉を食い物にする事件という形で事件が流れていったと。小山さんについては石井長官は御存じですか。
  152. 石井道子

    国務大臣石井道子君) 全く面識はありません。ただ、お名前は前に聞いたことがあります。
  153. 加藤修一

    ○加藤修一君 それでは、このサンデー毎日の件につきましては山下委員がまたやるというふうに理解しておりますけれども、憲法の第九十九条、「国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ。」ということが書いてあるわけですけれども、要するにこういった問題については非常に重要なものが含まれているわけですよね。これは明確に、憲法に照らし合わせたって抵触する可能性が十分あると思う。その辺について石井長官の御見解を求めたいと思います。
  154. 石井道子

    国務大臣石井道子君) ちょっとそのようなことにつきましてはお答えできません。
  155. 加藤修一

    ○加藤修一君 先ほど午前中に、産業廃棄物の件でございますけれども石井長官は、国民の信頼が得られるように、あるいはその適切な処理が得られるようにというような話をしているわけでございます。これはあくまでも廃棄物処理法に関してでございますけれども、みずからのそういった、いわゆるアスベストを最終的にどういうふうに処理したとかいろいろな問題がある、その辺についてもやはりこういったみずからが答弁された内容に即して私は行動を展開していただきたいと思います。  以上です。
  156. 山下栄一

    ○山下栄一君 平成会の山下でございます。  今、加藤委員の方から質問の予告をしていただきましたけれども、私はこの飯能中央病院の問題につきましては、やっぱり環境行政をあずかる最高責任者としての長官の資質にかかわる問題であると思いますので、重視しておりまして、この問題につきまして質問させていただきたいと思っております。  この飯能中央病院というのは、もともと長官の亡くなられた御主人が本当に命をかけて築いてこられた、また経営してこられた病院であると。それを受け継がれたというふうに聞いておるわけでございますけれども、理事長という役職になられたのはいつからで、いつまでそういう職についておられたのかということをお聞きしたいと思います。
  157. 石井道子

    国務大臣石井道子君) 主人が亡くなりましたのが昭和五十年の二月でございまして、その後しばらくたちましてから理事長を受けたところでございます。
  158. 山下栄一

    ○山下栄一君 いつまで。
  159. 石井道子

    国務大臣石井道子君) いつまでですか。それは平成八年の十一月一日でしょうか。
  160. 山下栄一

    ○山下栄一君 去年の十一月までということでございますね。だから二十一年間理事長という立場でいらっしゃったということでございます。  それで、特にこの環境行政とかかわる話が先ほど出てきましたアスベスト問題だと私は思うんですけれども、このアスベストの有害性といいますか、また現在法的な規制状態はどうなっているのかということをちょっとお聞きしたいと思います。大臣、お願いします。
  161. 野村瞭

    政府委員野村瞭君) アスベストは石綿とも言われておりますけれども、これまでは労働現場でその有害性、例えばアスベスト肺、これはアスベストが肺に入りまして呼吸系の障害をもたらすもの、あるいは先ほども指摘ございましたけれども、肺がん等を来すということで問題になってきたわけでございます。  この問題につきまして私ども環境庁といたしましては、昨年の大気汚染防止法の改正におきまして、アスベストが含まれている建築材料を含む建築物を解体、修理するような場合に一定の基準を設けることによりまして、アスベストによる大気中への飛散等を抑制しようとするものでございます。
  162. 山下栄一

    ○山下栄一君 ちょっと、不正確な答弁はやめてもらいたいと思います。  大臣は環境専門家でございますので、大臣から答えてほしかったんだけれども、このアスベストの有害性というのが非常に問題になったのは昭和六十年代初めだと記憶しているわけでございますけれども平成元年の大気汚染防止法改正で有害物質に指定されている。それで、その前年の昭和六十三年の二月には、大気保全局の大気規制課長の名前で「建築物に使用されているアスベストに係る当面の対策について」、こういう通達が各都道府県の知事あてに出されているわけです。昭和六十三年のことでございます。それを受けて都道府県知事は、例えば県内の病院に対してもこの適切な処置をするための指導をしていったはずなんですね。  昭和六十三年といいますと、石井長官環境政務次官になられた年でもあるわけでございまして、このアスベスト問題が大変な大きな問題になっておって、有害性が、発がん性がもう指摘されておるわけでございますから、自分の病院はどうなんだということをやっぱりすぐ思いつかにゃいかぬと思うんですよね。  ということは、昭和六十三年当時、大変問題になったときに飯能中央病院がアスベストを天井板に使っているということを御存じなかったんでしょうか。
  163. 石井道子

    国務大臣石井道子君) 私は建築につきましては素人でございまして、かなり前に建てられた病院でございまして、たしか昭和四十五、六年ごろではないかと思うんですが、その時点でそのようなアスベストを含んだ建材が使われていたということは知りませんでした、昭和六十三年時点ですね。その後もちょっとそのような問題については知らなかったわけでございます。
  164. 山下栄一

    ○山下栄一君 環境庁長官、それはひどいですよ。  環境庁の政務次官されていたそのころの大気保全局の課長さんが「建築物に使用されているアスベストに係る当面の対策について」と、具体的に知事等を通して指導しているわけですよ。だったら、当然我が病院はどうなんだということについては問題意識を持ってなかったら環境行政を担当できないでしょう、それは。  それで、これが昭和六十三年の話です、だから。翌年にはもう有害物質に指定されているわけです、法律に。それでずっと放置していて、去年やっと二月に工事を開始した、それで八月の下旬に完成しましたと。そんなんじゃ環境に取り組む資質が問われますよ。そんな人に環境庁長官を任せて大丈夫なのかということになりますよ。環境政務次官をやられ、そして党の環境副部会長を三期も務められたんでしょう。まさにそのときの話なんですよ、これは。それも命をかけて御主人が病院経営をやってこられたその病院を受け継がれて、理事長という最高責任者で二十年間やってこられたわけでしょう。そんな大事な病院のことについて、環境に一番大事な、それがもう発がん性、ましてや人の健康を預かる病院の話だから、これは。そんな意識が低いことじゃ、これ、いろんな問題を今審議していますけれども、大丈夫なのかとなりますよ。どうなんですか。
  165. 石井道子

    国務大臣石井道子君) 最初のころはそのような事情でよく知らなかったと言っては無責任かもしれませんけれども、その後アスベストの問題がいろいろと話題が出てまいりまして、その時点で調べた時点では建築の材料になっているということは、違法ということではないにしても、その建物が解体をされたり、アスベストが飛散してしまうような状態になることは非常に害があるというふうに指摘をされておりまして、そのように私は理解をしてまいりました。病院の実態、実情を、アスベストの問題で何か害がありそうかどうかという点についてはチェックをさせまして、特に天井からそういうアスベストが下がってくるとか飛散するとか、そういう状況がないということは承知していたわけでございます。
  166. 山下栄一

    ○山下栄一君 アスベスト問題が非常に問題になってきた最初のころだったというお話をされましたけれども、だからこそ大事な病院で、人の命を預かる病院で、御自身が環境政務次官もされているはずだから、真っ先にそういう模範を示していくというか、古い建物にはアスベストが使われているのはわかっているわけだから、知りませんでしたとか、問題になったばかりでしたとか、それはもう言いわけとしか言いようがないですよ。  それはしっかり、それを認めなきゃだめです、意識が低かったんですと。どうですか。
  167. 石井道子

    国務大臣石井道子君) 先ほども申し上げましたように、何か素人的な立場で十分にその問題を強く認識していなかったということは御指摘のとおりでございます。
  168. 山下栄一

    ○山下栄一君 それで、二、三年ぐらいだったらまだわかるけれども、十年近く、十年というのは大きいけれども、九年放置していたわけですよ。  これは話にならないですよ、そんなのは。  次の問題に移ります、時間があれしてございますので。  次に、この中央病院の薬剤師さんです。薬剤師さんのこの一日調剤数というのがルール化されていると。薬剤師さん一人につき一日の平均調剤数が八十を超える場合は薬剤師さんを一人置かにゃいかぬのだと、そういう規定があると思うわけでございますが、その規定についてちょっと教えてください。
  169. 大塚義治

    説明員(大塚義治君) お尋ねの件でございますけれども、医療法という法律がございまして、病院あるいは診療所の人員配置あるいは構造設備などについて一定の基準を定めたものがございます。それに基づきまして、特に職員の配置につきましては医師、看護職員あるいは御指摘の薬剤師などにつきましての基準があるわけでございますけれども、薬剤師につきましては調剤数八十ごとに一人というのが基準になっておるところでございます。
  170. 山下栄一

    ○山下栄一君 医療法施行規則十九条にその旨を書いてあるわけでございますけれども、この調剤数に関する規定、施行規則に載っておる、これに対する違反がこの飯能中央病院ではあったと。県の調査が年一回、これは医療監視という制度に基づくものだと思いますけれども、毎年指導を受けていたと。要するに、基準オーバーしていると。  調査のたびに指導を受けておったということについては長官は御存じだったんでしょうか、当時理事長だったと思いますが。
  171. 石井道子

    国務大臣石井道子君) ある時点でそのような報告を受けたことはあります。
  172. 山下栄一

    ○山下栄一君 どなたから、いつの話ですか。いつですか、ある時点というのは。
  173. 石井道子

    国務大臣石井道子君) それは病院監査というのが年一遍あると思いますが、それがその年によってやる時期は違いますが、その監査をした結果について一カ月とか二カ月たちましてから多分報告を受けたと思います。
  174. 山下栄一

    ○山下栄一君 僕はこの薬剤師の問題は、長官は人一倍関心が高くならなきゃならないと思うんです。長官はみずから薬剤師の資格をお持ちですし、日本薬剤師連盟の副会長もされた御経験もあります。日本薬剤師連盟の顧問を現在もされていると思いますけれども、そういう立場で、もともとこの薬剤師の職の確立によって医療の質を向上させるんだという熱い思いで政界入りされたということをお聞きしているわけでございまして、この長官の命ともいうべき薬剤師の資格が、この御自身が経営されている飯能中央病院でルール違反してきた、それもたび重なる指導を受けておったということは、これは大変な問題である、重大な問題であると、こういう御認識があるのかなというふうに今の御答弁を聞いて思ったんですけれども、ちょっと認識が甘過ぎるんじゃないですか。
  175. 石井道子

    国務大臣石井道子君) 細かい医療従事者についての状況というものについては完全に掌握できなかったという関係もありまして、特に薬剤師の場合には数が不足であるということが何回かあったというふうにも聞いておりました。  監査の結果、そのような問題点があれば、それはすべて早急に改善するようにということを現場には指示してきたつもりでございますけれども、特に薬剤師は今大変需要が多くて、その獲得にかなり苦労しているというふうな現場の話も聞いてきたところでございます。特に病院というのは、時期によってとか、あるいはその年によって患者数とか調剤数とか、そういうものについてはかなり波があるということもありまして、満たされている年もあるし、そうでない年もあるというふうなことがありましたが、必ず、そのような医療監視の結果、その数を満たせるようにということで、そのことは現場にずっと指示をしてきたところでございます。
  176. 山下栄一

    ○山下栄一君 だから、長官、全国的に需要が多くてなかなか満たすのが大変だったんだと、そういう言いわけは、普通の、薬剤師に余り関係のない責任者でも言ってはならない言葉かもわかりませんけれども、長官御自身が薬剤師のそういう立場なり待遇なり、そういうのを積極的に保障していくそういうかなめにいらっしゃるわけでございまして、その方がそんな認識で病院を経営されておったのかと。自分の病院だけについてはそういうルール違反はしないぞと。たび重なる指導を受けていたわけだから、一回や二回の話じゃないんですよ、これは。だから、薬剤師連盟の副会長の権威にかけてもきちっとそれは充足させていく、全力を挙げてと、これがごく自然なお立場じゃなかったんじゃないのかなと。どうですか。
  177. 石井道子

    国務大臣石井道子君) 私といたしましては、常に公的な立場を最優先するものですから、なかなか個人の問題となりますと後回しにせざるを得なかったというのがこの何年かの事情でございます。  ですから、自分の病院がどうであったかと、完全にいろいろ医療が行えるような環境づくりを進めなければならないということは現場の担当者に対しまして常に伝えてきたところでございまして、今後も、特に薬剤師の定数が満たされるようにその点は特に注意をして当たってもらうように話をしてまいりたいと思っております。
  178. 山下栄一

    ○山下栄一君 だから、要するに意識が低過ぎて、病院の経営者として、また日本薬剤師会の中心者としてもう完全に失格である、こう言わざるを得ません。  ダニによる疥癬症という騒ぎが飯能中央病院であり、県の立ち入り検査を受けたと。患者さんも感染し、病院職員も感染したと。一年半前の話でございます。これについては、理事長の立場で事実を確認されておりましたか。
  179. 石井道子

    国務大臣石井道子君) その問題につきましては、医療の現場の問題でございまして、私は十分に存じ上げておりませんでした。病院のドクターまた看護婦、いろいろ関係者がそのことに対しましては取り組んだというふうに思います。
  180. 山下栄一

    ○山下栄一君 立入検査につきまして少し行政当局にお聞きしたいんですが、この立入検査、医療法の二十五条によりますと、必要に応じて医療検査を行うと。これは医療監視を含んでおるのかなとも思うわけでございますが、この検査に入った場合、後どういうふうな指導なり報告なりされるのか、お聞きしたいと思います。
  181. 大塚義治

    説明員(大塚義治君) 御指摘の条文に基づきまして、基本的には定例的な監査、指導という形で医療監視というものがございます。これは定例的にやっておりまして、病院ですと全国の病院大体年に一回は監視に入るということになっております。そのほかに必要に応じまして随時立入調査などを行うわけでございますが、その結果必要がございますれば改善命令を出し、あるいは口頭で指導しという形で必要な手当てを講ずるわけでございます。  現実には、各都道府県さらにその実施機関でございます保健所でそうした監視、指導を行っているのが現状でございまして、その結果につきましては随時私どもにも報告をちょうだいする、こういう仕組みになっておるところでございます。
  182. 山下栄一

    ○山下栄一君 立入検査は入ったわけですから、それに基づいて指導があると思うんですね。その指導がどう改善されたかという報告をしなくちゃならない、こういう手続になっているのではないかなと思うんですが、これはよろしいですか。
  183. 大塚義治

    説明員(大塚義治君) 基本的にはおっしゃるとおりでございます。
  184. 山下栄一

    ○山下栄一君 今申し上げた平成七年のダニ事件ですけれども、これについては長官は全然関知してない、立入検査入ったこともわからないし、どんな指導を受け、管理者が、院長さんですか、知事並びに厚生大臣、厚生省にどんな報告をされたのかは全然御存じないんですか。
  185. 石井道子

    国務大臣石井道子君) 申しわけないんですけれども、知りませんでした。
  186. 山下栄一

    ○山下栄一君 この病院に勤めておられる方の証言に基づく話でございますが、ことしの一月十八日、これは既に理事長はおやめになってからの話でございますけれども、今医師の資格を持ったお嬢さんが理事長されておるということをお聞きしておりますが、長官としても責任なしとしないと、私はそういうふうに思うわけでございますが、ことし一月十八日に九十一歳のおばあちゃん、女性患者の方がベッドから転落した、午前四時ごろの話であったと。このときに午前五時半から三時間以上お医者さんが不在の状態が続いておったという、こういうふうな証言があるわけでございますが、これにつきまして質問したいと思うわけでございます。  医師の当直体制について医療法十六条に規定があると思いますが、これを説明してください。
  187. 大塚義治

    説明員(大塚義治君) 医療法十六条に規定がございまして、病院の管理者についての責務でございますけれども、「病院の管理者は、病院に医師を宿直させなければならない。」という規定がございます。若干の例外がございまして、近接した場所に居住施設があるような場合はその例外もございますが、原則的には管理者が医師の宿直をさせなければならないという規定がございます。
  188. 山下栄一

    ○山下栄一君 この規定につきましては罰則があると思うんですね。その病院の開設者なり管理者がこの罰則の対象となるという規定があると思うんですけれども、示してください。
  189. 大塚義治

