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1997-04-02 第140回国会 参議院 環境特別委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成九年四月二日(水曜日)    午前十時二分開会     ―――――――――――――    委員異動  三月二十七日     辞任         補欠選任      常田 享詳君     加藤 修一君  四月一日     辞任         補欠選任      足立 良平君     広中和歌子君     ―――――――――――――   出席者は左のとおり。     委員長         渡辺 四郎君     理 事                 狩野  安君                 成瀬 守重君                 山下 栄一君                 大渕 絹子君     委 員                 景山俊太郎君                 河本 英典君                 小山 孝雄君                 谷川 秀善君                 馳   浩君                 平田 耕一君                 山本 一太君                 加藤 修一君                 寺澤 芳男君                 長谷 川清君                 広中和歌子君                 小川 勝也君                 竹村 泰子君                 有働 正治君                 末広真樹子君    国務大臣        国 務 大 臣        (環境庁長官)  石井 道子君        内閣法制局第二        部長       宮崎 礼壹君        環境庁長官官房        長        岡田 康彦君        環境庁企画調整        局長       田中 健次君        環境庁企画調整        局地球環境部長  浜中 裕徳君        環境庁自然保護        局長       澤村  宏君        環境庁大気保全        局長       野村  瞭君        環境庁水質保全        局長       渡辺 好明君    事務局側        第二特別調査室        長        林 五津夫君    説明員        外務省総合外交        政策局国際社会        協力部地球規模        問題課長     津曲 俊英君        文部大臣官房審        議官       中西 釦治君        文部省学術国際        局国際学術課長  岩本  渉君        厚生省生活衛生        局企画課生活化        学安全対策室長  内田 康策君        農林水産省構造        改善局建設部開        発課長      江頭  輝君        資源エネルギー        庁石油部計画課        長        市川 祐三君        運輸省運輸政策        局環境海洋課        海洋室長     武藤  浩君        運輸省運輸政策        局観光部旅行振        興課長      城石 幸治君     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○南極地域環境保護に関する法律案内閣提  出)     ―――――――――――――
  2. 渡辺四郎

    委員長渡辺四郎君) ただいまから環境特別委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  去る三月二十七日、常田享詳君委員辞任され、その補欠として加藤修一君が選任されました。  また、昨一日、足立良平君が委員辞任され、その補欠として広中和歌子君が選任されました。     ―――――――――――――
  3. 渡辺四郎

    委員長渡辺四郎君) 南極地域環境保護に関する法律案を議題といたします。  本案の趣旨説明は既に聴取しておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  4. 馳浩

    馳浩君 おはようございます。自由民主党の馳浩でございます。よろしくお願いいたします。  今回のこの南極環境保護法に関しましては、南極条約議定書とその附属書IからV、これを国内法的にも効力を及ぼすために制定されるものと承っております。船舶の航行、航空機の飛行、結果を公表する科学的調査活動等のいわゆる特定活動を除くすべての南極地域での活動環境庁長官による許可制により規制、制限する法律であるというふうに私は理解をしております。  それで、この法律は国際法的に比較して三点ポイントがあります。一つ目届け出制ではなく確認制という名の許可制をとったこと、二つ目許可権者外務大臣ではなく環境庁長官であるということ、三つ目がすべてではなく一部の活動、いわゆる特定活動規制対象から除外したこと、以上の三点につきまして、なぜこのような結論に達したか、その理由を承りたいと思います。とりわけ三点目につきまして、科学的調査に当たる南極地域観測事業、いわゆる南極観測隊活動につきましてですが、環境庁としてはどのぐらい関与をしていくおつもりなのかも明らかにしていただきたいと思います。  以上です。
  5. 澤村宏

    政府委員澤村宏君) 私からお答えを申し上げます。  まず、最初の第一点目の、確認制をどうしてとったかということについてでございますが、この法律におきましては、議定書原則としてすべての活動について事前環境影響に関する評価を受けなければならないという要請を踏まえまして、環境庁長官活動計画につきまして、まず第一に禁止されていることがないこと、第二に条件つきで認められていることがその条件を満たしていること、第三に環境に対する著しい悪影響を及ぼさないこと、これらにつきまして事前に審査をすることとしているわけでございます。  議定書により求められておりますことは、議定書を受けた法の規制に適合するものであることを事前に審査することでございまして、我が国におきましては確認という形式になじむことからこのような法形式としたところでございます。  次に、第二点目の許可権者についてでございますが、議定書南極地域環境並びにこれに依存し及び関連する生態系等を包括的に保護することを目的としております。国内法はそのような目的を達成するために国内措置を講ずるものであり、専ら環境保護立場から必要な規制等を行うこととしております。  したがいまして、国内法の施行につきましては、環境保全に関する行政を総合的に推進することを任務としております環境庁所掌することとしたところでございまして、専ら南極環境保護立場から行われる確認についても環境庁長官が行うこととしたところでございます。  それから、第三点目でございますが、なぜ特定活動規制対象から除外したのかという御趣旨でございますが、議定書におきましては環境影響評価対象となる事項公海の自由に該当する活動は含めないこととしておりまして、水産動植物の採捕等につきましては、公海の自由に該当する活動であることから、国内法においては特定活動とし、確認対象とはしていないところでございます。  なお、特定活動とされる活動につきましても、例えばPCBの持ち込み等規制につきましては適用されているところでございます。  それから最後の、特定活動との絡みでのお尋ねでございますが、南極観測隊活動環境庁がどのように関与するのか、そういうお尋ねでございますが、この法は南極地域において行われる原則としてすべての活動について適用されます。したがいまして、いわゆる南極観測隊活動についても適用されることとなり、環境庁長官南極観測隊活動についても確認を行うこととなります。
  6. 馳浩

    馳浩君 その最後の点ですけれども確認を行うことになるということは、観測隊活動というものはこれは文部省の所管のことでありますから、文部大臣に対して必要なことがあれば、この法に触れるようなことがあれば、文部大臣に対してもちゃんと指導というか意見を行うということで理解してよろしいんでしょうか。
  7. 澤村宏

    政府委員澤村宏君) おっしゃるとおりでございます。
  8. 馳浩

    馳浩君 はい、わかりました。質問を続けます。  この法律外務省ではなく環境庁が主体となって南極環境を監視、保護していくということでございまして、非常に意義が大きいものであると思います。とりわけ、外務省が所管しておりました南極地域動物相植物相保存法が廃止され、この点を環境庁が所管することになることは大変意義深いことであると思います。  そこで、大臣南極地域環境保護にかける意気込みをお伺いしたいと思います。
  9. 石井道子

    国務大臣石井道子君) 南極地域は固有な動植物相がございます。また、すぐれた自然景観等の特異な自然が原生のまま残されている、維持されている大変貴重な地域でございます。また、気候変動とかあるいはオゾンホール観測等地球環境の解明などの科学的調査を行うためにも大変重要な地域であると考えているところでございます。  南極地域環境保護するということは、自然環境の恵沢の享受や地球環境観測結果の環境保全施策への活用等を図るということ、そして将来にわたって可能にするものであるということでありまして、我が国国民はもちろんのこと、人類全体の利益に資するものであると考えております。  本法の適切な運用を通しまして、南極環境保護が一層図られますように最大限の努力を傾注していきたいと思っております。
  10. 馳浩

    馳浩君 はい、ありがとうございます。  そこで、細かく入ってまいりますが、幾つ問題点指摘させていただきます。  この議定書附属書Ⅳ、これは南極海洋汚染防止に関して定めているわけでありますが、この点については実は南極保護法は関与せずに現行の海洋汚染海上災害防止法で関連実施することにしております。ということで、つまり運輸省が所管することになっておるわけでございますね。  そこで、指摘をさせていただきます。この議定書附属書四条の排出が禁止されている有害液体物質の決定や六条の汚水排出方法規制など、これは環境保護の観点から環境庁が決めるにふさわしい事項も多いと思われます。  加えて、海洋汚染防止法の第四十七条一項を読みますと、環境庁運輸大臣要請がなければ協力ができないとあるわけですね。読ませていただきますが、これは海洋汚染及び海上災害防止に関する法律第四十七条の一項です。「運輸大臣は、この法律目的を達成するため必要があると認めるときは、関係行政機関の長又は関係地方公共団体の長に対し、海洋汚染防止及び海洋環境保全に関し、資料又は情報の提供、意見の開陳その他必要な協力を求めることができる。」ということで、運輸大臣要請がなければ対応することができないというふうになっておるということですね。あるいは、農林水産大臣ならできる廃棄物排出等規制要請が、これ第三項ですけれども、できないということになっております。  加えて、この議定書附属書Ⅳと海上災害防止法内容が異なる点もあります。附属書Ⅳの第六条では船舶からの未処理の汚水排出を禁止しておりますが、海洋汚染防止法の第十条二項一号によりますと、日常生活に伴う汚水排出オーケーと、し尿などの汚水排出オーケーとなっております。大変矛盾しておるわけでありますけれども、この点、運輸省に御質問申し上げますが、運輸省としてはどのように対応をしていくのかと。  これは恐らく海防法改正に及ばなければいけないとは思いますが、その点について御説明をいただければと思いますが、よろしくお願いいたします。
  11. 渡辺好明

    政府委員渡辺好明君) ちょっと先に、実は海防法自身環境庁が一部を所管しておりますので、私の方から答弁をさせていただきます。  附属書Ⅳの海洋汚染防止を定めました部分でありますけれども、これのスキームはいわばMARPOL条約と共通するものでございます。MARPOL条約国内担保措置はすべて海洋汚染防止法で行われてきておりますし、その中で、既に南極地域の特性も考慮した定め方がなされております。  したがいまして、こうした状況を踏まえて、今回の附属書Ⅳにつきましても海防法世界で対応するというふうにしたところでございます。  それから、今先生から所掌の問題につきまして、海防法運輸省という御指摘があったわけでございますけれども、実は海洋汚染防止法の中でも、例えば有害液体物質あるいは廃棄物排出基準設定につきましては所掌環境庁ということになっております。したがいまして、今回のこの附属書Ⅳの、例えば有害液体物質規制につきましては、環境庁設定をする基準によって実施をするということになるというふうに考えております。  それから、汚水についてのお話がございました。これは廃棄物一般もそうでございますけれども、特に汚水につきましては船の構造の問題とか、それから乗組員日常生活から排出をされるといったそういうかかわりがございまして、これまで運輸省所掌するということできたわけでございますので、今回もそのスキームにのっとりまして実施をするということになりますが、これまでMARPOL条約のうち汚水排出部分につきましては、まだこの部分が未発効でございますので、今回の条約議定書附属書を受けましてより強い措置政令その他で定められるということになってまいります。  いずれにいたしましても、この国内担保措置をどういうふうに確実にやっていくかということにつきましては、関係省庁集まりまして漏れのないように話し合いを行ったところでもございますし、今後ともそういったことで環境庁総合調整機能を発揮していきたいというふうに考えております。
  12. 武藤浩

    説明員武藤浩君) ただいま局長の方から全部御答弁いただいたとおりでございますので、私どもとしても環境庁の方とよく相談をしながら必要な法令の措置をしていきたいというふうに考えております。
  13. 馳浩

    馳浩君 私は、実は環境庁運輸省が両方が共管の法律であるということを基本的な問題のところで押さえておりませんでしたので、ちょっと失礼な質問になったように思いますが、運輸省にとりまして、恐らくこの海防法改正ということに関しましては、南極海域というわけですか、この点に関しましての少し縛りをかけなければいけなくなるのではないかと思いますが、それはそのように理解してよろしいのでしょうか。
  14. 武藤浩

    説明員武藤浩君) どのような手当てをするかという点につきまして、もう既に関係省庁で御相談をいたしております。  具体的には、法律改正というのは必要がなくて、政令、省令、そういったレベルでの改正が必要だというふうに考えておりまして、今後その内容について対応していきたいというふうに考えております。
  15. 馳浩

    馳浩君 はい、じゃわかりました。環境庁とも連携をとりましてよろしくお願いいたします。  次に移ります。  この環境保護に関する南極条約議定書は、南極環境保護にとりまして画期的な内容であります。しかし周知のごとく、協議国二十六カ国すべての国が締結して初めて効力を生じるのに、日本はいまだに締結をせず、未締結国三カ国の一つになりました。アメリカはもう既に締結の方向にあるというふうな情報をいただいておりますので、ロシアと日本だけだということでありまして、なぜこの締結がここまで日本はおくれてしまったのか、その原因をお伺いしたいと思います。  これは外務省にお伺いした方がいいのか、環境庁にお伺いした方がいいのか、私は外務省にも環境庁にもお答えいただいた方がいいと思いますが、よろしくお願いいたします。
  16. 澤村宏

    政府委員澤村宏君) まず私の方からお答えを申し上げます。  南極環境保護のための議定書の迅速な締結が国際的に求められていることは私どもとしても十分に認識をしているところでございます。環境庁といたしましても、早期締結のために国内担保法案の取りまとめにこれまで努力してきたところでございます。  特に、平成六年四月に京都で開催されました南極条約協議国会議の際には十七カ国が未締結状況だったわけですが、環境庁といたしましては、早期締結に向けた取り組みを進める必要性認識いたしまして、関係省庁に働きかけを行うとともに、事前検討を進めてきたところでございます。  その後、外務省を中心とした政府全体の準備作業が開始されまして、議定書義務内容が明確になってきましたので、これと並行いたしまして法律案規定内容について具体的な検討を進めてきているものでございます。
  17. 馳浩

    馳浩君 この後外務省お答えいただくんですけれども、これは九一年に採択された条約でございまして、ことしは九七年ですから、もう六年たっておるわけでありまして、非常に優秀な日本の官僚の皆さん方が諸外国と比べてもそんなに六年もかかる必要があるのかなという私は疑念を持つのでありますが、この点外務省、いかがなんでしょうか、何かはかに事情があってこんな六年もおくれてしまったのでしょうか。  これは環境問題に関して、余りにも日本環境行政、あるいは外務省にしてもこの条約に対する取り組みが甘いのではないかと私は思われてもいたし方ないのではないかと。そういう意味では、事情があるならば事情をお伝えいただきたい、明らかにしていただきたいと思います。
  18. 津曲俊英

    説明員津曲俊英君) 従来より、地球環境問題は、我が国国際貢献を果たしていくべき最重要分野であるということは十分認識しておりまして、国際約束を含め、地球環境保全に向けた国際的な枠組みの強化について積極的に協力してきたところでございます。  この南極条約議定書及び附属書のⅤにつきましては、その後発効見通し、先ほど先生の御指摘ございましたように、この議定書及び附属書は二十六カ国全部が締結しなければ発効しないということでございまして、その発効見通し、ほかの協議国動向などを念頭に置きつつ、議定書及び附属書Ⅴの内容及びその円滑な実施のための国内法の整備につきまして、十分なかつ慎重な検討を行ってきたところでございます。この結果、今般この議定書及び附属書V実施のための法律案が作成されたことを踏まえまして、議定書及びこの附属書V締結すべく、国会の御承認をお願いしているというところでございます。
  19. 馳浩

    馳浩君 お答えにはなっていないわけでありまして、進めますが、これは今回だけではないわけでありまして、例えば一九六四年採択動物相植物相保存に関する合意措置承認も、これは我が国承認したのが八二年、二十年近くかかっているわけですね。これは協議国の中では一番最後であります。あるいは、一九七二年に採択した世界遺産条約は九二年、これが二十年かかっているわけであります。あるいは、皆さん本当によく御承知の、絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約、いわゆるワシントン条約締結にも七年かかっておるわけであります。  自然の保護あるいは環境保護に対して、条約締結が非常におくれがちであるという指摘は、これは諸外国からの非難という声として上がっておりますし、私たち日本人としても、日本自然保護環境保護に対して、経済的メリットのない条約締結に対して非常にやはり後回しにするのだなという、これは私のうがった見方でしょうか、というふうな考え方もできるわけであります、実際にこれだけの年数がかかっておるわけでありますから。  そういう点に関しまして、もう一度外務省には誠意のあるお答えをいただきたいし、と同時に、じゃなぜそんな二十年もかかったり七年もかかったりしたのか。日本におきましては昨年は海洋法条約ですか、これの締結に向けまして非常に忙しかったのはわかりますけれども、そういう理由でおくれたというふうなことであってはいけないでしょうし、必要なものは、むしろ日本国際貢献するということにおきまして、まさしく軍事的な貢献はできないわけでありますから、こういう環境自然保護貢献こそ率先して日本が一番先に手を挙げて締結をし、そして採択されたら締結していくという姿勢を示すことが、諸外国に対して日本姿勢を示していく、日本の良識を示していくことになるのではないかと思います。  これはまさしく石井環境庁長官にも外務大臣のしりをたたいていただきたいのはもちろんなんですが、外務省もう一度、これはなぜこんなにおくれているのか、この日本の現状というものに対しての認識をお聞きしたいし、先ほどのお答えは私は納得できないし、もうちょっと私たちにわかりやすく教えていただきたい。もし、不備があればまた私たち指摘もしていきたいと思いますので、もう一度御答弁をお願いいたします。
  20. 津曲俊英

    説明員津曲俊英君) 今御指摘いただきましたように、この南極環境議定書及び附属書V締結につきまして、確かに時間がかかりました。それと、また先生指摘のございました幾つかの環境に関する条約につきましても、時間がかかったものも確かにございます。  ただ、私たちの基本的な認識といたしまして、先ほど申し上げましたように、地球環境問題というのは大変重要であるということで、国際貢献を果たしていく最重要分野であるという認識は十分持っておりまして、先生指摘いただきました条約以外で、例えば気候変動枠組み条約とかそれから生物多様性条約など、これ以外にも幾つかございますけれども、これらにつきましては採択から一年もしくは二年ぐらいの期間のうちに締結しているものもございます。私どもといたしましては、確かにこれにつきましては御指摘のとおりおくれたことはございますけれども地球環境問題及び環境保護に対しましては、国際的な枠組みのもとでも積極的に今後とも対応してまいるということを考えてございます。
  21. 馳浩

    馳浩君 最初の方の御答弁で、他国動向を見守りながらとかいうお言葉がありましたが、そういうのではなくて、むしろ他国に私たち日本国取り組み影響を与えるような取り組みをしていくべきでありまして、この点に関しまして、恐らく環境庁長官国際会議があるときに外務省のおかげで恥ずかしい思いをされると思うんですよ。  その点からも石井長官には、これはまある井長官人格者ですからそういったことは我慢されるかもしれませんが、個人の問題ではなく、日本国益に関する問題でもこれはございますので、今後の取り組みであるとか、あるいは外務省に対して、あるいは閣議とかでも閣僚の皆さん方の前ではっきりとこういう点をやっぱり申し上げていただきたいと私は思うのですが、その御決意とか今後の取り組み姿勢をぜひお聞かせいただきたいと思います。
  22. 石井道子

    国務大臣石井道子君) 最近の地球環境保全に対する重要性大変関心も高まってまいっております。そして、さまざまな環境関連条約というものもその重要な役割を果たしてきていると考えているところでございますが、この本議定書におきましては、平成六年に京都南極条約協議国会議が開催された際に、当時の広中長官我が国早期締結を呼びかけていただいております。それで、今後も必要に応じて関係省庁環境関連条約早期締結について積極的に働きかけてまいりたいと思っております。  ちょうど五年前に地球サミットが行われまして、それ以来、日本環境基本法ができて、この地球環境の問題は世界的な取り組みが行われているところでありますが、日本としても、単なる国益だけではなくて、まさに地球益という立場で取り組まなければならない、そういう重要な問題であると思っておりますので、今後も一生懸命頑張っていきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
  23. 馳浩

    馳浩君 次の質問に移ります。  南極地域での陸域での活動はすべて第五条以下の確認対象となりまして、確認がおりなければ活動ができないのが原則であります。しかし、例外もありまして、第五条の二項、これ読み上げます。「議定書の締約国たる外国の法令であってこの法律に相当するものの規定により当該締約国において前項に規定する確認に類する許可その他の行政処分を受けてする南極地域活動又は当該処分を受けることを要しないとされている南極地域活動については、同項の規定は、適用しない。」と。  法律の文言というのは非常にわかりづらいものでありまして、わかりやすく言いますれば、ほかの国、ほかの締結国の相当法令で、この南極環境保護法に相当する法令で、我が国確認制度と類似したものであれば、それにパスすれば活動できると規定しているわけでありまして、問題がここにあるわけですね。  類似しているか否かの基準を甘くすれば、本来日本では禁止される活動が許されるかもしれないわけでありまして、そうなればこの法律はざる法になるわけですね。したがって、第五条二項の「類する」を厳格に解釈しなければならないと考えます。これが一点。どう考えますか。  さらに、なぜ日本法律の抜け道をつくることにもなりかねない第五条二項をわざわざ規定したのか、これが二点目。この二点に関しましてお伺いをしたいと思います。
  24. 澤村宏

    政府委員澤村宏君) 第五条第二項の規定についてのお尋ねでございますが、南極地域で行われます基地活動、それから観光活動等の活動は、複数名の活動として行われるものが通常の形でございます。活動に関します環境影響につきましては、一人一人の活動を個別に審査するのではなく、活動のまとまりごとに審査することが活動の実態にかんがみて適当であるというふうに考えております。外国におきまして議定書要請に基づいた審査が行われた活動に参加する者につきましては、その活動が既に議定書要請を満たしているとの判断が同じ議定書を担保している締約国政府によりなされており、あえて再度我が国確認を行う必要がないことから第五条第二項を設けたところでございます。  締約国は議定書の定めに従いまして国内法を制定するなどの方法によりまして議定書内容を担保しているものであり、基本的にはこの法律と同様の規制が各締約国で行われているものと理解しているところでございます。いずれにいたしましても、法の運用に当たりましては、南極地域環境保護に支障がないように適切に対処してまいりたいと思います。  今の点に関しまして、ざる法になるのではないかということもお尋ねがあったわけでございますが、ただいま申し上げましたように、各締約国におきましては、議定書の定めに従いまして国内法を制定するなどの方法によりまして議定書内容を担保しているわけでございます。基本的にはこの法律と同様の規制が各締約国で行われているものと我々理解していること今申し上げたとおりでございますが、今後各国におきまして南極地域における行為の規制が運用されていくことになるわけでございますが、締約国会議等の場における各国の情報交換等を通じまして議定書要請にかんがみて適切な運用が図られていくものと、そのように考えております。
  25. 馳浩

    馳浩君 それはおかしいんですね。運用に任されているというふうな話で済まされようとしておりますが、おかしいんです、本当に。日本のこの法律で規定されているものは、やつちゃいけない、しちやいけない活動だと言われているものは、外国の法令で相当するもので類するものがあればやってもいいよということになるわけでありますから、ごれが抜け道だと私は言っているわけでありまして、だから最初からこの第五条の二項は要らないんじゃないんですかということなんですよね。この点についてのお答えをいただきたいと思います。
  26. 澤村宏

    政府委員澤村宏君) 先ほど申し上げましたように、南極地域で行われる活動は通常複数名の活動として行われるわけでございまして、そうした一つの行動につきまして外国においてもまた我が国においてもそれぞれ確認を得る、あるいは許可を得るというようなことは必要以上の負担を課すということでございます。したがいまして、同じ活動につきましては、我が国と同じ法制度が担保されておるはずであります外国におきます同様の制度で許可あるいは確認というようなことが行われるならば、それはその判断に任せるということでございます。  なお、この条約発効いたしますと、各協議国の間におきますいろいろな協議国会議というものもありますし、またその事務局等に対する通報というようなこと等もあります。各国の法制度というものもはっきりとわかってくるわけでございますので、そういう中でこの適切な運用が図られるということを申し上げた次第でございます。
  27. 馳浩

    馳浩君 というわけで、活動するときには日本人同士とか外国人同士ではなくて非常に多国間のチームを組んで活動することもあるというので、そういうものに対応した法令であるということの説明でよろしいわけですね、わかりました。その点、各国との協議を常に綿密に連絡をとりながらしていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。  それで、もう一つ関連しますけれども、第五条二項が適用される外国の類似制度はそもそもだれが類似していると判定するのか、これは環境庁なりが事前に類似制度はこれであると公表しておくべきと考えるが、いかがでしょうか。
  28. 澤村宏

    政府委員澤村宏君) ただいまのお尋ねでございますが、今回私ども国内法制を整備するに当たりまして各国の動向等もいろいろ聞いてきたわけでございますが、各国の法制度につきまして今後ともより一層情報収集等に努めてまいりたい、そのように考えております。
  29. 馳浩

    馳浩君 しつこいようですが、続きまして、このような立派な法律ができましても、運用次第で簡単に骨抜きにされるのは法律の偽らざる姿であると思います。ある締結国許可制度が日本確認制度ほどの厳格さで法制化されていても、その国の運用段階でざる法化してしまい、日本人もこの第五条二項を通じてこれを利用して野放し状態に活動していたのでは、結局第五条二項に関する我が国の運用の仕方が悪いと言われても仕方ないと考えます。その際環境庁が、他国の運用問題であり、我が国は関与できないなどとのコメントをするようならば、この第五条二項はない方がましであります。  この程度のことは立法制定当初から予想できたことではないかと思いますが、いかがですか。この点の対策をどう立てているのですか。こういった問題が顕在化した場合、解釈、運用で第五条二項の適用を受けない許可制度と判定すべき場合もあると考えますが、以上の点に関しましてもう一度御説明をお願いいたします。
  30. 澤村宏

    政府委員澤村宏君) 先ほど来御説明申し上げておりますとおり、締約国は、議定書本文第十三条第一項の規定にございますように、「法令の制定、行政措置及び執行措置を含む。」そういった適当な措置を講ずることとされておるわけでございます。そして、それぞれの国内法制にのっとりそうした措置が講じられているものと私ども認識しております。  各国におきましては、これまでの南極地域におきます活動に基づく知見が蓄積しているところでございますが、南極地域環境は未知性の高いものがあるのは事実でございます。今後の運用の過程で解決すべき問題も出てくるものと考えられることから、今後、締約国会議等の場におきまして各国と積極的な情報交換等に努め、国際的な調和を図りながら議定書要請が適切に果たされるように努めてまいりたい、そのように考えております。
  31. 馳浩

    馳浩君 ちょっと長々と意地悪なような質問になってしまいましたけれども、要は知見や判例の積み重ねで今後対処していくしかないというわけでありますから、一言で言いますれば、本当に御努力を期待しております。  次の質問に移ります。  この南極環境保護法、この大きな特色の一つであり評価すべきこととして南極環境影響評価、いわゆる環境アセスが採用されている点であります。日本国内でも、このアセス法は閣法として提出されておりますけれども、それに先駆けまして非常に有効な内容、特色として評価されると思います。  さて、この環境影響評価については活動主宰者という方が行うというわけでありますが、この活動主宰者の法的な定義、だれを何をもってして活動主宰者というふうに定義すればいいのか、活動主宰者と法的に言われる内容についてまず定義を教えていただけますか。
  32. 澤村宏

    政府委員澤村宏君) 先ほど申し上げましたように、南極地域で行われます基地活動あるいは観光活動という活動は複数名でもって行動、活動されるものが通常でございます。そうした場合の責任者ということでございます。
  33. 馳浩

    馳浩君 具体的に言ってほしかったんですけれども、個人、国、企業、法人、国際機関、こういったような方々と言ったらいいのかな、私の今申し上げたことでよろしいですか。
  34. 澤村宏

    政府委員澤村宏君) 法の第二条におきましては、「この法律は、日本国民及び日本国の法人並びに日本国内に住所を有する外国人及び日本国内に事務所を有する外国の法人」ということにその適用の範囲がなっているわけでございます。そうした適用を受ける方が南極地域活動する、そしてその責任者として活動する、そういった方々をこの主宰者と言うことになろうかと思います。
  35. 馳浩

    馳浩君 ありがとうございます。  それで、この環境アセスに関しましては、議定書附属書Ⅰの一条、二条、三条がこの今回の法律にも適用されると思うんですね。附属書Ⅰの第一条は予備段階、第二条は初期的な環境評価、第三条は包括的な環境評価と。これはこの法律によりますと、第七条一項五号で、常に活動影響が軽微なまたは一時的なものか否かの判断をする仕組みになっていると。つまり、先ほど申しました議定書附属書Ⅰに言います予備段階、初期的な環境評価、包括的な環境評価我が国でも行うことになっていると思いますが、大変わかりづらいので、わかりやすく説明していただけますか。
  36. 澤村宏

    政府委員澤村宏君) 環境庁長官は、主宰者から申請書が提出されますと、第八条第一項の規定に基づきまして審査を適正に行うために必要があると認めるときは、申請者に対しまして環境影響評価書に相当する図書の提出を求めることができることとなっているわけでございます。この審査を適正に行うために必要があると認めるときとは、申請にかかわる活動環境影響の程度が極めて軽微なもの以外であると判断されている場合でございます。すなわち、一つは軽微な環境影響を及ぼすと判断されている場合であるか、または環境影響の程度が軽微なものを上回ると判断されている場合でございまして、こうした場合には環境影響評価ということが必要となってくるわけでございます。
  37. 馳浩

    馳浩君 条約国内法で用語が混乱しておりましてわかりづらい面がありますので、もう一回お伺いいたします。  議定書附属書では、影響が軽微または一時的な場合を基準に、それを下回る場合と上回る場合の三つに分けております。本南極環境保護法では、影響が軽微な場合と著しいおそれがある場合、さらには著しいものとなるおそれがない場合つまり軽微以上著しいおそれ未満の場合の三つを想定しております。非常にわかりづらい内容でありまして、議定書で言う内容南極環境保護法で言う内容のこの両者の関係を説明していただきたいと思います。どう読んだらいいのか、ちょっと私はわかりませんので、同じなら同じ、そうではない、微妙に違いがあるのならば違う点ということをちょっと説明していただきたいと思います。
  38. 澤村宏

    政府委員澤村宏君) 確かに、軽微または一時的な影響というものの程度がわからないのでなかなかわかりにくいかと思いますが、一つここで例がございますので、例の御説明でもって説明にかえさせていただきたいと思います。  現在、既に南極地域におきます活動につきましていろんな環境影響評価ということもなされております。そして、例えばイギリスの外務省におきましては、南極地域における活動環境影響評価ガイドというものを既に発表しておりまして、それに従いますと、「軽微な又は一時的な影響を下回る影響」というものは、例えば恒久観測基地における科学観測プロジェクトといったようなもの、それから二番目の「軽微な又は一時的な影響」に相当するものといたしましての例として、規模の大きな氷柱を掘削するというようなこと、あるいは特に三番目の「軽微な又は一時的な影響を上回る影響」の例といたしましては、規模の大きい岩盤を掘削するというような、そのような例が挙げられているところでございます。
  39. 馳浩

    馳浩君 こういった環境評価については、明確な基準のもとに何が軽微で何がそうでないかというふうな判断は大変難しいところでありまして、先ほども申し上げましたけれども、これはまさしく知見と判例の積み重ね、諸外国との連携によりまして適宜行っていただきたいと思います。  次の質問に移ります。  本法の八条一項二号におきましては、基本的に活動の申請者にも環境アセスを命ずることができるとありますが、どんな場合にこれをさせる意図でありますか。その場合に、現地での事前調査も要求するのでしょうか。代替案の提出もさせるのでしょうか。いかがでしょうか。
  40. 澤村宏

    政府委員澤村宏君) 先ほどの例で申しますと、例えば軽微な環境影響を及ぼすと判断されるような場合には、議定書で言います初期の環境評価に相当する図書の提出が求められているところでございます。また、環境影響の程度が軽微なものを上回ると判断される場合には、議定書で言う包括的な環境評価に相当する図書の提出が求められるということになっておりまして、環境庁といたしましては、主宰者から申請されました書類におきまして足りないというような場合には、活動にかかわります環境影響の程度に見合います図書を自主的に提出するだけではなしに、それに応じまして図書を求める、あるいはその修正、あるいは補充を命ずるというような仕掛けになっております。
  41. 馳浩