    説明員(大塚義治君) 同じ医療法の第七十四条に、「次の各号の一に該当する者は、これを十万円以下の罰金に処する。」という規定がございます。そのうち、三号までございますけれども、第一号に、十六条の規定に違反した者という規定がございますから、場合によりましては、例えばそういった状態が常態化するとか、非常に悪質であるとかというようなケースの場合につきましては管理者等に対しまして罰金刑が処せられる可能性があるという規定がございます。
  190. 山下栄一

    ○山下栄一君 もう一つ。この飯能中央病院の場合、看護婦さんの数が届け出と実態が違っておったという証言もあるわけでございますが、こういう県への届出数と実態が異なっていた場合、虚偽の報告がされた場合の罰則について御説明ください。
  191. 大塚義治

    説明員(大塚義治君) 虚偽の報告の場合に、いろんなケースがございますけれども、主として実務上問題になりますのは、むしろ、医療保険の支払いの際に必要な人員に応じまして支払うという仕組みがございますので、支払いの金額に差異が生じるということがございます。そういう場合には返還をお願いするというケースもございます。
  192. 山下栄一

    ○山下栄一君 私が申し上げておるのは、七十四条の罰則の対象になる場合があるかということをお聞きしております。
  193. 大塚義治

    説明員(大塚義治君) ちょっとお時間をいただきまして、すぐにお答え申し上げます。
  194. 山下栄一

    ○山下栄一君 七十四条二号に「虚偽の報告をし、」というのがありまして、その場合は罰金、罰則の対象になるという規定があるわけですね。それでよろしいですか。
  195. 大塚義治

    説明員(大塚義治君) 大変失礼をいたしました。おっしゃるとおりでございます。
  196. 山下栄一

    ○山下栄一君 長官、先ほど申し上げましたように、「病院の管理者は、病院に医師を宿直させなければならない。」という、これは医療法第十六条の規定、これは法令違反の疑いがあるという証言があるわけでございます。先ほど申しましたように、看護婦の体制につきましても七十四条の罰則の対象になる。場合によってはこれは法人の代表者、理事長が直接責任を、罰則の対象になるという規定もあるわけでございまして、これについて、今具体的に申し上げましたが、長官はこの事実について、証言について御認識ございますか。
  197. 石井道子

    国務大臣石井道子君) 当直の問題につきましては、もう長い間年中無休の二十四時間体制ということで医療を続けてきたのでございまして、当直医は必ず置いているわけでございます。  そして、看護婦の問題につきましては、私もこの問題については問い合わせをいたしまして、直ちに調査をしてもらいました。そして、それは多分県を通じて厚生省の方にも報告が行っていると思いますけれども、その数については条件を満たしているというふうに聞いております。  以上でございます。
  198. 山下栄一

    ○山下栄一君 私もこれ取材した結果に基づくものでございますので、もともとニュースソースは別のところでございますけれども、先ほど申し上げた一月十八日午前五時半から三時間以上医師不在の状態があったという具体的な勤務者の証言があるわけです。これにつきましては病院の病院日誌、看護日誌というのがきちっとあり、これは医療監視員の検査の対象になっているはずでございます。調べればわかる話だというふうに思うわけです。  それと、看護婦の数につきましても県への届け出数と実態が異なるという、これによって、このことが原因となって病院の中で事件が起きたというふうなそういう指摘もあるわけでございまして、この二点につきまして、看護婦の定数の問題そして宿直の特に一月十八日の状況につきまして、長官が調べていただいて、大事な病院だというふうに思いますので、またこれは長官の人格にかかわることでもあると思いますので、きちっと調べていただいて報告願いたいと思います。
  199. 石井道子

    国務大臣石井道子君) 現在、私理事長を退任しておりますので直接タッチできる立場ではありませんけれども、いろいろと前からのいろんなつながりもあるわけでございまして、できる限りそのような調査をするように指示をしてまいりたいと思っております。
  200. 山下栄一

    ○山下栄一君 調査の指示はわかりました。調査の指示に基づいて御報告願えますでしょうか。
  201. 石井道子

    国務大臣石井道子君) 担当者に申し伝えておきます。
  202. 山下栄一

    ○山下栄一君 先ほどスプリンクラーの話がございましたが、これも先ほどのアスベストの工事と同時に去年の八月末に完成したと。これにつきましても、アスベストと同じように本当にすぐ手を打たないでだらだらと放置しておいて、それでもう猶予期間が切れてから完了したという、非常に失態とも言うべき、これも長官が理事長をされているときの話であるわけでございます。このスプリンクラー問題につきましても、消防法施行令の改正によって設置が義務づけられた、八年間の猶予期間は与えられたと。猶予期間過ぎてからこれ完成させたという、これはもう病院の経営者としては非常に質の悪いというか、そういう対応をしておられるわけでございます。再三消防署の指導があった。この再三消防署の指導があったというのは、その御認識はございますか。
  203. 石井道子

    国務大臣石井道子君) 私自身に対しましてはそのような報告がなかったものですから、そのことは知りませんでした。
  204. 山下栄一

    ○山下栄一君 平成八年三月三十一日が法令に基づくスプリンクラー設置義務の期限だったわけですね。それから五カ月以上過ぎてから完成させたという、だからこれはもう大変質の悪い経営者であると言わざるを得ないわけで、知りませんでしたとかの答弁では済まないと私は思うわけでございます。  それで、ちょっと確認させていただきたいんですけれども、この理事長というお仕事でございますが、理事長の職務についてちょっと教えてください。
  205. 大塚義治

    説明員(大塚義治君) 理事長でございますから医療法人の理事長ということになるわけでございますけれども、医療機関など医業を経営する団体としての医療法人を代表し、業務全般を統括する、そういう職務というふうに規定をされております。
  206. 山下栄一

    ○山下栄一君 条文の根拠規定、おっしゃってください。
  207. 大塚義治

    説明員(大塚義治君) 医療法の第四十六条の三に規定がございます。
  208. 山下栄一

    ○山下栄一君 今御指摘ございましたように、第四十六条の三に「理事長は、医療法人を代表し、その業務を総理する。」と。長官、理事長というお仕事に二十年以上もおつきになっておられたわけでございますが、「医療法人を代表し、その業務を総理する。」と、このように書いてあるわけでございまして、業務全般にわたって統括する立場にあったと、こういうのが法律に基づく職務なわけです。  私、先ほどからお聞きしていまして、もう細かいことは現場に任せましたので知りませんでしたというお話がございましたが、そういうので済まされない。法律の中身がここに書いてあるわけです。「医療法人を代表し、その業務を総理する。」と、こういうふうに書いてあるわけでございまして、この条文は長官も御存じだったんでしょうか。
  209. 石井道子

    国務大臣石井道子君) 詳しくその条文を見たことはありませんけれども、しかしそのような重大な医療法人の責任者として、責任がある立場であるということは承知しておりました。
  210. 山下栄一

    ○山下栄一君 大事な立場であるということは承知しておったという大事な発言でございます。  それで、私も、理事長というのは責任が問われる立場にあると、社会的責任はもちろんのこと、法律的責任もある。その法律的責任というのは私はこの第七十五条ではないのかなと、このように思うわけでございますが、七十五条について御説明お願いします。医療法の七十五条です。
  211. 大塚義治

    説明員(大塚義治君) お示しの医療法七十五条はいわゆる両罰規定ということでございまして、法人の代表者につきましては、その法人の業務及び行為に関しまして違反がありましたときに、両罰でございますので、法人の代表としての責任も問われるということの趣旨が書かれた規定がございます。
  212. 山下栄一

    ○山下栄一君 したがいまして、第七十五条、「法人の代表者」は云々とありますけれども、「行為者を罰するほか、その法人又は人に対しても各本条の罰金刑を科する。」と。この罰金刑を科される対象に理事長はなるんだと、こういう認識でよろしいですか。
  213. 大塚義治

    説明員(大塚義治君) その当該行為なり業務が罰則を科されるようなケースにつきまして、場合によっては法人の代表者も同様の刑を科されることがあるという趣旨で、御指摘のとおりでございます。
  214. 山下栄一

    ○山下栄一君 だからこれ、法律的に責任問われるわけですよ。  それで、もとに戻りますが、例えば医師の当直体制、これについて調べるとおっしゃいましたけれども、医師不在の状態があった場合はまさに法律違反なわけでございます、罰則も問われると。  これが七十五条に書いてあるわけです。それから看護体制につきましても、届け出と実態が違う場合に、こういう報告を現場の人がやっていたとしても理事長の責任を問われることがあるということなんですよ。現場がやっていたから知りませんでしたでは済まされないということです、七十五条の規定というのは。  それから、薬剤師の一人当たりの調剤数につきましても、これも医療監視の検査対象になっているわけでございます。これにつきましても責任が問われる場合がある、このように私は思うわけでございます。  それから、ダニによる疥癬症、県の立入検査を受けた。これにつきましても、この検査報告いかんによれば理事長が責任を問われる場合がある、こういうふうに読めるのではないかな。問われるとは言っていませんよ、問われる場合があるんだと。こういうことにつきまして行政当局の御認識をお伺いしたい。
  215. 大塚義治

    説明員(大塚義治君) 行為の状況によりまして、その法律違反の程度、あるいはいわば罰則をもってして矯正をする必要があるような違法な状態であるかどうか、そういう個別具体的なケースにつきましてはそうした司法当局の判断が加わりますけれども、あり得るという意味でいえば、おっしゃいますように個別の違法状態が罰せられます場合に管理者あるいは法人の代表者が同様の責めを負う場合もあるというふうに考えますが、御指摘幾つかの事例につきましては、それぞれの実態によるものであろうと考えております。
  216. 山下栄一

    ○山下栄一君 具体的な事実を通して長官にお聞きしたわけでございますけれども、先ほどの調査し、御報告いだだくことの確認でございますけれども、当直体制の問題、それから看護婦の問題につきましては調べさせて報告しますということでございました。これはこれでよろしゅうございますか、長官。
  217. 石井道子

    国務大臣石井道子君) 私は今現在直接タッチできる立場ではありませんけれども、担当者に伝えておきます。
  218. 山下栄一

    ○山下栄一君 担当者に伝えるのではなくて、大事な、環境庁長官の本当にこれは現在の責任を問われる話だから、きちんと報告してくださいよ。  だめですよ、そうじゃないと。言っておきますじゃだめですよ、長官。
  219. 石井道子

    国務大臣石井道子君) 報告いたします。
  220. 山下栄一

    ○山下栄一君 薬剤師一人当たりの調剤数、これも法令に基づくもので、これにつきましては長官、先ほどは事実があったということをお認めになったわけでございますけれども、それでよろしいですね。
  221. 石井道子

    国務大臣石井道子君) そのような医療監視の中で指導があったということは聞いているわけでございまして、その問題も状況を十分把握しなければというふうに思います。
  222. 山下栄一

    ○山下栄一君 長官、さっき、たびたびこの医療監視員制度に基づく調査によって指導を受けていたというのは承知しているとおっしゃったんですよね、指導を受けているとちゃんと聞いていたと。僕が先ほど申し上げたように、長官は薬剤師連盟の顧問でもあるわけだから、大事な立場なわけだから、こういう問題は責任重大ですよと私が申し上げたわけです。これは改善しましたでは済まされない問題ですよということを申し上げたわけでございますので、これにつきましても、違反の事実があった年、これは長官の権威にかかわることだから、薬剤師の話なんだからね。これも御報告ください。
  223. 石井道子

    国務大臣石井道子君) そのことも含めまして、現場に指示をしていきたいと思います。
  224. 山下栄一

    ○山下栄一君 現場に指示はいいんですよ。だから、この年には違反していたという記録が残っているわけだから、残さなきゃならないという法律があるわけですから、これに基づいてきちっと御報告お願いしたいと思います。答弁をお願いします。
  225. 石井道子

    国務大臣石井道子君) そのように、御期待にこたえたいと思います。
  226. 山下栄一

    ○山下栄一君 それから、ダニによる疥癬症という、これも非常に情けない、県の立入検査を受けたという話であるわけでございます。これについては入院患者も感染し、病院職員も感染したという話でございますけれども、こういう清潔保持ということにつきましては非常に病院というのは大事な責任を負っておるというふうに思うわけでございますけれども、ちょっと先ほど確認しませんでしたが、この事実はよう存じ上げなかったとおっしゃったんですよね、県の立入検査も受けたんだけれども。こういう清潔保持についてはこれは法律規定があると思うんですけれども、ちょっとお示しください。
  227. 大塚義治

    説明員(大塚義治君) 医療法に基づきまして、構造設備の基準、それの関連で衛生状態を一定の必要な水準に保つという規定がございます。具体的には医療監視の中で、全体といたしましては、人員配置も含めてでございますけれども、およそ百項目の項目がございまして、それに基づきまして個別の医療監視を実施している、こういうことでございます。
  228. 山下栄一

    ○山下栄一君 医療監視要綱の話じゃないんです。医療法の第二十条、これを読んでください。
  229. 大塚義治

    説明員(大塚義治君) 取りまとめて申し上げて失礼をいたしました。  医療法二十条に、清潔保持等という規定がございまして、病院など医療関係施設につきまして、その清潔を保持するものといたしまして、構造設備も衛生上、防火上、保安上安全と認められるものでなければならないという規定がございます。
  230. 山下栄一

    ○山下栄一君 長官、ダニによる疥癬症の話だけれども、病院の中の清潔保持は特に重大である、こういうことで法律の本文に書いてあるんですよ、第二十条に。「病院は、清潔を保持するものとし、その構造設備は、衛生上、防火上及び保安上安全と認められるようなものでなければならない。」と。この責任は業務を総理する立場の理事長にあるんですよ。法律に書いてあるんですよ。  それに基づいて言うと、ダニによる疥癬症で県の立入検査を受けていることは大変重大な問題なわけです。入院患者だけじゃなくて病院職員にも感染したという、これは御存じないというのだったらきちっと調べていただいて、これも御報告ください。
  231. 石井道子

    国務大臣石井道子君) 報告させていただきます。
  232. 山下栄一

    ○山下栄一君 長官、病院の看護婦さんが少ないという疑いを、先ほど申し上げましたら調べるとおっしゃいましたけれども、そういう実態があったかもわからないと。医師不在の状態、政令とか省令じゃない、法律で書いてある医師不在の状態をつくってはならないという、そういう状態があった疑いもあると。こういう状況の中で、先ほど申し上げましたようにことしの一月十八日に、理事長はおやめになったかもわからぬけれども、九十一歳の女性患者がベッドから転落して、そしてそのときに医師がおらなくて対応できなくて、看護婦さんが走り回って、結局よその病院に移して、七日後に亡くなったという事実があったと。  ことしの三月三日、ひな祭りの日には、これも早朝でございますけれども、内科の患者さんが、八十歳代の男性の方が首つり自殺をされたと。これについても、非常に当時のこのお年寄りの状況が不安定で看護婦さんが非常に心配な状況はあったけれども、その該当の階に看護婦さんが早朝いらっしゃらなくてこういう事故につながったのではないかという、これは具体的な事故の話でございます。この自殺の話は長官の方に御報告行っておりますか。
  233. 石井道子

    国務大臣石井道子君) それは報告ございません、今理事長をやめておりますので。
  234. 山下栄一

    ○山下栄一君 やめておられるということでございますけれども、これにつきましても、私は今環境庁長官のお立場というのは人の健康を守り環境を守っていくという、命を守るためのさまざまな施策を場合によっては他省庁もリードしながら指導していく立場にあるわけでございまして、命をかけて築いてこられたこの病院の中においてさまざまな疑いをかけられておる、事故も起きている。そんな状態の中で、私は今回の飯能中央病院の問題というのは大変大きな問題であると思うんです。  アスベストの問題なんかは、これは環境庁長官の意識がいかに低いか、資質が問われてもやむを得ないというふうに思うわけでございまして、この問題につきましては事の重大性にかんがみまして、その御報告に基づきまして、先ほどいろんな御報告をいただくということがございましたので、きょうはもう時間がございませんけれども、私はまた長官の責任をきちっと問うていきたい、このように思っております。  全体的に私はさまざまな問題を具体的に指摘し、そして長官にも御報告を求めてお約束いただいたわけでございますけれども、この飯能中央病院の今は理事長ではないかもわからないけれども、二十年以上にわたって理事長をされ、そして御自身が環境庁長官という立場で、薬剤師の職の確立をしながら医療の質を向上させたいという、それが私の政治信条だというふうに言われている長官でございますので、大変これは大きな問題だと私は思いますので、最後にその所見を求めたいというふうに思います。
  235. 石井道子

    国務大臣石井道子君) 今さまざま山下議員から御指摘をいただいたわけでございますが、医療の問題は人命にかかわる大変重要な問題でございます。環境の問題もまさにそのような問題、同じ共通の目的を有しているというふうに考えておりますし、今後も、理事長職はやめまして医療については立場を離れましたけれども、具体的な問題についてはお答えしたりタッチすることはできなくなりましたけれども、やはり最善を尽くして人命を尊重する立場から取り組んでいきたいというふうに思っております。
  236. 大渕絹子

    大渕絹子君 きょうは環境特別委員会で一般質疑ということでございますけれども、今まさに厚生委員会の中で廃掃法の改正問題が審議をされている中日ということでございまして、私たちも環境特別委員会で廃掃法の審議を一緒にやりたいということの中で御提案もし調整をしてきたわけでございますけれども、残念ながら連合審査ということにはならずに、きょう、こうして環境特別委員会の中で集中審議が行われているということでございますので、関係省庁におきましてはぜひこの環境委員会での質疑というものを参考にしていただく中で、行政方、努めていただければ幸いというふうに思っております。  以下、産業廃棄物施設について質問をさせていただきます。  私が住んでおります新潟県小千谷市大字岩沢字田代という地内に、今産業廃棄物の中間処理施設が建設をされようとしています。  最近、参考資料でも見せていただいたわけですけれども、この産業廃棄物の中間処理施設、特に焼却施設の建設が大変盛んでございます。例えば九三年が百三十三カ所であったのが九四年には二百十八カ所というふうに、一年間で八十五カ所も建設をされているわけでございますけれども、九五年、九六年とどのぐらいの数字になっているか。これは通告していませんけれども、教えてください。
  237. 仁井正夫

    説明員(仁井正夫君) お答えいたします。  焼却施設、産業廃棄物処理施設といたしましては、幾つかのタイプに対象の焼却物によりまして分かれております。それぞれで申し上げますと、汚泥の焼却施設につきましては、平成五年、平成六年が二十三施設平成七年には二十六施設となっております。廃油の焼却施設につきましては、平成五年四十八施設平成六年三十施設平成七年二十六施設となっております。それから、廃プラスチックの焼却施設につきましては、平成五年二百十五施設平成六年二百十九施設平成七年二百三千七施設となっております。上記以外の例えば木くず等の焼却施設につきましては、平成五年七十三施設平成六年五十六施設平成七年五十九施設。  以上、各年度の許可件数でございます。
  238. 大渕絹子

    大渕絹子君 その中間処理施設が大変急激にふえているということの中で、私の住んでいる地域でもこの施設が建設をされようとしているわけです。今、そういう処理施設については地元の人たちの反対運動が起こってくるということが非常に懸念をされるというふうに思うわけですけれども、なぜか今おっしゃったように数がふえている。その手続に非常にこそくな手段が行われているというふうに思うんです。  実は、地域の人たちがこの建設を知らされるのは県の許可がおりる直前になってなんですよね。  そこまでは、土地の取得から、地域のその他の土地の人たちの同意書をとるところから、一切伏されていく。そして、いよいよ許可申請をするときに、地域の住民、それもごく近間の地域の人たちの同意が得られなければならないということで、この場合は三百メーター以内というようなことの中で該当するケースはたった二軒ということだったわけですけれども、そこの同意を得た中で申請書が出されていって許可がおりてしまう。そして、その周辺に住んでいる地域の人たちはその後ようやく知らされて、これは大変だと。いわゆるダイオキシン問題なども大変重要な問題になっておりまして、中間処理施設焼却施設ですので、それによる汚染なども非常に懸念をされて反対運動が起こる。そうすると、そのときにはもうどうにもならない状況なんですね。  この中間処理施設については許認可が県に与えられておって、県が許可をしてしまうと、たとえ地元の住民が全員で反対したとしてもなかなかその許可については取り下げができないというような状況にあるわけでございますけれども、今、岩沢地内に住んでおられる九割以上の人たちが反対署名をして市や県に陳情している。そういう状況の中で建設が始まっていますけれども、このことについて厚生省は御存じと思いますけれども、いかがですか。
  239. 仁井正夫

    説明員(仁井正夫君) お尋ねの件につきまして、私どもの把握しているところを申し上げたいと思います。  新潟県小千谷市岩沢地区において民間の業者が建設中の焼却施設についての事案と承知しております。この業者は、地元住民の同意を得て、公害防止協定の締結、あるいは地元の小千谷市とも公害防止協定の締結といったようなところを経まして、平成七年十月に県から施設設置許可を得たというふうに聞いております。  その後、焼却施設の建設に関しまして住民と市議会から公害発生可能性といったことによって反対運動が起こり、施設への搬入道路に使用される土地の地権者がこの業者との売買契約を破棄する旨の表明をした、業者の方では地権者に通行を認めさせる仮処分の申請を行ったというふうに聞いております。新潟地方裁判所長岡支部において業者に通行を認めさせる仮処分の決定を行ったため、業者は平成八年十二月から施設の建設に着手しているというふうに承知しております。
  240. 大渕絹子

    大渕絹子君 仮処分を許す判決の中で、何を理由にしていますか。
  241. 仁井正夫

    説明員(仁井正夫君) そこまで承知しておりません。
  242. 大渕絹子

    大渕絹子君 調べるように通告をしてあったと思いますけれども、裁判の判例では、いわゆる袋地に係る隣地通行権を認めるという形で、全く道路のなかったところに道路の新設を認めるという形で許可をしているわけですけれども、これは実際には袋地でなかったんですよ。農地であったときには田にも畑にも行くための道路というのはちゃんとついていたわけで、袋地ではなかったわけですけれども、県が減反ということの中で残土捨て場にしたところから、道路に使っていた部分までも今埋め立てられていてなかなか道路に供することができないということの中で、袋地という認定を裁判所はしてしまったわけです。  そして、その袋地に行くためには道路の建設も可能であるという条文を盾にとって、反対をするほかの地主の土地に強制的に道路をつくって、そこに資材を搬入して今建設を始めようとしている。もともとこの道路から離れていて反対派の土地を通らなければ行けないような離れた袋地に建設を許可したことに問題があると思うのですけれども、この認識はいかがですか。
  243. 仁井正夫

    説明員(仁井正夫君) 廃棄物処理法におきます施設設置許可、これはその施設施設として有すべき構造の基準に適合しているといったことを主として審査の対象にするものでございます。搬入道路あるいは工事用道路の確保といったこと自体について、廃棄物処理法の施設設置の許可申請の中で法律上の審査対象にするという性質のものではないと思っております。
  244. 大渕絹子

    大渕絹子君 厚生省と県は中間処理施設の建設を大変積極的に推進しているんです。そういうことの中でこういう事態が起こっているというふうに思うんですね。だから、今土地収用の問題でも大変大きな問題になっているわけですけれども、反対をしている人たちの土地が強制的に道路をつくられて使われていることに対しても、これは財産権の侵害に当たってくるというふうに思うわけでございます。  そういう状況の中で、この騒動に巻き込まれてしまった旧地主、当初は売買契約をしてしまったけれども、しかし周辺の人たちの意見を聞いてこれはだめだということの中で、自分の土地を手放してしまった旧地主の人たちがみずから命を絶つというような悲惨なことまで起こっているんです、実際にここの現場で。そういう事態が引き起こっているにもかかわらず、裁判を盾にとって、直ちに反対派の人たちは控訴をしているわけで、まだその控訴の判決も出ていない、こういう状況の中で工事が進められていることは、まことに地域住民の人たちの意向を無視した形で強行的に進められているというふうに思うわけでございます。  それは許認可権は県知事にあるわけで、厚生省がそこのところになかなか触れられないという立場はわかりますけれども、こういう問題が判明をした以上は、やっぱりその監督官庁である厚生省が毅然として、県に対して判決が出るまで一時工事を中止する旨を通達すべきではないかと思いますが、いかがですか。
  245. 仁井正夫

    説明員(仁井正夫君) 道路の利用ということにつきましては、地主さんになるのかもしれませんけれども基本的には住民と事業者の間の問題というふうに受けとめておりまして、これによってその県の許可というところが左右されるという性質のものではないと思っております。
  246. 大渕絹子

    大渕絹子君 そんな答弁をしてもらっても困るわけですけれどもね。こういう社会問題化もしているわけでしょう。そして今ももう控訴されていて裁判中の状況になっているわけですから、その判決が出るまでの間、その中間処理施設の建設についてはちょっと待つようにという指示ができないのですか、厚生省は。
  247. 小野昭雄

    政府委員小野昭雄君) 法律の仕組みにつきましては今担当室長から答弁を申し上げたとおりでございますが、新潟県から一度よく事情を聞いてみたいと思います。
  248. 大渕絹子

    大渕絹子君 こういう産廃施設をつくるときにどうしてこんなに反対運動が起こるんでしょう。  厚生省はそれをどういうふうに認識しておられますか。
  249. 仁井正夫

    説明員(仁井正夫君) 近年、産業廃棄物の処理施設設置をめぐりまして地域紛争がかなり多うございます。  私どもとして考えている要因といたしましては、産業廃棄物の処理施設、そういったものがそもそもいわば迷惑施設ということで受けとめられているということが一つあるかと思います。もう一つは、近年の住民の皆さんの環境意識の高まり、あるいは新たな環境リスクに対する不安の高まりといったところがそういった施設に対する不安をもたらしている。もう一つは、先生がお話しになりました現行の施設設置手続においては住民との手続規定がございませんので、あらかじめ住民に事業内容を明らかにしたり、あるいは住民から意見を徴したりといったような手続がないということが挙げられるのではないかと思っております。
  250. 大渕絹子

    大渕絹子君 住民の意見を聞くということは大変大事な手続だと思います。そして、そういう処理施設が不安な状況住民に対して不安を与えるような状況を今まで放置してきた、そのことが一番の原因にあると思うんです。  そういう中で、自分の郷土の自然や環境、あるいは子供たちの生命を守っていきたいと思う人たちが強力な反対運動を起こすのは、これはごく自然な成り行きであろうというふうに思うんです。  特に、民間の産業廃棄物施設については、その維持管理ということについて住民側は立ち入ることがなかなかできません。ですから、そういう問題はさらに大きくなっていくだろうというふうに思うわけでございます。  また、ダイオキシン調査でもわかったように、焼却炉において、二十四時間体制で連続して焼却をする施設よりも、朝立ち上げて夕方閉めてしまう焼却炉の方がダイオキシンが随分大きく発生するということが明らかになったわけですけれども、どこの焼却炉においても、品質のいい焼却炉で二十四時間体制でごみ焼却をする体制に移行していくべきだと思うんです。  その段取りとして、今いわゆる市町村管理で行われている焼却炉の中で、ごみが不足をして二十四時間燃すことができないところというのはたくさんあると思うんですけれども施設のよいところには産業廃棄物も持ち込めるような状態というのはつくっていくことができないだろうか。そうすれば、ダイオキシン発生も抑えられて、また産業廃棄物の処理もさらに進むのではないかと思いますけれども、このことについてお答えをいただきたいと思います。
  251. 小野昭雄

    政府委員小野昭雄君) 廃棄物の処理及び清掃に関する法律の第十条第二項におきまして、「市町村は、単独に又は共同して、一般廃棄物とあわせて処理することができる産業廃棄物その他市町村処理することが必要であると認める産業廃棄物の処理をその事務として行なうことができる。」ということにされているところでございます。したがいまして、市町村焼却施設におきまして、民間事業者の処理原則というのはあるわけでございますが、そういった点に十分配慮しながら適正な処理が行い得るものであれば、産業廃棄物を処理することは適当であるというふうに考えております。
  252. 大渕絹子

    大渕絹子君 法律上はそうなっていますけれども、なかなか現実のところで産業廃棄物なのか一般廃棄物なのかという分類が定かでないということの中で、料金等々についてもどういうふうに設定をしていいかというようなことの中でもトラブルがあったり、あるいはトラブルというか難しいというようなことの中でなかなか進まないのではないかというふうに思うわけでございます。ですから、そういうところをきちっと厚生省の方でガイドラインみたいなものを出していただいて、焼却単価等々についても適正なものを提示するような形ができれば——厚生省ではない、これは地方で決めることですね。ごめんなさい、そこはちょっと訂正してください。地方で決めて、お互いに協定の中でやれるようになったらいいのかなというふうに思います。  そして、さっきの最終処分場の話で住民から苦情がなかなか絶えないということがあったわけですけれども、廃掃法の建前は、産業廃棄物は排出者責任、企業の責任において処分しなければならないということになっておるわけですけれども、なかなかここが徹底されていない。また、実際には、砒素とかシアンとかが絶対検出されてはならないはずの安定型処分場においても、そういう有毒物質が出てくるというような事態が今全国で起こっている。管理型処分場においても検査をして入れるわけですけれども、有害なものが続出をしてくるという状況が続いています。  そこで、今、溶出試験というのをやっているわけですね。毒物の検査の中で溶出試験というのをやっていて、それにパスをすると処理場の方に入れられるというふうに決められているわけですけれども、この溶出試験の溶液のpHを酸性雨程度、pH四ぐらいの溶液で検査をしたらどうかという提案があるわけですけれども、これについてはいかがでしょう。  今まで極めて中性に近い形の溶液で検査をされていて、重金属などが溶出するような体制になかなかない、だから最初はパスしてしまうというわけですね。しかし、そこに堆積しておく中で、酸性雨や土壌にさらされる中で有毒物質が抽出をされていくという事態があるということを聞いていますけれども環境庁、ここはどうでしょうか。
  253. 渡辺好明

    政府委員渡辺好明君) 我が国では含有量試験ではなくて溶出試験をやっているわけですけれども、これはやはり、今先生指摘ありましたように、最終処分場から溶け出す有害物質で公共用水域あるいは地下水の汚染が生じる可能性がある、これを防止するという観点からやっているわけでございます。  溶媒は、今御紹介ありましたように、我が国ではpH調整を行いまして、五・八ないし六・三のpH調整を行った純水を用いているわけでございます。日本と諸外国と比べますと、それぞれ各国々によってやり方が違っておりまして、我が国の場合には、日本の土壌の特性も一つございますけれども、それ以外に、最終処分場としての産業廃棄物の条件等をできる限り再現することができやすくするということ。それから、これは日本全国大変多くの試験研究機関で分析をいたしておりますので、その面で測定可能性が容易になるといいますか公平になるといいますか、そういう観点から、こういったpH調整を行った純水を用いた溶出試験ということが現状でございます。  ただ、御指摘ございましたように、これでパーフェクトか、また最も望ましいかというふうに問われますと、いろいろな国でいろいろなやり方がございますし、日本も、私どもももう何次にもわたって酸性雨のモニタリングをしておりますので、これから先、雨の酸性度とか、先ほど申し上げました結果の再現性、それから試験の操作性、そういったことを考えると同時に、これから廃棄物処分場の埋め立てのやり方を、基準を変えてまいりますので、例えば上に土をかけるとかシートをどうするとかということとあわせまして、もう少し適切な試験方法がないかどうか、模索、検討したいと考えております。
  254. 大渕絹子

    大渕絹子君 フェニックス計画というのがあるそうですけれども、その計画の中では、この溶出試験とそれから有毒物質の含有テストも同時に行って、そして処分場にきちんと入れていて、大変よい処分場になっているというふうに聞いているわけです。含有量についてももうそろそろ規制の対象にして、さっきのpH四と含有量とあわせてきちんと検査をした中で、遮断型処分場に行くのか、管理型処分場でいいのかということの判断をきちんとしていけば地域住民の不安も解消はされてくるというふうに思いますけれども、積極的に取り組む気持ちはありませんか。
  255. 渡辺好明