    馳浩君 わかりました。申請者、つまり主宰者にとりましては大変厳しい縛りがかかっているということを理解させていただきます。  それで、これは基本的な問題かもしれませんが、そもそも南極への環境影響が軽微か否かの科学的指標とは何なのでしょうか。恐らく数値になるのだと思いますが、この点に関しまして、大気、水質、土壌で異なると思いますが、その概略を知りたいと思います。  そして、日本国内の数値より厳しいのか、日本国内の数値と比べまして、今回南極で行われます環境影響に関する評価として、科学的数値が大気、水質、土壌、このいずれにも日本国内より厳しくされているんですねという確認の意味で日本国内との比較も伺いたいと思います。
  42. 澤村宏

    政府委員澤村宏君) 先ほども申し上げましたように、これまで既に南極地域におきましては幾つかの環境影響評価ということが行われております。そうした諸外国で行われております環境影響評価は、ただいま御指摘がありましたが、大気、水質、土壌を初め、その活動の特性に応じた環境要素に着目して行われてきているところでございます。  なお、大気、水質及び土壌に対する環境影響について具体的に何に着目すべきかということにつきましてあらかじめ示すことは、南極地域におきます活動環境影響活動内容、あるいは行う場所、あるいは行う時期等によりまして大きく異なっていることから、現時点ではなかなか難しいものがあるわけでございます。  それから、厳しい内容になるのかどうかということについてのお尋ねもございますが、今後、環境影響評価の実績のそうした積み重ねと南極地域環境についての科学的知見の充実に伴いまして、環境影響の程度を示す具体的数値基準検討も可能となるものと考えております。
  43. 馳浩

    馳浩君 これはまさしく今後の課題ではあるでしょうけれども、やっぱり方針としては日本国内に比べてより以上の厳しい基準設定というものは必要になってくると思います。  なぜならば、南極地域環境重要性に関しましては、冒頭で石井長官が申されましたように、オゾン層の問題でありますとか、まさしく地球益にかかわる問題でありますので、今後の科学的研究の積み重ねによりまして十分な担保がされますように、私は今後とも見詰めていきたいと思います。よろしくお願いしたいと思います。  次の質問に移ります。  確認制度をつくり、事前の検査体制を万全にしていても、南極では人目にもつかないことから好き放題な活動をするかもしれません。そこで、この確認制度をいかに制度的に実効性あるものに担保しておくかが重要であります。この観点から質問をさせていただきます。  まず、第二十三条の「措置命令」でありまして、事前の抑止効果としての意味が大きいのかなとは思いますが、この措置命令の概略を教えていただきたいと思います。
  44. 澤村宏

    政府委員澤村宏君) ただいまの措置命令は、法律の第二十三条にございますが、この措置命令は、まず第一に、南極地域において本法で禁止されております行為や環境に著しい影響を与えるおそれのある行為を行った場合または行おうとする場合に、必要に応じ環境庁長官が中止及び原状回復等を命ずることができるというものでございます。  また第二には、環境庁長官確認を受けた活動計画の場合であっても、確認のときには予想することができなかったその後の環境の変化や、確認のときにはなかった科学的知見の充実によりまして、環境に著しい影響を与えるおそれが生ずることとなった場合で、それを放置することができないような場合、そのような場合には中止その他の必要な措置を命ずることができる、これが措置命令の概要でございます。
  45. 馳浩

    馳浩君 というわけで、この第二十三条の措置命令は、確認制度をすぐれて実効性あるものに担保する規定と言えますが、問題はだれが禁止行為をするか否かを現地でチェックするかにあります。また、どういう連絡方法をとって中止命令を出すのか。だれがこの禁止行為をするか否かを現地でチェックするのか、どういう連絡方法をとって環境庁長官は中止命令を活動者に出すのか、この二点につきましてお答えを願います。
  46. 澤村宏

    政府委員澤村宏君) この措置命令の実際の運用についてのお尋ねでございますが、環境庁長官があらかじめ指定する職員がその権限を行うことができることとしております。職員を現地に派遣することも含めまして、今後関係省庁とも相談しながら効果的な体制の整備に努めてまいりたいと思います。  また、具体的にさらに運用のこともお尋ねでございますが、現地の職員を派遣する際には、例えば無線連絡等の連絡手段を確保することなどによりまして、緊密な連携のもとに法の適切な運用が図られるように今後いろいろと考えてまいりたい、そのように考えております。
  47. 馳浩

    馳浩君 環境庁長官が指定する現地の職員と申されましたよね。それは、我々日本ですけれども日本人あるいは日本として、先ほど申しましたように申請を受け付けた活動主宰者に対してしかその効力がないのか、それとも国際的な査察員みたいな人がいて、どこの国の人でも、あんたそんなことはやっちゃいかぬよ、それは規定に反するよというふうに取り締まりといいますか、まさしく措置命令、中止あるいはその原状回復、代替措置ということの対応をできるのか。どうなんでしょう。これは日本のことは日本でやりなさい、ほかの国のことまではそんなに越権してはいけませんよと言っている規定なのか、この点を説明してください。
  48. 澤村宏

    政府委員澤村宏君) この法律の立て方といたしましては、いわゆる属人主義ということで考えておりますので、環境庁長官に指名されたそういった職員は日本人の行う行為ということに対しまして責任を持つということでございます。
  49. 馳浩

    馳浩君 ということは、これは環境庁に聞いてもわからないかもしれないですけれども、先ほど私が申しました国際的な査察員というのは存在しないわけなんですか。これは条約あるいは議定書には書いていないんですかね。
  50. 澤村宏

    政府委員澤村宏君) ただいま国際的な査察の問題のお尋ねでございますが、それにつきましては国際的な協議国会議枠組みの中で、当然のことながら他国の施設に入るというようなことは可能でございます。  それは、違った仕組みと申しますか、今先生最初お尋ねはこの法律の運用のことですが、あと一つ南極地域というもの、これは一九六一年の南極条約に基づいて領土権を放棄するあるいは軍事活動はしないというようなこと等の中で科学活動をしているわけでございますが、そういう枠組みの中では、そういう約束事ができればそのお互いの施設にも入るということは可能でございます。
  51. 馳浩

    馳浩君 続きまして、この第二十三条の措置命令では、第七条一項五号に違反する行為が対象外になっておりますが、なぜですか。環境アセスにより南極への環境影響が科学的知見に照らし著しいものとなるおそれがある行為を対象にしないのは不当ではありませんか。この法律の目玉であります環境アセスの意味が失われると思いますが、いかがでしょうか。  ちなみに、第七条一項五号を申し上げますと、本当にややこしいんですね。「前三号に掲げる南極地域活動のうちその南極環境影響の程度が軽微でないものにあっては、これらの号に規定するところに適合するほか、当該南極環境影響の程度がその時点において国際的に到達されている水準の南極環境影響に関する科学的知見に照らし著しいものとなるおそれがないこと。」。  わかりづらいんですけれども、ここの部分措置命令では対象外になっておるわけでありますね。これはなぜなんでしょうか。
  52. 澤村宏

    政府委員澤村宏君) この措置命令につきましては、本法で禁止されております行為や環境に著しい影響を与える行為をし、またはしょうとする場合において行うことができるという規定になつているわけでございます。そして、これらに該当するかどうかは、その時点におきます科学的知見に照らして判断されるものであり、その時点の科学的知見に照らし著しいものとなるおそれのある行為につきましては、当然に措置命令の対象となるわけでございます。
  53. 馳浩

    馳浩君 わかりました。それでは次に移ります。  その禁止行為をした場合に原状回復を大いにさせるべきでありまして、この条文でもそうなっております。問題は、原状回復が著しく困難な場合、代替措置を認めておりますが、どんな場合を想定しているのでしょうか。さらに、ここで言う代替措置とはどういうことなんでしょうか、具体的にお答えいただきたいと思います。
  54. 澤村宏

    政府委員澤村宏君) まず、この代替措置の制度から申し上げますと、この法律南極地域環境の特性にかんがみまして、環境に対する悪影響事前に予期することを重視しているものでございますが、原状回復及びその代替措置につきましても、そうした観点に配慮しながら、既存の他の自然保護関係法令の用例に倣い、制度として設けたものでございます。  なお、その活動によります影響を受けた環境を完全に回復させることが著しく困難である場合には、例えば、動植物の生息または生育場所として同質と考えられる環境を他の場所に確保するなどの措置、そんなことを想定しているわけでございます。具体的には、海鳥の繁殖地として適した環境活動影響を受けない安全な場所に用意することなどが考えられるわけでございます。  いずれにいたしましても、この南極という地域の極めて自然環境が脆弱なところにおきましては、当然こういった措置は必要なわけでございますが、何よりも事前にそうした悪影響を予防するということ、そういったことが極めて重要ではないかと思います。
  55. 馳浩

    馳浩君 それで、この措置命令、第二十三条の三項なんですよね。その原状回復をさせる。ところが、環境庁長官によって原状回復しなさいというふうに「命令をされた者がその命令に係る期限までにその命令に係る措置をとらないときは、」、つまり言うことを聞かなかった活動の主宰者に関しては、これは環境庁長官みずからが「原状回復をし、又は原状回復が著しく困難である場合に、これに代わるべき必要な措置をとるとともに、」、代替措置をし、「その費用の全部又は一部をその者に負担させることができる。」ということでありますが、要は、費用を一部負担させるまでは環境庁としてやらなきゃいけないわけですよね。この点が大変緩やかな措置命令でありますけれども、この点に関してのコメントをぜひいただきたいんですよね。  やっぱりもうちょっと、大事な南極環境に関して、これどうなんでしょう、科学者だからそんなことをするはずはないと思うんですが、要は旅行者とかは中途半端なことをされるとこれは困るわけでありまして、それに対して原状回復あるいは代替措置に関して環境庁が命令しても、しない場合には環境庁がしなきゃいけないわけなんですよ。これは余りにも非常に何か緩やかな法律だなとは思うんですけれども、この点に関しまして厳しく臨んでいただきたいと私は思いますが、コメントだけでよろしいですから、意気込みを聞かせてください。
  56. 澤村宏

    政府委員澤村宏君) ただいま申し上げましたように、既存の他の自然保護関係法令の用例に倣い、こうした規定を設けております。特に、この原状回復の代替措置として金銭の支払いを命ずることは基本的には考えておりませんが、原状回復等の命令に従わなかった場合には、環境庁長官がみずから原状回復等を実施し、その費用を負担させることができるという規定も置いているわけでございます。  今、先生から科学者がそういうことをするはずがないというお言葉でございましたが、実はこの南極議定書締結に際しましては、特に南極地域において観測活動に従事している研究者の間から、こうした議定書を早くつくらなきゃいけないという要望が大きかったというふうに認識しているわけでございます。そして、これらの研究者等を初めとした南極地域において活動する方々が南極地域環境の特殊性を理解して、より厳格な方向で環境保護が図られていくようにしていきたいと私ども思っているところでございます。
  57. 馳浩

    馳浩君 次に、罰則規定について申し上げます。  これは第二十九条から第三十三条まででありまして、一番重い罰則は一年以下の懲役、百万円以下の罰金とあります。措置命令は行政処分ですからまだよい。まだよいというわけではないんですけれども行政処分ですから。この第二十九条から第三十三条までの罰則は刑事処分であります。  ゆえに、厳格な刑事手続のもとでしか罰則は適用されません。問題は、犯行現場が南極であり、十分な証拠調べもできずに結局罰則規定は有名無実化しそうな気もいたしますが、いかがでしょうか。
  58. 澤村宏

    政府委員澤村宏君) ただいまも申しましたように、この法律は、南極地域環境の脆弱性という、そういう特殊性にかんがみまして、環境に対する悪影響事前に抑止することに力点を置いた法律となっております。その実効性を高めるために、罰則規定が持つ抑止的効果を活用することに加えまして、南極地域活動を行う者一人一人が南極環境保護について理解を深め、規制に反しないよう自覚的に行動するよう、普及啓発活動につきましても今後積極的に取り組んでまいりたいと考えております。  そして、先生今御指摘のとおり、南極地域における犯罪の立件ということにつきましては、その立地条件等から国内と全く同じように進めることは甚だ難しい面があるとは思いますが、現地に派遣する職員等からの報告等により、ある程度立件のための客観的状況を把握することが可能であろうかと考えておりますが、再三申し上げますが、事前の予防ということがこの法律の骨子でございますので、そういう努力は今度ともしていきたいと考えております。
  59. 馳浩

    馳浩君 ならば、今申されました普及啓発活動についての環境庁としての施策は何かありますか。
  60. 澤村宏

    政府委員澤村宏君) この議定書発効いたしますればと申しますか、この法律が通りました段階から、いろんな形でもって民間の業者の方等にも働きかけてまいりたいと思いますし、何よりも現在日本がこの南極地域での活動の最大の活動南極観測活動でございますので、これまでも関係省庁会議等におきましてこの南極地域環境重要性ということについては訴えてまいりましたので、今回この法律が通りましたら、先生の今の御趣旨に沿いましていろいろまた働きかけをしていきたいと、そのように考えております。
  61. 馳浩

    馳浩君 質問を続けます。  議定書附属書Ⅱの三条には、ペンギンやアザラシの群れを乱す有害な干渉を禁止しております。これは本法の十四条二項三号で禁止されると思いますが、この有害な干渉には罰則規定がないのはいかがかと思います。これは第二十九条を参照としていただければわかると思いますが、三号は除くとありますね。  実は、観光シーズンはペンギンなどの短い繁殖期と重なりまして、観光客が写真を撮ろうと近づいてペンギンが繁殖を放棄したりする危険が十分あるからでありまして、これは罰則規定としてぜひ今後の検討課題にしていただきたいと思いますが、いかがですか。
  62. 澤村宏

    政府委員澤村宏君) ただいまのペンギンやアザラシ等への有害な干渉ということが議定書の中にもあるわけでございますが、それが環境への著しい悪影響を生じ、または生じるおそれがある場合には、活動の中止等が命じられ、これに従わない場合には罰則が適用されますので、有害な干渉を禁止するための罰則による実効性は確保されているものと考えております。  また、ペンギンの繁殖期につきましては、種類あるいはその生息地等によりまして異なっているわけでございます。また、ペンギンにどの程度近づけば有害な干渉に当たるのかというようなことにつきましても、具体的な事例に即して判断する必要があるなど、一律に法律で規定することは非常に困難であるため、本法案におきましては直接の罰則を置かないという形で処理をしているところでございます。
  63. 馳浩

    馳浩君 ちょっともう一回確認しますが、罰則の第二十九条は「次の各号のいずれかに該当する者は、一年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。」とありまして、その第一号ですか、「第十三条、第十四条第一項若しくは第二項(第三号を除く。)」と書いてあるんですね。第三号を除くということは、第三号は罰則の規定からは外れているわけなんですよ。この第十四条の第二項の三号を読みますと、こうなっているんですね。「南極地域に生息し、又は生育する動植物の生息状態又は生育状態及び生息環境又は生育環境影響を及ぼすおそれのある行為」とあるんですね。何でこれが罰則から外れているんですかという質問なんですけれども、もう一度お答えをいただきたいと思います。
  64. 澤村宏

    政府委員澤村宏君) ただいま申しましたように、ペンギン、アザラシに対します直接的な干渉そのものを罰則としているのではなしに、それに対する活動の中止等を命ぜられ、それに違反した場合に罰則をかけるということで、いわば直罰はかけておりませんが、間接的な罰則という形でもってそこのところを措置しているということでございます。
  65. 馳浩

    馳浩君 これはまさしく今後の検討課題にしていただきたいわけですね。間接といいますけれども、直接の行為の方をすぐにやっぱり取り締まるという言い方はどうかわかりませんが、うがった見方によりますとこの今回の法律だと黙視、黙認するような形になってしまいますので、これはまさしく今後の検討課題としていただきたいと申し上げておきます。  次に、第十二条でありまして、これは主宰者が他の行為者に法令違反させないように必要な指導を義務づけている規定でありますが、これも罰則規定がないわけでありまして、先ほどから答弁もいただきましたように、違法行為の立証は不可能に近いんですね。ならば、活動の主宰者がしっかりほかの行為者を管理、指導できるかどうかということが問題になるわけでありまして、例えばもうけ主義の旅行代理店等が後を絶たない現在、罰則規定なき指導義務規定というものはお飾りにすぎないと思います。  さらに、とりわけ違法行為がなくても、第十一条で交付される行為者証を携帯していないだけで処罰されるのならば、主宰者の指導義務違反の不処罰はその違法性の重みから考えて公平性に反すると考えますが、この点、どう考えておられるのでしょうか。  というのは、第十一条の七項ですね、これは二十万円以下の罰金です。行為者証を携帯していないだけで処罰されるんです。ところが、主宰者の指導義務違反に関しての処罰はないわけでありまして、余り公平じゃないんじゃないかな、むしろ主宰者が指導義務違反をした方が重いんじゃないかなという気がいたしますよね。行為者証を持っているかいないかだけで、いなかったら二十万円以下の罰金なわけでありますから。この点に関しましてのコメントをお願いします。
  66. 澤村宏

    政府委員澤村宏君) 主宰者の指導義務に関してのことでございますけれども、この主宰者の指導義務につきましては、活動の類型、主宰者と行為者との関係等によりまして行うべき必要な措置が異なっております。また、それぞれの活動の特性を配慮した活動実施者の自主的な取り組みを期待したことから、罰則を適用しなかったところでございます。  なお、南極地域環境保護するという観点から、行為者ではなく、主宰者に活動の中止等を命じた方がよい場合には、主宰者に措置命令がかけられることとしております。また、主宰者が法人であり、行為者がその法人の従業員等である場合には、行為者の違反行為に対して主宰者にも罰則が適用されるということとしていることから、主宰者に対しまして十分な指導を行うよう要請することと相まって法律の実効性は確保できるというふうに考えております。  また後段の、行為者証の携帯義務を罰則をもって義務づけていることと比べてのバランスのことのお尋ねと思いますが、この行為者証の携帯義務は、他の締約国の監視員による査察を受けた場合に、活動が本法に基づく正当な手続を経て実施されているものであることを証明するという点で行為者が滞りなく活動実施できるようにするとともに、各締約国の協力のもとでの円滑な議定書実施を確保するという重要な役割を有している制度でございます。  したがいまして、主宰者の指導義務違反との事由の軽重ということの比較というのはできないのではないかと、そのように考えております。
  67. 馳浩

    馳浩君 わかりました。  時間もありませんのでちょっと質問が飛びますが、先ほども南極観測に関しまして文部省にお伺いいたしましたけれども、昭和基地周辺の廃棄物の管理につきまして、その実態そして環境庁に対する報告、これはどういう体制となっておりますか。これが第一点目の質問。  第二点目の質問は、昭和基地周辺の廃棄物の、これは私は放置というふうな言葉を使いたいと思いますが、文部省は保管という言い方をされます、保管場所周辺の土壌あるいは水質に関しまして有害化学物質の検査、検出の実態はいかがですか。  この二点を質問いたします。文部省、お厚いいたします。
  68. 岩本渉

    説明員(岩本渉君) 廃棄物に関する御質問でございますけれども南極の昭和基地では、南極の夏に当たります十二月末から翌年の二月中旬まで約八十名、それから南極の冬の期間に越冬隊員三十一名が滞在して研究観測実施しているところでございます。  これらの研究観測でございますとか、我々定常観測という呼び方をしておりますけれどもそういったものとか、あるいは当然隊員の生活のために昭和基地で一年間に出る廃棄物は、可燃物約八・四トン、不燃物約十九トン、し尿、汚水約千四十三トンということの報告を受けております。  そのほかに、年により異なりますけれども、夏の期間、建築などのこん包廃材が約十トン排出さております。また、使用済みの雪上車などの大型廃棄物が約五百トン蓄積されているわけでございます。  これらにつきまして、まず可燃物につきましては、平成五年度に焼却炉を整備いたしましてその焼却炉で焼却処分する、またプラスチック等の不燃物は、分別集積して観測船「しらせ」で日本に持ち帰っております。  それから、し尿、汚水は現在希釈して海洋排出しておりますが、汚水処理施設を新設しているところでございまして、平成十一年からこれを運用する予定でございます。  また、先ほど申しました約五百トンの大型廃棄物につきましては、五年計画で持ち帰り処分する予定でございまして、今月帰ってまいります「しらせ」におきましては約二十七トンの大型廃棄物を持ち帰ることにしております。  環境庁への報告でございますけれども、現在の法制上は環境庁に報告する義務は課されていないわけでございますけれども、こういった観測隊の事業内容等につきましては、私どもが事務局を務めております南極地域観測統合推進本部というものに環境庁からもお入りいただいておりまして、会議の都度御報告等をしているところでございます。  二番目の御質問でございますけれども、昭和基地におきまして先ほど申しましたように大型廃棄物を三カ所に集積保管しているわけでございます。保管に当たっては、まずそういった土壌等の環境影響を与えるものは置かないように選別を行った上でやっているところございます。なお、昭和四十九年の第十五次観測隊から行っております土壌バクテリア等の調査では、今のところ人為汚染は認められていないということでございます。  今後は、本法律趣旨にのっとりまして適切に対応してまいりたいと思います。  以上です。
  69. 馳浩

    馳浩君 これは石井長官ちょっと聞いてください。  今まで報告の義務がなかったから報告していないということですね。これはおかしいんじゃないですか。南極観測隊はもう既に三十七回、今度三十八回目かな、三十年にわたってやっておって、昭和基地周辺の廃棄物処理に関して報告がないわけですよ。ましてや、保管場所周辺の土壌、水質についての有害物質についての実態を調べて、それも報告していないということであります。今回この法律ができたわけでありますから、むしろ積極的に関与して報告を受けるべきだと私は思います。  同時にもう一つ、大型廃棄物に関して五百トン、これを五年計画で持ち帰るという、こういう悠長なことを言ってもらっては困るんですよ。なぜならば、ドイツのノイマイヤー基地では毎回圧縮して持ち帰っているわけなんですね。これは御存じだと思います。なぜドイツができて日本はできないんですか。これは、先ほどの条約締結に関しても日本が余りにも時間がかかり過ぎるというのと同じようなことなんです。  むしろ、こういったことに関してなら、歳出削減の時期ではありますけれども予算をつけて、南極環境に本当に多大な影響を与えるならば、五年計画で毎年百トンずつ持ち帰ると言っておりますけれども、「しらせ」級の輸送船をもう一隻空っぽにして南極へ持っていって、どかっと積み込んでまた帰ってくればいいだけの話でありますから、数億ぐらいの予算でありましょうから、そのぐらいの予算をつけて早目早目に日本として処理する姿勢を諸外国に見せることも私は必要ではないかと思います。  環境庁長官、これは最後になりますけれども文部省のある意味では諸外国に比べての取り組みとして非常に甘いというような、こういう状態に関しましてもっとリードをとっていただいて、昭和基地周辺の廃棄物の処理あるいはこれからの廃棄物処理計画等も出されると思いますが、積極的に関与して、これは非常に必要な措置命令というのですか指導というものを文部省に対してしていただきたいし、それは胸を張ってぜひやっていただきたいと思います。  最後環境庁長官の、今回の条約締結に当たりましての、いろいろ私が聞いた範囲内でのわかったことでもよろしいですから、御感想と御決意と、指導力を期待するものでありますから、コメントをいただきたいと思います。  以上です。
  70. 石井道子

    国務大臣石井道子君) 廃棄物の処理計画につきましては、今後も関係省庁と具体的な記載内容などにつきまして調整を進めながら、議定書発効後は速やかに策定できるように準備を進めてまいりたいと思っております。  南極地域環境保護を進めていく上では、廃棄物による影響防止というものは大変重要な課題であります。廃棄物管理計画は、南極地域におけるさまざまな活動に伴う廃棄物の適正な処分や管理のための総合的なまた先取り的な計画でもあるわけでございますので、今後も鋭意関係省庁協力いたしまして取りまとめ作業に積極的に取り組んでまいる所存でございます。
  71. 馳浩

    馳浩君 ありがとうございます。
  72. 山本一太

    ○山本一太君 それでは、私も同僚の馳委員に負けないように張り切ってやらせていただきたい、このように思っております。  本日は私も環境特別委員会における初めての質問ということですから、まず最初石井長官に一言申し上げたい、このように思っております。  長官は、言うまでもなく私ども良識の府である参議院から、特に環境重視ということが叫ばれている状況の中で環境庁長官という大変な重職につかれたわけでございます。  一年生議員の私がこういうことを言うと大変潜越なんですが、私は今よく言われている参議院改革というのは実はこれは参議院議員改革であると常々思っておりまして、個々の議員が、衆議院とは違う六年という期間を生かして、いかに衆議院とは違った政策やビジョンを展開できるか、ここのところが勝負であって、これが進めば自然に二院制をきちっとしょうという議論に結びつくのではないか、このように思っているわけでございます。  そういう意味では、長官は就任以来もう本当に情熱を持ってこのお仕事に一生懸命取り組んでおられるというのが感じられますし、意外と言っては失礼ですが長官は我々世代に非常に人気がございますので、これからもぜひ自信を持ってお仕事に取り組んでいただきたいと思うんです。  きょうは広中元長官もおられますけれども、欧米諸国、特に北欧諸国なんかではこの環境分野における女性大臣の活躍というのは大変なものでございまして、やるからには参議院の大臣として、歴史に石井長官ありと残すような、そのような気概を持ってぜひ進んでいただきたいと思うんです。  もうきょうは五回も六回も決意表明をされて大変お気の毒なんですが、私も馳委員と同じように長官の肉声を聞きたいんです。三十秒で結構ですから決意をお聞かせいただきたいと思います。
  73. 石井道子

    国務大臣石井道子君) 山本委員から大変御丁重な激励のごあいさつもいただきまして、大変感激をしているところでございます。  私も参議院比例区の議員として三期目の当選でございまして、そして今回環境庁長官に就任させていただきました。  環境問題というのは、私もちょうど八年前に環境政務次官をした経験もありますけれども、その当時と比べますと雲泥の差であるということを感じております。環境問題は現在、我が国の問題のみならず、地球環境の問題で大変重要な問題であるととらえられているわけでございまして、このようなときに環境庁長官に就任をさせていただいたということは、大変大きな感激でありますと同時に、責任の重大さを痛感しているところでございます。  このような我が国環境問題を今ここで考えていかなければこれからの我々の子供とか孫たちによい環境を残していけないのではないかという危機感も持っているわけでございまして、それだけに、将来の世代によい環境を引き継いでいくということが現在の我々の使命であるというふうに感じております。  特に、ことしは十二月に京都で地球温暖化防止京都会議が開催されます。また、六月には国連環境特別総会も開かれるわけでございまして、大変国際会議も多いわけでございます。我が国におきましても、そのような会議も大変多うございますし、またいろいろと外国との打ち合わせも多いわけでございまして、これからの我が国としての環境問題への取り組みを大きく前進させるべき年である、まさに環境の年であるというふうに私も考えているところでございます。  これからも人と環境とが共存共栄を図れるような望ましい関係を築くために、地球環境問題への対応については大変大きな責任があるわけでございますし、総合的な環境施策の推進に今後も全力を挙げて取り組んでまいる所存でございますので、どうぞ若い皆様方の御支援と御指導を賜りますようにお願い申し上げます。
  74. 山本一太

    ○山本一太君 ありがとうございました。地球環境分野は本当に懸案がメジロ押しですので、その御決意を持ってぜひとも御活躍いただくようにお願いを申し上げる次第でございます。  さて、きょうは南極条約についての質問ということだったんですけれども、私の同僚で親友の馳浩委員がまことに包括的で詳細にわたって問題点を提起されました。こういうのを英語で言うとハードアクト・ツー・フォローというわけですけれども、ほとんどつけ加えることがないなというふうにメモをとりながら思っていたわけでございます。ですから、私の時間は一時間ということですが、今回の南極問題というのはいわば地球環境問題のシンボルということですから、それを踏まえて少し横にウイングを広げて、地球環境問題全般に対して御質問をさせていただく、こういう形で進めさせていただきたいと思いますので、大臣並びに環境庁皆さん方、御答弁の方をよろしくどうぞお願いいたします。  それじゃ、質問の方に移らせていただきたいと思います。  私は、まず非常に基礎的な質問からさせていただきたいと思っているんですけれども、よく世間でその年の流行語大賞というのがありまして、昨年でしたら自分を褒めてやりたいとかありましたし、高度成長期だったらモーレツとかいう言葉がはやったこともありました。国際政治の世界で言うと、新聞、マスコミを騒がせた言葉の中ではジャパン・パッシングとか、ここらあたりが候補になるのかなと思うんです。環境分野に絞って言えばもう七年連続ぐらいで私はこの言葉がキーワードだと思うんです。これはもう長官よく御存じかもしれませんけれども、サステーナブルディベロプメントですね。持続可能な成長、こういうふうに訳しております。  実は私は援助の仕事をやった後、国連システムの中の技術協力においては一番大きな機関である国連開発計画、UNDPというのですが、ここのニューヨーク本部に三年間勤務した経験がございます。このときに、後ほど触れるオゾン層についてのモントリオール議定書の多国間基金の件とか、あるいはアジェンダ21のフォローアップということで日本がメーンのドナーとなって設立をしたキャパシティ21基金とか、そういう環境の仕事に取り組む機会がありました。  その中でも毎日のようにこのサステーナブルディベロプメントという言葉を見ていたわけですけれども、正直言って最後までこのコンセプトの意味がよくわからなかったんです。非常に広義な解釈もありますし、どうも国連の解釈によれば、我々の世代と次世代と両方の必要性を満たすような開発というような解釈が国連開発計画の中では行われていたわけなんですけれども、途上国や先進国の間でもこのサステーナブルディベロプメントに対する見方も違うわけなので、それについて環境庁としてはこの持続可能な開発というのはどういうコンセプトとしてとらえておられるのか、一言お聞きしたいと思うんです。
  75. 浜中裕徳

    政府委員(浜中裕徳君) お答え申し上げます。  ただいま先生がお触れになられました持続可能な開発の考え方でございますが、もともとは一九八七年に出されました、環境と開発に関する世界委員会、ノルウェーのブルントラント前首相が委員長を務められたその世界委員会がまとめた報告書に示されたものでございます。  その背景を考えてまいりますと、まず、例えば開発途上国におきましてはよく御存じのとおり貧困の問題が大変深刻でございまして、これが環境の破壊の原因ともなりまして、さらに環境の悪化が一層の貧困をもたらすという、いわば悪循環があるのではないかということから、途上国においては貧困の解消のために今後開発を進めていくことが一方で不可欠でございますが、しかしそのような開発は環境面から見て健全な形で行われることが重要であるという認識が一方であるのではないかというふうに考えております。  また一方では、先進工業国におきましては大量生産・大量消費・大量廃棄型の生産あるいは消費形態が普及をしておりまして、これが地球環境問題を引き起こした大きな原因であるというふうに言われているところでございます。したがいまして、このような先進国におきましては、こういった社会経済のあり方というものを変えていく、改革していくということが強く求められているというふうに認識をしているわけでございます。  こうした途上国と先進国におきます問題の所在、そしてこれらに対処する取り組みの方向に関する認識を統一するいわば概念として、このブルントラント委員会、環境と開発に関する世界委員会の報告書は持続可能な開発を、ただいまお触れになられましたとおり、将来の世代の必要性を満たしながら同時に現在の世代の必要性も満足させるような、そういった開発であるというふうに説明をしているところでございます。  この持続可能な開発の考え方は、一九九二年の地球サミットでも採用されておりますし、地球サミット採択をされましたリオ宣言でございますとか、あるいはアジェンダ21の中にも生かされておりまして、現在国際的に環境と開発の問題を考える際の基本理念となっている、このように理解をしているところでございます。
  76. 山本一太