    政府委員渡辺好明君) 含有量の方式を併用するそのときの基準は、多分、溶出試験と含有量試験では同じものにはならないと思うんです。例えばその土壌なら土壌の検出される量についての基準は同じものになるとは思いませんが、今私どもの方では、産業廃棄物の試験のみならず、土壌についても環境基準を持っておりまして、そのやり方も大宗は溶出試験に基づいております。一部、含有試験をやっているのもございますので、そういったこととのバランスもございますから、今のお言葉をちょうだいして、いろいろと検討していく中で考えたいと思います。
  256. 大渕絹子

    大渕絹子君 ありがとうございます。環境庁は、こういう環境を管理する省庁として、できるだけ厳しい基準の中で対応していく姿勢が私は求められると思います。  さて、厚生省にお伺いしますけれども、廃掃法は排出者責任ということをうたっておきながら、しかしその排出者に対して何ら罰則規定を設けないのはなぜですか。
  257. 小野昭雄

    政府委員小野昭雄君) 現行法におきましても、排出事業者が例えば不法投棄を行った場合等につきましては罰則がございます。ただ、その罰則につきましては、どういいますか、安過ぎるということで捨て得が起こるのではないかという御指摘等が従前からございまして、今回の改正法におきましては罰則及び罰金の大幅な引き上げというものを図っているところでございます。
  258. 大渕絹子

    大渕絹子君 罰則があっても実際には機能しておらなかったのではないですか。  それでは、排出者が処罰をされるということはたくさんあったのですか。
  259. 仁井正夫

    説明員(仁井正夫君) 申しわけありません。手元にございますのは属性なしの検挙件数で、排出事業者かどうかというところはございませんが、これでいきますと平成七年で六百九十八件の検挙といったような状況になっております。ただ、不法投棄の実態等を見ましても、排出事業者がみずからというのがかなりの割合ございますので、そういう中でペナルティーを受けている者もかなりあるものと思っております。
  260. 大渕絹子

    大渕絹子君 その処分されたのは、処分業者じゃないんですか。
  261. 仁井正夫

    説明員(仁井正夫君) 失礼いたしました。  今のは全体の検挙件数でございまして、不法投棄に関しましては二百五十一件ということになっております。この中には排出事業者もいるものと思っております。
  262. 大渕絹子

    大渕絹子君 一番の責任者である排出業者がなかなか特定しにくい状況にあるわけですね。なぜ特定しにくいかというと、ごみが産業廃棄物か一般廃棄物かの分類というのが非常にあいまいなんですね。明らかに産業活動によって排出されて企業からの廃棄物だと思われるものも、事業系一般廃棄物として処理市町村が負わなければならないような事態が起こっていますね。  第二条のごみの分類では大変あいまいなんですね。建設工事によって生じる汚泥、これは廃掃法では産業廃棄物、しかし建設工事によって生じた残土については産業廃棄物ではない。だから、有害物質を含んだしゅんせつ土砂などが何の法的適用も受けずに処理、処分されるようなこともたびたびあるわけでございます。残土と言えばそれはそれで通っちゃうわけですね。紙くずの場合は、出版業から排出されるものは産業廃棄物、それから印刷業から排出されるものは一般廃棄物。木くずの場合は、建設業の解体等によって排出されるものは産業廃棄物、しかし新築の場合に排出される木くずは一般廃棄物と。  こうなっていて、同じものでも産業廃棄物か一般廃棄物かというようなことが非常に判別しにくくなっている。これでは排出者責任など問われないのではないですか。
  263. 仁井正夫

    説明員(仁井正夫君) 先生の今のお話、一つは廃棄物であるかどうか、廃棄物の定義の問題と、それから廃棄物である物について一般廃棄物であるか産業廃棄物であるか、その区分の問題、二つ御指摘いただいたと思います。  まず、廃棄物であるかどうかといったところから御説明させていただきます。  廃掃法では廃棄物について「汚物又は不要物であって、固形状又は液状のもの」というふうに定義されておりまして、この運用に当たって、主として占有者が有償で売却できるか否かといったところをメルクマールとして廃棄物に該当するかどうかといった点を判断しているわけでございます。  有償で売却できるというものであれば廃掃法の規定が一切かからず、生活環境保全上問題があるのではないかといった御指摘もいただいているところでございます。こういったところもございますので、たとえ有償で売却できる可能性のあるものであっても、実際、野外に長期に放置されるといったような社会通念上廃棄物と類似に扱われているといったものについて廃棄物として規制するなど、実態に即した解釈が行われるように検討を進めていきたいと思っております。  なお、土砂と汚泥のお話がございました。  いわゆる残土、建設や土木工事に伴って発生する土砂につきまして、一般的に土地造成等の材料として利用することができるということから、廃棄物として客観的に観念することは難しいのではないかということで廃掃法の対象となる廃棄物としては取り扱っておりませんが、汚泥につきましては、泥状を呈しており、造成等の材料としてもそういう状態の形で使えるものでありませんので、産業廃棄物としての扱いということになっております。  それから、排出源による一般廃棄物、産業廃棄物の区分の問題でございますが、排出される廃棄物の性状、量といったようなものをとらまえて現在の産業廃棄物と一般廃棄物の区分が定められておりますので、いわば同種類の廃棄物といいますか、ものであっても排出源によってそれが一般廃棄物になる、あるいは産業廃棄物になるといったようなものが存在することは御指摘のとおりでございます。  このような区分につきましては、一般廃棄物、産業廃棄物それぞれの処理ルートといったものが今までの社会的な中でございますので、その見直しに当たりましては、それぞれの処理システムに対する影響がどのようなものになるかといったことも見きわめまして、慎重に検討していく必要があると考えております。  しかしながら、今お話がございました……
  264. 大渕絹子

    大渕絹子君 ちょっと長いです。
  265. 仁井正夫

    説明員(仁井正夫君) 申しわけございません。  新築の際の木くずのように、排出の実態から見て産業廃棄物として扱うことが適切と考えられるものにつきましては、区分を変更する方向で検討したいと考えております。
  266. 大渕絹子

    大渕絹子君 質問をちゃんと聞いて答えていただきたい。次の質問まで答えていただきましたが、ありがとうございました。  それでは、マニフェストシステムというのを今回拡充されるわけですけれども、それの実効性を確保するためには、もう時間がないのでこちらから言わなければなりませんけれども住民にいつでも公開をしてそのマニフェストカードがちゃんとチェックできるような体制をつくらなければならないのではないかということ。あるいは、排出者が廃棄物を入れている処分場が環境への悪影響を及ぼした場合には、みずから必ず責任をとるという体制を確立すること。それから、排出者がマニフェスト事務の中心的負担者となって中小零細の処理業者には余り負担を課すようなことにならないように、そして自治体が排出者に対しては強い権限を持っていることが絶対条件だと思います。  今、県知事は、他のところから搬入をされてくるごみに対してはまことに力がありません、管理できない。こういう状況では、適正な処分場の管理などというのは絶対にできないと思います。マニフェストシステムが拡充されるこの機会を踏まえて、こうした今私が申し上げた要件、これがきちんと満たされるように、実効性を確保できるように対処していただきたいと思います。  最後に、環境庁長官にお伺いいたします。  この廃掃法の中では環境を守る主体というのが明快に書かれておりません。いわゆる産業の事業者は適正に廃棄物を処理する主体として扱われています。また、行政は、市町村都道府県、国とも事業者に対する廃棄物処理事務や処理計画などをして援助する対象になっています。そして、処理業者は規制される一方です。とにかく規制をされる対象。事業者の補完的な役割として扱われていて、環境を守る主体ではありません。もちろん、この法律の中で住民の関与というのは一切ありません。影響評価のところではありますけれども、その結果について住民環境を守る主体にはなっておらない。  こういう法律の中で、環境庁のこれから果たす役割というのは非常に大きいと思うんです。だれが一体この地球環境を守っていくのか。ごみ行政の中で頼れるのは環境庁ということになるわけでございますが、どうぞ環境庁長官の御決意お願い申し上げます。
  267. 石井道子

    国務大臣石井道子君) 環境庁といたしましては、廃棄物の最終処分に係る基準の見直しなど廃棄物処理法の中での役割を果たしますとともに、環境基本計画推進の旗振り役を務めながら、環境保全の責任官庁として関係省庁とも連携をしながら、製品の製造から最終処分に至る各段階における体系的な、また総合的な廃棄物リサイクル対策に取り組む方針でございます。
  268. 大渕絹子

    大渕絹子君 終わります。
  269. 小川勝也

    ○小川勝也君 民主党・新緑風会の小川でございます。  テーマでありますダイオキシンを含む廃棄物とその処理について質問させていただきますが、先ほどの平成会の委員からの質問の飯能中央病院の問題の件に関しまして、非常に重要な興味あるテーマと考えますので、委員長において、御報告をこの委員会に賜れるようにお取り計らいをお願いしたいと思います。  質問をさせていただきますが、まず厚生省にお伺いをいたします。  ダイオキシン問題が大変大きな問題になっております。原子力施設と違いまして、これは全国随所で、例えばごみ焼却施設等いわゆる国民の身近にこの問題があるということが大きな原因だとも思います。そしてもう一つダイオキシンの問題が大きな問題であるという理由が、意図してつくられるものではないということにかかっているものだと思います。  ダイオキシン発生のメカニズムについてどこまで把握されておられるのか。例えば廃棄物の問題だけでも結構でございますので、お答えをいただきたいと思います。
  270. 小野昭雄

    政府委員小野昭雄君) さまざまなダイオキシン発生源の中でも、今御指摘のございましたように廃棄物の焼却施設からの排出が多いというふうに言われております。焼却施設におきましては、廃棄物の不完全燃焼に伴いましてダイオキシン発生いたしますほかに、排ガスの温度が三百度前後の場合に排ガス処理装置において多く発生するということがわかってきておりますが、いわゆる全容がすべて解明されているわけではございませんで、いろんな所見といいますか、御報告等を総合的に勘案すれば、今言えるのはこの二つであろうというふうに考えております。
  271. 小川勝也

    ○小川勝也君 一つごみ焼却におけるダイオキシン発生ということがほぼわかっておるということでございますので、いわゆるごみ焼却施設におけるダイオキシン発生を、あとは手段を講じるだけだということになるかと思います。その件については後で質問させていただくといたします。  私が今回このダイオキシン問題をいろいろと勉強させていただく中で、文明社会に非常な恐ろしさを覚えたものでございます。例えば、私たちが今、日常何気なく使っている塩化ビニールであるとかプラスチック、これが我々人類の歴史の中でどのぐらいの割合の年数をプラスチックや塩化ビニールを使っているかということを考えたときに、人類史上のごくごく短い限られた時間にそのような生活に変わってきたということでございます。  私は、このダイオキシン問題を考えるに当たって一つ思い出したことがございます。例えば、医療の現場においてウイルスや病原菌と闘うために新しい抗生物質を開発する、そうすると今度は新しい菌が誕生して医学がまた新しい抗生物質をつくらなきゃいけない、こんなイタチごっこに似たようなことを我々は文明社会の中で強いられていくのかなということを考えました。  そんな中で、ダイオキシンが偶発的に発生するということにかんがみ、我々の科学技術や文明社会においての生活も日々変わっていくことにかんがみて、また第二、第三のダイオキシンがどこかで発生するのではないかというふうな疑念を私は持っております。  しかしながら、先ほども申し上げましたように、イタチごっこのような文明社会においては、できるだけそれを早く知ることによってしか有効な手だてがないということが言えるかと思います。また、ダイオキシンのような恐ろしい物質が発見されたり発生したりするということが行われると思いますけれども、これをどこかで研究しておられるようなところがあるのかないのか、厚生省にお伺いしたいと思います。
  272. 小野昭雄

    政府委員小野昭雄君) 今、先生指摘になりましたように、科学技術の発展というのが新たな人間の利益あるいは福祉に属するものを生む反面、逆に言いますとまたそれが人間にはね返ってくるというふうな構造というのは、御指摘されている点は私も十分理解できるところでございます。  第二、第三のダイオキシンの危険はないのかという御指摘でございます。  これも先生十分御存じかと存じますが、ダイオキシンが微量でありましてもこれだけ検出できるようになったというのは近年のいわゆる測定技術の進歩というものがあって、従来の技術であれば測定できなかった、検知しなかったというものがはかれるようになった、それでわかるようになったということがあることもまた事実でございまして、環境中に微量に含まれます。そういう物質の分布状況がわかってきたということであろうというふうに私ども理解をしております。  ほかの物質は安全ではないのかということであれば、それは今後さらに新しい人体にとって有害な物質があらわれるかもしれません。この点につきましては、予測をするというのはなかなか難しゅうございます。研究をするというよりも、むしろこれは世界の最先端の研究、ちょっとした報告の中からヒントが得られるというふうな筋合いのものであろうと思いますので、最先端の技術情報の収集、分析というようなことは、私ども厚生省の所管しております試験研究機関、それから私どものいわゆる厚生科学を担当しておりますところでそういった対応をとるべく今いろいろ整備をいたしているところでございます。
  273. 小川勝也

    ○小川勝也君 大変いい御答弁をいただけたと思います。  ダイオキシンへの対応が早いか遅いかはわかりませんけれども、行政が後手後手に回るというのは我が国の常であるように私も感じておりますし、先ほど私が申し上げましたように、早く危険を察知して早く対策を講ずる以外に可能性がありません。私は、厚生省環境庁問わず、今は情報化社会でもございますし、世界の情報やあるいは学会の情報、さらには我が国国内のさまざまな研究機関との情報のやりとりや情報をキャッチするシステムについて一層の御努力お願いしたいということを申し上げておきます。    〔委員長退席理事大渕絹子着席〕  そして、次は単純なる疑問について質問させていただきたいんですが、私どもは、幸いにしてさまざまな調査結果、データなどをいただくことができます。しかしながら、ごく一部の地域でだけその調査が行われていたり、調査地点とかあるいは調査物件というのをどのように選んでいるのかなというのが心配になることがあります。  今回のテーマであります廃棄物処理場は全国にくまなくあるわけでございまして、そのすべてのところに心配の種はあるにもかかわらず、すべてのところをくまなく調査したということも考えにくいと思います。例えば、自治体の管理でいろいろな処分場や施設があると思いますが、いわゆる現地調査といいますか測定といいますか、そういうのが自治体並びに厚生省との関係においてどのようなルールやきっかけにおいて調査をなされているのか、御説明をいただきたいと思います。
  274. 小野昭雄

    政府委員小野昭雄君) 廃棄物の最終処分場につきましては、維持管理基準というのを定めておりまして、最終処分場の設置者に対しまして定期的に施設の周辺の地下水や放流水の水質に関する検査を行うこととしておりますし、またその他の施設につきましても定期的にばい煙や水質に関する検査を行うこととしているところでございます。また、都道府県の役割といたしましてはこういった検査を適正に実施するということを指導いたしているところでございます。そういったことで、施設の維持管理が適正になされているかどうかということをチェックするということになるわけでございます。  なお、先ほども問題になりましたように、ダイオキシンのようなものになりますと私どもが把握しておりますのは大体二十数機関ぐらいでしか測定できないというようなことになりますから、例えば市町村測定したいという御意向があれば、都道府県がそういう検査機関を御紹介するというふうなこと等の相互の支援関係の中でこういった部分の行政を進めていくということになろうと思います。
  275. 小川勝也

    ○小川勝也君 全国のごみ処理場のダイオキシン値をデータとしていただいております。その中で、我々がこの質問をするのに当たりまして目にしたデータが、例えば所沢の問題であったりあるいは茨城県の問題であったり、特定地域のものをよく目にするわけでございます。  それに比べまして、この数値だけ見ますともっともっと高い地域があるように思うのでございますが、それはその自治体がデータを出しておるのか、あるいは細かい調査をしておるのか、しているんだけれども我々の手元に来ないのか、それともしょうとしていないのか。あるいは自治体が住民の方々からの発意をもとにしてやるのか。あるいは余りにも数値が高いと、厚生省の方から、おたくはちょっと調査した方がいいですよというふうなことがあるのかないのか。その辺をお伺いしたいと思います。
  276. 小野昭雄

    政府委員小野昭雄君) 今、具体的に調査といってもいろんな調査があろうと思います。ほかの環境データをやるとか、それからごみに関して言えば適正に運転されているかどうか、あるいは健康との関係とかいろんなことがあろうと思います。  今、先生がアプローチの方法幾つかお示しになりました。私は、どれが絶対的なアプローチというのではなくて、例えば国が都道府県を通じてお願いすることもあれば、都道府県の方で独自に市町村指導して行われることもあれば、あるいは市町村都道府県の援助をしてもらいながらやるということもあれば、あるいは住民の方々が非常に御不安に思っていらっしゃるからそれを受けて立とうと、いろんなアプローチの方法があると思います。
  277. 小川勝也

    ○小川勝也君 これは御答弁いただけるかどうかわからないんですけれども委員の方は御承知だと思いますけれども、所沢では女性についていろいろなデータが公表されているように思います。  例えば、子宮内膜症が多発するとか、未熟児の発生率が高いとか、さまざまなデータが、これが権威があるのかないのかはわかりませんけれども、公表されております。  今の局長の御答弁を聞きますと、所沢市のごみ処分場よりももっともっとその周辺の住民に多大なる影響を与えていながら、所沢のような調査をしておられないというような自治体があるかもしれないということでございますが、いかがでしょうか。
  278. 小野昭雄

    政府委員小野昭雄君) 大変申しわけございません、そこまでは把握をいたしておりません。  ただ、比較的多い、多いというのは大変変な言い方かもしれませんが、今、先生が例としてお挙げになりました、例えば所沢周辺の問題と、それからいろんな健康指標、例えば死亡率でありますとか病気との関係というものを調べようと思いますとどうしても、私ども厚生省の統計情報部にいろんな関連データがあります、そういうものも使わなければいけませんので、そういうお申し越しがあることはよくあるというふうに私は聞いております。  ただ、ダイオキシンとの関係で一言だけ申し上げておきますと、いわゆる急性毒性ではございませんで慢性毒性でございますから、微量というのは表現が非常に難しいわけでありますけれども、いわゆる急性中毒の量よりはるかに低い量で長年にわたって暴露された結果として事が起こってくるということになりますので、その暴露の推定、どのぐらい暴露したかという推定と現在ある現象の解明というのは、これは疫学的にもなかなか難しいのではないかとは思います。
  279. 小川勝也

    ○小川勝也君 そんなことを聞いているんじゃないんだよ。  だから、例えば所沢ではそういう女性の病気について測定をした人たちがいたと、茨城県の一部でごみ焼却場から出る煙とがんの発生率について調査をした人たちがいると仮定をした場合、それよりももっともっと被害が甚大にもかかわらず、いまだそういう個別の調査をされていない地域があってもおかしくないシステムだということを御承知いただきたいんです。
  280. 小野昭雄

    政府委員小野昭雄君) 精査をしておりませんので、そういうところがあるかないかということについてはちょっとお答えを差し控えさせていただきますが、御指摘がありました点は十分……。
  281. 小川勝也

    ○小川勝也君 余りうれしいお答えじゃないと思いますけれども。これは、たまたま民間のボランティアの方々あるいは住民の代表の方々が大きな問題意識を持って、どうしても調査をしたいということで強い希望を持って、さまざまな自治体が腰を上げるか上げないかわかりませんけれども、そういうことによってデータが出てくるという場合が多いと思うんですね。ですから、たまたま調査をしたところだけが、全国でそこだけが大変な問題が起きているのではなくて、科学的に言いますと、どこに起きているかわからない問題がたまたま調査したところから出たと私たちは考えるべきだと思うんです。それを御了解いただいたと思います。    〔理事大渕絹子退席委員長着席〕  しかしながら、そのダイオキシンを退治するためにはごみ焼却場を中心に焼却のシステムを改めていかなきゃいけない、そういうことで一致しておりますので、あとは行政の側でそれをどのように進めていくかという問題だと思います。  それで、今度は処理施設の新設についてお尋ねをしたいわけでございますが、審議会のようなものが出した紙を見せていただきまして、大変よくわかる書類になっております。  そうしますと、どういうことが言われるかといいますと、基本的にそのごみ処理システムを四段階に分けてあります。これは全連続型、准連続型、機械化バッチ型、固定バッチ型と、こういうふうに分かれておるんだと思いますけれども、私が最初に申し上げたほどダイオキシン発生にはいいものだというふうに理解をしております。  御案内のとおり、これは明確にごみの量に関係をしてくるわけでございます。たくさんのごみが集まるところでありますと、いわゆる連続型の施設をつくれます。しかしながら、私の選挙区の北海道のように、敷地あるいは地域の面積が広くてもそこに人口が少ないと、そういうより効果的な炉が置けないわけでございますが、その辺を含めて、その目標もここに数値がありましたが、計画が十二分になされるのかどうなのか、お答えをいただきたいと思います。
  282. 坂本弘道

    説明員(坂本弘道君) ごみ焼却施設からのダイオキシン排出量削減するということのために、今後新たに建設されます施設、これは原則といたしましてダイオキシンの排出の少ない、今先生おっしゃいました全連続炉とすることが適当であると考えております。このため、ごみ処理広域化を進め、小規模なごみ焼却施設の集約化を図るということで大規模な全連続炉に転換してまいりたいと、かように考えております。  ただ、先生今おっしゃいました北海道とか離島などのような人口が少なくて全連続炉を整備することが困難な地域、ここにつきましては、どのような処理方法が適切なのか個別に検討する必要があるんじゃなかろうかと。ダイオキシンの低減化を図りつつ、地域の実情に即した施設の整備を検討するようこれから指導してまいりたいと、かように考えております。
  283. 小川勝也

    ○小川勝也君 この方向は非常にいいと思うんですけれども、私は非常に困難な道があると思います。  それで、今御説明がありましたとおり、例えば市町村に別々にいわゆる機械化バッチ型の炉があるとしますよね。そうしますと、このプログラムによりますと、そこではみんなで話し合って全連続型の焼却処分場をつくればいいんだという話ですけれども、ただでさえナーバスになっているごみ処理場を、例えば広域化した市町村にまたがってどこにつくるのかなんということを広域行政の自治体の方々で話し合うということでありますと、僕は物すごい時間がかかると思います。この辺のお考えというか、対策というか、特別のお考えが何かあってプログラムの推進が計画どおりいくんだということを言っているんでしょうか。
  284. 坂本弘道

    説明員(坂本弘道君) ごみ施設につきましては、市町村の固有事務ということではございますが、都道府県の方で広域化計画をつくるように指導していただいておりますし、かつまた、補助制度等によりましていい方向に誘導していきたいと、かように考えております。
  285. 小川勝也

    ○小川勝也君 例えば、五つの市町村で広域行政の中で全連続型のごみ処分場をつくるとしたときに、その当該の市だけに何かメリットが講ぜられるということを意味しているんでしょうか。
  286. 坂本弘道

    説明員(坂本弘道君) その辺は特にそこに何をどうするかというような具体的なことがあるわけじゃございませんが、今の広域化の中では、いろんな市町村が集まって御相談なさっている中では、例えばし尿処理施設、下水道、それから今のごみ処理施設、それからまた消防だとか、いろんなものがございます。そういうものをお互いの知恵を出し合ってというような中で今やっていただいているのが実情でございます。
  287. 小川勝也

    ○小川勝也君 これは細かい話になりますけれども、今例えば五つの市というふうに仮定をいたしましたけれども、この中で個別の処理場を持っておると仮定した場合に、古いところもあれば新しいところもあるわけですよね。それで、私の知る限りのところによりますと、できたばかりの処分場があるにもかかわらず、例えば広域で新しいものをつくった場合に、何かペナルティーに似たようなシステムがあるんじゃないかと思うんですけれども、そんな難しい問題はいかがでしょうか。
  288. 坂本弘道

    説明員(坂本弘道君) ごみ処理施設施設整備につきましては、廃棄物処理施設整備費国庫補助金というのがございます。これによりまして、施設の更新だとか、それから基幹施設といいましてコアになる部分、こういうところの改良事業だとか、こういうものに対して国庫補助をしておるわけでございます。  それで、耐用年数に達する前に更新をするとかいうようなこと、これにつきましては、既存施設の耐用年数が一定の制限がございます。そういうようなことで、緊急性ということを考慮してこの国庫補助により支援することも可能ではございますが、補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律、こういう法律がございまして、財産処分等いろいろ規制がございます。この辺を見ながらいい方向で持っていきたいと、かように考えております。
  289. 小川勝也

    ○小川勝也君 これは先ほどの質問関係しますけれどもダイオキシン発生メカニズムがせっかくここまで解明をされて、いわゆるいいごみ処理場と悪いごみ処理場が判別できたわけでございますので、なるべく悪いごみ処理場に近いところに住む住民がいないように特段の配慮をしてしかるべきだと思いますので、一層の御研さんをお願いしたいと思っております。  そして、また細かい質問になりますけれども、離島とか北海道とかと先ほどおっしゃられました、全連続型のいわゆるいい焼却炉を持てない地域、これに関しては旧来型のやつに頼るわけでございますけれども、この旧来型の炉においてダイオキシン発生を抑えるというテクニックは何なのか、教えていただきたいと思います。
  290. 坂本弘道

    説明員(坂本弘道君) 旧来型といいますか、要するに、朝来て火をつけ、夕方になったらその火を消すというような、バッチ炉と言っておりますが、こういうものがダイオキシンが容量的にといいますか、値からいうと非常に高く出るというようなことでございますので、それはなるべく少なくしていかにゃいかぬと。これを、いかにダイオキシンを抑えていくかというのは、いろんな技術を今研究しておりまして、どこまでどうやっていくかということも将来の問題としてやっていかにゃいかぬと。  それから、こういうものを将来とも使っていくのか、それともほかの形にしていくのかというようなこと。例えば、ごみを固めてウサギのふんのようなものをつくりまして、これはRDFとか言いますが、燃料にするとか、こういう方向もございますし、それからプラスチックについては油化施設でどうするかとか、いろんな技術がございますので、この辺を見ながらいい方向に持っていきたいと、かように考えております。
  291. 小川勝也

    ○小川勝也君 それで、私も先ほど、このペーパーどおりにいい炉に全部変わっていければ一番いいと思いますけれども、なかなかそれは難しい話だと申し上げました。  では、その難しい中で最善の措置をとらなきゃいけないわけでございますけれども、今回いただきました全国の処理施設ダイオキシン濃度の値を記したこのペーパー、これは私は素人でございますけれども、非常に大事なペーパーだと思っております。それは、例えば同じような炉を使いながらダイオキシン発生の値に大きく差があるものがあるということにお気づきになると思うんですけれども、このデータと現地の燃焼の仕方とか、そういったところからできる限りたくさんのノウハウを引き出していただいて、現状すぐさま改良できることに役立てていただきたいと思うんですけれども、この方面について何か御意見があれば。
  292. 小野昭雄

    政府委員小野昭雄君) まさに私ども先生の御質問にお答えするお答えを先生質問の中でおっしゃいました。  まだ数は少ないという御指摘がございますけれども、その意味では非常に貴重なデータでもあるわけでございまして、燃焼管理方法がどうなっているか、あるいは一酸化炭素濃度が実際にどうなっているか等々をさらに突っ込んで、少しでも削減できる方向へヒントを得るということにおいて非常に重要な資料というふうに認識をしております。
  293. 小川勝也

    ○小川勝也君 これは生命にかかわることでございますので、一生懸命お願いいたします。  それで、先ほどの新しいごみ処分場をつくりたい、ごみ処理場をつくりたいという話に戻るわけでございますけれども、例えば耐用年数に満たない場合でも、なかなか調査をしてもTEQの値が下がらない自治体などから特段の配慮をいただきたい旨の相談があったときにどうするか。これについてお答えをいただきたいわけでございます。  これは私自身の感想でございますけれども、できるだけ早く我が国からダイオキシン発生するのをゼロにしたいわけでございますので、これは今までの措置がいろいろあると思いますけれども、ここはまげてダイオキシン発生が少なくなるような施設への建てかえに特段の御配慮をいただきたいと思いますが、見通しいかがでしょうか。
  294. 坂本弘道

    説明員(坂本弘道君) 先ほどちょっと国庫補助金のことをお答え申し上げましたが、その関連でございます。  今の補助制度は、改良についても補助するような形になっておりますので、何かが悪いということであれば、これはやはりお金をかけにゃいかぬところにはかけにゃいかぬ、大蔵省とも御相談せにゃいかぬわけでございますが、かけにゃいかぬということで、悪いところはなるべく少なくしていくように我々も一生懸命やっていきたいと、かように考えております。
  295. 小川勝也

    ○小川勝也君 わかっていることは、早くやることだと思います。  そして、次の質問に移りますけれども、私がわかっていることがあります。それは今もふえているんだと思いますけれども、いわゆるパーソナルコンピューターのごみがこれから日本国じゅうにあふれ出すということでございます。私は分解したわけではございませんけれども、中には希少な金属あるいは有害物質、そして我々がまだまだ知らない、知り得ないことも入っているのではないかと思います。このコンピューター社会においてのリサイクルと、そしてその処理についてどういうような御認識を持っておられるのか、お伺いしたいと思います。
  296. 田中健次

    政府委員田中健次君) 有害物質を含みます使用済みの製品の回収とかあるいはリサイクルのシステムの構築、これは最終処分におきます環境負荷の低減のために非常に重要でございます。  そういうことで、私ども環境基本法に基づきまして環境基本計画を御案内のとおりつくっておりますが、その進捗状況を毎年点検する、こういうことになっておりまして、昨年の点検におきまして、有害物質を製品中に含む自動車や家電製品などについて、リサイクルシステムの構築・整備を進めるとともに、事態の推移を見つつ制度化について検討することと、こういうふうな報告をいただきました。  私どもは、現在、中央環境審議会に廃棄物部会がございまして、そこにおきましてこれらの問題について審議を進めております。環境庁といたしましてはこの部会の検討結果を踏まえまして、関係省庁とも連携をしながら、こうした有害物質を含む使用済みの製品の回収とかあるいはリサイクルのシステムの構築に取り組んでいきたい、こういうふうに考えております。
  297. 小川勝也

    ○小川勝也君 これはやがていろいろな議論が戦わされると思いますけれども、じゃそういうものをつくったメーカーについてはどうなるのかという話に進んでくると思います。通産省との協議などは進んでいるんでしょうか。
  298. 田中健次

    政府委員田中健次君) 先生おっしゃいますように、この問題はいろいろな難しい点も抱えております。例えば今お話ございました回収のシステム、どうやって回収するか、あるいはその費用負担をどうするか等々もございまして、これらにつきましてはこれから関係省庁といろいろと御相談をしていく、こういうことになろうと思います。
  299. 渡辺好明

    政府委員渡辺好明君) ちょっと補足をさせていただきたいんですが、実は通産省の方でも産業構造審議会の中で、家電製品についてリサイクルをどうするか、それから捨てるときにはどういうふうに無害化をして捨てるか、さらには部品の数をどう絞っていくかというふうなことを検討しておりまして、私どもも通産省の検討と並行して廃棄物部会を動かしたいと思っておりますので、十分に調整、話し合いはしたいと考えております。
  300. 小川勝也

    ○小川勝也君 先ほど私が申し述べたように、やっぱり遅いと思うんです。だってコンピューターがこれだけ売れて、例えば新しいものを買ったときにメーカーあるいは販売店に引き取ってもらえるような場合はいいかもしれませんけれども、新しいのは通信販売で買ったとか中古屋から買ってきたという場合は古いコンピューターが邪魔になってしまいます。こういうのを例えば森や林に持っていって捨てる人が出てこないとも限らないと思います。先ほど御説明がありましたとおり、ただの箱ではありません、有害物質が含まれているものでございますので、できるだけ早急に対策を練りまして、そして、私は先ほどリサイクルと申し上げました、コンピューターの部品に使われている希少金属の中で地球上のいわゆる有限の資源がたくさん含まれていることも考え合わせていただきたいと思います。  次の質問に移りますけれども、先ほどのごみ焼却炉の話でございますが、私は専門家じゃありませんのでわかりませんけれども焼却してできた焼却灰を再処理するための溶融炉というものがあるのだそうでございます。この溶融炉の意味合いと設置状況についてお伺いをしたいと思います。
  301. 小野昭雄