    ○山本一太君 わかりました。  サステーナブルという意味が環境とまさに工業発展の共生なのかとか、いろいろ細かいこともお聞きしたいこともあるんですけれども、時間の都合もございまして、一時間しかないものですから。  コンセプトの定義にこだわっても余り意味がないんではないかという、そういう議論もあると思います。それよりアジェンダ21の下で個々のプロジェクトによってきちっと環境問題を推進していくということが大事だという御見解もあるかと思うんですけれども、やはりこれは今世界、国連も含めて地球環境問題を進めていく上での一番の根本になるコンセプトですので。はっきり言って、今、日本の道を歩いている人に持続可能な開発というのは何かと聞いても、恐らくだれも答えられないと思うんですね。ですから、国民の間の環境に対する意識を高めるという点からも、こういうこともきちっと知識として普及させていく、こういうことについても、国民を啓蒙していくというのはやはり環境庁にリードをとっていただきたいというふうに思うんです。  意外と日本人はコンセプトから入るというのは苦手な面があるんですが、こういうコンセプトがはっきりしてくるとこれからの道筋が見えてきたりすることもあると思いますので、この点については引き続きぜひ環境庁に御努力をいただきたい、このように思います。  いろいろまだわからないところもあるんですが、余りこれを続けていると持続可能な質問になりませんから、次に進ませていただきたいと思います。  先ほど、南極条約につきましてはもうほとんどつけ加えることがないというふうに申し上げました。馳委員のすばらしい質問があったわけですけれども、せっかく南極条約に関連することなので、私一つだけここで確認をさせていただきたいことがあります。  それは、さっき馳委員の御質問を聞いていても思ったんですが、南極条約の基本的な概念というものは、やはり馳委員もたびたびおっしゃっていたように、南極自然環境重要性にかんがみ、はっきり言えばできるだけ出入りを制限しようということが一つだと思うんですね。もう一つそこに流れている考え方というのは、南極で行われている非常に貴重な学術調査とか科学調査、そういったものに影響が出ないようにしよう、少なくともそういう調査がきちんとできる環境をこれからも整備していこう、こういうことだと思うんです。  ですから、その趣旨はよく理解できるんですが、他方、馳委員はどうお考えになるかわからないんですが、今南極に観光とか視察の目的で渡航している例があるんですが、私は必ずしも悪いことではないと思うんです。これは考え方によっては非常に意義のあることで、特に環境教育という点については非常に大切なことじゃないかというふうに私は思うんです。百冊、二百冊の環境問題の本を読むより、南極に行ってペンギンとアザラシを見て氷河を見て環境問題、オゾンホールを感じられるかどうかはわかりませんけれども、それを感じてくることがやっぱり人間に一種の意識革命を起こすんじゃないかというふうに私は考えております。  実は、私の地元のことになって恐縮なんですけれども、群馬県議会がことしの一月に、恐らく県議会としては初めてだと思うんですけれども南極視察団を派遣いたしました。ここに報告書があるので御興味があれば、もし自治体の方で行かれたい方がいれば参考になるかと思うんですが、大変よくまとまっておりまして、県議の方が五名行きました。これは実は今こういう時期ですからいろいろ賛否両論ありました、税金を使って南極に行く必要があるのかなと。  私は、最初からこれは非常にいい発想でいいアイデアだというふうに言い続けていたわけなんですけれども、実際、帰ってこられた県議団の人たちがその後精力的に南極視察のセミナーを県内各地でやって、群馬テレビとか、群馬県では大変なシェアを誇っている上毛新聞というのがあるんですが、地方紙を含め南極の特集を随分組んだんです。これがどのくらい群馬県民の間に南極環境問題という意識を植えつけるのに役立ったかということを思うわけでございます。  ですから、こういういいイニシアチブについては、すなわち視察や観光であっても環境に対する意識を高める。例えば今観光で行っても、南極に渡る船の上でたしか専門家の方か何かがいて環境教育をなさっているはずなんですね。だから、どんどん厳しくせよというさっき意見があったんですけれども、初めてのことなのでどのぐらい厳しくなるかというのはちょっとわからないので不安なんですが、そこら辺のところはきちっと要件を満たせば承認をするという道は果たしてこの条約の中で残っているのか、その一点だけ簡単に確認させていただきたいと思うんです。
  77. 澤村宏

    政府委員澤村宏君) ただいま先生指摘のとおり、南極重要性ということは御指摘のとおりでございます。  今回の国内法におきましても、観光活動につきまして事前確認申請を行い、環境に著しい影響を及ぼすものでないことなどにつきまして環境庁長官確認を受けることが必要となる、言葉をかえて申しますと、そういったことにつきましても認める方向でこの法律は成り立っているわけでございます。
  78. 山本一太

    ○山本一太君 わかりました。ぜひ視察、観光についても、もちろん環境への影響を最小限にするという条件ですけれども、その道はやはり残していただけないかなというふうに考えております。  私も議員をやっている間に一度は馳委員も誘って南極に行きたいと思っておりますので、そのときはぜひ環境庁のサポートをお願いしたいというふうに思っております。  次に、オゾン層の問題について少し御質問をさせていただきたいと思うんです。  南極と言えばオゾンホールというのはちょっと無理があるかもしれませんけれども南極にできたオゾンホールというのは、オゾン破壊問題についてのいわばシンボル的な存在だと思うんです。  先ほどお話ししたとおり、私は国連開発計画にいたときに、オゾンホールの問題を扱うモントリオール議定書の下でつくられた多国間基金の運営についてのチームに加わっていたことがありまして、いろいろ思い入れがあるわけなんですけれども、これは申し上げるまでもなく、八七年にオゾン層を破壊する物質に関するモントリオール議定書の中で特に、特定フロン五種類だったと思いますけれども、これについては削減、廃止をしていくという合意がなされたというわけなんです。  これは、ちょっとパンフレットとしては古いんですけれども、その私どものチームがつくったモントリオール・プロトコルのパンフレットでございます。(資料を示す)ここをもうちょっとカラーコピーで広げて持ってこすうと思ったんですが、お金がかかりまして、資金力のない事務所なものですから、ちょっと見にくいかもしれませんが。  これは本当に一目瞭然で、七九年にはほとんど見られなかったオゾンホールがこれだけ九二年に向けてこう広がっていくというのが本当によくわかると思うんです。これについて、オゾンの減少は何か頭を打ったとかいろいろな考え方がありますけれども、これも簡潔で結構ですから、今のオゾン層の状況について御説明いただければと思います。
  79. 野村瞭

    政府委員(野村瞭君) オゾン層の現状についてのお尋ねでございますが、一九九六年におきましても南極上空におきましては過去四年と同程度の最大規模のオゾンホールが出現をしておりまして、オゾン全量の長期的な傾向ということにつきましては、熱帯域を除きましてはぼ全地球的に減少傾向にあるわけでございます。  しかしながら、国連環境計画の報告によりますと、先ほど山本先生からもお話がございましたが、すべての締約国が一九九二年の改正モントリオール議定書に基づく生産規制を遵守するといたしますと、成層圏中のフロンの量につきましては一九九七年から一九九九年までをピークといたしましてその後は減少に転ずる、したがいましてこれに伴って来世紀初頭からオゾン層は回復に転じまして、南極オゾンホールも二〇四五年までには出現しないようになるということが予測されているところでございます。
  80. 山本一太

    ○山本一太君 今のお話ですと、九二年ですか最近の改正は、それを締約国がちゃんと遵守すれば二〇四五年までにオゾン層が回復するという話で、その計画どおりにいけばいいなとは思うんですけれども、少なくともフロンという物質は化学変化を起こしにくい、それだけに環境に対する影響が持続するということで、もとの状態に戻るにはいずれにせよ五十年かかるということがありますので、やっぱりこれは次世代に対する地球の命を脅かしているみたいな話ですから、改めて真剣に取り組んでいかなければいけないなということを今お聞きして感じたわけなんです。  ただ、今おっしゃった予測は、モントリオール議定書で、九五年末でしたか全廃されたフロンについてはいいんですけれども、その前につくられたフロンについての規定というのは議定書の中にありませんので、これははっきり言えば勝手に使われている状態ですから、例えば冷蔵庫とかカーエアコンとかいろいろな冷房設備とか、そういうところに残ったフロンをきちっと回収できてということが前提になると思うんですね。これについては正直言ってなかなかうまく進んでいないというところも聞いておるわけですけれども、この問題についての環境庁取り組みについてまた簡潔に例えればと思いますので、お願いします。
  81. 野村瞭

    政府委員(野村瞭君) 御指摘いただきましたように、既に生産されたフロンにつきましては、その回収なり破壊をするということが非常に重要であるということは私ども十分承知をしておるわけでございます。  私ども環境庁といたしましては、フロンの回収、破壊を促進するためにさまざまな取り組みを進めてきたところでございます。  具体的に申し上げますと、この関係につきましては環境庁だけではなくて、関係省庁が十八省庁ございますが、これらの省庁から構成されておりますオゾン層保護対策推進会議を必要に応じて開催いたしておりますが、ここで回収なり再利用それから破壊についての促進方策の取りまとめを行っております。  また、フロン回収促進のための支援事業ということで、自治体に対しまして助成をいたしております。また、破壊につきましてはガイドラインを既に公表いたしておりますが、破壊についてのモデル事業も私ども実施いたしておるところでございます。  これらの取り組みの結果、フロン回収に取り組む市町村の数が最近かなりふえてまいりまして、約三分の二に当たりますけれども、二千市町村に及んでおります。また、回収促進のための協議会を設置いたしております都道府県または政令指定都市の数も三十八に達しておるということで、まだまだ不十分といった御指摘も受けておるわけでございますが、一定の成果が得られつつあるという認識に立っております。
  82. 山本一太

    ○山本一太君 今のお話で、フロンの回収に取り組んでいる自治体の数自体は二千市町村、六割ぐらいになっているということはわかったんですけれども、問題は、使われた冷蔵庫やカーエアコンが実際にちゃんと回収されているかという回収率だと思うんですが、これは一番多いもので二割ぐらいしかないと思うんです。ですから、やっぱりここら辺についてはかなり真剣に取り組んでいただかなければいけないと思います。  これもちょっと手前みそなんですが、やはり地元の群馬県に高崎経済大学というところがございまして、そこの石井教授、この方がストップ・フロン全国連絡会の代表を務めておられるわけですが、この問題について大変長年取り組んでおられまして、いろんな提言をされているんです。  生産から販売部門まで産業界ぐるみの協力がなくてはフロン回収の推進は図れないというのがその趣旨ですけれども、昨年十一月の毎日新聞の記事で石井教授がこういうふうに言っておるんです。回収、再利用、破壊を義務づける法律がないから回収率が高まらない、不用意に解体して特定フロンを放出しても罰せられないから野放し状態だ、特定フロンの製造業界や使用メーカー、消費者が環境への影響認識して相応の負担をしなければいけない、行政は各業界に役割を示し、回収・破壊作業が円滑に進むように指導してほしいと。  いわば官民一体でこの問題に取り組まなければいけないという提言を行っているわけなんですけれども、この点について環境庁はどうお考えになられているか、見解を伺いたいと思います。
  83. 野村瞭

    政府委員(野村瞭君) ただいま群馬県の例をお引きになりましたが、そのほか兵庫県でありますとか福島県とか、この問題に対しまして非常に積極的に取り組んでいる自治体もあるわけでございます。  ただ、全体的には先ほども申し上げましたがまだまだ体制的にも整っていないという認識の上に立っておりまして、そういうことで私どもとしては、フロンについての破壊モデル事業でありますとか回収促進のための支援事業を実施しておるわけでございます。  地域によって、今官民一体というようなお話がございましたが、この問題については大変関係者が多くございます。消費者の関係、それから車等の関係からいえばディーラーだとか整備の関係がございますし、それから当然行政関係もあるわけでございます。そのような関係者が地域の実情に応じていわば回収なり破壊の社会的なシステムをつくっていくということがまず重要ではないかということで、私どもはそれを側面的に支援をしたいということで対策を進めておりますが、まだまだこれから努力を重ねていかなきゃならないというように考えております。
  84. 山本一太

    ○山本一太君 今御答弁にあったように、この問題はとにかくいろんなセクターの絡む問題で、なかなか難しい問題であるとは思うんですけれども、いずれにせよ今おっしゃったように、このオゾン層保護対策推進会議というのは省庁でいうと十八省庁ぐらいにまたがるわけですね、これにおいて今後の回収策についてぜひ検討を進めていただきたいと思います。  この問題は、本当は一回この問題を全部質問に使ってもいいぐらいいろいろ問題点があるので、破壊処理の問題なんかも取り上げようと思っていたんですが、時間もないので一言要望を申し上げることにとどめたいと思います。  休憩前にあと五分時間がありますからもう一問いけると思いますので、モントリオール議定書についてはもう一つだけ質問をさせていただきたいと思います。この質問外務省の方からお答えをいただくのが多分適当だと思うんです。  先ほどちょっと申し上げましたけれども、モントリオール議定書ができて、議定書の呼びかけでそのモントリオール議定書のもとに多国間基金、マルチラテラルファンドというのが設立されたんです、もちろん御存じだと思うんですけれども。  マルチラテラルファンド、その基金の目的は、途上国に対して途上国が脱フロンのシステムに移行するための技術協力をする、こういうことを目的としてこの基金が設立されたのは御存じのとおりかと思います。  そして、その技術協力実施しているのは国連機関でございまして、私の記憶が正しければ、モントリオール多国間ファンドの実施機関は国連開発計画、UNDPですね、それからあと世銀もやっていたと思います。それとUNEP、国連環境計画、それとUNIDO。その四機関だったと思うんです。  日本は締約国の中でこのモントリオール多国間ファンドに対しては非常に大きな拠出をしていると思うんですが、これは米国に次いで今も二番ですか。一言、まず確認なんですが。
  85. 津曲俊英

    説明員津曲俊英君) これは九六年の見積もりでございますけれども日本が第一位になってございます。
  86. 山本一太

    ○山本一太君 第一位ですか。
  87. 津曲俊英

    説明員津曲俊英君) はい。九六年、実はまだ確定値が出ておりませんけれども、見積もりでは日本は第一位だと推測しております。
  88. 山本一太

    ○山本一太君 第一位の拠出国ということを今初めて聞きまして、大変感銘を受けたわけでございます。  私は、ちょっと一言お聞きしたいのは、第一位の拠出国である日本立場から見て、これらの国連機関の多国間基金の実施状況、ちゃんと技術協力プロジェクトをやっているかどうか、そこら辺の評価についてはいかがでしょうか。
  89. 津曲俊英

    説明員津曲俊英君) このオゾン層の保護基金につきましては、先生が今御説明いただきましたように、世銀とUNDP、UNEP、それからUNIDO、この四つの機関が実施機関ということでやっているわけでございます。  その中でも、世界銀行はオゾン層破壊物質を大量消費・生産する国のための国別行動計画の策定をやる、それからUNEPは技術協力に関するクリアリングハウスから情報収集などをやる、それからUNDPは国別行動計画の策定それから技術援助、投資前の調査、いわゆるフィージビリティースタディーなどを行う、それからUNIDOは技術専門家の派遣などを担当しております。  この基金の活動が開始されて以来、五百以上の活動が執行委員会により承認されてきておりまして、世銀それからUNDPなどの機関がその高度な専門的な知識や経験それから世界的なネットワークとか人的資源を活用して、承認されたプロジェクトのフィージビリティースタディーなどの事前調査、それから調査を経たプロジェクトへの投資、それから技術研修のためのワークショップ等活発な活動を行っておりまして、これらは高く評価しております。
  90. 山本一太

    ○山本一太君 きょうは質問に立つということで、国連の昔の知人やらモントリオール・プロトコルで今頑張っている同僚からも電話があったものですから、ぜひそのことだけは聞いてくれということで、外務省も高く評価しているということで報告をしたいと思います。きっと、きょう喜ぶと思います。  ちょうど五十分ということですから、ここで一たん休憩に入らせていただきまして、再開後また質問させていただきます。
  91. 渡辺四郎

    委員長渡辺四郎君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩いたします。    午前十一時五十分休憩      ―――――・―――――    午後一時開会
  92. 渡辺四郎

    委員長渡辺四郎君) ただいまから環境特別委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、南極地域環境保護に関する法律案を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  93. 山本一太

    ○山本一太君 エネルギーを補給させていただいたところで、早速質問を再開させていただきたい、このように思っております。  アジア太平洋の環境問題を考える国際フォーラムとしてエコ・アジア、正式名称はアジア・太平洋環境会議と言うんですけれども、この会議に私は大変注目をしております。これは、同地域の各国の政府環境大臣、担当者、そして国連機関の方々を集めてこれまで五回開催をされてまいりました、アジア太平洋地域環境問題を話し合う国際的な大変重要なフォーラムでございます。  実は、この五回目になりますエコ・アジア96は、私のふるさとである、またふるさとの話なんですが、群馬県の水上町というところで行われまして、大変山紫水明の地で、一度ぜひ遊びに来ていただきたいような、国際会議のセッティングの場所としては大変いいところなんですが、ここで行われたわけなんです。  このエコ・アジアの水上会議の成果について、大体わかっているんですが、簡潔に一言、まず御説明を求めたいと思います。
  94. 浜中裕徳

    政府委員(浜中裕徳君) お答え申し上げます。  まず、エコ・アジアに大変高い評価を与えていただきまして、まことにありがとうございます。  私どもといたしましても、この地域の各国の環境担当大臣や国際機関の代表者などが自由に意見交換を行う機会を提供することによりまして、この地域で長期的に環境保全取り組みを推進していく、そして持続可能な開発に資することを目的にしたものでございまして、昨年五月に、ただいまお話のございましたように、群馬県の水上町におきましてエコ・アジア96を開催させていただいたところでございます。  この会合における成果でございますけれども、まず第一に、三年間にわたる協力のもとで進めてまいりましたアジア太平洋地域環境と開発に関する長期展望プロジェクトの最終報告書案が了承されたことが挙げられます。そのほか、地球環境戦略研究機関の設立、あるいは東アジア酸性雨モニタリングネットワークの設立、アジア太平洋環境情報ネットワークの構築、さらにはこどもエコクラブのアジア地域への普及への取り組みの推進について合意されたといったことなどが主な成果であったというふうに考えております。
  95. 山本一太

    ○山本一太君 ありがとうございました。  今御説明いただいた成果の中で私が取り上げたいのは、一つはこどもエコクラブの話でありまして、もう一つ地球環境戦略研究機関の話なんです。  恥ずかしながら私は、環境庁がこんないいことをやっているということを知りませんでした。  久々にこんないいことをやっているんだなという感じを受けたわけですけれども、エコクラブの申込書を持ってまいりましたので、参考までにお配りをさせていただきたいと思います。    〔資料配付〕
  96. 山本一太

    ○山本一太君 これは大体年間一億円ぐらいの予算なんですけれども、子供に対して環境教育を行うという観点から三年ぐらい前に始まったプログラムということで、先ほどちょっと休憩のときに大渕先生とお話をしたら、大渕委員長時代にこれはどうも発足したプログラムで、その当時よりは随分育ってきているということなんですけれども、まずその現状について、これも大体わかっておりますが、簡潔に御説明いただきたいと思います。
  97. 田中健次

    政府委員(田中健次君) 今お話がございましたように、こどもエコクラブでございますけれども、根っこは、環境基本計画が平成六年にできまして、持続可能な社会の実現のために特に次世代を担う子供たち環境に対する理解と関心を深める、この重要性がうたわれまして、これに基づきまして、平成七年度から小中学生を対象として子供たち地域で楽しく環境に関する学習や活動を行えるように、こどもエコクラブの結成を呼びかけまして、環境庁としてもその支援を行っているところでございます。  それぞれの地域の特性、あるいは子供たちの関心に応じてさまざまな活動が展開されておりますが、ことしの三月末現在でおよそ二千九百五十クラブ、それからおよそ四万五千人の小中学生が参加をしておる状況でございます。
  98. 山本一太

    ○山本一太君 ありがとうございました。  やっぱり未来を担うのは子供たちですから、こういう子供たち環境に対する意識を持たせるというのは長期的に見ても本当に大切なことじゃないか。環境に優しいライフスタイルを直接経験させるということは大変大事なことだというふうに私は思っております。  特に、このエコクラブの入門書にもあるんですけれども、やっぱり子供たちの自主的な活動で、その町の生き物を調査したり、空き缶のリサイクルをやったり、我々が子供のころは結構自然にできたことなのかもしれませんけれども。あるいは一つ感銘を受けたのは、もしインターネットの設備があれば、非常に世界的に有名なあのGLOBEという環境観測プログラム、たしかアメリカでできたプログラムだと思いますが、これにもアクセスできるということです。一億円というお金は大きなお金じゃありませんけれども、こういうやっぱりソフトのいいところで環境に対する取り組みをしていくという発想が大変すばらしい、だれが最初に考えたのかちょっと後で教えていただきたいというふうに思うわけでございます。  このエコクラブのクラブ数も二千九百五十ぐらいになったということで、これは恐らく発足のときより随分ふえているんだろうというふうに思います。  ちょっと手元のデータ、登録状況を見たんですが、私のふるさとの群馬県にも四十六クラブがありますし、何といっても多いのが埼玉県で二百七十三もあるんですね。そして、石川県は十五ですから、馳先生少しふやしてください。これをさっき見た私どもの同僚の平田委員も息子を入れるというふうにおっしゃっていますので、こういうやはりいい活動については、これは年間一億円の予算ですから、これを倍にすればまた倍の活動ができるということですから、これについてはもうぜひ超党派で応援して大蔵省から予算を持ってきたいというふうに思うわけです。  このエコクラブに関連して、水上会議の中で、このこどもエコクラブのような環境プログラムみたいなものをアジアに向かって普及するという、たしかそういうくだりがあったと思うんですけれども、これもたしか一千五百万円ぐらいでしょうか予算がついたやに聞いておりますが、これについても簡単に、内容がわかれば教えていただけますか。
  99. 浜中裕徳

    政府委員(浜中裕徳君) お答え申し上げます。  先生がおっしゃいましたとおり、こうしたこどもエコクラブのような活動をアジア地域にも広げていきまして、アジア地域の将来を担う子供たち環境保全意識を向上させ、ひいてはアジア地域の持続可能な開発の実現に資するということが大事であると考えまして、私どもといたしましては、今年度予算におきまして、アジアエコクラブ推進費ということで一千五百万円の予算を計上させていただいているところでございます。  この中におきまして、アジアエコクラブの普及の推進をするための知見の提供でございますとか、アジアエコクラブ会議の開催などの経費を計上しているところでございます。  ちなみに申し上げますと、既にこの水上で開かれましたエコ・アジア96の合意を受けまして、昨年の十一月にアジアエコクラブ会議ということで、アジア地域九カ国ほどから子供さんたちの参加もいただきまして、第一回目のこどもエコクラブアジア会議というものを新潟において開催させていただいたところでございます。
  100. 山本一太

    ○山本一太君 簡明な説明でありがとうございました。  一千五百万ということですけれども、例えばこれを三千万にしただけでも随分この普及の活動ができるんじゃないかと思うんですね。特にエコクラブについては、どうもお聞きしたところによると、日本だけじゃなくて韓国みたいなところにも同様のプログラムがあるということですから、こういったところとも協力しながら、ぜひこういったソフトのイニシアチブを環境庁を中心にとっていただけるように要望したいと思います。  これも倍ぐらいやっぱり予算をぜひとっていただきたいと思います。これも一生懸命応援させていただきたいと思いますので、ぜひ頑張ってください。長官、このエコクラブの子供に対する環境教育の話ですけれども、これについて一言もしコメントがあればいただきたいと思います。
  101. 石井道子

    国務大臣石井道子君) 環境基本計画に基づきましてさまざまな取り組みが行われておりますが、次代を担う子供たち環境に対する理解を深め、そして関心を高めて取り組んでいただくということは大変有意義であるというふうに思います。私もこの間、長野県のライオンズクラブがバックアップをいたしたかと思いましたけれども、その大会がありまして、大変すばらしい子供たちの発表も見てまいりました。それからまた、先週の土曜日でございますが、埼玉県で全国交流会が開かれまして、そこの活動を通じていろいろな子供たちにも触れることができまして、子供たちの大変純粋な感性とか熱心に取り組む行動にとても感銘を受けたところでございます。  環境庁といたしましても、こどもエコクラブの事業を重要な柱として、これからの子供たち環境教育のさらなる充実を図っていく所存でございますので、どうぞまた御協力のほどよろしくお願い申し上げます。
  102. 山本一太

    ○山本一太君 このエコクラブは群馬県を調べてみたら高崎、前橋にもありますので、早速高崎のエコクラブに連絡をしてサポーターの人と一回見せていただこうと、このように思っておりますので、ぜひこの事業につきましてはこれからも前向きに進めていただきたいと思います。  水上の会議で決まった私が御質問したいもう一つの点は、地球環境戦略研究機関の設立、こういうことでございます。地球環境戦略研究所みたいなものはアジアで余り聞いたことがないので、これを日本に設立するということはそれなりに意義のあることだとは思います。昔ちょっと国連大学の機能なんかが問題になったときに、環境問題に特化したらどうかとかいろんな議論がありましたけれども、そのまま立ち消えになっているようでもあります。  これ、たしか幾つか候補地があって、随分いろんなところが誘致に手を挙げたんですが、選考について今どういうふうになっているのか、もしその経緯についての情報があれば簡潔に教えていただきたいと思います。
  103. 田中健次

    政府委員(田中健次君) お尋ね地球環境戦略研究機関の設立までの経緯と、それから現状について。  実は、このもとは一昨年の一月に、総理の私的諮問機関でございます二十一世紀地球環境懇話会というのがございまして、その報告を受けまして、環境庁でいろいろと有識者によってその中身を詰めていただいたものでございます。この機関は、国家間やあるいは社会セクター間の利害を超えた立場で新たな地球文明の基本的な枠組みづくりの提言、あるいは革新的な政策手段の開発、アジア太平洋地域環境対策の戦略づくり、これらの研究や提案を行うというものでございます。この機関につきましては、今お話がございましたように全国の二十六カ所から誘致要望がございまして、学識者から成ります選定委員会を設けまして選定をしていただきまして、去る一月に神奈川県の湘南国際村に設置をすることが決まったわけでございます。  環境庁といたしましては、本年度、九年度の予算におきましてこの機関の設立準備に要します経費を計上いたしておりまして、これを活用しまして内外の関係機関との調整を経まして戦略研究機関の国際的な設立規約を採択いたすということのほかに、この機関での研究計画の策定や研究スタッフの確保等を行うということで、平成九年度は準備財団をつくりまして設立の準備に当たりたい、こういう予定にいたしております。
  104. 山本一太

    ○山本一太君 設立も随分具体的な段階に来ているんだなという印象を受けるわけですが、こうした機関の活動を通じて、やはり環境戦略の面で日本がアジアに向けあるいは世界に向けていろんなイニシアチブを打ち出すということは大変重要なことだと思います。  関連して一つ感じるのは、やはり日本はまだまだNGOの活動というのが活発でないなと思うのは、アメリカなんかだといろんな環境NGOがありまして、例えばUNDPのグスタブ・スペスという総裁は、WRI、世界資源研究所という非常に有名な環境NGOの総裁をやってUNDPに来たということで、WRIは随分スタッフも多く抱えておりましてこうした環境戦略についても取り組んでいるということで、ここら辺やはり将来的にはもうちょっといろんな環境NGOやすそ野が日本の社会で広がってくるといいのかなというふうに今思いました。  この点についてもう一つお聞きしたいのは、たしか世界環境戦略研究機関を将来的には国際機関のような形に移行させることも考えているやにも聞いておるわけですけれども、今御存じのとおり国連は、先般ガリ事務総長にかわってコフィー・アナンという新しい事務総長が就任しました。この人は、もう本当に国連の一番下のP1という位からてっぺんまで上り詰めた人で、とにかく非常にアメリカの政権に近いということで、最初から大臣な国連改革とか機構改革を義務づけられております。  その中で、今非常にボールドな改革のプログラムが進んでいる中で、新しい国連機関をつくるというのはそう簡単ではないんじゃないか。しかも、環境についてはUNEPがあったり、前から話題になっているCSDという、これは日本語で言うと持続可能な開発委員会と言うんでしょうか、そこら辺の仕分けをどうするのかという話もあるので、そう簡単にはなかなかいかないと思うんですが、この組織を将来国連の一つの機関として設立していく、そういう段階に移行するということについての環境庁の見解があれば伺いたいと思います。
  105. 田中健次

    政府委員(田中健次君) この地球環境戦略研究機関でございますが、先ほど御説明を申しましたように、ことしの秋から冬にかけまして国際的な設立規約を採択するということで一明年度には、私どもの予定でございますけれども、これに基づきまして日本の民法法人としての戦略研究機関を設立して研究等を開始するというふうに考えております。  こうしたことで、日本の民法法人としての実績等を積みまして、将来的にはこの機関を国際的な状況等を踏まえまして国際機関といたしたいわけでございます。私どもの考えでは、国際機関ではございますが、国連の機関とするのではなくて、設立条約に基づく独自の国際機関への移行というふうに考えております。
  106. 山本一太

    ○山本一太君 わかりました。国際機関になるということにつきましては、これはいろいろ意味もあることでしょうから、それなりの取り組みをしていただければいいと思います。  この点について何点かお聞きしたがったんですが、時間の関係でちょっとスキップをいたしまして、今の話で、環境に関する国際機関、国連機関というと一つ思い出すことがあります。この間、いろいろニュースをぱらぱら見ていたんですけれども、先々週だったと思いますが、地球サミットのフォローアップのためにリオデジャネイロで行われた国際会議、これはリオ・プラス5フォーラムというんでしょうか、この中で国連高官が、世界環境機関設立を支持するというコメントを出しております。  もうちょっと詳しく言えば、この世界環境機関は国連の中に設置することが望ましい、そして今ある国連環境計画、UNEPですよね、ちょっと力が弱いといろいろ言われているところもあるんですけれども、これを再編、強化、拡大して新たな環境の機関として発足させるべきではないかという発言があったんですね。現在国連の中で、UNEPがありながら、新しい国連機関を設立するというような議論が本当にあるのかどうか、その情報をお聞きしたいんです。  例えば、私の感触では、リオ・サミットのときの話もありまして、今ある機関を少し整理して、環境の分野において国連システムがより効果的な機能を果たすようにするという方針はあったやにも思っているんですが、そこら辺についてもし何か情報があれば、環境庁の方からお聞きしたいと思います。
  107. 浜中裕徳

    政府委員(浜中裕徳君) お答え申し上げます。  世界環境機関につきましては、ただいま御指摘がございましたとおり、リオ・プラス5の場においても議論が行われたと承知しておりますし、その直後に東京で開催されました地球環境パートナーシップ世界会議におきましても、その設立の問題についての討議が行われたわけでございます。しかしながら、こうした新たな世界環境機関の設立に関しましては、国連などの公式の場ではまだ具体的な提案あるいは議論がなされたことはないというふうに承知しております。  ただいままでのところでは、御指摘がありましたとおり、サミットも含めまして、いわゆるCSDそれからUNEPなどの役割分担をどういうふうにしていくのか、どういうふうに明確化していくのかというようなことについての議論が行われてきたわけでございますし、かなりの程度考え方の整理がなされてきたと承知しておりますけれども世界環境機関自身についてはまだそのような公式の場での議論はなされていないと承知しております。  いずれにいたしましても、UNEP自体につきましては、その活動をもっと効果的、効率的なものにするために、その活動内容がやや広がり過ぎているのではないかという声も強いわけでございまして、より焦点の合ったものとし、その管理機構を改革していくための検討が現在進められているところでございます。環境保全に関する国連機関の機構問題につきましては、大きくは国連改革という流れの中で議論されていくものと承知しております。  私ども環境庁といたしましては、国連が深刻化しつつあります地球環境問題により適切に取り組むことができるように、これまでUNEPなどが果たしてまいりました機能が一層強化されるべきであるというふうに基本的には考えておりまして、このために必要な機構が整備されるべきであろうと考えております。そうした観点から、外務省とも協議をしながら適切に対処してまいりたい、このように考えているところでございます。
  108. 山本一太

    ○山本一太君 大変わかりよい説明でありがとうございました。公式の場ではこの新たな世界環境機関の話というのは出ていないというふうに解釈していいかと思います。  エコ・アジアの話についてはこのぐらいにしまして、次にもう一問ちょっとお聞きしたいと思うんです。  それは、日本環境戦略についてということでちょっと問題を提起させていただきたいと思うんです。前回の委員会だったと思いますが、小川委員が酸性雨と中国との関係について質問された覚えがあるんです。それで、私は今参議院では国際問題調査会というのに属しておりまして、この一年半ずっとアジア太平洋の安全保障という問題について議論、研究をしてまいりました。  アジア太平洋の安全保障ということにつきましては、最も大きなファクターは中国でございます。中国をどうやって建設的に国際社会にエンゲージさせるかということが安全保障の面ではアジア太平洋のまさにキーファクターになっているわけですが、これはやはり環境という点でも全く私は同じことが言えるんではないかと思うわけです。  小川委員指摘をしておりましたけれども、例えば酸性雨と中国の環境問題との関係はまだ科学的に確実に立証されたということではありませんけれども、中国という国の環境の変化、環境問題が日本に物理的にも大変大きな影響を与えるということは、これはもう私は言うまでもないことだと思います。  たしか小川委員は三峡ダムのことをちょっと例に挙げましたけれども、三峡ダムができることによっていろいろ日本の気候にも影響があると思われるわけですが、三峡ダムは特に余りかかわりがないので、なかなか今三峡ダムについてどうのと言うことはできないと思うんですね。せいぜい日本の輸銀とかそこら辺の一部が入っているぐらいだと思うんです。  いずれにせよ、もちろん中国をやり玉に上げて悪者扱いするということは、これはもちろん正しくないですし、外交上も全く不適切なことだとは思いますけれども、ある程度中国の環境問題をにらんだ戦略的な思考というものがこれから日本環境問題を考えていく上では不可欠だ、このように思っているんです。  この点で、今環境ODAも随分中国の方に供与しているわけですが、中国に対する環境問題に取り組むという観点で日本政府環境庁が取り組んでいる例えばプロジェクトとか何か代表的なものがあれば、ちょっと教えていただきたいと思います。
  109. 浜中裕徳

    政府委員(浜中裕徳君) 中国についてのお尋ねでございますが、私ども環境庁といたしましても、中国におきます産業の発展、人口の増加などに伴いまして環境の負荷が増大をしているわけでございまして、こうした環境の負荷の増大は、酸性雨あるいは地球温暖化などの問題との関連においても緊急を要する課題と受けとめております。  したがいまして、中国の環境対策への協力は極めて重要な課題であると認識をしているわけでございます。  中国に対します政府開発援助でございますが、これまでさまざまな協力が進められてきております。環境庁といたしましては、日中友好環境保全センタープロジェクトでございますとか、あるいは大気汚染や水質汚濁の防止のための計画をつくるということを目的としました各種の開発、調査などの実施協力をしてまいってきております。  この中で、特に日中友好環境保全センタープロジェクトは、中国における環境問題に対処する能力を幅広い分野において向上させることを目的といたしまして、約百五億円の無償資金協力、それから環境観測技術、公害防止技術を初めとした総合的なプロジェクト方式技術協力を現在実施しているところでございます。
  110. 山本一太

    ○山本一太君 私も一時JICAに勤めた経験がございますので、そのプロジェクトのことは知っておりまして、これは無償とプロジェクト技術協力の連携というかパッケージでやっているということですね。これは本当に意味のある技術協力だと思うんです。  公害防止技術に対する技術移転であったり、あるいは環境問題を扱う専門家、研究者の育成であったり、やはりこういうことが将来的には中国の環境問題に対して日本ができることなのかなというような感じがしているわけであります。これも開発の世界でよく使う言葉ですが、いわゆるこれは中国の能力向上というか、まさしくキャパシティービルディングを助ける方法なのかなというふうにも思っております。  ほかに、中国という形ではなくて、酸性雨の問題を取り扱う東アジア酸性雨モニタリングネットワークですが、これも随分専門家会合を繰り返してこられて、二〇〇〇年ぐらいでしょうかね、たしか実際にスタートするという合意も得られたやにも聞いております。このことについては時間もないのであれですけれども、いずれにせよ、そういう戦略的思考というのを持った上でこれからも環境政策を進めていただきたいということを一言御要望申し上げたいと思います。  あともう時間が四分しかありませんので、京都会議のことをちょっとお聞きしょうと思ったんですけれども、細かいことは申し上げないつもりなんですが、先ほど来、きょうも朝からの質問の中で、日本のリーダーシップという話がございました。この京都会議では日本がこれをホストするということになります。日本がまさしくこの場所できちっとしたリーダーシップを示すということが、もうぜひとも必要だと思うわけであります。  そして、この温暖化の問題というのは、やはり途上国と先進国との間でいつも立場が違う。ですから、やはりそこら辺の途上国側の立場、先進国側の立場というのを調整する努力というのは非常に必要だと思うんです。あらゆる機会を通じて日本がこういう意味でも貢献をしていかなきゃいけない。エコ・アジアみたいなフォーラムはそういう調整の場にはなかなか使えないと思うんですけれども、いろんな機会を通じてまずそういう調整をしていただきたいということが一つ。  それから、二日前か三日前か忘れましたが、朝日新聞の記事で、京都会議については通産省と環境庁との間でいま一つ調整が図られていないということをどうもやや環境NGOが文句を言っているというような記事がありました。どこまで本当かわかりませんが、いずれにせよ、日本がリーダーシップをとるこの会議で、日本政府としてそのCO2の削減ターゲットをきちっと示さなければいけないというときに、なかなか両省庁の調整がつかないために日本が一歩下がった印象を与えてしまうんではないかという懸念を表明した記事だったんです。  これはやはり京都会議に対する国際的な期待もございますし、先ほど来大臣もおっしゃっているように、こういった場で特にホスト国として日本がリーダーシップをとるためには、ここら辺の問題はやはりきちっと調整した上で会議をぜひ成功に導いていただきたいと思うんです。  最後にもう一度、石井環境庁長官のこの京都会議にかける意気込みを今の点を踏まえて言いただきまして、質問を終了させていただきます。
  111. 石井道子

    国務大臣石井道子君) 地球温暖化防止京都会議を成功させるために、今いろいろと環境庁といたしましても庁を挙げて取り組んでいるところでもございます。日本が開催国であり、議長国として目されている日本会議でございますので、政治的なリーダーシップを発揮することがどうしても必要であるというふうに考えております。  これにこたえるためにも、我が国といたしましても、G7サミットやまた国連環境特別総会などの機会をとらえて、環境保全上実効ある国際会議の合意に向けて各国が政治的な決断をすることの必要性を訴えていかなければというふうに思っておりまして、そのことに向けまして私といたしましても精いっぱいの努力をいたします覚悟でございます。  また、国際会議の中での調整役という立場もありますが、それにはやはり国内にあっても日本の国としてどのような政策を決定し方向性を持つかということがなお一層重要でございまして、そのための国内における各省庁の調整を今鋭意精力的に図っているところでございまして、多少時間はかかっておりますけれども、そのような具体的な目標を決定するまでに、さらに関係省庁大臣にもなお一層積極的に働きかけていきたいと思っております。
  112. 渡辺四郎

    委員長渡辺四郎君) もう時間が来ましたから。
  113. 山本一太

    ○山本一太君 はい。  最後に、今のコメントを受けてこの会議に対する大臣の政治的なリーダーシップを御期待申し上げると同時に、随分乱暴な質問もありましたけれども、一問一問大臣初め環境庁の関係者の方々に真摯にお答えをいただきましたことにお礼を申し上げまして、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
  114. 広中和歌子

    広中和歌子君 新進党・平成会の広中和歌子でございます。  きょうは差しかえで久しぶりに環境特別委員会質問するチャンスをいただきましたことを大変喜んでおります。そして、今同僚議員のすばらしい、また興味ある御質問を伺いながら、まさに環境問題は超党派の問題であるということ、そして願わくはこうした環境に対する思いが我々全議員の中に広がることを心から願うものでございます。  さて、南極条約の批准に向け、この南極地域環境保護に関する法律案が今国会に提出され、こうして当委員会でも審議が行われることをとても喜んでおります。我が国の批准がおくれたことにつきましては同僚議員から厳しい御指摘などが出ておりますが、一九九一年以降日本の批准を心待ちにし、かつ肩身の狭い思いをしていた極北関係の学者、そしてまた環境保護団体の人々あるいは環境に思いを寄せる議員たちを含めまして、みんなほっとしているんじゃないかと思います。  さて、残された国はアメリカとロシアでございますけれども、アメリカに関してはもう議会を通過したとかするまでであると言われていると聞きましたけれども、ロシアに関してはどうなんでしょうか。ともかく、二十六のすべての国が批准をいたしませんとこの条約発効いたしませんので、ぜひ、おくれた分、その分だけでも一生懸命あとの二つの国に働きかけることが我が国の責任ではないかと思いますが、石井長官の御意見をお伺いいたします。
  115. 澤村宏

    政府委員澤村宏君) 我が国南極地域環境議定書の準備状況につきましては今先生指摘のとおりでございますが、ただいま先生指摘ありましたように、私どもといたしましては、この議定書が一日も早く発効いたしますように今後とも関係の方面に働きかけてまいりたい、そのように考えております。
  116. 広中和歌子

    広中和歌子君 ロシアの状況についてわかりませんか。
  117. 澤村宏

    政府委員澤村宏君) ロシアにつきましても国内的な準備を進めているというようなことをお伺いしておりますが、詳細は今のところまだよくわかっておりません。
  118. 広中和歌子

    広中和歌子君 というと、これが発効する日程というのは全く不明というようなことなのでございますか、重ねて伺います。
  119. 澤村宏

    政府委員澤村宏君) 現段階におきまして私から具体的なことを申し上げる状況にはございませんが、この五月の末に南極協議国会議がございます。そういう場におきましてまた今後のこの議定書の扱いというようなことにつきまして一層議論が進められるもの、そのように考えております。
  120. 広中和歌子

    広中和歌子君 いずれにいたしましても、私どもはこの法案が通った暁にはこれに基づいてさまざまな取り組みをしていかなくちゃならないわけでございます。  南極地域全体の環境保護のために、議定書の締約国すべてと連絡をとりながら環境保全を行っていくということが必要なわけでございますけれども、そうした国際的な連携についてどういう監視体制があるのか、枠組みがあるのか、そのことについてお伺いいたします。
  121. 澤村宏

    政府委員澤村宏君) この議定書発効いたしますと、南極協議国会議というものがございますが、そういう場におきましてさらに具体的な、この議定書の中身をどう進めていくかというようなことについての議論がさらに深まるものと思います。  例えば環境影響評価などにつきましては既にそういうガイドラインみたいなものを発表している国もありますし、そういったものによって行われたものの知見というようなものがそういうところで報告されるというようなことで、情報の交換というようなものが一層進むものと考えております。
  122. 広中和歌子

    広中和歌子君 この法律の結果として、環境庁が主体となって南極を所管、管理していくということはすばらしいことだと私は思っておりますけれども、しかし今までの経験からいいますと、文部省の極地研がともかく過去四十年にわたって現地に出かけ、そしてさまざまな研究を行ってきたわけでございます。  そういう現状を踏まえた中で、環境庁がこれからどういうふうにその体制を強化しつつというか、今は何もないわけですね、今のところは。どういうふうに、しかも極地研と協力をし合いながらこの法律の実効を高めていくかというその計画について、あらあらで結構ですからお述べいただきたいと思います。
  123. 澤村宏

    政府委員澤村宏君) 今、先生指摘のとおり、この法の実効性を担保するためには、南極観測隊活動に参加するなどしております各省庁との連携、特に文部省との連携を図っていく必要があろうかと思います。また、今先生指摘になりましたが、実はこの法案の作成の過程におきましても、これまでの長い長い基地活動におきます結果等をお伺いするために極地研の先生等の御意見等もお伺いしながら法案の準備等も進めてきたところでございます。  したがいまして、今後この法律が通りますと活動の主宰者等が配慮しなければならない事項を定める、基本的事項を定めるわけでございますが、そうした際には法文にもございますように文部大臣を初め関係行政機関の長に協議をすることといたしたいと思いますし、また、南極地域観測統合推進本部等の場を通じまして、現在私どももこれに関与しているわけでございますが、そうした推進本部等の場を通じまして必要に応じ情報交換等に努めてまいりたい、そのように考えております。
  124. 広中和歌子

    広中和歌子君 まさにこれからというところだろうと思います。  それで、文部省にいらしていただいておりますので、国立極地研究所のこれまでの取り組み、予算、体制そして研究テーマについて概略お話しいただければと思います。
  125. 岩本渉

    説明員(岩本渉君) 国立極地研究所でございますけれども、国立極地研究所は極地に関する科学の総合研究及び極地観測を行うことを目的とする大学共同利用機関でございます。したがいまして、国公私立の大学の先生方あるいは試験研究機関の先生方に共同利用していただくという性格を持っております。それと同時に、南極地域観測事業におきまして高度の学術研究である研究観測について中心的な役割を担うとともに、隊員の訓練等にも中心的な役割を果たしているところでございます。  この今申しました研究観測に関します計画は、文部大臣が本部長になっております南極地域観測統合推進本部の決定に基づき実施しております。  現在は、第五期五カ年計画というものが平成八年度から十二年度までということで定められておりまして、それに沿って各種の研究を実施しております。  第五期五カ年計画における研究観測のテーマとしては、例えばプロジェクト研究観測として、宙空系、宇宙空間の宙空でございますが、南極域熱圏・中間圏へのエネルギー流入と大気変質の研究でございますとか、あと大気と海洋とを一体的にとらえた気水圏系では極域大気・雪氷・海洋圏における環境変動機構に関する研究等々、ほかにも地学系、生物・医学系の研究を進めております。  また、平成八年度から新しい概念として、モニタリング研究観測ということで、長期にわたって例えば南極プレートにおける地学現象のモニタリングをする、そういったこともやっているわけでございます。また、南極観測事業の中では、この研究観測のほかに、定常観測と申しまして、関係省庁の研究者の方によって気象でございますとか海洋観測、こういったことについて調査研究が実施されているところでございます。  それから、予算の面でございますけれども南極地域観測事業というものは私どもの方で一括して所管しておりまして、他省庁等へ移しがえということで実施しておりますが、平成九年度予算における南極地域観測事業費は総額三十九億七千七百六十九万九千円となっております。  以上でございます。
  126. 広中和歌子

    広中和歌子君 この予算は満足すべきものだと思っていらっしゃいますか。伺ったんですけれども、ちょっとよくわからないんですが、他国と比べてどういう状況にあるんでしょうか。
  127. 岩本渉

    説明員(岩本渉君) 何をもって満足をすべきかというのは非常に難しいところがあるわけでございますけれども、まず外国状況を申し上げます。  アメリカでございますが、国立科学財団が中心になって実施しておるわけでございまして、予算額は平成六年度百九十三億四千三十万円というふうに聞いております。またドイツは、連邦研究・技術・教育省が所管しておりますが、平成五年度でございますが五十五億二千五百万円ということでございます。それぞれ基地の数も、例えばアメリカですと南極大陸に三カ所の基地を持っている、ドイツでございますと五カ所に持っておる、したがいましてそこで従事する隊員の数も相当違いますので一概に比較することは困難でございますけれども、今申し上げました三十九億何がしという事業費、これを有効に使いつつ今後も充実してまいりたいと思います。
  128. 広中和歌子

    広中和歌子君 日本もたしか四カ所ぐらい基地を持っていらして、一つは使っていないということだそうでございますけれども、科学技術基本法ができて予算も大幅にふえたわけですけれども、そういう中で、この極地研に対する配慮というんでしょうか、そういうものはしているんでしょうか。
  129. 岩本渉

    説明員(岩本渉君) 先生おっしゃったとおり、科学技術基本法を制定していただきまして、科学技術関係の予算を非常にいいペースで伸ばしていただいたわけでございますけれども、国立極地研究所は大学共同利用機関といたしまして、文部省で言いますCOE関係の経費、センター・オブ・エクセレンスということで、従来からこういった共同利用型の研究所をとらえていろいろな人員あるいは経費の面で措置をしてまいったところでありまして、科学技術基本計画の中でも基礎研究の充実ということが強くうたわれておるところでございますので、今後もその線に沿って努力してまいりたいと思います。
  130. 広中和歌子

    広中和歌子君 私は専門家ではございませんので、どういう研究分野がもっと伸びていくべきかということは特に申し上げられる立場でございませんけれども、この研究というのはかなり環境にかかわりのある研究を今までなさっていたんじゃないかと思います。そういう点で、例えば我が国環境研究所ですか、その研究所の中ではこうした研究活動に参加するような研究者が既にいらっしゃるのか、あるいは環境庁としても積極的にプロジェクトをつくってこういう現場での観測に参加するおつもりがあるのか、お伺いいたします。
  131. 岩本渉

    説明員(岩本渉君) 先ほど申しました南極地域観測統合推進本部は、先ほど環境庁局長からの御答弁にもありましたとおり、昭和三十年十一月四日の閣議決定に基づきまして、文部大臣を本部長として、環境庁、科学技術庁を含め関係各行政機関との連携、協議及び統合推進を図るということで、南極地域観測活動を共同して実施してきたところでございます。  現在、先ほど申しました定常観測につきましては、郵政省、気象庁、海上保安庁、国土地理院の研究者の方々が研究の性格に基づき参加しているところでございます。今後、環境庁の研究者が共同研究なさりたいという御提案があれば、また関係方面と御相談しながら南極地域観測事業をより充実したものにしてまいりたいと思います。
  132. 澤村宏

    政府委員澤村宏君) ただいま議題となっていますこの議定書にかかわります国内法の整備との関係で申しましても、南極地域環境保護施策を適切に講じていくためには、南極地域環境に関する科学的な知見を充実させていくということが重要でございます。  先ほど文部省の方からも御答弁がありましたが、基礎的な研究あるいはモニタリングというようなことも始まっているようでございます。そういったところにおきましては、極めて共通するところもございます。
  133. 広中和歌子

    広中和歌子君 ともかく環境庁もぜひ頑張っていただきたいと思います。  それで、本会議におきまして加藤修一議員からもちょっと触れられた問題でございますけれども、極北、南極におきまして、そこに生息する動物たちの体内を調べますと、そこで使ったはずのない、例えばDDTであるとか、それから重金属、有機水銀とかPCBとか、そういうようなものが体内に蓄積され検出されているということを指摘されて、御質問になったわけでございます。  私も早速、「アワ・ストールン・フューチャー」、我々の盗まれた未来と直訳するんでしょうか、それをちょっと見ておりましてもそういうことが指摘されているわけでございます。  南極また極北の自然というのは私が申し上げるまでもなく非常にデリケートなもので、そして蓄積された汚染というんでしょうか、それがその土地だけではなくて、多分我々のほかの地域の動植物にも当然そういうものがあるんではないかと思いますが、この蓄積された汚染についての研究状況はいかがなんでしょうか。
  134. 澤村宏

    政府委員澤村宏君) ただいま先生指摘がありましたように、南極観測隊等が採取した標本の分析によりまして、南極地域に生息するペンギンあるいはアザラシからもPCBやDDT等の有機塩素系化合物が検出されているというふうに我々も聞いているところでございます。これらは、南極地域に何らかの汚染源が存在しているということを示すものではないわけでございまして、むしろ人間活動が集中して行われている地域から広がる環境汚染南極地域においてさえ例外なく進行しているということを示しているものであるというふうに認識しております。  なお、この議定書におきましては、議定書要請に基づきまして国内法においてPCBの南極地域への持ち込み等を禁止する等、南極地域環境の価値を損なう恐れのある行為を規制することとしております。
  135. 広中和歌子

    広中和歌子君 私は、一九五七年に昭和基地ができましたときの、何というんでしょうか、興奮を覚えております。いろいろな映像が現地から送られてきたということもあるし、犬を十五匹連れて、そこで新しい研究をするんだというようなことで、非常に興奮したものでございますけれども、それ以降、あの当時のエキサイトメントというのは余りない。こういう私たちの日常性とは非常に違ったところで、厳しい中で研究をしていらっしゃるわけですから、やはりもうちょっと国民にわかりやすくそういうものを宣伝していただくことがあってもいいんじゃないか。それで、そういう中で国民のサポートを得て、より幅広い、より深い研究がされるんじゃないかと思います。  私がちょっとインターネットを開いてみましたらば、アメリカの場合、先ほど御紹介ありましたナショナル・サイエンス・ファウンデーション、大分分厚いのが出てまいりました。昭和基地もないわけじゃないんですね、それで大変喜んでおりますが。もうちょっと写真なんかもたくさん入れて、そして基地でどういうふうな暮らしをしているかなんかも含めまして、庶民にわかりやすく情報を与えていただいたらよろしいんじゃないかと思いますけれども、ともかく三枚しかないんですよね。でも、絵があるだけいいかなとは思うんですけれども、もうちょっと詳しくやっていただいたらいいと、そういうことで要望させていただきます。  南極関係についてはそこまでにいたしまして、次に、別のことなんでございますが、細川内閣以来、規制緩和とか地方分権とか、そういうことを推進しようということでやってまいりまして、その後に続かれた村山内閣、橋本内閣においてもその方向性でやっていらっしゃるのではないかと思います。それで、地方分権推進委員会が一九九六年十二月ですか、第一次勧告を出し、六月に第二次勧告が出ると。機関委任事務の洗い直しをしつつ、できるだけ地方分権を進めていこうという考え方があるようでございます。  私は改革大賛成の人間でございますけれども、事環境に関しましては違うと思います。当初から言われておりますように、経済的な規制に関しては全面廃止で必要なものだけ入れていくという形をとるべきだと思いますけれども環境に関するような規制に関しては強めることがあっても弱めてはいけないと。そして、地方分権におきましても、やはり国が管理しなければならないものはしっかり管理しなければいけないんではないかと思います。特に大気それから土壌ですね、それから水、そうした県と県を越えて広がるようなもの、言ってみれば地球規模的なそういう問題に関しては、それからまた国立公園の管理ですね、そうしたものに関しては、地方分権という考え方は余り当てはまらないんじゃないかというふうに思います。  アメリカの場合は、環境保護行政というのは地方から、むしろ地方分権を主としてやってきたわけでございますけれども、最近の傾向としてはどんどん国がその権限を集中させる形で環境を守ろうということで、失敗から学んでいるわけでございます。ですから、この点に関しまして、こういう規制緩和、地方分権の流れの中でも、やはり環境庁は毅然として環境を守るという視点から政策を立てていただきたいとお願いする次第でございますけれども環境庁長官にお伺いいたします。
  136. 石井道子

    国務大臣石井道子君) 規制緩和につきましては、広中委員指摘のように、環境庁関係は社会的規制が多いというふうに思います。経済的規制と同列に扱うべきものではないと思いますが、その範囲とか内容を必要最小限にすることは必要でございまして、先日、手続の簡素化については一部その規制緩和を図ったところでございます。  それから、地方分権の推進につきましても、今御意見もいただいたところでございますが、現在、地方分権推進委員会において検討が進められております。今後、委員会におきまして環境行政の実態を踏まえた勧告がなされますように期待をしているところでございます。
  137. 広中和歌子

    広中和歌子君 ともかく期待しております。  それから次に、この日本で、京都で十二月に開かれますCOP3についてでございますけれども、これはもうどえらい大きな会議でございます。多分、我が国で大きな国際会議が開かれる中でも超特大の会議になるんではないかと思います。政府だけではなくて国際機関、そしてさまざまなNGOなども参加するというふうに期待されているわけでございますけれども、そういう中で長官が非常に大きなリーダーシップを発揮していただかなければならない会議でもあると思います。  我が国のNGO、今育ちつつあるというふうに言われておりますけれども外国などでは、規模は決して大きくない、小さなNGOが大きな会議をしております。例えば、ついこの前私が出席いたしましたリオ・プラス5の会議もそうでございました。ということで、やはりNGOの役割というものを十分に評価しながら、新しい環境行政というんでしょうか環境政策というんでしょうか、そういうものを推進していかなければいけないんではないかなと思います。  その会議に向けまして、どういうふうにNGOを巻き込んで盛り上げていらっしゃるのか、お伺いいたしたいと思います。去る三月三十日、三月三十一日に気候変動対策国際戦略世界会議というのを京都でお開きになったと聞きましたけれども、それも含めまして、どういうお取り組みなのか、まずお伺いいたします。
  138. 浜中裕徳

    政府委員(浜中裕徳君) 地球環境問題、とりわけ地球温暖化問題につきましては、その影響が非常に広範多岐にわたるということもございますし、二酸化炭素の排出という原因になる行為につきましては、私たち日常生活も含めまして極めて幅広い分野からの排出が行われているということでございます。そういった意味で、この対策には国民的な幅広い取り組みが欠かせない問題であるというふうに認識をしているわけでございまして、特に環境NGOにつきましては、身近な活動を行ったり、あるいは専門的な知見を有しているわけでございますので、その役割は大変大きいものだというふうに考えているところでございます。  これまでも、私ども環境庁におきましては、環境庁長官の私的な諮問機関でございます地球的規模の環境問題に関する懇談会の中に地球温暖化問題に関する特別委員会を設けまして、京都会議に向けます国際的、国内的な取り組みの進め方につきまして幅広い見地から御議論をいただいてまいりました。そのプロセスにおきましても、まず委員といたしましてNGOの立場を代表していただけるような方にもお入りをいただき、かつ、その審議の途中、数回にわたりましていろいろな途中段階で御意見を伺う機会を設けたりいたしてきております。そして、二十数回の会合を重ねまして昨年の秋に報告をいただいたというようなことでございまして、その報告に基づいて、現在、環境庁といたしましては、京都会議に向けますさまざまな取り組みの基礎にさせていただいているところでございます。  それからまた、ただいまお触れになられました気候変動対策国際戦略世界会議でございますけれども、これは三月三十日と三十一日の両日、京都国立国際会議場で開催をさせていただいたものでございますが、早目に気候変動対策をとることのメリットというものを国益にとらわれない形で大所高所から専門的に検討いただくということを目的に開いたわけでございます。これにつきましても、国際的に研究を主として行っておられますNGOの方々にも幅広く欧米などから御参加もいただきまして開催をしたわけでございますが、この会議におきましても、NGOの方々にも最終的な討議のまとめの段階でも御参加をいただき、特に発言をいただいて取りまとめに貢献をいただいたところでございます。  また、これに先立って開かれました、NGOが主催されました国際的な地球温暖化問題に関する会議が同じ国立京都国際会議場でございまして、これらに対しましても私どもとしても必要な支援をしてまいってきておるところでございます。  このような形で進めてきておりますが、資金面につきましてもこれまで既に昨年度も、我が国におきましては京都会議に向けまして気候フォーラムという団体が国内のNGOの横断的な団体としてできておりますが、この気候フォーラムに対しましてもおよそ一千三百万円の助成を環境事業団の地球環境基金から行ってきているところでございます。
  139. 広中和歌子

    広中和歌子君 先ほど同僚議員からも御指摘がございましたように、この会議を成功させるには、いろいろな要素があるわけですけれども、やはり何といっても日本のいわゆる政策面におけるリーダーシップも同様に大切ではなかろうかと思います。  一九九二年のリオ・サミットにおきましては、一九九〇年のCO、排出レベルに二〇〇〇年までにしようということでございましたけれども、その実現も含めまして、やはりきっちりとした数値目標を出すということ、それからそのためのさまざまな手法でございますね、それは環境庁におかれましていろいろ研究をされているわけでございます。  そういう中で、他の国のやり方を右左見るのではなくて、これでやるんだという日本のリーダーシップをこの会議の中で発揮なさることが非常に大切なことではないかと思うわけでございますが、環境庁長官の御意見と御決意を伺いまして、私の質問を終わらせていただきます。
  140. 石井道子

    国務大臣石井道子君) 地球温暖化防止京都会議を何としても成功させなければならない、そういう面については、私自身を初めといたしまして、環境庁としても対策本部をつくって具体的な取り組みに当たっているところでもございます。  そして、先ほども答弁申し上げましたけれども、G7サミットとかあるいは国連環境特別総会などの機会をとらえて、そして国際合意に向けて各国が政治的な決断をしていただきたいということを、必要性を訴えていくということもありますし、それに向けていろいろと今準備もしているところでもございます。  日本も二酸化炭素の排出量が先進国では第二位ということでございまして、そういう立場であるだけに国内対策が大変重要でございます。そのためには、やはり国内での各関係方面の皆様方の合意が得られて、実行可能な政策決定と数値目標を立てなければならないというふうにも考えているところでございまして、そのための環境庁としてのリーダーシップも必要になってくると思います。今、そのための具体的な対策として鋭意関係省庁との調整も行っているところでございまして、それをできるだけ早く出していかなければというふうに考えているところでございます。  これからも、各役所レベルでの方針決定とかあるいは指示とかそういうこと以上に、国民総ぐるみの運動が必要でございます。国民一人一人がこの問題についてどれだけ自覚をしてそれぞれの毎日の生活の中で実行できるかというところにかかってくるかとも思いますので、その面も含めていろいろと対策に取り組んでいるところでもございます。  いずれにいたしましても、地球温暖化防止京都会議、大変大きな国際会議でございますし、重要な会議でございます。そこで、これからの地球の将来を決める重要な会議として日本が開催国として成功できますように、また、大勢の皆様方の御支援、御指導も賜りますようにお願いをしているところでございます。よろしくお願いいたします。
  141. 山下栄一

    ○山下栄一君 平成会の山下です。  最初に、文部省にお聞きしたいと思います。  先ほども広中委員の方からお話があったことでございますけれども南極観測事業、そのことについてお聞きしたいんです。きょうは文部大臣は来られておりませんが、本当は文部大臣に聞きたいんだけれども環境委員会でございますので。  いずれにしても、南極についての活動、行動については文部省がやっぱり一番経験豊富であると。もちろんほかの省庁もかかわってきたけれども文部省がこの統合推進本部の本部長も担当になってこられた。南極観測事業は南極における日本活動、国家事業と言ってもよい、これは文部省を中心にやってこられた。突然環境庁やれと言われても、そんなのできるのかなというふうなことかと思うんですけれども。  南極観測事業は、昭和三十年の閣議決定以来今日に至るまで、途中若干の中断もあったようですけれども、三十八次観測隊が帰ってきたと、現在三十九次の準備段階だということだそうですけれども南極観測事業という国家事業の法的根拠というか根拠規定というか、これは一体どこに求めたらいいのか、お願いします。
  142. 中西釦治

    説明員(中西釦治君) 南極地域観測事業につきましては、今先生指摘のとおり、昭和三十年の閣議決定に基づいて行われているということでございます。
  143. 山下栄一