    政府委員小野昭雄君) 焼却灰を高温状態で溶融いたしますと、焼却灰に含まれますダイオキシンが分解されるということがわかっております。それから、溶融処理をして出てまいりましたスラグにつきましては路盤材等としてリサイクルが可能でございますので、安全な処理、それから最終処分場の延命といいますか、そういったことからも効果を持っているわけでございまして、私どもといたしましては、高度処理施設につきましては整備を進めてまいりたいと思っております。動いている施設があるというのは聞いておりますが、今ちょっと何施設か手元に資料がございませんので、わかりましたらまた後ほど御報告申し上げます。
  302. 小川勝也

    ○小川勝也君 この溶融炉というのは例えば千四百度とかそういう高温で灰を処理するように聞いておりますし、今御答弁にありましたとおり、その溶融スラグは道路用資材あるいは建築用資材として有効活用ができるということでございますので、安全性が確かめられれば行政の基準をつくっていただいて、リサイクル社会が進むように御検討いただければと思っております。  リサイクル社会という言葉でございますけれども、ここから私の感想を少し述べさせていただきたいと思っております。ごみの問題が社会問題化して、これはそんなに長い歴史ではなかったように思うのであります。  例えばの話でございますけれども、私は昭和三十八年の生まれでございますが、私、子供のころの記憶に、家庭から出る生活廃棄物の中で、食べ残しであるとか野菜のくずであるとか、いわゆる残飯のたぐいは近所あるいは郊外の養豚業者がこれを持っていきました。そして、それを豚のえさにして豚が大きくなる、その肉を人間が食べるわけでございます。豚のふんは当然畑の肥料になる。  そしてまた、朝のみそ汁のアサリやシジミの貝殻は、当然鶏のえさになったり、あるいは砕かれて畑にまかれたり、卵の殻もしかりでございました。  しかし、今はどうなんでありましょうか。子供を中心に食べ残しも非常に多いように私は感じております。私も含めて大人も飽食の生活をしておりますので、おいしいものをたくさん残します。それが畑に行くのならまだ許せますけれども、あるいは家畜が食べるのならまだ許せますけれども、これはごみとなってしまう。そして、そのごみは多大なる国民の税金からの費用で処理されるわけでございまして、その運搬されたごみは、今度は高い金を使ってつくったごみ焼却システムで焼かれるわけでございます。  こんないわゆる不経済な社会はないように私は思うのでございます。これは私だけが感じていることじゃなくて、ただ、これだけ便利に生活できるんだから仕方ないんじゃないかと言う方もおられると思いますけれども、この件に関しまして、人間として、政治家としてで結構でございますので、長官に御感想を求めて、私の質問を終わりたいと思います。
  303. 石井道子

    国務大臣石井道子君) 地球が誕生して以来、すべての動物とか植物とか、人間もそうですけれども、お互いに循環し合いながら共存共栄を図ってきたと思います。しかし、現在の状況考えてみますと、さまざまな環境問題が起こっているわけでございまして、生態系とかバランスが非常に崩れてきてしまっているという感じがしております。  それは、やはり人間生活が経済発展をする中で、大量生産、大量消費、大量廃棄という社会経済活動や生活様式が定着をしてしまって、利便性を追求し過ぎたり、あるいは物質的な豊さを追求し過ぎてしまってきたという弊害ではないかと思っております。そのようなことによって今地球が侵されているというような事態も起こってまいりました。生態系も乱れているという事態になってまいっております。  このような問題を解決するには、やはり生産とか消費とか、そのパターンとかあるいはライフスタイルというものを変えていかなければならないんではないかというふうに感じております。そのようなことをいたしませんと、今最も言われております重要な課題として、持続的な発展の可能な地球社会ということが実現できないんではないかというふうに思っております。  そのような立場から、環境庁といたしましては、環境基本計画に基づいて、資源とかエネルギーの面で一層の循環とか効率化を進め、そしてリサイクルもそうですし、リユースの問題もありますし、省エネルギーの問題もありますが、そのような形でできるだけ不要物を発生しないように抑制していくということとか、その処理については適正な対策を講じていかなければということで、まさに循環を基調とした経済社会システムを実現していかなければならないということを痛感しております。そのことに向かって環境庁も今後具体的な対策を立てて実行していかなければならないというふうに思っております。
  304. 小川勝也

    ○小川勝也君 終わります。
  305. 有働正治

    ○有働正治君 私は、廃掃法の改正内容で評価すべき点は評価しています。同時に、全国的にも住民の方々、自治体の方々あるいはNGO等々、もっと改善していただきたいという要望が多々出されているわけで、それらの幾つかの問題についてただしておきたいと思うんであります。  一つは、安定型処分場の問題であります。  環境庁調査結果によりましても、安定五品目のみを処分するための安定型処分場から地下水質の基準を大きく上回る重金属、有機化合物の汚染、これが検出されているという結果が示されています。  そこで、環境庁に聞きたいのでありますが、なぜこのような物質が検出されたか、環境庁としてどう認識しているのか、これが第一点。  第二点として、これへの対応、今後の問題、どう検討なされておられるのか、御説明ください。
  306. 渡辺好明

    政府委員渡辺好明君) 平成六年と七年にかけまして八十二カ所の安定型処分場の浸出液に関する調査を行いまして、八十二カ所中三十カ所で、今先生指摘の重金属なり有機化合物が検出をされ、そのうち九カ所では七項目にわたって地下水の環境基準を超過していたという状況にございます。  これは今御指摘ございましたけれども、安定型五品目と申しますけれども、実際には安定型五品目以外のものが付着をしていたのではないか、あるいは安定型五品目以外のものそのものがまじっていたというふうなことが想定をされるわけでございます。いずれにいたしましても、本来、検出をされてはならないものが検出されておりますので問題であるというふうに認識をしておりまして、今回の廃掃法の改正の中で、最終処分場について構造なり維持管理なり、処分全体にわたった基準の強化を図ることにしております。  中央環境審議会からも御報告をいただいておりますので、例えば、受け入れ可能な廃棄物の範囲をどうするかということ、あるいはその処分場において常に管理員を常駐させるというふうなこと、そういうふうなことを含みましてこの安定型処分場についての徹底的な見直しを行って、その運営についての強化を図りたいというふうに考えている次第でございます。
  307. 有働正治

    ○有働正治君 長官にもお尋ねしたいわけでありますが、日弁連などの意見書を私も拝読させていただいたわけでありますが、やはり安定五品目以外の廃棄物が処分されているということにかんがみまして、この安定型処分場は廃止すべきであると日弁連は述べているようであります。  こうした意見も参考にしながら、今局長も重視して対応するということを述べられたわけで、現在の安定型処分場について抜本的な対策をやっぱり求めるわけであります。長官の所見を求めます。
  308. 石井道子

    国務大臣石井道子君) 安定型処分場につきましては、環境庁としては、受け入れ可能な廃棄物の見直しを行い、監視員の設置等によります厳格な搬入管理、そして水質モニタリングの実施をいたしまして、安定型処分場に関する基準の強化を図ることによって環境保全に万全を期してまいりたいと思います。
  309. 有働正治

    ○有働正治君 厚生省にもお尋ねします。  この問題について、現在稼働中の施設をも含めまして、今後の対応基本姿勢をお尋ねするわけであります。
  310. 小野昭雄

    政府委員小野昭雄君) 安定型処分場につきましては、今お話もございましたように、いわゆる安定型廃棄物以外の廃棄物が混入いたしましたりして周辺の環境を汚染するというふうな事例等が見られまして、疑問が生じているわけでございます。  そこで、安定型処分場のあり方につきましては、私ども生活環境審議会というのがございますが、その生活環境審議会に専門的な検討の場を設けまして、いわゆる搬入される廃棄物の種類、性状の見直し、それから搬入されます廃棄物が汚水を発生させない廃棄物、すなわち中から汚水が出ないということを確認するための搬入管理の方法検討、あるいは複数の廃棄物が混入して排出される場合には、これらの廃棄物を一定の選別施設で選別いたしまして、選別したもの以外は受け入れを禁止するなどの見直しを検討しているところでございます。その検討結果をまちまして、安定型処分場の安全性の向上ということを図ってまいりたいと考えております。  現在稼働中の施設につきましては、施設の適切な運営についてより一層指導を強化いたしますとともに、適用可能な規則につきましては極力既存の施設にも適用していくことによりまして、安全性の向上に資したいというふうに考えております。
  311. 有働正治

    ○有働正治君 続けて厚生省にお尋ねします。  廃棄物の不法投棄、廃棄物処理施設にまつわる紛争件数、全国で現在どれぐらいなのか。その紛争等の中で飲料水の問題、地下水汚染、河川汚染等々、水問題がやっぱり重要な内容になっていると私は思うわけでありますけれども、この点についての認識はいかがでございますか。
  312. 小野昭雄

    政府委員小野昭雄君) 私どもが各都道府県を通じまして調査をいたしました結果によりますと、平成五年度から七年度に発生をいたしました不法投棄の投棄件数は、三年間の平均をとりますと年間四百三十五件となっております。また、各都道府県あるいは保健所設置市を通じまして調査した結果によりますと、廃棄物処理施設をめぐります地域紛争の件数でございますが、昭和六十二年から平成八年までの十年間で二百三十五件というふうになっております。  なお、その原因でございますが、地域紛争の原因としては、単純に一つのものだけではなくて幾つかの要因が組み合わさっているというふうにも考えてはおりますが、水だけについて、水源の問題だけについてちょっと把握をしてございません。ただ、水質汚濁に対する懸念がかなり大きな要因を占めているものというふうに考えております。
  313. 有働正治

    ○有働正治君 そこで、私は具体例を示してお尋ねしたいわけであります。  私も山形・福島県境に建設されている産廃処分場を現地調査したり、あるいは九州の産廃問題についてもいろいろ実例もお聞きしました。  その一つは、唐津市の重河内など三つの地区にまたがる十万平方メートルの用地に百五十万立方メートルの産廃最終処分場と焼却処理施設建設計画に対しまして、唐津市の隣の北波多村では、建設予定地が村が飲料水や農業用水を取水している田中川上流約二キロにあって、水源が汚染される危険性があるということで、昨年六月に村議会が住民の約八割の千二百五十二戸の署名を受理して、十二人全議員の全会一致で大規模な処分場建設反対の意見書を可決して県知事に提出しているわけであります。まさに命の水を保全する全村民ぐるみの運動となっているわけであります。  いま一つでありますが、同じく唐津市に隣接します相知町の佐里下に既に産廃最終管理型処分場と安定型処分場が建設済みで、その規模は約四万平方メートルの用地に管理型約四十二万立方メートル、安定型約十三万立方メートル、合計約五十五万立方メートルの産廃最終処分場で、九州では最大規模であります。ここも現場そばを流れる松浦川の下流五キロメートルに八万唐津市民の上水道の取水口があるわけであります。そのことで住民が非常に心配しているわけであります。  その住民が問題にしている一つは、地層のもろさであります。一帯は石炭採掘跡地で、処分場の地下にも無数の炭鉱の穴がある可能性が非常に強いと指摘する声があるわけであります。県が昨年九月、処分場の安全確保について示した文書で、石炭を含まない強固な佐里砂岩層が広く分布と説明しています。しかし、地質学が専門の学者が現場調査をやりましたら、現場付近には県が説明している佐里砂岩層は分布していない、がけをつくる砂岩の下には強度が落ちる石炭を含む地層が出ている、安全を言う最初の根拠から間違っている、県は何を考えているのかと、こういう厳しい指摘も出されているわけであります。地元紙もこれを大きく報じているわけであります。  しかも、県が通常求めている最終処分場予定地の地質調査を業者が行っていない、このことも判明しているわけであります。地層のもろさの結果、今後地下水、飲料水の汚染の危険性が高い、こういうことで大問題になっているわけであります。既に営業許可がおろされているわけでありますが、不安を払拭できない相知町の住民は県公害審査会へ調停申請している状況にあるわけであります。営業をめぐって告訴騒ぎとなっている状況があるようであります。  そこで、確認いたしますけれども、今回の法改正で、この計画が、周辺地域の生活環境の保全について適切な配慮を許可条件としているわけでありますが、これは当然のことながら水道水源保護地などの保全が含まれるということだと思うわけでありますが、確認を求めます。
  314. 小野昭雄

    政府委員小野昭雄君) 今回の改正におきまして、新たに許可の要件といたしまして周辺地域の生活環境の保全に対する適正な配慮ということとしておりますが、この考え方といたしましては、その施設設置によりまして当該地域の水質や大気に与える影響につきまして配慮するということを想定いたしております。  施設が水源に立地する場合におきましては、当然当該水源の汚染に対する配慮というものもこの配慮の中に含まれるものというふうに考えておりますし、今先生指摘になりました個別例の事例につきましては、例えば生活環境影響調査を実施するようにいたしたいと考えております。その中には地質の問題も含めたいと考えているところでございます。
  315. 有働正治

    ○有働正治君 そこで、もう一歩進めたいと思うのでありますが、この水道水源保護地などの保全について、もう一歩進めて立地規制をできないか、こういう強い意見が出されているわけであります。例えば、私も山形・福島県境に設置される巨大な産廃場を現地調査いたしましたが、そこは土砂崩れの常襲地帯でもありますし、活断層がわずか十キロ横を走っているんです。その水は山形の方に流れないで福島の方に流れて、福島市民の方から水源の問題として非常に厳しい批判が出されて、住民運動も起きているわけであります。  そこで、長官にお尋ねするわけでありますが、今厚生省も御答弁なされて、それも当然保全のために努力するという法改正の趣旨だということを言われて、対応もすると言われたわけでありますが、この水道水源地に対してもう少し立地規制、つまり処理施設は水道水源保護地域に設置してはならない、こういう旨の規定を法に盛り込むべきであると、強い要望であります。積極的に御検討いただきたい、対応願いたいと思うわけでありまして、長官の御見解を求めます。
  316. 石井道子

    国務大臣石井道子君) 今回の廃棄物処理法改正案におきましては、最終処分場等の設置当たりまして、周辺環境への適切な配慮がなされますように配慮し、そして生活環境影響調査関係住民市町村の意見聴取等の許可手続の明確化を行い、許可要件の見直しが行われております。処分場の立地につきましてこれまで以上の環境保全上の配慮が可能となると認識をしております。  環境庁といたしましては、最終処分場の立地に際しまして、周辺環境への適切な配慮が促進されますように都道府県に対する情報の提供等に努める所存でございます。
  317. 有働正治

    ○有働正治君 私、ここに日弁連の廃掃法の改正に関する緊急意見書、これも読ませていただきました。やはり日弁連としては、これは可能であると専門家の立場から指摘しているわけであります。「水道水源保護の地域指定を行う規定を、廃棄物処理法に盛り込むべきか、水道法の改正に盛り込むべきかという問題はあるが、いずれにしても、機関委任事務としてではなく、都道府県などの地方自治体の固有事務として、そのような決定ができるようにすべきである。」と、こういう提言といいますか意見を述べているわけで、こういうこともかんがみて環境庁または厚生省、積極的に検討して対応願いたいということを強く要望しておきます。  そこで、次の問題でありますけれども、情報公開との絡みで幾つかお尋ねいたします。事実確認を厚生省に求めます。  一つは、現在都道府県などで事前協議の要綱をつくって早い段階から住民に知らせているところが幾つかあるわけでありますが、厚生省としてどう把握しているのか、これが事実関係。  二つ目は、廃棄物処理施設設置計画がある場合、現在では事前協議を求めている県はかなりあると私も認識するわけでありますが、この情報公開が、先ほども議論の中で指摘もございましたけれども、事前協議段階からある程度示されないと、許可申請、公告縦覧がされてももう変更ができない、こういう問題があるわけで、この点についても対応願いたい。この二点について御見解を求めます。
  318. 小野昭雄