    ○山下栄一君 閣議決定に基づいてされている、それしかないと。その割には余りにも事業が、やっぱり国際的な責任もあるし、また人類貢献的な要素もあるし、これは閣議決定で始まったけれども、それで許されるのかなというふうに思うわけでございます。  この閣議決定というのは、要するに、中身を見ますと、「南極地域観測への参加及び南極地域観測統合推進本部の設置について」ということから始まって、何回か改正されて、平成六年六月にも一部改正されている、途中から環境庁もこの組織の中に入ったと、毎年本部の総会も行われているというふうに聞いておるわけでございます。要するに、学術会議会長から内閣総理大臣あてに国際地球観測年における南極地域観測日本も参加したいという要請があったので、閣議決定を経た上で始まったと。  どういう目的で、どういう予算措置で、またほかの省庁の分担はどうだと。観測隊の任務はどういう任務か、定常観測それから研究観測ですか。  また民間からの参加はどういうふうにするんだ、国際協力についてはどういうふうにやるんだという、そういうきちっとした規定を、基本方針なり基本計画というか、そういうものを私は設けるべきではないかと。そうしないと、こんな閣議決定という事務的な手続でやっていて、四十億のお金使って、そんなので済むのかと。  だから、スタートはそれでよかったかもわからぬけれども、今こういうさまざまな南極に関する条約もふえて、基本条約南極条約かもわからないけれども、また今回新しいこの議定書もあり、この南極における国家事業そのものを環境の観点から全部見直そうと、これが一九九一年の議定書の背景だと思うんですよ。だから、そういう観測事業そのものの性格も、環境の観点をわきまえて生活しなさいと。人間がおる限り生活もあるわけだから、ごみも出るし、運搬手段はどうなんだというふうなことも含めて、あるわけですから、やはり閣議決定ではこれはまずいんじゃないのかなと。  目的も高らかにうたったそういう日本南極地域における人類貢献計画というか活動についての法律を設けるぐらいでいいのかなとも思うんです。閣議決定で済ましてはいけない、そういう段階に来ているというふうに思うんですけれども、いかがですか。
  144. 中西釦治

    説明員(中西釦治君) 今、先生指摘になったようなことは、毎年度、南極地域観測統合推進本部で議論されておりまして、その中で行動計画、実施計画という形で決めさせていただいておるわけでございまして、年次計画あるいは五カ年計画を決める上でどうやったらいいかというところをやらせていただいているということでございます。  法制化を考えたらどうかというようなお話でございますけれども、諸外国の例を見ましても、法律でこのような南極地域観測事業をやっている国、あるいは法律に基づかないでやっている国、いろいろございます。我々といたしましても、国内の他の研究体制あるいは推進制度、それから諸外国の事例等もいろいろと調査をいたしまして、問題点の把握には努めてまいりたいというふうに考えております。
  145. 山下栄一

    ○山下栄一君 私は、閣議決定という事務的な手続だけでは、国際貢献をかけたこの南極における日本の国家的事業はそういうレベルなのかというふうに見られてしまうと。参加される観測隊のメンバーだって、そういう崇高な目的をうたったそれに基づいて私たちは行動しているんだ、閣議決定という事務的な手続に基づいて我々は行動しているのか、こんな大変な思いをし、大変な訓練を受けてというふうになるのではないかというふうに私は思うんですけれども、問題の指摘にとどめます。大臣来ておられませんからしようがない、統合本部長にお聞きしたかったんですけれども。  それで、この予算措置も非常に画期的な予算の仕組みでやっているというふうに私は思うんですね。縦割りの予算配分じゃなくて、文部省で一たん受けて、それで建設省、運輸省、郵政省、防衛庁に配分するという、こういうやり方は非常にいいなと思うんです。それぞれが勝手に各省庁予算を大蔵省に要求するんじゃなくて、一括で文部省が受けて、推進本部が受けてそれで配分すると。  その中に私は環境庁も入れるべきではないか、国家事業なんだから。観測事業といったら、何か極地研究所が中心かもわからぬけれども、国家的事業なんですから。そういう環境の観点からの監督体制もこれは法律に書いてあるわけですから、お金がないのにどうしてこの法律をきちっとやっていくのかなという物すごい心配があるわけでございます。  ちょっとついでに、今回のこの法案を受けた平成九年度の環境庁予算、どれぐらいですか。
  146. 澤村宏

    政府委員澤村宏君) 環境庁といたしましては、南極地域自然環境保全ということで、例えば南極地域自然環境保全推進のための事業、これは環境影響評価等の審査委員会の設置等の費用でございます。あるいは南極地域環境情報のデータベース整備、あるいは南極地域環境保全に関する普及啓発事業、こういったことの事業予算として二千百万円余を計上しているところでございます。
  147. 山下栄一

    ○山下栄一君 二千百万円のほとんどは、周知徹底のためのパンフレットをつくったり、そういう予算じゃないのかなと僕は思うんです。だから、こういう法律南極における環境アセスをやる主体は環境庁なわけでしょう。そんなとてもできるような予算じゃないと。  だから僕は、国家事業として観測事業というのをもっと広げて、もちろん観測事業の予算もあるわけだけれども、国家予算としてきちっと保障するような体制をつくったらどうかなと、こういうことを大臣が閣議なりで提案しないとこの法律はちゃんと実施できないんではないかというふうに思っております。大臣、いかがですか。
  148. 石井道子

    国務大臣石井道子君) 南極地域における問題につきましては、この法案が成立をすれば、さらに一層環境庁としてもそのかかわり合いを深めながら、予算の獲得にも努めていかなければならないというふうに思っております。これからもどうぞよろしく御支援のほど、お願いいたします。
  149. 山下栄一

    ○山下栄一君 文部省にお聞きしますけれども、この南極観測事業も環境庁長官確認を受けないかぬと思うんですね、研究活動ですから。そのための南極地域活動計画を作成し、そしてアセスの評価書ですか、それもちゃんと準備しておかなきゃならないと思うんですけれども、その取り組みはいかがですか。
  150. 中西釦治

    説明員(中西釦治君) 南極地域観測事業におきましては、平成三年のマドリードにおきます環境保護に関する南極条約議定書採択された際、先ほど申し上げました統合推進本部におきまして、環境に大きな影響を与える可能性がある研究観測については独自の環境影響評価をもう既に実施してきております。  本法案が成立することによりまして、南極地域環境に与える影響が軽微でないものにあっては環境影響評価実施する必要が出てくるわけでございますが、環境庁とも十分に連絡をとりながら、環境保護に関する議定書及び本法律案を遵守しつつ南極地域観測事業を実施してまいりたい、このように考えております。
  151. 山下栄一

    ○山下栄一君 もっとわかりやすく言ってほしいんだけれども南極観測事業を国家事業として行う、その所管の文部省活動の主宰者として環境庁長官に申請書を提出し、そしてアセスの準備関係の書類も提出するような体制になっている、これでよろしいわけですか。
  152. 中西釦治

    説明員(中西釦治君) はい、そのようなことでございます。
  153. 山下栄一

    ○山下栄一君 観測隊の具体的な訓練体制はどうなっておるのか、お聞かせください。
  154. 中西釦治

    説明員(中西釦治君) 観測隊の訓練についてでございますけれども、国立極地研究所におきまして、極地の活動に万全を期するため、民間人、他省庁の人々を含めまして、観測隊に参加する予定者を対象といたしまして毎年三月及び六月に各五日間の日程で総合訓練を実施しているところでございます。  ちなみに申し上げますと、三月は冬期総合訓練という形で、乗鞍の山ろくにおきまして、隊員の候補者を対象とし、極地における行動の基本とサバイバルの技術の習得を目的とした訓練を行っておりますし、また、六月には夏期訓練といたしまして、菅平におきまして隊員決定者を対象といたしました観測、設営計画、それから環境保護及び安全対策等についての訓練を行っているところでございます。なお、この中で当然、環境保護意義についても訓練が行われているところでございます。
  155. 山下栄一

    ○山下栄一君 だから、四省庁のメンバー、それと民間からの出向者も一緒になって訓練を受ける、それで年間十日間総合訓練を受けるということですね。  それで、越冬隊、越冬される四十名の方というのは別の訓練があるわけですか、これ以外に。
  156. 中西釦治

    説明員(中西釦治君) 越冬隊の訓練もこの中において行われております。
  157. 山下栄一

    ○山下栄一君 わかりました。  隊員が現地で事故に遭ったり病気になったり、亡くなった方が一人いらっしゃるとお聞きしているんですが、そういうことが今までもあったのではないかと思いますし、それから紫外線の被害、後遺症とかが参加された方でなかったのか。簡単で結構です、お聞かせください。
  158. 中西釦治

    説明員(中西釦治君) 従来の観測事業におきましては、基本的には、事故につきましては軽い外傷を負う程度のものがほとんどでございます。  ただ、御指摘のように死亡事故としては二例ございまして、昭和三十五年の第四次の越冬隊におきまして一名の隊員が遭難して死亡するという事故、それから昭和四十九年の第十五次の「ふじ」の乗組員が氷山のクレバスに転落して死亡したという二例が残念な例としてございます。  なお、紫外線による被害はないのかという御指摘でございますけれども、実は南極地域におきましては、太陽の高度が低いために本来的に紫外線量は低いというふうになっております。一九九一年から試験的に紫外線量も観測いたしておりますけれども、大体国内のつくばあたりと同じような紫外線量であるという結果になっております。それにつきましても観測を続けまして、事故につながらないような配慮をこれからもしてまいりたいというふうに考えます。
  159. 山下栄一

    ○山下栄一君 午前中の馳委員質問の中で、廃棄物の処理計画のことなんですが、報告義務はないなんて言っておられたけれども廃棄物の処理計画も南極における地域活動計画の中に入れないとまずいと思うんです。焼却炉はどんな焼却炉が現地にあって今後どういうふうに改善するのかとか、合併浄化槽もどうするのかとか、それから先ほどは汚水処理施設も新しく考えているという話がありました。こういうのは環境庁長官に提出する活動計画書の中に全部盛り込まなあかん内容なんでしょう、いかがですか。
  160. 中西釦治

    説明員(中西釦治君) 南極における環境保護のための改善措置につきましては、当然環境庁といろいろ相談をさせていただきながらやっていきたいと思っております。  今、先生指摘になりました焼却装置でございますけれども、実は現在も昭和基地においては可燃物については焼却をいたしております。ただ、この焼却につきましては、平成三年の議定書趣旨を踏まえまして、平成五年から議定書基準に合うような二段階焼却炉を設置しているところでございまして、この面での影響はないのではないかというふうに考えております。
  161. 山下栄一

    ○山下栄一君 相談しながらやると言うけれども相談したらいかぬわけで、チェックを受けると。相談、なれ合いでやってはいかぬわけです、それは。事業官庁と言ったら怒られるけれども、要するに、国家事業を組む文部省環境庁長官に審査を受けるための手続がこの法律なんでしょう。相談してやるものじゃないと私は思うんです。  だから、申し上げた廃棄物処理計画も、廃棄物に関する対策をやりますとかいうことも計画書の中に入れないかぬのではないのかと、こういうことを言っているわけです。
  162. 中西釦治

    説明員(中西釦治君) 本法律案に従った処理をすることは当然だと思っております。
  163. 山下栄一

    ○山下栄一君 実際は、それは今まで環境庁は全然やったことがないわけですから、現地がどんな状況になっているかとか、そんなことわからぬのにチェックできるかというようなことがあるかもわかりませんけれども、少なくとも法律にのっとってやっていただかなくてはだめだと思うんです。  それと、三十七次越冬隊は廃棄物を持って帰ったという話だけれども、最近の話ではなくて、それ以前ですね、そういう廃棄物のことを考えて日本に持って帰るなんというようなことをやったことは今まであったんでしょうか。
  164. 中西釦治

    説明員(中西釦治君) 先ほど申し上げましたように、議定書平成三年に採択されております。  それ以降、平成五年度の三十五次隊から南極観測隊の中には環境保全隊員を配置いたしまして、可燃物の焼却処理でございますとか不燃物の持ち帰りなどの廃棄物処理をしているところでございます。
  165. 山下栄一

    ○山下栄一君 いずれにしても膨大なごみが、今まで何十年と積もり積もった、雪上車だけでも何十台とあるわけでしょう。クレーン車とか、また建築廃材、建物も昭和基地だけで三十九棟もある。そんな状況の中で、ごみもそのまま残ると思うんですよ。温度が低いわけだから生ごみもそのまま残っているというふうな状況で、今まで埋められ、捨てられしてきたのもあるのではないかと思うわけです。設営工学部門ではそういう廃棄物に対する研究もされてきたということも存じ上げておりますけれども、いずれにしましても膨大なごみを、先ほども委員もおっしゃっておりましたが、処理するのに五カ年計画でやるということですけれども、五年で全部終わるんですか。
  166. 中西釦治

    説明員(中西釦治君) 現在、基地にございます大型の廃棄物が約五百トンございます。この大型廃棄物五百トンにつきましては五カ年計画で国内に持ち帰りたいという計画でございます。
  167. 山下栄一

    ○山下栄一君 発電量もこの三十年間で十倍になったと。それはいろんな活動、先ほどもインターネットの話もありましたけれども、さまざまな機材も現地に、昭和基地にあるわけで、これは物すごいエネルギーが要ると思うんです。これで環境保全しようと言ったって何の意味もないと思うんですけれども、エネルギー源は何なんですか。急な質問で申しわけない。
  168. 中西釦治

    説明員(中西釦治君) 重油でございます。
  169. 山下栄一

    ○山下栄一君 昭和基地に限りますけれども、昭和基地に限って全物資の半分は燃料であると。重油が何百トンかわかりませんけれども、重油でやることについての見直しはどうなんですか。
  170. 中西釦治

    説明員(中西釦治君) 現在のところ、ほかの形によるエネルギーというのはちょっとうまい方法が考えられませんので、当分重油を使うことになるのではないかと考えております。
  171. 山下栄一

    ○山下栄一君 南極環境保護法がいよいよ審議されているわけでございまして、だから南極観測事業全体を私は環境庁がしっかり指導せにやいかぬのじゃないかなと思っております。だから、先ほど申し上げたように燃料が重油というのは、詳しくわかりませんけれども、これは環境汚染貢献する、CO2にもなるわけですし。また例えば焼却施設も、日本が誇る最先端技術の焼却炉にするとか、ダイオキシンなんか一切出てこないとか、ダイオキシンも何かオットセイの中から出てきているそうですけれども、そういうふうなとにかく世界最高の水準の環境配慮で南極観測事業を行うというふうにしないとだめだと思います。いかがですか。
  172. 中西釦治

    説明員(中西釦治君) 失礼いたしました。重油と申し上げましたが、実は軽油でございます。大変申しわけございません。  それで、我々といたしましても、南極環境影響を与えないような配慮をこれからも続けてまいりたい、そのための努力はしてまいる所存でございます。
  173. 山下栄一

    ○山下栄一君 野焼きは今もされているんですか。
  174. 中西釦治

    説明員(中西釦治君) しておりません。
  175. 山下栄一

    ○山下栄一君 観測ドームふじ、そこで燃料を燃やしているのは、焼却炉で燃やしていないと思うんですよね。そんなのは野焼きと同じと違いますか、ドラム缶で燃やしているという話だけれども
  176. 中西釦治

    説明員(中西釦治君) ドームふじ観測拠点における廃棄物でございますけれども、不燃物それから可燃物等につきましては国内に持ち帰っております。――失礼いたしました。屋外に保管し、今後昭和基地に運びまして処理する予定にしております。
  177. 山下栄一

    ○山下栄一君 ちょっともとへ戻って申しわけない。この南極観測事業の予算なんですけれども、一般会計約四十億、平成八年度。それで、国立学校特別会計で十五億ですか。極地研への予算十八億。それ以外に臨時予算みたいなものは今まで組まれたことはないんでしょうか。
  178. 中西釦治

    説明員(中西釦治君) 補正予算等で措置された費用があるというふうに記憶しております。
  179. 山下栄一

    ○山下栄一君 環境庁にちょっとお聞きいたします。  この法律は、今審議しているんですが、昨年の平成八年度もそういう条約承認、批准手続、そして法案の審査の可能性が強いということで準備されておったというようにお聞きしているわけですが、いずれにしても、この環境庁南極環境アセスの中心的な役割を果たすための準備をやるために、現地は一体どうなっているのかということの派遣をされたというふうに聞いているんですけれども、それはどういう形で派遣されたのか、準備のための派遣ですね、これをお聞きしたいと思います。
  180. 澤村宏

    政府委員澤村宏君) この現在御議論いただいております法律をまとめるに当たりまして、その準備段階といたしまして南極地域における自然環境の現状とそれから観光利用の状況を把握するという目的から、平成七年末に職員二名を現地に派遣しまして調査を行ったところでございます。なお、この調査は、特に観光利用が集中的に行われている南極半島地域を訪問する日本からの観光ツアーに同行する形で実施をいたしました。
  181. 山下栄一

    ○山下栄一君 準備のために現地をやっぱり体験しておかなきゃならない、見ておかなきゃならないということで行かれたことはいいと思う。昭和基地には行かれていませんよね。
  182. 澤村宏

    政府委員澤村宏君) この法案の準備等の関係というとちょっと言い過ぎになりますが、かつて、昭和四十九年だったと思いますが、職員をして昭和基地の方に滞在させたということがございます。
  183. 山下栄一

    ○山下栄一君 法案準備のためには現地、研究活動の実態というか、これはまあ視察して、観光ツアーで行っているわけじゃないから、それきりにするわけはないと思う。  この予算、お金はどこから出たんですか。
  184. 澤村宏

    政府委員澤村宏君) これまでの準備等につきましては、通常の経費の中から必要なものを計上して賄ってまいっております。
  185. 山下栄一

    ○山下栄一君 一般会計の中から捻出したということで、そういう理解でいいですか。行った方の報告を見ますと、財団法人環境調査センターの海外研修制度で行ったと、こういう御報告されているんですが、これはじゃ違うわけですね。
  186. 澤村宏

    政府委員澤村宏君) 経費につきましては、一部そういうところの助成をもらって行ったという形になっていると聞いております。
  187. 山下栄一

    ○山下栄一君 環境調査センター、公益法人、ここから全額出て行ったんと違いますか。
  188. 澤村宏

    政府委員澤村宏君) ちょっと訂正させていただきます。  基本的には、その一名につきましては調査センターの予算を基本として行っているということだそうでございます。
  189. 山下栄一

    ○山下栄一君 だから、それも私は物すごい問題だと思うんですけれども、それぐらい金がないわけですよ、環境庁は。そんな観光ツアーで、これは環境庁所管の公益法人だと思いますけれども、そこからお金を出してもらわないと行けないと。  そういうこの大事な法律の準備のための派遣も環境庁予算でできないぐらい大変な状況にあるというふうに私は理解したんですよ。  だから、先ほど冒頭申し上げたように、この観測文部省を中心にやっているかわからぬけれども、国家事業、環境保護するための大事な日本の国の人類貢献活動、それも国家的な活動だから、そういう枠組みをつくって、そこから環境庁予算も措置したらどうかなということを閣議で訴えたらどうだということを私は思う。法律準備のための派遣をそんな民間の財団から金を出してもらわないと行けない、これはものすごく問題だという、きょうはちょっとテーマが違うから言いませんけれども、もう一回、だから環境庁長官、予算厳し過ぎる、これは。どうですか。閣議ででも言ったらどうなのか。
  190. 石井道子

    国務大臣石井道子君) 山下委員から大変力強い御発言をいただいたわけでございまして、今後もできるだけ環境庁の予算が多くなりますようにいろいろと頑張っていきたいと思います。
  191. 山下栄一

    ○山下栄一君 それで、その観光の話ですけれども、観光によって汚染されるよりもそこにずっとおる人によって汚染される率の方が圧倒的に僕は多いと思うわけです。それで、先ほどの環境庁職員が行かれたツアーの話ですけれども、この報告が、もう本当に立派な報告されているんです、派遣に行かれた方が。  それで、その前に、日本人の観光客がどれぐらい南極に行かれているかということをきちっと掌握されているんでしょうか。
  192. 澤村宏

    政府委員澤村宏君) 関係の業者等からお伺いしているところでは、昨年のシーズンにおきましては約六百名の方が行ったというふうにお伺いしております。
  193. 山下栄一

    ○山下栄一君 それで、その旅行業者への指導をどこが行うかなんですけれども運輸省なのか環境庁なのか。今回の法律に基づいて業者がツアーを組むときにも、やっぱり添乗員の方も行かれると思うんですね。添乗員がどんな姿勢でこれに参加されるかによってこれ大分変わると思うんです。したがいまして、業者への指導をしっかりせにゃいかぬと思うんです。これはどちらの省庁がやられるんですか。
  194. 城石幸治

    説明員城石幸治君) この法律が成立いたしますと、この法律に基づく南極地域活動計画確認等の各種施策については環境庁が行うこととなっておりますので、旅行業者を含む南極地域活動を行う者に対するこの法律実施に当たっての指導等は、第一義的には環境庁の方で行われるものと理解しております。
  195. 山下栄一

    ○山下栄一君 私は、これは環境庁に任せっ放してはだめだと。この業界への指導、また許認可権というのはこれ運輸省が握っていると思うんですね。だから、業者への、特に南極にかかわる、南極の観光にかかわるその計画を組む、企画を組むというか、そういう業者もあると思うんですよ。  それについてはやっぱり運輸省の方からもきちっとこの法律の精神、中身を指導すべきであると思う。いかがですか。
  196. 城石幸治

    説明員城石幸治君) 旅行業務を行うに当たりましては、国の内外を問わず、各種の法令に基づいて、それに従って旅行の日程を組むとか旅行を行うということが重要でございまして、今回もこの法律が制定されましたならば、私どもとしても、日本旅行業協会を通じまして各旅行業者に対しこの法律をきちんと守っていくよう周知徹底を図ってまいりたいと考えております。
  197. 山下栄一

    ○山下栄一君 しっかりお願いします。  今まで、現在も含めまして、南極ツアーを企画した日本の旅行業者というのは何社ぐらいあるのか、お願いします。
  198. 城石幸治

    説明員城石幸治君) 先ほど環境庁の方から御答弁がございましたように、昨年は約六百六十五名の日本人の観光客、旅行者の方が行っておりますが、取り扱った会社は三十七社というふうに承知しております。
  199. 山下栄一

    ○山下栄一君 日本のですか。
  200. 城石幸治

    説明員城石幸治君) 日本の旅行業者は三十七社ということでございます。
  201. 山下栄一

    ○山下栄一君 それでよろしいですか、環境庁
  202. 澤村宏

    政府委員澤村宏君) いわゆる三十七社という数字そのものにつきましては直接的には存じ上げませんが、それらの業者はアメリカ等における観光事業というものにいわゆるパッケージで加わっている、そういった実態ではないかと考えております。
  203. 山下栄一

    ○山下栄一君 だから、ちょっと運輸省環境庁の見解が違うんですけれどもね。  僕が申し上げているのは、その旅行を企画した会社は、今度この活動計画を申請して環境庁長官確認を受けないかぬわけですよ。だから、そういう旅行業者は環境庁はないとおっしゃるわけですね。運輸省はあると。はい、どうぞ。
  204. 城石幸治

    説明員城石幸治君) 先ほど御答弁申し上げました三十七社というのは、日本の旅行業者が主催旅行として組んだものが三十七社あったというものでございまして、実際上は、例えば海外のランドオペレーターなりを使いまして、そちらの行為に人を送るというような格好になっておりますので、日本の旅行会社がすべてを実施するということではなかろうというふうに考えております。
  205. 山下栄一

    ○山下栄一君 ちょっとわからぬな。  環境庁の職員の方が行かれたのは、アメリカの会社が企画したんですよ。日本の旅行代理店がそれをアレンジして日本のお客さんを募って、成田から飛行機で、アメリカへ行ったのかアルゼンチンに行ったのかわかりませんけれども、アルゼンチンの旅行業者がそれを手配して、ロシアの船を手配してそこに十一カ国八十四名のお客さんを乗せて、氷を砕きながら南極に行くわけですよ。  だから、職員の方が行かれたのは、アメリカの旅行会社が企画して、日本がそれをアレンジして日本のお客さんを集めて、これは企画したと言えないと思うんですけれどもね。日本の国の旅行業者が企画した南極ツアーというのは今までないのかあるのか、それを聞きたいわけです。それは環境庁はないと言うんだけれども、ないんでしょう。どうなんですか。
  206. 澤村宏

    政府委員澤村宏君) 誤解のないようにもう一回申し上げますと、今回の法律で予定しておるような意味におきます、南極におきます観光事業を主宰するというそういう意味における業者というものはないというふうに理解しております。
  207. 山下栄一

    ○山下栄一君 それもちょっとわからぬのやけれども。  日本の旅行業者が企画して、それでアルゼンチンの会社に手配をお願いしますわということを言うのは、企画したんだから、それは僕は総合的な計画をつくって環境庁長官確認を得ないかぬと思うんですよ。そういう理解じゃだめなんですか。
  208. 澤村宏

    政府委員澤村宏君) 現在、この法律において考えられております。その主宰者というものは、例えば砕氷船そのものを持っている、あるいは砕氷船そのものを契約してリースで借りているというようなことをベースといたしまして、具体的に南極地域におきまして観光活動を行う者、そういったものを予定しております。  したがいまして、今お話出ておりましたような、いわゆる日本国内で南極観光の希望者を募ってそれをそういう事業にパックでもって加わるといったもの、そういったものは考えておりません。
  209. 山下栄一

    ○山下栄一君 それじゃ、私が今申し上げたように、日本の旅行会社が企画して、それは船の手配まではしないと、船の手配は全部アルゼンチン、国際南極旅行業協会に加盟しているそういう業者にお願いした場合、だから、先ほどの例えば日本の国の旅行会社が企画してアルゼンチンの会社に手配を頼んだという場合は今回の確認対象には入らないということなんですが、そうしたら、アルゼンチンの会社はアルゼンチンの国でその場合受けるということですか、向こうで。
  210. 澤村宏

    政府委員澤村宏君) この議定書は、先ほど来議題になっておりますように、各国がそれぞれの国内法でこの議定書に書いてあることを担保する措置をとるということが前提になっておりますので、例えばアルゼンチンならアルゼンチン、アメリカならアメリカという国におきまして我が国と同様な制度というものができると、そういうことを前提に成り立っているわけでございます。
  211. 山下栄一

    ○山下栄一君 ということは、日本の旅行業者が環境庁長官確認を受けるようなことはあり得ないと、こういうことですね。
  212. 澤村宏

    政府委員澤村宏君) 繰り返しになりますが、例えば日本の業者が砕氷船を一つのシーズン借り切ると、その中で、何回かそこに南極地域に観光団を連れていくというような業態であるならば、日本のこの法律によって確認を受けなければならないことになります。
  213. 山下栄一

    ○山下栄一君 わかりました。  それで、この環境庁職員の方がおっしゃっているんですけれども、参加され実際に経験されて、船に乗っている時間が物すごい長いと。その間に環境教育ができるというわけですよ。それで、日本人が参加しておっても、アメリカの旅行会社が企画すると配られる資料が全部英語であると。だから、日本の旅行会社の添乗員がこれを翻訳して、それで研修のできるような体制を一生懸命考えているということだそうなんですね。場合によってはそういうことを考えないで参加する場合も旅行業者によってはあるかもわからないということで、しっかり旅行業者に対する指導が大事だというふうに思うわけです。  だから、船内の研修が非常に大事であるということを参加された職員の方がおっしゃっておりまして、南極エコツアーというのは、観光気分で最初は行っていたけれども、船内の研修によって南極地域の役割がいかに大事かということを、研修をしっかり受けて参加することができた。この南極旅行というのは、準備によっては非常に大事な環境貢献できるツアーになる。だからエコツアーという形で啓蒙すべきだというふうなことをおっしゃっているんですけれども、そういう観点からの日本の旅行業者に対する指導を行うべきであると。いかがですか。
  214. 澤村宏

    政府委員澤村宏君) この法律が施行になりましたならば、新聞、テレビ、ラジオ等、各種広報媒体を使用した普及活動のほか、地方自治体等に対するパンフレットの配付、あるいは南極環境保護重要性に関するシンポジウム、そんなことは当然考えていきたいと思いますが、今特に先生から御指摘のございましたように、観光業者に対します説明会の開催、これは運輸省等関係の機関とも相談しながら開催するとともに、特に、船の上におきます環境教育と申しますか、南極地域における環境重要性というような説明、そういったことは非常に重要でございますので、そういったことにつきましても何らかの形でもってガイドブックをつくる、あるいは業者に対しまして協力をお願いしていく、そんなことをいたしたいと考えております。
  215. 山下栄一

    ○山下栄一君 別のテーマに移ります。ダイオキシンの問題、お願いします。  ダイオキシン汚染が今大変、先週でしたか、民間テレビ、NHKでもやっておりましたが、非常に不安が広がっているわけです。それで、この未然防止という観点が昨年の大気汚染防止改正のテーマでもあったと思うんですけれどもね。未然防止の観点から言うと、大気が汚染され、土壌が汚染され、水も汚染されているという実態のさまざまな調査も大事なんですけれども、人体の汚染ですね、人間がどれだけダイオキシンに汚染されているのかという調査をしっかりと取り組まないけないと、このように思うんです。もうそういう段階に来ていると思いますが、厚生省、環境庁、それぞれお考えをお聞かせください。
  216. 内田康策

    説明員(内田康策君) お答えいたします。  厚生省といたしましてもダイオキシン汚染の問題は重要な問題であるというふうに受けとめているところでございます。したがいまして、関係省庁との連携もございますので、十分に相談してまいりたい、このように思います。
  217. 田中健次

    政府委員(田中健次君) ダイオキシンの汚染の実態でございますが、先般も申し上げましたように、環境庁といたしましては、環境汚染がどうなっているかということで、一般環境調査とそれから発生源の調査をこれまで進めてきたわけでございます。  それで、環境庁といたしましては、ダイオキシンの健康影響につきまして最新の知見に基づきますリスク評価を行っていくことがまず重要と考えておるところでございます。  そういうことで、一般環境調査の充実強化あるいは健康影響に関する情報収集に努めまして、有識者の御意見も伺いながら、ダイオキシンの暴露によって人体にどのような影響があるのか、またどの程度の暴露によってどのような人体への影響が生じるのか、こういったことについて調査、検討を進めるということで進めておるところでございます。  有識者で構成をする検討会におきまして近々取りまとめられる予定の最終報告を踏まえまして、私どもとしてはダイオキシンの排出の抑制対策を進めていきたいと、このように考えております。
  218. 山下栄一

    ○山下栄一君 人体へどのような影響があるかということの調査研究が非常に大事だと思うんですけれども、現在、人間の体にどれだけダイオキシンが入っているのかという、そういう調査をする段階に来ているのではないかなと申し上げているわけです。そういう不安、心配のある地域で、民間レベルで、また研究者のレベルで調査も行われているようでございますが、浴びるほどダイオキシンをかぶらないと調査しないということですか。
  219. 田中健次

    政府委員(田中健次君) 私どもといたしましては、健康影響につきましていろんな世界的な知見も集めて、それによってリスクの評価をしていくということでございまして、人体への健康影響調査というのは、これは科学的に調査をするためにはやはりきちんとした疫学調査をやる必要があるわけでございまして、大変大規模な長期にわたる調査を要するわけでございます。  こういうことで、現在の時点において果たしてそれをやって明確な結果を得ることが期待できるかどうかと、こういう点もございますし、また疫学調査を実施するに当たってはいろいろ難しい科学的な問題もございます。年齢や性別の補正、あるいは喫煙等のほかの発がん要因の排除や、あるいは統計上の解析上の十分なサンプル数の確保をどうやってやるか、あるいは死亡要因を個別に検討する必要がある、こういういろいろ技術上の問題もございまして、こういった点も踏まえて慎重に検討をしなければならないと、こういうふうに思っております。いずれにいたしましても、有識者の意見を伺うことも大切でございますので、その辺のことも意見も伺って検討いたしたいと、こういうふうに考えております。
  220. 山下栄一

    ○山下栄一君 所沢市で先日、国は法的な規制措置もやってくれない、業者はもう産廃焼却施設でどんどん煙を出している、それで業者には危機感何にもないと。そこに住民は大変な危機感を持って、不安いっぱいである。所沢市の行政、議員さん、もうたまらなくなって条例をつくったわけです。だけれども、法規制がないから事業者に対する具体的な指導もできない。努力義務を設けて、勧告なり、勧告無視の場合は氏名を公表するとか、そういう内容を含んだ条例を制定されたんですけれども、この取り組みについてどのように評価されますか。
  221. 石井道子

    国務大臣石井道子君) 所沢におきますダイオキシン対策については、今委員がおっしゃいましたところでございますが、このたび条例をつくったということでございまして、ダイオキシン類及び有害物質の発生を抑制するために市と市民と事業者の責務を明らかにしたということでございまして、ダイオキシン類等の規制計画を策定することを定めたということを聞いております。  ダイオキシン対策を進めるに当たりましては、国、地方公共団体また事業者、国民のすべての主体がそれぞれの役割に応じて的確に排出抑制に努めることが重要でございます。このような観点から、この条例は大変意義があるというふうに思っております。  環境庁といたしましては、先ほど局長からも答弁ありましたけれども、有識者で構成する検討会を設けまして、昨年十二月に中間報告があったわけでございますが、今後のダイオキシン対策のあり方については、さらに鋭意検討を進めてきているところでありまして、近々その報告が最終報告としてまとめられるということでございまして、それを踏まえてできるだけ早期に規制的な措置の導入も含めて対処してまいりたいと考えております。
  222. 山下栄一

    ○山下栄一君 埼玉県の方々、所沢市周辺の産廃の焼却施設の周辺においては、生まれた赤ちゃんの死亡率が県平均のレベルよりも大変高いという、そういう具体的な調査もされて、報告もされているわけですよ。不安が広がっている。  こういうときには、県の取り組みも大事ですけれども、先ほど広中先生もおっしゃいましたように、そのときこそ国が危機管理意識を高めて、それで乗り出して、どんな影響があるかじゃなくて、人間の体にどれだけダイオキシンが入っているのかという、そういう調査を私はするべきだと。本当にそれを私は申し上げているわけです。  難しいことじゃない、難しいのかもわからぬけれども。とにかく人体にどれだけ入っているのかという、どんな影響があるかはそれから長期にまた調べにゃいかぬかもわからぬ。現在、今どれだけダイオキシンに汚染されているのかという調査を例えば埼玉県なら埼玉県を例にとって、茨城県であれば茨城県を例にとってやるべきだ、それが環境庁の使命だと。いかがですか。
  223. 田中健次

    政府委員(田中健次君) 先生おっしゃいます人体の汚染状況の調査につきましては、関係省庁とも相談をしてまいりたいと、このように考えます。
  224. 山下栄一

    ○山下栄一君 だから、ほかの省庁をリードするのが環境庁だから、相談したらだめですよ。やればいいわけや。そんないいかげんな答弁したらだめですよ。国民の命を守ろうというそういう使命感が感じられません。  もう時間がございませんので。先日の報道によりまして、今まで発生源の中で、もちろん金属製造の関連の施設も調べられておったわけですけれども、アルミ加工工場からも検出されたと、その濃度が大変レベルが高いということがNGO、民間の環境保護団体によって指摘を、そういう報告があったということなんです。これについて発生源の、現在の取り組み対象にはなっていないけれども、アルミ加工工場、全国約一千事業所があるということだそうでございますけれども、この指摘された工場におきましては香川県の豊島の濃度よりも四百五十倍の濃度のダイオキシンが検出されたということでございますので、アルミ加工工場も発生源の一つとして調査対象に加えて調査すべきであると思いますが、いかがですか。
  225. 渡辺好明

    政府委員渡辺好明君) 必要な発生源についてダイオキシン類の排出状況について調査することは非常に重要でございます。検討会の御意見も伺いながらこれからのことは考えたいと思いますが、去る三月二十六日の新聞報道のアルミ工場に関しましては、現在、工程、つまり有機塩素系の溶剤の使用実態、そういったものがまだ私ども明確にわかっておりませんので、この実態をつぶさに調べまして、調査も含めまして必要な対応をいたしたいと考えております。
  226. 山下栄一

    ○山下栄一君 それと関連して、ダイオキシン発生の可能性のある、ダイオキシンはつくろうとしてできるものではなくて非意図的にできるという物質だそうでございますので、化学物質を使って事業を行っている工場、事業所については、化学物質の種類や量の公開を義務づけるべきではないか、こういう意見があるわけですけれども、これについてはいかがでしょうか。
  227. 田中健次

    政府委員(田中健次君) 先生指摘のように、工場から環境中へ排出されます有害な化学物質の種類あるいは量を事業者が行政に報告をいたしまして、行政は何らかの形でこれを公表する、こういうシステムがございます。これはPRTRと申しまして、環境汚染物質の排出・移動登録のシステムでございますが、このPRTRのシステムはアメリカあるいはイギリス等では既に導入がされております。平成八年二月にOECDが加盟国に対しましてこの制度の導入を勧告いたしておりまして、加盟国は三年後の平成十一年に取り組み状況を報告するということになっておるところでございます。  こうしたOECDの勧告を受けまして、環境庁におきましては昨年十月にPRTRの技術検討会を設置いたしまして、PRTRに関する技術的な事項につきましてただいま検討中でございます。  平成九年度、本年度からは、この検討結果に基づきまして特定の地域で試験的にこのPRTRを実施いたしまして、その結果を踏まえまして我が国にふさわしいPRTRのシステムにつきまして検討していきたいと、こういう予定にしております。
  228. 山下栄一

    ○山下栄一君 終わります。
  229. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 南極法が今審議をされておりますけれども、同僚委員からもいろいろな観点から質疑がされておりますので、重複する部分があるかもしれませんけれども、なるべく重複を避けて質疑をしていきたいと思います。  私がきょう問題にしたいのは、先ほど来の同僚委員質疑の中におきましても、この法案がつくられるのが大変おくれている、そして議定書が締約されたのが大変おくれているということ。ロシア、アメリカ、日本、この三つの国がもう最後になってしまっているという状況。しかし、その原因について問いただしたとき、本会議での池田外務大臣答弁も、「他国動向等を念頭に置きながら、実施のための国内法の整備などについて検討を進めてきたところでございます」というようなことで、具体的におくれた理由については申されない。そして、先ほどの質疑の中でも外務省はこれと同じような答弁をなさっていて、そのおくれた原因については具体的に示そうとしないということでございますので、この委員会の中で、おくれた原因について少しさわっていきたいというふうに思うわけでございます。  まず、通産省においでいただいていると思いますが、よろしゅうございますか。通産省が昭和五十五年から開始をして十六年間、年間七億円もの予算をかけて石油公団に依頼をして行っている南極地域石油天然ガス基礎地質調査の目的と調査結果はどのようなものかということを簡単に教えていただきたいと思います。
  230. 市川祐三

    説明員(市川祐三君) お答え申し上げます。  まず、お話のありました調査でございますが、南極地域石油天然ガス基礎地質調査でございます。これは、国が石油公団に委託を行いまして、石油公団がこれを実施しているというものでございます。内容でございますが、音波を使いまして南極沖合の海底の地質の構造を調査するというものでございます。  具体的に申し上げますと、石油とかあるいは天然ガスが賦存する場合に、特有な地質構造でございます堆積盆地の分布、それからその大きさ、性質などを調べるものでございます。ただし、申し上げておきたいことは、この調査は南極での探鉱を目的として行っているものではございません。  これは地質学的に申し上げますと、南極の沖合におきましては非常に貴重な地質データがとれるということでございまして、先ほど申し上げました堆積盆地がどのようにしてできたかなどの研究をする場合に非常に役に立つ貴重なデータがとれるということで実施してきたわけでございます。  このような調査は、我が国だけではございませんで、米国、イギリス、オーストラリア等もそれぞれ実施しておりまして、お互いにデータの交換などを行いまして、先ほど言いました研究の推進に役立てているということでございます。また、国際的なシンポジウムの場もたくさんございますが、その場におきましては、そのようなデータをお互いに発表するというようなことも行ってきているわけでございます。
  231. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 既に南極周辺の海を一周するような形で調査が終わっているというふうに聞いておりますけれども、音波だけでやっているのではなくて、ボーリング調査も行われているんじゃないですか。
  232. 市川祐三

    説明員(市川祐三君) お答えいたします。  ボーリング調査は行っておりません。
  233. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 それでは、この調査報告書の中に採取をされている写真等々が掲載されているのは、これはどこが行った調査ですか。
  234. 市川祐三

    説明員(市川祐三君) お答えします。  繰り返しになりますけれども、土の採取等は一部行っていることはあるかと思いますけれども、ボーリングの行為自身は行っておりません。
  235. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 実際に、海底の土とかあるいは石、マンガン等々の採集があったということで報告があるわけですね。そうしますと、こういうこれらの行為については、議定書発効した場合に計画の確認というか許可が必要になるのではないですか。
  236. 市川祐三

    説明員(市川祐三君) 本調査につきましては、従来から先ほど申し上げましたような科学的目的に基づいて行われております。したがって、その目的とか態様から見ますと、南極条約及び環境保護に関する南極条約議定書趣旨に合致したものであるというふうに理解しております。  したがいまして、議定書批准後におきましてもこれらの条項、今申し上げましたような態様におきまして適切に実施していきたいというふうに考えておるわけでございます。
  237. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 ですから、議定書に適当に合うようにやるためには、確認を得なければならない場面もしばしば出てくると思うんですね。そうしますと、通産省としては、この議定書締結をされるよりも、されないで、自由に研究ができる方がずっとよかったわけですよね。だから、そういうことがあって環境庁に積極的に、この議定書を早く締結して南極環境保護しましょうというスタンスはどうしてもとり得なかったことが一点あると思います。通産省はそういうことですよね、よろしゅうございますね。  それでは、次に運輸省。  先ほど山下委員の御質問の中でも、運輸省は一切南極の旅行について指導しなくてもいいような御答弁をなさっていましたけれども、九四年に京都の締約国会議のときに、「南極の観光及び非政府活動に関する手引き」というのが締約されているんです。これからいきますと、日本の旅行会社も南極日本人を送る場合には必ずこの手引書に沿った指導が行われていなければならないはずですけれども、いかがですか。
  238. 城石幸治

    説明員城石幸治君) 今先生指摘の観光に関する手引につきましては、国際会議において採択されたすべての南極訪問者に対する勧告でございます。したがいまして、これについては旅行業者に対しましても外務省の方から日本旅行業協会を通じましてその周知が図られたものと承知しております。
  239. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 そうなんですね。外務省の方からこういうふうにパンフレットもつくられて、「南極訪問者のための手引き」というようなものがつくられて、外務省の方で旅行会社に指導しているということで、これは外務省運輸省との間でまだここの事務引き継ぎをなかなかスムーズに行う状況になかったと、そういうことがあってなかなかこの国内法の整備ができなかったという、そういうことの指摘が私はできると思うんですね。運輸省はその指摘に対してどう思いますか。
  240. 城石幸治

    説明員城石幸治君) 私ども、少し話が長くなるかもしれませんけれども、旅行業法に基づきまして旅行業の監督なり指導なりを行っております。旅行業法と申しますのは、旅行契約というものが、代金を先払いして行うとか、あるいは旅行という形の見えないものであるということから、契約の適正化であるとか、あるいは旅行業者が倒産した場合に旅行者に迷惑をかけないといったような消費者の保護のための措置が中心に規定されております。  したがいまして、それにかかわる部分につきましては運輸省で行っておりますが、それ以外にいろんな関係法令がございまして、それについてはそれぞれの担当、所管のところから旅行業者に対してもいろいろと指導がなされているというところでございます。
  241. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 だから、この法案ができてその議定書が締約をされて、運輸省がそれに対応する準備が全く不足をしていたというか、そこに思いも至っていなかったということがあなたの答弁でわかるわけですよね。ところが、今度この議定書締結されれば、当然旅行業者の指導というのはあなたのところで管轄をしなければならなくなるんじゃないですか。先ほど来、澤村さんは環境庁の所管だというふうにおっしゃったけれども環境庁だけでそういうことの指導が徹底できるはずはないんですね。そうしますと、当然運輸省もかかわる中で旅行業者の指導ということに当たっていただかなければならないわけですが、そうではないですか。
  242. 城石幸治

    説明員城石幸治君) この法律が成立いたしました暁には、この法律に基づく南極地域活動確認等の各種の施策は環境庁が行うこととなっております。したがいまして、旅行業者を含む南極地域活動を行う者に対する本法律実施に当たっての指導、監督等も、第一義的には環境庁の方で行われるものと理解しております。運輸省といたしましては、この法律がきちんと守られるように旅行業者に対して周知徹底を図っていきたいということでございます。
  243. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 今の答弁にすべてがあらわれています。縦割りで、自分で管轄したくないところは逃げようというその一手。この法律が悪いんですよ、長官。この法律の中に明快にうたい込んでいない。すべて詳細なところは総理府令で定めるというふうに逃げているんです、全部。だからこの法律の審議に当たってああいう答弁が出てくるわけですよ。これはもう当然環境庁としては、総理府令で定めるときにはその細かいところについては各省庁に振り分けて、全部の省庁から協力をいただかなければこういう管理体制というのはできないわけでございますよね。だから、この今の法律は、総理府令で定めるところというふうになっていて、まだまだ不透明なところが多いですけれども、実効性を高めるためにはここのところを明快にしていく必要があると思いますけれども環境庁、いかがですか。
  244. 澤村宏

    政府委員澤村宏君) ただいま先生から、この法律が通った後のその具体的実施の方法についていろいろと御指摘を受けているわけでございますが、まず、この法律が通りますと、基本的な配慮事項の公表ということで、環境庁長官議定書の的確かつ円滑な実施を図るために基本的事項を定めるということになっております。そういう場合におきましては、文部大臣初め関係行政機関の長に相談しながら行うということにもなっております。また、この運用に当たりましては、当然のことながら関係省庁とも連携の場というものを設けまして運用していきたいと思います。  なお、観光の問題につきまして先ほど来いろいろ議論が出ているわけでございますが、一義的にはこの法律実施ということで環境庁ということではございますが、観光業ということにつきましては運輸省がそれを指導しているわけでございます。そういうところを両方が協力し合うことによりましてより適切な指導ができるというふうに考えております。
  245. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 締約がおくれた第三は文部省です。文部省の方いらっしゃいますか。  文部省南極の基地観測の中で地質調査などを行ってきたと思いますけれども、昭和基地は昔はスリランカとつながっていたというようなことの中で、エメラルドとかウランが埋蔵されているというふうに言われているわけですが、これらについてはいかがですか。判明いたしましたか。
  246. 岩本渉

    説明員(岩本渉君) 今、先生指摘のとおり、昭和基地が位置します東南極大陸、これは過去にはゴンドワナ大陸の一部をなし、一億八千万年前ごろから分裂、移動して今の南極大陸の地殻というものを形成してきたと。私ども観測隊では、地質調査という学術研究の目的がメインでございまして、鉱物資源探査は行っておらないのが現状でございます。
  247. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 ちょっと、そんなこと言ってもだめでしょう。ちゃんと昭和基地にウランが見つかっていることはもう周知の事実じゃございませんか。じゃないのですか。
  248. 岩本渉

    説明員(岩本渉君) 確かにおっしゃるとおり、第一次越冬隊の西堀隊長の書かれた「南極越冬記」などを読みますと、ウラニウムのことが書いてあるわけでございますけれども、その後、これが果たしてウラニウムかどうかというのは再確認はできていないわけでございます。  今の私どもが伺っておりますのは、第一次越冬隊におきまして放射性物質であるユークセン石、これは氷河の上流の方から何万年もかかって下に流れてきた、これを転がり石とか転石と言っておりますけれども、そのようなものがガイガーカウンターを使用したところ発見されたという報告は受けております。
  249. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 まあ、そこはいいでしょう。  それでは、地震の観測を前に行っておりましたね。その地震の観測はどういう方法で行いましたか。
  250. 岩本渉

    説明員(岩本渉君) 地震につきましてでございますが、我が国南極観測の開始の契機となりました国際地球観測年、一九五七年から八年のころは、南極大陸では地震は起こらないというのが定説だったわけでございます。その後、昭和四十五年に昭和基地で越冬した日本人の研究者によって、南極大陸内に地震が起こっていることが初めて確かめられました。その後、各国の南極観測により、南極大陸内でマグニチュード四程度の地震が二十個ほど観測されております。昭和基地では地震計を用いまして観測いたしまして、マグニチュード一から二程度の微小地震については昭和六十二年十月から二年五カ月の間に十個の地震の震源が決定されたということでございます。
  251. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 鉱物資源の調査であるとか、あるいは地震観測などをもっともっと深めていこうとすれば、議定書に抵触をするような形で掘削をして地震計を据えるというようなことも必要なのかもしれません。そういうようなことがあり、なかなか文部省としても積極的に議定書調印というようなことはできなかった。  しかし、文部省の最大の問題は、きょう何度も皆さん指摘をしているあの廃棄物です。廃棄物の処理をこの法律ができれば直ちにやらなければならないということが義務づけられますし、なかなかその片づけるめどが立たない。そういうことの中で、できるだけ遅くしていただきたいという思いが、口には出さないけれどもあったというふうに私は思うのですね。  しかし、そこの観測研究に携わっている人たちは、九四年の京都会議のときに何とかこの法律を、国内法を成立させて、国際的に恥ずかしくない体制をとりたいと願っていた。そして九五年のソウル会議にも、また九六年のユトレヒト会議でも、なかなか日本がまだ国内法も整備されていないということの中で肩身の狭い思いがしてきたというふうに言っているわけですが、文部省としてはそれでは環境庁外務省に対して議定書締結国内法の整理について積極的に推進方を進言したのですか。
  252. 岩本渉

    説明員(岩本渉君) 南極地域観測事業を統合推進しております文部省といたしましては、議定書内容重要性、これは単に南極観測事業が科学的知見を得るというだけではなくて、環境問題の解決のために南極地域というものが果たす役割について、特に研究者のイニシアチブでもってこういうものが出てきたということからして非常な関心を持ちまして、南極地域観測統合推進本部の総会におきまして議定書内容を御報告する、あるいは環境庁の方からも今の検討状況をお話ししていただく、あるいは外務省の方から諸外国状況をお話ししていただくということをしてきたわけでございます。  また、先ほどお話のございました南極条約協議国会議、私も昨年第二十回のユトレヒトの会議に行きまして、各国から、残り数カ国になって日本はどうなのかということも指摘されたわけでございまして、その点につきましては、文部省そして所管しております国立極地研究所がこの法律案の原案の作成段階から専門的な知見をもって環境庁協力をしてきたところでもあります。  また、私ども南極地域観測隊員が「しらせ」で出航する際に、隊員必携というものを私どもの方で編集して配付しておるわけでございますが、その中にも本議定書を収録するなどしてその精神を早くから隊員に啓発するということを行ってきたところでございます。
  253. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 環境庁は、ほかの省庁から強力な協力をいただかなければ、なかなかこうしたいい法律というのはつくれない省庁ですよね。そういうことがありますから、どうぞ今後とも各省庁が積極的に協力をする体制をとった中で、この法律の実効性を高めていっていただかなければならないと思っています。  そこで、外務省にいきます。あとの方、通産省もそれから文部省運輸省もありがとうございました。結構でございます。外務省、お願いいたします。外務省、アメリカとロシアの今の議定書の進行ぐあいを教えてください。
  254. 津曲俊英

    説明員津曲俊英君) 米国におきましては、この議定書実施のための国内法について議会の承認と大統領の署名を得ておりまして、現在行政府内において関連規則の作成作業を行っているところでございます。
  255. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 ロシアは。
  256. 津曲俊英

    説明員津曲俊英君) 失礼いたしました。ロシアにおきましては、三月の中旬ごろに議会に法案が提出されておりまして、同国政府締結に向けて今作業をしているところでございます。
  257. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 日本が一番最後になったということで、五月の締約国会議には発効の見込みはいかがですか。
  258. 津曲俊英

    説明員津曲俊英君) 今申し上げましたように、米国の状況、それからロシアの状況、この五月の締約国会合に間に合うかどうかはわかりませんけれども、そのどちらの国も早期に締結したいという意向を持っているというふうに聞いております。
  259. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 外務省はもう少し積極的にやっぱり諸外国とも連携をとり、そして自分の方も、日本も努力するから一緒に五月には何とか間に合わせましょうということを言ってくださいよ。大臣に言ってくださいよ。どうぞ。
  260. 津曲俊英

    説明員津曲俊英君) 御指摘を踏まえまして、検討させていただきます。
  261. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 参議院の環境特別委員会の中でそういう指摘があったということを、大臣にきちんと伝えてください。そして、アメリカとロシアに対して働きかけをしていただきたいという希望があったということを伝えてください。  それで、今回廃止される南極地域動物相及び植物相保存に関する法律外務省が所管をしておりましたけれども、今回新しい法律環境庁の所管にした理由は何ですか、外務省
  262. 澤村宏

    政府委員澤村宏君) 私の方からお答え申し上げます。  議定書におきましては、南極地域は国際的な自然保護区としての位置づけが与えられていること、また動植物相保存や特別保護区の保護等を含めまして包括的に南極地域環境保護を図ることが求められていることから、既存の南極動植物相保存法も本法に吸収し、一元的な保護制度としたものでございます。  なお、環境基本法の制定及び環境基本計画の策定を機に、南極地域環境保護は、そこでの科学観測結果が地球環境保全施策に活用されること等から、国内の環境保全にも資するものであることが示されまして、これを踏まえまして、現行の南極動植物相保存法も今回の環境保護議定書国内法担保法も環境庁が所管することとしたものでございます。
  263. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 澤村局長環境庁が所管をすることになったのなら、なぜ環境庁許可制度にしなかったんですか。旧法では外務省外務大臣許可制度ということを明快にうたって、外務大臣の権限というのを強化しながら法の実効性というのを高めていたわけでしょう。ところが、今回の新法では確認制度ということで、私は許可と確認とどちらが強いかといえば、やっぱり許可制度の方がずっと強いというふうに思うわけでございますけれども、今回確認制度ということで、環境庁が所管をしてつくった、中心になってつくったという法律であるならば、ここはまことに生ぬるいというふうに思うんですけれども、いかがですか。
  264. 澤村宏

    政府委員澤村宏君) ただいま、本法の仕組みの問題についてのお尋ねでございますが、本法におきます確認は、南極地域で行われます一つ一つ活動につきまして、議定書で禁止されている行為でないこと、それから条件つきで認められている行為を含む場合は条件に適合すること、また環境に著しい影響を及ぼさないこと、これらをチェックするものでございます。議定書で定める各種の禁止や制限事項に完全に適合する場合にのみ確認がなされる、そういう仕組みとなっているわけでございます。  このような観点に立ちますと、議定書要請を十分に満たすものでありまして、他の国内の法制度に比べまして規制内容が弱いのではという御懸念は当たらないと判断しております。
  265. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 議定書の中でも許可制度ということになっておりまして、あとほかの国、英国、アメリカ、ドイツ、それからオランダ、オーストラリア、ノルウェー、フィンランド、スウェーデン、すべて国内法の中で許可制度ということでうたいとげています。  法制局、来ておられますか。法制局にお尋ねをいたします。それでは一般論として、許可と確認の違いを言ってください。
  266. 宮崎礼壹

    政府委員(宮崎礼壹君) 審査を担当いたしました立場からお答えいたします。  まず……
  267. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 いや、違うよ。法律の中で一般論として、許可と確認とはどう使われているかということです。
  268. 宮崎礼壹

    政府委員(宮崎礼壹君) わかりました。  講学上は、許可といいますのは、法令による特定の行為の一般的な禁止を公の機関が特定の場合に解除する、そして適法にこれをすることができるようにするという行政行為だというふうに解説されております。  他方、確認といいますのは、そう一筋縄ではなくて幾つかの類型があるというふうに思いますが、特定の事実または法律関係の存否を確認する行政行為だというふうに一般的には言われていますが、そのうちの法律関係の存否を確認するというものにつきましては、法律上要求されるルール、基準、こういったものに適合するか否かの実質的審査を行いまして、そしてその確認が得られない場合には禁止されるという効果が出ます。そういうものであります限りは、特に許可という制度と実質的に異なるところはないというふうに考えられるわけでありまして、講学上あるいは辞典類におきましても、法律的な効果のいかんによっては、確認というふうに一口で言いますけれども、各それぞれが個別法の定めるところによるというふうに解説されているところでございます。
  269. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 何かよくわからない答弁ですね。  許可と確認がそれでは同じなんですか。違うでしょう。  もう時間がないからいいんですけど、この法律南極地域環境保護のために重要な法案なんですね。南極環境保護をするために許可制度の方がより実効性が高いのか、確認制度の方が実効性が高いのか、この比較においてはつくった立場としてどうなんですか。
  270. 宮崎礼壹

    政府委員(宮崎礼壹君) 問題の設定がちょっと私どものとらえ方とは違うといいますか、こういうことでございます。  議定書は、御指摘のとおり、いろいろな動植物の採捕等について個別の許可というものがなければしてはいけないというふうに求めてございます。今度の法案につきましても、仮にそのような個別の行為についての許可制というものを導入しようとするのでありますれば、許可という言葉を使うことに特段の問題はなかったと私は思います。しかし、なぜそれでは確認としたかということでございますが、二つ問題があったかと思います。  一つは、議定書自体が個々の採捕や持ち込みということにつきまして、その許可を得なければやってはいけないというふうに禁止がかかっておりますけれども、もう少し広く、南極地域に入ってくること、あるいはその中で移動すること、こういうことにつきましては、それが環境影響を与えないようにいろいろ配慮して、そうでない場合には国として修正し、停止し、取りやめる措置をとれというふうに非常に抽象的に議定書の本文第三条の四で書いてございます。したがってこれも、南極地域において移動するといったことにつきまして、許可制を用いてその許可がなければしてはいけないというふうにせよというふうには明記していないわけでございます。  そこで、それをどうするかということが、どうするかというのは、そこの個別の許可を要しないところにつきましてどういうふうな制度をつくればこの三条四項のところの要請を満たすことになるのかということが一つ問題になったはずでありまして、そこについて法案は、そうであれば事前に全体的な計画を出させようと。そして、全体について審査をいたしまして、一つでも不当なものがあれば全体の計画を認めないということにすることにいたしたわけです。  もう一つの問題といいますのは、済みません、長くなりましたけれども、個別の許可ということになりますと、一つ南極地域活動の中でどうしても複数含まれることになると思います。ところが、それぞれの許可につきまして、やはりいろいろな環境影響評価をしなければなりません。そうしますと、手間もいろいろかかりますので、そういう意味からいっても、全体について計画を出させて全体について審査するということが合理的であったと思います。  ところで、計画というものにつきまして、計画を許可するという制度は、制度といいますか、そういう表現は余りとられていないのでございます。法令検索をしてみましても、計画を許可するという使い方というのは直接にはございません。  それはなぜかというのはなかなか難しいんですけれども、今回につきましては、例えば計画段階ではまだ先に随分かかわりがありますので、だれが行為者かということもわかりません。そういうことで、計画というふうにいたしましたために確認という言葉を使ったのでございます。
  271. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 それでは、この日本法律の中で、国内法で使われている確認というのは諸外国で使われている許可というのと同意語として私たち認識をしてもいいということですか。
  272. 宮崎礼壹

    政府委員(宮崎礼壹君) 法制局で考えた限りでは、おっしゃるとおりだと思っております。
  273. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 そこを私は確認しておきたかったんです。できるだけ長官に強い権限を持っていただきたいんですよ。だから言っているんです。  しかし、今の中身を見てみると、最低限の解釈で守るのか最大限の解釈で守るのかというと、最低限のところで何とか辛うじてという姿勢しか見えないですよ、この確認書だけでやろうと。だから、さっき馳さんが言った五条二項のところに、諸外国では許可になっているが日本確認と同義語なんだというのをわざわざ一項入れなきゃならない事態というのがこの法律の中で起こっているわけでしょう。こういう矛盾というのはちゃんと起きているわけですよ。これはさっき馳さんが指摘をしていましたけれども、ここに行き着くわけですよね。そういうことだと思うんです。  それで、先ほど澤村局長は、国際的調和を図る意味でその五条二項の扱いをやりたいという御答弁をなさいました。それで、英文で国際的な会議日本の法案を出すときに、英語で使われているパーミッションというのを使うのか、あるいは日本確認という、これはコンファメーションでしょうか、そういう言葉を使うのか、どちらを使うんですか。
  274. 澤村宏

    政府委員澤村宏君) 今、言葉の問題になったわけでございますが、確認につきましては、先生指摘のような訳し方もあるのかなという考えもあります。  いずれにいたしましても、これから、るる申し上げておりますように、日本国にとりましてどういう措置をとったかということは各国にも通報いたします。そういう過程の中で法律の翻訳作業には着手しているわけでございます。そういう中で、ただいまの確認の訳も含めまして研究をさせていただきたいと思います。
  275. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 最後に締約をして一番中身の薄い法律案で締約をしたというようなことになると非常に恥ずかしいというふうに思いますので、中身をより充実した形で、世界の国々に決して恥ずかしくない、伍してやっていける、あるいは公害大国として環境立国を宣言した日本として、恥ずかしくない内容国内法世界会議に出席をしていただきたいというふうに思うわけでございます。  最後に、環境庁長官、いろいろ申し上げてきましたけれども環境庁の役割は本当に大きくなります。だんだんだんだん大きくなります。しっかりと予算もとりながら、そして強い権限を持ちながら各省庁に負けないきちんとした指導体制をとっていかなければやっていけない時代に参りました。どうぞ御決意を一言お願いしたいと思います。
  276. 石井道子

    国務大臣石井道子君) このたびの南極地域環境保護に関する法律案、この持つ意味というものは大変大きく重要であるというふうに思っております。  ただいまも、確認か許可かというような議論もなされました。要は、この法律が適切に運用されて、そして南極地域環境保護に実効が上がるような、そういう具体的な対策を今後も環境庁挙げて取り組んでいかなければならないというふうに思っておりますので、どうぞ御支援、御指導を賜りますようお願い申し上げます。
  277. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 終わります。
  278. 竹村泰子

    ○竹村泰子君 きょうは、朝から南極地域環境保護に関する法律案について本当に中身の濃い議論がされてきたというふうに思います。  事ほどさように、南極というのは私たちからとても遠いと思うけれども、こんなに大きな問題を抱えているということが改めて認識できたのではないかと思います。もちろん、言うまでもなく南極は南半球の気候系と海洋系を動かすエンジンの役目を果たしておりますし、南極の冷たい空気が赤道周辺の熱帯性の気候に拮抗して働くことによって地球が回っていると言ったら大げさかもしれませんけれども、そういうことで、だからこそ世界的な汚染物質の拡散を測定する研究室であるというふうな意味から大変大事な問題であり、私ども環境委員会の中でこういう議論ができたことは、非常に私もきょう一日有意義であったというふうに思うのです。  先ほどからいろいろと、一番の馳委員から始まりまして多くの委員たちがずっと指摘をしてまいりました。今も大渕委員の方からございましたけれども、この議定書への加入が結局一番最後発効ということになるわけなんで、もうダブるところは何回も繰り返して言いません。私の用意したところが大分言われてしまいましたので、なるべく同じことは言わないようにしようと思いますけれども外務省にまず聞きます。  世界遺産条約が七五年に発効我が国の加入は九二年に国会承認、国連砂漠化防止条約が九四年に作成、発効は五十番目の国の加入後九十日、こういうふうな状況で、地球環境問題に対する外務省認識の薄さ、これがほかにもいろいろ、今大渕委員もいろんなことを、通産、運輸とお挙げになりましたけれども、まず私たちのフロントは外務省であるわけで、外務省はこの地球環境問題に果たす日本の役割というのを一体どのように考えているのか、しっかり答えてください。さっきのような答えなら要りませんから。
  279. 津曲俊英