    政府委員小野昭雄君) 平成七年十二月現在で把握しているデータが手元にございますが、その調査によりますと、処理施設設置につきまして事前協議制度を設けている都道府県あるいは保健所設置市は、八十都道府県、保健所設置市のうち、新設、変更とも事前協議を求めるものが三十六、それから新設のみ事前協議を求めるものが三十七というふうになっております。  それから、今先生の御指摘の第二点目でございますが、現在地方公共団体がいわゆる要綱等によりまして事前協議制度を設けているわけでございますが、これは現行の廃棄物処理法に設置手続が明確に法定されていないということに起因しているものと私どもとしては考えております。したがいまして、今回の改正におきましては、施設設置手続の中に各都道府県が現在要綱等で定めております手続を法制的に可能な限り盛り込んでいるところでございまして、これ以上さらに事前手続を法定するということは屋上屋を重ねるものでございまして、不適当ではないかと考えております。  それから、そういったことを経ないでということで、今お話がございましたけれども、これは申請がございました時点で公告縦覧をし、関係住民あるいは関係市町村の意見を聴取し、生活環境保全上問題があるというふうな専門的な審査がありました場合には、当然施設の計画の変更あるいは不許可ということもあり得るわけでございまして、そういう手続を明確にいたしますことで住民の皆さんの不安の解消に努めたいと考えております。
  319. 有働正治

    ○有働正治君 今回の法改正の中身は私も承知しているわけでありますが、先ほど私が例示しました佐賀の相知町の産廃処分場建設というのは、県、町と業者の間でいわゆる水面下で準備が進められて、町民が知ったのは県が設置許可を出してから一年三カ月後で、ほぼ完成間近であったと、ここが問題であるわけです。下流に上水道取水口を持つ唐津市にも知らされていなかったわけであります。  それらの経緯について当該の相知町当局者は、県が唐津市には影響がないと言ったので連絡しなかった、今にして思えば済まなかったと、こう述べているわけであります。また、唐津市当局者は、相知町の処分場建設のことが建設申請の段階でわかっていれば、古タイヤや有害物質入りドラム缶で騒動していたときでもあり、事は簡単には済まなかっただろうと、こうも述べているわけであります。.  この処分場建設業者は、同意を得る範囲は少ないほどいい、理解を得るのが難しいと本音を述べているわけであります。全国で大きな問題になっているのはまさにここに問題があるわけでありまして、今回の法改正でしかるべき措置がなされた、これは遅きに失したといえども、それはそれとして、私も一定の措置をとられた、これは承知しているわけでありますが、問題はそれ以前に、先ほども委員の御指摘もありましたように、住民の合意と納得の上でやっぱり進めることが非常に重要なわけであるわけですから、情報公開が事前協議段階からやられるように対応すべきだということ、この点について毅然として対応することを私は強く要望しておきます。  もう一点、事実確認を厚生省に求めます。  住民同意の有無についてでありますが、自治体でそうした要綱をつくっているのはどれくらいの状況にあるのか、どう把握されておられますか。
  320. 小野昭雄

    政府委員小野昭雄君) 平成七年十二月段階で、施設設置について何らかの形で住民の同意を求める要綱を制定している地方公共団体の数は三十四都道府県、二十二保健所設置市となっております。
  321. 有働正治

    ○有働正治君 合計で八十自治体あるいは保健所設置市に対して約七割なんですね。  そこで、環境庁長官、ちょっとお尋ねいたします。  つまり、法の不備の中で各自治体でいろいろ対応しているという状況だろうと思うのであります。都道府県などでは地方の自主性を生かして事前協議や住民同意の要綱をつくって努力しているわけでありまして、自治体労働者の組合、自治労連からもこうした問題についてきっちり法で改正していただきたいという要望も出されているわけであります。  長官にお尋ねしたい内容は、自治体というのは自主的に決めていることであります。したがって、自主的な取り組み、自治体固有の権限として決めた要綱その他というのは、地方自治の建前からしたらそれは尊重すべきであるということが地方自治の精神ではないかと思うのでありますが、この点についてだけ所見を求めます。
  322. 石井道子

    国務大臣石井道子君) 環境基本法の第七条と第三十六条におきまして、地方公共団体の責務または施策といたしまして、国の施策に準じた施策及びその他の地方公共団体の区域の自然的社会的条件に応じた環境の保全のために必要な施策を実施することを規定しております。  地方公共団体におかれましては、この環境基本法の規定を踏まえまして、法令に違反しない限りにおいておのおのの自然的社会的条件に応じて環境を保全するために施策を推進されるものと考えております。
  323. 有働正治

    ○有働正治君 やはり自治体は固有の自主性があるわけで、それについて政府その他が干渉すべきでないということは厳しく指摘しておきます。  厚生省に一点お尋ねします。  議論でもございましたいわゆるミニ処分場の問題であります。この問題について厚生省としてもやっぱり積極的に対応すべきだと考えるわけでありますが、いかがでございますか。
  324. 小野昭雄

    政府委員小野昭雄君) いわゆるミニ処分場につきましては、現行の法体系におきましては廃棄物処理施設の許可対象となっておりません。したがいまして、許可手続を経ないために、都道府県におきましてもその実態の把握が十分でございませんし、さらに不適正な処分が行われやすいという問題がございます。また、構造上の問題がある場合に、長期に生活環境の上で支障を来すというおそれがございます。  そこで、今回の改正を機に、施設の規模にかかわらず許可対象とする方向で検討を進めてまいりたいと考えております。
  325. 有働正治

    ○有働正治君 最後に、きょうの議論とのかかわりが直接あるわけではございませんけれども石井環境庁長官の政治姿勢との絡みで率直に事実関係をお尋ねします。  長官あるいは長官の後援会などが、産廃事業者が主に資金を出して結成していると私は承知していますが、全国産業廃棄物政治連盟からの政治献金を受けているやに承知しているわけでありますが、いつどういう時期に、例えば事務所開きだとか、そういう目的でどれぐらいの政治献金なり資金提供を受けておられるのか、御報告いだだければと思います。
  326. 石井道子

    国務大臣石井道子君) 大変急な御連絡を受けまして、急ぎ取り調べてみました。  多分ミスはないとは思いますけれども、御指摘の全国産業廃棄物政治連盟からの寄附につきましては石井道子中央後援会が受けているわけでございまして、これは私どもが直接管理する団体ではありませんが、一応平成六年と七年度に寄附を受けているところでございます。
  327. 有働正治

    ○有働正治君 合計で幾らぐらいになりますか。
  328. 石井道子

    国務大臣石井道子君) 合計ですか。一応六年に後援会の事務所開きということで十万円、それからその後、十月二十五日のようですが、セミナーの会費として十万円、そして平成七年度、セミナーに対して五万円という寄附を受けているわけでございます。
  329. 有働正治

    ○有働正治君 事務所開きあるいは出陣式の日のようでありますけれども、今の御説明だと合計いたしまして二十五万円ということになるようであります。  私は金額の問題ではないと思うんです。つまり、全国産業廃棄物政治連盟からの献金先を見ますと、橋本総理を初め厚生大臣経験者を含めまして、世上あるいはマスコミ等で指摘されていますいわゆる厚生族と言われる国会議員の方々にかなりの金額の政治献金が行われていると。平成五年の総選挙のときに、橋本龍太郎氏の政治団体に合計して百十万円、渡部恒三氏のかかわりの事務所あるいは後援会、政治団体に百十万円、津島雄二氏の政治団体、後援会等に百十万円、戸井田三郎氏の政治団体に百万円とか、政治資金収支報告書から見ますとこういうことになっているようであります。  やはり産業廃棄物処理場の問題というのは、環境庁環境基準を決める問題等々、もちろん環境庁長官におなりになる以前の問題ではありますけれども、そういうところからやはり何らかの目的で出されたことは間違いないということで、しかるべく自分たちの意向を考慮していただきたいという意図がこういう提供する側にとってはあることは、関係者がこもごもこの間も述べているところであります。  そういう点からいうと、住民の方々、地方自治体の方々、あるいは環境NGOその他の関係の方々から、産廃場の問題につきまして、一定の法改正の内容は是とする部分もあるけれども、しかし今係争中、全国的に大問題になっている点から見たら非常にまだ生ぬるい、こういう声が出されている中で政治献金を受けられているということは、私は政治姿勢としてはいかがかな、問題ではないかなと。所管する施策に影響を与えるような団体からの献金は私はもらうべきではないと考えるわけでありますが、この点について一点。  それから、先ほど来、委員会で平成会の各委員が政治姿勢について御質問なされ、また小川委員委員会に報告いただきたいということを述べられました。この問題当委員会で議論された内容でありますし、事実関係がどうかということはこれは調べてお答えなされるということでありましたので、一つは、私自身もあの内容についてきっちり御報告いただきたいということを長官にお願いしたい。それから、当委員会の議論の中での内容でありますので、当委員会にもやっぱり御報告いただく、そういう処置を願いたい。  これらについての御意見、御所見を求めておきます。
  330. 石井道子

    国務大臣石井道子君) ただいまの献金の問題でございますけれども、所管行政に関連する団体からの政治献金ということであれば、これは政治資金規正法に従いまして処理していれば法律上の問題はないというふうには思います。そして、これは私が大臣になる前の問題でありますが、この団体から特に廃棄物問題に対して陳情なども受けたことはありません。このような立場ではありますけれども、しかし国民皆様方に行政の中立性とかまた公平、公正さをやはり示さなければなりませんし、そのような観点からは環境庁長官に在職中は辞退したいというふうに考えております。  そして、先ほどの献金を受けました後援会団体でございますけれども、私どもが直接タッチして管理をしている団体ではありません。しかし私をずっと支援してくださっている方々のお気持ちの問題もあるかとも思いますので、その人たちとも相談をいたしまして考えていきたいと思っております。
  331. 有働正治

    ○有働正治君 サンデー毎日についての報告は。
  332. 石井道子

    国務大臣石井道子君) このことにつきましては、また検討したいと思います。
  333. 有働正治

    ○有働正治君 いや、報告していただきたいということです。
  334. 石井道子

    国務大臣石井道子君) 政治資金の方ですか。
  335. 有働正治

    ○有働正治君 いやいや、全体について。
  336. 石井道子

    国務大臣石井道子君) サンデー毎日、全体についてですか。(「委員長の御指示に従いませんか」と呼ぶ者あり)
  337. 有働正治

    ○有働正治君 いやいや、私個人にも報告いただきたいと思いますので。
  338. 石井道子

    国務大臣石井道子君) 一応、先ほども一部御報告するというふうにお答えいたしましたけれども先生の方にも必要であればお答えしたいと思いますが、委員会の扱いにつきましては、ぜひ理事会でお諮りいただきたいと思います。
  339. 有働正治

    ○有働正治君 終わります。
  340. 末広まきこ

    末広真樹子君 自由の会の末広真樹子でございます。  今回の廃掃法の改正は連合審査になりませんでした。平成三年時の改正は連合審査が行われております。本来ならば、直接厚生大臣そして環境庁長官の両並びで、その相違点あるいは共通点を明確にさせていただきたかった。国民の皆様も両省の基準値が食い違っているわけをお知りになりたかったと思います。  今後は、環境汚染にかかわる重要法案には連合審査の道を開いておいていただくように、切にお願い申し上げます。  さて、ごみの問題は、リサイクルについては通産省や建設省が主に行っておられます。また、排出源についても通産省や建設省でございます。処理施設では厚生省環境庁でございますね。しかし、住民から見れば、この問題の本質は環境汚染だと思います。環境汚染を防止するということであれば、環境庁はもっと前面に出てくるべきではないでしょうか。  最初に環境庁長官の御決意を簡潔にお願いいたします。
  341. 石井道子

    国務大臣石井道子君) 廃棄物の問題につきましては、その最終処分場に係る基準の見直し、また廃棄物処理法の中での役割を果たすということで取り組むわけでございますし、環境基本計画推進の旗振り役を務めなければならないというふうに思います。  環境保全の責任官庁としては、関係省庁とも連携をしながら、製品の製造から最終処分に至る各段階における体系的で総合的な廃棄物リサイクル対策に取り組む所存でございます。
  342. 末広まきこ

    末広真樹子君 今回の廃掃法改正ではダイオキシンの問題には触れられておりません。大変残念でございます。  私の住んでいる名古屋市内の鳴海工場は一般ごみの処分場でございます。しかも全連続炉、つまり二十四時間稼働している炉なんです。  普通、ダイオキシンは、炉の操業開始時と終了時に温度が下がっていぶす状態になると発生すると言われております。午前中の答弁でも、安全性の高い全連続型にかえていくと厚生省ではおっしゃっております。  じゃ、なぜ二十四時間休みなしで連続運転している工場で基準値をはるかに超える数値を出しているのか、ここを疑問に思うわけでございます。  できるだけ手短にわかりやすくお答えください。
  343. 坂本弘道

    説明員(坂本弘道君) 今回の調査では、名古屋市の鳴海清掃工場から一立方メートル当たり百十ナノグラムダイオキシンが排出された旨の報告を受けております。ダイオキシン濃度が高い理由として、名古屋市から、焼却炉の設備機器の老朽化などの原因により完全燃焼が困難であるためではないかと聞いております。このため、名古屋市においては、平成九年度においてダイオキシン低減化対策のための改造を行うこととしております。
  344. 末広まきこ

    末広真樹子君 私、早速現場を実際に見てまいりました。担当者の説明を聞いて理解した範囲を申し上げます。  まず、焼却炉内で酸素の取り入れ不足によって不完全燃焼が起きる、これがダイオキシン発生一つ目の要因です。  ボイラーの温度計は動いておりました二基ともに八百二十五度、九百五度と基準値の八百度をクリアしております。なぜ二基しか動いていなかったかということは、一基がストーカーの修理中であると、かように説明して、修理工さんも来ておりました。  しかし、二つ目の発生要因は、ボイラーの出口から電気集じん器に入っていくときの温度が問題なんです。つまり、鳴海工場は炉が小さく古い上に酸素の取り込みも不十分。そして、ボイラーの出口温度計は、私しっかり見ましたが、二百九十五度という値を示しておりました。これは、集じん器内で燃焼し切っていないごみダイオキシンに化けるということだと思いますが、この理解でよろしいんですか。はい、いいえでお答えください。
  345. 坂本弘道

    説明員(坂本弘道君) 御指摘の個別ケースにつきましても、詳細は承知しておりませんが、同様のメカニズムではないかと思料されます。
  346. 末広まきこ

    末広真樹子君 はい、いいえが、別にそう棒読みになることはないと思うのでございますが。
  347. 坂本弘道

    説明員(坂本弘道君) 失礼いたしました。もう一度お答えいたします。
  348. 末広まきこ

    末広真樹子君 もういいです。  この焼却工場は昭和四十五年につくられ、開設当時は焼却炉一基当たり百五十トンの焼却能力があったものが、今では七六%の能力に落ちております。ですから、三基合計ですと四百五十トンとなっている当初の算定が三百四十二トンの能力しか現在は有しておらないのでございます。  この現状を厚生省は知っていましたか。これも知っていたか、いなかったかでお答えください。
  349. 坂本弘道

    説明員(坂本弘道君) きのう名古屋市から報告を受けたところでございます。
  350. 末広まきこ

    末広真樹子君 それでは答えになっていないじゃないですか。
  351. 坂本弘道

    説明員(坂本弘道君) 個別の市町村焼却施設に関しましてその稼働状況の詳細について常時承知しておるわけではございませんで、この鳴海工場の状況につきましても、昨日、名古屋市から今先生がおっしゃったような形で御報告を受けたと、こういうことでございます。
  352. 末広まきこ

    末広真樹子君 それはわかりやすく言うと、きのうまでは知らなかったと、こういうことでございますね。  厚生省平成二年にガイドライン焼却施設に対して出しております。そのときの言葉が、「技術的に実施可能な限りダイオキシン類発生防止」対策を推進となっております。これは技術的に可能でないならばほっておいてもいいということと同じだと思います。事実上、現場では野放しで来ております。  平成八年十月にダイオキシンは八十ナノグラム以下に抑えるという中間報告を出し、そしてその三カ月後に急転直下、ダイオキシンは既存の施設では、これは鳴海工場が入るんですが、一ナノグラムに、新設は〇・一ナノグラムにせよという最終見通しを出しております。  八十ナノグラムから一ナノグラム以下へと、随分極端な数値変更をされたのはどういうことが原因なのでしょうか。ダイオキシンの危険性に対する認識がそれまで低過ぎたとしか思えない慌てぶりを露呈しているものでございます。数値変更の原因をお聞かせください。
  353. 坂本弘道