    説明員津曲俊英君) 従来より地球環境問題は、我が国国際貢献を果たしていく最重要分野であるということは本当に認識しております。それで、国際約束を含めて、地球環境保全に向けて国際的な枠組みの強化に積極的に協力していこうというふうに考えております。  それで、今、先生の方から御指摘がございましたように、確かに時間のかかっている条約もございます。他方、気候変動枠組み条約、それから生物多様性条約、それからオゾン層の保護に関するモントリオール議定書、これらにつきましては大体一年ぐらいのうちには締結をしてきております。  また、地球環境問題といいますと、ここでも取り上げられたと思いますけれども、二〇〇〇年以降の地球温暖化防止のための枠組みを決めなくちゃいけないということで、ことしの十二月には我が国で、京都でそのための締約国会議を開いて、そのためにも努力をしてまいりたい、かように考えておりまして、今後とも、我が国それから全世界にとって有意義条約についてできる限り早期の締結を行うよう、引き続き努力してまいりたいと思っております。
  280. 竹村泰子

    ○竹村泰子君 そんなことは聞いていないんですよ。私の聞いていることに全然答えていない。地球環境問題に対する外務省姿勢を聞いているんであって、いろんなことをやじられてお気の毒だとは思いますけれども、そういう答えを聞いているんじゃない。どういうふうに地球環境を守ろうかと、日本はそのために、環境庁にももちろん聞きますが、外務省姿勢を聞いているんです。
  281. 津曲俊英

    説明員津曲俊英君) この地球環境問題は、我が国だけではございませんで、この地球全体の環境、先ほども申し上げましたけれども気候変動もしかり、それから生物多様性もしかり、それからバーゼル条約もしかり、それから絶滅に瀕した動植物の保護に関するワシントン条約もしかり、これらの条約の中には締結がおくれたものもございますけれども、それぞれ、協議国会議、締約国会議、いろいろございまして、その中で、我が国といたしましてもさまざまな会議の中で議長役を果たしたり、それから中身についての議論を積極的にしていると、このようなことでございまして、この地球環境問題につきましては、それぞれの条約につきまして積極的に貢献してまいりたいと常々考えているところでございます。
  282. 竹村泰子

    ○竹村泰子君 私たち政府委員答弁をいつも委員会で求めるわけです。外務省姿勢はどうなのだ、フロントの姿勢はどうなのだというふうな質問をあなたにしても、大臣じゃないんだし、政府委員じゃないんだし、外務省はこうでございますと言えないのは大変気の毒だと思います。だから私たち政府委員の出席を求めているわけでして、それを、レクを取りにきていつも言うのは、説明員でよろしゅうございますでしょうかと、ほかの省庁も必ずそう言うんですよね。私たちはだめだと言うんですが、きょうは何か衆議院で外務委員会が開かれているんですか、そう聞いたから私も納得したんですが、そうじゃないんならもっとちゃんと答弁できる人を出してくださいよ。これは理事会にもお願いをしたいと思います。そんな答弁を聞くために私たち徹夜に近く質問をつくっているわけじゃないですから。まあ、あなたをいじめてもしようがないので。  ただ、旧法は外務省の担当だったわけですよね。今度環境庁の担当になるわけで、だから、よかった、やれやれと思ってそういう態度をとっていたのかと言いたくなるくらいだけれども、まさかそうではないでしょうね。どうですか。
  283. 津曲俊英

    説明員津曲俊英君) 旧法の南極動植物相保護法は外務省の主管でございましたけれども、現在審議いただいております国内担保法案は、国内の行政措置を要するものでございまして、従来から国際約束実施及びその確実な履行につきましては外務省がもちろん所掌をしているわけでございますけれども、かかる国際約束内容が国内的に各省庁の所掌に属するものにつきましては、各省庁が国内行政上の措置として各省庁の所掌事務の範囲内において必要な国内制度を整備するということが通例でございまして、今回もこういうことになったわけでございます。  それで、ちなみに、環境基本法が制定されまして、その中におきまして南極地域は国際的に高い価値が認められている環境と位置づけられたわけでございまして、この脈絡で環境庁の所管する法律案ということになったものと承知しております。
  284. 竹村泰子

    ○竹村泰子君 こういうことは通告できませんから通告してなかったんですけれども、そういうことを聞くために質問をしているんじゃないんですよね。外務省は、きょうは無理でしょうけれども、さっきも大渕委員から、きちんと大臣に伝えなさいというお言づてがありましたけれども、やっぱり外務省の責任としてきちんとこういった地球環境の問題を環境庁と一緒にそろってやりますよぐらい言ってほしいんですよね。力のない環境庁が一生懸命やろうとしているわけですから。  ごめんなさい、いや、環境庁応援団としてはそういう思いなのでございまして、やっぱりきちんとしてもらいたい。要望しておきます。  それでは、私も南極の生き物、動植物というとペンギンとかアザラシとかそういうふうに思うのでありますけれども、実は、今回資料を見まして本当にびっくりしました。哺乳類が十八種類、鳥類が四十一種類、無脊椎動物が二百三十四種類南極には生存している。これは動物だけですけれども、植物もコケ類が百三十一種類、地衣類が二百七十五種類と大変な動植物の宝庫でもあるわけですよね。  そこに基地が五十以上あって、最大のマクマード基地、これはアメリカの基地ですけれども、小さな町ほどあるということです。こうした基地では、何トンもの有害廃棄物が投棄されて、ごくわずかしかない氷のない土地が漏れた油で汚染され、ブルドーザーとダイナマイトが脆弱な野生生物の生息地を破壊していると。  先ほどの、環境庁の奥山さんが行かれたこの記録を見ましても、ポーレット島というところで、上陸した場所はペンギンのコロニーの目の前で、観光客はここから一時間半ほどペンギンを観察したと。ペンギンはまだ抱卵中のものが多かったが、小さなひなもかなり見ることができたと。そういう状態のところに人間がぞろぞろ行って見ると。これに驚いて抱卵をやめて海に逃げていってしまうペンギンもたくさんいるというふうに聞いています。私は、もうこういうところは研究以外は立ち入るべきではないと思うくらい、少し過激かもしれませんが、観光客はもう本当にシャットアウトしてほしいと思うくらいのものなのです。  そこで、影響評価についてお伺いいたしますが、この議定書附属書Ⅰでは、包括的な環境評価というのが決められております。しかし、この法案は、南極地域環境保護に関する法律案であるにもかかわらず、影響評価はどこにあるのかわからない、全く隠れていて。全体がそうでございますと言えばそうかもしれないけれども環境影響評価というものは全く見えないんですね。どうしてこの手続について章を起こし、規定をしなかったのか。それから、議定附属書1にある三段階の手続をどうしてそのまま法案の中に規定しなかったか、その理由は何ですか。
  285. 澤村宏

    政府委員澤村宏君) この法案の中におきましても、環境評価につきましては、附属の図書ということで申請者は申請することができます。また、ついていない場合には、環境庁といたしまして、それを求めることができるという仕組みになっているわけでございます。
  286. 竹村泰子

    ○竹村泰子君 そんな答えはないでしょう、そんなそっけのない答え。環境影響評価という項をなぜ起こさなかったのかと言っているんです。
  287. 澤村宏

    政府委員澤村宏君) それは、先ほど来議論がありましたが、今回の法律におきましては、確認という、そういう法のスキームをとったためにそのようになっているわけでございます。
  288. 竹村泰子

    ○竹村泰子君 さっきの大渕委員のお話にあった確認ですね。でも、日本国内法ですから、確認すればいいというものじゃないのではないでしょうか。  私は、法律の専門家でもないし環境の専門家でもないからわかりませんが、そういう姿勢でいいのかなと思いますが。
  289. 澤村宏

    政府委員澤村宏君) 申請に基づきまして確認をいたします。確認がないものにつきましては、南極地域におきまして南極地域活動というものをすることができないわけでございます。
  290. 竹村泰子

    ○竹村泰子君 いや、環境影響評価というのは確認すればいいものですか。
  291. 澤村宏

    政府委員澤村宏君) 確認に当たりましては、環境影響評価ということが重要な要素になることは先生指摘のとおりでございます。
  292. 竹村泰子

    ○竹村泰子君 環境庁環境影響評価法をお出しになったんですね。お出しになったばかりですね、まだほやほやで、審議はされておりませんけれども。その環境庁が、なぜこの法案の中に環境影響評価ということを明確にあらわさないで、それで法案を提出されたか、どうしても私はわからない。長官、どうですか。
  293. 澤村宏

    政府委員澤村宏君) ただいま今回の制度の仕組みについて申してきたわけでございますけれども環境庁といたしましては、申請書が提出されますと、第八条第一項の規定に基づきまして、審査を適正に行うため必要があると認めるときは申請者に対しまして環境影響評価書に相当する図書の提出を求めることができる、そういうふうになっているわけでございます。そして、この審査を適正に行うために必要があると認めるときとは、申請にかかわります活動環境影響の程度が極めて軽微なもの以外であるというふうに判断される場合でございます。
  294. 竹村泰子

    ○竹村泰子君 議定書はかなり詳しく計画の初期の段階から始まって、影響評価をして、そして包括的な環境評価書に基づく決定をする手続をして、評価書に基づく決定をして、監視まで書いているんですね。ですから、そういうことに比べますと、私は何か大変に肩透かしを食わされたような気がしたんです。だから、必要であると認められる場合は、だれが認めるのかわかりませんが、観光客は別として、南極の中に進出していく事業というか、設備というか、そういうことにはすべて環境影響評価をしなきゃいけないと思いますけれども、どうですか。
  295. 澤村宏

    政府委員澤村宏君) この議定書とこの法案との違いについて一カ所だけ申し上げますと、確かに先生指摘のとおり、議定書附属書の方では、環境影響評価のところに予備段階、初期の環境評価書、それから包括的な環境評価書となっておりますけれども、これらのうちの予備段階のものにつきましては、環境影響評価というものは必ずしも必要ということにはなっておりません。  我が法制をするに当たりまして、確認制度をとりまして、申請者に対しまして、まず申請をしていただくと。しかしながら、いろんな行政実務が積み上がってまいりますれば、どういうものが環境影響評価が必要で、必要でないかということもわかってくるわけでございます。そういうことで、過重な負担はかけないというような意味をも含めまして、現在提案しているような法制の仕組みにしたわけでございます。
  296. 竹村泰子

    ○竹村泰子君 人間は生きているからすごい有害なものを出すんですよね。そして、人間の生活するところというのはすべて廃棄物を出すんですよね。そういう意味では、私はすべてのものに環境影響評価の義務をつけなければならないというふうに思ったんですけれども議定書とこの法案とを対比させながら国内法上はどのような運用になるか、手続になるかと。もうお答えになったのかな。いいのかな、それで。必要と認められるときには影響評価を行うということですね。  それでは非常に物足りない。物足りないというか、不足しているのではないかという思いがしてなりません。今後の実際の運用に当たっては、極力影響評価をきちんとやるように求めたいと思います。  それから、先ほどから出ておりましたけれども環境庁の職員が前もっての法案準備のための調査に観光ツアーで南極に行かなきゃならないという情けない状態があるわけです。これは環境庁としてはやはり非常に厳しいかもしれないけれども環境庁職員の常時派遣、これが当然必要だと私は思いますけれども、どうやって監視をするんですか。例えば、禁止事項などを犯している人がいるかもしれない。環境影響を破壊している人がいるかもしれない。そういうときにどうやって監視をするか、具体的に教えてください。
  297. 澤村宏

    政府委員澤村宏君) 先生指摘のとおり、この国内法実施された場合、その実施上の問題として、現地におきます法律の履行状況の監視、指導ということは極めて重要な課題であるというふうに考えております。環境庁といたしましても、職員を現地に派遣することも含めまして、今後関係省庁とも相談してまいりたいと考えております。  なお、議定書におきましては国際的な監視員による査察も実施されることとなっておりますので、これらを通じても本法の遵守を図ってまいりたい、そのように考えております。
  298. 竹村泰子

    ○竹村泰子君 私も、それから多くの国際的なNGOの団体も考えていることは、やはりこの環境保護議定書がきちんと履行されるかどうかを監視する常設機関、またこれ一つの大陸への進出になるかもしれないので余り好ましくないのかもしれないけれども、今ある施設の中に置くとか、そういう形で常設機関、独立機関が必要ではないかというふうに考えますが、今すぐじゃなく将来的にそういうふうに考えられますか。
  299. 澤村宏

    政府委員澤村宏君) この議定書発効されますと、協議国会議等におきましても、これから本当にどういうふうにアセスをやっていくのかというようなこと、あるいは先ほど来いろいろ御議論がありました観光客の問題等々、いろいろ解決すべき課題も多くなってくるものと思います。そういう中でこの査察の問題というようなことにつきましても議論が深まってくる、そのように考えます。これは全く決まったわけではございませんが、これまで以上の頻度でそういう協議国会議というようなものも行われないと、恐らくこの議定書が順調に施行されないのではないか、そのように考えております。
  300. 竹村泰子

    ○竹村泰子君 そのためにも、議定書締約国の横の連絡を密にするなどネットワークが必要だというふうに思いますけれども環境保護委員会や南極条約協議国の役割を聞かせてください。
  301. 澤村宏

    政府委員澤村宏君) まず、議定書の的確な履行のための取り組みということでございますが、それについて申し上げたいと思います。  的確な履行を確保するため他の締約国との連携というものは、今申しましたように非常に重要でございます。そういう場におきまして、査察の実施に関する情報交換あるいは他国の相当法令による手続内容あるいは許可の運用状況についての情報交換ということが行われるわけでございますので、そうしたことを通じまして各国と密接な連携を図るように対処してまいりたいと思います。
  302. 竹村泰子

    ○竹村泰子君 委員会の役割を聞かせてください。
  303. 澤村宏

    政府委員澤村宏君) 委員会の役割ということでございますが、環境保護委員会につきましては議定書本文の十一条にございます。「この議定書により環境保護委員会を設置する。」、「各締約国は、委員会の構成国となる権利及び代表を任命する権利を有する。代表は、専門家及び顧問を伴うことができる。」ということで、以下三号、四号、五号、六号と累次この環境保護委員会の内容につきまして規定されているところでございます。これに従いまして私どもといたしましても適切に対応してまいりたいと思います。
  304. 竹村泰子

    ○竹村泰子君 条約協議国の役割の方はどうですか。今の環境保護委員会というのはまだないんですね、現在は。それで、この後条約が動き出せばつくられるんですか。
  305. 澤村宏

    政府委員澤村宏君) 協議国会議についてのお尋ねでございますが、それは十条に同じく南極条約協議国会議という規定がございまして、「南極条約協議国会議は、利用可能な最善の科学上及び技術上の助言を参考として、次のことを行う。」ということが書いてございまして、それに従いましてこれからこの会議が運用されていくというふうに考えております。
  306. 竹村泰子

    ○竹村泰子君 私の後の質問聞いてないんですか。
  307. 澤村宏

    政府委員澤村宏君) ちょっと補足して申し上げます。  環境保護委員会につきましては、条約が、この議定書発効した後動き出すということでございます。失礼いたしました。
  308. 竹村泰子

    ○竹村泰子君 ということでありますから、一国で五十もある全部の基地を監視するというのもなかなか大変ですから、自国の基地だけでもなかなかできないと思いますけれども、ネットワークをしっかりつくって、やっぱり南極はみんなのもの、世界じゅうのものである、クリーンに置いておきたいのだということで、ぜひ大きな力を日本は出していただきたいというふうに思います。  かなり時間がなくなってきましたので、文部省においでいただいていると思いますけれども廃棄物、先ほどから議論がございましたが、さっきお答えになっていたのは、焼却装置についても議定書に従って二次装置のあるものをきちんと据えるというふうなお話をしておられましたけれども、この実態、費用、計画、それからみずほ基地についてはどうなのか、お答えください。
  309. 岩本渉

    説明員(岩本渉君) まず、みずほ基地の現状でございますけれども、みずほ基地は第二十七次隊、今からおよそ十年前に越冬観測を休止いたしまして、現在は無人観測ということになっておりまして、廃棄物は発生しておりません。  廃棄物関係の予算措置でございますけれども汚水処理装置というもの、約一千八百万ほどのものでございますが、それを導入する一方、廃棄物の持ち帰りでございますとか日本での処理費用を合わせて、平成九年度予算におきましては南極地域観測事業費の中で六百三十二万円を計上しているところでございます。
  310. 竹村泰子

    ○竹村泰子君 廃棄物の処理は、新聞報道なんかにも本当に大変な昭和基地の廃棄物の残骸が写されていたり、先ほども「しらせ」で運んで持って帰ってくるというお話でありましたけれども、大体初めからそういうことは考えなくちゃいけなかったことで、昭和基地ができて何十年ですか、その間ほっておいたというか、ほっておいたわけではないんでしょうけれども、しかし垂れ流しに近かったという、そういう状況南極を使ってよかったのかと。もう取り返しがつかないから一生懸命せっせと回収するしかないわけですけれども、大陸にしみ込んだ油とか、先ほども出ておりましたが、海洋汚染とか、きょうは私は海洋汚染については余り時間がないのでいたしませんけれども、かなりのPCBとかPOPsと言われるいわゆる難分解性の有害のものが海を汚染しているというふうに思います。  これからそういった調査、それから南極地域に生殖しない植物の生息、あるいは粘菌類とかウイルスとか、そういったものが人間が入ると必ずついて入ってしまうんですね、ウイルスなんかにしても。そういうものがどのような経路で入ったかとか、海洋汚染も含めまして防止対策、どのような経路で入ったかということは防止対策を考えるということですから、そのようなおつもりがありますかどうですか。
  311. 澤村宏

    政府委員澤村宏君) 今、先生お尋ねの後段の方からお答え申し上げたいと思いますが、外来生物の持ち込みの関係ですが、議定書におきましては、食用の植物などを除きまして、実験用の動植物などにつきましても規制することが必要とされております。この法律におきましても、これを担保するために、確認の審査の際にこれらの点もチェックすることといたしております。  なお、犬、それから生きている鳥類はいかなる場合も南極地域への持ち込みは許されておりません。また、調理用に処理された家禽を持ち込む場合も一定の病気の検査を受けたものに限られるというふうになっております。  また、汚染の実態ということについてでございますが、我が国、それから諸外国観測活動、あるいはグリーンピース等の国際NGOなどによります調査研究等により把握されてきているところでございますが、環境庁といたしましても、これらの情報、それから知見の活用を図るとともに、必要に応じて学識経験者の意見を求めることなどによりまして、本法の適切な運用に努めてまいりたいというふうに思っております。  特に今後は、活動実施の際に義務づけられますモニタリングのデータ等も活用いたしまして、さらに南極地域環境に関する最新の情報あるいは知見の収集、把握に努めてまいりたい、そのように考えております。
  312. 竹村泰子

    ○竹村泰子君 これは最後質問になると思いますが、ぜひ大臣お答えいただきたいんですけれども、どのようにお考えかということです。  さっきエネルギーの問題が出ておりました。済みません、もしかしたら私これは通告をしていないかもしれません。今、通産省でも本当にクリーンなエネルギーをどう使おうかということでいろんな方法を考えておられ、また予算もつけておられますけれども、この南極でこそクリーンなエネルギー、風とか波とか、もちろんさんさんと降り注ぐ太陽、少し弱いとさつきおっしゃっていましたけれども、そういったものを使って、化石エネルギー、化石燃料を使わないそういう方法を日本が率先してするべきだと私は思うのです。  これはすぐにはできないかもしれないけれども、それこそ通産省とも御相談なさって、環境庁はこういう方針を立てました、化石燃料はなるべく減らしたいんです、南極では特にそうなんですということを、どうぞ大臣、頑張って主唱していただいて、ぜひきれいなエネルギーを使って暮らすことができるように力を発揮していただきたいと思います。  御決意のほどを聞いて、終わります。
  313. 石井道子

    国務大臣石井道子君) 南極環境保全を図っていくということは大変重要なことでありまして、当然エネルギーの問題、化石燃料の問題も配慮していくべきであろうというふうに思います。今の国内の取り組みといたしましても、通産省でも省エネルギー対策ということでいろいろと具体的な対策も考えているところでもありますし、今後も環境庁関係省庁とが十分に連携を図りながら、どこまで実現可能なものであるかということも研究を進めながら取り組んでいきたいというふうに思っております。
  314. 竹村泰子

    ○竹村泰子君 終わります。
  315. 有働正治

    ○有働正治君 私は、まず法案に関連して質問いたします。  文部省の本日の答弁でも示されたわけでありますが、南極観測において出された廃棄物、雪上車あるいは建築廃材など約五百トンの大型廃棄物が現在まだ保管されているとのことであります。それを五カ年で持ち帰って処分する、これ自体大変な仕事であるわけで、実効性のある責任ある対応を求めたいわけでありますが、これらの問題とのかかわりで、私は実際に南極観測活動に従事なされた人の話を聞く機会がございました。その中で要望として出された一つがこういう廃棄物処理にかかわる要員の方の配置の問題であります。  そこで、事実確認としてまず文部省お尋ねしますが、現在行われている第三十八次の観測隊で結構ですが、夏と冬、その中で研究者、設営要員がどういう構成になっているか、お示しいただきたいと思います。
  316. 岩本渉

    説明員(岩本渉君) 南極観測隊の構成でございますが、平成八年十一月に南極地域に派遣した第三十八次観測隊の構成は次のとおりでございます。  通常夏隊と言っているもの、これは平成八年の十一月に出発いたしまして平成九年の三月末に既に帰国をしておるわけでございますが、夏隊が総計十八名、うち研究観測に従事する者が十一名、それから設営、この中には隊長、副隊長も一応含めますが七名。越冬隊でございますが、この人たちは夏隊よりも一年多く南極にいるわけでございますけれども、越冬隊は総計四十名、うち研究観測十七名、設営二十三名。総計、夏隊、越冬隊合わせて五十八名、うち研究観測が二十八名、設営が三十名、このような構成になっております。
  317. 有働正治

    ○有働正治君 合計するとほぼ一対一的な割合だけれども、夏隊の場合には設営要員がはるかに低いし、冬隊もアンバラがかなりあるということであります。  外国の場合をお聞きしてみますと、イギリスの場合は三人の研究者に対し十三人の設営要員、オーストラリアでは研究者八人に対し十八人の設営要員と、この比率が大きく違っているわけであります。もちろん、研究対象あるいは国の事情等々いろいろあることはあるだろうと思うわけでありますが、日本の場合には設営要員というのが他国に比すれば非常に比率が低いという状況にあることは間違いないということだろうと思うんです。  したがって、日本の場合、今までの廃棄物処理の際は研究者の方々もそれに従事せざるを得ないということにならざるを得ないと考えるわけであります。そして、これから観測活動が毎年続き、そこで出される廃棄物を処理する場合にも同様で、研究者の方々も廃棄物処理等々の仕事に従事せざるを得ないと。観測日数にもあるいは観測にも支障なしとは言えないんではないかと。  そこで、南極に実際お出かけになられた方々等のお話では、このことを何とか御考慮いただけぬだろうかと、その点を心配されておられたわけであります。つまり、廃棄物の処理という観点から、隊の構成も少し考えていただけないだろうかと。廃棄物の適正な処理の関係で、それが行われるような人員を配置する、あるいはふやしていただくなど、その際研究活動の水準が下がらないようにすることは当然だと思うのでありますが、この点での改善といいますか御検討をいただきたいという要望が出されているわけであります。  この点について、文部省としての今後の検討をお願いしたいわけであります。
  318. 岩本渉

    説明員(岩本渉君) 先生指摘のとおり、日本南極地域観測隊の場合には、諸外国に比べこういった設営部門に携わる者の割合が少ないというのは確かでございます。ただ、この点につきまして、背景としましては……
  319. 有働正治

    ○有働正治君 いや、もう背景はわかっているから、今後のあれだけを。
  320. 岩本渉

    説明員(岩本渉君) はい。  平成五年度の第三十五次隊から、南極地域観測事業における廃棄物の管理計画の作成管理に当たる要員として、越冬隊に環境保全担当というものを一名置きますとともに、平成八年度には日本の国内の国立極地研究所に、環境保全対策の計画立案、装置の管理、隊員の指導等を行うための環境保全専門職員というものを同研究所に整備したところでございます。これに加えて、本年十一月に出発する第三十九次の夏隊には、汚水処理施設の整備のための要員を一名参加させることを検討しているところでありまして、今後も、先ほど来お話が出ております大型廃棄物の持ち帰り等、廃棄物関連の作業に合わせまして担当隊員を派遣することも含め検討しているところでございまして、先生おっしゃったように、研究の水準がこれによって落ちるということのないように今後も努めてまいりたいと思います。
  321. 有働正治

    ○有働正治君 いま一つの問題は、廃棄物の持ち帰り等を含めてでありますが、出発する前に当然のことながらいろいろプランを立てられるわけであります。それに基づいていろいろ現地で活動されると。ところが、実際現地で携わった場合には、事前のプランと実際にはかなり乖離がある場合が往々にして出てくるわけであります。その際、できればということでこれまた御要望として出されていましたのは、現場の実情、現場の声をよく聞いて柔軟に対応していただきたい、こういう御要望が出されているわけで、これについても善処願いたいと思うわけでありますが、いかがですか。
  322. 岩本渉

    説明員(岩本渉君) 二つに分けてお話し申し上げますと、まず、「しらせ」に乗って南極地域観測事業を現実に南極大陸で行っている間、これは常時通信手段を確保しておりまして、不測の事態が生じたときには国立極地研究所さらには南極地域観測統合推進本部である私どもの方に連絡が入るようになっておりまして、こちらからもまた必要な場合にはこれこれの措置を講じてくださいというようなこともお願いしているところでございます。  もう一つの側面といたしましては、先ほど来お話ししております国立極地研究所におきましては、隊員が帰国した後の五月に、所長の諮問委員会でございます外部の専門家を交えた極地研究所専門委員会というのを開催いたしまして、隊員の帰国報告を受けまして、その報告を参考に次の観測計画に反映させているところでございます。  また、南極地域観測統合推進本部の総会におきましても、帰国した夏隊、越冬隊の隊長から観測実施報告を詳細に聴取いたまして、隊員の意見を酌み取るように努めているところでございます。
  323. 有働正治

    ○有働正治君 そういうことをやっておられることは重々承知しているわけですけれども、その点でもう少し柔軟に現場の声を聞いていただきたい、こういう要望なんで、これについてだけ、改善をできるだけ意を酌んでやっていただきたい。  結論だけちょっとお示しいただければ。
  324. 岩本渉

    説明員(岩本渉君) 私もいろいろな機会に帰国隊員と接し、生の御意見あるいは注文、苦情といったようなことも聞くことがよくございます。  そういったことを国立極地研究所あるいは本部を構成している関係省庁とともに解決していくのが今後の南極地域活動の充実につながると思っておりますので先生の御指摘を踏まえ、今後も努力してまいりたいと思います。
  325. 有働正治

    ○有働正治君 そこで、環境庁長官に、この廃棄物の処理問題を含めまして、午前中からの議論で指摘されていますように、環境庁の役割というのは非常に大きいわけで、国際的に模範になるように取り組むという点ではなかなか各省庁の外圧も環境庁は受けやすいところだと一般的に国民の中からも指摘されているわけで、やはり環境庁長官として、積極的に環境庁がイニシアチブをとって国際的にも模範になるように対応していくということを強く求めるわけでありますが、この点だけちょっとお示しいただければ。長官。
  326. 石井道子

    国務大臣石井道子君) 観測隊活動に伴う廃棄物処理問題につきましては、この南極法を施行するに当たりまして、南極地域という極めて厳しい環境下におきましても議定書が実効あるものとなるように、現場の実情を十分にしんしゃくいたしまして、観測隊活動を所管しております文部省とよく連携、調整を図りながらこの法案の運用に取り組んでまいります所存でございます。
  327. 有働正治

    ○有働正治君 文部省の方、結構です。  そこで話を進めますけれども、この南極条約環境保護議定書に盛られている義務規定を誠実に遵守していく上で一つの指標となると考えられるのが環境に関する条約、特に自然環境保護条約による締約国の義務がどう守られているかが重要だと考えるわけであります。  条約は批准し国内法をつくったが、条約に義務づけられ、また議定書や決議、勧告、ガイドラインなどで国内の自然の保全が求められているけれども遅々として進まない、あるいは乱開発などによって破壊されかねないという問題があるわけで、その一例として、ラムサール条約とのかかわりで幾つ質問したいわけであります。前段として、私、当委員会で諌早湾の干潟問題を取り上げました。これに関連いたしまして、農水省、環境庁お尋ねします。  まず農水省です。国内の大きな団体でありますWWFJ、世界自然保護基金日本委員会から藤本農水大臣要請書が届いていると思うわけでありますが、その事実確認とその内容を一言お示しいただければ。
  328. 江頭輝

    説明員(江頭輝君) 諌早湾干拓事業につきまして、世界自然保護基金日本委員会等から最近農林水産省に対しまして、自然環境、生態系の保全等の観点から事業の中止または見直しを求める要請書が提出されております。
  329. 有働正治

    ○有働正治君 環境庁お尋ねします。  同じくWWFJから環境庁に対しても来ているのではないかと思いますけれども、この事実確認と、もう一点、WWFJの会員は個人、団体数どれくらいと承知しておられるのか。また、国際組織WWFというのは世界何カ国にあって、会員はどれぐらいだと掌握されておられるのか、お示しいただければ。
  330. 澤村宏

    政府委員澤村宏君) まず第一点のお尋ねでございますが、WWFJが農林水産大臣の方に要望書を出したというその写しは我々もいただいております。  それから、WWFの組織についてでございますが、会員数は個人会員約五万三千人、団体会員約一千五百社という大変大きなものでございます。  また、国内のWWFJは、個人……
  331. 有働正治

    ○有働正治君 それが国内じゃないでしょうか。
  332. 澤村宏

    政府委員澤村宏君) 失礼いたしました。  日本委員会の方が五万三千人、それから団体が一千五百社でございます。  それから、母体であります世界自然保護基金は、世界二十八カ国に国内委員会等を設置しておりまして、会員数は約五百八十万人となっております。
  333. 有働正治

    ○有働正治君 農水省にお尋ねいたします。  この諌早湾の干潟保全にかかわりまして、海外の国際的な環境あるいは自然保護団体あるいは加盟の役員や個人等からの要請が農水省に来ているやに聞いているわけであります。その実情をちょっとお示しいただきたいと思います。
  334. 江頭輝

    説明員(江頭輝君) 最近、外国環境保護団体等から農林水産省に提出されております要請書等は、まずアメリカ・サンフランシスコの保護区を完成させる市民の会、それからオーストラリア・ブリスベーンのクゥイーンスランドシギ・チドリ類研究会等でございます。  この要請書の内容は、自然環境保全また渡り鳥の生息地の保全等のため、国内の意見と同様でございますが、事業の中止または見直しについてというものであります。
  335. 有働正治