    説明員(坂本弘道君) 昨年十月のごみ処理に係るダイオキシン削減対策検討会中間報告におきましては、今先生指摘の八十ナノグラムという基準を設定しておりますが、これは人体への健康影響観点から、ダイオキシンの摂取量が耐容一日摂取量に達することのないよう設定したものでございます。この濃度を超える施設にあっては直ちに対策を講じる必要があるため、恒久対策基準に先行して発表し、緊急対策の実施に乗り出したものでございます。  さらに、この八十ナノグラムを下回る施設につきましても、可能な限りダイオキシンの排出を削減していくこととし、平成九年の一月、新ガイドラインにおいて、技術的に可能なレベルといたしまして、既設炉については、炉の型式等によりますが、〇・五から五ナノグラム、今後建設される施設につきましては〇・一ナノグラムという目標値としてり基準を設定したところでございます。  このように八十ナノグラムという基準と〇・一から五ナノグラムという基準とはその性格が異なるものでございまして、数値を変更しているものではございません。
  354. 末広まきこ

    末広真樹子君 それにしても大きな開きがあるものだねと思うわけです。  ダイオキシンはベトナム戦争で枯れ葉剤として使われたものでございます。ベトちゃん、ドクちゃんの例を思い浮かべていただければ恐ろしさがわかろうかと思います。  ダイオキシンの一日当たりの耐容量は、厚生省評価では十ピコ、環境庁評価では五ピコとなっています。なぜこのように評価が違うのでしょうか。厚生省環境庁の双方にお聞きしたいと思います。
  355. 小野昭雄

    政府委員小野昭雄君) 厚生省研究班検討結果を経て設定いたしました耐容一日摂取量TDIというふうに申しておりますが、これは健康影響という観点から定めるものでございまして、考え方といたしましては、一生涯にわたって一日当たり摂取しても耐容される量ということでございます。これは通常、確実に判定できるデータをもとに算定することとされております。そういう意味から、動物実験等の結果から総合的に判断をいたしまして十ピコグラムと算定したものでございます。  なお、ドイツ等におきましても同じような値を採用いたしておりますが、ただ、国によりましてこれは十でない国もあります。非常に小さい国、もう少し大きい国、いろんなばらつきがございます。  これに対しまして、環境庁検討会報告されました健康リスク評価指針値というのがございますが、これは環境行政におきまして、環境保全対策を講ずるに当たっての目安というふうに設定されたと私どもとしては伺っております。私どもは健康への影響ということであります。環境庁の場合には環境保全対策に当たっての目安ということでありまして、その性質が異なっているわけでございます。  ただ、ダイオキシンにつきましては、新聞報道等でもなされましたように、WHOの下部機関のIARCにおきまして発がんの問題がさらに検討が進められておりますので、そういったその後のデータも踏まえまして、こういった考え方が妥当なのかどうかということは専門家の意見を引き続きお伺いしたいと思います心
  356. 田中健次

    政府委員田中健次君) ただいま厚生省の方からも御答弁がございましたが、この環境庁検討会の中間報告におきます健康リスク評価指針値でございますけれども、これは今お話がございましたが、環境保全対策を講ずるに当たっての目安となるように、人の健康を確保するためにより積極的に維持されることが望ましい水準と、こういう考えで五ピコグラムにいたしたものでございます。
  357. 末広まきこ

    末広真樹子君 環境庁はあくまで保全の目安だというふうに厚生省は答えられましたが、明らかに厚生省のお答えはよりベターな数値というふうなお答えでよろしいわけでございますね。  平成九年の新ガイドラインでは、新設炉については〇・一ナノグラム、旧ガイドライン炉については〇・五ナノグラム、それより古い炉については一ナノグラム基準が定められております。しかし、これはあくまでもガイドラインですよね。  ところが、ドイツやオランダでは〇・五ナノグラムと法的に規制されております。日本でも法規制を行うべきではないのでしょうか。
  358. 野村瞭

    政府委員野村瞭君) 環境庁におきましては昨年の五月にダイオキシン排出抑制対策検討会設置いたしまして、ダイオキシン対策のあり方について鋭意検討を進めてきているところでございます。  この検討会におきまして昨年の十二月に中間的な取りまとめを行っておりまして、ダイオキシンによる健康被害の未然防止観点から、多様な発生源に対しまして総合的かつ計画的に排出抑制対策を推進することが必要であると指摘をしております。  具体的に申し上げますと、規制的な措置でありますとか、事業者による自主的取り組みの促進等、さまざまな政策手段を適切に実施することが必要と。それからもう一つ環境濃度状況でありますとか、健康リスクの現状を把握するためのモニタリングの充実や情報の共有化が必要であるということが具体的に指摘されているわけでございます。  この検討会、今申し上げましたように中間的な取りまとめということでございますけれども、さらに、いろいろな発生源からのデータを今分析評価を行っているところでございまして、近々その取りまとめが行われる予定でございます。  私どもといたしましては、その検討会の成果を受けました後で、関係省庁とも調整を図りながら、規制的な措置の導入、先生指摘になりました法的な基準という意味でございますけれども、をも含めましてダイオキシン類排出抑制対策を早急に講じてまいりたいというように考えております。
  359. 末広まきこ

    末広真樹子君 力強い御答弁であると期待しておきます。  今現在、これは厚生省に聞きますが、鳴海工場のダイオキシン類濃度が幾らであると厚生省認識していますか。
  360. 坂本弘道

    説明員(坂本弘道君) 現在のところ、平成八年六月名古屋市が測定いたしました結果として、一立方メートル当たり百十ナノグラムという報告を受けておりますが、今現在の状況は承知しておりません。
  361. 末広まきこ

    末広真樹子君 随分用心深いお答えでございますね。  その調査は確かに平成八年なんですよね。平成七年に名古屋市が調査した報告によりますと、鳴海工場のダイオキシン濃度は、御存じですかいいです、百四十と記されております。はるかに高い数値で、平成七年から平成八年の六月までに、つまり厚生省調査した時点までに施設の改良工事はなかったと聞いておりますから、一年前の測定値百四十ナノグラムから百十ナノグラムに減少しているというのは不思議なんですね。厚生省測定方法が甘いのではないのかなという疑問を抱かせるわけでございます。    〔委員長退席理事大渕絹子着席〕  また、これまでに県に対して環境影響調査をするように指導していないんじゃないんですか。過去、愛知県は一度もやっていないと聞いております。各市町村任せでよろしいんですか。厚生省、お答えください。
  362. 坂本弘道

    説明員(坂本弘道君) ごみ処理市町村の固有事務でございまして、ごみ処理施設は廃棄物処理法における構造基準、維持管理基準に基づきまして市町村が責任を持って運営、管理しているものでございます。したがって、当該施設稼働に伴う周辺環境への問題は一義的には市町村対応するものだと考えておりますが、しかしながら、今回の調査において鳴海工場は緊急対策の目安である八十ナノグラムを超えたダイオキシンを排出しておりまして、県を通じダイオキシン削減のための適切な対策を講じるように求めてまいりたいと思います。
  363. 末広まきこ

    末広真樹子君 同じ質問環境庁伺います。  市町村任せだと各自治体の体力や意識の差が出てしまうと思いますが、環境影響調査に対する県の取り組みというのは不必要なんですかしら。    〔理事大渕絹子退席委員長着席
  364. 野村瞭

    政府委員野村瞭君) 先ほどもお答え申し上げましたけれどもダイオキシン排出抑制対策検討会の中間取りまとめにおきまして、ダイオキシン類環境濃度状況でありますとか健康リスクの現状を把握するためのモニタリングの充実の必要性指摘されております。最終的な検討会取りまとめというのは近々行われるわけでございますけれども、私どもといたしましては、これを踏まえまして環境モニタリングの充実に努めてまいりたいと思いますが、自治体で十分行えないような場合には国としても十分その援助を図ってまいりたいというように考えております。
  365. 末広まきこ

    末広真樹子君 国が出ていくということは、県にも御要請する、こういう解釈でよろしいのでございますね。はいとかいいえとか。
  366. 野村瞭

    政府委員野村瞭君) 御指摘のとおりでございます。
  367. 末広まきこ

    末広真樹子君 鳴海工場では、緊急に八十ナノグラム以下にせよというお達しのもとに、ダイオキシン類削減対策というのを立てております。平成九年五月から、焼却炉内の再燃焼化とボイラー出口での冷却空気吹き込みによって集じん器内でダイオキシン発生することを防ごうという改善工事でございます。本年十月までに三基とも完了させることをお約束くださいました。これだけで一億一千万円だそうでございますね。  しかし、問題はその後です。厚生省は速やかに一ナノグラムにせよと指導していらっしゃいます。緊急には八十ナノグラム、速やかには一ナノグラム、ここが現場が大変戸惑っておる。速やかにというのはまことに不透明な指導のあり方ですよね。しかも、具体的にどうせよという方策が示されていない。あいまいな指導ではなくて、公共事業の対象として重点的に補助すべきではないんでしょうか。
  368. 坂本弘道

    説明員(坂本弘道君) 今いろんな全国の調査をしておりまして、新聞でも出ておりましたような形の結果が出ておるわけでございますので、それを受けまして、私どもの方で何をどうすべきかというようなことを緊急にいろいろ聞きまして、それぞれの施設ごとにやっぱり対応していかにゃいかぬ、こういうことでございます。
  369. 末広まきこ

    末広真樹子君 対応対応と言われても、現場へ行ったことはありますか。
  370. 坂本弘道

    説明員(坂本弘道君) ここの鳴海工場は行ったことはございませんが、同じ名古屋市内の富田工場の方は、立派な施設として何か市の特別賞をいただいたような施設ができておりましたが、見てまいりました。
  371. 末広まきこ

    末広真樹子君 そんな立派なところを見ないでください。私はもう現場へ行ってごみをいっぱいかぶりましたよ、それは。ごみをトラックからどっとあけるときに全開口なんです、全部。ですから、どっとあければぶわっとこっちへ来るんですわ。もう頭からごみの洗礼です。目をあけていられません。鼻もあけていられません。ぜひそういうところをごらんください。最新設備は結構でございます。  ガイドラインの策定も大事でございましょうね。施設の改善も大事でしょう。しかし、この改善では不十分ではないですか。ごみが均一に焼却炉に送られないと、酸素が十分に入り込めない。  つまり焼けむらが生じてダイオキシン発生してしまいます。私は、この鳴海工場の示した改善策、素人目で見てもそれじゃだめだねと思いました。  私は自分で焼き物をします、陶芸を。窯を持っています。窯の中へ焼成物を詰めるときにどれだけ気を使うか。つまり焼きむらができちゃうんですよ。火がうまく回らないんです、どんなにうまくやっても。だから、そこの構造的な改革というのをもっと現場と一緒になってやらないと。  それから、ごみをボイラーの方へ落としてくるときに、これを均一的に落としてこないと、今みたいにバケットみたいなので堆積しているものをばさっとつかんではさっと置けば、どうやって空気が回るんですか。考えてもみてください。現場へ行けば素人でも、ああこれはだめだと思いますよ。ましてや御専門家なら、何をどう指導しなきゃいけないかということがわかると思うんですよね。  運用面でのソフトウエア指導をきちんとおやりになっていただきたい。やっていらっしゃいますか。でないと、事業投資した税金、これは各市で改良工事をやるわけですから、物すごい税金をまた使われるんですよ。聞いてみれば、霞が関には担当官は四人しかいないと。これでは無理ですよね、やっぱり。県出先機関を利用して、きちんとやりなさい、現場を一軒一軒回りなさいという御指導を過去にやったんですか、これからやるんですか。
  372. 坂本弘道

    説明員(坂本弘道君) ちょっと先ほどの私の例が悪うございまして、私も三十年ばかりこのごみの仕事をずっとやってきておりますが、地元へ行ったときはそんな立派な施設ばかり見ているんじゃなくて、がばっとした施設も見るように、またうちの職員にも出張に行けば必ず見てこいというようなこともやっておりますし、できるだけそういう形で見ていきたい、かように考えております。  ただ、ちょっと名古屋市の名誉のためにそんなのばっかりではないというようなことで、例が悪うございました。
  373. 末広まきこ

    末広真樹子君 本当にごみというのは真剣に取り組んでいかないと、物すごい量を排出しているんです。私、鳴海工場へ行って、お礼を申し上げましたよ、本当に。私のごみもこの中に入っていると思います、御苦労さまですと申し上げました。こうやって新聞紙上で袋だたきにされているというのもやっぱりお気の毒ですよね、働いている方が、そう思ったです。フォローアップを大切にして、ぜひ現地に行って適切に運用されているかどうか見てください。現場と一体となって取り組んであげてください。  鳴海工場を見ると言ったときに、視察用に軍手をお貸しくださったんですよ。軍手をしてずっと工場内を見て回りましたから、帰ってきたときに工場長が、もう一度軍手を外して手を石けんで洗ってください、こうおっしゃるから、軍手をしていたからきれいだと思ったのになと思いながらも、そこは素直に従って石けんで手を洗いました。びっくりしました。真っ黒でございました。  軍手は真っ白でございました。これが怖い。  外に出て、付近の住民にも聞いてまいりました、何人にも、どうですか、何か感じますかと。  そうしたら、平成二年にばいじん対策のために改良工事があるまでは、網戸が一日で真っ黒になったんだそうです。でも、その改良工事後はましになった、においも感じない、ごみ焼却場は必要だものねと、こういう御意見でございました。まさかダイオキシンが排出されているということは御存じないわけでございますよね。私もそれは言いませんでした。  外に出まして、コンビニでいろんな方の御意見を聞いて、コンビニの外に出て、もう一度鳴海工場の煙突を見上げたんですよ。そうしたら、何も出ていない。風の強い日でした。でも、煙の一条すら上がっていないんです。目に見えない、においも感じない、猛毒性のダイオキシンの恐怖が知らない間の汚染という恐怖へ変わりました。  ごみ焼却場から排出されるガス、そして排水。  ちなみに、鳴海工場の排水は下水道へと放流されております。新南陽工場ですね、七百九十億かけて、しかも汚職で一人逮捕されているというようなこの工場の排水は庄内川に流されております。  それは伊勢湾へと流れ込んでおります。その河口部に藤前干潟がございます。名古屋市はここを焼却灰の埋立地にすることを計画しております。この焼却灰にも、かつての南陽工場の排出分にはダイオキシンが多量に確認されております。  この藤前干潟問題につきましては、きょう取り組むには残り時間が大変少のうございますので、次回、アセス法のところで取り上げさせていただきたいと思います。  ちょっと時間が余っておりますので、ここはひとつ環境庁長官に、実際に長官もごみ焼却場は余りお行きにならないと思うのでございますが、行ってきた私が今るるお話をしたところで、最後に御感想といいますか率直なお気持ちをお聞かせいただきたいなと思います。
  374. 石井道子

    国務大臣石井道子君) 今、最も我々の日常生活の中で重大問題となっておりますのが廃棄物の処理の問題であろうと思います。その中でも特にダイオキシンの問題が最近は非常に顕著になってまいりまして、最近厚生省調査をしていただいたと聞いているわけでございますが、特にダイオキシン問題については、国民の健康影響に対して、それをどうしても未然に防止しなければならない、対策を急がなければならない問題であると認識をしております。  このために、環境庁としてもいろいろと有識者で構成いたします検討会を設けまして対策を詰めているところでもありますし、この対策委員会、検討会の結果を踏まえて、そしてできるだけ早く環境庁としても規制的な措置の導入も含めて対処していかなければならないと思っております。
  375. 末広まきこ

    末広真樹子君 ありがとうございました。  これで質問を終わります。
  376. 渡辺四郎

    委員長渡辺四郎君) 本件に対する質疑はこの程度といたします。  そこで、先ほど長官に対する資料要求の問題がありました。  これは、後日、議事録を精査いたしまして、そして理事会の方でまた協議して決めていきたいと思いますから、そういうことでお願いいたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時四十七分散会