    ○有働正治君 環境庁お尋ねします。  こういう外国の組織から、ここは干潟ということで南方あるいは北方への渡り鳥の中継地になっているわけでありまして、例えば北のロシアあたりから要請が届くとかそういう状況はあるのでありましょうか、環境庁
  336. 澤村宏

    政府委員澤村宏君) 今、定かにはその具体的なことは思い浮かばないわけでございますけれども、渡り鳥等につきましてはいろんな国際会議等がございます。そういう中でいろいろな要望等が出ているということ、それは承知しております。
  337. 田中健次

    政府委員(田中健次君) この諌早湾の干潟につきまして、ロシアのNGO、インターナショナル・ソシオ・エコロジカル・ユニオンというところから環境庁に対しまして、諌早湾の干潟を残すことを要望する旨の文書が来ております。
  338. 有働正治

    ○有働正治君 私の方で国内のこういう問題に携わっておられる自然保護団体の方々からお聞きしますと、アメリカの全米野生生物保護連盟の方からも近く出されるのか、強い要望がそういう団体に届いているということも聞いているわけでありますけれども環境庁にちょっとお尋ねしますけれども、このアメリカの全米野生生物保護連盟というのはどれくらいの規模の組織なのか把握しておられるでしょうか。
  339. 澤村宏

    政府委員澤村宏君) お答え申し上げます。  全米野生生物保護連盟は、野生生物保全に対する教育普及等を目的として設立されたものでございまして、全米で約四百万人が会員となっている、そういうふうに聞いております。
  340. 有働正治

    ○有働正治君 今、農水省、環境庁からいろいろお示しになった国際的な団体からの要請書等々、私も現物を見させていただきました。    〔委員長退席、理事大渕絹子君着席〕  紹介がございましたオーストラリアのブリスベーンのシギ・チドリ類研究会のメンバーからの要請は、「多くのシギ・チドリ類は、日本を通過しながらオーストラリアと亜北極地域の繁殖地の間を渡ります。この鳥達は、日本の干潟で餌を取らなければなりません。この大切な餌場がなくなることは、この鳥類の個体群の減少と全滅の原因になりえるでしょう。 諌早湾はこのような餌場の一つです。」ということを説明しながら、この干潟保全について要望されています。  先ほどお示しになりましたロシアの自然保護団体の社会・生態系連盟からも同じように、「諌早湾の干拓事業は、東シベリアへ訪れる渡り鳥が利用する大切な中継地」でありますということで憂えておられるわけであります。  また、アメリカの全米野生生物保護連盟は四百万人のメンバーがいるということですけれども、こういう団体、あるいはそのほかの団体等からもいろいろ届いているということであります。  それから、この問題に取り組んでおられる日本自然保護団体が国際的に署名を要請した中で、私がお聞きしますと六カ国、アメリカ、オーストラリア、香港、シンガポール、ロシア、デンマーク等々から署名が数百人分今届いていると。その中には、モスコー大学だとかアドレード大学とか、学者、先生方、研究者、それから自然保護団体の代表的な方々、それから自治体関係者等々もおられて、今次々に寄せられているということを述べておられたわけであります。  そこで、こういう渡り鳥にかかわる、しかも南方からを含めましての渡り鳥の中継地、えさ場としての干潟あるいは湿地が日本にあるわけでありまして、農水省としてこの間の要望を重く受けとめていただきたいということを強く要望しておきます。  その上に立って、環境庁長官、所見だけちょっとお尋ねするわけでありますが、お聞きのとおり、国際的な自然保護団体からも非常に憂慮するということで要望が届いていると。国際的な重みを持つ湿地、干潟は日本の場合多いというあらわれだと思うのでありますが、ここらあたりどう受けとめておられるのか。また、渡り鳥条約とのかかわりもいろいろあるわけで、そのことも心配して指摘されているわけで、非常に重い提起が諸外国から出てきていると私は思うわけでありますが、ここらあたりについて所見だけ、感想を含めまして、長官にお尋ねいたします。
  341. 石井道子

    国務大臣石井道子君) 諌早湾の干拓事業につきましては、大変多くの団体から御要望が寄せられていることを承知しております。  環境庁といたしましては、この事業について、昭和六十三年と平成四年に、本事業の環境影響評価に際しまして自然環境保全また水質汚濁防止等の環境保全上の意見も述べてまいりました。そして、せんだって、環境委員会の御指摘も踏まえまして、現在の環境保全対策の進捗状況について調査を行い、その結果を踏まえて、農林水産省及び長崎県に対しまして、汚濁負荷削減対策の推進や環境モニタリングとそれを踏まえた適切な対策の実施等について一層の配慮を要請したところでございます。そして、環境庁といたしましては、環境庁からの意見等も踏まえて事業者及び地元地方公共団体において適切な環境保全対策が行われるものと理解をしているところでございます。
  342. 有働正治

    ○有働正治君 国際的な反響その他を含めまして、環境庁としても毅然として対応していただくことを要望しておきます。    〔理事大渕絹子君退席、委員長着席〕  そこで、話を進めます。  このラムサール条約の締約国会議がアジアで初めて釧路で開催されたわけでありますが、その九三年六月の締約国の釧路会議から四年弱であります。この間、日本は登録湿地数が幾つふえて幾つになっているのか、結論だけお示しください。
  343. 澤村宏

    政府委員澤村宏君) 釧路で開催されました会議以降、ガン・カモ類の渡来地であります新潟県の佐潟を平成八年三月に新たに登録したところでございます。
  344. 有働正治

    ○有働正治君 合計で幾つになっていますか。
  345. 澤村宏

    政府委員澤村宏君) これによりまして、我が国の登録湿地の数は合計十カ所となりました。
  346. 有働正治

    ○有働正治君 そこで、このラムサール条約締約国リスト及び登録湿地数、一九九七年二月現在の資料を環境庁からいただきました。釧路会議直後の九三年十二月末現在と比較してこの四年余りの間の各国の登録湿地数の増加を調べたいということで、比較してみますと、時間の関係で私の方で進めさせていただきますけれども、イギリスはこの間四十カ所増加して登録湿地数合計百七カ所。  日本と比較しますと、日本はたった一つでありますから増加数でイギリスは四十倍、登録湿地数合計で約十一倍弱、こういうことになろうかと思うわけであります。同じく、アイルランド、二十四カ所増加、二十四倍です。登録湿地数合計で四十五カ所。日本の四・五倍の登録湿地数。昨年三月の第六回締約国ブリスベーン市会議の開催国でありますオーストラリア、四年余りで七カ所増加して七倍です。登録湿地数が四十九カ所で日本の約五倍。同じく、ノルウェーが九カ所増加して二十三カ所で二倍以上だと。スペインが九カ所増加、計三十六カ所。四倍近いと。  いただいた資料を比較しますとこういうふうになっているようでありますが、今私の方で時間の関係で紹介させていただいた数字、事実確認が一点と、登録湿地数で日本は締約国百カ国のうちの何番目であるのか、これをお示しいただければと。
  347. 澤村宏

    政府委員澤村宏君) 資料につきましては、ただいま先生の御指摘のとおりでございます。  それから、本年二月にラムサール条約の事務局が作成した資料によりますと、我が国の登録湿地の数である十カ所は、ギリシャ、ポルトガルと並びまして締約国百カ国のうち上の方から数えまして十九番目に当たっております。
  348. 有働正治

    ○有働正治君 湿地の数その他、国のいろいろ地理的条件はあろうと思いますけれども環境先進国とおっしゃられる割にはかなり少ないと。(「だれよ、そんなこと言っているのは」と呼ぶ者あり)よく政府が言うわけであります。かなり厳しい批判が同僚委員からも出されているわけでありますけれども、やっぱりこれは非常に少ないと。  あえて言うならば、国際的に批判、厳しい意見が出されていると。  そこで、先に進めますけれども、この条約は締約国に包括的な国内委員会設置を求めています。  日本でのラムサール国内委員会の設立は四年前の釧路会議以前からの懸案で、いつ設立されて、具体的な成果はどうなっているのか、簡潔にお示しください。
  349. 澤村宏

    政府委員澤村宏君) お答え申し上げます。  この国内委員会は、正式にはラムサール条約推進国内連絡会議と称しておりますが、昨年八月に発足を見たところでございます。この構成メンバーは、環境庁を含む関係十省庁の代表者、それから登録湿地関係自治体及び国内の関連NGOの代表で、環境庁自然保護局野生生物課が事務局を務める、こういう形になっております。
  350. 有働正治

    ○有働正治君 構成メンバーは大体どのクラスなのか、具体的な成果、昨年八月以降何回ぐらい会議をやってどう実績が上がっているのか、結論だけお示しください。
  351. 澤村宏

    政府委員澤村宏君) 関係自治体からそれぞれ実務レベルの方々が参加しております。関係省庁からは課長補佐レベルで構成をしております。
  352. 有働正治

    ○有働正治君 何回やりましたか、会議。成果。
  353. 澤村宏

    政府委員澤村宏君) これまでに一回開催しております。
  354. 有働正治

    ○有働正治君 一回というのは、発足式をやったということになるんじゃないでしょうかね。結局、その後の具体的な成果はなかなか言えないと。しかも課長補佐クラスだと。  各国の状況を調べてみますと、昨年のオーストラリア・ブリスベーン第六回締約国会議での日本のNGOが主催しましたラムサール国内委員会アンケート調査発表報告会で、条約加盟百カ国のことし二月現在の全登録湿地数八百七十二カ所の実に一二・三%に当たる百七カ所を一国で登録しているイギリス政府から、この国内委員会の利点として、政府とNGOの代表者との信頼関係があるため国内委員会が情報交換の場としてうまく機能していると発言しているわけであります。インドのNGOからは、国内委員会があるため登録地に悪影響を与えるプロジェクトを中止することができた。文書を見ますと、こういう報告もされていると私は承知しているわけであります。  そこで、具体的な成果につながるように私としては長官に御検討願いたい。  一つは、構成メンバーの権限、局長クラスなど実効あるものにするような内容にして、しかも環境庁はもっとイニシアチブをとるべきだ。発足会だけで事を済ましている状況では姿勢が疑われるわけであります。そして三つ目に、自然保護団体、これは三人の枠のようでありますが、この枠を拡大する。そして、国際的にも強く登録が求められている日本の干潟、湿地の登録、これも全力を挙げる。こういう方向で前向きに長官として対応願いたい。  その決意なり抱負を簡潔にお示しいただければと思います。
  355. 澤村宏

    政府委員澤村宏君) ただいま先生からいろいろ御指摘をされましたように、この運営につきましてはいろいろ課題はあろうかと思います。しかしながら、この会だけではなしに、環境庁におきます渡り鳥等におきます国際会議におきましてはNGOの方々等にもオブザーバーの形ではございますが入っていただくというような形とか、いろんな形でやっております。  ただいま御指摘のあったようなことを踏まえまして、今後この会がより活性化する、そんな方向で努力をしていきたいと思います。
  356. 有働正治

    ○有働正治君 長官も。
  357. 石井道子

    国務大臣石井道子君) 今後、この会議におきまして関係者の間で活発な意見交換も行われるようにしていきたいと思いますし、この会議目的でありますラムサール条約の効果的な実施を図るように積極的に対応していく所存でございます。
  358. 有働正治

    ○有働正治君 終わります。
  359. 末広まきこ

    末広真樹子君 自由の会の末広真樹子でございます。よろしくお願いします。  本日は先輩議員の皆様の鋭い質問に議論白熱といった状況でございまして、まずは敬意を表したいと思います。そのしんがりでございます。皆様大変お疲れとは存じますが、最後までよろしくおつき合い願いたいと思います。  一九六一年に、南極地域における領土権の凍結、軍事利用の禁止、科学観測のための国際協力目的とする南極条約発効されました。以来、我が国南極観測を行ってきているところでございます。その後、一九九一年に環境保護に関する南極条約議定書採択されているにもかかわらず、国内法の制定がおくれてきた。その間に、自転車や廃材などの生活ごみが放置されて、海にもカップラーメンのカップや蛍光灯のガラス管などが浮いている状況指摘されております。  やっと今回の南極地域環境保護に関する法律案が提出されたわけでございますが、現時点で環境庁南極地域に生息する野生生物の現状についてどのように把握しておられますか。
  360. 澤村宏

    政府委員澤村宏君) お答えを申し上げます。  南極地域には、大型の動物といたしましては、アザラシ類、鯨類などの哺乳類が二十三種類、それからペンギンなどの海鳥類が四十一種生息しております。これらはいずれも海域で採食する海洋性の動物でありまして、ほとんどが短い夏の時期に陸域のわずか三%から五%の面積に当たる露岩地帯に繁殖のために集まってくるものでございます。  また、植物につきましては、種子植物二種のほか、蘚苔類、地衣類など四百種以上の生育が確認されております。  二種の種子植物につきましてはいずれも緯度の低い南極半島周辺のみに生息しておりますが、地衣類では南緯八十六度の高緯度まで分布が確認されている、そのような状況になっております。
  361. 末広まきこ

    末広真樹子君 ありがとうございます。  できるだけ具体的に質問してまいりたいと思うんですが、私は、人間のように垂直に立って歩くペンギンに小さいころより大変親しみを感じております。その姿形が愛らしいというのと同時に、その子育て法に感動を覚えます。ペンギンの仲間の中でも最も大きいとされておりますコウテイペンギンは、厳しい冬のさなかに産卵いたしまして、雄が、ここが大事なんですね、長官もうんうんとおっしゃっていますが、雄が足の上に卵を乗せて立ったまま雪まみれになって、つまり生きた雪像と化して二カ月間一睡もせずに温め続けるのをドキュメント番組で拝見したことがございます。すごいなと感動したわけですね。  厳しい環境の中でこれまで生き延びてこれたペンギンたちを、人間の活動によって圧迫したり、それから絶滅の危険にさらしたりするということはあってはならないことだと思いますが、人間活動によるペンギン類への影響としてどのようなことが考えられるんでしょうか。また、現に生息状況が悪化している種はありますでしょうか。お教えください。
  362. 澤村宏

    政府委員澤村宏君) お答え申し上げます。  南極研究科学委員会というものがございますが、その委員会やグリーンピースなどの調査研究によりますと、人間の歩行や車両の運行に驚かされたペンギンが繁殖行動を中断してしまったり、驚いた親鳥が巣を離れた間に天敵でありますオオトウゾクカモメがひなや卵を捕食してしまうなどの影響指摘されているところでございます。また、人間が近づくことによりまして無意識のうちにペンギン類に感染する伝染病などを持ち込むおそれがあるということも指摘されております。  なお、ペンギンの生息状況につきましては、現在明らかに生息個体数が減少していることがわかっているそういった種はいないものというふうに承知しております。
  363. 末広まきこ

    末広真樹子君 ありがとうございます。  悪化している種がないということは一安心でございますが、国内法ではこれらの人間活動による影響からペンギンを保護するために、例えば子育てをやめてしまう、驚くとかいう、そういうのを保護するためにどのような措置を講じているのでしょうか。
  364. 澤村宏

    政府委員澤村宏君) 今度提出しております法律におきましては、ペンギンなどの鳥類、それから哺乳類を捕獲または殺傷することは、第十四条第二項第一号というところで原則禁止するということとしております。  また、同じく同項第三号では、生息状態や生息環境影響を及ぼすおそれのある行為はしてはならないというふうにしているところでございます。
  365. 末広まきこ

    末広真樹子君 南極をなぜ守らなければいけないのか、それは一つには生物資源だと思うんですね。  南極の海のプランクトンの生物量は日本近海の海の生物量よりもうんと多いというふうに伺っておりますが、本当なんでしょうか。
  366. 澤村宏

    政府委員澤村宏君) いろいろな資料はあるわけでございますが、直接的に日本近海におきます、そういう海におきます、資源量と申しますか、生物の種との具体的な比較というものは、ちょっと持ち合わせておりません。
  367. 末広まきこ

    末広真樹子君 プランクトンの量というのも資料をお持ちじゃございませんか。
  368. 澤村宏

    政府委員澤村宏君) ちょっと専門でないものですので申しわけありませんが、南極地域においてと同じような方法での調査方法による比較というものはないと聞いております。  ただ、先生が御示唆されていますように、オキアミ等豊富なそうした生き物がいるということも事実でございます。
  369. 末広まきこ

    末広真樹子君 それはこれからおいおいやっていただく課題かなということで、宿題にしましょう。  南極へ行かれた方のお話をお聞きしますと、分厚い氷をひっくり返しますと海水の色が黄色く見えるのだそうです。それはほとんどが植物性プランクトンですから、南極の海水は大きな森林と言うことができると思います。そのプランクトンをオキアミが食べて、オキアミを食糧とするたくさんのお魚がいる、こういうことになってくるわけでございますね。  私は大体自分で現場調査して足で稼いでくるタイプなものですけれども、今回はちょっと現場が遠かったために行くことができなくて残念だったので、専ら環境庁お尋ねしていくわけでございますが、環境庁では南極における生物資源調査を常駐で行っていないそうでございますが、常駐で行っていないなら南極観測隊に参加するなどして環境庁としても調査を行っていかないと、わからないことがいっぱいじゃないかなと思うんですが、いかがでしょう。
  370. 澤村宏

    政府委員澤村宏君) おっしゃるとおり、現在のところ環境庁といたしましては、南極地域に滞在して生物資源にかかわる調査を行っておりません。  しかしながら、南極地域の生物資源の状況について把握することは、南極地域環境保護のための法律を的確に実施していくための前提にもなるわけでございます。したがいまして、我が国南極観測や諸外国観測活動を初めとする各種の調査研究を活用するとともに、必要であれば環境庁としても調査を行うことを含めまして今後の課題として検討してまいりたいと考えております。
  371. 末広まきこ

    末広真樹子君 ぜひぜひ、大きな課題であると思います。北極ではこの十年間で水温が一・五度も上がっているということがモニタリング調査でわかっているという意見も報道されております。  そして、その温暖化の影響がどういうところに出ているかといいますと、二カ月も早い水路の解氷、そしてベルーガと呼ばれるシロイルカ、これが三週間も早くやってくるということなどに見られております。  驚くべきことに、そのベルーガの死体は産業廃棄物として回収されております。いささか異常なことが起きているのかなと思わざるを得ないですよね。なぜベルーガが産廃物なのか明らかにしていただきたい。どういう有害物質がその体内に蓄積されているのか。同時に、南極における生物汚染はあるのかないのか、これも教えてください。
  372. 澤村宏

    政府委員澤村宏君) 御指摘のベルーガの死亡例につきましては、カナダのセントローレンス川におけるものと思われますけれども、その死因につきましては、環境汚染による可能性もあるとされておりますが、必ずしも明らかにはなっていないと聞いております。  また、死んだベルーガがなぜ産業廃棄物として処理されるのかということにつきましては、申しわけありませんが、ちょっと承知はしていませんので、よろしくお願いをいたしたいと思います。  それから、南極地域においても、今のベルーガのようなそういう環境汚染によって生息が脅かされている動植物がいるのではないかというお尋ねでございますが、これまでのところ人間活動による環境汚染によって南極地域に生息する野生生物が大量死したような事例があったとは承知しておりません。ただし、南極観測隊等が採取した標本の分析によりまして、南極地域に生息するペンギンやアザラシからもPCBやDDT等の有機塩素系化合物が検出されているということはお伺いしております。
  373. 末広まきこ

    末広真樹子君 びっくりしますですね。やっぱりあるんですよね。こういうことが出ているということは、調査しなくても出てきているということは、これはやっぱり絶対に環境庁は常駐で調査する必要があるんじゃないかなと思いますが、ここまでのやりとりで環境庁長官ちょっと、質問通告にはございませんが、御感想をお聞かせいただけませんか。
  374. 石井道子

    国務大臣石井道子君) 南極地域における観測につきましては、今まで文部省が行ってきたということがあります。今回の法律が成立をいたしました際には、特に環境問題に対する責任と義務が課せられてくるというふうに思っておりますし、今後の問題でありますけれども、できるだけ前向きに取り組まなければならないと思っております。  常駐をすべきであるという御指摘もありましたけれども、この問題につきましては人の問題、予算の問題、いろいろありますけれども、今後検討させていただきたいと思っております。
  375. 末広まきこ

    末広真樹子君 そうですね。大いに検討の必要があると思います。  文部省にお伺いします。  南極地域の温暖化の現状を把握するために、文部省ではどのような観測を行っていますか。
  376. 岩本渉

    説明員(岩本渉君) 日本南極地域観測隊におきましても、昭和基地におきまして地球の温暖化に関しまして定常観測ということで毎年実施しているわけでございます。それによりますと、昭和基地の周辺においては顕著な温暖化傾向は見られていないという報告を受けております。
  377. 末広まきこ

    末広真樹子君 この観測結果なども踏まえまして、環境庁としては地球温暖化の現状についてどのような見解をお持ちでしょうか。
  378. 浜中裕徳

    政府委員(浜中裕徳君) お答えを申し上げます。  ただいま文部省からも御答弁がございましたが、南極半島部の気温上昇は見られておりますけれども、その他の昭和基地などでの観測ではこのような気温の上昇傾向は見られないということでございまして、こうした南極地域状況と地球温暖化との関係を科学的に判断をするにはさらなる知見の集積が必要であるというふうに考えております。  しかしながら、全体的に見てまいりますと、気候変動に関する世界の専門家を集めました政府間パネル、IPCCというものが平成七年の末に第二次の評価報告書をまとめておりまして、それによりますと、既に過去百年間でおおよそ地球の全体の平均気温、平均で見てまいりますと〇・三度から〇・六度上昇している、しかもさまざまな証拠を比較、検討いたしますと、気候に対する人間活動影響が示唆されるというふうにしているところでございます。  そして、このまま推移をいたしますと、その影響といたしまして、森林でございますとか水資源、あるいは食糧生産、さらには沿岸地域における洪水や高潮による被害、あるいはマラリアなどによります人間の健康への影響など、多様な深刻な影響が発生するものというふうに懸念を予測しているところでございまして、私どもとしても大変人類の将来にとって深刻な問題であるというぐあいに認識をしている次第でございます。
  379. 末広まきこ

    末広真樹子君 お聞きのように、文部省環境庁とでは見解が著しく異なると。これは非常に問題だなと思うわけでございますね。今回の環境保護議定書の考え方に立てば、今後南極地域においては科学的調査の推進と環境保護というのはいわば車の両輪として一体的に進めることが必要と思います。  気温温暖化についてこれだけ認識が違うなんということは一体どちらを信じればいいのというようなことになって、それはとても困ることでございますので、ぜひ一体的に観測活動環境保護を、それぞれ所管する立場文部省及び環境庁は今後の協力、連携についてどのようにお考えでしょうか。
  380. 岩本渉

    説明員(岩本渉君) 本日の御議論でもたびたび出てまいりましたとおり、地球環境保護世界的な課題となっている中で、あらゆる環境変動というのは極域に顕著にあらわれる。その意味では南極地域活動環境に負荷を与えるという面とともに、南極地域観測統合推進本部の研究活動自体が、南極地域環境のみならず、全地球的な環境保護に資するものと考えております。  また、南極地域観測事業によって得られました科学的知見は、環境保護に関する南極条約議定書及びその法律の運用に大きな貢献をするものと文部省は考えております。本法律案の第四条第二項におきましても、「環境庁長官は、基本的な配慮事項を定めようとするときは、文部大臣その他関係行政機関の長に協議」をするという規定があるのもそのあらわれかと思っているわけでございます。  今後、南極地域における研究を積極的に実施しますとともに、環境保護の観点からは環境庁と十分に連携を図りつつ、今後、南極地域観測事業実施してまいりたいと思っております。
  381. 石井道子

    国務大臣石井道子君) 南極地域で行われます観測活動は、地球環境のモニタリングには欠かすことができない重要な役割を果たしております。  また、観測活動によって蓄積された各種のデータというものは議定書に基づく南極地域環境保護施策にとっても重要な基礎となるものでございます。そのようなことで、やはり科学的な調査と環境保護というものは一体となって取り組むべき課題であるというふうに思いますし、今後も観測活動との協力、連携を図っていくことが大変重要であるというふうに思います。  今後も、文部省関係省庁とも相談をしながらその具体化に向けて取り組んでまいりたいと思っております。
  382. 末広まきこ

    末広真樹子君 関係省庁との連携、ぜひ必要かと思います。  それから、地球環境観測拠点として南極地域の特性を見るときに、これからは各国が独自に観測活動を行うだけではなく、例えば昭和基地においてそういうことが見られておるとか見られておらぬとかということではちょっと困るなと、各国が共同で実施するような観測活動にも積極的に取り組んでいく必要があると思います。文部省は、我が国が率先して世界南極観測隊のような考え方を御提案するお考えはないんでしょうか。
  383. 岩本渉

    説明員(岩本渉君) 先生指摘のとおり、南極観測における科学的研究というものが南極大陸の自然現象の理解という段階から、もはや地球規模変動の解明を目的とした地球研究の段階、そういったものに大きく局面を変えつつあるということは論をまたないところでございます。こういった地球規模変動の環境評価とその変動メカニズムを理解する上で、南極観測事業が学際的、総合的、さらには国際的な枠組みの中でやっていくという認識が高まっておりますとともに、今、先生おっしゃったように、日本南極観測における国際共同研究の実施と推進に主導的な役割を果たすよう、いろいろな会議の場で期待されているわけでございます。  私どもといたしましては、冒頭、先生が引用されました南極条約に基づきまして、科学者の交換というのを行っております。平成八年度におきましては、日本からドイツのノイマイヤー基地に一名を派遣し、ドイツ隊とともに共同の研究を行う。また、昭和基地には中国、ニュージーランドから研究者の受け入れを行ったところでございます。また、外国との共同観測という観点から、中国の中山基地に二名の日本人研究者を派遣したところでございます。こういった南極に関する研究の情報交換につきましては、三十二カ国が加盟しております南極研究科学委員会、SCARと略称しておりますが、そこに我が国も参加するなど積極的な対応を行っているところでございます。  昭和基地というものが東南極の数少ない観測拠点として観測ネットワークの今後重要な位置と役割を世界的に期待されておるわけでございますので、今後とも各国と連携して本事業を実施してまいりたいと思っております。
  384. 末広まきこ

    末広真樹子君 ちょっと今お聞きしていて思ったんですが、観測ネットワークということをおっしゃいましたが、それはもう既にインターネットのホームページかなんかを利用して各観測基地同士のやりとりというのは始まっているんでしょうか。ちょっと突然で、もしおわかりでしたらお答えください。
  385. 岩本渉

    説明員(岩本渉君) 今詳細なデータを手元に持ってなくて恐縮なんでございますけれども、研究者間ではそういったインターネット等を用いて各種のデータの交換等はやっていると伺っております。
  386. 末広まきこ

    末広真樹子君 つまり公開情報なわけですね、オープンでやっているということですね。
  387. 岩本渉

    説明員(岩本渉君) 私ども文部省の所管しております学術研究というのは基本的に公開を目的とした研究、そういったものを実施しておりますので、当然公開されていると考えております。
  388. 末広まきこ

    末広真樹子君 世界南極観測隊のような考え方、これ同じ質問環境庁長官はどのようにお考えでしょうか。
  389. 澤村宏

    政府委員澤村宏君) 私から初めにお答えしたいと思います。  今、先生が御提案されたような世界南極観測隊、すなわち各国が共同して観測を行うということは、南極地域環境状況について共通の認識を形成することにつながるなど、国際的に協力して南極地域環境保護をしていくための基盤を醸成するという点におきまして意義のあるものであるというふうに考えております。
  390. 末広まきこ

    末広真樹子君 南極地域での温暖化が進みますと、相当な広さの陸地が海に沈むと言われております。そういう意味で、南極地域の温暖化モニタリング調査というのがとても重要であると思います。  さらに、我が国として本年度に開催される予定の地球温暖化防止京都会議において、実効性のある温暖化防止対策を進めていくために、先ほど来の御答弁で、現在関係省庁との連絡に追われているところであるということですが、積極的な提案を行うべきであるという凛然たる決意をお持ちなんでしょうか。  私は、本年度は、これはもう平成環境元年、これはアセス法案を含めて、そういう年なんだなというふうに、節目だなと実感するわけでございます。  最後に、大臣の御決意をお伺いいたします。
  391. 石井道子

    国務大臣石井道子君) 地球温暖化の最も大きな原因が二酸化炭素の排出でございます。それによって南極地域もさまざまな影響が生じるということも予想されるわけでございますが、このためにも地球温暖化防止京都会議を何としても我が国がリーダーシップをとって成功させなければなりません。  そのためのさまざまな取り組みを現在しているところでございまして、十二月までにはまだ半年ちょっとありますけれども、その間にやはり日本としてそのための政策を決定し、そして国際的にも納得がいけるような数値目標も定めながらということで取り組む決意を新たにしているところでございます。それにはいろいろと関係省庁の調整がかかるかと思いますが、それを乗り越えて日本としての成功を期すために頑張っていきたいと思っております。
  392. 末広まきこ

    末広真樹子君 ぜひ主体的決意を持ってリーダーシップをとって取り組んでいかれることを望みます。  そんなことはないと思うんですけれども、決して会議の場を提供するだけの国際会議にならないように、僭越ながらお願い申し上げて、私の質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  393. 渡辺四郎

    委員長渡辺四郎君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。  これより討論に入ります。――別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。  南極地域環境保護に関する法律案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  394. 渡辺四郎

    委員長渡辺四郎君) 全会一致と認めます。  よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  山下君から発言を求められておりますので、これを許します。山下栄一君。
  395. 山下栄一

    ○山下栄一君 私は、ただいま可決されました南極地域環境保護に関する法律案に対し、自由民主党、平成会、社会民主党・護憲連合、民主党・新緑風会、日本共産党及び自由の会の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。  案文を朗読いたします。  南極地域環境保護に関する法律案に     対する附帯決議(案)  南極地域環境保護重要性にかんがみ、政府は、-本法の施行に当たり、次の事項について適切な措置を講ずべきである。  一 本法の実効性を確保するため、南極地域への環境庁職員の派遣など審査及び監督体制の確立を図ること。  二 環境保護に関する南極条約議定書に基づく査察と本法に基づく審査及び監督との効果的な連携を図り、本法及び議定書の実効性の確保に努めること。  三 南極地域活動に係る環境影響評価の十分な実施に努めるとともに、締約国間における同制度の運用方針の確立を急ぐこと。  四 昭和基地に集積・保管された雪上車、ドラム缶等の廃棄物の適切な処理を行うなど、同基地の環境保全体制の確立に努めること。  五 増加する観光客に対し、「基本的な配慮事項」の周知徹底を図るとともに、旅行業者に対する適切な指導を行うこと。  なお、指導に当たっては、一九九四年の南極条約協議国会議で合意された「南極観光及び非政府活動に関する勧告」に基づく「南極の観光及び非政府活動に関する手引き」を配慮すること。  六 ペンギン、アザラシ等から、重金属、有機塩素系化合物などの有害な物質が検出されていること等にかんがみ、南極を含む地球環境保全対策に努めること。  右決議する。  以上でございます。  何とぞ御賛同いただきますようお願いいたします。
  396. 渡辺四郎

    委員長渡辺四郎君) ただいま山下君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。  本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  397. 渡辺四郎

    委員長渡辺四郎君) 全会一致と認めます。  よって、山下君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、石井環境庁長官から発言を求められておりますので、この際、これを許します。石井環境庁長官
  398. 石井道子

    国務大臣石井道子君) ただいま御決議になられました附帯決議につきましては、その趣旨を十分尊重いたしまして努力をいたす所存でございます。ありがとうございました。
  399. 渡辺四郎

    委員長渡辺四郎君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  400. 渡辺四郎

    委員長渡辺四郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後五時十二分散会